NearMeが街中のタクシー相乗りサービス「ニアミー タウン」を中央区・千代田区・港区・江東区で2月24日15時スタート

NearMe(ニアミー)は2月23日、タクシーの相乗り(略称「シェアタク」)解禁を受け、街中でも行きたいところまでドアツードアで移動できる「nearMe.Town」(ニアミー タウン)を2月24日15時からサービススタートすると発表した。東京都中央区・千代田区・港区・江東区の4エリアで展開する。

利用希望者は、ニアミー タウンの登録サイトにおいて、NearMe公式LINEアカウントの友達追加を行い、アンケートに回答すると受け取れる招待メッセージから参加できる。

乗車前日の18時までに予約するシステムのため、24日から予約開始で25日から乗車が可能となる。運行時間は7~22時(降車時間)まで。1乗車あたりの可能人数は5名、1組あたりの最大人数は4名。発着点は展開する都内4区の全域。料金は国土交通省からの相乗り通達内容に沿って算出される。

nearMe.Town(ニアミー タウン)詳細

  • 予約開始日:2022年2月24日15時から
  • 乗車可能日:2月25日から(乗車前日の18時までに予約)
  • 利用方法登録サイトにおいてNearMe公式LINEアカウントを友だち追加し、簡単なアンケートに回答。その後、随時送られる招待メッセージから参加
  • 運行時間:朝7時(乗車)から夜22時(降車)まで
  • 1乗車あたりの乗車可能人数:5名
  • 1組あたりの最大人数:4名
  • 発着点:東京都内4区(中央区、千代田区、港区、江東区)の全域
  • 料金:相乗り通達内容に沿って料金を算出

同サービスは、国土交通省が発表した、2021年11月1日運用開始の一般乗用旅客自動車運送事業における相乗り旅客の運送を受けたもの(一般乗用旅客自動車運送事業における相乗り旅客の運送の取扱いについて)。これにより、配車アプリなどを介して、目的地の近い乗客・旅客同士を運送開始前にマッチングさせて運送するという、シェアタクが可能となっている。

同社は、リアルタイムの位置情報を活用して地域活性化に貢献する「瞬間マッチング」プラットフォーム作りを目指し、まずはMaaS領域において、主に空港と都市をドアツードアで結ぶオンデマンド型シャトルサービス「スマートシャトル」(nearMe.Airport)を2019年8月から展開。すでに全国11空港に拡大しており、その実績を基に独自開発のAIを発展させ、同乗者同士のルーティングの最適化を行ってきた。

NearMe代表取締役社長の髙原幸一郎氏は、今回の相乗り解禁を心待ちにしていたとして、「ニアミーはタクシーをシェアするドアツードア移動で電車・バス・単独のタクシー乗車に次ぐ『第4の公共交通機関』を目指しています」と述べている。

なお同社は、新型コロナウイルス対策として以下を実施している。

  • 乗車中の車内換気を徹底
  • 全乗務員は運行前に検温を行い、マスクを着用
  • アルコール消毒を設置し、乗車の際には乗車客に消毒を依頼
  • 前日までに乗車する方を決定し、感染者が出た場合早急に対応
  • 降車後の清掃の際、乗車客の触れる箇所にアルコール消毒を実施
  • 乗車客同士が隣接しないよう、少人数・大型車で展開
  • 乗車客にはマスクの着用を依頼

テスラ、大気浄化法違反で米環境保護庁から罰金

Tesla(テスラ)は、カリフォルニア州フリーモントの電動車製造工場における国の大気浄化法(Clean Air Act)違反に関して環境保護庁との和解に達し、27万5000ドル(約3160万円)の罰金を払うことに合意した。

しかし2021年の第4四半期だけでも23億2000万ドル(約2668億円)の純利益を得ている企業にとって、この罰は無きに等しい。

環境保護庁(Environmental Protection Agency、EPA)は、Teslaが2016年10月から2019年9月までの間に、自動車と軽トラックの塗装に関する汚染排気規準(National Emissions Standards for Hazardous Air Pollutants for Surface Coating of Automobiles and Light-Duty Trucks)に違反したとしている。それは、近隣住民の健康と環境に危害をもたらしたとされる。Teslaの工場は、危険な汚染物質であるホルムアルデヒドやエチルベンゼン、ナフタレン、およびキシレンを含む塗料を使用した。

EPAはTeslaに要求したいくつかの情報に基づいて、同社がクルマの塗装に使用する塗料の保存や混ぜ合わせをする場所からの有害汚染物質の排出を抑えるための作業慣行計画を、開発または実装していないと判断した。EPAはさらに、Teslaが国の規準とのコンプライアンスを示すための毎月の排出量計算を行っていないことを見出した。また同社は、塗装工程における汚染排出の計算に必要な記録の収拾と保存を怠っていた。

Teslaないし同社のフリーモント工場はセクハラ人種差別でも非難されているが、EPAに呼び出されたことはこれが初めてでなない。EPAによると、2019年にTeslaは、機器装置類から漏れる排気が規準に準拠していないこと、有害廃棄物の管理を怠ったこと、および一部の固形廃棄物に関しては有害廃棄物排出を同社が正しく判断しなかったことで、3万1000ドル(約360万円)の罰金に合意した。またTeslaはフリーモント消防署のために、5万5000ドル(約630万円)の緊急時応答装置を買わなければならなかった。

Teslaのフリーモント工場の塗装場は何度も火災を起こしているが、その原因の大部分は、外部と空気の給排気を行なうフィルターが、目視で分かるほどの量の塗料とクリアコートで皮膜していたからだ。Teslaの従業員が2018年に、CNBCにそう語っている

「コンプライアンスの監視は、規制対象の界隈が環境法と規制に従っていることを確認するためにEPAが用いる重要な手段です。この度のケースは、この施設における当庁の長年のコンプライアンス監督のさらなる例でです。Teslaは2つの和解に記されている違反を修正し、コンプライアンスに復帰しています」と、EPAは声明で述べている。。

画像クレジット:David Paul Morris/Getty Images

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

EUのデジタル政策責任者、オランダの反トラスト命令を無視するAppleに苦言

欧州連合(EU)のデジタル政策責任者Margrethe Vestager(マルグレーテ・ヴェスタガー)氏は、Apple(アップル)が、出会い系アプリがアプリ内コンテンツを販売する際にサードパーティの決済技術を利用することを認めるよう求めたオランダの反トラスト命令の遵守を回避するために、意図的に罰金を支払うことを選択していると指摘し、同社を非難した。

Appleは現地時間2月21日、オランダで5回目の罰金500万ユーロ(約6億5000万円)を支払った。この問題に関して同社がオランダの競争当局からこれまでに科された罰金総額は2500万ユーロ(約32億円)に達したが、依然として命令は遵守されていない。

米国で2月22日に行われた講演で、EUの競争部門を率いるヴェスタガー氏は、デジタル政策の重要な柱である今後導入されるデジタル市場法(DMA)に言及した。この法律は、最も強力で中間的な技術プラットフォーム(別名「ゲートキーパー」)に事前ルールを適用する。同氏はまた、支配的プラットフォームによる不正行為と積極的に戦い、デジタル市場の公正性を回復するために、EU議員が課す予定の「すべきこととしてはならないこと」のリストを効果的に執行することが喫緊の課題であることも示唆した。

「一部のゲートキーパーは、時間稼ぎをしたり、規則を回避しようという誘惑に駆られるかもしれません」と同氏は警告した。「オランダにおけるAppleのこのところの行為は、その一例と言えるかもしれません。私たちの理解では、Appleは、サードパーティが同社のアプリストアにアクセスするための条件に関するオランダ競争当局の決定に従うよりも、定期的な罰金を支払うことを基本的に望んでいるようです。そしてそれは、DMAに含まれる義務の1つにもなります」。

ヴェスタガー氏の発言について、TechCrunchはAppleに問い合わせている。

また、デジタル領域で市場規制が成功する可能性を最大限に高めるために、テック大企業に対して事前の競争ルールを適用するというEUのアプローチと足並みを揃えるか、少なくとも支持するよう米国の議員に訴える前に「コンプライアンスを確保するためには、欧州委員会が十分なリソースを有することを含め、効果的な法執行が鍵となります」とヴェスタガー氏は述べた。

「ゲートキーパーに関する私たちの取り組みが、他の地域にも同じように刺激を与えればと思っています」と同氏は語った。「例えば日本、英国、オーストラリアでは現在そうなっています。米国では、いくつかの法案が議会と上院で進行中ですが、それらは私たちの提案と多くの特徴を共有しています。これは、世界的なコンセンサスが得られていることを意味し、非常に心強いことです」。

往々にして法案は議会や上院を通過しない。しかし、EUは、米国の議員たちが団結してデジタル競争改革を実現させることを望んでいると明確にしている。

ヴェスタガー氏はまた、貿易・技術評議会や「これらの問題に対する共通のアプローチを見つけるために再構築された大西洋横断パートナーシップ」と同氏が呼ぶものについて言及し「私たちのデジタル法案の影響は、EU域内と同様に域外で起こることに左右されます」とも述べた。

「特に競争政策に関しては、新しいTechnology Competition Policy Dialogue(技術競争政策対話)を立ち上げましたが、これは私たちの長年の協力の伝統に基づくものです」とも指摘し、次のように付け加えた。「EUと米国は、最終的にまったく同じ法律を制定することはないかもしれないが、市民を保護し、市場を公正かつオープンに保つためのデジタル政策の策定に関しては、同じ基本的ビジョンを共有していることがますます明らかになってきています」。

つまりここではっきりとしているのは、DMAがデジタル市場の不均衡を是正する有効な手段になるとEUは確信していないということだ。そして、世界で最も強力なテック企業を規制するためには、米国を含むグローバルな対応が必要であり、実際にこれらの企業の多くは米国に本社を置いていているため、米国も含まれなければならない。

そのためヴェスタガー氏は、米国の聴衆を前に、DMAが「客観的かつ非差別的」であることを強調し、欧州が米国のテック企業のみを罰するような規則を考案して保護主義的であるという非難に対抗しようとしている。

「執行機関としての信頼性と自由で開かれた貿易へのコミットメントの両方が、関係する企業がどこの国に本社を置いているかに関係なく、平等に取り組むことを求めています」とヴェスタガーは訴えた。「ゲートキーパーは、欧州市場における規模やリーチに基づいて指定されることになります」。

欧州連合がテック企業に対してデータ保護規則を強力かつ統一的に執行することに失敗し続けていることも、ここで示唆されているようだ。米国はもちろん、包括的な連邦プライバシー法をまだ整備していない。

画像クレジット:Emmanuel Dunand / AFP / Getty Images

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

マイクロソフト、XboxダッシュボードにTwitchストリーミングの統合を復活

Microsoft(マイクロソフト)は、すべてのXbox Series X/SとXbox Oneユーザーを対象に、XboxダッシュボードにTwitch(トゥイッチ)ストリーミングの統合を復活させると、米国時間2月23日に発表した。同機能は2021年10月からテストされていた

Microsoftは、Xbox Oneのダッシュボードに初めてTwitchを追加してから数年後の2017年に、Twitchとの統合を削除していた。その間、XboxからTwitchへのストリーミングを希望する消費者は、Twitchアプリからそれを行うことができた。

ストリーミングを開始するために、ゲーマーは、Xboxガイドの「capture and share」タブに移動し、Xbox Series X/SまたはXbox Oneコンソールで「live streaming」を選択することができる。iOSまたはAndroidモバイルデバイスでQRコードをスキャンするか、PCまたはモバイルデバイスのいずれかでURLにナビゲートして、Twitchアカウントをリンクする必要がある。アカウント連携が完了したら「go live now」ボタンを選択し、コンソールにダウンロードしたゲームのライブ配信を開始することができる。

次に、ヘッドセットとウェブカメラを接続し、ストリームのタイトルを設定することができる。Xboxは、ユーザーがオプションパネルからゲームとマイクのオーディオレベルを管理する機能を搭載している。また、パーティチャットを管理し、解像度とビットレートを手動で設定するオプションもある。ストリーミングの途中でゲームを交換したい場合は、ゲームをプレイしていないときに一時停止画面が表示され、その後、コンソールが自動的にTwitchでプレイしているゲームを更新する。

画像クレジット:Xbox

Xboxは、Twitchにアクセスするために使用するどのデバイスでも、ストリームを視聴することができると述べている。Xbox本体では、あなたをフォローしているプレイヤーは、あなたがTwitchでライブを行ったときに通知を受け取るように選択することができる。Xboxの通知に移動して、ライブストリーミングの設定を調整することで、これを有効にすることができる。

「世界であらゆることが起こっている今、私たちは友人、家族、コミュニティとつながっていることがこれまで以上に重要なっています」と、Xboxプラットフォームサービスのソフトウェアエンジニア、Brenna Duffitt(ブレナ・ダフィット)氏は、この発表についてのブログ投稿で述べている。「私たちは、みなさまからのフィードバックを受け、このファンに人気のある機能を再設計し、これまで以上に優れたものとして復活させることができ、とてもうれしく思っています。今日から、XboxとTwitchは、あなたのXboxからライブストリーミングをこれまで以上に簡単にするために提携します」。

Twitch統合の復活は、2016年のBeam Interactive(ビーム・インタラクティブ)の買収に基づいた自社のゲームストリーミングサービスであるMixer(ミキサー)を放棄したことを受けてのことだ。Mixerは2020年に閉鎖され、Microsoftは代わりにFacebook Gaming(フェイスブック・ゲーミング)のサービスにユーザーを誘導した。

Microsoftは、Twitch統合の開始に加えて、ユーザーのフィードバックに基づく新機能を近日中にリリースする予定だと述べたが、その内容は明らかにしていない。

画像クレジット:Xbox

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(文:Aisha Malik、翻訳:Yuta Kaminishi)

学生向けジョブマッチングマーケットプレイスのZenjobが約57.5億円を獲得

欧州のカジュアルなジョブマッチングにさらなる資金を。小売、物流、接客などの分野で副業を探す学生を対象とし、一時的な労働力を必要とする雇用者と結びつけることを約束するマーケットプレイス・プラットフォームのZenjob(ゼンジョブ)は、5000万ドル(約57億5100万円)のシリーズDラウンドの資金調達を完了した。

ベルリンを拠点とするこのスタートアップは、3000万ドル(約34億5100万円)のシリーズCを調達して以来、わずか2年弱の間に、このような資金調達を行った。

他の多くの「現代的人材派遣会社」と同様、Zenjobは派遣社員を直接雇用し、給与や事務処理など関連する管理業務を請け負い、派遣社員の経験をさらに簡易化する。また、シフト終了後72時間以内に給与の半額を支払うという約束もあり、従来の派遣会社に比べて送金が早くなる可能性がある。

一方、雇用主はZenjobと契約を結び、必要に応じて短期・長期の仕事を含む派遣社員を予約することができる。

Zenjobは配送、小売、物流、eコマース、接客、サービス業などの「大手」企業と取引をしているというが、顧客名は明らかにしていない。

現在、欧州の2つの市場で1万カ所以上の場所にある2500社以上が、オンデマンドで派遣社員を確保するために同社のプラットフォームに登録しており、毎月4万人以上の労働者が副業を予約するためにこのプラットフォームを使っているという。

2015年に設立されたこのスタートアップによると、これまでにドイツとオランダで100万件以上の仕事をマッチングしているとのことだ。

今回のシリーズD調達はAragon(アラゴン)が主導し、Acton Capital(アクトン・キャピタル)、Atlantic Labs(アトランティック・ラボ)、Forestay(フォーステイ)、Axa Venture Partners(アクサ・ベンチャー・パートナーズ)などZenjobの既存の全投資家が参加している。

この新しい資金調達は、2022年夏に立ち上げを予定している英国市場を含む欧州内での事業拡大と、新しく「ホワイトカラー」タイプの職種のサポートなど、拡大する顧客基盤のニーズに対応するための、データに基づく新たな自動化機能を含む製品開発に当てられるという。

「当社は2022年、英国でZenjobの販売を開始し、欧州の新規市場に対する投資を継続します。また、ドイツとオランダでも事業を拡大しています」と、同社は説明している。「技術チームを増強し、プラットフォームのスケーリングと新しい自動化機能に多大な投資を行う予定です」とも付け加えた。

「需要が多いので、ナレッジワークとオフィスワークのオファーを拡大する予定です」と語る。

Zenjobは、スペインのJobandtalent(ジョブアンドタレント)CornerJob(コーナージョブ)、ルクセンブルグのJob Today(ジョブ・トゥディ)など、増加する、技術者を対象とした派遣社員のジョブマッチングを行うプラットフォームと競合している。

ギグプラットフォームのUber(ウーバー)もこの分野に注目しており、パンデミック時のロックダウンで乗り合いタクシーが需要の打撃を受けたため、2020年に英国のドライバー向けにWork Hubを立ち上げ、2019年には米国でUber Worksという、シフトを見つけるためのアプリを発表している。

欧州連合(EU)では、ギグプラットフォームにおける偽りの自己雇用に対処することを目的とした規制が導入され、プラットフォームワーカーに関する最低基準を定めた汎EU的な法的枠組みが設けられる予定だが、これにより、オンデマンド労働の需要が直接雇用する人材仲介業者に流れ、エージェント型の人材派遣プラットフォームの需要が加速される可能性がある。これにより、ギグプラットフォームは、何千人もの配達員やその他の非正規労働者を雇用する必要がなくなる。

競合状況について話すと、Zenjobは、人材派遣市場、ジョブマッチング、プラットフォームに関しては、テクノロジーが最大の差別化要因になると主張している。

「この市場に目を向けると、人材派遣と仕事探しを面倒で時間のかかるものにしているタスクを処理するためのテクノロジーを利用することに関して、私たちは表面を削ったにすぎません」と指摘する。「そのため、私たちは、プラットフォームと必要なすべてのプロセスの内部技術開発に多くの重点を置いています。現在、約75%のプロセスが完全に自動化されていますが、近い将来、95%以上にすることを目指しています」と語っている。

「私たちのモデルがうまく機能しているのは、技術に重点を置くことで、(高度な自動化により)高品質の人材を使った非常に迅速なサービスを、取引先の企業に提供することができるからです。私たちのビジネスの残りの半分は、人材に最高の経験と利益を提供することだけに集中しているので、高い成就率と信頼できる人材を提供することができるのです。提供する仕事には相場以上の報酬を支払い、現在アプリを使っていつでも仕事を予約できる4万人以上の人たちの体験と満足度をとても大切にしています」。と語る。

また、Zenjobは、まだ開拓されていない大きな成長があると主張している。例として、ドイツを挙げ、人材派遣の95%以上はまだほとんどオフラインで行われているという。

「そのため、私たちは、非常に伝統的な方法でジョブマッチングや人材派遣に取り組んでいる大企業と競合しています」と同社は述べている。「私たちのアプローチは100%デジタルで、私たちを通して仕事を予約してくれる人たちに提供できる利点を常に改善するよう努力しています。迅速な支払い、24時間365日いつでも仕事の予約が可能です」と語った。

画像クレジット:Zenjob

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Netflix、短編動画フィード「Fast Laughs」をテレビに導入

Netflix(ネットフリックス)は、短編動画機能「Fast Laughs(ファストラフス)」をテレビの大画面に展開する。1年前に開始されたこのTikTok(ティックトック)にインスパイアされたおもしろい動画のフィードは、これまでモバイルデバイスでのみ利用可能で、Netflixユーザーが観たいと思う新しい番組、映画、コメディスペシャルを紹介する役割を担っていた。

スマートフォン版「Fast Laughs」は、Netflixアプリの目立つ位置にあり、現在は下部ナビゲーションバーの真ん中のボタンになっている。この配置は、TikTokや、今ではInstagram(インスタグラム)やFacebook(フェイスブック)のリールといったライバル動画アプリにユーザーのモバイルでの時間を奪われることをNetflixが懸念していることを示しているようだ。

TikTokと同様に、モバイルでの「Fast Laughs」はスワイプ可能な垂直のビデオフィードを提供し、反応、共有、またはコンテンツを保存するボタンが画面の右側にあった。しかし、Netflixの目的はソーシャルプラットフォームの開発ではなく、短いティーザー動画を見たユーザーが番組や映画、スペシャル番組をNetflixのウォッチリストに追加したり、すぐに作品のストリーミングを開始できるようにすることだ。

NetflixのTVプラットフォームでは「Fast Laughs」は少し違った働きをする。

オプトイン機能は、会員ページの6から12行目あたりに表示されるようになる。この場合、ユーザーが何か見たいものを探してスクロールしている時に、短編動画を提供するというアイデアだ。また、携帯電話のようにコンテンツを縦に移動するのではなく、画面右側の矢印からリモコンでクリックすることで、動画を閲覧することができる。

画面下部には番組名とレーティングが表示され「More Info」のボタンをクリックすると、そのタイトルのページに移動することもできる。

画像クレジット:Netflix

この機能は、大人向けコンテンツを紹介することもあるため、子どものプロフィールには表示されない(Netflixは、子ども向けの短編動画機能をモバイルでもテストしていた。しかし、そちらはまだテレビに展開していない)。ただし「Fast Laughs」は、設定されていれば、ユーザーの年齢設定を尊重すると、Netflixは述べてている。

発売当初、TV版「Fast Laughs」には「アーミー・オブ・ザ・デッド」「ファザーフッド」「キスから始まるものがたり」などのNetflix映画「ビッグマウス」「デッドトゥミー」「私の”初めて”日記」などのTV番組、さらにアリ・ウォン、ジョコイ、ジェリー・サインフェルドなどのスタンドアップ・コメディのクリップが収録される予定だ。

Netflixによると、テレビでの「Fast Laughs」はまだ当面はテストとみなされ、まず米国、カナダ、英国、アイルランド、ニュージーランド、オーストラリアなどの英語圏の市場で展開が開始されるという。これらの展開は2月22日に始まり、今後数日から数週間かけてゆっくりと継続される予定だ。

「Fast Laughs」は、同社が新機能を設計する際にソーシャルメディアアプリからコンセプトを借用した初めての例ではない。2018年、Netflixはプレビュー機能を導入する際に「Stories(ストーリーズ)」形式を採用した。そしてNetflixは、会員がカタログからコンテンツをよりよく発見できるようなアイデアを常に実験している。例えば、2021年、「ランダム再生」というシャッフルモード機能を立ち上げ、Netflixの体験にさらなる偶然の発見を可能にしようと試みた。この機能は、ユーザーの興味やこれまでの視聴行動に基づいて、サービスが好きそうだと思うタイトルを再生するものだ。

画像クレジット:Netflix

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

バトルロイヤルゲームのモバイル版Apex Legends Mobileが来週配信開始、世界10カ国で展開

「Apex Legends Mobile」iOS・Android版が来週配信開始、世界10カ国で展開

Respawn/EA

人気バトルロイヤルFPSゲーム『Apex Legends』のモバイル版『Apex Legends Mobile』が来週、世界10か国で正式リリースされることになりました。iOS版はApple App Storeから、Android版はGoogle Play Storeからそれぞれダウンロード可能になります。

結論から言えば、残念ながら世界10か国には日本は含まれません。対象となるのはオーストラリア、ニュージーランド、シンガポール、マレーシア、フィリピン、インドネシア、メキシコ、ペルー、アルゼンチン、コロンビアで、まずはこれらの国で小規模に展開を開始し、プレイヤー数が多い国での大規模なローンチの前にゲームプレイ内容や様々な機能の調整改良をしていくことを、開発元のRespawnは計画しています。

モバイル版でプレイできるレジェンドはブラッドハウンド、ジブラルタル、ライフライン、レイス、バンガロール、オクタン、ミラージュ、パスファインダー、コースティックの9人。

なお、Apex LegendsのPC版、PS / Xbox / Switch版とApex Legends Mobileの間では、ゲームエンジンが異なるためクロスプレイは不可能とのこと。

ちなみにApex Legends Mobileをプレイするための最低ハードウェア要件は以下のとおりとなっています。もし日本国内でもリリースされるとなった際に、この要件で変更がないのなら、ほとんどの人が問題なくプレイできそうです。

Android版

  • Android 8.1以降
  • Open GL 3.0以降
  • 空きストレージ3GB
  • RAM容量3GB
  • 画面サイズ: N / L / XL

iOS版

  • iPhone 6S以降
  • iOS 10.0以降
  • CPU: A9以降
  • 空きストレージ3GB
  • RAM容量2GB

(Source:Apex Legends(EA)Engadget日本版より転載)

製造業の研究開発・生産技術領域での課題解決をAI・機械学習で支援するSUPWATが1.5億円調達

製造業の研究開発・生産技術領域においてAI・機械学習などを活用し研究開発現場の課題解決に向けた事業を展開するSUPWAT(スプワット)は、2月24日、シードラウンドで総額約1億5000万円の資金調達を行った。引受先はScrum Ventures、DEEPCOREとなる。

現在、SUPWATは製造業への深い知見を活用しながら、製造領域に対して機械学習などの技術を適用する「メカニカル・インフォマティクス技術」で研究開発現場の課題解決に向けた事業を展開。製造業の研究開発領域において誰でも簡単に定量的な判断ができるようになるサービスであるAIや機械学習を活用したSaaS型プラットフォーム「WALL」などを提供している。さらに同社は、受託研究開発としてNEDO/東京大学生産技術研究所と共同で「水素タンク」最適設計の研究にも採択され、、機械学習・AI技術を用いた最適設計技術を提供している。

調達した資金で、既存のサプライチェーンマネジメントの概念を変え、SUPWATが掲げるビジョンである「知的製造業の時代を創る」のために、エンジニアを中心とした採用を強化していくとのこと。

また、今回の発表に合わせてコンピュータービジョン・機械学習の応用研究やプロダクト開発、組織マネジメント、技術ブランディングなどを行うABEJAの共同創業者でCTOを務めた緒方貴紀氏が、SUPWATの技術顧問に就任する。

スクラムベンチャーズのプリンシパル黒田健介氏はリリースで「研究開発の現場では日々、担当者の勘と経験をもとにした仮説構築、それに基づいたマニュアルでの実験作業、実験データのCSVでのローカル管理・分析が行われており、クラウドや機械学習等 を用いた高度化・効率化の余地がいまだに大きく残されています。【略】高い技術力と現場への深い理解を併せ持つSUPWAT創業チームに、緒方さんという心強い味方も加わり、日本が誇る製造業という巨大産業のアップデートに挑みます」と述べている。

SeMI TechnologiesのAI検索エンジンはデータを照会する新しい方法を提供する

ベルリンで開催されたGraphQLミーティングでデモをを行うSeMi Technologies CEOのボブ・ファン・ラウト氏(画像クレジット:SeMi Technologies)

企業は大量の非構造化データを保有しているが、そのデータから多くのことを得ることはできていない。

例えば、保有しているデータに対して「ABC社が当社と初めて契約したのはいつ?」とか「青い空が映っているビデオを探して」といった質問を、実際にできるようになることを想像してみて欲しい。

それこそが、SeMI Technologies(セミ・テクノロジーズ)が開発しているベクター検索エンジンWeaviate(ウィビエイト)だ。SeMIの共同創業者でCEOのBob van Luijt(ボブ・ファン・ラウト)氏によれば、それはエンベッディングとも呼ばれる、ベクトルを出力する機械学習モデルを用いたユニークなタイプのAIファーストデータベースであり、それゆえにベクトル検索エンジンと名付けられたのだという。

彼によれば、ベクトル検索エンジンは新しいものではなく、ベクトル検索エンジンの上に構築されたソリューションの例としてGoogle Search(グーグルサーチ)があることを説明した。しかし、SeMIはこの技術のコモディティ化を目標としており、誰でも使えるようにオープンソースのビジネスモデルを採用している。

ファン・ラウト氏は2021年、私の同僚であるAlex Wilhelm(アレックス・ビルヘルム)記者に、2021年のTechcrunchの記事に対して質問応答を行えるセマンティック検索エンジンを示しながら、その技術の詳細を紹介している。

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「誰もがこの技術を使うことができますし、それを必要とする企業のためのツールやサービスも用意しています」とファン・ラウト氏は付け加えた。「私たちは実際のモデルを作成したり配布したりはしません。それはHuggingface(ハギングフェイス)やOpenAI(オープンAI)のような企業が行っていることですし、企業自身がモデルを作成していることもあります。しかし、モデルを持っていることと、検索やレコメンデーションシステムを実際に稼働させるためにそれらを使うことは別のことです。Weaviateが解決するのはまさにその部分なのです」。

2019年にCTOのEtienne Dilocker(エティエンヌ・ディロッカー)氏ならびにCOOのMicha Verhagen(マイカ・バーハゲン)氏とともに会社を創業して以来、ファン・ラウト氏は、SeMIの技術がKeenious(キーニアス)やZencastr(ゼンキャスター)のようなスタートアップを含む100以上のユースケースに影響を与え、ベクトル検索エンジンが与える新しい可能性に基づいて新しいビジネスを創造し、Weaviateによって提供された結果がたとえば医療分野で人々を直接助ける場面で利用されているのを眺めてきた。

ファン・ラウト氏が個人的に気に入っているのは、より「難解」なものだ。例えばヒトゲノムをベクトル化して検索したり、全世界をベクトルでマッピングしたり、Weaviateを使って簡単に検索できるいわゆるグラフエンベディングと呼ばれるものだ。Meta Researches(メタ・リサーチ)のグラフエンベディング上にSeMIが作成したデモがその例だ。

SeMIは、2020年8月にZetta Venture PartnersとING Venturesから120万ドル(約1億4000万円)のシード資金を調達し、それ以降VCの目に留まるようになった。以来、同社のソフトウェアは75万回近くダウンロードされており、その数は毎月約30%増加している。ファン・ラウト氏は、同社の成長指標の具体的な内容については言及しなかったが、ダウンロード数は企業向けライセンスやマネージドサービスの売上と相関関係があると述べている。また、Weaviateの利用者が急増し、付加価値が理解されたことで、すべての成長指標が上昇し、シード資金を使い果たすことになった。

だがシード資金はなくなったものの、会社は新たな資金調達には積極的ではなかった。しかし、SeMIの共同創業者たちが、元Datarobotの創業者たちが設立したCortical Venturesや、New Enterprise Associates(NEA)と会談をした際に、両社が自分たちの事業をどのように支援できるかを示してくれたのだとファン・ラウト氏はいう。

「まさに『ふいを突いてびっくりさせる』ような凄さでした」と彼は付け加えた。「過去に彼らが行ってきたこと、そして私たちをサポートしてくれているチームは、まさに私たちが求めていたもので、私にとっては初めての経験ではありますが、すべての驚くべき話が真実であると言えます」。

そうした会談の結果、NEAとCorticalがともに主導したシリーズAにつながり、このたび1600万ドル(約18億4000万円)の新規資金が調達された。

SeMIは今回の資金をアメリカとヨーロッパの人材採用に投入し、Weaviateとベクトル検索全般のためにオープンソースのコミュニティを強化しようとしている。また、オープンソースのコアを中心とした市場進出戦略や製品への取り組みを強化するとともに、機械学習がコンピュータサイエンスと重なる部分の研究にも第一歩を踏み出す。

一方、ファン・ラウト氏は、データベース技術の次の波を見ている。彼はデータベース技術はOracle(オラクル)やMicrosoft(マイクロソフト)のような大成功をもたらしたSQLの波から始まり、MongoDB(モンゴDB)やRedis(レディス)のような成功を収めた非SQLデータベースが第2の波だったと考えている。

「私たちは今、新世代のデータベース、つまりAIファーストのデータベースの入り口に立っています。Weaviateはその一例です」と付け加えた。「Weaviateだけでなく、ベクトル検索データベース、あるいはAIファーストのデータベースを市場を啓蒙していく必要があります。機械学習が新たにもたらすすばらしい可能性に、興奮を押さえられません。例えば何百万、いや何十億ものドキュメントに対して自然言語で質問してデータベースに答えさせたり、何百万もの写真やビデオに含まれている内容を『理解』させたりするのです」。

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

ニンジン除草機の(ロボット)キングを目指すVerdant Robotics

アグリテック(農業テクノロジー)は、ロボットによって破壊されたくてうずうずしている巨大な産業だ。さまざまな問題に対して多くの解決策が必要とされる大きなカテゴリーだが、近頃は多くの不正スタートが見られる。例えば、りんご収穫ロボットのAbundant Robotics(アバンダント・ロボティクス)は事業に行き詰まってしまったが、現在はその知的財産を買い取った企業が、エクイティクラウドファンディングを利用してブランドを復活させようとしているところだ。一方で、イチゴを収穫するTraptic(トラプティック)は、文字通り自ら外へ出て、垂直農法への応用を目指すBowery(バワリー)に買収された。

2018年にイーストベイで設立されたVerdant Robotics(ヴァーダント・ロボティクス)は、2019年に実施した1150万ドル(約13億円)のシリーズAを含め、これまでに2150万ドル(約25億円)の資金を調達している。かなり広い範囲に網を張っているように見える同社だが、まずはニンジンの収穫から始め、RaaS(サービスとしてのロボット)のビジネスモデルとして、選ばれた農家にシステムを提供している。

このようなビジネスモデルは、少なくとも初期の段階においては、これらのシステムにとって最も理に適ったものだと思われる。

Verdantのような企業にとっておそらく最も重要なのは、そのロボットシステムをできるだけ多く農場に持ち込み、実際にテストしたりデータを収集したりすることだろう。それには、販売するよりもレンタルした方がはるかに容易だ。特にこれはまだ初期の技術であるため、システムを実行する(あるいは少なくとも監視する)技術者が必要になるからだ。

この「自律型農場ロボット」は、散布とレーザー除草という2つの作業をこなしながら、AIを活用した作物モデルを構築し、植物が何を欲しているのかを、農家により具体的に伝えることができる。

「農家の方々からは、もっと多くのデータが欲しいわけではない、すでに持っている山のようなデータを使って何をすべきかを考えて欲しい、むしろそれをやって欲しいと言われました」と、Verdantの共同創業者兼CEOであるGabe Sibley(ゲイブ・シブリー)氏は語っている。「彼らが求めているのは、リアルタイムで行動を起こせて、農家が常に状況を把握でき、かつ収益性を向上させ、危険で骨の折れる現場作業を自動化することができる完全なソリューションです」。

同社は2021年の間に「数千時間」を費やしてきた「果樹園用の精密マルチアクションマシン」を、来年には本格的に商品化する計画を立てているという。

画像クレジット:Verdant

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

さまざまなeコマースツールを接続、自動化するAlloy Automationが約23億円調達

Y Combinator(Yコンビネーター)の卒業生で、異なるさまざまなeコマースツールの接続に力を入れるAlloy Automation(アロイ・オートメーション)は米国時間2月22日朝、a16zが主導する2000万ドル(約23億円)のシリーズAをクローズしたことを発表した。同社にとってこの資金調達イベントは、資金確保が困難だった2021年とは対照的に、活発なものとなった。

TechCrunchは、ちょうど1年前にAlloyのシードラウンドを取り上げたが、このスタートアップは当時、事前評価1600万ドル(約18億4000万円)で400万ドル(約4億6000万円)を調達し、調達後企業評価額が2000万ドルだった。つまり、Alloyは1年前の企業価値と同じだけの資本を調達したことになる。

TechCrunchは、Alloyの共同創業者兼CEOのSara Du(サラ・ドゥ)氏とCTOのGregg Mojica(グレッグ・モジカ)氏に、今回のラウンドと、この1年間で自社のピッチがどのように洗練されたかについて話を聞いた。

Alloy AutomationのシリーズA

資金調達を行った際に、Alloyは同規模の他の企業よりも、キャッシュバーン(資金燃焼率)の面でやや保守的であったことに気づいたと、共同創業者は語っている。ベンチャー市場が価格、つまり支出の自制を見直し始めている中で、この事実は同スタートアップの資金調達の見通しにとってマイナスではなかった。また、Alloyの第4四半期は好調であり、これも悪くなかったと、ドゥ氏とモジカ氏はTechCrunchに語った。

なぜ、同社はより多くの資金を調達したのだろうか? いくつかの理由があるが、創業者たちは次のように述べている。もちろん、成長中の事業において、現金は多くあるに越したことはない。しかし、Alloyにとって同じくらい重要だったのは、多くの出資を集めたことと、その資本政策にa16zの名前が入ったというシグナルだった。この2つの要素が、会社の地位を築くために役立ち、パートナーシップの確保につながると、共同創業者たちは説明する。また、人材コストが高騰している現在、総資金額が多ければ、目先の資金繰りに悩まされることなく、必要な人材を確保することができる。

Alloyは、自社の自動化技術(企業が多くのアプリケーションをリンクさせ、自動化されたワークフローの構築を可能にする方法)をeコマース市場に応用しているが、この分野に注力しているのは、初期の顧客からの要望によるものだ。現在、Alloyは複数のアプリケーション間のコントロールパネル、つまりeコマースを同調するためのオペレーティング・システムとしての役割を担うと、自らを謳っている。

自動化の市場は決して小さくない。ワークフローとオートメーションの分野に属する別の企業であるAppian(アピアン)は、最近の上場ソフトウェア企業の傾向に反して、投資家が実際に好むような成長を報告している。つまり、長期間にわたって成長を加速させているということだ。Alloyにとって、Appianの最近の成功は、創業者や投資家が切望するTAM(獲得できる可能性のある最大の市場規模)の増加を意味する。

ドゥ氏とモジカ氏はインタビューの中で、かつてeコマース企業は独自の技術スタックを構築する傾向があったと語る。しかし現在では、それとは対照的に、サードパーティのソフトウェアが主流になっている。このような変化が、Alloyの構築しているものに対する需要を生み出したのだろう。eコマース企業が利用するソフトウェアサービスが増えれば増えるほど、それらを統合し、相互に補完することが求められるようになるからだ。

Alloyの従業員数は現在20人を超えるほどだが、当然のことながら同社は積極的な雇用計画を立てている。2022年中にはスタッフを倍増することを漠然と予期しているという。

Alloyは、eコマースソフトウェアの世界では中立的な立場に近く、eコマースサイトのすべての構成要素を自ら作り出すのではなく、その中心に位置することを望んでいる。そう考えると、TechCrunchが創業チームを取材したとき、モジカ氏がテキサス州で開催されたBigCommerce(ビッグコマース)のイベントに参加していたことにも驚きはなかった。BigCommerceは、ヘッドレスのeコマースソフトウェアをてがける企業で、顧客の選択に大きく依存しないという点でAlloyと精神的に共通している。

このようなオープンなモデルは、決済のようなファーストパーティのソリューションで収益を上げている他の企業とはやや対照的だ。eコマースの世界では、Shopify(ショッピファイ)がその典型例である。

Alloyが今後、パートナーと顧客それぞれの観点から中心性を高める努力をしながら、その中立性をどのように管理していくのか、興味深いところだ。確かにこのスタートアップ企業は、次の4〜6四半期を運営するだけの資金をすでに確保している。次のベンチャー資金調達に戻る前に、同社がどこまで行けるか、見守ることにしよう。

画像クレジット:Visual Generation / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Waymo、ロボタクシーの安全性の詳細を秘密にすることを裁判所に認められる

カリフォルニア州の裁判所は米国時間2月22日、Alphabet(アルファベット)の自律走行部門のWaymo(​​ウェイモ)はAV技術に関する特定の詳細を秘密にしておくことができると判決し、同社は勝訴した。

同社は1月下旬、自律走行車の展開許可に関する一部の情報、およびカリフォルニア州車両管理局と同社との間の電子メールの一部を、身元非公開の第三者によって提出された公文書請求から削除するために、同局を提訴していた。

カリフォルニア州上級裁判所サクラメント支部による今回の判決は、少なくとも自律走行車業界においては、公共の安全に関わるが企業が企業秘密を含むと主張する情報への一般公開に関して、より広範な企業秘密保護の前例となる可能性がある。

Waymoは訴訟の中で、企業秘密の開示を迫られれば、自動運転技術への投資が損なわれ、車両管理局はもはや企業が自社の技術に関する情報を透明性を持って共有する安全な相手ではなくなるという「業界全体での冷え込み効果」があると主張した。

「Waymoがカリフォルニア州車両管理局に提出した許可申請書に含まれていた競争上重要な企業秘密の開示を除外する仮処分申請を裁判所が認めるという、正しい判断が下されたことをうれしく思います」と、Waymoの広報担当者はTechCrunchに語った。「当局と共有する詳細な技術情報は、必ずしも一般と共有することが適切ではないと認識している一方で、当社の自律走行技術と運用に関する安全性およびその他のデータをオープンに共有し続けます」と述べた。

カリフォルニア州でテストや展開を考えている他の自律走行技術企業と同様、Waymoもその安全対策や技術に関する情報を車両管理局に提出しなければならず、その後、車両管理局はより具体的な質問でフォローアップしていた。車両管理局はWaymoの許可申請情報の公文書請求を受けた際、企業秘密が漏れる可能性があると判断したカ所を検閲する機会をWaymoに与えた。Waymoはそれを実行し、車両管理局は主要部分を黒塗りにした状態で第三者にパッケージを送付した。Waymoによると、依頼者はこの黒塗りに異議を唱え、巻き込まれたくない車両管理局はWaymoに車両管理局に対して一時的な差止命令を求めるよう助言したという。その後、裁判官は2月2日に差止命令を出し、これによりWaymoは編集されていない形での資料の開示を永遠に禁止する差止命令を求めるための時間を稼いだ。

Waymoが訴訟を起こしたのは、同社のAVが特定の条件を識別して走行する方法、AVが人間のドライバーに制御を戻す状況を判断する方法、AV車両へのサポートを提供するタイミング、離脱事故や衝突事故への対処方法などの詳細を保護したいためだ。

「これらの研究開発には何年もかかり、莫大な資金を伴います」と、裁判所に共有されたWaymoの宣言文にはある。「WaymoのAV開発は、Waymoが2016年に独立する前、2009年にGoogleの一部として始まり、したがってWaymoのAV開発は12年以上にわたります。Waymoは、AV製品の研究開発に実に多大な投資を行ってきました」。

しかし、実際に企業秘密が含まれているかどうかは、その情報を一切見ることができないため、判断が難しい。

「問題は、その情報を他者と共有しないことによって純粋に経済的価値を得られるかどうかです」と、nuTonomy(Aptivが買収)の元顧問で、ニューヨークのイェシバ大学カルドゾ法科大学院の法学教授Matthew Wansley(マシュー・ワンズレー)氏はTechCrunchに語った。

例えば、物体を知覚する問題や、他の要因がどのように極端なものになるかを予測する問題を詳細に説明するソフトウェアの不具合は、技術の仕組みに関する情報が明らかになり、競合他社がそれを真似るか、特定のビジネスに対する自社の相対的な位置を評価する可能性があるため、非常に機密性が高いとワンズレー氏は指摘する。したがって、企業がそのような情報を公にしたくないのは理に適っている。しかし同氏は、当局がこの技術が完璧ではないことを知っていて、リスクをゼロにすることより、むしろリスクを減らすことに関心があると確信している。もし規制当局が守秘義務のもとにさらなる情報を求めたら、自身は情報共有に傾くだろうとも述べた。

「Waymoが提出した訴状に目を通しましたが、同社が話している情報のカテゴリはかなり広いです」とワンズレー氏は話した。「同社が送った情報の中に企業秘密があるのでしょうか ?おそらく、いくつかあるはずです。送った情報のすべてが含まれているのでしょうか? おそらく、ほとんどではないでしょう。ただ1つ驚くのは、同社が企業秘密だと言っているものが、実際にすべて企業秘密であった場合です。しかし、同社が当局と共有する具体的な情報を知らない限り、知ることは困難です」。

そして今、市民は知る由もない。ビジネス界はこの結果を成功だと思うかもしれないが、カリフォルニア州や一般市民は自律走行車に関して正当な公共安全の懸念を抱いているかもしれないし、当局が自分たちの代わりに判断してくれるとは思っていないかもしれない。

AV技術は非常に複雑で高度なものであり、また当局の多くの職員は必ずしも技術者ではない。市民は、公聴会や学術研究などを通じて、重要で社会に直結する決定が適切に行われているかどうかを検証する権利があると主張する人もいる。

「ある面では、これが単なるブラックボックスである場合、公共の乗り物に対する社会の信頼をどのように醸成するかという核心に触れるものだと思います」とAlston & Birdのパートナーで知的財産権訴訟を専門とする弁護士のRyan Koppelman(ライアン・コッペルマン)氏はTechCrunchに語った。「そして、これは自律走行車の根本的な問題で、データを入力し、データを出力し、その結果が安全であることを示しているだけなのです。ですので企業は、ブラックボックスで何が起こっているか、あなたは知る必要はない、ただ安全だと認識し、我々を信頼してくれ、というでしょう。そして、ブラックボックスを覗き見して署名した車両管理局を信用しなさい、それで社会にとっては十分でしょう、ともいうでしょう」。

Waymo側は、自社の技術に対する不安を解消するために、一般市民と共有している情報の幅を指摘した。例えば、AV安全報告書を発行し、米運輸省に安全自己評価を提出し、法執行機関との対話ガイドと安全手法の詳細な説明を公表している。

画像クレジット:Waymo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

Facebookリールが全世界で公開、新たな広告主・クリエイター向けツールも

2021年9月に米国で正式提供されたのに続き、米国時間2月22日、Facebook Reels(フェイスブック・リール)が世界150カ国以上で公開された。これはMeta(メタ)のTikTok(ティックトック)の脅威に対抗する主要部分をなす機能であり、クリエイターは短編動画コンテンツをFacebookでシェアしたり、Instagram(インスタグラム)のリールをクロスポストすることで、幅広い視聴者に届けることができる。この日の世界展開に合わせて、Facebookは新たなクリエイティブツールやクリエイターが広告やStars(スター)を通じてリールで収益をあげる新しい方法を導入した。

リールは当初、TikTokに直接対抗するためにInstagramアプリ内の一機能として登場したが、Metaはすぐに、Facebookを巻き込むことでより強力な反撃手段になることに気づいた。その結果同社は、2021年第4四半期の決算報告で、リールは「他を引き離して急成長しているコンテンツ」であると喧伝した。さらに、リールはInstagramの成長の最大の立役者であり、Facebookでも「非常に成長著しい」と同社は語った。

しかし、現在リールの収益化状況は、Instagramのフィードやストーリーなどのコンテンツ・フォーマットと比べて低い。それでもMetaは、時間とともに変わっていくと信じている。

それに関連して、同社はこの日、Facebook Reels Overlay Ads(フェイスブック・リール・オーバーレイ広告)のテストを米国、カナダ、およびメキシコの全リール・クリエイターへと拡大する。3月中旬までには、ストリーム内広告が利用可能な50か国以上のほぼ全域にテストを拡大する、とMetaはTechCrunchに語った。

ちなみに、ストリーム内ビデオ広告は現在Facebookビデオでのみ利用可能でリールでは使えない。これは、新しいオーバーレイ広告がリールに広告収益を直接もたらすFacebook初の試みであることを意味している。

画像クレジット:Meta

ストリーム内広告のテストに参加しているクリエイターは、2種類の広告フォーマットを試すことができる。バナーとスタンプ(stickers)だ。これらは非妨害的広告であり、ビデオを止めて広告を表示する代わりに、再生中のコンテンツに半透明に重ね合わせられる。バナー広告はリールの下部に半透明のオーバーレイとして表示され、スタンプは固定画像をリール画面内のどこにでも、ふつうのスタンプと同様に配置できる。Facebookは、視聴者に最も合うフレームに表示する広告を選択する。

テスト期間中、Metaは現在ストリーム内広告プログラムで実施しているのと同じ方式でクリエイターと収益分配するという。クリエイターが55%、Facebookが45%だ。しかし、これはテストの進行にあわせて変わる可能性がある。

すでにストリーム内広告プログラムに参加しているクリエイターは、デフォルトで自動的に新しいオーバーレイ広告テストにオプトインされる(過去数カ月間のオーバーレイ広告テストにはごくわずかな人数だけが招待された)。それ以外のクリエイターは資格を確認の上ここで参加できる。

さらにFacebookは、リール間の全画面広告と没入型広告を全世界で数カ月以内に開始する。これらのフォーマットは2021年10月からテストされていた。

ただしすべてのリールに広告が入るわけではない。Metaの説明によると、リールに広告が入るかどうかは、広告主のターゲット設定から視聴者にとっての広告の価値までさまざまな要素によって決まる。クリエーターは、個別のリールにバナー広告が入らないようにCreator Studio(クリエイター・スタジオ)で指定することもできる。

一方広告主も、Publiser Lists(パブリッシャー・リスト)、Blocklists(ブロックリスト)、Inventory Filters(インベント・フィルター)、Delivery Reports(デリバリー・レポート)などのブランド適合ツールを使ってバナーやスタンプ広告を選ぶことができる。

広告に加えて、クリエイターは近々Starsによるリールの収益化が可能になる。StarsはFacebook Live(ライブ)ですでに提供されているバーチャル投げ銭システムだ。さらに、成功しているクリエイターは直接的支払いも受けている。Metaの10億ドル(約1150億円)クリエイター・ファンドの一環であるボーナスプログラムのReels Play(リールズ・プレイ)は、巨額のボーナスを生むことがあり、毎月最大3万5000ドル(約402万円)受け取っているクリエイターもいる、と会社は言っている。しかし、クリエイター・ファンドの長期的な有効性についてはまだ議論の余地がある

ファンドが発表された2021年6月以来、リール・クリエイターに支払った金額について、Metaは公表を拒んでいる。

画像クレジット:Meta

収益化機構以外にもFacebookは、2021年発表したクリエイティブツールRemix(リミックス)、60-second Reels(シックスティ・セカンド・リール)、Draft(ドラフト)、およびVideo Clipping(ビデオ・クリッピング)を公開する。

リミックスはInstagramですでに提供中のツールで、TikTokのDuets(デュエット)に似ている。クリエイターは、Facebookで公開されている別のリール(あるいはその一部)と並べて自分のリールを作ることができる。今回この機能をFacebookのクリエイターも使えるようになった。

リールは、TikTokが動画の長さを最長60秒から3分に拡大して以来、遅れを取り戻そうと躍起になっている。Instagram Reels(インスタグラム・リール)は2021年、動画の最長時間を30秒から60秒に拡大しており、今回Facebookのリールも同じことをする。

DraftとVideo Clippingも近々追加される。Draftでは、クリエイターが作業中のコンテンツを保存して後に公開することができる。Video Clipping機能は数カ月後に公開予定で、通常ライブや長時間コンテンツを扱っているビデオ・クリエイターもリールを試しやすくなる。

Facebook Reelsへの大がかりな投資の一環として、同社はショートビデオをFacebook体験全体におけるより重要な位置づけにしようとしている。米国だけでなく、対象地域のクリエイターは、Instagram ReelsをFacebook上でおすすめとしてシェアできるようになる。

画像クレジット:Meta

今から数週間のうちに、FacebookはユーザーがリールをStories(ストーリー)でシェアできるようにし、FacebookのWatch(ウォッチ)タブでリールを見られるようにする他、リールとクリエイション・ツールをユーザーのニュースフィード(同社は最近の変更でニュースフィードを単に「フィード」と呼ぶようになった)上部に目立った位置に置く。一部の国では、フィードをスクロールしている途中で、ユーザーが気にいるかも知れないリールをおすすめすることもある。

リールはMetaにとって最大級の製品投資であり、同社はTikTokがもたらす脅威について公開の場で発言してる。MetaのCEO Mark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏はTikTokについて「非常に大きなユーザー基盤を生かしてかなりの速さで」成長している強大なライバルであると評している

しかし、Metaの課題はTikTokばかりではない。Facebookは史上初のデイリーアクティブユーザー数の減少を第4四半期に発表した。これは人々が以前ほどFacebookを使っていないことを示すわかりやすい指標だ。それと同時に、Appleのプライバシー方針変更によって広告ビジネスが制約を受け、2022年のMetaの売上は100億ドル(約1兆1500億円)減少する見込みだ。Metaは、Facebookが成功を続けるためにはクリエイターを巻き込んで、ユーザーにソーシャル・ネットワーキング以外の行動を促す必要があることを認識している。それは動画を見たり音楽を聴いたりショッピングをしたりすることであり、いずれもここ数年投資している領域だ。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleのArea 120がモバイルアプリ開発者のプライバシーコンプライアンス対応を支援するプロダクト「Checks」を発表

米国時間2月22日、Google(グーグル)内のあるチームが、モバイルアプリ開発者向けの新製品「Checks(チェックス)」を発表した。これは現在のようにアプリに対する規制やポリシーが急速に変化する状況の中で、AI技術を活用してアプリ内で起こりうるプライバシーやコンプライアンス上の問題を特定することができるというものだ。

Checksはフリーミアムなソリューションとして、AndroidおよびiOSのあらゆる規模のアプリ開発者に提供される。開発者はChecksを使うことで、自分のアプリを分析し、発見された問題に対処するための実用的な洞察を含むレポートを受け取ることができる。

Checksは、ジェネラル・マネージャーのFergus Hurley(ファーガス・ハーレー)氏と、法務リーダーのNia Castelly(ニア・カステリー)氏が共同で設立したプロジェクトで、Googleの社内インキュベーターであるArea 120(エリア120)内で、過去2年間にわたり開発を行ってきた。Checksのチームはこれまで、開発者の技術的課題に対処するAndroid Vitals(アンドロイド・ヴァイタルズ)などのツールを構築してきたが、AIを使ってプライバシーコンプライアンスの課題に対応するというアイデアも持っていた。

現代のアプリ開発者は、欧州のGDPR(一般データ保護規則)要件から、アプリストア自体が施行する新ルールまで、さまざまな新しい規制やポリシーに対応しなければならない。一方で、消費者はフリーソフトウェアを使用する際のトレードオフについても理解を深めており、アプリがどの程度まで自分のプライバシーを尊重しているか、自分のデータがどのようにアクセス、保存、共有されているかといったことを、知りたがるようになってきた。また、開発したアプリがすべてのルールを守っていても、その開発者が使用しているSDKがルールを守っていない場合や、SDKのデータ共有のあり方が時間の経過とともに変わる場合もあり、これも別のコンプライアンス上の課題となっている。

画像クレジット:Google

Checksは、アプリ開発者が現在よりも簡単に、コンプライアンスを達成できるようにすることを目的としている。開発者は自分のアプリを提出して、プライバシーコンプライアンス分析を受ける。この分析には、自動化されたレビューの他、一部のサービス面では人間によるレビューも行われる。

Checksの利用を開始するためには、まずAndroidアプリの開発者は、自分のGoogleアカウントでログインし、Google PlayアプリのIDを入力する。その後、いくつかの質問に答えてアクセスを確認する。Checksは、アプリのプライバシーポリシー、SDK情報、ネットワークトラフィックなど、複数の情報源をスキャンしてレポートを作成する。このソリューションでは、自然言語処理を活用してアプリのプライバシー開示情報をスキャンするという、先進的な手法も採用されている。スキャンが完了すると、開発者には、発見された問題についての明確で実用価値のある洞察と、リソースのリストを含むレポートが提示される。

無料版では、自分が開発しているアプリを、Google Playの新しい「データ・セーフティ・セクション」に合致させるために使用できる。有料版のCore(コア)、Premium(プレミアム)、Enterprise(エンタープライズ)は、プロの開発者や、iOS向けの開発も含む大規模な企業のニーズに合わせて設計されている。

物理デバイスと仮想デバイスの両方で分析を行うChecksの利用には、技術的要件や前提条件はない。

月額249ドル(約2万9000円)の「Core」では、GDPRやCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などの規制に対するコンプライアンスモニタリングや、今後のコンプライアンス要件に関するプロアクティブな通知機能が追加される。月額499ドル(約5万7000円)の「Premium」ユーザーは、自分の開発したアプリ内で行われるデータ共有行為のモニタリングを自動化し、SDK、パーミッション、アプリでデータ共有が行われている場所などを把握することができる。5つ以上のアプリをてがける顧客向けの「Enterprise」はカスタム価格となっており、より頻繁に、高度で詳細なプライバシーチェックが受けられる。さらに人間のレビュー担当者を含むコンプライアンスレビューチームの力を借りたり、カスタマイズされた分析やテストフローなども利用できる。

なお、Checksは、生成したデータやレポートをGoogle Playチームと共有することはないと述べている

チームは数百人のアプリ開発者からフィードバックを集めてChecksを構築した後、40人(社)のアーリーアダプターと協力して、発表前に製品をテストした。テスターには、Headspace(ヘッドスペース)、Sesame Workshop(セサミ・ワークショップ)、StoryToys(ストーリー・トイズ)、Carb Manager(カーブ・マネージャー)、Homer(ホーマー)、Lose It(ルーズ・イット)などの企業が名を連ねている。

現在、Checksはより多くの人々が利用できるようになっている。興味のある開発者は、Checksのウェブサイトでオンラインフォームに記入して、早期アクセスに申し込むことができる。

画像クレジット:Google

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

植物由来肉を人工脂肪でおいしく満足できるものにするYali Bio

Yali Bioのチーム。左から3人目がCEOのユーリン・ルー氏(画像クレジット:Yali Bio)

フードテックの企業にとっては人の食習慣を変えることが重要だが、特に代替肉製品の場合は、味も匂いも食感も本物の肉のようでないと多くの人は満足しないため、なかなか難しい。

Yali Bioは、この問題を解決したと称する企業の1つで、同社はそのために、植物由来の食肉や乳製品のための人工脂肪(designer fats)を開発した。同社は現在、代替食肉の味を良くするための顧客特注の脂肪を生産するプラットフォームを作っている。

その加工技術を支えるものは、合成生物学とゲノミクスのツール、およびディープラーニングの技術で、それらによって作られる脂肪は、現在植物性の蛋白質に使われているココナッツなどの油脂よりもサステナブルだ。しかもその味や質感は、動物性脂肪を模倣している、とCEOのYulin Lu(ユーリン・ルー)氏は主張している。

ルー氏とチーフサイエンティストのPeng Xu氏は、カリフォルニアで同社を2021年に創業した。ルー氏はフードテックの前歴があり、Impossible FoodsやEat Justの躍進をこれらの企業の社員として見てきた。Peng氏は合成生物学が専門で、微生物を利用するシステムで脂質を開発してきた。

「明らかに現在は、製品の質と消費者体験が伸び悩みの段階にある。食肉は成功したブランドもあるが、そこから先がない。人びとが好む高級肉はいろいろな種類があるが、その代替製品に共通して欠けているのが製品の質を高める脂肪だ」とルー氏はいう。

彼によると、今はほとんどの植物由来の食肉が、脂肪に代わるものとしてココナッツオイルを使っているらめ、食品企業はどうしても風味添加物を使うことになり、消費者の好みに合わない製品を作っている。しかしYali Bioの技術は、非常に多種類の機能性脂肪を作ることができ「市場の鍵」を開けることができる。それまでその市場は、製品の質と消費者体験に限界があった。

顧客が必要とする脂肪を作れるようになった同社は、今度はそれらの人工的な脂肪を製品中に効率的に利用できる生産システムに取り組んでいる。これまで他社が使っていた方法の中には、動物の細胞や脂肪組織を使うものもある。

しかしYali Bioが採用したのは、微生物を利用する精密発酵という技術だ。独自の技術で微生物の菌株のライブラリを作り、それらをすべてテストした。次の段階は、発酵器の中で菌株を活動させ発酵工程をデモンストレーションするパイロット事業だ。それにより、小規模ないし中規模でも生産できることを証明する。

これらのステップをすべてこなしていくには、資本が少々必要だ。ルー氏はアクセラレーター事業を半年受講し、その間に新しい実験室を作った。そのとき同社はEssential Capitalがリードするシードラウンドで390万ドル(約4億5000万円)を調達した。このラウンドには新旧さまざまな投資家が参加し、それらはThird Kind Venture Capital、S2G Ventures、CRCM Ventures、FTW Ventures、そしてFirst-in Venturesなどだ。エンジェル投資家として、Stephanie Sher(ステファニー・シャー)氏とJohn Goldsmith(ジョン・ゴールドスミス)氏が参加した。Yali Bioのこれまでの総調達額は500万ドル(約5億8000万円)になる。

資金の一部は実験室の建設に投じられるが、他にも、合成生物学の部門や製品開発、パートナー選び、マーケティング、新規雇用などにもお金が必要だ。求める人材は、製品開発や食品科学、発酵などの方面で、年内に約12名が欲しいとのこと。

ルー氏によると、Yali Bioの技術も他の技術と同じく、本番稼働までに時間がかかる。例えば細胞培養を使う方法は7年前に最初の波が興ったが、現在でもパイロット段階の企業が少なくない。それらは、わずかな量の製品をレストランに卸している程度だ。Eat Justのようなスタートアップも、The EVERY Coのような食品メーカーも、今では細胞培養ではなく精密発酵を利用している。

ルー氏はさらに「今のチームでできることには限界があるため、もっと人を増やしてバイオテックの研究開発企業から具体的な製品のある企業に変わっていかなければなりません。精密発酵のデモを行い、他の技術よりも製品やサンプルを速く作ることができることを知ってもらいたい。その他、規制の問題や最終製品の形状、技術の複雑性といった難しいポイントはありますが、2〜3年後には製品を出したい」という。

Essential CapitalのマネージングパートナーEdward Shenderovich(エドワード・シェンデロビッチ)氏によると、代替食品への投資は初めてという投資家が多く、特に合成生物学の食品への応用という新しい技術はまだよく知られていない。

彼によると現在は第四次農業革命の前夜だという。これまでの農業はコスト低減と増産と質の向上を追ってきた。しかし、第四次はバイオの生産技術が引っ張り、サプライチェーンと価値の創造機会に大きな変化が訪れる。

「動物をベースとする農業から、バイオ生産による動物を使わない農業への移行を可能にするものなら、どんなものでも追究する価値があります。Yulinは、植物由来の発酵食品や培養食品の採用に立ちふさがる重要な難問を特定しています。培養肉の多くはタンパク質だけですが、脂肪も欲しい。脂肪は悪者扱いされてきましたが、現在、見直されつつあります」とシェンデロビッチ氏はいう。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップル、アムステルダムでの店舗人質事件で従業員と顧客の安全を確認

アムステルダムのAppleの店舗で発生した人質事件で、同社は「この恐ろしい経験の後、すべての従業員と顧客は安全である」と述べている。同社は、まだ調査が進行中であることを付け加えた。

「我々は彼らの例外的な仕事と継続的な調査のための地元の法執行機関に感謝したい。私たちのチームと顧客は、本日、迅速な行動を取り、信じられないほどの強さと決意を示しました。私たちは、このような困難な状況下で、彼らがお互いに示したサポートとケアにとても感謝しています」とAppleの広報担当者は声明で述べている。

ロイターの報道によると、男が少なくとも1人を数時間にわたって人質にしていた旗艦店内の人質事件を警察が解決した数時間後に声明は出されている。地元アムステルダム警察のツイートによれば、膠着状態の際、住民は屋内にとどまり、人気エリアから離れるよう促されたという。

AP通信によると、数時間後、銃を持った犯人が店内から逃亡し、警察がクルマなどを使い阻止したとのこと。

警察はオランダ語のツイートで「人質犯がApple Storeから出ていることを確認できた。その男は路上に横たわっており、ロボットが爆発物がないかを確認している。武装した警察官が遠くから彼を制圧している。人質は無事だ」と述べている。

警察は、銃撃犯の潜在的な動機について公にコメントしていない。AP通信によると、地元放送局AT5は、人質を取った犯人は武装強盗をしようとしていたのではないかとの見方を示している。

世界中に500以上の店舗あるApple Storeが犯罪の現場になるのは今回は初めてではない。2021年夏には、アトランタでの10代の若者の2人が、店の警備員を銃撃した疑いで逮捕された。その数カ月後には、マンハッタンのApple Storeの警備員が、入店時のマスク着用を客に伝えた後に刺されるという事件も起きている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Natasha Mascarenhas、Amanda Silberling、翻訳:Katsuyuki Yasui)

BTS所属のHYBEも注目、AI使った合成アバターをクリエイター向けに提供する韓国Neosapience

人工知能(AI)を活用した音声・映像技術は、近年、着実に人気を集めている。韓国のスタートアップ、Neosapience(ネオサピエンス)は、ユーザーがスタジオで録音や編集をすることなく、テキストを動画に変換できる合成音声・動画プラットフォーム「Typecast」を開発した。

Neosapienceは米国時間2月22日、成長を加速させ、新たな地域(特に米国)での事業を拡大するために、シリーズBラウンドで2150万ドル(約24億7400万円)を調達したと発表した。BRV Capital Managementが主導した今回の資金調達により、同社の累計調達額は約2670万ドル(約30億7200万円)に達した。本ラウンドには他にも、Stic Ventures、Quantum Venturesが参加した。既存投資家であるCompany K Partners、Albatross Investment Capital、Daekyo Investment、TimeWorks investmentsも参加した。

Neosapienceの共同創業者兼CEOであるTaesu Kim(キム・テス)氏はこう述べている。「今回の資金調達により、リーチを拡大し、限界をさらに押し広げることができます。より少ない労力でコンテンツを作ることを可能にするだけでなく、AIを使ったバーチャルアクターを誰もが利用できるようになるという我々のビジョンを実行することが可能になります」。

元Qualcomm(クアルコム)のエンジニアが集まって2017年に設立した同社は、韓国語と英語の170人のバーチャル声優を提供するAIボイスサービスプロバイダーとしてスタートした。2022年1月には、実在の人物のように見えるAIを活用した合成動画(アバター)機能を追加した。日本語やスペイン語など、他の言語も追加していく予定だという。

画像クレジット:Neosapience

同社のユーザーの大多数は主にクリエイターや企業のクライアントで、ビジネスやVlog、ゲームなどの個人的なチャンネルのためにビデオやオーディオコンテンツを作成するためにこのツールを使用していると、キム氏はTechCrunchに語った。企業クライアントには、韓国のボーイズグループBTSの声を作りたいと考えている、同グループが所属するHYBE Entertainmentの子会社HYBE EDUのようなメディアやエンターテインメント企業の他、オーバーザトップ(OTT)プラットフォームも含まれている。また、複数の電子書籍プラットフォームがTypecastを利用して、同社のAI声優が作成したさまざまなオーディオブックを提供していると、同氏は説明してくれた。ユーザーは、実際の俳優を雇う代わりにTypecastのアバターを使用することで、音声品質を維持しながらコストと時間を削減できるという。

「クリエイターが当社のサービスを使って、より多くの、より良いコンテンツを作ることを支援したいと考えています。クリエイターエコノミー全体が我々にとっては対応可能な市場であり、その規模は1040億ドル(約11兆9700億円)と推定されています」とキム氏はいう。

画像クレジット:Neosapience

競合他社との違いの1つは、人間のような感情の表現、話し方、韻律制御、ボーカル、ラップボイス技術など、Typecastの高度な技術にあるとキム氏は語る。

BRV Capital ManagementのマネージングディレクターであるYeemin Chung(チョン・イェミン)氏は、声明で次のように述べている。「人間の感情をテクノロジーによって表現することは、これまで非常に難しいことでした。「Neosapienceは、音声・映像合成の分野で先頭を走り続け、個人のクリエイターやエンターテインメントのための商業インフラの構築に成功しました。世界中のメディア企業は、デジタルコンテンツやバーチャルコンテンツの制作に感情を組み込む方法を革新するために、(この技術に)簡単にアクセスすることができます」。

Neosapienceのユーザーは現在、100万人以上いるという。過去2年間、2019年11月のローンチ以来、その収益は毎月約18%の成長を遂げている。同社の従業員は1月時点で41人。

「この1年で急速に成長しましたが、AIを活用したバーチャルヒューマンと、その合成メディアやインタラクティブコンテンツへの応用において、誰もが認めるグローバルリーダーになるために、さらに邁進する機会があると考えています」とキム氏は語った。

関連記事:実在しているような合成アバターがしゃべるプレゼン動画を簡単に作れるSynthesiaの技術

画像クレジット:Neosapience

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(文:Mike Butcher、翻訳:Den Nakano)

欧州のReventが気候・健康・インパクトに特化したファンドで約78億円のハードキャップを達成

2021年、ベルリンに拠点を置くReventという「インパクト」に焦点を当てた欧州の新しいアーリーステージの立ち上げを取材した。その目的は、気候変動対策、健康と福祉、経済的エンパワーメントに焦点を当て「目的と利益」の両方を持つスタートアップを支援する5000万ユーロ(約65億1100万円)のファンドを立ち上げることだった。

このたびReventは「強い関心により応募超過」で6000万ユーロ(約78億1400万円)のハードキャップに達し、最終クローズを発表した。

Reventの創業パートナーであるOtto Birnbaum(オットー・ビルンバウム)氏は、声明で次のように述べている。「今日の膨大な気候変動や社会的課題は、テクノロジーを駆使し、持続可能で大きなインパクトをもたらす、スケーラブルな商業ビジネスを構築する世界の優秀な創業者たちの努力なくしては解決できません。私たちは、目的と利益は互いを増幅するものであり、企業が社会や地球に大きなプラスの影響を与えることを目標としているからこそ、トップクラスの経済的リターンが得られると確信しています」。

「欧州は、テクノロジー主導で地球や社会にポジティブなインパクトを与える方法をリードするユニークな立場にあると確信しています」と、Reventの創業パートナーであるLauren Lentz(ローレン・レンツ)博士は付け加えた。

このファンドのLPには、グローバルに事業を展開する小売・サービス企業であるOtto Group(オットーグループ)が含まれている。

Reventのアドバイザーを務めるBenjamin Otto(ベンジャミン・オットー)氏は、Otto Groupを創業したドイツの有力一族オットー家の一員だ。

その他のLPには、ニベアやEucerinブランドで知られる多国籍スキンケア企業のBeiersdorf(バイヤスドルフ)、機関投資家では欧州投資基金(EIF)が2000万ユーロ(約26億円)を出資している他、NRW.BANK、LfA Förderbank Bayernなどが名を連ねている。さらに、Heraeus(ヘレウス)、Hymer(ハイマー)、Wepa(ヴェーパ)といったドイツの起業家ファミリーのメンバーもReventを支援している。また、Fox & SheepのVerena Pausder(ヴェレナ・パウザー)氏、ContentfulのSascha Konietzke(サシャ・コニエツコ)氏、Project AのFlorian Heinemann(フロリアン・ハイネマン)氏、HeadlineのLuis Hanemann (ルイス・ハーネマン)氏など、著名なテック創業者や投資家がこのファンドに出資している。

Reventはこれまでに、英国のSylvera(カーボンオフセット評価プラットフォーム)、英国のNet Purpose(投資ポートフォリオのインパクト評価)、米国のAvelios(モジュール式病院ソフトウェアプラットフォーム)など、9社に投資している。

Reventのパートナーチームには、ビルンバウム氏とレンツ博士の他、Beryl(ベリル)の創業者で発明家のEmily Brooke(エミリー・ブルック)氏や、Partech(パーテック)のレイトステージファンドで働いていたHenrik Grosse Hokamp(ヘンリック・グロス・ホーカンプ)氏が参加している。

画像クレジット:Revent

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(文:Mike Butcher、翻訳:Den Nakano)

環境再生型農業のトレンドを食肉市場に取り込む99 Counties

Christian Ebersol(クリスチャン・エバーソル)氏は、健康保険会社に勤務していたとき、炭素の回収貯蔵と植物由来の食品に関心を持つようになった。

これらの分野で何ができるかを考えるためにOMERS Venturesのアントレプレナー・イン・レジデンス(客員起業家)プログラムに参加した後、Mark Bittman(マーク・ビットマン)氏の著書「Animal, Vegetable, Junk:A History of Food, from Sustainable to Suicidal」を読み始めた。この本でエバーソル氏は環境再生型農業に出会った。環境再生型農業とは土壌や水、空気の状態を悪化させることなく、植物と動物が同じ農場で共存する方法だ。

近年、この農法は大きな投資分野として脚光を浴びていて、2019年時点で3200億ドル(約36兆8000億円)がこの分野に注がれたという報道もあり、Whole Foodsなどの大手ブランドは2020年の食のトレンドとして環境再生型農業がナンバーワンになると指摘している。

環境再生型農業は、アイオワ州の農家Nick Wallace(ニック・ウォレス)氏が、エバーソル氏がウォレス氏に出会った時に行っていたことだ。アイオワ州の99の郡の環境再生型農家と、牛肉、豚肉、鶏肉を箱買いする消費者をつなぐマーケットプレイスで、1000億ドル(約11兆4900億円)の米国食肉市場をディスラプトしようと、エバーソル氏はMike Adkins(マイク・アドキンス)氏とともに99 Counties(99カウンティーズ)を立ち上げた。

99 Countiesは、農家が家畜の飼育に専念でき、また消費者が クルマで1日で行ける地元の農家に肉を注文できるよう、加工、輸送、販売のすべてをコーディネートする。99 Countiesはまた、農家の環境再生手法の実践を認証し、農家への報酬を保証している。

画像クレジット:99 Counties

「今日、人々はほとんどの食品についてそれがどこから来たのか知りません」とエバーソル氏はTechCrunchに語った。「私たちの技術は、トレーサビリティに関するものです。我々があなたの家族に食品を届けるとき、あなたはそれがどの農場のものかを知り、バーコードをスキャンして農場についてのビデオを見ることができ、それが加工されるためにどのようにう移動したかや農場の人道的な動物の扱いを見ることができます」。

同社は現在、シカゴとアイオワ州以外でサービスを提供する予定はない。というのは、顧客に届くまでの食品の移動距離を減らすことを目的としているからだ。しかし、より多様な選択肢を提供できるよう、農家の開拓には取り組んでいる。

99 Countiesは、OMERS Venturesがリードし、Union Labs、GV、Supply Change Capitalが参加した直近のラウンドで380万ドル(約4億4000万円)のプレシード資金を獲得し、この資金をもとに9月に15の農場で正式にスタートする予定だ。

OMERS VenturesのマネージングパートナーMichael Yang(マイケル・ヤン)氏は「クリスチャンと99 Countiesのチームが構築しているのは、持続可能な食肉の単なるマーケットプレイスをはるかに超えるものです」と文書で述べた。「消費者の間で高まっている、地元産の高品質な食品を手に入れたいという欲求を満たすためのインフラを構築しているのです。これまで農家は、こうした市場に参入したいという願望はあっても現実には実現不可能で、価格も手ごろではありませんでした。このモデルがアイオワで成功すれば、全米で再現できないはずはありません」。

調達した資金は、ウォレス氏の既存の環境再生型農業事業を99 Countiesの傘下に置くなど、事業の拡大に充てられる。また、雇用やトレーサビリティ技術の確立、提携農場に関するコンテンツを消費者に提供するマーケティングにも使う予定だ。

99 CountiesはButcher BoxやCrowd Cowのような企業と競合している。Crunchbaseによると、Crowd Cowは過去4年間で2500万ドル(約28億7000万円)を調達した。しかし、何千マイルも離れた場所から肉を調達している競合他社に対し、99 Countiesはより地元に根ざしたフードシステムを奨励している点で他社と異なるとエバーソル氏は述べた。

一方でPepsiCoGeneral Millsなどの大企業が数千万エーカーの土地を環境再生型農業にする意向を表明するなど、環境再生型農業の人気が高まる中、環境再生型コミュニティは土を耕すことが少なくなり、動物を農場に戻すことで有機が再生される、というのがエバーソル氏の意見だ。

同氏は、99 Countiesを最終的にはサブスクリプション事業にしたいと考えており、開始後2022年末までに1400世帯との契約を獲得することを目標としている。平均的な購買価格は140ドル(約1万6000円)を見込んでいる。当面、正式な立ち上げ前にやるべきことがある。

「来月には、農家や加工業者と契約し、農家のストーリーを伝えるためのコンテンツ、ソーシャルメディア、マーケティングに携わる人材を投入する予定です」と、エバーソル氏は付け加えた。「また、トレーサビリティを確立し、人々が購入するための店舗も設置します」。

画像クレジット:99 Counties / 99 Counties co-founders, from left, Mike Adkins, Nick Wallace and Christian Ebersol

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

ラストマイル配送用の電動自転車サプライヤーZoomo、三菱UFJイノベーション・パートナーズなどから約23億円調達

デリバリーワーカー用の実用電動自転車を作っているオーストラリアのZoomoが、この度、さらに2000万ドル(約23億円)を調達して同社のシリーズBを完了した。

2021年11月、同社は株と債務の両方で6000万ドル(約69億円)のシリーズBを調達し、ソフトウェア開発と自転車の増産に投じた。今回の追加投資により同社の調達総額は1億150万ドル(約117億円)になり、それらはすべて同社のグローバルな雇用増と、自転車の生産量増加、自転車店などのメカニクスと顧客企業の両方へのマネジメントの提供、そしてライダーのためのアプリの開発に使われる。

同社は、フォームファクターとアクセサリーを一新するZoom Oneと呼ばれる高性能な実用自転車を開発中している。

Zoomoはその電動自転車(eバイク)を、ギグワーカーに週20ドル(約2300円)、米国では30ドル(約3450円)でレンタル、料金にはサービスやサポートも含まれる。またUberEatsやDoorDashなど同社が提携しているアプリ利用のデリバリー企業に登録しているワーカーなら、安くなることもある。また同社はドミノ・ピザのような大企業顧客には、サードパーティ製のモペットを含むこともあるeバイク車隊を提供する。

Zoomoは2017年に創業。北米とアジア太平洋と、2021年加わったスペイン、フランス、ドイツなどのヨーロッパなど6カ国16都市に展開している。同社は、2021年はグローバルな売上が4倍、エンタープライズビジネスは20倍に増えたというが、「いつ」に対しての増加なのか、よくわからない。

「2021年はZoomoにとって変革の年であり、ギグワーカーに加え、企業やフリートマネージャーも当社の革新的なプラットフォームの恩恵を受けることができました。Zoomoでは、今後10年以内に、すべてのラストマイル配送が、Zoomoのエコシステムに支えられた軽電気自動車で完了する世界を見ています。私たちの投資家は、この実現に一歩近づくための手助けをしてくれるでしょう」と、Nada(ナダ)氏は声明で述べている。

今回のリード投資家はCollaborative Fundで、これに戦略的投資家として三菱UFJイノベーション・パートナーズとSG Fleet、Akuna Capital、そしてWind Venturesが参加した。戦略的投資家の参加はこれが初めてであり、さらに今後の特にラテンアメリカや日本における将来の有益なパートナーシップやイニシアチブが予想される。すでにWind Venturesはラテンアメリカ最大のエネルギーと林業企業であるCOPECのベンチャー部門であり、またMUFG Innovation Partnersは、Mitsubishi UFJ Financial GroupのOpen Innovation Strategyの企業向けVC部門だ。

関連記事:ギグワーカー向け電動自転車サブスクのZoomoが12億円調達、社名もBolt Bikesから変更

画像クレジット:Zoomo

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)