nearMeの空港送迎相乗りシャトルバス「スマートシャトル」が関西進出、関西空港・伊丹空港と京都府13地域を結ぶ

nearMeの空港送迎相乗りシャトルバス「スマートシャトル」が関西進出、関西空港・伊丹空港と京都府13地域を結ぶ

同じ方向へ行きたい人をマッチングさせ、AIで最適ルートを割り出し、タクシーよりも安い相乗りで利用者を運ぶ、タクシー相乗りアプリ「nearMe」(ニアミー)を展開するNearMeは6月29日、この技術を応用した「次世代型スマートシャトル」の空港送迎サービス「nearMe.Airport」サービスについて、関西での提供を開始すると発表した。

これまでnearMe.Airportは、東京、沖縄、福岡、南紀白浜の4エリアで展開されていたが、今回は、関西空港(関西国際空港)または伊丹空港(大阪国際空港)と、京都府内の13地域を結ぶ路線での運用が開始される。これは、京都でヤサカタクシーを運営する彌榮自動車との提携によって実現した。ヤサカタクシーは、nearMeのプラットフォームを利用してエリア拡大に取り組んでいる。

新規発着点

  • 関西空港(関西国際空港)または伊丹空港(大阪国際空港) ←→ 京都府13エリア(京都市、宇治市、長岡京市、城陽市、木津川市、八幡市、京田辺市、向日市、精華町、久御山町、大山崎町、宇治田原町、井手町)の指定箇所

料金は関西空港から京都府内が1回1人4980円(税込)から、伊丹空港から京都府内が1回1人2980円(税込)から。前日18時までに公式サイトで予約を行い、料金はオンライン決済。

料金

  • 関西空港 ←→ 京都府13エリア:1回4980円/人(税込)から
  • 伊丹空港 ←→ 京都府13エリア:1回2980円/人(税込)から
  • オンライン決済が可能なのでチケット不要。飛行機遅延に伴う料金請求はなし
  • スーツケースは1人1個まで無料。2個以上は1000円/個
  • 各エリア内であれば乗降車場所問わず定額
  • 大人1名につき、12歳未満の児童2名までは半額適用

またキャンペーン期間中は、予約画面でプレスリリースに記載されている空港別クーポンコードを入れると新規利用者の初回乗車が半額になる。京都府内の発着地域は、京都市、宇治市、長岡京市、城陽市、木津川市、八幡市、京田辺市、向日市、精華町、久御山町、大山崎町、宇治田原町、井手町で利用者が指定した場所となる。

相乗りとなると新型コロナウイルスの感染リスクが気になるが、nearMeでは、乗務員の運行前の検温、乗客のアルコール消毒、乗車中の車内換気、利用者降車後の消毒、乗客同士が接触しない配慮などを徹底している。また予約客に新型コロナ感染者が出た場合には、早急に対応するとしている。

nearMeの新型コロナウイルス対策

  • 乗車中の車内換気を徹底
  • 全乗務員は運行前に検温を行い、マスクを着用
  • アルコール消毒を設置し、乗車の際には乗客にも対応を依頼
  • 前日までに乗車する方を決定し、感染者が出た場合早急に対応
  • 降車後の清掃の際、乗客の触れる箇所にアルコール消毒を実施
  • 乗客同士が隣接しないよう、少人数/大型車で展開
  • 乗車する方にはマスクの着用を依頼

2017年に設立されたnearMeは、「リアルタイムの位置情報を活用して地域活性化に貢献する『瞬間マッチング』プラットフォーム作りを目指し、まずシェアリングエコノミーのMaaS(Mobility as a Service)領域からスタート」した。2019年8月に「スマートシャトル」の運用を開始。現在は、通勤用の「nearMe.Commute」、ゴルフ場送迎の「nearMe.Golf」も展開している。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:相乗り(用語)オンデマンド交通送迎サービス(用語)NearMe(企業)日本(国・地域)

北米ホンダ初の電動SUV「プロローグ」は2024年初めに発売、EV量販モデル第1弾はGMと共同開発

ホンダの米国法人であるAmerican Honda Motor Co.(アメリカン・ホンダモーター)は、同社にとっては北米で初のフル電動SUVを2024年初頭に発売すると発表した。これは、2020年代半ばまでにガソリン車からの脱却を目指す同社の取り組みの一環だ。「Prologue(プロローグ)」という車名は、ホンダが「新しい電動化時代」と呼ぶものの序章を意味している。

Prologueは、ゼネラルモーターズ(GM)の「アルティウムセルズ」EVプラットフォームとバッテリーパックを採用した、今後発売される2車種のホンダ車のうちの1つだ。もう1車種はAcura(アキュラ)ブランドの電動SUVで、2024年にデビューする予定。GMはOEMメーカー2社の間で長年続いているパートナーシップの一環として、これら2車種を北米の同社工場で製造する。

ホンダは価格やクルマの外観などを含め、これらの新型SUVの重要な詳細については今のところ口を閉ざしている。しかし同社は、Tesla(テスラ)の「Model Y(モデルY)」、Ford(フォード)の「Mustang Mach-E(マスタング・マッハE)」、Volkswagen(フォルクスワーゲン)の「ID.4」などのライバルに対抗し、競争の激しい電動SUV市場に参入することになる。

ホンダは、GMやVolvo(ボルボ)を含む他の自動車メーカーとともに、北米地域での野心的な電動化目標を設定している。同社の三部敏宏社長は2021年4月、バッテリー式・燃料電池EV販売の割合を2030年までに40%、2035年までに80%まで引き上げ、2040年までに内燃エンジン車の販売を全廃するという目標を掲げた。その一環として、ホンダは独自の新EVプラットフォーム「e:Architecture(e:アーキテクチャー)」を開発し、2020年代後半に発売するEVモデルに採用する計画があると発表した。

また、ホンダは米国時間6月28日、Battery Resourcersとの間で、ホンダとアキュラのEVに搭載されたバッテリーをリサイクルする契約を締結したと別途発表した。これらのバッテリーは、まずマサチューセッツ州ウースターにあるリサイクル会社のサイトで処理され、その後、2022年に稼働する予定の商業規模の工場で処理されるとのこと。Battery Resourcersは最近、新工場の開設を含む事業拡大のために2000万ドル(約22億1000万円)のシリーズBを調達していた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Honda電気自動車GM

画像クレジット:Geoff Robins / AFP / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

【レビュー】メルセデス・ベンツSクラス2021年モデルはハイテクを満載しラグジュアリーの定義を塗りかえる

Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)は過去21年間「The Best or Nothing.(最善か無か)」というブランドスローガンを掲げ自動車を販売してきた。メルセデス・ベンツは、2021年モデルのS580を「Best」として世に送り出すため、学習によりオーナーのニーズを予測するインフォテインメントシステム、新しいリアステアリング機構、先進運転支援機能のアップグレードなどのテクノロジーをこのフラッグシップセダンに搭載した。

価格は11万850ドル(約1229万円)からと高額だが、現代の運転や生活を豊かにするものすべてを備えた最高級のメルセデス・セダンを求める、非常に裕福なエグゼクティブのためのラグジュアリーカーだ。

Sクラスの伝統を受け継ぎ、このセダンはやはり頼もしいスペックを持つ。ニューモデルでは、全長が1.3インチ(約3.3cm)、全高が0.4インチ(約1cm)増し、乗員と荷物のためのスペースが拡大された。ベースとなる2021年モデルのメルセデス・ベンツS500は、四輪駆動で、429HP(約320kW)の最高出力と384lb・ft(約520N・m)の最高トルクを発揮する新しい直列6気筒エンジンを搭載している。これは先代モデルよりも60HP(約45kW)以上向上している。筆者が試乗したS580も、四輪駆動であり、496HP(約370kW)の最高出力と516lb・ft(約700N・m)の最高トルクを誇る、スムーズでパワフルかつ静かな4.0リッターツインターボV8エンジンが搭載されていた。また、どちらのモデルにも48Vマイルドハイブリッドシステムが搭載されている。

メルセデスはSクラスにおいて、いつの時代も「人間中心の革新」を謳ってきた。当初同社は、自動車メーカーは技術を駆使して安全性を向上させていた(1950年代には衝突時にドアが突然開かないようにしたり、1960年代には衝撃を吸収するクランプルゾーンを設けたりした)。また、1990年代以降は、運転、駐車、ナビゲーションの操作性を向上させることに注力してきた。例えば、1996年には音声認識パッケージオプションを設定し、音声コマンドでカーフォン(覚えているだろうか)を作動できるようにした。

メルセデスはテクノロジーの限界に挑戦し続けており、最近ではEQSと呼ばれるSクラスの完全電気自動車モデルを発表している。2021年のSクラスは、数々のテクノロジーを搭載し、エグゼクティブを魅了する新世代のモデルを象徴するかもしれないが、完全電気自動車であるEQSを凌駕するほどではない。

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運転支援システム

画像クレジット:Mercedes-Benz

メルセデスは、1998年に「ディストロニック」と呼ばれるアダプティブ・クルーズ・コントロール機能を発表して以来、先進運転支援システムの分野を長く牽引している。

2021年モデルのSクラスでは、ADAS(先進運転支援システム)がアップグレードされ「ドライブパイロット」と名づけられた。これは、車両全体に配置された22個のセンサーとカメラから送られた情報を基に5つのマルチコアプロセッサーが毎秒1000回の運転状況分析を行い、車両を制御するというものだ。

