高齢者の徘徊、転倒、転落、不正な食事や睡眠等々の健康状態がすべてリモートで分かるリストバンドAifloo

センサーとAIを結びつけて高齢者のための‘スマートリストバンド’(腕輪)を提供するスウェーデンのAiflooが、510万ユーロの資金を獲得した。

このシリーズAのラウンドをリードしたのはEQT Venturesで、同社のアナリティクスパートナーのHenrik Landgrenは、“大量のデータと現代的なAI”を組み合わせて、高齢者の長寿と自立的生活をヘルプしていく点を、Aiflooの将来性すなわち投資価値として挙げている。

2015年にFelix EtzlerとMichael CollarosおよびAnders Widgrenが創ったAiflooは、高齢者の生活の質を良くするためのeヘルスシステムを作り、家族や介護者にも安心を与える、と自社を説明している。

ハードウェアはたくさんのセンサーを搭載したリストバンドで、AIが着用者の行動をモニタし、問題があれば介護者に通報する。とくに重視される問題は、徘徊や転落転倒、食事習慣の変化、そして睡眠行動の変化だ。

Etzlerはこう説明する: “Aiflooはまったく新しいeヘルスシステムであり、個人のビヘイビアを継続的に知ることができ、異状を検出する。それにより高齢者の強健な生活を助け、家族や友だちに安心感を与え、介護の専門家が提供するケアを拡張する”。

そしてその基本的なコンセプトは、“人間のビヘイビアの検出を当人に意識感知されない形でデジタル化する”ことにある。そのためにAiflooのリストバンドは、複合機能ではなく単機能のウェアラブルとし、長い電池寿命を確保する。そしてAIによるリアルタイム分析のようなコンピューターの重労働は、すべてクラウド側で行う。

“リアルタイムの状況把握だけでなく、長期的な傾向の記録と分析も行い、また、本人が通報不能の状態でも緊急状態の検出と通報をする。その後は、介護者が適切なタイミングで適切なケアを、テクノロジーの助力がなくても提供できることを期待したい”。

Etzlerによると、これまでの高齢者ケアは人間が手作業でやるべきことが多すぎて、もはや時代遅れである。またいくつかの専用システムや介護用機器類は、高価で、個人の特殊性に合わせてカスタマイズできず、しかも複雑だ、とEtzlerは指摘する。

“一方、これまでのウェアラブルは若くて健康な人向けだったり、糖尿病のような特定の医療状況に対応していた。私たちが作ったものは、個人化されており、丈夫で使いやすく、複雑な問題に対する長期的なソリューションだ。それを、装着者の負担にならないウェアラブルおよびサービスとして実装したのだ”。

スカンジナビア地域で有数のヘルスケア企業であるAlerisが、早くもAiflooを採用した。今後は、在宅介護の企業にも売っていきたい、とEtzlerは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

今年のウェアラブル市場は17%成長、販売数3.1億台、売上305億ドルの見込み――Gartner予測

グローバルのウェアラブル市場は前年比で16.7%の成長を遂げる、という予測を調査会社のGartnerが発表した。”ウェアラブル”と一言で言っても、そこにはスマートウォッチから体に身につけるカメラ、さらにはヘッドマウントディスプレイまで、さまざまな種類のデバイスが含まれている。

同社の予測によれば、今年中に3億1040万台のウェアラブルデバイスが販売され、売上額は305億ドルにのぼるとのこと。さらに、売上額のうち93億ドルがスマートウォッチによるものとされており、現在このカテゴリーではAppleがSamsungに先行している。

また、Appleが9月に新しいスマートウォッチを発表するという噂がある。新製品はモバイル通信対応で、iPhoneが近くになくてもSiriを使ったり、メッセージやセンサーデータをやりとりしたりできるようになると言われており、利用シーンの増加が販売数にも繋がるかもしれない。

Apple Watchの販売数は公表されていないが、今月始めに行われた業績発表の中で、Apple CEOのTim Cookはウァラブル製品の売上が前年比で50%増加したと語った(レポート内だとApple Watchは「その他の製品」カテゴリーに入っており、ここにはApple TVやBeats製品、iPod、Appleブランドのアクセサリーなども含まれている。2017年第2四半期の同カテゴリーの売上額は27億4000万ドルだった)。

さらにGartnerは、今年中に4150万台ものスマートウォッチが販売されると予想しており、Bluetoothヘッドフォンを除けば、2019〜2021年の間にスマートウォッチがウェアラブルデバイスの中でもっとも販売台数の多い製品カテゴリーになるだろうとも語っている。

同社のレポートには、2021年までにスマートウォッチの販売台数が約8100万台まで増加し、ウェアラブルデバイス全体の販売台数に占めるスマートウォッチの割合が16%に達すると書かれている。

さらに同レポートによれば、スマートウォッチの売上額増加には、比較的安定したApple Watchの平均販売価格(当初の販売価格は269ドル)が関係しているという。

「販売台数が増えることで製造コストが下がり、スマートウォッチカテゴリー全体の平均販売価格も2017年の223.25ドルから2021年には214.99ドルへと下がるだろう。しかしAppleやFossilといったブランド力のある企業の商品は、普通の時計と同じような価格帯にとどまる可能性が高い」とGartnerでリサーチ・ディレクターを務めるAngela Mcintyreは声明の中で語った。

引き続きAppleがスマートウォッチ界を牽引すると予測する一方で、Gartnerは参入企業が増えるにつれて、2016年には全体の3分の1を占めていたCupertinoのシェアが2021年には4分の1まで減ることになると考えている(とは言え、AsusやHuawei、LG、Samsung、Sonyらが躍進するというわけではなく、これらの企業のシェアは2021年でも合計で15%程度とされている)。

面白いことに、Gartnerは子ども向けのスマートフォンを今後伸びるサブカテゴリーとして挙げており、2021年にはスマートウォッチ全体の出荷台数の30%が子ども向けスマートフォンになるだろうと記している。

スマートフォンと言ってもこれは2〜13歳の子どもを対象にしたウェアラブルデバイスで、子どもに普通のスマートフォンを持たせるのはまだ早いと考えている親がそのターゲットだ。

さらに有名時計メーカーや高級ブランド、ファッションブランドなどが、今後若い消費者をひきつけるためにスマートウォッチ界に参入し、2021年までにはこのような企業の販売する製品がスマートウォッチの出荷台数の25%を占めるようになるとも予測されている。

その一方で、スタートアップやホワイトラベルのスマートウォッチを製造する企業(Archos、Cogito、Compal、Martian、Omate、Quantaなど)の販売台数は2021年でも全体の5%程度のようだ。

その他の製品群としては、Bluetoothヘッドフォン・イヤフォンの人気が継続し、2017年のウェアラブルデバイス売上台数の約半分(48%)を占めるようになるとのこと。2021年までの予測を通して見ても、オーディオデバイスはもっとも販売台数の多いサブカテゴリーの座に座り続け、最終的な販売台数予測は2億60万台とされている。

その成長を支えるのが「主要スマートフォンメーカー」によるヘッドフォンジャックの廃止だとGartnerは言う。Appleがその草分けとして知られている(そして彼らはBluetoothを搭載したSiri対応の高価なワイヤレスイヤホンAirPodsの販売を始めた)が、2021年までには、ほぼ全てのプレミアムラインから3.5mmジャックが消え去るだろうとGartnerのアナリストは予測する。古き良きヘッドフォン・イヤフォンの姿を見ることは本当になくなってしまいそうだ。

誕生間もない製品群として挙げられているのが、(VRヘッドセットとは違い)ユーザーの視界を完全に遮らないタイプのAR対応ヘッドマウントディスプレイ(HMD)なのだが、こちらは向こう約5年間にわたって広く普及することはないようだ。

Gartnerの予測によれば、2017年のウェアラブルデバイス出荷台数のうちHMDが占める割合は7%程度で、2021年の段階でさえ個人・法人ユーザーどちらについてもHDMがメインストリームな製品になることはないとされている(この予測はARスタートアップMagic Leapの弱気な短期プランとも一致する。同社はまだプロダクトを市場に出せておらず、ファウンダーももしかしたら来年販売を開始できるかもしれないと匂わせるにとどまっている)。

短期的にはビデオゲームや機械の修繕、検査、メンテナンスでの利用、もしくは製造や教育、デザイン、カスタマーサービスといった分野での活用のほか、テーマパークや映画館、スポーツ会場といったエンターテイメント施設で、臨場感アップや補足情報の提供を目的にHDMが使われることになるかもしれないとGartnerは語る。

「一般消費者市場における現状の普及率を考えると、まだまだHMDは黎明期にあると言わざるをえない。しかし同時に同製品カテゴリーの長期的な可能性を否定しているわけではない」とGartnerのMcIntyreは付け加えた。

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(翻訳:Atsushi Yukutake

グローバルで見ればウェアラブルは成長している、主にXiaomiのおかげで

ウェアラブルバブルの崩壊は、少なくともグローバルのレベルでは言い過ぎだったかもしれない。このカテゴリーはここアメリカでは苦戦しているが、しかし国際的には今なお成長している。Canalysの分析によると、ウェアラブルは年率8%で伸びている。爆発的な伸びではないが、上向きのトレンドを維持しているのだ。

この分野をずっと追ってる人たちがとっくに知っているように、そのトレンドをリードしているのはXiaomiだ。Strategy Analyticsの先週号によると、同社(Xiaomi)は初めて製品をはグローバル市場に出荷し、先日平凡な決算報告を発表したFitbitとは対照的な動きを見せた。グローバル市場に関する上記の数字には、Xiaomiの世界進出も含まれている。

Canalysの数字はStrategy Analyticsよりもやや低いが、出荷数のトップはXiaomiで350万、Fitbitの330万をやや上回った。しかしこんな写真判定よりも注目に値するのは、Fitbitの慢性的な苦境であり、売上は前年比で34%落ち込んだ。昨年は36%の成長だったから、一挙に形勢逆転である。その記事ではAppleもやはり落ちており、同社のスマートウォッチは出荷数270万台で三位に後退した。

近年のXiaomiの成長は、価格の寄与も大きい。同社のフィットネストラッカーは、ここアメリカでは15ドルという安値で売られている。FitbitやAppleには真似のできない、お値段である。Fitbitの最安機はクリップタイプのZipだが、小売価格が60ドル、Appleはご存知のように、ウェアラブルの機種が一つしかない。

しかしFitbitはまだ、積極的な姿勢を失っていない。同社は、ファン待望のスマートウォッチを発売することで、立て直しを図ろうとしている。FitbitのApple Watch対抗製品は、Pebble, Vector, Coinなど、複数回の派手な買収の成果だ。製品には大量の時間とお金を注ぎ込んでいるが、これまで何度も、進捗の遅れに悩まされている。

そのスマートウォッチを機に、Fitbitは高級機に路線変更をしようとしている。ローエンドは、そこで大成功しているXiamiに譲るのだ。ただしCanalysの予想では、スマートウォッチには今後のグローバルな成長が期待できない、としている。しかしFitbitは、今度のApple Watchに予想されているような、セルネットワークのサポートによって、スマートウォッチ市場が上向きに転ずることを期待している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

本人が何も装着せず、電波の反射波を利用する非侵襲型(当人が意識しない)の睡眠モニタをMITで開発

MITの研究者たちが、睡眠をワイヤレスでモニタする新しい方法を公開した。それは反響定位法(エコーロケーション, echolocation)に似ていて、電波を睡眠者に当てて反射波を捉え、体の影響による電波の変化を調べる。

チームはこれまでも、低出力の電波をモニタリングに利用する方法をいろいろトライしてきたが、今回のはその最新の成果だ。今回はAIを利用することによって、睡眠者の体のわずかな動きでも、電波の変化の中に捉えることができた。それにより、睡眠ステージ(浅い深い、REM/NREM)、睡眠中の運動、呼吸率など、睡眠のパターンに関する有意味な情報を得ることができた。

テストは25名のボランティアに対し、100晩かけて行われた。研究の指導教授Dina Katabiによると、そのシステムは80%の正確度で睡眠パターンを検出できた。それは業界標準の睡眠テストEEGにほぼ匹敵する。

睡眠の追跡調査はFitbitやApple Watchのようなウェアラブルでもある程度行われているが、それらはもっぱら、スマホが内蔵している加速度計を使って体の動きを検出し、それにより睡眠のパターンを判断している。

“ウェアラブルもいいけど、われわれのねらいは、目に見えないものを捉えることだった”、とKatabiは語る。“それは家庭の中で、みんなが忘れてしまうぐらい目立たないが、しかしそれと同時に、ワイヤレスの信号だけを使って健康上のあらゆる問題をモニタできる”。

そのワイヤレスシステムは、取り上げる要素がウェアラブルよりずっと多い。動きだけでなく、呼吸や心拍も捉える。それでいて、まったく生活の邪魔にならず、ベッドから数メートル以内の棚や壁に目立たない形で置ける。

使用する電波はWi-Fiよりずっと弱く、一家の中で複数台を複数の人に対して使える。調整などは要らない。被験者にとって、まったく気にならない存在であることも、本機の理想的な性質だ。

本人がその存在を忘れている状態で長期の検診ができるから、パーキンソン病やアルツハイマー病のような睡眠障害と関係の深い疾病のモニタにも向いている。ただし、そこまで一般化大衆化するためには、まずFDAなどの認可が必要だ。結果はすでに良好だから、それも大丈夫だと思えるが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Apple Watchの次のバージョンはiPhoneがなくてもデータ通信ができる?

Apple Watchは見事な技術の結晶だが、欠点もある。中でも気になるのは: スマートフォンを持たずに外出した場合、自分の腕にあるスマートウォッチが急に、やや無能になってしまうことだ。近くにiPhoneがなければセルネットワーク上のデータ通信ができないから、メッセージや音楽などを取り出せない。

しかし、最近聞こえてくるひそひそ話によると、それが変わるらしい。

Bloombergにいつもよく当たる記事を書いているMark Gurmanによると、次のApple WatchはIntelのチップによりLTE内蔵になり、年末に発売される。

“でもさぁ”、と思わず言いたい人がいる。“スマホはいつも持ってるから、そんなの要らないじゃん?”。

たしかにそうだが、それは、持たなければならないから持ってるのだ。そうしなければ友だちは、あなたが死んだと思うかもしれない。でもこれからは、ビーチやジムやランニングに出かけるとき、スマートフォンを家に置いておける。しかもジムでは、スマートフォンがなくてもいろんな装備と通信して、あなたの‘成績’などが分かる。

でも、まだ詳細がわからないから、疑問も多い:

  • 電池寿命。Apple Watchの電池寿命は徐々に良くなっているが、まだ満足ではない。セルネットワークへの接続が加われば、悪くはなっても良くはならない。どんな対策を取る気か? John Gruberは、ウォッチのサイズを大きくして大きな電池を入れる説だ。
  • LTEチップは特製のApple Watchモデルか?それとも現行のハイエンド機か? iPadのプレミアムオプションのときを思い出すと、たぶん後者だろう。
  • それは完全に別立てのデータ契約になるのか? それともAppleとの契約で既存のデータ契約の一部になるのか?

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MITの‘生きているジュエリー’は、衣類にしがみつく小さなロボットのアシスタント

Project Kinoは、“生きているジュエリー”からヒントを得た。それは、世界各地で装飾品として着用されている、極彩色の大型甲虫やそのほかの昆虫類だ。MIT Media Labのバージョンは、それらに比べるとずっと人間的で、手のひらサイズのロボットを磁石で衣類にくっつける。チームがデモをしたのは約1年前だが、今回は車輪のついた小さなロボットにさまざまな機能を持たせた。

とは言え、今のところこのロボットのメインのお仕事は衣類の装飾だ。プロジェクトの名前は“kinetic”(運動的)という言葉に由来していて、動きのパターンをいろいろ変えられることを指している。いわばその衣類のデザインが、刻々変化するのだ。一方そのロボットの下面は、動きながら衣類の柄、色、形などを読み取る。

デザインとは関係ない機能も探究中で、最終バージョンではモジュール構造になり、ユーザーがいろんなセンサーを付け替えてさまざまな機能を楽しむ。たとえばレインコートなら、温度センサーとフードの紐の上げ下げを連動するだろう。

電話機モジュールを装着したロボットは、電話がかかってくると着用者の口元へ這い上がってくる。通知を受信すると、ユーザーの手首をタップして知らせるかもしれない。

チームのCindy Hsin-Liu Kaoはこう述べる: “ウェアラブルがパーソナルアシスタントであってもいいわよね。将来的には、ユーザーの習慣や職業を認識して、それらに合った動作をさせられる。着るものとアシスタントが一体化するのよ”。

実用化するためには、ロボットのサイズが当面の問題だ。もっともっと小さくしなければならない。また、今デモで使っている大きなやつでも、バッテリーの寿命が制約になる…充電後45分しか動かせない。今、ワイヤレス充電などの方法を検討中だ、そのシナリオでは、ロボットが自分で充電器のそばまで歩いて行き、充電が終わったらご主人の服へ戻ってくる。

昨年は、初期のバージョンを詳説したペーパーを公開した。その後は開発にデザイナーも参加し、一部のアプリケーションを強調できるようにした。Hsin-Liu Kaoによると、“気味が悪い!って言う人がとっても多かったからよ”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

心拍や呼吸数を計るタンクトップ「hamon」を制作、ミツフジが総額30億円を調達

スマートウォッチなど腕に着けるタイプのウェアラブルデバイスは数多くあるが、京都に拠点を置くミツフジが手がけるのは衣服と同じように着用できるウェアラブルIoT製品だ。本日ミツフジは第三者割当増資と融資により、総額30億円の資金調達を実施した。引受先はカジナイロン、電通、前田建設工業、南都銀行、京銀輝く未来応援ファンド投資事業有限責任組合、三菱UFJキャピタルと他数社が含まれている。

ミツフジが開発する「hamon」は、着用者の心電、心拍、筋電 、呼吸数、加速度、ジャイロ、温度、湿度などの情報を収集できるIoTウェアだ。収集した情報はトランスミッターからBluetoothを経由してスマートフォンで確認することができる。

hamonは、企業や介護施設による患者や従業員の見守りサービスでの利用を想定しているとミツフジの広報担当者は説明する。例えば、介護施設で患者の心拍を計測し、異常がないか見守るサービスだったり、建設現場で作業員が熱中症や怪我で倒れた時に責任者にアラートを飛ばすようなサービスを想定している。

ミツフジはもともと1956年に西陣織の職人が西陣帯工場として創業した会社だ。1992年より抗菌作用などが認められる銀繊維に着目し、銀メッキ導電繊維AGPoss(エージーポス)の開発と製造販売に取り組んできた。AGPossは糸に銀を織り込むのではなく、ナイロンの表面に銀メッキを施しているのが特徴。そのためAGPossは銀の量が多く、導電性、電磁波シールド、抗菌、防臭、保温、断熱、制電効果に優れているという。hamonはAGPossの導電性に着目して誕生したプロダクトと担当者は説明する。

銀メッキの繊維と聞くとなんとなくゴワゴワしてそうなイメージがあるが、実際の繊維は柔らかいと担当者は言う。hamonは着心地にこだわって作っていて、トランスミッターについても「重さは25グラムほどで、さほど違和感なく着ることができます」と言う。洗濯については洗剤の種類や洗濯する温度に注意する必要はあるが、トランスミッターを外せば洗濯も可能だそうだ。

今回調達資金は導電性繊維とウェアの量産体制の整備を目的としている。2018年4月には京都府南丹市に、2018年7月には福島県川俣町に自社工場を竣工する予定だ。ウェアは写真のタンクトップ型以外のバリエーションも開発しているという。

hamonに似た衣服型のウェアラブルには、GoogleとデニムブランドLevi’sが共同開発するProject Jacquard」などがある。彼らはジャケットの袖をタップやスワイプすることでスマホの音楽やナビアプリを操作できる衣類を制作している。

意外に思うかもしれないが、Google Glassが死んだことはない

Googleが(米国時間の)火曜日にGlassの新しいエンタープライズ版をリリースしたとき、幾つものヘッドラインたちがGlassが戻ってきたと報じた。だがそれが立ち去ったことは実際には1度もない。確かに2015年1月には消費者向けのExplorerプログラムは終了したが、Googleはその後も引き続きGlassを企業に販売して来た。

その意味で、昨日リリースされたものは「復活」ではなくて、同社が全力で進めてきたGlassのエンタープライズ戦略の「継続」だ。昨日の発表はそれをただ公式にしただけのものに過ぎない。

GoogleがExplorerプログラムを終了した直後の2015年には、複数の企業がGlassを使った作業を継続して行くと語り、Google Glassは企業の中で健在で、使われ続けていることが示されていた。当時APX Labs(現在はUpskillという名前で知られている)のCTOだったJay KimはTechCrunchに対して、「グーグルは引き続き、Glassをパートナーに大量に売っていますよ」と語った。

昨年、企業における「顔の上のコンピュータ」に関する特集記事で、私は現場でGlassを使用しているGEとボーイングの人びとに話を聞いた。ボーイング社はこれを使用して、従業員が複雑なワイヤーハーネスを組み立てる作業を支援していた。Glassを使用すれば、在庫からワイヤを引き出しながら部品番号をスキャンすることが可能で、次の手順を確認することができる。さらに、音声コマンドを使用して検索を行うこともできる。この方法は、技術者が手を自由にして作業を行うことができ、情報が目の前に現れるために、ラップトップやタブレットを使用するよりもはるかに効率的なものだ。

2016年1月にGEヘルスケアのウェブサイトでは、GEはGlassの利用も含む以下のような先進技術に触れている

緊急治療室(ER)に向かう救急医療技術者たちは、Google Glassを使用して病院の医師とリアルタイムのビデオや音声でコミュニケーションを行い、患者の最新状態を提供し続け、患者の到着を待ち構える救急チームが、正しい準備を整えることができるようにする。

今年5月、 IEEE Spectrumは、ER内でGlassを利用した同様のシナリオに関する記事を掲載した

遂にマサチューセッツ大学医学部の医師チームは、同デバイス向けのキラーアプリを発見したようだ。緊急医療コンサルテーション用途である。Glassは、離れた地にいる専門家たちが確実かつ正確に、患者の観察および診断をリアルタイムに行なうことを可能にする。災害シナリオでは、第一対応者によるトリアージ(被災者をその重症度に応じて分類し治療の優先度を決めること)を助けることも可能だろう。

今回のエンタープライズアップデートでは、これまで初期のGlassデザインを利用していた企業に大きくアピールすると思われる、興味深いいくつかの変更が加えられていることは注目に値する。主な変更の1つに、Glassモジュール(Glassの本体)をフレームから切り離したことが挙げられる。これによりサードパーティパートナーがモジュールを、安全メガネなどの任意のフレームに装着できるようになった。

また新しいバージョンでは、簡単な入力のために、ユーザーがGlassをバーコードスキャナやキーボードなどの他のデバイスに接続することも可能だ。その他の変更としては、バッテリー寿命の延長、8メガピクセルのカメラ、より高速なプロセッサー、そして軽快に動作するWi-Fiなどがある。

現時点では、GoogleはGlassの主要対象業種として製造、物流、フィールドサービス、ヘルスケアを狙っているが、サードパーティのパートナーたちが他の分野での応用を目指す可能性がある。

昨日の発表で、Explorerのプログラムが終了したときにGlassはお蔵入りしたと思っていた人たちは驚いたかもしれないが、実際には大企業とサードパーティのパートナーたちは引き続き作業を続けていた。Enterprise Editionはそれをよりはっきりと世界に訴えたものであり、初期のハードウェアに対する必要なアップデートを提供するものだ。

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(翻訳:Sako)

Google Glass、エンタープライズ向けで復活中――組立、修理などの現場に好適

以前からGoogle Glassは企業向けプロダクトとしては大いに意味があると評されてきた。Google自身もこの見解を取っているとみえ、Glassは企業現場向けにカスタマイズされたアプリケーションを含むGlass Enterprise Edition (EE)という形で復活中だ。

企業ははるか以前からウェアラブルなヘッドマウントディスプレイを有用なデバイスとして使ってきた。Google Glassは一般消費者向けプロダクトとしては花々しい失敗に終わったが決して死んではいなかった。Googleでは企業現場向けのGlass EEとして普及を図るアプローチを取っている(Wired経由)。

新しいGlass EEのカメラは、以前の5メガピクセルから8メガピクセルに強化されている。バッテリー駆動時間も長くなりプロセッサも新しいものになった。ビデオ録画中を示すインディケーター、高速化されたWi-Fiも装備される(こうした改良のほとんどは大量生産のおかげえスマートフォンのコンポネントが大幅に値下がりしていることから恩恵を受けたものだろう)。しかしGlass EEの最大の改良点はモジュールがメガネ自体から脱着可能になったことだ。つまり安全ガラスを利用した産業用の保護メガネのようなデバイスを必要とする現場でも利用できるようになった。

Glassがメガネから脱着可能なモジュールとなったのはエンタープライズでのユースケースにきわめて大きなメリットだ。これによりいままでもよりもはるかに低コストかつ多様な現場でGlassが利用できるようになった。Wiredの記事によれば、Glass EEは「実験段階を卒業し、製造パートナーを得て本格的な量産態勢に入っている」ということだ。

Xチームが紹介するユースケースによれば、Google Glassは農業機械の製造、医療、DHLのロジスティクスなど多様な現場で用いられている。Glassソリューション・パートナーを通じて広くGlass EEが入手できるようになるため 今後はさらに多くのビジネス・アプリケーションが集まってくるはずだ。

Googleが消費者向けGlassの普及に失敗した後、一部のスタートアップはエンタープライズ向けのニッチ分野にGlass的なシステムの可能性を見出していた。Google自身がGlassの再活性化に乗り出したことはハード、ソフトのプラットフォームとして今後に大きな可能性を示すものだ。しかし同時にエンタープライズ向けAR、ヘッドマウントディスプレイの分野で活動するスタートアップにとっては手強いライバルが現れたことも意味する。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google Glassはまだ生きていた…3年ぶりのアップデートがリリース(Bluetoothサポートなど)

Google Glassesをまだ持ってる人は、そのホコリをはらいましょう。あの1500ドルのフェイスコンピューターが今日(米国時間6/21)、新たなアップデートで再びステージ中央に戻ってきた。

それは2014年9月以来のアップデートだが、まず付属アプリの“MyGlass”がアップデートされた。バグフィックスもいくつかあり、新たにBluetoothがサポートされた。そこで今回の“XE23”バージョンでは、キーボードやマウスなどのBluetoothデバイスをGlassに接続できる。

アプリのアップデートが昨日行われて、Glassのファームウェアのアップデートが今日なのは、オドロキだ。

では、Glassというプロジェクトは生きているのか? 実は、死んだことはまだ一度もないから、生きているのだ。もう誰も買えないし、そのWebサイトは2015年に閉鎖されたから、ドードー鳥の運命をたどっているかと思われたが、いなくなったわけではなく、ただ、消費者にあまり関心を持たれなかったあと、親元のGoogle Xを“卒業して”いたのだ。Googleは秘かにそれをエンタープライズ部門へ移していた。しかし、どうやらGoogleの誰かが、この、マニアを吸引する力のある消費者向けGlass製品の面倒を見ていたのだ。

これら二つのアップデートを今やる理由は、よく分からない。3年の沈黙のあと、急にアップデートするのもヘンだ。旧バージョンからどこかが劇的に変わったわけでもないのに。でもこのことは、同社の光学系を搭載したウェアラブルが、完全に忘れ去られてはいないことの証(あかし)だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

そのイスには人が座っている?――MITが開発する視覚補助ウェアラブル端末

視覚障害者が使用する白杖は、シンプルなツールであるにも関わらず、非常に長いあいだ廃れることなく利用され続けてきた。この1世紀でテクノロジーは飛躍的に進歩したにもかかわらず、先端に金属片がついた棒に取って代わるようなアイデアが生まれてこなかったのだ。しかし、MITのリサーチャーたちは、この問題の解決策となるウェアラブル・システムを開発中だ。いつか、装着者の能力を拡張するそのツールが白杖の代わりに利用される日が来るかもしれない。

このシステムには3Dカメラとコンピューターが搭載されていて、首から吊り下げて利用する。搭載されたカメラが障害物を認識すると、周期的な振動によってその位置を装着者に伝える仕組みだ。システムに取り付けられたモーターが生み出す振動のパターンは多種多様で、それにより障害物までの距離など様々な情報を装着者に伝えることができる。

開発チームによれば、振動を伝えるベルトを装着する場所は腹部が最も適しているという。腹部は適度な感度をもち、かつ他の感覚によって情報伝達が妨げられることがないからだ。また、視覚障害者は周りの状況を把握するために聴覚を研ぎすませることが多いことから、初期のテストで音による情報伝達機能をシステムから排除したという。頭や首の周りから絶えず音が出ていれば、装着者の気が散ってしまうことは容易に想像できる。

システムには物体認識機能と点字が浮き上がる専用のパッドが備えられているため、前にある物体が何であるかを伝えることが可能だ――例えば、それがテーブルであれば”table”の「t」を表す点字が浮き上がり、イスであれば”chair”の「c」が浮かび上がるといった具合だ。また、このシステムは白杖では答えられないシンプルな疑問にも答えてくれる。そのイスには人が座っているのか、という疑問がその例だ。

「このシステムは、白杖以上にさまざまなタスクをこなして装着者をサポートすることが可能です」と、MITのComputer Science and Artificial Intelligence Laboratory(CSAIL)の所長を務めるDaniela Rus氏はTechCrunchに語った。「ホテルのロビーでイスを探し、そしてそこに人が座っているのかどうかまで教えてくれるのです。これは一見すると些細な問題のように思われるかもしれません――しかし、一度目をつむり、混雑する場所でイスを探さなければいけない状況を想像してみてください。しかも、杖の先端から得られるたった1つの情報しか伝えることができない白杖を使ってです」。

これまで、開発チームは研究ラボの中でシステムのテストを何度か行ってきた。イスを発見するテストでは、意図しない接触を従来より80%軽減することができたという。また、MITの構内を歩きまわるというテストでは、装着者が他人とぶつかってしまうアクシデントを86%減らすことができたそうだ。

この研究開発は、まだ始まったばかりだ。研究チームのテストに参加したのは今のところまだ10人のボランティアだけである。視覚障害者に受け入れられるシステムをつくるためには、より多くの被験者を集める必要があるだろう。しかも、人々が白杖を完全に使わなくなる日がくるまでには、より長い時間がかかるだろう。しかし、いつの日か、この研究によって採算の合う事業が生まれることをRuth氏は願っている。

「宇宙旅行のナビゲーションから歩数の計算まで、コンピューターが様々なタスクをこなして人間を助けるようになった今、杖をもって歩くよりも良い方法を視覚障害者に提供できるのではないかと考えています」とRuth氏は語る。「それは、すでにあるデザインを作り変えることを意味するのではなく、また、すでに存在する物の新しい使い方を発見することでもありません。障害をもつ人々と協力することで、コンピューターが彼らの能力を拡張する方法、つまり、言ってみれば彼らの目となる方法を探すのです。そして、その目的を達成するために必要なテクノロジーを開発していくのです」。

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(翻訳:木村拓哉 /Website /Facebook /Twitter

不眠症を解消するゴーグル「Sana Sleep」――開発元のSana Healthが130万ドルを調達

Solar ImpulseのパイロットBertrand Piccardは、太陽光発電の電力だけで世界一周を目指す旅に出たとき、移動中はあまり休むことができないだろうと覚悟していた。機内で睡眠自体はとれるものの、飛行中の睡眠時間は1日最大3時間、それも20分ごとに1回起きなければいけなかった。というのも、1人乗りのSolar Impulseでは、20分ごとにシステムが正常に動いているかチェックしなければならないのだ。

そこでPiccardは、短い休憩時間にできるだけ深い眠りにつけるよう、Sana Healthのプロダクトを一部の区間で採用した。

Sana Sleepと呼ばれるこの”スマートゴーグル”は、2018年のQ2には睡眠障害に悩む一般ユーザー向けにも販売される予定だとSana HealthのファウンダーでCEOのRichard Hanburyは話す。なお、最近同社はFounders FundMaveronSOSVらが参加したシードラウンドで130万ドルを調達した。さらにHanburyによれば、Sana Sleepの小売価格は400ドル前後になるという。

CEOのHanbury自身が慢性疼痛に伴う睡眠障害に苦しんでいたことをきっかけに、このプロダクトの開発はスタートした。彼は、1992年にイエメンでJeepを運転中に事故に遭って障害を負い、それ以後慢性疼痛を患っていたのだ。しかし、もともと彼のために開発されたテクノロジーを必要とする人は他にもたくさんいる。元気な幼児を除けば、誰もが快適な睡眠を求めているということだ。

Sana Healthのファウンダー・CEOのRichard Hanbury。

CDCの最近のデータによれば、アメリカの成人の3分の1が十分な睡眠を取れていない。そしてピッツバーグ大学医学部の研究から、不眠症は人の気分や記憶力に悪影響をおよぼすだけでなく、その他にも様々な症状を引き起こすことが分かっている。

多くのスタートアップは、膨大な数のターゲットがいる不眠症対策ビジネスのチャンスに気づき、近年快適な睡眠を実現するためのプロダクトの開発に力を注いでいる。新しい素材で作られたマットレス種々ウェアラブルデバイス睡眠トラッキングアプリそのほかIoTデバイスなど、プロダクトの種類はさまざまだ。

投資家もこのビジネスの可能性を信じているようだ。Crunchbaseのデータによれば、昨年以降少なくとも30社(うち6社がハードウェア企業)の睡眠関連プロダクトを開発しているスタートアップが、シードもしくはベンチャーラウンドでの資金調達に成功している。

Sana Sleepは一見パッド付きのゴーグルか、シンプルでかけ心地の良いVRヘッドセットのように見える。現在行われているテストでは、トレーニング期間中で移動の多いアスリートが、Sana Sleepを使うことでどのくらい効率的に休めるかということが調査されている。

Hanburyはこのデバイスの仕組みについて次のように説明する。「Sana Sleepは、音と光を使って脳の特定の動きを引き起こすデバイスです。ナイトクラブに遊びに行って、ストロボライトを眺めながら早いテンポの音楽を聞いているときのように、このデバイスは脳を一旦興奮状態にさせ、リラックスモードに入るために必要なパターンを人工的につくり出しているのです」

ゴーグルからは音と光がビートを打つように発せられ、毎回かけ始めはそれを認識できるが、やがて眠りに入ってくるうちに気づかなくなってくる。さらに、Sana Sleepはユーザーの脈拍や呼吸を計測し、バイオメトリクスの反応をもとに音や光を自動的に調節できるようになっている。

そのため、最初はゴーグルを”トレーニング”しなければならない。だいたい4回ほど使えば、それ以降ユーザーは(慢性疼痛に悩む人たちでも)ゴーグルをかけてから10分以内に眠りにつけ、一晩中ぐっすり寝られるようになる。

シードラウンド以前にも、Sana HealthはSOSVが運営するハードウェアアクセラレーターのHAXを含む複数の投資家から45万ドルを調達していた。SOSVのジェネラルパートナーを務めるCryril Ebersweilerは、Sana Healthが深刻な不眠症の解決に繋がるテクノロジーを開発していることから、シードラウンドで再び彼らに投資したと語っている。

「Sana Sleepには、24年間におよぶ研究と大規模なテストに裏付けられた性能が備わっています。今後もプロダクトの継続的な改良が必要ですが、どの流通チャンネルがプロダクトに合っているかについてもそろそろ考え始めなければいけません」と彼は語る。

初期のテストでSana Sleepの有効性が認められたため、現在Sana Healthはアメリカ食品医薬品局(FDA)から医療機器の認証を取得しようとしている。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

男女間の問題を生命徴候と声から早期に検出してその芽を摘むためのウェアラブルをサウスカロライナ大が研究中

男女間の問題を、実際に顕在化する前にその芽を摘むために、問題が発生しそうなことを告げている生命徴候を検出する、という研究をサウスカロライナ大学の複数の研究チームが共同で進めている。被験者のカップルは複数種類のセンサーを収めたウェアラブル(上図)を身につけ、そのデータを記録するスマートフォンを与えられる。

その研究はほとんど研究室の外で行われ、協力者のカップルはそれぞれ1時間のアンケートにつき合って、相手に対する気持ちを述べる。研究者が意図的に論争を導入したり、主観的な事項に触れたりはしない。中にはまったく問題が報告されないカップルもいるが、全体としては大量の問題が検知される。なにしろ、男女のカップルだからね。

研究報告を共同執筆しているTheodora Chaspariは述べる: “ウェアラブルから生体信号を捉えるのは、肉眼では見えない情報を捉えるためだ。それは実際に、相当有益な情報源だった”。

そのウェアラブルが捕捉するのは、体温と心拍と発汗だ。これらに、喋りの(音声の)内容と強度を検出するためのオーディオ信号を組み合わせる。チームが開発した機械学習は、抗争のタイプや内容を86%の確度で判定できる、という。

執筆主任のAdela C. Timmonsは語る: “うちの大学では、心理学の家族研究と、工学部のSAILプロジェクトが長年コラボレーションしている。両者が協力して、われわれが収集した大量のデータを処理分析し、それらに機械学習の技術を適用して、カップル間に対立や抗争が生じつつあるかを、高い確度で判定する”。

研究の次のステップは、その機械学習のアルゴリズムを利用して、抗争の発生をその5分前までに予見できるためのモデルを作ることだ。そのモデルには、心理学的なデータと音声の判定を学習させる。今、商品としてのウェアラブルはかなり高度化しているから、商用製品に体のフィットネスだけでなく心の健康をチェックする機能が導入されたって、おかしくはない、と思ってしまった。

“でもこれは、とっても難しい仕事よ”、とChaspariは語る。“抗争や対立の原因や徴候は、心理学的にも行動科学的にも、微妙に徐々徐々に積み重なって大きくなっていくものだから”。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Alphabet傘下Verilyのスマートウォッチは大量の生命徴候データを長期にわたって集め医学研究に奉仕する

長期的な医学研究を念頭に置いて設計されたStudy Watchは、ふつうのスマートウォッチとはまったく異なる要求に応えている。このデバイスを設計したVerilyはGoogleの持株会社Alphabetの傘下で、多発性硬化症の観察やグルコースレベルをモニタするコンタクトレンズなど、本格的な医学研究をターゲットにしている。

Study Watchも重要な研究を支えることが目的で、Personalized Parkinson’s Projectなど、今同社が抱えているプロジェクトのために生命徴候(体温、脈拍などの基本的測度)を集める。ちなみにPersonalized Parkinson’s Projectは、疾病(この場合はパーキンソン病)の進行のパターンを調べて、治療法の手がかりを見つけるプロジェクトだ。

この一見して平凡なウェアラブルは、今後Baselineプロジェクトにも使われる。これは2014年に発表されたプロジェクトで、175名の生命徴候を長期にわたって調べ、“健康な人間”をこれらの測度で定義しようとする試みだ。

Googleはそのプロジェクトを、自動運転車や気球によるインターネット接続サービスなどと並ぶ“ムーンショット”(moonshot, 月へのロケット打ち上げ, 夢のような超未来的プロジェクト)と呼び、批判を浴びたこともある。でも、自動運転車ほどの派手さはないものの、Verilyの大風呂敷的なミッション声明には合っている: “健康データを集めて整理し、それらの健康データから得られたインサイトをよりホリスティックな診療に用いる介入やプラットホームを作る”。 〔この場合は、医学用語としての‘介入’〕

だからStudy Watchには、Googleの消費者向け電子製品の華やかさはないが、でも同社の説明からは、主力製品であることが伺える。ごくふつうの腕時計としても使えるこの地味なデザインは、毎日のデータ収集を気にならないものにする狙いもある。しかも、それほどまずいデザインでもない。

このデバイスは、特殊な設計により、リアルタイムの計算処理にもデータを供給できる。それにセンサーの数がとても多くて、そこらの心拍計つきスマートウォッチとは一線を画している。

“複数の生理的センサーや環境センサーを用いて、心血管疾患や運動失調などさまざまな分野の研究に使えるデータを測定する”、とVerilyの発表声明は言っている。“集めるデータは、心電図、心拍、皮膚電気の変化、慣性運動などだ”。

長期的な使用に耐えるためには、電池寿命が長いことが重要だが、このデータ収集ウォッチは常時onのeインクふうディスプレイを使って、1週間の寿命を実現している。内蔵ストレージも大容量だから、頻繁にシンクしなくてもよい。そのことも、このデバイスの‘気にならなさ’に貢献している。

このデバイスの発表は、タイミングも良い。一日前には、Appleが糖尿病患者のグルコースレベルをモニタする秘密プロジェクトが、うわさで広まったばかりだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Appleの秘密チームが採血する必要のないグルコースレベル測定製品を研究開発中

Appleは生物医学方面の研究者集団を雇って、センサーを利用して糖尿病患者をモニタする秘密のプロジェクトに取り組んでいる、とCNBCが報じている

糖尿病患者は世界中で3億7100万人いる、と推定されていて、近年ではいくつかのテクノロジー企業が新しい治療法の開発に取り組んでいる。たとえばVirtaという新進のスタートアップは、患者の行動をリモートでモニタし完全に治癒することを目指している。またベイエリアのLivongo Healthは5250万ドルを調達して、血糖値監視製品を開発している。

通常、患者が自分のグルコースをモニタするためには、腕などに針を刺して自分の血液を採取していたが、それをしなくてすむようになれば、大革命だ。CNBCにそのニュースを教えた人は、Appleが開発しているのは皮膚の下に埋め込む光学式のセンサーで、その光り方でグルコースの値を測定できる、と言っている。

針を使わない方法はこれまでにもいくつか考えられたが、いずれもうまくいかなかった。Alphabetの生命科学企業Verilyは、グルコースレベルが分かるコンタクトレンズを考えたが、一部の報道によると、すでに3年経ったそのプロジェクトは、あまり快調ではないようだ。

しかし報道ではAppleのプロジェクトも少なくとも5年は経っており、今ではフィジビリティテストを行うべき段階だ、という。また、この種の製品に対する規制をクリアするために、コンサルタントを雇った、とも言われている。

チームを指揮するのはAppleのハードウェア技術担当SVP Johny Srouji、メンバーは30名だそうだ。その中の少なくとも10数名は、Appleが生物医学分野(ZONARE, Vital Connect, Sano, Medtronicなどの企業)から熱心にスカウトした人たちのようだ。

このプロジェクトについてAppleに確認することはできない(Appleからの返事がない)が、同社はかなり前からこのようなビジョンを持っていた。Walter Isaacsonが書いたSteve Jobsの伝記によると、彼はAppleをテクノロジーと生物学が交わる場所にしたい、と考えていた。今すでにその場所にいるのが、ウォーキングの歩数を計り、燃焼カロリーを計算し、心拍などの生物学的測度を計るApple Watchだ。そして皮膚に埋め込むグルコースセンサーも、同じくユーザーがどこにいてもグルコースレベルを計ることができて、採血の必要もないから、業界を一変させる製品になるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

トヨタが歩行回復を助けるロボット、レンタルへ―WW-1000は半身麻痺のリハビリに朗報

トヨタはWelwalk WW-1000という装置のレンタルを開始すると発表した。これは半身麻痺の患者が再び歩けるようになることを助けるロボットだ。WW-1000にはある種の外骨格が組み込まれており、麻痺が起きている側の脚に取り付ける。患者が歩けるよう強力なモーターが膝関節を支える。この装置の利用により患者はやがて自力歩行ができるようになる。

このロボット補装具には専用の大型トレッドミルとハーネスが用意されており、全体として歩行の練習ができ、また安全を確保する。患者はハーネスにより頭上から支えられる。リハビリを助ける医療スタッフは扱いやすいタッチスクリーンを通じて装置を調整し、練習を見守ることができる。

Associated Pressによれば、Welwalkシステムは今年後半にまず日本の医療機関に導入される予定だ。レンタル料金は初期費用が100万円、月額料金が35万円程度という。これは医療機器の水準からすれば負担になるような金額ではない。しかも脳出血その他の原因によって半身麻痺を起こした患者の歩行能力の回復に要する期間を劇的に短縮する効果がある。

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    A model demonstrates how the rehabilitation-assist robot Welwalk WW-1000, developed by Japan's Toyota Motor Corporation, helps to assist in flexing and extending the knee while walking on a treadmill during a press preview in Tokyo on April 12, 2017. Toyota Motor Corporation announced that the company will launch a rental service for the Welwalk WW-1000 robot from the fall of 2017. The Welwalk WW-1000 is designed to aid in the rehabilitation of individuals with lower limb paralysis as a result of stroke and other causes. / AFP PHOTO / Kazuhiro NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)
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    A model demonstrates how the rehabilitation-assist robot Welwalk WW-1000, developed by Japan's Toyota Motor Corporation, helps to assist in flexing and extending the knee while walking on a treadmill during a press preview in Tokyo on April 12, 2017. Toyota Motor Corporation announced that the company will launch a rental service for the Welwalk WW-1000 robot from the fall of 2017. The Welwalk WW-1000 is designed to aid in the rehabilitation of individuals with lower limb paralysis as a result of stroke and other causes. / AFP PHOTO / Kazuhiro NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)
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    A model demonstrates how the rehabilitation-assist robot Welwalk WW-1000, developed by Japan's Toyota Motor Corporation, helps to assist in flexing and extending the knee while walking on a treadmill during a press preview in Tokyo on April 12, 2017. Toyota Motor Corporation announced that the company will launch a rental service for the Welwalk WW-1000 robot from the fall of 2017. The Welwalk WW-1000 is designed to aid in the rehabilitation of individuals with lower limb paralysis as a result of stroke and other causes. / AFP PHOTO / Kazuhiro NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)
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    A model demonstrates how the rehabilitation-assist robot Welwalk WW-1000, developed by Japan's Toyota Motor Corporation, helps to assist in flexing and extending the knee while walking on a treadmill during a press preview in Tokyo on April 12, 2017. Toyota Motor Corporation announced that the company will launch a rental service for the Welwalk WW-1000 robot from the fall of 2017. The Welwalk WW-1000 is designed to aid in the rehabilitation of individuals with lower limb paralysis as a result of stroke and other causes. / AFP PHOTO / Kazuhiro NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)
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    A model demonstrates how the rehabilitation-assist robot Welwalk WW-1000, developed by Japan's Toyota Motor Corporation, helps to assist in flexing and extending the knee while walking on a treadmill during a press preview in Tokyo on April 12, 2017. Toyota Motor Corporation announced that the company will launch a rental service for the Welwalk WW-1000 robot from the fall of 2017. The Welwalk WW-1000 is designed to aid in the rehabilitation of individuals with lower limb paralysis as a result of stroke and other causes. / AFP PHOTO / Kazuhiro NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)
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    A model demonstrates how the rehabilitation-assist robot Welwalk WW-1000, developed by Japan's Toyota Motor Corporation, helps to assist in flexing and extending the knee while walking on a treadmill during a press preview in Tokyo on April 12, 2017. Toyota Motor Corporation announced that the company will launch a rental service for the Welwalk WW-1000 robot from the fall of 2017. The Welwalk WW-1000 is designed to aid in the rehabilitation of individuals with lower limb paralysis as a result of stroke and other causes. / AFP PHOTO / Kazuhiro NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)
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    A model demonstrates how the rehabilitation-assist robot Welwalk WW-1000, developed by Japan's Toyota Motor Corporation, helps to assist in flexing and extending the knee while walking on a treadmill during a press preview in Tokyo on April 12, 2017. Toyota Motor Corporation announced that the company will launch a rental service for the Welwalk WW-1000 robot from the fall of 2017. The Welwalk WW-1000 is designed to aid in the rehabilitation of individuals with lower limb paralysis as a result of stroke and other causes. / AFP PHOTO / Kazuhiro NOGI (Photo credit should read KAZUHIRO NOGI/AFP/Getty Images)

Welwalkシステムは患者が自力で歩ける最低限の力で補助を行うようモーター出力をきめ細かく調整できる。これが回復期間の大幅短縮をもたらす秘密だ。麻痺のある患者のリハビリでは補装具による支えを次第に減らしていくことで患者の自力歩行の回復を促す。支える力が強すぎると助患者は補装具に頼り切ってしまう。逆に支える力が弱すぎれば転倒などの事故に結びつきかねない。トヨタのロボット補装具は内蔵されたセンサーにより患者ごとに、また患者の回復に合せて最適な力で支えを行うことができるという。

トヨタは各種のロボティクスを以前から研究してきた。トヨタの人工知能研究の拠点、TRI(Toyota Research Institute)では高齢者の生活の質を高めるためのテクノロジー の開発を大きなテーマとしている。韓国のHyundaiも昨年ロボティクスを応用した補装具のデモを行っている。全体として自動車メーカーは自動車関連だけでなくさまざま形態での人間移動を助けるシステムの開発に力を入れ始めたようだ。

画像:: KAZUHIRO NOGI/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

スクーがR&Dのための新会社、仕事の「パフォーマンス」に影響する因子探る

Schoo@me代表に就任した赤根浩平氏

参加型生放送によるオンライン動画学習サービス「Schoo」を運営するスクーは4月3日、100%出資子会社となる「Schoo@me」を設立すると発表した。Schoo@meでは、「人間のパフォーマンスの最大化」を目的とした研究開発やサービス提供を行う。

schooは、オンラインで生放送の授業をストリーミングするリアルタイム動画学習サービス。3000時間以上の動画教材を通して、IT系を中心としたスキルや知識を学ぶことができる。僕たちTechCrunch Japan編集部をはじめ日本マイクロソフトサイバーエージェントヤフーメルカリなどの企業から講師を招き、受講生同士や講師との生放送中の対話を通して理解を深めることができるのが特徴だ。

そんなスクーが立ち上げたSchoo@meは、研究機関との共同研究を通して人間のパフォーマンスを左右する要素とは何かを探っていくことを目的とした会社となる。

具体的には、同社はウェアラブル端末を利用して心拍や脳波などの生体信号を測定。それによって被験者の性格や特徴などを理解したり、例えば眠気や「好き・嫌い」などの因子がパフォーマンスにどのように影響を与えるのかを探っていく。Schoo@me代表取締役に就任した赤根浩平氏は、「これまでにもアンケートを利用した研究などはあったが、それは被験者が自覚的に答えた回答を参考にしたもの。私たちの研究では、被験者が無意識にもつパフォーマンス因子を測定していく」と話す。

ちなみに、実証研究や将来的なサービスでは既存のウェアラブル端末を利用し、自社で端末を開発する予定はないという。利用する端末の詳細は公開されていない。

研究開発を進めたのちに、同社はその成果を利用して人材マネジメントツールを開発していきたいとしている。「データによって社員の適正を判断するツールが増えているとは言え、現状では人事担当者の属人的な感覚で社員をどのポジションにアサインすべきか決めている企業は多いと思う。そこで、データによって完全に裏付けされた適正診断によって社員人事をサポートできるツールを開発したい」と赤根氏は話す。

同社がこの研究に成功すれば、親会社が運営するSchooとのシナジーもありそうだ。たとえば、受講者が装着したウェアラブル端末が「授業をあまり理解していない」と判断した場合、その受講者にのみ復習用の教材を用意するといったことが可能になるという。

Schoo@meの会長には現スクー代表取締役の森健志郎氏が就任するものの、実働チームは赤根氏を含む3人だ。現在27歳の赤根氏は、2012年に早稲田大学創造理工学部を卒業後、グリーにエンジニアとして入社。2014年にスクーに入社すると、同じくエンジニアとして全文検索機能や非同期パイプライン処理などの開発に携わってきた。

同社は今秋から実証実験を開始。今後1〜2年のあいだに研究開発を進め、2019年頃には前述した人材マネジメントツールのリリースを目指すとしている。実証実験や研究開発が中心となるためにイニシャルコストが大きくかかりそうだが、「今のところ外部からの資金調達は考えていない」(赤根氏)という。

東工大発、ライブの重低音を再現するウェアラブル・スピーカー「hapbeat」がKickstarterに登場


大音量を出さずに家でもクラブやライブ会場のような重低音が聞けたらと思っている音楽好きに朗報だ。東京工業大学発のスタートアップHapbeat合同会社は、音を振動として体に直接伝えるウェアラブル音響装置「hapbeat」を開発している。Hapbeatは本日より、Kickstarterで14万ドルを目標とするクラウドファンディングキャンペーンを開始した。

hapbeatは重低音の振動を糸で体に伝えるウェアラブル・スピーカーだ。hapbeatを使うにはまず、クリップかマグネットで洋服に取り付けるか、ネックストラップで首から端末をぶら下げる。次にhapbeatから巻尺のように糸を端末から引き出し、ウエストに巻きつける。hapbeatとヘッドフォンは有線(イヤフォンジャック)でつなぎ、スマホとhapbeatはBluetoothで通信して音楽を再生する形だ。

hapbeatはモーターを内蔵していて、体に巻きつけた糸を音楽と連動するように伸縮させることで、体の広範囲に振動を伝えるのだという。「hapbeatの特徴は小さな端末でも、大型のスピーカーでしか出せないような重低音も出せることです」とファウンダーでCMOの織田龍人氏は説明する。ただ、ライブ会場などにあるスピーカーと違うのは、スピーカーの場合一方向からしか振動を感じないが、hapbeatの場合は糸を巻いた全方位から振動を感じること、と織田氏は話す。

HapbeatはもともとファウンダーでCEOの山崎勇祐氏が大学院で行っていた研究活動から生まれたプロダクトだ。山崎氏は長谷川晶一研究室で、ライブ感を提供するオーディオ・デバイスを開発していて、2017年1月にHapbeat合同会社を東京工業大学長谷川晶一准教授と東工大の学生である織田氏とともに設立した。2017年2月にはDMM.male AKIBAによるIoTプロトタイプの製品化をサポートするOpen Challengeの支援企業に採択されている。

今日から始まるKickstarterキャンペーンでは、199ドルからhapbeatを支援できる。Kickstarterのキャンペーンを成功させたら、2017年8月ごろまでに製品版を完成させ、11月にはクラウドファンディング支援者に製品を発送する計画だという。

実際のところスマホを持って、頭にヘッドフォン、ウエストにhapbeatを装着するとなるとちょっと重装備になってしまう気もするが、例えばVRの体験をより没入的にする新しい音の視聴方法となるかもしれない。

CasioのEdifice EQB501はがつん!と来る力作、しかもスマートフォンで機能を拡張

Casioが作る肉体派のウォッチは、いつも肉体派であるとは限らないふつうの人に向いている。その最新のEdifice EQB-501は、形と機能とハイテク装備、三者が合金状に一体化していて、たくさんのダイヤルとボタンとセンサーが、ジャングルでも大都市でも、あなたの旅路を‘接続良好’に維持してくれる。

この化け物のようなウォッチは、幅が44.4mm、耐水性は深度100メートルまでだ。スマートフォンに接続してそのCASIO WATCH+アプリを開くと、お望みのタイムゾーンで時刻を知らせる(各地の夏時間にも対応)。ストップウォッチ、アラーム、電話番号見つけ、そして速度計モードまである。電源はソーラーのみで、充電不要。時刻合わせはウォッチが自分でやる。

速度計は、実はストップウォッチの現在までの経過時間と、そこまでの移動距離を利用するタキメーターだ。その装置とGPS機能のためには、スマートフォンが必要である。

Fossil Qみたいに、二つの世界の良いとこ取りをしているのがいいね。スマートウォッチの機能は厳選された少数だが、スマートフォンがなくても使える。トレッキングや冒険旅行には、それが欠かせない。またスマートフォンと違って、濡れても傷だらけになっても、十分に使える。

EQB501の発売は、4月だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマートトイのMoffがMRIらから3億円調達、リハビリに挑む

ウェアラブルデバイスにはApple WatchやFitbitなどいくつかあるが、スマートトイのMoffは法人向けサービス、特に介護やウェルネルの領域での普及を目指すようだ。本日ウェアラブルIoT端末を開発するMoffは、総額3億円の第三者割当増資を発表した。引受先は、環境エネルギー投資、三菱総合研究所、ツネイシキャピタルパートナーズだ。

2013年10月に設立したMoffは、2015年9月にバンダイナムコエンターテインメント、ORSO、TomyK、個人投資家らを引受先として総額1億6000万円を調達している。今回の調達で累計調達額は4億6000万円を超える計算となる。

Moffの主力製品はウェアラブル端末の「Moff Band」で、これはBluetoothでスマホなどの端末と連携して使用するデバイスだ。加速度センサーとジャイロセンサーを内蔵していて、腕に巻きつけておけば着用者の動きをトラックできる。2014年3月に実施したKickstarterのクラウドファンディングキャンペーンではおよそ7万9000ドルが集め、2014年秋から日米で一般販売を開始した。

当初は「スマートトイ」という触れ込みで展開してきたMoffだが、代表取締役社長の高萩昭範氏は、「もともそヘルスケア領域へのチャレンジは考えていた。鎌田さん(創業時からMoffに出資しているエンジェル投資家で、TomyK代表取締役の鎌田富久氏)から最初に投資を受けたときから、『楽しい体験をしながらデータをためて、それを価値に変える』ということを考えていた。」と説明する。

Moff代表取締役社長、高萩昭範氏

「『動き』を『楽しい』に変えるというのは、スマートトイを使った運動だけでなく、介護との相性もいいと分かっていた。(Moffなら)身体データを計り、フィードバックもできる。ではそれをどういうコンテンツにできるか、というところが課題だった」(高萩氏)。こういった背景もあり、Moffは今回の調達に先駆けて2016年12月に三菱総合研究所との資本・業務提携を実施している。

スマートトイの領域については、2016年8月に学研と提携。Moffを活用した紙芝居アプリ「おとしばい」を保育園や幼稚園に提供するなど、B向けサービスで事業を拡大している。米国でもPBS KIDSに続き、提携先を拡大中だ。

今後は年内にも国内のリハビリ施設を対象に、Moffを使ったリハビリ向けのソリューションを提供する予定だ。「介護リハビリからスタートするが、今後はそれに限らず、転倒予防や生活習慣病予防といった領域に挑戦していく」(高萩氏)