食材流通スタートアップのプラネット・テーブル、食に特化したQ&Aサービスを公開

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東京・渋谷にあるスタートアップのプラネット・テーブル。ウェブを使った食の流通プラットフォームを開発するこの会社のオフィスには、業務用の冷蔵庫が並んでいる。

「食の物流と情報を可視化したプラットフォームを作りたい」——プラネット・テーブル代表取締役の菊池紳氏はそう語る。菊池氏は外資系金融機関やコンサル、投資ファンド等を経て、独立。農林水産省のファンド「農林漁業成長産業化支援機構」の立ち上げにも関わった人物。2014年5月にプラネット・テーブルを設立し、2015年3月にはGenuine Startupsおよび個人投資家から3500万円の資金を調達している。

肉や野菜に特化した取引プラットフォームを展開

プラネット・テーブルが最初に取り組んだのは、食材・情報取引プラットフォーム「SEND(センド)」だ。SENDは、生産者と飲食店舗間での直接取引をを実現するプラットフォームだ。ただ取引をする「市場」の機能を持つだけでなく、配送や倉庫での保管も自前で行っているのが特徴だ。冒頭に書いたオフィス内の業務用冷蔵庫もその一部。現在東京近郊の約40の生産者と50の店舗が試験的にサービスを利用しているという。

ちなみにSENDはFAXやメール、電話で注文を受け付ける、というところからサービスをスタート。現在はレスポンシブデザインのウェブサービスを開発しており、間もなく正式にサービスインする予定。今後は大阪をはじめとした大都市圏や海外でのサービス提供も視野に入れている。

菊池氏は「人口が増えている一方で、食料の生産環境は減っている。もっと作るということも大事だが、一方ではものすごく捨てているという現状もある」と、食料需給のミスマッチについて語る。これを解決するために、ITを使って鮮度の高い情報(消費者のニーズ)を取得し、生産者がそれに合わせて食料を作れる環境を作っていきたいのだという。同社が「食材取引プラットフォーム」ではなく、「食材・情報取引プラットフォーム」とうたう理由はここにある。

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話を聞いて八面六臂の鮮魚流通のプラットフォームを思い浮かべたのだが、SENDは肉と野菜に特化したサービスとなっており、鮮魚は取り扱わないだという。

Q&Aサービスで食べ物への理解を広げる

そんな同社がSENDの次に提供するのが、食をテーマにしたAndroid向けQ&Aアプリの「FoodQ」だ。

FoodQは食べ物に関する質問を投稿、回答できるQ&Aサービス。回答者には食のスペシャリストが数十人参加するということなので、高度な質問にも回答が期待できるという。サービスは匿名で利用可能で、将来的には質問や回答の検索機能、ポイントによるインセンティブなども導入する予定している。

Q&Aサービスと言えばYahoo!知恵袋やOKWaveといった巨人がいる領域。だが菊池氏は「『例えば有機野菜ってすべて安全なのか』『東京で人気のトマトは何か』という質問と、専門家による回答が集約されている場所はない。肝心なのは(専門的な質問に)『答えられる』ということだと思っている」と強みを語る。「まずは気軽に使ってもらって、それで食べ物への理解を広げていきたい」(菊池氏)

今夏には、FoodQの内容をベースにしたメディアも立ち上げる予定だ。「メディアはコミュニケーションツール。マーケティングコストという程度で認識している」との話だったが、SENDのサービス拡張にあわせて、食のECを展開するといったことも検討しているという。

「学習ノートのGitHubを目指す」——ノートまとめアプリ「Clear」開発のアルクテラスが1億3000万円の資金調達

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アルクテラスは6月24日、電通デジタルホールディングス(DDH)のほか、スターティア(同社コーポレートベンチャーキャピタルの投資1号案件になる)、韓国のベンチャーキャピタルであるBon Angelsなどから合計1億3000万円の資金調達を実施した。

アルクテラスは2010年10月の設立。代表取締役社長の新井豪一郎氏は、新卒でNTTに入社。その後MBAを取得し、コンサルティングファームに3年間勤務、その後はコンサル時代から接点のあった星野リゾートに移り、スキーリゾート事業の責任者として同社子会社の代表を務めた。「もともと教育関連の事業で起業したいという思いがあった。コンサルティングファームで星野リゾートの星野(佳路)社長に知り合ってその話をしたところ、『起業に足りないのは経営者としての経験』だと言われ、星野リゾートのスキーリゾート開発に携わることになった。その後かねてからの思いもあり、アルクテラスを立ち上げた」(新井氏)

もともとEdtech関連の事業での起業を考えていたという新井氏。自身が小学校で「落ちこぼれ」だったという経験から「ITの力を使って1人1人に合わせた教育をすれば、本来のポテンシャルを引き出せると思っていた」とのことで、まずは個人の能力に最適化した教育を行う「アダプティブラーニング」を実現するツールの開発を進めた。

アダプティブラーニング向けのツールを開発

その結果誕生したのが、学習スタイル診断ツール「カイズ」だ。カイズでは、学生が100あまりのアンケートに回答すると、その学習スタイルを「視覚的に全体像を情報で把握させる」「言語的な情報で1つずつを把握させる」「パターンにあてはめて記憶させていく」という3つに分類。さらにそれぞれに最適な学習コンテンツを提供するのだという。

対象となるのは小学校高学年から中学3年生まで。現在販売代理店を通して個人指導塾に展開しており、6000人の生徒のデータがたまっているという(すでに事業単体では黒字化しているそうだ)。またこのカイズの仕組みを実証する場として、塾の経営も行っている。

学習ノートのGitHubを目指す

今回の調達で開発を進めるのは、学習ノートのまとめサービス「Clear」。ユーザー(中学生〜大学生を対象にしている)は、自分が授業で使ったノートの写真を撮影し、教科やそのテーマなどをつけて投稿・共有できるというもの。投稿内容は中学生、高校生、大学生で分かれており、科目事の表示が可能。投稿日時順、閲覧数順、お気に入りのノートにつけられる「いいね」の数でのソートができるほか、キーワードでの検索が可能。基本は今気になっているテーマを検索して、それに該当するノートを閲覧するという使い方をすることになる。ちなみに今の一番人気は高校生の数学および英語だそう。

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2013年12月にベータ版サービスを立ち上げ、2014年4月にサービスを正式公開。ユーザーは約55万人とのこと。ただしこれは一度でも起動したユーザーの数字で、アクティブユーザー数は聞くことができなかった。現在集まっているノートは3万5000冊に上る。

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機能については紹介したが、正直なところ現段階では「手書きノートを撮影して共有しただけ」なアプリだ。ではこのサービスが1億円以上の資金を調達できた理由はどういうところにあるのだろうか。新井氏はClearの将来像について「勉強ノートのGitHubやSlideShareを作る」と語る。つまり巨大な学習ノートのデータベースをCGMで作るのだという。

今後はノートに対してはOCRをかけてすべてテキスト化を行う。これで全文検索に対応するほか、そのノートが何について書かれているのかを分析して(ノートなので図形や絵文字なども入るが、周辺の認識できた文字列から内容を判断していくそうだ)データベース化。冒頭にあったカイズの仕組みと組み合わせて、アダプティブラーニングでより個人に最適化されたコンテンツを提供していくのだそうだ。「ノートは同じ教科書、授業を使っていても書き方が違う。1つのテーマに対して複数のアプローチがある。それを個人に最適化して見せていく。同じレベルの学生のノートで勉強するほうが(個人に最適化されていない教材より)はるかに役に立つ」(新井氏)。生徒にはいろんなタイプがいるし、最適な勉強の仕方はさまざま。だからこそまず様々なノートを集めて、そこからそれぞれの生徒に最適なものを提示すればいいということだ。

今後は広告や教材の販売などのコマースでマネタイズを進める。また4月にはタイでもサービスをローンチしており、今後はアジア圏を中心に海外展開も進める。

国際送金サービスのAPIエンジン、Currency CloudにSapphire Ventures、楽天などが1800万ドル投資

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イギリスの国際送金サービスのスタートアップ、Currency CloudがシリーズCのラウンドで1800万ドルの資金調達に成功した。これで2012年以来の調達資金の総額は3600万ドルとなる。今回の資金調達はSapphire Venturesと楽天という新たな投資家の顔ぶれでも注目を集めた。

Sapphire Venturesはドイツの巨大ソフトウェア企業SAPグループのベンチャーキャピタルとして出発したが、現在は独立して運営されている。楽天は日本で最大級の総合eコマース企業だ。Anthemis、Atlas Ventures、Notion Capital、XAnge Private EquityなどCurrency Cloudの既存の投資家も今回のラウンドに参加している。

しかしSapphireとRakutenの参加はきわめて戦略的なものに違いない。Currency CloudはSAPの顧客企業に国際送金サービスを提供できる。一方、楽天はグループ内のベンチャーファンド、FinTech Fundを通じて投資を行った。われわれ国外のものにとって楽天はeコマースの企業として知られているが、楽天は日本で大規模な金融ビジネスを行っている。Currency CloudのCEO、Mike LavenはTechCrunchの取材に対して「楽天が金融事業をアジアに拡大しようとする際にわれわれは重要な役割を果たすだろう」と述べた。

Currency Cloudのコア・テクノロジーはPayment Engineと呼ばれるAPIで、これはAzimo、TransferWise、xe.comなど125件もの国際送金サービスのバックボーンとなっている。