つまり、この車が道路状況、他のクルマ、道路標識、歩行者や自転車などを「見て」人間のドライバーと同じように対応する、ということだ。

ロサンゼルスからモンテシートまでのドライブ(フリーウェイを利用すれば約130マイル[約209km])では、山や海の曲がりくねった道や、ロサンゼルスの劣悪なコンクリートブロックでできたフリーウェイ405を、停車や発進を繰り返しながら走ったが、ドライブのほとんどの間、S580をアダプティブクルーズに設定していた。システムは期待どおりに機能し、105号線から101号線までの数珠つなぎの渋滞の中を、このSクラスは加速、停止を適切なタイミングで自動的に行なってくれた。それだけではない。目的地に着くのに6時間かかったが、疲れていなかったし、うんざりもしていなかった。

スマートフォンをいじりながら車線変更してきたクルマに追突するのを危うく防いだときも、アダプティブクルーズシステムは制御を保ち続けた。筆者はこの出来事の間、集中して運転していたが、メルセデスは、たとえADAS機能が運転の一部をサポートしたとしても、ドライバーに注意を促すようにシステムを設計している。

車内やハンドルに設置されたタッチセンサーや、視線追跡カメラ、顔認識カメラなどにより、ドライバーの注意力をモニタリングする。ハンドルから手を離すとセンサーがそれを感知し、進路が逸れつつあるという警告が運転席のディスプレイに表示され、数秒後にADASシステムが解除される。

視線検出と顔のモニタリングは、ドライバーの眠気や注意力低下の典型的な兆候を認識するために使用され、ドライバーに休憩を促す警告メッセージを表示する。また、ドライバーディスプレイに内蔵されたカメラでドライバーのまぶたの動きを追跡し、マイクロスリープを警告する機能も新たに搭載された。

画像クレジット:Mercedes-Benz

メルセデスは、2021年のSクラスが自動運転レベル4に向けて準備されていると主張しているが、2020年9月の新車発表会では、幹部が「レベル3の条件付運転自動化は近い」と述べていた。この車両に搭載されているハードウェアは、その最終目標をサポートするためのものだ。

その22個のセンサーとカメラによって、制限速度の標識や工事現場などの道路上の危険を認識できるようになったが、筆者には少し気になることがあった。ADASが作動しているときに制限速度が時速55マイル(時速約89km)に下がった区間に入ると、Sクラスが急に制限速度に合わせて減速することがあった。周りの車が時速70マイル(時速113km)以上で走っていなければいいのだが、速い流れの中では不安になる。

また、新型Sクラスには、ADASシステムを解除することなく、ドライバーの安全な車線変更をサポートするレーンチェンジングアシストが搭載されている。クルーズコントロールを作動させているとき(視線は前に向け、手はハンドルから離さずに)ウィンカーを点滅させると、Sクラスは、周囲に問題がなければドライバーがほとんど何もしなくても、車を隣の車線の中央に移動させることを安全にやってのける。

ADASの進化に加えて、メルセデスはパーキングアシストもアップグレードした。Sクラスにインテリジェントパークパイロットと呼ばれるオプションを装備すると、AVP(自動バレーパーキング)と呼ばれる立体駐車場において、人間が乗らなくても自動で駐車することができるようになる。ただし、メルセデスの説明によると、適切な設備を備えた駐車場でのみ利用可能であり「各国の法律でそういった運用が認められている場合」に限られるという。

新型Sクラスは非常に大きくなったため(車体全体では、現在市販されているほとんどの中型SUVと同じくらいの長さ)、メルセデスは新しいリア・アクスルステアリングを装備した。このステアリングは、後輪を両方向に最大10度までステアすることができ、これにより回転半径が7フィート(約2.1m)近く小さくなった。

また、メルセデスは、このステアリングと先進のエアサスペンションシステムを組み合わせることで、乗り心地を和らげ、悪路でも車内が安定するように適応させると同時に、クルマの周囲に設置されたセンサーやカメラを使って、安全性を高めている。側面衝突が迫っている場合、このシステムはコンマ数秒で車体を最大約3インチ(80mm)持ち上げ、乗員を保護する。

AIアシスタント

同僚のTamara Warren(タマラ・ウォーレン)氏が乗ったEQSとは異なり、筆者が乗った14万8000ドル(約1640万円)を上回るS580には56インチ(約142cm)のハイパースクリーンはなかった。その代わりに、ダッシュボードからアームレストまで伸びる12.8インチ(約32.5cm)の有機ELスクリーンがセンタースタックに設置されており、クルマのコントロールハブとなっている。このスクリーンでは、グローブボックス内のディフューザーから発せられる香りのコントロールから、メルセデスのウェルネス機能へのアクセスまで、あらゆることが可能だ。真昼の太陽の下でも明るくクリアで、映り込みもなく、夜になってもまったく邪魔にならない。

関連記事:メルセデス・ベンツが高級EVセダンEQSの湾曲56インチ「ハイパースクリーン」発表

画像クレジット:Mercedes-Benz

しかし、新型Sクラスで最も印象に残った機能の1つは、フロントガラスに投影され、クリアで非常に印象的な3Dの拡張現実を映し出すヘッドアップディスプレイだ。頭を動かしても、運転席のどの角度からでも表示を見ることができる。助手席からもある程度見える。インフォテインメントシステム(Mercedes Benz User Experienceの略でMBUXと呼ばれている)を使って目的地までナビゲートすると、出口車線や曲がり角、そして最終目的地に近づいたときにHUDに青い拡張現実の矢印が現れ、センタースタックにある道路前方のビデオフィードの上には、どの車線にいるべきか、どこで曲がるべきか、探している住所がどこにあるかが正確に示される。また、ハンドルのタッチボタンを使って、この機能をオフにしたり、運転席の計器類の表示が気になる場合は、変更することもできる。

メルセデスによると、MBUXの演算能力は先代モデルのシステムと比較して50%向上しており、メモリ帯域幅はNVIDIA Xavier(エヌビディア・ザビエル)を搭載して4万1790 MB/sとなっている(先代ではTegra 3[テグラ・スリー]を搭載)。そのため、システム上でカクツキ、遅延、混乱などが発生することはほとんどない。

加えて、非常に優れた自然言語による音声認識システムもほぼ完璧に動作する。ハンドルのタッチボタンを使って音声アシスタントを起動したり「ハイ、メルセデス」というキーフレーズを口にするだけで音声コマンドを起動することができる。システムに何かを調べさせたり(ネット接続機能がある場合)、温度を変えたり、メルセデスがあらかじめ組み込んだウェルネスプログラム(照明、温度、マッサージの設定の変更)を実行したり、両親に電話をかけたり、新しい場所へナビゲートさせたりと、何を頼んでも、システムはほとんど失敗することはなかった。唯一困ったのは、音声コントロールを使って4つ以上の数字が入った住所に目的地を設定しようとしたときだ(例えば、12345 West Elm Street[ウエスト・エルム・ストリート])。何度か試した後、センタースタックの非常に直感的で使いやすいタッチスクリーンに頼ることにした。

新型Sクラスが持つより高度なAI機能を試すには時間が足りなかったが、メルセデスによると、MBUXは、システムにコネクテッドホームを統合することから、お気に入りのスポットへのナビゲートまで、EQSに搭載されているものと同様に、あらゆることが可能とのことだ。理論的には、自宅の照明をつけるようにシステムに依頼したり、家に向かって運転している間にエスプレッソマシンを起動するタイミングを学習したりすることができる。また通常のルートを運転して、電話をかけるなどのタスクをシステムに依頼したり、毎日特定の場所にナビゲートしたりすると、AIはオーナーの習慣を学習する。システムは最終的に、特定の時間にオフィスに電話をかけたいか、お気に入りのレストランへのルートを設定したいかを尋ねるだけになるだろう。

運転をより快適に、よりストレスなく行うための機能やテクノロジー、アメニティをふんだんに盛り込んだSクラスが、ワールド・ラグジュアリー・カー・オブ・ザ・イヤーをはじめとする数々の賞を受賞しているのも不思議ではない(情報開示:筆者はワールドカーアワードの審査員を務めている)。ラグジュアリーとは、目に見えないシームレスなテクノロジーによって、長時間のドライブをスパのように楽しめることだとすれば、メルセデス・ベンツSクラスの2021年モデルには確かにそれが備わっているといえるだろう。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:メルセデス・ベンツレビュー

画像クレジット:Mercedes-Benz

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

世界最高速度の時速408キロに挑戦、英新興バイクメーカーが「風穴付き電動バイク」WMC250EVを発表

世界最高速度の時速408キロに挑戦、英新興バイクメーカーが「風穴付き電動バイク」WMC250EVを発表

White Motorcycle Concepts

英国の新興バイクメーカーWhite Motorcycle Conceptsが「初の作品」と称する電動バイク ”WMC250EV” をシルバーストーンサーキットで発表しました。このバイクは、数か月前に元GPライダーのマックス・ビアッジがVoxan Wattmanで記録した電動バイクの最高速度記録408km/hを打ち破るという大いなる野望とともに姿を現しました。

このバイクの最大の特徴は、バイクのノーズからテールまで、巨大な”風穴”が貫通しているということ。この穴 ” V-Air(特許取得済) ” が車体の発生する空気抵抗を70%も削減するうえ通常のバイクの5倍の力で前輪を地面に設置させると説明されます。この構造は内燃エンジンをフレームに固定する必要がなく、重量のあるパワートレインやバッテリーを低い位置に配置できる電動バイクだから実現できました。またライダーはバイクに跨った際、形状的に完全にバイクに一体化するようになります(一番上の写真、ライダーが乗っているのにお気づきでしょうか)。

