HTCの企業価値が事実ゼロに―製品に深刻な脆弱性も

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一時はスマートフォンのトップ・ブランドの一角を占めたHTCの企業価値が事実上、ゼロになった。今年に入って株価は60%も下落していたが、週明けにさらに9.8%下げ、ついに現在の時価総額がHTCの手持ちキャッシュの額より低くなった。株式市場はキャッシュを除くHTCの工場、ブランドその他一切の資産の価値をゼロとみなしているわけだ。

さらに悪いことに、HTCのOne Maxをアンロックするための指紋認証データが暗号化されず、だれでも読める状態で格納されていることが発見された。セキュリティー上、最悪の違反である。ハッカーは簡単に /data/dbgraw.bmpファイルを読みだして認証データを得ることができる。

一言でいって、HTCはまずいことになっている。

われわれのJon Russell記者も書いているとおり、HTCも対策を取らなかったわけではない。しかしHTCやSamsungは低価格モデルで新興中国勢との競争にさらされており、フラグシップモデルではiPhoneという強力きわまりないライバルが存在する。

2006年にHTCが携帯電話を製造し始めたとき、市場はいくつかのセグメントにはっきり分かれていた。ひとつはキャリヤの援助で事実上無料で提供されるベーシック・モデルで、搭載されたJavaプログラムができることといえば電話帳の管理くらいだった。中位のモデルはHTC WizardやSamsung Blackjackなどで、無数の新製品が毎月発表されていた。最上位にはビジネスパーソンの向けのBlackberrykeがあり、やがてiPhoneが登場し、GalaxyのようなAndroidのフラグシップモデルがその後を追った。携帯電話入門者向けの安価でベーシック製品から、マニア向けの高機能上位モデルまで、価格による住み分けができていた。

しかし現在の市場は「iPhoneとそれ以外」に色分けされている。スマートフォン市場は全体として飽和点に近づいている。製品アップデートのサイクルも長くなっている。中間価格帯の市場が事実上消滅し、ユーザーは高価なモデルを長く使う層と、恐ろしく安い機種を買う層に二極化した。

今週、HTCはワンツーパンチを食ってしまった。株価の続落と製品の脆弱性の発見はさらなる株価の下落を招き、フランド・イメージも低下するだろう。 HTCはMotorolaを見習って真っ逆さまに転落するのをなんとか食い止めることができるかもしれない。しかし市場には無数のスマートフォンが溢れており、ビジネス環境は非常に厳しい。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

先月の腕時計販売額が10%も下落したのはスマートウォッチのせい?

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NPDの調査によると、Apple Watchの発売をうけて、アメリカの時計売上が2008年以来最低の水準になっているのだそうだ。7月の腕時計の売上額は3億7500万ドルで、これは昨年比で11%の下落となっているのだとのこと。

この下落幅は、2008年の経済危機の中でのものに匹敵するものなのだそうだ。

ただし、売上額の大幅減少の原因がAppleにあるというのは言い過ぎであるだろう。しかしPebble、Motorola、Fitbit、そしてAppleなどが次々にスマートウォッチを発表していることが、ファッションウォッチ市場に影響を与えていることは間違いないものと思われる。

もともと、夏は腕時計メーカーにとって厳しい季節ではある。卒業記念にロレックスをというシーズンでもない。まとまった祝日もなく、免税商品をかいまくる旅行者もやってこない。いずれにせよ、売上成績が落ち込む時期ではあるのだ。

さらに加えて、メーカー側が消費者の動向に応じた細かなモデルチェンジなどに気乗り薄であるらしいこともある。ローエンド機種ではSwatchのSistem 51が人気を集めたりもしているが、多くの時計メーカーはホリデー販売の依存する低価格なファッションウォッチ市場から撤退しつつもあるのが現状だ。

すなわち、そもそも腕時計業界は停滞期にあるわけだ。今ではFossilとFitbitに悩んだときに、テックに親しんだ若者たちはFitbitを選ぶ時代だ。腕時計にいろんな価値を見出していた年代には受け入れがたいことかもしれないが、腕時計業界は大きく変化しつつあるのだ。

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(翻訳:Maeda, H

249ドルのアクション・カメラ、Graavaはハイライト場面を抽出し、指定の時間に自動編集してくれるすぐれもの

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GoProはすばらしいガジェットだが、面白い場面を探して編集するのは非常に時間のかかる作業になる。新しいアクション・カメラ、Graavaがユニークのは、編集を自動でやってくれるる点だ。Gravaは今日(米国時間8/5)から249ドルで 予約受付を開始した(市販価格は399ドルの予定)。 Graavaカメラはビデオ中の動き、音に加えて加速度計とGPSのデータ、ユーザーの音声による指示を解析して興味ある場面を自動的に抽出する。ユーザーがハイライト・ビデオの長さを指定すると Graavaのアプリはその長さに合わせてシーンを抜き出しビデオを編集する。制作されたビデオはどこにでもアップロードして共有可能だ。

Graavaは8メガピクセル、1080p, 30フレームの動画を連続3時間撮影できる。出荷は2016年2月の予定。

Graava Product

もしこのビデオの自動編集ソフトが満足がいく効果を挙げられるなら画期的なことだ。750,000 in funding. Facebook、YouTube、Twitterなどはユーザーが興味あるビデオを簡単に投稿できるようにテクノロジーには絶大な関心を示すだろう。Graavaはこれまでに75万ドルの資金を調達しただけの小さなスタートアップだが、一躍大型買収の対象になるかもしれない。

下のビデオでGraavaのファウンダーにインタビューし、概要を紹介しているのでご覧いただきたい。

編集よ、さらば

ブラジル出身のファウンダー、Bruno Gregoryは危うくアクション・カメラを身につけたまま死ぬところだった。友達とバークレーヒルをサイクリングしていたとき、ひき逃げに遭ったのだ。幸い、カメラが犯人の車のナンバーを撮影していた。「われわれが警察にビデオを見せるとわずか10分後に犯人が捕まった」とGregoryは言う。

これでアクション・カメラの威力を再認識したGregoryだったが、すぐに長時間の編集作業に耐えられなくなった。友達に見せられるようなクリップを編集するのに手間がかかりすぎるのだ。

Graava Detection

そこでGregoryはGraavaを開発することを思い立ったという。ソフトウェアは、動画内のシーンの転換、対象の動き、カメラの加速、移動、環境音、ユーザーの声による指示をベースに重要と思われる部分を抜き出す。ユーザーは撮影中に編集で残したいシーンに出会ったときは”Graava!”と叫べばよい。

私はサイクリングのビデオを編集したデモを見たが、単に列になって走っているだけの退屈な部分はカットされ、美しい景観が開けてくるところや他のサイクリストとのすれ違いなどが巧みにハイライトされていた。

Graava本体をカラフルな専用ケースに入れ、クリップを取り付ければヘルメットやゴーグル、自転車のハンドルなどに装着できる。

Graava App All

ユーザーは家に帰ったら、カメラを取り出して無線充電器にセットする。充電器は充電しながらコンテンツをGraavaのクラウド編集サーバーに送る。充電器に取り付けた状態で撮影もできるのでホームセキュリティー、子供や老人の見守り用、ドラ初レコーダーにも使える。

ユーザーはスマートフォンでGraavaアプリを起動してビデオの長さを指定する。スマートフォン内の音楽をBGMに指定することもできる。

また自動編集で漏れた部分をマニュアルで追加することもできる。

Graava Stand

なんでも、いつでも撮影する世代向けに理想的なカメラか?

Graava Clip

GraavaはGoProの最安モデル(130ドル) ほど安くないし、フラグシップモデルのような4k機能もない。記録媒体(SDカード)はユーザーが用意する必要がある。しかしバッテリー駆動時間はGoProの2倍もある。この点は「いつでも、なんでも録画する」ユーザーに理想的だ。

しかしなんといってもGraavaの成否のカギは自動編集機能にある。私も動画は「おい、あれすごいな!」というような状況にあったときにiPhoneで撮影するのがせいぜいだが、自動編集機能が本当に有効なら、動画を撮影した場面はたくさんある。

ともかく撮影すればよい。Graava が後の処理をしてくれる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Garmin、スマートフォンとの連携も強化した安価なワークアウト用腕時計のForerunner 25をアナウンス

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スマートウォッチが気になってしょうがないという方。Garminはいかがだろう? 新たにForerunner 25というモデル発表された。ワークアウト用の安価なデバイスなれど、カラーバリエーションは豊富で、心拍、速度、距離などの履歴を記録しておくことができる。歩数もカウントし、スマートフォンと連動してワークアウト中にも必要な通知を送ってくれる。

今回のモデルは、従来のエントリーモデルであるForerunner 15にかわるものだ。50メートル防水で、前モデルよりも薄くなっている。胸に装着するリモートバンド(別売りのモデルもある)にて心拍も記録でき、またGPSを利用してランニングのペースなどを記録することもできる。

夏のオリンピックを目指してトレーニングをするという人には物足りない面があるのだろうが、5Kイベントへの参加を考えていたりする人にはとても良いだろうし、何より手軽に使い始められるのが良い。明るいカラーで、大画面にシンプルな情報を表示するのはとてもわかりやすい。もちろんイブニングドレスとあわせるなどということはできないが、ふつうの時計サイズにさまざまな機能が詰め込まれているのは嬉しい。バッテリーはトレーニングモードで10時間、時計モードなら10週間もつのだそうだ。すくなくともこの面ではApple Watchを圧倒的に凌駕している。

訳注:出荷はQ3予定で、価格はハートレートモニタ同梱モデルが199.99ドル、別売りモデルが169.99ドルであるとのこと。

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(翻訳:Maeda, H

DJI、操作性に優れ撮影性能を高めた新型ドローンのPhantom 3 Standardを発表

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DJIは「空飛ぶインテリジェントカメラ」を標榜するDJI Phantom 3 Standardを発表した。HDビデオカメラを搭載し、1度の充電で25分間の飛行を楽しむことができる。また撮影対象を指定して追跡撮影するモードも備えている。

カメラは12メガピクセルで、2.7K HDビデオを撮影できる。またジンバルも搭載しており、安定した撮影を行うことができる。撮影するビデオは、ほぼリアルタイムでスマートフォンにストリーミングすることができ、フリック動作ひとつで保存することができる。GPSおよびWi-Fiも内蔵している。

このモデルは、基本的にはより簡単に快適な飛行を楽しみたいという人に向けたものだ。Phantomシリーズはいずれも操作性の良さが評判だが、Standardモデルでは操作方法や機体の反応を向上させて、障害物と衝突してしまうような事態を防ぐようになっている。価格は10万8000円だ。

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(翻訳:Maeda, H

Apple、21.5インチ、 4K RetinaディスプレイのiMacを準備中

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27インチの5K retina iMacはデスクトップ・コンピュータの最高峰のひとつだが、多くのユーザーにとって高価すぎる製品だ。しかしこれが近く変わりそうだ。最新のOS X El Capitanのベータに21.5インチ、4K解像度(4096 x 2304)の新しいiMacの情報が含まれていた。この製品は数ヶ月以内にリリースされるようだ。

フランスのウェブサイト、Consomac は最新のEl Capitanベータ中にいくつか興味ある画像を発見した。その中の二つは新しい5K iMacだった。

しかし3番目はまったく新しいモデルだった。画像の説明によると、これはretinaディスプレイ装備の21.5インチiMacだという。解像度は4096 x 2304で、これは既存モデルの2倍強だ。現行の21.5インチiMacのディスプレイは1920 x 1080だ。つまりユーザーは4Kビデオをネーティブの解像度で再生することができる。4Kビデオの制作にあたるプロ、ハイアマにとって朗報だ。

El Capitanの画像ではiMacのデザインは現行のものと全く同一だ。 Appleは今年はiMacのデザインをアップデートする計画はないらしい。

現行の21.5インチiMacの価格は1099ドルから〔12万6800円〕からとなっている。retina版は当然これより高くなるだろうが、27インチ版よりはかなり安くなるはずだ。この新しいiMacで製品ラインの大きな穴を埋めることができる。これまでretinaディスプレイが欲しいユーザーは15インチのMacBook Proと27インチ5K のiMacのどちらかを選ばなければならなかった。

私はAppleが外付ディスプレイをアップグレードしてくれるとうれしい。 現行の外付けディスプレイは基本的に2010年に発表されたもので、2011年Thunderboltコネクタ対応にアップデートされた。サイズは27インチだが解像度は2560 × 1440しかない。今日情報がリークされた21.5インチのiMacでもこれよりはるかに解像度は高い。Thunderbolt 3も近く発表されるそうだし、それを機に新しいretina外付ディスプレイの登場を期待したいところだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

自撮り機能を大幅に向上させたソニーの新スマートフォン。但し目にする機会はないかもしれない

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すでにご存知のこととは思うが、ソニーからミッドレンジのスマートフォンが2台、発表されている。この2台は「ソニーが最も得意なこと」にフォーカスしたデバイスだ。すなわち搭載しているカメラの魅力を前面に押し出すものとなっているのだ。これまたほとんどの人がご存知だと思うが、ソニーはスマートフォン用カメラのトッププロバイダーのひとつだ。大手もこぞってソニープロダクトを採用していて、たとえばAppleのiPhone 6やSamsungのGalaxy S6といったフラッグシップモデルが、ソニー製のカメラを搭載している。

細かな説明はともかく、実物をみてみよう。

Sony Xperia C5 Ultra

スマートフォンでは、背面カメラに比べて劣るスペックのものを前面カメラとして搭載するのが一般的だ。しかしXperia C5 Ultraは背面に1300万画素のカメラを搭載しつつ、前面側にも同じく1300万画素のものを採用しているのだ。レンズは22mmの広角で、自撮りの際に便利に使うことができる。もちろんフロント側にもフラッシュを搭載し、暗い中での自撮りも可能となっている。

カメラ以外についても触れておくと、ディスプレイは6インチだ。64bitで1.7GHzのオクタコアプロセッサーを搭載し、RAMは2GBとなっている。発売開始時期は8月とのこと。

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Sony Xperia M5

M5の方は、C5と同じ前面カメラを搭載しているが、背面カメラのスペックをさらにあげている。背面カメラの画素数は2150万で、4Kビデオにも対応している。こちらの画面サイズは5インチで、M4 aquaに搭載されていた防水機能も備えている。

プロセッサーは64ビットで2.0GHzのオクタコアとなっており、RAMは3GBでバッテリー容量は2600mAhだ。こちらもやはり8月の出荷開始となっているそうだ。

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C5 UltraやM5を目にすることはあるだろうか?

実のところ、ソニーはスマートフォン市場では苦戦を強いられている様子だ。売上台数も昨年比で16.3%の低下となり、この四半期でも大幅な赤字となっている。

ただしこのことは、ソニーが全体的に不調に陥っているということを意味するのではない。プレイステーション4やカメラセンサー分野などの好成績により、7億8000万ドルの利益をあげているのだ。AppleやSamsungのスマートフォンが売れるたびに、カメラセンサー部門の利益が積み上げられるという状況にもなっている。しかしながら、ソニー製のスマートフォン本体が売れていないという現実はある。

Xperia C5 UltraやM5は、今後における「スマートフォンカメラの可能性」を示すものだとは言えるかもしれない。ただ、誰もソニー製スマートフォンを購入せず、その可能性を体感するには、他メーカー(AppleやSamsungなど)の動きを待つ必要がありそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

“スポーツのためのIoTデバイス”を開発するLemonade Lab、foxconnグループから580万ドルの資金調達

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スマートウォッチがあなたの運動記録を計測しますなんていう話はよくあるけれども、ではその取得したログデータを解析し、実用的なデータとしてリアルタイムに利用できるというサービスはまだまだ少ないような気がする。特にスポーツになるとなおさらだ。スマートウォッチの小さい画面では表示できるデータに限りがあるし、大画面化しつつあるスマートフォンをスポーツ中に持ち歩くのもちょっと面倒だ。

そんな課題を解決すべく、独自にスポーツ特化のIoTデバイスを開発しているのがLemonade Labだ。同社は8月4日、台湾・Foxconn(鴻海科技集団/富士康科技集団)の子会社であるFIH Mobileのほか、複数の個人投資家から総額580万ドルの資金調達を実施したことを明らかにした・。

Lemonade Labは2012年の設立。CEOを務める加地邦彦氏と孫泰蔵氏の2人が立ち上げた会社だ。加地氏はJ.P.モルガンでの勤務後に独立し、モバイル向けの株式情報配信・取引サービスを手がける会社を立ち上げたのち、Lemonade Labを設立することになる。

2000年代から泰蔵氏と親交があったそうで、同氏を通じて孫正義氏とも出会い、ソフトバンクモバイル向けにサービスを開発していた時期もあったそうだ。一方でロードレースに出場。現在はサイクルロードチーム「湘南ベルマーレスポーツクラブ」のゼネラルマネージャー兼選手という肩書きも持っている。

そんなすポース選手としての加地氏のキャリアも生きているというLemonade Labのプロダクト。同社では現在、自転車やランニング向けのウェアラブル製品を開発中だという。

「スマートウオッチ」から「スポーツのためのプロダクト」へ

詳細については現時点では非公開だったが(ティザーサイトはこちら)、体の各所にセンサーを付けてデータをリアルタイムに収集。その結果や、フォームなどの最適なアドバイスをスクリーン(腕時計にしたり、自転車に備え付けたりできる)に表示するものになるという。年内には国内外のアスリートなどをターゲットに、1000台程度の出荷を検討。端末の価格は500〜800ドルを予定。今後は反響を見て2016年以降、米国、欧州、日本のスポーツ愛好者向けに製品の展開を目指す。

「当初は『スマートスポーツウォッチ』を作ろうと考えていた。だが僕らはスポーツのためのプロダクトを作っている。スポーツの本質的な欲求は『上達すること』。そのためには自分のイメージしている動きと、その実態が合っていることが重要で、それを実現する『コーチ』が必要になる。時計と言う機能ではなく、データを分析して、ユーザーにフードバックしてあげることが重要」——加地氏はプロダクトについてこう語る。

今回資金を調達したFIH Mobileの親会社であるFoxconnは、AppleのiPhoneも製造する電子機器受託生産(EMS)だ。同社とはプロトタイプを制作する段階から、孫泰蔵氏を経由してコミュニケーションを取っていたのだという。

「(当初検討していたスマートウォッチの)デザイナーは見つけたが、さすがに向上までは持てない。ファブレスでやっていくしかない。そこで彼らにプレゼンをして、『一緒にやってみよう』となった。現場ではフィジビリティスタディから、ピボットの時も一緒にやってもらい、いざ本腰になって開発するとなったときに投資担当部門に繋いでもらった。」(加地氏)。今回調達した資金の大半はFIH Mobileからのものだ。

なおLemonade Labは2013年にスポーツの運動量を計測し、友人とコミュニケーションできるアプリ「Lemonade」を提供している。

Lemonade Lab CEOの加地邦彦氏

Lemonade Lab CEOの加地邦彦氏

アメリカの電機大手GEが画期的な製氷機OpalをIndiegogoのクラウドファンディングでデビュー

氷に関する最近の25年間で最大のイノベーションだ、とGEは主張する。家電部門で冷蔵庫や製氷機も作ってきたGeneral Electric社だから、氷について語る資格は十分にあるだろう。

今回の、Opalと名付けられた新しい製氷機は、ポータブルで、しかも新しい形の氷、ナゲット型の氷を作る。
この、クラウドソースのアイデアに飛びついたGEは、社内インキュベーション企画FirstBuildでOpalを作り、これまで一般大衆が買うことも作ることもできなかった氷を作ることに成功した(Wonder Twinなら、簡単かもしれないが)。

Opalが作るようなアイスナゲットは、Dairy QueensやSonicsなどのファストフード店に前からあるが、よく冷えた氷のナゲットを作れる機械は、高すぎて庶民の手には届かなかった。

下のスライドを見ると、この新型製氷機の仕組みが分かるだろう。

GEはこの製氷機を、ケンタッキー州ルイズヴィルの工場にある高速生産ラインで作った。数か月で完成したプロトタイプ機は、Indiegogoのキャンペーンでローンチし、募金開始から数時間ですでに30万ドルを集めている。

この製氷機は、どんな液体でもナゲットにできる。ベストの使い方は、Makers Markをアイスナゲットにして、それでカクテルを作ること、だそうだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

「革新的」とされた初代iPodのインタフェースも、現代の子供にはまったく「意味不明」

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最新のテクノロジーに触れ続けていると、少し前の「最新技術」がどのようなものであったのかをすぐに忘れてしまいがちだ。たとえば2001年にリリースされた初代iPodは、今とはまったく異なるインタフェースを備えていた。スマートフォンやタブレットを産み出すような技術的発展はまだ成し遂げられておらず、Gmail、Facebook、Twitter、およびSportifyなどは存在しない時代の話だった。Microsoftからは初代のXboxや、Windows XPが登場した時代の話だ。

ついこの間の話のように感じる人も多いと思う。しかし実はガジェットをいじり始めた子供たちは、iPodよりも年若であるのだ。そして生まれた頃から身近にスマートフォンも存在していた。そんな世代の子供たちに初代iPodを渡してみた、というのが上のビデオだ。Fine Brothers Entertainmentの企画によるものだ。子供たちにはiPodが何のためのデバイスであるのかという基本的なことのみを伝えてある。そんな中での子供たちの行動には、なかなか驚かされてしまう。

初代iPodが登場したとき、多くの人がiPodに搭載されたクリックホイールの先進性に喝采をおくったものだった。しかし、このiPodを現在の子供たちに渡すと、使い方がわからないケースがほとんどだ。たいていの子供は、タッチスクリーンに慣れていて、まず画面をスワイプしようとするのだ。

現在では、画面のアンロックにもスワイプを使うし、また楽曲リストをスクロールする際にもスワイプを使う。しかし、スワイプという動作が一般的になったのは、Steve JobsがiPhoneを世に問うてからのことなのだ。楽曲リストをJobsがスワイプするだけで、会場全体に沸き起こる興奮を思い出してほしい。

Appleは「スワイプ」という動作を実装することにより、デバイスをより魅力的なものとすることに成功したのだ。デモをみた世界中の人が、ぜひ触ってみたいと感じたものだった。画面をスワイプしてロック状態を解除することなど、当初はまったくあたりまえのことではなかったのだ。iOS 7ではスワイプなどの基本動作についてのインストラクションが同梱されることとなった。それ以前には、たとえばプレスカンファレンスなどで「スワイプ」インタフェースの仕組みなどについて説明を行なっていたのだった。

最近の子供たちは、初代iPodなどに触ったこともない。そうした子供たちは、モバイルデバイスにはWi-Fiが搭載されていて、スピーカーやアプリケーションおよびゲームなどが存在することが当然であると考えている。さらにコンピューターと直接に接続しないと楽曲を転送できないのも理解しにくいことであるようだ。現在のデバイスならSportify、YouTube、あるいはiTunesなどがインストールされていて、PCと接続せずとも簡単に音楽を楽しむことができる。

そもそも子供たちは、これが音楽プレイヤーであることも認識できていない。多くの人がスマートフォンを持つ現在、専用の音楽プレイヤーというのは、確かに遠い昔のものであるのだ。大人世代のひとりとして、最初のiPodについてはいろいろと思い出もある。しかし今の子供たちにとって、初代iPodなどというのはソノシートと同じく「前世代」のものであるとうつるのだろう。

[via MacStories]

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(翻訳:Maeda, H

ソニーモバイルコミュニケーションズ、ドローンビジネスに参入

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ソニーがドローンビジネスに乗り出すようだ。正確には実際にドローンビジネスを担うのはソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社だ。ソニーが100%出資しており、モバイルフォン、小型イメージセンサーなどを手がけている。このソニーモバイルコミュニケーションズが東京のスタートアップである株式会社ZMPと共同で新会社を設立する予定なのだそうだ。ただし、ソニー製ドローンが誰でも買えるようになるというわけではないようだ。

設立される新会社は「エアロセンス株式会社」となる予定。この新会社を通じてソニーモバイルコミュニケーションズは同社の技術(とくにイメージセンサー)の市場を開拓していきたい考えだ。ちなみにソニーはAppleのiPhone 6やSamsungのGalaxy S6などにイメージセンサーを提供している。ドローンを使って、この市場をさらに拡大していこうとしているわけだ。

Wall Street Journalによれば、ソニーの狙いとしてはドローンの販売というよりも、ドローンが提供できる農業やインフラ整備などの面におけるサービスを提供していくことだとのこと。市場にソニー製ドローンが出てくるというわけではないわけだ。

プレスリリース(訳注:日本語のプレスリリースはこちらにある)によれば、ソニーモバイルコミュニケーションズがカメラ、センサー、無線通信、およびロボティクス技術を提供し、ZMPが自動運転および関連ロボティクス技術を提供していくのだとのこと。両者は以前にも自動運転関連ベンチャーで協働した実績をもつ。新会社についてはソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社が50.005%の株式を保有し、残りの49.995%を株式会社ZMPが保有する。

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(翻訳:Maeda, H

Apple Watchの販売台数は低レベル?!

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アナリストを抱えるCanalysがApple Watchの動向についての推計を発表している。そのレポートによると、Apple WatchがリリースされたQ2期間にて、出荷台数は420万台であったとなっている。

この数字は以前から市場に投入されていたウェアラブル(たとえば、価格もより安いFitbitや他社製のスマートウォッチ)の販売台数を上回るものだ。ただしAppleブランドのデバイスとしては、かなり低い台数にとどまっていると言わざるを得ない。昨年段階では、Apple Watchの初年度販売台数を3000万台以上と予測していたアナリストもいた。

またSlice Intelligenceはデジタルレシートのデータを解析して、Apple Watchは販売日に米国内で100万台がプレオーダーされたという調査を発表してもいた。ただし、それから5月半ばまでの間で、プレオーダーの数が250万台程度に留まり、強い購買行動は見られないというレポートも発表している。

Canalysは、発表がQ4のホリデーシーズンをシーズンの後になったことがスタートダッシュを妨げた面もあるだろうとしている。また初期におけるサプライ側の遅れも販売台数の伸びという側面からは障害と考えているようだ。そして、ウェアラブルを活用するためのアプリケーションの登場が、今後の動向を鍵を握っていると結論づけている。

Apple Watchの動向には、他にも多くのアナリストが注目している。たとえばFortuneはさまざまな予測をまとめた記事を発表している。予測の中で最も少ないのは285万台で、最多が570万台となっている。27の予測の中、平均は400万台となっているようだ。

そのうちのひとつ、Piper JaffrayのGene Munsterは、予測範囲の中で中間程度の値を示している。Q3での売上台数を300万台程度とし、この値についての評価をツイートしてもいる。曰く、不満を感じている投資家もいるようだということと、また、この低ペースはAppleの販売戦略(小売店で扱わない方針、など)にもよるのだろうと推測している。Piper JaffrayによるとApple Watchは徐々に広がり、そして2017年にブレイクするのではないかとのこと。2016年に1400万台、そして2017年には4000万台が売れるのではないかと予測している。

いろいろな意見があるが、ともかくApple Watchのような、新しく登場したばかりのジャンルについては予測が非常に難しいということはわかる。また、Apple Watchの普及は、iPhone以上にアプリケーション次第ということもあるのかもしれない。Apple Watchのアプリケーション環境は、いまのところまだ整い始めたところという段階で、これについては今後に期待せざるを得ない。さらには、Apple Watchは単独で用いるようなデバイスではなく、iPhoneと協調させて利用するようなシーンが想定されてもいる。それもまた販売ペースを下げる要因となっていることだろう。もちろん高めの価格設定が足かせになっている面もあるはずだ。消費者は慣れ親しんだアプリケーションをすべて利用できるiPhoneのためにお金をとっている面もあるはずで、Apple Watchの導入に二の足を踏む人も多い様子だ。アプリケーションが質量ともに充実する前は、まずiPhoneの利用者にむけて、Apple Watchのメリットを積極的に伝えていく必要があるだろう。

なお、全体の売上については本日(米国時間7月21日)中にも業績レポートが公開されるはずだ。ただしApple Watchのセールスに関する詳細なデータが発表されるとは思えない。CEOのTim Cookは昨年秋、競合のこともあり詳細なデータは明らかにしたくないのだと述べている。Apple Watchの販売データは,Pod、Beatsアクセサリー、Apple TVなどを含む「other products」(その他プロダクト)の欄に混入される見込みで、結局ウェアラブル分野がどの程度貢献しているのかの詳細はわかならないままになりそうだ。今後の動向についてアナリストは、まだまだ「推理」を積み重ねることになっていくのだろう。

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(翻訳:Maeda, H

Samsung、iPad Airよりも薄いGalaxy Tab S2をアナウンス

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Samsungは先週、最も薄いスマートフォンをアナウンスした。Galaxy A8と名付けられたマシンだ。そして今度は最も薄いタブレットを発表した。こちらはGalaxy Tab S2と名付けられている。

昨年のGalaxy Tab S同様に、これもまたデザインを重視したプロダクトだ。厚さはわずか5.6mmで、これはAppleのiPad Air(6.1mm)よりも薄い。画面サイズは2種類が用意されていて、8インチモデルと9.7インチモデルがある。重さはそれぞれ265gと389gだ。持ち運んで利用する人の中にはこの薄さおよび重さを大いに魅力に感じる人もいることだろう。

昨年のGalaxy Tab Sもなかなかよくできたデバイスで、とくにビデオや映画など、マルチメディア面で魅力を発揮するものだった。今回発表になったデバイスについても同じことが言えるのではないかと思う。Samsungのプレスキットでも2048 x 1536ピクセルのスーパーAMOLEDディスプレイにおけるメデイア視聴の快適さをアピールしている。ただしまだ現物が手元にないので、最終的な評価は先送りとさせていただきたい。

スペック的な話をしておくと、Galaxy Tab S2にはオクトコアのプロセッサが搭載され、Android 5.0 Lollipopで動作する。オクトコアの内容は1.9GHzが4つと1.3GHzが4つとなっている。RAMは3GBで、32GBないし64GBの内部メモリを搭載している。64GBモデルの方はmicroSDカードを利用することで最大128GBの記憶容量を備えることができるようになる。

搭載しているカメラはリア側が8メガピクセルで、フロント側が2.1メガピクセルとなっている。これもタブレットとしては悪くないスペックだとは思う。ただし、カメラとして使うには大きすぎるタブレットを使うよりも、スマートフォンやコンパクトデジカメ(まだ持っている人もいるはずだ)で撮影する方を選ぶ人が多いだろうとは思う。

SamsungによればSamsung Galaxy Tab S2は8月に全世界向けに発売開始となるとのこと。どうやらホワイトとブラックの2種類が用意されている様子。現在のところ、価格については明らかになっていない。

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(翻訳:Maeda, H

GoPro HERO4 Sessionは、壊れてしまえば修理できない(それでもとても魅力的!)

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GoProの繰り出したキューブ型防水カメラ(GoPro HERO4 Session)を欲しいと思っている人は多いことだろう。ただ、少し考慮すべき点もある。どこががいったん壊れてしまうと、どうしようもなくなってしまうのだ。修理することなどほとんど不可能に近いようだ。

専門家の手によればなんとかなるのではないかと思う人もいることだろう。しかし普段からエレクトロニクスプロダクトを分解しまくっているiFixitですら、無事に分解することができずにいるのだ。

分解の様子はこちらに掲載されている。修理可能スコアは10段階で1(最も難しい)となっている。

なんとかリペア可能であるのは、カメラレンズを覆うガラス部分のみに限られるようだ。もちろんこれも有益なことだ。究極エクストリームスポーツを行うとき、自分の身体以外で壊れる可能性が最も高いのは、このガラス部分であると思われるからだ。

カメラのレンズ自体やセンサー、あるいは(取替え不可の)バッテリーが壊れてしまったようなときは、これはもう素直に諦めるしかない。バッテリーはボードに固定されており、そのボードもボックス内部にしっかり固定されているのだ。もちろん、こうした強固な作りによってHero4 Sessionは、外部ケースなしに防水や耐衝撃性を実現しているわけだ。

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自分でも、GoProが「完全に」壊れてしまっている場合以外には分解してみようとは思わないだろう。小さなボディに繊細なパーツが大量につめ込まれているのだ。このHero4 Sessionについては、壊れてしまったときには「保証期間内でありますように」と祈ることくらいしかできることはない。

修理できないというのは、ある意味では欠点と言えるだろう。しかしそのおかげでコンパクトなボディに高性能を詰め込むことができたともいえる。TechCrunchのMatt Burnsも「最高のGoPro」であると評価している。デバイス自体にディスプレイはなく、バッテリーの交換もできない。そして調子が悪くなってしまったらほぼ修繕不能なデバイスではある。そうしたことがあっても、いぜんとして魅力的なデバイスだと感じる人も多いのだろう。

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(翻訳:Maeda, H

コミコンにジャバ・ザ・ハットの宮殿の地下の怪物ランコアのハイテク・スーパー着ぐるみ登場

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サンディエゴで開催された今年のコミコンには例年どおり無数のダース・ベイダー、ボバ・フェット、ストーム・トルーパーが参加した。しかしジャバ・ザ・ハットの宮殿の地下に住む怪物ランコアのスーパーリアルで恐ろしげな着ぐるみはどれほどあっただろう?

1体だけだ! これはSFXアーティストのFrank Ippolitoとその仲間が作った。

Ippolitoたちはわれわれの友人でもあるTestedで1月かからずにこのコスチュームを仕上げた。

私が特に気に入ったのは、このデザインでは怪物の目玉が着用者の東部からは離れてしまうという問題の解決法だ。このままでは前方がよく見えず、壁にぶつかったり子供を踏みつけてしまったりする。そこで鼻の穴に小型のカメラを取り付け、着用者がヘッドマウント・ディスプレイでその映像を見られるようにした。

コスチュームを来て町を歩くのは4:30あたりから。しかしその前のメイキング過程も私にはたいへん面白かった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

デジカメあるいはゲーム機、ないしは「何か魅力的なもの」としての「新」iPod touch

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Appleは、iPod touchがまだまだ魅力的なプロダクトとして存在し得ると考えているようだ。いろいろなアップデートを施して、新たなガジェットとして登場してきた。プロセッサーは新しくなり、またカメラおよびイメージングソフトウェアの性能も向上している。ゲーム用および写真撮影用のデバイスとしての魅力を高めたとも言えそうだ。

新しくなったポイント
iPodは新しくなると新しいカラーが登場することが多いが、今回もやはりカラーバリエーションが増えている。提供されるのはスペースグレイ、ブルー、ゴールド、ピンク、シルバー、および(PRODUCT)REDだ。新しく登場したのはピンク、ブルー、およびゴールドとなる。nanoおよびshuffleにも同じカラーモデルが投入される。ただしiPod nanoおよびshuffleのスペック等はこれまでのものと同じで、価格にも変化はない。

iPod touchに搭載されるプロセッサーは、iPhone 6に搭載されているのも同じA8となる。これまでのA5プロセッサー不満を感じていた人には嬉しいアップグレードだろう。これまでiPod touchのプロセッサーはiPhoneのプロセッサーの前世代のもの(以前は同世代のものが採用されていた)であるのが一般的となっていたので、同世代モデルとなるというのは大きな飛躍であると言えるかもしれない。バッテリー容量の少ないモデルで、A8の効率性を重視した転換であるともいえる。ただしクロックスピードについては明らかになっておらず、限界までの性能が引き出されているのかどうかは不明だ。

また今回のアップグレードは、Appleがタッチデバイスをすべて64ビット化しようとする流れの一環であるととらえることもできよう。非64ビットデバイスとしてはA6を採用しているiPhone 5cが残るのみとなる。利用者の視点からする効率性や動作性能の向上という意味ももちろんあるのだが、AppleとしてもApp Storeに登録されるソフトウェアが、すべてのデバイス上で動作するようになることを目指してもいるわけだ。

さらにA8では、開発者側が直接にグラフィックプロセッサーを活用することのできる「Metal」フレームワークを利用することができる。CPUが最大で6倍高速化したのにあわせ、GPUパフォーマンスを最大10倍にも高めることとなる。

さらにA8プロセッサーに加え、新しいiPod touchにはM8モーション・コプロセッサーも搭載されている。加速度センサーなどから得られる情報の記録をM8が担うことにより、メインプロセッサーを利用する場合にくらべてはるかに省電力となっている。この新iPodでは801.11acもサポートして、Wi-Fiの高速化も行なっている。

トータルで見たバッテリーの持続時間はこれまでのモデルと同等であるらしい。

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多くの利用者が注目したくなるのが、リアカメラの性能アップと、フロントカメラ制御ソフトウェアのアップデートだろう。

新しいリアカメラは8メガピクセルとなっていて、画像処理チップ(Image Processing Chip : ISP)も新しくなっている。ISPがiPhone 6と同じものであるのかどうかはわからない。しかし性能が向上していることは間違いないようだ。新たに採用されたパイプライン処理により、iPhone 6に搭載されているさまざまな機能がiPod touchでも利用可能となっている。リアカメラを使った「バーストモード」も10fpsで実現されている。さらに120fpsでのスローモーション撮影も行える。ビデオモードの手ブレ補正能力も進化しており、顔検出機能も新しくなっている。

前面カメラ側の解像度は変更されていない。しかしピクセルピッチが大きくなり、低照度の自撮り写真も美しく撮れるようになっている。前面カメラもバーストモードに対応し、さらにHDR写真、HDRビデオを撮すことができるようになっている。

iPod touchは16GBモデルが24,800円、32GBモデルが29,800円、そして64GBモデルが36,800円となっている。また新たに128GBモデルも投入され、こちらは48,800円の価格設定だ。16GBモデルと32GBモデルの価格差が少ないことを喜んでいる人も多いことだろう。

これからのiPodとは?

iPhoneが広まるにつれ、iPod touchの売上台数は低下する傾向にある。しかしAppleとしては依然としてこの分野に商機があると考えているわけだ。iPodの売上台数を検討もしないアナリストたちに否を突きつけたともいえそうだ。確かに、いかに売上が減少してしまったとはいえ、2015年Q1における「アクセサリーおよびiPod」カテゴリーでの売上額は26億8000万ドルにのぼっているのだ。

AppleはこれまでもずっとiPod touchの改良をすすめ、新しいiPodの可能性を世に問い続けてもいる。すでに「音楽再生専用機」としては、iPodを捉えてはいないようだ。ゲームおよびカメラとしての機能を前面に打ち出しつつある。こうした進化は確かに時代に応じたものであるように見える。個人的な話ながら、私の娘はiPod touchで、自撮り、ペット、家族写真、車のバックシートからの風景などの写真を撮りまくっている。iPodは昔、メディアプレイヤーとして受け入れられていたが、すでにiPod touchはカメラであると捉えている人も多いのかもしれない。

iPod touchはデジカメへと進化した。

デジカメでありながら、何千種類ものゲームを楽しむこともできる。

そんなわけで、iPod touchの競合がGameboyであると考える人もいるかもしれない。

それだけiPodの可能性が進化したのだと捉えることができよう。ケータイやスマートフォンも音楽プレイヤーとして機能する中、いまさら音楽再生専用機としての魅力を訴えても訴求力は低かろう。iPod touchは、デビュー当時のiPodのイメージを消し去りつつあるのだ。

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(翻訳:Maeda, H

スマート自転車ヘルメットLumosはウィンカーが点滅し、減速するとブレーキランプが点灯する

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TechCrunchでは前後にライトが装備された自転車ヘルメットを紹介したことがある。しかしボストンのハードウェア・スタートアップ、Lumosが開発しているのはフロントライトに加えて無線接続で点滅する左右のウィンカー、内蔵の加速度計に反応して自動的に点灯するブレーキランプを装備したスマート自転車ヘルメットだ。

開発チームは、さきほどKickstarterでのキャンペーンを開始した。量産開始のためのクラウド・ファンディングの目標額は12万5000ドルで、資金が集まれば来年4月の出荷を予定している。これまでのところ資金はメンバーの自己資金と数人のエンジェル投資家によってきた。

「現在、ウィンカーとブレーキランプを装備した自転車ヘルメットは市場に出ていない。 Lumosが初めての製品となるはずだ。サイクリストはこれによって自分の意図を周囲の自動車や歩行者に効果的に伝えることができるようになり、安全性の向上に大きく寄与する」と共同ファウンダーのEu-wen Dingは言う。

Lumosの後部の三角形に配置されたLEDは走行中は点滅しているが、サイクリストがブレーキをかけて減速すると常時点灯に変わる。ヘルメットの左右に設けられたウィンカーは自転車のハンドルに取り付けられるリモコンスイッチでコントロールされる。右ないし左のスイッチを押すとそれぞれの側のウィンカーが点滅し、ヘルメットの内部でビープ音が鳴り、ウィンカーが作動していることをサイクリストに知らせる。

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Dingによれば、ウィンカーの操作には2.4 GHz RFチップが用いられているという。「RFチップによる無線通信は信頼性が高く電力消費も少ないのでこの用途には最適だ」とDingは説明する。

ハーバードビジネススクールに通っていたDingはハーバードで開催されたスタートアップイベントで機械エンジニアでもう1人の共同ファウンダーになるJeff Chenと知り合った。DingはChenにスマート自転車ヘルメットのアイディアを売り込み、その後2人はMITのハードウェア・ハッカソンでヘルメットのプロトタイプを製作して優勝した。そこでDingはビジネススクールからドロップアウトしてフルタイムでLumosに取り組むことにしたという。

Lumosでは9ヶ月前からヘルメット製造に関して中国のメーカーと協力している。IoTデバイスを専門とする香港のBrincアクセラレータのプログラムにも参加した。

Kickstarterの最初期の出資者は1個85ドルでLumosヘルメットを入手できる。その後時期が後になるにしたがって99ドル、119ドルなどとなる。この記事の執筆時点ですでに5万ドルの出資の約束が得られている。プロジェクトの発表後まだ1時間もたっていないので、目標額を達成できることは間違いない。

〔日本版〕翻訳の時点で9万7349ドルの出資の約束が集まっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

猫の水飲み量を知ることは健康チェックに欠かせない、そこで電脳水飲み器Puraが登場

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猫を水のところへ連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない。猫は腎臓疾患になりやすいが、それなのに頻繁に脱水状態になるのは、渇きの感覚が十分に発達していなかったり、飲水の選り好みが激しいからだ。台北在住のロボット学者が作ったPuraという水飲み器は、猫をその気にさせるデザインであるだけでなく、飼い主がお猫様の水の摂取量をチェックできる。

Puraは今Indiegogoで資金募集中だが、それを作った台北のNoacare社は、ロボット科学者のLi-wei WuがCEO兼CTOだ。彼はこれまで台湾のいろんなトップテクノロジ企業や航空宇宙企業に在籍した。Foxconnもその一つだ。同社にはRed Dot Design Awardという権威ある賞を受賞した人や、獣医、そして人工知能の研究者もいる。彼らが見せてくれたPuraの実動プロトタイプは先週、同社のオフィスで50匹の猫でテスト済みだ。

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Puraで猫が飲んだ水の量は、猫の首輪につけたBluetoothタグが教えてくれる。猫は一匹ずつそのプロファイルをセットアップし、するとアプリが猫の品種や年齢、体重、フードはドライかウェットか、などに基づいて、毎日飲むべき水の量を計算する。猫が水飲み器にやってくると、首輪のタグがPuraのモニタリングシステムをトリガし、猫が去ったら水の減った量を報告する。

アプリは、猫が飲んだ水の量が少なすぎたり多すぎるとアラートする。とくに、突然の多飲は腎臓や肝臓の疾患の疑いがある。

この水飲み器には、猫フレンドリーな工夫がいくつかある。猫はキッチンの蛇口やトイレの水洗など、動く水が好きなので、この水飲み器もたえず水が勢い良く流れている。ただし水の流れが猫のヒゲを濡らさないようにしてある(ヒゲが濡れると嫌がるので)。底の部分は重くて、滑り止めがしてある。不機嫌な猫がひっぱたいても、動かない(ほかの猫とチームを組めば動くかも)。

これまでの猫用水飲み器に比べると、おもしろい特徴がいっぱいあるが、おもしろいだけでなく耐久性もあり、洗いやすい。バクテリアの繁殖を防ぐために、水飲み器を洗うことと、水の交換は必須だ。

今の猫用水飲み器は、分解が面倒なのが多い。私は今、日本のGEXというブランドのを使っているが、電動フィルタを三つの部品に分解してから、ブラシで洗うのだ。ちょー面倒。Puraは下図のように、全体が三つのパーツから成る。最上部は水飲み用のお皿、その下が活性炭粒子を使ったフィルタ、いちばん下が水容器で、モニタリングシステムや撹拌機なども収まっている。分解して洗うのに数分しか、かからない。

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欠点らしきものといえば、首輪のタグを嫌がる猫もいるのでは、ということ。私の猫は、首輪そのものを嫌がる。だから、かんじんのアプリを使えない。タグが首輪の面から突出しない平滑なデザインは、部品が多くて無理だった。今後は、体内埋め込みのRFIDチップを使う方法など、いろいろ考える、と彼らは言っている。

Puraはクラウドファンディングの締め切りまであと25日あるが、すでに目標の10万ドルの半分まできている。製造は、台湾の工場で行う。Indiegogoに載せたのは、グローバルな関心を知りたかったからだ。資金募集に成功したら、発売は2016年4月を予定している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Fly Or Die(飛ぶか死ぬか): Amazon Echoの巻

Amazon Echoのことを初めて聞いたとき、人間の声で指示する家庭用デバイスが良いアイデアだとは、全然まったく思わなかった。なによりもまず、自分が言うことをすべてAmazonが聴いてるということが、キモチワルかったし、SiriやGoogle Nowのような類似の音声ツールにも、感動したことはない。

でも実際に使ってみるとAmazon Echoは、今市場に出回っている音声デバイスの中では、かなり強力な方だ。

最初に”Alexa”と言うと、コマンドが始まる合図だ。それからいろんな質問をしたり、Amazonのショッピングカートに品物を入れたり、Evernoteでノートをとり、家庭のIoTデバイスを制御したりする(Phillips Hueの電球とかWiMoのスイッチなど)。

また、Amazon Echoは家庭用品に徹しているから、焦点がはっきりしている。SiriやGoogle Nowのように、スマートフォンはいろんな人がいろんなところで使うからといって、何でもかんでもやろうとしない。

Alexaはときどき、無反応になったり、混乱する。質問の種類は、限られている。でも179ドルの製品にしては、よくできている、と私もFitz(Fitz Tepper)も思った。AmazonはAPIを公開したから、デベロッパやガジェットのメーカーがEchoの脳を利用したいろんなソフトウェアツールやデバイスを作れる。それらの種類がものすごく豊富になったところを想像すると、Echoは家庭用の多芸な電脳として、かなりおもしろい。

Darrellの長い記事も、このあたりのことを述べている。

飛ぶ(fly、売れる、うまくいく)方に2点を入れよう。

*Amazon Echoはプライム会員なら179ドル、非会員は199ドル。初期の会員価格は99ドルだったから、上の古いビデオには混乱がある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

PC販売台数、昨年同期に比べて11.8%の低下(Appleはシェアを拡大)

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IDCによると、2015年第2四半期におけるPC出荷台数は前年比でマイナス11.8%となった模様だ。これは市場関係者の予測よりも若干大きな減少幅となっている。IDC曰く、前年の同四半期はWindows XPのサポート停止と重なってPCの売上が伸びたせいもある。

具体的な数字をみると、この3ヶ月で販売されたPCの数は6610万台であるとのこと。但し「ハンドヘルドPC、X86サーバー、およびタブレット」などはカウントに入っていない。最近増えているキーボードを備えないデバイスはカウントされていないということだ。

そのような中、Appleはなかなかの成績を残している。マーケットシェアは昨年段階の5.9%から7.8%と伸びている。この四半期においては、数多くのメジャーPCメーカーのうち、Appleのみが販売台数を伸ばしているとのことだ。ちなみにAppleの好調具合については以前も記事にしている。

Apple以外については、とりあえずデータを掲載しておこう。

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年内の残り期間についても、IDCはPCの出荷台数はひとけたパーセントの割合で減少するだろうと予測している。

このような状況の中、みなが注目しているのは今月末にもリリース予定となっているWindows 10だ。時期は若干ぶれる可能性もあるが、「間もなくリリース」であることには間違いなかろう。

消費者や企業が、このWindows 10のリリースを待って新たなPC購入を控えているという状況はあるのかもしれない。そうであればリリースに伴ってPCの販売台数は増加に転じることになるのだろう。ただ新OSのリリースにともなって販売台数が増えるというのはなかなかない現象であるようでもある。

(Windows 8の登場に比して、Windows XPのサポート停止に対しての方が市場の反応度は大きかった)。

PCマーケットの今後についてはさまざまな意見が存在している。。

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(翻訳:Maeda, H