【中略】

Currency Cloudは今回のラウンドにおける企業評価額を明らかにしなかった。

画像: maggee/Shutterstock

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

「会社設立 freee」は全自動で会社設立に必要な書類をすべて出力できる無料ツール

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会社設立の手続きは想像以上に時間がかかるものである。

例えば、会社のルールをまとめた定款をはじめとする各種書類。ネットや本を見ながら苦労して作っても、不備があれば役所に突き返される。各種書類に同じ情報を何度も記載するのも面倒。そんな非効率な起業環境を改善するツールが「会社設立 freee(フリー)」だ。わずか5分で会社設立に必要な書類が出力できることをうたう。クラウド会計ソフトのfreeeが本日、無料で公開した。

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案内通りに入力するだけで、会社設立に必要な各種書類を自動で作成。一度の入力で、必要な書類や手続きに情報を再利用するので、同じ情報を何度も入力する手間もない。

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役所ごとに提出すべき書類や捺印箇所を手続きの段階ごとに指示。各役所に持っていく持ち物リストも教えてくれるので、役所で再提出を命じられる憂き目を避けられそうだ。

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データはすべてクラウド上に保存するので、PCだけでなくスマートフォンやタブレットからも利用できる。freeeの佐々木大輔社長は、「スマホでの表示に完全対応しているので、スタバでも5分で必要な書類が作れる」と使い勝手の良さをアピールする。

そのほかに有料のオプション機能として、すでに入力した情報を転記してジャパンネット銀行の口座を開設したり、ハンコヤドットコムで会社実印を注文することが可能。官報に掲載すると1回約6万円かかる公告を年間1000円で利用できる「freee 電子公告」なども提供する。

スマホにも最適化している

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設立したての企業を囲い込む「ゆりかご戦略」

専門知識がない人にとって、会社設立の手続きは本やネットで調べて自力でやるか、行政書士などの専門家に依頼するケースが多い。freeeが会社設立経験者500人を対象に実施した調査によれば、会社設立手続きに要した期間は平均24.2日、費用は平均11万2000円と、多くの時間とコストがかかっていた。

世界銀行が昨年10月に発表した年次報告書「Doing Business 2015」によれば、“起業環境の良さ”で日本は世界83位。この数字は「手続き数」「かかる日数」「コスト 」「最低限必要な資本金」をもとに算出したものだが、会社設立 freeeを使えば「かかる日数」と「コスト」が改善し、現在の順位を45位にまで押し上げられると、佐々木氏は言う。

freeeの佐々木大輔社長

freeeの佐々木大輔社長

「実は僕が起業した時も、法務省のサイトを見ながら定款を作って、行政書士にチェックしてもらっていました。それでも役所に提出する書類が足りなかったり、押印を忘れて受理されず、法務局を何往復かしたことも……。会社設立 freeeは起業環境を圧倒的に改善できる。日本の開業率を現状の5%から10%にできると思っています。」

会社設立 freeeを無償提供するのは、本業のクラウド会計ソフト「freee」を利用してもらうためだ。設立手続きが完了すると、自動でfreeeのアカウントが作成されるので、希望に応じて設立当初からクラウド会計ソフトを導入できる。freeeを導入しているのは、創業間もない事業者が多いというデータもあることから、いわば「ゆりかご」状態の企業を囲い込もういうことなのだろう。

グロースハック支援ツール提供のシロク、今度はディープリンクサービスを開始

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URL経由で、ウェブやアプリのトップ画面ではなく、特定のページやコンテンツに直接アクセスできる「ディープリンク」。最近ではスマートフォンでブラウザからアプリ、アプリから別のアプリに遷移することも多いが、その遷移の際にアプリのトップ画面が表示されるのではなく、直接目的のコンテンツが表示されたというような経験はないだろうか? あれもディープリンクによるものだ。通常のリンクよりダイレクトにユーザーの求めるコンテンツを提供することができるため、アプリの価値向上に有効だ。

以前TechCrunchでも紹介したフクロウラボの「Circuit」のようなプロダクトも登場し、国産アプリでも徐々に導入が進みつつあるディープリンクだが、サイバーエージェントの連結子会社であるシロクもその領域に参入した。同社は6月23日、「国内で最も多機能なディープリンクサービス」をうたう新サービス、「Growth Link」の提供を開始した。

Growth Linkは、ウェブサイトやアプリ上でのディープリンクを手軽に設定できるツールだ。通常ディープリンクに対応するには、OSをはじめとしたさまざまな環境に合わせた設定が必要になるが、Growth Linkでは、アプリにSDKを組み込み、リンク先の設定をするだけでだけ対応可能だという。

シロクではグロースハック系のツールを「Growthbeat」という1つのSDKにまとめて展開しており、これまでに同SDKで利用できるGrowth Push(プッシュ通知配信ASP)、Growth Message(アプリ内ポップアップツール)、Growth Analytics(解析ツール)の3つのツールを提供しているが、Growth Linkはその4つ目のツールとなる。

競合製品と比較してユニークだとうたう機能は、アプリインストール前のユーザーに対する施策だ。通常、ユーザーが当該アプリを未インストールの状態でそのアプリに遷移するディープリンクにアクセスした場合、アプリストアに誘導することしかできない(ダウンロード後にアプリを起動するとトップ画面が表示される)。だがGrowth Linkではアプリストア経由後もディープリンクを保持するため、アプリストアをアプリをインストールして初回起動した際に、意図したディープリンク先を表示できるという。これによって、アプリ未インストールユーザーの継続率を向上することができるという(詳細は割愛するが、ブラウザのcookieを利用してこれを実現しているそうだ)。

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またA/Bテストにも対応しており、1つのURLから複数のアプリ内リンクを作成し、ユーザーをランダムに飛ばすことが出来る。その後のユーザーアクションを記録することでどのリンクが最も有効か計測可能だ。

さらに、同社の他ツールと連携させることで更に踏み込んだ訴求が可能と訴える。例えばGrowth Linkで作成したディープリンクを活用して、グルメサイトからのユーザー、旅行サイトからのユーザーといったようにユーザーをセグメント化。そしてGrowth Pushのセグメント機能を使い、セグメントごとに異なる内容のプッシュ通知を配信する、といった応用が考えられる。

Growthbeatは現在6500アプリに導入されているが、シロク代表取締役の飯塚勇太氏は2015年中に1万アプリへの導入を目指すとしている。今後はGrowthbeatのプラットフォーム展開も視野に入れており、自社で機能追加するだけでなく、サードパーティが開発した機能をGrowthbeatに取り込む事も検討している。

日本でeスポーツは流行らない? ならばモバイル賞金付きゲームで世界を狙う「ワンダーリーグ」

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欧米で流行するe-Sports(eスポーツ)が、日本で独自の発展を見せるかもしれない。

eスポーツとは、複数のプレイヤーで対戦するビデオゲームを競技として楽しむジャンルを総称したものだ。人気ゲームになると世界大会が開催され、テレビやウェブで中継されることもある。TechCrunchでもお伝えしたが、昨年7月に行われた「Dota 2」の世界大会は賞金総額が11億円に上り話題となった。

海外ではPCメーカーや飲料メーカーがスポンサーするほどの盛況ぶりだが、日本はそれほどの熱量はない。主な競技種目である、PCゲームの人口が少ないためだ。ならば、日本が強いスマートフォンを舞台に盛り上げようとしているのが、「世界初のモバイルeスポーツ」をうたうワンダーリーグだ。本日、iPhoneとAndroidアプリを正式リリースした。

1位と100位のランキング獲得者に毎日賞金

アプリ上では日替わりでカジュアルゲームのスコアを競い合い、毎日1位と100位のランキング獲得者が賞金5000円を入手できる。欧米で人気のPCゲームをモバイルで再現するのではなく、スマホが普及した日本ならではの、スキマ時間の暇つぶし感覚で楽しめる脳トレやパズルゲームを揃えているのが特徴だ。

プレイ回数は1日5回まで。友達招待やSNS投稿をすれば、無料で追加プレイができる。それでも足りなければ、課金で追加プレイが可能。この課金と広告費がワンダーリーグの収益となる。

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賞金の元手は広告費だ。といっても、ワンダーリーグが得る広告費ではなく、支払う広告費を抑えて賞金に回している。

同社の北村勝利社長によれば、開発費が数億円かかるようなモバイルゲームの多くは、アプリのダウンロードと引き換えにAmazonギフト券などの報酬を与える、いわゆる「ブースト」に多大な金額を投じていると指摘。「そういった広告費をユーザーに還元すれば、自ずと人気が出る」と見ている。

超定番ゲームを次々と招致

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「糸通し」は2005年の公開以降、「究極の暇つぶし」というキャッチフレーズとともに数多くのシリーズを展開している

ワンダーリーグは有名ゲームを招致する興行主のようなポジションだ。

まずは累計1500万ダウンロードの「糸通し」や、累計700万ダウンロードの「Touch the Numbers」といった定番ゲームを3カ月にわたって配信。期間中にトータルでトップスコアを獲得したユーザーには、ゲーム開発会社が10万円を進呈する賞金イベントも併催する。

近日中にパックマンを配信することも決まっている。ちなみにパックマンは、バンダイ・ナムコの人気タイトル17作品を日本のクリエイターに開放し、二次創作を許可する「カタログIPオープン化プロジェクト」の一環。ワンダーランドは二次創作者として採用されたかたちだ。

ゲーム会社に対してはライセンス料を支払うか、レベニューシェア契約を結ぶ。ゲームはいずれもワンダーリーグ向けにカスタマイズして組み込む「インゲーム方式」を採用していて、ユーザーは1つのアプリで、複数のゲームを日替わりで楽しめる。ゲーム会社としては、過去にヒットしたタイトルで収益を得られるメリットがある。

カジュアルゲームに国境はない、2020年に世界大会を

運営元のワンダーリーグは昨年6月に設立。今年2月にはアドウェイズ、サイバーエージェント・ベンチャーズ、B Dash Venturesの3社から1億円の資金を調達している。

