フォードのCEOが交代、自動運転車子会社のトップが就任へ

Ford Motorsは、CEO Mark Fieldsに代わり、自動運転車を開発する子会社のトップが新CEOに就任する。New York Timesが伝えた。

Fordは、Ford Smart MobilityのJim Hackett会長の新CEO就任を月曜日(米国時間5/22)に発表する見込みだ。昨年設立されたFord Smart Mobilityは、つながった車と自動運転車の技術を開発している。

今月行われたFordの年次株主総会で、FieldはCEO就任以来株価が40%下落した責任を問われた。自動運転車に関してはほかにもArgo AIとのジョイントベンチャーに10億ドルをつぎ込んでいるが、低迷する自動車売上は、新技術の開発コストを賄うことができていない

FordのライバルはGoogle、Waymo、Tesla(同社の時価総額は先月ついにFordを越えた)といったテクノロジー企業だけではない。同じ自動車メーカーのGeneral Motorsが世界最大の自動運転車の一団を展開するらしいことがIEEE Spectrumが発見した文書からわかった。

本誌はFordにコメントを求めている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

SoftBankは日本で自動運転バスの実用化を目指す、商用サービスの開始は2020年を予定

SoftBankは日本で、自動運転バスのプロジェクトに力を入れている。公共交通機関の自動運転技術を開発するために同社が昨年創った会社、SB Drive(SBドライブ株式会社)は、Yahoo Japanが率いるラウンドで5億1000万円(460万ドル)の資金を獲得し、資金的にも潤沢になった。

Yahoo Japanは、Yahooの姉妹会社で、日本のもっとも有力なテクノロジー企業のひとつだが、今回のラウンドでは4億9000万円(440万ドル)を出し、残りをSoftBankが払って筆頭株主の座を維持した。投資後のSoftBankの株式持ち分は51.1%、Yahoo Japanが48.6%である。創業パートナーAdvanced Mobilityが0.3%を保有する。

SB Driveは、公共交通機関にフォーカスした自動運転プロジェクトで、とくに農村部を走る、よりスマートな製品を目指す。来年には公道でテストする予定で、商用走行の開始は2020年を目標としている。

同社によると、すでに“社会的試走”(social trials, 路上運行)は済ませており、今は路線バスと運送用トラックで自動運転技術を試している。そのためにSB Driveは、日本の4つの地方自治体とパートナーしている。

Yahoo Japanは、そのVC部門Yahoo Capital(YJキャピタル株式会社)が資本を提供するだけでなく、重要な戦略的パートナーになる可能性がある。現在の計画では、人気のある地図サービスYahoo MapsとSB Driveをリンクして、天候、渋滞、歩行路、イベントなどの情報を提供して、バスの運行サービスをより充実させる。

西側諸国には大規模な自動運転バスの計画はないが、日本にはそれを必要とする特殊な社会状況がある。SB Driveがとくにねらっているのが、高齢化社会への対応だ。今日、この国の人口の1/4が65歳以上だ。農村部ではこの比率がもっと高くて、また全国的にも、2060年には40%に達すると予想されている。都市部以外では、住民の多くが今後のさらなる援助を必要とするだろう。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

自動運転車を混乱させる“罠”を考えたパフォーマンスアーチストJames Bridle

自動運転車に何ができるか、については、本誌もこれまでさんざん書いてきたけど、ときには、できないことの方がおもしろいこともある。技術というものは、その能力とともに、限界を知ることもきわめて重要だ。というわけで今回は、このパフォーマンスアートから教訓をいただこう。

この“Autonomous trap 001”(自動運転の罠001号)は、とても分かりやすい。自動運転システムが最初に学ぶいちばん重要なことは、路上のマーキングの理解だ。これは車線の端だ、これはカープール専用車線だ、などなど。

アテネに住むイギリス人のJames Bridleが、コンテキスト(文脈、状況知)を欠く知識の限界を例示している。人工“知能”が氾濫する今の時代には、われわれはそんな不具な知識に、至るところでぶつかる。

 
スーパーで一山いくらで売ってるような人工知能は、路上のいちばん重要なルールは、車から遠い方の側にある点線〔上図で外側〕は絶対に横切ってはならない、だと知っている。しかしもちろん、その点線が近い側なら、横切ってもよい。

なお、この円はわざと塩で描かれている。塩の儀式的な意味は、“神聖な場所なのでそこから先へ行くな”、という意味だ。あるいは、精霊や悪霊を金縛りにするために、灰や塩をお供えした時代もある。人間をその場に金縛りにするために、塩と呪文を併用することもある。

この実験でも、点線という単純なシンボルが、ターゲットを金縛りにした。この‘知能’の作者に、救い出してもらうしかないね。それとも、祈祷師に頼んで点線の呪いを解いてもらうか。人間運転手が中にいるなら、モアベターだけど。

遠い未来には、自動化システムが世界を支配して、それらの内部情報や設計情報はとっくに失われているかもしれない(Horizon: Zero Dawnをプレイしてみよう)。そうすると、システムが、理解できないおかしな振る舞いをしても、われわれの愚かな子孫たちは原因も対策も分からないのだ。今回の実験の、自動運転車の“罠”も、そのひとつだろう。

自動運転車を急に停止させたり、片寄せさせたり、予期せぬ不具合が生じたりする、いろんな“罠”がありうるだろう。それらから、人間を守れるだろうか? 犯罪目的で人工知能騙しをやるなら、それはどんな犯行だろう? いずれにしても、奇怪な未来が待っているのだ。

とりあえず、BridleのVimeoやブログを今後もウォッチしよう。そのパフォーマンスはつねに、“進化途上”だから。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

複数のトラックが互いに通信し隊列を組んで燃費を節約するPeloton Technologyの車上システム

screen-shot-2016-02-08-at-8-35-36-pm-1-1024x640

セミトラックは隊列で走った方が良い、とかねてから言われている。燃料効率が良いし、安全だし、運転も楽だ。そしてこれからは、そんな隊列が至るところで見られるようになるかもしれない。運航自動化ソフトウェアのPeloton Technologyが、車両管理サービスのOmnitracsとパートナーして、今年からその隊列化技術を提供する。

Pelotonはまず同社の、最大級(Class 8)のトラック用の隊列化システムの予約を年内にこなしていく。それによって2台のセミトラックが、車両間通信とレーダーを使って隊列化し、一台が他の後ろを走る形になる(上図)。そのシステムは、レーダーを使った巡航システムの強化バージョンのようで、トラック自身が位置や運転に関する基本的な情報を共有する。

ただしそれは、いわゆる自動運転技術ではない。運転は100%、人間運転手が行い、路面路上の状況にも注意を払わなければならない。このシステムは適応型巡航コントロールシステムのように、緊急時の自動ブレーキ機能はあるが、しかし車両間通信により、前のトラックのブレーキが踏まれると、1/10秒位内に後ろのトラックのブレーキも自動的に入る。Peloton Technologyによると、これはSAEの定義によるLevel 1の自動化基準を満たしている。

隊列は今のところ2台のみなので、長蛇のように何マイルも連なる大隊列に出会うことはない。またPletonのシステムはクラウドサービスなので、特別に指定された条件の良い道路でしか使われない。今の多くの準自動化システムがそうであるように、面倒な状況では人間が完全にコントロールを握る。

Peloton Technologyの計算によると、いちばん顕著な利点は燃費だ。この2台の隊列では、先行のトラックの燃料費は4.5%節約され、後続車は10%節約される。Omnitracsを利用している運送会社でトラックにPelotonのシステムを搭載しているところは、そのシステムを利用できる指定道路をなるべく走るようにしている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uberの自動運転車はサイクリストを危険にさらす、と自転車愛好家グループが警告

車のオンデマンド配車で巨大企業になったUberは先週、州の許可なしで公道上の自動運転車のテストを行い、論議を招いた。

本日(米国時間12/20)Uberは、自転車愛好家たちが、その試験車両には右折時の“右フック”(巻き込み)問題があり、サイクリストを重大な危険にさらす、と警告したため、火に油を注ぐ結果となった。

このシナリオでは、車両が自分の車線から右折しようとするとき、自転車用車線に合流してから安全に右折を完了するのではなく、曲がり角でサイクリストを妨害することもありえる。

San Francisco Bike Coalition(サンフランシスコ自転車連盟)によると、これが、自転車と自動車の接触事故の主な原因の一つであり、今年の初め、Uberのためにビデオでコンサルティングしたときにも指摘した事実である:

この種の方向変えは、重傷や死亡に結びつくような自動車と自転車との接触事故の、主な原因の一つとして知られている。それはまた、われわれが職業的運転者に提供しているすべての交通安全教育において注意を喚起している、危険な行為である。その教材には、この秋というごく最近の時期にUberのためにコンサルティングしたときの、ビデオも含まれる。

The Guardianの記事によると、Uberはこの問題を知っているが、その自動運転車両の稼働を継続した。その場しのぎの策としてUberは、自転車専用車線のある道路で右折するときには人間運転者が運転するよう、命じていたという。

この“右フック”問題が大きく報じられるよりも前にカリフォルニア州の司法長官Kamala Harris(州選出の上院議員にも選ばれている)は、州自動車局の特別許可が得られるまでUberのテストを中止するよう要求した。

Uberは、Self-Driving Coalition for Safer Streets(より安全な道路のための自動運転連盟)の創立メンバーだ。本誌TechCrunchは、この記事のアップデートのために、同社と連盟にコメントを求めている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Apple、米規制当局宛の文書で自動運転車への意欲を表明

180221810

Appleは米国道路交通安全局に政策提言書を提出し、成長しつつある自動運転車市場への参入意志を公に表明した。

最初にこの公式声明を報じたのはWall Street Journalだ。

Appleの自動車製品の詳細は声明文に書かれていない。しかし次の記載がある。

「Appleは機械学習技術を用いて自社の製品およびサービスをさらに賢く、直感的に、パーソナルにする。当社は機械学習とオートメーションの研究に多大な投資をしている。自動化システムが様々な分野に応用される可能性には大いに期待しており、自動運転はその一つだ」

Appleの製品基準責任者、Steve Kennerが書いたこの文書は、以下に挙げることを実現するための政策を提唱している:自動運転中に起きた事故の責任を明らかにすること、ユーザーのプライバシー、サイバーセキュリティーおよび身体的安全を確保すること、および自動運転車が公共に与える影響をできる限りプラスにすること。

もちろん急成長している業界に新たな規制を加えることは、新しいブランドや仕事や技術的ブレークスルーの機会を損うこともあれば、広げることもある。

Appleが強く提唱しているのは、自動者業界の新規参入者を既存のリーダーと同等を扱う政策だ。例えば、新しい自動車メーカーは自動運転車に関する情報を、安全に管理された方法で路上テストする前に、公開しなくてもよくするようにと声明は提言している。

この提唱は、Appleが結局ソフトウェアやOSだけではなく、自社ブランドの自動運転車を製造するつもりなのではないかという憶測を呼んでいる。

同文書は道路交通安全局(NHTSA)に対しても、ドライバー個人のプライバシーを保護する政策を作るよう勧告している。

Kennerが次のように書いている:

「Appleは、衝突または異常接近に関する状況および力学的データを、各企業が出所を特定されない形で共有することに同意する…データを共有することによって、業界は一社だけでは作り得なかった普遍的なデータセットを構築できる…

しかし、データ共有がコストやプライバシーを犠牲にすることがあってはならない。企業はプライバシーに関する個人の基本的権利を守るのに必要なリソースに投資すべきだと、Appleは信じている」。

Appleカーの噂は長年ネットを賑わせており、同社が自動車部門のトップにBob Mansfield指名したことで新たな展開を迎えた。Mansfieldはかつて、MacBook AirやiPad等の製品を扱う技術チームを率いていた。

しかしこの異動の後、Appleは組織変更を行い、自動運転車の「頭脳」の開発に注力すると報じられた。

もしAppleが、自動者業界参入に際して、ハードウェアとソフトウェアの両方を支配するという勝利への脚本に忠実であり続けるなら、いずれ同社の名を冠した自動運転車を目にする日が来るのだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

光に頼らないOryxのナノアンテナは自動運転車の視界能力を大幅に高める

the-gap

写真和訳: [自動運転の視覚の欠陥/今の技術はソフトウェア脳の要件レベル3以上に対応できない/視界カメラ(単眼/立体),ライダー,レーダー,超音波…センサー群/小動物・都市の混雑・夜の視界・まばゆい日射し・霧,雪,雨・高速時視程/ソフトウェア脳の処理能力]

Oryx VisionのCEO Rani Wellingsteinによると、同社は、自動運転車の奥行き知覚を改善するコヒーレントな光学レーダーシステム(coherent optical radar system, 仮訳: 可干渉光学レーダーシステム)を開発した。イスラエルの同社は、シリーズAの資金調達を契機にステルスを脱し、既存のライダーシステムに挑戦する技術、と自らを位置づけている。

Wellingsteinが指摘するのは、これまでのライダーが光電子センサーで光を、すなわち光のエネルギーを検出することだ。しかしOryx Visionは、同社がナノアンテナ(nano antennas)と呼ぶものを利用して、電磁波を検出することにより、もっと多くの情報にアクセスする。

そのアドバンテージは、自動運転車の視程と感度の増加であり、それにより、自分のまわりの物や動きをより正確に知ることができる。Oryxのアンテナは10ミクロンの波長で動作し、ライダーと違って、霧を透視でき、また強い陽光で盲目化することもない。

Oryxの技術者たちがライダーの欠陥の克服、という課題に着手したのは、およそ6年前だ。プロトタイプの完成までに1年半を要し、ようやく、実用レベルの撮像能力に達することができた。

Oryxによると、同社のアンテナは、今の最高性能の自動運転車に使われているライダーシステムよりも安価である。同社のシステムが使っている撮像機構のコストは、スマートフォンのカメラと同じぐらいだ。そしたさらに同社は、“地球上で最も安価な最も平凡なレーザー”を使用している。そのシステムは光学系がきわめてシンプルで、操舵、回転などの要素がなく、また光線をいっさい利用しない。

Oryxの社員は20名ほどだが、資金調達を機にイスラエルとシリコンバレーとドイツに人を増やし、自動車メーカーや自動運転技術の革新的スタートアップたちの需要に応じていく。将来的には、今多用されている人間運転者をアシストするシステムではなく、完全な自動運転車への採用を目指したい、とWellingsteinは語る。

“AppleやGoogleなど、これまでこの分野に意欲的に取り組んできた選手たちが、今や撤退しつつある。技術の完成度が、まだ十分ではない、と私は思う。自動運転は視覚と意思決定に関する技術だ。しかし現状では、この二つのもののあいだに、空隙がある。そのギャップを埋めるためには、別の技術、ライダーではない別のセンサーが必要だ、でも今の選手たちの多くが、“別の技術”に無関心だ。しかしわが社が志向するものは、まさにそれなのだ”、とWellingsteinは抱負を語った。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Uberが買収したOttoが自動運転トラックによる長距離輸送業を2017年に開始予定

Yellow truck on the road. Santa Barbara county, California

Uberはこの夏、自動運転トラックを使って運送業を営むOttoを6億800万ドルで買収し、その実稼働を来年と予定している。

Ottoの協同ファウンダーLior Ronがロイター通信に、同社が2017年に長距離運送業を開始する、と述べている。以前の本誌記事にも書かれているように、Ottoは既存のトラックを自動運転車に改造し、アメリカのハイウェイを走れるようにする。ただし完全自動運転ではなく、同乗する人間ドライバーがときおり手を出す必要がある。しかし将来的には、人間ドライバーはますますひまになり、また配送の速度は向上するだろう。

それはまだ開発途上の技術だが、今後はUberの強力な支援のもとに、倉庫業や商店などの輸送業務に同社の部分的自動運転技術を提供し、輸送の効率化に寄与していくつもりだ。

Ronはロイターにこう語っている: “Uberでは、ボタンを押せば3分で車が来る。しかし運送業界では、あっちこっち電話をして空いてる車を見つけるのに5時間かかるのが普通だ。今のトラック運送業界の効率なんて、そんなものさ”。

Uberは今、その輸送ビジネスを多様化しようとしている。たとえば食べ物を配達するUber Eatsは、今後少なくとも22か国で展開して、グローバルな成長を目指すつもりだ。でもロイターが意見を聞いた専門家たちは、Uberの運送業進出に関しては懐疑的だ。しかし、今やLiorと彼のチームは、積極的に将来のパートナーと話を進めている。最初は6台のトラックでスタートするが、早期に倍増したい意向だ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Googleの自動運転車が地元マウンテンビューで衝突事故、人が運転していた?

1024px-googles_lexus_rx_450h_self-driving_car

警察によると、金曜日(米国時間9/23)の午後、Googleの自動運転車Lexus RX 450hがバンと衝突した。幸運にも、負傷者は出なかった。

TechCrunchは現在、Googleに情報を求めている。

地元テレビ局のKRONKPIXの報道では、Googleの自動運転車は“コントロールされていた”、つまり衝突時には自動運転モードだった。

しかしながら、一部の伝聞情報によれば、その自動運転車はGoogleの社員が手動で運転しており、バンの運転者が、おそらく自方向の赤信号を無視して、交差点を横切るように入ってきたとき、ブレーキをかけた。

この衝突事故は、本誌TechCrunchも報じたように、合衆国運輸省が今週、自動運転車に関する重要なポリシーを発表した直後に発生した。

とりわけ運輸省は、自動運転車のメーカーや関連技術の企業に対して、安全性の最優先と、常識の範囲内でデータを業界内部および政府と共有することを求めている

一般的に運輸省の職員たちは、自動運転車に関してアメリカが、人間の保護を重視すると同時に、技術的には後追いになるよりもむしろリーダーになることを求めている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

カリフォルニア州、ハンドルのない自動運転車に向けて法整備

shutterstock_430827625

真の「ドライバーレス」車のテストを可能にする法案の検討が、カリフォルニア州議会で進められている。

具体的には、米国時間8/29に改訂されたカリフォルニア州議会法案 1592が通ると、近々次のことが可能になる。

「運転席に運転手が座らず、ハンドル、ブレーキ、あるいはアクセルを装備していない自律走行車によるテスト走行」

このパイロットテストが許可されるためには、いくつか条件を満たしている必要がある。例えば、自動運転車はパイロットテスト中時速35マイル以上で走ることがてきない。また、走行できる場所は、「当局が指定する私有のビジネスパーク、および敷地内の公道」等に限定される。

Tesla、Apple、GoogleをはじめとするシリコンバレーのIT企業だけでなく、ライダー(*) を製造するQuanergyやVelodyneも次世代自動車業界のリーダーを目指して競っている。さらにはFordらの巨大自動車メーカーも、イノベーションハブをカリフォルニアに置いている。[訳注:LIDAR、レーザーを使ったレーダーの一種]

州が、地元で作った自動運転車を地元の道路でテストしやすくすることによって、企業は有利な規制環境を求めて、社員や研究開発チームや製造拠点を海外や他の州に必要がなくなる。

自動運転車を路上でテストするための法を整備した州や地域は、他にもネバダ、フロリダ、ミシガン、ハワイ、ワシントン、ワシントンDC、およびテネシーがある。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転車の車載カメラは、歩行者だけでなく乗客も観察する

A member of the media test drives a Tesla Motors Inc. Model S car equipped with Autopilot in Palo Alto, California, U.S., on Wednesday, Oct. 14, 2015. Tesla Motors Inc. will begin rolling out the first version of its highly anticipated "autopilot" features to owners of its all-electric Model S sedan Thursday. Autopilot is a step toward the vision of autonomous or self-driving cars, and includes features like automatic lane changing and the ability of the Model S to parallel park for you. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

強力なセンサーとソフトウェアによって自動運転車は驚くほど周囲の状況を把握できるようになった ― しかし車のAIが気にしなくてはならないのは障害物や歩行者や他の車だけではない。自身の車内で起きていることも知る必要がある。ドイツの研究開発会社、Fraunhoferでは、研究者らがその開発に没頭している。

「私たちはセンサー技術を車内全体に拡大しようとしています」とFraunhoferの研究グループを率いるMicahel Voitが同社のブログに書いた。「奥行き知覚カメラを使って車内を撮影し、人数、体の大きさ、姿勢を識別して、そから各自の行動を推測することができます」。

Lots going on in this car that the AI would probably want to be aware of.

車の中にはAIが気にかけておきたい物事が数多くある。

車に何人がどこに乗っていて何をしているか知ることには数多くの利益がある。非常時 ― センサー故障等 ― に運転車がハンドルを握るのに要する時間がわかる。パパとママが昼寝している(自動運転車に乗る者の特権)間に後部座席の子供がシートベルトから抜け落ちたら、警告を受けることができる。衝突の際には人のいない部分がぶつかるようにハンドルを切ることができる。エアバッグが開くときにも人の大きさや位置に応じて調整することが可能になる。

もちろんこの中には現在の技術 ― 重量センサー等 ― で実現できるものもある。しかし乗客の緻密な情報を知ることは自動運転車の目標にとって大きな価値がある。既に様々な動きや日常的な物を識別する技術が進歩している ― サンバイザーに手を伸ばしているのか、チャイルドシートを設置しているのか等。

現在カメラはこの会社のドライビングシミュレーターにしか置かれていないが、今後はスマート機能を備えたミニバンに装着して実世界のテストに入る計画だ。

Fraunhoferは、Volkswagen Group Research、Bosch、Visteonをはじめとする企業と共にこの「インテリジェント・カーインテリア」プロジェクトに参加しており、プロジェクト全体がドイツ政府の助成金で運営されている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ペンシルベニアの事故当時、Tesla Model Xのオートパイロットはオフだった

screen-shot-2016-06-30-at-4-58-21-pm

7月1日にペンシルベニアで事故を起こしたTesla Model Xは、当時オートパイロットが無効化されていた、とElon MuskがTwitterで発表した。この情報は当該車自身のログに基づくものだ。

[車載ログによるとペンシルベニアの事故当時オートパイロットはオフだった。もしオンになっていれば事故は起こらなかったかもしれない。]

Teslaはここ数週間、同社のオートパイロットによる半自動運転機能は、公道で試験するにはまだ早いと批判されている。Consumer Reportsも今日(米国時間7/14)、安全が確認されるまで機能を無効化するよう要請した

衝突時にオートパイロットが使われていなかったというニュースは、批判の一部を鎮めることはあっても決して全部ではない。事故の全容は未だ明らかにされておらず、またオートパイロットは原因ではないようだが、関与した可能性はある。詳しい調査結果が出るまで、判断は控えた方がよさそうだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleが自己運転車のバイク〜自転車検出アルゴリズムを説明

google_bike_vis1

今日(米国時間7/1)は、自律車両の歴史の中で、もっと重要な理由で目立つ日になると思うが、またひと月が経ってGoogleが6月の自己運転車リポートを発表した日でもある。この号には、サイクリストを検知して避けるシステムの能力が、かなり詳しく書かれていておもしろい。

“サイクリストは動きが敏捷で速く、ときには自動車と同じぐらい速く動く”、とリポートは述べている。“われわれの自動車はサイクリストを道路のユニークな〔他と混同しない〕 ユーザーとして認識し、彼らの近くでは控えめな運転をするよう、教えられている”。

車両上のLIDAR(レーザー光レーダー)やそのほかのセンサーが、あらゆる方向にあるバイクや自転車を、下図に示すように、一度に検知する。

google_bike_vis2

上図は、停止している自己運転車のまわりを、100台あまりの自転車が走り回っているところを示す。Mountain View(Google本社)では、100名以上の社員が一日中、これをやってるんだろうな。ひとつひとつの自転車を個別に追跡し、それらの行路をを予測する。車のAIが、パニック発作を起こしそうだ。

サイクリストを検知したらより大きな車間を取り、またバイクや自転車がレーンを占領していたら、それを追い越さないようにする。それはドライバーにとって不便だが、往々にして必要であり、サイクリストは賛成するだろう。

手信号も認識し、その手がハンドルに戻ったら、サイクリストのその後の行路を予測して行動する。

6月には軽度の事故が2度起きたが、どちらもGoogleの車の落ち度ではなく、被害はバンパーをちょっとかすった程度だった。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

2016年、自動走行車にできること、できないこと

P141249_Chart_lm

Hondaが最新型Civicセダンに最先端技術の本格的運転者支援システムを塔載して2万ドルで発売すると発表した時、The Wall Street Journalはこれを自動走行車と呼んだ。たしかにCivicは様々なことができるか、自分で運転はできない。今はまだ。それでは、自立あるいは自動走行車とわれわれが言う時、正確には何を指しているのだろう。

幸いなことに、技術者たちがうまく説明してくれている。2014年1月、SAE International は、われわれの話していることを正確に定義した基準を発行した。そこには0~5まで、6つのレベルがあり、各レベルの意味は、平易な非オタク的言語で定義されている。概要は以下の通り。

  • 0: 全く自動化されていない。人間がすべての操作を行う。「エンジンをチェック」等の警告ランプが点灯する場合を含む。
  • 1: 運転支援。一定の状況下でハンドル操作とスピード調節を車が支援するが、運転は全面的に人間が担当する。
  • 2: 部分的自動化:一定の状況下でハンドル操作とスピード調節を車が代行するが、運転は全面的に人間が担当する。
  • 3: 条件付自動化。車がハンドル操作を行い、スピードを調整し、路上を監視する。ただし、システムに助けが必要な場合は人間が代わって運転しなければならない。
  • 4: 高度な自動化。車がほぼすべてを行う。たとえシステムの質問に人間ドライバーが答えない場合でも。
  • 5: 完全自動化。人間ドライバーにできることすべてを、車が行う。

今、2016年に見られる新型車の殆どはレベル2のシステムを塔載している。そこには、車線維持やアダプティブ・クルーズコントロール[定速走行・車間距離制御装置]等が含まれている ― 車はハンドル操作やスピード調節をある程度受けもつが、運転はドライバーが完全に制御する。

しかし、より高度な車にはレベル3システムが載せられており、さらに自動化されている。「今車を買うと、自動運転への段階がいくつもある」と、エンジニアリングコンサルタント会社、RicardoのVP、Paul Riveraが、4月に行われたFaraday Future Long Beach ePrixのパネルで言った。「車を自動化する要素は35種類ほどある」。

SAE標準を見て、QualcommのChris Boroni-Birdは同じパネルで、完全自動化車はごく近いうちに市場に出る、と言った。例えば、自動緊急ブレーキは「数分の一秒間自動化している」。

ゴールは、Googleの自動走行車のように、運転操作を全面的に取って代わる完全自立車だ。Googleの試験車には、ハンドルもペダルもない。人間は運転を代わりたくても代わることができない。

完全自立車への道は大きく分けて2つある。一気に飛び込むGoogleの戦略と、徐々に進んでいく主要自動車メーカーの戦略だ。一気に飛び込むためには、特別に作られた少ない台数の車が必要で、一般に販売するまでには数百万マイルもの制御環境化での試験を行わわければならない。徐々に進む戦略とは、販売する車に、確立された自動運転技術をその都度加えていくことを意味し、自動化要素を高めながら車を販売することがてきる。

両極端のやり方で取り組む会社が存在することによって、完全自動化は早まるばかりだ。数十年前にSFが約束した空飛ぶ車は手に入らないかもしれないが、そんなことは構わない。職場まで車が運転してくれる間にSFを読めるようになるのだから。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

レット・イット・ビープ:Googleの自動走行車がクラクションを鳴らすようになった

google-car-horn

The Bulwer-Lytton Fiction Contestは、著者たちが最悪の小説冒頭を競う、毎年恒例の行事だ。Googleは、いくつかの理由により、今年これにエントリーすべきだ ― 最新の自動走行車プロジェクト報告 (PDF)の中で、同社はこう書いている:「当社の警笛アルゴリズムが改善されたため、われわれはクラクションを世界に発信し始めた」。

文のばかばかしさは置くとして、このニュースは実に興味深い。Googleは、これまでしばらくの間、自らの存在を他のドライバーに知らせる手段として、クラクシヨンを使用するテストをしてきたようだ ― ただし鳴らすのは室内でのみ。そうすることによって、人間の評価者は「警笛アルゴリズム」が的確かどうかを判断することができる。

能力が何らかの社内基準に達したことで、自動走行車はクラクションを2種類の方法で使用できるようになった。危険が差し迫った時、例えば反対車線の車が向かってきた時等には、昔ながらのけたたましいクラクションが鳴る。しかし、駐車場で誰かがバックして近づいてきたような時には、「短く静かな警笛をピッピッと鳴らす」と報告書に書かれている。

ブーブーや「ピッピッ」以外にも、Googleカーは歩行者、特に視覚の不自由な人々に車の接近を知らせるための、ハム音を発生できる。これは多くの電気自動車に課せられた問題であり、エンジン音の模倣からUFOライクなさえずりまで、様々な案がテストされてきた。Googleの説明にあるハム音は前者に近いと思われ、「個性」を出すために何らかの工夫がこらされているようだが詳細は明らかにされていない。町でGoogleカーに遭遇した幸運な読者は、最初のレポートを書けるかもしれない。

Google報告書の事故一覧部分はごくわずかだ。マニュアルモードで中央分離帯にぶつかった1件だけで、速度は9 MPH(14.5 km/時)だった。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

未来の完璧な自動運転車でもブラックボックスはやはり重要だ…事故はありえるし原因究明のためのデータは必要

black-box

[筆者: Kristen Hall-Geisler]
衝突は通常、運転者のせいにされる…人間のドライバーだ。部品の不良やタイヤの破裂などもありえるが、しかし(データによって数字に多少の違いはあるが)衝突事故の約90%は人間のが犯す間違いが原因だ。しかしさほど遠くない未来に、運転という仕事の多くを車自身が行い、その過程で大量のデータが生成されるようになると、事故の原因を明確に突き止めることが困難になる。そしてそのデータは、ブラックボックスに記録される。

2014年の9月から、今後新たに製造される旅客車両にはブラックボックスの搭載が義務付けられた。でも実際には、この法令の前からブラックボックスのある車の方が多かった。その公式な名称はevent data recorder(EDR)(ドライブ・レコーダー)と呼ばれ、スピードやブレーキ使用、エアバッグの装備状態、シートベルトの着装の有無などをセンサーを使って読み取り、ループに記録する。Consumer Reports誌によると、EDRは衝突の直前の約5秒と、衝突後の正確に1秒を捕捉する。

今では車が搭載しているセンサーの数がとても多くなり、ますます多くの情報が集められる。TuxeraのファウンダーでCTOのSzabolcs Szakacsitsによると、彼の会社が自動運転車用に提供しているブラックボックスは、16のセンサーからのデータを同時に記録し、タイヤの空気圧やカメラの画像、レーダーのデータ、運転者のプロフィールなどの情報を捉える。だから衝突時には、ブラックボックスが、シートベルト着装の有無や、そのとき聞いていたラジオ局などを教えてくれる。

Szakacsitsによると、車の自律性が増すとともに、搭載されるセンサーの数が多くなり、それらのデータを記録し、保存し、読み出すためにブラックボックスが必要になる。センサーはたとえば、前後の他車との距離、路上マーク、交通標識、ライト、人間など、その車にまつわるいろんなデータやオブジェクトを捉える。

TuxeraはEDRの記録装置としてフラッシュメモリ上のファイルシステムを使っている。衝突でEDRへの電力供給が途絶えても、記録されているデータは失われない。“事故がありえる自動車の上では、その中のアプリケーションに使われるソフトウェアの各部位は、ロバストでなければならない”、とSzakacsitsは述べる。“データの保存状態が良くてフェイルセーフであることがきわめて重要だ。たとえば、ダッシュボード上のカメラにコマ落ちがあってはいけない。事故時にはその画像や映像が重要な情報だからだ”。

車の運転が完全に自動運転になる将来には、衝突の原因が再び明確になるだろう。乗っている人間は道路に対してまったく注意を払わないが、運転を担当している自動車自身は人間よりも衝突の頻度が低いと想定される。いや、少なくともそれが理想だ。でも、未来がそれほど輝かしくないこともありえるから、Tuxeraは、2020年の自動運転消費者カーに搭載されるブラックボックスの、ソフトウェアを開発しているのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

これは実用的:Googleの次の自動走行車はクライスラーのミニバンだ

pacifica

Googleの自動走行車には好きな要素がたくさんあるが、子供のいる家では、サッカーゲームの送り迎えに使える車が必須だ。Googleが自動車メーカーとの初の直接提携で、広々とした新しいミニバン、Pacificaを自動化しようとしているのはそのためだろう。

この車は燃費が優れている(ハイブリッド車である)だけではなく、家族全員が乗るスペースを持つ! しかし、Googleにとってさらに重要なのは、これまでプロジェクトでテストしてきたものとは全く異なるタイプの車であることだ。

「このミニバンのデザインは、ハンズフリーのスライディングドア等、利用者が乗り降りしやすい大型の車をテストする機会をわれわれに与えるものだ」と同プロジェクトのGoogle+ページの記事に書かれている。

もちろん出発的から目的地まで人を運ぶことが、Google自動走行車の主たる目的だが、異なるアプローチが必要になる様々な利用場面も同社が想定していることは明らかだ。

例えば、自動走行車は障害のある人や高齢車にとって極めて有用だが、アクセシビリティー ― 車椅子の乗り降り、視覚障害者のインターフェース等 ― の問題がすぐに浮上する。Padificaのような大型のプラットフォームは、こうした問題の探究にはより実用的な実験台になるだろう。

Fiat Chrysler Automobilesから、約100台の車がGoogleのセンサー装置塔載のために用意される。現在は、同社のカリフォルニアテストコースでのみ試験が行われている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

「つながった車」にも、ウィルス対策ソフトが必要になる

virus

「つながった車」は互いに話すこと(vehicle-to-vehicle、V2V)が可能で、これからは走っている都市とも話せるようになる(vehicle-to-infractructre、V2I)。これは、私たちの車に悪い連中が話しかけてくるかもしれないことを、Jeepをハックする実験が示している。しかし、危険はハッキングだけではない。なぜなら、コンピューターのあるところには、必ずコンピューターウィルスが潜んでいるからだ。

これが、Argus Cyber Securityの取り組んでいる問題だ。たしかに、現時点で車から車へと多くのウィルスが伝染することはない。なぜなら、自動車がネットワークにつながったのは比較的最近のことだからだ。しかし、ArgusのVP、Yoni Heilbronnはメールのインタビューで、2020年に出荷が予想される9000万台の自動車のうち、約7000万台はつながっているという。コンピューターにウィルスがいると、データを盗まれたり悪用されたりして、それでも十分に困るが、車の中で起きた場合には物理的被害の可能性もある。

それでもまだ、車を完全に捨てて、大きな車輪の自転車で通勤する理由にはならない。自動車メーカーとIT企業は、協力して何年にも渡りこの問題の解決に取り組んでいる。「サイバーセキュリティーに効く銀の弾丸はない」とHeilbronnは言う。「『弾丸の種類』が必要だ」。それは、ハードウェアに組み込まれたセキュリティー対策や、多重に設定されたソフトウェアセキュリティーを意味する。「その組み込まれたソフトウェアを遠方からアップデートできれば、自動車メーカーや運送会社にとって強力なツールになる」とHeilbronnは言う。

消費者は、自分のつながった新車にArgusやその他のセキュリティソフトウェアが塔載されているかどうか、尋ねない限り知ることはない。車の安全とセキュリティーの責任を持つのは、究極的には自動車メーカーだからだ。「消費者はわれわれの存在を知らないかもしれないかもしれないが、ギリシャ神話のように、Argus[アルゴス]は監視する目となって、システムが成すべきことをし、それ以外決して何もしないことを確認する」。セキュリティーのニーズと標準が変わるにつれ、近いうちにMcAfeeやKasperskyをパソコンのために買うように、Agrusのソフトウェアを車のために買えるようになるかもしれない。

周辺機器のセキュリティーもすぐ重要になるかもしれない。なぜなら、既に車自身に様々な脆弱性が組み込まれているからだ。例えばダッシュボード下のOBD IIポートに差す「ドングル」がある。これは保険会社が利用量ベース料金のために使用することが多い他、運転のくせや車両の統計データを追跡する Zubieのような装置もある。これらのデバイスは外の世界と通信するが、それは外の世界からも通信できることを意味している。

「ドングルは車と物理的に接続し、内部ネットワークともつながっているので、あらゆるマルウェアがドングルのセキュリティー基準を破る可能性があり、通信リンクを通じてCANバス[車載マイクロコントローラーが通信するためのプロトコル]に悪意あるコードを注入し、車の操縦に望まない影響を及ぼすかもしれない」とHeilbronnは言う。ただ、現時点では「可能性がある」と彼が言っているのは明るい話題だ。

しかし約2年前、Argusは実際にZubieデバイスの脆弱性を発見し、遠隔から侵入して車の全制御を奪えることを示した。ArgusはZubieに責任ある情報開示を求め、同社は問題を修正し、改善を約束した。

〈つながる〉とは、単に携帯電話と車を無線で接続することだけではない(ちなみにそれも、潜在的な脆弱性である)。V2VとV2Iの通信は、無人走行自動車にとって重要なテクノロジーになるだろう。この通信を確実に信頼できるものにすることは、今後の発展にとって重要な検討課題だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

AI不信が強まる中、望まれるのは人類−機械のコラボレーション

aihuman

編集部注:本稿はRobert Daleによる。氏はArria NLGのCTO兼チーフ・ストラテジー・サイエンティストを務めている。

AIが進化するにつれ、人類の滅亡の日が近づいているのではないかという話をきくことが増えてきた。

ビル・ゲイツ、イーロン・マスクあるいはスティーブン・ホーキングたちも人工知能の進化に対しては警告を発しており、楽観的進化論者のレイ・カーツワイル(Ray Kurzweil)などはおされ気味であるのが現状だ。またスウェーデンの哲学者であるニック・ボストロム(Nick Bostrom)もAIがもたらす恐怖についての思考実験を行なっている。もちろん、そのような勢力が力を得ていることには理由はある。

たとえばキューブリックの「2001年宇宙の旅」では、人工知能のHALが宇宙船のドアを開けることを拒否していた。映画が登場して50年を迎えた現在、そのような状況もあり得るように思える時代となった。私たちは、自動化された軍事ドローンが殺害相手を自律的に判断したり、あるいは自動運転車が子供をはねるべきか、あるいは路傍の木に衝突していくべきかを主体的に判断するような世界で生きているのだ。

しかし実は、AIがすなわち人類に敵対するものだと考える必然性はない。人類とAIが補完的な存在である可能性はあるし、私はそのように考えている。

結論からいえば、機械(AI)が人類のような「スマートさ」を身につけることはないと考える。もちろんチェスをプレイする人工知能もあれば、「ジェパディ!」で活躍するものもある。あるいはまだまだ先だろうと思われていた囲碁界でもAIが躍進しつつある。しかし、人間の「スマート」さは、そうした面にのみあるのではないということが通説的に扱われて久しい。

ダニエル・ゴールドマンが「こころの知能指数」(EQ)の概念を提唱したのは20年前のことだ。EQについて簡明にかつ誰もが認める形で定義するのは難しい。そもそも「知能」と呼んでよいものなのかどうかについても議論がある。しかしEQ(ないしEI)が知能なのかどうかが問題なのではない。人間が持ち、しかし機械が持ち得ないものがあるということが大切なポイントなのだ。人類の考え方や振る舞い方は、機械とは大幅に異なったものになるのだ。

古典派の経済学者たちなら、私たち人類がもっぱら「合理的」に判断して行動すると考えたくなることだろう。しかし行動経済学は、私たちの行動には経済的合理性には沿わないところがあることを示し、また合理性自体も後付的なものであることが多いことを明らかにした。

結局、機械のインテリジェンスと人間のインテリジェンスは別物であると思うのだ。その両者に同じ「知性」という語をあててしまっては、単に混乱を招くだけであると思う。AIについては「賢くなった」というように、人間と共通するような評価をすべきではないと思うのだ。「賢い」という言葉の意味がわかりにくくなってしまうとも思う。

もちろん、機械にできることが増えつつあることを否定するものではない。駆使するロジックも飛躍的な発達をとげている。複雑な状況にも対応できるようになってきているし、また変化の多い状況にも適切に対処することができるようになってきている。しかし、われわれ人類とは、多くの情報を用いて物事を合理的に解決するというためだけに存在するのではない。異なる強みを持つ両者は、競合的にではなく共生的に存在していくべきだ。

たとえば個人的にはNLG(自然言語生成)を使ったレポート生成システムなどを運用している。数多くのデータを入力すると、そこからデータを分析した文書を生成するものだ。しかし文書生成アルゴリズムは人間と同じようには動作しない。

自然言語生成アルゴリズムを実際に使うにあたっては、人間と協業することで双方にとってベストの結果を生み出すことができる。たとえば人間の側で読者層を把握し、その対象に適したニュアンスを採用した書き方を心がける。そして機械の側は人間のみで作業していたならば膨大な時間がかかり、かつもしかすると見過ごされてしまうような分析を行なって情報を細かくかつ正確に提示することができるのだ。

他にも人間と機械のコラボレーションが期待される分野がたくさんある。たとえばアドバンスト・チェス(Advanced ChessないしCentaur Chess)もそのひとつだ。温暖化や地政学の話などにも有力とされている。機械が処理しやすい形にできるものについては、積極的に機械の助けを得るようにしていけば良いのだ。ただし、少なくとも近未来の範囲では、人間の介入が必要となる。

我々は機械ではない。もちろん機械もまた人類とは「異なる」存在だ。私たちは協働してコトにあたるべきなのだ。機械の側に「協働」の意識はないかもしれないが、それはまた人類の強みを示すものと理解すれば良いのだと思う。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

アメリカ人は自動走行車を怖がっている

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

今年1月、AAA(米国自動車協会)は18歳以上のドライバー約2000人を対象に電話調査を行い、ちょっと驚く結果を得た。回答者の75%が、「自分が乗った自動走行車に運転を任せるのは怖い」と答えた。20%はこれを受け入れ、残る5%は空飛ぶ車が出るのを待っていたいようだ。

Googleのテスト車のような完全自動走行車が、人間の介入なしに近くを走り回るという発想に慣れきるまでにはまだ数年かかりそうだ。一方では、ADAS(先進運転支援システム)と呼ばれる半自動運転システムが普及しようとしている。AAAの調査回答者の約半数が、車線離脱警告や、車線維持システム、および適応型クルーズコントロールを信頼している。2022年までに全車種に塔載される自動緊急ブレーキシステムを信頼している人はわずか44%で、自動駐車システムを信頼している人は36%にすぎなかった。

当然のことながら、自分の車で既にこれらのシステムを使っている人たちは、信頼している率が高い。自車でその技術を利用したことのある回答者の数字は、25~30ポイント跳ね上がる。例えば、車線維持システムを使っている人の84%が信頼しているのに対して、自分の車に装備していない回答者では50%だった。

完全自動走行車は殆どの人を恐れさせているが、上述のADAS機能については、次に買う車に付けたがっていると調査結果は示している。しかし、欲しい理由はみな同じではない。ベービーブーム世代は半自動化技術が欲しい理由に安全を挙げているのに対して、新世紀世代は利便性と最先端テクノロジーを欲しがっている。女性がストレスを減らすためにこうした機能を欲しいと答える傾向が強いというのは興味深い。

ADAS技術にさえ抵抗を示す人々の10人中8人以上は、ロボットより人間の方が運転がうまいことを理由に挙げている。(AAAの縦列駐車に関する調査結果は、この人たちの意見とは一致していない)。他に回答者の大きな部分を占める、若者ドライバーと子供を持つドライバーたちは、テクノロジーに余分なお金を払いたくないと答えた。また女性は、技術をよく知らないか、複雑すぎることを心配しているようだ。

今日の人たちがいくら心配しても、こうしたシステムはますます一般的になっていく。調査結果が示すように、ADAS機能を体験したこのあるドライバーは、ますますこれを信頼する。ひとたび車線維持を信じた人にとって、縦列駐車システムを信じるまでの道のりは短い。そしてそこから、ハンドルのない車の中でVR映画を見てくつろげるようになるのは、時間の問題だ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook