Swatchが独自のスマートウォッチOSを開発中

今のところスマートウォッチ・ビジネスに関して強気になれる材料は乏しい。 しかしSwatchは例外を作れるかもしれない。ともあれSwatchは全力を挙げている。このスイス最大の時計メーカーは単にスマートウォッチを開発しているだけではなく、独自のスマートウォッチOSも開発している。これによってAppleやSamsung(Tizenのカスタマイズ版)に対抗する考えだ。

このニュースは CEOのNick Hayekのインタビューの中で明らかにされた。Hayekは「Swatchのウェアラブルが消費者向けデバイスとなるには、小型化と〔他の企業から〕独立したOSの開発が必要になる」と述べた。このニュースはTag Heuerがスーパーハイエンドのモジュール式スマートウォッチを発表した直後に流れた。

しかしTagのスマートウォッチが(とてつもない高価格はべつとしても)、イノベーションがAndroid Wearをベースにしている。これは多数のブランド名を冠させることでビジネスとして成功を収めたアメリカのFossilの戦術に近い。これに対してSwatchはOSから独自に開発し、Tissotブランドに製品を加えるというアプローチだ。出荷は来年の末になるという。

出荷時期がだいぶ先なのでHayekが独自OSの詳細についてほとんど語らなかったのは当然だろう。しかしこのインハウスのOSの開発は、市場に出ている同種の製品が決定的に欠いているもの、つまりバッテリー駆動時間に集中しているようだ。Swatchの幹部によれば同社は「小さく考える(think[ing] small)」、つまり駆動のための消費電力の削減に取り組んでいるという。【略】

Swatchのスマートウォッチがどういう製品になろうと、前途はかなり険しいものになる可能性がある。この分野における消費者の購買意欲はAppleなど少数のトップ・メーカーを除いて、ここしばらく減退ぎみだ。ただしデバイスメーカーがOSレベルから内製を試みる傾向は、Fitbitを始めとしてひとつのトレンドとなりつつある。FitbitのCEOは開発中のスマートウォッチについて「あらゆる部分を自分たちで作る」と強調している。

スマーフォン、スマートウォッチがSwatchが得意とする低価格製品市場に食い込む動きが続いている。Swatchの今回の発表はこの流れを逆転させようという試みのようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Pixel 2.0 Arduinoボードには1.5インチのOLEDスクリーンが載ってるからウェアラブルのゲーム機なども作れる

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この小さなPixel 2.0は要するにArduinoボードに1.5インチという小さな128×128のカラーOLEDスクリーンをくっつけたものだ。このままでウェアラブルに応用できるし、このArduinoボードから直接スクリーンにアクセスできる。これまでのような、後からスクリーンを半田づけして、うまくいくよう神様にお祈りする電子工作からの卒業だ。

このちっちゃいかわいいボードはKickstarterで75ドル、発売は6月だ。完全にオープンソースだから配線図を詳しく見られるので、いろんな応用製品を作れる。SDカードのスロットがあるからゲームやビデオなどのデータを保存できるし、Arduino SDKを使えばスクリーンのグラフィクスをプログラミングできる。

すでに目標額の5000ドルは突破しているから、製品化はほぼ確実だ。

これは、ボストンのRabid Prototypesが作ったPixelボードのバージョン2だ。同社のNeutrinoと呼ばれるハイスピードなArduinoボードには、ライトやモーターなど、もっといろんなDIY要素が載っている。昔のアーケードゲームがこのPixelで動けばめっちゃ楽しいだろう。画素密度も、そんなにちゃちくはない。今すでに、不安な要素はない、と思うね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

億万長者のWarren Buffettが確信するウェアラブルの明るい未来とは

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このところ、ウェアラブルの状況は厳しい。Fitbitのような専業企業は苦境だし、大手Jawboneは消費者向け以外の分野に活路を見出そうとしている。そして老舗のPebbleは、もはや自力では生き残れない。でも、億万長者のWarren Buffettは今でも、ウェアラブルに未来はある、と確信しているようだ。

BuffettがCEOを務める務める世界最大の持株会社Berkshire Hathaway傘下の、いかにもそれらしい名前のRichline Groupが、今年後半に、ウェアラブルなジュエリーのブランドEla(Elegant Lifestyle Accessories)を立ち上げる予定だが、億万長者の彼の信念によれば、最近の下降傾向とは逆に、長期的にはテクノロジーは、ジュエリー業界が進むべき正しい道だ。

“ジュエリーは何世紀も続いているビジネスであり、今後も引き続き健在だ。だからそれは、安全な投資先である”、とBuffettはCNBCで語っている。“それにテクノロジーが加われば、それはみんながすでによく知っているものをアップデートするだけのことであり、現代という時代に良くフィットしていることが、好まれるだろう”。

彼のジュエリーはBluetoothを内蔵してモバイルのアプリと対話し、フィットネスの通知など、ウェアラブルとしての標準的な機能一式を実装するようだ。ZDNETの記事によると、音楽や写真などと並んで、“思い出”も共有できるのだそうだ。

ただしもちろん、ジュエリーとテクノロジーの結合自体は、かねてから難しいテーマだ。同社は利益率の高さを自慢しているが、テクノロジーのアップグレードサイクルと、高級ファッションへの高額な支出とは、必ずしも相性がよろしくない。

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やっと出たAndroid Wear 2.0はLGの実装機2機種をお供に連れている

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何か月も人を待たせたAndroid Wear 2.0がやっとご降臨した。しかも、大使を二人連れている。どちらもLG製だ。それらのウォッチStyle(スタイル)とSport(スポーツ)は、同じ硬貨の裏と表だが、お値段は100ドル違う。そして100ドルぶんの機能差と大きさの差がある。

Styleは、薄くて繊細な感じのデザイン。“スタイル”の名のとおり、ルックスが良くて、ディスプレイは1.2インチ、手首の細い人でも大丈夫だろう。電池は240mAh、1.1GHzのSnapdragon Wearプロセッサー、内部ストレージ4GB、RAM 512MBだ。防水防塵規格は1P67で、センサーは常識的なものが揃っている。

お値段を249ドルに抑え、そのぶん、プラス、薄さの維持のため、機能をやや省略している。心拍計やNFCによるワイヤレス決済がどうしても必要な人は、100ドル高いSportを買いましょう。

大きい方のSportはデータと電話用にLTEをサポート、スピーカーとマイクロフォンを内蔵している。お値段は349ドルで、内部はStyleに似ているが、電池は430mAhにアップ、ディスプレイは1.38インチで常時on、解像度は349ppiだ。防水防塵規格は1P678で、Styleよりやや上。

どちらのウォッチも、Android Wear 2.0の新しい機能をフルに利用している。とくに、改良されたナビは、ウォッチのダイヤルを使うから、使い心地はApple Watchに近い。

