ボストン・ダイナミクスが物流用ロボットStretchの販売予約受け付けを開始

Stretchはこれまで、Spotほどには注目されてこなかった。当然といえば当然なのだが。というのも、1つにはBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)が数十年にわたる研究開発を経て、初めて商品化したロボットではなかったからだ。また、人目につかないところで箱を移動させるなど、舞台裏で活躍することを想定して設計されているからでもある。有名なSpotは、Hyundai(現代自動車)傘下のロボットメーカーBoston Dynamicsにとって、世間の注目を集め、ちょっとした論争を巻き起こす一種のブランドアンバサダー的な存在となっている。

同社のHandleプロジェクトから生まれたStretchは、ここ数カ月で限られた顧客に試験的に使用されている。同社はまた、1月にDHLと1500万ドル(約18億円)相当という大規模なロボット購入契約を締結した。その他、衣料品チェーンのGapやH&Mも初期の顧客だ。

3月30日、このシステムの販売が始まった。2023年か2024年まで納品されないので、予約受付中といった方が正確かもしれない。予想通り、同社はこの新型ロボットへの関心の主な要因として、現在進行中の労働問題を挙げている。

画像クレジット:Boston Dynamics

「人手不足とサプライチェーンの混乱は、モノの流れを維持するための課題を生み出し続けています」と、CEOのRobert Playter(ロバート・プレイター)は話す。「Stretchは物流業務をより効率的かつ予測可能なものにし、倉庫内で最も身体的負荷の大きな作業を担うことで安全性を向上させることができます。当社のアーリーアダプターの顧客の多くは、すでにこのロボットの大規模な導入を決定しており、Stretchが間もなくより広範囲に活用され、小売業者や物流会社が継続的に急増する商品需要に対応できるようになることを期待しています」。

これらのシステムが世界で活躍するのを見るのは興味深い。これまで私たちは主に、制御された環境下でのBoston Dynamicsの動画を見てきた。Stretchは厳しい競争に直面している。企業がAmazon(アマゾン)の巨大な自動化軍団に対抗するための足がかりを探す中で、倉庫や物流は近年ロボティクスで最も注目されている分野の1つとなっている。直近では、そうした企業は雇用のギャップを埋めるのに役立つシステムを探している。

画像クレジット:Boston Dynamics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

D2Cの注文処理サービスを代行する仏Bigblueが18.3億円調達

フランスのBigblueが、1500万ドル(約18億3000万円)のシリーズA資金調達ラウンドを実施した。同社は、D2C(Direct to Consumer)ブランド向けのオーダーフルフィルメントプラットフォームを運営している。これによりD2Cブランドは、Bigblueに物流に関するあらゆることをアウトソースすることができ、製品やマーケティングに集中できるようになる。

ラウンドはRuna Capitalがリードし、LPVが「セカンダリーリーインベスター」になった。既存の投資家であるSamaipataも、再び投資に参加している。

現在、同社はフランス、スペイン、英国3カ国で事業を展開しており、6万平方メートル以上の保管スペースを持つ5つの倉庫と提携している。顧客は、これらの倉庫に直接製品を発送し、Bigblueが保管・管理する。

Bigblueの顧客である企業や店に注文が入ると、商品はBigblueの配送ネットワークから客に送られる。同社が契約している配送業者は20社ほどで、ヨーロッパ全域に配達できる。グローバルな発送もできるが、の他の市場ではそれぞれの国でD2Cのためのフルフィルメントパートナーを見つけるのが賢明だろう。

Bigblueでは、パッケージをカスタマイズしたり、パッケージ内にチラシを入れたりして、エンドユーザーの体験をパーソナライズすることもできます。また、何か問題があった場合、顧客はブランドの返品ポータルで返品リクエストを提出するよう促される。返金だけでなく、ストアクレジットにも対応している。

共同創業者でCEOのTim Dumain(ティム・デュメイン)氏は声明で「新しい資金で、ユーザーであるマーチャントの増加に合わせて、私たちのサービスも拡大したい。社員を増やすとともに、会社をD2Cのフルフィルメント分野のリーダーになりたい」と言っている。

結果は実に単純だ。BigblueはAmazonのような体験を提供したいが、しかしそれをサードパーティのロジスティクスの業態でやろうというのだ。そこでBigblueはShopifyやWooCommerce、PrestaShop、Wixなどさまざまな販売チャンネルと、CdiscountやFnac、そして、そうAmazonのような多様なマーケットプレイスとの統合を進めている。

そうすることによって、さまざまなマーケットプレイスが無料で同日または翌日の配達を提供できるようになる。しかも、オンラインのマーケットプレイスの商品ページで自分が真っ先に選ばれるためには、その点が鍵になる。そしてまた顧客は、そのブランドの追跡メールを受け取る。

D2Cのロジスティクスサービスで同社が競合しているのは、CubynHiveHubooなどとなる。全体としてBigblueは、From FutureUnbottledWe Are Joliesなどの顧客を惹きつけることに成功している。同社の2022年の目標出荷数は400万だ。そのためには同社は今後1年間で社員を100名増員し、西ヨーロッパ全域に拡張しなければならない。

画像クレジット:Bigblue

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(文:Romain Dillet、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アマゾンのアラバマとNYスタテンアイランド物流拠点の組合票の集計が来週から始まる

Amazon(アマゾン)のアラバマ州ベッセマーにあるフルフィルメントセンター(FC)での労働組合結成への道のりは、予想通り険しいものであった。苦闘の末、2021年4月、小売業界の巨人は勝利を収めた。労働者たちはBernie Sanders(バーニー・サンダース)上院議員から共和党所属のMarco Rubio(マルコ・ルビオ)上院議員までさまざまな政治家の支持を得ていたが、結果は一方的な勝利であり、組合代表者は直ちに異議を唱えた。

Amazonが「悪質であからさまな違法行為」によって従業員を「心理的操作」してきたという告発を受けて、全米労働関係委員会(NLRB)が再投票を行うことに同意したため、小売・卸売・百貨店労組(RWDSU)は年末に何とかカムバックを果たした。1月、NLRBは無記名投票の開始を2月4日と発表した。米国時間3月28日(月)に、これまで歴史的な取り組みとなってきた投票の集計が始まる。

Amazonのニューヨーク州スタテンアイランド倉庫も、比べるとかなり短い投票期間ではあるが、同様の取り組みに直面している。米国時間3月25日から始まる投票は3月31日まで行われ、その時点で集計が開始される予定だ。アラバマ州の郵便投票とは異なり、こちらは対面式で行われる。先の(ベッセマーでの)投票では、その方式が緊張の種となっていた。

この労働運動の推進は、すでにいくつかの論議を呼んでいる。元JFK8職員で組合支持者となったChristian Smalls(クリスチャン・スモールズ)氏は、2月下旬に他の2人とともに不法侵入の容疑で逮捕された。スモールズ氏は、同氏を含む3人はAmazonの従業員に食料を届けるために現場にいたのだと反論している。「これは単にAmazonが状況を作り出しているだけだ」と彼は報道陣に語った。会社側は独自の声明で反論し、同氏は「何度も警告を受けたにもかかわらず、不法侵入を繰り返した」とメディアに伝えた。

Amazonは以前から組合を弾圧する戦術で非難されており、労働者の扱いが長年にわたって厳しい批判にさらされてきた同社にとって、組合の推進が成功すれば、それが試金石となることを懸念しているのだろう。労働組合の結成が成功すれば、より多くの倉庫で働く労働者たちが勇気づけられることは間違いない。パンデミック中の状況も、多くの労働者にとっての動機づけの要因となっている。

Amazonの広報担当者であるKelly Nantel(ケリー・ナンテル)氏は、TechCrunchの取材に対し「従業員の声を反映していけることを楽しみにしています」と述べている。「Amazonがすばらしい職場であることを継続するために、チームと直接協力することに引き続き注力してまいります」。

注目すべきは、同社が労働者組織化に対する関心の高まりに直面しているいくつかの米国大手ブランドの1つであることだ。3月初めには、マンハッタンにあるREIの店舗で働く従業員が、組合結成に投票した。また、ニューヨーク州バッファローの店舗を皮切りに、全米のStarbucks(スターバックス)で一種のドミノ効果が展開されつつある。ニューヨーク州バッファローの店舗から始まり、アリゾナ州メサの店舗、そして今週初めには、同コーヒーチェーンの本拠地であるシアトルの店舗がこれに続いた。

画像クレジット:PATRICK T. FALLON/AFP / Getty Images

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(文:Brian Heater、翻訳:Den Nakano)

Kodiak Robotics、Ceva Logisticsを顧客に迎えた自動運転トラック貨物輸送の商業運用を発表

自動運転トラック輸送のスタートアップ企業であるKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)は、Ceva Logistics(シーバロジスティクス)と提携し、ダラス・フォートワースとオースチン間およびダラス・フォートワースとオクラホマシティ間で、自動運転走行による貨物輸送を行うと、米国時間3月9日に発表した。KodiakにとってCevaは、初めて公に発表した顧客となる。

これは、Kodiakの技術を公道でテストするための実証実験や試験的な契約ではない。CevaはKodiakの有料顧客の1つであり、Kodiakは事業を継続するための収益を得る。Kodiakは11月に1億2500万ドル(約145億円)のシリーズB資金を調達したばかりだが、Waymo(ウェイモ)やAurora(オーロラ)といった競合と比べると資金が圧倒的に少なく、この分野ではまだ小さなプレイヤーの1つだ。

Cevaとの提携は、Kodiakが商業化への道をさらに進むということを示すだけでなく、Cevaの貨物業務に関する貴重な洞察をKodiakにもたらすことになると、Kodiakの共同創業者でCEOのDon Burnette(ドン・バーネット)氏はTechCrunchにメールで語った。

「これには、Kodiak Driver(コディアック・ドライバー)を、Cevaの既存インフラに最も効果的に統合する方法についての洞察も含まれます」と、バーネット氏はいう。「パートナー企業と貨物輸送を行うことは、物流業界の顧客が実際に望む製品を作り上げるために、非常に重要であると私たちは考えています」。

自動運転システムの背後にある技術は、公道で展開する準備がすでに整っているか、ほぼ整っている。ほとんどの業界の専門家たちは、貨物輸送が自動運転技術にとって最初の大規模な商業用途になると考えている。そのため、物流会社、荷主、輸送業者との提携をめぐり、業界では争奪戦が始まっている。

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転トラック輸送部門であるWaymo Via(ウェイモ・ビア)は、2022年1月にJ.B. Hunt(J.B.ハント)を同社の完全自動運転貨物輸送の最初の顧客とすることを発表し、続いて翌2月にはC.H. Robinson(C.H.ロビンソン)と提携して試験運用を開始することも発表した。Auroraは自動運転トラックのテストを行うためにFedEx(フェデックス)と契約した他、Uber Freight(ウーバー・フライト)の顧客のために貨物の運搬も始めている。

「顧客と一緒に仕事をすることで、私たちはロジスティクスビジネスを深く理解し、彼らやその他の企業とシームレスに事業を展開することができます」と、バーネット氏は語っている。「私たちの顧客は高い要望を持っています。現実世界のシナリオで貨物輸送を行うということは、最適な時間帯や最適なルートを選んで運行することができません。そのため、当社のシステムはより強固なものになります」。

米国内における自動運転輸送のほとんどは、テキサス州で行われている。オクラホマ州では、州議会が完全自動運転車の公道における無人運転走行を認める法案を、先日可決したばかりだ。KodiakとCevaは同州で率先して自動運転による公道走行を始める企業となる。

もっとも、KodiakのトラックはまだWaymoやAuroraと同様に、運転席に人間の安全オペレーターが乗り込み、常に運行を監視することになる。ドライバーはルートの高速道路部分を自動運転モードで運行する。Kodiakはいかなるポリシーの離脱も行わないため、特定の定められた状況では、人間が介入して手動でトラックの運転を引き継ぐ必要はないだろう。

「私たちは、Kodiak Driverが高速道路で遭遇する状況に対応できると期待しています」と、バーネット氏は述べている。「人間のドライバーは、必要と感じた時にはいつでもシステムを解除する権限を持っています」。

2021年11月以来、Kodiakはダラス・フォートワースとオースティン間の200マイル(約322km)の貨物レーンで、Cevaのために毎週荷物を輸送している。この提携は2022年2月、ダラスのCeva施設とオクラホマシティの配送地点を結ぶ、州間高速道路35号線をオクラホマ州へ向かうルートにも拡大された。Kodiakによると、どちらのルートでも、長距離トラック用に作られたコディアックの自動運転トレーラーヘッドが、荷物を詰めたCevaのトレーラーを引っ張るという。

「Cevaでは、イノベーションとはビジネスに影響を与える新しいアイデアの実行であると定義しています。Kodiakとのパートナーシップは、特に現在のサプライチェーン危機や進行中のドライバー不足の観点から、当社の顧客にさらなる事業価値を提供することになるでしょう」と、Cevaの北米事業部で社長兼マネージングディレクターを務めるShawn Stewart(ショーン・スチュワート)氏は、声明で述べている。

Kodiakは、Cevaのために運行している2つのルートに加え、2019年からダラスとヒューストンの間で、そして2021年からダラスとサンアントニオの間で、毎日貨物輸送を行っている。同スタートアップは韓国のコングロマリットであるSKとも戦略的パートナーシップを結び、同社の技術をアジアで展開する可能性を探っているところだ。また、少数株主であるBridgestone(ブリヂストン)とは、幅広いパートナーシップの一環として、スマートタイヤ技術のテストと開発を行っている。

画像クレジット:Kodiak Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

遠隔操作・AIロのTelexistence、物流施設の低温エリアなどで自律制御・遠隔操作による新型ハイブリッドロボの実証実験

遠隔操作・AIロのTelexistence、物流施設の低温エリアなどで自律制御・遠隔操作による新型ハイブリッドロボの実証実験

遠隔操作・AIロボットの開発・事業を手がけるTelexistence(テレイグジスタンス。TX)は3月4日、独自AIシステムによる自動制御と人による遠隔操作のハイブリッド制御ロボット技術を核とした新たな物流オペレーションの開発を目的に、実証実験を開始した。

実証実験を行うのは、低温物流のニチレイロジグループ本社と、物流事業を展開するセンコーの2社。第1弾として、ニチレイロジグループの物流施設にある冷蔵エリアにおいて、遠隔操作ロボットがカゴ台車にさまざまな荷物を積み込む(混載積み付け)実験を行った。2022年秋には、センコーの大手小売業向け物流施設にて実験を行う予定だ。

実験に使用されたロボットは、協働用ロボットアーム、自律走行搬送ロボット(AGV)、エンドエフェクター、遠隔操作機構で構成されたもの(協働用ロボットアームとAGVは他社製を採用)。

パレットへの積み付けや積み下ろし(パレタイズ、デパレタイズ)を行うロボットは、一般には床に固定される。そのため稼働範囲が限定され、ロボット作業の前後の工程にその他の移動用機器(マテハン機器)を準備する必要がある。これに対してTX製ロボットは、電源を搭載しているため移動をともなう作業にも対応し、また時間帯に応じて作業場所を変えるなどの柔軟性がある。同時に、オペレーターが遠隔で荷物や積み付け場所を目視で確認するため、保冷カバー付きのカゴ台車への積み付けのような複雑な作業を要する場面でも、最適な形で効率よく荷物を扱うことができる。

遠隔操作・AIロのTelexistence、物流施設の低温エリアなどで自律制御・遠隔操作による新型ハイブリッドロボの実証実験

段ボールを側面から把持した状態でのカゴ台車への積み付け

遠隔操作・AIロのTelexistence、物流施設の低温エリアなどで自律制御・遠隔操作による新型ハイブリッドロボの実証実験

遠隔操作オペレーターとコックピットビュー

この実証実験は、「労働者からすべての身体的労働作業を解放する」というミッションに合致するものだとTXは話す。これは、身体への負担が大きい冷蔵エリアでの作業や重たいケースの運搬をロボットに代替させ、労働環境の改善と生産性の向上を目指す実験だとしている。

またニチレイロジグループは、人手不足への対応や作業者の負担軽減、さらには現場作業の「誰でもできる化」を目的とした業務革新に注力。人間と機械の双方の特性を活かした最適な作業体制の構築を進めている。冷蔵エリアの作業を人が事務所から遠隔で行うことで、「物流センター作業におけるリモートワークとストレスフリーな作業環境構築の可能性」を検証するという。

秋に実証実験を予定しているセンコーは、すでに2014年にパレタイズアームロボットを導入し、その後もAGVや省人化、省力化機器の導入を積極的に進めているが、TX製ロボットに期待するのは、その移動性だ。

時間帯や業務の都合に合わせて移動できるため「ロボットの稼働時間が飛躍的にアップする」という。また遠隔操作で人が常時監視するため、トラブル発生時に迅速な対応が可能になる点も挙げている。夏場の作業などをロボットに担わせ、「ワークライフバランスを図りながら、時間や場所に限定されない働き方をより多くの人々に提供すること」を目指すということだ。

RightHandが約76億円を調達、白熱する倉庫ロボティクス分野に資金投入

新型コロナウイルス、サプライチェーン問題、人手不足、Amazon(アマゾン)。物流ロボット化に興奮する理由は数多く、そして今も増えている。RightHand Robotics(ライトハンド・ロボティクス)は、ウイルス感染流行によって事態が加速するかなり前から注目を集め、GV、Menlo(メンロ)、Playground Global(プレイグラウンド・グローバル)などの投資家からかなりの資金を調達していた。

そして多くの新規参入者とは異なり、ボストンを拠点とする同社は、そのピック&プレース・システムですでに多くの実働時間を記録している。その中で最も新しいシステムである「RightPick 3(ライトピック3)」は、日本の卸売業者であるPaltac(パルタック)や、欧州でオンライン薬局を展開するapo.com Group(アポ・ドットコム・グループ)を、国際的な顧客として抱えている。

同社は先週、6600万ドル(約76億円)のシリーズC資金調達を発表した。Safar Partners(サファー・パートナーズ)、Thomas H. Lee Partners, L.P.(トーマス・H・リー・パートナーズ)、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)が主導したこの新ラウンドで、同社がこれまで調達した資金総額は約1億ドル(約115億円)となった。今回のラウンドには、GVとMenloも再び参加した他、Zebra Technologies(ゼブラ・テクノロジーズ)、Epson(エプソン)、Global Brain F-Prime Capital(グローバル・ブレイン・Fプライム・キャピタル)、Matrix Partners(マトリックス・パートナーズ)、そしてTony Fadell(トニー・ファデル)氏の会社であるFuture Shape(フューチャー・シェイプ)が出資に加わった。

なかでもゼブラは興味深いパートナーだ。同社は自社開発のロボットを提供していることに加え、2021年の中頃には倉庫ロボットのスタートアップ企業であるFetch Robotics(フェッチ・ロボティクス)を2億9000万ドル(約335億円)で買収している。

「Zebra Technologiesは、世界中の企業がサプライチェーンをデジタル化・自動化して、現場の労働者を補強できるよう、積極的に投資とソリューションの提供を行ってきました」と、同社のZebra Ventures(ゼブラ・ベンチャーズ)部門でマネージング・ディレクターを務めるTony Palcheck(トニー・パルチェック)氏は述べている。「消費財、小売、物流などの業界の顧客にとって、重要なのは、速く、正確に、安全に、コストを抑えて、注文を処理できることです。RightHand Roboticsは、これらの効率化の達成を支援します」。

