Fenderの新製品はWi-Fi内蔵のIoTギターアンプ――人気アーティストの音色を再現したプリセットも

Fenderにとって2つ目となるアプリ「Tone」は、前作よりもかなり野心的だ。私が知る限りでは、Toneのように3種の新しいアンプと同時にリリースされたスマートフォンアプリというのはこれまでに存在しない。もちろん新しいアンプを使う上でこのアプリは必須ではないが、間違いなく大きな魅力のひとつではあるし、スマートフォンならではのやり方で、新しいアンプでは尽きることのないほどさまざまなギターの音色を再現できる。

新発売のMustang GTシリーズは、待ちに待ったWiFi・Bluetooth標準装備のコネクテッドアンプ。全てがインターネットに繋がっている2017年の今、このようなスマート機能を備えたアンプの登場は当然の結果とも言える。みんなIoTの世界に生きているということだ。しかし、Fenderはこの機能を本当にユーザーにとってプラスになるような形で導入しており、その点は何でもかんでもインターネットに繋げておけばいいと言わんばかりのプロダクトとは違う。

Fenderは数年前より先進的なテクノロジーの採用に力を入れてきたが、未だにかなり慎重なスタンスをとっている。昨年にはカナル型モニターを発表し、ギターやアンプを中心とした同社にとってのコンフォートゾーンからようやく飛び出したが、彼らにとって初となるチューニングアプリFender Tuneからは、まだまだ守りに入っているという印象を受けた。

Fenderほどの企業であれば、新しいテクノロジーの導入にあたって、あまり大きく賭けたくないのもわかる。Mustang GTのような機能を全てのアンプに採用するなどもってのほかだ。一方で、Fenderが長くユーザーに愛される理由のひとつは、そもそも彼らを人気ギターメーカーの地位に押し上げた、同社のテクノロジーに対する姿勢でもある。

Mustangラインは、Fenderが新たな道を進む上では最適なスタート地点だと言える。このデジタルアンプは、従来の真空管アンプからの脱却を意味し、今後ユーザーはエフェクターといった周辺機器なしで幅広い音色を再現できるようになる。デフォルトでもかなりの数のプリセットが準備されており、コントロールノブの横に搭載された小さなカラーディスプレイ上に全てが表示されるようになっている。

そしてユーザーは、Fender製のさまざまなアンプの音を再現したプリセットから好みのものを選ぶことができる。オンラインポータルには標準装備されているもの以外のプリセットも準備されているので、ユーザーは全てを携帯電話上で行わなくても済むが、モバイルアプリがあってこそ、このアンプの真価が発揮される。中にはRed Hot Chili PeppersやAnthraxといった有名どころから、Death Cab For CutieやBest Coastなどのインディー系を含め、多様なジャンルのアーティストの音色を再現したものも含まれている。

またFenderにとってのモバイルアプリの利点は、ユーザーに継続的にアップデート版を提供できることだ(そして将来的には有料のプレミアムラインも販売されることだろう)。

テーブル上におけるくらいのサイズの、1番小さなモデルでも249ドルと値段も手頃だ。価格設定や表現できる音の多様さを考えると、初心者にはかなり魅力的な商品として映るだろう。ギターをはじめたばかりの人にとって、エフェクターのツマミをあれこれいじることが、どれだけ難しくてや苛立つことかというのを、永遠のギター初心者である私はよく知っている。しかし、このアンプとアプリがあれば、駆け出しのギタープレイヤーでも自分が求めるサウンドにグッと近づくことができるだろう。私も今週デモ機を実際に触ってみたが、正直いってかなりいい音が鳴っていた。

当然のことながら、Fenderの売上の大部分は初心者から成り立っている。というのも、楽器を買ってそのうち触らなくなってしまうというのは、通過儀礼のようなものだからだ。

さらに、これはプロ向けの製品ではないし、本物の真空管アンプとエフェクターを組み合わせたようなリッチな音はしない。そのため、Mustangは基本的には練習用のアンプの部類に入るだろう。その一方で準備されているプリセットの数を考えると、サイズの大きなモデルあればバーで行われるライブくらいであれば使えるかもしれない。また、各アンプにはUSB端子も搭載されているので、直接GarageBandでギターを録音してデモを作ることもできる。

正直言って、ギターメーカーとして世界的に有名なブランドの1つがIoTの分野に進出しようとしていると聞いたとき、私はかなり疑ってかかっていた。しかしMustangシリーズは、ただ流行りにのって新しいテクノロジーに手を出してみようという類のものではなく、きちんとテクノロジーを使って利便性を向上させ、さらには小型アンプの利点を上手く伸ばしているような商品だ。

モバイルアプリは既に無料で公開されており、Mustangアンプは(アメリカ国内では)今週中には大手楽器店の店頭に並ぶ予定だ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Amazonの新しい開発キットでAlexaの遠方界技術をさらに多くのサードパーティ製品が利用できる

昨年の12月に、部品メーカーのConexantが、製品にAlexaを組み込みたいと考えているサードパーティのメーカーのために、Amazonと共同して開発キットを作る、と発表した。さらにそのフォローアップとして、Alexa Voice Serviceのための開発キットAudioSmart Development Kitに、マイクロフォンが4つのキットが登場した。

Amazonは先月、同社の遠方界(far-field)技術をデベロッパーに公開し、そのとき披露された7マイクロフォンタイプのキットは、Echoの優れた音声認識技術を別の部屋からや、騒音の激しい環境でも十分に利用できる、とした。Conexantの製品は同じ効果を4マイクロフォンで実現できるとし、製造コストを抑える設計を訴求した。

でも、いちばん成功したのは2マイクロフォンタイプのようだ。同社によると、そのEcobeeとよばれる製品は、最近発表されたAlexa対応スマート・サーモスタットにも使われている。まさに、今さらスマートフォンに進出しても遅すぎるハードウェアメーカーは、さまざまなAlexa製品に活路を見出すしかない、かもしれない。

しかもそれは、Amazonにとっても大きな勝利だ。同社のEcho製品はいわば予想外のヒットだったが、今ではAlexaが世界的なメジャーになりつつある。だからこれからは、Amazonが何もしなくても、サードパーティのハードウェアメーカーが同社のスマートアシスタントの宣伝役になるわけだ。

ハードウェアメーカーは必要なスキルをAlexaに焼きこむだけでなく、その製品が既存の12000あまりのスキルにもアクセスできる。製品がいわば、‘仮のEcho’になる。そんなサードパーティのAlexa製品は昨年初めてローンチしたばかりだから、まだ勢いはないが、でもそれは結果的に氷山の一角になるだろう。

しかしもちろん家の壁がマイクロフォンだらけになれば、忘れていたプライバシーの問題が首をもたげる。

Conexantが嬉々として挙げるRBC Capitalの予測では、2020年のAlexa製品のインストール数は1億2800万台となる。もちろん、そのすべてがEchoではない。サプライチェーンの一角を占めるConexantのような企業とパートナーしたことによって、Alexaの採用は加速し、Amazonはスマートホーム市場に強力な地歩を築く。AppleやGoogleがそれに追いつくのは、たいへんかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

魚群撮影などにも有益な海中ドローンのPowerRay

卵型ドローンのPowerEggの開発社が、新しいプロダクトの注文受付を開始した。新たなプロダクトとは、趣味で利用する水中ドローンだ。名前をPowerRayという。防水メカで、海の中の魚を見つけたり、追いかけたり、あるいはビデオにおさめることができる。水深30mで4時間まで動作することができる。川でも海でも、あるいはプールでも問題なく動作することができる。

PowerRayが最初に発表されたのは2017年1月のCESにおいてだった。もちろんこの時点では、テックおたくを喜ばせるためのギミックとしてのデビューではあった。しかしマリン系の人たちが興味をもつものかどうかをうかがう意味もあったのだ。

基本パッケージには、ベースステーションと繋ぐ50mのケーブルも同梱されている。水の流れに流されてしまうのを防ぐとともに、電源ケーブルおよびビデオケーブルとしても機能するようになっている。PowerRayでは、すべてのモデルで4Kカメラを搭載している。光学パーツはZEISS製だ。

ミッドレベルのパッケージとなるPowerRay Anglerには、魚を捉えるためのツールも付属している。すなわちPowerseeker Fishfinderがライトを照らして魚の注意をひき、Bait Drop Lineを使って餌をまくこともできるようになっている。

Wizardエディションになると、VRヘッドセットも付属している。これを使えばウェットスーツなしに水の中を散歩する気分を味わうことができる。PowerRayの最も安いモデルは1,715ドルで、もっとも高価なモデルが2,250ドルとなっている。まずはヨーロッパでの販売が開始されることとなっている。

ちなみに、海中で動作するドローンはPowerRayのみというわけではない。スタートアップのOpenROVが扱うTridentというモデルもある。

PowerRayがサンフランシスコ湾にて撮影した海洋写真

PowerVisionのアメリカ支部におけるCEOであるChih-Che Tsaiは、PowerVisionは趣味にとどまることなく、実用にも使えるものだとしている。これまでもソナーを使えば地形や魚群を探知することができたが、船に固定するのではなく、自在に動きまわる装置にセンサーを装着することで、新たな可能性を開くことができるのだとのこと。

PowerRayのCEOから話を聞いたのは、サンフランシスコのAquarium of the Bayで行われたローンチパーティーでのことだ。お披露目の行われた水族館では、鮫の遊泳は禁止となっていた。それはすなわち、鮫などがドローンを食べようとするのを防ぐためのことだ。

それでもパーチやバスは泳いでいて、ドローンが近くまで接近する様子を見ることができた。ドローンは流れの中でもきちんと制御されていた。なお、魚たちはドローンから逃げようとはしていなかった。きっと、魚の世界でもドローンなどの人工物が一般化しているということなのだろう。

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(翻訳:Maeda, H

HTCの新製品は握って操作できるスマホ

「U」と名付けられたHTCの新機種は握りしめられるスマホだ、という噂を同社が認めた。これはゴム製のデバイスを意味しているのではない。Uの金属製フレームにはセンサーが埋め込まれる予定で、ユーザーはフレームを握りしめたり、上下にスワイプしたりすることで、スマホを操作できるようになるということだ(VentureBeatでスマートフォン関連の記事を多く発表しているEvan Blassの情報)。

つまり、将来的にはスクリーン以外でもスマートフォンを操作できるようになる。

これはなかなか面白い仕組みだ。HTCのティーザー広告では、詳細は5月16日に発表予定とされているものの、おそらくその前にも、握って操作できる新機種自体や他の機能についての情報が明らかになってくるだろう。

数週間前にリリースされたU Ultraが販売促進を目的に既に20%値下げされている中、HTCは新機種Uで挽回したいところだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ムーアの法則が曲がり角を迎えた今、コンピューティングはどうなって行くのか

【編集部注】著者のMark PapermasterAMDのCTO(最高技術責任者)兼上級技術担当副社長である。

私たちは、コンピューティングの真の変化を迎え、テクノロジーと接する手段が変化していく日々の真っ只中にいる。

埋め込みセンサーとインターネット接続性が次々に取り込まれることで、私たちの利用する殆どの機器が「スマートデバイス」へと変化しつつある。それらの機器は私たちの声に応答することが可能で、その一方で大量のデータを生成し、ネットワークの端にあるハブコンピュータや、クラウドの中でデータの解析が行われている。

私たちは、仮想ならびに拡張現実(VR / AR)の応用がまさに始まりつつあることを目撃している。よりリアルな体験を得るためには、それらのテクノロジーは膨大な計算とグラフィック処理を必要としている。これは、大量のデータをふるいにかけて、タイムリーでコンテキストにふさわしい情報を提供したり、日々のありふれた仕事を引き受けることができるように教育できる機械学習アプリケーションの、驚異的な進化と強く結びついている。これらの新しいアプリケーションは、より手頃な価格レベルでより多くの計算能力を提供するために、業界に挑戦している。

この増え続ける多くの計算需要に対する供給が、特に困難なものだ。半導体の進化を示すムーアの法則(Moore’s Law)のペースが鈍化しているからだ。

ムーアの法則とは、より高いパフォーマンスとエネルギー効率を実現し、回路サイズも縮小しながら、約2年ごとにチップ上のトランジスタ数が倍になるという傾向として定義されている。かつては、それぞれの世代の半導体テクノロジーは、次世代のコンピュータチップを安くそして速くすることができるということに、疑いを抱いていなかった。

しかし物理学の法則を欺くことはできず、私たちは物理的に設定されたトランジスタの微細化の限界に突き当りつつある。それでも新しい半導体技術群が、まだ今後10年の間には更なる小型化と省電力化をもたらすだろう。しかしそのコストは増大し、速度に関してはこれまでのような改善は期待できない。

物理学の法則を欺くことはできず、私たちは物理的に設定されたトランジスタの微細化の限界に突き当りつつある。

ということで、私たちはムーアの法則によるこれまでの改善速度が鈍化する一方、新しい計算集約型のアプリケーションが指数関数的に増大する能力を求めるという、対立的図式に直面しているのだ。これは、より多くのデータとデータ処理、更なるリアルタイム情報、およびより素早いサービスを飽くことなく求める消費者たちの需要によって、突き動かされている。自動運転車、ドローン、ロボットといったものすべてが、大規模でよりリアルタイムな、情報の処理、推論、そして解釈を必要としている。

フェールセーフ動作や迅速な応答性のためには、計算を全てクラウド内で実行することはできない。私たちは計算がネットワークの端を離れ、さらにユーザーに近付く必要性があると考えている。スマートアプリケーションとAR/VRインターフェイスの登場が、車そして、家庭やオフィスの中で、クラウドとの接続は行いつつも、手元での高い計算能力を必要としている。

数百万もの「モノのインターネット」デバイスの中に遍く埋め込まれたセンサーたちが、私たちの生活と仕事のデジタル化と歩調を合わせて、データ量の爆発を招いた。この巨大なデータ宝庫が、膨大な量のデータのリアルタイム処理と分析の必要性を導いている。私たちは、情報を視覚化して重ねたり、私たちがいる環境の周りにイメージを混在させて表示できるような、ハイブリッドVR/AR空間で、そうしたデータを利用したいのだ。そのような需要は、私たちがテクノロジーとのインターフェイスを行うやりかたを根本的に変え、さらなるテラフロップス計算パフォーマンスを必要とする。

この計算パワーは、仮想ならびに拡張現実をリアルな映像としてレンダリングすることを可能にし、コンテキストに関連した情報や映像を、実世界のビューの上にオーバーレイ表示する。

ロイヤルカレッジ医学校(The Royal College of Medicine)では、既に手術をVRで記録しており、そしてARオーバーレイが、外科医のより正確な手術を助けるために、リアルタイム情報を提供することも容易に想像できるだろう。これらは本当にディスラプティブ(破壊的なほどに革新的)なアプリケーションだ。

もしコンピューティング進化の速度がこのままならば、こうしたディスラプション(破壊的革新)が多くの産業に次々と影響を与えて行くことだろう。しかしムーアの法則が鈍化するこの時代に、速度を維持するためには、どのようにすることが最も良い方法なのだろう?どのようにより多くの計算能力を提供して行くのだろうか?

将来のパフォーマンス向上を促すために、エンジニアたちに操作できる沢山のレバーがあることが判明している。これは私が「ムーアの法則プラス」(Moore’s Law Plus)と呼んでいるものだ。それは、エンジニアたちがよりクリエイティブで学際的になり、そして異業種コラボレーションを推進することを求める。ムーアの法則プラスは、主に4つの要素に基いて技術革新のための扉を開く。

  • 新しいコスト効率的なパッケージングおよび相互接続技術と、より小さな半導体デバイスの統合。これは、斬新な方法でチップ技術をまとめる柔軟性をもたせる。
  • 専門アクセラレータと共に、計算プロセッサ(CPU及びGPU)のヘテロジニアス(異なる種類)な組み合わせを利用し、先進的なメモリからデータをこれらのエンジンに送り込む。
  • プログラミングを容易にしヘテロジニアスな計算資源の利点を活かす、オープンソース・ソフトウェアと開発フレームワーク。
  • 機械学習、データ分析、およびVR / ARのためのレンダリングといった高度な計算を使うアプリの開発を容易にするソフトウェアアプリケーションのエコシステム。

ムーアの法則プラスの時代には、大学と産業界が、パフォーマンス向上のためにこれらのレバーを操作する。製造の最前線では、極端紫外線リソグラフィ(Extreme ultraviolet lithography)が小さなプロセスノードを推し進めるために有効な役割を果たし、新しくより小さなトランジスターへと導くだろう。これらは、新しい低抵抗の金属構築物と一緒に配線される。半導体の製造に更なる進歩があるだろう。

PC上であるかモバイル上であるかを問わず、将来のアプリケーションはより多くのメモリを必要とする。サーバーの場合には、特に機械学習、仮想化アプリケーション、およびデータベース処理などの特定のワークロードが、より多くのメモリに対する貪欲な需要を持っている。しかし、メモリの対前年比密度の上昇は鈍化している。こここでも、イノベーションが、新しい不揮発性メモリおよびスタックドメモリで見ることができるような、新しい拡張へと導くのだ。

1つの有機パッケージに複数のダイを接続するための、より安価なパッケージングテクノロジーの進化もある。CPU、グラフィックス、スタックドメモリなどのチップ要素が、下支えするウェハーなしに接続される、3Dダイスタッキングがもっと増えるだろう。さらには、光接続をダイに対してネイティブに行うことのできる技術も現れ始めている。これらは、パフォーマンスのためだけでなく、システムデザインの柔軟性にとっても重要だ。そして電源を切ったときに、コンテンツが失われないように、より深く密度の高い不揮発性の永続的メモリに効率的に接続できる、新しいコンピューティングへのアプローチのためにも。

私の見解では、ムーアの法則プラスの18〜24ヶ月の成長率にとどまるための努力は、これらの新しいアプローチを簡単にプログラムできるようにできなければ、全て無駄なものとなる。CPUのためのエコシステムはそこにあるが、もしGPUや他のアクセラレータを活用したいなら、オープンアプローチが必要だ。独自のアプローチを取るものもあり、それは動作してはいるものの、コスト高だ。

AMDはHeterogeneous Systems Architecture(HSA:ヘテロジニアスシステムアーキテクチャ)財団を共同設立して、これらの異なる技術(CPU、GPU、そしてFPGAなども含む固定機能アクセラレータなど)が同時に働き、メモリを共有し、システムの立場から最適化されることを目指している。

ムーアの法則プラスの世界での進歩を継続するには、複数のメーカーによる半導体産業を横断した共同エンジニアリングと協力的アプローチが必要であり、大学とも協働して、更にはプログラミングを容易にする環境を作成するためのオープンスタンダードが必要だ。これが、企業たちがより多くのトランジスタを加え、コストカーブを管理することができると私が信じている理由だ。

これら全てを合わせれば、コンピューティングの更なる加速が実現される。ムーアの法則プラスならば、ムーアの法則の速度に遅れをとることはなく、ディスラプションに燃料を加え続けることができる。

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(翻訳:Sako)

LEGOドローンのFlybrixがクラウドファンディングを行わなかった理由―、ハードウェアスタートアップのジレンマ

Flybrixは、子どもがLEGOブロックを使って組み立てられるドローンを2015年に発表した。その当時、共同ファウンダーであるAmir Hirsch、Robb Walters、Holly Kasunの3人は、クラウドファンディングを通じた資金調達の賛否について議論していた。KickstarterやIndiegogo上で資金を調達した、PebbleOculusScanaduといったスタートアップのような露出を求めていた彼らだが、同時にクラウドファンディングを行うハードウェアスタートアップに対して、疑いの目を向ける消費者が増えているというのがネックだったのだ。

Kickstarterの依頼を受けてペンシルベニア大学が行った研究では、Kickstarter上で資金調達を行ったプロジェクトのうち、9%が支援者に対する”リワード”を提供できなかったとされている。Kickstarterはこの独自調査の結果を2015年3月に発表したものの、Indiegogoをはじめとするその他のクラウドファンディング・プラットフォームに関しては、そのような数字が明らかにされていない。少なくとも、各社は利用規約の中に、プロジェクトが資金調達に成功しても、支援者がその見返りを受け取れない可能性があることを明記している。

Flybrix共同ファウンダーの1人のKasunは、クラウドファンディングの世界では、成果物を提供できなかったハードウェアキャンペーンほど、怒りに満ちた反応を生み出すものはないと語っている。ユーザーは芸術的なプロジェクトには寛容なようだが、CoolestのクーラーボックスKreyosのスマートウォッチが、時間通りに(またはそもそもプロダクト自体が)届かなかったときには怒り狂っていた。ドローンも決して例外ではない。

FlybrixがLEGOドローンキットの製造を開始する準備ができるまでに、Torquing GroupのZano Nanoドローンや、AirDroidのPocket Droneといったプロジェクトが失敗に終わっていった。1万2000人に及ぶ支援者が集まったZanoプロジェクトに関しては、一体何が起きたのかを解明するため、Kickstarterは調査ジャーナリストまで雇っていた。

当時Lily Roboticsも、カメラ付き自動追尾型ドローンを予定通りに出荷できずにいた。するとその後すぐに、サンフランシスコ地方検事局が同社を虚偽広告の疑いで起訴したのだ。投資家からも1500万ドルを調達していたにも関わらず、結局Lilyは今年シャットダウンすることとなった。

このような前例もあってか、Flybrixはクラウドファンディング・キャンペーンを完遂するためには、プロトタイプの段階をこえて、サプライヤーがきちんと発注分の製造をこなせるかサプライチェーンを試さなければいけないと判断した。「絶対的な数字ではありませんが、1000ユニット製造すれば、統計的に見て十分なサンプルが得られるので、小さなロットで発生しそうな問題を発見・解決することができます」とKasunは話す。

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クラウドファンディングなしで初期のコストをまかなうため、Flybrixは約100万ドルをシードラウンドで調達した。その一方で共同ファンダーの3人は、クラウドファンディング・キャンペーンに対する反応をもって、消費者の需要の一部だけでも見せることができれば、もっと簡単にシードファンドを調達できていただろうと語っている。

そうは言っても、クラウドファンディングを行わずに、限られた数の消費者の手元に最初のドローンを届けるというのは、最善の判断だったと同社は感じている。2016年9月にFlybrixは一般向けにもドローンの販売を開始し、自社サイトから直接製品を販売している。結果的に同社は、KickstarterやIndiegogoに頼らず、求めていた露出を得ることができた。

公式ローンチから90日の間に、Flybrixは190万ドル分のドローンを販売できたのだ。そして今日までに8000ユニットを出荷している同社は、ディストリビューターの助けを借りずに、現在学校や行政機関から大型の発注を受けている。さらに墜落に強い同社のドローンは、テック系の製品を中心に扱うPao Altoのb8taという店舗でも販売されている。

「私たちの最初の製品は、Appleのコンピューターほど洗練されてはいません。しかし私たちは長い間、ドローンという小さな空飛ぶロボットを使って、Appleのように教育市場に入りこもうと考えてきました。最終的には、もっと大きな一般消費者市場にも進出していければと考えています」とFlybrixのCOOは話す。

今後Flybrixは、新たに資金を調達し、新しいキットの開発やモバイルアプリの機能拡充、同社のドローンを組み込んだカリキュラムの考案に取り組もうとしている。将来的にクラウドファンディングを行うかどうかについては、まだ決まっていない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Googleの機械学習専用カスタムチップはGPU/CPUマシンの15〜30倍速い…同社ベンチマークを発表

【抄訳】
Googleが同社の機械学習アルゴリズムを高速に実行するカスタムチップを独自に開発したことは、前から知られていた。その Tensor Processing Units(TPU)と呼ばれるチップが初めて公開されたのは、2016年の同社のI/Oデベロッパーカンファレンスだったが、詳しい情報は乏しくて、ただ、同社自身の機械学習フレームワークTensorFlowに向けて最適化されている、という話だけだった。そして今日(米国時間4/5)初めて、同社はこのプロジェクトの詳細ベンチマークを共有した。

チップの設計をやってる人なら、Googleのペーパーを読んで、TPUの動作に関するややこしいすばらしい詳細情報を理解できるだろう。でもここで主に取り上げたいのは、Google自身のベンチマークの結果だ(客観的な第三者の評価ではない)。それによるとTPUは、Googleの通常の機械学習のワークロードを、標準のGPU/CPU機(IntelのHaswellプロセッサーとNvidia K80 GPUs)より平均で15〜30倍速く実行できた。また、データセンターでは電力消費が重要だが、TPUのTeraOps/Wattは30〜80倍高い。将来は高速メモリの使用により、これよりもさらに高くなるという。

なお、これは実際に使われている機械学習モデルを使った場合の数字であり、モデルの作成は関わっていない。

Googleによると、一般的にこの種のチップはconvolutional neural networks畳み込みニューラルネットワーク、画像認識などによく使われる)向けに最適化されることが多いが、Googleのデータセンターのワークロードではこの種のネットワークは全体の約5%にすぎず、大多数はmulti-layer perceptrons(多層パーセプトロン)のアプリケーションだ、という。

【中略】

Googleには、TPUを自分のクラウドの外で可利用にする気はないようだが、しかし同社は、これを勉強した誰かが将来、彼らが作る後継機により、“バーの高さをさらに上げる”ことを期待する、と言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Apple、現行Mac Proをアップデート―新Mac Proは「一から作り直して来年登場」と発表

今週AppleはMac Proの設計を根本的に見直すという異例の発表をした。AppleはTechCrunchのMathew Panzarinoを含むメディアの編集長を何人か秘密に包まれた本拠に招き、この計画について話し合った。新Mac Proは2018年に登場する予定だが、その間、Appleは現行Mac Proのパフォーマンスをアップさせることを約束した。

Appleのフィル・シラーはこのミーティングで「それまでの間、〔現行Mac Proの〕構成をアップデートしてスピードアップし、コストパフォーマンスの改善を図る。新モデルではないし、新デザインでもない。一部のアップデートだ。これは今週出荷予定だ」と述べた。

つまり黒いぴかぴかの円筒形のデザインは変わらないものの、ユーザーは今日からMac ProでIntel Xeonコア、 デュアルAMD FirePro D500 GPU、16GBメモリという構成を選べる(現行は3.7GHz Quad-Core Intel Xeon E5、12GBメモリ)。価格はエントリーモデルが2999ドルから。現行6コア・モデル(3999ドル)は8コア、デュアルD700 GPUモデルにアップデートされる。

Appleがこのように情報公開に踏み切ったのは、Mac Proについてこれというアップデートなしに3年以上待たされたプロ・ユーザーの苛立ちを静めるようとする努力だろう。Appleは新製品ではないと念を押しているが、古いハードウェアに魅力を取り戻す助けになりそうだ。来年の新モデル登場まで待てないプロ・ユーザーのためには朗報だろう。

ただし全体として見ると、たしかに今日以降のMac Pro(基本的には現行Mac Proのまま)は昨日までより優れたパフォーマンスが期待できる。しかしAppleが来年Mac Proのデザインを見直していくつかの重大な制約を取り除いたモデルを発表するのを待てるなら待った方がいいだろう。いや待つべきかもしれない。

過去数年、Mac Proシリーズを事実上放置されていたことについて、一部では長年Appleを支えてきたプロ・ユーザー層にAppleは背を向けていると批判されていた。MacBook Proシリーズも大きなアップデートなしだったが、これは昨年Touch Barを備えた新しいMacBook Proシリーズにアップデートされた。

Appleはデザイン、アート関係のプロ・ユーザー向けにモバイル・デバイスとしてはiPad Proを発表している。Mac Proは抜本的にリニューアルされるものの、製品のシリーズごとの特色は維持されるという。つまり、タッチスクリーンはMac ProやiMacには導入されないということのようだ。

Appleの上級副社長、クレイグ・フェデリギは「Appleのユーザーは前述のミーティングで〔複数のシリーズの製品を〕並行して使うことが多い。そこでわれわれは異なるシリーズの製品の協調動作の改良に集中している。なぜなら、多くのミッションで〔複数製品を並行使用することが〕ベストのソリューションだと考えるからだ」と述べた。フェデリギはまた「ユーザーには安心して複数の製品を買ってもらいたい。いや買うよう勧めている」とジョークを飛ばした。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MatrixのVoiceボードがあればRaspberry Piで動くAlexaを作れる

Matrix Labsが、Raspberry Pi用の音声認識AIのクラウドファンディングに成功した。これがあれば誰でも、自分ちの地下室でAlexaを作れるだろう。Rodolfo SaccomanとBrian Sanchezが初めて作ったボード製品Creatorは、Raspberry Piの上部にフィットし(上図)、8つのマイクロフォン、温度センサー、紫外線センサー、圧力センサー、3Dの位置センサーなどがついている。しかし、もっとシンプルなVoiceは、直径3.14インチのボード上にオープンソースの音声認識プラットホームVOICE RECOGNITIONを搭載し、花びら状に配置した7つのMEMSマイクロフォンがXilinx Spartan6 FPGAと64 Mbit SDRAMに接続され、そして18個のRGBW LEDと64のGPIOを装備している。つまり、音声認識によるライトショーが可能だ。

99ドルのVoiceはもうすぐ発売だが、Creatorはここで買える

同社はAzoic VenturesとRokk3r Labsから生まれ、これまでに580万ドルを調達した。99ドルの新製品は、オンラインでもうすぐ発売される(上述)。基本的にMatrixが目指しているのは、ロボットの自作キットだ。

Saccomanは曰く、“目標は人びとのアプリケーションや事業やアイデアを実現可能にするイネーブラー(enabler, 可能にするもの)をハードウェアで提供することだ。とくに、機械学習やコンピュータービジョン、人工知能などを初心者のデベロッパーでも簡単に利用・実装できるようにしたい”。

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ご覧のようにVoiceとCreatorはRaspberry Piの上部にフィットして、相当高度な機能性を提供する。DIYファンが主なターゲットだが、完全にオープンソースなので製品のベースとしても気軽に使える。すばらしくクールなキットだから、将来の地球を征服するロボットがRaspberry Piで動いていたら、歓迎するね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Android OSを作ったAndy Rubinの新会社Essentialがベゼルのないスマートフォンをちらりと見せる

Androidの協同ファウンダーAndy Rubinと彼のチームが作っていたスマートフォンが、やっとその姿を見せた。今日(米国時間3/27)のルービンのツイートには、彼のお忍びスタートアップが作っている、まだ名前のないデバイスの、‘ちら見せ’写真がある。

[出来栄えにはすごく満足している。早くみんなの手に渡したい…。]

その会社の名前はEssentialで、相当大きな資金を得て、もっぱらハイエンドのデバイスを作っているらしい。これまた噂だが、Softbankは最近、同社に10億ドルの評価額で1億ドルを投資するという話から、下りたらしい。

この、ほとんどベゼルのないデバイスの、機能についての情報はまだほとんどないが、AppleのiPhoneと四つに組むつもりなら、何かすごくラジカルなものが必要なはずだ。

このスタートアップは、Rubinの名声が世間の関心のベースになっていて、また企業としてのEssentialは、今経営的に窮地の拡張現実技術の巨星Magic Leapから、PR担当VPとマーケティング担当VPをスカウトし、体制を強化したようだ。

発売日などの情報はまったくないけど、これまで10年近くも、各社が“iPhoneキラー”に挑戦して敗れてきただけに、Rubinの努力に対しても、懐疑をもって臨むしかないかもね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

想定範囲内の新製品、遅い買い替えサイクル、値下げ―、タブレット市場で今何が起きているのか

過去一ヶ月の間にAppleSamsungの両方が、どちらにとっても2014年以来初となるフラッグシップタブレットのリニューアルを行った。2014年から今までの間に、タブレット市場ではさまざまな変化が起きたが、そのほとんどはタブレット市場全体の売上のように悪い方向への変化だった。IDCは昨年のQ4のタブレット出荷台数は前年比で20%減少したと報じ、Strategic Analyticsは9%減と伝えている。

どのくらい全体の出荷台数が落ち込んだか(そしてそもそも何をタブレットと考えるかについて)については議論の余地があるものの、少なくともタブレットがパソコン市場を食うという当初の予測は間違っていたということがわかる。タブレット市場の不振に関する理由はさまざまだが、ひとつには、メーカーが確信していたほどユーザーはタブレットを買い替えていないという事実がある。

「今でもiPad 2を使っている人がいます」とIDCでシニアアナリストを務めるJitesh Ubraniは語る。「(オリジナルの)iPad MiniやiPad Airもまだ使われていて、Appleも最近までサポートを行っていました。消費者はまだ古いモデルを使い続けていて、買った当初から何ら変わりなく使えていると感じているようです」

これにはいくつかの背景がある。まず、タブレットはスマートフォンと同じくらいのスピードで買い換えるものという認識をユーザーが持っていない。スマートフォンに関しては、キャリアのアップグレードサイクルを通して、パブロフの犬のように消費者に買い替えサイクルが刷り込まれていたのだ。

また、私たちはスマートフォン(さらにはノートパソコン)ほど、日常的にタブレットを使っていないという単純な背景もある。多くのユーザーは、タブレットを家に置いておいて、Netflixを見るときに使うくらいだ。

Strategy Analyticsでシニアアナリストを務めるEric Smithは、本日のiPadのニュースを例に挙げ、製品の機能改善スピードの遅さが、タブレット業界がいまいち盛り上がらない理由のひとつだとしており、「有機ELを使った柔軟性のあるスクリーンや、4Kディスプレイのような一大イノベーションが生まれない限り、過去数年のような頻度で買い替えは起きないと思います」と語っていた。

日々スマートフォンのディスプレイサイズが大きくなり、今や6インチのレンジの製品が市場に溢れているため、それよりも大きなデバイスの必要性が下がっているということも、タブレットの売上減少の一因だ。パソコンとの比較で言えば、Windows 10を搭載したコンバーチブル型ノートパソコンがタブレットのシェアを削るかたわら、かつてタブレットの一大ユースケースと考えられていた教育の世界では、Chrombookの利用が広がっている。

GartnerのMikako Kitagawaは、誕生時の盛り上がりが一段落して、タブレットの機能性には限界があるということに気付たユーザーのネガティブな感情が、売上減につながっていると考えている。「いざタブレットを使いはじめたときに、ユーザーはパソコンと比べて、タブレットでできることには限りがあると気付いたんです。携帯性という観点でも、タブレットはどこにでも持っていくには大きすぎますしね」と彼女は話す。

つまり、メーカーの考える買い替えサイクルにのらなくなったユーザーがいるだけでなく、もっと多くの消費者はそもそも既に持っている2つのデバイスで満足しており、3つ目はいらないと考えているのだ。そして携帯電話が大きくなり、パソコンがタブレットのような形になっていく中で、ふたつのデバイスのギャップは狭まっていく一方だ。

本日Appleが発表した値下げは、タブレット市場の不振に対する同社の反応だったのかもしれない。Appleは買い替えのインセンティブをさらに強め、迷っている消費者の背中を押して、そろそろ家にタブレットを2台置いておくにはいい時期じゃないのかとささやいているのだ。とは言っても、iPad Proの価格を昨年の9月に大幅に下げた後も、販売台数は減少していたのだが。

そしてこのAppleの動きは、プレミアムタブレット全体の今後の動きを示唆しているかもしれない。SamsungはTab S3を599ドルで販売すると先週発表したが、今週のiPadに関する発表を受けて、今後S3の価格を大幅に下げたとしても驚きではない。

これら全ては、プレミアムラインの価格が下がり、安価なタブレットを製造しているメーカーが、もうこの利益率ではやっていけないという状況にまで進む可能性がある業界全体の収束化の一部なのだ。そういう意味では、AmazonはFireタブレットをコンテンツの受け皿(=コンテンツビジネスの一部)と位置づけることで、価格を下げることができるため、タブレット業界の中では珍しく良いポジションにいる。一方でKitagawaは、子ども向けのタブレットの不調で、ローエンドタブレットも逆風を受けるかもしれないと指摘する。

いずれにしろ、ここしばらくはタブレットの売上が下がり続けそう、というのが今のところの共通認識のようだ。AppleとSamsungの二大メーカーから新商品がリリースされれば、いくぶんかは売上減少を軽減できるかもしれないが、大方の意見としてまだタブレット業界は窮地を脱せていない。

各メーカーが携帯電話や他のカテゴリーの製品にシフトしだしたのも当然のことだ。SamsungのTab T3の発表は、イベントの最後に行われた新しい携帯電話に関する発表までの場繋ぎのようにさえ感じられた。さらに今朝のiPadに関する発表は、Keynote風の大きなイベントではなく、ニュースリリースの体裁をとっていたことも記憶に新しい。

もちろんタブレット市場がこれで終わりというわけではなく、今でも何千万台というタブレットが四半期ごとに出荷されている。しかし新たな革命が起きるまでは、一旦気持ちを落ち着けよう。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

ARMの次世代チップは人工知能にフォーカスした設計になる

ARMが今日発表したDynamIQなるものは、同社の次世代モバイルプロセッサーの基礎となる新しい技術だそうだ。モバイルのチップメーカーは将来の製品について語るとき、すごく饒舌だが、とくに今回のARMは“マイクロアーキテクチャの2011年以降における最大の変化”という、最大級の主張だ。

同社がとくにプロセッサーのスピードを強調するのは、将来の人工知能を意識しているからだ。確かに人工知能は、今後数年間、モバイルコンピューティングにおいてもますます主流の技術へと成長していくだろう。それは、スマートアシスタントや自動運転車や、それらを超えるものが、おびただしく繁茂する未来だ。

このチップメーカーのAIに関する主張は、確かに謙虚ではない。3年ないし5年後には、今の50倍の性能になるそうだが、しかしその数字は、同社によれば、あくまでも今あるAIアルゴリズムに基づく“控えめな予想”だそうだ。

その技術の普及についても、ARMは控えめな言い方をしない。そのほかのモバイルチップメーカーが自分の製品について言うときと同じく、同社も、モバイルに限定されないさまざまな広範囲なコンピューティングプラットホームをターゲットにする、と言う。確かに同社はここ数年のIoTデバイスの大ブームにおいて、多芸なコンポーネントメーカーとして自己を確立したから、これだけ大言壮語する資格があるかもしれない。

DynamIQチップの同社による位置づけは、(今後ワークロードがさらに増える自動運転車の)車載用と、インターネットに接続される家庭用デバイス、そしてもちろん、スマートフォンなどなどだ。Microsoftはすでに12月に、今後のアプリケーションの基礎をまとめ上げ、それらのアプリケーションはARMのモバイルプロセッサーに載る、と発表した。そのオペレーティングシステムが、より多様なデバイスに使われることを期待しているのだ。

またMicrosoftは先週ARMにおいしい言葉を進呈し、Windows Server OSは同社のチップでも動く、と言った。そのニュースが、今日の発表の前触れだったのかもしれない。ARMはDynamIQのアーキテクチャを、サーバーやクラウド、そして最近の新しいネットワーキングアプリケーションを担うコンピューティングハードウェアにも、推していくつもりだからだ。

発売日などは発表されなかったが、2021年までには、ハードウェアパートナーたちが今よりも1000億多いARMベースのチップを売る、と述べた。2013年から2017年までの販売総数はおよそ、その半分なのだが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Reduced Energy Microsystemsが新しいチップで業界の雄たちに挑みかかる

あなたが所謂IoT(物のインターネット)を好きかどうかに関わらず、私たちは既にIoTに囲まれて暮らしている。そしてそれらの「物」の中にはチップが入っている。そうしたチップは、もちろんとても先進的であると同時に、様々な観点から従来の方式に従っている。Reduced Energy Microsystemsはこの現状を、日常デバイスにおけるAIやコンピュータービジョンの能力を、飛躍的に改善できる可能性のあるチップテクノロジーで、覆そうとしている。しかしその行く手には激しい競争も待ち構えている。

REMは、Y Combinatorが選んだ最新プロジェクトの1つである。Y CombinatorはREMをDraper Associatesに引き合わせる役割を果たし、技術に関心を寄せたDraper Associatesは、シードラウンドとして200万ドルを提供した。

私たちのカメラや携帯電話デバイスの性能を向上させる方法は沢山ある。まずソフトウェアの改善。例えばWindows 8からWindows 10へ移行すること。あるいはアーキテクチャの改善。例えば32bitから64bitへの移行。そして、チップレベルでの改善も可能だ。REMが望んでいるのはこのレベルの改善だ。

もちろん、チップは絶えず改善されていて、新しいものが毎年発表されている。しかし、IntelまたはARM、x64またはx86、CoreまたはRyzenのどれを選ぼうとも、それらは全て同期式(synchronous)と呼ばれるものだ。つまり、その中のどこかにクロックがあって、1秒に何100万回もの時を刻んでいる。すべての小さな動作ユニットは一斉にその時計に同期しながら、お馴染みの「ギガヘルツ」速度を達成しているのだ。

しかしこれらのCPUの全体的な速度は、クロックの速度に制限されている。もし特定の操作、たとえばとても簡単なロジックが、クロックの生み出す時間の間隔よりも短い時間で終了してしまうとしたらどうだろうか?CPUはただそこに留まり、待っているだけということになる。そして、1秒のほんの一部のさらにほんの一部というものは、あまり大したことはなさそうに響くが、もしそれが何千もの場所で。何百万回も起こるなら、あっという間に合計が無視できない量になってしまう。マルチコアやマルチスレッドというものは、この問題にアプローチしたものだが、同時に難しさも増してしまう。

もしクロックの専制政治からこれらの操作を解放する手段があったなら…いや、実際は存在しているのだ!非同期(Asynchronous)処理を使えば、計算をそれぞれのペースで進めることが可能になり、時間とエネルギーの節約になるのだ。チップメーカーは、このことについては昔から知っていた。しかし彼らはあまりにも多くのリソースを同期式のものに振り向けてきたので、非同期式のものが市場で出回るのを見ることは無かったのだ。REMが狙うのは、その状況を変えることだ。

私は同社の3人の共同創業者のうちの2人である、Eleazar Vega-GonzalezとWilliam Kovenと話し、会社の狙いと主張を尋ねた。

「組み込み携帯機器領域のこととなると、大きさについての話になりますよね?」と話すのは、同社のソフトウェア責任者であるVega-Gonzalezだ。「普通ARMを利用している場合、簡単なタスクを行っている間は低スペックのコアが用いられます、そしてユーザーがより複雑なことを始めると、より大きく強力なコアへと切り替わって行きます。それは動作しますし、現段階では良い解決方法です…でも私たちが実現したのは、1つのコアをダイナミックに加速したり減速したりすることなのです」。

非同期の持つ性質によって、その速度調整の幅は、既存のチップよりも極端に大きなものになる。同じチップをある目的に対しては僅かな電圧で動作させることもできる。そして需要に応じて消費電力をスムースに積み増していくことが可能だ。

テストボード上の試作チップ – 製品版では当然、もっと小さくなる。

しかし、それはこの分野のスタートアップを長い間邪魔してきたエキゾチックな製造プロセスを必要とするものではないし、プログラマーが学習しなければならない難解な新しい原理やアーキテクチャでもない。

「私たちは現在業界が使っているものと同じ設計ツールを使う手法を考え出しました。私たちがARMコアを実装すると、それはプログラマーの目には普通のARMコアのように見えます」と語るのはCEOのKovenだ。「そしてユーザーには違いがわかりません、単に良く実行された結果を見るだけです。私たちがやっているのは、これら2つの立場の間の部分なのです」。

結果として作られたのは、殆どの場合は動作している必要性のない、例えば家庭用セキュリティカメラを駆動するための、超低電圧で動作する標準チップである。とはいえ、一旦必要とあらば、動作は加速し、従来のチップに対して同じ電力でより効率的な顔面認識アルゴリズムを実行することができる。こうして、エネルギー効率を改善しながら、性能を上げることができるのだ。アプリケーションに依存するが、3から4倍の改善となる。

話がうますぎて、信じることがおそらく難しいかもしれない。もし非同期チップがそんなにクールなら、なぜ既存の大チップメーカーはこの分野に参入していないのか?数年をインテルで働いて過ごしたKovenは、彼らのDNAからはその考えがパージされてしまったからだと語る。

「私はこのプロジェクトを育てる場所を見出そうと、Intelの中で多くの時間を費やしました」とKoven。「非同期性は、Intelの中ではある意味禁忌の言葉なのです。それは単に彼らが組織としてやっていることとは、あまりにも違うことなのです。それらが異なっていて、恐ろしいという理由で、彼らはこのような技術の多くを放逐してきました」。

「これはこれまでも何度か試されていて、歴史的に起きたことは、こうした利点は理解されつつも、それが市場に受け容れられるには多くの困難が待ち受けていたということです」とVega-Gonzalesは語る。「私たちは、業界のどこよりも素早く動くことができるように、特に内部で使われるツールに力を入れて来ました。これはソフトウェアスタートアップが、大きな企業を打ち倒したり出し抜いたりするために行う方法と同じです」。

同社が想定しているのは、警察のボディカメラ、デジタルビデオレコーダー、ドローン、セキュリティカメラのような応用分野だ。そこでは製造業者と開発者たちが、コストを掛けずそしてバッテリー消費を増やすことなく、提供できる機能を改善する方法を探している。チップの製造はほぼ終了し、製品との統合を現在彼らはテストしている。今年の末までにはプロトタイプができる予定だ。

REMは、通常はソフトウェアに焦点を当てているY Combinatorからの初めてのチップスタートアップだが、プログラムはREMにとって役立つものであったようだ。

「素早く動き、ビジネスと顧客関係に焦点を当てるようにさせる、一貫した圧力のようなものがありました」とVega-Gonzales。驚くようなことではないが、ハードウェアスタートアップには、物作りに対するものと、ご存知のように、収益を上げることに対する、大きなリスクがつきまとう。

「Draperに関して言えば…彼らは私たちが実現しようとしている未来を本当に信じてくれています」とKoven。「彼らはこの実現のためには、ソフトウェアよりも時間がかかることを理解しています。そして半導体業界は、色々な意味で停滞しているのです」。

技術的、市場的、そして金銭的理由から、この領域への参入は簡単ではない。自身で基本的に異なるチップを設計し製造するスタートアップの構想は、容易に受け容れられるものでもない。だから、REMが敢えて戦いに乗り出す大胆な姿勢は賞賛に値するものだ。彼らは自身の製品を信じているし、それは実際市場にある何物からも異なっているように見える。運と創意(そして数百万ドル)があれば、予測可能な市場に飢餓感を感じている顧客たちの前にボールを転がすことができるかもしれない。

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(翻訳:Sako)

京都のハードウェア・アクセラレーター「Makers Boot Camp」の運営元、20億円規模のIoTファンドを組成へ

ハードウェア・スタートアップはプロダクトを作るだけでなく試作や量産、物流まで考える必要があるため、ウェブだけで完結するサービスより立ち上げが難しい。そうしたハードウェア・スタートアップを支援する施設やプログラムはいくつかあるが、京都に拠点を置くDarma Tech Labsもハードウェアに特化したアクセラレータープログラム「Makers Boot Camp」を提供している。3月7日、Darma Tech Labsはさらに一歩進んだスタートアップ支援を提供するため、IoTスタートアップを対象とする20億円規模のファンド組成を目指すという。このファンドには京都銀行がアンカーLPとして5億円出資することが決定している。Darma Tech Labsによると、ファンドの最終的なクローズ時期は2017年12月を予定していて、すでに15億円ほどの出資の見通しが立っているという。

「Makers Boot Camp」は、Darma Tech Labsおよび、機械金属関連の中小企業10社が共同で立ち上げた京都試作ネットが協力して運営しているアクセラレーター・プログラムだ。Darma Tech Labsでは特に、ハードウェアスタートアップにとって課題となる試作から量産化の部分に焦点を当てたサポートを提供している。「Makers Boot Camp」は、電子マネーの残高を表示するケース「Coban」や壁掛け窓に風景動画を表示するデジタルデバイス「ATMOPH」などが含む国内外10社以上の試作支援を行ってきた。今回のファンド組成はアクセラレータープログラムに加え、ファンドから投資を実施することで、さらなるスタートアップの成長支援を提供することを目的としている。

Darma Tech Labsは2015年8月に創業した。代表取締役を務めるのは、SunBridge Global Ventures Inc.でマネージャーを務める牧野成将氏だ。ディレクターで共同創立者の竹田正俊氏は、プロダクトの試作サービスなどを提供するクロスエフェクトの代表取締役でもある。そしてもう1人の共同創立者は、企業向けの食事指導を提供するヘルスケアアプリを提供するハカルスの代表取締役を務める藤原健真氏だ。ハカルスは昨年渋谷で開催した「TechCrunch Tokyo 2016」のスタートアップバトルにも出場している。

牧野氏はファンド組成について、「このファンドを通じて、世界中からハードウェア/IoTスタートアップを京都/日本に呼び込むような流れを作り、「京都をモノづくりベンチャーの都」にすると共に、日本全体にとっても新しい産業創出やイノベーション創出に寄与出来たらと思っております」とコメントしている。また、ファンドの投資分野は、今のところIoT全般としているが、将来的にはロボティクスやヘルスケア分野などにも注力していきたいと話す。

今回のファンド組成に伴い、フューチャーベンチャーキャピタルで最高投資責任者を務めた木村美都氏と公認会計士の桑原学がマネージング・ディレクターがDarma Tech Labsに参画すると発表した。また、ニューヨークを拠点を置くものづくり系アクセラレーター「FabFoundry」のCEO関信浩氏は取締役に就任するという。

[追記 3/8 14:00] ファンドの組成状況と牧野氏のコメントを追記しました。

Pixel 2.0 Arduinoボードには1.5インチのOLEDスクリーンが載ってるからウェアラブルのゲーム機なども作れる

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この小さなPixel 2.0は要するにArduinoボードに1.5インチという小さな128×128のカラーOLEDスクリーンをくっつけたものだ。このままでウェアラブルに応用できるし、このArduinoボードから直接スクリーンにアクセスできる。これまでのような、後からスクリーンを半田づけして、うまくいくよう神様にお祈りする電子工作からの卒業だ。

このちっちゃいかわいいボードはKickstarterで75ドル、発売は6月だ。完全にオープンソースだから配線図を詳しく見られるので、いろんな応用製品を作れる。SDカードのスロットがあるからゲームやビデオなどのデータを保存できるし、Arduino SDKを使えばスクリーンのグラフィクスをプログラミングできる。

すでに目標額の5000ドルは突破しているから、製品化はほぼ確実だ。

これは、ボストンのRabid Prototypesが作ったPixelボードのバージョン2だ。同社のNeutrinoと呼ばれるハイスピードなArduinoボードには、ライトやモーターなど、もっといろんなDIY要素が載っている。昔のアーケードゲームがこのPixelで動けばめっちゃ楽しいだろう。画素密度も、そんなにちゃちくはない。今すでに、不安な要素はない、と思うね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

AMDの新製品Ryzenプロセッサーは、ハイエンドPCにおけるIntel Core iシリーズの独占打破を目指す

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AMDが3月2日に新発売する3種のRyzen 7プロセッサーは、PC用最速プロセッサーの王座をライバルのIntelから奪う試みだ。その新しいプロセッサーはすべて8コアで、同社によると、占めるスペースはIntelのCore iシリーズとほぼ同じ、価格でも肩を並べる(330, 400, 500ドル)。

AMDによると、これらRyzenプロセッサーにより、ハイエンドのPC市場に“イノベーションと競争”が戻ってくる、という。とても控えめな言い方だ。全世界の180の代理店が一斉にこの機種を扱い、また、オーバークロックなどホビイストや一部のプロ向けのマニア的機能を実装する小規模OEMにも提供される。

Rysen 7は単品売りもあり、またOEMのシステム構成としても売られる。とくにそれらのOEMは、すでに安価なVR対応GPUとしてRadeon RX 480を使っているなど、AMD色のあるところが候補になる。Ryzenプロセッサーの予約販売は今日(米国時間2/22)から始まる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ロジテック、200ドルの4K対応ウェブカメラをリリース

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昨年9月に、ウェブカメラの取り扱いを再開したロジテックだが、このたび新たにBrioと名付けたニューモデルをリリースした。4Kに対応したモデルとなっている。HD画質で十分すぎるほどに感じることも多い中、ビデオ会議に4Kが必要なのかどうかはよくわからないところだが、ともかく技術は進化し続けているわけだ。値段も手頃な199ドルとなっている。

もちろん帯域幅による制限はある。4096 x 2160を30FPSで流すのはなかなか厳しい話だ。予定する用途もオフィスユースが主であるのかもしれない。超高画質なビデオ会議を必要とするような業態もあり得るのだろう。もちろんロジテックも「大切なビデオメッセージを送りたい人のために」とうたっているわけで、ビデオ会議用途以外の活用シーンをイメージしているようではある。

なお、このカメラはHDR(ハイダイナミックレンジ:High Dynamic Range)にも対応している。さまざまな照明状況に応じた、最適なビデオを流すことができるようになっているのだ。撮影の角度も65度から90度まで、3段階に設定できる。Brioは本日より提供開始となっている。

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(翻訳:Maeda, H

2020年東京オリンピックのメダル材料は、スマホのリサイクルで調達予定

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東京オリンピックを2020年に控え、日本では広く国民に対して古くなったり使わなくなった携帯電話の寄付を呼びかけることとした。集めた機器から、東京オリンピックにて授与される5000個の銅メダル、銀メダル、および金メダルに必要となる金属を回収しようとしているのだ。

オリンピック委員会がオリンピックおよびパラリンピックのために集めようと考えている金属の重量は、合計で8トン近くにもなる。

これは2014年に発行されたオリンピック・アジェンダ2020にある「20+20の提言」の中で4番目にあげられている「すべての側面での持続可能性の導入」のために実施される動きだ。このアジェンダの目的については次のように記されている。

持続可能性に関する戦略を前進させ、オリンピック競技大会の潜在的な開催都市と実際の大会開催都市を統合する。さらに、各都市のプロジェクトのあらゆる段階で、経済、社会、環境の各領域を包含する持続可能性の施策を設ける。

日本オリンピック委員会(JOC)は4月から回収ボックスをオフィスや通信事業会社の店舗に設置して、必要な金属を入手する予定としている。

オリンピックを持続可能なものとしていくための、多くの試みのひとつとして注目されている。リオオリンピック・エディションのスマートフォンなどをゲットしている人には、有効に再利用するための大きなチャンスが訪れたということなのかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H

メインストリーム化の道を歩むAmazon Echo

自らしゃべる小さなスピーカーであるAmazon Echoは、「成功」の段階を超えて進みつつあるようだ。そうレポートしたのはデータ収集解析ファームのSlice Intelligenceだ。年末のホリデー期間にも数多くのデバイスを売り上げたのみならず、購入者層の幅を大きく拡大しているようなのだ。

まず、Echoの売上の半分は女性によりもたらされているのだとのこと。売り出し当初の購入者は圧倒的に男性が多かったが、その傾向がまったく変わってしまったわけだ。ちなみにSliceは最初のEcho販売時にも傾向の分析をしており、Echo Dotも投入された今回のホリデーシーズンにも同様の分析を行なっている。

販売台数を増やし、そして女性にも市場を広げているEchoだが、それだけではない。Generation Xやベビーブーマーにも市場を広げているのだ。最初にこうしたガジェットに飛びつくのはミレニアル世代であり、そこから各方向に市場を広げていくことになったわけだ。

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また、Echoの発売当初はEコマース利用者が多く購入していた。しかし今ではEコマースのヘビーユーザーではない人にも売れている様子。こうした面からみても、Echoはメインストリーム化へのみちを歩んでいるということになるのだろう。

Sliceのレポートによれば、今回のホリデーシーズンには値段も手頃なEcho Dotがもっとも売れたのだそうだ。わずかの差でEchoが続き、Tapの割合はかなり低めであったようだ。期間毎にみれば、やはり売り上げを大きく伸ばしたのは11月と12月で、サイバーウィークエンドには他の日とくらべて倍の売り上げを示したのだとのこと。消費者の購入意欲はたいへんに高く、ホリデーシーズン中はほとんど売り切れの状態でもあった。

Echoがメインストリーム化している事実は、Amazonにとってはもちろん、音声インタフェースの未来にとっても大きな意味を持つものかもしれない。これまで利用頻度の低かった音声によるコマンド伝達だが、どうやらEchoとは会話を通じて意思伝達を行なっているようなのだ。

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(翻訳:Maeda, H

スタートアップのハードウェアが一挙集結、Amazon Launchpadが日本でもローンチ

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ここ数年で数多くのスタートアップがハードウェアプロダクトを開発し、市場に出ている。しかし、物流システムを持たないスタートアップにとって配送は大きな課題だ。Amazonは本日ハードウェアスタートアップのマーケティングと物流を支援するため、「Amazon Launchpad」をローンチを記者会見で発表した。Amazon Launchpadは、スタートアップのプロダクトのみを取り扱う特設ストアだ。

Amazon Launchpadは米国2015年7月に初めてローンチしたサービスで、昨年までに世界8カ国で展開している。すでに1200社のスタートアップの4000以上のプロダクトの掲載がある。

Amazon Launchpadに掲載することで、スタートアップはプロダクトの露出が狙える。また、Amazon Launchpadではプロダクトの配送をAmazonに委託する仕組みなので、スタートアップ自身が物流や配送について思い悩むことはない。スタートアップは海外でもブランドを広め、配送ができるようになる。

Amazon Launchpadは単に商品を紹介するだけでなく、スタートアップのブランディングにも貢献できると話す。Amazon Launchpadのサイトの詳細ページは、商品情報に加え、動画やプロダクトのビジュアルを多く掲載し、さらにスタートアップのチームやストーリーも伝えられるようになっている。startup-story

また、Amazon Launchpadのトップページでも、トップセラーやクラウドファンディングを達成した商品を集めたカテゴリーを用意したり、商品一覧からもプロダクトの動画が見れる機能をつけたりすることで、ユーザーにプロダクトを訴求できる仕掛けを作っているという。

Amazon は世界中のVC、アクセラレーターなど100社と協力し、スタートアップのプロダクトを掲載しているが、スタートアップ自身でAmazon Launchpadにプロダクトの登録をすることも可能だ。日本では、日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)、クラウドファンディングプラットフォームMakuake、シードアクセラレエーターABBALabと協力していく。

本日からAmazon Launchpadで掲載しているプロダクトには、CerevoのプロジェクターTipron、落し物をなくすIoT端末Mamorio、コミュニケーションロボットBOCCO、スピーカー内蔵のテーブルSOUND TABLEなどがある。
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スタートアップの革新的なプロダクトは世界に影響を与える力があるが、そうなるまでにはマーケティングや露出を増やし、認知度を高める必要がある。Amazon Launchpadでは、配送や物流をはじめ、スタートアップが自社のプロダクトを効果的にマーケティングするツールなどを提供することで、スタートアップがイノベーティブな商品の開発に注力できるように支援したいと話す。