高専10校が共同開発した人工衛星「KOSEN-1」で初の宇宙技術実証に成功、Raspberry Pi CM1を衛星の心臓部に採用

高専10校が共同開発した人工衛星「KOSEN-1」で初の宇宙技術実証に成功、Raspberry Pi CM1を衛星の心臓部に採用高知工業専門学校(高知高専)を中心とする10校の高専が開発した超小型人工衛星「KOSEN-1」が、市販のLinuxマイコンボード「Raspberry Pi Compute Module 1」(CM1)を衛星の制御に使うオンボードコンピューター(OBC)として常時運用するという宇宙技術実証に成功した。

KOSEN-1は、10センチ四方の立方体を2つ重ねた大きさで、重量は2.6kgという超小型人工衛星(2Uキューブサット。サイズ10×10×23cm)。以下に挙げる10校が共同で開発した、木星が放射する自然電波の観測のための最新技術の実証を目的とした木星電波観測技術実証衛星だ。2018年にJAXAの革新的衛星技術実証2号機の実証テーマに選定され、50名以上の高専生が参加して2年半をかけて開発。2021年11月、JAXAのイプシロンロケット5号機で打ち上げられた。

開発参加校

高知高専
群馬高専
徳山高専
岐阜高専
香川高専
米子高専
新居浜高専
明石高専
鹿児島高専
苫小牧高専

今回実証に成功したのは、超小型で省電力な市販のLinuxマイコンボード「Raspberry Pi Compute Module 1」(CM1)を衛星の心臓部となるOBCに使い、宇宙で運用するというもの。このOBCと連動したカメラによる地球の写真撮影にも成功した。

KOSEN-1から撮影された地球

CM1のプログラムには、プログラミング言語Pythonを利用しているという。そのCM1とPythonの組み合わせには、いくつもの利点がある。まずはCM1のOSがオープンソースソフトウェアのLinuxで、OS本体だけでなくソフトウェアなどの膨大なリソースが自由に使えること。CM1は安価な市販のマイコンボードなので、ハードウェアのシミュレーションが容易に行えること。さらに、やはりオープンソースのプログラミング言語Pythonを使うため、インターネットで共有しながらプログラム開発が行えること。これらにより、多くの高専生が参加する画期的な「分散型OBCソフト開発」が実現できた。

OBCに使用された「Raspberry Pi Compute Module 1」

今後KOSEN-1では、「デュアルリアクションホイールによる超高精度姿勢制御」と「木星電波観測用6.6m長ダイポールアンテナ展開技術」の実証を宇宙で行うことにしている。

アップルM1チップ搭載Macで動くLinuxディストリビューション「Asahi Linux」のパブリックアルファ版が公開

アップルM1チップ搭載Macで動くLinuxディストリビューション「Asahi Linux」のパブリックアルファ版が公開

Asahi Linux

M1チップ搭載Macでの動作を目指すLinuxディストリビューション「Asahi Linux」が、初のパブリックアルファをリリースしました。アルファ版ということもあって、まだまだハードウェアの機能にすべてアクセスできるわけではありませんが、それでもまずはベータ版、そして正式リリースに向けての重要なチェックポイントに到達したと言えるでしょう。

Asahi Linuxプロジェクトはいまから約1年前、アップルが開発したM1チップシリーズを搭載したMacでの動作を目指し、Arch LinuxのARM版をベースに開発をスタートしました。ようやくのアルファ版ということで、興味のある(そして多少なりとLinuxをセットアップした経験のある)M1 Macユーザーなら誰でも(自己責任で)この新しいディストリビューション(とたくさん表示される警告メッセージ)を試すことができます。

インストールはApple SiliconとmacOS 12.3以降を搭載するMac、具体的にはMac Studioを除く、M1、M1 Pro、M1 Max搭載のMacなら、簡単なターミナルコマンドを入力するだけでインストールが可能です。インストールは管理者権限が必要ですが、デュアルブートにできるので、あくまでお試しにとどめたいニーズにも対応が可能。

現在のところはオンラインインストールのみが可能で、アンインストーラーはなく、パーティションの削除でアンインストールするとのこと。

また盛んに宣伝されているM1チップの統合GPUによる3Dアクセラレーション、Neural Engineをはじめ、DisplayPort、Thunderbolt、またはHDMIポート、カメラにタッチバーといった部分はすべて未サポート。一方USB3、スピーカーなどのサポートは間もなく追加予定とのこと。

M1 Macを手に自らすすんで人柱になりたい方は、Asahi Linuxのウェブサイトにある説明を熟読の上、自己責任でコマンドを入力、実行してみてください。

(Source:Asahi LinuxEngadget日本版より転載)

64ビットRISC-V版のキーボード一体型PC「DevTerm Kit R-01」をClockwork Techが発売、組み立て式で価格約3万円

64ビットRISC-V版のキーボード一体型PC「DevTerm Kit R-01」をClockwork Techが発売、組み立て式で価格約3万円

Clockwork Techは3月16日、64ビットRISC-V(リスク・ファイブ)チップ版のキーボード一体型PC「DevTerm Kit R-01」の発売を開始した。組み立てキットの体裁で販売しており、直販価格は239ドル(約2万8261円)。LinuxベースのOSおよびオープンソースソフトウェア関連の知識を必要とすることから実験的なモデルと位置付けており、初心者は他モデルを購入するよう呼びかけている。またサプライチェーンの状況から、納期は約60営業日を想定しているとのこと。64ビットRISC-V版のキーボード一体型PC「DevTerm Kit R-01」をClockwork Techが発売、組み立て式で価格約3万円

RISC-Vは、RISCベースおよびオープン標準の命令セットアーキテクチャ(ISA。instruction set architecture)。ISAには、x86アーキテクチャ、Armアーキテクチャなどがある。2010年にカリフォルニア大学バークレイ校においてプロジェクトが開始。オープンソース・ライセンス(BSDライセンス)として公開されており、使用料がかからない(ロイヤリティーフリー)。現在非営利団体のRISC-V Foundationが管理している。

DevTerm Kit R-01は、RV64IMAFDCVU(シングルコア、クロック周波数1GHz)、1GBのDDR3メモリーを搭載するR-01コアモジュールを採用。マザーボードにあたるClockworkPi v3.14メインボードにセットできる。

また6.8インチのIPS液晶ディスプレーを搭載するほか、別売のリチウムイオン二次電池「18650電池」をセットすることで、バッテリー駆動も可能。58mm感熱式(200dpi)サーマルプリンター付きの独自コアモジュール同梱。64ビットRISC-V版のキーボード一体型PC「DevTerm Kit R-01」をClockwork Techが発売、組み立て式で価格約3万円64ビットRISC-V版のキーボード一体型PC「DevTerm Kit R-01」をClockwork Techが発売、組み立て式で価格約3万円64ビットRISC-V版のキーボード一体型PC「DevTerm Kit R-01」をClockwork Techが発売、組み立て式で価格約3万円64ビットRISC-V版のキーボード一体型PC「DevTerm Kit R-01」をClockwork Techが発売、組み立て式で価格約3万円

「DevTerm Kit R-01」同梱物

  • ClockworkPi v3.14メインボード
  • R-01コアモジュール(RISC-V 64bit Single-core RV64IMAFDCVU @ 1.0GHz、GPUなし、1GB DDR3メモリー)
  • Ext. モジュール(拡張モジュール)
  • 6.8インチIPSスクリーン(1280×480ピクセル) モジュール
  • clockwork QWERTYキーボード(67キー+ゲーム用キー、トラックボール)
  • バッテリーモジュール(「18650電池」は別売)
  • デュアル スピーカー
  • 58mm 200dpi サーマルプリンター(DevTerm Kit A06 series)
  • シェルおよびブラケットシステム(筐体など)
  • clockworkOS搭載32GB TFカード(microSDカード)

Sailfish OSを作っているフィンランドのJollaがロシアとの縁切りを努力中

GoogleのAndroidに代わるLinuxベースのモバイルシステムを開発しているフィンランドのJollaは、一部ロシア政府も利用していたが、このほどその事業を再構築してロシア国家との関係を断つことにした。

今週初めに同社に、EUの今後のロシアに対する制裁を気にしているのか聞いてみた。というのも2018年以来、ロシアの通信企業Rostelecomが同社の戦略的投資家だからだ。

CEOで共同創業者のSami Pienimäki氏は、本誌の取材に対してこう語った: 「すでに2021年からロシア相手のビジネスと輸出は減らしている。したがってテクノロジー業界からの制裁が今後あっても、Jollaのビジネスにはそれ以上の影響はない。並行してJollaは自動車部門が急速に成長しており、それが2021年の売上の大きな部分を占めている」。

「投資家が持つ企業の所有権は確かに問題だが、それについても年内に解決を目指したい」。

同社のSailfish OSは2016年以来、ロシアの政府と企業の利用が認められている

その翌年からSailfish OSの市場におけるローカルなライセンスはOpen Mobile Platformと呼ばれ、その年のMobile World Congressカンファレンスではロシア市場向けのSailfishデバイスが、「Googleから完全に自由」をスローガンに、誇らしく嬉々としてデビューした。

その後2018年には、RostelecomがOpen Mobile Platformの75%の所有権の買収を申請し、それをVotronと呼んだ。同社は、Jollaの株式の過半数を保有していると報じられた。また、その取引によって、部分的に国有でもあるロシアの通信企業がJollaの筆頭株主であるらしいことも、明らかとなった。

しかし所有権のそのような構造は、今Jollaがもはや無効と決定し、現状のままでは同社のヨーロッパにおける成長が阻害されるほどの「困難な状況」が生ずると見なした。

それでも2019年には、Jollaはロシア市場に全力を注いでいた。そうなった大きな契機は所有権レベルでのロシアとの関係だろう。だからそれは、わずか数年後にすべての関係を断つという同社の方針の大きな逆転でもある。

Jollaは昨年、2020年が黒字だったと発表した。そしてPienimäki氏によると、昨年(2021)はロシア市場以外での成長が大きかったという。

今日(米国時間03/01)LinkedInにフィンランド語でポストした声明で、Jollaの取締役会会長Samuli Simojoki氏が、同社のロシア離れについて具体的に述べている。そして、Rostelecomの持ち株を自動車業界のどこかが買ってくれることを期待しているようだ。また、フィンランド政府からの援助の可能性についても、言及している。

Simojoki氏はこう書いている: 「プーチンのウクライナ侵略によって私たちはみな、ロシアとの関係と今後の行動について、再検討せざるを得なくなった」。(フィンランド語からの機械翻訳による。)

「ロシア国家が大株主の企業では働きたくない、と言うのは簡単だ。Jollaはここしばらく、株式所有の構造として、均衡ある所有権の構造を模索し、その努力の一環としてロシアの所有権を大幅に減らしてきた。しかし今の新たな状況では、ロシアの所有権を完全に処分しなければ会社の未来がないことは明らかである」。

Simojoki氏はさらに続けて、Jollaはすでに昨年からロシアの事業を積極的に縮小してきた、…今後はロシアからの収益はゼロになる、とも言っている。

「唯一のつながりがが所有権だ。弊社は自動車業界とオペレーティングシステムの両方をビジネス機会とするおもしろい事業構造であり、前からヨーロッパの数社が、所有権の構造が是正されれば協力関係に入ってもよい、と言っている」。

「フィンランド政府とはこれらの問題について前向きの対話が行われている。Jolla Oyの重要なパートナーのひとつがダイムラーで、Jollaの取締役会にはダイムラーの代表者がいる。ダイムラーとも状況をめぐる対話を初めており、取締役会のダイムラーの席は維持される」。

「したがって狙いは、上述の所有権構造で会社を救うことだ」。

Jollaが自動車業界の関心を惹いているひとつの理由は、昨年ローンチした同社の新製品で、それは自動車メーカーなど組み込み型Linux互換のプラットホームを使っている業界がターゲットだ。このAppSupport for Linux Platformsと呼ばれる製品は、そんなシステムが、Google自身の自動車関連提供物のライセンスの必要なく、Androidアプリを動かせる。

関連記事: 設立10周年を前に黒字化を達成した元Nokiaスタッフが企業したJolla、モバイル以外の展開も視野に

(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Jolla

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ソラコム、LinuxおよびLTE通信機能採用のAIカメラS+ Cameraの新モデルS+ Camera Design発売

ソラコム、LinuxおよびLTE通信機能採用のAIカメラS+ Cameraの新モデルS+ Camera Design発売

「IoTテクノロジーの民主化」を掲げるIoT企業ソラコムは12月1日、IoTカメラ「S+ Camera」の新型モデル「S+ Camera Design」の発売を開始した。従来製品の約半分にスリム化され、公共施設などに設置しても違和感のない丸みを帯びたデザインになっている。ソラコム、LinuxおよびLTE通信機能採用のAIカメラS+ Cameraの新モデルS+ Camera Design発売

「S+ Camera」シリーズは、Linuxベースの小型コンピューターとセルラー通信(LTE)を搭載したIoTカメラ。AIアルゴリズムをインストールすれば、用途に合わせたAIカメラソリューションが実現する。専用コンソールを使って映像を確認したり、AIアルゴリズムをリモートで更新するなどが可能。汎用マウントで簡単に設置が行える。

S+ Cameraは、商業施設の混雑度チェック、街中の交通量調査、電気や空調設備のモニタリング、工場や倉庫の入退室管理などに利用されているが、公共の場所で使われることを考え、厚さ5cmという、コンパクトで洗練されたパッケージに収めたのがS+ Camera Designだ。デザインは、プロダクトデザインを手がける日南とのコラボによるもの。 ソラコム、LinuxおよびLTE通信機能採用のAIカメラS+ Cameraの新モデルS+ Camera Design発売

「S+ Camera Design」の特徴は次のとおり。

  • セルラー回線標準搭載:
    データの送受信にセルラー回線を利用するため、ネットワーク環境の構築が不要
  • アルゴリズムの遠隔更新:
    エッジ処理ができ、専用のコンソールからアルゴリズムを遠隔操作で更新可能
  • かんたん設置:
    電源に接続するだけですぐに利用できる。汎用マウントを利用すれば設置も容易
  • AIアルゴリズムをインストールして独自のAIカメラソリューションを実現:
    アルゴリズムはソラコムが提供する「リファレンス アルゴリズム」(無償提供)、自社で独自に開発できる「自社開発アルゴリズム」、パートナー企業が提供する「3rd party アルゴリズム」(有償提供)のいずれかが使える。

概要

  • 外形:164×50×187mm
  • 重量:305g(本体のみ)
  • F値:2.8
  • カメラ角度調整機構:縦横斜めのいずれか一方向に調整可能(手動)
  • 内容:本体、ACアダプター(ケーブル長3m)、汎用型マグネットマウント、SORACOM特定地域向けIoT SIMカード plan-D サイズ:マイクロ(データ通信のみ)、六角レンチ(角度調整用)、IMEIシール
  • 直販価格:4万9800円(税込。送料別)

製品詳細はこちら

Ubuntu開発元Canonicalが仮想マシン管理ツールMultipassのM1 Macサポート発表、20秒でLinux環境起動

Raspberry Piで簡単に3Dポイントクラウドが作れる3Dセンシングシステム「ILT開発キット」発表
Ubuntu開発元Canonicalが仮想マシン管理ツール「Multipass」のM1 Macサポート発表、20秒でLinux環境を起動

Canonical

Linuxで最大のシェアを持つUbuntuの開発元Canonical社は9日(英現地時間)、M1チップ(系列)を搭載したMac上でクロスプラットフォームのLinuxを動作させる「最も迅速な方法」を発表しました。具体的には仮想マシン管理ツール「Multipass」(GitHub)がサポートされたということであり、これによりユーザーは1つのコマンドでM1 Mac上で仮想マシンイメージを起動し、わずか20秒でLinuxを実行できるとのことです。

アップル初のMac向け自社開発チップ「M1」は高性能かつ低消費電力が魅力ながらも、独自仕様のためmacOS以外のOSを動かすことが困難であり、Linux Kernelについても一応の動作が確認されてから、Linux Kernel 5.13 RCで正式サポートされるまで半年近くかかっていました。ついに10月には「基本的なデスクトップとして使える(GPUアクセラレーションはまだ使えず)」と宣言されながらも、今なおM1 Mac上で動かすまでは簡単な作業とは言えません。

そんななか、Canonical社はUbuntuこそが「M1 MacをLinuxコンピュータに変身させる最初のプラットフォーム」だと主張。今回のMultipassサポートに当たっても、プロダクトマネージャーのNathan Hart氏も自社が「開発者が市場にある他の選択肢よりも早くLinuxを使えるようにしたいと考えており、Multipassチームはその実現に貢献しています」と述べています。

Multipassの何が優れているかといえば、仮想マシン(VM)内のアプリを動かすにあたってコンテキスト(動作状態を保持する機構)を切り替える必要がなく、VM内のアプリをホスト端末(M1 Mac)から直接実行できるということです。

公式ブログによれば、Multipassの最新版1.8.0ではVM内のコマンドとホストOS上のコマンドを結びつけられる新機能「エイリアス」が利用でき、それにより「ユーザーはあらゆるLinuxプログラムをネイティブに近い状態で使えます」とのこと。例えばWindowsやMac上でDocker(仮想環境の構築ツール)を実行したい開発者にとって、エイリアスはその代わりになり得ると謳われています。

アプリやシステム開発から縁遠い一般人にとっては難解な話にも思えますが、要は「M1(あるいはM1 ProやM1 Max)搭載MacでLinuxの仮想マシン(サーバーなど)を構築してコマンド実行しやすくなった」ということです。

M1 Macの発売から約1年が経過し、アップルが全く仕様を明らかにしていないM1チップの分析がここまで進んだことは驚きとも思えます。が、上記のLinux KernelはGPUアクセラレーションはまだ使えず、今回のMultipassはそもそもグラフィック機能はサポートしておらず、いずれもM1チップを攻略しきっているとは言えません。

とはいえ、MacにゲーミングPC的なグラフィック機能を求めるのはコストパフォーマンスと見合っていない事実は、価格が数倍違うM1 Max MacBook ProとPS5のGPU性能が大差ないことでも再確認された感はあります。クリエイティブやソフト開発のプロ向け製品として、M1 Macは着実にシェアを伸ばしていくのかもしれません。

(Source:Ubuntu Blog。Via 9to5MacEngadget日本版より転載)

GMが新しいソフトウェアプラットフォーム「Ultifi」を2023年から生産される次世代車に搭載

General Motors(ゼネラルモーターズ)は「Ultifi(アルティファイ)」と名付けられた新しいエンド・ツー・エンドのソフトウェアプラットフォームを、2023年から生産が始まる次世代車両の一部に搭載すると発表した。これにより、ドライバーがサブスクリプションで提供される車載機能を利用したり、無線アップデートを使って新しいアプリケーションやサービスを導入することが可能になるなど、広範囲にわたるさまざまな機能を提供できるようになると、同社の経営陣は述べている。

このソフトウェアプラットフォームによって、オーナーは車両の全体の機能やセンサーにまでアクセスできるようになる。例えば、後部座席に子どもがいることをカメラが検知すると、自動的にチャイルドロックが作動するように設定できる。また、ドライバーはUltifiを介して、ハンズフリー運転が可能なGMの先進運転支援システム「Super Cruise(スーパークルーズ)」などのサブスクリプションサービスを利用することができる。

関連記事:GMがアップグレードした自動運転支援システムSuper Cruiseを2022年に6車種に搭載へ

「これは、当社のソフトウェア戦略における大きな次のステップです」と、GMのソフトウェア定義車両担当VPであるScott Miller(スコット・ミラー)氏は、プレスブリーフィングで語った。「今日の自動車はソフトウェアによってさまざまなことが可能になっています。Ultifiではソフトウェアによって自動車が定義されることになるでしょう」。

Ultifiの機能は、GMの「Vehicle Intelligence Platform(VIP、ビークル・インテリジェンス・プラットフォーム)」上に組み込まれる。VIPは、車両のデータ処理能力を向上させるハードウェア・アーキテクチャーで、これを採用したモデルではすでに無線によるソフトウェアアップデートが利用できるが、Ultifiでは車載モジュールが1つのプラットフォームに集約されるため、より迅速なアップデートが可能になるという。

Ultifiは、GMの一部のインフォテインメント・システムに搭載されている「Android Automotive(アンドロイド・オートモーティブ)」OSとともに組み込まれることになる。なお、車載システムのOSとしての役目を担うAndroid Automotiveは、OS上で作動する副次的なインターフェイスである「Android Auto(アンドロイト・オート)」とは別物だ。UltifiとAndroid Automotiveの役割の違いは、機能と可用性にある。「Android Automotiveは、車内における機能の一部を提供するものです」と、ミラー氏は説明する。「Ultifiは、より全体に渡るアンブレラ戦略です」。

Androidと同様に、Ultifiも開発者向けのプラットフォームとして広く使われているLinux(リナックス)をベースにしている。GMがLinuxを選択した理由について、ミラー氏は「ある時点で、私たちは本当にこれをオープンにしたいと思っています」と述べ、将来的にはサードパーティの開発者が車内アプリを作成できるようにしたいと語った。

まだ開発中のUltifiは、2023年より展開を開始する予定であり、利用できるのはそれ以降に生産される車両に限られる。システムの要求する処理能力を車両が備えている必要があるからだ。ミラー氏によれば、スマートフォンに異なる購入プランが用意されているように、消費者は車両を購入するか、あるいはいくつか用意されるアクセスプランを購入するか、選べるようになるという。つまり、価格も購入プランもさまざまということだが、GMは具体的な内容を説明しなかった。また、同社はこの新しいプラットフォームがどのくらいの収益をもたらす見込みであるかということも明らかにしなかった。

今回のGMの発表は、大手自動車メーカーが新型車をこれまで以上にコネクテッドにするために行っている最新の動きの1つである。ゼネラルモーターズとFord(フォード)の両社は、ソフトウェアやサブスクリプションサービスによる収益機会について議論を重ねている。Ultifiはこれらの事業を構築するためのさらなるステップだ。

「私たちは自動車から離れようとしているわけではありません」と、ミラー氏はいう。「私たちは事業を拡大しているのです。他のアプリケーションのために、技術を拡張・活用する新しいビジネスラインの創出は、我々のコアの代わりになるものではなく、(コアに)追加されるものです」。

画像クレジット:GM

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

税込9790円、ラズパイ4内蔵のキーボード型PC「Raspberry Pi 400 日本語キーボード」「USキーボード」が発売開始

税込9790円、ラズパイ4を組み込んだキーボード型PC「Raspberry Pi 400 日本語キーボード」「USキーボード」が発売開始

画像はUK版

スイッチサイエンスは9月16日、Raspberry Pi 4を内蔵するキーボード一体型PC「Raspberry Pi 400 日本語キーボード」と「Raspberry Pi 400 USキーボード」の販売を同社ウェブショップにおいて開始した。それぞれ本体単体のみで、直販価格は9790円(税込)。ACアダプターは別売(PSE取得済みのラズパイ4に適した製品が必要)。同社によると、工事設計認証(技適認証)の取得や供給の都合によりこのタイミングでの販売開始となったという。

税込9790円、ラズパイ4を組み込んだキーボード型PC「Raspberry Pi 400 日本語キーボード」「USキーボード」が発売開始

また、Raspberry Pi 400 日本語キーボードとマウス・HDMIケーブル・電源・SDカード(OSダウンロード済み)をセットにした同社オリジナルキット「Raspberry Pi 400 スターターキット(日本語キーボード)」も近く販売開始予定。価格は1万3200円(税込)。Raspberry Pi 400 本体およびACアダプターは関連法規(電波法および電気用品安全法)遵守のものを採用。

Raspberry Pi 400 日本語キーボードは、日本語キーボード内に4GBメモリー版Raspberry Pi 4 Model Bをを組み込んだPCで、ディスプレイやマウスをつなぐだけで使い始められる。クアッドコア・64bitのプロセッサー「Broadcom BCM2711」を搭載し、無線通信や4K動画の再生に対応。インターネットや動画の閲覧、ドキュメントの作成や編集、プログラミング教育用に利用できる。OSは、Linuxベースの「Raspberry Pi OS」。インターフェイスはBluetooth 5.0、有線LAN(1000BASE-T)、USB 3.0ポート×2、USB 2.0ポート、micro-HDMIポート×2など。マイクロSDカードスロット搭載。Wi-Fiは11ac対応。サイズは286×122×23mm。

電源については、「電圧降下を考慮した5.1 V/3.0 A 出力のRaspberry Pi 4 Model B用のUSB ACアダプタ」(税込1705円)など、USB Type-C端子に接続可能な5.1V/3.0A対応ACアダプターが必要となる。税込9790円、ラズパイ4を組み込んだキーボード型PC「Raspberry Pi 400 日本語キーボード」「USキーボード」が発売開始

このほか、Raspberry Pi 400で利用可能なEDA Technology製リボンケーブル4種も販売開始している。「Raspberry Pi 400用40ピンGPIOエクステンダー」(グレー / レインボー)は価格319円(税込)、「Raspberry Pi 400用 40ピン I/Oプロテクター」(グレー / レインボー)が1265円​(税込)。

写真左は「Raspberry Pi 400用40ピンGPIOエクステンダー」、写真右が「Raspberry Pi 400用 40ピン I/Oプロテクター」

写真左は「Raspberry Pi 400用40ピンGPIOエクステンダー」(グレー)、写真右が「Raspberry Pi 400用 40ピン I/Oプロテクター」(レインボー)

設立10周年を前に黒字化を達成した元Nokiaスタッフが企業したJolla、モバイル以外の展開も視野に

約10年前、Nokia(ノキア)のスタッフ数人が、Google(グーグル)のAndroidに代わるLinuxベースのモバイルOSを開発するために設立したフィンランドのスタートアップ企業Jolla(ヨーラ)。現在Sailfish OSを手がける同社は、現地時間8月25日、黒字化を達成したことを発表した。

モバイルOSのライセンス事業を行っているJollaは、2020年を事業の「ターニングポイント」と位置づけていた。売上高は前年同期比53%増、EBITDAマージン(利払い前・税引き前・減価償却前利益を売上高で割った比率。経営効率を示す)は34%となった。

Jollaは、新しいライセンス製品(AppSupport for Linux Platforms)の提供を開始したばかりだ。この製品は、その名の通り、Linuxプラットフォームに一般的なAndroidアプリケーションとの互換性をスタンドアロンで提供するもので、顧客はSailfish OSのフルライセンスを取得する必要はない(もちろん、Sailfish OSは2013年からAndroidアプリケーションに対応している)。

Jollaによると、AppSupportは初期の段階から、自社のインフォテインメントシステム(情報と娯楽を提供するシステムの総称)を開発するためのソリューションを探している自動車会社の「強い」関心を集めているという。AppSupportがあれば、Googleの自動車向けサービスを使わずに、車載のLinux互換プラットフォームでAndroidアプリケーションを実行できる、というのがその理由だ。多くの自動車メーカーがAndroidを採用しているが、Jollaが提供する「Googleフリー」の選択肢には、さらに多くのメーカーが興味を持ちそうだ。

車載のLinuxシステムにもさまざまなユースケースが考えられる。例えばIoTデバイスで人気の高いアプリケーションを実行できるようにして顧客に付加価値を提供する、といった幅広い需要が期待できる。

CEOで共同創業者のSami Pienimäki(サミ・ピエニマキ)氏は次のように話す。「Jollaは順調に成長しています。2020年、正式に黒字化できたことをうれしく思っています」。

ピエニマキ氏は「資産や会社が全体的に成熟してきたことで、顧客が増え始めています。私たちは少し前から成長に注力し始めました」と述べ、同氏のトレードマークでもある控えめな表現で好調な数字の理由を説明する。「Jollaは10月に設立10周年を迎えますが、ここまで長い道のりでした。この過程で、私たちは着実に効率性を高め、収益を向上させることができました」。

「2019年から2020年にかけて、私たちの収益は50%以上伸び、540万ユーロ(約7億円)となりました。同時に運用コストベースもかなり安定してきたので、それらが相まって収益性を高めることができました」。

消費者向けのモバイルOS市場は、ここ数年、GoogleのAndroidとApple(アップル)のiOSにほぼ独占されているが、JollaはオープンソースのSailfish OSを政府や企業にライセンス供与し、Googleの関与を必要としない、ニーズに合った代替プラットフォームとして提供している。

意外かもしれないが、ロシアは同社が早くから参入した市場の1つである。

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ロシア政府がJollaのSailfish OSを初のAndroid代替OSとして認可
ファーウェイがAndroidに代わるスマホ向けHarmonyOSを正式発表

近年では、地政学的な緊張が技術プラットフォームにもおよび、場合によっては外国企業による米国の技術へのアクセスが(破廉恥にも)禁止されるなど、デジタル主権の主張が強まり、特に(米国以外の)独立したモバイルOSプラットフォームプロバイダーの必要性が高まっている。

これに関連して、6月には中国のHuawei(ファーウェイ)が、Androidに代わる独自のスマートフォン「HarmonyOS」を発表している。

ピエニマキ氏はこの動きを歓迎し、Sailfish OSが活躍する市場の妥当性を示しているとしている。

HarmonyOSがSailfishのパイを奪ってしまうのではないかという質問に対し、同氏は次のように答える。「私は、HuaweiがHarmonyOSの価値提案や技術を出してきたことを、必ずしも競合するものとは考えていません。むしろ、市場にはAndroid以外の何かへの要求があることを証明しているのだと思います」。

「Huaweiは彼らの市場を開拓し、私たちも私たちの市場を開拓しています。両者の戦略とメッセージは、お互いにしっかりとサポートし合えていると思います」。

Jollaは、数年前からSailfishの中国進出に取り組んできたが、この事業は現段階ではまだ進行中である。しかし、ピエニマキ氏によれば、Huaweiの動きは、極東地域におけるAndroid代替製品のライセンス事業拡大という目標を妨げるものではないという。

「中国市場では一般的に健全な競争が行われ、常に競合するソリューション、激しく競合するソリューションが存在しています。Huaweiはその中の1つであり、私たちもこの非常に大きく難しい市場にSailfish OSを提供できることをうれしく思います」。

「私たちは中国で良い関係を築いており、中国市場に参入するために現地のパートナーと一緒に仕事をしています」とピエニマキ氏は続ける。「Huaweiのような大企業がこの機会を認識することは非常に良いことだと思っています。これにより、業界全体が形成され、Androidを選択せざるを得ない状況は解消されました。他に選択肢があるのですから」。

Jollaによると、AppSupportについては、自動車業界が「このようなソリューションを積極的に探している」という。同社は「デジタルコックピットは自動車メーカーにとって他社と差別化するための重要な要素」と指摘し、自動車メーカー自体がコントロールできる戦略的に重要な要素であると主張する。

「ここ数年、この分野はポジティブな状況にあります。Tesla(テスラ)のような新規参入企業が自動車業界を揺るがしたことで、従来のメーカーはコックピットでどうやってユーザーに楽しんでもらうか、という点について、これまでとは異なる考え方をする必要に迫られています」とピエニマキ氏。

「この数年間の多額の投資により、この業界は急速な発展を遂げてきました。しかし同時に、私たちは、私たちの限られたリソースの中で、この技術のチャンスがどこにあるのかを学んでいるところだということを強調しておきたいと思います。(Sailfish OSは)自動車分野での利用が多いのですが、他の分野、たとえばIoTや重工業などでも可能性があると考えています。私たちはオープンに機会を探っています。でも、ご存じの通り、自動車は今とてもホットな分野ですからね」。

「世界には一般的なLinuxベースのOSが数多く存在していますが、私たちはそれらのOSに優れた付加技術を提供することで、厳選されたアプリケーションを利用できるようにしています。例えばSpotifyやNetflix、あるいは特定の分野に特化した通信ソリューションなどが考えられます」。

「そのようなアプリケーションの多くは、当然ながらiOSとAndroidの両方のプラットフォームで利用できます。そして、それらのアプリケーションを単に存在させるだけでなく、Linuxプラットフォーム上で独立して実行することができれば、多くの関心を集めることができます」。

Jollaはもう1つの展開として、AppSupportの販売促進とSailfishライセンスビジネスのさらなる成長のために、2000万ユーロ(約26億円)を目標とした新たな成長ステージの資金調達の準備を進めている。

ヨーロッパは現在もモバイルOSライセンスビジネスの最大の市場であり、Sailfishの成長の可能性が見込まれている。また、ピエニマキ氏は、アフリカの一部の地域でも「良い展開」が見られると述べている。中国への進出をあきらめたわけでもない。

この資金調達ラウンドは2021年の夏に投資家に公開され、まだクローズされていないが、Jollaは資金調達を成功させる自信があるという。

「私たちはJollaストーリーの次の章を迎えようとしています。そのためには新しい機会を探る必要があり、そのための資本が必要で、私たちはそれを探しています。投資家サイドには現在資金が豊富にあります。一緒に仕事をしている投資銀行と私たちは、そこに勝機を見出しています」とピエニマキ氏。

「この状況であれば、投資家には必ず興味を持ってもらえると思います。Sailfish OSとAppSupportの技術への投資、さらには市場開拓のための投資を獲得して、市場の多くのユーザーに私たちの技術を利用してもらえるはずです」。

画像クレジット:Jolla

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Dragonfly)

30歳を迎えたLinuxがカーネルを5.14にアップデート、エンタープライズセキュリティを強化

今度の日曜日、8月29日に、Linuxが大きなリリースを迎え、これからのエンタープライズおよびクラウドアプリケーションに活躍のステージを提供する。その5.14のカーネルアップデートには、セキュリティとパフォーマンスの改良が含まれる。

エンタープライズとクラウドのユーザーが特に関心を向けるのが、いつもどおりセキュリティで、Linux 5.14にもそのための新しい能力がいくつかある。Red HatのLinux Engineeringの副社長Mike McGrath(マイク・マクグラス)氏によると、今回のアップデートにはコア・スケジューリングと呼ばれる機能が含まれる。それは、2018年のSpectreやMeltdownのような、プロセッサーレベルの脆弱性を軽減することを狙っている。Linuxのユーザーがそれらの脆弱性を抑えるために採っていた方法の1つは、CPUのハイパースレッディングを無効にしてパフォーマンスを落とすことだった。

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「具体的にいうと、コア・スケジューリング機能は、タスクを信頼できるタスクとできないタスクに分類して両者がコアを共有しないようにし、脅威が表に出ないようにする。それでいてしかも、クラウドスケールのパフォーマンスがあまり落ちないようにする」とマクグラス氏は説明する。

Linux 5.14におけるセキュリティのもう1つのイノベーションは、これまで1年半かけて開発してきた機能で、システムメモリーを前よりも良い方法で保護する。Linuxやその他のオペレーティングシステムに対する攻撃は、比較的弱い攻撃インタフェイスとして、メモリーをターゲットにすることが多い。今度の新しいカーネルでは、memfd_secret()と呼ばれる機能により、Linuxシステムの上で動くアプリケーションが、カーネルも含めて他の誰にもアクセスできないメモリ領域を作る。

「暗号鍵や機密的なデータ、その他の秘密情報などをそこに保存して、他のユーザーやシステムのアクティビティへの露出を制限する」とマクグラス氏は説明する。

多くのクラウドおよびエンタープライズアプリケーションを動かしているオープンソースのLinuxオペレーティングシステムに中核にあるものが、Linuxカーネルだ。カーネルと呼ばれる部位は、システムのオペレーションのための核となる機能性を提供している。

Linux 5.14のカーネルはこれまでの2カ月で7つのリリース候補を経由し、1650名のデベロッパーが寄与貢献している。Linuxカーネルの開発に貢献しているコントリビューターには、個人の他にAMD、IBM、Oracle、そしてSamsungなどの大企業もいる。Linuxカーネルの毎回のリリースで最大のコントリビューターの1つが、IBMのRed Hat事業部だ。IBMは2019年にRed Hatを340億ドル(約3兆7340億円)で買収した

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「毎回のカーネルリリースと同じく5.14にも極めて革新的な能力がある」とマクグラス氏はいう。

カーネルのリリースはもうすぐだが、オペレーティングシステムの全体としてのエンタープライズ向けリリースには、やや時間がかかる。マクグラス氏によると、Linux 5.14はまず、Red HatのFedoraコミュニティのLinuxディストリビューションに登場し、その次に将来のRed Hat Enterprise Linux 9の一部としてリリースされる。エンタープライズLinuxのベンダーであるSUSEのCTOであるGerald Pfeifer(ジェラルド・ファイファー)氏によると、同社のコミュニティリリース(Linuxディストリビューション)であるopenSUSE TumbleweedにLinux 5,14のカーネルが載るのは、カーネルの「公式リリースの数日後」とのこと。それに対してエンタープライズLinuxのSUSE Linux Enterprise 15 SP4は、5.14のカーネルを載せて2022年春リリースされる予定だ。

このLinuxカーネルのアップデートの直前に、Linuxは重要な道標を刻んだ。米国時間8月25日、30年前に作者のLinus Torvalds(リーナス・トーバルズ)氏(上図)が最初に、彼の個人的プロジェクトを世界に公開した。その後の年月の間にLinuxは、ホビイストの楽しみからインターネットを動かすインフラストラクチャに進化した。

マクグラス氏によると、Linuxはすでに今日のクラウドのバックボーンであり、彼のRed Hatにとっては今後、エッジコンピューティングのバックボーンにもなる。これまでのように通信に限定されず、製造業からヘルスケア、エンターテインメント、そして各種サービスのプロバイダーなど、あらゆる産業で幅広く使われるようになる。今からワクワクするような未来が、Linuxにある。

一方ファイファー氏にとっては、Linuxの長寿と次の30年も重要であり続けることは、ほとんど確実だ。彼によると、これまでの数十年間Linuxとオープンソースは、そのオープン性と独立性により、イノベーションの未曾有の可能性を切り開いてきた。

「30年後にもカーネルとしてのLinuxはリーダーだろうか?それは分からないけど現役であることは絶対的に確実だ。これまで私たちが作り開発してきたアプローチの多くが、技術の進歩の大黒柱であり続けるだろう。それだけは確実だ」とファイファー氏は語る。

画像クレジット:Sean Michael Kerner

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(文:Sean Michael Kerner、翻訳:Hiroshi Iwatani)

スイスの大学が円周率計算の世界新記録62.8兆桁達成と報告、AMD Epyc 7542×2・1TBメモリー・16TB HDD×38など利用

スイスの大学が円周率計算の世界新記録62.8兆桁達成と報告、AMD Epyc 7542×2・1TBメモリー・16TB HDD×38など利用

Olivier Le Moal via Getty Images

スイス・グラウビュンデン応用科学大学の研究チームが、円周率計算の世界記録に挑戦し、これまでの記録である50兆桁を12.8兆桁更新する、62.8兆桁まで計算したと主張しています。

50兆桁というこれまでの記録は2020年に米国のティモシー・マリカン氏が更新したもので、その計算時間は303日もかかりました。これに対し62.8兆桁まで計算した今回の記録はもしかしたら1年超えか…とおもいきや、意外にも108日と9時間ということなので、ほぼ1/3に短縮されています。

ではその計算を行った機材はと言えば、2.9GHz(最大3.4GHz)の32コアAMD Epyc 7542を2つ搭載し、1TB RAM、ディスクアレイとして16TB HDDを38台搭載したマシンとのこと。特徴的なのは、38台あるHDDのうち34台はメモリスワップデータ格納用に使用されているところ。これはメモリーが非常に高価でであるためコストダウン策として構成されています。またSSDではなくHDDを使用している理由としては、膨大な回数の計算を繰り返して行い、データの上書きを繰り返すことを考慮した結果とのことです。なお、OSはSSDにインストールされたUbuntu 20.04で、円周率計算には「y-Cruncher」と呼ばれるソフトウェアを使用しました。

ちなみに、62.8兆桁まで計算されたという円周率ですが、チームはまだギネスに正式に記録として認められていないとして、その最後の10桁が「7817924264」だったとだけ述べています。どうやって確認するのかはわかりませんが、ギネスがその数値を正しいと認め、記録として認定すれば、62.8兆桁すべてを公表するとしています。

(Source:FH Graubünden。Via The RegisterEngadget日本版より転載)

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マイクロソフト幹部が携帯ゲームPC「Steam Deck」でXboxクラウドゲームが快適に遊べたと賞賛

マイクロソフト幹部が携帯ゲームPC「Steam Deck」でXboxクラウドゲームが快適に遊べたと賞賛

Valve

Xboxの責任者であるフィル・スペンサー氏が、Xboxクラウドゲーミング(xCloud)がValve社の携帯ゲーミングPC「Steam Deck」で快適に動作するとコメントしています。

先週末、スペンサー氏はTwitterでSteam Deckを賞賛し「今週はValve社でスコット、エリック、ゲイブ(いずれもValve社の幹部)とSteam Deckについて話していた」と語りました。さらに「今週ほとんどの時間Steam Deckを手にしてみた後では、これは本当に素晴らしいデバイスだと言えます。外出先でゲームを楽しむことができ、画面の大きさや操作性、すべてが素晴らしい。『Halo』や『Age』(おそらく『Age of Empires』)をプレイしても気持ちがいいし、xCloudもうまく機能している。おめでとう、SD(Steam Deck)チーム」と付け加えています。

記事執筆時点では、xCloudがSteam Deck上でWebブラウザまたはネイティブアプリのどちらで動いているかの確かな手がかりはありません。が、スペンサー氏は少なくとも、このサービスがSteam Deckで遊べることを予告したとは言えそうです。

Xboxクラウドゲーミングは、マイクロソフトのデータセンターにあるサーバ上でゲームを動かし、結果を映像としてストリーミングすることで、ゲーミングPCやゲーム専用機がなくとも、スマートフォンやタブレットなど「ネット動画が見られる」程度の端末で同じゲームが遊べるしくみ。現在は定額遊び放題サービスXbox Game Pass Ultimateの加入者向け特典として提供されており、すでに(対象地域では)AndroidやiPhone/iPad上で利用できるほか、旧世代のXbox Oneでも「多くの」Xbox Series X向けタイトルをプレイ可能にする方針が発表されています

Steam Deckは今年12月から米国や欧州を含む地域で、日本などその他の地域では2022年から順次発売予定。基本的にはArch LinuxベースのSteamOS 3.0で動きますが、Windows 11も問題なく動くよう作業中との公式声明がありました

ほか関連ニュースとして、スペンサー氏は「Xbox Game Passが他のゲーム機(主にNintendo Switch)にも登場すると思うか」という質問を受けました。それに対してスペンサー氏は、Xboxは「そのような議論に対して完全にオープン」だが、他の閉鎖的なプラットフォームが「Game Passのようなもの」を今すぐには求めていないことを理解していると回答しています。

これまでにも、Nintendo SwitchでXbox Game Passが遊べるようになるとの噂話はありました。とうてい信じがたい話ではありますが、初代Xbox関係者が任天堂に買収を持ちかけたという都市伝説が真実だったこともあり、こちらも本当に京都まで行って交渉している可能性もゼロではないのかもしれません。

(Source:Phil Spencer(Twitter)。Via NMEGamesradarEngadget日本版より転載)

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Valve

Valve社が発売予定の携帯ゲームPC「Steam Deck」はWindows 10がインストール可能だと判明していますが、次期Windows 11も問題なくインストールできるよう作業中との公式見解が発表されました。

現世代のWindows 10が最新の携帯ゲームPCで動くことには不思議はありませんが、次期Windows 11についてはTPM 2.0必須とされています。実際にマイクロソフトが最初に提供したPC正常性チェックアプリでは多くのPCが互換性がないと表示され、サードパーティ製のTPM 2.0対応ボード購入に走るユーザーも相次ぎました。

その後に配布されたプレビュー版では要件が緩和されていますが、あくまで「幅広くテストする」に留まる可能性もあり、製品版で同じ仕様が引き継がれるかどうかは記事執筆時点では不明です。

この点につきValve社のSteam DeckデザイナーであるGreg Coomer氏は、海外テックメディアPCGamerに「いまTPMに注目が集まっています」「これまではWindows 10に集中していたため、そこまでは手が回らなかったのです。私たちが期待しているのは、それに応えられることです」と語っています。

これは心臓部分となるAPUを開発したAMDとも協議してきたことであり、Coomer氏いわく「BIOS(UEFI)レベルでの対応を確認するために、AMDとの話し合いも行っています」とのこと。そのため「Windows 11で何か問題が発生したということは、今のところ一切ありません」と語られています。

標準のSteamOS 3.0をWindows 11に置き換えたいと考えている人にとっては、Coomer氏の発言は朗報と言えます。8月時点ではSteamで販売されているゲームの内、LinuxおよびSteamOSが正式サポートされているのは全体の15%に過ぎず、最もプレイされている10本のゲームのうち半分が動かないことも明らかにされています

Valve社はProton(Linux上でWindowsアプリを動かすしくみ)を改善することで「Steam Deckを出荷するまでに、すべてのゲームが動作するようにする」という目標をめざすと述べていました。

それが達成できれば出荷状態のSteam Deckで、何の手間もかけずに豊富なゲームライブラリが楽しめるはず。ですが、もし実現しなくとも、Windows 11をインストールして「携帯Xbox」として活用できる可能性が高まったとは言えそうです。

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Valve。別売の公式ドックを利用することで、外部ディスプレイ、有線ネットワーク、USB周辺機器、電源に接続可能となる。公式ドックの詳細は近日公開予定

(Source:PCGmaerEngadget日本版より転載)

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【コラム】オープンソースの終焉が来ているのだろうか?

本稿の著者Shaun O’Meara(ショーン・オメーラ)氏は、MirantisのグローバルフィールドCTO。企業のITインフラストラクチャの設計と構築において20年間、顧客と仕事をしてきた。

ーーー

数週間前、ミネソタ大学の研究者らにより「偽善者のコミット」と彼らが呼ぶものをLinuxカーネルに投入するメソッドが展開されたという憂慮すべきニュースがLinuxコミュニティを揺るがした(ただし結果的には完全に実行されなかったことが明らかになっている)。その主意は、検知が困難な振る舞いを配布し、それ自体には意味はないが、後に攻撃者によって整合されることで脆弱性が顕在化し得るというものだった。

その後すぐに、ある意味同じように憂慮すべきことだが、大学が少なくとも一時的にカーネル開発へのコントリビューションを禁じられたことが発表された。続いて、研究者らが公式に謝罪した。

脆弱性の発見と開示は往々にして厄介なものだが、世界最大かつ最も重要なオープンソースプロジェクトに対して、技術的に複雑な「レッドチーム」プログラムを実行するのは、少々やりすぎだと感じる。こうした振る舞いが爆発的な広がりを持つ可能性があることを理解しないほど、研究者や研究機関が無知であるとか、怠慢であるなどとは考えにくい。

同様に確かなこととして、メンテナーとプロジェクトガバナンスは、ポリシーを強化し、時間の浪費を回避する義務があり、常識的観点では、脆弱性を含まないカーネルリリースの生成に努めることが推奨されている(そしてユーザーが要求している)。しかしメッセンジャーを排除することは、少なくともいくつかの要点を見落としているように思われる。つまり、これは単なる悪意によるものではなく研究に基づくものであり、技術的、体系的な緩和を必要とする、ある種のソフトウェア(および組織)の脆弱性を明らかにしようとするものだということだ。

「偽善者のコミット」に端を発した不慮の事象は、拡張されたオープンソースエコシステム全体とそのユーザーを脅かす、あらゆる面において関連性のあるトレンドの兆候だと思う。このエコシステムは長い間、規模や複雑性、そしてFOSS(フリーソフトウェアとオープンソースソフトウェア)が人間による各種の活動において重要性を増していることにまつわる、数々の問題と格闘してきた。この複雑に絡み合った諸問題を見ていこう。

  • 最大規模のオープンソースプロジェクトは現在、大きなターゲットを掲げている。
  • その複雑さとペースは、従来の「コモンズ」アプローチや、さらに進化したガバナンスモデルで対応できる規模を超えて拡大している。
  • 互いにコモディティ化する方向に進化している。例えば、分散アプリケーションのために「Linux」と「Kubernetes」のどちらを「オペレーティングシステム」として扱うべきかを明確にすることはますます難しくなっている。営利組織はこれに注目し「フルスタック」ポートフォリオとナラティヴを中心に再編成を始めている。
  • そうすることで、一部の営利組織は、FOSS参加という従来型パターンを歪め始めている。多くの新機軸が現在進行中である。一方で、資金調達や、FOSSへの人員コミットメントなどのメトリクスは減少傾向にあるようだ。
  • OSSプロジェクトとエコシステムはそれぞれ異なる方向性で順応しており、場合によっては、営利組織が居心地の良さを感じたり、参加から恩恵を受けることが難しくなっている。

一方で、脅威のランドスケープは進化し続けている。

  • 攻撃者は巨大化し、巧妙化し、高速化するとともに持続性を増しており、長期にわたるゲームやサプライチェーンの破壊などにつながっている。
  • 攻撃はこれまで以上に財務的、経済的、政治的に収益性を高めている。
  • ユーザーは以前にも増して脆弱になり、多くのベクターにさらされている。
  • パブリッククラウドの利用が増えるにつれて、技術的および組織的なモノカルチャーの新たな層が生まれ、攻撃を可能にし正当化する可能性がある。
  • オープンソースソフトウェアから部分的または全体的に組み立てられた複雑な商用オフザシェルフ(COTS)ソリューションは、そのコンポーネント(およびインタラクション)にアクセスできる、悪質な攻撃者によく理解された複雑な攻撃サーフェスを生成する。
  • ソフトウェアのコンポーネント化は、新たな種類のサプライチェーン攻撃を可能にする。
  • そして、組織が非戦略的な専門知識を排除し、設備投資を運用コストにシフトさせ、セキュリティのハードワークをクラウドベンダーやその他の事業体に依存するように進化する中で、これらすべてが起こりつつある。

結果として、Linuxカーネルの大規模かつ絶対的な重要性を持つプロジェクトの多くは、大きな変化をもたらす巨大な脅威モデルに立ち向かう準備が整っていない状況にあると言えるだろう。私たちがここで考察している特定のケースでは、研究者たちは比較的少ない労力で侵入候補サイトをターゲットにし(静的分析ツールを使い、コントリビュータの注意を必要としていることがすでに確認されているコードの単位を評価する)、メールで非公式に「修正」を提案し、信頼性が高く、高頻度のコントリビュータとして確立されている彼ら自身の評判を含む多くの要因を活用して、脆弱性コードをコミットされる寸前の状態にした。

これは、堅牢で安全なカーネルリリースを作成するためにこれまで非常にうまく機能してきた信頼システムの「内部者」による重大な裏切り行為だった。信頼を悪用すること自体が状況を変え、それに続く暗黙の要件、つまり体系的な緩和で相互の信頼を支えるということが大きく浮かび上がってくる。

しかし、このような脅威にどう対処すればいいのだろうか。ほとんどの場合、正式な検証は事実上不可能である。静的解析では巧妙に設計された侵入を明らかにできない場合がある。プロジェクトのペースを維持しなければならない(修正すべき既知のバグがある)。そして、こうした脅威は非対称的だ。典型的な言い方をすれば、ブルーチームはすべてに対して防御する必要があり、レッドチームは一回成功すれば良い。

改善の機会がいくつか存在する。

  • 単一培養の広がりを制限する。Alva LinuxやAWSのOpen Distribution of ElasticSearchなどは、広く使われているFOSSソリューションを無料でオープンソースにしていることもあるが、技術的な多様性を注入しているという点からも優れている。
  • 人的要因への完全な依存を緩和し、営利企業に専門知識やその他の資源を提供するインセンティブを与えることを目的として、プロジェクトのガバナンス、組織、資金調達を再評価する。ほとんどの営利企業はオープンソースへのコントリビューションを、そのオープン性ゆえに、またオープンソースにもかかわらずオープンではない場合でも歓迎するであろうが、多くのコミュニティにおいて、既存のコントリビュータの文化を変える必要があるかもしれない。
  • スタックを簡素化し、コンポーネントを検証することで、コモディティ化を促進する。適切なセキュリティ責任をアプリケーション層に押し上げる。

基本的に私がここで主張しているのは、Kubernetesのようなオーケストレータはあまり重要ではなく、Linuxはそれほどインパクトを持たない、ということだ。最後に、ユニカーネルのようなシステムの使用を形式化することに向けて、できる限り早く進むべきである。

いずれにしても、オープンソースの継続に必要なリソースを企業と個人の両方が提供することを確保する必要がある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:オープンソースコラムLinuxKubernetes

画像クレジット:Alexandr Baranov / Getty Images

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(文:Shaun O’Meara、翻訳:Dragonfly)

ガイアックスが日本初の「スマートシティ実現に向けたLiDARデータ活用アイデアソン&ハッカソン」を9月30日開催

ガイアックスが日本初の「スマートシティ実現に向けたLiDARデータ活用アイデアソン&ハッカソン」を9月30日開催

ガイアックスと芝浦工業大学は8月5日、LiDARをテーマとした「スマートシティ実現に向けたLiDARデータ活用アイデアソン&ハッカソン」を9月30日に開催すると発表、参加者の募集を開始した。

LiDARとは、光を使って検知や測距を行うシステムのこと。電波を使うレーダーに対して「ライダー」と呼ばれる。このイベントでは、京都市内の10地点で数カ月間にわたりLiDARで取得した交差点、幹線道路、駐車場の3Dデータを使ってアイデアを競い合う。内容は、「新規事業のアイデアを創出することを目的としたアイデアソン」と、「ディープラーニングによる分析により新たなナレッジを創出することを目的としたハッカソン」に分かれている。その結果は、京都市の交通混雑、交通事故、路上犯罪の対策に役立てられることが期待されている。LiDARで実際に取得した画像「動的LiDARデータ」を使ったアイデアソンやハッカソンは、ガイアックスによれば日本初の取り組みとのこと。

共催者には、エクサウィザーズ、京都リサーチパーク、京都高度技術研究所(ASTEM)が参加。後援者には、エースコード、データサイエンティストの古屋俊和氏 (エクサウィザーズ創業者およびQuantum Analytics CEO)、京都大学桂図書館が参加している。

LiDARの開発の競争は100社以上に激化しており、応用についても2021年2月Google TensorFlow 3Dの発表、2021年6月の「3D-LiDAR活用ビジネスを創出するスマートセンシングアライアンス」の設立に代表されるとおり、今後急速な活発化が予想されるという。エンジニアや学生が同イベントに参加することで、今後のキャリアパスやキャリアアップにつながると考えているという。

概要

  • 開催日時:2021年9月30日9:00〜18:30
  • 対象者:学生、社会人で下記の参加要件を満たす方
  • 参加要件
    ・LinuxのCUI操作に関する基礎的知識とスキルを有すること
    ・プログラミング言語の基礎的知識とスキルを有すること
    ・機械学習プログラミングに関する基礎的知識とスキルを有すること
    ・Dockerに関する基礎的知識を有すること
    ※3DデータやAI未経験者歓迎
  • 参加費:無料
  • 募集人数:最大30チーム
  • 収容人数:京都会場10名、東京会場10名、オンライン会場50名
  • 開催形態:オンラインと会場のハイブリッド
  • 会場
    ・京都会場 京都リサーチパーク KRP1号館4階 G会議室(京都市下京区中堂寺南町134)
    ・東京会場 芝浦工業大学豊洲キャンパス研究棟14階 新熊研究室(東京都江東区豊洲3丁目7-5)
    (新型コロナウイルスの感染拡大状況によっては完全オンラインになる可能性もある)
  • 参加形態:最大3名のチーム。1名で参加も可能だが、複数チームを兼ねての参加は不可
  • 入賞特典:入賞したチームには下記の特典を付与
    ・最優秀賞 / 賞金20万円 1件
    ・ガイアックス特別賞 / ガイアックスでのエンジニアインターンの権利 最大1件
    ・データサイエンティスト古屋俊和 特別賞 最大1件など

ガイアックスの技術開発部マネージャー、日本ブロックチェーン協会理事の峯荒夢氏は、こう話している。
「人間は道具を使うことより食料調達を効率化し、節約できた時間でさらなる進化をしてきました。スマートシティはデータを使った効率化による人間の進化を引き起こすものだと私は考えています。本アイデアソン・ハッカソンでは、LiDARを軸にその新たな効率化そして人間の進化の一歩となることを期待しています」。

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カテゴリー:イベント情報
タグ:ガイアックス(企業)機械学習 / ML(用語)芝浦工業大学(組織)3D / 3Dモデル(用語)3D-LiDAR(用語)TensorFlowDocker(企業・サービス)ハッカソン(用語)プログラミング(用語)LiDAR(用語)Linux(製品・サービス)日本(国・地域)

約4.4万円の携帯ゲームPC「Steam Deck」はWindowsをインストール可能、ただしドライバーが未知数

Valveの携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」はWindowsをインストール可能、ただしドライバーが未知数

Valve

先日Valveが「Steamが動くハンドヘルドゲーミングPC」ことSteam Deckを正式発表しましたが、Arch LinuxをベースとしたSteam OSゲーム専用機という他は未知の部分が多く残されていました。

その続報として、Windowsをインストールできることや「どれだけSteamで販売中のゲームが動くのか」といった続報が伝えられています。

まずWindowsやサードパーティ製コンテンツについては、Valveの開発者向け公式FAQにて「Steam DeckはPCなので、プレイヤーは他社のOSを含めて何でもインストールできます」と述べられています。

この件になぜ注目が集まっていたかといえば、Steam OSつまりLinux上でSteam用ゲームがすべて動くわけではないからです。Steamで販売されているゲームのうち、LinuxおよびSteam OSが正式にサポートされているのは全体の15%に過ぎません。

そうした事態を緩和しているのが、数年にわたるValveの「Linux上で多くのWindows用ゲームを遊べるようにする」ことへの取組みです。それでもProtonDB(Linux上でWindowsアプリを動かす「Proton」の対応状況をまとめたサイト)によると、Steamで最もプレイされているトップ10のうち半分が動かないとのこと。

この原因はProtonとチート対策ソフトを搭載したタイトルとの相性の悪さとされており、Valve社はEACやBattllEye(どちらもチート対策ソフトウェア)と協力していると述べています。つまり、これらを採用しているApex Legends, Destiny 2, PUBG, Fortnite, and Gears 5がまもなくSteam DeckとProton上で動くかもしれないーーテックメディアThe Vergeはそう指摘しています。

しかしWindowsそのものをインストールすれば、そうした問題は一挙に解消されるはず。The Vergeによれば、Steam Deckのハードウェアは「AMDのカスタムGPUを搭載し、8つのRDNA 2 CUを備え、最大1.6TFLOPSの性能を発揮する。これはXbox One S(1.4TFLOPS)よりもわずかに上で、PS4(1.8TFLOPS)をわずかに下回る性能だ。最新のRDNA 2アーキテクチャを採用しているため、TFLOPSだけで比較するのは難しいが、携帯型PCゲームに十分な性能を発揮することは間違いなそうだ」とのこと。そうした強力なデバイスにWindowsを積めば、ポータブルXboxに近くなるというわけです。

とはいえ、Windowsをインストールする場合は完全なドライバーのサポートがある保証もなく、ハンドヘルド機器用に最適化されていないUIも苦労するかもしれない。さらに(Windows 10 PCだからといって全ゲームが動くわけではないように)Steam DeckのWindowsでゲームがどれだけ上手く機能するかも明らかではないとも指摘されています。

ともあれ、これほど高性能のハンドヘルドPCが399ドル(約4万3800円)からの低価格で入手できることは、先行している他社の「Steamゲームが遊べる超小型ゲーミングPC」の相場感覚からすれば驚異にも思えます。実際、Valveの共同創設者であるゲイブ・ニューウェル氏は米IGNの取材に対して、「消費者に魅力を感じてもらえる価格帯にすることが非常に重要であること」は分かっていたので大変な努力をしており、価格設定は「二次的に痛みを伴うものだった」とも語っています。

記事執筆時点ではSteam OS上でのSteamゲーム互換性は十分とは言えませんが、今後しだいに改善されていくはず。日本上陸は欧米よりも遅れる見通しですが、その頃にはWindowsをインストールする必要がないほど大半のゲームが完全に遊べることを期待したいところです。

(Source:SteamworksProtonDB。Via The VergeEngadget日本版より転載)

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Appleシリコン「M1チップ」搭載MacでLinuxのネイティブ動作がついに実現、Linuxカーネル5.13が公式サポート

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Linux Kernel 5.13がリリースされ、M1チップ搭載Macの公式サポートが表明されました。これは4月に可能性が言及され、5月にはLinux Kernel 5.13 RC(リリース候補)がリリースされたことに続くもので、足かけ数か月にわたる苦闘の末にこぎ着けたかっこうです。

今回の発表は、前回のRCと同じくLinux生みの親であるリーナス・トーバルズ氏が自らメーリングリストで行ったものです。そのなかでトーバル氏はKernel 5.13全体の規模はかなり大きく、2000人以上の開発者から 1万6000以上のコミット(マージを含めると1万7000以上)が行われるほどだったと振り返っています。

そんなKernel 5.13では、AppleシリコンM1チップを含むArmアーキテクチャに基づく複数のチップがサポートされています。これによりM1搭載のMacBook Air、MacBook Pro、Mac miniおよび24インチiMacでLinuxをネイティブに実行できるようになります。

これまでにもParallelsの仮想環境Corellium社の移植版によりM1 Mac上でLinuxを実行することは可能でしたが、いずれもネイティブ動作ではないため、M1チップの性能を最大限に引き出すことはできませんでした。それがAsahi LinuxプロジェクトのHector Martin氏ほか多数の開発者が力を合わせたことで、ようやく現実のものとなりました。

しかしLinux情報サイトPhoronixによると、Linux 5.13では「Apple M1に対する初期のサポートとして、基本的な機能は提供されるが、グラフィックスのアクセラレーションはまだ提供されず、さらに多くのことを解決しなければならない」とのことです。M1の仕組み、特にGPUの仕様が非公開で独特すぎるために移植が苦戦していることは、早い時期から伝えられていました。

最新の Linux Kernel 5.13 では、Landlocked LSM、Clang CFI のサポート、システムコールごとにカーネルのスタックオフセットをランダム化するオプションなどのセキュリティ機能が搭載。ほかFreeSync HDMIもサポートされており、いつの日かM1内蔵GPUの力も発揮できるようになることを祈りたいところです。

(Source:LKML Archive on lore.kernel.org。Via:9to5MacEngadget日本版より転載)

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1台でPCとモバイル両方のUXを実現、Androidアプリも動くLinuxベースの「JingOS」を開発する中国Jingling

中国の著名なコンピューター科学者であるKai-Fu Lee(カイフ・リー、李開復)氏のSinovation Venturesが、ソフトウェア開発者のニッチ市場を狙っている。2021年4月にこのベンチャーキャピタルは、Linuxベースのタブレットとノートパソコンを開発する中国のスタートアップ「Jingling」の1000万ドル(約11億円)のエンジェルラウンドをリードした。ラウンドの他の投資家には、プライベートエクイティ企業のTrustbridge Partnersが含まれている。

Jinglingは2020年6月に創業されたばかりの企業だが、早くも、AlibabaのLinuxディストリビューション「Aliyun OS」や中国のオペレーティングシステムソリューションプロバイダーであるThunder Software、そして中国のオープンソースコミュニティなどから80名の社員が集まっている。

同社スタッフの大半は、現在、北京でJingOSと呼ばれるLinuxベースのOSを開発し、残りはJinglingのサプライチェーンがある深圳でハードウェアを開発している。

Sinovation VenturesのパートナーであるPeter Fang(ピーター・ファン)氏は次のように語る。「OSは投資価値の高い分野です。確かにiPad ProとMagic Keyboardの組み合わせは、仕事と娯楽向けの最良のプロダクトベースですが、今のところどのタブレットメーカーも、Androidのためのより優れたユーザー体験を提供できていません。そこで私たちはJingOSを支援することに決めました」。

投資家として彼は「この投資は、今後はARMベースのモバイルとデスクトップデバイスがさらに増えるというSinovationの認識と予想にも基づいています」と述べている。

Jinglingの最初のプロダクトであるJingPad A1タブレットもARMアーキテクチャをベースとし、正式発売前にすでに500台が販売され、クラウドファンディングキャンペーンでも大きな関心を集めている。Jinglingは現在、Tsinghua Unigroupのプロセッサーを使用しているが、Liu(リウ)氏によると将来的にはQualcommとMediaTekのチップセットを使う考えだという。

ソフトウェアのレベルでは、JingOSはGitHub上のオープンソースであり、すでに世界で5万回以上ダウンロードされている。その多くは米国とヨーロッパからだ。

しかし、Linuxのタブレットやノートパソコンを欲しい人が何人いるだろうか?Zhu Rui(シュ・ルイ)氏とともにJinglingを立ち上げたLiu Chengcheng(リウ・チェンチェン)氏によると、デベロッパーコミュニティからの需要は、同社の初期の成長を十分支えられるほどに大きいという。リウ氏はかつて、中国の指導的スタートアップニュースサイト36Krを創設、シュ氏はOSのエキスパートでMotorolaとLenovoに在籍していた。

リウ氏によると「一般的な消費者市場で、最初の足場を築くのは難しい」ため、Jinglingはその第一歩としてLinuxのコミュニティを狙ったのだという。

「Linuxの市場は大手テクノロジー企業にとっては小さすぎるし、小さなスタートアップが取り組むには難しすぎる。中国でモバイ用OSを開発しているのはJinglingの他にはHuawei(ファーウェイ)ですが、HuaweiのHarmonyOSは主にIoTを狙っている」とリウ氏は語る。

新しいOSを立ち上げるのは確かに無謀に近い挑戦だが、過去にも例はある。Linuxのノートパソコンも以前から存在しているが、Jinglingが考えているのは、1つのデバイスでデスクトップとモバイルの両方のUXを実現することだ。Jinglingが開発したJingOSは、WPS OfficeやTerminalのようなLinuxのデスクトップソフトウェアと、Androidアプリの両方と互換性がある。タブレットのJingPad A1には着脱式のキーボードがあるため、すぐにノートパソコンに変身する。それはAppleの、iPad用のMagic Keyboardと同じ仕組みだ。

リウ氏は「プログラマーへのギフトのようなものです。Linuxシステムの中でコードを書けると同時に、出かけるときにはAndroidのモバイルアプリも使えます」という。

今後、Jinglingはユーザーベースを拡大し、約2年間でChromebookの市場を攻略したいとリウ氏はいう。Chromebookは2020年のPC市場で10.8%のシェアを獲得し、Microsoftが支配するマーケットに徐々に食い込んでいる。しかしながらそれは、Chromebookが強いだけでなく、Windows搭載のパソコンの需要が鈍化しているためだとリウ氏は考えている。

Chrome OSの搭載機はノートブックのChromebookとデスクトップ機のChromeboxがあり、価格も仕様、機種、メーカー等により200ドル(約2万2000円)から550ドル(約6万500円)と幅がある。それに対してJingPad A1は、549ドル(約6万400円)からという価格になっている。パンデミックになってからリモートで仕事や勉強をする人が増え、タブレットもPCも売上が伸びているが、長期的に見るとJinglingは価格調整が必要であり、それなくして市場に自分の居場所を見つけることは困難だろう。

関連記事:2020年、Chromebookは絶好調

カテゴリー:ハードウェア
タグ:LinuxAndroid中国タブレットSinovation VenturesJingling資金調達

画像クレジット:Jingling’s Linux tablet JingPad

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

NVIDIAとMediaTekがChromium・Linux対応リファレンスプラットフォーム開発で連携、RTX GPUとArm採用ノートPCを示唆

NVIDIAとMediaTekがRTX GPUとArm組み合わせたノートPCを示唆、Chromium・Linux対応リファレンスプラットフォーム作成で連携

米NVIDIAと台湾MediaTekは、リファレンスラップトップのプラットフォームを共同開発すると発表しました。

今回の提携で、両社はChromium、Linux、NVIDIA SDK(ソフトウェア開発キット)をサポートするラップトップ(Chromebookかどうかはわかりません)を開発します。現時点では具体的な製品仕様や投入時期などは明らかになっていませんが、NVIDIAによれば「RTX GPUとARMアーキテクチャの組み合わせにより、リアルなレイトレースグラフィックと最先端のAI(人工知能)をラップトップに導入する」ことを目標としています。

Nintendo Switchや車載インフォテイメントシステムに採用されている「Tegra」シリーズなど、NVIDIAはすでにARMベースのプロセッサを多数市場へ投入しています。さらに同社は12日に開催した年次カンファレンス「GTC 2021」にて、ARMベースのデータセンター向けプロセッサ「Grace」を発表しました。こちらはAIスーパーコンピューティングや自然言語処理など、大規模なデータ処理を対象とした製品。

MediaTekのプロセッサはハイエンドスマートフォンではあまり見かけないものの、2020年第3四半期にはシェアで米クアルコムを追い抜くなど、着実にその勢力を伸ばしています。またローエンドからミッドレンジ向け製品が中心のMediaTek製プロセッサですが、RTX GPUの技術が加わることにより、一挙にハイエンド級のパフォーマンスを達成することも期待できそうです。

PC向けプロセッサメーカーの話題としては、韓国サムスンとAMDが協力しAMD製GPUを搭載したラップトップ向けプロセッサを投入するとの観測も登場しています。NVIDIAは2020年にソフトバンクグループからARMを買収しており、今後もARMアーキテクチャへさらなる経営資源の投入を進める可能性があります。

(Source:NVIDIAEngadget日本版より転載)

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6月公開予定のLinuxカーネル5.1.3がAppleシリコン「M1」搭載Macをサポート開始の可能性

6月公開予定のLinuxカーネル5.1.3がAppleシリコン「M1」搭載Macをサポート開始の可能性

Apple

これまでAppleシリコン「M1」チップ搭載MacにLinuxを移植する様々な取り組みがありましたが、6月に公開予定の安定版Linux 5.13カーネルで予備的なサポートが追加される可能性があると報じられています。

Asahi Linux公式アカウントは、M1対応のプルリクエスト(コードなどを追加・修正した際に、本体への反映を他の開発者に依頼する機能)がSoC向けLinuxにマージされ、Linux 5.13に反映されるだろうと報告しています。

このAsahi LinuxはM1へのLinux移植プロジェクトの1つであり、主催者のHector Martin氏が独特すぎるM1の仕組みに苦戦していることが語られていました

Linux関連情報サイトPhoronixによると、M1 MacでのLinux動作状況はまだ道半ばではあるものの、Linux 5.13カーネルにてサポート追加できる程度には「よい状態」になっているとのことです

今年の初めからM1チップを搭載したMac mini、MacBook Pro、MacBook AirでLinuxカーネルを起動するために何度かカーネルパッチが適用され、起動に必要なドライバが導入されていると説明されています。つまり、ひとまず起動はできる見込みは高い、というわけです。

この最初期となるM1 Linux移植では、UART、割り込み、SMP、DeviceTreeビットといった基本的な機能を備えているとのことです。またSimpleFBベースのフレームバッファ(画面表示まわり)も搭載されていますが、3D/ビデオアクセラレーションの動作はかなり難航しているもようです。

M1 Mac上でLinuxを動作させる試みとしては、他にも新興企業Corelliumが「完全に使用可能な」ものを移植したと発表していました。ただし、そちらもGPUアクセラレーションはサポートされず、描画はソフトウェアレンダリングに依存しており、M1 Macの持てる機能すべてを引き出せているとは言い難い状況です。

アップルが自社開発のM1チップにつき仕様を完全公開したり、GPUへのアクセス方法を教えるとは考えがたいことです。まだまだ実用にはほど遠く、注ぎ込まれた莫大な努力に見合う価値があるかどうかも不明ですが、その過程で「Appleシリコンはなぜ、これほど(価格の割に)パフォーマンスが高いのか」の謎が解き明かされていくのかもしれません。

(Source:PhoronixAsahi Linux(Twitter)、via:9to5MacEngadget日本版より転載)

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