不動産管理業務のワークシェアリングサービスCOSOJIを運営するRsmileが累計1.6億円の資金調達

不動産管理業務のワークシェアリングサービスCOSOJIを運営するRsmileが累計1.6億円の資金調達

不動産の管理業務と地域作業者をつなぐワークシェアリングサービス「COSOJI」(コソージ)を展開するRsmileは3月1日、第三者割当増資による資金調達を実施したことを発表した。引受先は、KUSABI1号投資事業有限責任組合、B Dash Ventures、ニッセイ・キャピタル、グロービス。累計調達金額は1億6000万円となった。調達した資金は、開発体制とカスタマーサポート、マーケティング強化のための人員拡大に充当する。

COSOJIは、不動産の共用部清掃や目視点検などのメンテナンス、消防設備点検や貯水槽清掃などの法令点検を、地域の作業者や工務店に直接つなげるマッチングサービス。不動産のある地域に近い作業者に業務を委託することで、交通費などの経費を削減でき、物件の登録・作業の依頼・作業報告の確認・決済までをオンラインで完結できる。2021年1月のリリース以降、アパート、空き家、駐輪場・駐車場、太陽光施設などの不動産に導入されており、現在は全国2000以上の施設でサービスを展開。利用者は不動産管理会社、オーナーとなっており、現地作業員・工務店などの現地パートナーは1万ユーザーを超える。「不動産にかかわる全ての人に快適な世界を」をビジョンに掲げるRsmileは、地域に根差した新しいサービスの提供を目指したいという。

 

バイオ分子に照準を合わせて新薬を生み出すGandeeva Therapeuticsが46億円調達

かつて冗談交じりに「ブロボグラフィー(抽象的な芸術作品の一種)」と呼ばれていた分野が大きく進展した。

低温電子顕微鏡法は、現在、生体の最小構成要素を最も忠実に観察できる手法の1つで、バイオ分子のアモルファス(非晶質=結晶ではない)画像を提供する。米国時間1月31日、4000万ドル(約46億円)のシリーズAラウンドを完了し、その存在を世に知らしめた新しいバイオテック企業Gandeeva Therapeutics(ガンディーバセラピューティクス)は、これを重要な柱として、低温電子顕微鏡法による高解像度画像と機械学習ツールを組み合わせて、創薬のプロセスを高速化することを計画している。

共同創業者でありCEOのSriram Subramaniam(シュリラーム・サブラマニアム)氏は、TechCrunchの取材に対して次のように話す。「『電子顕微鏡でタンパク質を原子レベルの分解能で可視化する』という創業時の夢を、約15年の歳月をかけて実現しました。誰かがこの夢を実現できれば、これこそが創薬を変え、革命を起こすために必要な重要なツールになるはずだと確信していました」。

「現在の低温電子顕微鏡法の進歩を採り入れて、実際に学習するプラットフォームを作ることがGandeevaの命題である」と同氏は続ける。高解像度の画像を利用すれは、これまで観ることのできなかった結合ポケットを発見することが可能で、それに合う薬剤を見つけることができる、というのだ。

「金鉱を採掘する道具は重要ですが、その金鉱をどうするか、つまりどのような製品に変換するかを知っている必要があります。私たちの場合は、それは患者さんのための薬です」。

現在では、Insilico Medicine(インシリコ・メディスン)Generate Biomedicines(ジェネレート・バイオメディシンズ)Pepper Bio(ペッパーバイオ)Eikon Therapeutics(エイコン・セラピューティクス)Isomorphic Labs(アイソモルフィックラボ)といった数多くの企業が創薬という大きなチャレンジに取り組んでいるが、Gandeevaのアプローチは、簡単にいえば、体内のドラッガブル(druggable、ターゲット分子における低分子化合物による機能調節の可能性を意味する)なターゲットを見つけるために「実際に観てみる」といったところだ。

周りをぐるっと見ただけでも、これまで数え切れないほどの科学的ブレークスルーがもたらされてきた。しかし、身体の構成要素に関しては、特殊な顕微鏡技術がなければブレークスルーは起こり得ない。この分野の代表的な技術はX線結晶構造解析で、タンパク質や分子を文字通り結晶に詰め込んでX線を照射し、その形や大きさ、向きを近似的に再現するものである。

X線結晶構造解析の問題は、結晶化という手間と時間のかかるプロセスにある。しかし、低温電子顕微鏡法では、結晶化が不要だ。この手法では、分子を瞬間冷凍して2次元のシートを作り、それを電子銃で照射する。2次元シートは生体分子を電子から保護し、詳細な画像の撮影や、結晶化構造では観ることのできないバイオ分子の動きの撮影を可能にする。

低温電子顕微鏡法では、2オングストローム(ナノメートルの10分の1)の構造体の画像が得られる(参考までに、人の髪の毛1本の太さは約100万オングストロームである)。

低温電子顕微鏡がブームになっていることを示す証拠もある。2024年までに、低温電子顕微鏡で決定されるタンパク質構造がX線結晶構造解析を上回る、と予測する科学者もいる(2020年2月のNatureのニュース)。顕微鏡や装置が高価であるにもかかわらず、分解能が飛躍的に向上したことで、低温電子顕微鏡は主要な科学的ツールキットとなりつつある。

左:オミクロンスパイクタンパク質の低温電子顕微鏡マップ(画像クレジット:Scienceに掲載)、右:X線結晶構造解析によるAAA ATPaseのp97の画像(画像クレジット:Gandeeva Therapeutics)

一方、構造生物学という点ではGandeevaに有利な動きが他にもある。1つは、機械学習が進歩してタンパク質がどのように折りたたまれるか(タンパク質フォールディング)を正確に予測できるようになったことだ。

すでにタンパク質フォールディングを予測できるAIエンジンが2つ開発されている。アルファベット傘下のAI企業、DeepMind(ディープマインド)が開発したAlphaFoldと、ワシントン大学が開発したRoseTTAFoldである。かつてはタンパク質の構造を決定するには何時間も実験室で作業する必要があったが、RoseTTAFoldは通常のゲーム用コンピューターを使って、10分でタンパク質の構造を予測できるという。

サブラマニアム氏は、これらのツールは、タンパク質の構造と機能に関する前例のないレベルの知見を提供するが、まだ対処すべきギャップがある(AIによる予測では、要素によっては他の手法より信頼度が低いなど)と主張し、低温電子顕微鏡法では、タンパク質のある領域にズームインしたり、タンパク質のさまざまなコンフォメーション(立体配座)を撮影したりすることができるので、こうしたギャップを埋めることができるだろう、と指摘する。

「AIには革命の真っただ中にありますが、誰もが『AIって結局何?』と疑問に思っているのではないでしょうか。AIと低温電子顕微鏡の組み合わせは、実験だけでも予測だけでもない、まさしく正攻法であり、Gandeevaの命題でもあります」とサブラマニアム氏。

「AIによる構造生物学や相互作用の理解を利用して、最速かつ適切なスループットで精密なイメージングを組み合わせることができます」。

Gandeevaは現在、政府や大学がスポンサーとなっていなくても、すばやく簡単に低温電子顕微鏡を利用できることを証明しようとしている。この分野におけるサブラマニアム氏の研究の多くはこうした環境で行われてきたので、これは重要なポイントだ。

サブラマニアム氏は、キャリアの大半を米国国立衛生研究所(NIH)で過ごした。国立がん研究所(NCI)の生物物理学セクションのチーフを務め、その後、政府が運営する国立低温電子顕微鏡研究所を設立。NIHでは、Gandeevaの低温電子顕微鏡を使った創薬プラットフォームの開発を進めたいと考えていたが、ラボの開発だけで数十億円の費用がかかることが判明した。

同氏によると、当時「VCはこのようなアプローチに関心を持たなかった」という。しかし、ブリティッシュコロンビア大学(UBC)が興味を示したため、彼はNIHを退職し、UBCのCancer Drug Designのチェアマンに就任した。

「NIHで行っていたことが再現できると証明するために、UBCに来て数年間でこのプロジェクトの基本を立ち上げました。UBCで作成したプロトタイプは、この方面に迅速に進めることを投資家に確信してもらうきっかけとなりました」と同氏は話す。

この概念実証(PoC)では、短時間で作成されたオミクロン変異体のスパイクタンパク質の低温電子顕微鏡画像がScienceに掲載された。

しかしながら、Gandeevaの最終目標は、低温電子顕微鏡法をパッケージ化して生物学的に美しい写真を撮ることではなく、新薬の開発にかかる時間を短縮することを目的とした研究プラットフォームである。

サブラマニアム氏は「薬剤がどこに結合するか、タンパク質のどの表面をターゲットにしているのかを正確に観ることができるので、単純に、大幅に時間を短縮できると考えています。このような情報があれば行き止まりの経路を調べずに済むため、非常に有効です」と話す。

Gandeevaは、この技術を工業規模かつ速度で実行し、他では得られない情報を得られることを証明する必要がある。同社は、バンクーバー郊外の施設を6年間リースしており、サブラマニアム氏はここでプラットフォーム機能を構築する予定だ。

社内的には、いくつかのプログラムを進めて、潜在的な創薬ターゲットを特定できることを証明するのが目標である。サブラマニアム氏は、もしかしたらGandeevaのプラットフォームを腫瘍学に適用し始めるかもしれない、と話すが、これはまだ決まっていない。

今回のラウンドはLux Capital(ラックスキャピタル)とLEAPS by Bayer(リープスバイバイエル)が主導。Obvious Ventures(オブビアスベンチャーズ)、Amgen Ventures(アムジェンベンチャーズ)、Amplitude Ventures(アンプリチュードベンチャーズ)、Air Street Capital(エアストリートキャピタル)が参加した。

画像クレジット:Gandeeva Therapeutics

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

【コラム】すべての自律分散型組織が「自律的」あるいは「分散型」というわけではない

Web3、NFT、DeFi、トークンの成長を背景に、機関投資家はDAOと呼ばれる別の暗号資産構造の活用方法にも注目している。インターネット上のコミュニティ活動の新しいモデル構築に向けられたものだ。

DAOすなわち自律分散型組織は、2022年においてとても奇妙な場所に位置している。

この暗号資産の集合体は、理論的には、スマートコントラクトとブロックチェーンの透明性に支配されている構造化されたキャパシティの中で、グループが意思決定と運用を行えるように設計されている。だが、最近登場してきたDAOは、分散化と自律性の両方に対するさまざまなコミットメントを有しており、互いに判然としない様相を呈している。DeFiプロトコルのようなテクノロジーの自律的なガバナンスメカニズムとして、DAOをどのように利用できるかに焦点を当ててきた向きが存在する一方で、DAOを使って、NFTプロジェクトのロードマップに関する集団的な決定を行っているところもある。また別の一派は、この構造が単に、Discord(ディスコード)やTelegram(テレグラム)のグループチャットに暗号資産の宝庫を追加する新しい方法であると考えている。

実際のところ、DAOとは何かを厳密に定義している人はほとんどいない。つまり、新しい組織にとっては、暗号資産に興味のある人のDAOに対する理解を促すとともに、DAOの創設者候補がその構造を最大限に活用できるようにする余地が残されている。「標準的」なDAOとはどのようであるべきかという包括的な定義の難しさは、オポチュニティの広がりを際立たせるものに他ならないとこの分野の創設者たちは口にする。

「結局のところDAOは、個人向けのテクノロジーとは対照をなす、集合的なテクノロジーです」と、Syndicate(シンジケート)の共同創設者であるWill Paper(ウィル・ペーパー)氏は先にTechCrunchに語っている。「DAOは企業の次の進化ともいえるでしょう。発言(voice)と離脱(exit)の両方を自らの基盤にエンコードするものです」。

TechCrunchは、a16z(Andreessen Horowitz、アンドリーセン・ホロウィッツ)が支援するSyndicateが、完全なコンプライアンスを実現する暗号資産の「投資クラブ」サービスを立ち上げたことについて記事にした。そのスマートコントラクトのネットワーク上で、ユーザーは、友人たちと一緒に投資する永続的で安定した構造を構築することができる。

ベンチャー支援を受けたスタートアップの数々が、多様なレベルのブロックチェーン依存性を備えた新世代のDAOを支援することに目を向け始めている。その余勢を駆ったDAOの創設者たちは、これらのツーリングスタートアップが築いたスマートコントラクトに依拠しつつ、自分たちのプラットフォームを使って規制のハードルに対処できる。

DAO専門のアナリティクスファームであるDeepDAOは、現在4100を超える数のDAOを追跡調査している。2016年に「The DAO」と呼ばれる初めてのDAOが設立されて以来、これらのグループは大きく進化してきた。

「それは非常に特殊で限定的なユースケースでした。The DAOのコンセプト全体に着想を与え、この業界を始動したのです。今では第2世代のDAOが、この言葉をまったく別のものとして使っています。彼らはDEOについて、所有権を記録するシステムとしてブロックチェーンを使用する組織、という捉え方をしています」と、Superdao(スーパーダオ)の創設者Yury Lifshits(ユーリー・リフシッツ)氏は述べている。「ブロックチェーン上で誰が所有しているかを定義する組織はDAOであるため、ガバナンスがスマートコントラクトによって定義される必要はなく、ガバナンスが分散化されるということもありません」。

Superdaoは、SignalFire(シグナルファイア)がリードした1050万ドル(約12億1140万円)の資金調達ラウンドを1億6000万ドル(約184億5930万円)の評価額で完了した。

ベンチャーキャピタリストたちは、DAOに向けたブロックチェーンインフラストラクチャを構築するスタートアップを支援している。一方で、Andreessen Horowitzのようなファーム、またVariant(バリアント)やParadigm(パラダイム)などの「暗号資産ネイティブ」ファンドは、徐々にDAO自身を支援するようになってきており、多くの場合、最初の立ち上げと運用を目的に構築したバックエンドインフラストラクチャの製品化も視野に入れている。

「DAOはボタンをクリックするだけで起動できるソフトウェアにすぎないという事実は【略】ですが、何千人、何万人もの人々、最終的には何百万人あるいはそれ以上の数の人々に触媒作用を及ぼします。そのすべてが資本を結集してアイデアを集約し、共通の目的のために協働するのです【略】私たちはこれを、Web3と暗号資産が何であるかの最も純粋なビジョンとして捉えています」と、a16zのGPであるAli Yahya(アリ・ヤヒア)氏は、PleasrDAO(プリーズアダオ)への投資にともなうインタビューでTechCrunchに語った。

SyndicateやSuperdaoは、DAOのインフラ分野におけるベンチャー支援プレイヤーたちの一例にすぎない。Utopia(ユートピア)、Tally(タリー)、Colony(コロニー)、Layer3(レイヤー3)のようなスタートアップも、新しい機会を顕在化するという約束のもと、VCからの資金を獲得している。その中には、人々がより迅速にDAOを形成するのを支援するところもあれば、まずユーザーがDAOを発見する手助けをすることを優先するところもある。

ツーリングスタートアップが着目している最大の領域として、DAOが米国規制への準拠を確保すること、LLCとして法人化すること、あるいはDAOが目指しているものに整合する適切な構造を追求することなどが挙げられる。暗号資産富裕層のバイヤーが協力して投資を行ったり、スタートアップをグループとして支援するような投資DAOは、米国内で課題に直面しており、認定されていない投資家の間で共同投資グループ向けに展開される、かなり明確なルールに対処している。

「私の予測では、投資DAOは米国外では今後も繁栄し続けると思いますが、米国では法制度がかなり強固であり、SPVやローリングファンドという点では比較的堅実なオルタナティブが存在しています」とリフシッツ氏は語る。「米国の投資DAOが従来型の投資ビークルに勝てるかどうかは微妙です」。

1000人超の会員を抱えるOrange DAO(オレンジ・ダオ)のような大規模な投資グループは、より従来型の投資ビークルとして構成された別のベンチャーファンドとDAOの活動を緩やかに結び付ける、一層複雑な構造に依存している。

BitDAO(ビットダオ)、Uniswap(ユニスワップ)、Lido(リド)などの大規模なDAOは、DeFiのプールされた投資機会に焦点を当てている。一方で、DAOの信奉者たちは、クリエイターやアーティストが自分の作品を収益化する方法から、将来の近所のHOA(管理組合)の運営方法に至るまで、Web3ネイティブの構造はあらゆるものを再形成する、という無限の機会を見出している。コンプライアンスは常に進化し続ける課題を提示しているが、DAOツーリングスタートアップにつきまとうこの地雷は、DAOが潜在的な脅威についてユーザーを教育するということに貢献してきた。それは、暗号資産スタートアップやDAOがますますメインストリームのユーザーベースを引きつけようとしている時に、一層重要になるであろう。

「私が参加していたDAOでは、誤って数百万ドル(数億円)相当のトークンを不適切なアドレスに送信してしまい、永久に失われてしまったことがありました」とペーパー氏は語る。「私たちはユーザーを支援するために多くの保護策を用意していますが、提供する保護策と柔軟性との間には常にトレードオフが存在しています」。

画像クレジット:BlackJack3D / Getty Images

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(文:Lucas Matney、翻訳:Dragonfly)

リモートセンシング技術のスカイマティクスが13億円のシリーズB調達、セールス・マーケティング・人材採用を強化

リモートセンシング技術のスカイマティクスが13億円のシリーズB調達、セールス・マーケティング・人材採用を強化

「リモートセンシングで、新しい社会を創る」をミッションとするスカイマティクスは3月1日、シリーズBラウンドとして、第三者割当増資による総額約13億円の資金調達を実施したことを発表した。引受先は、既存投資家のフェムトグロースファンド2.0投資事業有限責任組合、新規投資家のミライトロン、ジャパン・コインベスト(三井住友トラスト・インベストメント)、農林中央金庫の4社。累積調達額は約29億円となった。調達した資金は、同社サービスのセールスとマーケティングに「集中投下」し、同時に人材採用も強化するとのことだ。特に、GISエンジニア、ウェブエンジニア、画像処理解析エンジニア、さらにR&D人材、セールス、カスタマーサクセス人材を拡充する。

リモートセンシングとは、遠く離れた場所からセンサーを用いて対象物を調べる技術のことをいう。この技術を柱とするスカイマティクスは、人工衛星やドローンなどから収集したあらゆる地理空間情報(GIS)と時系列情報を処理解析する「時空間解析プラットフォーム」を構築し、農業・建設・測量・整備点検・防災といった幅広い業界のDXを推進している。

スカイマティクスが提供するサービスには、以下のものがある。

ドローン測量・現地管理DXクラウド「くみき

ドローン測量データから現場の画像や動画データを駆使した「現場データ丸ごと管理」サービス。あらゆるデータを地図上に統合し、データ管理を効率化する。

施設・設備情報管理システム「くみきスコープ

施設や設備に関する画像、テキスト、ファイルなどの情報を、屋内外を360度パノラマ化した画像で可視化し、スマートに管理するサービス。独自AIによる画像処理で、錆びや腐食の検出なども行える。

農家向けスマート農業サービス「いろは

画像解析技術と地理情報技術で、農地へ行かなくても農地全体の状況を把握できるようにするサービス。全国の農地に採用され、都道府県普及率100パーセントを達成した。

自治体向け農業管理DXソリューション「いろはMapper

自治体による経営所得安定対策と中山間地域等直接支払いのための現地調査を効率化するサービス。

 

アフリカのシリコンバレーに?同地域のテック企業向けに憲章都市を構築するリン・アボジ氏の計画

アフリカの都市、特にサハラ郊外の都市は、世界でも最速の都市成長速度を誇っている。しかし、超過密、混雑、インフラ、電力、貧弱な統治などの課題を抱えているため、都市環境でアフリカの平均的な生活水準を提供するという点で、これらの都市は限界に達してしまった感がある。

一部の専門家は、憲章都市が解決策をもたらしてくれると考えている。憲章都市には新しい統治システムを作成するための特別な権限が付与され、都市の役人は経済規制におけるベストプラクティスを採用できる。

憲章都市は通常、都市開発業者とホスト国間の官民パートナーシップによって実現される。世界には憲章都市として成功している例がいくつかあるが(シンガポール、深セン市、ドバイなど)、大半は予想を下回る成果しか上げていないか、失敗に終わっている。ナイジェリアでは特にそうだ。

例えばEko Atlantic(エコ・アトランティック)というラゴス近郊の特殊な構造の都市は、150万人の人口の大半が家を買う余裕がないエリアで25万人以上に住宅を供給する計画だ。2009年に始まったこのプロジェクトは現在も継続中で、住宅を供給するためとはいえ、新規開発区域周辺の沿海部に住む数万人に立ち退きを迫っている。

ナイジェリアの経済特別区(SEZ:国内の他の地域と異なるビジネスや商取引に関する独自の法律が施行され、税の優遇措置、企業活動への刺激策、規制面での改革などが実施される地域)も苦戦を強いられている。例えば16500ヘクタールのLekki(レッキ)自由貿易地域は期待されたような成果を上げられていない。

この2つの計画が作った前例は、実はもっと重要な問題を浮き彫りにしている。それは、憲章都市とSEZはホスト国の危機や景気低迷による影響から逃れられないという現実だ。特に貧困国ではその傾向が強い。

Talent City(タレントシティ)プロジェクトに対して懐疑的な見方があるのもそのせいだ。タレントシティプロジェクトは、テックプロフェッショナル向けの未来型憲章都市のことで、アフリカのスタートアップに投資するファンドや共同体の管理企業Future Africa(ヒューチャーアフリカ)によって2020年1月に発表された。しかし、このような懐疑的な見方に対し、タレントシティは、この計画都市は「雇用を創出し、アフリカのテクノロジー、イノベーション、デジタル経済を推進する人材を引きつける」ことに重点を置いているため成功すると確信している。

タレントシティの声明には、タレントシティプロジェクトの都市は自由貿易地域内で、独自の「生産性を重視した、企業家中心の規制や条例」によって管理されると記載されている。

アフリカ諸国はテック向けの憲章都市を必要としているか?

この発表から2年が経過した。まだ建造物は1つも建設されていないが、 ヒューチャーアフリカのジェネラル・パートナー Iyinoluwa Aboyeji(リノルワ・アボジ)氏とパートナーたちは、Talent Cityの未来をさかんに宣伝し続けている。

プロジェクトの前進はゆっくりではあるが、 タレントシティは最初の場所Talent Cityラゴスの建設を開始するための土地を買収した。Alaro City(アラロシティ:Lekki自由貿易区域にある2000ヘクタール規模の開発エリア)にある72000平米の区域だ。

この最初のプロトタイプ都市には中央のコワーキングキャンパスとさまざまな住宅が建設される予定で、1000人の居住者と2500人のリモートワーカーのホームタウンになる。この数字は変わる可能性があると同社はいう。

TechCrunchとの電話対談で、このプロジェクトを立ち上げたアボジ氏とLuqman Edu(ラクマン・エデュ)氏およびCoco Liu(ココ・リウ)氏が、タレントシティが技術者のために解決したいと考えている3つの主要な問題について説明してくれた。

アボジ氏がAndela(アンデラ)に在籍していた期間、同社はまだテック系人材のインキュベーターで、ハブにエンジニアたちを住まわせていた。2014~2017年の間に、同社はオフィス環境と居住区に重点的に投資した。というのは、ラゴスの大半の不動産開発者はテック系人材向けの不動産を構築する方法を理解していなかったからだ、とアンデラとFlutterwave (フラッターウェーブ)の創業者でもあるアボジ氏はいう。

他のスタートアップたちと同様、アンデラも、電力、インターネット、通勤に関する問題に直面していた。その上、これらのスタートアップたちは、息が詰まるような政府の政策(2020年の配車サービスの禁止、2021年の暗号資産の禁止がすぐに思い浮かぶ)、不安定な政治情勢、安全の問題と戦っている。

「これはアンデラだけの問題ではありません」とアボジ氏はいう。同氏は決済ユニコーンFlutterwave(フラッターウェーブ)の共同創業者でもある。「私は現在、60のポートフォリオ企業(大半はテック企業)と2000万ドル(約22億9000万円)を超える資産を管理する投資会社を経営しています。これらの企業は口を揃えて、インフラの問題は悪化しているだけでなく、解決にかかる費用も上がっていると言っています」。

「この数年で、私がアンデラにいた頃に比べて産業は成長を遂げています。2021年、テック産業はベンチャーキャピタルから14億ドル(約1605億円)を超える資金を調達しました。都市建設の強い意欲はあるものの、ラゴスの起業家たちは平均以下の環境に留まったままであり、生活水準と機能しないシステムに対する大きなストレスを抱えています」。

タレントシティはこの問題を解決できる可能性があるとアボジ氏はいう。

アボジ氏によると、タレントシティはリモートワーク向けに設計されており、ニッチ市場のテック起業家やプロフェッショナル向けに建設されているという。この憲章都市は安定した電力と高速インターネット、イノベーションを実現するのに好ましいポリシー、お互い近接して生活し働く、同じ考えを持つ人々のコミュニティなど、テック系人材のためのインフラを提供する。

アボジ氏は、より大規模なエコシステムであるアラロシティ内に複合施設を建設することで、ポリシーの変更に対する政府のお決まりの反応から憲章都市とその住民を保護することができるといい、それが最終的な成功にとって必要不可欠であると指摘した。

「我々は自分たちが得意とする部分、すなわち、コミュニティとテクノロジーを支援する方向へ進もうとしています。政府と新たに何かを交渉して最初からやり直すつもりはありません」とGoogle(グーグル)とLine(ライン)の前デザイナーで、タレントシティの運営/エクスペリエンス担当責任者Liu(リュー)氏はいう。

「我々が大都市内の自由貿易地域に自身を戦略的に位置づけている理由もそこにあります。つまり、ポリシーとインフラの両面で、我々が属しているエコシステムの両サイドで発生するリスクの影響を受けないようにしたのです」。

アフリカの新しいシリコンバレー?

リュー氏の説明は印象的だ。官民パートナーシップとして建設される他の憲章都市と違って、ラゴスのタレントシティ最初のプロジェクトは政府の参加を排除する意向だ。

タレントシティは、アラロシティとラゴス州政府間ですでに形成されているパートナーシップを活かすことで、その側面(政府とのパートナーシップ)をある程度カバーするつもりだとエデュ氏はいう。そして、同社がこの方針を採用したのは、まずラゴスでさまざまなアイデアを試してから、それをプロトタイプとしてアフリカのさまざまな地域で試す必要があるからだと付け加えた。

「タレントシティ計画はアフリカ全土にスケールします。当社はすでに、現行のプロジェクトがうまく軌道に乗った後、次のプロジェクトをどこで始めるかについて戦略的な話し合いを始めています。当社はアフリカ全土に憲章都市をゼロから構築してきました」とエデュ氏はいう。同氏は不動産サービスと不動産テック企業のオーナーでもあり、現在ナイジェリアの12の州でこれらの企業を運営している。

チームがタレントシティプロジェクトを高く評価している理由は理解できる。だが、ナイジェリアのテックエコシステムは、最前線のラゴスだけでなく、地域都市でも(ラゴスはアフリカのスタートアップ首都であると、今月発行されたStartupBlink(スタートアップブリンク)レポートには記載されている)、ベンチャーキャピタルから数十億ドルの資金を調達しており、インフラ面のあらゆる課題と格闘しながらも、2021年は3つのユニコーン企業を輩出した。

であれば、そもそもTalent Cityは必要なのだろうか?

アボジ氏は、ナイジェリアのテック企業には大量の資金が投入されてはいるが、インフラ面が整備されていないため、オフィスや住宅の不動産価格は高騰しており、タレントシティが改善したいのはこの点だと指摘する。

昔は、創業者やテック系プロフェッショナルたちもラゴス郊外のYaba(ヤバ)をナイジェリアのシリコンバレーとして称賛していた。だが、アンデラやコンガといった大手企業がインフラ不足を理由に2017年に(その後数年で数社が相次いで)ヤバから出ていき、共同体意識が薄れたため、かつては未来のテック都市と言われたヤバの評判に傷がついた。

我々は今、リモートファーストの世界で運営しているが、企業は社員が快適な生活環境を自身で確実に実現するために必要なものを保証できないでいる。スタートアップとテックプロフェッショナルたちはラゴス内で繁栄する別の場所を、とりわけラゴスの島地域などに見つけているが、タレントシティはそうした人材を引き込んで「アフリカのシリコンバレー」になりたいと考えている。

価格設定は、世界の標準的な価格に匹敵する月額家賃と住宅ローンを用意しているため、個人および企業相手に十分に競争力のある価格になっているという。また、いっしょに働くことによる共同社会としての利点もある。

アボジ氏によると、同氏のベンチャーキャピタル会社ヒューチャーアフリカ(リモートファースト企業)も新しい都市に本社を移転する予定だという。ヒューチャーアフリカは今回のプロジェクトの過半数所有者だ。有名な創業者やVCなどの創業居住者(Yele Bademosi(イェレ・バデモシ)Timi Ajiboye(ティミ・アジボエ)Nadayar Enegesi (ナダヤル・エネゲシ)Kola Aina(コラ・アイナ)の各氏はすでに不動産を購入している)がいるため、都市が形を成してくれば、地域のテック企業も同じように移転するだろう。

アンデラとフラッターウェーブの共同創業者、ヒューチャーアフリカの創業パートナー、タレントシティの共同創業者であるリノルワ・アボジ氏。

タレントシティは、コミュニティおよび開発管理のため、アムステルダム本拠のデザイン/アーバニズム企業NLÉおよび不動産業者Jones Lang LaSalle(ジョーンズラングラサール)と提携する予定だ。

憲章都市は Pronomos(プロノモス)Charter Cities Institute(チャーターシティインスティテュート)Ventures Platform(ベンチャーズプラットフォーム)、およびLoftyInc(ロフティインク)の支援を受け、ラゴスプロジェクト用に1300万ドル(約14億9000万円)を超える資金を調達した。しかし、アボジ氏によると、資金調達の取り組みはまだ継続中だという。最初の建設工事は5月開始の予定で、2023年終わりまでには一部の建造物が完成する。

「普通、何もない広大な場所に14億ドル(約1606億円)規模の産業を構築することなどできません。現実離れしていますから。だからこそ、やってみたいという人たちがいます。私もそうした考えに賛同している1人です。しかし、エコシステムにはイメージが必要です」とアボジ氏はいい、イスラエルに行くことをTalent Cityを始める際の影響因子として挙げた。

「重要なのは、このプロジェクトがエコシステムのイメージになることです。人々が集まってテクノロジーに取り組む場所になることです。この場所は大きな可能性を秘めています。当社と反対側には海港があり、空港も約20分のところにあります。間違いなくラゴスの未来になります。ここに最初にやってくるテック企業は本当にワクワクすると思います」。

民間都市の建設を試みるテックリーダーはアボジ氏だけではない。Uber(ウーバー)の前幹部で電動自転車企業Jump(ジャンプ)をモバイルテック大手に売却したRyan Rzepecki(ライアン・レゼペッキ)氏は、2020年に、自治憲章都市に投資して、パンデミックでシリコンバレーに見切りをつけたテック系の人材を受け入れたいと語っていた。

ただし、レゼペッキ氏の目的はアボジ氏とは異なる。The Telegraph(テレグラフ)によるインタビューで同氏は、サンフランシスコのホームレス危機を解決することが目的だと語っている。

「これまでの地域や都市の構築方法は基本的にサステナブルではありません。もっと良い、サステナビリティが高く環境にも優しい新しい場所を構築できる可能性があります」と同氏はインタビューで語っている。

「本当にさまざまな人たちが、こうしたことに関心を持っており、多くの人が、少なくとも私は、広い意味でより良い世界を作りたいと思っています。今の地球は、すべての人にとって物事がうまく機能しているわけではありません。一部には「何か別のことを試してみよう。懐疑的に反応するのはやめよう」と考える人たちがいると思います」。

懐疑的ではない大物投資家も何人かいる。Peter Thiel(ピーター・ティール)氏とMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏はタレントシティを支援しているPronomos(プロノモス)に投資している。成功している憲章都市は政府の後ろ盾を得て建設されたが、未来のテックハブは民間資金を引きつけている。これは、憲章都市の青写真が描かれ世界中に複製されるのも時間の問題であることを示唆している。

画像クレジット:Talent City

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(文:Tage Kene-Okafor、翻訳:Dragonfly)

Disney+がNetflixのMarvelシリーズを米国などで配信開始、日本では2022年後半の予定

米国時間3月1日、Disney+(ディズニープラス)は、以前Netflix(ネットフリックス)で配信されていたMarvel(マーベル)の実写ドラマの配信と、これらのドラマの追加にともない17歳未満の子どもには不適切と評価されたTV-MAコンテンツの視聴を禁止できる新しいペアレンタルコントロールの導入を発表した。

Disney+によれば、3月16日から米国、カナダ、英国、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドで実写シリーズの「Marvel デアデビル」「Marvel ジェシカ・ジョーンズ」「Marvel ルーク・ケイジ」「Marvel アイアン・フィスト」「Marvel ザ・ディフェンダーズ」「Marvel パニッシャー」「エージェント・オブ・シールド」を配信する(ただし「エージェント・オブ・シールド」は米国のみ)。

Marvel作品に関するNetflixの権利が3月1日に切れて配信ラインナップから消えたことは、Netflixの1つの時代の終わりを表している。Disney+が登場するまでは、NetflixはDisneyと長年にわたって関係を築いていた。NetflixがDisneyのコンテンツに関して複数年の契約を交わした後、2013年にMarvelはNetflixと組んで最初の4本のスーパーヒーロードラマを製作した。これによりNetflixは「Netflixオリジナル」ブランドとして長年にわたって人気ドラマを配信し、新規ユーザーの獲得につながった。しかしNetflixは2018年と2019年にMarvelドラマの配信中止を開始し、Disneyとの契約終了に至った。そして契約により、中止後も2年間はドラマのキャラクターはNetflix以外の映画やテレビシリーズに登場できないことになっていた。

当初はNetflixの権利が切れた後にMarvelの実写ドラマがどこに行くかは不透明だった。ことに、これらの大人向けドラマは家族向けの配信サービスであるDisney+には合わない。可能性がある考えられたのは、Disney傘下で大人向けコンテンツの傾向が強いHulu(フールー)だ。しかしこれらのドラマが3月中旬からカナダのDisney+に登場することがスクープされ、Disneyは少なくとも一部のマーケットでこれらのドラマをDisney+に取り込む意向であることが明らかになった。ただし米国で配信されるのか、されるとしたらいつからか、どのプラットフォームで配信されるのかは明らかになっていなかった。

画像クレジット:Sarah Shatz/Netflix

また、Disney+は米国でTV-MAに指定されているコンテンツを子どもに見せたくない保護者のためのツールが必要であることも認めた。3月16日から米国のDisney+利用者すべてに対してペアレンタルコントロールのアップデートが求められる。利用者は家族のプロフィールごとにコンテンツのレーティングを選択し、プロフィールをロックするためのPINコードを設定できる。またキッズプロフィールを抜けるための質問も設定できるので、子どもはキッズの利用環境から切り替えることができない(Disney+のグローバル市場ではすでにこのようなペアレンタルコントロールが提供されている。しかし米国のユーザーは新機能として今後RやTV-MAコンテンツの制限ができるようになる。アプリを再起動する際に変更を求められる)。

これらの設定はオプションで、米国の全利用者に対して3月16日以降に初めてDisney+のサービスを利用するときに表示される。利用者がレーティングを設定しない場合は、デフォルトで14歳未満の子どもには不適切とされるTV-14コンテンツに設定される。つまりTV-MAのプロフィールを選択しないと、新たに配信されるMarvelドラマは見られない。

Disneyによれば、TV-MAに切り替えたプロフィールには変更を確認するためにアカウントのパスワードも必要になるという。設定した後はDisney+の大人向け番組を利用でき、アプリの「あなたへのおすすめ」や「トレンド」にも表示されるようになる。

Disney Streaming(ディズニー・ストリーミング)の社長であるMichael Paull(マイケル・ポール)氏は発表の中で次のように述べた。「Disney+には業界で最も愛されるブランドが集まり、これらの実写ドラマが追加されることでMarvelブランドもさらに1カ所で楽しめます。我々は世界中の市場でDisney+が提供するコンテンツを拡大してすばらしい成功を収めており、Marvelの新しいドラマを加えたすばらしいコンテンツと、お客様とご家族が最適な視聴体験を得られる機能を提供して米国でもこれを継続できることをたいへんうれしく思います」。

ペアレンタルコントロールを変更すると今後、大人向けのMarvelコンテンツをさらに配信できることになるが、Disneyは具体的な発表はしていない。

同社によれば、MarvelのドラマはDisney+のその他の全海外市場で2022年後半に公開される予定だ。

画像クレジット:Disney

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

ByteDance傘下のVRスタートアップ「Pico」がQualcommとの関係を強化

中国のVRスタートアップで2021年8月にTikTokの親会社であるByteDanceに買収されたPicoが、エクステンデッド・リアリティ(XR)分野への取り組みをさらに推進するためにQualcomm(クアルコム)と大型提携を結んだ。

PicoのXRプロダクトには今後QualcommのSnapdragon Spacesが活用される。Snapdragon SpacesはXR対応アプリを作る開発者向けにQualcommが提供しているプラットフォームだ。Snapdragon Spacesプラットフォームは、利用者をVRヘッドセットの中でデジタルの世界に没入させるのではなく、開発者がARグラスのエクスペリエンスを構築して既存のスマートフォンで利用できるようにし、ARをユーザーにとっての「2つめの画面」にすることを狙っている。

PicoとQualcommがこれまで近い関係であったことを考えれば、この提携はうなずける。すでにPicoの最新VRヘッドセットであるNeo 3はSnapdragon XR2チップセットを採用している。

QualcommのCEOであるCristiano Amon(クリスティアーノ・アモン)氏はバルセロナで開催されている毎年恒例の大規模モバイル関連展示会のMWCで「これはすばらしいチャンスです。おそらく今後10年間で(XRは)スマートフォンと同等の規模にまで成長し、特にARグラスはすべてのスマートフォンを拡張するものとなるでしょう」と述べた

ByteDanceのCEOであるRubo Liang(梁汝波)氏はリモートのビデオで「人々のエコシステムを作るハードウェア、ソフトウェア、テクノロジーのロードマップに関して協業できることをたいへん喜んでいます」と述べた

Picoは中国ではVRブランドをリードしているが、Oculusのユーザーへのリーチやクリエイターエコシステムの規模には遠く及ばない。Steamの調査によると、2022年1月にグローバルで使われているVRヘッドセットのシェアはPicoの主要2製品を合わせてもわずか0.3%だ。この市場ではOculus Quest 2とRift Sの2つで60%を占めている。

業界関係者は、資金力のあるByteDanceが親会社であることがPicoのシェア獲得に役立つかどうかに注目している。さしあたり中国では、Picoは中国版TikTokと呼ばれるDouyinに大量の広告を出している。

Qualcommとの提携によってPicoのコンテンツのエコシステムが成長し、開発者の目が中国のXR市場に向くかもしれない。中国では急速に5Gが展開されていることから、XR市場が大きく成長すると予測されている。Qualcommによれば、Snapdragon Spacesは「OpenXRランタイム対応スマートフォンに接続するARグラスに最適化された、顔に装着する初のARプラットフォーム」であるという。Snapdragon SpacesにはUnityやEpic GamesのUnrealなど主力3Dエンジンをサポートする使いやすい開発者向けキットも用意されている。

画像クレジット:Pico

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(文:Rita Liao、翻訳:Kaori Koyama)

Sailfish OSを作っているフィンランドのJollaがロシアとの縁切りを努力中

GoogleのAndroidに代わるLinuxベースのモバイルシステムを開発しているフィンランドのJollaは、一部ロシア政府も利用していたが、このほどその事業を再構築してロシア国家との関係を断つことにした。

今週初めに同社に、EUの今後のロシアに対する制裁を気にしているのか聞いてみた。というのも2018年以来、ロシアの通信企業Rostelecomが同社の戦略的投資家だからだ。

CEOで共同創業者のSami Pienimäki氏は、本誌の取材に対してこう語った: 「すでに2021年からロシア相手のビジネスと輸出は減らしている。したがってテクノロジー業界からの制裁が今後あっても、Jollaのビジネスにはそれ以上の影響はない。並行してJollaは自動車部門が急速に成長しており、それが2021年の売上の大きな部分を占めている」。

「投資家が持つ企業の所有権は確かに問題だが、それについても年内に解決を目指したい」。

同社のSailfish OSは2016年以来、ロシアの政府と企業の利用が認められている

その翌年からSailfish OSの市場におけるローカルなライセンスはOpen Mobile Platformと呼ばれ、その年のMobile World Congressカンファレンスではロシア市場向けのSailfishデバイスが、「Googleから完全に自由」をスローガンに、誇らしく嬉々としてデビューした。

その後2018年には、RostelecomがOpen Mobile Platformの75%の所有権の買収を申請し、それをVotronと呼んだ。同社は、Jollaの株式の過半数を保有していると報じられた。また、その取引によって、部分的に国有でもあるロシアの通信企業がJollaの筆頭株主であるらしいことも、明らかとなった。

しかし所有権のそのような構造は、今Jollaがもはや無効と決定し、現状のままでは同社のヨーロッパにおける成長が阻害されるほどの「困難な状況」が生ずると見なした。

それでも2019年には、Jollaはロシア市場に全力を注いでいた。そうなった大きな契機は所有権レベルでのロシアとの関係だろう。だからそれは、わずか数年後にすべての関係を断つという同社の方針の大きな逆転でもある。

Jollaは昨年、2020年が黒字だったと発表した。そしてPienimäki氏によると、昨年(2021)はロシア市場以外での成長が大きかったという。

今日(米国時間03/01)LinkedInにフィンランド語でポストした声明で、Jollaの取締役会会長Samuli Simojoki氏が、同社のロシア離れについて具体的に述べている。そして、Rostelecomの持ち株を自動車業界のどこかが買ってくれることを期待しているようだ。また、フィンランド政府からの援助の可能性についても、言及している。

Simojoki氏はこう書いている: 「プーチンのウクライナ侵略によって私たちはみな、ロシアとの関係と今後の行動について、再検討せざるを得なくなった」。(フィンランド語からの機械翻訳による。)

「ロシア国家が大株主の企業では働きたくない、と言うのは簡単だ。Jollaはここしばらく、株式所有の構造として、均衡ある所有権の構造を模索し、その努力の一環としてロシアの所有権を大幅に減らしてきた。しかし今の新たな状況では、ロシアの所有権を完全に処分しなければ会社の未来がないことは明らかである」。

Simojoki氏はさらに続けて、Jollaはすでに昨年からロシアの事業を積極的に縮小してきた、…今後はロシアからの収益はゼロになる、とも言っている。

「唯一のつながりがが所有権だ。弊社は自動車業界とオペレーティングシステムの両方をビジネス機会とするおもしろい事業構造であり、前からヨーロッパの数社が、所有権の構造が是正されれば協力関係に入ってもよい、と言っている」。

「フィンランド政府とはこれらの問題について前向きの対話が行われている。Jolla Oyの重要なパートナーのひとつがダイムラーで、Jollaの取締役会にはダイムラーの代表者がいる。ダイムラーとも状況をめぐる対話を初めており、取締役会のダイムラーの席は維持される」。

「したがって狙いは、上述の所有権構造で会社を救うことだ」。

Jollaが自動車業界の関心を惹いているひとつの理由は、昨年ローンチした同社の新製品で、それは自動車メーカーなど組み込み型Linux互換のプラットホームを使っている業界がターゲットだ。このAppSupport for Linux Platformsと呼ばれる製品は、そんなシステムが、Google自身の自動車関連提供物のライセンスの必要なく、Androidアプリを動かせる。

関連記事: 設立10周年を前に黒字化を達成した元Nokiaスタッフが企業したJolla、モバイル以外の展開も視野に

(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Jolla

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ウェルネス産業向け会員管理・予約・決済SaaSのhacomonoが20億円のシリーズB調達、エンジニア・デザイナーなど採用強化

ウェルネス産業向け会員管理・予約・決済SaaSのhacomonoが20億円のシリーズB調達、エンジニア・デザイナーなど採用強化

フィットネスクラブや公共運動施設などに向けた会員管理・予約・決済システム「hacomono」を運営するhacomonoは3月2日、シリーズBラウンドにおいて、三者割当増資による総額20億円の資金調達を行なったことを発表した。引受先は、新規リード投資家のTHE FUND(シニフィアン、みずほキャピタル)、既存投資家のCoral Capital、ALL STAR SAAS FUND。

調達した資金は、プロダクト強化のためのエンジニアとUI/UXデザイナーチームの増強、提案力・サポート力強化のためセールス・カスタマーサクセス・サポートチームの増強、日本全国への拠点作りなどに充当する予定。ウェルネス産業を中心にさらなる業務のデジタル化を後押しし、経営力と収益力を強化できるプラットフォームを目指し、今後は他業種に対してもリアル店舗・サービス業における「リアル店舗のOS」となることを視野に入れているという。ウェルネス産業向け会員管理・予約・決済SaaSのhacomonoが20億円のシリーズB調達、エンジニア・デザイナーなど採用強化

hacomonoは、リアル店舗における予約・決済や入会手続きについて、顧客が自分のPCやスマホからオンラインで完結させることができ、店舗での事務手続きや支払い手続きを削減可能というクラウドサービス。店舗側にとっては、月謝の引き落としや未払い徴収に関するオペレーションなどを自動化できるため、店舗・施設スタッフの業務の省力化も行える。2019年3月のリリース以来、導入店舗・施設数は1000を超え、導入件数は前年比10倍以上のペースで増加。ウェルネス産業におけるオンライン化(非対面・非接触・脱労働集約)、キャッシュレス化・DX化、アフターデジタル(OMO化)を推し進めているという。ウェルネス産業向け会員管理・予約・決済SaaSのhacomonoが20億円のシリーズB調達、エンジニア・デザイナーなど採用強化

CuBoRex、届いてから30分で遠隔走査型移動ロボットを開発できる「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」発売

CuBoRex、届いてから30分で遠隔走査型移動ロボットを開発できる「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」発売

動力内蔵型タイヤやクローラの開発・販売を行うCuBoRex(キューボレックス)は2月28日、遠隔操作のためのコントローラー部分とバッテリーをあらかじめ装着し、約30分で遠隔操作型移動ロボットの開発が可能となるテスト用電動クローラーユニット「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」の販売を開始した。直販価格は32万9780円(税込)。

CuBoRexでは、農地や建築現場などの不整地での作業を効率化する一輪車の電動化キット「E-cat kit」を販売しているが、同時に、移動ロボットの開発を支援する動力内蔵クローラーユニット「CuGo V3版 遠隔操作ロボットキット」も提供してきた。これは、研究開発用に留まらず、スマート農業やスマートコンストラクションの現場ですでに活躍している。累計販売500台を超える中で、「CuGo」にバッテリーや配線類を収納する専用ボックスが欲しいという要望があった。そこで、本来のミッションである「作りたいモノを早く、安く、簡単に、テスト機をスピーディに制作できる」を実現するために、あらかじめ専用ボックスにコントローラーとバッテリーを搭載したこの製品を開発した。

CuGoV3遠隔操作コンプリートキットの特徴は、届いてすぐに開発が可能なこと、高い走破性で農地や瓦礫での走行ができること、コンパクトなので1人で持ち運べること、動力機構がFA用アルミフレームの車体に取り付けられていること、フレーム構造やモーター交換などカスタムしやすいことなどが挙げられている。

今後は、大学・高等専門学校などの教育機関や研究機関への普及、災害現場などでの活用、あらゆる不整地作業での移動ロボット化に対応するため「日本製モーターを利用した高耐久な新型開発」を進めるという。「不整地産業において、利用者自身が欲しいものを作り、利用することが当たり前となった社会の実現」を目指すと、CuBoRexは話している。

「CuGoV3遠隔操作コンプリートキット」概要

  • サイズ:L430×D516×H268mm
  • 重量:13kg
  • 定格出力:100W×2台
  • 電源:DC24V
  • 耐荷重:〜80kg
  • 速度:3km/h

キット内容

  • 電動クローラユニット「CuGo V3」組立済×2台
  • 制御ボックス(バッテリー、モータードライバー、受信機、配線など)
  • アルミフレーム2020 500mm✕2
  • ブラケット・ネジ類
  • コントローラー

イーロン・マスク氏とテスラにはティム・クック氏が必要だ

同じ物語が何十年も演じられている。

スタートアップは偉大な個性のリーダーの下で開花し繁栄する。すぐに停滞が訪れる。会社の焦点は、無限に続く新製品を販売することから、顧客の要求を満たすものを作っていることの確認へと移り変わっていく。幸福な期間は終わり、新しい時代は、一貫して高品質な製品を大規模に出荷するために必要な退屈な日々から始まる。

ある時点で、あらゆる会社にTim Cook(ティム・クック)が必要になる。今、その会社はTesla(テスラ)だ。

たった今、Teslaの階層に明確な後継者はいない。もし、CEO(兼テクノキング)のElon Musk(イーロン・マスク)氏が潮時と判断して彼の別の会社か音楽活動に焦点を移すと決めたら、引き継ぐ人間は誰もいない。Teslaはマスク。すべては彼の手に導かれている。

マスク氏は広報部門を解体し、会社のニュースとTwitter経由で発信している。ファルコン・ウイングドアをModel Xに採用したのは彼の土壇場のアイデアだった。彼はほぼ完全自動化された自動車工場を作れることを頑なに貫いた。Teslaの車とサービスの購入を暗号資産で支払うしくみも実装し、後に取りやめ、また再び導入した。

マスク氏は、会社のほとんどの新規事業を自身が推し進めているのは、「そうしたいからではなく、しなければならないから」だと公に認めている。こうした深いレベルの関わりは、会社の創成期には有効だ。しかし、会社の未来が良質な製品をつくることにかかっているのであれば、1人の人物がすべてを支配していることは破滅的と言える。

[デーブ、君がファンなのは知っている、でもそれは愚問だ。私がプログラムを進めているのは、そうしたいからではなく、しなければならないからだ]

たとえば、マシンを作るマシンを作るという決断は、Model 3の生産を何ヶ月も遅らせ、CEO言うところの「生産地獄(production hell)」をもたらした。マスク氏は、完全自動に近い工場を作るのは間違いだったことを最終的に認めた。Model 3の生産はあの決断のために遅延した。

今のTeslaが好調であり、四半期黒字を達成し、出荷台数の新記録を打ち立てていることは事実だ。吉報にはそれ相応の問題がついてくる。1人の人間が成長する組織をこと細かく管理していると、生産の拡大とともに発生する問題に対処しきれなくなる。ある時点で、信頼された人たちに自分たちが仕事を成し遂げ、かつ問題を制御し、報復を恐れることなくCEOの思い付きのアイデアを阻止できる機会が与えられる必要がある。

たった今、Teslaは過去数ヶ月に発行した複数のリコールの対応に追われており、製造問題に見舞われている車のレポートに今も悩まされている。加えて、新型車(サイバートラックを含む)の出荷は少なくとも来年まで延期された。これらは、CEOが、個々に動くことのできるチームの力を借りて取り組むべき問題だ。

そして、あの一連のツイート。あまりにも多くのツイートがある。

マスク氏のTwitterでの存在に対する評価は二分されている。ブランドに害をもたらしている恐れも大きい。Teslaに広報部門というものはない。あらゆる情報が、Tesla公式アカウントまたはマスク氏から流れ出す。それは悪くはない、もしCEOの個人アカウントが標的となってTeslaを所有していることによる多くの利益を引き出すのであれば。実際にはそうではなく、それはミームと悪い冗談と侮辱とおべっかへの返信と政治色の強い見解と、それにときたまTeslaのニュースが入り混じったものだ。

CEOとして、Twitterで誰かをヒトラーと比較し、それが会社に悪影響を与えないと考えることはありえない。

会社のために、TeslaはCEOの次の気まぐれより先の未来を見据える必要がある。マスク氏が舵をとっていない時期のことを。最良の状態が、Appleで起きたことだろう。

長年、AppleのビジネスはCEO、Steve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏と深く撚り合わされていた。彼は会社を倒産の瀬戸際から引き上げ、率いるチームと共に、スマートフォン革命の一端を担った長続きする会社を作り上げた。ジョブズ氏なくしてAppleはなかった、と言って間違いない。しかし、企業は永久に1人の人物ではありえない。

ティム・クック氏は、1998年にワールドワイド・オペレーションズ担当上級副社長としてAppleに入った。具体的には、会社全体の日常業務を取り仕切る役割だ。2011年、かれはスティーブ・ジョブズが亡くなる前にCEOに指名された。クック氏の指揮の下、会社は売上と利益を2倍以上に伸ばした。クック氏に、ジョブズ氏のような虚勢やビジョンはない。代わりにクック氏は、自分の仕事を全うする賢い人々を雇い、Appleが利益を上げ良質の製品を届け続けることに専念した。

Teslaにはティム・クックが必要だ。この自動車メーカーには、おならの音やビデオゲームなどの楽しい機能を作り続けながら、自動車を予定通り問題なく顧客に出荷できるリーダー(あるいは訓練中のリーダー)が必要だ。Teslaは、この先ずっと、顧客がサービスセンターをいつでも呼び出し、タイムリーに車を交換できるしくみを確実に維持していく必要がある。否が応でも、追いかけてくる他の自動車メーカーがよろこんでModel 3オーナーに求愛して自社のEVを売り込むだろう。

会社の売上は好調だが、適切な育成がなければ、Tesla EVの優位性はいつでもライバルに取って代わられる。マスク氏は実際、育てるタイプではない。彼のルールの下、新車出荷台数は史上最高を記録しているが、今も製造品質に関わる問題の報告を受け続けている。これは数年前に解決すべきだった問題だ。

最近の報告によると、Teslaは冗長なステアリング・コントローラーを付けずに車を出荷しており、そのことを顧客に伝えていない。このコントローラーは、車がFSD(フルセルフ・ドライビング)対応になった際に必要になる。この種の判断は顧客の忠誠心を損ない、購入を考えている人たちを遠ざける。

現在の顧客がTesla車の問題に遭遇した時、未だにサービスを受けるためには不十分な伝達や長い待ち時間とイライラがともなう。修理を終えた顧客は、自分たちの経験をTwitterでシェアしようとするが、マスク氏にへつらうフォロワーたちから攻撃を受けて終わる。マスク氏自身でさえ扱いきれていない連中だ。

そしてリコールがある。過去数年、Teslaは米国幹線道路交通安全局の強い要請を受けて、FSDのソフトウェア問題に関する数々のリコールを発行した。Model 3とModel Yの予告なくブレーキが作動する問題、シートベルト警告音の不具合サスペンション問題、Model SおよびModel Xのパワーステアリング・ボルト腐食等々だ。最近では、Teslaが追加した機能が後に削除された例もある。このリコールがいちばん厄介だ。

どの自動車メーカーにもリコールはつきものだが、安全ではないとされたために元に戻さなければならなかったメーカーはあまり聞かない。マスク氏の下でTeslaは、路上走行中、ドライバーが望んだ音を外部スピーカーで鳴らてる機能を推奨した。歩行者への警告音を邪魔する可能性のある機能だ。さらに同社は、自動運転中に一時停止標識を通過(停止ではない!)させるアップデートを配信した。そして、運転中にメイン情報スクリーンでビデオゲームをプレイできる機能を削除するよう言い渡されなくてはならなかった。

一連のリコールについてマスク氏は、NHTSAは「たのしみ警察」だとツイートした。もちろん実際には同機関は安全警察であり、Tesla、および市民の一番の関心事は、自動車メーカーがNHTSAと協力して、道路を全員にとって安全に保つことであり、近隣を走りながらハンプティ・ダンスを流したいTeslaドライバーを喜ばすことではない。

マスク氏、Tesla、そして顧客にとって最善のシナリオは、誰かがCEOと何年か一緒に働き、社内と取締役会の信頼、そして何よりも大切なのは顧客の信頼を築き上げていくことだ。マスク氏を取り巻く個人崇拝は、マスク氏がこの人物をリーダーとして心から受け入れることを必要としている。そうすればマスク氏が会社を去るかCEOを辞任した時も、崇拝者の気持ちも和らぐだろう。

マスク氏が、所有する会社を完全支配するのをやめた前例はある。彼はSpaceX(スペースエックス)のCEOではあるが、経営責任はプレジデント兼COOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏と分け合っている。SpaceXについてツイートするのはマスク氏でも、ショウを演出しているのはショットウェル氏だ。彼女は、カンファレンスやイベントでSpaceXを代表することの最も多い幹部でありStarlink(スターリンク)計画のビジョンと戦略を明確に述べる最適の人材であるが、会社の外向きの顔であるだけではない。プレジデント兼COOとして、ショットウェル氏は日々の実務をこなしている。もしマスク氏がCEOを降りると決めたなら、ショットウェル氏には後を引き継ぐ用意がある。

SpaceX、取締役会、米国政府、および提携企業にとって、それは救いの源だ。宇宙旅行を1人の人間に賭けるのは、恐ろしい博打だ、なぜならいずれその人はいなくなるのだから。

残念ながら、Teslaとマスク氏はひとつである。一般に知られている限り、現時点でプランBはなく、何かあった時、駆動装置とエネルギー工学担当上級副社長のAndrew Baglino(アンドリュー・バグリノ)氏がCEOを引き継ぐかもしれないことくらいだ。後継者育成計画が進められている可能性はある。しかし、透明性なくしてその計画を遂行することは混乱を呼ぶだけであり、株価に壊滅的打撃を与えかねない。

マスク氏は現在Teslaを動かしており、われわれの知る限り、今後も末永く続くだろう。しかし、彼は永遠には存在しない。仮に存在したとしても、蓄積された彼の不幸がついには会社に到達しない保証はない。社員のため、株主のため、そして顧客のためには何か計画が必要であり、即座に行動する必要がある。

画像クレジット:Britta Pedersen-Pool/Getty Images / Getty Images

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Nob Takahashi / facebook

アップルがロシア国内で全製品の販売を停止、ウクライナ侵攻を憂慮のため

アップルがロシア国内で全製品の販売を停止、ウクライナ侵攻を憂慮のため

Artyom GeodakyanTASS via Getty Images

ウクライナ侵攻が激しさを増しているなか、アップルはロシア国内で全製品の販売を停止したことを発表しました。先日ウクライナ副首相が同社のティム・クックCEOに製品の販売停止とApp Storeへのアクセス遮断を要請したあと、しばらく沈黙が守られていましたが、ようやく動きがあったかっこうです。

アップルはThe Wall Street Journalほかメディア向け声明にて、「ロシアのウクライナ侵攻を深く憂慮しており、暴力の結果として苦しんでいるすべての人と共に歩む」と述べています。また「人道的な活動を支援し、明らかになりつつある難民危機のために援助を提供し、域内にいる当社チームのサポートに全力を注いでいる」とも付け加えています。

ほかロシア以外の地域のApp Storeで、ロシア国営メディアのRTとスプートニクをダウンロードできなくしたとのことです。

またGoogleはウクライナでGoogleマップのライブ交通データへのアクセスを停止していましたが、アップルも自社のマップで同様の措置を取ったと報告しています。これらのデータはロシア軍のウクライナ侵攻を事前に察知する働きもありましたが、逆にロシア軍がウクライナ市民を追跡することにも使えるとの指摘もありました。

さらにアップルは声明で、状況を注視しつつ関連政府とコミュニケーションを取っており、平和を求める世界中の全ての人々に加わるとの姿勢を打ち出しています。

ウクライナ副首相がクックCEOに要請したことが、すべて実現したたわけではありません。記事執筆時点ではロシア国内のApp Storeは稼働しており、RTとスプートニクのアプリはロシアでは引き続きダウンロードできます。もっとも、これまでアップルがロシア政府の要請や圧力にもかなり従順だったことを振り返ると、大きな方針転換とはいえそうです。

(Source:The Wall Street JournalEngadget日本版より転載)

沿岸部などに住む人のために正確に住宅のリスクを予測する保険会社Kin Insuranceが約94億円調達

カリフォルニアの家とネブラスカの家では、保険のニーズが異なる。Kin Insurance(キンインシュアランス)は、データとテクノロジーによって、保険に加入しにくい家の最適な保険加入方法を判断できると考えている。

シカゴを拠点とする消費者直販の住宅保険会社Kin Insuranceが400万ドル(約4億6000万円)を調達してから数年が経つが、CEOのSean Harper(ショーン・ハーパー)氏はTechCrunchに、1100億ドル(約12兆6400億円)の住宅保険市場のうち、半分の住宅は異常気象や火災にさらされる地域にあると語った。

「そういう場所に移住する人が増えているため、大きな保険需要があります」とハーパー氏は付け加えた。「米国には、防波島やこれまで洪水が度々起こっている平野のような、住むべきでない場所があります。しかし、そこに住むことを選択すると、保険は高額になります。技術の特殊ソースを使うことで、郡は広大で、すべての家を同じ筆で描くべきでないということをうまく理解できます」。

Lucas Ward(ルーカス・ワード)氏、Jason Heidkamp(ジェイソン・ハイドカンプ)氏、Sebastian Villarreal(セバスチャン・ビラレアル)氏と共同で会社を設立したハーパー氏は、従来の保険会社は、どの家がリスクがあり、どの家がそうでないかを判断するのに必要なデータを持っていないため、往々にして大胆な価格設定になり、結果として引受額が高くなると説明する。

しかし、データを使ってリスクを正確に見積もることで、Kin Insuranceの引受額は常に最安値とは限らなくとも平均すると結果的に安くなる。これは、同社がリスクの細分化に優れており、代理店のようにテクノロジーを使ってコストの一部を排除しているためだ。代理店を通して保険を販売する場合、継続的に保険料総額の20%のコストがかかると同氏は推定する。

また、ハーパー氏は、50年前はローカルの代理店を持つことが理にかなっていたが、テクノロジーの進歩により、保険会社が消費者に直接アプローチすることができなくなり、電子メール、テキスト、チャット、電話などで同様の顧客サービスを提供することができるようになったとも話す。

2021年4月にシリーズCで8000万ドル(約92億円)の資金を調達したKin Insuranceは、特別目的買収会社Omnichannel Acquisition Corp.と合併して上場する予定だった。しかし1月、同社はこの取引を進めないことを決定したとハーパー氏は述べた。

「株式公開の市況が良くなかったことも理由としてあります。SEC(米証券取引委員会)の手続きを踏みましたが、テック企業にとって1年前のような市場ではありませんでした。将来、再びテック企業にとって良い市場になるときが来るでしょうし、Kinも上場するでしょう」と同氏は付け加えた。

同社が非公開にするかどうかを決定する間、非公開を選んだ場合に備えてベンチャーキャピタルは列をなしていた。

同社は3月1日、シリーズDラウンドで8200万ドル(約94億円)を調達したと発表したが、ハーパー氏は1億ドル(約115億円)で正式にクローズすると予想している。QED Investorsが同ラウンドをリードし、既存投資家のCommerce Ventures、Flourish Ventures、Hudson Structured Capital Management Ltd.(HSCM Bermuda)、Alpha Edison、Allegis NL Capital、Avanta Ventures、August Capital、そして新規投資家のGeodesic CapitalとPROOF.VCも参加した。ハーパー氏によると、Kin Insuranceはこれまで株式で1億3300万ドル(約152億円)、負債で5000万ドル(約57億円)を調達した。

同社は、急成長を遂げているインシュアテック企業の1社で、同社の保険料は2020年の2500万ドル(約28億円)から2021年には1億500万ドル(約120億円)に増加し、それに伴い新たな資本が集まっている。その成長軌道は2022年も続き、2022年の保険料は2億5000万ドル(約287億円)超に達するとハーパー氏は予想している。

この1年で保険料が増えたのに加え、同社は従業員数を2021年初頭の250人から450人にまで増やした。

同社はすでにフロリダ、ルイジアナ、カリフォルニアで事業を展開していて、ハーパー氏によれば、この3州だけで250億ドル(約2兆8700億円)近い保険市場となっている。今回の資金調達で、2022年さらに6州に進出できるという。同社はマーケティング、データサイエンス、テクノロジーへの投資にも注力する予定だ。

「保険金請求に関するデータが増えれば、引受額の精度が向上します」とハーパー氏は付け加えた。「それが、従来企業と当社の引受方法の大きな違いであり、その違いを広げたいのです」。

画像クレジット:Kin Insurance / Kin Insurance co-founders Lucas Ward and Sean Harper

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

Amazon Lunaゲームストリーミングサービスが米国で正式ローンチ、プライム会員向け無料ゲームなどを発表

Amazon(アマゾン)によるクラウドベースのゲームストリーミングサービス「Amazon Luna(ルナ)」が、米国内のすべての人に向けて正式に開始されると、同社は米国時間3月1日に発表した。Amazonは2020年9月にLunaを初めて公表した。それ以来、Lunaの招待制早期アクセスプログラムを通じて、限られた人だけが同サービスにアクセスできるようになっていた。

全米ローンチに加えて、AmazonはLunaに加えられる3つの新しいチャンネルを発表した。ちなみにチャンネルとは、ユーザーが毎月サブスクライブできるゲームのバンドルで、Lunaではそう呼んでいる。3つの新チャンネルのうち、まず「Prime Gaming Channel(プライムゲーミングチャンネル)」は、プライム会員が毎月入れ替わるセレクションの無料ゲームをLunaで楽しむことができるチャンネルだ。3月は「Devil May Cry 5(デビルメイクライ5)」「Observer System Redux(オブザーバー:システムリダックス)」「PHOGS!(犬犬)」などのセレクションが用意されている。またAmazonは「Immortals Fenyx Rising(イモータルズ フィニクス ライジング)」が3月8日から14日までの限定期間、無料でプレイできることに言及している。

2つ目の新チャンネルは、カプコンやSNKなどのパブリッシャーによるクラシックゲームを売りにする「Retro Channel(レトロチャンネル)」だ。Amazonによると、このチャンネルは「Street Fighter II(ストリートファイターII)」「Hyper Fighting(ストリートファイターⅡ ターボハイパー ファイティング)」「Metal Slug 3(メタルスラッグ 3)」などのタイトルを配信し、ユーザーに「アーケードゲームの栄光の日々を再体験してもらう」ことを目指しているとのこと。3つ目の新チャンネルは「Jackbox Games Channel(Jackboxゲームチャンネル)」で、Jackbox Gamesの全8種類のパーティーパックを収録している。このチャンネルでは「Quiplash」「Drawful」「Trivia Murder Party」などの人気パーティーゲームを配信する。Retro ChannelとJackbox Games Channelは、どちらも月額4.99ドル(約570円)で利用できる。

また、Amazonは、PC、Mac、Fire TVでLunaの最新アップデートを行い、プレイヤーがTwitch(ツイッチ)にLunaのゲームプレイを配信できるようになったことを発表した。これを可能にするため、同社は、プレイヤーが画面上にカメラフィードを重ねてゲームプレイをライブ配信できる新しいブロードキャストボタンを展開した。また、Fire TVでは、QRコードを利用して、携帯電話をウェブカメラおよびマイクとして接続することができる。

またFire TVでは、Luna Controller(ルナ・コントローラー)アプリを通じて、iPhoneやAndroid端末をコントローラーとして使用し、Lunaを試すことができるようになった。Amazonによると、オンスクリーンコントローラーは、サイドスクローラーやターンベースのRPG、トリビアゲームなどをチェックしたいユーザー、またはコントローラーを持たない初心者やカジュアルゲーマーにとっては1つのオプションだという。

Lunaは、他のクラウドサービスとは異なり、ユーザーが月単位でチャンネルごとにサブスク契約をする方式をとっている。現在、主力製品のLuna+チャンネルは月額5.99ドル(約690円)、Familyチャンネルは月額2.99ドル(約345円)で利用できる。

Luna+チャンネルは100以上のタイトルを含むライブラリーを提供し、Familyチャンネルはすべての年齢層のゲーマーに適した35以上のゲームを厳選して提供する。4月1日より、Luna+チャンネルは月額9.99ドル(約1150円)、Familyチャンネルは月額5.99ドル(約690円)で提供される予定だ。また、AmazonはUbisoft+チャンネルを月額17.99ドル(約2070円)で提供している。

AmazonがLunaを最初にリリースしてから1年以上となるが、同社はMicrosoft(マイクロソフト)のGame Pass UltimateやNVIDIAのGeForce NOWなど、他サービスとの競争にさらされてきた。Amazonがプライム会員向けに月替わりで無料ゲームを追加することを決めたのは、より多くの人に追加料金なしでLunaを試してもらうための施策のように見える。

Lunaの全米展開は、Amazonが最近、米国でプライムの料金値上げを行った後でのことだ。月額料金は12.99ドル(約1490円)から14.99ドル(約1720円)へ、年会費は119ドル(約1万670円)から139ドル(約1万5960円)へ上がった。

画像クレジット:Amazon

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(文:Aisha Malik、翻訳:Den Nakano)

金属3Dプリンターで超硬合金の金型開発と連続成形に成功、冷却配管・センサー用内部構造を持たせ製造管理が可能に

金属3Dプリンターで超硬合金の金型開発と連続成形に成功、冷却配管やセンサーを組み込む内部構造を持たせ製造管理が可能に

名古屋大学は2月28日、金属3Dプリンターによる超硬合金製の金型の製造と、それを使った連続成形に成功したと発表した。これまで超硬合金の金型では製作が困難だった、冷却配管やセンサーを組み込むための内部構造を持たせることが可能になり、成形製品の性能と品質の向上や軽量化などが期待できる。

自動車のエンジンの酸素センサーやハイブリッド車のリチウムイオン電池用ケースなどは、1枚の金属板を型に押し込みながら成形する「深絞りプレス成形法」によって作られた、つなぎ目のない底付き容器が用いられるが、高精度な製品を高速で成形するために、その金型には超硬合金が使われる。しかし、超硬合金は大変に硬いために加工が難しく、複雑な形状が作りにくいという課題がある。その一方で、製造コストを抑えて製品の品質を保つためには、金型を効率的に冷却するための配管を配置したり、温度や荷重の状態をリアルタイムでモニターするセンサーを取り付けるための複雑な内部構造を設ける必要がある。

そこで、名古屋大学(小橋眞教授、高田尚記准教授、 鈴木飛鳥助教)を中心とする研究グループは、金属3Dプリンターに注目し、金属の粉末をレーザー光線で溶かして積層する「レーザー粉末床溶融結合」(LPBF。Laser Powder Bed Fusion)プリンターを使った超硬合金による3Dプリント技術の開発に着手した。まずは、精密研磨剤メーカーのフジミインコーポレーテッドが、3Dプリントに適した超硬合金の粉末について、最適な原材料の調合、粒度分布、粒子密度、流動性の調整などを経て開発した。そして名古屋大学とあいち産業科学技術総合センターは、造形条件と造形後の熱処理方法を検討。最適条件を見つけ出した。

これを受けて、フジミインコーポレーテッドは3Dプリンターによる造形試験を重ね、超硬エンドミルや超硬ラティス構造体など、さまざま形状を造形できるようにした。さらに、旭精機工業がこの成果をもとに、内部に冷却配管やセンサーを内蔵できる空間構造を持つ深絞りプレス成形金型を製作した。金属3Dプリンターで超硬合金の金型開発と連続成形に成功、冷却配管やセンサーを組み込む内部構造を持たせ製造管理が可能に

完成した金型を実際の製造ラインに組み込んで連続成形の試験を行ったところ、金型にも製品にも問題はなく、製品製造に適用可能であることがわかった。3Dプリントによる超硬合金金型の成功例は、世界にも類がない「非常に画期的な成果」とのことだ。これにより、金型の内部冷却による製品の品質向上と、プレス成形を行いながらインラインで金型の圧力や温度計測を行い成形工程に反映させ、稼働状況の把握による製品精度を向上させる画期的な製造管理が可能になるという。

ネクソン創業者の金正宙氏死去、享年54歳

ネクソンの創業者、金正宙(キム・ジョンジュ)氏

韓国のゲーム会社NEXON(ネクソン)の創業者である金正宙(キム・ジョンジュ)氏が、54歳で亡くなった。

米国時間3月1日、ネクソンの持ち株会社NXCは声明を発表した。「深い悲しみとともに、ネクソンは、2月に亡くなった愛する創業者、金正宙(キム・ジョンジュ)の予期せぬ死を悼みます」。

彼の突然の死は、金氏をアイコンであり、パイオニアとして見ている韓国のゲーム業界に大きな衝撃を与えている。同社は死因を明らかにしていない。報道によると、金氏はうつ病の治療を受けており、病状が悪化したようだという。彼には妻と娘2人がいる。

1994年にネクソンを設立した金氏は、無料で遊べるPCおよびビデオゲーム分野のパイオニアであり、1996年に多人数同時参加型オンラインロールプレイングゲーム(MMORPG)を発売した。その人気タイトルには「風の王国」「メイプルストーリー」「クレイジーレーシング・カートライダー」「マビノギ」「アラド戦記」などがある。

金氏は16年間務めたNXCのCEOを退任した。金氏は2019年に約90億ドル(約1兆350億円)相当のNXCの過半数株式の売却を検討したが、適切な買い手が見つからなかったため、売却を取り下げたという。

世界最大級のゲーム会社であるネクソンは、2005年に本社をソウルから東京に移し、2011年に東京証券取引所に上場し、その年の日本最大の新規株式公開で10億ドル(約1150億円)以上を調達した。

ネクソンの最高経営責任者(CEO)兼社長のOwen Mahoney(オーウェン・マホニー)氏は声明で「私たちの友人そして指導者であり、世界に計り知れないほどのすばらしい影響を与えた金正宙を失った悲しみは表現しきれないほどのものです。ネクソンの創業者であり、先見性のあるリーダーとして、懐疑的な目を向けられても、クリエイティブな直感を信じることが大切だと周囲に伝えてきました。彼は、ネクソンファミリーそして多くの友人から深く惜しまれることでしょう」と述べている。

Forbesによると、2021年5月時点で韓国で3番目の富豪である金氏は、2018年にスタートアップと小児病院に9300万ドル(約107億円)を寄付することを約束している。

NXCは2017年に韓国初の暗号資産取引所Korbitへの投資を通じて、暗号事業に多角化した。同社は、190カ国以上で45以上のライブゲームを提供している。

画像クレジット:Nexon founder Jung-ju Jay Kim

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(文:Kate Park、翻訳:Katsuyuki Yasui)

アップル、ロシア国営メディアアプリを世界のApp Storeで入手不可能に

ウクライナへの侵攻を受けたロシアに対し、さらなる措置を取るようテック企業に対する圧力が高まっているが、Apple(アップル)は米国時間3月1日、ロシア以外のすべての市場において、クレムリンに拠点を置くメディア、RT News(ロシア・トゥデイ)とSputnik NewsをApp Storeから削除することを確認した。この変更は、EUや世界各地でこの2つの国営メディアに対して取られた他の措置に続くものだ。

Microsoft(マイクロソフト)はここ数日、WindowsのアプリストアでRT Newsを禁止し、検索エンジンBingの両ニュースソースのランクを下げた。Google(グーグル)は、キエフの政府による要請により、ウクライナでRT Newsアプリを禁止した。Rokuは同社のストリーミングプラットフォームでRT Newsを禁止。Twitterは、両メディアのツイートに警告のフラグを立て、ランク付けを解除した。Facebookは、TikTokと同様に、EU圏内ではサイトへのアクセスを制限し、利用できないようにしている。そしてGoogleもYouTubeからそれらを削除した。

AppleがRT NewsとSputnik NewsをグローバルのApp Storeから引き上げたのは、ウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フョードロフ)副首相からの要請を受けたもので、同副首相はAppleのTim Cook(ティム・クック)CEOにロシアでのデバイス販売の停止とApp Storeへのアクセスの完全遮断を求める書簡を書いている

アプリ情報企業Sensor TowerとApptopiaのデータによると、ロシアの2つのメディアアプリは昨日の時点で、全世界において数百万回もダウンロードされていた。

Sensor Towerによると、米国のApp Storeでは、2月28日の時点で、RT NewsはNewsカテゴリで42位、Sputnikは85位にランクインしていたとのこと。また、iOS向けRT Newsの全世界でのインストール数は、直近の7日間で7日前と比較して241%増加した。そして、iOS向けSputnikのインストールは同期間に163%増加したと同社は指摘している。

しかし、2つのアプリストアの情報会社は、ロシアのアプリの足跡について異なる推定値を報告している。

Sensor Towerは、RT Newsが2013年5月の発売以来、世界中で570万回インストールされ、そのうち170万回はiOSのApp Storeでインストールされたと報告している。Sputnikは2015年3月のリリース以来、全世界で200万インストールされ、そのうち約47万がiOSでのものとなる。

一方、Apptopiaのデータでは、アプリがより広い範囲に及んでいたことを示しています。RT Newsは全世界で総インストール数1000万、そのうちiOSは250万だった。また、Sputnik Newsは385万ダウンロードされ、そのうち96万ダウンロードがiOSだった。

両社ともApp Storeのデータに直接アクセスできないため、正確な数字は不明だ(本当のインストール数はAppleとアプリのパブリッシャーだけが知っている)。その代わり、両社は統計モデルを用いて推定値を算出している。

ロシア・ウクライナ戦争に関連するアプリで影響を受けたのは、ニュースサイトだけではない。Googleの同様の措置を受けて、Appleはウクライナ国民に対する安全対策および予防措置として、ウクライナの「マップ」でのトラフィックとライブインシデントの両方を無効にしたとのこと。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Katsuyuki Yasui)

長時間座ったままの状態において低着圧ストッキングがエコノミークラス症候群を軽減する可能性、東京医科大が発表

長時間座ったままの状態において低着圧ストッキングがエコノミークラス症候群を軽減する可能性、東京医科大が発表

東京医科大

東京医科大学の健康増進スポーツ医学分野 黒澤裕子講師らの研究グループが、長時間座ったままの状態の際、低着圧のストッキングを着用することで、血栓症の発症リスクを軽減できる可能性があるとする研究結果を発表しました。論文は、3月1日発行の国際医学雑誌Medicine & Science in Sports & Exerciseに掲載されています。

長時間、座った状態が続いた場合、足の静脈に血栓が生じるいわゆるエコノミークラス症候群や、命に係わる肺塞栓症を併発することがあるのは良く知られています。このため、姿勢を変えたり、適度に動きまわったりということが推奨されていますが、実際に長時間に渡る座位姿勢が人体にどのような影響を与えるのか、その詳細なエビデンスは不足しているとのこと。

このため研究グループでは、平均22.6歳の健康な男性9名を対象に、飛行機のエコノミークラスシートに近い形状の椅子に、8時間連続で座ってもらうという実験を実施。この際、無作為に選んだ左右どちらかの足に低い着圧のストッキングを着用してもらい、1時間ごとに足の周径囲、動脈血流、筋酸素化レベルの測定を実施し、ストッキングの着用有無の影響を確認しました。

この結果、いずれの場合も動脈血流の低下や足の周径囲の増大が起こったものの、ストッキングを着用した足では、その割合が有意に低かったとのことです。

ストッキングの着用は医療現場でも導入されていますが、着圧の高いものは筋力が低下し皮膚の弱い高齢者では履きにくさから着用率が下がったり、皮膚炎の原因ともなっていたとのこと。しかし、今回の研究でこれまで医療現場で推奨されていた着圧よりも低い着圧でも血栓症発症リスクの予防効果が期待でき、履きやすいために着用率の向上も期待できるとしています。

なお、研究グループは今後、座りっぱなしによる悪影響を予防する方法として、座位中の運動実施効果も検証する予定とのことです。

(Source:東京医科大学Engadget日本版より転載)

【3月2日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はロシアでApple Pay利用停止、2位はランサムウェアグループのチャットログ流出

【3月2日】掲載記事アクセスランキング・トップ5―1位はロシアでApple Pay利用停止、2位はランサムウェアグループの内部チャット流出

掲載記事のうち、3月2日午前7時現在集計で最もアクセスのあった記事5本を紹介。

第1位:ウクライナ侵攻に対する経済制裁により、ロシア国内でApple PayやGoogle Payなどが利用停止


ロシアのウクライナ侵攻を受けて、米国政府およびEUはロシアの大手銀行5行に対して外国為替取引の制限を含む経済制裁を実施しました。その結果、現地の主要銀行口座と紐付けられたApple PayやGoogle Payなどのデジタルウォレットがロシア国内で利用停止となったと伝えられています。

第2位:ロシアのウクライナ侵攻支持を宣言したContiランサムウェアグループの内部チャットがネットに流出


ランサムウェアグループContiのチャットログのキャッシュが、ロシアのウクライナ侵攻を支持するグループに異議を唱えると主張している内部関係者らによって、オンライン上に流出した。情報は、マルウェアのサンプルやデータを収集するマルウェア研究グループであるVX-Undergroundに共有された。

第3位:ウクライナがロシアにハッキングで対抗する「IT部隊」を募集し反撃、テックリーダーにも参加を呼びかけ

ウクライナがロシアの一方的な侵攻に対抗するために現地の一般市民を動員し武器を与える中、ウクライナ国外で力になりたい人々は、バーチャルワールドでの戦いに参加するよう要請されている。

第4位:グーグル、ウクライナでGoogleマップのリアルタイム交通状況ツールを無効に


Alphabetは米国時間2月28日、取材に対し、ウクライナでGoogleマップのライブ交通状況ツールの一部を無効にしたことを明らかにした。Reutersが報じたこのニュースは、同国がロシア軍からの攻撃に直面している中で、同社が地元当局と協議した後に発表された。

第5位:核融合炉の心臓部(ブランケット)において900度で機能する液体金属の合成に成功、腐食に耐える構造材も発見


東京工業大学は2月24日、核融合炉の心臓部であるブランケットの冷却に使用する革新的な液体金属、リチウム鉛合金の大量合成に成功し、さらにその摂氏900度に達する液体金属に耐えられる構造材の候補物質としてクロムアルミニウム酸化物分散強化合金の発見にも成功したことを発表した。

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楽天シンフォニーがKubernetesプラットフォーム「Robin.io」を買収

楽天通信事業プラットフォーム楽天シンフォニーは、米国時間2月28日、Robin.ioを買収したことを発表した。このスタートアップは、ストレージソリューションと複雑なネットワークアプリケーション向けに最適化されたKubernetesプラットフォームを提供している。同社の初期の顧客の1つが楽天モバイルで、楽天キャピタルがRobin.ioのシリーズCの投資ラウンドをリードした。楽天は、Robin.ioのマルチクラウドモビリティやオートメーションのためのツールを楽天シンフォニーのポートフォリオに統合することを計画している。

立ち上げ時のRobin.ioは主にストレージのソリューションがメインだったが、その後、拡張して完全な機能を持つKubernetesプラットフォームを提供するようになった。同社のマーケティングは対象が常に大手の通信事業者で、Kubernetes上の5Gサービスアプリケーションを自動化するソリューションと、またプライベートな5GとLTEのデプロイのオーケストレーションなどを提供してきた。一方、楽天シンフォニーは、まさにこれらのクラウドネイティブなオープンインフラストラクチャのデプロイとサービスが事業の主力だ。またRobin.ioが保有する70件の特許と世界中の多くのFortune 1000企業の顧客も魅力的だ。通信業界の、天国のような組み合わせだ。

Robin.ioのCEOであるPartha Seetala(パルタ・シータラ)氏は次のように述べている。「 Robin.ioが数年かけて築いてきたテクノロジーのイノベーションが今回もっと大きなキャンバスの上で、業界のクラウドネイティブへの転換のビジョンを率先していけることは、喜ばしいことです。シンプルで使いやすくハイパースケールなオートメーションを容易にデプロイできる弊社のビジョンは、その転換と非常に良好にマッチしている。Robin.ioの顧客は、Robin.ioのクラウドネイティブテクノロジーのイノベーションと、楽天シンフォニーのオープンで競合に強いインフラストラクチャのソリューションとグローバルなスケールの、両者から大きな利益を得るでしょう。これはまったくのところ私たちが迎えた極めてエキサイティングなタイミングとして、共にもっと大きなエコシステムを導入し、私どものグローバルな顧客により高い価値を提供していけるフェーズだといえます」。

買収額は双方から発表されていない。本日の前までにRobin.ioは、合計8600万ドル(約98億9000万円)のベンチャー資金を調達。楽天キャピタルの他にUSAA、Hasso Plattner Ventures、DN Capital、Clear Ventures、Raine Next-Gen Communications、そしてEmory University(エモリー大学)が投資している。

関連記事:Robin.ioがクラウドネイティブのKubernetesストレージソリューションに無料版を追加

画像クレジット:Tomohiro Ohsumi/Getty Images/Wikimedia Commons

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)