Google CloudでMemcachedが使えるようになった

GoogleはこのほどMemorystore for Memcachedのベータ版を公開した。GoogleのMemorystoreサービスは高速性が必要とされる大規模データベースなどをクラウドのインメモリで作動させるのに適しているが、ここでMemcachedがフルマネージドで利用できるようになった。これは複数サーバのメモリを統合して利用するためのオープンソースのプロトコルで、2018年にGoogleがスタートさせたRedis向けインメモリデータストアサービスに含まれることになる。

米国時間4月3日の発表でMemorystoreのプロダクトマネージャー、Gopal Ashok(ゴパル・アショク)氏は「Redisは今後もセッションストア、ゲームのリーダーボード、ストリーミング分析、マルウェアの脅威検出、APIレート制限などのユースケースで引き続き人気ある選択肢だろう。現在、Memcachedはデータベースのキャッシュのレイヤーとして頻繁に利用されている。デベロッパーはMemcachedをセッションストアにもよく用いている。我々の新サービスを利用すれば、インスタンスごとにメモリのクラスターのサイズを最大を5TBまで拡張できる」と述べている。

このサービスは名称のとおり、オープンソースのMemcachedと完全に互換性がある。従ってデベロッパーはコードに手を加えることなくMemcachedプロトコルを利用した既存のアプリケーションをGoogle CloudのMemechacedプラットフォームで運用することができる。

フルマネージドサービスなので作動のモニタ、パッチの適用などの定型業務はすべてGoogleが処理する。最大キャッシュサイズを決める部分にはやや職人技が残るが、Google Cloudでは「詳細な統計を提供するのでデベロッパーはインスタンスの大きさを上下させ、実行するユースケースに対して最適なキャッシュサイズを容易に設定できる」としている。Googleが提供するモニタ情報は Cloud Monitoringによって測定される。これはGoogle Cloudの中心的ダッシュボードであると同時にAWSの動作も計測できるという。

現在、Memorystore for Memcachedは Compute Engine、Google Kubernetes Engine(GKE)、App Engine Flex、App Engine Standard、Cloud Functionsで実行されるアプリケーションに使用できる。

Memcachedの利用に関しては、AWSがElastiCache for Memcachedで同種のサービスを提供している。またMemCachierなどこのプラットフォームの利用を専門とするスタートアップがある。Redis Labsも、フルマネージドのMemcachedサービス、Memcached Cloudを提供している。このサービスはAWS、Azure、Google Cloudで実行できる。

画像クレジット:Krisztian Bocsi/Bloomberg/Getty Images(Googleのベルリンオフィス)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

マイクロソフトがEdge Zones for Azureを発表

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間3月31日、Azure Edge Zonesのローンチを発表した。Azure Edge Zonesは、Azureユーザーがアプリケーションを同社のEdgeロケーションに持ってくることができるというサービスで、主な狙いはリアルタイムで低レイテンシーの5Gアプリケーションを可能にすることにある。同社はまた、AT&Tをはじめとするキャリア向けのEdge Zonesをプレビューで発表したが、これらのゾーンをキャリアのデータセンター内の5Gネットワークに直接接続するためのものだ。そしてまたAzureは、Azure Stack Edgeと組み合わせてプライベートな5G/LTEネットワークを展開している顧客向けに、Private Edge Zonesも取得している。

最初のパートナーとなるキャリアはAT&Tだが、今後はRogers、SK Telecom、Telstra、Vodafoneなども加わる。そして2020年夏の終わりにLA、マイアミ、ニューヨークを、2021年に向けて10以上の都市でスタンドアローンのAzure Edge Zonesを立ち上げる。

発表声明では次のように述べられている。「これまでの数十年間は主にキャリアと通信事業者は、互いに接続する方法を開拓し、電話や携帯電話の基盤を築いてきた。しかしクラウドと5Gの登場によって、コンピュート(計算機処理)のようなクラウドサービスとAIを高帯域幅と超低レイテンシーを組み合わせることで新たな可能性が生まれてきた。マイクロソトフは企業やデベロッパーが構築する没入型アプリケーションに5Gをもたらすために活性化する彼らをパートナーする」。

この聞いたことがあるように感じられるは、数週間前にGoogleがAnthos for TelecomとGlobal Mobile Edge Cloudをローンチしたときにも述べた構想だからだ。アプリケーションをクラウドのEdgeに持ち込んで5Gと通信事業者に供するという形は、両社ともに似ているようだが、マイクロソフトは、パートナーのエコシステムと提供域の地理的大きさの両方で自分の方がより包括的だと主張している。しかしいずれにしても5Gはすべての大手クラウドプロバイダーにとってトレンドであり、乗り遅れたくないバスだ。マイクロソフトが5Gクラウドの専門企業Affirmed Networksを買収したのも、その市場参入努力の一環となる。

各種バージョンの詳細についていうなら、Edge ZoneはもっぱらIoTとAIのワークロードに焦点を当てているが、マイクロソフトによればその中においてEdge Zones with Carriersは低レイテンシーのオンラインゲームやリモートミーティング、イベントそしてスマートインフラに重きを置いているという。キャリアのプライベートネットワークとAzure Stack Edgeを組み合わせたPrivate Edge Zonesは、少数の巨大エンタープライズ企業だけが関心を向ける、高価格で複雑なシステムだろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google I/Oはオンライン開催も含め全面中止

Google(グーグル)は米国時間3月20日のTwitterの投稿で、関係者全員の健康と安全への懸念により2020年のGoogle I/O 2020の中止を発表した。先に発表されていたオンラインでのカンファレンスも行われないこととなった。

そのツイートでは「弊社のデベロッパーや社員、および地元地域社会の健康と安全に配慮し、また地元ベイエリアの各郡による屋内避難指示に基づき、残念ながら今年は、いかなるかたちのI/Oを開催しない」と述べている。

グーグルにとってこのI/Oカンファレンスと、これもやはりキャンセルされたGoogle Cloud Nextカンファレンスは、今後の新製品やサービスについてデベロッパーとパートナー。その他の関係者たちに知ってもらう機会であるため、中止の影響は大きい。

これらに代わる大きな機会はほかにないため、カンファレンスで生まれる人のネットワーク以外にも、同社について世界に知ってもらうための方法は残っていない。2020年はウイルスへの懸念から、さまざまなイベントが二の次になってしまっている。

同社によると2020年は、リアルとバーチャルのどちらも、これらのイベントのスケジュールを改めることをしないという。変更やアップデートや新サービスについては、数カ月以内に別の方法でコミュニティに告知される。

「我々が現在できることの中で最も重要なのは、直面している新たな課題において、人びとを助けることに集中することである。プラットフォームのアップデートについては我々のデベロッパーブログやコミュニティフォーラムといった他の手段で、確実にお伝えしていきたい」とグーグルは記している。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Kubernetesクラスターの構築に柔軟性と自由度を持たせるSpectro Cloud

Kubernetes(クバネティス)が非常に人気のあるコンテナ管理プラットフォームであることは広く知られているが、それを実際に使おうとしたら、管理を誰かにやらせるかそれとも自分でやるかを選ばなければならない。米国時間3月17日に750万ドル(約8億円)を調達してステルスを脱したSpectro Cloudは、両者の中間のような第三の選択肢を与えてくれる。

この投資はSierra Venturesがリードし、Boldstart Venturesが参加した。

Boldstartの創業者Ed Sim(エド・シム)氏によると、彼はSpectro Cloudのチームと技術が好きだそうだ。「Spectro Cloudは、大企業の多くが抱える重い苦痛を解決する。それは、Kubernetesのサポートをマネージドプラットフォーム上に展開したいが、大型ベンダーのなすがままにはなりたくないという難問だ」とシム氏は語る。

Spectroの共同創業者でCEOのTenry Fu(テンリー・フー)氏によると、エンタープライズはコントロールと使いやすさの間で妥協を求めるべきではない。「我々は、使いやすいマネージドKubernetes体験を提供する最初の企業でありたいが、しかしまた同時に彼らには、大規模なKubernetesインフラストラクチャスタックを自分たちで定義できる柔軟性、自由度を与えたい」とフー氏は説明する。

またフー氏によると、この場合のスタックはKubernetesのバージョン、ストレージ、ネットワーキング、さらにセキュリティやロギング、モニタリング、ロードバランシングなど、Kubernetes周辺のインフラ要素をすべてカバーする一種のオペレーティングシステムだ。それらに、ユーザーの自由度を与えたいという。

「エンタープライズの組織内ではさまざまなグループのニーズに奉仕するが、それはインフラストラクチャスタックの要素によっては、とても細かいレベルになることもある。しかしそれでも、ライフサイクルの管理は気にしなくてもよい」と彼は説明する。つまりSpectro Cloudがそれらをユーザーに代わって扱い、しかもコントロールはユーザーが手中にするからだ。

これによりエンタープライズのデベロッパーに展開に関する大きな柔軟性が与えられ、複数のクラウドインフラストラクチャプロバイダー間の移動も容易になる。今の企業は単一のベンダーに縛られるのを避けたいため、これは最上位の優先事項となる。

「インフラストラクチャのコントロールは連続的に行われるため、企業はいろいろなニーズに対してトレードオフを迫られることになる。極端な場合には、マネージドサービスは天国のような使いやすさを提供するが、しかしそれはクラウドユーザー側からのコントロールを犠牲にする。Kubernetesのバージョンの更新すら、ユーザーが自由にできないサービスもある」

フー氏と彼の共同創業者たちはこういった問題の経験者で、創業前までCliQrに在籍していた。この企業はハイブリッドクラウド環境におけるアプリケーションの管理を助ける、彼らが創業した企業だ。CliQrを2016年にCiscoに売却し、2019年の春にSpectro Cloudの開発を始めた。

まだ生まれたばかりの企業だが、すでにベータの顧客が16社抱えている。

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GitHubがJavaScriptのパッケージマネージャー「npm」を買収

Microsoft(マイクロソフト)が保有するデベロッパーリポジトリーGitHubは、米国時間3月16日に独自の契約によりJavaScriptのパッケージベンダーnpmを買収した。買収額は公表されていない。

GitHubのCEOであるNat Friedman(ナット・フリードマン)氏は、この買収を発表するブログ記事で、npmはJavaScriptのコミュニティにおける大きな存在だとしている。同社はNode.js上のパッケージマネージャーであるnpm Registryやnpm CLIなどのツールを開発し提供している。Node Package Managerの頭字語がnpmになる。

「npmはJavaScriptの世界で重要な。npmのチームによるこれまで10年間の仕事と、何十万人ものオープンソースの開発者とメンテナーの貢献により、npmは130万あまりのパッケージのホームになり、それらは1カ月に750億ダウンロードされている」とフリードマン氏はいう。

オーナーが変わることによる開発者の不安を打ち消すかのようにフリードマン氏は、ユーザーはその違いに気づかないだろうと語っている。「npmの公開レジストリを毎日使っている数百万の開発者にとってnpmはいつでも使えてmいつでも無料であり続ける」と氏は記している。

彼はまた、このツールを支えているインフラをアップデートしてユーザー体験を改善し、npmのコミュニティとの関係を維持すると約束している。フリードマン氏によると、npmの技術をGitHubのプラットフォームに一体化する。すなわち「将来的にGitHubとnpmを統合して、オープンソースソフトウェアのサプライチェーンのセキュリティを改善し、GitHubのプルリクエストから、セキュリティの改良などnpmのパッケージのバージョンの変化をトレースできるようにしたい」とのことだ。

npmの創業者でCEOのIsaac Schlueter(アイザック・シュリューター)氏は同社のブログで、買収は良い方向への変化だとしている。「npmのユーザー体験が改善される素晴らしい機会だ。それによりJSデベロッパーの毎日が大小様々な面で有意義に改良されるだろう。そして私たちのツールが信頼性を増し、より便利になり、お互いに依存し合っているJavaScriptの広大なエコシステムの誰とでも結びつけるようになる」という。

もちろんそれは、無料バージョンだけの話ではない。有料顧客のコアグループもあり、フリードマン氏によると、GitHubはその人たちのサポートも継続する。

彼によると、レジストリがさらにGitHubへと統合される2020年後半には、有料顧客は自分たちのプライベートなnpmパッケージをGitHubのパッケージに変換できるようになる。

PitchBookのデータによると、2014年に創業されたnpmはこれまで、4800万ドル(約51億円)の投資前評価額により1900万ドル(約21億2000万円)近くを調達している。「スタートアップとして6年間苦労したが夢は大きかった。次の章に入った今は、その夢を実現できるチャンスだ」とシュリューター氏は書いている。

関連記事: Microsoft has acquired GitHub for $7.5B in stock…Microsoftが75億ドルでGitHubを買収(未訳)

画像クレジット: Bloomberg / Getty Images

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Cobalt.ioの「侵入テスト」は問題発見とデベロッパー対応を直結させる

Cobalt.ioは企業がもっと正しいやり方で「侵入テスト」を行ってもらいたい、と願っている。侵入テストとは、アプリケーションを実際に稼働させる前にその脆弱性をテストする工程だ。侵入テストを提供しているCobalt.ioが、このたびプラットフォームをさらに強化した。

Cobalt.ioのCEOであるJacob Hansen(ジェイコブ・ハンセン)氏によると、従来の侵入テストは時間も費用もかかる作業で、最後にテスターが見つけた問題点をリストアップしたPDFを納めて終わる。彼と共同創業者たちが2013年に同社を立ち上げたときは、その工程全体をデジタル化したいと考えた。

「そう考えて作ったものは2つだ。まず、有能で実績のあるテスターのマーケットプレイス。そのマーケットプレイスにいるフリーランスのセキュリティテスターはすべて我々の試験に合格しており、彼らを弊社の被雇用者のようなかたちで顧客企業に派遣する。そしてテストのスケジュールと管理をするソフトウェアも制作した」とハンセン氏は語る。

彼によると、この侵入テストという工程におけるボトルネックの1つは、テストの基本的なパラメータの理解など、最初の段階が難しいことだ。これはたくさんのメールや電話で行われる。そこでCobaltはスタートアップウィザードを構築して、最初の段階を楽にした。

ハンセン氏は「それは、侵入テストの計画のためのTurbo Taxみたいなものだ。テストのための要件収集とセットアップを高速化、合理化するところが似ている。テスターと顧客の両方にとって便利だ」と説明する 。

テストがスタートすると、問題点のリストを顧客に渡すのではなく、問題点をデベロッパーに直送して彼らの開発環境に統合する。例えばテスターが問題を発見すると、自動的にフラグが付き、Jiraに送られてデベロッパーはほぼリアルタイムで必要な修正などを行う。

「この点が、従来の侵入テストサービスとの重要な違いだ。我々はサービスのプラットフォームとしてモダンな侵入テストを構築した。それはリアルタイムで統合可能であり、優れたワークフローでもある」と彼は語る。

また料金も、従来のように個々のテストに課金するのではなく、顧客は一定の前金をCobaltに払っておき、対応が必要な問題が起きればそこから適宜料金を支払うする。顧客には、コストの確実性と可用性を事前に認識させることができる。もちろんCobaltは、サービスが実際に利用される前に支払いを受けることができる。

Cobalt.ioは2013年に創業され、本社はサンフランシスコ、オフィスはボストンとベルリンにある。顧客は500社、2019年はテストを1000回行い、レポートを提供した。2020年はその3倍にしたい、と彼らは願っている。Crunchbaseのデータによると、同社はこれまで800万ドル(約8億4000万円)を調達している。

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CircleCIとAWS GovCloudが協力して米国政府のアプリ開発のモダナイズを支援

民間企業と同じく合衆国政府も今はワークロードをクラウドへ移す過程にあり、ともに同じような課題に直面している。米国時間2月25日、継続的デリバリーサービスのCircleCIが、AWS GovCloudとのパートナーシップを発表し、AWSの政府向けプラットホームを使っている連邦政府機関のアプリケーション開発のモダナイズを支援していくことになった。

CircleCIのCEOであるJim Rose(ジム・ローズ)氏は「サーバーをわが社のオンプレミスで動かし、それを政府の顧客がAWS GovCloud上の専用の純粋なクラウドリソース上で動かすかたちになる」と語る。

GovCloudは、専用のシングルテナントクラウドプラットホームであり、そこで政府機関はFedRAMP準拠の安全なクラウドソリューションを作ることができる。また、ほかのクラウドベンダーにも同様のサービスがある。FedRAMPは、政府のためのセキュリティスタンダードの集合で、クラウドベンダーが連邦政府の仕事をするときには必ず準拠しなければならない。

CircleCIは、開発チームに急速なサイクルでアプリケーションに変更を行うための継続的インテグレーションと継続的デリバリー(continuous integrationとcontinuous delivery、CI/CD)パイプラインを構築する。

「GovCloudがあることによって、政府機関が求めているオンプレミスと同じレベルのセキュリティとサービスを、専用のシングルテナントのクラウド環境で提供することができる」とローズ氏は説明する。

また、ローズ氏によると、クラウドアプリケーションの構築には多くのステップがあるが、同社が提供するのは継続的デリバリーのパイプラインという基本部分だけだという。他の関連サービスは提供しない。彼が言うように、1〜2年に1回アップデートするだけのレガシーなメインフレームアプリケーションならCircleCIの出番はない。しかし開発環境をモダナイズしようとしたときには、同社のサービスが大きな助けになる。

さらに 「現代的なクラウドアプリケーションの開発工程では、1日に数百回も変更を加えることがある。しかも多くの場合、変更のソースはとても多人数が関わっており複雑で、マニュアルな管理はほぼ不可能なのだ」とローズ氏はいう。

同社はかつて、中小企業庁(Small Business Administration、SBA)の仕事をしたことがあるが、今後はそのときと同じように、省庁を直接相手にすることになるだろう。またときには、システムインテグレーターやAWSも関わってきて、彼らが大きなRFP(業者への提案依頼書)に載っていることもあるはずだ。

政府の仕事では、そこから論争が生じる場合があることも、ローズ氏は承知している。ChefでもSalesforceでもGoogleでも、一部の社員が国防総省(DoD)や移民局(ICE)の仕事はしたくない、とごねたことがある。そこでCircleCIは、国民との対話を改善する意思のある省庁の仕事に集中し、他の省庁とはお近づきになりたくない、とローズ氏はいう。

「我々のような立場は、政府の問題に深く関われるわけではないが、彼らの一部になるのではなく、常に集団の先頭に立っていたい。商用の仕事でも、政府系の仕事でも越えてはならない一線というものを、常に意識していたい」と決意を述べる。

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DevOpsポリシーエンジンのDatreeがY Combinatorに入学

DevOpsのポリシーエンジンをGitHubで作っているアーリーステージのスタートアップであるDatreeは米国時間2月6日、シリーズAラウンドで800万ドル(約8億7864億円)を調達した。同社はまた、Y Combinatorの2020年冬季に参加したことも発表した。

BlumbergとTLV Partnersがラウンドをリードし、Y Combinatorが参加した。2018年に発表した300万ドル(約3億2949億円)のシードラウンドを合わせると、同社は今や1100万ドルを調達している。

共同創業者でCEOのShimon Tolts(シモン・トルツ)氏によると、コードを調べて問題を見つけることもDevOpsのチームにとって必要なことだが、彼らはルールの定義でヘルプを求めている。そこでDatreeは一連のルールパッケージを作ってコードをそれらと照合し、コードを動かして乖離や問題点を見つけられるようにした。

トルツ氏は「Datreeは開発のベストプラクティスとコーディングのスタンダードと、セキュリティおよびコンプライアンスのポリシーを提供する。今ではユーザーがDatreeに接続するとDatreeがソースコードを参照してコードベースの全体をスキャンし、ユーザーのテクノロジースタックに基づいて開発のベストプラクティスを推奨する」と説明する。

これらのルールパッケージは同社自身の専門的能力をベースに作るほかに、コミュニティからの支援もあり、また外部エキスパートとのパートナーシップもある。同社のDockerセキュリティパッケージでは、Aqua Securityとチームを組んだ。

デベロッパーはGitHubで仕事をしているので、これらのルールはGitHubで適用される。彼らはコードをコミットする前に適切なルールパッケージをそれに対して動かし、ベストプラクティスに適合していることを確認する。

Datreeのルールパッケージ(スクリーンショット提供:Datree)

トルツ氏によると、シードラウンドの後でY Combinatorに着目したのは、ビジネスの構築にガイダンスが欲しかったからだ。彼は「Y CombinatorがDatreeの助けになることはわかっていた。DatreeのプロダクトはYC企業の95%にふさわしいからだ。もっと勉強すれば、より成熟したYC企業との6桁の契約も獲得できるようになるだろう」と語る。

DatreeはY CombinatorのCEOであるMichael Seibel(マイケル・ザイベル)氏直属で仕事をしており、2020年冬季の一員になったことによってマーケティングと営業力の強化が期待される。2017年から操業していて既存のプロダクトもあり、「社員が12名いる同社は典型的なYC企業とは言えないが、長期的には今回の参加が経営に大きく貢献する」とトルツ氏は感じている。

関連記事:Datree gets $3M seed round to build DevOps policy engine in GitHub(300万ドルのシード資金を得たDatreeがGitHubでDevOpsのポリシーエンジンをを作る、未訳)

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グラフデータベースNeo4jのバージョン4.0はサイズ制限のないスケーリングが可能に

グラフデータベースのメジャーであるつNeo4jが今日(米国時間2/4)、バージョン4.0のリリースを発表した。最大の目玉は、スケーリングのサイズに制限がなくなったことだ。

グラフデータベースは複数のデータ間の結びつきを表現し調べることができるので、近年ますます人気がある。たとえばeコマースのサイトなら互いに関連するアイテムを表現したいし、ソーシャルサイトでは自分の友だちと、友だちのそのまた友だちなど、複雑な友だち関係を知りたいだろう。主に企業で人気が増していて、特にデータサイエンティストたちが好んでいる。大量のデータの中の関係を表現し見つけられるからだ。

Neo4jの創業者でCEOのEmil Eifrem(エミル・アイフレム)氏によると、グラフデータベースというコンセプトを開発したのは同社だが、その後大きく成長し、多様な展開を見せてきた。「2019年は一般的にも良い年だったが、グラフデータベースにとってはさらに良かった。我々がグラフという言葉とデータベースという言葉をくっつけたときには、そういう新しいカテゴリーを作ることと、その市場開拓に力を入れてきた。そしてそれを、新しいコンセプトとして布教してきた」と語る。

「今度のニューバージョンはかなりのメジャーリリースであり、彼がフォーカスしたいこともいろいろある。まず最初は、大きさ制限のないスケーリングだ。バージョン4.0では高度な水平スケーリングを導入したので、それが可能になった。これまでのバージョンではデータベース全体にわたってデータを複製してきた。それはデータ処理でよく使われる方法だが、データ量がスケールすると遅くなる。ニューバージョンでは、それを変えたかった」と同氏。

同氏によると「4.0ではパーティショニングを導入した。それは、データベースの世界では『シャーディング』と呼ばれている技法だ。リードライトとサイズの両方をスケールできるから超強力な機能だ。限界があるとすれば予算、つまりどれだけ多くのマシンを加えられるかだ」とのこと。

ニューバージョンには、ロール(役割)ベースのアクセスが加わった。グラフデータベースが個々の部門やチームから全社に広がると、各人のロールに基づいて特定のデータへのアクセスを制限することが極めて重要になる。

これについても同氏は「今日では、Neo4jのグラフデータベースは全社的に広くデプロイされている。すると、セキュリティやプライバシーの問題も生じる。そこで、ロールベースのアクセスによりデータを保護するのだ」と説明する。

ニューバージョンにはほかにも多くの機能がある。例えば、単一のNeo4jクラスターで複数のデータベースを動かしたり、また「リアクティブシステム」のサポートもある。後者によりデベロッパーはデータベースとアプリケーションのやり取りを完全にコントロールでき、頑強性のあるデータパイプラインの確保と、データのストリーミング、機械学習などにもそれが応用できる。

Neo4jは2007年の創業。Crunchbaseによると、これまで1億6000万ドル(約176億円)あまりの資金を調達している。

関連記事:Neo4j nabs $80M Series E as graph database tech flourishes(グラフデータベースが大人気でNeo4jはシリーズEで8000万ドルを調達、未訳)

画像クレジット:Neo4j

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HPEがクラウドネイティブのセキュリティを追究するScytaleを買収

HPEが、クラウドネイティブのセキュリティサービスScytaleを買収した。そのサービスは、オープンソースのセキュリティプロトコルSecure Production Identity Framework for Everyone(SPIFFE)をベースにしている。両社は買収の価額を公表していない。

Scytaleは、複数のアプリケーションにまたがってアイデンティティ、すなわち認証とアクセスを管理する。最近では人間が介入しなくても勝手に複数のアプリケーション間で行われるトランザクションが多くなっているので、このようなサービスはますます重要だ。特に重要なのが、情報が他のアプリケーションと共有されてもいいと、当のアプリケーションが認知・許可していることだ。

これはHPEにとっても、今後広げたい分野だ。HPEのフェローでクラウドレスコンピューティングのゼネラルマネージャーであるDave Husak(デイブ・フサック)氏が、買収を発表するブログ記事に「HPEが次の章に進み、弊社独自のエッジツークラウドのPaaSをお届けしていくためには、セキュリティが一貫して重要な役割を担い続ける。ハイブリッドでマルチクラウドな環境で操業している企業ならどこでも、データとアプリケーションのアイデンティティをリアルタイムで動的に識別し認証する、完全に安全でゼロトラストなシステムが必要だ」と書いている。

彼は、HPEがSPIFFEとSPIRE(SPIFFE Runtime Environment)プロジェクトの支持者であり続けることも、書き忘れていない。どちらも、Cloud Native Computing Foundationの傘下にあるシステムだ。

Scytaleの共同創業者Sunil James(サニル・ジェームス)氏も別のブログ記事で「この買収はScytaleのルーツがオープンソースであることをHPEが尊敬していることが鍵だ」と語る。同氏によると「ScytaleのDNAはセキュリティと分散システムとオープンソースだ。HPEにおいてもScytaleはSPIFFEのサポートを継続する。弊社の絶えず成長している、発言力の強いコミュニティが、われわれをリードするだろう。今後も、この透明でベンダーニュートラルなプロジェクトのメンテナンスにしっかりと取り組んでいきたい。そのことは、動的でオープンで安全なエッジツークラウドのプラットホームを提供していくHPEにとっても、同じく重要だ」とのこと。

PitchBookのデータによると、Scytaleは2017年に創業し、これまでに800万ドル(約8億7000万円)を調達している。その中では、昨年3月のBessemerがリードしたシリーズAの500万ドルが大きい。なお、この買収は米国時間2月3日に完了した。

関連記事:Scytale grabs $5M Series A for application-to-application identity management(複数のアプリケーションにまたがってIDを管理できるScytale、未訳)

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大量の一般公開データセットを検索できるGoogle Dataset Searchがベータから公式リリースへ

Google(グーグル)は米国時間1月23日、Dataset Searchのベータ終了を発表した。この一般に公開されている2500万近いデータの集合を検索できるサービスは、2018年の9月にローンチした

研究者たちが利用できるこれらのデータセットは、オランダに2010年から2018年まで猫が何匹いたかといった小さなものから、自分たちの仮説をチェックしたり機械学習のモデルを訓練およびテストするための、注釈入りのオーディオと画像の大型集合までいろいろだ。このツールは現在、約600万のテーブルを索引データ化している。

今回のリリースからDataset Searchにはモバイルバージョンが加わり、新機能も追加された。まず第一に、テーブル、画像、テキストなどデータのタイプを指定するフィルターだ。もちろんこれで求めるデータが見つけやすくなる。また、データセットに関する情報が増え、その出どころも明記された。

検索インデックスの中のデータの多くは、政府の省庁が出どころだ。現在インデックス中のデータとしては、米国政府のデータセットが約2百万件ある。ただしGoogleのKaggleも頻繁に姿を見せるし、そのほかの公共および民間の団体もデータを提供している。

Googleによれば、面白いデータセットを持ってる人は誰でも、それを提供して索引データ化してもらえる。そのプロセスには、データを詳しく説明できるschema.orgの標準マークアップが使われる。

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Google Cloudに秘密データを管理するSecret Managerが登場

米国時間1月22日、Google CloudはSecret Manager発表した。これを利用してユーザーは、APIのキーやパスワード、証明などのデータを安全に保存できる。これによりGoogle Cloudは、ユーザーが単一のツールでこの種のデータを管理し一元化できる場所を提供する。それは高度なIT部門のあるエンタープライズですら往々にして欠けている機能だ。

Googleのデベロッパーアドボケイト(サードパーティーの開発者を支援する役職)のSeth Vargo(セス・バルゴ)氏とプロダクトマネージャーのMatt Driscoll(マット・ドリスコ)氏は本日の発表声明で「多くのアプリケーションが、データベースやAPIキーへのアクセスに本人証明情報を要求している。しかし企業にはデータの複雑怪奇な拡散現象や可視性の邪魔、そして統合化の欠如があるので、秘密データの保護が難しい」と語る。

Googleはすでに秘密情報を管理するオープンソースのコマンドラインツールBerglasを提供している。Secret ManagerとBerglasは相性がいいので、ユーザーは秘密情報をオープンソースのツールであるBerglasからSecret Managerに移し、Berglasを使ってクラウドベースのツールであるSecret Managerからのデータを作ったりアクセスしたりできる。

またGoogleは、暗号鍵を管理するKMSで、管理の完全な鍵管理システムを(他のクラウドサービスと同様)提供している。BerglasとKMSは、互いに補い合う関係だ。Googleも言っているが、KMSは秘密データを保存しない。ユーザーがどこかに保存した秘密データを暗号化するだけだ。そしてGoogle Cloudへの秘密データの保存と管理は、Secret Managerが行う。

Secret Managerには、達等エバ秘密データのバージョンを管理したり監査ログを取るツールもある。Secret Managerにある秘密データは、プロジェクトのグローバルリソースでもあるとGoogleは強調している。競合するツールは、1つのリージョンの秘密データを管理することが多い。

この新しいツールは現在ベータで、Google Cloudのすべての顧客が利用できる。

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マイクロソフトがデュアルスクリーンデバイスの開発ツールをリリース

Microsoft(マイクロソフト)の10月の発表では、同社は1つではなく2つのデュアルスクリーンデバイスを自慢していた。Surface DuoとSurface Neoだ。Surface DuoはAndroidが動き、Surface Neoは「Windows 10 X」と呼ばれる、Windows 10の特殊なフォークが動く、とされていた。

米国時間1月22日、同社はカーテンを少し開けて、デュアルスクリーンのための開発ツールの最初のバッチを披露した。特に、アプリケーションがセカンドスクリーンを何のためにどうやって使うのかについて、ちょっとだけ明らかにした。

Android機であるDuoに関しては前から開発キットが提供されていたが、同社によるとWindowsで動くNeoの開発ツールは数週間後、日付としては2月11日に提供される。

さらに同社によると、これらのデュアルスクリーンデバイスはデフォルトでは画面を一つしか使わない。ユーザーが「span」(広がる)を指定すると、その1つの画面が両方に広がるが、しかし少なくとも現状では、アプリの中からそれを強制することはできない。

アプリが単純に両画面に広がるだけでなく、マイクロソフトは以下のような、2画面の多様な使い方を提示している。

向かって左から、拡張キャンバス、主画面・細部画面、2ページ、二つのビュー、補助画面

マイクロソフトはまた、デュアルスクリーンデバイスのためのウェブの標準的な形を作ろうとしている。例えば、デベロッパーはAPIによりデュアルスクリーンデバイスであることを容易に検出でき、ウェブアプリケーションをそれに適応させることができる。同社によると、Microsoft Edgeのプレビュービルドでは、デュアルスクリーンAPIの初期的なバージョンがもうすぐ提供される。

どちらのデバイスも発売日は確定していないが、どうやら2020年のホリデーシーズンらしい。開発ツールは早く出てほしいものの、画面が2つあるデバイスは少しカッコよくても特別のメリットは感じられない。そのため、このコンセプトを本格的に普及させるには、デベロッパーに2画面の面白い使い方をいろいろ考えてもらうしかない。ちょっと変わったデバイス、ではなく、消費者が「こいつは欲しい!」と思うような使い方を。

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サーバーレス開発モニタリングのEpsagonが17億円超を調達

イスラエルのEpsagonは(エプサゴン)、サーバーレスやコンテナなどのモダンな開発環境のモニタリングを助ける。同社はこのほど1600万ドル(約17億6200万円)のシリーズA調達を発表した。

同社にとって新しい投資家であるU.S. Venture Partners(USVP)が、このラウンドをリードした。また、これまでの投資家であるLightspeed Venture PartnersとStageOne Venturesも参加した。同社によると、これで調達総額は2000万ドル(約22億円)になる。

CEOで創業者のNitzan Shapira(ニッツァン・シャピラ)氏によると、同社は昨年プロダクトを拡張して、同社のルーツであるサーバーレス以外にも手を広げたが、同時にまた、さまざまな形のモダンな開発への深いインサイトを提供している。

シャピラ氏は「5月にEpsagonのマイクロサービスのためのプラットホームをクラウドに立ち上げたときお話したように、それにはコンテナやサーバーレスなど、マイクロサービスのアプリケーションを作るためのありとあらゆるワークロードが含まれている。さらにその後も、かなりの数の重要な発表を行なった」と語る。

最初に同社が発表したのはKubernetesのワークロードのトレーシングとメトリックスで、それにはネイティブのKubernetesのほかに、AWS EKSやGoogle GKEのようなマネージドKubernetesサービスも含まれている。シャピラ氏によると「数カ月前に、Kubernetesの統合を発表した。だからKubernetesのワークロードがあるところならワンクリックでEpsagonと統合でき、すぐにすべてのメトリックスを得られる。トレーシングのセットアップも数分でできる。これによって弊社のプロダクトには、極めて多数のユースケースが開けたことになる」とのこと。

同社はさらに、Amazonのクラウド上で使えるノーコードプログラミングツールであるAWS AppSyncのサポートも発表した。「AppSyncにトレーシングを導入したモニタリングプロバイダーはうちが唯一だが、しかしノーコードプログラミングは多くの人たちがモニタリングやトラブルシューティングで苦戦している分野なのだ」と同氏は語る。

「今回の資金でプロダクトをさらに拡張し、特にMicrosoft AzureとGoogle Cloud Platformのサポートを充実させたい。手作業で構成している一部のタスクの自動化を拡張したい」」とシャピラ氏。「プロダクトはできるかぎり最大限自動化したい。そうすればユーザーは、わずか数分ですごい体験を得られる。それらは、より高度なモニタリングや、さまざまな問題の検出とトラブルシューティングなどだ」と続けた。シャピラ氏によると、今の社員数はだいたい25名だが、年内に倍増したいそうだ。

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Googleによるノーコード開発のAppSheet買収で、プログラマー不在でもアプリ開発が容易に

Googleが米国時間1月14日、創業8年のノーコードでモバイルアプリケーションを開発できるプラットホームAppSheetの買収を発表した。PitchBookのデータによると、同社は6000万ドル(約66億円)の評価額で1700万ドル(約19億円)を調達している。両社とも、買収額は公表していない。

Googleは、AppSheetの買収で、企業がコードを1行も書かない簡単なモバイルアプリ開発環境を提供できるようになる。それはデータをスプレッドシートやデータベース、フォームなどから抽出し、それらのフィールドや列の名前をアプリ構築のベースにする。

統合されるGoogle CloudにはすでにGoogle SheetsやGoogle Formsがあるが、AppSheetはAWS DynamoDBやSalesforce、Office 365、Boxといった他のツールでも使うことができる。Googleによると、買収完了後もこれらのプラットホームへのサポートは続ける。

Google Cloudの副社長Amit Zavery(アミット・ザベリー)氏が、ブログで書いているように、この買収によりデベロッパーや開発チームがない企業でもモバイルアプリを作れるようになる。「この買収でエンタープライズは大量の一般社員に力をつけ、プロのプログラマーがいなくてもアプリケーションを容易に開発したり、拡張できるようになる」とザベリー氏は言う。

Googleに買収されたスタートアップの創業者がよく言うように、AppSheetの共同創業者でCEOのPraveen Seshadri(プラヴィーン・セシャドリ)氏も、単独の企業ではできなかった市場拡大がGoogleの下でできるようになる、と発言している。

セシャドリ氏は「G SuiteやAndroidなど、Googleのすばらしい財産を利用できることで得られる可能性はとても大きい。それによりAppSheetの機能性とスケール、パフォーマンスを向上できるだろう。今後はAppSheetの長所とGoogleの専門的能力を組み合わせて、金融サービスやリテール、メディア、エンターテインメントなどの業種も顧客にしていきたい」と記している。

Googleとしては、ノーコードを同社の開発哲学の延長として、ワークフローオートメーションや、アプリケーションインテグレーション、API管理などと並ぶ重要なサービスに位置づけていくようだ。

AppSheetのようなノーコードツールが、高度な開発環境に置き換わるわけではないが、これまでモバイルアプリの開発能力がない企業に、ちゃんとした力を提供していくことは確実だ。

画像クレジット: Akio Kon/Bloomberg via Getty Images/Getty Images

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開発者と企業を繋ぐHackerRankがコンピューターサイエンス学習ツールのMimirを買収

企業の人事に代わって求職しているデベロッパーのプログラミング能力を面接試験したり、面接の練習ができる人気サービスHackerRank(ハッカーランク)が米国時間12月17日、コンピューターサイエンス学習のコースツールを提供しているMimir(ミーミル)の買収を発表した。これはHackerRankにとって初めての買収となるが、現在、カリフォルニア大学ロサンゼルス校やパデュー大学、オレゴン州立大学、ミシガン州立大学などの大学、そしてGoogleのような企業がMimirを利用している。

HackerRankによると、Mimirのクラスルームプロダクトは当面サポートを継続する。2020年の第二四半期には、両社を組み合わせた最初のプロダクトがリリースがされる予定だ。

HackerRankの共同創業者でCEOのVivek Ravisankar(ヴィベック・ラビサンカル)氏は、「HackerRankは教授や学生や顧客と密接に協力して、学生デベロッパーによるスキルの習得と改良、評価を助け、コース学習からキャリア形成の過程まで支援している。今回の買収によって、学生たちは正規の大学教育と実際的なスキル評価の両方を取得できることで、成功のための強力なキャリアを築くことができるだろう」と述べている。

両社とも買収の財務的詳細を明かさないが、インディアナ州に本拠を置くMimirはこれまで総額250万ドル(約2億7000万円)を調達し、買収時には3名の役員を含めて8人の社員がいた。

両社が強調するのは、どちらもさまざまなバックグラウンドを持つデベロッパーが、学歴の有無などを問わず平等に職を競えるプラットホームであることだ。HackerRankの主張では、同社の既存サービスとMimirのクラスルームツールを組み合わせれば、コンピューターサイエンスのクラスルームと、市場で最も総合的なデベロッパー評価プラットホームの両方を提供できるため、学生たちは現実的なプログラミングに向けて順部することが可能で、大学側は学生の進歩をより正確に評価できるようになる。これにより、HackerRankは明らかに従来の学術世界へのリーチを伸ばし、また求人顧客企業のためのタレントプールも拡大できる。特にラビサンカル氏が念を押すのは、両社の合併によって学生たちがアカデミックな学習と市場での学習の両方を組み合わせられることだ。氏は「これで学生たちは、未来の職場が求めるスキルを確実に身にみつけられる」と述べている。

Mimirは必ずしも、大規模なオンラインコースのためのツールではなく、むしろ教師と学生によるプログラミングのプロジェクトと宿題の管理を助けることを主眼としている。そのため完全にオンライン化されているIDE(統合開発環境)があるし、Jupyter Notebookをサポートしている。また、小テストや宿題を作る伝統的な教師用ツールもある。内蔵のIDEはPython、Java、Cなど40の言語をサポート し、また盗用を見つけるツールもある。

現在、Mimirのコース学習を使っているユーザーは15000人から20000人だが、HackerRankの登録デベロッパー数700万人に比べると相当少ない。ただしHackerRankの方は、非アクティブなユーザーも多いだろう。それに対してMimirのユーザーは、遅かれ早かれ雇用市場に現れてくる。

Mimirの共同創業者でCEOのPrahasith Veluvolu(プラハシット・ヴェルヴォル)氏は「Mimirはコンピューターサイエンス教育の秘密兵器と呼ばれており、デベロッパー教育に大きな違いをもたらしていく。HackerRankとの協業は、我々のミッションにおける自然な進化だ。顧客がプログラムをスケールできるようになると同時に、学生たちは他に類のないクラスルーム体験により、未来のキャリアに向けての準備ができる」と述べている。

関連記事: HackerRank raises $30M to match developers with jobs…HackerRankはデベロッパーと職をマッチさせる(未訳)

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AIによる分散システム「Ray」を開発するAnyscaleが22億円超を調達

オープンソースは今や現代のソフトウェアの重要な要素だ。米国時間12月1日、新たなスタートアップがステルスを脱してオープンソースの新しい分野を商機にしようとしている。人工知能や複雑な科学計算など大規模なコンピューティングのプロジェクトで近年多く利用されている、分散アプリケーション環境の構築と管理という分野だ。

カリフォルニア大学バークレー校で分散プログラミングのフレームワークProject Rayを作ったRobert Nishihara(ロバート・ニシハラ)氏とPhilipp Moritz(フィリップ・モリッツ)氏、Ion Stoica(イオン、ストイカ)氏、そして教授のMichael I. Jordan(マイケル・I・ジョーダン)氏らのチームが今回創業したAnyscaleは、このほどAndreessen HorowitzがリードするシリーズAのラウンドで2060万ドル(約22億5500万円)を調達した。これには、NEA、Intel Capital、Ant Financial、Amplify Partners、11.2 Capital、そしてThe House Fundが参加した。

同社はこの資金を使って、初めての商用製品を作るつもりだ。その詳細はまだ明かされないが、一般化した言い方としては、コンピューティングのプロジェクトを1台のラップトップからマシンのクラスターへと容易にスケールアウトできる仕組み、そしてプロジェクトを管理するための一連のライブラリやアプリケーションが含まれるようだ。ローンチは来年を予定している。

ストイカ氏はインタビューで「現状ではRayをアプリケーション構築のスタンダードにすることに注力している。Rayのためのツールやランタイムプラットホームを作ることになるだろう。つまり、Anyscaleのその新しいプロダクトを利用すれば、Rayのアプリケーションを安全にハイパフォーマンスで動かせるというわけだ」と語る。

今回の投資の一部は、企業の戦略的投資でもある。たとえばIntel(インテル)は、AmazonやMicrosoft、Ant Financialなどと並んで自社のコンピューティングプロジェクトのためにRayを使ってきた大企業のひとつだ。

インテルのIT部門のエンタープライズ&プラットフォームグループでCTOを務めるMoty Fania(モティ・ファニア)氏は声明で「IntelのIT部門はRayを利用してPythonのワークロードをコードをほとんど書き換えずに大規模化している。Intelの生産と検査の工程に実装してわかったのは、個人化されたチップテストを作るために使うハイパーパラメータ選択のテクニックとオートモデリングの工程でRayがスピードとスケールを増大してくれることだ。それによって、コストを下げ、工程の容量と質を上げることができた」とコメントしている。

Rayのユーザーリストにはそうそうたる企業が名を連ねているが、でもAnyscaleの目的は何だろうか?ストイカ氏とニシハラ氏の説明では、Rayを実装するためのもっとシンプルで容易な方法を作ることが目的だ。それによってRayを、Amazonのような世界的企業でなく、もっと技術力の弱いほどほどの企業でも使えるようにしたい。

「エキスパートのエンジニアがいない企業では、それがとても重要なことだ」とストイカ氏は語る。Anyscaleが解決する問題は、未来の大規模で複雑なコンピューティングには必ずつきまとう。コンピューティングによる解を求める問題が目白押しで並んでいるが、その中には1台の大型計算機では扱えないものがある。たとえばAnyscaleが挙げるIDCの推計によると、2025年に生成され処理されるデータ量は175ZB(ゼタバイト、1ZB=1兆TB)に達する。

これだけのスケールでも、未来の量子コンピューターには平気かもしれないが、現在の現実的なオプションとしては、分散コンピューティングが妥当なソリューションだ。Rayは分散コンピューティング環境を実装するために用いるスタンダードとして考案されたが、でもそれ自身が技術的に相当高度で、使いこなせる人は限られている。

ニシハラ氏はこ「あなたが生物学者でも、シンプルなプログラムを書いて大きなスケールでそれを動かすことはできるだろう。でもそれがうまくいくためには、生物学の専門知識だけでなく、コンピューティングの専門知識も要る。そしてそれが、越えがたい高い障壁になる」と説明する。

AnyscaleやRayを作った人々は、過去にこれら以外にも優れた業績があり、今の大規模分散コンピューティングの問題解決にとって彼らは適任だ。例えばストイカ氏はDatabricksやConvivaの共同創業者であり、Apache Sparkの最初のデベロッパーの一人でもある。

Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)の共同創業者Ben Horowitz(ベン・ホロウィッツ)氏はインタビューで、「IonでDatabricksを扱い、それで縁ができた」と語る。Ionはバークレー校で生まれるプロジェクトに頻繁に投資していた。そしてRayとAnyscaleは、現在のコンピューティングのニーズによく応えていると感じた。「Rayはオープンソースである点が非常に魅力的だったが、それが解決しようとしている問題が重要だった」と彼は述べている。

「ムーアの法則は終わったとみんな嘆いているが、重要なのは人工知能のアプリケーションにとってはそんなの関係ないという点だ。必要とするコンピューティングパワーがますます増大しているから、今や一つのマシンの性能を云々する時代ではない。みんなが分散コンピューティングをマスターしなければならないが、でも今それが得意なのはGoogleぐらいで、ほかのみんなにとって分散コンピューティングは難しい。我々は、この問題の解を求めていたのだ」。

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Atlassianがサーバーレス込みのクラウド開発プラットホームを立ち上げ

Atlassianには、Bitbucket、Jira、Confluenceなどのデベロッパーツールがある。また、何千ものアドオンをマーケットプレースで提供している。しかし、これまでは独自の開発プラットホームというものを欠いていた。米国時間12月12日、Forgeプラットホームの発表でそれが変わる。

同社はこの新しいツールを発表するブログ記事に「Forgeを使うと、デベロッパーの能力が増幅され、Atlassianのプロダクトを統合したエンタープライズ向けクラウドアプリケーションをより容易に作れるようになる」と記載している。

このプラットホームには大きな柱が3つある。まず、サーバーレスのFunction as a Service(FaaS)により、Forgeを使うデベロッパーはアプリケーションを、それらを動かすために必要な低レベルのインフラストラクチャをいっさい気にせずに作り、ホストすることができる。Forgeのそのツールは、AWSのFaaSやAWS Lambdaを使っている。

これによりインフラストラクチャの管理という難題がなくなるので、もっと多くのデベロッパーが仕事をできるようになる。上記ブログ記事はこう書いている: 「FaaSのプラットホームにより、認証やアイデンティティ、スケーリング、テナンシー(マルチテナント問題)などの、一般的によくある痛点を回避できる」。

次に重要な柱が、ウェブやデバイス上にユーザーインタフェイスを作るためのUI、Forge UIだ。Forge UIは宣言型言語を使うので、ユーザーインタフェイスの構築が楽になり、ファンクションの場合と同様にデベロッパーの工程を簡素化する。ユーザーインタフェイスの構築に関わるセキュリティの問題はすべてAtlassianが扱うので、その点でもデベロッパーは苦労から解放される。

これについて同社は「UIのレンダリングの雑務を抽象化の背後に隠してしまい、それらを相手にしないで済むようになったデベロッパーには、アプリケーションの表現のされ方や、ユーザー生成コンテンツや個人を特定する情報など機密データの送られ方に関して強力な保証が得られる」と語る。

最後の重要な柱が、コマンドラインインタフェイスForge CLIだ。それは、Bitbucketで継続的デリバリーのパイプラインを作り、コマンドラインで動かすことに関連している。

以上の3つの柱を合わせるとかなり包括的な開発環境になり、アプリケーションの機能性からユーザーインタフェイスの設計までも含んだツールセットのほかに、コマンドラインから管理的操作もできることになる。

プラットホームサービスは今やいろいろあるのでAtlassianは競合に直面することになるが、Atlassianのマーケットプレースに向けてアプリケーションを作ることを計画しているデベロッパーにとっては、このツールがとても便利に思われるだろう。多くのデベロッパーにとって、人気のプラットホームになるかもしれない。

関連記事:AtlassianがJira Service Deskの多部門利用に応え、テンプレートとワークフローを専用化

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AWSがスループット保証付きマネージドCassandraサービスをローンチ

米国時間12月3日に開催されたAWS re:InventでAmazonは、AWS上でCassandra(カサンドラ)データベースを管理できる機能を発表した。

このAmazon Managed Apache Cassandra Service(Amazon MCS)と呼ばれるマネージドサービスは、サードパーティのベンダーからではなくCassandraを直接デベロッパーに提供しようとするAWSの意図の現れであり、すでにGrubhub.com、Netflix、Ooyala、Openwave、Reddit、Uberなどさまざまな企業が使っている。

同社によると、Amazon MCSはサーバーレスなので、ユーザーは自分が実際に使うリソースにだけ料金を払い、アプリケーションのトラフィックに応じてスケールアップとダウンは自動的に行われる。アプリケーションは毎秒数千のリクエストに応じられ、そのスループットとストレージに上限はない。IoTにとっては、とびきり魅力的な特性だ。

デベロッパーは、Cassandraの既存のアプリケーションをそのままAWS上で動かせるし、これまで使っていたデベロッパーツールを使える。アプリケーションのアップデートはAmazon MCSのサービステーブル中のエンドポイントを変えるだけだ

データはデフォルトで暗号化されて保存される。暗号化にはAWS Key Management Service(KMS)に保存されている暗号鍵が使われる。同社によると、Amazon MCSAWS Identity and Access Management(IAM)と統合されているので、デベロッパーはテーブルデータの管理やアクセスが容易とのこと。

Amazonによると、同社はCassandraのAPIライブラリにも協力しており、またオープンソースのApache Cassandraプロジェクトにバグフィックスで貢献している。プレビュー期間中はオンデマンドのキャパシティに課金され、一般公開時にはある程度予測できるワークロードに対して一定のスループットを確保・提供する。

今このプロダクトはAmazonの無料ティアに含まれている。企業は、最初の3か月はライトリクエスト3000万、リードリクエスト3000万、ストレージ1GBの無料ティアを使用できる。

画像クレジット: Ron Miller

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CircleCIの継続的統合とデリバリーサービスがAWSのサポートを拡充

継続的インテグレーションとデリバリーのサービスを提供するCircleCIは1年ほど前から、そのコマンドやインテグレーションをサードパーティのサービスで容易に再利用するための方法としてOrbsを提供してきた。当然ながら、Orbsが最も多く使われるサービスといえばAWSであり、同社のデベロッパーもコードのテストやデプロイをAWSで行っている。米国時間12月2日、ラスベガスで行われているAWSの例年のデベロッパーカンファレンスre:Inventと日を合わせたかのように、同社はOrbsにAWSのServerless Application Model(SAM)のサポートを加えたことを発表した。これにより、AWS Lambdaのテストとデプロイを行う自動化CI/CDプラットホームのセットアップがとても容易になる。

同社によると、1年前にローンチしたOrbsを今では1万1000社あまりが利用している。OrbsのAWS用の利用の中で特に多いのは、例えばAmazon Elastic Container ServicesとElastic Container Service for Kubernetes(EKS)のイメージの構築とアップデートや、AWS CodeDeployのサポート、AWSのコマンドラインインタフェイスをインストールし構成するためのOrbs、S3ストレージサービスで利用するOrbsなどだ。

CircleCIの事業開発担当副社長Tom Trahan(トム・トラハン)氏は「最近ではますます多くの企業がLambdaやECS、EKSなどのマネージドサービスを使うようになっている。サーバーレスのエコシステムを管理しているAWSのプロダクトチームと協力して、LambdaにCI/CDのワークフローを加えたいユーザーのための出来合いのサービスを作ることはタイミングとしても理想的だ。Lambdaも最初の頃は、従来のソフトウェアのパターンとデリバリーのフローに従わないデベロッパーが多かった。しかしその後は徐々にLambdaの利用機会が増えて、それを最も有効利用するためには、プロダクション品質のコードを作るべきという風潮になってきた。そしてLambdaでも同じソフトウェアデリバリーの能力と規律を持つべきという理解が定着してきた」と語る。

トラハン氏が強調するのは、今はまだアーリーアダプターが多いし、最初からクラウドネイティブでやってるような企業が顧客として多いことだ。しかし最近では、そういう顧客の中にも従来型の企業が多くなっており、彼ら独自のデジタル革命が急速に進行しているという。

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