Apple Musicが一年を振り返るプレイリスト「リプレイ」を提供

Apple MusicはSpotifyに対抗する新機能、Apple Music Replayを発表した。ユーザーは2019年に聴いたお気に入りの曲を振り返ることができる。これはSpotifyで人気の年末レビュー機能、Wrappedに似ているが、Appleバージョンは単なる年間サマリーだけではない。これは現在進行形の体験だ。

Apple Music Replayを選ぶと、そこには2019年のトップソングのプレイリストが表示
されるだけでなく、Apple Musicを契約して以来毎年のプレイリストも見ることができる。これらはApple Musicのライブラリに追加できるのでいつでも、オフラインでも、聴くことができる。ふつうのプレイリスト同様Apple Musicリプレイは他の人とシェアすることもできるので、友達とトップソングを見せ合ったり、SNSに投稿したりできる。

そして、SpotifyのWrappedが年間の振り返りにとどまっているのに対して、Apple Musicレプレイは一年間ずっとアップデートされ続け、ユーザーの音楽テイストや興味に従って進化していく。プレイリストや関連データは毎週日曜日に更新されてユーザーの最新のリスニング傾向が反映される。

こうして作られるプレイリストはお気に入りのコンピレーションといえるものになり、年末に一度だけでなく、一年を通じて価値が追加され続ける。そして1月になると、2020年リプレイのプレイリストが白紙状態で、Apple Musicの6000万曲の中から見つかるお気に入りの曲が追加されるのを待っている。

Apple Music リプレイは、Apple Musicの全プラットフォームで利用可能で、ウェブではreplay.music.apple.comから入れる。

Apple Music リプレイは使ってたのしいだけでなく、AppleがSpotifyとの競争力を強化する役割を担っている。Spotifyはストリーミングデータを使ってさまざまなパーソナライズされたプレイリストや機能をユーザーに提供している。最近同社は、予想以上に好調な売上で黒字に転じた決算を報告し、有料メンバー数は9月末で1.13億人に達した。一方Appleの有料メンバー数は、6月末時点で
6000万人だった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleマップが外国の地名を読み上げる翻訳機能を提供

Googleマップは、言葉の通じない国を旅行する人たちのために、テキスト読み上げ機能付き翻訳機能を提供する。ユーザーが場所の名前や住所の横にあるスピーカーボタンをタップするとGoogleマップが読み上げてくれる。旅行中に道順を尋ねたいときには特に便利だろう。

外国に行ったことのある人なら、道順を聞いたりタクシーの運転手に行き先を伝えなくてはならない場面があるだろう。それはその国の言葉をしゃべれないと非常に困難なことでもある。翻訳アプリや辞書があっても、日常会話に特化していることが多いので固有名詞や地名は入っていない。

これからは、発音に苦労したりたどたどしい会話をしたり、スマホを運転手に渡したりしなくても、ボタンをタップするだけでよくなる。

さらに会話を続けたいときのために、Google翻訳へのリンクもある。

この新機能は、現在スマートフォンで使われている言語を見て、翻訳オプションを表示すべき場面を決定する。例えば、英語の話者が東京の地図を見るとスピーカーアイコンが表示されるが、米国内の場所を見てもアイコンは表示されない。

この種の音声読み上げ機能がこれまでGoogleマップになかったことは、このアプリが旅行目的によく使われることを考えると少々驚きでもある。しかし最近Googleは、Google HomeGoogle アシスタントGoogle レンズなどさまざまなアプリにGoogle翻訳を組み込み始めている。翻訳機能はGoogle製品を強力にして競争力を高めるとともに、利用者の利便性も増す。

Googleマップの翻訳機能は、今月iOSとAndroidで提供を開始した。現在の対応言語は50種類で、将来もっと増やしていくとGoogleは言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AtlassianがJira Service Deskの多部門利用に応えてテンプレートとワークフローを専用化

Atlassian(アトラシアン)が今日(米国時間11/1)、HR(人事)や法務、ファシリティーズなど、企業内の各チームの目的別に構築したJira Service Deskの一連のテンプレートとワークフローを発表した。6年前にJiraのバージョンとしてスタートしたService Deskは、主にIT部門が対象だった。しかしAtlassianはTwitterやAirbnbなどで、企業内のほかのチームがそれを採用し使い始めていることに気づいた。今日のアップデートで同社は、そういうチームが自分でカスタマイズしなくてもJira Service Desk容易に使えるようにした。当面の対象チームは法務と人事とファシリティーズ関連だ。

同社のITプロダクトのトップEdwin Wongは次のように述べる。「最近の6年で分かってきたのは、特定の部門にとらわれない本当に良質なサービスを提供しなければならないということだ。企業の社員たちの役に立つ優れたサービスをうちなら提供できる、という感触がますます強くなってきた。以前は、社員がサービスに期待するものにそれほど本気で対応しなかった面があるけど、今の消費者向けサービスの質の高さを見ると、職場でもこれぐらいのものが必要だし、求められていると思わざるをえない」。

しかし彼によると、サービスチームの多くがそんな体験を提供できるだけのツールを持っていない。そして、にもかかわらず彼らは、自分たちのワークフローを効率化するためのツールを求めている。人事では、新人教育がその典型的な例だろう。手作業から、もっと自動化された現代的なやり方に移行したい。Jiraには彼らがそれをできるための十分な柔軟性がすでにあるが、今度の新しいテンプレートはそのプロセスを体系化している。

Wongが強調するのは、仕事の流れを追跡し記録するだけでなく、チーム全体を管理して彼らに一箇所にすべてがある集中的な情報ハブを提供することが重要だ。Wongは曰く: 「顧客が抱えている大きなチャレンジは、これが欲しい、これをやりたい、と思ったときに、どこにそのための情報があるかを知ることだ。新人社員が入社したとき、新しいラップトップを与えなければならないけど、どこにそれを要請するのか? バスルームに問題が起きたときと同じく、ファシリティーズに言えばいいのか?」

Atlassianが上記3部門から始めるのは、それらがいちばん、緊急のニーズを抱えているからだ。でもいずれ、他の部門でも同じことが必要になってくるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AWSとSalesforce、GenesysがLinux Foundationと組んで新たなオープン・データモデルを発表

昨年AdobeとSAP、Microsoftの3社はOpen Data Initiativeを結成した。負けてはならじとAWSとSalesforce、Genesysの3社もThe Linux Foundationと提携してCloud Information Modelを発表した。

2つの競合するデータモデルには共通点がたくさんある。どちらも、データを集めて共通のオープンモデルを適用する。こうした大会社のソフトウェアのユーザーがよく経験する問題であるプロダクト間の相互運用を容易にしよう、という考えだ。

Linux Foundationのエグゼクティブディレクター、Jim Zemlin(ジム・ゼムリン)氏は、このプロジェクトはCloud Information Modelの中立なプラットフォームを提供するものであり、コミュニティーの人々が協力して問題解決にあたることができる、と語った。「セントラルガバナンスモデルの下で協力することでコミュニティーの誰もが貢献できる。コミュニティー全体のデータ相互運用と規格開発の推進と、急速な普及に対応するための道をひらく」とZemlin氏は声明で語った。

当初は参加各社ごとに異なった形でモデルを使用する。AWSはAWS Lake Formation ツールと併せて使用することで、顧客がさまざまなデータソースから得たデータの移動やカタログ化、保存、事前処理などを行うのを助ける。一方、Genesysの顧客はクラウドとAIプロダクトを使ってさまざまなチャネルを横断してコミュニケーションをとる。

SalesforceのPatric Stokes氏は、Cloud Information Modelを自社のCustomer 360プラットフォームの基礎的データモデルとして使うと言っている。「AWS、Genesys、The Linux Foundationというパートナーを得て、このデータモデルをオープンソース化することを大いに喜んでいる」とStokes氏はTechCrunchに語った。

もちろん、競合する2つの「オープン」データモデルが出てきたことで、両プロジェクトが一緒になる道が見つかるまで何らかの摩擦は避けられない。事実はと言えば、多くの会社がこれら各社のツールを使っているので、もし競争が続くようなら、そもそもこうしたイニシアティブを作る目的に反している。

MicrosoftのSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏が 2015年にこう話していた。「それは私たちの責務なのです。特に私たちのようなプラットフォームベンダーは、顧客の抱える本当に困っている問題を解決するために、幅広いパートナーシップを結ぶことが求められているのです」。もしそうであれば、競合するモデルが存在していては目的を果たすことができない。

関連記事:価値の高いビジネスデータを共有、MSとアドビ、SAPがOpen Data Initiativeを拡大

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Convoyが約440億円を調達、オンデマンドトラック輸送プラットフォームを拡大

トラック運転手と荷主を結ぶデジタル貨物ネットワークであるConvoyは、競争が激化する市場でビジネスを拡大するため、シリーズDラウンドで4億ドル(約440億円)を調達した。

この資金調達ラウンドでConvoyのポストマネーのバリュエーションは27億5000万ドル(約3000億円)となった。

このラウンドは、Generation Investment Managementと既存株主であるT. Rowe Price Associatesがリードした。IPO前のテクノロジー企業への投資を好む資産管理会社のBaillie Giffordのほか、Fidelity and Durable Capital Partners、シリーズC投資家のCapitalGとLone Pine Capitalもこのラウンドに参加した。

Convoyは、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏、SalesforceのCEOであるMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏、U2のBonoとThe Edgeなど、多くの有名な投資家とその資金を引きつけた。創業以来4年間で、Convoyは総額6億6800万ドル(約730億円)以上を調達した。初期からの投資家には、Greylock Partners、Y Combinator、Cascade Investment(ビル・ゲイツの民間投資ビークル)、Code.orgの創設者Partivi(パルティビ)兄弟などがいる。

投資された資金は有効に使われている。 Convoyの共同創業者であるDan Lewis(ダン・ルイス)氏とGrant Goodale(グラント・グッデール)氏は2015年に貨物運送業者の近代化に着手した。

貨物取扱量は2016年は週に数百個だったが、今や米国全体で週に数万個となった。Convoyのプラットフォームが人間に代わって100%のマッチングを実現する。

Convoyには約100のルートもあり、その多くはシカゴ、ミシガン、カリフォルニアなどの経済ハブに集中している、とルイス氏はTechCrunchに語った。

850人を抱える同社は、今回のラウンドの調達資金で諸施策を加速したいと考えている。だが、Uber Freight、Loadsmart、Flexportなどのオンライン貨物市場との激しい競争に直面することは間違いない。

Convoyは拡大戦略の一環として、プラットフォームに新機能を追加した。 トラック運転手が一度に複数の荷物を予約できる自動リロード機能を2019年に加えた。またConvoy Goも追加した。これにより、ドライバーはトラックのキャブ(運転席と助手席の部分)のみを持ち込み、事前に貨物を積載したトレーラーに接続できるようになった。

画像クレジット:Convoy

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(翻訳:Mizoguchi)

Kubernates利用のクラウドサービス、MirantisがDocker Enterpriseを買収

米国時間11月13日、Mirantis日本サイト)はDockerのエンタープライズ事業を買収したことを発表した。

Docker EnterpriseはDockerのビジネスの中心だった。この売却の結果、評判の高いユニコーンだったDockerのビジネスはいわば以前の抜け殻となった。 残されたDocker自体は今年初めに就任した新CEOの指揮で開発ワークフローを効率化させるツールに引き続き注力するという。一方、MirantisはDocker Enterpriseというブランドを存続させるため混乱が生じることないという。

今回の買収により、MirantisはDocker Enterprise Technology Platformおよび関連するすべての知財(Docker Enterprise Engine、Docker Trusted Registry、Docker Unified Control Plane、Docker CLI等)を取得した。Docker Enterpriseのすべてのクライアント、既存の契約、戦略的技術提携、パートナープログラムも継承する。Docker、MirantisはともにDockerプラットフォームのオープンソースプロダクトの開発を継続するとしている。

両社は買収価格を明らかにしていないが、最近の資金調達ラウンドにおけるDockerの会社評価額を大幅に下回ることは間違いない。Dockerの評価額がこのところ下降を続けてきたことは公然の秘密だった。コンテナ革命のリーダーとして出発したものの、GoogleがKubernetesをオープンソース化し、業界が一斉にに殺到した後は付録のような存在に落ち込んでいた。ただしエンターブライズ事業は多数の大企業をクライアントにもち、健全な運営を続けていた。

Dockerによれば、Fortune 100の3分の1、Global 500の5分の1の大企業がDocker Enterpriseを使用しているという。これはどんな基準からしても高く評価できる成果だろう。Dockerが今回中核ビジネスの売却を急いだということは、こうしたクライアントの大分はDockerのテクノロジーに見切りをつけようとしている同社が考えたことを意味するのかもしれない。

アップデート:Dockerの広報はBenchmark Capitalから3500万ドル(約38億円)の資金を調達したことも発表した。 これは以下の記事の内容に影響を与えるものではないが、Dockerの今後の方向性を考える上で参考になる。なおTechchCrunchはこの資金調達について事前に情報を入手していない。

Dockerは以下のように声明している。

「Dockerは、新しい時代に対応するため、アプリケーションの構築、共有、実行に際して開発者のワークフローの効率化を進めることに焦点を当てることで我々の出発点に戻る。我々のビジネスの重点を再調整する一環として、MirantisはDocker Enterpriseプラットフォーム事業を買収し、このことを発表した。今後我々はDocker DesktopとDocker Hubの役割を拡大することによってアプリの開発者ワークフローを助けていく。具体的には、クラウドサービスの拡大に注力し、開発者がアプリケーションを構築する際に使用するテクノロジーを容易に発見し、アプリを関連する部署、コミュニティと簡単に共有し、オンプレミスであれ、クラウドであれ、Kubernetesが稼働するエンドポイントでアプリをスムーズに実行できるようにしていく」。

一方Mirantis自身もこれまでに相当の波乱を経験している。 Mirantisは十分な資金を調達してOpenStackのディストリビューターとしてスタートしたが、現在ではKubernetesベースのオンプレミスクラウドプラットフォームと関連するアプリケーション配信をサービスの中心としている。CEOのAdrian Ionel(エイドリアン・イオネル)氏は今日の発表に先立って私の取材に答え、「この買収は我々にとって最も重要な決定となるかもしれない」と述べた。

ではMirantisはDocker Enterprise買収で正確に言って何を目指したのだろうか?イオネル氏は 「Docker Enterpriseは我々がすでに目指している方向完全に合致し、また加速するものだ。Mirantisは の方向に大きく踏み出している。目標はKubernetesとコンテナテクノロジーの利用により、 マルチレイヤーのクラウド、エッジコンピューティングとクラウドのハイブリッドを含むあらゆるユースケースに対応することだ。いついかなる場合にもデベロッパーのインフラを開発を助ける一貫したエクスペリエンスを提供する。デベロッパーやクラウド運用者に使いやすいツールをオンデマンドで提供しその負担となるフリクションを最小化する」と述べた。

現在Mirantisの社員は450人ほどだ。買収により新たに元Dockerの社員300人程度を組織に新しく統合する必要がある。Ionel氏によると、当面Dockerのマーケティング部門と営業部門は独立の存在となるという。「我々にとって最も重要なのはクライアントに混乱をもたらさないことだ。そのためチームの統合においても優れたカスタマーエクスペリエンスを維持しなければならない」という。

このことはつまり現在のDocker Enterpriseのクライアントにとっては当面大きな変化はないことを意味する。 Mirantisによれば「Kubernetesとライフサイクル管理テクノロジーの開発、統合を加速すると同時に将来はDocker Enterprise向けのマネージドサービスソリューションを提供していくという。

