周回衛星向け地上セグメントサービスプロバイダーのインフォステラが総額12億円でシリーズB調達完了

周回衛星向け地上セグメントサービスプロバイダーのインフォステラが総額12億円でシリーズB調達完了、2022年中に米法人立ち上げ周回衛星向け地上セグメントサービスプロバイダーのインフォステラは1月14日、シリーズBラウンドにおいて、総額12億円の資金調達を完了したと発表した。2021年10月実施のファーストクローズ時に7億円、また今回ファイナルクローズとして5億円を調達した。累積資金調達金額は総額24億4000万円となった。

ファイナルクローズの引受先は、既存株主の三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合(三菱UFJキャピタル)、新規投資家のシンガポール政府系投資会社Temasek Holdings傘下のPavilion Capital PTE. LTD.、ICMG共創ファンド1号投資事業有限責任組合(ICMG Partners)、QB第二号投資事業有限責任組合(QBキャピタル、NCBベンチャーキャピタル)を新規株主。

宇宙ビジネスの成長に向けて、周回衛星の事業者に地上セグメントのトータルサービスを提供するため、シリーズBで調達した資金により以下領域に注力する。

シリーズBラウンド調達資金の用途

  • 通信エリアの拡大:通信可能エリアの拡大に向けてStellarStationへの地上局の接続を進める。2021年6月に提携した「AWS Ground Station」の地上局を含め、2022年中早期に世界中で20カ所前後の地上局をStellarStation経由で利用可能となる状態を目指す
  • 衛星オペレーター向け規制対応やライセンス取得サポートの充実:衛星の打ち上げ前に必要となる規制への対応やライセンスの取得のサポートについて、サービスの強化とキャパシティ充実のために体制を強化
  • 国内での地上局ホスティングサービスの開始:日本国内での通信のために、日本での地上局設置に関するニーズがあり、これに応えるため2022年中に日本国内にサイトを準備し、ホスティングサービスを開始することを目指す
  • 米国への事業拡大:海外の衛星オペレーターから、地上局ネットワークについて問い合わせを受ける機会が増えていることから、特に北米でのサービス提供強化のため、2022年中に米国法人の立ち上げる
  • 人材採用・組織力の強化:上記施策の実行に向け、Business Development、Software Development、Operationチームの採用を加速し、組織強化を進める

2016年設立のインフォステラは、周回衛星向けGround Segment as a Service(GSaaS)プロバイダー。「We connect Earth and Space to empower the future」(地球と宇宙をつなげ未来をエンパワーする)をビジョンに掲げ、その実現に向けて「Be the most effective enabler of space business by providing the best access to satellite」(衛星への最高のアクセスを提供し、宇宙ビジネスを最も効果的に実現する)をミッションとしている。

同社は、地上局ネットワークを仮想化するクラウドプラットフォーム「StellarStation」を通じて、柔軟性と拡張性に優れた地上局ネットワークを提供。StellarStationでは、衛星運用者側は一度セットアップを行うだけで、世界中の地上局にアクセスできるようになる。地上局オーナー側は、地上局非稼働時間を他の衛星運用者に貸し出すことで、収益につなげられるとしている。

また、無線ライセンス取得や周波数調整業務など、衛星運用を行うにあたり必要となる地上セグメント側の業務サポートも実施。地上セグメント構築の難易度を下げることで、衛星を活用した新しいビジネスに取り組む企業のミッション開発とサービス改善を支援している。

アパートなど地下駐車場でのEV充電を容易にするHeyChargeがBMW主導で約5.4億円のシード調達

明らかな理由から、EV充電ビジネスは高成長を続けている。2007年以降、最大のプレーヤーの1つとなっているのは、広範なEV充電ネットワークを持つ米国の上場企業、ChargePoint(チャージポイント)だ。しかし、多くのスタートアップがそれに追いつこうとしている。

ドイツに本社を置くHeyChargeは、一般的にEV充電活動の約80%を占める地下駐車場でのEV充電に問題があることに気づいた。問題は、通常のスマート充電インフラにはインターネット接続が必要だが、地下ではそれができないことだ。そこで、HeyChargeは解決策を考えた。

それを実現するために同社は中央ヨーロッパ時間1月13日、BMWグループのベンチャーキャピタル部門であるBMW i Ventures(ChargepointやChargemasterの初期投資家でもある)主導のシードラウンドで470万ドル(約5億4000万円)を調達した。今ラウンドには、欧州の大規模な再生可能エネルギー発電会社であるStatkraftのVC部門Statkraft Venturesも参加している。

HeyChargeがYCの2021年バッチの一部だったときに、TechCrunchは同社を取材した。

HeyChargeのソリューションは、アパートやオフィス、ホテルなどの地下にあるEV用のインフラを対象としている。同社のSecureCharge技術は、現場でのインターネット接続を必要とせず、Bluetoothで接続するプラグ&プレイ(PnP)セットアップを採用している。

HeyChargeのChris Carde(クリス・カルド)CEOは次のように述べている。「欧州では40%、米国では37%の人がアパートに住んでおり、自宅で充電できないために電気自動車を利用することが困難な人が大勢います。HeyChargeのソリューションは、EV充電の拡張性を高めるだけでなく、費用対効果を高めてよりアクセシブルにし、どこに住んでいても、どこで働いていてもEV充電ができるようにします」。

BMW i VenturesのマネージングパートナーであるKasper Sage(キャスパー・セイジ)氏はこう述べている。「今後数年でEV市場が急速に成長するのにともない、世界中で充電ソリューションのインフラ構築を進める必要があります。HeyChargeは、インターネットに接続しないEV充電ネットワークを可能にした最初の企業であり、これは未開拓のホワイトスポットをカバーするための重要な成功要因です」。

HeyChargeは、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Google(グーグル)、BMW、SIXTでの勤務経験を持つクリス・カルド氏とRobert Lasowski (ロバート・ラソウスキー)博士によって2020年3月に設立された。

画像クレジット:HeyCharge founders

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

花のサブスク「ブルーミー」運営元が21億円の資金調達、事業拡張も視野に入れ「ユーザーライク」に社名変更

花のサブスク「ブルーミー」運営元が21億円の資金調達、事業拡張も視野に入れ「ユーザーライク」に社名変更

花のサブスクリプションサービス「ブルーミー」(bloomee)などを運営するユーザーライクは1月14日、第三者割当増資による総額21億円の資金調達を実施したと発表した。累計調達額は40億3000万円になった。引受先は、ジャフコ グループ、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ、農林中金キャピタル。調達した資金により、さらなる顧客拡大、プロダクト体験の強化、サスティナブルな仕組み作りの推進強化、toBやギフト事業の本格化を目指す。

また、新たな企業ミッションである「ユーザーさんの、うれしいを創る」を体現すべく、花以外のカテゴリーへの事業拡張を見据え、2022年1月1日より「株式会社Crunch Style」から「ユーザーライク株式会社」(User Like, Inc.)へと社名を変更した。

2014年9月設立のユーザーライクが展開するブルーミーは、今まで花を飾ることのない層を取り込み、会員数10万世帯超、花の累計出荷本数は1200万本以上となっているという。現在200店舗以上の提携生花店から、毎週季節の花をユーザ-に届けている。なお2021年3月15日より、ブルーミーは、リブランディングを実施している。旧称は「Bloomee LIFE」(ブルーミーライフ)。花のサブスク「ブルーミー」運営元が21億円の資金調達、事業拡張も視野に入れ「ユーザーライク」に社名変更

有名アスリートと一緒にトレーニングできるアプリ「Masters」

Mastersアプリのアスリートたち(画像クレジット:Masters)

2022年の現在は、スマートフォンのアプリの中でレッスンを受けて有酸素運動をしたり、筋肉を鍛えたりするアプリが実にたくさんある。(IPOした)Peloton(ペロトン)のようなプラットフォームの成功はよく知られているが、もちろん、900万ポンド(約14億円)を調達したFiiT(フィット)や、990万ドル(約11億3000万円)を調達したFitplan(フィットプラン)などの新興企業もある。加えて、コーチが自分でコースを作成するMoxie(モクシー)もある。しかし、いまだにあまり開拓が進んでいないのが、セレブリティフィットネスのクラスだ。MasterClass(マスタークラス)は、ハイアートの分野ではほぼ市場を掌握しているが、セレブリティフィットネスは相対的に未踏の分野である。もちろん、有名人が自分のフィットネスアプリを作ることはあるが、その魅力は限られており、有名人にとっては副業に過ぎない。

しかし今、2021年にベータ版を公開した新しいスタートアップ企業が、エリートアスリートから筆者のような凡人がトレーニングを受けられるプラットフォームになることを目指している。

Masters(マスターズ)」は、ユーザーが世界で最も有名なアスリートたちと一緒にトレーニングを行い、4週間のガイド付きオンデマンド・トレーニング・プログラムを通じて、彼らの仕事の秘訣を学ぶことができるアプリだ。

このスタートアップ企業は先日、シードラウンドで270万ドル(約3億900万円)の資金を調達した。このラウンドはKing.com(キング・ドットコム)創業者のファンドであるSweet Capital(スイート・キャピタル)が主導し、Mucker Capital(ムッカー・キャピタル)、Goodwater Capital(グッドウォーター・キャピタル)、Luxor Capital(ラクサー・キャピタル)が参加した他、Shaun White(ショーン・ホワイト)選手、Bam Adebayo(バム・アデバヨ)選手、Kai Lenny(カイ・レニー)選手、A’ja Wilson(エイジャ・ウィルソン)選手などのアスリートや、Anton Gauffin(アントン・ガウフィン)氏、Jakob Joenck(ヤコブ・ヨーンク)氏、Henrik Kraft(ヘンリク・クラフト)氏、Greg Tseng(グレッグ・ツェン)氏、Prerna Gupta(プレーナ・グプタ)氏、Hank Vigil(ハンク・ヴィジル)氏、Janis Zech(ジャニス・ツェッヒ)氏、Andreas Mihalovits(アンドレアス・ミハロビッツ)氏などのプロフェッショナル技術系エンジェル投資家もエンジェルキャッシュを投じた。