世界最高速度の時速408キロに挑戦、英新興バイクメーカーが「風穴付き電動バイク」WMC250EVを発表

White Motorcycle Concepts

なかなか奇抜なバイクですが、このバイクはWRCを始めとするモータースポーツ分野で活躍してきたプロドライブでル・マン・プロトタイプカーを開発し、さらにオーストラリアV8スーパーカーシリーズ、そしてメルセデスF1チームで活躍してきた、この道25年のエンジニアWhite Motorcycle Concepts創設者のロバート・ホワイト氏が開発しました。彼は4輪レースで培ってきた速さを追求するための技術を2輪の最高速挑戦にも応用したとのこと。

電動バイクとしては後輪を駆動するのに30kWのモーターを2基搭載。さらに前輪にも20kWモーターを2基搭載して合計100kW(134ps)のAWD化。前輪にも駆動力を与えることで設置性を高める効果が得られるとのことです。その他、WMC250EVは全長2.44m、ホイールベース1,800mmのロングホイールベースを採用しています。15kWのリチウムイオンバッテリーを搭載し、部品のほとんどはカーボンまたはアルミニウム、総重量は300kg程度とのこと。

世界最高速度の時速408キロに挑戦、英新興バイクメーカーが「風穴付き電動バイク」WMC250EVを発表

White Motorcycle Concepts

ホワイト氏はWMC250EVを使い、これから1年のあいだにマックス・ビアッジとVoxan Wattmanが打ち立てた11の電動バイクによるFIM世界記録を打ち破るとしています。そしてうまく行けば、この空力技術は将来開発されるであろうブランドの市販モデルに応用されるかもしれません。

ちなみに、4輪ではかのロータスが、2000馬力の電動ハイパーカー”エヴァイヤ”でボディに大きな風抜き穴を採用しています。また徹底的に速さを追求するF1の世界では、過去に車体下部の空気を巨大なファンで吸い出して路面に吸着するブラバムBT46Bというマシンが、かのニキ・ラウダのドライブでデビューウィンを果たし、翌レースからすぐに規則違反として使用禁止にされました。

(Source:White Motorcycle ConceptsEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:モビリティ
タグ:電気自動車 / EV(用語)電動バイク(用語)White Motorcycle Concepts(企業)

eVTOLのArcher AviationがライバルWisk Aeroからの企業秘密流用の嫌疑対する差し止め請求に反撃

Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)が、競合相手であるWisk Aero(ウィスク・エアロ)から受けている企業秘密流用の嫌疑に対して、対抗活動を強化している。2021年6月初めに、eVTOL(電動垂直離着陸機)の「Make」(メーカー)を発表したArcherは、米国時間6月23日に提出した裁判資料の中で、WiskがArcherの航空機デザインを知ったのは、その特許意匠出願の数週間前だったと主張し、Wiskのデザインを盗んだという主張を実質的に覆した。

Wiskは4月の訴訟で、自社のデザインがArcherのものとほぼ同じものであり、その類似性は、Wiskの元従業員(後にArcherに採用された)が、Wiskで作業に使っていたファイルを盗んだ結果であると主張していた。今回の新たな申請では、Archerが採用を検討していたWiskのシニアエンジニアのGeoff Long(ジェフ・ロング)氏に対して、12ローターを搭載したチルトデザインの計画を共有したのだと主張し、そしてArcherは、Wiskが特許を出願する数週間前に、ロング氏がそのArcherの計画をWiskの幹部に伝えたのだと主張している。

関連記事:飛行モビリティWisk Aeroが特許侵害と企業秘密盗用の疑いでArcher Aviationを提訴

まだ話についてこれているだろうか?また、Archerは、第三者に依頼してフォレンジック分析を行ったところ、Archerのシステムや、Wiskの元社員だったロング氏が所有するデバイスに、盗まれたとされる文書の証拠は一切見つからなかったとしている。

今回の申請は、ライバルのArcherによって盗まれたとWiskが主張する52のトレードシークレットの使用を、直ちに禁止するよう裁判所に要求した5月の差止命令に対抗するものだ。この要求は、Archerに壊滅的な影響を与える可能性があり、Archer自身もそのことを申請書の中で認めている。Archerは、差し止め命令が承認されると「無期限に活動停止」となり、Archerとそのパートナーやサプライヤーのネットワークに「重大な危機」が生じると主張している。

Archerは申請書の中で「Wiskの訴訟とメディアを使った攻撃は、Archerが予定している合併とそのビジネスパートナーシップを頓挫させる恐れがあり、Archerはこの訴訟に対抗するために多大な資源を振り向けざるを得ない」と述べている。さらにArcherは、差止命令が出される場合には、11億ドル(約1218億5000万円)の保証金が差し出されるべきだと要求した。裁判所がArcher側の主張を受け入れた場合にはWiskはその金額を支払わなければならない。

今回の申請を受けてWiskは、TechCrunchに以下の声明を送ってきた「Archerの今回の申請は不正確なものばかりで、同社が直面している深刻かつ広範な不正使用の訴えから目をそらそうとしているものです。今回の申請によって変わるものはありません。ArcherがWiskの知的財産を不適切に使用したことを明らかにするために、法廷で訴訟を続けることを楽しみにしています」。

この訴訟は、カリフォルニア州北部地区の米国連邦地方裁判所に提訴されていて、事件番号は5:21-cv-2450である。

関連記事:The air taxi market prepares to take flight

カテゴリー:モビリティ
タグ:Archer AviationWisk Aero裁判

画像クレジット:Wisk Aero

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(文: Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

ゼンリンCVCと第1号投資先レイ・フロンティアが創る「地図と位置情報データで住み良い街」

カーナビソフトなど地図データで知られるゼンリンは、2021年1月にCVC子会社としてゼンリンフューチャーパートナーズ(ZFP)を設立、4月に25億円規模の第1号ファンドを組成した。5月には投資第1号案件として、位置情報データスタートアップのレイ・フロンティアに出資を決めた。ゼンリンフューチャーパートナーズ代表取締役社長の松下春喜氏、ゼンリンMaaS企画部部長の藤尾秀樹氏、そして第1号出資先レイ・フロンティア代表取締役CEOである田村建士氏に話を伺った。

現在も協業、出資依頼が多いゼンリン

元々、ゼンリンにはベンチャー企業から協業や出資の提案は多く寄せられていた。ゼンリンは、これまでもM&Aや協業・資本提携により事業領域を拡大してきたが、近年の飛躍的な技術革新に対応し、事業領域を拡大していくためには、より広範かつ多岐にわたる分野・業種のベンチャー企業との協業や資本提携が有効であると判断し、迅速な意思決定や投資実行が可能となるようCVC子会社を設立することにした。

ZFPは合計6名のチームで始まり、60社以上のベンチャーの調査を進めている。事業シナジーを活かして、既存事業の成長と新規事業の創出を目指す。MaaS、物流、防災などへの応用の他、AI、量子コンピュータなどの基礎技術分野など、幅広く業界調査を行なって、投資間口を広くとっている。現在投資決定している第2号案件は、リテール業界におけるビッグデータを利用して個人向けプロモーション分析を行っている企業とのことだ。またベンチャーのステージについても、アーリーからレイターまで幅広く出資を検討する方針だという。

個人利用時に感じた技術力の高さがスピード投資を後押し

レイ・フロンティアとは、以前から長崎での観光型MaaS実証実験において連携するなど協業関係にあったが、事業部門からさらなる連携強化のため、同社への出資についても検討して欲しいとZFPに連携があった。連携を受けたZFPでは、事業シナジー効果の検証に加え、DD実施の上、投資の観点からも検証を行い、同社への出資がさらなる連携強化に資するとの結論に至った。

ZFP設立の当初目的とおり、迅速な意思決定がなされ、事業部門から連携を受けた3月初旬から約2カ月後の5月26日には出資が実現した。

レイ・フロンティアには位置情報を数秒単位での位置情報の取得が可能な位置情報収集技術「Silentlog SDK」、AIを活用した行動分析プラットフォーム「Silent Analysis」の技術があり、ゼンリンの自動車用ネットワーク、鉄道路線、駅構内通路、歩行者用ネットワークなど移動に最適化されたデータベース「Mobility based Network」と組み合わせることでMaaS推進を行っていく方針とのこと。すでに長崎での観光型MaaS実証実験においてスマートフォン向けアプリ開発に取り組んでいるという。

ゼンリンMaaS企画部部長の藤尾氏は「実際にレイ・フロンティアのSilentlogを、自分の移動、旅行遍歴などをトラックするのに使っていました。スマホの消費電力が相対的に少なく、いちユーザーとしてもその高い技術力を感じたことも投資決定に活かされています」という。また、レイ・フロンティアの田村氏は「スタートアップ側からすると地図データの収集は骨の折れる業務。ライセンスの問題もありましたが、、今回の投資、提携で事業が進めやすくなりました」と語った。

ゼンリンは「ZENRIN Maps API」も展開しており、データと地図が組み合わさり、技術成長や官民連携を通して、良い街や生活が実現されることを期待している。田村氏も「実際に、三陸鉄道と提携しリアルタイム運行情報をアプリで提供した事例では、通学学生からの電話などでの問い合わせが激減しました。少しずつでもポジティブフィードバックを積み重ねた先に、住み良い生活が待っていると考えています」という。

関連記事:ゼンリンCVC子会社出資第1号の「レイ・フロンティア」とゼンリンが移動最適化や位置情報ビジネスで提携

カテゴリー:モビリティ
タグ:ゼンリンレイ・フロンティア投資位置情報日本地図

フォードのマイクロモビリティ子会社Spinが初の自社開発電動キックスクーター「S-100T」発表

Ford(フォード)のマイクロモビリティ子会社であるSpin(スピン)は、同社初のカスタムデザインによる電動キックスクーターを発表した。同社によると、この「S-100T」は最も安全で丈夫なスクーターであり、独占的なパートナーシップ戦略を目指す都市の注目を集めることが期待されている。

2021年7月にサクラメントでサービスを開始する際には、25台の新型S-100Tスクーターを既存の車両と一緒に配備する。8月までにS-100Tを350台に増やし、年末までには数千台以上を市場に投入したいと考えていると、同社の広報担当者は述べている。

新たに加わったS-100Tの他に、Spinが展開している車両にはオリジナルのS-100と3輪のS-200、そして電動アシスト自転車のS-300がある。これらの車両はSegway-Ninebot(セグウェイ – ナインボット)やOkai(欧凱)との提携によって製造されているが、Spinは多様な車両を維持するために、これらのパートナーシップを継続していく予定だ。

Spinは2019年から独自のスクーターの開発に取り組んできた。当時、路上で使われていたスクーターの多くは既製品で、すぐに壊れてしまものばかりだった。Los Angeles Times(ロサンゼルス・タイムズ)の記事によると、LA地区で使われていたBird(バード)のスクーターは126日しかもたなかったという。

「その時、当社の創業者たちは、Spin自体のためのみならず業界全体のために、電動スクーターの耐久性がどうあるべきかについての新たな基準を、実際に設定しようと決めました」と、Spinの製品担当バイスプレジデントを務めるMaxime Veron(マキシム・ヴェロン)氏はTechCrunchに語った。「そこで私たちは、最もタフなスクーターを作ることを目指し、それがS-100Tのデザイン、製造、テストの指標となりました」。

S-100Tの「T」は「tough(頑丈)」を意味すると、ヴェロン氏は付け加えた。

「私たちは非常に厳しいテストを行いました。それは業界の基準をはるかに超えたもので、拷問と言えるほどです。だからこそ、S-100Tは他の電動スクーターの2倍の寿命が期待できるのです」と、同氏は語っている。

S-100の寿命が約1年半であるのに対し、S-100Tには3年以上の寿命をSpinは見込んでいる。これは400項目にもおよぶ安全性・耐久性テストを実施した結果によるもので、多くのテストは車両がバラバラになるまで行われ、これによって-20℃の厳寒から65℃の高温まで耐えられる車体が出来上がったという。

スクーターの寿命の短さは、そのシェアリングサービスを展開する企業にとって収益を上げることが難しい主な理由の1つとなっている。それが、Spinが耐久性を重視したスクーターの設計を行っている理由だ。

「耐久性は収益性の面で最大の武器です」と、ヴェロン氏はいう。「スクーターが長持ちすることで当社のボトムライン(純利益)と、乗り心地を気に入った顧客を惹き付けるという意味でトップライン(売上)の両方に貢献します」。

S-100Tの設計はモジュール化されており、1つのフレームで構成されているため、耐久性が高く、修理や部品交換が容易で、車両の寿命と持続性に貢献できると、ヴェロン氏は語っている。

この設計とSpinが車両を所有することによって、長い製品寿命とその後のリサイクルまで含めた優れた企業戦略も可能になる。

「耐久性が第一ですが、当社ですべてをコントロールしているため、製品が寿命を終えた後まで含むすべての重要なチェックポイントを、時間をかけて改善していくことができるでしょう」と、ヴェロン氏は述べている。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:FordSpin電動キックスクーター

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Birdがシェア用電動自転車をローンチ、シェア事業者向けアプリも公開

Bird(バード)は、世界の250以上の都市で展開しているeキックスクーター(電動キックスクーター)に加えて、シェア用電動自転車(電動アシスト自転車)を導入することを発表した。また、シェアマイクロモビリティを提供するBirdは、地域のシェア自転車や電気モペットのプロバイダーたちや交通機関のアプリが、Birdのアプリを統合することができる「Smart Bikeshare」(スマートバイクシェア)という名のプラットフォームを同時に立ち上げた。

Birdの創業者でCEOであるTravis VanderZanden(トラヴィス・ヴァンダーザンデン)氏は声明の中で「シェアeキックスクーターは、世界で1億5000万回のゼロエミッション移動を提供し、シェアマイクロモビリティを都市における環境にやさしい交通手段の中心へと押し上げました」という。「私たちは、都市と移動者の間で急速に高まっている、持続可能な交通手段への要求に応えるため、シェア方式のBird Bike(バードバイク)とSmart Bikeshareのプラットフォームを立ち上げました。私たちが拡大したい市場では年間50億回の移動が予想されています」。

今回の発表は、Birdがバッテリーが改善された新型キックスクーター「Bird Three」(バード・スリー)を発表してからわずか1カ月後のことだ。同社の広報担当者によると、マイクロモビリティの巨人であるBirdの電動自転車は、最初の市場の1つとして2021年後半にオハイオ州クリーブランドで展開される予定だ。Birdの声明によると、この電動自転車は2021年、北米、イタリア、スペイン、ドイツ、アイルランド、フランスの一部の都市で利用可能になる予定だ。Birdは、ローンチする電動自転車の台数や具体的なローンチ日程については言及していない。

またBirdは、この電動自転車が同社で設計・製造されているのかどうか、または設計・製造されていない場合には、どのメーカーと協力しているかについても回答をしていない。

Bird Bikeは、75ポンド(約35kg)のフレームにステップスルーデザインを採用していて、20%の勾配のある坂道でも登ることができるという。前カゴ、大きな空気式タイヤ、そしてBirdの乗り物に必要なジオフェンシング(地域限定機能)や診断機能が搭載されている。

Bird Bikeは、Birdの最初の自転車ではない。2019年の夏には、同社はBird Cruiser(バードクルーザーを発表した)。これは自転車とモペットを掛け合わせた、2人乗りの電動自転車だ。しかし同社の広報担当者は、パンデミックが発生した2020年、この試験的な試みを中止することにしたと語っている。

すでにBirdの自転車シェアプラットフォームは、イタリアのeモペット会社「Zig Zag」との間で協業が始まっていて、Birdのアプリ内では、Zig Zagの車両と一緒に表示される。Birdは、世界中の他のマイクロモビリティ企業と協力していきたいと考えており、たとえば米国内ではNorth American Bikeshare Association(北米バイクシェア協会)などの団体と交渉を進めているという。

だがBirdは、Birdのアプリで予約された場合に、現地オペレーターの利益の一部を受け取るかどうかについての質問には答えなかった。

同社の発表によると、Birdのバイクシェア・プラットフォームにより、同社は「地域のシェア自転車やeモペットのプロバイダーと統合した最初のキックスクーター事業者」となる。またBirdは現在のところ、サードパーティのeキックスクータープロバイダーを自社アプリに統合する予定はないということだ。

Birdが地域のeキックスクーター事業者と提携せず、電動自転車や電動モペット事業者とプラットフォームを共有するならば、実際に複数事業を立ち上げるという苦労をすることなく、複数事業の存在感を示すことができるだろう。少なくとも、これらのコラボレーションにより、Birdは、乗り手ががどこでどのようにさまざまな車両を利用しているかをよりよく把握することができる。これは、Birdが投資すべき新たなモビリティ形態を決定するのに役立つだけでなく、特にヨーロッパにおけるBirdの拡大計画にも役立つだろう。

Birdは、これが同社のバイクシェア・プラットフォーム戦略の一環であるかどうかには答えていない。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Bird電動キックスクーター電動自転車

画像クレジット:Bird

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

ボルボの次世代電動フラッグシップSUVはLuminarのLiDARセンサーが標準装備に

Volvo Cars(ボルボ・カー)とLuminar Technologies(ルミナー・テクノロジーズ)が、パートナーシップをさらに強化する。両社は米国時間6月24日、Luminarの自動運転機能スタック(LiDARセンサーや独自の認識システムを含むハードウェアとソフトウェアの組み合わせ)が、2022年にボルボから登場する電動フラッグシップSUVに標準で搭載されることを発表した。

Luminarは2020年5月にボルボとの生産契約を発表したが、その時点ではLuminarのスタックは、ボルボの車両に追加費用が必要なオプションとして用意される予定だった。しかし、今回の発表によると、ボルボの「XC90」の後継モデルに全車標準で装備されることになったという。

ただし、Highway Pilot(ハイウェイ・パイロット)と呼ばれる機能を利用したい場合は、追加料金を支払う必要がある。この機能は、高速道路の認可された区間・条件下で自動運転走行が可能になるというもので、ドライバーは完全に運転から開放される。現在の路上で一般的に実用化されている多くのシステムのように、人間の運転者が監視を続ける必要さえなくなるという。市販の自動運転システムでは最も高性能なものになるが、顧客がこの機能を望むのであれば、そのための費用を払わなければならない。

この機能は、安全な状況でなおかつ合法的に使用が許可された区間であることが確認された場合のみ作動すると、両社はプレスリリースで述べている。顧客が追加料金を払わずに使える機能は、自動緊急ブレーキや車線逸脱防止支援など、自動車事故の最も一般的な原因を未然に防ぐための一連の安全機能だ。

画像クレジット:Volvo Cars

今回発表されたボルボとの契約は、Luminarにとって大きな恩恵となることは間違いない。ボルボの車両に標準で装備されるとなれば、生産量が増加することに加えて、全車両を合わせると何万キロメートルもの走行距離をシステムが経験することになるため、自動運転スタックにフィードバックできる貴重なデータを得ることができる。また、このシステムは無線でのアップデートが可能なので、時間の経過とともにシステムが「賢く」なっていくため、ドライバーにとっても恩恵がある。

ボルボはまだ、Highway Pilotの価格を明らかにしていない。また、新車購入時にオプション料金として払うことになるのか、それとも月額使用料を払う必要があるのかも、現時点では不明だ。しかしボルボによれば、完全自動運転が実現する際には、すべての車両が「ハードウェア的には準備が整った状態」になっているとのことだ。

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タグ:Volvo CarsLuminar TechnologiesLiDAR自動運転電気自動車

画像クレジット:Volvo Cars

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国のロボットタクシーユニコーンのWeRideが5カ月で660億円を超える資金を調達

最近の中国における、自動運転産業の資金調達の状況を把握するのは難しい。広州とカリフォルニア州を拠点とするロボットタクシー企業WeRide(ウィーライド)は、ルノー・日産・三菱アライアンスを戦略的投資家の1つとして迎え、シリーズBとCの資金調達ラウンドによって、わずか5カ月弱で6億ドル(約664億円)以上を調達した

4年前に設立されたこのスタートアップによると、2021年5月に行ったシリーズCの資金調達で評価額が33億ドル(約3654億円)に跳ね上がったという。WeRideは、これまでその投資家の詳細を公表してこなかったが、中国時間6月23日、ルノー・日産・三菱が運営する戦略的ベンチャーキャピタルファンド「Alliance Ventures」、中国の国有プライベートエクイティファンド「China Structural Reform Fund」、中国のCDB Equipment Manufacturing Fundsを運用する「Pro Capital」から3億1000万ドル(約343億円)という多額の投資を受けたことを明らかにした。

投資情報の一部が未公開であるため、WeRideが設立以来どれくらいの資金を調達したかは不明だ。シリーズAラウンドでは「数千万ドル(数十億円)」の資金を獲得している。

ルノー・日産・三菱アライアンスがWeRideに資金を提供するのは、2018年に行われた最初の戦略的投資に続いて2回目となる。今回の資金調達は、中国市場向けのレベル4自動車の開発に向けて、両社が連携を強化するために行われた。WeRideのソフトウェアによって自動化された東風、日産の合弁会社が製造する電気自動車は、すでに1年半前から広州でロボットタクシーサービスを提供している。WeRideは研究開発のために、カリフォルニアでは日産車を使用している。

日産自動車のCOOであるAshwani Gupta(アシュワニ・グプタ)氏は、今回の提携について次のように述べている「中国がモビリティの未来を定義する最前線に立っている中で、私たちはWeRideと提携し、中国の人々の生活を豊かにするために、さらに革新的な技術やサービスを提供できることをうれしく思います」。

WeRide側も日産との提携について、同様にバラ色の印象を持っている。WeRideの創業者でCEOであるTony Han(トニー・ハン)氏は「過去3年間にわたり、彼らはWeRideの自律走行プラットフォームを支える重要な役割を果たしてくれました。そのおかげで当社は先進的なロボットタクシー群を生み出すことができたのです」と語った。

「日産自動車からの継続的な支援によって、私たちは中国における無人ロボットタクシーの商業利用を加速させていきます」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:中国ロボタクシーWeRide資金調達

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(文: Rita Liao、翻訳:sako)

自動運転トラックのEmbarkがSPAC合併で上場へ、評価額は約5770億円

創業5年の自動運転トラックのスタートアップEmbark Trucks Inc.は現地時間6月23日、バリュエーション52億ドル(約5770億円)で特別買収目的会社Northern Genesis Acquisition Corp. IIと合併すると発表した。

Embark(エンバーク)は自動運転トラックに対してまた別のアプローチをとっている。ライバル企業TuSimpleのアプローチである、トラックを生産して運用するというものではなく、EmbarkはAVソフトウェアをサービスとして提供する。運送業者と車両所有者は1マイルあたりのサブスク料金を支払うとソフトウェアにアクセスできる。Embarkのパートナー企業はMesilla Valley Transportation、Bison Transport、Anheuser-Busch InBev、HP Inc.などだ。

運送業者はこのソフトウェアが使えるハードウェアを自動車メーカーから直接購入する。そのため複数の部品やメーカーで「プラットフォーム・アグノスティック」となるようシステムをデザインした、とEmbarkは話す。同社によると、ソフトウェアは1秒あたり長さ60秒のシナリオを最大1200シミュレートでき、走行する他の車両の動きのためにそうしたシナリオを使って適応予測をする。

Embarkは、SPAC取引に関する投資家へのプレゼンテーションで、2023年までに「ドライバー不要」あるいはセーフティドライバーなしでのオペレーションの開始、そして2024年に米国のサンベルト(北緯37度以南の地域)での商業展開を目標としている、と説明した。しかし、Embarkはそれを達成するためのテクニカル上のマイルストーンに到達していない。ソフトウェアはまだ緊急車両とのやり取り、タイヤ破裂や他の機械故障への対応などですべきことがある、と説明した。

合併が完了すれば、Embarkには2億ドル(約220億円)の私募増資を含め、現金で約6億1500万ドル(約680億円)が注がれる。私募増資の投資家はCPP Investments、Knight-Swift Transportation、Mubadala Capital、Sequoia Capital、Tiger Global Managementなどだ。

Embarkはまた、元運輸長官のElaine Chao(イレーン・チャオ)氏が取締役会に加わると明らかにした。まだ24州でしか商業展開が認可されていない自動運転トラックの業界に身を置く企業にとっておそらく大きな恩恵となる。

Embarkは2016年にCEOのAlex Rodrigues(アレックス・ロドリゲス)氏とCTOのBrandon Moak(ブランドン・モーク)氏によって設立された。両氏はカナダのウォータールー大学でエンジニアリングの学位を取りながらともに自動運転に取り組んだ。Y Combinatorを終了したのちにEmbarkはすぐさま計1億1700万ドル(約130億円)を調達した。ここにはSequoia Capital がリードした3000万ドル(約30億円)のシリーズBラウンド、Tiger Global Managementがリードした7000万ドル(約780億円)のシリーズCラウンドが含まれる。

合併取引は2021年下半期に完了する見込みだ。SPAC合併経由で上場する競合社のAVトラックデベロッパーPlusの仲間入りすることになる。TuSimpleは3月に従来のIPO上場を選んだ。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

電動ユーティリティバイクUBCOは持続可能性に優れるサブスクモデルで世界展開と循環型経済分野のリードを目指す

電動ユーティリティーバイクのスタートアップ企業でニュージーランドを拠点とするUBCO(ウブコ)は、米国市場を中心としたグローバル展開と商用サブスクリプションサービス事業の規模拡大のために、1000万ドル(約11億円)の資金調達を行った。

UBCOの主力製品である「UBCO 2×2」は、ダートバイクのような外観でありながら、モペッドのように乗ることができる全輪駆動の電動バイクだ。農家が牧草地や農場を簡単に、安全に、すばやく移動するためのソリューションとして始まったUbco製品は、今では配達業務用途の法人顧客や、ギグエコノミーワーカー、シティライダーに使用される都市部向けバージョンを含むラインナップにまで拡大している。

2015年に創業してから、同社は2つのバージョンの電動ユーティリティバイクを製造してきた。オリジナルのオフロード車である「Work Bike(ワーク・バイク)」と、街乗り用に作られているがオフロードにも十分に対応できる新バージョンの「Adventure Bike(アドベンチャー・バイク)」だ。

UBCOは、Seven Peak Ventures(セブン・ピーク・ベンチャーズ)、Nuance Capital(ニュアンス・キャピタル)、TPK Holdings(TPKホールディングス)が主導するラウンドで新たな資金を獲得したことで、フードデリバリー、郵便サービス、ラストマイル物流など、既存の垂直市場の分野を拡大していきたいと考えている。同社はすでに、ニュージーランドとイギリスのDomino’s(ドミノ・ピザ)と提携している他、ニュージーランド・ポスト、国防軍、自然保護局、Pāmuなどの国内企業や、地元のレストランや店舗などを顧客としている。

同社共同設立者でCEOのTimothy Allan(ティモシー・アラン)氏は「当社はニュージーランドで強力なエンタープライズ市場を有しており、国際的にも強力な販売パイプラインを構築しています」と、TechCrunchに語っている。

現在、UBCOの収益の大半は一般消費者向けの直販が占めているが、同社は企業向け、特にサブスクリプションサービスを積極的に推進している。2×2は、車両と電源システム、クラウド接続、データ分析などを含むインテリジェントなプラットフォームとして構築されているため、サブスクリプションモデルは車両マネジメントシステムとの連携が可能だ。

同社はサブスクリプションによる年間経常収益の増加を推し進めることで、2020年に210万ドル(約2億3000万円)だった収益が、2021年末には840万ドル(約9億3000万円)にまで上昇すると見込んでいる。UBCOのサブスクリプションモデルは、配達用途などで複数台の車両を使用する企業向けに、1台1週間あたり75~85ニュージーランドドル(約5800〜6600円)で提供するというもので、2021年から2022年にかけて、ニュージーランド、オーストラリア、英国、欧州、米国で展開を予定している。同社の広報担当者によると、一般消費者も今後2、3カ月以内にサブスクリプションを利用できるようになるという。

アラン氏は、EV業界の未来はサブスクリプションにあると考えている。それは、収益性が高いだけでなく、環境面でも持続可能性に優れるからだ。このビジネスモデルを拡大することで、同社は循環型経済の分野をリードしていきたいと考えている。

UBCOでは、サブスクリプションモデルで運用される車両の寿命は、販売される車両の4倍になると予測しており、内燃エンジン車と比較すると二酸化炭素の排出量を80%削減できるとしている。

