ファイザーもBioNTechと共同でCOVID-19ワクチン開発を発表

製薬大手のPfizer(ファイザー)は、米国時間3月17日、BioNTechと共同でCOVID-19ワクチンの開発に取り組んでいると発表した。BioNTechは、新しいタイプの免疫治療法に取り組んでいるドイツの企業だ。この共同の取り組みは同日、署名済みの同意書により確認された。両社はメッセンジャーRNAベースのワクチンを共同で開発し、人間が新型コロナウイルスに感染するのを防止することを目指す。

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通常ワクチンは一般の人が使えるようになるまでの開発と認証に、最短でも1年から1年半はかかる。したがって、これが短期的な解決策になると期待することはできない。しかしこの提携は、製薬バイオテクノロジーの分野において最も有名かつ最大の会社と、mRNAベースの免疫療法の最前線で仕事をしている若い企業が結びついた、というところに意義がある。

こうした治療法では、一般的なワクチンのようにウイルス自体のサンプルは使わない。通常のワクチンでは、死んだか弱体化したウイルスを使って、自然な免疫機能を呼び覚まそうとする。その代わりこの方法では、RNAを利用してウイルスと十分に類似したタンパク質を作り出す。それによって人体が、本物の標的にも有効な抗体を作るように促すのだ。

この共同作業は、早ければ4月にも臨床試験が開始されることになる。両社はmRNAベースのワクチンの研究に関して、今回ゼロから始めたわけではない。すでに2018年から、インフルエンザの治療薬を開発するための研究開発に共同で取り組んでいた。

またこの共同作業は、米国とドイツにまたがる両チーム間ですぐに開始される。ただし財務上の取り決めや成果をどのように扱うか、といった詳細については、今後詰めていく必要がある。両社がそうした詳細の決定を待たずに共同開発を始めようとしていることからも、今回のプロジェクトの背景にある緊急性が理解できる。

プロジェクトは、mRNAベースによって開発中の唯一のCOVID-19ワクチンというわけではない。今週の初めにModernaは、独自の新型コロナウイルス免疫治療法について、人間を使った臨床試験をすでに開始したと発表した。それはNIH(米国立衛生研究所)と協力することで、開発を加速した結果だった。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

CO2からウォッカを作るスタートアップAir Co.が技術転用で手指消毒液を生産し寄付

大気中から二酸化炭素を抽出し、水と混ぜてウォッカを作る技術を開発したニューヨークに本社を置くスタートアップが、そのすべての生産能力をすべて手指消毒液の製造に振り向け、ニューヨーク市当局の協力を通じて、生産した製品のすべてを寄付することにした。それは、社会的距離の確保や自宅待機の措置が続く中、非常に重要となる出前スタッフを雇用している地元レストランにも届く可能性がある。

Air Co.は、2019年にウォッカの販売を開始したばかりだ。事実上、二酸化炭素の収支が完全にゼロの独自開発の工程(NASAとXPrizeから表彰されている)を採用している。空気中から二酸化炭素を1ポンド(約450グラム)取り出し、太陽光を基本とする再生可能エネルギーを使って水と混合し、純粋なエタノールを生産する。エタノールは手指消毒液の主要な成分でもある。最も効果的な作業を繰り返すことで、通常、60パーセントから95パーセントの濃度のアルコールが生成できる。

Air Co.のCEOで共同創設者のGregory Constantine(グレゴリー・コンスタンティン)氏が電子メールで私に話してくれたところによると、同社は社会を良くするという基本的使命に基づいて設立されたため、新型コロナウイルスのパンデミックに対抗する地元の活動に協力できる方法を考えていたという。そして自然の流れとして、同社の主力製品であるエタノールで、アルコール濃度70パーセントの手指消毒液を作ることを思いついた。

同社は、現在の(分別のない)買い占めにより、大手小売り店やAmazonで手指消毒液が売り切れや品薄になる風潮に乗って稼ごうとしているわけではない。むしろ同社は、生産能力の100パーセントを手指消毒液の生産に切り替えながらも、商品すべてを寄付すると決めている。

当初の生産量は思っていたよりも少ないが、製造方法を変えることで生産量を増やせるとコンスタンティン氏は話している。現在、50ミリリットル入りボトル1000本をなんとか生産しているが、今後も「1週間に1000本のペースで生産を続け、技術が追いつく限り供給量を増やしていく」とのことだ。

私はコンスタンティン氏に、手指消毒液を寄付する相手はどうやって決めるのかと尋ねた。このような慈善事業を喜ぶ団体はたくさんあるに違いない。

「私たちは、寄付したすべての製品を、市の助言に従い直接供給します」と彼は言う。「食事をデリバリーする人たちに我々の手指消毒液を使ってもらうよう、地元のレストランと協力したいとも考えています。バーやレストランは閉店を要請され、ここニューヨークでの外食産業の最前線はデリバリーサービスだけとなるからです」

今回の取り組みのために、彼らは利益を生む事業からまったく別の生産ラインに切り替えたわけだが、いつまでこれを続けるつもりかコンスタンティン氏に聞いてみた。どこまでこの必要性が続くのかは不確かながら、彼らは「できる限り」手指消毒液の生産を続けるという。

「私たちは生産ラインを切り替え、非常に限られた人数で運営しています。私たちの活動によりウイルスが拡散しないようにするためです」と彼は言い添えた。「すべての人と企業の小さな支援のひとつひとつが、こうした困難な時期に実を結びます。私たちはできることなら何でもやる覚悟です」

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(翻訳:金井哲夫)

米政府はハイテク企業と協議し新型コロナとの戦いに位置情報を活す作戦を練る

Washington Postの最新報道によると、米国政府関係者は現在、携帯電話からのデータを新型コロナウイルスのパンデミック対策に活かす方法はないか、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)を含む複数のハイテク企業と検討しているという。この会談では、医療の専門家によるパンデミックと伝播を監視する可能性も話し合われている。携帯電話のデータを有効活用する有望な方法として集約し匿名化した位置情報の利用があると、その記事の情報筋は伝えている。

米国人の携帯電話から回収した位置情報は、公衆衛生の専門家が大まかな感染の広がり具合を監視しマッピングするときの役に立つ。専門家グループはすでにそれを理論化しているものの、当然のことながらあらゆる位置情報が追跡されると考えると、人々の反感は避けられない。特にそれが大規模に実施され、政府と業務提携をしている民間企業のみならず、政府の人間も含まれるとなればなおさらだ。

だがこれらの試みは、米疾病予防管理センター(CDC)による感染パターンの概要把握という目的のみに厳格に用途を絞ったもので、個々の携帯電話利用者は対象にしていない。Washington Postの情報筋は、いかなるかたちであれ、そこから政府のデータベースが構築されることはないと強調している。あくまで匿名化され集約されたデータからCOVID-19の伝播と拡散のモデルを知るためだけに限定される。

すでに、新型コロナウイルスのパンデミックに関連する問題で、世界の最大手級のハイテク企業が前例のない共同研究を開始している。情報を広めるための製品を扱う事実上すべての大手ハイテク企業は、3月16日に会合を開き、ウイルスに関するデマや誤情報の拡散に対処するため緊密に連携するとの声明を発表した。

ホワイトハウスも、ウイルスと米国の対応についてハイテク企業に助言をもらってきた。先週、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook、Google、Microsoft(マイクロソフト)、Twitter(ツイッター)が参加した会合もそのひとつだ。AmazonのJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)CEOは、現政権と定期的に接触している。Amazonは隔離、社会的距離の確保、収容さらには自宅待機命令に関する実質的な国際的指針に人々が対処する上で中心的な役割を果たし、ますます重要性が高まっているからだ。

今週初めに疫学者、企業幹部、医師、学会関係者が数多く署名した公開書簡が発表されたが、そこでもハイテク企業が貢献できるCOVID-19のパンデミック対策の概要が示された。そのひとつに(特にモバイル用OSを提供するAppleとGoogleに向けられているが)、ウイルス感染者と接触した可能性のある個人のために「本人の了承を得た上で、プライバシーを保護するOSの機能を接触者追跡に役立てる」といった提案がある。

もちろん、乱用を否定する保証があるなしに関わらず、広範に個人情報を収集しようという試みに警戒心を抱くのは自然なことだ。個人の自由か保護かの究極の選択を迫られ、その駆け引きが結果的に暴走するという歴史的な事例を見れば、なおさらそう感じる。New York Timesも今週伝えているが、これまで秘密にされてきたが実在していたイスラエルの携帯電話事業者とその利用者の携帯電話の自撮り写真などの個人情報データベースを使って、ウイルス感染者の位置情報を追跡しようという動きすらある。

それでも、プライバシーを保護しながらハイテク企業が持つ情報を活用する方法を探ろうという考えを、今すぐ止めさせるべきではない相応な理由はある。特に現在実施されている社会的距離を保つ措置による影響を知る上でも、そこには大きな恩恵が得られる可能性があるように思えるからだ。

画像クレジットAmin Yusifov / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

UberとLyftが新型コロナ拡大を受けライドシェアサービスを一時停止

Uberは客が乗車をシェアする相乗りマッチングサービス「Uber Pool」の提供を一時的に見合わせる。同社が17日発表した。Uber Poolのオプションでは、行き先に基づいて乗り合わせをマッチングし、最大3人が1台の車をシェアすることができる。Uber Ridesとプラットフォーム担当の副社長Andrew Macdonald(アンドリュー・マクドナルド)氏は声明の中で「サービス提供の見合わせを通じて、我々がサービスを提供する街での市中感染の増加を抑制するのが狙いだ」と述べた。Lyftも同様の理由でサービスを展開するすべてのマーケットで「ライドシェアサービス提供を見合わせる」と発表した。

これは当面、米国とカナダに適用される。Uberはカープールを提供している他の国でも同様の措置を取るか検討している。一方で個人が予約する通常のオンデマンド乗車やUber Eatsデリバリーサービスはこれまで通りの展開となる。ただ、乗客向けのアプリ内で「Flatten the Curve(感染拡大を抑制しよう)」というメッセージを常時表示し、ユーザーに「移動は必要な場合のみ」「あなた自身のため、そしてコミュニティのために用心を」と呼びかけている。

Uberはまた、Uber Eatsが米国とカナダのレストラン向けに配達料を免除することも発表した。そして、配達員が食品を玄関先に置くオプションをユーザーが選べるようにもしている。さらに同社は、感染の最前線で働くヘルスケアワーカーや救急隊員に30万食を届けることを約束している。

こうした対策に加えて、Uberは同社のプラットフォームを利用するドライバーを対象に、COVID-19感染を診断されたり公衆衛生当局によって隔離を促された場合に経済的援助を提供する。援助する額は過去6カ月間のドライバーの平均収入に基づく。

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(翻訳:Mizoguchi

ジェフ・ベゾス氏がホワイトハウスと新型コロナ対策で密に連絡

米国時間3月16日のホワイトハウスのブリーフィングで、政権の新型コロナウイルス対策タスクフォースと、CDC(米疾病予防管理センター)からの公衆衛生に関する新しい勧告について、詳細が語られた。その中でトランプ大統領は、ホワイトハウスがAmazon(アマゾン)のCEOJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏とCOVID-19の流行に関して「毎日」のように連絡をとっているという報道について、報道陣から真偽をたずねられた。

トランプ氏の答えは、それを明確に確認するものではなかったものの、アマゾンの創立者兼最高経営責任者とホワイトハウスが、状況の変化に応じて一定程度協力していることを示すもののように思われた。明確な答えを求めたTechCrunchに対して、アマゾンの広報担当者は、新型コロナウイルスの流行に関して「ジェフ・ベゾスはホワイトハウスと連絡を取り合っています」と明かしている。

「まあ、それは本当だと聞いているよ」と、トランプ氏もブリーフィング中に語っている。「ホントかどうかはわからないが、我々のスタッフがアマゾン、あるいはベゾス氏本人と関わっていると、私は理解しているよ。素晴らしいことじゃないか。我々は多くの人達から多大なサポートを受けているんだ。彼もその1人だと思っているよ」

先週Fox Businessは、ウイルスを封じ込める対策にについて話し合うため、ホワイトハウスは大手IT企業と会合を持つことになるだろうと報じた。その対象としては、Facebook(フェイスッブック)、Google(グーグル)、アマゾン、Twitter(ツイッター)、Apple(アップル)、Microsoft(マイクソフト)が挙げられていた。

ベゾス氏が、どの程度ホワイトハウスと協力し、コロナウイルスのパンデミックに対処するのかは、まだよくわからない。とはいえ、アマゾンとしても世界的なウイルスの流行によって大きな影響を受けていることは確かだ。その証拠にアマゾンは、米国内で10万人の雇用を追加して、倉庫と配送に配備することを模索している。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米国で新型コロナウイルスワクチンの人間への臨床試験開始

AP通信によると、新型コロナウイルスのワクチンの人間への臨床試験が、米国時間3月16日に開始される。今回の試験は、NIH(米国立衛生研究所)と医薬品メーカーのModernaが開発した実験的なワクチン注射の効果をテストするもの。一般的なワクチンのように、活性なウイルス、あるいは非活性化したウイルスのサンプルを使ったものではない。その代わりに、ウイルスの遺伝子に含まれるメッセンジャーRNAを利用して、ターゲットの免疫反応を引き出そうというものだ。

画像クレジット:Thana Prasongsin/Getty Images

Wall Street Journalは、2020年2月にModernaが開発中のワクチンについて報告している。同社は、このような遺伝子ベースのアプローチによる薬剤治療法の開発を主業務として設立された、比較的若い会社だ。当時の報告では、テストは4月に開始される予定とのことだったが、2月末から現在までの世界的な状況の変化を考慮して、スケジュールが前倒しされたようだ。とはいえ、公衆衛生当局によると、例え今回の治験で効果が実証されたとしても、ワクチンの最終的な検証には、少なくとも1年から1年半はかかるとのことだ。

COVID-19が突きつける継続的な脅威に対処するために、ワクチンを開発しようという試みは、もちろんこのModernaとNIHによる取り組みだけではない。ワクチンと治療法の両方で官民を問わず、多くの取り組みが進行中だ。今回のテストは、ヒトを対象にした臨床試験プログラムとして迅速に対処されたものとなる。

治験者は、実際にはウイルスを注射されるわけではないので、今回のテストプログラムでCOVID-19に感染するリスクはない。ただし、このプログラムにボランティアで参加しているとされる45人のように、若く健康な治験者でさえ、新たに開発されたワクチンを注射するとなれば、まだ知られていないことが多く存在する。この段階で、NIHとModernaは開発中のワクチンが望ましくない、あるいは危険な副作用を引き起こさないことを確認することを目指し、その後、有効性や別の他の安全性を証明するため、さらなるテストが必要となる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Alphabet傘下のVerilyがカリフォルニアで新型コロナスクリーニングサイトのパイロット開始

Alphabet(アルファベット)傘下のヘルステクノロジー企業Verily(ベリリー)が新型コロナウイルス(COVID-19)のスクリーニングサイトを立ち上げた。トランプ大統領は当初、これは新型コロナウイルスをウェブベースでスクリーニング・検査する公共のサイトで、Google(グーグル)によって開発されたと誤って発表していた。週末のGoogleとVerilyの一連のブログ投稿ホワイトハウスの追加記者会見の後、スクリーニングと検査のサイトはVerilyによるプロジェクトであること、対象はカリフォルニア州の住民限定で、しかも当面は2つの郡に限られることが明らかになっている。

最終的に政府が明らかにしたように、サイトは3月16日朝から運用が開始された。VerilyのProject Baselineが運営。現在のところ、サイト利用者と医療分野の研究機関をつなぐポータルとして機能している。カリフォルニア州で新型コロナウイルスのリスクスクリーニングと検査を実施するこのサイトは、一定の要件を満たす人にスクリーニングと無料の検査を提供する。現在、サンタクララ郡とサンマテオ郡の住民が対象だ。

上記の地域に住んでいることに加え、パイロットテストへの参加に必要な要件は18歳以上であること、米国居住者であること、英語を話し、読むことができること、新型コロナ公衆衛生承諾フォームに署名する意思があることだ。このフォーム上で、Verityが個人情報を収集してスクリーニングプロセスに使用することを承諾する。サイトを利用したい人は、新しいGoogleアカウントを作成するか、既存のGoogleアカウントでログインした上で登録する必要がある。

Googleアカウントが必要にもかかわらず、VerilyはウェブサイトのFAQで「個人データの収集と使用に関する連邦および州の規制に従い」暗号化された形式で安全に情報を保管すると述べている。またFAQには、Verilyのスタッフがすべてのサイト利用者を特定する直接的な情報を有し、その情報が医療従事者、研究機関の職員、保健当局のみならず、Verilyにデータテクノロジーを提供するパートナー(Googleを含む)と共有される可能性があると記載されている。

同社はさらに、本人の同意なく保険会社や医療機関と情報を共有することはなく、新型コロナスクリーニングプロセスで得た情報は広告に使用されないと述べている。

ウェブサイトで実際に利用者が目にするのは、サイト利用資格を判定する複数の質問による調査と、それに続く新型コロナウイルスへの感染リスクを評価する詳細な質問表だ。評価結果によっては、移動検査会場に行くよう促される。そこで鼻粘膜から検体を採取し、Verilyによると「数日」後に検査結果が通知される。

Verilyは週末のブログ投稿で、カリフォルニア州のGavin Newsom(ギャビン・ニューサム)知事の知事室と協力して、ベイエリアの他の地域と他の州におけるツールの利用可能性を検討していると述べた。同社はこれまで他の州への拡大計画について明らかにしていなかった。筆者が問い合わせのメールを送ったところ、自動応答の返信があり、現在大量の問い合わせを受けている旨とブログ投稿へのリンクが記載されていた。

画像クレジット:SAUL LOEB / Contributor / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

ホワイトハウスが新型コロナ対策ガイドライン更新、8月まで流行が続く可能性も示唆

月曜日にホワイトハウスは記者会見を行い、冒頭でトランプ大統領は、新型コロナウイルス感染拡大を遅らせるためのガイドラインのアップデートを発表した。ガイドラインには子供たちは可能な限り自宅で学習させる、10人を超える人数の会合を避ける、必要でない旅行やバー、レストラン、フードコートでの食事を避けるといった勧告が含まれている。

こうした勧告は、トランプ政権の新型コロナウイルス対策タスクフォースの専門家が作成したもので、最低今後15日間適用されるべきだとしている。しかしながら「このような状況がいつまで続くと考えているか?」という記者団からの質問に対して、トランプ大統領は 「7月か8月だろう。もしかするとさらに長くなるかもしれない」と答えている。 これは2月下旬の大統領選集会で「新型コロナウイルス(のパンデミック)は民主党のデマだ」と否定したときとは違うトーンだった。

今回のアップデートでは個人がバー、レストランを避け、外食が必要な場合はドライブスルー、持ち帰り、宅配などを利用するだけでなく、COVID-19が流行している州では、レストランやバーのオーナーは店舗を閉鎖する必要があると勧告している。またガイドラインは、体調が悪い場合は外出を控えて医療提供者に連絡すること、家族の1人が検査で陽性反応を示した場合、その家族全員が自宅で隔離される必要があるとしている。

ガイドラインはまた「(自分以外の)多くの人が使うものの表面に触れた後は手を洗う」「咳やくしゃみをするときはティシュや曲げた肘の内側を口にあてる」といった勧告を繰り返して注意を呼びかけている。さらに、よく触れるものの表面を頻繁に消毒することもすすめている。

医師であり新型コロナウイルスの対策チームの責任者でもあるDeborah Birx(デボラ・バークス)博士は「ミレニアル世代(30代、40代)にはこの局面を乗り切る模範となってもらいたい」と述べ、アドバイスを遵守すると同時にハイリスクな状態にある高齢者や持病のある人々に感染を広げないよう十分に注意するよう呼びかけている。

Mike Pence(マイク・ペンス)副大統領は「ガイドラインにあるとおり、今後15日間が新型コロナウイルスの感染率を低下させるための最大のチャンスだというのが専門家の考えだ」と述べた。

【Japan編集部追記】ホワイトハウスが発表したガイドライン(PDF)文書(一度で表示されない場合は再読み込み)では、上記記事に含まれる内容のほか「必須のサービスを提供する場合以外、老人ホームなどの高齢者施設を訪問しない」「自分の顔に触れない」などと呼びかけられている。

画像:BRENDAN SMIALOWSKI/AFP / Getty Images

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滑川海彦@Facebook

カナダが新型コロナ対策で米国市民以外の外国人の入国を禁止

カナダのJustin Trudeau(ジャスティン・トルドー)首相は、同国での新型コロナウイルス感染症拡大を防ぐために国レベルの追加対策を発表した。最大の対策はカナダ市民ならびに永住権保持者以外の入国を禁止するというものだが、米国の市民は対象外であり、また商業旅客機や貨物機の運航にも適用されない。

入国禁止措置に加えて、カナダの国民も含めて症状のある旅行者の飛行機搭乗は拒否される、とトルドー首相は記者会見で述べている。

「はっきりさせておくと、もしカナダ国外に滞在しているのなら帰国すべきだ。もし入国したばかりなら、14日間自己隔離すべきだ」と語って会見を締め括った。また「自宅にいる国民も症状がなくても家に引きこもり、可能な限り他人との接触は控えるべきだ」とも付け加えた。

トルドー首相は、なぜ入国禁止措置で米国の市民を対象から除外したのか、その理由を繰り返し質問された。米国では感染者数が急増していることを念頭に置いた問いだ。しかしこの質問に対する確たる答えは明確に示さず、国の方策はいかなるときもカナダ国民の健康を守る最善の策に基づくと繰り返した。そしてその方策は適時追加されるとも述べた。

トルドー首相は、米国国民に入国を許可し続ける理由は、部分的に両国の経済が統合されているという性質にある、と述べた。そして今後、米国市民の入国も禁止する可能性があることも示した。「我々はあらゆる対策を排除しない。すべてが検討対象だ」と語った。

今回の外国人の入国禁止措置は、航空会社の乗務員やトラックドライバーのような仕事をしている個人も対象外としている。また、カナダ国民の海外からの帰国や、すでに症状があったり国境の封鎖で移動が制限されて帰国できない国民が海外で安全を確保するのに経済的援助を行うことも表明している。

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(翻訳:Mizoguchi

欧州のロケット打ち上げは新型コロナですべて延期

数日前に3月下旬の打ち上げは予定通りとされていたが、Arianespace(アリアンスペース)は16日、フランス領ギアナにある欧州の宇宙基地、ギアナ宇宙センターでのオペレーションを一時停止するという難しい決断を下したと発表した。これには3月24日に予定されていた複数の衛星を打ち上げるヴェガロケットミッションや、4月14日に予定されていたソユーズロケットのファルコンアイミッションなどが含まれる。

Arianespaceは「フランス政府が決めた対策に完全に対応する必要があること」が、打ち上げ一時停止を決めた主な理由としている。同社はまた「従業員や(打ち上げ施設がある)地元の人々の健康を守る」ために今回の措置を取ったとした一方で、予定されている打ち上げの準備に必要なセキュリティは維持する。

シャットダウンし、そして安全に再開できる状況になったときにいつでも対応できるように、フランス国立宇宙研究センターは宇宙船と積荷をスタンバイモードにしておくために、Arianespace、そしてロケット打ち上げ側と荷主側のあらゆる企業と協力している。再開時期に関する情報はないが、現状を踏まえればそれは当然の措置だろう。

他国の宇宙当局やロケット打ち上げ企業はまだ特に影響は受けていないようだ。 SpaceXは3月15日に打ち上げを予定していたが、技術的な理由で中止になり、早ければ週半ばにも再設定されそうだ。一方、中国の長征ロケットは今日打ち上げが予定されている。そしてULA (ユニテッド・ローンチ・アライアンス)はSpace Force通信衛星の3月26日打ち上げに向けて予定通り準備を進めているようだ。

画像クレジット: Sergei SavostyanovTASS / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

米食品医薬品局が検査スピードを最大10倍に高める新型コロナ検査を承認

Bloomberg(ブルームバーグ)によると、FDA(米食品医薬品局)は既存の方法と比べて、患者の検査率を最大10倍に高める新型コロナウイルス(COVID-19)の新検査に対し、緊急使用許可を発行した。スピードの改善は具体的には検査プロセスの技術的能力拡大によるものであり、実際検査が受けられるかどうかはまた別の問題として残っている。だが、緊急使用許可を取得した最初の商業的に利用可能な検査であり、この検査には米国内の既存の機器が多く使える。

新型コロナウイルスの感染拡大と戦い、制御する試みの中で、検査は中心的な役割を果たす。ウイルス感染者にはさまざまな症状がみられるが、感染者の多くが非常に軽い症状しか示さない可能性がある。1日に大量の患者が検査できる効果的で広く利用可能な検査方法を持つことは、防衛戦略の重要な部分だ。感染した集団の範囲を的確に特定し、社会的隔離やお互いに距離を保つことのような緩和戦略を強化することができるからだ。

緊急使用許可が下りた新検査では、Rocheロシュ)の少し前の検査機器で1日最大1440人、より新しい機器では4128人の患者を検査できる。ブルームバーグによると、米国では両機器が現在約110台利用可能で、今後新型コロナ対策が強化される数週間で「かなり」の量が導入されると指摘している。この検査では患者の唾液や粘液を分析し、患者が既知のコロナウイルス株に感染しているか判断する。

米国における新型コロナ検査へのアクセスは、今週の議会公聴会を含め、これまで医療専門家や専門家から厳しく批判されてきた。オブザーバーらは、韓国、中国、日本など、感染の指数関数的な曲線を緩やかにすることに成功した国々で、優れた検査が大量かつ広範囲に利用可能な点に注目している。今回の承認により、米国の民間の検査機関で広く検査が利用可能になるはずだが、米国の患者の検査率に実際どこまで影響があるのかは依然不透明だ。

画像クレジット:Ben Birchall – PA Images / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

SpaceXがエンジントラブルでStarlink衛星の6回目の打ち上げを中止

SpaceX(スペースX)は、衛星ブロードバンド計画ことStarlinkの第6弾を打ち上げる予定だったが、カウントダウンタイマーが0になるとともに打ち上げは中止された。打ち上げの生放送では、同社のエンジニアが「エンジン出力が高いので打ち上げを中止する」との報告を受けており、生放送をしていたアナウンサーもMerlinエンジンの出力に関連した中断であると述べ、同社は後にシーケンスがシステムによって自動的に中断されたとの追加の詳細を発表した。

アナウンサーは「機体の状態は良好だ」と発言し、SpaceXも後にこれを確認した。これは、次回の打ち上げに向けたいい兆候だ。同社は米国時間3月16日にバックアップのウィンドウを設けているが、実際の次の打ち上げスケジュールはまだ決まっていない。同社としてはエンジン出力の問題の原因を調査して特定し、その後に打ち上げを決定するのが理にかなっているだろう。

今回の打ち上げで使われるFalcon 9のブースターは記録的な5回目の飛行となり、ペイロードを保護するフェアリングは初めて再利用される。SpaceXは詳細が確認でき次第、最終的な打ち上げスケジュールを明かすとしており、TechCrunchも情報が得られ次第お伝えする予定だ。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

第36回スペース・シンポジウムは新型コロナウイルスの影響で開催延期に

米国時間3月30日から4月2日に開催される予定だった第36回Space Symposium(スペース・シンポジウム)は、新型コロナウイルス大流行の影響により、正式に延期された。新しい日程に関する予定は発表されておらず、Space Foundationの主催者は今後の日程について関係者と協力し、次のステップは「追加発表する」と伝えている。

コロラド州で開催されるこのイベントは宇宙業界、政府、そして一般の宇宙コミュニティの有力メンバーが一堂に会する宇宙に焦点が当たる最も重要なイベントになるだろう。今週初めに世界保健機関(WHO)によってパンデミックだと公式に定義されたCOVID-19こと新型コロナウイルス感染症の現状を考慮すると、イベントの延期は驚くものではない。

Space Symposiumがイベントを延期したのは当然の判断だが、主催者がリモート会議やバーチャル会議への変更ではなく、「スケジュール変更」を選択したのは興味深い。年に1回のイベントで得られるメリットの多くは、優秀な参加者同士が直接顔を合わせたり、偶然会うことで得られるもだ。そのような意味でも、今回の決定は最も理にかなっている。

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(翻訳:塚本直樹Twitter

NASAも新型コロナウイルスを考慮して宇宙飛行士の健康管理対策を強化

NASAは標準的なプロトコルとプロセスを補強して、最初の民間乗員宇宙飛行プログラムに参加する宇宙飛行士の健康管理を徹底しようとしている。COVID-19の可能性から保護するように設計された追加の対策を実施すると、Business Insiderが報じた。NASAの標準的な慣行では、すべての宇宙飛行士に対して、地上でのあらゆる病原体に感染する可能性を下げるよう、飛行に先立って対策が施されることになっている。そして現在、特に新型コロナウイルスのリスクに対処するため、特別な措置が講じられている。

Business Insiderのレポートによれば、民間の乗務ミッションに先立つ標準的な2週間の検疫に加えて、追加の対策が実施される。今のところ4月、5月、6月のいずれかに予定されているSpaceXのCrew Dragon(クルードラゴン)宇宙船への乗船に際して行われることになっている。そこには、表面洗浄と消毒、社会からの隔離、手洗いなどの方策について、さらなる強化が盛り込まれている。これらはすべて、CDC(米疾病予防管理センター)が推奨する一般向けの予防策に沿ったものとなっている。

またNASAは、宇宙飛行士のDoug Hurley(ダグ・ハーレー)氏やBob Behnken(ボブ・ベンケン)氏がフライトに先立って訓練を受けている施設の見学ツアー開催を止めている。さらに、潜在的なウイルスへの曝露を制限するため、NASAのスタッフに対しても、何らかの病気の可能性に気づいたら、自宅待機するよう指導している。

宇宙に旅立ったり、そこで仕事をする人の健康は間違いなく最も重要だ。NASAの手順には、実際のフライトに至るまでの広範な検査と監視が含まれており、ウイルスなどの招かれざる客を宇宙空間に連れて行かないようにするという点において優れた実績を誇っている。新型コロナウイルスは、こうしたNASAの予防策に対して新たな課題となる可能性もある。とはいえ、COVID-19はミッションに参加する宇宙飛行士がこれまでどおり回避しようとしている一般的なウイルス性の疾患に対する健康管理と、機能的に大きく異なるものにはならないだろう。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Airbnbが新型コロナ対策でキャンセル料なしの対象を拡大するポリシーを発表

世界的に新型コロナウイルス感染症が拡大している現状への対応として、Airbnbは特定のエリアの予約に限定して、キャンセル料を課さないとするポリシーのアップデートを発表した。Airbnb経由で中国本土、韓国、イタリア、米国で予約していた宿泊客は手数料なしでキャンセルできる。

Airbnbのニュースルームページに詳細があるが、米国における宿泊に関しては、3月13日以前に予約したもので、チェックイン日が4月1日までのものにこのポリシーが適用される。この期間設定は合理的なようだ。というのも、米国の現状について把握していない人の予約をカバーしていて、州やコミュニティがすでにとっている社会活動や移動規制をめぐるほとんどの対策の期限とも合う。またAirbnbはニュースリリースの中で、今後も状況を注視すると述べていて、これは状況によっては適用範囲が変わるかもしれないことを意味している。

上記の国に加え、Airbnbは欧州のシェンゲン圏に予約をしていた米国のユーザー、そして下記の理由で予約をキャンセルせざるを得ない世界中のゲスト並びにホストにキャンセル料なしを適用する。

  • 関係する政府や健康当局が実施する疾病コントロール制限を遵守するため
  • COVID-19流行に関連する医療または病気コントロール規制を守るため
  • COVID-19流行でフライトや地上の交通運輸がキャンセルされたため
  • 医療機関や衛生当局によってCOVID-19感染を診断されたり感染が疑われたりしているため

これは称賛すべきキャンセルポリシーで、新型コロナウイルス感染拡大によって旅行計画の変更を余儀なくされるあらゆる人を対象にしたものだ。海外旅行を考えている人は、Airbnbそしてその他の予約も再考することになりそうだ。

画像クレジット: Carl Court / Staff

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(翻訳:Mizoguchi)

Boomの超音速旅客機のテスト機XB-1はカーボンニュートラルの実現を目指す

航空機産業は通常、低炭素排出を志向していると見なされていない。ジェット燃料はグリーンとはいえないし、航空機は空を飛ぶ際、大量にそれを燃焼する。しかし超音速飛行のスタートアップBoomは、その超音速デモ機XB-1の試験開発事業で商業航空のそんなイメージを変えたいと願っている。同社の旅客機Overtureの開発のためにも、低炭素というイメージを持たれるが望ましい。

Boomの主張によれば、超音速デモ機XB-1のフライトは試験と認可の過程の冒頭から、持続可能性を達成できる初の商用OEM飛行となる。XB-1もOvertureもハイブリッドや全電動とは無縁だが、同社としては持続可能なジェット燃料とカーボンオフセットを併用して炭酸ガス排出量をゼロ、すなわちカーボンニュートラルにしたいと考えている。

Boomが使う燃料はパートナーのPrometheus Fuel製だ。同社は電力をソーラーや風力などの再生可能エネルギーから得て、二酸化炭素を減らそうとしている。Boomはすでに、地上テストでも同社の燃料を使っており、今後の地上テストと飛行計画でも使用できると判断している。

カーボンオフセットの意義については異論もあるが、しかしその事業から得たお金が適正な低炭素排出計画を支えるのなら、エコロジーに貢献すると言える。それにBoomのような、航空事業の経済的なインパクトをオフセットする試みが、商用の実機にも適用されるなら、一般的な航空業界がこれまで何もしなかったことと比べて環境に良いと言える。今後はすべての航空機開発事業で、このような風潮になるだろう。

現在、Boomが製造しているXB-1は、今夏にもFlight Researchとのパートナーシップのもとモハーベ砂漠のMojave Air and Space Port(モハーベ航空宇宙飛行場)でテストが行われる。その、パイロットはいるが旅客のいないテストから得られた情報は、将来超音速飛行の商用機となるOvertureの開発のベースになる。そのOvertureはすでにJALやVirginなど複数の航空会社から予約がある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXが来月にも約279億円調達、企業価値4兆円に

CNBCのMichael Sheetz(マイケル・シーツ)記者のレポートによると、SpaceXは新たに2億5000万ドル(約279億円)の資金調達を模索している。CNBCの情報筋は、新たな調達でSpaceXのバリュエーションは360億ドル(約4兆円)になる、と見込んでいる。直近に発表されたバリュエーションから25億ドル(約2790億円)超の増加となる。

ロケットを打ち上げるSpaceXはElon Musk(イーロン・マスク)氏が創業・経営している。もちろんマスク氏は巨額の資金を調達する術を知っている。2019年にはいくつかのラウンドで13億3000万ドル(約1480億円)を調達した。累計で、同社はこれまでに30億ドル(約3350億円)を調達しているが、これほどの額の資金を調達してきたのは壮大な野心を持っているからだ。

SpaceXはまた、かなりの売上を上げている。例えば、NASAの商業クルー・プログラムの一環として宇宙船Crew Dragonを開発する契約の額は31億ドル(約3460億円)だ。また、同社は顧客にFalcon 9ロケット打ち上げ1回あたり6000万ドル(約67億円)を請求する。昨年だけでSpaceXは13回ロケットを打ち上げた。

しかしSpaceXは栄誉または既存のテクノロジー投資にあぐらをかく企業ではない。同社は「Starship」という次世代の宇宙船の開発に取り組んでいる。StarshipはゆくゆくはFalcon 9とFalcon Heavyに取って代わる可能性がある。しかもFalcon 9とFalcon Heavyのシステムでは一部が再利用可能であるのに対し、Starshipは完全に再利用できる見込みだ。同社の予想が正しければ、運用が始まるとかなりのコストを削減することができてSpaceXの業績に大きく寄与する。しかしそこに到達するには、Starshipを確実に飛ばすために必要なテクノロジーの開発に相当の資金をつぎ込まなければならない。

マスク氏は最近、大きな変更やアップデートを加えたStarship新バージョンを可能な限り早く建造するという、同社の計画の詳細を説明した。Starshipのスケール、そして示された新モデルの建造には巨額の費用が伴うことを考えた時、SpaceXが現在の資本にさらに資金を加えるというのは理にかなっている。

資金調達は来月中旬くらいになりそうだ、とCNBCは報じている。TechCrunchはSpaceXにコメントを求めているが、この記事公開までに返事は得られなかった。

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(翻訳:Mizoguchi

垂直離着陸エアタクシーを開発するドイツのVolocopterが10億円超を追加調達

空の自動運転技術を目指すVolocopter(ヴェロコプター)が、昨年9月のシリーズCラウンドの資金調達を実施した。同社はドイツを拠点する電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカーで、当時5000万ユーロ(約60億5200万円)の資金調達を発表した。そのCラウンドでは、新たなリード投資家DB Schenker(DBシェンカー)により、8700万ユーロ(約10億5300万円)に調達額が増えた。Schenkerは、世界中で営業しているロジスティクス企業だ。

このラウンドには、三井住友海上火災保険グループとその親会社であるMS&ADホールディングス、およびTransLink Capitalが参加した。以前からの投資家であるLukasz Gadowsk(ルカシュ・ガドウスキ)氏iやbtovなども、この拡張ラウンドに参加した。

これでVolocopterの調達総額は(現在のドル換算で)1億3200万ドル(約147億2900万円)になる。新たに得られた資金は、同社が開発するVoloCity航空機で人を乗せるエアタクシーの実用認可のために使用される。認可が下りれば同社初の商用実用車となる。また、次世代機VoloDroneの開発継続にも資金が投下される。こちらは人ではなく荷物を乗せる航空機だ。同社は、VoloDroneをロジスティクスや建築業、都市のインフラストラクチャ、農業などの市場に広げたいと考えている。

すでにVolocopterは、John Deereなどの企業とパートナーしてVoloDroneのパイロットを確保する予定だが、実際の商用化は第2世代機からだとも表明している。VoloCityのほうは、シンガポールでデモ飛行後、東南アジアの主要都市でエアタクシーを展開する可能性についてGrabと一緒に実行可能性調査を行うと発表した。

この拡張ラウンドに伴い、このラウンドの9月の部分を仕切ったGeely Holding GroupのYifan Li(イファン・リー)氏と、DB SchenkerのCEOであるJochen Thewes(ヨチェン・テウェス)氏をVolocopterは顧問団に加えた。どちらも、同社から投資リターンだけでなくサプライサイドや商用化からの利益も得る戦略的パートナーだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AlphabetのLoonとSoftBankのHAPSMobileによる成層圏ネットワーク構想に世界的大企業が続々参加

Alphabetの高高度気球企業Loonと、SoftBankの子会社で成層圏にグライダーを飛ばすHAPSMobileが率いる、全業界的企業連合が、高高度の送受信メカニズムを利用するネットワーク接続のスタンダードと関連技術を開発していくことになった。

これは両社が2019年4月に結んだパートナーシップの拡張で、Loonが使用するネットワークハードウェアが、HAPSMobileの長翼成層圏ドローンと互換性を持つことになる。両社はもっと多くのメンバーを歓迎しており、すでにAirbusの防衛および宇宙部門やBharti Airtel、China Telecom、Deutsche Telekom、Ericsson、Intelsat、Nokia、HAPSMobileの親会社SoftBank、Telefonicaなどが企業連合に参加している。

この企業連合はHAPS Allianceと呼ばれ、HAPSはHigh Altitude Platform Station(高高度プラットホームステーション)の頭字語だ。目的は技術の利用を宣伝するとともに、この技術を利用しようとする市場で規制当局と協力することだ。彼らが共同してネットワークの相互運用性のベースとなる共通の規格を開発し、企業連合各社が互いに衝突や妨害をしないような成層圏の利用技術ないし相互監視技術を作り出す。

現在のメンバーが増えたグループには、世界で最も強力なネットワーク事業者や、ネットワークインフラストラクチャの重要なプレーヤー、それに航空宇宙企業が含まれている。これだけ揃うことで、成層圏ネットワークに何か重要なことが起きると期待される。成層圏は地球に近く、人工衛星を利用するインターネット接続と比べてアドバンテージがあり、また困難な地形や狭い圏域など、地上基地局の不便さもない。

この動きをきっかけに、未来の携帯電話やインターネットの接続は、高い空を飛ぶ自律的な基地局が提供することになるのだろうか。現時点ではどこまで普及するか不明だが、現在、すでにそうそうたるメンバーが企業連合に参加しているだけに、実現性は高いと感じられる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXは2020年の軌道飛行までに大量のロケットを建造し改良を重ねる

SpaceXの創設者Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、今週、同社のStarship(スターシップ)の進捗に関する更新情報をいくつか発表した。「SN1」の建造風景の動画をはじめ、新しい宇宙船の開発と年内に宇宙に飛ばす計画を進める中での考え方や、同社が取り組んでいる戦略についてツイートした。

マスク氏によれば、SpaceXは、このところ一貫した性能を示すようになり多少安定してきたFalconに比べて、Starshipの改良はずっと早いサイクルで進んでいるという。

デザインを量産型宇宙船に向けて進歩させる能力は、宇宙船の試作機と関わる回数、つまり各バージョンの間で達成された進歩の数によって決まると彼は書いている。

それはSpaceXが過去に行ってきたことであり、従来のロケット打ち上げ業界を引っ繰り返せた大きな要因でもある。すばやく行動し、何度もやり直して、早く失敗を重ねた経験から前進し変化していく。従来の業界は、寿命の長い宇宙船の世代間における改良に焦点を当ており、ほとんどの物事が短期間に固定されている状況で開発を行い、また休みという繰り返しに大きく偏っている。そこが違うところだ。

一方、Starshipは、巨大であるという点だけでも、今回のモデルがSpaceXにとって最大のチャレンジとなっている。現在のところ、StarshipはSpaceXにおける最大のロケットだが、それを短期間に何基も建造するというのは、工学的な観点からだけでも、実際に驚異的な冒険だ。世代間の改良点の多さや、最終的にSuper Heavyロケットブースターを取り付けることを考慮に入れるとなおさらだ。

サイズの大きさに加えて、この宇宙船にはSpaceXが目指している完全に再利用可能であることを目指しているため、次のフライトまでにすばやく開発を進めなければならないという性質もある。1回だけの使い切りロケットを作るのなら実に簡単(もちろん比較的という意味)だが、数十回あるいは数百回と再利用できるロケットの建造は、まったく別の話となる。

2019年、Starshipの完全な実物大試作機を初めて披露したとき、マスク氏は、わずか6カ月以内で軌道に載せると話していた。これもまた次第に、SpaceXの創設者からのきわめて楽観的なスケジュールに思えてきた。現在のSN1は、まだ軌道よりも低い高高度の飛行を目指している段階で、実際に宇宙に到達するのは次回以降のバージョンとされている。科学ニュースサイトArs Technica(アーズ・テクニカ)のEric Berger(エリック・バーガー)氏によれば、宇宙に行くのはSN3、SN4、またはSN5だとマスク氏は示唆しているという。

バーガー氏はまた、SpaceXは、軌道に乗せるStarshipの試作機の打ち上げには、3つあるオプションのうちの1つを考えていると伝えている。それは、同社のRaptorエンジンを6基使うというものだ。また打ち上げ場所は、Starshipが建造されているテキサス州ボカチカ(これが最も有力)、SpaceXがFalconロケットのための発射施設を所有しているフロリダ、第三の選択肢として、洋上の浮体式発射台のいずれかになる。

2020年内に軌道に乗せるつもりならば、SpaceXは試作機の建造、テスト、飛行のサイクルを早める必要がある。そのため同社は、生産をスピードアップするための増員も行っている。2020年の初め、マスク氏は製造シフトを増やして24時間体制を敷くための人材募集の呼びかけを行った。2月初めには、同社のテキサス州の施設にて就職希望者の面接会を開いている。

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(翻訳:金井哲夫)