同社はすでに何人もの世界的に有名なアスリートと契約を結んでいる。例えば、X GAMES(エックスゲームズ)と3度のオリンピックに出場したスノーボードチャンピオンのショーン・ホワイト選手、3000メートル障害の世界チャンピオンで9度の全米チャンピオンであるEmma Coburn(エマ・コバーン)選手、サーフィンの世界チャンピオンであるカイ・レニー選手、サッカー界のスーパースターでゴールデンボールを獲得したAda Hegerberg(エイダ・ヘガーバーグ)選手、ウィンブルドンで2度の優勝を果たしたテニスチャンピオンのPetra Kvitova(ペトラ・クビトバ)選手などだ。

MastersのCEO兼共同設立者であるGreg Drach(グレッグ・ドラック)氏は次のように述べている。「学習の将来性とは『最高の人から学ぶ』ことであり、同じようにトレーニングの将来性は『最高の人と一緒にトレーニングする』ことです。優秀なトレーナーが指導する対面式のグループエクササイズクラスに10人が参加できるなら、オリンピックメダリストやNBAレジェンドが指導するバーチャルクラスには1000人、1万人が参加できるはずです。私たちの目標は、そんな勝利の方法を、誰もが取り入れることができる実践的なプログラムに変換することです」。

Mastersアプリ 画像クレジット:Masters

Mastersは現在、iOSアプリとして配信されている。各コースはコホートベースで、同じ道のりを歩む同輩と一緒に参加することになる。レッスンは高品質の動画で提供される。

このスタートアップ企業は、都市型ランニングコミュニティ「Midnight Runners(ミッドナイト・ランナーズ)」創業者のグレッグ・ドラック氏とChristian Dorffer(クリスチャン・ドーファー)氏、そして2020年にReddit(レディット)に買収されて2021年廃止された動画共有アプリ「Dubsmash(ダブスマッシュ)」の元CTO / 共同創業者だったDaniel Taschik(ダニエル・タシク)によって2021年に設立された。

Sweet CapitalのRiccardo Zacconi(リカルド・ザッコーニ)氏は次のようにコメントしている。「私はいつも、最高のプロスポーツ選手がトップに立つためにどんなことをやっているのかを知りたいと思っていました。例えば、彼らは実際にジムに行って何をしているのか?Mastersは、彼らのルーティンを、誰にでもできる具体的なプログラムに落とし込むことに成功し、多くの人の心に強く訴えたのです」。

Mastersが今回のラウンドで調達した資金は、新たなアスリートとの契約、Androidアプリの立ち上げ、製品の改良のために使われる予定だ。

ドーファー氏は筆者にこう語った。「人々は、テレビやソーシャルメディア、印刷物、オーディオブックなどで、スポーツ界のアイドルを追いかけるのが好きです。Mastersはまったく新しい出版フォーマットであり、私たちはこれを『インタラクティブ・トレーニング・ドキュメンタリー』と呼んでいます。私たちは、このプレミアムな教育フォーマットこそが未来であり、従来の悠長に構えたビデオフォーマットは競争に苦戦することになると信じています」。

 

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

菌類から革を生み出すMycoWorksが生産規模拡大のため約143億円を調達

MycoWorksの「Reishi」製品(画像クレジット:Jesse Green, Courtesy of MycoWorks)

革に代わる菌類ベースのバイオマテリアルを製造しているMycoWorks(マイコワークス)は、主力製品である「Reishi」の製造を拡大するための生産工場に資金を提供するため、シリーズCで1億2500万ドル(約143億円)という新たなラウンドの資金を調達した。

Matt Scullin(マット・スカリン)CEOは、同社の生地に関する取り組みは競合他社とは異なるとし、同社のFine Myceliumプロセスを「菌糸を工学的に加工し、オーダーメイドで仕様に合わせた唯一の高級素材を育てるバイオテクノロジープラットフォーム 」だとアピールしている。

「この分野では多くのことが起こっています。菌糸体は調整可能な素材であり、多くの人々がこの分野に参入しています。しかし、彼らの主なアプローチは、繊維をとってプラスチックに埋め込むというもので、その結果、『人造皮革』のような低品質の素材になってしまうのです」。と彼は付け加えた。

確かに、Philip Ross(フィリップ・ロス)氏とSophia Wang(ソフィア・ワン)氏が2013年に設立したカリフォルニアの会社は、菌類や他の植物由来の素材を使ってファッション用の生地を作るホットなトレンド企業の1つだ。以前、2020年に4500万ドル(約51億5300万円)の資金調達を行ったMycoWorksを紹介した際、Bolt Threads(ボルトスレッズ)(キノコ)、Ananas Anam(アナナス・アナム)(パイナップル繊維)、Desserto(デセルト)(サボテン革)といった企業が同様のことを行っていることに触れた。

植物由来の素材をファッションに利用することに加え、菌類を利用した技術で成功を収めている企業もある。2021年にシリーズCラウンドで3億5000万ドル(約400億円)を調達したNature’s Fynd(ネイチャーズ・フィンド)は、肉やチーズなどのサステナブルな食品を作るために、固体、液体、粉末として使用できるビーガンタンパク質「Fy」を作った。Atlast Food(アトラスト・フード)も似たようなことを行っており、グルメなキノコの菌糸体から肉の代用品を作っている。一方、発酵プロセスを利用して、とりわけ、他の食品の好ましくない風味を防ぐキノコのエキスを作っているMycoTechnologyは、2020年に1億2000万ドル(約137億円)を超えるシリーズDラウンドを終了した。

一方、シリーズCはPrime Movers Lab(プライム・ムーバーズ・ラボ)が主導し、SK Capital Partners(SKキャピタル・パートナーズ)、Mirabaud Lifestyle Impact and Innovation Fund(ミラボー・ライフスタイル・インパクト・アンド・イノベーションファンド)を筆頭に、他の新規および既存の投資家たちが参加した。現在までに、同社は総額1億8700万ドル(約214億円)を調達している。

MycoWorksは、2021年初頭にHermès(エルメス)との最初の提携を開始し、現在では世界の主要な高級ブランドと契約を結んでいる。Scullin(スカリン)氏は、聞いたことのある高級ブランドであれば、同社はおそらく提携しているはずだと話してくれた。

MycoWorksは、当初は高級品分野で活動していたものの、さまざまな価格帯の製品を可能にする大量生産への移行も目指している。今回の資金調達でそれが可能になると、スカリン氏はいう。

MycoWorksの菌類の青いラックトレイ(画像クレジット:Lindsey Filowitz)

MycoWorksの新しい生産工場は、カリフォルニア州エメリービルのパイロット工場で成功を収めた現在、サウスカロライナ州ユニオンに建設される予定だ。そのパイロット工場でMycoWorksは、トレイベースの生産プロセスを検証し、1万トレイという生産マイルストーンを達成した際には、Fine Myceliumプロセスのスケーラビリティを実証することができたのだ。スカリン氏は、今後12カ月で工場が稼働し、当初は年間数百万平方フィートのFine Myceliumを生産できるようになると予想している。

消費者が求める持続可能な商品の需要に応えるため、スカリン氏は今回の資金をチームの拡大、研究開発、技術開発に投資する予定だ。同社には、Fine Myceliumを最初に使用するブランドとして選ばれるために、何千ものインバウンドの要望が寄せられている。

同氏は、毎年1500億ドル(約17兆1700億円)の革製品が販売されていると推定しており、特にその消費者の追い風が「今、経済における強力な力の1つ」であり続けているため、これは機会が大きいことを意味する、と付け加えた。

スカリン氏は、Prime Movers Labやその他の投資先を選ぶ際に、どれもバイオテクノロジーと製造のスケールアップに関する共通の専門知識を持っていて、それが今まさに同社に必要なことだったと述べた。

Prime Movers LabのジェネラルパートナーであるDavid Siminoff(デビッド・シミノフ)氏は「MycoWorksがFine Myceliumプラットフォームで成し遂げたことは、単なるブレークスルーではなく、変化の時期にある産業にとっての革命です」と文書で述べている。「このチャンスは巨大であり、私たちは、比類のない製品品質と独自の拡張可能な製造プロセスの組み合わせにより、MycoWorksが新素材革命のバックボーンとして機能する態勢を整えていると確信しています」と同氏は語った。

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

モバイルファーストのゲームコミュニティプラットフォーム印Turnipが約14.3億円を調達

モバイルファーストのゲームコミュニティプラットフォームを構築しているインドのスタートアップ、Turnip(ターニップ)は、インドと他の数十カ国での足跡を深め、製品提供の幅を広げるためにWeb3にも手を出すために、新たな資金調達ラウンドで1250万ドル(約14億3100万円)を調達した。

Greenoaks(グリーンオークス)とElevation Capital(エレベーション・キャピタル)は、この創業1年半のスタートアップのシリーズAラウンドを共同で主導した。SEA Capital(シー・キャピタル)、Vibe Capital(バイブ・キャピタル)、Andreessen Horowitz(アンドレセン・ホロウィッツ)のAndrew Chen(アンドリュー・チェン)氏、Udaan(ウダーン)のSujeet Kumar(スジート・クマール)氏、Razorpay(ラゾルパイ)のHarshil Mathur(ハーシル・マトゥール)氏とShashank Kumar(シャシャンク・クマール)氏、Unacademy(アンアカデミー)のGaurav Munjal(ガウラヴ・ムンジャール)氏とRoman Saini(ローマン・サイニ)氏、Groww(グロウ)のLalit Keshre(ラリット・ケシュレ)氏、Harsh Jain(ハーシュ・ジャイン)氏とIshan Bansal(イシャン・バンサル)氏、Notion(ノーション)のAkshay Kothari(アクシャイ・コタリ)氏など多数の起業家もこのラウンドに参加している。