「サブスクリプションとは、当社で車両を所有し、そのライフサイクルを管理することを意味します」と、アラン氏はいう。「例えば、製造されてから最初は、ピザの配達で6万キロメートル、あるいは農地で3万キロメートルといった過酷な状況に使用します。そしてその後、車両をもっと低強度の用途に転用させます。さらにその後は、バッテリーを取り出して、太陽光発電の蓄電池などの用途に利用することができます」。

耐用寿命後の問題を解決することは、個人としても職業上でも困難であり、誰も正しい方法を完全には理解していないため、創造の余地があるとアラン氏は考えている。彼はリサイクルを容易にするために、車両のエンジニアリングにはボトムアップのアプローチを取っていると語る。

「例えば、バッテリーを設計するときに、難燃性の発泡体を入れるのはやめた方がいい。寿命が尽きたときに元に戻せないからです」と、アラン氏はいう。「つまり、正しいラベルを貼ることから始まり、意図を持ってエンジニアリングを行い、そのような製造上のことも想定して設計し、さらに会社の事業や商業システムが、そのコンセプトをサポートする必要があります。現在、私たちは経済性と動機が一致しており、ニュージーランドのプロダクトスチュワードシップ法にも適合しているので、優位な立場にあります」。

実務で使用される車両を使って循環型経済を実現しようとするのは、単に環境のために正しいことをするというだけではない。アラン氏はこれが最終的にはビジネス上の賢明な決断であり、それが顧客を惹きつけ、法人顧客に競争力を与えるものになると考えている。

「当社の顧客はその一翼を担うことになります」と、アラン氏は語る。「私達がそれを可能にするためには、顧客が快適に利用できるようにサブスクリプションと車両の寿命を設計しなければなりません。ほとんどの人は正しいことをしたいと思っています。私たちは、論理的に経済に適合し、大規模に行うことができ、全体的に管理できるシステムを提供することができるのです」。

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タグ:UBCOサブスクリプション電動バイク循環型経済ニュージーランド持続可能性

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ポルシェがスポーツカー用高性能バッテリーを製造へ、Customcellsとの合弁で

ラグジュアリーなスポーツカーメーカーのPorsche AG(ポルシェAG)がバッテリー事業に参入する。同社は現地時間6月21日、リチウムイオンバッテリーメーカーのCustomcells(カスタムセルズ)との合弁事業を通じて高性能の電池を製造する工場を開所する計画だと明らかにした。

ポルシェはCellforce Group GmbHという新しい合弁企業に「(1億に近い)数千万ユーロ」規模を投資した、と取締役のMichael Steiner(マイケル・ステイナー)氏が発表に先立つ記者会見で述べた。工場はまた、ドイツ政府と、工場が立地するバーデン・ヴェルテンベルク州から6000万ユーロ(約79億円)の投資を受ける。陰極材料の供給会社として化学会社BASF SEを選んだ。

製造するバッテリーでは陽極材料としてシリコンを使う。これはエネルギー密度と高温に耐える能力を飛躍的に高めるとポルシェは話す。この2つの要素はいずれもレーシングカーにとって重要な変数だ。バッテリーはすばやく充電されなければならず、しかし製造となると難しい(バッテリーは高温になるのを好まない傾向にある)。

そうした理由から、他の自動車メーカーのものに比べると工場は小規模だ。例えば米国ネバダ州スパークスにあるTeslaとパナソニックの合弁工場は35ギガワットアワーの「ギガファクトリー」キャパシティがあり、ポルシェの親会社VWは2030年までに240ギガワットアワーの生産能力を欧州にもってくる計画だ。ポルシェとCustomcellsの目標は、車両1000台分を十分まかなうことができる年間キャパシティ100メガワットアワーを2024年から生産することだ。工場の従業員はまず13人から始め、2025年までに最大80人に増やす計画だ。

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ステイナー氏は、ポルシェがこのテクノロジーの使用を主流の車両ラインナップに拡大する計画はない、としたが、将来生産コストを下げられる可能性を見出した場合、大量生産する可能性はあると指摘した。「このマーケットで当社は、ハイエンドな車両とモータースポーツ向けの特殊目的セルを探しています。これは今日のマーケットには見当たりません」と同氏は述べた。

このテクノロジーを乗用車に拡大するのは難しいようだ。シリコンの陽極ベースのセル化学はかなり寒い環境で機能したり、充電サイクルを重ねても安定性を維持することが示されていない、とポルシェは声明文で述べた。しかしポルシェの車両がレース向けに開発されたテクノロジーの恩恵を受けるというのはこれが初めてではない。同社の旗艦電動モデルTaycanは、ポルシェ 919ハイブリッドレーシングカーからテクニカル面で多くを拝借している。

これらのバッテリーを使う初の車両はポルシェ製になるだろうが、テクノロジーはLamborghiniやBugattiなどVolkswagen Group傘下の他のブランドにも提供される、とステイナー氏は話した。

「バッテリーセルは未来の燃焼室です」とポルシェのCEOであるOliver Blume (オリバー・ブルーム)氏は声明で述べた。「合弁会社により当社は最もパワフルなバッテリーセル製造のグローバル競争で先頭をいくことになり、まぎれもない当社の運転エクスペリエンスと持続可能性を結びつけることができます。当社はこうやってスポーツカーの未来を形成します」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:ポルシェCustomcellsバッテリードイツ工場

画像クレジット:Porsche

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

フォードがEVバッテリー管理ソフトウェアのElectriphiを買収、法人顧客向けEV事業を強化

Ford(フォード)は法人顧客向けの電気自動車(EV)2種、E-Transit貨物バンF-150 Lighting Proを準備中だ。そして現在、同社はバッテリー管理と車両モニタリングソフトウェアのスタートアップElectriphi(エレクトリフィ)の買収で未来のEV法人事業を完成させようとしている。

買収取引条件は公開されなかった。Fordは創業3年のサンフランシスコを拠点とするElectriphiが、2030年までに充電だけで10億ドル(約1100億円)超の売上高を達成すると期待している。新部門Ford Proは充電にとどまらず財政面での野心を抱えている。ハードウェアとその周辺のもの、そして新たなサービスで、2019年に270億ドル(約2兆9810億円)だった売上高が2025年までに450億ドル(約4兆9690億円)になると予想している、と述べた。

30人のチームのElectriphiは新設のFord Proに加わる。Ford ProはE-Transit貨物バンとF-150 Lighting Proピックアップトラックの法人顧客へのサービス提供に注力している。Fordは2021年後半に顧客へE-Transitの納車を開始する。全電動Lightingピックアップトラックの商用モデルであるF-150 Lighting Proは2022年春にマーケット投入される見込みだ。

「法人顧客が電気自動車を管理車両に加えるにつれ、顧客は車両が毎日充電され、仕事に使う準備ができているようにするために車両デポ充電ステーションのオプションを求めています」とFord ProのCEOであるTed Cannis(テッド・カニス)氏は述べた。「Electriphiの既存の高度なテクノロジーIPをFord Proの電動車両とサービスのポートフォリオに持ってくることで、我々は法人顧客向けのエクスペリエンスを向上させ、車両デポ充電のための単一ソリューションになります」。

Electriphiは、州や連邦政府の命令で重量車や中型商用車が電動化されることが明白になった2018年に創業されたと共同創業者でCEOのMuffi Ghadiali(マフィ・ガディアリ)氏は最近のTechCrunchとのインタビューで語った。Electriphiは米国内外でスクールバスや公共バスなどを含む商用電動車両を展開する部門にフォーカスしてきた。

「今後10年で何が起こるのかを考えてみてください。エネルギーとソフトウェア向けのモビリティでかなりのトランフォーメーションを目にします」とガディアリ氏は話した。「リスクは高く、事は一刻を争います」。同氏は2020年代末までにゼロエミッション車両に移行することを求める、今後出される命令に車両オペレーターが神経質になっている、と指摘した。「すべての車両を10年で交換するためには、ただちに動き始めなければなりません。『このトランジションの間にも車両オペレーションを止めないようにしなければ』というはずです」。

Fordは2021年初めにElectriphiに接触した。ElectriphiはFordとの取引の前に約1100万ドル(約12億円)のバリュエーションで420万ドル(約4億6400万円)を調達した。

FordのフォーカスはE-TransitとLightning Pro向けのソフトウェア構築である一方で、同社がElectriphiの顧客ベースに引き続きサービスを提供するのはあり得る。

「興味深いことに、基本的なFordのプラットフォームはさまざまなタイプの車両やスクールバスで使われていることがわかりました」とガディアリ氏は話した。「ですので、我々が行っていることに関連があるため、どの部門に我々が関与しないことになるのか明言は困難です。もちろん、我々はFordが2022年に始める大量出荷に照準を当てています」。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Ford電気自動車買収

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

パーソナルモビリティの「WHILL」が出産後の患者を病室まで自動運転で移動させる実証実験を産科病棟で開始

WHILL国立成育医療研究センターは6月16日、出産後の患者を病室まで自動運転で移動させる「WHILL自動運転システム」の実証実験を開始したと発表した。同サービスはこれまで、病院外来や空港などでの活用事例があったが、病棟内での利用は国内初となる。

出産直後の患者は、身体の痛みなどのため車椅子でLDR(陣痛・分娩・回復室)から病室に戻ることが多く、医療スタッフが車椅子を押して移動しているという。その際、医療スタッフは新生児を乗せたカートや、患者さんの荷物などを運ぶ作業もあり、大きな業務負荷がかかっている。

実証実験では、WHILL自動運転システムを産科病棟に取り入れ、医療スタッフの業務効率化や患者の移動における安全性・利便性などを検証する。WHILLを実際に利用した患者からは、「従来の車椅子より振動が少ないので乗り心地が良かった」「WHILLの振動が少ないので、傷(会陰切開)に響かなくてよかった」などの声が寄せられているという。