今年50歳を迎える北村勝利社長は過去に、モバイルコンテンツ事業のアイフリークやゲーム事業のバタフライなどでイグジットを経験した起業家だ。2012年8月まで社長を務めたバタフライでは、パチンコ・パチスロ店舗の実機をシミュレーションできるアプリ「モバ7」を手がけ、700万ダウンロードのヒットを飛ばした。「パチンコ・パチスロ人口の3人に1人が利用するほどの人気だった」。

ワンダーリーグの北村勝利社長

ワンダーリーグの北村勝利社長

なぜ、カジュアルゲームで起業したのか。北村氏はバタフライの社長退任後、世界で勝負できる事業を探していて出会ったのがeスポーツだったと振り返る。「実際に業界研究してみると、モバイル分野では誰もやっていない。我々はスタートアップで資金力がないのでカジュアルゲームで勝負するしかないが、独自のイベントを絡めれば新たな市場を作れると思ったので、やるしかないなと」。

年内には、海外で人気のカジュアルゲームを揃えた英語版もリリースする。日本と同様のタイトルに加え、海外でヒットしたゲームの開発企業とも交渉していく。賞金は海外送金手数料を抑えるために、PayPalとBitCoinのどちらかで送金する。「カジュアルゲームに国境はないので十分に勝機はある」と北村氏。2020年にはワンダーリーグの世界大会を開催したいと展望を語っている。

ビジネスSNS「Wantedly」がオープン化、自社サイトで潜在転職者にリーチ

ウォンテッドリーの仲暁子社長
クックパッドの採用ページに「話を聞きに行きたい」を設置した画面

クックパッドの採用ページに「話を聞きに行きたい」を設置した画面

日本経済新聞から約1億円の資金調達を発表したウォンテッドリーが、ビジネスSNS「Wantedly」のプラットフォームをオープン化する。第一弾としてAPIを公開し、外部サイトに「話を聞きに行きたい」ボタンを設置できるようにする。まずはサイバーエージェント、クックパッド、ヤフー、ディー・エヌ・エー(DeNA)の4社が導入し、年内をめどにすべての企業に開放する予定。

話を聞きに行きたいボタンは、求職者がWantedlyで気になった企業にエントリーするための機能。エントリーしたからといっても必ず連絡が来るわけではなく、企業側が気になった求職者にのみ招待メールが届く仕組み。一般的な転職サイトは求職者が毎回プロフィールや経歴を企業ごとに入力していたが、それが不要な分、気軽に応募できるというわけだ。

「話を聞きに行きたい」ボタンをクリックするだけでエントリーが完了する気軽さが特徴だ

「話を聞きに行きたい」ボタンをクリックするだけでエントリーが完了する気軽さが特徴だ

外部の企業は今後、JavaScriptを一行ホームページに挿入するだけで、話を聞きに行きたいボタンを自社サイトに導入できるようになる。採用担当側としては、従来の応募フローには乗って来なかった潜在転職者であったり、採用フローが面倒で離脱してしまったような転職者とも出会えるのがメリットだと、ウォンテッドリーの仲暁子社長は話す。

「イケてるエンジニアって、会社に遊びに来ているうちに選考に進んだりすることが多いじゃないですか。『話を聞きに行きたい』もそういった世界観。今回導入した企業からは、Wantedlyのボタンがあるからこそコンバージョンするケースがありそうと評価してもらっています。」(仲氏)

ウォンテッドリーの仲暁子社長

ウォンテッドリーの仲暁子社長

オープン化戦略の第一弾としてはこのほか、企業が社内の活動や告知をWantedlyに投稿する会社フィード機能を自社サイトに導入できる「会社フィードボックス」を公開した。会社フィードは昨年7月にリリースし、1000社が利用している。求職者としてはWantedlyの募集要項だけでは伝わりにくい会社の様子がわかり、企業としては社内の雰囲気を潜在候補者に対してカジュアルにアピールできるようになる。

Wantedlyは2011年2月に公開し、累計で1万社が登録。ウェブ業界を中心に、毎月約60万人がサイトを訪問している。4月には、名前や社名を入力するだけでWantedlyユーザーが検索できる「Sync」をリリースするなど、ビジネスSNSとしての側面を強化中だ。日経新聞との提携は詳細が明かされていないが、両社のIDを連携させればウェブ業界以外のユーザーにもリーチできるかもしれない。仲氏は「働くすべての人のインフラを目指す。そのためには、働く人が読んでいる日経は私達の強力な助っ人になる」と話している。

会社フィードボックスではWantedlyの募集要項だけでは伝わりにくい会社の様子をアピールできる

会社フィードボックスではWantedlyの募集要項だけでは伝わりにくい会社の様子をアピールできる

スキルのマーケットプレイス「ストリートアカデミー」、法人向けの教育サービスに進出

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社員向けに研修やトレーニングを提供している企業も多いが、成果のほどはいかがだろう。一方的な押し付けではモチベーションが保たれないし、そもそも社内でじっくり座って受講する時間がないという場合もある。そんな中、社員教育に新風を吹き込むサービスがストリートアカデミーから登場した。

ストリートアカデミーでは、スキルを持つ個人(または法人)が、スキルをもとにした講座を販売できるマーケットプレイス「ストリートアカデミー」を2012年8月より運営している。現在プログラミング講座やヨガ教室などが提供されており、その講師数は2000人。ユーザー数は3万8000人以上となっている。

これまでCtoCのサービスを提供していたが、法人ユーザーが受講しやすいよう機能を追加したのが6月18日にリリースした「ストアカ for Biz」だ。

ストアカ for Bizでは、Excelやロジカルシンキング、スピーチ、英会話から、ウェブデザイン、プログラミングなど、2500件以上の講座を受講できる。企業の管理者が社員に受けさせたい講座をレコメンドしたり、業務と無関係な講座(ストリートアカデミーには、手品やバック転なんかの講座もある)を受講しないようフィルタリングしたりできるほか、社員の受講状況をモニタリングできる管理機能を搭載する。

初期費用や月額費は無料、受講料をポイントパック(5万円/10万円/15万円)で購入するだけの料金体系となっている。今後は割安な定額制プランの導入も検討しているという。

ストリートアカデミーでスキルを売っている講師のうち8割は個人で、前述の通りCtoCのモデルとなっている。だが、当初想定した以上に会社員がビジネス向けの講座を受けるというケースが多く、「会社で導入して部署の活性化に利用したい」といった声もあったことからストアカ for Bizを企画した。「企業における需要に気付かせてくれたのはユーザーだった」(ストリートアカデミー代表取締役社長の藤本崇氏)

また藤本氏は「強制的になりがちな社内研修に対し、社外で、よりカジュアルな学びを提供できるので、スキル向上に活用してもらいたい」と期待を込める。レクリエーション的な講座も多いため、社内の交流イベントとしてチームボンディング(組織のチームワークを高めること)にも有効ではないかと語る。

直近では動画学習サービスの「schoo」なども新人研修向けのコンテンツを提供しているように、ネットのインフラを活かしたオンライン学習が人気を博している。しかし藤本氏は「場の重要性」を説く。「講師とのやりとりはオンラインでも再現できるが、他の生徒から得られる気付きや刺激は大きい。『出会う』ことにニーズがあると感じている」(藤本氏)。ちなみにストリートアカデミーでは、このサービスに先駆けて、2014年10月に講師の社内派遣サービス「オフィスク」も提供している。

NECやガイアックスといった上場企業のほか、ラクスルやLiB、ietty、ベストティーチャーなどのスタートアップが導入を決定しており、まず直近で100社への導入を目指すとしている。7月にはスマートフォン向けアプリも提供する予定で、年間売上1億円を目指す。

オンライン英語スクールのベストティーチャーがベネッセと提携、GTEC CBT対策コースを提供

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英語が苦手な日本人は多い。中学と高校の6年間で英語を履修しているにも関わらず、2013年度のTOEFL国別ランキングでは日本はアジア31カ国中26位だ。中でもスピーキングのスコアはアジア最下位であり、座学型カリキュラムの弊害と言えるだろう。インターネットの普及でグローバル言語としての英語が存在力を強める中、この英語力の低さは由々しき問題である。

文部科学省もこの点は認識しており、2020年の大学入試センター試験廃止に伴い英語試験もこれまでのリーディング、リスニング中心(2技能)のものから、英検やTOEFLなどの民間による試験を活用し、スピーキング、ライティングを含めた4技能評価を導入するとしている。

ベストティーチャーの提供する「ベストティーチャー」はそんな4技能を総合的に学ぶためのオンライン英語スクールだ。自分が話したいことを英文で書き、それをオンラインで講師が添削、正しい英文を読むことができる。さらに講師の録音する英文を聞いた上で、Skypeで実際に講師と会話をする。そんなベストティーチャーが6月15日、オンラインスクールで初めてとなる「GTEC CBT対策コース」を開講した。

GTEC CBTというのはベネッセコーポレーションが2014年8月より提供している4技能対応英語試験の名称。年間約73万人が受検する「GTEC for STUDENTS」をベースにしており、すでに多くの大学で入試に活用されている実績がある。2021年にはセンター試験が廃止されるなど大学入試改革が行われる。その際には4技能試験の重要性が増していくと考えられるが、ベストティーチャーはいち早くその流れに乗った形だ。

ベネッセ公認の対策コースとなっており、公式問題集に掲載されている問題を元に、トレーニングを受けたネイティブの講師から学ぶことができる。料金は月額1万6200円で、ベストティーチャーの通常コース(月額9800円)に加え、GTEC CBT対策用のカリキュラムを受講できる。

