人気の写真編集アプリ「VSCO」に複数の写真や映像を重ねられる映像ツール「Montage」が加わる

写真編集アプリとして人気の高く、Z世代のお気に入りというミームでもあるVSCOは、このところビデオに力を入れているようだ。先月、同社はついに、写真とともにビデオも投稿できる機能を加えた。そして米国時間3月4日、Montage(モンタージュ)と呼ばれるさらに強力で複雑なビデオ編集ツールを発表した

すでにVSCOには、ビデオにフィルターをかけたり、露出を調節したりと、写真編集のようなビデオ編集機能がある。しかしMontageは、それらとはまったく異なるビデオ編集体験だ。まず、ユーザーは複数のシーンのある長いストーリーを作成できる。そしてストーリーには、複数のビデオや写真、色、形などを重ねてコラージュのような作品も作れる。

その新しい機能は、VSCOのいわば原点でもあるVSCO Studioから利用できる。使用するユーザーはまず、方形、横長、縦長などの縦横(アスペクト)比を指定し、「カメラロール」から複数の写真やビデオを加えてシーンを作る。

「モンタージュ」を作るときに重ねていく像の透明度を指定できる。ビデオに加えるシーンの数に制限はない。ただし投稿できるビデオは2分以内だ。最終結果はVimeo以外でも共有できる。

VSCOがビデオに投資するこの時期には、Instagramストーリーや、人気アプリTikTokやByteによってソーシャルメディア上のビデオ共有が急激に盛んになり、ビデオを編集することへの関心も急増している。

昨年VSCOは、ビデオ技術の企業であるRyloを買収して、ビデオに注力する意思を明らかにした。Montageなどに搭載される新しいビデオ機能には、有料会員を増やしたい思惑もある。12月に同社は「今のペースでは2020年内に有料ユーザーが400万人を超え、年商は8000万ドル近くになる」とコメントした。これは、年間19.99ドルの会費によるもの。VSCOの1週間のアクティブユーザーは2000万人を超えているが、そのうち200万人強が有料ユーザーだ。

無料ユーザーもMontageで遊べるが、完成したビデオの保存や投稿は有料ユーザーのみだ。MontageのiOSおよびAndroidバージョンは、本日から提供される。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

持続可能なマイクログリッドがクリーンエネルギーの未来を作る

気候変動や日常化しつつある自然災害に対抗するために必要不可欠なツールとして、持続可能なマイクログリッドが米国中に作られ始めている。ハリケーン、地震、山火事に襲われた多くの地域では、従来型の電力網による電力供給の維持が難しくなり、停電が発生すれば地域経済は停滞し、究極的には人の命が危険にさらされる。

マイクログリッド(災害時には広域の電力網から独立して運用できるように設計された電力供給設備)が生まれて数十年になるが、21世紀に入るまで発電はもっぱら化石燃料に頼っていた。ソーラーパネルとバッテリー容量のコストが十分に下がって持続可能なマイクログリッドが経済的な現実味を帯びるようになるまでに、そこから20年を要した。しかし、このところの注目度の高まりや設置件数の増加を見るにそれは変曲点に達し、未来のクリーンエネルギーとしての可能性が大いに高まったと言える。

サンタバーバラの例を見てみよう。同郡では、全学校に設置できるマイクログリッドの研究と設計のために50万ドル(約5400万円)を割り当てることについて、11月に統一学区が全員一致で賛成票を投じた。Clean Coalition(クリーン・コーリション)は、予備調査で18の学校の敷地には太陽光で15MW(メガワット)以上を発電できる可能性を割り出している。

こうしたソーラーパネルとバッテリーを組み合わせた「ソーラー・プラス・ストレージ」型のマイクログリッドを適切な学校に設置すれば、自然災害や、昨年10月に数十万人もの住民に損害を与えたカリフォルニアの電力会社PG&Gの停電事故のようなときに、地域社会に貢献できる。こうしたサイトは、重要な緊急援助サービス、痛みやすい食料の保存、照明、電気、インターネット絶続を非常時に供給する場にもなる。

マイクログリッド設置の実現性の調査は6月に完了する。最終的な費用は4000万ドル(約43億円)ほどと見積もられているが、長期の電力販売契約(PPA)を結ぶことで、学区はサイトを無料で設置し、通常の電気料金と同じ形で料金を長期支払いにできる(価格は電力会社の電気よりも安い)。このような契約は、ここ数年の間に再生可能エネルギーの発電コストが継続的に低下し、経済的な有効性が認められて初めて可能となった。そしてこれが、マイクログリッド・ブームの中心的な牽引力になっている。

1月末に、Scale Microgrid Solutions(スケール・マイクログリッド・ソリューションズ)は、投資会社のWarburg Pincus(ウォーバーグ・ピンカス)から3億ドル(約320億円)の投資を受けた。現在のマイクログリッドは、個々の顧客の特別な状況に合わせて設計され設置されるのが普通だ。だがScale Microgrid Solutionsは、運送用のコンテナの中にソーラーパネル、バッテリー、制御装置、バックアップ用のガス発電機を組み込んだモジュール式のマイクログリッド・インフラストラクチャーを提供している。

このモジュールは素早く設置でき、1500万ドル(約16億円)程度の予算でマイクログリッドの設備が欲しいと考える顧客や施設に適したオプションだ。最初のモジュール型マイクログリッドは、2019年5月、高度なクリーンエネルギー技術への投資に特化した金融会社であるGenerate Capital(ジェネレート・キャピタル)の資金援助で設置されている。

一方、米国の反対側、米国自治連邦区プエルトリコでは、自然災害の連続によりソーラー・プラス・ストレージ型マイクログリッドの有効性が証明されている。2017年にハリケーン・マリアがこの地の集中型の電力網に壊滅的な被害を加え、大勢の人たちが1年以上もの期間にわたって電気のない生活を強いられていた。

Rocky Mountain Institute(ロッキーマウンテン研究所)、Save the Children(セーブ・ザ・チルドレン)、Kinesis Foundation(キネシス財団)は、プエルトリコの中心地である山岳地帯の10の学校にソーラー・プラス・ストレージ型マイクログリッドを設置した。学校内の図書館、厨房、水道ポンプが停電の間、無期限で使えるように作られている。設置は2019年12月に完了した。ただでさえ経済復興が停滞していたプエルトリコを危機にさらした1月の群発地震発生の直前だ。ロッキーマウンテン研究所の島しょ緊急事態プログラムが専門情報サイトMicrogrid Knowledge(マイクログリッド・ナレッジ)に話したところによると、いくつもの学校で電力網の電気が止まったが、マイクログリッドは見事に機能し続け、重要なサービスを提供できたという。

マイクログリッドの利用は学校に留まらない。いくつかの地域社会では、自宅に設置したソーラー・アンド・ストレージ・システムをリンクさせているところもある。インバーターや制御装置は、この2年ほどで効率が向上し、電力網を補完して、またはそこから独立して参加者同士で電気を融通し合う「コミュニティー・マイクログリッド」の構築コストが、ようやく手の届く範囲になってきたという。

1月、オーストラリアのスタートアップであるRelectrify(リレクトリファイ)は、バッテリーの寿命を最大で30%も延ばし、同時に運用コストも削減するというインバーターとバッテリーの管理技術の継続的な改善にシリーズA投資450万ドル(約4億8000万円)を獲得した。Relectrifyの技術はまた、電気自動車に使われていたが、自動車用としての安定性が低下しすぎたバッテリー(Teslaの大人気の製品も含む)を再利用することもできる。これにより、需要が高まるマイクログリッドに大量の中古バッテリーを転用する道が開かれる。

これらの事業が魅力的に感じられるのは、電力網の回復力や電力網からの独立が化石燃料に依存することが多かったからでもあるが、エネルギー消費者にとって、どんどんコストが下がる安価なオプションになってきたという理由もある。プエルトリコの家庭用電力の価格は、2019年時点で1キロワット毎時(kWh)あたり27セント(約29円)と高額だ。これに対して、家庭用のソーラー・アンド・ストレージ・システムの価格は、条件がよければ24セント(約26円)まで下がる。

