独禁法推進派がもくろむFacebookの分社化

議会の反トラスト法委員会の、新たに任命された議長に呼び出されたら、いよいよ心配すべき時が来たと覚悟すべきだろう。

ニューヨークタイムズ紙に掲載された論説で、ロードアイランド州選出のDavid N. Cicilline議員は、連邦取引委員会に対し、反トラスト法に抵触する可能性がないかどうか、Facebookの活動を調査するよう求めた。Cicilline氏は、同社が密かな報酬と引き換えに10代の若者のデータを収集していたというTechCruchの独自の調査報告や、その他のスキャンダルを論拠としている。

「何か悪事が明らかになるたびに、Facebookは否定、中身のない約束、謝罪キャンペーンを順番に繰り返します」と、Cicilline氏は書いている。「それでも、何も変わりません。だからこそ私は、反トラスト法と、商業および行政法に関する下院小委員会の委員長として、Facebookの行為が反トラスト法に違反しているかどうかの調査を求めます」。

Cicilline氏の論説は、本来は有効な規制機関であるはずのFTCに圧力をかけることを狙ったものだ。それが現在までFacebookに対して何もできていないために、「重大な信頼性の危機に直面している」と、Cicilline氏は非難している。またCicilline氏は、FTCに対して行動を促す一方で、同じ論説では、Facebookの行為の何が特に問題と考えているのかについて、洞察に満ちた見解を提示している。ちなみに、Cicilline氏が今年、反トラスト法と商業および行政法に関する下院司法の小委員会の有力メンバーに選出された際に、元ニューヨーク市長のBloomberg氏は、彼のことを「ハイテク業界に関する最も強力な人物」と讃えた。

その委員会は、今やハイテク大企業の解体を主軸に据えるまでに関心を高めつつある民主党によって率いられている。そして、シリコンバレーを牛耳る独占的な黒幕に対して、反トラスト法に沿った行動を起こすための強力なメカニズムになり得るものと考えられている。

「何年もの間、プライバシー擁護団体は、Facebookが同意した契約に基づく責務を果たしていない可能性があると、その委員会に警告してきました。委員会は、命令を遂行させることができなかっただけでなく、FacebookによるWhatsAppとInstagramの買収を阻止することもできませんでした。Facebookの支配の拡大を許してしまったのです」と、Ccilline氏は書いている。そして、その巨大企業に何らかの打撃を与えるには、数十億ドル規模の罰金が必要だとしている。先月にもレポートしたように、FTCは数十億ドル規模の罰金を検討していると伝えられているものの、そのような大金による懲罰は、まだ実行に移されていない。

同議員は、Facebookの「略奪的な買収戦略」も問題にしている。将来競合しそうな企業を、脅威となる以前に買収するものだ。それにより、イノベーションが妨げられることになる。Cicilline氏はまた、競合しそうな製品からのAPIアクセスを制限するという同社の決定は、このソーシャルメディアの巨人の「反競争的行為の証拠」だとみなしている。

Cicilline氏は、Facebookがプライベートメッセージング機能を実現するために、自社のいくつかの製品を統合するというマーク・ザッカーバーグ氏の最近の発表を、もはや当然のごとく皮肉に満ちた目で見ている。それは「反トラスト法の施行を妨げようとする危険な権力の掌握」だとしている。2020年の大統領選挙に向けて、反トラスト的な向かい風が勢いづくであろうことを考えると、そうした見通しは、Facebookが今後直面しなければならないことを、はっきりとわれわれに垣間見せてくれる。

「米国の半トラスト法の関連機関は20年以上に渡って重大な独占状態を追求してきませんでした。その間に、企業の集中と独占の脅威は、歴史的レベルに達してしまったのです」と、Cicilline氏は書いている。

「厳格な施行が、長い間先送りにされてきたことは間違いありません」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

ついにWhatsAppがスタンプを追加

WhatsAppが遂に、その人気の高いメッセージングアプリにスタンプ(英語ではstickerと呼ばれている)を追加した。本日(米国時間10月25日)同社は、「今後数週間」にわたって、AndroidとiOSユーザーに向けて、スタンプのサポートが展開されると発表した。

最初の段階では、アプリの15億人のユーザーたちには、WhatsApp自身のデザインチームが提供した最初のパックと、同社が選択した「その他のアーティスト」による限られた選択肢が提供されるだけのようだ。

しかし、これは将来的には変わる筈だ。WhatsAppは、アプリの中で使えるスタンプを誰でも追加できるようにする予定なのだ。

これを実現する方法は興味深いやり方だ。スタンプ作家になりたいアーティストたちは、そのパックをGoogle PlayやApple App Storeのアプリとして公開する必要がある。そうしたストアから、ユーザーはアプリをダウンロードして、WhatsAppの中でそのパックを利用することができる。同社は「最小限の開発やコーディング経験が必要なだけ」と主張するテンプレートを提供する。

ステッカーの提出プロセスに関する完全なガイドはここを参照すること。

他のメッセージングアプリは、これとは異なるアプローチを採用している。

スタンプのコンセプトを開拓したLINEは、同社自身が承認したスタンプだけを使うことができる、非常に管理されたアプローチを採用している。その囲い込みアプローチは、スタンプの質向上に役立ち、有料スタンプを多く生み出した。スタンプの売上からLINEが毎年何百万ドルも稼いでいることを考えれば、馬鹿にされるようなものではない。

Telegramはもっともオープンなスタンププラットフォームだ。誰でもものの数分でスタンプを作成して公開することができるが、それは盗作や品質のレベルの問題などの、独自の問題につながっている。

いずれにしても、WhatsAppへのスタンプの導入の動きは、Facebookの主導によるものだ。

サービスの創業者であるJan Koum Brian Actonは、(少なくともActon自身の言葉によれば)疑問の残る関係の中でFacebookを去った。

買収に先立ち2人は、広告、ゲーム、その他の機能に強く反対していた。彼らはそうした機能は大して役立たないものとみなし、WhatsAppが集中すべきもの ―― シンプルで速いメッセージング ―― を妨げるものだと考えていた。

現時点で、彼らのプロダクトはFacebookと共に、ビジネスサービスやFacebookとの広告統合などの機能導入などの長い航海を続けてきている。そしてKoumとActonなら疑う余地もなく反対したであろう、ペイメントプランなどの展開の計画もある。今頃は地中海のヨットに乗っているだろう創業者をうんざりさせるには十分な材料だ

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(翻訳:sako)

Facebookの企業買収がまずいことになっている

あなたのスタートアップを誰に売るべきだろうか。Facebookと、Facebookが以前買収した企業の創業者のケースは、マーク・ザッカーバーグと彼の会社に買収されることがどんなことになるのかを如実に物語っている。最も尊敬と願望に満ちた買収の一つとされたWhatsAppの買収から5年、一連のスキャンダルでFacebookのM&A部門のイメージは地に落ちた。これにより、事業をFacebookに売却するよう起業家を説得するのは難しくなったかもしれない。またはFacebookは今後の買収で、より多く支払ったり、契約に自主性の保証を盛り込んだりすることを余儀なくされるかもしれない。

WhatsApp’sの創業者は、利益を出すように強いプレッシャーを受けている中でFacebookを去った。Instagramの創業者も自主性が脅かされているとして辞める。そしてFacebookは過去数年、10代に人気のQ&AアプリTBHやフィットネストラッカーMoves、ビデオ広告システムLiveRail、音声操作デベロッパーツールキットWit.ai、そしてまだ人気があるモバイルアプリデベロッパープラットフォームParseなどを含む買収した事業を廃止している。

Facebookユーザーはこうした事実を知らないかもしれないし、関心もあまりないかもしれない。しかし、Facebookが新出の競争相手や補完的なサービスを次に買収しようとするときは、これは困ったことになるかもしれない。

WhatsAppとの約束は反故にされた

問題の深刻化は、WhatsAppの共同創業者Brian Actonが1年前、2014年に行われた220億ドルの買収からもらうことになっていた報酬を受け取る前にFacebookを去ったことに始まる。Actonはターゲット広告を嫌っていて、FacebookはWhatsAppに対しターゲット広告にこだわらないとActonに言い、その点に関しザッカーバーグは譲歩していた。Actonは事業売却にあたり、もしFacebookが同意なしに収益化のスキームを実行した場合、共同創業者の残りの株式報酬がただちに支払われるとの条件も付けていた。GoogleもWhatsApp買収に関心を示していたが、FacebookがWhatsAppの自立を約束したことで、この買収案件がまとまった。

WhatsAppのもう1人の創業者Jan Koumも、Facebookがアプリを収益化しようとし、またプライバシーについても影響を与えているとして緊張状態が続いたのち4月にFacebookを去った。Actonは株式報酬8億5000万ドルを受け取らずに辞めた。自由はそれだけの価値があり、束縛というのは堪え難いものだったに違いない。ForbesのParmy Olsonとの今日のインタビューでActonは、Facebookが買収をEU議会に認めてもらうためにWhatsAppのユーザーデータを統合しないと彼に約束したときの詳細を明らかにした。Facebookはその後、約束を破り、紙幣をプリントして生み出しているような会社にとっては少額といえる1億2200万ドルの罰金を払い、ハッキングを続けた。

