Cruiseとウォルマート、自動運転車による配送の試験地域拡大を計画中

GM(ゼネラルモーターズ)の子会社で自動運転車の開発を手がけるCruise(クルーズ)は、アリゾナ州でWalmart(ウォルマート)と共同で行っている自動運転配送の実証実験を拡大する計画を持っていることを、同社の政府関係担当シニアマネージャーが最近行われた州議会議員との公開ミーティングで明らかにした。

Cruiseは現在、カリフォルニア州における商用ロボットタクシーの試験的運用と、最終的にはサービス開始に向けて、力を入れているところだ。しかし、一方で同社は、ウォルマートとの限定的な実証実験プログラムの一環として、アリゾナ州で電気自動車「Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)」の自動運転車を数台運用している。

現在、この自動運転配送の実証実験は、スコッツデール近郊のソルトリバー・ピマ・マリコパ・インディアン・コミュニティの敷地内にあるウォルマートの1店舗のみで行われており、これらの自動運転走行車には、すべて安全のために人間のオペレーターが乗車している。Cruiseのシニア・ガバメント・マネージャーを務めるCarter Stern(カーター・スターン)氏は、今月初めに開催されたアリゾナ州上院交通委員会で、同社が2022年内に最大で8カ所のウォルマート店舗に拡大することを計画していると語った。

画像クレジット:Walmart

「まずはアリゾナで引き続き成長を見届けた後、国内の他の地域にも拡大していきます」と、スターン氏は、プログラム拡大の意思を語った。Cruiseはアリゾナ州で100人以上の従業員を雇用しており、その中には同社の自動運転車をグローバルで監視するチームも含まれている。このグループが増員されることになる見込みだが、スターン氏は、いつ、どのくらい雇用を拡大するかという数字やスケジュールについては、明らかにしなかった。

スターン氏が提供したこのコメントからは、Cruiseのアリゾナ州における活動と、今のところ同社の唯一の収入源であるウォルマートとの試験運用契約について、貴重な洞察を得ることができる。

Cruiseはサンフランシスコで自動運転車の運用を展開しているものの、カリフォルニア州公益事業委員会から適切な許可を得られていないため、今のところ同州で送迎サービス(あるいは配送でも)の料金を請求することはできない。なお、Cruiseは現在、San Francisco Marin Food Bank(サンフランシスコ・マリン・フード・バンク)とSF New Deal(SFニューディール)と提携し、無料の配送サービスを提供している。同社はTechCrunchに、これまでに11万3000件の配達を完了したと述べている。

Cruiseは、人間のドライバーが運転しない車両の運行と課金に必要な許可のほぼすべてを取得している。同社はカリフォルニア州自動車局から「運転手付き」および「運転手なし」の自動運転車を試験・展開するために必要な3つの許可を取得しており、そのうちの1つは一般人を乗せることができるものだ。同社はカリフォルニア州公益事業委員会に、乗車料金を請求するための許可も申請しているのだが、まだその許可は受けていない。

今月初め、Cruiseはサンフランシスコで無人ロボットタクシーのサービスを一般公開した。今のところ、このサービスは無料で、一般からの予約申込みをCruiseのウェブサイトを通して受け付けている。同社は以前、一般の申込者がサービスを利用する前に秘密保持契約に署名する必要はないと述べている。

Cruiseの無人運転サービスは、当初は午後11時から午前5時まで利用可能となっている。Cruiseはシボレー・ボルトの自動運転車をサンフランシスコの至る所でテストしているが、無人運転の乗車サービスは、ヘイト・アシュベリー、リッチモンド地区、チャイナタウン、パシフィック・ハイツ地区内の特定の地域や道路に限定されている。

画像クレジット:Walmart

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ウォルマートがホームサービスの提供を拡大、Angiとの新たなパートナーシップ

Walmart(ウォルマート)はホームサービスを拡大している。同社は米国時間1月31日、Angi(アンジー、Angie’s List)との新たな提携を発表した。全米50州の約4000店舗でWalmartの顧客がサービスのプロを利用できるようにする。Walmartの顧客が店頭やオンラインで買い物をする際、床張りや塗装、フェンス設置、さらには家具の組み立てや大型テレビの取り付けといった細々とした作業など、150種の一般的なホームプロジェクトでAngiのプロを予約できるというものだ。

Walmartは2018年にHandy(ハンディ)と提携し、2000超の店舗で家庭内の設置・組み立てサービスを販売し始め、その後オンラインにも拡大してホームサービス市場への最初の一歩を踏み出した。これは、顧客が家具などのアイテム購入時に、新アイテムを自宅に設置するための設置作業の予約もすぐに入れられるというものだった。この動きは、ライバルのAmazon(アマゾン)が2015年に小売サイト上にホームサービス専用のハブを立ち上げてホームサービスに参入したことに続くものだった。

WalmartがHandyとの提携を発表した直後、同社はAngi Homeservicesに買収された。そして2021年、Handyの共同創業者であるOisin Hanrahan (オイシン・ハンラハン)氏が、統合会社のCEOに就任した。潜在的な市場を踏まえ、後に自らの契約を拡大し、どこかの時点でHandyのホームサービス全般を含めることで、Walmartはこの買収を利用することもできると予想されていた。

同社は1月31日、HandyではなくAngiがホームサービスのパートナーになると説明した。これにより、Walmartは自社の顧客と25万人を超えるAngiの専門家のネットワークとを結びつけることができるようになる。HandyのブランドがWalmartのウェブサイトで紹介されることはなくなる、とWalmartはTechCrunchに語った。代わりに、Angiのブランドだけが店舗とオンラインの両方で見られるようになる。これはまた、Angiが2021年にリブランドしたことによるものでもある。同社はその際、もはや「Angie’s List」が単なる「リスト」ではなく、顧客がサービスのプロやその他の住宅建設業者を調べて予約し、予定を組んで支払いもできるサイトとして、ブランド名が自社のサービスを正確に表現できないと判断した。

画像クレジット:Walmart

Handyとの提携と比較すると、WalmartとAngiの新しい契約では、提供するサービスの数が増えることと相関して、以前の統合よりもはるかに幅広いSKU数となる。Handyとの提携は主にテレビや家具の設置など、小規模なプロジェクトにおける家庭内での設置・組み立てサービスが中心で、テレビ設置が45ドル(約5200円)、家具の設置が79ドル(約9000円)〜だった。しかし、Angiとの提携ではさらに踏み込んでいて、塗装、床張り、フェンス設置などより複雑なサービスも新たに提供するようになった。Walmartによると、さらに複雑なサービスにも手を広げていく予定だという。

この提携の財務的な内容や収益への影響についてWalmartに尋ねたところ、同社は詳細を明らかにすることを却下した。例えば、同社のサイトを通じて予約されたAngiのサービスに対して、どれくらい仲介料を取る可能性があるかなどは明らかにしていない。ただし、WalmartはAngiのサービスを提供する最初の期間限定独占小売店となる。

画像クレジット:Walmart

顧客は、オンラインおよび店舗で対象商品と一緒にAngiのサービスを予約するか、2月中旬に公開されるWalmart.comのAngi専用ランディングページから予約できるようになる(URLはまだ最終決定されていないとのことだ)。購入後、Angiが予約の調整を行う。大規模なサービスについては、専任のプロジェクトアドバイザーが顧客にカスタムメイドの見積もりを提供し、プロフェッショナルを探し、プロジェクトが成功するよう作業を管理する。

AngiのCEO、Oisin Hanrahan(オイシン・ハンラハン)氏は、今回のサービス開始について次のように述べた。「当社初の小売との統合として、世界有数の小売企業であるWalmartと立ち上げることができ、これに勝る喜びはありません。パンデミックが始まって以来、家庭が注目され、全米の人々はこれまで以上に住まいの改良やメンテナンス、修理を行っており、そうしたプロジェクトを始めるのに必要なツールや材料を探すためにしばしばWalmartを利用しています。新しいスマートTVを設置してエンターテインメント空間を華やかにしたり、増えた家族のために子ども部屋にペンキを塗ったり、屋外スペースを改造してパティオを設けたりといったことは、今やWalmartの顧客がWalmartでのショッピング体験の一部として、Angiのプロの助けを借りてシームレスに行えるプロジェクトになっています」と述べた。

Walmartの小売サービス部門シニアディレクターであるDarryl Spinks(ダリル・スピンクス)氏は「Angiは経験豊富で高い評価を得ているプロを顧客に案内し、家庭内の作業を支援します。Angiの便利で簡単なサービスをお客様に提供することに胸躍らせています」と述べた。

画像クレジット:Nicholas Kamm/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

ウォルマート提携のロボット企業SymboticがソフトバンクSPAC経由で株式公開へ

Walmart(ウォルマート)は、Amazon(アマゾン)のオンライン支配に対抗するためにあらゆる優位性を追求し、ロボティクス分野で浮き沈みを繰り返してきた。巨大な小売企業のWalmartは2021年7月、マサチューセッツ州を拠点とするオートメーション企業Symbotic(シンボティック)と契約を結び、同社との関係をさらに強化した。この新しい契約は、2017年に初めて試験的に実施された、Walmartの25の地域配送センターにロボットを導入するという提携を拡大した。

関連記事:ウォルマートが25の配送センターにSymboticのロボットを導入

完成までには「数年」を要する予定のこの提携は、Albertsons(アルバートソンズ)やC&S Wholesale Grocers(C&Sホールセールグローサーズ)とのパートナーシップに続くものだ。Symboticによると、現在導入しているのは「16州とカナダの8つの州の1400超の店舗」で、これはおそらく配送センターの影響を直接受ける場所を指している。同社の自律型ロボットシステムは、既存の倉庫構造を増強する。当然のことながら、同社は現在も続くサプライチェーンの問題に影響を与える方法にも積極的に取り組んでいる。

同社は米国時間12月13日、SoftBank Investment Advisers(ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ)のSVF Investment Corp.3との合併により、SPAC経由で株式公開する計画を発表した。この取引により、Symboticのプロフォーマの株式価値は約55億ドル(約6250億円)となり、ソフトバンクからの2億ドル(約230億円)を含む7億2500万ドル(約820億円)の総資金を調達することができる。また、ソフトバンクにとっては、ロボットへの投資が非常に実り多い年として2021年を締めくくるものになる。

CEOのRick Cohen(リック・コーエン)氏は、リリースの中で次のように述べている。「ソフトバンクは、最先端の人工知能やロボティクスのイノベーターに投資してきたすばらしい経験を持っています。彼らとの提携は、当社の可能性を最大限に実現するための新たな洞察力、関係性、資本を提供してくれるでしょう。ソフトバンクとともに、Symboticがサプライチェーンの近代化において強力かつ長期的な力を発揮し、すべての人に利益をもたらすことを確信しています」。

想定どおり2022年上半期に取引が完了すれば、Walmartはロボット・AI企業の9%を所有することになる。Amazon Robotics(アマゾン・ロボティクス)の基盤となったKiva Systems(キヴァ・システムズ)のような企業の全面的な買収とまではいかないが、ロボットを使ったフルフィルメントセンターへの取り組みは将来に向けて不可欠なステップだとWalmartが判断したことは明らかだ。

画像クレジット:Symbotic

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

米小売大手が中国企業の防犯カメラを店舗から撤去、人権侵害を指摘され

米国の大手小売企業であるHome Depot(ホーム・デポ)とBest Buy(ベスト・バイ)は、中国の防犯ビデオ技術メーカーであるLorex(ロレックス)とEzviz(イージービズ)の製品を、人権侵害との関連性を理由に店舗から撤去した。

Home Depotは「当社は最高水準の倫理的な調達を行うことを約束しており、この件が明るみに出たとき、直ちにLorex製品の販売を中止しました」と、TechCrunchに送られてきた声明の中で述べている。同社はまた、Ezviz社製品の販売も中止したことを広報担当者が認めた。Best Buyは、LorexおよびEzvizとの「関係を打ち切る」と発表した。

Lowe’s(ロウズ)はコメントを控えていたものの、TechCrunchや防犯ビデオ関連情報サイトのIPVMからの問い合わせを受け、Lorex社製品を店舗の棚から撤去した。

LorexはDahua Technology(浙江大華技術、ダーファ・テクノロジー)の子会社であり、EzvizはHikvision(ハイクビジョン)のセキュリティ機器ブランドだ。中国に本社を置くDahuaとHikvisionは、ウイグル族のイスラム教徒が多く住む新疆ウイグル自治区で、中国が継続的に行っている少数民族の弾圧に関係した企業として、2019年に米国政府の経済ブラックリストに追加された

関連記事:ムスリム少数民族に対する人権侵犯に加担した8つの中国企業が米商務省の禁止リストに載る

米国政府によると、中国はウイグル人を監視するための監視機器の供給を、HikvisionやDahuaなどの技術系企業に大きく依存しているという。Biden(バイデン)政権は、新疆での人権侵害を「ジェノサイド(大量虐殺)」と呼び、中国のビデオ監視機器メーカーが、「ウイグル人やカザフ人などのイスラム系少数民族に対する中国の弾圧運動、独断的な集団拘束、ハイテクを駆使した監視の実行において、人権侵害や虐待に関与している」と非難した。

国連の監視団によると、中国当局は近年、100万人以上のウイグル人を収容所に拘束しているという。中国はこの疑惑を長い間否定してきた。

しかし、この制裁措置はDahuaやHikvisionの子会社であるLorexやEzvizには及ばず、また、連邦政府以外には適用されないため、現在も一般的に消費者はこれらの技術製品を自由に購入することができる。

先週までLorexは、Home Depot、Best Buy、Lowe’s、Walmart(ウォルマート)、Costo(コストコ)を5つの国内正規販売店として自社ウェブサイトに掲載していた

コメントを求められたLorexの広報担当者は次のように答えた。「2018年の買収以来、Lorexは当社の親会社について、小売店パートナーと完全に透明性を保ってきました。また、FCC(米国連邦通信委員会)の規則制定案に関する質問への対応も含め、当社は様々な規制やコンプライアンスの問題に関して、これらの企業の代表者と定期的に連絡も取っています」。

Lorexは、同社製品が撤去された後のフォローアップメールには応じていない。Lorexは自社のウェブサイトから大手小売企業5社のロゴを削除したものの、依然としてWalmart社を除く4社を同社の販売店として掲載している。

WalmartとCostcoは、LorexとEzvizの製品を引き続き在庫しているが、コメントの要請には応じていない。

世界ウイグル会議の会長であるDolkun Isa(ドルクン・エイサ)氏は、米国政府による強制労働防止や中国企業への制裁などの「意味のある行動」を歓迎しつつも、「弾圧をさらに進めることを直接支援している米国企業がまだ存在することは受け入れられない」と述べている。

Hikvisionは、TechCrunchとIPVMのコメント要求に応じていない。

編集部注:この記事は、防犯ビデオ関連情報サイト「IPVM」との協力で取材したものとなる。

関連記事:

カテゴリー:
タグ:

画像クレジット:Lorex / YouTube
原文へ
(文:Zack Whittaker、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Beyond Meatの植物由来「チキン」テンダーが食料品店に登場

Beyond Meat(ビヨンド・ミート)はこの夏、植物由来の「チキン」テンダーをレストランで提供し始めたが、小売店での販売も開始したことで、まもなく家庭でも「チキン」テンダーを楽しめるようになる。この5ドル(約550円)のテンダーは、10月から一部の市場に限られるが、Walmartをはじめとする主要な食料品店で販売される。Beyond Meatsは、2021年後半には販売を拡大する予定だ。

Beyond Meatsによると、このテンダーは、実際の鶏肉を使ったものよりも飽和脂肪が50%少なく、遺伝子組み換え作物、抗生物質、ホルモン、コレステロールも含まれていない。同社では、チキンテンダーの味と食感を再現するために、大豆ベースのレシピではなく、ソラマメを使用している。調理済みのチキンテンダーは、10分以内に温めることができるという。

Beyond Meatのチキンテンダーは、Walmartの他、Jewel-Osco、Safeway NorCal、Harris Teeter、Giant Foods、ShopRiteの一部の店舗でも販売を開始する。一方で、同社は、ウォルマートでの販売もさらに強化するとしている。1300以上の店舗でBreakfast Sausage Pattiesが販売さる他、さらに多くの店舗でBeyond MeatballsとBeyond Beef Crumblesが販売される予定だ。

植物性代替肉のエコシステムにおいて、2021年9月は忙しい月だった。Beyond Meatの競合であるImpossible(インポッシブル)社は、数週間前から「チキン」ナゲットのレストランでの販売を開始した。また、Impossible社は、今秋、同社の豚挽き肉をレストランで提供することを発表した。

編集部注:本稿の初出はEngadget

画像クレジット:Beyond Meat

原文へ

(文:Kris Holt、翻訳:Yuta Kaminishi)

Rokuが新しいStreaming Stick 4Kバンドルと音声・モバイル機能を備えたソフトウェアアップデートを発表

Amazon(アマゾン)が初めて自社製テレビを含む最新のFire TVラインアップを発表してから数週間後、Roku(ロク)は、年末商戦を前に消費者の注目を集めるため、独自の製品を発表した。新製品はRoku Streaming Stick 4Kと新しいハンズフリー音声リモコンを搭載したRoku Streaming Stick 4K+だ。また、Walmart限定版であるRoku Ultra LTも刷新されている。さらに、音声機能、ホーム画面の新しいLive TVチャンネル、その他の細かな変更を含む最新ソフトウェアRoku OS 10.5のアップデートも発表した。

関連記事:米アマゾンがAlexa搭載の初の自社ブランドテレビ2種発売へ

新しいStreaming Stick 4Kは、Rokuの4年前の製品であるStreaming Stick+を元にしており、テレビの後ろに隠れるように設計されたスティックになっている。しかし、このバージョンではプロセッサが高速化され、デバイスの起動が最大30%速くなり、チャンネルの読み込みもより速くなったとRokuは主張している。また、Wi-Fiの速度も向上し、特にパンデミックによるリモートワークのライフスタイルでネットワークの混雑が問題となっている家庭内で、ユーザーが最適なバンドに接続できるよう、精度の高いアルゴリズムが採用されている。この新しいスティックは、ドルビービジョンとHDR 10+に対応し「4K」の名称が付けられている。

画像クレジット:Roku

このバージョンは、Rokuの標準音声リモコンが同梱され、価格は49.99ドル(約5470円)となっている。ちなみに、アマゾンの新しいFire TV Stick Maxは、より高速なプロセッサとより速いWi-Fiを搭載して54.99ドル(約6020円)だ。しかし、アマゾンはアップグレードの理由として、Wi-Fi 6の追加と、同社のゲームストリーミングサービスLuna(ルナ)への対応を売りにしている。

Rokuの新しいStreaming Stick 4K+は、Roku Voice Remote Proをバンドルに加えている。これは、春に発売されたRokuの新しいリモコンで、充電機能、リモコン紛失時の検索機能、中音域マイクによるハンズフリーの音声サポートなどを備えており、ボタンを押す代わりに「ヘイ、Roku。テレビをつけて」や「Netflixを起動して」と言えばいいようになっている。このリモコンは、単品で29.99ドル(約3280円)だ。バンドルは69.99ドル(約7650円)で販売されており、スティックとリモコンを単体で購入するよりも10ドル(約1090円)得になっている。

画像クレジット:Roku

どちらのバージョンのストリーミングスティックも、10月からオンラインおよび店舗で販売される。

ウォルマート限定のRoku Ultra LT(79.99ドル、8750円)は、より高速なプロセッサー、より多くのストレージ、最大1.5倍の通信距離を持つ新しいWi-Fiラジオ、ドルビービジョンのサポート、Bluetoothオーディオストリーミング、内蔵イーサネットポートなどを搭載している。

その上、電気機器メーカーTCL(ティーシーエル)が、CESで発表したワイヤレスサウンドバーのデザインを採用した最初のデバイスパートナーとなり、近日中に発売されるRoku TVワイヤレスサウンドバーに採用される予定だ。このデバイスは、Wi-Fi経由でテレビに接続し、Rokuリモコンで操作するもので、10月には主要小売店において、179.99ドル(約1万9690円)で販売される予定だ。

もう1つの大きなニュースは、RokuのOS 10.5ソフトウェアのリリースだ。今回のアップデートでは、そこまで劇的な変化はないものの、主に音声とモバイルの改善に重点が置かれている。

消費者向けの最も顕著な変更点は、新しいライブTVチャンネルをホーム画面に追加できるようになったことだ。これにより、従来はRokuの無料ストリーミングハブにアクセスしてからライブTVセクションに移動していたのが、The Roku Channelの200以上の無料ライブTVチャンネルをより簡単に起動できるようになった。この変更によって、TVガイドを捨ててしまったユーザーにとって、Rokuが従来のテレビのように感じられるようになった。

画像クレジット:Roku

その他の調整点としては以下のものが挙げられる。音声コマンドによるチャンネル起動のサポートが拡大され、ほとんどのチャンネルがサポートされるようになった。新しい音声検索とポッドキャストの再生では「音楽とポッドキャスト」がより視覚的に表示され、Spotifyがローンチパートナーとして参加している。モバイルアプリでサウンド設定をコントロールできるようになった。設定に「音声ヘルプ」ガイドが追加されている。また、Rokuスピーカーとサウンドバーのサウンド設定オプションが追加されている(スピーカーペアとサウンドバーを左 / 中央 / 右で使用したり、完全な5.1サラウンドシステムで使用したりすることができる)。

また、設定画面でメールやパスワードを音声コマンドで入力する便利な機能も新たに搭載されている。Rokuによると、音声データをデバイス外の音声テキスト化パートナーに送信し、音声は匿名化されるとのこと。パスワードは直接パートナーに送られるため、Rokuはパスワードを取得したり保存したりはしない。このように音声データには常にプライバシーに関する懸念がつきまとうが、アクセシビリティの観点からすると、この機能の追加は大きなプラスとなるだろう。

画像クレジット:Roku

気づかれにくいものの便利な改善点としては、OS 10.5の高度なA/V同期機能が挙げられる。これによって、スマートフォンのカメラを利用して、ワイヤレスヘッドフォンでテレビを視聴する際の音声遅延を改善することができるようになる。この機能は、モバイルアプリで提供される。

今回のOS 10.5のアップデートでは、米国のRokuモバイルアプリにも新たな機能が追加され、ジャンルを超えた映画や番組のコレクションを閲覧できる新しい「ホーム」タブや、友人との会話などで耳にした番組や映画をブックマークしておき、後で家に帰って見るために使える「保存リスト」が追加された。

このソフトウェアアップデートは、数週間かけてRokuデバイスに提供される。通常、まずRokuプレイヤーに提供され、その後テレビに展開される。

画像クレジット:Roku

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

ウォルマートがフォード、Argo AIと共同で自律走行車の配送サービスを開始

米国時間9月16日、Walmart(ウォルマート)、Argo AI(アルゴAI)、Ford(フォード)は自律走行車による配送サービスをテキサス州オースティン、フロリダ州マイアミ、ワシントンD.C.で開始すると発表した。

顧客はWalmartの注文プラットフォームから食料品などをオンラインで注文する。ArgoのクラウドベースのインフラストラクチャがWalmartのオンラインプラットフォームと統合されて、注文が転送され顧客の自宅へ配送するスケジュールを決める。開始当初は商用サービスの提供は各都市の一部のエリアのみで、その後広げていく。テストは2021年中に開始する。

WalmartとFordは2018年秋に配送サービスのPostmatesとともに限定的なテストを実施した。このテストはマイアミでで実施され、自動運転車を想定した車を使って食品配送に関するユーザーエクスペリエンスを研究するものだった。Argo AIはこのテストには関わっていなかった。

今回の連携ではArgo AIの自動運転テクノロジーを統合したFordの車両が使われる。Argo AIの共同創業者でCEOのBryan Salesky(ブライアン・サレスキー)氏によれば、今回の目的は自律走行車による配送サービスの可能性を広く示すことだという。

今回の発表には、自律走行車を使って人や場合によっては荷物を運ぶ商用サービスを開始するための、Fordの研究と開発の方針が現れている。同社は専用の自律走行車を現実にどう運用するかについてビジネス面のテストをしてきた。2016年にはArgo AIを支援し、Argo AIとともに自動運転システムの開発とテストをしていた。

今回の発表から、オースティンとマイアミが初期の商用化計画の中心地となることもわかる。

2021年夏にArgo AIとFordは、マイアミとオースティンを皮切りに今後5年間で多くの都市でLyftの配車サービスネットワークに1000台以上の自動運転車を展開する計画を発表した。Argoの自律走行テクノロジーが搭載された初のFordの自動運転車は、2021年中にはマイアミでLyftのアプリから利用できるようになると予想される。

画像クレジット:Photo by Jared Wickerham/Argo AI

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Kaori Koyama)

アフリカでワクチンなどの必要物資を自社開発の自律走行型電動ドローンで届けるZiplineが278億円調達、物流ネットワークを拡大

アフリカ全土に医療用品を配送する事業として創業し、ドローンによる配送サービスを提供するスタートアップ、Zipline(ジップライン)が新たに2億5000万ドル(約278億円)の資金を調達した。今回の資金調達により評価額が27億5000万ドル(約3060億円)となった同社は、アフリカと米国における同社の物流ネットワークの拡大を今後さらに押し進める予定だ。

当初はルワンダで名を馳せたZipline。その後ガーナにも手を伸ばし、自律走行型電動ドローンを使って血液、ワクチン、救命薬などの必要物資を届けている。2014年に設立されたZiplineは、垂直統合型の企業である。つまり、無人のドローン、物流ソフトウェア、それに付随する発射および着陸システムの設計と製造をすべて自社で行なっている。TechCrunchの取材にて、ZiplineのCEOであるKeller Rinaudo(ケラー・リナウド)氏はこれは必要に迫られてのことだったと述べている。同社がドローン技術の開発を始めた当初、既製のものでは信頼性が低く、うまく統合することができないということにすぐに気づいたと同氏は振り返る。

「結局、フライトコンピューター、バッテリーパック、機体など、基本的にすべてのものをシステムから取り外さなければなりませんでした。そしてそれらすべてをゼロから作らなければなりませんでした」。

Ziplineは自らをドローン企業とは考えておらず、むしろ即席の物流プロバイダーであると同氏は強調している。また、同社は自律型ドローンのモデルを継続的に改善し続けているものの、過去5年間における成功の多くは、物流ネットワークの構築に関するものだった。困難に満ちていたとリナウド氏がいう初年の2016年に、ルワンダで事業を開始したその後、同社はルワンダにて物流会社のUPSとの提携を実現。日本でトヨタグループと提携し、またナイジェリアのカドゥナ州とクロスリバー州との連携も開始している。米国ではノースカロライナ州のNovant Health(ノヴァント・ヘルス)と提携して医療機器や個人用防護具を提供している他、小売大手のWalmart(ウォルマート)とも提携して健康・ウェルネス商品を提供している。

関連記事:米小売大手ウォルマートが医療品配達スタートアップのZiplineと提携、米アーカンソー州でドローン配送テストを拡大

パンデミックで打撃を受けた多くの企業とは異なり、Ziplineは個人用防護具だけでなく新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンの納入という同社の事業をさらに加速させる明白な機会を得た。同社によると、年内に240万回分の新型コロナ用ワクチンを納入する予定だという。

同社は、処方箋などの医薬品を人々の家に直接届けるいうようなサービスも今後視野に入れていこうと考えているという。「テレプレゼンスを完成させるためには、即席物流サービスの存在がとても重要だと病院は考えているようです。電話一本で医者と話せるようになっても、それでは必要物資はどうしようかという事になるからです」と同氏は話す。

画像クレジット:Zipline

同社は現在、パンデミックのため規制当局から与えられた緊急免除の下での運営から、完全な商業運営の認証に移行するため、連邦航空局(FAA)に働きかけている。FAAの認証プロセスにおいてZiplineが競合他社より有利な点は、Ziplineのシステムが安全であるということを示す何千時間もの飛行データを同社が持っているという点だ。成功すれば、同社はこのような認証を受けた初のドローン配送会社の1社となる。

長期的に見れば他の産業にも目を向ける可能性はあるが、現時点では医療分野に焦点を当てているとリナウド氏はいう。同氏によると、ここ数カ月だけでもナイジェリアで5件、ガーナで4件、新しく配送センターとのサービス契約を結んだ他、米国の病院システムとも「複数の新規サービス契約」を結んでいるという。今回の資金調達は、Baillie Gifford(ベイリー・ギフォード)が主導し、以前も投資したTemasek(テマセク)とKatalyst Ventures(カタリスト・ベンチャーズ)、新規投資家のFidelity(フィデリティ)、Intercorp(インターコープ)、Emerging Capital Partners(エマージング・キャピタル・パートナーズ)、Reinvest Capital(ラインベスト・キャピタル)の支援を受けて行われている。調達資金は新規契約のためのインフラ構築に使用される予定である。

今後3年ほどで、全米の一戸建て住宅の大半にZiplineのサービスを提供するというのが同社の目標だとリナウド氏はいう。

「トヨタやウォルマートなどの大企業がこの即席物流分野に大きな投資を始めているという事実は、人々がこの分野の到来を認識しているということの明確な表れだと思っています。変革の波が押し寄せているのです。これは医療システムや経済システムのあり方を大きく変えるものであり、物流によって人々に平等にサービスを提供できるようにするというのは、本当にエキサイティングなことです」。

画像クレジット:Zipline

原文へ

(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

ウォールマートが他社小売業者向けのラストマイル配達サービスGoLocalを発表

本日、ウォールマートはWalmart GoLocalという名の新たなデリバリーサービス事業を発表した。本サービスは、ほかの販売業者(大規模/小規模問わず)が、ウォールマートがもつデリバリープラットフォームを使って顧客から商品のオーダーを受けられるようにするものだ。販売業者は、配送時間指定や時間指定なしの配送、当日配送を含むさまざまな配送タイプを選んでサービスを利用することができ、配送容量とカバーエリアを顧客のニーズに応じて拡大することが可能になる。

GoLocalは、ウォールマートが当初同社のデリバリーニーズに応えるために開発したサービスによって支えられている。過去3年間ウォールマートは、2時間以内の配達を保証してくれる自社開発のExpress Deliveryサービスの拡大に力を注いできた。同社によると、本サービスは3000件の小売店から16万個以上の製品を取り扱っており、アメリカ人口の70%近くをカバーしているそうだ。そこでこの度、これらの機能をGoLocalを通してアメリカ全土のほかの販売業者にも提供していける準備が整ったとのことだ。

この新しいB2Bサービスのおかげで、販売業者がウォールマートのラストマイルネットワークとロジスティクスを活用することができるようになるものの、必ずしもウォールマート社員が配送するというわけではない。少なくともまず現段階では。

代わりに、GoLocalのラストマイル部分は、ウォールマートのSpark Driverプログラムに加入するギグワーカーによってまかなわれることとなる。また、同ドライバーが、ウォールマートの当日食材配送もサポートする。しかし、当日配送サービスが、付加的にRoadie、DoorDash、Uber傘下のPostmatesといった他社配送サービスにも頼らなくてはいけない一方、GoLocalではそれら他社配送サービスが関与することはないとウォールマートは語っている。

代わりにウォールマートは、自前ベースの配送をより増やせるようGoLocalを時間をかけて拡大させていく予定だ。例えばすでに、ウォールマートはノースウェスト・アーカンソー(アーカンソー州北西部)において、電気自動バンでの自前配送をテスト中だ。これらのバンを用いることで、ウォールマートはSpark Driverの個人用乗用車やトラックには収まらない大きな製品を取り扱う、より多種多様な販売業者のために配送を強化することができるようになる。またウォールマートは、ドローンや、すでに同社がExpress Deliveryサービスで実験している自律自動車のような、最新鋭の技術革新を通してGoLocalデリバリーを進化させていく予定だ。

「我々の顧客のため、安定したラストマイルデリバリープログラムを作るのにかなり努力をしてきた」と、米ウォールマートLast Mile部門役員(SVP)のTom Ward氏は声明で語っている。「これらの機能を活かし、地元の販売業者などさらに別の顧客にサービスを提供することができるようになり喜んでいる。地元のパン屋からだけでなく、全国規模の小売業者からの自動車用品の配送まで、Walmart GoLocalは、販売業者のあらゆる規模と業界に合わせてカスタマイズできるように設計されている。それにより顧客が配達スピードと効率を我々に任せ、彼らが最も得意とする分野に集中することができる。」と彼は加えている。

GoLocalに参加する際、ビジネスの大小規模は問わない。小さな個人経営のお店から全国規模の販売店まで誰でも本サービスの利用を選択することができる。さらにWalmart.comのマーケットプレイスで販売する必要もない。これは、ウォールマートが保管と配送両方を請け負うフルフィルメントサービスではないからだ。これはあくまでラストマイルの配送部分のみだ。商品の在庫管理は各自の販売店となる。

どんな小売店でもGoLocalを利用できるものの、始めるには小売店側で技術的な統合を必要とする。ウォールマートは、顧客が商品を発注した際にGoLocalに通知をしてくれる、自社の既存商用プラットフォームに繋がるためのAPIを提供している。これがGoLocalにドライバーを配備するよう促し、同時にウォールマートが配送の顧客フィードバックを取得するとのことだ。もしこれが広く普及すれば、ウォールマートはローカル配送データを獲得して分析ができるようになり、それにより自社配達事業の改善やフルフィルメントセンターの配置に関する意思決定に役立たせることができるようになる。これは競争上かなりの利点となる可能性を秘めている。

すでに全国規模の小売業者との契約を含め、いくつかの商用パートナーがすでにGoLocalに登録してくれているとのことだが、まだ彼らの名を公開する許可がおりていないとウォールマートは語っている。サービスの価格は、さまざまな機能を備えたホワイトラベルオプションとして各小売業者の個々のニーズに合わせてカスタマイズされていると説明しており、サービスの価格については詳しくは公開しないだろう。

本サービスは、ウォルマートが他の小売業者のニーズに応えることで収益を生み出すために現在進行中のいくつかの取り組みの1つだ。例えば最近では、ウォールマートは自社のeコマース技術へのアクセスを小売業者へ販売すると発表した。これはウォールマートの大きな戦略の一部であり、これまで自社の事業にのみ使用していた技術やサービスへのアクセスを提供することで利益を上げることに期待を向けている。

[原文へ]

ウォルマートがAdobeと提携し自社のeコマーステクノロジーを他の小売業者に提供

Walmart(ウォルマート)は、実店舗を中心とした小売事業から、対面販売とオンラインショッピングを融合したビジネスへの転換を図るために投資してきたソフトウェアや小売テクノロジーを、初めて他の小売業者にも提供すると、米国時間7月28日に発表した

ウォルマートは、新たに提携を結んだAdobe(アドビ)との戦略的パートナーシップを通して、Walmart Marketplace(ウォルマート・マーケットプレイス)へのアクセスや、さまざまなオンラインおよび店舗におけるフルフィルメントやピックアップに関するテクノロジーを、Adobe Commerce Platform(アドビ・コマース・プラットフォーム)に統合する。

これらテクノロジーは、Adobe Commerceと(アドビが買収した)Magento Open Source(マジェント・オープンソース)のどちらの顧客も利用できるようになると、アドビは述べている

これはつまり、ウォルマートは数千もの中小規模の小売業者に、世界最大級の小売業者が事業運営に使用しているのと同じツールを、実質的に利用できるようにさせるということだ。

この提携により、アドビの顧客である小売業者は、商品を受け取れる店舗や時間をオンラインで表示することができ、カーブサイド(道路の路肩)や実店舗内など、複数の受け取り方法を提供することが可能になる。店員にモバイルツールを供給して、注文の受け取りや商品選択の確認、代替品の取り扱いなどができるようにしたり、商品を注文した顧客がカーブサイドに到着する時間を店員に知らせるなど、受け取り注文に関して顧客とのコミュニケーションを図るさまざまなツールを利用することができるようになるわけだ。

また、今回の提携によって小売業者は、ウォルマート・マーケットプレイスに自社の商品を配給して販売することもできるようになる。

この提携は、小売テクノロジーによる新たな収益源を提供し、ウォルマートの収益に貢献することを目的としているだけでなく、ウォルマートがAmazon(アマゾン)とオンライン小売の覇権を争う上での新たなツールとして機能する可能性もある。

小売業者は、Adobe Commerceプラットフォームを利用して、ウォルマート・マーケットプレイスに商品を掲載し、全米各地に2日で商品を配送するウォルマートのフルフィルメント・サービスを活用することで、これまでよりも広い顧客を相手に商売できるようになる。

そしてウォルマートにとっては、これまでアマゾンに大きく水をあけられている、マーケットプレイスで販売可能な商品数を増やすことができる。

ウォルマートのマーケットプレイスは、第三者機関の推計によると、新型コロナウイルス感染流行の影響によるオンラインショッピングの急増により、2020年には推定7万人の出品者数を抱えるまでに成長した。これは2019年に比べて2倍以上の増加だ。Marketplace Pulse(マーケットプレイス・パルス)のデータによると、現在ウォルマートのマーケットプレイスの出品者数はさらに増えて10万人を突破しているとのこと。一方、アマゾンのマーケットプレイスは、全世界で推定630万人の総出品者を数え、そのうち150万人が現在アクティブに活動していると推定されている。

ウォルマートがマーケットプレイス事業を拡大する上で問題となっている可能性があるのは、売り手にとっての使いやすさに関することだ。ウォルマートのマーケットプレイスは、アマゾンに比べてはるかに使いづらく、プラットフォームで販売が承認されたかどうかについて、ウォルマートから返事が来るまで何カ月も待たされるという苦情が、多くの中小販売業者から寄せられている

アドビとの提携は、このような問題の解決に役立つ可能性がある。

アドビは、他のチャネルソリューションを単一の統一された拡張機能に統合することにも取り組んでおり、顧客の小売業は、アカウント設定やカタログの編纂が容易な統合されたツールを使用して、アマゾンを含む複数の販売チャネルで販売することができる。

ウォルマートが自社の小売テクノロジーを他の企業に提供するのは、これが初めてだと同社は述べている。また、この新しいパートナーシップがどのような収益をもたらすかということについては、まだ予測していないとのこと。しかし、アマゾンも最近は、AIやコンピュータービジョンを活用したキャッシャーレス決済「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」システムのような、斬新な小売イノベーションの投資収益率を最大化することを追求している。ウォルマートの動きはこれに続くものと言えるだろう。

「Scan & Go(スキャン&ゴー)などのチェックアウト技術や、AIを活用したスマートな代替品推奨機能、ピックアップ&デリバリーなど、あらゆるアイデアの中心には、人々が金銭的負担を減らし、より良い生活を送るための手助けをするという私たちの中核的な使命があります」と、ウォルマート・インクの最高技術責任者および最高開発責任者を務めるSuresh Kumar(サレシュ・クマーシュ)氏は、声明の中で述べている。そして「コマースエクスペリエンスを提供するアドビの強みと、当社の比類なきオムニカスタマーの専門知識を組み合わせることで、私たちは他の企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させることができます」と続けた。

両社の発表によると、米国においてアドビの顧客の小売業者は、2022年初頭からウォルマートのテクノロジーを自社のストアフロントに統合できるようになるとのこと。価格やその他の詳細については、導入時期が近づいたら発表される予定だ。

今回の発表は、チャネルパートナーとしてアドビと提携することで技術の再販に役立てるというものだが、ウォルマートには小売業者を直接対象とするGoToMarket(ゴートゥマーケット)チームもある。

関連記事
ウォルマートが25の配送センターにSymboticのロボットを導入
ウォールマートのグローサリー配達用AIがより賢くなっている
ウォルマートがAIやコンピュータービジョンを駆使したバーチャル試着のZeekitを買収

カテゴリー:ネットサービス
タグ:WalmartAdobeeコマース小売

画像クレジット:Nicholas Kamm/AFP / Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ウォルマートが25の配送センターにSymboticのロボットを導入

配送センターや倉庫用のロボットを作っている企業に、彼らの顧客企業が自動化を図る理由を尋ねてみると、異口同音に労働力不足や作業のスピードアップを挙げる。しかし迫りくる本当の真実は、ひと言に要約される。「Amazon(アマゾン)」だ。そして、最悪の危機を感じているのが小企業であることは事実だが、このオンラインリテールの市場支配に対して免疫のある者は1人もいない。スーパーマーケット最大手のWalmart(ウォルマート)でもだ。

米国時間7月13日は、このリテール大手の仲間がロボティクスの最新のパートナーシップを発表し、マサチューセッツの自動化企業Symboticとチームを組むことになった。本日の発表で両社はこれまでの協力関係をさらに拡大して、ウォルマートの25の流通センターをロボット化、「数年後」に完了する。

2017年のパイロット事業では、Symboticの自律型ロボティクスプラットフォームをウォルマートのフロリダ州ブルックスビルの流通センターに導入して、仕分けや棚卸し、荷降ろしの増量を狙った。

今回のプレスリリースではウォルマートのサプライチェーン担当執行副社長のJoe Metzger(ジョー・メッツガー)氏は次のように述べている。「今日行われているDXは顧客の習慣の進化にともなうものであり、小売業界の形を変えつつあります。現在と未来の顧客に奉仕するためには、私たちの事業が社員たちに正しいツールと教育訓練を提供し、顧客が求める品物を彼らがそれを欲するときに、比べられないほどの利便性で提供できなければなりません。私たちは今、その過程をエンド・ツー・エンドまで最適化するために、サプライチェーンに対する前例のないほど大規模な投資を行っています」。

ウォルマートはここ数年間、ロボットのパイロット事業に熱心で、一部を実際に採用しようとも考えていた。しかしながら前にも述べたように、現在のところその結果にはムラがある。最も目立つのは、Bossa Nova Roboticsのケースだ。同社のロボットは在庫管理用に採用されたが、突然、契約を打ち切られた。もちろんパイロット事業だったが、小さなスタートアップにとって打撃は大きい。

それに比べると、Symboticには実績がある。同社の顧客には、ウォルマート最大の競合他社であるTargetがいる。ウォルマートには、ロボティクス部門としてKiva Systemsを買収したAmazonのように、独自にスタートアップを買収する手もあったと思われるが、彼らとの関係の現状を見るかぎり、それはハードルが高いようだ。

関連記事
ウォールマートのグローサリー配達用AIがより賢くなっている
ウォルマートが(誤って予定より早く)低価格FHDストリーミングスティックと4Kプレイヤーを公開
ウォルマートがAIやコンピュータービジョンを駆使したバーチャル試着のZeekitを買収

カテゴリー:ロボティクス
タグ:WalmartSymbotic倉庫eコマース

画像クレジット:Walmart

原文へ

(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ウォールマートのグローサリー配達用AIがより賢くなっている

新型コロナウイルスによるパンデミックが買い物方法、特にグローサリーの買い方を変えたのは驚きではない。グローサリー配達アプリのダウンロード数は2020年3月に過去最多を記録し、同年4月にはWalmart Grocery(いまはWalmartアプリに統合されている)がAmazon(アマゾン)を抑えてGoogle PlayとApp Storeの買い物アプリランキングで1位になった。しかしパンデミックによる規制が緩和されても、消費者はまだグローサリー配達やピックアップのサービスをパンデミック前よりも頻繁に使っている。

関連記事:ウォルマートのグローサリーアプリのダウンロードが新型コロナで過去最多に

Walmartのグローサリー配達サービスは引き続き人気を博していて、これはAmazonやInstacartのような企業にとっては競争となり、それにともないWalmartが使うテックも拡大してきた。Walmartは米国時間6月24日、オンライングローサリー注文で賢く代替品を提案するためにどのようにAIを訓練しているかについて情報を共有した。

AIをグローサリー配達に持ってくるのはまったく目新しいことではない。2020年5月にWalmartは当時新しく導入したExpress配達サービスのための適格性を決定するためにどのようにAIを使っているかを披露した。米国が新型コロナ感染拡大に見舞われていた1年間、Instacartのエンジニアは「何がグローサリーの棚にあるか、そして駐車場を探すのにどれくらい時間がかかるのかといったことまで予測するために毎日膨大な量の情報」を処理したと報告している

では、Walmartのグローサリー代替品のためのAIをユニークなものにしているのは何なのか。Walmart Global TechのエグゼクティブバイスプレジデントSrini Venkatesan(スリニ・ヴェンカテサン)氏によると、WalmartがAIに教えるのに使うことができるデータの量は膨大なものだ。毎週2億人がWalmartの店舗とオンラインで15万を超える種類のグローサリー製品を買っている。AIはそのデータを消費者行動、好み、需要を予測するのに使っている。

「我々が構築したテックは、次に入手可能な最適のアイテムを決めるために、サイズやタイプ、ブランド、価格、買い物客の集計データ、各顧客の好み、現在の在庫など何百もの変数をリアルタイムに考慮するのに深層学習AIを使っています」とヴェンカテサン氏は説明した。「AIはあらかじめ顧客に代替品を認めるよう、あるいは欲しくないとの意思表示を示すよう尋ねます。これは将来のレコメンデーションの精度を高めるために学習アルゴリズムにフィードバックする重要なシグナルです」。

チェリーヨーグルトの代替品について即断するために(同じブランドの違う味でもいいか、あるいはより高価なブランドから出ている同じ味のものを確保するか)、Personal Shopperに聞くのではなくAIが判断する。Walmartはこのアルゴリズムの開発を2020年開始し、以来、顧客の代替品受け入れは改善した。

「アルゴリズムを導入する前はおおよそ90%でした。しかし今では97〜98%ほどです」とヴェンカテサン氏は話した。

2020年WalmartはPersonal Shoppersの数を17万人超に倍増させた。3750店舗が注文品のピックアップに、3000店が配達に対応していて、これは人口の68%をカバーしている。2021年初め、WalmartはAmazonのPrime Nowと競合するExpress配達サービスの買い物額35ドル(約3900円)以上という縛りを撤廃した。

関連記事
ウォルマートが(誤って予定より早く)低価格FHDストリーミングスティックと4Kプレイヤーを公開
ウォルマートがAIやコンピュータービジョンを駆使したバーチャル試着のZeekitを買収
植物由来代替肉のビヨンド・ミート株が急騰、ウォルマートでの扱い増加で

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Walmartアプリ深層学習グローサリー配送

画像クレジット:Walmart

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

インド政府が「不正行為の蔓延」の苦情に対処するためより厳しい電子商取引ルールを提案

インドは現地時間6月21日に提案したeコマースプラットフォーム上のフラッシュセールに対する禁止令により、そのアフィリエイトをセラー(売り手)として掲げることができなくなる。これにより、この南アジア(インド)の市場はルールがより厳しくなり、AmazonやWalmartのFlipkartの、世界で2番目に大きい市場における今後の見通しが危うくなった。

インドの消費者問題・食料・公共配給省が公開したその提案が登場した「今」というタイミングは、実店舗で営業しているインドの小売業者が不平の声を高め、AmazonとFlipkartのこの国における拡張策にともなう操業が公正でない、とする懸念を表明した時期と一致する。

同省は提案の中で、eコマース企業がインドでフラッシュセールを開催することを認めるべきではないとしている。このフラッシュセールは、米国のブラックフライデーやサイバーマンデーのようなもので、インドの祝祭日シーズンに非常に人気がある。フラッシュセールの期間中は、ブランドが商品を大幅に値引きするため、eコマース企業は伝統的に顧客の注文が最も急増する。

「一部のeコマース事業者は、『バック・トゥ・バック』や『フラッシュ』販売に手を染め、消費者の選択を制限している。これは、プラットフォーム上で販売するある販売者が在庫や注文の履行能力を持たず、プラットフォームが管理する別の販売者に『フラッシュまたはバック・トゥー・バック』注文を出すだけのものだ。このような行為は、公平な競争を妨げ、最終的には消費者の選択を制限し、価格を上昇させることになる」と同省は声明で述べている。

またインド政府は最近のITに関するルールで、コンプライアンス最高責任者(CCO)の任命と、1日24時間1週7日の警察との連絡担当を置くことを提案している。もちろんその下にはコンプライアンス担当の社員たちがいて注文のコンプライアンスを確保し、また苦情受付担当部門が、eコマースプラットフォームに対する消費者の苦情に対処しなければならない。

関連記事:インド政府がソーシャルメディアやストリーミングサービス企業に厳しい新規制を発表

「これにより、法律および規則の規定の効果的な遵守が確保され、電子商取引事業者の苦情処理メカニズムが強化される」とした上で、新たな提案では、すべてのeコマース事業者に対して「身元確認のため、または施行中の法律に基づく犯罪の防止、発見、調査、起訴のため、あるいはサイバーセキュリティインシデントのため」に、72時間以内に政府機関に情報を提供するよう求めていると同省は述べている。

新たな提案では、AmazonやFlipkartといったeコマース企業が自社 / プライベートブランドを運営することも禁止にする可能性がある。新提案では、eコマース企業に対し、顧客に直接販売する販売業者として、自社のプラットフォーム上に関連当事者や関連当事者を一切掲載しないようにすることを求めている。「eコマースの主体が自ら行うことができないようなことが、関連当事者や関連企業によって行われないようにする」と提案書には書かれている。

インドでは、eコマース企業が在庫を持ったり、商品を直接消費者に販売したりすることは認められていない。これを回避するために、eコマース企業は在庫を保有する現地企業との合弁事業を行っている。

インドの事業に65億ドル(約7200億円)以上を投資しているAmazonは、提案されているポリシーを検討していると述べたが、Walmartが160億ドル(約1兆7700億円)で手に入れたFlipkartからはコメントがない。

関連記事:Amazonがインドのスモールビジネスのデジタル化促進のため約1100億円を投資

現地時間6月21日の法廷審問において、Flipkartの弁護士は、販売者が製品価格を下げた場合、プラットフォーム上で販売者が商品価格を下げれば料金を下げると提案することには何の問題もないと述べた。

消費者問題・食料・公共配給省は「電子商取引のエコシステムにおいて、不正行為や不公正な取引方法が蔓延しているとの苦情が複数寄せられている」ことを受けて、今回の提案を行い、今後15日間にわたって業界からのフィードバックを求める予定であると述べている。

さらに新たな提案では、eコマース企業に対して、プラットフォーム上の商品を原産国に基づいて識別する仕組みを導入し、「国産品への公平な機会を確保する」ための代替案を出すよう求めている。

この発表とほぼ同時期にFlipkartは、30億ドル(約3300億円)という巨額な調達と上場の検討を進めている。AmazonとFlipkartの両社はまた、インドにおける反トラストの調査の対象になっている。

これはインド政府が近年行った2度目の大規模な修正提案だ。2018年にもインド政府はeコマース企業に対するより厳しいルールを提案し、それが2019年に施行されたときには、AmazonとFlipkartは大急ぎで数十万の商品を彼らの店頭から外し、アフィリエイト企業への投資をさらに間接的にした。

本日の提案の数カ月前には、ロイター通信が企業の文書を引用して、Amazonはインドで少数のセラーを特に優遇し、それらのセラーとの結びつきを不正に表現し、彼らを使ってこの国の外国投資の規則を迂回していると報じた

この時点で、インドの数千万にもおよぶ実店舗の業界団体であるThe Confederation of All India Tradersがインド政府に、インドにおけるAmazonの全面的禁止を陳情した。これとほぼ同時期に、インド商業省はこの問題を検討中だと発表している。

関連記事:全インド商業者連合がアマゾンの事業禁止を政府に要請

カテゴリー:ネットサービス
タグ:インドeコマースフラッシュセールAmazonFlipkartWalmart

画像クレジット:NOAH SEELAM/AFP Photo/Getty Images

原文へ

(文:Manish Singh、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ウォルマートが(誤って予定より早く)低価格FHDストリーミングスティックと4Kプレイヤーを公開

Walmart(ウォルマート)は、自社ブランドの低価格なAndroid TVストリーミングスティックの商品リストを発売前に誤ってウェブサイトに掲載してしまい、併せて近日発売予定の4Kストリーミングデバイスも見つかってしまうというアクシデントに見舞われた。TechCrunchがウォルマートに確認したところ、これらの製品は来週、店舗とオンラインで正式に発売されるとのことだが、ウェブサイトでは予定よりも少し早く公開されてしまったようだ。

この低価格ストリーミングスティックは、米連邦通信委員会(FCC)の認証リストに記載されていたことから、その存在が2021年初めにリークされていたものの、ウォルマートのオンラインストアに掲載されていた価格が、24.88ドル(約2740円)という驚異的な安さだったために人々の注目を集めた。これは、ウォルマートのパートナーであるRoku(ロク)の製品を含め、他のストリーミングスティックに匹敵する、あるいはそれらを下回る低価格だ。

Rokuは現在、ウォルマート専売の製品ラインを製造しており、その中で最も安いプレイヤー「Roku Express 4K(ロク・エクスプレス4K)」は34.99ドル(約3860円)という価格で販売されている。一方、Google(グーグル)のエントリーモデルであるChromecast(クロームキャスト)は29.99ドル(約3300円)、Amazon(アマゾン)のFire TV Stick(ファイヤーTVスティック)で最も安いFire TV Stick Lite(ファイヤーTVスティック・ライト)は24.99ドル(約2750円)となっている。

ウォルマートのストリーミングスティックは、同社の電子機器ブランド「onn.」から発売されるもので、この種の低価格デバイスに期待される仕様に沿った製品になっている。FHD(フルHDという意味、つまり1080p)、Dolby Audio(ドルビーオーディオ)に対応し、Android TVスタイルのリモコン(電池付属)、HDMI延長ケーブル×1、ACアダプター×1、USB-マイクロUSBケーブル×1が同梱される。

画像クレジット:Walmart

オペレーティングシステムとして搭載されているAndroid TVは、一般的なテレビを簡単にスマートテレビに変身させることができ、動画配信サービス各社のストリーミングアプリを利用したり、Googleアシスタントを使って声でテレビを操作することが可能になる。スマートフォンなどから写真やビデオ、音楽などのコンテンツをテレビに「キャスト」する機能も備えている。ユーザーはAndroid TVのインターフェースから70万本以上の映画やテレビ番組にアクセスできる。

付属のリモコンには「Googleアシスタント」ボタンの他「YouTube(ユーチューブ)」「Netflix(ネットフリックス)」「Disney+(ディズニープラス)」「HBO Max(HBOマックス)」の専用ボタンが用意されている。

ウォルマートのスティックは、リビングルームの大画面に使うようなものではないかもしれないが、子ども部屋やゲストルームにあるような(つまり最高のスペックがそれほど必要ではない)重要度の低いテレビに付加するのに適していると言えるだろう。

一方、ウォルマートは4K Android TVストリーマーの「onn. UHD Streaming Device(オンUHHDストリーミング・デバイス)」という製品で、ストリーミング市場のハイエンドにも対応する。こちらも予定より早く発表されてしまった。価格は29.88ドル(約3290円)となっている。

画像クレジット:Walmart

全体的なコンセプトは変わらないが、4Kストリーミングへのアップグレードを手頃な価格で提供する製品と言える。

ウォルマートのonn.ブランドでは現在、テレビ、ヘッドフォン、ポータブルスピーカー、タブレット、その他のアクセサリーなど、さまざまなデバイスを取り扱っている。Rokuもこのonn.ブランド向けとして、Smart Soundbar(スマート・サウンドバー)とWireless Subwoofer(ワイヤレス・サブウーハー)の低価格版を製造している。

ウォルマートは、この新しいストリーミング機器を、来週から店舗およびオンラインで販売開始するための準備中であることを認めた。ウェブサイトでは現在、在庫切れまたは一部のデバイスのみ在庫ありとなっているが、実際には十分な在庫が用意されていることを同社は保証している。なお、これらの製品は「テスト」販売ではない。

ウォルマートによる新デバイスの公式スペックは以下の通り。

onn. FHD Streaming Stick

  • Android TV OS
  • 内蔵のChromecast機能を使用して、Chromecast対応アプリをテレビにキャスト可能
  • 最大でフルHDの解像度でストリーミング再生が可能、ドルビーオーディオ対応
  • Googleアシスタントを搭載し、テレビの操作やコンテンツの検索が可能
  • Netflix、Youtube、Disney+、HBO Max、Hulu、Prime Videoなど、お気に入りのストリーミングアプリにアクセス可能
  • WiFi:2.4 GHz/5 Ghz 802.11 a/b/g/n/ac
  • 入力:AC 100-240V 50/60Hz
  • 出力:DC 5V/1A

同梱品

  • FHD TV Streaming Stick ×1
  • リモコン(電池含む)×1
  • HDMI延長ケーブル ×1
  • ACアダプター ×1
  • USB-マイクロUSBケーブル(1.5m) ×1
  • クイックスタートガイド ×1

onn. UHD Streaming Device

  • Android TV OS
  • 内蔵のChromecast機能を使用して、Chromecast対応アプリをテレビにキャスト可能
  • 最大4K超高精細解像度のストリーミングが可能、ドルビーオーディオ対応
  • Googleアシスタントを搭載し、テレビの操作やコンテンツの検索が可能
  • Netflix、Youtube、Disney+、HBO Max、Hulu、Prime Videoなど、お気に入りのストリーミングアプリにアクセス可能
  • WiFi:2.4GHz/5GHz 802.11 a/b/g/n/ac MIMO
  • 入力:AC 100-240V 50/60Hz 250mA
  • 出力:DC 5V/1A

関連記事
ウォルマートがAIやコンピュータービジョンを駆使したバーチャル試着のZeekitを買収
植物由来代替肉のビヨンド・ミート株が急騰、ウォルマートでの扱い増加で

カテゴリー:ハードウェア
タグ:Walmart動画配信Android TV

画像クレジット:Walmart

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

植物由来代替肉のビヨンド・ミート株が急騰、ウォルマートでの扱い増加で

米国時間3月10日、Beyond Meat(ビヨンド・ミート)の株価が急騰した。Walmart(ウォルマート)が肉なしプロテインパティ、ソーセージ、ボールメーカーとの関係を強化したことを受けたものだ。

Walmartの900店舗がBeyond Meatのホットイタリアンソーセージとビーフレスバーガーパーティーパックを取り扱うことになった。「牛肉はどこですか?」と聞きたくない雑食主義者派やベジタリアンやヴィーガンでグリル好きの人々のためのお楽しみだ。

Beyond MeatのWallmart店舗での流通増は、2020年来2度目の生産量拡大であり、植物由来代替肉市場の独占を目指す同社の野望の一環だ。

同社の食料品は現在2万8000店舗で販売されており、フードサービスでも先を行っている。最近Yum! Brands(ヤム・ブランズ)とMcDonald’s(マクドナルド)との取引契約を発表した。

投資家はニュースに反応し、この日Beyond Meatの株価は3.16%高の4.28ドルで引けた。

「Walmartとともに成長を続け、Walmartの顧客においしくて身体にいい当社の植物由来製品を提供できる機会を得られたことをを大変うれしく思っています」とBeyond Meatの最高成長責任者であるChuck Muth(チャック・ムース)氏は語る。「これまで以上に多くの家庭が当社製品の購入を続け、より頻繁に買ってもらえるようになることを踏まえ、高まる需要に答えるべく生産と流通を強化していくことを楽しみにしています」。

2015年にさかのぼるWalmartとの結びつきも大きいが、同社が最近発表したMcDonald’sおよびYum! Brandsとの綿密に練られた提携の注目度はその比ではない。Yum! BrandsはKFC(ケンタッキーフライドチキン)他2つのフランチャイズを支ええる会社で、 米国で最も偉大なヒップホップ・ファストフード賛歌を公開して話題になった。

2021年2月下旬、Beyond MeatはYum! BrandsとMcDonald’sと、KFC、Pazza Hut(ピザハット)、Taco Bell(タコベル)に加えあのMcDonald’sともプロテインメニューアイテムを共同開発する計画を明らかにした。

Yum!との契約には、KFCのBeyond Fried Chickenテスト販売の拡大も含まれている。また、Beyond Italian Sausage PizzaとGreat Beyond Pizzaの全米販売開始によって、植物由来肉ピザを全国で導入した最初のピザチェーンになった、と当時の声明で同社は述べていた。

McDonald’sの発表は、以前ファストフード巨人がMcPlant(マックプラント)サンドイッチを発売した時に発表した提携内容に肉づけするものだ。当時はまだ契約の詳細を公表できなかったため、McPlantにおけるBeyond製品の詳細は明らかにされていなかった。

チキン、ポーク、卵製品などの植物由来メニュー項目が拡大されたMcPlantプラットフォームに登場した、と同社は2021年2月に発表した。

「新しいMcPlantプラットフォームは、お客様がMcDonald’sを訪れた時により多くの選択肢を提供するためにあります」とMcDonald’sの執行副社長・最高サプライチェーン責任者、Francesca DeBiase氏は当時語った。「Beyond Meaとtともにこの分野でイノベーションを起こすのが楽しみです。そしてこの戦略的提携を結ぶことは、美味しくて高品質な植物由来メニューアイテムをお客様に提供するための重要な一歩です」。

Beyond Meatのブランド戦略担当者たちにとっては忙しい一年だ。同社はPepsico(ペプシコ)とも、プロテインを強化したスナックと飲料を開発するために、PLANeT Partershipという残念な名前のジョイントベンチャーを立ち上げる契約を結んだ。

関連記事:ペプシコとビヨンド・ミートが植物由来の新しい食品・飲料のためにイケていない名前の合弁会社を設立

カテゴリー:フードテック
タグ:Beyond MeatWalmart

画像クレジット:

原文へ

(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nob Takahashi / facebook

パイロットテスト成功を受けWalmartがTikTokでライブ買い物イベント第2弾実施へ

Walmart(ウォルマート)は2020年12月、TikTok(ティックトック)プラットフォームを使った米国での新たなライブストリーミング買い物体験の初テストでTikTokと提携した。そのテストは極めてうまくいったようで、Walmartは米国時間3月9日、別のライブストリーミング買い物イベント「Spring Shop-Along:Beauty Edition」を開催するためにTikTokを再び利用すると発表した。1時間のライブストリームではTikTokのクリエイターやインフルエンサーが登場する。

関連記事:ウォールマートがTikTokでのライブストリーミング販売をテスト、若年層への販売拡大を狙う

Walmartは初のTikTokライブショッピングイベントでどれくらい売り上げたかは明らかにしなかったが、予想の7倍超の視聴があり、同社のTikTokフォロワーベースを25%成長させることができた、と述べた。こうした指標は、Walmartが再びTikTokに戻ることを選択するのに十分なものだった。前回はホリデーライブストリームにフォーカスしてアパレルを扱ったが、今回は美容品を販促する。

Spring Shop-Alongは米国東部標準時3月11日午後9時からWalmartのTikTokチャンネルで開催される。前回のホリデーイベントと同様、今回のイベントでもさまざまなTikTokクリエイターが登場し、お気に入りのアイテムについて話したり紹介したりする。参加するクリエイターの1人はすでに発表されている。350万人ものTikTokフォロワーを持つGabby Morrison(ギャビー・モリソン)氏(@GabbyMorr)だ。

画像クレジット:Walmart

ギャビーや他のクリエイターは60分間のライブイベントの間、スキンケアやメーク、髪の手入れのルーティーンのデモンストレーションを行い、実際に使っているWalmartの美容プロダクトを披露する。特集される美容ブランドはNYX、Maybelline、The Lip Bar、Bliss、Kim Kimble、そしてMarc Jacobsの香水だ。

イベントの視聴者は美容のアドバイスを受けたり、プロダクトの「ピン」をタップして特集されたプロダクトをTikTokアプリ内で直接買い物できる。アイテムをカートに追加し、イベントの途中あるいは終了後に精算できる。

「トレンドに乗っているか、あるいは新しいプロダクトを発見しているかとブランドはコミュニティに語りかけて参加を促すコンテンツを制作するために、TikTok上にユニークな拠点を見つけました」とTikTokグローバルビジネスソリューションのBlake Chandlee(ブレイク・チャンドリー)氏はWalmartの計画についての声明で述べた。

「買い物できるライブストリームの体験で、TikTokコミュニティがいかにお気に入りのクリエイターと関わって新たなプロダクトを発見するのが好きかを見るのはエキサイティングなものです。発見から購入までの道のりを支えるイノベーティブな方法を引き続き構築することを、そしてWalmartのようなブランドがユーザーにクリエイティビティをもたらすのを見ることを楽しみにしています」とチャンドリー氏は付け加えた。

Walmartはホリデーライブストリームに先駆けてeコマースでTikTokを活用することに興味を示していた。とりわけWalmartはTikTokがトランプ政権下で米国事業を米企業に売却しなければ禁止すると脅されたときにTikTokへの投資を計画していた。TikTokの米国事業を新たなオーナーのOracleとWalmartにスピンアウトするかもしれないという強制売却は、バイデン政権がトランプ政権下での動きをレビューしている間は棚上げされる

関連記事:TikTok米国事業のオラクルへの強制売却が棚上げ

2020年ホリデー期間中のWalmartのTikTokチャンネルのスクリーンショット

ライブストリームでの買い物は米国でますます関心と投資を集めている。NTWRK、最近資金調達したBambuserPopshop Liveなど、数多くのスタートアップがこのマーケットに参入している。大手テック企業もモバイルビデオやライブビデオでのショッピングに加わっている。

GoogleのモバイルビデオショッピングShoploopのR&Dプロジェクトは検索に統合された。Facebookはライブショッピングを構築するためにビデオショッピングスタートアップPackagdを買収し、FacebookInstagramでのビデオショッピングにかなり投資した。AmazonはQVCのようなAmazon Liveを通じてライブショッピングを展開している。Alibaba (AliExpress)、JD.com,、Pinduoduo、WeChat、そしてTikTokの中国版姉妹アプリDouyin、すべてモバイルビデオショッピングをサポートしている。

関連記事
グーグルがモバイル用動画ショッピングプラットフォーム「Shoploop」をローンチ
TikTok対抗機能のInstagram Reelsでショッピングも可能に
WeChatがライブストリーミング買い物フェスを6月開催、中国・広州市と組んで地方経済を押し上げる

しかしながらWalmartはライブストリームショッピングでTikTokと提携する計画は事業買収の交渉の結果ではなかったと述べた。WalmartはTikTokのプラットフォームを1年以上活用してきた。TikTokチャンネルの展開に加え、Walmartは従業員にTikTokビデオを制作することを課しさえしていた

Walmartにコメントを求めたが、TikTokでの最初のライブストリームについての数字を明らかにするのは却下した。しかしパイロットテストは期待を上回るものだったようだ。

「予想の7倍超の視聴があり、また初のイベント後にTikTokフォロワーが25%増えたことをうれしく思っています。また、スムーズな精算エクスペリエンスにも満足しています」と広報担当はTechCrunchに語った。「売上高は開示できませんが、イベント前に立てていた予測を上回りました」。

今週のライブショッピングイベント後もWalmartはさまざまなフォーマット経由で異なるプロダクトを特集するためにクリエイターと引き続き提携することで、TikTokにさらなる買い物エクスペリエンスを持ってくる計画だと話している。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:WalmartTikTokネットショッピング

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

EC界の寵児マーク・ローリー氏がJet.comを3115億円で売却し4年余りでWalmart退社

Walmart(ウォルマート)のエグゼクティブバイスプレジデントで、米国内eコマース部門の社長兼CEOを務めていたMarc Lore(マーク・ローリー)氏が、自身のeコマース会社Jet.comを30億ドル(約3115億円)でWalmartに売却してから4年余りで退任することになった

ローリー氏の在職期間については、批判と称賛がある。Walmartは、ローリー氏の在職期間中にいくつかの新しい技術イニシアチブを打ち出したが、Jet.comのサービスは2020年5月に閉鎖され、顧客がテキストで商品を注文できるオプションのようなローリー氏の他のイニシアチブも、アーカンソー州を拠点とするWalmartにとっては赤字となった。

「ローリー氏が2021年1月31日に退任した後は、2021年2月1日から、米国の小売eコマースのすべての側面を含む米国事業は、米国Walmartの社長兼CEO、John Furner(ジョン・ファーナー)氏の管理下におかれる」とWalmartは登記で述べている。

Walmartは、金融サービスの開発に特化した新事業を立ち上げるなど、テック関連の取り組みを次々と進めてきた。

そちらのイニシアチブは、フィンテック投資会社であるRibbit Capitalとの戦略的パートナーシップによって行われており、2018年に立ち上げたインキュベーター「Store N⁰8」も含むスタートアップテックのポートフォリオに加えられている。

「過去数年を、誇りを持って振り返っています。Walmartは私の人生を変えてくれましたし、我々が一緒に行った仕事はこれからも長い間、お客様の生活を変え続けていくでしょう。Walmartファミリーの一員になれたことは光栄に感じており、今後もアドバイスやアイデアを提供できることを楽しみにしています」とローリー氏はLinkedinに投稿された声明の中で述べている。「今後、私は休暇を取り、いくつかのスタートアップ企業と仕事を続ける予定です。今後もみなさんに、最新情報をお届けすることを楽しみにしています」。

関連記事:ウォールマートがTikTokでのライブストリーミング販売をテスト、若年層への販売拡大を狙う

カテゴリー:VC / エンジェル
タグ:ウォルマートeコマース

画像クレジット:Patrick T. Fallon/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

原文へ

(翻訳:Nakazato)

ウォールマートがTikTokでのライブストリーミング販売をテスト、若年層への販売拡大を狙う

Walmart(ウォルマート)とTikTok(ティクトック)は米国時間12月17日朝、TikTokのソーシャルビデオアプリを使った新たなライブ販売の試験で提携すると発表した。覚えている読者もいるかと思うが、トランプ大統領令によってTikTokが米国事業を米国企業に売却しない限り米国マーケットでの事業を禁止すると脅された際、ウォールマートはTikTokへの出資を計画した。その事業禁止令はいくつかの裁判所の判断を受けて現在、棚上げされている。しかしながらウォールマートのTikTokへの関心は衰えていなかった。ソーシャルネットワークと不釣り合いなようにみえるウォールマートは、若い世代のオンライン消費者を動画、特にライブストリーミングの動画を通じて引きつけることに可能性を見出した。

それがTikTokで行う新たなテストだ。

TikTokの新しい「shoppable product(買い物できるプロダクト)」のテストでは、ウォールマートライブストリーミングの間、TikTokユーザーはTikTokアプリを離れることなくウォールマートのファッションアイテムを購入することができる。ファッションアイテムそのものは10人のTikTokクリエイターによるコンテンツの中で特集される。クリエイターのグループはMichael Le(マイケル・ル)氏が率いる。同氏のTikTokダンスは4300万人超のファンを獲得している。他のクリエイターにはDevan Anderson(デヴァン・アンダーソン)氏、Taylor Hage(テイラー・ヘイジ)氏、Zahra Hashimee(ザハラ・ハシミー)氏ら新進気鋭のスターが含まれる。

クリエイターらは「Holiday Shop-Along Spectacular」というTikTokで開催される特別イベントに参加する。このイベントは米国東部時間12月18日午後8時にウォールマートのTikTokプロフィールで展開される。

画像クレジット:Walmart

イベントの間、クリエイターはそれぞれのスタイルでお気に入りのウォールマートファッションを披露する。一部のクリエイターはファンにクローゼットの中を垣間見せ、また別のクリエイターはリビンングルームをファッションショーの花道に仕立てたり、ファッショナブルなダンス披露したりするかもしれない、とウォールマートは話す。

TikTokユーザーが特集されたファッションアイテムを購入する方法は2通りある。

プロダクトがスクリーンに表示されると、ユーザーがタップしてアイテムをカートに入れられるピンが登場する。そしてユーザーはモバイルチェックアウトへと誘導される。あるいは、イベント終了時にショッピングカートのピンをタップして特集されたアイテムをチェックし、購入したいものを選ぶこともできる。

イベントを閲覧できなくても、TikTokユーザーはイベント終了後にウォールマートのTikTokプロフィールからアイテムを購入することが可能だ。

「当社の顧客のために買い物エクスペリエンスを刷新する方法を我々は常に模索しています」とウォールマートの米国担当マーケティング責任者William White(ウィリアム・ホワイト)氏は声明文で述べた。「顧客にさらに良いサービスを提供する新しい方法を探すために、我々はこれまで以上に迅速に動いています。当社のコミュニティのためにこのイベントを作り出しました。多様なクリエイターの暮らしや情熱、スタイルが反映されるため、視聴者は誰であれ、どんな服装を好むかにかかわらずイベントを楽しめるでしょう」と付け加えた。

ウォールマートは、TikTokプラットフォームで1年以上ブランドを展開していて(実際、ModernRetailがこのほど詳細に報じたレポートによると、ウォールマートはTikTokビデオの制作を従業員に課したりした)、モバイルショッピングで提携するというアイデアは直近の買収交渉の結果出てきたものではないと述べた。

ウォールマートはまたTechCrunchに対し、今回は合同テストという位置付けであり、アプリを通じての販売でTikTokとの売上高の共有はなく、手数料も発生しないと述べた。

画像クレジット:WalmartのTikTokプロフィール

TikTokが買い物できるビデオを手がけるのは今回が初めてではない。

同社は最近、この分野を開拓しており、2019年はハッシュタグに買い物の要素を加えたHashtag Challenge Plusを立ち上げた。ビデオ視聴者をTikTok内の買い物サイトに導くものだ。今年は、消費者がTikTok上に投稿されたリンクを通じて購入できる「Shop Now」ボタンをLevi’sのようなブランドが展開した。そして2020年秋の大きなディールとして、TikTokはソーシャルコマースでShopifyと正式に提携した。この提携によりShopifyの販売業者はShopifyのダッシュボードから直接TikTokマーケティングキャンペーンを展開することができる。

若いユーザーは楽しむため、そして買い物するためにインフルエンサーやオンラインビデオに目を向けていて、ライブストリーミング販売は急成長中の儲けが多いマーケットでもある。

程度の差はあるが主要なテック企業もこの分野に投資している。Facebook(未訳記事、フェイスブック)とInstagramで積極的に推進しており、Google(グーグル)はR&D部門を通じて、Amazon(アマゾン)はQVC(24時間テレビショッピング放送チャンネル)のようなAmazon Liveで、Alibaba(アリババ)はAliExpressで、またJD.comやPinduoduo、WeChat、そしてTikTokの中国版アプリDouyinなども投資している。

しかし、TikTokはインフルエンサーがすでに彼らのお気に入りのアイテムやファッション、スタイルを見せびらかしている場所であるために、TikTokにとってライブストリーミング販売は自然な流れだ。

「TikTokではコミュニティにクリエイティビティを与え、喜びをもたらし、価値を加える新たな方法を常に模索しています」と同社のグローバルビジネスソリューション担当副社長Blake Chandlee(ブレイク・チャンドリー)氏は話した。「クリエイターとブランドはTikTok Liveを通じてオーディエンスとつながるためにクリエイティブな場所を見つけました。我々のコミュニティが好きなブランドを発見してそれに関わることができるようにするために、このインタラクティブなエクスペリエンスをさらに刷新することを楽しみにしています」。

そして「ブランドは今年1年を通してコミュニティに大きな影響を及ぼしました。ウォールマートが有意義にコミュニティに従事するためにTikTokのクリエイティビティとこの手のものとしては初となるエクスペリエンスを受け入れることに心躍らせています」と語った。

関連記事
トランプ政権のTikTok禁止措置に対する米連邦判事の2度目の判決、米政府の制限一時差し止め
TikTok対抗機能のInstagram Reelsでショッピングも可能に
WeChatがライブストリーミング買い物フェスを6月開催、中国・広州市と組んで地方経済を押し上げる

カテゴリー:ネットサービス
タグ:WalmartTikTokネットショッピング

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

ウォルマートがP2P商品配達のJoyRunの一部資産を買収

JoyRun(ジョイラン)についてTechCrunchが最後に書いたのは、同社が1000万ドル(約10億円)を調達したときだった。ベイエリア拠点のスタートアップである同社の今回のニュースは少し変わっている。Walmart(ウォルマート)がサプライチェーンを強化しようとJoyRunの資産の一部を買収したのにともない、JoyRunはWalmartの一部になった。巨大小売のWalmartは米国時間11月20日、JoyRunのピア・ツー・ピアの食品・飲料配達サービスを自社のラストマイル配達に組み込むために、JoyRunの人材、テクノロジープラットフォーム、IPなどを含む「選んだ資産」を買収したと発表した。

Walmartの上級副社長Srini Venkatesan(スリニ・ヴェンカテサン)氏は、540のサードパーティ小売パートナー、そして5年ほど前の立ち上げ以来商品を配達してきた3万人強のネットワークがアプリにある、と述べた。JoyRunのサービスはSeamlessやUber Eatsのような標準的な配達アプリに少しひねりを加えたものだ。

2017年に採り上げたように、「JoyRunのアプリでは、ユーザーの好きなレストランにすでに向かっている近所の人を探し、自分の注文を上乗せすることができる」。Walmartがこのテクノロジーをいかに既存のチェーンに取り込むかは興味深いところだ。しかし聞いた感じだと、Walmartはグローサリーなどの商品の配達をノンプロに頼ることになるようだ。

このシステムはAmazon Flexと同じように機能する。配達のためのUber・Lyftギグエコノミースタイルというアプローチだ。

「この買収により、チーム、そして未来の顧客に配達するためにより多くの手法を開拓する現在の取り組みを強化できます」とヴェンカテサン氏は付け加えた。「例えば(JoyRunの)Runnersは当社のSPARKプログラムやサードパーティの配達プロバイダーを補完できるかもしれません。我々の最終目標は可能な限り早く、そして効率的に配達することです」。

Walmartは「数週間内に」ディールがクローズすると見込んでおり、JoyRunをサプライチェーンテクノロジーチームに迎え入れる。ディールの条件は開示されなかった。

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:WalmartJoyRun買収

画像クレジット:Nicholas Kamm/AFP / Getty Images

原文へ

(翻訳:Mizoguchi

楽天と投資会社KKRがウォルマート保有の西友株の大半を取得、ウォルマートは日本事業からほぼ撤退

Walmart(ウォルマート)は米国時間11月16日、12年前に買収した日本のスーパーマーケットチェーン「西友」の株式の大半をKKRと楽天に売却すると発表(楽天リリース)した。西友の評価額は約16億ドル(約1670億円)で、ウォルマートは日本での事業からほぼ完全に撤退することになる。

今回の合意では、投資会社のKKRが西友の65%の株式を取得し、日本最大のeコマース企業である楽天が子会社の楽天DXを新たに設立して20%の株式を取得する。ウォルマートは西友の15%の株式を保有する。

ウォルマートは2019年、国内での競争激化や利益率の低さに苦しんだ後、西友やその持ち株会社であるウォルマート・ジャパン・ホールディングの再上場を検討したと報じられている(Markets Insider記事)。

楽天が西友の事業に精通しているのは、2018年にウォルマートと戦略的提携を結び(Walmartリリース)、オンライン食料品配達サービスを日本で開始したためだ。​「楽天西友ネットスーパー」 と呼ばれるこのオンライン配送サービスでは、西友のスーパーの在庫からの集荷に加え、専用の配送センターも利用される。

出資後に西友はRakuten DXの一部となり、楽天のeコマースやキャッシュレス決済チャンネルを通じて、より多くの実店舗をオンライン化することを目指している。

日本の食料雑貨のオンライン配送市場は、買い物客が生鮮食品をオンラインで購入することに消極的なこともあり、他国に後れを取っている。​しかし、新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行は消費者の習慣に急速な変化をもたらした。​The Japan Timesの7月4日の報道によると、食料品の総売上高に占めるインターネット売上高の割合は、パンデミック前の2.5%から約5%になった。

楽天のライバルには、イオン(Ocadoと提携)、Amazon(アマゾン)、イトーヨーカドーなどが運営する食料品宅配サービスがある。

カテゴリー:その他
タグ:楽天Walmart西友KKR
画像クレジット:Nicholas Kamm/AFP / Getty Images

原文へ

(翻訳:塚本直樹 / Twitter