プロ用オーディオツールのAccusonusがAIでビデオの音を向上させるツールを発表

ビデオに使われているオーディオの音質を向上させるAccusonus(アクソナス)が、シリーズAで330万ドルを調達した。このラウンドをリードしたのはギリシャ・アテネのVenture Friendsで、Big PiやIQBility、PJ Tech、それにAccusonusの共同創業者で前はAware Inc.のCEOだったMichael Tzannes(マイケル・ツァネス)氏が率いる米国の投資家グループが参加した。Accusonusは、ギリシアと米国のいわば二重国籍だ。

2014に創業したAccusonusの創業者は、これまでも多くの他社よりもずっと長く、さまざまなオーディオや音楽のアプリケーションにAIを利用してきた。同社の最初の製品であるDrumatom(ドラマトム)は、ドラムを録音するときのマイク漏れをコントロールする。2017年にAccusonusは第2弾の製品としてRegroover(レグローバー)をリリースした。これはAIを利用したソフトウェア楽器で、オーディオのループを個々の楽器(スネア、シンバル、バスドラなど)に分解して、新しいビートの作成などを可能にする(参考記事)。

同社のプロダクトは、Bob Dylan(ボブ・ディラン)やLou Reed(ルー・リード)、Goo Goo Dolls、Super Furry Animals、Wilco、Jennifer Lopez(ジェニファー・ロペス)などなど多くのミュージシャンが使ってきたと言われている。

しかし最近の同社は、音をきれいにしたいと願うビデオやポッドキャストのプロデューサーのための、シンプルで使いやすい一連のツールを開発してきた。今ではスマートフォンなど消費者向け録画録音機器の普及で毎日膨大な量のコンテンツが作られているから、音楽の製作以外の市場がものすごく大きい。

共同創業者でCEOのAlex Tsilfidis(アレックス・シルフィディス)氏によると、AccusonusはAIを利用したツールによって、高品質なオーディオへのアクセスを万人のものにしたい。従来のオーディオソフトに必要だった厳しい学習曲線を不要にしたい。

彼によると、新しいアルゴリズムの発明とUXの微調整に苦戦した結果、Accusonusのオーディオツールは初心者でも使いやすくなり、またオーディオやビデオのプロにとってはワークフローの効率化が図れた。

具体的には、AccusonusのツールであるEnhancement and Repair of Audio(ERA)を使えば、そのソフトウェアの中の1つの仮想ノブを回すだけでオーディオの録音をクリーンアップできる。ERAツールはプラグインとして動作するので、ビデオやオーディオのメジャーなプラットホームと互換性がある。それは入門レベルのエディターAudacityやGaragebandでも、あるいはもっとハイエンドなAdobe Premiere ProやApple Final Cut、Avid Pro Tools、Apple Logic Pro、Da Vinci Resolveなどでもいい。

シルフィディス氏によると、初心者とプロという2つの顧客グループをサポートすることにはメリットがある。プロのユーザーから寄せられるフィードバックは、ノンプロ向け製品の改良に役立つことが多い。もちろん2つのグループには重複部分もある。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Paidyが総額150億円の大型調達、オンライン決済で大型加盟店との取引拡大目指す

後払いサービスを提供しているPaidy(ペイディー)は10月31日、総額150億円を調達したことを発表した。内訳は、シリーズCエクステンションによる第三者割当増資で90億円、デットファイナンス(借入金)での66億円となる。同社はこの資金を使って、大型の加盟店との取引拡大のほか、2020年までにユーザーを1100万アカウントまで増やすことを目指す。

第三者割当増資の引き受け先は、PayPal Venturesのほか、Soros Capital ManagementやJS Capital Management、Tybourne Capital Management、および匿名の投資家が含まれる。デットファイナンスは、Goldman Sachs Japan(ゴールドマン・サックス・ジャパン)やみずほ銀行、三井住友銀行、住友三井信託銀行からのものだ。

Paidyによると、今回の資金調達は国内のフィンテック企業への最大の投資で、同社への総投資額は累計156億円になる。同社によると、シリーズDではなく昨年のシリーズCのエクステンション(増額)を選んだのは既存の投資家の株式保有率を維持するためであり、そのために前の投資ラウンドと同じ優先株を発行した。

2014年に創業したPaidyは、日本の消費者の多くがeコマースの決済にクレジットカードをあまり使わないことに着目。日本のクレジットカードの普及率は比較的高いものの、ネットでの買い物は代引きや、コンビニのような受け取り場所を使う人が多い。消費者にとってはそのほうが楽だが、売る側はまだ代金が払われていない商品を送る必要があるほか、配達事故にも対応しなければならない。

ネットショップがPaidyでの決済対応していれば、消費者はそのストアのアカウントを作成や、クレジットカードの登録が不要で商品代金を支払える。利用者は、携帯電話番号とメールアドレスを入力するだけでOKで、SMSや音声で送られるコードで認証する仕組みだ。商品の代金はPaidyが払い、毎月決められた日に顧客に請求される。Paidyは機械学習の独自のモデルを使ってユーザーの信用を計り、未払い事故を減らす。またコンバージョン率や平均購買単価、それにリピート購入が増える。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

小型人工衛星ネットワークを利用するIoTシステム向けSDKをKeplerが公開

トロントのKepler Communications(ケプラー・コミュニケーションズ)は、通信サービスを提供するための靴箱サイズの人工衛星を開発し、その実際の打ち上げ配備もしている。同社はこのほど、最初のSDKを作って関心あるデベロッパーの登録を待っている。同社の衛星を商用利用する顧客はこのデベロッパーキットを使ってKeplerが来年から提供するナローバンドのIoT接続を利用でき、それが実際に有料で提供される来年からは同社のパートナーにもなる。

SDKをこのように早期に公開するのは、Keplerが提供するIoT接続を関心のある企業に試用しテストしてもらうためだ。Keplerのサービスの供用範囲はグローバルなので、IoTのオペレーターは単一のネットワークで比較的安くシステムを構築運用でき、輸送用コンテナの追跡とか鉄道のネットワーク、家畜や穀物などの積荷の追跡をグローバルに行うことができる。

Keplerによると、同社のIoTネットワークはこの目的のために特製された重量10kg以下のナノサテライトの集合で構成されてる。実際の打ち上げは来年以降になるが、消費者向けHDビデオストリーミングなどのように広帯域を必要としない業種に狙いを定めている。そういう業種にとっては、カバー範囲が広くてリモートアクセスの多い、しかも安定性の良い堅牢なネットワークが鍵だ。

軌道上に衛星の星座と呼ばれる複数の人工衛星を配置して提供するIoT接続は、最近ますます関心が高まり投資の対象にもなっている。そして大企業はそれらを利用してモニタリングや積荷などの追跡を現代化しようとしている。例えば、Swarmは同じ目的の150個の小型衛星の打ち上げをFCCに許可された

2015年創業のKeplerは、これまでに2000万ドルあまりを調達し、2つの小型衛星を昨年11月と今年の1月に打ち上げている。同社の発表によると、来年半ばにはISKとGK Launch Servicesとの契約でさらに二つをソユーズロケットで打ち上げる予定だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

マーケティング向けARコンテンツを気軽に作れるクラウドエディター

スマートフォンの拡張現実(Augmented Reality、AR)には大きな将来性があったが、しかしこれまでは段階的な進化が多くて、新しいプラットホームの登場は少なかった。しかしモバイルのARに注力していたスタートアップにとっては、ユーザーに負担をかけないもっと軽いAR体験を作り出すことが、長年の課題だった。

8th Wallは、モバイルのAR体験を実現する開発ツールを作っており、同社はこれまで1000万ドルあまりの資金を調達して、デベロッパーたちを拡張現実の世界に誘い込もうとしてきた。

関連記事:Augmented reality developer tools startup 8th Wall raises $8 million…拡張現実開発ツールの8th Wallが800万ドルを調達(未訳)

同社は今週、8th WallがホストするAR体験を一般ユーザーが作れるワンストップの制作プラットホームを発表した。それは、同社がこれまでやろうとしていたことの一歩前進であり、顧客がマーケティング目的で気軽にARを作れることが、スマートフォンの単純なARを収益源にするための最適の方法であることの兆候でもある。

そのARエディターは、ウェブで人気のある没入体験のフレームワークであるA-Frameやthree.js、そしてBabylon.jsをサポートしている。「開発プラットホームではあるが、ゲームエンジンのUnityのように重厚なレンダリングを目指すものではなく、とにかく『軽いプロジェクトをどんなスケールでも素早く作る』ことが狙いだ」とCEOのErik Murphy(エリック・マーフィー)氏は語っている。

8th Wallは最初、ARKitやARCoreのような拡張現実プラットホームで、デベロッパーが作るコンテンツができる限り多様な機種をサポートすることを目指していた。今の8th Wallの14名のチームは、スマートフォンからブラウザ上のウェブ体験を呼び出せるWebARと呼ばれる技術にフォーカスしている。

WebARのメリットは、Webアプリケーションと同じだ。ユーザーは何もダウンロードせず、単純にリンクでコンテンツにアクセスできる。企業のマーケティングで行われる消費者や顧客との対話には、最適の方法だ。そんなところでユーザーにアプリのダウンロードを求めたりしたら、まるで笑い話だ。リンクやQRコードでWebへのリンクを提供したほうがずっと人生は楽だ。

8th Wallのクラウドベースの制作およびホスティングプラットホームは、広告/マーケティング代理店や企業のユーザーなどが本日10月31日から利用できる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

クラウドキッチンがラテンアメリカで大流行、フードデリバリー競争が激化

クラウドキッチンがラテンアメリカで大流行している。フードテックのスタートアップであるMuyは、1500万ドル(約16億3000万円)のシリーズBを調達して、本拠地のコロンビアからメキシコと、もうすぐブラジルにも進出しようとしている。

ある投資家は「MuyはクラウドキッチンのChipotle(チポトレ)だ」、と言う。同社自身によると、Muyは仮想キッチンとスマートシェフのシステムであり、AIを利用して需要を予測し、それに基づいて料理を作るから食材の無駄が少ないという。スペイン語の「muy」は英語の「very」に相当し、顧客は同社の実店舗やモバイルアプリから自分の好みに基づくオーダーをする。Muyのやり方を他社のおよそ20の実店舗レストランが早くも採用して、早くて作りたてで個人化された料理を顧客に提供している。Muyの創業者であるJose Calderon(ホセ・カルデロン)氏によると、同社は1か月に20万食以上を顧客に提供している。

このラウンドをリードしたのはメキシコの投資家ALLVPで、これまでの投資家であるSeayaも参加した。これでMuyの資金調達総額は2050万ドルになる。

カルデロン氏は、テイクアウト分野の新人ではない。前にはコロンビアのオンラインフードデリバリーサービスのDomicilios(ドミシリオス)で4770万ドル(約51億8400万円)を調達し、その後それはDelivery Heroに買収された

デリバリーのアプリは大流行のため顧客を奪い合う競争も激しいが、それは米国だけでなくラテンアメリカにも飛び火している。サンパウロやメキシコシティ、ボゴタなどの渋滞したハイウェイには、RappiやUberEATSなどデリバリー企業の配達員のバイクがたくさんいる。

カルデロン氏によると、クラウドキッチンによって過密都市におけるオンデマンドのオーダーとデリバリーがより効率的になる。それぞれの国で増え続けている中間層は、通勤時間が長いので家にいない時間が12時間を超えている。食事はデリバリーに依存せざるをえないが、それもできるだけ短時間ですませたい。というわけで、フードデリバリーの進化形であるクラウドキッチン(職域地区にある共用キッチン)の利便性が歓迎される。

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MUYの顧客はコロンビアの実店舗で注文している様子

本格的なレストランは高いし時間を浪費する。軽食レストランは料理の質がいまいちだ。カルデロン氏によれば、そこで昼食市場の大部分、およそ40%は職場へのデリバリーだ。でも彼によると、今後可処分所得が増えれば多くの人が家で料理をしなくなり、Muyのような早くて高品質なサービスを利用するだろう。

クラウドキッチンは、複数のレストランオーナーが共用する本格的な業務用キッチンだ。それに対して米国の投資家はまだ迷っている。ジャーナリストたちはこの仮想スペースのことをゴーストキッチンと呼び、個人経営のレストランにとって脅威と見ている。TechCrunchライターのDanny Crichton(ダニー・クリクトン)は、「クラウドキッチンはレストランのキッチンのWeWorkだ」と書き、「この共用型のキッチンの登場によって突然、フードデリバリーサービス間の戦争が起きている」と言っている。どのサービスもクラウドキッチンで配達品を気軽に調理できるから互いに市場拡大が生じているようだ。

一部の批判にもめげず、米国とラテンアメリカではクラウドキッチンとそれを利用するデリバリーサービスが急増している。カルデロン氏によると、ラテンアメリカのフードサービスの市場機会は2021年に2700億ドル(30兆円)に達する。

ラテンアメリカの市場は小さな企業同士がしのぎを削っているという。上位10社のチェーンを合わせても、そのマーケットシェアは5%だ。米国ならそれは24%に達している。「米国では大手による吸収合併が進み、中小企業が押されている」と彼は語る。

そしてその既存大手が、クラウドキッチンに手を出そうとしている。今年の春にAmazonは、2018年に初めての共用キッチンをパリに開いたDeliverooに5億7500万ドル(約62億5000万円)を投資した。CloudKitchensの持株会社であるCity Storage Systemsは、Uberの創業者で元CEOのTravis Kalanick(トラヴィス・カラニック)氏から1億500万ドル(約114億円)の支配株で支援された。

良くも悪くも米国とアジアと、そして今度はラテンアメリカで、デリバリーサービスとクラウドキッチンは食事に革命をもたらしている。グローバルなデリバリーサービスやクラウドキッチンの勝者や、市場を支配する既存大手はまだ登場していないが、私たちが知ってるのは、昼食を食べることは誰にとっても必要ということだ。

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アップルの2019年7〜9月決算は約7兆円の売上、ウェアラブルとサービス部門が好調

Apple(アップル)はiPhoneが依然として売上の半分以上を占めるが、ほかの部門が順調になるにつれて徐々にその重要性は縮小している。

同社のQ4(2019年7〜9月期)の決算報告のあとの時間外で、アップルの株価はほとんど変わっていない。同社の1株あたり利益は、ウォール街の予測2.84ドルに対して3.03ドル、売上は629億9000万ドル(約6兆8500億円)の予測に対し640億ドル(約6兆9600億円)だった。

ビッグニュースの続きは、サービス部門とiPad、そしてウェアラブルが大きく伸びたことだ。iPhoneとMacの売上は縮小が続いている。

ご存知のようにアップルはもはや、iPhoneとMacとiPadの売上台数を公表していない。それは、台数の減少と単価の上昇を反映しているようだ。サービス、ウェアラブル、その他、そしてiPadは前年同期比で伸びたが、iPhoneとMacは売上のスランプが続いている。

  • iPhoneの売上は前年同期比で9%減少し333億6000万ドルに
  • サービス部門は18%増加して125億ドルに
  • Macの売上は5%ダウンして69億9000万ドルに
  • ウェアラブル、ホーム、アクセサリーは54%アップして65億2000万ドル
  • iPadの売上は17%の増で46億6000万ドル

同社は成長率の高い事業を増やし続けている。同社は米国時間10月30日、AirPodsのハイエンド機を発表したが、これはウェアラブル部門の平均売上単価を底上げするだろう。また、近くローンチするApple TV+も含め、同社は有料サービスが多くなっている。

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43億円超を調達してHadoopから大ピボットを敢行したDatameerに投資家たちが期待

Datameerは、オープンソースのHadoop(ハドゥープ)プロジェクトに乗っかってデータ準備サービスを提供するスタートアップとして誕生したが、このほど4000万ドル(約43億5200億円)の投資を発表してHadoopからの大ピボットを敢行した。ただしこれまでと同じくビッグデータの仕事をしていくことには変わりない。

この投資は、同社の従来からの投資家であるST Telemediaがリードした。ほかにも既存の投資家Redpoint VenturesやKleiner Perkins、Nextworld Capital、Citi Ventures、およびTop Tier Capital Partnersらがこのラウンドに参加した。Crunchbaseのデータによると、同社の調達総額はこれで1億4000万ドル(152億3100万円)近くになる。

CEOのChristian Rodatus(クリスチャン・ロダトゥス)氏によると、同社の最初のミッションはHadoopをデータサイエンティストやビジネスアナリスト、それにエンジニアなどの人々にとって容易に利用できるようにすることだった。しかし昨年は、最大のHadoopベンダーである3社、ClouderaとHortonworksとMapRを不運が見舞った。その結果ClouderaとHortonworksは合併し、そしてMapRはHPEに安値で売られた

2年近く前に誕生したDatameerはこの状況を見て、自分も変わるべき潮時だと悟った。そこでまず、2つの新しいプロダクトの開発を始めた。これまでの顧客を失いたくはないので、同社のHadoopプロダクトの改造に着手し、それを今ではDatameer Xと呼んでいる。それは現代的なクラウドネィティブのプロダクトで、人気の高いオープンソースのコンテナオーケストレーションツールであるKubernetesの上で動く。HadoopではなくApache Sparkを使う。このピボットの3分の2は完了しており、すでに顧客の手に渡っている。

同社は、まったく新しいSaaSツールであるNeeboも発表した。これはデータサイエンティストに、どこから得たデータであっても処理できる能力を与える。ロダトゥス氏によると、これからはますます雑多なデータを相手にしなければならない。普通のデータもあれば、データアナリストやデータサイエンティストがPythonで書いたコードもある。SaaSのベンダーのダッシュボードにもデータがある。Neeboはこれらすべてをマネージドサービスの中でまとめて、データサイエンティストがインサイトを得られるようにする。TableauやLookerのようなデータ視覚化ツールも使える。数週間以内に一般公開できる予定だ。

このピボットをやり終えるためにも、今度の資金は重要だ。技術者を増員して工程を継続し、マーケティングと営業を充実して新製品を売っていきたい。楽にできるピボットというものはないけれども、でも投資家たちは同社が既存の顧客をベースに成長できる、と期待している。それに一般的にも、データサイエンスのためのツールにはこれからますますニーズがあるはずだ。同社の今後を見守りたい。

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グーグルの検索結果からFlashを使っているサイトが消える

Flash(フラッシュ)の死が言われるようになってから長い年月が経つ。今でもまだそれは生きている。もう存在しないという説もあるが、最近の1カ月で迷子のようなFlashビデオやウィジェットをまったく見なかった人はいないだろう。その終わりを早めたいGoogle(グーグル)はこのたび、当然のような手段に出た。それは「ないふりをする」ことだ。

Googleは年内に、Flashを使っているコンテンツを検索結果に出すのを止めることを明らかにした。まともなサイト管理者なら誰もがそれを使わなくなってから何年も経つのに、今さらなんでそんなことをするのだろうと思うかもしれない。その答えは「昔のコンテンツがまだたくさん健在だから」だ。おそらくGoogleはウェブのロングテールに、その長い尻尾を巻き上げる機会を与えたいのだ。

Flashが検索に表示されなくなると、Flashを使っているサイトは完全に無視される。Flashを使っている店舗やビデオ、ゲームなどはすべて、Googleのクローラーがスキップする。それでも頑張ってFlashを使ってるサイトは、検索結果で下位に表示されるだろう。

関連記事:Adobe、2020年末でFlashのサポートを終了と発表

とはいえ、Flashを使っているサイトは最近少ないから何も気づかない人が多いかもしれない。それにメジャーなブラウザーはすべてデフォルトでFlashをブロックする。Flash本家のAdobeでさえ、見限った。

本当に良質なゲームがFlashを使っていて、どうしてもそれをプレイしたければ、それらを直接検索すればいい。そんなゲームを集めているようなサイトは、Googleの検索でも目立つように努力しているからだ。例えば「cool old flash games」(クールな昔のFlashゲーム)などで検索すれば上位に出てくるだろう。

これでやっとFlashも終わりか?そんなことはないだろうけど、今や生きてるとは言えない。でもFlashの墓の画像は、まだあと何度か使われるかもしれない。

画像クレジット: Bryce Durbin

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自動運転車からは見えない歩行者を影で予見するシステムをMITが開発

どの点を見ても自動運転車の能力はまだ人間ドライバーを超えてはいない。でも、最終的には自動運転車に搭載された技術が、コーナーの向こう側を見るなど人間には推測すらできないことをやってのけるかもしれない。この件については、何年も前から研究開発が進められているが、MITの最新システムは既存技術を使って低コストで、まるで手品のようなワザをやり遂げる。

Toyota Research Institute(TRI)が支援しているMITの研究プロジェクトが、影の微小な変化からコーナーに何か動くものが入ってくることを予見するシステムを作った。それは自動運転車で使えるだけでなく、同じスペースで人間と一緒に仕事をするロボットにも役に立つ。例えば、病院のお手伝いロボットなどだ。

そのシステムは汎用の学式カメラを使い、コンピュータービジョンの一連のテクニックで光の強さや密度の変化をモニターして、影が動いているものの影か、静的なものの影かを判定する。そして動いているものなら、その道筋を予測する。

これまでのテストでは、この方法はカメラではなくLIDAR(ライダー、レーザーによるセンシング技術)を利用する既存のシステムよりも有能だった。もちろん、LIDARはコーナーの向こう側を予見できない。コーナーの向こう側から何か動くものがやってくることの検出では、このMITのシステムがLIDARを使ったシステムより0.5秒早かった。自動運転車の世界で0.5秒は十分に長い時間だ。事故を起こすと避けるの違いにも結びつくだろう。

目下、この実験は屋内で行われていて、コーナーの向こうからやってくるものの速度はそんなに速くないし、光は都市の本物の屋外のように激しい変化がない。だから実用化までには、研究者たちの課題がまだ山のようにたくさんある。でもうまくいけば未来の自動運転車は、路上の歩行者や自転車やほかの車に、十分敏速に対応できるようになるだろう。

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蜘蛛の目の原理を借りて奥行き感知カメラを超小型化へ

ロボットや各種自動化装置の普及とともに、それらに3次元の視力を持たせることがますます必要になってきた。しかし、iPhoneのノッチが示すように奥行きを感知するカメラはどうしてもかさばる。ここでご紹介する蜘蛛が獲物までの距離を検知する仕組みは、この状況を変えるかもしれない。

ハエトリグモの小さな頭には、光を照射する仕組みなどを収めるだけのスペースはない。それでも彼らは、巧妙な捕食動物として獲物を正しく見つけて、そっち方向へ正しく進み、正しく獲物を捕らえる。どうやっているのだろう?節足動物の例に漏れず彼らもまた、非常に不可思議なおもしろい方法でそれをやってのける。

人間などは、複数の目が捉えた画像から立体像を作っているが、蜘蛛の目はひとつひとつが奥行きを感知する。個々の目が多層構造になっていて、透明な網膜がそれぞれの層の、距離によって異なる像のぼけ具合を見分ける。蜘蛛の小さな神経系は複数の目の複数の層を比較して距離を正しく測る。そのとても小さなハードウェアで。

ハーバード大学の研究者たちは、蜘蛛のこのやり方を真似たハイテクのレンズシステムを作り、これまでのような光学系がなくても奥行きを感知できるようになった。

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電気工学のFederico Capasso(フェデリコ・カパソ)教授らが作ったその「メタレンズ」は、蜘蛛の目のように、入力視像をぼけ具合の異なる2つのほぼ同じ像として捕らえる。そして同じく蜘蛛の目のようなアルゴリズムで2つの像を素早く瞬時に比較する。それにより、リアルタイムで像全体の奥行きが計算される。

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必要な計算力とそのためのハードウェアが微小である、という意味では効率的な処理だが、それだけでなく視覚系もとってもコンパクトだ。実験に使われたメタレンズは直径がわずか3mmだった。

小さいから、自動運転車や工業用ロボットだけでなく、小さなガジェットやスマートホームのアイテム、それにもちろんスマートフォンなどにも楽に組み込める。Face IDを駆逐することはないだろうが、でもその始まりかもしれない。

このメタレンズシステムを記述している研究論文は、米国時間10月28日に発行される「Proceedings of the National Academy of Sciences」(米国科学アカデミー紀要)に掲載される。

画像クレジット: Harvard SEAS

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アマゾンとの入札競争に勝ったマイクロソフトは米国防総省の1兆円相当のクラウドを作る

米国防総省は米国時間10月25日、Joint Enterprise Defense Infrastructure(JEDI、防衛基盤統合事業)クラウドの入札競争でMicrosoft(マイクロソフト)が契約を勝ち取ったと発表した。それは10年間で最大100億ドルにもなる事業契約だ。これに関しマイクロソフトは、ペンタゴンの事業とミッションの実施の双方でインフラとプラットホームサービスを提供する。

国防総省のCIO(情報担当最高責任者)を務めるDana Deasy(ダナ・ディジー)氏は、関連する発表で「(2018年の)国家防衛戦略は、我が国の制服を着た女性と男性に現代的な技術能力を開発装備する速度と実効性を向上すべきことを命じている。国防総省の(2019年の)デジタル近代化戦略は、この至上命令を支持するために作成された。今回の契約裁定は、デジタル近代化戦略の執行における重要段階である」と述べている。

マイクロソフトはこの巨額な入札競争の最終ラウンドでAmazon(アマゾン)を破った。それより前のラウンドではIBMやOracle(オラクル)のような競合企業が2社に敗退した。多くの識者は、アマゾン有利と見ていた。

アマゾンのスポークスパーソンは「この結果は意外である。AWSは明確にクラウドコンピューティングのリーダーであり、互いに競合する分野の詳細比較では、これとは異なる結果に導いていた。弊社は今後も、このまだ新しいデジタルの戦場のためのイノベーションに深く関わっていくつもりであり、そこではセキュリティと効率と自己回復力とリソースのスケーラビリティが成功と失敗を分かつであろう」とコメントしている。

ここに至るまでの過程は「複雑でない」とはとうてい言えない。さまざまな訴訟があり、土壇場の棄権あり、 そのほかの論争や議論もあった。ある時点では大統領の介入もあった。

まだ残っている問題は、マイクロソフトの社員がこれにどう反応するかだ。昨年は、何人かの社員が、会社がこの入札に参加しないことを求める公開書簡を発表した。さらに最近では、GitHubの総額20万ドルと比較的小額な、合衆国移民関税執行局との契約に同社の社員が抗議した。こんな背景がある以上、同社がペンタゴンの契約を勝ち取ったことも同様の抗議に遭うだろう。

関連記事
Microsoft continues to build government security credentials ahead of JEDI decision(Microsoftがセキュリティに関する政府の信用を獲得中、未訳)
米国防省は1兆円超のJEDIクラウドの最終候補にMicrosoftとAmazonを選定、Oracleは選外

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAが月の南極の地表下で結氷水を探すVIPER探査車を2022年に打ち上げ

NASAは月に、黄金のように貴重な液体を探している。それは石油ではなく、ごく普通の水だ。水が恒久的にあれば我々にとっても必要だから、それを知ることはきわめて重要だ。そこでNASAは、VIPER(バイパー)と呼ばれる探査車を月の南極へ送り込もうとしている。それは1972年以来最も長期の月面ミッションになる。

VIPERは、Volatiles Investigating Polar Exploration Rover(揮発性物質調査用極地探検探査車)の頭字語で、計画では2022年12月に月面へタッチダウンする。そのミッションは、極地域の恒久的に影の部分に水の存在を直接目撃して、その量を求めること、だ。

月のその年中暗い部分は、何百万年もかけて氷結水を集めてきた。陽が当たらないので、溶けないし蒸発もしない。NASAはすでにこれまで、一般的な領域で探針を地表下に差し込み、結氷水の存在を確認したが調査としての精度は低い。ロボットを送って正確な測定をすべきだ。

VIPERはゴルフカートぐらいの大きさで、探査用の機器を積んでいる。その中のNeutron Spectrometer System(中性子スペクトル分析システム)が、地表下の水を見つける。それに関してはNASAのアドミニストレーターであるJim Bridenstine(ジム・ブリデンスティン)氏が昨日、少し言及している

関連記事:NASA Administrator Jim Bridenstine explains how startups can help with Artemis Moon missions(人間の月滞在事業にスタートアップも貢献できる、未訳)

VIPERが水の上に来ると、TRIDENT(The Regolith and Ice Drill for Exploring New Terrain、新たな地質構造を探求するための表土と氷用ドリル)が展開される。それは文字どおりTrident(三叉鉾)のようだが今週出会った最高の頭字語だ。そのドリルは長さが1mで、スペクトロメーター(分光器)が月の土壌を分析するための試料を掘り取る。

試料採掘とスペクトル分析を大面積にわたって行うと、地表下の水の所在を地図に落とし、大きなパターンを掴めるだろう。月の上の、人間が大好きな物質の存在をもっと体系的に理解できるかもしれない。

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探査車VIPERがマップした月の表面下の結氷の視覚化

トップの画像でおわかりのように、この探査車は目下開発途上だ。まだ、その動き回る部分をテストしているにすぎない。それは探査車本体の一番肝心な部分だけど。

月の南極の陽が射さない部分でのミッションだから、ソーラーパネルなどはなく今回積む電池で100日しか仕事できない。しかしそれでも、米国が月面で過ごした日数の記録を更新する。最近の数年間で大量の探査車を月面の至るところに展開した中国の場合はどうだろうか。

おもしろいことに、この探査車の展開は外部契約プロジェクトであるCommercial Lunar Payload Services(月面商用荷重サービス)の一環だ。つまりこのペイロードサービスに参加するどこかの企業がたぶん、VIPERを軌道から月面へ着地させる着陸船を作るのだ。打ち上げが近くなれば、もっと詳しい記事を書けるだろう。

関連記事:NASA calls for more companies to join its commercial lunar lander program(商用月面着陸船に多くの企業の参加をNASAは求む、未訳)

画像クレジット: NASA

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

SpaceXは衛星ブロードバンドサービスStarlinkの供用を2020年内に開始

SpaceNewsによると、SpaceXの社長でCOOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏が、今週のInternational Astronautical Congress(国際宇宙飛行会議)の間にワシントンの同社オフィスで行われた記者会見で、来年中には一般消費者向けのStarlinkサービスを立ち上げると明言した。このイベントのステージにも立ったショットウェル氏は「それまでには6回から8回、グループにまとめたStarlink衛星のペイロードをローンチする必要がある」と述べた。今年の5月に打ち上げられたものもその中に含まれる。

同社のこれまでの話では、地球全域をカバーするためには24回の打ち上げが必要とされていた。そして来年の最初の供用域は、米国北部とカナダの一部と言われていた。またショットウェル氏によると、24回で地球全域がカバーされるがそれでもまだ粗いので、あと数回の追加的打ち上げが必要だそうだ。

SpaceX President and COO Gwynne Shotwell

SpaceXの社長兼COO Gwynne Shotwell氏

SpaceXが最近提出した文書によると、これまで許可を得ている1万2000基に加えてさらに3万基を打ち上げて、合計4万2000基の衛星群になる。SpaceXのスポークスパーソンの、TechCrunch宛てのこの前の話では「それはStarlinkのネットワークの総容量の応答性とデータ密度を高めて、ユーザーが求めるニーズの今後の成長に備えるため」とされていた。

グローバルなブロードバンドの衛星群を保有し運用することによりSpaceXの収益は大きく伸び、また究極の月への打ち上げを含め、今後のより意欲的な事業を追究するときの重要な柱となるだろう。衛星群の整備は、これだけの規模ともなると費用も膨大になるが、しかしSpaceXはほかにもStarshipのような大きな製品開発を目指している。それはペイロード容量を拡大して軌道への貨物搬送量を増やし、同社自身と顧客のコストを長期にわたり削減するプロジェクトだ。

記者会見でショットウェル氏は「すでにStarlinkの接続テストを米空軍の研究所のために行っている」と述べた。料金は明らかにしなかったが、SpaceNewsによると米国の場合80ドルという低料金らしい。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

動物と飼い主と獣医師にとって快適な動物病院を目指すModern Animal

ペットと飼い主と獣医師の三者を平等に幸福にしたいと願うスタートアップであるModern Animal(モダン・アニマル)が、1350万ドル(約14億6700万円)のシード資金を獲得して来年初めに、米国ロサンゼルスに最初の開院を目指す。シードラウンドをリードしたのはFounders Fundで、Upfront VenturesやSusa Venturesなどが参加した。

創業者のSteven Eidelman(スティーブン・エデルマン)氏は、前に犬の運動量を測るスタートアップWhistle(ホイッスル)を創業し、のちにそれをPetcare(ペットケア)に売却した。Modern Animalは、次世代の動物病院を目指している。ペットのためのOne Medicalと考えてもいいかもしれない。獣医師は全員がフルタイムの正社員で、同社の株を保有する。

エデルマン氏はTechCrunchに対して「One Medicalと似ているといえば、うちもテクノロジーとデザインの両面でケアのあり方を抜本的に変えようとしている。One Medicalとの共通点は多い」と語る。

Modern Animalを率いるのは獣医学博士のChristie Long(クリスティ・ロング)氏で、前はペットショップ大手のPetcoの獣医学部長だった人だ。Modern Animalは年額100ドルの会費制で、すべての検査が無料、ネット利用も含め1日24時間週7日のケア、アプリからの処方リクエストとデリバリー、などのサービスを提供する。そのほかの診療サービスは有料だ。

エデルマン氏は「弊社の目標は市場に合わせることなので、高額なペットケアサービスは提供しない。最良のケアをもっとも効率のいいシステムで提供したい。長期的な低コストを支えるのは、そのような効率性だ」と説明する。

Modern Animalの最初の診療所は歯科と外科もあるが、入院サービスはない。同氏による「緊急治療室のようなものはないし、そのための専門医もいない。高度なケアが必要な動物には、救急医や専門医を紹介する」とのこと。

同社は、今後の5年間で米国に50カ所の開院を目指している。どの院も環境への配慮を重視し、例えばフロントで電話の呼び出し音がけたたましく鳴ったりしない。犬と猫を同じ場所に居させない。犬は平気でも猫アレルギーの人とか、その逆もいるからだ。また動物たちの間にも、さまざまな相性がある。

「動物のための安全で快適な環境を作りたい。それに動物病院では、本当に優れたケアは人間へのケアも含む」とエデルマン氏は主張する。

画像クレジット: TechCrunch/MRD

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マイクロソフトの2019年9月締め四半期は絶好調だがAzureの成長率は下降が続く

Microsoft(マイクロソフト)の2020年会計年度の第1四半期(2019年7〜9月)の結果はアナリストの予想を大きく超えたが、しかしAWSと競合するAzureの成長率は引き続き減少している。

第1四半期の同社の売り上げは前年同期比で14%伸びて331億ドル(約3兆6000億円)になった。純利益は21%増の107億ドル(約1兆1600億円)、1株あたり1.38ドル(約150円)だ。

Office製品やLinkedInなどを含むMicrosoftのProductivity and Business Processes(生産性とビジネスプロセス)部門の売り上げは13%増えて111億ドル。LinkedInの売り上げは25%増加した。

一方、同社のIntelligent Cloud(インテリジェントクラウド)部門の売り上げは27%伸びて108億ドルだ。サーバープロダクトとクラウドサービスは30%伸びた。同社によると、Azureの売り上げは59%増加したが、この成長率は前年同期の76%に比べると落ちている。成長率はそれ以降落ち込みが続き、前四半期の成長率64%よりさらに下がっている。パーソナルコンピューティング部門は4%増加して111億ドルの売り上げだった。

同社の予想では、第2四半期(2019年10〜12月)0の売り上げは351億5000万ドル(約3兆8200億円)から359億5000万ドル(約3兆9000億円)の間だ。

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Firefox v70はユーザー情報収集ツールの暗躍がひと目でわかるダッシュボードを搭載

Mozillaは米国時間10月22日、7月に導入して9月にデフォルトになったEnhanced Tracking Protection機能(強化版の追跡保護機能)が、これまでにウェブを閲覧しているユーザーを追跡しようとする何千もの企業の追跡リクエストを合計4500億件あまり阻止したと発表した

4500億件はすごい数字だ。さらにMozillaは、Firefox v70でプライバシーに関する個人的なダッシュボードも提供することになった。それを見ると、Firefoxブラウザー上でサードパーティのCookieやソーシャルメディアのトラッカー、Fingerprintingツール(各種ユーザー情報を収集するツール)、暗号通貨の採掘ツールなどがどれだけ暗躍したかがわかる。

プライバシー保護はデフォルトで有効だから、ユーザーが自分で設定などをしなくていい。設定をいじって一部のサイトが壊れてもよければ、デフォルトを厳しいデフォルトにしたり、独自の設定にもできる。

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そんな結果報告ダッシュボードがあることは華々しく宣伝されないが、初めてFirefoxを使うユーザーへのガイドには登場する。見つけるためには、URLバーにある盾のアイコンをクリックする。すると、今見ているサイトに関する情報と、ユーザーのプライバシーレポートへのリンクが出る。

そのレポートは必要最小限の項目だけで、しかも最近の1週間のみの数字だ。複数のマシンにわたって同期しないし、追跡しようとした企業の会社名などはわからない。でも、何社が追跡しようとしたかという数はわかる。image003 1

そのレポートページにはMozillaのFirefox Monitorへのリンクもある。それは、怪しいサイトやページにユーザーのメールアカウントが見つかったら警告する。また、パスワードの管理と同期化のサービスLockwiseへのリンクもある。Lockwiseには、パスワード作成機能や、Firefox Monitorとの統合機能もある。

Mozillaは、Chromeなどに対する自分の差別化要因がプライバシー保護であることを、よく知っている。Chromeを提供しているGoogleはネット広告が主な収入源だから、ユーザーのプライバシー保護に関しては独自のやり方を適用せざるをえない。

それに対してMozillaにはその苦労がない。例えば、Googleは広告収入を維持しながら、ユーザー追跡のためのインフラストラクチャを大きく変えようとしているが、Firefoxとその仲間たちはデフォルトで厳しい設定にするだけでいい。今後、追跡を気にするユーザーが多数派になるか、それはまだわからないが、でも今のところこれがFirefoxの明確なアドバンテージだ。

関連記事:Firefoxがユーザーを追跡から護る機能を強化しパスワードマネージャーをデスクトップに導入

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「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」の本当に最後の予告編

ついに来ました。これぞSkywalkers(スカイウォーカー)にフォーカスしたStar Wars(スター・ウォーズ)ムービーの最後の予告編であります。

「ジェダイの帰還」から42年、次に「クローンの攻撃」、そして「フォースの覚醒」…三つの三部作から成る「スカイウォーカーの物語(スカイウォーカー・サーガ)」がこの12月に、エピソード9: スカイウォーカーの夜明けで終わりを迎える。もちろんディズニーはスター・ウォーズのムービーを出し続けるが、スカイウォーカー編は終わりだ(原注: 誰もがスカイウォーカーを好きだから、次のスカイウォーカー3部作が発表されないとも限らないが)。

最後のほうのいくつかのスター・ウォーズムービーと同じく、「スカイウォーカーの夜明け」もMonday Night Footballの途中に予告編が入る。最初のティーザーが4月に登場してから、ほぼ6カ月後だ。

スカイウォーカーの夜明けは、予告コマーシャルによると12月20日に封切られる。しかし時差と上映時間の問題で12月19日の夜になるところが米国では多いだろう。ネタバレなどに遭遇するのが嫌で、なるべく早く見たい人は、地元の劇場の最初の上映時間を二度でも三度でも確認しておこう。

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Microsoft 365への移行促進のためマイクロソフトがMoverを買収

Microsoft(マイクロソフト)は米国時間10月21日に、カナダのMoverを買収したことを発表した。買収金額は公表されていない。Microsoft 365への移行をできるかぎり容易するる目的でMoverを手に入れたようだ。

Microsoft 365は、Office 365やMicrosoft Teams、セキュリティツール、ワークフローなどを収めたバンドルソフトだ。その考え方は、前菜からデザートまでフルコースの生産性パッケージを顧客にクラウドから提供することだ。Moverは、別のサービスのファイルをMicrosoft 365に容易に持ち込めるようにする。

Office担当のコーポレートバイスプレジデントであるJeff Tepper(ジェフ・テッペ)氏が、買収を発表するMicrosoftの公式ブログで「顧客にできるだけ迅速かつ円滑にマイクロソフトのクラウドへ移行していただくことが目的だ」と言っている。彼は「MoverはBoxやDropbox、Egnyte、Google Driveなど10あまりのクラウドサービスプロバイダーからOneDriveやSharePointへの移行をサポートし、 OfficeやMicrosoft TeamsなどMicrosoft 365のすべてのアプリケーションとサービスの上でのシームレスなコラボレーションを可能にしている」と語る。

テッペ氏によると、Moverには優れたマイグレーションツールがすでにあるだけでなく、同社チームの専門的技術力もマイクロソフトが活用できるようになるという。

Real Story Groupの創業者で主席アナリストのTony Byrne(トニー・バーン)氏によると、異なるシステム間のファイルの移行は、どんなやり方にせよ極めて困難なこともある。ファイル転送のメカニズムもその困難の一部だ。「オンプレミスのシステムや競合するクラウドサプライヤーから365への移行は『移行』という単純な言葉では言い表せない。むしろそれは再構築であり、UXもアドミンのかたちも各種のサービスもオペレーションの構造も、すべてをマイクロソフトのクラウドに合わせて変えなければならない」とバーン氏は説明する。

Moverはカナダのエドモントンにあり、創業は2012年で、Crunchbaseのデータによるとこれまで100万ドルを調達している。顧客には、AutoDesk、Symantec、BuzzFeedなどの著名企業もいる。

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転売業者の荒稼ぎを防ぐYellowHeart、チケットをブロックチェーンで一元管理

YellowHeart(イエローハート)は、人気コンサートのチケットを買おうとしたことのある人の誰もが経験した思われる問題を解決しようとしている。そういう人気チケットは、転売業者(ダフ屋)がかっさらってしまい、非常に高く転売されることが多いのだ。

CEOのJosh Katz(ジョシュ・カッツ)氏によると、彼がYellowHeartを創業したのは彼自身が大の音楽ファンであると同時に、ダフ屋に食い物にされることにうんざりしてきたからだ。同時にまた、彼によると、それはコンサートに行く人たちだけの問題ではない。むしろそれは、ファンとアーティスト両方が、ウィンウィン(Win-Win)の逆のルーズルーズ(Lose-Lose)になっていることだ。ミュージシャンは高く売られたチケットにふさわしい額の利益をシェアできない。

そこでYellowHeartは、ミュージシャンやコンサート会場やそのほかのイベント主催者たちに、チケット転売のルールを作らせる。カッツ氏が望むのは「勇敢なアーティストがチケットを正価より高い値段で売るのはノー!と宣言する」ことだ。しかし彼が予言する現実としては、チケット価格の天井を設定し、転売で得た利益は売った者とアーティストまたは指定したチャリティーと分け合うルールになるだろう。

「チケットがどこで売られようと、そのルール守らなければならない」とカッツ氏は付け加える。なぜ守らざるをえないかというと、チケットの販売はすべてオープンなブロックチェーンの上で行われるからだ。そして「すべてのトランザクションがYellowHeartを経由し、売り上げもすべてYellowHeartを通る」。

計画では、そのようなチケット発行のプラットホームを来年の第2四半期に作る。カッツ氏によると、ユーザーは自分のチケットをYellowHeartのスマートコントラクトを使えるマーケットプレースならどこででも売れる。「でもそんなパートナーができてスマートコントラクトの統合が行われるまでには少々時間がかかるだろう」とカッツ氏は認める。

関連記事:BOTS Act punishing online scalpers passes Senate, moves on to the House(ネット上のダフ屋を罰するBOTS法が上院を通過、未訳)

カッツ氏によると、ブロックチェーンにはそのほかの利点もある。どのチケットにもユニークな(それ1つしかない)キーが付いていて、それはユーザーの本人性に結びついておりユーザーの仮想ウォレットに所在する。したがってニセモノは作れない。チケット発行のプロセスはエンドツーエンドで完全にデジタルであり、その例外は会場側が切符売り場でチケットをプリントするときぐらいだ。

同氏は音楽業界にいた履歴があり、以前はホテルやレストランなどの顧客のためにオリジナルのプレイリストを作るEl Media Groupを創業した。彼はザ・チェインスモーカーズと一緒にYellowHeartを作り、マネージャーのAdam Alpert(アダム・アルパート)氏はDisruptor Records(ディストラプター・レコーズ)のCEOでもある。

「ザ・チェインスモーカーズとは長年、転売業者の問題を率直に話し合ってきた。今回はうれしいことにYellowHeartがパートナーとなり、アーティストとファンがコントロールを取り戻せるスマートで効果的なソリューションを提供してくれた」とアルパート氏は声明で述べている。

そしてカッツ氏によると、YellowHeartはコンサートに限らず、どんなイベントのチケット管理にも利用できる。彼によるよ「スポーツや劇場などでも便利に使えるはずだ。今回はたまたま創業者が全員音楽業界出身だから、手はじめが音楽になっただけだ」。

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ボルボが輸送車に特化した自動運転車の事業部を立ち上げ

Volvo Group(ボルボグループ)が、鉱業や港湾業など、あらゆる種類のロジスティクスのハブ間で物を移動する、業務用専用の自動運転輸送にフォーカスした専門的な事業部を設立した。同社はこれまで、すでに個々のプロジェクトで採石や鉱山、スウェーデンのイェーテボリにある取扱量の多い港などで自動運転技術を導入してきた。

同社は自動運転技術のこの種の利用への需要が増えているのを見て、それに特化した事業部門を作ろうと決めたようだ。新たに作ったグループはVolvo Autonomous Solutionsと名付けられ、その公式ミッションを「自動運転による輸送の開発、商用化、および売り上げを加速すること」とした。そのフォーカスする輸送形式は「大量の品物や素材を一定のルートで一定の受け入れ先へ移動するニーズに対応すること」だ。

「このセクターに期待される成長は顧客からの直接的なフィードバックにも由来している」と同社は言う。Volvo Groupの社長でCEOのMartin Lundstedt(マーティン・ルンシュテット)氏は声明中で、「顧客からの問い合わせが非常に増えている」と述べている。

公式には、Volvo Autonomous Solutionsは2020年の1月まで親会社の傘下というかたちになる。しかし、その後の新しいトップはすでに探しており、同社がこの新興市場のポテンシャルを大きいと見ていることは明らかだ。

消費者向け自動車の自動運転とは違って一定ルートで製品や商品を運ぶ自動運転輸送は、現代のテクノロジーの能力の大きさや多様さによくマッチしている。自動運転をこのように業務用に利用すれば、例えば人間が運転する車の多い都市部における運転の混沌と複雑さを解消でき、また一定のルートを維持することによる輸送効率の向上も期待できる。

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