家庭での血液検査が重視されるWithコロナの時代を前にThrivaが5億円を調達

Thrivaは2016年に、家庭でコレステロールのレベルといった血液の検査ができるスタートアップとして登場した。パンデミックの時代である現在、家庭における血液検査は、自分の健康は自分で予防医学的にコントロールしたいというトレンドとともに大きな話題になっている。

同社はこのほど、ベルリンのVC Target GlobalからシリーズAの拡張として400万ポンド(約5億2000万円)を調達した。これでThrivaの総調達額は1100万ポンド(約14億4000万円)になる。投資を行なったのはTarget Globalが新設したファンドであるEarly Stage Fund IIで、2019年の600万ポンド(約7億9000万円)のシリーズAを嵩上げする形になる。既存の投資家には、Guinness Asset ManagementやPembroke VCTがいる。

Thrivaは2016年から今日まで、11万5000件あまりの家庭内血液検査を処理した。興味深いのは、顧客がその情報を利用して自分の健康を改善しようとしていることで、Thrivaのユーザーの76%がその後の健康診断までに何らかの健康指標が改善された、と報告している。

同社は、個人の特徴に合ったヘルスプランや高品質なサプリメントも販売し、病院といったヘルスケアプロバイダーとのパートナーシップも広げている。

Hamish Grierson(ハミッシュ・グリアソン)氏とEliot Brooks(エリオット・ブルックス)氏そしてTom Livesey(トム・リヴシー)氏が創業したThrivaは、前年比で100%成長していると主張し、同社のロンドン本社はチームを50名に拡張した。

グリアソン氏は声明で「新型コロナウイルスの危機により、世界は前例のない課題に直面している。その中で我々みんなが、自分たちの健康と死の見方を変えることを強制されている」と述べている。

さらにTechCrunchの取材に対してグリアソン氏は、さらに次のようにも述べている。「検査を家庭で行う企業は他にもあるが、彼らが直接的な競合相手とは思っていない。Thrivaは検査企業ではない。弊社の家庭における血液検査は重要なデータポイントではあるが、それらは顧客との間に長期的な関係を築いていく端緒にすぎない。より良い健康をお客様の手に委ねるという我々のミッション実現のためには、ただ体の中で起きていることを知るだけでなく、長期的に効果を実験できるようなポジティブな変化をもたらすお手伝いが必要なのです」。

Target GlobalのパートナーであるRicardo Schäfer(リカルド・シェーファー)医師氏は「Thrivaのチームに初めて会ったとき、健康を自らの手に入れられるようにする彼らのミッションにたちまち魅了されました」といっている。

画像クレジット:WLADIMIR BULGAR / SCIENCE PHOTO LIBRARY / Getty Images

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Uberがドライバーと乗客のマスク着用を義務化へ

Uber(ウーバー)はドライバーと乗客にマスクの着用を義務付けようとしている。新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックに苦闘するライドシェアリングビジネス復旧に向けての取り組みだ。

CNNが最初に報じたニュースによると、米国を含む一部の地域でドライバーと乗客のマスク着用を義務付ける新たなポリシーを経営陣が承認した。TechCrunchは米国時間5月4日に、Uberが一部の市場向けにポリシーを制定したことを確認した。

しかしUberはまだ、ある大きな課題に直面している。それはドライバーを保護するために必要なマスクその他の用具を十分確保することだ。同社によると、主要メーカーは医療従事者をはじめとする救急作業者を優先しているため、複数の注文が遅延あるいはキャンセルされているという。

Uberがどうやってこのポリシーを強制するかもわかっていない。

「国の経済が再開するにあたり、Uberは安全を最優先し慎重に進めていく」とUberの広報担当者がメールによる声明で語った。「現在当社は、ドライバーに対して可能な限り家に留まるよう求める一方、不可欠な利用に従事するドライバーのために保護用品を配送している。同時に我々は復旧の次期フェーズに向けての準備も進めている。そこには我々全員が果たすべき役割がある。最終方針が決まり次第ユーザーに伝える予定だが、それまでも全乗客およびドライバーには、Uberを利用する際マスクやフェイスシールドを使うことを強く推奨する」。

Uberはユーザーに対しても家に留まるようアプリ内メッセージやテレビCMなどを通じて訴えている。アプリは今も利用可能であり、ユーザーは食料品の買い物や薬局など不可欠な外出に利用している。Uberは乗客とドライバーにマスクなどの顔面保護具の着用を強く勧めているが、まだ強制はしていない。

ドライバーの保護

新型コロナパンデミックがヨーロッパと北米を急速に襲うにつれ、Uberドライバーたちは自分たちが最前線にいることに気づき始めた。医療従事者など感染者と接触した可能性のある救急要員を乗せることも多い。

2020年4月にUberは、全世界のアクティブなドライバーと配達員にマスクを購入、配布すると発表した。しかし、新型コロナは世界中でマスクや消毒薬の供給を圧迫した。Uberやその他のライドシェアリングのドライバーが、マスク入手の問題を報告している

4月第1週、Uberは約50万枚のマスクを入手しドライバーへの配布を開始したと語った。当初同社は、ニューヨーク市、ロサンゼルスなど新型コロナ感染多発地域のアクティブなドライバーを対象とした。ロサンゼルスのEric Garcetti(エリック・エリック・ガーセッティ)市長は、企業が不可欠な任務につく労働者に個人防護具を提供することを義務付ける労働者保護命令に署名している。さらにUberは、ドライバーにマスク着用を義務付けているサンフランシスコ、ワシントンDCおよびニュージャージー州の各地域にも優先的に配布すると語った。

必要な用具をさらに入手でき次第、アクティブなドライバー全員に行き渡るようにするつもりだとUberはいう。同社の最終目標は、地域の規則に関わらず全国にマスクを提供することだ。

Uberは今週までに、米国内でマスク140万枚の発送あるいは発送準備を終えている。さらに同社は、4月初めから消毒薬をシカゴ、ロサンゼルス、ニューヨーク、シアトルおよびワシントンDCのドライバーに配布している。

画像クレジット:Thomas Trutschel / Contributor / Getty Images

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

スタートアップのグループが新型コロナと戦う医療従事者にフラットパックの防護ボックスを提供

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対処する医療機関を支援できないかと、スタートアップ企業や起業家たちがいろいろな取り組みをしている。その中に、個人用防護具の需要に応えるCOVIDボックスプロジェクトがある。トロントのボランティアが立ち上げた活動で、スタートアップの創設者やその従業員、さらに医師や医療の専門家も参加している。

このグループが作っている新型コロナウイルス感染症患者の挿管に使う箱は、ポリカーボネート製で、輸送しやすいようにフラットパックになる(平らに折り畳める)。受け取った先で即座に組み立てができ、医療機関などの医師が患者に挿管するときに使用できる。挿管とは、患者の気管にプラスティック製の管を挿入して気道を確保することをいう。特人工呼吸器を使わなければならない人には欠かせない処置だ。新型コロナウイルス感染症が重症化すると、通常は人工呼吸器による治療が必要となる。

挿管ボックスは、医療従事者を守るもう1つの防護層になる。透明プラスティックが使われているので、処置に支障はない。デザインは世界中の新型コロナウイルス感染症患者の挿管をできる限り医療従事者の安全を守りながら行うというグローバルな課題に対処するために、台湾の賴賢勇(ライ・シェンヤン)医師が考案しオープンソース化したものをベースにしている。

COVIDボックスプロジェクトでは、必要な材料がある場合に自作できる手順も公開しているが、もっと大量に配布できるように彼らは大量生産の道を探っている。まずはカナダの病院から開始して、全世界の医療機関の需要にも応じていく予定だ。Taplytics(タプリティクス)の共同創設者でCTOでもあるプロジェクトの共同創始者のJonathan Norris(ジョナサン・ノリス)氏は、チームは1週間かけてプロトタイプの作ったと話している。

「先週の初めに、Taplyticsの財務責任者Gloria Cheung(グロリア・チャン)が私たちのところへやって来て、新型コロナウイルス感染症の患者に挿管するときに医療従事者を守るための簡単なプラスティックの箱を医師たちが欲しがっていると教えてくれました」と彼はメッセージで話してくれた。「私たちは医師グループと、Taplyticsのエンジニアたち、そしてFIRSTロボティクスプログラムで指導をしてくれた私の知人たちとを引き合わせ、その目的に適ったフラットパックにできる箱のデザインを行い、いくつものプロトタイプを作ることができました。私たちはEventscape(イベントスケープ)と協力して、急いでプロトタイプを作り、最終バージョンを仕上げ、昨日、トリリアム・ヘルス・ネットワークでの使用許可をもらったところです」

グループでは、大量生産のための寄付製造を手伝ってくれる仲間を募っている。特にCNCルーターを持っているところが望ましい。むしろ、基本的にCNCルーターさえあれば作ることができるものだ。また、1/4インチ(6ミリ)厚ポリカーボネート板の提供者も探している。

新型コロナウイルス 関連アップデート

[原文へ]

(翻訳:金井哲夫)

医療系ビッグデータ分析のOM1が約55億円を調達

ヘルスケア業界にビッグデータ分析を提供するOM1が新たに5000万ドル(約55億円)を調達した。営業、マーケティングと製品開発を強化し、その臨床的知見をより多くの病院や大手製薬企業に提供しようとしている。

同社のようなデータ分析スタートアップに資金が集まるのは、データへのアクセスがヘルスケアの効率向上と費用の低減に大きく貢献すると広く認識されているため。データを活用すれば、製薬会社は食品医薬局に新薬の有用性を説明しやすくなるし、病院や医師は、どの治療方法が最良の結果につながるかをデータの活用で探ることができる。

OM1のCEOで創業者のドクターであるRichard Gliklich(リチャード・グリクリッヒ)氏は、「臨床データは、ヘルスケアにおいて最も重要なものだ。OM1は今回獲得した資金で、さまざまな臨床結果やエビデンスをより速く提供できるようになり、顧客はより有効的にそれらのデータを利用できる」と語る。

OM1に対する最新の投資には、Scale Venture Partnersがリードし、General Catalyst(GC)やPolaris Partners、7wire Venturesといった既存の投資家も参加した。この投資にともなって、Scale Venture Partnersのマネージングディレクター、Rory O’Driscoll(ロリー・オドリスコール)氏は、同社の取締役会に席を得た。

オドリスコール氏は、声明で「AIとデータが多くの産業における変化を推進している。OM1は、AIとデータをヘルスケアにおける変化に結びつける最先端にいる。医療と介護をより良いものにしていく過程に弊社が加われたことに、感激している」と述べている。

同社は特に、免疫、リウマチ、循環代謝系、筋骨格系、特定の中枢神経系、および行動保健技術といった分野の治療法にフォーカスしている。

同社は、グリクリッヒ氏がGeneral Catalystの常勤役員だった2015年に創業した。グリクリッヒ氏は、医薬や医療技術の結果を定量化して評価しそれらの標準化を図る国レベルの取り組みにも主席調査官として参加しているが、OM1はそれらのサポートも行っている。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

看護師を雑用から解放するAmazon AlexaとGoogleアシスタント

ロサンゼルスの総合病院であるCedars-Sinai(シダーズ・サイナイ)は今、100の病室にAmazon Echoを置くパイロット事業を行っている。そのスートスピーカーたちはヘルスケア用の音声アシスタントプラットホームAivaを使って、患者と看護者のコミュニケーションを助ける。たとえば、テレビのチャンネルを変えるなどの単純な用事を患者がAlexaに頼めるなら、看護師は医療的看護に割く時間が増える。

AmazonのAlexa FundとGoogle Assistant Investment Programの支援によりAivaは、ヘルスケアスタートアップのための同病院のアクセラレーター事業にも参加している。Aivaのプラットホームは、Google Homeでも使える。

患者がAlexaに何かを頼むと、Aivaはそれをその用事の担当者のスマートフォンへ送る。たとえば患者が薬を頼んだら、そのリクエストは担当の正看護師へ行く。応答がとても遅いときは、Aivaはそのリクエストを「コマンドチェーンの上の方」(上司など)へ送る。

音声アシスタントは現在、いくつかの医療機関で試されている。例えば、Boston ChildrenのICUでは看護師たちが、今の時間帯の担当看護師は誰か、ベッドはいくつ空いているかなどの管理情報を尋ねている。また移植用臓器が使用を認められるためのチェックリストを音声化して間違いを減らす、というパイロット事業も行っている。さらにAlexaのスキルKidsMDは、家にいる親が使って、子どもを医者に連れて行くべきかを判断する。

スマートスピーカーの市場ではAmazonが依然としてトップであり、病院でもAlexaが最も多く使われている、とHealthcare IT Newsは伝えている。その記事によると、現在Alexaデバイスを使っている病院は、ボストンではBeth Israel Deaconess Medical CenterとCommonwealth Care Alliance、ニューヨークのNorthwell Health、そしてロサンゼルスではCedars-SinaiのほかにLibertana Home Healthだ。

画像クレジット: Cedars-Sinai

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AmazonのComprehend Medicalサービスは機械学習を利用して患者の記録から有意な医療データを取り出す

【抄訳】
Amazonが、機械学習を利用して患者の記録から重要なデータを取り出し、病院などのヘルスケアプロバイダーや研究者たちの費用節約や治療方針の決定、臨床試験(治験)の管理などを助ける新しいサービスを立ち上げた。AmazonがAmazon Comprehend Medicalとよぶこのサービスの発表は、火曜日(米国時間11/27)に、The Wall Street Journalがそれを報じた直後に行われた。

このクラウドソフトウェアはテキスト分析と機械学習を組み合わせて、処方や注記、面談の音声、検査の結果、などから成る患者の記録を読む。これらの記録がデジタイズされてComprehend Medicalにアップロードされると、診断や処置、薬の処方、そして症状などに関する情報が拾い上げられてまとめられる。

〔参考記事: Amazon Comprehendとは…「Amazon Comprehendでは機械学習の技術とは無縁なデベロッパーでも専門用語で自然言語処理モデルを訓練できる」〕

Amazonの最近のヘルスケアへの進出としては、オンラインの処方箋サービスPillPackを10億ドル近くで買収したことや、Amazonの社員のヘルスケアを改善するための、Berkshire HathawayとJP Morgan Chaseとのジョイントベンチャーが挙げられる。これらにより同社は、最近ますますヘルスケアにフォーカスしているそのほかの大手テクノロジー企業の仲間入りをしている。

たとえば今年初めにAppleは、iPhoneのユーザーが自分の病院の医療記録を見られるための機能をiPhone上に導入した。またGoogleは最近、大手医療法人Geisingerの前CEODavid Feinbergを雇用して、検索やGoogle Brain, Google Fit, Nestなど多岐にわたるGoogleの各事業部門が抱えるヘルスケア企画の、一元化と全体的な指揮を彼に委ねた。

今日の発表声明の中でAmazonはこう言っている: “これまでは、この情報を見つけるために長時間の手作業を要し、しかもそのために、高度な技能を持つ医療エキスパートによるデータ入力や、情報を自動的に取り出すためにデベロッパーのチームがカスタムのコードとルールを書く必要があった”。そして同社の主張によるとComprehend Medicalは、患者の記録の中に“医療の状態、解剖学的専門用語、医療検査の詳細、治療内容、処置”、などを正確に見つける。一方、患者は、このサービスを利用して自分の治療のさまざまな側面を管理し、通院のスケジュールや薬の処方、保険の適用の判断などを明確に把握できる。

【後略】
●データは暗号化され、どこにも保存・利用されないのでプライバシーの問題はない。
●すでにいくつかの大手製薬企業や医学研究所がComprehend Medicalを試験的に導入し、とくに治験の適正な実施に必要な膨大な量のデータ作業の省力化や迅速化などに貢献している。“これまで数時間を要したデータ作業が数秒で終わる”そうである。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

メアリー・ミーカー、医療分野でのシリコンバレーの役割に言及

今日(米国時間5/31)、メアリー・ミーカー(Mary Meeker)のインターネット・トレンド・レポート最新版が公開され、そこには私たちの将来をテクノロジーががどう形作るかについての考察が満載だ ―― そして、今年は医療問題も取り上げられている。ミーカーが同レポートで医療に言及したのはこれが初めてであり、これは今後の私たちの生活を改善していく上で、テクノロジーが果たす役割の大きさを示すものだ。

レポートから重要な指摘をいくつか拾ってみた。

  • ウェアブルデバイスの勢いは増すばかりで、米国人の25%が所有している(2016年の12%から上昇)。一番多いのが移動速度を追跡するデバイスで、心拍数の測定がそれに続いている。
  • 多くの人々が健康アプリをダウンロードして、健康データを共有する意志を持っている。
  • ミーカーのレポートによると、2016年には60%の人たちが健康データをGoogleと共有してもよいと考えている。
  • 消費者は商用検体検査サービスをかつてないほど利用している。
  • そのほかの良い知らせ。病院や診療所で、患者が自分のデジタルデータをアクセスできるようになった。
  • 医療に役立つデータ量は3.5年ごとに倍増している(1950年には50年で2倍だった)
  • 利用可能な健康データが増加したことで臨床試験が加速され、科学者との共同研究も促進されることが期待される。

考察の多くは驚くものではない。ウェアラブルは遍在し、デジタル化によって従来のシステムを破壊するビジネスが生まれており、そのためにベンチャーキャピタルは健康スタートアップに多額の資金をつぎ込んできた。Rock Healthによると、2016年のこの分野への投資総額は 42億ドルに上り、ベンチャーキャピタルはバイオ分野の専門家を「大慌てで」雇っているらしい。

もちろん難点もある。医療は非常に規制の強い分野であり、アプリのようにとりあえず出して後から修正するというわけにはいかない。Theranosが悲しくも学んだように、製品は初めから正しくなければならない。しかし今年ミーカーが医療分野を掘り下げたことの意義は実に大きい。将来の健康で安心な暮らしを作るうえでシリコンバレーが持つ力をしめすものだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

呼気チェックヘルスケアのBreathometer、Phillipsとの提携を発表

girl-wide-shot-2_wide

アメリカ国内で、800万の人々が口の臭いに問題を抱えているのだそうだ。無自覚な人もいるにはいるが、周りの人はほとんどが迷惑に感じている。

昨年のCESではBreathometerが、口臭のレベルを測定し、オーラルケアに役立てるためのMintというスマートフォンにつないで使うデバイスを予告していた。この話に進展があり、PhillipsがBreathometerと提携し、SonicareとバンドルしてMintの提供を行う旨が、今年のIFAにて発表された。

28956539872_c799daf2ba_o-800x748

Sonicare Breath care bundle

この提携によりBreathometerは、オーラルケアに対する意識がたかいであろうSonicareのユーザー層に対して、自社プロダクトを提供できるようになるわけだ。

MintはまずIndiegogoキャンペーンに登場して資金を集めた。ファウンダーのCharles Michael YimはそしてABCのShark Tankという番組にも出演して知名度を高めることとなった。当時はアルコールの検知に利用するものとされ、自分の車ではなくUberで帰ることにしようなどという判断にも役立つという紹介がされていた。

それからBreathometerは、ヘルスケア面にこそより大きな可能性があることを意識するようになった。アルコール検知というニッチな市場から、より広いオーラルケアの市場に向けてピボットすることになったわけだ。

血液や尿検査などによった方が、より統括的な検査が行えるのだろうが、それらはいずれも手間暇がかかるものだ。呼気をチェックするだけでも肺の健康状態やぜんそくの症状、代謝率、あるいは糖尿病の可能性などを調べることができるのだ。スマートフォンにつないで使うデバイスとして開発したおかげで、一般消費者が使いやすいプロダクトになったと言えるだろう。

「ヘルスケアプロダクトには、あやしげな効能をうたうものもあります。しかし呼気を分析してヘルスケアに役立てるという手法は、完全に科学的なものなのです。市場はほぼ手付かずの状態で広がっているといって良いでしょう」とYimは言う。「関連プロダクトがないわけではありませんでしたが、一般消費者向けのものはほとんど皆無なのです。Breathometerの提供するプロダクトこそ、パイオニアとなり広がっていくことでしょう」。

Phillipsと提携することで、Breathometerのビジネス機会が広がっていくことも考えられる。Yimも他プロダクトの開発を行うことにも前向きな考えを示している。

ちなみにMint単体で購入したいという方には、こちらでプレオーダーすることができる。価格は100ドルほどだ。出荷開始は9月30日が予定されている。

原文へ

(翻訳:Maeda, H

ヘルスケアスタートアップのFiNCがFitbitと提携、ライフログデータの自動転送が可能に

左からFitbit副社長兼アジア・パシフィック責任者Steve Morley氏、Table for two事業開発マネージャー 張一華氏、FiNC代表取締役社長 溝口勇児氏

左からFitbit副社長兼アジア・パシフィック責任者Steve Morley氏、TABLE FOR TWO事業開発マネージャー 張一華氏、FiNC代表取締役社長 溝口勇児氏

法人向けウェルネス経営ソリューションなどを手掛けるFiNCは7月26日、フィットネス用ウェアラブルデバイス大手のFitbitとの提携を発表した。これまで手動で入力していた活動量や睡眠時間などのデータの自動入力を可能とし、FiNCサービスにおけるユーザーの継続意欲の向上を狙う。

FiNCはこれまで、法人向けウェルネスサービス「FiNCプラス」や、企業の人事・労務向け健康データ分析マネジメントツール「FiNCインサイト」を通じ、従業員の心身の健康データを収集し分析。従業員の健康リスクの見える化や、個々人に最適な生活習慣改善に役立てる”ウェルネス経営ソリューション”を提供してきた。

FiNCが掲げる“ウェルネス経営”は“健康経営”に似た意味合いだが、FiNC代表取締役社長の溝口氏は「健康経営は身体だけに焦点を当てているイメージが強い」として、「心」にもフォーカスする意味を込めて、ウェルネス経営という言葉を2012年の創業時から使い続けていると語る。

心身の不調による従業員の離職・休職者の増加や生産性の低下。そして健保組合の財政悪化は企業にとってコスト要因になっているといい、FiNCはデータとソリューションによってこれらの問題の解決するとしている。人工知能(FiNC AI)を活用することで、トレーナーや栄養士を雇うよりも低コストなソリューションを実現したという。

ウェアラブル連携でユーザーの継続率向上狙う

今回の提携により、Fitbitのウェアラブルデバイスで測定した睡眠・心拍・歩数などのライフログデータを、FiNCサービスに自動転送できるようになる。手動でライフログを入力する手間を省くことで、FiNCサービスのユーザー継続率向上が狙えるというわけだ。

連携可能デバイスはFitbit Blaze、Fitbit Charge HRの2機種

連携可能デバイスはFitbit Blaze、Fitbit Charge HRの2機種

連携可能なデバイスはFitbit Blaze、Fitbit Charge HRの2機種。対応サービスはFiNCプラス、FiNCダイエット家庭教師、FiNCウェルネス家庭教師、ボディデザインプログラムの4つ。連携に追加費用は発生しないが、別途Fitbitのデバイス代が必要になる。

なおフィットネス用ウェアラブルデバイスを開発しているメーカーは、FitbitのほかにもWithingsやMisfitなど複数ある。提携先にFitbitを選んだ理由についてFiNC ライフサイエンス事業部 グローバル対応業務担当のLucas Hannell氏は「世界で一番売れているのがFitbit、信頼性があり、かつ一番リーチがあると判断した」と説明。また今後については、「我々はデータの会社なので、Fitbit以外のメーカーを連携対象に加えることもありえる」とした。

またFiNCはFitbitのほか、開発途上国支援を行う特定非営利法人のTABLE FOR TWOとも提携。FiNCプラス導入企業の従業員の減量分を450g=20円として換算し、相当する金額を開発途上国の給食支援プログラムに寄付する取り組みを発表した。

米大統領選、最大のテーマはヘルスケア制度―主要候補の提案を検討する

2016-03-02-uselection

Hixme共同ファウンダー

子供が生まれることになり、私はこの数週間、病院で長い時間を過ごした。妻が重労働にあえぐ間、長時間待合室で座っている私は病院のスタッフを観察する時間があった。

そこで気づいたのはスタッフ駐車場にポルシェをはじめとするスマートなスポーツカーがいかに数多く駐められているかだった。この人々はおそらく6桁(10万ドル以上)のサラリーを受け取っているに違いない。専門家の調査によると、内科医の平均年収は30万ドルだという。

患者、来客の駐車場に目を移すと、ホンダ・シビックやら、フォード・フュージョンやら、その他ありとあらゆる安い車が目につき、医師を始めとするヘルスケア・スタッフと一般アメリカ人との間の所得ギャップがさらに拡大していることに気づかざるを得なかった。

オバマ大統領によりオバマケアと呼ばれる国民皆保険が導入された際に、民間保険会社はそろって「この世の終わりだ」と騒ぎたてたが、実際には保険会社の株価も売上も順調にアップを続けた。これがわが国の大手保険会社の収益増大の実態だ。

保険会社の好調を支える原資はいったいどこから来ているのか? 保険加入者の支払う保険料だ。それは最大25%もアップした。消費者の負担は急増している。有力HMO(病院と健康保険を総合的に提供する健康維持組織)の)カイザー・パーマネンテの調査部門によれば、 2010年以來、保険料の急増とペースを合わせて平均的労働者の控除可能医療費は約3倍になっている。これはインフレ率、給与所得のアップ率の7倍にもなる。

【中略】

healthcare shutterstock

以下は現在大統領選予備選に参加している有力候補のヘルスケアに関する提案を私なりに要約、評価したものだ。

17028472220_170764320d_k

  • ドナルド・トランプ:驚くべき事実かもしれないが、選挙戦を戦っている候補者の中で、民主党と共和党が妥協可能なもっとも現時的なヘルスケア・プランを提案しているのはトランプだ。トランプはACA〔オバマケア〕を廃止しようとはしておらず、不合理な罰則や税制を取り除こうとしている。トランプの主張は煎じ詰めれば、「誰もが費用を負担できるような万人向けのヘルスケアが必要だ」ということになる。ただしトランプのプランには「全員のためのメディケア」が含まれていない。

  • テッド・クルス:ヘルスケアの観点からするとクルスの主張は驚くべきものだ。クルスはオバマケアを廃止することは可能であり、そうしなければならないと信じている。しかしわれわれはその結果がアメリカの経済と市民生活に及ぼす影響を考えてみなければならない。何万という人々が突如ガンの治療に保険が適用されないと通告され、とても支払えないような巨額の医療費を請求されることになる。たとえ共和党が議会の多数派であってもこのような提案が実施される可能性はゼロに近いだろう。

  • マルコ・ルビオ:長年にわたってオバマケア反対の急先鋒だったことを考えればルビオがオバマケアの廃止を主張しているのは驚くにあたらないだろう。その立場は、ヘルスケアから一切の政府補助を取り除き、その代わりに所得税の還付金を交付すべきだというものだ。また現在連邦政府の権限が強いことを改め州の自主性を強化せよと主張している。保険加入者が現在の適用を維持しながら、オバマケアを廃止するという点で、これが共和党でもっとも抜本的な提案とみられる。

  • バーニー・サンダース:「話がうますぎる」と評される野心的な改革プランが提案されている。カイザーの調査によればオバマケアの国民の支持率は高い 。これに対してサンダースはACA(オバマケア)を政府が直営するメディケアで置き換えることを提案して集票を狙っている。この国民皆保険制度はサンダースの自他ともに認める民主社会主義者としての諸政策の一環だ。もしこの提案が実現すれば最大の被害者となる保険会社、製薬会社からの潤沢な資金提供を受ける反対派の絶好の攻撃目標となりそうだ。また政府が国民のヘルスケアに関与することを快く思わない共和党主流派やリバタリアンも反対するだろう。

  • ヒラリー・クリントン:一言でいえば「現状維持」に尽きる。一時はヘルスケア改革の旗手だったクリントンだが、ゼロからその再演をすることには興味を失っているようだ。ただしACA制定の原動力の一人だったクリントンがその廃止を主張する可能性はない。クリントンが当選した場合、ACAは現状のままと考えられる。

ヘルスケア改革の次世代はインフォームド・コンシューマーか?

Affordable Care Act〔オバマケア〕に対する個人的な感情がどうあれ、この制度がアメリカ史上で初めて医療を万人のものとしたことは認めざるを得ないだろう。出生前の状況や過去の雇用歴がどうあれ、誰もが自分と家族を健康保険に加入させることができるようになった。アメリカ人を全体として見た場合、この新しい医療へのアクエスを否定することはないだろう

【中略】

大統領選の結果がどうであっても、ヘルスケアはアメリカの最重要課題の一つだ。ここで重要なのは費用を負担する一般消費者が医療システムに関する正しい知識を持つこと、あるいは医療システムに関して賢い消費者となるよう正しい教育をすることが維持可能なヘルスケア制度を確立するうえで以前にも増して重要になっていると思われる。

画像: Nemanja Cosovic/Shutterstock (IMAGE HAS BEEN MODIFIED)

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

IBM、ヘルス・アナリティクスのTruvenを26億ドルで買収へ―Watson Healthを大幅強化

2016-02-19-watsonhealth

今日(米国時間2/18)、IBMは、Truven Health Analyticsを買収する意向を発表した。価格は26億ドルという驚くべき額だ。これはWatson Health事業部が2014年に創立されて以來、4回目の大型買収となる。

Watson Healthは2014年4月にIBMがPhytelとExplorysを買収したのを機に創立された。両社ともデータ処理をメインとするヘルス関連企業だった。

Watson Healthはその後、2015年8月に10億ドルでMerge Healthcareを買収した。これによりWatson Healthは膨大な医療画像データを所有することとなった。

今日の買収で、IBMはTruvenの大規模なクラウド・ベースのデータ・リポジトリにアクセスが可能となる。Truvenは社員2500人で8500のクライアントを持ち、その中にはアメリカの連邦政府や州の機関、またその従業員組合、健康保険会社、生命保険会社が含まれる。

Truvenの買収により、IBMは保険請求、治療内容、治療結果、医療費詳細、その他何百種類もの情報という宝の山を入手する。Watson Healthのバイス・プレジデント、Anil Jain(元Explorys)は「これは単にデータのための買収ではない」と強調した。

JainはTechCrunchのインタビューに対して「われわれは〔この買収で〕膨大なデータとそれを収集したリソースのすべてを入手する。〔しかし本当に価値があるのは〕豊富なデータに基づく洞察、深い知識に基づく洞察だ」と述べた。

Jainはまた大量のデータを意味あるものにするのは人間のエキスパートだとつけくわえた。そしてTruvenの買収によってWatson Healthに加わることになった2500人の社員には多数のデータ・サイエンティストや研究者などの専門家が含まれると述べた。

有力企業を次々に買収することと、それら企業の持つデータやノウハウを有機的に組み合わせて新たな事業部にすることはまったく別の作業だ。 Jainはこれが困難な課題であることを認めたが、同時にIBMは買収企業の統合には豊富な経験を持っていることを強調した。

「Watson Healthプラットフォームにはクラウドがあり、コアとなるテクノロジーがある。それらはクライアントの課題の解決のために役立てられる。ソリューションはわれわれが開発するものもあるが、われわれのパートナーが作るものある」とJainは述べた。

IBMのパートナーにはApple、Medtronic、Johnson & Johnson、Teva Pharmaceuticals、Novo Nordisk、CVS Healthなどが含まれる。

ヘルスケア・テクノロジーでいつもプライバシーが問題になる。たしかにIBMは膨大なヘルス関連情報にアクセスが可能だ。Jainは「この点についてしばしば質問される」と認めた。しかし「IBMは患者情報の秘密保護に関してHIPAAは(医療保険の相互運用性と責任に関する法律)の規定を順守している。またIBMのシステムは重大な疾病の診断に関して患者を特定できるような具体的な知識を持たない仕組みとなっている。われわれの目的はあくまでクライアンの業務を適切な情報提供によって効率化することだ。その情報が具体的にどのような個人に結びつけられるかについてはIBMは一切情報を持たない」と述べた。

これはつまり、ある患者に特定の症状が合った場合、Watson Healthは他の患者のデータを分析し、似たような症状を選び出し、症状のパターンを教える。ただしデータの背後にある個人については身元特定可能な情報を持たない仕組みになっているということだ。医師の指示に応えてWatsonはそうした症状に対するさまざまな治療法とそれぞれの成果を専門誌の論文から収集する。 こうした情報は医師の診断や治療法の選択に大きな助けとなる。

現在、Watson Healthを構成する各社はIBMによる買収以前と同じく、各地に散らばるそれぞれの本社で運営されている。これは当分そのままとなるはずだが、IBMはWatson Healthの新しい本社を,マサチューセッツ州ケンブリッジに 建設中で、運用開始は今年後半になる予定だ。

Featured Image: Matej Kastelic/Shutterstock

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

ランニングシューズメーカーASICSがフィットネスアプリRunkeeperを買収

runkeeperRunkeeperはワークアウトギアカンパニーに買収される最新のフィットネススタートアップとなることになる。このスタートアップの創業者でCEOのJason Jacobsは今日(米国時間2月12日)、ASICSと買収に関する最終的な契約の段階に入ったと発表した。

日本に本社を置くASICSはランニングシューズやランニングウェアのメーカーとして良く知られているが、ランナーのためのトレーニングアプリも持っている。Jacobsは発表の中で、この2社はデジタルトラッキング機能を備えた製品の開発を行う予定だと言った(また、Runkeeperのシューズトラッカー機能によると、アプリのユーザーの中でASICSのシューズが最も人気だとも付け加えた)。

「これら2つの(デジタルフィットネスプラットフォームと世界クラスの製品)を一緒に合わせることで、カスタマーと深い信頼関係を持ち、カスタマーそれぞれにパーソナライズされた方法で対応できる全く新しいフィットネスブランドを構築することが出来る。」と彼は言った。「この展望を一緒に実現出来るASICSとパートナーになることは、非常に理にかなっている。私達は共に、フィットネス体験の中核を担うランニングに深い根を張りフォーカスしている。」

Runkeeperのアプリは独立したプロダクトとして存在し続ける予定で、Jacobsは「エンドユーザーの立場から見たらあまり変わらない」と約束した。

2008年にリリースされたRunkeeperの買収は、ワークアウトギアの大企業がフィットネステクノロジースタートアップに飛びつく他の似た案件に続く形となっている。を追いかけている。8月にはAdidasがオーストラリアのフィットネスアプリメーカーRuntasticを買収した。2015年の初頭にはワークアウトアパレル企業のUnder Armourがフィットネスと健康のトラッカーEndomondoとMyFitnessPalを買収した。

これらの買収は、ASICS、AdidasそしてUnder Armourに、自社のアプリやNike Fuelbandのようなフィットネストラッカー製品シリーズが成功しているNikeと競う方法を与え、そして今後成長するウェアラブル市場への進出にも役立つだろう。

[原文へ]

(翻訳:Kana Shiina)

FiNCがANAほか東証一部上場企業などから第三者割当増資を実施、今後は事業提携も

screenshot_464

スマートフォンを活用したダイエット指導サービスなどを手がけるFiNCは12月7日、ANAホールディングス、全日空商事、クレディセゾン、第一生命保険、三菱地所、吉野家ホールディングス、ロート製薬、キユーピー、 ゴルフダイジェスト・オンライン、ネオキャリア、Fenox Venture Capital、グッドパッチおよび、既存株主から第三者割当増資を実施したことを明らかにした。調達額や出資比率は非公開。

FiNCでは今回の資金調達をもとに、人工知能による新サービスおよびプロダクト開発を行うとしている。今後はプロダクト開発に向けての人材を採用するほか、ウェルネスプラットフォームを強化するためM&Aや事業出資、マーケティングやプロモーションなどを進める。

ソフトバンクが10月に開催した新製品発表会の中で、IBMの人工知能「IBM Watson」を活用したヘルスケアサービス「パーソナルカラダサポート」(2016年3月以降提供予定)をFiNCとソフトバンクの共同開発で提供することが発表されていた。今後はこの製品や新プロダクトの開発を進めるということだろう。

またFiNCは10月にソフトバンクやANA、ネスレ日本、みずほ証券など発起人20社による「ウェルネス経営協議会」を設立すると発表している。今回の出資企業の一部はその発起人企業でもある。

医療機器からペットの健康まで―イスラエルのヘルス・テクノロジーに世界の多国籍企業の関心が集中

2015-10-27-israeli-health

イスラエルの数多くの小さなヘルス関連スタートアップが集める世界の大企業の関心は恐ろしいほどだ。スイスやアメリカ生まれの多国籍製薬会社や医療企業はイスラエルのハイテク・ブームから利益を得ようと試みている。イスラエルのヘルス・テクノロジー自体、世界的な医療テクノロジーのイノベーションの需要に牽引されている。その結果、イスラエルは投資家の注意を強く引き付けるようになっている。

Israel Advanced Technology Industries〔イスラエルの高度テクノロジー産業〕の2015年の報告によれば、同国のライフ・サイエンス企業は2014年に14億ドル以上の資金をNASDAQで集めている。

つまり、2014年に行われたバイオテク関連の上場73件のうち、約1割、7件はイスラエル企業だった。さらにこの報告に引用されているVenture Capital(IVC) Research Centerによれば、 8億100万ドルの資金がイスラエルの167社のライフ・サイエンス関連企業に投資された。これは前年に比べて55%の増加だ。

多国籍企業の一部はイスラエルでスタートアップの買収に力を入れているが、同時にAbbott Labs、Philips、 Carestream Johnson & Johnson他の有力企業は現地にR&Dセンターを開設している。

特にこの数ヶ月、わが国のヘルス関連スタートアップへの関心が高まる傾向が見てとれる。

この10月だけでも、この記事のタイトルを裏付けるような動きがあった。たとえば、今月初旬Boston Scientific Corporation (NYSE: BSX) はある種の心臓弁膜症に対して人工心臓弁を提供するイスラエルのスタートアップ、MValve Technologies Ltd.に対する追加投資を完了したことを発表した。.

もう一つ大きな動きとしては、スイスの巨大製薬会社、Novartis (NOVN: VTX)が、イスラエルの幹細胞治療研究企業、Gamida Cellに最大1500万ドルの投資をすると発表したことが挙げられる。2014年にNovartisはGamida Cellに3500万ドルを投じて15%の株式を取得している。Novartisの投資は最大で6億ドルに達する可能性がある。

Cukierman & Co. Life Sciencesの社長、Dr. Laurent Choppeは次のように証言する。

こうした〔投資などの〕動きは、イスラエルの現地で起きているイノベーションのトレンドをはっきりと証明するものだ。現在、わが国のスタートアップに対して外国企業は最初期から投資を行っている。過去には外国からの投資はもっと後の段階で行われるのが普通だった。たとえば、Novartisの2回目の投資がこのことをよく示している。イスラエルのバイオテクはすでに世界的なブランドとなったといえるだろう。さらに、イスラエルの国家最高技術責任者(Israel’s Chief Scientist)もスタートアップの発展に多大な貢献をしてきた。 今やわれわれは過去の努力の成果を刈り取る時期に至っている。

イスラエルのテクノロジーR&Dのレベルの高さは世界の注目を集めている

去る9月には、 Johns Hopkins大学テクノロジー・ベンチャーズがイスラエルのヘルスITのインキュベーター、 Luminoxとの間で段階的契約に調印した。また同月、アメリカの医療機器メーカー、 ZOLL Medical Corpはうっ血性心臓障害を早期に発見するテクノロジーを開発しているイスラエルのスタートアップ Kyma Medical Technologies Ltdを買収した。9月初旬にはワシントンDCに本拠を置くアメリカのべんチャーキャピタル、 eHealthVenturesが脳障害を治療するテクノロジーを研究しているテルアビブのスタートアップ、 Intenduに投資したと発表した。

Choppe博士によれば、さまざまな多国籍企業がイスラエルに大きな組織を置き、有望なスタートアップに目を配って必要なら即座に投資ができる態勢を整えているという。

大企業傘下のベンチャーキャピタルがイスラエルを訪問する頻度が増えている。この点は過去からはっきり変わった点だ。こうした大企業本体はイスラエルでずっと前から商業的に運営されているが、最近はイスラエルにおける初期のスタートアップのモニタに力が入れられている。

イスラエルのライフ・サイエンス系産業は多様だが、中でも医療機器の分野は抜きん出ている。 Israel Advanced Technology
Industriesの調査によると、全ライフ・サイエンス産業の53%、725社が医療デバイスを扱っており、バイオテク・製薬が2位を占め、23%、317社、ヘルスケアITが20%などとなっている。

こうした大きな分野の確立にともない、消費者とこのようなテクノロジーを結びつける下位分野の起業も活発になっている。.

9月にテルアビブに本拠を置く Archimedicxがオンライン医療検索エンジンを世界に公開した。この検索エンジンを利用すると、特定の疾病、症状をもつ患者はそれに対応した専門医療施設を容易に発見できるという。この検索エンジンは現在世界の主要な300病院を症状や疾患の種類に応じてランクづけしている。「われわれのアルゴリズムは世界の主要病院を特定の疾患は必要とされる特殊な処置ごとにランキングできる。対象となる病院がわれわれと提携していなくてもランキングは可能だ」とArchimedicxのCMO〔最高医療責任者〕のGuy
Klajmanは言う。

2015年初頭に起業したテルアビブのスタートアップ、 Somatixは、人間の手の動きをモニタし、喫煙のような独特の動作を検出して健康に有害な行動を防止するのに役立つフィルタリング・アルゴリズムを開発した。

イスラエルのスタートアップはこうした人間の医療に関して努力を払っているだけでなく、一部はペットの健康という多少競争相手の少ない分野にも進出している。たとえば、 PetPaceはペット用の首輪で、無線で健康情報その他ペットの行動をモニタする。.

人間からペットまで、イスラエルのスタートアップはヘルス分野、メディカル分野まで幅広い。このエコシステムは患者から医療機関、ヘルスケア提供者、デバイス・メーカー、ヘルス・ソフトウェア・ベンダー、R&D組織のすべてをカバーしている。

このイスラエルのイノベーションのレベルの高さはすぐに世界的多国籍企業の注目するところとなった。現在のトレンドが継続するなら、 2015年はイスラエルのヘルス・テクノロジー産業にとってまたも記録破りの年となるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+


【以上】

データは金鉱であり地雷である

baddata

データサイエンスと医療関連分野で仕事を始めてから5年になる。私はウォートン大学で生物学とマーケティングを学び、膵臓がんの研究をした。そして今私が言いたいのは、テクノロジーとその利用環境が驚異的に進んだにもかかわらず、医療分野はおよそついて行くことすらできていないことだ。

今やどの会社もテラバイト単位の〈データ〉を扱っていると言っている。しかし、スタートアップからFortune 500企業まで、ベイズ統計を導入してユーザーレベルのデータの力を活用している会社を見たことがない。彼らは統計あるいはコンピューター科学の教育を受けた人たちであり、会社の収益を高めるために給料をもらっている人たちなので、そうするためのインセンティブは膨大だ。

これはベイズ理論が著しく複雑であるとか新しいという話ではない ― 名前はややこしそうに聞こえるかもしれないが。ベイズは1761年に死んだ。もしわれわれがテラバイトのユーザーレベル 〈データ〉を持っているなら、なぜプッシュ通知の一つ一つが私の魂を射止めないのだろうか?なぜ、どのウェアラブルにも一日中座っていると心臓病になる時期がわかる健康管理システムが付いてこないのだろうか?

それは、データの収集はほんの第一段階にすぎないからだ。データマイニング[採掘]とは実に適切な用語だ:膨大な量のテクノロジーと人手を注ぎ込み、エンジンをぶん回し、深く堀り進んだ挙句たぶん何一つ見つからない。100%の人々がある行動を示すことを知り、局所的に最適化しようとした結果、そもそもそんな機能を持つべきでないことに気付く。

例えば、脱水症状問題の答えは1時間毎に水を飲むためのプッシュ通知を受けることだろうか?それとも子供の頃に学校が健康的習慣を促進すべきなのだろうか。テクノロジーは毎日何十億ドルも広告に費し、私に炭酸飲料やビタミン水を飲まそうとする ― 実際に体が必要とするものの代わりに。こうした問題は、いずれも〈データ〉の問題ではない。

今データにできること、それは人々の意識を高めることだ。私は10歩しか歩かずドスンと座ってNetflixを見るだけの日があることなど知らなかった。しかし今は、 FitbitStrava(ランニング追跡アプリ)とiOS 8 HealthKitを使って運動を記録し元に戻すべく戦っている。

同じことはVessylにも言える。テクノロジーを駆使したクールなアクセサリーで、1日に飲んだ水の量を追跡する。私がTechCrunch Bostonのピッチオフでしゃべった時、Neumitraという会社は、ストレスレベルをリアルタイムで追跡するものすごいリストバンドを作っていた。

コストはさておき、われわれは臓器を3Dプリント(データ量は多くない)できる時点より手前にいるが、自分の健康を管理しない言い訳ができる時点は過ぎている。テクノロジーの進歩の速さ(Microsoft Word)と対応する医療の進歩(電子カルテ)から判断する限り、正確なバイオマーカー(生体指標)が出来るよりずっと前に、われわれはその特異点を越えているだろうから、賭けをするならそのつもりで。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

ヘルスケアスタートアップのFiNCが個人投資家と銀行借入で6.5億円を調達

finc01利用者個人に最適化したダイエットプログラムと専属の「ダイエット家庭教師」によるダイエットプログラム「FiNCダイエット家庭教師」などを提供するヘルスケアスタートアップのFiNCが今日、個人投資家への第三者割当増資と、みずほ銀行や日本政策金融公庫などの金融機関からの借入を含めて総額6.5億円の資金調達を実施すると発表した。第三者割当増資と借入の比率は非公開。今回参加する個人投資家には、元サッカー日本代表監督の岡田武史氏やイー・アクセス株式会社創業者の千本倖生氏らが含まれるという。FiNCは2012年4月創業で、2014年9月にも同様のスキームで数億円規模の資金調達をしている。

同社は資金調達により、人工知能を利用したソリューション開発への投資や人材採用、ウェアラブルデバイスの開発などを行う。2015年中にリストバンド型のウエアラブル端末を開発することを予定していて、利用者の歩数や消費カロリーなどのデータを端末で自動記録し、健康指導の効果を高める目的でアプリとの連携を考えているという。また今回の資金調達に合わせて、全国でスポーツジム「ジョイフィット」をを運営するウェルネスフロンティアと提携。ダイエット家庭教師を利用すると2カ月間、全国のジョイフィットを自由に利用できる取り組みも始めるという。

60DAYSグループダイエットプログラム」と名付けられた新プログラムはダイエット家庭教師同様に、食習慣や生活習慣に関するアンケートに基づいてダイエット方法を提案・指導、食事の選び方や食べる順序、トレーニングプログラムなどを60日間スマートフォンを通じてサポートする。これに加えて、これまでのマンツーマンでの指導とは異なり、参加時に専門家と利用者3〜6人をアプリ内のソーシャルコミュニティとしてグループ化。ユーザー同士で専属ダイエット家庭教師からのレビューを共有したり、互いにコメントや励ましのスタンプを送り合ったりすることができるようにするという。

また、FiNCでは従業員の心身の健康増進をサポートする法人向けサービス「ウェルネス経営ソリューション」:も提供しているが、こうした法人サービスでもジョイフィットと連携していく予定だとしている。

IBMとAppleの提携がいよいよ動き出した―ヘルスケア、航空などエンタープライズ・アプリ8種類リリース

エンタープライズ向けモバイル・アプリの開発でのAppleとIBMの提携がいよいよ成果物を出し始めた。今日(米国時間4/1)新たに、iOSデバイス向けエンタープライズ・アプリが8種類発表され、MobileFirstプロジェクトのアプリは合計22種類となった。

今回のリリースで特に注目されるのはヘルスケア関連アプリだが、 以前のはプレス発表のとおり、AppleとIBMの提携はバンキング、ホテル、航空機、運輸、財務、エネルギー、法執行、小売、保険などの分野に広がっていくだろう。

IBMは今回の新アプリのリリースにあたって公式発表は行わないことを確認した。これはヘルスケア関連アプリに関しては、今月開催予定のHiMSS〔アメリカ・ヘルスケア情報管理システム協会〕のカンファレンスで詳しい説明を行う予定だからだという。

今回発表された8分野のアプリのうちではヘルスケア関連アプリがもっとも重要なものだろう。Hospital RNというiPhoneアプリでは病院の既存の情報システムとiPhoneを接続し、医師や看護師など職員は入院から退院までiPhoneアプリから必要な患者情報へのアクセスと管理ができる。これによって患者情報管理を効率化し、職員の負担を軽減するのが狙いだ。これにはさらにAppleのiBeaconテクノロジーが用いられ、患者の病室位置情報が利用される。職員が病室に近づくとその患者の情報が自動的に表示される。

iPad向けHospital Lead、iPhone向けHospital Techなど業務の優先順位を判定、管理することに特化したアプリもある。iPhoneアプリのHome RNは、看護師が患者の自宅など病院外でヘルスケア業務を行うのをサポートする。

ヘルスケア関連以外のアプリでは、iPad向けRapid Handoverは工場などの交代制職場の職長が設備のメンテナンスや製造目標などの情報を従業員と迅速かつ効率的に情報を共有し、生産性を向上させるのが目的だ。iPad向けOrder Commitアプリは小売業向け、Risk Inspectは損保業界向けのアプリで、iPadのカメラを利用して効率的に損害報告書が作成できる。

もうひとつ、航空会社向けアプリも発表された。IBMは 今年に入って、遅延やキャンセルとなったフライトの乗客を別のフライトに移す手続きを簡単にできるようにするエアライン向けアプリを開発していると発表した。このアプリが今回、iPhone向けにAncillary Saleという名前でリリースされた。またこのアプリでは客室乗務員が機内で席のアップグレードや機内販売を行うことができる。

travel_4_devices_desktop_2x

昨年発表されたAppleとIBMの提携の主な目標は、コンシューマ向けのソフトウェアの使いやすさをエンタープライズ向けサービスに導入することだ。エンタープライズ・ソフトウェアでは往々にしてユーザー体験が置き去りにされ、遅く、使いにくいものになっている。ここ数年「ITのコンシューマ化」が大きなトレンドになっているので、IBMがAppleとの提携によりこうした動きに先駆けようとするのは不思議ではない。一方、AppleとしてもIBMと提携して大企業のITシステムにiOSアプリが採用されることはiPhoneとiPadの企業向け売上を伸ばす効果が期待できるわけだ。

  1. healthcare_1_devices_desktop_2x.png

  2. healthcare_2_devices_desktop_2x.png

  3. healthcare_3_devices_desktop_2x.png

  4. healthcare_4_devices_desktop_2x.png

  5. industrial_1_devices_desktop_2x.png

  6. insurance_2_devices_desktop_2x.png

  7. retail_4_devices_desktop_2x.png

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

DeNA、ヘルスケア領域での”次の一手”は健保向けサービス-住友商事と合弁で

2014年には遺伝子解析サービス「MYCODE」を開始してヘルスケア領域に踏み込んだディー・エヌ・エー(DeNA)だが、今度は健康保険組合向けの事業を開始する。DeNAは2月3日、住友商事と合弁会社を設立し、新サービス「KenCoM(ケンコム)」を4月から提供することをあきらかにした。

合弁会社の社名はDeSC ヘルスケア(ディーエスシーヘルスケア)、3月設立予定で、資本金は3億円。出資比率はDeNAは51%で住友商事が49%。代表者代表取締役社長にはディー・エヌ・エー ヘルスケア事業部事業部長の大井潤氏が就任する。大井氏はMYCODEを運営するDeNAライフサイエンスの代表も兼任する。

KenCoMでは、利用者の健康データを一元管理し、利用者の健康度に応じた情報提供を行うという。具体的には、健康診断情報を取り込んで時系列で管理・閲覧したり、その健康データや興味・関心もとにユーザーごとに最適なコラムやニュースを提供する。DeNAいわく「これまでに培ってきたゲームや各種サービスのノウハウを活用し、より健康に関心を持って飽きることなく続けていただく仕掛けが随所に盛り込まれます」とのことだ。

厚生労働省では現在、健康保険組合に対してレセプト(医療報酬明細)等のデータの分析、そしてその分析に基づく組合加入者の健康保持増進にむけた「データヘルス計画」の策定と実行を求めているという。DeNAで現在、複数の健保組合に対して導入を提案している。


オンラインダイエットプログラムを展開するFiNC、数億円の資金調達を実施

左から元ミクシィ代表取締役の朝倉祐介氏、FiNC取締役副社長 CFOの乗松文夫氏氏、FiNC代表取締役CEOの溝口勇児氏、元オプト代表取締役CEOの海老根智仁氏

オンラインを中心にしたダイエットプログラム「FiNCオンラインダイエット家庭教師」を提供するFiNCが9月12日、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、グリーベンチャーズ、リンクアンドモチベーション、MIDベンチャーキャピタル、元ミクシィ代表取締役の朝倉祐介氏、元オプト代表取締役CEOの海老根智仁氏を割当先とした第三者割当増資を実施したことを明らかにした。あわせてみずほ銀行などからの融資も実施している。調達額およびバリュエーションは非公開だが、数億円になるという。またこれにあわせて朝倉氏と海老根氏が同社の戦略顧問に就任する。

FiNCのサービスやビジネスモデルについては、以前に紹介したとおりだが、遺伝子検査や血液検査、アンケートに基づいて、管理栄養士によるダイエット指導が受けられるというもの。

ユーザーがサイト上に毎日の食事と体重を写真と共にアップロードすると、60日間のプログラム期間中、栄養士からの評価や指導が受けられる。もちろんスマートフォンでの利用が可能。このほか、東京・永田町と銀座にある同社のスポーツジムや、提携するジムの利用などが可能になる。また、遺伝子検査の結果に応じて独自に組み合わせたサプリメントも提供している。このサプリメントは、プログラム終了後も約50%のユーザーが継続購入しているそうだ。

前回の記事で僕もこのプログラムを利用させてもらっていると紹介したが、その後厳しい指導のおかげで7.5kgのダイエットに成功している(とりあえず終了して2週間ほどでのリバウンドも無いようだ)。

元みずほ銀行常務も参画

話を調達の内容に戻そう。今回の調達では、人材採用による体制強化、本社移転(すでに8月に実施済み)、プロモーションの実施を行うという。

人材採用に関しては、元みずほ銀行常務の乗松文夫氏が取締役副社長 CFOとして同社に参画したことが8月に発表されている。今回の資金調達に関しても、特に融資の面で尽力したという。金額こそ非公開だが融資額も小さくない金額だそうで、シリーズAでの億単位での調達において、あまり株式を希薄化することなく調達に成功しているという。

また、栄養士やトレーナーといった専門職のネットワーク構築を進める。前回の記事でも紹介したとおりだが、クラウドソーシングの仕組みを利用したり、提携スポーツジムを増やすなどして、1000人規模まで拡大する見込みだそうだ。

実は現在プログラム自体は「宣伝もしていないし大きな数字ではないが、満員御礼な状況」(FiNC取締役COOの岡野求氏)だそうで、専門職の人材不足がボトルネックになっているそう。今後は人材や会社の基盤を年内にも確立し、年明けに向けて、プロモーションを強化していくそうだ。「意識的に営業を抑えているが、法人も含めて正直売り込んでいける先はあると思っている。ここ数カ月は内部の業務フロー確立を進める」(乗松氏)

またFiNCでは、料理関係の新事業なども予定。そのほか、時期こそ明らかにされなかったが、海外進出も検討しているという。

ところでこのFiNC、プログラム自体は60日で終了するのだが、ユーザーのLTV(ライフタイムバリュー:継続的な取引でユーザーが企業にもたらす価値)を上げる施策などは考えているのだろうか? 岡野氏は「ビジネスモデルは一時的なプログラムではない。極論だが、最終的にはダイエットだけは無料でもよいと思っている。属性に基づいた宅配やキュレーション、広告などいくらでも検討できる」と将来について語ってくれた。


医師にメッセージを送って相談することのできるFist Opinion、140万ドルを追加調達

First Opinionが140万ドルの資金を調達したようだ。出資したのはTrue VenturesおよびFelicis Venturesなどだ。今回の分を含め、調達額は合計で260万ドルとなった。これまでにはGreylock、Yuri Milner、および500 Startupsなども出資を行っている。

サービスはiOSアプリケーションで提供される。医者にメッセージング経由で医者に質問を投げることができるというものだ。今回の資金調達と同時に、アプリケーションも新バージョンとなった。このFirst Opinionでは、月に一度は無料で相談を投げることができる。追加で質問があるときは、同じ医師を相手に3つまでの質問権がパッケージされて12ドルよりとなっている。今回のアップデートにより、24時間制の対応が可能となっており、質問への回答はたいてい9分以内に為されているとのことだ。

昨今のヘルスケア関連サービス(RiseThriveOn、およびTalkspaceなど)と同様に、First Opinionも予防ケア系を意識したサービスだ。

ファウンダー兼CEOのMcKay Thomas曰く、もともとは妊婦を対象としたサービスをイメージしたものだそうだ。とくに陣痛が起こり始めて、医者にいくべきなのかどうかを判断したいお母さん向けを考えていたのだそうだ。そうして考えるうち、不眠症や頭痛、不安神経症などの場合にも使えるだろうと考え始めたのだそうだ。

プライバシー面に配慮して、First Opinionの利用登録についてはファーストネームとメールアドレスのみを入力するようになっている。試してみたところでは、医者にメッセージを送ることができるようになるまでに必要な時間は5分程度だった。ちなみに利用したのは深夜の時間帯だったことも申し添えておく。

テスト利用時にマッチングされた相手方のドクターはAnkitaという方だった。これまでにFirst Opinionを使って、1500以上もの質問に答えてきたのだそうだ。これを機会に、疲労感に悩まされる最近、血液中の鉄濃度検査などを行った方が良いのかどうかについて尋ねてみたりもした。30分ほどの間、メッセージ交換を行い、いろいろと疲労感を感じる原因などについて教えてもらうことができた。

結局のところ、血液検査をして見るほうが良かろうというアドバイスをもらった。実のところ、長らく検査すべきなのだろうと思いながら放置していたのだった。しかしメッセージングセッションにて、医師に確認すべき要点まで指摘されたので、病院に行ってみるしかあるまい。

調達資金は、共同ファウンダー兼CTOであるJay Marcyesの医師-患者マッチングプログラムの高性能化を行うのに利用したい意向であるらしい。彼は以前PlancastPathでも働いていた経験をもつ。迅速に、かつ有効なマッチングを行うようなアップデートを行いたいとのこと。今のところ、利用者が医師を希望してからマッチングの完了までに15分以上かかるケースもあるようだ。これを30秒にまで短縮したいという考えを持っているのだそうだ。

こうした機能改善を睨んで、First Opinionは医師であり、かつCOOでもある、フィラデルフィアで活動していて、Wharton SchoolのMBAをもつVik Bakhrと協同して、いつでも迅速かつ有効な回答を引き出すことのできるマッチングプログラムを開発しているとのことだ。

Thomas曰く「かかりつけの医者を訪問するうち85%は無用の行為なのだそうです」とのこと。たいていは「もっと体調が悪くなったらいらっしゃい」という言葉を聞くために、30ドル以上を支払っているのだとのことだ。

First Opinionを使ってメッセージのやり取りをすれば、医者に行く必要があるのかどうかを判断するのに役立つことだろう。時間に追われることの多い現代人に、それでもともかくやりくりして医者にいくべきなのかどうかという判断材料を与えてくれる。

原文へ

(翻訳:Maeda, H