ソーラーパネルの設置費用は、調査会社Wood Mackenzie(ウッド・マッケンジー)の調べでは、この10年間で90%も下落した。同時に、地球温暖化とそれに起因する自然災害による早期の影響が、それでなくとも通常の維持管理や高まる需要の対応に苦しんでいる米国のエネルギーインフラに負担をかけ始めている。多くの大手電力会社が老朽化する集中型の電力網に依存する天然ガスやその他の部分的なソリューションに目を向ける中、災厄を経験した社会はすでにマイクログリッドの価値を実感し、競って導入するようになっているのだ。

これらの初期型のサステナブルなマイクログリッドが与える最大のインパクトは、近隣住民に電力を届ける非常用電源としての役割を超える。発電方法と電気の使い方に関する地域社会とエネルギー消費者の考え方を劇的に変化させるきっかけが、そこにはある。地域社会のマイクログリッド・システムでは、住民は電力源との間に具体的で明確なつながりを持つことができ、需要に対して十分な電力が行き渡るように友人や近所の人たちと協力し合うことが求められる。

このようなシステムは、あるかないかの社会的または技術的な制約のために、ピーク需要に合わせて環境にもっとも悪い燃料を常に燃やし続けるよう発電所に要求する現在の電力網とは、まったく対照的だ。持続可能なマイクログリッドは、ついに完全に誰の手にも届く価格にまでなってきた。そしていつの間にかマイクログリッドは、エネルギー消費と復元力に対する私たちの考え方を変え始めた。

【編集部注】著者のAlex Behrens(アレックス・ベレンズ)は、運輸、エネルギー、自動化、分散化における未来のテクノロジーを専門とする調査分析家でありブロガー。Fortune 500に選ばれた企業や技術系スタートアップでのデータおよび運用業務を経験。Seeking Alpha、Spend Matters、Metal Minerといったパブリッシャーのレギュラー寄稿者。

画像クレジット:Will Lester/Inland Valley Daily Bulletin (opens in a new window)/ Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

キャセイ・パシフィックが940万人の個人情報を流出させた件で英当局は約6900万円の罰金命令

セキュリティ上の過失があったとして、キャセイ・パシフィック航空は英国のデータ監視当局から50万ポンド(約6900万円)の罰金を科された。この過失では、英国の11万1578人を含む世界の顧客940万人の個人情報を流出させた。

数カ月にわたる調査を経て、英国の情報コミッショナーオフィス(The Information Commissioner’s Office、ICO)は3月4日、同航空が2018年秋に明らかにした情報流出に適用される英国の法律として最高額となる罰金を発表した。当時キャセイ航空は「システムへの不正アクセスを2018年3月に把握した」と話した。しかしそこから情報流出を公にするまでになぜ6カ月超もかかったのかは説明しなかった。

システムの安全性確保の失敗は、名前やパスポート、ID詳細、生年月日、住所、電子メールアドレス、電話番号、旅行履歴などを含む乗客の個人情報への不正なアクセスを招くことになった。ICOは本日、「キャセイ・パシフィック航空のシステムへの最初の不正アクセスは2014年10月14日だった」と指摘した。一方で、最初の個人情報への不正アクセスは2015年2月7日だった。

「キャセイ・パシフィック航空のシステムは、インターネットと情報搾取のためにインストールされたマルウェアにつながったサーバーを介して侵入されたことが明らかになった」とICOのプレスリリースに書かれている。「パスワードで保護されていないバックアップファイル、パッチを当てていないサーバー、デベロッパーがすでにサポートしていないOSの使用、不十分なウイルス対策など「さまざまなエラー」も見つかった」とも書かれている。

キャセイ・パシフィック航空の情報流出は、英国がEUのデータ保護枠組みを取り入れようと進めている時期に起こった。EUの枠組みでは、個人情報を含むデータ流出があった場合、データ流出に気付いてから72時間以内にその国の当局に報告することをデータ管理者に求めている。

EU一般データ保護規則(GDPR)にはまた、相当な額になりうる罰金制度も設けられている。この制度では、企業のグローバル年間売上高の最大4%を科すことができる。しかし、不正アクセスの時期に基づき、ICOはキャセイ航空の情報流出を以前の英国データ保護規則に従って扱った。GDPR下ではキャセイ・パシフィック航空はより多額の罰金を科せられていたはずだ。

キャセイ航空への罰金について、ICOの調査責任者Steve Eckersley(スティーブ・エカーズリー)氏は声明文で以下のように述べた。

人々が個人情報を企業に提供するとき、いかなる害や詐欺などからも守られる、そうした情報が安全に管理されると思う。しかしこのケースではそうではなかった。

キャセイ・パシフィック航空のシステム全体で十分なセキュリティ措置が取られておらず、結果としてハッカーに簡単にアクセスを許してしまったという点でこの情報流出は由々しきものだった。我々が気付いた複数の重大な欠点は、求められているスタンダードにはるかに及ばなかった。基本的に、キャセイ航空は国家サイバーセキュリティセンターのサイバー・エッセンシャル・ガイドライン5つのうち4つを満たしていなかった。

データ保護法では、組織は適切なセキュリティ方策を講じ、コンピューターシステムに侵入しようとする試みを可能な限り難しくするための確固たるプロセスを踏まなければならない。

これまで幾度となく情報流出を詫びてきたキャセイ・パシフィック航空にコメントを求めたところ、「『データガバナンス、ネットワークセキュリティ、アクセスコントロール、教育、従業員の啓発、インシデントへの素早い対応』分野でセキュリティを高めるための取り組みを始めた」と述べた。

「過去3年間、かなりの額がITインフラとセキュリティに注がれた。こうした分野への投資は継続される」と同社は声明文で述べている。「我々はICOや他の関連当局の取り調べに緊密に協力してきた。我々の調査では、これまでに個人情報が不正に使用された証拠はないことが明らかになっている。しかしながら現在ではサイバーアタッカーの洗練度が上がっていて、我々はITセキュリティシステムに今後も投資を続け、進化させていかなければならないと認識している」と語る。「コンプライアンスと、個人情報保護への変わらぬ取り組みを示すため、関係当局に引き続き協力していく」とも付け加えた。

昨夏、ICOはブリティッシュ航空にも同様の措置を取った。こちらもセキュリティの過失で顧客50万人の情報を流出させ、キャセイ・パシフィック航空よりもかなり大きな額の罰金となった。ブリティッシュ航空の情報流出はGDPR導入後だったため、罰金はこの手のものとしては史上最多の1億8339万ポンド(約253億円)だった。この額はブリティッシュ航空の2018年の総売上高の1.5%にあたる。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

AndroidのGoogleアシスタントにページ全体の読み上げ、翻訳機能が加わる

数週間前にCESでGoogleは、Androidでウェブページ全体を読み上げられるようにする機能をデモしてみせた。指定した記事を全部を読み上げてくれるので読みたいが手がふさがっていてスクロールできないときやスマホの画面をずっと見ていたくないとき、運転中などに理想的だ。Androidデバイスに 「OK, Google, read this page」(このページを読んで)と命ずると、Googleアシスタントのニューラルネットワークが起動し、即座に読み上げてくれる。

ページまるごと読み上げ機能は米国時間3月4日、Androidの全ユーザーに公開された。

注目点

  • 読み上げているテキストが強調表示され、ページが自動スクロールされる。記事のどこを読み上げているのかがひと目で分かる。以前Googleはこういう機能を追加する可能性があると言っていたが一般公開の時期などは不明だった。さいわい準備が整ったようだ。
  • 読み上げ速度を調整できる。ポッドキャストを3倍速で聴きたいといったせっかちな人間には便利な機能だろう。
  • 翻訳機能もある。Googleアシスタントのデフォルト以外の言語を読み上げさせようとする場合、ユーザーが選択した40以上の言語に翻訳が可能。
  • ページの管理者はGoogleアシスタントが読み上げないよう設定できる。なんらかの理由でGoogleアシスタントに音声でページを読み上げられたくない場合(個人情報などが含まれていて、読み上げ機能が誤って起動されると困るような場合)、HTMLメタタグで無効化できる。これはページ単位で設定しておく必要がある。

Googleによれば近年公開されたAndroid(Android 5、Lollipop以降)が作動するほとんどのスマートフォンで利用可能だという。

【Japan編集部追記】速度調整は読み上げ画面の下部をタップする。0.5倍から3倍まで調整できる。現在の訳者の環境(Android 10)では「OK, Google, read this page」でTechCrunch Japanの記事を日本語で読み上げたが、日本語で「OK Google、このページを読んで」では読み上げは実行されなかった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

米裁判所が自動運転技術の元エンジニアにGoogleへ約192億円を支払うよう命じる

自動運転車のエンジニアでスタートアップの創業者でもある、Anthony Levandowski(アンソニー・レヴァンドフスキ)氏は、Uber(ウーバー)とWaymo(ウェイモ)との間で争われている機密情報裁判の中心人物である。このほど同氏は、Google(グーグル)退社を巡る契約問題を収束させるために、1億7900万ドル(約192億円)を支払うよう命じられた。Reuters(ロイター通信)が 最初にこの裁判所命令を報じた

昨年12月、仲裁委員会はレヴァンドフスキ氏とLior Ron(リオール・ロン)氏が不当競争行為を犯し、競合するトラック輸送に特化した自動運転車会社であるOttoを設立するためGoogleを退社した際、同社と交わした契約に違反したという裁定を下した。2017年にUberはOttoを買収した。米国時間3月4日、サンフランシスコ郡裁判所は委員会の決定を承認した。

ロン氏は先月Googleと970万ドル(約10億4000万円)で和解している。しかしレヴァンドフスキ氏は決定に不服を申立てた。サンフランシスコ郡最高裁判所は米国時間3月4日、同氏の申立を却下して同氏に和解契約を守らせるためのGoogleの請願を許可した。

和解金は必ずしもレヴァンドフスキ氏個人が支払う必要はない。この種の義務は会社との契約あるいはその他の奇妙な法律によって、同氏の雇用主に帰せられる場合があるからだ。しかし、同氏は本日付で破産申請をしており、1億7900万ドルの負債は自身の資産額よりはるかに大きいと表明している。同氏の資産は5000万~1億ドルと推定されている。

レヴァンドフスキ氏の代理人は本件についてのコメントを拒んだ。

【編集部注】本稿にはDevin Coldeway(デビン・コールドウェイ)記者が協力した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ウェブサイト構築にマイクロサービスを導入したNetlifyが約57億円調達

ウェブサーバーというものをなくして、ウェブサイトの作り方を変えたいと願うNetlifyは米国時間3月4日、5300万ドル(約57億円)のシリーズC調達を発表した。

EQT Venturesがラウンドをリードし、既存の投資家であるAndreessen HorowitzとKleiner Perkins、そして新規にPreston-Werner Venturesがこのラウンドに参加した。並行してEQT Venturesの投資アドバイザーであるLaura Yao(ローラ・ヤオ)氏がNetlifyの取締役会に加わる。同社によると、これで同社の調達総額は9700万ドル(約104億円)になる。

最近は多くのスタートアップがそう言うが、Netlifyの共同創業者であるChris Bach(クリス・バッハ)氏もまた、「新しい資金を求めてはいなかったが、会社が急速に成長しているので、その成長の継続のためにお金をもらっておくのが賢明と判断した」と述べる。

バッパ氏とCEOのMatt Biilmann(マット・ビルマン)氏は評価額を明かさなかったが、「それはとっても気前のいい額だったが、Netlifyの現状にはふさわしい」とだけ語った。売上の額も公表しないが、創業後3年で売上は3倍になったという。

その成長を支えているのが、このプラットホームに参加するデベロッパーの数だ。2018年のシリーズBのとき30万人だった登録ユーザーが、今では80万人と大幅に増えている。

2018年にTechCrunchが取材した際に同社は「ウェブサイトの作り方を変えたい」と語っていた。以下に、そのときの記事から引用しよう。

「Netlifyはウェブサーバーの概念を抽象化してしまった。彼らによると、ウェブサーバーはデプロイに時間がかかりすぎるし、セキュリティもスケールも困難だ。一枚岩的なウェブサイトから、スタティックなフロントエンドとバックエンドのマイクロサービス群へ移行すれば、セキュリティとスケーリングの問題は解決するし、サイトをもっと速く完成できる」と同社は語る。

デベロッパーに人気があることはいい出発点だが、もっと大型の顧客を獲得していかないと売上は伸びないだろう。そこで同社は今回得られた資金を、同社のエンタープライズ対応を構築するために使いたいという。現在のエンタープライズ顧客には、GoogleやFacebook、Citrix、Unileverなどがいる。

社員数は、昨年初めの38名から今では97名に増えている。「そして今年中に180名ぐらいにしたい」と同社は語る。

関連記事:Netlify just got $30 million to change the way developers build websites(ウェブサイトの作り方を変えるNetlifyが3000万ドルを調達、未訳)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

スーパーチューズデーの結果を受け、投資家はコロナウィルスの苦痛からバイデン氏の勝利へシフト

米国大統領予備選挙であるスーパーチューズデーの結果は民主党をリベラルと穏健派に分断したが、投資家は昨夜の結果を企業と市場の勝利と受け取った。

新型コロナウィルス(COVID-19)の米国内蔓延に伴う悪いニュースが続く中、米国時間3月4日のジョー・バイデン氏がスーパーチューズデーの民主党候補争いで先頭に立った知らせに、主要株式市場は急騰した。

ダウ平均株価は1173.45ドル、4.5%と大きく上昇して2万7090.86ドルに、Nasdaq総合指数は334ポイント、3.85%高の9018.09ポイント、S&P 500種株価指数は126.75ポイント、4.22%高の3130.12ポイントとなった。

バイデン氏の穏健な立ち位置は、バーモント州選出の上院議員であるバーニー・サンダース氏が推進するリベラル色の強い政策とは対照的だ。サンダース氏の、どうやって気候変動と戦い、医療業界を再建するかという立場は、バイデン氏が副大統領としても今年の大統領選遊説でも推している漸進主義(インクリメンタリズム)とは大きく異なっている。

このところ主要株価指標には苦難の日々が続いているが、ここ数日間、コロナウィルスの経済への影響に対する投資家の恐怖心は、米国政府が決然とした行動を起こし始めたことで収まりつつあるように見える。

米国時間2月28日に底をついて以来、ダウは1681.50ドル上昇し、Nasdaqは748.35ポイント、S&P 500は265.20ポイントそれぞれ上昇した。本日のニュースが上昇要因のひとつだ。

テック界の巨人である、Alphabet(アルファベット)、Amazon(アマゾン)、Apple(アップル)、Facebook(フェイスブック)、Microsoft(マイクロソフト)の各社は、市場が跳ね上がったその日にそろって株価を上げた。医療保険会社と薬品会社は、バイデン氏の勝利と、新型コロナウィルスの検査、治療、およびワクチンの可能性を含めた開発に対して米国政府が支出する新たな予算の両方を追い風に、この日特に目立った勝ち組だった。

画像クレジット:Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

インテル元社長が創業したAmpereがクラウドのワークロードを最適化する新チップを発表

Intel(インテル)元社長のRenee James(レネイ・ジェームズ)氏が経営するチップスタートアップであるAmpere(アンペア)は3月3日、クラウドのワークロード最適化のために特別に設計された新しいチップを発表した。

Ampereの製品担当副社長であるJeff Wittich(ジェフ・ウィッチ)氏によると、新チップ「Ampere Altra」(アンペア・アルトラ)は、クラウドプロバイダーにとって魅力的な機能を備える設計となっている。注力したのは高性能、スケーラビリティ、電力効率の3点。大規模クラウドを運用するベンダーにとってすべてが重要なポイントだ。

Altraはいくつかの大きな特徴を備えたARMチップだ。「64ビットARMコアまたは2ソケットプラットフォームの160コアだ。当社は1ソケットと2ソケット構成の両方をサポートする。3GHzターボで動く。クラウドが提供する計算方法のため、すべてのコアで3GHzであり、すべてのコアを最大限利用できる。そのため当社のターボ性能は、すべてのコアが常に性能を維持できるよう最適化されている」とウィッチ氏は説明した。

同社は、このチップがクラウドの強力な推進力の1つになると考えている。「当社はクラウド環境向けに開発された汎用CPUを設計しているため、チップについては熟知している。このチップはクラウドが利用しているのと同じように使える。そのため、クラウドのワークロードのあらゆる局面をサポートできる」とウィッチ氏は説明した。

創業者兼CEOのジェームズ氏は「当社はクラウドの顧客に対し、個々のワークロード向けにチップを最適化するため、必要な種類の情報をきめ細かな構成レベルで提供している。これは特にハイパースケーラーが本当に必要としているものだ」と語った。

「純粋にパワーとパフォーマンスを提供するプラットフォーム、それこそが求められているが、そうしたものを構築するために当社ができることをしてみたい。そして、デザインアプローチを採用し、顧客と協力して重要事項、すなわちどんなコントロールや独自の機能が必要なのかを決める。なぜなら顧客によってソフトウェア環境が1つ1つ異なるからだ」とジェームズ氏は説明した。

Ampereと以前から協業している企業には、Oracle(オラクル、CrunchbaseによるとAmpereの投資家)やMicrosoft(マイクロソフト)などがある。

ジェームズ氏は「このチップを顧客に届けるにあたり予想外の挑戦となったのが新型コロナウイルスによるサプライチェーンの混乱だ。多くの部品が製造されチップが組み立てられるアジアでコロナウイルスが影響を及ぼしている。当社はこの状況を踏まえ、世界にまたがるサプライチェーンを構築しつつある。これによりサプライチェーンのスローダウンによるトラブルが緩和されることを願っている」と語る。

画像クレジット:Jordan Lye / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

GMが電気自動車戦略のコアとなるモジュラー式アーキテクチャー「Ultium」を公開

GMは米国時間3月4日、新しい電気自動車用アーキテクチャーを公開した。これは、GMの将来のEV計画の基盤となるもので、コンパクトカーから業務用トラック、大型の高級SUV、高性能車、さらにこの夏に発売が予定されている新型Bolt EUV Clossover(ボルトEUVクロスオーバー)に至る、同社の車種に幅広く採用される。

Ultium(アルティウム)と呼ばれるこのモジュラー式アーキテクチャーは、19種類のバッテリーと駆動系の組み合わせに対応する。400V(ボルト)と800Vトのバッテリーパックが使用でき、充電容量は50kW/h(キロワット毎時)から200kW/h。前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動の設定ができる。

EVアーキテクチャーのモジュール化にこだわった背景には、Cruise Origin(クルーズ・オリジン)自動運転タクシー、コンパクトなChevrolet Bolt EUV(シボレー・ボルトEUV)、GMC Hummer(GMCハマー電動トラック兼SUV、それに先日発表されたCadillac Lyriq SUV(キャデラック・リリックSUV)など、同社の製品を全般的に電動化するというGMの意欲がある。3月4日にGMはこれまで一般公開されず姿を見せることがなかった数々の新型EVも発表し、モジュラー方式にしたことで同社の車種に幅広く対応できることを示していた。そこにはキャデラックのフラッグシップとなる大型セダンであるCelestiq(セレスティーク)も含まれていた。

Celestiqは、将来キャデラックのシリーズに加わる大型電動SUVとともにデトロイト地区で手作りされると、GMのMark Reuss(マーク・ルース)社長は話していた。同社のBUICK(ビュイック)ブランドの将来のクロスオーバー2車種のスタイルは、明らかにTesla(テスラ)を意識している。シボレーの中型クロスオーバーは、その他のGMの(今後の)EVラインアップがみな高級志向なのに対して、手の届きやすい価格帯に設定されている。

これほど多様な車種を単一のアーキテクチャーで賄うことにより、これまでは少量生産で収益性に課題があったEV市場に、必要に応じてスケールできる可能性と資本効率性がもたらされる。GMは、このスケール性でバッテリーパックのコスト削減と機構の単純化を果たした。バッテリーパックの配線の量は、現在のシボレー・ボルトの場合と比較して80%少なくなり、バッテリーパックのコストも1kW/hあたり100ドルを切った。

この新型モジュラー・アーキテクチャーの心臓部には、大容量のパウチ型バッテリーセルが使われる予定だ。これは、韓国のLG化学とGMとの合弁製造事業の一環として製造される。両社は2019年12月、オハイオ州ローズタウンの工場でGMの電気自動車向けバッテリーセルを大量生産すると発表した。

GMは、リチウムイオンと電子製品のサプライヤーであるLG化学とは10年来の取り引きがある。この合弁事業はGMにとって、電気自動車分野での躍進力を高める転換点となるだろう。

GMとLG化学は、新しいニッケル・コバルト・マンガン・アルミニウム(NCMA)バッテリーセルを共同開発した。どの大容量パウチ型バッテリーよりもコバルトの含有量が少ないとGMは話している。平坦な形状の充電式パウチ型セルは縦に重ねることができるため、テスラやRivian(リビアン)などが好む円筒型セルと比べてパッケージングの柔軟性が高く、室内空間も広くとれる。

GMとLG化学の合弁事業は、23億ドル(約2470億円)規模の工場を春に着工する。そこでは、年間30GW/h(ギガワット毎時)ぶんのセルを、余裕をもって生産できる。両社は、ゆくゆくはセルの化学成分からコバルトとニッケルを完全に排除できるよう共同研究を進め、劣化したセルを修復する電極内添加物の開発、固体電池の可能性も探っていく。

GMからの電気自動車の第一波は、今年後半に発売される新型シボレー・ボルトから始まる。来年の夏にはボルトEUVクロスオーバーが続くが、これはキャデラック以外で、手放しで自動運転ができるSuperCruise(スーパークルーズ)運転補助システムが搭載される最初の車になる。また今年後半、GMは新型高級電動SUVを2車種発表する予定もある。ひとつは2021年に生産を開始するGMCハマーEV
、もうひとつは2022年に発売されるキャデラック・リリックだ。

GMの新しいEVアーキテクチャーは、充電能力がレベル2、10分間の充電で最大100マイル(160キロメートル)走行できる高速直流充電に対応する。だがGMは、高速充電ネットワークを自社で整備することはない。Chargepoint(チャージポイント)やEVgo(イーブイゴー)などの公共充電ネットワークをmyChevrolet(マイシボレー)モバイルアプリでまとめて利用できるようにし、EVgoの充電器ではアプリ内で精算できるようにする。またGMは、Qmerit(キューメリット)と提携して認定充電器を家庭に設置する事業も進める。EVオーナーの80%は家で充電しているからだと同社は話していた。

【編集部注】筆者のEd Niedermeyerは、作家・コラムニストでポッドキャスト「The Autonocast」の共同主宰者。今年8月に「The Unvarnished Story of Tesla Motors」を出版した。

画像クレジット:GM/ Photo by Steve Fecht

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(翻訳:金井哲夫)

Google Cloudが4つの新リージョンを開設、中東リージョンは初

Googleは米国時間3月4日、Google Cloudの4つの新しいデータセンターリージョンを開設する計画を発表した。インドのデリーとカタールのドーハ、オーストラリアのメルボルン、そしてカナダのトロントだ。これでGoogle Cloudの総供用域は26リージョンになる。同社は昨年、来年はジャカルタとラスベガスとソルトレイクシティ、ソウル、そしてワルシャワにリージョンを開くと言っていた。そして数日前には、ソルトレイクシティのデータセンターをオープンした

この発表の前にすでにGCPのデータセンターはインドとオーストラリアとカナダにあるが、今回新たに発表されたリージョンにより、例えば災害復旧で多忙な国には2つの地理的に離れたリージョンがあることになる。

Googleによると、ドーハのリージョンは初めての戦略的合意に基づくリージョンであり、しかも中東初のリージョンだ。合意の相手はQatar Free Zones Authorityである。ローンチ時からの顧客の1つであるBespin Globalは、アジアにおけるマネージドサービスの大手プロバイダーだ。

Bespin GlobalのCEO John Lee(ジョン・リー)氏は「弊社は韓国の大企業と協力して彼らのデジタルトランスフォーメーションを推進している。その主要要件のひとつが、世界の顧客のすべてに均質なサービスを提供することだ。Google Cloudは自分たちのインフラストラクチャへの継続的拡大投資を中東にも広げているので、弊社は顧客の所在地域で高品質なサービスを提供することが可能だ」と語る。

関連記事:Google Cloud makes strides but still has a long way to go(Google Cloudが長足の進歩だがまだまだこれから、未訳)

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

VRで事前学習してから作業する公共トイレ用掃除ロボ

オートメーションにおける3つの「D」について聞いたことがあるだろう。Somatic(ソマティック)のロボットは、そのうちの2つを容易にクリアしている。「Dangerous」(危険)については少々無理があるかもしれないが、このロボットは一般に「Dirty」(汚い)とか「dull」(苦痛)と考えられている仕事を取って代わることに特化している。

なぜかニューヨークに拠点を置くこのスタートアップは、UCバークレー大学で開催されたTechCrunchの「Robotic + AI」カンファレンスのステージ上で、実質的にステルス状態からカミングアウトした。最初のプロダクトは、大型公共トイレ用の掃除ロボットだ。ちなみに同社は、チームは少人数で地理的に離散しており、恒久的な居場所を探している。

CEOのMichael Levy(マイケル・レヴィ)氏は、この装置を「小型冷蔵庫の前面にロボットアームをつけたもの」となぞらえる。CTOのEugene Zesoba(ユージン・ゼソバ)氏とふたりで会社を共同設立したレヴィ氏は、祖父のレストランで長年叩き上げた経験に基づき、トイレ清掃ロボットを開発することを思いついた。

「若い頃は実にいろいろな仕事をした。レジ係になりたければトイレ掃除から始めなくてはいけない、と祖父に言われた」とレヴィ氏は言う。「トイレが適用分野として最適なのは、あらゆるものが床に固定されていること。モノの動きはすべて予測できる。1994年以降に作られたトイレはすべてADA(米国障害者法)に準拠している。ロボティクスにとってありがたいことに設計は規格化されている」。

ほとんどの公共トイレの設計が固定化されていることは、ロボットが一度学習するだけでよいことを意味している。現在開発チームは遠隔で作業を行い、トイレのVRシミュレーションを使って、どこに薬剤をスプレーしてモップをかけるか、吸引し、乾燥させればよいかをロボットに教えている。チームはこの作業を、愛情を込めて「史上最悪のビデオゲーム」と呼んでいる。すべて準備が整ったら、ロボットはライダーなどのさまざまなセンサーを用いてトイレの中を動きまわる。

ロボットはトイレの清掃を終えると充電し、必要に応じて薬品を補給する。1日に約8時間の清掃が可能で、ドアを開けたりエレベーターに乗ってビルの中を移動することもできる」とレヴィ氏は言う。

主要なターゲットは空港、カジノ、オフィスビル、その他大型のトイレのある場所だ。ロボットは月額約1000ドルでリースされ、事前のトライアル期間もある。Somaticにはすでにいくつか顧客がついており、FAANG(Facebook(フェイスブック)、Apple(アップル)、Amazon(アマゾン)、Netflix(ネットフリックス)、Google(グーグル))の中にもすでにロボットが清掃している会社がある。

初期モデルの開発では、5万ドル(約536万円)のブートストラップ型ファンドの支援を受け、そこにSomaticが30万ドル(約3200万円)を追加し、うち15万ドル(約1600万円)はアクセラレーターのSOSVから調達した。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebook Messengerが一部の国のMac App Storeに登場

1年前、Facebookは2019 F8デベロッパーカンファレンスで、同社の人気コミュニケーションアプリであるMessengerのデスクトップアプリを提供する計画を発表した。あれから1年たらずたった今、MessengerのmacOS用アプリが公開されはじめた。米国ではまだだが、Messenger for Macはすでに米国以外の一部のMac App Storeに登場している。

TechCrunchはFacebookに、これが米国を含む全世界展開の前兆であるかを尋ねた。同社の広報担当者は、これはまだ完成版ではないと回答した。

「当社はmacOS用Messengeアプリの小規模なテストを一部の市場で実施している」と担当者は答えた。「今はまだユーザーのフィードバックを集めている段階であり、公開時期は決まっていない」。

9to5MaciPhone Hacksがアプリの公開をいち早く報じ、フランスのテック系ニュースサイトであるMacGenerationの記事を参照した。興味のある人は直接フランスのMac App Storeに行けば自分で確認することもできる。

TechCrunchはMessengerがほかのいくつかの市場にも届いていることを確認した。メキシコポーランドオーストラリアなどだ(ほかにもあるかもしれない。本誌はまだ世界中のMac App Storeのリンクをクリックして一つひとつ確認したわけではない)。

デスクトップ版のMessengerアプリは、モバイルアプリとほぼ同じ機能をもち、テキスト以外に音声あるいはビデオのチャットもある。グループのチャット、通話、ビデオチャットも可能だ。ファイルの共有やエモジによるリアクション、反射を避けるためのダークテーマなども、モバイルアプリと同様に利用できる。

アプリの開発に使用されているのはElectronで、Catalystではない。Electronはウェブアプリからデスクトップアプリを作る方法としてよく使われているが、セキュリティー面ではさまざまな意味で堅牢とはいえない。

Mac版アプリの発表は、FacebookがiOS向けにスリム化されて高速になったMessengerアプリを公開した直後のことだった。新しいモバイルアプリは「発見」(Discover)セクションを廃止してインターフェースを簡素化し、Messenger体験をビジネスやアプリではなく、人々やストーリーに改めて方向づけした。

最近Facebookは、コロナウィルス流行を考慮して今年のF8カンファレンスの中止を発表した。これは、もっと待たなければ見ることのなかったニュースや新発表をFacebookから聞けるという意味かもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

NASAがスタートアップを含む民間17社と都市空域交通の変革に取り組む

NASA(米航空宇宙局)は、スタートアップ企業や一般企業17社と共同で、Urban Air Mobility Grand Challengeを(アーバン・エア・モビリティ・グランドチャレンジ)企画し、都市部の移動手段を変える計画を推進する。

「すべて実現した暁には、この新しいUrban Air Mobility(都市空域交通)システムによって、不便な地域や遠隔地域への宅配、タクシー、先端航空医療サービス、貨物輸送などが可能になる」とNASAは声明で語った。

「Grand Challengeシリーズには、新しい交通手段や空間管理技術を開発する企業が集結する」とNASAは説明する。「この一歩と共に取り組みを続けることで、小型無人航空機が都市や郊外を飛び回ってさまざまなサービスを提供するという長年期待されてきた光景を早く実現できると期待している」とNASAの航空学副長官であるRobert Pearce(ロバート・ピアース)氏が声明で語った。

企業を集めて共同作業するだけでなく、規制当局にも技術情報を提供し、協力して早期に空域交通を大衆化する方法を探ろうとしている。同氏は声明で「FAA(連邦航空局)との提携は、今後数年間に予定されている一連のグランドチャレンジを通じて、業界にとって有効かつ安全な結果が生まれるために不可欠だ」と語った。

契約の締結は、2022年に行われるチャレンジ企画の公式コンペに向けての最初の一歩だ。今年中には、予備的な技術テストが行われる。「これはグランドチャレンジ1に向けてリスクを軽減するための1手段とわれわれは考えている」とNASAのグランドチャレンジ責任者、Starr Ginn氏は言う。「技術テストでは、米国の航空機会社と空域管理サービス会社が経験を積むために、NASAも飛行テストに使っているシミュレーション環境で自社のシステムを実地運用できる」と同氏。

チャレンジのための提携には以下の3つのカテゴリーがある。

  • 開発用飛行テスト:チャレンジで飛行する航空機を提供する産業パートナー。
  • 開発用空域シミュレーション:NASAが設計した都市交通用空域シミュレーション環境で交通管理サービスをテストする企業。
  • 航空機メーカーとの情報交換:このカテゴリーのパートナーは、自社の航空機に関する情報を提供して、NASAが2022年のグランドチャレンジで実施される飛行活動に向けて準備ができるよう、密に共同作業を行う。

グランドチャレンジの管理は、都市空域交通を管理するためにNASAの航空研究ミッション局(ARMD)内に設立されたAdvanced Air Mobilityプロジェクトを通じて行われる。チャレンジ企画に参加する企業は以下のとおり。

  • Joby Aviation(ジョビー・アビエーション、カリフォルニア州サンタクルズ)
  • AirMap(エアマップ、カリフォルニア州サンタモニカ)
  • AiRXOS(バージニア州シャンティリー)
  • ANRA Technologies(アンラ・テクノロジーズ、バージニア州シャンティリー)
  • ARINC(エーアールインク、アイオワ州シーダーラピッズ)
  • Avision(エービジョン、カリフォルニア州サンタモニカ)
  • Ellis & Associates(エリス&アソシエーツ、カリフォルニア州ロサンゼルス。同州パロアルトのLacuna Technologiesの完全子会社)
  • GeoRq(ユタ州ホラデイ)
  • Metron Aviation(メトロン・アビエーション、バージニア州ハーンドン)
  • OneSky Systems(ワンスカイ・システムズ、ペンシルベニア州エクストン)
  • Uber Technologies(ウーバー・テクノロジー、カリフォルニア州サンフランシスコ)
  • The University of North Texas(ノース・テキサス大学、テキサス州デントン)
  • Bell Textron(ベル・テクストロン、テキサス州フォートワース)
  • The Boeing Company(ザ・ボーイング・カンパニー、バージニア州シャンティリー)
  • NFT(カリフォルニア州マウンテンビュー)
  • Prodentity(プロデンティティー、ニューメキシコ州コラレス)
  • Zeva(ゼバ、ワシントン州スパナウェイ)

画像クレジット:CurvaBezi

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ソフトバンク出資のインド格安ホテルチェーン「Oyo」が世界で5000人レイオフ

米国時間3月4日、インドで説立された格安ホテル仲介のスタートアップであるOyoは、世界で5000人のレイオフを実施すると発表した。支出を削減し収益性を向上させるためだという。

今回の人員削減により、Oyoの社員数は世界80カ国合計で2万5000人程度となる。Oyoの広報担当者はこの人員削減はOyoが1月に発表したリストラの一部だとして次のように述べた。

「OYOは2020年1月に発表したリストラをグローバルで実施中だ。中国における最近の施策もこれに沿ったものだ。中国はOYOの住宅供給事業の重要な市場だ。我々は界の数百万人の中所得層の人々に質の高い生活を提供するというコアなミッションを果たすために、何千ものOYOパートナーとの協力を続ける。新型コロナウィルスがもたらす困難な状況の中でも、善意にあふれ強靭な回復力がある中国社会をあらゆる方法で支援し続ける。パートナー、社員、顧客のすべてに対し、力強い協力に感謝したい」。

Bloombergの報道によれば、、レイオフは主としてOyoの中国におけるビジネスに関連するものだ。同社は中国で6000人の常勤社員の半数をレイオフする。インドや米国でも4000人の裁量労働契約の社員を「一時的に」解雇する。つまりビジネスが回復すれば一部は再雇用される計画という。

Ritesh Agarwal(リテシュ・アガルワル)氏 が創立し、ソフトバンクが巨額の投資をしているOyoはインド国外にも積極的に進出を続け、最近では世界最大のホテル宿泊仲介サービスとなることを目指していた。

急拡大の過程で同社は15億ドル以上を調達した。 昨年10月に26歳のアガルワル氏はさらに15億ドルの資金を求めており、うち7億ドルは個人として調達したことを発表した

しかし昨年、ソフトバンクが巨額を投じたもう1つのスタートアップ、WeWorkの経営悪化が劇的に明らかになった後、Oyoに対する視線も厳しくなっていた。

今年初めのNew York Timesの記事によれば、Oyoのパートナーとなったホテルの多くがOyoが契約条項を守らず、だまされたと感じており、深刻な財政状態に陥っているという。インドのビジネスメディア、The KenはOyoは非現実的な目標を示し、社員にかける圧力を増大させたことを詳しく報じた

Oyoは2019年3月31日を終期とする会計年度で、世界で9億5100万ドル(約102億3000万円)の収入があったものの3億3500万ドル(約360億3600万円)の損失があったことを明らかにしている。前年の損失は5000万ドル(約53億8000万円)だった。アガルワル氏は1月にブログに次のように書いている

「これらの意思決定の一部、ことに人員配置モデルの変更に関連する決定は困難なものだったが、Oyoのビジネスおよび2万5000人以上のOYO提携者の利益となる正しいものだったと信じる。我々は困難な時期を終わろうとしており、まもなくリストラは完了する。2020年以降は力強く安定した成長を続けることになるだろう」。

画像: Akio Kon/Bloomberg/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

「Uberドライバーはフランスでは従業員」と仏最高裁判所が裁定

フランスの破棄院(Court of Cassation)は、「Uberドライバーは自営業のパートナーとしてではなく従業員として扱われるべきだった」と裁定した。破棄院は司法訴訟に関する最高裁判所であるため、Uberはもう上訴できない。

2017年6月、1人のUberドライバーがアカウントが凍結されたためにUberを相手取って訴訟を起こした。労働裁判所は当初この訴訟を「従業員と雇用主の間のものではないために扱うことはできない」と判断した。

そのため、パリの別の裁判所がこの訴訟を引き受け、UberドライバーとUberの間には雇用関係があったと裁定した。裁判所によると、Uberとドライバーの間には従属関係があった。別の言葉で言うと、ドライバーはUberの命令に従っていた。

パリの裁判所は、ドライバーが自前の顧客ベースを構築できず、価格も決められなかった点を指摘した。ドライバーはまた、「Uberが仕事を監督していて乗車の提供を3回断ると『まだ働いている?』というメッセージを受け取っていた」と主張した。

この裁判は結局、破棄院の判断を仰ぐことになった。「ドライバーがUberのデジタルプラットフォームでオンラインになると、ドライバーとUberの間には従属関係が生じる。これに基づくと、ドライバーは自営業としてではなく、従業員としてサービスを提供している」と破棄院は書いている。

破棄院はまた、「自営業の人はクライアントを自分で管理する、価格を設定する、タスクをどのように実行するかを決める、という3つのことができなければならない。Uberはこうした要件をクリアしていなかった」とも指摘した。

Uberはドライバーが乗車を引き受けてからでなければ行き先を明かさないので、ドライバーは行先によって乗車を引き受けるか断るかを決められない。もしドライバーが何回も乗車を断ったり、悪い評価を付けられたらドライバーはアカウントにアクセスできなくなる。

「ドライバーは管理された輸送サービスに参加し、Uberは一方的に運営条件を決めている」と破棄院は指摘する。たとえドライバーが「おとがめ」を伴うことなく数日間Uberの使用をやめることができたとしても、それは今回の訴訟とは無関係だ、という考えも示した。

Uberの広報は下記のようなコメントを出した。

今回の裁定は、Uberのアプリを2017年から使っていないドライバーに関係するものだ。なぜドライバーがUberの使用を選んだのか、その理由がこの裁定には反映されていない。働くための自立と自由だ。過去2年間、我々は手厚い社会的保護を提供するとともに、Uberの使い方についてより多くの裁量をドライバーに与えようと変更を加えてきた。

そして我々は振り出しに戻る。今度は労働裁判所がこの訴訟を担当する。今回の裁定に基づいて、前ドライバーが金銭の補償を受けるべきかどうかを決める。

他のドライバーも自分の訴訟に最高裁判所の判断を生かすかもしれない。Uberが何と言おうと、今回の裁定はUberと、フランスで自営業のパートナーとマーケットプレイスを運営している他の企業が従わなければならないものとなる。

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(翻訳:Mizoguchi

インド最高裁が中央銀行による暗号通貨取引の禁止命令を覆す判決

インドの最高裁判所は4日、中央銀行が2年前に出した暗号通貨取引の禁止命令をひっくり返す判決を下した。多くの人が判決を「歴史的」と受け止めている。

インド準備銀行(RBI)は2018年4月に暗号通貨の取引禁止を命令した。銀行や他の金融機関が“バーチャル通貨に関連するあらゆるサービス”を行うことを禁止するというものだ。

当時、RBIはインドの金融システムを”囲って守る”ために必要な措置と述べた。また、Bitcoinや他の暗号通貨は金属でつくられておらず、また物理的に存在せず、政府によってスタンプも押されていないため、通貨として扱うことはできない、とも主張した。

中央銀行の2018年の通達は、暗号通貨取引サービスを提供するいくつかのインドのスタートアップや企業をパニックに陥れた。そしてそれらのほとんどが店じまいした。

今日の判決では、裁判長のRohinton F. Nariman(ロヒントン F. ナリマン)氏は中央銀行の通達は不適切として無効にした。

インターネット・モバイル協会といった取引団体を含む原告グループは、暗号通貨取引を許可しているだけでなく、独自のバーチャル通貨を立ち上げようとしている多くの国にインドは目を向けるべきだ、などと主張して中央銀行の通達に異議を申し立てた。

テック投資家のNitin Sharma(二ティーン・シャーマ)氏は、最高裁の判決は“歴史に残るもの”であり、この問題にようやく決着をつけることができた、と話した。

「インドの暗号通貨にとって歴史的な日だ。これでインドはブロックチェーン革命に参加できる」とBitcoin取引プラットフォームWazirXの創業者でCEOのNischal Shetty(二シャル・シェティ)氏は述べた。

画像クレジットAvishek Das / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

HuluのLive TVが遅まきながらPlayStation 4にやってきた

HuluのLive TVサービスは、ライブとHulu Originalsのようなオンデマンドの番組を両方観ることができる。それがついに、米国のPlayStation 4にやってきた。サービスの開始から3年近くも経っている。Live TVはすでにメジャーなプラットホームのほとんどすべて、Apple TV(第4世代)、Amazon Fire TV、Echo Show、Rokuのデバイス、Xbox 360とXbox One、Nintendo Switch、iOS、Android、Windows 10、Web、Chromecast、一部のテレビ(LG、Vizio、Samsung)などに対応しているから、Huluは大きな穴を塞いだことになる。

Huluは、こんなに遅くなった理由を説明していないが、しかしPS4で見られないライブのTVストリーミングはHuluだけではない。DishのSling TVもPS4のサポートがないし、AT&TのTV NOWにもない。一方Huluの上位ライバルYouTube TVは、Sonyのゲーム機にもストリーミングする気のようだ。

テレビのストリーミングが観られる主なプラットフォームはゲーム機以外にもあるため、ゲーム機は重視されない傾向がある。eMarketerによると、例えば米国ではメディアプレーヤーとしてはライバルのAppleやAmazonよりも先にRokuがサポートした。それに忘れてならないのは、Sony自身のPlayStation Vueも、Live TVサービスではPlayStationの大きなユーザーベースに加われなかったことだ。PlayStation Vueは2020年1月に閉鎖されてしまった

Huluによると、すでにHuluの標準サービスをHuluアプリでストリーミングしているPS4のオーナーは、Hulu.comでアカウントの設定をしてHulu + Live TVに切り替えれば観られるようになる。すでにHulu + Live TVに加入しているユーザーは、PlayStation 4上でHuluアプリを起ち上げればLive TVのチャンネルを楽しむことができる。

Live TVが提供するチャンネルはESPN、FOX、NBC、ABCなどだ。

Disneyが21st Century Foxを買収し、次いでNBCUとの取引により、Huluの過半数オーナーはDisneyになり、Huluは同社が完全にコントロールする企業になった。Disneyの支配下になって以降、Huluは組織改革によりCEOのRandy Freer(ランディー・フリアー)氏が去り、そHuluのマーケティング最高責任者だったKelly Campbell(ケリー・キャンベル)氏が社長に昇格した。米国時間3月3日にHuluはそのサービスの上に新たなFXハブを展開し、40あまりの番組やオリジナル作品の提供を開始した。FXは21st Century Foxの買収で、HuluのFox保有株とともにDisneyの資産になった。

Disneyによる12月の発表によると、HuluのLive TVの加入者は320万人に成長し、Huluの総加入者は3040万人だという。PS4でも見られるDisneyのストリーミングサービスDisney+は、それよりやや少ない2650万人の加入者がいる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ザッカーバーグ氏がFacebookによる新型コロナウイルス感染症への取り組みを詳しく説明

マーク・ザッカーバーグ氏は、Facebookならびに彼が家族で運営する非営利団体のチャン・ザッカーバーグ・イニシアチブが、COVID-19として知られる新型コロナウイルス感染症と、病気に関する誤ったウイルス情報の広がりに対応するために行っていることの概要を、米国時間3月3日夜の早い時間に投稿した声明の中で説明した。

Facebookの対応は、3つの分野に焦点を当てている。正確な情報の提供、誤まった情報報をくい止めること、そして研究のためのデータ(これはFacebookが提供する普通のデータだ)提供である。

Facebookは、正確な情報を提供するために、そのプラットフォームで新型コロナウイルスに関する情報を検索するユーザーに対して、自動ポップアップを介して世界保健機関(WHO)または地元の保健当局サイトへの訪問を提案する。また、情報に関するそうした通知は、世界保健機関が人から人への感染の事例を報告した国にいる、すべての人のニュースフィードに自動的に挿入される。

「進行中の状況を考慮して、私たちは保健省やWHO、CDC、そしてユニセフなどの組織と協力して、新型コロナウイルスに関するタイムリーで正確な情報を入手できるよう協力しています」とザッカーバーグ氏は述べている。「私たちはWHOに対して、新型コロナウイルス対応に必要とされる無料広告枠と、それに相当する支援も提供しています。また、他の組織に対しても、広告クレジットのかたちで多大な支援を提供していますし、必要に応じて追加の支援を提供するために、グローバルな健康の専門家たちとも緊密に協力します」

Facebook上での誤った情報の拡散を止めるために、ザッカーバーグ氏は、グローバルな健康機関によって疑義のある虚偽情報と陰謀説をFacebookから排除し、怪しげな治療法を売り込むことで大衆の不安を煽るような広告を出すアカウントをブロックする、と書いている。

最後にそしておそらく最も議論になる内容として「人々が私たちのサービスを使って、アウトブレイクを封じ込めるためのより広範な努力に、どのように貢献できるかにも目を向けています」とザッカーバーグ氏は書いている。「研究者たちは、ウイルスがどのように拡散しているかをよりよく理解するために、モビリティデータや人口密度マップを含む、集計され匿名化されたFacebookデータをすでに利用しています」という。

匿名化されたデータに誰がアクセスできるのか、ユーザーがそのデータを使用して何を行えるのか、またはウイルスからの脅威が和らいだあとに、どれくらいの期間アクセスが可能なのかという点について、Facebookがどのようにコントロールしていくのかについての疑問は残されている。Facebookは、この記事公開に間に合うタイミングではコメントを返していない。

チャン・ザッカーバーグ・イニシアチブも、病気の拡大を食い止めるための医学的努力を支援している。ゲイツ財団と協力することで、2つの組織から資金提供を受けた研究者たちは、数日でCOVID-19を引き起こすウイルスのゲノム配列を完全に特定することに成功し、ウイルスに感染した人々の特定が容易になった。

また同じチームは、他の科学者たちがまた別の病原体の場合でも全ゲノムを研究できるようにするIDSeqツールの公開バージョンを作成した、とザッカーバーグ氏はいう。

チャン・ザッカーバーク・イニシアチブが設立資金を提供した医学研究センターのBiohubは、体内のさまざまな細胞タイプをマッピングする細胞アトラス(地図)の開発にも取り組んでいる。一部の研究者は、このアトラスを使用して、新型コロナウイルスが肺をどのように損傷させるかを研究し、ウイルスによって引き起こされる肺の損傷を抑える可能性がある治療法を、特定し評価しようとしている。

「人々の孤独感を和らげ、助け合うためにできることはまだまだあります。そして今後数週間でみなさんと共有できるアイデアにも取り組んでいますが、現時点ではアウトブレイク自体の広がりを遅らせることに焦点を当てています」とザッカーバーグ氏は述べている。「多くの人が困難に向き合っています。私は、病気の人も隔離された人も、そうした人たちの友人たちや家族も、そしてもちろん、いつでも流行の最前線にいる医療従事者のみなさんのことも気にかけています。近いうちに、より多くの進捗情報をお知らせします」

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(翻訳:sako)

トランプの新型コロナ「デマ」発言を巡りFacebookでファクトチェック抗争勃発

ファクトチェッカーは誰がファクトチェックするのか? トランプは新型コロナウイルスを民主党の「新たなデマ」だと言ったのか?

右派パブリッシャーThe Daily Caller(ザ・デイリー・コーラー)がPolitico(ポリティコ)とNBC News(NBCニューズ)の記事に「虚偽」のラベルを貼り付けた問題から、大きな疑問が湧き上がった。The Daily CallerのCheck Your Fact(あなたのファクトをチェック)部門は、Facebookのファクトチェックプログラムに加盟するファクトチェックパートナーであり、Facebook上のリンクに「虚偽」というラベルを添付する権限を持つ。ラベルが付けば、ニュースフィードでのランクも、その投稿者の全体的な露出度も下がることになる。

2019年4月、The Daily Callerをファクトチェックプログラムのパートナーに迎えたFacebookの判断は、批評家の激しい非難を浴びた。同社には、誤りであることが広く認知された記事をいくつも掲載した過去があるからだ。これにより、政治的に偏ったファクトチェックという恐れていた事態が現実になったと信じる人たちもいる。

トランプ大統領は、2月28日の夜、新型コロナウイルスの世界的な大流行を、弾劾とミュラー特別捜査官による捜査、そして自身の第1期の功績を不当に傷つけ批判する目的で仕組まれたリベラル派の陰謀と位置づけた。虚偽の情報です独立系ファクトチェッカーが判定しました。
画像クレジット:Judd Legum

今週、Judd Legum(ジャッド・レーガム)氏のニュースレターPopular Information(ポピュラー・インフォメーション)が指摘したように、Check Your Factは、Politicoの「トランプは新型コロナウイルスを『デマ』と扱うよう集会に参加した支持者に訴えた」と、NBC Newsの「トランプは新型コロナウイルスを民主党の『新たなデマ』と発言」という2つの記事を虚偽と評価した。このファクトチェックの説明には「トランプは実際には、新型コロナウイルスの脅威を『デマ』とする問題への彼自身の対応について説明していた」と書かれている。

トランプは、集会でこう述べていた(太字は編集部による)。

今、民主党は新型コロナウイルスを政治問題化している。知ってるだろ、違うか? 政治問題化してるんだ。我々は大きな仕事を成し遂げた

【中略】

彼らは弾劾という茶番を企てた。完璧なプロパガンダだ。やつらはあらゆる手を尽くした。何度も何度も挑んできた。なぜなら、こっちが選挙に勝ったからだ。逆転だ。やつらは負けた。逆転したんだ。考えてもみろ。考えてもみろ。これはやつらの新しいデマだ。だが我々は驚くべき手を打った。この巨大な国で「感染患者は」15人だ。早期に動いたから、早期に動いたから、我々はもっとやれた。

【中略】

誰も死んでない。なのに変だろ、マスコミはヒステリー状態だ

トランプがそこで何を言わんとしていたかを、正確に捉えるのは難しい。新型コロナウイルスをデマだと言っているようにも聞こえる。デマの深刻さを心配しているようでもあり、彼の対応への民主党の批判をデマだと言っているようでもある。定評あるファクトチェック機関Snopes(スノープス)は、トランプが新型コロナウイルスをデマ呼ばわりしたという主張を、嘘と本当が混在したものと評価し、次のように述べた。「彼の発言である程度の混乱が起きたものの、トランプは新型コロナウイルス事態をデマだとは言っていない」

結論:虚偽
この情報の中心的な主張は不正確です。
Check Your Factによるファクトチェック
「虚偽:トランプは実際には、新型コロナウイルスの脅威を『デマ』とする問題への大統領の対応について説明していた」
画像クレジット:Judd Legum

PoliticoとNBC Newsの見出しは、少々行き過ぎたかも知れない。またこれらの見出しは、トランプがこの事態をどう特徴付けているかを明確に表現している。

しかし最大の問題は、なぜThe Daily Callerの判定を他のファクトチェックパートナーが内部監査できないようにFacebookはこのファクトチェックシステムを設計したかだ。

これを問うと、Facebookは責任の所在をはぐらかし、すべてのファクトチェックパートナーは無党派の国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)の認証を受けているため、内部監査の必要がないことを示唆した。この団体は倫理規定を公表しているが、そこにはチェックする者に「できる限り誤りのない作業を行うために、報告、記述、編集において高水準を保つ」ことを求める正確性の基準が含まれている。チェックする者はまた、記事の正確さを判断するための基準に従うことが要求され、「非常に疑わしい」や「見出しが虚偽」といった中間的なラベルを付けることも許されている。今回、The Daily Callerはそれらを使用しなかった。

The Daily Callerを真偽の判定者として相応しくないとは思っていないためIFCNの指針に頼ったと、Facebookは私に話した。またFacebookは、パブリッシャーがファクトチェックパートナーに直接掛け合い、判定の異議を申し立てもこともできると主張してた。だがさらに詳しく聞くと、パブリッシャーが異議申し立てができるのは、その判定を担当したパートナーに対してのみであり、他のパートナーに再判定を依頼したり、最初に付けられたラベルの内部監査を求めることはできないとFacebookは認めた。

これでは異論の多い、または不正確なラベルを撤回させられる余地はほとんどない。倫理規定に違反したファクトチェック団体は、IFCNから除外しFacebookのファクトチェックパートナーの資格も剥奪するべきだ。

たとえFacebook自身が真偽の判定をしたくないにしても、せめて決められた数のファクトチェックパートナーがその役割を果たせる制度を整えるべきだろう。ラベルが不正確だと複数のパートナーが合意したときは、記事のラベルの段階を軽くするか、ラベルを削除する。さもなければ、ひとつのファクトチェック団体の誤りや偏見が、報道機関の仕事全体を抑圧し、人々から真実を奪い去りかねない。

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(翻訳:金井哲夫)

FRBの緊急利下げでテック株は再び暴落

連邦準備制度理事会(FRB)が投資家の信頼を取り戻すための唯一のスイッチを入れた日、投資家たちは米国および世界経済の短期的財政見通しにまだ確信を持つことができなかった。

3月2日、月曜日の急速な回復が、直前の歴史的低調な週をある程度消し去ったあと、火曜日の主要三インデックスは揃って赤信号を灯らせた。

わずかな明るいニュースが急上昇をもたらした3月3日とは対照的に、3月4日の暴落はFRBが0.5%の緊急利下げを行った驚きの中にやってきた。このような突然の利下げは2008年の財政危機以来のことだ。https://twitter.com/levie/status/1234922251570429953?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1234922251570429953&ref_url=https%3A%2F%2Ftechcrunchjp.wordpress.com%2F%3Fp%3D332044%26preview_id%3D332044%26preview_nonce%3D00c8980f1e%26_thumbnail_id%3D332049%26preview%3Dtrue

私は専門家ではないが、利下げは意図された効果を生んでいないように見える

不確実な時期にFRBが何らかの緩和措置をしてくれるのは良いことだが、現実には、市場の予期したタイミング「前」のこれほど急な利下げは、事態を悪化させかねない。

投資家が悲観的になる理由はいくらでもある。航空機による旅とそれに伴う接客ビジネスの出費は、COVID-19感染の脅威によって、急速に削減されている。第1四半期に中国で起きたサプライチェーンの崩壊が、第2四半期にどこまで影響を与えるのか誰にもわからない。しかも米国は、新型コロナウイルスの伝播状況の把握もそれへの対策もまだできていない。

真の原因は定かではないが、株価が下落したことは事実だ。数字は以下の通り。

  • Dow Jones Industrial Average(ダウ平均株価): -789.37ドル、 2.96%
  • S&P 500:-86.86ドル、 -2.81%
  • Nasdaq Composite(ナスダック総合指数):-268.08ドル、 -2.99%

逆風はテック業界の巨人たちも襲った。Appleは3%以上下げ、Microsoftは4.8%、Amazonはやや少なく2.3%、そしてFacebookは5.4%と最大の暴落を記録した。

SaaS関連株へのあたりは特に厳しく、取引終了前の数時間に4%近く下落した。BessemerのクラウドおよびSaaS指数も2.9%減で終えた。さほど影響を受けていない会社もある。Slackは約1ポイント下げただけで、Uberは下げた分をすべて取り戻した。

何がこの乱高下を止めるのか、誰にもわからない。

最近のこうした市場の混乱をよそに、建築ソフトウェアのProcoreベンチャーキャピタルの支援を受けているAccoladeのように上場申請している会社もある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook