AngelListがスタートアップのプロダクト発見サイトProduct Huntを買収

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スタートアップのためのLinkedInと呼べるAngelListは、ユーザーがスタートアップのプロダクトに人気投票できるProduct Huntを買収した。買収額は非公開だ。

ここ数ヶ月、Product Huntは資金調達に動いているという噂があった。だが、AngelListへの売却がProduct Huntの未来にとって最適な道であり、手を組むことにしたとProduct Huntのファウンダー、Ryan HooverはTechCrunchに話す。

Hooverはこのプラットフォームをローンチしたすぐ後に、Product Huntにも投資しているAngelListのNaval Ravikantと知り合った。当初、HooverはAngelListがProduct Huntと同じコンシューマー向けのプロダクト発見プラットフォームになることを危惧していたという。

AngelListの方も、Product Huntは彼らのようなスタートアップのための資金調達プラットフォームに簡単になることができると考え、不安視していたそうだ。両社は話し合いを重ねた結果、そうした不安が現実のものとはなることはなかった。Hooverは、両社が手を組むことでできることが増えると話す。

Hooverは資金調達を実施しようとしていたことに関しては否定しなかった(調達の規模は聞いたところによると700万ドルから900万ドル規模)。この4ヶ月間、Ravikantと売却した場合はどのようになるかを話していたという。

「こちらの方が良い選択でした」とHooverは売却を決めた理由についてに話す。「これが唯一の選択肢だったということではありません」。

Hooverは他の選択肢については言及しなかったが、AngelListとは信頼関係があり、互いに一致する部分があるからこそ成立したという。

「次のステップに進むためにとても重要なことです」とHooverは言う。「Navalと彼のチームを見て、例えばProduct Huntを買収してすぐに閉鎖しないか知る必要がありました。Navalは、Product Huntが描く未来のビジョンを信じていたから私たちに投資したことをはっきりと示しました」。

RavikantもHooverと同意見のようだ。彼はTechCrunchに対し「Product Huntは私たちにとってもぴったりです」と話す。

「私たちはファウンダーが資金調達したり、人材を獲得したりするのを助けています」とRavikantは言う。「Product Huntが加わることで、私たちはファウンダーがローンチしたプロダクトのアーリーアダプターとなるカスタマーを見つける助けもできます。ファウンダーを支援をするという私たちのミッションに沿うプロダクトです。この買収で、私たちはテクノロジー企業のネットワークになることができます」。

Product Huntは過去にテクノロジーの分野に留まらず、メインストリームのプロダクト発見サービスになることに苦しんだ。しかし、彼らはテクノロジーの分野で流行を生み出すプラットフォームに成長した。2013年後半にローンチした時にはプロダクトは1000程度だったが、現在では5万の企業を収録し、1億回のプロダクト発見につながっているという(Product Huntからプロダクトのサイトに飛んでいる人の数を指している)。

「数百万人がテクノロジー業界で働き、テクノロジーは私たちの全員の生活に影響を与えるものです。新たにAngelListとProduct Huntが組むことで、テクノロジー業界を支援することができます。それで私たちのミッションが犠牲になることも、プラットフォームをさらに成長させるという会社のビジョンも持ち続けることができます」とHooverは話す。

AngelListの傘下に入ることで、Product Huntが今後どのように変わるかは分からない。しかしHooverはこれまでと大きな変更はないと話す。HooverはCEOを続け、Facebookが買収したInstagramと同じように、Product Huntは独立した運営を行っていくという。

Hooverと彼のチームは、サンフランシスコのオフィス賃貸の問題に悩まされ、大部分はリモートで働いているという。彼らは、サンフランシスコの金融街にあるAngelListの本社に設けたProduct Huntのためのスペースに入るそうだ。

Hooverにとって今後の課題は両社のチームを一つにまとめることだ。「全員にとってこの変更をスムーズに行うには課題がたくさんあります。100%完璧にはできないかもしれませんが、それでも良いと思います」とHooverは言う。「ホームレスでなくなり、プロダクトの開発に集中することができるようになるのは良いことです」。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

TeslaによるSolarCityの買収が正式に決定

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現地時間21日の朝、TeslaがSolarCityを買収することが正式に決定した。Elon Muskが率いる電気自動車企業と、彼の従兄弟であるLyndon RiveとPeter Riveが率いる太陽光エネルギー企業がこれで1つになる。この買収がTeslaとSolarCityのシェアホルダーから承認されたのは先週のことで、最初にこの買収案が提案されたのは今年6月のことだった。

買収の正式決定に際し、Teslaは簡単なコメントを発表している。

TeslaによるSolarCity買収が今朝正式に決定し、それを皆様に発表できたことを私たちは嬉しく思います。

Muskが今年6月にこの買収を提案して以降、彼は頻繁にSolarCity買収の重要性を主張してきたことを踏まえると、このコメントは簡潔かつ控えめなものだと言えるだろう。この2社の統合は、消費者にエネルギーの生産方法、貯蓄方法、そして消費方法のすべてを提供するというMuskの「マスタープラン」を実行するうえで欠かせない要素だった。

先日、Teslaは屋根に取り付けるソーラーパネルをローンチしている。これによってMuskは、この2社はTeslaブランドの「一つ屋根の下に収まる企業なのだ」ということを表したかったのだろう(僕は今朝とても早く起きた。だから、これくらいのジョークは許してほしい)。Muskにとって、電力をクリーンな方法で発電することと、その電力を使用した電気自動車をつくることは、本質的には同じことなのだろう。全体の二酸化炭素排出量を減らすうえで、低コストでクリーンな発電方法を普及させることは、クリーンなクルマをつくることと同じくらい重要だ。それを踏まえれば、彼のその考えは筋の通ったものだと言えるだろう。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Samsungが自動車部品大手のHarmanを80億ドルで買収:コネクテッドカー分野の強化を狙う

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Samsungが自動車部品、オーディオ機器のHarmanを80億ドルで買収すると発表した。Samsungが今後コネクテッドカー(IT化されたクルマ)に注力していくという意志の表れだろう。

Harmanという名前を聞くと、オーディオ機器を浮かべるという読者も多いとは思うが、同社は自動車部品の大手でもある。今回買収は、Samsungの買収案件としては過去最大級のものであり、同社がもつ自動車分野への野望がうかがえる。Harmanの昨年の売上高は70億ドルで、その65%は自動車関連部品からの売上だ。今回の買収により、コネクテッドカー向けのデバイスやオーディオ・システムといったHarmanの製品が、世界中で3000万台とも言われるサムスン製のクルマに搭載されることになる。

Samsungはクルマ向けのエンターテイメントやソフトウェア・システム分野でGoogleやAppleに遅れをとってきた(GoogleにはAndroid Autoが、AppleにはApple CarPlayがある)。そのため、今回の買収はSamsungがライバル企業に追いつくための手段だと言えるだろう。

Samsung Electronicsの副会長兼CEOであるOh-Hyun Kwonは、「テクノロジー、プロダクト、ソリューションという点において、Harmanは当社を完全に補完する存在です。私たちがこれまで注力してきた自動運転車という分野を拡大するためには、今回の買収は自然の流れだったと言えるでしょう」と買収を伝えるプレスリリースの中で話している。

買収金額は1株につき112ドルで、総額は80億ドルとなる。記事執筆時点でのHarmanの株価が87.65ドルだということを考えれば、健全なプレミアムが付与された買収価格だと言える。買収が完了するのは2017年中旬を予定しており、それ以降HarmanはSamsungの子会社となる。しかし、Harmanの運営はこれまで通り現経営陣が行う。HarmanとSamsungの両社によれば、Harmanの会長、プレジデント、CEOを務めるDinesh Paliwalは今後も続投する予定だ。

今回の買収についてPaliwalは、「SamsungはHarmanにとって理想的なパートナーであり、私たちの顧客である自動車メーカーや消費者は、今回の買収によって大きな恩恵を受けることになるでしょう」とコメントしている。

Googleが自動車関連のテクノロジー開発を急速に進め、Appleも電気自動車を開発しているのではないかと報じられるなか(そうではないとも報じられているが)、Samsungが今年2016年に自動車向け事業の基盤構築に動いたことは当然の流れだと言えるかもしれない。

今年の夏、SamsungはWarren BuffettのBerkshire Hathaway Inc.も投資する中国の電気自動車企業、BYDに4億5000万ドルを出資している。また、同社がFiat Chryslerの製造子会社であるMagneti Marelliにも目をつけていると報じられたこともあった。

しかし、今回の買収から受ける恩恵は自動車分野だけに限られたものではないとSamsungは話している。同社はSamsungの電子機器事業とHarmanがもつオーディオ分野の専門知識を組み合わせようとしているのだ。両社ともに消費者向け、ビジネス向けのオーディオ事業を抱えているだけでなく、HarmanはIoTデバイスに関する知識も持ち合わせているからだ。

IoTという言葉は今でもバズワードとなっているが、SamsungはHarmanが抱える8000人のディベロッパーを活用して「消費者、そして企業に次世代のクラウドベースの顧客体験を提供し、デザイン、データ、デバイスを組み合わせたエンドツーエンドの自動車向けサービスを提供する」と話している。

他のSamsungによる買収の中で特出すべきものとしては、AppleのSiriを生み出したメンバーが経営するバーチャル・アシスタントのViv、そしてクラウド・コンピューティングのJoyentなどが挙げられる。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

GE Digitalがフィールドサービス支援のServiceMaxを9億1500万ドルで買収

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GE Digitalは本日、クラウドベースのフィールドサービス支援事業を行うServiceMaxを9億1500万ドルで買収したことを発表した。ServiceMaxが2015年に8200万ドルを調達したシリーズFでは、同じGEグループのGE Venturesが出資に加わっていた。

おそらく、読者が思っている以上にこの2つの企業の共通点は多いだろう。GEはPredix Platformと呼ばれるプラットフォームを運営し、IoTデバイスに搭載されたセンサーから受け取った情報を活用して、顧客となる企業が各種のアプリケーションを構築できるというサービスを提供している。GEはこれまでにもIoT業界に大きく力をいれており、MRIや風力タービン、航空機エンジンなどの巨大な機械から得たデータを顧客に提供することで、顧客による機械のメンテナンスに役立てている。

実際、先日私がServiceMaxの共同創業者兼バイスプレジデントであるAnthani Krishnaprasadに取材したとき、彼はIoTデバイスに搭載されたセンサーから得た情報を企業に提供することで、企業がまったく新しいビジネスモデルを構築することができるという未来について話をしていた。その時に彼が話していたServiceMaxのビジョンによれば、病院などの医療機関は今後、MRIなどの医療機器を「購入する」代わりに、稼働時間に基づいて発生する料金を支払うようになるという。

そして、ベンダーが医療機器の稼働状況をモニターし、メンテナンスをするようになる。センサーから得たデータによって、どのパーツが故障寸前なのか、それとも定期的なメンテナンスが必要なのかということを知ることができるのだ。彼はこのサービスを「結果ベースのサービス」と呼んでいる。

「データを分析してビジネスのプロセスを変え、それによって効率的なビジネスとより良い顧客サービスを実現することで、企業は大きな成功を掴むことができるのです」とKrishnaprasadは説明する。

GEがこれまでの単に機械を販売するというビジネスモデルから、SeviceMaxのビジョンに似たビジネスモデルへと転換しつつあるということを考えれば、この2社が手を組んだことは当然の成り行きだと言えるだろう。

「この買収は、Predix Platformにまつわる一連の技術のクオリティを高め、”Industrial Internet”という私たちのビジョンを推進することを目的に実現したものです」と話すのはGE DigitalのCEOを務めるBill Ruhだ。「生産性の向上はIndustrial Internetには欠かせない要素です。そして、デジタル産業戦略を成功させるために重要となるのが、フィールドサービス支援事業のデジタル化なのです」と彼は加える。

2007年に創業のServieMaxはこれまでに2億ドルを調達している。買収金額の9億1500万ドルという数字は、同社の投資家にとっては悪くないリターンだと言えるだろう。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Adobeがビデオ広告のTubeMogulを5億4000万ドルで買収

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Adobeは、デジタル・ビデオ広告のバイイング、効果測定プラットフォームであるTubeMogulとの買収交渉が合意に達したと発表した。

Adobeによれば、買収価格は1株につき14ドル、合計で5億4000万ドルだという。TubeMogulがAdobeに加わったことにより、Adobe Marketing Cloudが強力なビデオ広告ツールを持つことになる。Adobe Marketing Cloudではすでに、検索連動型広告、ディスプレイ広告、ソーシャル広告の最適な組み合わせを予算に基づいて算出する、最適化ソリューションを提供している(ビデオ広告の製作とマネタイズができるAdobe Primetimeもすでに稼働中だ)。

Adobeのデジタルマーケティング部門でバイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーを務めるBrad Rencherは、「従来のTVコンテンツから、インド映画、ハリウッド映画にいたるまで、様々なコンテンツがあらゆるデバイス上で爆発的に消費されています。そして、さまざまな消費者向けブランドがその動きに細心の注意を払っているのです」と買収を伝えるプレスリリースの中で語っている。「TubeMogulを買収したことにより、Adobeはビデオ広告に関するあらゆるサービスを揃えた”総合デパート”を提供することができ、Adobe Marketing Cloudがもつ戦略的価値がさらに高まりました」。

TubeMogulは2014年にIPOを果たしたものの、最近の株価は冴えず、昨日の終値は7.67ドルで引けている。直近の決算発表によれば、同社の収益は5610万ドルで、最終損失は1240万ドルとなっている(米国会計基準)。

買収が完了するのは2017年の第一四半期になる見通しだ。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Facebook、NaverのSnapchatクローン、Snowの買収を試みるも失敗していた

BERLIN, GERMANY - FEBRUARY 24:  The Facebook logo is displayed at the Facebook Innovation Hub on February 24, 2016 in Berlin, Germany. The Facebook Innovation Hub is a temporary exhibition space where the company is showcasing some of its newest technologies and projects.  (Photo by Sean Gallup/Getty Images)

FacebookはSnapchatのように動き、臭い、似ている存在はすべて買収しようとしているという噂の火に油を注ぐような出来事があったもようだ。事情に通じた情報源がTechCrunchに語ったところによると、この夏FacebookはSnowの買収を試みたが不成功に終わったという。このサービスはSnapchatによく似ており、運営しているNaverは時価総額250億ドルの巨大韓国企業で、有名なチャット・アプリ、Lineの背後の存在でもある。

われわれが接触した情報源によれば、Snowにはすでに8000万のダウンロードがあり、さらに毎月1000万ずつダウンロードを増やしているという。この急成長ぶりにひかれたのはFacebookだけではなく、Tencent(巨大チャット・アプリWeChatを運営)やAlibabaも買収を試みたことをTechCrunchはつかんでいる。

Naverはわれわれに対し「Snowが多数の企業からラブコールを受けたのは事実だ」と声明を送ってきた。ただしSnowが買収攻勢を受けたことは確認したものの、買収を試みた会社について具体的な社名は明かさなかった。

Facebookにはコメントを求めたが回答はなかった。

Snowはこの夏、韓国、日本、中国でAndroid、iOS双方のアプリがそれぞれの公式ストアでランキング入りし、合計3000万ダウンロードを集めたときにときにまず注目を集めた。7月にはNew York Timesに長文記事が掲載され、Snow(とNaver)はSnapchatがアジア市場への関心が低いことを好機としていると説明された。これも結果としてSnowへの関心を高めた。

この記事が出た後、Facebookのファウンダー、CEOのマーク・ザッカーバーグがSnowの存在に気づき、Naverのファウンダー、会長のHae-Jin Lee(イ・ヘジン)に電話して買収の希望を伝えた。Naverは7月にLineを日米で同時に上場させ、10億ドル以上の資金を得ることに成功している。しかしイ会長はSnowにはLineなみの将来性があると信じていたためFacebookの申し出を断った。

実際、9月に入ってLineが4500万ドルをSnowに投資するなどしてLineとSnowの連携は強化されている。この際のSnowの会社評価額は1億8000万ドルだったが、誕生わずか1年後の企業にしては悪くない額だ。Lineは日本、タイ、台湾という主要市場以外でのユーザー獲得に苦労している。そこでSnowとの連携が海外市場でのLineの事業拡張に有益だと考えられたのだろう。

SnowにはSnapchatクローン的な性格があるものの、内容には異なる点も多い。

まず第一に、Naverは各地域でサービスのローカライズに真剣に取り組んでいる。これは2011年から2012年にかけてLineが実行した戦略で、このときは韓国と日本でセレブを動員してサービス内に目立つように記事を載せることでサービスの立ち上げに役立てた。【略】

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Snapchat — 現在は‘Snap’に改名 —は来年の株式上場に向けて準備中だと広く報じられている。上場されれば同社の時価総額は250億ドル前後になり、40億ドルの資金を調達できるものとみられている。

こうした数字は3年前にFacebookからの30億ドルでの買収の申し出を断ったCEOのEvan Spiegelの決定を強く支持するものになりそうだ。 当時、この決定は間違いだと強く批判されたものだが。

Snowは誕生後、日が浅いため、Facebookが買収失敗を悔やむような巨大な存在に成長するかどうかはまだ不明だ。

現在のところFacebookは自社サービスにリアルタイム・チャット的性格を盛り込むために全力を挙げている。これにはSnapchatからの「インスピレーション」が多数含まれているという。

具体的に見ていくと、Instagram StoriesはFacebook自身がSnapchatの影響を認めている。Facebookのこのサービスは2ヶ月で1億人のユーザーを獲得するという成績を挙げた。これより規模は小さいがFacebookからはティーンエージャー向けのビデオ・アプリSnapchat風のカメラ機能、ポーランドでテストされた MessengerのSnapchatクローン的機能なども出ている。

〔日本版〕Naver会長Hae-Jin Leeに関する日本語記事では「李海珍」という漢字表記がある。ただし本人に対する直接インタビューの記事では「李ヘジン」の表記だった。この記事では姓名ともカタカナ表記にとどめた。

画像: Sean Gallup/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

QualcommがオランダのNXP Semiconductorを470億ドルで買収

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QualcommがNXP Semiconductorを約470億円で買収することを発表した。今回の買収は手元資金で賄われる。半導体の巨大企業であるこの2社によれば、買収交渉が合意に達したのは先週のことだが、本日のクアルコムによる発表で正式なものとなった。

今回の買収によって年間収益が300億ドルという巨大企業が出来上がることになる。さらに、クアルコムにNXP Semiconductorのセキュリティ向け、認証端末向け、自動運転車向けの半導体技術が加わることで、同社のモバイル事業、ワイヤレス受信機事業、IoT事業の強化にもつながる。自動運転車やサイバー・セキュリティ分野にテック業界や投資家からの注目が集まるなか、半導体分野における主導権をより強固にする今回の買収は賢い選択だったと言えるだろう。

QualcommがオランダのNXPと買収交渉をしていると最初に報じられたのは今年の9月のことだった。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

The New York Timesがガジェット系メディアのThe Wirecutterを買収

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The New York TimesがThe Wirecutterとその姉妹メディアのThe Sweethomeを買収したことを発表した。

The Wirecutterは元Gizmodo編集者のBrian Lamによって創設された。The New York Timesによれば、Brianはこれからも顧問役として当メディアの運営に関わっていくようだ。The New York TimeのBeta開発チームに所属するBen Frenchが臨時のジェネラル・マネージャーとして就任し、編集主任のJacqui Chengとプロダクト・ディレクターのChristopher Mascariはそれぞれ現職を維持する。

TechCrunchの読者であればThe Wirecutterはすでによくご存知のことだろう(私たちは共同で記事を配信したこともある)。しかし、The Wirecutterのことを知らない読者のために説明すると: 当メディアではガジェット紹介記事を提供していて、例えばノートパソコンスタンディング・デスクといったカテゴリーの中で最良のガジェットを見つけられるようになっている。The Sweethomeでもそれは同じだが、違いはThe Sweethomeでは家庭で利用するガジェットにフォーカスしているという点だ。

The New York Times CEOのMark Thompsonは買収を発表したプレスリリースの中で、「この2つの買収が実現したことをとても嬉しく思います」とコメントしている。「この2つのメディアは魅力的な収益モデルをもつ素晴らしいビジネスです。そして、正確に情報を伝えることを大切にする彼らの素晴らしいジャーナリズムこそが、彼らの成功の礎なのです」。

今回の買収費用はすべて現金で清算されたということを除いて、The New York Timesは買収金額について言及していない。しかし、Recodeの記者であるPeter Kafkaによれば(この買収のニュースを公表した人物)、今回の買収金額は3000万ドル以上になるとのこと。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

パナソニック、Tesla向け太陽光発電システム生産へ―TeslaのSolarCity買収承認が条件

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Teslaとパナソニックは家庭用の太陽光発電(PV, photovoltaic)システムの生産で提携することに合意した。 このシステムはTeslaの家庭用Powerwall、企業向けPowerpackバッテリー・システムに給電することができる。現時点ではこの契約に拘束力はないが、今後TeslaのSolarCity買収が株主に承認され、効力を得るようになればその限りではない。

SolarCity/Teslaの合併が最終的に効力を得ればパナソニックは2017年にバッファローの工場でTesla向けPVシステムの生産を開始する計画だ。Teslaではこうした発電部品の供給に関しては長期的な提携を考えているという。パナソニックはすでにTeslaの自動車および家庭、企業向けエネルギー蓄積システムに使われるバッテリーを生産しているパートナーだ。

公式ブログでTeslaは同社とパナソニックとの継続的なパートナー関係は「家庭用の維持可能な再生可能エネルギー・システムを作り上げ、しかもユーザーの負担を最小限に押さえるという大きな目標を達成する上で重要なもの」と書いている。

TeslaとSolarCityの経営陣はどちらもTeslaブランドでの両社の統合を望んでいる。ただしこの買収提案には一部の株主が反対の訴訟を起すなどの問題が起きている。一方、TeslaのCEOでSolarCityの会長を務めるイーロン・マスクは10月28日に、電気自動車を供給するTeslaと太陽光発電事業のSolarCityがTeslaブランドの下に合併することがいかに両社にとって不可欠であるか説明することを計画している。TeslaとSolarCityの株主は11月17日にTeslaのSolarCity買収に対する賛否の投票を行う。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

PayPalがGoFundMeの買収を検討中か

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昨年eBayからスピンオフした巨大デジタルペイメント企業のPayPalと、クラウドファンディングビジネスの関係にはこれまでがあった。しかし、今後その関係性が変わることを示唆するような出来事がおきている。PayPalがGoFundMeの買収に興味を持っており、買収金額が10億ドルを越える可能性があるとの情報をTechCrunchは入手したのだ。GoFundMeは、真剣なものから気軽なものまで、さまざまなキャンペーンを扱っているクラウドファンディングプラットフォームを運営している。

両社の間で買収話がどこまで進んでいるかや、そもそもこの話が現在も行われているかについては明確ではない。

GoFundMe・Paypal共に、噂や推測に基いた質問にはコメントしないと話している。投資家など私たちが他に連絡をとった人たちも、本件についてはコメントしなかった。どうやらこの話は上層部でのみ行われているようだ。

2008年にサンディエゴで、Andrew BallesterとBrad Damphousseによって設立されたGoFundMeは、これまでに目覚ましい成長を遂げてきた。Kickstarter・Indiegogo・Tiltといった企業と競合している同社は、2015年に唯一と言ってもいい大型の資金調達を行った。調達額は不明だが、AccelとTechnology Crossover Venturesがリードインベスターとなり、Iconiq CapitalやGrelock、Meritechもラウンドに参加していた。さらにその1ヶ月後には、StripesもGoFundMeに投資していたことが分かった。

その際の契約の一環として、投資家が株式の過半数を保有し、ファウンダーのふたりは経営を担うポジションから外れることになった。そして、新たにAccelでベンチャーパートナーを務めるRob Solomonが同社のCEOとなり、GoFundMeのバリュエーションは約6億ドルに達した。当時GoFundMeは、毎月1億ドルにおよぶプラットフォーム上のさまざまなキャンペーンに集まった資金を決済し、年間300%の成長を遂げていると推測されていた。

PayPalにとって、クラウドファンディングサイトとの関係深化や、クラウドファンディング企業の買収というのは(驚きだとはしても)面白い展開だろう。

今年に入ってからPayPalは、クラウドファンディングプラットフォーム上での支払に対する購入保障(Purchase Protection)を取りやめた。同社とクラウドファンディングコミュニティの関係は不安定で、アカウントが凍結されたという有名な話もある。PayPalサイドが問題視しているのがリスク管理で、特にクラウドファンドの寄付者がお金を返してほしいと思ったときに、PayPalに返金義務があるかどうかという点だ。

GoFundMe上では、既にPayPalは支払手段のリストから消え、StripeとWePayの組合せに置き換わっている。この二社のサービスを使えば、利用者がデビット・クレジットカードを使ってキャンペーンページから直接資金提供でき、さらにGoFundMeも支払プロセスにもっと関われるようになると、同社は変更の理由について話す。

今月GoFundMeは、購入保障の問題を自分たちで解決することにし、寄付者と資金調達をしている人に対して、独自の限定保証制度を提供しだした。この保証のもとでは、キャンペーンに何か問題が生じた際に、寄付者と資金調達をしている人の両方が、1000ドルから2万5000ドルの保証を請求することができる。なお、現状この保障制度はアメリカとカナダでしか利用できない。

しかしPayPalがクラウドファンディングに再び目を向け、もしかしたらこれまでよりも深く、真剣に関わってかもしれないのには理由がある。

まずGoFundMeは、利用者の目標や成果に対する資金を集めることに注力しており、キャンペーンの内容や資金使途については物議をかもすことがあったものの、寛容さや善意をもった人を惹きつける力を持った強力なプラットフォームだ。利用者からの人気も高く、”お金の印刷工場”と例えられることもあったほどだ。

また、PayPalは買収後もGoFundMeを別会社として存続させることができる。もっと戦略的なスタイルをとるとすれば、GoFundMeはPayPalの既存ビジネスを上手く補完できる力をもっている。既存ビジネスの例としては、現在も続いているeBayへのペイメントサービスの提供や、オフラインでの支払、Braintreeを経由したサードパーティーアプリでの支払、P2Pペイメントなどが挙げられる。

大人気のクラウドファンディングプラットフォームと連携すれば、PayPalは決済数を伸ばすための新たなチャンネルが獲得できる上、大量の新しいユーザーを呼ぶこむことができるかもしれない。

読者の方は恐らくFacebookのニュースフィード上で、感動的なものから趣味の悪い変なものまで、既にたくさんのGoFundMeキャンペーンを見たことがあろうだろう。GoFundMeによれば、すべてのキャンペーンを合わせると、2015年5月までに2500万人の寄付者から合計20億ドルが提供された。

他の商業プラットフォームと同様、GoFundMeは決済金額の5%を手数料として設定しており、その他にも少額のサービス料から収益をあげている。サイトは基本的にSNSのような形で運営されており、(現時点では)社外のペイメントプロバイダーを利用していることから、諸経費は低く抑えられている。このようなビジネスの粗利益はとても大きい可能性が高い。

そしてGoFundMeはPayPalと統合されることで、もっとその価値を高めることができるかもしれない。

追加レポート:Katie Roof

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

クレジットカードのCapital Oneがオンラインで商品価格をトラックするParibusを買収

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Capital Oneが、またフィンテック分野で買収を行う。今回は価格トラッキング・サービスのParibusだ。Paribusは、オンラインの買い物客が購入した商品の価格が下がった際に、自動で返金を得られるように手伝うサービスだ。取引条件は公開されていないが、今回の買収でParibusのテクノロジーとチームのどちらもCapital Oneに加わることになる。

ParisubはTechCrunch Disrupt NY 2015のStartup Battlefieldでローンチし、そのアイデアはオンラインの買い物客が、購入した商品の価格を継続的にトラックし、価格が下がった際にはオンラインの小売店に返金を依頼するプロセスを自動化するというものだ。多くの小売店は、購入後でも価格を一致させるための返金に応じるが、ほとんどのコンシューマーは商品の購入手続きが完了した後、その商品の価格の変動を確認するのを面倒に感じている。

ParibusはGmail、Outlook、YahooなどのEメールプロバイダーと連携し、ユーザーの受信箱にあるオンラインで購入した商品のレシートをスキャンする。レシートを見つけると、オンライン店舗に設置してある商品価格の一致を知らせるウェインドウを見に行って、価格が下がっているかどうかを確認する。このサービスはAmazon、Best Buy、Walmart、Target、Bloomingdale’s、Macy’s、Bonobos、J.Crew、NewEgg、Costco、Staples、Kohl’sを始め、多くのオンライン店に対応している。

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Paribusは220万ドルを調達し、12名のチームで運営している。彼らは全員Capital Oneに加入する。ParibusのファウンダーであるEric GlymanとKarim Atiyeは、Capital OneのU.S. Cardでシニアディレクターに就任する。

「私たちは彼らの才能、そして彼らがユーザーの生活を助けるという揺るぎないミッションを掲げて開発している革新的なテクノロジーに感嘆しました」とCaptal OneのU.S. CardでManaging Vice Presidentを務めるEmilia Lopezは、同社がParibusを買収した理由について話す。

「私たちが注力することは、Capital Oneの幅広いサービスの中にParibusを融合させること、そしてCreditWiseやSecond Lookといった私たちが人々の生活を楽にすることを目指して提供しているテクノロジーやツールにParibusのプロダクト加えることです」とLopezは言う。

買収時、Paribusは70万人のユーザーを抱え、共同ファウンダーのGlymanはここ数年における同社の方向性と成長にチームは満足していたと話すが、収益については開示しなかった。

「他の多くのスタートアップ同様、私たちは1年間で急速に成長し、様々な道を選ぶことができました」とGlymanは話す。「私たちはCapital Oneと力を合わせる道を選びました。革新的なテクノロジー企業に加わり、私たちの取り組みを大幅に増強できること、そして彼らと共にコンシュマー向けの素晴らしいテクノロジーを構築する力を活性化させることができることを嬉しく思います」。

Paribusは買収後に閉鎖することはないが、Capital Oneと新たな節約サービスの開発に取り組みという。同社はすでに、クレジットカードの価格保証に焦点を当てた新プロダクトに着手していて、次のビジネスにおける一歩を踏み出している。

今回の買収は近年Capital Oneがテック人材の採用とカスタマーにモダンで革新的なサービスを提供するために行なっているいくつかの買収案件に続くものだ。Capital OneはBundleBankOnsAdaptive Pathといったスタートアップを買収していて、昨年もLevel MoneyMonsoonを買収している。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

eBayがビジュアル検索エンジンのCorrigonを買収、買収額は3000万ドル未満との噂

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新品・中古を問わず何でも揃ったマーケットプレイスのeBayが、また新たに企業を買収し、同社のサイト上に掲載されている10億種類前後の商品の中からユーザーが欲しいものを見つけ出すための検索テクノロジーを強化しようとしている。eBayは本日、イスラエルを拠点とするスタートアップで、コンピュータービジョンやビジュアル検索テクノロジーの専門家を有するCorrigonを買収したと発表した。なお、eBayは買収の詳細について何も発表していない。イスラエル紙The Markerは買収額が3000万ドルであったと報じたが、私たちの情報筋によれば実際の買収額はそれよりも少なかったとされる。

Corrigonは、2008年頃にAvinoam OmerとEinav Itamarによって設立された。その後、同社がこれまでにどのくらいの資金を調達したかはハッキリしていない。Omer自身は連続起業家で、Microsoftに買収された機械学習テクノロジー企業のZoomixも彼が過去に設立した会社だ。

Corrigonは、画像内にある特定の物体を検索・認識し、それを他の画像とマッチさせたり、製品情報にリンクさせたりといったことを得意とする。eBayにおいては、その技術が画像と商品のマッチングに利用されるようになるだろう。「Corringonの専門性やテクノロジーのおかげで、販売者は自分の商品にぴったりな画像を利用できるようになり、購入者は自分がスクリーン上で見ているものと実際の商品が同一であると信用できるようになります」とeBayは記している。

これが何を意味するかというと、将来的にeBayは、販売者が自分たちで準備する画像よりも高画質の商品画像を提供できるようになるということだ。同様に、購入者も同じ機能を利用して、eBay上で欲しい商品を探し出すことができるようになる。

Corrigonのサイト上では、彼らの技術がどのように応用できるかについて詳細を確認することができる。例えば、大きな写真の中にいくつものアイテムが含まれているとして、ユーザーが画像上でマウスのポインターを動かすと、アイテム毎にポップアップリンクが表示され、ユーザーはそこから関連アイテムを購入することができるのだ。Corrigonのテクノロジーを利用すれば、アイテムの認識とリンクの作成が基本的に自動化できる。

eBayはこれまでに、機械学習やビッグデータを利用した検索機能の構築に何度も取り組んできた。今年の5月には、ビッグデータスタートアップのExpertmakerやAIを開発するSalesPredictを買収していた。

さらにeBayはずっと、自社のプラットフォームをもっと視覚的でスマートなものにしようとしており、Corrigonはその戦略にマッチしている。実のところ、eBayは2011年の時点で既に限定的なビジュアル検索機能をモバイルアプリの形で提供しており、ユーザーはスマートフォンのカメラを使って、購入したいアイテムを特定することができた。

2013年には、Pinterestのような画像中心のインターフェースへとデザインを一新し、以前のテキストベースで古風なデザインを好まないような消費者層を取り込もうとしていた。しかし、インターフェースの変更によって、画像の検索や発見、画像とのインタラクションに関しもっと高度なテクノロジーが必要になったのだ。

eBayによれば、「構造化データイニシアティブの一環として」Corrigonの技術は画像認識だけでなく、画像の識別や補正にも利用される予定だ。

「私たちがeBayのショッピング・エクスペリエンスを進化させていく中、Corrigonのテクノロジーや専門性のおかげで、利用者は欲しい商品を簡単にみつけられるようになります。これは、1年以上前、つまり私たちが構造化データに投資する以前は不可能なことでした」とeBayの構造化データ部門でヴァイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーを務めるAmit Menipazは声明の中で語った。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

買収の噂が消えてTwitter株、20%暴落

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Twitterの株価はここ数週間非常に好調を続けていた。しかしこのハネムーンも終わり、現実に戻るときが来たようだ。現在(米国時間10/6)、Twitteの株価は昨日の終値24.87ドルから20.06%ダウンして$19.88ドルとなっている。

いったい何が起きているのだろうか? Recodeの複数記事によれば、Twitterの買収を検討していた大企業の多くが手を引くことを決めたからだという。Google、Apple、DisneyはもはやTwitter買収に関心がないという。

Salesforceはどうやら最後に残った買い手候補らしい。Salesforceは以前プロフェッショナルのSNS、LinkedInを買収しようとしたことがあったが、Microsoftにさらわれた。

しかしSalesforceのCEO、Marc Benioffは「われわれは結局Twitterを買収しないかもしれない」とも述べている。Benioffの今日の投資家向けの発言にはさまざまな要素が含まれていた。

こうしたことがすべて現在のTwitterの株価に反映している。Twitterの時価総額から一夜にして20億ドル以上の価値が消えた。もしかすると、株価が下がったことで、現在は表に出ていない買い手がTwitterに手がとどくようになったかもしれない。

Twitterが株式を公開したのは2013年の11月で、上場初日の終値での時価総額は310億ドルだった。今日の時価総額は150億ドル弱だ。去る6月のTwitterの時価総額はこれよりさらに低く、100億ドルだった。

ともあれ、ここしばらくはTwitterは独立企業として運営されるしかないようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ユナイテッド、コンプレックス系メディア「ハゲラボ」など運営のゴローを8.1億円で子会社化

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オンラインプログラミング講座事業を手掛けるキラメックス、iOSアプリの課金プラットフォーム事業を手掛けるSmarpriseと、スタートアップを立て続けに子会社化してきたユナイテッドがまた新たなスタートアップを自社のポートフォリオに加えたようだ。

ユナイテッドは9月29日、スマートフォン向けのアドテク事業やコンテンツ事業を展開するゴローを子会社することを取締役会で決議したと発表した。ユナイテッドはゴローの株式3527株(所有割合は60%、ゴロー代表の花房弘也氏が所有する残り40%の株式は議決権のない種類株に転換するため、議決権ベースではユナイテッドが100%になる)を取得する。取得額は8億1067万円。なおゴローはこれまでサイバーエージェントおよびEast Venturesからの資金を調達している。両者の株式はユナイテッドが譲受する60%の株式に含まれる(所有割合はサイバーエージェントが18.7%、イーストベンチャーズが13.1%)。

ゴローの設立は2014年1月。当初は複数ファッションECサイトを一括で閲覧し購入できるアプリ「melo」を提供していたが、その後ピボット。現在は薄毛対策・治療に特化したメディア「ハゲラボ」などを運営している。

ユナイテッドはゴローの子会社化に関するリリースの中で、「収益性の高い個人の悩み解決型のニッチなウェブメディアを複数手掛け、足元順調に事業を拡大しております。今後、当社グループの持つ人材などの経営資源をゴローに積極的に投入し、既存メディアを継続的に拡大するとともに、新規メディアも積極的に立ち上げ、その成長スピードを上げてまいります」としている。

実は最近、こういったニッチでコンプレックスに関わるような領域のメディアが成長しているという話を聞く機会が増えている。ディー・エヌ・エーが提供する「WELQ」やドウゲンザッカーバーグが提供する「NICOLY」なんかもそうだろう。怪しいアフィリエイト目的のサイトが乱立していたような領域に対して、これまでとは異なるアプローチをする新興メディアが続々生まれているということだろうか(ただし中には情報の不正確さなどをブログやソーシャルメディア上で指摘されているケースもあるようだが)。

GoogleがTwitterを買収するなら、YouTubeと統合するのがベストだ

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最も早いタイプのSNSと最も遅いタイプのSNSを組み合わせたら、それはみんなが見るような、忘れらないSNSになるだろう。

YouTubeには短く、頻繁に更新されるコンテンツはないが、YouTubeの動画とそれに付随する視聴者は多額の利益をもたらす広告を惹きつけることができる。Twitterはグロースとマネタイズに苦戦しているが、それは地球の鼓動を体現し、無数のリアルタイムのコンテンツとエンゲージメントを生んでいる。

Kara Swisherが伝えところによると、買収額300億ドルという。この金額をGoogleが支払うことに意欲的なのなら、両者はきっと強力なチームになることができるだろう。

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YouTube’s new Twitter-esque Community tab

CNBCTwitterが売却を検討していると報道した。TechCrunchでもTwitterは他にVerizon、Salesforce、Microsoftと買収の話をしていると伝えた。また、Disneyも入札を検討しているようだ。

これらの買収先の中では、Googleが一番合っているようにみえる。GoogleはTwitterと連携しやすいプロダクトをいくつか所有している。それにGoogleはYouTubeを買収以後、成功するソーシャルネットワークを作れていない。そして、Googleは検索広告というありえないほど利益をもたらすビジネスを保有しているので、財務的に不安定なTwitterを支援することができるだろう。

GoogleはTwitterの買収で、大量のデータ入力を期待でき、世界の情報を整理するという目標に向かって前進することができる。GoogleのAIが、世界で何が起きていて、人々がそれにどのような反応をしているかの理解することの助けにもなるだろう。それに加え、GoogleのAdwordsやAdSenseで知り得た全てのデータを合わせることで、効率的なマネタイズも実現できるかもしれない。

しかし、最も良い戦略はYouTubeの散発的な動画コンテンツとTwitterの定常的なおしゃべりを組み合わせることだと私は思う。YouTubeとTwitterが深く連携することで、YouTubeチャンネルには洗練された動画と無加工のツイートが揃い、熱狂的なファンのためのワンストップサービスになることができる。それは、コンテンツ・クリエイターのチャンネルに視聴者が再訪する率を高めることが期待できる。

Googleはつい最近、YouTubeにTwitter風機能YouTube Communityを実装したばかりだ。これを本物と置き換えることができるだろう。

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YouTube Community はYouTubeのチャンネルのサイドバー/タブにあり、クリエイターがテキスト、写真、GIF、リンクなどを共有することができる機能だ。これにより、クリエイターは視聴者とさらに深い関係性を築くことができる。クリエイターが週に2、3回、新しい動画を投稿した時だけユーザーがサイトを訪れるのではなく、もっと頻繁にYouTubeへの来訪を促すことが目的だ。YouTubeのアルゴリズムによる提案を駆使すれば、そういった視聴者に他の動画や、ユーザーのお気に入りのスターの過去動画を紹介したりすることができるだろう。

これができればYouTubeは、Facebookと競争する力を補強できる。Facebookはユーザーが新しい動画を発見できる仕組みを組み込むことで多くの視聴者を得ている。ユーザーは友達の近況を知るためにニュースフィードを訪れるが、気がつくとランダムに流れる動画を視聴している。この環境では、ユーザーは特定の見たい動画があって視聴しているわけではないため、Facebookには高額な動画広告を差し込むチャンスが生まれる。YouTubeはこれまで、ユーザーが特定の動画を見たり、フォローするクリエイターの最新の動画クリップを見るために訪れるサービスとして発展してきたのだ。

一方Twitterは、YouTubeのメインストリームやティーネイジャーの観衆への露出があることで多大な恩恵を受けられるだろう。Twitterにサインアップする動機がまだいまいち理解できていない人もいる。公人でなく、ツイートだけで大きな観衆を作ることができないユーザーは特にそうだ。しかし、YouTubeに実装されるなら、ユーザーにスターや業界の聡明なリーダーなどをフォローしたり、返信したりできるようになる。自分自身でオリジナルのツイートをしなくとも楽しめるTwitterの隠れた良さを伝えることができるかもしれない。

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Googleが買収するならTwitterは、自分たちで直接マネタイズする圧力から解放されることにもなるだろう。Twitterの収益の伸び率は芳しくなく、急速に縮小している。Twitterが提供する「スポンサードツイート」などの広告商品は、ユーザーの目に止まりにくいという問題もある。

人々は、Twitterのタイムラインのツイートを全て細かくチェックしているのではなく、飛ばし読みしていることが多い。Twitterの広告は、Facebookの広告より飛ばされやすい。それはFaebookの投稿はアルゴリズムでソートされ、リアルな友達の投稿はじっくり読むことが多く、その合間に出てくる広告も視聴しやすい環境にあるからだ。Twitterの最も効果的な広告形態は動画で、YouTubeが提供する体験と広告主とのつながりは、Twitterの広告を促進させる力があるだろう。

いずれにしろTwitterは変わらなければならない。ただ、Twitterの売却で資金を得たい投資家は前向きではないかもしれない。株価はどんどん下がっている。決算発表がある度に、ユーザーグロースの問題が収益グロースの問題へと発展し、希望が失われているように感じられた。新たなマネジメントを迎え、クロスプロモーション施策に実績のあるGoogleのようなテクノロジー企業の後ろ盾があれば、Twitterはその翼を治すことができるかもしれない。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

DisneyがTwitter買収を検討中―コンテンツ配信の相乗効果はあるが言論の自由との関係は課題

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DisneyがTwitter買収の可能性を検討していることをわれわれは確認した。Disneyはこの買収のビジネス上の意味を銀行と協力して調査中だという情報をTechCrunchは複数の情報源から得た。

一部ではTwitterの買収価格は300億ドル〔3兆円〕に近いと伝えられているが、われわれの情報ではそれよりずっと低い。Twitterの現在の時価総額は買収の可能性を受けて上昇している一方、Disneyは下落した。先週末、Salesforceによる買収の可能性が浮上する前、木曜の終値の時価総額は130億ドル弱だった。現在は200億ドルにアップしている。つまり投資家は300億ドルも可能だという楽観的な見通しを抱いているらしい。

Disney全国テレビ・ネットワークのABC、スポーツ・チャンネルのESPNをは傘下に持つ巨大メディア・グループであり、ソーシャルメディアのプラットフォームを加えることによって影響力を大きく伸ばせる。Twitterはコンテンツに関してNFLなどと提携を模索している。こうしたパートナーシップが成功するならTwitterのメディアとしての価値はアップし、Disneyのようなメディア・コングロマリットにとっても買収の意味が増大するだろう。

Periscopeなどを含むプラットフォーム上でNFLなどと協力してスポーツ試合をライブ・ストリーミングするTwitterの計画は買収を検討している企業の関心をかきたてているという。DisneyのESPNは、現在売上の確保に関して問題を抱えているとはいえ、Disneyグループの価値のきわめて大きな部分を占めている。TwitterがのNFLのフットボール試合ウェブ、アプリでの中継はDisneyが10億ドルを投資したBAMTechのテクノロジーを用いる。BAMTechはMLBからのスピンアウト企業で、 メジャーリーグ野球中継のMLBAMを開発したことで知られている。

そこでTwitterの買収は単にテクノロジーそのものの買収に留まらず、Twitterが実施している木曜夜のフットボール試合の中継の実験が良い例だが、テクノロジーと解説や法的関係も含むライブストリーミングのソフト面とのコンビネーションとなることは間違いない。

ケーブルテレビの加入者数の減少が止まらないため、Disneyのようなメディア・グループは視聴者にリーチするために新たなプラットフォームを必要としている。ESPNとABCはTwitter買収によって当たらなデジタルビデオ・プラットフォームを得るだけでなくソーシャルメディアとの統合も果たせる。

最終的にこうした組み合わせは、デジタル・コンテンツのプラットフォームの再定義をもたらす。コンテンツの新しいリアルタイム配信の世界を支配するためには的確な長期的視野が必要だ。

Disneyの買収検討のニュースは、Twitterの共同ファウンダー、CEOのジャック・ドーシーがDisneyの取締役でもあるという事実によっていっそう関心を呼んでいる。

DisneyがTwitterの買収に関心を抱いているというニュースは、Bloombergが今朝初めて報じた。われわれが知るかぎり、Twitter買収に対してのDisneyの関心はしばらく前から始まっていたようだ。

もちろんこうした大型買収の実現には数多くのハードルがある。Twitterの場合、一部のユーザーによるTwitter不正利用の問題に加えて、一時期Twitter自身が言論の自由の砦を自認していた点も大きなハードルになりえる。Disneyは過去に言論の自由に関していくつかの問題を起こしてきた。Disneyは1997年にクンドゥンの公開の妨害を図っている。これは中国によるチベットの植民地支配を強く非難してきた14世ダライ・ラマの半生を描写したマーティン・スコセッシ監督の映画だ。クンドゥンの配給を妨害したのはDisneyだけではなく、Universalも中国本土での映画配給に影響が及ぶことを恐れて契約を破棄した。しかしこの事件はメディア企業と言論の自由の間には困難な関係があることをよく表したものとして記憶されている。

TwitterはまたNFLなど各種の有力コンテンツを生成者するパブリッシャーのための橋渡しのネットワークとしても機能しようとしている。ニュース配信やスポーツ試合の中継と解説のプラットフォームとしてのTwitterの強みは、少なくともその一部は、既存のメディア企業とは異なる中立性にある。Disneyのような世界最大のメディア・グループの傘下に入った場合、Twitterのこの強みはどうなるだろうか? DisneyがTwitterを買収しようとするなら、これが重要な問題になることは間違いなさそうだ。

TechCrunchはTwitterとDisneyにコメントを求めている。

画像: chrisdorney/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Google、API開発の上場企業、Apigeeを6億2500万ドルで買収へ

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今日(米国時間9/8)、Googleは上場企業でAPIの開発と管理のプラットフォームを提供しているApigeeを買収することを発表した。Apigeeは昨年上場された会社で、買収価格は1株あたり17.40ドル、総額6億2500万ドルだ。

ApigeeはオープンAPIでユーザーがデジタル・サービスを構築することを助けている。

Apigeeのユーザーには薬局チェーンのWalgreensを始め、AT&T、Bechtel、Burberry、First Data、Live Nationといった有力企業が含まれる。

買収を発表した公式ブログで、Googleのエンタープライズ・クラウド・コンピューティング担当上級副社長のDiane GreeneはApigeeについてWalgreensの場合を例にして次のように説明した。

たとえばWalgreensはApigeeを利用してデベロッパーや提携企業がWalgreensのエコシステムを助けるアプリを簡単に開発できるようにしている。デベロッパーはApigeeのプラットフォームで開発された独自のAPIを用いて、たとえば各店舗で写真を出力するモバイルアプリ、処方箋で買った薬を簡単に再購入できるモバイル・アプリなどを開発することができる。

GreeneはAPIの開発、管理ツールがGoogleのビジネスに与える影響を正しく理解しているようだ。Greeneは「ApigeeのAPIソリューションは企業ユーザーが顧客との間で高品質な双方向のやりとりを可能にし、Googleのクラウド・コンピューティングを加速する。Apigeeはユーザーが洗練された独自のAPIセットを開発し、公開するのを助ける」と書いている。

Apigeeの買収は同社のテクノロジーと顧客ベースを入手できるだけでなく、AWSの顧客の一部もボーナスとして手に入れることになる。

GoogleはApigeeの買収によって大手企業が並ぶ顧客リストとともにAPIビジネスにおける有力メンバーの地位を入手することは間違いない。Apigee買収はユーザー企業がデジタル化というきわめて変化が速く、広汎におよぶプロセスを遂行するために役立つだろう。また今回のタイミングも興味深い。昨日DellはEMCを670億ドルで買収する手続きを完了させたばかりだ。またエンタープライズ・クラウド・コンピューティング・プラットフォームのスタートアップ、Pivotalが調達したベンチャー資金の出所がEMCだったことも判明している。今やどの会社も急速なデジタル化を必要としており、Dell、Google、AWS、Microsoftといったビッグ・プレイヤーはこのプロセスを加速することに全力を挙げている。

上場企業のApigeeにとって、この1年はジェットコースターに乗っているような株価状況だった。昨年。Apigeeは1株17ドルで上場したが、株価は公開初日に1.9%ダウンした。その後も状況は悪化し、2月12日には5.45ドルまで落ち込んだ。しかしそこからは着実に値を戻し、昨日は16.34ドルで取引を終えた。

ApigeeのGoogleへの売値が上場当初の株価とほとんど同額なのは偶然ではないだろう。同社の時価総額は昨日は4億9893万ドルだったが、今日のGoogleの買値、6億2500万ドルは上場時の時価総額にほぼ等しかった。

Featured Image: Apigee

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

PinterestがGoogle出身のイメージサーチの専門家を、エンジニアリングヘッドとして迎えた

pinterest

Pinterestは、Googleのイメージサーチのヘッドを務めていたLi Fanを、エンジニアリングの新しいヘッドとして雇用したと発表した。

Pinterestの最も特徴的な技術は、検索によるものか従来のフィードに由来するものかに関わらず、写真内のオブジェクトを検索し、その技術を使って利用者に最も相応しいコンテンツをランク付けて表示するというものである、そうしたプロダクトを検索するユーザーは、ほぼ間違いなくそれを購入したいと考えている。それが意味することは、利用者の関心と商用プロダクトの両方に対して、提示されるプロダクトが重要だということだ。

Pinterestの商取引に対する野望が拡大するにつれ、このことはますます重要になっている。ユーザーに写真内のオブジェクトを検索する機能を提供すれば ‐ たとえユーザー自身が撮影したものであっても ‐ それは購入にとても興味のあるプロダクトへと彼らを導いてくれる。その意味で、Pinterestのビジュアルサーチ(Pinterest自身が他のものより素早く抜きん出たものになろうとしてきたもの)はマーケティング担当者にとって、ユーザーを購入の瞬間により引き寄せるために使える最高のツールの1つになりつつある。

PinterestのエンジニアリングのヘッドのLi FanPinterestのコンテンツのほとんどはビジネスから来ている、プロモーションコンテンツだったりユーザーが単にプロダクトをサービスに対してまとめて投稿したものだ。その結果、マーケティング担当者が自身のプロダクトを様々な状況 ‐ ランダムに見たり、検索したり、保存して購入したり ‐ 下でユーザーの前に提示することを助ける幅広い宣伝ツールを、Pinterestは用意している。

またPinterestは、プロダクトを宣伝するマーケティング担当者と、Pinterestユーザーの両方を対象にして、ビデオに焦点を当てた新しい一連のツールも提供し始めている。驚くことではないが、それらの製品のコアコンポーネントとして、動画内の要素に対するビジュアルサーチツールが開発され続けている、そしてビジュアルサーチの専門家でスタッフを強化し続けることが、そうした努力への鍵となるだろう。

同社のエンジニアリングの前ヘッドだったMichael Lopp(2014年6月入社)は、 今年初めの4月中旬に同社を去っている 。過去数年間で去って行ったのはLoppだけではない。同社のモバイルならびにプロダクトエンジニアリングのヘッドとして10ヶ月働いたMark Smallcombeの例もある

Fanは過去8年ほどGoogleでシニアエンジニアの役割を果たしたが、その前はBaiduの検索担当副社長だった。

ということで、最終的にこの人事は驚くようなものではないのだ。しかし興味深いのは、表向き静かな1年を過ごしてきた後で、Pinterestがとても積極的な買収と雇用に乗り出したように見えることである。同社は最近InstapaperHighlightの開発チームを獲得した、沢山のより小さな会社に関しては言うまでもない。

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(翻訳:Sako)

フリマアプリの元祖「Fril」運営のFablic、楽天が数十億円で買収へ

Fablic代表取締役社長の堀井翔太氏(写真は2014年9月撮影)

楽天がフリマアプリ「Fril」を手がけるFablicを買収する。日経新聞が9月3日に報じた。関係者に確認したところによると、週明けにも正式な発表がなされる予定だという。

楽天はファブリックの全株を経営陣などから取得。取得額は数十億円になるという。また今後も楽天の完全子会社として存続させる。

Fablicは2012年4月の設立。OpenNetworkLabの第4期に参加している。2012年7月にはフリマアプリの元祖とも言えるFrilをスタートした。当初は女性に限定してサービスを提供してきたこともあり(現在はその制限はない)、若い世代の女性を中心にサービスを展開している。また最近ではバイクに特化したフリマアプリ「RIDE」の提供も開始した。楽天もフリマアプリ「ラクマ」を2014年11月から提供しているが今後Frilとラクマのユーザーを補完していくことで、月間流通総額を30億円程度を目指すという。

現在国内のフリマアプリ市場を牽引しているのは、Frilより後発、2013年2月にローンチした「メルカリ」だ。2016年3月に84億円の大型調達を発表した際の取材でも「国内月間流通総額100億円を超えた」と語っている。メルカリのようなサービスが現れる一方で2013年頃立ち上がったフリマアプリの中にはすでに終了しているものも少なくない。2013年12月にスタートした「LINE MALL」も、2016年5月にサービスを終了している。TechCrunch Japanでは現在、Fablicに本件に関するコメントを求めている。コメントが得られ次第、情報をアップデートする予定だ。

KDDI ∞ Labo卒業生で高速動画配信技術などを持つMist Technologies、アドウェイズ傘下に

前列左からMist Technologies(Mist)代表取締役CEOの田中晋太朗氏、アドウェイズ取締役の山田翔氏、Mist CTOの井上碩氏、同Co-CEOの山下真寛氏、後列左からKDDIバリュー事業本部 新規ビジネス推進本部 戦略推進部長(KDDI ∞Labo長)の江幡智広氏、グローバル・ブレイン パートナーの熊倉次郎氏

前列左からMist Technologies(Mist)代表取締役CEOの田中晋太朗氏、アドウェイズ取締役の山田翔氏、Mist CTOの井上碩氏、同Co-CEOの山下真寛氏、後列左からKDDIバリュー事業本部 新規ビジネス推進本部 戦略推進部長(KDDI ∞Labo長)の江幡智広氏、グローバル・ブレイン パートナーの熊倉次郎氏

 

KDDIが2011年から手がけているインキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」。その採択企業の1社がイグジットしたようだ。∞ Labo第6期(2014年上期)の最優秀チームであるMist Technologies(Mist)がアドウェイズとの株式譲渡契約を締結。今後はアドウェイズ子会社として活動していくことを明らかにした。買収の金額等は非公開。

東大大学院発の技術系ベンチャー

Mist Technologiesは2013年の創業。東京大学大学院の学生だった代表取締役CEOの田中晋太朗氏を中心にしたメンバーの研究チームが母体となっている。2015年にはKDDIが手がけるコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「KDDI Open Innovation Fund」からの出資を受けている。

創業前から手がけてきたのは、サーバの負荷を分散しつつ拘束にコンテンツ配信を実現するP2P型CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)の「mistCDN」。∞ Laboへの参加などを経てサービスをブラッシュアップしてきた。現在ではフジテレビオンデマンド(FOD)の一部のコンテンツなどで導入が進んでいる。

このFODでのmistCDN導入がMist Technologiesのターニングポイントだったと語るのはCo-CEOの山下真寛氏。mistCDNによって4K動画の高速配信が実現する一方、配信された動画を再生できる高品質のプレーヤー自体がほとんどないということを知った。そこにニーズがあると踏んだMistは、モバイルブラウザ向けの動画プレーヤーである「Mist Inline Player」やモバイル・PCのブラウザ向けの360度動画プレーヤー「360 VR Player」などを開発していった。

今後は共同での商品開発も

現在、積極的なスタートアップ投資を行っているアドウェイズ。VC経由でMistの存在を知り、当初はプレーヤーまわりの知財の買収について話し合いを進めていたそうだが、最終的に今回の発表どおり子会社化に至ったという。

「アドウェイズはスマートフォンマーケティングをグローバルに展開している。広告効果測定のPartyTrackやアドネットワーク事業のOct-passなどを子会社のBulbitで開発しているが、現在DSPについても試験運用中だ。そこでの動画配信で何か一緒にできないかという話になった」(アドウェイズ取締役の山田翔氏)。なお今後のスタートアップ買収については、「積極的にできるわけではないが、今後事業とフィットするのであればやっていきたい。今回の取り組みが試金石になると思っている」(山田氏)とのこと。

今後Mistでは、田中氏をはじめとした既存メンバーを中心にプロダクトの提供を続ける一方、Bulbitをはじめとしたアドウェイズグループと共同での商品開発を進める。