アップルがカナダにてマップのデータ収集を開始

Apple(アップル)はカナダにおけるマップ(Apple Maps)の計画を、ウェブサイトや新聞にて発表した。同社の計画は、カナダにてマップを改良するために、大量のセンサーを搭載した車両を国内にて走行させることだ。

アップルはカナダでのこの計画がいつデータをスキャンし、処理し終わるのかを明らかにしていない。カナダに住んでいるのなら、変更に気づくまでに数カ月かかるかもしれない。

昨年、アップルはマップを一から再構築中だと発表した。アメリカの一部では、より詳細が書き加えられ、歩道や緑地がわかりやすくなり、建物の形状が正確になるなどの改良に気づくだろう。

アップルの車両にはGPSだけでなく、4個のLiDARと8個のカメラが搭載され、高解像度画像を撮影する。現在、アップルはデータのクオリテイの改善が全てだと表明している。しかし、同社はこのデータを活用し、Google ストリートビューの競合サービスや、サイクリングの道案内、AR(拡張現実)を利用したターンバイターンのナビゲーションをローンチするかもしれない。

実際に車を走らせるので、マップの新バージョンを世間に知られずに開発するのは難しい。アップルが来週開催するWWDCのキーノートでどんな新機能を発表するのか、見守ることにしよう。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

自分好みのおやつが届くサブスクサービス「snaq.me」が2億円調達

おやつのサブスクリプションサービス「snaq.me(スナックミー)」を運営するスナックミーは5月28日、総額約2億円の資金調達実施を発表した。

スナックミーは2015年9月の設立。2016年2月には、おやつのサブスクサービスsnaq.meをスタートしている。このサービスでは、4週間または2週間に1度、8種類のおやつを詰め合わせた、おやつBOXがユーザーに届く。おやつのジャンルはクッキーやマドレーヌといった焼き菓子や、ドライフルーツ、ナッツ、チップス、あられなどの米菓、豆菓子などで、人工添加物や白砂糖、ショートニングが使われていないのが特徴だ。それぞれ20〜40グラムの食べきりサイズに梱包されており、詰め合わせ1BOXあたりの価格は1980円(税込・送料無料)だ。

ユーザーは、はじめに約1分間のアンケートによる“おやつ診断”で好きなおやつの傾向を送信し、定期便を申し込む。届いたおやつの評価をマイページからフィードバックすることで、次のBOXの中身を自分好みに変えていくことができる。おやつの種類は現在100種類以上で、そのうちの10〜20%を毎月入れ替えており、組み合わせは約1000億通りにもなる。

直近では、ユーザー数が月に約10%ずつ増えているというsnaq.me。ユーザーから集めた評価データは累計100万件に上っており、それを生かした商品開発も進められている。例えば、snaq.meの会員の95%は女性だそうだが「食べたいと思えるプロテインバーがない」との声が多かったという。このことから、植物由来の原材料のみで素材の数も絞った「CLR BAR(クリアバー)」を商品化。新ブランドとして展開している。

「サブスクリプションのプラットフォームとして集めたデータを生かして、メーカーとしても商品を開発しています。普通、メーカーがアンケートを取ろうとすると、なかなかアクティブな反応がもらえないことが多いが、snaq.meでは『次のBOXの中身がどんどん自分好みになっていく』というモチベーションから、フィードバック率も高いです」と説明するのは、スナックミー代表取締役の服部慎太郎氏だ。

「試作品を改良して時間をかけて開発するというより、Webサービスのようにできたものは製品として出してしまいます。そこからフィードバックをもらい、2〜3週間ぐらいで変えていき、ダメならやめてしまう。評価が高い商品は別のフレーバーを出すなどして、展開していきます」(服部氏)

商品開発については、自社での開発のほか、現在50社ほどと協力して行っているというスナックミー。「道の駅に商品を卸している地方のメーカーなどで、販売先がなかなか見つけられないが、いいものをつくりたい、というところが全国にある。そうしたメーカーへ顧客の評価を直接伝え、一緒に製品をつくっています」と服部氏は言う。

スナックミーでは、これまでサブスク会員に限定して販売していたもののうち、評判のよいものを会員外にもオンラインで販売している。5月21日からは「国立ドイツ菓子協会」が認める材料・製法による“ホンモノ”のバウムクーヘンの販売を開始しており、今後も月に何度かこうした販売を行っていく予定だ。

服部氏は「ユーザーは『おかし』というより『自分への定期的なごほうび』として使ってくれている。だからInstagramやTwitterといったSNSで、届いたBOXを撮影して投稿してくれ、SNS経由で友人へ紹介してもらうことが多い。そこで、定期便型では敷居が高いと感じている人にも、カジュアルに手に取って欲しいと考えています」と述べている。

資金調達により、スナックミーではユーザーの嗜好データ収集から分析、新商品開発に至る仕組みを強化していく構えだ。また倉庫などのオペレーションのボリュームも大きくなっていることから、設備投資を行い内製化を図るとしている。

スナックミーでは、これまでにも何度か、VCなどからの資金調達を実施している。今回の第三者割当増資の引受先はW VenturesSpiral Ventures JapanSMBCベンチャーキャピタルLINE Ventures朝日メディアラボベンチャーズの各社。このうちW VenturesとSpiral Ventures Japanが新たに投資家として加わっている。

写真中央:スナックミー代表取締役 服部慎太郎氏

最適なホテル料金設定を支援する“PriceTech”の空がUB Venturesから資金調達

写真左からUB Ventures代表取締役 岩澤脩氏、空 代表取締役 松村大貴氏

ホテルの客室料金設定サービス「MagicPrice」を提供するは5月28日、ユーザベースグループのUB Venturesから第三者割当増資による資金調達を実施したことを明らかにした。

調達金額は非公開とのこと。2018年7月に発表された1.7億円のシリーズAラウンドに「UB Venturesがさらに強力な株主として加わる」形となる。

空は、TechCrunch Tokyo 2017の「スタートアップバトル」で最優秀賞を獲得した企業だ。同社が提供するMagic Priceは、ホテルが客室料金を検討する際に必要な予約状況などのデータを自動収集・分析し、AIが適切な販売料金を提案するプライシングサービス。簡単な操作で客室料金設定ができ、旅行予約サイトへの料金反映も自動で行える。