今回調達した資金は、雇用、オフィススペースの確保、世界規模でのさらなる拡大など、一般的な用途に充てられる予定だ。

画像クレジット:RightHand Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Ibex Inversterの最新のファンドはモビリティ革命に賭けている

Ibex Investors(アイベックス・インベスターズ)のファウンダー、CEOであるJustin Borus(ジャスティン・ボラス)氏が運輸業界とそこに迫りつつある技術変革に目を向けた時、彼は人生最大のチャンスを見つけた。そして今、アーリーステージモビリティ企業向けの1億1300万ドル(約130億円)のファンドでチャンスに賭けようとしている。

「次の5年から10年の間に、過去100年以上の変化が起きるでしょう」とボラス氏は、自動運転車へのシフトをはじめとする輸送業界における変化について語った。「私はこのファンドを1996年か1997年のインターネットファンドと同じように見ています」。

Ibex Investorsは、コロラド州デンバー拠点で、ニューヨークとテルアビブにオフィス構える会社で、2003年に「マルチステージ」と「マルチストラテジー」の投資戦略を掲げて設立された。これが意味するのは、シードステージからIPOまであらゆる段階で、企業に投資する会社だ。

この会社の構造は、伝統的ベンチャーキャピタルとは異なる。厳密には、Ibexは投資アドバイザーとして登記されているが、投資銀行ではない。Ibexはいくつかの特化したVCファンドを保有しており、イスラエル拠点のあらゆる分野のスタートアップを対象にした1億ドル(約115億円)のアーリーステージファンド、イスラエルに焦点を絞ったヘッジファンド、モビリティに特化した株取引を主とするヘッジファンドなどがある。他にもIbexは、Revel(レベル)のような後期ステージのモビリティスタートアップへの1回限りの投資も行っている。全体で同社は、約12億ドル(約1382億円)の資産を管理している。

今回の最新のファンドはアーリーステージのモビリティスタートアップに焦点を当てているが、イスラエルやその他の地域には限定していない。これによってIbexは、新たに膨大な数のモビリティスタートアップに門戸を開く。

Autotech Ventures(オートテック・ベンチャーズ)から最近Ibexに移ったJeff Peters(ジェフ・ピーターズ)氏は、ファンドはシェアリング、コネクティビティ、電動化、および自動運転のスタートアップを対象にしていると語った。

ずいぶん広いカバー範囲だ。Ibexはこのファンドの開始にあたって2件の投資を行った。その1つのAifleet(アイフリート)は、テキサス州オースチン拠点のスタートアップでトラック輸送の待ち時間をなくすためのソフトウェアを開発した。もう1つの投資先、Visionary AI(ビジョナリーAI)は、イスラエルのデジタル画像処理会社だ。ボラス氏は、トラック輸送は自動運転技術が最初に破壊的変化を起こす分野の1つだと信じているとTechCrunchに語った。

Aifleetの共同ファウンダー、CEOであるMarc El Khory(マーク・エル・コーリー)氏は、Ibexに惹かれた理由の1つは、この会社のリミテッドパートナーだと語った。

「彼らは、自動車業界のかつての幹部に私たちを紹介してくれました」と語り、その1人は大手トラック製造メーカーの元社長だったことを明かした。「私たちはテクノロジー企業ですが、トラック輸送事業も行っているので、あのようなつながりは会社にとって驚くほど価値があります」。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

医薬品の低温輸送に適した「自己冷蔵型クラウドベースの配送箱」をEmberが発表、大手ヘルスケア物流企業と提携

Ember(エンバー)は2021年、最近のハードウェア分野で見られる最も魅力的な事業展開の1つを発表した。同社は保温機能を備えたスマートマグカップで知られているが、以前からコールドチェーン、特に医薬品の長距離輸送に注目したきた。最初は会話から始まったこのプロジェクトは、2021年2350万ドル(約27億円)の資金を調達して促進されることになった。そして今回、同社は新たな製品と、今後の展開を示すパートナーシップを発表した

新しい方向性の中心となる製品は「Ember Cube(エンバー・キューブ)」と名付けられたもので、同社はこれを「世界初の自己冷蔵型クラウドベースの配送箱」と呼んでいる。この技術は、重要な荷物を運ぶのに、いまだに段ボールや発泡スチロール、使い捨ての保冷剤などに頼っている時代遅れの輸送技術を更新するために開発された。その核となるのは、内容物を摂氏2~8度に保つように設計されたEmber独自の温度制御技術だ。

このEmber Cubeは、温度・湿度の情報とGPSの位置情報をクラウドで共有することで、輸送中の情報を追跡することができる。本体背面には「Return to Sender(送り主へ返却)」ボタンがあり、これを押すと本体のE Ink画面上に返品ラベルがポップアップ表示される。同社によると、このCubeは「数百回」の再利用が可能だという。

同社は今回、このEmber Cubeの公開と併せて、大手ヘルスケア物流企業であるCardinal Health(カーディナル・ヘルス)との提携も発表した。

Cardinal Healthスペシャリティソリューションズ部門のプレジデントであるHeidi Hunter(ハイディ・ハンター)氏は、今回の発表に関連したリリースの中で「Ember社とのパートナーシップは、リアルタイムの可視性を備え製品を完全な状態に保つ、新しい業界標準となる技術ソリューションを活用するとともに、廃棄物の削減にも変革をもたらします」と述べている。「Ember Cubeは、医薬品開発パイプラインにおける多くの細胞療法や遺伝子療法にとって、特に価値あるソリューションとなるでしょう。これらは温度に敏感で、価値が高く、リアルタイムに統合された追跡を必要とするからです」。

Cardinal社は、この2022年後半に発売予定の新デバイスを試験的に使用する最初の大手企業となる。

画像クレジット:Ember

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ボストン・ダイナミクスの倉庫ロボットがDHLから約17.2億円の業務を受注

2021年3月、Boston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)は同社2番目の商用ロボット「Stretch(ストレッチ)」を発表した。箱を動かす見事なHandleコンセプトを元に作られたこのシステムは、同社の先進ロボティクス技術を倉庫・物流の舞台へと推し進めるために作られた。現在、ロボティクスで最も注目されている分野だ。

関連記事:Boston Dynamicsが恐竜的2輪ロボットで倉庫業務をデモ

米国時間1月26日、Hyundai(現代、ヒョンデ)傘下のBoston Dyanamicsは、同社初の法人顧客となる大物企業との提携を発表した。物流の巨人DHL(ディー・エイチ・エル)は、Boston Dynamicsのロボットを北米の事業所に配置する、1500万ドル(約17億2000万円)の複数年契約(両社にいわせると「投資」)を完了した。購入されるロボットの台数は明らかにされていないが、Boston Dynamicsは、今後3年間にわたり、DHL物流センターにロボット「集団」を納入するという。

Stretchは、トラックから積荷を降ろす作業から始める。発表時に製作者たちが主要な部分として強調していた機能だ。その後、他の作業も加えていき荷物処理システムの自動化を推進していく予定だ。

CEOのRobert Plater(ロパート・プレーター)氏は次のように語った。「StretchはBoston Dynamicsの最新型ロボットで、倉庫内の課題解決に特化して作られています。DHL Supply Chain(DHLサプライ・チェーン)とともに当社のロボット集団を展開し、倉庫作業の自動化を進め、そこで働く人たちの安全性を高める取り組みができることを大変うれしく思っています。私たちはStretchがDHLの事業活動に意味のある影響を与えると信じており、大規模なロボット集団が仕事をするところを見るのを楽しみにしています。

この提携は、Boston Dynamicsが現在推進している四足歩行ロボットSpot(スポット)を超えるビジネス目標の土台を築く鍵となる。荷物処理は労働集約的で極めて反復の多い重労働であり、長時間の緊張を強いられ障害点も多い。これは、商業化推進を目論むHyundai傘下の同社にとって大きな試金石だ。

一方、DHLにとっては、肉体労働力確保が困難な時期に、物流作業の一部を自動化できる好機だ。これは、配送事業を侵食しつつあるAmazon(アマゾン)らと競合する中、同社が完全オートメーション化を進めるチャンスでもある。

画像クレジット:Boston Dymamics

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(文:Brian Heater、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ロボット工学と統合されたeコマース配送プラットフォーム「Paack」が約257億円調達

Paack物流センター・マドリードの仕分けロボット(画像クレジット:Paack)

今や多くの人が、Amazon(アマゾン)などの広大なスペースに設置された倉庫ロボットを見慣れていることだろう。特にAmazonは、この技術のパイオニア的存在だった。しかし、2021年の今、倉庫ロボットとソフトウェアロジスティクスプラットフォームの連携は、もはや一企業の専売特許ではなくなっている。

後発のスタートアップで、このアイデアで「成功」しているのが、現代の物流業務に不可欠なロボット工学と統合された高度なソフトウェアプラットフォームを持つeコマース配送プラットフォームのPaack(パアック)である。

Paackは、SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が主導するシリーズD資金調達ラウンドで、2億ユーロ(約257億円)を調達した。この資金は、製品開発とヨーロッパでの事業拡大に充てられる予定だ。

このラウンドには、Infravia Capital Partners(インフラビア・キャピタル・パートナーズ)、First Bridge Ventures(ファーストブリッジ・ベンチャーズ)、Endeavor Catalyst(エンデバー・カタリスト)も新たに参加した。また、Unbound(アンバウンド)、Kibo Ventures(キボ・ベンチャーズ)、Big Sur Ventures(ビッグ・サー・ベンチャーズ)、RPS Ventures(RPSベンチャーズ)、Fuse Partners(フューズ・パートナーズ)、Rider Global(ライダー・グローバル)、Castel Capital(キャステル・キャピタル)、Iñaki Berenguer(イニャキ・ベレンゲール)といった投資家も参加している。

今回の資金調達は、本国スペインで収益性の高いポジションを確立した後に行われたが、Paackは、英国、フランス、ポルトガルなど、ヨーロッパ全域で同様の目標を達成する予定であると主張している。

Fernando Benito(フェルナンド・ベニート)氏、Xavier Rosales(シャビエル・ロサレス)氏、Suraj Shirvankar(スーラジ・シルヴァンカー)氏の3人が設立したPaackは、現在150の海外顧客から毎月数百万の注文を受け、1サイトあたり1時間に1万個の小包を処理しているという。そのうちの17社は、スペイン最大級のeコマース小売業者である。

同社のシステムは、eコマースサイトと統合されている。そのため、消費者はチェックアウトの際に配送スケジュールをカスタマイズすることができる、と同社はいう。

CEO兼共同設立者のベニート氏は「便利でタイムリーで、よりサステナブルな配送方法に対する需要は、今後数年間で爆発的に増加すると思われ、Paackはその解決策を提供しています。私たちはテクノロジーを使って、消費者に配送のコントロールと選択肢を提供し、配送にかかる二酸化炭素排出量を削減します」と述べている。

SoftBank Investment Advisers (ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)の投資ディレクターであるMax Ohrstrand(マックス・オルストランド)氏は「eコマース分野が繁栄を続け、消費者にとって当日配送がますます当たり前になる中、Paackはその技術とサステナビリティへの取り組みの両面において、カテゴリーリーダーになるための好位置につけていると考えています」。と述べている。

世界経済フォーラム(WEF)の調査によると、ラストマイル・デリバリー事業は2030年までに78%成長し、そのうち3分の1近くで、CO2排出量が増加すると予想されている。

そのため、Paackは、電気自動車を使用し、環境負荷を測定することによって、すべての小包をカーボンネットゼロで配送することを目指していると主張している。現在、カーボントラストと国連の認証取得を目指している。

ベニート氏はインタビューで「私たちは、短期的なビジョンとして、ラストワンマイルデリバリーのための、おそらく最も先進的な技術によるデリバリープラットフォームを通じて、ヨーロッパにおける持続可能なeコマースデリバリーをリードすることを目指しています。例えば、当社のCTOは、Google Cloud(グーグル・クラウド)のCTOであり共同設立者でした」と答えている。

「最高の配送体験を実現するために、倉庫の自動化、時間帯、ルーティングの統合など、あらゆるものを開発しています」と語る。

Paackによると、複数のロボットパートナーとの提携が可能だが、現在は中国企業GEEK(ギーク)のロボットを使用している。

同社は、ヨーロッパのDHL、Instabox(インスタボックス)、La Poste(ラ・ポステ)のような大規模な既存企業に対抗できるようにしたいと考えている。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Akihito Mizukoshi)

倉庫のストレージ密度を高めるロボットシステムExotecが約383億円を調達

フランスのスタートアップExotec(エグゾテック)は、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)のGrowth Equity事業がリードするシリーズDラウンドで3億3500万ドル(約383億円)を調達した。これによりExotecの評価額は20億ドル(約2292億円)に達した。

Exotecは、通常の倉庫を部分的に自動化された物流プラットフォームに変えるための完全なエンド・ツー・エンド・ソリューションを販売している。人による作業の一部を代替するハードウェアとソフトウェアのソリューションだ。

83NorthとDell Technologies Capitalも資金調達ラウンドに参加した。Exotecのこれまでの投資家には、Bpifrance、Iris Capital、360 Capital Partners、Breegaが含まれる。BreegaやBpifranceのLarge Venture fund、Iris Capitalなどは2回目の投資となった。

画像クレジット:Exotec

Exotecシステムの主要コンポーネントは、Skypodsと呼ばれるものだ。この目立たないロボットは自律的に床を動き回る。目指している棚に近づくと、棚を登って容器を取り、それを持って降りてくることができる。地上数メートルの場所に商品を保管できるため、倉庫のストレージ密度を高めるのに特に有効だ。

その後、Skypodは人間のオペレーターが容器から正しい製品をピックアップできるよう、容器をピッキングステーションまで運ぶ。そしてロボットは棚に行き、容器を元のところに戻すことができる。

このシナリオでは、人間はもう倉庫内を歩き回る必要はない。ピッキング、パッキング、そして製品の入出庫の確認に集中することができる。新製品、新しい棚、新しいSkypodを追加する場合、Exotecは可能な限り柔軟に対応するよう心がけている。

新しいラックを追加したい場合、もう一度ゼロから始めることなくインフラを拡張することができる。同様に、ExotecではシステムにSkypodを追加することが可能だ。そして、商品の配送を受けるとExotecはここでもSkypodsを頼りにフルフィルメントセンターに商品を保管する。

SkypodsからSkypickersへ

標準化された容器システムにより、Exotecは1つの容器に複数の製品を収納することができる。その容器の中には18個の商品が入っているかもしれないが、顧客はおそらく全部ではなくその中の1個、2個、3個を求めている。Exotecは注文をまとめるために大きな容器の中の小さな容器を単純に空にすることができないのはそのためだ。

Exotecは、注文プロセスのもう1つのステップから人間を排除するために、新しいロボットを作った。Exotecの顧客はSkypickersを使って、在庫の容器から商品を自動的にピックアップし、出荷準備の整った容器に入れることができる。

動作は以下の動画で確認できる。

「現代における最も重大なサプライチェーンの崩壊を受け、イノベーションの余地しか残されていません」と、共同創業者でCEOのRomain Moulin(ロマン・ムーラン)氏は声明で述べた。「ロジスティクス分野全体に不確実性が満ちている中、最も一般的な課題の1つは継続的な労働力不足です。Exotecは新しい道を切り開きます。それは、人とロボットのエレガントなコラボレーションによって、耐久性のある、はるかに持続可能な方法で倉庫の生産性を実現することです」。

Exotecは、自社製品を人間に完全に取って代わることのできないサービスとして常に位置づけている。同社の倉庫は、人間とロボットの組み合わせで運営されている。しかし、Skypickersのおかげで同社は厳しい労働市場においてロジスティクスで優位性を持っている。

今回の資金調達で、同社は2025年までにエンジニア500人を雇用し、引き続き北米事業を推進する予定だ。最近、GapやGeodisなど北米地域の大口顧客8社と契約した。DecathlonもモントリオールのフルフィルメントセンターでExotecを使用している。

画像クレジット:Exotec

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

物流J.B. HuntがWaymoの自動運転貨物輸送の最初の顧客に、提携を拡大

自律走行車両企業のトラック輸送・貨物輸送部門であるWaymo Via(ウェイモ・ヴィア)は、物流企業のJ.B. Hunt Transport Services(J.B. ハント・トランスポート・サービス)との既存の提携を、試験から長期戦略提携に拡大する。

この契約の一環として、J.B. HuntはWaymo Viaの完全自律走行のドライバーレス貨物輸送の最初の顧客となる。Waymo Viaは今後数年以内にドライバーレス輸送を達成すると見込んでいる。

WaymoとJ.B.Huntは2021年に、米国内で最も交通量の多い貿易回廊の1つであるテキサス州のヒューストン・フォートワース間のI-45で「試験走行」を開始した。Waymoによると、Waymo Driver自律走行プラットフォームを搭載したWaymoのDaimlerトラックは、試験終了までに86万2179ポンド(約391トン)の貨物を輸送し、衝突やスピード違反などはなく、100%の定時集荷・配達を行い、貨物は100%無傷だったという。試験走行には毎回、商業免許を持つトラックドライバーとソフトウェア技術者が同乗してオペレーションを監視した。

J.B. Huntのサステナビリティ最高責任者兼執行副社長であるCraig Harper(クレイグ・ハーパー)氏は声明で「2021年行ったWaymo Viaとの試験走行は、自律走行技術を当社の業務内でどのように導入できるかを実際に理解する上で本当に役に立ちました。この戦略的提携はその勢いを継続し、顧客にとって価値あるソリューションとするために詳細をさらに模索していきます」と述べた。

画像クレジット:Waymo

2022年以降、両社はテキサス州の同じルートでさらにいくつかの試験を開始し、ドライバーレスの自律的オペレーションに備えるつもりだ。

Waymoは、J.B. Huntとの次の試験で達成したい具体的な目標について、ドライバー・アズ・ア・サービスモデルを固めるということ以外は共有しなかった。ここには、WaymoがDaimlerなどのOEMと提携して、Waymo Driverを搭載した自律走行トラックを製造することが含まれる。これらのトラックは、J.B. Huntのようなフリートや運送業者が直接購入し、Ryderのようなパートナーによってサービスが展開されることになる。

Waymoの広報担当者であるJulianne McGoldrick(ジュリアンヌ・マックゴールドリック)氏は「これは長期的なビジョンです」とTechCrunchに語った。「そうしたビジョンにスケールアップするまでの間、我々はトラックのテストフリートを有し、そうした車両と当社の自律走行専門家とで行う試験は、当社が完全に自律走行オペレーションに到達した時に、J.B. Huntのような顧客のために人間のドライバーなしで貨物輸送するためのすべての基盤が整っているよう、その運用慣行を得るためにあります」。

提携中にWaymoとJ.B.Huntはまた、自動運転トラックを使用した集合的進歩についてより多くを学ぶために、共同で運用および市場調査を行うことを計画していて、さらにはJ.B. Huntのデジタル貨物マッチングプラットフォームであるJ.B. Hunt 360との技術統合を検討する。

もちろん、テキサス州などの道路を走る自動運転トラックは、Waymoのものだけではない。Waymo Viaの競合相手の1社であるTuSimple(トゥシンプル)はこのほど、初のドライバーレス自律走行トラックを完成させ、その技術は事実上、より進歩的なマイルストーンだ。Aurora(オーロラ)とKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)も、テキサス州で試験的に貨物を運んでいる。

そうしたことについて、Waymoは心配していない。Alphabet傘下の同社の戦略は、自律走行に必要な条件を満たすことよりも、パートナー企業とより緊密に連携することだと、マックゴールドリック氏はいう。

「この業界における多くのパートナーシップやコラボレーションは、主に単発の試運転や試験が中心で、あまり肉付けされていませんでした」と同氏は指摘した。「今回の複数年の契約はすべてをカバーするものであり、単に試験のための試験を行うのではなく、パートナーとの協力関係を深いものにすることを示しています。完全な自律走行がどのようなものか、パートナーと一緒に作り上げ、準備が整ったときにできるだけ成功するようにしているのです」。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

超高層マンションへのドローン配送に国内初成功、災害時の物流網途絶を想定し千葉市とJP楽天ロジスティクスが実証実験

超高層マンションへのドローン配送に成功、大規模災害による地上物流網の途絶に備え千葉市とJP楽天ロジスティクスが実証実験

楽天グループ日本郵便の合弁会社であるJP楽天ロジスティクスは、国内で初めて、都市部の超高層マンションへのドローンを活用したオンデマンド配送の実証実験を行い成功させた。大規模災害により地上の物流網が途絶えるといった緊急時を想定しているという。

これは、都市部でのドローン配送の実現を目指す千葉市ドローン宅配等分科会技術検討会の取り組みの一環として行われたもの。2021年12月1日から16日にかけて、千葉県市川市の物流施設「プロロジスパーク市川3」から千葉市内の高さ100m以上の超高層マンション「THE 幕張 BAYFRONT TOWER & RESIDENCE」の屋上ヘリポートまで、住民が専用サイトで注文した救急箱や非常食などの物資を輸送する実験を行った。ドローンは、東京湾や公道の上空を片道約12km飛行した。

使用されたドローンは、Coretronic Intelligent Robotics Corporation(CIRC)とJP楽天ロジスティクスが共同開発したもの。機体サイズは長さ175×幅175×高さ90cmで、最大積載量は7kg。

BMWの製造施設に車両を自律走行させるV2XセンサータワーをSeoul Roboticsが導入

AIベースの知覚ソフトウェア会社Seoul Robotics(ソウルロボティクス)は、自動車やトラック輸送のファーストマイルおよびラストマイルの物流ハブを、1つのセンサータワーがオーケストラの指揮者のようにフリートの動きを制御し、数百台の車両を所定の位置に誘導するような集合体にしたいと考えている。

BMWとの2年にわたる試験的な技術提携を経て、Seoul RoboticsはCESで、ミュンヘンの製造施設における車両物流の自動化という、同社にとって初の商業展開を発表した。「インフラによる自律走行」と呼んでいる技術を展開する。

Seoul Roboticsの最新製品であるレベル5コントロールタワー(LV5 CTRL TWR)によって誘導される車両は、それ自体が自律走行するものではない。同社CEOでのHanBin Lee(ハンビン・リー)氏によると、必要なのは自動変速機とコネクティビティだけだという。

Seoul Roboticsの3D知覚ソフトウェア「Sensr」を搭載したセンサーとコンピュータの網が、施設内のインフラに戦略的に配置される。そして、そのインフラが車両を取り巻く環境の情報を感知し、計算を行い、予測を立て、車両に指令を送る。リー氏は、この作業を人間の安全オペレーターや人間がまったくループに入ることなく安全に行うことができると話す。

BMWでは、LV5 CTRL TWRは主に施設内に配置された約100個のLiDARセンサーに頼っているが、将来的にはセンサーの冗長性のためにカメラやレーダーも導入したいとリー氏は話す。

自動走行車企業の多くは、都市部や高速道路での走行を可能にする独自のセンサーや計算処理能力を備えた自動運転車の開発に全力を注いでいる。少なくとも自動走行貨物車の場合、開発企業は物流ハブ内の移動や、BMWの場合は新しく製造された車両を組立ラインから車両配送センターへ移動させるなど、特定の時点で人間が業務を引き継ぐ必要がある。

自律走行トラック運送会社のTuSimpleは、施設から施設まで80マイル(約128km)の高速道路を走行し、初のドライバーなしプログラムを成功させたばかりだが、同社はまだ地上での特定のオペレーションを管理するために人間を必要としている。Waymo(ウェイモ)は、人間のドライバーがファーストマイルとラストマイルの配送を担う自動運転とマニュアル運転を組み合わせたトランスファーハブモデルを促進するために、自律走行トラック輸送ハブを建設している

LV5 CTRL TWRは高速道路に配備されることを想定していない。むしろOEM、トラック運送会社、レンタカー会社、そして潜在的には空港のファーストマイルとラストマイルにおけるギャップを埋め、コストを削減することを目的としている。

「施設の性質上、駐車場は非常に狭く、この狭い施設内を多数の車両が走り回ろうとします。誰かがそれを指揮し、誰かがコントロールタワーとなって、車両が正しいタイミングで指定の場所に入ることを確認する必要があります」とリー氏はTechCrunchに語った。「たとえ車両がいつか自律走行するようになったとしても、レベル5のコントロールタワーは必要です。というのも、車両管理システムだからです。レベル4やレベル5はいうまでもなくかなり先の話ですが、一方でこのシステムは、基本的に非常に限られたスペースでロボタクシーとしてのメリットをすぐに提供しています」。

OEM、レンタカー会社、トラック運送会社は、自社施設内で車両をA地点からB地点に移動させるだけの作業に何千人もの従業員を割いている。これは不必要な労働力の使用であるだけでなく、高度な訓練を受けたドライバーではなく、アルバイトであろう地元の人々が混雑したスペースを運転することによって多くの損害や事故が発生していると、リー氏は話す。

トラックの後ろやコーナー周辺など、複数の視点から情報を提供することで、センサータワーの死角をなくし、これによって衝突を減らし、より信頼性の高いプロセスを構築することができる、とSeoul Roboticsは説明する。

V2X(Vehicle-to-Everything)ソフトウェアを開発する企業が直面する課題の1つに、レイテンシーの問題がある。世界では、V2Xの制御は公共の4Gや5G LTEを通じて車両と共有されているが、Seoul RoboticsはBMWが所有・運営するような私有地で展開しているため、自社のユースケースに専用の帯域を確保できるプライベートネットワークで情報を送信している。また、これらの施設の車両の最高スピードは、時速13マイル(約20キロ)までとなっている。

私有地での自動化に高度なV2Xを使用する利点は、ドライバーなし走行の許可を得るために政府とやり取りする必要がなく、交通弱者が事故に遭うリスクがほとんどないことだと、リー氏は指摘する。

また、V2X企業がこれまで特に公道で直面してきた課題は、ハードウェアの購入と設置にともなうコストだが、物流の観点からユニットエコノミクスがうまく機能しているとリー氏はいう。

「LiDARは最近ずいぶん安くなっていて、センサー1個あたりは1000〜2000ドル(約11万6000〜23万2000円)ほど、システムのフル展開には数百万ドル(数億円)かかります」と同氏は語る。「OEMはハードウェアの費用を前払いするので、ハードウェアや設置の費用はかかりません。システム設置後は、当社は基本的に設置費用と車両1台あたりのライセンス月額費用の支払いを受けます。OEMは人件費や潜在的な損害にかかる費用を節約できるため、ROIは最短で1〜2年です」。

他の企業も同様の技術に取り組んでいる。2019年にはBosch(ボッシュ)とDaimler(ダイムラー)が共同で自動バレーパーキングの試験を行った。リー氏によれば、まだ技術を公表していないものの、BMWのギグにも入札したスタートアップが多数存在するという。

画像クレジット:Seoul Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

BMWの製造施設に車両を自律走行させるV2XセンサータワーをSeoul Roboticsが導入

AIベースの知覚ソフトウェア会社Seoul Robotics(ソウルロボティクス)は、自動車やトラック輸送のファーストマイルおよびラストマイルの物流ハブを、1つのセンサータワーがオーケストラの指揮者のようにフリートの動きを制御し、数百台の車両を所定の位置に誘導するような集合体にしたいと考えている。

BMWとの2年にわたる試験的な技術提携を経て、Seoul RoboticsはCESで、ミュンヘンの製造施設における車両物流の自動化という、同社にとって初の商業展開を発表した。「インフラによる自律走行」と呼んでいる技術を展開する。

Seoul Roboticsの最新製品であるレベル5コントロールタワー(LV5 CTRL TWR)によって誘導される車両は、それ自体が自律走行するものではない。同社CEOでのHanBin Lee(ハンビン・リー)氏によると、必要なのは自動変速機とコネクティビティだけだという。

Seoul Roboticsの3D知覚ソフトウェア「Sensr」を搭載したセンサーとコンピュータの網が、施設内のインフラに戦略的に配置される。そして、そのインフラが車両を取り巻く環境の情報を感知し、計算を行い、予測を立て、車両に指令を送る。リー氏は、この作業を人間の安全オペレーターや人間がまったくループに入ることなく安全に行うことができると話す。

BMWでは、LV5 CTRL TWRは主に施設内に配置された約100個のLiDARセンサーに頼っているが、将来的にはセンサーの冗長性のためにカメラやレーダーも導入したいとリー氏は話す。

自動走行車企業の多くは、都市部や高速道路での走行を可能にする独自のセンサーや計算処理能力を備えた自動運転車の開発に全力を注いでいる。少なくとも自動走行貨物車の場合、開発企業は物流ハブ内の移動や、BMWの場合は新しく製造された車両を組立ラインから車両配送センターへ移動させるなど、特定の時点で人間が業務を引き継ぐ必要がある。

自律走行トラック運送会社のTuSimpleは、施設から施設まで80マイル(約128km)の高速道路を走行し、初のドライバーなしプログラムを成功させたばかりだが、同社はまだ地上での特定のオペレーションを管理するために人間を必要としている。Waymo(ウェイモ)は、人間のドライバーがファーストマイルとラストマイルの配送を担う自動運転とマニュアル運転を組み合わせたトランスファーハブモデルを促進するために、自律走行トラック輸送ハブを建設している

LV5 CTRL TWRは高速道路に配備されることを想定していない。むしろOEM、トラック運送会社、レンタカー会社、そして潜在的には空港のファーストマイルとラストマイルにおけるギャップを埋め、コストを削減することを目的としている。

「施設の性質上、駐車場は非常に狭く、この狭い施設内を多数の車両が走り回ろうとします。誰かがそれを指揮し、誰かがコントロールタワーとなって、車両が正しいタイミングで指定の場所に入ることを確認する必要があります」とリー氏はTechCrunchに語った。「たとえ車両がいつか自律走行するようになったとしても、レベル5のコントロールタワーは必要です。というのも、車両管理システムだからです。レベル4やレベル5はいうまでもなくかなり先の話ですが、一方でこのシステムは、基本的に非常に限られたスペースでロボタクシーとしてのメリットをすぐに提供しています」。

OEM、レンタカー会社、トラック運送会社は、自社施設内で車両をA地点からB地点に移動させるだけの作業に何千人もの従業員を割いている。これは不必要な労働力の使用であるだけでなく、高度な訓練を受けたドライバーではなく、アルバイトであろう地元の人々が混雑したスペースを運転することによって多くの損害や事故が発生していると、リー氏は話す。

トラックの後ろやコーナー周辺など、複数の視点から情報を提供することで、センサータワーの死角をなくし、これによって衝突を減らし、より信頼性の高いプロセスを構築することができる、とSeoul Roboticsは説明する。

V2X(Vehicle-to-Everything)ソフトウェアを開発する企業が直面する課題の1つに、レイテンシーの問題がある。世界では、V2Xの制御は公共の4Gや5G LTEを通じて車両と共有されているが、Seoul RoboticsはBMWが所有・運営するような私有地で展開しているため、自社のユースケースに専用の帯域を確保できるプライベートネットワークで情報を送信している。また、これらの施設の車両の最高スピードは、時速13マイル(約20キロ)までとなっている。

私有地での自動化に高度なV2Xを使用する利点は、ドライバーなし走行の許可を得るために政府とやり取りする必要がなく、交通弱者が事故に遭うリスクがほとんどないことだと、リー氏は指摘する。

また、V2X企業がこれまで特に公道で直面してきた課題は、ハードウェアの購入と設置にともなうコストだが、物流の観点からユニットエコノミクスがうまく機能しているとリー氏はいう。

「LiDARは最近ずいぶん安くなっていて、センサー1個あたりは1000〜2000ドル(約11万6000〜23万2000円)ほど、システムのフル展開には数百万ドル(数億円)かかります」と同氏は語る。「OEMはハードウェアの費用を前払いするので、ハードウェアや設置の費用はかかりません。システム設置後は、当社は基本的に設置費用と車両1台あたりのライセンス月額費用の支払いを受けます。OEMは人件費や潜在的な損害にかかる費用を節約できるため、ROIは最短で1〜2年です」。

他の企業も同様の技術に取り組んでいる。2019年にはBosch(ボッシュ)とDaimler(ダイムラー)が共同で自動バレーパーキングの試験を行った。リー氏によれば、まだ技術を公表していないものの、BMWのギグにも入札したスタートアップが多数存在するという。

画像クレジット:Seoul Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

夕食はロボットにお任せ、レストランロボットと風変わりなドロイド

私は2022年初めのCESに向けて計画を進めてきたが、おそらく今週中には白紙に戻りそうだ。呆れるほど多数の紫外線消毒ロボットの売り込みがなくなることに奇妙な寂しさも感じるものの、一方では最新変異株(オミクロン)の急増の中で、ショーに直接参加することの是非を検討していたのだ。最終的には、今回はラスベガスに参加しないことにしたが、数週間以内にはお伝えすることがたくさん出てくると思う。

ほぼ2年前のCESとそれに続く私たちのロボットセッションが、私が直接参加した最後のイベントであったことに気づいて、とても奇妙な心持ちがしている。ロボットセッションをオーガナイズして、TechCrunchのCESへの取り組みを主導する役割を果たしてきた私は、これらの決定を軽く考えることはとてもできない。

そして、特にロボットの評価に関しては、直接会議に参加することにはまだ個人的なメリットがあると感じている。Zoom(ズーム)を通してロボットの見栄えを良くしようとしても限界があるからだ。

どちらかといえば、こうしたことすべてが、ロボットシステムの本格的な採用が、非常に近くて同時にまだ遠いものだということを痛感させる。ちなみに私は、来年のCESに向けて、本当に多数のロボットの売り込みを受けたと言っても構わない。今回のショーは、来年の動き全体を占うものになるようにデザインされている。それらは、消費者向けから産業用途まで、そしてその間のすべてのものをも幅広く含んでいる。

パンデミックが業界の興奮と投資を加速させたことは間違いないが、実際の導入スピードはカテゴリーによって大きく異なる。年末の他の記事でこれまで見てきた2つの例は、かなり進んでいる。これまでの製品と同様に、倉庫ならびにフルフィルメントのロボットは現在とても現実的なものだ。最近オンラインで何かを購入したのなら、ロボットがラインのどこかの時点で製品の入手を手伝ってくれた可能性がかなり大きい。

配達ロボットはさらに難しい。たくさんのパイロットプロジェクトが存在しているが、住んでいる地域によっては(特に大学キャンパスの近くにいる場合には)、そのうちの1台が自分向けの出前でなくても近くを走っているのを見たことがあるかもしれない。一般に、歩道は倉庫よりも管理されていない場所であり、規制上の煩雑な手続きを経て世に出す必要があるため、資金調達の成否にかかわらず、明日の朝ロボットで歩道が溢れかえっているようなことはないだろう。

今週は、そうしたロボットが配達しているかどうかはともかく、対象となる食べ物を、実際に作っているのは誰なのか、あるいは「何」なのかについて話したいと思う。

画像クレジット:Paul Marotta / Getty Images for TechCrunch

細かい話に入る前に、iRobot(アイロボット)の共同創業者でCEOのColin Angle(コリン・アングル)に、過去1年間のロボット業界を振り返り、来年の予測をしてもらえるようお願いした。

2021年のロボット / AI / 自動化のトレンドを定義したのは何でしたか?2021年には、倉庫の自動化、自動運転技術、そしてもちろん排泄物検出がブレークスルーをもたらしました。2021年は、自動化への大規模な投資が功を奏し、2020年をほぼ超えたオンラインショッピングの驚異的な増加が、目覚ましい年となりました。中米をターゲットにした自動運転トラックのテレビコマーシャルを実際に見ました。これは本当に起こっていることなのでしょうか?そして私は、ロボットの真空掃除機にまつわる汚くてめったに議論されない課題の1つが、手頃な価格で信頼性の高い視覚的物体認識の出現によって、過去のものになったと言えることを誇りに思っています。2021年はロボットにとって変革の年だったといっても過言ではないでしょう。

2022年はこれらのカテゴリーで何が起きるのでしょう?2022年に入ってからは、人々が待ち望んでいたスマートホームの本当の進歩を目にできたらと思います。現在のバージョンのスマートホームでは、複雑過ぎますし、使いやすさが貧弱過ぎます。しかし、経験を最優先するエコシステムを生み出し、能力とシステムのシンプルさにも優れ、成長を始めることができるツールが登場しつつあります。そこで私は、2022年が、一般の人々の間で業界が加速し続ける年になるだけでなく、私たちの日常生活へのロボットの思慮深い統合に重要な前進が見られる年になることを期待しています。非常に多くの面で勢いが増しているのを見られるのはエキサイティングです!

さて、私の長年の輝かしいキャリアの中では最も不快な話題転換ではあるが、排泄物の検出から食事の準備に話題を移すことにしよう(会社が「読者が減ったのは何故だ」と聞いてきたときのためにここにメモとして残しておく)。

Los Angeles Timesのテストキッチンで2009年3月11日に撮影された、レンガのオーブンから取り出されたマルゲリータピザの画像(写真クレジット:Anne Cusack/Los Angeles Times via Getty Images)

この1年はロボットによる食品調理にとって大きな年だった。パンデミックが発生する前は、この分野に関与した著名なスタートアップは極めて稀だった。特にZume Robotics(ズームロボティックス)などを含む一部の企業は、業界から去っていった。しかし、ロボット分野対するベンチャーキャピタルの大規模な流入に伴って、レストランビジネスの自動化が進んでいる。その主な2つ理由は、この2年で骨身に沁みて理解できているはずだ。第一に、米国では人材が大幅に不足しているということ。第二に、ロボットは病気になることはなく、人びとを病気にすることもないということだ。

もし私が、食品ロボットの現状を4ワードで要約しなければならないとすると、次のようになる。

  • ピザ
  • ボウル(日本でいうどんぶり物)
  • ファーストフード(1ワードにまとめてズルをした)
  • キオスク(売店)

画像クレジット:Picnic

最初の2つがリストの一番上にあるのは同じ理由だ。食品を自動化する場合には、人気があって、比較的均一なものである必要がある。もちろん、さまざまなトッピングはあるものの、ロボットにとっては、ピザを作ることは、生地、ソース、チーズ、トッピング、調理、繰り返しといった、かなり簡単な経験なのだ。Picnic(ピクニック)やXRobotics(エックスロボティックス)のような企業は、Zumeが中断したものを引き継ごうとしている。

関連記事:XRoboticsはピザロボットの夢を諦めず正式発表に漕ぎ着ける、1時間で最大150枚、20種類以上のトッピングに対応

画像クレジット:Spyce

ボウルはピザ同様の領域を埋める。それらは近年人気が高まっていて、かなり基本的なテンプレートが確立している。サラダやキノア(食用の実)などのトッピングやベースのバリエーションがあるとしても原理はかなり単純だ。したがって、カリフォルニアを拠点とするファストカジュアルサラダチェーンのSweetgreens(スイートグリーンス)が、MITのスピンアウトであるSpyce(スパイス)を買収して、先の8月に登場したことはおそらく驚くようなことではない。この動きは、2月にサラダ製造ロボット会社Chowbotics(チャウボティックス)を買収したDoorDash(ドアダッシュ)による類似の買収に続いたものだ。

Miso(ミソ)は現在ファーストフードレースをリードしていて、数多くの大きなパートナーシップが発表されている。同社のハンバーガーフリッピング(パテ焼)ならびにフライクッキング(揚げ物)ロボットは、まだ人間のキッチンスタッフを完全に置き換えることはできないものの、世代を重ねるにつれて、ますます能力を高めている。

画像クレジット: Nommi

一方、キオスクは、主に人間を作業工程から外すように設計されている。この解決策は、前述の労働力不足のおかげで、ますます勢いを増している。システムと人間の相互作用は、主に材料投入、メンテナンス、および注文に限定されている。しかし、適切な技術があれば、Nommi(ノミー)のようにボタンを押すだけで簡単に新鮮な食材を調理することができる。たとえば最近行われたNommiとC3との提携では、Iron Chef(料理の鉄人)の森本正治氏の料理が、24時間年中無休の調理マシンに採用されている。

関連記事:ハンバーガーをひっくり返すロボット「Flippy」の能力が向上、調理前後の作業を追加

今週は、クリスマスということもあり、ニュースの流れは多少ゆっくりとしている。とはいえ私たちは、Hyundai(ヒョンデ、現代自動車)がCESのために何を準備しているのかを垣間見ることができた。Hyundaiは、Boston Dynamics(ボストンダイナミクス)の買収を含め、ロボットへの取り組みを実際に倍増させている。新しいMobile Eccentric Droid(MobED、モバイルエキセントリックドロイド)は、あらゆる意味でプラットフォームだ。それは文字通りのもので、中央に台になる部分を備えた四輪移動装置だ。また、電話会議から荷物の配達、スマートな乳母車まで、さまざまな機能を収容することができる。

画像クレジット:Hyundai

その安定化技術について、Hyundaiは次のようにいう。

偏心機構による姿勢制御システムは、地表状態に応じて各車輪の高さを調整することで、体の姿勢も安定させます。MobEDの12インチ空気タイヤは、さらに衝撃や振動を吸収するのに役立ちます。

一方、Tiger Globalはその派手な支出を続けている。今週同社は、カリフォルニア州パサデナを拠点とするElementary(エレメンタリー)のために3000万ドル(約34億3000万円)のシリーズBを主導した。Fika Ventures、Fathom Capital、Riot VC、Toyota Venturesも参加したこのラウンドによって、このマシンビジョンスタートアップの総資本は4750万ドル(約54億3000万円)になった。創業者のArye Barnehama(アーリエ・バーナハマ)CEOはTechCrunchに次のように語った。

製造業と物流は、パンデミックの前にすでに始まっていて、パンデミックの最中に大幅に増加した大規模な人手不足を経験しています。企業が、高価で見つけるのが難しいエンジニアリング人材に頼らずに、自動化を続けようとする中で、ノーコードAIソリューションを提供できる私たちのビジネスは拡大してきました。

インドを拠点とするロジスティクスロボティクス企業Unbox Roboticsの700万ドルのシリーズAラウンドは、3one4 Capitalによって主導された。Sixth Sense VenturesとRedstart Labsもラウンドに参加し、SOSVを含む多くの既存の投資家も参加した。同社によれば、調達した資金は採用、技術開発、そして新しい領域への拡大に向けられるとのことだ。

画像クレジット:Getty Images

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(文: Brian Heater、翻訳:sako)

アマゾンの倉庫で働く従業員が、待遇改善を求めてクリスマス前にストライキ

米国時間12月22日、シカゴ近郊にあるAmazon(アマゾン)の2つの施設で働く数十人の倉庫労働者が、1年で最も忙しい時期にクリスマス前のストライキを行い、待遇改善と賃上げを要求した。

「私たちは昇給を見送られ、人員が足りているときでさえ過重労働させられています」。シセロにあるDLN2施設の従業員は、Amazonの従業員団体「Amazonians United(アマゾニアンズ・ユナイテッド)」のシカゴ支部が配信したライブストリームで語った。「約束していたボーナスを受け取っていません。正社員として雇われていたのに、バッジを取り上げられて臨時従業員にされてしまった人もいます。アマゾンはこの場所に安全でない人員を配置し、必要以上に人々を忙しく働かせています」。

午前1時20分から午前11時50分まで働くこれらの労働者は、時給5ドル(約570円)の昇給も要求している。アマゾンがTechCrunchに語ったところによると、ストライキを行った2つの施設、シセロのDLN2とゲージパークのDIL3では、現在の初任給は時給15.80ドル(約1800円)だという。Amazonians Unitedの発言者は、同施設では新型コロナウイルス対策として20分の休憩時間が設けられていたが、これが15分に短縮されたとも述べている。しかし、ウイルス感染流行はまだ終わっておらず、特にオミクロン変異株が広がっている。発言者によると、前日にはシセロの施設で検査を受けた3人の労働者が陽性反応を示したという。

ストライキを起こす前に、労働者たちは自分たちの要求を記載した嘆願書を経営陣に提示したが、それに対する回答が得られなかったため、今回のストライキに至ったと述べている。

発言者は、経営陣からストライキに参加する者は「バッジを置いていったほうがいい」と言われたとも主張している。つまり、もう戻って来られないという意味だ。

民間企業が、ストライキを行った従業員に対して措置を取ることは違法である。しかし、従業員がストライキ後に戻ってみると、スケジュールが空白になっていたり、その日はもう退社したことになっていたりといったことが報告されたため、ストライキ参加者の間では報復を懸念する声が上がっていた。

「当社は、従業員が抗議行動をする権利を尊重し、その法的権利を認識しています。当社では、従業員に一級の給与、他に引けを取らない福利厚生、そして会社とともに成長する機会を提供していることを誇りに思っています」と、アマゾンの広報担当者は、TechCrunchの取材に対して述べている。

アマゾンの担当者は、今回のストライキに参加したことで解雇や停職になった労働者はいないと付け加えた。同社によると、労働者は抗議しても報復は受けないと、繰り返し安心させられたという。

しかし、全米各地でアマゾンの労働者は、同社が労働者の組織化を制圧しようとしていると非難している。2020年、Amazonians Unitedの共同設立者であるJonathan Bailey(ジョナサン・ベイリー)氏は、組織化を行った同氏に報復したことで、アマゾンが労働法に違反していると、全米労働関係委員会(NLRB)に訴えを起こした。ベイリー氏はストライキを組織した後、マネージャーに90分間拘束され、尋問を受けたと述べている。NLRBはこれらの申し立てに価値があると判断し、アマゾンを連邦機関に提訴した。同社は和解し、和解条項の一環として、従業員には団結権があることを、メールや物理的な掲示板で再認識させるよう求められていた。

NBC Newsによると、ベイリー氏の訴えは、2020年2月から2021年3月までの間にNLRBに提出されたアマゾンに対する37件の提訴のうちの1件だったという。しかし、この和解のわずか数カ月後、アマゾンはスタテン島の従業員が休憩室で組合を呼びかける文書を配布するのを、違法に阻止したことが判明した。

アマゾンの社員さえも、同社に対してNLRBに苦情を申し立てている。9月には、新型コロナウイルス感染流行発生時に倉庫労働者を擁護したために解雇された、元シアトル本社勤務のMaren Costa(マレン・コスタ)氏とEmily Cunningham(エミリー・カニンガム)氏の申し立てにアマゾンが和解した。この和解案では、アマゾンはコスタ氏とカニンガム氏に失われた賃金を補償するとともに、従業員がアマゾンの問題について発言する権利を改めて通知することが求められた。

しかし、ここ数週間で、緊張はさらに高まっている。米国時間12月10日、イリノイ州エドワーズビルでは、竜巻によってDLI4の施設が破壊され、アマゾンの従業員6名が死亡した。アマゾンでは長年、倉庫内での携帯電話の携行が禁止されていたが、新型コロナウイルス感染流行の際にはこの方針を緩和した。しかし最近になって、アマゾンはこの方針を復活させており、そのため、米国気象局が避難を呼びかける緊急警報を出しても、アマゾンの従業員の中には、致命的な嵐が近づいていることを知る手段を持たなかった人もいた。

全国の施設で働くアマゾンの従業員が報酬や条件の改善を求めている中、この大手電子商取引企業は1年で最も忙しい時期を迎えている。

「私たちは、すべての人がクリスマスプレゼントを手にし、すべての人が荷物を手にすることができるように懸命に働きます」と、シカゴの倉庫で働く労働者は、FOX 32 Chicago(フォックス32シカゴ)に語った。「しかし、わかるでしょう、私たちはただ公平に扱われたいのです。それだけです」。

画像クレジット:Johannes EISELE / AFP / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

気泡緩衝材をウールに置き換えることを目指すWoolaが3.2億円のシード資金を調達

毎年約550億個の小包が気泡緩衝材(いわゆる「プチプチ」「エアキャップ」etc.)とともに出荷されている。プラスチック製の気泡緩衝材は化石燃料に依存しており、プラスチック製のパッケージの98%は使い捨てにされる。こうしたプラスチックが環境へ与える悪影響は想像できるだろう。

Woola(ウーラ)の創業者は、オンラインのeコマースストアを運営していたときに、このパッケージングの問題を直接目にした。持続可能でスケーラブルな保護パッケージに選択肢がなかったことは、やがてウール(羊毛)の再発見へとつながった。これは、弾力性に富み温度と湿度を調整してくれる手つかずの資源だったのだ。

その結果、気泡緩衝材の代わりに、余った羊毛を使用する彼らのスタートアップが誕生した。彼らのウールベースのパッケージは、エンドユーザーによる再利用、転用、返送が可能だ。最終的な目的はソリューションを「閉ループ」にして廃棄されるものがないようにすることである。

Woolaはエストニアに生産施設を開設し、2020年12月に最初の製品を発売した。ウール製の封筒が、市場に出た最初の製品だった。現在製品は、英国、フランス、ドイツへ拡大している。2022年1月に発売される次の製品は、飲料会社を対象としている。

彼らはこのたび、Future Venturesが主導する250万ユーロ(約3億2000万円)のシードラウンドを行った。ラウンドにはさらに、Veriff(ベリフ)のCEOのKaarel Kotkas(カーレル・コトカス)氏、Veriffの共同創業者のJaner Gorohhov(ジェイナー・ゴロコフ)氏、VeriffのVPのKristinaLilleõis(クリスティーナ・リリワー)氏、Near Future Summit(ニア・フューチャー・サミット)の創業者のZem Joaquin(ゼム・ホアキン)氏、ブルーボトルコーヒー会長のBryan Meehan(ブライアン・ミーハン)氏が投資家として参加している。Woolaのこれまでの投資家には、Pipedrive(パイプドライブ)、Bolt(ボルト)、エンジェルファンドのLemonade Stand(レモネードスタンド)の共同創設者たちが含まれている。

WoolsのCEOで共同創業者のAnna-Liisa Palatu(アンナ=リサ・パラトゥ)氏は「気泡緩衝材は、何年もの間包装業界を支配してきましたが、その減少は避けられません」という。「この気泡緩衝材業界が駄目な理由は2つあります。1つは化石燃料への依存、そしてもう1つは使い捨てという発想です。パッケージングをより持続可能なものにするために、この両者を取り除く必要があるのです」。Jevgeni Sirai(ジェフゲニー・シライ)氏とKatrin Kabun(カトリン・カブーン)氏が共同創業者として加わっている。

Future VenturesのSteve Jurvetson(スティーブ・ジャーベンソン)氏は、次のようにコメントしている「eコマースが隆盛を誇る中で、使い捨てのプラスチックパッケージは手に負えないものになっています。Woolaは、それをすべて、これまでは燃やしたり埋めたりされていたスクラップウールを使った美しい封筒へと置き換えることができるのです。世界は、より健康的な未来のために、石油化学経済に代わる持続可能な手段を必要としているのです」。

羊毛は手つかずの資源だ。ヨーロッパでは現在年間20万トン以上の羊毛が廃棄されている。Woolaによると、これは世界の気泡緩衝材需要の120%を満たすのに十分な量だという。

スタートアップの競合相手は、Ranpak(ランパック)やS-Packaging(Sパッケージング)が提供するリサイクルペーパー製の気泡緩衝材などだ。

画像クレジット:Woola team

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(文: Mike Butcher、翻訳:sako)

規格外・余剰農産物の売却先をオンラインで農家とつなぎ食品ロスの削減を目指すFull Harvest

年間約40%の食料が廃棄されており、食料廃棄は世界で2兆6000億ドル(約294兆円)規模の問題になっている。Full Harvest(フルハーベスト)は、この問題は流通の問題であり、農産物のサプライチェーンをデジタル化することで解決できると考えている。

サンフランシスコに拠点を置く同社の農産物企業間取引市場は、農産物の買い手と売り手が、わずか数クリックで余剰または規格外の作物の取引を迅速に成立させる手段を提供する。農家にとっては新たな収入源となる。

創業者でCEOのChristine Moseley(クリスティン・モズレー)氏はTechCrunchに対し、生産者の大半はいまだにペンや紙、ファックスを使ってビジネスを行っていると語る。

「これは最も重要な産業の1つです。私たちはこの産業を自動化し、オンライン化することで、これまで解決されていなかったことを解決したかったのです」とモズレー氏は付け加えた。「例えば、売買には膨大な事務処理が必要ですが、オンボーディングプロセスを自動化することで、これまで数週間かかっていた作業が数分で済むようになります」。

そこでFull Harvestは、マッチングアルゴリズムや可視性を備えたスポットマーケットプレイスなど、バイヤーがサプライヤーの在庫を確認できる技術の開発に奔走した。また、第三者による監査・検証プロセスを構築し、一貫した仕様を提供することで、本来は救われるはずだが、廃棄されてしまう農産物の平均量を減らすことに成功した。拒否率は、業界平均10%に対し、同社は1〜2%だとモズレー氏はいう。

過去2年間で、Full Harvestの食品廃棄物削減効果は5倍になり、同社はこの勢いを維持するために追加資本を求めることになった。

同社は米国時間12月17日、シリーズBで2300万ドル(約26億円)の資金調達を発表した。Telus Venturesがこのラウンドをリードし、新規投資家からRethink Impact、Citi Impact、Doon Capital、Stardust Equity、Portfolia Food & AgTech Fund、および既存投資家からSpark Capital、Cultivian Sandbox、Astia Fund、Radicle Growthが参加した。今回の投資の一環として、Telusの投資ディレクターであるJay Crone(ジェイ・クローン)氏がFull Harvestの取締役に就任した。

Full Harvestを取材するのは久しぶりだ。TechCrunchは2016年、同社の旅が始まったときに紹介し、2017年に200万ドル(約2億2600万円)を調達した時に再び紹介した。2018年にはシリーズAで850万ドル(約9億6000万円)を追加で調達した。追加の資金調達をあわせると、現在の調達総額は3450万ドル(約39億円)だ。

同社は、Danone North America、SVZ、Tanimura & Antleなど、食品・飲料、加工業界や生産者業界のビッグネームと取引している。

「より持続可能なビジネスを構築することの重要性は、特に食品・飲料分野の企業にとって、かつてないほど明白になっています」とDanone North Americaのギリシャヨーグルト・機能性栄養食品担当副社長であるSurbhi Martin(スルビ・マーティン)氏は話した。「Full Harvestを通じてオンラインで農産物を調達し、通常であれば廃棄されてしまうような果物を当社の製品用に調達することで、より持続可能な食品を求める消費者の要望に応えています」。

Full Harvestのビジネスモデルは、同社のマーケットプレイスで行われるすべての取引の1%を取るというものだ。2020年から2021年にかけて、サプライチェーンに透明性を持たせた結果、売り上げは3倍になったとモズレー氏はいう。2018年当時、Full Harvestの従業員は約8人だったが、現在は35人にまで増えている。また、同社はカナダを含め地理的にも拡大した。

モズレー氏は、新しい資金で技術開発に投資する他、2022年には技術および製品チームの規模を3倍にし、北米での進出地域を引き続き拡大し、農産物の入手可能性、価格、仕様、持続可能性、品質、予測サポートなどのデータと市場インサイトの提供を進めるつもりだ。

食品廃棄物に取り組み、ベンチャーキャピタルから資金を調達しているのは、Full Harvestだけではない。2021年に限っても、企業から次のような発表があった。

このようにプロデュースの分野で技術革新を進めている企業もあるが、モズレー氏は、Full Harvestのユニークな点は、その専門性が持続可能な製品側にあることと、農産物サプライチェーンのデジタル化のリーダーとしての実績があることで、その両面で先行していると話す。

次は、物流技術に関する提携を確保し、さらなるスケールアップと提供可能なSKUの拡大を図る。

「これまで業界ではオフラインだったプロセスの自動化をある程度完了し、当社のテクノロジーとユーザーエクスペリエンスは大きく向上しました」とモズレー氏は付け加えた。

画像クレジット:Max / Unsplash

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」のascendがプレシリーズAエクステンションで5000万円調達、累計調達額約2.5億円に

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」のascendがプレシリーズAエクステンションで5000万円調達、累計調達額約2.5億円に

運送管理SaaS「アセンド・ロジ」を開発するascend(アセンド)は12月14日、プレシリーズAのエクステンションラウンドにおいて、第三者割当増資による5000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、B Dash Ventures(BDV)が運用するベンチャーキャピタルファンド。調達累計額は約2億5000万円となった。

アセンド・ロジは、現在手作業・アナログでなされている運送事業者の運行管理業務をデジタル化することで一元集約し、運送業者の売り上げに直結する物流データ(荷物、車両、運転手、ルート等)を可視化するサービス。同時に、これらデータを基に運送事業者の経営改善に資するインサイトを提供するという。

また受注側による物流データの可視化には、発注側である荷主のポートフォリオを運送事業者側が把握・分析できるという側面もあり、双方が対等な交渉力を備える、健全な経済のあり方にもつながっていくものと、同社は考えているそうだ。

BDVは、地方中小企業のDX推進を目的とし、2021年10月に、地域金融機関への強いネットワークを持つ株式会社あおぞら銀行との合弁会社であるB Sparkを設立。ベンチャー企業の持つDXのナレッジと地方中小企業のDXニーズを効果的に結びつける挑戦を行っている。今回、BDVの運営ファンドからの出資を契機として、ascendもB Sparkの持つ地域金融機関とのネットワークを効果的に活用し、地方の中小運送業者のDX支援を強化できるよう務めるとしている。