ActonはFacebookを去るにあたり、買収時に付けていた株式報酬の条件を実行に移そうとしたところ、Facebookはただ収益化を実験しているだけで“実行”してはいないと主張した。Actonは訴訟を起こすことを選ばず、ただ去り、そして“Delete Facebook(Facebookを削除しよう)”とツイートした。Koumは株式報酬を受けるために少しだけ長くとどまった。しかしこの2人が去るやいなや、WhatsAppは課金ビジネスをスタートさせ、来年にはInstagramのStoriesに似たStatusに広告表示も行う予定だ。ユーザー数の伸びが鈍化し、ユーザーがStoriesに移り、そしてニュースフィードに広告を盛り込めなくなったFacebookの収入の問題が、WhatsAppの収益化という形になって現れたわけだ。

これから分かるのは、Facebookが自社の都合を優先するために買収先の創業者との約束を反故にするということだ。

消えたInstagramの自主性

Instagramの共同創業者Kevin SystromとMike Kriegerは今週、Facebookを退職すると発表した。消息筋がTechCrunchに語ったところでは、プロダクトの方向性をめぐりザッカーバーグと相入れなかったためだ。2012年のInstagram買収時、ザッカーバーグは10億ドルで交渉した(Facebookの株価が下がったことにより、ディールがクローズしたときは7億1500万ドルだったが、その後株価が上昇し40億ドルになった)。この買収には、Instagramのブランドとプロダクト路線に関して独立性が維持されることも盛り込まれていた。

ザッカーバーグは5年間、売却は行わないことを約束し、契約の内容通り創業者たちはInstagramに残っていたーシリコンバレーでは稀だ。FacebookがWhatsAppを買収しようとした際は、Instagramの自主性に言及していた。そしてFacebookのエンジニアリング、セールス、採用、国際化、そしてスパム対策チームでもって、Instagramはユーザー10億人という巨大な存在に成長した。

しかし、繰り返しになるが、Facebookは成長と経済面で困難を抱え、これがザッカーバーグの心変わりを促した。インスタグラムは流行っていたが、10代におけるFacebookの人気はガタ落ちだった。FacebookはInstagramのノーティフィケーションとセッティングタブの中に、Facebookに戻るアラートやリンクを表示するという強硬策に出た。一方で、InstagramとFacebookにまたがって写真を投稿できるようにしていた機能からInstagramを取り除き、InstagramへのショートカットがFacebookのブックマークメニューから削除された。

それからザッカーバーグは今年半ば、彼の親しい友人でNews Feedの前VPであるAdam Mosseriという忠臣をInstagramの新たなプロダクト担当VPに任命した。組織改造では、SystromがFacebookのCPO、Chris Coxに報告する体制となった。以前はInstagramのCEOは、CTOのMike Schroepferにテクニカル的なことを報告していたのを除き、かなりザッカーバーグに直接コンタクトをとっていた。この間にマネジメントのレイヤーを加えたことで2人の関係は悪化した。買収して6年、Facebookが約束を破り始めたのに伴いInstagramの自主性は低下し、創業者は去った。

これから分かるのは、Facebookは契約にかかわらず買収を利用することがあるということだ。

Oculusの視野は狭くなっている

Facebookが2014年にバーチャルリアリティ会社Oculusを買収したとき、ザッカーバーグはOculusは次の素晴らしいコンピューティングプラットフォームだと宣言した。統合は予想したより時間がかかった。これにより、OculusはVRコンテンツクリエイターに資金を提供することを余儀なくされた。というのも、ビジネスとしては不安定な状態だったからだ。OculusはFacebookにとって金がかかる事業であり続け、Facebookは後に精算されることを願っているに違いない。

しかし、その一方で、Oculusの共同創業者は舞台から消えた。Brendan IribeとNate MitchellはOculusを率いるという立場から、PC VRとRiftハードウェアチームを統括するVPという、成長プロダクトの中ではかなりオタクっぽい立場へと追いやられた。Xiaomiでハードウェアリーダーを務めたHugo BarraがOculusを管理するVRのVPとして迎え入れられ、彼はFacebookの広告担当の前VP、 “Boz” ことAndrew Bosworthにーザッカーバーグのハーバード大学在学時からの長年の友人で、Facebookのハードウェア全般を手がけているー報告するようになった。

Oculusの発案者であるPalmer Luckeyは昨年、Luckeyが反ヒラリー・クリントンのグループに資金援助を行なっていたことをめぐりFacebookと分裂した後、Facebookを去った。Luckeyは「私の行動がOculusとOculusのパートナーに悪影響を及ぼしたことを深くお詫びします」と謝罪の言葉を述べた。

あまり知られていないJack McCauleyも買収からわずか1年後、自分のVRラボを立ち上げるとしてFacebookを辞めた。悲しいことに、Oculusの共同創業者Andrew Reisseは2013年、買収が発表されてから2カ月後に警察に追跡されているときに車両にひかれて死亡した。そして最後の共同創業者Michael Antonovはソフトウェア設計の責任者だったが、Facebookが明らかにしたところによると、最近Facebook内の人工知能インフラを扱う部門に移った。

今日(9月26日)初めて、Oculusの開発者会議は共同創業者がステージにいない事態となった。明らかに、プロダクトをスケール展開し収益をあげるのに必要とされるスキルは、プロダクトを生み出すのに必要とされるスキルとは異なる。Oculusの経営や消費者に受け入れられているさまは、Facebookが買収した企業の創業者をいかに扱っているかを物語らない。

軌道修正

Facebookがもし、スタートアップにとって魅力的な事業売却先と映るようにして将来の買収案件を確かなものにしたいのなら、行動を起こす必要がある。私が思うに、ザッカーバーグかMosseri(おそらくInstagramの次期リーダーに指名される)が、今後のInstagramとWhatsAppに関して人々が不安に思っていることについて声明を出すべきだろう。というのも、この2つのサービスは人々の生活で重要な位置を占めていて、声明を出すことで変更したくないプロダクトのアイデンティティのコアを確立することになる。繰り返しになるが、InstagramとWhatsAppを使う15歳はそんなことは我関せずだが、今後の買収を考える時にはそうもいかない。

これまでのところFacebookは、創業者vsFacebookのさらなる対立をなんとかコントロールしてきた。今日、Messengerの前VPで現在FacebookブロックチェーンチームにいるDavid Marcusが、ActonのForbesとのインタビューを批判する内容のメモを公表し、ザッカーバーグはWhatsAppの自主性を守ろうとしたと主張した。「私のことをオールド・ファッションと呼んでもいい。しかし、あなたを億万長者にした人や会社を責めている。あなたを何年も守り、養ってきたものに対する前代未聞の仕打ちだ。なんと卑劣なことだ。実際、卑劣さではまったく新しいスタンダードだ」と書いている。

Posted by David Marcus on Wednesday, September 26, 2018

しかしこれは、Facebookにとって今買収を有利に進めていく上では役に立たない。Marcusは「私が関わっている範囲で、そして以前起業家・創業者だった者として、私が働きたいと思った大企業、そして私が仕えたいと思ったリーダーは他にいない」と記し、買収によって得られた機会や、買収された企業の創業者が過去にかなり長く社にとどまったことにも触れた。にもかかわらずだが、なぜFacebookが彼にとって働きたい会社なのか、どうやって創業者たちが実際に何十億もの人々の生活に触れているのか、いかにTwitterやGoogleのような買収をする企業が買収した会社を解散させ、そうした会社の創業者たちがすぐ社を去っているのかにフォーカスした方がより生産的だった。

買収はFacebookをディスラプトから守ってきた。このままだと、その戦略が危機に瀕する。これから出てくる素晴らしい起業家の目に、Facebookに会社を売るというのは起業家やプロジェクトがローラーでならされれてしまうことだと映れば、小切手のゼロが増えるだけでは不十分となる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Instagramの共同ファウンダーがFacebookを去った理由――ファミリー企業運営の舵取りは難しい

 

マーク・ザッカーバーグはFacebookが世界最大のソーシャルメディアに成長した後すぐに、ユーザーは決して均一ではないし、Facebookのみによって世界一の座を永久に保持できるわけではないと気づいたようだ。そこで有力なライバイルを片っ端から買収してFacebookグループに加えるという戦略が生まれた。この「グループ戦略」はどちらにとってもメリットのあるウィン-ウィンとなるはずだった。

しかし今週、Instagramの共同ファウンダー、ケビン・シストロムとマイク・クリーガーは唐突に Facebookを離れた。これにより買収した企業を以前のまま独立に運営させるというある種の放任主義が結局は機能しないことがはっきりした。

大型買収がスムーズに進むことはめったにない。つまりInstagramを2012年に $10億ドルで買収した後、シストロムとクリーガーを6年間もグループ内に留めることができたのはFacebookの功績といわねばならない。

テクノロジー企業の買収に関していえば、6年というのは永遠に近い長い期間だが、一方で買収後もグループの枠内でスタートアップを成長させていくというFacebookのビジョンに照らせば短すぎる。

Facebookファミリー

スタートアップとエンタープライズという2つの世界の「いいとこどり」のアプローチが目指したのはこういうことだ。つまり、スタートアップがFacebookファミリーに加わっていれば自由な経営が許されると同時に、潤沢な資金に加えてエンジニアリングやマーケティングその他の経営リソースも確保されるはずだった。

WhatsAppの場合、 共同ファウンダーのJan Koum は4年、Brian Actonは3年半でFacebookを去っている。WatsAppを190億ドルで買収したのは2014年だったが、その後のVRのOculusを買収でも共同ファウンダーのPalmer Luckyを政治的紛争で、Brendan Iribe(人事刷新)でそれぞれ失っている。現在はGoogle出身で元Xiaomiのバイスプレジデント、Hugo BarraがFacebookのVR担当バイスプレジデントだ。

通常のテクノロジー買収なら6年といわず3年でも買収先スタートアップのファウンダーを引き止めておければ十分な成功だ。しかし多くのファウンダーは連続起業家であり、たとえ買収によって一生困らないほどの大金持ちになっても起業を止めることはない。何かを作ること、それを完全に自由に運営すること、急成長させることにはなんともいえないスリルがあるという。しかしこうしたことは買収後はすっかり変わってしまう。スタートアップのファウンダーは完全なボスだ。大企業の社員からファウンダーになるのも心構えの大きな変化を必要とするが、その逆となるとさらに難しい。買収されたスタートアップが親会社の成長戦略の重要な柱を担う場合はなおさらだ。

Facebookはグループ企業の自治を約束してこの衝撃を緩和しようとした。

事実2人の共同ファウンダーは大きな裁量権を維持し、シストロムはInstagramの顔の役割を果たしてきた。情報によれば、シストロムはすべての広告を自分で承認していたという。この点はFacebookの取締役に就任したKoumの場合も同様で、Koumは WhatsAppの買収を「提携」と呼んでいた。ファウンダーたちは Facebookの買収後も会社の運営権の掌握を強く求めていた。

WhatsAppのファウンダー、Jan Koumは買収後、Facebookの取締役会に加わったものの、巨大企業の管理圧力には勝てなかったと言われる

運営の独立vsFacebookの利害

しかし「経営の独立」は結局機能しなかった。

WhatsAppとInstagramの4人のファウンダーたちはやはりスタートアップを彼らのビジョンに沿って成長させようとし、その点を原因としてすべてFacebookを去ることとなった。【略】

InstagramでもWhatsApp同様、シストロムとクリーガーはFacebookの経営陣と対立することになった。TechCrunchのJosh Constine記者の詳しいリポートによれば、Facebookはスタートアップの「独立性を弱めようとした」という。これが共同ファウンダーの不満を呼び、最終的には唐突な辞職を招いた。

シストロムの辞職にあたっての短いメモはこの点をぶっきらぼうに強調したものとなっている。こうした離職声明にはザッカーバーグとシェリル・サンドバーグを始めとするFacebookのトップへの感謝の言葉が置かれるものだが見当たらない。その代わりシストロムは「クリーガーと私は好奇心と創造性を再び発揮して新しいプロダクトを作ろうと考えている」と述べている。

Facebookによる2012年の買収後もシストロムはInstagramの顔を務めてきた

全体としてみればFacebookはファミリー企業の独立性の維持に努力してきたほうだろう。しかし4人のファウンダーが去ったことでも分かるように優秀な起業家は檻に入れておくことも手なづけることもできないものだ。しかし数十億ドルの買収ともなれば支払った側はそれに見合うだけ長く人材を引き止めておきたいと考える。Facebookは少しルールを曲げてもスタートアップの独立性を尊重し、ファウンダーの引き止めを図った。しかし永久に重力に逆らっていることはできなかった。

ファウンダーを失ったといってもFacebookはInstagramの買収で空前の成功を収めている。 Instagramのユーザーは買収時点で3000万人程度だったが、今や10億人だ。WhatsAppも買収時の4億5000万人から15億人へと3倍以上に成長した。

今後の見通しにあたって重要な点はFacebookの生え抜きチームはファウンダーが去った後のファミリー企業を以前同様に成長させていけるかどうかだろう。ファウンダーが去ったことによる才能の空白もさることながら、企業文化が変化すれば大きな打撃になりかねない。買収した企業はあくまでFacebook本体とは異なる存在だとユーザーが認識させておく必要があるからだ。そもそもFacebookがこうしたスタートアップを買収したのはその点が狙いだった。ソーシャルネットワークをとFacebookがイコールになってはならない。そうなればユーザーは飽きてしまうだろう。

画像: Saul Loeb / AFP / Getty Images

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滑川海彦@Facebook Google+

WhatsAppで最大4人のグループ音声通話とビデオ通話が可能に

WhatsAppが、とても要求の多かった新機能を追加し、ユーザーがグループでの音声およびビデオ通話を行うことを可能にした。

Facebookによって所有されている同社が、音声通話を導入してから3年以上が経過した(音声通話の1年後にはビデオ会話機能を追加している)。現在WhatsAppは、毎月15億人を超えるユーザーを抱えていて、毎日そのサービスを通じて20億分の通話が行われていると言う。

今週から通話参加者は、スクリーン上の右上にある「参加者を追加」を意味するボタンを押すことで、他の友人たちを通話に追加することができるようになった。参加の最大数は4人であり、素晴らしいことにWhatsAppは通話がエンドツーエンドで暗号化されていると述べている。

それは簡単なことではない。自らをセキュアなメッセージアプリだと呼ぶTelegramでも、グループメッセージは暗号化されていない、ましてグループ通話はなおさらだ。

暗号化の面では、WhatsAppはWhisperSystemsと長年協力を行い、プラットフォーム上の全てのメッセージや通話を、盗聴から守ってきた。とは言え、WhatAppの共同創業者であるBrian Actonが彼の資産のうちの5000万ドルこの資産は2014年にFacebookによって買収されたときに手に入ったものだ)をWhisperSystemsに関係するSignal Foundationに寄付したことで、事情は少々複雑になった。

Actonは昨年Facebookを退職した。今年彼は、人びとにソーシャルネットワークを辞めるように呼びかけたが、それはデータとプライバシーの問題によるものだった。一方彼の仲間であるWhatsApp共同創業者のJan Koumも、今年の5月の時点で彼の後を追うように辞職した

Acton同様に、Koumもケンブリッジ・アナリティッティカのようなスキャンダルに悩まされていたようだが、彼の公式の辞職理由は「テクノロジーを離れて楽しみたい。例えば珍しい空冷ポルシェを集めたり、車の整備をしたり、究極のフリスピーでプレイしたりね」ということだ。それぞれが自分の道を…。

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(翻訳:sako)

写真: Chris Ratcliffe/Bloomberg、Getty Images (画像編集済)

Snapchat、第一四半期のユーザー数の伸びは過去最低—株価は15%ダウン

Snapchatの2018年第一四半期(1〜3月期)決算はまったく芳しいものではなかった。デザインの試行錯誤やFacebookとの競争を展開する中で、前四半期からの復活はならなかったようだ。1日あたりの平均利用者数は1億9100万人に達し、前期の1億8700万人より増えたものの、成長率は2.13%に落ち込んだ。これは、2017年第四四半期の5.05%、最悪だった同年第三四半期の2.9%に比べても、最も低い成長率だ。一株当たりの損失は0.17ドルで、収益は2億3070万ドルだった。市場は一株当たり損失を0.16ドル、収益を2億4450万ドルと予測していた。

前四半期に北米マーケットでユーザー数を100万人増やして急激に成長したのは、どうやらまぐれだったようだ。実際は見かけ以上に厳しい状況にある。CEOのEvan Spiegel氏が前もってしたためていた意見では、「四半期の平均利用者数は1億9100万人だった。3月の平均ユーザー数は低かったが、第四四半期の平均は上回っている」としている。Snapchatの利用者数が落ち込んでいるというのは、投資家の心理を冷やすものだ。

Snapchatのクローン的存在であるInstagram Storiesの1日平均利用者数は3億人、WhatsApp Statusは4億5000万人。Snapchatが抱える問題は大きなものになりつつある。市場はSnapchatのユーザー数の成長が弱かったことを嫌忌し、Snapの株価は時間外取引で12ドルと15%も下げた。

一方で、Snapの損失額は前四半期の3億5000万ドルから3億8570万ドルへと膨らんだ。経費削減のために一時解雇したのはまさにこの損失額をなんとかしようとしたものだったが、これはあまりにも遅く、また対策としても不十分なものだった。COOのImran Khan氏は「前年同期比の収入成長率を考えるとき、第二四半期での成長率は第一四半期のものより落ち込むことが予想される」としている。これも投資家の心理を悪化させている要因だ。

今回の決算発表の中で数少ない明るい話題の一つが、事業所やクリエイター向けのSnap Proの展開だ。これは有名人や事業所のためのものだ。Khan氏は「このSnap Proではプロフィールの管理やコンテンツの作成・公開、反応の分析が簡単になる。結果として広告獲得につながる」としている。しかしこのSnap Proは展開してまだ日が浅い。

Snapはまた、北米におけるユーザー1人あたりの平均収入で前代未聞の減少にも直面した。第四四半期というのはクリスマスなどの休暇時期を抱えるため、通常は第一四半期に比べ書き入れ時だ。しかしSnapの北米でのASRPU(1契約あたりの売上値)は、第四四半期の2.75ドルから2.1ドルへとあまりに大きく落ち込んだ。第三四半期の2.17ドルからも減少している。これは第一四半期で広告閲覧減少による収入の確保が厳しくなっているという深刻な問題を意味している。

Spiegel氏は「デザインの変更によりユーザーを戸惑わせることになってしまい、また広告主にも懸念を抱かせることになり、これが今四半期の収入では向かい風となってしまった」と認めている。だからこそ、Snapchatは、StoriesをDiscoverページの中に押し込むといった大きなデザイン変更を展開している。しかし、残念ながらこの変更はオリジナルより良くないようだ。私が思うに、Snapに必要なのは日付順にメッセージを並べたり、表示されている友達に関連するStoriesを表示したりするタブであり、Discoverセクションにプロ向けコンテンツをもってくることなどだろう。

Snapchatは第一四半期、アプリのデザインを徹底的に見直す一方で、FacebookがCambridge Analyticaスキャンダルに見舞われている間に収益を上げようとした。当初のApp storeのレビューはかなりネガティブなものだったが、初インストール数とApp storeでのランクは上昇した。セレブのSnapchat離れや一部での使用減はデザイン変更に踏み切らせ、その変更には古いバージョンへの回帰もあったようだ

Snapは先日、カメラ付きサングラスSpectaclesの2代目をリリースした。これが収入につながるかは、次の四半期で明らかになる。問題は、120人超の一時解雇による悪影響が今後出るかどうかだろう。

Spiegel氏は、クリエイターを他のユーザーと分けることで、クリエイターにとってSnapchatがコンテンツを展開するのにお気に入りの場所となるよう、閲覧環境を整えることができるとしている。しかし、クリエイターのDiscoverページを改善したとしても、InstagramやWhatsAppに対抗するのは難しい。CFOのDrew Volero氏は「Snapの収益をトントンにもっていきたいが、いつ達成できるかは描けていない」としている。四半期で収入を3億8500万ドル増やすのは、ユーザー数が激増でもしない限りかなり難しい。ましてや、一時解雇で社員も減っているという現状がある。

年初に書いたように、欧米の若者の間でSnapchatは人気があることを考えると、Snapchatが一晩でなくなるとは考えにくい。しかし、Snapchatがなくなることは現実味を増していて、この業界を牛耳ることなく世界に影響を与えたサービスだった、ということになりかねない。

正直、Snapの経営はかなり厳しい状況にある。成長率は今までで一番低く、ユーザーあたりの収入は減少し、会社の存続をゆらがしかねないほど損失は膨れている。仮にユーザーが徐々に新デザインに馴染むとしても、その時までにInstagramやWhatsAppがSnapの世界展開のチャンスの多くを吸い取ってしまうだろう。また、本格的なARメガネはまだ先の話ということでSpectaclesが売れたとしても、Snapが社の存亡危機を回避できるかはまったく予断を許さない。

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(翻訳:Mizoguchi)

WhatsApp Storiesのユーザー、4.5億人――音声通話、ビデオ会議機能も追加、独走体制へ

メッセージ・アプリのパイオニア、Snapchatは当初、国際市場を無視していた。その結果、今や WhatsAppが世界での成長のチャンスを独り占めにしている。今日(米国時間5/1)のF8デベロッパー・カンファレンスで発表された数字によれば、WhatsAppのSnapchat StoriesのクローンのDAU(1日当たりアクティブ・ユーザー)は今や4億5000万人に達している。

Snapの低調な第1四半期決算にともなう電話記者会見で発表された数字によればSnapchatのDAUは1億9100万人に過ぎない。昨年11月のFacebookの発表ではWhatsApp Status、Instagram Storiesのユーザーは合計3億ということだった。

WhatsAppにスタンプが登場

グループビデオもWhatsAppにやって来る

成功に安住することなく、 WhatsAppはスタンプ機能とグループ・ビデオ通話機能を追加したことを発表した。シンプルなチャットツールがこれによってさらに魅力を増すだろう。

ユーザーはWhatsAppのビデオ通話、音声通話をすでに毎日20億分も使っている。しかしここ数ヶ月内に分割画面で参加者が表示される4人までのグループビデオ通話が可能になる。参加可能な人数は将来4人よりさらに増やされるかもしれない。またWhatsAppのテキスト・チャットではスタンプが利用できるようになり会話がビジュアルになる。Facebook Messenger同様、サードパーティーのステッカーも使えるのでデベロッパーはチャットを賑やかにするイラスト多数を準備しているという。

ビジネス面でもWhatsAppは前進中だ。新しいWhatsApp For Businessアプリをすでに300万社が利用している。現在は無料アプリだが、今後は航空会社、銀行、モバイルキャリヤなどの大企業向けにボーナス機能を備えた有料版が提供される予定だ。利用者はアプリ内で物品、サービスの販売とカスタマーサポートができる。すでに企業からの強い関心を集めているため、これがリリースされればFacebookはまたしても着実な収入源を得ることになるだろう。

FacebookとInstagramが大統領選への干渉疑惑に揺れる中、WhatsAppはF8での明るい話題となった。WhatsApp事業部の責任者、Mubarik Imamは「無給でも働きたい会社があるとすればそれはWhatsAppだ」と語った。スキャンダルの渦中にあるFacebookはなんであれポジティブなPRを強く必要としている。WhatsAppがそれになるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

FacebookのF8カンファレンスのビッグな発表、上位10まとめ

FacebookのF8カンファレンスの初日は、たくさんの発表とアップデートでギュウギュウ詰め。ここではMark Zuckerbergのキーノートから、トップテンをご紹介しよう。カンファレンス関連の記事は、ここにそのリストがある。

1. デート機能!

あなたの次の出会いは、Facebookで始まるかもしれない。同社が発表した一連のデート機能は、今年後半にテストが始まる。ユーザーのデート用プロフィールは、同じくデートを求めている、友だちでない人にだけ可視にできる。データが通常より多くなるから、本当にあなたにふさわしい人を見つけられるかもしれない。

2. 履歴削除によるプライバシー保護

目下開発中のClear Historyという機能は、Facebookが広告やアナリティクスツールで集めたユーザーデータをユーザーが削除できる。たとえばそれは、Facebook上での閲覧履歴などだ。 Mark Zuckerbergはこの機能を、ブラウザー上でクッキーを削除することになぞらえた。

3. Instagramにビデオチャットといじめ撃退機能が

Instagramでビデオチャットができる。まだ見てないけど、これまでのメッセージングツールを拡張したような、シンプルな機能だろう。またInstagramは新しいフィルター機能により、ユーザーをいじめコメントから保護する。そしてExploreタブが改良された。

4. アプリのレビューを再開

Cambridge Analyticaの一件以来休止していたアプリのレビューを再開する。デベロッパーには嬉しいニュースだ。

5. Oculus Goが199ドルで発売

廉価版のVRヘッドセットOculus Goが今日(米国時間5/1)発売された。32GB搭載機で199ドル、64GBなら249ドルだ。

6. Messengerがデザイン一新+チャットの翻訳機能

FacebookのM Suggestionsアシスタントにより、Messengerでチャットが翻訳される。Messengerは、すっきりしたルックスになり、基本的な機能であるチャットを強調している。

7. 3D写真

News Feedに3D写真が登場。数か月後には、友だちのステータスアップデートにも現れるだろう。

8. WhatsAppのSnapchat Storiesクローンがユーザー数新記録

WhatsAppがSnapchatの国際的成長の機会を横取りした。WhatsApp Statusの一日のアクティブユーザー数が4億5000万に達したのだ。

9. InstagramにAR効果が

Facebook上の拡張現実プラットホームは、Facebookオンリーだから伸び悩んでいた。そこで今度からは、ARカメラのような効果がInstagramにやってくる。ここは、お客さん最優先の写真共有サービスだからね。

10. WhatsAppがグループビデオチャットとステッカーをサポート

グループビデオとステッカーがWhatsAppにやってくる。数か月後には、一つの画面を分割して4人(もしくはそれ以上)でチャットできるようになる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

WhatsAppにやっと誤送信メッセージを送信先で取り消せる機能が実装された(7分以内)

WhatsAppでやっと、メッセージの送信先を間違えた場合の取消ができるようになった。

それは、相手との会話中にメッセージを削除できる方法だ。

これまでの削除機能は、メッセージの送信者のところで削除するだけだから、ほとんど意味がない*。相手はふつうの受信メッセージとして、それを読めてしまう。しかし今度のアップデートでは、“delete for everyone”(みんなに対して消す)機能が加わり、そのメッセージをすべてのチャットから消せる。そして、メッセージが削除されました、という通知が表示される。〔*: LINEの削除機能も現状では送信元削除のみ。〕

この機能は目下展開中なので、全員には行き渡っていない。ぼくはまだだが、本誌編集部では少なくとも一人がアップデートされている。詳細はWhatsAppのFAQ ページに書かれている:

みんなに対してメッセージを削除するには

全員に対しメッセージを削除することにより、チャットのグループや個別のチャットに送った特定のメッセージを削除できます。関係ないチャットにメッセージを送ったときや、誤記のあるメッセージを送ったとき、この機能は便利です。

削除されたメッセージは、相手のスマホ上で“This message was deleted”(このメッセージは削除されました)と表示されます。あなたのチャット画面上でこの表示が出たら、メッセージの送り手が全員宛にそのメッセージを削除したことを意味します。

この全員削除機能が有効なのは、メッセージを送ってから7分以内です。7分を超えたら、誰のスマホ上からも、そのメッセージを消すことはできません。

これは新しいアップデートで提供される機能なので、相手もWhatsAppの最新バージョンを使っていないと、この機能は使えない。現時点ではこのことは大きな障害物だが、時が経つにつれてアップデートが広まり、さまざまな会話で、まずいorやばいメッセージをアンドゥーできるようになるだろう。

でも、多くのWhatsAppユーザーが、遅すぎだよ!、と言いたくなるだろうね。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

FacebookのSnapchatクローン計画、着々と進行中

Facebookは、Snapchat Storiesクローン機能、Facebook Storiesの公開範囲をチリ、ギリシャ、およびベトナムにも広げた。

Facebook Storiesは、Facebookのモバイルアプリのトップに写真を載せて24時間後に消してしまう機能だ。ただしまだ全ユーザーには公開されていない。1月にアイルランドの一部ユーザーを対象に最初のテストが行われた。最近Facebookは傘下のモバイルサービスに次々とSnapchatの主要機能を導入している。

先週にはMessengerアプリにMessenger Dayを追加した。月間10億人をターゲットにしたこの新機能は、アプリ画面に居座ることから、多くのユーザーを苛立たせた。類似の機能は今年2月にWhatsAppに、Instagramには昨年導入済みだが、Facebookはモバイルの月間アクティブユーザー17億人の大部分が使っているメインアプリにもSnapchatクローンの導入を進めようとしている。

先週私はSnapchatのメイン機能をWhatsAppやMessengerに取り込むことについてFacebookは少々やりすぎたと書いた。いずれのサービスとも利用場面やアピール点が一致していないからだ。Facebookのモバイルアプリは違っていていいはずだ。ユーザーは写真はFacebookの中で見るものだと思っているので、24時間で消える写真というコンセプトは、17億人のモバイルユーザーの大半を占めるSnapchatやInstagra Storiesを知らない人たちににとっては初めての体験だ。

Instagramに関して言えば、FacebookはSnapchat対抗のInstagram Storiesの成功をことのほか喜んでいるようだ。Facebookによるとこの機能のデイリーユーザー数は1.5億人でSnapchatと同じ規模だ。さらにSnapchatからユーザーや著名なインフルエンサーも奪ったらしい。

Instagramの焦点はビジュアルなコンテンツにあり、ユーザーの大部分は若者なのでSnapchatのユーザーとの重なりも成長の可能性も大きい。しかし、WhatsAppとMessengerのSnapクローンがFacebookにとってプラスなのかについては多くの人々が疑問に思っている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WhatsAppが加工写真共有のStatusをスタート―Snapchatクローンだが暗号化

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FacebookグループのWhatsAppはSnapchatの国際的な勢力拡大にブレーキをかけられるかもしれない。WhatsApp Statusという新しい機能はデコ写真(およびビデオ、GIF)を24時間に限って共有する。もちろんSnapchat Storiesの「そっくり」だが、StatusはWhatsApp本体とテキスト・メッセージと同様、エンド・ツー・エンドで暗号化されておりセキュリティーが強固だ。

WhatsAppでは昨年11月から一部のユーザーを対象にStatus機能のベータ版をテスト していた。今回はいよいよ正式なタブとしてiOS版、Android版、Windows Phone版が世界に公開される。WhatsAppのユーザーは絵や文字を手描きしたり、スタンプなど貼ってデコレーションをした写真を友達との間でプライベートに共有できるようになった。共有範囲やプライバシー設定は本体アプリの設定のとおりだという。特定の友達に写真、ビデオを添付してメッセージを送ることも従来どおりできる。

StatusはまたWhatsAppに新しい広告掲載スペースを提供する。Snap、Instagramの前例が参考になるなら、Facebookはフルスクリーンの広告をStatus投稿の合間に表示するだろう。

新しく導入されたStatusはAOLのインスタント・メッセージを思わせるいささか古臭いMy Status機能を代替する。WhatsAppがちょうど8年前にスタートしたとき、My Statusはこのアプリの唯一の機能だった。【略】

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WhatsApp Statusは以前のMy statusを代替する

WhatsAppは今や月間ユーザー12億人の巨大サービスに成長した。投稿されるメッセージ数は毎日600億通に上る。これには33億枚の写真、7億6000万本のビデオ、。8000万本のGIFが含まれるという。WhatsAppの機能拡張はSnapchatにとってトラブルを意味することになるかもしれない。WhatsApp Statusが順調にユーザーを獲得するようなら、Snapchatのリッチメディアのサポートをセールスポイントとする国際展開はスローダウンし、同社の収入源は既存のユーザー、ハードウェア、プロフェッショナルによるコンテンツなどに限られることになるかもしれない。

Instagram Storiesの1日あたりユーザーも今や1億5000万人を数えることで明らかなように、Snapchatのクローンであっても、膨大なユーザーを抱えるアプリに適切に付加されるなら成功を収める。TechCrunchはこの記事でSnapchatがトラフィックを奪われていることを最初に報じた。 アナリストやセレブのSNSマネージャーはSnapchatのピュー・カウントが低下していることを認めていた。

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WhatsAppのカメラ機能

Snapchatの運営会社、Snapの株式上場申請書にはユーザー成長率が82%もダウンしたことが報告されていた。申請書によれば、2016年の第2四半期に17.2%だった成長率が、Instagram Storiesがローンチされた第4四半期に3.2%に急減している。

Instagramは大胆にもSnapchatクローンのStoriesを堂々とメインタブに位置づけたのに対し、 WhatsAppはStatusをかなり深い場所の埋め込んでいる。しかしStatusはStoriesのスライドショーのフォーマットを、これがまだ浸透していない地域、南アメリカ、東欧、途上国などへの普及を加速する可能性がある。こういう地域ではSnapchatもまだ広く利用されていないのでユーザーはクローンだというイメージを持ちにくいだろう。

WhatsAppは当初、シンプルな実用本位のテキスト・チャットのプラットフォームと位置づけられていた(多機能性を求めるならFacebook Messengerを利用することができる)。しかし昨年WhatsAppはリッチメディア時代にふさわしく、カメラ機能を導入した。StatusがWhatsAppはシンプルさを損なうことがなければ世界各地でSnapchatに対抗できる存在になるかもしれない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

友人や家族にリアルタイムな現在地をシェア ― WhatsAppがロケーション・シェアリング機能をテスト中

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Facebookの本家アプリからはロケーション・シェアリング機能がなくなるかもしれないが、Facebookが所有するWhatsAppにはそれと同じような機能が加わるようだ。その新機能はWhatsAppのベータ版で発見された。この機能は、アプリに友達として登録されている人たちとリアルタイムにロケーションを共有できる機能だ。

新機能は今週、Fortune@WABetaInfo(Twitterアカウント)によって発見された。

この新機能はベータ版の中で「Live Location Tracking」と呼ばれており、現在のところAndroid(Ver. 1.16.399)とiOS版(ver. 2.17.3.28)のアプリで提供されている。現状、ユーザー自身が指定した時間分だけLive Location Trackingを有効化する仕様になっている。時間指定のオプションとして、1、2、5分間が用意されている。その時間のあいだ、指定された相手はこの機能を利用するユーザーの現在地をリアルタイムでトラッキングできるようになっている。

「Enabled Indefinitely(無期限に有効)」というオプションも利用可能だ。

混雑する場所で複数の友人と待ち合わせをする場合は、このオプションを利用してもいいだろう。もしくは、家族でこの機能を有効にしておいて、有料で提供されている家族向けのロケーション追跡サービスの代わりに利用してもいいだろう。

このローケーション・シェアリング機能は、ユーザーのプライバシーを保護しながら利用できるようにデザインされている。当然のことながら、デフォルトではこの機能は無効化されており、ユーザーは現在地をシェアする時間をみずから指定することができる。

iMessageにも「Share My Location」という名前のロケーション・シェアリング機能が用意されている。しかし、指定できる時間のオプションはわずかに異なっており、1時間、1日間、無期限が選択できる。

ベータ版の機能が必ずしも正式に採用されるとは限らない。しかし、WhatsAppがロケーション・シェアリング機能を複数のプラットフォーム上でテスト中だという事実は、同社がこの機能の正式採用に動いていることを表しているだろう。

先日、WhatsAppに「バックドア」が見つかったとのニュースが伝えられるという騒動があったが、それによって同アプリへのプライバシーに対する懸念が高まっていた。その状況のなかでWhatsAppが同機能のテストに踏み切ったことは注目に値する。しかし、このニュースは誤報だった。同社は、ある安全性に関する決断、しかし最悪の場合アプリの脆弱性につながるトーレドオフをする決断をした。WhatsAppは政府にバックドアを提供しなかったのだ。また同社は、バックドアを求める政府とこれからも闘っていくという声明も出している。

しかしこの種の話で問題なのは、たとえその話が真実でなくとも、いったん噂が出回ってしまうと企業はプライバシーに関わる機能を追加しにくくなってしまうという点だ。なぜなら、ユーザーは噂が出回った時点でWhatsAppのプライバシー保全性に疑いの目を向けてしまうからである。

また、この新機能の追加は、Facebookが「Nearby Friends」を通して提供していたロケーション・シェアリング機能を廃止したタイミングと重なっている。Nearby Friendsとは、自分の現在地を一時的に、または恒久的にマップ上に表示できる機能だった。しかし現在では、同機能は友人がいる場所と自分がいる場所のあいだのおおよその距離を表示するだけにとどまっている。

この機能がFacebookに導入された当時、このSNSはどこか「気持ち悪い」ものになってしまった。無期限のシェア機能を無効化するのを忘れていた場合はなおさらだ。だからこそ、詳細な現在地を表示するこの機能が、Facebook傘下のWhatsAppに追加されたのは奇妙な話ではある。おそらく、巨大でオープンなFacebookと比べてクローズドなWhatsAppでは、プライバシーが保護されやすいだろうということだろうか?

ロケーション・シェアリング機能はWhatsAppがテスト中の新機能の1つにすぎない。この他にも、未読のメッセージを編集したり削除したりする機能、ユーザーのステータスにコメントをする機能、そしてスマートフォンを「シェイク」することでWhatsAppのサポートチームにアプリの不具合を知らせる機能などがテストされている最中だ。

「将来的なプロダクトに関するコメントは控えさせていただきます」という言葉を除いて、WhatsAppから新機能についてのコメントを得ることはできなかった。

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(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter

Facebookがプラットフォームの「オール・ビデオ化」を望んでいることについて

2016-06-10-facebook

Facebookはプラットフォームの中心となるコンテンツを文字からビデオに置き換えようと引き続き全力を挙げていることは覚えておく必要がある。

Quartzによれば、Facebook EMEA〔ヨーロッパ・中東・アフリカ〕副社長、Nicola Mendelsohnは昨日(米国時間6/15)、ロンドンで開催されたカンファレンスで「5年後にFacebookは「たぶんすっかりビデオ化しているだろう」と述べた。

Mendelsohnはまた360度パノラマビデオは「ごく普通になっている」とし、VRハードウェアの成長も予言した(もちろんFacebookはVRヘッドセットのRiftのメーカーであるOculusを傘下に持つのだから当然の主張ではある)。

Mendelsohnは「これほど大量の情報が氾濫する世界でストーリーを効果的に語る方法はビデオだ。短時間に大量の情報を伝達することができる。ビデオに向かうトレンドは私たちが情報を消化する速度を速めるために役立つだろう。ここ数年、テキストの役割は低下を続けている。…私が賭けるとしたらビデオだ。ビデオ、ビデオ、ビデオ、と言いたい」」と述べた。

しかしもちろん、ハンガー・ゲームの戦闘アリーナと同じで、Facebookは「壁に囲まれて」おり、Faceookの完全なコントロール下にある。

つまりMendelsohnはFacebookのユーザーが自発的に選ぶであろう未来を推測しているのではなく、Facebookという企業の至上命題がプラットフォームのビデオ化であることを再確認したにすぎない。Mendelsohnはビデオを他のあらゆるメディア・コンテンツの上位に置いたが、ビデオがコマーシャルを表示する媒体としてきわめて有効であることも見逃せない(そういえばSnapchatという例もある…)。

インスタント記事(Instant Articles)のフォーマットを利用している広告主は、 Facebookのプラットフォームは書かれた文字に対してほとんど敬意を払っていないことに留意すべきだろう)。

最近、Facebookはメインのアプリからメッセージ機能をほぼ完全に追放した。Facebookで特定の友達に情報を文字で送信したい場合は別アプリのFacebook Messengerを利用する必要がある(一部の地域ではFacebook本体のモバイル・アプリからテキスト・メッセージを共有できるが、少なくともアメリカでは不可能だ)。

またビデオの情報量は巨大であり、モバイル・ビデオは世界中どこでもアメリカでのようにありふれたものとはなっていない。Facebookの「オール・ビデオ化」という戦略は途上国の多数のユーザーに対してドアを閉ざすものとなるだろう。Facebookはこうしたユーザーの獲得にあれほど熱心だったにもかかわらず、ビデオ化は逆の効果を生む可能性がある。

つまり現実的には、Facebookアプリのオール・ビデオ化は アメリカその他の先進国に限られ、途上国のモバイル・アプリはもっと混合的な性格とならざるをえない。【略】

なるほど〔テキストだけの〕SMSの役割は減少傾向だ。ユーザーはビデオや写真を添付できるもっと進歩したチャット・アプリにシフトしている。しかし文字の役割が低下している? そんなことがあるわけがない。テキスト・メッセージのやり取りは過去に例を見ない水準に高まっている。

結論は、「文字の役割は低下していない」だ。文字の役割が低下しているのはFacebookのメインのアプリ内だけで、その理由はFacebookというビジネスはユーザーにもっとビデオを利用させる必要があるからだ。

ユーザーをビデオに慣れさせビデオの利用に誘導しようとする目的で、Facebookはビデオ・コンテンツを優遇する新しい表示アルゴリズムを開発し、テキスト・ベースの表示を格下げすることでユーザーがメイン・アプリでテキスト・メッセージを共有することを妨げようと試みている。

人間にとって文字の役割が減少するということはない。文字の役割が減少しているのはFacebookであり、ビデオ消費を増大させるスペースを生み出すために文字を削ろうとしている。われわれは友達と常にテキストで情報を交換しあっている一方、Facebookはビデオというリッチメディアの闘技場に変わる(Snapchat風になるのか?)ことを目指している。

「オール・ビデオ化」というのはFacebookがプラットフォームとして目指す方向ではあっても、人間のコミュニケーションの現実はまた別だ。これは一つのキーワードで括れるような簡単なものではない。会話体験のフォーマットは多層的であり、いわば〔神話の怪物のように〕多数の頭を持った存在だ。Facebookがどんな未来を望もうと、この現実は変わらないだろう。

画像: Twin Design/Shutterstock

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

イラン政府、メッセージングアプリのデータをイランのサーバーへ移動することを強要

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イラン人ユーザーを持つメッセージングアプリは、1年以内にそのデータをイランのサーバーに移す必要がある、とReutersが伝えた。プライバシーの問題が起きることは必至だ。

イラン政府は、メッセージングアプリ上の、プライベートおよび準プライベートな会話を追跡できるようにしたがっている。イランでは多くのソーシャルネットワークが既にブロックされているが、政府はさらに管理を強めたいようだ。

メッセージングアプリの中でもWhatsAppとTelgramがイランでは非常に人気が高く、政府はそこで交わされる会話を監視することができない。ユーザーはTelegramでグループを作って何百という人たちとやりとりできる。

例によって、悪魔は細部に宿っている。サーバーをイランに移すだけでは足りないかもしれない。WhatsAppは最近エンドツーエンド暗号化の展開を完了した。この暗号化によって、WhatsAppは通信される会話を読むことすらできない。暗号化された会話を読めるのは、そこに関わるWhatsAppユーザーだけだ。

AppleのiMessageも、暗号化されたメッセージング手順の一例だ。Appleはメッセージを政府に渡すことができない。

同様に、Telegramはエンドツーエンド暗号化を有効にして、「秘密の会話」を開始できる。イランのTelegramユーザーがこの機能に気付いていれば、イラン政府はその会話を読むことができない。標準では、Telegramの会話はTelegramのサーバー上で暗号化されていない。

インターネットに制約のある他の国々と同じく、FacebookやTwitterのアカウントを作る術はある。VPN(Virtual Private Network)をインストールすれば、イランのISPはあなたがブラウズしているところを見られなくなる。そして今、イラン政府はメッセージングアプリと新たなイタチごっこを始めたがっている。

今日のニュースは、暗号化が表現の自由の基盤を成していることを改めて証明した。FBIが裏口を要求するたびに、世界中の、ただ政府を自由に批判できるようになりたい無数の人々も危険に曝される。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WhatsApp、MacとWindowsのデスクトップアプリを公開

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Facebook傘下のメッセージングアプリで、ユーザー数10億人を擁するWhatsAppが、MacおよびWindowsのデクストップアプリを公開した。WhatsAppが最初にウェブアプリを公開してから約15ヵ月後のことだ。

すでにWhatsAppをウェブブラウザーで使っている人々にとって、このソフトウェアに大きな違いはない。同社は発表文の中で、「このデスクトップアプリは携帯電話の延長」であり、全メッセージがデバイス間で同期する、と説明している。

WhatsAppのインド、ブラジル、南アフリカ等の国々での成功を支えた要因は、もちろんこれらの市場でのスマートフォンの急速な普及にあるが、パワーユーザー ― 特に仕事上のコミュニケーション手段としてWhatsAppに頼っている人々 ― に対して、デスクトップアプリはiMessenger、WeChat、Skype等他のメッセージングサービスと競争する上でも重要だ。

新しいデスクトップクライアントの公開と標準エンドツーエンド暗号化は、WhatsAppがテスト中のB2Cアカウントに合わせたものだ。年間99セントの定期利用料金を廃止したWhatsAppにとって、B2Cアカウントは待ちに待った収入源である。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

WhatsApp、10億ユーザー達成も収益面の課題は続く

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Facebook傘下のメッセージングサービスWhatsAppは、年間0.99ドルの利用料廃止の発表から一週間後、ユーザー数が10億人を突破したことを今日(米国時間2/1)発表した。発表のタイミングは興味深く、Gmailの10億ユーザー達成発表の日と重なった。ソーシャルネットワークでは四苦八苦しているGoogleにとって、コミュニケーションは大きく成功している市場だ。

新しい節目の達成はWhatsAppの公式ブログで今日発表された。これはWhatsAppが、2015年9月にアクティブユーザー数9億人を報告して以来、約1億人のユーザーを獲得したことを意味している。

先週WIRED Magazineに掲載された企業プロフィールによると、WhatsAppにはその時点で9.9億人のユーザーがいた。先月の終りから今日まで ― 2週間弱 ― の間に1000万ユーザーを増やしたことは実に目覚しいものであり、今後ユーザー基盤が増えてもこのペースを続けられるかが注目される。

こうした魅力的な数値をよそに、WhatsAppの収益性は0.99ドルの年会費を廃止した今、再び問われている。カリフォルニア州メンロパーク拠点の同社がFacebookに買収された時、この会費は年間1020万ドルに達していたと、Bloombergは伝えている。

収益は未解決の問題であるが、この膨大なユーザー数が飽和したメッセージング市場の戦場にどう影響を与えるかは注目に値する。今後WhatsAppは、エンドツーエンド暗号化を提供し、ビジネス対消費者(B2C)コミュニケーション市場へと移行するにつれ、Telegramや、魅惑的な8億人のユーザーを誇るFacebook自身のMessenger等のライバルと、正面から激突することになるだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、アプリケーションからGoogle DriveにバックアップするAPIを公開。早速WhatsAppが対応へ

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スマートフォンをバスタブなど水の中に落としてしまったとき、まず気になるのが「バックアップはしてあっただろうか」ということだ。とくに気になるのが、頻繁にやりとりするメッセージのバックアップをきちんと行なっていたかどうかだ。大事な情報をいろいろとやりとりしていて、これが失われるかと思うとぞっとしてしまう。

こうした危惧も杞憂となる日がやってきたようだ。Google DriveはバックアップするためのAPIを提供し、それをまずWhatsAppにて提供することとしたのだ。これは数ヶ月にわたって順次公開されていく予定であるそうだ。この機能を使えば、WhatsApp上でやり取りしたコンテンツがGoogle Driveに自動的にバックアップされることとなる。Android上でWhatsAppを使っている人にとっては朗報だろう。

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データをスマートフォンの上にだけおいておいて安心する人はいないでしょう(壊れてしまう可能性だってあります)。その心配に対処するため、WhatsApp for Androidにコンテンツのバックアップ機能を加えました。やりとりしたチャット、ボイスメッセージ、写真、そしてビデオがGoogle Driveにバックアップされるようになります。バックアップしておけば、端末を変更しても簡単にコンテンツを復活させることができます。

今回アナウンスしたバックアップ機能は、数ヶ月のうちに順次公開していく予定となっています。新版がリリースされた際には設定メニューをチェックしてみてください。今回のアップデートの詳細については、Help Centerなどにも記載しています。また自作アプリケーションにGoogle Driveへのバックカップ機能を搭載しようかと考えている方は、開発者向けサイトのチェックもお願いします。

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これからもGoogle Driveへのバックアップ機能を搭載するアプリケーションは増えていくことだろう。やりとりするビデオ、写真、住所情報や大切な数字などを手軽に保存しておきたいと考えている人も多いはずなのだ。10〜12のアプリケーションがすぐにも対応を始めるのではないだろうか。

Androidオンリーであるという点と、写真やビデオが自動的にGoogle Photoに展開されないという点に不満を感じはする。ただ機能は徐々に改善されていくのだろう。API側からどのコンテンツをどこにバックアップするという制御ができるようにもなるかもしれない。iOS版では今のところこの機能を利用する方法はない。

Google Driveへのバックアップ機能を実装する方法については、冒頭にも記載したこちらの記事からチェックすることができる。

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(翻訳:Maeda, H

2014年の米国テック業界M&Aまとめ、今年の注目は自動車とヘルスケア

編集部注:この原稿はScrum Venturesの宮田拓弥氏による寄稿である。宮田氏は日本と米国でソフトウェア、モバイルなどのスタートアップを複数起業。2009年ミクシィのアライアンス担当役員に就任し、その後mixi America CEOを務める。2013年にScrum Venturesを設立。サンフランシスコをベースに、シリコンバレーのスタートアップへの投資、アジア市場への参入支援を行っている。また、最近サンフランシスコでコラボレーションオフィス、 ZenSquareを開設した。連絡先はこちら(Facebook / Twitter )。

2014年の米国テック業界では、日本円にして2兆円を超えるFacebookのWhatsApp買収を筆頭に、Nest(32億ドル / Google)、Beats Music(30億ドル / Apple)、Oculus VR(20億ドル / Facebook)など、1000億円を超える大型買収が相次ぎました。

詳細な統計データが出てくるのはもう少し先だと思いますが、引き続き盛んであった2014年の米国テック系M&Aを振り返り、その傾向の考察と、2015年に向けての展望を考えてみたいと思います。

まずは時系列で振り返る

筆者が運営するScrum Venturesでは、投資活動の一環として、米国におけるスタートアップの資金調達、M&A、IPOの情報を毎日収集し、分析しています。下記はその中からピックアップした2014年の注目すべきM&A案件のリストです。

新しい「プラットフォーム」の獲得

上半期で注目すべきは、Facebookによる「WhatApp」(関連記事)と「Oculus」(関連記事)の2つの大型買収です。

WhatsAppは、LINEと同じメッセンジャーの会社で、当時4.5億人のユーザを抱えていました。LINEとは異なり、ユーザーに年間1ドル課金をしているため、2000万ドル程度の売上があると言われていましたが、それでも、190億ドルというのは破格の買収額です。

一方のOculusは、Virtual Reality(VR)用のプラットフォームを開発する会社です。Mark Zuckerbergよりも若い22歳のCEOが立ち上げたばかりのスタートアップに20億ドルの値段がついたことは大きなニュースとなりました。

この2つのM&Aに共通するのは、Facebook自身が巨大なプラットフォームでありながら、今後成長が予想される「新しいプラットフォーム」を獲得しにいったということです。

メッセンジャーに関しては、その成長は明らかで、買収時に4.5億人だったWhatsAppのユーザー数はわずか1年弱で7億人まで成長しており、本体のSNSを凌駕する勢いです。

一方で、VRに関しては、まだ正式な製品リリース前ですが、買収時のポストでZuckerberg自身がコメントしているように、次のプラットフォームとしてかなり期待しているようです。モバイルに関しては、どこまでFacebookが成長してもAppleとGoogleのOSの制約から逃れられない立場であるため、ハードそしてOS全てを自由にデザインできる自分たちのプラットフォームを手にしたいと考えているのでしょう。今後の「VRプラットフォーム」の行く末には注目したいです。

買収で加速するGoogleのIoT戦略

もう一つ、上半期での注目はGoogleによるスマートホームデバイス「NEST」の買収です。AppleでiPodやiPhoneを手がけたメンバーが立ち上げたNESTは、2011年に発売した「スマートサーモスタット」が大ヒット。その素晴らしいUXが話題となりました。

Googleは、このNESTを自社のIoT戦略の核と位置づけています。先日オフィスを訪問して来ましたが、社員数は急拡大しており、現在800人(!)にまで膨れ上がっているということでした。NESTはこの買収直後に “Works with NEST“ というパートナープログラムを発表しており、様々なスマート家電がNESTと連携して動くアライアンスを進めています。

NESTを核としてM&Aも進めており、6月には家庭用監視カメラメーカーであるDropcamを買収しています。Android社の買収によってスマホプラットフォームとしての座を築いたのと同様に、IoTの分野でこの買収がどのような成果を上げるのか注目をしたいです。

止まらない「動画」の拡大:広告、ゲーム、 MCN

また、年間を通してみられた大きなトレンドは「動画」です。

Facebookによる動画広告プラットフォームLiveRailの買収、Amazonによるゲーム動画プラットフォームTwitchの買収、Disneyによる大手MCN(複数のYouTubeチャンネルと提携し、効果的なチャンネル運営や視聴者獲得のためのサービスを提供する組織)、Maker Studioの買収など例を挙げればきりがないほど、動画系のM&Aは花盛りでした。

これまで動画というと、長くYouTube一強時代が続いていましたが、インターネットの高速化、スマホの普及などにより、作成、共有、視聴、広告などバリューチェーン内のあらゆる分野でのイノベーションが期待される分野です。

コンサバ企業のM&A:Eコマース企業を買った老舗百貨店

もう一つ、ユニークなM&Aの事例をご紹介します。TrunkClubという男性向けEコマースのサービスを、全米最大の百貨店 Nordstromが3.5億ドルで買収しました。TrunkClubは、2009年創業の「スタイリストが選んでくれた洋服が自宅に届き、その中で欲しいものだけ購入し、残りは返す」という「キュレーション型富山の置き薬」と言えるサービスで、ビジネスは結構順調だったようです。日本ではまだあまり目にしない「巨大市場の老舗企業による新興企業の買収」ですが、ネットビジネスのさらなる拡大に伴い、ある種の防衛策として今後ますます増えるカテゴリーのM&Aだと考えています。

2015年のM&Aを占う

最後に、2015年の米国のM&Aの動向を予想してみたいと思います。2014年同様、2015年も引き続き活発なトレンドは変わらないと思います。小さなAcqui-hire(人材獲得型M&A)から大きな戦略的M&Aまで、様々なM&Aが起きて行くものと思われます。その中で筆者が、注目しているカテゴリーは「ヘルスケア」と「自動車」の2つです。

「ヘルスケア」は、現在米国で最もVC投資が集まっているカテゴリーの1つで、2013年は総額200億ドルの投資額だったものが、2014年は2Qまでの上半期だけで230億ドルと、ほぼ1年間で倍増しています。8000万人を超えるデータを持つ電子カルテスタートアップ、Practice Fusionなど今年IPOが予想されている企業も多く大きな動きがありそうです。中でも、ウェアラブルデバイスの普及等により今後急激に拡大する「ヘルスケアデータ」を取り巻くM&Aに注目しています。遺伝子解析サービスの23andMeがPfizerなど製薬会社12社とデータ提供のパートナーシップを結ぶなど、カジュアルなダイエットのようなものからシリアスな医療、研究開発の分野に至るまで目が離せません。

「自動車」は、今月開催されたCESでも注目のカテゴリーでありましたが、スタートアップ関連の動きも非常に面白いです。独BMWは、CVCであるBMW iVenturesを通して、運転データ解析のZenDriveやテレマティクス関連のChargeMasterなどに積極的に投資をしています。一大ロジスティクスインフラになりつつあるUBERや自動運転領域で最先端を行くGoogleが、コネクテッドカー、自動運転などの本格商用化に向けて、どのようなM&Aをしかけてくるのかに注目したいです。


WhatsAppの2014年上半期の売上は1500万ドル。純損失2.3億ドルの殆どは株式発行による


Facebookは今日(米国時間10/28)、WhatsAppの財務状況を初めて公表し、ユーザー数6億人のメッセージングアプリの売上は未だに小さいようだ。2014年6月30日までの6ヵ月間で、WhatsAppは1592万ドルを売上げ、2.3億ドルの損失を出した。しかし、損失のうち2.065億ドルは株式ベースの補償および適正価格以下で発行した通常株式によるものだ。2014年上半期の営業経費は1350万ドルであり、こちらはずっと健全に見える。

要するに、WhatsAppの企業価値が急上昇したために、トップクラスの人材集めに株式ベースの報酬を利用したということだ。結局、Facebookによる220億ドル買収によって、その株式発行の「費用」は殆ど空論となった。これはWhatsAppが実際に払った現金ではなく、同社が配った架空の金だ。

2013年12月31日までの1年間に、WhatsAppは売上1020万ドル、純損失1.38億ドルを計上した。この間に使った営業経費はわずか990万ドルだったが、株式ベース報酬は9880万ドルに上った。この株式ベース報酬は、2012年の3820万ドルから大きく増えている。2012年の純損失は5467万ドル、営業経費350万ドルで、売上はわずか382万ドルだった。

FacebookはWhatsAppのために払った金額を、ユーザーベースに20.26億ドル、ブランドに4.48億ドル、テクノロジーに2.88億ドル、その他が2100万ドルと分類している。残る153.14億ドルの差額は、「のれん代」別名「将来の成長、潜在的収益機会、および当社のモバイルメッセージング機能を拡大することによって得られるモバイルエコシステムにおける戦略的優位性」の価値ということになる。

WhatsAppのゴールは今も成長であり、収益化ではない。Mark ZuckerbergとWhatsApp CEOのJan Koumは、今年2月に買収が決定した時、広告はメッセージングで儲ける正しい手段ではないと指摘し、以前徴収していた年間1ドルの定期利用料を積極的に推し進めるつもりがないとも言った。代わりに両CEOは、まずWhatsAppを最高の国際メッセージングアプリにして、ライバルを追いやり、地位を確立してから金を稼ぐことを望んでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook


英国キッズのタブレット保有率は34%。ニッチ・ソーシャルネットワークも人気上昇中

昨年10月に、Ofcom(英国情報通信庁)が子供たちの間でのタブレット利用率が上がっているというレポートをリリースした。この度、新たに2014年版年次レポートがリリースされたが、どうやらタブレット利用が広がっていくトレンドは継続中であるようだ。今やイギリスの若年層におけるタブレット保有率は3人に1人というレベルに達しているらしい。

たとえば、5歳から15歳の層におけるタブレット保有率は34%となっているのだそうだ(これは両親保有および学校のものを除いた数字だ)。この数値は2013年版では19%となっていた。

さらに低い年齢層でもタブレット保有率は増加傾向にある。3歳から4歳の子供についても、10人に1人(11%)がタブレットを保有しているといの結果が出ているそうだ。これも昨年のレポートではわずか3%となっていた。

また、5歳から15歳の層がネットワークに接続する際に利用するデバイスとしても、タブレットの率が上昇している。すなわち2013年には23%だったものが、今回の調査では42%となっているのだ。

こうした傾向により、ノートPCやデスクトップ機が退潮を示しつつあるという見解も示されている。インターネット接続にあたって、PCないしノートPCを利用している子供の割合は、2005年の調査開始以来初めて低下することとなったそうなのだ。昨年比で3%低下して88%となっているようだ。

一方で、子供たちのスマートフォン保有率については横ばいという状況にある。8歳から11歳については20%、12歳から15歳については65%がスマートフォンを保有しているとなっている。

調査を見る限り、どうやら子供部屋におかれたテレビはタブレットへと姿を変えつつあるようだ。テレビの保有率は2009年の66%から2014年の46%へと3分の1ほども減らしている。但し、タブレットを使ってのテレビ視聴の習慣は増えている。こちらの方は2013年の15%から2014年の20%へと、逆に3分の1ほどを増やしている。

もちろんゲーム機としてのタブレット利用も増えつつある様子。昨年の23%から2014年には30%となっている。ゲーム専用機は昨年の81%から2014年の77%へと減少している。

多様化しつつあるらしいソーシャルメディア

また、イギリス若年層が利用するソーシャルメディアについての分析もなされている。どうやらマイナーなサービスにも利用者の目が向いているのではないかという結果が出ているのだ。

Ofcomの調査を見れば、イギリス国内の子供たちの間でも一番人気はFacebookだ。調査対象となった12歳から15歳の子供たちのうち、96%はFacebookに登録しているのだとのこと。これは2011年以来ほぼ変わらない数値となっている。

しかし「メインで利用しているソーシャルネットワーク」にFacebookを上げる割合は減っているのだ。この割合は2013年に87%だったものが、2014年には75%となっている。

その一方で、ソーシャルネットワークのバリエーションが増えてきているようなのだ。たとえば「メイン」にInstagramを上げる子供もいれば、SnapChatやWhatsAppを上げる子供たちの割合はいずれも増えている。もちろん、割合的にはまだまだFacebookの天下であるともいえる。しかしFacebook以外のソーシャルネットワークに注目する若年者が増えているという傾向は見える。「親がいないところ」を探してニッチなサービスを利用しようとする若年層もいることを示しているのだろう。

ちなみに現在のイギリスにおいては、「ニッチ」の中でInstagramが人気を集めているようだ。調査対象の36%が「使っている」と回答し、また9%がInstagramをメインに使っていると回答している。

次点はSnapchatで26%が使っていると述べ、20%はWhatsAppを利用していると回答している。InstagramおよびWhatsAppはFacebookのサービスとなってはいるが、しかしSnapChatの方は独立したサービスで、さまざまな買収提案を蹴り続けている。

ところで人気が低下しているサービスはとみれば、イギリスの若年層の間ではTwitterの人気が低下中であるようだ。3年連続で利用率が増えていて昨年は37%を記録していたが、今年は28%となってしまった。ちなみにGoogleのYouTubeの利用率も若干の低下を示しており、26%から22%となっている。

尚、レポートからは若年層グループにおける人気のうつろいやすさをはかり知ることもできる。たとえばソーシャルネットワークのBeboは2009年にはほぼ半分(49%)の利用率を示していたのに、2014年にはわずか3%となってもいるのだ。

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(翻訳:Maeda, H