消費者がネット上をあちこち持ち歩ける決済機能付きショッピングカートを提供するShoppableが$3.5Mを調達…今200店が参加、もっと増やしたい

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ちょっと風変わりなeコマースサービスShoppableが、シリーズAで350万ドルを調達した。

ニューヨークを拠点とする同社は、自身が何かを売るというより、Webページやコンテンツのパブリッシャーと消費者を結びつけて、CEOのHeather Marie(上図)が言うところの“shoppable moments, 買える機会”〔仮訳: それを買える状態〕を作り出す。たとえばどこかで写真やビデオを見ていて、そこに映っていたものを、欲しい・買いたいと思ったら、Shoppableがそれを、実際に買うことを可能にしてくれる。

何かをクリックしたらそれを買える、という方式は、昔からあるアフィリエイトネットワークに似ている。その場合は、Webページ上のリンクが商業者のWebサイトへ読者を連れて行くので、そこで当の品物を買える。そして元のサイトのパブリッシャーは、売上のマージンをもらう。

しかしShoppableでは、読者がパブリッシャーのWebサイトを去らなくてもよい。そこに居るままで、複数のお店の品物を見て、買うものを決め、実際に買う、お金を払う、というところまで行ける。いわばそれは、あなたがどのWebサイトへ行こうと、あなたにくっついて同行するショッピングカートだ。

“支払いもパブリッシャーのWebサイトに居る状態で済ませられる”、とMarieは述べる。彼女によると、それは“とてもシームレスな(なめらかな)体験”をユーザーに提供するだけでなく、パブリッシャーがビジターのデータや買い物傾向を把握しやすい。“自分のサイトで何が売れるかが分かっていれば、どんな人たちが自分のサイトのユーザーベースなのかも分かるのよ。データからユーザーを理解するやり方としては、コロンブスの卵のような重要な変化だと思う”、と彼女は自負する。

Shoppableには、個人ユーザーのためのGoogle Chromeエクステンションがある。そのエクステンションが動いていれば、Webページ上で見た製品をShoppable経由で買うことができる。一方パブリッシャーはShoppableのウィジェットを自分のWebサイトにインストールして、どんな製品を売るかを決める。また、ShoppableのMagicサービスを利用すると、ショッピング機能を自動的に作ってくれる。

今回のシリーズAは、匿名の投資家がリーダーだ。Marieによると、すでに利益が出ているShoppableにとっては、いわゆる戦略的投資であり、同じ投資家がリードするもっと大きな資金調達を、数か月後に発表するそうだ。今回のラウンドに参加した投資家は、MI Ventures, Canary Ventures, On Grid Ventures, Thomas Varghese, Bodley Group, John D. Owen, Noopur Shukla, Andrew Boszhardt Jr., Sandeep Bhanoteなどなどだ。

資金の主な用途は、Shoppableを利用する商業者をもっと増やすこと。今およそ200店/社がShoppableの輪に加わっているが、それ以外に100店/社が現在、待機状態だ。

Shoppableは最初、ラグジュアリー商品が主体、という意味で、72Luxという名前だった。しかしその後、普遍的なチェックアウトプロダクトであることが分かる、現在の名前に変えた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AmazonのQ2、アナリストの予想を上回る好成績―売上は304億ドル、EPSは1.78ドル

Amazon, the US e-commerce and cloud computing giant is said to hire 1,000 people in Poland. The company already hires almost 5,000 people in Poland and has service centers in Gdansk, Wroclaw and Poznan ON 14 April 2016. (Photo by Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images)

木曜日の取引終了のベルが鳴った後、Amazonは第2四半期の決算を発表した。内容はアナリストの予想を超える好成績だった。調整済み1株あたり利益は1.78ドルとアナリストの予想1.11ドルを大きく上回った。売上でも304億ドルと295.5億ドルの予想を超えた。時間外取引の株価は2%アップした。

Amazonの売上と利益は対前年比で大きく向上した。純売上は 31%アップ、純利益も8億5700万ドルと昨年同期の9200万ドルから大幅に増えた。これまで成長のための多額の投資を続けてきたこともあり、Amazonの利益率はきわめて低調に推移していた。

声明の中でファウンダー、CEOのジェフ・ベゾスは今回の好決算の主要な原因をインドでのビジネスの成功に求め、。「インドのチームは驚くべきスピードで事業を拡大している。われわれの事業に対するインドの顧客の温かい歓迎に深く感謝したい」と述べた。

Amazonはガイダンスで第3四半期の売上を31億ドルから33.5億ドルの間と予測した。営業利益についての予測は大きな幅があり、5000万ドルから6億5000万ドルとなっている。

同社はAlexa音声認識機能を備えたパーソナル・アシスタント・デバイスなど実験的な事業を数多く手掛けている。中でもストレージとクラウドサービスを提供するAWS(Amazon Web Services)事業は今や多数の大企業をホストするようになった。AWSは驚くべき成長を遂げ、今期は29億ドルの売上となっている。昨年同期は18億ドルだった。

Amazonのプライム事業は着実に運営されており、定額の年会費で配送が速くなり、映画や音楽を自由に見られる特典も付随する。またAmazonはプライム会員に大幅な割引を提供するAmazonの祝日というべきプライムデーを導入した。今年のプライムデーは多数のユーザーを惹きつけておりその売上等は第3四半期の決算に反映されるはずだ。

四半期決算のリリースでAmazonはプライムデーを「Amazonで過去最高の日」となったと述べている。グローバルでの注文は昨年の第1回目にくらべて60%もアップしたという。

Amazonはまた独自のメディア・プレイヤーのFire TVやKindleの電子書籍、Amazonダッシュ・ボタンについても成功したとしている。

ただし上記以外の実験は期待された目標を達成できなかったようだ。独自のスマートフォン、Fire Phone最近運用が中止されたGiltのライバル、MyHabitなどがその失敗組だ。

将来のビジョンに関してAmazonはドローンによる配送がスピードアップとコストダウンを可能にするとして実現に向けて力を入れている。また生鮮食品ビジネスの拡大も図っている。

株価はこの1年で43%アップし、時価総額は3550億ドルとなっている。

画像: Jaap Arriens/NurPhoto/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AmazonがKickstarter製品のための専用チャネルを開設、スタートアップが流通を最初から確保できる

Amazon, the US e-commerce and cloud computing giant is said to hire 1,000 people in Poland. The company already hires almost 5,000 people in Poland and has service centers in Gdansk, Wroclaw and Poznan ON 14 April 2016. (Photo by Jaap Arriens/NurPhoto via Getty Images)

Kickstarterのプロジェクトに資金を出すことは、賭に似ている。このプロジェクトはそもそもうまくいくのか? 完成して発売されるのか? 約束が、途中でがらっと変わるのではないか?

とは言ってもこのクラウドファンディングプラットホームはこれまで、多くの企業の離陸を助けてきた。それらは、ガジェットや電子製品、玩具や家庭用品、などなどさまざまだ。そして今日はAmazonが、 Kickstarterとの提携を発表し、Kickstarterで完成までこぎつけた製品に、それら専用の流通チャネルをWeb上で提供することになった。

そのwww.amazon.com/launchpad/kickstarterでAmazonは、最初から300あまりのKickstarter製品を売る。品物は、電子製品、本、家庭とキッチン用品、ムービー、テレビ用作品など、いろいろ。

しかもこれらの製品をテーマで検索できる: “STEM製品”、“生涯学習”、“精妙絶美な製品”、“未来の発明”、“公共の利益”、などなど。

300あまりのローンチ製品の中には、Piperの手作りコンピューターキット, Zivixのポータブルなスマートギターjamstik+, 写真のプリンタを兼ねたiPhoneケース, 泥で作る燃料電池、などなどもある。

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実はAmazonは昨年の7月に、若いテク企業のための販売とマーケティングの場として、そのための専用ポータルLaunchpadを立ち上げた。このたびのKickstarter専用チャネルは、その取り組みの延長だ。LaunchpadにはVCやアクセラレータやクラウドファンディングプラットホームが最初から25社も協力し、プロダクトの紹介につとめた。その中にはAndreessen Horowitz, Y Combinator, Indiegogoなどの大物もいる。そのストアには、立ち上げ時に200あまりのアイテムが並んだ。

今回のKickstarter専用チャネルの立ち上げに至るまでAmazonは、100社あまりのVC等と協力関係を持ち、すでにアメリカ、イギリス、中国、ドイツ、フランスなどから1000あまりの製品が立ち上げ時までに集まっている。〔最初はその中の300を売る。〕

これまでのAmazonと同じく、一つの製品が一つのページを占め、それに、マーケティング関連の総合サービスも利用できる(従来の製品や出店者と同じ)。もちろん販売と配達に関しても、Amazonのグローバルなフルフィルメントネットワークが利用できる(これまでのAmazon商品と同じ)。

しかも、専用チャネルは今回が初めてだが、AmazonはKickstarter製品の販売をこれまでもやっている。そうやってAmazonで個別に買われたKickstarter製品は、すでに“数百万個”に達する、と同社は豪語している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

東南アジアのaCommerceが1000万ドルを調達し、シリーズBに向けた足掛かりを得る

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バンコクを拠点とするスタートアップのaCommerceが1000万ドルを調達した。同社は東南アジア地域のEコマース企業の支援をする企業だ。今年後半にはシリーズBにて更なる資金調達も予定されている。

タイ、インドネシア、フィリピンで事業を展開する同社によれば、今回の資金調達をリードしたのはインドネシアの通信企業Telkom Indonesiaを親会社にもつMDI Venturesだ。他にも、オーストラリアを拠点とするファンドのBlue Skyや既存投資家のDKSHも参加している。スイスに本社を置く商社のDKSHは昨年12月、aCommerceに戦略的投資を行った。投資金額は非公開ではあるものの、TechCrunchでは2000万ドルから2500万ドル規模の投資だったと考えている。

今年の始めにはAlibabaがLazadaに10億ドル出資するなど、東南アジアのEコマースには大きな可能性が秘められている。Eコマース企業や小売店に対する支援事業を行うaCommerceは、在庫の保管や管理、流通支援、デジタルマーケティングなど様々なサービスを提供している。同社は2013年に創立され、2014年6月のシリーズAで調達した1070万ドルや、2015年5月のブリッジ・ラウンドでの500万ドル、同年12月のDKSHからの出資金などを合わせ、これまでに約5000万ドルの資金調達を完了している。

昨年5月のブリッジ・ラウンドで調達した資金と同様、今回調達した資金は今年後半に予定されている5000万ドル規模のシリーズBに向けた「つなぎの」成長の起爆剤となる。言い換えれば、aCommerceの銀行口座にはまだ資金は残っているものの、規模をさらに拡大して次のラウンドをより有利に進めるためにその資金を利用したいという思惑があるのだ。具体的には、マレーシアとベトナム、そしてシンガポールへの事業拡大のための資金だ。

「希薄化を最小限に留めながら、バリュエーションを最大化させたいと考えています」と語るのはaCommerce Group CEOのPaul Srivorakulだ。「(今の時点で)シリーズBでの資金調達を行うのではなく、その前に追加的な出資してもらうよう、投資家と交渉してきました」。

(ところで、すでに5000万ドルの資金を有しながら更にシリーズBを実施するというのは、東南アジア企業としては異例のことだ。Srivorakulは同社の資金調達の努力に値札をつけるつもりはないと話す。「ただ、私たちにとって都合のよい時に資金を調達しているまでです」)

SrivorakulはEnsogoとAdMaxの創業者でもある人物だ。その後、EnsogoはLivingSocialにAdMaxはオンライン広告のKomliに売却している。彼によれば、今回の資金調達についての話は前回のラウンドを行う以前からあったという。今回の資金調達はすでに予定されていたものだったのだ。しかし、シリーズBでは新たな出資者を募集する意向であり、そのためのピッチを行っていくと話している。

今回新しく出資者となったMDI Venturesとの関係は、同社にとってタイと並ぶ最大の収益源となったインドネシア市場において大きな戦略的価値を持つとSrivorakulは考えている。

「インドネシア市場には巨大な需要があります」と彼は話す。「その一方で、同国の商慣習やEコマースに関連する法律は年々複雑になっています。その点において、MDI Venturesの親会社であるTelkom Indonesiaは国有企業であり、彼らと協働すればインドネシアの商慣習に則ったプロダクトを生み出し、インドネシアで更なる成功を収めることができると考えたのです」。

aCommerceは2014年に撤退したシンガポール市場にも再度挑戦する予定だ。前回のシンガポール進出は時期尚早だったと認めつつも、今のaCommerceには新しい「パートナー」であるDKSHがついていると彼は語る。DKSHがもつコネクションによって新しい顧客を獲得し、それに他市場で獲得した既存顧客からの需要を合わせれば、今回のシンガポール進出が成功する可能性は高いと見ているのだ。

また、新興市場へ事業を拡大する際にはサステイナビリティを第一に考えるようになり、一時的にビジネスや資金調達が上手くいかなかったとしても、しばらく持ちこたえる自信があると彼は語る。

「今回調達した資金があれば、来年には損益分岐点に達することができます」と彼は話す。「今ある3つのマーケットを黒字化させることは可能です。しかし同時に、私たちは新たに3つのマーケットにも進出しなければなりません。今回調達した資金はそのために利用する予定です」。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

UnileverがDollar Shave Clubを$1Bで買収か、たかがカミソリの刃とあなどるなかれ!

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巨大グローバル企業Unileverが、会員にカミソリの刃を定期的に郵送するだけ、というサービスDollar Shave Club買収することによって、一挙にユニコーンを作り、それを自分のものにしようとしている。

今夜(米国時間7/19)の発表(Fortune誌の記事)によると、売上1300億ドルの多国籍消費者製品企業Unileverは、このスタートアップに、全額キャッシュで10億ドルを払うことを考えている、という。

このお値段が真実なら、eコマーススタートアップの買収としてはzulilyとWayfairに次いで三番目に大きい。

eコマースは投資家が尻込みしがちな分野だが、Dollar Shave Clubに投資し、ロックフェラー系VC Venrockの取締役でもあるDavid Pakmanによると、今この分野はきわめて活況だそうだ。

Venrockおよびその他大勢の投資家たちは、この買収により、ベンチャーとしての正当なリターンを獲得する。‘その他’の中の著名な投資家としては、Andreessen Horowitz, Battery Ventures, KPCBなどがいる。彼らは、今年のQ3で買収が認められたら、Dollar Shave Club(DSC)のこれまでの急速な成長(創業2012年)を支えたことの正当な報酬として、投資額の10倍のリターンを得ることになるだろう。

Unileverは数年前にDSCとのパートナーシップを求めたが、そのときは買収の意図はなかった。話がエスカレートして交渉がまとまったのは、突然である。UnileverはDSCに、同社の国際的な市場と流通チャネルへのアクセスを与える。

DSCは2012年の創業以来、男性用身づくろいビジネスでトップ企業への道を驀進し、昨年の売上は1億5300万ドル、来年は2億を計画していた。買収額の売上に対する倍率という点では、これはeコマースの買収史上、最大である。

Unilieverにとっては、DSCの320万の会員が魅力であり、同社はいわば、成長著しい顧客層への露出を増すことになる。

DSCは髭剃り用品があまりにも有名だが、ほかに男性用の洗顔、スキンケア、整髪製品も扱っている。

Unileverにとっては、DSCが抱える顧客データも価値がある。買収後もDSCのCEO Michael Durbinの地位はそのままにして、特別の役員人事は行わない模様だ。

DurbinはいわばDSCの顔、ブランドイメージそのものであって、広告にも出演している。買収後も、彼らはロサンゼルスのDSC本社に居続ける。

今、関係各社に対して取材中なので、もうすぐこの記事をアップデートしたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

アジアを拠点とするクロスボーダー決済のフィンテック企業AirWallexが300万ドルを調達

Asia Pacific cross border payment startup Airwallex lands  3M   Tec1hCrunch

フィンテック企業がアジアの投資家の興味を引いている。資金を調達した最新の企業はAirwallexだ。中国とオーストラリア拠点のクロスボーダー取引に特化したスタートアップである。

メルボルンに本社を置くAirwallexは今週、中国の投資家Gobi Partnersが率い、エンジェル投資家のHuashan Capital One、中国のEasylink PaymentsのCEOのBilly Tamらが参加するシードラウンドで300万ドルを調達したと発表(米国時間2016年7月5日)した。

Airwallexは顧客が自国通貨で国外の製品を購入できるようにし、クロスボーダー取引のコストと面倒な手間の削減を目指している。販売者と消費者の両者が異なる通貨を利用する際に発生するコストを削減する点でロンドンを拠点とするスタートアップTransferwiseと根本的に同じ原理を利用している。

AirwallexのCEOで共同創業者のJack Zhang氏はオーストラリアの銀行で働いていた時、カフェ・ショップ事業に投資していた。しかし、その事業のために国外からの輸入品に対して余分なコストがかかることに嫌気がさすようになっていた。オーストラリア・ニュージーランド銀行、ナショナルオーストラリア銀行で働いてきたZhang氏はテクノロジーでより良いソリューションを提供しようと決断した。そして、バークレイズ銀行の外国為替部門で働いていたCTOのJacob Dai氏、COOのLucy Yueting Liu氏を含む4人の共同創業者と共にAirwallexを創業したのだった。
Asia Pacific cross border payment startup Airwallex lands 3M TechCrunch

Zhang氏はTechCrunchのインタビューに対して、プレシリーズAラウンドはクローズまで2週間と、とりわけ早く終わったと語った。

「世界的にEコマースの時代の幕開けを迎えており、とりわけここアジアにおいて大きなチャンスがあるのです」とZhang氏は語った。「Eコマース企業は自国での展開のみで満足することなく、グローバルに打って出たいと考えています」。

Airwallexは外国為替を仲値で取引する銀行間為替取引を利用している。顧客にとっては外国為替レートの手数料のだいたい90%を節約できるとZhang氏は語る。

Airwallexのサービスは現在のところクローズドベータテストの段階で、1ヶ月以内にサービスを開始する予定だ。現在、オーストラリアの規制当局の承認を待っている段階である。そのコンセプトはBraintreeもしくはStripeに近い。売買の背後に存在するシステム(それも最終顧客には見えることのない)によって決済が実行される。Airwallexは支払額に応じた決済手数料からマネタイズを図ることになる。

Airwallexは本社メルボルンに約20人の従業員、中国には12人の従業員、香港には小規模な拠点を持つ。Zhang氏は調達した資金は主にマーケティング、雇用、製品開発に使うと語った。Airwallexは顧客と販売者が同時に複数の通貨を利用できる電子財布を開発している。A

中国、香港、オーストラリアはAirwallexがまず最初に重点を置いている市場だ。しかしシンガポール、日本、韓国にも拡大予定だ。今年度内には、その市場の拡大に向けて財務面を支えるためシリーズAラウンドでの資金調達を目指している。

[原文]

(翻訳:Shinya Morimoto)

 

 

ファッションECのIROYA、自社ノウハウをもとにオムニチャネル基盤を提供——大和ハウスや東急など提携

毎月特定の「色」をテーマにしたセレクトショップとファッションECを展開するIROYA。これまでC向けにサービスを展開してきた同社が、大和ハウスグループや東急グループと組んでB向けビジネスを展開する。同社は7月12日、アパレルなど小売流通事業者向けのオムニチャネル支援に向けたプラットフォーム「Monopos」の提供を開始した。

IROYAは2013年10月の創業。代表取締役社長兼CEOの大野敬太氏は、学生時代に地元・神戸のアパレルショップの店員を経験。その後広告代理店やコスメ系IT企業、コーポレートベンチャーキャピタルなどを経てIROYAを起業した。

冒頭で書いた通り、毎月特定の色をテーマに、幅広いブランドを集めたセレクトショップ「IROZA」を展開。東京のほか京都、名古屋、博多などでポップアップストア(期間限定ショップ)を出店した後、現在は東京・渋谷の東急百貨店東横店に旗艦店を出店。同時にECサイトの「IROZA」も展開している。

IROZAの実績について

IROZAの実績について

そんな同社が展開するMonopos。これはIROZAの店舗、ECサイト運用の経験をもとに、倉庫や物流のマネジメントから在庫登録、配送、ECサイトの運用、店頭でのPOS利用、決済代行まで、サプライチェーンの行程を一元管理するプラットフォームだ。“オムニチャネル支援”とあるように、EC、実店舗むけそれぞれに機能を提供している。EC向けに自社サイト構築やウェブでの集客サービス、決済代行、配送といった機能を提供する一方、実店舗向けにはスマートフォンベースのPOSレジを提供するほか、集客支援などの機能を提供する。

この仕組みを実現するため、IROYAでは大和ハウスグループの大和物流(倉庫提供やフルフィルサービスを支援)、VOYAGE GROUP傘下のVOYAGE VENTURES(アフィリエイトによるウェブ集客支援)と資本提携業務提携を実施。また東京急行電鉄(東急電鉄)、東急百貨店(新規出店店舗向けにオムニチャネルサービスを提供)と業務提携、ヤマト運輸(配送連携および決済代行)とサービス連携を実施している。なお資本提携による調達額やバリュエーションは非公開となっている。

「Monopos」のサービスイメージ

「Monopos」のサービスイメージ

Monoposを利用するメリットの1つは、ECサイトと店頭の在庫を共有できること。これまではシステムが分かれているため、ECサイトと店頭で販売アイテムの在庫を分けて管理する必要がった。だがMonoposではそれを一元管理できるため、販売チャネルごとの在庫を用意する必要がなく、結果としてアイテムの消化率を高めることができるという。また、ECサイト向けのアイテム撮影や商品登録などのフルフィルメント業務はパートナー各社が対応。登録したアイテムは、IROZAに在庫シェアが可能。新たな販路を開拓することもできる。ユーザーにはそれぞれ固有のIDとQRコードを発行。このQRコードによって、ユーザーごとのEC・店舗両方の利用を管理できる。

今回の取り組みは、東急電鉄が手がけるスタートアップ向けアクセラレーションプログラム「東急アクセラレートプログラム(TAP)」がきっかけになっているという。プログラム発表の際にはその温度感が分からないところがあったのだけれど、今回の発表といい、クローズドで開催している着実に成果を出しているということだ。もちろん大和グループには倉庫の新しい利用用途の発掘、東急グループにはテナント誘致といった狙いはあるだろうが、小売流通事業者にとっても、EC・実店舗を1つのプラットフォームで管理できる意味は大きいはず。最近だとアパレル業界の不況について報じられることも増えているが、このプラットフォームを利用して事業の効率化を図るといったケースも今後出てくるんじゃないだろうか。

FinTechスタートアップのカンムがVISAプリペイドカードを発行へ、その意図は?

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CLO(Card Linked Offer)事業を展開するFinTechスタートアップのカンム。同社は7月11日、VISAのプリペイドカード「Vandle」を今夏中にも発行することを明らかにした。クレジットカードの加盟店で利用できるプリペイドカードは、KDDIの「au WALLET」(Master)やLINEの「LINE Pay カード」(JCB)などの登場によってユーザーの認知も高まっている存在。スタートアップがこれを提供する意図はどこにあるのだろうか。

その前にカンムについてご紹介しておこう。同社の設立は2011年。シード期に独立系ベンチャーキャピタルのEast VenturesおよびANRIから、2015年末にアドウェイズ、iSGSインベストメントワークス、フリークアウト、三菱UFJキャピタル、TLMから合計1億2500万円の資金を調達している。

カンム代表取締役社長の八巻渉氏

カンム代表取締役社長の八巻渉氏

カンムでは2013年からは大手クレジットカード会社のクレディセゾンと提携してCLO事業を展開してきた。CLOとは、クレジットカードの利用履歴をもとに、カード会員の属性に最適な各種の割引情報や優待情報を提供するというもの。現在は大手小売店やEC、保険などの領域のクライアントを中心に取り扱い、送客手数料や送客後の成果報酬によって収益を得ている。カンム代表取締役社長の八巻渉氏によると、すでに事業単体で単月黒字化を達成している状況という。

だが一方で課題もある。提携カード会社と直接契約している加盟店以外はCLOを利用できない(ざっくり言うと、カード決済において、イシュアー(カード発行者)とアクワイアラ(加盟店)が異なる場合は、決済に関する情報の一部を確認できないことがあり、最適なオファーを提案できない)ほか、オファーUIをカスタマイズできない(クレジットカードのオンラインサービス上で固定のバナーを提供する程度)という課題があった。これを解決するためには自らが決済情報を把握でき、かつさまざまな形でカード会員にオファーを提案できるプラットフォームを築く必要がある。これがカンムがプリペイドカード発行に至る経緯だ。

Vandleは、あらかじめ金額をチャージしておけば、VISAのカードが使える店舗・インターネット決済どこでも利用可能なプリペイドカードだ。あらかじめチャージする必要があるため、年齢制限や与信審査も必要ない。専用のアプリをインストールし、会員登録さえすればすぐにカード番号をが付与されてECの決済に利用できる。決済情報はリアルタイムに通知されるほか、今日いくら使ったか? 今週いくら使ったか?といったデータをアプリ上で表示する機能も用意する。

「Vandle」のアプリやその上でのCLOイメージ

「Vandle」のアプリの利用イメージ

アプリ上からはバナー広告を一掃。CLOを用いて、ユーザーが興味あるであろう情報だけを提供するという。具体的には、行ったことある店舗の情報が関連付けて表示される、そのカードが店舗のポイントカードの代わりになるといったようなものになるという。

また、Vandleは企業などが独自ブランドでプリペイドカードを発行することも可能となっている。あくまで例だが、出資するiSGSインベストメントワークスの親会社であるアイスタイルが、「@cosmeプリペイドカード」を発行することだって可能なわけだ。さらに言えば、自社サービス上で提供するポイントと、Vandleを通じた独自プリペイドカードを組み合わせることができれば、ネットとリアル両方で利用できる新たなポイントサービスを生み出し、また裏側では様々な決済データをもとに、より精度の高いCLOを実現できる。どこまでの範囲での話かはさておき、カンムではすでに複数の大手企業との提携を進めているところだという。

カンムではまた、今回の発表に合わせて、決済やマーケティング関連の3つの特許も取得している。今後はCLOで培ってきた決済データ解析の強みを活かして、自社で与信モデルを開発。独自のクレジットカードも発行する予定だという。この新しい与信モデルでは、既存の与信方法ではカードを作れなかった層にもクレジット機能を提供していく予定。

地上走行配送ドローンの普及は近い―Skypeの共同ファウンダーのスタートアップが実験を拡大

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今のところ空を飛ぶドローンによる配送は現実性というより話題作りで会社をPRするのが主な目的だ。しかし車輪によって歩道をゆっくり走る自動運転ドローンはeコマースの配送手段として意外に早くわれわれの身近に姿を現しそうだ。

ロンドンに本拠を置くStarship Technologiesの共同ファウンダーにはSkypeの共同ファウンダーとして著名なAhti HeinlaとJanus Friisが含まれている。このスタートアップは今月からイギリス、ドイツ、スイスで自動運転配送ドローンの大規模な実用化テストを開始する。

Starshipの小型の車輪走行ロボットは、すでに9ヶ月前から12カ国で試験走行を行ってきた。しかし今回はこのドローンとしては初めて実際に商品を配達する実験を行う。つまり提携企業に対し、実際に配送能力を提供するものだ。世界的に料理配達ネットワークを展開するJust Ea、ロンドンのPronto.co.uk、、ドイツのリテラー、Metro Group、荷物の配送ネットワークのHermesなどがパイロット・プログラムに参加する。テストでは5都市でこれらの企業の実際の顧客にロボットが注文の品を配達する。

ドローンが最初に歩道に登場するのはロンドン、デュッセルドルフ、ベルンになる。このテストが成功すればヨーロッパとアメリカの他の都市にも運用が拡張される。Starship Technologiesのマーケティングとコミュニケーションのマネージャー、Henry Harris-BurlandはTechCrunchのインタビューに対し、「テストは6ヶ月から8ヶ月を予定している。テストの結果にもよるが、われわれは2017年にも全面的な実用化ができるものと期待している」と語った。

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テストの目標についてHarris-Burlandは「いろいろあるが、中でも公衆の反応、テクノロジーの信頼性、人間とのコミュニケーションが重要だ。また食べ物でいえば熱いもの熱く、冷たいものを冷たいまま運べるか、生鮮食品を運べるかなどもテストする」と語った。

私はHarris-Burlandにこのロボットはいたずらやバンダリズムの被害に遭う(残念ながらそういう実例がある)ことはないか、また行き会う人々を驚かせはしないか尋ねてみた。

メールで送られてき回答によると、「ロボットに対する不正な行動は実はごくまれだ。 5000マイルにおよぶテストを繰り返してきたが、これまでに第三者による妨害に遭遇したことは一度もない。しかし多数のドローンが路上を走行するようになれば、いずれは何かが起きる可能性がある。そうした妨害を予防し、対処するテクノロジーを確立することも実用化に向けたテストの目的の一つだ。ロボットには9台のカメラが装備されており、ごく近距離まで常時監視している。正常な運行に障害が生じればオペレーターに直ちに警告が発せられる。いずれにせよロボットは40万以上の人々の間で運用されてきたが、これま問題は起きていない」ということだ。

この先進的ロボットが一般人を驚かせるのではないかという質問に対して、Starship Technologiesでは「ロボットの目的(商品の配送)を広く啓蒙する」ということだ。またHarris-Burlandによれば「広汎なテストを通じてロボットと人間との付き合い方を研究していく」と語った。

「配送実験の初期の段階ではロボットは単独では運用されず、人間のオペレーターが付きそう。これにはいくつかの理由があるが、公衆の反応を観察するのもその一つだ。たとえば門口にロボットが現れたとき注文主はどういう反応を示すか? 注文主が抱くであろう疑問に対して答えるのも付き添いのオペレーターの役割だ。いずにしても世界最初のロボット配達の注文主になるのは大いにクールな経験として喜んでもらえると思う」とHarris-Burlandは付け加えた。

Starship Technologiesではロボットを社会に溶けこませるためにどうしたらよいかなどロボットの実用化にあたって見過ごされがちな点を細部にわたって検討している。こうしたロボットがオペレーターの介入の必要なしに順調かつ効率的に荷物の配送を続けられるとよいと思う。

〔日本版〕ビデオではSkypeの共同ファウンダー、アーティ・ヘインラ〔Ahti Heinla〕がサラ・バー記者にロボットの機能やテスト計画を詳しく説明している。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Pinterestが画像検索機能を追加、スマホカメラを使って類似商品などが探せるように

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Pinterestは本日(米国時間6月28日)、購入したい商品を探すための新ツールを発表した。商品は現実世界で見ているものから探すことができる。

使い方はこうだ。Pinterestの検索にある、画像検索ボタンをタップする。興味がある物にカメラを向けると、アプリは写っているものの画像検索を自動で行う。認識できる物には全部オブジェクトを追加する。ユーザーは追加されたドットをタップすると、類似商品のレコメンドを見ることができる。

この画像検索ツールは次の数ヶ月で展開するとPinterestは説明する。この画像検索ツールは、一連のアップデートの一部に過ぎないと今朝サンフランシスコで開催したイベントでPinterestが伝えた。

画像検索ツールは全体の画像検索機能アップデートの一部だ。今後、ユーザーはPinterestで写真を開くと、写真に写るものを判別し、Pinterestが類似商品があると判断した物を自動で検出する。ユーザーが画像検索ボタンをタップすると、ドットが表示される。ユーザーは画像の指定範囲を調整し、より精密な画像検索を行うことも可能だ。

これは、Pinterestの抱えるオンライン・コマース企業をさらに活かすための施策だ。Pinterestは画像検索ツールに大々的に投資し、ユーザーは画像から商品やPintrerestのピンを探したりすることができる。ウェブには他の画像検索ツールもある。だが、Pinterestは画像検索に大きな焦点を当てていると公に発表している数少ない企業のうちの一社だ。

カメラから画像検索できるという今回のアップデートは、ユーザーが購入体験において初めて商品に関心を持つ瞬間にPinterestが近づくことを意味する。これまでユーザーが現実世界の何かを見て、購入をすぐに決断する瞬間にEコマース企業が入り込むことは難しかった。どこの販売店でも、この重要だがあまりに小さなチャンスを得ることは難しいが、それでも物理店舗の方が有利だった。今回、カメラからの検索テクノロジーを用いたツールを追加することで、Eコマース企業がその瞬間に訴求し、オンライン購入へとつなげることが可能となる。

Pinterestがこのような施策を取るのは自然なことだろう。Pinterestはほぼ全てが画像による体験を提供していて、それはテキストの情報よりユーザーを惹きつける。また、企業がそのユーザーを潜在的なカスタマーに転換する助けにもなる。Pinterestはユーザーの購入プロセスのどの場面にも入り込むことができる。特定の商品やブランドに興味を持つところから、商品の検索し、購入の意思を固め、最終的に購入に至るまでだ。Pinterestには全てのタッチポイントがあるため、パートナーと協力して、広告を打つことが可能だ。Pinterestは他のネットワークにはない広告ツールが提供できる。

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画像検索の他に、Pinterestは新たなコマースツールも展開する。このツールはユーザーのウェブを使う場面についていき、ユーザーがどの媒体からでもプロダクトを検索したり、購入したりすることを可能とする。

Pinterestの新たな「ショッピング・カート」機能も今回の重要なアップデートとうまくつながる。Pinterestから購入可能な商品で、気に入ったものをユーザーはショピングカートに追加することができる。カートはアカウントをアクティブにしている他のどのプラットフォームからでもアクセスすることが可能だ。例えば、スマホで気に入った商品を見つけたが、まだ購入を迷っている場合、あとでiPadから購入したりすることができる。あるいは、ウェブからも購入できる。Pinterestはウェブバージョンにも購入機能を展開し、アプリだけに留まらない購入体験を広めたい考えだ。

Pinterestはブランドに、コンシューマーとの新たなタッチポイントを提供する。ブランドページだ。ユーザーが特定のバッグを探しているなら、販売店のページに直接アクセスし、その販売店が取り扱っている類似商品も合わせて見ることができる。

New Merchant profile

コマースツールがPinterestにとって重要なのは、前述したようにPinterestはコンシューマーの購入体験の全過程にアクセス可能だからだ。Pinterestは他の類似サービスと同じように、広告パートナーやコマースパートナーとして多くの事業者を集めたい。Pinterestのコンテンツの大部分は商業用コンテンツであり、スムーズな購入体験はPinterestのサービスにとって重要だ。

Pinterestのようなスタートアップしか、このような画像検索エンジンを用いた購入体験という大幅なアップデートを展開することはできないだろう。他のコマースサイトにはこういったツールは存在しない。Pinterestは大規模なソーシャルネットワークであり、1億人以上のユーザーがいる。ユーザーはキュレートショップやオーガニック検索、あるいはPinterestの進化し続ける広告ツールによる高度なターゲット広告から欲しい商品を見つけ、購入に至っている。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

FacebookがPOSシステムと連携、ユーザーの来店と購入までトラックできるように

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Facebookは広告収入における聖なる杯を見つけた。そして、今回SquareやMarketoといったPOSシステムとパートナーシップを結ぶことで、Facebookの広告を見て、どのくらいのユーザーが購入に至ったかを示すようになる。何も購入しなかったとしてもFacebookはGPS、ビーコン、WiFi、無線信号、携帯電話基地局などの情報と物理店舗の位置を照らし合わせる新機能で、その店舗を訪れたユーザー数が分かるようになる。

このデータがあれば広告主はFacebook広告により資金をつぎ込みやすくなる。Facebookでの広告のビュー数が、来店や購入に結びついたかを正確に示すことができるからだ。まだ物理店舗での売上が90%を占め、オンラインは少ない状況だ。Facebookは広告のビュー数、クリック数といった断片的な指標ではなく、広告が実際にどの程度購入につながったを測定できるよう、業界の進化を促そうとしている。

Offline Conversions API(オフライン・コンバージョンAPI)で、FacebookはGoogleと広告費を巡って競うことができるようになる。Googleは2014年からAdWordsに来店指標を導入し、最近では近くの店舗を示す地図付きの広告商品を出した。Facebookが広告主を惹きつけるには、人気のあるニュースフィードの広告を提供した上で、広告を見ている人が誰で、何に関心があるといったディープデータセットをも提供する必要があるだろう。

Facebookはプライバシーを守るために、データを匿名化して統計処理を行っているが、明確にオプトアウトできる選択肢が用意されていないのは不安な気持ちになる。特定の広告をフィードで表示しないように設定するか、Facebookの位置情報サービスを全部オフにするくらしかできない。この施策に不満を持つ人は、Facebookの他の機能が使えなくなったとしても、位置情報機能を切ってしまうことだろう。

Facebook Purchase Data

これまで広告主は、手元の広告購入と売上の推移の関係を漠然と予想するしかなかった。Facebookとパートナーシップを結んでいるDatalogixといったオフラインの購入データプロバイダーの提供データさえ正確とは言えないものだった。しかし、新たなオフライン・コンバージョンAPIでFacebookは店舗のレジスターやEコマースの売上管理ソフトウェアに直接アクセスし、店舗とオンラインの両方の取引状況をリアルタイムで取得することができる。それに加えデモグラフィックの詳細情報を得ることで、今後打つ広告キャンペーンの効果を上げることもできるようになるだろう。

店舗への来客を促したい広告主向けに、Facebookは新たなStore Locator広告商品も用意した。これは、ユーザーの近くにある企業の物理店舗の位置をカルーセル広告の最後に表示して、ユーザーが目的地への道順を取得できるものだ。Facebookを離れ、慣れないサイトの店舗検索を使用せずとも店舗の住所、営業時間、電話番号、ウェブサイト、各店舗への到着予定時刻がソーシャルネットワーク上で分かる。広告をクリックするとネイティブ地図アプリで目的地までの道順を確認することができる。

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FacebookのMonetization Product Marketing部門でディレクターを務めるMaz Sharafiは「オンライン広告の初期の頃を思い返すと、これが広告主が長らく待っていたことだったと分かります」。

広告主も同意する。アルゼンチンの電化製品の小売店、Fravegaでデジタルマーケティングマネージャーを務めるMariano Tordoは「Fravegaでは、Facebook広告経由のEコマース収益の1ドル毎に対し、実際には物理店舗で2.20ドルを得ていたことが証明されました。新たなソリューションで私たちは、広告投資を最適化し、納得して広告費を増やすることができました」と言う。

フランスの小売店E.Leclercは、彼らが出した広告の1つでは、クリックの12%が7日以内の来店につながっていたという。こういったデータは広告主がFacebook広告をさらに購入する動機となるだろう。

広告主はIBM、Index、Invoca、Lightspeed、LiveRamp、Marketo、Squareらとパートナーを組みAPI経由でオフラインのコンバージョン率を取得するか、あるいはFacebookと直接組むことができる。全てのユーザーが位置情報サービスを常にオンにしている状態ではないので、Facebookはサービスをオンにしている代表サンプルから、広告のビュー人数の何割が広告主の店舗へと足を運んだのかを推定する。

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位置データはStore Visits(店舗来客)指標として、次の数ヶ月間内にFacebookの広告パフォーマンス・ダッシュボードでの展開が完了した時点から利用できるようになる。FacebookのプロダクトマネージャーSam Englandはこの指標は「ブラックボックスへと通じる窓」と呼ぶ。このデータは、プライバシーの安全のため、匿名化して統計的に処理しているため、広告主は誰が広告を見て、来店して購入したかを特定することはできない。広告キャンペーンでターゲットした中の誰かが来店や購入したということだけだ。

投資対効果の不透明さが、どのプラットフォームでも企業がそれ以上に広告に投資することを躊躇わせる障壁となっていた。テレビ、印刷物、看板では、まるで売上や広告の閲覧数を特定する方法はなく、オンライン広告でもオンラインから直接広告をクリックして、売上につながった場合にしかトラックすることができなかったが、今回のFacebook広告はそれと比べると多くのことが分かるようになる。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

LINE、イランに美容とファッションのポータルを開設

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【編集部注:本校の執筆者、Amir-Esmaeil Bozorgzadehは、教育IT分野のVRスタートアップ、Virtuleapの共同ファウンダー、およびドバイ拠点の中東アジアオンラインゲームパブリッシャー、Gameguiseの共同ファウンダーで、世界のゲーム開発者、パブリッシャーのコンサルタント業務を行っている。

Benitaは、ファッション、美容、ライフスタイルの最新ニュースを届けるポータルとして、今年5月にイランでデビューした。人気メッセージングアプリで知られるITの巨人、LINEは、同国での目的地サイト分野進出を後押ししようとしている。

ポータルは、地元のイラン人スタッフからなるチームが作る日々のコンテンツや、地域ユーザーが重要な話題を共有、議論するためのフォーラムを提供する。

LINEは入念な準備をしてきた。イランのITとスタートアップの状況は、経済制裁解除後に海外からの直接投資が急増したことをうけ、その活動も報道も沸き立っている。そして同社は、ITおよびソーシャルメディアの経験を活用するとともに、当地の女性人口の間にある根強い需要に対応するべく、この分野に入ってきた。

イランの女性人口は3900万人(全人口の49%)で、その60%が30歳以下だ。その結果イランは、全人口に対する15〜29歳の比率が世界最大である。

イランの女性を理解するための重要な鍵が一つある。それはイスラム教の服装規定だ。

女性は髪を隠し、地味な服装を着ることを強いられている。このことによって、イラン議会の調査センターの推定によると、この国の美容・化粧品の業界規模は40億ドルにも上る。開かれた領域である女性の顔と手は、彼女らが個性を発揮する最も重要な場所だ。

イランのITとスタートアップの状況は、その活動も報道も沸き立っている。

しかし、「ファッション」も忘れてはならない。テヘラン北部の繁華街には、一流国際ブランドの最新流行コレクションが並んでいる。イラン首都のこの裕福な地域に散在するブティックに行けば、最新トレンドのファッションがいつでも手に入る。オンラインでは、Instagramが最も人気の高いソーシャルネットワークで、イラン人の半数がこの写真共有サイトでトレンドを追いかけている。

イランには300万人の富裕層がいると言われ、そこには世界の高級品市場1兆ドルの約2%を占める高級品市場がある、とExane BNP Paribasのアナリスト、Luca Solcaが報告している。その中の女性シェアは重要である。

しかし、市場には偽物が溢れており、国際的な商標保護協定に加盟していないことから、近年事態は悪化している。しかし、有名ブランドらの介入によってもうすぐこれが変わろうとしている。その代表例が、イタリアの首相が最近イランを2日間訪問した際に、イタリアファッション業界が署名した、イランとの関係を良好にするための契約だ。

ロベルト・カバリはイランで最初のブティックをこの2月に開店した。 セフォラは地元の高級品小売大手、Chalhoub Groupと提携して秋にショップをオープンする計画だ。ヴェルサーチも近くテヘランに主要ブティックを開くと言われている。

こうして、ヨーロッバの最大高級品ブランドらは中東第二の市場に参入しつつあり商標保護を推進するとともに、偽物需要を減らそうとしている。

こうした海外ブランドの多くは現地のパートナーと提携関係を結んでいる。LINEも例がではない。同社はドバイ拠点のデジタル代理店で、ポータルやアプリの開発に定評のあるEdoramediaと組んで、Benitaを開発した。

「イランの人たちは、ITに関して初心者ユーザーではない」とEdoramediaのマネージングパートナー、Hossein Jalaliは言う。「彼らは非常に進歩的なユーザーであり、トップブランドによる最高のユーザー体験と商品を求めている」

通常この次に起きるのは、Benitaのようなポータルの参入と拡大にあわせて、関連するスタートアップやソリューションが急増することだ。女性が支配するこの業界のデジタル化を、彼らが挙って推進することによって、プラットフォームやツールの水準も目の肥えたユーザーたちの眼鏡にようやくかなうことだろう。

「小売の状況は急速に変化しているが、適切な小売場所が不足していることから、新規参入者にとってはEコマースが唯一の選択肢だ」と、現地の人気Eコマースポータル、Albasco.comのCEO、Ehsan Golabgirは言っている。

原文へ
 
(翻訳:Nob Takahashi / facebook

地味すぎる100兆円スタートアップ

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船舶の積み荷目録からiPhone 3Gの存在が漏れた一件で、Steve Jobsは激怒した。フレート・フォワーディング(貨物の運送)業界でエキサイティングな出来事があったとすれば、この一件だけだ。世界経済の血流ともいえるこの業界は、100兆ドル規模のビジネスである。しかし、誰もそれを話題に取り上げることもなければ、この業界向けのテクノロジーを開発しようともしない。

Flexportのようなスタートアップにとって、この状況は彼らがディスラプション(創造的破壊)を成し遂げるための絶好のチャンスとなった。

透明性がデータを生み、データが効率性を生む。スマートな運輸が物理的世界を収縮し、インターネットがデジタル世界を収縮する。新しいビジネスが誕生する。高帯域幅のインターネットがNetflixの進路を舗装した。そして今、Flexportによって現実世界の商業がAmazonのような高速化を遂げる。

2690万ドルの資金調達によって、Flexportは今年の運輸実績を16倍に伸ばした。Y CombinatorのプレジデントであるPaul Grahamは、「Flexportは、世界を変える一握りのスタートアップの1つです」と語る。運輸業界が、その規模に見合った注目を浴びる時代がついに来るのかもしれない。

フレート・フォワーディングとは何か?

しばし説明にお付き合いを。150キロ以上の荷物を郵便システムを使って輸送することはできない。それは貨物運送に該当し、それを輸送するためには個別に所有された複数台の車両や船舶などを利用する必要がある。そうして、陸、海、空を通して工場などから小売店などの目的地まで運送されるのだ。

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画像上のドットは、現時点でFlexportによって輸送されている貨物を表す。 黄色は海運、 赤は空運(数が少ないのは到着までに時間がかからないから) 、そして白はトラックを意味する。

最も安価に運送し、面倒な税関手続きなどを避けるための手段として、組織的な運送業者であるフレート・フォワーディング企業のサービスが利用される。彼らはトラックや巨大な貨物船などのオーナーと直接的なコネクションを持つ。

しかし、すでに述べたように、この業界は地味なビジネスである。そのため、つい最近までのフレート・フォワーディングでは、エクセル、Eメール、ファックス、そして紙でできた積み荷目録が利用されていた。そのために、サプライチェーンにおけるムダや弊害を見つけ出すのがとても難しかったのだ。

だが、Flexportがすべての運送業者をインデックス化して検索可能なデータベースへと落とし込み、それを無料のソフトウェアとして提供し始めたことで状況は変わった。組織化され、追跡可能な輸送が可能になったのだ。

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これは突飛なアイデアというわけではない。現にFlexport自身、同ソフトウェアのダッシュボード上に整理されたデータを利用し、それによって最適化された独自のフレート・フォワーディング・サービスを提供している。同社のフルスタックなソフトウェアやサービスを通して運輸サービスが予約されると、そのルート、料金、スピード、税関のコンプライアンスなどのデータが蓄積される。そして、そのデータを利用することで、最も効率よく地点Aから地点B、C、X、Y、そして地点Zへと運輸する方法を割り出すことができるのだ。

時間が経つにつれ、Flexportによるルート決定機能はより自動化されたものになる。しかし、必要とあれば人の手を使ってシステムの隙間を補強する。近代化を拒む、中国のトラック輸送業界への対応などがその例だ。その一方、Flexportの競合企業たちは手探りで最良のルートを探し出すしかない。彼らは不完全なデータしか持たないからだ。

「ブラックボックスと化したこの業界に、透明性をもたらしたのです」とFlexportの創業者、CEOであるRyan Petersenは語る。「経済を支えているのは貨物を輸送する能力です」。

このビジネスを初めて1年間、その用語の意味を理解していませんでした。

— Ryan Petersen, Flexport CEO

Petersenは、貨物輸送事業を副業として始めた。当時10代だった彼とその兄弟は、中国で商品を仕入れ、それを米国でWeb上で販売するというビジネスを始めた。2005年に彼は中国に渡り、2年かけてサプライチェーンを構築した。

Petersenが積み荷目録という「手つかずの金鉱」を発見したのはその時だった。彼はImport Geniusという企業を立ち上げ、積み荷目録をインデックス化する事業を始めた。それからすぐ、Inport GeniusがSteve Jobsの激怒を買うことになる。Import Geniusは、当時まだ発表されていなかったiPhone 3Gが中国から輸送されていると予測し、それが報道機関に知れ渡ることになったのだ。

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左から、Flexport CTOのAmos EllistonとCEOで創業者のRyan Petersen

Import Geniusが安定化し始めた頃、Petersenはこのように話してくれた。「もっとも重大な問題は私の目の前にありました。グローバル貿易の分野には、それを管理するソフトウェア存在せず、管理がとても困難だったのです。私は、中小ビジネス向けのソフトウェアは存在しないと考えました。その後に明らかになったのは、そのようなソフトウェアは本当に皆無だったということでした」。

規制機関から認可が降りるのに2年を費やし、Y Combinatorの一員にもなった。そして、Flexportが誕生した。

2016年、同社はRingやLe Toteなど700以上のクライアントをもち、64ヵ国への運輸サービスを提供する。年間で輸送する貨物の価値は15億ドルにものぼる。現時点で、Flexportのプラットフォームで240万点のおもちゃと41万2000点のガラス製品が運搬されている。同社の出資者には、First Round, Founders Fund、Felicis、GV(Google Ventures)、Box Group、Bloomberg Beta、Ashton Kutcherなどが名を連ねる。

「このビジネスを始めてから1年経つまで、”フレート・フォワーダー”という用語の意味が分かりませんでした」というPetersenの発言を踏まえれば、この成功は驚くべきものだ。

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FedExやDHLといった巨大な物流サービス企業が居眠り運転をしていたわけではない。単に、彼らには素早い方向転換が不可能だったのだ。Petersenは、「(DHLは)150億ドルを費やして3社の巨大なフレート・フォワーダーを買収し、IT化を推進するためにIBMと9億6000万ドルの契約をしましたが、彼らは失敗しました。彼らは完全に諦めたのです」と話す。

Flexportにとって、最大の競合企業はExpeditorsだ。彼らは10億ドルの現金資産を持つが、テクノロジーを生み出すのに必要なスタートアップのDNAを持ち合わせていない。「ExpeditorsはGUIが誕生する以前のコンピューターです。DOSのようなもなのです。キーボードのショートカットしかありません」とPetersenは笑う。「ソフトウェアこそが企業を差別化させる存在なのです」。

Flexportとは別の部分にフォーカスしたり、異なるビジネスモデルを持つスタートアップも運輸ビジネスに参入しようとしている。Havenは運輸業者と輸出入業者を結びつけるマーケットプレイスを提供している。Disrupt SF 2014ではShipstrとしてローンチされ、その後に社名を変更したFleetは、ブローカーのためのマーケットプレイスを提供している。TruckerPathとOverhaulは大陸間のトラック輸送を統合するサービスを展開している。

これらの企業でも、Flexportが物流データと実際の運輸サービスを組み合わせることによって実現した「神の全知」を提供してはいない。

しかしながら、Flexportのソフトウェアが提供しているのはフレート・フォワーディングの予約サービスのみだ。そのため、このソフトウェアを通して他企業のサービスを利用することはできない。Flexportを利用する企業は、同ソフトウェアが割の良い料金設定を提供してくれることを祈るしかない。Flexportでは、料金設定の背景が見えにくい代わりに、複数のキャリア間の透明性を確保し、貨物の動きをコントロールすることができる。一方、Havenではカスタマイズ可能な運輸オプションが提供されている。

Flexportにとって、最大のリスクは規制の変化だろう。同社は世界中の規制に対応しなければならないからだ。それに加えてPetersenは、トランプ氏が大統領に就任することによって、中国からの輸入品に高い関税がかけられることが懸念材料だと述べる。

Flexportは、現在でも貨物輸送エコシステムの一部を支配できる可能性をもつが、当面は同社がもつユニークな強みにフォーカスすることに専念する。Petersenは「エンタープライズにAmazonのOne-Clickを」というアイデアの実現に血眼になっている。Flexportは、AIを活用して追加発注サイクルをモニタリングしたり、将来の注文を予測しており、それによってFlexportの顧客企業は少なくなった在庫を素早く補充することができる。shipments

Petersenはこれを「グローバル貿易におけるOS」と呼んでいる。

「彼らは運輸の自動化に挑戦している」とPaul Grahamは賞賛する。「そこから生まれるエネルギーのポテンシャルを想像してみてください。世界経済の15%です。そして残りの85%の足かせとなっているのが、この部分なのです。この分野における進歩はとても遅いために、運輸の自動化によって生まれるエネルギーはいっそう大きくなります。そして、Flexportはみずからの望みをすべて叶えている。なぜなら、schlep blindness(面倒な仕事の無視)によって皆がこの事実から目を背けていたからです」。

ある業界に内在する面倒な問題を避けるあまりに、イノベーターが大きなチャンスを見逃してしまうことを表す「Schelp Blindness」という言葉は、Graham自身がつくりあげた造語だ。Schelpはイディッシュ語で「退屈な旅」を意味する。

Flexportは、起業家が退屈に見えるビジネスに切り込むことで実現した成功の見本となる例だ。Petersenは文字通りに、また比喩的にも「退屈な旅」を好機と捉え、フレート・フォワーディングの世界に新しい風を吹き込んだ。どんなに退屈に見えたとしても、カエルとキスをすることで、カエルが王子に変わることもあるのだ。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

 

楽天グローバル市場の縮小が続く…今度はイギリスとスペインとオーストリアから撤退

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日本のeコマースのトップ企業Rakuten(楽天)が、再びその国際的なプレゼンスをダウンサイジングすることになり、ヨーロッパの三つの国におけるeコマース事業を閉鎖する計画を発表した

イギリスのRakuten.co.ukとスペインのRakuten.es、およびケンブリッジとバルセロナの同社オフィスを閉じる動きは、2月に行われた同様の合理化意思決定の再現である。そのときは同社は東南アジアから撤退し、ブラジルにおけるプレゼンスをリストラして3億4000万ドルの資産を償却した。

今回オフィスとオペレーションを閉鎖する三つ目の国はオーストリアだが、この国の顧客は隣国ドイツのサービスを引き続き利用できる。実際の閉鎖は8月に行われ、以降Rakutenはヨーロッパではフランスとドイツに力を入れる。フランスではPriceMinisterの事業をダウンサイズしたものの、これら二か国は“そのスケールとポテンシャルからして、今後の持続的な成長が可能”、としている。

“イギリスとスペインでは、事業のサイズに比して成長のための費用が不釣り合いなため、オペレーションを閉鎖する計画に至った”、とRakutenは声明で述べている。

Rakutenのスポークスパーソンによると、閉鎖はヨーロッパにおける同社のそのほかの企業や事業には影響が及ばない、という。それらはたとえばビデオプラットホームのWuakiや、メッセージングアプリViber、ロンドンに本社がある昨年買収したファッションのeコマースFits.meなどだ。Fits.meは元々エストニアの企業だが、ロンドンに拠点を移してRakutenのeコマース事業におんぶしていた面も大きいだけに、今回のイギリス撤退をどう思っているだろうか。

“今後の協議次第だが、三つのマーケットプレースを閉鎖する現在の計画では、およそ100名の社員に影響が及ぶと予想される。可能なかぎり、代替職を提供していく”、とスポークスパーソンは語った。

ヨーロッパで縮小している同社だが、フランスとドイツでは新しい企画を展開しようとしている。ドイツでは会員に対するポイントサービス、フランスでは商業者のためのローコストのコミッションプログラムなどだ。

Rakutenがイギリスに進出したのは2011年に同社がPlay.comをわずか4000万ドルで買収したときだ。そのサイトがのちに、Rakuten.co.ukになったが、Rakutenが今後も注力を続けたいほどの業績を上げ得なかった。

RakutenのCEOで協同ファウンダーのHiroshi Mikitani(三木谷浩史)は今年の2月に同社の‘2020年ビジョン’を発表し、 不採算部門や将来性の薄い事業の切り捨てがその第一歩となった。最近行ったさまざまな買収をMikitaniは高く評価し、それら(Viber(2014年に9億ドル)、ビデオサイトViki(2013年に2億ドル、とされる)、アメリカのディスカウントストアEbates(2014年に10億ドルなどなど)により、eコマースとモバイル上の顧客機会をより大きくとらえられる、と考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Conversableは消費者と企業の関係を深めるチャットボット…ただ買うだでけでなくアレルギーの質問なども

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[筆者: John Mannes]
商業者と消費者の関係を強化する会話のためのチャットボットConversableが今日(米国時間6/7)、鶏の手羽先料理専門のレストランチェーンWingstopとのパートナーシップを発表した。これでユーザーは、Facebook MessengerやTwitterなどのアプリの中から、注文をしたり、アレルゲンについて問い合わせたり、最寄りのお店を尋ねたりできる。

デベロッパーにAPIを提供する方式ではなく、Conversableは同社自身のプラットホームでFortune 500社に力を与えようとする。そのプラットホームは、ほとんどどんなアプリケーションにもアドオンできる。最初のユーザー企業がWingstopだが、同社は、人びとの買い物や、航空券の購入、企業との対話などを変えていきたい、と言っている。

協同ファウンダーのBen LammとAndrew Buseyは、前にも二度、一緒に仕事をしたことがある。まずテクノロジースタジオChaotic Moonで成功し、次にゲームデザインのスタジオTeam Chaosを作った二人は、その後、自動化チャットボットで企業/商品/お店(広義に“ブランド”)へのアクセス性を向上させる、というアイデアに魅力を感じた。

“このアイデアが気に入ったのは、それによって企業の新しい会話ツリーが時間とともにどんどん増えていくことだ。モバイルアプリの構築に年月と巨費を投じなくても、ますますいろんなことに応答できるようになる”、とConversableのCEO Ben Lammは語る。“自分の消費者体験からも言えるが、消費者のブランド体験がますます良くなり、これまでできなかったことも、できるようになる”、とConversableが提供するユーザー体験を彼は褒めそやす。

200万ドルのシード資金は、15人のチームを養うのに当面は十分だ。今は、Fortune 500社の国内企業を、顧客としてつかまえようとしている。チャットソリューションの課金方式は定額の会費制だが、カスタム化のための専門サービスも提供できる。

私たちの多くが、応答性が悪くてお粗末な、劣悪なチャットボットを使わされてきた。Conversableは、バックエンドシステムの統合を強化することによって、この罠にはまることを避けようとしている。このチャットボットは、ユーザー体験とブランドエンゲージメントの改良を、機械学習やAIを使わずに実現することを、マーケティングの核にしている。

“機械学習やAIに関心はあるけど、でもブランドが求めるのは、質問や応答の個々のノードにおけるコンテキストの理解なんだ。企業はそれらの分析によって事業を強化し、人びとが何を求めているのかを理解できるようになりたい、と願っているのだ”、とLammは付言した。

今、このテキサス出身の企業が志向しているのは、Amazon Echoのような、大きな将来性がありそうなプラットホームとの深い統合だ。これからは、便利に自動化された会話友だちに、本格的なテキサス・バーベキューを注文できるようになるんだね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

App Storeでナンバーワンになる方法?サンドイッチをタダで配ること!

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Chick-fil-Aは新しいアプリのChick-fil-A Oneをローンチした。このアプリを使えば、モバイルで代金を支払ったり、商品をあらかじめオーダーしておいたり、報酬プログラムに加入したりといったことが出来る。

特に、顧客はレストランに出かける前に、アプリを使って自分のオーダーをカスタマイズし、レストランに着いてから列に並ぶ手間を省くことが出来るようになる。そして、報酬プラグラムに入っていれば、これまでの自分のオーダーに基づいて違ったメニュー項目が現れ、顧客はちょっとした驚きを味わえる。また、報酬プログラムの状況はアプリでチェックすることが可能だ。

確かにクールではあるのだが、アメリカ中のiPhoneアプリの中で現在ナンバーワンになるほどのものとも思えない。特にマクドナルドが全米で15000店舗ほどあるのに対しChick-fil-Aは2000店舗以下である点を考慮するとなおさらだ。

それではなぜそのアプリが現在app storeで首位なのだろうか。その理由は同社がそのアプリをダウンロードして報酬プログラムにサインアップした人全員に同社のサンドイッチを無料でプレゼントしているからだ。

実際、アプリのアップデート版は5月下旬からダウンロード可能だったが、100位にすら入っておらず、それは本日朝、同社がサンドイッチ無料キャンペーンを発表するまでずっとそんな感じだった。それが、突然500位近くもランキングが急上昇した。これはおそらく国中の腹ペコChick-fil-Aファンが加担したと思われる。

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しかしこの作戦は持続可能だろうか。いや、難しいだろう。ほどんど四人に一人はアプリをダウンロードした後、たった一回使った後はもう見向きもしないということは既にお話した通りだ。Chick-fil-Aのアプリがどれだけ素晴らしくても、その問題に直面することは不可避であり、特に無料サンドイッチを一旦あげてしまった後はなおさらだ。

とにかく、同社がapp storeでの栄誉を15分間楽しむ間に、その特典を利用してサンドイッチをタダでもらってしまおう。アプリはiOSのApp StoreGoogle Play Storeでダウンロードできる。

[原文へ]

(翻訳:Tsubouchi)

SalesforceがDemandwareを28億ドルで買収、Eコマースに参入

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Salesforceは、セールス人員が見込み顧客や案件のクロージングを管理するためのクラウドベース・ソフトウェアとして名を上げた企業だ。同社は本日、セールスのビジネスそのものに足を踏み入れたことを発表した。本日、SalesforceはDemandwareを28億ドルで買収すると発表した。Demandwareは中小から大手企業にまで、クラウドベースのEコマースサービスを提供している。この買収で、Salesforceは新しい事業部門「Salesforce Commerce Cloud」を立ち上げる。

Demandwareは2012年に上場し、SalesforceはキャッシュでDemadwareの全ての発行済株式を1株あたり75ドルで買い取ると発表した。これはDemandwareの現在の評価額を考えると大幅なプレミアムがついている。昨日の大引け後の評価額は18億7000万ドルだった。買収は、SalesforceのQ2内、2016年7月31日頃までに完了する予定だという。

「Demandwareは素晴らしい企業です。数百億ドルのデジタルコマース市場で世界的なクラウドサービスのリーダーです」とSalesforceの会長でCEOのMarc Benioffは声明で伝える。「Demandwareと共にSalesforceは、Customer Success Platformの一部として未来のコマースを実現し、新たに数十億ドル規模のクラウドビジネスを構築していきます」。

Demandwareのもう一つ素晴らしい点は、その出世具合だろう。Demandwareはまだスタートアップだった頃、主に3社の投資家から、たった5400万ドルしか調達していない。前四半期の収益も謙虚なものだ。4月末の決算報告によると前四半期の売上はわずか6700万ドルで、純損失が1200万ドル弱だった。しかし売上は伸びていて、損失も縮小し続けている。

「DemandwareとSalesorceは共通してカスタマーの成功にフォーカスし、熱意があります」とDemandwareのCEOであるTom Eblingも声明で伝える。「私たちの最も革新的なデジタルコマースのソリューションで、ブランドがいかなるチャネルからでもカスタマーと1対1で接することを可能にします。Salesforceに参加することで、世界の優秀なブランドを支援するという私たちのビジョンに向かって邁進することができます」。

これは、Salesforceにとって大きな買収であるのには、金額面以外にもいくつか理由がある。

一つは、この買収によりSalesforceは自社の「ファネル」を成長させることができる。つまり、既存カスタマーとの契約関係を拡張する手立てとなる(Marketing CloudやCRMのカスタマーには、コマースサービスを含むより広範なプランにアップセルすることが可能になる)。

他にもSalesforceはこれまで提供していたマーケティング、オンライン・アナリティクス、営業向けバックオフィス・ソフトウェアなどのサービスをアップセルすることのできる新しいカスタマーグループを獲得することになる。Demandwareのカスタマーには、Design Within Reach、Lands’ End、L’Oreal、Marks & Spencerなどがいるとしている。

さらに興味深いことは、SalesforceがShopify、Amazon、eBayとeBayが以前手がけていたMagentoといった企業と競合することだ。これらの企業はサードパーティー企業にコマースソフトウェアを提供するだけでなく、数社(特にAmazonとeBay)は売買取引の筆頭プラットフォームになるために競っている。

Eコマースは巨大な市場で、人々が初めてウェブを使用し始めた時からトラクションを生み、巨大ビジネスへと成長した分野の一つだ。現在も、ウェブ上でお金を使うという習慣が普及するほどに成長し、ユーザーにオムニチャネルならぬ「オムニコマース」体験を提供している。Eコマースはますます身近なものになっている。

Gartnerは、デジタルコマースのプラットフォームでの世界的な利用額は年間で14%成長することが見込まれおり、2020年には85億4400万ドルに届くと予想している。この数値はSalesforceが出しているものだ。

Salesforceは新しいCommerce Cloudについて「SalesforceのCustomer Success Platformに必要不可欠な部分となり、企業がカスタマーと全く新しい方法でつながることができるようになります。Salesforceのカスタマーは業界を牽引するクラウドコマースのプラットフォームにアクセスすることができます。そして、DemandwareのカスタマーもSalesforceの見込み販売管理、サービス、マーケティング、コミュニティー、アナリティクス、IoTとプラットフォームソリューションを活用し、包括的でパーソナライズしたカスタマー体験を提供することができるようになります」と伝えている。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website/ twitter

Amazonは金で買ったレビューを載せた売り手企業3社を訴訟

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買い手売り手はご用心! あなたの製品のレビューを、誰かにお金を払って書いてもらったら、Amazonはあなたを訴える。

Amazon上の偽造レビュー対策の一環として同社は、なりすましアカウントを使って偽(にせ)のレビューをポストした3社を訴訟した。Amazonは昨年から、同社が本物と認めなかったレビューとそれらの投稿者を、精力的に追ってきた。過去には、偽レビューを投稿して稼いでいる‘業者’を訴訟したことはあるが、Amazon上の売り手自身を訴えるのは今回が初めてだ。

今日の訴訟によると、売り手たちは偽のアカウントを使って自分の製品に対するポジティブなレビューを掲載した。これらの売り手は、レビューの30〜45%が偽レビューだった。被告はカリフォルニア州のMichael Abbara、ペンシルベニア州のKurt Bauer、そして中国の企業CCBetter Directだ。

Amazonは被告たちに、同社サイトで製品を販売することを禁じ、同社のサービスへのアクセスも禁じようとしている。また損害賠償額(+Amazonの訴訟費用)として、25000ドル以上を要求している。

Amazonによると、同社は2015年以来、お金が目的で偽レビューを投稿した者1000名あまりを訴えてきた。そして今度は、リテイラー自身をやっつけようとしている。そのねらいは、ほかの売り手たちが偽レビューという悪行に手を染めないようにするためだ。

“当社の目的は、レビューの悪用は割に合わないことを売り手たちに自覚させ、有料で偽レビューを投稿する者たちのエコシステムを解体することだ”、とAmazonのスポークスパーソンは語った。

Amazonは偽レビューと戦うために、売り手の中断や彼らのアカウントの閉鎖など、いろんな手段を講じている。偽レビューを検出し、その掲載を自動的に禁ずるアルゴリズムも開発中だ。昨年の夏から同社は、レビュワーの信頼度ランキングを開始し、買い手たちの便宜を図ろうとしている。

Amazonによると、訴訟もあり、アルゴリズムもあり、といった多様な展開によって、偽レビュー対策は成功を収めつつある。“Amazon上のレビューはその大半が本物であり、何百万人もの顧客たちを助けて、日々、彼らの賢い買い物をガイドしている”、とスポークスパーソンは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

eBay、チケット2次流通サイトStubHubの国際展開のためにTicketbisを1億6500万ドルで買収

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eBayは自社の中核事業となる形のある品物のマーケットプレイスの構築を継続する一方、他のビジネスやブランドの拡大にも投資している。今日(米国時間5月24日)、eBayはスペインのビルバオ拠点のオンラインチケットマーケットプレイスTicketbisを買収したと発表した。自社のオンラインチケットマーケットプレイスStubHubに統合する予定だ。その取引で、現在米国を主要拠点とするStubHubの海外市場、とりわけ欧州、中南米、アジア太平洋地域を中心にした47ヶ国の市場に拡大することになる。

取引の条件は公開されていないが、eBayに近い情報筋によると1億6500万ドルでの買収になったと言う。取引は2016年中頃にクローズすると予測されている。

1億6500万ドルという価格はTicketbisにとっては適切な報酬だろう。TicketbisはFabrice Grinda氏、Active Venture Partners、Jose Martin氏らを含む投資家から2600万ドル弱の資金調達を行っていた。2015年に売上高が2500万ドルとなり、2016年は4500万ドルのランレート(直近の業績をもとに予測される将来の業績)になるという予測も納得できる。Ticketbisは全世界で約400人の従業員を雇用している。

StubHubは最近、少し物議を醸す理由でニュースに上がっている。サイト上で偽チケットの掲載に対し、十分なチェックがないという申し立てがあったのだ。またこれとは別にイギリスにおいても、StubHubや他のチケット2次流通サイトが違法かどうかの調査がなされている。とりわけサイト上でのチケット販売や掲載された多くのチケットが券面額で提供されていたかどうかが焦点になっている。

大きい組織を持つことで、このような問題に影響を与えられるかことになるかどうかは興味深い。しかし、今のところ、彼らにとって最も重要なことは規模のようだ。Eコマースビジネスにとって基本的な考えだ。

「人生で最も豊かな瞬間は、所有しているものに関わることではなくなり、他の人と共有したいと思える体験に世界は移り変わっています。Ticketbisの買収で私たちは、さらに数百万の人々と感動的なイベントを結びつけることを可能にします」とStubHubプレジデントのScott Cutler氏は声明において語った。「素晴らしい体験への1つの障壁はアクセスです。この買収でStubHubは、さらに多くのイベントを世界的な規模で世界中のイベント好きな人やファンに提供することができるようになります。そして彼らの生活を豊かにする新たな方法を見つける手助けをします」。

「Ticketbisの買収はStubHubの国際的な展開を広げることを可能にします」eBay Inc.のプレジデント兼CEOのDevin Wenig氏はそう付け加える。「eBayの世界規模でのプレゼンスはStubHubにおって米国外の市場への拡大と同時に新しい顧客獲得の助けにもなるでしょう。この取引はStubHubへ投資し、彼らの勢いを加速するための支援を行うという決意を改めて示すものです」。

「StubHubの広範囲の資産は世界中のチケット購入の常連客やチケットの売り手にとって莫大な価値をもたらします。その上、他の初期市場に拡大し続けることは、なおさら価値の大きいことです」とTicketbisの共同創業者で共同CEO(もう1人のCEOは共同創業者のJon Uriarte氏)のAnder Michelena氏は言う。「StubHubとTicketbisのマーケットプレイスは共に世界中のファンに向けて彼らがいつ、どこにいても好きなイベントを体験できるという多大な価値と機会があることを示します。私たちはeBayの一員になることに興奮していますし、StubHubブランドの一部としてチケット流通におけるイノベーションを継続することを楽しみにしています」。

StubHub自体は、2007年にeBayが3億1000万ドルで買収した。StubHubの売上はeBayの大きなビジネスのほんのわずかでしかないが、成長している。前四半期、eBayは同社のプラットフォーム上の取引額の合計値、つまり総取引額(Gross Merchandise Volume)は205億ドルだったと報告した。その取引額のほとんどはeBay.comのサイトから来ているが、StubHubの総取引額は8億6900万ドル、収益は1億7700万ドルとなり、前年比34%増だったと報告した。

これからが本番である。

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(翻訳:Morimoto)

物流アウトソーシングのオープンロジが2.1億円の資金調達、海外展開も視野に

左からオープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏、取締役CTOの五十嵐正人氏

左からオープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏、取締役CTOの五十嵐正人氏

ロジスティクスのアウトソーシングサービス「オープンロジ」を運営するオープンロジ。同社は5月24日、IMJ Investment Partners(IMJIP)、SMBCベンチャーキャピタル、インフィニティ・ベンチャーズLLPなどから総額2億1000万円の資金調達を実施したことを明らかにした。また今回の資金調達に伴い、IMJIPの岡洋氏が同社の社外取締役に就任する。オープンロジでは調達した資金をもとに人材採用や経営基盤の強化を進める。また東南アジアを中心とした海外事業展開も視野に入れる。

オープンロジは2014年10月にサービスを開始した。一般的な物流倉庫では、見積もりを行い、そのあとで業種業態ごとに「坪単価いくら」という価格設定をしている。スペースを借り上げる設定のため大規模事業者でないと利用が難しい。そこでオープンロジでは物流倉庫会社と提携。「アイテム1つ単位いくら」というシンプルな価格設定と、オンラインでの管理機能を提供することで、中小規模のEC事業者や個人が倉庫を手軽に利用できるサービスを展開してきた。

直近の状況についてオープンロジ代表取締役の伊藤秀嗣氏に聞いたところ、中小規模のEC事業者やフリマアプリやオークション利用の個人などが多く利用するだけでなく、大規模EC事業者の利用、商品サンプルの発送、イベント用資材の搬入搬出、店舗の棚・什器の保管など幅広いニーズがあるという。

「評価されているポイントは3つ。費用が分かりやすく安い、またオンラインで倉庫内のアイテムを管理できる使い勝手、小ロットでも対応する柔軟性だ。ユーザーの継続率は90%に上る。また、想定以上に大規模なユーザーからの問い合わせを頂いている。そのニーズは単に倉庫スペースが欲しいと言うことだけでなく、現状利用している受注管理の業務システムの課題を解決をしたいというものもある。今後はそういった企業に向けたエンタープライズ向けプランも用意する」(伊藤氏)

パートナーとなる物流倉庫会社も拡大しているそうだ。倉庫側の業務システムも提供し、さらに送客も行う点が評価された。現在毎月1社のペースでパートナーが増えているのだという。

同社は今後、東南アジアを中心に海外展開も視野に入れる。

「海外の事業者が日本でビジネスをしたいときにもロジが必要。日本の事業者が海外でビジネスをしたい場合も同じだ。オープンロジであれば、在庫確認をオンラインでリアルタイムに行い、自国にいながら海外の物流オペレーションが実現できるようにもなる。来年以降は積極的に進出していきたい」(伊藤氏)