「場所」にメッセージを「置いておく」Drop Messages、125万ドルのシード資金を調達

TechCrunch Boston Pitch-Offで優勝したDrop Messagesが、Atlas VenturesおよびSpark Capitalより125万ドルのシード資金を調達したとアナウンスした。また、アプリケーションの新バージョンも、同時にリリースされている。

Drop Messagesをご存じない方のために少し説明をしておこう。メッセージを特定の「場所」に置いておく(dropしておく)アプリケーションだ。その場所に行かなければ、受信者もメッセージを受け取ることができない。

これまでは1対1モードでしかメッセージを残しておけなかったが、新しい版となってグループ送信にも対応した。

機能的にはちょっとした追加ではあるが、しかしこれによりアプリケーションに新たな可能性が加わったということもできよう。チャット風の使い方のみでなく、ソーシャルネットワーク的な使い方もできるようになったわけだ。メッセージの受信者として指定された人々は、メッセージがdropされた場所に出かけてメッセージを受け取り、そしてそのメッセージに対してコメントを付したりあるいは「いいね」することができるようにもなった。

アプリケーションの利用者は60ヵ国に広がり、徐々に利用者数を伸ばしているようだ。但し、正確な数字については教えてもらえなかった。

今回調達した資金にて、新規利用者を獲得し、ビジネス領域を広げていきたいと考えているそうだ。ちなみに今回の出資をリードしたAtlas VenturesとDropは、TC Pitch-Offの場で出会ったのだということも付記しておこう。

グループメッセージングに対応した新バージョンはこちらで手に入れることができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


iDrive、人力音声検索「OOLOO」をスタート

iDriveは、データのバックアップおよび同期サービスで知られる会社だが、このたびモバイルアプリ、OOLOO(名前の枯渇は深刻な問題のようだ)で新たな方向へ踏み出した。このアプリを一番よく説明する表現は、Siriの「人力」バージョンだろう ― 即ち、アルゴリズムやエンジンではなく、本物の人間が質問に答える。

これは決して新しいアイデアではない。去る2007年、Jason Calacanisは人力検索エンジン、Mahaloをスタートした。検索クエリに社員が答え、ユーザー生成コンテンツと共に表示していた。同社は今も存続しているが、もはや検索サービスとしては機能していない ― 最近のピボットによって、Mahaloはモバイルニュースアプリへと生まれ変わった。

一方、Twitterの共同ファウンダー、Biz Stoneの新スタートアップ、Jellyも、同じょうなユーザー生成検索エンジンをモバイル用に提供しており、品質に関しては、Yahoo Answersのアップグレード版(時には)というところだが、人気の面では苦戦している。

こうした人力検索エンジンの殆どが直面する問題は、早い話がGoogleとは勝負にならないことだ。今や疑問をGoogleで探すことは人々の習慣として根付いているだけでなく、人間に質問して必要な情報が返ってくるまでの時間は、決してGoogleより早くならない。

特定のニッチに焦点を絞った、例えばQuaraのように質が高く長文のコンテンツを集めているサービスでさえ、主流になるために十分なコンテンツ作者や訪問者を集めることはできていない。

よって、OOLOO(この名前はOovooのタイプミスを狙っているに違いない)は、コンテンツ作成や検索ではなくデータバックアップに実績を持つ会社のサービスでもあり、苦戦を強いられそうだ。

「とにかく今あるアプリはどれも、例えばSiriだってもっともっと効率良いやり方ができるはずだとわれわれは感じた」と、iDriveの事業開発責任者、Matthew Harveyが説明する。

アプリの使い方は実に簡単だ。スマートフォンのマイクに向かって検索クエリを話せば、誰かが答えた時にプッシュ通知が届く。同社は、地元のレストランや商品、短文の翻訳、道順等に使うことを薦めている。しかし、実際には何を質問してもよい、と彼らは言う。

試してみたところ、アプリから回答に時間がかかるかもしれないと警告された。関心が集中しているからだという(「スタート直後ですが、すでにスケーリングができません」という意味かもしれない)。

それはともかく、私の質問は1分か2分回答が返ってきて、内容もかなり正確だった。データだけでなく、追加情報を得るためのウェブも紹介されていた。

金曜日(米国時間8/1)の遅くにスタートして以来、クエリ件数は1万を越え、50ヵ国以上でダウンロードされている。需要の高さ故、現在OOLOOは、米国のみでサービスしている。

この手のサービスへの需要が長続きするかどうかは? 時間が教えてくれるだろう。

OOLOOは、iTunesおよびGoogle Playから無料でダウンロードできる。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Android Wearスマートウォッチにはとても便利なアプリがある、という個人的体験

ぼくはPebbleを持っているけど、自分の手首に通知が来るのが気に入っている。ブザーが鳴るたびにいちいちスマートフォンを取り出すなんて、ほんまに面倒だ(重要でない通知も多いし)。だから、Pebbleで十分、LG Gのような重くて電池寿命の短いスマートウォッチは要らない、とずっと思っていた。でもCapitaine Trainの今度のスマートウォッチアプリを見ると、Android Wearのウォッチが欲しくなってきた。

Capitaine Trainは、列車の切符の予約が便利にできるアプリを提供しているフランスのスタートアップだ。同社はヨーロッパでいちばん便利な切符予約サービスを目指している。UI/UXのデザインが良くて、使いやすいアプリだ。

地味と言えば地味なサービスだけど、これを何回か利用したあとは、Web上の切符予約サービスを二度と使いたくなくなる。そいつらは、使いづらいし、遅いし、しかも必ずレンタカーを押し売りするのだ。

Capitaine Train Androidを作ったCyril Mottierが、同社のスマートウォッチ用Androidアプリのエクステンションに取り組んできた。そのアプリは単に通知を表示するだけでなく、それ以上のこともする。ただしスマートウォッチ用のアプリには、Androidアプリのすべての機能があるわけではない。それは、主な機能を三つに絞り込んでいる。

まず、思いバッグを抱えて駅に着くと、ウォッチのブザーが鳴って列車の情報を表示する。列車番号、手荷物や座席の情報などが、自分の手首を見るだけで分かる。車掌がデジタル切符の検札に来たら、画面をスワイプしてバーコードを出し、車掌に見せればよい。もっと詳しい情報が必要なら、スマートフォンを取り出してAndroidアプリをタップすればよい。下のビデオで、その一部始終が分かる。

革命的なアプリでもなんでもないし、誰もが使うアプリでもない。でも、とっても使いやすいアプリだ。残念ながら、Pebbleにはできない。それは、Android Wearが優れている部分の一つだ。スマートフォン用のAndroidアプリを、ウォッチの小さな画面にうまく適応させている。完全なアプリが必要なら、スマートフォンを取り出せばよい。列車に乗る時の基本的な機能だけ必要なら、Android Wearアプリだけで十分だろう。Androidのデベロッパなら、ウォッチのためのコードを書くのも簡単だ。

なお、Google MapsもAndroid Wearウォッチ上でなかなか便利に使える。交差点などで、曲がるべき方向を教えてくれるのだ。自転車に乗ってるときなんか、便利だろうなぁ。Google MapsのAndroid Wearアプリはまだ出たばかりだが、今後ウォッチが高性能になりサードパーティのアプリが増えれば、Androidスマートウォッチは本当の大衆製品に育つかもしれない。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