MirantisとDocker Enterpriseのカスタマーの一部は重複しているものの、この買収によりMirantisは新たに700社のエンターブライズをクライアントに追加することになる。

イオネル氏は「MirantisのライバルはVMware、IBM/Red Hatのような巨大企業だが、我々はクラウドネイティブであり、レガシーのテクノロジーにクライアントをしばりつけることなく、クライアントのコンピューティングをスケールさせることを可能にする」と主張した。

MirantisにとってDockerのエンターブライズ事業の買収が大きな勝利であると同時にDocker時代の終わりを告げるものであることも間違いない。Dockerでは将来に向けた戦略についてさらに発表するとしているが、我々はまだ説明を受けていない。

画像: Chantip Ditcharoen / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Googleがシティと提携して当座預金口座サービスを来年から提供

テック大企業が銀行業務や個人金融サービスに参入する動きが相次いでいるが、Googleはその最新ケースとなる。同社は消費者に当座預金口座サービスを提供する準備を進めている。最初にWall Street Journalが報じ、それによると来年にも開始する見込みだ。GoogleはこのプロジェクトをCacheと呼んでいて、当座預金口座を提供するために銀行、そして信用組合と提携する。口座に関する金融・コンプライアンスなどの業務は銀行が受け持つ。

GoogleのCaesar Sengupta(シーザー・セングプタ)氏は新たなイニシアチブについてWSJに語っていて、すでに金融プロダクトを展開している他のテック企業よりも、Googleが金融機関パートナーを消費者の真正面に据えることを模索する、と明らかにしている。たとえば、Apple(アップル)はApple CardというクレジットプロダクトでGoldman Sachs(ゴールドマン・サックス)と提携しているが、クレジットカードは間違いなく主にアップルのプロダクトとして扱われている。

では、実際の金融業務の多くを従来の金融機関に任せるのなら、テック企業はなぜあえてこの分野に進出するのだろうか。預金口座にアクセスすることで、Googleは明らかに多くの貴重な情報や顧客の行動に関する知見を得ることができる。預金口座は日々の金融状態を示す。Googleはまた、基本的な金融サービスに加えてロイヤリティ・プログラムなど、消費者と銀行の両方にとってお得なプロダクトを提供するつもりだ、と話している。またセングプタ氏によると、サービス利用料を課すかどうかまだ検討中だ。もし課さなければ、既存のほとんどの当座預金口座よりメリットは大きい。

GoogleはすでにGoogle Payを提供していて、Google Walletでは個人間で送金できるなど、単に支払いを追跡する以上の機能を有している。一方、Appleを含むライバルもまた支払いプロダクトを導入していて、Appleはつい最近、Apple Cardでクレジット業界に参入した。Facebookもまた今週初めに自前のデジタル支払いプロダクトを導入した。それから、今年初めにはパートナーと共にLibraという独自のデジタル通貨を構築する考えを示した。

Googleが組む当面の金融機関は、Citigroup(シティグループ)とStanford Federal Credit Unionだ。WSJの報道によると、これら金融機関にとっては、日々の暮らしをオンラインツールで管理するデジタルに詳しい若い世代の顧客を開拓して引きつけるのが狙いだ。セングプタ氏のコメントからするに、金融機関はGoogleが多量のデータを扱い、価値を付加したプロダクトに変える能力からもメリットを得ることができる。しかしGoogleの幹部はまた、広告のためにGoogle Payのデータを使っておらず、広告主とデータの共有も行なっていないと話していた。それでも、日々の暮らしにおいてセンシティブな部分にGoogleがアクセスできるよう消費者を説得するのは、難航するかもしれない。特に、テック大企業を取り巻く現在の政治的、社会的状況を考えた時には簡単なものではなさそうだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Disney+はすでに1000万人以上の加入者を獲得している

Disney(ディズニー)が有料の会員制ストリーミングサービスことDisney+をスタートさせたが、これには問題がなかったわけではない。アクセス過多により、最初の数日間は何時間もコンテンツにアクセスできないケースもあった。しかしディズニーは米国時間11月12日の火曜日のローンチ以来、1000万人のユーザーがサインアップしたと発表した。

これは、非常に短期間で多くの購読者を獲得したことになる。市場を見回すとNetflixは最近、1億5800万人の加入者を獲得したが、それは幅広いグローバル市場で何年もかかった数字だ。Disney+は米国、カナダ、オランダを含む世界のいくつかの市場でのみローンチしている。Netflixは米国だけでの時代にはるかに少ない加入者数でスタートし、初めてストリーミングサービスを提供し始めた2007年の会員数は738万人だった。

Disney+は米国の顧客に数カ月前からアカウントの事前予約を提供していたため、今回の契約者数は潜在的な需要というよりは、マーケティング的な意味もある。また、Verizon(ベライゾン)の契約者には、1年間無料でサービスが提供される。それでも、まったく新しいストリーミングサービスとしては非常に印象的なデビューであり、Disneyが将来のリリースやマーケティング活動を通して視聴者を増やすための確かな基盤でもある。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

ヤフーとLINEが経営統合の報道

日本経済新聞によると、メッセージアプリのLINEとYahoo Japanが合併し、共同出資会社を設立することになる。Yahoo Japanは現在、日本の通信会社のソフトバンク(Yahoo JapanはTechCrunchの親会社のVerizon Mediaとは無関係)の子会社であるZホールディングスが100%出資している。また、LINEは韓国のインターネット大手のNaver Corporationが所有している。

同紙によると、両社は買収条件について現在協議中だという。しかし、ZホールディングスがソフトバンクとNaverの折半出資による親会社の傘下となり、Yahoo JapanとLINEの両方を所有することは想像に難くない。

LINEは日本で最も人気のあるメッセージアプリを運営している。同社はメッセージのほか、 「LINE Pay」「LINE TAXI」 などのサービスを運営している。しかし、メッセージング分野での競争は熾烈だ。

Yahoo Japanはもともと、1990年代後半に米Yahooとソフトバンクによって設立された。Verizon(ベライゾン)は2017年にYahooを買収したが、YahooのAlibaba(アリババ)とYahoo Japanに対する持ち株は買収しなかった。Yahooはこれらの株式を保有するために、Altaba(アルタバ)というスピンアウト会社を設立した。

Altabaはまず、Yahoo Japan株を売却した。ソフトバンクは2018年7月、Altabaが保有するYahoo Japan株の一部を取得し、その保有比率を引き上げた。Altabaはその後、残りのYahoo Japan株とAlibaba株を売却して閉鎖した。2019年にソフトバンクは株式を追加取得し、Yaoo Japanの親会社になった。

ヤフーは、日本ではよく知られている大手のインターネット企業だ。また、オンライン広告事業やEコマース事業、金融サービスなどを展開している。Yahoo JapanとLINEは、この合併でより多くのユーザーにリーチし、エンゲージメントを高めたいと考えているようだ。

TechCrunchはLINEとZホールディングスに連絡を取っており、回答があり次第報じる予定だ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

機械学習のパターンマッチングで異変を見つけるモニタリングサービスPacketAI

PacketAIへようこそ。このフランスのスタートアップは、あなたのアプリケーションやサービスに何かまずいことがあったら知らせてくれる。同社は機械学習を使って生のイベントデータを解析し、おかしい点がないか調べる。

PacketAIは、さまざまなレベルでインシデントを捕捉できる。例えば、ユーザーがあなたのデータベースにデータを書き込めないことを教えてくれるし、コンピューターのレイヤ(マシンレベル)で何かがおかしいことも知らせてくれる。

PacketAIは、車輪を再発明しない。モニタリングツールがすでに数多く存在することを、よく知っている。Datadog、Splunk、Dynatraceなどなど。

共同創業者でCEOのHardik Thakkar(ハーディク・タッカー)氏は、「それらのツールは主に、マシンから出てくる情報を人間が理解できるように設計されている」と語る。

PacketAIは、DatadogやSplunk、DynatraceなどのAPIを統合して、生のイベントデータをリアルタイムで分析する。データを何千行もスクロールするのではなく、具体的には銀行の送金がいつもより相当長く時間がかかっていると教えてくれる。

そのため、問題の修復が迅速にでき、失う収益も少ない。

現在同社は各クライアントごとに機械学習のモデルを作っている。しかし計画としては、同じ業種分野の企業が4社か5社がPacketAIを使うようになれば、すぐにその業種のモデルを作るようにしたい。銀行のモデルとか、通信企業のモデルとか、そのように。

同社はすでに、Aster CapitalやBNP Paribas Developpement、Entrepreneur First、そしてSGPAなどから230万ドル(約2億5000万円)を調達している。

PacketAIは、そのプロダクトの最初の実装ですでに数社のクライアントと提携している。2020年の早い時期に、一般的に利用できるサービスになる予定だ。料金は、PacketAIを使ってモニターしたいネットワークのノードの数による。

画像クレジット: Bloomberg

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Twitchが無料のブロードキャストソフトTwitch Studioを一般公開

Twitchは米国時間11月12日、誰でもストリーミング放送ができるソフトウェアとしてTwitch Studioを一般公開した。ストリーミングの未経験者でも簡単に始められるようにセットアップを簡単にし、ブロードキャストが初めての人でもプロ級の映像や音を送れるよう、さまざまなツールをそろえている。

本日まで非公開ベータだったそのソフトウェアは、ガイド付きのセットアッププロセスでユーザーのマイクやウェブカメラ、モニターの解像度、ビットレートなどを検出する。ユーザーはさまざまな初心者向けレイアウトとオーバレイの中から選び、ストリームのルック&フィールをパーソナライズできる。

Twitch上で動き始めたらユーザーは、オンラインのコミュニティや視聴者と対話できる。そのための方法は、内蔵されているアラートやアクティビティフィード、統合されているTwitchチャットなどだ。

同社は前にも説明していたが、ストリーミングをやりたい人は多いけど、やり方が難しすぎて誰もがギブアップしていた。この新しいソフトウェアは、そんな人たちが初めてセットアップのハードルを乗り越えられることをねらっている。

今後ユーザーの知識と能力が増えて、Twitch Studioでは満足できなくなるかもしれない。でも目標は人びとをTwitchのストリーミングの世界に誘い込むことだから、このソフトウェアの長期的なユーザーにならなくてもいい。

Twitch Studioが現在使えるのはWindowsのみで、macOSやiOSやAndroidはまだ。しかし、まだだと言うのは、そのうちという意味だろう。Twitchは、このソフトウェアにTwitchのそのほかの機能を統合し、また視聴者のチャットや参加性を容易にするツールも準備中だ。

今という立ち上げのタイミングは、最近Twitchの最大のストリーマーTyler “Ninja” BlevinsがMicrosoft(マイクロソフト)のMixerに移籍したことと関係ありそうだ。続いて、Michael “Shroud” GrzesiekもMixerへ行った。そして11月19日にローンチするGoogle(グーグル)のStadiaでは、YouTubeに直接、容易にストリーミングできる

Twitchによると、Twitch Studioは今日から誰もがベータで利用できる。Windows 7以上に対応する。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

atama plusがZ会と業務提携、タブレット型AI教材の学習塾への導入進む

AIによる中高生の学習効率化を目指すatama plusは11月12日、Z会グループ(増進会ホールディングス)と業務提携し、Z会グループの学習塾運営会社である栄光の「栄光の個別ビザ」に、atama plusのAI教材「atama+」を導入することを発表した。

栄光は全国に738教室を持ち、約6万名の生徒が通う大手学習塾。栄光の個別ビザビはその中でも、マンツーマンで授業を受けられる個別指導を専門とする塾だ。この栄光の個別ビザビに、atama+の活用を前提とした教室を新規開校するほか、既存133教室にもatama+が導入される。

Z会グループはこれまでも、グループ傘下のZ会エデュース運営の「Z会東大個別指導教室プレアデス」にatama+をいち早く実証・導入するなど、atama plusの創業当初より関係が深く、実際にatama+の導入によって生徒の成績向上や満足度が向上したことから、今回の大規模導入につながったそうだ。

atama+のAI教材は、高校生向けの数学、英語、物理、化学、中学生向けの数学、英語に対応しており、これまでで大手塾の2割強、500教室以上で導入実績がある。具体的な効率化データとしては、数Iは16時間、数Aは15時間で習得できるとのこと。ちなみに学習指導要綱で規定されている学校の授業時間は計146時間だ。

atama+は、AIが生徒の得意・苦手・目標・過去の学習内容などに応じて、生徒それぞれに最適な学習教材を自動作成するのが特徴。数学の正弦定理が苦手な生徒の場合、正弦定理の問題を片っ端から問いて身体で覚えるのではなく、平方根や三角形の内角などの基礎的な要素を理解させることに重点を置くのが特徴だ。生徒の苦手分野を特定するためにさまざまな角度からatama+が出題し、その生徒が何を理解していないのかを把握する。そして、その苦手分野を補う5分程度の短い動画教材や例題などを組み合わせたカリキュラムを自動で生成する。

atama plus代表取締役の稲田大輔氏は、ベネッセ・ブラジルの執行役員や海外EdTech投資責任者などを歴任後に同社を創業した人物。TechCrunchの以前の取材で、「日本では、必修科目を習得するための学習時間が海外に比べて非常に長く、自己表現力やコミュニケーション能力、グループで協力して作業するといった『社会でいきる力』の教育・習得に時間が取れていない」と語っていた。また「英語を含む基礎学力は非常に大事で、日本の生徒が受験に向けて勉強をすることは間違いない」という日本の状況を理解したうえで「必須科目を効率的に最短で習得できる方法を開発して学習時間を減らす」ことを目指し、atama+の開発に取り組んでいる。

関連記事:AIによって習熟期間を超短縮、日本の受験環境を一変させるatama plusの想いと狙い

なお同社は9月に駿河台学園とも業務提携しており、2020年4月より駿河台学園が運営する学習塾にatama+を導入することが決まっている。

関連記事:atama plusが駿河台学園と業務提携、タブレット型AI教材を全国展開

AmazonがWhole Foods以外のグロサリーストアを2020年にオープン

Amazon(アマゾン)は、買収したWhole Foods以外のグロサリーストア(食料品店)を米国ロサンゼルスのウッドランドヒルズ地区に初めて開く。このニュースを最初に報じたCNETは、その場所を指している求人票をいくつか発見した。職種は、ゾーンリーダー、グロサリーアソシエイト、フードサービスアソシエイトなどだ。

Amazonによると、増加しているレジなしコンビニエンスストアのAmazon Goと違って、この新しいストアは従来型のチェックアウト技術を用いる。CNBCによると、ストアの場所はショッピングセンターの中の以前トイザラスがあったところらしい。

Amazonは計画の詳細をまだ明かさないが、ウッドランドヒルズのストアは2020年に開店する、と明言した。Whole Foods以外の食料品店の計画がAmazonにあることは、10月にThe Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)が報じた。そのときの記事では、同社はロサンゼルスとシカゴとフィラデルフィアを皮切りに全米で数十店の食料品のチェーン店を開く計画となっていた。最初の場所としてウッドランドヒルズが、アービンのスタジオシティと共に挙げられていた。ほかに、ニューヨークの都心部やニュージャージー、コネチカットなども、候補地になっていた。

Amazonの実店舗拡大の動きは、Walmart(ウォルマート)のグロサリー事業の好調と時期が一致している。一部の報道では、後者は今やライバルのAmazonやInstacartなどを圧倒している。Walmart(ウォルマート)の本年Q2の決算報告では、eコマースの売上が37%伸び、それは主にオンラインのグロサリー(食料品)に支えられている。好調の原因は顧客の近くにお店があることとされている。食品の価格には他社のように上乗せ額がなく、顧客はオンラインでオーダーしたらお店へ受け取りに行けばよい。配達してもらうと小額の配達料を払う。

一方AmazonのWhole Foodsは、以前から高価格というイメージがある。このグロサリーチェーンを買収したAmazonは、Walmartのやり方に対抗して、毎週の特売やプライム会員への値引きなどをやってきたが、Whole Foodsの高級店イメージは拭いきれず価格も依然として高い。

Amazonが今回手掛けるグロサリーストアは、従来型、そして安値指向のショップで買い物をするメインストリームの消費者がターゲットだ。

AmazonのスポークスパーソンはCNETに「食糧雑貨の買い物では、お店をいろいろ選べることが好まれるので、今度の新しいストアは、高品質な自然食品や有機食品のリーダーとして成長しているWhole Foods Marketとはまったく異なるオプションをご提供する」と語る。

上記のように、同社によると新しいAmazonのグロサリーストアを立ち上げてもWhole Foodsの拡張は続ける。今年Whole Foodsは新たに17店をオープンしたが、今後の開店計画もあると同社は述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

D2Cは喜びとシンプルさを届ける

D2Cは複雑な製品カテゴリに向いている

画像クレジット: adamkaz (opens in a new window)/ Getty Images

ホリデーシーズンが近づくと、空気が張り詰めてくるのを感じる。どうすれば素敵なギフトを選び出すことができるだろう?ありがたいことに、バスソルトから植物、さらには有機肥料に至るまで、D2C(直接販売)に属する、多くの楽しいカテゴリーが存在している。

かつてニューヨーク市に本拠を置くVC会社が私たちに尋ねた。「消費者への直販ルートで発売される製品が非常に増えていますね。それらを追跡なさっているのは結構なことです。ところで、どのセグメントがD2Cにつながりやすいかを教えていただくことは可能でしょうか?」と。まあ言い換えれば、彼らは私たちに超能力者になれと要求しているようなものだ。

私たちは超能力者ではないが、その質問を見過ごすわけにはいかない。ブランドをD2Cに移行できる理由はたくさんある。Amazonのすべてのカテゴリをアンバンドルして、それぞれをD2Cに移行させることは可能だろう。それをただ行っているブランドは複数あるが、だからといってAmazonはすべての答を探せる場所ではない。

植物と肥料の例を見てみよう。私はこのホリデーシーズンに植物を贈りたいのだが、2つの問題がある。まずは友人の好みがわからないので、どの植物を選ぶべきか分からないのだ。そして2つ目は、適切な植物を選べたとしても、相手がそれをちゃんと育て続けられるかどうかがわからないのだ。

普通、人が植物の購入を考えるのは、素敵なシダやイチジクに心を奪われながら目覚めたときではない、むしろ朝の珈琲をすすりながら空っぽのバルコニーを眺めたときに、ちょっとした緑があるといいなと思ったときだ。人びとが買うのは植物ではない。良い眺めを買っているのだ。そして鉢植えのヤシの木は、見るひとに好ましい感情をよび起こす媒体なのだ。

しかし、もし彼が植物の世話をすることができない場合はどうなるだろう?その代わりに本当に素晴らしいローソクとかを買うべきだろうか?オンラインの植物ストアであるRootedは、必要な光の量や植物に水をやる必要がある頻度などの基準をつかって、商品を分類している。そのおかげで、私は「実質的に、ほぼすべての条件に適応できる」Tim(サンセベリア、英語ではsnake plantとも)を発見することができた。

製品の中には複雑なものがある。どの2つの植物もみな違っていて、どの2つの植物バイヤーもまた同じではない。それは複雑なのだ。苗床に足を踏み入れて、植物を自分で選び、添えられた指示を読むことはできるが、それでもそれをきちんと育てる責任はあなた側にあるのだ。

RootedやBloomscapeといった企業は、あなたが「気分」を買っていることを知っているので、彼らは購入後の不協和音を回避する手助けをしてくれる。彼らは、適切な植物を選択することから始まる顧客重視の製品体験を提供し、ユーザーを教育するための入門キットを提供する。これらはすべて、慎重にデザインされたフレンドリーな教育コンテンツを通じて提供される継続的なポジティブフィードバックループの中に含まれているのだ。

ブランドはD2Cに移行することで、購買体験をパーソナライズすることができ、顧客の喜びと使い勝手を最適化でき、正しいやり方で教育し、そして最終的に、顧客が求めていた気分を手にすることができるように導けるのだ。

このアプローチは、複雑であると考えられているあらゆるカテゴリで機能する。それが、コーヒー、ワイン、栄養補助食品、あるいは植物のいずれであっても、そうした製品は顧客に合わせて調整する必要がある複雑な体験であり、教育プロセスが非常に大切なものなのだ。それを正しく行うことができるブランドは、D2Cに移行することで、顧客に適切な体験を得てもらうことができるのだ。

普通人々は、変化に抵抗するものだが、彼らは自分たちをバージョンアップしてくれるブランドは愛してくれるのだ。未知に対する恐れと、間違った決定は、購入後の不協和音を招く。悪いブランドが不協和音を呼び込むのに対して、良いブランドはこの恐れを弱める。それがいいものになるか悪いものになるかは、入門体験、直感的なデザイン、コンテンツ、オンラインサポート、顧客レビュー、そしてアフターサービス体験よって決まる。

電力を蓄えるバッテリーのように、ブランドは感情的な状態、プラスとマイナスを蓄える。Comcast(米国のケーブルTV会社)との間で消費者が行う相互作用は、Apple Storeへの訪問とは異なる感情を引き起こす。

例えば、快適な履物を製作するには複雑なエンジニアリングが必要だ。ウォーキング、サイクリング、ランニング向けのユニークなタイプがあるが、どれがあなたに合っているかをどのように判断すればいいだろうか?今年リリースされたアプリであるNike Fitは、AIを使用して、顧客が自分の足に最適にフィットするものを見つける手助けする。

「5人のうち3人は、間違ったサイズの靴を履いている可能性が高いのです」と同社は声明で述べている。「長さと幅は、靴を快適にフィットさせるために十分なデータを提供していません。私たちが知っているようなサイズ決めは、複雑な問題を大幅に単純化しているのです」。AIは、右足が左足よりも大きいときにはそれを告げ、最高のスニーカーを推奨してくれる。なんて気持ちが良いんだ!NikeがD2Cチャンネルに倍賭けを行うことにしたのも不思議ではない。

最終的に結果を出せているのは、顧客の問題を認識して解決しているブランドである。 eコマースとD2Cは、まさにそれを行うための媒体なのだ。優れたブランドは、複雑な製品にシンプルさをもたらし、魔法のようになじみのあるものにしてくれる、優れた体験デザインを提供するのだ。

【編集部注】著者のAshwin Ramasamy(アシュウィン・ラマサミー)はPipeCandyの共同創業者である。PipeCandyは、eコマースおよびD2C企業に関する洞察と予測を、アルゴリズムによって生成して提供している。彼の会社は、投資家、銀行、ハイテク企業、政府などが、世界のeコマースの状況を理解することを助けている。@Ashwinizer

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(翻訳:sako)

フードデリバリーのDeliverooが客によるピックアップも選択肢として提供

今度は配達ではない。英国拠点のオンデマンドフードデリバリーサービスのDeliverooは、注文のフード配達以外のサービスに乗り出す。「Pickup」というピックアップオプションを顧客に提供するのだ。これは、配達料金を払ったり、昼ごはんが届くのを待ったりしなくてもいいというものだ。

この新たな「クリック&ピックアップ」サービスは、開始にあたって英国内13の都市にある700軒超のレストランで展開される。アバディーン、バーミンガム、カーディフ、グラスゴー、リーズ、リバプール、ロンドン、マンチェスター、ミルトン・ケインズ、ニューキャッスル、ノリッジ、ノッティンガム、エジンバラ(旧市街)だ。このサービスを導入するレストラン第1陣には、Byron、Pizza Express、Pizza Hut、TGI Friday’s、Frankie & Benny’s、Chiquito、Coast to Coast、Giraffeが含まれる。

今後12カ月で、Deliverooが現在サービスを展開している英国200の市町村のレストラン1万店以上がこのピックアップサービスを導入し、急速に拡大するとDeliverooは見込んでいる。現段階では予想に過ぎないが。

英国以外のマーケットでもこの「ピックアップ」オプションを提供するかどうかは不明だ。フード回収オプションを香港、オーストラリア、オランダ、ベルギー、スペインで今年開始するとDeliverooは話している。

ピックアップオプションは、自ら食事を取りに来るのをいとわない顧客向けにより安いオプションを設けて顧客の選択肢を拡充するのが狙いだとDeliverooは語る。客はこれによりランチ代を少し浮かせるることができる。

と同時にDeliverooにとってこれは同社のサービスを利用しているレストランのオーダーパイプラインを太くする策にもなる。この場合、Deliverooはオーダーを受けるだけの役割となる(それでもコミッションは取る)。

顧客による自分の食事のピックアップは、Deliverooのプラットフォームにとって新たな収入源となる。これは、同プラットフォームで働いている配達人の雇用ステータス(そして/または労働条件)の法的あるいは倫理的なリスクとは無縁だ。

ピックアップオプションの立ち上げは、登録したレストラン向けにDeliverooが提供する最新のB2Bサービスだ。これまでのB2Bサービスには、食材調達サービス、電気代など日々の事業コストの節約、レストラン拡大のためのデータサービス、ヴァーチャル・ブランドが含まれる。

Deliverooは、今後6カ月で英国内でさらにレストラン1万店の登録を想定していて、急激に事業は拡大すると予想している、と語る。実現すれば利用店は全部で3万店となる。

Deliverooは現在、全13のマーケットの500市町村でサービスを展開している。ホームマーケットの英国のほかはオーストラリア、ベルギー、フランス、香港、イタリア、アイルランド、オランダ、シンガポール、スペイン、台湾、アラブ首長国連邦、クウェートだ。

英国での事業拡大についてDeliverooの強気発言にもかかわらず、フードデリバリー業界は多くのグローバルマーケットでかなり厳しい競争が続いている。この夏、Deliverooは欧州やAPACの他マーケットでの成長と拡大の加速にリソースをさいて投資を行うとして、ドイツからの撤退を発表した。

欧州では、このところの競争でサービスが強化されている。主要プラットフォームは、鍵を握るマーケットで生き残るために提供する選択肢やサービスを増やすというプレッシャーにさらされている。1つのマーケットで急速拡大することは、他のビジネスを犠牲にすることになるかもしれない。

近隣のデリバリーマーケットへの拡大は、ローカルのオンデマンドデリバリースタートアップで見られる別の戦略だ。たとえば、南欧と東欧にフォーカスしているスペインのGlovoは、ローカルのグローサリー即配を実現するため「ダーク・スーパーマーケット」モデルに取り組んでいる(編集部注:売り場はないドライブスルー専用の倉庫)。その一方でフードデリバリーでも地方を開拓し、ポーランドへ(買収を通じて)積極的に展開している。

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(翻訳:Mizoguchi)

遅いウェブサイトをGoogle Chromeが識別して教えてくれる

ウェブページが遅いのか、それともネットワークの接続状況が悪いのか? 将来、Google(グーグル)のウェブブラウザーChrome(クローム)は、その答を教えてくれるかも知れない。グーグルは本日(米国時間11日)、いつも読み込みに時間がかかるウェブサイトを特定してラベルを付ける計画を発表した。さらに同社は、ユーザーのデバイスやネットワーク環境が原因で読み込みが遅くなるウェブサイトも識別できるようにすると話している。

遅いウェブサイトを具体的にどのようにラベル付けするか、グーグルはまだ決めていないが、もっとも納得のいく方法をいくつか実験することになるという。

たとえば、読み込みの遅いウェブサイトの場合は、警告アイコンと「常に読み込みが遅い」といった文章が入った“Loading…”(読み込み中)ページを表示するなどだ。それに対して、速いウェブサイトでは、青ではなく緑色のプログレスバーをページのトップに表示する。

リンク先が遅い場合は、リンクのコンテキストメニューでユーザーにその旨を知らせ、クリックするかどうかをユーザーが選べるようにする。

左:遅いサイトで表示される読み込み中ページ。右:速いサイトで示される緑色のプログレスバー。

長期的な目標としてChromeは、“高品質”な体験を提供するウェブサイトを特定して記章を与えることを目指している。その場合は、読み込み速度以外にもいくつかの要素が判断材料になる。それがなんなのかはグーグルはまだ明らかにしていないが、選定には、今後徐々に公表される予定の厳格な基準が使われるという。ともあれ、その目的は、“良質なユーザーエクスペリエンス”を、すべてのウェブ開発者が目指せるようにすることにある。

それまでの間は、サイトのパフォーマンスに特化したグーグルの情報源を参考にするよう、ウェブ開発者に推奨する。それには、学習プラットフォームweb.dev./fast、最適化のための提案を行うオンラインツールPageSpeed Insights、パーソナル化された助言ツールLighthouseがある。

速くて使いやすいウェブサイトは、グーグルにも利益をもたらす。同社がメインに据えているモバイルユーザーに、よりよいサービスが提供できるからだ。2015年以来、グーグルのユーザーの大半が、検索をモバイルデバイスから始めるようになった。しかしその変化のために、インデックスやページのランキングの新しい形が求められるようになり、通信速度が異なるユーザーや、貧弱なデバイスしか持たないユーザーへの対応を迫られるようになった。

現在グーグルでは、モバイルユーザーがより早く情報を得られるように、ページをインデックスするときにはウェブサイトのモバイル版を使用し、高速なAMPページを提供している。そのため、今度はグーグルがウェブサイトのオーナーに高速化を迫り、さもなければ“遅い”ウェブサイトのレッテルを貼られるリスクをちらつかせる段階に至ったことは理解できる。

これは、インドのように、十分なバンド幅の確保が難しく、ローエンドのスマートフォンが普及している急成長市場のグーグル・ユーザーには、とくに有難い機能になる。

「スピードは、最初からChromeの中核的な原則でした。ブラウズすれば瞬間的に体験できるよう、私たちはつねに努力してきました」とChromeのブログ記事に書かれている。「とは言え、早く読み込めると思っていたのに、もっと改善できるはずだと感じさせられる結果に終わるウェブページを数多く見てきました。ウェブページにも改善の余地があると思っています……」と続く。

この計画は、Chrome Dev Summit(開発者サミット)にて、開発者向けの最新情報などと共に発表された。そこでは、電子メール、FTP、さらにはUSBなどさまざまな形式を跨いでウェブコンテンツを配信できるようにするAPI、Web Bundlesも発表され、さらに、これまでGoogle I/Oと紹介されていたウェブ・エクスペリエンスPortalsが、当初からのパートナーであるFantangoと共にデモンストレーションされていた。

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(翻訳:金井哲夫)

Facebookが「ナビゲーションバー」の設定をようやく可能に

Facebookのホーム画面に表示されるあの赤い通知マークにイラついている人、画面を無駄遣いしているFacebookマーケットプレイスに腹を立てている人に朗報だ。新しく追加されたショートカットバー設定で、Facebookアプリのナビゲーションバー(モバイルアプリの下端または上端に表示されているアイコンの並び)に表示されるものを選べるようになった。

先週末にTechCrunchは、マーケットプレイス、ウォッチ、グループ、イベント、プロフィール、友達リクエスト、ニュース、などのタブを消したり、赤い通知ドットを表示しなくするオプションを発見した。Facebookは我々の問い合わせに答えて、ショートカットバー設定は全ユーザー向けに提供され、大部分のiOSユーザーはすでに利用可能で、Androidユーザーには今後数週間のうちに行き渡ると語った。

この改訂は、Facebookに雑音が増えることを望まない人たちの平穏さを取り戻すのに役立つかもしれない。ホーム画面に現れる赤い通知件数は、どこかのグループやイベントやマーケットプレイスの投稿に人々の注意を向けさせようとする油断のならないグロースハックだ。

「ユーザーが好きなものを簡単にアクセスし、Facebookアプリ内で受け取る通知を自分で管理できるようにするために、ナビゲーションバー設定を公開した」とFacebook広報が私に話した。

去る2018年7月にFacebookは、ナビゲーションバーをユーザーがどの機能を多く使っているかに応じてパーソナライズしていくと発表した。しかし、Facebookは自分たちが使わせたいと思う機能を広めることに専心しているようで、Craigslistのライバルであるマーケットプレイスのように私がめったに使わないものが表示され、毎日利用しているイベント機能はバーから消えた。

ショートカットバー設定を利用するには、iOSでは画面下、Androidでは画面上にあるナビゲーションバーのショートカットを押すと出てくるポップアップメニューで、タブを削除したり、赤い通知ドットを非表示にすることができる。これでナビゲーションバーのスペースを空けて平和な体験ができる(編集部注:コメント通知は設定変更できない)。

ナビゲーションバー右端にある横棒3本のその他タブからも「設定とプライバシー」→「設定」→「ショートカット」で表示内容を管理できる。リバースエンジニアリングのスペシャリストであるJane Manchun Wong(ジェーン・マンチュン・ウォン)氏は、Facebookがこのメニュー通知ドット設定メニューのプロトタイプを開発していたことを指摘していた。

関連記事:Instagramが「いいね」の数を隠すテストを米国でも開始、インフルエンサーへの影響は?

Facebook広報は、ユーザーがアプリ内の通知を見なくても済む方法があるべきだと認めている。ユーザーにもっと自由を与えることで、各自にとって大切なものを使いやすくしたかったとFacebookは言った。

Facebookはユーザーの満足度を高める試みとして、Instagramの「いいね!」数の表示をやめたが、ほかにも簡単にできることがたくさんある。例えば、通知のまとめを改善して、ユーザーはグループやイベントの投稿をその都度煩わされることなく1日1回ダイジェストで受け取ることができればうれしい。「有意義な時間」(Time Well Spent)ダッシュボードでFacebookの利用分数を表示するなら、その横にタイプごとの通知の数や、実際に開いた数を表示して、使わないものは削除できるようにすればなおいい。

もしFacebookが長期的に生き延びたいと思うなら、ユーザーを騙して会社の利益だけを追求するグロースハックの罠にかけることなどできない。Facebookアプリはこの10年で膨張し余分な機能にまみれている。嫌いなものを見なくて済むようにさえしてくれれば、忘れられている機能を積極的にクロスプロモーションするなどしてFacebookは成長できるはずだ。

関連記事:My product launch wishlist for Instagram, Twitter, Uber and more

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

20代の転職意欲を可視化ブーストするポジウィルが資金調達

ポジウィルは11月12日、STRIVE(ストライブ)、柳澤安慶氏、ほか個人投資家への第三者割当増資による資金調達を発表した。調達額は非公開。今回調達した資金は、採用やサービス開発、マーケティングとして活用し、事業基盤の強化を図るという。

同社は20178月設立のスタートアップ。転職そのものではなく、その前段階をサポートする点で一般的な転職支援サービスとは異なっている。転職希望者が同社のサービスを有償で利用することで、さまざまなアドバイスを専門家から受けられるのが特徴だ。

具体的には、累計1000人以上の利用実績があるオンライン有料転職相談サービス「そうだんドットミー」と、転職に向けた2カ月集中プログラム「ゲキサポ!転職」の2サービスを運営している。ゲキサポ!転職は、2カ月で税別30万円の費用がかかるが、2019年7月末のリリース以降、すでに100名以上が利用しているとのこと。

一般的な転職サービスは、優秀な人材を確保したい雇用主である法人から、採用が決定した人材の年収の3分1、もしくは月収3カ月ぶんほどの成功報酬を受け取るというのが基本的なマネタイズの仕組みだ。一方ポジウィルは、転職先を見つけるサービスでないため人材紹介業ではない。同社は転職希望者が、どういった仕事に就きたいのか、自分の価値はどこにあるのかといった就職活動の基礎的な部分を徹底的に鍛え直すことに特化している。

就職氷河期を経験している読者にとっては疑問符が3つほど付くサービスだが、現在の20代を取り巻く環境は当時とはまったく異なっている。リクルートキャリア出身でポジウィルの代表を務める金井芽衣氏によると「ゲキサポ!転職は20代のビジネスパーソンをターゲットとしており、若年層の就職活動に必要とされている」と語る。

スマートフォンやタブレット端末が普及した現在では、さまざまな企業に対してエントリーシートを一斉に送信できるほか、ネット企業を中心に積極的な採用活動を進めているので最近は人手不足が常態化している。特にプログラマーやエンジニアはかなりの売り手市場になっている。そして、多くの企業が事業内容だけだなく、社員教育方針、福利厚生などをウェブサイトに詳しく掲載しているため、多くの情報を短時間で集めることもできる。テクノロジーの発達によって、就職や転職を希望する側は情報過多になっているという現状がある。

その結果、「自己分析や明確な動機、会社への情熱がないままに就職が決まり、入社後に違和感を覚えて1年未満で辞めてしまう若者が増えている」と金井氏。「難易度の高い大学に努力して入った学生は特に、過去に必死に頑張ってきた経験があるため、入社後の仕事内容にやりがいや達成感を得られずモチベーションが下がってしまう傾向がある。彼らはもっともっと頑張って仕事をしたいと考えています」と続ける。ゲキサポ!転職はこういったビジネスパーソンに対し、2カ月間集中して自己分析や取り組みたい仕事などを洗い出したうえで、目的を持って転職に臨める環境を作るのが狙いだ。なお、実際の転職活動は転職者個人が進める必要がある。

同社は、転職希望者を入社させることで多額の成功報酬が得られる人材紹介業と一線を画するサービスを目指す。第一の目的は転職の成功ではなく、転職における個人の意向や可能性を転職者本人に深く考えさせること。転職市場で売り物にされないために、20代には少々高額な求職者課金型でサービスを展開しているわけだ。今後は同サービスのモデルを横展開し、子育てや介護などさまざまな悩みを専門家に相談できる有料課金サービスを育てていきたいとしている。

無料で手に入る情報は玉石混交で、その中から正しく役に立つ情報、自分に合った情報を見つけ出すには、結局は知識が経験が重要。有料サービスにすることで、本当に必要な情報に最短でリーチできる同社のサービスモデルの今後の横展開が楽しみだ。

アリババの「独身の日」売上は過去最高の4兆1000億円

数週間にわたる積極的な広告やプロモーション、そして熱狂的な24時間の売買が終わり、Alibaba Group(アリババグループ)は米国時間11月11日、世界最大の買い物デーである「独身の日」の売上が過去最高となったことを明らかにした。

中国のeコマース大手アリババは、売上が2680億元(約4兆1000億円、384億ドル)だったと話した。これは昨年の307億ドル(約3兆3000億円)を大幅に上回る。今年11回目となった年一度のイベントだが「今年は電化製品とファッションアイテムがよく売れた」と同社の幹部がインタビューで語った。

多くの国から5億人超が参加したこのイベントは、米国のブラックフライデーとサイバーマンデーに相当するものだ。ただし、独身の日はより規模が大きい。5日間にわたる昨年のブラックフライデーの売上は250億ドル(約2兆7000億円)に届かなかった。サイバーマンデーは80億ドル(約8700億円)以下だった。アリババグループは売上高を発表する前に、開始からわずか68秒で売上が10億ドル(約1090億円)を超え、30分で100億ドル(約1兆900億円)を超えたと明らかにしていた。

中国、そして世界各地に住んでいる人が利用できるよう、アリババは多くの専用ウェブサイトを展開している。AliExpressでは中国の小売が中国外に住む人に物品を販売する。Tmallではグローバルのブランドが中国に向けて販売し、Taobaoでは中国ブランドが国内向けに販売する。アリババグループの子会社であるLazadaは東南アジアマーケットに特化していて、今年は顧客・出店者ともに倍増した。「顧客、出店者とも今年は倍以上に増え、数々の記録を打ち立てた。今後さらにいいニュースを伝えることを楽しみにしている」とLazadaの共同社長であるYin Jing(イン・ジン)氏は話した。

アリババはまた、Apple(アップル)やL’Oreal(ロレアル)、Dyson(ダイソン)など数十のブランドが1億元(約15億円)のプレオーダーを受けたことも明らかにした。

このショッピングイベントを盛り上げるためにTaylor Swift(テイラー・スイフト)やアジアのポップアイコンであるGEMを含む、数多くのセレブが登場した。アリババはまた、中国でかなり人気を集めている同社のプラットフォームのphenomenon(フィノメノン)を通じたライブストリーミングにも注力した。

ライブストリーミングビデオでは、Kim Kardashian(キム・カーダシアン)が先週、彼女の香水ブランドKKWが独身の日にTmallで販売されることを発表していた

今回のイベントで姿が見られなかったのが、アリババグループの創業者で今年9月に引退したJack Ma(ジャック・マー)氏だ。それまで、マー氏は毎年このイベントで力強いスピーチをするだけでなく、従業員や顧客に働き掛けてきた。

1時間前の記者会見で、アリババのテクノロジー責任者であるJeff Zhang(ジェフ・チャン)氏は11.11イベントを「ターボスピードで飛ぶ飛行機」と表現し、この飛行機をより効率的に飛ばすことが最大の課題だったと述べた。

改善が最も見られたものの一つが物流ネットワークだ。それでもこれはまだアリババにとって十分なものではない。先週アリババグループは、同社が6年前に他の企業と共同で設立した物流部門のCainiaoに追加で33億ドル(約3600億円)出資すると発表した。

アリババにとって最大の脅威は依然としてJD.comとPinduoduoの拡大だ。2つとも地方都市では大きなシェアを握り、より整備された物流ネットワークを有している。3社は激しい競争を展開していて、それぞれに顧客を引きつけてつなぎとめるために毎年数十億ドル規模の割引を行なっている。

JD.comとPinduoduoもまたアリババのように毎年似たようなキャンペーンを展開している。11月1日に始まったJD.comのセールは今日現在で売上が236億ドル(約2兆6000億円)を超えた。このモデルは Amazonや、Walmartがインドに持つFlipkart、シンガポールのQoo10、韓国の11th Streetも真似ている。

アリババの今回の記録的な売上は、今月中に香港での上場で150億ドル(約1兆6000億円)の調達を目指す同社が株主の注意を引くのに役立つものとなりそうだ。独身の日イベントは毎年11月11日に開催されていて、「ダブル11」としても知られている。このイベントは、結婚していない人向けのものだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Facebook新製品実験チームの最初のアプリは学生のおしゃべりと音楽用

今年の7月、Facebook(フェイスブック)はNPE(新製品実験)チームと称される、一般消費者向けの実験的なアプリを開発する新部門の創設を発表した。新しいアイデアや機能を試して、人々がどう反応するかを見極めることが目的だ。

創設間もなく、Vine(バイン)のジェネラル・マネージャーであったJason Toff(ジェイソン・トーフ)氏をプロダクト・マネージャーとして同チームに招き入れた。そして今、このNPEチームから誕生した最初のアプリが静かにローンチされた。ひとつはBump(バンプ)。見た目ではなく会話を通じて新しい友だち作りを支援するおしゃべりアプリだ。もうひとつは、ソーシャル音楽アプリAux(エイユーエックス)だ。

Auxは、2013年にサービスを終了したスタートアップであるTurntable.fmのウェブサイトを少しだけ思い出させる。Turntable.fmと同じように、Auxのアイデアも、アルゴリズムではなく人が音楽をプログラムする仮想DJ体験が楽しめるというものだ。クラウドソーシングによるDJごっこというコンセプトは、この数年間、モバイルアプリを使ってリスナーにプレイリストを決めさせるラジオ番組に引き継がれていた。

その後、Sporify(スポティファイ)などのストリーミング音楽アプリがパーティー用プレイリストなどの実験を行い、いくつものスタートアップによって、ゲストがプレイリストを決められる独自のアプリが世に送り出された。

NPEチームのAuxは、みんなでプレイリストを作るという一般的なアイデアを、やや違うかたちで取り入れている。このアプリは、毎晩午後9時にアプリ内で開かれるパーティーに集まる学生やティーンエイジャーを対象にしている。参加者は、自分が好き曲を選び、それが最初にかけられるよう“AUX端子”を競い合う。パーティーの最後に、拍手の多さによって勝者が選ばれる。

アプリの解説にも書かれているが、Auxは「あなたの学校のDJ」と銘打たれている。このタイトルは、学校の放送設備から音楽が流されるような印象を与えるが、実際は、学校に通う子どもたちが夜に楽しむソーシャルアプリだ。

Auxは、2019年8月8日にカナダでローンチされた。Sensor Towerのデータによれば、iOSでダウンロードされた回数は500回以下だ。Android版はない。10月22日には、カナダのApp Storeですべての音楽アプリの中で短期間だけ38位にランクされた。ダウンロード数を増やすための、なんらかのキャンペーンが行われたことを示唆している。

もうひとつのNPEチームのアプリはBumpだ。これは、「新しい友だちを作る」ことを目的としている。基本的には匿名のチャットアプリなのだが、テキストで応答することで打ち解け合い、つながりを持つというアイデアに基づいている。Bumpには画像も動画もリンクもない。おしゃべりだけだ。

App Storeのスクリーンショットから察するに、このアプリは大学生をターゲットにしているようだ。スクリーンショットでは、大学のキャンパスでthe coolest place(最高の場所)や安く食事ができるところを尋ねる質問が見られる。さらにこのサンプルの写真からは、クラスやルームメイトとのトラブルに関する話も見受けられる。

Bumpは、人と人のつながりを「外見ではなく会話で」構築するものだと強調していることから、出会い系の要素も盛り込まれる可能性もある。そうすることで、最高の写真で目を惹こうとするユーザーに人気が集まる他のソーシャルアプリ(そしてもちろん出会い系アプリ)と、少しだけ肩を並べることができる。

Bumpの会話はリアルタイムで行われる。一度にひとつの会話にしかメッセージが送れない。また、返事をするまでに30秒の制限時間がある。そうすることで、会話を活性化させる狙いだ。会話を終わらせるときに、今の相手との関係を続けたいかをアプリに尋ねられる。双方がイエスと答えた場合に限り、また同じ相手との会話が楽しめる。

BumpにはiOS版Android版があり、現在はカナダとフィリピンでサービスが提供されている。Sensor Towerによれば、Bumpは、2019年9月1日、カナダのApp Storeにてソーシャルネットワーク部門の第252位までランクアップしたが、現在はランク外となっている。

面白いことに、NPEチームのこれらのアプリのうち、Bumpだけが、NPEチームはFacebookの一部門であることを解説で明かしている。もうひとつのAuxは、それには触れていない。だがどちらも、詳しく知りたい人のために、Facebook.comに掲載されているアプリのプライバシーポリシーへのリンクがある。

これは、グーグルの社内アプリインキュベーターArea 120の場合とそう変わりがない。そのアプリには、グーグルの子会社が制作したことを明らかにしていないものがあるが、どれもグーグルのプライバシー・ポリシーへのリンクがある。どちらの企業も、そららのアプリが、親会社の知名度によってではなく、各々の実力でもって成功するか失敗するかを見極めようとしているのだろう。

Facebookは、NPEチームの将来については、コミュニティーを構築するための新い方法を探るということ、そして必要がなくなればすぐに解散するということ以外、多くを語っていない。

Facebookは、この2つのアプリの存在について、The Informationで認めている。

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(翻訳:金井哲夫)