フェイスブックがクリエイターのプロフィールで新しい「プロフェッショナル」モードを試験導入

Meta(メタ、旧Facebook)は米国時間12月8日、ユーザープロフィールに新たに「プロフェッショナル」モードを導入する。これは、同ソーシャルネットワーク上でフォロワーを増やし収益化を図りたいと考えているクリエイターが利用するためのものだ。この新モードは、まず米国の一部クリエイターに提供され、これまでFacebook(フェイスブック)ページでのみ提供されていた収益化の機会やインサイトをクリエイターに提供する。

その中には、新しいボーナスプログラム「Reels Play」への参加も含まれており、短編動画コンテンツの再生回数に応じて、クリエイターによっては毎月最大3万5000ドル(約400万円)まで稼ぐことができるという。ただし、このプログラムへの参加は当面の間、招待制となっている。つまり、どのクリエイターがボーナスを得る資格があるかは、Metaが決定するというわけだ。

Metaは、今後利用できる他の収益化オプションについては明らかにしなかったが、ページオーナーが利用できるものと同様に、プロレベルのインサイトをこれらのクリエイターにも提供すると明らかにした。これには、投稿、オーディエンス、プロフィールに関するインサイトへのアクセスも含まれる。例えばクリエイターは、自分の投稿のシェア、リアクション、コメントの総数を確認したり、フォロワー数の推移を確認できるようになる。これにより、クリエイターは、自分が投稿するコンテンツや、そのコンテンツがオーディエンスにどのように響くかについて、より良い情報に基づいた判断を下すことができるようになる。

画像クレジット:Meta

多くのクリエイターは、ファンやフォロワーを獲得するために、すでにFacebookページではなくFacebookプロフィールを使用しているが、Metaは、この新しいエクスペリエンスにオプトインするクリエイターは、同SNS上でより世間に知られる有名人のような立場になると警告している。つまり、誰もがそのユーザーをフォローし、フィードに投稿された公開コンテンツを見られるということだが、非公開プロフィールの場合と同様に、投稿を公開または友達限定にすることはできる。

一方、現在Facebookページを利用しているクリエイターは、代わりに新しいFacebookページ体験にオプトインされる。このダッシュボードは、管理者がページのパフォーマンスを確認したり、専門的なツールやインサイトにアクセスするための中心的な場所となる。また同社は、Facebookページの2ステップコンポーザーをテストしている。これにより、クリエイターは投稿をスケジュールしたり、グループにクロスポストができる。

今回の変更は、Metaがクリエイターのユーザーベースに重点的に投資している時期に行われた。Metaは、クリエイターサブスクリプションや「スター」と呼ばれる投げ銭機能などから得られる新たな収益ストリームに期待している。同社は12月7日、Apple(アップル)とGoogle(グーグル)に手数料を支払う必要のない新しいウェブサイトを通じて、Facebookスターをアプリストアを介さず利用できるようにしたばかりだ。TikTik(ティックトック)やYouTube、Twitter(ツイッター)、Snapchat(スナップチャット)などのソーシャルアプリとの競争が激化する中、同社は以前、Reelsボーナスなど10億ドル(約1140億円)の報酬でクリエイターを誘致する計画であると述べていた。

Metaによると、新しいプロフェッショナルモードは、今のところ米国の一部クリエイターを対象にテスト中だが、今後EMEA地域(欧州、中東およびアフリカ)を含め、より広範囲に展開していく予定だという。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

Discordがプレミアム会員制度を構築中、クリエイターの新しい収益手法に

Discord(ディスコード)は、コミュニティメンバーに有料購読者限定コンテンツへのアクセスを提供することで、クリエイターが収益を上げられるようにする新しい方法を導入する。この新プレミアム会員制度は最も要望の多かった機能の1つで、Discordのコミュニティが成長するために使用するツールを合理化するオプションを提供すると同時に、同社に新たな収益源をもたらす。

プレミアム会員になると、Discordコミュニティは、コンテンツの一部または全部を有料にすることができるようになる。サーバーはほぼ無料で開放したまま、最も熱心なメンバーのために有料のプレミアムチャンネルを設けることもでき、あるいはコミュニティ全体をプレミアム化して、アクセスにお金をかけることもできる。

プレミアム会員制度について同社は、現時点では「非常に初期のパイロット版」としており、有料機能をテストしてフィードバックを提供する少数のコミュニティに先行して導入される。プレミアム会員制度の小規模テストグループには、チュートリアルやアドバイスを提供するゲーミングブートキャンプ、Trans Community Center(トランスコミュニティセンター)、ストリーミング技術のチュートリアルを提供するサーバーStream Professorなどのコミュニティが含まれる。

Discordのクリエイター製品を統括するプロダクトマネージャーDerek Yang(デレック・ヤン)氏は「Discordコミュニティの運営をより持続可能なものにすることが重要です」とTechCrunchに語った。ヤン氏によると、プレミアムサブスクを広範に展開する時期は決まっておらず、製品を正しいものにするために一歩一歩進めているという。

多くのDiscordコミュニティは、プレミアムコンテンツへのアクセスを管理するために、Patreonのようなサードパーティのサービスをすでに利用している。Discordにこのオプションが導入されたことで、コミュニティは、メンバーがDiscordのプレミアムなNitro機能に支払うこれまでの決済と一緒にサブスクできるカスタマイズされた特典を作ることができるようになる。

同社は、有料会員サブスク料の10%を徴収する予定だが、クリエイターの収益化の実験結果によっては、この数字は将来的に変化する可能性がある。同社は5月に、クリエイターがプラットフォーム上で収益を上げることができる最初の機能として、チケット制のバーチャルイベントのテストを開始した。

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同社はブログへの投稿で「より多くのクリエイターと対話する中で、彼らがこのすばらしいコミュニティを構築するだけでなく、維持・継続できるようにしたいと考えました。そして、これらのコミュニティのメンバーが、作成された価値に対してクリエイターに対価を喜んで支払うことをすでに目の当たりにしています」と書いている。

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画像クレジット:Discord

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

クリエイターのコミュニティ形成を支援するPlayground、ベータ版の展開を開始

米国時間12月2日よりベータ版の展開が始まったPlayground(プレイグラウンド)は、人々がコミュニティを発見し、発展させることを支援するとともに、クリエイターには視聴者の収益化を可能にさせることを目指すソーシャルプラットフォームだ。すでにそのウェブサイトでは、Museum of Modern Art(近代美術館)や、コメディ司会者のAlexis Gay(アレクシス・ゲイ)氏、Aboritionist Teaching Network(アボリショニスト・ティーチング・ネットワーク)、活動家のNupol Kiazolu(ヌポル・キアゾル)氏、マレーシアのバーチャルダンスクラブなど、さまざまなユーザーが名を連ねている。現在のところ、ベータ版はカルチャー分野(アート、音楽、ウェルネス、ゲームなど)の一部のクリエイターにのみ公開されており、コミュニティメンバーに関してはウェイティングリストが用意されている。

台湾系米国人の娘という移民として、文化的に多様性のあるサンタフェ地域で育った創業者のJia Ling Yang(ジアリン・ヤン)氏は、人々を結びつけることの価値を理解している。しかし、フリーランスのクリエイティブディレクターとして、Facebook(フェイスブック)、Google Play(グーグル・プレイ)、E! Entertainment(E!エンタテインメント)などのブランドと仕事をしているうちに、彼女は新しい方法でオンラインコミュニティの構築に貢献したいと思うようになった。もちろん、ソーシャルメディアでは、地域における本の交換グループから、One Direction(ワン・ダイレクション)の熱狂的ファンによるTwitter(ツイッター)まで、すでにさまざまなコミュニティが生まれている。しかし、オンライン生活では孤立してしまうこともある。

「スクロールしてお互いの生活を見るのではなく、一緒にバタバタしようよと言っているのです。一緒にフィリピン料理を作ったり、一緒にトレーニングしたりしましょう」と、ヤン氏は語る。

画像クレジット:Playground

現在のところ、Playgroundではユーザーが文化機関やクリエイターと一緒に参加できるイベントを、オンラインと対面の両方で見つけられるようになっている。最終的には、ヤン氏はPlaygroundを、クリエイターがビジネスを運営できるオールインワン&エンド・ツー・エンドのプラットフォームにしたいと考えている。つまり、クリエイターはPlaygroundを利用して、ファンのサブスクリプション管理、ニュースレターの送信、イベントや記事やポッドキャストの投稿、分析結果の閲覧、物販などが可能になるということだ。ヤン氏と9人のチームは現在、コミュニティのメンバー同士が互いにつながることを手助けするソーシャルツールを開発中だ。

「私たちは、メンバー間で議論するためのフォーラムを作りたいと考えています」と、ヤン氏はTechCrunchに語った。「単にコンテンツを押し付けるだけのオーディエンスと、コミュニティとの違いは、メンバーが主催者の外で実際に交流できるかどうかということです」。

クリエイターにとって、1つのアカウントで管理できるオールインワンのプラットフォームは価値がある。Discord(ディスコード)、Patreon(パトレオン)、Eventbrite(イベントブライト)、Mailchimp(メールチンプ)など複数のアカウントを使い分けるよりも楽だからだ。しかし、ビジネスの全体像をスタートアップ企業に委ねることには、それなりのリスクもともなう。だが、Playgroundでは、クリエイターがサブスクリプション会員のリストとその連絡先を完全にコントロールできるため、ファンへのアプローチに関して、Playgroundのプラットフォームに依存することはない。

「自分のコミュニティを自分のものにできないことは、本当にフラストレーションが溜まります」と、ヤン氏はいう。「例えば、Clubhouse(クラブハウス)などでファンを獲得した後、そのプラットフォームがなくなってしまったらどうでしょう? そうなると、あなたのファンは、Instagram(インスタグラム)のDMであなたにメッセージを送ってきた人だけになってしまいます」。

クリエイターはPlaygroundのプラットフォームを無料で利用できるが、有料チケットや会員プログラムなどのマネタイズ機能を利用するには、希望するカスタマイズのレベルに応じて、月額15ドル(約1700円)または30ドル(約3400円)を支払う必要がある。

画像クレジット:Playground

ヤン氏は、Web3がPlaygroundの将来にどのように関わってくるかについても考えている。彼女の会社は設立以来、Animoca(アニモカ)、SoGal(ソーギャル)、Gaingels(ゲインジェルズ)、Anomaly(アノマリー)から230万ドル(約2億6000万円)のシード資金を調達している。出資している企業の1社であるAnimocaは、ブロックチェーンベースのプロジェクトに投資していることで知られているが、Playgroundがターゲットとしている文化系クリエイターの間では、暗号資産に対する反感も目立つ。NFT(非代替性トークン)の可能性を歓迎するアーティストがいる一方で、環境コストや規制のない市場で詐欺の蔓延を心配するアーティストもいる。しかしヤン氏は、暗号資産の世界にはコミュニケーションの問題があると考えている。

「この世界では文化が語られていません」と、彼女はTechCrunchに語った。「文化的なクリエイターは、自分で自分のアートを所有し、コミュニティを収益化し、コミュニティの統治方法を自分で決めることができる、そんなコンセプトを好みます。これらはすべて、クリエイターが本当に夢中になれる原則であり、私たちはその会話を、少しだけ橋渡ししているだけだと感じています」。

ヤン氏は、ブロックチェーンを利用したPlaygroundの将来性に興味を持っているものの、今はベータ版のローンチ後、クリエイターやコミュニティメンバーを育成することに注力している。

画像クレジット:Playground

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

クリエイターがゲーム内でアイテム作成、共有、収益化できるプラットフォームのOverwolfが約85億円調達

クリエイターがゲーム内でアイテムを作り、共有し、収益化できるプラットフォームを提供するOverwolf(オーバーウルフ)は、Andreessen Horowitz(a16z)がリードしたシリーズDで7500万ドル(約85億円)を調達した。既存投資家であるGriffin Gaming Partners、Insight Partners、Intel Capital、Liberty Technology Venture Capital、Markerなども参加した。調達した資金は、OverwolfのCurseForge Coreに投入される。CurseForge Coreは、ゲームスタジオ、IPオーナー、ゲーム内クリエイターがゲーム内にユーザー生成コンテンツを構築することを可能にするソリューションだ。

「ゴールド」やゲーム内MODが売買されていた世界は、大きく変化している。今やプレイヤーは、ゲーム内で体験を構築して共有できることに魅力を感じており、クリエイターとゲームオーナー向けにまったく新しい分野が生まれている。

テルアビブを拠点とするOverwolfは、Andreessen Horowitz、Atreides Management、Griffin Gaming Partners、Insight、Marker、Intel Capital、Liberty Technology Venture Capital、Market、Ubisoftなどの投資家から、これまでに1億5000万ドル(約171億円)超を調達している。

CurseForge Coreはホワイトレーベルのソリューションで、パブリッシャーが既存および新規のゲームにModを簡単に統合することを可能にする。

Overwolfは、技術的なソリューションであると同時に、ゲーム開発者に対してコンテンツのモデレーション、IP、その他さまざまな側面をカバーするフルサービスのUGCプラットフォームを提供している。

Overwolfの共同創業者でCEOのUri Marchand(ウーリ・マルシャン)氏は「情熱的なコミュニティの実行速度と圧倒的な創造性には、単一のゲームスタジオでは太刀打ちできません。主要なゲームスタジオが、コミュニティの創造に抵抗するのではなく、これらのクリエイターがコミュニティやスタジオ自体にもたらす価値を受け入れ始めているという認識の変化が見られます」と話す。

Overwolfによると、約8万7000人のインゲームクリエーターを擁し、毎月2000万人超のゲーマーがOverwolfの製品を利用しているとのことだ。Overwolfは、2020年の約3倍となる2900万ドル(約33億円)をゲーム内クリエイターに支払うと予想している。また、ゲーム内アプリのクリエイターやMODの作者、さらにはMODを新作品に統合することを計画しているゲームスタジオを支援するため、5000万ドル(約57億円)の基金「Overwolf Creators Fund」を立ち上げている。

a16zのパートナー、Jonathan Lai(ジョナサン・ライ)氏は、次のように語る。「TikTok、YouTube、Instagramなど、今日の最大のソーシャルプラットフォームは、友人や家族、コミュニティのためにコンテンツを生成するクリエイターによって大きく支えられています。ゲームがソーシャルネットワークに進化していく中で、クリエイターやユーザー生成コンテンツも同様に重要な役割を果たすでしょう。Overwolfのプラットフォームは、堅牢な開発エンジン、配信用のアプリストア、クリエイターが作品から生計を立てるための収益化ツールを備えているため、どんなプレイヤーでもお気に入りのゲームの共同制作者になることができます」。

筆者は電話でマルシャン氏に、Overwolfがメタバース形式の環境を提案するための「建築用ブロック」のようなものになる可能性があるかどうか尋ねた。

「ゲーム間で一貫した体験ということであれば、IPの所有者と一致した方法でそのようなものを作り、ギャップを埋めることができるかもしれません」と同氏は答えた。

「それは剣かもしれないし、物語かもしれないし、さまざまなものの可能性があります。人々が会話したり、体験を切り替えたり、所有権を生み出したりできることとは別に、メタバースの大きな部分を占めるのは創造であり、当社は創造の要素に焦点を当てている会社です」と付け加えた。

Overwolfの競合他社には、最近2600万ドル(約29億円)の資金調達を行ったMod.ioがある。

画像クレジット:Overwolf / Overwolf leadership team

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(文:Mike Butcher、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグラーが宇宙をマネタイズ、Axiom Spaceの民間宇宙ステーションが提供するさまざまなサービス

次期国際宇宙ステーションを建設するAxiom Space(アクシオム・スペース)は、2021年初めに10億ドル(約1148億6000万円)規模の評価を受けた後、Google(グーグル)出身のTejpaul Bhatia(テジポール・バティア)氏を同社初のCRO(最高収益責任者)に採用した。同氏は宇宙エコシステムの成長と収益化を担うことになる。

2017年、バティア氏はCiti Ventures(シティ・ベンチャーズ)でエグゼクティブ・イン・レジデンスを務めていた際にAxiomを紹介され、同社がNASAとの1億4000万ドル(約159億円)の契約を獲得した後の2020年にエンジェル投資家として投資。その後7月、リーダーシップチームの一員として参加することになった。

Axiom SpaceのCRO(最高収益責任者)であるTejpaul Bhatia(テジポール・バティア)氏(画像クレジット:Axiom Space)

しかし、宇宙分野におけるパイオニアはAxiomだけではない。NASAとの契約金4億ドル(約454億円)をめぐって、宇宙空間に進出しようと目論む宇宙ベンチャー企業のゴールドラッシュは始まっている。

十数社のコントラクターがこの競争への参加を表明しており、2021年10月には2社が発表された。10月22日には、Lockheed Martin(ロッキード・マーティン)がVoyager Space(ボイジャー・スペース)およびNanoracks(ナノラックス)と提携して2027年までに宇宙ステーション「Starlab」を打ち上げるという入札を行っており、また10月25日には、Blue Origin(ブルーオリジン)がSierra Space(シエラ・スペース)およびBoeing(ボーイング)と提携して、2025年から2030年の間に宇宙ステーション「Orbital Reef」を打ち上げるという計画をJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が発表している。

Axiomの役割はというと、2028年に退役する予定のISSからシームレスに移行するために、ISSに増築を行いながら段階的にAxiom Stationを建設するという計画をNASAが承認している。

最初のモジュールである「Hub 1」は2024年にドッキングする予定で、研究施設と4人のクルーのための居住区があり、タッチスクリーンの通信パネルと大きな窓が設置される予定だ。2025年には同様の設備を備えた2番目のモジュール「Hub 2」が計画されている。2026年には微小重力実験室の建設が続くという。そして2027年には、太陽電池アレイを搭載したパワータワーが3つのモジュールに取り付けられ、ISSのキャパシティを2倍にするAxiom Stationが形成される。2028年にはAxiom Stationが切り離され、自己軌道に乗り始めるという計画である。

WeWorkの地球外リトリート施設や研究機関の研究ハブとして機能するだけでなく、小国が独自の宇宙プログラムを立ち上げるための手段になる巨大な工業施設を今後7~10年の間に地球低軌道上に建設するという野望について、TechCrunchはバティア氏に話を伺った。

これが同氏の考える、Googleの戦略を見習った最後のフロンティアをマネタイズする方法だ。

Axiom Stationのタイムライン(画像クレジット:Axiom Space)

究極の旅を予約

Axiom Spaceは、国際宇宙ステーションの元マネージャーであるMichael Suffredini(マイケル・スフレディーニ)氏とIntuitive Machines(インテュイティブ・マシンズ)の共同創業者であるKam Ghaffarian(カム・ガファリアン)氏によって2016年に設立された。2月にはC5 Capital(C5キャピタル)が主導する1億3000万ドル(約147億7000万円)のシリーズBラウンドをクローズし、リードインベスターであるBlue Originの元社長Rob Meyerson(ロブ・マイヤーソン)氏が取締役に就任。これまでに総額1億5000万ドル(約170億4000万円)を調達している。同社はヒューストンに本社を置き、300人以上の従業員を擁している。

Axiomの主な収入源は、ISSでの短期滞在向けのエンド・ツー・エンドのミッションプロバイダーとなることによるものだ。つまり宇宙飛行士訓練とSpaceX(スペースエックス)による往復輸送(食料、水、酸素、通信、データ、電源などの必需品を含む)をパッケージ化し、7~10日間のオールインクルーシブ滞在を民間に販売するというわけだ。また、ISSの微小重力実験室で行う実験のためのリサーチミッションを販売する他、コンテンツやメディアのスポンサーシップの販売にいたってはすでに開始されている。

2022年には2つのミッションが予定されている。NASAの元宇宙飛行士でAxiomの副社長であるMichael López-Alegria(マイケル・ロペス=アレグリア)氏が、2月21日に予定されている最初のミッション「Ax1」を指揮し、投資家のLarry Connor(ラリー・コナー)氏、Mark Pathy(マーク・パシー)氏、Eytan Stibbe(エイタン・スティッベ)氏がクルーを務めるという。ワシントン・ポスト紙は、チケット価格を乗客1人当たり5500万ドル(約62億5000万円)と報じている。

2つ目のミッション「Ax2」は2022年後半に計画されており、宇宙滞在時間の米国最長記録を持つNASAの引退宇宙飛行士Peggy Whitson(ペギー・ウィットソン)氏と、米国の投資家でレーシングカーのドライバーおよびパイロットでもあるJohn Shoffner(ジョン・ショフナー)氏が参加する予定だ。まだ2つの席が空いているはずだが、Elon Musk(イーロン・マスク)氏とともに2億ドル(約227億1000万円)のユニバーサル映画を製作中で、NASAからも飛行すると噂されているTom Cruise(トム・クルーズ)氏がこのフライトに参加するのか否かは、Axiomは明らかにしていない。

3回目と4回目のミッションは2023年に計画されており、いずれかのミッションにはDiscovery Channel(ディスカバリーチャンネル)の競争型リアリティテレビ番組「Who Wants To Be An Astronaut?」の優勝者が参加する予定だ。

この分野におけるAxiomの競合他社には、1998年にBOLD Capital(ボールドキャピタル)のPeter Diamandis(ピーター・ディアマンディス)氏が共同設立したSpace Adventures(スペース・アドベンチャーズ)がある。同社はこれまでに、Cirque du Soleil(シルク・ドゥ・ソレイユ)の共同創設者であるGuy Laliberté(ギー・ラリベルテ)氏を含む7人の民間人を、ロシアの宇宙機関Roscosmos(ロスコスモス)を通じてISSに輸送してきた。2023年に予定されている同社2回目のISSへのミッションは宇宙遊泳だ。SpaceNews(スペースニュース)によると、同社は2021年後半にSpaceXによる軌道旅行を計画していたものの、需要の少なさのためにキャンセルされている。

億万長者のRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏、Elon Musk(イーロン・マスク)氏が、スタートレックのWilliam Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏などの民間人を宇宙の果てまで連れて行くという話がここ数カ月湧いていたが、実際市場はチケット代を払える人に限られている。

幸いなことに、億万長者らはAxiomのターゲットではない。

  1. Render-Axiom-Station

    画像クレジット:Axiom Space
  2. Axiom-Station-rendering-2

    画像クレジット:Axiom Space
  3. Axiom-Station-rendering

    画像クレジット:Axiom Space
  4. Axiom-featured

    画像クレジット:Axiom Space

 

 

スカイシティへようこそ

ネオン輝く天空のビルの周りをスペースカーが疾走するThe Jetsons(宇宙家族ジェットソン)のようにはいかないかもしれないが、2024年にAxiomが最初の居住施設をISSにドッキングさせるとき、事態はかなりおもしろくなるだろう。

バティア氏によるとAxiomは今後ISSの容量制限を受けなくなるため、さらに多くの部屋や研究施設を建設することができ、より多くのミッションを提供できるようになるという。Axiomは需要に応じて、BoeingのStarlinerを含む、SpaceXのような他のロケットプロバイダーとの協力も承認さえおりれば考慮したいと考えている。

バティア氏は2024年が収益成長の重要な変曲点になると考えている。

「Axiomステーションが稼働し始めれば、企業や機関、政府が物理的スぺースやデジタルスペースをカスタムメイドで構築、購入、リースできるハイブリッドモデルになるでしょう」と同氏。

「私たちの物理的スペースのクールな点は、ラボ、データセンター、居住スペースなどのモジュールが、レゴのように切り離され飛び回り、再構築できるということです」。

しかしバティア氏は、アプリで部屋を予約できるような宇宙ホテルなどとは決して呼ばれたくないようだ。Axiom Stationは独自の宇宙プログラムを構築しようとしている政府から、微小重力実験室やコロケーション製造施設を必要としている企業や機関まで、さまざまな顧客を想定した巨大な産業用宇宙施設であると同氏は考えている。

「私たちは食料、水、酸素、生命維持システム、帯域幅、データ、インサイト、エッジコンピューティング、通信、電力など、あらゆる企業、機関、政府が軌道上で運営するために必要なものが完備された物理的スペースを提供します」と同氏。

「さらにエキサイティングなことに、iPhoneのセンサーを使ってアプリケーションを開発するのと同じように、開発者が船上のセンサーやその他の機器を使ってビジネスを構築することができる、インフラストラクチャ・アズ・ア・サービスとして販売するデジタルプラットフォームを提供することもできます」。

Axiomのクルーステーション・クォーターのレンダリング画像(画像クレジット:Axiom Space)

Axiom StationのOSをサードパーティが開発できるようなソフトウェア開発キットを実際に制作するかどうかは不明だが、バティア氏はAxiom Stationのセンサーの用途として、スペースデブリや地球の気候のモニタリングが考えられると話している。

またバティア氏は、宇宙開発の予算がある国とまだ予算がない国の両方の市場を想定している。

「私たちの目標は、ISSが寿命を迎えたときに、すべての人のための完全なサービスと機能を備えたプライベートステーションを提供してギャップが生じないようにすることです。ある国の予算が数十億ドルであろうと、その数分の一であろうと、私たちはその国のニーズに合ったソリューションを作ることができるでしょう」。

NASA、ESA(欧州宇宙機関)、JAXA(宇宙航空研究開発機構)、Canadian Space Agency(カナダ宇宙庁)、Roscosmosが、ISSの後継機として年間20億ドル(約2256億7000万円)から30億ドル(約3385億5000万円)の収益をAxiom Stationに移すことをバティア氏は期待している。Morgan Stanley(モルガン・スタンレー)のレポートによると、商業宇宙部門は2020年に3500億ドル(約39兆4683億円)、2040年には1兆ドル(約112兆7370億円)になると予想されており、Axiomとしては長期的にこの数千億ドル規模の市場にサービスを提供できるようになりたいと考えている。

グーグラーの出番

シリアルアントレプレナー、投資家、そしてGoogle Cloud(グーグルクラウド)のスタートアップエコシステムの構築に貢献した技術者として、バティア氏は宇宙経済にはベンチャーキャピタルの考え方が必要だと伝えている。

「最高収益責任者である私の使命は、今後7年から10年の間にビジネス、産業、市場が飛躍的に成長するための発射台となる超成長ビジネスプラットフォームを構築することです。これは、政府の税金で運営されてきたこれまでの宇宙産業とはまったく異なるモデルであり、民間企業の方がこれを達成するのにはるかに適しています」。

バティア氏はStarlabやOrbital Reefとの競争を歓迎すると同時に、Axiomがこれらの数年先を行っていると同氏は確信を持っている。

イタリア、トリノのThales Alenia(TASI)の工場でAxiom Hub 1を製作中(画像クレジット:Axiom Space)

「仕事を始めて100日ちょっとですが、このプロジェクトが理屈上の話だけではないことがわかりました。金属が曲げられ、人々が集まり、契約が結ばれています。最初のモジュールはすでにイタリアのThales Alenia(タレス・アレーニア)の工場で建設中です。これはサイエンスフィクションではなく、実際に起こっていることなのです」。

また当分の間、収益性については心配する必要がないという。

「資金調達は非常に重要です。私たちは世界で最も価値のある5つの企業(Facebook、Apple、Amazon、Microsoft、Google)が創業時に赤字で運営していたことをモデルにしています。できるだけ多くの株主価値を創造し、必要不可欠なインフラを構築するために資本を得て、安全性に焦点を当てながらスピード感を持って革新していくというのが計画です」。

編集部注:本記事の執筆者Martine Paris(マルティーヌ・パリ)氏はフリーランスの技術レポーターとして、宇宙、電気自動車、気候変動対策、ロボット、AI、コンシューマーテック、eコマース、ストリーミング、ゲーム、ベンチャーキャピタル、スタートアップカルチャーなどを取材している。

画像クレジット:Axiom Space

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(文:Martine Paris、翻訳:Dragonfly)

料理系クリエイターがレシピ・コンテンツを収益化できるマーケットプレイス「Foody」

Foodyの共同設立者Dan Stitzel(ダニエル・スティッツェル)氏とBrenna Stitzel(ブレナ・スティッツェル)氏(画像クレジット:Foody)

夫婦で共同創業したDaniel(ダニエル)とBrenna Stitzel(ブレナ・スティッツェル)氏は、グルメな人々が自分の作った料理を収益化する方法を開発しており、そのマーケットプレイス「Foody」を正式に立ち上げるためにプレシード資金として150万ドル(約1億7000万円)のラウンドをクローズした。

このラウンドはSerena Venturesが主導し、Goodwater Capitalと、Patreon(パトレオン)のJack Conte(ジャック・コンテ)氏、Postmates(ポストメイツ)の元COOであるVivek Patel(ヴィヴェク・パテル)氏、Greenoaks CapitalのNeil Mehta(ニール・メータ)氏、KeepTruckinのShoaib Makani(ショエイブ・マカニ)氏などを含むエンジェル投資家グループが参加した。

ほとんどの米国人(98%)は、少なくても週に一度は家で料理をするが、レシピを見つけるためには長い時間インターネットで検索したり、広告や料理ブログの記事をかき分けてレシピを見つけなければならない。

そこでFoodyは、ユーザーがレシピを購入したり、自分のレシピをアップロードしたりして、それらを広告なしで1つの場所に保管できる場所を提供する。また、Jeremiah Tower(ジェレマイア・タワー)氏のようなミシュランの星付きシェフやフードブロガーと提携し、彼らはファンとの関係を築きながら、レシピやその他のコンテンツを収益化している。

Foodyアプリ(画像クレジット:Foody)

この会社のアイデアは、ブレナ・スティッツェル氏が金融業界でのキャリアを経て、2020年に料理学校に行くことを決めた頃に生まれた。世界的なパンデミックで学校が閉鎖され、店の棚にある利用可能な食料品が減っていったとき、スティッツェル氏は友人たちから、手元にある基本的な食材で何が作れるかという問い合わせを受けるようになった。

「多くの人がコンテンツを求めていたので、レシピを発信し始めたのですが、既存のツールには満足できませんでした」と彼女は語る。「レストランから作家まで、あらゆる種類のフードクリエイターがコンテンツを収益化して世に出すための優れたソフトウェアはありませんでしたし、家庭のシェフがレシピを一カ所に保存、共有、保管できる場所もありませんでした」。

そこでスティッツェル夫妻は、クリエイターがレシピを公開・共有し、QRコードやURLでファンにアピールできるツールの構築に着手した。料理好きな人は、無料で登録してサイトを利用でき、少額の料金でレシピ集を作ることができる。

Foodyは、タワー氏や、Mister Jiu’sのシェフBrandon Jew(ブランドン・ジュー)氏、Rich TableのEvanとSarah Rich(エバン&サラ・リッチ)氏、Harold Villarosa(ハロルド・ヴィラロサ)氏、Gaby Dalkin(ギャビー・ダルキン)氏、Amanda Frederickson(アマンダ・フレデリクソン)氏、Amanda Haas(アマンダ・ハース)氏、LauraとSayat Ozyilmaz(ローラ&サヤット・オジルマ)氏、A16レストラン、Tu David Phu(トゥ・デイビット・フー)氏など、12の厳選されたシェフやレストランを含む30人以上のクリエイターが参加してスタートする。

Serena Venturesについて「クリエイターに力を与え、家庭での料理の作り手の日々の生活を向上させるすばらしいソフトウェアを構築するというビジョンを共有できる」パートナーを見つけた、とスティッツェル夫妻は述べている。

Serena Venturesの創設者で経営パートナーのSerena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏は、声明文の中でこう述べた。「仕事でも家族といるときも、食べ物と料理は、私の生活の大きな部分を占めています。Foodyで新しいレシピを試すことをとても楽しみにしています。そして、あらゆる文化やバックグランドを持つ料理クリエイターが、その創造性を収入につなげる機会を持つべきだと信じています」。

今回の資金調達は、新製品や機能を構築していく中で、エンジニアリングおよび開発部門の10人のチームを強化するために使用する予定だとダニエル・スティッツェル氏は語った。

「私たちは、毎週の食事のプランニングや、食料品の配達サービスと統合するなど、すばらしいキッチンソフトウェアを実現するための大きなビジョンを持っています」と彼は付け加えた。

画像クレジット:Christine Hall

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

Instagramのクリエイターサブスクが一般公開間近、App Storeの説明で発覚

2021年5月、Instagram(インスタグラム)は、クリエイターサブスクリプションを検討中であると語り、後に、クリエイターサブスクリプション契約者だけがアクセスできる独占Stories(ストーリーズ)を開発していることが発覚した。そしてこのたび同社は、クリエイターサブスクリプションのテスト範囲を拡大しようとしている。サードパーティーアプリ調査サービス2社によると、最近Instagramは、アプリ内購入オプションを米国向けアプリに追加し、それは「Instagram Subscription」のためだという。

Sensor TowerApptopiaの両社は、いずれもランキング動向、アプリのユーザー定着率、マーケティング情報などを調べてモバイルアプリのエコシステムを追跡している。しかし、それ以外にアプリに見られる微妙な変化にも注目している。たとえばApp Storeの説明文の変更、スクリーンショットの入れ替えなどで、今回はApp Storeの説明にアプリ内購入の記述が加えられた。

こうした変更は、近々やってくる機能を見つけるきっかけになることがある。例えば新たに追加されたアプリ内購入オプションを追跡することで、App Store観察者たちはTwitter(ツイッター)のプレミアムサブスクリプションサービスであるTwitter Blueが公開間近であることを突き止めることができた。同じように、新しい「Instagram Subscription」アプリ内購入オプションは、Instagramのサブスクリプションベースのクリエイタープラットフォームが広く公開されることを示している可能性が高い。

Sensor Towerによると、米国App Storeの一覧に「Instagram Subscription」のアプリ内購入が最初に追加されたのは11月1日で、価格は4.99ドル(約560円)だった。2日後の11月3日には、0.99ドル(約110円)のアプリ内購入が追加された。

同社によると、これまでに利用できたアプリ内購入は、「Instagram Badges」のさまざまなオプションだけだった(お気に入りのクリエイターにライブストリーミング中に投げ銭するためにファンが購入できるバーチャルアイテムで、価格は0.99~4.99ドル)。

App Storeのスクリーンショット

Instagramユーザーの中にも追加機能を見つけた人がいる。たとえば英国のソーシャルメディアコンサルタントであるMatt Navarra(マット・ナバラ)氏とBrian Kofi Hollingsworth(ブライアン・コフィ・ホリングスワース)氏が、それぞれサブスクリプションの記述についてツイートしている。

通常Instagramは、新機能を一般公開する前に少人数のクリエイターとともにテストする。このため、もし近い将来、新しいアプリ内購入が示しているように、米国でInstagram Subscriptionsを公開するつもりだとしても、あなたがフォローしているクリエイターのところで今すぐこのオプションを見つけられるとは限らない。

Instagramは、クリエイター向けツールを拡張して、サブスクリプションやNFT(非代替性トークン)などを導入することでクリエイターにとってより使いやすいプラットフォームにする計画があることを公言している。サブスクリプションが導入されれば、ファンは少額の料金を支払うことによって、お気に入りのクリエイターの限定コンテンツにアクセスできるようになる。

同社はこの夏、開発中のサービス「Exclusive Stories」(イクスクルーシブストーリー:独占ストーリー)の一機能と思われるものを開発しているところを発見された。この機能は有料でサブスクライブしているファンに、一般ユーザーは見ることができないストーリーを提供するもので、スクリーンショットを撮ることもできないが、サブスクライバーは「Highlights」(ハイライト)として表示することができる、と開発中の機能を発見したリバースエンジニアAlessandro Paluzzi(アレサンドロ・パルッチ)氏はいう。同氏はさらに、サブスクライバーは特別なメンバーバッジを与えられ、独占ライブビデオもアクセスできるようになることも、Instagramアプリ内で発見した内部コードに基づいて暴露した

Instagramはサブスクリプションの計画についてまだ全容を説明していないが、Instagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は6月のCreater Week(クリエイター・ウイーク)で、一般論として同社の収益化戦略について語った。同氏は3種類のクリエイター向け収益化ツールに言及した。1番目はコマースで、ブランド付きコンテンツ、物販、アフィリエイト・マーケティングなどからなる。2番目が収益分配。3番目が決済サービスで、チップやバッジなどの直接支払いや「ゲート付きコンテンツやサブスクリプション」などだ。

「私はこれらを大いに気に入っています。なぜなら、クリエイターがファンと直接触れ合うことができるからです。これは長期的に持続可能かつ予測可能だろうと私は考えています」とモセリ氏が決済サービスの計画について語った。

クリエイター人材を巡って競争しているのはInstagramだけではない。増え続けているスタートアップやクラウドファンディング・プラットフォーム、そしてTikTok(ティックトック)、Snap(スナップ)、Pinterest(ピンタレスト)、YouTube(ユーチューブ)などのソーシャル分野のライバルたちに加えて、9月にはTwitter(ツイッター)も独自のサブスクリプション・プラットフォーム、Super Follows(スーパー・フォロー)をスタートさせた

新しいアプリ内購入オプションについてInstagramにコメントを求めたが、同社は計画についてこれ以上情報提供することを拒んだ。

画像クレジット:Stockcam / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックがクリエイターにアップルの料金を回避できるリンクを提供

Facebookという名前だった企業は、米国時間11月3日、Apple(アップル)の悪名高いプラットフォーム料金を回避する計画を発表した。このところ有力なソフトウェア企業とiOSを開発した企業との間で戦争が続いているが、これはその最新の戦いとなる。Facebookの11月3日の投稿でMetaのMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏は、同社プラットフォーム上の特定のクリエイターに対して、支払いを直接受けとることができるリンクを提供し、議論の多いAppleによる30%の手数料を迂回できるようにすると述べた。

「メタバースの構築のために、クリエイターが自分の仕事からお金を稼ぐ機会をクリエイターの手に開放することに注力したい。Appleが取引に際して徴収する30%の料金は、その開放を困難にしているため、この度、私たちのサブスクリプションプロダクトをアップデートして、クリエイターがもっと多くを得られるようにしたい」とザッカーバーグ氏はいう。

サブスクリプションの対象となるFacebookページを運営しているクリエイターは、テキストやeメールで新しいプロモリンクを共有し、独自の決済システム「Facebook Pay」で運営される決済ポータルにファンを誘導することができる。また、このクリエイター向けの投稿の中で、Facebookは、以前発表した10億ドル(約1142億1000万円)規模のクリエイタープログラムの一環として、年末までにクリエイターが新規購読者を獲得するごとに、5〜20ドル(約570〜2280)を支給するという新しいボーナスプログラムを発表している。

画像クレジット:Facebook

FacebookのPatreonに似たサブスクリプションプロダクトは、人気のあるFacebookページを持つ人々に、毎月の定期的な支払いで特別な収益化ツールを提供するものだ。現在の申込資格は、1万人のフォロワーまたは250人以上のリターンビューワーに加え、5万件の投稿エンゲージメントまたは18万分間の視聴があることになる。

Facebookは、2023年まではFacebook自身がクリエイターの決済から料金を徴収することはない斗述べているが、この分野に最近熱心になってきた同社としては、導入期の数年間無料にした後、ブームとなっているクリエイターエコノミーで自らも稼ぐ計画をきっと持っているだろう。そもそも同社自身が以前は、30%の手数料徴収を計画していたのだ。少なくとも現在のところ、その計画を引っ込めているようだが。

Appleはこれまで、iOSで提供されるすべての有料アプリとアプリ内課金から、標準で30%の手数料を徴収してきた。この手数料は、Appleにとって莫大な収益をもたらしてきた。しかし2020年末、同社は小規模なアプリメーカーに救いの手を差し伸べ、年100万ドル(約1億1000万円)未満の開発者の手数料を15%に引き下げている。

AppleのApp Store手数料は、多くの大手ソフトウェア開発者にとって大きな悩みの種となっている。2020年「Fortnite」のメーカーであるEpic Gamesは、自らを開発者のために闘う小さな会社と位置づけ、派手なキャンペーンでアプリ内課金をめぐってAppleを裁判で訴えた。本稿執筆時点で9230億ドル(約105兆4241億円)の価値があるMetaは、Appleとの間で行われたクリエイターへの支払いをめぐる新たな戦いにおいても、同様の位置づけをしている。

2021年9月、カリフォルニア州のEpic Games対Appleの訴訟の判事は、Appleが開発者に対して、同社による多額の手数料を回避する外部の支払い方法をユーザーに紹介することはもはや阻止できないという判決を下した。この判決により、Facebookの新たな回避策の道が開かれた。Appleはこの判決を不服とし、2021年10月に、判事の差し止め命令の停止を要求している。

クリエイターへの支払いに関する新たな回避策は、FacebookにとってAppleとの初めての大きな衝突ではなく、Facebookがユーザーの味方に回った初めての例でもない。Facebookは、ユーザーのプライバシーを強化するためにiOS 14に搭載された新しいトラッキング防止機能に脅威を感じ、すべての主要な全国紙に変更に抗議する全面広告を掲載した。表向きにこの行動は、自社ではなく影響を受ける中小企業を代表してのものだった。

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画像クレジット:Sean Gallup/Getty Images

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)

クリエイターが稼ぐ方法としてPatreonは暗号資産を検討

Patreon(パトロン)の共同創業者でCEOのJack Conte(ジャック・コンテ)氏と最高プロダクト責任者のJulian Gutman(ジュリアン・ガットマン)氏は、現地時間10月28日に開催されたThe Informationの2021 Creator Economy Summitのパネルに登壇し、同社の会員制プラットフォームの暗号資産に関する計画について質問を受けた。

「暗号資産とNFTの分野で、明らかに壮大なイノベーションが起きています」とガットマン氏は話した。「私たちが目にするアート市場や貴重品市場では、狂気じみた価格がつきます。それがクリエイターエコノミー全体で持続可能なのか、明らかではありません。しかし、には、基本的な技術的要素というものがあり、オーディエンスに価値を売る方法として機能しています。クリエイターの活動が世の中で重要性を増すと、二次販売によってその価値を継続して享受することができます」。

Patreonは9月、四半期ごとのCreator Policy Engagement Programのライブストリームに先立ち、クリエイターコミュニティに対し、クリエイターコインのアイデアを提示した。このライブストリームでは、クリエイターがプラットフォームのポリシー変更について意見を述べることができる。だが同社は、このテーマについてクリエイターと深く話し合うことができなかった。Mastercardのアダルトコンテンツに関する新基準に関連した、より緊急性の高い問題と一緒に提示されたためだ。

Patreonのポリシー責任者であるLaurent Crenshaw(ローレント・クレンショー)氏はPatreon Connectのライブストリームで「私たちは今、いかなるタイプのイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の創設についても検討していません。明らかに、Patreonの現在のガイドラインでは認められていません」と話した。「しかし、多くのクリエイターから、彼らの支援者に対し、コインやトークンなどにより、限定的なメンバーシップや特典を提供することに興味があるという声を耳にしてきました。そうしたデジタルアイテムは、クリエイターのファンクラブの一員であることを示し、持ち続けることができます。そこで私たちは、少なくとも、そのような方法をガイドラインが認める可能性を探れるのではないかと考えました」。

Patreonでは、クリエイターが個人的な投資話やアドバイスをすることはできるが、現在のガイドラインでは、クリエイターやその支援者の直接的な金銭的利益を目的としたコインや、投資スキームの一部として提供されるコイン、暗号資産の購入や入手を促す明示的なインセンティブなどは禁止されている。しかし、クリエイターがクリエイターコインの提供に興味を示すなら、Patreonはポリシー変更を検討するという。

クリエイターコインとは、暗号ベースのソーシャル通貨の一種で、基本的には、ファンがクリエイターの成功に投資できるような仕組みだ。BitCloutRollRallyなどの企業が個別のトークン作成に取り組んでいる。クリエイターのトークンを早期に購入し、その人がスーパースターになれば、自分も利益を得ることができる。

「Patreonが常に心がけていることの1つは、クリエイターにとって持続可能で長期的な道筋を作っていくことです。収益化が爆発的に進むことではありません」とガットマン氏はThe Informationのサミットで述べた。「ですから、NFTやその基盤となる技術が、クリエイターにとって持続可能で長期的な収益を生み出すためにどう役立つのかを検討し、理解することに興味があります。しかし、個々のアセットの販売を伸ばすことに関していえば、クリエイターにとって価値があると思えるなら、クリエイターが提供できる幅広いポートフォリオの一部として、クリエイターコインの提供を考えないわけではありません。しかし、私たちとしては、クリエイターにとって持続可能で継続する未来を築くにはどうすればよいかを真剣に考えているがために、暗号資産についても広く検討しているわけです」。

クリエイターに作品の所有権を与えることを目的とする暗号資産の取り組みもある。例えば、アーティストはNFTを販売するたびにロイヤルティを得ることができるが、通常のファインアーティストに同じことは当てはまらない。

「暗号資産やNFTに関する一般論として、私はクリエイターが自分のメディアやコンテンツを所有するという考えがとても気に入っています。クリエイターがレバレッジを効かせてコントロールするという考え方が好きなのです。プラットフォームではなく、クリエイターがオーディエンスのデータを所有するという考え方も好きです。基盤となる多くのインフラが、クリエイターに自立の力を与えてくれるというのはすばらしいことだと思います。権力を組織から個々のクリエイターに移すという考え方が好きです」とコンテ氏はイベントで語った。「私は、このテクノロジーの多くが目指しているのはそういうことだと思いますし、それが本当に深くエキサイティングなことだと思っています」。

しかし、Patreonが先月提案した、クリエイターが暗号資産に手を出せるようにするというPatreonのアイデアには、多くのクリエイターが抵抗を感じていた。ほとんどは環境コストが理由だ。

「暗号資産を加えるというアイデアは心配です。アーティストのコミュニティにおける暗号資産の評判は絶対的に悪いからです。表面的には有益であってもです。クリエイターの支援者がプラットフォームへの暗号資産導入に賛成しないことで、支援者を失ってしまうのではないかと心配しています」と、あるクリエイターはライブストリームの公開チャットに書き込んだ。

パネルの司会を務めたThe InformationのLaura Mandaro(ローラ・マンダーロ)氏は、コンテ氏に対し、Patreonには暗号資産に取り組むフルタイムの従業員がいるのかと尋ねた。

「それについてはノーコメントですが、検討はしています」とコンテ氏は答えた。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッター、全iOSユーザーが特定のクリエイターを「スーパーフォロー」できるように

Twitter(ツイッター)は、すべてのiOSユーザーが特定のクリエイターを「Super Follow(スーパーフォロー)」できる機能を世界中で展開中だ。これまでは、米国とカナダのユーザーだけが利用できた。スーパーフォローでは、ユーザーは気に入ったアカウントを月額料金でサブスクし、限定コンテンツを入手できる。


この機能は、2月に発表され、9月に始まった。スーパーフォローは、クリエイターがソーシャルメディアを通じて収入を得るためのもう1つのツールだ。対象となるアカウントは、スーパーフォローのサブスク料を設定することができ、月額2.99ドル(約340円)、4.99ドル(約560円)、9.99ドル(約1100円)のいずれかを選択できる。クリエイターは、一部のツイートを購読者専用にし、購読していないフォロワーには通常のツイートでアプローチを続けることができる。

クリエイターがスーパーフォロワーになるプロセスは、現在は申請ベースとなっている。対象となるのは、米国在住で、1万人のフォロワーを抱え、過去1カ月間に25回以上ツイートしたクリエイターだ。

2021年9月に発表されたSensor Tower(センサータワー)のレポートでは、スーパーフォロー開始2週間で、米国では約6000ドル(約68万円)、カナダでは約600ドル(約6万8000円)ほどの収益しかあがっていないことが明らかになった。スーパーフォローのゆっくりとした立ち上がりについてのTwitterの見解は「何かを判断するにはまだ早すぎる」というものだ。

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注目すべきは、スーパーフォローがTwitterの唯一の収益化機能ではないということだ。

2021年初め、Twitterは、アカウントがフォロワーから1回限りの支払いを受けられるTip Jarを導入した。このテストは現在、クリエイター、ジャーナリスト、専門家、非営利団体など、対象となるアカウントの一部に限定されている。また、Twitterは、ライブオーディオルーム機能にTicketed Spacesを導入し、クリエーターが1〜999ドル(約113円〜11万3800円)の範囲で課金して前売りチケットを販売できるようにした。

画像クレジット:Twitter

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

TikTok、クリエイターがフォロワーから直接チップをもらえる方法をテスト中

TikTok LIVEはこれまで、クリエイターがファンからギフトをもらうことはOKだったが、これからはチップとしてお金をもらうこともできる。TikTokは現在、このチップ機能をテスト中であり、そのテストはしばらくは小規模で、広範囲で利用はできないという。

この機能を見つけたクリエイターのJera Bean(ジェラ・ビーン)氏は紹介動画を投稿し、ビデオをポストし、れをさらにソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏がTwitterで拡散した。

TikTokが一部のクリエイターへのチップ機能を展開している。ありがとうjera.bean。

彼女の動画では、自分のTikTokアカウントの設定にある新機能と、TikTokが詳細に要件を書いている表示が披露されている。

限定的なテストに参加したクリエイターは、10万人以上のフォロワーを持ち、ステータスがよければ、この機能を申請することができると画面では説明されている。クリエイターがこの機能を利用するための申請を行うと、アカウントが承認されたときに通知される。承認されたクリエイターには、プロフィール上に「Tips(チップ)」ボタンが表示され、フォロワーがそのボタンを使って直接支払いを行うことができるようになりる。

チップのページには、クリエイターが受け取った金銭は直接クリエイターに渡され、TikTokが手数料を取ることはないと書かれている。今後、TikTokがクリエイターのTipsをテスト段階にとどめた場合、TikTokがクリエイターの「チップから利益を得ることを計画しているかどうかはわからないが、その可能性はありそうだ。

TikTokの広報は「コミュニティを価値あるものにし、TikTok体験を充実させえる方法を、常に考えている」という。

TikTokはこのところ、このプラットフォームでクリエイターの生活が成り立つために、いろいろな収益化方法を考えてきた。2020年同社は2億ドル(約227億円)のファンドを導入して、米国のクリエイターの収入を補うことにした。またクリエイターとブランドのパートナーシップやスポンサー契約を仲介して、ライブストリームの収益化を助けている。このようにTikTokは収益化努力に熱心であるため、クリエイターがフォロワーから直接金銭を受け取ることができる方法を実験しても不思議ではない。

TikTokのチップ機能は2021年前半にTwitterが導入した「Tip Jar」機能によく似ており、TikTokだけがクリエイターの収益化方法の開拓に熱心なわけではない。TikTokと同じくTip Jarも、非営利団体やジャーナリスト、エキスパート、クリエイターなどの、選ばれたユーザーグループが利用できる。

TikTokとTwitterのような直接チップを渡す方式は、もっとお金になりやすい方法でクリエイターに金銭を提供するYouTubeやInstagramといったプラットフォームに対抗する手段のようだ。

画像クレジット:Lionel Bonaventure/Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

トップクリエイターから学べるライブ動画プラットフォームのBrightが16億円調達

ファンたちがお気に入りのクリエイターや著名人とライブで会話をすることができるライブ動画プラットフォームBright(ブライト)が新たに1500万ドル(約16億円)の資金を調達したと発表した。この調達ラウンドは、同社の共同創設者でタレントマネージャーのGuy Oseary(ガイ・オザリー)氏がAshton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏とともに設立したファンド、Sound Ventures(サウンド・ベンチャーズ)が共同で主導。RIT Capital(RITキャピタル)とRegah Ventures(レガー・ベンチャーズ)も共同主導している。

その他にも、Marc Benioff(マーク・ベニオフ)氏のTIME Ventures(タイム・ベンチャーズ)、Globo Ventures(グローボ・ベンチャーズ)、Norwest Venture Partners(ノースウェスト・ベンチャーズ・パートナーズ)、Shawn Mendes(ショーン・メンデス)氏とマネージャーのAndrew Gertler(アンドリュー・ガートラー)氏のAG Ventures(AGベンチャーズ)の他、Twilio(トゥイリオ)のCEO兼共同設立者であるJeff Lawson(ジェフ・ローソン)氏などが同ラウンドに参加している。

さらにBrightによると、Rachel Zoe(レイチェル・ゾー)氏、Drew Scott(ドリュー・スコット)氏、Jonathan Scott(ジョナサン・スコット)氏、Judd Apatow(ジャド・アパトー)氏、Ashton Kutcher(アシュトン・カッチャー)氏、Amy Schumer(エイミー・シューマー)氏、Bethenny Frankel(ベセニー・フランケル)氏、Ryan Tedder(ライアン・テダー)氏など、多くのアーティストやパフォーマー、俳優などさまざまな著名人が出資しているという。また、Jessica Alba(ジェシカ・アルバ)氏、Kane Brown(ケイン・ブラウン)氏、Maria Sharapova(マリア・シャラポワ)氏がアドバイザーとして参加している。

5月に誕生したBrightは、マドンナやU2のタレントマネージャーであるオザリー氏と、YouTube(ユーチューブ)初期のプロダクトマネージャーであるMichael Powers(マイケル・パワーズ)氏が共同で設立した会社である(パワーズ氏は以前Google在籍中にYouTubeチャンネル機能を立ち上げた経験もある)。同スタートアップの目的は、成長中のクリエイター経済を活用してクリエイターらがYouTubeのような広告ネットワーク以外でマネタイズできるような仕組みを作り、クリエイター自身でビジネスを成長できるようにすることである。

同社のプラットフォーム自体はZoomを基盤として構築されている。これによりリアルタイム動画の技術をゼロから作る必要がなくなった上、パンデミックによって広く普及したZoomを活用すればその分のメリットがあるというわけだ。

サービスを開始した当初、200名以上の著名なクリエイターが自身のストーリーや専門知識を共有したり、インタビューに答えたり、アドバイスをしてくれるというチケット制のオンラインイベントを開催すると発表した同社。現在では320人以上の著名人が同サービスに参加し、ファンとの交流や自身のブランド構築を続けている。その中にはMadonna(マドンナ)、Naomi Campbell(ナオミ・キャンベル)氏、D-Nice(Dナイス)、D’Amelio Sisters(ダミリオ・シスターズ)、Laura Dern(ローラ・ダーン)氏、Deepak Chopra(ディーパック・チョプラ)氏、Lindsey Vonn(リンゼイ・ボン)氏、Diego Boneta(ディエゴ・ボネータ)氏、Jason Bolden(ジェイソン・ボルデン)氏、Yris Palmer(イリス・パーマー)氏、Cat & Nat(キャット・アンド・ナット)、Ronnie2K(ロニーツーケー)、Chef Ludo Lefebvre(シェフ・ルード・ルフェーブル)氏などが名を連ねている。今後のセッション開催に向けてさらに多くのクリエイターが続々と参加しており、同社は年末までに参加クリエイターの数を倍増させる予定だという。

ソーシャルメディアのクリエイターツールとは異なり、同社のサービスは単に「いいね!」や「フォロー」を獲得するのではなく、知識を共有することに重点を置いている。例えば最初のセッションでは、俳優のローラ・ダーン氏が「自己成長」について語ったり、ストリーマーでオンラインクリエイターのRonnie2Kが「ゲーム界でのキャリア構築」についてシリーズを開催したりしている。つまり、Brightでは単にハリウッドの娯楽やトップアーティストを売りにしているのではなく、彼らの話を聞くためにお金を払ってくれる誰もが顧客になり得るのである。

現在ではクラフト、ホーム、マネー、カルチャー、ボディ、マインドなどの各分野でさまざまな興味やトピックのセッションが行われている。

Brightのセッション例

同社はクリエイターの収入に対して20%の手数料を取ることで収益を得ている。これは従来のマーケットプレイスの30:70(プラットフォーム:クリエイター)という比率よりはやや低いが、手数料なしのダイレクトペイメントを提供するClubhouse(クラブハウス)のような新しいプラットフォームよりは高額な設定となっている。

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今回の資金調達は、学習セッション、視聴者とのコミュニケーション、収益パフォーマンスを管理するための新しいクリエイターツールセットであるCreator Studio(クリエイター・スタジオ)の展開に使用されるという。これらのツールはファンベースの拡大に加え、ライブセッションによってビジネスを構築しようとしているクリエイターに向けたものである。

まず、9月にクリエイターたちに提供されるのは、今後開催されるセッションの告知を管理したり、チケットや価格を設定してセッションを販売したりするためのセッションリストツールだ。その後、分析機能や参加者に直接メッセージを送るための接続機能、収益をトラッキングするためのウォレット機能などが追加される予定だと同社は伝えている。

同社は今回の資金により、即時投票や学習資料を参加者と共有する機能などのインタラクティブな新機能を追加したり、新しく入ってきた人材のオンボーディングに使用したりすることができるようになるという。

YouTube、Facebook(フェイスブック)、TikTok(ティックトック)、Twitter(ツイッター)などの大手企業をはじめ、オンラインクリエイターにサービスを提供しようとする競合他社が増え続ける中、これらの機能はBrightを際立たせる重要な要素となるかもしれない。しかし今のところは、ビッグネームを呼び寄せることのできるオザリー氏の個人的なネットワークの強みの方がより注目すべき差別化要因と言えるだろう。

「私は生涯学習というコンセプトに深く共感しているため、オーディエンスが最も尊敬するアーティストや専門家から直接学べる類い希な機会を提供するBrightのようなプラットフォームに投資できることを誇りに思います」と新規投資家で監督兼プロデューサーのジャド・アパトー氏は声明内で伝えている。「Brightを通じて作家仲間や監督志望者、コメディを愛する人たちと直接つながり、知識を共有することができるのです」。

Brightは収益の詳細については公表していないものの、1〜2時間のセッションで25ドル(約2750円)から150ドル(約16500円)のチケットを販売しているとTechCrunchに話してくれた。

BrightのCEOであるパワーズ氏は次のように述べている。「著名なアーティストや起業家だけでなく、すばらしい投資家の支援を得ることができ、大変うれしく思っています。憧れの人から直接学ぶことで人生をレベルアップさせたいというBrightのビジョンを全パートナーが共有しています。Brightを通じて著名人は自らの知識を共有し、そのトピックや情熱を前面に押し出すことで、オーディエンスとより真摯に向き合うことができます。我々のプラットフォームとミッションをさらに向上させるための新機能を本格展開できることに胸を躍らせています」。

画像クレジット:Bright

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

ツイッターがユーザーにより多くの広告を見せるための方法を検討

Twitter(ツイッター)は、同社のプラットフォーム上で新しい広告フォーマットと配置をテストする予定だ。米国時間10月13日、同社の収益プロダクトリーダーであるBruce Falck(ブルース・ファルク)氏は、Twitterがモバイル端末向けに、会話のスレッド内で1、3、8回目の返信の後に広告を表示し始めると述べた。同社はこの変更が永続的なものになるかどうかは明言しなかったが、最も理に適った挿入ポイントとレイアウトを決定するために、この方式で実験を行うという。また、Twitterは、広告の表示をクリエイターに強制するのではなく、クリエイターが選択できるようにすることも検討していると述べている。その場合、クリエイターにも広告収益の一部が還元されることになるという。

Twitterはこれまで、ユーザー数を大幅に増やすことに苦労してきた。そのため、既存のユーザーから得られる収益を最大限にするために、よりクリエイティブにならざるを得なかった。この1年ほどの間に、オーディオチャットルーム、チケット制イベント、クリエイターツール、サブスクリプション、バーチャルチップなど、さまざまな新プロダクトが次々と登場した。Twitterは、2020年に37億ドル(約4200億円)だった収益を2023年には75億ドル(約8500億円)以上に倍増させ、収益化可能な1日のユーザー数を3億1500万人にするという投資家への約束を果たしたいと考えている。

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ほとんどのあららしいプロダクトが初期段階のテストではあるが、Twitterはまだ大ヒットを飛ばしていない。例えば、第三者機関のデータによると、最近のTwitterの新しいクリエイタープラットフォームSuper Follow(スーパーフォロー)は、米国とカナダで公開されてから2週間で約6000ドル(約68万円)、もしくはそれより少しの多い程度の収益しか得られていない。(他の分析によると9月の17日間で1万2400ドル[約140万円])。どちらの数字が真実に近いかは別にして、クリエイターのサブスクリプションに対する需要がまだ高まっていないことは明らかだ。

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一方、Twitterは、新しいプレミアム製品であるTwitter Blue(ツイッターブルー)サブスクリプションを、米国をはじめとする最大の市場にまだ投入していない。このプロダクトには、ユーザーが求める「ツイートの編集」ボタンに近い機能として、誤字脱字をすぐに取り消すことができる「アンドゥ」オプションが含まれている。

しかし、このような新機能が次々と追加されてはいても、Twitterの収益の大半は広告によってもたらされている。Twitterは7月、ウォール街の利益予想を上回る10億5000万ドル(約1190億円)の広告収益を上げた。これは、より良いターゲティングのために2500のトピックカテゴリーを新たに導入し、広告の効果が向上したためと考えられている。

同様に、Twitterは、会話中に表示される広告を、議論されている内容に関連したものにすることを計画している。

Twitterの発表によると、ファルク氏は「私たちは、クリエイターと広告主にとって価値を生み出し、インセンティブを一致させる広告サービスを構築する大きな機会を得たと考えています」と述べている。「今後数カ月間、このフォーマットを試していく中で、このフォーマットがどのように機能するのか、また人々や会話にどのような影響を与えるのかを理解することに集中します。さまざまな頻度、レイアウト、文脈に応じた広告、異なる挿入ポイントなどをテストします。そして、得られた結果を検証し、これを恒久的なものにするかどうかを考えます。私たちは、広告主のためにこの試みを行うことを楽しみにしていますし、Tweetのクリエーターに報酬を与える機会を増やす方法を模索したいと考えています」と付け加えた。

最後の部分は、コンテンツが広告掲載に適した長いスレッドにつながったクリエイターへの収益シェアの提案について言及している。ツイッターでは、ツイートが話題になると、ユーザーはよく画面をスクロールして他のユーザーの反応を読む。これにより、Twitterは、現在提案されているように、スレッドの先頭付近だけでなく、スレッドの下の方にも多くの広告を挿入することができる。しかし、このように話題のツイートをマネタイズすることは、Twitterのコンテンツや文化に影響を与える可能性がある。Twitterはすでに、悪口やジョーク、怒りのツイート、その他の感情的なコンテンツを投稿するような、ある種のパフォーマティブなタイプのユーザーが注目を集める傾向のある場所だ。ツイートの「話題性」をクリエイターの収益に結びつけることは、Twitterが提供したいと主張する、純粋で思慮深い会話からTwitterをさらに遠ざける可能性がある。

しかし、Twitterに多くの広告が表示されることで、それを嫌って広告なしの体験にお金を払う人たちに、Twitterは別のプロダクトを提供できるようになるかもしれない。現在、Twitter Blueは広告ブロック機能を提供していないが、アプリでは、ユーザーがお金を払うことで広告を表示しない方法を提供していることがよくある。この機能は、Twitter Blueにバンドルされるか、あるいは単独で購入できるようになるかもしれない。(念のためにいっておくと、Twitterはこれを検討しているとは述べていない。質問を受けた際、同社は現時点ではその計画の「一部ではない」と答えている)。

必要な場合もあるが、広告の表示は多くの人が好まず、敏感に反応する収益化ツールだ。Twitterは、四半期や年度末になると、タイムライン上に数ツイートごとに広告が表示されるようになり、ユーザーから不満の声があがる傾向にある。この新しい広告に対するユーザーからの激しい反発や、プラットフォーム上での消費者行動への悪影響があれば、Twitterがこのテストを再考する可能性はある。

関連記事:タイムラインにプロモツイートがあふれると一部Twitterユーザーが不満を漏らす

しかし、レイアウト、配置、コンテクストターゲティングの正しい方法が確立されれば、収益拡大を目指すTwitterが、この変更を展開していく可能性は高い。すでにTwitterは、広告を掲載するための新しいセクションを提供できるはずだった「stories(ストーリー)」を機能させることに失敗している。storiesは、継続的な投資に見合うだけのユーザーの支持を得られなかった。

そのためTwitterは、広告で収益を上げるための他の方法を模索している。そして、より多くの場所でより多くの広告を表示することが、現在の同社の答えのようだ。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

Facebookリールは米国内でのベータを終了、再生回数の多い動画のクリエイターに対する報酬支払手段を提供

Facebook(フェイスブック)は、2021年8月にベータテストを開始したばかりの機能「リール(Reels)」を、米国時間9月29日、iOSとAndroidの両方で、米国内のすべてのFacebookユーザー向けに提供を始めた。この機能は、TikTok(ティックトック)に対するFacebookからの回答だ。クリエイターは、音楽やオーディオ、ARエフェクト、タイマーやカウントダウンの使用といった、さまざまな編集ツールを使って短編動画コンテンツを作成し、共有することができる。今回の公開によって、クリエイターはFacebook上で直接リールを作成することができるようになり、また、Instagram(インスタグラム)で公開したリールをFacebookにも共有することで、両方のアプリでフォロワーを増やすことができるようになる。

またFacebookは、リールの制作をどのように強化していくかについての、より詳細な計画を公開している。

同社は、他の人がリールを見たときに、そのクリエイターに報酬が支払われるような新しいボーナスプログラムを導入する。このプログラムには、2022年までにクリエイターに10億ドル(約1120億円)以上を投資するFacebookの大きなコミットメントの一部として資金が投じられる。また、クリエイターが特定の種類の広告を掲載する場合や、Facebookスター(仮想チップ)による支払いを受ける場合などにも報酬が支払われることになる。

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Reels Play(リール・プレイ)ボーナスプログラムは、InstagramのReels Summer(リール・サマー)ボーナスを拡張したものだ。対象となるクリエイターには、FacebookとInstagramでのリールの再生回数に応じて報酬が支払われ、30日間で1000回以上の再生回数を記録したリールに対して支払いが行われる(ただし、Facebookは最終的な支払い額については言及していない)。

この新しいプログラムは、米国のクリエイターのみが対象で、当面は招待制である。最終的には、より広くグローバルマーケットに展開する予定だ。

Facebookによれば、クリエイターがリールから収益を得るための他の方法の開発にも取り組んでおり、スタンプ広告やバナー広告などの新しい広告フォーマットをリール内でテストする予定だ。また、仮想チップシステムであるFacebookスターをリールに統合し、ファンがお気に入りのリールクリエイターに直接支払いができるようにすることも検討している。
また、TikTokの広告のように、リールの間に表示されるフルスクリーン広告や没入型広告をテストすることで、プロダクトとしてのリールの収益化も図る予定だ。こうした広告を通して、ユーザーはブランドや他のスモールビジネスつながることができるようになる、とFacebookはいう。また、視聴者はリール自身と同様に、すでにInstagramリールに表示されている広告に対して、コメント、いいね!、閲覧、保存、共有、スキップすることができる。

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InstagramリールをFacebookへオプトインで共有(画像クレジット:Facebook)

Facebookユーザーがリールを作成できる場所はいくつか用意されている。ニュースフィードをスクロールすると表示される新しいリールセクションの中の「作成」ボタンや、リールを見ているときやニュースフィードの上部にある「リール」をタップすることでも作成することができる。一方、ユーザーはニュースフィードからリールを見ることができる(ここには、Instagramから共有されたリールも加わる)。また、一部のページやグループでもリールを見ることができる。

当初リールは、TikTokのクローンのようなものとして、ちょうど1年前に世界のユーザーに向けてローンチされた。現在、リールはTikTokと同様の機能を提供しており、オーディオや音楽の大規模なカタログへのアクセス、タイマーやカウントダウン、ARエフェクトなどを使って動画を編集するツール、速度調整やクリップをつなぎ合わせるためのツールなどが含まれている。リールの編集ツール、特にARエフェクトのラインナップはTikTokには及ばないが、クリエイターが他社の編集アプリで作成した動画をそのままリールにアップロードすることも簡単にできる。また、TikTokのウォーターマークが表示されたリールは、アルゴリズムによってランクダウンされるものの、現在のところ、複数のサービスにクロスポストされたコンテンツが禁止されることはない。

グループ内のリール(画像クレジット:Facebook)

Facebookは、TikTokの台頭を自社のビジネスにとっての脅威と考えていることを明言してきた。競合他社に直接言及しない企業もある中で、Instagramの責任者であるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は2021年6月に、Instagramがより多くの動画を含むように進化している理由の1つとして、TikTokを具体的に名指ししている 。さらに同氏は「私たちはもはや写真共有アプリでも、単なる正方形写真共有アプリでもありません」とユーザーに訴えた。

一方、TikTokの成長には目を見張るものがある。それは、2020年に最もダウンロードされたアプリとなった。7月には、Facebook以外のアプリとしては初めて、全世界で30億ダウンロードを達成。そして今週、TikTokは月間アクティブユーザー数が10億人に達したことを発表している。これに対して、Facebookのアプリ群の月間アクティブユーザー数は現在35億1000万人に達している。

Facebookのリール機能は、米国時間9月29日から米国のユーザーを対象にFacebookのモバイルアプリ上で展開される。

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画像クレジット:Facebook

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(文:Sarah Perez、翻訳:sako)

「Guardian」のオーナー企業がサブスクやメンバーシップ用に設計されたNFTプロトコルUnlockに投資

クリエイター経済における収益化は大きな課題であると同時にチャンスでもある。だがクリエイターがその価値を実体化するためには、Patreon(パトレオン)のようなプラットフォームに閉じこもるしかないのが現状だ。だがもっと良い方法は、複数のプラットフォームにまたがるクリエイターのための会員制システムを作ることだ。

このたび、GMG Ventures(「The Guardian」の親会社)が、コミュニティのメンバーシップを収益化・管理するために設計された、イーサリアムベースのオープンソースプロトコルの開発者であるUnlock(アンロック)に投資を行った。

今回の400万ドル(約4億4500万円)の資金調達ラウンドは、Betaworks、Cygni Labs、GMG Ventures、Metacartel Ventures ChinaなどのVC企業が主導し、初期投資家たちも参加している。

Unlockによれば、そのメンバーシップ / マネタイズソリューションは、アーティスト、ミュージシャン、ゲーム開発者(Decentralandも含まれている)、ライター、Discordコミュニティなどに利用されているという。また、同社のプロトコルを採用している大手メディアブランドとの提携も予定している。

UnlockのCEOであるJulien Genestoux(ジュリアン・ジェネストゥ)氏は「これまでに調達した資金で、Unlockは目標を達成するために、最も完全なオープンソースのプラットフォームになるための成長を続けます」と語る。

ジェネストゥ氏は、Medium(メディウム)が買収したRSSフィードAPIであるSuperfeedr(スーパーフィーダー)を開発した経験を持つ。

2018年に設立されたUnlockは、イーサリアムのブロックチェーンにすべての取引を記録するNFTベースのプロトコルだ。考えられる利用例としては、たとえばWordPressのプラグインを使うことで開発者が会員制 / 購読制のオプションを追加することができたり、コミュニティが作成したShopifyのプラグインを使えば小売業者は自分のウェブサイトにUnlockを利用した購入オプションを追加することができたりする。

Cherry VenturesのThomas Lueke(トーマス・ルーケ)氏は「Unlockが開発するクリエイターコミュニティメンバーシップためのオープンソースプロトコルは、今後数年間でクリエイターがファンと交流し、成長していく方法を再定義するものとなるでしょう」という。「私たちは、この分野での活躍を続けるUnlockの成長を祝えることを楽しみにしていますし、同社に投資できたことをうれしく思っています」。

画像クレジット:Julien Genestoux, Unlock Protocol

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(文:Mike Butcher、翻訳:sako)

Twitterが有料サブスク「Super Follows」を米国で開始、数週間内にグローバル展開

Twitter(ツイッター)は6月から申し込みを受け付けていたプレミアムなサブスクSuper Followsの提供を米国時間9月1日に開始した。

2月に発表していたこの機能では、ユーザーはお気に入りのアカウントを月額料金を払って購読し、特別なコンテンツにアクセスできるようになる。さまざまなソーシャルプラットフォームで収益化のオプションが増えつつあるが、クリエイターにとってはそこにまた1つツールが加わった格好だ。

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このサービスを利用できるアカウントは、Super Followsサブスクの月額料金を2.99ドル(約330円)、4.99ドル(約550円)、9.99ドル(約1100円)から選んで課金できる。この価格は有料ニュースレターとほぼ同程度だ。クリエイターは一部のツイートを有料購読者だけに公開することができ、その一方で通常のツイートで無料フォロワーにもリーチし続けられる。

画像クレジット:Twitter

有料の購読者には特別のSuper Followerバッジが付けられ、ツイートの海の中で無料フォロワーとは区別される。バッジはリプライに表示され、Super Followerはサポートすることを選んだアカウントと直接やり取りできるようになる。Super Followsを利用しているアカウントは、プロフィールページにSuper Follows専用ボタンが表示される。

Super Followsは誰でも使えるわけではない。当面、申し込み制となっていてウェイトリストがある。申し込みはアプリのサイドバーにある収益化オプションから行える。ただし、フォロワー1000人超を抱え、過去1カ月に25回超のツイートをしている米国拠点のユーザーのみが申し込める。

米国とカナダ拠点のiOS Twitterユーザーは9月1日から一部のアカウントをSuper Followできるようになり、今後数週間以内にグローバルのユーザーにも提供される。クリエイターの側では、Super Followsは差し当たってiOSでのみ利用可能だが、Androidとデスクトップも「間もなく」サポートされる。

Super Followの収入は標準的なものとなるが、Apple(アップル)やGoogle(グーグル)がアプリ内購入手数料として30%を徴収するとTwitterは話す。Twitterは、Super Followsを通じた売り上げに対し、最初の5万ドル(約550万円)までは手数料として3%を徴収する。これから活動を始めようとしているアカウント、あるいは有料のTwitter機能を他のクリエイター収入を補完する方法として活用している人にとって思いやりのある設定だ。売り上げが5万ドルを超えると、Twitterの取り分は20%になる。

Twitterにとって、Super Followsは一般提供につなげる初の収益化実験ではない。同社は5月、Cash Appや他の決済プラットフォームの統合を通じてアカウントが1度限りの支払いを受けられるTip Jarを導入した。テストは差し当たって「クリエイター、ジャーナリスト、専門家、非営利団体」などの対象アカウントに限定して行われている。

8月22日の週には、6月に有料のオーディオルーム機能に申し込んだユーザー向けにTicketed Spacesを導入した。Ticketed SpacesでのTwitterの手数料はSuper Followsと同じ設定で、ユーザーは高機能なチケット発行機能であるTicketed Spacesで1〜999ドル(約110〜11万円)の間で課金できる。

長期間のプロダクト停滞を経て、Super FollowsはTwitterの一連の動きの最新のものとなる。しかし同社はこの12カ月、失敗したFleetsのリリースと提供停止から、導入の兆しが見られる多くの人が何年もの間求めていたいじめ防止機能のようなものに至るまで、忙しくしていた。

ユーザーがプレミアムなコンテンツを提供して課金できるようにすることは、Twitterにとってかなり大きな変化だ。物いう株主がCEOのJack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏を追放すると脅すまで、同社はほぼ動かなかった。また、コンテンツ制作でユーザーが稼げるようにするツールを多くのプラットフォームが加えるのにともない、熱が高まっているクリエイター分野への参入もTwitterにとっては大きな動きであり、クリエイターが継続して利用しそのプロセスで収入を生み出せるよう維持することが理想だ。

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画像クレジット:Twitter

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】アダルト系SNS「OnlyFans」の性的コンテンツ禁止でクリエイターは「権利章典」について語り出す

性的に露骨なコンテンツを禁止するというOnlyFansの決定に端を発して、テック企業、コンテンツガイドライン、セックスワークをめぐる重要で見過ごされがちな会話が再燃している。しかし、こうした議論の意味するところは、1つのプラットフォームと1つの周縁化されたグループだけにとどまらない。

これは、クリエイターがコンテンツを共有してフォロワーやファンと関わることを可能にする方法に対して、プラットフォームが巨大なコントロール権を有しているという、コンテンツクリエイターにとっての壊れたエコシステムを示唆している。これに対応して、クリエイターたちは分散化し、複数のプラットフォームへのリーチを広げ、オーディエンスを引き連れている。

そうすることで、クリエイターは、これらのプラットフォームにどのような権利を組み込みたいかを定義する機会も得ている。

歴史は繰り返す

クリエイターが個々のプラットフォームから締め出されるのは目新しい話ではない。OnlyFansのポリシー変更について、2018年にTumblrがアダルトコンテンツを禁止した動きと比較する向きがあるが、これはYouTubeにとっても継続的な問題であり、LGBTQユーチューバーのグループを含むいくつかのコミュニティは、プラットフォームが彼らを非収益化アルゴリズムで標的にしていると非難している。

OnlyFansを含むこれらのプラットフォームの多くは、特定の種類のコンテンツを許可する際の障壁として支払いパートナーのポリシーを挙げている。この領域における主要な論争として最も初期のものは、PayPalが2010年にWikiLeaksを禁止した時に見られた。

こうした事象はいずれもクリエイターとフォロワーの怒りを買ったが、それはエコシステム全体の問題を示唆するものであり、必ずしもプラットフォーム自体を非難するものではない。

結局のところ、これらのプラットフォームは、クリエイターがオーディエンスを構築し、ファンと関わる機会を提供してきたのである。しかし一方で、これらのプラットフォームは、規制上のリスクや評判上のリスクから自らを守るためのポリシーを整備する必要もあった。

これは、すべてのガイドラインやポリシーが悪いということではない。それらは思慮深いガイドラインの下で、ポジティブで安全なコミュニティを醸成し、管理する役割を果たしている。しかし、これらのプラットフォームをコンテンツとエンゲージメントで活性化するクリエイターに損害を与え、彼らをプラットフォームから切り離すという犠牲を払うべきではない。問題の核心は、クリエイターが個々のプラットフォームに依存しており、ポリシーの変更に対して常に脆弱で、プラットフォーム間のオーディエンスと収益化の移行という痛みをともなう作業を余儀なくされることにある。

そして最終的には、有意義なコンテンツを作成し、コミュニティと関わり、信頼できる生計を得る能力が失われてしまう。

クリエイターのプラットフォームに対するコントロール力がますます失われていく中、一部のクリエイターたちは、オーディエンスからの独立した直接的な収益化を分散した方法によって可能にする、代替的な選択肢を模索し始めている。

分散化、収益化

ファンから直接収益化するモデルは、クリエイターたちが長年頼りにしてきた従来の広告ベースのプラットフォーム主導モデルをすでに置き換えつつある。筆者はPatreonに在籍していた時、コントロールとオーナーシップをクリエイターの手に委ねることで、より持続可能で、公正で、活気のあるクリエイターエコノミーが構築される様子を目にした。Substackはライターにも同様に強力な金融ツールを提供しており、クリエイターに奉仕する企業がここ数年にわたって増え続けている。

課題は、これらの企業の多くが、過去のプラットフォームを無力にした既存のシステムに依存しながら、テイクレート(手数料などの割合)と収益配分が必要なビジネスモデルを持っていることである。多くの点で、クリエイターエコノミーは、クリエイターとファンのインタラクションの次の段階を構築するために、新しいインフラストラクチャとビジネスモデルを必要としている。

適切なアプリケーションであれば、暗号資産により、クリエイターがどのように収益化し、ファンと関わり、プラットフォームとパートナーを組むかについてのプレイブックを書き換えることができる。そのピア・ツー・ピアの構造は、ファンとの直接の関係を反映するものであり、クリエイターは、テック大手や支払いパートナーを仲介者として頼ることなく、オーディエンスとの金銭的関係を持つことができる。さらに暗号資産は、クリエイターが所有権を維持し、ブランドや知的財産を管理することを可能にする。

加えて多くの暗号資産プロジェクトでは、DAOやガバナンストークンを通じて、参加者がプロジェクトにおける価値提案、戦略的方向性、運用機能、経済構造について発言権を持つことができる。このようにして、クリエイターはプロジェクトに参加し、コミュニティとの関わり方に合わせて方向性を決めることができる。

クリエイターは、自らのコミュニティを動機づけ、関与させる能力を備えており、コミュニティ主導のプロジェクトから利益を得る立場にある。私たちは暗号資産のアダプションの初期フェーズにあり、クリエイターにはこのパラダイムシフトの未来を形作る巨大な機会がもたらされている。ソーシャルトークンを使えば、クリエイターは自分の暗号資産をマイニングすることができ、クリエイターとファンが共に成長し、異なるプラットフォーム間で直接取引するために利用できる共有エコノミーが実現する。

別のカテゴリーとしてNFTが存在するが、2021年に入って爆発的な人気を集めているものの、今のところ業界はNFTが持つであろう有用性の表面をなでているにすぎない。クリエイターたちと暗号資産プロジェクトは、NFTをコレクティブル以上のものにする方法を模索している。つまり、NFTが提供するエンゲージメントの高い機能的なデジタルツールにより、クリエイターはファンに(ビデオ通話やAMAを通じて)自分の時間を提供したり、その他の独占的なメリットをもたらすことができる。

クリエイターたちは、暗号資産がもたらす力を見出そうとしている。暗号ベースのプラットフォームのユーザーエクスペリエンスがより直感的になるにつれて、暗号資産はどこにでも存在するようになる。その前段階として、クリエイターたちは、自らが利用している分散型サービスにどのような権利が必要か(そして要求できるか)について考えるべきであろう。

クリエイターの権利章典

暗号資産の中であるかどうかにかかわらず、クリエイターたちはついに自分たちの権利を決定する力を手にした。筆者は、クリエイターこそがこの会話をリードすべきだと考えているが、ここでいくつかのポイントを挙げておこうと思う。

  • プラットフォーム間を自由に移動する能力:個々のプラットフォームへの依存は、クリエイターが直面する多くの問題の中心的なものである。クリエイターがどこへでもファンを連れて行けるようにすることで、ファンからの直接収益化においても見られてきたような、多くの問題を解決することができる。
  • クリエイターとファンの直接的な金銭的関係:OnlyFansの問題の中心にあるのは、クリエイターがファンとの金銭的関係を持つことができなくなることである。たとえ直接的な金銭的関係がすべてのプラットフォームで実現可能ではないとしても、クリエイターはそうした関係を所有し、自らの条件を決定するための選択肢を持つべきである。
  • クリエイター主導の意思決定:これまでプラットフォームは、クリエイターに対し、プラットフォーム全体の意思決定とポリシーに関する最小限のコントロールしか与えてこなかった。クリエイターは直接的なインプットを持つべきであり、プラットフォーム全体のさまざまな施策について投票することさえできるべきである。
  • 量よりも質:プラットフォームとそのアルゴリズムは、量に報いるために構造化されており、クリエイターを燃え尽きさせ、コンテンツ作成を超高速化する。クリエイターとファンの両方が、より深く、エンゲージメントの高いインタラクションを求めており、この行動を奨励することで、より活気のある、持続可能なクリエイターエコシステムが実現するだろう。
  • 低い(あるいはゼロの)テイクレート:大手テック企業は収益のほぼ100%をクリエイターから得ている。クリエイター(とそのファン)は、プラットフォーム収益の大部分を得るべきである。
  • 公正性へのアクセスや収益の分配:大手テック企業はクリエイターの労働力を利用して帝国を築いてきた。分散型プラットフォームは、クリエイターに広告収入の支払いを命じるのではなく、クリエイターがパイの一部を完全に所有したり、エコシステム全体の成長から利益を得たりすることによって、真の「skin in the game(個人的な関与 / 自らの能力や資産を投資すること)」をクリエイターが備えることを可能にするべきである。この利害関係の整合は、今日見られる資本と労働の分離からの大きな転換となるだろう。
  • 透明性とコンサルテーション:クリエイターは、自分たちに何ができるのか、何ができないのかを完全に把握し、ポリシーが策定され適応されていく中で、議論の席に座るべきである。プラットフォームのコンテンツモデレーションの決定や、非収益化の背後にあるアルゴリズムは、しばしば不透明で、広く適用され、インパクトを与えるクリエイターに相談することなく決定される。また、全体的な収益のパイの大きさとシェアを把握する必要もある。
  • 改良と再生の能力:私たちはみんな人間であり、クリエイターはプラットフォームによって設定されたガイドラインを知らず知らずのうちに逸脱することがあるかもしれない。クリエイターが自らのコンテンツを回復させるためのスペースを作ることで、クリエイターとプラットフォームの間に、より信頼性の高い協力関係が生まれる。

私たちは、クリエイターたちに自らの条件を決定することを委ねたいと思う。彼らはあまりにも長い間この会話から締め出されている。それでも、RallyをはじめとするWeb 3.0エコシステムの主要な参加者の多くは、クリエイターとそのファンのために機能する環境を作るためのこの取り組みを、オープンにサポートしてくれると筆者は確信している。

編集部注:本稿の執筆者Bremner Morris(ブレムナー・モリス)は、クリエイターやアーティストが独自のデジタル通貨を立ち上げ、ファンコミュニティとともに持続可能な独立した経済を構築することを可能にする暗号プラットフォームRallyのCMO/CRO。以前は、Patreonのグローバル・ゴー・トゥ・マーケットおよび収益部門の責任者を務めていた。

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画像クレジット:Sean Gladwell / Getty Images

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(文:Bremner Morris、翻訳:Dragonfly)

トラベルクリエイターが旅行者におすすめ情報を直接販売できるThatchが約3.3億円調達

2021年の夏、旅行業界は再び活気づいてきたThatchは、旅行クリエーターが自らのレコメンデーションを収益化できるようにすることで、この分野で独自の地位を築いてきている。

米国時間8月30日、同社はWave Capitalがリードする300万ドル(約3億2900万円)のシード2ラウンドを発表した。このラウンドには、Freestyle VCのJenny Lefcourt(ジェニー・レフコート)氏とNetflixの共同創業者であるMarc Randolph(マーク・ランドルフ)氏が参加した。これにより、2018年にWest Askew(ウェスト・アスキュー)氏、Abby West(アビー・ウェスト)氏、Shane Farmer(シェーン・ファーマー)氏が創業して以来、Thatchの投資総額は520万ドル(約5億7100万円)となった。

世界的なパンデミックが起きる前、同社は、旅行者と、彼らの旅行を彼らに代わって計画してくれる人たちをマッチングする、サブスクリプションベースのコンシューマー向け旅行サービスだった。その後、2020年に業界が大混乱に陥り、共同創業者たちは、トラベルクリエイター(自分の体験をソーシャルメディアで共有する人たち)がフォロワーとよりよくつながり、自分たちの旅行のおすすめ、ヒント、考え方への対価を得ることができるようにすることに大きなニーズがあると考えたのだ。

「私たちは、消費者が個人の時間や専門知識に対して喜んで対価を支払っていることに気がついた。旅行代理店に行くのではなく、InstagramやYouTubeを見て、DM(ダイレクトメッセージ)で情報を得ようとする人が増えている。私たちはその関係を公式のものにして、トラベルクリエイターが報酬を得られ、エンドユーザーにより良い体験を提供できるようにしている」とアビー・ウェスト氏はTechCrunchに語っている。

アスキュー氏とウェスト氏によると、トラベルクリエイターによって、何十億ドル(数千億円)にもおよぶ消費者の旅行支出が動いているとのこと。Thatchの無料モバイルアプリは、彼らトラベルクリエイターが旅行をベースとしたビジネスを構築するためのツールを提供し、キュレーションやシェア、そして近い将来、インタラクティブな旅行ガイドやプランニングサービスを販売できるようになるだろう。クリエーターに報酬が支払われると、Thatchが取引のわずかな割合を受け取ることで収益を出す仕組みだ。

パンデミックは旅行業界に悪影響をおよぼしたが、そのおかげでThatchチームはアプリを開発する時間を稼ぐことができ、現在はクリエイター側の構築と、アプリにクリエイターを呼び込むためのマーケティングに注力しているところだ。そして、ここに新たな資金が投入されることになる。今回の資金調達では、エンジニアの増員、新コンテンツの構築、クリエイターがアプリ内で制作するインタラクティブなガイドの、販売・収益を出すためのヒントに関する新機能の提供などを予定している。

画像クレジット:Thatch

アスキュー氏によると、すでにアプリを利用している旅行クリエーターのうち、1200万人以上のオーディエンスリーチがあり、7月には利用者が急増したそうだ。これは旅行業界が好転していることを示している。

シードに続いて、同社はクリエイターに報酬が支払われるよう、マネタイズ機能と予約機能を公開予定で、潜在的な予約数の観点から、第1四半期は好調に推移すると見ている。同社は、より大きなクリエイターを誘致し、彼らのためのネットワークを構築したいと考えている。彼らクリエイターを中小企業のようにとらえる必要があり、彼らの成長を支援したいとアスキュー氏は語っている。

「残念ながら潰れてしまった旅行会社はたくさんあるが、私たちは違うやり方で進めている。人と人とのつながりを大切にしていて、すでにお客様を持っていて、そのお客様から信頼されている人たちを登用している。これは、今日のこの分野では見られないことだ」とWest氏は語る。

Wave CapitalのゼネラルパートナーであるRiley Newman(ライリー・ニューマン)氏によると、もう1人のゼネラルパートナーであるSara Adler(サラ・アドラー)氏は、ともにAirbnbの元幹部であり、Thatchの既存の投資家の1人を通じてこの会社を紹介されたとのことだ。

同社は通常、シード段階のマーケットプレイスに投資するが、今回のThatchへの投資は、旅行分野への初の投資となり「Airbnbでよく知っている分野であり、この業界に再び足を踏み入れるには良いタイミングだ」と述べている。

旅行市場は、特にパンデミック後の旅行に対する需要の高まりにより、今後数年間で成長が期待できるとニューマン氏は述べている。同時に、このクリエイターエコノミーは、旅行計画という行為を大衆化するという、Airbnbが行ったのと同様の軌道に乗っており、それはWave Capitalにとっても説得力のあるビジョンだったという。

「旅行企画は昔からあるものだが、これは新しい切り口でおもしろい。創業チームを見てみると、アビー氏とウェスト氏はお互いを補完しあうバックグラウンドとエネルギーを持っている。彼らのアプローチを考えると、今は旅行にとって良い時期であり、旅行業界を攻めるという彼らのコンセプトは正しく、必要とされている」とニューマン氏は付け加えた。

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画像クレジット:Thatch

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アーティストが私生活について語るオーディオ共有プラットフォーム「Mindset」が間もなく正式版をリリース

Mindset(マインドセット)は、レコーディングアーティストの個人的なストーリーを集めたプラットフォームだ。同社は米国時間8月25日、シード資金として870万ドル(約9億5500万円)を調達したと発表した。

K-POPに特化したポッドキャスト制作会社であるDIVE Studios(ダイブ・スタジオズ)の共同設立者として、Brian Nam(ブライアン・ナム)氏、Eric Nam(エリック・ナム)氏、Eddie Nam(エディ・ナム)の3兄弟は、スターが私生活における悩みをどのように処理しているかを語るポッドキャストのエピソードが、同スタジオで最もパフォーマンスの高いコンテンツであることに気づいた。そこでナム兄弟は、DIVE Studiosから派生したMindsetの着想を得た。

「私たちはこのようなコンテンツが、まさに人々からより多く求められているユニークなセールスポイントであることに気づきました。そこで私たちは、この点をさらに強化する方法を考え始めたのです」と、CEOのブライアン・ナム氏は語る。「この価値あるコンテンツを、Z世代やミレニアル世代の若い視聴者にもっと提供するにはどうしたらいいか。私たちは、この種のストーリーテリングに最適なプラットフォームが存在していないと判断し、これらのストーリーをオーディオ形式で共有するための独自のモバイルプラットフォームを開発することに決めたのです」。

画像クレジット:Mindset

Mindsetは現在、Jae(ジェイ)、Tablo(タブロ)、BM、そしてMindsetの共同設立者であり自身もK-POPスターであるエリック・ナムという4人のアーティストによるオーディオコレクションを提供している。それぞれのコレクションには10本のエピソードが揃っており、各エピソードの時間は10分から20分ほど。最初のエピソードは無料だが、各アーティストの残りのエピソードを聴くためには24.99ドル(約2700円)を支払う必要がある。このアプリには無料の「Boosters(ブースターズ)」も用意されている。これは就寝時に聴くための物語や、やる気を起こさせるマントラなど、瞑想アプリ「Calm(カーム)」に似た5分間ほどのクリップだ。

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「これまでミュージシャンにとっての主な収入源は、ツアー、音楽配信、そしてエンドースメント契約でしたが、私たちは4つ目の収入源となるストーリーの収益化を実現することができます」と、ナム氏は述べている。「その価格設定は、チケットの価格設定や商品の販売方法に似ています」。

Mindsetはセラピーアプリではない。「私たちはセラピストの資格を持っているわけではありませんし、そのように振る舞おうともしていません」と、ナム氏はいう。それよりもむしろ、アーティストがファンとより親密な体験を共有することで、音楽の背後にある彼らもまた人間であることを示すための方法なのだという。

Mindsetは、2021年2月にMVP(minimum viable product、必要最小限の機能のみを備えたプロダクト)バージョンとして発表された。そのアクティブユーザー数や売上高については、ナム氏は明らかにしなかったものの、このアプリが十分な人気を獲得できたため、5月にはベンチャー資金を調達したと語っている。今回の870万ドルの資金調達は、Union Square Ventures(ユニオン・スクエア・ベンチャーズ)が主導し、先ごろTaylor Swift(テイラー・スウィフト)の原盤権問題で注目を集めたレコード会社の重役であるScooter Braun(スクーター・ブラウン)氏などが戦略的投資を行った。ブラウン氏はベンチャー投資会社のTQ Ventures(TQベンチャーズ)の共同創立者でもある。その他の出資者には、Twitch(ツイッチ)の共同創業者であるKevin Lin(ケヴィン・リン)氏、Opendoor(オープンドア)の共同創業者であるEric Wu(エリック・ウー)氏などが含まれている。

「スクーター・ブラウン氏は戦略的投資家でした」と、ナム氏はTechCrunchに語った。

ブラウン氏は、Ariana Grande(アリアナ・グランデ)、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)、Demi Lovato(デミ・ロヴァート)などのアーティストとも仕事をしている。

「ブラウン氏のおかげで、私たちが伝統的なK-POPの世界からハリウッドや欧米に進出するための多くの扉が開かれました」と、ナム氏は付け加えた。

Mindsetは今回調達したシード資金を、コンテンツの制作、雇用、製品開発に充てるという。このアプリは現在、iOSAndroid向けに提供されているが、9月14日には正式版がリリースされる予定だ。その後は2週間ごとに、他のアーティストや俳優のオーディオコレクションが、追加されることになっている。これらのアーティストが誰になるのか、ナム氏は具体的な名前を明かすことは避けた。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ツイッターが有料の「チケット制スペース」展開をiOSで開始

Twitter(ツイッター)は米国時間8月26日、同社のライブオーディオ機能「スペース」の一部のホストが「チケット制スペース」へのアクセスを販売できるようになったことを発表した。チケット制スペースは、18歳以上で、過去30日間に3つのスペースをホストし、1000人以上のフォロワーを持つユーザーを対象に、6月に募集を開始している。

Twitterの担当者はTechCrunchに対し「すでにチケット制スペースのためにスペースをホストしている人たちと緊密に連携していきます」と述べている。Twitterは、これまでに何人のユーザーに本機能を提供したか、またいつユーザーが一般的に利用できるようになるかについては明らかにしなかった。現在のところ、iOSユーザーは誰でも、本機能にアクセスできるユーザーが主催するスペースのチケットを購入できる。

Twitterは以前、チケット制スペースから得られるクリエイターの収益の3%を受け取ると発表していた。しかし、この機能は現在iOSでしか利用できないため、Twitterは30%のAppleのアプリ内課金の対象となるため、クリエイターにはチケット販売の67%しか還元されないことになる。ただし、チケット制スペースとSuper Followsを含むクリエイターのTwitterでの生涯収益の合計が5万ドル(約550万円)を超えた場合、同社は3%の手数料を20%に引き上げる。

チケット制スペースにより、Twitterはライブオーディオの競合他社と一線を画すことになる。ClubhouseやInstagramでは、リスナーがスピーカーにチップを渡したり、ライブオーディオスペースでバッジを授与したりすることができるが、これらのアプリはチケットの事前販売はできない。

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Katsuyuki Yasui)