AmazonのAndroidアプリストアがさらにエジプトなど39か国でオープン

AndroidアプリをAmazonのアプリストアに置きたいと思っている方にとって、今日(米国時間7/31)からそのマーケットがとっても大きくなった。

今朝からAmazonはそのアプリストアを新たに41の場所に展開し、その合計は236の国や地域になった。現時点では、Amazonのアプリストアが「ない」地域を挙げることの方が難しい。

今日の拡張は主に、アフリカと中東と東南アジア地区だ。

ひとつだけ老婆心を: その国や地域にAmazonのアプリストアがあるからといって、そこで必ずしもあなたのアプリが売れるとは限らない。その国の法律や地域の制約に触れるものは、Amazonが店頭に並べることを渋るだろう。Amazonはアプリの内容説明に関してデベロッパを信用しているようだが、その国の政府から取り下げ要求が来たら、Amazonはたぶん抵抗しないだろう。

以下は、今日から加わる国のリストだ。Amazonのアプリストアのあるすべての国のリストを見たい人は、ここへどうぞ:

  • アルジェリア
  • アゼルバイジャン
  • バーレーン
  • バングラデシュ
  • ブルネイ・ダルサラーム
  • ブルキナ・ファソ
  • チャド
  • ジブチ
  • エジプト
  • エリトリア
  • ガンビア
  • ギニア
  • インドネシア
  • ヨルダン
  • カザフスタン
  • クウェイト
  • キルギスタン
  • レバノン
  • マレーシア
  • モルディブ
  • マリ
  • モーリタニア
  • モロッコ
  • ニジェール
  • ナイジェリア
  • オマーン
  • パキスタン
  • パレスチナ
  • カタール
  • サウジアラビア
  • セネガル
  • シエラレオネ
  • シンガポール
  • ソマリア
  • タジキスタン
  • トルコ
  • トルクメニスタン
  • アラブ首長国連邦
  • ウズベキスタン
  • イエメン

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


「LINE MALL」の定額配送はユーザーの心理的ハードルを下げる

新品・中古に関わらず、あらゆる商品をスマートフォンで売買できるフリマアプリ「LINE MALL」が30日、離島を含む全国一律でサイズ別の定額料金で配送できる「LINE配送」を開始した。ファッション通販を手がけるフェリシモとの提携により実現した。例えば、3辺の長さの合計が60cm以下の送料は全国一律で650円。佐川急便やヤマト運輸で東京から北海道まで送った場合と比べて500円近く安くなるわけだが、本質はユーザーの心理的なハードルを下げるところにありそうだ。

LINE MALLは出品者が送料を全額負担するため、販売価格に送料を上乗せした金額で出品する仕組み。購入者としては、地域ごとに異なる宅配業者の料金表をチェックして送料を計算しなくて済むので便利だが、出品者からすると、配送先が遠くなるほど送料がかさみ、その分の収益が少なくなるわけだ。

一方、LINE配送は誰に売れても送料が変わらないので、あの見にくい配送料金表とにらめっこして値付けに悩む必要もなくなり、出品時の心理的なハードルが下がりそう。レターパックライトやクロネコメール便といった安価な配送方法も選べるので、商品のサイズに応じてLINE配送と、これまでどおり一般の配送サービスとを使い分けるのがよさそうだ。

心理的なハードルが下がるのは出品者だけではない。LINE配送を利用する出品者は取引成立後、日本郵便の「ゆうパック」で神戸市にあるフェリシモの物流センターあてに着払いで商品を送り、物流センター内で購入者の配送先情報を印刷した伝票に貼り替えて出荷する。物流センターを中継することで、出品者と購入者が個人情報をやりとりしない「匿名配送」が可能になるわけだ。購入者は出品者に直接住所を教える必要がなくなるので、今まで以上に安心して取り引きできるかもしれない。

LINE MALLは2013年12月にサービスを開始。現時点での月間流通総額は非公表だが、アプリのダウンロード数は約200万件。スマホ向けフリマアプリの競合としては、メルカリやFril(フリル)がある。メルカリは7月に400万ダウンロードを突破し、月間流通金額は「10億円を大幅に超える」ことを明らかにした。一方、女性に特化したフリルも7月、アプリのダウンロード数が150万件に達し、月間流通総額が5億円を上回ることを発表した。LINE MALLは年内にも企業による出品を開始し、事業拡大を図る狙い。LINEは今後、物流センターで他社のチラシを同封する広告ビジネスも視野に入れているという。


Facebook、数日中にチャット機能をMessengerアプリに全面的に切り替える

数日中にFacebookはiPhoneとAndroidアプリ内でのチャット機能を打ち切り、世界中のユーザーにスタンドアローンのFacebook Messengerアプリの利用を要求することになる。Facebookはさる4月にヨーロッパのユーザーに対してMessengerアプリのダウンロードを求め始めていた。ただし、デスクトップ、モバイル・ウェブ、iPad、フィーチャーフォン、Windows Phone、Paperでは従来どおり、FacebookサイトないしメインのFacebookアプリ内からチャットができる。

これまでユーザーはスマートフォンのFacebookアプリのメッセージ・タブからチャットするか、Messengerアプリをダウンロードし、メインアプリのメッセージ・タブは単に通知用にして、Messengerアプリに切り替えて実際のチャットを行うか選ぶことができた。

しかし、数日中に、iPhoneとAndroidのユーザーは選択の自由を失う。Messengerをダウンロードするよう促す通知を何度か受け取った後で、メイン・アプリ内のチャットは機能を停止するはずだ。またFacebookはユーザーにこの変更を説明するメールを送っている。

上の写真のようなMessengerへの切り替えを告げる時計をかざしたラッコはかわいらしいが、一部のユーザーは不満を感じるだろう。

メディアの注目を集めることを嫌ってか、Facebookはこの変更について公式ブログに記事を掲載せずユーザーに直接通知するという方法を選んでいる。私の取材に対してFacebookは次のように回答してきた。

ここ数日の間、われわれはユーザーに対し「Facebookメッセージを送受するにはMessengerアプリをダウンロードすることが必要になる」と通知を続ける。この変更によって、われわれはメッセージの改良に関する努力をMessengerアプリ一つに絞ると同時に、複数のメッセージ・アプリが存在することによるユーザー体験の混乱に終止符を打つ。Messengerアプリはすでに月間で2億人のユーザーによって利用されている。

Facebookはメインのアプリ内のメッセージタブを廃止し、その代わりに画面下部にMessengerアプリへのショートカットを設ける(左画面)。Messengerアプリのトップのバーをタップするとメインのアプリに戻る(右画面)。

この変更の理由は論理的ではあるが、ユーザーのすべてが納得はしないだろう。2つのアプリをインストールしてして使いわけるのを嫌う人々もいるだろう。またユーザーが何をしていてもチャットヘッドがポップアップする方式では、他の作業をしながらチャットができたので、専用アプリを起動する新たな方式はかえって不便になったと感じるユーザーもいるだろう。

しかしFacebookによれば、専用のMessengerアプリを利用することによってユーザーの送受するグループメッセージ、写真、ビデオ、スタンプ、音声クリップの数はいずれも大きく上昇したという。つまり専用アプリのユーザー体験の方が快適だということになるのだろう。専用アプリはすでに2億人が利用して毎日120億通のメッセージがやりとりされているという。Facebookとしてメッセージを専用アプリに一本化することで開発努力を大いに効率化できる。、

