クラウドファンディングの常連Loogが3種類の教育用ギターをローンチ

およそ8年前にクラウドファンディングに初登場した教育用ギターのメーカーLoogが今週、Kickstarterに戻ってきた。実はこれで4度目だが、今回は学習の過程を加速することを目的とする3種の楽器をお目見えした。

その3種類は対象年齢層別になっていて、Loog Miniは3歳以上、Loog Proは8歳以上、そしてLoog Pro VIは12歳以上だ。最後のVIは文字通り6であり、同社の学習用ギターとしては初めての6弦だ。これまでは、3弦のみ。

69d319febe1f9af1e00cf06386548baa original

どれもスピーカーとアンプを内蔵しており、子どもの最初の楽器として余計なアクセサリーは必要ない。同社が提供しているアプリも使えるが、今ではそれは拡張現実(guitARとでも呼ぼうか)を利用しており、モバイルデバイスの前面カメラを使うとインストラクションをオーバーレイする。コード用のフラッシュカードやビデオ、それにゲームもある。

アプリにはソングブック(曲集)があり、ビートルズやテイラー・スウィフトなどいろんな人気アーティストをそろえている。子どもはカラオケ的にそれらの曲を遅くしたりミュートして録音ができる。

  1. Loog-01

  2. Loog-02

  3. Loog-03

  4. Loog-04

  5. Loog-05

  6. Loog-06

  7. Loog-07

  8. Loog-08-1

  9. Loog-09

  10. Loog-10

Kickstarterの出資者価格は、定価150ドルのMiniが99ドルからだ。同社はクラウドファンディングの常連だが、今のところそのやり方はうまくいっている。Loogは音楽教育の世界で一定の評価と人気があり、Kickstarterのビデオにもあるように、二人の本物のロックスターが愛用したこともある。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自撮りビデオをスターの顔に変えてしまうZaoをWeChatが制限

中国で先週末クチコミで広まったZaoは、ビデオの顔を他人の顔にリアルに変えてしまうアプリだが、そのポリシーをめぐる騒動のあとWeChatは、同社のメッセージングプラットホームの上でそのアプリの使用を禁じてしまった

中国で人気最高のデートアプリであるMomoの開発元が作ったZaoは、ユーザーがアップロードするセルフィービデオ(自撮りビデオ)の顔を、人気映画や音楽ビデオなどの中のセレブの顔に変えてしまう。

今は中国でしか利用できないアプリだが、ユーザーがWeChatやそのほかのソーシャルメディアでビデオをシェアすることによってどんどん広まり、同時にディープフェイク技術の悪用に関する懸念から論争も広まった。現在は削除されているZaoの最初の利用規約では「アップロードされたビデオの所有権やその他の権利がすべて永久にZaoにある」とされていたので論争にいっそう火がついた。

急速に広まったのと、セルフィーが1つだけあれば使える気安さから、ディープフェイク技術に対する関心が高まり、また、誤った情報やいじめなどの拡散も懸念された。なお、この顔変えアプリは元のセルフィーが複数あったほうが結果がいいそうだ。

今現在、Zaoで作ったビデオはWeChatにアップロードできるが、アプリをダウンロードしたり、リンクをほかのWeChatユーザーに送ろうとすると、「このウェブページは何度も報告されており、セキュリティリスクを含んでいる。安全なオンライン環境を維持するためにこのページへのアクセスをブロックした」というメッセージが表示される。

23011567479434 .pic

App Annieによると、Zaoは先週金曜日の8月30日にリリースされたあと、急速に中国の無料iOSアプリのトップになった。9月1日にZaoのWeiboアカウントにポストされた声明によると、「プライバシーに関する皆さまのご心配を十分理解している。この問題は私たちも認識しており、解決方法を考えている。あと少し、お時間をいただきたい」とある。そして今の利用規約では、ユーザーが作ったコンテンツはアプリを改良するためにのみ使用し、削除されたコンテンツはサーバーからも削除される、となっている。

今TechCrunchはZaoにコメントを求めている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ギリシャとポーランドでオンライン中古車ショップ運営のSpotawheelが6億円調達、さらなるイノベーションを目指す

ギリシャとポーランドで、米国のCarvana(カーヴァナ)のようなビジネスモデルのオンライン自動車販売を手がけるSpotawheel(スポタホイール)が、新たに500万ユーロ(約5億800万円)の資金を調達した。VentureFriendsがこの投資をリードし、Velocity Partnersと匿名の戦略的投資家たちが参加した。

この投資は株式と融資の両方で行われ、後者は主に、前払いで車を仕入れるための運転資金に充てられる。アテネに本社を置く同社は、2016年に創業以来これで計800万ユーロを調達した。

Spotawheelの共同創業者でCEOのCharis Arvanitis(カリス・アバンティス)氏は「中古車販売は世界的に市場が大きいだけでなく、年率5〜7%で成長しているが、その多くは今だにオフラインの、悪名高い透明性を欠くやり方で行われている」と語る。

そのため買い手は欠陥車をつかまされることを恐れ、複雑すぎる手続きや隠れ手数料、それにバラバラで細切れ状態の供給サイドに悩まされている。バラバラと言うのは主に、3行広告にあふれる零細な売り手と、伝統的なオフラインの中古車販売店の分断を指している。

アバンティス氏は「この業界は売り手の構造がばらばらで、全体的なコントロールがどこにもない。そのためこれまで20年以上もイノベーションとは無縁だった。そして最初のイノベーションは、オンラインの3行広告(Classified Ads)だろう。市場の分断はヨーロッパでとくに著しい。車の売買が複数の国にまたがって行われるので、クオリティーのコントロールや車の履歴の追跡が難しい」と語る。

そこでSpotawheelは、中古車販売のためのオンラインのB2Cプラットホームを提供し、その上で売買のプロセスをゼロから新たに設計して、互いに信頼できてトラブルの起きない買い物体験を作ろうとしている。彼らが考えたのは、eコマースが提供しているような利便性と消費者保護を中古車購入に導入することだ。

それをアバンティス氏を「うちの顧客は車の試乗ができる。全国どこにでも納車し、最大7日間は返品できる。5年の限定保証はヨーロッパ最長だ」と説明する。このビジネスモデルを支えるためにSpotawheelは、予測分析を利用して個々の車の状態や予想される故障を管理している。

同氏によると、Spotawheelは車の仕入れに融資で獲得した資金とマーケットプレースの慣行を併用することによって、全ヨーロッパの個人オーナーやB2Bのリセラーから最良の車を入手している。それには運転資金を利用する車の前払い仕入れや、委託販売などの手法がある。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

【今週のスタートアップ】フィットネスのユニコーンPelotonの秘密兵器は人材

Startups Weeklyでは、注目のスタートアップやベンチャーキャピタルのニュースをお知らせする。

最新情報

Pelotonは今週S-1書類を提出し、今年中に予定しているIPOに向けて大きく前進した。書類には興味深い情報が満載だった。インターネットに接続するフィットネスバイクを製造し、フィットネスコンテンツをオンデマンド配信する同社は、年間9億ドル以上を売り上げている。まだ利益は上げておらず、営業とマーケティングの出費は増える一方だが、当初は多くの人たちから失敗するだろうと言われて会社にとって印象的な実績だ。

同社は、ハードウェア、メディア、インタラクティブ・ソフトウェア、製品デザイン、ソーシャル・コネクション、アパレル、物流などさまざまな業種を扱っているが、S-1書類によると、Pelotonの未来は人材にかかっているという。バイクやソフトウェアを開発する人材ではなく、同社のデジタルフィットネス・コースを教えている29人のインストラクターのことだ。Ally Love(アリー・ラブ)氏、Alex Toussaint(アレックス・トゥーサン)氏とその他27人の指導者たちは、カルト的な支持者グループを形成し、ファンはPelotonの月額39ドルという高額なコンテンツ使用料を喜んで払い、毎日お気に入りインストラクターの指導を受けている。

「Pelotonを作るためには、市場で最高のインドアバイクを作り、世界最高のインストラクターを集め、すべてを結びつける最先端ソフトウェアを開発する必要があった」とファウンダーでCEOのJohn Foley(ジョン・フォリー)氏がIPO目論見書に書いた。「社会通念に反し、懐疑的な投資家たちが多いなか、Pelotonはすべてをシームレスにつなぎ、実際にジムで受けるクラスのように魅力的な体験を提供するために、垂直的に統合されたプラットフォームを作ろうと決意した」。

Pelotonは最高の人たちを集めることに成功した。問題は、それを続けられるかどうかだ。急成長するフィットネス技術分野のライバルたちは、Pelotonのスターたちを引き抜きにかかるのではないだろうか?

関連記事:フィットネスユニコーンのPelotonIPO申請書類を公開

今週のスタートアップ

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

APIの良質な文書を作るReadMeがログ利用でサービスを高度化

ソフトウェアにAPIがあると、さまざまなツールがお互いにコミュニケーションでき、デベロッパーは自分でコードを書かなくても便利なサービスにアクセスでき、そのソフトウェアをプラットホームとしても運用できるようになる。でも、APIを上手に使うためにはしっかりとしたドキュメンテーション(文書)が必要だ。APIのドキュメンテーションの制作を助けるその名もReadMeが、AccelがリードしY Combinatorが賛助するシリーズAのラウンドで900万ドル(約9530億円)を調達した。同社は、2015年冬季にY Combinatorを受講している。

今日の投資の発表前には、同社は2014年に120万ドルのシード資金を獲得しただけだ。それが今では3000社の有料顧客がいて過去7年黒字という、珍しいほどの好成績を収めている。しかし成功に酔うことのないCEOのGregory Koberger(グレゴリー・コーベルガー)氏は、今後は大型顧客の獲得に努め、より高度な要求にも応じるために今回のラウンドに至った、と控えめに言う。

しかも同社は近年、企業のAPIのログを分析して各種の情況に応じたドキュメンテーションを制作でき、またAPIの使い方がわかると、ユーザーが抱えるいろんな情況のカスタマーサポートにも応じられるようになった。でも、よその会社のAPIログを見るのだからデータのセキュリティが重要だ。今回の資金は主に、その方面に投資される。

コーベルガー氏は「当たり前のように、技術者を増やしサポートやデザイナーも増やす必要がある。しかしそれは何のためかというと、もっと大きな企業を相手にし、そのためにデータのセキュリティを強化するためだ。それを正しくやるためには、お金がたくさん必要だ」と語る。

Screenshot 2019 08 28 10.55.38

画像提供: ReadMe

彼によると、各企業のAPIログを利用できるようになってから、いろんな可能性が一挙に開けた。なぜなら、データが人びとのAPIの使い方を知るための貴重な窓になるからだ。彼は「サーバーのログからいろんなことがわかるから、すごい。誰かがAPIで問題を抱えていたら、ログを見て問題の様相がわかるのでデバッグができる。サポートチームにも、ログから顧客のAPIの使い方に関するいろんなことが分かる」と語る。

今回の投資をリードしたAccelのDan Levine(ダン・レーヴィン)氏によると、APIの成否の鍵を握るのは、良質なドキュメンテーションがあるかないかだ。「APIは技術的な統合を作り出すためにあるだけでなく、そのサービスを軸とするエコシステムを作り、企業間のパートナーシップの強力な糊にもなって、数十億ドルの価値を生み出す。だからReadMeは企業にとって、サービスである以上に戦略だ。クリーンで対話的でデータドリブンなAPIのドキュメンテーションがあれば、デベロッパーはそれで仕事をすることが好きになり、それは100社や1000社のパートナーシップにも値する」とレーヴィン氏。

ReadMeは2014年に創業された。今サンフランシスコのオフィスには社員が22名いるが、今回の投資で当然増えるだろう。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

サーバーレスで関数に限定されない利用をもたらすCloudState

サーバーレスの技術はデベロッパーに、プログラムを動かすために必要なインフラストラクチャの資源について考えなくてもよい開発方法を提供するが、これまでは多くの場合、関数を利用するプログラミングに限られていた。そこでLightbendの新しいオープンソースプロジェクトCloudStateは、関数を超えることによってこの状況を変えようとする。

LightbendのCTOであるJonas Bonér(ジョナス・ボネル)氏によると、インフラストラクチャを抽象化してしまうサーバーレスの基本的な能力は、関数に限定されないはずであり、もっと広範囲な開発体験に応用できる。Bonér氏はこう語る。「今は、サーバーレスとFunction as a Serviceを混同している人が多いのではないか。それでは、技術を十分に利用していないことになる。サーバーレスの真のメリットは関数云々ではなくて、できるかぎり多くを自動化することによって得られるまったく新しいデベロッパー体験とオペレーション体験なのだ」。

彼によると、Lightbendの顧客であるデベロッパーたちは、プログラムのあらゆる部分を含むもっと完全なサーバーレスの開発体験に憧れている。Bonér氏は言う。「サーバーレスとFunction as a Serviceの現在の実装は確かに素晴らしいけれど、でもアプリケーションのそのほかの部分はそのレベルで動いていない、と訴えるデベロッパーがとても多い」。それこそまさに、CloudStateが解決しようとする問題だ。

Bonér氏は、関数で動かすプログラミングを全廃するわけではない、と念を押す。むしろ、それを補強し拡大するのだ。CloudStateは、いくつかの既存の技術を利用する。まず、サーバーレスとコンテナ化を統合するGoogleのオープンソースプロジェクトKNative、さらにgRPC、Akka Cluster、GraalVM on Kubernetesなどだ。

CloudStateはまだ開発途上のプロジェクトだが、基本的なビルディングブロックはすでにあり、Bonér氏はユーザーもこのオープンソースプロジェクトを初期の段階から使って、その成長に貢献してくれることを期待している。今あるのは、プロジェクトの目標を示す仕様書や、実装のためのプロトコル、そしてテストキットなどだ。

関数にとらわれない、サーバーレスのもっと広い意味とビジョンを実現することが、このプロジェクトの目標だ。そこではデベロッパーが書いたいろいろなコードが、下層のインフラストラクチャを気にする必要なく動く。大胆なアプローチではあるけどBonér氏曰く、まだ初期段階なのでプロジェクトの成熟のためには時間とコミュニティの貢献が必要だ。

関連記事: サーバーレスとコンテナは両者を一緒に使うのがベストプラクティスだ

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ARマッピングの6D.aiがAndroidとヘッドセットをサポートへ

コンピュータービジョンの技術で世界をマッピングする6D.aiの拡張現実プラットホームがベータを終了し、サポートするデバイスを拡張した。

同社はサンフランシスコ発のスタートアップで、昨年10月にベータで立ち上がり、今ではサービスの料金体系も確定してデベロッパーがアプリを発表できるようになった。その6D移動の従量制の料金は、無料プランのほか、ユーザーが行うマップのダウンロード呼び出しの回数により20ドル〜50ドルのプランがある。呼び出し回数5万以上のアプリに関しては特注料金になる。

すでに同社の顧客には、Autodesk(オートデスク)やNexus Studios(ネクサス・スタジオ)、Accenture(アクセンチュア)などの著名企業がいる。

そしてこれまではiOSデバイスに限定されていたが、米国時間8月26日に同社はAndroidスマートフォンや軽量ヘッドセットのサポートの非公開ベータを発表した。

AndroidはiOSと違って不均一なプラットホームなので課題も多いが、しかし6Dはまず、ARCoreをサポートしているSamsung(サムスン)の最新のデバイスから展開を始める。そして次の段階としてSnapdragon 845以降のチップが動くARCoreデバイスをすべてサポートする。

同社はさらに、Qualcomm(クアルコム)とのパートナーシップを発表した。Qualcommは6Dの技術を使った製品を、ARのヘッドセットのメーカーのための参照設計として提供するようだ。ヘッドセットは6Dにとってメインの路線ではないが、今後の市場の成長に備えて今からパートナーシップを結んでおきたいらしい。そのため同社は、中国のヘッドセットメーカーNrealともパートナー契約を結んだ。

関連記事:6D.ai is building AR tech that crowdsources a 3D mesh of the world(6D.aiのAR技術はクラウドソーシングの3Dメッシュ情報を利用、未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

有望な投資家や見込み客を見つけるためのデータ収集分析を助けるPredictLeads

PredictLeadsを創ったスロベニアのファウンダーたちは最近Y Combinatorを卒業したが、彼らはこの名門アクセラレーターにこれまで5回も応募し、6回目にやっと入学を認められた。

同社はベンチャーキャピタル企業(VC)や普通の企業の営業チームが、有望な新興企業や見込み客を見つける手伝いをするが、2016年の創業以来、紆余曲折を経験してきた。そしてやっと今年の初めに、YCの3か月のアクセラレーター事業に参加できた。

PredictLeadsのCEOであるRoq Xever(ロク・ゼヴェル)氏は「2017年には資金が底をつき、銀行も相手にしないから母親に金を借りた。でも、そのころからやっと上向きになり、大きな商談をまとめて利益を上げられるようになった」とコメントしている。

彼の言うとおりだ。今の多くのスタートアップと違って、PredictLeadsは何がなんでも利益を出す必要があった。「資金を獲得するためにYCに入るとは、夢にも考えなかった。利益を出す以外、資金を得る方法がなかった」とXever氏は言っている。

ゼヴェル氏のほかにPredictLeadsを引っ張っているのは、マーケティング担当のMiha Stanovnik(ミハ・スタノブニク)氏とCTOのMatic Perovsek(マティック・ペロブセク)氏だ。ゼヴェル氏によると、YCが関心を持ったのは、自分たちのプロダクトはVCにも売れるとわかってきてからやっとだ。

同社のツールPredictLeadsは、関心を持った有望企業を投資家や営業が調べる手助けをする。そして企業の製品やサービスに人気が出てきて、売れ行きもアップしてきたらユーザーに通知し、その企業を見込み客や見込み投資先として再検討するよう勧める。投資家や営業にとってまったく未知だった企業を、推薦することもある。

関連記事:VCs double down on data-driven investment models(VCたちはデータドリブンな投資モデルを重視、未訳)

最近は、投資の決定や企業調査のためのデータを得るためにサードパーティのツールを使うVCがますます増えている。そしてそのために、データにフォーカスした企業という新しいタイプの企業が生まれつつある。たとえばSocial Capitalの共同創業者Chamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏は、彼のベンチャーキャピタルのファンドに軸足を置く家族企業からスピンアウトした。そして今のSocial Capitalの業態は、CaaS(Capital-as-a-Service) Technologies(サービスとしての資本のテクノロジー)だ、という。すなわち、データドリブンな知見をVC企業に提供することがその仕事だ。

一方スタートアップの方も、データの重要性を認識するようになった。やはり最近YCを出たNarratorも、このトレンドにでっかく乗ろうとしている。同社が望むのは、データサイエンスのためのオペレーティングシステムになり、一人のアナリストの費用で本格的なデータチームに相当するサービスが得られるソフトウェアを、企業に提供することだ。

そしてPredictLeadsは、見込み客や見込み投資先の判断のためのデータを、Webサイトやプレスリリース、ニュースの記事、ブログ、求人求職サイトなどなどから集めて、人間が監視する機械学習にかけ、それらのデータを構造化する。そうやって同社は今、2000万社の公開および非公開企業を追跡している。

また今や立派なYC卒業生だから、本社を米国に移そうとしている。ゼヴェル氏によると、候補地はニューヨークかサンフランシスコだ。当人は目下、そのためのビザの取得で悪戦苦闘している。

同社は米国時間8月26日、1000万ドルの評価額で150万ドルのシード資金を調達した。資金はファンドの定量分析と、営業チームを助けるためのSalesforceアプリの開発に投じられる。もちろん、そのためのチームの拡大にも。

関連記事:Y Combinator-backed Narrator wants to become the operating system for data science(データサイエンスのオペレーティングシステムになりたいNarrator、未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

BuzzFeedのMoodFeed機能は気分に合ったコンテンツを勧めてくれる

BuzzFeedは、読者がその日の気分に合ったコンテンツを見つけられるようにした。それは、ソーシャルメディアや検索の推奨リンクではないし、単純にブラウザーにBuzzFeed.comとタイプすることでもない。そうではなく、このMoodFeedと呼ばれる機能では、読者が今の気分を自覚し、その気分に合った記事のリストを得られる。

気分の種類は、今のところ6種類ある。面白いことを知りたい、ストレスがある、退屈だ、昔がなつかしい、嬉しい、そしてお腹が減っている。「おもしろいことを知りたい」(Curious)を選んだら、おかしな事実やライフハックなどに関するBuzzFeedの記事のリストが表示される。「昔がなつかしい」(Nostalgic)を選ぶと、ポップカルチャーの歴史に関する大量の記事が出てくる。自分の気分がよくわからない人は、ムードホィールというユーザーインタフェイスを回転させて、止まったところに決めればよい。

BuzzFeedのブランド管理担当副社長であるTalia Halperin(タリア・ハルペリン)氏によると、これはオーディエンスの参加性を増して、一風変わった方法でサイトを面白くするための実験の1つだ。チームはこれらの記事推奨リストを、気分と記事の相性を手作業で探りながら作っていったようだ。

BuzzFeedがこんなユーザーインタフェイスを提供するのはこれが初めてだが、ハルペリン氏によると、企業が顧客の気分に合わせて広告などのコンテンツを調整していることと同じだという。企業が記事をシェアしたり宣伝するときには、それに結びつく気分をいつも意識している。それは悲しみを、あるいは快活さをシェアする記事かなど。

MoodFeed

そこでBuzzFeedが作ったのは、コンテンツと気分を合わせるプロセスを自動化するAIツールだ。BuzzFeedのどのページにはどんな記事を合わせるべきか。不朽の名作に関する記事は、どんなときに登場させるべきか。どの記事を、どんな場合にシェアすべきかなど。

このMoodFeed機能に関してハルペリン氏があくまでも実験だと言うのは、記事のリフレッシュの頻度やBuzzFeedとして込めるべき戦略など、未着手の研究課題がまだ多いからだ。それにまた、気分の種類なども、もっと多くすべきだろう。

彼女は「拡張の方法や方向性がいろいろあって、そこがおもしろい。今は6つの気分しかないけど、もちろん、いろんな出来事にいろんな気分が伴う。だからたとえば、季節による気分の変化などにも合わせるべきだ」と語る。

関連記事:BuzzFeed teams up with Eko to create interactive recipes and other videos(BuzzFeedがゴミ箱をファッションにしたEkoとパートナー、未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AI利用のハードルを下げるH2O.aiがゴールドマンサックスのリードで約77億円調達

H2O.aiのミッションは、AIを誰でも使えるようにすることだ。そのために同社は企業に一連のツールを提供して、データサイエンティストのチームが要らないようにする。同社は米国時間8月20日、Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)とPing An Global Voyager FundがリードするシリーズDのラウンドで7250万ドル(約77億円)を調達したことを発表した。

これまでの投資家Wells FargoとNvidia、およびNexus Venture Partnersも参加した。Goldman SachsからはJade Mandel(ジェイド・マンデル)氏がH2O.aiの取締役会に加わる。これで同社の調達総額は1億4700万ドル(約157億円)になる。

なお、Goldman Sachsは投資家であるだけでなく同社の顧客だ。H2O.aiのCEOで共同創業者のSri Ambati(スリ・アンバティ)氏によると、顧客であるWells FargoとGoldman Sachsが前2回のラウンドをリードしたことは、彼とその企業に対する信任の証だ。彼は曰く、「二度の連続的なラウンドでは顧客が投資家になっている。前回のシリーズCはWells Fargoがリードしたが、彼らは弊社を選んで使っていた。今日のラウンドはGoldman Sachsがリードし、彼らは前からうちの強力な顧客であり強力なサポーターだ」。

同社のメインのプロダクトであるH2O Driverless AIは2017年に登場し、Driverless、つまり運転手がいないという名前は、AIのエキスパートでない人たちでも、データサイエンティストのチームなしでAIを利用できる、という意味で命名された。アンバティ氏は「Driverless AIは機械学習の自動化だ。これによってワールドクラスのデータサイエンティストたちの能力を万人が手にする。ありとあらゆる機械学習のアルゴリズムを使って、モデルを自動的に作る」と説明する。

同社は同日に、レシピと呼ばれる新しいコンセプトも導入した。それは、ビジネスの多様な要件に合わせてモデルを構築するための、AIのあらゆる原料とインストラクションの組み合わせレシピ集だ。同社のデータサイエンティストたちのチームは、約100種のレシピを作ってそれらをオープンソース化。具体的には、クレジットリスクの評価、異常事態検出、資産額の査定などのためのレシピがある。

H2O.aiは2017年のシリーズCのころに比べると大きく成長した。今同社の社員は175名だが、それはシリーズCのときのほぼ3倍だ。同社はオープンソースがルーツなので、今でも2万名のユーザーが同社のオープンソースプロダクトを使っている。

アンバティ氏は会社の評価額や上場については話を避けようとするが、今はAIの初期の時代であり、長期的な視野に立って会社を育てていきたい、と言った。

関連記事:H2O.AI snares $40M Series C investment led by Wells Fargo and Nvidia(H2O.aiがNvidiaとWells FargoからシリーズCを調達、未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

さまざまな菌類に新種の機能性たんぱく質を作らせるスタートアップ

Y Combinatorの最新の卒業生Shiru(シル)は、食品の技術革命における前衛になろうとしている一連の企業集団の仲間だ。

同社を創業したJasmin Hume(ジャスミン・ヒューム)氏はこれまで、純植物性マヨネーズで有名な元Hampton Creek(ハンプトン・クリーク)、現在はJustの食品化学のディレクターだった。Shiruという社名は、食肉を意味する中国語のshi rouの同音字だ。ヒューム氏はJustで他のチームメンバーとともに多様な植物の組成を調べ、それらに含まれるたんぱく質(プロテイン)やその他の化学物質を識別し分類するという仕事をしていた。

一方Shiruは、計算生物学により、食品産業が求めるさまざまな目的に合った、それぞれ理想的なたんぱく質を見つけるというサービスを提供する。

食品産業のさまざま目的とは、具体的にはいろいろな食品添加物のことだ。求める食品添加物の性質や機能を最も良く満たすたんぱく質をShiruは見つけようとしている。彼らが求める性質とは、粘性のアップ、可溶性、泡の安定性、乳化作用、結合性などだ。

ある意味でShiruのアプローチは、Geltorの初期の製品開発ロードマップに似ている。SOSVIndieBioが支援していたGeltorは、機能性たんぱく質の生産を目指していた。Geltorはこれまで1800万ドルを調達し、そこで方向性を変えて食品ではなく美容産業および化粧品産業のためのたんぱく質をターゲットにした。Geltorが捨てた分野をShiruが拾ったというかたちになる。

起業したばかりのShiruにまだ製品はないが、同社が追究している科学は最近ますます理解が広まっている。ヒューム氏によると、同社は今後何種類かの遺伝子組み換えによる食品原料の開発を目指しているそうだ。その対象となる生物と彼らが作り出す食品原料とは、イースト菌やまだ名前を公表できないバクテリア、そして菌類などが作り出すたんぱく質だ。

ヒューム氏は「分子設計と機械学習を利用して既存のものよりも機能性の高いたんぱく質を見つける。求めるたんぱく質の性質は自然からヒントを得ている」と語る。

Shiruの創業までのヒューム氏の道のりには、血筋の良さが表れている。Justの前に彼女は、材料化学の博士号をニューヨーク大学で取得した。さらにその後彼女は、ニューヨークの最先端テクノロジー系投資企業であるLux Capitalで長期のサマー・アソシエイト(夏期特別インターン)を務めた。

今後の計画としては、今年後半に最初のたんぱく質のパイロット生産、そして少量の継続的生産を2020年内に開始する。同社はこれまでY Combinator以前には外部資本を導入していない。しかし現在は調達の過程にあるそうだ。

画像クレジット: Shiru

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

壁の向こうに閉じ込められている人を見つける軽量レーダーデバイス

災害時などのファーストレスポンダー(第一応答者)は、状況を知ることが何より重要だ。家庭内暴力の解決でも、人質の救出でも、人身売買の現場でも、ファーストレスポンダーは何よりもまず、閉まったドアの向こうに人がいることを素早く判断しなければならない。そのための有効なツールはないだろうか。

そこでMegan Lacy(メーガン・レース)氏、Corbin Hennen(コービン・ヘネン)氏、Rob Kleffner(ロブ・クレフナー)氏の3名は、Lumineye(ルーミナイ、照らす目)を開発した。この3Dプリントで作ったレーダーデバイスは、信号分析のソフトウェアを使って壁の向こうで人が動いていたり呼吸していることを検知する。

Lumineyeはパルスレーダーの技術を利用して、コウモリやイルカのようなエコロケーション(反響定位)を行う。信号を送り、そのパルスが返ってくる時間を計測するのだ。行きと帰りのパルスをソフトウェアが分析して、信号の運動特性、その大きさや範囲を判定する。

Lumineyeのソフトウェアは、壁の向こうで動いたり呼吸したりしている人までの距離も判定する。信号は一次元なので、壁の向こうのどこにいるかは特定できないが、野外では15メートル先までの人を検出できる。ただし、煉瓦やコンクリートなどの障害物が間にあれば、検出可能距離は短くなる。

チームは人質救出の例で、Lumineyeのアドバンテージを説明している。そのような状況では、ファーストレスポンダーは何よりもまず、部屋に閉じ込められている人質の数とその広がり(各人間の距離)を知る必要がある。どうするか? 複数のLumineyeを使って三角測量の計算をするのだ。それによって救出チームは、より効果的に行動できる。

このような検出のための今ある機械装置は、どれも重くて大きくて運びづらく使いづらい。そこでLumineyeのチームは、軽くてポータブルな器具を作るべきと考えた。救出チームの仕事は、12時間とか24時間続く場合もある。機器は軽い方が良い。プロトタイプは検出用のハードウェアにふつうのスマートフォンを組み合わせたもので、大きさは25×12cm、重さは600gぐらいだ。

チームは、Lumineyeをもっと世の中の至るところにあるデバイスにしたいと考えている。設計に改良を加え、消費者にも直接売りたい。

Lumineye Device BreathingMode

Lumineyeのデバイスは電波を使って壁の向こうの人間を見つける

Lumineyeはまだ、最初のパイロット事業を始めたばかりで、8月10日にFEMA(米国合衆国連邦緊急事態管理庁)のイベントに出て、瓦礫の下に埋まった人を見つけるデモをした。チームは全員アイダホ州ボイシの生まれだが、スタンフォード大学と国防総省の共同事業であるHacking4DefenseにもLumineyeを出展した。それは、米国の国防や諜報活動にシリコンバレーのイノベーションを結びつけようとするイベントだ。そしてこのアイダホのチームは目下、Y Combinatorの2019夏季クラスを受講中だ。

Lumineye TeamPicture 1

写真に向かって左から、Megan Lacy氏、Corbin Hennen氏、Rob Kleffner氏

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アドテクには相関性より因果関係、ClearBrainが因果分析ツールを発表

どんなビジネスも、原因と結果を知りたがる。「誰かがXをしたから売上が増えたのだ」「売上が減ったのはYをしたからだ」などなど。そこで多くの企業がデータ分析に頼りたがるが、ClearBrainの共同創業者でCEOであるBilal Mahmood(ビラル・マフムード)氏に言わせると、これまでのアナリティクスは原因と結果に関する質問に正確に答えられない。

「今のアナリティクスのプラットホームはどれも相関モデルを基盤にしている」とマフムード氏は言う。それは、古典的な相関関係と因果関係の問題だ。データを利用して行為と結果を関連付けようとするが、そこから原因と結果の直接的な関連を導き出すことはできない。相関性は必ずしも因果関係を意味していない。

ClearBrainは、この問題を同社独自の「因果分析」(Causal Analytics)ツールで解決しようとする。同社のブログ記事によると「データの統計的処理の方は完全に自動化して、初めての大規模な因果推論エンジンにより、成長担当チームが各アクションの因果効果を測定できるようにする」とのこと。

このブログ記事はとても詳細だが、しかしその要点は、マフムード氏と彼にチームには、今まで誰にもできなかった正確な因果関係の導出ができるという主張だ。

ClearBrain analytics screenshot

そして同社はそれを、A/Bテストに利用する。顧客はClearBrainのデータを見て、次に何をテストするのかプライオリティを決める。そしてテストできない要素については、そのインパクトを推計する。それについてマフムード氏は「ウェブサイトやアプリケーションのすべての変数(変項)のインパクト、会話に対する実際のインパクトを知ろうと思ったら、数年はかかるだろう」と語る。

昨年TechCrunchがClearBrainを取り上げたときには、人工知能を使ってターゲティングを調整していたが、しかしマフムード氏によると、その後顧客の要望に応えて新しい分析技術を使うようになった。「顧客が知りたいのはその広告を見た人が実際に商品を買うか買わないかだけではなくて、買う、買わないとしたらなぜそうなのか、その原因を知りたいのだ」と彼は言う。

同社の因果分析ツールは今一部のアーリーアクセスユーザーが利用できるが、全面展開は10月を予定している。料金体系は何層かに分かれているが、スタートアップの多くは無料で利用できる。

因果分析ツールのアーリーアクセスと並行してClearBrainは今週、Harrison MetalとMenlo Venturesからの200万ドル(約2億1275万円)の新たな資金調達を発表した。

関連記事:中小企業や商店にAI利用のターゲットマーケティングをお安く提供するClearBrain

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

データウェアハウスを誰も来ない古代遺跡するIncortaが30億円超を調達

「企業などが大量のデータを処理する方法を抜本的に変えたい」と一念発起した元Oracleの役員たちが創業したIncorta(インコルタ)は米国時間8月15日、Sorenson CapitalがリードするシリーズCのラウンドで3000万ドル(約32億円)を調達したと発表した。

このラウンドに参加したそのほかの投資家は、GV(元Google Ventures)、Kleiner Perkins、M12(元Microsoft Ventures)、Telstra Ventures、そしてRon Wohlだ。同社によると、今回の投資で同社の調達総額は7500万ドルになる。

IncortaのCEOで共同創業者のOsama Elkady(オサマ・エルカディ)氏によると、彼とそのほかの共同創業者たちがIncortaを創業せざるをえなかったのは、失敗するに決まってるようなデータプロジェクトに大金を投じている企業を数多く見てきたからだ。同氏は「僕とほかの3人がOracleを辞めてIncortaを始めたのは、多くの企業がデータウェアハウスなどの高度なプロジェクトに投資しているのに、成功したプロジェクトがほとんどないからだ」と語る。

データプロジェクトには通常、ETL(extract(取り出す)、Transform(変える)、Load(ロードする)という処理工程がある。すなわちそれは、データをデータベースから取り出し、そのデータの値を変えて形を目的のデータベースに合わせ、そしてそれを目的のデータベースに加える、という工程だ。データを取り出すデータベースと変更後のデータをロードするデータベースが同一の場合もある。

この工程にはとても時間がかかるので、Incortaはこのステップを省略してデータへのアクセスをずっと速くしたいと考えた。エルカディ氏によると、これによって顧客はデータの利用をずっと速くできるようになり、処理に要する時間を数時間から数秒へと短縮できた。そして、これほどのパフォーマンス向上が投資家の注目を集めるのも当然だ。

リード投資家であるSorenson Capitalのマネージングディレクターを務めるRob Rueckert(ロブ・リュッケルト)氏は、Incortaがデータベースという成熟した分野にイノベーションをもたらそうとしている、と見ている。彼は声明中で「Incortaはデータウェアハウジングの市場を革新的な技術で打倒し、30年も続いている古臭くて遅いデータウェアハウスのインフラストラクチャを終わらせようとしている」とコメントしている。

同社によると、売上は急激に伸びており、前年比で284%増加した(金額は非公開)。顧客にはStarbucks(スターバックス)やShutterfly(シャッターフライ)、Broadcom(ブロードコム)などがいる。

同社は2013年にローンチし、現在の社員は250名だ。開発部門はエジプトにあり、本社は米国カリフォルニア州サンマテオにある。最近はシカゴとドバイとバンガロールにオフィスを開いた。

関連記事:Real-time data analytics startup Incorta raises $15M Series B led by Kleiner Perkins(リアルタイムデータ分析のIncortaがシリーズBで1500万ドルを調達。未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

中国最大のQ&Aプラットホームが450億円超を調達

中国で最大のQ&AプラットホームであるZhihu(知乎)が、シリーズFで4億3400万ドルを調達した。これは同社の2011年ローンチ以来最大のラウンドであるだけでなく、中国のインターネット文化およびエンターテインメント企業が調達した額としては過去2年間で最大である。この投資でファイナンシャルアドバイザーを務めたChina Renaissanceがそう言っている。

このシリーズFはビデオとライブストリーミングのアプリを作っているBeijing Kuaishouがリードし、Baiduが参加した。既存投資家であるTencentとCapitalTodayも加わった今回の投資は、主に技術開発と製品開発に使われる。中国のGoogleと呼ばれるBaiduがBloombergに語っているところによると、同社はZhihuのポスト1億件をメインのアプリに加える。

ZhihuはIPOの噂を否定しているが、昨年はCFOを雇用し、リストラを行った。その気は十分にあるようだ。

Zhihuのユーザーは教育水準と収入が比較的高く、また同社はテクノロジーやマーケティング、教育など専門分野のエキスパートを回答者に揃えているという評判だ。QuoraなどそのほかのQ&Aプラットホーム同様Zhihuも基本はユーザーがテキストでポストした質問に答えるという方式だが、ほかにディスカッションフォーラムや、パブリシングプラットホーム、企業がリアルタイムで質問に答えるためのライブのビデオなど多様なQ&A方式を揃えている。そして同社のストリーミングビデオのZhihu Liveはユーザーをエキスパートや企業に限定して、Douyinなどの競合他社と差別化している。DouyinはTikTokのローカルバージョンだが、TikTokの親会社ByteDanceはZhihuに投資している。ただし今回のラウンドには、参加しなかった。

Zhihuウェブページで創業者でCEOのVictor Zhou(ビクター・シュウ)氏は「中国のメディアとインターネット環境の急速な変化に乗り遅れないようにしたい」とコメント。彼によると「これまでの8年間でインターネットは単純な娯楽から生活や仕事上の問題解決の場へと変わってきた。そのため競争の焦点も、トラフィックの量ではなく質へと移っている」とのこと。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ホログラフ技術で3D TVの実現に挑むLight Field Lab

3Dテレビは10年前のCESで大きく報道されたが、その後成功した消費者製品はない。でも、全員がギブアップしたわけではなくて、一部はアプローチを変えて再挑戦している。

2年前にステルスを脱したベイエリアのLight Field Labは、視聴者が特殊なグラス(眼鏡)をつける必要のない、奥行き感のある3Dをホログラフで実現しようとしている。それは画像に奥行きがあるだけではなくて、視聴者がディスプレイの回りを動くとそれによって物を見る視野角(パースペクティブ)も変わり、まるでデジタルのコンテンツが実際に空中に浮いてるような感覚を与える。

こういうライトフィールド(Light Field)技術は、これまた市場で難産を経験したきた。ライトフィールドを捕捉するカメラであるLytroはGoogleに捨て値で買われたし、これまでに数十億ドルを調達したMagic Leapは今だにその拡張現実技術の商用化に苦戦している。

Light Field Labは、彼らが達成したライトフィールドディスプレイの技術的進歩によって、消費者製品がやっと実現すると期待している。でも、いわゆる3Dテレビの時代から未解決のまま遺されている課題も山のようにある。

Light Field Labは目下、家庭用のライトフィールド体験にはフォーカスしていない。今彼らが力を入れているのは一種のモジュール的なプラットホームで、遊園地やテーマパークなどの娯楽施設がそれを全方向に大量に敷き詰めることによって巨大な3Dビデオの壁を作り、今までになかったような新しい3D体験を提供するというものだ。

壮大な計画だが、今の同社には資金が十分にある。というのもLight Field Labは米国時間8月12日、Bosch Venture CapitalとTaiwania CapitalからシリーズAで2800万ドル(約29億5000万円)を調達した。Khosla VenturesやSamsung Ventures、Verizon Ventures、Comcastなどもこの投資に参加している。さらに昨年同社は、Khosla VenturesとSherpa Capitalから700万ドル(約7億3700万円)を調達した。

同社はプレスリリースで「Light Field Labは当初、一定の位置にある大規模なエンターテインメント施設をねらうが、当社のホログラフ技術の今後のバージョンは最終的に、消費者製品の開発に向かうだろう」と表明している。

関連記事: Hands-on with the bizarrely fascinating Looking Glass volumetric display(Looking Glassの3Dディスプレイに触ってみた、未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

クラウドアプリをAIで強制的に最適化するOpsani

米国カリフォルニア州レッドウッドのOpsaniは、クラウドアプリケーションに対し、従来のときどき行うパフォーマンスモニタリングではなくて、コンスタントに絶えず行うように最適化したいと考えた。そのためには人工知能を利用して、最適な状態をソフトウェアが学習できるようにしたい。

同社の共同創業者でCEOのRoss Schibler(ロス・シブラー)氏は次のように説明する。「強化学習を利用する機械学習のテクニックで、クラウド上のアプリケーションのパフォーマンスをチューンナップするんだ」。

シブラー氏によると、何を最適化したいかは企業によっていろいろだ。だから、「リソースまわりのさまざまなパラメータを変えてみて、そのアプリケーションのパフォーマンスを見守る。サービスとしてのアプリケーションがリアルタイムで作り出している、ビジネスの状態を表す重要な測度は何か? それは単位時間あたりのトランザクション数か、それともレイテンシーか?何にせよ、それがビジネスの重要なパラメータなら、われわれはそれを使う」と彼は言う。

彼の主張では、OpsaniはNew RelicやAppDynamicsのようなモニタリングサービスと違って、パフォーマンスをウォッチしてフィードバックをアドミンに伝えるのではなくて、パラメータを実際に変えてアプリケーションのパフォーマンスをリアルタイムで上げる。それができるためにはアプリケーションの特徴と、最適化に関するデベロッパーの要望をよく知らなければならない。

アプリケーションがなるべく安いクラウドリソースを使うように最適化するSpotinstのような最適化ツールがあるが、Opsaniはそれに似ている。ただし最安リソースを見つけるのではなくて、実際にアプリケーションをチューニングする。

同社は最近、Redpoint VenturesがリードするシリーズAのラウンドで1000万ドルを調達した。これには、前からの投資家Zetta VenturesやBain Capitalも参加した。

それでも同社はまだ若い会社で、社員数は10名あまり、そして顧客数もひとにぎりだ。その1000万ドルは、社員の増員とプロダクトの改良に当てたいとのこと。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

自動操縦エアタクシーよる公共交通ネットワークでEHangと広州市が協力

自動操縦の旅客用および貨物用低空飛行航空機、貨客積載ドローンを作っているEHangが、そのエアタクシーの初の実用ネットワークを広州市に構築する。同社の発表によると広州市は、その全市的展開パイロット事業の主催団体になる。

パイロット事業は、低空を回転翼で飛ぶ航空機が都市の交通機関としてふさわしいことを示すだけでなく、そのネットワーク全体を中央的な交通管制ハブから自動的に運用管理できることを実証する。その交通管制ハブは、EHangと広州市の共同開発になる。

EHangは今年の初めに中国の民間航空局から自動操縦旅客航空機サービスの唯一のパイロット企業として認められ、すでに今年初めウィーンでEHang 184に乗客を乗せて飛行をデモし、また2018年には広州市でも数回の飛行を行った。

交通管制システムにより自動操縦航空機ネットワークの安全な運用を確保するだけでなく、EHangは広州市と共同で、そのネットワークの運用に必要なインフラストラクチャも構築している。たとえば自動操縦は、その初期的段階だけでなく、その運用をサポートする垂直離着陸場Vertiportの使用についても試験される。また都市交通機関として定着するために必要な、商用パートナーとの協働も行われる。

都市の公共交通機関のこのような新しい技術によるネットワークは、成長著しく交通量の増大も激しい広州市のような都市にふさわしい。しかもこの低空飛行航空機のネットワークは、過密都市において自動運転車などの陸上車に比べてアドバンテージが大きいだろう。自動運転車は、従来の一般車両や歩行者、自転車などとの争いや折り合いが運用の難点だが、都市上空の低空域は完全に空いている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a.hiwa

プライバシーのコンプラチェックを機械学習で自動化するPreclusio

EUのGDPRや米国カリフォルニア州の消費者プライバシー法など、最近はプライバシーに関する規制がますます厳しくなっている。そして企業のコンプライアンスを助けるスタートアップが、次々と生まれている。そのうちの1つ、ここでご紹介するPreclusioはY Combinator 2019年夏季クラスの受講者で、機械学習を利用して企業の規制遵守を助ける。

同社の共同創業者でCEOのHeather Wade(ヘザー・ウェイド)氏は「弊社のプラットホームは顧客の環境にオンプレミスでデプロイされ、彼らが集めているデータの種類や使われ方、保存の場所と方法、それらの保護状況の適不適などを調べる。弊社は企業が自分のデータを自分で一望できるようにし、また彼らのデータインフラストラクチャを弊社が継続的にモニタして、データが確実に保護されている状態を確保する」と説明する。

オンプレミスのソリューションにしたのは、意図的だ。「クライアント自身が自分のデータを管理できることが極めて重要だ。どこかにサードパーティのSaaSのベンダーがいて、そこにデータをアップすれば終わりという、おまかせ主義のデータ管理ではだめだ」とウェイド氏は語る。

ただし顧客は、Preclusioのソリューションをオンプレミスでも、あるいはAzureやAWSのようなクラウドでも、どちらでも動かせる。しかしどこで動かそうとも、顧客自身が自分たちのデータを直接にコントロールする、という原則は変わらない。ウェイド氏は曰く、「彼らの環境にプライバシーの保護をめぐって問題が起きていれば、できるかぎりリアルタイムで警告できるようにしている。そのためには、彼らのデータと弊社のツールが同じ環境にあることが、最高に理想的だ」。

同社のプロダクトは顧客企業のデータにリードオンリーで接し、機械学習を利用して機密データを同定する。「弊社のプロダクトは自動的にデータのスキーマとサンプルを見て、保護されるべきデータを機械学習を使って同定する」と彼女は言う。そしてその処理結果を顧客企業のコンプライアンスチームが見て、必要に応じデータの分類を変えたりする。

ウェイド氏は同社を3月に創業したが、そのアイデアは前の職場で生まれた。その会社で彼女はプライバシーポリシーの執行を担当していたが、そういう職責を助けるツールがないことに気づいた。「自分の手で直接、プライバシーやコンプライアンスの問題を扱わなければならなかったし、技術者など必要なリソースの配備もなかった。とくにGDPRが成立した初期のころには、ツールも乏しかった」と彼女は回顧する。

彼女の共同創業者は、夫のJohn(ジョン)夫婦でやって問題が起きないのは「お互いが自分の得意な方面に集中しているから」という。彼はマーケティングの人間、そして彼女は技術系だ。

Y Combinatorの育成事業に参加したのは、速く成長したかったから。また最近では、プライバシー関連の法律のオンライン化が進んでいること。彼女が感動したのは、コミュニティの互助の精神と実践だ。「YCの課程では、みんながものすごく親切。他を利すことは自分を利するということを、みんながよく知っている」と彼女は言う。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

サーバーレスやコンテナなど多様な実行環境でライブデバッグを提供するRookout

サーバーレスコンテナなど、さまざまな環境のためにデバッグサービスを提供しているRookoutは米国時間8月7日、シリーズAで800万ドル(約8億5000万円)の資金を獲得したと発表した。その資金は、デバッグ以外の新しい分野の開拓に当てられる予定だ。

このラウンドはCisco Investmentsがリードし、従来の投資家TLV PartnersとEmergeが参加した。またGitHubのCEOであるNat Friedman(ナット・フリードマン)氏やLaunchDarklyのCTOで共同創業者のJohn Kodumal(ジョン・コデュマル)氏、Codecovの収益担当副社長であるRaymond Colletti(レイモンド・コレッティー)氏らも参加した。

Rookoutの共同創業者でCEOのOr Weis(オー・ウェイス)氏は「Rookoutは創業の時点から、すべてのプラットホームにプロダクションレベルのデバッグサービスを提供している」と語る。そして彼の言うすべてのプラットホームとは、AWS Lambdaのようなサーバーレスの環境やコンテナとKubernetesの環境、Google App EngineやAWSのElastic BeanstalkのようなPaaS環境などのことだ。

同社は単純にデバッグサービスを提供するだけでなく、バグが起きているプラットホーム内部への可視性も提供する。バグは基本的に短命な現象だから、その可視化はかなり難しい技術だ。声明でウェイス氏は「昨年我々は、顧客がRookoutのコードレベルのデータ収集機能のまったく新しい利用方法を見つけていることを発見した。そこで我々は、弊社のコードレベルの観察機能とパイプラインの多様な使われ方に対応し、それらをサポートし、強化する必要性に迫られた」とコメントしている。

ここで特に印象的なのは、Ciscoのような古参のベテラン企業がRookoutへの投資に積極的に関わっていることだ。Ciscoのグローバル企業開発担当副社長であるRob Salvagno(ロブ・サルヴァグノ)氏はRookoutのデベロッパーフォーカスを賞賛して声明中で「デベロッパーはエンタープライズのIT関連支出の鍵を握っている。Rookoutを利用すると再デプロイせずにオンデマンドでデータを収集できるから、同社のそのようなデベロッパー中心型のソフトウェアはプロダクションレベルの面倒なデバッグを単純化し、デベロッパーの効率性を増し、そしてITのOpsとDevの間に存在する軋轢を軽減する」と述べている。

2017年にローンチしたRookoutはサンフランシスコとテルアビブにオフィスがあり、社員数は20名だ。これまでに1200万ドルあまりを調達している。

関連記事:AWS LambdaのサーバーレスのコードをライブでデバッグできるRookoutのデバッグツール

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa