動画制作クラウドのViibarがヤフーと資本業務提携、既存株主含め7億円の資金調達

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「動画元年」なんて言われていたのは去年か一昨年のことだっただろうか。ともかく動画に関するビジネスが急速に拡大しているのは事実だ。十代のカップルが自らの動画をアップする「MixChannel」は女子中高生の2人に1人が利用しているそうだし、動画広告のプラットフォームも複数スタートしている。UUUMのようなYouTuberのマネジメント会社も登場してきたし、動画制作向けのクラウドソーシングサービスもある。

そんな動画制作特化型クラウドソーシングサービスの1つ、「Viibar」を運営するのがViibarだ。同社は5月18日、ヤフーと資本業務提携を行うことを明らかにした。

資本提携では、ヤフーに加えて既存株主であるグロービス・キャピタル・パートナーズおよびグリーベンチャーズが出資。総額約7億円の第三者割当増資を実施した。あわせて、ヤフー執行役員 マーケティングソリューションカンパニー長の荒波修氏が社外取締役に就任する。なお、業務提携の詳細については、6月後半にも詳細を発表するとしている。

動画広告が成長。売上は前年比30倍に

Viibarは動画制作に特化したクラウドソーシングサービスだ。現在国内を中心に約2000人のクリエーターがユーザー登録。動画制作はスタッフが進行管理や制作スタッフのマッチングを担当。クライアントとクリエーターはオンライン上でコミュニケーションを取りながら動画を制作していく。

Viibar代表取締役の上坂優太氏

Viibar代表取締役の上坂優太氏

これまで、動画広告や商品説明動画などウェブで利用される動画をはじめ、テレビCMやOOH(交通広告や屋外広告)などに向けた動画を制作してきた。売上高は非公開ということだったが、「2013年度から2014年度で30倍成長」(Viibar代表取締役の上坂優太氏)なのだそう。

初年度ということでベースとなる売上が決して大きいとは思わないが、それでも30倍というのはすごい数字だ。この成長の背景にあるのは、急増する動画広告のニーズ。「テレビCMやOOHなど、利用の幅も広がっているが、そこはあくまで一次関数的な成長でしかない。当初から明確にあったウェブの動画広告が大きく成長している。市場ではクリエイティブ不足が明確な課題になってきた」(上坂氏)

制作だけでなく、“成果”に結びつく機能の提供へ

上坂氏は、「安かろう悪かろうではない」と、Viibarで作成する「動画」そのものの品質が評価されていると説明するが、同時に「動画広告」としての品質を高めているところだと語る。

動画広告は、単純に動画としてのクオリティだけでなく、動画を閲覧した人がそのサービスを利用したり、商品を購入するといった“成果”が求められるもの。そのため、どれだけイケてる動画を作るかということではなく、動画広告をユーザーに配信するという一連のフロー——企画、制作者のマッチング、動画制作、動画の配信、効果測定、そして効果測定を元にしたPDCAを回す——を通じて、成果を出していかなければならない。

だがこれまでのクラウドソーシングが担当していたのは「制作者のマッチング」「動画制作」といったパート程度だ。Viibarでは現在、動画広告にまつわる一連のフローを自社でまかなえるよう、各種開発を進めているのだそうだ。「動画広告はクリエイティブの要素が大きいが、そのクリエイティブを評価して、次の企画に落とし込むというところまでをデータドリブンでやっていく」(上坂氏)

具体的な内容については聞けなかったが、動画制作に加えて動画配信やアナリティクスの機能も提供していくということだろう。実際、今回の調達を機に、データアナリストなどの採用も始めていると聞いた。

ヤフー本体が出資するも「基本的にはIPO目指す」

ヤフー本体によるスタートアップへの出資というのは、それほど多いケースではない。Facebookを使った懸賞サービスを提供していたクロコスや、映画チケットの共同購入サービスを提供していたブルームなど、買収案件が比較的目立っている印象だ。

ヤフーによる買収の可能性について上坂氏に尋ねたところ、「基本的にはIPOを目指している。動画広告は急速に伸びており、特にBtoB、BtoBtoCでレバレッジを書けてサービスを展開するには、以下にジャイアントと組むかというのは重要になると思っている。ただし我々はYouTubeやFacebookなどともすでに取引もあるし、基本的に独立した存在」としている。

マーケティングデータを一気通貫で分析、「B→Dash」運営のフロムスクラッチが3億円調達

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「収益に一番直結するチャネルがわからない」「複数のツールを使うと手間とコストがかかる」「情報量が多すぎて見づらい」――。

企業のウェブ担当者にありがちな悩みである。コンバージョン数やCPAを追いかけても、本当に収益につながっているか不明。わからないので様々なツールを試してみても、見るべき指標が重複する。重複を解消しようと自分で各レポートを組み合わせるのも大変……というわけだ。

企業のマーケティングプロセス全体のデータを統合し、一気通貫で分析するSaaS型マーケティングプラットフォーム「B→Dash」は、こうしたウェブ担当者の悩みを解決しようとしている。ウェブ集客から顧客管理までと、マーケティングの入口から出口までを一元管理できる。

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例えば、認知や流入、回遊といった「集客プロセス」は、Google AnalyticsやSiteCatalystで分析できる。しかし、メール配信やコンテンツ、ソーシャルメディアの管理といった「集客後のプロセス」となると、HubspotやMarketo(マルケト)、オラクルのEloqua(エロクア)といったツールが必要になってくる。

最近ではDMPやマーケティングオートメーションが話題だが、これらはGoogle AnalyticsやSiteCatalystのようなアクセス解析ツールとの接続が前提。バラバラのサービスを導入したせいでデータ間の断絶が起き、運用工数やコストだけが増えてしまうケースもあると、B→Dashを運営するフロムスクラッチは指摘する。

これに対してB→Dashは、他のサービスとの連携ではなく、集客から顧客管理までの機能をオールインワンで実装。同社はこれを「プライベートマーケティングプラットフォーム」という独自の名称をつけている。料金はプラットフォーム開発費用が100万円〜、月額課金が50万円〜。昨年11月に販売開始し、デジタルマーケティングに注力するB2C企業を中心に50社が導入している。

15日には、Draper Nexus Venture Partnersと伊藤忠テクノロジーベンチャーズなど4社を割当先として、総額約3億円の資金調達を実施したことを発表。B→Dashの新規機能開発や組織体制の強化を図る。

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CAVが出資するOneteam、メールやSlackより“使える”コミュニケーションツールを今夏より提供

