MozillaとQualcommが協力してARM上のWindows 10用ネイティブバージョンFirefoxを開発中

MicrosoftはGoogleと協働して、ARM上のWindows 10にChromeブラウザーのARM64ネイティブバージョンを導入しようとしている。そしてMozillaの今日(米国時間12/6)の発表によると、彼らもまた、FirefoxのネイティブバージョンをARM上のWindows 10に持ち込もうとしている。同団体はその作業を、Qualcommと協力して行っている。

ふつうMicrosoftがARMベースのマシンで動くWindows 10アプリケーションを作ろうとするときには、さまざまなエミュレーションテクニックを使っていた。それらは、動作は良好だが電力消費とパフォーマンスの両面で問題があった。ネイティブアプリケーションなら言うまでもなくエミュレーションは要らないので、もっと速く効率的に動く。ブラウザーはいちばん多く使われるアプリケーションのひとつだから、メジャーなブラウザーのベンダーたちがこぞってこのプラットホームをサポートしようとするのも不思議ではない。ただし少なくとも当面は、ARMは小さなニッチと言わざるをえないが。

ARM上のWindows 10用のFirefoxは、いつリリースされるのか? Mozillaに問い合わせたが答はない。情報が得られ次第、この記事をアップデートしよう。

Qualcommも今日、PC向けの高級機8cxを発表した。それは同社が、将来のPC市場を諦めていないことの証だ。それもまたARM互換機だから、Mozillaが今日を発表の日に選んだのもたぶん偶然ではない。しかし、なおまた、Microsoftも今日、同社のEdgeブラウザーがChromiumエンジンを採用する、と発表した。これにより、大きなマーケットシェアを争うメジャーなブラウザーを駆動するエンジンは、ChromiumおよびFirefoxのGeckoと、AppleのSafariが使っているWebKitの計3つに絞られてきた。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

QualcommがSnapdragon 855と新しいアンダーディスプレイ指紋センサーを発表

今週Qualcommは、マウイで今年のSnapdragon Summitを開催して、プレスやアナリストたちももてなしている。残念ながら行けなかったわれわれにも、Qualcommは2週間前にそのニュースのプレビューをくれている。その三日間を同社は、5Gへのフォーカスで幕開けすることに決め、また新製品Snapdragon 855モバイルプラットホームのプレビューもあった。そのほか同社は、ディスプレイの裏に実装する超音波利用の指紋判読センサーの発表も行った。

おたくのご近所に5Gのタワーが出現するのはまだ先の話だと思うが、その話題は数年前から過熱しているから、そろそろ5Gが現実になる、と言っても過言ではないだろう。AT&TとVerizonは今週マウイで5Gのネットワークをデモしている。Qualcommによるとそのイベントは、“5Gのお披露目パーティー”だそうだ。今後数か月間はたくさんの参入企業が、これと同じ言葉を使うだろうね。

短期的にそれよりおもしろいと思われるのは、同社が同じく今日(米国時間12/3)発表した新たなフラグシップ、855モバイルプラットホームだ。記者やアナリストたちに詳細は提供されなかったが、同社は855が“世界初のマルチギガビット5Gをサポートする商用のモバイルプラットホームだ”、と強調した。

また855は新しいマルチコアAIエンジンも目玉で、前のモバイルプラットホームに比べ3倍のAIパフォーマンスを提供、さらにまた、コンピュータービジョン専用シリコンにより、高性能なコンピューテーショナルフォトグラフィー(GoogleのNight Light的なもの)やビデオキャプチャーがサポートされる。

この新しいプラットホームはゲーム用に最適化されている、と同社は言う。そのプロダクト名
は“Snapdragon Elite Gaming,”だが、詳細は不明。さらにARの追究も継続し、Qualcommはそれを“extended reality”という独自のブランドで呼んでいる。

でも今回いちばんおもしろいのは、ニュースの最後に登場した脇役かもしれない。すなわち指紋センサーが今やスタンダードになり、中級機のスマートフォンにも載る。その新しい3D Sonic SensorsでQualcommは、ディスプレイの裏に鎮座する高性能超音波指紋ソリューションを約束する。ある意味でこれは、Qualcommの既存のディスプレイ直下型センサーの新しいブランド名だが、新しい技術もある。そこで今回の売りは、指紋スキャナーが、汚れたディスプレイや、ユーザーが画面保護膜を使っていても、十分に機能するという点だ。目の前に迫っているMobile World Congressには、この新しい指紋スキャナーを搭載した新しいフラグシップスマートフォンが、かなりの数、登場するのかもしれない。

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Qualcommの新しいSnapdragon WearチップはWear OSを元気にするか?

Snapdragonの新しいウェアラブル用チップのアーキテクチャは、5月のGoogle I/Oのときから話題になっていた。そしてQualcommは今朝(米国時間9/10)、サンフランシスコで行われたイベントでついにその製品を披露した。

Google I/Oで紹介されたそのWear 3100は、そのサイトに、Googleのスマートウォッチ用オペレーティングシステムがしっかりとある。しかもそれは早すぎるタイミングではない。Wear OSはこのところ、低迷が感じられていた。Android Wearから名前を変えても、それは変わらなかった。

今回の新しいアーキテクチャは、2100をリプレースする。Qualcommによると、同社のチップは25のブランドの100種以上のWear OSウォッチで使われている。Wear OSデバイスの機種が三桁とは、驚きだ。この世界のリーダーであるAppleやFitbitやSamsungは、いずれも独自のソフトウェアを選び、Googleに背を向けている。

おもしろいのは、新しいチップの最初の三つのパートナーがLGやHuaweiといったテクノロジー企業ではなく、Fossil Group, Louis Vuitton, Montblancという高級ウォッチのメーカーであることだ。このことは、このオペレーティングシステムの将来を暗示しているのかもしれない。またGoogleの秋のイベントでは、タイミング的に、Pixel Watchのローンチの可能性が大きい。

3100の特徴で重要なのは、電池寿命が伸びたことだ。それは、スマートウォッチのメーカーの長年の悩みだった。チップに新たな動作モードが実装されたことも、おもしろい。“Traditional Watch Mode”(ふつうのウォッチモード)は電池の使用を節約し、“Rich Interactive Mode”(リッチな対話モード)は、充実したユーザー体験を与える。

このチップの量産は今日から始まる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

AR/VRヘッドセットのマスマーケットの到来に備えてQualcommが低コストな専用チップセットを発表

今やスマートフォン用に最適化されたチップセットの上で、大量のプロセスが動いている。かつては、パソコンがあれば携帯電話にそれほど強力な処理能力は要らない、と思われていたのに。さらに最近の5年間では、ヘッドセットのパワーアップ競争が日に日に激しくなってきた。そして今日では、スマートフォンやヘッドセットなどのハードウェアに盛り込める処理能力はほぼ限界に達し、これからはむしろ、コストの低減と製品の特徴や仕様が勝敗を決する、とまで言われるようになってきた。

その新しい時代の先駆けとして今日(米国時間5/29)Qualcommが、スタンドアローンのヘッドセットのための専用チップセットを発表した。そのSnapdragon XR1は、同社としては初めてのARとVR専用のチップセットで、同社はその新しい機種ジャンルを“XR”と総称している。

XR1を搭載したデバイスの上では、たとえば、4K/30fpsのコンテンツをストリーミングできる。発表のステージには、 HTC Vive, Vuzix, Meta, そしてPicoなど、主なヘッドセットメーカーが招待された(上図)。今日実際に発売されるヘッドセットは多くないが、Qualcommは近年中に総出荷台数が1億台を超える、と想定している。

Qualcommの最新機でVR向けの参照設計でもあるSnapdragon 845との詳しい比較は発表されなかったが、しかしおそらくXR1は不要不急の機能をすべて省き、ハードウェアのメーカーが必要とする機能と性能だけを提供するローコスト機だ。

Snapdragon 845は、ヘッドセット上のコンテンツをハイエンドのPCが駆動する高性能なARやVR並にすることをねらっているが、XR1は店頭で大量に売られるローコストデバイスを目指している。XR1は845のように6DoFの自由度をサポートしないが、835のVRプラットホームのような、しっかりした動きをサポートするだろう。

Qualcomm XR設計チームのトップHiren Bhindeにメールでインタビューしたところによると、電力消費と温度上昇に関する同じベンチマークで比較すると、XRが扱えるワークロードは845より小さい。ただし、845がサポートするようなハイエンドのグラフィクスやメモリサイズを必要としないARの顧客もいるから、XR1は彼らにはぴったりだ、という。

今日のスタンドアローンのVRヘッドセットと比較すると、現在のPCをつながない消費者向けARヘッドセットは要求される計算処理能力が、それほど高くなくて、VRがねらっているような高忠実度な世界の再現を目指していない。そんなヘッドセットは簡単なヘッドアップディスプレイとして利用されることが多く、それに音声アシスタントがつく。Qualcomm XR1のパートナーVuzixがデモしたそんなヘッドアップディスプレイは〔その現場での利用目的が〕、Magic LeapやMicrosoftの“混成現実”が追っている、高度な、本物のように自然な環境マッピングを必要としない。

低コストでマスマーケット向けのヘッドセットに適したチップセットを発表したQualcommは、今がその発表の好機と信じており、XR1はAR/VR分野のメーカーたちに、より売りやすいハードウェアを作る能力を与える、と考えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

FacebookとQualcomm、都市向け高速Wi-Fiを2019年中期に提供へ

Facebookは2016年のF8カンファレンスの基調講演以来、Facebook’sTerragraphプロジェクトについて語ってきた。ソーシャルメディアの巨人が描く、都市に高速Wi-Fiをもたらす壮大な構想はQualcommの参加で現実にまた一歩近づいた。チップ製造の巨人は今日(米国時間5/21)、将来のチップセットに60GHzテクノロジーを追加し、来年中頃にトライアルを開始する計画を発表した。

「これはpre-802.11ay規格をベースにしたもので、Qualcomm TechnologiesのチップセットおよびFacebookとQualcommによるソフトウェア統合にる屋外利用の効率を高め、混雑した環境での干渉を回避するための拡張がなされている」とQualcommの発表文に書かれている。

テスト地域としてすでにカリフォルニア州サンノゼが候補にあがっている。ここは米国最大の都市ではないが、シリコンバレーのハブとして、テクノロジー好きの人々とともに確実なテスト環境になるだろう。2社の発表によると、このテクロージーは高速無線のコストを軽減し、ビルが密集する地域などの混雑して障壁の多いところでの接続に有効だ。

後者の特徴からTerragraphは都市環境に適していることがわかる。少なくとも地面を掘り起こして光ファイバーを埋めるのは大変だ。Facebookは、郊外地域向けのテクノロジーとして、同じF8イベントで発表したAntenna Radio Integration for Efficiency in Spectrum (ARIES)システムの提供も計画している。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

トランプ介入でBroadcomの買収を退けたがQualcommに苦難が続く――創業家はVision Fundの資金で攻勢か

Qualcomm対Broadcomの歴史的戦いはとりあえず停戦となった。先週、トランプ政権がCFIUS(対米外国投資委員会)を通じて Broadcomによる買収の差し止めを命じたからだ。実現していればテクノロジー分野における過去最大のM&Aになったはずだ。

これでとりあえずモバイルチップ戦線は異常なしとなった。しかしQualcommとBroadcomは来るべき5G時代に向けてそれぞれ戦略を立て直する必要がある。取締役会から去った創業者の息子、Paul Jacobsによる買収の試みへの対処など、Qualcommの前には深刻な問題がいくつも待ち構えている。

一方、Broadcomも成長を続けるために新たな買収先を探す必要がある。

戦争ではいつもそうなるが、犠牲者は敵対する両陣営内に留まらない。 Qualcommが敵対的買収を防ぐためにとった措置は今後のM&Aにおいて企業統治や株主自主権の範囲の見直しをもたらすだろう。さらにアメリカに対する外国投資には一層厳しい監視の目が向けられることになる。

Qualcommは瓦礫から何を拾えるか?

敵対的買収というのはその結果がどうであろうと犠牲がつきものだ。取締役会、ことにテクノロジー企業の取締役会のもっとも重要な使命は、長期的に何が会社の脅威となるか、チャンスとなるかを見抜き、株主にとって最良の結果を得るよう適切に会社を導びくことにある。この点、敵対的買収への対処は消火作業に似ている。将来へのビジョンやそれを実現するためのロードマップはいったん脇に置き、危険な侵入者を追い払うために1分ごとに新たな策を投入する必要がある。

Qualcommも未来戦略の確立に注力すべきだが、現在は四方八方からの攻撃を受けている。 会社の将来に関して株主と戦い、収入に関してApple、Huaweiと戦い、NXPの買収で中国と戦い、さらには創業者の息子の買収と非公開化の試みとも戦わねばならない。

株主の多くはQualcommのパフォーマンスに満足していない。過去6年Qualcommの株価はかなりの乱高下をみせてきたが、結果として、今日の株価は2012年1月と同水準だ。同じ期間中にBroadcomの株価場合は740%アップしている。半導体各社の株価を総合した指数、PHLX Semiconductor Sector indexによれば、半導体業界は全体として280%のアップだ。

そこでQualcommの株主が35%のプレミアムを上乗せした1株82ドルというBroadcommの買収提案に乗り気になったのは当然だ。Qualcommの取締役会とは逆に株主はBroadcomに買収に前向きだった。Bloombergが報じたように、 Qualcommの取締役会は株主との戦いに敗れたことに気づいたいたようだ。【略】

Broadcomの提案が株主に承認されたことを知り、Qualcommの取締役会は買収に否定的なワシントンの政官界に働きかけの中心を移した。 Bloombergによれば「連邦政府への2017年のロビーイング支出はQualcommの場合、830万ドルで、Broadcommの8万5000のざっと100倍」だったという。こうなればワシントンは調整役というより味方だ。

1月にはいって、Qualcommの取締役会はCFIUSに対して自発的に予備的な秘密の通告を行った。これはBroadcomがQualcommの取締役会を支配しようとについて同委員会の調査を求めるものだった。ここでBroadcomはCFIUSの介入を逃れるためにシンガポール企業からアメリカ企業に戻ろうとした(米国企業であればCFIUSの管轄外となる)。これがアメリカ政府を激怒させ、Broadcommの提案の運命を決めた。Qulcommの取締役会の要請はBroadcommの失策を招き、最終的にトランプ政権による買収ブロックという結果となった。

Qualcommの取締役会は戦争には勝ったものの、依然としてPaul Jacobsなど数多くの敵対者を抱えている。延期されていた株主総会は今週開催され、現取締役は対立候補なしで再任の承認を求める。ロシアの大統領選挙同様、一部の株主はことの成り行きに不満を表明するために棄権するかもしれない。 Wall Street Journalによれば、「有力なプロキシー・アドバイザーのInstitutional Shareholder Services Inc.は …機関投資家向けの水曜のメモでQualcommの11人の取締役選任に当ってはBroadcomが推薦する4名の候補に投票するよう求める立場を再確認した。これは抗議の意思を示すためで、Broadcomm側取締役が選任される可能性はない」という。

今回のQualcommの株主総会が波乱含みなのは疑いない。Qualcommの取締役会と経営陣は「この問題は終わった」と主張するが、内紛もふくめてさらにいくつかの火事を消し止めねばならない。

Qualcommは依然として440億ドルに上るNXPの買収の中途にあり、中国の規制当局の承認待ちだ。当局がいつどのよう判断するかは明らかでない。しかし承認が得られたとしてもまだ契約は成立していない。Qualcommが買収を完了させるためには多大のコストとリソースを要するだろう。

さらに複雑なのはAppleとHuaweiに対するQualcommの知的所有権のライセンスを巡る訴訟だ。.ライセンス料はQualcomの収入のきわめて重要な部分を占める。取締役会は将来のビジョンを考える前に、まず当面の訴訟の動向と訴訟戦術に中を向けねばならない。

内紛というのは、Paul Jacobsが会社の支配を取り戻そうとしている件だ。昨日、Qualcommの取締役会はPaul Jacobsを取締役から解任する決議を行った。JacobsはQualcommのファウンダーの息子であり、2005年から2014にかけて同社のCEOを務めた。Jacobsは先週、エグゼクティブ・チェアマンから単なる取締役に降格されたばかりだった。New York Timesの記事によれば、「この別れは友好的なものではなかった。QualcomのトップからJacobs家のメンバーが完全に外れるのはここ33年で初めての事態だ」という。

別の記事によればJacobsは1000億ドルでQualcomを買収する準備を進めており、資金としてSoftBankのVision Fundを利用するという。言うまでもなくSoftBankは日本の会社であり、Vision FundにはサウジアラビアやUAEの国営ファンドの資金が含まれている。しかもQualcommはSoftBankのVision Fundへの出資者メンバーだ。

JacobsはDellの創業者、Michael Dellでが2013年に240億ドルを投じてDellを上場企業から非公開企業に戻した例にならおうとしている。JacobsはDellの非公開化に必要とした額の4倍もの資金を集められるだろうか? Qualcommは同社のファウンダーの息子による会社支配の試みを「外国勢力による」ものとして再度ブロックをトランプ政権に要求するだろうか?

Jacobsはどうにしか資金の都合を付け、取締役会は創業者の息子で前取締役による買収を差し止めようとワシントンに再度駆け込むことはしないだろう、と私は予測するが、さほど確信があるわけではない。

依然としてBroadcomの立場は強い

大いに目立つ失敗をしたものの、Broadcomがこの戦争で受けた損害はさほどでもない。今週発表された第1四半期の決算はアナリストの予測を上回った。特にワイヤレス・コミュニケーション分野での成長は対前年比88%と著しいものがあった。またBroadcommは大幅なコスト削減にも成功しており、粗利益率を64.8%もアップさせている(たしかにファブレスで特許料を主軸にしたビジネスモデルは効果がある)。

Broadcomは今後も健全なパフォーマンスを続けそうだ。最大の疑問は、Qualcomm買収が失敗に終わった今、Broadcomの次の手は何かだ。QualcommはBroadcomが買収可能なチップメーカーとしては最大にして最も重要なものだった((Intelはスケールが違いすぎる)。もしBroadcomがシンガポール企業からアメリカ企業に戻るなら、国内企業として改めてQualcommの買収を試みることができる。いずれにせよBroadcommがここ数年の成長速度を維持するためには適切な買収相手を発見する必要がある。 【略】

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

いまさら聞けない「対米外国投資委員会(CFIUS)」とは?

オープンソースコミュニティの大多数の人びとにとって、コードとテクノロジーは「フリー」(「自由」という意味と「無償」という意味を兼ねている)なものとして捉えられている。より良い現在と未来を追求するために、人類すべてと共有されるべきものなのだ。しかし、政府の視点はそれとは異なっている。彼らの心の中では、テクノロジーは他の国に対して競争優位をもたらす戦略的資産なのだ。これらの資産は富と雇用、そして最終的には国内の平穏へとつながるのだ。

米国はテクノロジーリーダーであり、自身の競争上の優位性を守るための、強力な経済戦争ツールを所有しているのだ。そうしたツールの1つが、CFIUS、またの名を対米外国投資委員会(Committee on Foreign Investment in the United States)という組織である。おそらく読者は最近その名前をニュースで耳にしたことがあるかもしれない。例えばBroadcomからQualcommへ行われた巨額の買収提案の影響に関するニュースや、海外からのスタートアップへの投資を規制するために、議会が条項の強化を検討しているといったニュースだ。

そして最近CFIUSは、ある一国のためにますますその重要性が増している。それは中国だ。世界の超大国としての中国の継続的な拡大よりも、基本的な経済的ストーリーは、ほとんど考えることができない。1980年代初頭の控え目な資本主義に対する実験から、今日の巨大な存在に至るまで、中国の経済的な発展はまさに驚異的なものだった。その成長を支えてきたのはテクノロジーとサイエンス研究に対する貪欲さであり、最初は海外の大学を通して、そして今では自前の開発を通して追求が行われている。

中国の富が増えるに連れ、世界で最も先進的なテクノロジー企業を所有したいという欲求も高まってきた。それがCFIUSの介入につながるのだ。米国の最新の国家安全保障戦略(National Security Strategy)の中では、中国を「戦略的な競合相手(strategic competitor)」と呼んでいる。緊張が高まるにつれて、CFIUSは技術業界を最終的に支配するのは誰か、という闘いの中心に鎮座することになった。

要するにどういうことなのか?

CFIUSについて詳しく説明する前に、例を挙げて説明しよう。あなたはテクノロジー企業の創業者であり、AIスタートアップ(AIは皆スタートアップなのだからこの表現は冗長だが)を、控え目な段階から世界レベルのユニコーン企業(評価額が10億ドルを超える未公開企業)へと育て上げた。あなたのスタートアップの名声が世界に轟く中で、シリコンバレーの主要なテクノロジー企業たちからの買収提案が入り始める。

しかし、その中に中国企業からの買収提案が混ざっているのだが、その内容が桁外れなのだ。それは国内企業からの提案よりもはるかに高額なもので、さらに素晴らしいことに、中国企業はいかなる意味でも介入は行わないと約束してくれる。これまで会社に心血を注いできたときと同様に、会社の成長には完全な自由を与えるというのだ。

あなたは彼らと契約を結ぶ…だが、やがてあなたの顧問弁護士がやって来てこう告げるのだ「大変です。CFIUSが介入してきました」。

結局CFIUSとは何か?

CFIUSは、外国企業による経済取引(合併や買収など)を調査し、国家安全保障を守る政府委員会だ。財務長官が同委員会にの議長を務め、そのメンバーには司法省、国土安全保障省、商務省、国防省、国務省、エネルギー省の長官、そして米国貿易代表部、ホワイトハウスの科学技術政策局長が含まれている。

CFIUSには膨大な数の関連する法律手続、そして規制があり、高度に専門化された弁護士たちが、関係する手続きを扱っている。「対象取引」のみがCFIUSの審査を受ける必要があるのだが、何が国家安全保障上の懸案事項とみなされるか否かはすべて解釈次第である。

通常この審査プロセスは、2社が取引を行うことを決定し、CFIUSが関与する可能性が高いと考えたときに開始される。両社は共同で委員会に対して自発的に届出を行い、その取引や会社の歴史、ならびに規則によって要求される他の情報の説明を行うことになる。そしてCFIUSは、30日以内に取引に対する裁定を行う(これはさらに45日延長することができる)。 稀に、大統領の判断に委ねられる場合もある。

関与する企業にとって最善の決定は、CFIUSが介入を行わないという決定(”safe harbor”という名前で知られる)を下す場合である。しかし、もしCFIUSが国家安全保障上の懸念があると考えたならば、関係者に対して様々なものを要求することができる。完全に取引を中止させることもできれば、承認するための特別な条件を取引に付加することも可能だ。当事者たちは、それに従って取引を完了させるか、さもなくば破談となる。

CFIUSが実際に取引を中止させたことはあるのか?

ある。しかしこの質問に正確に答えるのは難しい。なぜなら参加者たちは多くの場合、委員会の命令に従う形ではなく、自発的に取引を中止するからだ。もともとCFIUSは1950年の国防産業法の成立を受けて設立されたものであり、議会調査局が指摘するように、その運営はほとんど「詳細不明」な形で行われていた。

だがその形態は、近年2つの理由で変化を遂げた。1つは海外企業による米国企業の買収に伴う緊張の高まりによるもので、特に2005年に起きた、Dubai Ports Worldによる米国の6つの港の運用管理権の獲得の動き以降、顕著となってきたものだ。第2に、グローバリゼーションによって、世界中の企業がパートナーシップと買収目標を追求し、世界的なM&A取引量を大幅に増やしているからだ

Dubai Ports World論争の頃、2005年には、CFIUSに対して合計64の届出が行われた。その数字は2007年には138へ増加し、その後の大不況の際には減少したものの、2014年には新たなピークとなる147の届出が行われた。

さらに重要なのは、CFIUS調査の数が増えたことだ。ブッシュ政権の終わりである2005年から2007年の間に、委員会に届いた313件の届出のうち、実際に調査されたのはわずか14件(およそ4.5%)に過ぎない。しかし2009年から2015年の間に委員会に届いた770件の届出に関しては、310件が調査され、その比率は40.3%となっている。

中国が関わる件数はますます増加している。2005年から2007年にかけての、中国関連の取引は、313件の届出のうち、わずか4件(1.3%)だけだった。しかし、2013年から2015年の間では、中国の関与は387件中74件となり、全ての届出の19.1%を占めるようになった。これは大規模な増加であり、中国企業の経済的影響力の増大を示すと同時に、中国企業によるアメリカ企業の買収(特にテクノロジー分野での買収)に対する米国政府の懸念の増大を示唆している。その権力の一例として、CFIUSはAnt FinancialによるMoneyGramの買収を中止させた。Ant FinancialはJack Maならびに他のAlibabaの幹部たちを通じて、中国のAlibabaと密接に関連している企業だ。

CFIUSはより強力になりつつあるのか?

それはほぼ確実だ。CFIUSによる規制は、過去10年の間に劇的に変化してきた。海外の企業に対してさらなる精査が行われるようになったのだ。特に海外の国家が所有する企業がアメリカの企業を買収しようとする際にそれは顕著である。現在、議会はCFIUSをさらに強化するための様々な法案を検討している。

回覧された提案の1つには、スタートアップベンチャーキャピタル投資をCFIUSの監督下に置こうとするものがあった。現在委員会は、企業の統治を完全にあるいは大部分海外に移管してしまうような取引に対して、監視の目を広げようとしている。また提案されている法律では、重要な技術分野においては、過半数の株式の取得を規制するような変更が行われるだろう。

もしこのような法案が可決されれば、シリコンバレーのスタートアップに投資する海外のベンチャーキャピタルたちに、冷水を浴びせることになる。CFIUSのレビューが、特に初期段階のベンチャーキャピタルに対して及ぼす更なる問題は、創業者たちに出資の受け入れを思いとどまらせ、何週間にもわたるはっきりしないCFIUSの意思決定プロセスに付き合わせるということだ。

この改革法案はテキサス州の上院議員John Cornyn下院議員のRobert Pittengerによって提案されている。また、カリフォルニア州上院議員のDianne Feinsteinを含む、超党派の立法者グループもこの法案に加わった。法案に対する審議は上院で行われており、法案の最終的な文言はまだ調整中であるが、成立の可能性は高い

この議会の動きとは別に、シンガポール人が所有するBroadcomがQualcommを買収しようとした試みが、何らかの動きにつながる可能性もある。Qualcommは、トランプ政権が国家安全保障上の優先事項と名付けた、5G通信規格で争うことのできる技術を持つ、唯一の米国企業なのだ。

CFIUSの改革を上院でリードしているJohn Cornynは、BroadcommとQualcommの双方が自発的に届出を行う前に、先んじて取引をレビューするように委員会に要請した 。これは標準的な慣行ではない。もしCFIUSがそもそも取引が合意される前に、一方的にそれを中止させたなら、これまであまり知られて居なかったこの組織にとって大きな転換点になるだろう。この先数ヶ月のうちに、CFIUSが頻繁に見られるようになることを期待しよう。

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(翻訳:sako)

FEATURED IMAGE: JASON LEE/AFP/GETTY IMAGES

QualcommのCEO曰く: Spectre/Meltdown問題はモバイルの世界ではとっくに対策済み

CESの記者会見でQualcommのCEO Cristiano Amonが、自動車関連やモバイル、音声アシスタント、5Gなどで同社がさまざまなパートナーシップを結んだことを発表した。そして、会見の最後に、チップ業界の焦眉のセキュリティ問題であるSpectre/Meltdownについて聞かれたAmonは、モバイルに関しては影響が小さい、と答えた。対策はすでにあるし、パフォーマンスへの重大な影響がないからだ、と。

Amonによると、モバイルには独自のエコシステムがあり、Qualcommと同社のパートナーたちは12月に最初のパッチをリリースしている。彼はモバイルのセキュリティに関する一般論としてこう述べた: “いくつかの点でモバイルのエコシステムは独特だ。ユーザーが、アプリストアからダウンロードすること。さらに加えて、AndroidとARMに関しては、一部のOEM向けには12月という早い時期にパッチをリリースしている”。

彼は、エコシステムに対して迅速に率先してソリューションをリリースしたGoogleとARMを賞賛した。“対策が早い時期からあり、正しいメモリマッピングをグローバルなエコシステムがすでに採用しているから、弊社とモバイルのエコシステムに関しては不安がない”、と彼は語った。

デスクトップやラップトップ、サーバー向けのチップを作っている界隈からは、これほどの楽観論は聞かれない。しかしモバイルのエコシステムは彼の言うとおり独特であり、ユーザーはパッチのアップデートとインストールが比較的早い。一方PCの世界では、MicrosoftがとっくにサポートをやめたバージョンのWindowsを、今でも多くのユーザーが使っている。

Maker:0x4c,Date:2017-9-5,Ver:4,Lens:Kan03,Act:Lar01,E-ve



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

QualcommのCEO曰く: Spectre/Meltdown問題はモバイルの世界ではとっくに対策済み

CESの記者会見でQualcommのCEO Cristiano Amonが、自動車関連やモバイル、音声アシスタント、5Gなどで同社がさまざまなパートナーシップを結んだことを発表した。そして、会見の最後に、チップ業界の焦眉のセキュリティ問題であるSpectre/Meltdownについて聞かれたAmonは、モバイルに関しては影響が小さい、と答えた。対策はすでにあるし、パフォーマンスへの重大な影響がないからだ、と。

Amonによると、モバイルには独自のエコシステムがあり、Qualcommと同社のパートナーたちは12月に最初のパッチをリリースしている。彼はモバイルのセキュリティに関する一般論としてこう述べた: “いくつかの点でモバイルのエコシステムは独特だ。ユーザーが、アプリストアからダウンロードすること。さらに加えて、AndroidとARMに関しては、一部のOEM向けには12月という早い時期にパッチをリリースしている”。

彼は、エコシステムに対して迅速に率先してソリューションをリリースしたGoogleとARMを賞賛した。“対策が早い時期からあり、正しいメモリマッピングをグローバルなエコシステムがすでに採用しているから、弊社とモバイルのエコシステムに関しては不安がない”、と彼は語った。

デスクトップやラップトップ、サーバー向けのチップを作っている界隈からは、これほどの楽観論は聞かれない。しかしモバイルのエコシステムは彼の言うとおり独特であり、ユーザーはパッチのアップデートとインストールが比較的早い。一方PCの世界では、MicrosoftがとっくにサポートをやめたバージョンのWindowsを、今でも多くのユーザーが使っている。

Maker:0x4c,Date:2017-9-5,Ver:4,Lens:Kan03,Act:Lar01,E-ve



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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

QualcommがまたAppleを訴訟、今度はチップの企業秘密コードをIntelと共有したと

QualcommがまたAppleを訴訟し、今度はiPhoneのメーカーがQualcommのコードへの“前例のないアクセス”を悪用してIntelを助けたと主張している、とBloombergが報じた。このニュースは、Appleが、Qualcommが来年早々にも発売予定だった技術なしでiPhoneを設計した、というReutersの報道に信憑性を与えている。

この訴訟は、Appleが契約の終了を守らずにQualcommとIntelの技術者の混在を続け、その間、Intelの技術者がQualcommの技術に関する情報にアクセスした、と主張している。訴状は、Qualcommの企業秘密情報を求めるAppleからのリクエストには、Intelの技術者が配布先として含まれていた、としている。

昨日(米国時間11/1)サンディエゴの裁判所に提出されたその訴えは、今年の早い時期に始まった両者の法的小競り合いに、終結の兆しが見えないことを物語っている。当初はAppleがQualcommに対し弁済額10億ドルの訴訟を起し、Q社が同社となんの関係もない技術に関してA社に課金したとして、ロイヤリティの支払いを停止した。

それから数か月後に、今度はQualcommからの大きな反撃があり、Q社はA社に対し、自社のワイヤレス技術を使っているiPhoneのアメリカと中国における販売の差し止めを求めた。Qualcommはまた、特許侵犯でもAppleを訴えた。

Appleとそのサプライヤーたちからのロイヤリティの支払い停止は、Qualcommの経営に大きなダメージを与えた。昨日Qualcommが発表した決算報告は、利益が前年比で90%落ち込んだものの、売上はアナリストたちの予想を上回った。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleのPixelスマートフォン次期バージョンは10月5日にデビューか

GoogleのPixelデバイスの次世代機は1か月+α後に出るかもしれない、と情報多産でしかも正しいことの多いリーク筋、Evan Blassが言っている。そのPixel 2は、最終的な名前が何であれ、QualcommのモバイルSoC Snapdragon 836が載る、とBlassは主張する。そしてこれまでの噂では、外見はPixelスマートフォンの初代機とそっくりだそうだ。

そして前と同じくスタンダードバージョンとXLバージョンがあり、2:1という細長いアスペクト比の周囲に細いベゼルがある。それはSamsungの新型機Galaxy S8やLG G6と同じだ。大型モデルのXLは、LG製の6インチAMOLEDディスプレイを採用する。スタンダード機は、昨年にくらべて初心者向け機能が充実する。昨年の両者は、サイズ以外では違いがあまりなかった。

小さい方(スタンダード)のPixelは大型バージョンよりベゼルが太くて、4.97インチ1080pのディスプレイだ。大きな変化は、スピーカーが前面につき、音質が良くなること。もうひとつの噂では、側辺を押す(握る)とGoogle Assistantが立ち上がるそうだ。

スペック方面の噂としては、RAMは4GB、内部ストレージは64GBにアップする。カメラは、主にソフトウェアがアップグレードされ、前バージョンでiPhoneとの差別化要因だったヘッドフォーンポートはついになくなるらしい。

Googleは昨年のPixelとPixel XLの発表を、10月4日のイベントで行った。だから、今年は10月5日か。Galaxy S8, Note 8, Essential Phoneと勢揃いしてきて、Android高級機の市場が様変わりした。その中でGoogleは一体何で、Pixelを目立たせようとするのだろうか。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Qualcommのモバイルチップ化したディープラーニングフレームワークが完全にオープン化

モバイルのチップメーカーQualcommは、あらゆる種類のデバイスの上でディープラーニングを利用するソフトウェアの開発ができるようにしたい。同社がそのSnapdragonシリーズのモバイルプロセッサー用にNeural Processing Engine(NPE)を作ったのも、そのためだ。そのNPEのソフトウェア開発キットを、誰もがQualcomm Developer Networkから入手できるようになった。これはそのSDKの最初の一般公開リリースで、スマートフォンや車載プラットホームなど、さまざまなデバイスの上で行うAIコンピューティングの、大きなそして多様な可能性を開くものだ。

このフレームワークの目的は、SnapchatやFacebookなどがモバイルのカメラアプリでやっているような画像のスタイル変換〔eg.“ゴッホふう”〕や各種のフィルタなどのUXの実装を簡単に可能にし、ユーザーの写真に対するもっと精度の高いアプリケーションを作れるようにすること。また、シーン検出や顔認識、オブジェクトの追跡や回避、自然言語処理といった各種のファンクションをディープラーニングのアルゴリズムによって高性能にすることも、目的に含まれる。要するに、これまでは強力なクラウドサーバーや先進的なプロセスにお願いしていたようなタスクを、デバイス上でローカルにできるようにしたいのだ。

NPEの初期的アクセスを獲得したデベロッパーの中にはFacebookもおり、同社はすでに画像やライブビデオ上のARの性能を、QualcommのSnapdragon SoC上のAdreno GPUを使って従来の5倍にすることに成功している。

NPEはTensorflowやCaffe2など一般的によく使われている一連のディープラーニングフレームワークをサポートし、Snapdragon 600/800シリーズのプロセッサープラットホームで使用できる。

今後ますます多くのテクノロジー企業がAIベースの計算機能をリモートサーバーからローカルなプラットホームへ移して、信頼性を高めるとともにネットワーク関連の面倒な要件から逃れようとするだろう。そうなるとこれはQualcommにとって巨大な財産になり、モバイルの次に優勢になるテクノロジーのトレンドが何であれ、それに乗り遅れるおそれはなくなるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

QualcommがAppleに反撃、重要特許侵害で輸入禁止を求める

モバイル技術における最も重要な企業2社間の法廷闘争は、ますます激しさを増している。本日(米国時間7月6日)Qualcommは、クパチーノの巨人(Apple)が、iPhoneのバッテリー寿命を伸ばすための6つの特許を侵害していると提訴した。Qualcommは米国の貿易規制当局に対して、影響を受けるiPhoneモデルの輸入を禁止することを要望している。

Qualcommのエグゼクティブバイスプレジデント兼相談役のDon Rosenbergは、CNBC向けの声明で「Appleは、Qualcommのテクノロジーを、対価の支払いは拒否したまま使い続けている」と述べている。

どのモデルが輸入禁止措置の影響を受けるのかははっきりしていないが、Qualcommは、裁判所が現在どのiPhoneが他社のプロセッサを使用しているかを判断することを求めている。

TechCrunchはQualcommとAppleにコメントを求めている。

Qualcommは、ここ数ヶ月他のハイテク大企業たちが成長する中で、損失を受け続けて来た。その主たる要因はAppleとの問題含みの関係にある。Qualcommの株式は、年初から15%以上値下がりしている。1月には、iPhoneメーカー(Apple)がQualcommに対して「旧来の古臭い標準でビジネスを構築していて、排他的な戦術と過剰なロイヤルティを使って支配力を強化している」という理由で10億ドルのロイヤルティ訴訟を行なっている。

続報待ち

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(翻訳:Sako)

Qualcomm、iPhoneの米国輸入禁止をITCに提訴へ

QualcommはAppleに予想外の強烈なパンチを見舞うかもしれない。 Bloombergによれば、Qualcommは国際貿易委員会(International Trade Commission) (不公正貿易を排除してアメリカ産業を保護するための独立機関)に対してiPhoneのアメリカへの輸入を差し止めるよう訴えることを検討しているという。これはQualcomm対Appleの法廷闘争に新しい段階をもたらすだろう。

Qualcommは裁判所や他の機関よりITCの審理が迅速なことに着目している。これはQualcommにとって見逃せない有利な点だ。iPhone、iPadは全数が中国で生産されており、Appleはこれらの製品をアメリカで販売するためには中国から輸入しなければならない。

QualcommもITCがAppleに対して輸入の全面禁止の裁決を出すとは期待していないだろうが、Qualcommは時間を稼ぐと同時にその主張をさらに多面的に展開するチャンスを得ることになる。

先週金曜にAppleは金額が不公正であるとしてQualcommに対してロイヤルティーを支払うことを中止した。 これはQualcommにとって四半期で数億ドルの金額となる。QualcommはもちろんAppleよりはるかに小さい企業だ。

Qualcommは世界のスマートフォン・メーカーにとって最重要のチップセット供給者だ。システムチップもLTEモデムもQualcommが多い。Appleは長年Qualcomm LTEチップをiPhoneに組み込んでいる。iPhone 7ではAppleはサプライチェーンのリスクを低減するためにはLTEチップセットの納入企業をIntelとQualcommに分散した。

しかしチップセットの製造はQualcommのビジネスの一部門に過ぎない。同社はワイヤレス・テクノロジーに関し重要特許を数多く保有しており、たとIntelのチップセットを購入する場合でもQualcommにライセンス収入がもたらされる。チップセット製造からの売上がライセンス収入の伸びを上回っているとはいえ、ライセンス料は依然としてiQualcommの売上の3位を占めている。

Appleは「われわれはQualcommに過大なライセンス料金を支払ってきた。QualcommはAppleに不必要な数の特許の使用を強い、iPhoneの売上の一部を抜き取っている」と主張している。Appleは訴訟で10億ドルの損害賠償を求めている。.

QualcommとAppleは互いに提訴と反訴を繰り返しているがこれは巨大企業間での特許訴訟では珍しくない。

両社は互いに相手を真っ向からねじ伏せようとしている。Appleはこの訴訟でライセンス料金を値下げさせようと試みている。逆に Qualcommは特許ビジネスを守らねばならない。もしAppleに対してライセンス料の値下げを認めれば他のメーカーも一斉に値下げを要求してくるのは明らかだからだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

AppleがQualcommへのロイヤルティ支払いを停止

AppleとQualcommが、ここ2、3ヶ月の間ロイヤルティの支払いに関して激しく戦ってきたことは特に秘密でもなんでもない。このたびAppleはQualcommに対し、争点となっているライセンス料の支払いを停止することを通告した。Qualcommはこの攻撃的な動きがあったことを認め、これにより収益が予想よりも下がることになると語った。

Appleは、支払いを再開するには裁判所の判断を待ちたいと回答した。もちろん同社は、決定後にはより少ないロイヤルティ額になることを期待している。

Qualcommの上級副社長兼相談役のDon Rosenbergは、その声明の中で「AppleはQualcommが長年ライセンシーとの間で締結してきた長期契約に対して不当に干渉している。これらの契約は今でも有効で強制力がある」と述べている。

もし最近のエピソードを見逃していたなら、一体両社の間に何があったのかと思うかも知れない。Qualcommは、世界中のスマートフォンメーカーの多くに対する、キーチップセットサプライヤーである。そうしたメーカーに対してデバイスで利用するSOC(システムオンチップ)やLTEモデムを製造している。しかしこれはQualcommのビジネスのほんの一部に過ぎない。

同社はまた、ワイヤレス技術に関連する数多くの特許を保有している。言い換えれば、もしスマートフォンを構築するなら、Qualcommからそれらの特許に対するライセンスを取得する必要がある。チップからの収益は、ライセンスの収益よりも急速に成長してはいるものの、それはまだ会社全体の収益の3分の1ほどに過ぎない。

しかし、Qualcommは少々やりすぎたのかもしれない。先の12月、韓国の反トラスト規制当局はQualcommに対し、韓国における同社の特許ロイヤルティ活動について、約8億5,000万ドル(1.03兆ウォン)の罰金刑を科した

規制当局によれば、Qualcommはあまりにも多数の特許をライセンスし、スマートフォンメーカーに対して、場合によっては不要かもしれない特許への高いロイヤルティを強制している。それに加えて、Qualcommはスマートフォンメーカーを脅迫し続けてきた。もしそうしたロイヤルティを支払わなければQualcommのチップセットを売らない(no license, no chips)、というわけだ。

FTC に続き、Appleは多かれ少なかれそのケースに似た内容の提訴を1月に行った。Appleのケースでは、Qualcommは他のスマートフォンメーカーよりもさらに高額のロイヤルティをAppleに対して支払うよう強制していた。なぜなら、Appleは競合他社のチップセットを使用しているからだ。AppleはQualcommに対して10億ドルの賠償金を求めている。

そしてもちろんこれで終わりではなかった。Qualcommは反訴し、Appleは別の訴訟を中国で行った。こうなるとAppleとQualcommの代表たちと一緒に夕食のテーブルは囲みたくはない。

今日のロイヤルティ支払い停止のニュースは、Appleが勝訴をほぼ確信しているということを示している。Qualcommは第3四半期の財務予測を調整する必要に迫られた。売上高は48億ドルから56億ドルの間となり、利益はより低くなる筈だ。これまで同社は、53億ドルから61億ドルの売上高を見込んでいた。

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(翻訳:Sako)

Qualcomm、VRヘッドセット・アクセラレーター・プログラムを発表―開発キットも835対応へ

LAS VEGAS, NV - JANUARY 06:  Qualcomm CEO Steve Mollenkopf speaks during a press event at the Mandalay Bay Convention Center for the 2014 International CES on January 6, 2014 in Las Vegas, Nevada. CES, the world's largest annual consumer technology trade show, runs from January 7-10 and is expected to feature 3,200 exhibitors showing off their latest products and services to about 150,000 attendees.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

VR〔仮想現実〕が近々モバイル化することは間違いない。そしてモバイル・デバイスの市場を誰よりもしっかり握っているのはQualcommだ。そこでQualcommとしては世界のODM(オリジナル・デザイン・マニュファクチュラー)のコミュニティーにVR開発を普及させることがなにより急務となる。

モバイルVRのヘッドセットはスマートフォンをスロットに挿入して利用するような形式ばかりではない。中国その他の地域でもすでにオールインワン式のVRヘッドセットが強い関心を集めている。昨年QualcommはSnapdragon 820アーキテクチャに基づいたVRヘッドセットのレファレンス・デザインを発表している。今年に入って新しい835チップ用のアップデートも行われている。

Snapdragon VR820

Qualcomm VR 820レファレンス・デザイン

中国のODMの何社かはVRレファレンス・デザインをベースにヘッドセットを開発することに興味を示している。しかしQualcommはさらに広く世界的にユーザーを増やすためにヘッドマウント・ディスプレイ・アクセラレーター・プログラムを準備中だ。このプログラムに参加するVRヘッドセットのメーカーはQualcommのサプライ・チェーン・パートナー各社からの協力が得られる。また開発したプロダクトのマーケティングにおいてQualcommからの助力を期待できる。

Qualcommはまた「当初このプロジェクトはVRヘッドセットのメーカーを対象としているものの、近くAR〔拡張現実〕コミュニティーの各社もメンバーとなってSnapdragon 835チップの効果的な利用法を発見できるだろう」と述べている。

このVRヘッドセット開発加速計画のニュースに加えて、Qualcommはデバイス開発キットのアップデートも発表した。これは新しい835チップへの対応が主となる。新しい開発キットはユーザーのどんな動作にも追随する6DOF〔6自由度〕のモーション・トラッキングを可能にする。これは2台のカメラに加えて新しく視線トラッキングを利用している。こうしたテクノロジーは計算量を減らし、システムへの負荷を大きく軽減するという。

開発キットは今年の第2四半期にリリースされる予定だ。ヘッドセット・アクセラレーター・プログラムはすでにスタートしている。

画像:Justin Sullivan/Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

QualcommのLTE統合Snapdragon 210がGoogleのIoT OS、Android Thingsをサポートへ

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12月にAndroid Thingsを立ち上げたときGoogleは、そのAndroidベースのIoTオペレーティングシステムのための、ハードウェアパートナーをいくつか発表した。それらは、Intel Edison, NXP Pico, Raspberry Pi 3などだ。当然仲間に加わりたいQualcommは、Googleの発表に対し独自の、率直だけれどちょいと曖昧な応答をリリースした: 題して、“QualcommはAndroid Things OSに関しGoogleと協力して、迅速でスケーラブルでセキュリティにフォーカスしたIoT開発を推進して参りたい”。

と、いうわけでした。

さて、Mobile World Congressが間近に迫った今日このごろ、同社は、やや具体的な意図を明らかにして、そのSnapdragon 210チップが生まれたばかりのIoT OSをサポートし、このプロセッサーに統合されているLTEのサポートにより、ビデオカメラや決済システム、電子看板などのデバイスを動かす力になりたい、と発表した。

このサンディエゴのコンポーネントメーカーは、IoTの消費者的側面をとくに意識しているようで、Google Cast Audioのサポートや家庭用の器具類、スマートアシスタントなどに210チップを持ち込もうとしている。関連して言語処理や画像分析、データ処理などの機能もクラウドではなく、ハードウェア上でサポートする意向だ。

これらのサポートが具体化する今年後半にはこれが、LTE内蔵のプロセッサーが新しいIoT OSをサポートする最初の例になる、とQualcommは考えている。なお、来週のMobile World Congressでは、早くもこれらの技術のデモを行う。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

モバイルがインドの農村部を変える

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編集部注:本稿を執筆したMelissa Jun Rowley氏は、ジャーナリストであると同時に起業家としても活動する。また、彼女はストーリーテリング、テクノロジー、ソーシャルジャスティスを専門とするアクティビストでもある。Humanise, Inc創業者兼CEOの彼女は、ミュージシャンのPeter Gabriel氏が創設したThe ToolBoxの運営を行っている。The ToolBoxは、データを活用した人道主義的なイニシアティブである。

 

インドの街、ジャーンシー郊外の農村部。そこでは、ヤギや牛が闊歩する舗装されていない道路で子供たちが遊んでいる。地味ながらカラフルな家の床は泥で固められ、女性たちは井戸に水を汲みに行く。

そこで見られる風景、そして、聞こえてくる音は、農村部ならではの典型的な姿だ。しかし、ただ1つを除いては。この地域では、スマートフォンが人々の命を救っている。この村では、「Accredited Social Health Activists(ASHAs)」と呼ばれる女性のヘルスケアワーカーたちがスマートフォンをもち、mSakiというアプリケーションを使って妊婦に出産についての知識を教えている。

Qualcomm Wireless Reachによって創業され、IntraHealth Internationalによって開発されたmSakiを使い、329人のASHAsが1万6000人の母親たちの手助けをしている。モバイルブロードバンドを利用したイニシアティブがインドの農村部でこのような活動をしているという事実は、無視できることではない。

情報格差を解消する。低い識字率、劣悪な通信環境

インドのNational Health Ministryによれば、インドでは1000人中29人の新生児が死亡するという。インド政府は、この数字を1桁台にまで抑えることを目標に掲げている。しかも、インド女性の識字率は低い。ニューヨークを拠点とするInternational commision on Finincing Global Education Opportunityが昨年10月に発表した調査結果によれば、小学校を卒業した女子児童のなかで文字の読み書きができるのは全体のたった48%だという

また、Pew Research Centerが行った2015年のアンケート調査によれば、インターネットの通信環境をもっていると答えたインドの成人は22%だった。そうは言うものの、インターネット通信環境を整えようとする努力がインド各地で行なわれていることも事実だ。Digital Indiaが実施するプログラムは、デジタルによって人々がもつ力を向上させ、農村部にブロードバンド環境を提供することを目指している。この計画の一部として、インド政府は2018年までに4万以上の村でモバイル通信を利用可能にするという方針を打ち出している。

その一方で、mSakiは現状の通信環境でも大きなインパクトを与えることができる。このアプリケーションは劣悪な通信環境にも対応できるように開発されたものだからだ。デバイスに送り込むデータはオフラインで保存され、インターネットに接続された時にはじめてデータをサーバーへアップロードする仕組みなのだ。

妊婦を診察し、彼女たちにアドバイスを与える

現場の最前線で働くRam Kumari Sharma氏は、インド各地の村を転々とする毎日だ。彼女はmSakiを使い、妊婦や出産後の母親、そして新生児の健康状態をアプリにインプットし、彼女たちの診察も行う。mSakiに表示されるテキストやアニメーションを頼りに、彼女は注意すべき病気の症状やその治療方法を妊婦たちに教えているのだ。

現場の助産婦をサポート

mSakiは現場の補助看護助産婦(ANMs)たちにも利用されている。Anita VT氏は、村のヘルスケアセンターで20年間勤務するベテランのヘルスケアワーカーだ。彼女はそこで、患者の受け入れ、出産の補助、子どもへのワクチン注射などの業務をこなす。そこは、小さな部屋に数個の手動ツールがあるだけの小規模な医療施設だが、モバイルテクノロジーは彼女に21世紀の医療を与えた。

VT氏はタブレットを指差しながら、「これがあれば何でもできます」と話す。「紙を使う理由がありません」。

IntraHealthでシニアアドバイザーを務めるMeenakshi Jain氏は、mSakiはコスト効率的な医療を可能にするアプリケーションだと語る。

「インド政府は、すべての妊婦をオンラインのシステムに登録するというプログラムを全国で展開しています」と彼女は話す。「これを実現させるのが現場で働くASHAsや助産婦たちです。それらのヘルスケアワーカーの役割は、妊婦を特定し、彼女たちの情報を登録することです。しかし、従来のやり方では、彼女たちが紙のフォームを埋め、10〜20キロの道のりを往復し、コミュニティに設置されたヘルスセンターのオペレーターと話をし、そしてデータをコンピューターに打ち込む必要がありました。mSakiは、そういった事務処理にかかる時間的なコストを大幅に削減することができるのです」。

mSakiをどうやってスケールさせるか?

mSakiプログラムに必要な資金を集めるため、IntraHealthは同アプリの実績をステークホルダー(連邦政府、州政府、ドナーなど)と共有している。実際にmSakiが母親や子どもたちの健康状態を改善していることを示すためだ。Jain氏は、政府がmSakiや他の類似のアプリケーションを導入することで、現場で働くヘルスワーカーたちに最新の技術を提供し、彼女たちの能力を一段と高めることができればと願っている。IntraHealthに十分な資金が集まれば、同社はmSakiの改善を続け、今後は家族計画のアドバイスや識字率改善にも取り組んでいきたいと話している。

より速く、より効率的なマイクロローンを

ジャーンシーから450キロほど離れたジャイプル郊外の村。ここで、非営利団体のPlanned Social Concern(PSC)は村に住む女性たちにマイクロローンを提供している。

PSCのマイクロファイナンスを利用した人々のなかには、そこで得た資金を利用して小さなビジネスを立ち上げる者もいる。また、ある女性は、PSCから借り入れた資金のおかげで新しい家を建てることができ、子どもを学校に入れることもできたと喜んでいた。

この経済的なエンパワーメントを可能にしたのは、モバイルブロードバンドだ。Qualcomm Wireless Reachとのパートナーシップを通して、PSCは2014年にすべてのローン審査プロセスをデジタル化した。今では、このプログラムは完全にペーパーレスで運用されている。

PSC COOのravi Gupta氏は、3Gネットワークにつながったタブレットと「MicroLekha」と呼ばれるモバイルアプリケーションを利用することで、スピーディで透明性のある業務を可能にしたと話す。

「ローン組成にかかる業務をマニュアルで行っていた当時、実際の融資までには17〜18日程度の時間が必要でした」とGupta氏は語る。「MicroLekhaを使えば、その時間が3〜4日にまで短縮されます」。

すべての書類はデジタルに保存されているため、顧客は借り入れごとに紙の書類を作成する必要はない。ローンを返済すると、その旨を伝えるアップデートがSMSで届く。

これは始まりに過ぎない。Digital Indiaの試みがインド各地に広まれば、ヘルスワーカーを助け、妊婦を教育し、小規模ビジネス立ち上げの機会を与えてくれる新しいモバイルテクノロジーが導入されることだろう。

農村部にインパクトを与えるプログラムが大企業から生まれ、西洋の貧しい国々でもDigital indiaなどと同様のイニシアティブが立ち上がることを、私は望んでいる。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

FTCに続いて今度はAppleがQualcommに対し10億ドルの訴訟を起こす

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Qualcommにとってひどい始まり方をした週が、さらにひどくなった。Appleが週末に先駆けて、訴訟列車に新たな荷物を積み込んだ。その前には連邦取引委員会(FTC)が、このサンディエゴののモバイルチップメーカーに対して、約10億ドルの訴訟を起こした。

Appleの名前は、最近のFTCの文書にも登場する。その文書はQualcommを非難し、同社の反競争的な“ライセンスなければチップなし”(no license, no chips)ポリシーは特許の使用料をつり上げ、競合他社のプロセッサーを使っている電話機メーカーにより多くの支払いを強制している、としている。

今週の初めにFTCはこう言っている:

Qualcommは2011年から2016年にかけてAppleに対し、ベースバンドプロセッサーをQualcommの競合他社から入手できないようにしていた。Qualcommは、Appleのビジネスを勝ち取った競合他社は、それがどこであれ、自分より強くなると認識し、その独占的ポリシーを利用して、AppleがQualcommの競合他社と協働して競合製品の実効性を高めることを妨げた。

Apple自身の10億ドルの訴訟は、Qualcommの特許料の課金を非難して、QualcommはTouchIDやディスプレイやカメラなど“何の関係もないもの”に対しても特許料を請求し、ライセンスをより高価にすることによって、イノベーションを窒息させようとしている、と訴えている。

Appleは本誌TechCrunchに提供した声明でこう付言している:

Qualcommはその事業を古いレガシーのスタンダードの上に構築しているが、独占的な戦術と過剰なロイヤリティによってその支配性を増強している。セルラーの基本的な規格には10数社が貢献しており、Qualcommはその中の一社にすぎないにもかかわらず、弊社が合意している他社のセルラー関連特許をすべて合わせた額の少なくとも5倍をAppleに対し執拗に課金しようとしている。

Qualcommにはこれら以前にも、世界中からいろんな訴訟を起こされており、その中には韓国や中国からの巨額な罰金求刑もある。今本誌は、同社にコメントを求めている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Qualcommの反競争的行為を母国アメリカのFTCも告訴

LAS VEGAS, NV - JANUARY 06:  Qualcomm CEO Steve Mollenkopf speaks during a press event at the Mandalay Bay Convention Center for the 2014 International CES on January 6, 2014 in Las Vegas, Nevada. CES, the world's largest annual consumer technology trade show, runs from January 7-10 and is expected to feature 3,200 exhibitors showing off their latest products and services to about 150,000 attendees.  (Photo by Justin Sullivan/Getty Images)

世界各地で同様の告発を受けていたQualcommが、故国のアメリカでも大きな反発を食らっている。連邦通商委員会(FTC)は同社を告訴して、Snapdragonのメーカーであるこのサンディエゴの企業が反競争的な手法によりチップビジネスにおける独占を維持しようとした、と非難している。

同委員会が今日発表した声明は、同社がそのいわゆる“ライセンスなければチップなし”(no license, no chips)政策により特許の免許料をつり上げ、また競合他社のチップを使っている電話機メーカーにはより高いライセンス料を強要している、とその非難を詳述している。

FTCはこう述べている:

“No license, no chips”は、半導体デバイスの他の供給者たちが課していない条件である。Qualcommのベースバンドプロセッサーへのアクセスを失うことのリスクは携帯電話のメーカーにとって担うことができないほど大きい。なぜならばそれによってメーカーは、主要なセルネットワーク上で使用できる携帯電話を売れなくなるからである。

訴状は反競争的行為の例としてAppleのケースを挙げ、QualcommはiPhoneのメーカーのビジネスをめぐる競争から他のチップメーカーを閉め出した、と非難している。Appleとの大きな契約は、メディアに対する効果も非常に高いからである。

告訴が要求しているのは、“Qualcommにその反競争的行為をやめさせて、競争的条件を回復する”、ことである。

このFTCの告訴は、世界中のQualcommに対する一連の反競争訴訟の、最新のものである。過去には同社は、韓国で8億5400万ドル、中国で9億7500万ドルという、巨額な罰金を科せられている。EUでは、今も調査が続いている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))