家にミューオン天文台を作ろう――MITから100ドルの観測デバイス発売

MITの物理学者チームはミューオン探知機を開発し100ドルで販売し始めた。テレビのリモコンみたいに見える装置を使って誰でも宇宙から飛来するミューオンでさまざまな観測をすることができる。高エネルギー粒子が宇宙線となって大気に衝突すると、さらに二次宇宙線が放射される。そのひとつがミューオンだ。CosmicWatchというデバイスでこの宇宙線を観測できる。

デバイスの開発者、Spencer Axaniによれば、ミューオンはいわば「霧雨のように地上に降ってくる」のだという。Axaniと同じMITのJanet Conrad、ポーランドのワルシャワにある国立原子力研究センターに勤務するKatarzyna FrankiewiczPaweł Przewłockiのチームがこのミューオン探知機を開発した。MITのサイトにはDIYで探知機を利用するプランがある。プログラムのソースはGithubからダウンロードできる。デバイスはArduino Nanoとシリコンチップの光増幅器を利用して「シンチレーター中を通過する粒子のシンチレーション発光を検出する」のだそうだ。

Axaniはこのデバイスを大気観測用の気球に取り付けたり、学生チームにデバイスを持たせてボストンの地下鉄で観測させたりした。それによると場所によって観測されるミューオンのカウントは劇的に変化するという。チームはこのデバイスをロケットで高空に打ち上げることも計画している。

「海抜ゼロでは2秒に1回程度のカウントだ。しかし巡航高度の航空機内では50回程度に増える。たいへんな増加だ。カウント数から飛行機の高度を逆算することもできる」とAxaniは語った。

ユーザーは探知機をあちこち動かしてカウント数の変化を調べることでこの壁の中の様子を推定することもできる。

Axaniによれば「この探知機で上の階がどうなっているのか地図を作ってみたい。そのうちやってみるつもりだ」とのこと。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ICOで34万7000ドル集めた会社、直後に雲隠れ

Confidoなる会社がカスタマイズされたCFD〔差金決済取引商品〕を売って小規模なICOを行った。これは「安全かつtrustlessな(中央集権的発行権限を必要としない)暗号通貨」による払い込みという宣伝だった。ICODropsによればこの会社は目標の40万ドルに近い金を集めとたんにキャッシュを握ったまま消えた。会社のドメインは放棄されたらしく、サーバーには何も残っていない。

ファウンダーは元eBay社員のJoost van Doornという人物らしい(画像参照)。DoornのRedditのConfidoフォーラムへの投稿によると、「われわれは契約から生じる法的な困難に直面している。われわれが署名した契約について弁護士は法的に問題なくリスクも最小限だと保証していた。ここで詳細を明らかにすることはできないし、するつもりはないが、弁護士は間違っていた。大問題になっている」ということだ。

このICOについてのフォーラムのモデレーターは「Joostの性格から考えられないこと…自分にも事情はまったく分からない」と述べている。【略】

ICOあるいは「トークンによる資金調達」は現在大ブームだが、私が取材したファウンダーの多くが深刻な―といっても今回ほどドラスティックな結果をもたらしてはいないが―法律的トラブルに遭遇していた。ファウンダーはICOの手続きを法律的、論理的、セキュリティー的に詳細に見直すことを迫られているようだ。関連する暗号通貨の額、法律や金融の諸規則、財務運営手続きの複雑さなどを考えあわせると、ICOにこういう事故がもっとたびたび起こっていないのが不思議なくらいだ。

今日(米国時間11/21)の時点では会社の創立チームに対してまったく連絡が取れない。トークンはクラッシュ直前に1ドルまで上昇したが、その後無価値になってしまった。ファウンダーが雲隠れ前に集めた37万4000ドルはKraft& Wurgaft, P.C.のエスクロに入っているようだ。

このICOを実施したTokenLotの共同ファウンダー、Eli LewittはMotherboardのインタビューに対して「とんでもないインチキだ」と答えている。.

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

任天堂の「どうぶつの森 ポケットキャンプ」モバイル版1日早く公開

クリスマス休暇のモバイル・トラフィックはさらに混雑しそうだ。任天堂は最新のモバイルゲーム、 どうぶつの森 ポケットキャンプ(Animal Crossing: Pocket Camp) のiOS、Android版を予定より1日早く公開した。任天堂のゲームの中でも特にかわいいこのゲームのモバイル化のスケジュールは先月発表されていた。

一部からは懐疑的な声が出ていたものの、これまでの反応を見る限り非常に有望そうだ。モバイルゲームといってもスーパーマリオラン(Super Mario Run)などに比べて、『どうぶつの森』はゲーム機バージョンにもっと忠実なようだ。

また、マリオと異なり、このゲームは無料で遊べる。いかに大量のダウロードがあっても無料では最終的に収益に貢献しないはずだ。『どうぶつの森』では任天堂はアプリ内課金で収益化を図るもようだ。『リーフチケット』を購入するとユーザーは時間を省略していろいろな機能を利用してプレイできるようになる。

こうした収益化の方策があれば、任天堂は長期にわたってゲームのサポートと改良を続けることができるだろう。今後、ローンチ時点よりもすぐれたユーザー体験が発表されるだろう。ただし、短時間試しただけだが、このゲームは現在すでに任天堂のモバイルゲームでもっとも優れたものだと思えた。キャンプ場というテーマも先行ゲームの世界観をよく継いでいる。前述のリーフチケットを活用するとさらに楽しい世界を構築できるようだ。

熱心なユーザーから「サーバーのエラーが出てダウンロードできない」という苦情が出ているが、何度かトライする価値があるゲームだ。こういうことを報告しても役に立たないかもしれないが、上のスクリーンショットで分かるように、私は一回でダウンロードに成功した。というわけで外出中もiPhoneを取り出せば楽しいゲームができると期待している。

〔日本版〕どうぶつの森ポケットキャンプ、iOS版Android版。サーバーエラーは復旧したもよう。。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

トヨタの新しいヒューマノイドは、まるで生きているように操ることができる

トヨタは、新しい第3世代のヒューマノイドロボット”T-HR3″を発表した(チャーミングな名前だ)。人間にとって有益で安全な助手となるようデザインされている。また「マスター操縦システム」と呼ばれる機能も備えていて、それによって人間がT-HR3に自分の動きを真似させることで、VR遠隔操作プラットフォームとして使うことが可能だ。その通り、映画Pacific Rimに出てくる巨大ロボット、イェーガーのようなものだ。

T-HR3は、家庭内介護、病院内、建設現場、被災地、そしてトヨタによれば外宇宙までをも含む、幅広い局面で人間のアシストを行うことができるようにデザインされている。ロボットは、長い腕と、機械的な構造を覆う滑らかな白い外殻と、光センサーを備えた頭部をもつ、やや背の低い人物のように見える。

マスター操縦システムのオペレーターは、ロボットに動きを伝えるための腕と脚の両方のカバーを装着していて、オペレーターがその場で歩いたり、腕を操作したり、人間の自然な動作を直接変換して握ったりするといった、様々な動作を行うことができる。オペレーターは、着用しているヘッドマウントディスプレイ(ビデオの中ではHTC Viveが使われている)のおかげで、ロボットの視点から見ることもできる。

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同期された動作にはセーフガードも備わっている。このためロボットの動きはオペレーターと干渉することはない。操縦席に座っている間は、例えば誤って(あるいは意図的にも)ロボットでオペレーター自身を殴ることはできないのだ。

遠隔操作された、器用なヒューマノイドロボットは、基本的に全ての人間活動に応用できる潜在的な可能性を秘めている。そして、仮に私たちが異次元の怪物の侵略に対して戦う必要が出てきたとしても、少なくともそれを可能にする道筋は手に入れたということだ。

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(翻訳:Sako)

ソフトウェアの複雑さを「意図指向プログラミング」で管理する

【編集部注】著者のUri SaridはMuleSoftのCTOである。(この著者による他の記事:The last thing the API economy needs is copyright friction

ソフトウェアの魔法は失われつつある。私たちが単に現在のアプローチから多くを望みすぎているのだ。結果として、ソフトウェア開発者たちは複雑さとの戦いに敗れつつある。そしてそれはしばしば自覚されていない。しばしば、小さな失敗が他の小さな失敗の上に積み重なり、消費者の生活だけでなくビジネスシーンも、簡単になるというよりも不満が募るものとなる。

たとえば、Appleの製品はバギーなものになりつつあり、旅行は今だに悪夢であり、コールセンターでの経験は、私たちに人工知能と人間知能の両方を疑わせるものになっている。

魔法をソフトウェアに取り戻すためには、開発たちは、望ましい結果を得るためにシステムの中を一歩一歩歩き回ることを、やめる必要がある。その代わりに、システムが分刻みで大規模かつ複雑になる中で、開発者たちは、レイヤーの利用、意図指向(intent-oriented)アルゴリズム、そして人工知能(AI)を利用して、ソフトウェア自体をより自律的なものにする必要があるのだ。

1歩下がって眺めてみるならば、魔法の一部が失われているのはさほど驚くべきことではない。私たちはソフトウェアへの期待を大きく高めたが、その一方で誰がそれに命じることができるのかについての期待も同時に広げてきた。これまで以上に多くのことが自動的に「ただ上手く動く」ことを期待され、ますます多くの人びとが、デジタルライフとデジタルワークの自動制御をコントロールできるようになる筈だと期待している。

ソフトウェアが対処しようとしている課題が、静的なものである場合でさえ、そうした期待に応えることは相当に難しい。しかし、この自動制御は、リアルタイムの要求に応えることも期待されているのだ――それは自動制御が実行されている最中にも、パラメーターたちが急速に変化する世界である。

交通状況、天候状況、工事状況に対応しながら、A地点からB地点へと車をナビゲーションすることは十分に難しい課題なのだ。あるいは、通勤途中の車の中で行われる電話会議、あるいは物理的およびデジタル商取引などの最適化はどうだろう?同じ道路を同時に利用している何百万台もの車でこれを行うにはどうすれば良いのだろう?車、電車、飛行機、ホテル、レストランなどを組み合わせた旅行のためにこれを行なうためには、どうすれば良いのだろう?

こうした要素たちは、これまでとは異なるプログラミングモデルを要求しているのだ。すなわち宣言的プログラミングモデルである。この代替モデルでは、私たちは手続きではなく「意図」(目標または最終状態)を宣言する。そしてソフトウェアシステムが自律的にその意図を「実現する」方法を見出すのだ。人間は境界と制約を設定するが、目標に到達するためのソリューションを、人間がいつでも発見できるとは期待できない。そこに、コンピューターが登場しその作業を行うのだ。

新しいプログラミングモデルは、コンピュータを活用してそれ自身の複雑さの課題を解決する。

この説明に便利なアナロジーは産業界ではお馴染みのものだ。目標による管理(MBO:management by objectives)である。強力なMBOとは、従業員たちに測定対象となる目標だけを与えることであり、その目標達成する手段を事細かに与えることはしない。目標は販売成績、顧客獲得数、あるいは製品の採用数などを中心に設定されるだろう。その目標を達成するための手段は、従業員たちに任される。予想外の条件変化が起きるために、それはしばしば柔軟な対応を必要とする。またそうした対応の過程で学習が行われて、時間とともに実行が容易になって行くのだ。したがって、ある意味では、この代替プログラミングモデルは、目標でソフトウェアを管理する手法なのだ。すなわち機械のためのMBOである。

この必要性の例はどこにでも見出すことができる。現在最もホットな分野の1つは、ボットや、音声ならびにテキストコマンドを受け付けるインターフェイスだ。現在のボットの多くはコマンド指向だが(例えば「LinkedInでJane Doeを探して下さい」といった命令)、それらは意図指向(intent-oriented)になる必要がある(例えば「適切な求職者を探して下さい」といった指示)。

新しい営業担当者、エンジニア、あるいはCIOを雇う必要があるとしよう。コンピューターの前に座って人材を探し出すためにウェブを眺め回す努力をするのではなく、その代わりにインテリジェントなチャットボットに対して肝心な仕事をして貰うように依頼するのだ。その依頼の裏側では、チャットボットはLinkedInとGlassdoorからの候補者たちを選び出すAPIにリンクし、候補者たちの情報をGitHubやMeetupを使って補足し、候補者たちに接触してその関心や適合性を測る。適切な候補が見つかると、チャットボットは、依頼側と候補者を結びつけて話を進める。経験を重ねるに連れて、チャットボットはどの候補者が良い候補者であるかを学び、探索する作業に熟達して行くのだ。未来の話に聞こえるかもしれないが、この採用方法は現在でも、既存のソフトウェアの適切な協調により実施することが可能だ。

ソフトウェアが、どのようにして複雑なシナリオを大規模な状況でも解決できるようになるのかを理解するために、私たち自身のビルトインコンピュータ(頭脳)が映像を処理する方法を参考にすることができる。

  • 第1レイヤーでは光は光受容体細胞によって吸収される。ここでは最小の処理のみが行われ、網膜の第2および第3の層に信号が渡される。

  • 第2および第3のレイヤーでは、ニューロンとガングリオン細胞が一緒に働いて、エッジまたは影を検出する目標を果たし、視神経を介して脳内に結果を送る。

  • 視覚野には、さらに多くのレイヤーがある。1つのレイヤーはオブジェクトがどこにあるかを計算する。別のレイヤーがエッジを検出し処理して形として取り出す。別のレイヤーはそれらの形を認識可能な物――例えば顔や物体など――に変換する。各レイヤーは時間が経つにつれて学習し、そのパフォーマンスを向上させる。

  • そして最後のレイヤーでは、そうした顔や物体を個人の記憶バンクの内容とマッチングを行い、その結果人間や物体が認識されたりされなかったりすることになる。

このようなアプローチ、すなわち「各レイヤーがただ1つのゴールだけを担当し、抽象度が高くなるにつれてゴールが段々と洗練されていくアプローチ」を使うことによって、ソフトウェアを意図に基づいたものとして構成し、複雑なシナリオを大規模に解決させることができる。マシンの世界で、各レイヤーは、重要なデータを提供するAPI、異なるシステムからのデータを統合する組み合わせサービス、そして各レイヤーでスマートな決定を行なうための人工知能といった形で提供される。

これがソフトウェアの未来だ。そしてその未来は既に始まっている。モダンで大規模に分散したクラウドシステム(例えばGoogleのKubernetesとそのエコシステム)や、自動運転車と自動飛行機、そしてもちろん私たちの増え続けるデジタルワールドの全てのレイヤーに浸透する人工知能や機械学習といった形で。

お互いに依存するシステム数や動的データ量の爆発、そして中核で解決されることが求められる期待の増加などによって積み上げられる複雑さのため、パラダイムシフトは避けることができない。新しいプログラミングモデルは、コンピュータを活用してそれ自身の複雑さの課題を解決し、人間が最も得意とすることに集中させる。すなわち「意図/目標は何か」を考えることだ。

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(翻訳:Sako)

問題相次ぐGoogle Pixel 2、電話のノイズの問題は数週間後にソフトウェアのアップデートで解決

Googleのハードウェアチームは今年は休暇を取れない。本誌も含めて全般に好評だった同社のPixel 2ハンドセットは小さなトラブルがいくつかあり、その中には電話をしているときブーというノイズが聞こえる、というのがある。

PixelユーザーのためのGoogleのフォーラムに生じた長いスレッドに投じた短いレスでGoogleは、ソフトウェアのアップデートを数週間後にインターネットから行う、と言っている。

そのノイズの問題はしかし、単独の問題ではない。先月の終わりごろに同社は、色の調整の問題を解決するためのソフトウェアのアップデートを約束した。同社としては、あえて選んだ言い方だったけど、多くのユーザーには不満だった。画面の焼きつきについても、同社は調査を約束した。

これら以外にも、ビデオで音の録音が良くない、とか、タッチスクリーンの反応が不安定、などの苦情もある。さらにHome Miniにはプライバシーの問題まであるので、パッチが必要になった。また第一世代のPixel BudsにはBluetoothの同期の問題がいろいろあり、期待された製品なのに人気は盛り上がらなかった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

CTOオブ・ザ・イヤー2017は1人開発体制からクラシルを立ち上げた大竹雅登氏に

テック系のスタートアップにとって、技術の立場から経営に参加するCTO(チーフ・テクノロジー・オフィサー)は重要な役職だ。そのCTOにスポットライトをあてる企画が、TechCrunch Tokyo 2017の初日である2017年11月16日に開催された「TechCrunch Tokyo CTO Night powered by AWS」。LT(ライトニングトーク)を審査し、CTOオブ・ザ・イヤーを選出する。4回目となる今年は8社のCTOが登壇した。

結果からお伝えすると、今年の優勝者は料理動画「kurashiru(クラシル)」を運営するdelyの大竹雅登氏。まだ24歳の若さである。エンジニアが全員退職した後に1人開発体制を続けた大竹氏のチャレンジについては、ぜひ記事の続きに目を通していただきたい。

CTOオブ・ザ・イヤー2017に選ばれたdelyの大竹雅登氏

今年の審査員は、グリーCTOの藤本真樹氏、アマゾン ウェブ サービス ジャパン ソリューションアーキテクトの松尾康博氏、サイバーエージェントSGE統括室CTOの白井英氏、竹内秀行氏(ユーザーベース、インキュベーション担当 専門役員)の4名である。竹内氏は第1回CTOオブ・ザ・イヤーに選出されている。

空港設置のSIM自販機を3カ月で立ち上げる

最初のLTは「WAmazing」のCTOである舘野祐一氏。舘野氏の前職はクックパッドCTOで、「CTO Night」で審査員を務めた経験を持つ。現職は「CTO2周目」にあたる。

WAmazingは外国人旅行者をターゲットとする観光プラットフォームだ。サービスを知ってもらう手段としてSIMを無償提供する。そこで空港に「SIM受取機」を設置する形としている。

舘野氏がフルタイムでWAmazingにジョインしたのは2016年11月頭。着任と同時に「3カ月で空港設置のSIM受け取り機を立ち上げる」という高難易度のタスクを抱えることになった。ハードウェア開発はやったことがない。そこでハードは協力会社に頼り、できるかぎりの処理はサーバーサイドで実現した。それでも完成したのは期限の「2日前」。まだまだ万全といえる状態ではなかった。

ソフトウェア開発では開発サイクルを素早く回転させることが大事だ。この考え方を適用できる環境を用意した。社員が持ち回りでSIM受け取り機を設置する空港に常駐し、その場で問題対応できるようにする。必ずしも技術的な問題ばかりではなかったが、エンジニアでなければ切り分けられない種類の問題も多かったとのことだ。問題が発生するたびに原因調査とフィードバックを繰り返すことで「2〜3週間後には完全になった」。SIM受取機を最初に設置した成田空港での経験を元に、その後は日本各地の空港へのSIM受取機の設置を進めている。

質疑応答では、審査員の竹内氏が「僕も自動販売機のサービスをやったことがあり、大変でした」と意外な経験を披露しつつ、舘野氏から「改善の余力を残しつつ早めに改修していった」との方針を聞き出していた。不完全なサービスの完成度を上げていくやり方に、舘野のソフトウェアエンジニアとしての経験、そしてCTOとしての経験が活かされた形だ。

1人体制で開発開始、リリース直後にデータ分析基盤を整備

2番目のLTは、CTOオブ・ザ・イヤーに選ばれることになるdelyの大竹雅登氏である。料理動画(レシピ動画)サービス「kurashiru(クラシル)」は、dely社にとって3個目のプロダクトだ。1回目は配達サービス、2回目はメディア。「最初のプロダクトでは開発メンバーをけっこう集めたが全員辞め、しばらく1人で開発する体制が続いた」。「狭いオフィスで、手を伸ばせば届くところで料理人がスイーツを作っている」厳しい環境からkurashiruが生みだされた。

kurashiruではアプリのリリースの初期の段階から「Logpose」と名づけた独自のデータ分析基盤を構築した。「サービスを伸ばす、ユーザーを深く知る、PDCAを速く回す」ためにはデータ分析が欠かせないと考えたからだ。データ分析では「人の言葉で説明する」方針をとる。言葉で説明できなければ施策の納得感が得られないし、相関関係と因果関係を取り違える危険もある。分析結果を言葉で説明できるなら「大筋間違った方向にいかない」と話す。

「楽しければ嬉々として開発するはず」と環境整備

女性向け動画サービスC Channelの西村昭彦氏は、「コンテンツ×運営×開発」の重要性について語った。同社の今の規模は社員が約130名、月間動画再生数6億件以上。技術面でも新たな課題が出てきていた。

開発速度を上げる上で「楽しければ嬉々として開発するはず」と考え、開発言語とフレームワークを、それまでのPHPとZF1から、PythonとFalconに変更した。生産性、保守性が向上したほか、募集文面に「Python」と付けたことで「濃いエンジニアに来てもらえた」。また言語と開発フレームワークを切り替えた結果「コードをどう書くか」といった「宗教論争から卒業できた」。

開発インフラはAWS(Amazon Web Services)に移管した。従来のインフラでは「眠れない日々」が続いたが、AWS移管の後は工数削減と睡眠時間確保が可能となった。分析系ではGoogle BigQueryを活用している。

質疑では、女性向けメディアの特性を男性エンジニアが理解することの難しさへの質問も出た。女性向けメディアはコンテンツの消費速度や属性の違いが顕著とのことだ。「趣味や世界観が違うと見てくれない」。西村氏のスタンスは「男性エンジニアには理解できないと開き直って、とにかく作る」というものだ。

建築現場を支援するサービスを作る

CONCORE’S(コンコアーズ)の藤田雄太氏は、建築業向けの写真共有アプリ「Photoruction」への取り組みについて語った。同社は建築業向けの「建設IT」に詳しいエンジニアで起業した。今は写真共有サービスだが、「建築現場のすべての課題に対応するサービスを目指す」としている。今取り組んでいるのが図面の共有である。

建築図面の分野では、「1ページ、ベクターデータなのに400MバイトもあるPDFファイル」を取り扱う必要がある。従来の建築現場がどうしていたかというと、パソコンでPDFを開くのに時間がかかるので、その間にコーヒーで一服して時間を過ごしていた。そこで表示の高速化を図った。基本的な方針は、地図アプリのように、タイル状に分割して画面表示に必要な部分だけを描画するというものだ。LTで見せたデモでは、情報量が多い図面をなめらかに表示、スクロールできる様子を見せた。

証券会社にとってクラウド移行は「火星行き片道切符」

オンライン証券FOLIOの椎野孝弘氏は3社の起業経験を持つ。企業買収を経てヤフー ジャパンに在籍した時期もある。一方、FOLIOは創業2年弱で「第2創業期」にあたる時期だ。そこで椎野氏は、自分のミッションを「第2創業期をうまく離陸させること。そのためにエンジニア、デザイナーが実力を出せるよう環境を整備すること」と位置づける。

環境整備で大きかったのは、クラウドへの移行だ。「証券会社にとってクラウド移行は火星行きに等しい高いハードルだ」と表現する。これを「火星行きの片道切符を買った」との意識で乗り切った。

同社のシステムは、マイクロサービスの種類が30近くと複雑だ。マイクロサービスの弱点は、サービスをまたいで発生する障害の検出が難しいこと。そこでメトリクスを監視ツールPrometheusに集約した。利用言語は、フロントエンドではSwift、Kotlin、Node.js、バックエンドはScalaを中心にPythonとRuby on Railsに集約した。

椎野氏は「第2創業期の離陸はできた」と振り返る。今後の取り組みとして、FOLIOを起点とした新しいエコシステムを目指してAPI公開を目指していく。

排泄予知デバイスの未来を考え生データを保管

排泄予知デバイス「DFree」を開発するトリプル・ダブリュー・ジャパンの九頭龍雄一郎氏は、「100年続くTECH COMPANYへ」と題してLTに臨んだ。

DFreeは、介護施設で排尿時期を予知するデバイスとして利用できることを目指している。現状はビジネスの世界展開へ向け取り組んでいるところだ。技術面での難しさは、ハードウェアもサービスも両方とも新たに創り出さなければならなかったことだ。サーバー側ではAWSのS3、Dynamoなどクラウドサービス群を活用する。DFreeは超音波により腹部を調べるが、測定結果の時系列データはすべてS3上に格納している。「解析後のデータなら何十分の一かのデータ量になるが、あえて生データを入れている」。これは、将来は排尿時期の予知だけでなく、より多様な人体データの活用を視野に入れているからだ。

「FinTechは攻めと守りのバランスが大事」

個人間決済サービスAnyPayの中村智浩氏は、ゴールドマン・サックス、エレクトロニック・アーツなどを経て同社に参加した。スマートフォンによる決済サービスを提供する。個人向けサービスのpaymoと事業者向けサービスのPaymo bizを今年(2017年)ローンチした。

「FinTechは攻めと守りのバランスが大事。一発で信用を失ってしまう」と中村氏は語る。守りとPDCAを回すスピードの両方が大事だ。例えば、クレジットカードの情報をアプリケーションのほとんどの部分が持たない仕組みとした。「比較的安心してPDCAをRails上で回せる」。

同社の社員は投資銀行、広告代理店、コンサルティングファームなどからの転職組も多い。そこで開発に携わる気持ちを会社全体に浸透させることを狙い、GitHubアカウントをみんなに持ってもらった。ビジネス側もGitHub上の議論に参加してもらい、また「ちょっとしたランディングページの変更ぐらいはマーケティングの人がプルリクエストを出す」形とした。ほか、SQLの社内勉強会をして「ちょっとしたデータ分析はエンジニアに頼まなくてもできる」ことを目指す。

質疑では、外部の会社とのやりとりにもGitHubを活用しているという興味深い話が出た。FinTechサービスでは規制への対応が重要となるが、「資格を取得するための業者とのやりとりをGitHub Issueにした。けっこう効率的になった。相見積もりをしてGitHubに対応できる事業者を選んだ」。

技術力で「事業について考える時間」を作り出す

Tunnelの平山知宏氏は、住生活の実例写真の投稿・閲覧サービス「RoomClip」に取り組んでいる。自分の部屋をどう改善すればいいのか、それを考える上で他人の部屋を見る回数が普通の人は少ない。そこを埋めるサービスがRoomClipだ。

平山氏は、エンジニアを忙しくさせる要素を排除することで、エンジニアがユーザーの課題について悩む時間を作り出すことを狙った。「品質が高い開発環境を支える技術力は、考える時間を与えてくれる」。その時間を使い、エンジニア各人もビジネス側の会議に出席して「KPIを追い、一緒にPL(損益)を作り、CMJ(カスタマージャーニーマップ)を作る」ようにした。「エンジニアにとっても事業に責任を持てるポジションが開かれている」。

以上、8社のCTOのLTを紹介した。審査員を代表して、グリー 藤本真樹CTOは「今年特徴的だったのは、2周目、3周目の方々がいたこと。いいことなので、がんばっていきましょう」と締めくくった。

 

Teslaの最新製品はスマホ充電用のモバイルバッテリーパック

一週間のうちに新型全自動トレーラートラック史上最速の量産車を発表するだけではTeslaには物足りなかったようだ。同社は密かに第3の「製品」を発表した。しかも買うために2年間待つ必要はない!それはスマートフォンなどを充電するための モバイルバッテリーパックだ。

家庭用蓄電池のPowerwallに対してPowerBankと名付けられたこのバッテリーパックは、Teslaのカリフォルニア本社オフィスのに設置されているスーパーチャージャーモニュメントをかたどっている。

機能的にはUSB、microUSBおよびLightningケーブルを内蔵しており、端末を充電するために別のケーブルは必要ない。

バッテリーはTesla車を動かしているのと(ほぼ)同じものだ。同社によるとバッテリーパックに使っているのは18650という標準的なリチウムイオン電池で、TeslaのModel 3以前の全車種に使われいた。Model 3以降はさらに効率の高いカスタム電池に切り換えた。もちろんTeslaの車はこの電池を何千個も使っているが、モバイルバッテリーパックに入っているのは1つだけだ。

充電容量はわずか3350mAhで、これは多くのスマートフォンを1回しか出をできない容量なので、大型バッテリーパックに依存している人はがっかりすることになる。5V/1.5Aという出力も今出ているほかのバッテリーパックとほぼ変わらない(Qualcommのクイック充電テクノロジー)を使っている新しい製品を除く)。

そして価格は? 45ドル、これはTeslaがバッテリーパックを売る値段としては私の予想よりずっと安い。もちろん、 まったく同じスペックのジェネリック商品は9.99ドルで買えるが、それの何が面白いというのか。

まじめな話をするなら、これはTeslaファンにはすてきなプレゼントになるが、最高のバッテリーパックを探している、という人にはAnkerなどのもっと安くて性能のいいブランドをおすすめする。

下のスライドショウでバッテリーパックの画像を見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AWSが政府諜報機関用の秘密のリージョンを立ち上げ、インターネット接続なし

Amazonが今日、同社のクラウドコンピューティングサービスAWSに、アメリカ政府の諜報部門のワークロード向けに特別に設計された新しいリージョンが加わる、と発表した。そのリージョンはAWS Secret Regionとずばり名付けられ、政府のセキュリティの分類で“secret”レベルまでのワークロードを動かすことができる。AWSはすでに6億ドルの契約でCIAなどの政府省庁のトップシークレットのワークロードを動かしているが、これはそれをさらに補完するものだ。

AWSのこの発表のほぼ1か月前には、Microsoftがやはり同様の発表を行った。MicrosoftのGovernment Cloud上のAzure Government Secretにより、政府省庁およびそのパートナーの“secret”と分類されたデータを扱うワークロードがサポートされる。

Amazon Web Services Worldwide Public SectorのVP Teresa Carlsonはこう述べている: “アメリカ政府の諜報部門は今後、共通のツールセットと、最新技術の定常的な導入、および迅速なスケーリングを可能とする柔軟性により、自らのミッションを遂行できる。AWSのTop Secret Regionは三年前に導入され、最初の密封された*商用クラウドとしてアメリカの諜報部門の顧客たちはそれをきわめて成功裡に利用している。今回の新しいリージョンにより、省庁間のコラボレーションがさらに拡大され、意思決定者に重要な情報をより迅速に届け、国の安全がさらに増強されるであろう”。〔*: air-gapped, まわりに空隙がある==インターネットに接続されていない〕

最初の密封型クラウドTop Secretは、利用が諜報機関に限られていた。今度の新しいSecret Regionは全省庁が利用でき、既存のAmazon GovCloudなど、これまでのAWSとCIA等との関係内容とは無関係だ。

Googleもかなり前からG Suiteを政府系の顧客に提供しているが、同社はエンタープライズ顧客の獲得に熱心で、政府省庁やそのクラウドコンピューティングニーズはあまり視野にないようだ。しかし今後Googleも、政府からお墨付きをもらうことに励んで、そのサーバー上で政府の機密データを扱うようになるかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

企画書や台本などの書記作品を二次元線形でなく自由な構造として扱うワープロScrivenerがVup

書くという技芸は古代からあるが、コンピューターを利用して書くための優れたアプリケーションはまだまだ不十分だ。その数少ない秀作のひとつがScrivenerだが、今日(米国時間11/20)はそのメジャーアップデートがあった。

Scrivenerは、プロとホビイストのどちらが使ってもよい。いろんなオプションが揃っているので、映画の脚本を書く、小説を書く、などなどいろんな書き仕事に便利だ。またそのインタフェイスには、書いてる人が気を散らさずに書くことに集中できるための工夫が凝らされている。

カスタム化は、ほとんど無限に自由だ。使い方によっては、Scrivenerは書くだけでなくプランニングのツールとしても優れている。たとえばコルクボード(ピンボード)機能を使うと、シーンや章の着想をメモカードに書いておいて、それらを自由に並べ替えできる。

また、書いたものをほかのアプリケーションやデバイスのフォーマットへエクスポートすることも、自由にできる。

今度のScrivener 3で、インタフェイスが新しくなり、コードは64ビットに対応、そしてMac OSのTouch Barのサポートが拡大された。新しいツールとしては、プロジェクト中のドキュメントを見つけるQuick Search、インデクスカードの色付きスレッド(ストーリーラインの追跡用など)、Inspectorからドキュメントを素早く見るためのBookmarksなどが加わった(従来のProject Notes, References, Favoritesをリプレース)。

そしてDialogue Focus機能は、プロジェクト内の会話の部分(台詞部分)を素早く取り出せる。ツールバーにはドラフトとセッションの進捗が表示される。

Epub 3と、改良されたKindleエクスポートもある。

Scrivener 3は、アップグレードユーザーには25ドル、新規ユーザーなら45ドルだ。30日の無料試用もある。30日とは、あくまでも実際に使った日の計だ。

ニューバージョンは今はMacOS用のみだが、“もうすぐ”Windows版も出る。

Scrivener 3について詳しく知りたい人はここへどうぞ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

近所のおすすめレストラン、歯医者はどこ?――ご近所SNSマチマチが1.7億円の資金調達

ご近所SNS「マチマチ」を運営するマチマチは11月21日、ANRIBEENEXT、および個人投資家を引受先とする第三者割当増資を実施し、総額で1.7億円を調達したと発表した。また、マチマチは同時に茨城県水戸市との連携を開始した。ご近所SNSのマチマチは、生活圏内の近所に住むユーザー同士がコミュニケーションをとるためのサービスだ。近所のおいしいレストラン、おすすめの歯医者、地域イベントの開催情報などをユーザー同士がやりとりできる。

マチマチは日本に昔からあるリアルな“ご近所付き合い”をデジタル化しようとしていて、サービス登録には携帯電話番号を用いたSMS認証が必要だ。登録も実名でしなければならない。

TechCrunch Japanではマチマチをローンチ当初から紹介しているけれど、以前はサービス登録時に郵送による住所確認が必要だった。しかし、想定以上の離脱率からSMS認証に切り替えると、離脱率が大幅に改善。マチマチ代表取締役の六人部生馬氏は「『近所×実名』というプロダクトの設定が生きて、トラブルやネガティブな投稿はほとんどない」と話す。

前回の取材時から比べると展開地域数も大幅に伸びている。約半年前には2000地域だったのが、その約3倍の6300地域にまで拡大した。六人部氏によれば、展開地域数が急激に拡大した要因は主に、ユーザー同士の口コミと「コミュニティデザイナー」を活用した草の根活動の結果だという。コミュニティデザイナーとは、各地域に住むインターンやボランティアのことで、近くに住む知り合いに声をかけたり、ポスティングしたりといった地道なPR活動を行っている。

そこに住んでいるからこそ分かる有益な情報

ところで、僕はいま、東村山市という都心から(ほんの少しだけ)離れたところに住んでいる。マチマチを取材するにあたりサービスを試してみたのだが、僕の近所でもちゃんとマチマチコミュニティが立ち上がっていた。まだ11人程度の小さなコミュニティだったけれど、おすすめレストランなど、実際にこの近所に住む僕にとっては非常に価値の高い情報が掲載されている。離れた場所にあるレストランで撮ってフィルターをかけたインスタの写真なんかより、こっちの方がよっぽど有益だ。

僕のマチマチコミュニティでは子供のいる主婦の方がメインユーザーのようだったが、六人部氏によれば、「全体のユーザーの内訳は、20代後半〜40代が70%、50〜60代前半が20%。都心では上京したての新大学生や新社会人の利用が若干増加してきている」という。

マチマチは現在、マネタイズよりも利用者の増加と自治体との連携に注力している。今回連携した水戸市は、2017年6月の渋谷区などに続いて4例目の連携となる。マチマチは今後もこの戦略にフォーカスし、1年間で50〜100程度の自治体と連携をしていく予定だ。

マチマチを含むSNSには「他のみんなが使っているから使いたい」というようなネットワーク効果がある。その効果が現れる臨界点をユーザー数が超えられるかが鍵となるだろう。

「2016年3月のサービス以降、確かな手応えを感じており、利用者数さえ増えれば、ビリオンダラーを超えるポテンシャルのある領域だと確信した。既存のソーシャルサービスとは違い、短期間に成長するモデルではないが、12ヶ月の利用継続率は約50%と、1度登録すると使い続けるサービスとなっている。マネタイズは、MAUで2ケタ〜3ケタ万台を超えた段階で開始していく」(六人部氏)

Google Cloud PlatformがGPU使用のVMインスタンスを最大36%値下げ、AWSを意識か

Googleが今日(米国時間11/20)、Google Compute Engineの、Nvidia’s Tesla GPUを使用するインスタンスを最大36%値下げする、と発表した。アメリカのリージョンでは、やや古いK80 GPUを使うと1時間0.45ドル、新しくて強力なP100マシンは1.46ドルになる(いずれも秒課金による)。

またプリエンプティブルVM用のローカルSSDは、40%値下げされる〔参考: 8月の値下げ〕。GPUは、プリエンプティブルVMでは使えない。だから値下げは朗報でも、GPUのユーザーには関係ない。

今回のGPUインスタンスの値下げは明らかに、クラウド上で機械学習のワークロードを動かすユーザーのためだが、そのほかにも物理シミュレーションや分子モデリングなど、数百のコアを持つGPUを有利に使えるアプリケーションはいろいろある。たとえばGoogle Cloud Platform上ではまだベータであるP100は、コア数が3594 だ。

インスタンス一つにつき、P100は最大4基、K80なら8基を使える。通常のVMと同じくGPUユーザーにも継続利用割引はあるが、実際にはGPUを1か月動かしっぱなし、というユーザーはあまりいない。

AWSの今年のデベロッパーカンファレンスが来週からラスベガスで行われるが、Googleの今回の発表は明らかにそれを意識していると思われる。AWSも今年はAIや機械学習関連の発表が多いだろうし、値下げも当然ありうるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Amazon、新型Echoの「(RED)」バージョンを期間限定で発売

新しいEchoは、前機種よりもルックスがよい。その理由は主として布地のカバーリングにある。このたび新しい選択肢が増える。「PRODUCT(RED)」特別限定モデルだ。その名にふさわしく布地のアウターは赤で、購入価格(他のEchoと同じく99.99ドル)の中から10ドルが、Global Fundを通じて(RED)のAIDS撲滅キャンペーンに贈られる。

(RED)ブランドの消費者向けガジェットでAIDS撲滅を支援する企業はAmazonが初めてではない。Appleはこの同じキャンペーン向けに様々なデバイスやアクセサリーを作ってきた。それでもAmazonのEchoは人気が出そうだ。ずっとそばに置いておきたくなるユニークなデザインは、グレイや別のグレイや特濃グレイや木目調以外のカラーを強く望む人たちにアピールしそうだ。

(RED) Echoは12月6日に発売予定で、上にも書いたように価格は他のモデルと変わらない。ただし、第2世代Echoを3台注文すると50ドルのディスカウントが受けられる”ECHO3PACK” プロモーションは、(RED)バージョンには適用されないようだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazonプライム・ビデオに「ディックの電気の夢」登場――日本でも来年公開へ

Amazonは引き続きビデオ番組の製作に力を入れている。来年1月12日からフィリップ・K・ディック原作のオリジナル・シリーズ、Philip K. Dick’s Electric Dreams〔フィリップ・K・ディックの電気の夢〕が公開される

この全10作のアンソロジーはAmazonプライム・ビデオの会員向けで、それぞれの作品は原作者の意図に従って別個の世界観に基づく。

ディックはSFの歴史を通じて偉大な――よしんば最大でないとしても――作家と認められている。著作は50冊以上に上り、Guardianによれば、1年に11冊が刊行されたことさえあるという。

このAmazonプライムのアンソロジーは同じくディック原作の『高い城の男』のビデオ化に続くものだ。2018年にシリーズ3が公開される予定の『高い城の男』はプライムビデオのドラマとして最高の視聴回数を記録したという。

この勢いを持続させ、ディックの他の作品のビデオ化につなげるためにも『電気の夢』は重要だ。このアンソロジーはアメリカ、ドイツ、インド、イタリー、日本、ラテンアメリカ、スペイン、トルコその他の地域で公開予定が予定されている。

シリーズはオールスターキャストでアンナ・パキン、スティーブ・ブシェミ、ブライアン・クランストン、ジャネル・モネイ、テレンス・ハワード、モーラ・タイニー他が出演する。

一方、Amazon Studiosは最近セクハラ疑惑で大揺れしていた。しかもAmazonにエミー賞をもたらした『トランスペアレント』の主演、ジェフリー・タンバーが自身のセクハラを追求されて降板している

〔日本版〕ディックの原作の小説、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』他は邦訳が紙、Kindle版で入手可能。Maura Tierneyのアメリカでの発音は「ティアニー」に近い。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

サービス運営2カ月弱での大型イグジット、買取アプリ「CASH」運営のバンクをDMM.comが70億円で買収

左からバンク代表取締役兼CEOの光本勇介氏、DMM.com代表取締役社長の片桐孝憲氏

“目の前のアイテムを一瞬でキャッシュ(現金)に変えられる”とうたう買取アプリ「CASH(キャッシュ)」。そのコンセプト通り、ファッションアイテムなどをアプリで撮影するだけで即査定というシンプルで素早い現金化のフローもさることながら、サービスローンチからわずか16時間でユーザーからの申し込みが殺到し過ぎてサービスを2カ月ほど停止したこと、さらにはその16時間で3億6000万円分の「キャッシュ化」がされたことなどとにかく話題を集め続けている。そんなCASHが創業から約8カ月、サービス運営期間で言えばわずか2カ月弱で大型のイグジットを実現した。

DMM.comは11月21日、バンクの全株式を取得、子会社化したことを明らかにした。買収は10月31日に合意。買収金額は70億円。代表取締役兼CEOの光本勇介氏をはじめ、6人いるバンクのメンバーは引き続きCASHを初めとしたサービスの開発を担当する。今後は、DMMグループの持つ資本力やシステム基盤、サービス体制を連携させることで、拡大成長を目指すとしている。

「リリースしてから思ったことは、僕たちが取りたい市場には想像した以上のポテンシャルがあるということ。ただ、需要があるからこそ、競合環境も厳しくなると考えた。市場が大きくなる中で、それなりの自己資本も必要。(資金を調達して)一気にアクセルをかけなければならないこのタイミングでの戦い方を考えている中で今回の話を頂いた」

「DMMグループはいわば現代の超クールな総合商社。金融にゲームから、水族館にサッカーチームまで持っている。一方で僕たちみたいなサービス運営が2カ月、売上もこれからの会社の買収も数日で決めてしまう。こんなに“ぶっ込んでいる”会社はない。大きい市場を取りに行こうとしているときに、経済合理性をいったん置いてでも挑戦する会社がサポートしてくれるというのは、とても心強い。困っていることや強化したいことを相談すると、ほとんど何でもある。例えば物流まで持っているんだ、と」

光本氏は今回の買収についてこう語る。

一方、DMM.com代表取締役社長の片桐孝憲氏は、同年代(片桐氏は1982年生まれ、光本氏は1981年生まれ)の経営者である光本氏を自社に欲しかった、と語った上で、「(光本氏は以前ブラケット社を創業、イグジットした上で)2回目でもいいサービス、いいチームを作っていると思っていた。もともとDMMでも(CASHのようなサービスを)やるという話はあったが、結局チームまではコピーできない。とは言えバンクを買収することは不可能だと思っていたので、ちょっと出資ができないかと思っていた」と振り返る。

買収のきっかけとなったメッセージ

片桐氏は以前から競合サービスの立ち上げについてDMM.comグループ会長の亀山敬司氏と話していたが、10月になって事態が動き出したという。片桐氏の海外出張中に、以前から面識があったという亀山氏が、光本氏に直接メッセージを送り、翌日の食事に誘って買収の提案を行ったのだという。その後はトントン拍子で話が進み、約1カ月で買収完了に至った。「きっちりとCFOがデューデリジェンスもしているが、基本的に口頭ベースで合意したのは5日くらいのスピードだった」(片桐氏)

ちなみに今回の買収、光本氏にはロックアップ(買収先の企業へ残って事業の拡大をする拘束期間。通常2〜3年程度付くことが多い)が設定されていないという。「もし明日辞めても、『そっかー……』というくらい。ロックアップというのは意味がないと思っている。僕が担当した会社(DMM.comが買収したnana musicとピックアップのこと)はロックアップがない。経営者との関係性や経営者のやる気がなくなったら意味がないから。僕がバンクを経営できるわけではない。モチベーションを上げるためのソースがないと無理だと思っている。(買収は)事業を付け加えていくことというよりは、いい経営者にジョインしてもらうこと」(片桐氏)

光本氏は先週開催したイベント「TechCrunch Tokyo 2017」にも登壇してくれており、その際にも尋ねたのだけれども、現状CASHに関する細かな数字については非公開とのこと。「まだ運営して2カ月くらいのサービスなので、僕たちもまだデータをためている段階。ただ、2カ月前に再開して、改めて確信したのは、今までは二次流通や買取の市場——つまり『モノを売る』という手段の一番簡単なものがフリマアプリだと捉えられていたが、(より手軽という意味で)その下はもっとあったのだということ。この市場はフリマアプリと同様に持っていけるポテンシャルがある。それをただただ構築していきたい」(光本氏)

また、少額・即金という資金ニーズに対応するCASHに対して、FinTechをもじって「貧テック」と揶揄する声もあったが、「全く理解できない。前提として僕たちは1円でも高く買い取れるよう努力している。今の時点でも、不利に、安く買いたたいているわけではない。『この価格ならノールックで買い取らせて頂ける』と提示しているだけだ」と反論した。

バンクはDMM.com傘下で開発体制も大幅に強化する。すでにDMMグループからの出向も含めて人数を拡大中で、2018年中には100〜150人規模を目指して採用を進めるとしている。また当初はCASH以外のサービスも展開するとしていたが、「機会があれば(DMMと)一緒に新しい事業をやっていきたい。会社としてはやりたいネタがいっぱいある。まずはCASHに注力しつつ、新規の事業も出していきたい」(光本氏)と語っている。

なお11月20日にはヤフーがオークションサービス「ヤフオク!」内で、ブックオフコーポレーション、マーケットエンタープライズと連携した家電・携帯電話・ブランド品などの買い取りサービス「カウマエニーク」を公開している。こちらはブックオフ店舗持ち込みか宅配による買い取りだが、フリマに続いて買取のマーケットにも続々動きがありそうだ。

Uber、自動運転車のベースにVolvo XC90を2万4000台発注

ライドシェアリングの大手、Uberは2万4000台のSUV、XC90を購入することでメーカーのVolvoと合意した。Bloomberg NewsによればUberは2019年から2021年にかけて自動運転車によるフリートを構築するという。XC90はUberの新世代自動運転車のプロトタイプのベースとなっている。UberはXC90を購入後、独自にセンサーやコンピューターなど自動運転に必要な装備を取り付けている。

Financial Timesによれば、この契約は14億ドル相当と推定されている。アメリカではXC90の一般消費者向け最低価格は4万6900ドルだ。Uberは以前からXC90をアリゾナ州、サンフランシスコ、ピッツバーグでテストしている。このテストでは運転席に人間のドライバーが着座して万一に備えると同時にソフトウェアの改善のための情報を収集している。UberとVolvoは昨年、共同で自動運転車の開発を行うことで合意していた。

Uberの新しいXC90フリーとは現行のプロトタイプ車以上に機能を備えるという。複数系統のブレーキ、ステアリングによって安全性を高め、人間の補助なしで運用できることを狙っている。2万4000台のCX90はUberの要求によってメーカーでカスタマイズされる。またこの契約はVolvoに自動運転車フリート構築のための車両供給の独占権を与えるものではなく、Uberは必要に応じて他のメーカーに発注する権利を保有するという。

自動運転車のライバル、AlphabetのWaymoは最近独自の一般向け自動運転タクシー・サービスを開始すると発表した。この動きがUberの自動運転車プロジェクトを加速させる要因になったかもしれない。ただし両社とも具体的なスケジュールについては明かしていない。テストやプロトタイプではなく、われわれが町中で普通にこうしたサービスを受けられるようになる日時はまだ不明だ。

Uberの広報担当者は2万4000台の契約に関して「概ねそのとおりだ」と認めたが、具体的な確定発注台数については言及を避けた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

10周年を迎えるAmazon Kindle

10年前の今週、Amazonは最初のKindleをリリースした。それは、扱いにくい物理キーボードと250MBのオンボードストレージを備えた、巨大で不格好で醜い代物で、さらに399ドルという高額なものだった。だがそれは6時間未満で完売し、次の4月までそのような状態が続いた。アマゾンは、本当に何かを引き当てたように見えた。

最初のKindleがリリースされてからの10年は、出版業界にとって荒れ狂う日々となった。かつては地元の書店の脅威となり、メグ・ライアンのロマンティック・コメディーの元ネタともなった、Barnes&Nobleは、順次閉店している。一方、Bordersは完全に閉店した。そして、大手出版社たちは徐々に統合された

AmazonはKindleが展開し始めたときに、すでに支配的な道を歩んでいたが、同社の電子書籍リーダーの急激な成功は、出版界に対するAmazonの締め付けを強化しただけだった。最近の報告によればAmazonは電子書籍の売上の80%以上を占めている

電子書籍リーダーの登場は、当初私たちの知る物理的書籍の終焉の始まりかと思われた。かつて見られたような、今もなお業界に余韻を残すNapsterのような初期のP2Pサービスの影響の影響を受けた、不況の音楽業界との類似性を思い出さずにはいられなかったのだ。

物理的な書籍の売り上げは、年を追うごとに急速にかつ着実に落ちていった。Nielsen Bookscanによれば、2011年と2012年の両方で、印刷された書籍の売上高はそれぞれ9%減少したが、デジタルの売り上げは増加した。2010年までに、Amazonはハードカバーよりも多くの電子書籍を販売するようになっていた、その前の2年間で電子書籍の売り上げはし1260%という驚異的な伸びを示した

もちろん、物事は決して単純なものではない。2009年に紙の書籍が死んだと宣言した同じ勢力の多くが、今は同じことを電子書籍リーダーに対して言っている。最近紙の書籍の売り上げが復活しつつあるからだ。そして実際に、電子書籍の売り上げは少しばかり減少している。CNNは素早く紙の書籍の復活を宣言し、印刷を宣言し、ガーディアンの記事は電子書籍リーダーを、過ぎ去った技術的流行の「不格好で流行遅れな」遺物として取り上げた。

マーケットも痩せている。かつてはトッププレイヤーの地位を占めたSonyは電子書籍リーダー市場から完全に撤退し、Barnes & Nobleもそれに続くかのように見えた。(しかし、実はそうではないのかもしれない。正直なところ、Barnes & Nobleで何が起こっているのかを誰か知っているだろうか?)。

数人のプレイヤーたちは、まだ熱心にプレーを続けている。特に目立のはKoboだ。これはCoke(Kindle)に対抗するRC Colaのような位置付けだ。しかし、他の多くの分野と同様に、Amazonは相変わらず支配的だ。かつてiPodがそうだったように、Kidleはこのカテゴリーの同義語になったのだ。フライトアテンダントが離陸時に、機器の名前を呼ぶことによって、それを理解することになる。

先月行われた新しいKindle Oasisのリリースによって、同社はこの分野へのコミットメントを再確認し、このカテゴリーの終焉に関する噂に対処するためのいくつかの数字を発表する機会を与えられた。同社が報道資料で指摘しているように、このときのPrime Dayは米国だけではなく世界でもKindleの販売は史上最高の日となった。もちろん、何かを「史上最高のもの」と呼ぶことと、実際の売上高を開示することとは同じではない。そして会社にとって有利な数字を見せられるときを除いて、同社は実際のデータを何も公開しないのだ。なのでその解釈は読者自身にお任せする。

もう1つのKindleの主要な資産がKindle Direct Publishingであり、これは電子書籍リーダーと同じ年に導入された。それは、出版業界に向けて放たれた別の矢であり、書き手たちに拒絶レターや持ち込み原稿の山を回避できるプラットフォームを提供し、彼らの物語やアイデアを世界に広める機会を与えたのだ。

例えば、Hugh HoweyはKindle Directを用いて、彼のディストピア小説Woolシリーズを出版した。そして数年前には彼の作品がほぼ毎月6桁の収入をもたらしてくれていると語っている。Howeyが自分の電子書籍の権利を自分で持つことができたことで、大きな収入につながっているのだ。そして後に大ヒット映画オデッセイとなった小説は、当初著者のAndy WeirがKindle Directを使って書籍を99セントでダウンロードできるようにしたときに注目を集めた。

Kindle Directの大半のタイトルが、HoweyやWeirレベルの成功を見ることはないと考える方がおそらく安全だ。しかし、旧来の紙の書籍著者たちの大部分も、スティーブン・キングやJ.K.ローリング程の売り上げを達成してはいないのだ。

この分野は近年爆発的に成長している。2010年から2015年の間だけで、ISBN登録件数は15万2978件から37万7125件へと375%も増加した。(AmazonのCreateSpaceのアカウントはその成長の大部分を占めているが、そこにはKindle Directの数は含まれていない、なぜならそこでは著者はISBNなしで公開することができるからだ)。実際、小規模な出版社や独立した著者による電子書籍販売の成長は、より大きなプレーヤーたちの減少を埋め合わせるような形で進んでいる。

このフォーマットは、自費出版にまとわりついていた旧来の悪いイメージを捨て去ることにも成功した、これはライバルであるMacmillaのPronounが閉鎖を余儀なくされる一方で、AmazonがKindle Singlesプログラムで厳選されたトップライターたちを採用したからだ

おそらく、これはより大きな問題を浮かび上がらせることになるだろう。出版は、その初期からAmazonのDNAの中心に存在してきたが、その他の膨大なカテゴリーを扱うようになったことで、会社は巨大組織と化している。Kindleの発売以降Amazonは、オーディオブックの大手AudibleデジタルコミックストアのComixology、そしてそして読書人のための人気あるソーシャルネットワークであるGoodreadsを買収してきた。

そして出版社や書店が、技術専門家たちが当初予測していたよりも、耐久力があることが分かったとしても、定期的に起こる紛争によって、Amazonを悪人またはいじめっ子として名指しすることは、ますます容易になって来ている(しかし、Appleは、Amazonの価格設定力を弱めるための、出版社たちとの協力に対して多大な対価を支払った)。

ビジネスがこの先どこへ向かうかに関わらず、私たちの変わりゆく「本とは何か」に対する認識の中で、Kindleは自身をその最大の功労者として位置づけることになるだろう。電子書籍は読書の真の未来ではないかもしれないが、既に何百万人もの人びとにとって、書かれた言葉に触れるための主要な手段となっている。

おそらく、「書籍」は書店や図書館にその居場所を見出し、この先も私たちの生きている間は、物理的な棚の上に印刷された書物が並び続けるだろう。しかし、「書籍」はまた、私たちのコンピューター、私たちの電話、そして私たちのKindleの中にも存在して行くのだ。

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(翻訳:Sako)

dカードプリペイドがApple Payに対応、iPhone 7以降で非接触決済が可能に

eng-logo-2015NTTドコモの「dカードプリペイド」が本日(11月20日)からApple Payに対応しました。

dカードプリペイドは、全国のiD加盟店、および国内外のマスターカード加盟店で利用できるプリペイドカードです。

今回のApple Pay対応により、iPhone 7 / Apple Watch Series 2以降を利用しているユーザーは、iDが使える店舗で非接触決済が利用可能に。さらに、アプリ・ウェブでの買い物の際にも、dカードプリペイドを利用できるようになります。

なお今回のApple Pay対応にあたり、NTTドコモはキャンペーンを実施・本日から2018年1月31日まで「dカードプリペイド」に入会し、iPhone 7 / Apple Watch Series 2以降でdカードプリペイドをApple Payを設定したユーザー全員に、1000円分をプリペイド残高にチャージするとのこと。

また、すでにdカードプリペイドを利用中のユーザーにも、2018年2月28日までにApple Payを500円以上利用することで、500円分をプリペイド残高にチャージするとしています。

Engadget 日本版からの転載。

アプリ制作当初からグローバルを視野に入れるべき――Trelloが世界中の人に使われるワケ

11月16日、17日の2日間で開催したスタートアップの祭典「TechCrunch Tokyo 2017」は大盛況のうちに幕を閉じた。海外からの有名スピーカーも多く登壇するなか、初日にはTrello CEOのMichael Pryor氏がステージ上に現れた。TechCrunch Tokyoに集まった日本の投資家や起業家たちの前で彼は、日本市場のポテンシャルやTrelloが世界中の人々に受け入れられた理由について語ってくれた。

2011年にFog Creek Softwareの社内プロジェクトとして始まったタスク管理アプリ「Trello」は、2011年9月に開催された米国TechCrunchのスタートアップイベントDisruptで正式ローンチ。その後も順調にユーザーを集め、2017年1月にAtlassianに4億2500万ドルで買収されている。

Trelloが多くのユーザーを惹きつけたのは、コンセプトがシンプルであること、そして何より操作が楽しいことが要因だとMichael氏は語る。

「付箋を使ったことがあるユーザーであれば、Trelloのことをすぐに理解できる。Trelloは、付箋にメモを残すという行為をデジタル化したものです。操作は楽しく、人間味があります。付箋を貼るというコンセプトは、誰にとっても理解しやすいものなのです」(Michael氏)。

デジタル化した付箋メモというコンセプトのシンプルさゆえに、その使い道もユーザーによってさまざまだ。僕たちTechCrunch Japanでは、取材案件の担当者決めと進捗管理にTrelloを使っているけれど、ユーザーのなかにはTrelloをアンケートアプリとして使ったり、家庭でのタスク管理に使っているという人たちもいるという。

Trelloは今やグローバルで使われるタスク管理アプリへと成長したが、国によってもその使い方に違いがあるようだ。例えば、ブラジルでは家庭で使われることが多い一方で、ドイツでは主に仕事場で使われている。使用用途を選ばないTrelloの柔軟性こそがその人気の秘密なのかもしれない。

「IRC(インターネット・リレー・チャット)やSlack、その他のチャットアプリのようなツールから良いところを取り出し、誰もが使えるようなツールを作るというのがTrelloのアイデアでした」(Michael氏)

“翻訳”と“ローカライゼーション”の違い

2016年4月に行ったサービスの多言語化により、現在Trelloは日本語でも使用することができる。日本市場の可能性ついてMichael氏は、「現状、Trelloは日本向けにローカライズしたというよりも、単に翻訳したに過ぎません。それでも、日本のユーザー数は非英語圏のなかでは最も多い。日本市場には大きなポテンシャルを感じています」と語る。

しかし、その一方でMichael氏は、サービス内の文言をその国の言語に翻訳するだけでなく、その国の特徴にあわせてローカライズすることの重要性についても強調した。

「Trelloの多言語化で私たちが学んだのは、単なる翻訳とローカライゼーションの間には大きなギャップが存在するということです。Trelloはブラジルとスペインの両国に進出しています。しかし、それぞれの国におけるローカライズ度合いは大きく異なります。ブラジルではアプリを現地の言葉に翻訳するだけでなく、現地で人を雇い、ブラジル人ユーザーと対話することを心がけました。その一方で、スペインではアプリを翻訳するだけでした。ローカライズ度合いの差が、その後の成長速度にどんな影響を及ぼすのかを観察したかったのです。結果、ブラジル市場での成長速度はスペインのそれを大きく上回りました」(Michael氏)

アプリのグローバル展開とローカライゼーションについてのMichael氏の意見を紹介したが、これを聞いて「グローバル展開か。自分にとっては数年後の話かな」と思った起業家諸君。そんなことはない。この記事の最後に、起業家に向けたMichael氏のアドバイスを紹介しておこう。

「今の時代にアプリを作るのであれば、最初からグローバル展開を視野にいれて作るべきだと思います。翻訳すれば世界中の人々に使ってもらえるような仕組みのものを作るべきなのです。今ではサービスの翻訳がとても簡単にできるようになりました。最初からグローバル展開を視野に入れてアプリを開発するのは簡単なことですが、後からそれを行うのは非常に難しいことなのです」(Michael氏)

Twitterで流行中の「Sarahah」はもう使った?サウジアラビア発の匿名メッセージサービス

ここ数日、TwitterでSarahahの画面を見かけたという人も多いのではないだろうか?これは、匿名で相手にメッセージを送れる「Sarahah(サラハ)」というサービスだ。Sarahahの公式サイトを見ると、「同僚や友人から正直なフィードバックを得るためのサービス」と説明がある。

使い方は簡単だ。Sarahahにメールアドレスとユーザー名を入力してアカウントを作成すると、シンプルなフォームのページが生成される。そのページのURLを例えば、TwitterなどのSNSに投稿することで、フォロワーや友人からフィードバックや質問を募ることができる。

Sarahahスはサウジアラビア発でWeb版とiOSアプリがある。「Sarahah」はアラビア語で「正直」という意味らしい。

 

 

日本では、ユーザーが公開しているメッセージのスクショを見る限り、友人がその人に対するフィードバックを投稿するというよりも、その人に聞きたい質問やアドバイスを求めるメッセージを投稿している人が多いようだ。Twitterで#Sarahahと検索すると、たくさんSarahahのメッセージを見ることができる。