Twitchはライブストリーミングの覇者の座を譲らず二番目に大きな四半期を記録

ライブストリーミングビデオではTwitchが、YouTube Live、Facebook Gaming、MicrosoftのMixerなどのライバルを依然リードしている。2019Q2では初めて視聴時間が減ったが、それでもこのAmazon傘下のゲームストリーミングサイトは、これまでで二番目に大きな四半期を記録し、この四半期のライブストリーミング総視聴時間の70%以上をTwitchが占めた。

StreamElementsの調査報告によると、Twitchの視聴者がQ2にライブストリーミングした視聴時間27.2億時間あまりは、ライブの総視聴時間37.7億時間の72.2%を占める。次位のYouTube Liveは7億3554万時間で19.5%、Facebook Gamingは1億9776万時間で5.3%、そしてMixerは1億1229万時間で3%だった。

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Twitchのライバルたちはみな、はるか後方だが、YouTube Liveの5月の視聴時間は2億8400万時間で、5月の自己記録を塗り替えた。その結果Q2は、YouTubeの視聴時間は増、Twitchは微減となった。

Facebook Gamingも元気で、YouTube Liveに次ぐ第3位のライブストリーミングプラットホームになり、Microsoft Mixerを抜いた。

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Twitchは人気最大だが、視聴者のロングテールは意外と短い。この問題はかなり前からあり、とくに新しい視聴者を獲得する努力がいつも空振りに終わり、ファンベースの構築ができていない。Twitchは今後、教育コンテンツを多様化したり、またRaidsSquad Streamsのような新しい機能を導入して、この問題に対処しようとしている。

今回の報告書によると、Twitchの視聴者の4分の3が、上位5000チャンネルだけを見ている。Q2の同社の総視聴時間27億時間のうち、上位5000チャンネルが20億時間を占める。

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さらにまた、上位5000チャンネルだけの同時視聴はQ1に比べて12%増加し、中でも上位200チャンネルは平均1万590人が同時視聴している。

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またこの四半期には、Fortnite、League of Legends、Dota 2、Counter-Strike: Global Offensiveなどのトップタイトルの視聴が減り、Just Chatting」と呼ばれるヴログ(Vlog)が他のタイトルとともに伸びている。

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eスポーツは相変わらずファンは多いが、総視聴時間の中での比率はまだごく小さい。

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人気上昇中や、逆に下降中のストリーマーなど、そのほかのトレンドも知りたい人は、ここで報告書の全文を見よう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookが広告ターゲティングの理由説明を改善

これまでFacebookは、なぜその広告やコンテンツが表示されるのか(そして、それに対して何ができるのか)をユーザーが知るための新しい方法を追加してきた。しかし今日のブログ記事で、プロダクトマネジャーのScreethu Thulasi氏は、「まだ理解するのが難しく、操作方法がわかりにくいことがユーザーからのフィードバックでわかった」と書いた。

同社はそれに対処するべく2つの変更を行う。第一に「この広告が表示される理由」(Why am I seeing this ad?)に表示する情報を増やす。

これまで「この広告が表示される理由」では、地域・年代情報や過去にウェブサイトを訪問したかなど関係ありそうな理由を1つか2つ挙げていた。今後はもっと詳しく、その広告と一致したユーザーの興味分野やカテゴリーなどのターゲティング情報も表示されるようになる。また、その情報がどこから来たか(例えば、過去に訪れたウェブサイトや「いいね!」をつけたFacebookページなど)をより明確にして、ユーザー体験を自分に合わせるために使用できる機能を明示する」。

ブログに掲載されたビデオには、ユーザーの関心事や居住地、年代、さらには過去に広告主のウェブサイトを訪れたことがあるかなどの情報がどのようにターゲティングに利用されたかが表示されている。そのような広告を見たくない場合は、Facebookに登録した興味分野を加減するか、「What You Can Do」セクションをクリックすれば、その広告主の広告をブロックしたり、第三者に提供される個人データを制限するためのオプションが案内される。

そして第三者へのデータ提供に関して、ユーザーに関するデータをアップロードしている企業について今まで以上に詳しく知らせるとFacebookは言っている。広告設定の中にある企業一覧を2つのセクションに分け、過去7日以内にそのユーザーの情報を含むリストをアップロードしそれを利用して広告を掲載した企業、および、そのユーザーを含むリストを別の広告主に提供し、過去7日以内にそのリストが広告掲載に使われた企業をそれぞれ表示する。

多くのプライバシー機能と同じく、ほとんどのFacebookユーザーはこれらの機能になじみがない。しかし、こうした問題に関心があり、気にかけている人たちにとって、これは機能レベルを下げすぎることなく、情報をアクセスしやすくするすぐれた方法といえるだろう。

そしてもちろん、これは最近強まっている当局の監視(Facebook分割の提案さえある)を受けて同社が取り組んでいる透明性拡大への取組みのごく一部にすぎない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

TwitterとFacebookはホワイトハウスの「ソーシャルメディアサミット」に招待されてないかも

米国時間7月11日の木曜日に、ホワイトハウスは、著名な保守系のメディア批評家を招待してソーシャルメディアサミットを開催すると伝えられている。PragerUや、Turning Point USAのCharlie Kirk氏らは、このイベントに招待されたようだ。ところが、いくつかの重要な名前が招待者のリストから漏れているらしい。中でも、ソーシャルメディアの運営会社自体は含まれていないとされている。

トランプ政権下のホワイトハウスは今週、「今日のオンライン環境の機会と課題に関する率直な話し合い」と呼ぶものを主催することになる。しかしCNNの新しいレポートによると、FacebookもTwitterも「デジタル社会のリーダー」として認められていないのだという。どちらも、その会合に招待されていないからだ。

ホワイトハウスは、このイベントの招待者リストを公表していない。また、このCNNのレポートに対するコメントも発表していない。しかし、FacebookやTwitterといったサイトが標的にされるのは、ほぼ間違いない。というのも、トランプ大統領と保守派のお仲間達は、そうしたメディアが偏向しているという認識に基づいて話し合うことになるからだ。大統領は最近、Fox NewsのTucker Carlson氏とのインタビューで、彼らを「挑戦的」だと非難し、「彼らのやっていることは間違っているし、違法の可能性すらある」と述べている。

ここ数年、保守派はTwitter、Facebook、それにGoogleが、特定のユーザーに対して「シャドーバン(こっそりと禁止すること)」をしたり、侮辱的な扱いをしていると非難してきた。そして、リベラルと保守の双方からの批判の的となっていたTwitterは、同社のスピーチポリシーに違反した「役人」を対象として、「虐待的態度」を通告する方針を、今月初めに発表したばかりだ。

画像クレジット:SAUL LOEB、AFP

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Instagramの新しい機能で悪質コメントを牽制したりいじめユーザーを制限できる

Instagram(インスタグラム)が今日(米国時間7/8)、ネット上のいじめと戦うための二つの新しい機能を発表した。

今回このFacebook傘下のサービスがやろうとしているのは、どちらも、露骨に投稿をブロックしたりユーザーを締め出したりせずに悪い行いを制限することだ。

InstagramのトップAdam Mosseri氏は発表の中でこう述べている。「Instagramでいじめ防止のためにできることや、いじめのターゲットが自分で戦う方法はもっといろいろある。今日発表するのは、その両方での新しい機能だ。これらのツールは、いじめの実態に対する深い理解に基づいて考案されているが、でも今後の長い道のりのわずか二歩にすぎない」。

最初の機能は人工知能を利用してコメントに、「悪質かもしれない」というマークをつける。コメントを投稿しようとするユーザーにはそのとき、「これを本当に投稿したいですか?」という質問と、「投稿しない」というボタンが表示される。

ユーザーはそのコメントを投稿したければできるので、これは対策として弱いのではないか。でもMosseri氏によると、これまでのテストでは、「反省する機会を与えられたら考えなおしてもっと無害なコメントをシェアする人が多かった」そうだ。

Instagram warning

もうひとつの機能はMosseri氏によると、「ユーザーが人のアカウントを見ることを制限する」機能で、近くテストを開始する。

Mosseri氏は曰く、「低年齢のユーザーには、いじめをブロックしたり、アンフォローしたり、報告することをためらう人が多い。それは、ネット上でなく現実世界のいじめへとエスカレートすることが多いからだ」。

そこで、この新しいオプションを使うと、ほかのユーザーが自分のアカウントと対話することを制限できる。アカウントを隠す必要はない。対話を制限すると、コメントはそれを承認するまでは投稿した本人にしか見えない。いじめる相手が今Instagram上にいるか、ダイレクトメッセージを読んだか、などもコメントの投稿者には分からない。

4月に行われたFacebookのデベロッパーカンファレンスF8で、Mosseri氏はこれらの機能の初期のバージョンを説明した

関連記事: Instagramは「いいね!」数の非表示などの新機能をカナダで公式テストへInstagramが「いいね!」数公開を中止を検討、群衆心理の抑制を狙う

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

「Facebookの白人至上主義対策は限定的」と監査チームが報告

米国自由人権協会ワシントン支部の前ディレクターLaura Murphy氏による、Facebook(フェイスブック)の市民権に関する取り組みを監査した2回目のレポートが発表された。レポートによると、過去6カ月、Facebookはヘイトや広告での差別対策の実施、きたる米国大統領選と2020年国勢調査での誤情報と隠蔽の防止に取り組んできた。

Facebook3月に白人至上主義を禁止するなど、こうした分野のいくつかの点で変更を行ったが、監査チームは「Facebookの政策はまだ限定的だ」と指摘している。というのもFacebookは露骨な表現や「白人ナショナリズム」「白人分離主義」といった言葉の支持や表記を完全に禁止しているが、テクニカル的にはそうした表現やイデオロギーの言及を禁止していないからだ。

「政策の限定的なスコープは、白人至上主義者という言葉を使うことなく白人至上主イデオロギーを明らかに支持するコンテンツを許容している」とレポートにある。「その結果、同じような害を引き起こすであろうコンテンツがプラットフォーム上に残ることになる」。

それゆえに、監査チームはたとえコンテンツが「白人ナショナリズム」「白人分離主義」という言葉をはっきりと使っていなくても、「実際にはそうした意味を表現している言葉や支持、白人至上主義イデオロギーの支持を表すコンテンツを禁止するよう、政策の適用拡大をFacebookに勧めている。

FacebookCOOSheryl Sandberg氏はメモの中でこの勧告を認めている。

「我々は政策を実行するために、白人ナショナリズムや白人分離主義に関係するヘイトスローガンやシンボルを特定することでこの問題に取り組んでいる」と彼女は書いている。

Sandberg氏はまた、人々を脅したり悩ませたりするイベントを組織するのにFacebookを使うことがないよう、Facebookがいかに政策をアップデートしたかについても触れている。

「政策を正しく実行することは解決策の一部にすぎない」とSandberg氏は言う。「我々はコンテンツの分析と、正しいコンテンツのみにするという点でさらに取り組みを進める必要がある」。

Sandberg氏は、Facebookが時々人種差別や差別についての啓発を意図したコンテンツを間違って分類してきた事実にも言及している。

Murphy氏はレポートの中で「定義と、プラットフォーム上でのヘイトスピーチ・ハラスメントの取り締まりは重要な分野だった。市民権コミュニティはまた、コンテンツの決定を構成する市民権の専門性の欠如が、軽んじられたコミュニティのユーザーに非常に異なる結果をもたらしている、と主張している」。

Facebookは、いまこれに取り組んでいる、と言う。Sandberg氏によると、取り組みのひとつが、ヘイトスピーチにフォーカスしたコンテンツレビュワーの配置だ。

「レビュワーがヘイトスピーチを専門とすることは、精度向上につながるであろう専門性の構築に貢献すると考えている」とSandberg氏は書いている。

加えてSandberg氏はFacebookでの市民権問題部隊を正式に発足させた。専門部隊はFacebook上での市民権問題に関して啓発を続けるために監査以上の業務を行う。

そして大統領選挙を控え、Facebookは投票者への干渉についての新たな対策に取り組んでいて、「投票しないで」広告を禁止する政策を加える。この政策は2019年の州選挙の前に導入される見込みだ。国勢調査に関しては、Facebookは今秋に導入を予定している干渉についての政策に取り組んでいる。

今年3月、FacebookACLUや他の団体と、差別的な仕事の広告に関して取り決めを行なった。その数日後、米住宅都市開発省が、Facebookは広告ターゲットツールで公正住宅取引法に違反している、とした。このケースはまだ未解決だ。

一方、Facebookは住宅、雇用、信用の広告を展開する米国の広告主が年齢や性別、人種、宗教、郵便番号でターゲットを絞ることができないようにする新たなシステムの開発を始めた。

このシステムが立ち上がる時は、ターゲットを絞るオプションは限定的となる見込みだ。加えて、FacebookACLUと他の団体との20193月の取り決めが反映されたものでなければ新たに契約はしない方針だ。

この新システムの実施に伴い、Facebookは広告に住宅、雇用、信用機会が含まれているかどうかを広告主に意思表示させる。もし含んでいるのなら広告主は新システムに案内される。Facebookはまた広告主が知らせなかった広告を特定するためのツールも導入する。

加えてFacebookは、ユーザーが広告の対象かどうかにかかわらず、ユーザーが展開されている住宅広告を広告主別やロケーション別で検索できるようになるツールにも取り組んでいる。これは今年末までに利用できるようになる見込みだ。そして将来は同じようなツールを雇用と信用機会でも提供する計画だ。

「住宅や雇用、信用機会へのアクセスがいかに重要かを考えた時、これは人々の暮らしに大きな影響を及ぼす」とMurphy氏はレポートに書いた。

この監査は、誤情報やFacebookの政策、非白人ユーザーに関して次から次にあったスキャンダルを受け、20185月に始まった。最初の6カ月でMurphy氏は問題を特定するために市民権団体にインタビューを行なった。そして後半の6カ月は主にコンテンツのモデレーションと実行にフォーカスした。市民権の監査は終了には程遠く、Facebookによると来年始めに次のアップデートがある。

イメージクレジット: BRENDAN SMIALOWSKI/AFP / Getty Images

 
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(翻訳:Mizoguchi)

Facebook SDKのバグが複数のアプリをクラッシュさせた(現在は解決済み)

Facebookへのログイン、共有、その他の機能を第三者のアプリに追加する、FacebookのSoftware Development Kit(SDK)の不具合により、それを使用するTimehopのようなアプリたちが、既に3時間近くクラッシュを繰り返している。TechCrunchは、Facebook for iOS SDKの問題により、開発者たちが、本日正午(米国時間6月28日の太平洋時間、日本時間では6月29日午前4時)ごろから大量のユーザーの苦情やクラッシュレポートを受け取っているというタレコミを受けた。TechCrunchによるテストでも、Timehop、JoytunesのSimply Piano、そしてMomento GIFなどの製品が、Facebook機能にアクセスしようとするときに、あるいは場合によっては単にアプリを立ち上げようとした場合でも繰り返しクラッシュすることが確認された。

これは、ユーザーの囲い込みのために、様々なアプリに頼っているFacebookにとって、大きな問題だ。なぜならユーザーが、他のアプリへのログインや他のアプリからの共有のために、Facebookを使用していれば、通常は自分のFacebookアカウントを削除する可能性が低くなるからだ。だがもし、Facebook開発者プラットフォームが今日のように動作しなくなったなら、アプリ開発者たちは、代わりにTwitterやSMS経由の共有を推奨するようになり、広告の出稿を他のプラットフォームへ対して行うようになるだろう。最も問題なのは、こうしたバグによって、アプリ開発者たちが、GoogleやAppleの新しい”Sign In With Apple”などの、他のログインプラットフォームを推奨するようになる可能性があるということだ。

【更新】太平洋時間午後3時45分(日本時間7時45分)にFacebookがバグを修正し、SDKと統合されたアプリが再び正常に動作し始めた。Facebookの広報担当者は私に対して「私たちは問題が報告された直後にその解決に取り組みました。現在は解決しています」と語った。Facebookのエンジニアのラム・シャーマ(Ram Sharma)氏は次のように投稿している「私たちのエンジニアリングチームは、この問題が発見されるやいなや、その解決にとりくみました。現在問題は解決されていて、アプリの機能は回復しているはずです」。開発者たちはバグが修正されたことを確認している。なお、この記事の残りの部分は、最初に公開された時点のままである。

Facebook SDKのバグ

このバグは、当初ライアン・レイン(Ryan Layne)氏によってFacebookの開発者フォーラムに投稿された。これらのクラッシュは、他のアプリの通常の使用を妨げ、広告ビューやアプリ内購入を妨害したり、ユーザーがアプリをアンインストールしたり放棄したりすることに繋がる。

Timehop Facebook SDKのクラッシュ

Timehopアプリの”Connect Facebook”(Facebookに接続)ボタンを押すと、アプリがクラッシュする。Facebookのバグ報告フォーラムで開発者たちは、自分のアプリが壊れているという報告を大量に投稿している

この状況は、ますます多くの企業が少数のモバイル、ホスティング、そしてソーシャルプラットフォームに依存することで、ウェブの集中化が増している現象を強調することとなった。今月初めにはGoogle Cloudが機能停止したことにより、SnapchatとDiscordが停止した。こうしたプラットフォームを利用することで会社を立ち上げることが簡単になったり、すべてを内製しなくてもアプリを提供できたりするようになるが、その一方でプラットフォームリスクが生じるのだ。技術的な機能停止問題以外にも、プラットフォームがその洞察を使用してクライアントアプリの機能をコピーしたり、あるいはその機能がゲートキーパーとあまりも激しく競合する場合には、かつてFacebookがチャットやソーシャルメディアアプリに対して行ったようにクライアントアプリを遮断する可能性も懸念されている。

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(翻訳:sako)

Instagramの発見タブから広告収入を絞り取るFacebook

Instagram(インスタグラム)の10億人を超えるユーザーの半数は、新しいコンテンツやクリエイターを見つけるため、月に一度は発見タブを開いている。今やFacebookの傘下に収まるInstagramは、その責務を果たすため、初めて発見タブに広告を入れることにした。しかし、発見タブ内のグリッドに対して、いわばマーケティング権限を持つユーザーに、いきなり広告を投下するのではなく、ユーザーが投稿をタップした後、同様の画像を見るためにスクロールを開始した時点で、初めて広告を表示することにしている。

このやり方なら、ユーザーに嫌がられたり、その場の上品な雰囲気を壊すことなく、発見タブを収益化できる、謙虚な方法と言えるだろう。Instagramのビジネスプロダクトマーケティング部門の責任者であるSusan Bucker Rose氏によれば、ユーザーはそもそも「何かを見つけるつもり」で発見タブを開いているので、広告も自然なものに感じられるのではないかと信じているという。「ユーザーは、新しいアカウント、人々、そしてブランドに触れてみたいと思っているのです」というのだ。

Instagramは、この広告枠をテストするために、まずは鳴かず飛ばずの自身のIGTV機能を宣伝してみることにしている。その後「数週間で、いくつかのブランドに開放することになるでしょう」と、Rose氏は説明する。その中には、大手企業も含まれているが、コンバージョンやビデオの視聴率、リーチの拡大を狙っている小さめの広告会社も名を連ねている。Instagramは今後数カ月の間に、この広告手法を広く一般に展開することをもくろんでいる。

広告主は、Instagramのフィードやストーリーズのスペースを購入するのに使うFacebookの広告マネージャやAPIを通じて広告枠を購入する。最初、広告主はInstagramの発見タブを指定して広告を掲載する必要があるが、そのうちにそれがデフォルトとなる。もちろん、そのオプションを解除することも可能だ。

Instagramの発見タブの広告は、以下のようにして表示される。まずユーザーが発見タブを開けば、いつものように、エンゲージメントの高い投稿が、スクロール可能なグリッドとして表示される。それらはユーザーの興味に基づいてパーソナライズされたものだ。ここでユーザーが写真やビデオをタップすると、まずその投稿がフルスクリーンで表示される。しかし、そこから下にスクロールし続けると、最初に選んだ投稿に似たコンテキストの投稿が次々と表示される。広告は写真やビデオとして、その中に紛れ込まされる。また、テーマを設定したビデオのチャンネルをタップして、クリップを視聴した後に、同様のビデオを求めてスクロールしたときも、Instagramのビデオ広告が表示されることがある。

Instagramは、今回の広告の導入を「ゆっくりと、かつ思慮深く」行うと表現している。これは、時間が経つに連れて、広告の露出がだんだん多くなっていくと言っているようにも聞こえる。

発見タブは、2012年から使えるようになっている。Instagram自体が登場してからほぼ2年後のことだ。これは、アプリの検索機能と「人気」タブを合わせたようなものだった。ユーザーのこれまでの行動から、アルゴリズムに従って分析した興味に合わせ、新たな人やテーマを見つけてフォローできる新しい方法を提案することを目的としていた。それにより、既存のつながりにとらわれない、新しい出会いを提供しようというわけだ。発見タブは、何度かの改良を経て、トピックチャンネルやハッシュタグを追加してきた。さらにInstagramの中で大成功となったストーリーズのようなフォーマットも追加された。ちなみに、最近発見タブに表示されるようになったストーリーズには、広告が掲載される予定はない。

しかし興味深いことに、こうした状況にもかかわらず、Instagramはこれまで発見タブ上の広告表示には手を出してこなかった。発見タブ内に表示される内容は、個人ごと異なる、というのが基本的なアイディアだ。アルゴリズムによって、ユーザーの好きそうな写真、ビデオ、あるいは何らかのテーマが選ばれて表示される。おそらくInstagramは、こうした発見タブのコンテンツの閲覧をじゃましたくなかったのだろう。

別の角度から見れば、これまでのところ、個人だろうがブランドだろうが、誰か特定の人の発見タブの中に、何かを表示することを積極的にリクエストしたり、その権利を購入するようなことはできなかったわけだ。とはいえ、だからといって、これを打破しようとした人がいなかったわけではない。試しに「how to get on Instagram Explore」などとググってみれば、その方法を解説するページがいくつも見つかる。

発見タブに広告を表示するという動きには、それなりの必然性がある。Instagram上でフィード広告による収益化が始まる前から、インフルエンサーやブランド、その他の企業は、直接買い物ができるリンクや、スポンサー付きのコンテンツを投稿することで、このプラットフォームを製品のプロモーションや、顧客とのコミュニケーションのツールとして利用してきた。Instagramによれば、今日では全ユーザーの80%が、Instagram上で少なくとも1つの企業をフォローしているという。ようやく、発見タブのアルゴリズムと必死に騙し合いをしなくても、企業はInstagramから、発見タブの中に自分のスペースを購入できるようになったのだ。

Facebookのニュースフィードの利用が危機に瀕している状況の中、Instagramのストリーズに注目が集まっている。それを収益化する方法はまだ研究中だが、Facebookは収益を増加し続けるため、ますますInstagramに頼ろうとしているようだ。しかしInstagramは、多過ぎる広告によって金のガチョウを絞め殺してしまうことがないよう、よくよく注意しなければならない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

FacebookのLibraは「大きくて悪い」電子マネーなのか?

Libraに関しては書くべきことが山ほどある。それに、すでに書かれている記事で的外れなものも山ほどある。それはたぶん、私が思うに、ほとんどの批評家が発展途上国で長時間過ごした経験を持たないからだ。途上国は、明らかにそのターゲット市場だ。まずは、Libraのプロモーション動画を見て欲しい。

Libraには、この世の終わりのような反応が見受けられる。新たなディストピアを招くとの警鐘だ。その論理はこうだ。1)Libraはたちまち世界を席巻する。2)LibraはFacebookが発行している。3)Facebookは悪い。4)世界の終わりだ! その最初の仮説に、私は面食らった。裕福な欧米の人間は、すでにたくさんの決済システムが使える状態にある。それらは、取り消し可能な取り引き、競争可能な取り引き、マイレージ制度、信用枠が使えるなど、Libraよりもずっと優位な存在だ。

私は、Libraに関する技術的、法的、政治的、そして高度な分析結果を数多く見てきた。その多くは価値のある内容だったが、今のところ、実際にターゲットとされる利用者のことは、ほとんど語られていない。つまり、Libraの白書が言うところの銀行口座を持たない人たちだ。しかしどうも、Libraが目新しく、興味をそそられ、重要に感じる人たちとは、カテゴリーが少し違うようだ。しかし、誰もこのことを語ろうとしない。これほど多岐にわたって、しかも深く追求できる議論の宝庫であるにも関わらず、実際の利用者について触れられないというのは奇妙だ。

白書では、「銀行口座を持たない人」は17億人と推定されている。しかしこの数字は……、怪しい。このデータは、世界銀行のグローバル・フィンデックス・データベース2017から引用している。「それなら、信頼できる最新のデータなのだろう」と思われるかも知れない。たしかにそうだ。しかし、この同じ白書に、2104年から2017年の間に「銀行口座を開設」した人の数は5億5100人とも書かれている。Libraが運用を開始するときまでに「17億人の銀行口座を持たない人」は半減する計算になる。それは銀行のお陰ではなく、電子マネーのプロバイダーのお陰だ。

東アフリカで電子マネーM-Pesaが誕生したのをきっかけに、電子マネーは広く世界に普及した。西アフリカのOrange Money、インドネシアのOvo、インドのPaytm、そしてもちろん中国のWeChatとAlipayと、スマホの中のお金は、発展途上国ではもはや新しいものではない。

こう聞くと、裕福な国々と同じように、地元の言語を話し、市場をよく理解し、広く流通している競争相手が大挙してLibraを待ち構えているように思われるだろうが、それは違う。Libraの利点は、端的に言えば、現地通貨ではなく、国際通貨だといということだ。それには、優位な点もあり、またアキレス腱もある。しかもその市場は、厳密に言えば銀行口座を持たない人たちではない。電子マネーの口座は持っていたとしても、国際通貨にアクセスできない人たちだ。

なぜ、そのアクセスが必要なのか? 裕福な国で暮らす家族が途上国に送金するというのは日常的なことだが、その額は全体で年間5000億ドル(約53兆5000億円)にのぼる。その大部分が、ウエスタンユニオンなどの、遅くて手数料の高い業者を通じて行われている。それに従い、Libraの白書でも、問題提起の章で「送金」を大きく取り上げている。

しかし、両替に関しては論拠に欠ける記述がわずかにあるだけだ。なぜそれが問題なのか? なぜなら、送金はじつに大きな市場でありながら、以前の記事で述べたとおり「たしかに、5000FaceCoinをガーナの家族に0.1パーセントの手数料で送れるのは有り難い。しかし、その後ガーナの家族は、両替所でなんとかそれをクレジットに変換しなければならない。その作業は、今これを書いている時点で、時間がかかり、大変に面倒で、ユーザーに優しくなく、しかも通常の送金方法よりも高くつくことが非常に多い」からだ。

「現地がLibraを受け入れたら、問題ないんじゃないの?」と思うだろう。しかし、a)途上国の地元産業に新しい決済方法を受け入れさせるのは大変に難しく、b)地元の税金を払うために、結局、彼らも両替手数料を支払わなければならなくなる(Libraでの納税を可能にして、Libraを国の通貨にするよう政府に提言する楽天的な人が現れる前に、ひとつ忠告しておく。政府は、マネーサプライの権限を手放すようなことは、決してしたがらない)。

したがって、真に大規模な受け入れを実現するには、とくに産業と金融機関の取り引きにおいて、両替の制度が鍵になる。送金の分野では、普段から利用者のための通貨の両替サービスで大変な競争が繰り広げられている。Facebookは、それとなく市場に依存して、競争力の高い、流動的で、効果的で、効率的で、広く名が通った、Libraとそれが流通しているすべての国の現地通貨の両替を行おうとしているように見える。たぶん。しかし、それは高望みだ。

だが、個人や家族といった小さなスケールなら、Libraはずっと有効だろう。LibraはM-Pesaに取って代わるものではないし、それを狙ってはいないだろう。むしろLibraは、ケニヤ・シリングに対する米ドルのような関係の電子マネーになろうとしている。Libraは、国際的な準備通貨になれる可能性がある。おそらくそれは金融機関向けではなく、個人向けだ。そのレベルなら、両替もそれほど重要でなくなる。

米ドルは、少額であっても世界中のほぼ全域で使えて、送金もできる。貧困な国々では、そのほとんどで、米ドルが事実上の影の通貨となっている(私は、タクシーの運転手たちが20ドル札にやたらと詳しい地域に行ったことがある。20ドル紙幣には、種類によって偽造しやすいものと、しにくいものがあるからだそうだ)。さらに、米ドルは強い通貨だという理由だけで、現地通貨とは異なり、貯め込まれることがある。ベネズエラ、ジンバブエ、それにアルゼンチンなどを見ればわかるだろう。

Libraも、同じようになると私は期待している。個人は両替所に口座を開く必要がなく、LocalBitcoinsと同じようなスタイルで、Libraを現地の両替所に送るだけで済む。両替所は、Libraを受け取ると、相応の現地通貨を送り返す。願わくば、安い手数料で。

もしそれが実現すれば、そしてFacebookの圧倒的なサイズと浸透力で、そのようなサービスがほぼ世界全域で使えるようになれば、たとえLibraが裕福な国々で、また業界や金融機関で人気を得られなかったとしても、世界中の個人や家族が、受け取り、貯蓄し、使い、国際的に強い通貨に素早く(願わくば)ウェスタンユニオンなどより劇的に安い手数料で両替できる初めての通貨となるだろう。分散型の暗号通貨のような乱高下も、使用の制限も、ユーザーをないがしろにするようなこともない。これは大変なことだ。とってもいいことだ。

決して保証はできない。Libraには、まだ不確かな点が数多く残されている。アイデンティティ問題という非常に固い殻を砕く必要があるかも知れない。さらに、Facebookの技術力はさておき、これは、政治家や規制当局(そしてジャーナリズムも)目の敵にしているFacebookが発行する電子マネーだ。少なくともこれは、最初から彼らに対する反撃であり、それが多くの人々に、Libraの裏にある本当の狙いは何なのかと疑いを抱かせることにもなる。

だが、そこにある本当に大切なものも、一括りにして投げ捨てるのはよくない。もしLibraが、ある程度の規模でなんとか成功したなら、それは世界の大勢の人たちとって、生活と切り離せない非常に重要なものとなる。油断は禁物だ。プライバシーについては気を配るべきだ。適格な疑問を持とう。これは分散型のソリューションではなく、今後も決してそうはならないことを忘れてはいけない。私の立場は、みなさんと同じだ。私自身、Facebookに厳しい批評家との評価をいただいている。

みなさんが、憤慨と批判に走りたくなるのは無理もない。しかし、世界でもっとも貧しく弱い立場にある無数の人たちに大きな恩恵がもたらされる可能性は、どうか無視しないで欲しい。あなたは、分散型の、認証が必要ない、検閲を受け付けない形式のほうが好ましいとお考えだろうか? 私もだ! もし、Libraのように実用間近で、そうした電子マネーをご存知なら、教えて欲しい。

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(翻訳:金井哲夫)

英当局がFacebookとeBayに偽レビュー売買の禁止措置を要請

FacebookとEbayの両社は、英国の競争・市場庁(CMA)から、自社プラットフォーム上での偽レビューの販売禁止を強化するよう警告されている。

偽レビューは英国の消費者保護法で禁止されている。

CMAは米国時間6月23日、「偽あるいは誤解を招くオンラインレビューがマーケットプレイスで氾濫している証拠」を見つけたと発表した。ただし同庁は、両プラットフォームが意図的にそのようなコンテンツを許しているとは考えていないことも明記した。

規制担当者によると、2018年11月から2019年6月にかけてeBayとFacebookのコンンツをクロール(収集)し、100を超えるeBay商品で偽レビューを発見した。

同じ期間に、26のFacebookグループで、偽レビューを依頼したり、人気ショッピングサイトやレビューサイトに偽レビューや誤解を招くレビューを書く人を企業が募集していた。

CMAが挙げた推定によると、英国インターネットユーザーの3/4以上が商品購入前にオンラインレビューを参考にしている。数十億ポンドに値する人々の出費がそういうコンテンツの影響を受けていることになる。市場がレビューを金で買う方向に進むんでいることは明白だ。

CMAのCEO Andra Coscelli氏は声明で、「FacebookとeBayには偽あるいは誤解を招くオンラインレビューの売買を防ぐために早急にサイトを見直してもらいたい」とコメントした。

「ネットで買物をするとき、多くの人々がレビューに頼っている。レビューが本物であり、誰かがお金をもらって書いたものではないと人々が信じられることは大切だ。偽のレビューは、人々に選択を誤らせ、その結果誤った製品やサービスを買わせてしまうことを意味している。正しく行動している企業に対する道義にも反している。

規制当局は、eBayとFacebookに書簡を送ったあと、両社が「協力の意思を表明した」ことを明らかにした。

Facebookは、CMAが特定した26グループの「大部分」を削除したことを当局に伝えた。

規制担当者は、特定されたコンテンツをすべて確実に削除する方策を整備することを望んでいると語った。

本稿執筆時点にebay.co.uk で “reviews” を検索したところ、5つ星のメディアレビュー、5つ星のGoogleレビュー、および5つ星のTrustpilotレビューを販売する売り手がトップ3だった。うち一つはスポンサー付き投稿だった。

eBayではほかにも、”1/2/3/4/5 Star Freeindex Customer Service Review for business”を10ポンドで売る英国拠点の売り手が見つかり、2011年2月からeBayのメンバーになっていた。「Googleの5つ星レビュー」に「新規顧客を増やしてビジネスを強化しよう」という謳い文句のついた商品を2.69ポンド、「今すぐ100%ポジティブ」を1ポンド、Googleの5つ星レビューを15ポンドで掲載していたのは、ポルトガル拠点と思われる売り手で、2014年3月以来のeBayメンバーだった。

英国のFacebookグループを検索したところ、売り手がレビューを売り込んでいると思われるクローズドグループが複数見つかり、報酬は物品または金銭だった。

CMAから受けた不正レビュー対策の要請についてFacebookに問い合わせたところ、広報担当者の名前で以下の声明が送られてきた。

Facebookで詐欺行為は許されておらず、偽レビューの売買もこれに含まれている。当社は昨日CMAから報告を受けた26グループ中24グループを削除済みであり、CMAが指摘する前に削除したグループもいくつかあった。われわれにはまだやるべき仕事があると認識しており、安全およびセキュリティーチームを3倍の3万人規模に増やし、プラットフォームの悪用を事前に防ぐテクノロジーへの投資を続けているのはそのためだ。

eBayの広報担当者からも本誌に連絡があった。

当社は偽あるいは誤解を招くレビューを一切許さない。特定された売り手はすべて停止させたことをCMAに通知した。掲載された広告も削除した。こうした広告は違法行為に関する当社ポリシーに明確に違反しており、ルールが破られた場合は厳格に対処する。今後もCMAからの報告を歓迎し、調査結に全面協力していく。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが9月25日、26日に「Oculus Connect 6」イベントを開催

多忙な1年の後、Facebook(フェイスブック)によるVR(仮想現実)の祭典がカリフォルニア州のサンノゼに帰ってくる。9月25日〜26日に6回目となるOculus Connectが開催されるのだ。

OculusはQuestやRift Sをリリースし、メインストリームの顧客の要望に応えることに注力するハイエンドゲーミング企業へと変貌を遂げた。Oculus Connect 6は欠けているハードウェア機能に影響されることなく、コンテンツとソフトウェアの改良を前進させる機会を同社に与えるだろう。

Oculusは短いブログ投稿にて、「QuestとRitf Sはこれまで以上に多くの人々をVRに参加させており、OC6はより大きく、スマートに構築し、私達がともに作っている物の潜在価値に気づくための完璧な瞬間となるだろう」と伝えている。

フェイスブックのトップエンドのVRデバイスは、特定のコンテンツしかストアにて販売されていない閉鎖的な状況であることから、開発者にとってはより議論を呼ぶミーティングとなるかもしれない。Apple(アップル)は過去2年間、トップゲームデベロッパーを獲得し、初めてVR分野に踏み込むインディーズにはあまり金銭を与えない方向へと遷移している。

ティザー投稿では、Apex Legendsの開発元であるRespawn Entertainmentが開発したファースト・パーソン・コンバットタイトルが、主要な発表の1つであることを強調している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

FacebookのLibraは暗号通貨よりむしろ信用紙幣、金融当局はシャドーバンク化を強く警戒

米国時間6月18日、Facebookは新しい暗号通貨システム、Libraと運営母体となるNPO、Libra Associationの設立を発表した。Libraのホワイトペーパーは他の暗号通貨ビジネスにも大きな反響を呼んでいる。ただし率直に表現すれば、LibraはBitcoinより銀行に近い。

メンバー限定のブロックチェーン

Libraはビザンチン・フォールト・トレランント性を組み込んでおり、マークルツリーによるハッシュ化を用いて取引記録の縮約を行うなど通常のBlockchainテクノロジーをベースとしている。

しかしBitcoinやEthereumなど現在ポピュラーな暗号通貨とは異なり、誰もが自宅で採掘のためのノードを動かすことができなるわけではない。Libra Association の正式メンバーだけがノードを持てる。現在ノード運営能力をもつメンバーは Vodafone、Mastercard、Visa、Stripe、Uber、Spotifyなど28社に限られている。

Libraは一見するとブロックチェーンだが本当に分散化されたブロックチェーンではない。取引内容を記録したレッジャーにアクセスできるのもLibra Associationの正式メンバーに限られる。Facebookないし運営協会のメンバーが公衆向けAPIを作れば別だが、 今のところLibraはオープンなプロダクトではない。

もちろん、Facebookはこの点を認識しており、5年以内に「誰もがノードを運営できるようにする」計画だと述べている。(略)

リセラーは事前認証が必要

Libraは安定した価値を提供するステーブルコインの一種だ。Libraは他種類の法定通貨や債権のバスケットとリンクしている。このためLibra Associationのメンバーが採掘ノードを稼働させて新たなLibraを創造する場合、非常に複雑な処理と監視が必要だ。また売却や保管は通貨や債権を金融機関が処理する方式に準ずる。

これと同様、ユーザーがLibraを米ドルと交換したい場合、Libra Associationは法定通貨の場合と同様売り注文を出さねばならない。

このため、Libraの売買にはLibra Associationに事前に認証されていなければならない。このためLibraのエコシステムにとってLibra Associationは運用の中心をなす規制団体となる。

これは暗号通貨の分散性の理想には反するものだ。消費者がLibraを利用して支払いを行いたいという場合、中小の金融機関は運営協会が認証したリセラーに仲介を以来する以外ない。Libra Associationはデジタルマネーに関するVISAやMastercardのような存在になる。

ただしUSDCなど他のステーブルコインも基本的に同様の考え方で運用されている。例えば、USDCを支払いサービスに利用したならまずCENTREコンソーシアムのメンバー資格を取得しなければならない。(略)

シャドー・バンキング

フランスのブルノ・ル・メール経済財務大臣が Europe 1のインタビューに答えて「Libraは(強制通用力を持った)法定通貨には絶対になり得ない」と強い口調で語った理由はここにある。 もちろんインフレ率の高い国ではステーブルコインであるLibraはヒットする可能がある。こうした場合、消費者だけでなく企業も取引に利用するようになるかもしれない。

しかし現在法定通貨を発行し、金融政策の舵取りをしている各国中央銀行はIMF(International Monetary Funds)のメンバーであり、営利企業の連合とは目的、性格が大きく異なる。

現在のLibra Associationのメンバーを考えれば。Libraが法定通貨に準ずる存在になる可能性はある。ベネズエラ、アルゼンチン、トルコ、南アフリカなど高インフレ率に悩まされている国で特にそうだ。しかしLibra Associationのメンバーは営利企業であり、金融政策の適切化を目的としていない。

EUは長年単一市場を目指してきたが、各国の予算、税制、金融政策に関して一致できたことは一度もない。同様に中国もシャドーバンキングの急激な拡大に伴い、金融におけるシステミックリスクに直面している。

Lbraは新たな巨大シャドーバンキングになる可能性があるため、各国政府は厳重な監視の必要性を感じている。民間企業の集合体であるLibra Associationはビジネス上の理由から一夜にして方針を変えかねない。例えば、Libraの価値を担保している信用紙幣と債権のバスケットからある国の信用紙幣を外す決定をするかもしれない。もし債権の売出しを始めたらどんな影響があるだろう?

要約すれば、Libra Associationが今後運営しようとしているのは準信用紙幣だ。すまり各国の金融当局とさまざまな面で激しい摩擦を予期しなければならない。安全なデジタルマネーを供給するというテクノロジー面だけでなく、いかにして金融政策との調和を図りながら組織を運営するかも困難な課題となるだろう。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

【以上】

Facebookの新暗号通貨プラットフォーム「Libra」を解剖する

米国時間6月18日、Facebookは独自の暗号通貨、Libraを発表した。プロジェクトの内容はTechCrunchの今月始めの予測とほぼ一致していた。LibraはFacebookが構築しようとしている新しい金融システムの一環となるものだ。

Libraを利用したウォレット・サービスのためにCalibraという子会社も設立された。またMastercard、PayPal、Visa、Uber、Andreessen Horowitz、Creative Destruction Labなど有力企業が提携先となっている。

FacebookのLibraイニシアティブは革新的、野心的である一方で大きなリスクもはらんでいる。実はLibraには先行する試みがあり、これと比較することがFacebookのビジョンを理解するために役立つとおもう。

ここで考えているのは英国ロンドン発のモバイルチャットサービスのKikと、そのソーシャルネットワークを利用した仮想通貨のkikkinだ。KinについてTechCrunchの読者に一番よく知られているのは、SEC(米証券取引委員会)に訴追を受けていることだろう。SECはKikが2017に実施したICO(暗号通貨による資金調達)を違法としている。KikはこのICOで1億ドルを調達したが、公衆からの資金調達に必要な認可をSECから得ていなかった。

KikのCEOであるTed Livingston(テッド・リビングストン)氏によれば「Kikが暗号通貨は通貨の一種でありSECの管轄外と考えているのに対し、SECは管轄内の証券の一種と考えていることによる」のが根本的な対立点だという。両者の主張の法的当否は別として(仮に通貨だとしてもKikには法定通貨を発行する権限がないのは明らかだ)、KinはFacebookが独自の暗号通貨を作った背景、仕組み、将来構想を理解するために役立つ。

Creative Destruction Labのイベントで先週、リビングストン氏は「我々には資金が必要だった」と語った。Kinはこの極めて差し迫った問題に対する回答だった。Kikではいくつか異なったマネタイズを試してきた。ひとつはCardsモデルで、これはモバイルメッセージアプリ内にHTML5で書かれたツールやゲームが利用できるエコシステムだ。これは中国のWeChatモデルに近い。

Kikは英国発のメッセージアプリとして大成功した(ただし子供を狙う犯罪者に愛用されているという指摘もあった)とはいえ、規模はFacebookとはかけ離れている。そのためFacebookのように安定した広告収入を得ることはできなかった。 LivingstonのCEOの回想によれば、2011年にKik はBitcoin(ビットコイン)を知り、「これが我々が探していたビジネスモデルかもしれない」と考えたのだという。

リビングストン氏は「ユーザーのコミュニティに自然な形で簡単、迅速に価値を交換できるため暗号通貨はKinのプラットフォームにとって大きな意味があると気づいた」と語った。Kinのコミュニティはクッキングなどメンバーの得意分野の知識を交換する場になっていたので、支払い手段として暗号通貨は適していた。

KikにとってカギとなったのはKinを利用することがユーザーにもデベロッパーにも利益となるようなモデルを構築できるかどうかだった。Kikやデベロッパーには当然ながらkinの普及を図る動機があったが、ユーザーがKinを利用したくなる動機とは別のものだった。リビングストン氏よれば、暗号通貨でサービス提供者とユーザーとの利益を調整するのは広告モデルのビジネスとは決定的に違うという。このため両者のインセンティブがまったく噛み合わないケースが出てくるのはわれわれもたびたび見てきた。

SECによる訴追も含めKinの将来については不確定な要素が多いが、上で述べた問題はすべてLibraにも当てはまる。両者の違いは規模だ。Facebookは成熟した大企業であり、それ自身の巨大な経済圏を持っている。Kikは暗号通貨を資金調達手段として利用した。これはすぐにも資金が必要だったからだ(そこでICOに飛びついた)。

Kikにはビッグネーム企業多数をプラットフォームに参加させ、自力で市場の構造そのものを変えるような力はなかった。見切り発車してコミュニティーに活用されることをデモし、投資家やパートナーが後から参加してくることに望みをつないだ。、

これに対し、FacebookはKikが持っていなかったものをすべて持っている。企業規模と市場支配力はプロジェクトのスタート当初から大企業をパートナーとして参加させるのに十分であり、背に腹は代えられない資金調達の必要にも迫られていない。もしプロジェクトが失敗しても機会損失というコスト生じるだけだ。また今後も相当期間、広告ビジネスからの安定した収入が見込める。

しかし根本的なレベルではFacebookとKikの暗号通貨プロジェクトは極めて似ている。 暗号通貨による決済プラットフォームは広告モデル以上にユーザーに利益をもたらし長期にわたって維持可能なビジネスモデルとなるという認識だ。

現在のところFacebookのLibraは広告ビジネスに対するリスクヘッジという意味が強い。これがFacebookの生き残りをかけたコミットメントに変わるときに真価が問われることになるのだろう。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Facebookがロボットを学習させるための本物そっくりな仮想の家を提供

AIを搭載したロボットが家の中で人の手伝いをするためには、ロボットは人間の環境で歩き回るための経験を数多く積まなければならない。それにはシミュレーター、つまり本物の家とまったく同じに見えて、同じように機能する視覚的世界が最適な訓練場となる。そこでFacebookは、現在最も先進的と言える、そうしたシステムを開発した。

その名は「Habitat」。Facebookのこのオープンソースのシミュレーターは、数カ月前に軽く紹介されていたが、米国時間6月15日に、CVPR(米電気電子技術者協会コンピュータービジョンおよびパターン認識に関する会議)にシステムに関する論文が提出されたことにともない、完全な内容が公表された。

現実世界を歩き回り単純な作業をさせるだけでも、ロボットを教育するには膨大な時間を要する。そのため、物理的空間で実際のロボットを動かす方法は現実性に欠ける。ある地点から別の地点へもっとも効率的に移動する方法や、引き出しの取っ手を掴んで引っ張り出す方法などを、実際に何度も繰り返し学ばせようとすれば、数百時間、実時間にして何年もかかってしまうだろう。

関連記事:WTFはコンピュータービジョンなのか?(未訳)

そうではなく、ロボットのAIを現実の家に相当する仮想環境に置く方法がある。結果として、基本的に、その3D世界を構築するコンピューターの最大の演算速度でもって超高速に訓練を重ねることができる。つまり、何百何千時間を要する訓練が、コンピューターの高速な処理速度により数分で完了するということだ。

Habitat自体は仮想世界ではなく、むしろシミュレーション環境を構築するプラットフォームだ。既存のシステムや環境(SUNCG、MatterPort3D、Gibsonなど)との互換性があり、利用者が現実世界の何百倍もの速度で効率的に訓練を実行できるよう最適化されている。

しかしFacebookは、仮想世界の最先端をさらに一歩進めたいとも考えている。そして作り出したのが「Replica」だ。これはHabitatのためのデータベースで、キッチン、浴室、ドア、長椅子が置かれたリビングルームなど、家全体を構成するあらゆる部屋の写実的なモデルが保管されている。FacebookのReality Labsが、現実環境の写真撮影と深度マッピングという血の滲むような作業の末に完成させた。

  1. habitat3

  2. replica1

  3. replica2

そこに再現された世界は非常に精細ではあるが、一部にノイズが見られる。とくに天井や手の届かない場所に多い。それはおそらく、AIビジョン・エージェントの動作には関係のない天井や部屋の遠い角などは、細かく再現する必要がないためだろう。椅子やテーブル、廊下を規定する壁などの形状のほうが、ずっと重要だ。

しかし、もっと重要なことは、開発チームが3Dデータに無数の注釈を加えたことだ。3D環境をただキャプチャーすれば済むというものではない。オブジェクトやサーフェイスには、一貫性のある完全なラベルを付ける必要がある。長椅子も、ただの長椅子ではなく、グレーの長椅子で青いクッションが複数置かれている長椅子という具合にだ。エージェントのロジックに応じて、それが「柔らかい」のか、「ラグの上に置かれている」のか「テレビの横」にあるのかなどの情報が必要になったり、ならなかったりする。

HabitatとReplicaは、意味論的ラベルごとにひとつの色で示される。

だが、こうしたラベル付けをしたお陰で、環境の柔軟度が高まり、包括的なAPIと作業言語は、「キッチンへ行きテーブルの上の花瓶の色を教えろ」といった複雑な複数の段階を含む問題をエージェントに与えることが可能になる。

結局のところ、このような支援は、たとえば家の中を自由に歩き回れない障害者を補助するなど、人の助けになることが想定されているが、それにはある程度の機転が利く必要がある。HabitatとReplicaは、そうした機転を養う手助けをするものであり、エージェントに必要な訓練をさせるためのものだ。

以上のような進歩があったとは言え、Habitatは完全に現実的なシミュレーター環境に至るまでの小さな一歩を踏み出したに過ぎない。ひとつには、エージェント自身が現実に即して再現されない点がある。ロボットの身長は高いものもあれば低いものもある。車輪で走行するのか脚で歩くのか、深度カメラを装備しているのかRGBなのか、さまざまだ。不変のロジックはある。たとえば、長椅子からキッチンまでの距離はロボットのサイズが違っても変化しない。しかし、変化するロジックもある。小型のロボットはテーブルの下を潜れるが、テーブルの上に何があるかを見ることができない。

Habitatは、さまざまな仮想ビジョンシステムで物を見る。

さらに、Replicaや、それに類するその他あまたの3D世界では、視覚化されたシーンの中に写実的に環境が描画されるのだが、これらは、物理法則やインタラクティブ性という意味においては、ほぼまったく機能しない。寝室へ行ってタンスの上から2番目の引き出しを見つけるように指示はできるが、引き出しを開けさせることはできない。実際には引き出しは存在しないからだ。そのようにラベル付けされた絵があるだけだ。動かしたり触れたりはできない。

見た目よりも物理法則に力を入れたシミュレーターもある。「THOR」などは、AIに引き出しを開けるといった実作業を教えるためのものだ。これは、一から教えようとすると驚くほど難しい作業になる。私は、THORの開発者2人にHabitatのことを聞いてみた。彼らは、AIが移動や観察を学ぶための非常に写実的な環境を提供するプラットフォームとして、Habitatを口を揃えて称賛した。しかし、とりわけインタラクティブ性が欠如しているために、学べることに限界があるとも指摘していた。

だが、どちらも必要であることは明らかであり、今のところ、それぞれが互いに代わりを務めることはできない。シミュレーターは、物理法則的にリアルになるか、見た目にリアルになるかのいずれかなのだ。両方は無理だ。しかし、Facebookも他のAI研究室も、それを目指して頑張っていることに間違いない。

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(翻訳:金井哲夫)

血液不足時に献血を呼び掛けるFacebookの機能が米国で使えるように

Facebookは献血に特化した機能の展開を拡大する。2017年からFacebookは世界のいくつかのマーケットの献血センターと協力し、プラットフォームを通じて血液ドナーにアクセスして必要なときに献血を呼びかけられるようにしてきた。その献血機能を今度は米国で展開しようとしている。

サービス開始に伴い、FacebookはAmerica’s Blood Center、米赤十字社、Inova、New York Blood Center、Rock River Valley Blood Center、Stanford Blood Center、Versiti、Vitalantなどを含む米国の主要な献血組織と提携する。

また全国展開する前に、まず都市部のいくつかのマーケットでこの新機能を提供し、手始めにシカゴ、ニューヨーク市、サンフランシスコベイエリア、ボルチモア、ワシントンD.C.での展開となる。

米国で提供する献血機能は、バングラデシュやブラジル、パキスタンなどを含む世界のいくつかのマーケットですでに展開されているものと似ている。

この機能にアクセスするには、該当マーケットのFacebookユーザーはそれぞれのプロフィールの「About」セクションから献血機能のページにいき、サインアップする。そこでユーザーは、近くの血液バンクが協力を求めていることを知らせる通知をFacebookに許可する。そうすることで、血液バンクの在庫が減っているときに血液バンクはFacebookのプラットフォームを通じて近くのドナーに献血を呼びかけることができる。

登録した人は、献血のリクエストと献血の機会についての情報をFacebook上のBlood Donations destinationで確認できる。そしてそのページにあるツールを使って友人に献血を呼びかけることもできる。

2017年のサービス開始以来、この献血機能はうまくいっている。最初に導入されたマーケットですでに3500万人以上が登録している。インドとブラジルでは「献血をした人の20%がFacebookの影響で献血することを決めた」と献血センターは指摘している。この数字は、血液バンクで行われた対面調査に基づいている。

今日の献血機能の立ち上げに伴い、America’s Blood CentersのCEOであるKate Fry氏は「Facebookとの提携では、人々がさまざまな血液型のドナー確保に協力する時、より簡単に地元の血液センターを見つけ出せるようになる」と発表文で述べている。「生き方としての献血を促すことで、米国中で毎日使用されている3万パイント超の血液を確保できる」。

今回この機能は、6月14日の世界献血デーに先立って導入された。世界保健機関が定めたこの献血デーは献血についての意識啓発のためのものだ。Facebookはこの日、いくつかの自社オフィスで献血を実施し、ブラジルとインドで啓発キャンペーンを展開すると話した。また、献血の呼びかけに注意が集まるよう、米赤十字、そしてVitalantとMissing Typesのキャンペーンでも提携している。

「深刻な血液不足を強調するMissing TypesキャンペーンへのFacebookのサポートに感謝している」と米赤十字社のシニアバイスプレジデントのCliff Numark氏は述べた。「人々が忙しく過ごす夏は十分な献血者を確保するのがかなり難しく、このキャンペーンはまったく時宜を得たものだ。そしてFacebookの献血機能は誰かの命を救うための献血をさらにしやすいものにする」とも語った。

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(翻訳:Mizoguchi)

Oculusがヘッドセット用コンテンツを2週間で500万ドル販売

Facebookのスタンドアロン型VRヘッドセット、Oculus Questが発売されてからまだ日は浅いが、AR/VR担当副社長のAndrew Bosworth(アンドリュー・ボスワース)氏によると、同社はすでに相当数のVRコンテンツを販売している。

Vox MediaのCodeカンファレンスでボスワース氏は、Quest発売から2週間で500万ドル相当のコンテンツが売れたことを詳しく話した。デバイスの販売台数については具体的な数字を出さなかったが、FacebookはこれまでどのVR製品の販売データも一切口外していない。

399ドルのヘッドセットはPCやスマートフォンなしで動作し、カメラベースの位置トラッキングはこれまでハイエンドのPC用ヘッドセットに使われていたものと同等だ。ヘッドセットが発売された時点では、同社のストアでダウンロードできたのは50タイトルを少し超える程度だったが、無料のタイトルから最高30ドルのゲームまで各種揃っている。

VR分野にいる会社は、Facebookでさえも、デバイスの販売台数を語りたがらない。それだけサクセスストーリーが少ないということだろう。FacebookはQuestの発売に全社体制で臨み、マーケティングキャンペーンも大がかりに展開してきたので、今回の成功について詳しく語りたがるのも当然だろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookグラフ検索の仕様変更でオンライン研究者は困惑

Facebookが6年前にグラフ検索を公開したとき、その目的はユーザーが公開投稿の中からコンテンツを発見するためだった。それ以来この機能は多くのユーザーにとってはあまり目立たない存在だったが(最後の大きな発表は2014年のモバイル版公開のときだった)、オンラインで人権問題や戦争犯罪や人身売買の証拠を集める研究者や活動家にとって価値の高いツールとなった。しかし、そんな人たちの多くがグラフ検索機能を使えなくなったことを、ウェブメディアのViceが報じた

グラフ検索ではユーザーがふつうの言葉(キーワードだけでなく、人が話すように書かれた文)で検索できるほか、検索結果を細かい条件でフィルターできる。たとえば、誰がページや写真にいいね!をつけたか、誰がある町を訪れたか、あるいは同じ時、同じ場所にほかの人と一緒にいたかなどを調べることができる。プライバシー問題が起きる可能性があることは明白だったが、グラフ検索は調査報道ウェブサイトのBellingcatにとってもイエメン・プロジェクトの重要な情報源として、サウジ主導によるイエメン空爆の報道に利用された。

ほかの調査団体はグラフ検索を使ってStalkScanのようなツールも開発したが、グラフ検索がなくなれば、サービスを中止するか非常に限定された機能で提供するしかない。ちなみに現在StalkScanのウェブサイトには以下の注意書きが掲載されている。

「6月6日現在、このツールでは自分のプロフィールしか検索できない。2年間にわたり2800万回以上のStalkScanセッションが利用されていたにもかかわらず、Facebookは突然グラフ検索を見えにくくした。例によって活動家やジャーナリストなどこのツールを正当な目的で使っていた人々に相談も連絡もなかった。薄気味悪いグラフ検索自身は今もあるが、前よりずっと利用しにくくなった。データは今もそこにあるので、自分でツールを使って確かめてみるとよい。

Facebookは、これまで以上に注意深いスタンスを試しているのかもしれない。今でもCambridge Analyticaのデータスキャンダルや今年発覚した数億人分のパスワードが平文保存されていた問題の後遺症が残っているのだろう。

Vice宛の声明でFacebook広報は、「Facebookで検索する人のほとんどはキーワードを利用している。それがグラフ検索で一部の機能を停止して、キーワード検索の改善に注力する理由の一つだ。当社は研究者らと密に協力して必要なツールを提供できるよう努めている」と語った。しかし、Viceの情報源の一人でFacebookの現社員だという人物は、「人を探したり(Bellingcatのように)何かを調べたりするために情報にアクセスできるようにすることと、それを防ごうとすることの間で、さまざまな衝突が社内外で起きている」と言っていた。

TechCrunchはFacebookに連絡を取り、追加情報を求めている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

フェイスブックのチャット端末Portalは秋に新しいハードウェアが出る

Facebookの「Portal」デバイスは立ち上げから今日まで依然として、プライバシー関連の疑問を大量に引きずっているが、同社はそれにめげる気配も全然なく、このビデオチャットハードウェアをひたすら売っていきたいようだ。

Vox Media主催のCode Conventionカンファレンスで、FacebookのAR/VR担当副社長Andrew Bosworth氏は既存のハードウェアの売上が「好調」と言ったが、でももっとおもしろいのは、今年の秋には新しいサイズのPortalハードウェアを出すらしいことだ。

これまでのいろいろな話の中には、Portalのファームウェアのコードに昨年見つけた「Ripley」というデバイスの名前が登場する。Cheddarの記事によると、そのカメラデバイスはテレビの上に取り付けて、ビデオのフィードをテレビの画面に送る。それによってPortalのようなビデオチャット専用デバイスは要らなくなり、しかもFacebookのハードウェアが家庭の中心に位置することになる。

もちろんさまざまな形状で一挙に出すという説もあるけど、このテレビ画面を利用するバージョンは低価格製品だろうから、真っ先に登場してもおかしくはない。

(関連記事: Facebookが監視するチャット端末「Portal」を半額に値下げ

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookの独自仮想通貨でユーザー間の送金や購入代金の支払いが可能に

Facebookは、Libraというコードネームで呼ばれる仮想通貨の詳細を発表する準備をようやく整えたようだ。同社の仮想通貨の概要を説明するホワイトペーパーが、今のところこの6月18日に発表される予定となっている。複数の投資家が、Facebookからこの日付を明かされた、と主張する、ある情報筋からもたらされた話だ。

一方、Facebookの北ヨーロッパを担当する金融サービスおよびペイメントパートナーシップ部門長のLaura McCracken氏も、ドイツの雑誌、WirtschaftsWocheのSebastian Kirsch氏に、ホワイトペーパーが6月18日に発表されるはずであると明かしている。また、その仮想通貨は、たとえば米ドルのような単一の通貨に連動するのではなく、通貨バスケット制を採用して、 価値の変動を防ぐことになるという。Kirsch氏は「私は、火曜日にアムステルダムで開催されたMoney 2020 EuropeでLauraに会いました」と、私に明かした。それは彼女が、同僚のFacebookのペイメント担当役員のPaulette Rowe氏の講演を聴いた後のことだった。「彼女によれば、彼女はDavid Marcus氏が率いる『Facebookブロックチェーン』チームの活動には関与していない、ということでした。彼女は私に、詳しいことは6月18日にホワイトペーパーが公開されるまで待つように言ったのです」。彼女は彼に、その発表の日付が、すでに公になっているはずだと伝えたのだが、実はそうではなかった。

そして米国時間の6月5日、TechCrunchは6月18日に関するニュースの差し止めを、Facebookのブロックチェーンチーム担当の、あるコミュニケーション部門長から要求された。とはいえ、The InformationのAlex Heath氏とJon Victor氏も、すでに米国時間の6月5日、Facebookの仮想通貨プロジェクトが今月後半に発表されると報じている。

Facebookは、同社の仮想通貨プロジェクトに関するニュースについてのコメントを控えている。パートナーとなる企業や政府とのゴタゴタが生じた場合には、発表の日時が変更される可能性は常にある。ある情報筋によれば、Facebookは2020年に正式に仮想通貨の扱いを開始することを目標にしているという。

それをLibraと呼ぶのか、何と呼ぶのかは別として、これはFacebookにとって、商取引と支払い機能の新時代の幕開けとなるだろう。たとえば、友人同士で、無料、または安い手数料での支払いが可能となったり、海外に出稼ぎに出ている労働者が稼いだお金を家族に送金したりするのにも使えるだろう。一般の送金サービスは手数料が高過ぎるので、これは歓迎されるはず。

Facebookの仮想通貨を利用すれば、クレジットカードの取引手数料を回避できるので、従来からある電子商取引にとっても、安価な支払い方法を確保できることになる。さらに、気に入ったニュース記事に対して支払う少額取引や、コンテンツのクリエーターへのチップの支払いなどを促進する可能性もある。またFacebook自身にとっては、誰が何を購入しているか、あるいはどのブランドが人気なのか、といった情報が得られるので、広告の計測やランク付け、コアビジネスを増強するためのターゲティングにも有効だ。

Facebookの仮想通貨の仕組み

Facebookのブロックチェーンプロジェクトについて現在分かっているのは以下の通り。

名前:Facebookは、この仮想通貨の正式名として、Libraというコードネームをそのまま使う可能性がある。以前にBBCが主張したGlobalCoinという名前にはならないだろうと、The Informationはレポートしている。ロイター通信によれば、FacebookはスイスでLibra Networksという名前の金融サービス会社を登記したという。Libra(てんびん座)という名前はLIBORをもじったものかもしれない。それは、London Inter-bank Offered Rate(ロンドン銀行間出し手金利)の略で、銀行間での借入の基準金利として使われるもの。LIBORが銀行向けなら、Libraは一般市民向けというわけだ。

トークン:Facebookの仮想通貨は、ステーブルコインになるはず。一定の価値を維持するように設計されたトークンで、支払いまたは交渉の過程で価格が変動することによる話の食い違い、やっかいな問題の発生を防ぐ。Facebookは、仮想通貨の価値を安定させるための担保として、複数の国際不換通貨を含む10億ドル規模の通貨バスケットと、低リスクの債権を創出するための資金の拠出について、すでにいくつかの金融機関と交渉していると、The Informationは報じている。Facebookは、ステーブルコイン公開の事前承認を得るため、多くの国々との交渉も進めているという。

TechCrunch Disrupt 2016で講演するFacebookのブロックチェーンチームの責任者、David Marcus氏(左)。

使い方:Facebookの仮想通貨は、MessengerやWhatsAppといったFacebookの製品を介して、無料で転送可能となる。Facebookは、その通貨による支払いを受け付けるよう、業者と協力して作業を進めていてる。サインアップボーナスを提供する可能性もある。The Informationによれば、Facebookは、ATMのような物理的な装置も導入したいと考えている。ユーザーは、それを使って仮想通貨を通常の貨幣と交換することができる。

チーム:Facebookのブロックチェーンプロジェクトは、PayPalの元社長で、現在はFacebookのMessenger担当副社長David Marcus氏が率いている。そのチームには、Instagramの製品担当副社長だったKevin Weil氏や、Facebookの元財務部門の責任者、Sunita Parasuraman氏も参加している。The Informationによれば、このParasuraman氏が、仮想通貨の財務を監督するという。さらに、Facebook社内のさまざまな部門から抜擢された多くの優秀なエンジニアが参加しているということだ。このチームは、機密保持のため、他の従業員の立ち入りを禁止したFacebookの本社の専用エリアで仕事をしてきた。とはいえ、立ち上げにはあちこちとのパートナーシップが必要なこともあって、少なからぬ情報がリークされてきた。

ガバナンス:Facebookは、その仮想通貨を監督するための独立した財団法人を設立することを協議していると、The Informationは報じている。その仮想通貨を使った取引を認証可能なノードを運用する企業に対しては、1000万ドル(約10億8500万円)を拠出するようFacebookは求めている。その支払いと引き換えに、その通貨のガバナンスに対する発言権が得られる。そうしたノードの運用者は、財務的な利益が得られる可能性もある。このプロジェクトのガバナンスについて、一定レベルの分権化を実現することで、Facebookが世界の通貨に対して強大な力を獲得することによって規制の対象となるのを防ぐことができるかもしれない。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

大統領選後の暴動でインドネシア政府がインスタなどFacebook系SNSをブロック

ソーシャルメディアに厳しい態度を取る国にインドネシアが加わった。大統領選挙後に起きた暴動で死傷者が出たことを受けてインドネシア政府はInstagram、WghatsAppの利用を一部制限した。

米国時間5月22日、インドネシア居住の多数のユーザーがテキスト以外の町メディアのメッセージをWhatsAppで送ることが難しくなっていると報告している。WhatsAppは同国でもっともポピュラーなチャットアプリだ。またFacebookのメディアも規制のターゲットなっている。#instagramdownというハッシュタグがTwitterユーザーの間で急上昇しているところをみるとInstagramもへの投稿も困難となっているようだ。

政治、法律、セキュリティー調整担当大臣のWiranto氏は記者会見でインドネシア政府はソーシャルメディアへのアクセスを制限しており、「事態の平静化を確保するため(SNSの)一部の機能を無効にしている」ことを確認したとCoconutsが報じている。

Rudiantaraコミュニケーション大臣は、以前からFacebookのメディアに批判的だったが、「ビデオや写真をWhatsAppにアップロードしようとすると相当時間がかかるだろう」と警告している。

WhatsAppとInstagramの双方を所有しているFacebookはまだインドネシア政府によるブロックを公式に確認していない。ただし「インドネシア政府と話し合いを続けている」ことは認めた。TechchCrunchの取材に対し政府のスポークスマンは次のように回答した。

インドネシア政府はジャカルタで治安上の問題が発生していることを認識しており、対処中だ。われわれはあらゆる機関を動員して家族友人との会話その他重要な情報への公衆のアクセスとコミュニケーションの確保に務めている。

インドネシア在住の多数のWhatsAppユーザーがTechCrunchに述べたところによれば、写真、ビデオ、ボイスメールなどテキスト以外のメッセージを投稿することができなくなっている。ただしWi-Fi網またはVPN経由ならこの制限にかからない。

インドネシアでは5月21日に、大統領選挙の結果が発表さた後政治的緊張が高まっていた。現職のジョコ・ウィドド氏がプラボウォ・スビアント氏を破ったことについて、スビアント氏はこの選挙結果を不当とてし憲法裁判所に訴えると述べた。

昨日、ジャカルタ州の抗議行動が暴動に発展し、少なくとも6人の死者と200人以上の負傷者が出た。地元メディアによれば、この暴動にはソーシャルメディアを利用して拡散されたフェイクニュースが大きな役割を果たしたという。

5月22日のジャカルタ暴動で警官隊に投石するデモ参加者(写真:ADEK BERRY / AFP)

サービスが当局によって強制的に遮断される経験はFacebookにとってもはや珍しいものではなくなっている。同社のサービスは多くの地域でフェイクニュース拡散の有力チャンネルの1つとなりっており、4月にはスリランカでも利用制限を受けた。 このときはテロリストの攻撃を防ぐためにサービスは数日間完全に遮断された。今週インド政府は、総選挙に関連して、Facebookがフェイクニュースの拡散防止に充分な努力を払っていないとして懸念を表明した。WhatsAppはインド最大のチャットサービスで月間ユーザーは2億人だという。

Jakarta Post(ジャカルタポスト)の記事によれば、先週、ルディアンタラ情報通信大臣は議会の委員会で次のように証言している。

Facebookは「政府の指示を遵守している」と言う。しかし我々が削除を要請した無数の記事のうち、実際にFacebookが削除した記事はほんのわずかだ。Facebookは間違いなく最悪だ。

画像: ARUN SANKAR / Getty Images(画像に編集あり)

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

中国の報復関税で米ハイテク株が軒並み下落

米中の間で進行中の貿易戦争の新たな局面として、中国が米国に報復の総攻撃をかけたことにより、米ハイテク企業の株価は大打撃を受けた。

S&P 500指数は、金額にして約1.1兆ドル(約120兆円)ぶんも下げ、ダウ工業株平均とナスダック総合指数も、それぞれ2.38%と3.41%下落した。

米国時間5月13日の月曜日に、中国は、米国が中国からの輸入品に25%の関税をかけたことへの報復として、約600億ドル(約6兆6000億円)にもなる米国からの輸入品に25%の関税を課すことにした。

6月1日から、中国政府は5000以上の品目に25%の関税をかけることになる。また、それ以外の多くの輸入品についても、税率は20%に上がる見込みだ。以前は、10%または5%だったものからの引き上げとなる。最も高い税率がかけられる品目は、ドナルド・トランプ大統領の政治的な支持基盤に対して打撃となるよう、意図的に選ばれているようだ。つまり、米中西部の畜産物、果物、野菜が相当する。

しかし、この貿易戦争の矢面に立たされているのは、とりわけ米国内のハイテク産業だ。実際に、このニュースはハイテク企業の株価の急降下を招いた。それは元TechCrunchの共同編集長で、今はベンチャーキャピタリストのAlexia Bonatsos氏が「ハイテク企業のレッドウェディング」と呼んだ通りのものだ。

関税の引き上げは、アップルや、その他の米国内のハイテク企業の製品の製造コストを押し上げる。それは結局、そうしたハードウェアメーカーの米国内での製品価格を上昇させることになる。一方、完成品を中国に輸出する際の関税は、中国国内でそうした製品を買おうとする際の製品価格を、法外なまでに高価なものにする。

消費者向けの製品が高価になるということは、特に重要ではない製品に費やす金額が減ることを意味する。それは結局消費者の生活を質素なものにし、オンデマンド経済に対する支出を減らすことになる。それはまた、広告の削減を引き起こす可能性もある。企業は中核ではないと判断される領域への出費を削減し、切り詰めようとするからだ。

こうした状況は、ハイテク株の取引そのものを停滞させることにもなる。市場の低迷が長引くことが予想される中では、アルゴリズムうんぬんではなく、ただ持ち株を処分して利益を確保するという気運になりやすいからだ。

今回の貿易戦争は、すでにUberの新規株式公開に大きな損失を与えている。今日も同社の短期的な株式市場のパフォーマンスを食いちぎっている

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流血しているハイテク株はUberだけ、というわけではまったくない。Amazonの株価は3.56%下落し、Alphabetは2.66%、そしてAppleも5.81%下げた。さらにFacebookは3.61%下げ、Netflixに至っては4%以上も急落した。すべてこの1日でだ。

ハイテク企業の中には、持ち直すところも出てくるかもしれない。しかし、今回の中国との経済戦で傷ついた米国の農民に対して大統領が与えようとしているような救済策や助成金を、ハイテク企業が受け取ることになるとは考えにくい。議会が、行き詰まっているインフラを含むパッケージに関する交渉を再び軌道に乗せることができない限り、政府の援助によって今回の打撃を和らげられるという希望はほとんどない。2020年の米国大統領選挙が統治の問題に影を落とし始めているの見る限り、交渉の再開は、ますますありそうもないことのように思われる。

「私たちは、この状況は、数カ月ではないとしても、少なくとも数週間はエスカレートしていくのではないかと見ています。問題は、2つの国が再び交渉のテーブルに着いて同意に達することができるかどうかですが、その間にも市場はさらに打撃を受けることになるでしょう。本当の問題は、我々は5%、10%、あるいはもっと大きな市場の調整を必要としているのかどうかということです」と、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチのグローバル経済部門の責任者、Ethan Harris氏はCNBCに語った

画像クレジット:Hiroshi Watanabe

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(翻訳:Fumihiko Shibata)