今回の取り組みで利用しているWHILL自動運転システムは、自動運転・自動停止機能などを搭載したパーソナルモビリティ「WHILL自動運転モデル」と、複数の機体を管理・運用するシステムとで構成される、歩道・室内領域向け自動運転システムとなっている。あらかじめ収集した地図情報と、センサー群で検知した周囲の状況を照らし合わせ、自動走行・自動運転による無人での返却も可能だ。

今後、実証実験の結果を基に国立成育医療研究センターとWHILLは連携を深め、 医療現場におけるサービスの向上を図る。将来的には、WHILL自動運転システムの利用範囲を拡張する計画を進め、現在の病室前までの移動サービスから、患者がベッドへの移動がより楽になるよう、各病室内まで自動運転で入っていくシステムを構築することを検討していく。

なお今回の取り組みは、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「AI(人工知能)ホスピタルによる高度診断・治療システム」プロジェクトによる支援を受けて行われる。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:WHILL出産自動運転 / 自律運転(用語)妊娠(用語)MaaS(用語)日本(国・地域)

PCやスマホで建機・重機を遠隔操作できる「Model V」を東大発ARAVが提供開始、後付け装着でも利用可能

建設現場のDX・自動化を目指す東京大学発スタートアップのARAVは6月18日、スマホ・PCなどで建設機械(建機)を遠隔操作できるようにするシステム「Model V」の提供を開始した。10~20年以上前に発売されたような古いタイプの建機でも、改造することなく後付けで装着することで遠隔操作が可能になる。

現在建築現場では、「年間死亡者数が多い」「若者の就業率が低く高齢化が深刻」「建設・採掘の人手不足が加速」といった課題があり、安心・安全な働きやすい環境を整備することが急務となっている。

  • 年間死亡者数が約300人以上おり、全産業の33%前後と危険な現場
  • 29歳以上の就業者が11%。全産業と比較して若者の就業率が低く高齢化が深刻
  • 建設・採掘の有効求人倍率が約16%と人手不足が加速

また建築現場の建築機械についても、「粉塵が舞っている」「『高所や斜面での作業』といった環境要因を改善し、作業員が働きやすい環境を作りたい」「『夏は暑く冬は寒い』という季節要因にとらわれず作業をしたい」といったニーズがあるという。

ARAVではこれらの課題を解決するため、インターネット経由で建機を遠隔操作可能なシステムを開発・提供してきた。そして今回、過去に提供してきたシステムを改善・パッケージ化し、Model Vとして提供を開始した。ARAV調べ(2021年5月31日現在)では、スマートフォンやノートPCなどマルチデバイスに対応し、独自技術でセキュアにインターネットを介し建機を遠隔操作できるのは同社のみとしている。

Model Vは、エッジコンピューターやアタッチメントなどのハードウェア、遠隔操作組み込みソフトウェア、操作時のインターフェースを含むシステムとして構成されている。プロダクトを建設機械に取り付けることで、スマートフォン・タブレット・PCなどの通信機器から遠隔操作が可能になる。

PCやスマホで建機・重機を遠隔操作できる「Model V」を東大発ARAVが提供開始、後付け装着でも利用可能

プロダクトイメージ。画像は制作途中のものにつき、実際の仕様とは異なる場合がある

PCやスマホで建機・重機を遠隔操作できる「Model V」を東大発ARAVが提供開始、後付け装着でも利用可能

取り付けイメージ。画像は制作途中のものにつき、実際の仕様とは異なる場合がある

また遠隔操作時にスマートフォン・タブレットを利用している場合は、タッチ操作に対応。専用・汎用のコントローラーを取り付けるとより快適に操作できるという。無線・有線の汎用コントローラー、ジョイスティックコントローラーなども接続でき、ARAVは操作者に合わせたインターフェースを用意するとしている。

東大発ARAVがスマホ・PCで建機建機を遠隔操作できる「Model V」を提供開始、後付け装着でも利用可能

ノートPCとジョイスティックコントローラーを組み合わせた利用イメージ

東大発ARAVがスマホ・PCで建機建機を遠隔操作できる「Model V」を提供開始、後付け装着でも利用可能

スマホを利用した操作イメージ

なお「Long Range Ver.」と「Short Range Ver.」の2種類があり、Long Range Ver.では、1141km離れた土地からも遠隔操作が可能だ(実証実験を伴う接続可能距離の最大実測値)。過去に富士建と行った共同の実証実験では、東京・佐賀間で遠隔操作に成功しており、離れた県での使用も問題なく行なえるという。

Short Range Ver.では、100kmまでの接続・操作が可能としている。これは、「現場と本社」「現場と操作者がいる場所」などの距離が100km圏内であることが前提の場合に適しているそうだ。

 

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カテゴリー:モビリティ
タグ:ARAV(企業)遠隔操作 / リモートコントロール(用語)建設 / 建築(用語)、重機 / 建機 / 建設機械(用語)、東京大学(組織)日本(国・地域)

電気自動車のCanooがオクラホマに工場を建設、2023年から生産開始

SAPC(特別買収目的会社)との合併を通じて最近公開企業となった電気自動車(EV)スタートアップCanoo(カヌー)は最大2000人が働く工場をオクラホマに建設する計画だ。新たにCEOに指名されたTony Aquila(トニー・アクイラ)氏が米国時間6月17日に行われた投資家向け説明会で明らかにした。

工場はオクラホマ州のタルサから約45分のプライアーにあるミッドアメリカ工業団地内の400エーカー(約1.62平方キロメートル)の敷地に建設される。Canooが「メガマイクロファクトリー」と表現する工場は塗装、修理、総組立のプラントを擁し、2023年の開所が予定されている。周辺には多くの製造・ロジスティック企業が立地している、とアクイラ氏は述べた。

「信じられないほど成長すると考えているハブです」と同氏はイベントで話した。「それに加えて、北米のロジスティックと動きのど真ん中に位置し、どこにでもアクセスし、日帰りできることはかなり重要です」。

初のEVを2022年第4四半期に発売すると明らかにしているCanooはまた、工場建設の間、最初の生産を行うためにオランダ拠点の委託製造メーカーVDL Nedcarと提携すると発表した。

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Canooの今回の発表の1年近く前に、オクラホマはTeslaの工場誘致で破れている。Teslaは東海岸の顧客に販売するCybertruck、Tesla Semi、Model Y、Model 3を生産する工場の建設地として最終的にオースティン近くを選んだ

「とても胸躍らせています。我々は売れ筋の州で、生産に最適なところです」とオクラホマ州知事のKevin Stitt(ケビン・スティット)氏は述べ、同州の電気代が米国で最も安いことも指摘した。同州の安い電気代はGoogleのような企業をひきつけてきた。Googleはプライアーでデータセンターを稼働させている。

Canooの投資家説明会は、同社のビジョンの特定のカ所にフォーカスしているエンジニア、デザイナー、役員らを特集した。同社は消費者と商業客向けのプロダクトに注力している。同社のすべてのEVは同じスケートボードを共有し、ユニークな車両とするために組み合わせ可能な種類の異なるキャビンと「トップハット」を使う。電気マイクロバスやピックアップトラック、B2B応用のためのものなど、すでにいくつかの車両を発表した。CTOのPete Savagian(ピート・サバジアン)氏によると、同社は従業員数も増やし、2021年第1四半期末で約435人になった。そして2021年末までに690人へとさらに増やす計画だ。

投資家説明会は、多難続きだった同社をアクイラ氏が舵取りするようになってから初の大きな公開イベントだった。

Canooは2017年にEvelozcityとして始まり、Faraday Futureの元幹部のStefan Krause(ステファン・クラウス)氏とUlrich Kranz(ウーリッヒ・クランツ)氏によって創業された。2019年春に社名をCanooに変更し、その数カ月後に初の車両をデビューさせた。ユニークな外観の車両と、サブスクでのみ提供するという初期計画で投資家とメディアの注目を集めた。同社はまたHyundai(現代自動車)と共同開発の提携も獲得したが、アクイラ氏の2021年3月のコメントによると、この取引は2021年初めにCanooが事業モデルを変更し、エンジニアリングサービスを他のメーカーに提供しないと決めた後に反故になった。

Canooはまた、共同創業者も失った。まずクラウス氏で、直近ではクランツ氏が社を去った。そして5月、同社は米証券取引委員会の調査を受けていることを明らかにした。5月17日に発表された四半期決算によると、調査は広範にわたり、特別買収目的会社Hennessy Capital Acquisition Corp.のIPO、Canooとの合併、Canooのオペレーション、ビジネスモデル、売上高、収益戦略、顧客契約、収益、そして直近の幹部の退職などが対象となっている。

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タグ:Canooオクラホマ工場電気自動車

画像クレジット:Canoo

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

リンカーン初の電気自動車は2022年発売、続いて3台の新型EVが登場予定

Lincoln Motor(リンカーン・モーター)は、2022年にブランド初の電気自動車を発売し、続いて3台のEVを市場に投入すると発表した。これは2020年代が終わるまでにすべてのポートフォリオを電動化するという、同社が掲げた目標の一環だ。

最初の電気自動車は、リンカーンの100周年を記念して市場に登場する予定だ。またそれは、この高級車ブランドがラインナップ全車の電動化を目指していると最初に報道されてから約4年後のことになる。

GMの高級車ブランドであるCadillac(キャデラック)と同様、リンカーンのラインナップには完全な電気自動車がまだない。しかしリンカーンは、2025年までに全世界における販売台数の半分をゼロエミッション(排ガスを一切出さない)車にするという高い目標を掲げている。これらの新型車は、2025年までに電気自動車に300億ドル(約3兆3000億円)を投資するという(リンカーン・ブランドの親会社である)Ford(フォード)の公約の下に計画されているものだ。

今回のリンカーンの発表は、フォードやその競合他社から発表された一連のEV関連ニュースに続くものでもある。ライバルのGMは米国時間6月16日、EVと自動運転車に350億ドル(約3兆9000億円)を投資する計画を発表した。これは、同社が2020年11月に公約した投資額から、さらに80億ドル(約8860億円)増えたことを意味する。

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リンカーンのEVは当初、Rivian(リヴィアン)のスケートボード型プラットフォームをベースに使用して作られる予定だったが、その計画は2020年4月に破棄された。両社は当時、まだ将来的に共同でクルマを開発する計画があると述べていた。リンカーンの広報担当者は、そのような共同開発計画がまだ残っていることを認めたが、それ以上の情報は明らかにしなかった。

当面、リンカーンの電気自動車は、フォードが開発した新しいEV専用アーキテクチャをベースにすることになる。フォードは5月に投資家向け説明会で、小型SUVおよびセダン用と大型ピックアップ用という2つのフレキシブルなプラットフォームを開発していることを発表した。これは、現行のFord Mustang Mach-E(フォード・マスタング・マックE)やFord F-150 Lightning(フォードF150ライトニング)に採用されているアーキテクチャとは別物だ。

新しいフレキシブルなプラットフォームは、後輪駆動または四輪駆動にすることが可能で、Lincoln Aviator(リンカーン・アビエーター)とFord Explorer(フォード・エクスプローラー)のEVバージョンの車台になることが期待されている。

リンカーンによると、同ブランド初の完全な電気自動車は、プラグインハイブリッドSUVのアビエーターとCorsair(コルセア)に続く電動モデルになるとのこと。リンカーンは、この新しいEVがどのようなモデルになるかを明らかにしていないが、2021年の上海モーターショーで公開されたコンセプトセダン「Zephyr Reflection(ゼファー・リフレクション)」(トップ画像)に似たデザインになることを示唆している。このコンセプトカーは特別に中国市場に向けて製作されたものだが、リンカーンのEVは米国と中国の両方で販売される予定だ。

リンカーンは新型EVのインテリアについても情報を公開している。ミニマリスティックで広々とした空間に、さらなる開放感が得られるパノラミックルーフを備えた車内を、メーカーは「聖域(sanctuary)」という言葉で表現している。同社の次期EVで最も注目すべき点は、Android OSをベースとしたデジタルプラットフォームを採用し、サードパーティ製アプリやサービスの利用や、ソフトウェアのリモートアップデートが可能になることだろう。

リンカーンの新型EVには、高速道路の特定区間でハンズフリー走行が可能になるなど、高度な運転支援機能も搭載される予定だ。

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タグ:Lincoln Motor電気自動車Ford

画像クレジット:Lincoln Motor

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ブリヂストンが自動運転トラックKodiakに出資、タイヤ技術と車両運行管理システムに焦点を当てる戦略的提携も

タイヤメーカー大手のBridgestone(ブリヂストン)は、スマートタイヤ技術のテストと開発を目的とした広範なパートナーシップの一環として、シリコンバレーを拠点に長距離トラックの自動運転技術を開発しているスタートアップ企業のKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)に、少数株主として出資することを発表した。

取引条件は明らかにされていないが、Kodiak Roboticsの共同設立者でCEOを務めるDon Burnette(ドン・バーネット)氏は、これは直接的な金銭出資であると、TechCrunchに語った。また、このパートナーシップの一環として、Bridgestone Americas, Inc.(ブリヂストン・アメリカス・インク、ブリヂストンの米国グループ会社)のCTOであるNizar Trigui(ニザール・トリギィ)氏が、オブザーバーとしてKodiakの取締役会に参加する。

この提携は単なる出資だけにとどまらない。両社はブリヂストンのタイヤ技術と車両運行管理システムの進化に焦点を当てた戦略的パートナーシップも締結している。Kodiakはテストプログラムの一環として、ダラスとヒューストン間の貨物輸送に使用される自動運転トラックに、ブリヂストンのセンサー付きタイヤと車両運行管理システムを使用する。同社は2021年5月、自動運転トラックによる貨物輸送をサンアントニオまで拡大すると発表。カリフォルニア州のマウンテンビュー周辺でも、自動運転トラックのテストを行っている。

年間10万から15万マイル(約16万〜24万km)の距離を走るセミトラックでは、タイヤを常にモニタリングしてその正常な状態を保つことが、トラック輸送の安全性には不可欠であるとバーネット氏は語り、それは人間が運転する場合でもコンピューターが運転する場合でも変わらないと付け加えた。

「自動運転システムの安全性は、最終的には、加速や減速、操舵の際に道路に接するタイヤを操作する能力にかかっています」と、バーネット氏は述べている。「タイヤが期待どおりの性能を発揮してくれると信頼できなければ、限界領域の安全性は必然的に保証されません」。

Kodiakはブリヂストンのスマートタイヤを使用して、空気圧や温度をモニターし、さらに車両の運動性や操縦性に影響を与えるホイールの負荷を測定する。Kodiakが収集したデータをブリヂストンと共有することで、ブリヂストンはタイヤの化学的特性を向上させるためにそれを利用することができる。だが、自動運転技術をてがける企業は、さらなる付加価値をタイヤメーカーにもたらすことができると、バーネット氏は強調する。Kodiakの自動運転トラックには独自のセンサーが搭載されており、タイヤがどのように使用されているかを正確に理解するための膨大な走行データを収集することができるのだ。

「Kodiakのような自動運転技術プロバイダーは、トラックがどのように運転されているかという生のデータをすべて持っています」と、バーネット氏はいう。「どのような力が発生し、どのように操舵され、どのくらいブレーキが踏まれたかということを、私たちはリアルタイムで把握しています。だから、これまでブリヂストンのような企業が集めることができなかった豊富なデータを収集することができるのです」。

これによりブリヂストンは、タイヤの最終的な寿命をより正確に予測できる予測モデルを構築することが可能になり、さらには路上でタイヤに問題が発生する可能性がある場合には警告を発することもできるようになる。「Kodiakが本当に興味を持っているのは、まさにそこなのです」と、バーネット氏は付け加えた。

今回のニュースに先立ち、Kodiakは2021年5月に、韓国の財閥であるSKグループと提携し、同社の自動運転技術をアジアで展開する可能性を検討していくと発表した。SKグループとの提携の最終的な目的は、Kodiakの自動運転技術を同地域で販売・流通させることにある。Kodiakは、人工知能マイクロプロセッサーや高度な緊急ブレーキシステムなど、SKグループが持つ製品、部品、技術を、自社の自動運転システムにどのように利用できるかを検討する。両社はまた、アジアの顧客向けに車両運行管理サービスを共同で提供することにも合意している。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:ブリヂストン自動運転トラックKodiak Robotics

画像クレジット:Kodiak Robotics

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ボルボの高級EVブランドPolestarが初のフル電動SUV「Polestar 3」を米国で生産へ

Volvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)の独立したEVパフォーマンスブランドであるPolestar(ポールスター)が、初のフル電動SUVを米国で製造することになった。

同社は中央ヨーロッパ時間6月16日、この「Polestar 3(ポールスター3)」の組み立てを、サウスカロライナ州リッジビルにあるVolvo Cars(ボルボ・カーズ)との共同工場で行うと発表した。Polestar 3は、EVセダン「Polestar 2(ポールスター2)」と、ハイブリッドグランドツアラー「Polestar 1(ポールスター1)」に続くモデルとなる。Polestar 3の生産は、2022年にグローバルで開始される予定だ。

PolestarのDennis Nobelius(デニス・ノベリアス)COOは、米国での生産により、納期の短縮、世界各地への車両輸送にともなう環境負荷の低減、Polestar 3の価格低減が可能になると述べている。

「これらすべてが、重要な米国の販売市場において、ブランドの競争力をさらに高めます」とノベリアス氏は語った。

また、Polestarは2021年、米国内に約25カ所のリテールスペースを開設し、顧客が同社の車両を試乗できるようにするとともに、無料のピックアップ&デリバリーサービスや出張サービスを提供する予定だという。

Polestar 3は米国の顧客向けに設計されており、同ブランドの車両としては初めて米国で製造されるモデルになる。今回の発表は、PolestarがChongqing Chengxing Equity Investment Fund Partnership、Zibo Financial Holding、Zibo Hightech Industrial Investmentが主導した最初の外部ラウンドで5億5000万ドル(約607億円)を調達してから2カ月後のことだ。そのラウンドには韓国のグローバルコングロマリットであるSK Inc.(SKグループ)をはじめ、さまざまな投資家が参加した。

Polestarは、かつてVolvo Cars傘下のハイパフォーマンスブランドだった。2017年には、Tesla(テスラ)が最初に満たしそれ以来席巻しているニッチ分野である、エキサイティングで運転するのが楽しい電気自動車の生産を目的としたEVパフォーマンスブランドとして再編成された。Polestarは、Volvo Car Groupと中国のZhejiang Geely Holding(浙江吉利控股集団有限公司)が共同で所有している。Volvo Carsは2010年にGeely(ジーリー、吉利汽車)に買収された。

Polestarは設立以来、中国に製造施設を開設し、グローバルな販売・流通体制を構築して、Polestar 1とフルEVのPolestar 2で2車種を発売してきた。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Polestarアメリカ電気自動車

画像クレジット:Polestar

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)