アルファベット傘下Waymoが中国メーカー「Geely」と提携、米国での配車サービス用電動AVを製造へ

Alphabet(アルファベット)の自律走行技術部門であるWaymo(​​ウェイモ)は、中国の自動車メーカーGeely(吉利)と提携し、全電動の自動運転配車サービス車両を製造する。WaymoのAVシステムであるWaymo DriverをGeelyのZeekr車両に統合し「数年内」に米国市場で使用する予定だ。

Waymoは生産開始時期やこれらの車両が路上を走るようになる時期など具体的なタイムフレームを示していないが、この提携はWaymoがOEM提携に向けたマルチプラットフォーム・アプローチを追求していることを示している。Waymoの現在の配車サービス車両は、Jaguar(ジャガー)のI-PacesとChrysler Pacifica(クライスラー・パシフィカ)のハイブリッド構成で、アリゾナ州フェニックスで自律走行による乗車を提供している。また、 Fiat Chrysler automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)を傘下に持つStellantis(ステランティス)との提携を拡大し、ローカル配送サービスも行っている。Waymoの広報担当者によると、吉利との計画によるWaymoの既存の提携への影響はないとのことだ。

Geelyが2021年3月に立ち上げた高級EVブランドZeekrは11月、初のプレミアムモデルである洗練されたクロスオーバーを中国で発売した。Waymoのバージョンは、レンダリング画像ではミニバンのような外観で、スウェーデンのヨーテボリでカスタム設計とエンジニアリングが行われている。米国に出荷された後、Waymoがライダー、センサー、カメラなどのハードウェアとソフトウェアを含む同社のDriverを車両に統合し、自社の配車サービスフリートで展開する予定だと同社は話している。

関連記事:中国自動車メーカーGeelyがTeslaら対抗でラグジュアリーなEVブランド「Zeekr」を立ち上げ

Waymoのブログ記事によると、Zeekrの車両は「ライダーファースト」に設計されていて「よりアクセスしやすいフラットフロア、Bピラーレス設計による容易な乗降、低い踏み込み高、ゆったりした頭上と足元のスペース、完全に調節可能なシート」を備えている。完全なドライバーレス化を見据えてハンドルやペダルがない代わりに、ゆったりとくつろげるよう頭上と足元のスペースは十分に確保され、リクライニングシートやスクリーン、充電器も手の届くところに設置される。

Cruise(クルーズ)やArgo AI(アルゴAI)など他のAV企業も、専用の配車サービス用EVの計画を明らかにしている。Cruiseは2020年、ライドシェア向けのOriginを発表した。9月にはArgoとVolkswagen(フォルクスワーゲン)が共同開発した自律走行バンのID Buzz ADの計画を明らかにし、2025年にドイツのハンブルクで自律走行配車プールシステムの一部として商業展開する予定だ。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】離陸間近なeVTOLの今後、パート2

今年は垂直離着陸機(eVTOL)業界にとって重大な転換点であり、十億ドル規模のイグジットや莫大なベンチャー投資、そして幾多の提携が起きた。しかしさまざまな意味で、この一年は試合開始前のチェス盤を準備している段階だったと思うべきだろう。そしてすべての駒が配置された。いよいよ対局開始だ。

つまり、2022年は成否が決まる年になる、少なくとも2024年までに商業運行するという大志を宣言したデベロッパーにとっては。来年は果たして何が起きるのか、彼らに限らず業界全体で。来たる年に注目すべき予測とトレンドをいくつか下に挙げる。

「行動で示せなければ黙っていろの年」

われわれが話した専門家やアナリスト、VCたちの全体的な所感は、2022年は良いものと悪いものを見分けることが重要だということのようだ。具体的には、航空機が連邦航空局(FAA)の認可を取れるかどうか、それは自社のプロダクトを離陸させたいと願う会社すべてにとっての必須要件だ。

「2022年のメインテーマ、それは間違いなくFAAの認可です」とSMG Consulting(SMGコンサルティング)のファウンダー・パートナー、Sergio Cecutta(セージオ・セクッタ)氏は語る。「今年は、行動で示せ、さもなければ黙っていろという年です」。

認可の日程を踏まえると、2024年に運用を始めたい企業は、認可を得るために来年末までにはFAAと一緒に飛び始める必要がある。

IDTechEx(IDテック・イーエックス)のテクノロジー・アナリスト、David Wyatt(デビッド・ワイアット)も同じ意見だ。「2022年に私が見たいのはたくさんの飛行機が飛んでいるところです」と語った。「2024年までに認可可能なものを作るためには、十分な数の飛行機を飛ばして、その能力を行動で示す必要があります」

「それらは完全な最終プロダクトではありませんが、少なくとも巨額の資金を調達した会社として期待されるプロトタイプを作る必要があります」と彼は付け加えた。「そのための飛行機を作り、運用認可を取れる能力を投資家に示さなくてはなりません」

自動車メーカーが本気になる

eVTOLの主要プレーヤーの多くがスタートアップ(またはスタートアップ転じて上場企業、SPACのおかげで)だが、エアタクシーやドローン配達を始めとする電動飛行アプリケーションの巨大な潜在市場を活かそうとしているのは彼らだけではない。

Hyundai(現代自動車、ヒョンデ)とHonda(ホンダ)のeVTOLへの熱意にためらいはない。Hyundaiは2020年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショウ)でeVTOLのコンセプトを披露した。2021年末には、同社の都市型エア・モビリティー部門を専門の子会社、Supernal(スーパーナル)として独立させ、2028年までに航空機を市場に提供する計画を発表した。

ほかの自動車メーカー、中でもToyota(トヨタ)とStellantis(ステランティス)は、前者がJoby(ジョビー)からの大型投資を受け、後者がArcher(アーチャー)との生産契約を既に結んでいる。しかし来年は、さらに多くの自動車メーカーがeVTOLプロジェクトを発表する可能性がある、とUP Parterns(ユーピー・パートナーズ)の共同ファウンダー・マネージング・パートナー、Cyrus Sigari(サイラス・シガリ)氏は言う。

「Ford(フォード)やGM(ゼネラル・モーターズ)が2022年に大きな動きを見せても私は驚きません」

まだ続くSPAC

本誌のeVTOL回顧パート1でも詳しく書いたように、2021年は間違いなく、SPACの年だった。この金融手段には明確な上昇力があり、それはeVTOLだけでなく電気モビリティー分野全体で起きた現象だった。このトレンドが2022年にも続くかどうか明らかではないが、航空産業の資本需要の高さは、さらに多くのスタートアップが公開市場からの巨額な資金注入を期待していることを意味している。

航空会社、JetBlue(ジェットブルー)のベンチャーキャピタル部門のプレジデント、Amy Burr(エイミー・バー)氏は、SPACは電動飛行機デベロッパーのように売上の無い会社が資金を調達して上場する最高の手段かもしれない、と語った。

「彼らにとってそれが唯一の進むべき道だと私は考えます、今まで通りベンチャー・ラウンドを繰り返して資金を獲得できるのでなければ。それも常に可能性の1つですが」と彼女は言った。

シガリ氏は、来年「あと2つ」SPACの入る余地があることを示唆した。「5を越えたら非常に驚くでしょう、ゼロにならないことも間違いありません。これは、世界的金融危機が起きないことが前提です」

公開市場の航空テクノロジーに対する食欲がわずかに減少する可能性はある。11月末、エアタクシーのデベロッパー、Volocopter(ボロコプター)はSPAC計画の中止を発表し、それはSPACの「著しく好ましくない」状況が理由だとドイツの報道機関が報じた

「SPAC案件が増える可能性は常にありますが、Volocopterの計画が頓挫したことがこの種の取引一般に対する関心が冷え込んでいる兆候なのかどうかは、まだわかりません」

本誌が話をした専門家の殆どが言及しなかった(あるいはさほど関心がなかった)のが、自動運転車などの最新テック分野で起きている業界統合だ。「時間とともに、統合は不可欠になるでしょうし、うまくいかない会社もでてくるでしょう」とセクッタ氏は言った。

言及がなかったことが示唆するのは、少なくとも本誌が考えるに、この業界は先進技術ハイプ・サイクルの頂点にまだ達していないということだろう。それは、狂気じみた現金流入と盛大なファンファーレにも関わらず、この先にはまだ苦難の道があるかもしれないことを意味している。

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画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロモビリティ2022:さらに洗練され、成熟し、テクノロジーを満載に

2021年は、コンセプト、ソリューションそして生き方としての「マイクロモビリティ」が定着し始めた年だった。

シェア式マイクロモビリティの増加と新型コロナ禍中の公共交通機関は、人びとに小型電気車両を自分で購入する可能性を考えさせることになった。その結果、2021年は電動自転車の年となり、7月までの12カ月間で売上高は240%増加した。この新しい習慣によって、都市は10年前なら本当に信じられなかったインフラストラクチャ計画を採用することとなった(パリを見て欲しい!)。

2021年は、人びと、特に都市の人びとが、電気自動車の登場よりも間違いなく大きいマイクロモビリティの炭素排出量削減への影響について、オープンに話し始めた年でもある。

2021年、シェア式マイクロモビリティ企業たちは、このような電動スクーターや電動自転車に向かい始めた考え方の変化を受け、市場での支配的な地位を利用して、その運用効率を高め、ハードウェアをより適切なものにしようとしてきた。

では以上のような背景を踏まえて、2022年のマイクロモビリティ分野の今後の展望を見ていこう。

みんなの電動自転車

特に米国などの国々では、新しい電動自転車の購入に対して最大900ドル(約10万3000円)の補助金が出されていることから、電動自転車のトレンドは2022年も続くと予想されている。しかし、このブームは個人消費者にとどまるものではない。Segway(セグウェイ)のグローバル・ビジネス開発担当副社長のTony Ho(トニー・ホー)氏によれば、マイクロモビリティ企業からの電動自転車の需要も大きく伸びているという。Segwayは、Lime(ライム)やBird(バード)といったシェア式マイクロモビリティの巨人たちに、電動キックボードや電動自転車を供給していることで知られている。

「Limeは当初、シェア自転車の会社でしたが、キックボードを始めるまではうまく行っていませんでした。キックボードの方が安価で、導入しやすいという理由もあります」とホー氏はTechCrunchに語っている。「今では、電動自転車の人気が高まっているようで、構成比が平準化し始めているようです。それに伴いシェア向け電動自転車の注文が多くなっています。また都市にとっても、もともとシェア自転車プログラムを持っていたわけですから、問題ありません」。

新しいVCマネーは枯渇する

BirdやHelbiz(ヘルビズ)のような大手企業が上場し、Limeも2022年の上場を約束しており、業界は全体として数社の大手企業に集約されてきた。そのため、VCの資金や新規参入者が増えるのではなく、現在の市場が成熟していくことが予想される。

ホー氏は「BirdとLimeのブームの後、投資家たちは、Coco(ココ)の歩道ロボット配達員のような、別のものに移ったと思います」という。「このビジネスに参入するにはまだかなりの資金が必要ですし、個人的には、小規模な事業者にとっては、特に都市部ではライセンス料を払い保険に加入する必要があるため、より困難だと思います。実はもう、小さなスタートアップ向けのゲームではないのです。最後の波を生き延びた者が、おそらくここに留まることになるのでしょう」。

残っている企業は、コストを下げ、より効率的で持続可能なものにして、市の規制に準拠するために全力を尽くしている。

だが……ライドシェア企業が再び登場するかもしれない。

ホー氏は「私たちが得ている注文と引き合いは、多くの企業が戦いに戻ってきていることを示しています。ですから、人びとがパンデミックから抜け出す来年には、マイクロモビリティが優先課題になるでしょう」という。「ライドシェア企業のような大手企業を含め、いくつかの企業が戻ってきています」。

2020年の夏は、パンデミックによるロックダウンの影響でマイクロモビリティは不調だった。たとえばUber(ウーバー)はマイクロモビリティのJump(ジャンプ)をLimeに売却し、その後両社の統合が進んだ。2020年5月には、Lyftも手を付けていた電動キックボードプログラムの多くを終了したが、もしホー氏の観察が正しければ、UberとLyftはすべての市場シェアを失う前に、ゲームに復帰しようとするかもしれない。

より多くAIが利用され、よりスマートな自動車の登場が期待される

都市は、キックボードが歩道に乗り入れたり、駐車したりするのをとても嫌がる。あまりに嫌がられるので、多くの企業が技術革新を行い、非常にスマートなスクーターを生み出している。Spin(スピン)、Helbiz、Voi(ボイ)などの企業は、カメラを使ったシステムをすでにテストしており、ライダーが歩道を走っていたり、歩行者にぶつかりそうになっているのを検知し、リアルタイムで走行を停止する機能まで備えている。Superpedestrian(スーパーペデストリアン)やBirdのように、高精度な位置情報を利用したアプローチを利用して、同様の高度なライダーアシスタンスシステムを実現しているところもある。企業がコストを抑える方法を見つけ、世界中の都市がこの楽しさを奪うテクノロジーの匂いを嗅ぎつけるようになれば、このトレンドはますます一般的になるだろう。

マイクロモビリティのADAS(先進運転支援システム)は、シェア市場を超えて広がっていくだろう。すでにStreetlogic(ストリートロジック)やTerranet(テラネット)などが、一般消費者市場で電動自転車ライダーがより安全に走行できるようにするために、潜在的な危険性を検知して衝突警告を出す機能持つコンピュータービジョンベースのシステムの製造に取り組んでいる。こうしたシステムは、自動車での移動を電動自転車での移動に置き換えたいと考えている一般的な人びとに、安心感と安全性を提供する。

「マイクロモビリティ」という言葉を生み出した業界アナリストHorace Dediu(ホレス・デディウ)氏は、マイクロモビリティの車両にセンサーを追加することが、企業にとってデータの収益化への道を開くことにもなるという。

デディウ氏は、TechCrunchの取材に対し「今後は、より多くのセンシングが行われるようになるでしょう。それは基本的にドライブレコーダーで行われ、多くのイメージングが行われることになるでしょう」と語った。「これが自動車の世界にやってくることは明らかですが、自動車の世界で起こることはすべてマイクロの世界でも起こりますし、多大な投資をしなくても1億台の車両に展開できるので、より早く起こることが多いのです」。

マイクロモビリティの車両の前後にカメラを設置することで、現在のドライブレコーダーのように全周囲を撮影することができます」とデディウ氏はいう。もしこれらのシステムがすでに歩道や歩行者専用道路を検知できているなら、路面状況を検知して、道路のメンテナンス問題に関する共有データベースを通じて都市行政側に知らせることができるだろう。あるいは、マイクロモビリティ企業がその情報をGoogleのような地図会社に売って、世界をもう少し良く映像化できるようにするかもしれない。

ユーザーからの動きを計測するトルクセンサなど、現在のマイクロモビリティができる他の機能を考えると、企業はウェアラブルデバイスに連携する「Peloton(ペロトン、オンラインフィットネス)のようなサービス」を提供できる可能性があるとデディウ氏は予測している。

マイクロモビリティとメタバース

「Meta(メタ)つまりFacebook(フェイスブック)や、Microsoft(マイクロソフト)やApple(アップル)は、頭に何かを装着している人とどうやって対話するかを探究するために、何十億ドル(何千億円)もの投資をしてきました」とデディウ氏は述べている。「私は、この2つの考えを単純に組み合わせて、どうせヘルメットをかぶるなら、スマートなヘルメットにしたらどうだろう?と言いたいのです。そして、せっかくスマートヘルメットをかぶるのであれば、そうしたくなるような刺激的でおもしろいものにしたいですよね?」。

街を移動する際に現実を拡張してくれるスマートバイザー付きのヘルメットは、ライダーが周囲の環境をより意識して安全を高められる可能性があるだけではなく、さまざまな体験を解放して人びとが外に出て動きたくなるようにすることができると、デディウ氏はいう。

「マイクロモビリティとメタバースは、お互いのために作られているのです」と彼はいう。「それは『見上げること』です。一方、車の体験の拡張は、下を向いて孤立していくことに他なりません。では、上を見るのと下を見るのとどちらがいいでしょうか?」。

注意:この組み合わせは2022年には起こらないかもしれないが、デディウ氏は今後数年の間に何らかの形で起こることを確信している。

新しく、より頑丈なフォームファクター

毎日キックボードや電動自転車、電動バイクに乗って仕事に向かう上で唯一の問題は、雨が降ったらどうなるかということだ。戦略アドバイザーでエンジェル投資家でもあり、ディウ氏と「Micromobility Podcast」(マイクロモビリティポッドキャスト)を共同ホストとして提供しているOliver Bruce(オリバー・ブルース)氏は、この問題を解決し、さまざまなユースケースに対応するために、消費者市場とシェア市場の両方で、新しい、よりヘビーデューティーで、閉じた屋根のある形状が登場する可能性があると述べている。

ブルース氏は、最近Tilting Motor Works(ティルティングモーターワークス)を買収したArcimoto(アーキモト)やNimbus(ニンバス)のような企業が、傾斜電気三輪車(方向転換の際に車体が傾く三輪車)の開発に取り組んでおり、2022年には市場に投入される予定だと語っている。

ブルース氏は、TechCrunchの取材に対し「COP26で話し合った気候変動に関する目標を真剣に達成するためには、新しい電気自動車が登場し、急速に普及する必要があります」と語った。「しかし、現在の状況で電気自動車を普及させようとすると、本当に大変なことになります。私たちにはその余裕がないのです」。

交通システムに組み込まれたマイクロモビリティ

ブルース氏は「2022年には、公共交通機関の一部にマイクロモビリティが組み込まれるようになり始めると思っています」という。「例えば地下鉄を降りて電動自転車に乗るようにすれば、お互いにメリットのある移動となります」。

ブルース氏によると、これは、世界中の都市(主にヨーロッパ)で私たちが目にしている、より多くの自転車専用道路を建設するインフラ事業の副次的影響の一部になるという。しかし、それはマイクロモビリティ企業が車両1マイルあたりのサービスコストを大幅に削減することにもつながる。

「マイクロモビリティ事業者が輸送機関に大量に移動距離を販売することで、その経済性はますます大きなものとなっていきます。そうした輸送機関は、地下鉄カードやアプリを使ってキックボードのロックを解除することができるのです。世界の都市の中には、これを公共交通機関に組み込むところも出てくるでしょう」。

マップとの連携強化

「おそらく2022年から先は、ソフトウェアの年になるかもしれません」とデディウ氏はいう。

今日、GoogleマップやMoovit(ムービット)のような移動計画や地図アプリは、ユーザーに提供する目的地までの複数の方法の中に、マイクロモビリティのオプションを統合し始めていている。このような統合により、マップが検索エンジンの役割を果たし、移動手段の上位ヒットを数秒で確認できるようになるはずだ。

「現在は、AからBに行きたいと指定すれば3つか4つの選択肢が出てきます、しかしそこに乗車に対する入札結果は提示されません」とデディウ氏はいう。「わたしはそこに15件の入札結果を見たいと思っています。乗車依頼をするたびにオークションが開催されるようになって、Google検索の結果のよう表示されて欲しいですね。こんな当たり前の話にもかかわらず、2022年を目の前にしてまだ実現されていないことにショックを受けています」。

「でもその主たる原因は仲介するプラットフォームがないからです。適切なAPIが欠けているのが原因なので、もしそれが実現すれば、シェアオペレーターがGoogleマップ上で入札する機会が爆発的に増えるはずです。そうなればマイクロモビリティから莫大な収益が発生するでしょう。こうして、マイクロモビリティの収益化は、発見を通して行われるようになるのです」。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文: Rebecca Bellan、翻訳:sako)

サイクリストの安全性のために自動運転車が守るべき基準を同技術のArgoが発表

自動運転車技術を提供するArgo AI(アルゴAI)が、権利擁護団体のLeague of American Cyclists(LAB)と共同で、自動運転車がどのようにサイクリストを識別し対応すべきかについて示すガイドラインを作成した。自動運転業界がテスト段階から商業化へと移行し、今後数年でより一般的になろうとしている今、他のAV企業が模範とできるような基準を設定しようというのが目的である。

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世界保健機関(WHO)の推計によると、毎年4万1000人のサイクリストが道路交通関連の事故で死亡している。自動運転車により大幅に減ると期待されている衝突事故だが、優れたコーディングがなければそれが叶うことはない。自動運転車は、発生し得る物体や状況を分類および特定する膨大なデータベースから学習する仕組みだが、Argoのガイドラインでは自転車、自転車用インフラ、自転車法に特に留意してモデルをトレーニングすることを重視している。

Argo AIの社長兼共同創業者であるPeter Rander(ピーター・ランダー)氏は声明の中で次のように話している。「コミュニティメンバーとの信頼関係を構築し、一貫した安全な行動によってサイクリストに安心感を与えられる自動運転システムを開発するための、当社の献身的な取り組みの一環としてこのガイドラインを作成しました。他の自動運転車開発者にもこのガイドラインを採用してもらい、リスクの高い道路利用者とのさらなる信頼関係を築いていきたいと考えています」。

現在、米国およびドイツの一部で自動運転テスト車両を運行しているArgoは、LABのコミュニティと連携して一般的なサイクリストの行動や車との関わり合い方ついての聞き取りを実施。ArgoとLABは、自動運転システムがサイクリストを検知し、サイクリストの行動を予測し、安定した運転を行うための6つの技術ガイドラインを策定した。

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サイクリストは明確な対象クラスであるべき

サイクリストを個別のジャンルとして扱い、分類すれば、自動運転システムが学習すべき多様な自転車画像が収集できる。システムはさまざまな位置、方向、視点、速度の自転車画像を使って学習する必要がある。またこれにより自転車やライダーの形や大きさの違いも把握できるようになるとArgoは伝えている。

「スクーターや歩行者とは異なり、自転車の動きには自転車ならではの特徴があるため、自動運転システム(SDS)が自転車を正確に検出し、知覚システム内のコアオブジェクトとして自転車を指定する必要があります」と同社はいう。

サイクリストの典型的な動きを読む

自転車は予測不可能な動きをするものである。車線を超えたり、自転車をひいて歩いたり、道路上の障害物を避けるためにちょこちょこ動き回ったり、一時停止の標識で止まったり、歩道から道路に飛び出したりと、その動きはさまざまだ。優れた自動運転システムは、彼らの意図を予測するだけでなく、それに応じた対応を準備しておく必要があるのである。

「SDSには、サイクリストのあらゆる動きを把握した、サイクリストに特化した行動予測モデルを活用する必要があります。自動運転車がサイクリストに遭遇した場合、サイクリストが進路に選択するであろう複数の軌道を生成し、SDSがサイクリストの行動をより適切に予測して対応できるようにするのです」。

自転車インフラと地域の法律を地図上に表示

自動運転システムでは、周囲の環境を把握するために高精細な3Dマップを利用することが多い。Argoはその環境の一部として、自転車インフラや自転車に関する地域や州の法律が表示されるべきだと考えている。これにより、自転車レーンを塞いでいる停車中の車を避けるために車線に入ってきたり、赤信号を無視したりする自転車の動きを自動運転システムが予測し、自転車レーンから安全な距離を保つことができるというわけだ。

サイクリストから見たシステムの動きは一貫性があり理解しやすく、安全性が高くなければならない

サイクリストがAVの意図を明確に理解できるように、自動運転技術はごく自然な動きをするべきである。追い越しや合流、曲がる準備をする場合に、片側の車線を走行しながら車両の位置を調整したり、方向指示器を使用したりするというのがその例である。

また自転車の近くを走行する場合は「現地の制限速度に応じた保守的で適切な速度を守り、現地の法律と同等以上の幅を保ち、その幅と速度を維持できる場合にのみ自転車を追い越すべき」とArgoは伝えている。

また、自動運転システムは自転車が転倒した場合に備え、車を止めたりそらしたりできるよう自転車と一定距離を保つべきである。

不確実な状況に備え、積極的に減速する

自動運転システムは自転車の意図、方向、速度の不確実性をよく理解する必要があるとArgoは考えている。例えば、車両と反対方向に走行している自転車が同じ車線を走っている場合なら、車両が減速するように訓練すべきだと同社は提案している。

実際、自動運転システムは、不確実な状況のほとんどのケースで車両の速度を下げ、可能であれば車両とサイクリストの間に距離を置くべきだ。特に自転車を対象としていない場合でも、不確実な場合に速度を落とすというのはAV開発の世界ではすでにかなり標準的なことになっている。

サイクリングシナリオのテストを継続

自動運転の安全性を向上させるには、テストを継続的に続けるというのが一番の近道だ。自動運転技術の開発者は、自転車に特化したバーチャルテストとフィジカルテストの両方を継続すべきだとArgoとLABは提案している。

「バーチャルテストプログラムは、シミュレーション、リシミュレーション、プレイフォワードという3つの主要なテスト手法で構成され、自律走行車とサイクリストの関わり合い方を常に徹底的にテストする必要があります。これらのシナリオは、車両とサイクリストの行動の変化に加え、社会的背景、道路構造、視界の変化なども考慮する必要があります」。

通常、クローズドコースや公道で行われるフィジカルテストとは、開発者がシミュレーションを検証し、システムがバーチャルと同じように現実世界で動作することを確認するためのものである。Argoは、開発者がAVをテストする際には可能性の高いシナリオだけでなく「エッジケース」と呼ばれる稀な状況も想定すべきだと考えている。多くの都市の複数の公道でテストを行い、多様な都市環境からシステムを学習させることで、レアケースとコモンケースの両方を生成することができるのである。

安全性を極め、世間に受け入れられるために

より多くのAVが道路を走る日を迎えるためには、社会から受け入れられるという大きなハードルを越える必要があるが、現時点で自動運転車両の安全性に納得している人はさほど多くない。実際、市場調査会社Morning Consult(モーニング・コンサルト)の調査によると、約半数の人がAVの安全性は人間が運転する車に比べてやや劣る、あるいはかなり劣ると答えている。

自動車をすべての道路利用者にとって安全なものにするというのは、単なる前半戦に過ぎない。Argo AIのような企業は、人々が自分たちの車を安全だと信じてくれるように説得しなければならないのである。そのためには、業界全体で安全対策を標準化することが1つの方法なのかもしれない。

画像クレジット: Jared Wickerham/For Argo AI

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

【レビュー】ポルシェ2022年型Taycan GTS Sport Turismo、ワゴンでパワーとパフォーマンスを実現、ユーザーエクスペリエンスも悪くない

待てば海路の日和あり、Porsche(ポルシェ)はその完全電気自動車Taycan(タイカン)の最も強力なバージョンを最後に残しておいた。2022年型Porsche Taycan GTS(タイカンGTS)とそのワゴンスタイルTaycan GTS Sport Turismo(タイカンGTSスポーツツーリスモ)だ。

パワー、洗練されたスポーティなドライビング、そしてガソリンを使わない完全電動パワートレインを求める人たちのために、Taycan GTSとTaycan GTS Sport Turismoはどちらも、ハイテクとパワフルな性能を見事に融合させたものを用意している。そしてTechCrunchは最近、それを試乗する機会を得た。GTSは現在、Porscheが提供するすべてのモデルラインで提供されており、2022年型Porsche Taycan GTSとGTS Sport Turismoは、合計10種類のPorsche Taycanオファリングを締めくくるものとなる。

結論として、Sport Turismo GTSとそのセダンの姉妹車は、内燃機関から完全電動への移行を可能な限りスムーズに、シームレスに、そして信頼できるものにしたい顧客を惹きつけようとしている高級自動車メーカーにとって、ベンチマークとなるべきものである。もちろん、高級車であることの弊害もあり、Taycanとその数あるバリアントは、ほとんどの人にとって手の届かないところに位置している。

Porsche純粋主義者たちは、Taycanやそのバリアントがいかに「本物のPorsche」ではないかについて自らのナイフを研ぎ澄ます前に、EVが消費者の心にどう響いたかを考慮するかもしれない。2019年に初めて発表されたこの電気自動車は、同社にとって驚異的な販売成功を収めている。Porscheは2021年1月から9月の間にTaycanを2万8640台販売し、フラッグシップの911スポーツカーとPanamera(パナメーラ)をはじめ、718 Boxster(ボクスター)や718 Cayman(ケイマン)を上回った。なお、Porscheの最も人気のある2車種、Cayenne(カイエン)とMacan(マカン)は依然として販売台数でTaycanを凌いでいる。