どちらもBest BuyとGoogle Storeで買えるが、SportはキャリアパートナーのAT&T とVerizonからも買える。

そのほかの実装機は: ASUS ZenWatch 2 & 3, Casio Smart Outdoor Watch, Casio PRO TREK Smart, Fossil Q Founder, Fossil Q Marshal, Fossil Q Wander, Huawei Watch, LG Watch R, LG Watch Urbane and 2nd Edition LTE, Michael Kors Access Smartwatches, Moto 360 2nd Gen, Moto 360 for Women, Moto 360 Sport, New Balance RunIQ, Nixon Mission, Polar M600, and TAG Heuer Connected〕

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Rippleは目立たない気にならないウェアラブルになった救急ボタン

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Rippleは美味なる高アルコール度ワインだ。いや、今でもそこらで聴けるGrateful Deadの曲のひとつだ。シリコンバレーでは、豆からミルクを作っているスタートアップだ。そして今度、もうひとつ登場。Ripple Network Technologyは、思わせぶりな名前には似合わないシリアスなものを共有する。

このフロリダのチームが作ったものは、小さなウェアラブルで、1セント硬貨ぐらいの大きさの一種のパニックボタンだ。そのシステムは、ヘルスケアモニタのTunstallを利用する。この小さなBluetoothデバイスを3回クリックすると、ネットワークにつながり、24/7の救急サービスにアクセスする。利用者の現在の位置情報も送られるから、対応は早い。

チームは前に、あの、ウェアラブルの歴史に遺るMisfit Shineを設計した連中だ。今回のRippleは小さくて、必要ないときは隠れている。言い換えると、必要ないときは存在を意識しない点が、スマートウォッチなどと違う。同社ホームページのデモアニメには、キッチンで料理をしているとき包丁で怪我をする、という例がある。これも、常時身につけているけど、ふだんは気にならないデバイス、という特徴を示している。

今これはKickstarterに出ており、1年ぶんのTunstallのサービス付きで129ドルというお値段だ。ジュエリーデザイナーのLouis Tamis & Sonsが作った純銀製は、それより70ドルお高い。

どちらも、発売予定は4月だ。

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最速0.2秒で翻訳、ネット回線不要のウェアラブル音声翻訳デバイス「ili(イリー)」——ログバーがお披露目

(左から)イオンモールの趙明氏、ビジョンの佐野健一氏、ログバーの吉田卓郎氏、東京地下鉄の小泉博氏

(左から)イオンモールの趙明氏、ビジョンの佐野健一氏、ログバーの吉田卓郎氏、東京地下鉄の小泉博氏

年々、増えている訪日外国人旅行者。街中で突然、質問をされることも多くなってきている。筆者はそのとき、どぎまぎしてしまうのだが、このデバイスの登場によって外国語での質問を恐ることもなくなるかもしれない。

指輪型ウェアラブルデバイス「Ring ZERO」を展開するログバーは1月31日、新たなウェアラブルデバイス「ili(イリー)」をお披露目した。本製品は2016年1月にCESでそのコンセプトなどが発表されていたものだ。

インターネット回線が不要、スムーズに翻訳してくれるデバイスili

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iliは“旅行”に特化したウェアラブル翻訳デバイス。海外旅行でよく使うフレーズにフォーカスした辞書の使用、独自開発の音声翻訳技術「STREAM(ボイス・ストリーミング・トランスレーション)」によって、正確かつスムーズな翻訳が実現。その速度は最速で0.2秒だという。訪日外国人旅行者とまるで直接話しているかのようなコミュニケーションがとれるという。

旅行に特化しているため、商談や交渉といったビジネスシーン、医療現場での使用、また長文や複雑な文章の翻訳はできない。あくまで、海外旅行でよく使う「◯◯へ行くにはどうしたらいい?」といったワンフレーズの翻訳に適したデバイスということだ。

同日開かれた記者会見ではデモ機が用意されていた。そのスムーズな翻訳には驚いたのだが、特筆すべき点はインターネット回線不要で利用できる点だ。翻訳の処理は端末内で行われる。これまでにも翻訳サービスはいくつも登場してきたが、そのどれもがインターネット回線が必要であった。それ故に翻訳にすごく待たされた……という人もいるだろう。

薄く、軽いのも魅力的だった

薄く、軽いのも魅力的だった

しかし、iliはインターネット回線を必要としないため、良質なインターネット環境を確保しなくてもいいし、電波の弱い地域でも安定して使うことができる。

リリース時に対応している言語は日本語、英語、中国語の3カ国後。今後は韓国語、スペイン語、タイ語にも対応していく予定だという。

まずは法人向けにサービスを提供

Ring ZERO同様に個人向けに提供を開始していくかと思っていたが、iliはまず訪日外国人旅行者の受け入れ側であるホテルや商業施設、交通機関といった法人を対象に「ili for Guest」として展開していく。法人が訪日外国人旅行者にiliを渡して使ってもらうというスキームだ。

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料金は1ライセンス(1端末)ごとに月額3980円。使用頻度の高い固有名詞を追加できるカスタマイズ機能や入出力言語を切り替えられる多言語対応機能、翻訳データを抽出できるログシステム機能が使える。

法人はiliを導入することにより、機会損失の削減や顧客満足度の向上、人的コストの削減が期待できる。本日より法人への導入を受け付ける。利用は6月以降になる見込みだ。すでにイオンモール、東京地下鉄(東京メトロ)、ビジョンへの導入の決まっており、今春以降に本格的な活用が始まっていくという。

個人向けは2017年中のリリースを予定。実際に海外旅行使用する…というのは少し先になるが、海外旅行中の悩みの種である“コトバの壁”を感じることは少なくなりそうだ。

昨年苦しみを味わったウェアラブル市場の課題

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今は手首にはめるデバイスにとって「待ち」の時期だ。数年間ものすごい盛り上がりを見せていたウェアラブル業界だが、今年のCESではあまり目立っていなかった。2つ、3つ新しいスマートウォッチが発表され、パートナーシップやそこそこの出来のフィットネスバンドがアナウンスされたくらいで、業界全体のフォーカスとしては、Alexaを搭載した種々のデバイスやスマートホームへとシフトしたように感じた。

Andoroid Wear 2.0のリリースが遅れたことを主な理由として、メーカーがなかなか新製品をリリースできなかったという背景もある。現在のところ同OSは2月2日にリリースされる予定だが、ホリデイシーンズや1年で1番大きなテック系展示会を逃すなど、リリースのタイミングとしては最悪だ。

そしてリリース後は、ウェアラブル業界が傷のなめ合いに必死になることだろう。全体としてパッとしなかった(いくばくかストレスがたまるような)2016年の状況を考えると、CESの様子は当然だとも言える。IDCは昨年10月に、2016年Q3のウェアラブルデバイスの出荷台数が前年同期比で51.6%減少したという、悲惨なデータを発表していた。そして先日TechCrunchでも報じた通り、12月にはeMarketerが「特にスマートウォッチは消費者の心を掴むことができなかった」という言葉と共に、ウェアラブル業界の成長予測を大幅に下方修正した。

