BtoB企業で記者会見をやってみたい方に。イノーバの事業戦略発表会に潜入取材

数あるマーケティング手法の中でも、高い認知拡大効果を見込めるのが記者会見です。プレスを集客し記事にしてもらえれば、絶好のPRの場となります。 しかし多くのマーケッターにとって記者会見は、高難易度なマーケティング手法。特に […]

ジャック・ドーシーいわく「Squareはゴールデンゲートブリッジ」、国内の加盟は10万店舗以上に

Square CEOのJack Dorsey氏

Square CEOのJack Dorsey氏

専用カードリーダーとスマートフォンを使ってカード決済を実現する「Square」。このサービスについて、Square共同創業者でCEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏は「創業の地であるサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジのような、『橋』のようなもの」だと説明する。

Squareは9月28日、東京・虎ノ門にて日本初の開催となるプライベートカンファレンス「TOWN SQUARE TOKYO 2015」を開催。橋とは、その冒頭に登壇したDorsey氏の言葉だ。

Squareは2009年、米サンフランシスコで設立された。2010年には米国でサービスを開始。日本では三井住友フィナンシャルグループの三井住友カードと提携し、2013年5月にサービスを開始した。専用のリーダーを使ったカード決済のほか、レジやレシート、アナリティクス、請求書などの機能を一元的に提供している。料率は3.25%。国内では楽天の「楽天スマートペイ」、PayPalの「PayPal Here」、コイニーの「Coiney」などの競合サービスがある。

冒頭の「橋」の話に戻ろう。Dorsey氏はサービスを提供して間もない頃から、Squareについてゴールデンゲートブリッジを例にして語っている(こちらは2011年のTechCrunchの記事だ)。それは、優美なデザインを持っており、100%いつもそこに立っている(=信頼できる)プロダクトであるということ。その橋を行き来することで、様々な人がビジネスを実現する——Squareはそういう存在なのだという。

加盟店は国内10万店舗に

Squareが日本でサービスを開始して2年。国内の加盟店は現在10万店以上。個人事業主からミドル・スモールマーケットを中心に加盟店を拡大。業種でいえばアパレルなどの小売店を中心に、飲食やサービス、さらにはイベントやライブ会場など移動を前提とした店舗での利用も拡大している。

当初の利用は都心部が中心だったが、現在では地方にも加盟店は拡大。北は北海道の寿司屋から、南は沖縄のカフェまで各所で利用されているという。競合各社が加盟店舗数やアクティブな利用率を出していないので、比較することが難しいところはあるが、少なくともSquareは国内で成長しているということのようだ。

Squareの加盟店はミドル・スモールマーケットが中心

Squareの加盟店はミドル・スモールマーケットが中心

また大企業への導入も進んでいる。Square最高事業責任者のフランソワーズ・ブロッカー氏は、ローソンやタワーレコード、横浜DeNAベイスターズなどもSquareを利用していると説明。ユニクロを展開するファーストリテイリングでも、代表取締役会長の柳井正氏の提案で2013年10月より試験的に導入。当初は特設コーナーなどで利用していたが、徐々にその利用範囲を広げているそうだ。「感謝祭(セール)などではレジの台数を増やすが、これがSquareだとスピーディーかつ省スペースで実現できる。店舗によっては 臨時のレジだけでなく、常設レジとして導入している」(ファーストリテイリング 業務情報システム部部長の岡田章二氏)

 

競合のローンチ、焦ることはなかった

Squareに出資し、国内でサービスを共同展開するのは三井住友カードだ。取締役会長の島田秀男氏が語ったところによると、同社は2011年にSquareにコンタクトを開始した。「テクノロジーがビジネスを変える時代を強く感じて、社内の若手をシリコンバレーに向かわせた。これをきっかけに日本でビジネスを展開できないかと話し合いを重ねてきた」(島田氏)。 Squareの企業理念は「Make Commerce Easy(商業活動をシンプルに)」。これがユーザー視点を重視する自社の考えともマッチしたと語る。

国内でSquareの競合を見てみると、2012年10月にCoiney、2012年12月に楽天スマートペイが先行してサービスを開始している。だが島田氏は「(Squareの)サービス開始より少し前に他社が類似サービスをローンチすることになったが、焦ることはなかった 。一番早く提供するよりも、お客様に満足頂けるのが一番だと考えた。そして入念な準備期間を経てサービスを提供するに至った 」と語る。

またSquare日本法人のカントリーマネージャーである水野博商氏は、Squareが米国の企業であることから、参入当時に「黒船が決済市場を食いに来た」と言われたことを振り返った上で、初期コストやスペースの問題でこれまでカード決済を導入していなかった企業や店舗がSquareを導入しているため、「市場を食うのではなく、広げている」とした。

Squareの利用動向。円の大きさが決済額の大きさを示す

Squareの利用動向。円の大きさが決済額の大きさを示す

10月にはICカード対応端末を発売。国内で新サービスも

そんなSquareだが、すでに発表されている通り、10月1日よりこれまでの磁気型のクレジットカードに加えて、EMV(ICカードの国際標準規格)に対応した「Squareリーダー」を販売する。メーカー希望小売価格は4980円となっているが、10月31日までに決済受付を開始した事業者に対して4980円分の決済手数料を還元する。大手量販店やAmazon.co.jpなどで購入可能だ。

また機能面でも、現在米国で提供中のギフトカード(加盟店が独自デザインで発行可能)を年内にも国内で提供するほか、特定の属性の顧客に対してプロモーションを行うような顧客管理機能についても2016年をめどに提供していくとしている。

ソフトウェアの未来はAPIが支配する

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これからは、ユーザーインターフェースではなく、API ― ソフトウェアプログラム同志のやりとりを統治するルール ― がソフトウェアを支配する時代になる。

Intel CEO Brian Krzanichが8月に同社の年次デベロッパーフォーラムで、モノのインターネットに力を入れることを宣言した時、彼は既に多くの人々が知っていることを強調した ― ソフトウェアエンジニアリング新時代の夜明け。それはAPIファースト設計と呼ばれ、これを採用したデベロッパーは途方もない機会を得る ― そして、そうでないデベロッパー(および会社)は大きなリスクを負う。

Intelは、APIの重要性を認識している唯一の大企業ではない。最近IBMは、 IBM BluemixでAPI管理の分野に参入した。これは企業が自分たちのAPIをデベロッパーがどのように使っているかを知るためのサービスで、そのフィードバックに沿って設計できる。OracleはAPI管理スイートを6月に拡張し、成長する収益機会に乗じようとしている。他のプレーヤーたちも、API中心ソフトウェア開発の準備をここ数年着々と進めている。

通常、新しい製品や機能を設計する際、デベロッパーはまずUI画面をデザインし、ユーザー体験がどうなるかを示すよう求められる。このアプローチが一般的になった理由はいくらでもある。タッチスクリーンは新しい世代のコンピューター利用を可能にし、われわれがハードウェアと対話する方法を根本から変えた。

つながったデバイス、無人走行車、および高度な医療テクノロジーは、APIファースト設計が可能にする新技術のごくわずかな例にすぎない。

AppleとGoogleは、消費者にとっても企業にとっても使いやすさが優先事項であることを証明した。さらに、拡張/仮想現実プラットフォームの台頭は、人々がコンテンツを体験する新しい方法を常に探求していることを証明した。しかしデバイスが急増するにつれ、システム-システム間の対話が、人-システム間の対話を支配し始めた。システムは美しいインターフェースを必要とせず、必要なのは確実に定義された契約だ。彼らはAPIを必要としている。

モバイルだけでも、異なるインターフェースを10種類は思いつくことができる。さらにはウェブ、クライアント-サーバー、シンクライアントと挙げればキリがない。すべてを掌握する唯一の方法はAPIレイヤーに集中することだ。離散化したインターフェースレイヤーについて考えることすら無意味だ ― 特にサービスを提供する立場では。Netflixを見てほしい。あんなにシンプルなユーザーインターフェースを持つビデオストリーミングサービスが、一体どうやって6300万人以上のユーザーが世界中から何百種類ものデバイスを通じて彼らのビデオライブラリーをアクセスする規模を維持できているのか? 卓越したAPIだ。

モノのインターネット(IoT)― Business Insider Intelligenceによると近々テクノロジー世界の中心になる ― がこのパラダイムシフトを強く動かしている。このデバイスの多様性は、既に動き始めているトレンドをさらに後押しする。

デバイスが人々を数で上回るようになると、それらをつなぐシステムは驚くほど複雑化する。APIは、こうした接続の基盤を成す。デジタルハードウェア間のモルタルだ。この複雑さが、巨大エコシステムの中で既存レイヤーの上に部品を積み上げるフルスタックエンジニアリングからの、構造的移行を進める舞台を整えた。

APIファースト設計はそれを採用したデベロッパーに途方もない機会を与える ― そしてそうでないデベロッパーには大きなリスクを。

Apple、Googleを始めとする他のIT巨人たちも同じAPI中心の未来を推進している。新たな相互接続分野 ― 典型例を挙げるならApple Watch等のウェアラブルやGoogleの無人走行自動車 ― はわれわれの日常生活におけるAPIの重要性の高まり示している。部屋で一番賢い人たちが何か新しいことを始めた時は、注意を払った方が良い。それはコンピューターや画面がなくなるという意味ではなく、デベロッパーに全く新しい世界の機会が切り開かれる予兆だ。

API中心開発への移行に失敗した結末は、個人にとっても会社にとっても深刻だ。API周辺技術の習得に失敗したデベロッパーは、自身のスキル価値を急速に下げ、職の安定性は減少する。

