オンライン学習のCourseraが評価額8億ドル、6400万ドル調達――元イェール学長のCEOに聞く

伝統的なスタイルの高等教育のコストが上がる一方、コンピューティングのコストは下がり続けている。そこでオンライン教育サービスはますます繁栄することになる。このトレンドを象徴するように、分野のリーダー、Courseraが今日(米国時間6/7)、シリーズDのラウンドで6400万ドルの資金を調達することに成功したと発表した。

私はCouseraのCEO、Rick Levinにインタビューすることができた。 Levinは2014年に同社に加わる前はイェール大学の学長を務めており、経済学者としても著名だ。Levinによれば、今回調達した資金はCourseraのビジネスを3つの分野で拡大するために用いられるという。

一つは学習のパーソナル化、効率化を図るために人工知能などの新しいテクロジーを開発すること、二つ目は正規の学位を授与できるような長期にわたる学習体系を確立すること(現在は主として比較的短いコースや単発のコース)、3つ目は企業としてだけでなくNPOとしても新しい分野を開発し、多様な学習ニーズに応えていくことだという。

Levinはインタビューで「Courseraは今回のラウンドにおける会社評価額を公表していないと」と述べたが、私は別途事情に通じた筋から会社評価額は8億ドル前後だったという情報を得ている。前回のラウンドでの評価額は5億ドルだったから大幅なアップだ。

オンライン教育マーケットの熱気を示すもう一つの兆候は資金調達の規模そのものだ。私は数日前から情報を得てこの記事を準備していたが、昨夜遅くなってから「Courseraはラウンドの締め切り直前に新しい投資家を追加した」という至急のメモ受け取った。

全投資家のリストは印象的だ。おなじみのKleiner Perkins Caufield Byers (KPCB)に加えてGSV Asset Management、New Enterprise Associates (NEA)、 Learn Capitalが既存投資家で、これにThe Lampert Foundation (医療、教育、チャリティー分野で著名)が新規に加わった。今回のラウンドを含めるとCourseraは2億1000万ドル以上を調達したことになる。

Courseraの創立は2012年〔共同ファウンダーはAndrew NgとDaphne Koller〕。さまざまな分野を通じて世界の登録ユーザーは合計2600万人だ。提供される学習コースは180分野で2000種類、ビジネス、コンピューティング、イノベーション、会計の分野で修士号を授与している。エンタープライズ向け、NPO向けコースもあり、150の大学と提携している。

2600万のユーザーの大半は短期コースの受講者だが、Levinは長期コースも急速に拡大されており、将来はCourseraの主要事業の一つになると期待していると述べた。現在、BCG、BNY Mellon、L’Oreal、PayPal、Air France、KLMなど50社程度がCourseraに学習コースを提供している。また公務員やNPO職員などの学習者はアメリカを始めとして、パキスタン、エジプト、マレーシア、シンガポールから参加している。【略】

一部では伝統的教育は窓から投げ捨てるべきだと主張されているが、もちろん伝統的教育には価値も将来もあると信じる人々も多い。オンライン教育の価値についてはこれまで激しい議論交わされてきた(たとえばこちら)。もちろんオンライン教育プログラムのすべてが成功だったわけではない。

私の見るところ、もっとも興味ありまた持続可能なビジネスになる可能性が高いのは既存の大学に取って代わろうとするのではなく、補完しようとするサービスだ。こうしたサービスは費用、時間その他の制約により既存の教育機関で学ぶことが困難な人々に新たな学習のチャンスを提供するものだ。

若い層を対象としたオンライン学習サービスとしては最近11億ドルの会社評価額を得た中国のYuanfudao〔猿輔導〕や同じく中国のサービスで、昨年突然登場して1億ドルを調達したVIPKid、 またアメリカで昨年10億ドルの評価額を得たAge of Learningなどが興味あるスタートアップだろう。

LevinによればCourseraは「何もかもいちどき革新するようなディスラプティブな存在とは考えていない」という。「われわれのMBAコース受講者の平均年齢は37歳で、大半は既婚者で子供がおり定職に就いている。これからイリノイ大学のような名門校に入学しようとしている若者ではない<」ということだ。しかしCourseraの歴史はまだ浅い。先ごろ最初の修士号取得者を出したばかりだ。Courseraのディスラプティブな面が今後どのように発揮されていくか注目だ。

画像: starmanseries/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Arduinoをベースにして電子回路製作を楽しむ(学習する)Code Kit

知育玩具にはあまり興味を感じない。どちらかの狙いが強すぎて、結局は虻蜂取らずになってしまっているように思うのだ。ただ、LittleBitsのCode Kitは、うまく両者のバランスを取っている様子。役立つ知育玩具というものがあるのだと、認識を改める必要があるのかもしれない。

Code Kitは第3学年から小学校中学年から中学生用向けに開発された、299ドルの教材だ。対象学年に応じて、かなり頑丈な作りともなっている。

LittleBitsは、バッテリーやスピーカー、あるいはスイッチなどのパーツで構成され、磁石の力でそれぞれを接続して電子回路を作ることができるようになっている。接続可能な組み合わせであれば引っ付き合い、接続不能な同士の場合は磁石が反発するようにもなっている。ショートさせてパーツを壊してしまう心配もないというわけだ。

キットのベースにはArduinoが採用されている。インプット/アウトプットデバイスと、充電池がセットになっている。キットはワイヤレスで動作するようになっているので、プログラムは、キット同梱のUSBドングルを用いて行うことになる。

プログラミングはScratch風にドラッグ&ドロップで簡単に行うことができる。キットを私の子供に渡してみたが、数分でサンプルのコードを書くことができたばかりか、コーディングの方法を教えると、30分ほどでプログラムを改造してオリジナルのゲームを作ることさえできた。コーディングの指導にあたる教員も、プログラミングの概念さえ知っていれば、数分でこのキットを使いこなせるようになるはずだ。

パーツの構成もよく考えられているように思う。ブレッドボード化しているのも扱いやすいし、接続に磁石を用いているのも簡単かつわかりやすい。組み合わせ次第でさまざまな可能性を実現できるのも良い。LittleBitsは、これまでにもプロダクトをリリースしてきたが、いずれも面白さの面からも、教育的効果の面からも不十分なものだと感じていた。そこから考えれば大いに進化したといって間違いない。IoTないしプログラミングの基礎を学ぶのに、なかなかよくできたキットだと思う。

本格的な電子工作を学習するなら、とにかくハンダ付けを繰り返したり、壊れたステレオをいじってみるのに勝るものはないのかもしれない。しかしLittleBitsは、懐かしの「ヒースキット」(Heathkit)など昔ながらの電子工作キットを、さまざまな面で現代的にしたものと言えるのかもしれない。ただし利用している9V電池は舐めないことをおすすめする(訳注:lick the 9 voltで検索するとさまざまな動画がアップロードされている)。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

Raspberry PiがCode Clubに続いてCoderDojoを併合、元々のねらい(子どもたちのプログラミング教育)の実践力を拡大

Raspberry Pi Foundationが、またひとつ、子どもや若者にプログラミングを教えるチャリティ団体を併合した。今日(米国時間5/25)発表されたそれは、ダブリンのCoderDojo。ねらいは、Piの最初の目的であった若い世代へのコンピューティング教育を、共に推進するためだ。

CoderDojoは2011年に始まり、現時点で傘下のプログラミングクラブは69か国に1250あまりあり、7歳から17歳まで総計35000人以上の若者が、常時出席参加している。

合併のねらいは、その数を4倍にすることだ。2020年の目標はCoderDojoのクラブが5000箇所になることだ。

Pi FoundationのCEO Philip Colliganが、合併を発表するブログ記事でこう述べている: “両者および(2015年11月に併合したCode Clubが力を合わせることにより、若い世代にコンピューティングとデジタルのものづくりを広める活動としては世界最大の規模になる。

Pi Foundationの中核的ミッションはつねに、もっともっと多くの子どもたちにプログラミングを教えることだった。Piは安価な単層のマイコンボードではあるけれども、その設計は今やすべての世代のメイカーたちに気に入られ歓迎されている。

CoderDojo Foundationはこれまでと変わらずアイルランドの独立系チャリティであり続け、その実践的、財政的、および組織的支援をPi Foundationが行う。合併は今後、アイルランド当局の認可により発効する。

つまり、Colligan曰く、“CoderDojoのブランドと精神は併合によって何も変わらない。CoderDojosは今後も、Piなど特定のプラットホームにとらわれることなく、学習効果が良いと判断されたキットを採用していく”、ということだ。

合併の財政的組織的側面として、ColliganがCoderDojo Foundationの理事会に理事として加わる。そしてPi FoundationはCoderDojoの企業会員になるが、どちらも非営利企業なのでそこに財務的利害関係はない。

Code Clubの方は、2015年11月のPi併合の時点でイギリスに3150のクラブがあり、44000人が学んでいた。ほかに、海外のクラブが1000あった。現在はイギリスだけでクラブが5900、全世界では約10000のクラブでおよそ10万の子どもたちが学んでいる。

Colliganはこう語る: “Code ClubとCoderDojoは共に、それぞれの地域で大きく成功している組織だ。ブランドの知名度と人気も高い。併合の理由はどちらも同じで、目標とコミュニティと日常の活動を整合することだが、現時点でも事業と資金源に重複はあまりない。併合によってより大きな、規模の経済を達成したいし、お互いの異なるやり方や経験から学び合いたい”。

“とくにCoderDojoは、途上国で顔が広いことが、魅力だね”。

そして彼によると、今のところ、さらなる併合の計画はないそうだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Airbnbが社内にデータサイエンス大学を開校、非技術系一般社員も対象

テクノロジー企業と、最近ではますます多くの一般企業が、データサイエンティストの不足にあえいでいる。どの企業にも独自の雇用と教育の戦略はあるが、Airbnbはさらに一歩進んで、独自のコース番号までつけた、大学みたいな社員教育事業を立ち上げた。

そのData UniversityでもってAirbnbは、全社員を“脱データ音痴”するつもりだ。CourseraやUdacityのような一般的なオンラインコースでは、データとツールに関するAirbnb独自のニーズが満たされない。そこで同社はコースの設計から自社で取り組み、社員のニーズに合わせてそれらを3段階のコース番号レベルに分類した(下右図)。

100のレベルは、人事や企画の人たちも含め、全員が受講できる「データに基づく意思決定」。

中級クラスはSQLやSuperset(Airbnb製オープンソースのデータ可視化ツール)を勉強して、一般社員でもプロジェクトマネージャーになれる。上級のPythonや機械学習のコースでは、技術系社員がスキルをブラッシュアップする。

2016Q3に立ち上げたこの事業により、同社のデータサイエンスツールの各週のアクティブユーザー数がそれまでより30〜45%増えた。同社の500名の社員がすでに、少なくとも1つのクラスを受講している。まだ、全世界22のオフィスに全展開してはいない。

Airbnbはこれまで4度、データサイエンスの教育事業をトライしている。分析実験チームのプロダクトマネージャJeff Fengによると、その経験から得られた重要な教訓が三つある:

  • 誰もがとっつきやすいカリキュラムを設計すること
  • 上級管理職が部下部員に対してデータ能力の重要性/必要性を喚起すること
  • 成功を測る方法を見つけること

ほかの企業が社内でデータサイエンスのコースを立ち上げるときも、これらが参考になるはず、とFengは言う。この事業は、かつてGoogleを他から大きく差別化することに貢献した社内クラスを参考にしているようだ。Googleの場合は技術系のコースと一般コースの両方があり、データの視覚化も教えるし、簿記も教える。

Airbnbは、その初級データサイエンスクラスの開設にあたって、それが技術者だけを対象とするものではない、と訴え、そして、より本格的に技術を学びたい者のために今後もっと上のレベルの上級クラスをひらく、と声明している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

【ポッドキャスト】ゲームが大好きなシェフが算数の先生になり、そしてプログラマーとして成功するまで

[筆者: Ruben Harris](プロのチェリストで投資銀行家、後者は今、高齢者の訪問看護を行うHonorのためにサンフランシスコでパートナーシップを構築している。彼はポッドキャストBreaking Into Startupsのファウンダーでもある。)

これまでの寄稿:

Mannah Kallonのシェフのキャリアをプログラミングへと方向転換した力は、食べ物とゲーム、両方への愛だった。

今回のBreaking Into Startupsで彼が語っているように、料理学校で修行中も、またその後の米南部放浪の旅でも、長年のゲーマーである彼は大量のゲームをプレイし、ゲームの作り方も独学で学んだ。そのため彼は期せずして、子どもたちが算数を楽しみながら勉強できるコツを会得した。

そして、料理学校の生徒だったこの男は、教育がおもしろいと思うようになり、ニューヨークの有名なハーレム地区で教師のキャリアに船出した。ほかの教師たちは、児童生徒が算数数学を楽しく学ぶ、彼独特の教え方の秘密を知りたがった。

彼らの熱心な関心を知って、彼自身はプログラミングに関心が向き、カレッジで哲学を専攻したことと、とくに記号論理学が好きだったことを思い出し、もしかしたらそれをテクノロジーに活かせるか、と思うようになった。

そこでKallonは教師を辞め、DevBootcampでプログラミングを学び、その後パーソナルショッピングとスタイルのサービスStitch Fixに就職した。

私たちがこのBreaking Into Startupsポッドキャストを始めた理由は、こんなお話を共有するだけでなく、スタートアップを志願している人たちに不偏不党のリソース案内を提供することだ。それらのリソースは、ここ(breakingintostartups.com/resources)で自由に選べる。このページからDev Bootcampなどのプログラミング・コースを受講すると、料金が割引になる。

その前に、自分自身の体制を整えたい人は、ここで(breakingintostartups.com/challenge)、5つのチャレンジに挑戦していただきたい。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

プログラムのコードがやることを視覚化して初心者にプログラミングを理解させるDeep Algoのクラウドサービス

今週行われたTechCrunch DisruptのStartup Alleyで、ルックス的にもすばらしかったスタートアップのひとつが、Deep Algoだ。このフランスのチームは、C++やC#、JavaScriptなどのプログラミング言語を、WYSIWYGエディターでHTMLを書いて/見ていくときのように、大衆的で分かりやすいものにするSaaSを提供している。

それはかなり大胆な主張だが、同社は、この方法で、複雑なプログラミング言語を初心者でも十分に扱えるようになる、と自信を示している。

CEOのXavier Lagarrigueはこう語る: “IT以外の社員でもプログラムのコードを理解できるようにしたい。テクノロジーにとってはプログラムのコードが入力であり、あとはすべて自動的に処理される。うちはコードからまずビジネスのコンセプトを取り出して、それから質問を構築する。ユーザーは質問をセレクトし、その答をコード中に見つける。プログラマーでない人でも、この形なら十分理解できるはずだ”。

同社のシステムはまずユーザーにソートのフォームを見せて、これに対しプログラムが何をするのかを理解させる。それから今度は処理の各段階をフローチャートのようなもので表し、コードが作り出すアクションを理解させる。学習する社員たちは、その処理の中に自分たちのビジネスの別の側面を見て、システムを自分独自の(仕事よりの)見方で見れるようになる。

ぼくは最初、同社の高邁な約束に対し懐疑的だったが、Lagarrigueによると、単純で堅牢なものを示されるとユーザーは、それに対する“アクション”を作れるようになる、という。“入力としては、何をしたいのかを説明する。それがこのフォーマットの強みだ。コードがやることを、なんでも表現できるから”。

でも、まだ何もかもが初期的段階だ。今4つの企業の協力のもとに、パイロット事業を展開している。今後は、パートナーをさらに増やしたい。課金は、ユーザー一人あたりの単価×ユーザーの数、という形になる。

完全な初心者にプログラミングを教えることには、いろんなトラブルがつきものだ。昔は、誰もかれもがGeocitiesで自分のWebサイトを作っていたけど、でもいちばん多いのは、MIDIによる音楽をバック‘under construction’(ただいま制作中)のGIF画像が表示されるサイトだった。

同社は今後、対応言語をもっと増やしていく予定だ。Lagarrigueによると、その拡張作業は一つの言語につき数週間ぐらいだ、という。



[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Duolingo、日本語学習のサポートを開始

人気の外国語学習ツールであるDuolingoが、iOSアプリケーションにて日本語のサポートを開始した(日本語を学習することができるようになった)。Android版でも間もなくサポートされる予定であるとのこと。

「Duolingoがスタートして5年、日本語のサポートについて多数のリクエストが寄せられており、多くの人が待ち望んでいた機能でした」と共同ファウンダー兼CEOのLuis von Ahnは述べている。「私たちが何か新しい情報をソーシャルメディアに投稿すると、その返事はいつも『それはいいね。でも日本語のサポートはいつだい?』というようなものとなっていたのです」。

多くの要望が寄せられる中、Duolingoも日本語学習に対応ために努力を重ねてきた。しかし日本語にはひらがな・かたかな・漢字といった文字が存在し、また文の構造も英語などとは大きく異なる。そのためになかなかサポートできずにいたのだった。ローマ字(日本語の音をアルファベットで表現するもの)にすれば、サポートのための壁が低くなるという考えもあった。しかしそれで日本語を学んでも、日本に旅行したときに役に立たない。そこでなんとか100個の漢字を取り込み、そしてローマ字ではなくひらがなを使用することとしたのだ。

コースの内容としては、実生活に役立つ表現(食べ物のオーダーの仕方、場所の尋ね方など)を採用するように心がけたとのこと。もちろん2020年を見据えて、オリンピックを意識した表現も加えられている。今から勉強を始めれば、東京オリンピックをよりいっそう楽しめるようになるかもしれない。

  1. 1fb04535-e796-4425-a644-285b4f1608d0.png

  2. img_3074.png

  3. 3c3bf76d-5d89-4bb7-98e7-be7eb89e6fa4.png

原文へ

(翻訳:Maeda, H

このGoogle HomeのDIYキットはRaspberry Piとボール紙でできた魔法のボックス

Google Homeは欲しいけど体裁よりは費用節約が重要、という人は、Raspberry Piの公式雑誌MagPiの最新号を見よう。この雑誌にはときどき付録があるけど、今回のは最高だ。それはRaspberry PiとGoogleが共作したキットで、Google Assistant SDKとGoogle Cloud Speech APIでなにかやってみたい人のための、必要なハードウェアをすべて揃えている。

Raspberry Pi 3だけは自前だが、それは大した費用ではない。付録の内容は、ボール紙製のケースとスピーカー、マイクロフォンと必要部品一式、そして音声入力のために使う大きな(アーケードゲームのような)ボタンだ。音声による起動が完全にパッシブ(受け身)であることがHomeの利点だが、このDIYキットは自由にカスタマイズできるから、どんな機能でも実現できる。

これで、多くの人びとにとって、Google HomeとGoogle Assistantで何かを作ることが、一挙に楽しくなるだろう。Googleは最近AssistantのAPIをハードウェアメーカーに公開したから、そのフォローアップの意味もあるのだろうね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

機械学習の体験と学習を民主化・大衆化したいPaperspaceがY Combinatorらに支えられてGPU VMを導入

Amazon, Microsoft, Googleの三社とあえて同時にたたかう企業はめったにないが、でも弱冠3歳のPaperspaceは、データサイエンティストを優遇することによってクラウドコンピューティングのニッチを開拓できる、と考えている。今日(米国時間5/3)同社は、Nvidia Pascal GPUを使用する仮想マシンを立ち上げた。そこには機械学習のフレームワークがすでにインストールされており、Paperspaceはプロシューマーや熱心なデータサイエンティストたちから成る新興市場にも対応しようとしている。

“Amazon Web Services(AWS)は素晴らしいけど、気軽に手を出せない”、とPaperspaceの協同ファウンダーDillon Erbは言う。

クラウド上の機械学習を、もっと、とっつきやすいものにするために、PaperspaceはユーザーのWebブラウザー上に、彼らが日常使い慣れているLinuxのデスクトップを提供する。そこから誰もが、安全なシェルや端末を使ってコードを実装できる。インタフェイスはWeb、ハードウェアはGPU、そしてPaperspaceは、2560 CUDAコアのPascalチップと16GBのメモリを1時間65セントという低料金で提供する。

“この1年半ぐらいで、GPUを要望する人が急に増えてきたね”、とErbは述べる。

このような、民主化された機械学習の市場サイズが、どれぐらい大きいのか小さいのか。それはまだPaperspaceにも分からないが、同社のユーザーたちがローンチした仮想マシンは5万を超えている。かなりの需要があることは確かだが、まだ同社としてはきわめて初期的な段階だ。

クラウドから機械学習を提供する、いわゆる、サービスとしての機械学習(Machine learning as a service, MLaaS)のスタートアップは、このところあまり人気がない。理由はいろいろあるが、そのひとつは、高度な技術を持っているエンジニアたちの市場と、開発過程を初心者のために単純化するプロダクトとのあいだに、ミスマッチがあることだ。

PaperspaceをBonsaiH2O.aiなどと同列に扱うことはできないが、それでも上記のたとえは当てはまる。すでに大企業を顧客として抱えている既存のクラウドコンピューティングサービスも、今後ますます民主化へ向かうだろう。だから機械学習プラットホームの民主化は、必ずしも処女市場ではない。しかもデータセンターをスクラッチで(ゼロから)立ち上げアップグレードしていく費用は、膨大である。

Y Combinatorとニューヨーク大学、そしてInsight Data Scienceが、Paperspaceの初期からのパートナーだ。GPUを使う同社の新しい仮想マシンは、Insightが専門技術者の教育訓練に利用する。YCも同社のシンプルで使いやすいシステムを、今後のAIスタートアップの育成事業に利用するために、今実験を行っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Windows 10 Sノートはこの夏出荷、189ドルから

MicrosoftのChrome OSへの回答はWindows 10 Sだと判明した。この新しいOSはWindows 10を軽量化し、学校現場向けにセキュリティーを強化したバージョンだ。アプリはサンドボックス内で作動し、高価なハードウェアを必要としない。

このプロダクトでMicrosoftが非常に優位だったのは多数のメーカーにWindows 10 S向けのパソコンを作るよう説得できた点だろう。Acer、Asus、Dell,、富士通、HP、Samsung、東芝の各社がWindows 10 Sノートを出荷する。

エントリー・モデルは189ドルから。この価格であれば学校は大量に一括購入することができる。

  1. p1011362.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  2. p1011380.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  3. p1011365.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  4. p1011368.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  5. p1011370.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA
  6. p1011372.jpg

    OLYMPUS DIGITAL CAMERA

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftが学校用軽量版、Windows 10 Sを発表――Google Chromebookに対抗

今日(米国時間5/2)、ニューヨークで開催されたイベントで、Microsoftは教育マーケットを取り戻すための大きな発表を行った。 Chromebookに負けつづけきたMicrosoftは、これに対抗すべく、肥大化した機能を思い切って削った軽量のOS、Windows 10 Sを発表した。これは学校現場での利用に焦点を絞ったプロダクトだ。

Microsoftは名指しはしなかったものの、新しく発表されたブラウザ専用OSがChromebookを念頭に置いて開発されたことは間違いない。Microsoftは経済性を武器に世界の教育マーケットで大きなシェアを持っている。しかしアメリカ市場ではこのところChromebookが着実にシェアを伸ばしていた。

複数ユーザーがそれぞれログインできることがChromebookの重要なセールスポイントだ。なんといっても教育用ノートパソコンは大勢のユーザーが使うことになる。公立学校の情報システム担当はこの問題を処理するために頭を悩ましてきた。そこでWindows 10 Sはこの機能を備えることとなった。Microsoftはログイン・アプリを追加し、システム担当が簡単に複数ログイン問題を処理できるようにしている。

ログイン情報はUSBに保存される。システムにUSBを接続すると30秒程度でログインが完了する。何百台ものパソコンのログインを処理しなければならない場合、わずかな時間の節約も大きな影響を与える。

もう一つ重要なのは、Windows Storeだ。このストアからのダウンロードには教師の承認が必要だ。また教師はインストールされたアプリについてもカメラなど多数の機能をコントロールできる。

Windows 10 Sの登場は今年1月に教育マーケットに注力するという発表の際に予告されていた。Windows 10 S対応ハードウェアはAcer、Asus、HP、Dell、東芝その他のサードパーティー製で189ドルから供給される。興味ある点はこうしたハードウェアは発表されたWindows 10 S専用ではない点だ。 学校は独自に10 Sをアップグレードすることができる。そういう次第で、Microsoftは学校に対してOSのアップグレードとOffice 365の利用を1年間無料で約束している。

Windows 10 SはあくまでWindowsの軽量版であり、Chromeの目新しさを欠いているのは事実だ。 しかしMicrosoftはゼロからスタートするのではなく、教育市場における現行の強みを活用することを考えたようだ。【略】

Chromebookはアメリカ以外の市場ではまだ大きな存在とはなっていない。世界的に教育市場で大きな存在であるMicrosoftにはWindows 10 Sを成功させる可能性が十分ある。また教育市場を通じて将来のパソコン・ユーザーたちに強い印象を与え、Microsoft製品の選択に導こうという意図もあるかもしれない。

Windows 10 Sは、アメリカにおける新学年の開始に間に合うよう、この夏に出荷される予定だ。

〔日本版〕イベントの冒頭でサティア・ナデラCEOが登場、インドで祖父が教育を受けられたことが父に教育を受けさせ、結局ナデラ自身が大学で学ぶことを可能にしたと語っている。祖父には兄がいたが教育を受けられなかったために建設労働者として終わったという。Windows 10 Sの紹介は17:20付近から。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

StreetDroneの自動運転電気カーは‘教材’として教育市場をねらう

自動運転車の話題を至るところで見るようになったが、しかしイギリスの StreetDroneは、それが使いやすい教材としても存在すべきだ、と考えた。必要なセンサーがすべてあり、技術的に完成している製品があれば、研究や学習の素材になるだろう。そこで同社が作ったStreetDrone ONEは、Renault Twizyを改造して一連の自動運転用センサーを載せ、自動運転技術について学べるようにした電気自動車だ。

StreetDrone ONEは、児童生徒学生たちに、自動運転の技術を体験学習できる機会を与える。いくつかのタイプがあって、それぞれセンサーの種類やインターネット接続の有無などが違う。完全装備のStreetDrone ONEには、VelodyneのLiDAR、360度カメラ、低解像度の光学カメラが4基、そしてレーダーとBluetoothとWi-Fiがある。ただし、目的によって構成を変え、それら装備の使う/使わないを指定できる。またモジュール的な設計なので、研究者や児童生徒学生があとから独自のパーツやソフトウェアを追加できる。

この自動車は、いわば自動運転車のRaspberry Piだ。安いから学校などで採用しやすいし、児童生徒学生がいきなり市場にさらされる前に、自動運転車の実物を体験できる。今は予約受付中で、まずイギリスの大学の顧客向けに8月から納車される。

‘教材’以外には、自動運転車の’プラットホーム’への需要に対応しようとする企業もある。たとえばあるサプライヤーはLexusの改造車に一般市販のセンサーを装備して、Nvidiaなどの企業が自動運転車の研究開発事業を、すぐに初められるようにしている。でも学校をターゲットにするのは、賢明な戦略だろう。StreetDroneも徐々に大学やカレッジに食い込み、市場の需要に応えて彼らの教育事業の構築に貢献していくだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Classroom、一般公開――誰でもクラスを作って教えることができる

Google Classroomがさらに拡張された。先月はG Suite for Educationのアカウントを持たない一般ユーザーでもClassroomに参加することができるようになった。今回はさらにGoogleの個人アカウントさえ持っていれば誰でもClassroomでクラスを作って教えることが可能になった

つまり一般ユーザーがGoogleのプラットフォームを利用してクラスを作り、誰もがそのクラスに参加して学ぶきことができるわけだ。運営者はコースを創設するだけなく、対面でもオンラインでリモートからでもコースの管理ができる。Classroomはウェブ・サービスなのでOSを問わずに利用可能だ。使い方もごく簡単だ。Classroomが誰でも使えるようになったことは小規模な教育機関、さまざまなスキルやホビー等の教室、個人を対象とするコーチングなどに大きな影響を与えそうだ。

Googleは学校教育の場以外でClassroomを利用するサンプルをいつくか作って公開している。これにはガールスカウト教室やロボティクスのコースなどが含まれる。これには学校で教える科目ではあるが、伝統的な教室での授業ではないクラスを運営する方法が含まれる。Classroomのベースは教育用にカスタマイズされたGoogleドキュメントだという点は注意しておく必要がある。もちろん利用の可能性は無限で、ダンジョン・マスターが自分が管理するロールプレイングゲームのメンバーに守るべきルールやエチケットを教えるなどということもできる。

今回のバージョンアップにより、教育機関で利用されている既存のClassroomもスタティスティクスが充実されるなど改良された。また教育をテーマとするビジネスモデルも可能になった。Googleの教育機関のアカウントでは広告収入を得ることが許されていない。しかし一般のアカウントでClassroomが開設できるならもちろん通常のサイトのように広告を掲載することができるわけだ。

GoogleはChromebookの普及で既存の教育機関に多大な影響を与えている。ChromebookはウェブブラウザをOS化したプロダクトであるため、Classroomのようなウェブサービスが拡張されることはChromebookとの相乗作用を促し、Googleビジネス全般にもプラスの影響を与えるかもしれない。

[原文へ]

〔日本版〕Google Classroomは日本からも通常の個人アカウントで利用できるようになった。作成、参加はこちらから。ただし一般アカウントで作成したクラスは学校の教室では利用できない。学校版ではセキュリティーやプライバシー保護の面で強化された機能が利用できる。


(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

もちろんMicrosoftがChromebookの自己バージョンをそろそろ出さないわけがない

Windows Centralが入手した内部文書が、Windows 10 Cloudのハードウェアの性能を特記している(下図)。噂されていたこの、派生製品的なオペレーティングシステムは、予想では来月ニューヨークで行われる大きな教育関連イベントで披露される。たぶん、そのときのプレゼンでも、このOSをGoogleのChromebookと対比するだろう。

Microsoftのこの種の製品への進出は当然の動きで、同社は、Googleのクラウド製品に完全に支配されているK-12の教育分野に足場を築くべく、苦戦しているからだ。

2000年代にネットブックの短期的なブームがあったときは、長年望まれていた教師と児童生徒の一対一の関係を築くとして、Microsoftにも追い風が吹いたと思われたが、しかしすぐに、タブレットに主役を奪われた。しかしながらさらに最近では、Chromebookがこの種の話題を完全に支配し、学校や校区の購買の決定権を握るIT担当者たちは、コントロールが容易で値段の安いハードウェア〔Chromebook〕に飛びついた。

Microsoftの最近の教育関連の動きには、Surfaceがからんでいる。高値を厭わない私立校などでは依然としてiPadが強いようだが、今度のイベントでMicrosoftは、Surface PhoneやSurface Proを新たに発表して、Surfaceラインの多様化を目指すという噂もある。しかし本誌が情報筋から得た話は、やや違う。

むしろMicrosoftが匂わせているのは、教育用の低価格製品への回帰だ。1月に同社は、Intune for Education日本語〕を立ち上げた。これは、学校をねらった189ドルのWindows 10機をクラウドから管理できる、というサービスだ。5月2日に行われるイベントではほぼ確実に、ハードウェアの性能と管理体系の両方について、Chromebookとのガチンコ対決が行われるだろう。

最近のMicrosoftは教育方面で運に恵まれていないが、でもWord, Excelなどの人気はまだ衰えていないから、同社の再参入を望む声も教育界にはあるはずだ。Googleはクラウド上のプロダクト集合G Suiteで大きく躍進しているが、プロフェッショナルたちのあいだではOfficeのイメージがまだ強い。Windowsというほとんど遍在的なエコシステムがそこに加わるとなれば、この市場の将来も簡単には予言できない。

ただしもちろん、Microsoftが教育の世界に食い込むためには、単純にChromebookのWindowsバージョンを出すこと以上の、もっと大きくて多様な努力が必要だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

デベロッパーの技術力向上に今やオンライン教育は必須の要素、業界の古参PluralsightのAaron Skonnardに話を聞く

ユタ州には、テクノロジー産業に強いという歴史がある。OmnitureやWordPerfect、Landeskなどはすべてユタ州出身だし、Pixarの協同ファウンダーEd CatmulやAtariの協同ファウンダーNolan Bushnellは共に、ユタ大学を卒業した。同州の大学やカレッジは、毎年数百名もの工科系修士や博士を生み出している。

最近では、成長率と利益率共に良好なユニコーンが育つ州でもある。たとえばQualtricsは今では24億ドル、Domoは20億ドル、InsideSalesは15億ドルだ。そしてデベロッパーを教育訓練するプラットホームPluralsightは、今や11億4000万ドルで、年内に上場と目されている。

今日(米国時間4/20)はPluralsightのファウンダーAaron Skonnardに、テクノロジー業界の現状と、同社が次に目指すものについて、いろいろお話を伺った:

Pluralsightは2004年にデベロッパーのための教育訓練プラットホームとしてスタートしたが、その本格的な離陸は2008年にオンライン教育に移行してからだ。ファウンダーのAaron Skonnardによると、それ以降は毎年収益も生徒数も倍加し、今ではソフトウェア開発とテクノロジースキルのコースが6000種以上あり、細心の審査を経て採用されたインストラクターたちが、150か国あまりの人びとに教えている。

Pluralsightは、テクノロジーのコンスタントな変化や進歩に労働市場のスキルが追いついていけない、という問題を解決するために生まれたオンライン教育スタートアップ、LyndaやUdemyなどの仲間だ。Skonnardも指摘するように、追いつけるだけの知識や技術を持つ人びとが、需要に対して深刻に少ない。同社は、Javaやクラウドコンピューティング、機械学習などのスキルをグローバルベースでFortune 500社などに教え、またスキルを教えるだけでなく、適性評価や、メンターのオンライン提供なども行っている。

ユタ州のエンタープライズ系スタートアップは自力で始めて黒字を達成し、立ち上げ後10年ぐらい経ってからシリコンバレーに注目されるようになる、というケースが多い。Pluralsightもそのひとつだが、今では調達総額が1億9200万ドルに達し、2013年以降は6社の買収を行った。

今年の上場についてSkonnardは明言しなかったが、用意はできてるようだ。利益は出ているし、成長は続いている。オンラインのeラーニング産業は今後年率11%で成長し、2020年には310億ドル産業になる、と予想されている。その点でも、同社の上場の好機と言えるだろう。

では、Skonnardへのインタビューを、上のビデオでご覧いただきたい。

  1. pluralsight-sign2.jpg

  2. pluralsight-office4.jpg

  3. ps-office6.jpg

  4. ps-office5-edit.jpg

  5. pluralsight-ceo-sign2.jpg

  6. pluralsight-ceo-headshot.jpg

  7. pluralsight_wall_graphic.jpg

  8. pluralsight-utah.jpg

  9. pluralsight-building.jpg

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

17世紀の博物館が大量のGIF画像でソーシャルメディアの人気者に…文化施設大衆化の好例

あなたが、オックスフォード大学のBodleian Libraryのような、世界的に有名な、由緒ある文化施設のソーシャルメディアマネージャーに任命されたら、まず何をやるかな? Adam Koszaryがやったのは、任期のまる一年をかけて、そこに保存されている数千もの貴重な文化財を、GIF化することだった。

でもそれは、簡単ではない。オーディエンスのほとんどは、GIFを“ジー・アイ・エフ”と読むような学者や本の虫ばかりだ。上司たちも、新しいことを嫌う学者ばかり。とくに、若者の新しい試みを嫌う。しかもそれをあの奇人MedievalReactsInstagram〕がやるのならともかく、格式高いボドリアン自身がやることか?

でも、ちょっとだけ試しにやってみたら、トップたちも、この歴史的に重要な素材に‘軽さ’を与えることに同意した。そこで、対象は膨大な数になった。Kozaryの1年の任期が終わったとき、彼らはそれを3年延長した。

これらは、バカバカしくておもしろいだけでなく、個人的体験で終わりがちな収蔵品を広く共有するための巧妙な手口だ。たとえばこの、上下反転するmemento moriや、並びを変えられる“ミリオラマ”みたいに:

Koszary自身は、こう言ってる:

美術館や博物館は、知識と理解をネット上で広めるべきだ。でもぼくが学んだのは、それをするためには管理者や館員が人間である必要がある、ということ。そしてインターネットやソーシャルメディアに関して彼らは、それらの新しい文化を肯定し、人びとに話しかける気持ちを持つと同時に、思い切ってリスクを冒すことが重要だ。

まさにそのとおりだ。ソーシャルメディアで成功するとは誰も思わないものが、ここではソーシャルメディアで成功している。失敗も多いだろうけど、うまくいったときの喜びは大きい。

それに、単純にGIF写真集としても楽しい。

(出典: Metafilter)

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

非営利のプログラミング教育Free Code Campが2年間で100万名の生徒を育てる(既存のデベロッパーのレベルアップ教育もあり)

[筆者: Ruben Harris](プロのチェリストで投資銀行家、後者は今、高齢者の訪問看護を行うHonorのためにサンフランシスコでパートナーシップを構築している。彼はポッドキャストBreaking Into Startupsのファウンダーでもある。)

教育はスキルを教え、そしてスキルは生きる力を与える。しかも今日では、テクノロジーの能力が個人の自由と、仕事(や雇用)の安定、そして生活の安定の基盤になる

今ではテクノロジーのスキルを身につけるための、従来的な教育事業(大学など)や新しいタイプの教育事業がいろいろある。しかしそれらの多くは、数万ドルの‘学費’を要する。

今日(米国時間4/11)のBreaking Into Startupsポッドキャストは、Free Code Campの創始者Quincy Larsonにインタビューした。

Free Code Campは学費不要で、オープンソースの独自のカリキュラムを用い、そこにこれまで、100万名の生徒と、5000名の初心者デベロッパー、そして6000名の熟練デベロッパーが集まり、それぞれ技能を磨いた。デベロッパーたちは自分のスキルをレベルアップして、雇用条件などを改善した。またFree Code Campは、人気の高い参加型ブログMediumの上に、きわめて良質なテクノロジー関連記事を掲出している。

グローバルに各地に点在する彼の三名のチームが、2年でこれを成し遂げ、また多くの学校が彼らのカリキュラムを無料で利用している。

(Ruben Harrisのそのほかの記事)
How Everette Taylor went from a homeless college dropout to chief marketing officer at Skurt(未訳)
・(日本語)At 50, Dev Bootcamp’s Michael Jay Walker quit his day job to learn coding with kids in their twenties

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Cloud Foundryがクラウドネイティブのスキルを涵養するためデベロッパー資格認定事業を開始

Cloud Foundryは大規模なオープンソースプロジェクトで、企業はこれを利用して自社専用のPaaSをホストし、自分のデータセンターやパブリッククラウドでクラウドアプリケーションを動かす。同社は今日(米国時間3/29)、そのためのデベロッパーを育成するため、“Cloud Foundry Certified Developer(Cloud Foundry認定デベロッパー)”事業のローンチを発表した。

Cloud Foundry Foundationはこれを、“世界最大のクラウドネイティブデベロッパーの資格認定事業”、と呼ぶ。その成否を今から云々することはもちろんできないが、すでにDell EMC, IBM, SAP and Pivotal(Cloud Foundryのインキュベーター)などが支援している。同社はLinux Foundationとパートナーして、そのeラーニングインフラストラクチャから資格認定事業を提供していく。〔*: クラウドネイティブ, 既存の何かをクラウド化するのでなく、最初からクラウド上で動くものとして開発すること。〕

目に見える資格認定があれば、デベロッパーはオープンソースのクラウドに関する自分のスキルを他に示すことができる。この事業は、現在Cloud Foundryをサポートしている大手のパブリッククラウドプラットホームすべてを対象とする。それらは、Huawei, IBM, Pivotal, SAP, Swisscomなどだ。

約4時間で終わる300ドルの試験は、Cloud Foundryの基礎、クラウドネイティブなアプリケーションのセキュリティ、アプリケーション管理とコンテナの管理などをカバーし、また、JavaやNode.js、Rubyなどで書かれたシンプルなアプリケーションの書き換えも試験に含まれる。範囲がきわめて広いと思われるが、でもこれだけの分野で有能なデベロッパーなら、仕事を見つけるのも早いだろう。

Cloud FoundryのCTO Chip Childersが今日の発表声明で言っている: “企業はクラウドネイティブなアプリケーションを構築し管理できるデベロッパーを必要としており、そしてデベロッパーは仕事が必要だ。弊社はそこにある大きなギャップに着目し、デベロッパーとエンタープライズの両者が必要とするものを提供することを、弊社の機会と認識している”。

この事業の立ち上げは、必ずしも意外ではない。Childersはすでに昨年の11月に、これを今準備中、と語っていた。

この資格認定事業は今はベータで、一般供用は6月13日からになる(その日はCloud FoundryのSummit Silicon Valleyカンファレンスの初日で、そこでデベロッパーは個人でこの試験を受けられる)。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

NASA、宇宙飛行士の訓練に複合現実システムを利用

NASAはビジュアル化のために常に最新技術を取り込んできた ― たとえそれが他愛のないエンターテイメントのために開発された技術であっても。最近本誌はNASAのホログラムを使った火星の展示を紹介した。また数多く3D資料開発者や教育者向けにNASAから提供されている。そして米国航空宇宙局は、Epic Games社と提携して同社のUnreal Engineを利用した複合現実による国際宇宙ステーション・シミュレーターを作ろうとしている。

NASAの宇宙飛行士の資格を得るために、候補者は最長2年間の訓練期間中に、無重力下での作業やスペースシャトルと国際宇宙ステーションの各部分の移動、飛行士同志の救急措置などに備えて、厳しい講義とシミュレーションを体験する。

従来、宇宙飛行士の訓練といえば、「無重力環境訓練施設」― 620万ガロン(2万3470㎥)の水を擁する巨大なプール ― に飛び込み、NASAのスペースシャトルおよび国際宇宙ステーション(ISS)の一部の実物大モデルである宇宙船モックアップ施設で時を過ごすことを意味していた。しかしこうした施設は収容能力が限られている。物理的設備と複合現実を組み合わせることによって、宇宙飛行士訓練生はスキル向上に長い時間を費やすことができる。

Unreal Engineの主要なライバルであるUnityもNASAと協同作業をしてきた。ご存じない方のために書いておくと、いずれの会社も企業アプリやVR体験にも応用されているゲームエンジンを作っている。これまでのところUnityを使っているゲームデベロッパーの方がUnreal Engineよりも多い。しかしUnreal Engineは、BMWやMcLaren、Ikea、Lockheed Martinなどの「有力ユーザー」がいることを誇りにしている。

Unreal EngineとNASAが今月発表したビデオによると、複合現実システムには、エクササイズマシンや保守作業に用いるツールなどISSに装備された機器の様々な要素が組み込まれている。シミュレーターは以前教育用に公開されたMission: ISS for Oculusとは別のシステムだ。

この複合現実ISSシステムは、重力シミュレーターのARGOS(Active Response Gravity Offload System)で宇宙飛行士訓練生の心を奪う。ロボティック・クレーン装置を利用して、訓練生に微小重力、月面重力、火星重力を体験させる。NASAはこの複合現実システムを宇宙飛行士や技術者の訓練に使うだけでなく、新たな居住環境のデザインにも利用する計画だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

サン・クェンティン刑務所のプログラミング学校を訪ねてみた、入所者に自尊心を与えている

サンフランシスコの北の海沿いに、ヨーロッパの要塞のような建物があり、そこが3000名あまりの囚人たちの“家”だ。風光明媚なところだが、カリフォルニアの最古の刑務所サン・クェンティンの高い壁の内側では、刑務所の中庭などからそれを楽しむことはほとんどできない。

初めてその施設に入ったとき、メディアに付き添う護衛の一人が、天国は右、地獄は左、と言った。私の右手にはチャペルと、ムスリムやユダヤ人、クリスチャン、プロテスタントなどが礼拝する場所があった。左手には矯正センターがあり、暴力犯が収監されている。そこはカリフォルニアで唯一の、死刑囚監房だ。

丘を下りて中庭を通る。中庭では一人の囚人がトランペットを吹き、何人かがバスケットボールやジョギングをしている。そしてその先に、The Last Mile(TLM)のあるCode.7370という建物がある。以前は印刷工場だったそこに、今やサン・クェンティンでもっとも革新的な部分がある。そこでは、入所者たちが起業家としてのスキルやプログラミング、そしてWebデザインの初歩を学んでいる。

入所者の一人がサン・クェンティンの中庭でトランペットを吹いている。

昨日(米国時間3/23)は、The Last Mileが、California Prison Industry Authority(CALPIA)〔入所者たちの生産活動を管轄するお役所〕およびCalifornia Department of Corrections and Rehabilitation〔矯正更生局、刑務所を担当するお役所〕とパートナーして、サン・クェンティンで育ったプログラマーとデザイナーの三度目の卒業式とデモデーを行った。

Code.7370にはプログラマーのコースが二つと、デザインのコースが一つあり、入所者はそこでHTMLやJavaScript, CSS, Python, Webとロゴのデザイン, データの視覚化, UI/UXなどを学ぶ。これまで18名が、コースを完全に終了した。

“外の人よりここの人の方が、いろんなことをよく知ってるよ”、とCALPIAの役員Charles Pattilloは言う。“私よりもね”。

この、印刷工場変じてプログラミング学校になった施設に入ってしばらくすると、The Last Mileの協同ファウンダーChris Redlitzが私をSteve Lacerdaに紹介した。彼は刑務所に11年いて、3か月後には仮出所する予定だ。Lacerdaが今いるThe Last Mile Worksは、Airbnbのような企業The Coalition for Public Safety(CPS)(公的安全のための連合、公正な刑事司法への改革を目指すNPO)とのジョイントベンチャーで、実際にWeb開発やWebデザインの仕事を受注して行う企業だ。

LacerdaはこのTLM Worksで、二人の同房者と一緒に、CPSのWebサイトを作った。Lacerdaと彼のチームメートは、インターネットにアクセスせずにこれをやった。仮出獄したらコンピュータープログラミングの勉強をもっと続けたい、とLacerdaは私に言った。

Steve LacerdaがCPSのWebサイトを作ったときの工程を私に説明した。

その日はRedlitzやTLMの卒業生Kenyatta Leal、Sirius XMのプロデューサーSway Callowayなど、何人かの人がThe Last Mileの重要性について話した。Lealは最初Rocketspaceの有給インターンになり、その後キャンパスマネージャー、インサイドセールス(内勤営業)チームのメンバーと昇進した。

“この人たちは単なる囚人ではない”、とCallowayは言う。“彼らは誰かの息子たちでもあり、甥っ子でもあり、法律家であり、機械工であり、そしてプログラマーだ。門の外にいる人たちと同じなんだ”。

終身刑で20年近く刑務所にいるThomas Winfreyは、プログラミングコースとデザインコースの両方を終了した唯一の卒業生だ。

5年前に彼は、TLMの起業家育成事業に入れてもらえた。過去6か月間、Winfreyはプログラミングとデザインの両方のクラスを同時に取った。つまり彼だけが、ほかの人の倍、勉強したのだ。

なぜそんなことをしたのか、と問うと彼は、“頑張りすぎかもしれないけど、何かを作ることがすごく好きなんだ。プログラミングとデザインの、どちらも必要だからね。お互いが、関連し合っているんだから”、と答えた。

でも自分に向いているのは、プログラミングよりもデザインかもしれない、と感想を言った。

“ぼくはビジュアル人間だから、自然にデザインに惹かれる”、とWinfreyは語る。塗ったり描いたりしてアートは作れるけど、プログラミングで頑張ることも好きだ。そっちはぼくには、頑張らないとできないけどね”。

Thomas Winfreyはプログラミングとデザインの両コースを終了した。

終身刑のWinfreyに対し、仮出所評議会は1月に“出所適格”とした。出所は5月半ばになるだろう。ということは彼は、自分の企業TommyWinfreyArt.comの経営者になれる。今それは刑務所の外の、インターネットにアクセスできる、彼の友だちが運営している。彼は、デザイン業界に職を得ることも考えている。

Winfreyは、彼が仮出所評議会にピックアップされ、適格になったのは、ひとえにTLMのおかげだ、と感じている。

“きっとThe Last Mileがぼくを推薦したんだよ”、とWinfreyは語る。“ぼくは周囲が注目する人間になり、自分でも肯定できる人間になった。それが、すごいことさ。今のぼくは、人が見て恥ずかしいと思う人間ではないし、人が怖がる人間でもない。The Last Mileが、そうしてくれたんだ”。

Winfreyは私との話の中で、これまでの人生で犯した最悪の間違いと最悪の決定を、すべて話してくれた。でも今では、出しても安全だと彼らが確信するまでになった、と彼は信じている。“ぼくに、注目してくれるようになったんだよ”。

  1. lastmile-6-e1490364043834.jpg

  2. lastmile-19-e1490363988369.jpg

  3. lastmile-23-e1490363937378.jpg

  4. lastmile-29-e1490363875555.jpg

  5. lastmile-30-e1490363860637.jpg

  6. lastmile-31-e1490363843943.jpg

  7. lastmile-32-e1490363820739.jpg

  8. lastmile-39-e1490363778442.jpg

  9. lastmile-42-e1490363754809.jpg

  10. lastmile-43-e1490363734567.jpg

  11. lastmile-46-e1490363670405.jpg

〔The Last Mile関連記事: (1)(2)。〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))