2018年12月に市場分析サービス「ホテル番付」と名称を統合し、デザインやAIを改善するリニューアルを実施したMagicPrice。ワシントンホテルやベストウェスタンホテル、三交イン、フェリーチェなど、提供先ホテルも順調に拡大している。

MagicPriceの操作画面イメージ

今回の資金調達により、空ではプロダクト開発、サービス向上による、ホテル業界へのより手厚い支援を図る。また、UB Venturesがサブスクリプションビジネスに特化したファンド(UBV Fund-I 投資事業有限責任組合)を運営していることから、「SaaS事業成長ノウハウを学び、さらなるビジネス拡大を目指す」としている。

一方、UB Venturesは、空が「プライシングの会社」として、データ分析による価格最適化サービスを営み、ホテル業界以外への展開も視野に入れている点を評価しているようだ。

UB Ventures代表取締役の岩澤脩氏は出資にあたり、「空の長期にわたるチャレンジは、レベニューマネジメントの効率化に留まらず、PriceTechやパーソナルプライシングという新しい概念を創造することにある。 強みであるカスタマーサクセスやデータの集合知を活かし、あらゆるモノ、サービスの最適な値決めが、空のプロダクトの上で行われる。その未来の実現に貢献をしていきたいと思っている」とコメントしている。

米国の映画レビューサイトがレビュー時にチケット購入を確認するシステムを開始

映画レビューサイトのRotten Tomatoesは、実際に映画を見た人だけが評価やレビューを書き込む方針を強化する。

このサイトでは、プロのレビューに基づくTomatometerとは別に、Audience Score(観客のスコア)がある。このAudience Scoreは、話題作に対して不満を言いたい人々のターゲットになっていた。「キャプテン・マーベル」「ブラックパンサー」「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」など女性や有色人種をフィーチャーした映画の場合には、特に顕著だった(保守的な人々の反発にもかかわらず、これらの映画はどれも世界で1000億円以上の興行収入を上げたのだが)。

今年のはじめにRotten Tomatoesは、映画が公開される前にコメントを投稿することを禁止すると宣言した。しかしこれは論争が始まるのを遅らせるだけだった。映画を見ずに大騒ぎしたいなら、ちょっと待てばいいだけのことだった。

米国時間5月23日から、Rotten TomatoesはチケットサービスのFandangoに買収された利点を生かすことにした(ちなみにFandangoはComcastとWarnerMediaに買収されている)。今後すべての映画について、評価やレビューを書き込もうとすると、Fandangoでチケットを購入したかどうかが確認される。

正確には、確認がとれなくてもレビューを書き込むことができる。しかし確認済みユーザーのレビューには目印が付けられ、Audience Scoreでは確認済みユーザーのスコアだけが集計される。

Audience ScoreはFandangoの観客評価システムを置き換えるサービスとなる。チケット購入者が映画を見終わると、Rotten Tomatoesにレビューを書き込むようにと案内される。

Fandangoのプロダクト担当バイスプレジデントのGreg Ferris氏は「Fandangoの規模をもってすれば、サービスを開始してすぐに確認済みのレビューがクリティカルマスに到達すると期待している」と言う。

同氏はさらに、Rotten TomatoesはAMCシアターズ、リーガル、シネマークシアターズとも連携して、今年後半からこれらのシアターからの購入も確認できるようになると述べた。

ストリーミングやテレビで映画を見たことを確認する方法も探っている。また、現在のシステムでは1回の購入につきレビュー1件としているが、Ferris氏は複数枚のチケットを購入した際に複数のレビューを書けるようにする方法も検討していると語った。

画像:Niklas Storm / EyeEm / Getty Images 

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(翻訳:Kaori Koyama)

Automatticがサブスクリプション支払いソリューションのProspressを買収

WordPress.com、WooCommerce、Longreads、Simplenoteなど多くのクールなサービスを公開しているAutomatticが、Prospressという小さなスタートアップを買収する。Prospressは、WooCommerce専用の定期支払いソリューション、WooCommerce Subscriptionsを開発している。

物理的な、あるいはデジタルのサブスクリプションがeコマースの重要な部分を占めていることから、AutomatticがWooCommerce Subscriptionsを自社のものにしたいと考えたことには納得がいく。顧客に対する定期的な課金は、支払いに関して最も面倒なことのひとつだ。

Prospressは、カートの中に商品が入れっぱなしになっていることを顧客に知らせたり、フォローアップしたり、クロスセルを促したりするマーケティングオートメーションツールにも取り組んでいる。さらに同社には、リリース前のチェックアウト機能をテストするツールもある。買収後、Prospressのチームは引き続きこれまでのプロダクトを手がけ、WooCommerceチームに加わる。

これはきわめて戦略的な買収だ。Prospressの従業員は約20人なので、900人いるAutomatticのチームは表面的には変わらないだろう。しかしAutomatticが(eコマースに関する)多くの積み重ねを手に入れられるという意味で、大きな動きだ。

WooCommerceの競合であるShopifyは、すぐに利用できるサブスクリプションを提供していない。BoldReChargeなどの他社製品を使う必要がある。

WordPressと同様にWooCommerceはオープンソースプロジェクトで、WordPressと直接統合できる。誰でもWooCommerceをダウンロードして自分のサーバーでホストできるということだ。そしてWooCommerceのエコシステムは、ほかのわかりにくいeコマースのソリューションと比べると大きな利点のひとつだ。

WooCommerceのユーザーの多くはおそらくWordPress.com上でeコマースのウェブサイトをホストしているだろう。しかしAutomatticが支払いのモジュールを提供して主導権を持つことになれば、WooCommerceのユーザーが支払いソリューションとしてWooCommerce Subscriptionsを使う場合に、同社はある程度の収益を上げることもできる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Amazon Kindleが繁体中国語の本をサポート

台湾や香港、マカオ、そしてそのほか一部の海外中国人コミュニティの読者が待望していたサービスがついに実現した。Amazonがこのほど、同社の電子書籍リーダーKindle向けに、繁体中国語の本を提供し始めた

これで2007年のデビュー以来ずっとあったKindleの見え見えのギャップが閉じることになる。これまでさまざまな言語をサポートしてきたKindleは、2012年に中国本土で使われている簡体中国語のeブックを中国向けのサイト提供開始し、アジア進出の大きな一歩を刻んだ。それは、その翌年のKindleの中国進出の前触れだった。Kindleがまだ公式には売られていない台湾や香港でも、このような地域対応がいずれ行われるのかもしれない。

これまで繁体中国語の読者は、Kindle上でその言語にアクセスするために回り道をしなければならなかった。たとえば簡体のコンテンツを買ってから、それを繁体のフォントにカスタマイズする。フォントのカスタマイズは、Kindleのファームウェア5.9.6で可能になった。もちろん、字間やフォントサイズなどの細かい調整が必要だから、とても時間のかかる作業だった。

KindleアプリやKindleデバイスで読める繁体中国語の本は現在、Amazonによると20000冊あまりある。なお、簡体中国語のKindle本は、この言語をサポート後1年で60000冊になった。

繁体中国語の本はAmazon.comのサイト上にある専用のポータルから提供される。最初に選ばれた本の中には、ヒューゴー賞作家Liu Cixin(劉慈欣)の作品や、Dream of the Red Chamberのような中国の古典、そしてGeorge R.R. MartinのA Song of Ice and Fireシリーズなどベストセラーの翻訳本もある。

また作家は、Kindle Direct Publishingにより繁体中国語の本を自主出版して、世界中のこの言語のコミュニティと作品を共有できる。

Kindle Books担当副社長のDavid Naggar氏は声明で「Kindleにおける繁体中国語の書籍の提供は、世界中の読者により多くの選択肢をお届けしようとする弊社の取り組みの、大きな前進である」とコメントしている。まだそのストアは簡体の方ほど充実していなくて、編集者のお薦めとか、特売、前売り、本のランキングといった未来の人気機能がまだない。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Shopifyが密かにB2BのeコマースプラットフォームHandshakeを買収

eコマースプラットフォームのShopifyは、小売業者が同社のプラットフォームを通じて売買できるサービスやプロダクトの拡大を続けるために買収をしていた。買収対象となったのは、卸売商品を売る事業所向けのコマースプラットフォームを提供するニューヨークのスタートアップHandshakeだ。Shopifyは短い声明文の中で買収を認めた。

「いまHandshakeはShopifyの一部だ。皆にとってコマースをより良いものにすることに注力するとき、買収はビジネスの常道だと考えている」。Shopifyは買収額を明らかにしなかったが、情報筋によると1億ドル以下とのことだ。

我々はまた、Shopifyが今月初めに社員に買収を知らせたこと、そしてHandshakeのチームがDavid Moellenkamp氏率いるShopifyの大企業向けのサービスShopify Plusの一部として動いていることを知らせるヒントの電子メールも受け取った。実際、HandshakeのLinkedIn上のプロファイルではShopifyに買収されたと書かれていて、Handshakeの創業者でCEOだったGlen Coates氏はいまShopify Plusのプロダクト担当ディレクターという肩書きになっている。

Handshakeはこれまでに約2350万ドルを調達し、PitchBookによると直近のラウンド(2016年に行われた。こちらのHandshakeではないので注意)での評価額は5400万ドル弱だった。投資家にはBoldstart Ventures、Emergence Capital、SoftTech VC、Point Nineなどが含まれる。

Handshakeが明確にとらえ、そしていまShopifyがねらっている機会は、ブランドや商品を卸売で販売する小売にとってのeコマースマーケットの終わりで、おそらくこれは消費者に主眼を置いた小売の強化に伴うものだ。

これは大きなビジネスだ。最近のレポートでは、B2Bのeコマース販売は2018年にはじめて米国だけで1兆ドルを超えた。一般消費者向けの販売と併せて、Handshakeのようなプラットフォームは小売がサードパーティのマーケットプレイスに販売を明け渡すのではなく、こうした販売を直接扱うことを可能にしている。Handshakeの顧客にはBugabooやWilliams-Sonoma、Rolandなどが含まれる。この買収はShopifyにとって絶好のタイミングだ。

数週間前、TechCrunchはMailchimpとShopifyがいかに提携関係を解消したかを報じた。この提携解消後、Mailchimpは顧客のために購入ツールをさらに構築しようと密かにeコマースのスタートアップを買収した。その点で、今回のShopifyの買収は同社がいかにスコープを拡大させるかを強調するものとなっている。たとえ買収によってAlibabaやAmazonなどとの競争に身を置くことになったとしてもだ。

イメージクレジット: alengo

 

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(翻訳:Mizoguchi)

サーバーレスとコンテナは両者を一緒に使うのがベストプラクティスだ

コンテナに収めたソフトウェアを継続的デリバリ方式で使用するクラウドネイティブモデルは、ランタイムにクラウドベンダーがワークロードを動かすために必要なだけの量のリソースを生成するサーバーレスコンピューティングを利用すると、なお一層有利だ。大手のクラウドベンダーはこのことを知っていて、すでにそのインフラストラクチャを抽象化して隠すプロダクトを作っているが、利点はあるにもかかわらず、どんな状況でも有効とは言えないようだ。

クラウドネイティブは、簡単に言うと、コンテナ化したアプリケーションとKubernetesを使って、ソフトウェアをマイクロサービスと呼ばれる小さなパッケージで配布する。これによってデベロッパーは、継続的デリバリ方式により、ソフトウェアを迅速かつ効率的に配布できる。クラウドネイティブの世界では、コードを開発するのは一度だけ、そしてそれを、オンプレミスでも、どんなパブリッククラウドでもそのまま動かせることが理想だ。

一方サーバーレスは、やや間違った名前だ。このモデルでもコードはサーバーが動かすが、しかしそれは専用の仮想マシンではなく、クラウドのベンダーがワークロードを動かすためにつねに適正な量と時間だけ提供するコンピューティングリソースだ。

万能の完全解はない

このような方式は継続的デリバリモデルによく合ってるようだし、ベンダーもそのことを知っているが、しかしあるエンジニアの言葉を借りれば、そのプロセスは相当複雑であり、また、すべての状況に通用する1つの完全なソリューションはない。

Googleでプロダクト管理を担当しているArpana Sinha氏によれば、Kubernetesのコミュニティはサーバーレスという考え方を本当は歓迎しているのだが、その現在の実装形式に制約がある。つまりAWS LambdaやGoogle Cloud Functions、MicrosoftのAzure Functionsなど現在のの実装形式はいずれも、ファンクションという形式だ。

「ファンクションというコンセプトは制約のあるコンセプトだ。サーバーレスといえばファンクションしか連想しない今の状況は、不幸だ」、と彼女は言う。

彼女によると、Googleはその定義の拡張をトライした。「デベロッパーにとってサーバーレスとは、コーディングからデプロイまでを彼らがシームレスに行い、それ以降のことはすべてインフラストラクチャが面倒見てくれること。黙っていても自分のコードが、インフラストラクチャの適切でもっとも自己回復力のある部分へ確実にデプロイされることだ。必要なリソースは自動的に確保されるからスケーリングも自動化され、スケールダウンも必要に応じて自動的に行われるから無駄な出費がない」と彼女は説明した。

しかしAtlassianのKubernetesチームの上級エンジニアであるMatt Whittington氏に言わせると、理論的にはそれで良くても、実際には完全に自動化されたインフラストラクチャでは現実に合わない場合がある。「デベロッパーがコーディングだけに集中できるからサーバーレスはある種のワークロードにとっては理想的だが、でも完全なソリューションではない。インフラを自分でチューニングしなければならない場合もある」、と彼は言う。

彼によると、ベンダーに完全に任せっきりにできるのは、各コンテナの要求をベンダーに対して指定する方法があるときのみだ。たとえば、コンテナのロードタイムの上限下限をベンダーに指定できるだろうか。ある種のコンテナは時間を食うし、また特定の位置へのデリバリが必要かもしれない。彼によると、実際には完全な自動化はできないし、とくにデベロッパーが設定をいじくって過不足のないリソースが得られるようにしたいときは、自動ではなく手作業になる。

ベンダーも新たな解を提供

これらの問題ではベンダーもツールの提供を始めている。例えばGoogleが先月のGoogle Cloud Nextで発表したサービスGoogle Cloud Runは、オープンソースのKnativeプロジェクトをベースとし、コンテナを動かしているデベロッパーにサーバーレスの長所を結びつける。これと同様のサービスに、AWS FargateAzure Container Instancesがあり、どちらもやはり2つの技術を1つのパッケージにまとめようとしている。

というかMicrosoftのパートナー事業マネージャーのGabe Monroy氏によると、Azure Container Instancesは、この問題をファンクション型のプログラミング方式に依存せずに解決することが狙いだ。「Azure Container Instancesを使うと、コンテナをAzureのコンピュートファブリックの上で直接動かせる。仮想マシンや、ハイパーバイザーによる隔離、秒単位の課金などはない。私たちはそれをサーバーレスコンテナと呼んでいる」と彼は語る。

サーバーレスとコンテナは相性がとても良いように思えるが、でもMonroy氏が指摘するのは、クラウドネイティブの技術には、すべてに通用する唯一の方式はない、ということだ。AWS LambdaやAzure Functionsのようなファンクション型のサーバーレスを今後も使い続けたい人もいれば、コンテナに移行して二つの技術を一体化したい者もいる。しかしいずれにしても、デベロッパーのニーズが変わっていくにつれて、オープンソースのコミュニティとベンダーの両方が、それらのニーズを助けるツールを提供していかなければならない。サーバーレスとコンテナの一体化も、そんな例のひとつだ。

関連記事: いまさら聞けないコンテナ入門

画像クレジット: Ron Miller/TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

IndiegogoがRedditのアンディー・ヤン氏を新CEOに迎える

Indiegogoは新たな上司を迎えた。退任するDavid Mandelbrot(デヴィッド・マンデルブロ)氏にかわり、Andy Yang(アンディー・ヤン)氏がCEOに就任することになる。同社に近い人物によれば、Indiegogoからは数人が退職するという。どれだけの人員が、どのような理由で退職するのかについてIndiegogoはコメントしていない。

マンデルブロ氏はLinkedinにてこの異動を発表し「個人的な理由」を退職理由に挙げた。彼は2013年8月より、オペレーション部門のシニアバイスプレジデントとして、6年間Indiegogoに在籍した。

一方、ヤン氏はRedditにてプロダクトチームを率いていた。また、彼は500pxのCEOでもあった。

グ氏は、Indiegogoにとって重要な時期にCEOに就任することになる。クラウドファンディングのプロジェクトが支援者をおざなりにすることに、消費者はうんざりしている。マンデルブロ氏は、IndiegogoがGeneral ElectricやLegoを含むいくつかの重要なパートナーを獲得する手助けをした。また、複数の製造業者やマーケティングの専門家の助けを得て、支援者によるプロジェクトの製品化を支援した。

なお、TechCrunchはヤン氏にインタビューを申し込んだが、まだ許可は得られていない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleアシスタントがニューヨーク地下鉄の到着時間通知に対応

ニューヨーク市のメトロ交通局は来週、Google Payによるコンタクトレス支払いへの対応を追加する。それにあたり、Google(グーグル)はAndroidに交通関連の機能を追加する。

米国時間5月23日より、ニューヨーク市の通勤客はGoogle アシスタントにて次の電車の到着予測時間を知ることができる。「へイグーグル、次の4系統の電車はいつくる?」あるいは「へイグーグル、次の電車はいつくる?」と呼びかければ、それぞれの方向の電車の予測到着時間や、最寄り駅への道案内が表示される。

ニューヨーク市に住んでいれば、4/5/6系統にてコンタクトレス支払いが設置されているのを見たことがある人もいるだろう。来週より、マンハッタンのGrand CentralとブルックリンのAvenue-Barclays Centerの間にて、スマートフォンによる決済の実証実験が行われる。

現在のところ、スマートフォンによる決済は1回の乗車(1日/1週間/月間カードではなく)に限られており、MTAは詳細を詰めている。Google Payに対応する駅は、数週間のうちに地図にくわえられる予定だ。Androidユーザーは、アプリ経由でクレジットカードやデビットカードを追加できる。また、この機能はメルボルンやロンドンにも展開される予定だ。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Googleがフードデリバリーサービスを検索、地図、アシスタントに追加

Google(グーグル)は米国時間5月23日、Google検索やマップ、アシスタントから直接フードデリバリーを注文する機能をローンチすると発表した。グーグルはフードデリバリー業界に参入しないが、DoorDashやPostmates、Delivery.com、SliceやChowNowと提携する。また、Zupplerなどとの提携も近いうちに予定されている。支払いではGoogle Payを利用するなど、注文システムはGoogleのツールに深く統合されている。

参加しているレストランについては、特定のレストランや料理を検索すると、検索やマップに「オンラインでオーダーする」というボタンがまもなく出現する。

検索と地図はおそらく最も多くの人がこの利用する機能する方法で、またグーグルはGoogle アシスタントにも機能を組み込んだ。たとえば「Hey Google、(好きなテイクアウト対応レストラン)から食べ物を注文して」と話しかけるだけでいい。機能はAndroidとiOSにてサポートされる。

また、音声操作だけでお気に入りの食事を再注文することもできる。Google アシスタントにメニューを読んでもらうのは現実的でないので、最初のコマンドの後はタップにてメニューを選び、確認することになる。再注文の際は、その操作は必要ない。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

GitHubのSponsors機能はオープンソースにお金で支援参加できる新たな寄付形式

GitHub(ギットハブ)は米国時間5月22日、オープンソースのデベロッパーに誰でも経済的な支援ができるツールSponsorsを立ち上げた。デベロッパーは自分のGitHubリポジトリにある「Sponsor me」ボタンを押し、オープンソースプロジェクトへの支援モデルを選ぶ。それはデベロッパーへの個人的な支援でもいいし、あるいはPatreonやTidelift、Ko-fi、Open Collectiveなどを利用するかたちでもいい。

GitHubの言うそのミッションは「オープンソースへの参加や構築の機会を拡張すること」だ。お金を出すことも参加と見なす。

一部のオープンソースデベロッパーは、金で人の仕事を左右されるのは嫌だとか言うだろう。それに、金のことなど考えずに自分にとって面白い、やりがいのあるプロジェクトをやっていたデベロッパーが、経済的な支援を得やすいプロジェクトに乗り換えたりすることがあるかもしれない。この件をGitHubに聞いてみたが、まだ確答は得られていない。

この支援事業はオープンソースのデベロッパーだけが対象だ。デベロッパーがこの制度に参加してから最初の1年は、GitHubと親会社のMicrosoft(マイクロソフト)も最大5000ドルを寄付する。さらに次の1年を過ぎるとGitHubは手数料を課金する。

支払いはGitHub自身がビジネスをしている国ならどこでも得られる。「そのチームに参加する機会を増やすことが中心的な目的だから、世界中のデベロッパーがこのツールを利用できるようにしたことを、誇らしく思う」と同社は言っている。

なお支援対象はコードとデベロッパーだけでなく、オープンソースへのいろんなコントリビューター、たとえばドキュメンテーションを書いたり、新人デベロッパーの指導やメンター役をしたりする人たちも含まれる。それらの人たちもGitHubのプロフィールがあれば、支援対象になる。

支援を受けやすくするためにGitHubは、「Community Contributors」と名付けた浮遊カードで、例えばあなたが使っているアプリケーションが依存しているコードを書いた人(デベロッパー)をハイライトする。

さて、コミュニティはこのSponsorsツールにどんな反応を示すだろうか。このアイデアは完全に新しいわけでもないし、すでにGitHubはBeerpayのような寄付アプリケーションを統合している。でもオープンソースがお金を得られる従来のルートは、プロジェクトに協賛するであろう企業に正社員またはパートタイムで就職することだった。

Sponsorsのほかに、GitHubは新しいセキュリティ機能をいくつか導入した。まず、今日買収を発表したDependabotは、プロジェクトがつねに最新のライブラリを使ってるようにするツールだ。GitHub Enterpriseは監査機能を改善して一般公開、またメンテナーはGitHubの中のプライベートスペースという機能のベータにアクセスできる。

これはハッカーに知られたくないセキュリティの話題などを議論できるスペースだ。トークンスキャンニングも一般公開された。これはデベロッパーがうっかり自分の認証情報を、Alibaba CloudやAmazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud、Mailgun、Slack、Stripe、などのサービスからリークするのを防ぐ。

GitHubのエンタープライズエディションも、パーミッションの細粒度化とその一般公開(脱ベータ)などいくつかのアップデートが行われた。Enterpriseアカウントも一般的に供用化、そして内部的リポジトリや組織のインサイトは今回ベータ入りした。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Googleが検索結果表示を改定、サイトオーナーとパブリッシャーを強調

米国時間5月22日、Google(グーグル)はモバイル検索結果の表示方法を変更し、サイトオーナーは自らのブランドを前面に押し出し出せるようになった。これまで検索結果はブルー、情報ソース(パブリッシャーのサイトなど)はその下に小さなグリーンのフォントで表示されていた。今度はパブリッシャーが主役になった。新しい画面では、検索結果のソースがサイト独自のアイコンとともにトップに表示される。

これは小さな変更だが、パブリッシャーにとってはブランドを売り込めるうれしい変更だ。ウェブ検索する人は、たとえ検索結果ページの下のほうにあっても、よく知っているパブリッシャーのサイトをクリックしたくなるものだ。

さらに、ウェブサイトをブランディングすることで、利用者はその情報がどこから来たのか、公式サイトなのか有名なニュースサイトなのかを理解しやすくなる。今回のアップデートはGoogle検索の広告の表示にも影響を与える。

これまでは小さなグリーンのボックスに入った「Ad」という文字がソースへのリンクの前に付けられていた。今度は、「Ad」の文字はボールドの黒いフォントでウェブサイトのアイコンの来る位置に表示されている。検索結果のトップが広告だということには以前より少し気づきにくくなったかもしれない。これは利用者の目がブルーの文字に注目しがちなのと「Ad」の文字がボックスで囲まれなくなったためだ。

新しいデザインは、同社が検索結果カードにアクションボタンやプレビューを追加する準備を整えつつ、情報ソースを明確にすることができるものだとGoogleは言っている。

Googleは先日のGoogle I/Oで、新しい検索機能の計画として検索結果へのAR導入ニュース記事やポッドキャスト検索の改善などを発表した。ポッドキャストについては検索結果画面で直接聞いたり、保存してあとで聞くためのツールも提供する。

なお、サイトオーナーやパブリッシャーで、オーガニック検索結果に表示するアイコンをカスタマイズしたい人はこちらで作ることができる。

新デザインはまずモバイルユーザー向けに今後数日をかけて公開されるとGoogleは言っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

オーダースーツをオンラインで作れる「FABRIC TOKYO」が丸井グループから資金調達

採寸データを一度保存すれば、オーダースーツやシャツをオンラインで簡単につくることができる、D2Cブランド「FABRIC TOKYO」。サービスを運営するFABRIC TOKYO(旧社名ライフスタイルデザイン)は5月23日、丸井グループから資金調達を実施したことを明らかにした。調達金額は非公開だが、10億円規模と見られる。今回の資金調達により、FABRIC TOKYOの設立以来の累計資金調達金額は20億円超となる。

FABRIC TOKYOでは、2014年に現在のサービスの前身となる「LaFabric」をローンチした。当初はオンライン上でいくつかの質問に答えると、適切なサイズが提案され、そのまま購入できるサービスとしてスタート。その後、首都圏と大阪に展開する全10店舗でいったん採寸してデータを登録し、必要になったときにマイページから欲しいスーツやシャツを注文するスタイルに変わっている。ユーザーが改めてサイズに迷うことなく、オンラインでも簡単に体に合う洋服が手に入るというのが、FABRIC TOKYOのウリだ。

FABRIC TOKYOでは、自社企画商品を自社のみで販売するD2C(Direct to Consumer)モデルを採用。オーダー情報は提携する国内の縫製工場へ即時に送信される。中間流通を通さず、受注生産型で工場と直接取引することで、高品質かつ適正価格を実現しているという。

5月21日には新機能「自動サイズマッチングテクノロジー」をリリースした。この機能を使った商品の第1弾として、採寸データをもとに自動的に“いい感じ”のサイズのポロシャツが提案される「POLO SHIRT 2019」を販売開始している。

製品は、クールビズの浸透によりポロシャツ着用ができるオフィスが増えていることから、「ビジネスシーンでもきちんと感があること」「洗濯に強くタフに着回せること」を条件にポロシャツを選びたいというユーザーの声に応えてできたものだ。

XS〜3XLと全7種類のサイズの中から、ユーザーのデータにぴったり合うサイズが自動で提案され、2種類の着丈、2種類のフィット感が選択可能。合計28のサイズラインアップ、4色から自分に合ったポロシャツをオンラインで買うことができる。

今回株主となった丸井グループは「デジタル・ネイティブ・ストア」戦略を掲げており、FABRIC TOKYOが運営するD2Cブランドの成長戦略の方向性が一致したことで出資につながった、とFABRIC TOKYO代表取締役の森雄一郎氏は述べている。

これまでにもFABRIC TOKYOの全10店舗のうち3店舗(新宿、渋谷、池袋)が、丸井グループが運営するビルに出店しており、「いずれも業績は好調で全店舗黒字化し、初期出店コストも回収済みとなっている」(森氏)とのこと。「業績は成長基調にあり、昨期(2018年12月期)の売上は前年対比約300%で着地し、今期の目標も同等としている」(森氏)

森氏は「デジタル前提社会において小売を再定義する必要があるとの思いで活動している中で、先進的な取り組みを多数行ってきた丸井グループとは相性の良さを感じている。今後はリアル店舗の出店を強化していくとともに、マーケティングや生産面・組織面での連携を行いながらD2Cブランドの運営ノウハウを双方で蓄積し、FABRIC TOKYOを国内でも有数のアパレルブランドへと成長させていく」と資本業務提携にのぞみ、コメントしている。

FABRIC TOKYOでは、首都圏中心に展開してきた店舗について、2019年4月の大阪進出を皮切りに、今年は全国網羅的に展開していく計画だという。

FABRIC TOKYOは2012年4月の設立。2018年3月に社名をライフスタイルデザインからFABRIC TOKYOへ変更している。同社はこれまでに、2015年5月にニッセイ・キャピタルから1億円を調達、2017年1月にニッセイ・キャピタルほか複数のVCと個人投資家らから4億円を調達2017年10月にはグロービス・キャピタル・パートナーズ、ニッセイ・キャピタル、Spiral Ventures Japanから7.4億円を資金調達している。

ZenHubのWorkspacesはGitHubのリポジトリに複数のチーム別ワークスペースを作れる

GitHub用のプロジェクト管理ツールZenHubは、米国時間5月21日、そのサービスをチームで使いやすくするための機能としてWorkspacesのローンチを発表した。それはZenHubのサービスをチームのニーズに合わせてカスタマイズでき、それでも仕事の基盤としてはGitHubを使用するというものだ。

Workspacesはその名のように、チームがGitHubのリポジトリの中に複数のワークスペースを作れる(ZenHubはそのためにChromeのエクステンションを使う)。それによって、あるデベロッパーチームは、すべての問題の詳細なビューを得られ、そのほかのチームは自分たちに関係のあるものだけが見える。このことによってさまざまなチームが、ScrumやKanbanなどなど、それぞれ独自のワークスタイルを採用できる。

ZenHubのファウンダーでCEOのAaron Upright氏はこう語る。「この機能によって各チームが独自の方法で仕事ができ、そのやり方に応じた独自のユニークなワークフローを作れる。例えば、フロントエンドのチームはGitHubの彼ら独自の問題を抱えていて、それらはKanbanスタイルのワークフローになるだろう。またバックエンドのチームなら、独自のScrumスタイルのワークフローになるかもしれない」。

問題は全チームで共有され、どのチームが今何をやってるかもわかる。つまり、社内の透明性が確保される。

画像クレジット: masahiro Makino/Getty Images

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

使いやすくて親切なKubernetesサービスを目指すDigital Oceanはユニークな機能を揃える

クラウドインフラの意欲的なプロバイダーの例にもれずDigital Oceanも最近、そのプラットホーム上でKubernetesのクラスターを動かすための同社独自のソリューションを発表した。バルセロナで行われたKubeCon + CloudNativeCon Europeで同社は米国時間5月20日に、そのプラットホームDigital Ocean Kubernetesが一般公開されたことを発表した。

このリリースで同社はKubernetesの最新リリース(1.14)を提供し、このプラットホームのユーザーには自動パッチによるアップグレードもそのスケジュールとともに提供される。

一般公開に伴いDigital Oceanは、そのサービスを同社の世界中のデータセンターに持ち込み、いくつかの新しい機能も導入する。その中にはたとえば、ガイド付きの構成体験がある。それによりユーザーはクラスターのプロビジョニングからデプロイへ移行する。また健康診断(Health Metrics)と呼ばれる機能により、デベロッパーがクラスターの状態をモニタできる。それには、ポッドのデプロイステータスやCPU、メモリの使用、などのデータが含まれる。

また、サードパーティが自分のソリューションにDigital Ocean Kubernetesのサポートを容易に統合できるための、オープンなAPIも提供する。

さらに同社はもうすぐ、Kubernetes用のワンクリックアプリケーションを集めたマーケットプレースを開店する。Kubernetesのクラスターへアプリケーションをデプロイすることが、それらのツール的アプリケーションでより容易になるだろう。この機能は、すでにKubernetes用のパッケージ管理のデファクトスタンダードであるオープンソースのHelmをベースとする。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

グラフィックデザインのCanvaが新たな資金調達で企業価値2755億円に、

オーストラリア拠点のCanvaはグラフィックデザインプラットフォームを拡充するため、新たに7000万ドルを調達した。今回のラウンドで累計調達額は16600万ドルとなり、企業価値は25億ドル(約2755億円)に達した。

General Catalystと、Mary Meeker氏の初のベンチャーキャピタルファンドのBondが、既存投資家Felicis VenturesBlackbird Capitalとともに今回のラウンドに参加した。CanvaMeeker氏のBondにとって初のポートフォリオ企業となる。

Canvaのチームは、世界の急成長中の企業にみられるコンテンツ、コミュニティ、そしてコマースという3つのトレンドに対応するプラットフォームを築いている」と、SlackAirbnb、そのほか多くの企業に投資してきたMeeker氏は発表文で述べた。「1500万超もの月間アクティブユーザー数というグローバルユーザーベースを抱え、注目せずにはいられないデータ豊富でビジュアルなグラフィックデザインを作成し、共同作業やフィードバックを通じて豊富なデザインを入手できるようにするプラットフォームをCanvaは提供していて、明らかにこの業界でリーダーだ」。

今回のニュースは、Canvaが無料ストックイメージ提供のPexels Pixabay買収し、プレミアムなイメージマーケットプレイスPhotos Unlimited向けの新購読サービスを立ち上げるという発表に続くものだ。しかしながら、新たに調達する資金は、別の新プロダクトCanva Enterpriseに充てられる。このプロダクトは、ブランドのコントロールやコラボレーションを模索している大企業向けのものだ。

2013年に設立されたCanva190カ国にユーザー1500万人を抱える。

「あらゆる職場でCanvaがデフォルトになるのをさらに確固たるものにするために今回の資金を使う。我々は世界中の何百万人というユーザー、そして中小企業から全米上位500社に至るまであらゆる規模の組織を取り込んできた」とCanvaの共同創業者でCEOMelanie Perkins氏は発表文で述べている。

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(翻訳:Mizoguchi)

SaaS企業のマーケ・営業一環支援を目指す「ボクシル」運営がKDDIと資本業務提携

法人向けクラウドサービスの比較サイト「ボクシルSaaS」やインサイドセールス支援サービス「BALES(ベイルズ)」を運営するスマートキャンプは5月20日、KDDI Open Innovation Fundから資金調達を実施し、KDDIと業務提携を行うと発表した。両社は業務提携により、SaaS企業のマーケティング・営業をワンストップで支援するプラットフォームの実現を目指す。調達金額は非公開。

写真中央:スマートキャンプ代表取締役 古橋智史氏

スマートキャンプが提供するボクシルは、SaaSユーザーとSaaS企業のマッチングプラットフォームだ。ユーザーは、経費精算システムや営業支援システム、採用管理システムなど、さまざまなSaaS製品を比較したり、口コミを確認したりすることができる。2015年5月の運営開始以来、2019年4月末時点で月間1200万PV以上、10万人以上の会員に利用され、SaaS企業のマーケティングをサポート。月間3万件以上のSaaS企業のリード獲得に至っているという。

また、インサイドセールス支援サービスのBALESは、BtoB営業をコンサルティングとアウトソーシングでサポートするサービスだ。見込み客獲得後のインサイドセールスのターゲット選定やKPI設計、スクリプト作成、電話代行などによる営業活動の効率化や、オンラインセールスのアウトソーシング、フィールドセールスのコンサルティングなどによる支援を実施。2017年9月に提供を開始し、100サービスを超えるSaaS企業の営業支援を行ってきた。

今回、KDDIとの資本業務提携によりスマートキャンプでは、SaaS企業の認知度向上からリード獲得、商談、受注、請求まで一気通貫でサポート可能なSaaSプラットフォームの実現を目指す。

スマートキャンプはボクシルやBALESによる、オンラインでの認知度向上から受注までの支援を担当。KDDIが保有する法人向け通信サービスやクラウドサービスの販売チャネル、あるいは契約・請求管理の仕組みと連携することで、オンライン・オフライン両面でSaaS企業のマーケティング・営業活動を一環して支援できるプラットフォームの実現を狙う。

サブスクリプション型のSaaSビジネスでは、ユーザー顧客の成功体験を向上させ、契約継続やアクティブな利用を促すことが成長には不可欠で、むしろ成約してからの“カスタマーサクセス”実現が勝負とも言える。

スマートキャンプ代表取締役の古橋智史氏は「現在はインサイドセールス支援を行うBALESで、主にオンラインでカスタマーサクセスの支援をしている。その後どうしても対面でのサポートが必要になったときに、KDDIに協力していただく、という連携も強化していきたい」と述べ、顧客企業の支援をさらに強めていく考えを明らかにした。

古橋氏は「提携に先駆けて、既にかなり時間をかけて事業開発に取り組んでおり、早い段階で結果を出せるようにしたい」と意欲を見せる。「スマートキャンプとしては、大手企業と資本も絡んだ業務提携は初となる。国内でのSaaS普及を、KDDIと共に推進できればと思います」(古橋氏)

Amazonがフード配達サービスDeliverooの633億円調達を主導

米国のeコマース最大手Amazonは、Deliverooの5億7500万ドルの資金調達を主導し、欧州のフード配達マーケットに関わりを持とうとしている。

昨日最初にSkyが報じたこのシリーズGは、Deliverooからの早朝の発表文で正式に確認された。発表では、既存投資家のT. Rowe Price、Fidelity Management、Research Company、そしてGreenoaksもこのラウンドに参加する。そしてこのラウンドにより、Deliverooのこれまでの調達額は計15億ドルとなった。2017年後半に行われた前回の調達時の企業価値は20億ドル超だったが、その後この情報はアップデートされていない。

ロンドン拠点のDeliverooは英国、フランス、ドイツ、スペイン、そして欧州外ではシンガポール、台湾、オーストラリア、アラブ首長国連邦など、計14カ国で事業展開している。マーケット全体でレストラン8万店と契約し、配達員6万人を抱えていて、うち2500人は正社員だ。

Amazonが今回のDeliverooとの新たな戦略的関係をどのように活用するつもりなのかはまだ見えないが、たとえばPrime会員サービスに取り込むことはあり得る。しかしAmazonがフード配達サービスにかかわるのはこれが初めてではない。Deliveroo 、そしてUber Eatsとの競争に押され、Amazonは昨年、英国でのテイクアウト事業から撤退している。米国においては事業を続けている。

「私個人、そして会社にとってAmazonはお手本だった。そのような顧客を第一に考える企業とともに働けることをとても楽しみにしている」とDeliverooのCEOで創業者のWill Shu氏は発表文で述べた。

Shu氏は、調達する資金はロンドンに置くエンジニアリングチームの拡大や、デリバリーの食品を素早く、そしてコスパよく調理するクラウドキッチンを含む新しいプロダクトの開発に充てる、とShu氏は話している。

イメージクレジット: Matthew Horwood (Image has been modified)

 

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(翻訳:Mizoguchi)

TwitterのDeveloper Labsは設計し直されたAPIへのベータアクセスを提供

ついにTwitterは、7年間も放置状態だったコアAPIをモダンなものにするために動き出した。デベロッパーからの早期のフィードバックを求めている。

米国時間の5月14日、Twitter Developer Labsを立ち上げたのもそのためだ。アプリのデベロッパーは、サインアップすることでプレリリース版のベータAPIを使った実験が可能となる。中でも真っ先に挙げられるのは、設計し直されたGET /TwittsとGET /UsersのAPIだ。

それに続くのが、初めての機能的な変更で、そこにはTwitter Firehoseへのリアルタイムのストリーミングアクセスも含まれている。以前には、高額なエンタープライズ向けのAPI契約によってのみ利用可能だったもので、ツイートのフィルタリングに加え、インプレッションとエンゲージメントの計測機能も備えている。また、Polls(投票)のような新しい機能も、APIとして追加される予定となっている。

APIの再設計に際して、デベロッパーに十分に長い準備期間と発言権を与えることで、より多くのアプリメーカーがTwitter社とプレミアムAPI(たった1つのAPIで月額339ドル=約3万7000円から2899ドル=約31万8000円)やエンタープライズ向けAPI(さらに高価)の契約を結んでくれるようになる可能性がある。

それはまた、デベロッパーの手による分析、計測、広告ビジネスの創設を刺激する可能性もある。そうなれば、さまざまなブランドがTwitterを利用したマーケティングにより積極的に出費しやすくなるだろう。今回のDevelper Labsプログラムと、APIエンドポイントの最初の変更は、今後数週間以内に公開される予定だ。

このプログラムに参加するには、デベロッパーアカウントにサインアップし、最新情報を受け取るためにDebeloper Labsサイトでメーリングリストに参加する。また、TwitterDevアカウントをフォローして、フィードバックを返すこともできる。

Twitterの、データおよびエンタープライズソリューション部門のプロダクトマネージャであるIan Cairns氏は、Twitterが過去にデベロッパーにひどい仕打ちをしてきたことを認めている。突然に方針を変更したり、デベロッパーのビジネスの持続性を阻害するようなレート制限をかけたりといったことだ。

例えば昨年には、APIの変更により、多くのサードパーティ製のTwitterクライアントアプリが動かなくなった。「ここ数年の間に、たしかに何度か、私たちがAPIを管理し、変更してきたことによって、デベロッパーに対して破壊的な影響を与えてしまったこともあるでしょう。私たちがTwitter Developer Labsプログラムでやろうとしているのは、信頼関係を築き、双方向の会話を実現するためのしくみを作ることです。私たちのプラットフォームをいちばん使ってくれているデベロッパーの声が、将来を動かすようにしたいのです」。

TwitterのメインAPIは、2012年8月にリリースされて以降、手が加えられていなかった。その間にも、エンタープライズ用と、広告用APIには、多くの進展があった。もちろん手が加わらなかったことによる利点はある。古いAPIは下位互換性を保つという点では優位性があった。デベロッパーは、頻繁にアップデートする必要もなく、古いユーティリティがずっと動作し続けるからだ。

しかし、例えば「投票」のように、新しい機能をAPIとして実現することを阻んできたのも確かだ。Twitterは、より規則的なバージョン付けができるシステムに移行しようと計画している。その際、何らかの破壊的な変更を伴う場合には、デベロッパーが適応できるよう、前もって通達できるようにするつもりだ。

比較的最近のことだが、TwitterはAPIの合理化を発表し、2017年には有料のAPIも制定した。しかし昨年になって、Twitterのクライアントアプリを動かなくしたり、デベロッパー用ツールFabricをGoogleに売却した。それもこれも、コスト削減の一環であり、過去にはVineを終焉に追いやった実績もある。

そして今年になって、Twitterはスパムを生み出すAPIの悪用と、フォロワーを購入するサービスを取り締まる動きに出た。その伏線となったのは、Cambridge Analyticaのスキャンダルがデベロッパー向けプラットフォームの信頼を揺るがせ、安全性とプライバシーを保護するために機能を制限することを、プラットフォームのオーナーに強いたことだ。

Developer Labsは、この3月にリリースされた新しいアプリ「twttr」のベータ版と同じような、マニアックな路線を行くものとして、返信やフィードの動作がどのように変わるのかをデベロッパーが試せる場になるだろう。Twitterは以下のように述べている。「私たちがDeveloper Labsで最初に注力するのは、対話的なデータを扱うデベロッパーです。そこにはTwitterで何が起きているのかを研究、調査している学者や研究者も含まれます。また、異なる分野のビジネス向けに、ソーシャルリスニングや分析機能を開発しているような会社も対象となります」。

Twitterとデベロッパーとの関係は、これまでずっと不安定なものだった。その大部分は、コミュニケーションの不足が原因だった。デベロッパーが何かを開発しても、TwitterがAPIを変更して動かなくしてしまったり、Twitter自身が同じような機能を開発したりすれば、膨大なエンジニアリングの労力が無駄になってしまう。もし、Developer Labsによってデベロッパーとの透明な対話の道が開かれれば、Twitterはデベロッパーを広報活動にとっての重荷どころか、味方につけることができるはずだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)