メタ、南アフリカで独占禁止法違反の疑いで起訴される

Meta(メタ)は、南アフリカの競争規制機関である競争委員会(Competition Commission)が、政府のスタートアップであるGovChatと#LetsTalkが同社のWhatsApp Business APIを使用することを阻止する意図が競争的でないと判断したため、起訴の危機に直面している。

2021年3月から同社に対する不公正行為の申し立てを調査してきた同委員会は、支配的地位の濫用や制限的慣行に関する苦情を裁定する競争審判所(Competition Tribunal)にMeta(旧Facebook)の起訴を付託した。

その付託の中で、規制当局はMetaに「最大ペナルティ」である米国企業の現地での売上高の10%の罰金を払わせるよう勧告している。

同委員会は、Metaが「2020年7月か同時期」に、GovChatと#LetsTalkが同社のWhatsApp Business APIを使用できないようにすると脅したと主張している。さらに、Metaはスタートアップによるデータ使用について不当な制限を課し、Metaの製品と競合する可能性のある新製品やサービスを革新して開発する能力を制限したと付け加えている。

「……WhatsApp Business APIへのアクセスを規定する規約は、GovChatがもたらす潜在的な競争や、Facebookが新しいサービスや製品の開発を可能にするために取得した膨大なデータなどの面でFacebookを保護し、競争から遮断するために設計されています」と規制当局は声明で述べている。

GovChatは、WhatsApp Business APIを使用してリアルタイムのコミュニケーションを促進する市民エンゲージメントプラットフォームとして、南アフリカ政府によって2018年に立ち上げられた。現在、政府のデータによると、870万人のアクティブユーザーを抱え、5億8200万件以上のメッセージを処理している。

GovChatは、道路の穴などの市民問題に関する警告や苦情の発信源となっているほか、新型コロナのパンデミック時の救難支援など、社会保障の申請処理に政府によって利用されてきた。GovChatのプラットフォームを通じて、これまで1330万件以上の申請が提出されている。

今回の送検は、南アフリカを含むアフリカ5カ国の競争監督機関が、アフリカのデジタルプラットフォームの出現と拡大を制限する障害に対する共同行動を促進することなどを議題とする覚書に署名した数日後に行われた。この合意の他の締約国は、エジプト、ケニア、モーリシャス、ナイジェリアである。

MetaはTechCrunchに送った声明の中で「WhatsApp(ワッツアップ)が市場から企業を排除しようとしたり、反競争的行為を行ったことを示す証拠はない」と述べ、一方でGovChatは「当社のオンボーディングプロセスを経ずにWhatsApp APIに組織を登録することにより設定条件に違反した民間企業です。これは、当社サービスの利用を希望するすべての組織に要求されるもので、当社のサービスを誰が利用しているかを把握し、組織が当社のプライバシー保護方針に同意していることを意味します。WhatsAppは、独自のWhatsApp Business APIと世界中のユーザーの利益を守るために、あらゆる合理的な手段を講じる権利を擁護します」と述べている。

また、南アフリカのWhatsApp広報担当者は次のように述べた。「WhatsAppは、信頼できる情報源から重要な情報を人々に提供するのに役立っており、南アフリカ国民と政府をつなぐ役割を担っていることを認識しています。だからこそ、国際的に認められた規制基準を遵守してGovChatと協力し、このサービスを提供したいのです」。

「ですが、GovChatは、国民とその情報を保護するために作られた我々のポリシーに従うことを繰り返し拒否し、国民よりも自らの商業的利益を優先させることを好んでいます。我々は、WhatsAppを悪用から守り、ユーザーを保護し続けます」と広報担当者は述べている。

世界的に見ても、Metaは反競争的な行為の可能性があるとして、さまざまな監視の対象となっている。つい先週、欧州委員会は、MetaとGoogle(グーグル)の間のオンラインディスプレイ広告サービスに関する協定(コードネーム「Jedi Blue」)がEUの競争規則に違反しているかどうかを評価するため、正式な反トラスト調査を開始した。

2018年9月のJedi Blue契約は、MetaのAudience NetworkがGoogleのオンライン広告枠入札プログラム「Open Bidding」に参加できるようにしたもので、この動きは他のアドテクサービスプロバイダーを排除して「オンラインディスプレイ広告の市場における競争を歪め、パブリッシャー、ひいては消費者に不利益を与える可能性がある」と欧州委員会は指摘している。

一方、米連邦取引委員会は、ソーシャルメディア大手のMetaが、約10年前にInstagram(インスタグラム)とWhatsAppを買収するなど、反競争的行為によってSNSの独占を違法に維持しているとして、メタを違法独占で提訴している。

本記事はMetaからのコメントを含め更新された。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Annie Njanja、翻訳:Den Nakano)

グーグルのArt & Cultureプラットフォームがアップデート、マリのトンブクトゥの文書、芸術品、音楽が追加

Google(グーグル)は、西アフリカの歴史家と協力して、マリに関する現代美術、文化、史跡のデジタル化に取り組んできたが、米国時間3月10日、Google Art & Culture(GAC)でデジタルライブラリーが公開され、これらのアイテムが世界中で探索できるようになった。

「Mali Magic(マリ・マジック)」と呼ばれるこのプロジェクトには、デジタル化された原稿ページが4万件以上、9つの遺産のストリートビュー、13世紀に建てられた世界最大のアドベ建築であるジェンネ・モスク(泥のモスク)の3Dモデルや注釈付きツアーが含まれている。

また、マリのシンガーソングライターFatoumata Diawara(ファトゥマタ・ディアワラ)がこのプロジェクトのために制作した、マリの文化遺産を紹介するオリジナル音楽アルバム「Maliba」も収録されている。

「(写本は)単なる歴史的な重要資料ではありません。西アフリカのマリという国の遺産の中心であり、アフリカにおける文字による知識と学問の長い遺産を象徴し、現代の問題に立ち向かう過去の行動からグローバルな学習を促す可能性を秘めています」と、トンブクトゥ(マリの都市)から写本を密輸したことで知られる「バッドアスな司書」で、Googleプロジェクトの協力者でもあるAbdel Kader Haidara(アブデル・カデル・ハイドラ)氏は述べている。

トンブクトゥは昔から、遠い場所の婉曲表現として使われてきた。しかし、このマリの都市は、中世の時代、サハラ砂漠を横断するキャラバンルートの重要な交易拠点であり、その歴史から学問の重要な中心地であったことはあまり知られていないようだ。この活発な歴史が、この都市に写本、音楽、モニュメントなどの芸術をもたらし、アフリカの交易、教育、宗教、文化の歴史を垣間見ることができるようになったのだ。

「マリの都市トンブクトゥは、人権、道徳、政治、天文学、文学の分野における豊かな学問を生み出し、何千もの写本に記録されています。2012年、この古代の知識が過激派に脅かされたとき、地元コミュニティはこれらの宝物を保存するために時間との戦いに挑みました。この遺産は、今世界中の人々が探索できるようになりました」とGoogle Arts & Cultureのプログラムマネージャーでデジタル考古学者のChance Coughenour(チャンス・クーヘナー)氏は述べている。

このライブラリーは、ウェブ上およびGoogleとApple(アップル)のストア上のアプリケーションを介して利用可能だ。2011年に80カ国、2000以上の文化施設の宝物、物語、知識を収集するデジタルプラットフォームとして開始されたGoogle Arts & Cultureは、世界中の博物館や遺産を少しずつ記録してきた。

アフリカからは2015年に南アフリカのロベン島博物館が初めてライブラリー化され、2019年にはケニアのナイロビ国立博物館がそれに続いている。ナイジェリアのアフリカン・アーティスト・ファウンデーション、レレ・アート・ギャラリー、芸術文化センターのテラ・カルチャーが、南アフリカのウィッツ大学のオリジンセンターと同じ2020年に追加された。マリのコンテンツが加わったことで、9世紀にわたってアフリカの学者によって書かれたデジタル化されたページ数は40万を超えることとなった。

Google Arts & Cultureプラットフォームは、歴史的な文書や芸術品のアーカイブとして機能するだけでなく、2021年のアップデートでは、ペットの写真と美術館にあるアート作品をマッチングさせるなど、ユニークな機能も備えている。

画像クレジット:Google/Passion Paris

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(文:Annie Njanja、翻訳:Akihito Mizukoshi)

急成長するウガンダのスタートアップ、Y CombinatorとGoogleも魅了

現在アフリカ大陸におけるスタートアップ・エコシステムは、ナイジェリア、ケニア、南アフリカ、エジプトのBig 4(ビッグフォー)が支配している。多額のベンチャーキャピタルやその他の投資を受けている国々だ。

しかし、この状況は大陸の他の国々からも注目すべきスタートアップが出現し、投資家がビッグ4以外にリスクを分散すべく新たな機会を探すようになって徐々に変わりつつある。

ウガンダは、アクセラレータのY Combinator(ワイコンビネーター)や、早期および成長期のスタートアップを対象に昨年10月設立されたGoogleの5000万ドル(約57億円)アフリカ投資ファンドといった著名なテック・プログラムに波紋を起こしている国の1つだ。

2021年12月、ウガンダのマルチ・サービス・デジタル決済プラットフォーム、SafeBoda(セーフボーダ)は、Googleの同ファンドから投資を受けた大陸で最初のスタートアップになった。さらに、この国で最初にY Combinator(2022年冬)に入ったスタートアップとなったフィンテックのNumida(ニュミダ)も上流階級に仲間入りした。NumidaはアフリカからY Combinatorの冬学期に入った15番目のスタートアップとして、シリコンバレー投資家の眼鏡にかなう機会を得た。

「すばらしく大きな会社を作り成功した人たちとつながりをもち、フィードバックを受けられることは、私たちのステージにとっては特に、かけがえのない機会です」とNumidaの共同ファウンダー・CEOのMina Shahid(ミナ・シャヒド)氏が、YC参加に関するTechCrunchのインタビューで語った。

Numidaの星は、昨年初めてシードファンドで230万ドル(約2億6000万円)を獲得して以来、輝き続けている。同スタートアップはウガンダの零細企業にリスクベースの融資を提供しており、迅速なビジネスローンの需要の高まりによって、開業以来月々30%成長している、とシャヒド氏は語る。

Numidの与信限度額は3500ドル(約40万円)だが、小企業に対する金額は増額され、利息は借り手のリスク特性に基づいて決められる。同フィンテックは今年中にガーナに進出する計画だ。

ファンディング

上記2件の大型発表以外にも、ウガンダのテック業界は繁栄を続けており、モビリティ、Eコマース、Eヘルス、クリーンテック、フィンテックなどの分野に次々とスタートアップが出現し、あらゆるタイプの投資家をひきつけている。ウガンダは昨年アフリカで大規模な株式ファンドを受けた15か国の1つだったと、Partech(パーテック)のレポートが報告している。

昨年12月、ケニアで運用する資産金融会社、Tugende(ツゲンデ)は、1700万ドル(約19億円)の債務投資を獲得した。同年はそれ以前に、Mobility 54 Investment SAS、豊田通商のベンチャーキャピタル子会社、およびCFAOグループなどの著名な投資家から360万ドルのシリーズA拡張ラウンドを完了している。2012年にMichael Wilkerson(マイケル・ウィルカーソン)氏が設立したTugendeの主要製品は、ウガンダで人気の輸送手段であるバイクタクシーの「リースして所有する」プランだ。ほかにもボート、自動車、販売器具などの収益を生む資産を購入するための融資を行っている。

しかし2021年、Mobility 54はDOB EquityとInfraCo Africaと共に340万ドル(約3億9000万円)を電動バイクのスタートアップ、Zembo(ゼンボ)に投資した。Zemboはウガンダの首都、カンパラでバッテリーの充電・交換ステーションも運営しており、この国の電動バイクの普及の高まりから期待できるビジネスだ。

スタートアップのEnsibuuko(エンシブーコ)も昨年、FCA Investmentsから100万ドル(約1億1500万円)のシード資金を調達した。Gerald Otum(ジェラルド・オータム)氏が2014年に設立した同社独自のデジタル・インフラストラクチャは、信用組合や貯蓄団体の業務自動化を支援する。

現状、この投資ブーム最大の受益者はモビリティとフィンテックといえるだろう。モビリティ・テックでは、東アフリカの国々で人気の輸送形態であるバイクタクシー分野に注目が集まっている。

現在ウガンダの首都、カンパラだけで20万台以上のバイクタクシーが走っていると推定されている。当地では住民が慢性的交通渋滞を回避するために利用している。Bolt(ボルト)、Uber(ウーバー)、SafeBodaといったマルチサービス・アプリは、オートバイのライドシェアリングやデリバリーの市場ですでに活用されている。

ウガンダのEコマース業界も急成長している、と同国の情報通信技術省による2021年の調査結果が示しており、この分野の収益は2025年までに4億2100万ドル(483億円)へと倍増し、ユーザー浸透率は29.1%になると予測している。企業の中には(例えばSafeBoda)、この分野の上昇に乗ずるべく戦略計画を修正しているところもある。

SafeBodaはここ数年、シングル・サービス・プロバイダーから、統合マルチ・サービス・スーパーアプリへと戦略を転換し、ライドシェアリング、オンライン・ショッピング・デリバリーおよび決済(代金支払い、送金授受)サービスを提供している。 Gojek(ゴジェック、GoToが支援するスーパー・アプリ)もナイアガラで利用可能で、他の市場にも目を向けている。

「私たちは東アフリカ以外でも通用するグローバル・プロダクトを作っています」とSafeBodaの共同ファウンダー・CEO、Ricky Rapa Thomson(リッキー・ラパ・トムソン)氏が最近のインタビューで本誌に語った。

一方、ウガンダのテック・エコシステムの成熟と、この国の若者たちとスマートフォンの普及に合わせて、アフリカ大陸全体から何十社ものスタートアップが新たな成長への道を求めてこの国に進出している。
2021年10月、ガーナ発の成長著しいEヘルス・スタートアップで最近3500万ドル調達したmPharma(エムファーマ)がウガンダ市場に進出し、同国最大の医薬品小売業、Vine Pharmace(バイン・ファーマシー)の株式の55%を買収した。ケニアのB2Bマーケットプレイス、Marketforce(マーケットフォース)とSokowatch(ソコウォッチ)およびEコマース・プラットフォームのCopia(コピア)は、ナイジェリアのMaaS(マース、サービスとしてのモビリティ)スタートアップ、Treepz(トリープズ)と組んで、すでにカンパラで運用を開始している。ほかにも、ケニアの物流スタートアップ、Amitruck(アミトラック)をはじめ何十という企業がこの市場を狙っている。

ウガンダは今年注目すべき国の1つである。この国では、世界最長のCOVID学校閉鎖を含むロックダウンが解除されたことを受け、あらゆる分野の活動が再開した。

画像クレジット:mathisworks / Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトがVC・アクセラレーターと提携しアフリカで1万社のスタートアップを支援

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間3月3日、アフリカ大陸のアクセラレーターやインキュベーターとのパートナーシップを含む一連のイニシアチブを通じて、今後5年間でアフリカのスタートアップ1万社を支援する計画を発表した。

同社はまた、ベンチャーキャピタル投資家と提携し、5億ドル(約577億円)の「潜在的」投資を引き出すことで、アフリカにおけるスタートアップの資金調達アクセスを向上させる計画も発表した。Microsoftは、すでにBanque Misr、Global Venture Capital、Get Funded Capitalと協力しているという。

これらの取り組みは、同社で最近設立されたAfrica Transformation Office(ATO、アフリカ変革推進室)を通じて実施される。ATOは、官民組織との提携により、アフリカにおけるMicrosoftの戦略的イニシアチブを推進していく。

ATOスタートアップ部門リードのGerald Maithya(ジェラルド・マイティヤ)氏はこう述べている。「ベンチャーキャピタル投資家とのこれらのパートナーシップを確立する上での我々の目標は、Microsoft、VC投資家、そしてスタートアップの間の潜在的なパートナーシップのネットワークを広げ、それによって、適格なスタートアップが利用できる資金を増やすことです」。

Microsoftは、Grindstone、Greenhouse、FlapMax、Seedstarsなどのアクセラレーターやインキュベーターと提携し、市場、技術スキル、投資機会を提供すると述べている。

スタートアップにさまざまなリソースやメンターへのアクセスを提供するセルフサービスハブであるMicrosoftのGlobal Founders Hubは、アフリカのスタートアップにも提供される予定だ。Founders Hubには、Microsoftの法人顧客やエンタープライズ顧客に共同販売する機会も含まれている。

ATOのマネージングディレクターであるWael Elkabbany(ワエル・エルカバニー)氏は、こう語った。「アフリカは、世界のスタートアップランドスケープの中で、デジタルイノベーションの盛んな拠点となる大きな可能性を持っています。アフリカのデジタル経済だけでなく、グローバルな社会にも貢献できるような、ローカルな発明が爆発的に増えることが我々の野望です」。

Microsoftは、アフリカのスタートアップをターゲットにしたイニシアチブを打ち出すテック企業のリストに加わることになる。Google(グーグル)は2021年、アフリカ大陸の初期および成長段階のスタートアップを対象とした5000万ドル(約57億7300万円)のAfrica Investment Fund(アフリカ投資基金)を立ち上げ、同社のGoogle for Startups Accelerator Africaプログラムを引き継いだ。

画像クレジット:Microsoft

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(文:Annie Njanja、翻訳:Den Nakano)

アフリカのゲーム業界発展のために開発スタジオ10社が結集、「Pan Africa Gaming Group」発足

アフリカのゲーム開発スタジオ10社が、現在分散している同大陸のゲーム業界を一丸にするために、Pan Africa Gaming Group(PAGG)という1つの傘の下に結集した。この団体はそれに加え、 アフリカ大陸におけるゲーミングの普及促進と、開発者の人材育成をビジョンとして描いている。

この発表は、南アフリカのケープタウンで開催されている「Africa Games Week 2022」を背景に行われた。PAGGは、アフリカのゲーム業界を毎年2倍に成長させ「世界のゲーム業界で存在を示す」ことを目指すという。

この新しい団体に参加しているゲームスタジオは、南アフリカのSea Monster、セネガルのKayfo Games、カメルーンのKiro’o Games、ガーナのLeti Arts、チュニジアのDigital Mania、エチオピアのQene Games、ケニアのUsiku Games、タンザニアのKhanga Rue、ルワンダのDopeAppsMesseka Gamesなどで、今後、さらに多くのスタジオが参加する予定だ。現メンバーのタイトルを合わせると、50本以上のゲームを開発している。

PAGGは、メンバーが開発したゲームを、アフリカのゲームストアであるGaraや、アフロセントリックな創作活動のためのコンテンツハブであるAfroComixで販売する予定。これらのチャンネルでは、モバイルマネーやエアタイム課金など、現地に適した支払いオプションを可能にすることで、コンテンツの配信と収益化を実現する。また、ケニアのナイロビゲーム開発センターですでに始まっているトレーニングやインキュベーションを通じて、アフリカの次世代ゲーム開発者の数を増やすことも計画している。

Leti ArtsのCEOであるEyram Tawia(アイラム・タウィア)氏はこう述べている。「我々のコアバリューの1つは、単にゲームのコレクションを作ることではなく、アフリカの明日のゲーム業界をインキュベートすることです。アフリカにはすでにすばらしい才能を持った人材が豊富に存在するとともに、毎年Rubikaのようなトップレベルのゲーム開発スクールから卒業しています。しかし、アフリカではゲーム開発の仕事がないことから、卒業生の多くは海外のクライアントのためにリモートで仕事をしています。我々はそれを解決するつもりです」。

PAGGの創業者たちは、アフリカのゲーム産業を年で2倍に成長させたいと考えている(画像クレジット:PAGG)

同団体は、アメリカ大陸のトップゲーム起業家で構成される創業者評議会によって運営され、元Goldman Sachs(ゴールドマン・サックス)およびPWCのPeter Kihara(ピーター・キハラ)氏がグループファイナンシャルオフィサーを務め、BAFTA(英国映画テレビ芸術アカデミー)にノミネートされたディレクターであり、元英国Aardman Animation(アードマン・アニメーションズ)のゲームディレクターであるJake Manion(ジェイク・マニオン)氏がグループクリエイティブディレクターを務める。

各ゲームスタジオは自主性を保ちつつ、評議会が提起する議案や決議の議決に関与する。PAGGの広報担当者は、Qene Games(エチオピア)のCEOであるDawit Abraham(ダウィット・アブラハム)氏が務める。

アフリカのゲーム産業は、若者の関心の高まりや、より多くの人々がインターネットに接続するようになったことで、急激な成長が見込まれている。2021年のGSMAモバイルエコノミーレポートによると、サハラ以南のアフリカでは人口の約28%にあたる3億300万人がモバイルインターネットに接続しており、この数は2025年には4億7400万人にまで増加すると予想され、ゲーム業界にとってはさらに大きな市場となるだろう。

Games Industry Africaのレポートによると、アフリカで最もゲーマーの数が多いのは南アフリカで、2400万人(人口のほぼ半分)がゲームを楽しんでいる。その他の主な市場は、ガーナ、ナイジェリア、ケニア、エチオピアだ。2021年の年間ゲーム売上高は、南アフリカが最も多く2億9000万ドル(約333億円)、次いでナイジェリア(1億8500万ドル / 約213億円)、ガーナ(4200万ドル / 約48億円)、ケニア(3800万ドル / 約44億円)、エチオピア(3500万ドル / 約40億円)となっている。

画像クレジット:Leti Arts, a game company in Ghana

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(文:Annie Njanja、翻訳:Den Nakano)

ウガンダのバイクタクシー「SafeBoda」はスーパーアプリ化でパンデミック不況からの回復に賭ける

2020年初めに2万5000台のオートバイを擁していたSafeBoda(セーフボダ)は、ピーク時にウガンダとナイジェリアでオートバイ後部座席の乗客数千人を運んでいた。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの到来とともにすべてが消え去った。在宅勤務推進などの感染対策はビジネスの不調を意味し、さらに都市封鎖や外出禁止令、公共交通機関の停止などが追い打ちをかけて、バイクタクシービジネスを苦境に追い込んだ。

この停滞はSafeBodaに悪影響を及ぼしたが、同時にこのスタートアップが、シングルサービスプロバイダーから統合マルチサービスおよびデジタル決済テクノロジープラットフォームへと戦略転換するきっかけを与えた。

同スタートアップは2017年に、Ricky Rapa Thomson(リッキー・ラパ・トムソン)、Alastair Sussock(アラステア・サソック)、Maxime Dieudonne(マクシム・デュードン)氏の3人が設立した。最近、ウガンダ中央銀行から決済ライセンスを取得してフィンテック分野で公式デビューを飾り、過去2年間に導入してきたた新サービスのリストに追加した。

「当社がこの分野に参入したとき、人々がタクシー以上のものを必要としていることに気づきました。アプリを利用する人たちは、もっと何かできるはずだと私たちに言い続けました。ユーザーの話を聞き、フィードバックを真剣に受け止め、調査を行った結果、タクシー以外にいくつかのサービスを提供することが可能になりました。そしてそれは、今後のビジネスの持続可能性に役立っています」とSafeBodaの共同ファウンダーであるトムソン氏はTechCrunchに語った。

画像クレジット:SafeBoda

SafeBodaの新しいウォレットを使って、ユーザーは相互に手数料無しで送金できる(telcosなどの同業者では手数料が必要)。これはタクシードライバーがキャッシュレス支払いを受けられることを意味している(アフリカ大陸ではカード支払いの普及は非常に遅れている)。さらにユーザーは、このウォレットを提携業者への支払いにも使える他、ウガンダの首都カンパラに点在する200以上の代理店で現金を引き出せる(要手数料)。SafeBodaウォレットの定期預金では年率10%の利息も得られる。

ある意味で、このウォレットはこの国の金融包摂(金融の機会平等化)に貢献している。ほとんどが銀行口座をもっていないバイクタクシーのドライバーたちが、報酬履歴をつくることによって、融資の際の信用力を高めることができる。これは新サービス導入の足固めにもなる。

「バイクタクシーのドライバーたちは実際収入を得ていますが、融資をはじめとする金融サービスを利用することもできていません。そして私たちは、機会平等を進めるためには、適切なパートナーを得るだけでなく、ユーザーの履歴を知る必要もあることがわかりました。当社のプラットフォームを使うことによって、ドライバーの報酬履歴を作ることが可能になり、これが大きな変革を起こそうとしています」。

トムソン氏によると、同社は近い将来一連の新サービスを提供する予定で、サービスの再評価と改善を繰り返す戦略に沿って、顧客が切望している利便性を拡大していく計画だ。新規市場への参入を目指すSafeBadaは、国境を超えたユーザーを対象にして新製品を作っている、と同氏は語った。

「アフリカ全土で利用できるグローバルな製品を作っています。SafeBodaは、ウガンダだけでなく、もっと多くの人たちよりよいサービスを提供することで、アフリカの誰もがクリック1つでサービスを利用できるようにすることが目標です。当社のドライバーたちの生活が改善されるようにすることはもちろんです」。

SafeBodaは、最近Googleによる5000万ドル(約57億円)のアフリカ投資ファンドの支援を受けた最初の会社となり、ユーザーベース(100万ダウンロード以上)を活用して、新規ビジネスの成長と競合他社の引き離しをはかっている。他の出資者には、Allianz X、Unbound、Go-Ventures、およびインドネシアでマルチサービス・スーパー・アプリを運用するGojekがいる。

SafeBodaが最近始めた事業の1つ、eコマースプラットフォームは、2020年4月にスタートし、所属ドライバーを配達のラストマイルに活用している。eコマース事業は、同社の小荷物および食品配達サービスに追加されたもので、ロックダウンでオートバイ・タクシーの利用が落ち込む中、ドライバーに仕事を与え、実質的に事業を継続させるためだった。同時に、同スタートアップのスーパーアプリへの道の始まりとなった。

画像クレジット:SafeBoda

ユーザーに提供する価値の選択肢を増やすことでSafeBodaは、Uber(ウーバー)やBolt(ボルト)といった資金豊富なライドシェアリング会社や、Jumia(ジュミア)などのEコマース・プラットフォームと対等に戦う準備を整えている。

2週間前、ウガンダのYoweri Museveni(ヨウェリ・ムセベニ)大統領は、2020年以来続いていたバイクタクシー(boda boda、ボダボダ)の禁止を解除し、SafeBoda、Uber、Boltによるライドシェア・サービス再開への道を開いた。

「当社はアフリカ最大のバイクタクシーによるライドシェアリング会社です。これまでさまざまな競争を経験し、大企業が私たちの市場に参入してきてからも、市場のリーダーを続けています。これからも成長を続け、強い競争力を維持していきます」とトムソン氏は語った。

新型コロナパンデミックがモビリティ産業に与える影響は、ウガンダ輸送業界に限らない。世界中の輸送サービスが、移動制限と都市封鎖によるひどい影響を受け、航空会社、タクシー会社など輸送産業のいくつかの会社が倒産に追いやられた。しかし、徐々に業界は息を吹き返し、全世界のライドシェアリング業界は、次の7年間に2倍以上成長して980億ドル(約11兆3000億円)に達し、年平均成長率10%が期待される、とこのレポートは伝えている。

画像クレジット:SafeBoda

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nob Takahashi / facebook

ケニア中央銀行がデジタル通貨の導入について国民から意見を募集

ケニアの中央銀行は、デジタル通貨導入の可能性について、5月20日まで国民に意見を求めることにした。ザンビアでもデジタル通貨の実行可能性をテストしていることが明らかになった翌日のことだ。

ナイジェリアは2021年10月、アフリカで初めて「eNaira(eナイラ)」と呼ばれる中央銀行デジタル通貨(CBDC)を導入し、ガーナでは「E-Cedie(Eセディ)」の導入に向かって進んでいる段階にあると言われている。Bank of Zambia(ザンビア銀行)もデジタル通貨について調査を進めているところだ。CBDCはBitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)のような暗号資産とは異なり、各国の中央銀行から発行され、国のフィアット通貨に固定される。

関連記事:ナイジェリアが中国の足跡を追ってデジタル通貨を試験的に導入

ケニア中央銀行(CBK)は現地時間2月10日、国民討論の基礎資料としてこの文書を発行し、コスト削減、相互運用性、クロスボーダー決済の強化が、国内でのデジタル通貨導入の主な推進力になると指摘している。CBKは、東アフリカ最大の経済大国であるケニアが2007年に先駆的に導入したモバイルマネー(電子マネー)が、デジタル通貨の価値提案の1つである金融サービスへのアクセス強化にすでに貢献していると述べている。

「ケニアの国内決済の傾向は、強固で包括的かつ非常に活発なデジタル通貨(電子マネー)の存在を示しています。したがって、ケニアの決済システムにCBDCを導入することは、モバイルマネーが普及していることを考えると、金融サービスへのアクセスを強化することが主要な目的にはなりません」とCBKは述べている。

CBKのデータによると、ケニアの3800万人のモバイルマネー加入者は、2021年の1〜11月の間に総額550億ドル(約6兆3000億円)の取引を行っている。これは前年同期比の20%増となる数字だ。

「将来を見据えると、我が国の決済システムを地域や世界とつなぐことが重要になります。既存の提案は、CBDCがこの相互運用性を実現する可能性を秘めていることを示しています」と、CBKは述べている。

CBKは、他の通貨と互換性のあるデジタル通貨が、時間とコストがかかっている現在のクロスボーダー決済を、改善する役割を果たす可能性があると述べている。IMF(国際通貨基金)によると、CBDCをどのように国境を越えた支払いに使えるようにするかについての議論は進行中だが、これにも潜在的なリスクがあるという。

IMFは2月9日付で発表した文書の中で「リテールCBDCが国境を越えて利用できるようになると、通貨代替の増加や金融ショックへの脆弱性など、マクロ経済に悪影響を及ぼす可能性がある」と述べている。

現在までに9カ国がデジタル通貨を導入しており、カリブ海諸国以外で導入を開始した国はナイジェリアが初めて。14カ国が試験的な運用段階にあり、87カ国が導入を検討をしている。

画像クレジット:jirawut seepukdee / Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Metaの低価格通信サービスExpress Wi-Fi停止、サハラ以南の国々への影響大

サハラ以南のアフリカ諸国は、Meta(メタ)が5年前に開始した、サービスが行き届いていない地域での接続を促進するための低価格のExpress Wi-Fiインターネットの廃止計画による影響を最も大きく受けている。

Meta(旧Facebook)は、2022年後半にこのプログラムを終了する予定であることを静かに通告した。しかし、ケニアなどの国では、2020年12月中旬からサービスを停止している。

Metaが人工衛星通信事業者のEutelsat Konnect(ユーテルサットコネクト)と提携し、コンゴ民主共和国、ナイジェリア、ケニア、コートジボワール、ザンビア、カメルーン、ガーナ、ジンバブエ、マダガスカル、ガーナ、南アフリカ、ウガンダの一部へと低コストのインターネットサービスを拡大してからようやく1年というところでのサービス停止だ。

その他、マラウイ、ブルキナファソ、ギニア、セネガルなど、アフリカ、アジア、南米の30カ国以上でExpress Wi-Fiは展開された。

「5年以上の運営を経て、Express Wi-Fiプログラムは終了を予定しています。パートナー企業とともに、Express Wi-Fiプラットフォームを通じて、30カ国以上で公衆Wi-Fiアクセスの拡大を支援しました。当社は、他のプロジェクトの開発に集中するために、このプログラムの作業を終了しますが、より良い接続性を提供するために、通信エコシステム全体のパートナーと協業することに引き続き尽力します」とMetaは通知で述べている。

「2022年後半にこのプログラムに関する作業を終了する際、Express Wi-Fiパートナーと密接に連携して、パートナーのビジネスと顧客の接続性への影響を最小限に抑えるようサポートします」。

ソーシャルメディアの巨人Metaは、ISPやモバイルネットワーク事業者などのパートナーと協力し、地方や都市部の市場などの公共の場や学校などの施設で、Wi-Fiホットスポットを通じて、人々がネットに接続できるようにしてきた。パートナーが小売店や代理店が販売するインターネットセット商品の価格を設定する。

このプログラムは、世界で最も接続性が低いアフリカなどの新興市場におけるインターネット格差を埋めるという構想のもとに展開された。2021年のGSMAモバイル経済レポートによると、現在サハラ以南のアフリカでモバイルインターネットに接続しているのは人口の約28%だ。これに対し、ヨーロッパなど他の地域の接続率は80%を超えている。Metaの野心的なExpress-Wifiプロジェクトは、このインターネット格差を埋めることを意図していた。Metaは、低コストインターネット戦略の一環として、4万5000キロメートルの2Africa海底ケーブルをアフリカ、ヨーロッパ、アジアに延長している。

Google(グーグル)も南アフリカ、ナミビア、ナイジェリア、セントヘレナにまたがる海底ケーブルEquianoを敷設中で、これはアフリカとヨーロッパを結ぶものだ。インターネットインフラの整備が進めば、接続性も高まることが予想される。

国際金融公社(IFC)は、アフリカのインターネット経済は、デジタル消費の拡大、都市化の進展、スマートフォンの急速な普及などにより、2025年までに1800億ドル(約20兆7200億円)に達し、アフリカ全体のGDPの5.2%を占める可能性があると推定している。

画像クレジット:Meta

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nariko Mizoguchi

世界最大級の暗号資産取引所Binanceのチャンポン・ジャオCEO、規制とアフリカでの活動について語る

「CZ」ことChangpeng Zhao(チャンポン・ジャオ)氏は2017年にBinance(バイナンス)を立ち上げたが、一部の情報によると同社はわずか180日で世界最大の暗号資産取引所へと成長した。

Wall Street Journal(ウォールストリート・ジャーナル)によると、Binanceの1日の取引額は760億ドル(約8兆6331億円)で、これはライバル4社の合計額を上回るものである。

2021年上半期、Binanceはアフリカと中東から1億5100万回、ナイジェリアから1100万回のクリックを集めたとWSJは伝えている。Chainalysis(チェイナリシス)によると、2020年7月から2021年6月までに1056億ドル(約12兆円)相当の暗号資産がアフリカ内で取引されており、アフリカにおける暗号取引の活発さがうかがえる。

額面としては1200%以上の成長を遂げているにもかかわらず、この期間に取引された世界中の暗号のうちアフリカはまだ2%しか占めていない。暗号資産、ブロックチェーン、分散型金融がアフリカ大陸で定着しつつある中、Binanceはこれらの活動を推進するリーダーになりたいと考えている。

しかしそれを実現するためには、アフリカ大陸で直面するであろう規制上の課題を考慮する必要がある。ナイジェリアとケニアという特に暗号が盛んな2つの国で、暗号活動が禁止されてしまったからだ。

米国、中国、英国、日本、マレーシア、タイ、EUの規制当局は、近年の無秩序な成長に懸念を抱いており、同社はすでに打撃を受けている。

今回のTechCrunchとのインタビューで、ジャオ氏は、アフリカでの暗号の使用と導入、Binanceの活動、規制に対する同社のスタンスなどについて語ってくれた。

このインタビューはわかりやすくするために編集されている。

TechCrunch:暗号は複数の政府が規制しようとしている産業の1つです。これについてどう思われますか?暗号は規制されるべきでしょうか?

ジャオ氏:規制は暗号産業にとって不可欠であり、この分野に関心を持つ消費者や機関との信頼関係を構築する上で大きな役割を果たします。結局のところ、暗号の大量導入を実現するためには適切な規制が必要不可欠です。私たちは現地の規制当局と積極的に協力し、ユーザーの利益と保護という共通の目的に向かって業界を導くことで、健全な形でこれを促進できると信じています。

当社の考えでは、10%、20%、80%、99%の(暗号)採用を目指すために規制当局が入って来るのは良いことだと思っています。しかし規制が暗号の成長を妨げるのではなく、補完することも同様に重要です。全体的に見て、効果的な規制は消費者を保護すると同時に成長とイノベーションを刺激しますが、一方で、不適切な規制政策は成長を阻害し、時代遅れで効果のないプロセスや制度を保護します。

世界最大の取引所であるBinanceは、なぜ米国やヨーロッパ、中国で多くの規制問題を抱えているのでしょうか?また、それらに対処するためにどのような措置をとっていますか?

どの暗号資産取引所も世界中の規制当局と密接に連携していると思います。業界のリーダーとして、多くの人がこの業界の代名詞のようにしてBinanceを見ています。模範となり、規制当局と連携して共通の目標を前進させる機会を得たという事実を、私たちは軽視することはありません。

私たちが最大の暗号化取引所であるのは、ユーザーが私たちを信頼してくれているからです。ユーザーを守るためのあらゆる決断と行動によって、その信頼を私たちは獲得してきました。私たちは、世界中の業界や規制当局とベストプラクティスを共有したいと考えています。それがより健全な業界の形成につながると信じています。

各国の規制ガイドラインへの対応の一環として、FATF(金融活動作業部会)の定める国際規制「トラベルルール」に対応するためのShyft NetworkのVeriscopeや、ユーザーが個人の納税義務を迅速に果たせるようにするためのTax Reporting Tool APIなどの新製品を発表しました。

また「Futures Leverage for New Accounts」を更新し、複数の市場でアクセスを制限したり、プラットフォーム全体でKYC(顧客確認)の義務化を開始したりするなど、既存のサービスを見直しました。また最近、コンプライアンスに精通したトップクラスの人材を数名採用しました。

私たちは最近、リーダーシップの一例として、標準的なKYC/AML(アンチマネーロンダリング)処置に加えて、業界のプレイヤーの長期的活動を推進し始め、創業者トークンのロック解除のスケジュールを、2~4年から8~10年に延長するよう働きかけています。どこかの規制当局に求められたわけでないのですが、これが業界の健全化につながると信じています。私たちは、ユーザーを保護する方法を常に模索しているのです。

政府はこの取り組みを正しく行っていると思いますか?また、政府はこの新産業についての知識を持ち、その優位性に磨きをかけることができているでしょうか。

ここには絶対的な正解や間違いといったものはなく、キャリブレーションとバランスが重要になります。暗号だけでなく、暗号への規制も新しい概念であり、多くの政府がこの分野をより明確にしようと試みています。

規制当局は、消費者を保護すると同時にイノベーションを促進するという同じミッションを私たちと共有しています。規制当局が業界との最も効果的な関わり方を模索する中、当社は全世界で100%のコンプライアンスを実現することを約束し、すべてのチームがこの実現に向けて休むことなく取り組んでいます。

暗号資産の導入と発展は、自動車のそれと多くの類似点があります。自動車が発明された当初は、道路交通法も信号機も、シートベルトさえもありませんでした。車が道路を走りながら法律やガイドラインが作られていったのです。今日、私たちが当たり前のように使っている枠組みや法律があるからこそ、この強力なテクノロジーが広く安全に使われることができるのです。

暗号は誰もがアクセスできるという点で似ていますが、誤用や悪質な行為を防ぐためにはフレームワークが必要です。業界の継続的な成長のためには、最初の基準を明確にして構築することが重要です。Binanceはそこに積極的に貢献していきたいと考えています。

暗号の規制が懸念されているアフリカに対してBinanceが強気に出ているのはなぜでしょうか。

アフリカ大陸は、暗号資産の導入と発展のためのユニークなチャンスを秘めているため、私たちは常にアフリカに強気で臨んでいます。暗号は国境を越えた支払いや送金(アフリカ国内や国外への送金)、通貨の切り下げなどの問題を解決してくれます。

多くのアフリカ諸国は高い失業率に悩まされていますが、暗号とブロックチェーンは、この若く優秀な大陸に革新的な雇用機会を提供し、アフリカの人々の経済的自由の獲得をサポートしています。

Binanceがローンチしたその初日からアフリカのユーザーが存在しましたし、実際に彼らは比較的アクティブでした。私がウガンダ、トーゴ、ナイジェリア、そしてエチオピアを訪問したのは2018年の初めだったと思いますが、市場のことを少しでも知っておこうと思ってアフリカを少し回りました。そのあとすぐにBinance Ugandaを開設して、これが最初のフィアットゲートウェイになりました。

アフリカでの利用で特に興味深いのは、多くの人は伝統的な金融サービスにアクセスできないため、銀行口座を持つ人の数がかなり少ないということです。しかしだからこそ、暗号が魅力的なのです。

確かに魅力的ですが、アフリカの中央銀行がここ数カ月間、暗号ユーザーを標的にして、銀行が取引を促進するのを禁止しているのはそのためかもしれません。米国や中国などと同様に、彼らが代わりにBinanceを狙い始めたらどうなるでしょうか?

Binanceは規制を歓迎していますし、規制当局や政府と協力してこの新興産業をナビゲートするアプローチをとっており、コンプライアンス義務を重じています。変化し続けるこの分野の政策、規則、法律を積極的に把握するよう常に取り組んでいます。

関連記事:ナイジェリアが中国の足跡を追ってデジタル通貨を試験的に導入

このように、Binanceは規制当局を支援し、公正な競争条件を設定するための最適な方法を見つけたいと考えています。消費者保護は私たち全員にとって重要なことです。私たちは組織として飛躍的に成長してきましたが、規制当局の要請に応じて、特定のプロセスやプロトコルの更新を行っています。

Binanceやその他の暗号プラットフォームが世界中で政府の規制を受けた場合、暗号の採用や成長は鈍化すると思いますか?

いいえ、そうとは思いません。スマートな規制はイノベーションを促進し、ユーザーの安全を守ります。また、規制とイノベーションは相反するものではないということを理解するのも重要です。暗号ユーザーは、NFT、ステーブルコイン、ステーキング、イールドファーミングなどの新しいテクノロジーや手法に安全にアクセスする権利があるのです。

これについては先日発表した「10 Fundamental Rights for Crypto Users(暗号ユーザーの10の基本的権利)」で触れています。暗号の規制は避けられませんが、ユーザーには、自分が選択したブロックチェーンプラットフォームで業界をどのように進化させるべきか、声を共有する権利があります。

アフリカでの暗号化導入を後押ししているものは何だと思いますか?

さまざまな要素が重なり合っているのだと思います。アフリカは独特の課題を抱えたユニークな大陸です。例えばアフリカの多くの国は、常に通貨の切り下げに悩まされているため、ユーザーは切り下げに対する防衛や価値の保存として、暗号やステーブルコインを使用する傾向があります。

送金や海外送金、決済など、国を越えた支払いはかなり困難ですが、暗号はこれを簡単にしてくれます。

アフリカの多くの人々は、富の創出と経済的自由を求めて暗号を始めます。東南アジアやラテンアメリカと同じく、何百万人もの人々が貧困ラインの下で暮らしています。そのため、富を生み出すための革新的で非伝統的な方法を求める人が増えるというのは自然なことです。

アフリカの総人口のうち、銀行口座を持っているのはわずか11%という報告もあります。銀行口座を持たない人の多くは、銀行を通さずに携帯電話を銀行として利用し、直接暗号にアクセスしているのです。

数字つながりの話ですが、最近のWSJの記事によると2021年上半期、ナイジェリアではBinanceに1100万回のクリックがあったそうです。これはアフリカ大陸におけるBinanceユーザーの数ですか?

ウォールストリート・ジャーナルは当社のシステムやユーザー情報へのアクセス権を持っておらず、第三者が提供した推測に基づく統計データを引用しています。外部の第三者が行った推測に基づく分析について、当社はコメントできません。

より多くのアフリカ人がこれまで以上にP2Pを利用するようになった今、Binanceはどのようにしてアフリカのユーザーがプラットフォーム上で暗号資産を安全に取引していることを確認しているのでしょうか?

アフリカの人々が確実に十分な教育を受け、守られていると確信を持てるようにするため、弊社にとってこれは大きなフォーカスになっています。

特にBinanceのP2Pでは、ユーザーの保護と安全が最優先されます。8月時点で40万人以上のアフリカ人を対象に、ユーザー保護からブロックチェーンでのキャリア構築まで、さまざまなテーマで無料の暗号クラスを提供しました。

最近では暗号エスクローサービスなどの新しいリスク管理手段を導入し、またユーザー保護を強化するためにグローバルKYC要件を拡充し、悪質な業者によるシステムの悪用を防ぐために新しいP2P機能を実装しました。

アフリカなどの新興国にとって、暗号資産やブロックチェーンにはどのような変革の可能性があるのでしょうか?

可能性は無限にあり、新興国ではそれがさらに顕著になります。新しい金融インフラ、システム、プロセスが構築され、人々の生活を変え、経済的自由の可能性を生み出します。

また個人的には、GameFi、Sports Fan Tokens、NFTなど、最近主流になっているイノベーションにも大きな可能性を感じています。これらが非常に大きな変革をもたらすことができるのではないでしょうか。

画像クレジット:Binance team

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

ケニア政府、デジタル金融機関のデータプライバシー問題で厳重な取り締まり

2021年10月下旬、ケニアの国会で新しい法律が可決された。同法は、顧客の守秘義務に違反した事業者の許可を取り消す権限を金融規制当局に与える条項を追加している。これにともない、デジタル金融機関は、融資不履行者の個人データを第三者と共有することで、同国において免許取り消しのリスクを負うことになる。

典型的に融資アプリは、連絡先を含む借り手の電話データを収集し、メッセージへのアクセスを要求してモバイルマネー取引の履歴をチェックする。クレジットスコアリングやローン支払いの要件として参照されるものだ。悪質な金融機関はその後、借り手が債務不履行に陥った際に、実行された融資を回収する目的で、収集された連絡先情報の一部を使用する。複数の報道によると、デジタル金融機関は、友人や家族に電話をするなどして借り手に借金の返済を強要するような、デット・シェイミング(debt-shaming、債務の状態をさらしあげることによって、はずかしめたり、非難するような行為)手法に訴えているという。

今回の法改正は、高額の無担保ローンを提供する悪質なデジタル金融機関から市民を保護するためにケニアの議員が講じている多数の対策に追加されることになる。これにより、規制当局であるCentral Bank of Kenya(ケニア中央銀行)は、一定の自主規制期間の後、独立したデジタル金融機関(銀行と提携していない)の業務を監督する権限が付与される。今後は、ケニアで事業を行うにはライセンスを取得する必要が出てくる。これまでは登録するだけだったが、それが悪質なアプリの急増を招くことになった。

このケニア中央銀行に関する2021年改正法案では、規制当局に対し、金利に上限を設けたり「データ保護法または消費者保護法の条件」に違反したデジタル金融機関のライセンスを一時停止または取り消す権限も与えている。

ケニアのデータ保護法では、企業はデータを収集する理由を顧客に開示するよう義務付けられている。また、借り手の機密情報が不正な第三者によって侵害されないよう保証する。この動きの背景には、消費者向けロビー活動が、顧客情報をデータやマーケティング企業と共有しているとしてローンアプリを非難していることがある。

デジタル金融機関はまた、プロダクトに関するすべての情報を開示することが求められ、これには価格設定の詳細、債務不履行者に対する罰則、債務回復の手段などが含まれる。これは、プロダクトやサービスの購入に関するすべての条件を消費者に開示することを販売者に義務付けている消費者保護法に沿ったものだ。ほぼすべての融資アプリが、ケニアでの借金を回収するためにデット・シェイミング手法を用いていることが明らかになっている。

ケニアにはおよそ100ものモバイル融資アプリがあり、その中には中国の大手ブラウジング企業Opera(オペラ)が所有するOkashやOpesaも含まれている。両社ともケニアで略奪的な融資戦術を用いているとの主張に直面している。OkashやOpesaをはじめとする数十のローンアプリが、法外な金利と搾取的な条件を設定していたことが判明した。例えば、Google Play Storeのポリシーでは60日ローンと規定されていながら、OkashやOpesaは30日ローンとなっていた。中国の2つのローンアプリの金利は法外で、年間876%に達している。銀行の年間金利にしても20%は滅多に超えない。サンフランシスコに拠点を置くBranch International Ltd.(ブランチ・インターナショナル)やPayPal(ペイパル)が支援するTalaなどの他のアプリでも、年利がそれぞれ156~348%、84~152.4%と、恐喝的なレートが使われていることが判明した。

月額約4000万ドル(約45億円)を支出する25のデジタル金融機関を代表する金融機関ロビー団体がTechCrunchに語ったところによると、メンバーは金利の上限設定について懸念を表明したが、特に彼らのフィードバックが受け入れられたことを受けて、新しい法律には満足しているという。同団体は、最低資本金規制や預金割り当ての撤廃、新技術や新プロダクトの規制権限の委譲を求めてロビー活動を行ってきた。

Digital Lenders Association of Kenya(ケニアデジタル金融業協会)の会長であるKevin Mutiso(ケビン・ムティソ)氏は次のように述べている。「この分野が規制され、中央銀行(規制当局)へのアクセスが可能になり、紛争規制の仕組みも導入されることを喜ばしく思っています。しかし、私たちが懸念しているのは価格統制であり、これにはあまり感心していません。金利の上限を設定した瞬間に融資は行われなくなります。私たちは神経質になっていますが、それは公正なことです」。

しかしムティソ氏によると、規制が整備されれば、金融機関は規制当局をはじめとするパートナーと協力して融資をより強固なものにすることができ、同国の融資市場の拡大に役立つという。

「規制の欠如は市場を予測不能にしていました。今なら私たちに何ができ、何ができないかがわかります。また、私たちはより良い債務回収慣行を持つことになります」とムティソ氏は語る。

「この法律により、ケニアは世界でナンバーワンのフィンテック市場になると私たちは考えています。なぜなら金融機関や借入者から期待されることなど、今はすべてが明らかだからです。私たちはまた、顧客、特にMSME(零細・中小企業)にとってより良いプロダクトを目にすることになるでしょう」と同氏は続けた。

これらのアプリは無担保ローンを提供しているため、当座の現金を求めている借り手や、口座履歴などの前提条件により銀行から締め出されることが多い借り手にとって魅力的なものとなっている。

デジタルクレジットは簡単に利用できるが、保有期間が短いために高額である。また、アクセスが容易なために複数のアプリからの借り入れが発生し、債務の逼迫やクレジットスコアの低下につながり、将来的に銀行からクレジットを取得する借り手の能力に影響を与える。

Kenya Bankers Association(ケニア銀行協会)の調査によると、利便性とアクセスの容易さが、クレジットにアクセスするプラットフォームを決定する際に顧客が考慮する主な理由であることが示されている。

この調査では、自営業者は通常のクレジットよりもデジタルを好むことが明らかになった。これは、彼らが業務を行っている間に経験する流動性の変化に起因するものであり、緊急時にもローンアプリが好まれることが指摘されている。

新しい法律では、規制当局に対し、クレジットコストを設定する際にデジタル金融機関が準拠する価格パラメータを決定する権限が与えられている。

法外な金利はケニアに限ったことではない。インドでは、融資アプリに週当たり60%もの高い金利が設定されていることが判明した。南アジアの国では、融資回収業者による嫌がらせの後に自殺した人々の報告があった。

西アフリカ諸国でも、地域最大の市場の1つであるナイジェリアを含め、融資アプリが急増している。

調査と政策提言を行うConsultative Group to Assist the Poor(CGAP、貧困層支援協議グループ)の報告書でも、タンザニアの2000万人もの借り手のデジタルローンのデフォルト率と延滞率が高いことが明らかになった。ほとんどの借り手は緊急事態や投資のためではなく、日々の必要性のために融資を利用している、と同報告書には記されている。

「これらの数字を減らすために規制当局ができる最も重要なことの1つは、融資条件の透明性を向上させ、顧客が情報に基づいた意思決定をしやすくすることです」とCGAPは述べている

同組織は、融資アプリを管理するためのより厳格な規則について勧告し、金融機関に融資条件の透明性を呼びかけた。

画像クレジット:Tala

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(文:Annie Njanja、翻訳:Dragonfly)

スウェーデンとケニアの企業Opibusが初の大型EVバスのテスト開始、2023年の現地展開開始を目指す

スウェーデンとケニアのEV(電気自動車)スタートアップ、Opibus(オピバス)は、初の電動バスがケニアの公道に登場し、同社の大量輸送事業への挑戦の始まりを記した。Opibusが電動乗合バスを発売する計画を初めて発表したのは、2021年のプレシリーズAラウンドで750万ドル(約8億5000万円)調達したときだった。

現在、同スタートアップは、2022年中にケニアで、2023年末までにアフリカ全土でEVバスを商業運行することを目指してパイロットテストを行っている。

Opibusは過去5年間、既存のガソリン車とディーゼル車が時代遅れにならないよう、電動式に切り替える事業を行ってきた。EVには、輸送コスト削減やゼロ炭素排出などさまざまな恩恵がある。2017年にFilip Gardler(フィリップ・ガードラー)氏、Filip Lövström(フィリップ・ラブストロム)氏、Mikael Gånge(マイケル・ゴアンゲ)氏の3人が設立したこのスタートアップは、これまでに170台の車両を電動式に改造してきた。顧客は採掘会社や旅行会社などさまざまだ。

現在、同社はEVおよび、それを支える公共充電ステーションなどのインフラストラクチャの構築へと徐々に事業転換している。Opibus電動バスの価格は、新車が10万ドル(約1143万円)、改造(パイロットプログラムで利用している)なら6万ドル(約686万円)だ。

「1年目の2022年は、ナイロビで10台のバスを商用テストする予定で、プロダクトが市場にフィットし、利用パターンに最適化されていることを確認します。そこで重要なフィードバックを得た後、必要な変更を行い、生産パートナーを全員揃えてできるだけ早く量産に入ります」とOpibusの戦略・マーケティング責任者であるAlbin Wilson(アルビン・ウィルソン)氏がTechCrunchに話した。

Opibusは電動バスと電動オートバイの製造を専門にしている(画像クレジット:Opibus)

Opibusは、同社の製品は地元で設計、製造することで市場に低価格で届けられる競合優位性があると言っている。さらに、現地生産であることは、地元市場のニーズに合わせた製品を作れることを意味している。

「私たちの戦略は、価格、耐久性に優れ、この地域で入手しやすいバスを設計、開発することです。迅速なスケールアップが可能で海外、現地両方のメーカーを活用できる製品を作っています。つまり、当社の設計はアフリカ大陸全体で容易に実現可能であり、製品は利用場面に向けて最適化され、非常に費用効率に優れています」。

現在同社は、パートナーシップを通じて他のアフリカ地域に目を向けており、大陸全体でのEV普及を推進しようとしている。

例えば2021年1月に発表されたUber(ウーバー)のOpibusとの提携では、同スタートアップが製造した電動オートバイ最大3000台を、2022年中にアフリカ諸国に展開する予定だ。

ケニアのEV市場は芽生えたばかりで、ここ数年新たなプレイヤーが惹きつけられており、2021年11月にケニアでデビューを飾ったBasiGo(バジゴー)もその1つだ。BasiGoは最近、大量輸送EVバスを2台、パイロットのために輸入しており、中国のEVメーカーBYD Automotive(比亜迪汽車)の部品を使用して電動バスを現地生産する計画だ。BasiGoのバスは25人および36人乗りで航続距離は約250 km、一方Opibusのバスは51人乗り、航続距離は120 kmとなっている。

画像クレジット:Opibus

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nob Takahashi / facebook

資金調達でひとり勝ちを続けるアフリカのフィンテック事情

2021年、アフリカではかつてないほど多くの投資案件が成立し、同大陸のテックスタートアップは50億ドル(約5800億円)近くの調達を達成した。これは前年の投資額の2倍、5年前の調達額の9倍の額であり、ここ数年でスタートアップシーンがいかに変貌したかを露わにしている。

なかでもフィンテックが圧倒的で、アフリカのスタートアップが2021年実現した全投資額の3分の2にあたる30億ドル(約3500億円)近くを占めていることが、市場洞察会社Briter Bridges(ブライター・ブリッジズ)の報告書で明らかになっている。この金額はアフリカのフィンテックが2020年に調達した13億5000万ドル(約1566億円)の2倍以上、2019年の3倍の額である。

その中でも特に利益を得たのが、シリーズCで4億ドル(約464億円)を調達したOpay(オーペイ)、シリーズCラウンドで1億7000万ドル(約197億円)を調達したFlutterwave(フラターウェイブ)、シリーズBで1億8000万ドル(約209億円)を調達したTymeBank(タイムバンク)だ。Jumo(ジュモ)とMNT Halan(MNTハラン)は1億2000万ドル(約139億円)のラウンドを調達し、デジタル決済ゲートウェイのMFS Africa(MFSアフリカ)は1億ドル(約116億円)を獲得している。その他にもZepz(旧WorldRemit)がシリーズEで2億9200万ドル(約338億5000万円)を調達し、Chipper Cash(チッパーキャッシュ)が2億5000万ドル(約289億8000万円)、Tala(タラ)が1億4500万ドル(約168億円)、Wave(ウェーブ)が2億ドル(約231億8000万円)の資金を集めている。

また、アフリカのフィンテックに対する資金調達がここ数年増加傾向にあることから、携帯電話の利用やインターネットの普及が深まるにつれ、これらのスタートアップに注入される資本は増加する一方であると考えられている。

GSM Association(GSMアソシエーション)によると、アフリカ大陸における携帯電話加入者数は2025年までに4%増加し、大陸の総人口の半数にあたる6億1500万人に達すると予測されている。また、融資、デジタル決済、銀行、保険サービスの導入が進むことで、さらなる成長が見込まれている。

フィンテックに特化した投資銀行、Financial Technology Partners(ファイナンシャル・テクノロジー・パートナーズ)がアフリカについて過去に行ったレビューによると、アフリカ大陸では人口が急速に増加しており、経済が急激に成長中の上、金融サービスのエコシステムが未開発のため、フィンテックにとって非常に魅力的な市場になっているという。

「決済分野ではFlutterwave、Chipper、MFS Africa、Cellulant、Jumoといったスケールアップ企業が、Visa、Mastercard、Stripeといった世界的な大手プロバイダーと肩を並べて活躍し始めていますが、今後数年は(実際はもう始まっているのですが)融資からKYC、中小企業管理ソフトウェア、分散型金融まで、他のフィンテック分野でも動きが強まっていくことでしょう。また、エコシステムの成熟と統合が進むにつれ、M&Aの動きも活発化していきます」と、Briter BridgesのDario Giuliani(ダリオ・ジュリアーニ)氏はTechCrunchに対して話している。

過去数年のアフリカにおけるステージ別案件(画像クレジット:Briter Bridges)

デジタル / モバイル決済に特化したスタートアップがここ数年、最も多額の融資を受けており、次いで銀行 / 融資スタートアップ、インシュアテックのスタートアップが続いている。

最新のデータによると、アフリカのデジタル決済分野はフィンテック分野内の他のサブセクターと比較して、過去10年間で資金調達額と総取引量において著しい成長を遂げていることがわかっている。フィンテックの成長の背景には、携帯電話所有率の上昇、モバイルマネー技術やインターネットの普及があり、これらは時に制約の多すぎる従来の銀行インフラの回避を可能にしたのである。

モバイルマネーやデジタル決済の革新により、USSDやSTKコマンド、アプリ、NFC技術を使って、オンラインでもオフラインでも決済ができるようになった。

Financial Technology Partnersは次のように話している。「アフリカには銀行口座を持たない膨大な人口が存在しますが、中間層の増加、モバイルの普及率向上、通信インフラの改善により、フィンテックイノベーションとモバイル金融サービスを実現するためのユニークな環境が整いつつあります」。

新興のフィンテックサービスによって金融包摂が推進され、これまで銀行口座を持てなかった人々が口座を持てるようになり、送受金や決済など企業や個人にとっての最大のペインポイントが解決した。例えばWari(ワリ)、SureRemit(シュアレミット)、Paga(パガ)といった送金分野のスタートアップによって、海外からアフリカへの送金が簡単かつ安価に受け取れるようになったのである。

画像クレジット:Getty Images

成長機会

McKinsey(マッキンゼー)の調査によると、アフリカはラテンアメリカに次いで急成長中の、収益性の極めて高い決済&銀行市場とされており、つまりフィンテック分野は、この成長機会に目をつけた投資家らを今後も惹きつけ続けていくに違いない。

すでにモバイルマネー導入の世界的リーダーとなっているアフリカ大陸。2020年に行われたモバイルマネー取引の大部分をアフリカが占め、その年モバイルマネーの口座数は43%増加している。通信技術の進歩がもたらしたアクセスのしやすさこそが、同大陸におけるモバイルマネーの成功の秘訣だろう。

例えば、東アフリカ最大の通信事業者Safaricom(サファリコム)のモバイルマネーサービスM-Pesaは、送受金や公共料金の支払いにインターネット接続を必要とせず、加入者の電話番号を一種の銀行口座の代理として使用できるウォレットである。このサービスは、2021年3月期の売上高が7億4500万ドル(約863億円)に達し、音声通話を抜いて同社最高の稼ぎ頭になっている。

M-Pesaは地域全体(特にケニア)で、オンライン化されているあらゆる新サービスを支える役割を担ってきた。例えばSafaricomは2012年、モバイルベースの貯蓄・融資商品であるM-Shwariを発売して融資アプリ採用の基礎を築いたが、その後、シリコンバレーが支援するTalaやBranchなど多くの融資アプリが市場に登場した。これらの融資アプリは顧客のモバイルマネーの取引履歴を利用して借り手への即時融資額を決定し、その金額を顧客のモバイルマネーのウォレットに入金するというもので、現在人気を集めている。

こういった融資や銀行業のスタートアップは、信用度のない人々や、銀行取引履歴のデータがないために正式な金融機関から切り捨てられていた人々への信用供与を可能にした。

さらにここ数年はインシュアテックも盛んになっており、手頃な価格でマイクロペイメントを可能にし、気候変動によるものなどの増大し続けているリスクを補償する革新的な商品が誕生している。サハラ以南のアフリカでは(南アフリカを除いて)他の地域に比べて普及率が低いものの、インシュアテック関連の革新的な商品が保険商品の普及を促している。

投資の拡大が顕著となった2021年だが、資金の大部分は少数のスタートアップのみが獲得している。公開・未公開案件の両データを含むBriterの分析によると、700社以上のスタートアップが20億ドル(約232億円)近くを調達したのに対し、推定総額30億ドル(約348億円)がそれ以外の20社に渡ったことが明らかになっている。

画像クレジット:Busakorn Pongparnit / Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Dragonfly)

シェルが設立したスタートアップファンド「EEGF」、太陽光発電を提供しアフリカでクリーンエネルギーを促進

FinDev Canadaは、サハラ以南アフリカにおける初期および成長段階のエネルギー関連スタートアップに投資するファンドEnergy Entrepreneurs Growth Fund(EEGF)に1300万ドル(約14億8500万円)を出資した。資金の一部は、同地域のオフグリッド世帯や企業のクリーンエネルギーへのアクセス向上に役立てられる。

1億2000万ドル(約137億円)のEEGFは、2019年にShell Foundation(シェル財団)と英国のUKaid、そしてオランダのEntrepreneurial Development Bank FMOが共同で設立したファンドで、エネルギー分野の企業に対し、デット(触媒 / メザニン)または株式の形で融資を行っている。EEGFは、インパクト投資マネージャーであるTriple Jumpと、気候変動対策ベンチャーを支援する企業であるPersistentが運営している。

FinDev Canadaは、サハラ以南アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海地域の低所得者や十分な支援が行き届いていない層の経済的エンパワーメントを促進するインパクト金融ファシリティである2X Canadaを通して資金調達に参加した。

FinDev CanadaのVP兼最高投資責任者であるPaulo Martelli(パウロ・マルテリ)氏は、今回の資金提供は、新型コロナウイルスによる減速の後、クリーンエネルギー産業のイノベーションを加速するのに役立つと声明で述べている。

「パンデミックの影響で、健康危機以前から遅れていたアフリカの電化推進が遅れています。EEGFのこの分野への投資能力を高めることで、FinDev Canadaとその2X Canadaファシリティは、アフリカの家庭や企業においてクリーンで信頼できるエネルギーへのアクセスを拡大し、包括的で持続可能な成長と何百万人もの人々の生活の向上に貢献するエネルギー企業を支援します」と同氏は述べた。

このファンドの投資先は少なくとも半数が、アフリカの女性消費者や起業家のエネルギーニーズに明確に対応している企業、および企業や家庭に再生可能エネルギーのソリューションを提供している企業だ。サハラ以南アフリカは、電気を利用できない世界人口の75%を占めると言われており、そのギャップを埋めていく過程で再生可能エネルギーによるソリューションを採用できる可能性がある。

Shell FoundationのオペレーションディレクターであるGareth Zahir-Bill(ガレス・ザヒル・ビル)氏はこう述べている。「エネルギー貧困を緩和し、気候変動を軽減する、公正かつ包摂的なエネルギーシフトには、世界のエネルギーアクセス目標を達成するために頼りにされている起業家の資金ニーズを理解する必要があります」。

「FinDev Canadaによるファンドへの投資は、起業家への柔軟な融資ソリューションの提供を拡大し、アフリカの何百万人もの人々にとってクリーンで信頼できるエネルギーへのアクセスを加速するのに役立ちます」とも。

EEGFは2021年、時間をかけて支払うことが可能な太陽光発電ソリューションを提供するBaobab+とYellow、企業向けにモバイルソーラーファームの設計・設置を行うRedaviaに投資した。

ガーナ、ケニア、タンザニアに顧客を持つRedaviaは、このファンドから370万ドル(約4億2000万円)のメザニン投資を受けた。同社は、アフリカ大陸で85MWp以上の太陽光発電の設置を目標としている。2021年9月までに「90台近いソーラーユニットを設置し、7MWpのソーラー容量を確保した」とのこと。

マラウイとウガンダで事業を展開し、一般家庭や中小企業が分割払いでソーラーシステムを購入できるYellowは400万ドル(約4億5700万円)、一方Baobab+は230万ドル(約2億6300万円)を獲得した。Baobab+は、マリ、セネガル、マダガスカル、コートジボワールで事業を展開しており、ナイジェリアとコンゴ民主共和国の市場への参入を計画している。

画像クレジット:Pramote Polyamate / Getty Images

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(文:Annie Njanja、翻訳:Aya Nakazato)

ナイジェリアがツイッターの業務停止処分を解除、「条件満たした」

ナイジェリア政府は、ソーシャルメディア大手Twitter(ツイッター)の取り締まりを宣言してから半年以上を経て、Twitterの業務停止処分を解除した。

ナイジェリアのテック監督機関である国家情報技術開発庁(NITDA)のKashifu Inuwa Abdullahi(カシフ・イヌワ・アブドゥラヒ)長官が現地時間1月12日、声明で発表した。アブドゥラヒ氏は、禁止措置後のナイジェリアとTwitterの協議を監督するためにナイジェリア政府が設置した委員会(Technical Committee Nigeria-Twitter Engagement)の議長を担っていた。

関連記事:ナイジェリアが大統領の投稿削除を受けツイッターを無期限停止に

同氏によると、同国の通信・デジタル経済大臣がMuhammadu Buhari(ムハンマド・ブハリ)大統領に宛てて書いたメモを受け、業務停止処分の解除が承認されたという。声明ではまた、西アフリカ時間2022年1月13日午前0時までに直ちに業務停止を解除することが明らかにされた。

「ナイジェリア連邦政府(FGN)は、ムハンマド・ブハリ大統領(GCFR)が、ナイジェリアにおけるTwitterの業務停止を今夜2022年1月13日午前0時から解除することを承認したことを国民に知らせるよう私に指示しています」と声明にはある。「この承認は、通信・デジタル経済名誉大臣であるIsa Ali Ibrahim(イサ・アリ・イブラヒム)教授が大統領に宛てて書いたメモを受けてのものです。メモの中で大臣は、ナイジェリアとTwitterとの協議を監督する委員会の勧告に基づき、解除に対する大統領の承認を要請しています」。

アブドゥラヒ氏はまた、Twitterが「2022年第1四半期中にナイジェリアに法人を設立する」ことに同意したと声明で述べている。声明によると、Twitterの法人設立は、同社が「ナイジェリアへの長期的なコミットメントを示す最初のステップ」とのことだ。

法人設立は、2021年4月にガーナにアフリカ初の拠点を設立したTwitterが、業務停止処分から数カ月後にナイジェリアでの事業を再開するために求められた10の要求のうち満たせなかった3つのうちの1つだ。これは同年8月にナイジェリアのLai Mohammed(ライ・モハメド)情報相が発表した。

ナイジェリアでの現地事務所あるいは法人設立に加え、Twitterが満たせなかった要求は現地での納税、コンテンツや有害ツイート規制のためのナイジェリア政府への協力だった。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Nariko Mizoguchi

ナイジェリアのEdTechスタートアップTeesasがプレシードラウンドで約1.82億調達

自身の会社Imose Technologies(イモセ・テクノロジーズ)で7年間電子機器製造に携わった後、Osayi Izedonmwen(オサイ・イゼドンムウェン)氏は、以前から温めていたアイデアを実現するために休暇を取り、ナイジェリアでビデオ授業やその他のデジタル教材を提供するEdTechスタートアップ、Teesas(ティーサス)を立ち上げた。

立ち上げからまだ2カ月も経っていないTeesasは、160万ドル(約1億8200万円)のプレシード資金調達に成功したほど、急成長している。イゼドンムウェン氏は、この出資をもとに、新市場への進出を予定している。学習者と個人授業のチューターをつなぐマーケットプレイスの立ち上げ、製品ラインナップの拡充だ。

「2021年8月頃からベータテストを開始し、11月にAndroid版を本格的にローンチしました。すでにTeesasはGoogle Playストアで15万回以上ダウンロードされており、毎週少なくとも20%ずつ成長しています」とイゼドンムウェン氏はTechCrunchに語った。

Teesasのコンテンツはナイジェリアの国家カリキュラムに沿ったもので、月額6ドル(約680円)からのサブスクで、ライブと録画の両方の形式で学習者に配信されている。通常の学校の授業に加え、現地の言語クラスも提供している。

「ライブ授業では、学習者が苦手とする概念を扱います。学習者は10人、15人という少人数の遠隔授業で先生と一緒に授業を受けるので、個人的な取り組みができ、授業もより厳格になります」とイゼドンムウェン氏はいう。

近い将来、Teesasは12歳までの学習者向けにフルカリキュラムのモジュールを提供する予定だ。

「アプリで全カリキュラムをカバーし、中学受験の準備を整えることができるため、子どもたちが対面式の授業に出席する必要がなくなる未来を予見しています」と彼は述べた。

またTeesasは、2022年前半に学習者が自己発見するための準備をするライフスキルのクラスも導入する予定だ。これは、ナイジェリアではいじめが多発しており、死に至るケースもあることから、いじめ防止のための授業に加えられる。

Teesasは今後、チューターのマーケットプレイスを立ち上げ、フランス語圏、東アフリカ、南部アフリカの新市場への参入を計画している。

Teesasは今後、チューターのマーケットプレイスを立ち上げ、フランス語圏、東アフリカ、南部アフリカの新市場への参入を計画している(画像クレジット:Teesas)

製品開発

Teesasの開発は2020年3月に始まり、プラットフォームの設計と開発には、インドの同業他社のEdTechを大いに参考にし、コンテンツ構成やレッスン提供のベンチマークとした。

「インドに目をつけたのは、Byju(ビジュ)のような大企業がEdTech革命を起こしている先進的な国だからです。実際に現地に行き、時間をかけてモデルを理解し、彼らがやっていることを改善する機会も探しました。そして私たちは土着的適応を試みました」と彼はいう。

彼がここで触れた適応とは、その土地の芸術、食物、動物、文化的慣習、言語などを利用して、学習プロセスを補完することだ。

イゼドンムウェン氏は現在、TeesasのCEOを務める傍ら、携帯電話、タブレット端末、インターネットルーター、ノートパソコンなどの電子機器の製造・組み立てを行うラゴスのテック企業、Imose Technologiesの会長も続けている。

「Teesasは、アフリカの教育の未来に最も大きな影響を与えることになるでしょう。そして、その変革の先頭に立つために全力を尽くしたいと思っています。だからこそ、私はそれに完全に集中しています」と、イゼドンムウェン氏は述べ、次の計画の一部として、フランス語圏、東部および南部アフリカの新市場への参入を確認した。

Imose Technologiesを設立する以前、イゼドンムウェン氏はエンジニアとしての教育を受け、石油・ガス会社のExxonMobil(エクソンモービル)に15年間勤務し、出世し、ナイジェリアのオペレーション・マネージャーだった。

Teesasは、最近、新型コロナの追い風を受けて急成長しているアフリカの新興EdTech産業に賭けている投資家から資金を調達しているEdTechスタートアップの成長リストに加わった。

この分野では、ケニアのKidato(キダト)とCraydel(クレイデル)、ナイジェリアのEdukoya(エデュコヤ)とULesson(ユーレッスン)が新たなプレイヤーとして名を連ねている。

Teesasのラウンドは、Tolaram Group(トララム・グループ)のアフリカマネージングディレクターであるHaresh Aswani(ハレッシュ・アスワニ)氏が主導し、アフリカに特化したベンチャースタジオであるOlivegreen Advisory Partners(オリーブグリーン。アドバイサリー・パートナーズ)やその他のエンジェル投資家が参加している。

「私たちは、イゼドンムウェン氏とTeesasのチームが掲げているミッションを信じていますし、アフリカ全域で質の高い教育へのアクセスを向上させるためにテクノロジーを活用するという課題を解決するのに最も適していると確信しています」とアスワニ氏は述べている。

画像クレジット:Teesas founder and CEO Osayi Izedonmwen / Teesas

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(文:Annie Njanja、翻訳:Yuta Kaminishi)

ナイジェリアのMAXがアフリカ全域への展開とEVインフラ整備へ向けて約35億円を獲得

ナイジェリアのモビリティテクノロジースタートアップ企業、Metro Africa Xpress Inc.(メトロ・アフリカ・エクスプレス、MAX)は、シリーズBで3100万ドル(約35億円)の資金を獲得し、アフリカ大陸の交通セクターの一般化に向け、さらに多くの市場に参入する予定だ。

同スタートアップはTechCrunchに対し、2022年の第1四半期末までにガーナとエジプトに、同年末までにフランス語圏、東部および南部アフリカのその他の市場に進出するために、この資金を使う予定だと語った。また、この資金は、今後2年間で10万人以上のドライバーに車両融資クレジットを拡大するためにも使用される予定だという。

MAXは、2015年にオートバイを使って顧客の注文に応えるデリバリースタートアップとしてスタートし、その後ライドヘイリングに進出、さらに車両サブスクリプションや融資サービスなど、同社の当初のサービスのデータを基に考え出したソリューションを提供している。

同社は2018年に車両融資を導入し、わずか2年余りで、所属するドライバーによる解約率が「ゼロに近い」ほどに下がったとCFOのGuy-Bertrand Njoya(ギ=ベルトラン・ノジョヤ)氏はTechCrunchに語っている。

「我々はドライバーの業務を理解するのに時間をかけました。すると、彼らのほとんどが使用する車両を所有していないことが明らかになったのです」。とノジョヤ氏は述べた。

「そして、ドライバーが抱える根本的な問題は、車両への一貫したアクセスであることが明らかになりました。そこで、大陸全体のモビリティの課題を解決するためには、まず車両へのアクセスの問題を解決しなければならないと考えたのです」と語る。

MAXは現在、電動バイクの設計と組み立てを自社で行っている(画像クレジット:MAX)

MAXの商業銀行パートナーは現在、同社が提供するデータを信用リスク評価として利用し、ドライバーに車両購入ローンを提供している。

同社は、サービスの一部として、新市場で電気自動車のインフラを構築し、同社の顧客層に電気自動車を導入することを計画している。

「これは、高性能な技術とオペレーターを導入することで、モビリティを安全で手頃な価格で利用でき、多くの人に開けた持続可能なものにするという私たちの道のりにおける新たなマイルストーンです。この投資により、大陸の何十万人ものドライバーの生活を変え、国際展開を加速し、モビリティ分野における先駆的な取り組みを継続することができます」と、MAXの共同創業者兼CEOのAdetayo Bamiduro(アデタヨ・バミドゥーロ)氏は述べている。Chinedu Azodoh(チネドゥ・アゾド)氏は、このスタートアップのもう1人の共同創業者だ。

モビリティに関する課題へのソリューションを提供することは、常に同社の事業の中心であり、次に解決したいパズルは、運営コストを削減することでドライバーの収入を拡大することだった。

創業者たちは、電気自動車の導入が自然な次のステップであることをすぐに理解し、2019年にMAXは電気モビリティへの旅をスタートさせたのだ。同社は現在、さまざまなリースや融資オプションを通じて、2輪、3輪、4輪のEVをドライバーに提供している。

「ドライバーが最も気にかけているのは、収入を増やしてまともな生活を送ることなので、これは私たちが提供したかった追加オプションです。というのも、現在、EVはガソリン車よりも費用対効果が高いからです」とノジョヤ氏はいう。

MAXは現在、電動バイクの設計と組み立てを自社で行っている。ノジョヤ氏は、電動バイクを提供するために、大手二輪車メーカーのヤマハを含むエコシステム全体のパートナーと連携していると語った。

「ドライバーのためのクルマへのアクセスや、融資へのアクセスの分野でヤマハと協働しています。私たちの仕事とパートナーシップの成功の証として、ヤマハは今日、過去数年にわたり彼らと行ってきた仕事を背景に、アフリカ向けにドライバー向け車両融資の専門組織を立ち上げました」と同氏は述べている。

今回の資金調達は、グローバルなプライベートエクイティプラットフォームであるLightrock(ライトロック)が主導したもので、アフリカのモビリティ分野では初の投資となる。UAEに拠点を置く国際的なベンチャーキャピタル、Global Ventures(グローバル・ベンチャーズ)もこのラウンドに参加し、既存の投資家であるNovastar Ventures(ノバスター・ベンチャーズ)や、フランスの開発金融機関のProparco(プロパルコ)も、Digital Africa(デジタル・アフリカ)イニシアチブを通じてこのラウンドに参加している。

ノジョヤ氏は、このスタートアップがアフリカ大陸の何百万もの交通事業者のための、車両購入と金融サービスのプラットフォームとなることを目指している、と述べている。最近、エストニアのライドヘイリング会社Bolt(ボルト)と提携し、ナイジェリアのBoltのドライバー1万人がエネルギー効率の高い車両を購入できるよう、リース・トゥ・オウン方式を導入した。

画像クレジット:MAX

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(文:Annie Njanja、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Metaの実験的アプリ部門NPEの新仮説「次の大きなアイデアは米国市場で生まれるのではないか?」

Meta(旧Facebook)の実験的アプリ部門であるNPE(New Product Experimentation)チームがシフトチェンジしている。2019年半ばに初めて発足した当グループは、新しいソーシャル機能をテストし、人々の反応を測るための消費者向けアプリの構築に注力してきた。

カリフォルニアのメンローパークを拠点としたチームは、長年にわたりデートアプリ通話アプリミームメーカーからTikTokTwitterClubhouseのライバルカップル向けアプリなど、数多くの実験的アプリを始め、引退させてきた。そして今、NPEは、新たな仮説の検証を開始する。それも、大きなアイデアは米国以外の市場から生まれるのではないかというものだ。

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このような潜在性への投資として、NPEは最近ナイジェリアのラゴスにオフィスを開設し、近々アジアにもオフィスを開設する予定だ。また、小規模な起業家チームへのシードステージの投資を行うなど、戦略の調整を行っている。

そのような投資のうち1つはすでに行われている。Metaが最近行った投資で、バーチャルキャラクターを作るAI搭載の開発者向けプラットフォームであるInworld AIへの投資はNPEが主導した。しかし今後は、モバイルインターネットを新しい方法で活用しているスタートアップ企業など、より短期的な可能性を秘めたメタバース関連ではない企業にも投資を行う可能性がある。

Metaはもちろん、今日の普遍的な体験の多くが、最初はニッチなコミュニティから生まれたことを理解している。例えばWhatsAppは、世界中で導入される前に、SMSテキストメッセージが無料ではなかった地域で人気を博した。また、モバイルマネーのイノベーションの中には、東アフリカにおける従来の決済システムの欠如から生まれたものもある。

MetaのNPEチームは、このような未来のチャンスを逃さないために、シリコンバレー以外にも目を向けている。

NPEの責任者イメ・アーチボン氏(画像クレジット:Meta)

MetaのNPE(New Product Experimentation)の責任者であるIme Archibong(イメ・アーチボン)は、Metaに11年間勤務しており、NPEの前にはFacebookの開発者向けプラットフォームでの勤務経験がある。NPEに参加する前は、Facebookの開発者向けプラットフォームを担当し、世界中を飛び回って小規模なスタートアップから大企業の起業家に至るまでとつながりを作っていた。アーチボンは2年前にNPEに参加し、グループを同じような方向性に導いている。

「これは私が10年前にやっていたことと似ています。つまり、起業家や小さなチームを集めて、彼らのアイデアを実現するためのリソース、つまり人材、時間、技術にアクセスしてもらうのです。そしてもちろん、目標は私たちが構築できるアイデアの種のいくつかが、いつの日か非常に大きく育ってくれることです」と彼は説明する。

この新しい方向性を追求するために、チームはアジア、アフリカ、ラテンアメリカの市場に焦点を当てているが、米国ベースのプロジェクトを完全に放棄しているわけではない。だが、その中にはこれまでとは違って見えるものがあるかもしれない。NPEの現在の試みは、立ち上げても人気が出ずにすぐに終了してしまう新しいソーシャルアプリではなく、米国で投獄された人の社会復帰を支援するプロジェクトや、LGBTQの家族が親になるまでの支援を目的としたプロジェクトなどがある。これらは、単なるTikTokのクローンよりも明らかに内容が充実している。

グローバルな舞台に焦点を移すことで、NPEは最初は小さく、もしかすると十分なサービスを受けていない市場を対象にしているかもしれないが、規模を拡大できる可能性のあるアイデアを対象にしていくだろう。

アーチボン氏はこう述べる。「未来は、歴史的に見過ごされ、過小評価されてきた世界のいくつかの地域で築かれると思います。私は、問題、解決策、機会、そして新しい体験は、サービスを提供しようとしているコミュニティに最も近いところにいる人々によって構築されると確信しています」。そしてこのようなソリューションは、長期的には「より耐久力があり、より持続可能で、より実行可能な」ものになるだろうと彼はいう。

この論自体は堅実なものに聞こえる。何しろ、すでに歴史がそれを証明しているのだから。しかしMetaが中小企業からアイデアを「借用」してきたことを考えると、世界の起業家コミュニティがMetaによる投資を歓迎するかどうかには疑問が残る。

MetaがSnapchatのStoriesをコピーして、より大きな製品に成長させたことは広く知られている。同社はSnapchatのBitmojiの自社バージョンを公開した他、現在はClubhouseTikTokNextdoorSubstackのクローンを展開中だ。Phhhotoというスタートアップ企業は、最初にパートナーシップの機会を約束しておきながら、最終的にはPhhhotoの技術(InstagramのBoomerangになった)を独自に構築したとして、Metaを訴えているほどだ。Metaは、コピーしないものは買収した。例えばInstagramWhatsAppGIPHYのような将来のライバルから、tbhMovesのような新進気鋭の企業に至るまでだ。

関連記事:「コピーされて殺された」、ショート動画アプリPhhhotoがフェイスブックを反トラストで訴える

Inworld AIは、両者のVRにおけるミッションが緊密に一致していたことから、Metaとの連携に違和感を感じなかったかもしれないが、他のシードステージにあるスタートアップ企業は同じようには感じない可能性がある。しかしアーチボンは、このチャンスをものにする企業は十分に存在すると信じている。

「私は、(Inworld AIの)機会はもっと増えると思います。私たちのような、自分たちがやろうとしていることとミッションが一致した組織、つまり、類似したテクノロジーのトレンドや、新興のプラットフォーム、ユーザーの行動などにかなり力をいれている組織と一緒に仕事をする人々です」と彼はいう。

同社は、どのくらいの期間にどのくらいの資本を投入するかは明らかにしていないが、チーム自体と同様に、その規模は「本当に小さなもの」になるとアーチボンはいう。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

アフリカ最大のeコマースプラットフォームJumiaのブラックフライデー売上高は30%増

アフリカのeコマースは急速に成長しており、より多くの人々がインターネットに接続するようになった今でも、その潜在可能性は依然として非常に大きい。2021年のGSMAモバイルエコノミーレポートによると、サハラ以南のアフリカ全体では、人口の約28%にあたる3億300万人がモバイルインターネットに接続しており、この数字は3年後には最大40%増えると予想されている。

インターネットにつながる人の数が増え、買い物客がますますオンラインでの購入を選ぶようになると、最近Jumia(ジュミア)で起こったように、eコマースプラットフォームでは注文数と購入金額が急増することになる。

アフリカ諸国にまたがるeコマースプラットフォームであるJumiaが12月7日に発表した米証券取引委員会(SEC)への報告書によると、ブラックフライデーシーズンに同社のプラットフォームでの販売額は、2021年は30%ポイント増加して1億5000万ドル(約170億円)に達した。

Jumiaのブラックフライデーセールは2012年に始まり、11月の第1金曜日から月末まで行われる。この期間中の注文件数は2021年、前年比39%増の430万件に達し、販売者数も11%ポイント増の4万6000だった。また、Jumiaの同期間中のユニークビジター数は4000万人を記録し、27%ポイント増だった。

先にお伝えしたように、Jumiaで最も人気のある商品は消耗品で、次いで美容・ファッションアイテムだった。これより前に、Jumiaは食料品カテゴリーを拡大するために、ダークストアをさらに立ち上げた。第3四半期決算からするに、この取り組みは報われたようだが、ニューヨーク証券取引所に上場している同社の収益確保は依然としてうまくいっていない。

JumiaはSECに提出した報告書の中で「当社の消費者は、日常的なニーズを満たすためにますますJumiaを利用するようになっており、数量ベースで最も急速に成長している物販カテゴリーのトップ3は、短期間で消費される日用消費財(FMCG)、次いで美容、ファッションとなっています」と述べている。

Jumiaは、TechCrunchとの過去のインタビューで、ショッピング習慣の変化をもたらしたものについて、オンライショッピングの需要を増大させた外出禁止の規制に加えて、新しいトレンドをすばやく取り入れる若年層、アフリカ大陸全体でのスマートフォンとインターネットの普及率の向上などを挙げている。スマートフォンは、eコマースサイトへのトラフィックに最も多く(75%)貢献しており、これはより多くの人々がインターネットに接続するようになるとオンラインショッピング利用者が増加することを意味している。ナイジェリア、南アフリカ、ケニアがJumiaのオンライン販売の大半を占めている。

Jumiaの配送事業部門Jumia Logisticsがブラックフライデーシーズンに扱った荷物は530万個に達し、これは「2021年の10月までの月平均量の2倍超」とのことだ。

Jumiaは現在、アフリカ最大のeコマースプラットフォームであり、ナイジェリアのMarketplace Africaや南アフリカのSouq、bidorbuyなど数百にのぼる他社をリードしている。Jumiaのプラットフォームは、アルジェリア、セネガル、チュニジア、コートジボワール、ウガンダ、モロッコなどアフリカの11の市場で利用可能だ。

画像クレジット:Jumia

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nariko Mizoguchi

南アのクラウドソーシング「Zind」は現実の問題を解決するためにデータサイエンティストのコミュニティを構築、AIも活用

Zindi(ジンディ)は、AIを使用して企業や個人の現実の問題を解決することを目指している。そして、南アフリカを拠点とするこのクラウドソーシングスタートアップは、過去3年間それをずっと実践してきた。

ちょうど2020年、Zindiに参加するデータサイエンティストのチームが機械学習を用いてウガンダの首都カンパラの大気モニタリングを改善し、また別のグループはジンバブエの保険会社のZimnat(ジンマット)が行う顧客の行動予測(特に解約しそうなひとの予測や解約を思いとどまらせるための有効な手段の予測)を支援した。Zimnatは、他のやり方では解約していたであろう人びとにカスタムメイドのサービスを提供することによって、顧客の解約を防ぐことができた。

これらは、企業、NGO、政府機関がZindiに提示した、データ中心の課題に対して実現されたソリューションの一部だ。

Zindiはこれらの課題を発表し、データサイエンティストのコミュニティに対してソリューション発見コンテストに参加するよう呼びかけている。参加しているデータサイエンティストがソリューションを提出して、採用された者が賞金を獲得する。コンテストの主催者は、自身の課題を克服するために寄せられたもののうち最良の結果を利用することができる。たとえばウガンダ全土の大気汚染を予測するための解決策を模索しているAirQo(エアクオ)による大気質監視プロジェクトや、Zimnatの損失削減を支援することなどが解きたい課題だ。

関連記事:Zindiが新型コロナ対策に向け1.2万人のアフリカ人データサイエンティストを活用

「このおかげで、いまやAirQoは、一般の人々が大気質と大気質の予測を確認できるダッシュボードが提供できています。このプロジェクトのエキサイティングな点の1つは、AirQoがプロジェクトの実装を支援するためにコンテストから2人の勝者を採用したことです」とZindiの共同創業者でCEOのCelina Lee(セリーナ・リー)氏は述べている。他には南アフリカのMegan Yates(メーガン・イエーツ)氏とガーナのEkow Duker(エコー・ダッカー)氏が、プラットフォームの共同創業者だ。

リー氏は「AirQoはまた、彼らが構築したソリューションに対してGoogleから資金を調達し、他のアフリカ諸国にもそれを展開していく予定です」と語る。このコンテストはバーミンガム大学のDigital Air Quality East Africa(DAQ EA)ならびにカンパラのマケレレ大学のAirQoプロジェクトと提携して開催されたコンテストだったのだ。

Zindiは、アフリカ全土のデータサイエンティストのデータベースだ。このクラウドソーシングスタートアップは、最近100万ドル(約1億1300万円)のシード資金を調達した(写真クレジット: Zindi)

Zindiを利用した他の注目すべき民間および公的組織には、Microsoft(マイクロソフト)、IBM、Liquid Telecom(リキッドテレコム)、UNICEF(ユニセフ)、および南アフリカ政府が含まれている。スタートアップの、発足以来の成長を目の当たりにして、リー氏はZindiが達成できたことに興奮しており、コミュニティの将来に情熱を注ごうとしている。このプラットフォームは現在、代替手段を提供しており、アフリカ全土で事業を展開し、しばしば高額な従来のコンサルティング会社との競争を激化させている。

Zindiのユーザーは、2020年の初めから3倍に増え、大陸の45カ国から3万3000人のデータサイエンティストを集めるまでになっている。また、データサイエンティストたちに対して30万ドル(約3384万円)の対価を支払った。

この数は、Zindiが2022年3月に、大学生たちがさまざまな解決策を求めて互いに競い合う、3回目の大学間Umoja Hack Africaチャレンジを主催することで増加するだろう。

Zindiは、この大学間コンテストを利用して、学生を実用的なデータサイエンスの経験に従事させ、AIを使って実際の課題を解決させている。2020年のイベントは、パンデミックのためにオンラインで行われたが、プラットフォーム上に約2000人の学生が集まった。

サンフランシスコ出身のリー氏は「学生は最初の機械学習モデルを構築して、そこから、キャリアと教育へのあらゆる種類の扉が開かれます」と述べている。

Zindiには現在「学習から稼ぎまでの道のりを短くする」ためのジョブポータルが用意されている。組織は、人材配置ポータルに人材募集を投稿することで、そこにある人材のプールを活用することができる。

このクラウドソーシングプラットフォームは、新進のデータサイエンティストにトレーニング資料を提供する学習コンポーネントの導入も計画している。これは、プラットフォームが知識のギャップとトレーニングの必要性を認識したためだ。一方リー氏は、Zindiのユーザーのほとんどは、学習経験を必要としている学生や、世界の問題を解決するために高度なスキルを必要とする人たちであるという。

新しい計画は、最近プラットフォームが調達した100万ドルのシード資金によって可能になる。

画像クレジット: Zindi

リー氏は「私たちにとって、それはコミュニティを拡大し、すべてのデータサイエンティストにとってより多くの価値を生み出すことなのです」と語る。

「私たちが理解していることの1つは、特にアフリカでは、データサイエンスが非常に新しい分野であるということです。そのため、この資金を使って、より多くの学習コンテンツを導入していきます。そして、私たちのデータサイエンティストの多くは、まだ大学生か、キャリアの非常に早い段階にいます。彼らは、とにかく自分たちのスキルを学び身につける機会を探しているのです」。

シードラウンドは、サンフランシスコを拠点とするVCのShaktiが主導し、Launch Africa、Founders Factory Africa、FIVE35が参加した。

リー氏によれば、これらの計画はすべて、アフリカ大陸で強力なデータサイエンスコミュニティを構築することを目的としていて、近い将来、プラットフォームのユーザーを100万人に増やすことを目指しているという。これは、キャリアの初期段階にいるデータサイエンティストにトレーニングの機会を提供し、コラボレーションとメンターシップを促進する強力なコミュニティを形成することによって達成可能だと彼女はいう。

リー氏は次のように述べている「そして、最終的にはアフリカで100万人のデータサイエンティストにリーチしたいのですが、そのためにはデータサイエンスを、この分野で成功するキャリアを追求することに関心のある若い人なら誰でも、必要なツール、つながり、経験にアクセスできるようしたいと考えています」。

「私たちのビジョンは、誰もがAIにアクセスできるようにすることです」。

画像クレジット:Zindi

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(文: Annie Njanja、翻訳:sako)

ウガンダで電動バイクの普及を目指す仏Zemboが豊田通商などから約3.8億円を獲得

豊田通商とCFAOグループのコーポレートベンチャーキャピタル子会社であるMobility 54 Investment SASと、DOB Equity、InfraCo Africaは、電動バイクのスタートアップZembo(ゼンボ)の事業成長を支援すべく、340万ドル(約3億8000万円)を出資した。

Zemboはウガンダで事業を展開するフランスのスタートアップで、2018年に設立された。リース・トゥー・オウン(購入選択権付き)プログラムを通じて電動バイクを販売している。また、同国でソーラー充電ステーションとバッテリー交換ステーションのネットワークを運営している。

Mobility 54は、このスタートアップがアフリカ全土で事業を拡大するために「グループ(トヨタ)の自動車事業の大陸全体での存在感を活用して支援する」と話す。加えて、Mobility 54はZemboが最も成長を期待しているバッテリーとソーラーパネルの事業を中心に、同社と新たなパートナーシップの構築を目指す。

「Mobility 54のZemboへの投資は、モビリティ産業の電動化によりアフリカのカーボンニュートラルを加速させることを目的としています。豊田通商とCFAOグループは、アフリカでの自動車販売実績を活かし、Zemboのアフリカでの事業展開に貢献します」とMobility 54は声明文で述べた。

今回調達した資金は、オートバイの台数を約2000台増やし、ウガンダの首都カンパラに60カ所以上の充電・バッテリー交換ステーションを設置するために使用される。Zemboのバイクは、1回の充電で37マイル(約60キロメートル)走行する。

Zemboの共同創業者Étienne Saint-Sernin(エチエンヌ・サン・セルニン)氏は「InfraCo Africa、DOB Equity、Mobility 54といったインパクト重視の組織と提携して、電動ボダ・ボダ(オートバイ)と充電ステーションの開発を継続できることをうれしく思います」と述べた。

「ウガンダのボダボダライダーの収入向上と大気汚染の抑制を両立させるというZemboのミッションは支援者にも共有されており、今回のパートナーシップの原動力となっています。今後も顧客にサービスを提供し、ウガンダで持続可能なモビリティを実現できることを楽しみにしています」と話した。

Zemboは、ウガンダで電動バイクを組み立て、外部の金融機関と協力して、レント・トゥー・オウンプランで販売している。同社のバッテリー・アズ・ア・サービス・モデルでは、ライダーは空になったバッテリーをフル充電されたバッテリーと有料で交換することができる。

InfraCo AfricaのCEO、Gilles Vaes(ジル・ヴェース)氏は次のように話した。「……Zemboは、電動二輪車を市場に提供してきたすばらしい実績を持っています。DOB EquityおよびMobility 54と共同で事業の拡大・発展に取り組むことで、カンパラの都市大気汚染の抑制、雇用の創出、経済発展を促進するZemboの能力を拡大することができます。このプロジェクトは、大気の質を改善し、今世紀半ばまでに二酸化炭素排出量を正味ゼロにするという世界的な取り組みにも合致するものです」。

InfraCo Africaは、6カ国の政府と国際金融公社(IFC)が出資するPrivate Infrastructure Development Group(PIDG)の一員として、インフラプロジェクトに資金と専門知識を提供しており、DOB Equityは東アフリカに関心を持つオランダの一族が出資する投資家だ。

バイクタクシーはアフリカ全土で人気があり、カンパラなどの大都市でも広く利用されている。しかし、騒音や大気汚染の大きな原因とみなされていて、こうした問題は電動化で解決できる。

Zembo Stormバイクは、よりクリーンな移動手段として電動モビリティソリューションを提供するためにアフリカ市場で台頭してきた数多くの企業の1社だ。

他のプレイヤーとしては、ケニアのOpibusがあり、2022年にはオートバイの大量生産を開始する予定だ。同社はTechCrunchとの先のインタビューで、電動移動手段の競争上の優位性として、化石燃料を使う移動手段に比べて最大60%運用コストを抑制できる点を挙げている。

また、電動化は世界が取り組んでいる気候変動問題の原因となっている二酸化炭素の排出量を削減することも期待されている。

しかし、アフリカにおける電動モビリティの普及は始まったばかりであり、チャンスはまだたっぷりある。特にインフラの整備が進めば、その可能性は大きく広がる。このギャップを埋めるために、ZemboやOpibusのような企業は独自のインフラを構築している。

画像クレジット:Zembo

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nariko Mizoguchi