下のビデオではMessengerのデザイナーが新方式の必要性を説明し、作動のデモを行っている。

実際Messengerアプリはメイン・アプリ内のメッセージタブより使いやすい。またここ数ヶ月で機能が大いに改良されている。最近、カメラで録画した動画や自撮り写真の共有機能やSnapchat風の写真やビデオを簡単にやりとりできるボタンを追加した。Foursquareが普及を試みているが評判のよくないチェックイン・アプリのSwarmとは違ってMessengerは安定した高機能のアプリに仕上がっている。

しばらくすればユーザーも新方式に慣れ、Messengerの使用を受け入れることになるかもしれない。 そうなればCEOのマーク・ザッカーバーグがすでに語っているように、Messengerを支払い手段にすることでマネタイズを図ることもできるだろう。

しかしやはり今回の変更は「Facebookのやり方は強引だ」という反発を招く可能性はある。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


2日で約3000語を暗記、スマフォ世代の英単語学習アプリ「mikan」はTinderライク

「2日で3800単語」とか、「2週間で8000単語」とか、いままでちょっと聞いたことがないスピード感で英単語が学習できるとするアプリ「mikan」は、これまでの単語学習アプリと毛色がだいぶ違う。6月に株式会社mikanを創業した宇佐美峻さんは、「圧倒的にいちばん速く覚えられるアプリ」を目指していて、すでに実績も出始めているという。

mikanでは左右にスワイプすることで次々とカードをめくっていくようなUIを採用している。これは、去年あたりからアメリカの若者の間で流行している出会いアプリの「Tinder」が生み出し、多くのアプリが採用しているスマフォ・ネイティブといっていいUIだ。デート候補として表示される相手を「いやー、ないわー」「会ってみたい!」に直感的に分けていくTinderに対して、「これは色がイマイチ」「このパンツいいね!」というようにファッションアイテムの好き嫌いをユーザーごとに学習するファッションアイテムのキュレーションのようなサービスでの応用がある

mikanの場合、次々に表示されるカード上の単語について、「意味が分かる」(右)、「分からない」(左)とスワイプしていくのだが、Tinder同様に、片手で手軽に、そして高速にカードがめくれるのが特徴だ。

mikanでは10単語を1セットにして、次々とスワイプする。右へスワイプした既知の英単語は消え、左へスワイプした未知の英単語は残って再び画面に現れる。10単語で1周したときに、未知語が6つあれば、2周目には6単語が表示される。2周目に覚えた単語は3周目に出てこない。というように、ただ「知ってる、知らない、知らない、知ってる。あ、さっき覚えた。さっき見たけど、やっぱりまた意味が分からない……」などと左右にスワイプしているだけで、10→6→3→1→0というように、覚えていない単語だけを高速に繰り返して復習していける。10単語1セットとして、慣れると1セットを1分程度で消化できるという。以下がデモ動画だ。

10単語が1分だとすると、3800単語なら、どのぐらいか? 答えは2日だそうだ。試験的に3800単語を2日間で覚えるというこを7人にやってもらい、2日目の最後に400単語のテストをしたところ、平均定着率は82.4%だったという。記憶というのは時間とともに薄れるので、集中的に暗記をした直後のテストの定着率をもって3000語を「マスターした」ということはできないだろうが、従来の学習法から考えると驚くようなパフォーマンスだ。単調な暗記作業とは異なる、ちょっとしたゲーム感覚で細切れ時間が活用できるのは面白い。

英語学習合宿が話題になったことがキッカケ

mikanを創業した宇佐美さんは東京大学で機械情報工学を専攻する4年生。そろそろ周囲が就職活動を始めていたとき、「このまま行くとオレも就職しちゃうという危機感」から休学を決意。いまはmikanの実証データを集めるために47都道府県を回る全国行脚の準備中だ。各都道府県で、英語学習に取り組む学生を中心に、テスト利用者を20人ほど集めて合宿形式で「1日で1000単語を覚える」というのにユーザビリティーテストを兼ねて取り組む。もし成果がでれば、この初期ユーザーがmikanのエバンジェリストになってくれるという読みもある。

宇佐美さんは、別に英語アプリで起業しようなどと思っていたのではなく、「英語を教えていたら、お金になり始めた」ことが起業のキッカケだったと話す。

もともと起業には強い関心があり、クラウドソーシングの「クラウドワークス」やアクセラレーターの「MOVIDA」でインターンを経験していて、最初からシリコンバレーを目指していたという。「スタンフォードの大学院に行きたい」ということから、まずはTOEFLに申し込んだ。ところが、試験日当日まで一切勉強せず、「申し込んだら勉強すると思ったんですけどね、4万円が無駄になりました」と笑う。そこでまず、英語の勉強をするしかない時間と場所を決めてやろうと、今年3月に2週間の合宿を実施した。友人らに声をかけると、結構みんなが来てくれた。

その合宿の様子をブログやFacebookでシェアしているうちに、学生以外の社会人からも「行きたい」と連絡が来るなど、問い合わせが10件、20件と増え、話題になりはじめたという。5月に実施したTOEFL合宿には約60人が参加するまでになった。

合宿ビジネスでは労働集約型のマンパワーがモノを言う世界になる。そうではなく「アプリとかWebサービスとか、スケールするもので実施できないか」と考えて、5月にMacを買い、iPhoneアプリを作り始めたという。

アプリのアイデアは、自身が行ったExcelを使った英単語学習法が元になっている。まず日本語と英語が対になったものをExcelに1万語分、打ち込んだリストを作る。学習済みの単語については、このExcelの表の右側に「1」を付けていって、これを並べ替え。覚えていない単語だけをプリントアウトして覚える。次に「2」を付けてプリントアウト……、というのを繰り返した。

宇佐美さんは「数が少なくなっていく喜びを感じたんですよ。それで、これをアプリにしたらいいんじゃないかと思いつきました」という。この話を聞いたぼくは、正直それは意識の高い東大生ならではなのじゃないかと問い返してしまった。1万語を用意するのも、自分で進捗管理するのも、ちょっと並じゃない。

ただ、宇佐美さんは、これまでにmikanアプリを試していて面白いパラドックスに気付いたという。自分で工夫する人は、かえって成績が悪かったのだという。愚直に右へ左へとスワイプしまくった人のほうが成績が良く、逆に自分で工夫してプラスアルファの学習をしようとした人は成績が伸びなかったのだという。つまり、愚直にやるだけで誰でもできるという可能性はある。

mikanはまだ一般公開しておらず、MVPとして宇佐美さんが実装したiOSアプリが存在するだけだ。mikanは自己資金で設立していて、チームは3人。現在は資金調達のために個人投資家を回っているが、資金目的ではなく、「内部の支援者として入って頂きたい」という。アプリの一般公開は年内を予定している。

英語学習で似た状況にある中国や韓国にも「いま直ぐにでも行きたい」(宇佐美さん)が、当初は日本に集中する。また一部、フランス語や中国語などを学習している受講者に単語帳を実験的に作ってもらうなど、多言語展開も視野には入れているという。マネタイズはフリーミアムを検討しているそうだ。


デジタル一眼をスマホで操作するCase Remote

これは、旧世代のテクノロジーを、今やどこにでもあるタッチスクリーンのスマートフォンと融合させるちょっと気の利いたアイデアだ。Case Remoteは、デジタル一眼レフ用のワイヤレスリモコンで、AndroidまたはiOSスマートフォンのアプリと連携する。

なぜそんなことがしたいのか? 例えば、カメラの位置を決めた後、手を触れずにコントロールできる。さらにはビギナーにとって、デジ一の複雑な設定をいじる方法としてもずっと楽だ。カメラのいくつもある物理的ダイヤルやメニューと格闘せずにすむ。要するに、人々は物理的ダイヤルやボタンよりも、スマホのタッチ操作の方を快適に感じるようになった、ということだ。