関連記事:ポルシェのEV「タイカン」の販売台数がフラッグシップスポーツカー「911」を超える

Taycanは2021年報告されたTesla(テスラ)のModel(モデル)3とYの販売台数には及ばないものの、今のところModel SとXの販売台数を上回っている。Teslaの報告によると、第3四半期末までのModel SとXの出荷台数は1万3214台であった。

この販売台数は、PorscheのTaycan開発への10億ドル(約1137億円)の投資が実を結んだことを示唆している。最新かつ究極の2つのバリアントに筆者が費やした時間は、この開発資金が適切に使われたことを実証している。2022年型Porsche Taycan GTSとTaycan GTS Sport Turismoは、特筆すべきスポーツセダンとワゴンだ。

Porsche Taycan GTS Sport Turismoで路上へ

Porscheは数週間前、LAオートショーの前のイベントで新しいTaycan GTSとSport Turismo GTSを発表した。そしてこのロサンゼルスとその周辺地域での発表のすぐ後に、私たちは両方のクルマの試乗時間を確保した。

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Taycan GTSとGTS Sport Turismoは、ライントップである670馬力のTurbo(ターボ)バリアントの下に位置する。Porscheによると、Taycan GTSは、590馬力と前後2つの永久磁石同期モーターからの626ポンドフィート(約849ニュートンメートル)のトルクにより、0-60マイル/時(約97キロメートル/時)をわずか3.5秒以内で加速することができるという。どちらのGTSも全輪駆動であるが、通常の駆動ではパワーバランスは後輪から推し進められる。

このリアモーターはPorsche Taycan Turboからのもので、これにより路上におけるGTSの俊敏性と応答性が向上するとPorscheは述べている。

両モデルとも、モーターは93.4キロワット時のバッテリーパックを搭載した800ボルトのアーキテクチャーを採用している。私たちがWalmart(ウォルマート)の駐車場にあるDC高速充電器で試したところ、5%のバッテリー電力をわずか22分で80%まで高速充電できた。

筆者は鮮やかな赤のTaycan GTS Sport Turismoで、ロサンゼルスのダウンタウンからウィロースプリングスまで片道約90マイル(約149キロメートル)をドライブし、曲がりくねったエンゼルクレスト・ハイウェイとヒューズ湖道路を通ってダウンタウンに戻った。

より重量のあるワゴンスタイルのGTS Sport Turismoは、その大きな旧式の背面があることについて想定を裏切らなかった。低い電子消費のRange(レンジ)設定からNormal(ノーマル)、Sport(スポーツ)、Sport +(スポーツプラス)、Individual(インディビジュアル)設定まで用意された多様なモードにより、機敏性、応答性、快適性がもたらされる。GTS Sport Turismoは、ラグジュアリーながら並外れたパワーを備えた電動ワゴンだ。

画像クレジット:Porsche

GTS Sport Turismoは、ウィロースプリングス近郊の2車線の幹線道路を走るときも、クレストで陽に灼けたコンクリートを超えて進むときも、PorscheがライントップのTurboと下位の4Sとの間に位置づけ「スイートスポット」と謳う呼び名を忠実に体現している。完全電動を牽引する人々の中でスポーツカーの気分を味わいたいという人に向けて、特別に仕立てられている。

Porscheは、Porsche Active Suspension Management System(ポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム)の再基準化を行い、シャシーを再調整し、オプションのリアステアリングシステムとアダプティブアアンチロールバーを追加した。これに加えて、Taycan GTSとそのワゴンタイプの兄弟車には、ボタンタッチ操作により不透明から交互配列された層の多様な段階、透明へとパネルが変化する、巧妙なサンルーフがオプションで用意されている。このルーフは液晶をはさんだ2枚のガラスでできており、フル作動、つまり閉じられるとUVカットのグレーのパネルができあがる。

Porsche Taycan GTSのトラック体験

画像クレジット:Abigail Bassett

おそらくTaycan GTSの購入者の大半はそのセダンでトラックを走行することはないと思うが、それを実行するごく少数の人々にとっては、多くの感動があるだろう。Taycan GTSセダンは、ハッチバックスタイルではない4人乗りの十分なスペースと、Taycan GTS Sport Turismoのすべての機能を兼ね備えている。ビッグウィローのトラックをワゴンで走り回るのも正直楽しそうだが、その代わりに筆者は、Taycan GTSのセダンに30分間のリードフォロースティントで乗り込んだ。

Taycan GTSにはPorscheのTrack Precision app(トラックプレシジョンアプリ)が付属しており、同車両に装備されている新しいPCM 6.0システムと統合されている。スマートフォンのアプリをクルマに接続すると、スピードやブレーキ制動力、アクセルとブレーキのインプット情報など、トラックをどのように運転しているかに関する詳細なデータをリアルタイムで取得できる。スマートフォンをフロントガラスに装着すれば、スロットルインプットからステアリングアングル、ブレーキ圧までのすべてにアプリがマッピングする、トラックの1人称視点ビデオという付加的な特典が得られる。

ウィロースプリングスは、その古さと、ランドマークのないオフキャンバーのターンから、険しいトラックとして知られている。このトラックのフロントストレートで時速120マイル(約193キロメートル)まで加速したとき、Taycan GTSは一貫して高い接地性を維持した。Taycan GTSのより大きくなったフロントブレーキ(Sport Turismoも同様)は、勾配を登っていく一連のターンから見通しの悪いブラインドの左ターンまで、この電動セダンを扱いやすい速度にすばやく落とす際に力を発揮し、車両に接続感と正確さが感じられた。

Taycan GTSは速いというのは控えめな表現である。筆者は2021年9月にLamborghini Huracán STO(ランボルギーニ・ウラカンSTO)で初めてビッグウィローをドライブした。レーシングカーのドライバーであると自称するつもりはまったくないが、Porscheのアプリで記録したTaycan GTSセダンのラップタイムは、STOでのベストタイムからわずか4秒しかずれていなかった。しかもSTOはレーストラック用に特別に作られている。Taycan GTSがクローズドコースで走っている、と言えば十分だろう。

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Porsche Taycan GTS Sport Turismoの充電

画像クレジット:Abigail Bassett

トラックタイムを終えて、GTS Sport Turismoに再び乗り込み、ロサンゼルスのダウンタウンにもう一度向かった。その霧のかかった土曜日の朝、筆者はフル充電のバッテリーと235マイル(約378キロメートル)の航続距離でホテルを出発していた。

ウィロースプリングスに着いたとき、高速道路と峡谷の活気あるドライビングの後で車両は約130マイル(約209キロメートル)の航続距離を残していた。Race-Texが施されたステアリングホイール上でハンドルを切り替えながら、Range、Sport +、Individualの設定の間で片道90マイルのドライブのほとんどを過ごした。これらの設定はサスペンション、パワー、ステアリングの感触、そしてTaycan GTSで聞こえる合成音の「エンジン音」さえも調整してくれる。ステアリングの感触と乗り心地を別々に設定できるIndividual設定を筆者は好んで使っていた。

ロサンゼルスの交通量は絶え間なく、これは一部の電気自動車とその航続距離に課題を投げかけるものとなろう。筆者は約70マイル(約113キロメートル)の航続距離を残してバーバンクに入り、Electrify America(エレクトリファイ・アメリカ)の公共充電器でTaycan GTSに充電しようとPorscheが指定した経由地に立ち寄った。

土曜日の夜、店内は買い物客で埋め尽くされ、EV充電を求める人の数も多いようだった。DC高速充電器は1つしかなく、ジャーナリストの充電を補助するためにそこに配備されていたPorscheの担当者によると、充電器はほぼ終日使えなかったという。筆者が到着したときにはFord Mustang Mach-E(フォード・マスタングMach-E)がその場所で充電していたため、空いていた別の充電器にクルマを寄せた。EVオーナーにとっては驚くことではないのだが、その充電器は筆者のGTS Sport Turismoで起動しなかった。他にも3つの充電器を試した後、DC高速充電器に戻ってみると、奇跡のようにGTS Sport Turismoが接続され、わずか20分で25%から80%まで急速充電することができた。

これはPorscheではなくElectrify Americaの充電器に特有の問題であったが、Teslaとその専有のSupercharger(スーパーチャージャー)ネットワークに対抗する上でElectrify AmericaのDC高速充電器ネットワークを頼りにしている自動車メーカーにとって、間接的に問題となるものだ。その場所にあったElectrify Americaの複数の充電器で、筆者の運転していたクルマが認識されない状態が続いた。他のジャーナリストが充電に来た際も同様の問題を抱え、私たち全員が、機能する充電器を求めて、一連の電動バイクや電気自動車を交互に試していくことになった。

ユーザーエクスペリエンス

充電インフラの構築にはまだ多くの作業を要するが、Porscheのナビゲーションシステムにおける充電器の位置特定が、他の電気自動車メーカー(Teslaを除く)よりはるかに容易になったことは朗報と言えよう。

このシステムでは、利用可能な充電器を見つける方法が3つ用意されている。音声認識機能を使って充電器をリクエストすると、選択した充電器がナビゲーションシステムにポップアップ表示される。また、タッチスクリーンを使用して検索パラメーター(EV充電器のブランドや充電速度など)を設定し、近くにある充電器を検索することもできる。

最後の1つは、Porscheのアプリやインフォテインメントシステムのナビゲーションを使用して経路を設定すると、目的地に到着したときに残しておきたい充電量に基づいて、経路に沿って自動的に充電器が検出されるというものだ。筆者が運転したクルマは欧州仕様だったため、この設定を自分で試すことはできなかったが、トラックを走っていたセダンの1台に米国仕様の限定的な機能が搭載されており、Porscheの広報担当者がその手順を説明してくれた。

Porscheの新しいインフォテインメントスクリーンは、中央のスクリーンからこれらの機能にアクセスできることに加えて、助手席側にまで広がっており、同乗者は走行中に充電器を探したり、ステレオのインプットやステーションの変更、ナビゲーションなど、他にもさまざまなことを行える。ほとんどの自動車メーカーは、移動中に運転席と助手席の両方からこれらの機能にアクセスすることを制限しているが、そうした「機能」は、移動中に積極的なナビゲーションや場所の検索をしようとするときに実に腹立たしく思える。Taycan GTSとTaycan GTS Sport Turismoについてはそのようなことはない。クルマが走行中でも、運転者と同乗者の両方が、インフォテインメントシステム上の多くの機能とのインタラクションを続けられる。

2022年型Porsche Taycan GTSとTaycan GTS Sport Turismoは、2022年第2四半期までに11万ドル(約1252万円)強の価格で提供される。セダンは13万1400ドル(約1494万円)から、Sport Turismoは13万3300ドル(約1516万円)からという価格設定(納車費用は別途1350ドル[約15万3500円])となっている。まさにPorscheらしいスタイルで、ほぼすべてのものを好みに合わせてカスタマイズ可能である。どちらも洗練されたスリーパーパッケージで優れたパフォーマンスとスタイルを豊富に有しており、熱心なファンや搭乗者たちに技術と洗練さの絶妙なバランスを届ける。

2022年型Porsche Taycan GTSは、どのような形であっても、真に一目置かれるべき電気自動車である。

画像クレジット:Porsche

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

【コラム】米国のスマート道路への投資は好景気への道を開くだろう

米国の交通システムが直面している課題は数多く、年々悪化している。米国の道路への需要が高まるにつれて、安全性、効率性、持続可能性の問題も増大している。

歴史的な1兆ドル(約114兆円)規模のInfrastructure Investment and Jobs Act(インフラ投資・雇用法)は、数十年間で最大かつ広範囲に及ぶインフラパッケージの1つであり、この国の投資ニーズに対する巨額の頭金となって、すべての州で数千もの重要なプロジェクトの鍵を握ることになる。しかし、公的資金だけでは、特に5年間に配分される場合、人口や都市、そして道路を毎日走る車両の新たなニーズに対応するには不十分である。

例えば、老朽化し荒廃した高速道路、橋、道路の補修に1000億ドル(約11兆円)が割り当てられている。残念なことに、米国は長年にわたり道路の財源を不足させてきたため、公共道路の43%が劣悪あるいは並以下の状態に置かれており、その結果、道路補修の必要額として4350億ドル(約49兆円)の未処理分が生じている。道路の修理に特化した公的資金をもってしても、私たちは依然として必要とされるレベルに達していない。

交通インフラ産業は歴史的にリスク回避の傾向があり、公共交通機関の資金の利用可能性によって制限されてきた。しかし、今日に至るまで私たちすべてが依存してきている初期のテクノロジーネットワークの歴史的な例がいくつかあり、それらは国民経済に劇的なインパクトをもたらしている。これらのプロジェクトは、公共投資によって促進され、地元の公共事業機関による地域での実施を必要とし、大部分は民間組織によって提供され、維持されてきた。

初期の自動車を支えるために舗装道路が導入されたのは、100年と少し前のことである。州間高速道路網は、Dwight D. Eisenhower(ドワイト・D・アイゼンハワー)大統領が1956年のFederal Aid Highway Act(連邦補助高速道路法)に署名して以来「史上最大の公共事業」として知られている。毎日の移動、商業、文化の手段となっている。

この記事をコンピューターやタブレット、スマートフォンの画面で読むには、全国的な電力網やケーブル、携帯電話ネットワークの恩恵が欠かせない。私たちがより多くの生活をテクノロジーに依存し、信頼し、そして放棄するようになるにつれ、交通機関の研究者やスマートインフラのプロバイダーの多くが、安全性、効率性、持続可能性を向上させる創造的な新しい方法を取り入れている。

米国には国を横断する400万マイル(約644万キロメートル)余りの公道が存在する。スマート道路は、次世代の車両、人、都市のインフラを変革するための、わかりやすくアクセスしやすいソリューションである。古いテクノロジーを改良するために新しいテクノロジーを発明するという頻度は非常に高くなっている。道路をネットワーク化することは、テクノロジーを可能にするソリューションの1つである。

道路をデータと通信のプラットフォームに変えることで、オンライン小売業者がインターネットのトラフィックから得るのと同じレベルで、実店舗が車両向けのインサイトを捕捉するために使用できるような匿名性の高いデータが収集されるようになる。オンライン小売業者には、顧客の人口統計、ショッピングおよび購買習慣、市場動向、そしてトラフィックパターンについての情報がもたらされている。インターネットのインフラとサービスにより、トラフィックデータが自動的かつ受動的に収集されるのである。

これに対し、実店舗は基本的に顧客ベースについて何も把握していない。起業家は数百万ドル(数億円)を現地経済に投資するが、その前に何カ月もかけて場所を見つけて調整し、在庫を確保し、人員を配置する。こうした一連の作業を経て、1つの取引が成立する。道路から収集された匿名データは、事業主がオペレーションを改善し、従来の小売業者がオンライン小売業者との競争力を維持するのに役立つだろう。

このようなスマートインフラサービスを活用すれば、道路はその新しいケイパビリティからのキャッシュフローに依存することで、自己資金を得ることができる。携帯電話やインターネットのインフラ市場が概ね自立しているのと同様の構図である。これは、一部の公道において持続可能な財源と自己資金調達が実現可能になることを意味しており、都市は限られた予算を道路から他のコミュニティのニーズに振り向けることができる。

ブロードバンドアクセスのための650億ドル(約7兆4200億円)のインフラ計画は、農村地域や低所得世帯、部族コミュニティのためのインターネットサービスを改善することを目的としている。この計画には、電気自動車の充電ステーションに75億ドル(約8560億円)が割り当てられており、気候変動を抑え、石油への依存度を減らすために電気自動車の普及を加速させることを目指している。

スマート道路が、5GワイヤレスアクセスやワイヤレスEV充電など、当初からソフトウェアアップグレードが可能なように設計されたケイパビリティのメニューを提供するなら、わが国の道路網は進化するテクノロジーに歩調を合わせることができるだろう。道路はすでに農村地域に整備されているので、新たに基地局を建設する必要はない。ワイヤレスEV充電機能を道路に組み込むことで、ガソリンスタンドのように充電ステーションを設置する必要はなくなる。実際、EVの所有者やドライバーは、道路を離れて充電に接続しなくても済むようになる。

こうした道路を介して提供される商用サービスの利用料金、すなわちネットワーク事業者が支払う通信サービス、自動車所有者が支払うEV充電やナビゲーション、あるいはそれらを利用する事業者が支払うデータサービスなどの利用料金を評価することで、スマート道路はこれらの新たなケイパビリティから得られるキャッシュフローに基づいて、自らの費用を支払うことが可能になる。

スマート道路導入の主な課題は、公金ではリスクをとることはできないし、とるべきではないというマインドセットにパブリックオーナーが陥っていることである。歴史的に公的資金はリスク資本であり、そしてこれらのオポチュニティにおける最初の資金でもある。私たちはこのリスクフリーのマインドセットからパブリックオーナーを脱却させ、公共機関がインフラを通じて経済発展を可能にすることはできないし、そうすべきではないという考えに立ち向かう必要がある。

大規模な経済開発を可能にするインフラ整備のオポチュニティに公共投資を投入することにより、私たちは100年前に舗装道路を、60年前に州間道路を建設した。したがって、それはすでに検証されているアプローチであり、米国人が毎日使用している顕著な実証ポイントもいくつか存在している。これらは新しい方法ではない。私たちが何度も行ってきた古いやり方であり、社会の新たなニーズに応じてアップデートされる形でパッケージ化されているものだ。

もう1つの課題は、いかに長期にわたる公共事業を市場活動と比較するかである。公共機関が道路工事許可証を発行するのに18カ月かかるが、ソフトウェアとハードウェアの世代全体が通り過ぎるのを見ることはできても、1つのショベルも地面を打つことはない。公共事業の速度が遅いということは、私たちがはるかに先を見なければならないことを意味する。短期的な目標はプロジェクトが設計段階を終える前になくなってしまうため、焦点を合わせることができない。公共事業の範囲、規模、速度(またはその欠如)は、私たちが非常に長い計画対象期間を設定しなければならないことを意味する。

わが国の道路への投資は、繁栄する経済を成長させる鍵であり、国の将来にとって不可欠である。各都市は現在、都市化への対応、交通流量の合理化、汚染の削減、安全性の向上という重圧に直面している。

スマート道路のテクノロジーは、都市計画者や政府がこれらの課題に正面から対処することに貢献する。交通管理から歩行者や車両の安全性、環境モニタリングに至るまで、モノのインターネット(IoT)は道路をよりインテリジェントに、効率的に、そして適切に管理できるようにする。

インフラ投資・雇用法は、わが国のインフラの現状に取り組むための第一歩である。この投資がどのように使われるかが変化をもたらす。もしそれが単に近年のやり方であるというだけの理由で、老朽化したプロセスに一時しのぎの解決策を適用するために配布されるならば、そのお金は急速に使い果たされ、意味のある改善もないまますぐに忘れられてしまうだろう。

だが、この投資を革新的なインフラプロジェクトの頭金として使ったとしたらどうだろう。その場合私たちには、より強固な未来に向かって前進し、新しいテクノロジーを容易かつ迅速に統合できる、一貫性のある有意義なアップグレードの適切なケイデンスを構築するオポチュニティが用意されている。

編集部注:本稿の執筆者はTim Sylvester(ティム・シルベスター)氏は建設業界で20年の経験を持つ電気・コンピュータエンジニアで、Integrated Roadwaysの創設者兼CEO。

画像クレジット:RBV T / 500px / Getty Images

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(文:Tim Sylvester、翻訳:Dragonfly)

レベルラリーでポルシェ・カイエンSの耐久テスト実施、オフロード競技で見せるオートモーティブグレードの真髄

優秀なアプリというのは、私たちの生活をより便利に、より快適にしてくれるものである。クルマに搭載されたGPSは渋滞の際にレストランへの最適ルートを見つけてくれるし、クルーズコントロールがあれば高速道路で切符を切られないよう速度を設定することができる。こういった車両機能は現代生活の必需品となっているが、あまりにも当たり前の存在のためそれがなくなってみない限りそのありがたみを感じることはない。Rebelle Rally(レベルラリー)の場合なら「その機能が禁止されない限り」と言ったところか。

Rebelle Rallyとは、年に一度開催される女性のためのオフロードナビゲーション競技だ。参加者は8日間にわたってテストエンジニア体験を行い、オートモーティブグレードというものへの理解を深めながら、砂漠に隠されたチェックポイントを見つけてポイントを獲得するというものである。

ハイテク製品を技術的に不利な環境下で限界に近い状態で走らせるというのは、自動車メーカーが生産前に行うテストの1つである。自動車メーカーは気候や気温の厳しい世界各地でテストを行い、氷点下、雪、泥、雨、猛暑、砂、風など、あらゆる環境下で車が極限に近い状態でも走ることができるかを試すのである。

こんなプロセスを意識する人などほとんどいないだろう。しかし2020年、Porsche Cayenne S(ポルシェ カイエン S)のハンドルを握り、砂嵐や砂漠の中を走り抜けた筆者はそれを肌で感じることになる。この経験は、オートモーティブグレードがいかに堅牢であるかを示すと同時に、消費者の手にクルマが渡るまでにどのようなテストが行われているかをほんの少しだけ教えてくれたのだった。

極限状態での競争

Rebelle Rallyはジオキャッシングとオフロード競技を組み合わせたイベントで、毎年10月に米国西部の砂漠地帯のさまざまな場所で開催される。ベテランのラリードライバー兼ナビゲーターであるEmily Miller(エミリー・ミラー)氏が考案したもので、2021年で6年目を迎える。女性が自分の家にあるクルマの限界を試すため、特に普通乗用車(険しいオフロードに挑むために改造されていないクルマ)を対象にこのラリーを始めたとミラー氏は語っている。

大会では52チームが毎日、紙の地図とコンパス、地図定規だけを使い、風景の中に点在するジオフェンスで囲まれた隠れたチェックポイントを探しに出る。チェックポイントには旗が立っているところもあれば、目印がまったくないところもあり、それぞれのチェックポイントには開始時間と終了時間が設定されている。

競技者は携帯型GPSロケーター(Iridium Yellowbrickトラッキングデバイス)を使って各チェックポイントでチェックインし、場所、オフロード走行の難易度、ジオフェンスで囲まれた正しいポイントにどれだけ近づいたかなど、さまざまな要素に基づいてポイントを獲得する。競技終了時に最も多くのポイントを獲得したチームが表彰台に上がることになる。

画像クレジット:Regine Trias / Rebelle Rally

カリフォルニア州、アリゾナ州、ネバダ州の1500マイル(約2400km)を超えるオフロードコースで開催された2021年のレース。Porsche(ポルシェ)、Rivian(リビアン)、Volkswagen(フォルクスワーゲン)、Jeep(ジープ)、Nissan(日産)、Toyota(トヨタ)などのメーカーが自社のクロスオーバー、SUV、トラックの性能を誇示するために、女性チームをOEM車に乗せて送り出す。2021年は各メーカーがスポンサーとなった11のチームが参加した。

この大会は、筆者にとってもPorsche North America(ポルシェ・ノースアメリカ)にとっても初めての試みだ。

このラリーは「実験場として設計されています。エンジニアが自分の設計したクルマで実際に走って競争するために参加している企業もあれば、ジャーナリスト、社員教育、顧客開拓、インセンティブのための本格的でハードコアなテストドライブと考えている企業もあります。そして、どこよりも美しい風景の中で競技が行われるのです」とミラー氏は話している。

砂と現代のクルマが出会うとき

画像クレジット:Regine Trias / Rebelle Rally

2021年のイベントは、天候の影響で例年よりもさらに厳しいものとなった。

最低気温が一桁となり、雨や雪、みぞれが降ったり、ネバダ州ビーティ近郊のビッグデューンで24時間続いたすさまじい砂嵐があったりと過酷な状況にさらされた。一晩中突風が60mphを超えて完全なホワイトアウト状態となり、筆者とチームメイトのBeth Bowman(ベス・ボウマン)を含むほとんどの選手が安全対策のために車中泊を余儀なくされた。

風と砂嵐がテントを破壊し、50人以上の競技者に毎晩燃料を供給している燃料トラックが非常に危険な状態になっていた。

これこそが、PorscheでCayenneのテストを担当するRalf Bosch(ラルフ・ボッシュ)氏のような人たちが、車両テストの際に望む気象条件なのである。「現代の自動車にとって、砂はとてつもない拷問です。砂丘で故障しないように、冷却装置やクラッチ、ドライブシャフトなどを特別に設計しなければなりません」とボッシュ氏は話している。

ボッシュ氏と同氏のチームは、フィンランドからアフリカまで世界各地を訪れ、燃焼エンジンとハイブリッドエンジンの両方を搭載したCayenneの試作車を過酷な天候の中でテストしている。

「極端な寒さ、極端な雨や霧雨、塩分や泥、雪を含んだ厳しい気温などでテストし、これらの条件がクルマにさほど影響を与えないことを確認しています。砂嵐の中で何日もクルマを走らせた後、雪と氷と寒さの中ですべてが凍るまで追い込み、その上で故障の兆候が出ないことを目指しています」。

冬季の過酷なテスト地として自動車メーカーにとって人気の高い、カナダのイエローナイフの荒野に、クルマの持ち主がCayenneを連れて行くことはまずないだろうが、このような厳しいテストは業界では日常茶飯事だ。こういったテストにより、自動車メーカーは車内外のテクノロジーがオートモーティブグレードであることを確認しているのだ。つまり、クルマに搭載されているGPS、オートストップ&スタートシステム、エンジンやモーターなどのすべてのものが、あらゆる条件のもとで故障したり完全に壊れたりすることなく動作するのである。

テック:諸刃の剣

画像クレジット:Regine Trias / Rebelle Rally

Rebelle Rallyは特にハイテク化が進む現代の自動車にユニークな課題を突きつける。同レースではGPSやデジタルコンパスの使用が禁止されているため、その緋色の内装からルビーという愛称が付けられた筆者達のCayenne Sには、Porscheの指導のもと、大会の規則や規定を満たすため、ナビゲーションシステムが完全に混乱して不正確なデータを表示するようにするための大掛かりな作業が施された。

「Cayenne SのGPS機能を無効にするために、すべてのアンテナ(GPS、GSM、WiFi)を取り外し、さらにPCMが米国以外の衛星を検索するようにプログラムして、米国の衛星ネットワークに接続しないようにしました」と、システムを担当したPorscheのプレスフリートテクニシャンのKyle Milliken(カイル・ミリケン)氏は伝えている。

つまり、我々が砂漠の奥地を運転している間ずっと、車両のシステムは自分たちが太平洋上にいると勘違いしており、デジタルコンパスもまったく役に立たないのである。

最新のクルマの多くがそうであるように、Cayenne Sにも気候から最低地上高、トラクションまですべてをコントロールする単一のスクリーンが配置されている。後者2つの機能は、全輪駆動車で困難なオフロードに挑戦する際に車高とパワー配分を積極的に管理、制御する必要があるため絶対に欠かせないものだ。もしPorscheがGPSを適切に無効化しなかった場合は、レース主催者側がCayenne Sのスクリーンを物理的にブロックし、車をドライブ、リバース、パーク、ニュートラルに入れる以上のことができない状態に設定する。

画像クレジット:Regine Trias / Rebelle Rally

堅牢な車体を持ち、デフロックやトランスファーケースを物理的なボタンで操作できるなど、オフロードの名に恥じない性能を持つ初代Cayenneとは異なり、最新のCayenneのオフロード機能やプログラムは、センターコンソールのメインスクリーンからしかアクセスできないようになっている。

それに加えて、ルビーも同様だったのだが、エアサスペンションを装備した最新のCayenne Sのタイヤ交換をするためには、スクリーン(およびそのメニュー)にアクセスできなければならない。また、クルマのオンロードとオフロードを快適にするオートレベリング機能をオフにしないと、ジャッキアップできないのである。もしGPSのために画面が遮られていたら、かなり苦戦していただろう。

Cayenne Sのエアサスペンションに装備されている優れたオフロード設定(筆者のお気に入りの設定は「Sand 」と「Rocks」で車体の高さが「Terrain」)のいくつかは、我々が行った耐久テストでは少々スマートすぎたようだ。

8月下旬にオセアノ砂丘でトレーニングをしていたとき、ベスと筆者はラリーで必要となるであろうセルフレスキューのスキルを練習するため、柔らかい砂にわざとはまってみることにした。エンジンをふかして抜け出そうとすると、Cayenneのトラクションコントロールシステムがホイールスピンをオーバーライドして止めてくれた。幸いにもラリー中にスタックすることはなく、タイヤがパンクしたり、クルマのどこかが破損したりすることもなかった。その頑丈さを証明したCayenneは、グラミス砂丘でスタックした他のクルマを救出したことさえある。

画像クレジット:Nicole Dreon / Rebelle Rally

これらはすべて、オートモーティブグレードの技術や部品、特に新Cayenneに搭載されているそれの開発過程における、過酷なテストに耐えた頑健性の証だ。大規模な砂嵐(さらに8日間の滞在中に小さな砂嵐が2回)、厳しい環境、そしてトリッキーな運転にもかかわらず、Cayenne Sは毎日期待通りのパフォーマンスを発揮してくれた。

毎朝、ルビーは快適なエンジン音とともに目覚め、私たちを快適に暖かく(あるいは涼しく)保ってくれた。不調だって一度もない。エアフィルターやブレーキが壊れることもなく、20インチのタイヤに空気を入れる以外何もすることなく、不気味なグラミス砂丘からハイウェイに入り、混沌としたロサンゼルスへと直行することができたのである。

これぞまさに、いかなる天候や環境下でも道路を走り続けることができるようにするための「オートモーティブグレード」テストの真髄だ。

「路上であれだけ優れていても、砂だらけのぐちゃぐちゃな状態ではそれほど優れているはずがないと考えるのが普通でしょう」とボッシュ氏。「Cayenneではオンロード性能を向上させることでオフロード性能も維持しようと努めており、その結果非常に高性能なクルマに仕上がっているのです」。

画像クレジット:Regine Trias / Rebelle Rally

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

テスラが走行中は車載ゲーム機能を無効化へ、米当局の調査受けアップデート配信開始

Tesla(テスラ)は、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)による走行中のインダッシュゲーム機能に関する調査にすばやく対応している。The Guardianによると、Teslaは走行中の「Passenger Play」機能を無効化するアップデートを配信するとのこと。NHTSAの広報担当者によると、Teslaは当局関係者とこの問題について話し合った後、この変更を約束したという。アップデートがいつ提供されるかは言及されていないが、今後ゲームをプレイしたければ駐車しなければならないと考えて間違いないだろう。

この担当者は、アップデートがあっても調査は継続すると強調した。NHTSAは、自動車安全法が、運転の集中を妨げるような重大な安全上のリスクをもたらす自動車の販売を禁止していることを改めて強調した。今回の調査は、2017~2022年モデルのTeslaのEV約58万台が対象となる。

テスラは広報部門を廃止しており、コメントを得ることはできなかった。今回の機能変更は驚くべきことではない。NHTSAがテスラに過失があったと認定した場合、不作為は結果を悪化させる可能性がある。また、競合他社からの圧力という問題もある。メルセデス・ベンツは最近、走行中に動画再生ができてしまう問題を修正したが、Teslaが同様にすばやく対応できないとなると、NHTSAに対して良い印象を与えないだろう。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Jon Fingas(ジョン・フィンガス)氏は、Engadgetのウィークエンドエディター。

更新:TeslaのElon Musk(イーロン・マスク)CEOは、アップデートとなるソフトウェアバージョン10.8を米国時間12月23日から配信するとし「良い感じだ」と述べている。@Teslascopeによると、FSD 10.8ベータ版は23日夜から配信され始めたという。

画像クレジット:Screenshot/Tesla

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(文:Jon Fingas、翻訳:Aya Nakazato)

オンデマンドシャトルソフト開発Viaが株式公開に向けて秘密裏に申請

オンデマンドシャトルサービスおよびソフトウェアの会社であるVia(ビア)は、上場を非公開で申請した。同社が声明で発表した。この種のリリースにはよくあることだが、募集株式の数や募集案の価格帯はまだ決定していない。

ViaはReddit(レディット)に続いて、年末に市場が休場となる前に上場のための申請を非公開で行った。両社とも2022年初めにデビューする。

なぜ、年末年始を控えた今、申請するのか?ここ数四半期、Viaは目覚ましい業績を上げており、早くにIPOのために準備を整えることは、決してアグレッシブなことではない。最近の下落にもかかわらず、テック企業のバリュエーションがまだ高いことを考えると、率直にいってこれは妥当だ。そして、上場できる企業は、IPOのウィンドウが開いているときを利用したいと思うだろう。

Crunchbaseによると、ViaはこれまでにMacquarie Capital、森ビル、Shell、83North、Broadscale Group、Ervington Investments、Hearst Ventures、Planven Ventures、Pitango、RiverPark Venturesなどの投資家から7億7710万ドル(約886億円)を調達している。

Viaは2021年11月、1億3000万ドル(約148億円)の資金調達を発表し、これにより同社の評価額は33億ドル(約3765億円)へと押し上げられた。今にして思えば、その資金調達はIPO前のラウンドだったのだろう。ViaのソフトウェアプラットフォームであるTransitTechが前年の倍となる年間1億ドル(約114億円)のランレートを超えたことを受けての資金調達だった。

関連記事:オンデマンドシャトルソフトウェア開発のViaが事業を拡大へ、約147億円調達

もっと簡単にいえば、Viaは収益面でIPO規模の閾値に達しており、考えられる他の収入源は考慮されていない。そのため、IPOのタイミングはまたも理に適っている。

ソフトウェアの売上だけではない。最初の都市との提携に5年を要したViaは、現在、ロサンゼルスメトロ、ジャージーシティ、マイアミなど500以上のパートナーを抱える。

しかし、Viaにとっては決して楽な道のりではなかった。パンデミックの中、同社のビジネスに対する需要はまちまちだった。当初は新型コロナウイルス感染症のために利用が減少したが、都市は緊急サービスに重点を置き、Viaのソフトウェアプラットフォームに対する需要を生み出すことに貢献した。ビジネス的には、都市との契約の結びつきを考えると、これは良いニュースだ。

Viaはここ数年で事業を強化し、おそらく株式公開のための売り込みを行う計画をほのめかしていた。3月には、都市が交通計画や道路設計に使用するソフトウェアを作成するRemix(リミックス)を1億ドル(約114億円)で買収した。また、 Fleetonomy(フリートノミー)も買収している。

2022年の上場に向けて取り組んでいるモビリティスタートアップはViaだけではない。Voi Scooters(ボイ・スクーターズ)は2021年12月、IPOに向けてシリーズDで1億1500万ドル(約131億円)を調達し、Kakao Mobility(カカオ・モビリティ)は噂される上場に先立ち42億ドル(約4791億円)の評価額を獲得した。

TechCrunchは、申請書類を入手したら、一連の質問をするつもりだ。例えば、政府機関に販売しながら、従来のようなSaaSの粗利を確保できるのかが気になるところだ。また、販売サイクルはどの程度なのか。さらに、同社の中核市場ではどのくらい深く浸透しているのか。そして、調達した資金は何に使ったのか。投資キャッシュフローなのか、営業損失なのか?

そんなこんなで、2022年のIPOサイクルは、非常に興味深い多くのデビューでスタートすることになりそうだ。

画像クレジット:Klaus Vedfelt / Getty Images

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(文:Natasha Mascarenhas、Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】離陸間近なeVTOLにまつわる2021年4つのトレンド

数十億ドル(数千億円)の資金と数十件の契約と1件の法廷闘争。2021年はeVTOL(電動垂直離着陸機)にとって忘れがたい1年だった。大手航空セクターが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる落ち込みから徐々に回復するのに忙しい中、スタートアップはスピードを上げている。

以下に、第一線アナリストと投資家に追いつくべく、2021年eVTOLが巻き起こしたトレンドを紹介していく。これらのトレンドは今後数年も影響を与え続ける可能性が高い。

誰がSPACといった?

Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)、Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)、Lilium(リリウム)、Vertical Aerospace(バーチカル・エアロスペース)。eVTOLを開発している、という以外の共通点は何か。4社とも、2021年白地小切手会社との合併を発表あるいは完了した。そしてこの生まれたばかりで、現実離れしているとさえ思えるテクノロジーに、あきれるほど巨額な資金が注入されている。

もし2021年が、eVTOLの世界で何かしら記憶に残る年になるなら、巨額な資金がこの業界に流れ込んだことが主な理由だ。3つのSPAC案件だけで(JobyArcher、およびドイツのデベロッパーLilium)総額25億ドル(約2852億円)以上の資金を獲得し、Jobyの調達額はその半分近い11億ドル(約1255億円)に上る。垂直離着陸機は、SPACを挙って公開市場への乗り物に使った唯一のモビリティテクノロジーではないが、そのおびただしい案件数は、2021年の傑出したトレンドの1つであることに間違いない。

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「現在のeVTOL業界が、以前、例えば1年前と何が違っているかといえばそれは資本の入手です」とMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)の航空宇宙・防衛上級アナリストであるKristine Liwag(クリスティン・リワグ)氏は説明した。

この並外れた資金流入が意味しているのは、これらの企業は自社の飛行機が商業運用に必要な連邦航空局の認可を得るための、長くて徹底したプロセスを通過するための重要な資金を手にしているということだ。それが十分であるかどうかは別問題であり、各企業の進捗と費用効率による。

テクノロジーを商業化するための高いコストが、SPACトレンドへと走らせた可能性は高い。航空産業は資本集約的ビジネスであり、eVTOLの設計から生産、認可までには10億ドル(約1141億円)程度必要だと多くの人は考えている。

「私にとって最大の驚きは、第一線スタートアップの多くが、自社製品を認証完了までもっていくための予算を獲得する方法を見つけたことです」とIDTechExのテクノロジーアナリスト、David Wyatt(デビッド・ワイアット)氏はいう。「今ある数多くのテスト機がプロトタイプ状態から確固たる本格的eVTOLへと飛躍する大きな一歩であると感じています」。

SPAC以外でも、eVTOL企業へのベンチャー投資は少なくなかった。2021年は巨額の調達ラウンドが見られた年でもあった。たとえばBeta Technologies(ベータ・テクノロジーズ)の3億6800万ドル(約420億円)のシリーズAやXpeng(シャオペン)が支援するHT Aero(HTエアロ)の5億ドル(約571億円)のシリーズAなどだ。

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「2021年は、『認証はとれるのか?』を質問するだけの年でした」とSMG Consultingのファウンダー・パートナー、Sergio Cecutta(セルジオ・セクッタ)氏がいう。「これからの質問は、認証はいつとれますかです。『本当に飛べるの?認証は取れるの?」という段階は過ぎました。いずれも可能です。あとは、気合を入れと取りかかるだけです」

地上での動き

エアタクシー開発者が力を入れているのは飛行機だけではない。電動飛行機の市場を現実にするためには必要なことがたくさんある。地上インフラ、すなわちバーチポート(垂直離着陸要飛行場)あるいは空港内の専用エリア、および十分な電力を供給するための充電ポイントだ。

この部分でやるべきことは「やまほど」あるが、2021年にeVTOL運用会社らが、商業運用開始に必要な基盤を5年以内に確立するための作業開始に向けてスタートを切ったことは注目に値する。たとえばLiliumとABB E-mobilityは、Lilium Jetのための充電インフラストラクチャ提供で提携し、JobyとArcherは駐車場所有者のREEF Technologyと提携、Verticalとヒースロー空港は、空港運用にeVTOLを組み込む方法を共同で検討している。

Archer、Joby、Volocopter(ボロコプター)の3社もロサンゼルスのUrban Movement Labs(アーバン・ムーブメント・ラボ)と協力して、都市型エアモビリティを既存のインフラや輸送ネットワークに統合する方法を探っている。

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「各空港がこの問題を本気で考え始めていることを私は知っています」とJetBlue Technology VenturesのプレジデントであるAmy Burr(エミー・バー)氏はいう。「空港で何らかのインフラストラクチャー・プロジェクトに携わっている人なら誰でも、バーチポートを置く必要があるかどうかを考えています」。

(不確定な)発注

最後に、2021年に我々は、eVTOL機の大量発注が始まったのを見た。もちろん、United(ユナイテッド航空)がArcher Aviationに10億ドルの発注を行ったというニュースのためだ。その後、Embraer(エンブラエル)が支援するエアタクシーデベロッパーであるEve Urban Air Mobility(イブ・アーバン・エア・モビリティが発注、UPS(ユーピーエス)がBeta Technologiesに発注、そしてVertical Aerospaceが1350台の条件付き先行予約を受けるなど次々と注文が続いた。

はっきりしておく必要があるのは、どの発注も確定ではないことであり、商業製品が未だ実在していないことを考えれば当然である。開発、認証の完了が条件であり、他にも性能面の条件がある可能性が高い。

それでも、たとえ個々の企業にとっては気を抜けない状況であっても、業界にとっては有望な兆候だ。

「これらの飛行機に明確な市場が存在していることは、有望だと思っています。航行許可を得て、飛べるようになりさえすれば、市場は十分な関心を持っている、という確信を与えるものです」。

伝統的メーカーも参入を伺う

2021年で注目すべき最後のトレンドが、活発化する伝統的自動車メーカーの動きだ。ほとんどの見出しはスタートアップが占めていたかもしれないが、古くからいる伝統的企業も電動飛行機の可能性に気づき始めている(中でもBoeing[ボーイング]やAirbus[エアバス]をはじめとする伝統的航空機会社は、eVTOへの強い関心を示している。BoeingはKitty Hawk[キティ・ホーク]とWisk Aero[ウィスク・エアロ]とのジョイントベンチャー、AirbusはCityAirbus NextGenのeVTOLコンセプトを発表している)。

自動車メーカーでは、Hyundai(現代、ヒョンデ)が目立っている。この会社は2020年のCESでeVTOLのコンセプト・デザインを披露し、2021年はSupernal(スーパーナル)の名前で都市型エアモビリティ事業を正式発表した。Honda(ホンダ)はハイブリッドeVTOLの開発計画を正式発表した。同社はこれを、つながるアプリやHondaの自動車を含む「モビリティー・エコシステム」の一環と位置づけていることが注目の理由だ。そして、もちろん、中国の自動車メーカー、Xpeng Motors(シャオペン・モーターズ、小鵬汽車)は10月末、都市型エアモビリティ子会社、HT Aero(HTエアロ)が、eVTOL機コンセプト開発のために5億ドルを調達したと発表した。

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いずれの動きも注目に値する。なぜなら主要自動車メーカーはeVTOLプロジェクトを進めるために必要な資本と生産基盤の両方を持っているからだ。それは成功を保証するものではもちろんなく、これらの大企業にスタートアップと同じようなプレッシャー(もモチベーション)もないが、今後注目し続けるべきであることは間違いない。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

AIチップメーカーのKneronが自動運転の推進に向けて約28.4億円調達

AIチップは機械学習を加速する半導体であり、多くのアプリケーションがある。Albert Liu(アルベルト・リュー)氏によると、将来性のあるユースケースの1つが自動運転車への利用だという。

リュー氏のAIチップ生産スタートアップKneronは、秘かに投資を集めて、スマート交通分野に進出しようとしている。同社はこのほど2500万ドル(約28億4000万円)の新たな投資ラウンドを完了したが、それは主に、台湾の光電子工学のパイオニアであるLite-On Technologyを戦略的投資家として迎え、その他の投資家にはAlltekやPalPilot、Sand Hill Angels、Gaingelsなどとなる。

2015年の創業以降、Kneronの総調達額は1億2500万ドル(約142億1000万円)を超えた。サンディエゴと台北を拠点とする同社は、香港の大物Li Ka-Shing(李嘉誠)氏のHorizon VenturesやAlibaba、Qualcomm、Sequoia、Foxconnなど多くの著名投資家たちを集めている。中でもFoxconnは世界最大のエレクトロニクスメーカーであり、Appleのサプライヤーだ。

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先にリュー氏が語ったところによると、同社は2023年に黒字化するため、上場の「好機」だという。最近、彼はIPOについてあまり語らなくなったが、上場は米国で行なうという。

Qualcommでコンピュータービジョンを手がけていたリュー氏は、インタビューで「自動運転のL4とL5はクルマだけの問題ではなく、路側のAIも重要です」と述べている。

Kneronへの最新の投資は、同社が先進運転支援システム(ADAS)と自動運転車向けの最初の自動車グレード半導体をリリースした直後にやってきた。

近くの車両と通信できる路側ユニットがあれば、例えば救急車は交差点で停止する必要がない。このようなインフラは、米国よりも交通事情が複雑なアジア諸国では特に有効であると、リュー氏はいう。

この戦略的投資を通じて、KneronとLite-Onは、KneronのエッジAIチップを搭載したロードサイドAIボックスを共同開発する。

このスタートアップのチップは「再構成可能」であり、ソフトウェアの柔軟性とハードウェアの高速性を兼ね備えている。自動車の場合、同社のシリコンは、車内の大型AIエンジンにも、クルマの外装に重ねた小型センサーの電源にも使えると、リュー氏は説明し、以下のデモ動画でも紹介している。

 

Kneronは、現在30社の企業顧客から毎月300万〜400万ドル(約3億4000万〜4億5000万円)の収益を得ており、収益の30〜40%は米国からのものだ。

同社は、業界のパートナーとの深い提携関係を築いている。5月には、Delta Electronicsの子会社であるVivotekから画像信号処理装置のVaticsを買収することに合意している。KneronはFoxconnを戦略的投資家としてカウントしており、電気自動車向け製造プラットフォーム「MIH」は同社のチップが採用されている。

画像クレジット: KneronAdventr

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(文:Rita Liao、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ナイジェリアのMAXがアフリカ全域への展開とEVインフラ整備へ向けて約35億円を獲得

ナイジェリアのモビリティテクノロジースタートアップ企業、Metro Africa Xpress Inc.(メトロ・アフリカ・エクスプレス、MAX)は、シリーズBで3100万ドル(約35億円)の資金を獲得し、アフリカ大陸の交通セクターの一般化に向け、さらに多くの市場に参入する予定だ。

同スタートアップはTechCrunchに対し、2022年の第1四半期末までにガーナとエジプトに、同年末までにフランス語圏、東部および南部アフリカのその他の市場に進出するために、この資金を使う予定だと語った。また、この資金は、今後2年間で10万人以上のドライバーに車両融資クレジットを拡大するためにも使用される予定だという。

MAXは、2015年にオートバイを使って顧客の注文に応えるデリバリースタートアップとしてスタートし、その後ライドヘイリングに進出、さらに車両サブスクリプションや融資サービスなど、同社の当初のサービスのデータを基に考え出したソリューションを提供している。

同社は2018年に車両融資を導入し、わずか2年余りで、所属するドライバーによる解約率が「ゼロに近い」ほどに下がったとCFOのGuy-Bertrand Njoya(ギ=ベルトラン・ノジョヤ)氏はTechCrunchに語っている。

「我々はドライバーの業務を理解するのに時間をかけました。すると、彼らのほとんどが使用する車両を所有していないことが明らかになったのです」。とノジョヤ氏は述べた。

「そして、ドライバーが抱える根本的な問題は、車両への一貫したアクセスであることが明らかになりました。そこで、大陸全体のモビリティの課題を解決するためには、まず車両へのアクセスの問題を解決しなければならないと考えたのです」と語る。

MAXは現在、電動バイクの設計と組み立てを自社で行っている(画像クレジット:MAX)

MAXの商業銀行パートナーは現在、同社が提供するデータを信用リスク評価として利用し、ドライバーに車両購入ローンを提供している。

同社は、サービスの一部として、新市場で電気自動車のインフラを構築し、同社の顧客層に電気自動車を導入することを計画している。

「これは、高性能な技術とオペレーターを導入することで、モビリティを安全で手頃な価格で利用でき、多くの人に開けた持続可能なものにするという私たちの道のりにおける新たなマイルストーンです。この投資により、大陸の何十万人ものドライバーの生活を変え、国際展開を加速し、モビリティ分野における先駆的な取り組みを継続することができます」と、MAXの共同創業者兼CEOのAdetayo Bamiduro(アデタヨ・バミドゥーロ)氏は述べている。Chinedu Azodoh(チネドゥ・アゾド)氏は、このスタートアップのもう1人の共同創業者だ。

モビリティに関する課題へのソリューションを提供することは、常に同社の事業の中心であり、次に解決したいパズルは、運営コストを削減することでドライバーの収入を拡大することだった。

創業者たちは、電気自動車の導入が自然な次のステップであることをすぐに理解し、2019年にMAXは電気モビリティへの旅をスタートさせたのだ。同社は現在、さまざまなリースや融資オプションを通じて、2輪、3輪、4輪のEVをドライバーに提供している。

「ドライバーが最も気にかけているのは、収入を増やしてまともな生活を送ることなので、これは私たちが提供したかった追加オプションです。というのも、現在、EVはガソリン車よりも費用対効果が高いからです」とノジョヤ氏はいう。

MAXは現在、電動バイクの設計と組み立てを自社で行っている。ノジョヤ氏は、電動バイクを提供するために、大手二輪車メーカーのヤマハを含むエコシステム全体のパートナーと連携していると語った。

「ドライバーのためのクルマへのアクセスや、融資へのアクセスの分野でヤマハと協働しています。私たちの仕事とパートナーシップの成功の証として、ヤマハは今日、過去数年にわたり彼らと行ってきた仕事を背景に、アフリカ向けにドライバー向け車両融資の専門組織を立ち上げました」と同氏は述べている。

今回の資金調達は、グローバルなプライベートエクイティプラットフォームであるLightrock(ライトロック)が主導したもので、アフリカのモビリティ分野では初の投資となる。UAEに拠点を置く国際的なベンチャーキャピタル、Global Ventures(グローバル・ベンチャーズ)もこのラウンドに参加し、既存の投資家であるNovastar Ventures(ノバスター・ベンチャーズ)や、フランスの開発金融機関のProparco(プロパルコ)も、Digital Africa(デジタル・アフリカ)イニシアチブを通じてこのラウンドに参加している。

ノジョヤ氏は、このスタートアップがアフリカ大陸の何百万もの交通事業者のための、車両購入と金融サービスのプラットフォームとなることを目指している、と述べている。最近、エストニアのライドヘイリング会社Bolt(ボルト)と提携し、ナイジェリアのBoltのドライバー1万人がエネルギー効率の高い車両を購入できるよう、リース・トゥ・オウン方式を導入した。

画像クレジット:MAX

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(文:Annie Njanja、翻訳:Akihito Mizukoshi)

ベトナムの自動車メーカーVinFastが電動クロスオーバー2車種を皮切りに米国市場への進出を目指す

Vingroup(ビングループ)傘下のベトナムの自動車メーカーVinFast(ビンファスト)は、消費者に印象を残そうと2021年のLAオートショーに参加した数多くのニューカマーの1社であった。

同社はこのショーで全電動クロスオーバー2車種を披露した。そして自動車業界へ新規参入する多くの企業がそうであるように(VinFastの場合は米国への新規参入)、両車種ともまだ生産に入っていない。

2022年後半に米国で登場予定のこの車両の仕様について、VinFastは詳細をほとんど明らかにしていない。同ショーを訪れた人は、Typeform(タイプフォーム)を介して登録することで、このクルマをいち早く「体験」し、購入に関心があることを示すことができる。

「今すぐ人々に登録してもらいたいと思っています。そして【略】顧客がどこにいるのか、誰が興味を持っているのかを把握するために、データベースを収集し構築したいと考えています。その上で、当社が提供しようとしているプロダクトやサービスの進捗状況について、人々に継続的に最新情報を発信していく予定です」と、VinFast USのCEOを務めるVan Anh Nguyen(ヴァン・アン・グエン)氏は木曜日のTechCrunchとのインタビューで語った。

興味のある顧客は、2022年第1四半期に、デポジットを払って希望のクルマを8色のうちの1色で予約することができる(更新情報:グエン氏はデポジットは500ドル[約5万7000円]だと語っていた。広報担当者はその後、この数字は正しくなく、顧客が予約に対して支払う金額は決定していないと説明し、適切な時期が来たらすぐに発表するとしている)。

グエン氏によると、数カ月後に車が利用可能になった時点で、関心のある顧客は試乗してそのデポジットを購入に充てるかどうか判断できるようになるという。仕様や詳細の情報は乏しいものの、VinFastは米国市場への参入計画を急速に進めているようだ。

工場、本社、および60店舗

VinFastの米国での計画は、電動クロスオーバーの販売に留まらない。同社はロサンゼルスに米国本社を置くために2億ドル(約227億円)超を投資するという野心的な計画を発表した。また、2022年までに、60を超える販売拠点、多角的な展開のサービスセンター、いくつかのモバイルサービスサイトの開設を計画している、工場もリストに挙がっているが、2024年後半まで開設の予定はない。

VinFastにとっては、多額の資本とスタッフを必要とする迅速な準備段階だ。

グエン氏は、米国に滞在してまだ14カ月しか経たないが、VinFastのモデルを米国市場に投入するチームの編成に取り組んでいるという。しかし、その製造施設がどこにあるかについては明らかにすることを控えた。

また、VinFastはReuters(ロイター)に対し、同社は今後数年のうちに米国株式市場に上場する計画だと述べている。

韓国のHyundai(ヒョンデ、現代自動車)やKia(キア、起亜自動車)、日本のトヨタ、スバル、マツダなど、他のアジアの自動車メーカーが米国市場に進出している中、VinFastはベトナム企業として初めてこの試みに乗り出すことになる。BYD(ビーワイディー、比亜迪)のような中国企業は、米国市場への参入を試みたが失敗した。

VinFastはどのような企業

VinFastは、1993年にスタートしたベトナムの民間コングロマリットVingroupの一部である。Vingroupは、不動産、ホスピタリティから産業、テクノロジー、さらには教育まで、幅広い分野に事業を展開している。

その自動車部門であるVinFastは、2018年のパリモーターショーで、同社初の内燃機関搭載車を発表した。同社はその後すぐに、各種の電動スクーター、Lux SUV、そしてベトナム市場向けの自動車の販売を開始した。同社によると、1年も経たないうちに、同社の車両はベトナムで最も早く売れるクルマになったという。

そして2021年、同社はベトナムで全電動バスとさらなるスクーターの販売を開始し、先のLAオートショーでSUV2車種の覆いを取り去って、グローバル車両になると同社が述べているVinFast VFe35とVFe36を発表した。いろいろな意味で、VinFastはHyundaiグループと類似しているように見受けられる。他の主要事業の中で自動車事業が占める割合はとても小さい。

VingroupはVinAI(ビンAI)も所有している。VinFastがショーで公開した新型SUV2台の脇に置かれた小さなディスプレイによると、VinAIは独立した法人で、車載AIと思われるものに取り組んでいる。運転席でのユーザーの動きを追跡して、ユーザーが注意を払っているか、スマートフォンを見たり、眠気を催したりしていないかを判断するものだ。このシステムはまた、センサーとカメラを使って車外の歩行者やスクーターなどの障害物を特定し、衝突を回避することにも役立つ。

グローバル市場向け電動SUV2車種

どちらも電気自動車であるVinFast VFe35とVFe36は、ベトナムにあるVinFastの90%自動化された大規模製造施設で作られる予定だ。この2車種は自動車ブランドのPininfarina(ピニンファリーナ)と提携して設計された。Pininfarinaは、クラシックフェラーリや、200万ドル(約2億2600万円)の電気スポーツカーPininfarina Battista(バッティスタ)の設計で知られている。

VinFastによると、SUVは1回の充電で約300マイル(約483km)走行できるということだが、充電や容量の詳細は明らかにされていない。グエン氏は、各車種にはEcoとPlusの2つのバージョンがあると付け加えた。VFe35の航続距離は、Ecoモデルで約285マイル(約459km)、Plusモデルで約310マイル(約499km)。より大型のVFe36のEcoモデルは約310マイル、Plusは約420マイル(約676km)になると同氏は述べている。

LAオートショーのステージに登場した2台のSUVはいずれもプロトタイプである。スペックシートによると、VFe35とVFe36のプロトタイプは、402hp(約300kW)の出力と472lb-ft(約640Nm)のトルクを発揮し、さまざまなエアバッグ、バーチャルアシスタント、そして「VinFastアプリによるリモートコントロール」機能を備え、eコマースサービス、ビデオゲーム、車内オフィス、さらにはロケーションベースの行動ターゲティング広告と呼ばれるものを搭載しているようだ。

VinFastは複数のパートナーと緊密に連携しているとグエン氏は話す。バッテリーの供給元については明かさなかったが「非常に有名な会社」のものだという。

バッテリーパックはベトナムのVinFastの施設で作られる。「私たちはProLogium(プロロジウム)のようなバッテリーパートナーと密接に協働しており、他の数社とも同様に協力関係を築いています」と同氏は言い添えた。「当社は、バッテリー技術に関して非常に優れた経験豊富なパートナー各社を選定しています」。

ProLogiumは、台湾を拠点とするソリッドステートバッテリーのメーカーである。

VinFastによると、両車種には標準的な先進運転支援システム、フルカラーヘッドアップディスプレイ、15.5インチのタッチスクリーンが搭載され、指をスワイプするだけでお気に入りの写真を「Zenモード」で表示できるという。

LAオートショーでは、どちらのクルマのドアも開けることはできなかった。小型のVFe35は本物の内装のように見えたが、ステアリングホイールの前にデジタルクラスタはなく、一方VFe36は内装を備えていなかった。

VinFastは、米国では電気自動車のみの販売を計画している。自動車生産への4年間という急速な道のりは、自動車業界ではほとんど聞いたことがない。車両の配送は2022年末に開始されると同社は述べている。すべてがどうなるかを見るには、来年まで待たなければならない。

画像クレジット:Abigail Bassett

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Dragonfly)

FedExが初の完全電気自動車GM Brightdrop配送バンを受領、カーボンニュートラル実現に向けまた一歩

FedEx(フェデックス)は、500台の注文のうち、最初の5台のGM(ゼネラル・モーターズ)製電気配送バンを受け取ったと発表した。この動きは、2040年までに世界中で配送車両をすべて電気自動車にし、カーボンニュートラルを実現するというFedExの目標にとって重要なランドマークとなるものだ。

「初めてのBrightdrop(ブライトドロップ)EV600の納入は、米国を代表する2つの企業のコラボレーション精神から生まれた歴史的瞬間です」と、FedExのMitch Jackson(ミッチ・ジャクソン)サステナビリティ最高責任者は述べた。「当社の集配車両を電気自動車に切り替えることは、2021年初めに発表した当社の野心的なサステナビリティ目標の達成に不可欠です」。

画像クレジット:FedEx

FedExは、BrightDrop EV600バンの主要顧客として発表され、ここしばらくはBrightdropの電動パレットEP1をテストしてきた。Chevrolet(シボレー)とCadillac(キャデラック)を所有するGMは、2021年初めまでBrightdropのビジネスユニットを引き伸ばしていた。「EV600は、従来のバンとステップインバンの長所を1台にまとめ、ドライバーの安全性、快適性、利便性を第一に考えています」と、BrightdropのCEO、Travis Katz(トラビス・カッツ)氏は述べた。「また、GMの歴史の中で、コンセプトから市場に出るまで最も早く作られた車でもあります」。

全輪駆動のEV600は、600立方フィート(約17立方メートル)の荷室空間を持ち、一回の充電で最大250マイル(約400km)走行することができる。車内では、カーゴエリアのセキュリティシステム、オートロックドア、モーションセンサー付き室内照明が装備されている。また、自動緊急ブレーキや駐車支援機能も備えている。EP1は、店舗や倉庫でよく見られるトロリーの一種で、23立方フィート(約0.65立方メートル)のスペースと電気モーターを備えており、重いものを簡単に移動させることができる。

最初の5台のEV600は、カリフォルニア州イングルウッドにあるFedExのエクスプレス施設に導入される。FedExはこの車両をサポートするため、カリフォルニア州内にすでに設置されている500基の充電ステーションを含め、同社の施設ネットワーク全体に充電ステーションを建設中だ。また、電力会社と協力し、充電インフラに必要な電力網の容量を評価している。

FedExが、GMと共同で電動配送車を導入する一方で、ライバルのUPSは英国のArrival Ltd.(アライバル)に1万台の電動配送車発注している。一方、Amazon(アマゾン)はRivian(リビアン)の電動配送車10万台を発注し、さらに同社の株式を20%保有している。AmazonはFedExとUPSの両社に先駆けて、すでにロサンゼルスサンフランシスコの両都市でRivianの電動配送を開始している。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者Steve Dentは、Engadgetの副編集長。

画像クレジット:FedEx

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(文:Steve Dent、翻訳:Yuta Kaminishi)

RivianがIPOで調達した資金のうち5650億円をジョージア新工場とバッテリー技術に投資

Rivian(リビアン)は、株式公開時に調達した137億ドル(約1兆5500億円)の一部をジョージア州の第2工場建設に回す。同工場は同社のイリノイ工場の2倍の生産能力を持つ。

米国時間12月16日に最初の決算報告の一部として発表した同社は、資金をイリノイ州ノーマル工場のEV生産能力を年間15万台から20万台に拡大するためにも使うという。第2工場はアトランタの東、モーガン郡とウォルトン郡に建設され、年間生産能力目標は40万台だ。

ジョージア工場ではバッテリーセルの生産も行う。建設は2022年夏に、生産は2024年に開始する見通しだ。同社は株主向けの書簡で、持続可能な事業運営、人材プール、サプライチェーンや物流への近さなどを総合して、この地を選んだと述べた。

「ジョージア工場は、持続可能な輸送手段の大規模な導入を加速するという当社の目標にとって、極めて重要になります」と書簡で述べた。さらに、同工場は同社の次世代車両の生産にも使われると付け加えた。

短期的には、次世代自動車の設計・開発にも資金を投入する。Rivianには現在、消費者向けのピックアップ「R1T」とSUV「R1S」、そして商用バンの3車種がある。同社の株式を20%以上保有するAmazon(アマゾン)は、Rivianにとって最初の商用バンの顧客で、まず10万台の注文を受けた。

また、Rivianは垂直統合に多額の投資を行うが、これは同社と創業者でCEOのRJ Scaringe(RJ・スカンジー)氏の過去数年間の戦略に従っている。具体的には、バッテリーセル化学の開発、原材料の調達、自社でのセル製造など、バリューチェーン全体にわたってバッテリー技術に投資するつもりだと、同社は株主向け書簡で述べている。そこに掲載された図を見てみると、こうした垂直統合の野望がよくわかる。

画像クレジット:Screenshot/Rivian

書簡によると、電気駆動システムも投資の優先順位の1つになるという。その目的は「より高い性能、改良されたパッケージング、低コストを提供する自社製の将来のドライブユニット」を進化させることだという。

売り上げの創出がTo Doリストの冒頭にくることはいうまでもない。Rivianは、顧客との関わりと体験に投資を続けることによって売り上げを増やす計画だ。その中には「体験スペース」、消費者向けのRivian会員プログラム、商用顧客向けのFleetOSというブランドのデジタル車両管理ソフトウェアなどが含まれる。

Rivianは、車両サービスと充電インフラの整備を計画していると明らかにした。2021年末までに60台以上の移動式サービスバンを稼働させ、カリフォルニア、コロラド、イリノイ、ニューヨーク、ユタ、ワシントンに8つのサービスセンターを設置する予定だという。

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

コンピュータービジョンを利用するStreetlogicの電動自転車用衝突警告システム

Streetlogic(ストリートロジック)は、電動アシスト付きスポーツ自転車のライダーがより安全に道路を走行できるようにしたいと考えている。同社は、210万ドル(約2億3800万円)のプレシード資金を調達するとともに、主力製品であるサラウンドビューカメラの発売を発表した。このサラウンドビューカメラは、前方、側方、後方からの衝突を予測してライダーに知らせ、事故を未然に防ぐというものだ。

米国、カナダ、欧州では、2021年11月23日より、Streetlogicの電動自転車用先進運転支援システム(ADAS)の先行予約を30ドル(約3400円)の頭金で開始した。Streetlogicの創業者でありCEOでもあるJonathan Denby(ジョナサン・デンビー)氏によると、最終的な小売価格は300ドル(約3万4000円)から400ドル(約4万5000円)程度になる予定で、同システムの最初の量産ロットは2022年末までに納品される予定だ。Streetlogicの拠点であるサンフランシスコの購入者は、2022年初頭から招待制の限定的なベータ展開プログラムを通じて、いち早く同システムを試すことができる。

マイクロモビリティのADASシステムを考案したのは、Streetlogicが最初というわけではない。2020年、イスラエルのスタートアップであるRide Vision(ライドビジョン)は、同様のAIベースのシステムを発表した。このシステムは、ライダーの周囲の交通状況をリアルタイムに分析し、前方衝突警告、ブラインドスポットモニタリング、後方からの近接車両の警告などを提供する。Streetlogicと同様に、ライドビジョンのシステムは、走行を記録するだけでなく、安全に関わる事故の記録を保存して後から見直すことができるドライブレコーダーとしても機能する。

関連記事:AIベースのオートバイ用安全システムのイスラエルRide Visionが約7.3億円を調達

最近では、Luna(ルナ)やDrover AI(ドローバーAI)などのコンピュータービジョン企業が、同様のテクノロジーをVoi(ヴォイ)やSpin(スピン)などのシェアマイクロモビリティ事業者が運用するeスクーター向けに開発している。このテクノロジーは似通っているが、ターゲットとする市場が異なる。

デンビー氏はTechCrunchに対し「違いは、当社がビジョンシステムをカスタマイズして、電動自転車のライダーにスマートな安全機能を提供しているのに対し、LunaやDrover AIはビジョンシステムを使って、eスクーターのライダーが街中をより快適に走行できるようにしていることだ」と説明する。また「それらの機能は、歩道の検知や駐輪システムのルールを守ってもらうためのものであり、eスクーターのライダーが適切にシェアシステムを利用していることを示すために必要なものだ。一方、当社のADASシステムの機能は、ライダー自身の安全を重視している。例えば、交通量の多い道路を走っているときに、自分と衝突する恐れのある車を検知した場合には、早期の警告によりライダーは安全を確保できる」と述べる。

もう1つの大きな違いは、ライダーが歩道を走るなど不適切な走行をしていると、LunaやDrover AIのシステムはスクーターのOSに接続し、減速して停止させることができることだ。Streetlogicの製品は、厳密には衝突警告システムだが、特に都市部では非常に有用なツールとなる。

「安全の面では、常に周りを見ているわけではありません。無理ですよね。また、通勤途中は、自分のめい想時間のようなもので、よく考え事をしてしまいます。少なくとも私の場合、安全については考えていません。仕事に行くことや、その日にすべきことに思いを巡らしています」と、Streetlogicの初期のベータテスターの1人で、毎日電動自転車で通勤しているTaylor(テイラー)氏は、同社のウェブサイトに掲載されている体験動画の中で述べている。

米国における回避可能だった自転車の死亡者数は、2010年の793人から2019年には1089人と6%増加しており、そのうち843人は自動車との事故で亡くなっている。電動自転車の販売が伸びても、自転車に関わる死亡事故の78%が発生する都市部では、自動車は依然としてマイクロモビリティの導入を妨げる脅威だ。自動車から電動自転車への乗り換えを検討している消費者は、ADASシステムのような安全機能が備わっているかどうかを確認するとよいだろう。

デンビー氏はTechCrunchに対し「道路や都市部に自動車よりも多くの電動自転車が走っているようなすばらしい世界、ユートピアのようなビジョンを持っている」と述べる。そして「ある程度の自動車は必要だが、大部分は自転車に置き換えることができるはずだ。電動自転車を日常生活における主要な移動手段として、より頼りになるツールにすることが、ユートピアを実現するための鍵になると考えている」と続ける。

Streetlogicのシステムは、自転車の前部と後部の両方に実装されており、すべてデバイス上で処理されるコンピュータービジョンに基づいている。ライダーを取り巻く車両の動きを追跡し、ライダーが車両と衝突する可能性がある場合には早期に警告を発する。これらの処理や警告は、完全にローカルなデバイス上のシステムで行われるため、クラウドへ接続する必要はない。また、サービスが提供されていない地域にいても機能する。

ライダー目線で見たStreetlogicのコンピュータービジョン製品。自動車との衝突を警告している(画像クレジット:Streetlogic)

ライダーはまず、デバイスが発する音声による警告を聞くことになる。これは、例えばライダーの後ろにクルマが急接近してきた場合に「Car Back(後方にクルマ)」といった内容のものだ。ライダーのスマートフォンには、障害物となる可能性のある方向がひと目でわかるシンプルな視覚的警告が表示される。ただし、この機能は、ライダーがハンドルバーのホルダーにスマートフォンを装着している場合にのみ有効になる。

LunaやDrover AIは、すでに歩行者や車線などの物体を検知するシステムを持っているが、eスクーターのライダーに衝突の可能性を積極的に警告することはない。しかし、両社のテクノロジーを持ってすれば、不可能ということはないだろう。

ドローバーAIのCEOであるAlex Nesic(アレックス・ネシック)氏は、TechCrunchに対し、電動自転車の警告システムは、ハイエンド市場における「次のレベル」の機能としては意味があるものの「当社が現在注力しているシェアマイクロモビリティ用途に必要な低いコストに抑えることは難しい」と述べる。

Streetlogicにとってはまだ始めたばかりだが、デンビー氏によると、アルファテストではこのテクノロジーは「驚くほどうまく機能した」という。また、サイクリストにとって自動車との衝突やニアミスが最も多い問題であるため、今のところシステムは自動車のみを追跡しているとのことだ。

「しかし、コンピュータービジョンの良いところは、後から機能を追加できることだ」と同氏はいい「例えば、他の自転車や歩行者、道路にできた穴やひび割れ、道路に飛び出す動物などを追跡することができるようになるだろう。これらはすべて、そのうち組み入れることができる。自動車の追跡だけでも、大部分の事故を防ぐことができた」と述べる。

Streetlogicでは、これらの検知機能を組み入れるために、さらに多くのデータを収集して機械学習モデルを学習させる必要がある。今回の資金調達の主な目的はそのためだ。同社によると、プレシードラウンドには、LDV Capital(LVDキャピタル)、Track Venture Capital(トラック・ベンチャー・キャピタル)、およびLyft(リフト)の元自律走行担当副社長であるLuc Vincent(リュック・ビンセント)氏などのエンジェル投資家らが参加し、調達した資金はチームの規模拡大のために使用されるという。先週、2名のチームメンバーを新たに雇用し、現在はフルタイムの従業員6名で構成されているが、予約注文に対応することに加え、システムの成熟度向上に向けた生産性確保のために、従業員を拡充したいと考えている。

「ハードウェア面ではApple(アップル)とUber(ウーバー)から、ソフトウェア面ではCruise(クルーズ)から、精鋭が集まっている」と、デンビー氏は語る。

デンビー氏自身もUberの出身で、後にLime(ライム)に買収された同社のスクーター「Jump(ジャンプ)」のコンピュータービジョンシステムのアドバイザーを務めた他、360度アクションカメラ「Rylo(ライロ)」の開発チームを率いていた。

Streetlogicは、早期に軌道に乗せるためにB2C製品として立ち上げたが、将来的には自転車メーカーとの統合を進めていきたいと考えている。

画像クレジット:Streetlogic

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

Canooが自動車製造VDL Nedcarとの欧州EV委託生産契約を終了、VDL Groepと米国生産に向け提携へ

EV(電気自動車)スタートアップのCanoo(カヌー)は、米国時間12月15日に米証券取引委員会に提出された書類によると、オランダの自動車製造会社VDL Nedcarとの欧州における製造委託契約を終了するという。別の提出書類では、Canooは同じくオランダの自動車製造会社であるVDL Groepと、米国での車両生産に関する新たな契約を模索することも明らかになっている。

「VDL Nedcarが当社に製造委託の選択肢を提供するために投資した数カ月の努力に感謝します。ただ、米国での製造が、当社の使命と、当社と同じくハイテク製造に投資している地域社会や州に投資するという当社が現在注力する点に合致していると判断しました。それが、米国の雇用とイノベーションを生み出します」とCanooのCEO、Tony Aquila(トニー・アクィラ)氏は提出書類の中で述べている。「オクラホマ州とアーカンソー州からの支援により、多くの面でより早く、より少ないリスクで商業生産を開始することができます」。

提携解消の一環として、VDL NedcarはCanooからの前受け金3040万ドル(約34億6560万円)を返還し、また新しい提携の一環として、VDL GroepはCanooの株式を840万ドル(約9億5760万円)で取得する。

このニュースが発表される1カ月前に、Canooは本社と先進的な製造施設をWalmart(ウォルマート)の本社もあるアーカンソー州ベントンビルに移転する計画を発表していた。アクィラ氏は第2四半期決算発表で、VDL NedcarによりCanooの「Lifestyle Vehicle」が2023年には最大2万5000台生産されると予想していたが、今後はアーカンソー州で生産することになるようだ。

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Canooはオクラホマ州でも「メガ・マイクロファクトリー」を建設中で、2023年後半の稼働を目指している。同工場では、Canooのピックアップトラックや多目的配送車などを生産する。同州は、Canooの工場と製造の次の段階を支援するために、3億ドル(約342億円)の、希薄化のない金銭的な優遇措置を約束した。Canooは、アーカンソー州が提供する同様の優遇措置に関する情報提供の要請に応じなかったものの、それが存在する可能性は高いと思われる。SECへの提出書類によると、Canooは、VDL Nedcarとの委託製造の協議が終了した今、オクラホマ州とアーカンソー州の優遇措置を活用することができ、欧州で製造した場合にかかる25%の関税なしで、第4四半期に間に合うよう車を納入する能力を得ることになる。

バイ・アメリカン法を含む1兆ドル(約114兆円)規模のインフラ法案が正式に署名されたため、Canooは連邦政府との契約やその他の政府優遇措置を狙う可能性がある。この法律は、非国産品の用途を制限し、最終製品は米国内で製造されなければならないとするもので、米国内で使用され、連邦政府との契約に関わる製品に適用される。

「加えて、私たちの製造は100%米国で行われることになります。また、部品の96%を米国とその同盟国から調達するという、もう1つの大きなマイルストーンを達成したことを誇りに思います」とアクィラ氏は語った。

提出書類によると、製造パートナーを変えることで、Canooはサプライチェーンの脆弱性を減らし、市場投入のスピードを上げ、さらなるイノベーションと知的財産の創出をより安全にコントロールし、地域社会における高度な製造業の雇用を増やし「保証リスク、関税、海外輸送コストを排除」して1台あたり数千ドル(数十万円)を節約することが期待されるという。

また、Canooは12月15日、精緻化した2022年から2025年までの製造戦略と生産ロードマップに関するアップグレードされたガイダンスを発表した。来年は3000~6000台(従来見込みは500~1000台)の生産を目指す。2023年には、1万4000~1万7000台(従来見込みは1万5000台)、2024年は4万~5万台、2025年は7万~8万台の生産を目標としている。

画像クレジット:Canoo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Waymoの自動運転車がサンフランシスコで歩行者をはねる、当時はマニュアルモードつまり人が運転していた

サンフランシスコで現地時間12月15日夕方に歩行者をはねたWaymo(ウェイモ)の自動運転車「Jaguar I-Pace」はマニュアルモードだった、と同社はRedditに投稿された第1報に回答するかたちで語った。Waymoによると、その時車両はマニュアルモードになっていた。実際に運転していたのは、ハンドルを握っていた人間のセーフティドライバーだったということだ。

この事件を説明したKWilletsによるRedditへの投稿には、サンフランシスコのローワー・ハイト地区に停車しているWaymoのテスト車両の写真が掲載されていた。現場には消防車と数人の救急隊員も写っている。目撃した事故後の様子を記したKWilletsの投稿には、こう書かれている。

2021年はこれ以上悪くならないと思っていた矢先、ドーンという音が聞こえた。何事かとベッドから飛び起きた。

近隣の誰かが向こう側のライドシェアの車両から降りてきて、1人が道を横切って渡り、もう1人は車両の後ろで明らかに写真を撮っていた。サンフランシスコ市警察のパトロールが立ち止まって、道を渡るときには気をつけなさいとか何とかを言っていたところに、近くの車線をWaymoが通り、渡り終えた人をはねた。彼は車に戻る途中だったのだと思う。被害者は意識があり、その後立っていたが、より正確な診断のためにサンフランシスコ総合病院に行ったという。無事であることを祈る。

Waymoなんてものはないと言われても、僕とおじいちゃんはあると思っている。

その後、この事件はTwitterで取り上げられ、さらに注目を浴びた。WholeMars Catalogの名でツイートしている有名なTesla(テスラ)ファンのOmar Qazi(オマール・カジ)氏とのやり取りの中で、Waymoの広報担当者が回答し、車両がマニュアルモードになっていたと述べた。

TechCrunchがWaymoに連絡を取ったところ、同社は以下の声明を出した。

米国時間12月15日の夕方、サンフランシスコのハイト通りのウェブスターとブキャナンの間のブロックで、当社の車両が衝突を起こしました。車両がマニュアルモードで走っていたときに、道路にいた歩行者と接触しました。歩行者は現場で怪我の手当てを受け、救急車で病院に搬送されました。当社の車両が走行する地域社会の信頼と安全は我々にとって最も重要であり、地元当局と連携してこの事件の調査を続けていきます。

Waymoは、カリフォルニア州、特にマウンテンビューとサンフランシスコ周辺において、何年も前から自動運転車のテストを行っている。Waymoはサンフランシスコでのテストを活発化させており、その結果、自動運転車全般、そしてより具体的には同社自身に注目が集まるようになった。例えば同社の自動運転車が次々と同じ行き止まりの道に入り、Uターンを余儀なくされたことから、Waymoは地元のニュースに取り上げられるようになった。

Waymoは自動運転車の規模について正確な数字を提供していないが、TechCrunchに対し「サンフランシスコに数百台の車両を保有している」と語った。同社のサンフランシスコでの活動は2021年、特に8月にTrusted Testerプログラムを開始し、研究プログラムを従業員だけでなく、一部の一般人にも開放して以来、活発になっている。このプログラムでサンフランシスコの人々は、同社の全電動の「Jaguar I-PACE」の自動運転車に乗ることができる。依然として、セーフティドライバーが運転席に座っている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

トヨタがスポーツカーやピックアップを含む最新EVコンセプトを公開、2030年までに30車種のEV展開を発表

Toyota(トヨタ自動車)は、2025年までに15車種のバッテリー式電気自動車を投入するという従来の計画をさらに拡大し、2030年までに30車種のバッテリーEVを展開すると発表した。日本時間12月14日に行われた同社の「バッテリーEV戦略に関する説明会」では、将来を予感させるさまざまな種類のEVコンセプトカーが紹介された。

その中には、Ford(フォード)の「F-150 Lightning(F-150ライトニング)」やRivian(リビアン)の「R1T」などと競合する可能性のある電動ピックアップも含まれている。Autoblogでは、トヨタのピックアップEVが、同社の「Tacoma(タコマ)」に非常によく似ていることを指摘している。そこから推測すると、タコマの次期型モデルにはEVバージョンが用意されるのかもしれない。

画像クレジット:Toyota

他にも「SPORTS EV(スポーツEV)」と呼ばれる電動スポーツカーや「FJ Cruiser(FJクルーザー)」を思い出させる「Compact Cruiser EV(コンパクトクルーザーEV)」などのコンセプトカーが披露された。さらに「Micro Box(マイクロボックス)」や「Mid Box(ミッドボックス)」という商用車も用意されるようだ。そしてトヨタは、2021年の夏季オリンピック / パラリンピックで選手の移動に使われた自動運転バス「e-Palette(イーパレット)」を改めて公開した。パラリンピックでは、このEVが視覚障害者の選手と接触する事故が発生したため、同社はその使用を中止している。

さらにハイエンドなモデルとして、トヨタはLexus(レクサス)ブランドのEVコンセプトもいくつか披露した。「Lexus Electrified Sport(レクサス・エレクトリファイド・スポーツ)」は、0-100km/hまで2秒台で加速し、一度の充電で走行可能な航続距離は700kmになるという。その他、クーペ風4ドアセダンの「Lexus Electrified Sedan(レクサス・エレクトリファイド・セダン)」や、高級大型SUVの「Electrified SUV(レクサス・エレクトリファイドSUV)」も公開された。

画像クレジット:Toyota

トヨタは現在、車両の電動化に8兆円を投じることを表明しているものの、EVに関する中期的な予測は比較的保守的だ。同社では2030年までに世界で年間350万台のEV販売を目指すとしているが、これは現在の自動車販売台数の約3分の1に相当する。

これに対しVolkswagen(フォルクスワーゲン)は、2030年までに新車販売台数の半分がEVになり、2040年には主要市場における販売台数のほとんどがEVになると予測している。早くからハイブリッド車の技術を牽引してきたトヨタが、現在はEV市場で他の自動車メーカーに追いつこうとしていると考えれば、EVに関しては比較的控えめな予想を立ててもそれほど驚くことではない。

トヨタは最近、12億9000万ドル(約1467億円)を投じて2025年までにノースカロライナ州にEV用バッテリー工場を建設する計画を発表した。その一方で同社は先月、GMやフォードなど他の自動車メーカーが賛同する、化石燃料を使用する自動車を2040年までに段階的に廃止するという案に合意することを拒否している。しかし、レクサスでは、2035年までに世界で販売する車両のすべてをEVのみにすることを目指している。

編集部注:本記事の初出Engadget

画像クレジット:BEHROUZ MEHRI / Getty Images

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(文:Kris Holt、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

カリフォルニア州、衝突事故を起こしたPony.aiの自動運転テスト認可を一時停止

米国にオフィスを構える中国の自動運転スタートアップPony.ai(ポニー・エーアイ)が、人間の安全ドライバーなしでの自動運転車テストを停止した。地元の規制当局によってテストが承認されたのはわずか6カ月前である。

関連記事:トヨタ出資の自動運転Pony.aiがカリフォルニア州から無人運転テスト許可を取得

カリフォルニア州車両管理局(DMV)がTechCrunch伝えてきた声明文によれば、米国時間10月28日にフリーモントでの衝突事故が報告されたことを受けて、米国時間11月19日にはDMVがPony.aiに対して、無人運転認可を一時停止することを通知した。

Pony.aiは、この自動運転テスト認可に対して、10台のHyundai Kona(ヒュンダイ・コナ)電気自動車を登録している。DMVによると、この一時停止は、Pony.aiの安全ドライバー同乗テストの認可には影響しない。

Pony.aiの衝突報告によれば、この事故は、ある晴れた朝に、無人運転車両が自動運転モードを使用して車線を変更しようとしてときに発生したという。

Pony.aiの広報担当者はTechCrunchに対して「最近、私たちの車両の1台が、カリフォルニア州フリーモントで、車線区切りと道路標識への衝突事故を起こしました。他の車両は巻き込まれていませんし、負傷者も出ませんでした」と語った。

広報担当者はさらに「私たちはすぐに調査を開始し、事故についてカリフォルニア州DMVと連絡を取り合っています」という。

これまで、他の自動運転車も衝突事故を報告しているが、そのほとんどは、安全ドライバーが車両を手動運転しているとき、または別の車両が後ろからAVに衝突したときに発生している。この事故は、車両が自動運転モードであり、かつ他の車両が関与していなかったという点が特徴的だ。

この事件は、Pony.aiの自動運転機能に疑問符を付けた。なお広報担当者によれば同スタートアップの自動運転車は「2017年以来、カリフォルニアで実際の路上を75万マイル(約120万7000キロ)以上走行することに成功した」という。

2016年にBaidu(バイドゥ、百度)からの退職者によって設立されたPony.aiは、中国とカリフォルニアの両方にR&Dチームとテスト車両群を持つAV(自動運転車両)スタートアップグループの1つだ。これまでトヨタやセコイアキャピタルのようなヘビー級の投資家を魅了し、2021年2月の時点では総額10億ドル(約1137億円)以上の資金調達を調達し、53億ドル(約6026億円)の評価額をつけている。つい最近、Baiduと並んで、北京のデモエリア内で自動運転車を商用運転することが承認された

同社はまた、ここ数カ月困難に直面している。ロイター通信によると、米国政府の標的とならないことを、中国政府に納得させることができなかったため、同社はニューヨークでのSPAC上場計画を中止した。先月、TechCrunchは、同社の自動運転トラック事業が数人の主要幹部を失い、この新しい部門が中途半端な状況に追い込まれていると報告した。競争が激化する中、Pony.aiは投資家に対して競争力のある技術と実現可能な商業的未来を持っていることをしっかり証明しなければならない。

画像クレジット:Pony.ai

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(文: Rita Liao、翻訳:sako)