Microsoft、$26.2B〔3兆円〕でのLinkedIn買収の完了を発表

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MicrosoftのLinkedIn買収は今週に入ってEC〔欧州連合〕からの承認を受けた。これを受けて両社は今日(米国時間12/8)、Microsoftによる262億ドル〔2兆9800億円〕でLinkedIn買収が公式に完了したこと発表した

Microsoftがこのプロフェッショナル向けソーシャルネットワークを買収しようとしている情報は6ヶ月前から報じられていた。

社内向けメモでLinkedInのCEO、Jeff Weinerは両社が共同できる分野を挙げ、同時にそれ以外の分野では両社は従来通り独立して運営されることを述べている。このメモは記事末にエンベッドした〔原文参照〕。

現在LinkedInは4億人の登録ユーザーを持ち、専門職向けソーシャルネットワークとしては世界最大だ。ユーザーはLinkedInを通じて同業ないし同様の企業の人々との交流を図っているが、同時に求人、求職のチャンネルとしても利用している。今週、われわれが報告したように、LinkedInはこの分野における「支配的地位」を保っているため、Microsoftは いくつかの点でECに譲歩せざるを得なかった。つまりLinkedIn以外の他のソーシャルネットワークがMicrosoftのプラットフォームを通じてOfficeプロダクトなどを利用するを妨げないようにすることを認めた。

Microsoftがこうした条件を飲んだということが、MicrosoftのLinkedI買収における意図の一部を示している。簡単にいえばMicrosoftはLinkedInのユーザーにMicrosoft製品を売り込み、さらに企業に関して人事管理のような重要分野でのMicrosoftのソフトウェアの利用を促進することが狙いだと思われる。

Microsoftはこれまで特定のソフトウェア・プラットフォームと無関係な独立したソーシャルネットワークとは無縁に近かった。もちろんYammerとSkypeには多額の投資をしており、こうしたプロダクトがエンタープライズ・ユーザーのコミュニケーションを効率化できるよう努力していた。今後Microsoftがこうした努力をLinkedInの買収でどのように発展させていくのか注目だ。

TechCrunchではこの件に関してさらに取材中だ。【LnkedInの社内向けメモは原文参照】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Facebook、マイクロソフト、Twitter、YouTubeが「テロリスト・コンテンツ」排除で協力

Facebook CEO Mark Zuckerberg speaks at the company's headquarters in Menlo Park, Calif., Thursday, April 4, 2013. Zuckerberg says the company is not building a phone or an operating system. Rather, Facebook is introducing  a new experience for Android phones. The idea behind the new Home service is to bring content right to you, rather than require people to check apps on the device.   (AP Photo/Marcio Jose Sanchez)

Facebook、Microsoft、Twitter、YouTubeの4社は今日(米国時間12/5)、テロリスト・コンテンツがネットで拡散することを防ぐ対策で協力していくと発表した。4社は、協力して業界共有データベースを作り、各サービスで削除された「最も過激で悪質なテロリスト画像およびビデオ」を登録することによって該当コンテンツの識別に使用する。

このデータベースのしくみについてFacebookがニュースルームの発表記事に書いている。コンテンツは一意のデジタルフィンガープリントを使ってハッシュすることによって、識別、削除の効率を高める。

ハッシュされた画像のデータベースを使用する方法は、現在児童ポルノ摘発にも使われている。その本質はコンテンツに一意の識別子を与えることにあり、そのコンテンツがコピーされた場合にも同じハッシュ値が生成される。著作権付ファイルの識別にも類似のシステムが使われている。

しかし、この新プロジェクトがこれまでと異なるのは、テロリストの画像やビデオがデータベースと一致したとき、自動的には削除されないことだ。それぞれの会社は、自社のポリシーに沿ってコンテンツを削除する方法と時期、および何をテロリストコンテンツと判断するかを決める。

これは検閲に対する苦情を抑える一方で、会社の対応が遅れれば画像やビデオが削除される前に拡散、閲覧されてしまう可能性があることを意味している。

Facebookは、個人情報を共有しないことも公表しているが、収集しないとは言っていない。政府が法的手段を用いて、コンテンツがどのアカウントから投稿されたか等の情報を入手する手段は従来のまま残されている。そうした政府の要望にどう対応するか、いつ要望を公表するかについては、今後も各社の判断に任されている。

新たなデータベースは、各サービスがテロリスト画像・ビデオを発見しハッシュされたデータをこの共有リソースに加えていくことで継続的に更新される。

この取り組みは有力ソーシャルネットワークによって始められたが、大きな目標はこのデータベースを他の企業も利用できるようにすることだとFacebookは言っている。

「われわれが各社のポリシー実行し、ネットに氾濫するテロリストコンテンツの世界的問題の抑制に役立てることによって、この協業がさらに効率のよい方法につながることを願っている」と記事は言っている。

最近ソーシャルメディアでの嘘ニュースの拡散が問題になっていることを考えると、この新たな協業は、他の進行中のプロジェクトでも企業が協力していく道を作る可能性も秘めている。

偽ニュースの問題は、ソーシャルメディア全体にダメージを与え、この種のコンテンツと戦う上で企業が果すべき役割について疑問が投げかけられた。中には、企業はニュースの裁定人でもなければ物事の善悪を判断する立場にもない、と主張する人もいる ― 企業自身も責任を回避するために「無能」なプラットフォームでいることを喜ぶかもしれない。

しかし、今日のウェブに与えている膨大な影響を踏まえ、各企業は自社プラットフォームでシェアされるコンテンツに責任を持たざるを得なくなることを認識しはじめている。今やそのコンテンツは、テロリストの行動から人々がどう世界を理解するか、さらには世界規模の政治まで、あらゆる物事に影響を与える力を持っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

これが来年Windows 10 VRを楽しむために必要なスペックだ―意外にハードルは低い

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来年登場するWindows 10 VRのハードウェアのスペックが判明した。ハードルが意外に低かったことにわれわれは喜ぶべきだろう。これなら拡張現実は広い範囲に普及可能だ。大手ハードメーカーがサードパーティーとしてヘッドセットを開発しているが、価格は299ドルからと大いに手頃だ。

またこれを作動させるために必要な平均的パソコンのスペックも明らかになった。The Vergeは「必要とされる能力はさして高くない」としているが、朗報だ。

マイクロソフトはWindows Holographicイベントでテスター向けのVRモジュールを組み込んだプレスリリース版Windows 10を発表した。このバージョンのWindows 10が作動する最低限のハードは、4GB以上のシステムRAM、 USB 3.0 port、DirectX 12(これも高度な要求ではない)をサポートするグラフィックカード、クオドコアCPU(ハイパースレッディングをサポートするデュアルコアを含む)だという。

エントリー・レベルのVRヘッドセットが手の届きやすい価格になることに加えて、これに接続させるパソコンも特に高度なものである必要がないことがわかった。ソニーからはPSVRのロールアウトが続く。GoogleのAndoroidにおけるDaydream VR サポートと合わせて、2017年はVRが本当にブレークする年になりそうだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MicrosoftがLinux Foundationに参加

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もはや、オドロキではないかもしれない。Microsoftの今日(米国時間11/16)の発表によると、同社はLinux Foundationに、会費の高いプラチナ会員として参加する。

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Linux Foundationの事務局長Jim Zemlinは、同団体とMicrosoftとの関係の歴史について語り、こう言った: “みんなにとっては意外かもしれないが、彼らは決して、うちの大ファンじゃなかったんだよ”。

しかしSatya NadellaがCEOになってからのMicrosoftは、これまでとはまったく違う歌を歌っている。今のMicrosoftは、オープンソースの最大の寄与貢献企業のひとつだ。最近のわずか数年間で、同社はCanonicalのUbuntuディストリビューションを実質的にWindows 10に組み込み、SQL ServerのLinux版を出し、.NETプラットホームの中核的部分をオープンソース化し、Red HatやSUSEなどとパートナーした。そしてZemlinも指摘するように、Microsoftは、Linux Foundationが管理するプロジェクトの多くに寄与貢献してきた。それらは、Node.js, OpenDaylight, Open Container Initiative, R Consortium, Open API Initiativeなどなどだ。

それにも関わらず今日の発表は、多くの人びとにとってオドロキだろう。過去には、MicrosoftとLinuxは犬猿の仲だ、と言われていた。Zemlinもこう言う: “オープンソースには反体制という感じ方がある。それも当然だ”。だから彼によれば、これまでも大企業がオープンソースをやり始めると、今回のような反応があった。でもしかしMicrosoftには、“すでに(オープンソースの世界における)長年の実績があるからね”、と彼は指摘する。

年会費50万ドルを払うLinux Foundationのこれまでのプラチナ会員は、Cisco, Fujitsu, HPE, Huawei, IBM, Intel, NEC, Oracle, Qualcomm, そしてSamsungだ。GoogleやFacebookなど10数社の主要なオープンソース企業が、ゴールド会員だ。

AzureチームのアーキテクトJohn Gossmanが、Linux Foundationの取締役会に加わる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoft、AI開発でイーロン・マスク、ピーター・ティールらが後援するOpenAIと提携

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OpenAIは 人工知能研究のための非営利会社で、Teslaのイーロン・マスク、Y Combinator のサム・アルトマン、ドナルド・トランプのファンとしても知られるピーター・ティールを始めとしてテクノロジー界の大企業、著名人がスポンサーとして加わっている。今日(米国時間11/15)、この急成長中のテクノロジーに力を入れ始めたMicrosoftがOpenAIに加わったことが発表された

OpenAIはまたMicrosoft Azureを推薦するクラウド・プラットフォームと決定した。その理由の一部は Open AIの既存の人口知能システムがAzure BatchとAzure Machine Learningを利用していることが挙げられる。また人工知能に関してCognitive Toolkitという新しい機械学習のブランドを立ち上げたMicrosoftの動きも一因だ。

Microsoftは強力なGPUベースのバーチャル・マシンに対してデベロッパーにアクセスを提供するとしている。膨大な計算処理の実行が必要な機械学習学習のデベロッパーには朗報だ。MicrosoftのNシリーズのマシンはまだベータ版だが、OpenAIは最初期からのベータ・テスターだった。MicrosoftによればNシリーズの一般公開は12月になるという。

Amazonはすでにこの種のGPUベースのバーチャル・マシンを提供している。奇妙なことに、Googleはこの動きに取り残されている。すくなくとも現在はそのようなサービスを公開していない。

「この提携により、MicrosoftとOpenAIはAIの民主化という共通の目標に向かって力を合わせていく。誰もが利益を受けることになるだろう」とMicrosoftの広報担当者は私に語った。また提携の内容に関して、「「Microsoft Researchの研究者はOpenAIの研究者と共同でAIを前進させる努力をする。OpenAIはMicrosoft AzureとMicrosoftの Nシリーズ・マシンを研究、開発に利用していく。またMicrosoftのCognitive Toolkitのようなツール類も利用するはずだ」と述べた。Microsoftはこの提携に財政面があるのかどうかについてはコメントを避けた。

OpenAIとの提携の他にMicrosoftは今日、Azure Bot Serviceのスタートも発表した。このサービスを利用するとデベロッパーは非常に容易、かつ低価格でボットをAzure上で稼働させることができる。新サービスはいわゆる「サーバーレス・アーキテクチャー」のAzure FunctionsとMicrosoft とBot Frameworkの上で作動する。Azure Functionsは従量制で、ホストされたボットが実際に稼働した分の料金だけを支払えばよい。

画像: mennovandijk/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoft、Visual Studio for Macを今月中旬にリリース

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クロスプラットフォームのコーディングのファンに朗報だ。Microsoft言うところの「.NETとC#のための真にモバイル・ファーストでありクラウド・ファーストであるデベロプメント・ツール」、Visual StudioがMacにやってくる。これは今月ニューヨークで開催されるConnect (); 2016カンファレンスで発表される予定だ。

この動きはMicrosoftのIDEがMacに移植される最新の例だ。Visual Studio for Macに先立ってMicrosoftのクロスプラットフォーム・エディタ、Visual Studio CodeがすでにOS X向けにリリースされている。

MicrosoftはWindowsでの覇権を捨て去ろうとしているのだろうか? 「クラウド・コンピューティング」がいわば「壁に書かれた文字」だ。この予言に従えば、クラウドこそが未来であり、Amazon AWSやMicrosoft Azureは急速にオンプレミスのサーバーを置き換えていくことになる。MicrosoftはDockerやHerokuのようなツールに負けており、プログラマーがWindows環境よりMacBookやVimを使うようになるのも時間の問題だろう。

Hacker Newsのユーザー、BoysenberryPiは、「MicrosoftはAzureその他のサービスで金を稼いでいる。 つまり、その売上は主としてデベロッパーから得ている。そうなるとデベロッパーのコミュニティーに好かれることが最大の関心となる。これがMicrosoftが長年のドル箱ツールを突然Mac/Linux向けにオープンソースし始めた理由だ」と書いている。

Visual Studio for MacはWindowsに極めて近い。またそこがセールスポイントだ。OS X上で作業するユーザーがWindowsとの間で簡単にプラットフォームを行き来できるようにする―プログラマーに対してプラットフォームを意識させないか、あるいはそうでなくてもWindowsをまた使ってみようという気にさせるのがポイントだろう。プレス・リリースによれば、

本質的にVisual Studio for MacはWindows版Visual StudioのmacOS版です。Visual Studioでの開発を楽しんだ経験があるがmacOSを使いたいというデベロッパーにまさにぴたりです。UXはVisual Studioをベースにしていますが、ルック&フィールはmacOSのネーティブアプリとなるようデザインされています。またVisual Studio for Windows同様、フル機能のIDEを必要としない場合は、機能豊富ながらもっと軽いスタンドアローンのコード・エディタ、Visual Studio Codeが用意されています。

Microsoftの開発プラットフォームについてはこちら。こちらにVisual Studio CodeとC#プログラミングについての情報がある。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Dell、2画面のSmart DeskコンセプトでSurface Studioに対抗 ― ダイヤルもある

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アップデート:なんと、このコンセプトは2014年のものだった。しかしDellは、今はこれが実在していて1月のCESでは見られるだろうと私に言った。乞うご期待。

先週Microsoftは、Surface Studioの発表で多くの人々を魅了した。デスクトップとタブレットのハイブリッドで、賢くてスマートなダイヤルインターフェースを備えている。Dellも同じ路線を考えているようだ。なぜなら非常によく似た製品コンセプトを紹介したからだ ― ダイヤルまでも。

Adobe Maxカンファレンスのキーノートに先立って上映されたビデオは、DellのSmart Deskが、Surface Studioと同じような状況で使用されている様子を映し出していた。イラスト、写真、ビデオ編集、両手を使ったメディア操作等だ。

「人の考えは自然なかたちで紙に移せる。しかし、自然に浮かんでくることと、デジタルに作ることの間にはギャップがある」とビデオは説明する。

これを言うのは少々時期尚早だ。Dellのデバイスがまだコンセプトなのに対して、Microsoftは既に早期テスターに触らせているのだから。恐らくナレーションをやり直す時間がなかったのだろうから、言い分は認めておこう。

もちろん全く同じではない。Microsoftのソリューションが、高解像度タッチ&ペン入力タブレットに変形させているのに対して、Dellは2つを分離した。ビデオには2画面構成の配置しか出てこないことから、このタッチスクリーンはアクセサリーであって、スタンドアロンのパソコンではないと思われる。

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上のビデオでSmart Deskが使っているモニターと、別のビデオでに出てくるモニターは違うので、一体化したシステムではなくアクセサリーとして作られていることは明らかだ。Adobeがパートナーであることは間違いなく、このマシンの特徴を生かしたワークフローやレイアウトを両社で協力して考えたのだろう。

来年公開予定のWindows 10 Creators Updateの新機能を利用していることは明らかで、Dellならリリースのずっと前から情報を知っていただろうが、Microsoft Surface Studioとダイヤルインターフェースについて、Dellがどこまで知っていたのかは不明だ。

Dellのプレスリリースによると、Smart Deskは「未来の作業場所のコンセプト」だと説明しているので、仕様、価格等の詳細は残念ながらわからない。おそらくMicrosoftの撒いた餌に誰かが食いつくのを待っているのだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Microsoft、Teamsを発表―Slackの強力なライバルはスレッド化できる企業向けチャット・ツール

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今年はMicrosoftにとって忙しい秋だった。1週間前に大掛かりなWindows Surfaceのお披露目イベントを実施したばかりだが、今日(米国時間11/2)はニューヨークでまた大きなニュースを発表した。MicrosoftはOffice 365への新メンバー追加がひどく自慢だったらしく、公式のイベントの開始に先立って紹介ビデオを公開していた。

今日のイベントもまずはこのビデオからはじまった。「われわれは先週も何かやったような気がするが」といったジョークの後、CEOのサティア・ナデラはステージで新しい共同作業ツールについて紹介を始めた。同社によればこれは「チーム・アート」だという。つまり異なるやり方をする異なるグループがオーケストラのように共同して優れたチームワークを発揮するプラットフォームになるということらしい。

ナデラはTeamsを「チャットをベースにしたワークスペースであり…リアルタイムの共同作業を助けつつ、知識を共有するチームが組織されるようデザインされたツール」と説明した。Teamsアプリは会議、打ち合わせ、記録、計画、そしてもちろんチャットといったさまざまな組織的活動をひとつのプラットフォーム上から実行できるよう工夫されている。

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予想どおり、Microsoftのアプリはチャットのスレッド化をサポートしていた。これによりチャットは話題ごとに自動的にグループ化される。またSkypeと密接に統合されており、Teamsアプリ内から音声、ビデオによる通話が可能になっている。.当然ながら、Microsoftの多数の生産性ツール、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteがTeansと連携する。Office 365 Groupsがアプリ利用のベースとなり、ユーザーはMicrosoftのすべてのアプリの情報を共有できる。

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また高度なカスタマイズができることも大きなセールスポイントだ。ユーザーは自分の使い方に従ってタブ上のクラウド・サービスをデザインできる。またMicrosoft
Botを連携させることができる。もちろんTeamsはMicrosoftの生産性ツールの一環だが、ミレニアル世代といわれるような若いユーザーにうけるような機能を盛り込まなければSlackのような先行ライベルと競争はできない。当然、絵文字、スタンプ、GIF、独自のミームなどによる賑やかなカスタマイズが可能だ。

チャット関連以外の機能は画面上部のダッシュボードの一連のタブに集約されている。OneNoteで書かれたメモだろうとウェブサイトにあったグラフだろうと、ユーザーは簡単に異なる種類の情報を引き出すことができる。多種多様な情報を一箇所に集約し、しかも画面をごたつかせユーザーを混乱に陥れないために優れたデザインだろう。

Microsoftは新しいボット・サービスも導入している。その中にはT-Botと呼ばれる集中ヘルプシステムがある。ボットは情報をクロールしてインデックス化し、さまざまな質問に答えるべく準備している。同様にWhoBotは登録メンバーの情報を管理しており、現実の文脈中で生じた疑問について誰に質問したらいいかユーザーに教えてくれる。

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Teamsは広い範囲のモバイル・デバイスをサポートする。MicrosoftはiOS、Android、それにWindows Phoneのアプリを発表した。デモで見た限りではモバイル版やデスクトップ版を小型化したもののように思えた。

デスクトップ版、モバイル版ともにセキュリティーは重視されている。データの暗号化をサポートし、 EUモデル条項、ISO 27001、SOC 2、HIPAAなどの条項に準拠している。「Microsoftの他の商用サービスと同様、われわれは透明性の高い運用モデルを構築しており、われわれが顧客データに継続的にアクセスすることはまったくない」と発表イベントでMicrosoftは述べた。

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現在Teamsアプリはプレビュー版という位置づけで181ヶ国で利用可能になる。正式な一般公開は来年の第1四半期を予定している。また今日からMicrosoftはサードパーティーのデベロッパーに対してこのアプリを公開した。

製品のローンチと同時にAsana、 Hootsuite、Zendeskなど多数の有名企業がユーザーに名を連ねている。またTeamsはTwitterやGitHubといったポピュラーなサービスからの通知を受け取るように設定できる。

〔日本版〕Teamsはプレビュー版。日本のMicrosoftのページには紹介がまだ見当たらないが、Microsoftブログにプレビュー版を利用可能なユーザー、ダウンロード方法などの紹介がある。 

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

MicrosoftのConcept Graphは言葉や文から概念をつかみ、コンピューターに常識を持たせる

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今日(米国時間11/1)はMicrosoft Researchが、自然言語処理における“知識”という問題の、解へ向かう努力の一環を公開した。同社によると、言葉に対する人間の理解とコンピューターの理解を分かつ最大の要因が、背景的知識とその正しい活用方法の有無だ、という。

Microsoftがこれまで年月をかけて開発してきた知識データベースProbaseが、今度一般公開されるMicrosoft Concept Graphのベースになっている。Probaseは540万の概念を擁し、12万の概念を擁するCycなど、他の知識データベースを圧している。

Microsoft Research's distribution of concepts in the Concept Graph.

Microsoft ResearchのConcept Graphにおける概念の分布

情報が上図のようにすべて結び付けられ、それが、確率付きの解釈と共にテキストの分析を支える。複数の解釈を確率により排除していくやり方は、人間が、「これはないな、あれはないな」と素早く排除しながら自分の結論に達するやり方と、非常によく似ている。

たとえば私が“the man ran from the stranger with the knife”と言えば、あなたなら、男が武装した見知らぬ人から走って逃げている、と解釈するだろう。でもこの文には、男がナイフを手に持って見知らぬ人から走って逃げている、解釈もありうる。しかしながら、(1)〜〜から走って逃げる、は恐怖を含意し、(2)ナイフは恐怖に結びついている、という知識(カテゴリー知識)があれば、あなたの最初の、もっとも単純でストレートな解釈が、いちばん優勢(高確率)になるだろう。それが間違っていた可能性も、あるにはあるけど。

MicrosoftのConcept Tagging Model(概念にタグ付けする方式)は、このことを利用して、テキストのカテゴリーをそれと同じ確率の考えに結びつける。上の例では、ナイフは家庭用品や武器も指すが、しかし文脈としては武器である確率が高く、博物館から盗まれた17世紀のバターナイフではないだろう。

家庭用品や武器は、比較的よくあるカテゴリーだが、博物館の美術工芸品はかなりロングテールだ。Microsoftの大規模なモデルでは、確率の高いものと、極端にありえないものの両方を検討し、その際、属性や下位の文脈、関係などを考慮に入れていく。

今日リリースされたバージョンは、入力されたテキストのありうるカテゴリーのランク(確率ランク)を作る。Microsoftのそういう、初等レベルの概念化能力は、MI, PMI, PMIk, 典型性(Typicality)など他の方法とともに、選好ランクの生成や、適切なカテゴリー付けに利用されるだろう。

今後のバージョンは、彼らの言う“単一インスタンスの文脈付き概念化”の能力を持つだろう。それは、“見知らぬ人”と“ナイフ”を結びつけて、意味を示す。さらに将来的には、チームは“短文の概念化”能力を実現したい、と考えている。それにより、検索や広告やAIにおいて、アプリケーションの視界をさらに拡大するだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoftが次世代型クラウドハードウェアの設計をオープンソース化…コミュニティのコラボレーションに期待

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Microsoftが今日、同社の次世代型ハイパースケール(hyperscale, 自動スケーリング)クラウドハードウェアの設計をオープンソースにし、それをOpen Compute Project(OCP)に寄贈した。Microsoftが2014年に参加したOCPには、Facebook, Google, Intel, IBM, Rackspaceなど、多くのクラウドベンダがいる。これまでの2年間で同社はすでに、サーバーやネットワーキング、データセンターなどの設計をいくつか寄贈している。

同社がProject Olympusと呼ぶこのオープンソース事業は、完成した設計をオープンソースにして寄贈する通常のやり方と違って、設計がまだ最終的な商用化のレベルに達していない。つまり、設計過程にコミュニティがコラボレーションしていくことを、前提しているのだ。

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Azureでハードウェアインフラストラクチャを担当するゼネラルマネージャーKushagra Vaidが、今日の発表声明で述べている: “私たちは、これまでにも、OCP Foundationやオープンソースコミュニティとの密接な協働関係から、非常に多くのことを学んだ。しかしそこで理解した重要なことは、現在のオープンソースハードウェアの開発が、オープンソースソフトウェアほどアジャイルでもなく、頻繁な反復型でもないことである”。そこで、コミュニティに設計への初期的アクセスを与えることによって、Microsoftは“新製品の市場化までの時間を縮小し、投資費用を縮減する”ことを、期待するのだ。

Project Olympusの設計に含まれるのは、新しいマザーボードと、電池内蔵により高可用性の電源装置、高密度ストレージ拡張能力のあるサーバーシャシー、および、複数の(ときに多様な)マシンを載せるサーバーラック群に行き渡る電源配布ユニットだ。既存のデータセンターとその構成のもとで、すぐに使えるために、モジュール性を重視した設計になっている。

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FacebookのOCPサーバー

Open Compute Project FoundationのCTO Bill Carterは、今日の声明文でこう述べている: “Microsoftはオープンソースハードウェアの開発に、新しい時代を切り拓いた。コラボレーションと市場化の方法に新しい姿を持ち込んだProject Olympusは、OCPとオープンソースデータセンターハードウェアの、これまでの歴史になかったものである”。

Microsoftは、FacebookなどそのほかのOCPメンバーと同様、自己のデータセンターにおいてOCPのハードウェアを広範囲に利用している。Microsoftによると、同社が購入したサーバーの90%以上は、OCPに寄贈された仕様に基づいている。OCPを創始したFacebookでは、ほとんどすべてのサーバーがOCPマシンだ。Googleも今年初めにOCPに参加したが、クラウドプラットホームのマーケットリーダーであるAmazonは、まずそもそも、未だにオープンソースに向けての動きがなく、今後についても不明である。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftはSurfaceを買ってくれたユーザーのMacBookを650ドルで下取りする(アメリカのみ、11月10日まで)

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Surface Bookのニューモデルは今週、どさくさまぎれで影が薄くなってしまった。しかしそれもしょうがない。ニューヨークで行われたMicrosoft自身のイベントでは、Surface StudioとWindows 10 Creators Updateと3Dコンテンツの制作という派手な話題に、すべてをさらわれてしまった。それにもちろん、Appleのイベントが追い打ちをかけた。

しかしMicrosoftは、簡単にあきらめる方ではない。今度は、購入時の下取り制度で、MacBook Proの行く手を阻もうとしている。MacBookのユーザーに、Surfaceのペン入力やタッチスクリーンの価値を認めてもらいたいのだ。そこで、Surface ProやSurface Bookの購入と同時にAppleのラップトップを下取りに出す人には、650ドルを進呈する。

これも一種の宣伝企画だが、これまでAppleの一人舞台だったクリエイティブの分野に意欲を示し始めたMicrosoftは、いわば下取りという、ちょっとどぎついギャグで、Appleのラップトップにない、Surfaceのクリエイター指向のアドバンテージを訴求したいのだ。

Microsoftによると、“Surface Pro 4やSurface Bookのユーザーの97%が、タッチ入力を日常的に使っている”、という。Appleが一貫して、コンピューターにはタッチを避けていること、それをせずにTouch Barという、ディスプレイとキーボードのあいだに鎮座する独特の入力方式を新しいMacBook Proでは採用したことに、Microsoftはネガティブのラベルを貼り、あくまでもSurfaceをポジティブとして目立たせたい。

この下取りキャンペーンは11月10日まで、Microsoftのアメリカのストアおよびネット上で展開される。

〔参考: 今のお値段。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftのPaint 3Dはシンプルな3Dモデリング入門アプリ

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不思議な感じがするかもしれないが、Microsoft Paintが再び注目を浴びている。 初代Windowsに導入されてから31年が経ち、Paintはこれまでで最大級の変化をとげようとしている。Microsoftは、未来のハードウェアやソフトウェアで鍵を握ることとなる3Dエコシステムの中心にPaintを置こうとしているのだ。

もしもSurface Studioの素晴らしいハードウェア上にインストールされている、最新バージョンのWindowsに触れる機会があれば、Paint 3Dの堂々とした見た目にも関わらず、その根幹はPaintのままであることを覚えておいてほしい。つまり、Paint 3Dは3Dグラフィックを扱えるようになったとは言え、依然エントリーレベルの画像編集アプリなのだ。

以前のバージョンのPaintに触れたことがある人(恐らくWindowsマシンに触れたことがある人全員)であれば、Paint 3Dをとても身近に感じられるだろう。しかし3D Paintでは、指やスタイラスペンを使って描いたシンプルなイメージに奥行きを加えることができる。

宣伝されている通り、3D Paintは予備知識無しでも簡単に使うことができる。イメージに奥行きを加えるのもボタンをクリックするだけだ。一旦イメージを3Dにすれば、店頭に並んだ360度画像を扱う製品に備えられているスライダーのように、イメージの下部に設置されているアクセスボタンを指でスワイプするだけで、いろんな角度から3Dモデルを確認することができる。

もちろんこれまでのPaintと同じで、最終的な画像の出来は使い手次第だ。そのため、3D空間で絵を描くことができても、それが傑作になるかどうかはユーザーにかかっている。それでもシンプルなイメージを作る場合には、好みのサイズに応じてツールをドラッグするだけで正確に図形を描くことができる。さらにMicrosoftはサードパーティー製の3Dモデルも用意しているので、他のアーティストに難しい部分はお願いして、ドラッグアンドドロップで3Dモデルをキャンバスに加えることも可能だ。

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また、オブジェクトを描き終わった後の飾りつけ用にステッカーも準備されている。例えば、私がデモで作った絵文字の3Dモデルに笑顔のスタンプを貼り付けるといったように、スタンプを使えば3Dオブジェクトに2Dのディテールを付け加えることができる。また、これまで標準装備されていたブラシや塗りつぶしといった色付け機能はそのまま残っているが、サードパーティー製の3Dイメージには上手く使えないので注意してほしい(そもそも私の3D絵文字のハットを赤く塗りつぶす必要はないのかもしれないが)。

そしてPaint 3Dは、他のベーシックな3Dモデリングソフト同様ある問題を抱えている。その問題とは、オブジェクトが2D平面に表示されるため奥行きの感覚が掴みづらく、各オブジェクトの位置を調整するのが難しいということだ。さらに、当然のことではあるが、このアプリケーションには極めて基本的な3D機能しか搭載されていないため、既にCADソフトの知識がある人は物足りなく感じるだろう。その代わりにMicrosoftの狙いは、3Dグラフィックを作ることへの関心を消費者に持たせることにあり、恐らくRemixのソーシャルな側面がこの動きを後押しすることになる。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

Microsoftのあっと驚く入力デバイスSurface Dialを、ちょっといじってみた

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今日(米国時間10/26)ニューヨークで行われたWindow 10のビッグイベントで、サプライズ賞は文句なしにSurface Dialへ行くね。この、世の中の誰もが必要とは思わなかった新しい入力デバイス、100ドルのPC周辺装置は、Microsoftのプレスリリースによれば、“テクノロジーと対話するための完全に新しい方法であり、しかも、もっとも自然で没入的な方法”、だそうだ。

このマーケティング語をふつうの言葉に翻訳すると、一種の専用機であるDialは要するにワイヤレスのノブ(つまみ)であり、ユーザーはそれを回(まわ)していろんなものを調整ないし調節できる。たぶん、あれはできない、これはできない、というものはない。調整という仕事でいちばん分かりやすいのは、画面の輝度やオーディオの音量の調整だろう。

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ただしこのデバイスは、単なる無脳なスイッチではない。Windows 10のCreators Updateと新型PC Surface Studioのイベントでで発表されたということは、同社としてはクリエイティブなツールであることを強力に押したいのだ。だからイベントの主役を引き立たせる、重要なハードウェアでもある。しかも、なかなかすごいのは、さまざまな対応アプリケーションがこのイベントのためにすでに用意されていたことだ。

たとえばジェットエンジンの設計をしている二人の男が、シンプルな3Dモデルの長さの微調整に、このデバイスを使っていた。左に回すと短く、右に回すと長くなる。別の場所では、アニメーターが自分の手首の動きでキャラクターを数コマ移動するのに、これを使っていた。

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ハードウェアそのものは、シンプルだがよくできてる。適度な重さがあり、高級感もある。動きは滑らかだが、うっかり回しすぎることはない。反応は、きわめて速い。ワイヤレスのマウスやキーボードなどと同じ、瞬間的〜同時的な反応だ。Surface Studioのディスプレイにくっつけて、その後外すと、画面には、このハードウェアの代理役が通常のUI成分として表示される。

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このデバイスが画面の広いSurface Stdio向けに設計されたことは明らかだが、そのほかの既存のSurface製品でも使える。ちなみに、この妖精パックのようなデバイスを分解すると、上図の状態になる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Microsoft Surfaceシリーズ専用のワイヤレス入力デバイスSurface Dialは確かにおもしろい

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うん、確かにクールだよ。Windows 10のCreators UpdateバージョンSurface Studioを一緒にしたド派手なプレゼンの中で、Surface Dialはやや影が薄かったが、でもこのワイヤレスのPC周辺装置は、Microsoftの製品を対話的に操作するための、新しくておもしろい方法だ。

‘ダイヤル’という名前と、その姿や形から、使い方などだいたいの見当はつく。このダイヤルは、機能としては一種のワイヤレスのノブ(つまみ)で、そこにいろんなタスクを割り当てられる。今日のSurface Studioのデモの最後の方では、文書の上の手書きの注記を表示したり隠したりする使い方が紹介された。

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このようなデバイスの用途は無限にあるとも思われるが、今日Microsoftが見せたのは、音量と輝度を調節するなどの、単純なものばかりだ。コンピューターと同期させた使い方では、ディスプレイ上にもダイヤルが表示される(上図およびトップ画像)。Surface Studioは画面が広いから、こんな使い方が便利だろう。

お値段と発売時期の発表はなかったが、そのほかのSurfaceデバイス…Surface Pro 3, 4やSurface Book…でも使えるそうだ。ということは、Surface Studioとは別個に買える、ということだろう。でも、発売は遅くない方が良いね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

これがSurface Studioだ―MicrosoftがWindowsイベントでオール・イン・ワンPCと新入力ツールを発表

2016-10-27-surface-studio-event

今日(米国時間10/26)、開催されたWindowsイベントでMicrosoftは新しいオール・イン・ワンPC、Surface Studioを発表した。28インチ、3対2のPixelSenseディスプレイはMicrosoftによればこのサイズで史上最薄だという。CPUはIntel Core、NVIDIA GPU、 2TBのハイブリッドHDD、2.1スピーカーを内蔵する他、ハプティック・フィードバックを内蔵したホッケーパック型のツール、Dialが発表された。

MicrosoftのSurface責任者、Panoss Panayは「ディスプレイのヒンジには独自のメカニズムが採用されており、自由に角度を調節できる。これはコンピューター上でクリエーティブな処理を必要とするユーザーを満足させるはず」と述べた。Panayによればコンピューター操作上の「根本的な変革」だという。

Studioは11点タッチスクリーン、32GB RAM、メカニカルなハードディスクとSSDを組み合わせた2TBのハイブリッドHDDを備え、入出力としては4基のUSB 3.0ポート、イーサーネット、オーディオ、SDスロット、Mini DisplayPortが利用できる(Thunderboltポートはない)。同時に発表されたホッケーパック型の入力デバイス、Surface Dialにはユーザーの手に振動を伝えるハプティック・フィードバックが組み込まれている。クローム製のパンタグラフ状の支持部でディスプレイと連結された長方形の箱型の本体にはスピーカーやHDDが内蔵される。

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Surface Studioのディスプレイは「可能な限りの没入感を与える」とPanayは述べた。画素数は1350万ピクセル、解像度は192 PPIでどの位置から見ても個々のピクセルが判別できることはないという。MicrosoftはこのディスプレイをTrueColorと名付けており、Panayによれば「(クリエーターが)世界を見るとおりに…レンダリングできる」ということだ。

このディスプレイは作業中にカラースペースを切り替えることができる。たとえばDCI-P3カラースペースで作業している映画の製作者はその場でsRGBカラースペースに切り替えてP3をサポートしていない一般ユーザーのテレビで作品がどう見えるか確認することができる。

またこのディスプレイはTrue Scaleという実物大表示を備えている。「このディスプレイは現実世界で1インチのものを1インチに表示できる」とPanayは述べた。つまりA4サイズの紙の印刷物が同サイズでスクリーンに表示される。

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ディスプレイと下部の本体を接続するのは2本のクロームのパンタグラフ式アームで、ヒンジのメカニズムは独特だ。クリエーターはディスプレイを水平近くまで倒すことができる。Panayは「背景に溶け込ませることもできる」と述べたが、kこのディスプレイの大きささを考えるとむしろマーケティングのレトリックに近いだろう。

Studioには「リニア・マイク・アレイ」(linear mic array)が組み込まれており、ユーザーが部屋の反対側にいても音声を拾う。Windows 10のCortanaアシスタントのおかげでStudioはAmazonの人工知能スピーカー、 Echoのような便利さを備えた。

Surface StudioはSurface Penをサポートする。ディスプレイをほぼ水平に倒せるヒンジと組み合わせればグラフィックスのプロには極めて大きな効果が期待できるだろう。後述する円筒形のSurface Dialデバイスも巧妙なツールで、多くのアプリで利用できる。

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ヒンジのユニークなデザインはディスプレイを垂直から水平まで抵抗なく動かすことができる。Surface Pen、実物大表示のTrue Scale機能を組み合わせるとデザイナーなどのクリエーターには理想的なツールとなるという。レイテンシーはほぼゼロでペンはフルスピード動かせる。つまり実物大のバーチャル・ペーパーに自由に絵や文字を描けるわけだ。

ステージ上でPanayはSurface Dialを披露し、使い方をデモした。このホッケーパック式の新しいデバイスは要するにマイクやキーボード同様、入力ツールだが機能はまったく新しい。Dialはキーボードやマウスと同様、グローバル・コントロールだ。つまりWindowsのシステム・レベルで作動する。Dialはマウスと同じようにデスク上に置いて使うこともできるし、上の写真のようにディスプレイにタッチさせて使うこともできる。Dialはそれぞれのシチュエーションに応じて異なる機能を発揮する。スクリーンに載せた場合、周囲にカラースケールをダイアル状に表示し、ユーザーに描画色を選択させる能力もある。オフスクリーンで使う場合Surface DiaはSurface Book、Surface Pro 3、Surface Pro 4で利用できる。

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電子コミックのプラットフォーム、Madefireのファウンダー、Ben Wolstenholmeが壇上でSurface Studioのクリエーティブな能力をデモした。WolstenholmeはStudioを使ってその場でコミックの動くサムネールを描いてみせた。Wolstenholmeによれば「これまでこの作業を紙でやっており多くのステップが必要だった。今は同じワークフローを完全にデジタル化し、すべてSurface
Studioに移行した」ということだ。イラストの細部に細部に微妙な彩色をするためにズームアップする操作をDialのショートカットに設定できるという。

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デベロッパーは自由にSurface Dialの機能を設定できる。イベントではオンスクリーンのユースケースがデモされた。これには画面で絵を描きながら、Dialでリアルタイムで描画色を変えたり、表示倍率やツールをその場で変更するところが含まれていた。

Surface Studioは今日から予約を受け付けが開始された。Microsoft Storesに実機が登場して実際に触れてみることができるのは明日(米国時間10/27)からだという。クリスマス商戦には台数限定で出荷される予定だ。価格は2999からとなっている。

〔日本版〕 Surface Studioの日本での取扱計画に関してはまだ情報がない。Surface Dialの価格は99.99ドル。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

Microsoftが機械学習ツールキットCNTKのニューバージョン(2.0)ベータを立ち上げ…Google Tensorflowをライバル視

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機械学習の開発フレームワークとしては、GoogleのTensorflowライブラリが今いちばんよく知られているが、今年の初めにはMicrosoftが、同社の社内ツールだったCNTKを一般公開して、デベロッパーの選択肢を増やした。そして今日(米国時間10/25)Microsoftは、CNTKの次のバージョン、バージョン2.0の最初のベータを立ち上げ、Tensorflowのトップの座に挑戦しようとしている。

CNTKは最初、‘Computational Network Toolkit’を表していたが、今ではMicrosoft Cognitive Toolkitに名前を改めている。

Microsoftの音声認識技術のリーダーXuedong Huangによると、CNTK/Cognitive ToolkitはTensorflowや類似のフレームワークに比べて、前からアドバンテージが大きかった。中でも、そのパフォーマンスが。

Microsoftのベンチマーク(下図)によると、Cognitive Toolkitは多くのテストにおいて競合製品に勝ち続けている。そして当然ながら、今度のニューバージョンは、それまでのリリースよりもさらに高速であり、とりわけ、ビッグデータのデータ集合に強い。それは単一GPUのパフォーマンスでもそうだが、しかしHuangによると、より重要なのは、大量のGPUを使えるという、CNTKの優れたスケーラビリティだ。新バージョンでは、この特性にもさらに磨きがかかった。“簡単な問題ならほかのツールキットでも十分だが、どんどんスケールアウトしていくようなタスクでは、CNTKが唯一の選択肢だ”、とHuangは自負を述べる。

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しかしデベロッパーの心をつかむのは、スピードだけではない。CNTKの最初のバージョンはMicrosoftが社内的に使っていたものと同じなので、利用するデベロッパーもコードをC++やC#で書かなければならなかった。そのことは、Pythonなどの使えるTensorflowに比べて大きな不利である。Huangも率直にそのことを認め、“当時はプライオリティが、社内で使う場合の効率にあった。ということは、社内的に前から使っていた言語、C++を使う、という結論にならざるを得ない”、と彼は語る。“その後その社内ツールをオープンソースにし、公開的な共有化に踏み切った”。ところが、彼らが直ちに理解したのは、多くのデベロッパーが求めるものがPythonのサポートであることだった。

そこで次のバージョンではCognitive ToolkitはPythonはネイティブでサポートし、さらにデベロッパーがCNTKのモデルを理解するための教育訓練事業も提供している。

AzureのGPUインスタンスも今ベータに入っているから、今後のMicrosoftはソフトウェアツールと、それが動くシステム環境(Azure仮想マシン群)の両方を提供していける。ただしHuangが強調するのは、Cognitive Toolkitは動く環境としてAzureに依存しているわけではなく、またAzureも、そのほかの機械学習ツールキットを十分に動かせる。

Huangは何度も強調する: Microsoftの内部的サービスの多くがCognitive Toolkitに依存しており、MicrosoftのAI開発が会話中の語を認識し、その発話者を特定できるようになったのも、CNTKが提供する機械学習能力のおかげである。またMicrosoftのCognitive Servicesにおいても、そのツールの一部はCNTKに負っている。

CNTKのコードはGitHub上で入手できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

マイクロソフトのSurfaceビジネスが急成長、iPadは減速

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MicrosoftのSurfaceビジネスは前年比38%成長した。最新の決算報告による。今日(米国時間10/20)発表された決算報告書によると、今四半期のSurfaceの売上は9.26億ドルで、前年同期の6.72億ドルを上回った。それでもAppleのiPadの方が売上はずっと大きいが、成長は遅い。

AppleのiPadビジネスは未だにSurfaceを圧倒的に上回っている。前四半期のiPad売上は49億ドルで、前年同期は44億ドルだった。これは対前年比売上11%だが、AppleのiPadビジネスが伸びたのは10期ぶりだった。

Surface売上の著しい伸びを支えているのはわずか2つの製品、Surface Pro 4およびSurface Bookだ。Microsoftは両機種を大規模な広告キャンペーンやNFLとの重要な提携関係によって強く押している(コーチのベリチックらは大のSurfaceファンではないかもしれないが)。Microsoftは来週のイベントで新しいSurface製品を発表すると言われており、ホリデーシーズンには新しい製品ラインが出揃うことになりそうだ。

iPad対Surfaceの争いの様子がはっきりするのは、来週Appleが四半期決算を発表してからだが、現状を見る限りAppleは警戒が必要だ。Surfaceは迫っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Microsoft、2017年Q1決算はクラウド事業の急成長で株価史上最高値を更新

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本日(米国時間10/20)Microsoftは、会計2017年度第1四半期の決算報告を発表した。要約すると、Azureを始めとするオフィス向け製品が収益の成長を後押しし、Microsoftはモバイルをほぼ諦めた。そして、クラウド事業急成長のニュースを受け、株価は時間外取引で急騰し1999年に記録した最高値を上回った。

データ

  • 同社の非GAAP売上は223億ドル(GAAP 205億ドル)、非GAAP1株当たり利益は0.76ドル(GAAP 0.60ドル)だった。
  • ウォール街の予測は、売上217.1億ドル、1株当たり利益0.68ドルだった。
  • 前年同期のMicrosoftは、売上217億ドル、1株当たり利益0.67ドルであり、今四半期のアナリスト予測はほぼ前年同期並みだったことになる。
  • 直近の2016年Q4は売上226億ドル、EPS 0.69ドルでウォール街予測を上回った

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注目すべき理由

  • Microsoftは変遷の真直中にいる。モバイル機器事業を切り捨て、Office 365やAzureといったエンタープライズ・ソリューションに焦点を絞ってきた。投資家とアナリストが特に重視しているのがMicrosoftのクラウドビジネス(Azure)で、圧倒的に巨大なAmazonのAWSと競合しながらも最近の四半期で伸びを見せている。
  • Azureの売上は対前期比116%増、「インテリジェント・クラウド」セグメント(Azure以外のサーバー製品)は8%増だった。またOfficeビジネス売上は対前期比5%増、消費者売上は同じく8%増だった。
  • その他、Microsoftのモバイル事業は、同社の方針転換の結果72%の大幅ダウンとなった。
  • Surfaceビジネスは前年同期比38%増だった。
  • Microsoftの株価は1999年以来初めての最高値を記録し、改めてエンタープライズ・ソリューションへに焦点を絞った同社の方針を、株主が歓迎していることを示した。

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今後の注目は?

  • MicrosoftのLinkedIn買収案はまだ確定していないため、今日の決算報告にはほとんど影響がなかった。規制当局の承認が得られ正式契約した時点で、LinkedInはMicrosoftの収益に組み込まれる。
  • 同社は10月26日のイベントで何らかの新製品を発表するが、新しいSurfaceタブレットと、おそらく新しいWindowsソフトウェアが出てくるものと思われる。
  • MicrosoftはAIへの取組みを強化しており、Harry Shumの下にAI研究部門を新たに設置した。Satya NadellaはAIを「われわれの野心の交差点」と呼んでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

マイクロソフトの音声認識技術、「人間並み」に到達

whisper

マイクロソフトリサーチ(Microsoft Research)にとっては、おめでたい日となったことだろう。研究を続けてきた音声認識技術が、ついに人間レベルに到達したのだ。

具体的にいうならば単語誤り率(word error rate)が5.9%となったのだ。これはプロの口述筆記者と同じレベルとなる。すべてを完璧に聞き取るわけではないが、94%の正確性があれば、十分に会話についていくことができるのだ。

「これは20年間続けてきた研究の賜物です」と研究社のひとりであるGeoffrey Zweigはブログ記事の中で述べている。

The team at Microsoft's Speech & Dialog research group.

マイクロソフトのSpeech & Dialog研究グループ

音声認識の分野では、この10年間にわたって多くの技術系の大手企業や研究機関が競い合ってきた。ここ数年は、その実力も大いに向上してきているところだった。そして音声認識に(ご想像通り)ニューラルネットワークと機械学習の技術を組み合わせることで、新たな段階に達することとなったのだ。

「進化をもたらしたのは慎重なエンジニアリングと、Convolutional(畳み込み)とRecurrent(再帰)ニューラルネットワークの最適化である」と論文の中に記されている。「音響モデル(acoustic models)を進化させて、音響コンテクスト(acoustic context)の理解につなげることができたのです」。

認識システムの構築には、マイクロソフトがオープンソースで提供しているComputational Network Toolkitを利用しており、これが存分にその能力を発揮しているのだそうだ。

もちろん、5.9%という単語誤り率は最適な環境で実現されたものだ。ノイズの多い環境などでは、その性能は大きくおちることとなる。またアクセントの変化にも十分に対応することができないようだ。しかし、たとえばアクセントへの対応などは、トレーニング用のデータセットをニューラルネットワークに組み込むことで、比較的容易に対応することができるだろうとのこと。

マイクロソフトリサーチの研究社の方々にはおめでとうを伝えたい。しかしここがゴールというわけではないのだろう。コンピューターは、いくつかの分野では既に人間を上回る能力を示しつつある。きっと音声認識についても同様な成果を達成することとなるのだろう。ちなみに、大きく進化した音声認識ぎじゅつがコンシューマープロダクトに活かされる時期などについては、いまのところはまだ不明であるそうだ。

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(翻訳:Maeda, H

GitHubがセカンダリーラウンドの資金調達をしているらしい、旧投資の部分的清算のため?

Workers install a billboard for GitHub Inc. in San Francisco, California, U.S., on Tuesday, Nov. 11, 2014. GitHub, which provides open-source code hosting services and has raised more than $100 million from investors, is among tech startups boosting demand for billboard space around Silicon Valley. Photographer: David Paul Morris/Bloomberg via Getty Images

いくつかの情報筋によると、GitHubは昨年7月の、評価額20億ドルでの2億5000万ドルの資金調達(プライマリーラウンド)に続き、セカンダリーの資金調達を今進めている、という。しかし噂では、このセカンダリーの資金調達は、投資家または社員の株式現金化(“清算”, liquidation)に備えてだ、とも言われている。

この話には二つの部分がある。ひとつは、この二度目のラウンドでは同社の評価額が最初の20億ドルより低くなる、という説だ。ある筋の推計では、15億あたりだろう、という。ただしこれも正確な数字ではない。しかし別の筋によると、このセカンダリーは普通株のためだろう、という。そうなると、話はややこしくなる。そうすると、優先株はどうなり、投資家はどんな権利を得るのか。そこで評価額の計算もやや曖昧になり、ふつうの意味のダウンラウンドではない、という理屈になるのかもしれない。

しかし、それよりももっとおもしろい噂は、MicrosoftがGitHubの買収を検討している、という説だ。買収ではなく戦略的投資だ、という説もあるが、噂としては大きな違いはない。M社がより深いパートナーシップを求めているのだ、という説もある。GitHubの代表者は、Microsoftによる買収の噂は真実ではない、と言う。Microsoft側は、ノーコメントだ。

このセカンダリーラウンドに誰が参加するのか、投資家なのか社員なのか? しかしいずれにしても、GitHubも今年で8歳だから、これまでの投資の清算があっても不思議ではない。

この種のセカンダリーラウンドは、企業が後期ステージへと成長し、しかしIPOはまだしない、というときに意義がある。GitHubは人も文化もきわめて分散的だから、昔からの社員が何らかの代償を求めてもおかしくない。現状は、入ったばかりの若手と、長年いるベテランとのあいだに、待遇や報酬の差はあまりない。そういう意味でGitHubは、フラットな会社だ。また、代償は引き止め策でもある。投資家たちの一部も、セカンダリーラウンドによる清算(現金化)を期待しているだろう。

GitHubは、世界でいちばん多く採用されているデベロッパーツールだろう。コードを管理するための場所であるだけでなく、オープンソースのエコシステム全体の、もっとも重要な部分だ。オープンソースのプロジェクトを健全かつ活発に維持することは、直接間接に必ずそれらを使っている大きな企業にとって、とても重要だし、オープンソースの寄与貢献者の中から有能な人材をピックアップできる。人だけでなく、多様なアイデアもそこで育つ。しかしデベロッパーが気軽に利用していたリソースも、持続可能なビジネスへ成長するためには、本格的なエンタープライズに自分を拡張する必要がある。それがおそらく、今GitHubが抱えている難問だ。

Microsoftに関しては、Visual Studio Team ServicesというGitHub的なツールがすでにあるので、そこがおそらく今回の噂の出処(でどころ)だろう。

最近IPOしたAtlassianをはじめとして、GitHubをめぐる競争は激化している。Atlassianは、昨年IPOした途端に株価は32%跳ね上がり評価額は58億にもなった。それは、IPOしたときすでに同社が黒字だったせいもある。また、最近元気なGitLabは、GitHub同様、オープンソースのgitをベースとしている。同社は先月、2000万ドルを調達した

〔参考記事: セカンダリーラウンドとは何か。〕

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))