業界をリードするプレイヤーの中にも、昨年は苦汁をなめた企業がいくつかあった。Fitbitの株価は急落し、Intelもウェアラブル業界では以前より力を緩めたように見えた。年末にさしかかると、MicrosoftがBand 2の販売を終了し3をつくる予定もないということがわかり、Bandはほぼ亡きものとなった。Jawboneはどうしてるのかと疑問に思う人もいるだろうが、彼らのビジネスもうまくいっていない。

Jawboneに対する特許訴訟を取り下げる際に、Fitbitは同社が実質倒産状態にあるという発言を残し、Jawboneはこれを強く非難していた。しかしFitbitの発言が誇張されたものであったとしても、Jawboneが苦しんでいるのは間違いない。JawboneのCFOは、同社が資金調達を狙いながらコンシューマー向けデバイスから方向転換しようとしているという報道がなされる中、会社を去った

ほかにもクラウドファンディングから誕生し、スマートウォッチブームの最前線にいたPebbleは、2016年を生き抜くことさえできなかった。同社は最後の作戦として、新しく2つのスマートウォッチとランニング用のモバイルデバイスをリリースする予定だったが、結局実際にはそのうちひとつしか販売されず、その直後にFitbitへの吸収、そしてPebbleブランドの終焉が発表された。

一方でウェアラブル業界が完全に闇に包まれているわけではない。Canalysは昨年末にかけてスマートウォッチの販売数が伸びたと発表している。「逆を示すレポートも発表されていますが、Canalysの調査によれば2015年4月にApple Watchがローンチされて以降初のフルクォーターとなった2015年Q3と比べ、出荷台数は伸びています」と同社は話す。もちろん彼らのデータはApple Watchのおかげによるものが大きく、CanalysもAppleの功績を讃えている。

一方でCanalysを含む数社が、昨年のウェアラブル業界の不調は、AppleやSamsungの製品、そしてAndroid Wear 2.0のリリースが予想より遅れたことが主な原因だと主張する。結局のところ、大手数社がウェアラブル市場の大部分を握っているのだ。

といはいっても、ウェアラブル市場が現在岐路に立っているということは否定できない。昨年の苦境は成長痛のようなものだったかもしれないし、ウェアラブルの進化に向けた次のステップの序章だったのかもしれない。逆に今後もっとひどいことが起きる可能性もある。いずれにせよウェアラブル市場は、初期の成長が早すぎたために今苦しみを味わっているのだろう。同市場の成長速度は比較するものがないほどで、「目新しいもの」から一気に「皆が持っているもの」へと進化していった。

市場が飽和点に達したというのも十分ありえる。購入したウェアラブルデバイスを、既に押入れの隅にしまってしまった人もいるだろう。結局のところウェアラブルデバイスは、ガジェットとフィットネス製品の間という微妙な立ち位置にあり、新年の抱負のように消えてなくなりやすいフィットネスへの決意のあらわれでしかないのだ。またウェアラブルデバイスの多くは大げさな万歩計のようなもので、それなりのスマートフォンであれば全ての機能をカバーできるということは言うまでもない。

ハッキリとしていることは、何かが変わらなければならないということだ。Android Wear 2.0には現状を一手に好転させるほどの力があるようには思えないが、少なくともそのリリースをうけて新しいハードウェアが誕生するだろう。そしてメーカー側は市場のこれまでの動きからヒントを得なければならない。ユーザーが健康に関するデータに興味を持っているのは間違いなく、大手メーカーのインフラも既に整っている。

次世代のウェアラブルデバイスは、ユーザーに多くを約束せず、彼らの期待以上の結果を残さなければならない。消費者はどんな製品を買っても一晩で習慣は変えられないということに気づいているため、もしかしたら次のウェアラブルデバイスは、服に埋め込まれたものやハイブリッドスマートウォッチのように、ユーザーが必要なときにだけ使えて、それ以外のときは存在を感じさせないようなものがいいのかもしれない。

互いに似通ったスマートウォッチやスマートバンドの勢いが弱まりはじめたところで、2016年の苦境をバネに本当のイノベーションが生まれることを願っている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

[ポッドキャスト]ポケットだらけのベストSCOTTeVESTを作ったScott Jordanがファッションの未来を語る

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Scott Jordanは、服を作るつもりではなかった。彼は弁護士だったが、自分のウォークマンがいつもドアノブにひっかかるのを、なんとかしたかった。いろいろ試作した結果として彼は、SCOTTeVESTを発明した。ポケットがものすごく多いベストで、ヘッドフォンやその他もろもろのケーブルのための秘密の通路があちこちにあった。それを商業化してから10年あまり経った今の彼は、服は今後ますますハイテクになるように見えても、われわれ人類が身にまとう布切れのルック&フィールは未来永劫同じだろう、と考えている。

彼の考えでは、ウェアラブルは服に統合されない。自分でもいろいろ試作してみた結果彼は、センサーは服に縫いこむよりも肌に密着させる方がずっと容易だ、と気づいた。次の世紀になっても人類は、Metroidのようなスマートスーツを着て走り回ってはいないだろう。服はずっと無脳のままで、ガジェットはヒトの皮膚上や体内へと消えるだろう。彼はそう考えている。

Scottが最近立ち上げたOTG Jacket、はそのガジェットとケーブル類を大量に収納できて、しかもふつうのジャケットにしか見えない。ガジェットが消え去る遠未来ではなく近未来には、服というものはこうなるだろう、と彼は考えている。

このポッドキャストはStitcheriTunesから。あるいはMP3をここでダウンロードできる。

原文上には、直接聴取できるインタフェイスがあります。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマートウォッチが毎日勝手に健康診断をしてくれる…病気の早期発見のための強力なツールだ

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自分の健康を気にして、さまざまな不具合の兆候に気をつけている人は多いが、そんな人たちの中にも、心拍や体温など測定できる項目を毎日チェックしている人はあまりいない。これまで、そんな人が一人もいなかったとしても、これからはスマートウォッチが毎日、勝手に測定してくれるだろう。

スタンフォード大学のMichael Snyderの研究チームが最近発表した、長期的な実験の結果によると、スマートウォッチは確かに、疾病の診断や監視の役に立つ。

この2年がかりの実験には43名の人が参加して、その間さまざまな測度を決まった時間に測り、そしてそれらの結果と、旅行、睡眠障害、病気など、現実世界の事象との相関関係を調べた。彼らが発見したことを一般化して言うと、スマートウォッチは全般的な健康をチェックし監視するツールとして、とても役に立つ、ということだ。ただしもちろんそのためには、ユーザーである人間の正しい知識や、デバイスの正しい扱い方が重要だ。

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研究論文の図表は、いろんなデバイス(図左端)でいろんな活動を調べたことを示している。

たとえば空の旅では、血中酸素が少なくなって疲れる人が多い。また、ライム病の発症もチェックでき、2型糖尿病の診断に役立つインスリン感受性も生理的測定から分かる。

病気の兆候は自分で分かることもあるが、でもスマートウォッチがやるような検査項目の定期的な測定が加われば、兆候の発見が発症の数時間〜数日前にできるようになる。本格的な診断ではないけれども、いろんな値が基準値を外れていたら、睡眠を多くとるとか、風邪の予防に努めるなど、した方が良いかもしれない。チームは今、測定アルゴリズムの精度を上げる努力をしている。

PLOS Biologyに発表された彼らの研究論文には、こんな記述が: “全体として、これらの結果は、ポータブルなバイオセンサーが個人の活動や生理状態の監視に役立つ情報を提供できることを、示している。今後それらは健康管理に重要な役割を演じ、低所得層や僻地の人びとでも低費用でヘルスケアにアクセスできるようになるだろう”。

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Proofは血中アルコール濃度をリストバンドで追跡する

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酒気検査器を使って友人たちと血中アルコール濃度を測ってみるのは、パーティーの座興としては楽しいかもしれないが、もし本当に後1杯飲むかどうかを判断したいと思っているならば、そうした機械を引っ張り出すのはいささか面倒だ。

それこそが、肌から出る汗に基づいて体内のさまざまな化学物質を検出するウェアラブルセンサーを利用する会社、Milo SensorsをEvan Strenkが始めた理由だ。同社は、あなたの血中アルコール含有量を測定して情報をアプリに送り、今夜はどこまで来ているかをそれとなく確認し、次のビールをオーダすべきかどうかを判断できるようにしてくれる小さなリストバンドProofの提供を始めた。Milo Sensorsはこのプロダクトを、今年はEureka Parkで開催中のCESで発表した。

「酒気検査器が置いてある場所もありますが、扱いが面倒なので誰も使おうとはしません」とStreak。「使い方としては、午後6時に私たちのセンサーをオンにして、アラームを自分で設定すれば、あとはアプリが面倒をみてくれます。(私が電話機を見ていても)誰かにメッセージを送っているのか、それとも血中アルコール濃度(BAC)を測っているのかは、他の人にはわかりません。そして測定は連続的に行われているので、濃度が0.08パーセントになったらアラームを出すように設定することもできるのです。家に運転して帰らなければならないとか、連れや、友人や、家族に望ましくないレベルで接触しそうなときには、警告を発して欲しいと思います」。

アプリの目標は、アラームを電話に送る瞬間を待つことではなく、ユーザーの血中アルコールレベルを連続的に追跡することだ。これを行うことで、ユーザーはどれくらい濃度が上昇するのかを知り、ペースを落とすべきかどうかを判断することになる。バンドは情報をアプリに送信し、アプリは現在BACがどの程度かを素早く表示する。

ユーザーは現在のBACを知ることができる一方、同じ技術は更に他の物質、例えばカフェインの検出も可能だ、とStrenkは述べた。「この技術は様々なユースケースに適用可能で、結局皮膚は分子のスーパーハイウェイになるのです」と彼は言う。今のところBACの測定が行われているが、共同創業者達はこのことを何杯かのビールをピッチャーを飲みながら決定した。それはバンドではなくイヤリングの形になったかもしれないし、乳酸の検出から始めることになったかもしれなかったが、結局彼らはバンドを使ったBACの測定に落ち着いた。

所有者は、家を出ようかなと考え始める6時頃にカートリッジをバンドに挿入する。カートリッジは使い捨てでコストは数ドルほどだとStrenkは述べている。「アナロジーを挙げるなら、カウンターの上に置いた生肉が数時間で茶色に変色していくようなものです。同じようにカートリッジを開けば、それは酸化して行きます。通常の歩数や心拍といったものの計測を超えて、皮膚を通して生物学的分析結果を読み取っていくのです」。

Fitbitのような別の大規模ウェアラブル企業が、こうしたものを自社の製品に統合する方法を見出すリスクは常に存在している。Strenk氏は、使い捨てのカートリッジを使用することが邪魔になるかもしれないが、Milo Sensorsの持つ有利な点は既に2年以上も研究で先行していることだ、と述べた。

Milo Sensorsは、昨年NIHに最初のプロトタイプを提出し、その結果が酒気検査器や血液サンプルと比較された結果、現金を伴う賞を受賞することができた、とStrenkは述べた。同社は今年CESでローンチするまで多かれ少なかれ目立たないように活動していた。Strenkは時期を明言しなかったが、バンドは今年中の何処かで出荷が始まり、100ドルから150ドルの価格帯になるだろう。

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(翻訳:Sako)

Motiv Ringは指輪タイプの超小型フィットネス・トラッカー

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製品が実際に入手でき次第テストしてみたいのがこのデバイスだ。 Motivのチームはサイズ極小のウェアラブル・デバイスを開発したと主張している。事実なら大いに注目される成果だ。いささか飽和感があるフィットネス・デバイスの市場に新たな動きをもたらすことになる。

実のところ私は、70年代末にグリーンランタンにはまった一時期は別として〔このヒーローは緑色のパワーリングがトレードマーク〕普段指輪をしたことがない。しかし手首に装着するフィットネス・トラッキング・バンドの機能がすべてこの指輪に詰め込まれているといわれれば大いに気になる。

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数多くの機能がこのチタンのケースの中に入っている。歩数、移動距離、消費カロリーといった運動情報に加えて睡眠も測定する。また光学式心拍計も内蔵されているという。バッテリー駆動時間は1充電で3日から5日ということだ。なるほど電力を食うディスプレイや通知機能はない。それにしてもこんな小さな指輪にそれだけの機能が入っているならたいしたものだ。

この指輪は(このフォームファクターなら当然だが)防水で、水深50メーター対応という。つまりプールで泳ぐことも含めて日常生活のあらゆる場面で使える。サイズは7種類用意されている。現在のフィットネス・トラッカーの大部分が1サイズしかないのに比べて大きな改良だ。カラーはグレイとローズ・ゴールドの2色。充電と通知の同期のためのLEDバンドが同梱される。

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価格は199ドルからだという。普通のフィットネス・バンドに比べてだいぶ高価だが、間違いなくはるかに小さい。MotivはCES 2017に出展する予定。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

腕ではなく襟に着けるウェアラブル、LGが首にかけるBluetoothスピーカーをCESに出品

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LGはCESに、カラー(襟飾り)に似たウェアラブルのワイヤレススピーカーを出品する。それにはイヤーバッドもあるので、人から変人に見られたくないときは、それを使うべし。その、“首から音が鳴る馬蹄”は、Bluetoothでスマートフォンに接続し、そしてそのスピーカーは、イヤーバッドと併用すれば“3Dのサラウンドサウンドになる”。

この製品には、スピーカーが4つ収まっている。フルレンジが2つ、そして下方にはサブウーファーが2つ…これはドラムやベースなどの超低音をユーザーの鎖骨に響かせそうだ。音は、数々のヒット映画のサウンドを担当しているDTSとのパートナーシップにより加工されている。またヘッドセットもスピーカーも、DACを内蔵している。

でも、一体なぜ、スピーカーを首にかけなければならないのか? まず、鎖骨に振動が伝わるから、着信のアラートになる。鎖骨に装着するスマートウォッチ、だね。そして、電車の中などで、首から名曲が鳴ってれば、否が応でも目立つだろう。そう、目立ちたがり屋さんの必携品だ。

思い起こせば、これまで、数多くの企業がウェアラブルに手を出して、いちばんありふれた製品すなわちスマートウォッチを開発、市場化し、そして失敗した。では、これならどうか?

そしてConsumer Electronics Show(CES)と呼ばれる年に一回の巨大見本市には、ウェアラブルへの夢を諦めきれない企業や製品が、必ずいくつか登場するのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Apple Watchの新年のフィットネスチャレンジは期間をCESに合わせる

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最近は、新年の決意というやつも、ますます簡単になっている。今では年に一度、今年は10キロ痩せるぞ!と大げさに決意表明しなくても、ソーシャルメディアでありとあらゆる人生の選択ができるし、自分の体重の増減など、毎日のように自分の腕の上で知ることができる。年に一度どころか、毎日決意してるようなものだ。もちろん、お正月固有のめでたさを、否定するつもりはないけどね。

11月のAppleは、祝日をテーマとするフィットネスチャレンジをまたやらかした。それは感謝祭の七面鳥レース(Turkey Trot)5キロだ。当然ながら同社は、新年にもおなじようなことをやる。たまたま、Apple Watchのアップデートは12月28日に始まるから、それの展開スケジュールに合わせるてチャレンジの期間は丸一か月になる。

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その日の朝ウォッチを見ると、新年チャレンジのリングが1月2日にセットされている。元旦の一日だけ、休養日だ。チャレンジはウォッチの三つのリングすべてを、その月内の一週間で閉じることだ。

七面鳥レースのときと同じく、Appleはこれをソーシャルなイベントにして、1月初めの一週間ぶん相当のアクティビティという目標を達成したことを、共有できるようにする。その一週間のことを、CESとも呼ぶ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Android Wear 2.0のデビュー機はソフトもハードもGoogleが設計に介入、その隠し玉は何だろう?

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The Vergeの最新の記事によると、GoogleはAndroid Wear 2.0を搭載したスマートウォッチの代表的製品2機種を2017年の第一四半期に発売する。その記事は、Android WearのプロダクトマネージャーJeff Changから直接得られた情報を引用している。その二つのウォッチは、一部の憶測に反して、Pixel系列には属さず、このデバイスの製造で協働している企業のブランドが載る。今年のPixelやPixel XLスマートフォン〔==Googleの独自ブランド〕とは違って、前のNexusのときと似たやり方だ。

その、Android Wear 2.0のスマートウォッチをデビューさせるためにGoogleが協働しているデバイスメーカーは、まだ公表されていない。ChangがThe Vergeに語ったところによると、そのパートナーは過去にAndroid Wearデバイスを作ったことがある。と言ってもそのリストは現段階でも相当長くて、AndroidスマートフォンのOEMの多くと、一部のウォッチメーカー(Fossil, Nixon, Casioなど)が含まれる。

記事によると、Googleはこの匿名のOEMと、デバイスのハードウェアとソフトウェアの設計で協働している。それもまた、昔のNexusの場合とやり方がよく似ている。最近のPixelの場合は、ハードウェアもソフトウェアもすべてGoogleが設計し、HTCは単純にその製造と組み立てを担当しただけだ。

その新しい代表的パートナーデバイスがデビューしたあと、Android Wear 2.0はそのほかのAndroid Wearスマートウォッチに浸透していく。そうやってOSをアップグレードすべきハードウェアのリストはとても長いが、2.0ではスタンドアロンアプリやAndroid Pay、Google Assistantなどがサポートされる。

The VergeのインタビューでChangはウェアラブルに関して楽観的だが、一般的に消費者間の人気はイマイチだ。でも彼によると、Googleではウェアラブルという製品カテゴリーが定着している、という。しかしスマートウォッチの専業メーカーPebbleは今年会社をたたみ、その人材とIPをFitbitが買収した。

Android Wear 2.0は今もまだデベロッパープレビューだ。その機能リストにはあまり画期的なものはないから、スマートウォッチという物そのものが一般消費者に強力にアピールするのは依然として難しいと思うが、今回はハードウェアもソフトウェアもそのすべてをGoogle自身が積極的に監督するようだから、来年はもしかしたら、何かが出てくるのかもしれない。

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フィットネス熱高まるアフリカでGarminがMTNと時計ラインをローンチ

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【編集部注】執筆者のJake Brightはニューヨークを拠点とするライター・作家で、The Next Africaの共著者。

Garminはモバイル通信大手のMTNと共同で、ガーナにてフィットネスウォッチをローンチすると発表した。GPSナビやスポーツ関連製品の製造・販売を行っているGarminは、今後MTN Ghanaの一部店舗を通じて、vivoFit3やvivoMove、vivoActive、Fenix3、vivoSmartアクティビティトラッカーを販売していく。

フィットネスに関心をもっているガーナの消費者は、今後最新のスマートフォンに加え、Garmin製の時計をMTNの店舗で購入できるようになる上、購入時には3ヶ月間有効の900MBデータ通信が無料でついてくる。なお、エントリーモデルのvivoFit3の販売価格は148ドルほどだ。

ガーナでの製品ローンチは、今後発展が期待されるアフリカのフィットネス市場に入り込むための戦略のひとつだと、Garminでサハラ以南アフリカ担当マネージング・ディレクターを務めるWalter Mechは話す。「GarminのGPS製品は有名ですが、健康機器にはそこまで力を入れていませんでした。そのため、健康機器の販売を伸ばすための新しい国や流通モデルを探すことにしたんです」

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MTNとのコラボレーションにあたっては、同社のアフリカにおける流通ネットワークが鍵となっていた。

「ちゃんとした販売チャンネルを持った企業という意味では、大手の通信事業者以外にあまり選択肢がありませんでした」とMechは話す。MTNも、Garminのインタラクティブな健康・スポーツ用プラットフォームをアフリカで利用することを楽しみにしているようで、Mechは「私たちの製品ラインを見て、MTNは健康とスポーツ両方の側面が製品に含まれていると感じ、幅広い消費者の心を掴むことができるのではないかと理解してくれました」と語っている。