アプリは、カメラから画像を直接ダウンロードできるので、ベストショットをネットでシェアするためのショートカットもある。

Case Remoteの専用アプリには、ライブビュー、ISO、シャッター速度等の設定、写真のダウンロード、高解像度画像のズーム表示、タイムラプス、HDR、フォーカススタッキング等の機能も塔載されている。

デバイスは、様々なメーカーやカメラ機種に対応している ― 個々のメーカー製の独自アプリよりも、互換性の点で有利。CanonのEOS、PowerShotdシリーズ、NikonのDシリーズおよび1シリーズ等数多くの機種がサポートされている。ただし、SonyとPanasonic製品では安定して動作しないと作者は言っている。

ちなみに、現在のIndiegogoキャンペーンはCase Remoteにとって2度目で、以前キャンペーンを実施したバージョン(未出荷)を機能アップしたものだ。9月の出荷時には、以前の支援者に対しても、最新の多機能版が送られる。

Case Remoteの価格は、Indiegogoの早期支援者には79ドル(以降は、99ドルまたは129ドル)で、ホットシューアダプターおよびストラップが付く。これは200トル以上するライバル製品よりかなり安い。大きさ5 x 5センチ、重さ50グラムは、他のワイヤレスコントローラーより小さくて軽いこともメーカーは強調している。

Case RemoteのIndiegogoキャンペーンは、フレキシブル・ファンディング・キャンペーンと呼ばれるもので、目標金額に達しなくても資金が送られる。初回のクラウドファンデイングには、当初目標の1万5000ドルを大きく上回る3万9000ドルが集まった。今回も24日を残して1万2000ドル以上をすでに集めている。あとは、スケジュール通りに製品を出荷することだけだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


スマートフォンを渡して写真を見てもらうときの「心配」を軽減するOverswipe

iPhoneで撮影した、いわゆる「プライベート」な写真を隠しておくために、「シークレットフォルダ」を作るためのアプリケーションがたくさんある。便利なのかもしれないが、有効に使うためには、まず撮影した写真をきちんと管理する必要がある。アプリケーションに「シークレット」指定するための写真を読み込み、そしてオリジナルのフォトストリームから該当の写真を削除しておくなどといった手間が必要になるのだ。そうした面倒に、逆転の発想で対処しようとするのがOverswipeというアプリケーションだ。隠したいものを管理しておくのではなく、その場で相手に見せたい写真の方を選ぶようになっている。

Overswipeの共同ファウンダーであり、Hotel EngineクリエイティブディレクターでもあるJonathan Hughesは、プライベートな写真を隠そうとする仕組みを、別の方法で実現できないかと考えたのだそうだ。そして、標準アプリケーションで、見せるためのアルバムを作っておくよりも簡単に管理することのできるアプリケーションができたのだそうだ。

「私はテック寄りの人間です」と彼は言う。「しかしiPhoneで撮影した写真をフォルダ毎に分けて管理するなんてことはしていません。95%の人はそんなことをしていないはずだと断言します。カメラが身近になったことで写真を撮る機会も増えました。そうして撮影した写真をいちいち仕分け管理するなどということができるわけがありません」。

そうした人々の振る舞いを前提にOverswipeを作ったのだとのこと。「プライベート」な写真を秘密のフォルダに隠しておくのではなく、写真を人に見せるときに、その場で表示する写真を選ぶ方がはるかに簡単であると考えたわけだ。仕事仲間やクライアントには、仕事に関連した写真のみを見せようとするのが普通だ。とくに秘する「プライベート」ではなくても、週末のパーティー写真などを見せる必要はない。

「スマートフォンで写真を見せるときに、頼むからスワイプしないでくれなどという、無用な緊張をしなくて済むようにしたかったのです」とHughesは言う。「Overswipeの場合、アプリケーションを開いて、相手に見せたい写真を選びます。そして相手に見てもらうようにすれば、間違っておかしな写真を見られることもなくなります」。

難しいことなど何もない。ただ見せたい写真を選んで「Display」をタップするだけだ。すると普通にフォトストリームを表示するように、画面上に写真が表示される。

もちろん、ホーム画面に戻ってから、標準の写真アプリケーションを立ち上げようとする人の前には無力だ。見てみてくださいとスマートフォンを受け取り、見終えたら素直に返却するというケースを想定しているものだ(多少深刻なケースに対応するため、パスコードオプションも実装してはいる)。

Mike Haleyと共同で、自己資金をもちよってアプリケーションを作り上げ、4月から市場に提供し始めている。マーケティングを開始したのは6月になってからだとのこと。現在では1万2000名の利用者がいるのだとのことだ。Hughesによると、機能追加の計画もあるのだとのこと。但し現在のところは、もう少し多くの人に使ってもらうための活動を行なっているところなのだそうだ。

OverswipeはiTunesにて無料でダウンロードすることができる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H


ChromeのAndroid版ベータは早くもマテリアル・デザインを採用、 シングルサインインでGmail、マップなどが使える

Googleの新しいMaterial Designは大いに可能性があると思う。次世代のAndroid Lでの全面的な採用に先立って、今日(米国時間7/24)、Googleはいち早くAndroid向けChromeのベータ版にこの新デザインを採用し、同時に各種Googleサービスへのシングル・サインインなどのいくつかの新機能を追加した。

シングル・サインインは、一度ChromeでGoogleアカウントにログインすれば、その後ずっと検索、Gmail、マップなどをログイン状態で利用できるのでたいへん便利な機能だ。複数のGoogleアカウントを持っている場合、Chrome内でどのアカウントにも切り替えられる。

GoogleのさまざまなサービスをAndroidから利用する上での手間が大いに軽減されることになったのは良いことだが、同時にChromeでGoogleにサインインした状態でAndroidデバイスを失くせば誰でもGoogleアカウントを自由にできることになる点は注意が必要だ。

もちろんGoogleはセキュリティー強化のためにAndroid Device Managerなどのツールを提供している。全体としてみると、2段階認証を利用している場合は特にそうだが、繰り返し何度もパスワードを入力する手間を考えると、私は多少のリスクの増加は受け入れたいという考えだ。

また新しいマテリアル・デザインによるUIもなかなか見栄えがいい。ホームページはほとんどの飾りが削ぎ落とされてこの上なくシンプルになった。シークレット・モードは最近デスクトップでデザインが変わったが新しいAndroid版もそれに似ている。検索ページも大胆な色使いと画面いっぱいのエレメントというマテリアル・デザインの特長が生かされている。

Android版hromeのベータ版(安定版とは別個のアプリ)は一般公開されており誰でもダウンロードできる。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


スマホ通話から双極性障害を検出するアプリ

米国では、25歳以上の50人に1人が、何らかの形で双極性障害(躁鬱病)にかかっている。実は、米国は人口当たり双極性I型およびII型患者数が、世界のどの国よりも多い。ミシガン大学の研究者たちは、Android用スマートフォンアプリ、コードネーム “PRIORI” を開発している。双極性障害症状の発現を検知するアプリだ。

アプリの公開までにはさらにテストが必要だが、米国人の患者60名からなる協力者グループによって、すでに有望な結果が示されている。同研究は、国立神経疾患研究所の助成金およびPrechter双極性障害研究基金の支援を受け、ミシガン大学鬱病センターで実施されている。

PRIORIは、被験者の声を観測し、微細な気分の変化を検出する。声の変化は、被験者が躁病または鬱病の症状を発現した兆候を示している可能性がある。

このアプリを使う患者にとって、会話のプライバシーが懸念されるが、研究チームによると、記録されるのは患者側の発言だけだという。アプリは、気分変動の早期兆候を、患者の医療チームに報告する。

アプリが動作するしくみは以下の通り。

「この予備研究結果により、日常的通話の様々な特徴や性質を分析することにより、気分状態を検知することが可能であり、かつ会話のプライバシーを侵害することなく行えることの、予備的実証が得られた」と、ミシガン大チームの一員、Zahi Karamが、イタリアで行われた音響・音声・信号処理に関する国際会議(ICASSP)で語った。

コンピュータ科学者のKaramとEmily Mower Provost、および心理学者のMelvin McInnisらが率いる研究チームによると、このテクノロジーは他の症状、例えば統合失調症や心的外傷後ストレス障害等の患者にも役立つ可能性がある。

アプリおよび研究開発のシード資金は、ミシガン臨床および健康研究施設から受けている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


BaiduのAndroidアプリが二つもGoogle Play Storeで人気急上昇、その背景要因は?

中国の検索エンジンBaiduは、6月にGoogle Play Storeで急伸し、App Annieの最新のグローバルアプリインデクスによると、ランクが一挙に7階級上がってダウンロード数のトップテン入りを果たした。

Baiduの成長は本業の検索とは無縁で、App Annieのデータによると、DU Battery SaverおよびDU Speed Boosterという二つのアプリが躍進の主力だった。またそのほかの人気急伸アプリと同様、Googleが店頭で目立つ扱いをしてくれた効果も大きい。とりわけ優遇されたのがインドネシアで、Baiduのアプリの総合ダウンロード数ではこの国がトップだった。たとえばBaiduのBattery Saverアプリが、ここではとくに大きく伸びた。Baiduによると、このアプリは2012年9月のリリース以降1000万回以上ダウンロードされた。

DU Speed Boosterは、デバイスのスピードを最大60%アップすると称するアプリケーションで、合衆国、ブラジル、タイなどで6月に最大のダウンロード数を達成した。

これら二つのBaiduのパフォーマンスアップアプリは、無料と有料のバージョンがある。そもそもBaiduが成功している市場は、大量のローエンド機〜ミッドレンジ機が使われている国々だから、ハードウェアの性能をアップするアプリに人気があるのも当然だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


好きな写真やイラストから簡単にiPhone向けカスタム絵文字が作れるアプリ、Imojiが登場

スマートフォンのメッセージ・アプリが人気を得るにつれて、絵文字、ステッカー、スタンプがわれわれの日常生活の一部となってきた。しかしiPhoneにプレインストールされた絵文字のバラエティはかなり限られている。今日(米国時間7/24)、この点を変えるべく、imojiという新しいアプリが登場した。ユーザーは既存の写真やイラストを簡単な操作でカスタム絵文字に変えてiMessageで利用できる。

ImojiWhatsAppのような独自メッセージ・サービスではなく、Appleのデフォールト・メッセージ・アプリのiMessageのエクステンションとして機能するアプリだ。その点ではUltratextやGIF共有のNutmegに似ている。

Imojiではウェブで見つけた画像あるいはiPhoneのギャラリーに保存された写真を選び、好みの部分を切り出してステッカーが作れる。

最初の1、2回はズーム、トリミング、切り出しなどのツールの使い方を学ぶために多少時間がかかるかもしれないが、慣れてしまえば非常に簡単だ。.

制作したステッカーは公開、非公開を選択でき、タグ付けすることもでき、 iMessageのテキスト中で利用できる。

また他のimojiユーザーが作って公開しているステッカーを検索する機能もある。

下のビデオでステッカーの作り方と利用の仕方がデモされている。

Imojiを作ったのはカルチャーやデザインをテーマにした月間モバイル雑誌Offlineの共同ファウンダーで、元AppleのTom Smithだ。

「絵文字、ステッカーの普及は目を見張るものがある。ユーザーが自分の置かれた状況や感情を簡単に表現できる能力を大きく拡張する新しいコミュケーションの手段が生まれた」とSmithは言う。「しかし外国でポピュラーなステッカーが必ずしも北アメリカで人気があるとは限らない。そうしたステッカーをあまりにふざけている、漫画的すぎる考えるユーザーも多い」とSmithはimojiの開発の動機を語った。

将来はimojiアプリにユーザー・プロフィールの拡充やお気に入りのステッカー・クリエーターをフォローする機能など、ソーシャルな要素をさらに取り入れて行く計画だ。ビジネスモデルとしては制作されたステッカーの一部を企業がマーケティング用に利用することなどが考えられている。

Imojiの開発はこれまで全額自己資金で賄われてきたが、現在、投資家との交渉が始まったところだという。.

アプリはiTunesで無料ダウンロードできる

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


Apple、iOSデベロッパーへの支払い総額は200億ドル。半分が過去1年間


iOSデベロッパーがいかに稼いでいるかを追跡している人たちのための速報。今日(米国時間7/22)午前の収支会見によると、Apple は累計200億ドルをiOSデベロッパーに支払った。

この総額以上に驚きなのは支払われた時期だ。2008年にApp Storeがスタートして以来の合計200億ドルのうち、「ほぼ半分」が過去1年間に支払われている。

今年1月時点で、Appleの支払い総額は150億ドルだった。これは、最近6ヵ月間に約50億ドルが払われたことを意味する。比較すると、Googleは先日のI/Oカンファレンスで、過去1年間に50億ドルをデベロッパーに支払ったと言っていた。

(Appleがこれでいくら儲けたか気になる人のために書いておくと、Appleの取り分は30%で、デベロッパーが70%を得る。200億ドルは、約285億ドルの70%であり、AppleはこれまでにApp Storeでおよそ85億ドルを稼いだことになる。)

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


iPhoneを本格的赤外線カメラに変えるFLIR ONEがApple Storeに―明日から予約受付

映画プレデターで謎の生物が見ていたように世界を見ることができるようになる。iPhoneとFLIR ONEケースさえあればよい。FLIR ONEはiPhone 5またはiPhone 5sに取り付けて使用するケースで、本格的な赤外線カメラ(サーマル・イメージャー)機能を持ち、赤外線領域で物体の表面温度を測定して専用アプリでリアルタイムに映像化する。

このガジェットを利用すると相対的温度差で映像化された外界を観察することができる。Apple Store店頭とオンライン・サイトに8月に並ぶ予定だ。また明日からFLIR ONEのウェブサイトで予約を受付を開始する。

今年1月にCESでデモが行われたときに、われわれもFLIR ONEをテストしてみた。ベータ版だったが大いに感心した。FLIR ONEにはさまざまな実用的な用途がある。壁を剥がさずに建物の配管の水漏れやインシュレーターの不具合などを調べることができる。暗闇で迷子になったペットを探したり、夜の森で野生動物を観察するのにもよい。自動車の故障箇所をすばやく見つけるのにも、防犯にも役立つ。暗闇での人々の行動を覗いておもしろがるのにも使える。ビルのメンテナンス、自動車修理などのプロにも一般ユーザーにも使い道の広いガジェットだ。FLIR ONEの付属アプリにはタイムラプス、パノラマ合成などの機能も含まれ、応用範囲が広い。

FLIR ONEケースにはバッテリーが内蔵されており、連続して2時間使用できる。重量は110gほどだ。色は手持ちのiPhoneに合わせてスペースグレイ(これが最初に出荷される)、シルバー、ゴールドが選べる。明日、東部時間午前9時にFLIR ONEのサイトで予約受付が開始される。価格は349.99ドルだ。

〔日本版〕FLIRはForward Looking Infra Redの頭文字。当初は軍用航空機に搭載される赤外線前方監視装置を指したが、現在は赤外線イメージャー一般の名称となっている。発音は「フリア」。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


今のアプリビジネスは、その大多数が持続不可能だ

アプリストアの店頭に並ぶモバイルアプリケーションは、衰えを知らぬ勢いでますます増え続けている。しかし実際には、その多くが、持続可能なビジネスではない。今朝(米国時間7/21)発表された報告書によると、iOSデベロッパの半分(50%)とAndroidデベロッパの半分以上(64%)が、“アプリの貧困ライン”以下で操業している。アプリの貧困ラインとは、アプリの月間の売上が500ドルであることだ。

この、VisionMobileの2014Q3 Developer Economics(デベロッパ経済)報告書は、モバイルアプリのデベロッパに対する大量のオンラインアンケートと面接調査の結果をまとめたもので、全体としての調査対象数は世界137か国の10000名以上のデベロッパ、調査機関は4月と5月にまたがる5週間だった。

モバイルアプリのデベロッパにとって、自分のアプリを見つけてもらい、ダウンロードしてもらい、実際に使ってもらうことが、まず難関だ。そのことは前からよく知られているが、それを表す数字を実際に見ると、その厳しい状況がより一層分かる。“1%”という微量な数値は、経済全般を語るときだけでなく、アプリストアの経済を語るときにも重要な役を演ずるのだ。

まず、この報告書によると、1か月に50万ドル以上を売り上げるデベロッパは全デベロッパの1.6%にすぎない。この1.6%が、残る98.4%の合計稼ぎ高の数倍を稼いでいる(下図)。この報告書は、合衆国など先進国の貧困現象になぞらえて“アプリデベロッパにおける中間階級の消滅”を指摘している。そして全世界で約290万のモバイルアプリデベロッパは、

・持たざる者(have-nothings)
・貧困にあえぐ者(poverty-stricken)
・ぎりぎり苦労している者(strugglers)
・持てる者(haves)

の4階級に分類されるのだ。つまり、“持てる者”を除く、ほとんど全員が“何らかの貧困”だ。

持たざる者

上図の円グラフで、濃い赤の24%は、お金を儲けたいけど一銭も儲けていな人たちである。そして明るい赤の23%は、月の売上が100ドルに満たない人たち。この24+23=47%が、持たざる者(have-nothings)と分類されている。

しかしそれでも、iOSを優先するデベロッパが多い。上図円グラフの右にある棒グラフを見るとお分かりのように、持たざる者の比率は、Android 49%に対し、iOSは35%と低い。だから多くのデベロッパが、とりあえずiOSを目指すのだ。

なお、お金を儲けたいと思っていないデベロッパも一部にいて、報告書は彼らを“ホビイスト”とか“探究者”と呼んでいる。

貧困にあえぐ者/ぎりぎり苦労している者

月間のアプリの売上が100ドル以上1000ドル未満の22%(オレンジ色)を、”貧困にあえぐ者(poverty stricken)”と分類している。これが企業の売上なら、デベロッパに給与を払えないだろう。彼らを小分類すると、 100-500ドルが15%、500-1000ドルが7%だ。

持たざる者の47%に100-500ドルの15%を足した62%が、“アプリの貧困ライン”以下の層となり、さらに500-1000ドルの7%を足した計69%が、デベロッパを本業として持続できない層である。

“ぎりぎり苦労している者(strugglers)”は、上図円グラフで草色の部分、すなわち19%の層だ。彼らの月間売上は、1000ドル以上10000ドル未満である。副収入としてまあまあ、もしくは、完全に本業として成り立つ、という人たちだ。ただしこのレベルのアプリは、開発コストと、サーバなどの運用コストが高いものが多いと思われる。

勝者が総取り: 持てる者

アプリの月間売上が10000ドル以上を、“持てる者(haves)”と分類している。iOSデベロッパでは17%、Androidでは9%がこの層である。アプリストアにおける10000ドルの意味を理解していただくために、次の挿話を述べておこう: 合衆国のiOSアプリストアで上位100位までの有料ゲーム(アプリ内購入を含む)は、どれも一日の売上が10000ドル以上である。

ただしこの報告書によると、月間の売上が50万ドル以上のデベロッパは、全体の1.6%にすぎない。しかもその中には、月商数千万ドルという水準のデベロッパもいる。その次の、10万-50万ドルの層は全体の2%だが、彼らの月商の合計は、残る96.4%のデベロッパの全月商を合わせた額よりも大きい。

報告書は、こう述べている: “アプリビジネスの50%以上は、現在の売上では持続不可能である。この50%以上の中に、持続を志向しないパートタイムデベロッパは含まれていない。長期的には60-70%のデベロッパが持続不可能と思われ、需要の多いスキルを持つデベロッパは、モバイルアプリ以外の、より将来性のある分野へ移動していくだろう”。

モバイルアプリは消耗品か?

これらの数字に見られるのは、モバイルアプリが大きく売れることの難しさだけではなく、モバイルアプリが消費者だけでなくデベロッパにとっても消耗品であることだ。つまりそれは、長期的に取り組む本格的なビジネスとは、みなされていない。

今日では、モバイルアプリのスタートアップの多くがデベロッパの履歴書のようなもので、買収やM&Aのあとには忘れ去られてしまう。次々とイグジット(出口)があり、毎日のように新しいローンチがあり、中になローンチする前に拾われてイグジットするスタートアップもある。したがってモバイルアプリが作り出す消費者ユーザベースは、アプリをすぐに消え去るものと見なすようになる(Facebookは違うかもしれないが)。

今日のユーザの多くが、アプリを、まるで自分の家のような永住性のある、親しい、そして重要な、コミュニケーションの場とはみなさなくなっている。企業向けのメッセージングクライアントも、さまざまな写真保存アプリも、そしてゲームも、寿命がとても短い。次々と新作が登場し、次々と消えていく。

でも、今の若い消費者には、その前のジェネレーションXやYの世代にない特徴がある。彼らは、恒久性永続性のない、つかの間のメッセージに満足している。自分のソーシャルメディアのアカウントを削除しても平気だ。データの喪失も、それほど気にしない。このグループの消費者たちは、モバイルアプリがますます帯びつつある消耗品的な性格と、しっくりフィットしている。少なくとも現在の消費者アプリのゴールドラッシュが、続いているかぎりは。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


iOS 8ベータに、新機能の使い方を教えてくれるアプリが登場


先月のApple Worldwide Developers Conferenceで発表されたiOS 8では、昨年デビューしたデザインを洗練すると共に、通知との対話、iPhoneとMac間でのスムーズな移動、メッセージ方法の改善等、数多くの機能が追加された。

発表以来、Appleは定期的なベータ版アップデートでこれらの新機能、新アプリを公開してきた。9to5Macを始めとするApple系ブログが今日見つけたところによると、最新リリースには、新アプリ、Tipsが含まれている。ユーザーの気付きにくい機能やショートカットを教えてくれるもので、新機能をオン/オフする手順も紹介されている。

同アプリに加えて、AppleはiPhone、iPad、およびiPod touchを使う上でのヒントとコツを紹介する専用ウェブページを立ち上げた。[訳注:日本語ページもあるが中身は翻訳時点で英語のまま]。アプリとサイトの内容は同じで、iOS 8の通知からiMessageに直接返信したり、Siriをボタンを押すことなく使う方法などが説明されている。

いずれの方法でヒントを見る場合も、ユーザーはフィードバックを残すことができる。iOSアプリでは、ヒントに「いいね!」をつけることができ、ウェブページでは「役に立った/役に立たなかった」のボタンが、各ヒントに下に用意されている。

現時点では6種類しかヒントが載っていないが、Appleは、毎週1件ずつ追加していくと言っている。そのペースなら、秋の正式リリースまでにiOS 8の主要な新機能はカバーされるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


Facebook、「保存」機能をリリース、URL、場所などを「あとで読む」リストに保存できる

「後で読む」サービスのスタートアップ、Spoolを買収して2年、今日(米国時間7/21)、 FacebookはiOS、Android、ウェブでSave〔保存〕をローンチした 。これはニュースフィード中のURL、場所、イベント、映画、テレビ番組、音楽などをリストに保存し、後で読むことができるようにする機能だ。

PocketInstapaperのようなサービスとは異なりFacebookのSave機能は対象となるコンテンツそのものを保存はしない。しかし興味を引かれた情報を「後で読む」リストに保存することができるようになれば、ユーザーはタイムライン読んでいく能率が大きく改善される。全ユーザーに公開されるにはあと数日かかるもようだ。

ユーザーは「保存」機能を使えば、その場で読まなかったためにそのまま忘れてしまう心配なしに大量のアイテムに目を通すことができる。

仕組み

「保存」が有効になると、モバイルでもウェブでも、タイムラインの記事の右下に「保存」ボタンが表示されるようになる。また記事右上隅の下向き矢印からドロップダウンメニューを開いて「保存」を選択してもよい。場所、映画、テレビ番組、音楽、イベントなどのFacebookページの場合、もっと目立つかたちで「いいね!」ボタンに並んで「保存」ボタンが表示される。保存されたアイテムのリストはウェブの場合は左サイドバーに「保存中」として表示される。モバイルの場合は「さらに表示」タブに表示される。「さらに表示」というのは「近くのスポット」や「設定」が表示されるタブだ。

「保存」リストはコンテンツのタイプ別にカテゴリー分けされており、ユーザー本人だけが閲覧できる。ユーザーは友だちと共有したり、アーカイブしたりできる。リストのコンテンツはFacebookがキャッシュしているわけではないので、見るためにはウェブ接続が必要だ。Facebookはときおり、タイムラインに保存した内容をカルーセル(横スクロール)方式で表示し、ユーザーに注意を促す。

興味を引かれたが読む時間がなかったアイテムを保存できるというのは便利だ。また「場所」のページが保存できればレストランや観光地などのリストが作れる。しかし映画やテレビ番組をリストするユーザーはあまり多くないかもしれない。

Facebookのブログ記事はあまりにも簡単だったのいくつか質問してみた。

ページの管理者が「保存」された回数などの統計が受け取れればコンテンツの改良に役立つだろうと思ったが、Facebookの回答は「現在は提供していない」だった。またサードパーティのサイトでFacebookの保存リストにアイテムを追加できるようなAPIや「保存」ボタンの提供も現在は考えていないということだ。また他の「後で読む」サービスに「保存」リストを直接エクスポートすることもできない。

しかし「保存」機能の利用がポピュラーだと判明すればFacebookは独立の「保存」アプリを開発するかもしれない。すくなくともニュース閲覧アプリのPaperで読めるようにするだろう。

リリースまで時間がかかったが、影響は大きい

Facebookがコンテンツをキャッシュしないのはパブリッシャーのパートナーに対する配慮からだろう。もしFacebookがコンテンツをスクレーピングして保存するのであれば誰もオリジナルのページを訪問せず、ページビューも得られず、広告も閲覧されないことになってしまう。ページを作ってコンテンツを提供し、広告を買ってくれるこうしたパブリッシャーを怒らせるのはFacebookのビジネスにとって不得策だ。

Facebookの「保存」機能は専用サービスのように本格的なものではないが、そもそもそういうサービスを利用するユーザーがターゲットではないだろう。また「保存」は個々のユーザーが何に関心を抱いたかをFacebookに正確に教えてくれるという意味でも貴重だ。

通勤途中や行列に並んでいる間などの慌ただしい時間に発見したコンテンツでも後でじっくり読めるとなればFacebookの利用の質も変わってくる。特にモバイルでは「保存」の効果は大きい。タイムラインをざっと眺めるだけだなく、Facebookで長い記事を読み、深い知識を得ることもできるようになるだろう。

〔日本版〕訳者の環境ではまだ「保存」機能は有効になっていないが、日本語ヘルプページにはすでに「保存」機能の解説が掲載されている〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+


ニュースアプリ各社はタダ乗り問題やネイティブ広告をどう見てる?

左からスマートニュースの鈴木健氏、ユーザーベースの梅田優祐氏、グライダーアソシエイツの町野健氏、Gunosyの木村新司氏

7月17日、18日に福岡で開催されている「B Dash Camp」。本日の目玉とも言えるセッション「スマホニュースメディアの勝者は誰か?」にはGunosyやNewsPicks、Antennaの3メディアに加えて、飛び入りでスマートニュースの代表までもが登壇。一部で「コンテンツ泥棒」と指摘されているタダ乗り問題、話題のネイティブ広告、さらには「ヤフーやLINEにやられて嫌なこと」といったセンシティブな話題について各社が胸の内を明かした。

登壇者はGunosyの木村新司氏、グライダーアソシエイツの町野健氏、ユーザーベースの梅田優祐氏、スマートニュースの鈴木健氏の4人。セッションの火蓋は、モデレーターを務めたユナイテッドの手島浩己氏の次のような質問で切って落とされた。

――キュレーションアプリはコンテンツにタダ乗りしていると言われるが、媒体社に利益を還元することについてどう考えている?

木村:僕らはキャッシュするにあたって、媒体社の了承を取っている。Gunosyは受注した広告を配信することで、媒体社は何もしなくても収益が出るような仕組みを作っている。

鈴木:スマートモードでキャッシュしたページでは、媒体社が指定する広告を表示できる「スマートフォーマット」という仕組みを提供している。そこで発生した収益は100%媒体社に還元する。

――各社は「競争」をどの程度意識している? Gunosyは一気に攻めているが。

鈴木:どうしましょうかね(笑)

木村:僕らは負けてたので踏み込むのは当然。今年3月の時点でスマートニュースは300万ダウンロードだったが、僕らは180万ダウンロード。今は僕らが少し抜いたくらい。

――Gunosyとスマートニュースはユーザーインターフェイスが似てますよね?

木村:似てます。ユーザーを見ていると、(サービス開始当初に売りにしていた)パーソナルニュースだけじゃなくて、その日に全国で起こった共通の話題を知りたいニーズがある。

鈴木:メディアについて考えるときに、ある種のメディアが独占的になるのはよろしくない。世界中を見ても、日本ほどアグリゲーター(ヤフー)が強い国はない。何千万人が読むメディアは政治的な影響力も大きい。僕らはこれを意識しないといけない。1つのメディアをみんなが見るのは危険。海外のように複数メディアが共存しているのが健全。経営者としてはシェアが欲しいが、社会全体を考えると、代替的なメディアがあるのが健全。ヤフーは競合と言われるが、第2、第3の選択肢が出るのはいいこと。」

木村:僕も同じ考え方。我々のようなメディアは色を持たないことが重要。Gunosyとしては記者を抱えて意見を書けば色を持ち始めるかもしれないが、それはやりたくない。

――梅田さんは(元東洋経済編集長の)佐々木さんを抱えて何やるの?

梅田:一生健命チームアップしているところ。9月くらいには出したいが、テーマを決めてNewsPicksらしいコンテンツを出せれば。前提として考えているのは、アグリゲーションはコモディティ化するということ。生き残るのは1、2社。結局はいろんなプレイヤーが真似して、同じようなインターフェイスに収れんする。最終的な競争はコンテンツに行く。長い目で見るとコンテンツが重要というのが根底にある。

鈴木:我々はアグリゲーターなので、コンテンツを作る部分とはレイヤーを意識するのが大事。現時点で独自コンテンツを作る予定はないが、梅田さんの話は説得力がある。

――ヤフーやLINEにやられて嫌なことは?

鈴木:グノシーを買収することですかね。(事業が)加速しそう。

木村:KDDIさんから出資を受けてますので……。今のLINEニュースはアプリを捨てて、LINE内でのニュース配信に力を入れているし、多分伸びている。LINEは5000万ダウンロードがある。アクティブ率も高い中でコンテンツを送られるのは辛いものがある。

――テレビCMの効果どうでした?

町野:効果は高かった。我々はターゲットを女性に絞ってオシャレなメディアを目指して、CMは都心の認知度を高めるのが狙い。認知率40%を目標にしていたが、(親会社の)マクロミルの調査では50%くらいに上がった。今後は認知を刈り取るような展開も考えている。

木村:CMではアプリのダウンロード数を重視している。3カ月で17本くらいCMを作っていて、ウェブのバナーみたいな感じで作っている。(代理店の反応は)ドン引きですね。

鈴木:検討はしてます。

――ネイティブアドは今後どの程度伸びる?

木村:ネイティブアド、いわゆる記事広告は書く人の数が限られるのでスケールしない。それよりも、スマホのサイトで5000万PVがあるのに、月間売上は1000万円しかなかったりするのが根本的な問題。雑誌や新聞からユーザーが移ってきても、そこの広告費が来る場所と見せ方がない。その再発明をすることが大きな収益を生む。

鈴木:ワールドカップ期間中にナイキとソニーを広告を出した。本当に実験でやっていて、ユーザーの反応や体験を実験するのが狙い。今後、広告事業をどうするかは、すごい問い合わせがあちこちから来ている。どこと組んでやっていくか検討しているのが現状。」

――ニュースアプリ=ポータルと定義した時に、今後はどのように事業領域を拡張する? ヤフーみたいになるのか?

木村:ニュースだけでは人の時間は埋められない。スマートフォンにはまだ可処分時間が残っていると思っていて、そこに対するコンテンツをひとつひとつ提供するのはやっていきたい。その中で天気やスポーツ、占いはあると思うし、ヤフーがやっているようなコンテンツはある。今の僕らは、ユーザーのもとに届いて心地良いものを考えている。

鈴木:スマートニュースは天気やスポーツもやっているし、どんどん広げていく。結果としてヤフーが持つコンテンツに近づくのはあると思う。でもそれは最低限。スマートニュースがやったことは、スマホでニュースを読む文化を切り開いたこと。その結果、20年前にウェブの世界でやっていることの繰り返しではやる意味がない。僕らはイノベーションでプロダクトの力で圧倒的なユーザー体験を目指していく。

スマートニュースのミッションは、良質なコンテンツを提供すること。良質というのはやっかいで、人によって意見が全然違う。スマートニュース代表ではなく、個人的な意見としては、その人のモノの見方や人生観を変えるものをやりたい。

梅田:僕たちはビジネスパーソンの情報接点を全部抑えたい。経済の領域の外には出ないことは決めている。可能性の1つはテレビを含む動画、もう1つは紙の領域。社内では反対されているが、僕は紙の領域にも可能性を感じている。


従量制自動車保険のMetromile、カリフォルニアに進出

Metromileの無料ガジェットを差し込めば、もう自動車保険の料金を払いすぎる心配はない ― もしあなたが、年間1万マイル以下しか運転しない70%の人々の一人なら。今日(米国時間7/16)Metromileは、従量制(per mile)自動車保険の対象地域を拡大し、カリフォルニア州でも使えるようになった。オレゴン、ワシントン、およびイリノイの各州では、すでに伝統的保険を破壊して成功を収めている。さらに同社は、専用の無料アプリ改訂し、車に不具合があれば報告し、駐車した場所を教え、通勤時間を最短にするルートと時間帯を知らせて燃費を最適化できるようになった。

もしあなたが、都会に住んでいてあまり運転しないなら、Metromileは車の所有をずっと経済的にしてくれる。ふだんはUberやLyftなどの乗り合いサービスを利用し、自家用車で遠出したい時だけ保険料を払えばよい。

Metromileの詳しいしくみについては、去年11月のサービス開始時に私が書いた記事を参照されたい。歴史的に、誰がどれだけ乗ったかわからないまま、自動車保険会社は殆どの人たちに過大な料金を課すことによって、長距離運転者たちを賄ってきた。

しかし、モバイル技術の進化のおかげで、Metromileは、ダッシュボード下の診断ポートに差し込み、ユーザーが何マイル走ったかを報告する携帯無線付GPSテレマティック装置を発明した。このスタートアップは、First Round Ventures、SV Angel、NEA、およびIndex Venturesから調達した計1400万ドルを使って、テレマティック装置を無料で配り、大手保険会社をホワイトラベル化して従量制システムを販売している。

Metromile CEOのDan Prestonがこう説明する。「保険にかかわる費用の70%は、加入者の車が道路を高速で走っている時に発生する。ガレージや路上に止めてある車は殆どかかわらない」。つまり、あまり運転しなければ、保険会社が支払わなくてはならない事故に遭う可能性が低いので、Metromileは料金を安くできる。

Prestonはこう私に言った。「年間5000マイル以下しか走らない人は、Metromileに切り換えれば40%から50%節約できる」。

一方、他の保険会社は時代遅れのビジネスモデルに縛り付けられている。もし彼らが従量制保険を提供すれば、ドル箱の低マイレージドライバーは皆そちらに切り換えてしまい、高マイレージドライバーから、より高額、より公平な料金を取らなくてはならなくなる。つまりはシステム全体が崩壊する。

それはいずれにせよ起きる ― 裕福な低マイレージ顧客が従量制保険に移行してしまえば。同社曰く「現在Metromileの保険を使っている人は100万人以下だが、これは申し込み可能な人が全部で約2400万人しかいない中からだ」。

それでも販売は容易ではない。Metromileには信頼あるブランド認知がない ― たとえ背後では安定した80億ドルの保険会社が取扱っていても。消費者にとっては決断に勇気のいる大きな買い物だ。装置をタダで配るのも安くはない。殆どの人々は実際に装置を付けるまで、自分の走行距離を過大に見積っている。

それでも私はMetromileに乗換えるつもりだ。サンフランシスコに住んでいて、冒険したり遠出する時にはマイカーを使う。しかし、町中ではスケートボードに乗ったり、UberLyftを使うことが多い。車がガレージで眠っている間にも保険料を払って、ノンストップで走る赤の他人を助けている。それももう終りだ。

カリフォルニア、オレゴン、ワシントン、およびイリノイ各州のドライバーは、2分間の見積りで、もし安くなるならMetromileの従量制保険を申し込める。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook