Epic Gamesが2012年に採用した大胆な戦略は実を結びつつある。 同社にとって2018年は素晴らしい年となった。フォートナイト(Fortnite)は世界でもっとも人気あるゲームとなり、会社評価額は150億ドルに達した。事情に通じた情報源がTechCrunchに述べたところでは、EpicはFortniteの成功で30億ドルの利益を上げたという。
Epic社にコメントを求めたが回答は得られていない。
Fortniteはバトルロイヤル・スタイルのゲームでプレイは無料だが、アプリ内で販売されるさまざまなデジタル・アイテムから収益を得るというビジネスモデルだ。
今やアメリカでナンバーワンのゲーム企業となったEpicが創立されたのは1991年とかなり古い。 EpicはスマッシュヒットしたForteniteの売上を公表していないが(プレイヤーは1億2500万)、30億ドルという利益は同社が6年前に行った大胆な方針転換が正しかったことを意味する。
今年9月に実行された資金調達ラウンドでは150億ドル弱の会社評価額を得ているとWall Street Journalが報じた。投資家にはKKR、Kleiner Perkins、 Lightspeedといった大型投資の常連が並び、Epicは12.5億ドルを金庫に収めたという。
しかしベンチャー投資はいつもEpicに有利に展開してきたわけではない。WeChatやゲームを運営する中国の巨大企業グループ、Tencentは2012年に初の外部投資家としてEpicに3億3000万ドルを投じ、引き換えに株式の40%を得ていいる。
当時、Epicはサードパーティー向けゲーム開発プラットフォームが主力プロダクトだった(その後も進化を続けて現在はUnreal Engine 4が提供されている)。
なぜEpicのようなすでに名声を確立した企業が40%もの株式をTencentに渡してしまったのだろうか? Epicの経営陣はゲーム業界には大きな変革が起きようとしており、同社に残された時間は少ないと考えていた。専用機向けゲームの開発費用がアップするのに反比例して利益は減少を続けていた。またスマートフォンの登場によりプレイヤーはライブ・ゲームにシフトする傾向をみせていた。
EpicのCEO、Tim SweeneyがTencentの投資についてPolygonのインタビューに答えている。つまりTencentからの資金によってEpicが売り切りの大型ゲームではなく、オンラインのフリーミアム型ゲームを提供する道が開かれたのだという。Sweeneyはこれを“Epic 4.0”と呼んでいる。【略】
またTencentからは巨額の資金だけでなく「有益なアドバイスを多く得た」という。ともあれTencentの投資でEpicは資金の心配なしにフリーミアム・モデルの確立に向けて進むことができた。【略】
ロサンゼルスのBanc of California Stadiumで6月12日に開催されたFortnite E3トーナメントで戦う、Ninja(左)とMarshmello(右)の2人(撮影Christian Petersen/Getty Images)
Epicは非上場企業であり、詳細な財務情報は固く守らている。30億ドルという数字(念のために言えば、これは利益であって売上などの収入ではない)を見ただけで、Fortniteが以下に巨大な金額を稼ぎ出しているか見てとれる。今年の夏、アナリストはFortniteが20億ドルの粗利となるだろうと予測していたが、これでも内輪すぎる見積もりだったかもしれない。
最近のデータとしてはSensor Towerの推計がある。これによればiOSユーザーは1日当たり123万ドルを支出しているという。Sensor Towerによれば、FortniteはAppleのiOSプラットフォームだけで年間3億8500万ドルの粗利を得ているという。
Fortniteはクロスプラットフォーム・ゲームであり、iOSに加えてAndroid、PlayStation,、Xbox,、Nintondo Switch、Windows PC、Macをサポートしている。こうした多数のプラットフォームでの売上を把握するのは非常に難しい。唯一参考になるのはSuper Data Researchが5月に行った調査でプラットフォーム合計の売上が3.18億ドルになるという数字だった。
この時点でFortniteはiOS版をリリースしたばかりでAndroid版は開発中だった。
Sensor Towerの11月のデータを信用するなら、EpicはiOSプラットフォームでこの4月から11月の8ヶ月に3.85億ドルの売上を得たはずだ。平均すると月4800万ドルとなる。EpicはGoogleのPlay StoreをバイバスしているためAndroid版の売上の推計は非常に難しい。アプリ自身は無料であるものの、アプリ内アイテム課金がPlay Storeを経由しないため、Googleは5000万ドルの手数料収入を逃したという推計があった。
さらにいくつかのはっきりしない要素がある。【略】
大きな問題は9ヶ月前に新規のゲームに許可を出さなくなかったことだ。これによってFortniteは中国での売上の大きな部分を失った。中国での流通はTencentが握っており、中国版をりりーしていたが、まだ利益を挙げることができていない。先週、中国政府は新規ライセンスの第一陣を近く発表すると述べている。しかしどのゲームが、いつ認可されるのか正確なところはまだ不明だ。【略】
もちろEpicはFortniteだけに頼っているわけではない。
これより地味だが重要なサービスとして、ゲームストアの開設がある。Epic Game StoreはValveが運営するSteamのライバルで、ゲーム配信のリーダーとなることを目指している。
Fortniteが稼ぎ頭であるとはいえ、Epicは他のゲームからも収益を得ている。Unreal EngineとEpic Game StoreもValveと戦う上で重要な要素だ。Epicのストアはデベロッパーに売上の88%を配分する。これはSteamが30%の手数料を得るのに対して大きなセールスポイントとなっている(ただしSteamでも成功したゲームには別の取り決めを得る道がある)。Epic Game Storeの加入者は2週間ごとに無料ゲームを得られる。
いずれにせよ、、EpicはFortniteを超える方向のビジネスモデルを拡張している。来年の利益率は今年の推計より高くなる可能性は十分ある。
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(滑川海彦@Facebook Google+