ゲーマー向けには、TwitchやYouTubeなど、巨大なユーザー層への配信を支援するプラットフォームがいくつか存在する。「しかし、より深いエンゲージメントやマネタイズについては誰も解決していません」とTurnipの創業者であるPooja Dubey(プージャ・ドゥベー)氏はTechCrunchのインタビューで語っている。「我々は、これらの課題が他のカテゴリでは対処されているのを見てきましたが、ゲームというカテゴリにおいてはまだ、空白の状態です」。

Turnipは、ゲーマーがモバイル機器からゲームプレイをライブ配信し、ファンと関わり収益化できるアプリ上で、コミュニティを構築することができるようにすることでこれを解決しようと試みている。

ファンは、アプリ内でゲームプレイを視聴し、テキストチャットや音声、ビデオを通じて、ゲームをプレイしている人とリアルタイムで交流することができる。ゲーマーは、引き続きあらゆるプラットフォームで配信をすることができ、ゲームプレイをTurnipに統合することで、トップファンと交流することができる。また、アプリ上でeスポーツトーナメントやマスタークラスを開催し、視聴者と深く関わることも可能だ。

幅広いツールと統合を提供するこのプラットフォームは、低スペックのデバイスだけでなく、低速のインターネット接続にもサポートを拡張するように設計されているとのことだ。

ファンは、バッジやステッカーなどのアイテムの購入、特定のイベントにアクセスするための1回限りの支払い、定期的な支払い設定など、さまざまな方法でゲーマーにチップを渡すことができる。この支払いは「前払いでお願いするのではなく、より細かく、段階的に設定されます」と彼女はいう(AppleとGoogleが30%を徴収しているのに対し、Turnipは10%程度を手数料として徴収している。ドゥベー氏は、利用状況やゲーマーの収入に応じて、手数料を変更する可能性があると述べていた)。

ゲームは近年「Fortnite(フォートナイト)」や「PUBG(パブジー)」のようなインタラクティブなゲームの台頭と、友人同士がリアルタイムで会話しながらミッションをこなし、一般的には、たくさんのバーチャルキャラクターを倒すことができるようにする、高速データ通信が可能になったおかげで、ソーシャル体験になってきている。

SuperGaming(スーパーゲーミング)で長年業界アナリストを務め、コミュニケーションマネージャーを務めるRishi Alwani(リシ・アルワニ)氏は「デザインと開発の観点から、マルチプレイヤーゲームは、ボイスチャットのようなソーシャル機能に適しています。例えば、私たちのゲーム『Silly Royale(Sillyロワイヤル)』は、1300万ダウンロードを達成しました。ボイスチャットでは、1日に300万分のボイスを記録しました」と述べている。

「今日のストリーマーやクリエイターは、TwitchやYouTubeだけでは実現できないような、深い、パーソナライズされた、持続的な関係をファンと築きたいと考えています。Turnipは、受動的な視聴者を能動的に関わろうとするコミュニティへと変化させるプラットフォームを構築し、ファンを喜ばせるとともに、クリエイターにはサブスクリプション、イベント、スポンサーシップなど、新たな選択肢を提供しています」と同氏は述べている。

Turnipは500万人以上のユーザーを集めており、その45%はインド以外の国のユーザーだ。2021年、ユーザーは合わせて10億分以上をこのプラットフォームで過ごしたと、同社は述べている。

「インドから始めたのは、ただ私たちのホームグラウンドだったからです。しかし、私たちの頭の中には、ゲームというものは、地域を超えて広がっていくものだという思いが常にありました。現在では58カ国にユーザーがいます」とドゥベー氏はいう(Turnipの主な海外市場としては、ラテンアメリカ、中東、東南アジアなどが挙げられる)。

このスタートアップは2022年、ラテンアメリカ、中東、東南アジアなどの市場でさらに足跡を深めるために新たな資金を投入する予定だ。また、製品部門を含むいくつかの部門でチームを拡大することも視野に入れている。

Turnipが現在取り組んでいる製品の1つは、コミュニティ運営者がメンバーに報酬を与え、支払いを受け取れることを可能にするトークンである。また同社は、プラットフォーム上でのNFTのユースケースを模索しているという。

Elevation CapitalのパートナーであるMayank Khanduja(マヤンク・カンドゥーヤ)氏は声明の中で「私たちは、プージャ氏とAditya(アディティヤ)氏が築いているモバイルゲームコミュニティの未来を深く信じています」と述べている。彼は「初めて彼らに会ったとき、真にグローバルな製品を作るためのスキルと野心というユニークな組み合わせを持っていることがわかりました」と述べ、同ベンチャーファンドが、当時製品もないのに会って3日で創業者たちと最初のタームシートにサインしたことを付け加えた。

「この製品は、今日のデジタルクリエイターの大部分を占めるゲーマーを中心に据えており、彼らのコミュニティのためにまったく新しい体験を想像させるものです。この1年間におけるTurnipの目覚ましい成長とグローバルな展開により、彼らのビジョンに対する我々の信頼はさらに強固なものとなり、この最新の資金調達ラウンドにおいて我々のパートナーシップを再確認できることに感激しています」。と同氏は語った。

画像クレジット:Turnip

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

テンセントが中国人留学生の授業料支払いに特化したクロスボーダー送金スタートアップに出資

Easy Transferのチーム(画像クレジット:Easy Transfer)

Tencent(テンセント)は、国外にいる何十万人もの中国人学生の学費支払いのストレスを軽減することを目的としているスタートアップEasy Transfer(イージートランスファー)に出資した。

Tencentはこの件についてのコメントを却下したが、Easy Transferの創業者でCEOのTony Gao(トニー・ガオ)氏はTechCrunchに、Tencentは現在Easy Transferの株式約5%を所有していると語った。この投資は2021年12月にクローズし、Easy Transferが現在行っているシリーズCラウンドの第1弾となった。IDGキャピタルとZhenFundがEasy Transferの初期投資家だ。

Easy Transferは取引を直接扱うのではなく、中国でのクロスボーダー決済ライセンスを持つ金融機関と連携している。ガオ氏は以前のインタビューで、同社の付加価値は、送金の手間を省くことだと語っている。従来のやり方では、親や学生は銀行を訪れ、たくさんの書類に記入し、送金先情報が正しいかどうかダブルチェックし、大学の口座に授業料が振り込まれるまで気を揉みながら待たなければならなかった。

Easy Transferでは、ユーザーはオンラインで簡単なフォームに記入するだけで、あとは同社が最大200元(約3600円)の手数料ですべてを処理する。

Tencentの戦略的投資により、Easy Transferはユーザー体験をさらに合理化するつもりだ。両社はWeChatベースの学費送金サービス「WeRemit」を共同開発した。WeChatのエコシステム内にある何百万ものサードパーティのライトアプリとは異なり、WeRemitはWeChatからの手厚いサポートを受け、WeChatが一部運営を行っている。

「マネーロンダリング防止、本人確認、情報のセキュリティなど、WeChatはクロスボーダー決済取引をより安全なものにします」とガオ氏はいう。「WeChatは膨大な量のユーザーデータを保有しているため、銀行でも対応できないような強固なリスク管理システムを構築することができるのです」。

お金を動かす前に、WeRemitはユーザーの顔をスキャンして本人確認を行い、WeChatにすでに保存されている個人情報を収集する。中国のインターネットプラットフォームは、モバイル決済やコンテンツ投稿などのコアな機能を有効にする前に、人々の真の身元を確認することが義務づけられている。

WeChatのAIを使った金融コンプライアンスシステムも活躍している。授業料の請求書、内定通知書、ビザ情報など、WeRemitに提出された書類を特定し、理解するために機械学習が使用されている。また、このシステムではリスクの高い取引にフラグを立ててマニュアルで確認したり、請求額と支払額の数字を比較して過払いを回避したりすることもできる。

WeRemitのサービスを支えているのは、Tencentのオンライン決済部門であり、WeChatのデジタルウォレットであるWeChat Payも運営しているTenpayだ。ユーザーから依頼を受けると、クロスボーダー取引ライセンスを持つTenpayが、Easy Transferを受け入れている大学2000校のいずれかに送金する。

中国で広く普及しているWeChatと提携することで、Easy Transferのリーチが大幅に拡大する可能性がある。ガオ氏によると、Easy Transferは2021年に学生12万人にサービスを提供し、20億ドル(約2280億円)以上の取引を処理したという。現在は、WeChatが「海外留学生」と呼ぶ50万人のユーザーをターゲットにしている。教育省によると、2019年には全体で約70万人の中国人学生が海外に留学していた。

Tencentにとって、Easy Transferとの提携は、海外に旅行する観光客をターゲットにしたクロスボーダーフィンテックサービスの幅を広げることにつながるかもしれない。ガオ氏は、Easy Transferのモデルをアジアの他の地域、特に南アジアや東南アジアで再現したいと考えている。インド、ネパール、ベトナムといった国々で増加している海外留学生を取り込む計画だ。これらの国々の家庭は、学費の送金に関して同じような悩みを抱えており、さらに手数料に敏感だと、ガオ氏はいう。

Tencentにとって海外展開は困難で、海外での影響力を拡大するために主に戦略的投資に頼ってきた。例えば、ビデオゲーム会社の膨大なポートフォリオがその例だ。Tencentは、Grab(グラブ)を含むアジア全域の複数のフィンテックサービスプロバイダーを支援してきた。Tencentは、海外送金に必要なライセンスを持つ適切な現地パートナーとEasy Transferを結びつけることができるとガオ氏は述べ、Easy Transferは現地チームの構築とWeRemitのような使いやすいプロダクトに注力するとしている。

原文へ

(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

ライブ配信アプリ「EVERY .LIVE」を運営するSTAGEが3億円調達、事業拡大に向け子会社設立

ライブ配信アプリ「EVERY .LIVE」(エブリィライブ。Android版iOS版)を提供するSTAGEは1月12日、3億円の資金調達を実施したと発表した。また、さらなる事業拡大に向けて2月1日に新規子会社としてEVERY .LIVEを設立することも明らかにした。

EVERY .LIVEは2021年1月にリリースされたライブ配信アプリ。2022年には「Community+」プロジェクトを立ち上げ、年間ミッションとしてコミュニティ強化を図る予定。ユーザー同士のチャット機能やライバー自身が創作するイベントなどにより、ライバー、リスナー、運営の3者の良い関係性を築きストレスフリーな環境を目指す。

新規子会社であるEVERY .LIVEは、「みんなにいいこと=Good for Everyone」をビジョンとし、ライブ配信を超えた新たなライブコミュニティーサービスの実現を目指す。2025年のIPOを目標としており、2022年はコミュニティ強化、2023年はAPAC事業を中心とした新たな価値創出、2024年は営業利益を最大値まで引き上げるといったロードマップを公開している。

Checkout.comが4兆6000億円の評価額で1145億円のラウンドを実施

決済サービスを提供するCheckout.com(チェックアウト・ドットコム)は、並のユニコーンではない。今回同社は10億ドル(約1145億4000万円)のシリーズD資金調達ラウンドをクローズした。本日のラウンドの結果、同社の評価額は400億ドル(約4兆6000億円)に達した。

これは、2021年の評価額からの大幅な増加だ。前回のシリーズCラウンドでは、150億ドル(約1兆7000億円)の評価額で4億5000万ドル(約515億4000万円)を調達していたので、12カ月間で評価額が167%上昇したことになる。決して悪い数字ではない。

Checkout.comは、ゲートウェイ、アクワイアラー、リスクエンジン、ペイメントプロセッサーとしての役割を果たす、フルスタックのペイメント企業を構成している。同社のサービスを使えば、事業者は自社のサイトやアプリで直接支払いを処理することができるが、一方ホスティングされた支払いページに頼ったり、支払いリンクを作成したりすることなども可能だ。

カード決済、Apple Pay(アップルペイ)、Google Pay(グーグルペイ)、PayPal(ペイパル)、Alipay(アリペイ)、銀行振込、SEPA口座振替、さらにはさまざまなローカルネットワークを通じた現金決済にも対応している。

2021年にはペイアウトを行う機能も追加された。Checkout.comの顧客は、銀行口座への送金が可能だ。また、Mastercard(マスターカード)またはVisa(ビザ)ネットワーク上のカードへのペイアウトにも対応している。例えばTikTok(ティックトック)やMoneyGram(マネーグラム)は、Checkout.comのペイアウト機能を利用している。

Stripeと違い、Checkout.comは取引量の多い大規模なグローバル企業の商取引に特化している。同社の顧客には、Netflix(ネットフリックス)、Farfetch(ファーフェッチ)、Grab(グラブ)、NetEase(ネットイース)、Pizza Hut(ピザハット)、Shein(シーイン)などがいる。また、Klarna(クラーナ)、Qonto(クォント)、Revolut(レボリュート)、WorldRemit(ワールドレミット)など、複数のフィンテックユニコーンの決済スタックにも寄与している。

今回の資金調達ラウンドに関しては、投資家のリストが非常に長いので、シートベルトを締めて読んで欲しい。今回のラウンドに参加した投資家には、Altimeter、Dragoneer、Franklin Templeton、GIC、Insight Partners、Qatar Investment Authority、Tiger Global、Oxford Endowment Fund、そして「西海岸の大規模な投資信託運用会社」が含まれていると、同社は発表文に記している。

また、Blossom Capital、Coatue Management、DST Global、Endeavor Catalyst、Ribbit Capitalなどの、同社の既存の投資家にも参加者がいる。

なぜCheckout.comはこれほどまでに資金を集めたのだろうか?それができるから、というのが理由だ。同社によると、ここ数年は利益が出ているので、投資家は長期的な成長のためにバランスシートに資金を追加しているだけだ。Checkout.comは、調達した10億ドル(約1145億4000万円)と引き換えに、同社の株式の2.5%を渡すだけで済んだ。

創業者でCEOのGuillaume Pousaz(ギヨーム・プザン)氏は声明文の中で「過去10年間、洗練された技術スタックと業界の専門知識、そして 『エクストラマイル』アプローチ(かゆいところに手が届くアプローチ)を組み合わせることで、当社は世界で最も革新的な企業と深いパートナーシップを築いてきました」という。「今回のシリーズDはその成果を証明するものですが、私たちはまだ旅の『第0章』の段階にあるので、資金は今後の膨大な手つかずの機会を引き出すために役立つことでしょう」と述べている。

同社は2021年だけで数千億ドル(数十兆円)の決済を処理している。3年連続で取引量が3倍になり、現在は19カ国に1700人の従業員を擁している。

Checkout.comは次に米国市場に焦点を当てたいと考えている。ロンドンに本社を置く同社は、当初はEMEA(欧州、中東、アフリカ)地域を中心に活動を行っていた。しかし、グローバルな企業のマーチャントと協力していく中で、すべての市場で通用するソリューションを持つことは、将来の顧客にとって大きなセールスポイントになるだろう。

Checkout.comのCFOであるCéline Dufétel(セリーヌ・デュフェテル)氏は声明の中で「EMEAでのアプローチと同様に、当社は企業、特にフィンテック、ソフトウェア、フードデリバリー、旅行、eコマース、暗号資産マーチャントへのフォーカスを続けていく予定です。弊社は、米国のお客様が国内外で成長し、米国以外のお客様が米国に進出することを支援したいと考えています」と語っている。

Web3のチャンス

今回の資金調達によって、Checkout.comはより多くの人材を雇用し、新たな顧客と契約することになるだろう。しかし、同社は立ち止まることなく、新製品を投入していきたいと考えている。

ペイアウトが可能になったことで、新たなチャンスが生まれた。特に、Checkout.comは2022年後半に、マーケットプレイスとペイメントファシリテーターをサポートする予定だ。それはマーケットプレイスの運営者がそれぞれの取引から手数料を徴収できるようにする完全なエンド・ツー・エンドのソリューションとなるだろう。その中では身分証明書の確認や支払いの分割機能も提供される。

また、マーケットプレイスの利用者は、新しいTreasury-as-a-Service(サービスとしての財務)機能により、マーケットプレイス上で直接資金をプールできるようになる。マーケットプレイスが金融サービスをその製品に直接組み込むことができることで、可能性が大きく広がる。

2021年、Stripe(ストライプ)は、Stripe Treasury(ストライプ・トレジャリー)を発表した。Shopify(ショッピファイ)はこの機能をShopify Balance(ショッピファイ・バランス)に採用している。こうしたことは、StripeとCheckout.comの両社がペイメントチェーンのより大きな部分をカバーしたいと考えていることを改めて証明している。

Checkout.comは、新製品に加えて、Web3が市場機会を提供することを認識している。同社はすでに、Coinbase(コインベース)、Crypto.com(クリプト・ドットコム)、FTX、MoonPay(ムーンペイ)、Meta(メタ)のNovi(ノビ)など、複数の暗号資産企業の決済機能の一部を提供している。

しかし、フィアット通貨(中央銀行券など)と暗号資産の橋渡しをすることは、Web3の方程式の一側面に過ぎない。Checkout.comは、顧客がデジタル通貨を使って商品取引を決済できるようにするためのソリューションの、ベータテストを行っている。つまり、Web3版のCheckout.comこそが本当の意味でのCheckout.comになる可能性が高いということだ。

画像クレジット:Checkout.com

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:sako)

イスラエルのクラウドデータセキュリティ企業Eurekaが約9.2億円を調達しステルス状態から脱却

テルアビブを拠点とするスタートアップで、さまざまなデータストアのセキュリティリスクを管理するためのツールを企業に提供しているEurekaは、米国時間1月12日、YL Venturesが主導する800万ドル(約9億1700万円)のシードラウンドを実施したことを発表した。

同社は、Palo Alto Networks(パロアルトネットワークス)でプロダクトマネジメント担当副社長を務めていたLiat Hayun(リアット・ハユン)CEOと、Microsoft(マイクロソフト)およびPalo Alto Networksでエンジニアリング担当ディレクターを務めた経験のあるAsaf Weiss(アサフ・ヴァイス)CTOによって設立された。両氏はこれらの企業に在籍していたとき、企業がますます多くのデータをより幅広いクラウドやサービスに分散して蓄積していることから、より優れたクラウドデータセキュリティおよび管理ツールの必要性を感じていたという。

「データは、企業の経営や競争力を支える貴重な資産です。しかし今では、企業のセキュリティ担当者が管理できる範囲をはるかに超えており、漏洩や紛失、悪意ある行為者による破壊や流出のリスクにさらされています」とハユン氏は語る。

クラウドへの移行がなかなか進んでいなかったり、機密データが最後に移行するアセットであったりすることから、多くの企業が今になってこの問題の大きさに気づいていると彼女は指摘する。

そこでEurekaは、企業のシステムに接続されているすべてのクラウドデータストアを把握し、アクセスポリシーの管理、設定上の問題やポリシー違反の発見を支援することを目指している。多くの企業はデータ保護に関する考え方を明確に持っているが、独自の設定や機能を持つさまざまなデータストアにそれらのポリシーを実装することは、しばしば困難をともなう。

「セキュリティ担当者に特に好評なのは、Eurekaのポリシー変換エンジンです」とハユン氏は説明する。「このエンジンはプライバシー、リスク、コンプライアンス、セキュリティに関するデータ保護ポリシーを、各クラウドデータストアに実装可能なプラットフォーム固有のコントロールに自動的に変換します。これらの変換結果は特にデータストアごとに異なるため、現在、一方を他方に変換することは非常に難しくなっています」。

同社のチームは、Imperva(インパーバ)やIBMなどの競合他社の製品はほとんどがオンプレミスのアプローチをクラウドネイティブな問題に適用しようとしており、一方でプラットフォーム固有のソリューションは、データ環境間のアクセス管理という大きな問題に対処できていないと考えているとのこと。

YL VenturesのパートナーであるJohn Brennan(ジョン・ブレナン)氏はこう述べている。「リアット(・ハユン)とアサフ(・ヴァイス)は、セキュリティリーダーが必要とする運用力をビジネス上の利益に支障をきたさないように提供することで、今後数年間でまったく新しい種類のデジタルトランスフォーメーションを先導していくことでしょう。彼らは、企業が望むあらゆるクラウドデータストアの活用を可能にする一方で、セキュリティチームが組織のクラウドフットプリント全体に対する完全な可視性と理解を維持し、必要に応じてポリシーを容易に進化・管理できるようにしています」。

画像クレジット:Eureka/Eric Sultan

原文へ

(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

すべてのプラットフォームを横断する顧客メッセージングプラットフォームSuperchatが約17.9億円調達

Superchatの創業者。ミカ・ハリー氏(左)とユルマズ・キョクナル氏(右)

2021年のWhatsAppの停止事故は、今でも20億のユーザーの背筋を凍らせているが、このアプリを使って顧客と繋がっている何百万もの企業も同様だ。ご存知のように、現在ではすべてのプラットフォームを横断する全方向的なメッセージングは、そこから多くのスタートアップが誕生している新たな分野だ。

Superchatはその中でも最新となるスタートアップで、現在、必要とされている中小企業が顧客とコンタクトするための、オールインワンのメッセージングプラットフォームを開発している。一部の調査によると、顧客の78%はネガティブな体験に懲りて、企業とのやり取りにギブアップしている。そんな劣悪な顧客サービスによってヨーロッパの企業は毎年、130億ユーロ(約1兆7046億円)の売上を失っているという

Superchatはこのほど、ロンドンのVCであるBlossom CapitalがリードするシリーズAのラウンドで1560万ドル(約17億9000万円)を調達し、これに468 Capitalも参加した。これでSuperchatの調達総額は1800万ドル(約20億6000万円)になる。

Blossom CapitalのマネージングパートナーAlex Lim(アレックス・リム)氏は次のように語る。「Superchatは、中小企業に力をつけて、彼らがデジタルのチャネルをうまく利用できるようにし、最も厳しい顧客にも最良のサービスを提供できるようにします。創業者とチームは、企業が抱える彼ら独特の難関をよく理解している。中小企業の多くは今でもメールや電話を使っているが、特にパンデミック以降はデジタルへの移行が増えています」。

同社は企業の顧客との会話をWhatsAppやFacebook、Instagram、Google Business、Telegram、ウェブ上のチャット、メール、それにSMSからも取り出して、それらを企業用の単一のボックスに入れる。それによって企業は顧客に関するインサイトを得ることができ、売上アップなどに結実させる。メッセージへの返信は、チームの全員が読むことができる。

Yilmaz Köknar(ユルマズ・キョクナル)氏とMika Hally(ミカ・ハリー)氏が創業した同社は、これまで主にドイツの企業を顧客にしてきた。

「現在の顧客は、どこのどのような企業が相手でも、時間を問わずに企業とコンタクトがとれると思っています。これが、企業にとって業務運用の悪夢になり、顧客にはお粗末な体験につながります。このような方法は誰にとっても良いものではありませんが、Superchatを利用すればみんながWinになります」とキョクナル氏はいう。

この分野には、Rake、Messagebird、Smoochといった資金豊富な競合他社が多く、Superchatは苦労している。今後どんな戦いになるか、興味深い。

原文へ

(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

イヤホン型脳波計とニューロテクノロジーAIを手がけるVIE STYLEが1.8億円調達、ブレインテック領域の研究開発を強化

イヤホン型脳波計とニューロテクノロジーAIを手がけるVIE STYLEが1.8億円調達、ブレインテック領域の研究開発を強化

イヤホン型脳波計とニューロテクノロジーAIを開発するVIE STYLE(ヴィースタイル)は1月13日、総額約1億8000万円の資金調達を完了したと発表した。引受先は、AIX Tech Ventures、静岡銀行、静岡キャピタル、フィンテック グローバル、FUNDINNO(クラウド株主)、個人投資家。調達した資金により、ブレインテック領域での研究開発および採用・組織体制の強化を行う。

2013年8月設立のVIE STYLEは、「味わい深い人生を 〜Feel the life〜」をビジョンに掲げるスタートアップ企業。ブレインテックと音楽で、人々の感性をアップデートし、ウェルビーイングに貢献することを目指している。世界中の人々が感性豊かな人生を送ることを支援するサービスを創造するともに、脳神経に関わる未来の医療ICT・デジタルセラピューティクスの発展にも寄与したいという。

同社第1弾プロダクト「VIE ZONE」(ヴィーゾーン)は、イヤホン型脳波計で外耳道から脳波を取得し、独自開発のAIエンジンにより、集中度およびストレス・疲労などを解析するという。音楽を用いて脳をチューニングすることで、ストレスの軽減やフロー状態へ導くことを目的とした生産性支援サービスとなっているそうだ。

また、自社製品開発と同時に、通信インフラ企業、製薬企業および国立研究機関などとともに、脳科学を用いたソリューションの共同研究開発事業を実施しており、直近では2桁以上のプロジェクトを進めているという。特に、疾病の予防・診断・治療などの医療行為をデジタル技術を用いて支援・実施するDTx(デジタルセラピューティクス)の研究開発、社会実装に取り組んでおり、様々な疾患に対して、これまでにない新しい治療法の開発を目指している。

 

医師を退屈なデータ入力から解放、AI駆動の転写プラットフォームDeepScribeが約34億円調達

AIを活用した医療用転写プラットフォームのDeepScribe(ディープスクライブ)は、Index VenturesのNina Achadjian(ニーナ・アチャドジアン)氏がリードし、Scale.aiのCEOのAlex Wang(アレックス・ワン)氏、FigmaのCEOのDylan Field(ディラン・フィールド)氏、既存投資家のBee Partners、Stage 2 Capital、1984 Venturesが参加したシリーズAラウンドで3000万ドル(約34億円)を調達した。DeepScribeの今回の資金調達は、2021年5月に発表された520万ドル(約6億円)のシードラウンドに続くものだ。DeepScribeは、医師を退屈なデータ入力から解放し、患者にフォーカスできるようにすることを目的に、Akilesh Bapu(アキレッシュ・バプ)氏、Matthew Ko(マシュー・コー)氏、Kairui Zeng(カイリュー・ゼン)氏によって2017年に設立された。

2019年、DeepScribeは患者と医師の自然な会話を要約するアンビエント音声AI技術を発表した。DeepScribeのアイデアは、バプ氏とコー氏の体験が発端だ。バプ氏の父親はがん専門医で、文書作成が父親のワークライフバランスに与える負担を目の当たりにした。一方、コー氏は、乳がんと診断された母親のケアを管理していたとき、診療記録の負担が患者のケアに対する認識にどのような影響を及ぼしているかを目の当たりにした。

母親が受けていたケアに不満を感じたコー氏は、バプ氏とその父親に助けを求めた。そして、診察記録の重要性を理解し始めた2人は、近年の人工知能や自然言語処理の飛躍的な進歩が、この状況を改善するために活用されていないことに気づいた。そこで、この問題を解決するプラットフォームを構築すること決意した。

「この分野の製品を調査した後、75%以上の医療従事者がこの分野の文書作成ツールを使っているのに、それでもなぜ彼らが半日近くをメモ書きに費やしているのか疑問に思いました」と、コー氏は電子メールでTechCrunchに述べた。「製品をテストした後、私たちの結論は、この分野の既存の製品では医師が会話を要約する必要があるために問題を解決していない、というものでした。音声テキスト化ソリューションは、あなたがが話した内容を正確にコンピュータの画面上のテキストに変換することしかできませんでした。医師が求めていたのは、患者との自然な会話を理解し、要約することができるアンビエントAIでした。この洞察をもとに、私たちは世界初のアンビエントAIスクライブ、つまり現在のDeepScribeの構築に着手しました」。

医師がアプリケーションを起動すると、DeepScribeは会話を録音し、要約して、医師が選択した医療記録システムに統合する。アプリは、聞きながら患者の診察を録音し、診察記録を準備する。その後DeepScribeは、電子カルテ (EHR) のフィールドにメモを直接アップロードし、医師は適切なEHRフィールドに完全に準備されたメモを確認し、署名することができる。

このアプリケーションはおしゃべりに対応していて、会話には医学的に関連する情報のみが含まれる。また、医師の会話スタイル、好みの言い回し、文章の好みなどを聞き、学習することで、AIスクライブは継続的に賢くなるという。

過去1年半の間に全米で医師400人超がDeepScribeを利用し、50万件以上の患者・医師間の会話を処理してきた。DeepScribeによると、同社のプラットフォームを活用することで医師は1日平均3時間を節約でき、コストは人間による記録の約6分の1だ。これまでに、同社は医師の文書作成にかかる時間、250万分以上を節約した。信頼性に関しては、20日間の使用後、医師はメモ1枚につき平均1回以下の修正しか行わなかった、とDeepScribeは話す。

DeepScribeは、今回の資金調達によりDeepScribeの成長が加速し、今後も医療文書作成ワークフローとヘルスケア全体の改善と変革に取り組んでいくと話す。自社の技術を複数の大規模医療システムに展開し、エンジニアリングチームを成長させ、自社のAIをより多くの医師の手に渡すことを目指している。

「当社のロードマップには多くのものがありますが、最もワクワクさせるのは、純粋な要約以外の可能性です」とコー氏は話す。「音声が未来の医療の構成要素になると信じていて、お馴染みのケアの診断と治療を変換する能力を持っています。サービスの提供を通じて収集したデータを活用し、医師に効率化を提供するにとどまらず、患者の転帰を改善したいと考えています」。

画像クレジット:DeepScribe

原文へ

(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

手軽にインタラクティブなデモを体験できる動画作成ツールArcadeが約2.88億円調達

Arcadeのチーム。左から、Charlie McGeorge(チャーリー・マックジョージ)氏、キャロライン・クラーク氏、リッチ・マナラン氏(画像クレジット:Arcade)

試してみたいアプリやツールはたくさんある。大半の企業は試用したい人に対して標準的なフォームへの入力、その後にユーザー名とパスワードの作成を求める。手続きをすべてした後で、そのアプリは評判通りではないことがわかったりする。

Arcadeはこの状況を変えようとしている。米国時間1月11日に正式に発表されたこのインタラクティブデモの会社は、企業が「アーケード」と呼ばれるデモビデオを簡単に作成してツールの動作を紹介できるようにする。

以前にAtlassianの同僚だったCaroline Clark(キャロライン・クラーク)氏とRich Manalang(リッチ・マナラン)氏が創業した同社は、シードラウンドで250万ドル(約2億8800万円)を調達したことも発表した。このラウンドを主導したのはUpfront Venturesで、SequoiaとBondの他Mathilde Collin(マチルデ・コリン)氏、Laura Behrens Wu(ローラ・ベーレンス・ウー)氏、Jaren Glover(ジャレン・グラバー)氏、Eric Wittman(エリック・ウィットマン)氏、Jonathan Widawski(ジョナサン・ウィダウスキー)氏、Lenny Rachitsky(レニー・ラチツキー)氏などのエンジェル投資家も参加した。

クラーク氏とマナラン氏は2021年前半にArcadeを創業し、2021年7月にプライベートベータ版を公開した。これまでに約300社が順番待ちに登録した。そのうち90社は無料版の使用を開始し、125以上のアーケードが制作された。

Arcadeではクリックする場所を記録したデモを作り、それをプロダクトのスニペットとしてウェブサイトやブログ、ツイートに埋め込むことができる。このようにして、プロダクトを使ったことのない人が試用版を申し込む前に動作を見ることができる。

マーケティング畑のクラーク氏はTechCrunchに対し、プロダクト・レッド・グロースというコンセプトの先駆者であるAtlassianに同氏とマナラン氏が在籍していたときに、顧客の多くはウェブサイト以外のところでAtlassianのプロダクトを発見していることに気づいた。問題は、そうした発見をより良いものにするための解決策がわからないことだった。

クラーク氏は「プロダクトから何を得られるかを明確に示し、人々が簡単に楽しく発見できるようにしたいと考えました」と述べた。

顧客は購入するプロダクトやツールに常に期待を持っているが、クラーク氏によれば、やみくもにサインアップすることはもうしたくないというようにここ数年で考え方が変化しているという。

これまで販売はデモの背後に隠れて関与し、企業は誰かの情報を獲得すると「やった!」と喜んでいた。クラーク氏の説明によれば、Arcadeの顧客の1つであるClockworkは財務の専門家と関わる企業で、見込み客に対して請求書をClockworkのプロダクトと関連づければClockworkの動作を確認できると説明することが多かったが、これはハードルが高い。Arcadeを利用することでClockworkは見込み客に対して請求書のデータをアップロードすることなくプラットフォームの動作を見てもらえるようになった。CartaもArcadeを利用している企業の1つで、アーケードを自社のさまざまなソーシャルメディアで展開しているとクラーク氏は述べた。

Arcadeは新たに調達した資金でプロダクトとウェブサイトを構築し、エンジニアリングとプロダクトデザイナーも増員する。クラーク氏は、3人のチームで90社をサポートしてきたが2022年中にはスタッフを倍増したいと語る。

同社は今後、マーケティング、機能、展開に力を入れていく。

クラーク氏は「自社のデータを実際に使う前に動作がわかるようにしていきます。プロダクトのアップデート、他のプロパティとの統合、顧客がさらにパワフルなツールを作れる機能に投資する予定です」と述べた。

Upfront VenturesのパートナーであるAditi Maliwal(アディティ・マニワル)氏はメールで、クラーク氏とは数年来の友人で「5年から、長くて10年のジャーニーをともにすることを大変うれしく思っています」と記した。

マリワル氏はさらに次のように述べた。「クラーク氏はバリュードリブンで、知的で誠実な創業者です。私は力のある創業者に投資をします。ファウンダーマーケットフィットで本物のビジョンを作れる創業者です。私は極めて早い段階で、キャロライン(・クラーク氏)が何を作っているにしても投資したいと思っていました。PLG(プロダクト・レッド・グロース)の市場も成長が早く、また現在の私たちの世界はほとんどバーチャルになっています。ベンダーのプロダクトを試すために営業担当者とZoomや電話をするという考え方は、ユーザーのニーズやフローに混乱をもたらすと思います。ユーザーにとっては、ベンダーのランディングページで自分のデータの実例をシンプルに見ることができればもっとずっと手軽であるはずです。Arcadeによってクリエイターは魅力的なエクスペリエンスを作り、自分の仕事に誇りを感じられるようになります」。

Arcadeを創業した2人は顧客になる可能性のあるデザインパートナーを見つけようとしていたと、マリワル氏は最初から考えている。Atlassianで仕事をしていたころ、創業者の2人はプロダクトを見込み客や顧客に見せる効果を実際に体験していた。

マリワル氏は「2人はペインポイントを極めて早い段階で理解していました。2人は、差別化は結局デザインの楽しさであり、マーケッターとエンドユーザーにとってできるだけシンプルにすることであると認識しています。キャロラインとリッチ(・マナラン氏)は強力な会社を作ることに努めていて、まずデザインに優れたプロダクトと優秀なチームを作ることからスタートしました」と述べた。

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)

群衆の動き分析をサポートするPlacer.aiが約115億円調達、コロナ禍でも事業好調

新型コロナウイルス感染症のおかげで、オフィスではなく自宅で仕事をするようになり、旅行や外出も少なくなるなど、多くの人がこのところ以前のようには動き回っていない。そしていま、より「普通」の行動に戻るにつれて、人々がどこを、どのように移動しているかをより理解するのをサポートしているスタートアップが、かなりの額の資金を獲得した。さまざまな施設での人々の足取りを追跡・理解するためのプラットフォームを構築したPlacer.ai(プレイサーエーアイ)は、1億ドル(約115億円)を調達し、この資金を引き続きプラットフォームを拡大するのに使う。同社は、今回のラウンドでの評価額が10億ドル(約1150億円)であることを認めた。

このラウンドは、戦略的投資家と金融投資家の興味深い組み合わせによるものだ。Product HuntのCEOであるJosh Buckley(ジョッシュ・バックリー)氏がリードし、WndrCo(DisneyとDreamworksのトップJeffrey Katzenberg氏の投資会社)、Lachy Groom(ラッチー・グルーム)氏、MMC Technology Ventures LLC、Fifth Wall Ventures、Array Venturesが参加し、さらに、Continental Realty CorpのCEOであるJ.M. Schapiro(J.M.シャピロ)氏、Tryperion PartnersのEliot Bencuya(エリオット・ベンクヤ)氏とJeff Karsh(ジェフ・カーシュ)氏、Klein Enterprises/Sundeck CapitalのDaniel Klein(ダニエル・クレイン)氏、Majestic Realtyといった不動産関連の著名人も多数参加している。今回のラウンドは、Placer.aiの5000万ドル(約57億円)のシリーズBから1年もたっていない。

Placerは現在、不動産・資産、小売、消費財、自治体などの分野に約1000社の顧客を抱え、その中にはJLL、Regency Centers、Taubman、Planet Fitness、BJ’s Wholesale Club、Grocery Outletなどが含まれる。これらの企業は、匿名化された群衆の動きや規模、感情を把握し、意思決定や戦略立案に活用している。

今後は、ユーザーベースをさらに増やすとともに、プラットフォーム自体にも投資し、例えば車両交通、建設予定データ、ウェブトラフィック、購買データなど、現在集積している50以上のデータセットを増強し、物理およびデジタルのデータセットを追加していく予定だ。データセットの増強はPlacerのテクノロジーのユースケース拡大につながる。

ここ数年、私たちの行動がいかに制限されているかを考えると、オープンな場所での物理的な存在で稼いでいる企業が成長し、ましてやその可能性を背景に資金調達を行うのはいささか皮肉だ。実際、PlacerのCEOで共同創業者のNoam Ben-Zvi(ノーム・ベン-Zvi)氏によると、ここ数年、ビジネスはかつてないほど好調だったという。

成長は、大きく分けて2つの領域からきている。まず、人々はまだ買い物をしたり、他の場所に行ったりしていたので、既存の顧客は、人々が移動している時にその移動がどんなものなのか、そしてどこを、なぜ移動しているかを把握するために使っていた(実際、Placer.aiはこのアイデアとCovid-19との関連性を特に追跡するための回復ダッシュボードを作成した)。時が経つにつれて、そのコアビジネスはよりスマートなものになった。

「当社は5年間、アーリーアダプターからフィードバックを受けながら仕事をしてきました」とベン-Zvi氏は話す。「彼らは自社の不動産について得た情報を当社にパスし、その情報をもとにモデルの再トレーニングやキャリブレーションを行い、より精度を高めています」。そして「これまでは、過去のデータに関するものが多かったのですが、現在はより予測的な洞察の提供へとシフトしています」と同氏は付け加えた。

第二に、パンデミックによって、この種のデータを必要とする新たな理由が生まれた。検査会場やワクチン接種会場が混雑しているか、経済の変化により不動産取引が急な動きを見せているか判断するなど、さまざまな理由がある。つまり、M&Aのデューデリジェンスや投資案件の発掘など、新たな顧客層がPlacerのツールを利用していた。

興味深いことに、Placerの判断の重要なポイントの1つは、バーチャル体験の台頭にもかかわらず、フィジカルはまだ死んでいない、というものだったとベン-Zvi氏は指摘する。「どこの国でも回復のスピードは驚くほど速いのです」。これは、2020年初めにパンデミックが最初に世界を覆った時とは著しい対照をなしている。「新型コロナに見舞われたとき、我々は懸念しました。採用を凍結し、顧客の中にはもう営業をやめるところもあり、ただ待っていました」

Placerが顧客に提供できるデータの多くは、従来は最善の努力をしても手の届かないものだった。顧客は基本的にセルフサービスツールを使って自社で検索のためのパラメータを構築する。(今回出資した)ジェファリー・カッツェンバーグ氏は以前エンターテインメント業界で働いていたため、消費者の行動や感情の未知の部分を直接体験しており、これがそうした問題を解決する技術を構築する会社に引き寄せられた理由のひとつだ。

「Placerは、私たちが30年以上にわたって事業者として問うてきた疑問に対して、即座、シンプル、そして実用的な洞察を提供します。イノベーションのペース、同社が築き上げた独自の信頼、そして膨大な市場の需要、これらすべてがこのチームが達成できることの大きさと規模を示しています」と、カッツェンバーグ氏は声明で述べた。

また、ラウンドをリードしたバックリー氏は「以前からPlacerがもたらす破壊力は大きいと感じていましたが、市場の需要は我々の当初の予想をはるかに上回っています。物理的な世界での意思決定の方法を改善し、これらのビジネスや組織の運営方法を根本的に改善するために、Placerとの提携を継続する強力な好機を見出しています」。

画像クレジット: Pete Saloutos / Getty Images

[原文へ]

(文:Ingrid Lunden、翻訳:Nariko Mizoguchi

Nuroの最新自律型配送ボットは一般商業向け、外装にエアバッグも搭載

Nuro(ニューロ)は米国時間1月12日に、商業的な自律配送戦略の最後のピースの1つを披露した。

元GoogleのエンジニアであるDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ズー)氏が2016年6月に創業して以来、21億3000万ドル(約2443億円)以上を調達したこのスタートアップは、商業運用向けに設計され、BYD North Americaと提携して製造した第3世代の電気自律型配送車両を発表した。

Nuroは、人ではなく荷物を運ぶために設計されたこの配送ボットのために、アルファベット数字の命名法(R1、そしてR2)をやめた。その代わり、この車両は「Nuro(ニューロ)」と呼ばれている。このロボットを大衆に紹介するためのセルフタイトルアルバムのようなものであり、同社の中でのこのフラッグシップモデルの位置づけを示す名称でもある。つまりは「Nuro 」が一番上だ。

Nuroボットは、歩道を走る宅配ボットではない。この新世代も、Nuroのこれまでのモデルも、すべて路上を走るためのものだ。

画像クレジット:Nuro

前モデルの2倍の荷室容量を持ち、カスタマイズ可能な収納と、荷物を保温・保冷する温度調節可能なコンパートメントを備えた新しい「Nuro」ボットは、自動車生産グレードの車両だ。これは、このボットが、天候やくぼみ、人による乱暴な扱い、長時間の走行など、配送車両に求められる過酷な条件に対応できるよう設計・製造されたものであることを意味する。

また、Nuroは、歩行者や自転車に乗っている人など、車両に接触する可能性のある人たちを保護するための安全機能も備えている。この車両はカメラ、レーダー、LiDAR、サーマルカメラなど数種類のセンサーを搭載し、360度の視界を確保しており、1つが故障した場合の冗長性も備えている。

また万が一、人や物に接触した際に作動する外装エアバッグも注目すべきアイテムの1つだ。

画像クレジット:Nuro

ボットの歴史

当初、同社は、アリゾナ州とテキサス州で試験的に食料品の配達や、テスト用にトヨタのプリウスセダンを改造して使用していた。

同社は2018年12月、荷物専用の車両への第一歩となるR1に移行した。

その第2世代の車両R2は2020年2月に導入された。ミシガン州のRoush Enterprises(ルーシュ・エンタープライズ)と提携して米国で設計・組み立てられたR2は、LiDARやレーダー、カメラなどを搭載し「ドライバー」が周囲を360度見渡せるようになった。

しかし、米国運輸省道路交通安全局が通常要求するいくつかの機能が欠けていた。3年にわたる規制当局との協議を経て、Nuroは米国運輸省道路交通安全局からR2車両のドライバーレス免責を取得した。この免除により、サイドミラー、フロントガラス、前進時に停止するリアビューカメラを搭載していないにもかかわらず、車両は走行することができるようになった。

また、Nuroは、カリフォルニア州で(顧客への請求ができる)自律走行車の配送サービスを運営するために必要なすべての承認と許可も得ている。

この新しい「Nuro」ボットは、少なくとも現時点では、商業的な目標に向けた最後のステップだ。

砂漠でボットを作る

同社は、まだNuroを市場に大量に解き放つ準備ができていない。しかし、それは近づいている。

Nuroは豊富な資金を調達し、著名なパートナーとともに車両を試験的に導入し、従業員も1200人を超えるまでに成長した。

5年足らずの間に、Greylock Partners(グレイロック・パートナーズ)、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、T. Rowe Price Associates Inc.(T. ロウ・プライス・アソシエイツ・インク)などの著名な個人投資家や機関投資家を惹きつけてきた。数カ月前に発表された最新の6億ドル(約687億円)の資金調達ラウンドは、新しい投資家であるTiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)が主導し、Baillie Gifford(ベイリー・ギフォード)、Fidelity Management & Research Company(フィデリティ・マネジメント&リサーチ・カンパニー)、LLC、Gaorong Capital(高榕資本)、Google(グーグル)、Kroger(クローガー)、SoftBank Vision Fund 1、T. Rowe Price Associates, Inc、 および Woven Capital(ウーブン・キャピタル)が助言するファンドおよびアカウントが参加している。

Nuroは7-Eleven(セブン-イレブン)、CVS 薬局、Dominos(ドミノス)、FedEx(フェデックス)、Kroger食料品店、Walmart(ウォルマート)など、有名なパートナーも獲得している。

現在、その資金の一部を使って、ネバダ州南部に4000万ドル(約45億円)の最終製造施設とクローズドのテストコースを建設している。また、同社は、ラスベガス・モーター・スピードウェイの74エーカーの土地を借りて、路上自律走行車の開発と検証を可能にするクローズドコースのテスト施設を建設する予定だ。このテストコースでは、歩行者やペットの回避から、共有道路での自転車へのスペース提供まで、幅広いシナリオでのボット性能を測定する他、環境試験や車両システムの検証を行うと、同社は以前から述べている。

サプライヤーであるBYD North Americaが新モデルのハードウェア部品を組み立てる。その後、Nuroの新施設で完成され、ボットは配備に向けて準備される。

「BYDはNuroとのコラボレーションを非常に重要視しています」と、BYD Co. Ltd.の取締役副社長兼BYD Motors Inc.の社長であるStella Li(ステラ・リ)氏は、声明で述べている。BYDはランカスター工場の製造能力を活用してNuroを支援し、カリフォルニアに雇用をもたらすと、リ氏は付け加えた。

Nuroは具体的な生産能力を明らかにしていない。同社は、この施設には年間「数万台」の配送車を製造し、テストする能力があるとしている。また、ネバダ州の施設は2022年中にフル稼働するという以外、スケジュールを明かさなかった。2021年11月に現地で建設が開始された。

Nuroは、これらの商用グレードのボットが最初にどこに配備されるのかについては言及しなかったが、同社は、既存のパートナーであるKrogerと、新しいNuroの配送ボットを使用することで正式な合意に達したことを確認した。

画像クレジット:Nuro

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Yuta Kaminishi)

従業員の報酬に秩序と公平性をもたらすシステムAssembleが約5.7億円の資金を獲得

どの企業も従業員の給与を決定し、その報酬を何らかの方法で管理していく必要がある。多くの場合、スプレッドシートと、給与計算、財務、人事システムなどの異なるシステム間を行き来しているだろう。また、企業は、同レベルの経験を持つ従業員に対して、同じ仕事に対して同水準の報酬を支払っていることを確認する必要がある。

アーリーステージのスタートアップであるAssemble(アセンブル)は、このプロセスを整理したいと考えており、米国時間1月11日、Susa Ventures(スーザ・ベンチャーズ)、Goldcrest Capital(ゴールドクレスト・キャピタル)および複数の業界エンジェル投資家から500万ドル(約5億7600万円)のシード投資を受けたと発表した。

Assembleの共同設立者であるEnrique Esclusa(エンリケ・エスクルーサ)氏は、同スタートアップが報酬決定のためのエンゲージメントシステムを構築したと述べている。

「これは、通常はバラバラのシステムで管理されている報酬と労働力のデータをすべて1カ所に集め、会社全体のさまざまな関係者がアクセスできるだけでなく、実行可能で理解しやすいようにするためのシステムです」と彼は説明した。

エスクルーサ氏と共同設立者のLisa Wallace(リサ・ウォレス)氏は、ウォレス氏が採用を担当し、エスクルーサ氏が財務と事業運営を管理していた別の企業で一緒に働いていた。そこで2人は、この種の情報を管理することがいかに難しいかを、身をもって知ったのである。

「私たちが気づいたのは、すべてが仮想的にスプレッドシートで管理されていたということです。このデータとフレームワークをまとめ、会社全体の意思決定を行う人々に正しい情報を共有し、人を雇い、引きつけ、失わない競争力を持つだけでなく、財政的な責任と公平・公正さを持った意思決定を行うためには、とても苦痛で時間のかかる方法でした」と、彼は述べた。

そこで2020年、この2人の創業者が集まり、自分たちが経験した問題に対処するための製品を作ることを決めたのだ。

ウォレス氏によると、企業は通常、組織を構築した後に、それを修正するために、コンサルタントがさまざまなシステムから情報を引き出す必要があるため、直接的な方法で公平性を考慮することはないという。Assembleは、最初から報酬体系に公平性を組み込むように設計されている。

「重要なのは、1つの場所で報酬の公平性分析を実施したり、別の場所で管理職に単発の可視性を提供したりすることだけではありません。報酬に関わる複数のステークホルダーからなるエンゲージメントのレイヤーを組織全体に設けることです。Assembleは、報酬システムに公平性を最初から組み込むように設計されています。というのも、報酬にはさまざまなステークホルダーが存在し、各自さまざまな目標があるため、簡単にレールを外れてしまうことがあるからです」と、彼女はいう。

画像クレジット:Assemble

Assembleは現在10名の従業員を持ち、多様な創業チームと給与の公平性に関わるDE&I(多様性、公平性、包摂性)ミッションを掲げており、多様で包摂性のある企業づくりに取り組んでいる。

「私たちは多様な候補者を面接し、評価するために、各採用案件に対してかなり協調的な努力をしてきました。それは、私がとても重視していることです。エンリケと私は、自分たちの時間の3分の1を採用活動に費やしています」と語った。加えて、従業員数は10名と少ないが、多様性の数値は多くの指標でかなり良好であると述べている。

「会社としてのヒスパニック系は40%で、従業員の60%が移民か移民の子どもなんです」と彼女はいう。現在10名の社員のうち、女性はわずか2名だが、ウォレス氏は今後の採用で対応する予定だという。また、歴史的に存在感の薄いエンジェル投資家をキャップテーブルに迎え入れ、資金調達の面でも多様性の確保に取り組んでいるという。

報酬は組織内では単独で存在しえないため、AssembleはWorkDay、Gusto、ADP、Bamboo HRなどの人事・給与ソフトツールと連動して動作するようになっている。

画像クレジット:Golden Sikorka / Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Akihito Mizukoshi)

スマートフォンの整備品を販売する仏Back Market、評価額約6530億円に

フランスのスタートアップ企業であるBack Market(バック・マーケット)が、またしてもメガラウンドの資金調達を行った。5月に3億3500万ドル(約384億円)のシリーズDラウンドを実施した同社は、米国時間1月11日、シリーズEラウンドで5億1000万ドル(約584億円)を調達したこと発表。同社の企業価値は57億ドル(約6530億円)と評価されている。

Back Marketという会社に馴染みのない人のために説明すると、同社は電子機器(主にスマートフォン)のリファービッシュ品(整備品)専門のマーケットプレイスを運営している。つまり、スマートフォンの価格は高すぎると思う人が、新品の定価を払わずとも、良い状態のスマートフォンを手に入れることができるというわけだ。

消費者が、通信会社やスマートフォンメーカーから新品の携帯電話を購入する代わりに、Back Marketで電話機を購入する理由はさまざまだ。お金を節約するためだけでなく、同社の多くの顧客は、新機種が前世代のモデルと比べて機能が少ししか進化していないと考えている。

また、さらなる廃棄物を生み出したくないという理由で中古品を選ぶ顧客も多い。古いスマートフォンの多くは結局、引き出しの中に入れられたままになっている。バッテリーを交換したり、時にはディスプレイを交換したりすれば、古い機種も十分に魅力的なリファービッシュ品に生まれ変わることができるのだ。

Back Marketは、自ら直接デバイスを再生するわけではない。代わりにサードパーティ業者が、Back Marketの調達パートナーとなっている。Back Marketのマーケットプレイスに自社の在庫を掲載することで、これらの業者はより簡単に買い手を見つけることができる。

一方で買い手にとっては、Back Marketを通じてデバイスを購入すれば、30日間の返金保証が付くという安心が得られる。これまで合計600万人の顧客がBack Marketでデバイスを購入しているという。

Sprints Capital(スプリンツ・キャピタル)が主導した今回の資金調達ラウンドには、Eurazeo(ユーラゼオ)、Aglaé Ventures(アグラエ・ベンチャーズ)、General Atlantic(ジェネラル・アトランティック)、Generation Investment Management(ジェネレーション・インベストメント・マネジメント)などの既存投資家も参加した。最近、フランスのテックエコシステムは勢いづいており、PayFit(ペイフィット)、Qonto(クォント)、Ankorstore(アンコールストア)といった企業が、この数日間にそれぞれ数億ユーロ(数百億円)の資金調達を発表している。

「私たちの目標は、消費者がテック製品を購入する際に、リファービッシュ品の機器が最初の選択肢となるようにすることです。米国の自家用車市場では、消費者が中古車を信頼して購入するため、中古車は新車販売台数の2倍も売れています。それと同じような展開が、エレクトロニクス市場でも起こることを、我々は期待しています」と、共同創業者兼CEOのThibaud Hug de Larauze(ティボー・ユーグ・ド・ラローズ)氏は声明で述べている。「これらのファンドの支援と信頼は、当社の顧客基盤の拡大と併せ、Back Marketの歩みにおいて、さらには循環型経済全体にとって重要なステップとなります」。

Back Marketにとって特に重要な指標は平均故障率だ。現時点におけるその数字は、約4%と同社では見積もっている。これは、25台に1台の割合で、何らかの形で期待通りの動作をしない個体があるということだ。だからこそ、顧客満足度を高めるためには、カスタマーサービスが重要になる。同社によると、新型機種の故障率は3%と推定されるという。

Back Marketでは、米国市場に明確に注力することで、規模が倍増すると期待している。同社は現在、650人の従業員を抱え、欧州、米国、日本を含む16カ国で事業を展開している。

画像クレジット:Daniel Romero / Unsplash

原文へ

(文:Romain Dillet、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

サブスクなど各種サービスの解約時に抑止・分析を行うチャットボットSmashが8016万円調達、解約抑止率向上を目指す

サブスクリプションサービスなどからの解約を抑止するリテンションボット(解約抑止・分析チャットボット)「Smash」を開発・提供するSmashは1月11日、第三者割当増資による8016万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は博報堂DYベンチャーズ、i-nest capitalの運営するファンド。調達した資金を元に、Smashのさらなる研究・開発を進め、解約抑止率の向上とロイヤルティ強化の実現を加速する。

サブスクリプションサービスや定期通販などでは、ユーザーがサービスへの加入や購入を手軽に行える反面「解約」も気軽に行いやすいという。これにより、企業にとっては解約をいかに抑止しLTV(顧客生涯価値)を高めていくかが課題として挙がっている。

同社のSmashは、各種サービスの解約というタッチポイントでユーザーとコミュニケーションを図り、解約の抑止や分析を行うAIチャットボットによるソリューション。「リアルタイムで空気を読むことによって、デジタルの枠を超え、より人間に近いコミュニケーションを実現」しているという。

2021年3月設立のSmashは、データを活用したマーケティング分析サービスを提供するスタートアップ。サブスクや定期通販の解約から企業の課題を見つけ出し、企業の強みに変えることで、ユーザーのロイヤルティ強化実現を目指している。

 

ベンチャーや成長企業特化の就職サイトCheerCareerを運営するCheerが5000万円調達

ベンチャーや成長企業のための就職サイト「CheerCareer」(チアキャリア)を運営するCheerは1月12日、第三者割当増資・株式譲渡による総額5000万円の資金調達を行ったことを発表した。引受先はWAKIプランニング。資金調達支援プラットフォーム「JPMergers」を通したものという。

調達した資金は、以下にあてる予定。

  • プロダクト開発体制の増強による、UI/UX改善や顧客体験の向上
  • 掲載企業のサポート体制を強化。これにより採用支援の強化や、提供サービスの高品質均一化を実施
  • マーケティング活動強化による認知度向上
  • パートナーの価値向上・サービス品質向上に向け、新たな革新的取り組みに投資

CheerCareerは、地方創生と教育をテーマに「働くにワクワクを。人生にもっと潤いを。」増やすため、働く選択肢を広げることを目的としたベンチャー・成長企業のための就職サイト。スポットライトが当たりにくい企業を就活生の選択肢に入れてもらい、お互いの機会損失をなくすことを目指しているという。さらに、採用だけでなく日本の社会的課題を見据えて経済の起爆剤になるような優秀な人材の育成と輩出、中小ベンチャー企業とのマッチングで日本経済の発展に貢献するとしている。