トラブル続きのアマゾンAWS、今月3度目の障害でSlack、Asana、Epic Gamesのサービスに影響

Amazon Web Services(AWS)のデータセンターの1つで米国時間12月22日、今月3度目となる障害が発生。同社のUS-EAST-1リージョン(バージニア北部)で発生した停電により、Slack(スラック)、Asana(アサナ)、Epic Games(エピックゲームズ)などのサービスに影響が出た。

問題が発生したのは米国東部時間の午前7時30分頃で、午後1時(日本時間12月23日午前3時)現在もその影響は続いている。AWSでは、この地域の多くのサービス、特にEC2コンピューティングサービスと関連するネットワーク機能に問題が発生していると報告している。直近では、この地域のシングルサインオンサービスでもエラー率が上昇し始めていた。

同社は米国東部時間午前8時のアップデートでこう説明している。「US-EAST-1リージョンの1つのアベイラビリティーゾーン(USE1-AZ4)内の1つのデータセンターで停電が発生したことが確認されました。これにより、影響を受けたデータセンターの一部であるEC2インスタンスの可用性と接続性に影響が出ています。また、影響を受けているアベイラビリティーゾーン内の起動で、RunInstance APIのエラー率が上昇しています。影響を受けるアベイラビリティーゾーン内の他のデータセンター、またはUS-EAST-1リージョン内の他のアベイラビリティーゾーンへの接続性と電源は、この問題の影響を受けませんが、影響を受けているアベイラビリティーゾーン(USE1-AZ4)からフェイルオーバーできる場合は、そうすることをお勧めします」。

ここ数週間で発生したAWSの障害がこの1回だけだったら、ほとんど注目されなかっただろう。現代のハイパークラウドの複雑さを考えれば、障害は時々起こるものだと考えられる。しかし、AWSでは現在、毎週のように障害が発生している。12月7日には、同じUS-EAST-1リージョンがネットワークの問題で数時間にわたってダウンした。さらに12月17日には、西海岸の2つのリージョン間の接続に影響を与える障害が発生し、Netflix(ネットフリックス)、Slack、Amazon傘下のRing(リング)などのサービスが停止した。さらに、これらの障害は、12月初めに開催されたre:InventカンファレンスでAWSが自社のクラウドの回復力をアピールした直後に発生したものだ。

もちろん、理想的にはこれらの障害は起こらず、AWSユーザーは地理的に離れたリージョンにフェイルオーバーするようにシステムを構築することで、障害から身を守ることができれば一番だ。だが、それにはかなりのコストがかかるため、ダウンタイムとコストのトレードオフに見合う価値がないと判断する企業も多い。結局のところ、安定したプラットフォームを提供するのはAWSにかかっている。この会社が単に不運続きなのか、それとも何か組織的な問題があってこのような問題が発生しているのかはわからないが、もし私が今US-EAST-1リージョンでサービスをホスティングしていたら、少なくとも別の場所に移すことを検討するだろう。

画像クレジット:Noah Berger/Getty Images for Amazon Web Services / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

アマゾン、Android 12端末でアプリが起動しない問題を認め同社アプリストアの不具合を修正

Amazon(アマゾン)は、同社のAmazon Appstoreにおいて、モバイル端末をAndroid 12にアップグレードした顧客のアプリ起動に問題を引き起こしていた不具合を修正したと発表した。2021年12月初め、秋にリリースされたAndroid 12において、Amazon Appstoreがまだ機能していないという報道が出始めた。ユーザーからは、AppStore自体が動作しないだけでなく、AppStoreからインストールしたアプリやゲームも動作しなくなったとの報告があった。

同社は、Amazonのデジタルデバイスフォーラムでユーザーからの苦情に対応していたが、技術チームがまだ調査中であるとだけ述べていた。しかし、この問題を詳しく紹介したLiliputing.comの記事が話題になり、より多くニュースサイトで取り上げられたことで、Amazonは不具合について公式にコメントすることを強いられた。同社はその後、「Android 12にアップグレードした少数のAmazon Appstoreユーザー」に影響を与えていた「アプリのパフォーマンスと起動」に関する問題の修正に取り組んでいると発表した。同社は当時、この問題はAmazon Fire TVデバイスやAmazon Fireタブレットには影響しないと述べていた。

米国時間12月17日にAmazonは、修正プログラムが稼動したと発表したが、何が問題だったのか、どのように問題に対処したのか、より具体的には説明しなかった。

同社の広報担当者は、メディアと共有した声明の中でこう述べた。「モバイル端末をAndroid 12にアップグレードしたAmazon Appstoreのお客様のアプリ起動に影響を与える問題の修正プログラムをリリースしました。現在、お客様にはAppStoreエクスペリエンスのアップデート手順をご案内しています。このような事態を招いたことをお詫び申し上げます」。

あるユーザーが発見した回避策は、AndroidアプリのAPKファイルを逆コンパイルし、DRMに関連する行をコメントアウトするなどの技術的な手順を踏んでいたことから、Appstoreの問題は内蔵されたDRMとAndroid 12に関連しているのではないかという憶測もあった(だが、これは明らかにメインストリームのユーザーが利用できる解決策ではなかった)。

Amazonがこの問題に何週間も取り組まなかったことは、同社のAppstoreがAndroid端末でいかに支持されていないかを浮き彫りにしている。Google Play以外でアプリを購入する必要性を感じているユーザーはほとんどおらず、それに加えてAndroidのアップグレードサイクルがいかに遅いかを示している。Amazonにとって、この問題に緊急性を持って取り組むことは単に優先事項ではなかったようだ。

最近では、AmazonのAppStoreに対する関心は、Windows 11ユーザーにアプリを配信するためにどう利用できるかということに移っている。Microsoft(マイクロソフト)とAmazonは2021年、Amazonが同社のサードパーティアプリストアをMicrosoft Storeで提供し、それを通してWindowsユーザーがAndroidアプリをPCにダウンロードできるようにするという新たな取り組みで提携することに合意した。

関連記事:AndroidアプリがAmazonアプリストア経由でWindows 11に登場、ウィンドウとして動作

画像クレジット:Dinendra Haria/SOPA Images/LightRocket / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Aya Nakazato)

インド競争当局がアマゾンによるFuture Group企業への出資取引を取り消し、事実隠蔽で罰金約30億円

インドの独占禁止監視当局は、Amazon(アマゾン)が2019年にFuture Group(フューチャーグループ)傘下の企業に出資することについて認めていた承認を取り消し、事実を隠蔽したとしてAmazonに約2630万ドル(約30億円)の罰金を課した。

インド競争委員会(CCI)は、2019年にFuture Coupons(フューチャークーポンズ)に出資したAmazonが「結合の実際の範囲と目的を隠し」、商業上の取り決めのいくつかを届け出なかったと指摘した。

インド最大の小売チェーンReliance Retail(リライアンス・リテール)は1年前、Future Groupの小売・卸売事業と物流・倉庫事業を34億ドル(約3870億円)で買収することで同社と合意したと発表した(CCIはインド2大小売チェーン間の取引を承認している)。

事態がややこしくなったのは、その直後からだ。AmazonはFuture Groupを契約違反で訴え、Future Groupへの先行投資の権利があると主張して、Future GroupとReliance Retailの取引停止を求めてシンガポールの仲裁センターに申し立てた。この問題はインドの最高裁にまでおよび、最高裁は8月に取引停止というAmazonに有利な判決を下した

当初、AmazonとFuture Groupの取引を承認していたCCIは、Future Groupからの申し立てを受けて再度審査を開始した。

「フォームIの項目8.8に基づく開示要求に対して、Amazonが関連する重要な文書を隠蔽した行為は、法45条1項(c)に反する 」とCCIは現地時間12月17日に59ページにわたる命令を出した[H/T ロイターのジャーナリストAditya Kalra(アディティア・カラ)氏]。

60日以内の罰金支払いを求められたAmazonは、命令をレビューしている、と声明で述べた。

「我々はインド競争委員会が下した命令をレビューしており、次のステップについては今後決定します」と、広報担当者はTechCrunchに語った。

命令の数日前に、Amazonはインドの反トラスト機関に、Future Groupとの2019年の取引を取り消せば外国人投資家にネガティブなシグナルを送り、インド最大の小売チェーンを所有するRelianceが「さらに競争を制限する」ことを可能にすると警告していた

インドの数百万の小売業者を代表するロビー団体、全インド商業者連合(Confederation of All India Traders)は、CCIの命令は「画期的なものであり、Amazonはその不正行為と、法律や規則の継続的な違反とともに、あらゆるレベルでの多くの嘘を完全に露呈した」と述べた。

画像クレジット:NOAH SEELAM / AFP Photo / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがAlexaの「スキル」開発者への手数料引き下げ、2022年から

Amazon(アマゾン)は、他の大手テック企業と同様、開発者が得る収益からの取り分を引き下げる。開発者が、スマートスピーカーやその他のAlexa(アレクサ)対応デバイスで動作する音声アプリ、いわゆるAlexaの「スキル」から得る収益が対象だ。

同社は今週、スキル購入(有料インストール)、スキル内購入(アプリ内購入のAlexa版)、スキルサブスクリプションなどの収益が100万ドル(約1億1400万円)未満のAlexaスキル開発者の手数料を2022年、30%から20%に引き下げると発表した。この変更は2022年第2四半期から適用される。サードパーティーの開発者がトラフィックを生み出し、スキルの認知度を高められるよう、開発者特典も拡充する。Amazonによると、新しくプログラムの対象になるのは、前年の収益が100万ドル未満の開発者や、新規のAlexa開発者だ。

AmazonによるAlexa開発者の収益に対する手数料体系の更新は、Apple(アップル)、Google(グーグル)、Microsoft(マイクロソフト)など他の大手テック企業による同様の動きに続くものだ。

ちょうど1年前、AppleはApp Store事業に対する規制当局の監視強化に対応し、1年間のApp Store収益が100万ドル未満の小規模開発者の手数料率を15%に引き下げた。以前は、Appleの標準的な30%の手数料を支払わなければならなかった。Googleもすぐにその動きを追い、Google Playで同様のプログラムを実施し、手数料を15%に引き下げた。ただし、引き下げ後の手数料適用時の計算方法には若干の違いがあった。両社はその後、ニュース出版社やその他のサブスクリプションアプリなど、特定のカテゴリのアプリについて、標準の手数料率にさらに例外を設けることにした。

また、Microsoftは2021年、収益分配の条件をより開発者に有利なものに更新し、同社の決済プラットフォームを利用するアプリ開発者の収益分配を85対15、ゲーム開発者の収益分配を88対12とした。

しかし、AmazonのAlexaプラットフォームは、そうした他の大規模なアプリのエコシステムとまったく同じカテゴリにあるわけではない。

同社は当初、他のアプリストアに匹敵する音声アプリのカタログを計画していたが、現実には、米国の消費者家庭におけるAlexaの大きな足がかりを利用してビジネスで利益を生み出すことができた開発者はほとんどいなかった。

実際、Amazonは長年にわたってスキルの発掘に苦心してきた。調査によると、Alexaデバイスの所有者は、スマートスピーカーやスクリーンを主に内蔵機能のために使用していることがわかっている。すなわち、スマートホーム機器の制御、音楽の再生、買い物リストの作成、タイマーの設定、ニュースの視聴、天気やスポーツ試合結果などの最新情報の取得などだ。Alexaデバイスを通じて行われると期待された音声ベースのショッピングが本格的に普及することはなかった

つまり、Amazonの手数料率の調整を、他のアプリストアのポリシー変更と同じようにとらえることはできないということだ。Amazonは、ある程度、市場動向に追随しなければならないというプレッシャーを感じている。他方、手数料引き下げが、Alexa開発者による自社プラットフォーム向け開発を促すことを期待していることも明らかだ。

Amazonは同じ発表の中で、2022年から始まる新しいプログラムのもとで、開発者の収益を増やすために設計された、さらなる特典を展開するとも述べた。追加特典は、開発者の収益の「最大10%」に相当する可能性があると同社は指摘している。特典には、インセンティブプログラム、開発者のスキルを最適化するための個別フィードバック、マネタイズの機会を見出すための支援などが含まれる予定だ。

Amazonはこれまでにも、優秀なスキル開発者に対し、直接支払う試みをを繰り返してきた。新しいインセンティブがこれまでと異なるものなのか、それとも同じことの繰り返しなのかは、今のところわからない。同社は、このプログラムの詳細について、2022年の開始前に詳細を公表すると述べた。

同社は2020年、Alexaスキルを収益化する機会を増やすことで、スキル開発への関心を呼び戻そうとしてきた。消費者が前払いしてアドオン音声アプリにアクセスする「Paid Skills」の開始、開発者がスキル内でAmazon.comから販売できる(そしてアフィリエイト収入を得られる)「Alexa Shopping Actions」の導入、スキル内購入にアクセスできる海外の開発者の範囲拡大、スキルのホスティングコストのほぼ0ドルへの引き下げなどがある。

画像クレジット:Amazon

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

イタリア競争当局がアマゾンに約1450億円の罰金、市場での地位乱用を指摘

イタリアの競争当局は、Amazon(アマゾン)に11億2900万ユーロ(約1450億円)の罰金を科したと発表した。独禁監視当局によると、Amazonは市場での支配的地位を乱用し、サードパーティの販売者に同社の物流サービス「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」の利用を押し付けたという。

イタリア競争・市場保護委員会(AGCM)は、声明250ページに及ぶ報告書でその考え方を詳述している。それによると、サードパーティの販売者がFBAを活用している場合と、独自の物流スタックを使用している場合では、同じ扱いを受けることができないとのことだ。

FBAを活用している販売者は、同社の有料ロイヤリティプログラムAmazon Primeに参加することができる。このサービスの会員は、一部の商品を無料で配達してもらうことができる。Amazonの自社在庫に加えて、FBAによってAmazonの倉庫から送られてくるサードパーティ販売者の商品にもPrimeラベルが貼られる。

プライムデー、ブラックフライデー、サイバーマンデーなどのAmazonのイベントでPrime商品が扱われるため、広範囲に影響を与えることになる。つまり「Fulfillment by Amazon」を利用すれば、Amazonのイベントに取り上げられる可能性が高くなる。

しかし、それだけではない。Amazonの商品ページでは、同社が自動的に販売者を選択して、購入ボックスを表示している。パソコンの場合、購入ボックスとは画面の右側にある、商品をカートに入れたり「今すぐ購入」ボタンで直接購入したりするためのボックスのことだ。

購入ボックスの下にある小さなボックスには、他の販売者が表示されている。イタリアの競争当局によると、FBAを利用している販売者は、他のサードパーティの販売者に比べて、購入ボックスで紹介される確率が高いという。

筆者がAmazon.itで良い例を探してみたところ、この便座には次のようなことが書かれていた。「Amazonが直接販売していません。サードパーティの販売者からしか入手できません」。デフォルトでは、Amazonは購入ボックスにWOLTU GmbHを掲載している。WOLTU GmbHはFBAを利用しているため、この商品はAmazonが発送する。そして、Amazon Primeで無料の迅速配達を受けることができる。

その購入ボックスの下には、他の販売者から購入できるという小さなボックスがある。今回は、もう一度WOLTU GmbHを目にする(そして「Amazon倉庫」の中古商品も)。同じ販売者だが、直接発送してくれるので送料も無料になる。

なぜWOLTU GmbHは同じ便座を2回出品しているのか? FBAは無料の物流サービスではない。AmazonはFBAで販売された商品からより多い手数料を得ている。また、WOLTU GmbHは直接販売した方が収益が上がるように思える。しかし、便座がサブメニューに隠されているため、顧客が直接販売者から便座を手に入れることを選ぶことはおそらくない。

Institute for Local Self-Reliance(地域自立研究所)の最近の研究では、Amazonがサードパーティの販売者からますます多くの収益を得ていることが取り上げられ、FBAが悪循環に陥っていること、サードパーティの販売者が虜になっていることが強調されている。

同様に、Amazonは販売者に対して、同社の倉庫・配送サービスであるフルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)の購入を強制しています。Amazonのアルゴリズムは、FBAを購入した販売者を非常に優遇しており、Amazonで売上を上げるためにはFBAが必須となっています。その結果、他の運送業者の使用を辞めてFBAを利用する販売者の割合が近年急増しています。Amazonは、自社の配送サービスの使用を虜となった販売者に強制することで、一夜にして大手物流業者に成長しました。Amazonの配達事業は、今や米郵政公社に匹敵する規模となっています。また、ここ数年、Amazonは保管料や配送料を着実に値上げし、FBAを利用して販売者の収益を圧迫しています。

イタリア当局はAmazonに対し、FBAを利用しているかどうかにかかわらず、サードパーティである販売者にとって公平な基準を新たに設けるよう求めている。また、同社は行動面での対策も実施しなければならない。監視する管財人が変更点を確認する。

Amazonは筆者に声明を送ってきた。「当社はイタリア競争当局の決定に強く反対し、控訴します。提案された罰金と救済措置は不当であり、不釣り合いなものです」と同社は述べている。

「イタリアにおけるAmazonの年間売上高の半分以上は中小企業によるものであり、中小企業の成功は当社のビジネスモデルの中核をなすものです。中小企業は、オンラインでもオフラインでも自社製品を販売するための複数のチャネルを持っています。Amazonはその選択肢の1つにすぎません。当社は、Amazonで販売する1万8000社のイタリアの中小企業の成長をサポートするために常に投資を行っており、自社で出荷を管理する販売者を含め、複数のツールを販売者に提供しています」としている。

画像クレジット:Philippe Lopez / AFP / Getty Images

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(文:Romain Dillet、翻訳:Nariko Mizoguchi

中国のAmazonアグリゲーターNebula BrandsがLVMH系投資ファンド主導で約57億円調達

2021年は、エグジットを目指している中国のAmazon(アマゾン)ベンダーにとってバラ色の年となった。ロールアップ(ブランドアグリゲーター)は、中国の輸出向けEC市場に資本を投入し、販売者をすくい上げている。例えばシリコンバレーのMarkaiが、中国ブランドを買収するためにPear VCやSea Capitalなどの投資家からシードラウンドで400万ドル(約4億5000万円)を調達したように、ロールアップ企業自体もベンチャー投資に支えられている。

そして中国をターゲットにした他のアグリゲーターも、より多額の資金を調達している。北京に拠点を置くAmazonアグリゲーターであるNebula Brandsは、シリーズBで5000万ドル(約57億円)を超える資金を調達したと中国時間12月7日に発表した。このラウンドは、コンシューマーテクノロジーに特化したグローバルなプライベートエクイティ企業であるL Catterton(Lキャタルトン)のアジアファンドが主導した。

今回のラウンドには、NebulaのシリーズAの投資家であるMatrix Partnersと、エンジェル投資家のAlpha Startup Fundも参加した。同社はこれまでにおよそ6000万ドル(約68億円)を調達している。

Amazonが巨大企業に成長したことで、中国のサードパーティベンダーの多くも繁栄し、数百万ドル(数億円)規模のビジネスになった。これらの輸出業者は、成長を維持するために、より大きな資本と人材を必要としており、業績の良い業者には2つの選択肢が存在する。さらに規模を拡大するためにエクイティ資金を得るか、ビジネスを売却して次に移るかだ。後者の場合、ロールアップの出番となる。

Nebulaの共同設立者であるWilliam Wang(ウィリアム・ワン)氏は声明でこう述べている。「中国のサードパーティベンダー市場は急速な成長を遂げており、世界中のAmazonのお客様に高品質な製品を効率的に提供することができます」。

「フルフィルメントby Amazon(FBA)のベンダーを集約してオペレーションを強化するモデルは、欧米の一部の市場ではすでに非常に効果的であることが証明されており、Nebula Brandsが主導する中国でも広がっていくことでしょう」。

Nebulaは新たな資金を得て、Berlin Brands Group、Razor Group、Thrasioなど、中国の販売者を狙っている海外のアグリゲーター各社と競合することになる。5月に設立されたばかりのNebulaは、すでに1社を買収しており、年末までにさらに数社を買収する予定だとTechCrunchに述べている。

Nebulaは現在、中国で50人以上の従業員から構成されるチームを運営しており、そのスタッフは「有名なeコマース企業、テクノロジー企業、金融企業での勤務経験から、市場に関する深い知識と、現場でのソーシング、アンダーライティング、オペレーションに関する豊富な経験を有しています」と述べている。同社の共同設立者は「上場企業」でCEOを務めたRyan Ren(ライアン・レン)氏、Lenovo(レノボ)で統合マーケティング責任者を務めたWilliam Wang(ウィリアム・ワン)氏、Wayfair(ウェイフェア)でサプライチェーン部門長を務めたHardys Wu(ハーディーズ・ウー)氏の3名だ。

画像クレジット:VCG/VCG via Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

アマゾンAWSが米国政府向けに「トップシークレット」リージョンをさらに開設

Amazon(アマゾン)のクラウド部門AWSが米国政府向けに特化して作られた新たな「トップシークレット」リージョンを発表した。Amazonにとって、この種のリージョンはこれで2つ目になる。これで同社は、米国の東海岸と西海岸それぞれに「トップシークレット」リージョンを置くことになった。

「AWS Top Secret-Westは、米国秘密区分レベルのトップシークレットで運用されることが認定されています。新しいリージョンは、AWS Top Secret-Eastと地理的に分離された複数のアベイラビリティゾーンを追加します」とAmazonのMax Peterson(マックス・ピーターソン)氏が新リージョンを発表する公式ブログ記事で述べた。

米国時間12月7日、東海岸リージョンで機能停止を起こしている同社は、政府クライアントのニーズが異なることを認識している。彼らを他の人類と同じ雑居サーバーに置くことはできない。隔離とセキュリティが必要であり、それこそがトップシークレット・リージョンが彼らにもたらすものだ。

「AWSは防衛、諜報、国家安全保障を司る当社の顧客とパートナーの役に立つために全力を尽くします」とピーターパン氏は書いた。

2020年同社がMicrosoft(マイクロソフト)と10年におよぶJEDI(ジェダイ)クラウドの契約を巡って争った時、さまざまな特殊要件を成し遂げる自社の能力として、このトップシークレット・リージョンを挙げることができた。その契約は訴訟の末、最終的に白紙となったが、おそらく今回の発表は、Amazonがいかに、将来国防総省で扱うような機密資料を取り扱う準備ができているかを誇示する手段の1つなのだろう。

新しい施設は、政府クライアントが作業負荷を地理的に分散し、その中から異なるアベイラビリティゾーンを選ぶ手段を与える。このゾーンは、ターゲット利用者であるNational Intelligence(DNI、国家情報長官)のIntelligence Community Directive(情報機関司令、ICD)503やNational Institute of Standards and Technology(米国標準技術局、NIST)のSpecial Publication(特別出版物、SP)800-53 Revision 4などが要求するセキュリティ水準を満たしていることが多数の政府機関によって認定されている。

画像クレジット:baranozdemir / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

米アマゾンが月額約2200円の家族向け高齢者介護サブスク「Alexa Together」を提供開始

Amazonは米国時間12月7日、まだ自立した生活をしているものの、さらなるサポートを必要とする高齢者を介護する家族を対象としたサブスクリプションサービスAlexa Togetherの正式な開始を発表した。この機能は、同社の2021年秋のイベントで初めて紹介されたもので、Amazonの既存製品Alexa Care Hubを拡張し、月額19.99ドル(約2200円)または年額199ドル(約2万2000円)のサブスクリプションサービスとしてパッケージ化したものだ。

関連記事:アマゾンが高齢者介護のサブスクサービス「Alexa Together」を開始

Alexa Care Hubは、家庭内のAlexaデバイスを高齢の家族を介護するためのツールにするという、同社の最初の試みだった。そのサービスには、家族が年老いた両親やその他の大切な人を(本人の許可を得て)見守り、例えば家族が助けを求めた場合などに、特定の行動に反応するような機能が含まれていた。

Alexa Togetherは、Care Hubの機能を拡張したもので、緊急時のヘルプラインへのアクセス、転倒検知対応機能、家族が高齢者のデバイスの設定を管理できるリモートアシストオプション、愛する人がAlexaや他のスマートホームデバイスを使っているときに通知したり、普段の活動が滞っているときに通知したりすることができる家族向けのアクティビティフィードなどを備えている。

これらの機能は、有効にするには、双方が一緒にサインアッププロセスを完了する必要があるオプトイン・コンセント型の環境で使用されるように設計されている。

一度設定すれば、高齢者の方が緊急時の助けが必要な時に「Alexa、助けを呼んで」と声をかけることができる。すると訓練を受けたエージェントが、警察や消防、救急車などを、他のホームセキュリティシステムと同じように、その場所に派遣することができる。しかし、Alexa Togetherシステムは、カスタマーが緊急支援を必要としているかどうかを検知するために、Assistive Technology Service(アシスタント・テクノロジー・サービス)やVayyar(ヴァイヤ)のサードパーティ製デバイスと連携することができる。

Vayyar Care(ヴァイヤ・ケア)は、転倒を検知することができる壁に取りつけるセンサーで、ATSのSkyAngelCare(スカイ・エンジェル・ケア)は、高齢のカスタマーが首から下げる転倒検知ペンダントだ。SkyAngelCareはペンダントのボタンを押すと検知できるように、どちらも転倒を検知する。Amazonによると、Alexa Togetherには今後さらに多くのデバイスメーカーが追加される予定だ。

リモートアシスト機能は、家族が高齢者のデヴァイスのさまざまな設定を管理できる機能だ。これには、リマインダーの設定、電話やメッセージの連絡先の追加、買い物リストの追加とチェック、音楽サービスのリンクなどが含まれる。これにより、高齢者の方がAmazonに助けを求める電話をしなくても、家族がITのサポートを行うことができる。

画像クレジット:Amazon

アクティビティフィードは、高齢の家族が1日を過ごし、Alexaやその他の接続されたスマートホームデバイスと初めて対話したことを知らせるために、家族にアラートを送信する。これは、家族が定期的にAlexaと関わることを前提としているため、家族が問題なく過ごしているかどうかを知るための代理として機能するという点では、不完全なシステムだ。しかし、何のアクティビティもない場合にアラートが送信されることは、家族が愛する人に連絡を取り、問題がないかどうかを確認することを思い出させることができる。

このサブスクリプションサービスは、このソリューションが適しているかどうかを判断するために、6カ月間の無料トライアルを提供している。また、Alexa Care Hubの既存顧客は、本日から2022年12月7日まで、Alexa Togetherを1年間無料で利用できるようになる。

将来的には、Alexa Togetherが家族や友人、さらには隣人など複数の介護者をサポートする機能などを展開していくと、Amazonは述べている。

Amazonは、Alexaを使った高齢者や病弱な人々の介護への投資を増やしている。Care HubやAlexa Togetherに加えて、2021年の秋には、Atria(アトリア)やEskaton(エスカトン)のリビングセンターや、Cedars-Sinai(シダーズサイナイ)、BayCare(ベイケア)、Houston Methodist(ヒューストン・メソジスト)などの病院にAlexaを導入することを発表した。また、K4Connect(K4コネクト)、Lifeline Senior Living(ライフライン・シニア・リビング)、Aiva(アイヴァ)、Vocera(ヴォケラ)など、高齢者介護市場に特化したソリューションを開発できるAlexa Smart Properties(アレクサ・スマート・プロパティ)のツールやAPIを活用できるパートナーと協力していくとしています。これらのソリューションを実現するために、AmazonはAlexaの医療スキルをHIPAA(医療保険の携行性と責任に関する法律)に準拠させることに取り組み、その他のHIPAA規制をナビゲートするヘルスケアチームを構築した。

関連記事:アマゾンがAlexaを病院や高齢者施設に導入、Alexaで家族の呼び出しやニュースの確認などが可能に

しかし、これらの既存の高齢者ケアソリューションの多くは、企業間取引(B2B)での販売を想定しているが、Alexa Care Hubと今回のAlexa Togetherのサービスは、消費者市場を対象としたサブスクリプション型のサービスとなっている。

Alexa Togetherは、Echo、Echo Dot、Echo Showなどの対応するAlexaデバイスで動作し、アドオンサービスまたはデバイスバンドルのいずれかで利用できる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

「カーク船長」ことウィリアム・シャトナー氏の宇宙旅行がAmazonプライムのドキュメンタリーに

2021年10月、William Shatner(ウィリアム・シャトナー)氏は、史上最高齢で宇宙に飛び立った人物となった。その彼の旅が、Amazonプライムのドキュメンタリー番組「Shatner in Space」になることが決まった。「スタートレック」の俳優として知られる同氏が、ポップカルチャーカンファレンス「CCXP Worlds」のバーチャルパネルで自らこのニュースを明らかにしたと、Deadlineが報じた。

「The Shat」というニックネームも持つ同氏は、Blue Origin(ブルーオリジン)の2回目の有人飛行ミッションであるNS-18の4人のクルーの1人で、New Shepard(ニューシェパード)に乗って高度66マイル(約106.22km)まで飛行し、いわゆるカルマンラインを越えて宇宙に到達した(ただし、地球を周回してはいない)。90歳の彼の参加は、その数カ月前に宇宙飛行の最高齢記録を樹立した82歳のWally Funk(ウォーリー・ファンク)氏を超える快挙だった。

このドキュメンタリーでは、旅行前、旅行中、旅行後に何が起こったか見ることができる。同フライトには、Blue Originの副社長であるAudrey Powers(オードリー・パワーズ)氏、Planet Labs(プラネット・ラボ)の共同設立者であるChris Boshuizen(クリス・ボシュイゼン)博士、臨床試験ソフトウェア企業Medidata Solutionsの共同設立者であった故Glen de Vries(グレン・デブリース)氏も参加した。これは、Blue Originが2021年に計画している3回の有人ミッションのうちの2回目で、3回目(NS-19)は12月9日に予定されている。そのフライトには、マーキュリー・セブンの1人として米国初の宇宙飛行に成功したAlan Shepard(アラン・シェパード)氏の娘にあたるLaura Shepard Churchley(ローラ・シェパード・チャーチリー)氏と報道・情報番組「グッド・モーニング・アメリカ(GMA)」の共同アンカーであるMichael Strahan(マイケル・ストレイハン)氏の他、4人の有料顧客が参加する予定だ。

シャトナー氏は、Deadlineに次のように語った。「私の宇宙滞在は、想像を絶するほどの最も忘れ難い経験でした。私の旅を記録したこの特別番組は、その経験をドラマチックに紹介しています。私の願いは、地球を救うためには宇宙に行かなければならないということを、世界に向けて発信することです」。このドキュメンタリーは、米国、カナダ、英国、オーストラリア、ニュージーランドでは12月15日にAmazonプライムで放送され、その他の地域では2022年に放送される。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏はEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Blue Origin

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

アマゾンは販売業者の売上の3分の1以上を吸い上げ、2021年には13.6兆円をその懐に入れたという

新たな研究によると、Amazon(アマゾン)は、AWSという名のキャッシュカウ(現金を生む牛:収益源)よりも、Marketplaceプラットフォームの手数料から、はるかに多くの利益を得ている。そのレポートによると、Amazonストアの利用に必要な支払手数料は現在、販売業者が売り上げの約34%を同社に渡すまでに膨らんでおり、これが最近ではAmazonの主要な収益源になっている。同社はこのレポートの内容に異を唱えている。

Institute for Local Self-Reliance(ILSR、地域自立研究所)によるレポート「Amazon’s Toll Road(アマゾンの通行料金)」は、主に2つの主張をしている。まず、ILSRの研究者によると、2021年にAmazonは、手数料や広告料の形で販売業者から約1210億ドル(約13兆6700億円)を得た。これは販売業者の総収入の約34%にあたるという。2019年の推定600億ドル(6兆7800億円)の2倍だ。当時は販売業者の売り上げの31%だったという。

創業者のJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏自身は、議会で反論しようとした。販売業者からAmazonに入る金額が増えているのは目の錯覚のようなもので、キーワード検索での上位表示や、Amazon独自の配送・倉庫インフラの利用など、アドオンサービスにお金を払うことを選ぶ販売業者が増えているためとした。

AmazonはTechCrunchへの声明で、ILSRのレポートを「不正確」だとし「Amazonの販売手数料とオプションのアドオンサービスを混同している」「Amazonの販売手数料は他のオンライン小売業者より安い」と述べているが、確かに、このレポートはそれらの合計を示している。

しかし、レポートの著者であるStacy Mitchell(ステイシー・ミッチェル)氏が指摘するように、アドオンは、Amazonがそれを利用する販売業者に次々と便宜を図るうちに、オプションから必須のものへと変化してきた。ここ数年のレポートによると、一般的な商品検索における広告やスポンサー付きリストの数が劇的に増加している。また「Fulfilled By Amazon(FBA)」サービスを利用する出品者に付与するスコアボーナスが、特定の人気スポットに商品が掲載されるかどうかに大きく貢献する。しかもそれは、成功した製品をマネするという同社の怪しげなビジネスを考慮に入れていない。

Amazonは、出品者が現時点で2016年の4〜5倍の広告費と掲載料を費やしており、それが同社の収入の大幅な増加に貢献しているという主張には触れなかった。同社は単に、広告の種類やプロセスには幅があり「出品者が商品の視認性を高めるのに役立つすばらしい方法」だと述べただけだ。検索結果でFBAユーザーを優遇していることは否定しているが、上のリンクにあるように、間接的な手段でそれを行っているようだ。

もう1つの主張は、Amazonが販売業者からの手数料によって稼ぐ莫大な収益を隠すために、独創的な会計処理を行っている、すなわち、Marketplace部門の莫大な利益と、配送インフラの構築で発生した莫大な損失をひとくくりにしているというものだ。確かにそれらは関連している。だが、まったく異なる2つの数字の合計を示し、それがビジネスを正確に表していると主張するのは、オープンだとはいえない。これは新しい主張ではないが、ミッチェル氏はこれに関し、具体的に2020年の数字を示しており、一般論の範囲を超えている。

画像クレジット:ILSR

「私たちは、販売業者に課す手数料が、AWSよりも多くの利益を生み出している可能性が高いと結論づけました。このことは、これまでのAmazonの常識に反しています。ニュースでは一般的に、AWSがAmazonの売上高の大半を占めていると説明されています」とミッチェル氏は要約で書いている。「Amazonが販売業者向け広告やその他の手数料から得ているであろうマージンに関するアナリストの推定値をもとに、私たちは、Marketplaceが2020年に240億ドル(約2兆7100億円)の営業利益を生み出していた可能性があると推定しました。これは、AmazonがAWSについて報告した135億ドル(約1兆5300億円)の利益を大幅に上回っています。AWSは長い間、Amazonのキャッシュカウだと見られてきました。しかし、今回のレポートで、このハイテク企業には、見えないところでひっそりと活動する第2のキャッシュカウがあることがわかりました」。

Amazonは、2021年の年間売上高の数字について年度中に「推測することはできない」と語ったが、ILSRレポートに掲載された前年の数字が正確かどうかという追加の質問には答えなかった。

同社の慣行のいくつかは、FTC(米連邦取引委員会)を含め、さまざまな政府権力が精査している。FTCを率いるのは、Amazonのビジネス慣行について問う人間としては、おそらく今や世界で最も有名なLina Khan(リナ・カーン)氏だ。ILSRのレポートは単なる情報提供にすぎず、Amazonはそれを振り払うことができるが、FTCのタスクフォースが同様の疑問を調査し、同様の結論を出しているのであれば、Amazonは冷や汗をかき始めることになるかもしれない。

画像クレジット:Elijah Nouvelage / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

AWSがより早いメインフレームの移行とモダナイゼーションのための新ソリューションを発表

米国時間11月30日朝に開催されたAmazon(アマゾン)のカンファレンス「AWS re:Invent」で、同社はメインフレームの移行とモダナイゼーションのための、シンプルな名称の新プラットフォーム「AWS Mainframe Modernization」を発表した。

同社のユーザーは本日から、メインフレームから移行するために、いくつかの異なる方法を取ることができる。それは「リフト&シフト」アプローチでアプリケーションをほぼそのまま持ってくるか、リファクタリングを行ってクラウド上でアプリケーションをマイクロサービスとして分解するかだ。しかし、どちらの方法もそう簡単ではなく、アプリケーションのソースコードの複雑さを評価し、他のシステムとの依存関係を理解し、コードを変換またはリコンパイルし、さらにすべてが動作するかどうかをテストしなければならないため、プロセスが完了するまでに数カ月から数年かかることもある。

「これは非常に面倒な作業であり、多くの要素が絡み合っています」とAWSのCEOであるAdam Selipsky(アダム・セリプスキー)氏は会見で述べた。「また、AWSパートナーが移行を支援してくれるとはいえ、長い時間がかかることもあります」と付け加えた。

新しいソリューションの「AWS Mainframe Modernization」では、その代わりにAWS上でメインフレームアプリケーションの移行、モダナイゼーション、作動をより迅速に行うことができる。同社は、一連の開発、テスト、展開ツールとメインフレーム互換のランタイム環境を用いて、メインフレームのワークロードをクラウドに移行するのにかかる時間を最大で3分の2に短縮できる、としている。また、このソリューションでは、顧客がメインフレームアプリケーションの準備状況を評価・分析した上で、再プラットフォーム化とリファクタリングのどちらの方法を取るかを選択し、計画を立てることができる。

再プラットフォーム化したい場合、Mainframe Modernizationソリューションは、コードを変換するためのコンパイラと、変換中に機能が失われていないことを確認するためのテストサービスを提供する。アプリケーションのリファクタリングや分解をしたい場合、例えばコンポーネントをEC2やコンテナ、Lambdaで実行できる場合は、Mainframe Modernizationソリューションを使用して、COBOLコードを自動的にJavaに変換することができる。Migration Hubでは、複数のAWSパートナーやソリューションにわたる移行の進捗状況を1カ所で追跡することができる。

Amazonはこのシステムを、セキュリティと高可用性、スケーラビリティ、弾力性を提供する、機敏でコスト効率の高い(オンデマンドの従量制リソースによる)管理されたサービスだとアピールしている。


画像クレジット:Ron Miller

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

AWS、エネルギー業界対象の「AWS Energy Competency Program」を発表、持続可能なエネルギーの未来への移行をナビゲート

Amazon(アマゾン)は米国時間11月30日、エネルギー業界に向けた専門的なソリューションを開発するAWSパートナーを正式に認定する新しいプログラムを発表した。この新しいAWS Energy Competency Program(AWSエナジーコンピテンシープログラム)は、より持続可能なエネルギーの未来への移行をナビゲートしながら、世界中のエネルギー生産者が最新の技術を用いてAWSを搭載したソリューションを構築・実装することを助けることができる技術的専門知識と顧客の成功をすでに実証している専門パートナーを特定するものだ。

現在、多くのAWSパートナーがエネルギー業界と連携し、石油・ガス資産の探査段階から集荷・加工・輸送・管理・保守に至るまでの運用管理や、再生可能・持続可能な分野での運用管理など、AWSテクノロジーの活用を支援している。これらの業界では現在、クラウドコンピューティング、モノのインターネット(IoT)、人工知能(AI)、機械学習(ML)などのソリューションの導入が加速しているとAmazonはいう。

新しいAWSエネルギーコンピテンシープログラムは、持続可能な再生可能エネルギー資産を含むポートフォリオの開発を支援できるパートナーを含め、世界のエネルギー生産者との連携に関して、特定の専門知識を持つAWSパートナーを業界がよりよく識別できるようにする。

このプログラムは、エネルギー生産者向けの新しいプログラムの開発を支援するためにAWSと協力した32のグローバルパートナーを含んでいる。このグループには、特化したソリューション分野、業界の垂直構造、またはワークロードを支援できるパートナーが含まれている。パートナーは、エネルギー業界特有のベストプラクティスに関連した厳格な技術検証を受けなければならないため、これは現在、AWSパートナーが達成できる最も厳しい指定の1つであると、Amazonは指摘している。

画像クレジット:Amazon

パートナーの1つであるSlalom(スラロム)は、北米のエネルギー企業であるTC Energy(TCエナジー)の4万4000kmにおよぶ天然ガスパイプラインの管理を支援している。TC EnergyはSlalomと協力して、顧客がガスのスケジューリングを最適化できるよう機械学習を利用したビジネスインテリジェンスアプリケーションを開発した。別のパートナーであるAIビデオ分析プロバイダーのUnleash Live(アンリーシュ・ライブ)は、風力発電所、ソーラーパーク、水力発電、天然ガスプロジェクトなどを運営するインダストリアル・エンジニアリング・ソリューション・プロバイダーのWorsley(ウォーズリー)を支援した。Worsleyは、Unleash Liveを利用して、ドローンとコンピュータビジョンを活用して検査を行っている。

その他のパートナーは上流、中流、下流、新エネルギー、基幹業務アプリケーション、ヘルス、安全、環境、データアナリティクスなどのソリューションの提供を支援できるとAmazonは述べている。現在、プログラムへの参加に関心のあるAWSパートナーは、AWS Service Partners(AWSサービスパートナー)とAWS Software Partners(AWSソフトウェアパートナー)の両方の検証チェックリストを見ることができる。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

全米労働関係委員会がアマゾン労働者による新しい組合投票を認可

全米労働関係委員会(NLRB)の第10地域のディレクターが、アラバマ州ベッセマーのアマゾンフルフィルメントセンターで働く労働者の新たな組合選挙を許可した。NLRBの代表者がTechCrunchにこの決定を確認したところによると、小売・卸売・百貨店労働組合(RWDSU)は2021年4月に敗北した後、同センターで働く労働者を組合に加入させる2度目のチャンスを得ることになる。

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その勝利はAmazon(アマゾン)の一方的なものだったが、RWDSUは、技術系ブルーカラー労働者の組合結成活動にとって大きな試練となることが予想されていた中、すぐにこの勝利はごまかしだと訴えた。当時、RWDSUはAmazonが「ひどく露骨な違法行為」によって従業員を「ガスライティング」していると非難した。

Amazonは当然ながらこの非難を否定し、次のように述べた「Amazonがこの選挙に勝ったのは、私たちが従業員を脅したからだと、組合がいうことは容易に予想できますが、それは事実ではありません。私たちの従業員は、私たちから聞いたことよりも、組合や政策立案者、メディアからはるかに多い反アマゾンのメッセージを聞いたのです」。

RWDSUの責任者であるStuart Appelbaum(スチュアート・アッペルバウム)氏は米国時間11月29日日の声明で、今回の判決がこれまでの主張を裏づけるものであると述べている。「本日の決定は、我々がずっと言っていたことを裏付づるものです。アマゾンの脅迫と妨害によって、労働者が自分の職場に組合を作るかどうかについて公正な発言をすることができなくなったということであり、地域局長が指摘したように、それは受け入れがたいことであり、違法なことです。アマゾンの労働者は職場で自分自身の声を持つべきであり、それは組合でなければできないことなのです」。

新たな選挙の日程はまだ決まっていない。しかし、パンデミックとそれに続く経済不況の中で勢いを増した組合活動にとって、新たな全国的な火薬庫となることは間違いない。

「NLRBは、単位従業員の間で2回目の無記名投票による選挙を行う」と判決で述べた。「従業員は、団体交渉のためにRWDSUによって代表されることを希望するかどうかを投票します。選挙の方法、日時、場所は、第二次選挙の通知に明記されます」。

Amazonは、本日の判決に不快感を示しめしている。広報担当のKelly Nantel(ケリー・ナンテル)氏は声明の中で次のように指摘している。

当社の従業員は常に組合に加入するかどうかの選択権を持っており、2021年初めにはRWDSUに加入しないことを圧倒的多数で選択しました。今回、NLRBがこれらの票を数えるべきではないと判断したことは残念です。会社としては、組合が従業員にとって最良の答えであるとは考えていません。私たちは日々、従業員が自分の仕事を改善する方法を見つけられるようサポートし、それが見つかった時には、その変化を早く起こしています。このような継続的な改善は、労働組合が介在すると迅速かつ軽快に行うことができません。マネージャーと従業員が直接関係を持つことのメリットは、いくら強調してもし過ぎることはありません。この関係によって、一部の人の声だけでなく、すべての従業員の声を聞くことができます。賃金や安全性などの重要な分野では大きな進歩を遂げていますが、フルフィルメントセンターでもコーポレートオフィスでも、毎日をよくするために従業員と直接協力し、より良い方法を続けることができるものがたくさんあることを知っています。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Brian Heater、翻訳:Yuta Kaminishi)

AWSが新しいロボットフリート管理支援プログラム、ロボティクスアクセラレーターを開始

AWSのフラッグシップカンファレンス「re:Invent」の開幕にあたり、クラウドコンピューティングの巨人である同社は米国時間11月29日、大規模なロボットフリートの共同作業を支援するアプリケーションを構築するための新サービス「AWS IoT RoboRunner(IoTロボランナー)」を発表した。この新サービスは、Amazon(アマゾン)が自社の倉庫で利用しているようなロボットフリートを運用するために必要な、作業およびフリート管理アプリケーションを構築するためのインフラを提供することを目指している。

また、同社は新しいロボティクスアクセラレータープログラムを発表した。

RoboRunnerは、さまざまなメーカーのロボットと統合するアプリケーションの構築や、アプリケーションのライフサイクルの管理を支援する。AWSは、現在、異なるベンダーのロボットを単一のシステムに統合することは困難であり、企業はロボットを管理するために多くのサイロを抱えていると論じている。

画像クレジット:AWS

RoboRunnerは開発者に対して、フリート全体の集中的なデータリポジトリを提供するとともに、特定の施設内のすべての目的地をモデル化するためのレジストリや、これらのロボットが実行するすべてのタスクを記録するためのレジストリを提供する。

このサービスがターゲットとしているのは、無人搬送車、移動ロボット、ロボットアームなどのフリートを運用している大規模な産業企業だ。

RoboRunnerに加えて、AWSはMassRobotics(マスロボティクス)と共同で、新しいロボティクススタートアップ・アクセラレーター「AWS Robotics Startup Accelerator」を発表した。

AWSのCTOであるWerner Vogels(ワーナー・ヴォゲルス)氏は、29日の発表で次のように述べた。「今日、成功している商業用ロボット企業は数えるほどしかありませんが、これにはいくつかの大きな理由があります。第一に、実世界の環境はダイナミックで予測不可能であるため、適切なニッチ分野と適切な能力を組み合わせることが難しく、ロボット製品市場に適合する企業を見つけることがなかなかできません。第二に、高度な自律性と知能を備えたロボットを作るには、多分野にわたるスキルが必要であり、そのようなスキルを持った人材の確保は困難です。第三に、ロボティクスは資本集約的であり、センサーやアクチュエーター、機械的なハードウェアがすでに市販されている場合でも、多額の先行投資が必要となります」。

この新しいプログラムは、アーリーステージのスタートアップ企業(売上高1000万ドル / 約11億4000万円未満、調達額1億ドル / 約114億円未満)を対象としている。選ばれた企業は、ロボティクスのエキスパートによる専門的なトレーニングやメンターシップを受けられる他、最大1万ドル(約114万円)のAWSクレジットを獲得できる。

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

AWSの新CEOアダム・セリプスキー氏は「re:Invent」で何を発表するのだろうか?11月29日開催

1年で最も魅惑的な時期がやってくる。いや、これから始まるホリデーシーズンのことではない。来週から始まる、AWSの年に一度のユーザー向け祭典「re:Invent」のことだ。このカンファレンスは、新機能や新製品が大量に発表される、毎回ニュースの多いイベントだ。AWSにとっては、プレス、顧客、パートナー、その他の関係者を集めてラスベガスでパーティーを行うときでもある。2021年は新たな趣向が凝らされている。

2020年は新型コロナウイルスの影響でバーチャルイベントとして開催されたが、2021年はラスベガスに戻ってきたことに加え、新CEOのAdam Selipsky (アダム・セリプスキー)氏が指揮を執る初めてのre:Inventとる。

セリプスキー氏は、Jeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏がAmazon(アマゾン)CEOを退任して取締役会長に就くことを発表し、ベゾス氏の後任として元AWS CEOのAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏がAmazon CEOに昇格した後、2021年初めにTableau(タブロー)からやってきてAWSの新CEOに着任した。

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経営陣のイス取りゲームがひと段落し、セリプスキー氏は今回のre:Inventでメインの基調講演を行うことになったが、彼が前任者の後釜を務めるのは大変だろう。ジャシー氏には、自分の会社の膨大な製品カタログを頭の中で整理し、それらすべてがどのようにつながっているのかを、即興のように語れるという不思議な能力があった。同じようなことをするのは容易ではない。

しかし、ジャシー氏は、Tableauの元幹部が自分の後継者になることを従業員に知らせるメールで、セリプスキー氏には彼自身の個人的な強みがあることを指摘している。

「アダムは、強い判断力、顧客中心主義、チームビルディング、需要創出、そしてCEOとしての技能を、すでに非常に強力なAWSの首脳陣にもたらすことになります。また、彼はかつてAWSで11年間、このような上級職に就いていたため、当社の企業文化とビジネスをよく理解しています」。

それは確かにすべて事実であり、彼が現在引き継いで運営している会社は、しっかりと市場を支配しているが、このような成功にもかかわらず、セリプスキー氏はAWSに自身の印を押し、ビジネスのやり方に手を加える準備を整えている可能性を示す徴候も見られる。

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例えば、先週Bloomberg(ブルームバーグ)が報じたところによると、セリプスキー氏はMicrosoft(マイクロソフト)やGoogle(グーグル)のクラウド作戦帳を参考にして、業界に特化したソリューションにもっと集中しようと考えているという。ジャシー氏の支配下では、このような戦略を避け、より総合的なアプローチを好み、具体的な対応はパートナーに任せるというやり方を採っていた。

セリプスキー氏は、TableauがSalesforce(セールスフォース)に買収された後、短期間在籍したSalesforceが業界主導のソリューションアプローチを好んでいたことから、AWSにとってもこれが良い方法であると確信したのかもしれない。しかし、それ以上に、彼が自分の指揮下でAWSを変えるつもりかどうかは明らかにしていない。もしかしたら来週には何かを変えようとするかもしれないし、あるいはまだ壊れていないもの、直す必要のないものを見極めているのかもしれない。

セリプスキー氏へのアドバイスを求めると、業界関係者の中にはすぐに答えてくれる人がいた。

Constellation Research(コンステレーション・リサーチ)のアナリストであるHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏によれば、セリプスキー氏にまず最初にアドバイスしたいことは、AWSの増え続ける製品群を、よりシンプルで範囲を絞ったカタログに縮小することだという。「CTOたちは、開発者の創意工夫に頼らざるを得ないようなソリューションを避け、バージョン番号やロードマップが点と点を結ぶプラットフォームを提供しようとしています」と、ミューラーは語る。

第2に、ミューラー氏はクラウドの販売に関して、より企業に優しいアプローチをとること、つまりGoogleやマイクロソフト、あるいはIBMやOracle(オラクル)に寄せるやり方を提案している。同氏はさらに、Googleが行ってきたように、経験豊富な企業幹部をできれば採用することを提案し、特に、2018年にOracleから来たThomas Kurian(トーマス・クリアン)CEOや、2019年にSAPからグローバルクラウドオペレーションの社長として着任したRobert Enslin(ロバート・エンズリン)氏などの名前を例として挙げた。

Moor Insights & Strategy(ムーア・インサイツ&ストラテジー)の創業者で主席アナリストのPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏は、いくつか異なる提言をしている。同氏は、Googleやマイクロソフト、Adobe(アドビ)などに対抗するために、スタックを上げてより多くのSaaSアプリケーションの開発に着手することを提案。さらに、競合他社が主導権を握ろうとしているハイブリッドにも進出して欲しいと考えている。

とはいえ、現在でもAWSは絶大な成功を収めており、直近の四半期報告書では161億ドル(約1兆8500億円)もの収益を計上している。しかし、セリプスキー氏自身は先週、BloombergのEmily Chang(エミリー・チャン)氏によるインタビューで、このような優れた競合他社が自分の会社を追いかけてきている中で、この成功がいつまでも続くと期待して安穏としているわけにはいかないと語っている。

「自分たちが反乱軍であるかのような行動を続け、現職者のような行動を始めないようにすることが本当に重要です」と、セリプスキー氏はチャン氏に語った。

それはともかく、今回のre:Inventで、セリプスキー氏はAWSの顔として初めての出番を迎え、メインの基調講演を行う。ジャシー氏の直属とはいえ、セリプスキー氏は彼自身で、この収益性の高い部門を成長させ続けるために何が重要だと考えているかを強調するだろう。それが何か大きな変化をともなうかどうかは、来週になればわかるはずだ。

画像クレジット:Ron Miller/TechCrunch

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

イタリアがアマゾンとアップルに約264億円の制裁金、Beats製品の再販で

Amazon(アマゾン)とApple(アップル)は、AmazonのイタリアのeコマースマーケットプレイスでのAppleおよび(アップル所有の)Beats製品の再販に関する調査の結果、イタリアの反トラスト当局から総額約2億3000万ドル(約264億円)の制裁金を科せられた。

当局によると、両社は共謀し、AmazonイタリアのマーケットプレイスでAppleおよびBeatsの製品を購入する消費者が受けられる割引の水準が低下した疑いがあるとのことだ。

また、再販業者に対する制限を廃止するよう両社に命じた。

AGCM(イタリア競争・市場保護委員会)は現地時間11月23日、制裁措置を発表し、調査の結果、Amazon.itにおけるBeats製品の一部の「正当な」再販業者を阻止するために、2社間で制限協定があったことが判明したと述べた。

制裁金の内訳は、Amazonが1億3450万ユーロ(約174億円)、Appleが6870万ユーロ(約89億円)となっている。

問題の協定は、2018年10月に2社間で締結された。

AGCMのプレスリリースによると、この協定には、AppleおよびBeatsの製品の公式および非公式の再販業者がAmazon.itを使用することを禁止する多くの契約条項が含まれていることがわかった。Amazon.itでのAppleおよびBeatsの製品の販売をAmazonと、当局が「個別に差別的な方法で選ばれた」とするいくつかの再販業者に限定するという制限があり、これは欧州連合の機能に関する条約第101条に違反する。

「調査の結果、小売業者の数に純粋に量的な制限を設け、Amazonと差別的な方法で選ばれた特定の小売業者のみがAmazon.it上で販売できるようにする意図があることが判明した」と当局はリリースに記している(TechCrunchはイタリア語をGoogle翻訳で翻訳した)。

「この協定条件は、小売業者が地理的に差別されているため、国境を越えた販売も制限している。協定の制限は、サードパーティがAmazon.itで提供する割引の水準に影響を与え、その割引の度合いを縮小させた」。

当局は、Amazonのローカルマーケットプレイスが、同国における家電製品購入の少なくとも70%を占めており、そのうち「少なくとも40%は、Amazonを仲介プラットフォームとして利用している小売業者だ」と指摘している。

「それゆえ、競争ルールの適用は、特に今日の状況において、商業活動をする上でますます重要な場所としてマーケットプレイスを利用するすべての小売業者にとって、競争を制限する差別的行為を避け、公平な競争条件を確保することが不可欠だと思われる」と付け加えている。

「こうした観点から、当局の決定は、EU司法裁判所の判決に沿って、競争規則に適合するためには、販売システムは差別的ではなく、すべての潜在的な再販業者に等しく適用される質的基準に基づく必要性を認めている」。

さらにイタリア当局は、Amazon・Apple間の協定に関する調査を踏まえ、ドイツとスペインの競争当局が同様の手続きを開始したことを指摘している。

スペインのComisión National de los Mercados y la Competencia(国家公正競争市場委員会)は今夏、AmazonとAppleに対する懲戒手続きの可能性を発表し、独自の調査を開始した(調査完了までに最大18カ月かかるとされている)。

一方、2018年には、ドイツのBundeskartellamt(連邦カルテル庁)が、Amazonのマーケットプレイス販売者からの苦情を受けて、同社に対する不正行為の手続きを開始した。Amazonが販売者向けの一般取引条件を修正し、競争上の懸念を軽減するための追加変更を約束したことで、翌年、2019年には手続きを終了した。

直近では、デジタルプラットフォームに関するドイツの競争法が大幅に改正されたことを受けて、連邦カルテル庁が両社の市場支配力の審査手続きを開始した。同法では、両企業が「市場間競争にとって極めて重要である」ことが確認された場合、連邦カルテル庁は、市場濫用のリスクを抑制するために、AmazonとAppleがドイツ国内で事業を行う際に積極的に条件を課す事前措置を適用することができる。

今回のAGCMの決定について、AmazonとAppleにコメントを求めた。

本稿執筆時点ではAppleからの回答はなかったが、Amazonは控訴することを明らかにし、広報担当者は以下の声明を発表した。

「当社は、イタリア競争当局(ICA)の決定に強く反対しており、控訴する予定です。提案された罰金は不釣り合いで不当なものです。

当社のビジネスモデルは販売者の成功に依存しているため、販売者を当社のストアから排除することでAmazonが利益を得ているというICAの指摘は受け入れられません。協定の結果、イタリアの顧客は当社のストアでAppleおよびBeatsの最新の製品を見つけることができ、より良い価格、そしてより迅速な配送をともなう、2倍以上に増えたカタログの恩恵を受けています」

また、Amazonは、Appleとの協定は消費者にとって有益だと主張し、マーケットプレイスで購入できるApple製品の量が増えたことや、一部のApple製品に割引が適用された個別の事例を紹介した。

Amazonは、同社のマーケットプレイスが世界の小売市場の1%にも満たず、イタリアを含む同社が事業を展開しているすべての国に、より規模の大きい小売業者が存在すると述べ、いかなる市場支配も否定しようとしている。また、企業はApple製品を販売するために、オンラインと店頭の両方で複数のチャネルを持っていると主張している。

Amazonのマーケットプレイスにおける売上の約60%はサードパーティの販売者が占めており、その中にはAmazonで販売しているイタリアの中小企業約1万8000社も含まれる、とも付け加えた。

画像クレジット:Brian Heater

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

米国防総省、中止したJEDIに代わる新たなクラウド契約を発表

米国防総省は米国時間11月19日、白紙に戻された10年間 / 100億ドル(約1兆1400億円)規模のJEDI契約に代わる、新たなクラウド契約の限定的な入札募集を発表した。以前、JEDI(ジェダイ、Joint Enterprise Defense Infrastructureの略)と名付けられた勝者総取りの入札が行われたことを覚えているだろうか?今回の契約は、Joint Warfighting Cloud Capability、略してJWCCと呼ばれる、あまり耳慣れない名前が付けられている。

RFP(提案依頼書)による条件の下、入札を求められているのは、Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)、Oracle(オラクル)の4社。JEDIのRFPでは、ベンダーに選ばれた1社のみが独占することになっていたが、今回のJWCCは複数の企業が契約を得られるマルチベンダー式であることが大きな違いだ。実際に、米国防総省はAmazonとマイクロソフトを有力視しているものの、資格のある(依頼された)ベンダーであれば、契約の一部を得られる可能性があると明言している。

関連記事:ペンタゴンの100億ドル規模のプロジェクトJEDI(ジェダイ)が、クラウド企業たちを悩ます理由

RFPによると「政府は2社、すなわちAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)およびマイクロソフトとのIDIQ(調達時期・数量未確定)契約を想定しているが、しかし国防総省の要求を満たす能力を示すすべてのクラウドサービスプロバイダー(CSP)に発注する意向である」としている。

この件に関わるベンダーの数を制限したのは、要件を調査した結果、これを満たすことができる企業の数が限られていることがわかったからだと思われる。「市場調査によると、米国防総省の要求を満たすことができるソースは限られていることがわかった。現在、米国防総省が把握している米国のハイパースケールCSP(クラウドサービスプロバイダー)は5社のみ。さらに、それらのハイパースケールCSPのうち、AWSとマイクロソフトの2社のみが、国家安全保障上のあらゆるレベルの分類でクラウドサービスを提供することを含め、現時点で国防総省のすべての要件を満たすことができると思われる」と、RFPには書かれている。

政府はこの契約の金額設定をまだ行っている最中だが、複数のベンダーが関わるため、今はなきJEDI契約の100億ドルを超える可能性も十分にある。「国防総省は今回の調達の契約上限をまだ評価中だが、数十億ドル(数千億円)の上限が必要になると予想している。契約発注額の上限は、各ベンダーに指示される募集要項に記載される予定である」とのことだ。

今回のRFPで選定された企業は、3年間の契約に加えて、1年間のオプション期間が2回設けられることも注目に値するだろう。

JEDIは、トップレベルのクラウドベンダーが競い合い、それより小規模なベンダーも参入しようとしたため、当初から論争の的となっていた。多くのドラマがあり、大統領への苦情大統領からの苦情大統領による干渉への苦情多くの公式調査、そしていくつかの訴訟があった。Amazonに決まると誰もが思っていたにもかかわらず、Amazonは受注することができなかった。結局、契約を勝ち取ったのはマイクロソフトだった

関連記事:アマゾンとの入札競争に勝ったマイクロソフトは米国防総省の1兆円相当のクラウドを作る

ところが、それだけで終わらず、両社はこの決定をめぐって激しい論戦を繰り広げ、当然ながら訴訟に発展した。最終的には国防総省がすべてにうんざりして、このプロジェクトを完全に破棄することに決めたのだ。

関連記事:米国防総省がついにMSとの1兆円超規模クラウド契約「JEDI」を白紙に、リセットしてやり直し

しかし、契約がなくなったからといって、軍のコンピューティングシステムを近代化する必要性がなくなったわけではない。だから国防総省は今回、クラウドインフラストラクチャによるテクノロジーの近代化を前面に押し出す新たな取り組みを発表したのである。

Synergy Research(シナジー・リサーチ)の調べによると第3四半期の決算発表時点では、Amazon、マイクロソフト、Googleの上位3社で、パブリッククラウド市場シェアの70%を占めていることは注目に値する。クラウドインフラストラクチャ市場では、Amazonが33%のシェアで首位、マイクロソフトが約20%で続き、Googleは10%で3位につけている。シナジー社によれば、オラクルは一桁台前半とのことだ。

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンのマーケットプレイスを使ったインドのマリファナ密輸事件で州警察が同社幹部を起訴

インドのマディヤ・プラデーシュ州の警察は現地時間11月20日、マリファナの密輸にeコマースマーケットプレイスが利用された疑いがある事件で、Amazon Indiaの上級幹部を起訴したと発表した。

警察は、何人の幹部を起訴したか明らかにしなかったが、捜査の中で事実関係が判明したため、同国の麻薬法に基づいてAmazon Indiaの幹部を被告人としたと述べた。

マディヤ・プラデーシュ州の警察は先週、20kgのマリファナを所持していた男2人を逮捕し、男たちはAmazon Indiaのウェブサイトを利用してマリファナを密輸していたと発表した。

Amazonは先週、当局の捜査に協力していると述べていた。しかし同州の内務大臣は今週、アマゾンは捜査に協力していないと話した。

Amazon Indiaの広報担当者はTechCrunchに対し「当社はコンプライアンスに関して高いハードルを設けており、契約上、当社の販売者はamazon.inで商品を販売する際、適用されるすべての法律を遵守することが求められます。当社は、インドでの販売が法律で禁止されている商品の掲載と販売を許可していません」と述べた。

「しかし、販売者がそのような商品を出品した場合、仲介者として当社は法律に基づき必要な措置を講じます。今回の問題は当社に通知され、現在調査中です。進行中の調査において、捜査当局および法執行機関への全面的な協力と支援を約束し、適用される法律を完全に遵守することを誓います」。

Amazonにとって、インドは重要な海外市場だ。同社はインドでの事業に65億ドル(約7410億円)超を投資してきた。同社は現在、インドで独占禁止法の調査を受けており、また、インド最大の小売チェーンであるFuture RetailとReliance Retailが関係する数十億ドル(数千億円)規模の取引でも争っている最中だ。

画像クレジット:NOAH SEELAM / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

米アマゾンの新型スマートバンド「Halo View」予約注文を開始、限定期間約5700円に

9月のハードウェアイベントでフィットネスバンド「Halo」の新バージョンを発表したAmazon(アマゾン)は米国時間11月19日、予約注文の受付を開始した。Amazon初のディスプレイ付きウェアラブル「Halo View」は、予約期間中は50ドル(約5700円)。通常価格は80ドル(約9100円)だ。

12月中に出荷される予定のこのデバイスには、Haloメンバーシップ1年分が付いてくる。Haloプランにはワークアウトと栄養管理ガイドが含まれており、通常は月額4ドル(約450円)で利用することができる。

Halo ViewはFitbitのChargeバンドと似たデザインで、AMOLEDカラーディスプレイには、ライブワークアウト、アクティビティ履歴、血中酸素濃度、睡眠スコアなどの詳細が表示される(これらの機能の一部は、Haloサブスクリプション限定)。テキスト通知も表示可能だ。

「水泳可能」防水レベルのデバイスには、皮膚温度センサー、心拍数モニター、加速度計が搭載されている。Amazonは、1回の充電でバッテリー持続時間は最大7日間、フル充電に2時間かかるとしている。

Halo Viewにマイクは内蔵されていないが、Alexaとの連携機能がある。Haloアプリの設定で音声アシスタントに接続すれば、Alexa対応デバイスにヘルスサマリーや睡眠の質などを教えてもらうことができる。

Amazonは、Haloを設計するにあたり、プライバシーを重要視したとのこと。「データを安全に保ち、ユーザーがコントロールできるよう、何重にも保護されています」と同社は主張している。また、ユーザーに直接リンクされている健康データを転売しないことを約束している。自分の健康データをダウンロードしたり、Haloアプリから削除したりすることも、いつでも可能だという。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Kris Holt(クリス・ホルト)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Amazon

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(文:Kris Holt、翻訳:Aya Nakazato)

スターバックスがアマゾンのJust Walk Out技術を採用したレジなし店第1号をNYにオープン

Starbucks(スターバックス)がAmazon(アマゾン)と提携して、ニューヨークにレジなし店舗をオープンする。場所は59番街のParkとLexington Avenuesの間だ。その店舗では、スターバックスの注文アプリとAmazonのJust Walk Out技術を組み合わせて使用する。その店舗は、カフェとAmazon Goストアの折衷のようだ。後者は、このeコマース大手のレジなし技術を初体験する場所だった。

客はその店舗のラウンジに、Amazon Shoppingアプリの「In-Store Code」使って入店し、クレジットカードや端末上のAmazon Oneで登録した掌紋をスキャンする。入店するとそこは小さなAmazon Goのマーケットで、特別に選ばれた両社の商品が並んでいる。商品を手に取るとそれらはユーザーのバーチャルカートに入り、AmazonのJust Walk Out技術を使ってる店舗ならどこでも、出ると料金が確定する。

Amazonは、ここ1年半ほどの間、このレジなし技術の利用範囲を広げてきた。空港の売店と提携して支払いなし体験を実装したり、6月にはグロサリーストアFresh Marketの全店にこの技術を提供したWhole Foodsの一部の店にもこの技術を採用し、さらに最近では英国のスーパーマーケットチェーンSainsbury’sにも技術をライセンス提供している。今回のスターバックスとの提携も、Just Walk Outをどこでも使えるようにするための努力の一環だ。

スターバックスとAmazonの共同店は、ここを含めて2022年までに3店舗オープンする予定だ。第2の店舗は、ニューヨーク40番街のTimes Buildingを計画している。レジなしを体験してみたい人は、最初の場所である59番街へ行くべし。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moon氏はEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Starbucks

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hiroshi Iwatani)