アメリカのQ1ではインターネット接続の新規契約は携帯より自動車の方が多かった

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アメリカには昔から何千万という携帯電話ユーザーがいる。われわれは時折デバイスを買い換えたり、データプランをアップグレードしたりする。しかしその場合でもわれわれはすでに携帯電話を持っており、携帯でのインターネット接続を契約ずみなのが普通だ。しかしインターネット接続を新たに販売するターゲットが品切れになったわけではない。キャリヤの次の狙いは自動車だ。2016年の第1四半期に新規に契約されたインターネット接続のうち、3分の1は自動車が占め、件数でトップとなった。

モバイル産業のコンサルタント、Chetan Sharmaのレポートは、新規にインターネットに加わった自動車の台数は新規の携帯電話の契約数より多いとしている。なおタブレットの純増数は前年を下回った。アナリストによれば、アメリカでのスマートフォン普及率は84%となっており、新規契約者からの売上は事実上ゼロに近くなっている。しかし自動車のインターネット化は比較的新しい現象でまだ進展中だ。メーカーもショップも自動車のインターネット化に全力を挙げている。

800万台の自動車がAT&Tのネットワークに加入しており、Chetan Sharmaによれば「おそらくモバイル・キャリヤで最大の台数」だという。AT&Tの新規の自動車契約件数は他のキャリヤにおける契約をすべて合わせたより多い。AT&Tは自動車間通信、テレマティクス、エンターテイメント・アプリ、ソフトのOTA(携帯無線)アップデート、4G、 LTEホットスポットなど自動車向けのありとあらゆるサービスを提供している。

一般ユーザーは自分の車がインターネット接続可能であるかどうかを知らない場合もある。この春、ロンドンの調査企業、TNSとBearingPoint Instituteがヨーロッパの3700人のドライバーを対象に調査した結果では、10人に4人は所有する自動車にインターネット接続能力が備わっていることを知らなかった。残る6割のユーザーは自動車のインターネット機能は車種を選ぶ際の基準の一つになると答えている。また32%がインターネット接続は「購入に影響する重要な基準に含まれる」と回答した。一方では車種を選ぶ際にインターネット接続ができるかどうかを検索するユーザーも多いが、最近の自動車には接続機能がビルトインされていることを知らないユーザーもまだ多数いるようだ。

TNSの調査によれば、回答者の半数は自動車を購入する際にディーラーで担当者からインターネット機能の説明を受けている。しかしインターネットに関してディーラー担当者の知識がユーザーとほとんど変わらないという不満も多い。TNSは「ディーラーにおけるインターネットの接続機能、利用方法の説明は購入を決める上で非常に重要」と結論している。自分たちの持つ車のインターネット機能を知らないという4割もの人々にこのことは特に当てはまるだろう。

〔日本版〕Chetan Sharmaのレポートは記事中で引用されている部分以外にもアメリカのインターネット市場に関して興味あるデータを掲載している。スライドの10枚目以降が一見してわかりやすいグラフ。スライドは全画面に拡大表示できる。引用されているスライドは16枚目で、新規契約純増では自動車が32%、携帯が31%、タブレットが23%、機器間通信(M2M)が14%となっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Samsungがクラウドコンピューティング企業Joyentを買収

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Samsung Electronicsは本日、クラウド・コンピューティング企業Joyentの買収に合意したと発表した。今回の買収はSamsungのスマホとインターネット接続端末向けのクラウドベースサービスの成長につながると韓国の大手テクノロジー企業は声明で伝えている(買収額は非公開)。

Joyentは、Samsungのモバイル・コミュニケーション部門に統合されるが、買収後もスタンドアローンの企業として運営を続ける。テクノロジーチームの主要メンバーであるCEOのScott Hammond、CTOのBryan Cantrill、プロダクトVPのBill FineはSumsungのクラウドプロジェクトに携わるという。

Samsungがここ数年で買収したアメリカのテクノロジー企業はこれで3社目だ。他の2社はスマートホーム用品のSmartThingsとMagnetic Secure Transmission(MST、セキュアな磁気通信)テクノロジーを開発したLoopPayだ。MST技術はSumsung Payにとって、Apple Payなどのモバイル決済サービスや既存のクレジットカードと対抗する助けとなる。

2004年に創業したJoyentは、ここ数年買収のターゲット企業となっていた。似たサービスのVirtustream、SoftLayer、Metacloudは到来したM&Aの波に乗って買収されていった。Joyentの主要プロダクトは、モバイルやウェブアプリのためのコンテナインフラ・プラットフォームTritonやクラウドベースのオブジェクト・ストレージサービスMantaなどだ。

ブログ投稿でHammondは以下のように伝える。

「買収の結果、JoyentのTritonとMantaのソリューションにおいてSamsungはアンカーテナントとなります。私たちのチームの成長、そして世界規模のデータセンターの取り組みを拡張する助けとなります。

この買収は、財政面とスケールする体力を得たというだけではありません。JoyentとSumsungはイノベーションと卓越した技術を求める共通の意識があり、私たちは共に、一連の補完的なクラウド、ビッグデータ、モバイル、IoTテクノロジーを提供することができるようになります」

CrunchBaseのデータによると、Joyentは累計1億3100万ドルを調達していて、出資元はIntel Capital、Greycroft Partners、Peter Thiel、Telefonica Venturesらだ。

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(翻訳:Nozomi Okuma /Website

なぜAppleはスマートホームの中枢になろうとしているのか

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月曜日にAppleは、Homeと呼ばれるアプリが近日中に公開されると発表した。Homeを利用すればユーザーは、HomeKitに対応するスマートホームデバイスをまとめあげ、iPadやiPhone、さらにはApple Watchから各デバイスの操作ができるようになる。

既に公開されているTechCrunchのWWDCライブレポートの通り、Homeアプリによってユーザーは、ファンタジアような、スマートドアベルやスマートロック、サーモスタットや電球、加湿器や、AV機器などのスマートデバイス群の全てを一か所から操作できるようになる。

そしてもちろん、Homeに接続されたデバイスの設定は、Siriを使って微調整が可能だ。

それにしても、なぜAppleはスマートホームの万能リモコン、ないしは中枢になろうとしているのだろうか?

正直に言って、消費者はまだ家電メーカーが願っているほど熱狂的にIoTデバイス・サービスを受け入れてはいない。

1月に発表された、28ヶ国に住む14〜55歳のテック製品の消費者、2万8000人を対象とするAccentureの調査によると、対象者の半数がスマートホームやその他IoTデバイスの安全性に大きな疑問を抱いており、25%が意識的にIoTデバイスの購入や、IoTサービスへの登録を先延ばしにしている。

そして、スウェーデンのGothenburgを拠点とする市場調査会社Berg Insightによれば、スマートホームデバイスが明らかに市場へとなだれ込んでいるにも関わらず、現在ヨーロッパ全世帯のほんの20%、北米でも全世帯の35%でしか、そのようなデバイスは利用されていない。

これまでのところ、ネットに接続し、スマホで操作可能なサーモスタットや、防犯カメラ、AV機器、電球、カメラなどが最も普及しているスマートホームデバイスとして挙げられる。

次に続くのはスマートコールドプレスジューサーか、スマートチャイメーカーか、はたまたスマート歯ブラシか?それとも、スマートパーソナルロボットや、ネット接続されたマットレスカバーといった方向へ向かうのだろうか?勝者と敗者を見極めるのは難しい。

Homeアプリが、エンドユーザーを取り囲むこの空間の中心にあることで、Tim Cook氏とAppleがどんなハードウェアの開発に賭けたとしても、Appleはスマートホーム市場に今後現れるであろう、いかなるトレンドにも基本的に関われることとなる。

そしてHomeが、Appleにとっての最高のユーザーエクスペリエンスにかなうとすれば、エンドユーザーをiOSのエコシステムに惹きつけ、SamsungのSmartThingsや、AmazonのAlexa、そしてGoogleのBrilloやWeaveとの競合の中にあるAppleを支える一因となるだろう。

例え開発者が、Androidや他のプラットフォームに大きな商機を見出したとしても、一定数の消費者がHomeで操作可能なデバイスを欲しがっているとすれば、彼らがiOS向けのソフトウェア設計を学ぶ理由となる。

最後に、HomeによってAppleは、スマートホーム界で何がうまくいって、何がうまくいっていないのかということを、前線で眺めることが出来るかもしれない。というのもHomeは、ユーザーがどのスマートホームデバイスを一番使用・操作しているかや、それがどのように行われているかというのを把握できるようだからだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Appleが「Home」を発表:すべてのHomeKit対応デバイスを一つのアプリでコントロールする

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今日のWWDC2016で、Appleの上級副社長であるCraig Federighiは同社のIoTプラットフォーム「HomeKit」に対する大型のアップデートを発表した。そのビックニュースとは、家庭にあるデバイスをコントロールできるアプリをApple自身が開発するというものだ。

今後、ユーザーは一つのアプリだけを使って照明を調節したり、玄関のモニターをチェックしたり、ガレージを開閉したりすることができる。これは大きなニュースだ。

AppleがiOS 8と同時にHomeKitを発表したのは2014年のことだった。それ以降、「モノのインターネット」業界には沢山のアプリやデバイスが誕生し、すべてモノを束ねるソリューションが多く存在するようになった。HomeKitの「Home」は、その目標に向かう最初のステップとして相応しいものに見える。

今後Homeを利用すれば、HomeKit対応のすべてのデバイスを、たった一つのアプリからコントロールすることができる。照明、サーモスタット、ガレージのドアなどがその例だ。このアプリは複数のアクションにも対応しており、一つのボタンを押すだけで複数のデバイスを操作することも可能だ。例えば、「行ってきます」というボタンを押せば、Homeが照明をオフにしてサーモスタットの電源を落とし、そしてアラームもセットするという具合だ。

この新しいアプリはiPadやApple Watch向けにも公開される。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

すべてを支配するチップ?IoT、そしてハードウェアの偉大な新時代

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編集部注:本稿を執筆したNarbeh Derhacobianは、Adesto Technologiesの共同創業者であり、現CEOである。同社は各アプリケーションに特化した、電力消費量を極限まで抑えた不揮発性のメモリを製造している。

 

AppleがiPhoneを発売してから10年あまり。あの日以来、スマートフォンはテクノロジー業界におけるイノベーションの原動力として存在してきた。カメラ、Wi-Fi、バッテリー、タッチセンサー、ベースバンド・プロセッサー、メモリー・チップ。10年と経たないうちに、スマートかつパワフルなデバイスを求める消費者の声に応えるため、これらの部品は毎年驚くべき進化を続けてきた。

チップメーカーに与えられた使命は、次々に現れるスマートフォン向けに、より小さくてよりパワフルな部品を製造するということだった。高密度、高速、低価格。これまで途方もなく長い間、これらの言葉が私たちの業界をつき動かす原動力だった。

しかし、そこから状況は変わった。スマートフォンの時代はまだ終わっていないものの、その成長速度には陰りが見えるようになった。近い将来、「モノのインターネット」こそがハードウェア業界の成長の支えとなるだろう。今後10年のうちに、ネットと接続されたセンサーデバイスが何百億と生まれるであろう。高速道路から幹線道路にいたるまで、そのデバイスは世界のありとあらゆる場所に設置され、私たちの生活をより良くするための情報を与えてくれる。

その時代が来ることにより、ハードウェア業界は重大な変化を遂げる。そして、スマートフォンの時代におこった進化が巻き戻される。この重大な時代の変化を理解するためには、マーケットとともに変化してきたコンピューター製造の歴史をひも解く必要がある。

サーキットボードからすべては始まった

ほんの数十年前のコンピューターは、部屋を丸ごと1つ埋めてしまうくらいの大きさだった。その当時のコンピュータの部品は、それぞれが個別に製造されたあと、サーキットボードの上でつなぎ合わされていた。ロジック処理部品が片面にあり、ラジオ部品が端の方につけられているという基板を覚えている人もいるだろう。それぞれの部品はワイヤや銅線によって接続されていて、簡単に部品を追加したり、取り除いたりすることができた。

この「システム・オン・ボード」という製造のあり方は長い間採用されていた。しかし、科学者がトランジスタを小型化させ続けたことによって、コンピューターのサイズも小さくなっていった。トランジスタとは、電気のスイッチのような役割をもつ、現代のコンピューターに欠かせない部品だ。

1965年、インテルを創業したGordon Mooreは、かの有名な「将来予測」を発表した(「法則」という誤解を呼ぶ名前がつけられている)。集積回路上のトランジスタの数は18カ月から24カ月ごとに倍になるという予測だ。短期間のうちにコンピューター部品の小型化が進み、サーキットボードには急に大きなスペースが生まれた。

マスターチップ

すぐに、エンジニアたちは1つのシリコン基板上に複数の部品を取り付けようとし始める。やがて、彼らはたった1つのシリコン基板にコンピューターを丸ごと取りつけることに成功した。それは綺麗に包装され、すべての機能が詰まったパッケージとして発売された。

私たちはこれを「システム・オン・チップ(SoC)」と呼ぶ。あなたのスマートフォンにも搭載されていることだろう。複数の部品を小さく統合させる技術は大きな進化をもたらすことになった。部品同士がより近くなったことで、シグナルのやり取りのスピードも早くなり、処理速度も上昇したのだ。

大抵の場合、SoCは低価格でもある。従来では大量の部品ごとにテストを行う必要があったが、SoCではチップ1つにつき1回のテストを行うだけで良い。そして、もちろんサイズも重要だ。この統合された小さなパッケージのおかげで、AppleSamsungといったメーカーはより軽量かつスマートなデバイスを製造することが可能になったのだ。

しかしSoCには重大な欠点もあった。SoCは、「fab」と呼ばれる巨大な施設において共通のプロセスで製造される。この巨大施設は月に何百万個ものSoCを製造することが可能だ。

高密度、高速、低価格。これまで途方もなく長い間、これらの言葉が私たちの業界をつき動かす原動力だった。

SoCのパラダイムにおける問題点とは、たった1つのチップ上に構成された全ての部品(プロセッサー、ラジオ、メモリーなど)が、たった1つのプロセスによって製造されているという点だ。その1つの製造工程では、各部品それぞれにおいて「最高品質」を生み出せるというわけではないのだ。例えば、ある製造プロセスはプロセッサーの製造ではとても優秀だが、埋め込み式のフラッシュメモリーの製造では劣るかもしれない。しかも、部品のアップグレードや取替えは、「fab」を丸ごとアップグレードしなければ難しい。

スマートフォンやその他の製品向けに製造されていた時には、SoCが与える恩恵のおかげで、それが持つ欠点が取り沙汰されることはなかった。しかし、新しいハードウェアの時代が誕生したことにより、チップの製造メーカーに難題が降りかかることになる。

「モノ」の時代における新しいルール

モノのインターネット(IoT)を考えてみよう。これが未来のハードウェアであり、何百億ものセンサー・デバイス上で稼働することになる。しかし問題は、それらのデバイスがありとあらゆる環境に存在するという点だ。あるデバイスは工場に、またあるデバイスは屋外に取り付けられる。水の中でデータを集めるデバイスもあるだろう。これらのデバイスの基本的な機能は共通している(データを感知し、集め、保存し、送信する)。しかし、その設置に必要な条件はそれぞれ大きく異なるのだ。

例えば、車のエンジンに取り付けられたセンサー端末には、高熱にも耐えられる構造が必須だ。広大な農場に設置された端末には、長距離でもデータを送信できる強力なラジオ部品が必要になるだろう。多くのIoTのセンサーには少ない電力消費量で動作することが求められるが(コンセントとつながれないため)、ある特定のセンサーにとっては電力消費量がその他のどの機能よりも重要なものになるだろう。

より厄介なことに、多くのIoTアプリケーションで求められる必要条件は、現時点ではハッキリと分かっていない。この時代は、まだ始まったばかりだからだ。しかし、それでも私たちはハードウェアを製造せざるを得ないのだ!この状況こそが今のチップ製造モデルが抱えるあらゆる問題を引き起こしている。

統合しない方法を模索する

PCやスマートフォン業界では同じチップを何億もの個体に搭載させることが可能だった。統合された巨大なSoC製造施設は、その時代にはとても適したものだった。だがIoTはそうではない。そこには何百万通りのアプリケーションが存在するであろう。このことは、これまでにない程に多様化されたチップ製造のあり方が必要になることを示している。

その結果、新しいチップ製造モデルが誕生しつつある。それをマルチチップ・モジュールと呼ぶものもいれば、2.5Dや、System in a Package(SiP)と呼ぶものもいる。これらすべてに共通するのは、各部品は近接に構成されながらも、SoCのように完全に統合されたものではないという点だ。これらのアプローチが提供する、コスト、パフォーマンス、電力消費をコントロールする方程式は、IoTデバイスに適した選択肢としてSoCからシェアを奪い、その地位を確立しつつある。

ある意味では、PCやスマートフォンの時代はデバイスの標準化を推進する時代だった。偉大なビジョンをもつAppleは、人々は統合された美しいパッケージを求めているのであって、ハードウェアに多くの選択肢を求めているわけではないことを理解していた。だが、大抵の場合ソフトウェアはその逆だ。それぞれが違ったニーズを持ち、それぞれに最も適したアプリやプログラムを選びたいと思っている。

インターネットに接続されたスマートな世界において、設置される工場が違えばセンサーに求められる必要条件も大きく異なる。農業、都市計画、自動車など異なる業界ごとに違う条件が必要になることは言うまでもない。スマートフォンの使用者がそれぞれ違ったアプリを求めるように、IoTメーカーも単一の「fab」にとらわれず、それぞれが求める部品を選びたいと思うだろう。

この時代の変化の重要性を大げさに言うのは難しい。3000億ドル規模以上のセミコンダクター業界が、PCとスマートフォンのハードウェア標準化時代とともに成長してきた。屋内で使用され、壁のコンセントにつながれた「箱」の時代だ。その一方で、IoTはハードウェアに大きな多様性を求める。シリコンバレーの「シリコン」基板に巻き起こる巨大な変化に、心の準備を。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

WHILLが新たに約20億円を調達、電動車椅子の枠を超えたパーソナルモビリティ事業に取り組む

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「次世代パーソナルモビリティ」の開発を手がけるWHILLは本日、総額1750万ドル(20億円弱)の資金調達を行ったことを発表した。Eight Roads Ventures Japan(旧Fidelity Growth Partners Japan)をリード投資家とし、未来創生ファンド、ゴールデンアジアファンドⅡ等が参加している。また、Eight Roads Ventures JapanのDavid Milstein氏がWHILLの社外取締役として就任すると発表した。今後、電動車椅子に留まらず、WHILLが掲げる「次世代パーソナルモビリティ」の普及を目指し、新たにシェアリング事業なども手掛ける計画だ。

TechCrunch Tokyo 2012のスタートアップバトルの優勝者でもあるWHILLは、ソニー、トヨタグループ、オリンパスなどメーカー出身のエンジニアを中心とするチームだ。CEOの杉江理氏も日産自動車出身だ。彼らが最初に取り組んだ「WHILL Type-A」は、手動の車椅子にモーターをアタッチする形式だった。その後、現在のモーターと車輪が一体型の「Model A」を開発し、2014年9月から一般販売を開始している。「Model M」は、アメリカでFDAの認可を得るために「Model A」の仕様を一部変更したモデルとWHILLの広報担当者は話す。FDAの認可を得ることで、医師が処方することができるようになり、保険も適用されるようになるという。「Model M」はFDAの電動車椅子としての要件をクリアするため、主に変更したのは背もたれの部分だ。様々な症状の患者に合わせてカスタマイズできるよう変更しているという。また「Model A」ではBluetooth経由でiPhoneアプリから車椅子を遠隔操作することが可能だが、「Model M」にはそれがない。いかなる環境でも安全、安心を追求するFDAの基準に則すためという。

2016年2月、FDAから商品の認可が下りたとWHILLの広報担当者は話す。現在、FDAによるWHILLの製造現場の調査が行なわれていて、順調に進めば7月からアメリカで「Model M」の一般販売を開始できる予定だという。アメリカのユーザーは代理店経由で車椅子を扱う約50店舗からWHILLを購入できるそうだ。

今後WHILLは、シェアリングサービスなどの事業開発を検討しているという。例えば、自転車の貸し出しやカーシェアリングのように、駅付近やアミューズメントパークなどの施設内でパーソナルモビリティを活用した事業を考えているそうだ。それに伴う機能開発、例えばパーソナルモビリティが自動で当初あった場所に戻るなどの自律走行機能などの開発を行うことも視野に入れているという。

今回Eight Roads Ventures Japanをリード投資家に迎えたのは、新たな事業を展開を行うためのアライアンスや機能開発で協力できる企業を探すためのネットワークに期待しているためという。また、主要市場と位置付けているアメリカ市場での販売強化と認知度の向上を図るための協力を得られることも理由の一つと話す。WHILLの2015年度の販売実績は日米合わせて500台だったとし、2016年度はその2倍、1000台の販売を目指す計画だそうだ。

WHILLは「電動車椅子という枠に超えて、新たな乗り物を提案していきたい。そしてこれに乗るのは楽で、かっこよくて、クールであるという認識を広めたい」と話している。2012年5月に正式に法人化したWHILLはこれまでに総額約1285万ドルを調達している。今回の調達で累計調達額は約3035万ドルとなった。

月額980円のホームセキュリティ、Secualが総額1億5000万円を調達

Secual(セキュアル)は本日、ベクトルインベスターズクラウドから総額1億5000万円を調達し、各社と資本業務提携を締結したことを発表した。Secualは工事なしで設置可能な住宅のセキュリティー用IoT端末を製作している。先週5月26日には正式出荷を始めた。今回の資本業務提携でSecualはプロダクトのマーケティングに力を入れるとともに、Secualのセキュリティーサービスを賃貸住宅や民泊サービスに導入を進めたい考えだ。今回、Secualの代表取締役社長を務める青柳和洋氏にサービスの仕組みと今後の展望について聞いた。

Secualのセンサーとゲートウェイ

Secualは「センサー」と「ゲートウェイ」の2つのハードウェアを開発し、それらとスマホアプリを連携したセキュリティーサービスを提供している。センサーとゲートウェイは工事なしで手軽に設置することが可能だ。薄い四角い形のセンサーは侵入を検知したい窓やドアにシールで貼り付け、ゲートウェイはコンセントに差し込むだけで良い。あとはゲートウェイの電源ボタンを押すと自動でペアリングが完了する。センサーの大きさは手のひらに収まるくらいの小ささで思っていた以上に薄い印象だった。

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Secualのアプリ

セキュリティーサービスの初期設定はSecualのアプリから行う。アプリでセキュリティーのオンオフ、センサーが反応する振動の閾値などを設定することができる。セキュリティーをオンにしている時、侵入犯が窓やドアを開けたり、衝撃を与えたりするとセンサーが検知し、ゲートウェイから大音量のアラーム音が鳴る。それと同時に連携しているアプリにも通知が届く仕組みだ。アラームが発動した時に通知するユーザーなどをアプリで設定することができる。

「誰でも利用できるセキュリティーサービスにすることにこだわりました」と青柳氏は話す。通常の自宅のセキュリティーサービスは高額で、専用の機器を取り付けなければならないことも多く、一部の人しか導入できなかったと青柳氏は説明する。Secualの場合、センサーは1個3780円、ゲートウェイは5940円なので、設置するセンサーの数にもよるが初期費用は3万円程度から始められる。月額利用料も980円で一般のセキュリティーサービスの5分の1ほどだという。また端末は工事なしに設置できるので引っ越す時でも簡単に取り外して、引っ越し先でまたすぐに利用することができる。退去時に原状回復の必要がある賃貸物件でも利用可能だ。これにより、従来のセキュリティーサービスを利用しづらかった一人暮らしや若い夫婦の世帯でも導入できるようになると青柳氏は説明する。

Secualの代表取締役社長を務める青柳和洋氏

青柳氏はITコンサルティング会社、大手コンサルティングファームを経てコンサルティングサービスを提供するイグニッション・ポイントを設立した経歴を持つ。Secualはイグニッション・ポイントからスピンオフした会社だ。イグニッション・ポイントでは、最新テクノロジーをどのように経営に役立てるかということに取り組んでいて、自社でもテクノロジーを活用した事業を開発していたという。Secualはそこから誕生したプロダクトと青柳氏は話す。

2015年6月に設立したSecualは同月、ウィルグループインキュベートファンドからシード資金を調達している。2015年8月には、クラウドファンディング・プラットフォームのMakuakeで目標額100万円のクラウドファンディングキャンペーンを行い、開始22時間後には目標額を達成し、最終的に600万円以上を集めることに成功した。2015年12月にはアドベンチャー、AMBITION、その他法人及び個人投資家らから総額6000万円の資金調達を達成している。

今回、資本業務提携を発表したインベスターズクラウドとは、彼らが提携する賃貸物件や民泊サービスとの連携を進める計画だという。インベスターズクラウドはアパート経営プラットフォーム「TATERU」や住宅に設置されているエアコン、照明、インターフォンといったIoT機器をアプリから管理する「TATERU Kit」など不動産分野でサービスを展開している。そういった彼らの事業と連携し、低価格のセキュリティーサービスを普及させたい考えだ。

Secualは今回調達した資金で開発体制の強化にも力を入れる計画だという。高齢世帯向けの見守りや他の事業者と提携して、緊急時には人が駆けつけることができるサービスなどを検討しているという。また、例えばテレビの大雨洪水警報といった情報は全国に一律の情報が放送されるが、Secualは、ゲートウェイからその地域に関係する情報だけを届けるサービスなども考えていると話す。

土壌センサーのデータに基づいて庭や芝生の水やりを自動化するEdyn、多方面からシード資金を獲得

カリフォルニア州オークランドのEdynが、スマートガーデニングのための新製品を発売した。水道栓をインターネットに接続して、庭や芝生を自動的に潅水する、というデバイスだ。

そのEdyn Water Valveは、土壌センサーEdyn Garden Sensorと各地の天候情報を基に、土壌水分を調整する。ユーザーはその潅水システムの動作を、Edynのスマートフォンアプリで調節することもできる。

定価69ドルのEdyn Water Valveは、重さが8オンス足らず、太陽光発電を利用、Wi-Fi対応、庭の散水用ホースに取り付けられる。小さいので、キッチンのシンクや、窓際のプランターなどに対しても利用できる。

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EdynのCEOでファウンダーのJason Arumburu showedが、サンフランシスコの都市農業企業Farmscapeが支援しているSTEM Kitchen & Gardenで、その電脳水道栓のデモを見せてくれた。

Edynはシード資金をFenox Venture Capital, Idea Bulb Ventures, Morningside Group, Indicator ventures, Y Combinatorなどから獲得しており、Startup Battlefieldのファイナリストになったこともある。

潅水の自動化、という点では、Rachio Inc., Koubachi AG, iConservo Inc., それにドローン企業のParrotなどに競合製品がある。でも、競争の激しいテクノロジー系ガーデニング市場で、Edynはそこそこのファンを獲得しつつある。

製品はすでにHome Depot(ホームセンター大手)でも売ってるし、今後は一般小売店を販路として開拓したい、とArumburuは言っている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

スマートな消費者を増やすために、スマートホーム・デバイスができること

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編集部注:本稿はRobert S. Marshallによる。MarshallはEarth NetworksのCEOを務めている。

ラスベガスで行われてあConsumer Electronics Showに参加した人は、「スマートホーム」関連デバイスの多さに目を回したことだろう。牛乳や玉子が少なくなったときに通知してくれる5000ドルのスマート冷蔵庫や、スマートフォンやテレビ画面から灯りや鍵、あるいはサーモスタットをコントロールできるデバイスなどが出品されていた。いずれもなかなか便利そうなプロダクトにみえる。ただし、スマートホーム化が節約になっているのか、エネルギーを効率的に利用しているのかなどと考えだすと、よくわからなくなってしまう面もある。

起業家たちも、スマートホーム関連のデバイスないしサービスを生み出して、スマートホーム業界への参入をはかっている。しかしスマートホーム・デバイスの普及のために、スマートな消費者の存在が必要であることを見落としているのではなかろうか。

Parks Associatesの2016年3月のレポートによれば、スマートデバイスを利用している家庭の70%が、エネルギー消費を抑えることに成功しているのだそうだ。ただし、アメリカではブロードバンド導入済み家庭の83%が、毎月の電気代がいくらなのか把握していないという結果も得られている。すなわち、電気代を抑えたりすることのできるスマートデバイスへの興味の低さを示しているとも言えるだろう。

こうした状況の中、スマートホームを実現する機器に注目してもらい、そして利用を促進するためには、新たな戦略も必要となってくる。デバイス製造者、技術開発者、ユーティリティ機能の提供者、インテグレーター、そして規格の策定者たちが歩調を揃えて、統合的に利用できる環境を整えることによって「賢い消費者」を育てていく必要があるように思えるのだ。このために直ちに対処する必要のある改善点がいくつか存在する。

IOTに根ざしたアプローチを

まず、スマートホーム関連デバイスは、単独で動作するものではなくIoTの機能を備えている必要がある。消費者は、スマートホームのデバイスを1つずつ追加していく傾向があるようだ。そうでありながら、2015年のForresterの調査によれば、13%の消費者が複数のスマートホーム・デバイスを活用しているのだ。すなわち、複数のデバイスが連動して快適さなどを提供することができるようにならなければならない。

直接に役立つデータを提供して、賢い消費者を応援することが必要だ。

スマートホーム・デバイスの導入時期には、セキュリティシステムが灯り制御をコントロールするシステムを制御できるかとか、あるいはスマートサーモスタットがスマートメーターのデータを読み取ったりすることができるのか(あるいはその逆)といったことに興味を持つ人は少なかったかもしれない。初期の利用者は、プロダクト自体に新規性があればとにかく使ってみるという傾向もあるからだ。しかしスマートホーム・デバイスを一般家庭にも普及させるためには、何百ドルも出してさまざまなスマートホーム・デバイスを導入することで、全体として実現できる快適さをアピールしていく必要がある。

スマートホーム・デバイスに統合的なシステムや、あるいは標準プロトコルを持たずに相互通信が行なえような状態が続くなら、スマートホーム・デバイスは「おもしろい」存在に留まり、「必要」なものとしてとらえられることはないだろう。複数導入しても便利になったり、節約できるようになるわけではなく、ただ混乱がもたらされるだけといったことになってしまうのだから。

今後はさらなるスマートホーム・デバイスが市場に出てくることが予想される。そしてIoTを意識したアプローチの重要性が増すことになる。Parks Associatesの最新レポートによれば、ブロードバンドを導入している家庭の40%が、1年以内にスマートホーム・デバイスの導入をする予定なのだそうだ。しかしそうした消費者の頭の中でも、スマートホーム・ソリューションの相互連携を大事だとする考えが芽生えつつあるようだ。

前向きな技術開発はいくつも行われており、たとえばZigBeeZ-Waveなども、スマートデバイスないしセンサーをIoTで連携させる仕組みを構築しつつある。スマートデバイス分野においては、独自の仕様にこだわるのではなく、IoTで連携するための標準化の上にプロダクトを構築していくことで、消費者はさらに便利に、そしてスマートに利用できるようになる。家庭に設置した各デバイスがリアルタイムで情報のやり取りを行い、そこから考慮ないし対処すべきさまざまな情報が得られるようになる。デバイスの相互接続性が増すことで、スマートホーム・デバイスの普及がさらに進むことになるはずだ。

データの活用範囲は「ホーム」を超えて拡大する

本稿では「スマートホーム」という用語を何度も使ってきた。ちなみに「スマートホーム」と「コネクテッド・ホーム」(connected-home)の違いを意識しているだろうか。「スマートホーム」に重要なのは「データ」だ。有用でわかりやすいデータが消費者に届けられることにより、消費者自身も「スマート」になるのが「スマートホーム」の目的であるのだ。

デバイス間の相互接続性をそれほど意識していなかったものから、徐々に「スマートホーム」を目指して、デバイスが連携してトータルなサービスを提供を目指すデバイスが増えつつあるようにみえる。

たとえばAmazon Echoは、それほどの期待はなかったものの、徐々にその評価をあげつつある。ecobeeEmersonPhilips Hue、さらにはSamsung SmartThingsなどと連携して、さまざまな機能を提供するスマートホームを音声によりコントロールできるようになっている。それにとどまらずUberDominos Pizzaのサービスとも連携することで、「ホーム」を超えたデータ連動の可能性が示されつつあるのだ。

データは使うためにある

現在のところでは、スマートホーム・デバイスについてはIoTを使ってどのようなデータをやり取りすることができるのかということよりも、単体としての機能に注目が集まっている段階ではある。開発者たちやメーカーは、これを次の段階に進める必要がある。データを連動させることによって描かれる未来を消費者に提示していく必要があるのだ。

すでにセンサー技術の発展などにより、屋内外から膨大なデータが収集できるようになっている。しかしそうした情報を消費者に向けて、使いやすい形で提供することはまだできていないのが現実だ。

相互接続の機能もなく、データの互換性もないような状況が続けば、データを統合的に活用するなど夢のまた夢だ。さまざまなデータを活用したいと考える消費者も混乱するばかりになってしまう。さまざまなデバイスで得られるデータを統合して、利用しやすい形で提供することができれば、それは消費者をよりスマートにさせることにつながる。そして消費者は2度の温度調整が家計にもたらす影響を把握できるようになり、外の気候に応じて室内環境を整えることの大事さを具体的に知ることができるようになるのだ。

知ることがさらなる行動につながる。スマートホーム・デバイスに関わる人たちはそのことを念頭におくべきだ。消費者をよりスマートにすることで、データも、もちろんデバイスも広く活用されるようになっていくのだ。

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(翻訳:Maeda, H

「モノのインターネットは、セキュリティの面では悪夢だ」EFFの警告

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Disrupt Newyork 2016で開催された、セキュリティとプライバシーのバランスを見つけるためのパネルディスカッションでは、さまざまな複雑なトピックについて触れられた。顧客のデータを守るための戦略や、より多様なデバイスがインターネットに接続されることによって起こる大きなリスクなどである。

どのような方法でスタートアップは顧客データを厳重に管理することができるのだろうか?「まず第一に、そのデータにアクセスする方法を持たないことだ」。そう提案するのは、デジタル社会における権利保護団体のElectronic Frontier Foundationにおいてsenior staff attorneyを務めるNate Carzoだ。

企業は政府機関のことを抵抗勢力だと考える傾向が強くなってきているかと尋ねた。するとCardozoは、メッセージ企業たちは顧客データを大量に保持できるために、特にその傾向が強いと話した。

つい先週ブラジルで、メッセージング分野の巨大企業であるWhatsAppが裁判所命令によって一時的にシャットダウンされるという事態が発生した。同社が、データへアクセスする方法を持たないとして現地の法執行機関にそのデータを引き渡さなかったためだ。

「それは映画「Field of Dreams」のような問題です。データを集めれば、彼らがやってくる(同映画のセリフ”If you build it, he will come”を引用した言葉)」とCardozoは話す。彼は加えて、「彼ら」という言葉は「企業を攻撃する人々、組織的犯罪、法機関や諜報機関」など、そのデータに興味を示すであろう多数の機関を意味すると話した。

データを守るための一つの方法は そもそもデータを集めないことです。

「もしデータがそこに存在すれば、あなたはそれを守らなければなりません。もちろん、それを守るための一つの方法は、そもそもデータを集めないことです。いくつかの企業はこれを実行しています。例えばWhatsAppはデータにアクセスする方法を持っていません。それはデータの内容を守るうえではとても有効な手段なのです」。

セキュリティリスクに対する理解がエコシステムに浸透するにつれて、この「ゼロ知識モデル」はテック企業のあいだで一般化するだろうとパネリストたちは語る。

Cardozaは「その理解が浸透してきているように見えるのがAppleの開発ラインです」と語る。「iCloudが今年中にゼロ知識ベースの解決策を採用する、または少なくともオプションとして取り入れるとしても当然でしょう」。

企業のシステム上の脆弱性を探し出す企業、HackerOneのCEOであるMarten Mickosは、テック業界で加速するプライバシーとセキュリティの闘いは、インターネット上のデータの量と種類において「急激なシフトが起こった」結果であると話す。

「私たちが20年前にインターネットを創り出したとき、そこには人を楽しませる物しか存在しませんでした。それが今では、あらゆる物の価値がソフトウェアに支配され、世界とつながっている状態でインターネット上に存在します。そのため、世界中の犯罪組織はそのソフトウェア・システムやウェブシステムを攻撃するようになり、私たちはそれを守る必要があります。それは急激な時代のシフトなのです」と彼は語った。

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「私たちの生活のすべてがオンライン上に存在します」と加えたのはCardozoだ。「それに、、、コンピューター・セキュリティに関して言えば、私たちはまだまだ素人なのです。デバイスを守る方法をかろうじて知っているくらいで、それを始めたのも最近のことです。そして、Appleなどの企業がコンピューター・セキュリティに取り組み始めたことで、法執行機関はかつて体験したことのない難題に直面しています」。

パネリストが巨大なリスクとして警告したのは、医療デバイス、投票システム、自動運転システムなどが生まれたことで急に出現した、組み込み型システムにおけるセキュリティの問題だ。

「これまで、それらの企業はセキュリティについて心配する必要がありませんでした。彼らの製品の中にネットワークに接続されたものなど無かったからです」とCardozoは話す。モノのインターネット(もしくは、彼が言うところの「○○○○のインターネット」)の勃興によって生まれたリスクだ。

しかし、それが医療デバイス会社になるとどうか。まったく理解しちゃいないんですよ

「なぜ、あらゆる物にラジオやネットワークを取り入れるのでしょうか?エンジニアを有していてもセキュリティ・チームを持たない企業は、脆弱性に関するレポートにどう向き合えばいいのか理解していないのです。企業内で脆弱性の調査を担当するハッカーやリサーチャーをカウンセリングしていると、私の経験上、巨大なソフトウェア会社の担当者とはすんなりと話が通ります。Appleはそのレポートをどう扱えばいいのか理解しているのです。しかし、それが医療デバイス会社になるとどうか。まったく理解しちゃいないんですよ」。

Mickosは、デジタル・データのセキュリティが一歩進むためには、企業がよりオープンソースを活用することと、外部の助けを借りることでセキュリティ対策の負担を解消することが必要であり、それが今持てる最良の希望だと話した。

「セキュリティに対する古い考え方は、人間こそが問題なのであり、テクノロジーがその解決策になるというものでした。いま私たちが体感しているのは、テクノロジーが問題なのであり、人間こそが解決策なのだということでしょう」と彼は話す。「実際のところ、外部の人々のチカラを借りて、彼らに脆弱性のチェックをしてもらう事こそが、セキュリティ対策の一番の近道なのです」。

パネリストたちは、データのセキュリティと暗号化システムに加わる政治的な圧力についても言及した。それには、先日2人の米国上院議員がソフトウェア企業の製品にバックドアを設けることを義務づける法案を通過させようとした出来事も含まれる。

Cardozoはこう語った。「Burr上院議員とFeinstein上院議員によるバックドア法案を文字通りに受け止めると、あの法案はコンピューターの基本的な目的自体を否定するものだという事になるでしょう。しかし、それが彼らの狙いだったわけではありません。それでは彼らの愚かさを示すだけです。そうではなく、あれは捨て駒による先制攻撃です。彼らは今回の法案を通すつもりなどありませんでした。私たちが本当に心配すべきは、次に出てくる法案なのです」。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Twitter /Facebook

空中に充満している電波をエネルギー源とするIoTやウェアラブルの実用化を目指すDrayson Technologiesが£8Mを調達

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タダのランチやタダのエネルギーはない、と言われる。ところが、必ずしもそうではない。連続起業家として大成功し、イギリス政府の科学大臣でもあったLord Paul DraysonのスタートアップDrayson Technologiesは、高周波(RF)信号からエネルギーを取り出して、一連の低電力消費デバイスの電源にする技術を、商用化しようとしている。

そんなデバイスは、IoT分野の製品も含み、同社の概念実証製品である空気汚染センサーや、それほど電力を必要としないウェアラブルも含まれる。

この”Freevolt“技術をさらに発展させ、より多くのアプリケーションを市場化し、そのために技術をライセンスするとともに新製品を社内でも作っていくために、同社はこのほどシリーズBで800万ポンドを調達した。そのラウンドをリードしたのはこれまでの投資家Lansdowne PartnersとWoodford Investment Management、これに、とくに挙名されない投資家たちや同社のスタッフも参加した。

RFをエネルギー源とする技術が1960年代、あるいはそれよりも前からあることは、Draysonもよく知っているが、ロンドンのImperial Collegeにおける研究をベースとするFreevoltの技術は、従来と違ってかなり高くて安定的なエネルギー効率を実現している。そして現在は、Wi-Fiやセルラー、デジタル放送など、大量のRF電波が、エネルギー利用という見地からは、無駄に放出されている。

具体的には、Freevoltの技術はマルチバンドアンテナと整流器を使用する。つまり同時に複数かつ多方向のRF帯域からエネルギーを取り出すことができる。ほかにも、従来の技術と違って実用性が高いと主張できる要素が、さらに二つほどある。

ひとつは、現代社会、とくに都市部では、ブロードキャストされているRF信号が非常に多いこと。そしてもうひとつは、電力をあまり要しないが電池の交換や充電は不便、というデバイスのユースケースがとても増えていることだ。それは、言うまでもなくIoTの分野だ。Draysonは具体的に、ビーコン、センサー、低電力ウェアラブルなどを挙げ、ソーラーと違ってエネルギー源が可視である必要がなく、むしろ目立たないところに隠れている、と彼は指摘する。

また、彼自身に技術者としての経験と、環境技術への関心がある。たとえば彼は、電気自動車とその無線充電の研究開発に携わったこともある。しかし産業界がFreevolt技術を大々的に採用するためには、今よりももっとエネルギー効率の良いデバイスが、一般的に普及する必要がある。

つまり技術者たちが発想を変えて、もう、‘もっと大きな電池を入れられるスペースを作ろう’とか、‘ユーザーにもっと頻繁に充電してもらおう’、などと言わなくなることが重要だ。言い換えるとRF信号という無料のエネルギー源を利用するためには、その前提として、まったく新しいタイプの低電力デバイスを技術者たちが設計する必要がある。それは、改良の積み重ねによる電力効率のアップと、これまでとは違った新しい設計方針という、二つの側面で進められるだろう。

このような視点に立つと、Draysonが言うように、Freevoltを電源とし、毎日充電する必要のないスマートウォッチは、決して夢物語ではない。人生で最良のものは、本当はすべてタダなのかもしれない。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

ソラコム、シリーズBで24億円を追加資金調達して早くも「同時多発的な」世界展開へ

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2015年9月にIoT向けのMVNOサービス「SORACOM Air」を発表したソラコムが今日、シリーズBとして24億円の追加資金調達したことを発表した。今回の出資ラウンドには既存投資家のWiLIVPに加えて、新たにVCや事業会社などが参加している。出資比率や、新たに加わったVC名、事業会社名、その業種は明かされていない。2015年3月に創業チームの自己資金でスタートしたソラコムは、その3カ月後の6月に約7億3000万円の資金調達をしていたので、創業1年と少しで合計約31億円と、日本のスタートアップとしては大きめの資金調達をしたことになる。

TechCrunch Japanの取材に対してソラコム共同創業者で代表の玉川憲氏は、今回の資金でグローバル展開を加速するという。

半年で2000アカウントと日本では受け入れられた

昨年9月の詳報記事でお伝えしたとおり、ソラコムはNTTドコモ回線を利用して、主にIoT向けのモバイル接続サービスを提供する「SORACOM Air」と名付けたSIMカードを提供している。分類上はMVNO事業者ということになるが、接続サービス提供に必要な各種機能をクラウド上でソフトウェアとして実装している点が新しい。IoTやM2Mで必要となるセキュアな通信サービスや認証サービスなども追加で開発、提供していて、これらをAPI経由で利用して動的な制御が可能にしている。

ちょうどAWSがサーバーやストレージ、ネットワーク機器をソフトウェアで置き換えたり抽象化していったのと同様に、SORACOMは通信キャリアやMVNOが使ってきた専用ハードウェア機器に相当する機能群をクラウド上でソフトウェアで実装したコアプロダクトを持っている。

9月のサービスローンチ以来、半年で約2000アカウント(≒2000社)の開設があり、パートナー社数は約150社となっている。「(無償利用ユーザーが多い)ウェブ系サービスと違って2000アカウントというのは、すべて有料アカウント」(玉川CEO)だそうだ。いったん機器に組み込むと止まらないことから、今のところチャーンレート(ある期間にサービス利用を停止するアカウントの比率)も低いという。

なぜヨーロッパや北米ではなく日本発スタートアップなのか?

まず日本市場から会社(サービス)を立ち上げて、その後にグローバル展開する――、というと、いや、そんなやり方は間違っている、最初からグローバルを目指すべきだという反論が聞こえてきそうだ。それには一理あると思う。

ただ、玉川CEOはソラコムが日本発としてスタートしたのには必然性があったのではないかと指摘する。

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ソラコム共同創業者で代表の玉川憲氏

「日本市場で受け入れられたのには、振り返ってみると2つの要素があったと思います。1つはクラウドのエンジニアコミュニティーがあったこと。もう1つはMVNOのプログラムがオープンになっていたことです。NTTドコモのレイヤ2接続はググッて出て来るぐらいオープンになっています」(玉川CEO)

玉川CEOはソラコム起業前にはAWSのエバンジェリストとして、日本でクラウドコンピューティングの開発者コミュニティーを育ててきた立役者の1人だ。その玉川氏によれば、JAWS-UG(Japan AWSユーザーグループ)のようなコミュニティーが全国にあって活発に情報交換やネットワーキングをしている地域としてはアメリカや日本が先行していて、ヨーロッパはそこまで進んでいないという。

MVNO接続についてはヨーロッパが先行している。シェンゲン協定によって国境を超えたヒトやモノの行き来が活発なヨーロッパでは、国境を超えるモバイル接続サービスが必須だからだ。そうした環境に遅れてはいるものの、日本でも日本通信が風穴を開けたところからMVNO市場が形勢され、多くのプレイヤーを巻き込んで1つの市場を作るまでになっている。その一方でアメリカにはMVNO市場はない。

「クラウド」と「MVNO」、その両方が揃っていたのは日本市場だけだ。アメリカにはMVNOがなく、ヨーロッパではクラウドは弱かった。だから、SORACOM Airのようなサービスが日本市場からスタートしたのは、振り返ってみると必然性があったのではないか、と玉川氏は話す。

しかし、北米市場でMVNOの提携交渉をキャリアと進めていくのに勝算はあるのだろうか?

「日本で下駄を履かせてもらったと感じています。北米市場を最初から攻略するのは大変だったでしょうけど、1年たった今なら通信キャリアとも交渉できると思います」

すでに完成したプロダクトがあるので、AWSのリージョンがある世界14拠点には、そのままSORACOMのコアプロダクトは持っていける。楽天やトヨタ、キヤノン、シャープといった世界的に知られた企業がソラコムのサービスを使い始めて、多くのユースケースが実績として出てきている。さらに、総計30億円強の資金調達をしていることからも「交渉力を得たと思っている」(玉川CEO)という。

同時多発的に世界展開を並行して進める

グローバル展開のターゲット市場については、「同時多発的に並行して進める」という。いま20人になった日本拠点チームは広報、マーケ、セールス、エンジニア、オペレーション、カスタマーサービス、経営チームと一通りそろっていて、「こうした自律的に活動していけるチームを拠点ごとに作っていくことになる」という。これは玉川CEOがAWSで経験したグローバル展開をなぞっている。日本企業がよくやるように現地法人に日本人を送り組むようなやり方ではなく、各地のクラウドやモバイルといった産業で活躍してきた人材を集めていく。

「テクノロジー企業でグローバル展開するとき、人材採用はしんどそうだと思っていました。どのぐらい優秀な人に入ってもらえるか? という不安です。でも最近採用を始めてみて、悲観することはないという感触を得ています。優秀な人たちは、その企業が日本企業かどうかとかなんて気にしていないんですね。テクノロジーが良いかどうかをみんな見ています。これは嬉しい誤算でした」(玉川CEO)

各地でのエバンジェリズムの重要性も玉川CEOは指摘する。

「良いものを作れば勝手に売れるとか、自然と使ってもらえるとは思っていません。放置していると広がらないのです。デベロッパーマーケティングや広報も必要です。地道なエコシステム作りには現地でのチーム作りが大事です」

「これはAWSの経験で分かっていることですが、ちゃんとエンジニアがいることも大切です。手強いお客さんのところに一緒に行って信頼感を得るとか、深いフィードバックを得られますから」

新規に各市場を開拓していくとはいえ、既存M2M市場の置き換えなど見えている需要もある。「クルマや建機管理などM2M市場は日本だけで500〜1000万回線あるのですが、ヨーロッパと北米には、それぞれその10倍くらいずつ回線があります」

グローバルプットフォーム創出を目指す

SORACOMはプラットフォームなので、グローバル展開というときには同じ製品を各市場で売るという以上の意味がある。どの事業者がどの国で契約しても同じSORACOMが使えるというグローバルモバイル通信サービスが実現するからだ。

「契約すれば、どこでも使えます。より多くの国、より広い範囲でやっていきたいので各国のキャリアに声がけしていきます」

「グローバルにビジネスをやってる日本企業の顧客の要望は、グローバルで共通して使えることです。以前だと現地でデーターセンターはどうするの? ボルトの形状も違うよね、ということがあったのが、AWSで展開しやすくなりました。同様に、いま個別で交渉や契約しているモバイル通信でグローバルで使いやすいものを提供します」

2016年中に日本以外に拠点を1つは開設して、グローバルサービスを出すというのが直近の目標だそうだ。

Bashoが時系列データ専用NoSQLデータベースRiak TSをオープンソース化してIoTへの浸透をねらう

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世界中のありとあらゆるデバイスメーカーが、自分たちの製品をインターネットに接続しようとしているように、思える。ベッド用のマットレスも、洗濯機も、トースターも、そしてジューサーも〔冷蔵庫も〕。大量のデータが空中や線上にあふれ出て、分析されるのを待つ列に並ぶだろう。

そのようなデータは今後増加の一方で、それを送信する能力は、最近1億5000万ドルを調達したSigFoxなどの企業によって徐々に整備されていくが、しかしながら今の分散データベースのアーキテクチャの多くは、市場が求めるそんな帯域にマッチできるほどの、高速なデータ処理と出力の能力を持っていない。

シアトルのBashoは、同社のNoSQLデータベースRiak TSの最新リリースで、そんな問題の一部を解決しようとしている。TSはtime-series(時系列)の頭字語で、データのユニークなキーヴァリューがタイムスタンプであり、それはそのデータが作られた日時を指している。TSシステムはこれまでもBashoのエンタープライズクライアント(Uber, AT&Tなど)にしばらく使われてきたが、今回のオープンソースリリースによって、そんなデータタイプを初めて扱うデベロッパーでも、気軽に利用できるようになった。

MongoDBやDataStaxなどの同業企業と違ってBashoはこれまで、わずか2500万ドルの資金しか調達していない。明らかに同社は、時系列データを扱うという独自性が、NoSQLデータベースの業界で強力な差別化要因になる、と信じている。

今回のニューリリースは、ApacheのクラスターフレームワークSparkを統合し、SparkとRiak TSにおけるインメモリ処理のためのデータの、自動的分散化と対話をサポートしている。

多くの人にとってこれは些細なことと思えるかもしれないが、センサーからの大量の時系列データを扱う者にとっては、大規模な分散化データが、コンピューターの実動時にすら、長いリード/ライト時間の原因となり、分散化による冗長性が効率を殺してしまう。

ソリューションとしては、ハッシュランクを使ってデータのキーをデータクラスター全体にわたって均一に分散するやり方が多い。それによって、大規模なノード集合全域にわたる同じタイムレンジからのデータを効率的に入力するが、一方でレンジへのアクセスが高負荷な操作になる。

BashoのCEO Adam Wrayによると、Riak TSが使っているユニークな分散化システムはユーザーに、タイムスタンプのある、あるいはそのほかの連続的な、データの処理における有利性を与える。

“われわれはデータの配置を最適化し、特定のノードが特定のレンジのデータを得るようにしている”、と彼は語る。つまりこのような配置によって、一定のタイムレンジからのデータのフェッチが、より少ない操作ですむようにしている。

新しいリリースのREST APIによって個々のデベロッパーが利益を得るだけでなく、Bashoがエンタープライズの世界で歓迎される要因は、Riak TSの、既存のSQLデータベースコマンドとの互換性だ、と彼は考えている。

“それは正規のSQLコマンドであり、一部のCQLや、SQLのわれわれ独自の変種ではない”、とBashoのCTO Dave McCroryは述べる。“われわれは、人びとがいちばん多く使いたがる従来的な操作をサポートする”。

たしかに、いちばん多く使われているSQL操作をサポートすればレガシーユーザーやエンタープライズの多くにとって魅力的だが、多くのエンタープライズユーザーはSQLプラットホームの上に内製のカスタムソリューションを乗っけており、それがエンタープライズ世界におけるRiak TSの広範な採用を妨げるかもしれない。

Riakのノードは仮想と物理的、両方のマシンにまたがって分散化でき、またMicrosoftのAzureやAmazon Web Servicesなどのプラットホーム上の、クラウドインスタンスの上でもそれは可能だ。

Bashoの主張によると、時系列データの処理では、Riak TSの方がApacheのNoSQLデータベースCassandraなどよりも50%は速い。本誌TechCrunchはこの主張を検証していないが、今回オープンソース化されたことにより、Rial TSシステムのパフォーマンスゲインは多くのユーザーにとって明らかになるだろう。

このシステムが内包している強力な事故回復力が、エンタープライズユーザーたちのデータベース乗り換えの十分な動機になるか、それはまだ分からない。Riak TSでは各クラスターが同一データのコピーを三つ抱えるので、マルチクラスターのリプリケーションが天文学的な数の操作になることもありえる。しかし十分なスケーラビリティがあれば、これによって高いアップタイムと低い誤り率が保証される。ただしそれに要する費用は、小さな企業が尻込みするほどの額だろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

インターネットに接続されタッチスクリーンのある冷蔵庫、SamsungのFamily Hub Refrigerator

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自分はSamsungの役員たちが会議をしている部屋の壁にとまっている蝿だ、としばし想像しよう。そうすると同社のFamily Hub Refrigeratorの偉大さが、分かるかもしれない。

スマートホームのブームに乗り遅れるべきではない、と誰かが言う。まずキッチンをディスラプとするのだ…こうして同社はIoTの競争レースに参加する。そしてたしかに、このスマートな〔電脳式の〕冷蔵庫の随所に、決して軽視すべきではないものがいくつかある。

まず、ドアの内側にはカメラが三つあって、ドアを閉めるたびに冷蔵庫の内容を撮影する。それらはワイヤレスでインターネットに接続され、Family Hubのオーナーはモバイルのアプリから冷蔵庫の中身を確認できる。

スーパーで、天井のライトがジージー鳴っていたり、香辛料の陳列棚が圧倒的に長かったりすると、ぼくはいつも、頭の中のショッピングリストの半分は忘れてしまう。そんな人間にとって、スマホから冷蔵庫の中身を確認できる機能はありがたいと思う。

この冷蔵庫の最良の機能かと思われるカメラにも、欠点がある。まず、三つの棚の上のものしか分からないし、ドアポケットは全然分からない。

しかし、これらのカメラは実は、この’Hub’を名乗るスマート冷蔵庫のメインイベントの、脇役にすぎない。この製品が今年のCESに登場したとき、メディアはそれを、‘ドアにタブレットがある冷蔵庫’と呼んだ。

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今日(米国時間5/5)ニューヨークで行われたプレスイベントで同社は、“それ以上のものだ”、と主張して、その汚名を雪(そそ)ごうとした。

Samsungの連中は、家族(family)、食品(food)、娯楽(entertainment)という三つのねらいを強調した。会議室の役員たちがentertainmentでなくfunを選んでいたら、‘三つのF’になったのに、残念だね。

冷蔵庫のドアのスクリーンは、画像やメモやカレンダーを共有するためにあるものだから、“家族”(ファミリー)の要素だ。“食品”は、冷蔵庫だから当然。そして“娯楽”は、内蔵のスピーカーからPandoraなどのサードパーティアプリが提供するし、SamsungのスマートTVのビデオも見られる。

Samsung Family Hub Refrigerator

たしかにFamily Hubは、タブレットを組み込んだ冷蔵庫以上のものかもしれないけど、でもふつうのタブレットで十分間に合うところに、なぜ冷蔵庫にわざわざスクリーンがあるのか、それを納得するのが難しい。娯楽はもちろんだが、食品のオーダーもFresh Directのようなアプリでできる。

この製品のローンチのときにも書いたが、ふつう冷蔵庫のライフサイクルはタブレットのそれよりずっと長い。タブレットなら最新の機種に買い換えればいいが、冷蔵庫のドアについているスクリーンの、最低限のタッチインタフェイスと、いつまで付き合うことになるのか…、と考えてしまう。

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もちろんアップデートはあるだろう。それはインターネットからでも、あるいはドアの後ろに隠れているUSBポートからでもできる。しかしオペレーティングシステムに基本的な制約がある。それは、Samsungが長年しまっていたTizenだから、アプリがきわめて少ない。同社は今後のアプリの充実を約束しているが、それらはユーザーがアプリストアから自由にダウンロードするのではなく、質問に対してオプトインしたユーザーの冷蔵庫に勝手にインストールされる。

インターネットへの接続をベースとする機能は、今後もっと、消費者への説得力のあるやつが増えるのかもしれない。たとえばリモートのモニタリングとか。でも現状を見たかぎりでは、目先の関心に訴える新奇な製品の域を出ない。そんな、単なる‘おもしろ製品’でありながら、お値段は5800ドルからだ。でも、それを本当に便利と感じた人は、今日すぐに買うべきだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftがイタリアのIoTプラットホームSolairを買収、Azure IoT Suiteに起用か

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Microsoftが今日(米国時間5/3)、2011年に創業されたイタリアのIoT企業Solairを買収した、と発表した。それは、格納式の日よけを作っている合衆国のSolair社ではない。

Solairはすでに、MicrosoftのクラウドコンピューティングプラットホームAzureを使ってサービスを提供しているので、Microsoftがその技術をAzure IoT Suiteに統合したいと考えても不思議ではない。しかし今のところは、Solairに関するMicrosoftの計画はよく分からないし、ただ声明文で“彼らの技術と才能はすばらしい…彼らをMicrosoftのチームにお迎えすることは喜ばしい”、と言っているだけだ。

買収の価額等条件は、公表されていない。

Solairはまだ知名度の低い企業だが、すでに多様なクライアントを抱え、その中にはイタリアのエスプレッソマシンのメーカーRancilio Groupや、食品加工機械のMinerva Omega Groupなどがいる。

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MicrosoftのPartner Director for Azure IoT、Sam Georgeはこう語る: “Solairは、顧客が彼らの未使用データを有効活用してIoTによる新しいインテリジェンスを作ることを、われわれがお助けする、という弊社の強い意思を共有している。そして今回の買収は、エンタープライズのためのもっとも完成度の高いIoTを提供していく、という弊社の戦略を支える”。

Solairは、IoTシステムの構築に必要なほとんどすべてのツールやサービスを提供しており、その中には、データ収集のためのゲートウェイや、カスタムデプロイメントのためのエンタープライズプラットホーム、既存のサービスとの統合、などがある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

IoTに投資(あるいは起業)するのは今がチャンス?!

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編集部注:本稿はTim Chouによる。元Oracle On Demandのプレジデントであり、スタンフォードでコンピューターサイエンスのレクチャーを行い、またIoT Track of the Alchemist Acceleratorの議長も務める。

2004年に、私は最初の著書となる『The End of Software』を上梓した。当時はOracle On Demandのプレジデントであった。当時生まれたこのビジネスは数年をかけて10億ドルを稼ぎだすクラウドビジネスに発展した。そのような時代にあった私は『The End of Software』の中で、ソフトウェアは「サービス」として提供されるべきである経済面から期待される必然的な動きについて論じたのだった。

例として私は、サービスとしてのソフトウェアを提供する4社を検討した。VMwareSalesforceNetSuite、そしてOpenHarborだ。この時代にあって、Salesforceは未だ売り上げが8600万ドルという状況だった。ただ、この4つをとりあげた私も、時代を正しく予見していたというわけではない。4つのうち3つは押しも押されぬ大企業となり、エンタープライズソフトウェアの新世代を担うこととなったのだった。

そしてそこからさらに12年が過ぎ、第二世代エンタープライズソフトウェアは最盛期を迎えた。CRMやERPは当然のものとなり、ソフトウェアを購入すればほとんどがクラウドサービスとして提供されるようになっている。第二世代で、エンタープライズソフトウェアはその「完成形」となったのだろうか。

そういうわけでもないと思う。第二世代ソフトウェアの登場により、コストは下がり効率はあがった企業も多い。しかし私たちの住む世界の様子を変えるにはいたっていないと思うのだ。エネルギー、水、農業、交通、建築業界や健康問題について、当時生まれた第二世代エンタープライズソフトウェアは大した成果を示さなかった。ようやくそれが変わりつつあるように思うのだ。

工業機械やその他さまざまなモノたちは、センサーを搭載されてそれぞれが繋がるようになってきている。前CiscoのCEOであるJohn Chambersは2025年までに5000億のデバイスがインターネットに繋がるようになると語っている。風力タービンについてみれば、10万台がすでに400個のセンサーを搭載して5秒毎にデータを取得するようになっている。この数は今後ますます増えていくことは間違いない。

人のためのモノではなく、モノのためのモノを作るつもりなら、すぐに取り掛かった方がいい。

これまでも、デバイスを繋いでデータを収集したり、それを分析したり何らかの知見を得たりするミドルウェアやアプリケーションは存在した。しかしこれまでは、そうしたすべてを活用するのが「人間である」という前提になっていたのだ。人のインターネット(Internet of People)の時代だったのだ。しかしようやくモノに注目が集まってきた。モノは人のいないところにも存在する。モノの方にこそよりたくさんの「伝えたいこと」があるはずで、しかも人間よりもはるかに雄弁に語ることができる。Joy Globalの振動センサーを搭載した採掘マシンは、1秒間に1万回もデータを取得するのだ。エンタープライズアプリケーションやミドルウェア、分析ツール、などがモノを繋ぐことにより、より正確な採掘ツールを構築することができるのだ。きっと交通、健康管理、建築、発電、水や農業を巡る問題についても新たなソリューションを産んでいってくれることだろう。

すでにこの分野で走り出している企業もある。GE Softwareは2011年に10億ドルの資金を集めて設立さた。CEOのJeff Immeltは、産業用の機械がより一般的なものになっていく中、GEはソフトウェアおよびアナリティクス企業として成長していくと語っていた。Immeltは2020年までにソフトウェア関連ビジネスで150億ドルを稼ぎだすと言っていた。GEはそのためにGE DigitalのCEOであるBill Ruhを中心的な担い手としてPredix という新しいソフトウェアプラットフォームを構築した。

またPTCに関していえば、4億ドル以上を投じてM&Aのみちを突き進んでいる。ThingWorxを1億1200万ドルを投じ、ColdLightを1億500万ドルで買収した。Axedaは1億7000万ドルで買収している。ベンチャーについてみれば、おそらくご存じないかもしれないが、シカゴに拠点をおくIoT系スタートアップのUptakeがSlackやUberを上回ってForbesにおける2015年のHottest Startupに選出されている。4500万ドルを集め、資金調達が後の評価額も10億ドルとなっている。

IoTに投資すべきタイミングというのは、それぞれがはかるものなのだろう。しかしアーリーステージの、あるいはレイトステージでも良いかもしれないが、いずれにしても投資家であるのなら、エンタープライズソフトウェアの第二世代に革命をもたらすこの分野に注目しておいて良いはずだ。また、自身がスタートアップを運営する起業家であり、かつモノのためのプロダクトを生み出そうとしているのなら、ただちにスタートするのが良いだろう。12年もすれば、誕生したスタートアップはVMwareやNetSuite、あるいはSalesforceのような成長を遂げる可能性があるだろう。

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(翻訳:Maeda, H

法律のグレーゾーン解消も支援——官民連携の「IoT推進ラボ」が採択企業を募集

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経済産業省と総務省、民間企業で構成された「IoT推進コンソーシアム」。2015年10月に立ち上がったこのコンソーシアムだが、傘下のワーキンググループの1つである「IoT推進ラボ」の動きが活発だ。

IoT推進ラボのIoT支援委員会は、経営共創基盤 代表取締役CEOの冨山和彦氏を座長とし、外資系を中心としたIT企業の役員、大学教授など24人で構成。2016年1月から2月にかけて、選抜したIoT関連企業に対して、資金援助・メンター派遣・規制改革・標準化の支援を行う「IoT Lab Selection」、観光や製造といった特定テーマのもと、IoT関連企業と企業、自治体などのビジネスマッチングを行う「IoT Lab Connection」、企業から提供されたビッグデータを活用したアルゴリズムの開発競争「ビッグデータ分析コンテスト」の3つの取り組みを進めてきた。

中でもこのラボの取り組みとして特徴的なのはIoT Lab Selectionだろう。第1回のセレクションでは、252件の申請から書類、プレゼンの審査を経て16件のファイナリストを選出している。この16件に対しては、各社の要望にあわせて数千万円の補助金の提供やメンターの派遣などを行うとともに、規制の見直しの支援を行っているという。この規制の見直しの支援というのは、民間だけでは実現できない取り組みといえる。

例えばファイナリストの中でもグランプリに選ばれたLiquidは、指紋を使った生体認証システムを開発している。彼らはこのセレクションに臨むに当たって、訪日観光客を迎えるホテル向けのソリューションの実証実験を行っている。

旅館業法上、外国人観光客が宿泊する際はパスポートの提示と保存義務がある。だがLiquidのソリューションを使えば、外国人観光客がパスポートのICチップ内に保存された個人情報と指紋をあらかじめマッチさせておきさえすれば、ホテルに来た際、指紋認証を行うだけでパスポートの確認が完了するのだという。

だがパスポート情報の電子的な保存はこれまでの旅館業法で考えればグレーゾーン。これに対してIoT推進ラボがこのIoT推進ラボが厚生労働省と掛け合うことでグレーゾーンを解消。その上で実証実験を行うことが可能になったという。このほかにもタクシーメーターアプリを開発するアフロに対しても、計量法上のグレーゾーン解消に向けてラボが経産省内での調整を行ったという。

すでにこういった成果を出しているIoT推進ラボだが、第2回のIoT Lab Selectionも準備中だ。4月15日から5月31日にかけて、参加者を募集。7月にも最終審査を行う予定だ。申請は、IoT推進ラボのウェブサイトから専用の申請書をダウンロード。内容を記入した上で、専用のアドレスに送信する必要がある。

支援の対象は、IoT等を活用した先進的プロジェクト実施する法人等、もしくはIoT推進コンソーシアム IoT推進ラボの会員であり、IoT、ビッグデータ、人工知能を活用して事業化に取り組むプロジェクトであることとなっている。

なおIoT推進ラボでは今後、複数の企業、研究機関などを巻き込んだ中長期的な実証実験「Lab Demonstration」を進める予定。まずは4月28日より実証テーマの募集を開始している。

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100億以上のシャツや靴があなたのスマートフォンに語りかける–アパレルメーカーAvery Dennisonの巨大なIoTプロジェクト

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Fortune 500社のAvery DennisonとIoTのスタートアップEVRYTHNGが、アパレル産業に活を入れるためのでっかい契約を結んだ。今後3年間で作られる100億点以上のアパレルやフットウェアに、ユニークなデジタルIDとデータプロフィールを付けるのだ。

両社の主張によると、これは、一つの契約でIoTによりインターネットに接続される製品の数としては、最大である。EVRYTHNGはこれまでの3回のラウンドで1450万ドルを調達している。投資家はAtomico, Dawn Capital, Ciscoなど計6社だ。

これは、物のインターネットが巨大化するとこうなる、という最初の例だ。

しかし、それが一体どういう意味を持つのか? その意味とは、世界最大のファッションや実用アパレルのブランドの100億の製品がユーザー(消費者)のスマートフォンに接続して、アプリやサービス動かす、ということだ。

それによって企業は顧客により深くエンゲージできる(関われる)だけでなく、消費者が自分の製品と対話して個人化されたデジタルのコンテンツやサービスを開き、そこからさまざまな景品(サードパーティ製アプリなど)や特典等々をもらえる。

企業側に豊富な可能性が開けるだけでなく、これからはシャツ一枚買うことが、これまでよりもちょっとおもしろくなる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

薬の服(の)み忘れをインターネットがアラートしてくれるPillDrill、家族も安心

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[筆者: Brian Heater]
ヘルスケアシステムの革新を目指す戦いは、大きな体制的問題に気を取られ、小さなものを見過ごしがちだ。しかし、毎日複数の薬を服(の)まなければならない人が、つねに正しく服んでいけるための工夫はこれまでのところ、ドラグストアに売っている、曜日の書かれた大きなプラスチックの箱しかない。

発売が5月で今予約を受け付けているPillDrillは、インターネットに接続されたシステムで、小さなハブがNFCのタグをスキャンすることによって、毎日の服用をチェックする。デバイス本体にはディスプレイがあって、服む時間になったらアラートする。

ユーザーは薬を服むときタグをスキャンし、次に、服用後の気分を表すMood Cube(上図サイコロ状)をスキャンする。オプションのPillDrillを使って、服用のスケジューリングをしたり、あるいは友だちや家族などがリモートで当人の正しい薬服用をモニタできる。

PillDrillのシステムは、ハブと錠剤入れ、12のスキャン用タグ、そして前述のMood Cubeから成り、立ち上げ価格は199ドルだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

FLIRとMovidiusが使ったスマート感熱カメラはより高度なIoTの姿を予見させる

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今年で38歳にもなるFLIR Systemは、高度な、そして小型の感熱画像センサーとカメラを作って、モバイルのスタートアップたちがひしめくコンピュータビジョンの世界に独自の足場を固めている。その同社が今朝(米国時間4/18)、Boson Thermal Cameraという新製品を発表した。Bosonは小型の感熱カメラで、さまざまな用途がありえる:

  • 熱画像の撮影—80年代のシュワルツェネッガー主演映画「プレデター」でおなじみのやつ。
  • セキュリティやマーケティングのための顔認識
  • 歩行者認識(人数を数えたり、彼らの動きや活動を検出する)

MovidiusのJack Dashwoodによると、もっともっといろんなことができる、こういうカメラをソフトウェアで操作すれば、インターネットで悪評を浴びたCSIのズーム技術みたいなことでも、という*。〔*: CSI、テレビの人気連続刑事ドラマCrime Scene Investigation(現場科学捜査)。〕

製品の機能はともかくとして、ぼくはBosonに二つの点で関心を持った(誰もが愛するプレデターの視界を除いて)。ひとつは、小型化がさらに進んでいるので、対話的なアイウェア(eyewear, 眼鏡)への応用がありそうなこと。第二に、Bosonはプロセッサーを内蔵していることだ。それは、SoC, system-on-chipと相並ぶSoS, System-on-Sensorという新しいトレンドだ。

小型化

Bosonは、FLIRの前の機種TAU 2に比べて、サイズは半分、体積は1/10、重さは1/7、電力効率は2倍だ。今回の小型化は、Movidiusとのパートナーシップで可能になり、同社製のMyriad 2チップを使っている。Movidiusの小さな12コアの低電力消費プロセッサー(本誌記事)により、Bosonは前よりもずっと小さくなった。

そのために対話的なアイウェアやスマートグラス、ヘルメットなどへの装着が可能になり、それらのウェア自身も小型化と効率化が可能だ。これまでのヘッドアップディスプレイは、不格好でばかでかいだけでなく、そのために機能にも性能にも制限があった。

Tau 2 vs Boson

System-on-Sensor

もうひとつ重要なのは、System-on-Sensor(システム内蔵型センサー)という、新しいトレンドが予見されることだ。つまりプロセッサーを内蔵できるだけではなくて、センサーにいろんな新しい能力を実装できる。たとえば12コアのMyriad 2チップなら、Boson自身が画像を処理して結果(熱画像情報)をユーザーに提供できるだろう。顔認識アルゴリズムを、Boson自身がリアルタイムで実行することもできる。クラウド上などの別のサブシステムに処理をオフロードしなくてもよい。

低電力だからやれることに限界はあるが、でも一般にこういうSoSチップは今後のIoT(Internet of Things、物のインターネット)の能力を一段と高めるだろう。センサーがシステムをあらかじめ持っていれば、ほかの機器等とのネットワーキングもわりと簡単にできるようになる。

Peter Diamandisが唱える、10年後の一兆個のセンサーが支える経済が実際に訪れるなら、それはまさに、こんな現場&リアルタイムなカメラの上でニューラルネットワークが動き、情報を“記録する”のではなくて、“情報に対応して何かをする”世界だろう。小型の熱カメラ自体は小さな進歩でも、BosonとそのSoSは大きな未来を予見させてくれる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))