教師が盗作と戦うためのツール「Google Assignments」が登場

Google(グーグル)の教育部門であるGoogle for Educationは米国時間8月14日、新学期に合わせて教師が盗作と戦うためのツールAssignmentsを発表した。これは前にCourseKitと呼ばれていたソフトウェアのアップデートで、教師が生徒の作品を調べて、引用のマナーが正しくて盗作がないことをチェックする機能が新たに加わっている。

Googleによると、この新しいツールは生徒の利益にもなる。つまり生徒は自分の作品を提出前にこのツールのチェッカーに最大3回かけて、作品がオリジナルであることをチェックできる。

それは生徒にとってエラー修正の機会にもなるし、また教師にとっては評価の作業が楽になる。

しかしこの、今回アップデートされてGoogle Assignmentsになったプログラムには、盗作チェック以外のこともできる。

AssignmentsGif

このソフトウェアにはGoogle DocsやGoogle Drive、そしてGoogle検索の機能も組み合わさっているので、宿題などの作成と管理もできる。すなわち、それらを集める、点をつける、生徒に対しフィードバックする、といった作業だ。それプラス、今では盗作チェックもできる。

コメントバンクという機能を利用すると、同じようなフィードバックを毎回新たに書かなくてもすむ。また参考文献などのファイルを、コピー(ゼロックスなど)を使わずに生徒に渡せる。宿題の評価は、次々と対象生徒を変えながら赤点を入れていくことができる。

盗作チェック機能は、「Originality Reports」(オリジナリティー報告書)と呼ばれている。教師は、引用が正しく引用扱いされていない箇所や、そのほかの問題点を見つけることができる。そのためにこのツールは、Googleによると、生徒のテキストを「何千億ものウェブページや数千万冊の書籍」と比較対照する。

Assignments2Gif

生徒はこのチェック機能を、ひとつの宿題や課題に対して最大3回利用できる。これによって見過ごし箇所を直せるが、長いレポートの複数箇所を、盗作の発見を避けるために書き直すことはできない。

生徒は宿題や課題にOriginality Reports付けて提出できるので、教師は引用が正しくない箇所や、ウェブページや書籍などの出典が記されていない箇所を見つけやすくなる。

OriginalityReportsGif

G Suite for EducationのプロダクトマネージャーであるBrian Hendricks(ブライアン・ヘンドリクス)氏は、このツールの発表声明で「今の学生や生徒は難しい問題に直面している。インターネットの上でありとあらゆる考え方を探求できるが、そういう外部の発想と自分自身の独自性をどうやって均衡させるのか?生徒たちはほかの人たちの考えと自分自身の考えの境界を正しく見つけなければならないし、何らかの出典を引用するときの正しいやり方とその正しい場所をわきまえないといけない。これらは、本当にすごく難しい問題だ」と述べている。

この盗作チェック機能は本日からベータ版のテストに入る。学校や教師への招待状は数週間以内に送付される。Assignments自体は、G Suite for Educationの正規ユーザーが無料で利用できる。

このソフトウェアは学校の学習管理システムの補助ツールとして利用してもよいし、あるいは学校のアドミンがこれを、Googleではなく既存の学習管理システムに統合してもいい。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonは社員再教育に800億円相当を投じ全社員の3分の1を高度な職種に再配置

【抄訳】
米国時間7月11日、Amazonは7億ドル(約800億円)を投じて米国の労働者を再教育し、彼らをスキルのある技術職や非技術職に移動していくと発表した。その具体的な新しい職場は、会社のオフィスやテクノロジーハブ、フルフィルメントセンター、リテールストア、輸送ネットワークなどだ。それによる同社の目標は、2025年までに米国の同社従業員10万名をスキルアップすることで、それはAmazonの全米の労働者の3分の1に相当する。

発表によると、Amazonが特に欲しいのはデータマッピングのスペシャリストやデータサイエンティスト、ソリューションアーキテクト、ビジネスアナリスト、さらにロジスティクスコーディネーター、工程改善マネージャー、そして輸送運送(トランスポーテーション)のスペシャリストだ。同社のワークフォースと米国の雇用の現況を見るかぎり、これらは過去5年間の雇用増加率の最も高い、そして高度なスキルの職種だ。

Amazon自身のデータによると、データマッピングスペシャリストの過去5年間の雇用増加率は832%、データサイエンティストは505%、ソリューションアーキテクトは454%、セキュリティエンジニアは229%、ビジネスアナリストの雇用は160%の増加だ。また、高度なスキルを持つカスタマーフルフィルメント(顧客対応)の職種は400%の増加となっている。

Amazonの米国のワークフォースは今年30万名に達すると予想され、全世界では従業員数63万名となる。この再教育投資は、ワーカー1人あたり約7000ドル(約76万円)となり、企業の社員再教育事業としてはこれまでで最大である。

資金は既存の事業と新しい教育事業の両方に分散され、また技術的学歴経験のある者とない者の両方に等しく注力していく。新しい社員再教育事業としては、まずAmazon Technical Academyが非技術系のAmazon社員にスキルを付けてソフトウェアとエンジニアリングのキャリアへ移行させる。Associate2Tech事業はフルフィルメントセンターの学卒者を技術職へ移動する。そしてMachine Learning Universityは技術的経験学歴のある者を機械学習へ向けていく。

そのほか既存の事業であるCareer Choice事業(フルフィルメントセンター学卒者の再教育)、Amazon Apprenticeship(見習い制度)、AWS Training and Certificationなども活用する。

【後略】

画像クレジット: Ted S. Warren/AP

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

子供たちに誤報やフェイクニュースを見分ける方法を教えるGoogleのプログラム

Googleは米国時間6月24日、2年前から提供している子供向けのデジタルセーフティと市民権のためのカリキュラム「Be Internet Awesome」に、メディアリテラシーを取り入れることを発表した。特にいわゆる「フェイクニュース」やその他の偽のコンテンツを見分ける能力に的を絞っている。同社はカリキュラムとして6つの新しいメディアリテラシーアクティビティを用意している。それらは子供たちに、どのようにフィッシング攻撃を避ければ良いか、ボットとは何か、眼の前の情報が信用できるものかどうかをどのように検証すれば良いか、情報源をどのように評価すれば良いか、オンラインの誤報をどのように見分ければ良いか、そして偽URLを見分ける方法などを教える手助けをするものだ。

この新しいメディアリテラシークラスは、The Net Safety Collaborativeのエグゼクティブディレクターであるアン・コリアー(Anne Collier)氏、「The Teacher’s Guide to Media Literacy」(教師のためのメディアリテラシーガイド)の共同著者でありNational Association for Media Literacy Educationの共同創業であるフェイス・ローゴー(Faith Rogow)博士らの協力を得て開発された。率直に言って、この教材を一通り読むべき大人もいるだろう。

「子供たちがテクノロジーを最大限に活用するためには適切なツールとリソースが必要です。また家庭向けにはデジタルのセーフティと市民権のための優れたリソースが既に存在していますが、メディアリテラシーのためにも、さらにできることがあるのです」とGoogleのブログでの発表の中に書くのは、教育者でteachmama.comの創業者であるエイミー・マスコット(Amy Mascott)氏だ。「私は、メディアリテラシーがデジタル時代のセーフティと市民権に不可欠であると信じている多くの教育者たちと協力してきましたが、それは扱うのが難しいトピックであることには同意します」。

新しいコースは、子供たちに単純に知識を与えるだけでなく、オンラインリソースを扱う際に必要となる重要な思考スキルの育成を助ける、アクティビティと議論のネタの組み合わせも提供する。

コース資料が説明している全体テーマは、オンラインで見つけるコンテンツが必ずしも本当のものであったり信頼できるわけではない(さらには、子供たちの情報やIDを盗もうとする悪意のある活動もあるのだ)ということを、子供たちが理解することを助けるものだ。

子供たちは、フィッシングがどのような仕掛けなのか、なぜそれが脅威なのか、そしてどのようにそれを回避すれば良いかを学ぶ。そして、フィッシングに対抗するスキルを、疑わしいオンラインテキスト、投稿、友達申請、画像、そして電子メールなどに対する対応や議論を通して磨くのだ。

ボットセクションでは、AIがどのように機能するかについて学び、ボットと話すことと人間と話すことの違いを比較対照する。

それに続くメディアリテラシーセクションでは、子供たちは信頼できる情報源とは何か、情報源の動機をどのように理解すれば良いかを学び、そして「ある人が、ある分野の専門家だからといって、すべての事柄の専門家ということにはならない」ということを学ぶ。

関連する教室でのアクティビティでは、子供たちは自分がオンラインで見たことやクラスで学んでいることに関連した質問を選び、答えをオンラインで得ながら、同時に情報源が信頼できるかどうかを考えるのだ。

彼らはまた、さまざまな情報源を探す方法として、信頼できる情報源を他の信頼できる情報源と突き合わせて事実確認することを学ぶ。

「もしチェックしたい情報源の内容を裏付けることができる、信頼できる他の情報源が見つからない場合には、最初の情報源を信じるべきではありません」とカリキュラムは説明する。

子供たちはさらに、偽情報を見分けるために、情報源の信頼性をチェックするだけでなく、紛らわしいURLも参考にするように教えられる。子供たちは、こうした手段を知らないために偽情報をオンラインでシェアしてしまう人がいること、それが拡散の原因となることを教えられる。

「世の中にはあまりに自分たちの信じていることに熱中する余りに、真実を捻じ曲げて私たちを彼らに同意させようとする、たくさんの人やグループがあります。ねじれた情報がニュース記事に偽装されている場合には、それは偽情報にほかなりません」とカリキュラムは言う。

子供たちはまた、まるで本物のような名前を使っているために、フェイクニュース組織だと見破ることが難しいものもあると教えられる。

そして教材の中ではウェブサイトが使う様々なトリックを詳細に掘り下げる。例えばストーリーに関係のない写真を使うとか、あるいは「衝撃」「ゆるせない」といった人びとが興味をもつ「クリックベイトワード」に太字、下線、「!」、あるいはすべて大文字といった強調を行って、相手を説得しようとするといった手段を紹介している。

このセクションのまとめは、オンラインゲーム「Reality River」(真実の川)である。このゲームは子供たちに、川を速く渡れるように最良の判断をすることを迫る。これは、Googleのデジタルセーフティと市民権のカリキュラムのために開発された、(インターネットならぬ)Interland上で行われる。

メディアリテラシーコースの全体的な目標は、子供たちがすべてのニュースや情報をチェックする習慣を身に付けることを奨励することだ。

Googleは、新しいカリキュラムは教師と家庭の両方がオンラインで利用でき、英語、スペイン語、その他8つの言語で提供されると述べている。

Googleは、複数の都市でYMCAおよびNational PTAと提携して、オンラインセーフティに関するワークショップも開催している。

【日本版:残念ながらまだ日本語版は存在していない。サイトのFAQによれば、現在ローカル版が(部分的にでも)用意されているのは、アルゼンチン、ベルギー(オランダ語、英語、フランス語)、ブラジル、チリ、コロンビア、イタリア、メキシコ、ペルー、ポーランド、サウジアラビア、英国、そしてもちろん米国である。

現段階で提供されているのは主に英語版とスペイン語版である。記事中の「その他8つの言語」が何かは、Googleのサイト上にも説明がない】

[原文へ]

(翻訳:sako)

Googleが教育者やその他の教室用ツールのためのChromebook App Hubを開始

今年の始めにGoogleは、教師や他のカリキュラム管理者が、教室で使用するための教育ツールやアプリを見つけやすくするためにデザインされたChromebook App Hub(クロームブック・アプリ・ハブ)を構築する計画を発表した。米国時間6月19日、ISTE 2019におけるGoogeの教育発表の一環として同社は正式にApp Hubを立ち上げた。当初のコンテンツは、Epic!、Adobe、Khan Academyなどから提供されている。また同時に、Google Forms、Classroom、Course Kitなどの中の、Quizzesの新機能も公開された。

Googleが以前にも述べていたように、現在教師たちは、レッスンプランを練るために、新しいアイデアやアクティビティを求めてウェブ上を探し回っている。一方、カリキュラムのスペシャリストたちは、教師たちからの特別な要望にうまく応えてくれるものの、要求されたプログラムがその地区の方針を満たしていることを確認することを義務付けられている。

Chromebook App Hubは、教育者たちがアイデアやリソースを発見するための場所を提供し、同時にそれらが教室でどのように実施されるかや、地区の方針を満たしているかどうかを調べられるようにすることで、上記の双方のシナリオにアプローチしようとしている。

GoogleはEdTechTeamと協力して、アプリケーションに関するアイデアを集めたという。

また、非営利団体のSDPC(Student Data Privacy Consortium:学生データプライバシーコンソーシアム)と連携して、アプリ開発者たちが自社製品のデータプライバシーの側面をよりよく考慮できるようにした。こうすることで、各地区は独自のプライバシー要件を満たす適切な解決策を見つけることができる。

「SDPCはChromebook App Hubとの誇らしい協力を通して、学習者の情報を守るべき学校、州、そしてベンダーたちの、重要な側面に関する透明性とオープン性を提供します」と声明の中で語るのは、A4L/SDPCのCEOであるラリー・フルース(Larry L. Fruth II)博士だ。

さらにGoogleは、Family Online Safety Institute(FOSI)ならびにConnectSafelyと、「健康的なデジタル市民権習慣」の育成に焦点を当てたガイドラインの作成で協力している。

立ち上げ時には、Epic!がその子供向け書籍、ビデオ、そしてゲームのライブラリで協力する。Adobeが提供するのはビジュアルストーリーテリングアプリのAdobe Sparkだ。そしてKhan Academyは、数学、文法、科学、歴史、そして標準テストなどのような科目にまたがった、授業の無料ライブラリーを提供する。

もちろん、Cromebookの教室内での価値を高めることが、究極の目的であるため、App Hubのアプリやアクティビティは、Chromebookコンピューター上で実行されるようにデザインされている。

学校や各教室は、デバイスにとっての新しい戦場であり、Google、Microsoft、そしてAppleは、すべてK-12市場でのさまざまな動きに投資している。

例えば、昨年Appleは、Googleに追いつくためにデザインされた新しいiPadを発表し、より多くの学区での採用を狙った。今月初めに行われた開発者会議では、Appleは教育フレームワークClassKitと、教師のための無料アプリSchoolworkの新機能も披露している。

とはいえ、GoogleのChromebookは、そのシンプルさ、価格、およびIT部門向けツールによって、現在の米国のK-12市場で支配的な立場を占めている。 2017年の時点での市場の占有率は、Microsoft Windowsが22%、Appleが19%であるのに対し、Chromebookは58%を占めている。

App Hubの立ち上げに加えてGoogleは、生徒たちが自分の提出課題がどのように評価されるのかを知ることができるように、教師がルーブリックを作成して課題に添付することができるようにする(教師向けの)ベータプログラムを開始した。ルーブリックは、ClassroomとCourse Kit両方で作成することができる。

また、生徒たちが回答を送信するまで移動することができないようにするために、マネージドChromebook上のGoogle Forms内のQuizzesを、教師がロックできるようにするツールも提供された。また、Googleは教師が以前に使われたFormsの中から、新しいFormsの中に質問を取り込んでくる機能を、ほどなく公開するとも語っている。

Googleはまた、アップデートされたGradebookも提供する。これは生徒の進捗状況をより総合的に提供し、さらに教師が成績をClassroomからSchool Information System(SIS)に同期させるプログラムの、早期アクセス版も提供している。早期アクセスベータプログラムは、今年の夏に学校で利用できるようになる予定である。最初のパートナーはInfinite CampusとCapita SIMSだが、更に多くのパートナーの参加が予定されている。

[原文へ]

(翻訳:sako)

子ども専用ラズパイ開発の英国スタートアップがマイクロソフトと組んで300ドルPC販売へ

Kano(カノ)は、英国ロンドンに拠点を置き、子ども向けのコンピューティングおよびコーディング教育のためのハードウェアを製造するスタートアップ。米現地時間6月19日、大きな成長への一歩を踏み出した。同社はMicrosoft(マイクロソフト)と提携し、Kano PCを発売する。このマシンは、11.6インチのタッチパネル式ディスプレイ、Intel Atomプロセッサーを搭載し、同社製品として初めてWindows(厳密にはWindows10 S)が走る。今回の提携の一環として、マイクロソフトはKanoに非公開の投資も行う。

Kano PCは、現在、Kano.meおよびMicrosoft Storeで予約受付中。価格は299ドル99セントまたは299ポンド99ペンス。10月に出荷が始まる。2019年10月21日からは、英国、カナダ、英国の特定の小売業者からも販売される。Windows対応デバイスへの移行はKanoにとって非常に意味深い。

このスタートアップは、Raspberry Piを中核にしたデバイスを開発し、Kickstarterキャンペーンで人気を博したことで名を挙げた。これまでの数年間は、同社が標榜するDIY精神により形作られてきた。

Kanoの創設者でCEOのAlex Klein(アレックス・クライン)氏によれば、KanoはRaspberry Piベースのデバイスを今後もサポートしていくが、新たにRaspberry Piベースのハードウェアを開発するかどうか、まだそのロードマップは定まっていないという。

「Raspberry Piデバイスも、低価格帯のポートフォリオで存続しますが、このマシンは、より幅広い年齢層に向けてデザインされました。これは正式なWindows PCなのです」とクライン氏は言う。

Kanoのラインアップは、現在、6歳から13歳の子どもたちの間で広く使われ人気を集めている。クライン氏の説明によればKano PCはK-12(幼稚園年長から高校卒業まで)デバイスだが、現在の対象年齢層の前後に幅を広げるには「ブランディングに時間がかかるかも知れない」とも彼は認めている。
それを実現するために、マイクロソフトとの提携により提供される以下のソフトウェアがある。

Make Art
Coffeescriptで高品質な画像のコーディングを学ぶ。
Kano App
簡単な手順とプログラムを使って魔法の効果から冒険の世界まで、ほぼあらゆるものを作り出す。
Paint 3D
3Dモデルの製作、シェアができ、3Dプリンターに送ることもできる。
Minecraft: Education Edition
いくつもの賞に輝く創造的なゲームをベースにした学習プラットフォーム。
Microsoft Team
新しいプロジェクトやコンテンツの入手や、自分の作品をシェアができる(子ども向けのSlackみたいなものだ)。
Live Tiles
自分だけの創造的なプログラムを自分のダッシュボードに直接表示できる。

これまで中核的ユーザー層(コンピューターやコーディングに興味のある子どもたちと、コンピューターとコーディングへの興味を子どもたちに持たせたいと願う親たち)を惹きつけてきたKanoは、その人気に応えるべく、同社のシンプルなコンピューターと連動して使えるアクセサリーを数多く発売してきた。また、ユーザー層に応じたスマートなテクノロジーおもちゃも作っている。昨年、同社はハリー・ポッターの魔法の杖を販売した。自分で作って、プログラムして、遊べるというものだ。CEOのクライン氏はインタビューのなかで、この種の新製品が、Kanoから間もなく続々と発表されることをほのめかしていた。

マイクロソフトとの提携により、同社は当初の顧客層を超える幅広い人々の間にも、Kanoの高い評価を広めることになるだろう。またこれは、すでにマイクロソフトが大きく力を入れている教育環境に参入するための、新たな入口を開くことにもなりそうだ。

それは、今回の提携のもうひとつの興味深い側面でもある。マイクロソフトは教育環境にソフトウェアとハードウェアを販売してきた長い歴史を誇るが、これは、背後に控えた新たなブランド、つまり子どもに特化したブランドとしてその持ち札に多様性をもたらす。大人向けのブランドの機能を縮小して(でも値段はそのまま)子ども向けとしたようなものとはわけが違う。

「Kanoと提携してKano PCを販売できることで、私たちは大変に興奮しています。私たちはKanoと目標を共にして、教室での体験を、教師も生徒も同じく楽しめるものにして、未来を、想像するだけでなく、実際に作り上げる力を与えたいと思っています」とマイクロソフト教育担当副社長を務めるAnthony Salcito(アンソニー・サルチート)氏は声明の中で述べていた。

これまで、地味ながら大きな成功を遂げてきたKanoは、数多くの支援者から5000万ドル(約54億ドル)ほどの投資を集めてきた。そこには、Marc Benioff、Index Ventures、Breyer Capital、Troyをはじめとする投資家が名を連ねている。クライン氏は、近い将来、新しいエクイティ投資を検討する可能性があると話しているが、それ以上のコメントは聞けなかった。

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

マイクロソフトは2022年までに1万5000名の労働者にAIのスキルと資格証明を賦与

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間5月17日朝、同社が教育プロバイダーのGeneral Assemblyと提携して、一定範囲のAI関連スキルの資格証明と教育訓練に投資すると発表した。目標は2022年までに1万5000名を教育訓練して、世界中で多くのAI人材を確保することだ。教育訓練のフォーカスはAIと機械学習、データサイエンス、データエンジニアリングなどに置かれる。

この新事業の初年度には2000名を教育訓練してAIと機械学習のロールに移行させる。そしてその後の3年でさらに1万3000名にAI関連のスキルを教育訓練する。

この取り組みの一環としてMicrosoftは、他社とともにGeneral AssemblyのAIのStandards Board(スタンダード委員会)に加わる。今後の6カ月でこの委員会は、AIスキルのスタンダードを定義し、評価の基準を開発、キャリアのフレームワークを設計、そしてAIスキルの資格証明書を作る。

教育訓練事業は、現在需要のあるAI関連雇用を満たすことにもフォーカスし、そこではMicrosoft固有の技術も学習する。Microsoftによれば、航空宇宙や製造業などいくつかの業種では、Azureを使いこなせるような社員がとても少ない。そこで教育訓練のフォーカスは、AI人材を雇用したいと思っている企業のそのような、Microsoft固有技術のニーズにも対応していく。

また人材ネットワークAI Talent Networkを作り、そこから長期雇用の人材や契約労働者を見つけられるようにする。General Assemblyは、22の大学キャンパスや求人求職サイトAdecco(アデコ)にも縁があるので、この人材ネットワークをアシストできる。Adeccoは昨年General Assemblyが41300万ドルで売った企業だ。

Microsoftはこの事業の背景として、雇用創出へのAIのインパクトを挙げている。2022年までには、新しいテクノロジーによって最大13300万の新たなロールが作り出されるそうだ。もちろん、同社のソフトウェアやクラウドの顧客がAzureのような同社製品を使える人々を楽に見つけられるようになるという計算もある。

Microsoftでグローバル営業、マーケティング、オペレーションを担当する執行副社長であるJean-Philippe Courtois氏は声明で「テクノロジー企業がイノベーションにコミットしていくときには、労働者がAIの教育訓練にアクセスできて、今日と明日の職場で伸びていけるようにする責任がある。我々の業態とGeneral Assemblyの専門的技術が組み合わされば、スキルのギャップをなくし、企業はAIに駆動される経済において自らのポテンシャルを最大化できる。その成果が今からとても楽しみだ」と述べている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

レゴがSTEM教育用Star Warsキットを発売へ

レゴほどのシナジー効果を持ったブランドは、他にはまったく見当たらない。 レゴは長年にわたりStar Warsの最大のライセンシーの1社として知られている。そして今回初めて、そのライセンスを同社のSTEM教育用キット、レゴブーストに適用した。

デンマークに本拠を置くレゴは、今年のスターウォーズデーに合わせて、LEGO Star Wars Boost Droid Commanderセットの発売を明らかにした。レゴブーストシリーズに共通する教育的な性格は活かしつつ、Star Warsに登場する伝統的な3体のロボットを組み立てるものとなっている。

子供たちは、このキットを使ってR2-D2、ゴンクドロイド、マウスドロイドを組み立て、全部で40通りのミッションに沿って命令を与えることができる。その過程で、組み立てとプログラミングが学べるようになっている。史上最も人気の高い映画シリーズを前面に出すことで、勉強臭さを和らげようという効果的な手法だろう。似たようなアプローチは、数年前に登場したlittleBitsのDroid Inventor Kitも採用していた。しかしレゴは、Star Warsのキャラクタをうまく利用することにはずっと長けている。

このセットには、全部で1177ピースの部品と、カラーセンサー、距離センサー、そしてロボットを動かす制御付きモーターが含まれている。これらすべてを、Android、iOS、さらにはFire OSを搭載したデバイス上で動作する新たなBoost Star Warsというアプリで動かすことができる。このアプリには、Xウィングの戦闘を手助けしたり、潜んでいる反乱軍を探し出すといったミッションが仕込まれている。

このシステムの発売日は9月1日に設定された。続三部作の最終話「スター・ウォーズ/ザ・ライズ・オブ・スカイウォーカー」の封切りに合わせたものだ。

[原文へ]

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Amazonがテクノロジー教育のNPO FIRSTと組んでロボティクス教育の助成事業を展開

今週の半ばにAmazonは、Canvasの買収を発表した。このあまり知られていないコロラドのスタートアップは、倉庫における配送業務のための自動運転システムを作っている。それは未来の倉庫の自動化を真剣に考えている同社の、最近の一連の動きの中では最新の動きだ。

昨年同社は。Amazon Future Engineerの立ち上げを発表した。それは教室におけるSTEM教育の便宜を提供する事業だ。その事業の立ち上げを支援してもらうためにAmazonは、STEM振興の非営利団体FIRSTとパートナーして、とくに恵まれない人びとにロボティクス教える一連の助成事業を作ろうとした。

その計画は21の州の100校で、今年の秋から動き出す。事業にはFIRSTのロボティクス授業チームの支援や先生の教育が含まれ、さらに10000ドルの助成により地元のAmazonフルフィルメントセンターの見学旅行も行う。同社の倉庫には現在、計10万台あまりのロボットがいる。

FIRSTのファウンダーであるDean Kamen氏がニュースリリースでこう言っている。「われわれのロボティクス授業チームと活動をすべての学校に提供していきたいが、Amazonはこの目標の実現を助けてくれる。FIRSTでは、授業に参加するすべての子がプロになれる。FIRSTの授業には、テクノロジーやコンピューター科学や生産工程の実際を体験する実習課程もある。それによって児童生徒は前進し、イノベーションを着想することもできる」。

今年初めにAmazonは、同社の第2本社のローンチ(こちらはのちに廃案になった)の前にニューヨーク地区の教室で同社の投資によりテクノロジー教育を展開する、と発表した。左のリンクの記事は、ニューヨークのAmazon第2本社は廃案でも教育事業の方は続く、と報じている(未訳)。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

オンライン学習の仏OpenClassroomsが修士号取得のためのAIコースを開設

フランスのオンライン学習コースOpenClassroomsが、新しいパートナーシップにより修士レベルのコースを始めようとしている。このコースに登録した学生は、人工知能に関する完全にオンラインの課程にアクセスできる。そして卒業したら企業に就職し、この事業のパートナーであるマイクロソフトも一部を雇用するだろう。

OpenClassroomsは、さまざまなテーマに関する人びとの学習意欲に応えるための、大規模でオープンなオンラインコースとして始まった。そしてその後、完全な卒業証書と学位をもらえる6か月から数年を要する長期コースも始めた。

OpenClassroomsはフランスの正式な学位を提供し、今後アメリカやイギリスでも同じことをしようと計画している。毎週メンターと対話して進捗状況を話し合えるから、完全な自学自習ではない。同社の場合、このやり方がとてもうまくいっている。

オンラインのコースは、学位を取るコストが通常の大学より低いし、時間/日/学期などのスケジュールの組み方に柔軟性がある。また同社は、卒業後6か月以内に就労できることを保証している

最近OpenClassroomsは、企業とパートナーして新入社員教育を提供している。その間新人は、週に数日出勤し、他の日はネットでOpenClassroomsを受講する。企業はそれにより各新人社員の適性がわかるし、一方社員は自分で金を払って基礎知識などを学習せずに済む。OpenClassroomsにお金を払うのは、社員ではなく企業だ。UberやDeliveroo、Capgemini、BNP Paribasなど数十社が、この新入社員教育事業を利用している。

マイクロソフトは、OpenClassroomsのデータサイエンスや機械学習、人口知能一般など学位取得コースの構築を助ける。同社は、学習コンテンツと実習プロジェクトの両方を提供する。最初の受講生は、フランスとイギリスとアメリカの計で1000名を予定している。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

レゴは小学校高学年から中学生向けのエデュケーションSPIKEプライムを発表

米国時間4月2日にニューヨークで開かれた教育イベントで、レゴはエデュケーションSPIKEプライムを発表した。これは同社として最新のSTEAM(Science=科学、Technology=技術、Engineering=工学、Arts=美術、Mathematics=数学)教材で、教室での利用を前提に設計されたもの。具体的には小学校6年生から中学2年生(11歳から14歳)レベルを対象にしている。

このキットは、レゴブロックに、センサー、モーター、そして「プライムハブ」を組み合わせたもの。なんだか、Amazonの新サービスのような名前だが、この製品は、基本的にあらゆるSPIKEの工作で「頭脳」として機能する。

その中には、100MHzで動作するプロセッサ、加速度計、ジャイロスコープ、スピーカー、ディスプレイが内蔵され、6つの入出力ポートを備えている。このシステムは、専用アプリをインストールしたモバイルデバイスでコントロールできる。そのアプリには、ちょうど45分で学習が完了できるようなレッスンが数本含まれている。生徒はアプリを使って学習を始めるところから、Scratchによるプログラミングまでが可能となっている。

「私たちは世界的に、小学校高学年から中学生、特に11歳から14歳まで子供たちの教育に課題があると見ています」と、レゴの教育責任者であるEsben Stærk Jørgensen氏は、この発表にともなうリリースの中で述べている。「その年齢あたりで、子供たちは学習への自信を失い始めます。Confidence Pollのデータによると、ほとんどの生徒は、何かで一度失敗したら、もう一度挑戦することはしたくない、と言っています。SPIKEプライムと、SPIKEアプリに内蔵されているレッスンにより、そうした子供たちも、さまざまな解決策を試すことによって触発され、新しいことに挑戦し、そして最終的には自信を持って学ぶことができるようになるでしょう」。

このシステムは、米国ではすでに予約が可能となっている。ただし、実際に出荷されるのは8月以降だ。

画像クレジット:LEGO

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

ディップが完全無料の学生向け教育サービス「TRUNK」を関連会社化、同社のビジネスモデルとは?

写真左より、TRUNK CEOの西元涼氏、同CTOの布田隆介氏

求人情報サイトなどを運営するディップは、3月13日に学生向けの就業トレーニングサービスを提供するスタートアップのTRUNKを持分法適用関連会社化すると発表した。出資比率や取得金額などは非公開。

ところで、このTRUNKというスタートアップを知っているという読者は少ないだろう。彼らはこれまで外部調達などを行っておらず、メディアへの露出も極端に少なかったからだ。そこでTechCrunch Japanでは、TRUNKの代表取締役である西元涼氏、同CTOの布田隆介氏に同社のビジネスモデルを聞いた。

企業が提供する生のトレーニングを受けられる

TRUNKは学生に向けてエンジニアやデザイナーなど12職種の養成コースを提供するスタートアップだ。コースは現在12種類あり、それらはすべてオフラインで提供される。また、コースの中には企業との提携によって提供するものもあり、それらのコースを受講する学生は実際にその企業のオフィスに行って教育を受けることになる。そのため、TRUNKは単なる教育コンテンツだけでなく、「職業体験」の機会を学生に与えていると言える。

加えて、TRUNKは学生のために就職活動で使えるWebレジュメも発行。コースを修了することで、学んだことを「自分がもつスキル」としてアピールすることができる。提携済みの企業へのインターンも準備しており、学ぶだけではなく、就職することにも重点を置いている。一方の企業は、TRUNKと手を組むことで自分が提供する教育コースに来たやる気のある候補者を効率的に探すことができる。

TRUNK代表取締役の西元涼氏は、「TRUNKの提携先企業には2つのタイプの企業がある。1つは、インターンに応募してくる学生の数は多いが『少人数のやる気のある学生と会いたい』という企業。もう一方は、そもそも知名度がなくインターンの数が集まらない企業です。TRUNKはそれらの企業の課題を解決できる」と話す。

「学生完全無料」という信念

そんなTRUNKの最も大きな特徴は、同社は学生に対してこれらのコースを完全無料で提供しているという点だ。収益源は、提携先企業から受け取る年間180万円のサービス利用料だ。聞けば、「完全学生無料」というTRUNKの創業当初からの信念は、西元氏の原体験に基づいているという。

西元氏が学生のとき、父親が経営する企業が破綻。西元氏は自身で学費を負担しながら大学に通った。「生まれた環境に関係なく、やる気次第で誰でも活躍できるサービスを作りたいと思った」(西元氏)

この信念を守るため、これまでのTRUNKはあえて「外部資金を入れない」という選択をした。今回のディップによる株式取得が同社にとって初めての外部調達だ。

もちろん、学生にも月額で課金するほうがマネタイズ面では良い。しかし、外部からの圧力などで信念を曲げたくなかったとTRUNK取締役CTOの布田隆介氏は話す。

「創業当時のメンバーは西元と私を含め3名。当初は西元だけが正社員で、他のメンバーは副業社員だった。会社の売上が上がって給料が払えるようになったら徐々に2人を正社員化すると最初から決めていた」(布田氏)

TRUNKの創業は2015年7月。現在では提携企業数はmixi、GMO、エウレカなど約50社、受講する学生数は年間5000人にまで成長した。「ビジネスもやっと安定し、『お金さえあれば解決できる課題』が増えてきたため、外部調達を行うことにした」(布田氏)

今回新たな資金を調達したTRUNKは今後、受講できるユーザーの対象年齢を29歳にまで広げたり、オンライン講座を導入することで遠隔の学生でも教育を受けられるようなサービス開発に取り組むという。また、自治体との連携で主婦層への職業訓練を提供するサービスもはじめる予定だ。

GoogleのChromebook App Hubは教育者のための実用性重視のリソースセンター

Googleは米国時間3月4日、教育事業であるGoogle for Educationの拡張として、Chromebook App Hubを発表した。今年後半に立ち上がるこのリソースは、教師などのカリキュラム管理者に、教室で使用するツールやアプリを見つけたり選別するためのセンターのような機能を提供する。

これまで教師たちは、Webをあちこちサーフィンして授業に使えそうなアイデアやアクティビティを見つけていた。また学校のITやカリキュラム担当者は、教師からのアプリのリクエストに頻繁に応えていたが、教師が使いたいと思うプログラムが校区のポリシーに合っているなど、いくつかの要件を満たす必要があった。Chromebook App Hubの存在意義を、Googleはこのように説明している。

一方、エドテックのアプリケーションを作る側も、そのソフトウェアが提供するソリューションに関する情報が、教師や教育者に確実に届く必要がある。

Chromebook App Hubは、そのための場所でもある。それは、アプリのリストと検索機能を提供するだけの従来のマーケットプレースと違って、アプリの具体的な使い方を見せたり教えたりする。

Googleは、教師のためのツールを開発しているEdTechTeamや、そのほかの教育者たちと協力して、「Idea Sparks」(アイデアの火花)というものを作ろうとしている。それは、アプリの使い方の例やコツ、さまざまな状況に応じた多様な教え方、そしてビデオやアクティビティ、役に立つWebサイトなどのリソースへのリンクなどの集まりだ。つまり、単にアプリ/アプリケーションの集合を与えて、さあ選べ、と言うのではなく、それらのアプリケーションを教室で活用するためのさまざまなツールや情報を提供して、教育者たちが(孤立せず)互いに学び合えるようにする。

EdTechTeamの教育者の学習部門のディレクターKate Pettyは、こう説明する。「私の経験では、先生たちはアプリケーションについて、2つの方法で学んでいる。ひとつは、新しい授業のやり方を勉強したとき、そこにアプリも付随している場合。もうひとつは、すばらしいアプリの話を口コミで聞いたとき、それの使い方を知りたくなる場合。Idea Sparksで先生たちは新しいアイデアの火花を見たり触れたりするだけでなく、そこで先生たちが作ったもの…授業アイデアなどを共有する機会と場が提供される」。

Googleはまた、非営利団体Student Data Privacy Consortium(SDPC、児童生徒学生のデータプライバシー協会)と協力して、デベロッパーたちに、アプリケーションが持つべきプライバシー保護機能について啓蒙している。以上のような仕組みで、各校区はApp Hubを検索して自分たちのプライバシーポリシーに合ったソリューションを見つけられるようになる。

App Hubは、アイデアのカテゴリーや、主題、年齢層、学習目標などでも検索できる。

今年後半に立ち上げられるApp Hubの前にも、GoogleはChromebookを教室に持ち込むためのさまざまな事業を展開する。それは、教室で使うために設計された新しいデバイスであったり、ClassroomFormsQuizzesのような、教師のためのブラウザー上のソフトウェア、そしてG Suite for Educationだ。

Googleは今年の年頭に、G Suite for Educationを使っている教育者と児童生徒学生は8000万人、Google Classroomは4000万人、教室の内外でChromebookを使っている者は3000万人、と発表した。

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Amazonがニューヨークの大学とパートナーしてクラウドコンピューティングの技術者を育成

昨日(きのう)(米国時間1/29)、ニューヨークのハイスクールにコンピューターサイエンスのクラスを開設するための出資を発表したばかりのAmazonが、今朝(米国時間1/30)は第二の教育プランとして、ニューヨークの市立と州立の大学を対象とする教育事業を発表した。ニューヨークのクイーンズ区に第二本社を置くことになったAmazonは、将来そこで働く技術者たちも当地区に自力で確保したいのだ。

Amazonが構想している大学対象事業では、LaGuardia Community College(LAGCC)とCity University of New York(CUNY)、およびState University of New York(SUNY, 州立大)の3学で、学生のためのクラウドコンピューティング技術者資格認定事業を展開する。目標は、学生たちがAmazonやそのほかの企業で、初歩的な技術職を担当できるようになることだ。

この事業は今秋始まり、3学合計で数万名の学生を対象とする。またLAGCCは1校以上のハイスクールとパートナーして、15単位時間の認定課程を並行展開する。

ハイスクールの課程がAmazon Future Engineer事業から出資されるのに対して、この大学向け資格認定事業はAmazonのAWS Educate事業が対応する。このEducate事業はをすでに1500あまりの教育機関が利用して、AWSの実習を伴うクラウドコンピューティングの教育訓練を行っている。そのスキルの資格認定は、Amazonやそのほかの企業への求職で利用できる。

この事業には教師向けのカリキュラム開発ワークショップとAWSの教育訓練が含まれ、また学生にはプロジェクトの宿題を実行するためにAWS Promotional Credits(AWS無料利用)が提供される。

また求職部が設けられるので、学生たちはそこに履歴書をアップロードしたり、求人告知をもらったり、企業の求人担当と会話したり、クラウドコンピューティングの求人やインターン募集をAmazonやそのほかのテクノロジー企業で検索したりできる。

クラウドコンピューティングは高給のIT職だ、とAmazonは言っているが、この事業はもちろん慈善事業ではない。これもまたハイスクールののコンピューターサイエンス教育支援と同じく、ニューヨークの新本社をはじめ、同社の事業拡大に伴う人材確保が目的だ。それと共に、地元企業のクラウドコンピューティング人材の確保にも貢献する。ニューヨーク州労働局の予測では、人材需要は2024年に今の17%増加する。

Amazonの労働力開発担当VP Ardine Williamsがこの事業に関する声明文で述べている: “ニューヨークにおける弊社のプレゼンスが拡大を続けている中で、コミュニティと協働してスキル開発の機会増大に貢献できることは、きわめて喜ばしい。ニューヨークは人材が豊富であり、私たちとしては多様なバックグラウンドを持つニューヨーカーたちの心を確実に捉えたい。弊社は現在、当地区で25000名を雇用している。今回のLAGCC、CUNY、およびSUNYとのコラボレーションにより、より多くの学生たちが、Amazonなど多くのテクノロジー系人材を求めている企業で確実に働けるようにしたい。これは、弊社のニューヨークにおける労働力開発努力の第一歩である。今後のさまざまな事業企画により、ニューヨーカーたちがご当地に居ながらにして新たなスキルを求める機会を手にし、より高給な職を得られるよう、努力していきたい”。

画像クレジット: Ron Miller

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ニューヨークの130のハイスクールがAmazonの出資でコンピューターサイエンスのクラスを導入

【抄訳】
Amazonが新本社のひとつをニューヨーク市クイーンズ区ロングアイランドシティーに置く、と決めてから、その後同社は、ニューヨークの130あまりのハイスクールにコンピューターサイエンスのクラスを開設するための出資をする、と発表した。具体的には、Amazonはニューヨーク市の5つの区すべてに、コンピューターサイエンスの入門クラスとアドバンスト・プレイスメント(AP)クラスを設けるための出資をするが、とくに新本社のお膝元であるクイーンズ区では30あまりの学校を対象にする。

そのコースはAmazon Future Engineer事業がサポートする。この事業の目標は1年に1000万以上の子どもにコンピューターサイエンスを教え、また、アメリカの低所得地域のハイスクール2000校の恵まれない子どもたち10万名あまりに、コンピューターサイエンスの学習資金を提供することだ。そしてさらに、1年に100名の生徒に4年間1万ドルの奨学金とAmazonにおけるインターンシップを提供する。

Amazonによると、ニューヨーク地区の学校への出資は、入門課程と個人指導と教師のための専門教育を対象とする。生徒たちには計画性のあるデジタルカリキュラムを提供し、また教師も生徒も共に、ライブの–リアルタイムの–オンラインサポートを受けられる。

参加生徒の全員がAWS Educateに無料で入会し、プログラミングの実習などではAWS Cloudのコンピューティングパワーを無料で利用できる。

Amazonがニューヨーク市での教育事業に力を入れるのはもちろん、新本社のある地域で将来の人材を育てたいからだが、Amazonの“HQ2”(第二本社)計画に立候補して落選した地域は、そのことだけでなく将来の科学技術教育でも割りを食うことになる。

また全国的に、科学技術教育で後れを取り、教育資金もままならない地域はたくさんあるが、今回AmazonがFuture Engineer事業の対象地域として選んだニューヨーク市などは、むしろ–Amazonからの施しがなくても–科学技術教育の機会に恵まれている場所である。

【中略】

Amazonによると、Amazonが提供するコースを各高校のカリキュラムに組み込む作業は、カリキュラムプロバイダーEdhesiveが行なう。それらのクラスが組み込まれる学校のリストは、ここにある

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

プログラミングをゲームのように遊べるScratchのv.3.0が出た、タブレットでも使える

使うに値する唯一の子ども向けプログラミング言語Scratchが、Scratch 3.0のローンチを発表した。この強力なオープンソースツールに、おもしろい新しい機能がいくつか加わった。

学齢期の子どものいない読者のために説明すると、Scratchはブロック方式のプログラミング言語で、小さなゲームや、スプライトやアニメのある“漫画”を作れる。そのシステムはけっこう複雑で、子どもたちはこれまで、Minecraftのプラットホームや、楽しいアーケードゲーム*、そしてこんなものまで作ってきた。〔*: アーケードゲーム, arcade games, arcadeは日本語で言えば“ゲーセン”。〕

Scratchのこのニューバージョンには、ハードウェアを制御する機能や、新しいコントロールブロックがある。

Scratch 3.0は次世代のScratchで、Scratchでもっといろんなものを、いろんなところで作れるようになった。数十個もの新しいスプライトがあり、サウンドエディターもすっかり新しくなった。そして新しいプログラミングブロックもたくさんある。Scratch 3.0は、ラップトップやデスクトップコンピューターだけでなく、タブレットでも使えるようになった。

Scratchはプログラミングをゲームのように楽しめるツールで、うちの子は今でも、これで何度も何度も遊んでいる。そんな力を持つプログラミング言語は、ほかにない。とくに小学校入学前ぐらいの子どもに最適の、プログラミング入門だ。今度のアップデートをぜひチェックして、そして作ったアニメはぜひクラスでシェアしよう!

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

存在教育エラー:学生のソフトウエア教育に失敗しました

[著者:Ryan Craig]
University Venturesのマネージング・ディレクター。

ほとんどのデジタル革命のきっかけとなった画期的な発明は、ゼウスの額からアテナが生まれたように、アメリカの大学の研究室から、直接、飛び出してきたものだが、学校の側からすると、アメリカの高等教育は、これまでずっとのんびりした態度でやってきた。もちろん、コンピューター・サイエンスの講義はたくさんあり、何百万人という学生がインターネットを通じて受講している。MITなどは、AIのための新しい単科大学を10億ドル(約1125億5000万円)をかけて設立した。しかし、25年から50年ほど前の人間がタイムトラベルして今の大学を訪れたとしたら、環境はあまり変わっていないように感じるだろう。ただ学生が、人と目を合わせたがらず、デジタルデバイスの画面を見つめている点が違うぐらいだ。

こうした昔ながらの大学の姿は、変革を経験した職場から訪れた人には、さらに驚きだろう。10年前まではデジタルデバイスをまったく、あるいはほとんど使わなかった職場も、学生がスマートフォンの画面を食い入るように見つめるように、コンピューターの操作ができる人間を血眼で探している。紙の書類で行われていた仕事は、今は完全にデジタル化されている。仕事に関わる機能を持つ業界固有のビジネス・ソフトウエアの使用経験は、簡単な職種であっても、今や業務経歴書には必須項目だ。

このことは、数週間前に250名の大学関係者の前で講演を行った際に、彼らの急所を突いた。私は、アメリカのビジネス業界でナンバーワンのSaaSプラットフォームSalesforceの使い方を授業で教えている大学はどれほどあるか尋ねてみた。

誰も手を挙げなかった。

理由はいくつかある。学生が最初に就いた仕事で、しっかりと働き成功できるように必要な技術を身に着けさせることに全力を傾けている(または少しでも真剣になっている)教師が、まったくとは言わないが、ごく僅かしかいないことも考えられる。学生が就職できなくとも、彼らはクビにはならない(今のところは)。もうひとつは、コストの問題だ。そうしたスキルを持つ学生を強く望む声が企業から伝えられていても、それを教える能力を持つ教師を探して雇うぐらいなら、役に立たない科目を教えていたほうが安上がりなのだ。さらに、技術の変化が激しいという理由もある。どんなに一生懸命に教えても、数年後には時代遅れになっているという観念がある(もちろん、現実のビジネス・ソフトウエアの世界はまったく違う。Salesforceのような基本的なプラットフォームの寿命は長く、10年を超えてもいまだ現役だ。なかには一世代続くと予想されるプラットフォームもある)。

しかし、大学が学生たちに、就職に必要なソフトウエアの使い方を教えたがらないいちばんの理由は、ミレニアル世代(Z世代)は「デジタル・ネイティブ」(生来のデジタル人間)なので教える必要がないと、彼らが思い込んでいることだ。

デジタル・ネイティブという考え方は、今に始まったものではない。何十年もの間、デジタル技術と共に育った子どもたちは、あらゆるデジタル製品を受け入れることができると思われてきた。たしかに、大学生たちはNetflixやSpotifyやスマートフォンを使いこなしているのは事実だ。しかし、彼らが子どものころから親しんできたスマートフォンは、会社の電話のとり方や、就職に欠かせないビジネス・ソフトウエアの使い方は、これっぽっちも教えてくれていないことも事実だ。

デジタル・ネイティブにとっても
ビジネス・ソフトウエアは
非常に厄介な代物だ

高等教育機関と連携してビジネス・ソフトウエアのトレーニングを提供するスタートアップPathstreamの共同創設者Eleanor Cooperは、こう話している。ミレニアル世代とZ世代は「直感的に操作できて、すぐに満足できる結果を与えてくれるInstagramのようなプラットフォームは使い慣れていますが、ビジネス・ソフトウエアを習得するといいう体験は、例外なく、まったく逆です。たちまちイライラして、満足できる結果はなかなか得られません。まずは何時間もかけて技術的なステップを踏み、ソフトウエアのセットアップを行います。その後でようやく、悪夢のようにボタンを押しまくる操作の段階に入ります。今時のソフトウエアからすれば、よくて退屈、悪くすれば時代遅れで不確かな代物です」

先月のThe New Yorkerの記事『Why Doctors Hate Their Computers』(なぜ医師はコンピューターを嫌うのか)で、Atul Gawande博士は、患者のケア、つまり「診察所見の記録や閲覧、処方箋の薬局への送付、検査とスキャンの予約、結果の評価、手術の予定、保険請求書の送付」などを行うためのSaaSプラットフォームEpicの導入を試みたときの話をしている。

最初に16時間のトレーニングを受ける必要があった。Gawandeは「患者の氏名を探したり、緊急連絡をしたりといった最初の練習ではよくできました。しかし、検査の結果を評価する段になると、頭が混乱してきました。画面の左側には13個のタブの欄があり、ほとんど同じ言葉が書かれていました。チャート評価、結果評価、評価フローシートなどです。どうやって情報を入力するか、まだ何も教わっていません。しかも、それぞれのタブで開くフィールドには固有のツールがあり、微妙に雰囲気も違います」

デジタル・ネイティブにとっても、ビジネス・ソフトウエアは非常に厄介な代物だ。今の学生たちはシンプルなインターフェイスに慣れている。しかし、シンプルなインターフェイスが使えるのは、メッセージや動画を選ぶといった、シンプルな機能しかない場合のみだ。現在主流のビジネス・ソフトウエア・プラットフォームは、単機能ではない。何千とまでは行かなくても、何百もの機能がある。

Gawandeは、IBMのエンジニアFrederick Brooksの著書『The Mythical Man-Month』(邦題『人月の神話』丸善出版)を引き合いに出している。この本には、ダーウィンの進化論になぞらえて、クールで簡単に使える(「数人のナードが友人のナードのために」作った限られた機能を持つ)プログラムから、より多くの機能をより多くの人に提供する大きな「製品」としてのプログラムへ、そして「まったくクールじゃないプログラム・システム」に進化する様子が説明されている。Gawandeは、大学院の学生が小さなスケールの流体力学をシミュレーションするためのプログラムFluidityの例をあげていた。研究者たちはそれを大変に気に入った。そしてすぐに新機能のためのコードを追加した。するとそのソフトウエアは複雑になり、使いづらくなり、制約の多いものになってしまった。

煩雑なインターフェイスの他に、ビジネス・ソフトウエアが本当に難しいもうひとつの理由は、ビジネスの商習慣に固められて、がんじがらめになってしまった点だ。Salesforceのコンサルタントはこう言うだろう。Salesforceのカスタマイズを試みる(または設定を変える)ぐらいなら、会社の商習慣をSalesforceに合わせたほうがずっと簡単ですよと。それは、すべてのビジネス・ソフトウエアに言えることだ。Gawandeが指摘するように、「多くの人に適応し、多くの機能を提供しようとするほど、プログラムは自然に制限が多くなります。ソフトウエア・システムは、私たちがグループとして使うことを想定しており、そのために否応なく、官僚的な性質になるのです」

デジタル・ネイティブの伝説は
大学にとっては便利なものだ
それが学生が本当に
必要としているものではなく
学校が教えたいことだけ
教えていればよいとするための
言い訳になるからだ

ソフトウエアに規定された商習慣は、職務全体、業界全体にわたり標準化されつつあり、非常によく知られるようになっている。よく知られるようになったので、人事担当は、それを知っている人材を欲しがる。そうなると、大学はソフトウエア教育だけの話ではなくなる。学生にビジネス・ソフトウエアを教えるということは、当然のこととして、業界および職務の専門性も備えさせることになる。それには、16時間の訓練などでは、まったくおぼつかない。

「仕事用のシステムが、なぜスマートフォンのように、柔軟で、簡単で、カスタマイズができるようにならないのでしょうか? その答は、これらのシステムの目的が異なるからです」とGawandeは話す。「一般消費者向けの技術は、自分のためだけのものです。複雑な企業向けの技術は、自分一人では難しい仕事をグループで行うことを支援するもの、つまり、連携のためのものです」

デジタル・ネイティブの伝説は、大学にとっては便利なものだ。それが、学生が本当に必要としているものではなく、学校が教えたいことだけ教えていればよいとするための言い訳になるからだ。しかし、それは自己中心的で、浅はかで、愚かなことだ。Netflixやスマートフォンがテクノロジーなのだと思ってしまわずに、外の世界に出て、自分の大学の入学審査や財務や人事といった職務に使われているソフトウエアを見て欲しい。大学卒業生の95パーセントは、そうした職場からキャリアを積むことになる。教職員ラウンジのような場所ではない。それも、幸運な学生の話だ。それ以外の卒業生は、スターバックスのような場所からスタートすることになる。

Gawandeは、その記事の中で、ビジネス・ソフトウエア・プラットフォームに順応して働く(そして生きる)には大変な苦労を重ねる必要があるが、ソフトウエアは、世界を食い尽くそうとしていると書いている。それが消費者にとって、よい結果をもたらすという。Epicを導入すれば、病院は、3カ月以上オピオイドを使用している患者を探し出して、その人の過量摂取の危険性を減らすことができる。または、ホームレスの患者の結核の検査が3回続けて陰性だったとき、隔離の必要はないと伝えることができる。「私たちはこれを、私たちのためのシステムであり、またそうではないと考えています」と話すのは、医療システムの最高医療責任者だ。「これは患者のためなのです」

この恩恵は、大学が新しい教育プログラムができたと大喜びして入学者数を増やすことになったデータ解析革命がもたらした恩恵と同質のものだ。しかし、よりよい成果を得るために追加されるデータは、まずキャプチャーしなければならない。それを行うのが、複雑なビジネス・ソフトウエアだ。だから、自分で種を撒かずにビッグデータの果実だけを収穫しようとする大学の考え方はズルくて、少くとも偽善的だ。種を撒くためには、ビッグデータを活用できるソフトウエアの扱いに欠かせない技術とビジネスの実践的知識を学生たちに植え付けることが肝心であり、それには、大胆な投資が自ずと必要になる。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

甲虫の幼虫を高濃度タンパク源として収穫する体験で科学を学習するHive Explorer

Livin Farmsのオフィスの中は、体の向きを変えるのも難しい。でも香港の都心ではこれが普通で、スペースは常日変らず貴重だ。そこは、深圳のハードウェアアクセラレーターHAXが支えるこのスタートアップの、ささやかな拠点だ。デスクをいくつか置くと、もう残りのスペースはない。このスタートアップの最新のプロダクトHiveがドアの横にある。それは一見何の特徴もないトレイが、いくつか重なっているだけのものだ。

でも、ぼくがここに来たのはHive Explorerを見るためだ。その小さなトレイは、部屋の中央に置かれている。上部は開(あ)いている。ドアを開けて入ったときから、その小さな明るい色のプラスチック製品が目を引く。その中身が、奇妙なランダムなリズムでぴくぴく動いている。近づいてよく見ると、茶色く見えたのは実は白で、黒いのは生きている。ミールワームたちが小さなベッドの中で互いに上になったり下になったりしながらうごめいている。チームが置いたカラスムギの残りを、がつがつ食べている。

それらの上には、ネオンイエローのトレイの中に完全に成長した甲虫たちと、2ダースほどの蛹(さなぎ)がいる。成虫はたえず動きまわり、互いにぶつかり合い、ときにはライフサイクルの継続のためにそれ以上のこともする。蛹は横たわり、生きていないように見えるが、ときどきピクッと動いて、中に生命があることを思い出させる。

ExplorerでLivin Farmsはその地平を、STEM教育の世界へ広げようとしている。前のプロダクトはスケーラブルな持続可能性にフォーカスしていたが、この新しいKickstarterプロジェクトは若者や子どもに狙いを定めている。そしてバケツ一杯の甲虫には、学ぶことが山ほどある。たとえば、死だ。ファウンダーのKatharina Ungerは近くの瓶をつかみ、蓋をねじった。

瓶には、乾燥したミルワームがいっぱい詰まっている。彼女はその一つをつまみ、自分の口に放り込んだ。期待を込めて、ぼくの手にも渡した。ぼくも彼女の真似をした。カリッとしている。味がないことはないが、はっきりしない。たぶん、ちょっと塩気がある。でも最大の感触は、気味の悪さだ。下を見ると、今ぼくが食べているものの兄弟である小さな幼虫が、数インチ先で餌を食べ続けている。

The Mountain Goatsの歌詞を引用するなら、それは今や未来のタンパク源だ。Livin Farmsは、幼虫の無味無臭の粉末も作っている。そしてその、持続可能な高濃度タンパク質食品の、ある種の概念実証として、意外にもおいしいグラノーラを作っている。この、世界でもっとも人口密度の高い場所で、同社のミッションは家庭にも浸透している。


[彼女は少しおみやげにくれた。おなかをすかせている誰かのために。]

Explorerには、若者たちに未来の持続可能な農業を見せる意味もある。ただし食品メーカーは、昆虫を食べることに伴う消費者の嫌悪感を打破しなければならない。Explorerのユーザーである子どもたちは、過密を防ぐために幼虫の収穫を奨励される。幼虫は、唐揚げではなく乾煎り(からいり)して食べる。ボックスは、比較的臭気の少ない堆肥作り容器になる。虫たちへの給餌は、人間の食べ残しを投げ込むだけだ。小さな虫たちは、それを噛み砕いていく。下のトレイに、彼らの粉状の廃棄物がたまる。

虫たちの暖房のためのヒーターや、湿度を調節するためのファンもある。それらにより、虫たちが仕事をするための最適の環境が作られる。Livin FarmsはシステムのコントロールをSwiftのコードで公開して、プログラミングという要素も加えようとしている。

ExplorerがKickstarterに出たのは今週だ。初期の出資者はそのボックスを、113ドルで入手できる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

スマホで数学を教えてくれるPhotomathはダウンロード数1億, $6Mを調達

Photomathが、Goodwater Capitalが仕切りLearn Capitalが参加したラウンドで600万ドルを調達した。Photomathは大成功したモバイルアプリで、iOSとAndroid合わせてこれまで1億回ダウンロードされた。

Photomathは2014年に本誌TechCrunch主催のTechCrunch Disrupt Londonでデビューしたが、そのときは(手書きなどの)テキスト認識技術が売りだった。Photomathは、その技術をデモする宣伝用アプリにすぎなかった。

でもそのアプリは、何かの間違いのように消費者向けアプリとして成功した。たちまちそれは、自分のスマートフォンで数学を勉強できたら、と願っている多くの学生たちによって、何百万もダウンロードされた。

5年目の今でも、App StoreとPlay Storeの両方で、トップ集団にいる。大成功の理由は、コンセプトがシンプルなことだ。

アプリをダウンロードしたら、手書きでも印刷物でも何でもよいから、数学の問題を彼に見せる。するとアプリは、一歩々々説明しながら、その問題を解く。

Photomathが便利なのは、二つのものを組み合わせているからだ。WolframAlphaは方程式を解く。Evernoteは手書き文字を認識する。しかしこの二つを組み合わせることは、これまで誰も考えなかった。

キーボードから方程式を入力するのはものすごく難しいから、手書きや印刷物という物理的世界とスマートフォンの間にあるギャップを橋渡しすることはすごくありがたい。まだ誰もが拡張現実という言葉を口にしていないころから、Photomathはすでに、スマートフォンのSoCチップの力を利用していたのだ。

Photomathはグラフも作れるし、極限、積分、複素数などの高度な問題もサポートしている。このアプリは1か月に12億の数学の問題を解いている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Quizletの月間アクティブユーザーが5000万人を突破

米国のほとんどの学生が、デジタルフラッシュカードを作成するためのウェブサイトであるQuizletを使っているか、少なくとも聞いたことがある筈だ。

同社は機械学習を利用して、ユーザーが最も必要としている分野を予測し、3億件のユーザー作成の学習デッキ、地図、チャートなどの学習ツールを学習のために提供している。

2000万ドルの調達からおよそ8ヶ月後、QuizletのCEOであるMatthew Glotzbachは、この新興エデュテックの注目すべき偉業を開示した。1年前は3000万人だった月間アクティブユーザーが、5000万人に達したのである。まだ利益は出せていないものの、収益は1年前に比べて2倍に増えている。

最近の成長の結果、同社はシリコンバレー外の初のオフィスをデンバーに開設した。

「私たちが何かをなし得たとは全く考えることができません。5000万人という数字は、この地球上にいる14億人の学生に比べたら、吹けば飛ぶような割合に過ぎないのですから」とGlotzbachはTechCrunchに語った。「私たちの焦点は、プラットフォームの成長です。私たちがその使命を成功させ続ければ、私たちは最大の学習ブランドになるでしょう」。

同社の歴史はそれなりに長い。2005年に15歳だったAndrew Sutherlandによって創業されたQuizletは、2015年までは完全に自己資金だけで運営されていた。

その成長が本当に始まったのは、直近はYouTubeにいた、経験豊富なエグゼクティブであるGlotzbachが、2016年に指揮をとるようになってからだ。今年初めに、これまでで最大の2000万ドルの資金を調達したことで、同社も発展を遂げることになった。Icon Venturesが主導し、Union Square VenturesやCostanoa Venturesなどが参加したそのラウンドによって、Quizletの資金調達総額は3000万ドルを越えた。

Glotzbachによれば、その成長の一部は、国際ユーザーに最近焦点を当てていることによるものだと言う。このサイトはずっと世界中からアクセス可能だったが、2016年末まではQuizletが他言語でサービスを提供することはなかった。現在は、15以上の言語で提供されており、同社はその数を積極的に拡大しようとしている。

新しく追加された機能もまた、最近の月間アクティブユーザーの増加に貢献している。今では学生たちは、図表ベースのコンテンツにアクセスできるようになった。このことは、これまで同社の中であまり充実していなかったSTEM教科の展開に役立つ。

Quizletはフリーミアムモデルを採用しているが、パワーユーザー向けに3つのサブスクリプションプランを提供している。年間12ドルのQuizlet Goは、広告がなくモバイルを使ったオフライン学習が可能となる。年間20ドルのQuizlet Plusも同様に広告のない学習体験を提供するが、同時に画像をアップロードしたり、音声を録音したりすることができる。最後に、年間35ドルのQuizlet for Teachersは、教育者たちに対して、学生向け独自教材を作成したり、分析レポートなどのデータへのアクセスを可能にしたりするものだ。

[原文へ]
(翻訳:sako)

画像クレジット: Getty Images

任天堂、全米の小学校にNintendo Laboキット配布へ――STEAM教育の一環を目指す

任天堂のLaboキットは非常に面白い。同時に、これは経験から言うのだが、複雑だ。実はNintendo Laboのレビュー記事を書くとき、小さなピアノを組み立てようとしてほとんど一日がかりだったことがある。日本の巨大ゲーム・メーカーは段ボールのパーツからさまざまなガジェットが組み立てられるキットをSTEAM(科学・テクノロジー・工学・アート・数学)カリキュラムの一環として小学校に普及させようとしている。

任天堂によれば、来年度までに8歳から11歳までの子どもたち2000人分のキットを配布する予定だという。このプロジェクトは「遊びの中から学ぶ」教育を目指すもので、ニューヨーク市に本拠を置く非営利団体、Institute of Playが協力する。

当初、ニューヨーク地域の小学校をターゲットとしてInstitute of Play自身がプロジェクトを実施する。この団体はLaboキットに加えて教師用ガイド、Nintendo Labo Teacher Guideを配布する。これにはサンプル・レッスンを始め、各種のSTEAM授業にLaboキットを組み込むための手引きが記載されている。

Laboキットの利用はニューヨーク市を中心としたパイロット・プログラムの成果を検討した上で、来年3月にはさらに全米100の小学校に拡大される予定だ。任天堂はプログラムに参加する小学校にLaboキットとそれを動かすSwitcheを配る。なお教師向けガイドブックは誰でも無料で入手できる。

プログラムに興味があるむきはこちらのサイトから登録できる

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+