貸付ファンドオンラインマーケット「Funds」のファンズが20億円超を資金調達、新たに地方創生関連ファンドの構想も

中央がファンズの藤田雄一郎代表

貸付ファンドのオンラインマーケット「Funds(ファンズ)」を運営するファンズは4月27日、第三者割当増資によりシリーズCラウンドで総額約20億2556万円の資金調達を行ったと発表した。2016年11月に設立したファンズの累計調達額は32億円となる。

引受先は既存株主のグローバル・ブレインとB Dash Ventures、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、三菱UFJキャピタル、みずほキャピタル、AGキャピタルで、新規引受先はANRIと日本郵政キャピタル、メルペイなどとなる。

今回の資金調達で、貸付ファンドの拡充や人員体制の増強、マーケティングなどに充てていく。また、ファンズは2021年度中にESGや地方創生に関する新たなファンドも出す考えだ。ファンズの藤田雄一郎代表にサービス概要や新たな取り組みについて聞いた。

貸付ファンドオンラインマーケットプレイス「Funds」

「Fundsは資産形成をしたい個人投資家と、資金調達をしたい、または個人投資家と接点を持ちたい企業をマッチングするプラットフォームです」と藤田氏は説明した。

個人投資家はスマホ経由で1円から、企業が事業資金調達のために組成したファンドに貸付投資ができる。貸付投資とは、このファンドと企業間の貸し付けに対し、個人投資家が出資することとなる。

Fundsへのユーザー登録費用や貸付投資の手数料、口座開設費用は掛からない。ファンズ自体は、Funds上で資金調達を行うファンドから業務委託料を徴収し、利益を得ているかたちだ。

ファンドはFundsで得た出資金を用いて借り手企業に貸し付けを行い、元本とそこから生まれた収益を個人投資家に分配する。

Fundsに参加する企業は、上場企業または監査法人などの監査を受けていることが前提だ。実際にFundsで資金調達を行う企業の85%は上場企業となる。

さらに藤田氏は「上場していても無条件でOKという訳ではありません。当然我々でも財務状況や事業計画などについて厳密に審査をします。審査の結果、事業の継続性に疑義があるなどの理由から、上場していてもお断りするケースもあります。このため個人投資家の方からは『資産形成をする上で安心度合いが高い』といった評価もいただいています」と話した。

全ファンドの8割が3時間以内に満額達成

2019年1月にFundsをリリースして以来、約2年で投資家登録数は3万人を超えている。これまで上場企業を中心とした29社が組成する約73のファンドを募集し、全ファンドの8割が3時間以内に満額申込を達成している。また、2021年3月末時点で分配遅延・貸し倒れは0件となっている。

Fundsにある案件では予定利回りが1~3%台が中心で、運用期間は平均で1~1年半となっている。貸し倒れのリスクなどを判断しなければならないが、個人投資家はファンドの募集時に予定利回り・運用期間が決められているため、先を見通したミドルリターン・ミドルリスクの資産形成ができるようになる。株式投資やFXのようにチャートにくぎ付けになり、値動きを追わなくて済むのだ。

藤田氏は「現状、日本において予定利回り型の金融商品は多くありません。サービスローンチ当初はボリュームを作ることに苦労しました。ですが最近は大手企業の参加やリピーター企業も増えました。実際に参加した企業の約7割がリピートするかたちです。地道に積み上げてきた実績によって、ファンドのボリュームも拡大し、2021年3月は公開ファンドの資金募集額が単月で10億円を超えました」と規模拡大に自信をみせる。

投資を通じたファン作りを支援するFCM

企業とってのメリットは、Fundsによって銀行融資や社債などだけでなく、資金調達の方法を多様化できる点だ。社債は信用格付けなどが必要だが、Fundsでは疑似的な社債として担保や信用格付けの取得はいらず、手間を省いてすばやく資金を調達できる。

さらに企業はこれまで顔の見えなかった個人投資家との接点を得るメリットもある。ファンズは2020年8月に電通と、投資を通じて個人投資家と企業との関係構築を支援するため「FinCommunity Marketing(フィンコミュニティマーケティング、FCM)」を共同開発した。

ファンズは現在、FCMをFundsの基本的な機能として提供している。企業はただファンドを組成して資金を集めるだけではなく、FCMを通じて個人投資家との交流会・イベントの企画や、出資者限定の優待券を設定するなど、企業へのファン化を促す戦略を練ることができるようになった。

FCMの取り組みに企業も乗り気だ。Fundsに参加する企業のうち約3割が、第一の目的を資金調達としていない。その3割の企業は「投資を通じたファン作り」を目的としているという。FCMによって企画したイベントなどを通じて、企業はFundsに登録する約3万人の個人投資家とのタッチポイントを得ることに重要性を見出しているのだ。

新たなファンドによる展開も

ファンズが三井住友信託銀行と進めているESG関連のファンド組成支援にも力を入れていく。

藤田氏は「グローバルではESG債、SDGs債というのはとても活況になっています」という。しかし、ESG債、SDGs債は格付けや認証取得における企業側のハードルが高く、いわゆる超大手企業が中心に発行している。買い手も主に機関投資家となり、幅広い企業や個人投資家が参入しづらい状況になっているという。

この課題を解決するため、Fundsで2021年度内に、ESG認証を行う外部機関の正式な認証を受けた貸付ファンドを出していく。企業はFundsで数千万円から数億円といった規模感でESG関連の貸付ファンドを組成でき、個人投資家からすればこれまでよりサステナブルな事業に対する出資へのハードルが低くなるのだ。

この他、ファンズは大手企業と手を組み、地域に貢献する貸付ファンドの募集も始めていく考えだ。

藤田氏は「全国展開を目指す地場の企業を支援するような、または地元の人が地元企業に投資できるような、地産地消型の地方創生貸付ファンドを考えています。こちらも2021年度内にいくつか出していきます」と新たな事業展開を語った。

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アップルが米国に5年で46兆円超投資し2万人を新規雇用、ノースカロライナに新社屋

Apple(アップル)は米国4月26日朝、今後5年間で4300億ドル(約46兆4868億円)超を投資するという抜本的な計画を発表した。ここには米国の全50州での「経済的恩恵」が含まれ、同期間に2万人超の雇用を創出するとしている。

計画は2018年に同社が発表したものを拡大しており、元々の3500億ドル(約37兆8343億円)から20%引き上げた。計画の中心となるのは、待望のノースカロライナ社屋の建設だ。機械学習やAIのような新興分野に専従する3000人など、リサーチ・トライアングル首都圏への10億ドル(約1081億円)の投資が含まれる。

「イノベーションは長らくノースカロライナのコーリングカードでした。新しい社屋をリサーチ・トライアングルに建設するというAppleの判断は、ノースカロライナ州の良好なビジネス環境、ワールドクラスの大学、テックのスキルを持った労働者、そして多くの人がノースカロライナをホームと呼びたくなる友好的で多様なコミュニティの重要性を示しています」と州知事は共同声明で述べた。「この発表は州全域のコミュニティに恩恵をもたらします。経済を成長させ続け、 トランスフォーメーショナルな産業と高賃金の仕事をノースカロライナにもってくるために協業することを誇りに思います」。

Appleはまた、ローリー・ダーラム周辺エリアのコミュニティと学校のための1億ドル(約108億円)の基金と、インフラへの1億1000万(約118億円)の支出の概要も示した。

「回復と再建のこのときに、Appleは米国全50州のコミュニティに行き渡らせる長期投資で米国のイノベーションと製造へのコミットメントを倍増させます」とTim Cook(ティム・クック)氏は投資計画のニュースリリースで述べた。「当社は5Gからシリコンエンジニアリング、人工知能に至るまでの最先端分野で雇用を創出し、次の世代のイノベーティブな新規事業に投資します。そして、より環境に優しく公平な未来に向けて取り組みを進めます」。

Appleが拠点を構えるカリフォルニア州、それからコロラド州、テキサス州、ワシントン州、アイオワ州における取り組みの概要も示された。この中ではカリフォルニア州がまず最初に最大の恩恵を受け、サンディエゴのオフィスで5000人超を、カルバーシティで3000人超を新規に雇用する。インディアナ州とケンタッキー州、テキサス州はAppleが2017年に設置した50億ドル(約5405億円)のAdvanced Manufacturing Fundの一環としてすでに雇用を始めている。

今回のニュースの1週間前には、ウィスコンシン州がフラットスクリーンテレビを製造するはずだったFoxconn(フォックスコン)の工場を大幅に縮小する計画を発表した。Donald Trump(ドナルド・トランプ)氏は大統領時代、クック氏を含むさまざまなテック企業のトップの機嫌を取る一方で、計画されていたFoxconnの工場を「世界8つめの不思議」と呼び、製造を米国に戻す計画の中心に据えていた。

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

気候問題専門の投資会社Congruent Venturesが約188億円調達、バイデン政権下で勢い

現在直面している気候の緊急事態を回避するためのテクノロジーとサービスを専門とするアーリーステージ投資会社のCongruent Ventures(コングルーエント・ベンチャーズ)が最新のラウンドで1億7500万ドル(約188億円)を調達した。

資産3億ドル(約323億円)を管理する同社はプレシード、シード、シリーズAラウンドの投資にフォーカスしており、Abe Yokell(アベ・ヨーケル)氏とJoshua Posamentier(ジョシュア・ポサメンティエ)氏によって創業された。2人は20年以上にわたって気候分野に投資してきた。

「インフラと気候に熱心な新政権の始動、そして緊急の気候変動をめぐるグローバルの問題への大幅に遅延していた資金の流入で、輸送やエネルギートランジッション、持続可能な生産と消費のための食料・農業などに取り組む36社超にわたるポートフォリオを当社はカバーしています」とヨーケル氏は声明で述べた。

ポートフォリオの企業には、菌糸体を使った肉のメーカーMeati、産直食料マーケットプレイスのMilk Run、効率的な製造のためのソフトウェアを開発しているPicoMES、電動自動走行トロッコのデベロッパーParallel Systems、アルミニウム添加剤メーカーAlloy Enterprises、自動の温室栽培システムを提供するHippo Harvest、ハードプレスされた廃棄物のリサイクルを行う組織の効率を改善するためのリサイクルロボットを展開しているAmp Roboticsなどが含まれる。

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Congruent VenturesはMicrosoftのClimate Innovation Fund(気候イノベーション基金)、Prelude Venturesの系列会社、Jeremy and Hannelore Grantham Environmental Turst、Surdna Foundation、UC Investmentsのような著名なリミテッド・パートナーを抱える。

「つい最近まで、気候と持続可能性にフォーカスしているアーリーステージ資金は完全に不足していました」と共同創業者でマネージングパートナーのポサメンティエ氏は述べた。「当社は起業家が無数の落とし穴を回避するのをサポートできる最も初期の段階で投資し、起業家がたくましい企業に育て、追加の資金を調達するのを手伝います。その結果、世界最大の部門のいくつかにおける最も差し迫っている環境の問題に取り組んでいます」。

Congruentの企業の3分の1はエネルギーや公共インフラに直接取り組んでおり、米政府が提案するインフラ支出法案で莫大な利益を得るかもしれない。その上、Congruentのリミテッドパートナーには管理する資産が7000億ドル(約75兆5156億円)のインフラ投資家が含まれ、そうした投資家はCongruentのポートフォリオ企業によって開発されたテクノロジーの潜在顧客だ、とCongruentは声明で述べた。

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

NFLのスター、トム・ブレイディらも投資するZoom対応のオンライン学習スタートアップ「Class」

Zoomと統合してリモート教育をもっと洗練させるEdTechスタートアップのClassが、新たに1225万ドル(約13億2500万円)を調達した。このラウンドではSalesforce VenturesとSound Ventures、そしてアメフトのスーパースターで2021年のスーパーボウルでMVPを獲得したTom Brady(トム・ブレイディ)氏が投資した。

Classの創業者でCEOのMichael Chasen(マイケル・チェイスン)氏は、SalesforceのCEOであるMarc Benioff(マーク・ベニオフ)氏がClassに投資を持ちかけてきたと語る。Classが起業した1カ月後の2020年10月に、Salesforce VenturesはEdTech企業やクラウドエンタープライズ企業を支援する1億ドル(約108億円)のインパクトファンドを立ち上げた。

トム・ブレイディ氏がEdTechの世界に参入していることについてチェイスン氏は、ブレイディ氏は過去にもテック業界に投資をしており「3児の父として教育を通じて人々を支援することに情熱を持っている」と述べた。

チェイスン氏は「トム・ブレイディも私も子どもが3人いて、どの親もそうだと思いますが、我々も教えたり学んだりするためのツールをZoomに追加する必要があると感じています」と補足した。

Classは1年未満で5800万ドル(約62億7000万円)を調達した。2020年9月のシードラウンドでは1600万ドル(約17億3000万円)、2021年2月のシリーズAでは3000万ドル(約32億4300万円)を調達している。今回の資金調達はシリーズAより小規模だが、これは必要に迫られてというよりは戦略的に投資家を呼び込む意図が大きかったと見られる。

調達した資金はClassを世界中のK-12や高等教育機関に展開するために使われる。ClassのソフトウェアはMac版が数カ月前に公開され、Windows、iPhone、Android、Chromebook版は今後数週間以内にベータ版を提供する予定だとチェイスン氏は述べた。提供される製品が増えれば、Classの採用に興味を示している約7500校をさらに増やすのに有利に働くだろう。

Classにとって、そしてeラーニングのソリューションを教育機関に販売するスタートアップにとっての高いハードルは、コロナ禍収束以降の実用性だ。教育機関の慣習として形式主義によりソフトウェアの採用に時間がかかるが、チェイスン氏によればClassの顧客はK-12も高等教育機関も積極的に同社のツールに予算を取っているという。Classの価格は児童・生徒・学生数に応じて年間1万ドル〜6万5000ドル(約108万円〜700万円)だ。

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チェイスン氏は2021年2月に「予算の問題にぶつかったことは一度もありません。高等教育機関はすでにオンライン学習への第一歩を踏み出して次に歩を進めようとしていますが、K-12は第一歩を踏み出しつつあるところです」と述べていた。Classの顧客は125校 / 社以上となっており、K-12と高等教育機関が半々で、顧客のうち10%は企業だ。

Zoomユニバーシティ、つまりZoomなどを使ったオンライン授業を変えようとしているスタートアップはClassだけではない。多くの企業が、せいぜいギャラリー表示でおしゃべりをしている程度の現在のビデオ会議ソリューションに疲れている学生と教員の市場に寄与しようとしている。トラクションを獲得している企業としては、Engageli、Top Hat、InSpaceの3社がある。

それぞれのスタートアップが独自の戦略と製品を有しているが、スタートアップの創業者たちはみんな、同じ質問に答えなくてはならない。コロナ禍の収束後、デジタル学習を単なる予備の手段ではなく、教育と理解のための望ましいあり方にすることができるだろうか?

この問いかけに対する追求は続いているが、Classはその答えがイエスであると信じる人々を採用するのに苦労していないことを示すニュースが発表されている。わずか9カ月で同社の従業員は2人から150人以上に増加した。

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画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Kaori Koyama)

トランプ氏が強引に進めたFoxconnのウィスコンシン工場計画が大幅縮小

「世界8つめの不思議」だった、とDonald Trump(ドナルド・トランプ)氏は金色のシャベルを地面にさし込みながら言った。時の大統領はFoxconn(フォックスコン)が計画しているウィスコンシンの工場を自身の経済目標にとって大きな勝利とうたっていた。

1年半後、この取引の将来は極めて不確実になった。今週初めにウィスコンシン州は、かつて望んでいた計画の大幅な縮小が労働者にとって厳しい州へ戻ることに帰結すると発表した。台湾の大手製造メーカーであるFoxconnは投資を100億ドル(約1兆800億円)から6億7200万ドル(約726億円)に縮小する。

新しい計画には予定雇用数の大幅削減も盛り込まれ、1万3000人から1454人とする。ウィスコンシン州知事のTony Evers(トニー・エバーズ)氏は今週発表したプレスリリースで節税のための削減だと述べた。

「知事になったとき、私はウィスコンシン州にとってより良い取引を結ぶためにFoxconnと協業することを約束しました。最後の取引はウィスコンシン州のためにならず、私にとっても意味を成しません」とエバーズ氏は述べた。「今日、この取引に関し、Foxconnを他の企業と同じように扱うという合意を発表します。これにより税金27億7000万ドル(約2993億円)を節約でき、州や地元のコミュニティがすでに投じてきた数億ドルのインフラ投資を守り、約束された雇用創出の責任があることを保証します」。

エバーズ氏は、トランプ氏のもとでの取引交渉で主要な役割を果たしたScott Walker(スコット・ウォーカー)氏の後任として2019年に知事に就任した。取引には40億ドル(約4323億円)近いFoxconnへのインセンティブが含まれていて、これは同社にとって破格の取引だった。

テレビ工場の計画は発表された4年前からかなりシフトし、明らかにトランプ氏からの電話で計画が元に戻る前の2019年初めにはFoxconnはすべて中止したようだった。

ロイターが指摘しているように、ウィスコンシン州はすでに2億ドル(約216億円)超をインフラ、トレーニング、計画された工場の開所に先駆けた他の諸々に費やした。

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カテゴリー:その他
タグ:ドナルド・トランプFoxconnアメリカウィスコンシン工場投資

画像クレジット:Andy Manis / Getty Image

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがインドのスタートアップに投資する272億円規模のベンチャーファンドを発表

Amazon(アマゾン)はインド時間4月15日、主要な海外市場であるインドの中小企業(SMB)のデジタル化に焦点を当てた、同国のスタートアップや起業家に投資する2億5000万ドル(約272億円)のベンチャーファンドを発表した。

今回の発表は、これまでインド事業に65億ドル(約7062億円)以上を投資してきた米国のeコマース巨人が、政府当局や、同社がサービスを提供していると称する中小企業からの批判に直面している中でのことだ。

「Amazon Smbhav Venture Fund」と名づけられたこの新しいベンチャーファンドを通じて、Amazonは中小企業のオンライン化、オンライン販売、業務の自動化とデジタル化、そして世界中の顧客への拡大を支援することに重点を置いたスタートアップに投資したいと述べている。同社は、このファンドのライフサイクル(つまり、何年かけて2億5000万ドルを使い切る予定か)については明らかにしなかった。

Amazonの次期CEOであるAndy Jassy(アンディ・ジャシー)氏は4月15日に開催されたバーチャルイベントで「中小企業は経済のエンジンであり、生命線です」と述べた。「当社は、中小企業を加速させることに情熱を持っています」とも」。

Amazonは、中小零細企業(MSMEs)向けに売掛債権のオンラインマーケットプレイスを運営する、グルグラム(旧称グルガオン)に本社を置く設立3年目のスタートアップであるM1xchangeに1000万ドル(約10億9000万円)の投資ラウンドを実施したと発表した。M1xchangeは、マーケットプレイスを介して中小企業と銀行やノンバンク金融会社を結びつける企業だ。中小企業は売掛債権(為替手形や請求書)を銀行や金融機関に譲渡することでより有利な金利で融資を受けることができ、これにより、中小企業・小規模事業者の支払いに関する課題を解決することができるという。これは、同社のAmazon Smbhav Venture Fundからの最初の投資となる。

Amazon Smbhav Venture Fundは農業とヘルスケアの2つの分野にも重点を置いているが、中小企業との接点があれば、他業種のテックスタートアップも視野に入れていくとのこと。

アグリテック分野ではAmazonは、テクノロジーを活用してアグリインプットを農家によりアクセシブルにしたり、農家にクレジットや保険を提供したり、食品の無駄を減らしたり、消費者に届ける農産物の品質を向上させるインドのスタートアップに投資することを検討している。ヘルスケア分野では、医療機関が遠隔医療、電子診断、AIによる治療提案を活用できるように支援するスタートアップに投資するとしている。

今回の発表は、インドに拠点を置く中小企業に焦点を当てた、Amazonが毎年4日間にわたって開催するSmbhav(ヒンディー語で「できる、可能」を意味する)イベントで行われた。またAmazonはこのバーチャルイベントで、2025年までにインドの北東地域の8つの州から5万人の職人、織工、中小企業をオンライン化し、同地域からの茶、スパイス、蜂蜜などの主要商品の輸出を促進するための取り組みである「Spotlight North East」を発表した。

2020年の第1回Smbhavイベントで、Amazonは10億ドル(約1087億円)を投じて中小企業1千万社のデジタル化を支援することを発表した。同社は2021年4月初め、2020年1月以降、インドで30万人の雇用を創出し、30億ドル(約3260億円)相当のインド製商品の輸出を可能にしたと発表した。

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同社によると、5万以上のオフライン小売業者や近隣店舗(現地ではキラナと呼ばれる)がAmazonマーケットプレイスを利用しており、約25万の新規出品者もプラットフォームに参加したという。同社は15日「Local Shops on Amazon」プログラムを通じて、2025年までに100万のオフライン小売業者・近隣店舗のオンボーディングを目指していると述べた。

2020年には、Amazonの創業者兼CEOであるJeff Bezos(ジェフ・ベゾス)氏が参加した最初のSmbhavイベントからそれほど遠くない場所で、何万人もの抗議者が通りをデモ行進し、Amazonは自分たちをつぶすために不公正な行為を行っている、と主張して懸念を表明した。

今回も同様の抗議活動が行われ、商人たちはAsmbhav(ヒンディー語で「不可能」の意)と名づけられたイベントで政府の介入を求めた。こちらから、彼らのストーリーを一部見ることができる。これはインドでの論争に巻き込まれないように長い間苦労してきたAmazonにとって、継続的な課題だ。

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2021年2月には、米国のeコマースグループである同社がインドの一部の販売者を優遇し、それらの販売者との関係を公に偽り、インドの外資規制を回避するために利用しているとの報道を受け、何千万もの実店舗を代表する有力なインドの業者団体が、インド政府にAmazonの国内事業禁止を要請した。

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全インド商業連合(The Confederation of All India Traders、CAIT)は、ロイター通信の記事で明らかになったことを受けて、インド政府にAmazonに対する深刻な措置を取るよう「要求」した。「CAITは長年にわたり、AmazonがインドのFDI(外国直接投資)規制を回避し、不公正で非倫理的な取引を行っていると主張してきました」とCAITは述べていた。

Google(グーグル)、Facebook(フェイスブック)、そしてMicrosoft(マイクロソフト)を含む複数の国際的なテクノロジー大手が、近年、インドのスタートアップ企業に投資している。Amazonも、配車スタートアップのShuttlや、消費者ブランドのMyGlammなど、多くの企業を支援している。2021月3月、同社はリテール決済スタートアップであるPerpuleを約2000万ドル(約21億7000万円)で買収した。

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

ソフトバンクがインドのフードデリバリーSwiggyに最大543億円投資か

SoftBank Vision Fund 2(ソフトバンク・ビジョン・ファンド2)が最大5億ドル(約543億円)をインドのフードデリバリーのスタートアップSwiggy(スウィギー)に出資することで交渉がかなり進んでいる。この件に詳しい2人の情報筋がTechCrunchに明らかにした。新たな投資はSwiggyを55億ドル(約5975億円)で評価しているとのことだ。

新規の投資は、Swiggyが2021年4月初めに発表した8億ドル(約869億円)の資金調達に追加される。ソフトバンクは2021年初めにインドのフードデリバリーへの投資拡大を模索しはじめ、SwiggyのライバルZomato(ゾマト)にも目を向けた。しかし今週初め、ソフトバンクはSwiggyを選んだ、と情報筋は話した。

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Swiggyとソフトバンクはコメントを控えた。この件の詳細はまだ公になっていないため、情報筋は匿名を希望した。

新たな投資の交渉は、Zomatoがここ数カ月で9億1000万ドル(約988億円)を調達している中でのものだ。グルガオン拠点のZomatoは2021年のIPOに向け準備を進めている。最後の取引でのZomatoの評価額は54億ドル(約5866億円)だった。資金調達の間、Zomatoは「当社の事業のさまざまな分野における競合相手からの攻撃や価格競争」と戦うために資金を調達している、と話した。

サードプレイヤーであるAmazon(アマゾン)もまた、2020年インドのフードデリバリーマーケットに参入したが、事業展開はまだバンガロールの一部に限定している。

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Bernsteinのアナリストは、インドのフードデリバリーマーケットが2022年までに120億ドル(約1兆3036億円)に成長することが見込まれる、と2021年初めのクライアント向けのレポートに書いた。

8億ドル調達後、Swiggyの共同創業者でCEOのSriharsha Majety(シュリハルシャ・マジェティ)氏は従業員へのメモで「新たな資金は現在のビジネスラインのために計画していた投資よりも多くのパワーを与えてくれます。我々の野心は果てしなく、後に投資の準備が整うかもしれない将来のために引き続き新たなサービスの種を撒いたり実験などをします。我々は今、インドから永続するアイコン的企業を生み出すために、今後数年にわたって絶えず考案して実行する必要があります」と伝えていた。

同氏はまたメモの中で、同社の長期的な目標は今後10〜15年でユーザー5億人にサービスを提供することだと述べ、評価額が1000億ドル(約10兆8600億円)を超えた中国のフード大手Meituan(美団)を引き合いに出した。

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「2020年の新型コロナウイルスによる非常に厳しい局面から我々は脱しつつあり、嵐は乗り越えました。しかしここから取り組むすべてのことは長期的に成功するチャンスを最大化する必要があります」とも書いた。

Prosus Venturesを最大の投資家の1つに持つSwiggyは2020年一部の従業員を解雇し(Zomatoも同様だ)、インド政府が数カ月にわたるロックダウンを命令することになったパンデミックをしのごうとクラウドキッチン事業を縮小した

ソフトバンクの出資を確認したインドのニュースメディアCapTableは交渉についてより詳細に報じている。

TechCrunchは4月14日にソフトバンク・ビジョン・ファンド2がZetaへの出資についても交渉していると報じた。eコマース大手Flipkart、配車サービスOla、格安ホテルスタートアップのOyoにも出資している同ファンドは2021年4月初め、ソーシャルコマースのMeeshoにも出資した。

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カテゴリー:フードテック
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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

未公開株式投資会社KKRがクラウドコンテンツ管理のBoxに546.8億円の命綱を投入

Box(ボックス)は、未公開株式投資会社のKKRが同社に5億ドル(約546億8000万円)を投資したと発表した。アクティビスト投資家(物言う投資家)のStarboard Valueからの圧力に苦しむクラウドコンテンツ管理会社を救う行動だ。

同社はこの資金を「オランダ式オークション」と呼ばれる方法で、オークションで決められた価格で一部の投資家から株式を買い戻すために使用する計画で、2021年5月に次の決算を報告した後実施する予定だ。そこには、2019年に同社株式の7.5%を取得したStarboardからの買い上げも含まれていると思われる。

2021年3月にReuters(ロイター)が報じたところによると、Starboardは6月のBox取締役会で、役員の過半数を専有しようとしている。その結果Starboardは何らかの行動を起こすことが可能になり、売却を強いる可能性が高い。

ここから何が起きるかははっきりしないが、この現金によってBoxはStarboardの攻撃から逃れられる可能性があり、KKRの関与によって長期的展望が可能になる。BoxのCEOであるAaron Levie(アーロン・レヴィ)氏は、今回の動きはBoxの方針に対するKKRの信任票であると考えている。

「KKRは世界有数のテクノロジー投資家として、当社の市場に深い造詣があり、企業と手を組んで価値を生み出し成長を促進してきた確実な実績があります。同社の支援を受け、私たちはクラウドコンテンツ管理分野をリードするBoxの地位をいっそう確かなものにし、全世界の顧客に価値を提供し続けていきます」。

契約条件の一環として、KKRの米国テクノロジー未公開株式責任者のJohn Park(ジョン・パーク)氏がBoxの取締役に就任する。また同社は、社外取締役のBethany Mayer(ベサニー・メイヤー)氏を5月1日付けで取締役会会長に任命することも発表した。

2021年2月、Boxは電子署名のスタートアップSignRequest(サインリクエスト)を買収し、市場拡大に向けて一連の新たなワークフローを提供しようとした。KKRの出資によって、黒字キャッシュフローのBoxが、将来に向けたプラットフォーム拡大の新たな一歩を踏み出すことは不合理であるとはいえなくなった。

Boxの株価は時間外取引で8%以上下落しており、おそらくこれはウォール街がこの発表をあまり喜んでいない証だが、この現金流入はBoxに、リセットして再び前進するための猶予を与えるだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:BoxKKR投資

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(文:Ron Miller、翻訳:Nob Takahashi / facebook

全日空や三井物産が支援する再生可能ジェット燃料のLanzaJetにShellも出資

アルコールをジェット燃料に変えるプロセスの商業化を図っているLanzaJet(ランザジェット)には全日空、Suncor Energy、三井物産、British Airwaysなどが戦略投資家として出資している。その投資家リストにエネルギー大手Shell(シェル)も加わった。

LanzaTechからのスピンオフで、最初のクリーンテックブームの最後の生き残り企業の1社である未上場企業LanzaJetは、法人から段階的に出資を受けるアプローチを取っている。これにより、LanzaJetが生産施設を拡大するにつれ、投資家は追加でLanzaJetに出資することができる。

Shellの出資の取引条件、出資後のLanzaJetの評価額は明らかにされなかった。

LanzaJetは、航空業界がネットゼロエミッションを達成するのをサポートできると主張する。パリ協定で設定された温室効果ガス削減目標を世界が達成するのを支えるための長い道のりだ。

「LanzaJetのテクノロジーは、ATJプロセスを使ったSAF(持続可能な航空燃料)生産に向けた新しいエキサイティングな道を切り開いていて、航空部門の差し迫ったSAF需要を解決します。これは、我々が力を合わせた時に業界が機敏に動いてより多くのSAFを供給できることを意味します」とShell Aviationl社長のAnna Mascolo(アンナ・マスコロ)氏は声明で述べた。「需要と供給の両方を推進するための適切な政策メカニズムと規制に関して業界、政府、社会が協業するこで、航空業界はネットゼロエミッションを達成できます。LanzaJetと戦略が一致するのはすばらしいことです」。

関連記事:再生可能ジェット燃料LanzaJetが英国航空と提携、年間7500トン供給へ

LanzaJetは現在、アルコールをジェット燃料に変える施設をジョージア州ソパートンに建設中だ。完成すると、持続可能な合成ジェット燃料のための初の商業規模プラントとなり、年間1000万ガロンを生産できる。

燃料はエタノールを使って作られる。エタノールはShellが詳しいものであり、供給する用意も整っている。ブラジルの合弁企業Raízenを通じてShellはバイオエタノールを10年以上生産してきた。

LanzaJetは、二酸化炭素の排出を抑制する方法で飛行機を飛ばすために、持続可能燃料を従来の化石ジェット燃料に混ぜることを想定している。生産する燃料の約90%が航空燃料で、残り10%は再生可能ディーゼルだと同社は話した。

LanzaJetのSAFは化石ジェット燃料に最大50%混ぜることがASTM(米試験材料協会)に認められていて、エンジンや航空機、インフラに変更を加える必要のないドロップイン燃料だ。加えて、LanzaJetのSAFは従来の化石ジェット燃料と比べ、ライフサイクルベースで温室効果ガスの排出を70%超削減する。エタノールの汎用性、そして低炭素でゴミを材料とし、食品や餌をソースとしないこと、またエタノールが世界どこでも入手できることと併せ、LanzaJetのテクノロジーはSAFの永続的な解決策となっている。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:LanzaJet投資全日空三井物産Shell二酸化炭素二酸化炭素排出量

画像クレジット:Bryce Durbin/TechCrunch

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

bilibiliがゲーム配信プラットフォームTapTapに136億円投資、過熱する中国のゲーム市場でレベルアップ

中国のテック大手が軒並み、コンテンツや配信に関わるゲーム提携を強化するために買収や投資の可能性を探る中、同国のゲーム業界では競争がますます激化している。

一番最近ではこのたび、中国の若者に人気の動画配信プラットフォームbilibili(ビリビリ、哔哩哔哩)が大規模なゲーム提携を結んだ。同社は9億6000万香港ドル(約1億2300万ドル、約136億円)を、こちらも中国で人気のゲーム配信プラットフォーム「TapTap」を運営するX.D.Networkに投資することで合意したと、中国時間4月1日に発表した。

関連記事:2億人近いユーザーを抱えUGC中心のBilibiliは中国版YouTubeになりつつある

香港とニューヨークの二重上場企業であるbilibiliは、X.D.の普通株式2266万株を1株あたり42.38香港ドル(約603円)で購入し、4.72%の株式を取得する。

両社は、X.D.社のゲームとTapTapを中心にした一連の「緊密なコラボレーション」を開始すると述べているが、詳細は明らかにしていない。

bilibiliは、アマチュアやプロのクリエイターが制作した動画コンテンツの宝庫として知られているが、収益の大部分をモバイルゲームから得ており、2020年には後者が収益の40%を占めていた。この比率は、2018年には71%、2019年には53%と徐々に減少しており、ゲームの配信以外にも収益源を多様化しようとしていることがうかがえる。

Tencent(テンセント)も同様に、長年にわたり収益の柱としてゲームを重視してきた。WeChat(ウィーチャット)を運営するTencentはオリジナルタイトルや、コンテンツ運営やプロモーションを支援する広大な投資ポートフォリオを通じて、中国のゲーム市場を支配している。

X.D.もゲームを制作しているが、近年は、従来のゲーム配信会社(スマートフォンメーカーが運営するAndroidアプリストア)に対する反逆者として台頭してきた。X.D.はHuawei(ファーウェイ)やXiaomi(シャオミ、小米科技)のように高い手数料を取らず、広告で収益を上げるというビジョンを掲げている。X.D.の提案は、急成長中のスタジオであるLilith GamesやmiHoYo、Alibaba(アリババ)、6年間で3000人の強力なゲームチームを構築したByteDance(バイトダンス)など、数多くのゲーム会社を同社の投資家として惹きつけてきた。

関連記事:TikTokの親会社ByteDanceはゲーム業界にどう切り込むか

bilibiliの投資は、X.D.のトップクラスゲーム投資家のマトリックスをさらに強化するものだ。Tencentは目立って不在だが、ByteDanceがAlibabaに次ぐ同社の新たな宿敵であることは周知の事実だ。ロイターによると、TikTok(ティックトック)の親会社であるByteDanceは最近、東南アジアで地歩を固めているゲームスタジオ、Moontonを買収するためにTencentに競り勝ったという。TikTokの中国版であるDouyin(抖音)も、WeChatで公開されているコンテンツからユーザーの注目を奪おうとしている。

カテゴリー:ゲーム / eSports
タグ:bilibiliX.D.Network投資ゲーム実況

画像クレジット:Gao Yuwen / VCG / Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Aya Nakazato)

トヨタの投資ファンドWoven Capitalが自動配送ロボティクスNuroに出資

イノベーションにフォーカスしたトヨタ自動車の子会社Woven Planet(ウーブン・プラネット)の投資部門Woven Capital(ウーブン・キャピタル)は、シリコンバレー拠点の自動運転デリバリー車両のNuro(ニューロ)への投資を発表した。新たに設立された8億ドル(約878億円)の戦略的ファンドの第1号案件だ。Woven Capitalの投資と買収の責任者George Kellerman(ジョージ・ケラーマン)氏によると、同ファンドは安全なモビリティの未来を構築するというミッションの推進に向けていつの日かパートナーになったり買収対象となったりするかもしれないグロースステージのテック企業に投資する。

Woven Capitalの出資は2020年11月に発表されたNuroの5億ドル(約549億円)のシリーズCラウンドの一環だ。同ラウンドにはChipotle、そしてT. Rowe Price Associates, Incが運営するファンド、新規投資家としてFidelity Management & Research CompanyとBaillie Giffordも参加した。各ステークホルダーの具体的な投資額は明らかにされなかった。

トヨタは2020年9月に、自動運転モビリティや機械学習、人工知能、オートメーション、コネクティビティ、データ・分析などのテクノロジー分野に投資することを目的とする8億ドルの投資プールを発表した。

「Nuroは良い出発点でした。というのも、当社が行っている業務の多くは自動運転の乗用車の開発にフォーカスしているからです。ですので、これは当社にとってローカルの商品配達にピンポイントでフォーカスしているパートナーを通じて学習して発展させる方法です」とケラーマン氏はTechCrunchに語った。「Nuroから学ぶ多くの機会があり、潜在的には今後コラボしたりNuroがグローバル展開するのをサポートしたりする機会もあるかもしれません」。

Nuroの貨物専用自動運転の車両は、すでにカリフォルニアの車両管理局から公道でのテスト実施の許可を得てKrogers、Domino’s、Walmart、 CVSといったパートナー企業の商品を配達しており、この分野でリーダーとなるチャンスをNuroは手にしている。Woven CapitalはNuroのリーダー的な立場の加速・強化をサポートする機会を見出し、一方でNuroとの間で戦略的知識共有の取り決めを結んだ。

「(Woven Capitalは)未来に向けて野心的な目標を掲げるすばらしいチームを招集しました。そして我々は人々の暮らしをより良いものにするために暮らし方や移動の仕方を変革するという共通目的を共有しています」とNuroの共同創業者で会長のDave Ferguson(デイブ・ファーガソン)氏は声明で述べた。「当社は引き続きチームを拡大し、すばらしい自動走行配達プロダクトを構築するのに、新たな資金と世界最大の自動車会社からのサポートを使います」。

トヨタ・ウーブンシティのコンセプトレンダー(画像クレジット:Toyota)

オートメーションはWoven Capitalのポートフォリオの大きな部分を占めることになる。これはWoven Cityなど親会社Woven Planetの活動をサポートするためだ。Woven Cityは相互接続するスマートシティプロトタイプでセットされる新しいテクノロジーの試験場で、トヨタは2021年2月に富士山の麓、静岡県裾野市東富士で着工した。

「Woven Cityについて考えるとき、自動走行モビリティとオートメーションをより広範にとらえます」とケラーマン氏は話した。「それを促進するため、人工知能や機械学習、データ・分析、コネクティビティが必要になります。ですので我々はそうした分野に投資するポートフォリオを形成するつもりです」。

モビリティ産業では、モビリティを単に人々や商品の動きとしてではなく、情報やデータの動きとしてとらえる傾向が強まっている。Woven Planetはこれを認識し、特に自動車についてはソフトウェアファーストのアプローチを取っている。従来の自動車産業のデザインとハードウェアファーストのアプローチに取って変わっていて、車両を動かすのにソフトウェアに組み込み、まずソフトウェアで開始してソフトウェア中心にハードウェアを構築することを意味する。

ソフトウェアファーストのアーキテクチャを構築することは、将来のイノベーションに多くのフレキシビリティをもたらす。ハードウェアが変わってもコードを書き直す必要はなく、別の応用を加えるだけでいい。Woven Planetが開発しているすべてのソフトウェアは可能な限り多くの応用で使えるはずだとケラーマン氏は述べた。

真に強固で統合されたソフトウェアを持っていることは、コネクテッドモビリティにとって論理的な次のステップでもあり、車両の輸送のポテンシャルを再考する道を開く。Nuro車両は配達しているあらゆるグローサリーのための車両というだけでなく、交通の流れや気候パターンなど走行中に収集してクラウドに送るすべての情報のための車両でもある。それゆえにその価値は、AからBへのユーティリティというより情報のインターチェンジとなる。

Woven Cityですぐさま活用できるかもしれないNuro車両によって集められた情報の一部は通りの安全に関するものだ。Nuro車両は人を運ばないのでデザインは車両の外にいる人の安全性、人中心の都市計画において有用となるかもしれない集計データにフォーカスしている。

結局、Woven Capitalの長期的な視点は常に将来のM&Aに向けた潜在的なプロセスだとケラーマン氏は話した。

「トヨタは歴史的に買収欲の強い会社ではありませんが、Woven Planetの中でいかに戦略的買収を通じて当社のビジョンとミッションを加速させることができるかをにらみながら経営企画チームを作っています」と述べた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Woven PlanetNuro投資トヨタ自動車自動運転

画像クレジット:Toyota

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

グーグルらが実店舗を簡単にオンライン化するインドのDotPeに約30.1億円投資

Googleのインドにおける最新の投資は、企業のオンライン化を助けるスタートアップだ。

現地時間3月26日、創業1年でグルガオンに拠点を置くDotPeが、シリーズAで2750万ドル(約30億1000万円)を調達したことを発表した。ラウンドをリードしたのはPayUで、これまでの投資家であるInfo Edge VenturesとGoogleが参加している。

この今や約9000万ドル(約98億7000万円)の価値が付く若きスタートアップは、路上の実店舗がオンラインでも販売を行い、デジタルで決済できるようにする。

インドの多くのスタートアップが現在解決しようとしている問題だが、DotPeにはさらにいくつかの魅力がある。これにより、販売業者は在庫をスキャンし、オンラインで迅速にログを作成できる。

カタログが用意できたら、店はWhatsAppでそれを公開し、顧客に届ける。WhatsAppはインドで人気最大のスマートフォンアプリで、ユーザーは4億5000万人以上いる。DotPeは、ユーザーの商業者がGoogleの検索結果にも出るようにする。

PayUの元共同創業者でマネージングディレクターのShailaz Nag(シャイラズ・ナグ)氏が共同設立したこのスタートアップは、近所の店が来店客から支払いを集めることを可能にし、顧客のエンゲージメントを高めるためにポイントや割引を提供するツールを備えている。

「この新しいパートナーシップにより、企業はより発見しやすくなり、ビジネスの道が広がり、これまでにない商取引を行うことができるようになります」とナグ氏はいう。「パンデミックであろうとなかろうと、私たちはオフラインビジネスのあり方を再考し、すべての起業家にデジタル革命をもたらすためにここにいます」。

画像クレジット:DotPe

DotPeの場合、店はアプリをインストールしなくてもよいため、これまでの6カ月で500万を超える事業者が利用した。それらの店では、リピーターからのオーダーの38%がオンラインからになっている。

インドPayUのCEOであるAnirban Mukherjee(アニルバン・ムカルジー)氏は「DotPeはその非の打ち所のないプロダクト体験とイノベーションで、非常に短期間に将来性に富む商業者ベースを獲得しました」と述べている。

Google India担当の副社長で、国別ではインドのトップであるSanjay Gupta(サンジェイ・グプタ)氏は声明で、同社のDotPeへの投資は「万人の利益になるさらに包括的で差別のないデジタル経済を作るという目標を、インドのスタートアップのエコシステムと一緒に実現する」というGoogleのポリシーを表している、と述べている。

Googleは2020年、ユーザー数では最大の市場であるインド向けの100億ドル(約1兆960億円)のファンドを発表した。AndroidのメーカーでもあるGoogleは、インドで他にも数社のスタートアップに投資しており、その中にはハイパーローカルなデリバリー企業Dunzoや、InMobi GroupのGlanceやDailyHuntがいる。

DotPeによると、同社は新しい資金を、同社のサービスがインドのもっと多くの商業者に到達し、その技術スタックを需要の成長に合わせてスケールすることに充てたい、という。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:DotPeインドeコマースGoogle投資

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(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

女性が率いるベンチャー企業への投資はポートフォリオのパフォーマンスを向上させる

本稿の著者はMichaela Villaroman(ミカエラ・ビジャロマン)氏とAlisee de Tonnac(アリゼ・ドゥ・トナック)氏。ビジャロマン氏は、Seedstarsのメディアリレーションコーディネーター。トナック氏は、テクノロジーと起業家精神を通じて新興市場の人々の生活にインパクトを与えることを使命とするスイスのグループSeedstarsの共同創設者であり共同CEO。Seedstarsグループは、90カ国以上で活動、、新興市場で最大の起業家コンテストなどを行っている。

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我々は投資ポートフォリオにおけるジェンダーの多様性の状況を考察しているが、これは女性が起業分野で過小評価されているためである。いくつかの数字を示しながら、なぜあなたの取引に多様性が欠けているのかを詳しく述べていきたい。

女性起業家と資金調達

国際金融公社が2013年に実施した調査によると、女性が所有する企業の資金調達において、2600億ドル(約28兆2100億円)から3200億ドル(約34兆7200億円)のニーズが満たされていない状態であるという。テック系スタートアップ350社の女性を対象にした調査では、この傾向がさらに強かった。女性回答者の72%が、起業時に金融資本を獲得するのが難しく、80%近くが個人的な資金調達に頼らざるを得なかったと答えている。さらに、VCの全資金のうち、女性創業者が獲得するのは3%にも満たない

男性による資金調達のしやすさと女性のそれとの間には明らかな違いがある。データによると、男性は女性の4倍もエンジェル投資家やVCからのエクイティ・ファイナンスを利用している(14.4%対3.6%)。男性が複数の資金源を簡単に利用できることから、平均で女性創業者の約2倍の資金で会社を設立するのもうなずける。

女性が所有する企業の資金調達では、2600億ドルから3200億ドルというニーズが満たされていないのが現状である

なぜ女性が率いるスタートアップの資金調達が難しいのだろうか?

女性が資本獲得に苦戦している事実は、ファンド運用会社における多様性を見ることで説明できるだろう。ファンドマネジャーの多様性の欠如は、結果としてポートフォリオに関して資金調達の不平等をもたらす。Women in VCのデータによると、米国において、女性が率いるVC企業の割合はわずか5.6%であり、VCパートナーのうち女性が占める割合はわずか4.9%に過ぎない。

「女性や有色系の人々がベンチャーキャピタルの投資戦略を推進できるようにすることは、最も迅速かつ効果的なコース修正である」とWomen in VCのレポートは伝えている。「ベンチャー投資家は、より広い社会規範に影響を与える並外れた力を持っている。彼らはどの創業者が資金を調達し、どの企業が成功のチャンスを得て、どの製品を市場に出すかを決める。これらのことは我々の文化に決定的な影響を与える」。

投資家たちはまず、自らの多様性の問題に取り組まなければならない。女性主導のスタートアップを積極的に調達し、投資しようとする取り組みの強化に向けて、潜在的な偏見を自覚するとともに、発展的な行動を起こしていく必要がある。

多様性のある取引が重要な理由

女性主導のベンチャーを増やして投資ポートフォリオを多様化することは、女性のリーダーシップを信頼することを意味する。企業業績に関する2012年の調査では、ドイツの上場企業のうち150社以上で、取締役会に30%以上の女性が名を連ねていた時期に優れた業績を上げていたことが示された。

さらに興味深いことに、別の調査では、女性の取締役は男性よりも優れていると論じている。研究結果によると、女性は複数の競合する利益に対処し、創造的に問題を解決し、合意を築くことにより効果的であることが明らかになった。対照的に、男性取締役はしばしば規則、規制、伝統に基づいて決定を行うという。

紛れもなく、有能な女性リーダーによって経営されている企業は、収益性の高いROIを提供する準備ができていると言えるだろう。フルブライト研究員で、ペパーダイン大学でマーケティングを教えるRoy Adler(ロイ・アドラー)教授が19年間にわたって実施した研究によると、女性を上級職に昇進させた実績が最も高い企業と、収益性の高い企業との間に相関関係があることが明らかになった。この相関関係は、それぞれの業界のフォーチュン500企業の中央値よりも18~69%上回っている。

これらの数字は、女性の登用が経済的利益となって返ってくることを期待できることを示しているが、ジェンダーの多様性への投資がもたらすより大きな影響と重要性は、その後の全体的な経済成長と繁栄にある。女性起業家のチャンスを高めることで、地域や世界の市場が恩恵を受けるドミノ効果を生み出すことができるのだ。

マッキンゼーは、ジェンダーの完全な平等が達成されれば、世界の国内総生産(GDP)は2025年までに世界全体で最大28兆ドル(約3040兆円)増加する可能性があると予測している。実際、女性に投資しないことによるマイナス面は極めて大きいことが判明している。国連の調査によると、中国や米国を含むアジア太平洋地域では、女性の経済参加が十分に行われていないため、GDPが少なくとも年間420億ドル(約4兆5600億円)減少しているという。

Seedstarsはスイスの投資持ち株会社で、新興市場の高成長テクノロジー企業への投資に注力しており、特に発展途上国において女性起業家がチャンスを与えられることでもたらされる恩恵についてより詳細な見解を提供している。

これらの数字は、ジェンダーの平等が十分に実現できていないが、その価値は非常に高いものであることを明確に示している。Melanne Verveer(メランヌ・ヴェルヴェール)氏とKim K. Azzarelli(キム・K・アザレッリ)氏の著書「Fast Forward」の中で、専門家たちがジェンダーの多様性について論じている。

「富の創造を破壊する最大の要因は家父長制です」とPax World FundsのCEO、Joseph Keefe(ジョセフ・キーフ)氏は語っている。「『身を乗り出す』べきなのは女性たちだけではありません。より良い利益を求める株主は、より多くの女性を雇用し、昇進の機会を与えている企業に力を注ぐべきです」。

バーナード大学のDebora Spar(デボラ・スパー)学長は「この国のあらゆる分野で、女性が権力の座に就く機会は非常に少なくなっています」と指摘する。「私たちはいわゆる『16%ゲットー』に陥っています。航空宇宙工学、ハリウッド映画、高等教育、フォーチュン500の主要ポジション、いずれにおいても女性の割合は最高でも16%程度にとどまっています。これは罪なことで、すばらしい人材を無駄にしていることになります」。

ジェンダーの平等を前進させる

インパクトを生み出すには、女性を十分に取り込むための積極的な対策が必要である。Seedstarsは2018年から、投資先探し、能力開発プログラム、投資活動など、グループ変革の理論で強調されている中核的な活動の中でジェンダーの平等に積極的に取り組んできた。

これまでSeedstarsは600以上の女性主導企業を支援し、女性が共同設立した14の企業に投資してきた。さらにSeedstarsは、メンター、審査員、デリバリー専門家の養成に関してもジェンダーの平等に力を入れている。最近の統計によると、Seedstarsプログラムの全参加者の約30%が女性で、過去数年間で増加(2018年の数字は地域によるが、20%前後となっている)したことを誇りに思っており、今後数年間でその数字をさらに引き上げることを目標としている。

我々自身のイニシアティブと、ジェンダーの多様性を促進する役割を果たす投資家の努力を組み合わせることによって、世界は、未だ完全には受け入れられていない、最も強力な集団の1つとして証明されている層への投資から、恩恵を受けることができるだろう。

あらゆる課題を解決するための第一歩は、問題を認識することにある。意識の向上と対策によって、女性起業家の未来を明るくする重要な発展がもたらされるに違いない。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:コラム女性投資Seedstars

画像クレジット:SEAN+GLADWELL / Getty Images

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(文:Michaela Villaroman、Alisee de Tonnac、翻訳:Dragonfly)

Mithril CapitalがFlex Logixに約60億円を投じ、再びチップ市場に参入

かつては手がつけられなかった半導体分野が、ベンチャーキャピタルから熱い注目を集め続けている。

米国時間8月22日朝の最新ニュースは、Mithril CapitalのAjay Royan(アジェイ・ロヤン)氏がAIワークフローをコンピューティングエッジに導入するためのチップを製造するFlex Logixに対し、5500万ドル(約60億円)のシリーズDラウンドの資金調達を行ったというものだ。これはLuxやEclipse Ventures、そしてFlex Logixの創業者兼CEOであるGeoff Tate(ジェフ・テイト)氏の投資会社であるTate Family Trustなどによる総額2700万ドル(約29億円)の初期ラウンドに続くものだ。

Mithrilがチップ投資の世界に進出したのは、これが初めてではない。同社は以前、Apple(アップル)のAラインプロセッサのトップチップ設計者の数名によって設立され、サーバーチップ市場への参入が期待されるNUVIAを支援したことがある。Mithrilは2020年9月にNUVIAに2億4000万ドル(約260億円)を投資したが、それは2021年1月に発表された14億ドル(約1500億円)の取引でNUVIAがQualcomm(クアルコム)に買収される数カ月前のことだった。

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Flex Logixについては、2020年10月に同社がX1 AIチップを発表したときに以下のように紹介している。

Flex LogixはAI処理ワークフローをコンピューティングエッジに持ち込みたいと考えている。つまり、医療用画像処理装置やロボットなどの製品に人工知能を追加する技術を提供しようとしている。エッジでは処理能力はもちろん重要だが、サイズや価格も重要だ。より効率的なチップを製品に製品に搭載しやすく、価格によって個々の部品コストが制約される可能性がある。

Mithrilは声明の中で、同社の強みは半導体の中でも特に注目されている分野で、消費電力とコストの厳しい要求を満たす競争力のあるプロセッサを設計したことだと述べている。また、Flex LogixがeFPGA分野で強力な知的財産を開発していることも高く評価している。eFPGAの分野では、アプリケーションのニーズに適応できる柔軟なプロセッサに対する顧客の関心の高まりを受けて、活発な活動が行われている。

Flex Logixとその設立の経緯については、以前に記事を参考にして欲しい。

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:Mithril CapitalFlex Logix半導体投資

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Danny Crichton、翻訳:塚本直樹 / Twitter

インドネシアの貯蓄・投資アプリのPluangがプレシリーズBで約21.8億円の資金を調達

インドネシアを拠点とするフィンテック企業のPluang(プルアン)は、Openspace Ventures(オープンスペース・ベンチャーズ)が主導するプレシリーズBラウンドで2000万ドル(約21億8000万円)を調達したことを発表した。このラウンドには、Go Ventures(ゴー・ベンチャーズ)をはじめとするリターン投資家も参加している。Pluangは、ユーザーが50セント(約54円)から拠出できる独自の貯蓄・投資商品を提供している。

Gojek(ゴジェック)の投資部門であるGo Venturesは、2019年3月に300万ドル(約3億2600万円)でクローズしたPluangのシリーズAラウンドにも参加した。PluangはGojek、Dana(ダナ)、Bukalapak(ブカラパック)などの「スーパーアプリ」との提携を通じて利用でき、現在100万人以上のユーザーがいるとされている。

同社はサードパーティの金融サービスプロバイダーと連携するのではなく、金や米国の株価指数、仮想通貨の投資口座などの金融商品を独自に作成しているため、取引顧客1人当たり2ドル(約217円)という低い顧客獲得コストを維持できているという。

左からPluangのエンジニアリング責任者のAditya Jha(アディツア・ジャー)氏、共同設立者のクラウディア・コロナス氏とRichard Chua(リチャード・チュア)氏(画像クレジット:Pluang)

Pluangが今回のラウンドで調達した資金は、国債などより多くの資産クラスをカバーする独自の金融商品の開発に使用される。

「以前は、これらの資産クラスはインドネシアの富裕層しか利用できませんでした」と、Pluangの創業者であるClaudia Kolonas(クラウディア・コロナス)氏は、声明の中で述べている。「しかし、私たちは誰もが貯蓄を増やす機会を持つべきだと考えており、新しい商品にはそれが反映されることになります」。

Pluangは、Ajaib(アジャイブ)、Bibit(ビビット)、FUNDtastic(ファンドタスティック)など、最近資金調達を行ったインドネシアの金融アプリの1つだ。いずれの企業も、高額な手数料がかかる伝統的な証券会社に代わるものを提供することで、投資をより多くの人が利用しやすいものにすることを目指している。

関連記事:ミレニアル世代と初心者に焦点を当てるインドネシアの投資プラットフォームAjaibが26億円調達

インドネシアでは、個人投資家は人口のごく一部に過ぎないが、その数は特に18歳から30歳の間で増加している。その背景には、新型コロナウイルス感染流行時に資金計画への関心が高まったことや、株のインフルエンサーの台頭など、さまざまな要因が重なっている。

Openspace Venturesの設立パートナーであるShane Chesson(シェーン・チェッソン)氏は、声明の中で次のように述べている。「Pluangは、業界をリードするユニットエコノミクスで、この12カ月間における驚異的な成長を示しました。インドネシア人全員が貯蓄を増やせるようにするという同社の野望を持続的に加速させるために、引き続きチームをサポートできることをうれしく思います」。

関連記事:インドネシアの投資アプリFUNDtasticがシリーズAで8億円を獲得、狙いはZ世代

カテゴリー:フィンテック
タグ:Pluang資金調達インドネシア投資

画像クレジット:Fajrul Islam / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Match Groupが素性調査を行う非営利団体Garboに数億円の資金を投資

Tinder(ティンダー)、Match(マッチ)、OkCupid(オーケーキューピッド)、Hinge(ヒンジ)など、人気出会い系アプリの親会社であるMatch Group(マッチ・グループ)は、素性調査プラットフォームGarbo(ガーボ)に7桁ドル(数億円)の投資を行ったと、米国時間3月15日発表した。Match Groupのユーザーがオンラインで相手を選ぶときに、適切な情報を元に判断できるようにするのが狙いだ。この取り引きにより、MatchはGarboと親密に協力し合い、2021年後半にはTinderに素性調査技術を組み込み、その後、Match Groupが米国で展開している他の出会い系アプリにも導入していく予定だ。

ニューヨークを拠点とするGarboは、2018年、Kathryn Kosmides(キャサリン・コズミズ)氏によって設立された。コズミズ氏はジェンダーに基づく暴力の被害から立ち直った人物であり、暴力事件を起こした経歴が疑われる人物に関する重大な情報を、誰もが簡単に調べられるようにしたいと考えた。

画像クレジット:キャサリン・コズミズ氏(Match Group)

通常、非営利団体によって提供される素性調査サービスは、麻薬犯罪や軽い交通違反など、広範にわたる個人情報を表面化させてはくれるが、必ずしも暴力や虐待に関連するものとは限らない。しかも、料金は立場が弱い側のコミュニティに課せられることが多く、ジェンダーに基づく暴力には対応していないとGarboは指摘する

Garboは逮捕、有罪判決、接近禁止命令、迷惑行為、その他の暴力犯罪などに関連する公共の記録と、暴力や虐待に関する報告のみを収集し、低価格で素性調査サービスを提供している。このサービスは、相手の氏名、またはファーストネームと電話番号を入力するだけで利用できる。出会い系アプリに登録される個人情報は、大抵はこの程度しかないからだ。

するとこのサービスは「公正素性」チェックを行う。つまり、調査結果から麻薬所持容疑や飲酒または麻薬を使用しての運転、危険運転致死罪などを除外した内容が示される。

2020年、Garboはニューヨーク市エリアの500人を対象に、この技術のベータテストを実施した。するとたちまち、口コミだけで予約希望者が6000人にまで膨れ上がった。後にGarboは、この技術が全国規模で展開できる可能性を感じてテストを中止した。一般公開する前に、その準備を整えたかったからだ。

金銭的な支援をほとんど受けていない小さな非営利団体であったGarboは、そのためには大規模なパートナーが必要だと気がついた。その後、コズミズ氏はMatch Groupの安全関連の新責任者Tracey Breeden(トレイシー・ブリーデン)氏と知り合い、両者は、その技術を米国中のもっと多くのオーディエンスへ届けるために協力し合うことで合意した。

「あまりにも長い期間、世界中の女性や社会から阻害された人々は、数々の障壁に阻まれ、資源と安全から遠ざけられてきました」と、Match Groupの安全および社会的擁護責任者のブリーデン氏は、本日のニュースに関する声明の中で述べている。「企業は、そうした障壁を、テクノロジーと行動に根ざした真の協働によって取り除く役割を果たせるものと、私たちは認識しています。Match Groupとの提携により、Garboの思慮深く画期的な消費者向け素性調査は、情報による力と権利を利用者に提供し、テック界全体における安全な人間関係とオンラインコミュニティに通じる公平な道作りの一助となります」と彼女は話す。

Match Groupによる出会い系アプリの機能強化を目的とした外部の安全技術提供者への投資は、これで2回目になる。2020年初め、同社は、Tinderとその他の出会い系アプリに新たな安全機能を組み込む目的で、Noonlight(ヌーンライト)に投資を行っている。これは、ProPublica(プロパブリカ)とColumbia Journalism Investigations(コロンビア・ジャーナリズム・インベスティゲイションズ)が2019年12月に共同執筆した記事で激しく非難されたことを受けての対応だ。この記事では、Match Groupが既知の性犯罪者たちにアプリの使用を認めていたと伝えている。さらにMatch Groupには同社の出会い系アプリ利用者の素性調査に一環した指針がなく、利用者の安全は、利用者自身に責任を押しつけていたとも指摘している。

それに対して、Tinderの最大のライバルであるBumble(バンブル)は、Tinderのような旧来の出会い系アプリよりも女性に優しいことを売り言葉にし、悪質な人間から利用者を守るためにデザインされた機能を数多く展開した。最も新しいものとしては、悪質な人間が「Unmatch」(マッチ解除)を利用して自分の素性を隠す行為を阻止する手段がある。

「安全ではない」アプリという評判は、Tinderのみならず、オンライン出会い系アプリ業界全体に重大なダメージを及ぼすため、Match Groupがその問題に対処するための直接投資を決めたことは納得できる。例えばNoonlightへの投資では、Uber(ウーバー)やLyft(リフト)が採り入れているものと似た、Tinderアプリの中で目立たない形で緊急通報できる機能や不正防止対策などの導入をMatch Groupは約束した。

Match Groupによれば、Garboはこの新しい資金を使って、製品、エンジニアリング、管理を担当する人材を雇用する予定だ。これには、エンジニアリングの責任者や中心的チームとなるエンジニア5人なども含まれる。このチームは、自然言語処理やAIなどのテクノロジーを駆使して、Garboの数々の能力を構築することになっている。

Garboはまた、Match Groupからの時間と資源の多大な貢献に力を得て製品を完成させ、それをTinderを手始めに、Match Groupの各製品に展開していく。一方Match Groupは、Garboの技術を、配車サービスなどの他のプラットフォームでも利用できるようにする同非営利団体の取り組みを後押しする。

ただし、Tinderで展開される場合は素性調査は有料になる。

とはいえMatch Groupでは、利用者の反応、どれだけの人が使いたがるか、どれほどの調査を利用者が求めるかなど、さまざまな要素に基づいて価格を設定すると話している。また、どれだけ深く統合するか、つまり、アプリからGarboへの外部リンクにするのか、アプリ内の一機能のようになるのかなど、そのかたちも未定だ。

Match Groupでは、この機能を展開する時期をTinderは「2021年後半」、他の出会い系アプリはそれ以降と述べるだけで、具体的には示していない。同社では、今後数カ月内に、米国以外の利用者に向けたサービスのための同類の投資を行うことも検討しているようだ。

カテゴリー:パブリック / ダイバーシティ
タグ:Match GroupGarbo投資マッチングアプリジェンダー

画像クレジット:Tinder

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(文:Sarah Perez、翻訳:金井哲夫)

スクーターシェアのBirdが欧州での拡張計画に約160億円を注入、拠点数を倍に

マイクロモビリティシェアリングのスタートアップBird(バード)が、2021年50以上の都市での立ち上げを含め、欧州の拡張計画に1億5000万ドル(約160億円)を投資すると述べた。この動きにより、この地域での拠点数が2倍になるという。

この成長計画はすでに進行中であり、Birdは最近、同社のスクーターをノルウェーのベルゲン、スペインのタラゴナ、イタリアのパレルモに持ち込んだ。

Birdは、欧州での拡大は地理的な拡大以上のものになると強調した。同社は、すでに進出している50近い都市で展開している乗り物にスクーターを追加すると述べた。発表の一環で他にもいくつか約束をした。その中には新しいモビリティ製品の導入計画や安全イニシアチブ「乗り物の次世代のリサイクルとセカンドライフアプリケーション」、エクイティプログラムへの投資「地域全体でのパートナーシップの確保」などが含まれる。

こうした新しいモビリティ製品や、安全性やリサイクルに関するイニシアチブの今後ははっきりしない。Birdの広報担当者は、それらがこの地域での新しい乗り物であり「輸送手段」になるだろうと語った。同社は「パートナーシップを確保する」ということの意味について詳細を明らかにしなかった。このフレーズは、Bird Platformと呼ばれるフランチャイズプログラムの延長や、地方自治体や事業者との他の種類の取り決めを意味しているのかもしれない。2018年11月に最初に導入されたBird Platformの下、同社は独立オペレーターに利用料金の一定割合を渡して、スクーターの管理を任せている。

Birdは、その計画に先週発表した補助金付きライドパスのようなプログラムが含まれると述べた。

同社は、社内人材からRenaud Fages(ルノー・ファッジ)氏をオペレーション責任者に、Brendan O’Driscoll(ブレンダン・オドリスコール)氏を製品のグローバル責任者にそれぞれ昇進させ、取り組みを主導させる。

Birdがこの拡張をどう賄うかは、同社の計画と同じくらい興味深い。広報担当者はTechCrunchに、さまざまなイニシアチブに資金を供給するために「既存のリソース」を使用していると語った。しかし、パンデミック、Circの買収、既存のフリート(乗り物)を維持しながら新しい都市での操業を開始する試みにより資金が枯渇した(2020年6月、BirdはCircが運営していた中東の複数の都市でスクーターシェアリングを停止した)。同社が最後に公にした資金調達の発表は1年以上前だった。同社は2019年9月にシリーズDラウンドで2億7500万ドル(約300億円)を調達した。その後、同ラウンドは3億5000万ドル(約380億円)に拡大されている。

関連記事:
電動キックスクーターのBirdがベルリン拠点の同業Circを買収
Birdが買収したスクーターシェアCircの中東事業を停止、スクーター1万台を処分

The Informationは、Birdが新しい資金へのアクセスに近づいたと報じている。The Informationは1月に、既存の投資家であるSequoia CapitalとValor Equity Partnersがリードして、Birdが1億ドル超(約110億円)をコンバーチブルデットで調達する契約を締結しているところだと報じた。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Bird投資

画像クレジット:Bird

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

持続可能な自動車製造を目指すBMWが二酸化炭素を排出しない製鉄技術を開発したBoston Metalに投資

Boston Metal(ボストン・メタル)が開発した二酸化炭素を排出しない鉄鋼生産技術を支援する投資家グループに、BMWが加わった。

ボストンを拠点とするこのスタートアップ企業は、TechCrunchでも報じたように、2021年初めに5000万ドル(約54億5000万円)の資金調達を目標としていたが、同社の関係筋によると、BMWが加わったことでこのラウンドは終了したとのこと。

関連記事:ビル・ゲイツ氏が支援するBoston Metalが金属産業の脱炭素化を目指し51.6億円調達

自動車メーカーの投資部門であるBMW iVentures(BMW iベンチャーズ)の支援を受けることで、Boston Metalはより持続可能な製造方法を大規模に求める企業と関係を築くことになる。例えば、欧州にあるBMWグループのプレス工場では、年間50万トンを超える鉄鋼を加工しているという。

「当社は、サプライヤーネットワークにおいて、生産時のCO2排出量が最も多い原材料や部品を体系的に特定しています」と、BMW AGの取締役会メンバーであり、購買およびサプライヤーネットワークを担当するAndreas Wendt(アンドレアス・ヴェント)博士は、声明の中で述べている。「鉄鋼もその1つですが、自動車の生産には欠かせません。そこで私たちは、鉄鋼のサプライチェーンにおけるCO2排出量を継続的に削減することを目指しています。2030年までに、CO2排出量を現在よりも約200万トン削減する必要があります」。

従来の鉄鋼生産では、二酸化炭素を排出する高炉が必要だが、Boston Metalによると、同社が開発した方法では、電気分解セルで鉄鋼に加工される銑鉄を生産することができるという。

Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏が率いるBreakthrough Energy Ventures(ブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズ)をはじめとする既存の戦略的・財務的投資家とともに、BMWは業界に莫大な影響力を持つ企業パートナーとしてこの投資家グループに加わり、今回の資金調達プロセスを締めくくることになった。

「当社の投資家は、上流の鉱山・鉄鉱石会社から下流の最終的な顧客まで、鉄鋼のバリューチェーン全体に及んでおり、高品質の鉄鋼を競争力のあるコストで大規模に生産できるBoston Metalの革新的なプロセスを評価してくれています」と、最高経営責任者で創業者のTadeu Carneiro.(タデウ・カルネイロ)氏は述べている。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:BMW二酸化炭素Boston Metal資金調達環境問題投資持続可能性

画像クレジット:aydinmutlu / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Tiger Globalがインドの若いSNSに約190億円規模の投資を検討中

新しいソーシャルネットワークが生まれる余地はないと、誰が言っただろうか?

Tiger Global Managementは設立から7カ月のKutumbに1500万〜2000万ドル(約16億〜22億円)のラウンドを行うための交渉を進めており、インドの新興企業である同社の評価額は約1億7000万ドル(約190億円)になると、この件に詳しい4人がTechCrunchに語った。

米国の投資会社であるTiger GlobalはKutumbに条件を提示したが、シリーズAの取引はまだ終了していないと、関係者の何人かが匿名を条件に語った。いつものことだが、条件が変更されたり、取引が実現しなかったりする可能性もある。

ヒンディー語で「家族」を意味するKutumbは「文化、信条、信念、興味、職業」に基づいてコミュニティをつなぐ「Redditのようなプライベートソーシャルネットワーク」を構築している。

モバイル調査会社のApp Annieによると、このスタートアップの名を冠した6カ月前のKutumbアプリの月間アクティブユーザー数は1100万人を超え、2020年12月の約55万人から増加している(このデータは業界幹部がTechCrunchに伝えたものだ)。

Kutumbは2020年末にSequoia Capital IndiaのSurgeアクセラレーターから資金を調達した際、約1500万ドル(約16億円)の評価を受けた。調査会社のTracxnによると、同社はシードファイナンスラウンドで約250万ドル(約27億円)を調達した。

Tiger Globalはコメントを控えた。またKutumbの共同創業者の1人もコメントに応じなかった。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:KutumbTiger Global Management投資インドSNS

画像クレジット:Sanjeev Verma / Hindustan Times / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:塚本直樹 / Twitter

長崎に世界からスタートアップを呼び込むためジャパネットとペガサスが約54億円の投資ファンドを設立

企業のスタートアップ投資ファンドの立ち上げを支援するPegasus Tech Ventures(ペガサステックベンチャーズ)は米国時間3月9日、日本最大級のテレビショッピング企業であるジャパネットとの新たな提携を発表した。両者は5000万ドル(約54億円)のベンチャー投資ファンドを設立し、長崎の大規模な地域新開発を含め、世界のスタートアップに投資する。

ジャパネットは、新たな分野への進出を支援するスタートアップを募集している。2024年にオープンする長崎のスタジアムシティという建設プロジェクトもその1つだ。これはスポーツスタジアムを中心にオフィス、商業施設、ホテル、イベント会場など、周辺の複合施設が含まれる。ジャパネットはまた、高齢者向けの新しいサービスや子どもたちへの教育支援にも力を入れていく計画だ。

ペガサステックベンチャーズのジェネラルパートナー兼最高経営責任者であるAnis Uzzaman(アニス・ウッザマン)氏がTechCrunchに語ったところによると、スタジアムシティは長崎経済の活性化を支援し、世界中からテックを含む新しい製品やサービスを同市に呼び込むことが目的だという。ジャパネットの計画は「初期段階のスタートアップと時間をかけてソリューションを共同開発することと、後期段階のスタートアップがスタジアムシティでローカライズして展開するのを支援することの両方を計画しています」と、ウッザマン氏は語った。

ペガサステックベンチャーズのチームは、ジャパネットが北米、イスラエル、ヨーロッパ、アジアを含む世界中のスタートアップをスカウトするのを支援する。同社は現在、15億ドル(約1630億円)の資産を運用している。同社が「Venture Capital-as-a-Service(ベンチャーキャピタル・アズ・ア・サービス)」プログラムを通じて協力してきた企業には、台湾のAsus(エイスース)や、日本ではジャパネットの他に、セガサミーホールディングス、サニーヘルス、インフォコム、アイシン精機などがある。同社の投資先には、SpaceX(スペースエックス)、23andMe、SoFi(ソーファイ)、Bird(バード)、Color(カラー)、App Annie(アップアニー)などのスタートアップが含まれる。

ジャパネットの投資ファンドによるアーリーステージのスタートアップに対する典型的な投資額は、10万ドル(約1090万円)から100万ドル(約1億900万円)の範囲となる。後期のスタートアップは、100万ドルから500万ドル(約5億4500万円)の間で投資を受ける。同ファンドの支援を受けたスタートアップ企業は、ジャパネットの他、三菱地所設計、JLLモールマネジメント、MSCクルーズジャパンなどの企業パートナーと綿密に連携することになる。

画像クレジット:ImpossiAble / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Hirokazu Kusakabe)