NVIDIA、歩道配送ロボのServe Roboticsに11.6億円投資

チップメーカー大手のNVIDIA(エヌビディア)は、UberからスピンアウトしたServe Robotics(サーブロボティクス)に1000万ドル(約11億6000万円)を投資する。Serve Roboticsはこの資金により、歩道配送ロボットサービスをロサンゼルスとサンフランシスコ以外にも拡大する。

NVIDIAにとっては歩道配送分野での初めての投資となる。両社の長期的な協力関係の一環であり、それぞれのロボット関連技術を発展させるために協働する。

「NVIDIAの投資は、Serveとの長年の提携が根底にあります。Serveは、エッジからクラウドベースの技術まで、当社のさまざまな技術を利用しています」とNVIDIAのロボティクス担当シニアプロダクトマーケティングマネージャーGerard Andrews(ジェラルド・アンドリューズ)氏はTechCrunchに話した。「私たちがうれしく思っているのは、ラストマイルデリバリーの問題に関して可能なことの限界を押し広げるために、Serveと密接に協力できるということです」。

Serveのロボットは、同社によると、特定のジオフェンス領域(仮想的な地理的境界で囲まれた領域)の中で、安全のための遠隔操作者なしで動作が可能だ。現在はNVIDIAの「Jetson」エッジAIプラットフォーム、ハードウェア、あるいは計算モジュールに依存している。いずれもロボット内部にあり、自律動作に力を与える。同社は、NVIDIAの認識・マッピングツールも利用している。これは、ロボットが実世界の環境のどこにいて、どこに行く必要があるのかを理解するのに役立つ。

多くの自動運転車メーカーと同様、Serveも道路を走る前にシミュレーションでモデルをテストしている。そのために、NVIDIAは認識モデルをトレーニングするための合成データ生成ツールを提供している。

これらのツールは、ロボット開発者に、シミュレーションからロボットフリートマネジメントに至るさまざまなソフトウェア技術を提供するNVIDIAのツール群(愛称:Isaac)の一部として提供される。NVIDIAは、Serveとの提携から得た教訓を、新進のロボット分野での技術向上に役立てたいと考えている、とアンドリューズ氏はいう。

「私たちは、自動運転のリーディングカンパニーだと考えています。実世界で本物の自動運転ロボットをスケールアップしています」とServeの共同創業者でCEOのAli Kashani(アリ・カシャニ)氏はTechCrunchに話した。「NVIDIAは、ロボット業界全体にとって最も重要な企業の1つです。NVIDIAはツールにも投資しています。発展途上の分野であることを考えれば、両社が協力することは理にかなっています」。

歩道配送の商業化には現在、さまざまなアプローチが試みられている。Coco(ココ)や最近まではTortoise(トータス)のような企業は、ロボットを目的地まで運転するために遠隔オペレーターを活用し、完全な自動運転に比べ、迅速かつ容易に市場に参入する道を開いてきた。

Serveは最初から、技術的により困難な、完全自動運転への道を選んだ。それはつまり、リアルタイムのデータ処理のために、最高の計算能力を必要としているということを意味する。

「歩道は道路よりも混沌としています」とカシャニ氏は話す。「私たちはヤギに遭遇したこともあります。歩道で直面するランダム性は、道路よりも1桁高いのです。車線変更、ブレーキ、アクセルなど、道路を走る車の動作ははっきりしています。歩道では、いつ何が起きてもおかしくないわけで、そのための準備が必要です。ここがおもしろいところで、だからこそ歩道の方がチャレンジングなのです。もちろん、利点は物事がゆっくり進むことです。そのため、対応する時間が持てます」。

Serveがここ数カ月で受け入れた戦略的投資は、これが初めてではない。12月にはシードラウンドで1300万ドル(約15億円)を調達し、Delivery Hero(デリバリーヒーロー)に投資したDX Ventures(DXベンチャーズ)、7-Eleven(セブンイレブン)のコーポレートVC部門である7-Ventures(セブンベンチャーズ)、Uber Eatsの配達サービスパートナーとしてServeを起用するUber(ウーバー)など、商業化に向けServeの進む道を支援する投資家が参加した。

画像クレジット:Serve Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Starship Technologiesが自律型配送ロボットの拡充に向けEUの投資部門から約64.3億円獲得

Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)は、自律型配送ロボット(都市を自動運転する小さなカボチャのような箱型の配送車)の世界では大物の1社である。新型コロナウイルス(COVID-19)の間、消費者がウイルスの拡散を最小限に抑えるために自宅待機をしたり、あるいは外出が消極的だった時に、店舗やレストランと消費者の間で食品やその他の商品を配送するための(無人の)力を提供し、絶好調だった。現在、同社はさらなる成長のために、欧州の支持とともにいくつかの資金を手にしている。

このスタートアップは、欧州連合の資金調達部門である欧州投資銀行(EIB)から5000万ユーロ(約64億3900万円)の資金を受け取った。Starship Technologiesは、これを「準株式発行枠」と表現しており、ベンチャーローンが混じっていることを意味する。

今回の投資による評価額は公表していないが、Alastair Westgarth(アラステア・ウェストガース)氏は、これで投資家からさらに資金を調達することを否定するものではないとしている。Starshipは2019年にMorpheus Ventures(モーフィアス・ベンチャー)主導で4000万ドル(約45億6500万円)のシリーズAを調達し、Pitchbook(ピッチブック)のデータによると2021年1月にも、戦略的支援者で日本の大手電機メーカーの投資部門であるTDK Ventures(TDKベンチャーズ)とGoodyear Ventures(グッドイヤー・ベンチャーズ)を出資者に迎え、さらに1700万ドル(約19億4000万円)を調達している。現在、250万台以上の商用配送を行い(2021年10月の200万台から増加)、世界で300万マイル(約482万km)以上を走行している。ウェストガース氏によると、同社の車両は平均して1日に1万件の配送を行っているという。

サンフランシスコを拠点とする同社は当初、2017年に米国の配送会社であるDoordash(ドアダッシュ)とPostmates(ポストメイツ、現在はUberの一部)とパイロット運用を行い、その後、大学キャンパス環境内での導入を行って、その名を轟かせた。同じロボット配送のスタートアップであるMarble(マーブル)は、その頃、市の規制当局と対立し、皮肉にもその影響から、Starshipはまだホームの都市でローンチしていない。(Marbleは現在、Caterpillarの傘下に入っている)。

Marbleはヨーロッパでも大きな存在感を示しており、エストニアのタリンに主要な研究開発拠点を置き(そのためEUから財政的な支持を受けている)、英国のミルトン・キーンズにて初の本格的な都市展開を開始した。サービスの価格は都市や場所によって異なるが、例えばミルトン・キーンズにある食料品チェーン店Coop(コープ)に提供するサービスは、一律99ペンス(約150円)で設定されている。

この2年間、 Starshipの名前は、配達員の数が減り、人々が移動を控え、人との接触が少なくなった時代に、企業が注文した食品を顧客に届けるための配達パートナーとして、よく耳にするようになった。ミルトン・キーンズのサービスだけでも数十万件の配達があり、Starshipは重要なパートナーと契約を開始するようになった。英国では、食料品チェーンのTesco(テスコ)、Coop、Budgens(バドジェンヌ)がそのリストに含まれている。同社は主に、メガ食料品店ではなく、中心部に位置する小型店舗の配送手段として提携しており、Starshipが狭い範囲に配送する商品をストックする「ダークストア」の役割を担っている。配達は、iOSAndroidのアプリで依頼する。

現在、同社のビジネスの大部分(約70%)はキャンパス内での展開によるものだが、変調の兆しが見えてきているとウェストガース氏は述べている。

「1年~1年半後には、食料品の規模は大きくなっているでしょう」と彼はいう。Starshipのサービスを利用する可能性のあるキャンパスの市場規模は400〜500程度だが「食料品は数十億ドル(数千億円)規模になります。我々は、世界中のデリバリーサービスを追いかけています。自転車やスクーター、クルマに乗っている人と同じように配達できますが、私たちの方が安く、ロボットは年々安くなっています」と同氏はいう。ロボットの平均的なバッテリー寿命は18時間で、典型的なロボットは1日に約40km走行することができる。

現在、同社はレベル4の自律型システムとして車両を運用している。つまり、人間がオペレーションセンターで問題を監視し、車両が予期せぬトラブルに見舞われた場合には、必要であれば引き継ぐことができるということだ。だが、それはデフォルトではない。

「私たちのロボットは99%、誰も関与していません。私たちは多くの配達を、誰も関与することなく行っています」とウェストガース氏はいう。

EIBからの資金提供は、EUにとって2つの異なる条件を満たすものである。第1に、EUはより持続可能な輸送手段を推進し、排出量の削減と道路交通の低減を図ろうとしている。第2に、デジタル経済におけるEUの地位をさらに高めるために、テック系スタートアップ企業を支援するという長期的な目標がある。

EIBの副総裁 Thomas Östros(トーマス・エストロス)氏は「あらゆる形やサイズの電気自動車が、私たちの未来の一部となり、持続可能な輸送手段というパズルにおいて重要な役割を果たすことができます」と、声明の中で述べている。「Starshipの配送ロボットはすでにその価値を証明しており、同社が技術開発を続け、生産規模を拡大できるよう支援できることをうれしく思います」。と語っている。

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Akihito Mizukoshi)

三菱電機がCartkenの自律走行ロボットを使った配送サービスの実証実験をイオンモールで開始

Mitsubishi Electric(三菱電機)が、自律走行ロボットの価値を探るための実証実験を日本で開始した。同社の⾃動⾞機器事業部は、2021年3月にステルス状態から脱却したGoogle出身のスタートアップ企業Cartken(カートケン)と協力し、少数のCartken製配送ロボットを愛知県にあるショッピングモールに導入。店舗内や敷地屋外でフードデリバリーサービスを提供する。まずは同モール内のStarbucks(スターバックス)から商品の配達を行う。

関連記事:元Googleのエンジニアによる自動運転ロボットがマイアミで料理配達業務を開始

三菱電機によると、ショッピングモールの来店客はスターバックスのアプリを使ってロボットによる配達を選択でき、Cartkenのロボットがモールの内外に設置された配達ポイントのいずれかで、顧客に注文の品を届けるという。CartkenのCOO(最高執行責任者)兼共同創業者であるAnjali Jindal Naik(アンジャリ・ジンダル・ナイク)氏によると、この実証実験は1月11日から「イオンモール常滑」で行われ、2022年4月まで実施される予定で、今後は他の買い物客のためのカーブサイド・ピックアップに似たポーター・サービスに拡大していく計画だという。

今回のCartkenとの共同試験は、三菱電機にとって初となる配送ロボットの実証実験であり、日本における自律走行ロボット配送の市場を開拓しながら、この技術を使った他のユースケースを模索するのに役立つ。

「三菱電機は、Cartkenのロボットを使って、日本に新しいロボット配送市場を作りたいと考えています」と、三菱電機のモビリティイノベーション推進部を統括する藤田氏は語った。「これは我々にとってまったく新しい試みであり、この過程において、我々の知識、技術、さらには三菱のさまざまな事業部のお客様との関係を活用し、このプログラムの開発を成功させることで、この技術を使用できる新しい市場に拡大していくことができます」。

このパートナーシップの第一段階では、三菱はCartkenの技術の配給業者となるが、将来的には両社が協力して、三菱の将来のパートナーシップを支援するためのさらなる技術を開発していく予定だ。例えば、Cartkenのロボットがエレベーターと連携できるような設備技術の開発を検討していると、藤田氏は語る。

Cartkenは2021年、REEF Technology(リーフ・テクノロジー)と提携し、マイアミのダウンタウンで自動運転ロボットによるフードデリバリーを開始している。同社にとって今回の提携は、三菱の電気機器に関する専門知識を得られるだけでなく、このスタートアップ企業が日本においてプレゼンスを確立するためにも役立つはずだ。

Aeon Mall(イオンモール)で実証実験を始めるということも、その一助となるだろう。イオンはアジア最大級の小売企業で、数百カ所のショッピングモールのみならず、コンビニエンスストアやスーパーマーケットにまで小売ネットワークを広げている。

「イオンモールを選択した理由は、大規模な商業環境でロボットの成功を試すのに最適なエコシステムだからです」と、藤田氏は語った。「また、イオンモールでは、さまざまなユースケースを調査することもできます。より多くの来場者に配達サービスを体験してもらうために迅速にロボットを追加し、2022年中に規模を拡大することを目指しています」。

Cartkenのロボット「モデルC」が三菱電機に採用されたのは、屋内外の両方における安全性と信頼性が高く評価されたからだと、藤田氏は述べている。Cartkenによれば、同社のロボットはショッピングモールの内外を自律的に運行することができるが、すべてのロボットには遠隔監視システムが搭載されており、必要に応じて人間が操作できるようになっているという。

「これまでのところ、緊急の遠隔支援が必要な状況は数えるほどしかありません」と、ナイク氏は語る。「ロボットの代替ルートが必要になる新築工事などは、遠隔オペレーターが関与する例です。同様に、遠隔支援はセットアップの段階でも使用されます。これによってロボットはサービスエリアの地図を学習し、わずか数日で展開することが可能になります」。

最近では、Uber(ウーバー)のスピンアウト企業であるServe Robotics(サーブ・ロボティクス)が、同レベルの自律性を備えたロボットを発表した。同社によると、ジオフェンスで囲まれた特定の運用領域では、同社のロボットは完全な自律性を発揮できるという。Cartkenと同様、Serve Roboticのロボットでも、緊急時に備えて遠隔オペレーターが待機している。

関連記事:Serve Roboticsの新しい自律型歩道配達ロボットは遠隔オペレーターの助けも必要としない

画像クレジット:Cartken

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

行ったことのない都市でも環境に対応し走れる自律配送車向けAIの英Wayve、約229億円調達

アレックス・ケンダルCEO(画像クレジット:Wayve)

英国の自律走行車スタートアップ「Wayve」は、同社の技術をスケールアップし、商用フリートとのパートナーシップを拡大するために、シリーズBラウンドで2億ドル(約229億円)の資金を調達した。Wayveは、ロボデリバリーや物流の分野で主要なプレイヤーとなることを目指している。

同社は、これまでに総額2億5800万ドル(約296億円)の資金を調達している。この技術は、車両の周囲に設置された汎用ビデオカメラと車載AI駆動ソフトウェアに大きく依存しており、そのため4Gや5Gネットワークへの依存度が低くなり、環境への高い応答性を実現している。

今回のラウンドは、既存投資家であるEclipse Venturesがリードした。その他に参加した投資家には、D1 Capital Partners、Baillie Gifford、Moore Strategic Ventures、Linse Capitalのほか、Microsoft(マイクロソフト)とVirgin(ヴァージン)、アーリーステージ投資家であるCompoundとBaldton Capitalが含まれている。また、戦略的投資家であるOcado Groupや、Sir Richard Branson(リチャード・ブランソン)氏、Rosemary Leith(ローズマリー・リース)氏、Linda Levinson(リンダ・レビンソン)氏、David Richter(デイビット・リクター)氏、Pieter Abbeel(ピーテル・アッベル)氏、Yann LeCun(ヤン・ルカン)氏などのエンジェル投資家も参加している。

WayveのAlex Kendall(アレックス・ケンダル)CEOによると、Wayveのテスト車両は、ロンドンだけでなく、これまでに行ったことのない都市での走行に成功したという。英国の道路は一般的に中世のレイアウトになっているため、これは並大抵のことではない。

英国のオンライン食料品会社Ocadoは、Wayveに1360万ドル(約15億6000万円)を出資して自律走行による配送実験を開始しており、英国の大手スーパーマーケットチェーンAsdaもWayveに出資している。

Wayveによると、同社のAV2.0技術はフリートオペレーター向けに特別に設計されており、カメラファーストのアプローチと、Wayveの他のパートナーフリートから提供される運転データから継続的に学習する内蔵AIを組み合わせている。これにより、交通情報や道路地図、複雑なセンサー群など、車外のデータから多くの入力を必要とするいわゆる「AV1.0」よりも、よりスケーラブルなAVプラットフォームになるとWayveは考えている。

Eclipse VenturesのパートナーであるSeth Winterroth(セス・ウィンターロス)氏は、次のように述べている。「業界が従来のロボティクスで自動運転を解決しようと奮闘している中で、AV2.0は、商業フリート事業者が自動運転をより早く導入できるような、スケーラブルなドライビングインテリジェンスを構築するための正しい道筋であることがますます明らかになってきています」。

TechCrunchの取材に対し、ケンダル氏はこう付け加えた。「今回の資金調達は、当社がコア技術の実証から、スケールアップして商業的に展開する権利を得たという市場からのシグナルだと思います。我々が事業を開始した2017年は、自律走行車のハイプサイクルのピーク時で、すでに何十億ドル(何千億円)もの投資が行われていました。誰もが1年先の話だと思っていたのです」。

「そして、何兆ドル(何百兆円)規模のテック巨人たちに対抗するために、逆張りスタートアップを作っていくことは、少しクレイジーだったかもしれません。しかし(技術を)裏づける実例のおかげで、次のレベルのスケールに移行することができました。それは、複数の都市でテストを行えるということです。ロンドンでシステムのトレーニングを行い、マンチェスター、コベントリー、リーズ、リバプールなど、英国全土で展開したことに加え、多くの商業パートナーや、すばらしい人材をチームに引きつけることができました」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Aya Nakazato)

Serve Roboticsの新しい自律型歩道配達ロボットは遠隔オペレーターの助けも必要としない

Uber(ウーバー)からのスピンアウト企業で、歩道を走行する配達ロボットを製造しているServe Robotics(サーブロボティクス)は、一部の商業配達を人間が介入することなく完了できる次世代ロボットを配備すると発表した。特定の運用領域(ジオフェンスで囲まれた地域)において、Serveはロボットを遠隔操作するオペレーターや、安全のためにロボットの後をついていくスタッフに頼ることはない。

Coco(ココ)、Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)、Kiwibot(キウィボット)など、この業界のほとんどの企業は、自律走行による配達を監視し、ロボットが停止したり助けが必要な場合に走行を引き継ぐのに遠隔オペレーターに頼っている。なので、Serveのマイルストーンは、まさにロボット配達の進歩への一歩だ。

同社の共同創業者でCEOのAli Kashani(アリ・カシャニ)氏はTechCrunchに「我々が解決した問題は、安全のために遠隔操作に頼るということは、100%信頼できるLTEネットワークと100%ミスのないオペレーターに頼らなければならないということであり、どちらも絶対の確保は不可能です」と語った。「安全のために人間の注意が必要なのに、映像が遅れたり、接続が切れたりする場合を考えてみてください。レベル4ロボットがあれば、安全を確保するために人間がループに入る必要はありません」。

Serveは2021年12月に次世代ロボットの展開を開始し、最近、レベル4の自律性で最初の配達を完了したという。レベル4について自動車技術協会(SAE)は、一定の条件を満たす限り自律的に走行でき、人間が運転を引き継ぐ必要がないシステムと定義している。現在、Serveが2018年から事業展開しているハリウッドなど、ロサンゼルスの一部の地域で使われているロボットがレベル4機能を備えていると、カシャニ氏はいう。

「レベル4が有効な所定エリアにロボットがいるとき、遠隔ビデオフィードはオフになり、ロボットはループ内の人間を必要とすることなく自律的にナビゲートし続けます」と同氏は説明する。「ロボットは、何か予期せぬことに遭遇した場合など、いつでも支援を要請することができます。また、交差点を横断する際には、ビデオをオンにすることもできます。しかし、大半の時間は自律的に動作しています」。

自律走行車両がレベル5に到達し、あらゆる状況で人間がいなくても操作できるようになるまでは、ロボットが不慣れな特殊ケースが常につきまとう。そのような場合に人間に頼ることは、安全面でも商業化の面でも理に適っている、とカシャニ氏はいう。

Serveの新型ロボットには、 Ouster(オースター)の超音波センサーやライダーセンサーなどのアクティブセンサーと、交通量の多い歩道を誘導するためのカメラなどのパッシブセンサーが搭載されている。Serveは自動衝突防止、車両衝突回避、フェイルセーフ緊急ブレーキなど、ボットのために特別な機能を開発したという。これらの機能をリアルタイムで実現するために必要な計算には、チップメーカーNVIDIAのJetsonプラットフォームが使用されている。同プラットフォームはロボットやその他の自律型機械向けに特別に設計されているものだ。

Serveは12月に1300万ドル(約14億円)の拡張シードラウンドを実施し、調達した資金は新しい顧客層や地域への拡大計画の加速に充てられるという。そうした目標に沿って、同社の次のステップは、次世代ロボットをより多くの地域に配備することで、まずはロサンゼルスでの拡大を目指すとカシャニ氏は述べた。

画像クレジット:Serve Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Nuroの最新自律型配送ボットは一般商業向け、外装にエアバッグも搭載

Nuro(ニューロ)は米国時間1月12日に、商業的な自律配送戦略の最後のピースの1つを披露した。

元GoogleのエンジニアであるDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・ズー)氏が2016年6月に創業して以来、21億3000万ドル(約2443億円)以上を調達したこのスタートアップは、商業運用向けに設計され、BYD North Americaと提携して製造した第3世代の電気自律型配送車両を発表した。

Nuroは、人ではなく荷物を運ぶために設計されたこの配送ボットのために、アルファベット数字の命名法(R1、そしてR2)をやめた。その代わり、この車両は「Nuro(ニューロ)」と呼ばれている。このロボットを大衆に紹介するためのセルフタイトルアルバムのようなものであり、同社の中でのこのフラッグシップモデルの位置づけを示す名称でもある。つまりは「Nuro 」が一番上だ。

Nuroボットは、歩道を走る宅配ボットではない。この新世代も、Nuroのこれまでのモデルも、すべて路上を走るためのものだ。

画像クレジット:Nuro

前モデルの2倍の荷室容量を持ち、カスタマイズ可能な収納と、荷物を保温・保冷する温度調節可能なコンパートメントを備えた新しい「Nuro」ボットは、自動車生産グレードの車両だ。これは、このボットが、天候やくぼみ、人による乱暴な扱い、長時間の走行など、配送車両に求められる過酷な条件に対応できるよう設計・製造されたものであることを意味する。

また、Nuroは、歩行者や自転車に乗っている人など、車両に接触する可能性のある人たちを保護するための安全機能も備えている。この車両はカメラ、レーダー、LiDAR、サーマルカメラなど数種類のセンサーを搭載し、360度の視界を確保しており、1つが故障した場合の冗長性も備えている。

また万が一、人や物に接触した際に作動する外装エアバッグも注目すべきアイテムの1つだ。

画像クレジット:Nuro

ボットの歴史

当初、同社は、アリゾナ州とテキサス州で試験的に食料品の配達や、テスト用にトヨタのプリウスセダンを改造して使用していた。

同社は2018年12月、荷物専用の車両への第一歩となるR1に移行した。

その第2世代の車両R2は2020年2月に導入された。ミシガン州のRoush Enterprises(ルーシュ・エンタープライズ)と提携して米国で設計・組み立てられたR2は、LiDARやレーダー、カメラなどを搭載し「ドライバー」が周囲を360度見渡せるようになった。

しかし、米国運輸省道路交通安全局が通常要求するいくつかの機能が欠けていた。3年にわたる規制当局との協議を経て、Nuroは米国運輸省道路交通安全局からR2車両のドライバーレス免責を取得した。この免除により、サイドミラー、フロントガラス、前進時に停止するリアビューカメラを搭載していないにもかかわらず、車両は走行することができるようになった。

また、Nuroは、カリフォルニア州で(顧客への請求ができる)自律走行車の配送サービスを運営するために必要なすべての承認と許可も得ている。

この新しい「Nuro」ボットは、少なくとも現時点では、商業的な目標に向けた最後のステップだ。

砂漠でボットを作る

同社は、まだNuroを市場に大量に解き放つ準備ができていない。しかし、それは近づいている。

Nuroは豊富な資金を調達し、著名なパートナーとともに車両を試験的に導入し、従業員も1200人を超えるまでに成長した。

5年足らずの間に、Greylock Partners(グレイロック・パートナーズ)、SoftBank Vision Fund(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)、T. Rowe Price Associates Inc.(T. ロウ・プライス・アソシエイツ・インク)などの著名な個人投資家や機関投資家を惹きつけてきた。数カ月前に発表された最新の6億ドル(約687億円)の資金調達ラウンドは、新しい投資家であるTiger Global Management(タイガー・グローバル・マネジメント)が主導し、Baillie Gifford(ベイリー・ギフォード)、Fidelity Management & Research Company(フィデリティ・マネジメント&リサーチ・カンパニー)、LLC、Gaorong Capital(高榕資本)、Google(グーグル)、Kroger(クローガー)、SoftBank Vision Fund 1、T. Rowe Price Associates, Inc、 および Woven Capital(ウーブン・キャピタル)が助言するファンドおよびアカウントが参加している。

Nuroは7-Eleven(セブン-イレブン)、CVS 薬局、Dominos(ドミノス)、FedEx(フェデックス)、Kroger食料品店、Walmart(ウォルマート)など、有名なパートナーも獲得している。

現在、その資金の一部を使って、ネバダ州南部に4000万ドル(約45億円)の最終製造施設とクローズドのテストコースを建設している。また、同社は、ラスベガス・モーター・スピードウェイの74エーカーの土地を借りて、路上自律走行車の開発と検証を可能にするクローズドコースのテスト施設を建設する予定だ。このテストコースでは、歩行者やペットの回避から、共有道路での自転車へのスペース提供まで、幅広いシナリオでのボット性能を測定する他、環境試験や車両システムの検証を行うと、同社は以前から述べている。

サプライヤーであるBYD North Americaが新モデルのハードウェア部品を組み立てる。その後、Nuroの新施設で完成され、ボットは配備に向けて準備される。

「BYDはNuroとのコラボレーションを非常に重要視しています」と、BYD Co. Ltd.の取締役副社長兼BYD Motors Inc.の社長であるStella Li(ステラ・リ)氏は、声明で述べている。BYDはランカスター工場の製造能力を活用してNuroを支援し、カリフォルニアに雇用をもたらすと、リ氏は付け加えた。

Nuroは具体的な生産能力を明らかにしていない。同社は、この施設には年間「数万台」の配送車を製造し、テストする能力があるとしている。また、ネバダ州の施設は2022年中にフル稼働するという以外、スケジュールを明かさなかった。2021年11月に現地で建設が開始された。

Nuroは、これらの商用グレードのボットが最初にどこに配備されるのかについては言及しなかったが、同社は、既存のパートナーであるKrogerと、新しいNuroの配送ボットを使用することで正式な合意に達したことを確認した。

画像クレジット:Nuro

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Yuta Kaminishi)

遠隔操作DriveU.autoがEasyMileの自動運転シャトルやCocoの配送ロボットをサポート

2021年ステルス状態から脱したイスラエルのスタートアップ企業DriveU.auto(ドライブUオート)は、自動運転シャトルバス企業のEasyMile(イージーマイル)と、歩道ロボット配送スタートアップ企業であるCoco(ココ)が、その業務を同社のテレオペレーションおよびコネクティビティプラットフォームに統合することになったとCESで発表した。

自動運転車の業界では、多くの企業がその実現を約束したり、先進運転支援システムの名称を決めたりしているものの、依然として完全な自動運転技術を商業化するまでにはまだ遠い道程がある。実際、ほとんどの国では、公道における自動運転走行中には、安全のために人間のオペレーターが介在することが義務付けられている。自動運転技術をてがける多くの企業は、より早く市場に投入し、一般の人々に無人運転車を受け入れてもらうために、緊急事態や異常事態、安全上の問題が発生した場合には、遠隔地にいるドライバーが無人運転車の操縦を取って代わることができるテレオペレーションを採用している。

「事故現場で、複数の警察官が身振り手振りで交通整理をしている状況を想定してみてください」と、DriveU.autoのAlon Podhurst(アロン・ポドハースト)CEOは、TechCrunchに語った。「車両に搭載されたAIは、これらの身振りや声による命令を解釈するために、あらゆる可能性の支援を求めます。そのため、遠隔操作オペレーターは、ロボットや自動走行車など支援する車両の周囲の世界を、リアルタイムで見る必要があります。そこで我々は、車両のセンサーから遠隔操作オペレーターのいる場所へフィードをストリーミングしたいと考えました。遠隔操作オペレーターが車両周辺における実際の状況に基づいて判断を下すためには、信頼性の高い高品質で低遅延のコネクティビティ(相互接続性)を確保する必要があります。これはセルラーネットワークを介して行われます」。

テレオペレーションを成功させるためには、映像、音声、その他のセンサーデータを転送するための高性能なコネクティビティが不可欠だ。DriveU.autoのコネクティビティプラットフォームは、安定したネットワーク接続を確保し、自動運転走行車を支援する遠隔操作を妨げる可能性のある遅延や「ダークスポット」と呼ばれる接続性の低下を回避することを目的としている。

「1つのセルラーネットワークでは、5Gでさえ、信頼性の高い遠隔操作に必要なパフォーマンスレベルを保証することができません」と、ポドハースト氏はいう。「つまり、車両には複数のカメラが搭載されているので、複数の高精細な映像フィードを、移動中の車両から、制約のあるセルラーネットワークを使って伝送しなければならないのです。結論として、1つのネットワークでは十分ではないということになります」。

DriveU.autoの技術は、フランスの医療施設にサービスを提供しているEasyMileの「EZ10」自動運転シャトルバスにすでに搭載されており、現在はEasyMileの全車両に統合する作業を進めていると、ポドハースト氏は述べている。

EasyMileのマネージングディレクターであるBenoit Perrin(ブノワ・ペラン)氏は「自動運転車のユースケースを次々と継続的に展開していく中で、遠隔監視は当社のソリューションにおける重要な要素になることが予想されます」と声明で述べている。

DriveU.autoのコネクティビティ・ソリューションは、Coco社が保有する約100台のコンセプト実証用のパイロット車両「Coco 0(ココゼロ)」にもすでに搭載されている。Cocoによると、このプラットフォームへの統合は、新たに1000台が出荷される配送ロボット「Coco 1(ココワン)」でも計画されているという。Segway(セグウェイ)がハードウェアベースを開発しているCoco 1は、2022年第1四半期中に米国のロサンゼルスおよび他の2都市で展開が予定されている。

DriveU.autoは、EasyMileとCocoの他にも、ロボットタクシーや自動運転トラック、その他の配送ロボットや特殊用途の自動運転車でもすでに運用を行っているという。これらすべてのパートナーシップはまだ秘密保持契約の下にあるものの、今後数週間のうちに公開したいと同社では述べている。DriveU.autoは最近、日本の自動車部品メーカーであるDenso(デンソー)との18カ月間におよぶ提携も発表している。

DriveU.autoは通常、車両のコンピュータに統合されるソフトウェア開発キットを顧客に提供する。顧客は、車両に搭載されている既存のセンサーやその他のハードウェアコンポーネントを利用して、テレオペレーションを含む車両の操作を行うわけだ。このソフトウェアのみを提供するというアプローチが、より迅速な統合を可能にするため、同社の市場牽引の鍵となっていると、ポドハースト氏はいう。

同社のソフトウェアベースのコネクティビティプラットフォームは、ダイナミックなビデオエンコーディング、低遅延アルゴリズム、セルラー結合という3つの技術の融合により機能する。融合されたデータパッケージは、送信時のネットワークのパフォーマンスに応じて、複数のセルラーネットワークを介して送信される。このデータは遠隔地のオペレーター側に届くと、ビデオフレームとして再構成される。さらに詳しく見ていくと、このプラットフォームは、車両のシステムに組み込まれたソフトウェアモジュールと、クラウドベースのソフトウェアコンポーネントおよび遠隔操作オペレーターのコンピューターに組み込まれたモジュールで構成されている。

「高度なコネクティビティソリューションを配送ロボットに統合するには、過酷な電力と計算のパラメータが要求されます」と、CocoのCOOであるSahil Sharma(サヒル・シャルマ)氏は述べている。「この分野における業界リーダー各社を評価した結果、DriveUのソリューションが当社の成長計画と積極的な配送スケジュールに最もマッチすることがわかりました」。

画像クレジット:DriveU.auto

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Uberからスピンアウトした歩道走行ロボットServe Roboticsが約15億円獲得

Uber(ウーバー)傘下のPostmates(ポストメイツ)から3月にスピンアウトした自動運転によるサイドウォークデリバリー(宅配)会社のServe Robotics(サーブ・ロボティクス)が、拡張シードラウンドを1300万ドル(約15億円)で完了した。得た資金で、成長に向け歩道走行ロボットを増産し、新たな顧客層や地域への拡大計画を加速する。

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「当社の目標は、今後2~3年のうちに、米国の主要都市すべてにロボットを配備することです」と、Serveの共同創業者でCEOのAli Kashani(アリ・カシャニ)氏はTechCrunchに語った。

今回のラウンドには、Uberが戦略的投資家として参加した。また、Delivery Heroが出資するDX Ventures、セブン-イレブンのコーポレートベンチャー部門である7-Ventures、Wavemaker Partners傘下で、フードオートメーションのベンチャースタジオであるWavemaker Labsも参加した。本ラウンドは、Serveが3月に実施したシードラウンドを拡大したもので、ベンチャーキャピタルのNeoやWestern Technology Investmentなどの既存投資家に加え、起業家や、エンジェル投資家のScott Banister(スコット・バニスター)氏も参加した。

Serveは2018年から、ロサンゼルスの複数の地域でPostmatesの顧客に配達を行ってきた。その頃同社は、まだ「Postmates X」という社名で、配達プラットフォームPostmatesのロボット部門だった。2020年に商用サービスを開始した。同社のロボットは、ロサンゼルスとサンフランシスコの100以上の加盟店から、非接触型の配達を数万件実施したという。同社は11月の発表で、2022年初めからLAでUber Eats(ウーバーイーツ)の顧客に対し、オンデマンドのロボット配達サービスを提供すると明らかにした。

カシャニ氏は、シリーズAラウンドの前に新たな戦略的投資家を迎えることは意味のあることで、参加した投資家の顔ぶれに同社の2022年の動きに関するヒントが隠されていると述べた。

「Uber Eatsの顧客やPostmatesの顧客以外にも浸透しつつあります。2022年はLAで営業地域を拡大するとともに、新たな都市にも進出する予定です」とカシャニ氏は話す。「セブン-イレブンとDelivery Heroが出資しました。彼らとのコラボレーションについて今後ご紹介できると思います。他にも数多くのパートナーと協議中であり、準備が整い次第お伝えします」。

コンビニ大手のセブン-イレブンは、自動運転による配送に馴染みがある。同社は最近、Nuroと共同で、Nuroの自動運転車を使った商業配送の小規模試験を開始した。また、韓国のセブン-イレブンの運営会社が、同国のスタートアップNeubilityが開発した歩道走行ロボットの実験を開始した。2016年には、セブン-イレブンはネバダ州リノで、ドローン企業Flirteyと共同で自動運転配送の実験を行った。Delivery Heroも過去に歩道走行ロボットの実験を行った。2018年にはStarship Technologiesを起用して、デリバリー会社Foodoraの顧客にサービスを提供した

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「Serve Roboticsは、米国の主要都市に自動運転による配送をもたらし、最先端の自動技術でロボット分野をリードしています」と、DX VenturesのパートナーBrendon Blacker(ブレンドン・ブラッカー)氏は声明で述べた。「この革命的な技術は、配送の未来を再構築する可能性を秘めています。私たちはアリ氏のビジョンと彼が集めたワールドクラスのチームに投資します」。

カシャリ氏によると、シードラウンドの完了以外にも、Serveは自主性の向上についてのニュースをいくつか予定しているが、具体的な内容には触れないという。Segwayのロボットプラットフォームを自社の将来の車両に採用する契約を締結したばかりのCocoのように、自動運転のためには人間の関与が重要だと主張する競合他社もある。一方Serveは、可能な限りリモートパイロットを方程式から排除することを目指している。

「私たちのロボットは、ほとんどの場合、自動運転モードで独立して動くことができます」とカシャニ氏はいう。「このことは、安全性と経済性に非常に重要な意味を持ち、当社の車両を商業運用できる理由の1つでもあります」。

人間が関与すると、海外のリモートオペレーターを使ったとしても、経済的にはうまくいかないとカシャニ氏はいう。ただし同氏は、人間に頼ることが合理的ではないケースは、1対1の関係、つまり1人の人間が1台のロボットをモニターするということを1つ1つ行う場合だけだと認めた。CoCoと同様、Serveの問題は、街中に配置した複数のロボットを、1人の人間がモニターするというところまで自律性を高めるにはどうすればよいかということだ。

「ロボットには、ネットワークが切断されたときや誰かがミスをしそうになったときに、自分自身を安全に保つためのオンボード機能が必要です」とカシャニ氏は話す。「ロボットが道路を横断するときなどは、ロボットを見守っていただきたいのです。それは単に、安全の観点から、そういう時に人間とクルマが関わるからです。ロボットが理解できない場合、人間にバトンタッチすることもあれば、そうでないこともあります。通常は、ロボットが自分で状況を把握しようと試み、それができなければ人間が介入します。そうするのは、1つには時間がかかるからです。時間に追われていると、待ちたくないですからね」。

歩道走行ロボットによる配達は、業界としての盛り上がりと、最も洗練された技術と最良の市場戦略を持つ企業間の競争が始まったばかりだ。今回の資金調達と、それにともなうパートナー企業の登場により、Serveはすでに規模拡大に向けて準備を整えつつある。

「セブン-イレブンは私たちと協業できるコンビニエンスストアの代表であり、Delivery Heroは私たちが協業できる配送プラットフォームだといえます」と、Serveの広報部長であるAduke Thelwell(アデューク・テルウェル)氏はTechCrunchに話した。「私たちは、レストランチェーンとの提携、将来的には医療品の配送、薬、アルコール、大麻なども視野に入れています。このように、私たちはさまざまな分野でパートナーシップを築いています」。

画像クレジット:Serve Robotics

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

セグウェイがCocoとの提携で歩道走行型ロボットによる配達に初進出

Segway(セグウェイ)は歩道を走行する配達ロボットに将来性を見出し、この急成長中の業界の主要メーカーとなるべく準備を進めている。

同社は、マイクロモビリティシェアリングのほぼすべての主要事業者に電動スクーターを供給しているが、ロサンゼルスに拠点を置く配達ロボットのスタートアップCoco(ココ)と提携し、部分的に自動化された、遠隔操作で操縦される歩道用ロボット1000台を製作する。Cocoは、2022年第1四半期に、ロサンゼルスおよび米国の他の2都市でロボットを展開する予定だ。

Coco Oneと命名したロボットの導入は、Cocoがビジネスモデルを実証するために最初に製作した「車輪付きの箱」である100台のCoco Zeroに続くものだ。同社の車両担当SVP、Sahil Sharma(サヒル・シャルマ)氏によると、同社はさらに1200台の車両を発注しており、これはまだ保留中の契約だが2022年5月または6月までに導入できる見込みだ。

Segwayは何年も前からロボティクスの研究開発を行っており、2016年には専門部門を設立した。同社がロボットLoomoを発表したのも同じ年で、基本的にはスクーターのベースに、IntelのRealSense RGB-Dカメラ、音声認識、自動運転機能を備えた小さなロボットヘッドを搭載している。

今回のCocoとの提携は、Segwayが「ロボティックモバイルプラットフォーム」を大規模に展開して配送する初めての試みだ。Segwayのグローバル事業開発担当副社長のTony Ho(トニー・ホー)氏は、今回の提携はロボットによる配達分野への長期的なシフトを示唆するものでもある、と話す。

「これは、我々のパートナーシップの始まりにすぎません」とホー氏はTechCrunchに語った。「私たちはプロダクト面にとどまり、Cocoはオペレーターになります。これは、マイクロモビリティの分野で、当社が車両やハードウェアを提供し、オペレーターが市やスタッフとの関係や運営全体を担うのと似ています。今は、2017年のスクーターの時のように、業界全体が盛り上がっている状態です。これは土地の奪い合いです」。

Segwayのeスクーターとeバイクの事業は好調で、車両について学んだこととサプライチェーンのリソースを共有することで、ロボティクスの成長を拡大するためのレバレッジになるとホー氏は話す。

「Cocoは非常に若い企業であり、自分たちが得意とすることに集中し、サプライチェーンの拡張をSegwayに委託するという賢い選択をしました」とホー氏は指摘し、Cocoとのパートナーシップは独占的なものではないと述べた。「我々はこの件に非常に真剣に取り組んでおり、迅速に事業拡大できる勝ち馬を支援するのが当社の戦略です」。

自律型配達ロボットの市場規模は、2027年までに世界で2億3659万ドル(約267億円)に達すると予想されており、最近ではそのパイの一部を支配しようとするさまざまなプレイヤーが登場している。歩道走行分野で競合するStarship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)は資金として総額1億200万ドル(約115億円)を調達し、Kiwibot(キウィボット)は最近、大学のキャンパスでの展開を拡大した。そして、車道で活動するNuro(ニューロ)は6億ドル(約678億円)を調達しセブン-イレブンとの提携を発表したばかりだ。Cocoは8月に3600万ドル(約40億円)のシリーズA資金を調達して累計調達額は4300万ドル(約48億円)となり、調達した資金の一部はSegwayの車両に使用した。

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Segwayは、歩道走行ロボットが特にラッシュアワー時の人口密度の高い都市部において、ファーストマイルとラストマイルの配達を実現する最も効率的な方法となると期待しているという。

「製品の観点からいえば、よりシンプルなデザインは、オペレーションの信頼性を高め、故障を減らし、初期の設備投資を抑えることができます」とホー氏は話す。「パンデミックによる労働力不足は、ロボットの普及に拍車をかけました。また、動きが遅く、積載量の少ない車両は、歩道を歩く歩行者にも優しいため、都市部では歓迎されています」。

ロボット配達のスタートアップの多くは実際にはまだ自律型ではなく、Cocoも例外ではない。カメラ、GPS、コンピュータなどを搭載した同社の車両は遠隔操作で操縦されるが、基本的な自律走行機能は備えている。例えば、直線走行が可能で、障害物があれば停止することができる。これにより、1人のパイロットが同時に複数の配達を監視したり、横断歩道のような厄介な場所では操作を引き受けたりすることができる。

Cocoの共同創業者でCEOのZach Rash(ザック・ラッシュ)氏はTechCrunchに対し「私たちは、非常にビジネス優先のアプローチをとっています」と述べ、完全な自律性の実現を待っていては市場参入が遅れるだけだと指摘した。「多くの人がL4やL5、90%の自律性について話しています。私たちは、この地域で一定量の配達を行うために、何人のパイロットが必要なのかを本当に理解したいと思っています。『自動運転車をいかにシンプルにするか』ではなく、『私たちのビジネスにとって何が理にかなうのか』『それをサポートするためにどのような技術を構築すべきか』を一から考えて構築しました。パイロットは我々のオペレーションの中心であり、今後も中心であり続けるでしょう。だからこそ、彼らを中心に製品を構築し、可能な限り効率化を図っていきます」。

Cocoのシステムは、さまざまなルートから収集したデータを使い、その情報をもとに自動運転ソフトウェア内の機械学習アルゴリズムをトレーニングする。しかし、大規模なフリートを持つことの本当の利点は、コミュニティのより多くのエリアをマッピングし、ロボットにとってより速く、より簡単なルートを見つけることができることだとラッシュ氏は話す。

「私たちは配達の1秒1秒を大切にしているので、最も効率的なルートを作るために街をマッピングし、接続性、歩道のインフラ、歩行者の通行量、車の通行量を考慮しています。フリート全体から多くのことを学んでいます。これは自律走行に限ったことではありません。私たちは、可能な限り効率的に街をナビゲートできるように、これらの情報をすべて収集しています」。

画像クレジット:Coco

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

セブン-イレブンとNuroがカリフォルニアで自律走行による配送サービスを試験的に開始

コンビニエンスストア大手の7-Eleven(セブン-イレブン)は、Nuro(ニューロ)と提携し、シリコンバレーの中心地であるカリフォルニア州マウンテンビューにおいて、自律走行車による商業配送サービスを試験的に開始する。

このサービスは、米国時間12月1日からセブン-イレブンの配送アプリ「7NOW」で利用できるようになり、最初はNuroの自動運転のプリウスを使用する。最終的には、人ではなく荷物だけを運ぶために特別に作られたNuroのR2配送車を使用する予定だ。

セブン-イレブンは、これまでにも自律走行による配送の実験を行ってきた。2016年には、ネバダ州リノで、ドローン企業のFlirtey(フリルティ)と共同で自律配送の実験を行った。今月、韓国でセブン-イレブンの店舗を運営する同社は、地元のスタートアップ企業であるNeubility(ノイビリティ)が開発した歩道用配達ロボットを使用したテストをソウル南部地区で開始した。

Nuroとの提携は、研究開発ではなく商用サービスとして行われる。しかし、同社の広報担当者は、やはりこれを試験的なものと表現している。これは商業事業になるが、少なくとも最初は限定的なものになるだろう。

Nuroは、他の多くの企業と同様に、商業事業を開始するための規制や技術的なロードマップを何年にもわたって通過してきた。Nuroは2020年12月に、カリフォルニア州の公道で商用のドライバーレスサービスを運営するために必要な最終的な必要許可を得た後、2021年初めに商用配送業務を開始する予定であることを示唆していた。それが遅れ、今になってキックオフされたようだ。Nuroは、カリフォルニア州の自動車局から許可を得て、この規制のハードルをクリアした最初の企業だった。

その際、Nuroは予定されている商業パートナーや都市の名前を挙げていなかった。同社が地元のマウンテンビューを最初のスタート地点として選んだのは、理に適っている。

Nuroはこれまでに、Kroger(クローガー)やFedEx(フェデックス)など、カリフォルニア以外の地域でも数多くのパイロットを行ってきた。

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また、マウンテンビュー以外の地域に進出する時期や、最初に進出するセブン-イレブンの店舗についても、具体的なスケジュールは決まっていない。この町にはいくつかの店舗があるが、今のところ、客がスラーピーやスナックを配達してもらえるのは、マウンテンビューの1905 Latham St.にあるセブン-イレブンだけとなる。将来的には、より多くの郵便番号に対応するよう拡大する意図があると、Nuroの広報担当者はTechCrunchへのメールで述べている。

Nuroは、R2ボットに切り替える時期についても明らかにしていなかったが、それが最終的な目標だ。広報担当者によると、Nuroとセブン-イレブンは、R2を宅配便に導入する共同決定をできるだけ早く行うという。

今のところ、顧客は7NOWアプリでドリンクやスナックを注文すると、マウンテンビューで午前8時から午後9時までの間、追加料金なしでNuroの自律走行車が配達してくれる。注文が処理されると、他の配送アプリと同様、アプリからアップデートが送られてくる。両社によると、注文は約30分で届くとのことだ。なお、アルコール、たばこ、宝くじなどの年齢制限のある商品は、自律走行車による配送では利用できない。

今回の提携は、Nuroが新たな投資家であるTiger Global Management(タイガー・クローバル・マネジメント)を中心とした資金調達ラウンドで6億ドル(約678億円)を調達したと発表してからわずか数週間後のことだった。同社は、この資金を商業活動の強化に充てるとしている。

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Akihito Mizukoshi)

CO2排出量も抑えた自律走行ポッドとEVによる貨物輸送サービスのスウェーデンEinrideが米国進出

スウェーデンの運送テクノロジー企業Einride(アインライド)が米国での事業展開を開始すると発表した。同社は正式に、GE Appliances (GEアプライアンス)、ブリヂストン、Oatly(オートリー)などのパートナーと協力して、同社の輸送ソリューション(自律「ポッド」、電気トラック「Saga」オペレーティングシステムなど)のテストを開始する。

Einrideはまた、米国の道路事情と規制に対応した同社ポッドの米国版を導入することも発表した。さらには、造船所からのコンテナ輸送など、広範な運搬ニーズに対応するよう設計されたモジュール車両である平台型ポッドの導入も発表した。

Einrideは欧州で最大の電気トラック保有台数を誇る運送会社だ。運転席がなく、安全管理者用のスペースもない同社の自律走行ポッドも電気自動車だ。Kodiak Robotics(コディアクロボティクス)TuSimple(ツーシンプル)Waymo(ウェイモ)など、自律輸送分野の他の大手企業は、必ずしも電気自動車のみによるアプローチを追求していない。

「世界のCO2排出量の7~8%は陸上重量貨物輸送によるものです」とEinrideのCEO兼創業者のRobert Falck(ロバート・フラック)氏はいう。「Einrideを起業したのは、陸上貨物輸送の最適化と自律化をディーゼル車ベースで進めることで、却ってCO2排出量が増えるのではないかと心配したからです。ディーゼル車のほうがずっと安価に最適化と自律化を実現できますから」。

Einrideは、GEアプライアンスとの提携により、7台の自律走行電気トラックを配備し、ケンタッキー州ルーイビルにあるGEAの約3平方kmのキャンパス、およびテネシー州、ジョージア州にあるその他のロケーションを走行させる予定だ。これにより、GEAは今後5年以内にCO2排出量を870トン削減する予定だ。EinrideはGEAとの提携を今後数年で急速に拡大して電気トラックの配備台数を増やしていくという。

ブリヂストンとの提携はどちらかというと技術寄りの提携で、持続可能モビリティソリューションを共同開発し、クラス8の電気自律運転車両の実現を目指す。

「ブリヂストンとの協力により、Einrideは、ブリヂストンのスマートセンシングタイヤから安全性と効率性に関する新たなデータを収集できるようになります。ブリヂストン側も同社の先進のモビリティテクノロジーをEinrideに搭載されているオンボード車両プラットフォームに組み込むことができます」とEinrideの広報担当者はいう。「当社はブリヂストンとのサブスクリプション契約の下で、同社の米国輸送物流ネットワーク向けに、接続された電気トラックとデジタルサービスを提供することで、2025年までにブリヂストンの陸上輸送ニーズの大半を電化することを目指しています」。

オーツミルク企業であるOatly(オートリー)は、すでに欧州でEinrideと提携しており、その提携関係を米国にも拡大しようとしている。Einrideは米国への進出について詳細を明らかにしていないが、フラック氏によると、2020年からオートリーの欧州の輸送のデジタル化と電化を進めたのと同じような形で事業展開していくつもりだという。Einrideは欧州で、オートリーに電気トラックとSagaプラットフォームを提供することで、電化を迅速に推進し、特定経路におけるCO2排出量を87%削減したという。米国でも同様にしてオートリーの電化を進めていくことになるだろう。

Einrideの米国進出と同時に、Sagaプラットフォームのアップデートも実施される。Saga(ノルウェー語で「すべてを知っている」という意味)は、Einrideの電気トラックおよびポッド全体で稼働するIoTシステムだ。同社はこのシステムによって経路を最適化し、大規模電気トラック集団を稼働している。Einrideは、Sagaを、重量輸送産業に変革をもたらし、企業の保有車両の電化を推進する普遍的なオペレーティングシステムしたいと考えている。

「現在のトラック輸送産業は極度に分断化されていおり、連係が進んでいません」とフラック氏はいう。「電動化を進めるのは簡単ではありません。電動化の範囲とか実際の導入度といったことが目的ではないのです。当社のSagaプラットフォームとオペレーティングシステムを使えば、既存のテクノロジーを利用して、競争の激しいビジネスケースにおける米国の陸上貨物輸送システムの最大40%を電動化できます。どちらかというと、ハードウェアを改善するというよりも、新しい考え方を導入するといったほうが近いと思います」。

Einrideのポッドは安全管理責任者が同乗しないため、レベル4の自律性の達成方法について新しい考え方を取り入れている(米国自動車技術者協会によると、レベル4とは、車両が、特定の条件の下で人間の介入なしに運転のあらゆる側面を処理できることを意味する)。

Einrideの全システムは、安全管理ドライバーが存在しないため、異なる方法で構築する必要がある、とフラック氏はいう。他の運送会社は前の座席に人間のオペレーターを同乗させて距離を稼いでいるが、Einrideはフラック氏が「よちよち歩き式アプローチ」と呼ぶ方式を採用している。この方式では、ハイハイ、ゆっくり歩きという具合に車両に運転を教えていき、徐々に機能を高めていく。

「当社は従来のレベル4から開始し、自律運転とリモート運転機能を組み合わせてアプリケーションの使い勝手を向上させました。その結果、柔軟性、および自律運転、人間のアジリティ、意思決定の利点の両方を獲得できました」とフラック氏はいう。

Einrideは2019年から欧州で公道での自動運転システムの試験走行を開始しているが、米国での試験開始日はまだ決まっていない。

「車両に安全管理ドライバーを同乗させず、ドライバーの席もないため、規制を通過するには異なるアプローチを取る必要があります」とフラック氏はいう。「規制は国や州によって異なりますが、基本的には、アプリケーション自体の安全性が保証されているかどうかという問題です。当社も創業以来、ドライバーを同乗させずにすべてのアプリケーションで安全性を確認できるようにするというアプローチを取ってきました」。

リモートトラックドライバー、すなわち「ポッドオペレーター」は、Einrideのポッドを監視し、状況によっては運転を引き受ける。フラック氏によると、Einrideではレベル5の自律性(基本的に自動運転車のほうが人より運転能力も思考能力も優れているとするレベル)を信用しておらず、アジリティと意思決定能力を高められるように、いつでも人間がシステムに介入できるようにすることを目指しているという。

「マシンはまだ人のために働いています」とフラック氏はいう。「業界はレベル5の自律性を備えたAIを15年以上追求してきましたが、まだそのレベルには程遠い状態です。運送業界においては、自律運転の利点が活かされる場面も数多くありますが、人が介入することによる利点もあります。例えば別のゲートに戻ったり、周辺のドライバーとやり取りしたい場合などです。人間の意思決定を介入させられるのは大きな利点であり、ビジネスへの影響も最小限で済みます」。

Einrideは、トラック業界での経験があり、トラック運転免許を持っている最初のポッドオペレーターを採用した。詳細は、2021年後半のイベントで明らかにするという。

Einrideは米国に進出するだけでなく、ニューヨークに正式に米国本社を設立する予定で、一部の経営幹部がニューヨークを本拠に活動することになる。また、オースティン、サンフランシスコ、東南アジアにも支社を設置する予定だ。米国での工場建設予定は今のところはない。

画像クレジット:Einride

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

【ロボティクス】パンデミックの影響、看護支援ロボットDiligent Robotics CEOとの興味深い話

筆者はここ数日、大きなプロジェクトに関わっていた(詳細については近日公開予定)ため、残念ながら最新ニュースにしばらく目を通しておらず、ロボティクスに関する今週の大きなニュースについてまったく把握していなかった。そこで、このコラムでその遅れを少し取り戻したいと思う。

そのニュースを取り上げる前に、少し別の話を紹介しよう。筆者は、パンデミックの期間中にユニークな経験をした興味深いロボティクス企業と対談する機会があった。

Diligent Robotics(ディリジェント・ロボティクス)がシリーズAを発表したとき、世界はそれまでとはまったく違ってしまったと言っていいだろう。2020年3月は今からそれほど遠い昔ではないが、現在に至るまでパンデミックによって世界中の医療機関は非常に大きな負担を強いられ続けており、その影響がこれほどまでに広範囲かつ長期間に及ぶとはほとんど誰も予想していなかった。病院スタッフの過労と人手不足の傾向は、新型コロナウイルス感染症の流行以前にも見られたが、流行後にはその傾向が顕著になり、同社の看護支援ロボットMoxi(モキシー)の需要が急激に増加した。

2020年実施された1000万ドル(約11億円)の資金投入がディリジェントの成長に貢献したことは間違いないが、同社は在宅勤務に移行する際に誰もが遭遇する課題に対処しながら、生産能力を高めるという難しいタスクに取り組んでいた。

2017年にVivian Chu(ヴィヴィアン・チュー)氏とともにディリジェントを設立した、Interactive Computing at Georgia Tech(ジョージア工科大学インタラクティブ・コンピューティング学部)のAndrea Thomaz(アンドレア・トマス)准教授は筆者たちと今週会い、2020年経験したユニークな課題と機会について話してくれた。

ロボティクス業界とディリジェントが、パンデミックによって受けた影響の度合いは?

さまざまな業界で労働市場が実に劇的に変化した。これはロボティクス業界とディリジェントの両方に言えることだが、この劇的な変化は、多くの従業員が退職しようとしていること、すなわち何か別のことを始めようとしていることと関係しているように思える。そして実際、多くの人が職を変えている。この傾向はあらゆる技術的な職業に見られ、我々の業界や医療業界で多くの事例が上がっている。とにかく、多くの人が何か別のことを始めようと考えている。パンデミックが始まる前も労働力に関する課題はあったが、今やそれが危機的なレベルになりつつある。

技術的な仕事に就きたいと思う人は常に少ないが、技術的な仕事の需要は常に高い。これはある意味、危機的な状況と言えるだろう。

この傾向はパンデミック前から始まっていた。パンデミックでそれが顕著になったに過ぎない。この傾向は、医療保険改革法(オバマケア)に端を発している。より多くの人が医療を受けられるようになったということは、病院に行って医療を受けられる人が増えたことを意味する。これが高齢化と相まって、必要な医療を提供するスタッフのさらなる不足を引き起こしている。

パンデミック発生の時点でロボットを採用していた病院の件数と、需要がその後どのように急増したかという観点から、需要を把握することはできるか?

我々はまだその情報を公開していない。来年の前半までには、その規模についてより具体的な数値を発表できるだろう。ただし、四半期ごとにロボットの出荷台数を2倍に増やしていることは確かだ。

そのようなロボットの運用に至るプロセスはどのようなものか?

これは、病院市場に関して非常に興味深いテーマであると考えている。このプロセスは、倉庫や製造における従来の自動化とは異なる。ロボットを運用する環境では、看護師や臨床医が働いている。ロボットは、そのような環境で人と一緒に作業をしなければならない。我々は、まず初めにワークフローを評価する。つまり、その環境で現在どのように業務が行われているかを評価するのだ。

画像クレジット:Diligent Robotics

パンデミックは企業の成長にどのような影響を与えたか?

パンデミック前は、製品の市場適合性が満たされていた。我々の研究開発チームの作業は、製品に変更をわずかに加えるだけの非常に小規模なものだった。製品を顧客に見せて価値を示すだけでよかった。しかし現在は契約の締結と納入が重要で、最短期間で導入し、耐久性を最大限高めることを考えることが必要だ。特にハードウェアの面では、製造プロセスと信頼性に関してどのように設計すべきかが大切だ。現在、当社のロボットが現場で1年以上稼働しており、以前と比べて信頼性が高まっている。今や、ロボティクスのロングテール現象が起こりつつあり、今後が楽しみだ。

パンデミックによって、ロボティクスの分野で驚くべき機能や需要が生まれたか?

当社の顧客のどの現場でも「そのロボットはコーヒーを持ってこられるようになるか」と看護師は口を揃えていう。モキシーがロビーのStarbucks(スターバックス)に行き、みんなのためにコーヒーを買ってくることを看護師たちは期待している。自分たちはスターバックスに行って並ぶ時間がないから、時間の節約になるというわけだ。実現できないわけではないが、積極的に試してみようとは考えていない。

つまり、モキシーにエスプレッソマシンを搭載する計画はないということか?

その計画が来年のうちに実現することはないだろう。

近い将来、資金をさらに調達する予定はあるか?

現在、増資の計画中だ。今のところ順調だが、顧客からの需要が非常に高まっているため、チームを増強してロボットの出荷台数を増やすのは、やぶさかではない。

現時点では米国市場に注力するつもりか?

当面はその予定だ。当社では、世界的に展開する戦略について検討を始めている。2022年中に当社の製品が世界中に行き渡るとは考えていないが、すでに多くの引き合いが来ている。現在、販売パートナーを選定中だ。世界各地のクライアントから、1カ月に何件も問い合わせが来ている。今のところ、それらのクライアントと積極的に進めているプロジェクトはない。

画像クレジット:Tortoise / Albertsons

資金調達とコーヒーの配達については、別の機会に取り上げよう。今週は、配送関連で注目の話題がいくつかあるので紹介しよう。まず、過去に何度も取り上げたTortoise(トータス)だが、同社のリモート制御による配達ロボットのチームに追い風が吹いてきた。米国アイダホ州を拠点とするKing Retail Solutions(キングリテールソリューションズ)との取引によって、ラストワンマイル配送用に500台を超えるトータスのロボットが米国内の歩道に導入される。

CEOのDmitry Shevelenko(ドミトリー・シェベレンコ)氏は「未来の姿がニューノーマルになるというこの新しい現実に、誰もが気づき始めている。ラストワンマイル配送で時給20ドル(約2300円)稼ぐスタッフを動員しても、想定されるどんな状況でも消費者の期待に応え続けるということはできない。単純計算は通用しないのだ」と語る。

先に、Google(グーグル)のWing(ウィング)は、同社による提携を発表した。ウィングは、オーストラリアの小売店舗不動産グループであるVicinity Centres(ビシニティ・センターズ)と提携し、ドローンを使用した配達プログラムの範囲をさらに拡大する。ウィングは、10万件の配達を達成したという先日の発表に続き、オーストラリアのローガン市にあるグランドプラザショッピングセンターの屋上からの配達件数が、過去1カ月間に2500件に達したと発表した。

ローガン市の住民は、タピオカティー、ジュース、寿司を受け取ることができる。今や美容と健康に関する製品まで配達できるようになった。ウィングは「一般的な企業の建物には屋上があるため、当社の新しい屋上配達モデルによって、ほんの少しの出費とインフラ整備だけで、さらに多くの企業がドローン配達サービスを提供できるようになる」と語る。

画像クレジット:Jamba / Blendid

ジュースといえば(といっても、まとめ記事で筆者がよく使う前振りではない)、米国サンフランシスコのベイエリアを拠点とするスムージーロボットメーカーのBlendid(ブレンディド)は先に、Jamba(ジャンバ)のモールキオスク2号店に同社の製品を導入すると発表した。このキオスクは、米国カリフォルニア州ロサンゼルス郡のダウニー市のモールに今週オープンした。ちなみにダウニー市は、現在営業しているMcDonald’s(マクドナルド)の最も古い店舗がある都市でもある(Wikipediaより)。

これは時代の波だろうか。それとも何かのトリックだろうか。答えはどちらも「イエス」だ。

ジャンバの社長であるGeoff Henry(ジェフ・ヘンリー)氏はプレスリリースで「Jamba by Blendid(ジャンバ・バイ・ブレンディド)のキオスク1号店オープン後に、Stonewood Center(ストーンウッド・センター)に試験的にキオスク2号店をオープンして、モールの買い物客に新鮮なブレンドスムージーを販売できることをうれしく思います。ジャンバ・バイ・ブレンディドでは最新の非接触式食品提供技術を採用しているため、当社の現地フランチャイズ店は、ジャンバ好きのファンにスムージーを簡単に提供できます」と述べている。

画像クレジット:Abundant Robotics

ここで、フルーツに関するビジネスの果樹園サイドに注目しよう。Robot Report(ロボットレポート)に今週掲載された記事には、Wavemaker Labs(ウェーブメーカーラボ)が今夏に廃業したAbundant Robotics(アバンダント・ロボティクス)のIPを取得したことが紹介されている。残念ながら、アバンダントのリンゴ収穫ロボットが復活するわけではなさそうだ。どうやら、ウェーブメーカーのポートフォリオスタートアップ企業であるFuture Acres(フューチャー・エーカーズ)のロボティクスシステムに、このIPが組み込まれるようだ。

最後に、アームに搭載されたRFアンテナとカメラを使用して紛失物を探す、MITが研究しているロボットを簡単に紹介しよう。以下はMITの発表からの引用文だ。

このロボットアームは、機械学習を使用して対象物の正確な位置を自動で特定し、対象物の上にある物を移動させ、対象物をつかみ、目標とする物体を拾い上げたかどうかを確認する。RFusionにはカメラ、アンテナ、ロボットアーム、AIが包括的に統合されており、どんな環境でも的確に機能する。特別な設定は不要だ。

画像クレジット:Diligent Robotics

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(文:Brian Heater、翻訳:Dragonfly)

Alphabet傘下のWingがショッピングセンターの屋上からドローンで配達する試験プログラムを開始

Alphabet(アルファベット)の子会社であるWing(ウイング)が、同社のドローンを使ってショッピングセンターの屋上から商品を飛ばす試験プログラムを開始した。実は同社最大の市場であるオーストラリアのローガン市で、このプログラムはすでに始まっている。Wingはオーストラリアの商業施設グループ、Vicinity Centres(ヴィシニティ・センターズ)と提携し、ローガン市のショッピングセンター「Grand Plaza(グランドプラザ)」で、この新しいビジネスモデルをテストしている。Wingのドローンは、発射台の真下にある店舗から、顧客に向けて直接注文された商品を飛ばしているのだ。

Wingは2年前からローガン市で事業を展開しているが、これまで企業は同社の配送施設に商品を配備する必要があった。参加企業が店舗を構えている場所から直接配達を行うのは、今回が初めてのことだ。8月中旬よりWingはGrand Plazaの屋上からドローンを飛ばし、同ショッピングセンター内の加盟店から寿司やタピオカティー、スムージーなどの商品を顧客に届けている。さらに現地時間10月6日には、市販の医薬品やパーソナルケア・美容製品の配達も開始した。

Grand Plazaでの運用開始から6週間で、Wingのドローンはすでにローガン市郊外のいくつかの地域へ2500件の配達を行っている。このAlphabet傘下の企業は、同ショッピングセンター内の提携加盟店に留まらず、配達エリアの拡大も計画している。

Wingのオーストラリアにおける政策・地域担当責任者を務めるJesse Suskin(ジェシー・サスキン)氏は、Grand Plazaでの試験運用が成功すれば「Vicinity Centresが運営する他の商業施設でも、同様のモデルを展開できる可能性がある」と述べている。

Grand Plazaでの試験運用が、より多くのVicinity Centresの店舗で屋上配達を行うことにつながるかどうかはまだわからないが、Wingがローガン市でかなりの成功を収めていることは確かだ。2021年に入ってから、同社は市内で5万回を超える配達を行っており、8月には総計10万回目の配達達成を祝ったところだ。

関連記事:ドローン配達のWingがサービス開始から2年で10万回の配達を達成、豪パイロットサービスで

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のMariella Moonは、Engadgetの編集委員。

画像クレジット:Wing

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(文:Mariella Moon、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ロボット配達スタートアップCocoが年内に従業員数と事業展開地域の拡大を計画

ロサンゼルスを拠点とする配達ロボットのスタートアップ企業であるCoco(ココ)は、3600万ドル(約40億円)の資金調達を発表した。このシリーズA投資ラウンドは、Sam Altman(サム・アルトマン)氏、Silicon Valley Bank(シリコンバレー・バンク)、Founders Fund(ファウンダーズ・ファンド)が主導し、Sam Nazarian(サム・ナザリアン)氏、Ellen Chen(エレン・チェン)氏、Mario Del Pero(マリオ・デル・ペロ)氏が参加した。これにより、同社が調達した資金の総額は約4300万ドル(約47億円)となった。

「現状のデリバリーサービス業界は、加盟店へのサービスが大幅に不足していると、私は強く感じています」と、共同創業者でCEOのZach Rash(ザック・ラッシュ)氏はリリースの中で述べている。「これは、将来的にいつか製品化されそうな技術を実験する研究プログラムではありません」。

画像クレジット:Coco

UCLAからスピンアウトし、かつてCyan Robotics(シアン・ロボティクス)と呼ばれていたこの会社が事業を展開している分野には、Starship(スターシップ)、Nuro(ニューロ)、UCバークレー校アクセラレーター・プログラム卒業生のKiwibot(キウイボット)など、多くの企業がひしめき合っている。Cocoのソリューションは、完全な自律運転を追求するのではなく、遠隔操作を活用するというものだ(これは多くの企業が認めるよりも一般的なソリューションである)。

Cocoは2020年2月に創業したばかりのまだ若い会社である。現在の従業員数は120名だが、新型コロナウイルス流行の影響でロボットによる配送への関心がますます高まっていることから、年末までに「1000名以上に成長する」計画だという。今回の資金調達は、ハードウェアの開発や事業展開する都市を増やすためにも充てられる予定だ。

Cocoによると、同社は97%のオンタイム率で運営できており、顧客の配達時間を約30%短縮できるという。同社には、NuroにとってのDomino’s(ドミノ・ピザ)のような大規模なパートナーはいないが、カリフォルニアを拠点とするUmami Burger(ウマミ・バーガー)は、Cocoのサイトに現在掲載されている18のレストランパートナーの中で、おそらく最も大規模な企業だ。

「当社は現在、サンタモニカとロサンゼルス近郊の5つの地域で事業を展開しています」と、CocoはTechCrunchに語っている。「2021年後半には、いくつか米国の他の主要都市にも進出する予定です。SBE(Umami Burger)のような全米規模のレストランブランドと提携し、多くの地域で積極的に展開を拡大する他、サンタモニカのBangkok West Thai(バンコック・ウエスト・タイ)やロサンゼルスのSan Pedro Brewing Company(サン・ペドロ・ブルーイング・カンパニー)のような家族経営のレストランにも広くサービスを提供しています。当社はパイロット段階を終え、毎日数十件の新たな店舗とサービスを起ち上げています」。

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画像クレジット:Coco

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ホンダと楽天が自動配送ロボットの走行実証実験を共同で開始、筑波大学構内および一部公道で実施

写真右下側にあるボックスが、Hondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)

写真右下側にあるボックスが、Hondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)

本田技術研究所(Honda)と楽天グループ(楽天)は7月19日、自動配送ロボットの走行実証実験を共同で開始したと発表した。実施期間は7月19日~8月31日。実施場所は、筑波大学構内の宿舎周辺と一部公道を含む全長約500m。

現在、コロナ禍により、ラストワンマイルにおける「遠隔・非対面・非接触」配送ニーズの増加、また少子高齢化に伴う配達員不足への対応といった社会課題が顕在化している。その解決に向け、Hondaが長年研究してきたロボティクス技術と、楽天の配送サービスのノウハウとを活用し、自動配送ロボットの検証を行う。

同実証実験では、Hondaが開発した自動配送機能を備えた車台に、楽天が開発した商品配送用ボックスを搭載した自動配送ロボットが、筑波大学構内(一部公道を含む)を自動走行する。電力源にはHondaの交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack」(モバイルパワーパック)を採用しており、充電を待つことなく配送サービスの継続が可能という。

走行中は、楽天モバイルの通信回線(LTE)を用いて、宿舎周辺から最大約650m離れた地点から自動配送ロボットの遠隔監視などを安全確認のために実施する。

また同実証実験での技術検証・データ収集・ニーズ把握を踏まえ、自動配送ロボットを活用した商品配送サービスの提供を目指し技術開発を継続するとしている。

各社の役割

  • Honda:自動配送ロボットの機体とシステムの開発・仕様検討および技術実証
  • 楽天:安全面での対策の検討、商品配送用ボックスの開発およびサービス実用化に向けた検討

なお同実証実験は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」による支援を受けて実施するものという。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:自動運転 / 自律運転(用語)配送 / 宅配 / デリバリー(用語)物流 / ロジスティクス / 運輸(用語)Honda / 本田技研(企業)楽天 / Rakuten(企業)ロボット配達(用語)日本(国・地域)

ロシアYandexの自動運転部門がGrubHubと提携、米国の大学キャンパスにロボット配達を展開

ロシアの大手ハイテク企業であるYandex(ヤンデックス)の自動運転部門としてスピンオフしたYandex Self-Driving Group(ヤンデックス・セルフドライビング・グループ)は、フードデリバリーサービスのGrubHub(グラブハブ)と提携し、米国の大学キャンパスで複数年にわたりロボットによる配達を行うと発表した。Yandex Self-DrivingのDmitry Polishchuk(ドミトリー・ポリシュチュク)CEOからの発表によると、同社はこのパートナーシップの期間中に250以上のキャンパスにサービスを提供したいと考えており、まずは今秋に数十台のロボットを導入することから始めるという。

Yandexの自動運転部門は、2020年9月にUber(ウーバー)との合弁会社からスピンオフした。2021年5月には、自動運転で合計700万マイル(約1100万キロメートル)の走行距離を記録し、当時のWaymo(ウェイモ)を上回ったと発表している。Yandexは2017年よりフルサイズの自律走行車を開発しており、イスラエルのテルアビブやミシガン州のアナーバー、ロシアのイノポリスで、ロボットタクシーを使ったテストを行っている。2020年4月には、ロシアのスコルコボで、同社の自律走行車と同じ自動運転技術スタックを搭載した重量約68キログラムの6輪自動走行ロボット「Yandex.Rover(ヤンデックス・ローバー)」による商業配達を初めて開始した。

関連記事:ロシアYandexがUberとのJVから自動運転事業をスピンアウト、159億円を新会社に投資

「技術は確かに非常に複雑ですが、小さな町や大都市の特定の地区では、配送ロボットやロボットタクシーの形で導入を開始できるレベルに達しています」と、同社の広報担当者はTechCrunchに語り、次のように続けた。「3~4年後には、モスクワやニューヨークのような都市の中心部における渋滞時間帯に、経験豊富な人間のドライバーと同じように、安全かつ効率的に運転できるレベルに到達すると、私たちは確信しています」。

Yandexの商業化へのアプローチは独特だ。自動車用の自律走行技術を開発している多くの企業の中でも、Yandexはまずロボットで市場に出ようとしており「それは非常に効率的な方法のように思えます」と、広報担当者は語っている。「2018年6月に始まった配達用ロボットを作るというアイデアから、このようなきちんとした商業契約を結ぶまでに2年を要しました」。

Yandex.Roverは、ロシアではすでにフード配達プラットフォーム「Yandex.Eats(ヤンデックス・イーツ)」と食料品速達プラットフォーム「Yandex.Lavka(ヤンデックス・ラフカ)」で商用テストを行っている。同社の発表によると、Yandex.Roverは、時速5〜8キロメートルで移動し、歩道、歩行者エリア、横断歩道を自律的に運行できる。自動車が通行不可のキャンパスエリアには適したアイディアだ。このサービスはすでにGrubHubのアプリに完全に統合されている。ユーザーエクスペリエンスの面では、ローバーが目的地に到着すると、顧客はプッシュ通知を受け取り、外に出てアプリでロボットのハッチを開けることができる。

Yandexによると、同社の配送ロボットは、昼夜を問わず、雨天時や雪天時にも、信号機付きあるいは信号機のない横断歩道でも、運行させることができるという。ローバーはほとんどの場合、自律的に運行可能だが、同社の広報担当者によると、酔っぱらった大学生に乗られるなど、困難な状況に陥った場合には、遠隔支援のリクエストを送信することがあるとのことだ。

同社では、まだGrubhubとの提携を反映したロボットのブランド化は行っていないとTechCrunchに語っているが、今秋に数十台の車両を送り出すという目標が、無理なく達成できることを期待していると述べている。

「Yandexと協力して、大学生のフードデリバリー体験を変えていきます」と、Grubhubの法人・大学パートナー担当バイスプレジデントであるBrian Madigan(ブライアン・マディガン)氏は語っている。「私たちは、学生たちのユニークな食事のニーズに対応しようとしている全国の大学に、費用対効果が高く、拡張性があり、迅速なフードの注文 / 配達機能を提供できることをうれしく思います。大学のキャンパスは、特にフードデリバリーにおいて、自動車の乗り入れが難しいことで知られていますが、Yandexのロボットは、自動車が通行できないキャンパスの一部にも簡単にアクセスすることができます。これは大学が新しいテクノロジーを導入する際に直面する大きなハードルを効果的に取り除くことになります」。

問題は、新型コロナウイルス収束後の秋の新学期が始まる頃、酔っ払った男子学生がロボットを破壊したり盗んだりしようとする危険を掻い潜って、それらのロボットのうち何台がYandexに戻って来られるかということだ。

Yandexは、ロボットタクシーサービスの開発も継続して事業の商用化を進め、同社の自動運転技術をさまざまな場面で活用していきたいと述べている。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:YandexGrubHub自動運転ロボット配達フードデリバリー

画像クレジット:Yandex Self-Driving Group

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自動配送NuroがFedExと提携、配送ロボをライスマイルデリバリーに大規模導入

Nurl(ニューロ)は2016年に元Google(グーグル)エンジニアのDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏とJiajun Zhu(ジアジュン・スー)氏が設立した自動配送のスタートアップだ。このほど同社はFedEx(フェデラルエクスプレス)と提携して荷物輸送事業に参入する。

米国時間6月15日に発表された複数年複数フェーズの戦略的提携は、Nuroの次世代自動配送車をFedExの運用に組み込むテストおよび最終的な実運用を目指している。このロボット車はNuroの最新ロボットR2に続くものだ。自動運転分野の他社と異なり、Nuroの焦点は常に、低速度電気自動運転車で人ではなくパッケージを運ぶことだ。ただしその「パッケージ」は、食料品、料理、さらには医療用品の配達が中心だった。例えばコンビニエンスストア、Domino’s(ドミノ)、Kroger(クローガー)などと提携してきた。

FedExとの契約は同社にとって初めての小荷物配達への参入だ。パイロットプログラムはすでにテキサス州ヒューストンが始まっている。今回の複数年の取り組みによって、Nuroは同社のテクノロジーをより多くの人に新しい方法で届けることが可能になり、最終的には大規模な展開を目指している、とNuroの提携責任者であるCosimo Leipold(コシモ・リーポルド)氏は言った。

FedExはこれまで独自の自動運転技術に取り組んでいて、歩道を走る配達ロボットはよく知られている。Roxo(ロクソ)と名づけられたSameDay Botは、DEKA Development & Research Corpと、同社のファウンダーでSegway(セグウェイ)と車イスのiBot(アイボット)を発明したDean Kamen(ディーン・ケイメン)氏と共同で開発された。FedExが最初にSameDay Botを発表したのは2019年2月だった。そのFedExボットは、ライダーなどのセンサーと複数のカメラを装備し、機械学習アルゴリズムと組み合わせることによって、障害物を避けて安全な経路をたどり、かつ道路や歩道の交通ルールを守る。

当時同社は、AutoZone(オートゾーン)、Lowe’s(ロウズ)、Pizza Hut(ピザハット)、Target(ターゲット)、Walgreens(ウォルグリーンズ)、およびWalmart(ウォルマート)との共同で、自動ロボットを自社の配送ビジネスに適用する可能性を探ろうとした。FedExの狙いは、小売店が近隣の顧客からの注文を受け、ロボットを使って顧客の自宅や職場に同日配達することだった。同社は、テネシー州メンフィス、テキサス州のプレイノとフリスコ、およびニューハンプシャー州マンチェスターでテストを実施した、と広報担当者は言っていた。

Nuroとの提携は、歩道から離れて車道に進出するものだ。NuroのR2は大型で公道を走るように設計されており、重い荷物を遠くまで運ぶことができる。

FedExは、Nuroの自動運転ロボットをライスマイルデリバリーに大規模導入する長期契約を結んだと語った。

「イノベーションはFedExの礎であり、今後も会社のカルチャーとビジネス戦略の重要な部分でであり続けます」と先進技術およびテクノロジー担当副社長、Rebecac Yeung(レベッカ・ユン)氏は語った。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:NuroFedEx配送自動運転ロボット配達

画像クレジット:Nuro

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nob Takahashi / facebook

スクーターの利便性を持つ無人配達用3輪EV展開を目指すFactionが約4.7億円調達

Faction Technology(ファクション・テクノロジー)の創業者でCEOのAin McKendrick(アン・マッケンドリック)氏には10億ドル(約1100億円)もなかったし、無人配達に使える電気自動車(EV)を設計・製造するために通常の自動車プログラムが必要とする時間もなかった。

そこで同氏はパワースポーツに目を向けた。無人配送に使用したり、人間がレンタルして街中を移動したりするマイクロロジスティクスサービスのビジョンを実現するためだ。現在、プロトタイプを開発し、規模を拡大するという野心を持つマッケンドリック氏は、Trucks VCとFifty Yearsがリードしたシードラウンドで430万ドル(約4億7300万円)を調達した。

「私たちは同じことを何度も何度も繰り返しています」と、今はなき自動運転トラックのスタートアップStarsky Roboticsのエンジニアリング担当副社長だったマッケンドリック氏は語った。「私たちはレガシー車両を採用し続け、それを無人技術向けに改造しようとしています。同じことを何度も繰り返すのではなく、少し違う方法でやってみてはと思いました」。

2020年創業し、この冬にY Combinatorアクセラレータープログラムを卒業したFactionは、3輪オートバイのプラットフォームから始めた。同社はシャシーを一から開発しているが、マッケンドリック氏によると、自動車開発の数分の1のコストでそれを実現できるという。車両の価格は全部で約3万ドル(約330万円)で、同氏によると、回収期間は2年だという。

これらはオートバイクラスの車両だ。つまり、市街地や高速道路では合法だが、乗用車と同じ規制は適用されない。

その車両で貨物を配送できる。これは、遠隔操作で支援するリモートワーカーと自動運転との組み合わせによって実現した。約10人のチームであるFactionは、他の企業と協業して自動運転車に取り組んでいる。ただし、自動システムが故障した場合に安全機能が作動するコアプラットフォームを開発した。

「私たちが車両向けに開発したコア技術は、会社が時間とともに成長するにつれ、他の形式の車にも適用しようと考えるようになりました」とマッケンドリック氏は話、デジタル車両アーキテクチャーと遠隔操作システムがともに機能するものを開発したと付け加えた。

画像クレジット:Faction Technology

配送、またはマッケンドリック氏が呼ぶところのマイクロロジスティクスは、同社が最初に注力したところだ。だが、創業者である同氏は、3輪の車両を開発し、都市周辺の3~5マイル(約4.8〜8km)の移動や、近郊都市へのより長い距離の移動に利用したい人々に貸す機会も視野に入れている。いずれの車も、人間オペレーターバージョンのガラスキャノピー(天蓋)など、いくつかの重要な違いはあるものの、ほぼ同じだと言える。配送車両には不透明なキャノピーが付いている。

マッケンドリック氏は、ユーザーがアプリで車を呼び出せる機能を考えている。呼び出すと、車は自身でユーザーの元に向かって運転を始める。ユーザーが中に入った後は、人間のドライバーが手動で操作する。

マッケンドリック氏の売り文句は、ユーザーはスクーターや自転車シェアが持つあらゆる利便性を享受できるが、耐候性と高速道路を走れる機能も備えているというものだ。

「つまり、たとえばサンフランシスコ市内からサンフランシスコ空港まで移動する必要がある場合、これは最適な形式の車両です。4ドアセダンや大型車を増やそうとするものではありません」。

無人配達アプリケーションでは、ユーザーはマイルごとに課金される。マッケンドリック氏は、レンタカーの料金を時間単位で請求する可能性があると語った。

同社は現在、運用する車両の規模を拡大するため、軽電気自動車メーカーとの提携に取り組んでいて、2021年後半に最初の顧客試験を発表する予定だ。マッケンドリック氏によると、目標はマイクロロジスティクスのパイロット向けに約50台の車両を配備し、第4四半期までに初期の乗車トライアルを開始することだ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Faction Technologyロボット配達EV資金調達電動バイク

画像クレジット:Faction Technology

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

Alphabet傘下で2021年初めに解散したLoon元トップがロボット配達Starship TechnologiesのCEOに

自律走行ロボティクス会社Starship Technologies(スターシップ・テクノロジーズ)が、新しいCEOを迎える。同社は米国時間6月1日、ロボティクス配達サービスの拡大を追求する中でAlphabet(アルファベット)傘下のLoon(ルーン)の元CEOであるAlastair Westgarth(アラステア・ウェストガース)氏がStarship Technologiesを率いると発表した。

ウェストガース氏はこの前に、高高度の気球経由でブロードバンドを提供するというAlphabetの実験のLoonを2017年から率いていた。同社は2021年初めに解散した。解散を発表した最後のブログの中で同社は「商業化の実現可能性への道が思った以上に長く、リスクをともなうものであることがわかりました」と述べた。Loonで働く前にウェストガース氏はワイヤレスアンテナ会社Quintel Solutionsを率い、そして通信会社Nortel で副社長を、 Bell Mobilityではエンジニアリングのディレクターを務めた。

同氏はStarship Technologiesが事業を急拡大する中で同社に加わる。2020年初め、Starshipはいくつかの地域と大学のキャンパスで自律走行ロボット数百台を運用していた。同社は2021年5月、パンデミック以来、配達件数は4倍に増え、グローバルで150万回のマイルストーンを達成した、と明らかにした。

「自律走行配達は知っての通りロジスティックを変えていて、世界中の何十億という人にインパクトを与えています」とウェストガース氏は声明文で述べた。「Starshipのチームは2014年にロボット配達部門を創出して以来、何年もの間、テクノロジーとオペレーションを開発・洗練してきました。今回の機会はうれしいものであり、この業界をリードする便利で安全、そして環境に優しい配達サービスにより多くの人がアクセスできるよう、Starshipがキャンパスと地域で事業を拡大するのをサポートすることを楽しみにしています」。

Starshipの前CEOであるLex Bayer(レックス・バイエル)氏は同社を3年間率いた後、2020年12月に密かに社を去った。暫定CEOを務めた共同創業者のAhti Heinla(アーティ・ヘインラ)氏はCTOとなる。

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:AlphabetLoonStarship Technologies自律運転ロジスティクスロボット配達

画像クレジット:Starship Technologies under a license.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

北京市が自律走行車両の公道試験の許可をJD.com、Meituan、Neolixに

北京郊外の人は、人間の配達員を乗せて通りを注意深く走行する自律運転の配達ミニバンを近所で目にし始めることになりそうだ。

現地時間5月25日に開かれたモビリティ会議での北京市当局の発表によると、同市はJD.com、Meituan、Neolixに亦荘開発区域の専用の公道で自律走行する配達車両を試験する許可を与えた。同区域は北京市による経済・技術的成長を目的とする試験エリアで、自動運転ベンチャーのためのインフラを用意しようと5Gを積極的に展開している。

3社は荷物を配達するのにNuroのものと似ている、ボックスに車輪がついたかわいらしい車両を使う。中国の電気自動車スタートアップLi Autoが支援する創業3年のNeolixは、小売や監視、その他の市サービスのための自律走行車両にフォーカスしている。その一方で、テック大企業であるJD.comとMeituanは、無人配達が自社の中核事業にとって重要性を増していると考えている。

Meituanの自動走行配達車両(画像クレジット:Meituan via WeChat)

オンライン小売のJD.comは専属の配達スタッフを抱えているが、Meituanの方はレストランのテイクアウトを顧客に届けるのにライダーの全国ネットワークに頼っている。両社ともここ数年、社内で自動運転テクノロジーに取り組んでいて、中国で配達ドローンの小型車両をテストしている。

Neolixは2021年6月までに北京の路上で配達車両150台を走らせる予定だ。JD.comは展開する車両の台数を明らかにするのは却下した。Meituanにはコメントを求ることができていない。

試験を担当する北京市当局は5月25日のイベントで、亦荘開発区域での配達専用の車両の運用に関するルールも示した。ロボットは「非モーター車両」に分類される。これからするに車両は車ではなく自転車や電動スクーターに近い区分になるようだ。中国の都市の道路状況は、予測できない歩行者、リースに繋がれていないペット、無謀なスクーター利用者のおかげで米国の道路、あるいは歩道やバイクレーンよりずっと複雑だ。

さらに重要なのは、ロボットは「現場と遠隔に」セーフティドライバーを置く必要があると規則にある。

Neolixの配達ロボット(画像クレジット:Neolix via WeChat)

JD.comは、同社のテクノロジーによってリモートセーフティドライバーは運行中の配達ロボット最大50台をモニターできると話す。車両は物流センターやスーパーマーケットから周辺のオフィスビル、集合住宅、学校のキャンパスなどへと荷物を運ぶ。顧客はテキストメッセージで送られてくるピックアップ用のコードを使って注文したものをバンから直接取ることができる。

対照的に、試験エリアでのNeolixの車両は周辺のオフィスビルで働く人向けのスナックやランチを売って回るモバイル自動販売機のようだ。ユーザーはロボットに搭載された小さなスクリーンで注文してQRコードで支払いをすれば、アイススクリームや温かいお弁当をすぐさま入手できる。

カテゴリー:モビリティ
タグ:JD.comMeituanNeolix中国北京自動運転ロボット配達

画像クレジット:JD.com’s delivery robot. Photo:JD.com

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi