2日で約3000語を暗記、スマフォ世代の英単語学習アプリ「mikan」はTinderライク

「2日で3800単語」とか、「2週間で8000単語」とか、いままでちょっと聞いたことがないスピード感で英単語が学習できるとするアプリ「mikan」は、これまでの単語学習アプリと毛色がだいぶ違う。6月に株式会社mikanを創業した宇佐美峻さんは、「圧倒的にいちばん速く覚えられるアプリ」を目指していて、すでに実績も出始めているという。

mikanでは左右にスワイプすることで次々とカードをめくっていくようなUIを採用している。これは、去年あたりからアメリカの若者の間で流行している出会いアプリの「Tinder」が生み出し、多くのアプリが採用しているスマフォ・ネイティブといっていいUIだ。デート候補として表示される相手を「いやー、ないわー」「会ってみたい!」に直感的に分けていくTinderに対して、「これは色がイマイチ」「このパンツいいね!」というようにファッションアイテムの好き嫌いをユーザーごとに学習するファッションアイテムのキュレーションのようなサービスでの応用がある

mikanの場合、次々に表示されるカード上の単語について、「意味が分かる」(右)、「分からない」(左)とスワイプしていくのだが、Tinder同様に、片手で手軽に、そして高速にカードがめくれるのが特徴だ。

mikanでは10単語を1セットにして、次々とスワイプする。右へスワイプした既知の英単語は消え、左へスワイプした未知の英単語は残って再び画面に現れる。10単語で1周したときに、未知語が6つあれば、2周目には6単語が表示される。2周目に覚えた単語は3周目に出てこない。というように、ただ「知ってる、知らない、知らない、知ってる。あ、さっき覚えた。さっき見たけど、やっぱりまた意味が分からない……」などと左右にスワイプしているだけで、10→6→3→1→0というように、覚えていない単語だけを高速に繰り返して復習していける。10単語1セットとして、慣れると1セットを1分程度で消化できるという。以下がデモ動画だ。

10単語が1分だとすると、3800単語なら、どのぐらいか? 答えは2日だそうだ。試験的に3800単語を2日間で覚えるというこを7人にやってもらい、2日目の最後に400単語のテストをしたところ、平均定着率は82.4%だったという。記憶というのは時間とともに薄れるので、集中的に暗記をした直後のテストの定着率をもって3000語を「マスターした」ということはできないだろうが、従来の学習法から考えると驚くようなパフォーマンスだ。単調な暗記作業とは異なる、ちょっとしたゲーム感覚で細切れ時間が活用できるのは面白い。

英語学習合宿が話題になったことがキッカケ

mikanを創業した宇佐美さんは東京大学で機械情報工学を専攻する4年生。そろそろ周囲が就職活動を始めていたとき、「このまま行くとオレも就職しちゃうという危機感」から休学を決意。いまはmikanの実証データを集めるために47都道府県を回る全国行脚の準備中だ。各都道府県で、英語学習に取り組む学生を中心に、テスト利用者を20人ほど集めて合宿形式で「1日で1000単語を覚える」というのにユーザビリティーテストを兼ねて取り組む。もし成果がでれば、この初期ユーザーがmikanのエバンジェリストになってくれるという読みもある。

宇佐美さんは、別に英語アプリで起業しようなどと思っていたのではなく、「英語を教えていたら、お金になり始めた」ことが起業のキッカケだったと話す。

もともと起業には強い関心があり、クラウドソーシングの「クラウドワークス」やアクセラレーターの「MOVIDA」でインターンを経験していて、最初からシリコンバレーを目指していたという。「スタンフォードの大学院に行きたい」ということから、まずはTOEFLに申し込んだ。ところが、試験日当日まで一切勉強せず、「申し込んだら勉強すると思ったんですけどね、4万円が無駄になりました」と笑う。そこでまず、英語の勉強をするしかない時間と場所を決めてやろうと、今年3月に2週間の合宿を実施した。友人らに声をかけると、結構みんなが来てくれた。

その合宿の様子をブログやFacebookでシェアしているうちに、学生以外の社会人からも「行きたい」と連絡が来るなど、問い合わせが10件、20件と増え、話題になりはじめたという。5月に実施したTOEFL合宿には約60人が参加するまでになった。

合宿ビジネスでは労働集約型のマンパワーがモノを言う世界になる。そうではなく「アプリとかWebサービスとか、スケールするもので実施できないか」と考えて、5月にMacを買い、iPhoneアプリを作り始めたという。

アプリのアイデアは、自身が行ったExcelを使った英単語学習法が元になっている。まず日本語と英語が対になったものをExcelに1万語分、打ち込んだリストを作る。学習済みの単語については、このExcelの表の右側に「1」を付けていって、これを並べ替え。覚えていない単語だけをプリントアウトして覚える。次に「2」を付けてプリントアウト……、というのを繰り返した。

宇佐美さんは「数が少なくなっていく喜びを感じたんですよ。それで、これをアプリにしたらいいんじゃないかと思いつきました」という。この話を聞いたぼくは、正直それは意識の高い東大生ならではなのじゃないかと問い返してしまった。1万語を用意するのも、自分で進捗管理するのも、ちょっと並じゃない。

ただ、宇佐美さんは、これまでにmikanアプリを試していて面白いパラドックスに気付いたという。自分で工夫する人は、かえって成績が悪かったのだという。愚直に右へ左へとスワイプしまくった人のほうが成績が良く、逆に自分で工夫してプラスアルファの学習をしようとした人は成績が伸びなかったのだという。つまり、愚直にやるだけで誰でもできるという可能性はある。

mikanはまだ一般公開しておらず、MVPとして宇佐美さんが実装したiOSアプリが存在するだけだ。mikanは自己資金で設立していて、チームは3人。現在は資金調達のために個人投資家を回っているが、資金目的ではなく、「内部の支援者として入って頂きたい」という。アプリの一般公開は年内を予定している。

英語学習で似た状況にある中国や韓国にも「いま直ぐにでも行きたい」(宇佐美さん)が、当初は日本に集中する。また一部、フランス語や中国語などを学習している受講者に単語帳を実験的に作ってもらうなど、多言語展開も視野には入れているという。マネタイズはフリーミアムを検討しているそうだ。


Appleが本の内容解析サービス、BookLampを極秘で買収した理由

〔アップデート〕「Appleはアイダホ州Boiseに本拠を置く本のビッグデータ解析のスタートアップ、BookLampを買収した」というTechCrunchの以下の記事に対し、Appleは「われわれはときおり小規模なテクノロジー企業を買収するが、通例、その目的や将来計画については論じないこととしている」という定形をコメント寄せ、事実上、買収を確認した。

別の情報源によると買収金額は「1000万ドル以上、1500万ドル以下」 だという。

BookLampの主要なプロダクトはBook Genomeプロジェクトで、選択、分類、検索などに役立てるため、自然言語処理テクノロジーを用いて本の内容を解析するサービスだ。BookLampのテクノロジーはAppleのiBooksサービスのユーザー体験を強化するために役立てられるのだろう。

BookLampチーム:(左から)Matt Monroe、Sidian Jones、Aaron Stanton、Dan Bowen

買収に先立ってBookLampは地元投資家から90万ドルを調達していた。BookLampはAppleの最初のアイダホ州での買収となったもようだ。一時AmazonもBookLampに関心を示し交渉を行っていたらしい。結局Amazonは別の本のディスカバリー・エンジンであるGoodReadsを買収した。

Book Genomeプロジェクトとは?

BookLampが有名になったこのプロジェクトは多数の小説の内容をスキャンし、読者が読んで好んだものに似たスタイルや内容の小説ないし著者を推薦するというものだ。このスキャンはテーマ、プロット、内容も抽出でき、推薦や検索の精度を向上させるのに役立てることができる。AppleがBookLampを買収した大きな要因はeブックの検索、推薦能力でAmazonに対抗したかったからだろう。

TechCrunchは2011年にBookLampを紹介している。当時BookLampは「われわれは本のPandoraを目指す」としていた。つまり多数の本をスキャンしてその内容を数値化し、類似性を判定して推薦に使うテクノロジーの開発だ。昨年、CEOのAaron StantonはBook Genomeプロジェクトについて、われわれは毎週4万冊から10万冊の本をスキャンしていると語った。

BookLampのテクノロジーがどう働くのか例を見てみよう。上のスクリーショットはDigital Book WorldがBookLampのテクノロジーを利用してスティーブン・キングの『呪われた町(Salme’s Lot)』の内容をビジュアル化したものだ。‘吸血鬼、超自然現象’、‘葬儀/死 ’、‘家庭、家庭環境’、‘苦痛、恐怖/ 否定的感情’などが要素として抽出されている。

下は同じくスティーブン・キングの『キャリー』の分析。

BookLampは小説の内容について、たとえば性的コンテンツの表現の程度や表現されている場所を特定するなどの解析もできる。下はDigital Book Worldが掲載したBookLampのデータによる官能小説の大ベストセラー、50 Shades Of Greyの分析だ。最初はおとなしく始まるがやがて強烈にエロティックなシーンが現れる。一番下は『愛しの伯爵と秘密のひとときを』(His Mistress By Morning)の分析で、ところどころにエロティックなシーンがあるものの全体としてはピューリタン的だ。 真ん中はペントハウス誌に寄せられた体験談という体裁の短篇集、“Letters To Penthouse XXVIII”で、まちがいなく全編ノンストップのエロだ。

読者が自分の好きな小説を選ぶとBookLampはその内容をスキャンして「本のDNA」を抽出し、それに基づいて読者が好みそうな小説を推薦する。たとえば『ダビンチ・コード』のファンには『テンプル騎士団の遺産』を推薦するという具合だ。両者は‘カトリック教会’、‘歴史/学問の世界’、‘戦略的計画’‘図書館’などの要素が共通している。

iBooksの強化に向けて

Appleが自社のeブック・プラットフォームの強化のためにBookLampを利用する方法はいくつか考えられる。

まず最初にAmazon X-Rayのような機能を提供するためにBookLampが使えるだろう。X-Rayは登場人物を始めとして特定の単語が本のどこにどれほど登場するかをグラフィックに示してくれる。これは本を詳細なカテゴリーに分類したり性的、暴力的コンテンツの有無や程度を判断したりするのに大いに役立つ。ペアレンタル・コントロールには必須の機能だ。現在AmazonはX-RayをKindleデバイスだけでなくiOSのKindleアプリにも提供している。

また「本のDNA」を抽出するテクノロジーはeブックの個人出版が盛んになった場合、市場性を判断し、適切にカテゴリー化するのに役立つだろう。

しかしもっとも有用ななのは、もちろんiBooksへの推薦機能の導入だ。

現在AppleのiBooksにはユーザー別のカスタマイズ機能があまりない。App Storeと同様のベストセラー・チャートはあるが、「これを読んだ人はこちらも読んでいます」という推薦機能はない。信頼できる推薦機能はユーザーをつなぎとめ、繰り返し購入させるのに非常に有力なツールだ。

AppleとAmazonのeブック戦争でBookLampはAppleの秘密兵器として活躍しそうだ。

この記事はDigital Book Worldの図へのクレジットを正しく入れるためにアップデートされている

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


スマートロックとクラウドソーシングが連携するとどうなる?エニタイムズとAKERUNが試験サービス


先日インキュベイトファンドとディー・エヌ・エーからの資金調達を発表した生活密着型クラウドソーシングサービス「Any+Times」運営のエニタイ ムズ。同社がスマートロックシステムの開発を手がけるAKERUN(アケルン:現在法人化準備中)と連携したサービスを9月から試験的に提供することを明らかにした。

Any+Timesは家事代行を中心としたクラウドソーシングサービス。これに、AKERUNが開発するスマートロックシステムを組み合わせることで、家事代行の際のセキュリティの向上や入退室管理、鍵共有の効率化を図るという。

AKERUNが手がけるスマートロックシステムの中核となる「鍵ロボット」は、あらかじめスマートフォンとBluetoothでペアリングしておけば、スマートフォンが扉(というかロック)に近づくだけで自動で鍵を開けることができるというもの。他者のスマートフォンへの開錠権限を付与したり、時間を設定して開錠するといった機能も備える。単三電池1本で1年間利用できるそうだ(電池の残量についてはスマートフォン経由で知らせてくれるらしい)。現時点では詳細を聞けなかったが、特許申請中の新技術でセキュリティも強化しているということだ。

この鍵ロボットを持つAny+Timesユーザーは、家事代行を依頼する際、サポーターズ(Any+Timesで家事代行を請け負うユーザー)のスマートフォンに対して開錠権限を付与できるようになる。これによって、サポーターズは直接依頼人と会う必要なく、スマートフォン1つ持って家事を代行できるようになるというわけだ。以前エニタイムズ代表取締役社長兼CEOの角田千佳氏に聞いたところ、「最近ではAirbnb向けに提供している部屋の掃除などでAny+Timesを利用するユーザーもいる」と話していたのだけれど、そんな場合でもサポーターズ向けに合い鍵を作ることは少しためらわれる。その点、この仕組みがあれば、いらぬトラブルを避けることができる。

AKERUNはハードウェアエンジニアやソフトウェアエンジニアなど9人からなるチーム。エニタイムズのウェブディレクターである小林奨氏もそのメンバーだったことから、今回の連携が実現したという。まずは数人のAny+Timesユーザーに鍵ロボットを無料貸与して、Any+Timesのスマートフォンアプリの提供に合わせて試験的にサービスを開始する。年内にも正式に鍵ロボットを販売するよう準備中とのことで、今後はクラウドファンディングなどを通じて資金を集める予定だという。価格は現時点では未定だが、2万円程度での販売を目指すそうだ。また、Any+Timesで利用する場合は割引購入できるプログラムも用意するとのこと。

これまでにも、「Kevo」や「Lockitron」(現在プレオーダーとなっている)、「Goji」といったスマートロックシステムが海外ではあったようだが、日本発のスマートロックはクラウドソーシングと連携してどのようなイノベーションを起こしてくれるのだろうか。


スマートフォンを渡して写真を見てもらうときの「心配」を軽減するOverswipe

iPhoneで撮影した、いわゆる「プライベート」な写真を隠しておくために、「シークレットフォルダ」を作るためのアプリケーションがたくさんある。便利なのかもしれないが、有効に使うためには、まず撮影した写真をきちんと管理する必要がある。アプリケーションに「シークレット」指定するための写真を読み込み、そしてオリジナルのフォトストリームから該当の写真を削除しておくなどといった手間が必要になるのだ。そうした面倒に、逆転の発想で対処しようとするのがOverswipeというアプリケーションだ。隠したいものを管理しておくのではなく、その場で相手に見せたい写真の方を選ぶようになっている。

Overswipeの共同ファウンダーであり、Hotel EngineクリエイティブディレクターでもあるJonathan Hughesは、プライベートな写真を隠そうとする仕組みを、別の方法で実現できないかと考えたのだそうだ。そして、標準アプリケーションで、見せるためのアルバムを作っておくよりも簡単に管理することのできるアプリケーションができたのだそうだ。

「私はテック寄りの人間です」と彼は言う。「しかしiPhoneで撮影した写真をフォルダ毎に分けて管理するなんてことはしていません。95%の人はそんなことをしていないはずだと断言します。カメラが身近になったことで写真を撮る機会も増えました。そうして撮影した写真をいちいち仕分け管理するなどということができるわけがありません」。

そうした人々の振る舞いを前提にOverswipeを作ったのだとのこと。「プライベート」な写真を秘密のフォルダに隠しておくのではなく、写真を人に見せるときに、その場で表示する写真を選ぶ方がはるかに簡単であると考えたわけだ。仕事仲間やクライアントには、仕事に関連した写真のみを見せようとするのが普通だ。とくに秘する「プライベート」ではなくても、週末のパーティー写真などを見せる必要はない。

「スマートフォンで写真を見せるときに、頼むからスワイプしないでくれなどという、無用な緊張をしなくて済むようにしたかったのです」とHughesは言う。「Overswipeの場合、アプリケーションを開いて、相手に見せたい写真を選びます。そして相手に見てもらうようにすれば、間違っておかしな写真を見られることもなくなります」。

難しいことなど何もない。ただ見せたい写真を選んで「Display」をタップするだけだ。すると普通にフォトストリームを表示するように、画面上に写真が表示される。

もちろん、ホーム画面に戻ってから、標準の写真アプリケーションを立ち上げようとする人の前には無力だ。見てみてくださいとスマートフォンを受け取り、見終えたら素直に返却するというケースを想定しているものだ(多少深刻なケースに対応するため、パスコードオプションも実装してはいる)。

Mike Haleyと共同で、自己資金をもちよってアプリケーションを作り上げ、4月から市場に提供し始めている。マーケティングを開始したのは6月になってからだとのこと。現在では1万2000名の利用者がいるのだとのことだ。Hughesによると、機能追加の計画もあるのだとのこと。但し現在のところは、もう少し多くの人に使ってもらうための活動を行なっているところなのだそうだ。

OverswipeはiTunesにて無料でダウンロードすることができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


ザワットのスマホ向けオークション「スマオク」が「モバオク」と連携

最近はスマートフォン向けのフリマアプリの話題が多いが、少し違うアプローチでCtoCの領域に挑戦しているのがザワットだ。同社はこれまでクラシファイドサービス「Wishscope」を提供していたが、そこでニーズの高かったファッションアイテムの売買を切り出す形で、スマートフォン向けオークションサービス「スマオク」を提供している。

スマオクは、売り手のユーザーが値付けをして出品したアイテムに対して初めての入札が入った時から24時間で落札が確定するオークションサービス。アプリのダウンロード数は10万件だそうで、先行するフリマアプリなどと比較すると1桁少ない数字だ。だが、ラグジュアリーブランドのアイテムを中心に取り扱っていることやフリマと違って値引き交渉などが発生しないこともあって、平均で出品価格より30%ほど高値で落札されているとのこと。時には10万円前後の商品も落札されるそうだ。ブランド品が中心となるので、オプションで真贋鑑定のサービスも提供している。

落札率は全体の30%程度となっており、「まだまだ商品が足りない状態」(ザワット代表の原田大作氏)とのこと。落札価格の10%が手数料となっている。7月23日には高級ブランドを取り扱うキュレーションメディア「bijoux」を立ち上げているが、こちらは将来的にメディアとオークションのサービス連携を狙っているようにも見える。

そんな同社が7月24日、ディー・エヌ・エー子会社でオークションサービス「モバオク」を展開するモバオクと提携した。今回の提携により、出品者はスマオクとモバオクの同時出品が可能になる。スマオクは前述の通りアプリダウンロード数ベースで10万人、モバオクは96万人の登録ユーザーを抱えている。相互に商品を紹介することで落札機会を増やす。なお、手数料はいずれも10%になる(通常のモバオクは手数料無料、月額300円のみかかる)。

ちなみにモバオクはスタートアップとの連携を強めているようで、直近でもチケットストリートブラケットとの連携を発表している。


FinTechスタートアップが目指すべき理想像はロンドンにあり

編集部注:この原稿は東京に拠点を置くFinTechスタートアップ、クラウドキャスト代表取締役の星川高志氏による寄稿である。クラウドキャストは2013年に弥生より出資を受け、経費精算事業を手がけている。本稿は、7月中旬にロンドンでFinTechシーンを視察した同氏による現地レポートである。

ロンドン市内のコワーキングスペース Level 39からの眺め

2014年7月上旬にロンドンへ行き、現在非常にホットな分野であるFinTechとそのスタートアップシーン を実際に見てきた。FinTechとはFinanceとTechnologyを組み合わせた造語であり、大まかに言うと金融とIT技術の融合によるイノベーション、その実現を目指すITスタートアップを指す。特に金融セクターは大企業が一種のイノベーションのジレンマを抱えており、これを突破するために外部のスタートアップと組む例が増加している。

今回は事前に駐日英国大使館や英国貿易投資総省 (UK Trade & Investment)、そしてロンドン市振興機構 (London & Partners)に協力を得ていたのもあり、各キーパーソンに会うことができた。貴重な時間やインサイトを頂いた関係者に感謝したい。

FinTechスタートアップはロンドンを目指せ

FinTechで世界を目指すならロンドンが最初の候補地となる。英国という国全体ではなく、ロンドンという元々の金融セクターがある大都市に価値がある。

日本のITスタートアップの多くは米国、特にシリコンバレーを含めた西海岸を見ていると思う。自分自身も米国企業の経験が長く、彼らのスタートアップエコシステムは非常に魅力的であるが、今から進出するようでは差別化が難しい。また、実際には細分化が進んでおり、金融セクターではシリコンバレーではなくロンドン、ニューヨークが世界的に飛び抜けている。今回はロンドンを中心に記述するが、この流れはニューヨークにもあり、数年後に東京に必ず来ると信じている。

英国政府の成長戦略TechCity構想

「FinTechはロンドンである」という背景としては、大きく次の2つがある。

  1. 既存の欧州最大金融センターとしての歴史と強さ
  2. TechCity構想によるスタートアップムーブメント

ロンドンは元々金融セクターが世界トップクラスであり、約4万社、約35万人が金融セクターに属する。この既存の金融セクターの強みとEast London地区でのスタートアップムーブメントが融合したのが、現在のFinTechシーンの背景にある。

ロンドンは2010年末に現英国キャメロン政権のもと、East London地区に米国シリコンバレーを参考にTechCity構想を打ち出した。

TechCity構想とは、税制優遇やビザの緩和も含むIT産業に特化した英国政府による積極誘致政策である。その名前から元々ロンドンにある「金融」Cityに続く、第二のCity、すなわち「テクノロジー」Cityを目指していることが読み取れる。Google、Amazonを含め世界トップクラスのIT企業がこの地に積極投資を続け、ロンドンは現在シリコンバレー、ニューヨークに次ぐ世界第3位のITクラスター (集積地区) となった。安い土地を求めEast Londonに自然に集まってきたITスタートアップとクリエイター達の動きをくみ取った成長戦略と言える。成功の秘訣は、あくまで政府は環境作りに徹していることと聞いた。英国は政策決定後の動きが大胆でスピード感があり、その後ロンドンオリンピックの後押しもあり、いわゆる「ヒト、モノ、カネ」が世界からこのクラスターに集まった。

それに加え、ロンドンには歴史・文化があり、これに数多くの大学やゲーム・モバイルコンテンツ・ファッション・音楽・アートを含めたクリエイティブ産業が今スタートアップと結びつき、結果的にロンドンはFinTechだけでなく、RetailTechやEdTech などのクラスターを形成している。ただ、すべてのセクターがロンドンに集中しているというわけではなく、セクターごとにクラスターが形成されエリアごとに細分化されている。例として放送メディアはマンチェスターのMediaCityUK に集まり、日本のNHKにあたるBBCもロンドンからマンチェスターに移転しているということが驚いた。

場としてスタートアップやクリエイティブに関わる人たちが集まることで、結果的に街が活性化するいい事例を目のあたりにした。TechCityの主要なエリアであるEast LondonのOld Street (オールドストリート)、Shoreditch (ショーデッチ) 周辺は、数年前は決して治安がよいエリアではなかった。しかし、今となってはロンドンでも感度が高い人が集まる人気スポットとなっている。

Shoreditch周辺

また、オリンピック スタジアムは実はここからさらに東に位置するStratford (ストラトフォード)地区にある。ここにもHereEast計画という新TechHubを2018年にオープン予定と聞いた。ロンドン市の担当者や複数の現地会計士と話したが、ロンドンの不動産はオリンピック以降実は下がっておらず、大規模の都市開発が今も活発である。

London & Partnersのスタートアップ支援

ロンドン市の役割の一つは、ロンドンへの企業誘致と現地企業の海外進出である。その重要な機関となるLondon & PartnersのPru Ashrey氏 (Head of Technology)と、その優秀なチームは非常にパワフルである。特にFinTech、スタートアップ企業の誘致は現在積極的であるという。Pru氏は実際にTechCityの立ち上げに関わった人物であり、彼女の豊富な人脈により普段会えないような方々を紹介していただいた。非常に感謝している。

London & Partnersのオフィス。写真左が筆者、中央がPru Ashrey氏

FinTechに強いコワーキングスペース

ロンドン市内でのコワーキングスペース、関連アクセラレーターの数はTechCityの盛り上がりを象徴しており、すでに70以上と多く今も増殖中である。実際にはEast Londonだけなく、金融街に近い Canary Wharf(カナリーワーフ)やWhite Chapel(ホワイトチャペル)にまで広がっている。特徴的なのは数が多いだけに差別化が必須となり、FinTechのようなセクター特化型も多いことである。

以下、特にFinTechに強いコワーキングスペースに実際に見学し、担当者に話を聞くことができたのでまとめておく。特徴は大手金融機関や投資家が口だけでなく本気でスタートアップ投資を実行し、世界を変えようとしていることだ。

East Londonのコワーキングスペース

Level 39
http://www.rainmakingloft.co.uk/

新しい金融街 Canary Wharfの超高層ビル39階に立地していて、TechCityを象徴するスペース。ここの豪華さには、とにかく圧倒された。ここに来る人たちは場所柄スーツ姿がほとんどで、ここではAccentureによるFinTechに特化したAccelerator Programも運営されている。

セクターとしてはFinTech、RetailTech、Future Cityに特化したコワーキングスペースだが、立地的にFinTechスタートアップが実際には多かった。お会いしたAdizah Tejani氏によるとオープン6カ月ですごい勢いで空きスペースが埋まり、現在Level 42に拡大中とのこと。ちなみに、英国では1階は0階 (グランドフロア) なのでLevel39は日本での40階にあたる。

Level 39のエントランス

Rainmaking Loft
http://www.rainmakingloft.co.uk/

タワーブリッジに近い立地のコワーキングスペースで、運営会社はロンドンだけでなくヨーロッパ全域をカバーしている。ロンドンではその立地を活かし、3カ月間のFinTech特化型のアクセラレータープログラム Startupbootcamp Fin Techを提供している。Master Card、Lloydsの大手金融やVCがスポンサーとなり、応募はアイデアだけでなく、チームとプロトタイプが必要となる。代表のNektarios Liolios氏は国際銀行間ネットワークで有名なSWIFTの開発に関わった人物で、こちらのプログラムには全世界から約400社からの応募があり、選考に通った最大10社に、約200万円の資金とメンター、オフィススペースを無償で提供するという。以下はNektarios 氏によるFinTech特化アクセラレータープログラムの説明ビデオだ。

Barclays Accelerator
http://www.barclaysaccelerator.com/

金融大手のBarclaysがスポンサーとなるFinTech特化型のアクセラレータープログラムで、世界的に有名なTechStarsが運営に関わっている。立地は少し分かりにくかったが、施設内は豪華なスペースで1階はおしゃれなカフェになっていた。実際に話を聞いたTechStarts DirectorであるJess Williamson氏は米国から移籍し、その日はちょうど最終メンターセッションが終了したとのことだが、疲れを感じさせずFinTechスタートアップへのパッションを感じた。スポンサーであるBarclaysの支援は強力だが、その縛りはないとのこと。ここも世界中のFinTechスタートアップ10社を選び、約500万円の資金とメンター、オフィススペースを無償で提供する。

Barclays Acceleratorの内装

まとめ

ロンドンはFinTech系スタートアップと非常に相性のよい大都市であり、この土地に近い将来の東京の姿を見ることができる。

大都市東京とロンドンには、世界トップレベルの金融セクター、市場と顧客、労働人口、スタートアップムーブメント、オリンピック開催などと共通な項目が多く、我々の数年先を進んでいるからだ。

しかし、英国政府やロンドン市が行ったオリンピック後の持続的成長に貢献するTechCity構想のような、大胆かつ世界トップレベルの取り組みが必要である。そして、ただ単にマネをするのではなく、我々独自の強さを活かさないといけない。我々が成功するには、国内で評論家のように何も創り出さないのではなく、実際に現地に行き自分の目で確かめ、彼らと会い意見を交わし、協力してともに世界に発信することである。


料理写真共有サービスmiil、リピーター数をもとにした飲食店ランキングを提供

5月の代表変更以降、サービスを「食を通じたコミュニケーション」のためのものと再定義した料理写真共有サービス「miil(ミイル)」。ユーザー数は33万人と決して大規模なコミュニティではないが、女性ユーザーを中心にして、月間40万枚の写真が投稿され、「食べたい!(Facebookの「いいね!」に相当)」は月間で900万件も付く。

6月に運営元のミイル代表取締役である大下徹朗氏に話を聞いたところ、今後はユーザーを拡大しつつ、有料オプション(月額300円)と食品EC支援事業、広告でのマネタイズをするとのことで、有料オプションについては機能を強化すると言っていた。その有料オプションの新機能「リピ店(リピテン)」が7月23日に発表された。iOS版のみでサービスが提供されており、Android版については8月以降の提供となる。

リピ店による「渋谷駅徒歩10分、焼肉、夜、予算指定なし」での検索結果

リピ店は、飲食店のランキング表示および検索機能だ。miilでは以前から飲食店の検索機能はあったのだけれども、それを改善して、ユーザーの写真投稿頻度をもとに「リピーター」を算出するようにしたそうだ。そのリピーターの多さをベースにして、独自の飲食店ランキングを表示、検索できるようになる。

その飲食店に一度しか訪れたことがないユーザーは、ランキングへの寄与度が低い。そのため、例え来店者が多い(=miil上で写真の共有が多い)飲食店であっても、ランキング上位には表示されにくくなる。一方で、異なる日付で同じ飲食店に複数回来店しているユーザーが多い場合はランキングの上位に表示されやすくなるのだそうだ。

常連がつくことがランキングに寄与するということで、オープンしたばかりの飲食店を発見するのにはちょっと向かない気もする。ただ、「常連さんが多い飲食店は良い飲食店」ということであれば信頼もできるし、何より飲食店選びに失敗するようなことはなさそうだ。飲食店を検索する際、食べログやRettyといったサービスを思い浮かべがちだが、匿名のユーザーによるレビュー、実名のユーザーによるレビューという基準ではなく、「常連がついているかどうか」は飲食店選びの新しい基準の1つになるのではないか。

リピ店の一部の機能(詳細な検索条件の指定など)は有料オプションでの提供になるが、8月10日までに限定して機能を無料で提供する予定。ミイルでは今後も有料オプション向けの機能を拡充するとしている。


打倒Excel!マネーフォワード「MFクラウド請求書」が郵送代行をスタート、1社100通まで無料

請求書といえばExcelなどのソフトで手入力で作成してから、印刷・捺印した上で郵送するのが一般的。これに対してマネーフォワードが5月にベータ版をリリースした「MFクラウド請求書」は、クラウド上でロゴや社印付きの請求書を管理できるサービスだ。「ライバルはExcel。もはや相手がでかすぎてよくわからない」と語る辻庸介代表取締役社長CEOだが、7月23日に請求書の郵送代行をはじめとする機能強化を実施し、Excelのリプレイスを図ろうとしている。

マネーフォワードによれば、請求書の郵送代行はユーザーから特に要望が多かった機能。MFクラウド請求書で作成した請求書の印刷から封入・発送までの業務をマネーフォワードが代行する。通常は郵送先の地域に応じて1通あたり160〜200円がかかるが、9月10日までは1事業所あたり合計100通まで無料で郵送できるキャンペーンを実施する。定期的に送付する請求書については、毎月・毎週などの繰り返し設定をすることで、請求書を自動で作成する機能も追加した。

クラウド会計ソフト「MFクラウド会計(旧マネーフォワード For BUSINESS)」と連携し、支払い期限が過ぎた未入金の請求書をメールで伝えることも可能となった。今後は、入金時に会計ソフト側で消し込み処理を行うと、請求書サービスのステータスも自動的に入金済みにするといった連携機能も図る。

クラウド型の請求書管理サービスは紙でやりとりするのに比べ、作業時間が短くなるだけでなく、紛失リスクがなくなるのもメリット。とはいえ、これまで紙ベースでやりとりしていた個人事業主や中小企業にとって、いきなり全面クラウド化に踏み切るのは商習慣的に抵抗があるかもしれない。打倒Excelを掲げるマネーフォワードとしては、将来的には紙の請求書をなくしたいというが、まだまだ紙で管理する企業が大多数であることを踏まえて郵送代行をサポートしたようだ。

MFクラウド請求書の競合としては、「MakeLeaps」「Misoca」といった既存のサービスもある。Misocaは4月以降、月額利用料を無料化(従来は980円〜)し、請求書の郵送やFAX送信に応じて課金するビジネスモデルを採用している。MFクラウド請求書はベータ版として無料提供されているが、秋ごろをメドに有料化する。料金は月額無料で郵送代が200円のトライアル版、月額500円で郵送代が180円(3通までは無料)のベーシック版などを投入するようだ。


弁護士ドットコムがオウンドメディアや検索機能を強化–今後は医療分野も視野に


2週間ほど前に、「なぜネットメディアは国会記者会館を使えないのか?~国会記者会事務局長に聞く」(前編後編)という記事がFacebook上で数多くシェアされているのに気付いた。シェアをしている多くの人はメディア関係者。内容を読んでみると、きっちりした取材に基づいた非常に骨太なインタビューだ。僕も非常に興味深く読ませて頂いた。

このインタビュー記事だが、実はいわゆる「オウンドメディア」のコンテンツの1つなのだ。運営するのは弁護士への法律相談や、弁護士、法律事務所の検索サービスを提供する弁護士ドットコムの「弁護士ドットコム」。その中にある「弁護士ドットコムトピックス」の記事となる。ここでは、世の中で起こるトピックスについて、弁護士の法的な側面からの見解を紹介する解説記事や、独自取材したインタビューを掲載している。編集部のメンバーは元新聞記者が中心。

Yahoo!ニュースにも記事を提供しているのだが、その結果もあってページビュー(PV)も大きく伸びているそうだ。最近では都議会のセクハラヤジ騒ぎに関するニュースで161万PV(オーガニックで2万PV)、渋谷の幼児虐待動画を撮影したニュースでは122万PV(オーガニックで78万PV)と、Yahoo!経由とは言え、ずば抜けたページビューを獲得している記事も増えているそうだ。弁護士に法律相談できるQ&Aサービスなども含めて、サイト全体では月間1008万PVとなっている。このトピックスに関しては、間もなく「弁コムニュース」に名称を変更し、さらにメディア色を強めてコンテンツを配信する予定だという。

そんな弁護士ドットコムだが、7月22日には本業である弁護士、法律事務所の検索機能を強化している。これまで都道府県単位でしか検索できなかった地域での検索については路線までの指定が可能になった。また弁護士の性別や写真、料金や解決事例、駅からの徒歩距離から駐車場の有無まで細かい条件での検索にも対応した。弁護士ドットコムに登録する弁護士は約6900人。国内の弁護士が約3万人というから、決して少なくない数の弁護士が同サービスを利用していることになる。

また同社では、この弁護士ドットコムのサービスを他の士業向けにも横展開している。姉妹サービスの「税理士ドットコム」でも弁護士ドットコム同様のQ&A機能を追加。さらに、マネーフォワードやfreeeと提携し、両サービスでの業務にする税理士の紹介なども開始している。弁護士ドットコム代表の元榮太一郎氏によると、今後は医療分野などでも同様のサービスを提供していく考えだという。


人力でレシートを読み取る「Dr.Wallet」が銀行口座アグリゲーションに対応

オンライン家計簿で便利な機能のひとつが、ネット銀行やネット証券のログインID・パスワードをあらかじめ登録しておくことで、利用明細を自動的に取得してくれるアカウントアグリゲーションだ。マネーフォワードやMoneyLook、MoneyTree、Zaim、Kakeibon(旧OCN家計簿)などが軒並み導入しているが、このたび人力でレシート情報を読み取ってくれる家計簿アプリ「Dr.Wallet」もウェブ明細を自動取得する機能を追加した。22日からAndroid版で開始し、iOS版も順次対応する。

Dr.Walletはスマホのカメラでレシートを撮影するだけで、99%以上の精度で1日以内に専属オペレーターが人力でデータ化するというアプリ。商品情報をもとに、ショップ名や品目名から自動でカテゴリ分類を行う独自エンジンも搭載する。2013年12月にはニッセイ・キャピタル、インキュベイドファンド、SMBCベンチャーキャピタルの3社を引受先として約1億円の第三者割当増資を実施している。

Dr.Walletの特徴は人力によるレシートのデータ化だ。その一方、レシートが出ない家賃や光熱費などの銀行引き落とし、ECサイトなどでのクレジットカード利用については、ユーザー自らが手動で入力せざるを得なかった。アカウントアグリゲーション機能を追加したことで、これまでカバーできなかった銀行口座やクレジットカードの利用履歴を自動で取り込めるようになったというわけだ。現時点では以下の大手10行に対応している。

・イオン銀行
・じぶん銀行
・住信SBIネット銀行
・セブン銀行
・東京スター銀行
・三井住友銀行
・三菱UFJ銀行
・楽天銀行
・りそな銀行
・ゆうちょ銀行

競合サービスはほとんどが千数百行の金融機関と連携しているが、Dr.Walletもこの動きに追随する。夏までにクレジットカードや地方銀行、第二地方銀行、証券、FX、携帯、ポイント、電子マネー、主要ECサイトを含めた国内の金融機関など約1500行に対応する予定だ。

アカウントアグリゲーションの利用者はまだまだ少ない?

オンライン家計簿がこぞってアカウントアグリゲーション対応を進めているが、Dr.Walletを運営するBearTail代表取締役の黒崎賢一氏は、「意外にもアグリゲーション機能はハードルが高い」と言う。理由を聞いてみると、ユーザー側でネット銀行やネット証券のアカウントを登録している人が、まだまだ少ないためだという。

「正式提供に先立って試験運用を行ったところ、アカウントアグリゲーションに登録したのはアクティブユーザーのわずか4%程度。しかも、そのうち70%は登録に失敗していた。おそらく、ユーザーはネットバンク化していないか、自分のオンラインアカウントの情報を把握できていないのではないか。」

黒崎氏の話をまとめると、現時点でアカウントアグリゲーションは、ネットに詳しいアーリーアダプター層を中心に使われているようだ。詳細は明かされなかったが、今後は一般ユーザーのハードルを下げるべく「登録時に迷わないよう、今まで他社もやっていなかったサポートもやっていくつもり」と話している。


“スーパーサイヤ人的経営者”が手がけるメルカリ、ダウンロード数は400万件に

先週福岡で開催された招待制イベント「B Dash Camp 2014 in Fukuoka」にて、スマートフォン向けフリマサービスの元祖「Fril」を手がけるFablicが月間物流総額4億円、アプリダウンロード数150万件という数字を発表していた。これだけでもわずか2年で大きな市場を築いたと思うのだけれども、後発の競合サービス「メルカリ」を展開するメルカリがダウンロード数でその2倍を超える数字を発表している。

メルカリは7月22日、フリマアプリメルカリが400万ダウンロードを突破したことを発表した。これに合わせるかたちでデザインのリニューアルも実施している。リニューアルはiOS版から進めており、Android版についても近日中にリニューアルする予定だという。

メルカリのリリースは2013年7月2日。1年を経過した7月時点での月間流通金額は10億円を「大幅に超える」(同社)とのこと。1日の出品数は10万点以上になっている。5月にはテレビCMも放映しており、こちらも奏功したそうだ。同社の発表によると、ダウンロード数は400万件に上るという。

Frilがユーザーを基本女性に限定している一方で、メルカリはユーザーを限定していない。実際のところメインユーザーとなっているのは地方在住の20代〜30代女性だそうで、流通しているのは女性向けのファッションアイテムが中心。そのほかにも男性向けのファッションアイテムからスマートフォンゲームのデータ(運営ポリシー上は問題ないそうだ)まで幅広いアイテムを扱っている。僕も2カ月ほど前にとあるブランドのブーツを出品したのだけれど、数秒で「いいね」が複数つき、10分以内には購入のやりとりをするに至ったので、そのスピードには正直驚いた。同社は現在仙台にカスタマーサポート部隊も設置しているそうだ。

今回のリニューアルでは、アイコン、レイアウト、色調等の全面を刷新している。ユーザーの個人ページについても、より商品の魅力を引き出せるデザインに変更したとのことだ。

「スーパーサイヤ人」な起業家の戦い方

さて、冒頭で紹介したB Dash Campのセッションの中で、登壇者らがメルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏に言及したところがあったので、少しご紹介したい。

メルカリ代表取締役社長の山田進太郎氏

モデレーターを務めたモブキャスト執行役員CCOの福元健之氏が、登壇したアクティブソナー 代表取締役社長の青木康時氏、Fablic 代表取締役社長の堀井翔太氏、BASE 代表取締役鶴岡裕太氏に対して「大手が競合として攻めてくる中で、こういうことされると嫌なことは何か、脅威となるのは何か」と質問した際のことだ。

当初登壇者の3人は、共通して「上場企業や大きいプレーヤーは脅威だが、その隙間を狙っている、その会社ではできないことをやっている」と回答していたのだが、そこから鶴岡氏が「上場企業より、進太郎さん(山田進太郎)や木村さん(Gunosy代表取締役の木村新司氏)のようなスーパーサイヤ人がいることが脅威。そういう人は一気に来る(事業を展開する)」と語った。堀井氏もこれにうなずき、「強くてニューゲーム(ゲームクリア後に、レベルなどを引き継いだ状態でゲームを1から始めるという意味)な起業家」という表現をしていた。

山田氏は、大学在学中に楽天に参画。「楽オク」の立上げなどを経験。さらには卒業後にウノウを設立し、「映画生活」「フォト蔵」「まちつく!」といったサービスを開発。同社をZyngaに売却した経験がある。また木村氏も、ドリームインキュベーターにてコンサルやベンチャー投資を手がけた後にシリウステクノロジーズの取締役に就任。ヤフーによる買収の前に同社を離れてアトランティスを設立。2011年にグリーに売却した経験を持つ。

いずれにしてもイグジットの経験もある起業家だ。彼らは若いスタートアップがプロダクトを少しずつブラッシュアップし、口コミでユーザーを集めつつ徐々に市場を作っていく中で、大規模な調達をしてテレビCMを展開するなど、ダイナミックな資金調達、そしてその資金の投下を実行している。マンガ「ドラゴンボール」で言うならスーパーサイヤ人になって一気に戦闘力を高めて勝負に出ているといったところだろうか。

実際Frilのほうがメルカリよりも1年早い2012年にサービスを開始していたし、Gunosyにしても、同社のニュースリーダーアプリ「Gunosy」に競合するスマートニュースの「SmartNews」よりも100万件以上ダウンロード数が少なかった時期があるが、テレビCM放映後の現在はほぼ同じ程度ではないかと木村氏は話していた(ちなみにSmartNewsのテレビCMに関しては、同イベントの別セッションで登壇したスマートニュース取締役の鈴木健氏に質問が飛んだが、明言されなかった)。スーパーサイヤ人的経営者の山田氏はスマートフォン向けフリマのマーケットをどこまで拡大できるのだろうか。同社は現在手数料無料でサービスを提供しているが、いつからマネタイズに向かうのかも含めてその動向に注目したい。


目指すはウェアラブルな「香水」デバイス、「Scentee」創業者の坪内氏に聞いた

コーヒー、焼肉、ベーコン。心くすぐる「いい匂い」がiPhoneにアタッチされたデバイスから漂う……という話がバズっていたりする日本のスタートアップ企業「Scentee」(センティー)だが、創業者の坪内弘毅氏に話を聞いてみると、食品会社と組んでの「バイラル・ソーシャル・マーケティング」とは印象の異なる、もっと大きな未来を見ているという。

Scenteeは2年半前に設立されたばかりのスタートアップ企業。「香り」をテーマに選んだのは、「世界に通用するビジネスを作っていきたい」という思いからだそうだ。「好きだったiPhoneに、目や耳、口の機能はあるのに、なぜ五感のうち鼻がないのかなと特許や技術を調べていくうちに8兆円の市場があることに気付いて事業化できないかと取り組みを始めた」と話す。

プロトタイプを作り、2013年1月にクラウドファンディングサイト「Capmfire」に出したところ、4日間で約300万円を集めるという記録を作り、「期待感やニーズを感じた」という。この数字は当時は歴代2位、ガジェット系では1位だった。最近では米国市場向けに作ったベーコンの香りのデバイスを紹介する動画が450万再生と話題を振りまいてきたりしたが、ギーク向けニッチ市場や食品会社との協業とは異なる取り組みを始めているという。

1つは、スマートフォンではなく、身に付けるウェアラブルに目を向けていること。最適化したタイミングで香りを発するようなデバイスを作ることで、「新しい香水会社を作りたい」という。これまでクレオパトラ以来何千年もある香水の歴史のなかで、利用者が、どこでどのような香りをどのぐらい使っているのかというログが取れるのは初めてのこと。データを活かせるのは、売ってしまった後には何も分からなかった香水会社と異なり、これは大きな革新になるだろうと話す。もう1つ、遠隔で任意のタイミングで香りを提供することができることから「医療用アロマ」という応用もあり、ヨーロッパでは実験的に取り組みを始めているそうだ。以下は、坪内氏へのインタビューの動画。創業期の話から、現在の取り組みまでを聞いている。


Frilの月間物流総額は5億円–「空中戦」も必要になったフリマアプリ市場

スマホ向けフリマアプリの元祖であるFablicの「Fril」。若い女性に特化したこのアプリだが、現在の月間物流総額は5億円以上、アプリのダウンロード数は150万件以上になっているという。

福岡で7月17〜18日に開催されている招待制イベント「B Dash Camp 2014 in Fukuoka」の2日目のセッション「新興eコマース〜新たなトレンドを作り出せるか?」に登壇したFablic 代表取締役社長の堀井翔太氏が明らかにした。

このセッションでは堀井氏のほかにアクティブソナー 代表取締役社長の青木康時氏、BASE 代表取締役鶴岡裕太氏が登壇。それぞれのビジネスについて語った。

「空中戦」も必要になったフリマアプリ市場

Fablicは、これまでほとんどメディアでビジネスの話をしたことがなかったし、アプリのダウンロード数をはじめとした情報を発信してこなかった。しかしここに来て数字を公開した堀井氏は、「今は競合も十数個ある。そういう(情報を非公開にする)フェーズではない」と語る。

競合とされる後発の「メルカリ」は、14億円超の大型調達、テレビCMなども奏功して大きくユーザーを拡大。1周年を迎えた2014年7月時点で、月間流通総額は10億円、ダウンロード数350万件という数字を発表している。

こういった状況に対して堀井氏は、「メルカリやGunosyなどは大きな資本を調達して勝負している。今まではプロダクトを磨いて、リテンション伸ばして…としてきたが、最近の戦い方はテレビCMなども含めて『空中戦』もするような状況にシフトしている」と語る。

Open Network Labのインキュベーションプログラム出身のスタートアップということで、デジタルガレージグループからシードマネーを調達しているFablic。1期目から黒字化して資金調達の必要もなかったとのことだが、今後は資金調達してテレビCMを放送することも検討しているという。さらに、ユーザーのニーズも多いことから、一部のユーザーに限定してフルフィルメントサービスを試験的に提供していることも明かされた。

BASEは「カート」ではなく「決済」

手軽にウェブショップを構築できる「BASE」を提供するBASE。個人だけでなく、中小企業を中心とした法人もサービスを利用している。最近では芸能人やニコニコ生放送の“生主”のような売り手も登場しており、数千万円から億単位の売上を実現しているショップもあるそうだ。

サイバーエージェントやグローバルブレインなどから資金を調達し、現在はユーザーの拡大フェーズにあるという。クレジットカードの決済手数料などは徴収しているものの、サービスの利用手数料は無料。「売上はゼロと言っていい」(鶴岡氏)状況だそうだ。「(調達によって)うちのようなところがどんどん攻めていけるのはありがたいし、EC(領域)自体を評価して頂いていると思っている」(鶴岡氏)

鶴岡氏はBASEについて、「本質は決済を提供するサービス」と語っている。カート機能でのマネタイズはあまり考えていないそうで、将来的には、決済、金融といった領域でのマネタイズをやっていくそうだ。

サービス開始当初は、ブラケットの「STORES.jp」と比較されることが多かったBASE。「初期はSTORES.jpもあったことで認知度が上がった」(鶴岡氏)とも語るが、スタートトゥデイがブラケットを買収したこともあって状況は変わったという。「最近は自社でどれだけがんばれるか。突き抜けないといけない」(鶴岡氏)将来的には世界展開で100万店舗を目指す。さらには日本から海外に商品を売るための支援もしていくそうだ。

プラットフォームを目指すアクティブソナー

CtoBtoC型のブランド商品委託販売サービス「RECLO」を提供するアクティブソナー。

こちらの記事にもあるように、米国ではCtoBtoC型のECサイトが複数登場しており、ユーザーのニーズも見えている状況だという。日本では(米国でも先行する)「RealReal」などのプレーヤーはいるが、まだデファクトスタンダードたる位置にあるサービスはない。そこで自らこの領域に挑戦したそうだ。

今後は海外向けに商品を販売していくほか、家具や中古車の販売なども視野に入れるという。また、CtoBtoCは言ってしまえば「小売り」だが、1つ1つの商品を売るということではなく、あくまでプラットフォームとして成長していきたいと語った。

この領域に大手企業が参入することについて尋ねられたところ、「大きいプレーヤーが来るのは脅威だが、狙っているのは(大きいプレーヤーがチャレンジできない)隙間でのおもてなし。ネットサービスでは実現できないフルフィルメントを全部やるというところ」(青木氏)とした。


ニュースアプリ各社はタダ乗り問題やネイティブ広告をどう見てる?

左からスマートニュースの鈴木健氏、ユーザーベースの梅田優祐氏、グライダーアソシエイツの町野健氏、Gunosyの木村新司氏

7月17日、18日に福岡で開催されている「B Dash Camp」。本日の目玉とも言えるセッション「スマホニュースメディアの勝者は誰か?」にはGunosyやNewsPicks、Antennaの3メディアに加えて、飛び入りでスマートニュースの代表までもが登壇。一部で「コンテンツ泥棒」と指摘されているタダ乗り問題、話題のネイティブ広告、さらには「ヤフーやLINEにやられて嫌なこと」といったセンシティブな話題について各社が胸の内を明かした。

登壇者はGunosyの木村新司氏、グライダーアソシエイツの町野健氏、ユーザーベースの梅田優祐氏、スマートニュースの鈴木健氏の4人。セッションの火蓋は、モデレーターを務めたユナイテッドの手島浩己氏の次のような質問で切って落とされた。

――キュレーションアプリはコンテンツにタダ乗りしていると言われるが、媒体社に利益を還元することについてどう考えている?

木村:僕らはキャッシュするにあたって、媒体社の了承を取っている。Gunosyは受注した広告を配信することで、媒体社は何もしなくても収益が出るような仕組みを作っている。

鈴木:スマートモードでキャッシュしたページでは、媒体社が指定する広告を表示できる「スマートフォーマット」という仕組みを提供している。そこで発生した収益は100%媒体社に還元する。

――各社は「競争」をどの程度意識している? Gunosyは一気に攻めているが。

鈴木:どうしましょうかね(笑)

木村:僕らは負けてたので踏み込むのは当然。今年3月の時点でスマートニュースは300万ダウンロードだったが、僕らは180万ダウンロード。今は僕らが少し抜いたくらい。

――Gunosyとスマートニュースはユーザーインターフェイスが似てますよね?

木村:似てます。ユーザーを見ていると、(サービス開始当初に売りにしていた)パーソナルニュースだけじゃなくて、その日に全国で起こった共通の話題を知りたいニーズがある。

鈴木:メディアについて考えるときに、ある種のメディアが独占的になるのはよろしくない。世界中を見ても、日本ほどアグリゲーター(ヤフー)が強い国はない。何千万人が読むメディアは政治的な影響力も大きい。僕らはこれを意識しないといけない。1つのメディアをみんなが見るのは危険。海外のように複数メディアが共存しているのが健全。経営者としてはシェアが欲しいが、社会全体を考えると、代替的なメディアがあるのが健全。ヤフーは競合と言われるが、第2、第3の選択肢が出るのはいいこと。」

木村:僕も同じ考え方。我々のようなメディアは色を持たないことが重要。Gunosyとしては記者を抱えて意見を書けば色を持ち始めるかもしれないが、それはやりたくない。

――梅田さんは(元東洋経済編集長の)佐々木さんを抱えて何やるの?

梅田:一生健命チームアップしているところ。9月くらいには出したいが、テーマを決めてNewsPicksらしいコンテンツを出せれば。前提として考えているのは、アグリゲーションはコモディティ化するということ。生き残るのは1、2社。結局はいろんなプレイヤーが真似して、同じようなインターフェイスに収れんする。最終的な競争はコンテンツに行く。長い目で見るとコンテンツが重要というのが根底にある。

鈴木:我々はアグリゲーターなので、コンテンツを作る部分とはレイヤーを意識するのが大事。現時点で独自コンテンツを作る予定はないが、梅田さんの話は説得力がある。

――ヤフーやLINEにやられて嫌なことは?

鈴木:グノシーを買収することですかね。(事業が)加速しそう。

木村:KDDIさんから出資を受けてますので……。今のLINEニュースはアプリを捨てて、LINE内でのニュース配信に力を入れているし、多分伸びている。LINEは5000万ダウンロードがある。アクティブ率も高い中でコンテンツを送られるのは辛いものがある。

――テレビCMの効果どうでした?

町野:効果は高かった。我々はターゲットを女性に絞ってオシャレなメディアを目指して、CMは都心の認知度を高めるのが狙い。認知率40%を目標にしていたが、(親会社の)マクロミルの調査では50%くらいに上がった。今後は認知を刈り取るような展開も考えている。

木村:CMではアプリのダウンロード数を重視している。3カ月で17本くらいCMを作っていて、ウェブのバナーみたいな感じで作っている。(代理店の反応は)ドン引きですね。

鈴木:検討はしてます。

――ネイティブアドは今後どの程度伸びる?

木村:ネイティブアド、いわゆる記事広告は書く人の数が限られるのでスケールしない。それよりも、スマホのサイトで5000万PVがあるのに、月間売上は1000万円しかなかったりするのが根本的な問題。雑誌や新聞からユーザーが移ってきても、そこの広告費が来る場所と見せ方がない。その再発明をすることが大きな収益を生む。

鈴木:ワールドカップ期間中にナイキとソニーを広告を出した。本当に実験でやっていて、ユーザーの反応や体験を実験するのが狙い。今後、広告事業をどうするかは、すごい問い合わせがあちこちから来ている。どこと組んでやっていくか検討しているのが現状。」

――ニュースアプリ=ポータルと定義した時に、今後はどのように事業領域を拡張する? ヤフーみたいになるのか?

木村:ニュースだけでは人の時間は埋められない。スマートフォンにはまだ可処分時間が残っていると思っていて、そこに対するコンテンツをひとつひとつ提供するのはやっていきたい。その中で天気やスポーツ、占いはあると思うし、ヤフーがやっているようなコンテンツはある。今の僕らは、ユーザーのもとに届いて心地良いものを考えている。

鈴木:スマートニュースは天気やスポーツもやっているし、どんどん広げていく。結果としてヤフーが持つコンテンツに近づくのはあると思う。でもそれは最低限。スマートニュースがやったことは、スマホでニュースを読む文化を切り開いたこと。その結果、20年前にウェブの世界でやっていることの繰り返しではやる意味がない。僕らはイノベーションでプロダクトの力で圧倒的なユーザー体験を目指していく。

スマートニュースのミッションは、良質なコンテンツを提供すること。良質というのはやっかいで、人によって意見が全然違う。スマートニュース代表ではなく、個人的な意見としては、その人のモノの見方や人生観を変えるものをやりたい。

梅田:僕たちはビジネスパーソンの情報接点を全部抑えたい。経済の領域の外には出ないことは決めている。可能性の1つはテレビを含む動画、もう1つは紙の領域。社内では反対されているが、僕は紙の領域にも可能性を感じている。


スマホ、常時接続が導き出す数年後のトレンド–Gunosy、gumiら4社が語る

福岡で7月17日〜18日にかけて開催中の招待制イベント「B Dash Camp 2014 Summer in Fukuoka」。

1日目のセッション「次世代リーダーになれるか!?」には、Gunosy代表取締役 共同最高経営責任者の木村新司氏、gumi 代表取締役社長の國光宏尚氏、フリークアウト 取締役COOの佐藤祐介氏、スポットライト 代表取締役社長の柴田陽氏が登壇。それぞれが手がける事業やイグジット戦略などが語られた。その中から、モデレーターを務めたB Dash Ventures 代表取締役社長の渡辺洋行氏が投げた「自身が手がけるマーケットをどう伸ばすのか、また来年再来年どういう分野がトレンドになるのか」という質問に対する登壇者の回答を紹介したい。

木村氏:CtoCのサービスを含めて、ユーザーとユーザーが同時接続している時間が圧倒的に増えた。それに加えてこれまでネットに繋がっていなかった人たちも、本格的にネットに繋がってきた。だがそういう人たちにサービスが提供できてなかった。

そうなると(トレンドは)1つはメルカリのようなCtoC。そして(個と個を)繋ぐだけではなくて、Uberやbento.jpのように、モノを調達するところだけやってあげて、ユーザーと繋ぐというサービス。これらがいくつも出てくるし、リアルな生活に近いのでマーケットも大きくなる。

佐藤氏:「常時のコネクティビティ」というのは明らかにキーワードになっている。それによってあらゆる産業のデマンドに対するサプライヤーはいたが、「ポテンシャルサプライヤー」ともいう人が出てきて、マッチングが起こっている。例えば移動したいときにはタクシーじゃなくて、どっかのおっちゃんの車もあるし、荷物を取りにくるのも業者ではなくてどこかのおばちゃんだったりする。それはコネクティビティの問題。つながってマッチングするということ。そこに機会が生まれるはず。

柴田氏:スマホは大事なキーワードになり続ける。ネットが街中に出て行ったことこそが大きな変化。Uberもそう。ネットが街中に出た当然の帰結。

街中(で起こるビジネス)だと、あとは飲み食い、買い物、人と会うこと。これらはまだサービスがデマンド(要求)に対して少ない状況が続くのではないか。

あと、スマートフォンというのは「インプットできるセンサー類がついているデバイス」ととらえている。そんなスマートフォン以外のセンサーのたぐいが広がると思う。そうなるとスクリーンだけではないアウトプットも出てくる。

國光氏:大きいビジネスは家、車、テレビ、健康の4つの市場。人生の時間が足りないから全部はできないので、ゲームはこのまま突っ走っていく。

(これまでも言い続けている時価総額8兆円の話を踏まえて)次次はテレビのDisrupt(破壊)をしたい。あとはオモチャ。ゲームと連動したテレビやオモチャやをダントツで意識している。

海外と国内のスタートアップのエコシステムの話がよくあるが、結局ベンチャーキャピタルがどうかという話より米国ではGoogleやFacebook、Microsoftなどがボコボコとスタートアップを買っていくからスピード感が増している。一方で日本はM&Aが起こらない。gumiは大きくなったら買いまくる。(エコシステムのスピードを)5倍速くしないと、シリコンバレーにはならない。gumiが上場すればガンガン行く。

木村氏:M&Aはやっていきたい。ただ日本の場合のれん代の問題もあるが。やれる部分はやっていきたい。

佐藤氏:あと数年先と言うより直近で面白いのは「暇な時間」の定義の変化。スマホのせいだと思うが、5〜10秒の時間でも暇だと思うようになった。そこをどう取るか。あとはマルチタスクになっている。例えばゲーム1個やっているのでは暇だ(と感じる)。実はそういったことに対してチャレンジしていることが1つ伸びている。

あとは広告。インターネットはリアクティブメディアになってきている。コンテンツはプッシュになってきているので、検索する前にその人の需要がやってきて、(顧客を)刈り取っている。Googleはスマホ広告の50%くらいのシェアがあると思うが、メディアに合った広告手法には張っていきたい。

柴田氏:変化しているのは、「生活必需品」の定義。Amazonが予測デリバリーの特許を持っているが、(ニーズを)予測できるモノが生活必需品になっている。それとエモーショナルな、ベタな感動をするモノとプロダクトが二極化している。それぞれを提供していかないといけない。


資産価値15兆円? 押入れ資産を狙うCtoBtoC委託販売が密かな盛り上がり

リサイクルショップ「コメ兵」が5月に発表した調査によると、20歳以上の男女が所有するブランド品の購入金額は1人あたり平均約78万円。そのうち、もう使わなくなったモノの購入時の金額は平均約16万円に上り、日本の人口から推計すると総額15兆円分の資産が家の押し入れに眠っているそうだ。そんな“押入れ資産”に目を付けたスタートアップが昨今、スマホを使って中古ブランド品を委託販売するCtoBtoC型サービスを続々と立ち上げている。

いきなり押入れ資産が15兆円と言われてもピンと来ないが、2014年度の国家予算は約96兆円(財務省の予算政府案)なので、国家予算の約6分の1に相当することになる。野球に例えれば、他球団の4番バッターやエースをカネにモノを言わせて獲得しては、ベンチや2軍で塩漬けにする金満体質球団のようなことが、一般家庭の押入れの中で繰り広げられているのかもしれない。

スマホを使った中古ブランド品の委託販売サービスは、ユーザーが売りたい商品を送料無料で送り、鑑定士の査定結果に納得すれば販売を委託できる。商品の撮影や出品、梱包、配送といった面倒な作業を肩代わりしてもらえるのが特徴だ。いわゆる質屋型サービスの買取在庫や実店舗運営にかかる中間コストが少ない分、高く売れることを謳っている。各社は販売金額の50〜70%を出品者に還元している。買い手としては、鑑定士が査定している安心感から、偽ブランド品をつかまされずに購入できるのが利点といえそうだ。

有力プレイヤーが存在しないCtoBtoCはフリマアプリのような盛り上がりを見せるか?

アメリカでは、セレブ御用達の高級ブランド委託販売サービスとして知られ、約220万人が利用する「RealReal」や、800万ドルを調達した「Threadflip」などが有名。リアルリアルは2013年8月に日本に進出し、シャネルやエルメス、カルティエなどを中心としたラグジュアリーブランドのリセール商品を常時1000点近く扱っている。2014年4月にはルイ・ヴィトンジャパンカンパニーCEOを務めた経歴を持つ藤井清孝氏が社長に就任した。

2014年4月には、グルメ商品の定期購入サイト「smart select」を運営するアクティブソナーが「RECLO(リクロ)」を開始。商品を5日毎に5%ずつ自動的にディスカウントして購入を促す機能などで差別化を図っている。最近ではテレビ東京のドラマ「俺のダンディズム」で紹介されたアイテムを販売するキャンペーンを展開するなどして、登録会員数は5万人を突破。7月17日にはiPhoneで自分の持ち物を撮影し、商品名や状態を投稿することで、リセール相場がわかるアプリを公開し、さらなるユーザー拡大を狙っている。

CtoBtoC型サービスは、過去2カ月間だけでも動きが活発だ。例えば、5月にスタートした「retro.jp」を運営するretroは6月30日、インキュベイトファンドなどを引受先とする総額3000万円の第三者割当増資を実施した。retroの前身は、自社ECやファッションブランドの公式EC運営代行を手がけるZeel。事業譲渡を受ける形で運営しており、ブランド品に対する知識やサポートが強みだとしている。登録会員数は非公表、7月初旬時点では約400点を扱っている。

7月1日には海外ファッション通販サイト「waja」も、アパレルメーカーや個人が出品したブランド品を委託販売する「FASHION CHARITY PROJECT(FCP)」を開始した。ただし、このサービスはあくまでチャリティが目的で、販売代金から手数料40%を差し引いた金額がNPOに寄付される。出品者は販売額の最大50%の寄付金控除を受けられる。このほか、委託販売ではないが、5月にはグリー子会社のグリーリユースがコメ兵と提携し、ハイブランド商品の買取サービス「uttoku by GREE」を開始する動きも見せている。

スマホを使ったECといえば、CtoCのフリマアプリに大手からスタートアップまでが相次いで参入。この市場では、圧倒的なユーザー数を誇るLINE MALLと、14億5000万円を調達してテレビCMを放送するメルカリが他のサービスから頭1つ抜け出ている感もある。一方、CtoBtoC型の委託販売サービスは始まったばかりで、有力なプレイヤーは存在していない。それだけに、押入れ資産を掘り起こす業界が密かに盛り上がってきそうだ。

photo by
darwin Bell


優勝賞金は100万円–TechCrunch Tokyo 2014スタートアップバトル参加者の募集開始

先日も告知したとおり、TechCrunch Japanは11月18〜19日にかけて、東京・渋谷の渋谷ヒカリエで「TechCrunch Tokyo 2014」を開催する予定だ。イベントページでは今後プログラムやチケットに関する情報を更新予定なので随時チェックして欲しい。

イベントの中では、例年の目玉企画の1つとなっている「スタートアップバトル」も、もちろん開催する予定だ。スタートアップがプロダクトについてのプレゼンテーションで競うこの企画だが、優勝チームには賞金100万円を贈呈する予定だ。

応募の締め切りは10月3日の金曜日まで。スタートアップ関係の方は、是非応募フォームから申し込み頂ければと思う。

TechCrunch Tokyo 2014スタートアップバトルの申し込みはこちらから→

 

今年も米国のTechCrunchからスタッフが来日するほか、起業家や投資家を中心にした審査員がプレゼンの審査に参加する予定だ。優勝チームはもちろんのこと、参加者は米国のTechCrunchでも取り上げられる可能性も高いチャンスとなる。世界デビューを目論むスタートアップの方は、ぜひご応募頂ければと思う。

応募資格

  • 未ローンチまたは2014年1月以降にローンチしたデモが可能なプロダクト(サービス)を持つスタートアップ企業(未公開プロダクトを歓迎します)
  • 創業年数3年未満(2011年11月以降に創業)で上場企業の子会社でないこと。なお、このイベント以前に開催された他のイベントで受賞をしていないプロダクトを優先します。

応募受付期間

2014年7月17日(水)〜 2014年10月3日(金)23時59分

審査について

  • 審査基準: 企業とプロダクトを対象にし、そのプロダクトの市場性やビジネスの成長性、またビジョンを実現していけるチームであるかを基準とします。
  • 事前審査:一次審査は書類審査とし、その後一部評価に必要な情報が足りない場合はインタビューやデモを見せていただく場合があります。選考を通った応募企業には運営事務局から10月10日までに審査結果を通知します。
  • 決勝戦: TechCrunch Tokyo 2014の2日目に行います。TechCrunch Japanが選んだ審査員によって最優秀企業を選出します。

一次審査員(書類審査)

  • 今野穣氏(グロービス・キャピタル・パートナーズ パートナー / Chief Operating Officer)
  • 和田圭佑氏(インキュベイトファンド 代表パートナー)
  • 木村新司(個人投資家 / Gunosy代表取締役)
  • 有安伸宏氏(コーチ・ユナイテッド 代表取締役社長)
  • 西田隆一氏(B Dash Ventures シニア・インベストメントマネージャー)
  • 西村賢(TechCrunch Japan編集長)

TechCrunch Tokyo 2014スタートアップバトルの申し込みはこちらから→

なお、イベントではスタートアップ用のデモブースも設ける予定だ。応募条件を満たしていないスタートアップであっても、そちらで大いにプロダクトを紹介してほしい。詳細は随時発表していく。


「freee」ユーザーが10万到達、会計ソフト初心者に刺さって成長

専門知識不要で使えることをうたうクラウド会計ソフト「freee」の登録事業者数が、7月6日時点で10万件を突破した。2013年3月のサービス開始から1年4カ月で到達した。ユーザー調査によれば、freee導入前に使っていた会計ソフトは「ない」という人が39%、「Excelなどで代用していた」という人が14%、「税理士にお願いしていたなど」が13%と、全体の66%が初めての会計ソフトとしてfreeeを選んでいるのだという。ユーザーが過去に確定申告や決算をした回数では「0回」が36%、「1回」が20%となっていて、会計ソフト初心者や創業間もない事業者を取り込んで成長しているようだ。

freeeは確定申告や会計・経理業務を自動化するクラウド会計ソフト。銀行やクレジットカードなど1600以上の金融機関から入出金データを自動取得したり、学習機能で仕訳のルールを作成することができる。freeeを導入する事業者の従業員数を見てみると、1人が64%、2人が15%、3〜5人が13%と、5人以下の事業者が主なユーザー。業種別では飲食や小売り、理容・美容などの店舗が38%となっている。

2014年4月のWindows XPのサポート期間終了や消費税増税に伴い、インストール型の会計ソフトから乗り換えるユーザーが増え、2014年以降はユーザー登録のペースが年末の5倍に達する勢いで伸びている、というのは以前もお伝えしたが、最近では連携先のモバイル決済サービス「Square」や無料POSレジアプリ「Airレジ」経由でfreeeに登録するユーザーが増えているそうだ。

国内のクラウド会計の分野では、SMBやスタートアップを取り込む2強のfreeeとマネーフォワードが手がける「MFクラウド会計(旧:Money Forward for BUSINESS)」、それに会計事務所のようなプロ向けとして「A-SaaS」がある。これに対して、100万以上の登録ユーザーを抱えるパッケージ型ソフトの弥生は7月7日、銀行口座やクレジットカードなどの取り引きデータを自動仕分けし、弥生シリーズのソフトに取り込む「YAYOI SMART CONNECT」を発表。今秋にはクラウド版「やよいの青色申告 オンライン」を開始するなど、freeeやMFクラウド会計を意識したかのような動きも見せている。


専用デバイスとスマホで車の健康を測るスマートドライブ、8月から実証実験開始

自動車についている「OBD2コネクタ」というものをご存じだろうか。OBDとは、On-board diagnosticsの略で、これは自動車の点検用の規格である。このODB2コネクタを通じて、車速やエンジンの回転数をはじめとした、さまざまなデータを取得できるようになっている。

このOBD2コネクタにデータ送信用のデバイスを差し込み、スマートフォンを経由して車の健康状態や移動の履歴などを取得するといった取り組みを行っているスタートアップが米国で続々登場している。AUTOMATICZubieMETROMILEMOJIODashなどが存在している。ちなみにDashには国内からサイバーエージェントが出資をしている。

それぞれ、コネクタに挿したデバイスからスマートフォンにデータを送信することで、急発進や急ブレーキなどガソリンの無駄になるような運転をした場合に警告を出したり、ドライブの記録をしたりといったことを実現している。

この領域に日本で挑戦するのがスマートドライブだ。2013年10月に設立した同社は、ベンチャーキャピタルのANRIから出資を受けて、現在自動車向けのデバイスと、連携するスマートフォンアプリを開発している。

そんなスマートドライブだが、8月から柏の葉アーバンデザインセンター (UDCK)の協力のもと、千葉県の柏の葉スマートシティにて1カ月にわたる実証実験を開始することを明らかにした。今回の実証実験では、柏の葉スマートシティエリアの住人約20人が対象となる予定だ。

スマートドライブの手がけるシステムもOBD2コネクタにデータ送信用のデバイスを挿し、スマートフォンへリアルタイムに車の健康状態や運転ログを記録する。

アプリでは、1000以上のエンジンアラートのトラブル内容を閲覧できるほか、運転ログの閲覧、急ブレーキや急発進、走行速度の状況などから、燃費効率を分析し、「ポイント」という形で評価する。

年内にも販売を開始

スマートドライブでは、年内にも個人向けにプロダクトの販売を開始する予定。ただし、ビジネスの中心になるのは、保険会社などにデバイスを卸し、その契約者に使用してもらうといったようなBtoBtoCのモデルになるそうだ。

例えば米国の保険会社Progressiveは、契約者に「Snapshot」なるデバイスを提供している。このデバイスもOBD2コネクタに接続して使用するのだが、急ブレーキなどの回数などをもとに安全な運転をしているかを分析。安全運転であれば保険料の割引もなされるという取り組みをしている。スマートドライブでもこのような形で自動車保険や自動車整備関連の事業者を通じたデバイスの提供を狙う。

また将来的には、個々の車のデータを分析し、ビッグデータによる渋滞予測や交通事故予防などにも取り組む予定だという。


Squinkは、回路基板を印刷して部品も配置する3Dプリンター

3Dプリンターは、エンジニアが製品をテストするやり方を大きく変え、時間とコストの削減を可能にした。しかし、それらの製品の殆どに使われている部品も3Dプリントできるのだろうか?

Botfactoryのコンピューターエンジニア、Carlos Ospinaは、彼が出会った人々の殆どはそれが可能だとは信じなかったと言う。しかし彼は、みんなが間違っていたことを証明した。Squinkは、持ち運べる回路基板工場で、自宅にいながらにして数分のうちにプロジェクトをテストできる ― プリントのコストは2ドル程度だ。

先週 Kickstarterに登場したSquinkは、写真用紙やガラス等の特定の材料の上に導電性インクで回路をプリントする。Ospinaのチームは、3日間のうちにKickstarterで2万4000ドルを集めた。

回路基板の設計は、Squinkが接続されている時だけ使用可能なウェブベースのポータルを通じて行う。プリンターは、導電性接着剤のドットを印刷されたインクの上に載せ、トレイから部品を取ってきて、接着剤ドットに上に配置する。

BotfactoryとSquinkを作ったのは、NYU Polytechnic School of Engineering[ニューヨーク大学技術専門校]で出会ったエンジニアたちからなるグループだ。

興味のある回路基板をネットで見つけて、Squinkポータルに入力することもできる。

彼らは、Squinkで今の製造工程を置き換えようとしているのではなく、クリエイティブなプロセスを遅らせることなく、アイデアをすぐに試したい人のためのツールを作りたいと思っている。

「ほんの足がかりになればいいと思っています ― 今すぐ試して、うまくいったら工場で100枚基板を作ればいいのです」と、チームのロボットエンジニア、Nicholas Vansnickは言った。

プリンターには導電性インクカートリッジ、導電性接着剤シリンダー、および標準部品セットを付けて販売する計画だ。導電性インクカートリッジは1本で基板を100枚プリント可能。接着剤シリンダーは1回のみ使用可能。

他の部品を使いたいユーザーのために、同社のウェブサイトで販売する方法を検討していると、Ospinaは言った。

プリンターは現在まだプロトタイプで、デザインも未完成だ。彼らはKickstarterプロジェクト進行中も、引き続き製品を改善し携帯性や精度を高めていくつもりだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook