Google、エンタープライズ向けソフトのクラウドプラットフォーム、Orbiteraを1億ドル以上で買収

2016-08-09-industry-cloud

今日(米国時間8/8)、Googleは、クラウド・プラットフォーム・ブログOrbiteraを買収したことを発表した。Orbiteraはエンタープライズ向けクラウド・ソフトウェアのオンライン・ストアを開発したスタートアップだ。この買収によってGoogleはAmazon AWS、 Salesforce、Microsoftheなどに対抗してクラウド上でエンタープライズ向けサービスを提供する能力が強化される。

買収の詳細は明らかにされていないが、この取引に近い筋がわれわれに明かしたところによると、金額は1億ドル以上だという。

Orbiteraの既存顧客を含むビジネスとテクノロジーだけでなく人材の獲得も買収の目的とみられる。CEOのMarcin Kurcは元AWSという経歴であり、Googleの発表によればOrbiteraではすでに6万以上のエンタープライズ・けソフトに利用されているという。この中にはAdobe、Oracle、Metalogixなどサードパーティーのクラウド・サービスを購入して自社のエンタープライズ向けソフトに組み込み再販売するベンダーが含まれている。

Googleは「Orbiteraの買収はGoogle Cloud Platformを利用しているソフトウェア・ベンダーに対するサポートを大きく改善するだけでなく、現在普及しつつあるマルチ・プラットフォームのクラウド環境においてカスタマーに複数のクラウドを利用することを助ける」とTechCrunchに対してコメントを送ってきた。

プレスリリースでKurcは「当面Googleはビジネスのすべての面で現状を維持する」と述べている。

Orbiteraによれば、現在事業の柱としているのはクラウド上でエンド・ツー・エンドのサービス環境を構築するためのクラウドソフトのパッケージとプロビジョニング課金処理とコスト最適化マーケットプレイスとカタログ管理トライアルと顧客獲得のリード管理という4つののプロダクトだという。

Googleのグローバル・テクノロジー・パートナーの責任者Nan Bodenは「将来を考えるとGoogleがOrbiteraのマルチ・プラットフォーム環境におけるプラットフォーム中立性を維持することが重要だ」と書いている。

Googleが検索エンジンという当初の単純な枠を大きく超えて巨大化するにつれ、他社との関係も「ある側面でライバルであると同時に別の側面ではパートナーである」ような複雑なものになっている。

Googleにとってこうした複雑な利害関係にたつ多数の企業を顧客としてオンライン・プラットフォームを提供するOrbiteraの買収に踏み切ったことを興味深い展開だ。同時にGoogleが買収後のOrbiteraの運営にあたってきわめて慎重な態度を取っていることもこうした面から考える必要があるだろう。

Googleとしてはクラウド上でエンタープライズ向けサービスを売買するプラットフォームを提供するとしても、そうしたプロダクトの最終的所有者はGoogl本体とは独立した組織であるということを顧客に再確認する必要があると考えているようだ。

もっともこれがGoogleの長期的方針なのかどうかは別問題だ。広告など他の分野ではGoogleは当初買収企業の中立性の維持を強調したが、後に方針を変更した例がある。しかしクラウド・サービスは今後の市場規模が巨大になることが予測されるので、中立性を維持することがGoogleにとって有利になりそうな分野だ。【略】

OrbiteraはFiras BushnaqBrian Singerによって共同で創業された。2人の共同ファウンダーはこれ以前に複数のテクノロジー・スタートアップを創立、運営する際に直面した「ソフトウェアの販売、流通、運用をするうえで直面した数多くの困難」を解決したいと考えたのがOrbiteraの事業のアイディアを得たきっかけだったとしている。

同社はロサンゼルス郊外のウェスト・ハリウッドに本社を置き、Hiten Shah、Arjun Sethi、Double M Partners、Resolute.vcからこれまでに200万ドルのエンゼル資金を調達している

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Y Combinatorで芽が出なかったネットワーク分析のKentikが売上数千万ドル目前、シリーズBで$23Mを獲得

A giant node of organized network cables

かつてY Combinatorを落ちこぼれたネットワーク分析のスタートアップKentik Technologiesが今朝(米国時間8/4)、ファウンダーたちが期待の目で見守る中で2300万ドルのシリーズBを完結させた。

正直に言って私たちの多くは、ネットワークのインフラストラクチャについて何も知らない。しかも幸いなことに、私たちの多くは、知らないで済まされる。しかしインターネットサービスプロバイダ(ISP)や、大量のAPIを利用している企業にとっては、ネットワークの状態を示す情報を迅速に受け取れることが、安定したサービスをコンスタントに提供していくための重要な基盤のひとつだ。もちろん、サービスプロバイダが安定稼働していれば、ユーザーがいらいらとページをリフレッシュする回数も減る。

われわれ消費者ユーザーには、ネットワークがおかしければルーターの電源コードをしばらく抜いてみる、という手がある。しかし企業の場合は複雑なサーバーシステムが動いていて、何かをリブートしたり電源を抜いてみるぐらいでは対策にならないことが多い。

そんな企業にKentikは、ネットワークのインフラストラクチャに関するデータにより、ハッカー攻撃の検出やログの分析、トラブルに至るまでの利用状況の履歴(対策の特定)、などを提供する。企業は常時、ゼタバイト級の大量の情報を扱っているから、その中で問題の箇所だけを正確にかつ早く見つけるためには、Kinetikのようなサービスが欠かせない。

この、大量のログを取ってその分析を正確迅速にやる、というKentikの特技は、同社の最大の差別化要因だ。しかし同社のコンペティターのDatadogは、今年の1月に早くも、シリーズDで9450万ドルを獲得している。

CEOで協同ファウンダーのAvi Freedmanによると、同社の売上は“数百万ドル”のレベルを超えて“数千万ドル”の領域に入りつつある。今同社の顧客は60社あまりで、その80%がアメリカ国内だが、今後は西ヨーロッパ市場を積極的に開拓したい、と言っている。

今回の2300万ドルのラウンドは、Third Point Venturesがリードし、これまでの投資家August Capital, Data Collective (DCVC), First Round Capital, Engineering Capital, そして新規の投資家としてGlynn CapitalとDavid Ulevitchが参加した。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

会話型インターフェイスが未来のエンタープライズアプリケーションを牽引する

speech bubble vector background

【編集部注】著者のひとりであるNir Eyal氏は、書籍Hooked: How to Build Habit-Forming Products並びにプロダクトの心理学に関するブログの著者。もうひとりの著者であるLakshmi Mani氏は、Tradecraft.社のプロダクトデザイナーである 。

今後数年間のうちには、会話がソフトウェアに新たな命を吹き込むだろう – 特に夥しい数の知識労働者が毎日渋々使っている退屈なエンタープライズツールに。私たちがメッセージングに対して既に馴染みがあるため、会話型ユーザインタフェース(CUIs)はうまくいくだろう。最も技術的に複雑な会話さえ、会話として示されるとSMSを受信するような感覚で捉えることができる。

旧来のやり方のソフトウェアに比べて、会話型ユーザインタフェースは3つの利点を持っていて、私たちはこうした経験が広く伝わることにより、世間にある数え切れないオンラインサービスに刺激を与え、その再設計を促すだろうと考えている。会話型インターフェイスの可能性について説明するために、私たちはGoogle Analytics(もっとも広く使われていてかつ嫌われてもいるエンタープライズソフトウェアのひとつ)が会話型ではどのような見かけになるかの思考実験を行ってみた。

結局それは一体何のためにあるのか?

再設計に飛び込む前に、いくつかの基本的な問題を考慮しておくことが重要だ。エンタープライズソフトウェアとは何のためにあるのか?そしてユーザーのためにどのような仕事をするのか?

基本的には、エンタープライズソフトウェアとは、ユーザーが以下のような質問に対する答えを1つ以上見つけることを助けてくれるものである:

  • 重要なのは何か?(関連情報の抽出)
  • 次に何をすべきか?(意思決定を支援)
  • どのようにすればいいのか?(アクションをガイド)

まあこんなところだろう!全てのエンタープライズ・ソフトウェアがこの3つすべてを行うわけではないが、少なくともどれか1つは行う筈だ。Google Analyticsの場合には、ソフトウェアは1番目の質問に答えるために、情報を引き出すことに注力している。一方意思決定に支援に関しては軽く、そして次のアクションに対しては(ユーザーがGoogleアドを買うことを助けてくれること以外は)あまり助けにはならない。

興味深いことに、会話型インターフェイスは、私たちが今日使っているソフトウェアツールよりも上記の3つの質問のすべてに、より上手く答えてくれるのだ。

重要なのは何か?(関連情報の抽出)

現在のソフトウェアに見られるドロップダウンメニューやテーブル、関数やボタンなどを使って操作を行う代わりに、未来の会話型インターフェイスは、平易な言葉(英語)を使ってメッセージをやり取りすることが可能になる。会話型インターフェースを介して質問するだけで、ユーザーは探している関連情報を手にすることができる。

しかし利用者が自分の欲しいものを知らない場合にはどうなるのだろう?データの中に潜む貴重な洞察に関してはどうか?

Google Analyticsのような旧来のインターフェースを備えた現在のソフトウェアの場合には、アラートが画面の右上に現れて、(良くて)ユーザーを煩わせ、(悪ければ)無視される結果になる。Google Analyticsを開くと、データが満載の威圧的なチャートやグラフが目に飛び込んでくるが、そこから得られる洞察は少ない。これは一体何を意味しているのだろうか?ユーザーは危機的状況にあるのか?それとも全ては正常なのか?

今日の多くのエンタープライズソフトウェアと同様に、Google Analyticsにはチャートやグラフが氾濫している。

今日の多くのエンタープライズソフトウェアと同様に、Google Analyticsにはチャートやグラフが氾濫している。

こうしたものの代わりに会話型インタフェースを使用することで、Google Analyticsは、重要な情報が無視されず、よりわかりやすいものになるだろう。たとえば、下に示したモックアップでは、ユーザーに異変を通知している。ユーザのウェブサイトへの訪問者数にスパイク(急激な上昇)があったのだ。これはGoogle Analyticsのダッシュボードに表示されているものと同じ情報だが、ユーザーにはとても異なる効果をもたらす。

会話型インターフェイスは、ダッシュボードと同じ情報を提示することが可能だが、はるかに強力な効果を持つ。

会話型インターフェイスは、ダッシュボードと同じ情報を提示することが可能だが、はるかに強力な効果を持つ。

現在のダッシュボードは、データを送り出した後はユーザーが残りをやってくれるものと期待している。しかし、将来の会話型インターフェイスはまず洞察を提示し、必要ならばそれをデータで裏付けるのだ。ここではGoogle Analyticsの新しい顔であるChristinaが、会話を進めるためにユーザーを質問で促す様子に着目して欲しい。Christinaはボット、もしくは人間とボットのハイブリッドの可能性があるが、目的が達成される限りユーザーには関係がない。

次に何をすべきか?(意思決定を支援)

友人2人でコーヒーを飲んでいるときに、そのうちの1人がさらなる会話へ向けて、もう1人の関心事を推し量ろうと、適当な話題を振ることがある。おそらくは、子供達の最近の様子を尋ねたり、ビジネスの調子や、少しばかりの噂話。私たちは話す価値のあるものを見つけるために関心のアタリをつけるのだ。もし相手が何か他のことについて話をしたいと思っている場合に、頑固に一つだけの話題にこだわるのは、失礼というものだ。しかしそれは、現代のソフトウェアのやり方そのものなのだ。そいつは私たちの関心のない話題でこちらをうんざりさせ続ける。なぜなら、良い友人と違って、それは学ぶということをしないからなのだ。

しかし会話型インターフェイスは、普通のダッシュボードができないことをすることができる。それは傾聴し学習するのだ。提示された情報の離散的な断片に対するユーザの反応に注目することによって、ソフトウェアは、洞察が価値のあるものであったかどうかを記憶する。もしユーザーが提示した情報についての会話を継続した場合、システムはその重要性を学習し、将来似たような状況が起きたときには懸念を伝えてくる。しかし、もしソフトウェアが何も言ってこないならば、そいつは素晴らしい、アプリケーションにはとっては通知の節約であり、ユーザーの貴重な1日にとっては割り込みが1つ少なくなるということだ。

伝統的なダッシュボードとは異なり、会話型インターフェイスは、より適切な情報を提示することで多く使われるようになり更に洗練されていく。その結果より強力な意思決定支援ツールになるのだ。この概念は「stored value(蓄積価値)」と呼ばれ、習慣性のあるプロダクト(habit-forming products)を構築するための鍵なのである(Hook Modelを参照のこと )。

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また、会話型インターフェイスは全員の体験を向上させるために、他のユーザーからも学ぶこともできる。例えば、ChristinaがRedditからのトラフィックスパイクが来ていると指摘するとき、彼女は単に事実を提示しているだけでなく、考慮すべき選択肢も同時に提示する。インテリジェントな選択肢を提供するため、Googleは他のユーザーの振る舞いを利用して、次のステップの最高の選択肢を提示することができる筈である。

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この例では、アシスタントはRedditを効率的に利用する方法を学習するためのリソースを提案している、そこで行なわれている会話への参加を促し(ここまでが1番目の会話)、また当サイトにとどまるユーザーの数を増やすために、サイトの高い直帰率(バウンスレート)を改善する提案も行っている(2番目の会話で提案しても良いかを聞き、3番目の会話で実際の提案を行っている)。

ユーザーが、次に何をすべきかを知ることを手助けすることには、大変な価値がある。次の行うべきアクションが容易であればあるほど、ユーザーがそれを行う可能性は高くなる。会話型インターフェースは次の最善手を容易に提示する、これによってユーザーが次に何をすべきかを探したり悩んだりする時間を節約することが可能になる。ユーザーとの過去の会話や他のユーザーのアクションからの情報を組み合わせることで、新しいインターフェースは「次に何をすべきか?」の問いに答えるためのよりよい意思決定支援ツールを提供する。

どのようにすればいいのか?(アクションをガイド)

さて、ソフトウェアは重要なものをピックアップし、ユーザーが判断すべきオプションも提示した。いよいよ、ユーザーの行いたいアクションを助ける番だ。残念なことに、実際に現在のソフトウェアでタスクを完成させようとすると、異なる画面やサイト上のソリューションのごった煮を上手にナビゲートしていく必要がある。会話型インターフェイスにはこうした煩わしさをすべて取り除ける可能性がある。

例えば、上の例題では、ユーザーがChristinaにサイトの高い直帰率改善に対する助言を求めると、彼女はRedditからの訪問者を歓迎するカスタムランディングページを作成することを提案している。そのようなページをセットアップすることは、経験者にとっては子供騙しのようなものだが、初心者にとっては価値を上回る苦労となるかもしれない。

ありがたいことに、会話型インターフェイスは、様々な方法を使って背後で仕事を終わらせてしまうことが可能だ。アシスタントは、アップグレードされたサービスを提供し、社内の専門知識を招集したり外部のベンダーを組み込むことができる。ユーザーが新しいソフトウェアの使い方に慣れることを待つ代わりに、アシスタントは既にやり方を知っている人やボットに仕事を任せるのだ。重要な点は、ユーザーが使い方を自分でなんとかマスターする(多くの人がやりたがらない)ことを要求する現在のエンタープライズソフトウェアと違い、会話型アシスタントは最も困難の少ないパスを見つけることによって仕事を完成させることができるということだ。

ここでも、会話型インターフェイスは、サイトに変更が行われるたびに価値を蓄積していく。各ページが構築あるいは試行されるたびに、Google Analyticsはサイトオーナーの目標とこれまでの結果を更に学習する。そのことによって改善の提案が容易になり、やがて自身も必要不可欠なサービスとなっていくのである。

ダッシュボードに永遠の別れを!

様々な職場調査によれば、私たちは1日のうち20から30パーセントを情報の検索に費やしていることが明らかになった。扱いにくいエンタープライズソフトウェアを突き回す時間と労力が少しでも減るだけでも、全体としては無視できないほどの配当がもたらされることだろう。

すべてのユースケースに対して理想的だとは言わないが、会話型インターフェイスには、現状のエンタープライズソフトウェアを上回る利便性がある。基本的に、重要なのは何か?次に何をすべきか?どのようにすればいいのか?という問いかけに答えようとするいずれの場合でも、より優れた働きをしてくれるのだ。

こうした、よりユーザーフレンドリーなインターフェースを採用することで、将来のソフトウェアには、企業に蔓延するダッシュボード疲れを癒すチャンスが与えられる。また単に新しいツールを習得する時間がない人にとって利用可能な、ソリューションの提供を約束するものだ。

エンタープライズソフトウェアの未来は、複雑なダッシュボードと退屈なビッグデータの塊ではない。仕事を楽しくする良くデザインされたインターフェイスこそが来るべきものである。ソフトウェアは良い友人のようでなければならない – 求めよ、さらば与えられん。

このエッセイの初期の版を読んでくれたAriel JalaliShane MacAmir ShevatそしてMatthew Wooに感謝する。

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(翻訳:Sako)

Oracle、エンタープライズ向けクラウドサービスのNetSuiteを93億ドルで買収

The Oracle headquarters is shown in Redwood City, Calif., Monday, June 18, 2012.  Oracle reported Monday that it earned $3.45 billion, or 69 cents per share, for the three months ending in May. (AP Photo/Paul Sakuma)

今日(米国時間4/28)、Oracleは全額キャッシュで1株あたり109ドル、つまり総額93億ドル前後でNetSuiteを買収することを発表した。 OracleとNetSuiteの両者は買収後もエンタープライズ向けサービスの提供を継続する。「両者は同じ市場で今後永く共存する」とOracleのCEO、Mark Hurdは述べた。

HurdはNetSuiteの買収について「両社の関係は補完的だ。Oracleは今後とも両社の新しいプロダクトの開発と流通に投資していく」と付け加えた。

NetSuiteは創立後18年を超える企業で、クラウド市場におけるエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)の分野で支配的な地位を占めているとされる。NetSuiteのサービスには需要、供給、在庫、会計、顧客関係管理(CRM)、人材管理(HR)などの処理が含まれる。近年ERP市場では活発なM&Aが行われ、全体として統合化が進んでいた。またOracleは2016年に入って小型の買収を積極的に行ってきた。買収した企業にはOpowerTexturaが含まれる。

これらに比べるとNetSuite買収は金額の点ではるかに大きい。もっとも歴代では2004年に103億ドルで買収したPeopleSoftが依然としてトップだ。現在でも巨額だが、大型買収の数が少なかった当時としてはさらに大きな衝撃を与える金額だった。

OracleとNetSuiteのサービスは似ているが、買収によって Oracleは現在の顧客よりもサイズが小さい企業にアクセスするチャンネルが開かれる。これはOracleの主要なライバルであるSalesforceとの競争上、有利な要素になるだろう。

画像: Paul Sakuma/AP

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Dropboxが企業ユーザーにアドミンツールAdminXを提供、ファイルだけでなくいずれデバイスの管理も

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5億のユーザーがいるクラウドストレージ企業Dropboxは、利益を上げIPOが近まるにつれて、儲けの源泉である企業市場のための機能を徐々に増やしてきた。

今日(米国時間7/27)そのDropboxが、企業ユーザーのITアドミンたちのためのダッシュボード、AdminXを披露した。Dropbox Businessのユーザーはおよそ20万社いるが、そこのアドミンたちがこのダッシュボードを使って、会社のファイルやそのユーザーをより適切に管理できるようになる。

同時にまた同社は、ベーシックなストレージ以上のサービスをローンチすべく、準備を進めている。まず、AdminXのコンソールに近くモバイルデバイスの管理機能が加わる。そうするとアドミンは、Dropboxのファイルだけでなく、デバイスも管理できるようになる。

しかも今は、2017年の後半…つまりほぼ1年後…に同社がIPOする、という説が情報筋から入ってくる。この件は、Dropboxに問い合わせるとノーコメントだ。

DropboxによるとAdminXは、1年前に社内で芽生え、育ってきた企画だ。そしてその動機は、単純だ。そもそもDropbox Businessには、最初からアドミンツールがあるのに、あまり使う人がいない。そこで同社は、消費者向けサービスでユーザーインタフェイスとして提供しているWebページに着目し、それをもっと直観的でもっと単純なインタフェイスへと改作した(下図)。

  1. 1-centralize-team-folder-management.png

  2. 2-add-groups-to-team-folder.png

  3. 3-manage-team-folder-settings.png

  4. 4-set-granular-permissions.png

  5. 5-manage-sync-settings-at-scale.png

  6. 6-enhance-productivity-with-improved-admin-console.png

  7. 7-extend-security-with-file-event-logging.png

  8. 8-centralize-group-control.png

その機能としては、まずフォルダのデザインが個人用、チーム用、大組織用で区別される。そしていずれも、パーミッションの粒度がより細かくなり、それをAdminXから管理できる。ファイルのシンクのためのコントロールも、より強化された。アドミンは、ローカルにシンクされるファイルと、そうでないファイルを区別できる。ローカルなら、どのデバイスならファイルを書き換えてもよいか、ということが決まる。また、使用するディスクスペースも管理できる。

ファイルのイベントロギング(ログ取り)が加わり、アドミンはどのファイルに誰が何をしているか、したか、よく分かるようになった。

DropboxのプロマネのトップRobert Baesmanによると、近く実装されるモバイルデバイスの管理機能により、アドミンはシンクするデバイスの数を制限できるようになり、アクセスを保護できるが、そのローンチは今年の晩(おそ)い時期だそうだ。それはDropboxの内製だが、企業がほかのモバイルデバイス管理ツールを使っている場合、必ずしもそれらと競合したり、それらをリプレースするものではない、という。

Baesman曰く: “この分野はあまり競合がないからね。うちはパートナーとの関係が緊密だから日常的によく分かるんだけど、彼らの方が自分の企業のための正しいツールをよく知っている。ほかのユーザーも、自分たちに合った独自のソリューションを使っていただきたいと思うけど、しかしそこまでの余裕のない顧客もいる。弊社の顧客はきわめて多様だから、ニーズもさまざまで、彼らに合ったユーティリティをうちが提供しなければいけない部分もあるのだ”。

Dropbox Businessの料金は、5ユーザー月額75ドルからだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

確定―VerizonがYahooのインターネット事業を48億3000万ドルで買収

2016-07-26-yahoo-verizon

何ヶ月にも渡った価格交渉数回にわたるレイオフの末、アメリカYahooはついに売却先を確定した。

Verizon(AOLの親会社。AOLはわれわれTechCrunchの親会社)はYahooの本体事業を48億3000万ドルのキャッシュで買収することを公式に発表した。買収される事業にはYahooの広告、コンテンツ、検索、モバイル活動の一切が含まれる。

Verizonの会長、CEOのLowell McAdamはプレスリリースで、「われわれは1年と少し前にAOLを買収し、あらゆるサイズのスクリーンを利用する消費者、クリエーター、広告主を結びつけるという戦略を一歩進めた。今回のYahoo買収でVerizonはトップクラスのグローバルなモバイル・メディア企業としての競争力をさらに高めることができた。同時にデジタル広告における売上の加速も期待される」と述べた。

YahooのAlibaba、Yahoo Japanの持株は今回の買収の対象となっていない。これらの資産には数百億ドルもの価値がある。7月22日現在、Yahooが保有するAlibabaの15%の持ち分は312億ドル、Yahoo Japanの34%の持ち分は83億ドルだった。 Yahooの特許ポートフォリオも今回の売却の対象外だが、10億ドル前後の価値があるとみられている。TechCrunchがつかんだところによるとサニーベールのYahoo本社は売却の対象だという。

Yahoは最終的にAOLと統合される。Verizonの執行副社長、プロダクト・イノベーションと新事業の責任者、Marni Waldenが買収プロセスを指揮する。AOLのCEO、ティム・アームストロングは社内向けメモの中で、マリッサ・メイヤーと緊密に協力していることについて触れている。メイヤーはYahooの社内向けメモの中で、「個人的には(Yahooに)留まるつもりだ。私はYahooとそのチームを愛し、信じている。Yahooを次の章に飛躍させることは私にとって重要だ」と書いている。メイヤーは買収手続が完了するのは2017年の第1四半期の末と予想している。【略】

昨年、Verizonは AOLを44億ドルで買収した。Verizonは現在でもトップクラスのテレコム企業だが、AOLとYahooを買収したことからすると、今後は事業とその売上の多様化を図っていくつもりのようだ。

買収手続が完了した後、YahooとAOLを統合すれば、巨大なメディアと広告の子会社が生まれる。AOLははるかに大きなスケールでウェブとモバイルのオーディエンスにリーチすることが可能になる。広告事業のターゲットは10億人単位になるかもしれない。

〔ティム・アームストロングのメモにあるように〕最終的にVerizonはデジタル広告事業でGoogle、Facebookと競争できる存在になるつもりらしい。オンライン広告は現在、シリコンバレーのこの2社にほぼ独占されたかたちだ。Verizonは3番目のプレイヤーになろうとしているようだ。

反トラスト法当局により買収が承認されるとして、Verizonはさらに2つのハードルを超えなければならない。直近の四半期決算の電話記者会見でYahooは社員8800人、契約社員700人を擁していると述べた。これに対してAOLの社員は6800人だ。どちらも数千人という規模の2つの会社を統合するのは誰にとっても容易な仕事ではない。第二に、 Yahooは近年相当の赤字を出し続けている。VerizonはYahooをまず黒字体質に変える必要がある。そうでなければYahooはAOLの足を引っ張る存在になってしまう。

プレスリリースで VerizonはYahoo買収の理由を説明し、同社には10億人のユーザー(うち6億はモバイル)がいることを挙げた。またYahooが数多くの優良ブランドを所有していることも指摘している。Verizonはニュース、スポーツ、Yahoo Mail(月間アクティブ・ユーザー2億2500万人)を例示した。広告媒体と広告テクノロジーではBrightrollFlurryGeminiを例に挙げている。面白いことに VerizonはTumblrについては触れなかった。

Yahooが公式に 事業売却の可能性を認めたのはこの2月だった。【略】マリッサ・マイヤーが 2012年にYahooに加わったとき、Yahooを再活性化するビッグ・プランがあるということだった。マイヤーやモバイル化の努力を倍加し、人材獲得のためのスタートアップ買収を10回以上実行した。Tumblrは11億ドル、Brightrollは6億4000万ドルだった。またYahoo Mail、Flickr、Yahoo Weather、Yahoo Messengerなど既存プロダクトのアップデートにも力を入れた。

しかしこうした努力もYahooの収益構造を目立って改善するには至らず、ついにオンライン事業の売却という結果になった。

今から考えれば、売却先は当初からVerizon以外なかったかと思えるがYahoo買収に関心を示した企業にはAT&T、TPGグループ、Dan GilbertのQuicken Loans関連の投資家などがある。Verizonはこの後電話記者会見を予定しており、さらに詳しい説明が聞けるかもしれない。このニュースが流れた後のVerizonの株価は、市場取引スタート前の数字だが、特に動きがない((+0.21%)。 この買収の情報は金曜日にリークし始め、株主、投資家は今日の発表を十分に予期していた。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ビジネス向けビデオ共有サービスMicrosoft Streamが提供開始

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本日(7月18日)マイクロソフトは、YouTubeが消費者に提供しているものと同様の柔軟性を備えた組織内向けビデオ共有サービス「Stream」の提供を開始した。企業が文書管理システムに期待するセキュリティツールが加えられていることが利点である。サービスは現在無償プレビューとして利用できる。

マイクロソフトのビジネス・インテリジェンス・プロダクツ・グループ副社長のJames Phillipsが、Streamを始めるのに必要なのはメールアドレスだけだと教えてくれた。Streamのユーザー体験はVimeoやYouTubeなどの消費者サービスからヒントを得ていて、更にいいね!やコメント、レコメンデーションなどのソーシャル機能も取り込まれている。

「私たちは皆、美しく多機能のソフトウェアツールがどのようなものかの理解を、消費者として訓練されてきたのです」とPhillips。「そして今度は私たちが、ビジネスソフトウェアでそれらの経験を提供します」。

会社内のビデオ利用の基本的なユースケース(利用例)の中には、トレーニングや従業員同士のコミュニケーションが含まれる。

steam_connect_blahマイクロソフトはすでにOffice 365 Videoとしてビジネスビデオサービスを既に提供していることに注目したい。「Microsoft Streamは、Office 365 Videoの成功体験の上に構築されました、徐々に2つのサービスはOffice 365の内外に一貫性のある経験をもたらすものとしてシームレスに統合されていくことでしょう」と、Phillipsは本日の公式アナウンスに記していて、更に現行のOffice 365 Video利用者は今のところサービスに何の変化も見ることはないと補足した。

Office 365 Videoと比較すると、Microsoft Streamはより多くの消費者指向体験を提供するために、Microsoftの既存の技術の多くを活用することになる。Phillipsは、担当チームはマイクロソフトリサーチの中で現在行なわれている研究やAzure 機械学習チームの成果 − 例えば音声文書変換、自動翻訳、そして将来のバージョンの Stream のための顔認識技術など − に関心を寄せていると語った。Phillipsは、チームが将来的にライブストリーミングのサポートを追加することを検討していることも話してくれた。

しかし企業とそのIT管理部門の視点から更に重要なことは、Streamがビデオを他の企業文書と同様に扱うということだ。彼らにとってビデオは、企業内の他のデジタル資産と同様である。ビデオへのアクセス権を割り当てたり、アクセスグループを設定したり、権限を剥奪すること、そして企業外へ動画が共有されないようにすることも可能だ。

また開発者は、Microsoft StreamのAPIを使って新しいアプリケーションをその上に構築することも可能である。第一段階では、ビデオが埋め込み可能になる程度だが、徐々により多くの機能がAPIに追加されていくことになるだろう。

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(翻訳:Sako)

Dropboxがアップデート―iOSアプリにOCRが追加されアナログ文書が簡単に検索、利用できる

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今日(米国時間6/22)、Dropboxはビジネス・ユーザー向けアップデートをリリースした。新たに追加された多数の新機能には企業での利用を促進する狙いが含まれている。

もっとも興味ある新機能は、モバイル・アプリを利用するユーザーがドキュメントをスキャンして直接Dropboxにアップロードできるようになったことだろう。ビジネス・ユーザーが日々取り組んでいる現実の仕事は非常に多様であり、その多くはまだデジタル化されていない。Dropboxは新たな機能を開発してサービスを使いやすく拡張する努力を続けている。

Dropboxのプロダクト責任者、 Todd Jacksonは「われわれは今でもアナログ・ツールが好きだ。あちこちに接着剤つき付箋を貼るし、ホワイトボードに図を描く。また文書をプリントアウトして読んでいる。Dropboxではユーザーがアナログ情報を手軽に取り込めるようにしようと努力している。そしてDropboxで簡単に検索し、利用できるようにするのが目標だ」と述べた。

ユニークなのは、Dropboxはモバイル・アプリにOCR〔光学文字読み取り〕システムを追加した点だ。OCRはユーザーが撮影した文書をスキャンして文字に変換する。Dropboxの主張どおりならこれによってアナログ文書を内容によって検索できるようになる。

「われわれは現実の世界における仕事の複雑さを認識し、それをシンプル化しようとしている。たとえば〔OCRスキャン機能は〕他社から送られてきた文書をDropboxにアップロードして利用できるようにする」とJacksonは述べている。

新機能には多様なユースケースが考えられる。メディアやカンファレンスには日々有用な情報が現れる。Droboxが画像をスキャンして文字化できるなら、これまで死蔵されていた情報が簡単に活用できるようになる。これがDropboxが主張するようにシームレスにできるなら、従来は重たく大きいフラットベッドスキャナを利用していた作業の大半が不要となるかもしれない。フラットベッドスキャナどころかロッカーを占領していたバインダーの書類も新しいテクノロジーで置き換えられる可能性がある。

OCRを始めとする新機能は当初iOS版が利用可能となる。Android版の登場はまだのようだ。Dropboxに問い合わせたが、Android版のスケジュールについて詳しい回答はなかった。

ビジネス・ユーザー向けの新機能は多数あるが、その一つはアプリ下部に表示される大きなプラス(+)ボタンだ。Instagramアプリだと写真のシャッターボタンに当たる位置だが、Dropboxアプリでは新しいOffice文書を作成するボタンになっている。ユーザーはアプリ内からWord、PowerPoint、Excelのドキュメントを作成できる。ユーザーはスキャンして取り込んだ文書をOffice文書にインポートすることもできる。

dropbox Plus button

今日リリースされた新機能には、過去のバージョンのさまざまな文書をプレビューする機能がある。文書を開こうとするといちいち新しいバージョンにアップデートするよう促され、時間を食ってしまうものだ。新しいプレビュー機能によれば、ユーザーはたくさんの文書をアップデートすることなく、必要な文書をすばやく見つけてることができる。その文書だけをアップデートすればいいので大いに時間の節約になる。また近く、一定地域のユーザーに共有されるコメントや閲覧のみのフォルダーの」共有なども実現するという。

単なるオンライン・ストレージはコモディティ化してきた。AppleとGoogleは日々無料ストレージの容量を拡張している。こうした中でDropboxのような企業にはある種のピボットが求められることになる。

しかし適切なバランスを発見するのはなかなか困難な作業だ。強力なライバルは多数存在する。 Boxは共同作業ツールに優れており、Microsoftのクラウド化した。Dropboxが新たなエンタープライズ・ユーザ-を獲得し、つなぎ止めるのは容易ではない。【略】

Jacksonは「Dropboxには登録ユーザーが5億人おり、最大級の企業にも多数のユーザーがいる」ことを指摘した。 Dropboxによればエンタープライズ向けプランを契約しているユーザーは15万社に上るという。またJacksonによれば、Fortune
500企業の大半はDropboxをなんらかの形で利用しているとされる(無料版ユーザーも含まれる)。

大企業は新しいテクノロジーの採用に関してきわめて動きが鈍いことで知られている。Dropboxのような企業にはトップダウンととボトムアップの両方の戦略が求められる。Dropboxの新ツールはこの点で採用の広がりを期待しているのだろう。【略】

Google、Apple、Microsoftなどが参入する中で、Dropboxのファウンダー、 CEOのドルー・ハウストンが長期間維持可能な強力なオンライン・ストレージ企業を築いていけるかは今後の課題であり、大きなクエスチョンマークだ。ハウストンは今月開催されたBloombergテクノロジー・カンファレンスでDropboxはキャッフローが黒字になったことを発表した。シリコンバレーの専門家の間ではこの発言における定義をさらに詳しく調べようとする動きが広がっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Red Hatはクラウドへの移行で50億ドル企業をねらうが、Linuxだけでは無理かもしれない

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長年(20+)、企業顧客にLinuxを売ってきたRed Hatが、オープンソース企業としては初めて、20億ドル企業になった。次の目標は(売上)50億ドルだが、そこまで到達するためには、Linux以外のものも必要だろう。

2年前にRed HatのCEO Jim Whitehurstは、売り上げが伸びているにもかかわらず、Red Hat Enterprise Linux(RHEL)だけでいつまでも成長を続けることはできない、と自認した。RHELは好調だが、世界は変わりつつあり、彼の会社もそのほかの企業相手の企業と同じく、変わらなければならない。変わらないことは、大きなリスクを抱えることだ。彼は当時、そう語った。

その変化とは、Microsoftのコマーシャルが言っている“To the cloud!”(クラウドへ)だ。

Whitehurstが2014年に、同社はOpenStackを軸とするクラウド企業になると宣言したとき、かなりの人が驚いただろう。同社の長年の社員の中にも、びっくりした人はいたと思う。でもWhitehurstは、大きな変化のように思えるかもしれないが、実際にはそれほどでもない、とそのとき言った。

Linuxとオープンソースの未来

クラウド企業に変わることが同社にとってささやかな変化にすぎない理由は、クラウドがLinuxとそのほかのオープンソースソフトウェアで構成されるシステムだからだ。この二つ、すなわちLinuxとオープンソースソフトウェアは、Red Hatが長年、何にも増していちばんよく知っているものである。Red Hatでプロダクトとテクノロジーを担当している上級役員Paul Cormierは、そう語る。

CEOのWhitehurstもこう言う: “クラウドを軸に今起きつつあるイノベーションが、オープンソースの中で起きていることは、弊社にとって本当にすばらしいことだ。Linux, Kubernetes, Docker, OpenStack, …主要部位はすべてオープンソースだ。弊社のユニークな立場は、オープンソースソフトウェアに取り組んで10年以上自分たちがやってきたことをそのまま、企業のサポート、企業の消費物、そして企業のためのライフサイクル管理に応用できることだ”。

弊社の事業計画の前提は、既存のポートフォリオだけで無理なく50億ドルに到達できる、という感触だ。
— Jim Whitehurst, Red Hat CEO

ただしそれは、移行は簡単、という意味ではない。営業のやり方が違うし、R&Dから営業からマーケティングに至るまでの、全社的な機構を考えなおす必要がある。これまでは費用低減と選択の自由を軸とする価値提案を売っていけばよかったが、クラウドの場合は、顧客が購入する理由がそれほど単純明快ではない。

“それは、それまであった何かを別のものに代えることではなくて、プラットホームを作ってその上で何かを開発することだ。だから価値提案が事業価値の理解に基づくものになる”、とWhitehurstは説明する。だから企業だけでなく、その市場もよく知らなければならない。新しい課題が山積みになる。

“うちも、ぐーんと背伸びをして、顧客に接近し、彼らのニーズを深く理解しなければならない。彼らがどうやって価値を作り出しているのか、それのどこをどうやってうちが助けるのか、それを理解することだ”。

そこで問題は?

Crumpled cap with Red Hat logo on it.

Photo by Paul Hudson on Flickr。 CC by 2.0のライセンスによる。

Forresterでエンタープライズを追っているアナリストDave Bartolettiによると、それがRed Hatの難関だ。

“これまでのように、高価でプロプライエタリなもの〔Windowsなど〕に代わる安いものを売るのではなくて、誰もがどこででも使えてソフトウェアをより迅速に作れるための、一連のツールを売らなければならないのだ”、と彼は語る。

またIDCのアナリストAl Gillenは、それだけではなく、Red Hatはパブリッククラウドのベンダたちと直接、競合することになる、と言う。

“顧客がパブリッククラウドのインフラストラクチャへ移行していくことに関して、Red Hatにはコントロールがあまりない。それは、コアとなるインフラストラクチャレイヤとしてノンブランドのプロダクトに大々的に依存している。たとえばオペレーティングシステムも、実質的にはノーブランドだ。これが、Red Hatの成長にとって向かい風になる。なぜなら同社は、低コストで汎用的なインフラストラクチャのソリューションに、勝たなければならないからだ”、とGillenは説明する。〔*: たとえばAWSでは、ユーザーからの‘見かけ上は’、オペレーティングシステムとして何を使っているかは、知る必要のないこと。つまりノーブランド。〕

彼の考えでは、従来どおり企業のために分散アプリケーションを作っていくコアビジネスで当面は快調でも、顧客をクラウドに移行させて次世代のアプリケーションを作っていくことになると、Red Hatは上記のような低コストのコンペティターたちとの競合対策、その必勝対策が必要になる。

厳しい目標

しかしそれでもなおWhitehurstとCormierは、この変化を乗り切ることに自信満々であり、それまでの単なるRHELの企業だったときよりも大きく伸びる、と考えている。Whitehurstによるとその目標は、5年後に50億ドル企業になることだ。

“弊社の事業計画の前提は、既存のポートフォリオだけで無理なく50億ドルに到達できる、という感触だ。”、と彼は述べる。

彼によると、クラウドとRHELをそれぞれ個別のサイロと見なすことはできない。お互いがお互いに供給しあっているし、ミドルウェアのレイヤもある…これも別の収益源だ。

オープンソースだけではなくもっと一般的に、エンタープライズソフトウェア企業で50億ドルの売り上げを達成したところはひと握りしかいない、とWhitehurstは指摘する。MicrosoftとOracleとSAPとSalesforceとVMwareだ。Ciscoもソフトウェアの売り上げだけならそれぐらいになるし、Adobeも今年は$5Bを超えそうだ。

彼自身も認める。今20億ドルで5年後に50億ドルなら、年率約58%で成長しなければならない(ぼくの暗算が正しければ!)。相当厳しい目標だ。もっと多様なプロダクトをテーブルに並べれば、それは不可能ではないかもしれないが、それもかなり厳しい。

いずれにせよWhitehurstによれば、この目標は同社のパートナーカンファレンスで発表したものであり、今の同社はそれが実現できるだけの、良い立ち位置にいる。さてしかし、彼が正しいかは、時だけが知っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleがAIを使った企業ユーザーのためのアシスタントSpringboardを立ち上げ、Google Sitesはデザイン一新

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Googleが、同社の企業顧客のための二つの重要な発表を行った。とくに注目すべきはデジタルアシスタントSpringboard(跳躍台)で、これによりGoogleの企業用サービスをユーザーはより便利に利用できるようになる。

これまで少数の顧客を対象にテストしてきたSpringboardは、会社で仕事をする人たちのためのGoogle Now、ともいえる。まず、人工知能を利用する単一の統一的な検索インタフェイスがある。これにより、Google Drive, Gmail, Calendar, Google Docsなどなど、ユーザーが使っている複数のGoogle製品から情報を取り出すことができる。この機能が重要なのは、Google Appsの技術担当VP Prabhakar Raghavanによると、“平均的な知識労働者は今、検索と情報収集に一週間にまる一日ぶんの時間を投じている”からだ。

Springboardはこのほか、会社での一日を通じてユーザーに、“便利で実際に何かのアクションに結びつく情報やリコメンデーションを提供する”、という。

本日の第二の発表は、Google Sitesのデザイン新装だ。このプロダクトはユーザー企業の社内的情報ポータルみたいなもので、そこに決算報告とかニューズレターなど、いろんな情報を収める。今度の新しいデザインにより、ユーザーはドラッグ&ドロップによる編集や、リアルタイムのコラボレーションなど、Googleのそのほかのサービス、Google DocsやGoogle Sheetsなどで標準になっている機能が導入された。

またプレゼンテーションを便利にできるために、Google Sitesのコンテンツをスマートフォン、ラップトップ、大型モニタなど、いろんなサイズのスクリーンに表示できるようになった。

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これらの変更はまずアーリーアダプタープログラムの一環として提供されるが、Google Apps for Workの既存の顧客は誰でもそれに参加できる。Springboardのプログラムはここにあり、Google Sitesはここだ。ただしGoogleは、両サービスとも、“もっとほかにも新機能はあるよ”、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftがLinkedInを262億ドルで買収、エンタープライズ向けソーシャルメディアに参入

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エンタープライズ、そしてソーシャル・ネットワーク業界における巨額のM&Aの発表があった。MicrosoftLinkedInを買収すると発表したのだ。LinkedInは社会人のソーシャルネットワークで4億3300万ユーザーを抱える。買収額は260億ドル、1株辺り196ドルで現金で買い取る。この取引は両社の取締役会ですでに承認済みだ。

1株辺り196ドルという提案価格は、金曜日の引け後の価格 $131.08から随分と上乗せされている。(もちろん今日の株式市場開始前の取引ではLinkedInの株価は64%近く上昇し、Microsoftが支払う予定の株価に近くなった。一方、Microsoftの株価は株式市場開始前の取引で4%下がり、49.66ドルだ)。

LinkedInはブランドとプロダクトと維持し、Micorosoftのプロダクティビティとビジンスプロセス部門の一部となる。LinkedInのCEOであるJeff WeinerはSatya Nadellaに報告を上げることになる。

この買収案件は双方にとって影響が大きい。

Microsoftにとっては、同社のエンタープライズ向けサービスをさらに展開するための戦略に欠けていた部分を補うことができる。現在、Microsoftはほぼソフトウェアにしか注力していない(縮小している携帯端末ビジネスでは少しハードウェアも扱ってはいる)。

LinkedInの買収で、Microsoftはソーシャル・ネットワークとプロ向けコンテンツにおいて広いリーチを得ることになる。Microsoftは2012年にYammerを12億ドルで買収し、法人向けソーシャル・ネットワーキング分野への進出の意図を見せていた。LinkedInの雇用主と雇用者に特化した広範なソーシャル・ネットワークを得ることで、Microsoftは自社プロダクトを届ける潜在的な販売チャネルを得る。すでにMicrosoftを利用している企業に対しては、コラボレーションやコミュニケーションを補完する役割を担うだろう。

他にもこの買収案件においてLinkedInのビジネスが魅力的な要素がある。例えば、LinkedInはLynda.comを買収している。Lynda.comは、LinkedInがユーザーにオンライン学習ツールを提供する取り組みを進めるために買収していた。職業開発に関して一番先に思い浮かぶ場所という立ち位置を確立するためだ。MicrosoftにとってはLyndaを活用し、ソフトウェアプロダクトの販売を促進したり、それらの使い方の学習の手助けを提供したりできるだろう。

「LinkedInのチームは、世界のプロをつなげることを軸に素晴らしいビジネスを作り上げました」とNadellaは声明で伝える。「私たちは共に地球上の全ての人と組織の力になりながら、LinkedIn、Microsoft Office 365、Dynamicsの成長を加速さることができます」。

(ちょっと注記すると、この買収を受け、Microsoftが少し前に行ったコスト削減のためのレイオフと売却を別の角度から見ることもできるだろう)。

LinkedInにとって、彼らのソーシャルグラフ上でさらにソフトウェアを積み上げ、どんどんLinkedInとの差を詰める競合企業とどのように競うかという問題に終止符が打たれる。しばらくの間、LinkedInは競合する方向で事業を展開するように見えたが、直近のユーザーと収益の成長に関する課題、そして株価の継続的な下落を受け、LinkedInは守りの姿勢に入っていた。

「私たちが仕事の機会とのつながりを変えたように、Microsoftとの関係、そして彼らのクラウドとLinkedInのネットワークが合わさることで、私たちは世界の働き方を変えるチャンスを手に入れます」とWeinerは声明に綴る。「過去13年間、私たちはプロ同士をつなげ、彼らの生産性を高め、成功を後押しするという独自の立場を築きました。そして今後、会社の物語における新たな章でこのチームを率いることを楽しみにしています」。

これは、崩落しかけている会社を別の会社が拾い上げたという話ではない。LinkedInの株価は過去12ヶ月の最高値、1株258ドルから下落したものの、上場しているテクノロジー企業でも高いパフォーマンスを示している方だ。

一方のMicrosoftは、ソーシャルネットワーキングの分野で大成功を収めたことはない。Facebookの上場前に賢く投資したり、以前私たちが報じたようにSlackに関心を持ち、80億ドルで買収を試みようとしたりはした。だが、LinkedInのソーシャルネットワークがあれば、この分野でしっかりと足場を固めることができるだろう。

LinkedInは200以上の国で利用でき、月間アクティブユーザーは1億500万人だ。全体の登録ユーザーは4億3300万人だ。60%のトラフィックはモバイルで発生し、強力なSEOのおかげで、四半期におけるPV数はなんと450億あるという。また最大級の求人数を持ち、現在700万のアクティブな求人掲載がある。LinkedInのビジネスの一部分は確かに停滞している。特にMAUの成長率(昨年からたった9%しか伸びていない)だが、求人に関しては成長ビジネスだ。昨年から101%成長している。

LinkedInの現在の中核事業は求人広告で、それほどではないにしろユーザーのプレミアム・サブスクリプションのビジネスもある。採用ビジネス(名称は「Talent Solutions」)は2015年の全体収益の30億ドルの内の20億ドルを占めた。

そして、上記の写真を見て分かるように、共同ファウンダーで現会長であるReid Hoffmanが取引に関与している。

「今日はLinkedInにとって再創業の日です。私たちのメンバーとカスタマーにとって素晴らしい可能性が開かれます。両社の組む新たなビジネスをサポートしていくことを光栄に思います」とHoffmanは声明で伝える。「この取引、そして役員会がそれに同意するという決断を支持します。私はそれに従い、彼らの推薦と合わせて投票します」。

同社は、8時45分PTから、カンファレンスコールを開始する。下記は彼らが提示するプレゼン資料だ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Microsoftはビッグデータ分析とその応用プロダクトでApache Sparkに総賭けの姿勢

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Microsoftが今日(米国時間6/6)、オープンソースのクラスターコンピューティングフレームワークApache Sparkに、本格的にコミットしていく、と発表した

昨年、Sparkのエコシステムの浅瀬でちょっと足を濡らしてみたMicrosoftは、本日、いくつかのSpark関連サービスのプレビューを終えてそれらを公式ローンチし、またR Server for Hadoopのオンプレミスバージョンが今後はSparkベースになる、と発表した。R Serverの‘R’は、今人気がますます盛り上がっている、ビッグデータ分析とモデリングのためのオープンソースの言語Rを指す。

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さらにMicrosoftは、R ServerのAzureクラウドバージョンR Server for HDInsightがこの夏の終わりごろプレビューを終えて一般公開される、と発表した。なおSpark for Azure HDInsightは今すでに一般公開されていて、Hortonworksによる管理を伴うSparkサービスがサポートされる。MicrosoftのビジネスインテリジェンスツールPower BIも、今ではSpark Streamingをサポートし、ユーザーはリアルタイムデータをSparkから直接Power BIへプッシュできる。

これらの発表はすべて、Microsoftが“Sparkへの幅広いコミットによってMicrosoftのビッグデータ分析プロダクトを強化する”、と述べる方針の実現(の一環)だ。プロダクトはPower BIやR ServerだけでなくCortana Intelligence Suiteも含まれる。こちらはMicrosoftの複数のビッグデータ分析サービスを併用し、いくつかの機械学習ツールも利用するシステムだ。〔Cortana参考サイト

今週サンフランシスコで行われるSpark SummitでMicrosoftは、Google, Baidu, Amazon, Databricksなどなどと共にスポットライトを浴びる気でいる。その席でMicrosoftは、同社がSparkに今どれだけ入れ込んでいるか、その情報をシェアする、と約束している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

CoreOSが古典的ビッグサーバーではなく分散コンテナクラスタ向けに最適化されたストレージシステムTorusをオープンソースでローンチ

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CoreOSが今日(米国時間6/1)、同社の最新のオープンソースプロジェクトTorusをローンチした。Torusは、スタートアップやエンタープライズに、GoogleなどのWebスケールの企業が内部的に使っているものと同種の技術にアクセスさせよう、とする取り組みの一環だ。Torusの場合それは、分散ストレージである。

アプリケーションがコンテナでデプロイされ、それらがGoogle育ちのコンテナ管理サービスKubernetesを使っている場合、Torusはデベロッパーに、信頼性が高くてスケーラブルなストレージシステムを提供する。

CoreOSのBarak Michenerが今日の発表声明でこう述べている: “コンテナクラスタというインフラストラクチャにおけるパーシステントなストレージは、コンピューティングにおける今もっとも興味深い問題の一つだ。マイクロサービスが作り出し消費するデータの、膨大な量のストリームを、どこに保存すべきなのか。とりわけ、イミュータブルで離散的にコンテナ化された実行コードが、これほどまでに強力なデザインパターンになっているときには?”

つまりCoreOSのチームが主張するのは、既存のストレージソリューションはコンテナのクラスタが使うために設計されていない、という点だ。それらは大きなマシンの小さなクラスタを想定しており、一方今日のコンテナベースのやり方では、比較的小さなマシンで動く大規模なクラスタが主力だ。またコンテナのデプロイメントは、必要に応じてコンテナを迅速に始動しまたシャットダウンもする、というやり方だが、多くのデベロッパーは、これらのコンテナの上で動くアプリケーションにデータを供給できるパーシステントなストレージシステムを求める。

“クラスタの中で始動、停止、アップグレード、ノード間のマイグレーションを頻繁に繰り返すこれらのコンテナマイクロサービスのためにパーシステントなストレージを確保することは、モノリシックなアプリケーションのグループや、まして複数の仮想マシンが動く単一のサーバーを支えるストレージを提供することのように単純ではない”、とMichenerは書いている。

Torusは、ファイルの保存と取り出しにキー-ヴァリュー方式のデータベースを用いる。それならノード数数百までスケールできる、とCoreOSは主張する。今の、初期的バージョンのTorusは、ファイルをNetwork Block Deviceによるブロック指向のストレージとして露出する。しかしそのシステムは拡張性を前提としているから、今後誰かが必要なツールを作って、Torusの上でオブジェクト指向のストレージシステムがサポートされることを、CoreOSは期待している。

Torusは、CoreOSのLinuxディストリビューションCoreOSや、コンテナエンジンrkt、ネットワーキングツールflannelなどと共に、同社のオープンソースプロジェクトの一員になる。これらと、さらにそのほかの多様なツールが相まって、同社の商用製品であるコンテナ管理システムTectonicや、ソフトウェアコンテナの構築、保存、および配布を行うQuayなどを動かしている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Slackが統計を発表―このエンタープライズ向けチャットにユーザー殺到中

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毎日Slackにログインしてチャットする人間はたいへんな人数になってきた。

今日(米国時間5/25)、エンタープライズ向けコミュニケーション・プラットフォームのSlackeが公式ブログでいくつかの数字を発表した。

それによるとSlackは現在も成長の速度を緩めておらず、わずか1年で一日あたりアクティブ・ユーザー(DAU)は3倍になり、この8ヶ月だけでも2倍になっている。

  • チャット、画像その他のファイル送信、ギフトの送付などのためにSlackを毎日利用するユーザーは300万人
  • 200万人がサービスを同時に利用

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こうした統計はSlackが上向きであることを十分に示している。この数ヶ月メディアでなりを潜めていたのはSlackのエンジニアがユーザー体験の改良に全力を上げていたためらしい。このサービスにはすでに音声とビデオでのチャット機能の追加計画を発表しているが、今月に入ってSlackを利用してサインインする機能も追加された。これはFacebookのユニバーサル・ログインのエンタープライズ版と思えばよいだろう。

Slackはこの4月に2億ドルを調達し、調達総額は5億)ドルとなっている。現在の会社評価額は38億ドルだ。今回発表されたユーザー統計は十分にポジティブだ。それでもビジネス・ユーザーが毎日Slackに殺到するスピードを十分に伝えているとはいえい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google対Yahoo—インターネット戦争でどうしてここまで差がついたのかを振り返る

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この記事はCohesityのファウンダー、CEOでCrunch NetworkのメンバーMohit Aronの執筆

独立企業としてはYahooは最後の日々を迎えつつあるようだ。一方、GoogleはAppleと時価総額世界最大の企業の座を争っている。わずか10年前と少し前には、YahooとGoogleが激しく競争していたとは信じがたい。

当時、現在のような状態を予測できたものは誰もいなかっただろう。両社の状況にやがてこれほど大きな差がつくと、誰にせよ当時予測できたと考えるなら馬鹿げている。そうではあっても、GoogleとYahooの歴史を振り返ることからわれわれは多くを学べると思う。

私は2003年に Googleで働き始めた。GoogleとYahooは当時急成長中だったウェブの覇権をめぐって激しい競争を繰り広げていた。この問題には非常に多くの要因が影響を与えていたが、中でも最終結果に決定的な役割を果たしたと思われるのが、それぞれの企業のコアとなるインフラへの取り組み方だったと思う。

私はこの記事の主役ともいうべきGoogle File Systemの開発に密接に関係していたので、それが見方に影響を与えているだろう。そうであってもGoogleとYahooのインフラに対する態度を比較することからわれわれは急速に変化するテクノロジー世界にあって持続性の高いビジネスの構築の方法について多くの教訓が得られそうだ。

当面の対応 vs. 将来の持続性

21世紀に入ってインターネットが普及期に入ると、検索、メール。、地図などのサービスの規模、需要が爆発的に拡大し始めた。これに対応する方法がGoogleとYahooでは鋭い対照を見せた。Yahooの場合、NetAppシステムという形で必要とされるサーバー数の猛烈な速度での増大に対処しようとした。YahooのほとんどのサービスはNetAppストレージ・デバイス上で作動するようになり、同社のサーバーの設定と追加は非常に簡単になった。これによりYahooは需要に対応することに成功し、自身としてもNetAppデバイスの最大のユーザーとなった。

しかし(たまたま近所のマウンテンビューに本社を構えた) Googleは独自開発のソフトウェアをインフラとする戦略を採用した。これはその後GFS―Google File Systemとして知られるようになったが、専用ハードウェアではなく、あらゆるサービスに対応可能な汎用性の高いソフトウェアを中心としたエコシステムを構築しようというものだった。Google File Systemはコモディティー―安価な市販品―のサーバーを用いて柔軟かつ故障耐性の高いシステムを構築することにより、スケーラビリティーと信頼性の問題を同時に、かつ決定的に解決するものだった。Googleが地図からクラウド・ストレージまで多様なサービスを簡単、高速に展開することを可能としたのはGFSだった。

スケーリングの複雑な側面

ミッション・クリティカルな分野でGFSを利用できるようになるまでにGoogleは4年をかけている。Googleが開発に投入した人員、資金などのリソースは莫大なものだ。その間、Yahooは専用ハードウェアをベースにしたNetAppファイルを急速に追加し続け、拡大する需要に対処していた。インターネット・ビジネスの世界でYahooははるか先を行っているように見えた。

しかし、Yahooの「市場ニーズに即座に対応する」というアプローチにはやがてほころびが出始めた。需要の規模と多様性が拡大し続けるにつれ、専用ハードウェア・ベースのインフラは開発作業の重複という問題をし始めた。これは効率を下げ、最後にはコストの上昇を招いた。Yahooが新しいサービスを始めるつど、そのサービス専用にNetAppプラットフォームを改造する必要が生じた。

Yahoo検索とYahooメールが直面した技術的課題は同種のものであったにもかかわらず、それぞれが異なるカスタマイズを受けたNetAppで作動していたため、技術陣は別々に問題を解決しなけれならなかった。これはリソースと非効率性の著しい増大を意味した。全社的に共通のプラットフォームは存在せず、異なるサービスは異なるサーバー、異なるコンピューティング能力を必要とした。.NetAppハードウェアのコストはYahooの規模の拡大と同じ速さで増大し、Yahooの利益の大きな部分に食い込むこととなった。

解決法を探す前に、問題を徹底的に理解することが重要

これに対して Googleは、規模を拡大し新サービスを追加するときに起きるはずの問題を、それが起きる前に予期し、効率的に対処できるようGoogle File Systemの開発に全力を挙げた。その結果、たとえばYouTubeを買収したとき、GoogleはYouTubeのエンジニアに対し「きみらのバックエンドは捨ててわれわれのファイルシステムを使いたまえ」と指示することができた。すべてのGoogleサービスはGFS上で作動していたので、エンジニアはたった一度のGSFのアップグレードで全社のサービスをアップグレードすることができた。

また汎用性の高いGFSを利用できたため、コンピューティング・パワーを異なるサービス間で共有することが簡単だった。検索を実行しているサーバーに処理能力の空きが生じたら直ちにメールの処理に移ることができた。しかもこうしたサーバーはコモディティー製品だったので、ムーアの法則に従い、日々急速に価格をげていた。

これに反してYahooでは開発の複雑性と処理コストが爆発的に増大し始め、 新サービスの追加でGoogleのペースについていくことが不可能になっていった。

ゼロから考えることの重要性

後から考えれば、これはアーキテクチャーの柔軟性の重要さを示すものと言えるかもしれない。しかしこうした例は、アプリケーションややインフラの開発といったテクノロジー企業特有の分野を超えて、持続性のあるビジネスを構築する上で何が重要かを示す教訓にできるのではないかと思う。私がGoogle時代に学んだもっとも重要な点は「解決法を探す前に、問題を徹底的に理解することが重要」ということだった。

何であれ問題を見たら、解決法をゼロから考えることが重要だ。エンジニア(多くの場合、同時にファウンダーでもある)は既存の解決法に引きずられてはならない。これまでにこれこれの対策が取られてきたなどいう情報にはまず目をつぶることだ。自分自身が理想と考える解決法を編み出すことが大切だ。それを得たならば、既存の手法を検討し、どれを用いることができるか、どこを改良すればいいのかを考える手順となる。

スタートアップが既存の大企業をひっくり返し、そのサービスで自らの地位を確立するためにはこれが必須の条件となる。AmazonはAWSというIaaSをスタートさせることによって、ハードウェアのリースと処理のアウトソーシングの王者としてエンタープライズITに君臨してきたComdiscoを倒産させた。スタートアップに席巻されたくない大企業にはこれが教訓になった。たとえばFacebookは現在もサーバーからデータセンター、カメラまで独自のインフラ開発に全力を投じている。

往々にして「ゼロから考える」ことは目先の成長を犠牲にする場合がある。動きの速いシリコンバレー企業にとっては、その意味で「苦い薬」だが、長期的な持続可能性を考えたとき避けては通れない。即効性はあるもののその場限りの対応は結局のところ複雑性と処理コストを加速度的に増大させるというはるかに重大なリスクを持ち込むことを意味する。Googleはあらゆるウェブ・サービスに適用可能な柔軟性と単純性を目標としてGFSを開発した。それに対してYahooの複雑なインフラは、一時的に成功を収めたものの、長期的にはYahooのビジネスに今日見られるような限界を持ち込む原因となった。

画像: Pedro Ângelo/Flickr UNDER A CC BY-SA 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

WordPressホスティングサービスのMedia TempleがAWS上でサービスのエンタープライズバージョンを展開

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Media Templeが今日(米国時間5/17)、新たにエンタープライズクラスのWordPressホスティングサービスを立ち上げる。ここで興味深いのは、この今やGoDaddyがオーナーである企業が、AWSの上でサービスをホストすることだ。

つまりこのプロダクトには、同社の(mt) Oneによるきめ細やかなWordPress運用サービスと、サポートサービスのCloudTech Premier、およびAmazonのクラウドコンピューティングサービスのスケーラビリティが組み合わされている。

Media Templeのようなホスティング企業が自前のサーバーではなくAmazonのプラットホームからサービスを提供するのは奇妙に思えるかもしれないが、実は同社はすでに、AWS上の管理サービスを伴うクラウドホスティングを、前から提供している

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MediaTempleのプロダクトマネージメント担当シニアディレクターBrendan Fortuneによると、“Media Templeのサーバーも悪くはないけど、仮想プライベートサーバーではできないことがAmazonの技術ならできる、という場合もある”、という。たとえばAmazonのサーバーレスコンピューティングサービスLambdaとか、EC2 Container Serviceによるロバストなコンテナサポートなどだ。Fortuneによれば、Amazonのコンテナ管理サービスを利用した方がMedia TempleもWordPressのデプロイを、ニーズに応じて迅速にスケールアップ/ダウンできる。

そしてそれは同時に、ユーザーに安心感を与える、ということでもある。たとえばユーザーは専用のアカウントマネージャーを持ち、いろんな問題を解決できるとともに、ユーザーとMTが共にプロアクティブに仕事ができる。WordPressのインストールそのものはMedia TempleのCloudTechのチームが行うが、そのときモニタリングシステムを使ってインストールの過程を見守ることもできる。

セキュリティ問題の監視やWordPressインストールのパッチの自動化などはMedia Templeが本来的に提供するが、同時にAmazonのDDoS防御システムCloudFrontの利用もできる。

ただしユーザーへの課金に、AWSの料金が直接現れることはない。Media Templeとしてのプランは2つあり、ひとつは月額2500ドルのエンタープライズ標準プランで、サイトは5つ、クラウドストレージは1TB、月間最大1.5TBまでのCDN利用、コンテナを使用するEC2インスタンスは最大10まで、AmazonのRDSデータベースの利用、などがセットとなる。

もうひとつの、“最大パフォーマンスプラン”は、カスタムメイドのプランなので、料金はその構成によって異なる。

料金を見てもこの新しいエンタープライズホスティングサービスが、巨大企業までは行かない中〜大企業をねらっていることが分かる。一見高い料金のようだが、従来の同社の、管理サービス付きWordPressホスティングサービスPagelyも、ハイエンドのプランではこれぐらいの料金になる。

Fortuneによると、AWS以外にAzureやGoogle Cloud Platformなども検討したが、チームが比較的よく知っている技術であることと、AWSのコンテナサービスを使いたい、というところからAmazonに決まった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

GoogleのBigQueryによる大規模データ分析をGoogle DriveやGoogle Sheetsのユーザーにも可利用に…CloudとAppsの融合を進める

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Googleが今日(米国時間5/6)、Google Cloud PlatformとGoogle Appsのツールを部分的に接近させるような発表を行った。Googleの、サーバー不要(serverless)の分析型データウェアハウジングサービスBigQueryが、これからは、Google Driveからファイルを読んだり、Google Sheetsのスプレッドシートにアクセスできるようになる。

これまでは、Googleのクラウドコンピューティングサービスと、Google Appsの消費者ないし企業向けの一連の生産性ツールは、まるで両者間にファイヤーウォールでもあるかのように、互いに遮断されていた。しかし今日Googleのスポークスパーソンが述べたところによると、同社は今、両サービスを統合するためのより良い方法を模索しており、それにより今後はGoogle AppsとGoogle Cloud Platformの両方を合わせたような、統一的ソリューションを提供していく予定だ。

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そのスポークスパーソンはこう語る: “Diane Greeneが何度か指摘したように、顧客はGoogleの複数のプロダクトを使っているので、弊社としてもエンタープライズチーム全体との協働により統一的なソリューションを作り、最良のユーザー体験を提供していきたい。今回の統合によって、高度で大規模なデータ分析を生産性アプリケーションのエンドユーザーが気軽に利用できるようになり、データ主体のワークロードを単純化し、エンタープライズの顧客がGoogle Cloud PlatformとGoogle Appsの両方を容易に使いこなせるようにしていきたい”。

具体的にはこうなる: ユーザーはBigQueryによる分析結果を直接、Google Sheets(“GoogleのExcel”)にエキスポートできる。またBigQueryから直接、Google Driveのファイルにアクセスして分析を行える(データをいったんBigQueryにロードする必要がない)。さらにBigQueryは、編集中のGoogle Sheetsにも直接アクセスできる。

ユーザーはGoogle Driveに、最大5TBまでのファイルを保存できる。BigQueryはもっと大きなデータベースでも楽に扱えるが、でもGoogle Driveからのユーザーは、もっと小さなファイルを使用/保有しているだろう。非常に大きなデータベースともなれば、BigQueryの料金も必ずしもお安くはないが、各月の最初の1TBのデータ処理は無料だから、小さなデータ集合やGoogle Drive上の大きなスプレッドシートでBigQueryを試すぶんには、ふところもほとんど痛まないだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

SAP、Appleとの提携を発表。iOSをエンタープライズに拡大

A man walks up the stairs at the Apple Store in Grand Central Station February 25, 2016. 
Apple has been in a legal fight with the government in the San Bernardino case, where the FBI wants the company to help hacking the iPhone of Syed Farook, a US citizen, who gunned down 14 people with his Pakistani wife Tashfeen Malik in the California city in December. / AFP / Timothy A. CLARY        (Photo credit should read TIMOTHY A. CLARY/AFP/Getty Images)

SAPは今日(米国時間5/5)、Appleと幅広い提携を発表した。iOSをSAPのエンタープライズ顧客ベースに拡大する。この発表のほぼ2年前、AppleはIBMと同様の提携契約を結んでいる。

SAPのデジタルエンタープライズプラットフォームのプレジデント、Steve Lucasは、両契約に類似点があるのは当然だが ― 大きなエンタープライズ企業がAppleと契約した ― 大きな違いがあると言う。

まず、SAPは厳然たるエンタープライズソフトウェア会社であり、ERP製品、SuccessFactors、あるいはConcur等、同社が開発した全ソフトウェアをアクセスできるクラウドプラットフォームを作っている。この中核部分は、間違いなく差別化要因だと彼は考えている。

それでも似た点はある。IBMと同じく、SAPはAppleと密接に作業することによって、その徹底したデザインセンスを取り組みに生かそうとしている。この提携の目的は、iPadおよびiPhoneでの業務を革新することに留まらない、とLucasは言う。

Appleがエンタープライズ市場に大きく進出したがっていることは自明であり、この種の契約は同社のエンタープライズでの位置づけを確立し、従来PC世界 ― 即ちMicrosoft領域 ― だった企業にAppleハードウェア製品を売る推進力になる。

こうした提携を後押しする主な要因は、iPhoneとiPadの驚異的な人気だ。社員はこれらの機器を職場に持ち込むようになるにつれ、企業にカスタムアプリの開発等、自分たちの要求を満たすことを要求する。これを、大企業でのデジタル転換の動きと合わせると、企業はiOSデバイスや、それをどう使って会社の転換に役立てるかを深く理解する必要がある。

SAP CEO Bill McDermott with Apple CEO Tim Cook.

AppleのCEO Tim CookとSAPのCEO Bill McDermott。写真提供:SAP

SAPは、自社顧客にiOSを推進するプログラムを複数発表しており、まずiPadとiPhoneでSAPツールに保存されたデータを利用するためのアプリ群を提供する。同社のインメモリーデータベース製品、SAP HANAのためのiOS SDKも提供し、企業がSAPの開発したアプリを使うだけでなく、HANAに蓄積したデータを使うカスタムアプリを自社開発できるようにした。

「われわれは、これまでと全く異なる方法で企業にアプローチしようとしている。それは主として、Appleのアプリデザインに対する考え方によるも。これらのアプリが、iPadとiPhoneでの業務を革新するという使命を果たすことを私は強く信じている」とLucasはTechCrunchに語った。

そして、IBMと同じく、教育なくしてこの種の契約はない。SAPは、iOS版SAP Academyを、SAPプログラマーが HANA iOS SDKの使い方を学習する教育の場として提供する。Lucasは、同社がこの教育に強く力を入れていると言い、発表して数ヵ月で消えてしまうものではなく、将来に向けて続けていくことを約束した。

SAPとAppleの関係はまだしっくり来ないと感じるかもしれないが、IBMが2014年に提携を結んだ時も、眉をひそめる人たちはいた。しかし昨年末までに、Apple – IBM提携によるアプリは100種類となった ― それ以降も確実に数は増えている。

実は、SAPも100種類のアプリを作る計画だ。アプリもSDKもまだ提供されていないが、今年中にベータテストを始めるつもりだと言っている。Lucasは、多くのアプリが既に開発中だがまだ公開準備ができていないと話した。

Appleは、昨年夏にCiscoとも提携している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

MicrosoftがイタリアのIoTプラットホームSolairを買収、Azure IoT Suiteに起用か

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Microsoftが今日(米国時間5/3)、2011年に創業されたイタリアのIoT企業Solairを買収した、と発表した。それは、格納式の日よけを作っている合衆国のSolair社ではない。

Solairはすでに、MicrosoftのクラウドコンピューティングプラットホームAzureを使ってサービスを提供しているので、Microsoftがその技術をAzure IoT Suiteに統合したいと考えても不思議ではない。しかし今のところは、Solairに関するMicrosoftの計画はよく分からないし、ただ声明文で“彼らの技術と才能はすばらしい…彼らをMicrosoftのチームにお迎えすることは喜ばしい”、と言っているだけだ。

買収の価額等条件は、公表されていない。

Solairはまだ知名度の低い企業だが、すでに多様なクライアントを抱え、その中にはイタリアのエスプレッソマシンのメーカーRancilio Groupや、食品加工機械のMinerva Omega Groupなどがいる。

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MicrosoftのPartner Director for Azure IoT、Sam Georgeはこう語る: “Solairは、顧客が彼らの未使用データを有効活用してIoTによる新しいインテリジェンスを作ることを、われわれがお助けする、という弊社の強い意思を共有している。そして今回の買収は、エンタープライズのためのもっとも完成度の高いIoTを提供していく、という弊社の戦略を支える”。

Solairは、IoTシステムの構築に必要なほとんどすべてのツールやサービスを提供しており、その中には、データ収集のためのゲートウェイや、カスタムデプロイメントのためのエンタープライズプラットホーム、既存のサービスとの統合、などがある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google、ハードウェア事業を単一組織に統合―トップはMotorola元CEOのRick Osterloh

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〔この記事の筆者はStefan Etienne〕

Re/codeによれば、Motorolaの元CEO、リック・オスターロー( Rick Osterloh)が Googleに復帰してハードウェア事業全般を統括することになった。われわれの取材に対し、Googleの広報担当者もこのことを確認した。Googleがすべてのハードウェア製品を一人の人間が指揮する単一組織にまとめたのはこれが初めてだ。

オスターローの新しい責務には、Nexus、Chromecast、 Pixe、OnHubルーター、ATAP(Project Araを担当する開発部局)に加えてGoogle Glassが含まれる。

これらの製品を担当するチームは今後はオスターローの指揮下に入る。オスターローはLenovo傘下のMotorolaのCEOを先月辞職していた。今後はGoogleのすべてのハードウェアのボスとなる。

テクノロジー産業としての見地からすると、Googleがすべてハードウェア・プロダクトを1人の経験豊富で注意深い人間の指揮下のまとめるのは理にかなっている。対OEM企業など外部とのコミュニケーションもスムーズになるし、Googleの組織も全般的に分かりやすくなるだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+