さらにMechは、MTNがガーナのユーザー向けにLeaderboardsを採用すると語った。このプラットフォーム上では、さまざまなフィットネスアクティビティごとにユーザーがランク付けされ、他のユーザーと競い合うことができるようになっている。

Garminは南アフリカに自社のオフィスを設けており、他にもアフリカの25カ国へ代理店を通じて製品を販売している。また、ウェアラブルに関して言えば、南アフリカはGarminにとってアフリカ最大の市場で、ケニアとタンザニアがその後に続くとMechは話す。

アフリカのウェアラブルデバイス市場の未来に関して、信頼に値するデータをみつけるのは難しいが、Garminはアフリカ諸国のモバイルネットワークの統計をもとに計画を立てている。「私たちは、一国のモバイル契約者数の1%がスマートフォンを持つトップユーザー層だという仮定のもと、この層が私たちの狙うウェアラブル市場のサイズを表していると考えています」とMechは話す。南アフリカを例にとると、約600万人がこの層に含まれる計算になる。

さらにMechは、人口トレンドやフィットネス市場の盛り上がりから、Garminがアフリカのウェアラブル市場で成功をおさめることができる信じている。「健康に関心を持ち、モバイルデバイス好きな若い消費者が今後アフリカで増えていくということに他の企業は気づいていません。実際に、利用者の性別を問わず、ジムやスポーツクラブのほか、サイクリング・ランニングクラブの数は増えてきています」

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ウェアラブル市場の可能性を示す別の指標となるアフリカの消費者の購買力も、上記の動向にマッチしている。McKinsey’s Global Instituteによれば、アフリカ大陸の個人消費額は2015年に年間1兆4000億ドルを超えたが、この数字は2025年までに2兆ドルに達すると予測されている。

来年の計画として、Garminは、ガーナに加えてケニアでもフィットネスウェアラブルの売上額を大きく伸ばしていこうとしている。さらに、今回のMTNとのパートナーシップを参考に、アフリカ最大の人口(1億8200万人)・市場規模を誇るナイジェリアでの販売も強化していく予定だ。「私たちは現在、MTNとのパイロットテストから多くのことを学んでいます。ガーナに時間をかけていくうちに、何が上手くいって何が上手くいかないのか分かるため、今後はもっと簡単に他国で通信事業者と協業していけるようになるでしょう」

またGarminはマーケティングを目的として、ガーナやその他のアフリカ諸国で、もっとフィットネスやスポーツ関連のスポンサーを行うことも検討している。なお、2016年10月に行われたナイロビ国際マラソンでも同社はスポンサーを務めていた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

米国のウェアラブルデバイス市場は不調

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AppleはApple Watchのセールスが「素晴らしい」とまだ言い張るかもしれないが、全体として、ウェアラブルデバイスカテゴリは、これまでに予測されていた速さで成長はしていない。eMarketerの新しいレポートによれば、Apple WatchやFitbitのようなウェアラブル製品は、2015年から2016年にかけて前年比で60パーセント以上の成長が見込まれていたが、同社はその成長の推定をいまや25パーセントまで下げている。

「特にスマートウォッチは」とレポートは書く。「顧客を納得させることに失敗した」。

他のデバイスカテゴリとは異なり、ウェアラブルデバイスは、アーリーアダプターを越えた先の牽引力を得るために苦労している。そしてスマートウォッチに関して言えば、消費者たちは購入する理由に苦労しているままなのだ。

ウェアラブル-eMarketer社

eMarketerのアナリストNicole Perrinは、Apple Watchがやって来る前は、フィットネストラッカー(フィットネスの状況を追跡するデバイス)がその領域を支配していたと指摘した。今日、健康と健康の追跡(トラック)は、Apple Watchも含む新しいウェアラブル機器たちの重要なセールスポイントの1つだ。

しかし、Appleは標準的なフィットネストラッカーと比較して、より高価なスマートウォッチの強化された機能に価値があるのだということをまだ全員に得心させることができていない。

「スマートウォッチの明確なユースケースの欠落によって、このより洗練され高価なデバイスたちは期待されたほどの勢いでは市場を掴んでいません。スマートウォッチはフィットネストラッカーよりも多くの機能を備えているものの、その機能は大きく重複しているからです」とPerrinはレポートで述べている。

同社は3950万米国の大人が少なくとも1ヶ月に1回はウェアラブルデバイスをインターネット接続一緒に利用すると推定している。しかし、これはeMarketerが、2015年10月に予測していた6370万人よりもはるかに少ない数字だ。ウェアラブルデバイスの利用はやっと人口の15.8パーセントに達したところで、2020年までに21.1パーセントに成長する程度だと予想される。

ウェアラブル市場の不調に注目したのはeMarketerだけではない。今月IDCは、スマートウォッチの数字が減少傾向にあることを報告した、 Appleの総出荷台数は前年比71パーセント減で、4位に後退した。その代わりにFitbitが市場の23パーセントを占め、この四半期に530万台を出荷して、このカテゴリの覇者となった。

しかし、Fitbitでさえも苦労する可能性はある。新しいレポートによると、FitbitのCharge 2は、Flex 2の需要が乏しいことに伴って在庫が「積み上がっている」ことを確認した情報源からのチェックに基づき、期待どおりの速さで販売されない可能性がある模様だ。

さらに、IDCは10月にスマートウォッチの販売が急落したと発表した。総出荷台数は前年同期比で51.6パーセントの減少だ。

Appleは、IDCの最新の報告書に対して、ハードの台数ではなく、 Apple Watchの成功を以前の自身のセールスと比べて賞賛することで反応した。Apple CEOのティム・クックは、Appleウォッチのホリディショッピングの最初の週の売上はこれまでの最高を達成し、この四半期の売上も最高のものになる予想であると述べたのだ。

Apple Watchが2016年のホリディシーズン中にこれまで以上に売れたことは驚くことではない。なにしろこの時期は皆の財布の紐が緩みがちなときなのだ。さらに、Appleがホリデーシーズンに向けて新しいバージョンのスマートウォッチをリリースしたことも売上の増加に貢献しているだろう。

しかしその増加もウェアラブルカテゴリー全体を救うほどではない。

ウェアラブル・年齢eMarketer社

eMarketerの新しいレポートによると、若者ほどウェアラブルにより関心があり、18歳から34歳のうち約30パーセントが2017年にはウェアラブルユーザーとなり、人口全体の平均である17.6パーセントよりも多くなる予想だ。

またウェアラブルの早期アダプターが、フィットネストラッカーへの移行が行われるまでは、男性に偏っていたという発見も報告には含まれている。今は、2018年までにより多くのウェアラブルユーザーが女性になることが予測されている。

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(翻訳:Sako)

FitbitのPebble買収により、Pebbleのサービスは縮小・停止へ

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Appleや他のスマートウォッチメーカーに先駆けて、腕に装着したデバイスを通じてさまざまな情報を提供する仕組みを開発してきたPebbleが、単独での活動を終了することとなった。

FitbitがPebbleを買収するのではないかというは、先月から流れ始めていた。私たちの入手した情報によると、価格は3400万ドルないし4000万ドルとのことだった。ちょうど、Pebbleの負債額に相当する額だと言われていた。しかしこれまでは、Twitter上に流れるうわさ話に対して、肩をすくめる絵文字を投稿するだけで、話を肯定するようなことはなかった。

ところが今日になって、PebbleのCEOであるEric Migicovskyがブログ記事を公開し、買収されることを正式に認めた。記事の中では製品を今後どうしていくのかということについても記されている。ただし買収価格の詳細などについては触れられていない。

「Pebbleの操業を停止して、デバイスの製造を停止するというのは、かなり苦しい判断ではありました」と記している。「これまでのPebbleはなくなります。ただしチームPebbleの多くはFitbitに移籍し、ウェアラブル向けソフトウェアの開発を続けていくことになります」。

「今日はほろ苦い日として記憶に残ることと思います。しかしともかく、Pebbleコミュニティを支えてきてくださった皆様に、心からの感謝をお伝えしたいと思います」。

また次のようにも記している。すなわち、Pebbleプロダクトが直ちに動作しなくなるようなことはなく、「普通に」使い続けられるとのこと。「すぐに何か変化があるというわけではありません」。ただし「Pebbleのサービスは、徐々に停止していくこととなります」とのことではある。

つまるところ、Pebble端末はいずれ使い物にはならなくなるということだ。いつまで使えるのかは、Fitbitの判断によるということになるのだろう。

Pebble端末についての保証業務は既に縮小されつつある。Pebble 2は今月に出荷が始まったばかりだが、新たな出荷はキャンセルとなり、オーダーも受け付けられていない。

Kickstarterで出資して、その見返り分が到着していない人については、クレジットカードの決済取り消しにより、4ないし8週間以内に全額を返金することになっている。12月7日以前にPebbleデバイスを返品した人に対しても全額返金が行われる。

ブログ記事中、買収によりFitbitが得るものについても記されているが、それはすなわち「多くのPebbleスタッフ」であるとのこと。そうしたスタッフたちはFitbitでウェアラブル関連のソフトウェア開発に従事することとなる。

Fitbit側の目的は、基本的にソフトウェア分野にある様子。「Fitbitによる買収についての最終合意が行われました。Pebbleの持つ技術、ソフトウェア、その他の知財がFitbitのものとなります」。

「Fitbitに移籍するメンバーたちは、ツール類の開発や、今後のFitbitプロダクトの価値を一層高めるためのソフトウェア開発に従事することとなります」とも記されている。

開発者向けのブログには、「Pebble SDK、CloudPebble、モバイルアプリケーション、開発者向けポータル、アプリケーションストア、タイムラインAPI、ディクテーションサービス、メッセージングサービス、およびファームウェアなどはこれまで同様に提供される」旨が記されている。「将来に向けても、可能な限りコミュニティに必要なサービスの提供を続けていきたいと考えています」とのこと。

Pebbleの開発者コミュニティの人たちに、引き続いての参加を促し、そしてそのままFitbitに移行してもらおうという考えもあるのかもしれない。

Crunchbaseによれば、Pebbleは2009年の創立以来1538万ドルの資金を集めている。ちなみに出資者のうちの大きな部分は、Kickstarter経由のクラウドファンディングとなっている。

今回の件は、クラウドファンディングのファンたちにとっては残念な出来事だろう。クラウドファンディングとは小規模なイノベーターを支援するという目的をもつものだ。しかし市場の中で力を持つ存在に出会ったとき、小規模なままで事業を継続していくことは非常に難しいこととなる。

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(翻訳:Maeda, H

Nikeが自動靴ひも調整シューズHyperAdaptの販売を開始

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720ドルの価格がついたNikeの自動靴ひも調整シューズHyperAdapt 1.0は、スニーカーマニア向けの商品だ。華やかな見た目で値段も高い上、Nikeは具体的な数を発表していないものの、当然ごく少数しか販売されないだろう。しかし、Tiffany Beersによると、自動靴ひも調整の仕組みは見掛け倒しではないようだ。

Nikeでシニア・イノベーターを務める彼女は、10年以上このプロジェクトに携わってきた。そもそもこのプロジェクトが生まれたきっかけは、伝説的なAir JordanのデザイナーTinker Hatfieldが、約11年前に描いたスケッチとコンセプトだった。そして、自動靴ひも調整のテクノロジーは、先日ようやくバック・トゥ・ザ・フューチャーにインスパイアされたNike Magという形で世に出ることとなった。なおこの商品は、オークションやラッフルを通じて、たった89足しか販売されなかった。

明日ニューヨークの店舗で販売されるHyperAdapt 1.0によって、自動靴ひも調整のテクノロジーをもう少しだけ多くの人が試せるようになる。「実際に使ってみるとギミックぽさも感じず、今後はこのような商品が主流になっていく可能性があります。アスリートは常に動き、彼らの足の状態は刻一刻と変化しています。そして彼らの環境に関しても同じことが言えるため、常に最適なフィット感を提供するのが重要になってきます。靴も私たちの足に合わせて変化していけばいいと思いませんか?これこそHyperAdaptが向かっている未来の靴のカタチなんです」とBeersは話す。

巨大な箱を開け、実際の商品を試してみて1番驚くのは、HyperAdaptの履き心地の良さだ。最初はちょっと窮屈に感じるかもしれないし、靴を履くときにも、上手く足を入れて、かかとの部分についている輪っかを引っ張らなければいけない。しかし、一旦履いて立ち上がると、かかとについたセンサーがトリガーとなってシステムが起動し、ウィーンという音と共に靴がぴったりと足を包み込むようになっている。

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このノイズはもちろん、実際に靴ひもを締めている機械部品の駆動音なのだが、これも嬉しい特徴のひとつと言えるだろう。というのも、正直言って700ドル以上ものお金をつぎ込んでいれば、周りにいる人に自分が自動靴ひも調整シューズを履いていると知って欲しいと感じるものだ。ソールに埋め込まれた大きな青色のバッテリーライトや、かかと上部に搭載された三色に光る5つのLEDもその雰囲気をもり立てている。

さらに両足の外側に2つの小さな青いボタンが取り付けられており、これを使って靴ひもの締め具合を調節できる。しかし、青いドットと生地の下に埋め込まれた実際のボタンの位置が完全には揃っていないため、操作するのには少々手間取るかもしれない。とはいっても、これはそこまで大きな問題ではなく、靴ひも調整の動き自体は素晴らしい。ちなみに、何か問題があったときのために、システムを再起動する手段も準備されている。

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HyperAdaptのフィット感は良いのだが、恐らく大方の予想通り、重さが問題だ。Beersによれば、Nikeはソールの中央部に埋め込まれたシステムの重さを相殺するために、アッパーにNike独自のFlyweaveとよばれる軽量素材を採用した。しかし、機械的なシステムと1回の充電で1ヶ月ももつバッテリーが搭載されていることを考えると、(軽さのために靴を頻繁に充電したいと思う人もいないだろうし)この重さが限界だろう。

重量の問題によって、HyperAdaptがランニングシューズとして機能するかや、徒歩での移動が多い人は、靴ひもを自分で結ぶのと重さのどちらをとるかという疑問が生まれてくる。この点について、Beersは「HyperAdapt 1.0は、コンセプトカーのようなものです。私たちはトレーニングやランニング、バスケットボールなどのスポーツでこの靴をテストし、特に耐久性を見るためにランニングのテストには時間をかけました」と話す。

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現状のHyperAdaptは間違いなく、アーリーアダプターやスニーカーマニア向けの商品だ。しかし今後改良が進み、価格や重量の問題が解決されていくとすると、この商品は面白い可能性を持っている。

なお、Beersはその他の注意点として、子どもや高齢者、身体的な障害を持った人などには、自動靴ひも調整がうまく機能しない可能性があると話す。そもそも、このような広範にわたる消費者を対象にするには、Nikeは現状の価格からいくつかゼロを落とさなければいけないだろう。しかしお金がある人は、今週販売開始予定のHyperAdaptをチェックしてみてはいかがだろうか。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Intelがウェアラブル部門の従業員を大量解雇か

HANOVER, GERMANY - MARCH 14:  The Intel logo hangs over the company's stand at the 2016 CeBIT digital technology trade fair on the fair's opening day on March 14, 2016 in Hanover, Germany. The 2016 CeBIT will run from March 14-18.  (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

Intelの内情に詳しい情報源によれば、同社は今にもウェアラブル分野から撤退することを考えているようだ。

2014年、Intelはフィットネス・ウォッチの製造を手掛けるBasisを買収した。当時Basisの名前はあまり知られていなかったが、素晴らしいウェアラブル端末を製造する企業だった。IntelがBasisブランドを同社のNew Digital Group(NDG)の一員に加えたことを考えれば、この買収は大きなパズルの1ピースだったと言えるだろう。NDGは拡大するウェアラブル市場で大きな成果を残すことを目的に、当時設立されたばかりだった。この部門には半導体市場のライバルであるQualcommへの反撃の意味も込められている。

2015年6月、Intelは同じくウェアラブルのReconを買収している。Reconはサイクリングやスノーボード向けのヘッドアップディスプレイを開発する企業だ。Reconの共同創業者であるDan Eisenhardtが買収時に発表したコメントを以下に引用する。

IntelはReconにとって理想的なパートナーです。Brian Krzanichは、彼が2013年にIntel CEOに就任してすぐにウェアラブルに対する明確なコミットメントを打ち出してきました。今年1月に開催されたConsumer Electronics Showでのキーノートでも、彼はこのコミットメントを続けていくと再び断言しています。Brianと彼のチーム、そしてNew Technology Gropを率いるJosh Waldenは、私たちと同じビジョンを持ち、消費者向け、エンタープライズ向けそれぞれのマーケットにおけるスマートメガネのポテンシャルを見出しています。そして、今回の買収はそのビジョンを表したものなのです。

しかし、今年の夏には同社のウェアラブル戦略に亀裂が走ることになる。今年6月、Intel製ウェアラブル端末のBasis Peakに過熱の恐れがあるとして、Intelは同デバイスのリコールを発表した。同社の発表によれば、過熱の恐れがあるデバイスは全体の0.2%程だということだった。Intelはリコールへの対処として、デバイスの取り換えという選択肢を選ばなかった。デバイスの販売を全面的に停止したのだ。さらにIntelは、今年の終わりまでにPeakのソフトウェア・サポートを終了することも発表している(これにはクラウド・ストレージのサポートも含まれる)。

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これは明らかにIntelのウェアラブル戦略の挫折を表していた。結局、IntelがBasisの買収によって達成したことと言えば、Peakよりおしゃれでスーツに似合うTitaniumのリリースくらいだ。

そして現在、Intelの内情に詳しい情報源によれば、同社はこの分野への投資を大幅に削減することを検討中だという。もしくは、この分野から完全に撤退する可能性もある。これにより大勢のNGDのメンバーが解雇されることになる。今年4月にNGDを統合したNew Technologies Groupも同様だ。この件はウェアラブル端末部門に対するIntelの不快感の現れだと考えている者もいる。

すでに何人かの従業員には解雇通告がされており、彼らは今年の終わりまでにIntelを離れる予定だ。各メディアがこの件について報じており、その内容は今のところバラバラだ。しかし、そのすべてがNDGの大型解雇、そして部門の完全閉鎖の可能性を伝えている。

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この方針転換によってNDGのプロダクトが今後陽の目を浴びることもなくなるだろう。そのようなプロダクトには未発表のフィットネス・ウォッチ「Basis Ruby」も含まれる。少なくとも、Basis RubyはPeakの失敗で落ち込むIntelを支えてきたのかもしれない。

私たちはこの件に関してIntelに取材を試みている。彼らからコメントが得られればすぐにお伝えする予定だ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Sonyの音声アシスタントウェアラブルXperia Earが12月に200ドルで発売

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Xperia Earは、かなり前から、いろんな形で存在していたが、でも今年のIFAまでは、この奇妙でちっちゃなウェアラブルは、単なるコンセプトのようだった。しかし、やっと本気になったSonyは来月、12月13日にAmazonでデバイスをリリースする。ホリデイギフトにぎりぎり間に合った形だが、今後はFry’s, Abt, B&Hなどでも買えるようになる。

定価200ドルのEarは、AmazonのEchoやGoogle Homeなどと競合する製品で、パーソナルアシスタントの機能をBluetoothイヤホンのような形にまとめている(上図)。2000年ごろの優秀なビジネスマン、みたいに見えるかも。

このハードウェアを、Sony自身のAgentアシスタントが駆動する。外を動きまわている人向け、というデザインで、機能もカレンダーのリマインダーや運転時の方向案内、テキストメッセージングなどがメインだ。いろんなセンサーを内蔵しているので、たとえば、指示や指令をうなずいて確認する、などのことができる。町中(まちなか)で独り言を言ってデバイスに話しかけるよりは、まともかもしれない。

電池寿命は、Sonyのスペックによると、まる一日を約束している。スマホの機種との相性は、もちろんXperiaがベストだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))