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テック企業ではSlackやChatworkをはじめとした社内向けコミュニケーションツールの話題が盛んだが、これらのツールの利便性を非テック企業にも提供しようとしているのがOneteamだ。同社は5月15日、サイバーエージェント・ベンチャーズを引受先とした6000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

同社が開発するのは、非ITテック企業向けのコミュニケーションプラットフォーム「Oneteam」。チャット機能に加えて、企業や組織の一人一人が自己紹介ページを持って自分の趣味や志望動機、職歴情報を登録できるほか、電話番号や社員番号などの連絡先を調べることができる。スマートフォンアプリとウェブでの提供を予定している。コンセプトは「手のひらにチームを持ち歩く」とのことで、代表取締役の佐々木陽氏いわく、機能的には「GithubとSlackを組み合わせたようなツール」だという。

サービスは現在開発中で、2015年夏に正式リリースの予定。ただしプロフィールや連絡先共有など一部の機能については、6月上旬から「Profile Book」の名称でベータ版として提供していく。すでにベトナム、フィリピン、インドネシア、タイの人材会社や旅行代理店など複数企業(それも100〜300人規模とそれなりに大きな組織も含まれているそう)が導入を予定しているとのことだ。同社では初年度100社1万アカウントの導入を目指すとしている。

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「Slackのようにフローの情報は常に座席にいるエンジニア企業には向いているが、外出する営業マンや経営者は最適情報にたどり着くまでがストレスになる。一方で電子メールはやりとりを重ねるうちにタイトルと本文の不一致、過剰なCCによる当事者意識の低下なども起こる。イシューベースでチャットコミュニケーションが出来る状態でないといけないと考えた」—佐々木氏はサービス開発の経緯をこう語る。

日常的に使う仕組み、プッシュとUIへのこだわり

メールや他のコミュニケーションツールより“使える”サービスとのことだが、この手の非テック企業向けツールで気になるのは「どうやってそのツールを日常的に使うようになるか」という点だ。僕は導入企業数なんかより、DAUのような日々の利用度合いのほうが気になる。

Oneteamでは、スマートフォンのプッシュ通知(さらに未読の場合の再通知も)で未読を解消するほか、誰でも分かりやすいユーザーインターフェースを心がけているのだそう。「UIでは『見慣れないもの』を排除することが必要だと思っている。また、今後は利用のシーンや事例をコンテンツとして拡充していくことが重要だと思っている。ベータ版を提供することで、実際の利用シーンと効果を検証したいと考えている」(佐々木氏)

素人でも使える統計分析ツールのサイカが2億円調達

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専門知識不要で使えるクラウド統計分析ツールを手がけるサイカは15日、総額2億円の資金調達を実施したと発表した。同社は2013年10月、企業が持つデータに潜む関連性を見つけられるツール「adelie」を公開。売上という「成果」に対して、CM放映回数、チラシ配布枚数、天候などの「要素」が、お互いにどのように影響したのかを自動抽出してくれる。

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例えば、アパレル販売メーカーが導入した場合、CM放映後に売上が100万円アップ、チラシ配布週に売上が10万円アップ、天候は売上と無関係……といったことを分析。これによって、経験の裏付けや盲点の発見、未来の予測ができるようになるわけだ。

通常、統計分析をするには専用ツールだったり、成果と要素の関係を読み解く専門家が必要。一方、adelieは企業が持て余すExcelデータをインポートするだけで、相関するデータを自動抽出するのが特徴。ヤフーやリクルート、GUなど40社以上が導入している。

営業マンの「行動の効果」を数字で表す

2014年1月には米Salesforceなどを引受先として、1億円の資金調達を実施した。以降、Salesforceのクラウド型営業支援ツール「Sales Cloud」と連携し、営業マンの行動データに基づいて最適な行動を提示するツール「Rockhopper」を開発。今月リリースした。

Rockhopperは、セールスパーソンの「行動の効果」を数字で示す営業支援ツール。例えば、家電量販店向けにルートセールスする企業が導入した場合、「売場作成」「商談」「店頭での接客」などの行動と、それに費やした時間をプルダウンメニューから入力する。これにより、「売場作成は1時間につき800円の効果」「接客は成果への影響なし」といったことがわかる。

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Rockhopperの利用イメージ

 

セールスパーソンにとって、活動記録を逐一報告しようとすると、本業が圧迫されてしまうことも少なくない。Rockhopperは行動記録に最適化したインターフェイスを採用したことで、日々の報告業務の負担を軽減。すでに導入した大手電機メーカーでは、行動データの入力率が23%から97%にも上がったのだという。

現場で記録されたデータは、アプリ上で一覧可能。営業マネージャーは分析結果を見ながら改善点をアドバイスできる。アプリ上で「ノウハウを学ぶべき営業マン」と「ノウハウを教えるべき営業マン」をリコメンドし、マッチングする機能もある。

今回調達した資金は主に、Rockhopperの開発に投入。エンジニアや、adelieやRockhopperを導入した企業向けのサポート要員も増やす。増資に伴い、リードインベスターを務めたDraper Nexus Venture Partersに在籍する倉林陽氏がサイカの取締役に就任している。倉林氏はSalesforceの元日本投資責任者。サイカとしては、ベンチャー経営やSaaS事業の知見を得る狙いがあるようだ。

サイカは2013年11月に開催したTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルに登壇し、マイクロソフト賞を受賞している。

“ちょうど良いERP”を実現、クラウドで勤怠や経費精算を一元管理するチームスピリットが4億円調達

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勤怠管理に経費精算、電子稟議……と従業員が日々入力するデータの数々。そのツールがバラバラだと、面倒くさいことこの上ない。こうしたデータをセールスフォース上で、1回のログインですべて作業できるようにしたのが「TeamSprit」だ。

運営元のチームスピリットが15日、シリーズCで総額4億円を調達した。このラウンドを仕切ったのはDraper Nexus Venture Partners。これに米salesforceや日本ベンチャーキャピタルが参加した。

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TeamSpritは勤怠管理から就業管理、経費精算、工数管理、電子稟議といった、基幹業務につながるシステムをクラウドで一元管理。各機能を連動させ、必要なデータだけを既存の会計や給与計算のシステムに取り込める。導入にコストや時間がかかるERPと比べ、“ちょうど良いERP”を実現すると同社は謳っている。

料金は1ユーザーあたり月額600円。salesforce.comのクラウドプラットフォーム「Salesforce1」に対応しているため、iOSやAndroidなどマルチデバイスで使えるアプリを標準装備する。

サービス開始3年で360社、4万人以上が利用。主に社員100人前後で、大企業の子会社や上場が視野に入ってきたスタートアップが導入しているようだ。

調達した資金ではセールスマーケティングを強化。増資に伴い、リードインベスターを務めたDraper Nexusの倉林陽氏が取締役に就任する。倉林氏はsalesforceの元日本投資責任者。当時から引き続いて、チームスピリットを支援することとなる。

人工知能がユーザー好みのファッションアイテムを紹介する「SENSY」、開発会社が1.4億円の資金調達

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最近人工知能関連のニュースが増えているが、今度はファッション領域に人工知能を利用するスタートアップの資金調達が発表された。カラフル・ボードは5月14日、ACAが運営するアジアグロース2号投資事業有限責任組合などを引受先とした第三者割当増資を実施。総額1億4000万円の資金調達を実施したと発表した。

カラフル・ボードが手がけるのは、ファッションセンス学習人工知能AIロボットアプリ「SENSY」。2014年11月にリリースされたこのアプリでは、ユーザーが画面に表示される提携ブランドの服を、気に入れば右に、気に入らなければ左に、とTinderライクにフリックして選択していくことで人工知能が感性を学習し、そのユーザーの感性に合ったファッションアイテムを提案してくれるというもの。気になるアイテムは提携ブランドのECサイトで購入できる。提携ブランドは2015年4月時点で2465ブランドとなっている。

アプリに搭載される人工知能「SENSY」(アプリ名と同じ)は、同社と慶應義塾大学、千葉大学で共同開発している。カラフル・ボードでは今後、ユーザーと同じ感性を持った、いわば「クローン」のAIロボットネットワークを構築。ユーザーに代わって情報収集したり、人と人がAIロボットを介して知識、経験、感性などを共有し合う世界観を目指すとしている。

また、Amazon.com傘下のShopbop.comのほか、イタリアのYOOX Groupと提携。今後は韓国、台湾など東南アジアへの展開を進めるとしている。

名刺管理のSansanがオープン化、API公開でビジネスインフラ目指す

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法人向け名刺管理サービス「Sansan」がオープン化する。運営元のSansanが8月中旬をめどに、APIを無償で公開。APIを利用するパートナー企業は、Sansanの名刺情報を組み込んだソフトやサービスを開発・販売できる。現時点でマイクロソフトやセールスフォース、日本郵便など20社がパートナー企業に名乗りを上げている。

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Sansanはユーザーがスキャンした名刺を、OCR処理とオペレーター入力でデータベース化。名刺情報はクラウドを通じて組織内で共有できる。日経テレコンやダイヤモンド社の人事情報をもとに名刺情報を更新したり、同じ会社の社員が受け取った名刺を共有する機能もあり、クラウド上で常に最新の顧客情報を閲覧できるのが強みだ。

APIオープン化により、どういった連携製品が出てくるのか。例えば、はがきのデザインから投函までの一連の作業を依頼できるポータルサイトを開発中の日本郵便は、Sansanの名刺データベースと連携し、宛名の印字に活用する予定だ。

そのほかには、顧客管理データベースを手がける企業であれば、キーマンの情報が常に最新の状態に保たれる営業支援システムを構築できる。あるいは、名刺交換した顧客の情報が地図上にプロットされ、近くの営業先をすぐに参照できるマップも作れそうだ。

Sansanは2015年4月時点で3000社が導入していて、2017年までに1万社の導入を見込んでいる。今回のオープン化では、名刺データと連携した300以上の製品が生み出されると見ていて、これによってSansan自体の導入企業も増えると見込んでいる。

Sansan以外にも名刺をデータ化するサービスは珍しくないが、「名刺データを自由に活用できる世界は、誰も想像できていない」と、取締役の富岡圭氏は指摘する。「1年間で世界中で流通する名刺は100億枚以上。これまで捨てられていた情報を生かし、ビジネスインフラとしての価値を生み出したい」。

Sansan取締役の富岡圭氏

Sansan取締役の富岡圭氏

エビソルの予約台帳サービス「ebica予約台帳」が多言語対応、インバウンド需要見込む

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先日はクラウド予約台帳サービスの「トレタ」とヤフーの飲食予約店サービス「Yahoo!予約 飲食店」のシステム連携について報じたが、本日ご紹介するエビソルもクラウドで予約台帳サービスを提供するスタートアップだ。同社は5月12日、飲食店向けのクラウド予約台帳サービス「ebica(エビカ)予約台帳」の多言語対応を実施したことを明らかにした。第1弾として、英語および中国語(簡体字/繁体字)版の提供を開始する。

ebica予約台帳はiPadアプリおよびPCを使ったクラウド予約台帳サービス。また店舗のレイアウト図を使って配席・予約状態を一画面で管理可能。複数店舗のマネジメント機能も備える。24時間365日、オンラインでリアルタイムな予約に対応するほか、顧客の基本情報や嗜好・来店履歴等の登録機能もある。

また、ぐるなびやホットペッパーをはじめとした複数の飲食店予約サイトと自店の空席在庫を取り込み、予約の一元管理ができる。ただしこの仕組みは各グルメサイトをスクレイピングしているものがほとんど(ヒトサラについてはシステムを直接連携しているそうだ)。今後は各種サイトと正式なサービス連携を進めるという。価格は初期設定費が5万円、月額運用費が1店舗2万円(契約店舗数により応相談)。

特徴的なのは顧客のニーズに応じてサービスをカスタマイズして(厳密にはすでにある機能を、店舗ごとにオン/オフして提供するのだそう)サービスを提供していること。現在は気鋭のチェーン店や有名店を中心に導入を進めているそう。同社サイト上には、居酒屋チェーンの「塚田農場」、焼肉の「うしごろ」などをはじめとした導入店舗が掲載されている。サービスを利用するのは、導入準備中の店舗も含めて800店舗。店舗数ベースでは前述のトレタが4月時点で2600店舗。また同じく予約台帳サービスを手がけるVESPER(2014年2月創業。代表の谷口優氏はクーポンサイト「Piku」の立ち上げメンバーだった)の「TableSolution」が2月時点で1200店舗という報道もある。

今回の機能追加で、増加するインバウンド需要に対応していく。同社の顧客店舗の中には、すでに予約の半数が海外旅行者というケースもあるそうで、もともとニーズが高かった機能だという。エビソルでは2020年までに5万店舗の導入を目指すのだとか。