企業にとって影響はさらに拡大されうる。この技術的革命に乗り損ったスタートアップは競争力を失う。劣った製品を作るかもしれないし、完全に撤退するスタートアップもいるだろう。革新の先端で生きられない会社は縮んでいくパイの一切れになる。

よりつながった世界に突入するにつれ、驚くような新しい可能性が出現する。デベロッパーは「一口大」のものを消費したがる。Amazonがこのアプローチを広めた ― 彼らはデベロッパーにシステムが何をするかを伝え、自らは脇へ退いた。IT企業にとって「伝える」とはAPIを渡すことだ。最善の組み合わせによるプラットフォームの繁栄を可能にするマイクロサービスに向かって、世界が動いてきたのは不思議ではない。

つながったデバイス、無人走行車、および高度医療技術は、APIファースト設計が可能にする新たなテクノロジーのごくわずかな例だ。こうした革新が起きるためには、強固な基盤の上に構築されなくてはならない。それはシステム設計を基盤レイヤー ― API ― から始めることを意味している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleが今日で17歳に。「最もランダムでない誕生日」を祝う

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Facebookのフィードでは見かけなかったのだが、ハッピーバースデー、Google!それともAlphabet? いや、Googleだ。今やSundar PichaiがCEOを務める検索サイトはほぼ大人…今日で17歳になった。ファウンダーたちでさえ会社の創立日をはっきり覚えていないようだが、今年祝福する日に選ばれたのは今日だ。もちろん悪い日ではなく、インドで何百万人もの人々にインターネットを届ける発表もあった。

誕生日を祝うGoogleドゥードゥルを見逃がしたかもしれないが、それは現在NFLをテーマにしたドゥードゥルが掲載されているためだ。誕生日ページにはかつてのBackRub[*]Googleの思い出が綴られている。【* 初期のサイト名】

コンピュータープログラミングの世界で、17は最もランダムでない数として広く知られている。われわれが少しの運のおかげでもなくここまで来られたと考えることは、まるでラーヴァランプとタートルネックとレゴで組み立てたサーバーが成功の前兆だと考えるようなものだ。17回目の誕生日を記念して、われわれの質素なスタート当時の様子をご紹介したい。ブランド物のホッケージャージーがクールで、サヴェージ・ガーデンのシングルがナンバーワンヒットだった頃だ。

Googleは、サイトがまだみんなの情報源になる前のチームメンバーの写真を何枚か公開している。:

  1. google5.jpg

  2. google4.png

  3. google3.jpg

  4. google2.jpg

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長年にわたりホームページに殆ど手を加えていないのは良いことだ。

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今週火曜日(米国時間9/29)Googleは次の17年間のキックオフとしてマウンテンビュー本社でハードウェアイベントを開く。これはPichaiのCEOとして初の、会社にとっても重要なイベントだ。たぢ、もしサウェージ・ガーデンが登場するなら私は早めに帰るつもりだ。
ちなみに、今日はミートローフ[歌手]の誕生日でもある。歴史上この日に起きた他の出来事についてはここで読まれたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

リアルタイムバージョンのペンギンアルゴリズムは年内には開始か。

リアルタイム更新の報告がされて以来、実際はまだ動きのないペンギンアップデートですが、先日行われたハングアウトでこの件についての話題がありました。Googleのジョン・ミュラー氏が質問に回答していますが、明確なローンチの時期については、まだわからないとのことです。パンダアップデート4.2のロールアウトも完了していない模様ですが、ペンギンアップデートについてはどういった状況なのでしょうか?– SEO Japan

*リンク先の記事は全て英語となっております。

去る6月に、Googleはペンギンアップデートの更新は、少なくとも数か月後になると発言していた。Googleはこのアルゴリズムをリアルタイムにするよう取り組んでいる。つまり、ペンギンアップデートの影響がすぐに表れるようになり、手動での開始作業を必要としなくなるのだ。

今朝、Google+でのハングアウトにて、ジョン・ミュラー氏がペンギンアップデートについての質問に答えている。28:25あたりで言及しているが、ペンギンアルゴリズムのローンチの正確な時期はまだわからないということだ。しかし、おそらくは年度末までには行われ、それはリアルタイムバージョンとなるようだ。

ジョン氏の発言を下記に記載する。

将来の出来事について言及することは好ましくはない。なんとか予測しようとしてみるが、非常に難しいことだ。

内部の情報が全て出そろっており、2日か3日の内にローンチすることができ、あらゆることが上手くいくこともある。そんな中、急に問題が浮上し、その修復に取り掛からなければならなくなる、といった場合もある。また、一部のデータに不備があり、それが原因で数日か数週間の遅れが発生する場合もある。こうしたことは、起こりうるのだ。それに対しての対応が迫られることになるし、なにより、完璧な状態でないものをロールアウトすることはできないのである。

こうしたことから、1か月以上先のことについて、我々は何らかの情報を与えることはできないのだ。

もちろん、Googleは以前にリアルタイムバージョンのペンギンアルゴリズムをローンチしようとしていた。実際には行われなかったが。個人的には、ペンギンアルゴリズムについての何らかの情報が今後もたらされる場合は、リアルタイムバージョンのペンギンアルゴリズムのローンチの報告であると考えている。

しかし、時がたてばわかることは明らかである。

下記に該当の動画を掲載しておく。

この件についてのGoogle+はこちら

この記事は、Search Engine Roundtableに掲載された「Google: The Real Time Penguin Algorithm May Launch Before Years End」を翻訳した内容です。

以前と比べ、積極的に情報を開示しようとするGoogleの姿勢がうかがえる今日この頃ですが、アルゴリズムについての情報はやはり気になるところです。(動画を見る限りは、ジョン・ミュラー氏も本当にわからないように見受けられますが。)パンダアップデートに並ぶ大規模なアップデートですが、現段階ではGoogleからのアナウンスを待つほかなさそうです。

続きを読む リアルタイムバージョンのペンギンアルゴリズムは年内には開始か。

サラウンドはもう古い、Felix & Paul StudiosがスピンオフしたHeadspace Studiosは3D/360度の立体全周サウンドをVRに提供する

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仮想現実(VR)企業のFelix & Paul Studiosが、Disrupt SFの月曜日(米国時間9/21)のステージで、同社の3Dで360度のサウンドミキシング部門を、別会社として立ち上げたことを発表した。

Jean-Pascal Beaudoinが率いるその会社Headspace Studiosは、Felix & Paulのプロダクションで使われているサウンドエディティングの技術やイノベーションを、そのほかの第一級のVR企業に提供していく。Beaudoinによると、VR用の3Dサウンド専門の企業は、これが世界初である。

“360度はクリエイティブの幅がずっと広い。仮想現実の“現実感”がより強烈になる、本当にその場所にいるように”、とBeaudoinは述べる。

Felix & Paul Studiosの創業は2014年だが、Beaudoinはそのときからのメンバーで、しかもサウンドを担当した。同社の最初のプロジェクト”Strangers with Patrick Watson”などだ。ファウンダのPaul Raphaelによると、サウンド技術をHeadspaceとして分社化したのは、その技術とチームをほかの人たちと共有するためだ。

“Felix & Paulは元々、サービスプロバイダではない”、とRaphaelは語る。

しかし、Headspaceはサービスのプロバイダになるだろう。彼らが開発したサウンド技術は、ほかのスタジオの多くのプロジェクトでも使えるはずだ。Beaudoinがとくに期待しているのは、ドキュメンタリー作品に3Dサウンドが使われることだ。

“人間の考えは音よりも映像で表現されることが多いけど、でも音は意識下のレベルに作用する。音は、人間に本当の感動を与える”、とBeaudoinは語る。

HeadspaceはFelix & Paul Studiosと同じくモントリオールに拠を構える。同社は、合衆国とヨーロッパのトップクラスのVR企業と協働する。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

メールにリッチメディアや投票機能、スケジューリングなどの機能を加えて“総合仕事環境”にするMixmaxがGoogle Inboxに統合

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最近Harrison MetalとFloodgateから150万ドルを調達したメールアプリのスタートアップMixmaxがこのほど、GoogleのInboxに統合して、メールを、単なるテキストの山ではない多面的なユーザ体験にしようとしている。この統合によりたとえば、メールを書きながら直接、カレンダーでスケジュール作成ができたりする。

Mixmaxは昨年、メールを静的で平板な体験からもっと対話的な体験に変える、をスローガンにして創業された。協同ファウンダのOlof Matheによると、チャットやメッセージングなどの表現力が大きく増している中で、メールだけは旧態依然としている。

“メールの重要度をもっと上げたいと思っている”、Matheは語る。“メールとそのほかの機能性が、まるでなめらかなWebサイトエディタのように、作成ウィンドウの中でワンクリックでシームレスに協働できれば、毎日の仕事の中でメールの比重が大きい人は、とても便利に感じるだろう。メールが、毎日の仕事の中心、主役になれるのだ”。

同社の最初のプロダクトであるChromeプラグインでは、メールを読んだり作成したりしながら、あるいは何かのダウンロード中でも、投票やアンケートの作成ができる。またフォローアップを忘れないために、自動的なリマインダーをセットできる。

Harrison Metalに加えて、同社はFloodgateのMike MaplesやAnn Miura-Ko、Sherpalo VenturesのRam Shriram、そしてエンジェルのEric Ries、SoundcloudのCEO Alex Ljung、NuzzelのCEO Jonathan Abrams、InklingのCEO Matt MacInnis、さらにSoundcloudのEric Wahlforssなどからも資金を得ている。Mathéと協同ファウンダのChanpory RithそしてBrad VogelはともにInkling出身で、彼らはそこでeブックのオーサリングプラットホームHabitatを作った。そのほか、Skype、Google、 Appleなどでコミュニケーションプロダクトを手がけた経験もある。

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四足で歩くこともできるクアッドコプターをスイスの大学が開発…協働するロボットチームの研究の一環として

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スイスのチューリッヒ連邦工科大学の自律システム研究所が、究極の組み合わせロボットを作った。四足歩行ができること。大丈夫。クアッドコプター(四翼ヘリ)でもあること。それもOK。両方の機能を同時に使って床(ゆか)の上をはね回らせたい。朝飯前。

この二人組ロボットは、複数のロボットをチームとして協働させ、お互いを仮想的につなぎ合わせる、という例だ。クアッドコプターを小さなかわいいプラットホームから離陸させると、そこらを歩きまわって、要所に来たら飛行して上空から調査をする、といった仕事ができる。しかもこれは、最近見たロボットビデオの中では、いちばんかわいいと思うね。

出典: Spectrum

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Twitterの投票(二択質問)機能はとってもひどいアイデアだ

If you use this photo, please link to www.CGPGrey.com for attribution.

ついにやった。Twitterがその掟(おきて)を破った。新しいCEOが、ではない。違う。それは、ユーザが関心を持つであろうコンテンツを配布するための、新しい方法でもない。

それは、投票だ。

そのまだ未完成な機能が多くのTwitter社員とアーリーアダプターたちのストリームを襲った。例を一つここに埋め込んでもよいが、長すぎる。画像にしよう:

Screen Shot 2015-09-25 at 9.43.25 AM

Twitterの良いところは、Jack Dorseyや創業者チームがこれまで何度も言ってきたように、人びとが自分の考えを共有し、自分の想いを語り、そのすべてをリアルタイムで行うことだ。投票以上に、これと対極のものはほかにない。実情は、Twitterはお金儲けをするために(統計的に扱いやすい)定型データが欲しいのだ。大量の定型データが欲しい。Facebookが、ずっとずっと昔に思いついたことだ。3億のユーザの140文字の物思いをスキャンして感情や兆候を知る代わりに、彼らは投票機能を展開することにした。

Do you like me? Y/N

私を好きですか? Y/N

ぼくもTwitterで、素敵なフォロワーのみなさまに、質問をしたことはある(今、あらためてお詫びしたい)。そのときは、すばらしい答が得られた。答がすばらしかった唯一の理由は、答を一つとか二つとか三つとか四つとかに制限しなかったからだ。答、といっても、140文字しか書けないし、その中にはユーザ名もある。にもかかわらずすばらしいから、まるで奇跡だった。

でも、こいつはどう?

Screen Shot 2015-09-25 at 9.50.56 AM
[質問訳: オプションが二つしかなくて、本当にいいですか?]

奇跡もクソもない。

投票でも、自分の考えを答えることはできるが、そのためなら、投票は最適の方法ではない。投票の答には、ツイートのほかの要素(テキスト、写真、…)をほとんど付けられないから、人が考えを表す最適の方法ではない。こんなものを、ユーザが求めたのか? これでTwitterの新規ユーザがぐっと増えるのか?

ありえないね。

ブランド(〜企業)やメディアやスポーツチームなどは、昔から二択の質問が好きだ。BuzzFeedもこのクソを埋め込んだし、それに来年は大統領選挙がある! でも、あなたが誰かに投票をぶつけたら、その人の本当の声を聞くことはできない。そんなの、心理学のイロハのイだ。しかし、Twitterは考えた: Twitterユーザの言葉は信用できない、Twitterは彼らに何もしてやれない(それは難しすぎる)、ツイートの構造を工夫すべきだ、コンテンツからお金を得るためにも…。

Screen Shot 2015-09-25 at 10.03.03 AM

これがいつ、Twitterの正式機能になるのか、その発表はない。上に書いたようなテストを今やってる、ということは、いずれ正式機能になるのだ。Twitterにコメントを求めたら、“Twitter上でユーザに投票を求める新しい方法を実験中である”、という答が返ってきた。

Screen Shot 2015-09-25 at 11.42.50 AM

やれやれ(ため息)。

こんなものより、バカな人たちからのいじめ(ハラスメント)がなくなって、もっと多くの人が、もっとたくさん自分の心を語れる方法でも考えろ。TwitterをかつてのMyspaceのQ&Aウィジェットみたいにしてしまったら、ユーザが増えるどころか、近寄らない人が増える。(投票ツイートをポストする人や企業の)うそっぽいプロフィールなんか、見たくもないね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

今やシャドーITは怖がらないで歓迎すべき時期にきている

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[筆者: James Quigley ](CanvasのCEOで協同ファウンダ、Washington, DC郊外のコワーキングスペースRefraction Restonの協同ファウンダ。)

今ぼくが原稿を書いているまさにこの時点でも、多くの企業のIT部門は、社員や部課などからのITプロジェクトのリクエストの、膨大なリストを抱えている。それらにはたとえば、倉庫業務のためのモバイルのカスタムアプリもあれば、Salesforce.comをバックエンドのオフィスシステムと統合したいというリクエストもあるだろう。

この無限に長いリストを管理するために、IT部門は、リクエストを会社の業績に与える影響の大きさや、現時点での重要性の順に並べ替えたりする。そして整列したリストの上の方に来るのは、売上を上げたり、顧客体験を改良するプロジェクトになりがちだ。逆に、ロジスティクスを合理化するなどの内部的なリクエストは後回しにされる。そしてこのやり方では、プライオリティの高いリクエストは完了するが、その他大勢は未着手のまま放置されたり、着手されてもだらだらとデリバリが遅れがちになる。

これらの問題は、IT部門の責任ではなく、また彼らのさまざまな社内顧客が悪いのでもない。イノベーションが急速に進む今日では、社員や各部課等は、自分たちのアイデアが実装されるのを何週間も何か月も待つことはできない。ITが慢性過負荷であることを知った彼らは、Webやモバイル上などですぐに使えるアプリケーションや、クラウドサービスを利用しようとする。それが、今ではShadow IT(シャドーIT)と呼ばれているトレンドの起源だ。それは、大まかな定義としては、IT部門が知らないうちに、あるいは認めたおぼえがないのに、社内的に作られて/使われてしまうアプリケーションやITソリューションを指す。

シャドーITはイノベーションを推進するか?

世界の200名のCIOにアンケート調査をしたBrocadeの報告書によると、回答者の83%が、部課等によるクラウドサービスの勝手な利用を経験している。それどころか最近まで、企業の役員やIT部門は、シャドーITをセキュリティやコントロールを脅かす危険な兆候とみなしていた。しかし、シャドーITを悪者視せずに、むしろ、イノベーションを促進し費用を低減するための貴重なツール、と考えたらどうだろうか? 企業が社員を‘市民デベロッパ’とみなし、プロダクトやプロセスが完成するまでの過程で革新的なアイデアを自由に持ち込んでよい、と彼らを奨励したらどうだろう?

ITのスペシャリストでない社員が社内でイノベーションを主導する機会は、現状では、従来的なアプリケーション開発や製品開発の方式に、邪魔されてぽしゃることが多い。しかしシャドーITの勃興は、ある面では、人不足力不足のITにまかせていたのではいつまで経ってもらちが明かないプロジェクトを、自分たちで前へ進めたい、という社員の欲求を反映している。

そうすることによって、一般社員が‘市民デベロッパ’(citizen developers)になる。それは、組織内のITスペシャリストでない人たちが、自らの力を発揮して、 ITが無関与のまま、自分たちのビジネスニーズを満たすソリューションを即席で構築展開することを指す。それがうまくいき、他の部課が見倣うようになると、このイノベーションが全社化する。

シャドーITはIT部門の仕事を楽にするか?

リストのうしろの方へ追いやられてしまいがちなITタスクは、現場仕事の生産性を上げるものとか、コミュニケーションを簡素化するもの、プロセスを改善するもの、などが多い。これらは顧客や消費者に関連するセクシーなプロジェクトではないが、でも、業績向上に大きく貢献するものもありえる。

企業はシャドーITのセキュリティリスクと、市民デベロッパによるイノベーションを封殺する機会損失とを、秤(はかり)にかけてみるべきだ。

今人気が盛り上がっている企業向けのメッセージングアプリSlackは、シャドーITがイノベーションを刺激しITのリソースに余裕を作り出す好個の例だ。Slackのデプロイは多くの企業において“land and expand”方式(まず上陸、それから拡大)で行われている。ひとつの部署が使い始めて好評が社内に広まり、まるで山火事のように利用が全社に広がる、というパターンだ。

IT部門が自分たちの過負荷を防ぐためには、自ら進んで社内の顧客たちの先手をうち、彼ら自身の力で問題解決に取り組むよう仕向けるべきだ。そうすればIT部門は、専門知識と専門技能を要する高度なイノベーションのプロジェクトに専念できる。言い換えると企業のIT部門は、率先して、シャドーITの推進役に徹した方がよい。

シャドーITのセキュリティは大丈夫か?

2015年のVanson Bourneの調査によると、イギリスのエンタプライズのCIOの89%が、未承認のシャドーITは企業に長期的なセキュリティリスクをもたらす、と感じている。もちろん、目の届かないところで社員たちがアプリケーションやサービスをデプロイするときには、セキュリティの弱点について十分注意しなければならない。ときには、IT経験の浅い社員が勝手に導入したテクノロジによって、既存のシステムやネットワークが破壊されることもありえる。それは、不注意によって弱点を見過ごすことよりも、さらに危険だ。

企業はシャドーITのセキュリティリスクと、市民デベロッパによるイノベーションを封殺する機会損失とを、秤(はかり)にかけてみるべきだ。シャドーITが、会社のメインシステムのデータに触るかどうかも、よく調べなければならない。データを変えないまでも、重要な企業情報の勝手なアーカイブを作ったりしないか? そのシャドーITの環境は、どれだけ安全か? シャドーITはデフォルトではセキュアではないが、事前に重要なパラメータをすべてチェックすれば、良い防備ができる。

シャドーITにおけるIT部門の役目

シャドーITのネガティブなイメージは、それがIT部門に隠れて秘密裏に行われる、という考え方にも原因がある。そういう場合も少しはあるかもしれないが、でもいちばん多いのは、そういうことが行われているのをIT部門は知っているけど、そのwho、what、howなどの詳細を知らないケースだ。その効果も、IT部門は認識していない。今年の初めにCloud Security AllianceがIT部門の役員に対して行った調査[PDF]によると、役員たちの72%は、自分の会社でどれだけのシャドーITアプリケーションが使われているか知らない。会社内のシャドーITの全体像を把握している者は、わずかに8%だった。

組織がシャドーITから十分な利益を得るためには、IT部門が具体的に指導的役割を発揮すべきである。その背後にあるプラットホームを技術的によく調べて承認したり、あるいは自ら新しいサービスやアプリケーションを発見してもよい。そしてそれらの発見を社内の市民デベロッパたちに伝えれば、シャドーITの効果そのものが大きく向上するだろう。

社内における市民デベロッパの登場は今後数年間で業界共通のテーマになり、そしてシャドーITのポテンシャルを前向きに歓迎する企業こそが、明日のイノベーションと繁栄にいちばん近い位置につけるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

原子力発電のカムバック・キッドたちがDisruptのステージで安全な原子炉技術を語る

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今では、より安全な技術の確立と普及に努めようとしている新世代の核科学者たちがいる。Leslie DewanとJacob Dewittも、その仲間だ。二人の若いファウンダは今日(米国時間9/22)のTechCrunch Disruptのステージに登場して、彼らが携わっている、自分の廃棄物を自分で食べる新しいタイプの原子力発電機の開発努力について語った。〔*: Comeback Kid, カナダのパンクバンド。〕

文字通り、‘食べる’のだ。二人ともMIT出身だが、それぞれが自分のスタートアップを立ち上げた。しかしやることは似ていて、彼らの原子力発電機は自分の放射性廃棄物で動くから、廃棄された放射性物質をどこかへ運んで処分する必要がない。

原子力発電所は放射性ウラニウムを生成するが、人間等の放射能被害を避けるためにはその多くを地中深くに数百年〜数千年間遮蔽保存しなければならない。しかしその工程というか過程そのものに、遺漏等の危険性があるだけでなく、大量に埋めれば私たちの住む惑星にとっても有害だ。

核に対する最大の誤解はその安全性だ。事故とその不安がこの産業の汚点になっているが、でも、事故のときに何が起きるのかを、正しく理解すべきだ。
— Jacob Dewitte, UPower

また、今認められている原子炉には、設計上の問題もある。今のそれは多量の放射性廃棄物を作り出し、冷却には水を必要とする。1950年代と60年代には核燃料がクリーンで安いエネルギーを得るための理想的なソリューションと見なされたが、最終的に認められた設計は潜水艦の設計が元になっていた。

Fukushima Daiichiの大事故は、炉心の冷却に水を使用する設計でどんな間違いが起き得るかを示す、完璧な(そしてもっとも最近の)見本だ。発電所自身が、コンスタントなエネルギー供給を必要とする。停電と炉心の過熱が起きれば、高圧の炉心融解(メルトダウン)に至るが、2011年にはまさにそれが起きた。

しかし、液体燃料を使う原子炉は塩の廃棄物を使うので、停電時にはすべての塩が別のタンクへ落ち、2時間ほどで凍結し固まる。したがってこのタイプの発電所には、炉心融解がない。

DewanはTransatomic Powerのファウンダで、1950年代からあるけどなぜか採用されなかった技術をベースに、融解塩タイプの原子炉を開発した。DewitteはUPowerのファウンダで、もっと小さい、送電網に接続されない原子炉を作った。それは海運用のコンテナやトラックで、電気のない遠隔地へ運ぶことができる。Dewitteによると、彼のモデルは2000世帯ぶんの電力を最大12年間生産できる。

どちらの原子炉も、万一オフラインになったら爆発するのではなく遮断するよう設計されている。

DewitteとDewanはMITでは同級生で、新世代の環境保護主義者/活動家に属している。彼らはそういう環境への配慮に基づいて、より安全でクリーンな原子炉技術が国の施策としても認められるよう、運動している。

また彼らを、著名な投資家たちが支援している。DewanのTransatomicはPeter Thiel とFounders Fundから550万ドルを獲得し、DewitteのUPowerはY Combinatorを‘卒業’してから、CrunchFundやSam Altmanらからこれまでに400万ドルを調達した。

しかし、今後の課題もいくつかある。とくに最大の障壁が、現在の公的規制と、原子力発電に対する世論だ。合衆国の原子力規制庁(Nuclear Regulatory Agency, NRC)にはそもそも、新しい設計を認めるためのガイドラインがない。新しいものを前向きに認める柔軟性を政府当局が持つためには、あと20年かかるだろう、とDewanは述べる。

“今の規制方式には、新しいものを認める仕組みや制度が欠如している。かつて認められた古い技術が、唯一絶対だ。だからわれわれは当分、ベータテスト程度のことしかできない”、とDewitteはDisruptのオーディエンスに語った。

しかし二人とも、5年後には何かが変わるだろう、と楽観的だ。すでに、議会にその動きがある。H.R. 1158 は、新しいエネルギー技術の認可の道筋をつけ、TransatomicやUPower、それにBill Gatesが支援しているTerraPowerなどのスタートアップに、可能性を開くだろう。この法案は5月に下院を通り、今は上院の票決を待っている。

一般的な世論に関しては、Dewitteは世代交代が解決する、と信じている。“冷戦が親たちの心に暗い影を落としている”、と彼は語る。Dewanは、より良いコミュニケーションが新しい技術を支える、と期待している。彼女は曰く、“原子力産業には透明性が必要である。インターネットが透明性の実現を大きく助けるだろう”。

核廃棄物の見方を変えたい。それを、処分義務のあるものではなく、可利用な資源と見るようにしたい。
— Leslie Dewan, Transatomic
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モバイル上に好きなテーマでコミュニティ(フォーラム)を作れるAminoが早くもシリーズAで$6.5Mを調達

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モバイル用のコミュニティアプリを提供しているAminoが、今では同プラットホーム上で作られたアプリの種類(==コミュニティ/フォーラムの種類)が41にも達し、このほどシリーズAで650万ドルの資金を調達した。

1年あまり前に同社を取り上げたのは、165万ドルのシード資金の機会だった。そのとき協同ファウンダでCEOのBen Andersonは、従来からあるオンラインフォーラムの、モバイル版、スマートフォン版をやりたいのだ、と言った。ご存知のようにフォーラムはテーマ別のコミュニティで、たとえばそこにDoctor Whoが好きな人が集まったり、Kポップの好きな人が集まったりする。もちろん、Javaプログラミングや外国人の日本語学習などなど、シリアスな目的のフォーラムもたくさんあった/ある。

今日のAndersonはこう言う: “人びとが関心を寄せるテーマや話題はたくさんあるのに、モバイル上にはそれらの話題のまわりにできるコミュニティがない”。彼と協同ファウンダのYin Wang(Northeastern Universityの同窓生)も、Wangはアニメ、Andersonはロボットと、好きなテーマ/話題/趣味を抱えているのに、それらについて、世界中のみんなとおしゃべりしあう場所が、モバイル上にはない。

“今の世界は、友だちを作るならFacebook、仕事のネットワークならLinkedIn、そして自分と同じものが好きな人びとと出会うためならAminoだね”、とAndersonは言う。

同社のプラットホームの上に作られるコミュニティは、食品や音楽といった一般的なテーマのもあれば、League of LegendsSwiftiesなど特定性の強いものもある。Andersonによると、今いちばん力を入れているのが十代ユーザの獲得だ。過去1年で、Aminoの上の大きなコミュニティは、一回の滞留時間が20分から40分強に増えた。

AminoのアプリはiOS版とAndroid版がある。今は新しいコミュニティを作るペースを早めようとしており、昨年は25のコミュニティを作った。

今回のシリーズAはVenrockがリードし、前回の投資家Union Square Venturesも参加した。VenrockのパートナーDavid PakmanがAminoの取締役会に入り、さらに副社長のRichard Kerbyがオブザーバーとして加わった。

“ネットワークというものは、BBSやUsenetの昔から、コミュニティがキモだ”、とPakmanは言う。今は、ティーンもミレニアル世代も、伝統的なメディアから離れて、何でもモバイルでやるようになっている。Aminoは最初から一貫してモバイルオンリーの関心グループ(一つのテーマを共有するコミュニティ)が対象だから、投資家としてそこに魅(ひ)かれた”。

今回得られた資金は、研究開発と営業とマーケティングの強化拡大に充てられる。

“うちのビジョンは、世界中のさまざまな話題やテーマや関心事項を軸に、それぞれ、人びとを結びつける力がとても強いコミュニティを作っていくことだ。テーマは、テレビの人気番組でも、映画の連作シリーズでも、スポーツのチームでも、ビデオゲームでも、趣味でも、何でもよい。だから今後アプリの数が数万になっても、われわれは驚かない。Aminoというプラットホームのオープン性を今後も維持し、誰もが自分の好きなテーマでコミュニティを作れるようにしたい”、とAndersenは述べる。

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Georamaは世界旅行をVRで提供、しかもそれはガイドが自分のツアー企画を売り込むマーケットプレースでもある

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4~5世紀の哲学者アウグスティヌスは、“世界は一冊の本であり、旅をしない者はその1ページしか読んでいない”、と言った。お金や体の理由で旅ができない者には、酷な言葉だ。Georamaは旅行をVR化することによって、そんな人たちを助けようとする。そのVRは、HDのビデオで構成され、企業向けのサービスはすでに提供しているが、今日はDisruptのStartup Alley(展示会場)で消費者向けのサイトを披露した。

旅行代理店がネット化することによって旅行産業に革命が起きたが、Georamaは仮想旅行の最人気サイトになることによって、ツアーそのものをオンライン化するつもりだ。

Georama tours

Georama

同社が2012年に創業されたとき、本誌TechCrunchも取り上げた。当時は地図を使用する旅行検索サイトだったが、ファウンダのNihal Advaniによると、オンラインの旅行プランニングという業態はすでに競争が激しくて、食い込むのは難しかった。そこでGeoramaは、遠距離の旅行ができないけど旅行願望は強い、という人びとのためのサービスへと、方向転換をした。

最初はB2Bでスタートし、たとえば大学のキャンパスツアーを世界中に提供したい学校法人や、子どもの患者に仮想旅行で動物園や博物館/美術館やそのほかの楽しい場所を見せたいと願う病院などを顧客にした。

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しかしGeoramaの消費者向けサイトはガイドのマーケットプレースとして機能し、彼/彼女が自分で企画したツアーに基づいて、GeoramaのAndroidアプリ(目下非公開ベータ中)やGoProのようなウェアラブルカメラ、ときには360度カメラで撮ったHDビデオを、ストリーミングで提供する。その仮想ツアーを見るのは無料だが、ガイドに特別の質問やリクエスト(ナニナニを見たい、とか)をするのは有料だ。

高品質なオンラインツアーは、Arounderなどが提供している。MeerkatPeriscopeのようなリアルタイムのビデオストリーミングサービスも、今後コンペティタになるかもしれない。それらの中でAdvaniが主張するGeoramaの差別化要因は、ネットワークの品質が良くないところでもHDでビデオを見られる同社のソフトウェアと、またできるだけ多くのVRヘッドセットとの互換性があることだ。

Georamaの消費者向けサイトには今、サンフランシスコ、ニューヨーク、シカゴ、イスタンブール、ソウル、ミラノ、コペンハーゲンなどの都市を案内する30名のガイドがいる。詳しくは、彼らのツアースケジュールをチェックしよう。

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インターネットが消滅する時

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編集部記Tom Goodwinは、Crunch Networkのコントリビューターである。Tom Goodwinは、Havas Mediaの戦略とイノベーション部門のシニアバイス・プレジデントである。

ウェブが存在しない未来のインターネットの世界が到来しようとしている。

テクノロジーは私たちが意図を持って使うものから意識を向けなければ思い出さないものになった時に初めて、それは社会に完全に統合したと言えるだろう。全てのイノベーションは同じ経過を辿るのであり、インターネットの体験もそうなりつつある。

検索を必要としたディープシステムは、ゆっくりと進化を続け、ユーザー個人にパーソナライズした多様な情報を一目で確認できるよう、一枚の画面に落とし込むことができるようになった。

インターネットはサーフしたり、検索したりするものではなく、眺めるだけのものになる。これが次世代のウェブの体験だ。エンジンとなるAPIとディープリンクが全ての情報を集約するようになる。

現在までにウェブが辿った3つの時代

広義の意味で、ウェブには3つの異なる行動で規定される3つの時代があったと言えるだろう。

最初のコンシューマー向けインターネットは、ポータルの時代だった。インターネットはウェブ版の雑誌だった。それまで紙に印刷していた情報を画面に起こして文書として保存し、キャビネットに保管するようにディレクトリに整理した。

編集者やジャーナリストが支配し、配信の方法以外、情報のあり方はそれまでの古い世界と変わらなかった。コンテンツはディレクトリが束ねるもので、ポータルはインターネットの玄関となった。デジタルはデジタルより前の世界の構造を模倣していた。

次の時代は検索の時代だ。検索ボックスがインターネットの新たな窓口となった。ここで初めて、ユーザーがコントロールを持ち、Microsoftはユーザーに「今日はどこに行きたいだろうか?(Microsoftのキャッチコピー)」と尋ねるようになり、Googleのページランクが私たちの道標となった。

情報は個人に即したものではなく、私たちは情報を探しにいかなければならなかったが、誰もがインターネットに貢献でき、利用できる情報の深さと広さは爆発的に広がった。この時代は、ディープウェブの時代だ。コンテンツは雑多な構造の中に埋もれていて、複雑な検索アルゴリズムをもって深みから引っぱり出さなければならない。この時代のインターネットはサーフするものだった。私たちは情報という海を泳ぎ、次の波に乗るために右へ左へと彷徨うのだ。

現在、私たちは第3の時代にいる。そこには、Web 2.0が約束したコンテンツのスクラップを多様な深いソースから探しだす方法(ホームページの検索も含め)と、Facebook、Twitter、Googleなどのソーシャルとアルゴリズムを駆使して情報をキュレートする2つの方法が同居している。そして、モバイル端末にはアプリが登場した。これは、パーソナライズした情報を引っ張り、クローズドのエコシステムの情報を提示するマイクロポータルと言えるだろう。

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第4の時代は「Thinternet(薄いインターネット)」の時代

テクノロジーは私たちの行動を変えている。モバイル端末は、ウェブにアクセスするための主要な画面となり、アプリは私たちが最も多くインターネットを利用する方法になった。

次のウェブの時代は、この環境に根ざしている。その時代には、ユビキトスの接続が可能になり、世界の全てがデジカル化し、情報の集約も提示も全て並行して行われ、互いに情報をやりとりし、全く新しいウェブの体験を構築するだろう。

世界が接続することでウェブの概念が消滅する

30才の人にオンラインで過ごしている時間を尋ねれば、きっと多くの時間を過ごしていると答えるだろう。18才の人に同じことを聞いても同じように多くの時間を答えるだろう。しかし12才の人に尋ねたら、答えられないかもしれない。何故なら、彼らはオンラインという概念を持っていないのだ。

国際線の飛行機のWifiから、5GやWi-Max、そしてアフリカ大陸もスマートフォンからオンライン接続ができ、更には小さく、安価で、多くのインターネットに接続可能なセンサーが出てきている。世界の全てのモノは、他の全てのモノとつながろうとしている。それは、高速で、常に起動していて、安価で、どこにでもあるようになる。インターネットは私たちの生活の背景に溶け込み、全てをつなげる基盤となるだろう。

デジタル画面に全てが集約する

何年もの間、メディアはそれぞれ個別に配信を行ってきた。物理的な外観を持ち、縦割りの業界と寄り添い、それぞれのメディアチャネルが割り当てられていた。テレビはテレビで見るものであり、テレビ局はテレビ広告から収入を得てきた。多種多様なニュースは新聞で読み、ラジオ広告を流すラジオは、ラジオ受信機から聞くものだった。

そして全てがインターネットに集まってきている。チャネルは意味を失うだろう。テレビは動画という意味に代わる。全てのスクリーンはデジタルになり、その数は急増し、更にスマートになる。 車載スクリーン、ウェアラブル、タブレット、ファブレット、写真立て。どれもがインターネットにつながり、インタラクティブなコンテンツをインターネットから集約して表示することができる。「テレビ」というような名詞の意味は限定的なもので、その内スマートフォンが電話だけを指していないように、適切な言葉ではなくなるだろう。

集約に意味がある

このような画面が急増し、業界別の縦割り主義(インターネットより前の時代のコンテンツの特徴だった)は、過去のものになる。「薄いインターネット」は横軸で物事をつなぎ合わせるのだ。コンテンツのクリエイターは、集めた素材を画面からしか見なくなる。Apple NewsからFacebook Instant、Google Nowでは、コンテンツがユーザーに引き寄せられる。Apple TVのSiriのように、ディープリンク検索を持ってすればテレビのチャンネルは、ひも解かれたバラバラの素材となり、必要なものを選び取れるようになる。「薄い」カスタマーインターフェースを所有することが価値になる時代が到来する。コンテンツ自体がパイプラインに取って代わるだろう。

サービスとしてのインターネット

ガラスのデジタル画面は、ユーザーにパーソナライズした情報を掘り起こして提示するディスプレイとなる。デバイスのブラウザは、補完的なものになるか、あるいは消滅するだろう。アプリがインターネットの主要なナビとなるかもしれない。情報は更に「薄く」提示されるようになり、通知画面はユーザーがインターネットとシンプルに関わるための重要な接点となる。アプリのウェブからパーソナライズしたインターネットがより深いユーザーとのインタラクションを提供するようになるだろう。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Glowforgeの3Dレーザーカッター、1995ドルで予約開始

Glowforgeが3Dレーザープリンターの予約受付を開始した。「メーカー」たちはシアトル拠点のスタートアップのサイトで今日からマシンを購入できる。

Glowforge 3Dプリンターは、実際には3Dプリンターではなく、レーザーカッターだ。説明は紛らわしいが、プラスチック、皮等の材料を実際にカットして作品を作り出す。通常の3Dプリンターは、材料となる物質を積み上げていく。

GlowforgeはシリーズAラウンドで900万ドルの資金をFoundry Group、True Venturesらから今年調達し、低価格で小さく、プロ仕様のハイエンドのカッターと同じ品質を維持できるレーザーカッターを作ろうとしている。。

このスタートアップの機械は、ローコストのレーザーカッティング機、Cricut Exploreと似たアイデアだ。しかし、Glowforgeによると、同社の機械は他社と比べて精度が高いという。

減法方式とオートフォーカスを使用して深度と精度を達成することで、Glowforgeは様々な作品を ― ランプシェードからドローンのフレームまで ― 数分のうちに作ることができる。必要なのは用意しておいたデザインをアップロードし、選んだ材料を入れることだけだ。あとはマシンがパターンを切り出したら、取り出して組み立てればよい。

プロ用のレーザーカッターは、数万ドルで売られており、通常はレンタルで使用される。中国から3000~5000ドルで購入できるものもある。Glowforgeは予約価格1995ドルだ。

上のビデオでGlowforgeが動く様子をご覧あれ。

このマシンで作った作品は、下のフォトギャラリーで見られる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Jukin Media、人気のバイラル動画 PizzaRatの権利を獲得

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先週インターネットに旋風を巻き起こした愛すべきネズミ、PizzaRatがハリウッドに進出する。

エンターテイメント会社のJukin Mediaが権利を買ったこの15秒ビデオは、YouTubeで500万ビュー以上を記録し、小動物の動画をリツイートした多くのラットファンを驚かせた。動画を撮影したコメディアンのMatt Littleは、PizzaRat成功の報酬を受けとる。

Littleが投稿した後のJukinの行動は速かった。同社はヒデオがまだ2600ビューのうちに動画とYouTube広告の権利を確保し、PizzaRatを「過去数年間に数十億ビューを達成した2万本を超えるビデオコレクション」に追加することができたと、広報担当VPのMike Skogmoは語った。

「今Pizza Ratだけでなく、結婚式のエチケットをパパに説明する女の子や、病気の妻のために歌う老人のビデオが大きな話題を呼んでいる」とSkogmoは語った。「これは大切なことだが、われわれのライブラリーにあるビデオは、全権利を買う場合と収益分配する場合があり、ビデオの原所有者が権利を持ち続けているものが少なくない」。

Jukin Mediaはバイラル性を利用した独自のビジネスを展開している。何より動きが速い。Patch.comによると、Jukinはビデオが投稿された5分後にはクリエーターに接触する。ビデオ制作者は200ドルおよび広告収入の70%を手に入れる。その後Jukinはこれらのビデオを不法に使用する連中を追跡し、GIFやコピーを削除させる。

同社は他に、FailArmy、People Are Awssome、およびThe Pet Collectiveも所有している。

「ビジネスモデルは成功している。われわれは急速に成長し利益も上がっているので、ビデオ所有者のポケットに毎日本物のお金を入れている。ユーザー生成ビデオは一過性の流行ではない。これはエンターテイメント界の恒久的存在だ。私たちはバイラルビデオを見るのが大好きだ」とSkogmoは言った。

同社によると、2010年に投稿されたビデオにもクリックがあり、面白ビデオの継続力が実証されている。

「人気の窓がある限り、それが閉じることはない」とSkogmoは言う。

コンテンツ作者はJukinを利用して人気を金に代え、Jukinは平均的ブログ記事の値段で、人々が見たいものに簡単に賭けることができる。全部のコンテンツがPizzaRatのような人気を呼ぶわけではないが、集約的アプローチによってこの会社は何千もの個別のビデオから利益を上げている。

しかしもっと重要なのは、Jukinが買った後もそのビデオを隠さないことだ。殆どの場合、彼らはコピーをバイラル世界で成功しているサイトに送り込む ― あなたの遠い親戚がFacebookからリンクしているサイトだ。これがビデオのバイラル性を高め驚くほど幅広い視聴者に広まる。

そうそう、われわれにはまだミルクシェイク・リスがいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

99ドルのOculus製VRヘッドセットSamsung Gear VRは、本格的仮想現実を手頃価格に

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これまでのVRヘッドセットの半分の価格で販売されるOculus製Samsung Gear VRは、バーチャルリアリティー(仮想現実)をメインストリームに解放するのに十分な安さだ。今日(米国時間9/24)Oculus Connectカンファレンスで披露されたこのデバイスは、Samsungスマートフォンの2015年全モデル ― Note 5、S6、S6 EdgeおよびS6 Edge+ ― に対応している。11月のブラックフライデーに間に合うよう出荷される予定だ。従来の199ドルのGear VRがごく少数のスマートフォンでしか動作しなかったと比べ、このヘッドセットはずっと利用範囲が広い。

新しいGear VRは22%軽くなり、着け心地が向上した。ヘッドセットの額にあるトラックパッドは触覚フィードバック機能を内蔵しており、指がどこに触れているかがわかる。従来のGear VRのスムーズなトラックパッドは、そこに触れているのか、それ以外の部分に触れているのか、見えない本人には区別が困難だった。

新たなGear VRゲームパッドも発表され、Oculus Connectカンファレンスの参加者全員に無料で配られた。Xboxスタイルのデュアルスティックデザインを採用している。

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多くの人々が看板ヘッドセットOculus Riftの発売を大いに期待している、高価なゲームコンピューターとの接続が必要であることは、購入層がずっと狭いことを意味している。しかしGear VRやGoogle Cardboardのようなモバイルヘットセットは、手軽に持ち歩けてVR初心者でも簡単に使えるため、VRメディアの大衆化が期待できる。

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Oculus Connectカンファレンスの詳細は追って報告する予定。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

金融インフラをブロックチェーンで代替してコストを10分の1に、日本から「mijin」が登場

ミッションクリティカルな金融機関システムを、Bitcoinなどの暗号通貨で使われる要素技術であるブロックチェーンで置き換える――。こういうと日本のIT業界に身をおいてる人の反応は2つに割れるのではないだろうか。「何を寝言みたいなことを言ってるのだ?」という反応と、「それはとても理にかなってるね」という反応だ。

ダウンタイムの許されない高可用性や、データ損失のない信頼性が要求されるITシステムというのはハードもソフトも「枯れた技術」を使うのが定石。まだ実用性や有用性が証明されていないBitcoinの技術を使うなどというのは、世迷い事っぽくも聞こえる。ただ、Bitcoinという仕組みを実現するベースになっているブロックチェーンそのものは、可用性と堅牢性の高いP2Pネットワークとして様々な応用が期待されている技術だ。

ブロックチェーンは複数のサーバが参加するP2Pネットワークであるということから、中央管理サーバのない、いわゆる冗長構成となっているほか、原理上データの改ざんがきわめて難しいという特徴がある。

このことから、例えばシティバンクは独自のデジタル通貨プラットフォーム「CitiCoin」を実験中だし、Nasdaqはブロックチェーン技術を提供するChainと提携して未公開株式市場で同社技術を使うと発表している。ほかにもUBSが「スマート債権」を実験中だったりと、アメリカの金融大手が新技術の取り込みに向けて動き始めている。9月15日にはゴールドマン・サックスやバークレイズを含む9つの大手銀行がブロックチェーンで提携すると発表している

金融関連ベンチャー投資支援をしているAnthemisグループは「The Fintech 2.0」という分析レポートのなかで、ブロックチェーンによって銀行のインフラコストを2022年までに150〜200億ドル削減できるのではないかとしている。

面白いのは、最近アメリカの金融関係者らがBitcoinというネガティブなイメージのつきまとう言葉を避けて「ブロックチェーン」という言葉を使うようになっていることだ。Bitcoin関連のポッドキャストやコンサル、講演で知られるアンドレア・アントノポラス氏の言葉を借りて言えば、Bitcoinというのはインターネットにおける電子メールのようなもの(ちょっと長めの動画インタビュー)。1995年ごろにWebブラウザが爆発的普及を始めるまでは、インターネットとはメールのことだった。しかしTCP/IPを使った最初に成功したアプリがメールだっただけで、実際にはインターネットはもっと多様なサービスを生み出す革新的なイネーブラーだった。同様に、Bitcoin発案者とされる中本哲史の本当の発明はブロックチェーンのほうで、Bitcoinのような暗号通貨は、その1つの応用にすぎないという。

ちなみにシリコンバレーの著名投資家マーク・アンドリーセンは2014年初頭の時点でBitcoinの登場のインパクトを、1975年のパーソナル・コンピューター、1993年のインターネットの登場になぞらえている。アンドリーセンは、Bitcoinの本質的な価値は、ビザンチン将軍問題というコンピューター・サイエンスの研究者たちが取り組んできた課題におけるブレークスルーであることが根底にあると強調している。互いに無関係の参加者が、信頼性のないインターネットのようなネットワーク上で、どうやって合意形成を達成するのかという問題だ。

自社内、またはパートナー間のみ利用可能なブロックチェーン「mijin」(ミジン)

さて、アメリカでブロックチェーン技術利用へ向けて金融大手が動き出している中、日本発のBitcoin関連スタートアップであるテックビューロが今日、自社内、またはパートナー間のみ利用可能なブロックチェーン「mijin」(ミジン)を発表した。Bitcoinはオープンでパブリックなブロックチェーンで運用されているが、mijinは、そのプライベートネットワーク版といった位置付けだ。

mijinは現在クローズドβのテストフェーズにあり、2016年初頭から提携企業への提供を開始する。また2016年春には有償の商用ライセンスのほか、オープンソースライセンスのもとソースコードの一般公開を予定している。mijinは、地理的に分散したノード間で2015年末までに秒間25トランザクションの処理能力を提供し、2016年末までに秒間100トランザクションを実現するのが目標だという。プライベートな同一ネットワーク内では秒間数千トランザクション以上での高速動作も実現するとしている。mijinを提供するテックビューロは日本発のスタートアップ企業だが、顧客の大半が欧米顧客になると見ていて、そのことから「忍者」的なキャラをあえて選んだのだそうだ。mijinというのは忍者が使った武器の一種なんだとか。

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テックビューロ創業者で代表の朝山貴生氏は、mijinで構築したブロックチェーンで既存のデータベースを置き換えることで、企業のポイントサービスや決済サービス、オンラインゲーム、航空会社マイレージ、ロジスティックス、保険、金融機関、政府機関などの大規模で高度なシステム基盤にまで幅広く利用できると話す。銀行系のシステムだと初期構築とハードウェア費用で数億円、運用フェーズでも月額数千万円ということがある一方、mijinでクラウド上に数十台のインスタンスを立ち上げることで、初期費用ゼロ、月額数十万円の運用が可能となるだろうという。

このコスト削減の背景には、システムの堅牢性や冗長化といった技術的な部分がなくなることに加えて、不正防止対策や運用マニュアルの整備など運用コストの削減効果もある。テックビューロのリーガルアドバイザーである森・濱田松本法律事務所の増島雅和弁護士はプレスリリースの中で、「ビットコインプロトコルに依存しないプライベートブロックチェーンというユニークな立ち位置でローンチされるmijinが金融・商流・ガバナンスをどのように変えていくのか、大変興味深い」と語っている。

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ブロックチェーン技術を使ったスタートアップ(またはプロジェクト)には、BlockstackSETLBankchainHYPERLEDGERMultiChainEthereumFactomStorjなどがある。金融向け、汎用ビジネス向けなどいろいろあって、すでに走りだしている。ただ、オープンソースで非アプリケーションのプラットホーム指向というmijinのモデルはユニークで、今からでもポジションを確保できるのではないかと朝山氏は話している。

テックビューロは国内でBitcoinを含む暗号通貨の取引所「Zaif Exchange」を運営していて、2015年3月に日本テクノロジーベンチャーパートナーズから1億円を資金調達している。

Bitcoinやブロックチェーンがどういう技術なのかという解説は、朝山氏によるTechCrunch Japanへの寄稿も参考にしてほしい。

Hydroswarmの水中ドローン(の大群)は海に対する人間の無知を解消してくれるかもしれない

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地表は海が70%、陸地が30%だ。しかし、よく言われるように、私たちは波の下にあるものよりも、月の表面の方をよく知っている。これまで調べられているのは、世界の海洋のわずか5%だ。世界の生物とエネルギーと資源の95%が海にあるにもかかわらず。

これまでは、AUV(autonomous underwater vehicle, 自律型無人潜水機)と呼ばれる魚雷のような乗り物にたくさんの電子機器を乗せて海を探査してきた。広大な海を、たった一機で調べるのだ。これらのAUVは主に、石油の流出などの環境問題をモニタするために使われているが、相当高価であり、あまりインテリジェンスのない鈍重な装置だ。

むしろ、自律能力のある小さな水中ドローンの大群に、常時海中を泳がせておく、という方法はどうだろう。それらはつねに海の中を泳ぎまわり、休むことなく自分の職務をこなす。いわばそれは、海洋のための物のインターネット(IoT)だ。

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MITで博士号を取った学生のSampriti Bhattacharyyaが作った、Hydroswarmと呼ばれるプロジェクトがある。それは今日(米国時間9/23)のTechCrunch Disrupt SF 2015で、Hardware Alleyで選ばれ、ステージに登場した。

Hydroswarmは、水中の探査に使用する、環境適応能力のある、スマートな(==電脳能力のある)ドローンプラットホームで、個々のドローンはEveという愛称で呼ばれる。‘プラットホーム’と呼ぶのは、そのアプリケーションも含め、多様な目的に合わせてカスタムの構成ができるからで、複数のEveを水中に放って必要なデータを集めさせる。水中のAirDogのように、ダイバーと一緒に泳ぐ消費者製品として楽しむこともできる。彼らはときどき水面に顔を出して、データをクラウドへアップロードする。

Hydroswarm + Eveの大規模な展開は、石油やガス業界、環境モニタリング、防衛産業などの分野で多くの需要があるだろう。その市場規模は数十億ドルと大きい。

しかし目下Hydroswarmは、消費者バージョンでテストを行い、その後産業用や商用バージョンを手がけていく予定だ。

このスタートアップはまだ生まれたてだが、info@hydroswarm.comでコンタクトできる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

日本のスタートアップ投資はバブル? JVCA会長に就任した仮屋薗氏に聞く

国内のスタートアップ投資は過熱気味で未公開企業のバリュエーションが高騰している。これはバブルではないか? ここ1、2年ほど、そういう意見をよく耳にした。一部のVCは、投資しようにもバリュエーションが上がりすぎて「パス」することが多く、もう半年間どこにも投資をしていないだとか、むしろ今はトルコのスタートアップに注目しているなんて話を聞くこともあった。

スタートアップ投資はバブルなのだろうか?

この質問をぶつけるのに最適な人物の1人が、グロービス・キャピタル・パートナーズのマネージング・パートナー仮屋薗聡一氏だ。

仮屋薗氏は、日本のネット業界でもっとも長くベンチャー投資をしてきたベテラン投資家の1人で、VC業界の中でも「仮さん」との愛称で一目置かれる存在だ。その仮屋薗氏が2015年7月10日に、発足14年になる日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)の第7代会長に就任した。いまの日本のスタートアップ投資は過熱気味なのか? いまの日本のスタートアップ投資の課題は何なのか? TechCrunch Japanでは仮屋薗氏に話を聞いた。

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仮屋薗聡一(かりやぞの・そういち)氏。三和総合研究所での経営戦略コンサルティングを経て、1996年、グロービスのベンチャーキャピタル事業設立に参画。1号ファンド、ファンドマネジャーを経て、1999年エイパックス・グロービス・パートナーズ設立よりパートナー就任、現在に至る。慶應義塾大学法学部卒、米国ピッツバーグ大学MBA修了。著書に、「機関投資家のためのプライベート・エクイティ」(きんざい)、「ケースで学ぶ起業戦略」(日経BP社)、「MBAビジネスプラン」(ダイヤモンド社)、「ベンチャーキャピタリストが語る起業家への提言」(税務研究会)など。

加熱は一段落、しかしまだ資金量は少なすぎる

過熱気味のバブルかとの問いに対して仮屋薗氏は、現状をこう語る。

「一時期公的な資金が流れこんでバリュエーションをヒートアップさせたという話は2014年にはありましたけど、一段落したかなと考えています。むしろ大企業を始めとして、新規の予算が増えて投資が増えたことが背景にあるのでしょうね」

「ただそれも、きわめて細っていたベンチャーファイナンスに金額が加わっただけ。それが大いなる加熱だったかというと、そこは判断が分かれますよね。今年に入って新規IPO銘柄で上場後の下方修正等もあり資本市場が敏感に反応していますしね。それよりも今年と来年は、過去1、2年に大型資金調達をした企業がパフォーマンスを出せるかが重要です。パフォーマンスというのはエグジットのことだけではなく、追加資金調達を含めたマイルストーン、そうした進捗があるかどうかということです」

仮屋薗氏によれば、日本のベンチャー投資は、むしろ資金量がまだ全然足りていない。

VEC(一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター)によれば、2014年のベンチャー投資は国内で740億円程度です。年間1200億円程度と言われている日本のVC投資金額のうち国内企業を対象とした投資は、その程度です。VECの数字はVCのものだけなので、新設CVCや大企業の直接投資を入れると1000億円に到達しているかもしれません。それにしてもその程度です。これはアメリカの5兆円を超える数字を考えると非常に細く、過小です」

むしろ資金は余剰気味で、良い起業家の数が足りてないという声も聞くが、どうだろうか。

「ICTというジャンルだけで見れば、資金量は必要十分になってきているかもしれません。でも、ちょっと引いて見てみれば、もっと社会にはアタックするべき課題があって、バブルどころか、その手前ですよね。モノづくりやIoT系、ライフサイエンス系は圧倒的に資金が足りていません。研究開発分野の資金量の細さは変わっていないし、ここはリスクマネーが必要です」

アメリカでVC業界に機関投資家のお金が流れ込むようになったワケ

VC協会としては資金量を増やしたいものの、日本の場合、まだ機関投資家の資金がほとんど国内のVCに来ていないという現実があると言う。アメリカでは年金基金が運用資産の5〜10%をVCなどのプライベート・エクイティーと呼ばれるリスクマネーに割り当てている一方、日本ではこの部分が発展途上であり、ことVCに至ってはほぼゼロというのが現状だ。

「これには経緯があります。まず、日本ではVCのパフォーマンスが長らく十分なレベルに到達していなかったことがあります。アメリカだと1980年代後半に独立系VCが大きく成功を収めたのをきっかけにして機関投資家のお金がどっと流れ込むようになりました。ネットバブルの前のことですけど、KPCBとかセコイア・キャピタルといったVCが行なったアップルとかAOL、シスコシステムズ、オラクルといったIT企業への投資が大きなリターンを生みました。こうした企業を支援した投資家たちが機関投資家からの信頼を得て、より多くの資金を預かるようになっていきました。大学の基金ですとか企業年金、自治体の年金基金が、独立系VCの高いパフォーマンスに対して集まってきた」

シリコンバレーは文字通り、シリコンチップをベースにしてPC産業やIT産業が興隆し、そのプロダクトがグローバル市場へ広がっていく中で資金が流入するサイクルが生まれた。今やアメリカではベンチャーキャピタルの投資した会社が民間雇用の11%を生みだし、その売り上げはGDPの21%を占めるという統計もある。

日本でも銀行系VCから独立系VCへと比重が移りつつある

日本で機関投資家の資金がVCに流れてこなかった理由が、もう1つあると仮屋薗氏は指摘する。

「これまで日本のVCが、そもそも機関投資家のお金を必要としてなかったという事情もあります。多くのVCは銀行系だったので、ファンドを組成する際の資金調達に困らなかったのです。一方で機関投資家からの資金を集める独立系VCというのが育ってこなかった。機関投資家からすると、投資対象として明確にVCが認識されていなかったのですね」

日本の現状は、いわゆるニワトリと卵の状態。VCのパフォーマンスが良くなく、機関投資家からお金を集める必要がなかった銀行系VCが主流だった。いまは事情が変わりつあって、独立系VCが増えいる。こうした独立系VCは自力でファンド組成のための資金調達をやる必要がある。これは簡単なことではないという。

「独立系VCの現状はどうかといえば、ようやくパフォーマンスがでてきているところです。ですので、きちんと機関投資家に対してIRをやっていく必要があります。アカウンタビリティが欠かせません。お預かりした資金を、きちんと運用できていることを示していかないといけません。投資先企業のガバナンスなども、上場企業に求められていることが、未公開企業でも求められているようになってくるのではないかと思います」

「日本では年金基金におけるVCへの投資額は、ほぼゼロです。これが1%にでもなれば、かなり意味のある金額になります。例えば、GPIFみたいなところが本丸ですが、自治体とか企業の年金ですね、われわれ日本のVCは、こうした機関投資家の方々と、しっかりとお話をしていかないといけない。そう思っています」

VC養成講座を通してキャピタリストの教育も

JVCAという日本のベンチャー協会の発足は2002年11月。アメリカのNVCA(National Venture Capitarl Association)にならって作られたもので、こうしたVC協会はヨーロッパのEVCAなど各国にあって年に1度は協会同士で集まるという。そもそも日本では民間によるベンチャーキャピタルは1972年に京都からスタートしているが、長らく協会というものはなかったそうだ。

仮屋薗氏自身は設立当初から協会と関わってきていて、それが今回の会長就任に繋がっている。その関わりというのは協会の目玉プログラムである「VC養成講座」を企画し、講師をしてきたことだ。

「VCというのは日本だけでなく、世界的にも定まったカリキュラムがあるわけではありません。それでVC協会のほうで案件開発、ディールの交渉、投資条項の策定、実際の契約、投資先支援、エグジットという一連の流れをカリキュラムとして教えるということをやっています。入社2、3年目ですかね、VCの関連業務をひと通りやって現場にも出ていくなかで、体系的に習得してもらうためにどうすればいいかということです」

「2015年4月に前任の尾崎会長が亡くなられて、それで私がJVCAの会長を引き受けることになりました。JVCAは長らく金融機関系のVCが会員の中核だったのですが、今では独立系VCやCVC系会員も増えています。特に独立系VCは、アメリカのようにこの業界の根幹となっていくものだろうから、独立系が引っ張っていかなければならないのではないか、亡くなられた尾崎さんは、そうおっしゃっていました。そういう中で会長就任の打診を頂きました。尾崎さんは新体制に持って行こうと思ってらっしゃったんですが、志半ばでいらっしゃいました……」

現在、JVCAの協会のWebサイトを見ると、9月末現在でVC会員が47、CVC会員が10となっている。毎月のように新会員が増えていて、日本の主要なVCが揃いつつあるのではないかという。監査法人や法律事務所も賛助会社として会員名簿に名を連ねている。

業界としての意見の取りまとめ、ロビー活動も

JVCAでは「これまで活動範囲が限定的だった」(仮屋薗氏)が、今後は活動を増やしていくという。

「時代背景からして、内閣府や関係省庁、メディアなどとの関係を協会として作っていくことも1つです。ベンチャーは国の成長戦略の本丸で期待も大きいので、協会としてはVCが活動しやすくなる法整備のロビー活動だけではなくて、VC業界の全体のレベルアップもしていきます」

ここで言うロビー活動は、アメリカのような業界ごとのロビィストが特定企業群へ利益誘導するような話ではないようだ。

「例えば、2012年にAIJ事件がキッカケとなってファンド規制の話が出てきました。預かったお金を本来とは違う用途に流用して資金を溶かした、そういうファンドがあったから出てきた規制ですが、このとき、『ファンド』と一括りで呼んで規制をかけるのではなく、VCは成長産業を作るものなので特例を作ってください、と。それで特例措置をどうするのか具体的なお話を、VC協会としてさせていただきました」

「これは金融庁さん応対ですけど、ほかにも経産省さんとはストック・オプションだとか、のれんの問題とか、M&Aがうまく行くために何をすればいいのかなど、いろいろとありますが、JVCAとしてはVCの意見の取りまとめをやっています」

「2006年ごろは、官公庁も大企業も政府も、どこもベンチャーに対して決して支援的ではありませんでした。ベンチャー叩きというのもありましたしね。あの頃、起業の数は相当に減ったんじゃないですか? 堀江さんの一件で『虚業』という言い方も、ありましたよね」

資金の流れも細り、向かい風が続いたベンチャー投資も、2015年の今は追い風だという。

「2015年の今は、フォローしていただいていて、大企業がどうやってコラボするのか、M&Aするのかと積極的なスタンスに変わっています。企業も官庁も積極関与、積極フォローという感じです。どうやったら日本でベンチャーがうまくいくんですか、というのが官庁などの基本的なスタンスです。ただ、具体的なところはリクエストをもらわないとできないよということでヒアリングにいらっしゃるので、逆に、われわれもキチンとお答えしていくということです。ベンチャー企業が、より積極的に活動していけるようにと」

「JVCAとしての取り組みで言うと、ファンドマネジメント能力を上げていくのもミッションです。グローバルスタンダードとは何かというのを理解しながらVCの能力向上をはかる。それは先ほど申し上げた通り、まずアカウンタビリティーですね。出資者との対話やヒアリングというIRの点では、もう1つのオルタナティブ投資であるプライベート・エクイティー業界のほうが進んでいます。VC業界は、そこから比べると遅れているので、学べばいいんです」

「キャピタリスト向けの能力向上でいうと、初心者向けカリキュラムはあったものの、中堅からシニアについては、何ら能力向上やナレッジ共有のプラットフォームがなかったので、これも協会として作っていきたいですね。このレベルだと教科書というのはたぶん作れませんから意見交換という形になるでしょう。ただ、意見を交換するにしても、そもそも『何がナレッジの対象なのか』ということの定義ができているか、『誰がそういうナレッジを持っているか』を特定していくことが大切です。その上で、みんなで勉強会をやる。ここで共有するナレッジは広く拡散させられるものではなく、オフレコでやるってことだと思いますけどね」

メディアに身をおく人間としては、広くパブリックに共有できないナレッジというと、何か村社会的で談合的なニオイも感じる。情報の非対称性を利用して有利に話を進めようとするのは前時代的なアプローチではないのだろうか?

「成功した本当の理由というのはなかなか表に出て来ません。例えばM&Aのとき、最終的なバリュエーションが3、4割上がった経緯とか、そういうのは業界内で研究していく形です。M&Aには客観価値はありませんから。公開企業だと分かりやすいですけどね、例えばTOBなら市場価格の4割増しが一般的じゃないですか。M&Aはベースとなる価格がないので、そこはもうノウハウというのもありますし、交渉の経緯ですよね。買収する企業からしたらシナジーがあるなどの理由以外にもディフェンスのために欲しいという場合もありますよね、他の有力な買い手に行くと困るなど。買い手が1社だと交渉が不利になる、とか、そういうところにもノウハウがあるということです」

大企業のM&A戦略の成功のカギは「企業統合」の知見と技量にある

ナレッジの共有を進めていくとしても、そもそもまだ日本のどこにも存在しない知見というものがあるという。

「そもそもM&Aのエグジットがまだ少ないので、VCにも知見があるわけでもありません。ほかの業界で長けている方から学んでいくのがいいのでしょう。特にM&A後の企業統合、いわゆるPMI(Post Merger Integration)がどうあるべきか、ここの知見が薄いです。これは日本全体でまだありません。こうした知見を深めていくことで、より良いM&Aが増えていくのだと思います」

これはあまりに表立って語られることがないが、M&Aが失敗に終わるケースもある。例えば買収したスタートアップ企業の事業が属人的すぎるために組織として統合できないことがある。そうした中で事業を興した起業家が去ってしまうと買収した側の企業には何も残らない。これは日本でもアメリカでも聞く話だ。日本の企業文化では買収側の担当者が減点方式のサラリーマンだったりして、M&A後の失敗によって大きな「黒星」がつくと、その人の出世に響くこともあり得る。だからM&Aに慎重にならざるを得ないという事情がある。買収する大企業側もM&Aがどうあるべきかを学んで行くフェーズなのだろう。

「日本でもPMIが強いところがM&A戦略で勝てると思うんです。シスコやセールスフォースといった、PMIが上手な企業は、相応の額でスタートアップ企業を買っても、買収金額を上回るような価値を生み出しています」

「成熟した企業のPMIをやったことがある人材は日本にもいます。ただ、成長企業のPMIというのは、まだこれから。ここはVC業界として学んでいきたいですね」