ベストティーチャー代表取締役社長の宮地俊充氏は、入試の改革に伴い勉強方法にも改革が必要な時代だと訴える。「親の世代には無かった方法でありコストをかける事に抵抗があるかも知れないが、『オンラインで話すのは当然』という世の中にしたい」(宮地氏)

なお、同社は英語4技能試験の対策情報サイト、4skillsもリリースしている。GTEC CBTのみならずIELTSやTEAP、TOEIC SWなど英語能力判定テストの情報を掲載する。

オンライン学習サービスのスクーがクラウドワークスと提携、「人材x教育」で地方創生に臨む

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人は誰しもキャリアアップしたいと願うものだろう。キャリアアップを実現するために学び、スキルを身に付け、自分の価値を高めていく。企業に勤めていればトレーニングも提供されるものだが、クラウドワーカーにとっては先行投資でありそのハードルは低くない。だがそれが無料で受講できるとしたらどうだろうか。

インターネットの動画配信を利用したオンライン学習サービス「schoo WEB-campus(スクー)」を運営するスクーは6月12日、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を運営するクラウドワークスとの提携を発表した。提携第1弾のプロジェクトとして、クラウドワークスに所属するすべてのワーカーに対し、無料で特別カリキュラムを提供するという。

提供されるカリキュラムはデザイナー向けとライター向けの2種類。schooは通常、リアルタイムでの受講(視聴)は無料だが、録画での受講は有料となっている。だがクラウドワークスの会員であれば録画受講も無料になる。

スクー代表取締役の森健志郎氏は、今回の提携を「人材と教育の統合の第一歩」と話す。短期的にはクラウドワークスが抱える65万人もの利用者を取り込めるメリットがあるが、中長期的には利用者の学習データと就労データを結び付け、よりビジネスに直結するカリキュラムを提供することが狙いだ。今後はスクーのカリキュラムを一定時間受講したらクラウドワークスのサイトでバッジを表示するなど、ワーカーのスキルを担保する仕組みも作っていきたいという。

クラウドワークスにとってもメリットは大きい。同社では地方在住のワーカーが多い点を挙げ(約9割が東京都外)、オンライン学習によるスキルの底上げを目指す。また、ワーカーとして登録したものの仕事の実績がないうちは簡単に受注できない現実があるとし、スクーの受講履歴バッジでキャリアを担保し、これを解消したいと話す。

両社が共通して語っていたのが「地方創生」への思いだ。都市部への人口一極集中で都市消滅の問題が叫ばれる中、いつでもどこでも働けるクラウドソーシングは問題解決の糸口となる可能性がある。とはいえ、器を用意しただけでは足りず、仕事を受注できるレベルにまで教育する事が欠かせない。スクーのトレーニングでワーカーのスキルを上げ、将来的には国内だけでなく、海外からの案件も受注出来るレベルにまで育てたいと意気込む。

なおクラウドワークスは6月11日にサイバーエージェントを割当先とする約5億円の第三者割当増資などで合計約30億円の資金を調達すると発表している。今後は今回のような業務提携に加え、M&Aや資本提携などを加速させるとしている。

LINE MUSICは「シェア」と「価格」で音楽ビジネスを再構築する

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サイバーエージェントとエイベックスが5月27日にスタートした「AWA」、日本は未確定ながらも6月30日に世界150カ国で開始する「Apple Music」と、国内でも定額制音楽配信サービスがにわかに盛り上がりつつある。そして、紆余曲折を経て「LINE MUSIC」がついにベールを脱いだ。

LINE MUSICはどのようなサービスなのか? 一言でいえば、LINEは「シェア」という仕組みと、若者を意識した「価格体系」を武器に、音楽ビジネスを本気で再構築しようとしているように思える。スタートまでの紆余曲折を紹介した前回の記事に引き続き、LINE MUSICの舛田淳社長と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長に狙いを聞いた。

二段階+学割で「若者の音楽離れを止めたい」

LINE MUSICの特徴は、まず「価格」だ(表参照)。時間にも機能にも制限のない「プレミアム」の価格は、業界の標準ともいえる価格帯だが、機能制限はなく20時間まで聞ける「ベーシック」が用意されていること、さらに双方に「学割」が用意されているところが特徴だ。

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舛田氏(以下敬称略):私どもの思いとして、若者の音楽離れを止めたい、というものがあります。ですから「学割」を用意します。二つの価格帯双方に用意し、1000円が600円、500円が300円になります。これによってエントリーのハードルを下げて音楽に触れていただき、音楽を好きになってもらいたいのです。

サービスの発表から開始まで時間がかかりましたが、この価格帯を実現するために時間がかかった、というところに近いです。世界が「ストリーミング・ミュージックは1000円だ」と言っているさなかで、我々は「もっとエントリーポイントを下げましょう」という話をさせていただいたわけです。

渡辺氏(以下敬称略):重要なのは、「でも、フリーではない」ということです。

舛田:まさに。フリーではない。フリーは(音楽ビジネス側から見ると)機会損失が大きい。ものすごい数の機会損失を生んでいるんです。実際、(無料の)ストリーミングとダウンロードで収支のバランスが取れているかというと、そうではありません。ですから無料はやるべきではない、と判断しました。その上で、プロモーションのために無料にしたい、というアーティストがいれば、それはそれで、プラスアルファの設計をすればいいだけです。なので、今回は2つの価格帯です。

LINE MUSICの舛田淳社長

LINE MUSICの舛田淳社長

LINEならではの音楽「シェア」機能とは

サービスは有料なのだが、「無料」で打ち出すところもある。それが、音楽の「シェア」である。

舛田:もうひとつは、会員登録がなくても、各曲30秒の試聴用の音楽だけは聴ける、ということです。トークルームとかタイムラインに好きな曲を送り合えます。LINEのスタンプはコミュニケーションの中に溶け込みますよね? それと同じように、音楽を送り合えるような設計にしています。プレイヤーから「シェア」を選べば、LINEのトークとタイムライン、その他TwitterやFacebookに送れます。(注:LINE以外のサービス経由で試聴する場合には、LINE MUSICアプリのダウンロードが必要。会員登録は不要)

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LINE MUSICにはiPhoneとAndroid向けに専用のスマホアプリが用意され、会員は通常そちらで音楽を楽しむ。

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だが、音楽がLINEでシェアされた場合には、LINE MUSICのアプリは必要ない。LINEのスタンプのように、最小限の機能を持った音楽プレイヤーと音楽が一緒に送られてくるので、それをタップすれば楽曲が聴ける。

会員なら曲全体が聴けるが、会員でない場合には、各曲30秒間は無料で聴ける。サブスクリプション型なので、会員側はスタート時150万曲以上というカタログから何曲、どれを選んでも追加料金はかからない。シェアされる側も負担はない。

ネット時代の「音楽を語り合う放課後」を作ろう

音楽の「シェア」は、LINE MUSICのサービス設計の根幹をなす部分である。そこには舛田氏を初めとする、LINE MUSIC開発陣の強い思いがあった。

舛田:例えば、グループトークをしている時に、「BGMはこれだよね」みたいにシェアできますし、「ハッピーバースデー」ミュージックみたいなこともできます。そうですね……告白ミュージック的なものもできますね(笑)。生活の中のコミュニケーションというか、感情を伝える手段として使えるわけです。

昔、彼女にカセットテープを作って送ったりしたじゃないですか。それと同じ環境をどうやって作るか、そしてデジタルの時代に応じて進化させるか、というのが我々のテーマでした。

音楽に出会うポイントって、年齢を重ねる毎に減るんですよ。先日は、33歳で新しい音楽との出会いは止まる、なんていう記事もありましたよね。

学生時代が一番音楽を聴いていて、放課後はひたすら音楽について話し込んだりしていたじゃないですか。そういう世界を、30になろうが40になろうが60になろうが、続けられるような世界を作りたかった。「ずっと放課後」を作りたかったんですよ。

音楽をコミュニケーションアイテムに

音楽レーベルと連携したのも、こうした新しい聴き方が、音楽市場拡大につながるのではないか、という発想からだった。

舛田:結果、音楽の楽しみ方が、次のステージに行けるかもしれません。音楽は一人で聴くもの、という感覚が強いのですが、そうじゃなくて、みんなでコミュニケーションアイテムとして使う、という新しい価値を提供することで、今音楽から離れようとしているユーザー達に、「音楽って素晴らしいよね」と伝えられるかもしれない。

アーティストの方々から見ても、新しい表現手段だと思います。もしかすると、トークに合った楽曲を作っていただけるかもしれない。それがヒットするかもしれない。

新譜と違い旧譜って、出会うきっかけがないじゃないですか。でもコミュニケーションの中で、「このシーンならこの曲でしょ」「このトークの流れなら、この曲が鉄板でしょ」というものを見つけてきて流すこともあるかもしれない。そういうコミュニケーションがLINEらしさです。

ラジオ型ではなくオンデマンド型サービスを選んだ理由

サブスクリプション・ミュージックには、楽曲を1つずつ再生する「オンデマンド型」と、ラジオや有線放送のように流しっぱなしにする「ラジオ型」がある。LINE MUSICはオンデマンド型だが、それを選らんだのも、シェアをやりたいがゆえだった。

舛田:なぜオンデマンド型サービスにこだわったかというと、コミュニケーションの要素を入れるためでした。ラジオのチャンネル1つをシェアされても、困る。コミュニケーションにはならないんです。コミュニケーションにストーリー性を持たせるのであれば、一曲一曲である方がいいだろう、という判断です。ラジオ型はオンデマンドではないので、一曲一曲のシェアが難しいんです。

正直この辺は、かなり社内でも検討しました。楽曲の配信許可許諾については、ラジオ型の方が料金も安くなりますし、簡単です。ラジオとオンデマンド配信では文化が異なっているため、そのような慣習になっています。

しかし今回は、あえて茨の道を行きました。各社と調整し、口説き落としながら進めていったんです。「未来はこっちですよ」と。

「着うた」と「LINE MUSIC」の類似点

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺氏は、そうした新しい要素と「着うた」の類似性を指摘する。

渡辺:着うたは、他の国々にはなかった日本のデジタルならではの盛り上がりで、すごくユーザーにも支持されたものです。一つの時代を作ったサービスだったな、と思います。特に、若い世代が音楽に触れるための道具としてワークしました。

着うたは、一種のアイデンティティです。ガラケーの中で、自分のテーマソングを決めるようなところがありました。その中での遊びだったと思います。

しかし今回のサ−ビスは、スマホになってLINEさんと組むことで、考えられる以上の遊びが考えられます。そこがまた音楽を盛り上げるきっかけになると思います。

着うたの時もユニークなユーザーが、最盛期には約2000万人くらいいました。LINE MUSICをはじめとしたストリーミング・ミュージックが2000万人くらいのユーザーに楽しんでもらえるようになれば……と思います。非常に大きなデジタルでの音楽マーケットができるのではないか、と期待しています。

2000万人に楽しんでもらえるような市場になれば、アーティストへの分配も、着うた時代以上に可能になるでしょう。新しいサービスがユーザーに支持されれば、着うた時代のように対価を払うことになんら抵抗がない、その分楽しんでいただけることになる。ストリーミング・ビジネスに対する懐疑論については、「2000万ユーザー」といった数字になってくれば、状況がまったく異なってくる、と期待しています。

そうなると、音楽ファンからアーティストファンへの移行もあるでしょうし、「所有」するような商品への需要も広がるでしょうし、ライブに行ってアーティストに触れるビジネスも広がります。ベースがあれば、その先はいくらでも計算できます。音楽ファンのベースを作るのが優先で、そこからつなげていけます。

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長

ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長

前回の記事にて、「アーティストのファン向けのビジネスから、音楽ファンのビジネスへ」という、渡辺氏のコメントをご紹介した。これは、シェア機能の存在を前提にしている。無料でシェアできるよう広げていくことで、音楽を使ったコミュニケーションで「遊ぶ」人々が増え、結果、人々が音楽に触れる裾野が広がることを期待しているわけだ。

「LINEが旨味を独占するわけではない」

一方、こうした仕組みを「LINEが旨味を独り占めする」ととられたくはない、と舛田氏は話す。

舛田:実は私、LINE MUSICという名前から「LINE」を外すことも検討したんですよ。このビジネスをやるのは「この座組だから」であって、音楽業界全体のプラットフォームになれたら、と思っているんです。LINEという冠があると狭く思われてしまうのではないか、と。

でもみなさん「いやいや、LINEでしょ」と(笑)

思いとしては、LINEの中に止めるつもりはないんです。プレイリスト機能などについては、LINEの中以外に公開できるようにすべきだと思います。まずはLINEのタイムラインの中とか、公式アカウントを持っているアーティストがオフィシャルブログや公式アカウントでプレイリストを公開する、というところから始めますが。しかし、TwitterやFacebookでもいいですし、プレイリスト用のAPIを公開して、キュレーションメディアのようなものを作れる……といったところまでやるべきだと考えています。

LINEの他のサービスとも連携して広げていくべきだと考えています。

カタログの量と「サービスとしての完成度」は前提条件

LINE MUSICの魅力が「シェア」にあるのは間違いない。しかし、それは支持されるサービスになる一つの要素である。舛田氏は「通常のオンデマンド型サブスクリプション・サービスとして、素晴らしいものでなくてはならない、ということが大前提」と話す。

舛田:まずは音楽ファンを満足させるものでなくてはなりません。やはりカタログ数が重要です。主要なレーベルにご参加いただきました。第一弾として、二十数レーベルに参加していただき、新しい楽曲も出していただきます。カタログ数は今後も増やしていきますが、要はありとあらゆる楽曲を用意するつもりでやります。インディーズも含めてです。最初の段階では、日本の主要な楽曲は入っているのではないかな、と思います。

まずはスマホアプリですが、BGMとして、作業しながら聴く、ということはあると思いますので、ちょっと遅れることにはなりますが、PC版も用意します。

そして次に重要なのが価格です。こちらはいうまでもありません。音楽との出会いは人それぞれです。トップページで見つける方もいれば、専門家が作るプレイリストみたいなものを聴いていただくこともあるでしょうし、一般の方が作ったもので出会うこともあるでしょう。データによるレコメンドもあります。ユーザー同士のコンテンツ共有もあります。

プレイリストのイメージ

プレイリストのイメージ

音楽と出会うためにすべての手を打つ

舛田:これ、すべてがないとダメだと思うんです。そうでないと浅くなります。私は元々検索をやっていた人間で、検索には限界があると思って「NAVERまとめ」を作ったんです。かといってNAVERまとめですべてが完結できるわけではないです。そこは、すべてがハイブリッドでなくてはいけないです。現在は「音楽と出会うきっかけがない」のが問題なのですから。考えられるすべての手を打ちます。

いくら楽園があっても、そこへ到達できなければ意味がないんです。ですから、ユーザー間のシェアを大切にします。メーカーやアーティストが自分で情報発信していけるようにもなります。そうすれば、タッチポイントは必ず増えていきます。

今年、2015年は多数のストリーミング・ミュージックサービスがスタートするとみられています。まさにダムが決壊するがごとく、この2015年というのが、日本の音楽市場にとってターニングポイントになるのではないか、と。いや、そう「したい」と思っているんです。

その中で我々がどういう地位を占めたいか、というと、当然多くのユーザーに使っていただきたいと思っています。そしてその時は私たち(LINE)だけでなく、音楽業界全体のプラットフォームになっていきたい。それが目指すべき方向です。コミュニケーションと音楽を結びつけるというのが、私たちがやるべきこと。若い人達に音楽を聴いてもらって、感動してもらうのが、私たちがやるべきことです。

定額制音楽配信サービスの勝者は?

LINE MUSICがスタートした背景には、各種ストリーミング・ミュージックがこの時期に向けてスタートの準備を進めており、同様の条件交渉が必要なLINE MUSICについても、結果的に同じようなタイミングになった……という部分があるようだ。ライバルが増えることになるが、舛田氏は悲観していない。むしろ「今がチャンス」とみている。

海外のネット事情に詳しい人や、熱心な洋楽ファンにとっては、ストリーミング・ミュージックは「日常」であってなんら珍しいものでもない。だが日本では、舛田氏の言うとおり、多くの人が「本物のストリーミング・ミュージックを体験してない」状態であり、市場開拓はこれから。短期的には、競い合って認知度が高まることが望ましい。

一方、どのサービスが本命になるかは、読むのが難しい。

集客の点では、現在公称会員数300万人で、トップシェアであるNTTドコモの「dヒッツ」と、LINE MUSICが有利だ。dヒッツは、NTTドコモのスマートフォン販売戦略と連携しており、店頭での拡販が強み。一方LINEは、メッセージングサービスとしての圧倒的認知度がある。

Apple Musicは、音楽ファンには一番注目度が高い。ダウンロード販売では強いiTunes Storeとの連携が強く、「すでに持っているライブラリとの統合」は魅力的だ。Androidでの展開は秋になるものの、iOS機器に加え、PCやMacでもスタート時点から使えるため、「マルチデバイス展開」でも一歩先を行っている。海外では当たり前である水準をきちんとカバーしており、システムとしての完成度は一番高そうな印象を受ける。

価格面でも、上記2サービスは強い。LINE MUSICは「学割」をはじめとした施策でハードルを下げているし、dヒッツは税込み540円で、視聴時間制限がない。自分がまだ学生だと想定すると、毎月1000円近い金額が「音楽のためだけに出て行く」のは確かにちょっとつらい。だから、500円まででの戦いが主流になるのではないか、という予想もできる。一方、Apple Musicは1人向けのディスカウントはしないものの、「家族6人までが14.99ドルで使える」という、ファミリーアカウント制度を用意する。親に支払ってもらう想定ならば、実質的にはかなり競争力がある。

そうなると競争軸は、「音楽との出会いのプロセス」になるだろう。LINE MUSICのように「シェア」を軸に、友人との関係から利用者を広げる手法もあるだろう。Apple Musicは、国内で楽曲調達やiTunes Storeの「店舗設計」を日夜担当している音楽の目利きが、プレイリスト作成や楽曲提案の中心になる。「音楽がわかる人々からの伝播」という、ある意味古典的な「ラジオから流れる音楽」と同じモデルだ。他のサービスは、「シェア」「音楽発見」について凡庸な印象で、特徴が薄い。

「無料で音楽を楽しむ人々」を引きつけることが本命の条件だとすれば、「聴ける」以上の要素がカギになる。だからこそ、「Spotifyなどが日本への参入を果たしていない」という前提に立てば、LINE MusicとApple Musicの対決になるのでは……というのが、筆者の見立てある。どちらにしろまず、目の前にある「無料モデルからの脱却」が最大のハードルであり、「どこが勝つか」はその先にしかないのだが。

「本物の定額制音楽サービスを見せる」 LINE MUSIC仕掛け人、狙いを語る

LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役CSMO最高戦略・マーケティング責任者舛田淳氏(左)と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長(右)

いよいよ「LINE MUSIC」が始まる。5月28日にティザーサイトを開設し、近日中にサービスを開始することを公表した。音楽配信を主体とする事業会社、LINE MUSICに共同出資するエイベックス・デジタル、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ユニバーサルミュージックの音楽レーベル3社と共同でビジネスを開始する。

LINE MUSICのティザーサイト

LINE MUSICのティザーサイト

それにしても、スタートまでに紆余曲折があったものである。LINEは幾度も音楽配信への参入宣言をしているが、具体的な動きをなかなか出せずにいた。そもそも定額制音楽サービスは、日本では芽が出ていない。海外大手「Spotify」も近日中の日本参入を公表しつつも具体的な動きが見えない状況にある。きょう未明には、Appleが月額9.99ドルの「Apple Music」を世界100カ国で6月30日に開始すると発表。日本でもまもなく登場することが予想される。

今回LINEはようやくサービス開始にこぎつけたわけだが、スタートが難航した理由はなんだったのか。そしてLINE MUSICは、どうやって日本に定額制音楽配信を根付かせようとしているのか。LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役 CSMO 最高戦略・マーケティング責任者である舛田淳氏と、音楽レーベル側の代表として、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長に話を聞いた。

残念ながら、この記事が公開される段階では、LINE MUSICのサービスは開始されていないため、料金体系を含めたサービスの詳細は明かすことができない。そのため、ビジネス状況や戦略を中心に説明していただいた。サービスの詳細を含めた戦略と展開については、別途近日中にインタビューの第二弾を公開する予定である。

LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役CSMO最高戦略・マーケティング責任者舛田淳氏(左)と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長(右)

LINE MUSICの社長であり、LINEの取締役CSMO最高戦略・マーケティング責任者舛田淳氏(左)と、ソニー・ミュージックマーケティングの渡辺和則社長(右)

4度目の正直だったLINE MUSIC

――LINEは音楽事業への参入にかなりこだわってきたように見えます。LINE MUSICはなかなかスタートできなかった。これまでの経緯を教えてください。

舛田氏(以下敬称略):LINEがまだ生まれる前のネイバージャパンの時代……2010年頃に検索サービスを日本で立ち上げた時代から、「検索と音楽」であったり「まとめと音楽」であったりというものが何かないかと考え、「NAVER MUSIC」という企画を立てました。「まとめ」というキュレーションメディアにストリーミングをくっつけたり、検索にストリーミングメディアをくっつけたりというモデルをしたかったんです。

その時、企画書をもって色んな音楽メーカー・レーベルを回らせていただいたのですが、一言でいえば「ダメ」でした。市場の環境がまったく整っていなかった上に、私どもも「検索サービス」という意味ではパワーがまったく足りませんでした。「NAVERまとめ」も成長の過程にあった状態でしたし、この企画自身はなくなりました

さらにそれ以降、本日に至るまで3回くらい、過去に「LINEは音楽をやります」と宣言してきました。第一弾は2012年のカンファレンスにて、話をさせていただいて、その時は大手音楽配信サービスとのパートナーシップを検討していました。しかしこれも、私たちが思い描くサービスができそうになかった。サービスとして十分ではないものは出さない、という判断をして、企画をまた白紙にしました。

次は私どもが単独で、2013年に「LINE MUSIC」を立ち上げて、そこに対して、各メーカー・レーベルさんに参画いただく、という形で準備を進めました。我々は「LINE MUSIC 1.0」と呼んでいるんですが、これは予定日の1週間前になって、サービスのローンチを止めました。ちょうど1年前でしたが、アプリマーケットの審査も通しましたし、記者会見の場所すら押さえていたんです(笑)。

でも「1.0」はアプリごとつぶし、ゼロにしました。そして、それを経て出来上がったのが、今のLINE MUSICです。

「腹をくくって一緒にやろう」

――ローンチ直前まで進んでいた「1.0」を捨てた理由は? どんなきっかけがあったのですか?

linemusic04舛田:今、思い返せば、実は私も迷いながら、GOを出そうとしていたんです。市場環境が整わないなら、まず出してみて、そこから変えていこうと。

日本において「ユーザーの音楽体験を変える」「海外と同じように、ダウンロードからストリーミングに変えていく」には、いくつかの条件があると思っているんです。それは「主要メーカーが参加しているか」や「豊富な楽曲数」であるとか「新譜があるか」であるとか、「手に入りやすい価格帯か」「オンデマンドであるか」「ユーザーにデリバリーする仕組みとして特徴があるか」、あとは「アーティストから見てプロモーション力があるか」といったところでしょうか。こういったところが、「LINE MUSIC 1.0」は、高いレベルになかった。

ローンチ前の段階でも、楽曲をご提供いただくことについて、最後の最後の段階で返事をいただけていなかったレーベルさんもいたんです。ソニー・ミュージックさんなんですが(笑)「前向きなようだが、まだGOは出ていない」という話だったので、ある種の直談判ということで、ソニー・ミュージックさんを訪ねていったんです。

日本の音楽市場の未来、問題点、アーティストのモノ作りへの想い、LINEとしての構想など、お互いに素直に話をさせていただいたのですが、その時に、ソニー・ミュージックの村松(俊亮社長)さんに思ってもみない言葉を言われました。「今よりも、もっと腹くくって一緒にやらないか?」と。

——渡辺さんにおうかがいします。ソニー・ミュージックはなぜ「腹をくくって一緒にやろう」とLINE側に言ったのですか?

渡辺:レコード会社は、音源を作り、ユーザーに届けるのが仕事です。当時も今も大きいのは「パッケージメディア」。特に日本はパッケージの売り上げが多いのが特徴です。ですからビジネスプランもそこが中心になります。

その一方で現在は、映画業界のように「ウィンドウ」的にサブスクリプションを捉えていかなくてはいけない時代です。ファースト・ウィンドウはパッケージとダウンロードで、どちらかといえばアーティストのファンに向けて売っていく。その後にウィンドウをつけてサブスクリプションに持っていく……というプランが、当時の構想でした。

ただ僕たちが重要だと思ったことがあります。アーティストのファンはもちろん大切なんですが、やはり「音楽ファン」に広くアプローチして、そこからアーティストのファンになっていただきたい。そういうやり方はウィンドウ戦略とはまた違うものです。

そういう発想でいくと、やっぱり一番一緒にやりたいのはLINEだよね、と社内で話していたのですが、そこにLINEからサブスクリプション型の提案がきていました。ならば、僕たち側からも逆提案しよう、という形になったんです。

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舛田:LINE MUSICを立ち上げる前に、ユーザーアンケートをとりました。「音楽は好きですか?」「音楽は聴きますか?」という問いに対しては、9割以上の方々が「聴きます」「好きです」と答えるんです。音楽はいつの時代も皆が好きで、魅力的なコンテンツなんです。

ただ、今の市場環境としては、パッケージ販売が落ちてきています。ある種、世界の中で希有な存在とされてきた日本のパッケージ市場ですら、ダウントレンドに入ってきた。それを埋めるはずのダウンロードも世界ではダウントレンドに入ったと言われています。

音楽は好きだが、そこにお金を払う、という状況から離れ始めた、というのが今の状況です。

日本のユーザーの多くは「本物のサブスクリプション・サービス」を知らない

――LINE MUSIC 1.0は、音楽レーベルとLINEの双方で「これじゃない」という思いがあったようですが、具体的に何が足りなかったんでしょうか。

舛田:今の時点に至るまで、日本のユーザーの多くは「本物のサブスクリプション・サービス」を知らないんですよ。カタログが揃っている、と言える状態には一回もなったことがない。なおかつ、手に入りやすい価格でもなかった。いままでもいくつか出てはいますが、多くのユーザーを熱狂させるものには、なれていなかった。

LINEが「1.0」として出そうとしていたものも、「業界標準価格の1メニューだけで、メジャーレーベルも参加せず、カタログも不十分」という形でした。その当時の判断として、これでは熱狂させる「本物のサブスクリプション」にはなっていない、という判断をしました。

逆にいえば「カタログが揃っている」「手に入りやすい価格である」のが、これからスタートするLINE MUSICである、と言えます。

フリーミアムモデルは音楽市場の成長につながらない

――海外のストリーミングサービスは、無料の機能制限版+広告の無料会員と、月額10ドル程度の有料会員の2階建ての「フリーミアムモデル」が主流です。LINE MUSICはどのような料金体系なのでしょうか?

舛田:まだ詳細はお伝えできませんが、日本のLINE MUSICに関していえば、一般的なフリーミアムモデルを採用しません。海外でフリーミアムのストリーミングはここ数年伸びていますが、今年に入り「本当に大丈夫?」という声もアーティスト側から聞こえてきています。市場を本当に成長させてくれるの? という疑問が出てきていますね。テイラー・スウィフトがフリーミアムサービスには楽曲を提供しないと発言したのは印象的でしたね。今後世界でのフリーミアムモデルの環境変化には、注目しています。

――フリーミアムモデルは無料で音楽を聴く人が増えすぎて消耗戦に陥っている、との批判があります。音楽業界側からは無料型ではなく「有料型」で、という意見が強いのですが、LINE MUSICもそれに倣うということでしょうか。

舛田:日本のユーザーは素晴らしい。これまでも音楽に価値を認め、お金をお支払いいただいているわけです。グローバルでフリーミアムが流行っているからといってそれを闇雲に日本のサービスに持ち込むべきでない、という部分は、コンテンツ側からの要請ではなく、私自身も「そうすべきだ」と思っているからです。コンテンツ、国、市場によって、それぞれ最適なモデルにしていくべきです。

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コミュニケーションに音楽を取り込む

舛田:昔はレコード店で楽曲を買いました。情報はテレビ・ラジオなどのマスメディアで仕入れる。それがデジタル化し、次は「検索」や「ポータル」で知るようになりました。今はさらに時代が変わり、「ソーシャルメディア」で知るようになりました。ソーシャルメディア・サービスが人のコンテンツとの出会いを演出するメディアになったんです。

しかし一方、一般的なSNSは密接なクローズドなコミュニケーションの中には入り切れていません。我々が目指すところであり、求められていることは、LINEが担っているリアルな人間関係の中のリアルなコミュニケーションの中に音楽の話題を入れていくことです。

学生時代は、とにかくたくさん、友人と音楽のことを話していたはずです。でも今はそんなにしなくなっている。「好きなのに」「聴くのに」です。

そこに矛盾が生まれ始めている。ユーザーにとっても、提供するプラットフォーム側にとっても、音楽を提供する側にとっても、です。今回は、我々のコミュニケーションプラットフォーム上に音楽コンテンツを置くことで、コミュニケーションの中でもう一回音楽を採り上げていただく環境を作る、ということが、一つの大きな方向性です。

「着うた」以上の巨大市場を期待するレコード会社

――音楽レーベルとしては、LINE MUSICでどのくらいのユーザー数を獲得したいと考えていますか?

linemusic02渡辺:着うたの時もユニークなユーザーが、最盛期には約2000万人くらいいました。LINE MUSICをはじめとしたストリーミング・ミュージック全体で、2000万人くらいのユーザーに楽しんでもらえるようになれば……と思います。非常に大きなデジタルでの音楽マーケットができるのではないか、と期待しています。

2000万人に楽しんでもらえるような市場になれば、アーティストへの分配も、着うた時代以上に可能になるでしょう。特に日本においては、フリーミアムによる広告モデルでのレベニューシェアでは、そうした規模のビジネスは非常に難しいと思います。

日本で定額音楽配信サービスはブレイクするか?

定額制音楽配信の多くは、音楽をPCやスマートフォンなどにダウンロードせず、ストリーミング形式で再生する。すでに海外では、CDやダウンロードをしのぐ勢いである。アメリカ・レコード協会(RIAA)の発表によれば、2014年のアメリカの音楽事業では、ストリーミング・ミュージックの売り上げは18億7000万ドル。ついに、CDの売り上げ(18億5000万ドル)を越えてきた。

しかし、日本ではどうも伸びない。日本でも「KKBOX」や「レコチョク Best」、「dヒッツ」などの先行サービスはあるものの、ブレイクするには至っていない。海外の大物を含め、「本命」と呼べるサービスが不在であるから……ともいえる。

5月27日には、エイベックスとサイバーエージェントが共同出資する「AWA」がスタートして話題になったが、メッセージングの分野で圧倒的なシェアを持つLINEが参入するとなれば、注目されるのも当然といえる。

LINEとしてはもちろん、定額制音楽配信の中でトップを狙う。競合となるサービスも今年中に続々スタートするとみられており、舛田氏は「2015年というのが、日本の音楽市場にとってターニングポイントになるのではないか。いや、そう”したい”」と意気込みを語る。

では、具体的にどのようなサービスになるのか? それはどういう狙いで組み立てられたものなのか? そうした点は、サービスがスタートした段階で改めて解説していくこととしたい。

SoftBank、韓国のeコマース大手、Coupangに10億ドルを投資―評価額は50億ドルか

2015-06-04-coupang

6月はソフトバンクにとって早くも大忙しの月になっている。評価額10億ドルのフィンランドのゲーム会社、Supercellを事実上買収した翌日(米国時間6/2)、ソフトバンクは韓国最大のeコマース企業、Coupang.に10億ドルをt投資したことを発表した。

Coupangはいわば韓国のAmazonのような存在で、昨年巨額の資金調達を行った。2014年5月にSequoiaが10億ドルの評価額で1億ドルを出資し、12月にはBlackrockがさらに3億ドルを投資している。

CoupangもSoftBankも今回の出資における会社評価額を公表していないが、TechCrunchが得た情報によれば、50億ドルだという。

10億ドルクラブ

この投資でCoupangは評価額が10億ドルを超えるスタートアップのクラブ入りした。しかも同時に、さらにメンバーが少ない(XiaomiとFlipkartなどを含む)1回のラウンドで10億ドル以上を調達したクラブのメンバーにもなった。いったいCoupangのどこがそれほど魅力的だったのだろう?

Coupangのビジネスはいわば「次世代のeコマース」の先駆けだ。同社のアプリは2500万ダウンロードを数えている。韓国の人口が5000万であることを考えると大変な普及率だ。モバイルが売上の75%、サービスへの全トラフィックの85%を占める(ちなみにAmazonは、2014年のクリスマス商戦でモバイル経由の注文が60%だった と発表している)。

またCoupangは独自の物流ネットワークとフルフィルメント・センター群を構築している。消費者への配送の最後を受け持つのは‘Coupangメン’と呼ばれるドライバーとトラックの大部隊だ。

Coupangも当初はサードパーティーの運送業者と契約していたが、Coupangメンの導入によってブランド認知と消費者との会話を格段に向上させることに成功したという。Coupangメンは配達の際にしばしばキャンディーやサンプル商品などを無料で配り、お礼のメモを置いてくるなどの努力をしている。

こうした消費者サービに加えてCoupangは配達が非常に速い。2014年から即日配達(ときには数時間で配達)をスタートさせている。今回のSoftBankの投資と支援により、「フルフィルメントとモバイルアプリの両面でイノベーションが加速される」とCoupangは述べた。シリコンバレー、シアトル、上海、ソウルに所在する同社の研究開発センターには一層のリソースが流れ込むことになるだろう。

SoftBankのバイスチェアマンで元GoogleのNikesh Aroraは声明を発表し、「クーパンは、世界のインターネット企業の中でも非常に成長が著しく、かつ革新的な企業のうちの一つだ。同社は、先端テクノロジーを活用して世界中で展開するEコマース事業における同日配送、モバイルコマース、カスタマーサービスはどうあるべきかという観点において、新しい業界基準を確立することになるだろう」と述べた。

SoftBankはアジアへの投資を加速

今回の巨額の投資は、アジアにおける有望なeコマース企業を傘下に収める最近のSoftBankの戦略の延長線上にあり、それを加速させるものといえる。昨年SoftBankはインドネシアのeコマース、Tokopediaに1億ドルを投じ、インドにおけるAmazonのライバル、Snapdealの6億2700万ドルのラウンドをリードしている。

SoftBankはまたアジア地域におけるタクシー・アプリにも大金を出資している。東南アジアのGrabTaxiは2億5000万ドルをSoftbankから得ている。同社はインドにおけるUberのライバル、Olaの2億1000万ドルのラウンド 、中国におけるDid Dacheの6億ドルのラウンドでもリード投資家を務めている(Did Dacheはその後最大のライバル、Kuaidi Dacheと10億ドルの評価額で合併した)。

〔日本版〕ソフトバンクが発表した日本語プレスリリースはこちら(PDF)

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

クレディセゾン、FinTech特化のコーポレートベンチャーキャピタルを設立

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screenshot_371先日のGoogle I/Oでも決済サービスのAndroid Payが発表されたばかりだが、金融(Finance)とIT(Tech)を掛けあわせたいわゆる「FinTech」に注目が集まっている。そんなFinTech関連のスタートアップにも影響のありそうな動きがあった。

クレディセゾンは6月1日、国内カード業界初となるコーポレート・ベンチャーキャピタル、「セゾン・ベンチャーズ」の設立を発表した。資本金は1億円で、クレディセゾンの100%子会社となる。

クレディセゾンでは、これまでにもOrigamiやコイニーをはじめとしてスタートアップに積極的な出資をしてきた。新設したセゾン・ベンチャーズでは、シード・アーリーステージのベンチャーを対象により機動的に活動したいとする。

主な投資対象はFinTechの分野で新世代の金融・決済ソリューションに取り組むスタートアップ、もしくはカード会員資産や永久不滅ポイントなど、クレディセゾン固有の資源を活用し新たな経済活動を生み出すポテンシャルを持つスタートアップ。クレディセゾンでは、3500万人の顧客基盤、30年以上のカードビジネス経験でスタートアップを支援するとしている。

企業の規模やアイデアにもよるが、1社あたり数百万円〜数千万円をイメージしているとのこと。将来的には、数年で数十億円規模にまで投資規模を拡大していきたいと意気込む。

名刺管理のSansanがオープン化、API公開でビジネスインフラ目指す

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法人向け名刺管理サービス「Sansan」がオープン化する。運営元のSansanが8月中旬をめどに、APIを無償で公開。APIを利用するパートナー企業は、Sansanの名刺情報を組み込んだソフトやサービスを開発・販売できる。現時点でマイクロソフトやセールスフォース、日本郵便など20社がパートナー企業に名乗りを上げている。

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Sansanはユーザーがスキャンした名刺を、OCR処理とオペレーター入力でデータベース化。名刺情報はクラウドを通じて組織内で共有できる。日経テレコンやダイヤモンド社の人事情報をもとに名刺情報を更新したり、同じ会社の社員が受け取った名刺を共有する機能もあり、クラウド上で常に最新の顧客情報を閲覧できるのが強みだ。

APIオープン化により、どういった連携製品が出てくるのか。例えば、はがきのデザインから投函までの一連の作業を依頼できるポータルサイトを開発中の日本郵便は、Sansanの名刺データベースと連携し、宛名の印字に活用する予定だ。

そのほかには、顧客管理データベースを手がける企業であれば、キーマンの情報が常に最新の状態に保たれる営業支援システムを構築できる。あるいは、名刺交換した顧客の情報が地図上にプロットされ、近くの営業先をすぐに参照できるマップも作れそうだ。

Sansanは2015年4月時点で3000社が導入していて、2017年までに1万社の導入を見込んでいる。今回のオープン化では、名刺データと連携した300以上の製品が生み出されると見ていて、これによってSansan自体の導入企業も増えると見込んでいる。

Sansan以外にも名刺をデータ化するサービスは珍しくないが、「名刺データを自由に活用できる世界は、誰も想像できていない」と、取締役の富岡圭氏は指摘する。「1年間で世界中で流通する名刺は100億枚以上。これまで捨てられていた情報を生かし、ビジネスインフラとしての価値を生み出したい」。

Sansan取締役の富岡圭氏

Sansan取締役の富岡圭氏

Googleに次いでMicrosoftも太平洋横断光ケーブルの敷設に投資―日中台との接続の高速化へ

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今日(米国時間5/11)、Microsoftは日本、中国、台湾、韓国とアメリカの西海岸(オレゴン州ヒルズボロ)を結ぶ太平洋横断海底光ケーブルの敷設のためのテレコム企業のコンソーシアムに参加することを 発表した。Microsoftは「このNCP (New Cross Pacific)ケーブル・ネットワークはクラウド事業の価格競争力を強める高速接続を提供するだろう」と述べた。

Microsoftは、今日これに加えて、カナダ、イギリス、アイルランドとの接続を高速化するHiberniaと契約を結んだことを発表した。この光ケーブル回線は AcquaCommsが準備しているAEConnectケーブルを利用し、ニューヨーク州シャーリーとアイルランドの西岸を結ぶ(その後、中間ネットワーク・プロバイダによってイギリスに接続される)。

Hibernia Expressケーブルは新たな大西洋横断ケーブルとしては12年ぶりのもので、来る9月に運用開始の予定だ。この新ネットワークはレイテンシーの低さ(ニューヨーク-ロンドン間で60ミリ秒を約束)をセールスポイントとしている。運用が軌道に乗れば、一対のケーブルが10Tbpsの伝送速度を発揮することが期待されている。AEConnectの建設費用はおよそ3億ドルでMicrosoftが最初のユーザーとなる。建設資金の借り入れは野村が仲介した。

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グローバルな通信インフラの拡大に努力しているのはMicrosoftばかりではない。最大のライバル、Googleも2008年と2011年に3億ドルを投じて日本とアメリカを結ぶ光ケーブルを敷設している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

動画を使ったサービスマネジメントツール「ClipLine」開発元がインキュベイトファンドから1億3000万円の資金調達

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ジェネックスソリューションズは3月31日、インキュベイトファンドが手がけるベンチャー投資ファンド「インキュベイトファンド3号投資事業有限責任組合」を引受先とした総額1億3000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。調達した資金をもとに組織体制を強化。自社で開発するサービスマネジメントツール「ClipLine」の開発・機能強化や営業・マーケティングの拡大を進める。

ジェネックスソリューションズは2013年7月の設立。代表取締役の高橋勇人氏は、これまでコンサルタントとしてスシローやダイヤモンドダイニングなど飲食店の経営改善を支援してきた経験のある人物。そのノウハウをもとに開発したのが、動画やスマートフォンアプリを使って多店舗・多ブランド展開型企業のサービスマネジメントを支援するClipLineだ。

これまで高橋氏らが手がけてきた店舗向けの経営コンサルティング事業では、本社から店長、現場スタッフへと、手作業や動作が生じる業務を詳細に指導することが難しかった。たとえ紙でマニュアルを用意しても、誰もがそのとおりに作業を行えないわけだ。

だが現場では対面で作業を指導してスタッフを育成しなければならず、一方では店長や経験豊富なスタッフが若手スタッフの育成にかけられる時間も限られている。そうなると、「仕事を教えてもらえない」となって早期にスタッフが辞めてしまい、また新しいスタッフを探す必要が出てきてしまう(高橋氏いわく、スタッフが早期退職する大きな理由は「仕事を教えてもらえない」「既存環境に入れない」の2点だそうだ)。ClipLineでは、こういった人依存になりがちなスタッフ育成を動画やアプリ上でのコミュニケーションで解決するサービスだ。概要についてはこちらの動画も参照頂きたい。

ClipLineではまず、作業のノウハウを30秒から1分程度の動画にして撮影。こちらはジェネックスソリューションズが対応する。2日で150カット程度を撮影するそうだ。

スタッフ向けのアプリでは、常時その動画を視聴可能。さらに動画を見たあとにスマートフォン・タブレットのカメラを使って自分を撮影し、動画と自分の作業を比較するといったことができる。

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同時に店長向けの管理アプリも用意しており、スタッフの学習進捗を確認したり、アップロードした動画へのコメントをしたり「いいね!」をしたりできる。日々変化するオペレーションに対応すべく、動画のアップデートも可能。本社向けにレポートを確認できるウェブの管理画面も用意している。価格はは条件にもよるが、撮影などを含めた初期費用が100万円程度、月額費用は店舗あたり数千円から1万円程度になるという。

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サービスは現在、ダイヤモンドダイニングをはじめとして10社300店舗に導入されている。現在は飲食店を中心にしているが、今後は美容やアパレル、アミューズメントなど、各種業界への導入も積極的に進めるとしている。

huluが国内100万ユーザー突破、Netflixの国内参入については「切磋琢磨して市場を大きく」

月額定額制動画ストリーミングサービス「hulu」を国内で展開する日本テレビグループのHJホールディングスは3月30日、国内ユーザーが100万人を突破したと発表した。4月1日からはPlayStation 4への対応も開始する。同日開催された発表会でHJホールディングスヴァイス・チェアマンの船越雅史氏が語った。

日本テレビグループがhuluを買収したのは2014年4月1日。船越氏が語ったところによると、の買収前のユーザー数は61万人。これまでの総視聴時間は3億6000万時間にも上るそうだ。ユーザー属性は明確にはされなかったが、「20代30代40代が中心だが、50代以上、未就学児含めて観られているのではないか」(船越氏)とのこと。ようはいろんな世代に観られています、ということだろうか。

さて今後の展開で気になるのは、今秋にも日本でサービスを開始する競合サービス米「Netflix」の存在だ。これについて船越氏は、「VOD市場は成長途上。これまで以上にサービスを拡充していくが、切磋琢磨してまずはVODのマーケットスケールを大きくできれば」と語るにとどまっている。

huluでは4月以降、「フールー、オン」と呼ぶ年間キャンペーンを開始するとしている。詳細は4月中にも発表される予定だ。また、オリジナルコンテンツの展開も進めるという。フジテレビ、テレビ朝日グループからのコンテンツ提供についても話を進めているとのこと。


ヤフーが位置情報共有サービスの米「Life360」と提携、日本向けにサービス開始


ヤフーは3月27日、米スタートアップのLife360との業務提携を発表した。この発表にあわせて、Life360は位置情報共有アプリ「Life360」のAndroid日本語版を公開。ヤフーは今後の国内展開を支援していく。なおiOS版は現在英語のみで提供されており、日本語版は近日公開予定。

Life360 は家族や友達などをグループとして登録し、お互いの居場所をリアルタイムで把握できるアプリだ。アプリ内の設定で位置情報共有のオンオフを切り替え可能。

グループは複数作成でき、「家族は常に共有をオンにして、友人は待ち合わせの時以外はオフにする」といった設定が可能。また、自宅や学校など、特定の場所やエリアを「通知エリア」として設定すれば、グループに通知する機能などを備える。さらに、グループメンバー全員に助けを求める通知を送れる「緊急通知」ボタンも備える。

今後は、警察機関などから提供されるデータをもとに、犯罪発生地点をアプリ内地図に搭載する機能も提供する予定(米国ではすでに同様の機能が提供されている)。有料版では、通常2点までの通知エリアの登録が無制限になるなど、追加機能を提供する。

そういえばGoogleも、友人とお互いの現在地を共有するサービス「Google Latitude」を提供していたが、現在はサービスを終了している。このLife360はGoogle Latitudeと比べると、「家族や知人の安全確認」といった方向でブラッシュアップしたサービスに思えた(ただ設定次第では家族間のプライバシーはあってないようなものになるのかも)。

ちなみにヤフーによると、米国では主に子どもの登下校時や1人での外出時に位置を把握する目的で利用されているとのこと。ファミリー層を中心にして、現在全世界5000万グループが利用している。


gumi、100人規模の希望退職者募集へ、ブラウザゲーム2タイトルはマイネットに移管

業績の下方修正、韓国子会社での横領など厳しいニュースの続くgumi。同社は3月27日開催の取締役会で希望退職者の募集について決議したと発表した。

gumiの発表によると、同社はブラウザゲームからネイティブアプリへと主軸のサービスを転換(2015年4月期第3四半期累計でブラウザゲーム売上が連結売上高全体の9.3%にまで低下)しているが、一部でスキルセットの転換や配置換えが遅れているケースもあったため、これを機に他社への転進等を求める社員に対する選択肢として、希望退職を募集することを決定したという。

対象とするのはgumiおよびgumi Westの全社員で、募集する人員は100人程度。2015年4月期第3四半期決算で発表されたグループ従業員(正社員)数は901人だった。募集期間は3月30日から4月17日までで、退職日は4月30日を予定する。また今回の希望退職制度に応じて退職する従業員については会社都合の退職として扱い、特別退職金を支給する。希望者には再就職支援会社を通じた再就職支援を行うとしている。

gumiでは、今回の退職者募集に伴い発生する費用や業績への影響等について、確定次第速やかに開示するとしている。

あわせてgumiでは、ブラウザゲームタイトルの「ドラゴンジェネシス」および「幻獣姫」について、マイネットへの運営移管を行う旨の発表もしている。