サービスを手がけるエビソルは2011年の設立。これまでに個人投資家および事業会社から資金を調達している。詳細については非公開だったが、金額は1億円以上になるのだそう。代表取締役の田中宏彰氏はインテリジェンスの元執行役員。同社にて2000年に三井物産とのジョイントベンチャーで、アルバイト採用メディア「OPPO」(その後インテリジェンスとサービス統合。さらに学生援護会も買収により統合した)を立ち上げるなど、人材関連の新規事業を手がけてきた。

「飲食店はメディアで集客して、店舗に送客する。そのハブになるようなサービスがなかった。そのため店舗のお客が新規なのか既存なのか、そもそもどんな客なのかといった情報をほとんど取れないでいた」と田中氏は当時を振り返って語る。顧客の属性を知り、効果的な集客支援を行う方法を模索する中で、予約台帳サービスを提供するに至ったのだそう。

ただし、2012年にリリースしたウェブ版のサービス自体は「顧客のニーズを満たせず、鳴かず飛ばずだった」(田中氏)のだそう。そこで気付いたのは、飲食店のニーズは顧客単価や立地、規模などでニーズが違うということ。そのため要望にあわせて提供する機能をカスタマイズする、さらにiPadアプリで提供して飲食店で手軽に利用できるようにするといったことを行い、現在に至る。

「世界の農業変える」日本発のガジェットSenSproutがIndiegogoに登場

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今年のSXSWで注目を集めた、日本発の農業ガジェット「SenSprout」がIndiegogoでキャンペーンを開始した。

SenSproutは、センサーを使って土壌に含まれる水分をモニタリングできるガジェット。双葉の形を模していて、根っこに当たる部分には導電性のインクで電子回路を印字。これが土の中に含まれる静電容量を測定する。この数値の変化によって、土壌の水分がわかる仕組みだ。葉っぱにあたる部分にも同様の印字があり、葉に含まれる水分を検知する。

電子回路の印字には、昨年のTechCrunch Tokyoのスタートアップバトルで優勝した「AgIC」のプリント技術を採用。家庭用のインクジェットプリンターに、市販されているAgICの銀ナノ粒子インクカートリッジを装着するだけで、専用紙に電子回路を印字できる。(Indiegogoでは印字済みのセンサーがセットになっている)。

もう片方の葉っぱには、土壌と葉っぱに含まれる水分量を表すLEDライトを搭載。水分が足りなければ赤、ちょうどよければ青、多すぎる場合は緑に点灯する。給電は単3電池が1本のみで、約1年使えるという。今後は水分量をBluetooth経由で送信し、PCやスマートフォンでも水分量を確認できるようにするそうだ。

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土壌の水分を計測するセンサーは既存製品も存在するが、開発元であるSenSproutの三根一仁社長は、「センサーだけで約40〜50万円、大規模な農地に導入するとなると1000万円ぐらいかかることが珍しくない」と指摘する。

一方、SenSproutは印刷技術を使って電子回路を作れるため、価格は早割で1ロットあたり45ドルと、低コストで製作できるメリットがあるのだという。

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三根氏はスタートアップ支援を手がけるインスプラウトの社長でもあり、SenSproutには彼とともにネット家電ベンチャーのCerevoを立ち上げたメンバーが名を連ねる。

例えば、東京大学で特任研究員として農業を研究する西岡一洋氏、同じく東大で電子情報学を教える川原圭博准教授。両名が土壌の水分計測に関する基礎技術を研究していて、これをSenSprout社で製品化したかたちだ。

国内のクラウドファンディングではなくIndiegogoに出した理由は、「干ばつ被害が深刻な米国西海岸など、海外需要の高さを見込んだため」と三根氏。主な用途は家庭菜園やハウス栽培を想定しているが、今後は根が深い農作物が植えられた土壌の水分をモニタリングする“プロ仕様”のSenSproutも投入したいという。

「世界の生活用水の7割は農業に使われている。例えば食糧危機になって今よりも2倍の農作物が必要になったとしても、それをまかなえる水がない状況。SenSproutがあれば水の使用をもっと効率化でき、世界の農業を変える可能性がある。」

SenSproutの三根一仁社長

SenSproutの三根一仁社長

テレビで見た芸能人の衣装が買える、ファッションメディア「アイマニ」が資金調達

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テレビで見た芸能人の衣装が買えるファッションメディア「imanee(アイマニ)」を運営するニューワールドが12日、サイバーエージェント・ベンチャーズ(CAV)を引受先として、1000万円の資金調達を実施したことを明かした。

アイマニは芸能人や番組名、ブランド名、アイテム名で気になるアイテムを検索し、提携先のECサイトで購入できるメディア。例えば、石原さとみがドラマで着てるワンピースが欲しい。そんなときにアイマニで検索すれば、その場で即買えるというわけだ。

衣装情報は、提携する30社以上のアパレル企業からオンエア前に入手し、オンエア後にいち早く掲載。提携先以外のアパレル企業の衣装については、番組のエンドロールに一瞬だけ流れる衣装協力をもとに、人力で探しているのだとか。

ニューワールドの井手康博社長

ニューワールドの井手康博社長

ニューワールドは2013年11月、アイマニの前身となる「ガイダー」を公開。同社の井手康博社長によれば、その頃は録画したテレビのエンドロールを一時停止し、ネットで衣装を検索していたという。現在は2300点の衣装情報を掲載し、そのうち8割は、アパレル企業から事前提供してもらっている。

アイマニのアプリをリリースした2014年11月時点での月間PVは4万、ユーザー数は7万超。今年3月にはPC版をリリースした。今回調達した資金ではユーザーのヒアリングを繰り返し、グロースハックを強化するほか、マーケティングにも注力していく。

レイ・フロンティアがICJとアドウェイズから資金調達、ライフログアプリの開発を強化

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レイ・フロンティアは5月8日、ICJ1号ファンド投資事業有限責任組合およびアドウェイズを引受先とした第三者割当増資を実施した。金額および出資比率は非公開だが数千万円程度とみられる。ちなみにICJ1号ファンド投資事業有限責任組合はインキュベイトファンドの子ファンドの1つで、通常は1000万円〜3000万円程度の出資を行っている。

レイ・フロンティアは2008年の設立。当初はAR(拡張現実)関連アプリの自社サービスおよび受託開発を手がけていたが、その過程で培った位置情報やセンサー技術をもとにライフログ管理アプリ「SilentLog(サイレントログ)」を提供している。

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このアプリはバックグラウンドで立ち上げているだけで、1日の活動(どこかに滞在している、徒歩で移動している、交通機関で移動しているといったこと)を記録。同日に撮影した写真とともに日常を振り返ることができるというもの。

ユーザー数は現在4万ダウンロード。Apple Watchにも対応しており、同製品のリリース後はダウンロード数も増加傾向にあるそうだ。ちなみにユーザーの約半数は40歳以上というシニア層にリーチしたアプリとなっている。

同社では今回調達した資金をもとに、Apple Watch対応を含めたアプリケーションの開発・運営体制を強化する。「ライフログ関連のアプリは、『どんな情報を見せるか』という点にフォーカスしているところがあるが、どんな情報を取れるか、そして取った情報をもとにユーザーに対して何を提供できるかが重要。そういったユーザーのインセンティブまで考えていきたい」(レイ・フロンティア代表取締役 CEOの田村建士氏)

引受先にアドウェイズの名前があるが、同社とは行動情報の機械学習アルゴリズム開発強化で支援を仰ぐほか、将来的にはライフログをもとにした広告商品の共同開発も視野に入れているという。ただし、「データはセンシティブなもので、慎重に検討していく」(田村氏)とのこと。

学習管理サービス「studyplus」運営のスタディプラス、フェムトおよび朝日新聞社から1.85億円の資金調達

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学習管理サービス「studyplus」を手がけるスタディプラスは5月8日、フェムトグロースキャピタル投資事業有限責任組合および朝日新聞社を割当先とした合計1億8500万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。

同社が提供するstudyplusは、学習の習慣化を支援するサービス。学習記録をつけたり、同じ進路を希望する学習仲間とコミュニケーションをとったりできる。APIも外部公開しており、旺文社などが提供する20の学習アプリと連携もしている。

ユーザーは2015年5月時点で110万人。高校生の良く使う勉強系アプリのナンバーワンにも輝いたという(リクルート進学総研の「高校生価値意識調査2014」調べ)

今回の調達では、エンジニアを中心とした人材採用を強化する。グリーでドリランドや釣りスタなどのゲームを担当したエンジニアの斉藤秀治氏もCTOとして参画する。

サービスは2013年3月から提供しているが、現在は単月黒字を達成する月も出ているという。同社は東京・渋谷にて自習室を運営しているが、入会制限をする状況。加えて広告販売も本格化。「大学受験生や勉強という文脈で広告訴求できるような媒体は少ないので、大学からの生徒募集などの需要はある。入試広報に関する広告は440億円規模の市場。ここからその市場を取っていく」(スタディプラス代表取締役の廣瀬高志氏)

TechCrunch Disrupt NY 2015の勝者は…浄水システム「Liquidity」に決定

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今年のDisrupt NYスタートアップ・バトルフィールドはすばらしかった。はじめに24の優れた会社が複数グループの業界リーダーたちから成る審査員の前でプレゼンを行う。参加したスタートアップは賞金5万ドルと誰もが欲しがるDisruptカップを目指して争った。

数時間にわたる慎重な審査の後、TechCrunch編集部が審査員のメモを塾読し、リストを以下のファイナリスト7組に絞った:生命細胞3Dプリンター、BioBots、魔法のようなハードウェアアクセラレーション技術、BitFusion.io、高度なセキュリティーを持つ認証ソリューション、Cloudwear、カスタマーサービス向け人工知能、DigitalGenius、浄水フィルター、Liquidity、バッテリー技術、Nucleus Scientificおよびウェブサイト作成サービス、PageCloud

7社は以下の本誌ファイナルジャッジの前でデモを行った:John Borthwick (Betaworks), Dennis Crowley (Foursquare), Eric Hippeau (Lerer Hippeau Ventures), Alfred Lin (Sequoia Capital), Rich Miner (Google Ventures), Brian Pokorny (SV Angel) and Alexia Tsotsis (TechCrunch)。

Disrupt SFスタートアップ・バトルフィールドの参加申し込みは6月中に開始される。質問はメールでSamantha O’Keefeまで:(sam@techcrunch.com)。

そして、TechCrunch Disrupt NY 2015バトルフィールドの勝者は・・・

優勝:Liquidity

Liquidityは水を浄化するシステム。このボトルは非常に精巧な密度のメッシュ状繊維を使用している。バクテリアは捕獲されるが水は通過する。フィルターの2~3ヵ月に1度交換すればよい。同社はこのフィルターを他の製品向けにライセンス供与する計画だ。低価格で実用的で効率が良い。これは15年間にわたる特許取得済みの大学における研究成果でもある。受賞に値する内容だ。

Liquidityの詳細は本誌の別稿を参照されたい。

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次点:DigitalGenius

DigitalGeniusはカスタマーサービスのための人工知能。例えば、テキストメッセージを使って何かを購入することができ、本物の人間と会話しているように感じる。他にも、サポートの自動化、塔乗の自動化、機械対機械コミュニケーション、店内体験のカスタマイズ等様々な応用が考えられる。舞台裏で動いている質問分類モジュールが実にすばらしく、時間と共に確実に賢くなっていく。

DigitalGeniusの詳細は本誌の別稿を参照されたい。

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[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ビッグデータ対応を軸にITとデータセンターの運用/管理環境を一新するRocanaが$15Mを調達

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Rocana(元ScalingData)が、Google Venturesがリードし、General Catalyst PartnersとToba CapitalおよびPaul Sagan(元Akamaiの会長で現在はGeneral Catalystの常勤役員)が参加したシリーズBのラウンドで、1500万ドルを調達したことを発表した。

これで、同社の総調達額は1940万ドルになる。

Rocanaは大型データセンターの問題発見と修復を単純化し迅速化する。各企業のサービスのモバイル化とクラウド化の進展により、それら混成環境における問題発見がますます難しくなっている、とRocanaの協同ファウンダでCEOのOmer Trajmanは説明する。

Rocanaが得意とするのは、問題が起きたときにシステムをずっと低レベルまで下(お)りていって調べる”root cause analysis”(根本原因の分析)と呼ばれる手法だ。

企業はそれまで、理解も制御も容易な、比較的シンプルなシステムを利用していたが、しかし今日では、OpenStack、Hadoop、Dockerなどなど、多様な技術を使いこなさなければならない。これらのツールは一部の困難な問題を解決してくれるが、同時にユーザのシステムの複雑さを増大させる。

General CatalystのパートナーDonald FischerはRocanaに惹かれた理由を、企業ITのこのような環境変化に取り組むための新しい方式を開拓しているからだ、と言う。“私の眼下に広がる視野の中では、いろんなものが複雑性を増し、とくにデータセンターでデプロイされるものが、(単一ベンダのストレートなソリューションではなく)ますます異種混成的になりつつある”、と彼は述べた。

しかも彼の耳に入ってくるのは、シンプルなデータセンターのために設計された従来型のツールが、時代遅れで使い物にならない、という声だ。“ITの運用をを管理するためのツールを見渡すと、どれも老馬だ。IBMやHP、BMCなどのツールさ。どれも、DockerやOpenStack、Mesosphereなど以前の製品だ。それらのツールが、もはや役に立たない、という声が沸き起こっている”、と彼は語る。

そこで、Rocanaのようなスタートアップに機会が開ける。ファウンダたちは、データセンターの問題の根幹にあるのがビッグデータの問題だ、と見ている。日に日に複雑性を増しているシステムの、いろんなところから、雑多な、統一性のないデータが大量に入ってくる。それらに対応するためにRocanaは、Hadoopと、その関連技術Apache Spark(分散クラスタ、インメモリ処理)とApache Solr(検索エンジン)を選んだ。

アプリケーションのパフォーマンス管理というとNew RelicやAppDyamicsなどのサービスがすでにあるが、Trajmanによると、彼らはどちらかというとRocanaがやってることを補完するものだ。

“New Relicはアプリケーションのレベルでパフォーマンスやその問題を理解させるが、うちのようにインフラまで下(お)りて行くと、まったく違う光景が見えるのだ”。

つまり彼によるとNew Relicは、アプリケーションのどこで何がおかしくなっているか、を教えてくれるが、Rocanaはインフラストラクチャのレベルでユーザが問題を詳細に理解し、それらを修復する方法を提供する。

ITの運用スタッフに詳細なインフラストラクチャとソフトウェアの分析を提供する、という点ではむしろ、DataDogがコンペティタかもしれない。

いずれにしても、市場の特定の部分だけを対象に頑張っているスタートアップは、それほど多くはない。Rocanaは、20名の社員がボストンとサンフランシスコにいる。Trajmanは、今回得られた資金で社員数を2〜3倍に増やしたい、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Evernote、新料金体系をスタート。低価格の中間プランを導入、プレミアムは値上げ

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昨年の約束通り、Evernoteは今日(米国時間4/29)新たな料金体系を導入し、同サービスの無料プランとプレミアムプランの中間に位置するユーザーが購入しやすいプランを追加した。従来のプレミアムプランは5ドル/月から5.99ドル/月に値上げされる。

新たなプランは、Basic、Evernote Plus、およびEvernote Premiumの3階層からなり、オフラインアクセス機能、最大ノートサイズ、月間アップロード容量、コラボレーション機能等のサポートレベルが異なっている。

Evernote CEO Phil Libinは昨年11月にダブリンで行われたWeb Summitで、Evernoteサービスの有償プランを月額5ドルとした決定は一種の「思いつき」であり、会社は数年前からこの価格設定が誤りであったことに気付いていたと語った。彼は2015年早くに新料金体系を開始するつもりだと話していた。

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無料のEvernoteサービスはBasicプランとして引き続き提供され、複数デバイスでEvernote利用、月間60MBまでのアップロードをサポートする。このプランでは個々のノートのサイズは最大25MB。

新たな中間クラス、Evernote Plusは月額2.99ドルまたは年間24.99ドルで、追加ストレージと拡張機能を必要とするアクティブユーザーのためにデザインされている。Plusユーザーは月間1GBまでアップロード可能で、オフラインアクセス、Evernoteへのメールの保存(最大250通)およびモバイルアプリのパスワード保護を利用できる。このプランではノートサイズは最大50MBへと拡大される。

一方、やや高額となったPremiumプラン(5.99ドル/月または49.99ドル/年)では、Evernoteの全機能が解放され、月間アップロードは無制限、Plusの全機能に加えてノートのプレゼンへの変換、Office文書や添付ファイルの検索、Evernoteファイルのシェアと協業、添付PDFファイルへの注釈、名刺のスキャンと文字認識等数多くの機能が利用できる。このプランではノートの最大サイズは200MB。

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Evernoteは、使用頻度の高い機能 ― 例えば名刺スキャン ― を値上げしたPremiumサービスに移すことによって、機能を強化や拡張することなく既存の有償ユーザーからの収益を増やすことができる。しかし、現在月額5ドルのユーザーのうち2.99ドルで十分だと考える人々を失うことになる。もちろんその反対に、5ドルではなく月額2.99ドルで制限が減るならと無料プランから変更するユーザーもいる。

上記の料金プランは米国向けであり、Evernoteは現在サポートしている国々ではそれぞれ料金を最適化していると言った。現在Evernoteは20以上の言語をサポートしており、ユーザーの70%が中国を含むアジア圏から来ているほか、ブラジル、メキシコ、トルコにもユーザーがいる。国によって低料金で提供されている場合もあり、これはEvernoteがそれぞれの国で同製品を「手の届く」値段にしたいからだ。

現在の有償ユーザーについては一年間現行料金が継続する。しかし2016年4月29日以降の更新からは新料金が適用される。

Evernoteは企業向けのBusinessプランも提供を続け、これはIT部門向け管理ツールや、シングルサインオンのサポート、Salesforce統合等を含んでいる。このプランの料金は変更されない(一座席当たり12ドル以下、組織の大きさによる)。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

宅配クリーニングのバスケット、アパレルのクロスカンパニー子会社に—非IT企業による買収は「スタートアップの1つの道になる」

インターネットを利用した宅配クリーニングサービス「BASKET」を運営するバスケットは、4月28日付けでアパレルブランド「earth music&ecology」などを展開するクロスカンパニーの100%子会社となった。クロスカンパニーによる取得価格は非公開。バスケット代表取締役社長の松村映子氏はBASKETの事業を継続すると同時に、クロスカンパニー執行役員として、同社のECやネット関連の新規事業にも携わる。

一度目の起業は2年以上サービスを続けても鳴かず飛ばずだったという女性起業家。二度目のチャレンジでは、元オプト代表取締役CEOの海老根智仁氏、元enish代表取締役社長の杉山全功氏、DeNA共同創業者で投資家の川田尚吾氏、Genuine Startupsが支援。創業わずか1年で、年商1000億円超のアパレル会社が買収するに至った。

 14歳で起業を決意、最初の起業で苦い経験

BASKETはネットを利用した宅配クリーニングサービスを展開。ネットで注文をして宅配業者が専用のボックスで衣類を引き取り。提携する工場でクリーニングを行い、最短5日でユーザーの元に届ける仕組み。料金はワイシャツで240円から。競合にはYJキャピタルやジャフコが出資するホワイトプラスの「リネット」などがある。

サービスを提供するバスケットの創業は2014年4月。それだけ見ればわずか1年だが、現在32歳の松村氏にとってこれは二度目の起業となる。BASKETはメディア等に露出せず事業を続けていたこともあって、僕も聞いてはいたもののサービスを紹介したことはなく、いきなり買収に関する取材をすることになるというちょっと珍しいパターンだった。

「中学生の頃から友人に頼まれたりして、服を自分でアレンジしたり、作ったりして売っていた」という松村氏。中高生のお小遣い稼ぎにこそなれど、当時はすべての作業を自分で行っていたためその規模は小さい。ものづくりはやはり組織で行わないといけない、と14歳で起業を決意したのだそう。

そして大学で情報工学を学び(そこでTaskRabbit風のクラウドソーシングサービスを立ち上げたがうまくいかなかったそう)、一部上場のコンサルティング会社に入社。IT関連企業のコンサルを4年ほど経験した上で退社。インキュベーションプログラム(松村氏は明言しなかったが、デジタルガレージグループのOpen Network Labだ)に参加したのち、2011年5月に元同僚など4人で女性向けサブスクリプションコマース(定期購入)を展開するスタートアップを立ち上げた。

当時は雨後の竹の子のごとくサブスクリプションコマースが登場し、消えていったのだけれども、松村氏の会社もその1つ。冒頭でも触れたとおり鳴かず飛ばずで「全然うまくいかなかった」(松村氏)のだそう。

「サブスクリプションコマースの仕組みは、事業者がテーマに合った商品をキュレーションし、それを仕入れて送るというもの。だが知名度のないスタートアップでは仕入れにも苦戦した。そうなると結局、仕入れ元にもユーザーにもバリューを提供できるような仕組みを作ることができなかった。同時に私もCTOも開発ができるのだが、そのせいで『作ること』に専念しすぎて、苦手だったことに手が回っていなかった」(松村氏)。3年目には事業は休止状態となりコンサルティングや受託で収益をあげていたが、その会社をいったんクローズ。CTOと2人でバスケットを設立するに至った。

ネットとリアルの融合に期待—著名起業家らが支援

最初にバスケットの創業時に出資したのは、前回の起業でも資金を提供していたGenuine Capital(当時はMOVIDA JAPANのインキュベーション・シード投資部門だった。その後投資部門が独立したかたちになっている)と川田氏。Genuine Capitalの伊藤健吾氏は「MOVIDAの頃からシード投資をしてきたが、数を打って起業家をあおるだけでなく、失敗しても二度目のチャレンジをするのであればその支援をしたいと思っていた。バスケットはその1社だった」と語る。

前回の起業でも投資を検討したという川田氏は、「(ネットで完結するのではなく)リアルに寄ったサービスが伸びると考えていた。そして大きな会社がそのポータルになりたがっている状況。ITが分かるチームが生活関連向けのサービスを手がけるのであれば、いいモノが作れるのではないかと思った」とした。2人の投資から数カ月して杉山氏、海老根氏からも資金を調達をした(金額に関しては非公開だが、「2人のチームで1年ほど事業を回せる程度」(伊藤氏)とのこと)。

杉山氏もザッパラス、enishの前にはリアルビジネスも経験しており「ネットとリアルの融合というのは絶対出てくると思っていたがそこで求められるのは泥臭さ。それをやってのけるチームだと思った」と語る。実際提携するクリーニング工場は電話で問い合わせたり、ネットに情報がないので松村氏が直接出向いたりして口説いていったのだそう。

クロスカンパニーでは、今年度からアパレルに加えてインターネット・ライフスタイル事業へ参入し、生活周辺サービスのプラットフォームを作るとしている。BASKETもそのプラットフォームの一翼を担うことになると同時に、クリーニングにとどまらないビジネスを展開するとしている。

非IT企業の買収は「スタートアップの1つの道」

今後も継続して事業に携わるだけでなく、クロスカンパニーグループのIT部門を統括する立場になるという松村氏。子会社化という選択肢について、次のように語った。

「黒字化はまだこれからだったが、ユーザー数やリピート数は伸びているし、起業経験もある投資家陣にはいつも学ばせてもらっている。正直言うとこのままでも伸ばせた自信はある。でも二度目の起業、それも1年でお声がけ頂いたというのは、スタートアップとしては1つの道になると思う。今後はITではない会社がITスタートアップを買収することもあると思う」(松村氏)

ビジネスチャットシステムを手がけるChatWork、GMO-VPから3億円の資金調達

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国産のクラウド型チャットシステム「ChatWork」を提供するChatWorkが資金調達を実施した。同社は4月27日、GMO VenturePartnersを引受先とした総額3億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回の調達をもとにエンジニアの採用や新機能開発、プロモーション、アライアンスパートナーの開拓を進める。

ChatWorkは2000年の設立(当時の社名はEC Studio)。これまで一貫して自己資金でサービスを運営し、14年間黒字での経営を行ってきたという。なおプロダクトとしてのChatWorkは2011年3月のリリース。キャッチコピーは「メールの時代は終わりました」というなかなか過激なモノだった。すでに米国にも進出し、子会社ChatWork Incをシリコンバレー置いている。今後は日米あわせて積極的な採用を実施する予定。国内については、現在35人の社員数を2〜3年で100人以上まで拡大するとしている。

ChatWorkは現在、中小企業や大企業、教育機関、官公庁など約6万6000社、世界183カ国で利用されている。とはいえクラウド型のチャットシステムは競合も多い領域。スタートアップだけ見ても海外のSlackHipChat、国内のTalknoteco-meetingなどがある状況だ。

Wantedlyの連絡帳ツール「Sync」は広く浅い人脈を持つウェブ業界人がターゲット

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イベントでいろんな人と会ってFacebookでつながったものの、いざ連絡しようとしても名前が出てこない……。ウェブ業界で数多くのイベントに参加してる人なら、こうした経験は1度や2度はありそう。そんな人を対象にしたビジネス連絡先管理ツールが「Sync」だ。ウォンテッドリーが本日リリースした。

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名前が思い出せなくても会社名で探せる

サイト上で名前や会社名を入力すると、ソーシャルリクルーティングサービス「Wantedly」に登録している60万ユーザーを検索できる。それ以外の人は手入力で連絡先に追加する。

便利なのは、会社名で人を探せること。Facebookは会社名で友人を検索できないが、Syncは「社名は思い出せるのに名前が出てこない」人でも見つけられるわけだ。

たとえFacebookでつながってなくても、会社名さえ一致すれば、Wantedlyに登録済みの全社員が検索結果に出てくる。さらに言うと、過去の経歴でその会社名を登録している人さえも探すことができる。こうした仕組みは名刺管理サービス「Eight」とも似ている。

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検索でヒットした人には、自分だけに公開されるメモを入力できる。例えば「○○のイベントで会った」と入力しておけば、イベント名でも探せるので、かすかな記憶をもとに思い出せそう。コンタクトを取りたい人に対しては、SyncやFacebookメッセンジャーでやりとりできる。

利用するには、Wantedlyの会員登録が必要となる。

「ウェブ業界でつながりたい人はほとんど見つかる」

Wantedlyは昨年5月、iPhoneに登録した連絡先を「仕事」「友人」「家族」などとグループ分けでして管理できるiPhoneアプリ「CONTACT」をリリースしている。このアプリもSyncと同様、Wantedlyに登録している会社名から連絡先を探せるのだが、ウォンテッドリーの仲暁子社長は「ターゲットが大きく違う」と話す。

彼女によれば、CONTACTは「比較的ITリテラシーが低いユーザー」が対象という。「新しいつながりがたくさんできるわけではないですが、ガラケー時代から連絡先を管理するのが好きで、それをスマホになった今でもやっている、というようなペルソナです」。

一方、Syncは「Facebook上で薄いビジネスのつながりが増えたウェブ業界の人」がターゲットだ。「Wantedlyはウェブ業界を中心に月間60万人が利用しているので、つながりたい相手はほとんど見つかります。名前を検索してタグ付けし、記憶の引き出しにしまう。そんな新しいつながり管理を提案したいです」。

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家庭や職場でも正確な視力測定を行えるようにするBlink

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視力の悪い人はきっと同意してくれるだろうと思う。自分の視力にぴったりのコンタクトレンズや眼鏡を手に入れると、「はっきり見える」世界の素晴らしさに感動してしまう。ただし、「はっきり見える」視力を手に入れるための視力検査は、時間もかかるし面倒なものだ。さらに、検眼医は眼に異常がないかを確認するために、1時間ほどもかけて決まりきった検査をひと通り行うことになってもいる。こうした検査は、実際のところかなり面倒なものだ。

そうした状況をなんとかしようと、MIT Media Labから登場してきたのがBlinkだ。

最初の頃は、適した眼鏡を選ぶための、3Dプリントで製作したスマートフォン用アドオンを扱っていた。しかしそこから発展を続け、本格的な視力検査のフルセットをオンデマンドで提供できるようになった。

スマートフォン用アプリケーションとさまざまな器具(小さなスーツケースにおさまってしまうコンパクトさだ)を使って、Blinkは家庭でも本格的視力検査を行えるようにしている。ファウンダーによれば、Blinkは検眼医の部屋にある2万ドルほどもする器具を持ち運び可能にしたものであるとのこと。

Blinkでの検査を申し込むと、検査担当者(Blinkでは「visioneer」と呼んでいる)が希望者の元を訪問する。そして視力検査表などを準備し、通院状況やメガネやコンタクトレンズの利用状況、さらには眼病の経験があるかどうかなどの問診を行う。そしていよいよ実際の視力検査を始め、データは検査担当者のもつタブレットに入力される。

視力測定用のデバイスはNetraと名付けられており、動作はすべて機械式となっている。ここにスマートフォンをはめ込んで、スマートフォンのレンズとコンピューティング能力を利用して検査を行うわけだ。測定装置の外観はあるでSamsung Gear VRのようだ。しかしバーチャルな世界でのゲーム環境を提供するのではなく、視力検査マシンとして機能する。Netraを使ったテストと、視力検査表の可読状況などを総合してカルテが作成される。

視力の確認ができると、その視力に応じたレンズを体感できるNetropterという装置を試すことになる。これはフォロプター(ターレット式検眼器)を小型化したものだ。眼科医でフォロプターやさまざまな検眼器を使うよりも簡単に矯正成果を確認することができる。

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尚、Blinkは検眼医を代替するものではない。眼鏡購入のための処方箋に必要な情報を得るという目的のために考案されたものだ。

「行うのは視力検査であり、眼科検診を行うものではありません」と、Blink側も強調している。

テストで得た情報は、提携している検眼医に送られる。ここで10分程度の時間でデータをチェックして、そして処方箋が用意されるという仕組みだ。処方箋はメールで送られ、この情報に基づいて眼鏡を購入することができる。コンタクトレンズへの対応も準備中であるとのこと。

テストには75ドルかかるが、家族や職場仲間と一緒に受ける場合には割引料金も用意されている。

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(翻訳:Maeda, H

VOYAGE GROUPが専業SSP「Kauli」を14.8億円で子会社化

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VOYAGE GROUPは22日、媒体社の広告収益最大化を支援するSSP事業を手がけるKauliの全株式を取得し、14億8100万円で子会社化することを明らかにした。両社のSSPとしての年間配信インプレッション(imp)数を合計すると月間400億impとなり、日本最大級の規模となるという。

Kauliは2009年2月に創業。翌2010年9月、日本初となるSSP「Kauli」をスタートした。VOYAGE GROUPによれば、Kauliの月間imp数は約150億に上る。2015年1月期の売上高は6億6900万円、営業利益は6300万円。

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VOYAGE GROUPは2010年にSSP「Fluct」を開始。現在は6500以上の媒体が導入し、月間imp数は250億。両社を合計すると400億impを超えるという。Kauliを子会社化した理由については、以下の3つの狙いがあると説明する。

1)SSPとしての配信imp数の拡大
2)Fluctの広告配信アルゴリズムの見直しによる配信単価の向上
3)Kauliの媒体社への配信単価の向上

1)については前述のとおりだが、2)に関してはデータマイニングに強みを持つKauliのノウハウを生かすようだ。3)としては、媒体特性に合わせたサイトの改善提案に強みを持つVOYAGE GROUPのノウハウをKauliに還元するそうだ。「国内SSP市場における売上シェアで圧倒的ナンバーワンを目指す」(VOYAGE GROUP)。