「Spotifyはアップル税の負担を誇張している」とアップルが反論

今年3月Spotify(スポティファイ)は、いわゆる「アップル税」およびApp Storeの制約の強い規定について欧州委員会(EC)に訴えた。その後アップルは、同社に対する反トラスト、反競争の主張に反論するウェブページを立ち上げ、 さらに最近CNBCで、アプリ承認プロセスの仕組みを詳しく説明するなどの対抗措置をとってきた。そしてこのたび、Apple(アップル)はECに自社の見解を示し、Spotifyが「アップル税」を支払っているのは有料定期購読者の1%以下に対してだけだ、と訴えた。

このニュースを最初報じたのは、Music Business Worldwide(MBW)およびドイツのサイト、Der Spiegelだった。

具体的には、アップルの提出資料によるとSpotifyが15%の「アプリ税」(収益分配)を払っているのは、同サイトの1億人の有料購読者のわずか0.5%だ。この収益分配の対象になったのは、2014~2016年の期間にSpotifyに入会し、アプリ内購入で定期購読した顧客だけだ。それ以降Spotifyはアプリ内での購読申し込みを中止した。

これはSpotifyのCEOであるDaniel Ek氏が3月に同社ブログに書いた、「アップルはSpotifyや他のデジタルサービスに対して、アップルの決済システム経由で行われた購入金額から「30%」の税を徴収している」という主張とは対照的だ。

またMBWは匿名筋の情報として、Spotifyはアプリ内購入で登録した顧客について、ディスカウントのために通常の15%よりも少なく払っていると報じている。Spotifyは「何も払いたくない」だけだと匿名筋はMBWに言った。

ただし、Spotifyの主張はアップル税に留まらない。

アップルはApp Storeの力を利用して、他の方法でもライバルを不利にしているともSpotifyは言っている。顧客と連絡をとることや、iOSユーザーにメールすることさえ制限している。SpotifyによるとアップルはiOSアプリのアップグレードまで妨害したと言う。3年前のことだ。一方アップルは、Spotifyをほかのデベロッパーと同じように扱っていると言い続けている。

2番目のポイントに関するアップルの反応は、最近のCNBC記事にも書かれている。「Bill」という名前で登場する「長年のアップル社員」は、「アプリのアップデートが拒否されたときSpotifyに電話をした」ときの話を明かした。電話をした理由は、Spotifyがユーザーにメールを送り、App Store以外の場所で直接Spotifyに支払うよう勧めていたためだった。

SpotifyによるEUへの申立て以外に、アップルは米国内でもApp Storeに関する訴訟を抱えている。

5月に米国最高裁判所は、アップルに対するApp Store反トラスト訴訟の継続を許可した。

そして6月には、App Storeの運用に関してアプリデベロッパー2社が、アップルの30%の手数料および価格の下2桁を99セントにしなければならないことを訴えた。

かつてアップルは、Spotifyの申し立てに対して自社ウェブ内で延々と反論した。主張の一部を以下に引用する。

長年App Storeを利用して爆発的にビジネスを拡大してきたSpotifyは、App Storeに一切貢献することなく、エコシステムの恩恵(App Storeの顧客からえられる膨大な売上を含む)をすべて維持しようとしている。さらに彼らは、人々の愛する楽曲を提供する一方で、アーティスト、ミュージシャンや作曲家たには僅かな報酬しか与えず、それらのクリエイターから訴訟される事態にもなっている。

【略】

アップルのやり方は常にパイを広げることにある。新しいマーケットプレイスを作ることで、われわれのビジネスのチャンスを広げるだけでなく、アーティストやクリエイター、あるいは大きなアイデアを持った「クレイジーな人」たちにもチャンスを作っている。それが我々のDNAであり、次の素晴らしいアプリのアイデアを育て、最終的に顧客を喜ばせる正しいモデルである。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Cloudflareが一時ダウン、多数のサイトに影響を与える

【アップデート】東海岸時間8時42分、Cloudflareにより問題が解決されたことが発表された。同社によれば、ルートリークの原因となっていたネットワークが修正され、状況は改善しつつあるとのこと。また引き続き、問題が完全に解決されるまでモニタリングを継続するとしている。

ウェブサイトへとパフォーマンスとセキュリティを提供するCloudflare(クラウドフレア)が、米国時間6月24日の朝にネットワーク問題を起こした。その結果、数多くの顧客のサイトやアプリがダウンした。その中にはPodcastアプリのOvercast、チャットサービスのDiscord、ホスティングプロバイダーのWP Engine、EコマースホスティングプロバイダーのSonassi、公衆ウェブフロントエンドCDN(Content Delivery Network)サービスのCDNJSが含まれ、さらにCloudflareにCDNを依存するホスティングやパートナーのサイトも影響を受けた。

Cloudflareによれば、CloudflareのIPに影響を与えている可能性があるルートリークを特定し、問題を解決すべく取り組んでいるという。

Cloudflareによると、同社は7時02分に最初に問題を検知し、すぐに特定したという。8時34分には、「今回のリークはCloudflareを含む多くのインターネットサービスに影響を与えている。我々はルートリークを生成したネットワークプロバイダーとともに、問題解決にあたっている」との声明を出している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

マイクロソフトがMac用Microsoft To-Doをリリース

Microsoft(マイクロソフト)は2017年に、いずれは買収済のWunderlist(ワンダーリスト)を閉鎖し、独自のTo-Doアプリの開発にまい進すると発表した。それ以来、To-Doという名前のアプリを、Windows、iOS、Android、そしてウェブ上でリリースして機能を拡充させてきた。そして米国時間6月17日、ついにMac版もリリースした。

マイクロソフトは同日、To-DoアプリがMac App Storeで公開されたことを発表した。タスクの作成と管理、オフライン作業、リストの共有、タグの利用など、主な機能は最初からサポートしている。さらに、Microsoft Outlookと連携して、フラグが立てられた電子メールリストを取得できる。近いうちにはMicrosoft Plannerとも連携して、自分に割り当てられた項目を確認できるようになる。

Mac版では、特にキーボードショートカットが強化されている。例えば、「command」+「2」ではアプリのウィンドウをリストビュー用に最小化する。そこから「command」+「2」を押せば、リスト全体が見えるサイズにウィンドウを復元する。また、リストビュー上のタスクのテキストをクリックすれば、その場で編集することもできる。

マイクロソフトが、このネイティブなMacアプリを100%AppKit(アップル純正のアプリ開発フレームワーク)によって開発したと述べていることは注目に値する。

今月のアップルのWorldwide Developer Conferenceで同社は、Project Catalystと呼ばれる新しいツールセットを発表した。デベロッパーが既存のコードベースを活用してiPadアプリをmacOSに移植できるようにするものだ。これにより、アップルのMac App Store上のMacアプリが徐々に充実していくことが期待できる。複数のアプリを、同時にさまざまなプラットフォーム上でメンテナンスする作業が簡略化されるからだ。例えばTwitterは、米国時間6月14日に、Project Catalystを利用してMac版のアプリを復活させると発表した。

しかし、マイクロソフトは別の道を進んだことになる。同社は、この新しいアプリを、古いバージョンのmacOS(High Sierra以降)でも動作するものにしたいと考えたようだ。Project Catalystは、そうした古いmacOSはサポートしていない。

現状での大きな疑問は、このニュースがWunderlistにとって何を意味するのかということ。なんと言ってもWunderlistは、MacApp Storeで満点の5に近い4.9の評価を受け、仕事効率化カテゴリで21番目に人気のある無料アプリなのだ。

リリースの当日時点で、Microsoft To-Doのダウンロード数は急増し、Wunderlistよりも上に来ている。この記事の執筆時点(米国時間6月17日)では、同じ仕事効率化のカテゴリで11番に位置している。

マイクロソフトは以前、「Wunderlistの最も優れた部分をTo-Doで実現できた」という確信が得られるまで、Wunderlistを廃止することはないと約束していた。同社が当初課題として挙げていたのは、To-Doにリスト共有機能を追加することや、すべてのプラットフォームをサポートすることなどだった。これらは、今回のMac版のリリースで両方とも解決している。

今回のリリースに絡んで、Wunderlistの今後の計画について、何かコメントがあるかどうか、マイクロソフトに質問してみた。

「私たちは現在、Microsoft To-Doという新しいアプリに集中していて、Wunderlistの新機能には取り組んでいません」と、広報担当者は回答した。「Wunderlistのもっとも優れた部分をMicrosoft To-Doで実現したと確信できたら、Wunderlistを引退させる予定です」と付け加えた。

この文面は、基本的にマイクロソフトが数年前に発表したのと同じだ。従って今の状況を十分に説明するものにはなっていない。

新しいMac版のTo-Doは、すでにMac App Storeから無料でダウンロードできる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

YouTubeは悪質コメント対策としてコメントをデフォルトで隠す方式をテスト中

YouTubeのコメント欄は評判が悪い。「インターネット上で最悪」「YouTube全体の有毒な文化の反映」「クリエイターはむちゃくちゃなことをしないと報酬がない」などとも言われた。大騒ぎになったものの中には、児童虐待自殺者の実写ビデオ危険な「奇跡の治療」の宣伝共謀罪の仲間集めなどがある。そこでYouTubeは、デフォルトでコメントを隠すデザイン変更を検討している。

XDA DevelopersがインドのAndroidデバイスでそのテストを最初に目撃した。従来、YouTubeのiOSとAndroidのモバイルアプリではコメントが目立つ場所にない。ビデオは画面上部に出るが、その下には追加、共有、その他、評価などのエンゲージボタンがあるだけだ。さらにその下はYouTubeのアルゴリズムからの推奨ビデオ「次の動画」がある。本当にコメントを見たければ、ページの底までスクロールしなければならない。

テストでは、そのコメント欄すらまったくなかった。その代わり、ボタンをクリックして別の場所へ行かないとコメントは見られない。

その「コメント」(Comments)ボタンは、ビデオの直下の、低く評価と共有の両ボタンの間にある。これでコメントが今後増えるのか、減るのか、横ばいか、それもYouTubeは知りたいのだろう。

ユーザーは、スクロールしてもコメントは見られず、ボタンをタップする必要がある。とはいえ、これまでのように延々とスクロールしないとコメントを見られないのとは、どちらが使いやすいのか?ボタンのほうが楽かもしれない。

XDA Developersの記事によると、そうやって表示した新しいコメント欄は、ページをリフレッシュすれば新しく加わったコメントも見られる。ウィンドウ上部の「X」ボタンをタップすればコメント欄は閉じる。

インドのAndroidデバイスでテスト中とのことだが、現にiOSにもあるし、地域も特定されていない。つまりテストは広範囲に行われていて、インド向けにローカライズされたアプリの機能ではない。

このコメント欄の変更が登場した背景には、YouTubeのコメントがいじめや虐待、口論など、何の役にも立たないコンテンツの棲家になってるだけでなく、小児性愛者が悪用するツールになってることがある。彼らは徒党を組み、コメントでコミュニケーションして、ビデオやタイムスタンプを他と共有している。

YouTubeは最初、子どもが登場するビデオでコメントを無効にした。もっと最近では子どものいるコンテンツを別のアプリに移すことを検討している。子どもビデオをたくさん見られるプラットホームが全世界的に完全オープンになることのおそろしさを、まず検討してほしいところだ。

YouTubeのスポークスパーソンは「Comments」ボタンのテストの件を確認したが「小さな実験をたくさんやってる中の1つにすぎない」と軽視の態度を見せた。

そのスポークスパーソンはこう述べた。「人々にとって重要な意義のあるビデオの発見や視聴、共有、対話等がもっと容易にできるように常に実験を重ねております。ビデオを見るページにコメントをどのように表示すべきかについても、いくつかのオプションをテストしています。ご指摘の機能も、YouTubeが常に行っている小さな実験の1つです。実験のフィードバックに基づいて、機能の一般公開の是非を検討することになります」。

画像クレジット: TechCrunch

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Google PayのPayPal統合がオンライン販売業者に拡張

GoogleとPayPalは、これまでも戦略的パートナーだった。両社は2017年にPayPalがAndroid Payの決済方法になると発表した。Android PayはのちにGoogle Payになった。昨年、Google Payの決済方法にPayPalを加えたユーザーは、Google PayのPayPalオプションでGmailやYouTube、Google PlayなどのサービスやGoogle Storeでの買い物に支払えるようになった。そしてこれからは、ウェブサイトやモバイルアプリでGoogle Payを受け入れているオンラインの販売業者が、同様の統合を享受できることになった。

Googleの説明によると、何億もの顧客がすでに自分のGoogleアカウントに決済方法を保存している。2018年の統合により、その一部はPayPalだ。

統合の今回の拡大により、オンラインの販売業者はGoogle Payの統合の設定の中でPayPalを決済方法に指定できる。彼らのWebサイトでGoogle Payがすでに実装されていれば、とても簡単なことだ。許される決済方法のリストを、下図のように一部書き換えるだけだ。

そうすると今後は、Google Payを使って支払いをするオンラインの買い物客は、PayPalを選んで決済できる。

この統合によりGoogle PayからPayPalを使おうとする消費者がいちいちPayPalにサインインしなくてもよくなり、チェックアウトまでにやるべきことが相当減る。そして、便利になればコンバージョンも増える。PayPalのPurchase ProtectionReturn Shippingにもアクセスできる。

オンラインの販売業者がPayPalを利用しているとき、顧客がGoogle PayからPayPalを選べば、その販売業者のPayPal Business Accountには数分後にお金が入る。

PayPalがかつてのコンペティターだったAppleやGoogleを受け入れるようになったのは、数年前からだ。それは今でも続いており、ますます多くのテクノロジープラットホームがそのサービスを統合している。

PayPalがライバルのVisaMastercardAppleGoogleSamsungWalmartなどとの提携を始めたのは、小売店のPOS(Point-of-Sale)と、人気のあるモバイルウォレット(Apple、Google、Samsungなど)の両方で利用者を増やしたいからだ。今日ではこれらのモバイルウォレットの中でPayPalは、他の決済カード–クレジットカードやデビットカードなど–と共存している。

販売業者は支払い方法をなるべく多様化したいから、自分でデジタルウォレットプラットホームのサポートを加えるが、いわばPayPalはそれにただ乗りしてやってくるのだ。

Google PayのPayPalオプションは、顧客がPayPalのアカウントをGoogle Payにリンクできる24の国で利用できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Netflixの社内ハッカソンで映像に合わせてスマホを振動させるハックが登場

Netflixの社内ハッカソン「Netflix Hack Day」では、さまざまな原石が生まれる。脳でコントロールするインターフェイス、寝落ちするとNetflixを終了するFitbitのハック任天堂のNESで動くNetflixアプリNetflixアプリをFace IDARKitで動かす方法などだ。今年のNetflix Hack Dayで社員は音声テクノロジーや触覚フィードバックなどに挑んだ。触覚フィードバックは画面のアクションなどに連動してスマートフォンが振動するというものだ。

触覚フィードバックを利用したこのハックはProject Rumble Pakと名づけられた。これは、ボールのバウンド、カーレース、オブジェクトの衝突や破壊などのアクションを振動で感じさせるモバイルゲームからヒントを得たものだ。

こうしたモバイルゲームと同じように、Project Rumbleでは番組や映画中のフライト、バトル、大爆発といったシーンを体感できる(Rumble Pakをオンにしてマイケル・ベイ監督のアクション映画を体感してみたい!)。このハックに取り組んだチームのHans van de Bruggen氏とEd Barker氏は、テレビアニメ「ヴォルトロン」の大爆発シーンを使って、スマートフォンが振動するデモを披露した。

このハックは、イマージョン社の技術を使ってNetflixのコンテンツと触覚の効果を同期させている。

次に紹介する「Voice of Netflix」は、Netflixのお気に入りのキャラクターの声で文章をしゃべらせるものだ。Netflixのコンテンツから単語を見つけるようにニューラルネットをトレーニングし、見つけた単語を使って新しい文をオンデマンドで読み上げる。

3つ目はTerraVision。ビジネスに結びつきそうな実用的なハックだ。

映画製作者が撮影したいロケーションのイメージに近い写真をインターフェイスにドラッグすると、ロケーション写真のライブラリからそれに近い結果を返す。このハックは、場所を認識するようにトレーニングしたコンピュータビジョンのモデルを利用してイメージ検索機能を実現している。

最後に紹介するのはアカデミー賞のスピーチが長すぎるときに流れるような「退席の音楽」を奏でる、ゆるいハック。誰かが会議室の予約時間をオーバーしているときに使える。

残念ながら、Netflixのハックの多くはハッカソンの域を超えない。しかし社員たちはさまざまな方法で現実のプロジェクトに刺激を与え、創造性を発揮し続けるだろう。

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(翻訳:Kaori Koyama)

YouTubeがユニバーサルと提携、約1000本の歴史的ミュージックビデオをHD化へ

米国時間6月19日、YouTubeとユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG、Universal Music Group)は、両社の提携を通して、約1000本の歴史的ミュージックビデオをリマスターしたことを発表した。

その中に含まれるのは、ビリー・アイドル、ビースティ・ボーイズ、ボーイズ・II・メン、ジョージ・ストレイト、ジャネット・ジャクソン、レディ・アンテベラム、レディ・ガガ、ライオネル・リッチー、マルーン5、ミートローフ、ノー・ダウト/グウェン・ステファニー、スモーキー・ロビンソン、キラーズ、トム・ペティなどのラインナップだ。

YouTube上にある最も象徴的なミュージックビデオの多くは「もともとモノラルスピーカーのブラウン管テレビを対象とした時代遅れの標準」形式でしか利用できなかった、とYouTubeは発表の中で説明している。しかし今日では、人々はデスクトップ、モバイル、テレビなど、さまざまなプラットフォームでビデオを視聴するようになっている。そしてそれらの多くは高解像度(HD)を提供しているが、その状況に古いビデオは対応できていなかった。

今回の新しいパートナーシップでは、ビデオとオーディオ両方の品質が、最高水準にアップデートされ、その新しいビデオが既存のSDバージョンと置き換えられることになる。また、新しいコンテンツとして登場するのではなく、URLはそのままで視聴回数や評価数(いいね)の数も引き継がれる。

米国時間6月19日の時点で、両社はすでに100を超えるミュージックビデオを更新している。その一部は以下のようなものだ。

計画では来年中にほぼ1000本近くをアップグレードすることになっていて、2020年末までには1000本のタイトルすべてが利用可能になる予定である。YouTubeによれば、このプログラムが継続すれば、毎週新しいビデオが追加されることになるということだ。

これらのビデオは、YouTubeとYouTube Musicでのみ利用可能となる予定だ。後者に関してはGoogle Play Musicとの計画的合併に先立って行われた

あるYouTubeミュージックビデオはアップグレードされたものかどうかは、ビデオの説明に“#Remastered”(リマスター済)というタグが出るので、判別できるようになる。

「ユニバーサル・ミュージック・グループと提携して、世界中のファンが最も歴史的で象徴的なビデオを視聴する方法を変えられることは、本当に光栄です。得られた品質は、真に素晴らしいものです」と声明の中で語るのは、YouTubeのレーベルリレーションの、グローバル責任者であるスティーブン・ブライアン(Stephen Bryan)氏である。「本日ご紹介したミュージックビデオたち、つまり本物の芸術作品たちが、それぞれのアーティストの作品としてふさわしい、そして今日の音楽ファンが期待する、高品質の基準を確実に満たすことが、私たちの目標です」。

「私たちはこれらの象徴的なミュージックビデオを、YouTubeとの提携を通して、最高の音質と画質でご提供できることに、とても興奮しています」と語るのは、UMGのデジタルストラテジー担当エグゼクティブバイスプレジデントのマイケル・ナッシュ(Michael Nash)氏だ。「私たちのレコーディングアーティストとビデオディレクターは、これらのビデオに多大な創造性を吹き込みました。彼らのビジョンと音楽の完全なエクスペリエンスを引き出すことができたことは素晴らしいことです。これらのビデオは、どの画面でも素晴らしく視聴できるだけでなく、今後何十年もの間、音楽ファンたちに楽しまれることでしょう」。

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(翻訳:sako)

Googleが教育者やその他の教室用ツールのためのChromebook App Hubを開始

今年の始めにGoogleは、教師や他のカリキュラム管理者が、教室で使用するための教育ツールやアプリを見つけやすくするためにデザインされたChromebook App Hub(クロームブック・アプリ・ハブ)を構築する計画を発表した。米国時間6月19日、ISTE 2019におけるGoogeの教育発表の一環として同社は正式にApp Hubを立ち上げた。当初のコンテンツは、Epic!、Adobe、Khan Academyなどから提供されている。また同時に、Google Forms、Classroom、Course Kitなどの中の、Quizzesの新機能も公開された。

Googleが以前にも述べていたように、現在教師たちは、レッスンプランを練るために、新しいアイデアやアクティビティを求めてウェブ上を探し回っている。一方、カリキュラムのスペシャリストたちは、教師たちからの特別な要望にうまく応えてくれるものの、要求されたプログラムがその地区の方針を満たしていることを確認することを義務付けられている。

Chromebook App Hubは、教育者たちがアイデアやリソースを発見するための場所を提供し、同時にそれらが教室でどのように実施されるかや、地区の方針を満たしているかどうかを調べられるようにすることで、上記の双方のシナリオにアプローチしようとしている。

GoogleはEdTechTeamと協力して、アプリケーションに関するアイデアを集めたという。

また、非営利団体のSDPC(Student Data Privacy Consortium:学生データプライバシーコンソーシアム)と連携して、アプリ開発者たちが自社製品のデータプライバシーの側面をよりよく考慮できるようにした。こうすることで、各地区は独自のプライバシー要件を満たす適切な解決策を見つけることができる。

「SDPCはChromebook App Hubとの誇らしい協力を通して、学習者の情報を守るべき学校、州、そしてベンダーたちの、重要な側面に関する透明性とオープン性を提供します」と声明の中で語るのは、A4L/SDPCのCEOであるラリー・フルース(Larry L. Fruth II)博士だ。

さらにGoogleは、Family Online Safety Institute(FOSI)ならびにConnectSafelyと、「健康的なデジタル市民権習慣」の育成に焦点を当てたガイドラインの作成で協力している。

立ち上げ時には、Epic!がその子供向け書籍、ビデオ、そしてゲームのライブラリで協力する。Adobeが提供するのはビジュアルストーリーテリングアプリのAdobe Sparkだ。そしてKhan Academyは、数学、文法、科学、歴史、そして標準テストなどのような科目にまたがった、授業の無料ライブラリーを提供する。

もちろん、Cromebookの教室内での価値を高めることが、究極の目的であるため、App Hubのアプリやアクティビティは、Chromebookコンピューター上で実行されるようにデザインされている。

学校や各教室は、デバイスにとっての新しい戦場であり、Google、Microsoft、そしてAppleは、すべてK-12市場でのさまざまな動きに投資している。

例えば、昨年Appleは、Googleに追いつくためにデザインされた新しいiPadを発表し、より多くの学区での採用を狙った。今月初めに行われた開発者会議では、Appleは教育フレームワークClassKitと、教師のための無料アプリSchoolworkの新機能も披露している。

とはいえ、GoogleのChromebookは、そのシンプルさ、価格、およびIT部門向けツールによって、現在の米国のK-12市場で支配的な立場を占めている。 2017年の時点での市場の占有率は、Microsoft Windowsが22%、Appleが19%であるのに対し、Chromebookは58%を占めている。

App Hubの立ち上げに加えてGoogleは、生徒たちが自分の提出課題がどのように評価されるのかを知ることができるように、教師がルーブリックを作成して課題に添付することができるようにする(教師向けの)ベータプログラムを開始した。ルーブリックは、ClassroomとCourse Kit両方で作成することができる。

また、生徒たちが回答を送信するまで移動することができないようにするために、マネージドChromebook上のGoogle Forms内のQuizzesを、教師がロックできるようにするツールも提供された。また、Googleは教師が以前に使われたFormsの中から、新しいFormsの中に質問を取り込んでくる機能を、ほどなく公開するとも語っている。

Googleはまた、アップデートされたGradebookも提供する。これは生徒の進捗状況をより総合的に提供し、さらに教師が成績をClassroomからSchool Information System(SIS)に同期させるプログラムの、早期アクセス版も提供している。早期アクセスベータプログラムは、今年の夏に学校で利用できるようになる予定である。最初のパートナーはInfinite CampusとCapita SIMSだが、更に多くのパートナーの参加が予定されている。

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(翻訳:sako)

YouTubeがメイクアップAR実装、ユーザーはレビューを見ながら仮想メイクできる

メイクアップのチュートリアルとレビューは、新製品を教えてくれることはもちろん、どのように使えば良いかを教えてくれるので、YouTubeで最も人気のあるカテゴリーとなっている。

そのYouTubeが、今度はYouTubeアプリ自身の中に仮想メイクアップを行う拡張現実(AR)機能を導入し、その体験をさらに刺激的なものにしようとしている。この機能は「AR Beauty Try-On」(拡張現実美容トライ)という名前で、YouTubeの視聴者がメイクアップチュートリアルを視聴する際に、分割した画面上で体験できるようにデザインされている。

利用可能な場合には、画面の上部でYouTubeのメイクアップレビューやチュートリアルビデオが再生され、自分のフロントカメラからの映像が下半分に表示される。ここで、YouTubeの視聴者は、上半分でビデオを再生しながら、たとえば新しい口紅などの色のパレットをタップして、自分の顔に適用することができる。

現在は開発のごく初期段階(αテスト段階)であり、GoogleのインハウスブランドコンテンツプログラムであるFameBitを通じて、YouTubeのクリエイターたちに提供されている。このプログラムを通じて、ブランドは、自社製品をマーケティングしてくれるYouTubeインフルエンサーと有料スポンサーシップを通じてつながる。

YouTubeによれば、これまでAR Beauty Try-Onをいくつかの美容ブランドでテストしたところ、YouTube iOSアプリで利用可能な場合、視聴者の30%がこの機能を利用したということである。これは決して大多数ではないが、この機能を試した人たちは、仮想口紅を80秒以上試し続けるなど、十分に引きつけられていた。

M·A·C CosmeticsはAR Beauty Try-Onキャンペーンを開始した最初のブランドだ、その中では、試用の結果をリアルタイムで見せることも行われている。

AR Beauty Try-Onは、最近始まったGoogle検索内でのAR利用や、開発者向けプラットフォームであるARCoreへのアップデートなどの、Googleが提供するARへの複数の取り組みのうちの最新のものだ。

とはいえ、仮想メイクアップ試用体験を提供するのは、Googleが最初の企業というわけではない。さまざまなソーシャルネットワーキングアプリの楽しいメイクアップフィルター以外にも、YouTubeのAR Beauty Try-Onに似た体験を提供してくれる、YouCam MakeupSephoraVirtual ArtistUltaGLAMLabなどを含む多くのAR美容アプリが存在している。ロレアルはまた、自社のウェブサイトの上で、ライブ試用機能を提供しており、また仮想メイクアップ機能をサイトに追加するために、昨年Facebookと提携している。TargetのオンラインBeauty Studioは、多数のブランドや製品を使った仮想メイクアップも提供している。

YouTubeのAR Try-Onが提供する他との違いは、単に楽しい消費者向け製品やオンサイトのeコマースコンバージョンのためのツールというだけではなく、ARを活用した広告キャンペーンを実際に提供する点だ。

AR広告フォーマットの開始は、米国時間6月18日にGoogleが発表したいくつかの新しい広告プロダクトの1つである。

同社はまた、モバイルウェブ用のSwirl(スワール、単語としての意味は「渦」)と呼ばれる新しい没入型表示フォーマットを提供した。これによって消費者は360度の方向から製品を眺めることができる。Swirlは、商品の回転、ズームイン、ズームアウト、そしてアニメーション再生を可能にする。

このフォーマットは「ディスプレイ&ビデオ 360」を通してのみ利用可能だとGoogleは語っている。ブランドは、Googleの3DプラットフォームPoly上の新しいエディタを使用して、Swirlディスプレイ広告を作成することができる。すでに3Dアセットがある場合には、その代わりにGoogle Web Designerの中の 3D/Swirlコンポーネントを使用してSwirl広告を作成することができる。

香水メーカーのゲランは、消費者の注目を集めるために、動く広告にSwirlを利用している。

ディスプレイ&ビデオ 360のもう1つの新しいフォーマットは、広告表示中にYouTubeのライブストリームコンテンツを掲載することができる。これもまたGoogle Web Designerで構築することが可能だ。

新しいツールは今年の夏にブランドや広告主たちに提供される予定だとGoogleは述べている。

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(翻訳:sako)

アップルが睡眠モニター「Beddit」のベータプログラムを米国で開始

アップルBedditのベータプログラムを開始した。アップルはオンラインストア/直営店のApple StoreでBeddit製品をしばらく販売し、その後の2017年にBedditを買収した。ベータプログラムのウェブサイトによると、このプログラムに登録した参加者には、Bedditアプリの新しいバージョンが一般公開に先駆けて提供される。参加者はデータを共有しアンケートに回答することで、アップルにフィードバックを提供することもできる。

ベータプログラムの参加者は、アプリの利用状況、アプリの設定、睡眠の結果に関するデータに加え、診断データも提供する。こうしたデータは個人的な特性であるため、同意書に署名することが必要だ。

アップルは、ベータプログラムへの参加は完全に自発的なものであり、いつでも参加を取りやめることができるとしている。取りやめると、それ以降はデータを収集されない。もし取りやめた後で気が変わったら、ベータプログラムの実施中は再度参加することもできる。

ベータプログラムへの参加にはいくつか条件がある。米国在住であること、Beddit Sleep Monitorモデル3.5を所有していること(145.95ドル、日本のApple Storeでは1万5800円)、22〜75歳であることだ。ベータプログラムに関するメールをアップルから受信することに同意する必要もある。

アップルはiOS 10で時計アプリに「ベッドタイム」機能を追加して以来、睡眠トラッキングに取り組んできた。時計アプリの「ベッドタイム」とは、決まった時刻に就寝するためのリマインダーと、決まった時刻に起床するためのアラームを繰り返し設定する機能だ。よりよい睡眠のために、「おやすみモード」の時間を決める、アプリの使用を時間で制限する、iPhoneから発するブルーライトを減らすためにNight Shiftの時間を決めるといった設定をすることもできる。自然な睡眠パターンの妨げとなるおそれのあることを避けるためだ。

しかしコネクテッドデバイスメーカーのBedditを買収することで、アップルは睡眠トラッキングに大きく一歩前進した。

今後、アップルはベータ参加者から収集したデータをもとにBedditアプリを改良していくと思われる。このアプリのApp Storeでの評価は5点満点中2.0点(日本のApp Storeの本稿翻訳時点のスコア)で、レビューではデザインや動作に対する不満が見られるので、今後に注目だ。

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(翻訳:Kaori Koyama)

Apple WatchはwatchOS 6で内蔵アプリも削除できるようになる

Apple Watchを持ってるけど要らないアプリがたくさんあるのはいやだ、という方に朗報がある。新しいオペレーティングシステムwatchOS 6が今年後半にリリースされると、Apple Watchのオーナーは、デバイスに最初からあるファーストパーティ製のアプリをこれまでよりも多く削除できる。これまで削除できなかったアラーム、タイマー、ストップウォッチ、リモコン、カメラリモコン、ラジオなどに加えて、心電計や呼吸、ノイズ、生理の周期チェックなどの健康関連アプリも消せる。

Apple Watchのオーナーは現在、アプリストアからダウンロードしたサードパーティアプリは簡単に削除できる。アプリを押したままにすると表示される「X」をタップしてもよいし、あるいはApple Watchのアプリの設定へ行って「Show on Apple Watch」をオフにする。

また、多くの内蔵アプリをiPhoneから削除できるし、そうすると、それらに対応するApple Watchのアプリも削除される。

でもiOS側に何もないWatch専用アプリ、タイマーやラジオなどは削除できない。

それが、今秋ローンチされるwatchOS 6で変わるのだ。

今週Appleはこれらの、それまで削除できなかったアプリの一覧を、アプリストアのリストで発表した(下図)。

アプリのリリース日–画像提供: Sensor Tower

これらのアプリは、ユーザーが削除できるけど、気が変わったらアプリストアから再インストールできる。削除の仕方は、これまでのサードパーティアプリと同じく、アプリを押し続けると出る「X」をタップする。

内蔵のiOSアプリやWatchOSアプリでも、削除できないのがある。心拍やメッセージなどがそうだ。

Watchのデフォルトアプリの多くが削除可能になることは、オーナーにとって好評だろう。数年前にはiOSの内蔵アプリの一部も、iOS 10のリリースで削除可能になり、やはり好評だった。Stocks(株価アプリ)を削除できたときは、あなたも嬉しかったでしょ?

やはりApple Watchでも、最初からあるデフォルトアプリを全部使いたいユーザーはあまりいないのだ。

Apple WatchのBreathe(呼吸)アプリのセルフケアバイブなんて、全然関心のない人もいる。またもちろん、最近ローンチされたApple Watchの生理の周期チェックアプリは、女性にしか用がない。

この変更が発表される前には今月初めのWorldwide Developer Conference(WWDC)でアップルは、watchOS 6でApple Watchに専用のアプリストアを設けると初めて発表した。これで、WatchアプリのiOSからの独立性が強まる。iPhoneやiPadのアプリに同伴しなくてもよい。必要なければデベロッパーは、iOSバージョンを作らなくてもよい。

* 原注: 今提供されているwatchOS 6 betaにはこの機能はないが、Apple方面に詳しい情報筋によると、アプリは確かに「削除可能」になるようだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Apple TVがピクチャー・イン・ピクチャーを搭載、2番組を同時視聴可能に

Apple TVがピクチャー・イン・ピクチャーモードをサポートすることになり、2つの番組を同時に視聴できることになる。TechCrunchもそのことを確認したが、今朝最初に報じたのはアップル関連のニュースサイト9to5Macだ。本日は、tvOSも含むアップルのすべてのオペレーティングシステムの新しいベータバージョンがリリースされた日だ。

TwitterのユーザーNikolaj Hansen-Turton氏によると、tvOS beta 2をインストールすると。画面の右下の小さなウィンドウで別のコンテンツをプレイする新しいオプションが用意されていることがわかった。その小ウィンドウは、Apple TVのメインの画面にオーバレイされる。つまりそれは、ピクチャー・イン・ピクチャーモードだ。

やがて、いくつかのサイトがこのニュースを報じた。

でも、よくわからないのは、それが最小化されたビデオプレーヤーにすぎないのか、それとも本当のピクチャー・イン・ピクチャーか、という点だ。ツイートの写真やビデオを見ると、メイン画面は静的なバックグラウンドのようだ。2つの番組が同時に映ってる感じではない。でもこれまでの私たちの理解によれば、Apple TVは二つの番組をストリーミングする機能をサポートするはずなのだ。

ただし、いくつかの「ただし」がある。

まず、ピクチャー・イン・ピクチャーがサポートされるのは、アップルが提供するコンテンツのみだ。それに含まれるのは、iTunesで買ったコンテンツ、最近ローンチしたApple TV+のサブスクリプションサービスでストリーミングされるテレビ番組や映画、そしてApple TV Channelsでストリーミングされるビデオだ。

Apple TV Channelsは、5月のTVアプリのアップデートで導入され、HBO、Starz、Showtime、EPIX、Tastemade、Smithsonian Channelなどなどの有料アドオンにサブスクライブできる。AmazonのPrime Video Channelsの有料サブスクリプションや、もっと最近のRokuのChannelにも似ている。

たとえばアップルのTV ChannelsでHBOに加入していれば、tvOSのニューバージョンが今秋後半に公開されればHBOをピクチャー・イン・ピクチャーモードでウォッチできる。HBOにウェブサイトのHBONOW.comやサードパーティのHBO NOWアプリで加入しているなら、それはピクチャー・イン・ピクチャーで見ることができない。

アップルはTV Channelsの有料サブスクリプションを今後増やすつもりだから、そうなるとピクチャー・イン・ピクチャーで見られるコンテンツも増える。

サードパーティが自分のコンテンツやアプリをピクチャー・イン・ピクチャーにするためのデベロッパーツールを、アップルはまだ提供していない。そうなるまでの間は、Apple TV Channels経由で有料番組を見るしかない。ピクチャー・イン・ピクチャーがサードパーティのウェブサイトやアプリもサポートすれば、Apple TVの収益も増えて好都合ではないだろうか。

今月初めのアップルのWorldwide Developer Conferenceでは、新しいソフトウェアが紹介される場であるにもかかわらず、ピクチャー・イン・ピクチャーモードは発表されなかった。今日それが発表されるなんて、Apple TVのファンにとってはうれしいサプライズだろう。

ピクチャー・イン・ピクチャーモードはApple TV 4KとApple TV HDの両方でサポートされるはずだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Alexaの子供向け音声アプリで両親の承認付き購買が可能に

Amazonは、開発者に対して、子供向けのAlexaスキルの中でプレミアムコンテンツの購入が可能になるようにした。6月14日に同社は、アプリ内購入機能を開発するための新しいツールを発表した。このアプリ内購入は、Amazonアカウント所有者(典型的には母親か父親)が、SMSやメールで送られてくる購入要求を、承認したり拒否したりすることができるというものだ。

スキル内の購入機能が、全米のAlexa開発者に最初に開放されたのは昨年のことだったが、最近世界中の開発者たちも利用可能となった。しかし、他の子供向けアプリと同様に、キッズカテゴリの中にあるAlexaのスキルには購入承認ワークフローを提供することが求められていた。さもなければ、子どもたちによって、親の立場からは承認できない購入が行われてしまう危険性があるからだ。

それこそが、新しい開発者ツールが使われる場所となる。

現在開発者は、 Alexa Skills Kit Command-Line Interface(ASK CLI)、またはAlexa Developer Consoleを使って、子供用プレミアムスキルを開発することができる。 新しいツールを使うことで、スキルからの購入要求を、SMSもしくは電子メール経由でアカウント保有者に送信することができる。その後アカウント保有者が24時間以内に要求を承認しなければ、その購入要求は自動的に取り消される。

プレミアムコンテンツは、ワンタイム購入またはサブスクリプションのいずれかの形式で提供される可能性があるとAmazonは述べている。

一部の開発者たちは既にツールへの早期アクセスを用いて、自身の子供向けスキルにプレミアムコンテンツを追加済みだ。そうした開発者に含まれるのは、Amazonの開発者コンテストの優勝者や、Kids CourtYou Choose Superman AdventuresTravel QuestAnimal Sounds、そしてMaster Swordsなどのスキル開発者たちである。

自分の子供が何かを買うことを望んでいない親たちには、これらすべてからオプトアウトするための2つの選択肢がある。

1つは、Alexaアプリの設定→Alexaアカウント→Voice Purchasing(音声購入)→Kid Skills Purchasing(子供スキル購入)から機能を無効化する方法だ。一方、Echo Dot Kids Editionに付属しているFreeTime on Alexaの顧客の場合は、プレミアムコンテンツの購入機能は提供されない。そして、FreeTime Unlimitedにアップグレードした場合には、サブスクリプションに含まれる多くのプレミアムコンテンツを手に入れることができるようになる。

この子供向けスキルのプレミアム購入オプションの追加は、Amazonにとって難しい時期に行われようとしている。

Amazonは、 Alexaの子供のプライバシー侵害に関する新たな訴訟が起こされたことを受けて、今週新しいデザインと内部機能と共にEcho Dot for kidsをアップデートした。訴状によれば、Amazonは同意なしに子供の声を録音したのだという。

最新のEcho Dot for kidsエクスペリエンスの一環として、Amazonは、Family Online Safety Institute(FOSI、オンライン家庭安全研究所)およびさまざまな業界団体と協力し、米国の子供のプライバシー保護法であるCOPPA(Children’s Online Privacy Protection Act、子供のオンラインプライバシー保護法)を遵守するために、FreeTime on Alexaを再構築した。

Amazonは現在、Alexaのスキルによる子供の個人情報へのアクセスや収集を制限しており、両親が子供の音声録音を削除する方法を提供している、と述べている。

しかし、Kids Edition Echoスマートスピーカーとそれに関連する機能セットへの変更は、原告の申し立てに対して完全な解を与えるものではない。

今週行われたAmazonの発表によれば、親たちはAlexaアプリもしくはAlexa Privacy Hubを介して録音をレビューしたり削除することが可能になった。そしてカスタマーサービスに対して自分の子供のプロフィールを削除するように要求できるようになっている。しかし、訴訟では、Amazonが録音を管理する方法(両親に行動を取るよう促す方法)は理想的ではないと述べられている。原告らは、例えばAppleのSiriは記録を短期間だけ保存するだけで、自動的にそれらを削除することを指摘している。

さらにCNETは、たとえ利用者が自身で録音を削除したとしても、Amazonが文字起こしされたテキストを保持し続ける可能性があることを発見した

プライバシー規制が、技術のペースに追いつくには時間がかかる。子供がいる家庭でスマートスピーカーをどのように運用するべきかに関する現在の課題は、そうした問題の1つの例なのだ。親たちはこれらのデバイスを購入してインストールする一方で、Alexaの知性がアルゴリズムとAIだけで支えられているのではなく、人間によっても支えられているということはあまり意識していない。すなわちそこでは人間が録音を聞き、エラーをチェックし、そのデータを使ってAlexaの動作を改善しているのだ。

もちろん、この種のことをあまり気にせず、その侵害の可能性に関係なく、単にデバイスを使用することを楽しむ人びともいる。そうした人びとは、特に家族がそのスキルを一緒に楽しんでいたり、価値を付け加えていると感じられる場合には、使っているスキルをアップグレードできることや、お気に入りの開発者を支援できることを高く評価するかもしれない。

Amazonは現在、子供向けスキルを通じて販売する機能を、すべての開発者に提供しているわけではない。購入機能付きの子供向けスキルを開発することに興味のある開発者は、アマゾンに対して自分たちの計画を伝えるためのフォームを記入して提出することができる。そのアプリケーションが選ばれた場合には、Amazonが連絡してくることになる。

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(翻訳:sako)

ウォルマートの食料日用品配達が年間98ドルで無制限利用できるように

Walmart(ウォルマート)は、Delivery Unlimitedというシンプルな名称の新たなグローサリー配達購読サービスで、Instacart、TargetのShipt、そしてAmazon Prime Now/Whole Foodsに攻勢をかける。これまでウォルマートのオンラインでの買い物客はグローサリーをネットで注文してローカル店舗でピックアップする無料サービスを利用するか、9.95ドル(時にはこれより少ない)を払って配達してもらうかだった。Delivery Unlimitedは利用ごとに配達料金を払うのをスキップする、第3のオプションだ。

今回ウォルマートが導入するのは、1カ月12.95ドルのプランか、年間98ドルのプランで、いずれも15日間のトライアルが含まれる。

サービス内容はほぼ同じだ。オンラインまたは「Walmart Grocery」アプリで買い物でき、買いたいものをカートに入れ、配達の時間を選ぶ。配達の回数に制限はない。もしウォルマートのオンラインで月に1回以上注文するなら節約できることになるかもしれない。

年間98ドルというのは競争力のある設定だ。Shiptの現在の料金は年間99ドルで、Targetはちょうど今週、Target.comへのShipt統合で、Shiptの買い物客が1回あたり9.99ドルでも利用できるようになることを発表した。一方のInstacartは11月に年間料金を99ドルに下げている。Prime Nowの料金が最も高く、年間119ドルだ。しかしもちろんPrime Nowのこの料金にはグローサーリー配達以外のものが含まれている。Primeは、Amazon.comでの購入商品の即配やストリーミングサービスへのアクセス、無料のeブックなど総合的なお得プログラムだ。

Delivery Unlimitedが現在のところどれくらいの規模で利用できるのかは不明だ。ウォルマートのウェブサイトにあるFAQでは漠然と「あなたのエリアでもDelivery Unlimitedが利用できるチャンスは大いにあります」と書かれている。

オーケー!

このサービスはまた、初期テストマーケットの1つであったと思われるユタのとあるウォルマート店舗のアカウントで3月にあったInstagramへの投稿でもほのめかされている。

我々は詳細をウォルマートに問い合わせているが、Delivery Unlimitedサービスについての質問に対する返事はまだ届いていない。

オフィシャルの「Walmart Grocery FAQ」では購読オプションについて触れておらず、正式な発表も今のところまだない。

他のグローサリー配達事業と異なり、ウォルマートは専用の配達ネットワークや独立した請負業者を有していない。その代わり、 Point Picku、Skipcart、AxleHire、Roadie、Postmates、そしてDoorDashを含む全米の配達プロバイダーと提携している。一時期、DelivUber、そしてLyftと提携していたこともあった。

ウォルマートのオンライングローサリーへのかなりの投資は増収に貢献している。家庭用品やファッションカテゴリーにおける成長とともに、グローサリーもeコマースの成長を引っ張っている。第1四半期ではeコマースの売上高は37%のアップで、1株あたりの利益は予想の1.02ドルを上回る1.13ドルだった。そして、売上高は1239億3000万ドルにのぼった。

ウォルマートは現在、2450店舗でグローサリーピックアップを、約1000店舗で配達サービスを提供している。2019年末までに3100店舗でのピックアップサービス、1600店舗での配達サービスの展開に向けた取り組みは順調とのことだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Spotifyが音楽とポッドキャストをミックスしたプレイリストの提供を開始

ここのところ、Spotifyは音楽とポッドキャストの両方を含む「Your Daily Drive(毎日のドライブ)」という新しいプレイリストを一部でテストしていた

米国時間6月12日、同社はこのプレイリストを米国で正式にスタートさせた。同社によれば、米国全体で年間700億時間が車での通勤に費やされているという。

このプレイリストには、自分が「いいね!」した曲、同社のフラッグシップのプレイリスト「Discover Weekly」と同様のおすすめの曲に加え、The Wall Street Journal、NPR、PRI(Public Radio International)の最新のポッドキャストニュースも含まれる。特にNPR News Now、WSJ Minute Briefing、The Dailyを聞けるのが特徴だ。このミックスには時代を越えた定番の曲もちりばめられるという。

Spotifyが音楽とポッドキャストを組み合わせたプレイリストを提供するのは初めてだ。これは同社がポッドキャストのリスナ一を増やそうとする取り組みのひとつである。

ここ数カ月、Spotifyはポッドキャスト市場に投資してきた。GimletParcastAnchorなどを買収し、1週間ほど前に発表されたようにバラク・オバマ氏とミシェル・オバマ氏のプロダクションであるHigher Groundとも提携する。さらに『VOGUE』や『GQ』を出版しているCondé Nastの元エンターテインメント担当プレジデント、Dawn Ostroff氏をコンテンツ担当のトップとして迎えた

Spotifyは自社のパーソナライズの技術をポッドキャストに導入するという計画をかねがね語っていたが、「Your Daily Drive」はまだその例とは言えない。Spotifyはパーソナライズされた音楽と「信頼できるソースからの最新情報」をミックスすることに取り組んでいる。ニュースのコンテンツは、ユーザーが新しいプログラムと出あうためのツールというよりは、Alexaがニュースのヘッドラインや短いコンテンツを提供する「フラッシュブリーフィング」のようなものだ。

とはいえ、繰り返し聞くうちにポッドキャストの順番はパーソナライズされる。例えばWSJ Minute Briefingをいつも聞いていれば、これが最初に再生されるようになる。

さらにAlexaのフラッシュブリーフィングなどの最新ニュース配信サービスと同じように「Your Daily Drive」は常に新しいコンテンツに更新される。帰宅時には、朝の出勤時とは違う曲とニュースが再生されるということだ。

このプレイリストは安全な運転にも役立つかもしれない。音楽やニュースを聞こうとしてラジオ局やプレイリスト、ポッドキャストをしょっちゅう切り替える必要がなくなる。Spotifyは車内で利用してもらうことにも投資している。最近では、車のシガーソケットか充電ポートに接続し、音声でコントロールできるデバイスのテストを開始したと報じられた。

ポッドキャスト市場の競争が激化したこのタイミングで「Your Daily Drive」は登場した。特にPandoraはSiriusXMを買収してオーディオプログラムに力を入れている。最近、同社はゲノム分類技術をポッドキャストに応用し、音楽とポッドキャストの製品であるPandora Storiesを発展させ、約20種類のSiriusXMトークショーをPandoraのポッドキャストにした

今月開催されたアップルのWWDCでは、MacのiTunesが複数のアプリに分かれることが発表された。そのひとつがポッドキャストの専用アプリだ。同社は、機械学習を利用してポッドキャスト中の話し言葉をインデックス化する新しいポッドキャスト検索機能も紹介した。

米国のSpotifyユーザーは「Made for You」セクションから「Your Daily Drive」を利用できる。車内向けの機能である新しい「ドライビングハブ」も展開中であることをSpotifyは明らかにしている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

iOS版iMovieが大幅アップデート、サウンドトラックを80本追加、画像オーバーレイも利用可能に

iOS 13上の登場に合わせて改訂される純正アプリの公式リリースに先駆けて、Apple(アップル)は人気の高いビデオ編集アプリ、iOS版iMovieの新バージョンをリリースした。今回のアップデートで、iMovieには数多くの新機能が追加された。中でも目立つのは、グリーンスクリーン効果をサポートしたこと。これにより、ビデオクリップから背景を簡単に削除することができる。また、さまざまなジャンルにわたる80もの新たなサウンドトラックも追加されている。

特にグリーンスクリーンをサポートしたことは、より高度な機能セットを提供することで優位に立とうとするサードパーティ製のビデオ編集アプリに対しても、iMovieの競争力を高めるものとなる。またその一方で、それほど機能にこだわらないユーザーにとっては、シンプルな使い方ができるという特長を保っている。

Appleによれば、新しいバージョン(2.2.7)では、ブルーまたはグリーンのスクリーンの前で撮影されたクリップから背景を削除できるようになり、さらに4ポイントマスクと「強さ」スライダーを使って効果のかかり具合を調整できるという。

80の新しいサウンドトラックには、ポップ、チル、センチメンタルといったジャンルが含まれている。サウンドトラックは、ムービーの長さに合わせて自動的に調整される。

新しいエフェクトに関しては、写真をオーバーレイとして追加して、ピクチャインピクチャ効果や、画面分割の効果を付けることが可能となった。その際、境界線を表示しないように設定することもできる。こうした機能は、iMovieに対する要望としてよく挙げられていたもの。実際、それがないことが、ユーザーが他のビデオ編集アプリを選んでしまう理由の1つに数えられていた。

その他の新機能は、iMovieをより使いやすくするためのもの。たとえば、他のアプリケーションからiMovieに切り替えたとき、作業中のプロジェクトの編集画面に戻るようになった。また、「…」のアイコンで示されるメニューからiMovie Theaterにはアクセスできなくなった。iMovieでは、ユーザーにムービーを直接iCloudに保存させる方向にシフトしているからだ。

また、iMovieをなんらかの教室で利用する場合に有効なアップデートとして、ClassKitのサポートが追加された。これにより、生徒は宿題として作成したビデオをApple純正の「スクールワーク」アプリを利用して先生に提出できる。

iMovieはApple製の各種プラットフォームで動作するように設計されているので、ユーザーはiPhone上でプロジェクトの編集を開始し、その後iPadやMacなど、他のデバイスに転送して編集を完了するといったこともできる。たとえば、グリーンスクリーン効果や色補正などは、大きな画面の方が作業しやすい。

新しいiMovieは、iPhone版、iPad版のいずれも、すでにApp Storeからダウンロード可能となっている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

米国のアマゾンレストラン事業はまもなく終了

アマゾンは11月にロンドンでフードデリバリー事業を閉鎖したのに続き、米国でも運営を終了する。これはプライム会員向けに2015年秋に始まったサービスで、商品や食料品ではなく食事を提供していた。

食事を提供するサービスには競合が多い。米国にはGrubhub、Uber Eats、DoorDash、ロンドンにはDeliveroo(これにはアマゾンが投資した)など、たくさんある。こうした企業はシェアを獲得するために割引をすることもある。一方、アマゾンはフードデリバリーの世界で、シェアにおいても消費者の認知度においても、地位を確立することができなかった。ランチやディナーの料理を注文しようとする人にとって、アマゾンはまっさきに思い浮かぶ名前ではない。また、温かい料理をタイミングよく配達する体制は、アマゾンのメインの事業とは異なる課題があった。

GeekWireが報じたところによると、アマゾンはこの閉鎖と関連して、職場向けランチデリバリーサービスのDaily Dishも終了するという。

アマゾンはフードデリバリーをやめて、成長を続けている食料品配達ビジネスにさらに力を入れるものと考えられる。

TechCrunchはアマゾンの事業終了に詳しい関係筋から情報を得た。アマゾンは米国のAmazon Restaurantsを閉鎖し、6月24日に営業を終了すると認めた。解雇についても示唆し、アマゾン社内で別の仕事に就く社員もいれば、社外での再就職のサポートを受けている社員もいるとした。

アマゾンの広報は次のように述べた。「6月24日をもって米国のAmazon Restaurants事業を終了する。この決定により、アマゾンの一部の社員が影響を受ける。影響を受ける社員の多くはすでに社内の別の仕事が決まっている。今後、社内外のどちらで働く社員にも個別に対応していく」。

アマゾンがフードデリバリーをやめるという決定は、米国時間6月11日のライバル企業の株価にプラスの影響を与えた。Grubhubの株価は5%以上も上がったと報じられている。

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(翻訳:Kaori Koyama)

アップル製品の将来を占う新しいアプリ開発環境

開発ツールに関しては、デベロッパー向けのメディア以外で大きく扱われることはあまりない。しかし、Apple(アップル)がWWDCで発表した開発ツール類は、今後のアップル製品向けのアプリの数と質の両方に、多大な影響を与える可能性が高い。それはiPhoneだけに限らない。macOS、watchOS、tvOS、そして新たに加わったiPadOSを搭載する製品にすべて関わってくる。

今回のイベントの主役ではなかったが、デベロッパーがさかんに話題にしていたのはSwiftUIだった。

5年前、アップルはプログラミング言語Swiftを発表して、アプリ開発をできるだけ容易なものしようとする動きを見せた。そして今回のWWDCでは、SwiftUIと呼ばれるまったく新しいユーザーインターフェースのフレームワークを発表し、そのビジョンをさらに押し進めた。SwiftUIを利用することで、スムーズなアニメーションの付いたフル機能のユーザーインターフェースを、シンプルな宣言的コードによって実現できる。

デベロッパーにとっては、これは大幅な時間の節約につながる。SwiftUIが備える自動化の機能によって、アプリの設計を洗練されたものにできるだけでなく、バグを減らすことになるからだ。また、アップルがデベロッパーに説明したところによれば、「単にコードの量を減らせるだけでなく、より良いコードにできる」ということだ。

シンプルであることを目指したのは、そうでなければどうしても避けられない、さまざま種類の誤りの発生を防ぐことを意図したもの。SwiftUIのコードは、まるで他の人からユーザーインターフェースについて説明を受けているかのように読みやすい。さらに、デベロッパーは異なるプラットフォーム間で、より多くのコードを再利用できるようにもなる。

それによって、開発サイクルの大幅な短縮にもつながる。デベロッパーが、アプリのユーザーインターフェースの一部だけを変更したくなった場合でも、素早く、しかも簡単に変更できる。

SwiftUIのフレームワークは、インターフェースのレイアウトをはじめとして、さまざまな面に効果を発揮する。たとえば、iOS 13が装備するダークモードへの対応、アクセシビリティ、右から左へ向かって書く言語への対応を含む国際化などだ。しかもSwiftUIは、同じAPIをiOS、iPadOS、macOS、watchOS、さらにtvOSという複数のOSに共通のものとすることで、アップルのアプリのエコシステム全域にまたがって使えることも重要なポイントだ。

このような特徴によって、これまでiOSだけに注力していたデベロッパーも、既存のアプリをSwiftUIに対応させさえすれば、クロスプラットフォームの開発に着手しやすくなる。

もちろん、アプリの性格によって、どこまでSwiftUIに対応できるかの程度は異なるだろう。しかしSwiftUIは、新規のデベロッパーにとっても魅力的なだけでなく、初めてアプリ開発に取り組むような初心者をも惹きつけるものがある。

SwiftUIは、Xcodeの新バージョンとともに発表された。このXcode 11には、新しいグラフィカルなUIデザインツールが含まれている。それによってデベロッパーは、コードを書くことなく、SwiftUIを使ったユーザーインターフェースの開発が可能となる。

視覚的なデザインツール上でUIが変更されると、そのつど新たなSwiftコードが自動的に生成される。さらに、そのアプリがどのような表示になり、どのように動作するのか、iPhone、iPad、iPod Touch、Apple Watch、Apple TVなど、接続されたデバイス上のリアルタイムのプレビューで確認できる。

これによりデベロッパーは、各プラットフォームでコードがどのように機能するかをテストできる。たとえば、マルチタッチに対してどのように応答するか、カメラやセンサー類の動作はどうかなど、開発プロセスの中で確認できるのだ。

Watchアプリ

watchOSに関しては、SwiftUIによって、Watchアプリならではのアニメーションとエフェクトの開発の複雑さを解消することができる。これまでは、その難しさのせいで、Watchアプリに手を出すのを躊躇するデベロッパーもいた。

SwiftUIは、スワイプして削除、リストアイテムの並べ替え、カルーセルのスライド、デジタルクラウンへの直接アクセス、といった機能を備えたWatchアプリの開発をサポートする。

またApple Watchは、デバイスから直接App Storeに接続できるようになり、ペアとなるiOSデバイスやiPhoneがなくても、スタンドアローンのアプリをインストールできるようにもなった。

このスタンドアローンのWatchアプリは、iOSから独立して動作させることができるだけでなく、Apple Watchを独立したプッシュ通知のターゲットに設定することも可能となる。つまり、そのユーザーがログインしているすべてのデバイスにではなく、Watchにだけ通知を送信することができる。

Watchアプリは、CloudKitのサブスクリプションをサポートできるようになり、プッシュ通知をコンプリケーションとして表示することで、ユーザーに最新情報を伝える。Watchアプリは、対応するiPhoneアプリを使っていないユーザーをもターゲットにできるようになったので、ユーザー名とパスワードを入力するテキストフィールドを表示するようになった。そこに入力してサインアップするか、今回発表された「Sign in with Apple」ボタンを使うこともできる。状況によってはアップルでサインインが必須の場合もある。

Watchアプリは、オーディオのストリーミング再生もできるようになった。これにより、これまで可能だったものとは異なるタイプのアプリへの道が開かれる。デモで見たように、Pandoraのようなインターネットベースのストリーミングサービスを利用して、スポーツ中継や音楽をストリーミング再生するアプリを想像するのも難しいことではなくなった。

さらに、watchOSの新しい拡張ランタイムは、ユーザーが手首を下げた状態でも動き続ける、新たな種類のWatchアプリの開発を促すことにもなるだろう。

たとえば、セルフケア、マインドフルネス、理学療法、スマートアラーム、健康状態のモニタリング、といった分野のアプリは、このランタイムを利用することで、Apple Watchのユーザーにとって新たな体験を創出することができるだろう。

これまでのWatchアプリのエコシステムが停滞したのは、アプリ開発の複雑さによるものだけでなく、ユーザーが手首を持ち上げている状態でしか動作しないというような制限をデベロッパーに課してきたことにもよる。ユーザーの手首の上で何ができるかを考えることを止めても、たとえばセンサーやストリーミングオーディオを利用することで、デベロッパーは単純に普通のiOSアプリを移植することも可能となる。

驚くべきことではないが、これまでそうしたアプリの多くは失敗し、やがて削除されることになった。アップルは、Watchアプリのエコシステムの再起動を狙っている。

macOSアプリ

今回のWWDCで発表された新しい開発ツールは、iOSのデベロッパーが、1億人のアクティブなMacユーザーにアピールする機会を生むことになる。

アップルによれば、いくつかの純正iPadアプリは、Mac上でも十分通用するものであることを認識しているという。しかし、一般のデベロッパーは、macOSのAppKitを使ってiPadアプリを移植する時間的な余裕がない。そこで今年のWWDCでは、デベロッパーにとって「最小限」の労力でiPadOSアプリをMac用に移植できるような技術を発表した。

現在、iPad用には100万本を超えるアプリのエコシステムがあり、その多くはMac上で動かしても意味のあるものだと考えられるということだ。

この取り組みの一環として、アップルはiOSからMacに40個ものフレームワークを移植した。その結果、わずかな例外を除いて、ほぼすべてのiOSのAPIの移植が完了した。これは、UIKitをネイティブなフレームワークとして採用し、次期macOSのリリース、Catalinaに直接組み込むことによって実現した、とAppleは述べている。

さらにアップルは、iPadアプリをMacに移植するための3段階のプロセスを用意した。

その最初のステップは、Xcodeのプロジェクト設定で「Mac」と書かれたチェックボックスをオンにすること。

するとXcodeでは、ソースに変更を加えるたびに、iOS、iPadOS、そしてmacOS用のすべてのアプリが自動的に更新されるようになる。

またiPadアプリを優れたものにすることは、ベストプラクティスをサポートするところから始まるという考えに沿って、デベロッパーはMac用にカスタマイズすべき部分を示唆される。つまり、状況に応じてメニューバー、タッチバー、マウスホバーのイベントなどをサポートすべきことが示される。

チェックボックスをオンにするだけで優れたMacアプリが開発できるわけではないが、それによって作業量は軽減される。

ただし、アップルが(優れた」iPadアプリの条件として、どの程度のものを要求するかについては疑問も残る。アップルは最大の効果を得るためには、デベロッパーはiPadのベストプラクティスを採用すべきだとしている。たとえば、外部キーボードをサポートしたり、Metalのようなキーとなる技術を採用することなどだ。

とは言え、もしアップルが本当にMac App Storeの品揃えを充実させたいなら、そしてもっと利益を生み出すアプリを増やしたいと考えているなら、Macに移植されるiPadアプリに、それほど多くを強いることはないかもしれない。

アップルでは、WWDCで発表する前に、すでに10社程度のデベロッパーとこの移植プロセスを試している。その中には、アメリカン航空、Crew、DCユニバース、Post-It、ツイッター、Tripit、フェンダー、アスファルト9、Juraなどが含まれる。

iPadOS

ところで、iPad上で動作するiOSには、iPadOSという新たなブランディングが施されることになった。

これまでのiPadは、発売当初からずっとiOSを搭載してきた。しかし時が経つにつれ、iPadの大きな画面を活かすための独自の機能も実現してきた。たとえば、スライドオーバー、スプリットビュー、ドラッグ&ドロップや、Apple Pencilのサポートなどが挙げられる。

まずはじめに、iPadOSでは、ホーム画面のアイコンのグリッド間隔は狭くなる。これは、サードパーティアプリが使えるホーム画面のスペースが広くなることを意味する。また、ウィジェットはホーム画面に固定できるようになる。これも、iPadアプリがホーム画面に占めるスペースを確保することになり、それだけユーザーの注意を引くことになるだろう。

しかし、iPadが本当に優れているのは、ノートパソコンの代わりに使えること。生産性も高くなり、スケッチやデジタルアートなど、クリエイティブな使い方も可能なのだ。

仕事効率化アプリのデベロッパーにとっては、1つのアプリから独立した別ウィンドウを開けるようになるのは、パソコン的な使い方を可能にする便利な機能だ。さらにアプリExposeや、3本指によってコピー、カット、ペースト、取り消しを可能にするジェスチャーも使えるようになる。

デベロッパー向けのツールについては、PencilKitというAPIが新たに加わり、サードパーティのアプリでも、純正アプリと同様に新しいApple Pencilにアクセスすることが可能になる。

それでも、実際にiPadアプリの開発を促進するのは、iPadアプリを簡単にMacに移植できるようになることかもしれない。言い換えれば、iPadアプリを開発しようというデベロッパーのモチベーションを本当に高めるのは、以前よりもずっと少ない労力で、同じアプリをMacでも動かせるようになること、なのかもしれない。

tvOS

Apple TV用のtvOSは、SwiftUIとiPadアプリのMacへの移植の話題に比べると、ほとんど注目されなかった。それにはアップルは、Apple TVとそのストリーミングサービス、つまりApple TV+に関しての熱意を示すイベントを開催したばかりだったということもある。

とは言え、SwiftUIはここでも活躍する。tvOSアプリでも、コードの再利用が可能になるからだ。

拡張現実と機械学習

アップルが今回のWWDCで発表したのは、作業をシンプルにして開発を促進することを狙ったものばかりではない。他の技術としては、まずARKitをさらにアップデートしたARKit 3が挙げられる。これは、モーションキャプチャー機能を備え、フレームの中の人物も認識できるようになった。それによって、人物をARオブジェクトの後ろに配置したり、前に出したりすることなどが可能となる。

これもアップデートされたCore ML 3を使えば、デベロッパーが機械学習の専門知識を持っていなくても、自分のアプリで機械学習を構築し、学習させ、その結果を利用できるようになる。

他にも、MetalやCreateMLのような重要な技術に進化が見られる。そうした技術を利用することで、デベロッパーは、それぞれの領域で、より品質の高いアプリを開発できるようになるだろう。

それでも、もっとワクワクさせ、興味を引きつける部分は、やはりアップルが現在最も人気のあるアプリプラットフォームであるiOSにテコ入れして、アプリのエコシステム全体に活を入れようとしていることだろう。今回のWWDCで発表されたツールによって、アップルは開発とデザインを合理化し、よりシンプルなものにしようとしている。それにより、より多くの人にプログラミングに参加してもらい、アプリのデベロッパーのコミュニティがiPhoneを超えて発想してくれるよう促しているのだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

iOS 13はマイナンバーカードや英国パスポートも読み取り可能に

NFC(近距離無線通信) テクノロジーはiOSでApple Payその他の基盤として広く活用されている。たとえばLaunch Center Proのアイコンをタップして複雑な動作をさせるアプリもNFCを利用している。WWDCで詳細が発表されたiOS 13ではNFC機能も大幅に強化される。

この一般公開されるiOS 13では、iPhoneでNFCタグを読み取るだけでなく直接タグに書き込めるようになる。また相互通信もネイティブなプロトコルとしてサポートされる。Apple(アップル)は先週のWWDCで、デベロッパーはICパスポートの情報を読み取ったり非接触型スマートデバイスと会話するアプリが簡単に開発できるようになると述べた。

先ごろ、アップルとGoogle(グーグル)はニューヨークの地下鉄でApple PayGoogle Payを利用したNFCで料金が支払えるようになると発表した。ポートランドの公共交通機関や他の大都市でも同様の試みがスタートしている。

iOS 13のアップデートでNFCフレームワークはさらに強化され、できることが飛躍的に増える。新機能を利用するプロジェクトが多数開発中だ。

例えば日本では、iOS 13のローンチに合わせて、iPhoneによるマイナンバーカードの読み取りをサポートする準備を日本政府が進めているとEngadget Japan日経が報じている。.このニュースは日本のCIO補佐官である楠正憲氏のツイートで確認された。

英国政府もNFCを利用したパスポート読み取りアプリを準備しており、iOS 13が公開されれば一般に利用できるようになるとReadIDの公式ブログが確認している。【略】

iOSアプリはID読み取り以外にもNFCタグの書き込み(NDEF)が可能だ。デベロッパーは一度書き込んだタグが後で変更されないようにするロック機能を持たせることもできる。

iOS 13のNFCフレームワークは今回発表されたNFC NDEFタグだけでなく、Mifare、FeliCa、ISO 7816(パスポート)、ISO 15693標準による読み書きをサポートする。iOS 13では言及された以外の場所でも広くNFCが活用されることになるだろう。

Above Image Credit: Ata Distance, which covers Apple Pay and contactless news

アップルはWWDCに先立ってラスベガスで開催されたにTransactカンファレンスでApple PayにおけるNFCを活用サービスについて発表していた。

通販のBonobos、パーキングメーターのPayByPhoneなどがNFCを利用したサービスに参入することを表明している。「支払いはApple Payだけで完結するため専用のハード、ソフトは必要とされない」と電動スクーターのシェアリングサービスを展開しているBirdのSteve Moser氏はツイートしている。【略】

Launch Center ProのデベロッパーであるDavid Barnard氏は、iOS 13が公開されれば、ブランクのNFCステッカーに内容を書き込めるようになるとツイートした。NFCステッカーはAmazonからバルクで買えるという。これにともない現在のプロダクトは値下げされる。

デベロッパーはこの間NFCの機能の拡充を求めてきた。一般消費者にとってNFCテクノロジーの詳細を理解するのは難しい。Near Field Communicationnの頭文字だということを知らないユーザーも多いだろう。それでもiOS 13ではNFCを通じてタップするだけけ複雑な仕事ができるようになる。ユーザーは自然に仕組みを覚えて使いこなすようになる違いない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

血液不足時に献血を呼び掛けるFacebookの機能が米国で使えるように

Facebookは献血に特化した機能の展開を拡大する。2017年からFacebookは世界のいくつかのマーケットの献血センターと協力し、プラットフォームを通じて血液ドナーにアクセスして必要なときに献血を呼びかけられるようにしてきた。その献血機能を今度は米国で展開しようとしている。

サービス開始に伴い、FacebookはAmerica’s Blood Center、米赤十字社、Inova、New York Blood Center、Rock River Valley Blood Center、Stanford Blood Center、Versiti、Vitalantなどを含む米国の主要な献血組織と提携する。

また全国展開する前に、まず都市部のいくつかのマーケットでこの新機能を提供し、手始めにシカゴ、ニューヨーク市、サンフランシスコベイエリア、ボルチモア、ワシントンD.C.での展開となる。

米国で提供する献血機能は、バングラデシュやブラジル、パキスタンなどを含む世界のいくつかのマーケットですでに展開されているものと似ている。

この機能にアクセスするには、該当マーケットのFacebookユーザーはそれぞれのプロフィールの「About」セクションから献血機能のページにいき、サインアップする。そこでユーザーは、近くの血液バンクが協力を求めていることを知らせる通知をFacebookに許可する。そうすることで、血液バンクの在庫が減っているときに血液バンクはFacebookのプラットフォームを通じて近くのドナーに献血を呼びかけることができる。

登録した人は、献血のリクエストと献血の機会についての情報をFacebook上のBlood Donations destinationで確認できる。そしてそのページにあるツールを使って友人に献血を呼びかけることもできる。

2017年のサービス開始以来、この献血機能はうまくいっている。最初に導入されたマーケットですでに3500万人以上が登録している。インドとブラジルでは「献血をした人の20%がFacebookの影響で献血することを決めた」と献血センターは指摘している。この数字は、血液バンクで行われた対面調査に基づいている。

今日の献血機能の立ち上げに伴い、America’s Blood CentersのCEOであるKate Fry氏は「Facebookとの提携では、人々がさまざまな血液型のドナー確保に協力する時、より簡単に地元の血液センターを見つけ出せるようになる」と発表文で述べている。「生き方としての献血を促すことで、米国中で毎日使用されている3万パイント超の血液を確保できる」。

今回この機能は、6月14日の世界献血デーに先立って導入された。世界保健機関が定めたこの献血デーは献血についての意識啓発のためのものだ。Facebookはこの日、いくつかの自社オフィスで献血を実施し、ブラジルとインドで啓発キャンペーンを展開すると話した。また、献血の呼びかけに注意が集まるよう、米赤十字、そしてVitalantとMissing Typesのキャンペーンでも提携している。

「深刻な血液不足を強調するMissing TypesキャンペーンへのFacebookのサポートに感謝している」と米赤十字社のシニアバイスプレジデントのCliff Numark氏は述べた。「人々が忙しく過ごす夏は十分な献血者を確保するのがかなり難しく、このキャンペーンはまったく時宜を得たものだ。そしてFacebookの献血機能は誰かの命を救うための献血をさらにしやすいものにする」とも語った。

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(翻訳:Mizoguchi)