アダルト系SNS「OnlyFans」が認証済みNFTをプロフィール画像にできる機能を提供

Twitter(ツイッター)に続き、NFTプロフィール画像の波に乗るのは誰になるとあなたは考えていただろうか。アダルトコンテンツで成長したにも関わらず妙にイメージをクリーンアップしようとしている、NSFW(職場閲覧注意)クリエーター収益化プラットフォームであるOnlyFans(オンリーファンズ)と予想していたなら、大当たり!……と喜ぶのは、今はOnlyFansまでもがNFTをプロフィール画像に使うのかと認識するまでの話で、誰も勝者はいないのかもしれない(暗号資産を愛するとともに、NSFWクリエイターの仕事に報酬を与えたいと思っている人々を除けば)。

OnlyFansは、ユーザーが認証済みNFTをプロフィール画像として表示できるようになったと、英国時間2月10日に発表した。Reutersの報道によると、OnlyFansは2021年12月にこの機能を導入したという。TechCrunchはOnlyFansに連絡を取り、この報道を確認することができた。

OnlyFansでは、Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーン上で鋳造されたNFTのみがサポートされ、Ethereumアイコンが表示される。ユーザーはNFTのプロフィール画像をクリックすると、OpenSea(オープンシー)によるそのデジタル資産に関する詳細情報を見ることができる。

新たに就任したOnlyFansのCEO、Ami Gan(アミ・ガン)氏はこう述べている。「この機能は、NFTが当社のプラットフォームで果たすことのできる役割を模索するための第一歩です」。

OnlyFansは2021年、NSFWコンテンツをプラットフォーム上で禁止すると発表し、クリエイターの生活を根底からくつがえす事態になりかけた。このニュースは、MastercardとVisaの規制が変更されたことを受けてのものだった。しかしその後、同社は「OnlyFansがあらゆるジャンルのクリエイターをサポートできることを銀行パートナーが保証したため、変更の必要がなくなった」ことを明らかにし、この決定を撤回した。それでも、OnlyFansのクリエイターたちにとっては、クレジットカード会社の気まぐれによって、いつプラットフォームが崩壊するかわからないという警鐘を鳴らした出来事になった。

セックスワーカーが安定した収入を得られるよう支援することは、実は暗号資産のユースケースとしては悪くない。元OnlyFansのクリエイターであるAllie Rae(アリー・レイ)氏は、現在、暗号資産を中心としたOnlyFansの代替サービスであるWetSpace(ウェットスペース)に取り組んでいる。

クレジットカード会社とは異なり、パブリックブロックチェーンは、気まぐれに変更してポルノの購入を禁止することはできない。しかし、これまで見てきたように、十分な勢いのある中央集権型取引所は、特定の種類のトークンへのアクセスや市場活動を減らすことができる。もちろん、変動が激しく、時には詐欺まがいのこともあるこの分野に手を出したくないファンとクリエイターの両方にとって、暗号資産は障害にもなり得る。しかし、それはともかく、NFTのプロフィール画像を可能にすることで、OnlyFansは暗号資産を含む将来に向けたジェスチャーをしているのかもしれないし、それはポルノビジネスを続ける未来を意味するかもしれない。

TwitterやOnlyFansのほか、Reddit(レディット)もNFTプロフィール画像機能をテストしており、YouTubeも公的にこのアイデアを検討している。

YouTubeのチーフプロダクトオフィサーであるNeal Mohan(ニール・モーハン)氏は10日、Reutersへのアミ・ガン氏の発言を受けて「ブロックチェーンやNFTのような新しい技術によって、クリエイターはファンとより深い関係を築くことができると考えています」と書いている。

「当社の使命は、クリエーターが自分の可能性を最大限に発揮できるようにすることです」とOnlyFansのガンCEOは述べた。

画像クレジット:NurPhoto / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

Netflixがビットコインのボニー&クライド「Bitfinexスキャンダル」を描いた映画制作へ

先にハッキングされて盗まれたとされる36億ドル(約4160億円)相当のBitcoin(ビットコイン)を米司法省が押収したというニュースが流れたとき、我々はいくつかの疑問を抱いた。今回の発表は、政府による暗号資産への介入についてどのような意味を持つのか?このスキャンダルは、長期的に分散型金融の分野に影響を与えるのか?そして最も重要な質問は、いったいどのストリーミングサービスが、ビットコインのボニーとクライドについてのドキュメンタリーを制作するのか?

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少なくとも、疑問の1つは解決した。米国時間2月11日、Netflix(ネットフリックス)は、「FYRE: The Greatest Party That Never Happened(FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー)」や「Tiger King(タイガーキング: ブリーダーは虎より強者?!)」を手がけたChris Smith(クリス・スミス)監督の協力を得て、同社が「史上最大の金融犯罪事件」と形容するこのストーリーを描くことを発表した。スミス監督は、セラノスの没落を描いたHBOのドキュメンタリー映画「The Inventor: Out for Blood in Silicon Valley」をプロデュースしたNick Bilton(ニック・ビルトン)氏とともに製作総指揮を務める。

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Elizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)やBilly McFarland(ビリー・マクファーランド)のストーリーと同様に、スミス監督とビルトン氏が使えるネタはここでもたくさんある。犯罪者とされているIlya “Dutch” Lichtenstein(イリヤ・”ダッチ”・リヒテンシュタイン)容疑者とHeather Morgan(ヘザー・モーガン)容疑者(彼女は「Razzlekhan」という名前でラッパーとしても活動していた)は、米国時間2月8日に約12万ビットコイン(現在50億ドル、約5770億円相当)の資金洗浄を共謀した容疑で逮捕された。現在、この夫婦デュオは裁判を待っているが、検察官が逃亡の危険性があると判断したため、保釈は認められなかった。Bloombergによると、リヒテンシュタイン容疑者は「ペルソナ」と書かれたフォルダを保管しており、パソコンには偽パスポートへのリンクがある「Passport_ideas」というファイルがあった。さらに検察官は、「バーナー電話」と書かれたビニール袋が2人のベッドの下から見つかったと付け加えている。実話をベースにした映画がハリウッドを動かし続けるのは、こんな話を作ろうと思っても作れないからだ。

画像クレジット:Nuthawut Somsuk / Getty Images

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Aya Nakazato)

韓国のスタートアップAtommerce、約19.4億円の資金調達でメンタルヘルスサービスを拡大させる

モバイルアプリ「MiNDCAFE」を通じてユーザーがメンタルヘルス専門家とつながることを支援する韓国のスタートアップ、Atommerce(アトマース)は、2カ月で3倍の応募超過となった1670万ドル(約19億3600万円)のシリーズBで、メンタルヘルスのサービスを拡大する計画だ。

今回の資金調達で、Atommerceはプラットフォームの人工知能と機械学習技術を強化し、精神疾患に特化したデジタル治療に投資する予定だ。また、調達資金は人員増強にも充てられる。

ソウルを拠点とするこのスタートアップは、バーチャル・セラピー・プログラムと雇用者向けメンタルヘルス・ベネフィット・ソリューションを提供している。AtommerceのCEOであるKyu-Tae Kim(ギュテ・キム)氏はTechCrunchに対し、Atommerceは人間の専門家と同じようにセラピーができるAIチャットボットサービスを加えることで、患者、人間の専門家、精神疾患に対応するために人工知能が相互に作用するエコシステムを構築したいと考えていると語った。12月に発売された同社のAIチャットボット「RONI」は、推奨される回答を提供することで人間の専門家をサポートすると、キム氏は述べた。

Atommerceは、韓国で100万人以上のアプリユーザーと、Naver(ネイバー)、NHN、新韓インベストメント、Neowiz(ネオウィズ)、ソウル市役所など100社の企業を顧客として主張している。現在、MiNDCAFEの従業員支援プログラム(EAP)を通じて、B2Bクライアントの約20万人の従業員がアプリを利用している。同社は、250人以上のメンタルヘルス専門家を抱えているという。

新型コロナウイルスのパンデミックは、同社の成長を加速させた。例えば、2021年第1四半期の同社の売上高は、2020年第1四半期と比較して約1200%伸びた。また、過去2年間は年平均400%増の売上を記録しているという。

このスタートアップは、米国留学中にセラピーを受けてうつ病を克服したキム氏が、2015年に創業した。韓国に帰国したキム氏は、米国とは異なり、社会的なスティグマからメンタルヘルスの専門家の助けを得ることが難しいことを実感し、MiNDCAFEを立ち上げることを決意した。

韓国は、精神衛生問題を含むさまざまな要因でOECD諸国の中で最も自殺率の高い国となっているが、精神的な問題に対するスティグマから、人々は専門家に相談することをためらっていたと、キム氏はいう。しかし、ここ数年で変わってきた。現在、そのユーザーのほとんどは、国内のミレニアル世代とZ世代の成人女性であるとキム氏は付け加えた。

Atommerceは2022年前半に日本への進出を予定しており、早ければ年末に北米への浸透を目指す。同社のサービスは、言語やUX・UIなどのユーザーインターフェースデザインを完全にローカライズする予定だと、キム氏はTechCrunchに語った。また、次の資金調達計画について尋ねたところ、2023年第1四半期にシリーズCの調達を検討しているとのことだ。

画像クレジット:MiNDCAFE app

今回のラウンドで、同社の資金調達総額は約2600万ドル(約30億1400万円)に達した。シリーズBは、Hashed(ハッシュド)が主導し、E&Investment(E&Iインベストメンと)、K2 Investment(K2インベストメント)、Samsung Next(サムスンネクスト)が参加した。既存の出資者であるInsight Equity Partners(インサイト・エクイティ・パートナーズ)と韓国の製薬会社GC Green Cross Holdings(GCグリーンクロスホールディングス)もこのラウンドに参加した。

キム氏は声明の中で、今回の投資により、テクノロジーによって人々のメンタルヘルスを支援するという使命を持つMiNDCAFEが成長を加速させることができると述べている。さらに、Atommerceはメンタルケアエコシステムへのアクセスを向上させる。

画像クレジット:Carol Yepes / Getty Images

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(文:Kate Park、翻訳:Yuta Kaminishi)

カスタマーサービスの電話応対をAlexaを使うようにするRedRouteが約7.5億円調達

RedRouteの創業者。左からCROのサム・クルット氏、CEOのブライアン・シフ氏、CTOのジェイコブ・クーパー氏(画像クレジット:RedRoute)

音声によるカスタマーサービス体験と会話型人工知能のスタートアップであるRedRoute(レッドルート)は、訪れる3500億ドル(約40兆円)規模のカスタマーサービス自動化分野を狙っている。

Brian Schiff(ブライアン・シフ)氏、Sam Krut(サム・クルット)氏、Jacob Cooper(ジェイコブ・クーパー)氏が2015年に同社を設立したとき、彼らはまだコーネル大学の学部生で、当初は大手交通会社が営業していない大学キャンパス内での乗り物を探すための、Uberのようなソーシャルな交通用アプリであったという。

シフ氏はTechCrunchに、多くのタクシー会社と仕事をする中で、ビジネスの多くが電話でタクシーサービスに入ってきており、リクエストが多すぎて電話担当者が足りなくなっていることに気づいたと語っている。そこで、カスタマーサービスやコンタクトセンターのバックエンドチャネルを改善する機会があることに気づいたのだ。

多くの人がAmazon(アマゾン)のAlexaやGoogle Home、音声操作のテレビを家に備え付けるようになり、音声技術の現代の世界を見て、3人は2017年に事業を変更し、カスタマーサービスの世界でも同様の体験を実現することにしたのだ。

画像クレジット:RedRoute

その仕組みはこうだ。カスタマーサービスに電話をかけると、音声操作の「Alexaのような体験」で挨拶をしてくれるのを想像してみて欲しい。そこで電話をかけてきた人とやり取りをし、簡単な要望を解決する手助けをしてくれる、とシフ氏は説明してくれた。

シフ氏によると、RedRouteのセットアップは30分程度で完了し、顧客は初期費用ゼロでソフトウェアを試すことができる。リスクフリーでパフォーマンスベースの価格設定は業界初だという。同氏は、RedRouteのAIは、平均して50%のリクエストを完全にこの製品で処理できると見積もっている。残りの50%の複雑な電話については、RedRouteが情報を取得し、それらの電話対に費やせる時間が増えたエージェントに繋いでくれる。

彼らは1年間製品に取り組み、2018年初めに市場に参入し、運送業の顧客と連携している。2020年にパンデミックが発生すると、RedRouteはコンタクトセンターの領域にさらに進出し、現在ではBrooklinen(ブルックリネン)、UNTUCKit(アンタックイット)、Pair Eyewear(ペアアイウェア)、GNCなどの顧客と連携している。

「eコマースに進出するタイミングでした。パイロットで成功した最初の顧客と一緒に入り、規模を拡大し始めました。そして、その努力を倍加させるために、資金調達に踏み切ったのです」とシフ氏は語った。

彼のいう資金調達ラウンドとは、Scoop Venture Capital(スクープ・ベンチャー・キャピタル)とBullpen Capital(ブルペン・キャピタル)が主導し、エンジェル投資家のグループも参加した650万ドル(約7億5300万円)のシード資金調達のことだ。RedRouteは以前、200万ドル(約2億3100万円)のプレシードラウンドを調達している。

シフ氏は、この新しい資金を、全面的な事業の成長、製品開発、主要なリーダーシップに使う予定だ。

RedRouteの競合他社と比較すると、初期費用ゼロなのと、顧客とインテリジェントに関わり、会話をし、自身で要求を完了するコールオートメーション技術を提供することによって、自社が差別化されると彼は見ている。また、同社は小規模なコンタクトセンターもターゲットにしており、そこではコールオートメーション技術の採用がまったくと言っていいほど進んでいないとシフ氏はいう。

「これらの企業は、既存の技術スタックにあらかじめ統合され、エンジニアリングや大規模な先行投資を必要としない既製品を購入しようとしています。私たちは、初期費用なしで、30日間無料で、30分ほどで起動し、初日から結果を見ることができるようなソリューションを提供しています」と彼は付け加えた。

一方、RedRouteは現在100社の顧客を抱え、第4四半期には売上が10倍となり、3倍の成長を遂げている。第4四半期には売上が10倍になり、3倍になった。eコマースの方は「すごい勢いで伸びている」といい、運送の方も「回復している」と付け加えた。

シフ氏は「我々は、製品と市場の適合性が確立された位置にいると感じています。我々は大きな月に強力な牽引力を発揮し、その成長のさせ方を理解しており、今がその規模を拡大するチャンスです。これが、私たちが毎日考え、取り組んでいることなのです」と語った。

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

アップル、AirTagを悪用したストーカー問題に次期アップデートで対応

Apple(アップル)は米国2月10日、AirTagアクセサリが個人または人の所有物を密かに、あるいは同意なしにストーキングするために使用されているという問題に対処すべく、AirTagおよびFind Myネットワークに関する一連の今後のアップデートを発表した。2021年春のAirTagリリース後、多くのメディア報道や地元警察からの最新情報で、AirTagが人や貴重品(例えば泥棒が盗むつもりのクルマ)などの不要な追跡に使用されている事例が警告された。その結果、消費者のプライバシーを重視する企業として自らを位置づけていたAppleにとって、PR上の悪夢が広がることになった。

Appleは米国時間2月10日、AirTagの仕組みを変更する計画で消費者、安全の専門家、法執行機関からのフィードバックに応えた。

同社は、AirTagsとFind My(探す)ネットワークの両方で、一連のアップデートを間もなく実施すると発表した。まず、新しいプライバシー警告、アラート、文書の提示から始める。また、新しい精密な発見ツールやAirTagのアラートと音の調整など、他の機能の導入についても今後のリリースに向けて「調査中」だ。

まず、Appleのデバイスは、今後のソフトウェアアップデートにより、AirTagの設定プロセスにおいて、新しいプライバシーに関する警告を表示するようになる。この警告は、本来の目的である持ち物の追跡以外の用途でのAirTag使用を抑止することを目的としている。この警告は、同意なしに人を追跡することは犯罪であり、警察当局はAirTagの所有者の識別情報を要求できることをユーザーに知らせる。

画像クレジット:Apple

Appleはまた、受け取ったすべてのAirTag関連の要請について法執行機関と積極的に協業していると述べ、召喚状やその他の有効な法執行機関の要請に応えて、アカウントの詳細を提供することができると指摘した。これが可能なのは、すべてのAirTagがApple IDに関連付けられた固有のシリアル番号を持っているためだ。同社は、この情報を提供することで、多くの場合、警察当局はAirTagの所有者を突き止めることができ、そうした所有者は捕まり、起訴されている、と述べた。しかしAppleは何件のケースに関与したのかについては言及を避けた。

さらにAppleは、ストーカー被害に遭っているのではないかという人々の不安を和らげるために、紛らわしい警告の1つを変更する予定だ。同社はユーザーから、見知らぬAirTagが自分を追跡していると思わせた「持ち主不明のアクセサリが検出された」というアラートをどのように受け取ったか、話を聞いた。しかし、Appleはこのアラートが近くにある持ち主不明のAirTagには表示されず、AirPods(第3世代)、AirPods Pro、AirPods Maxまたはサードパーティ製のFind Myネットワークアクセサリのみであることを確認した。Appleは今後、このアラートを更新し「持ち主不明のアクセサリ」ではなく「AirPods」がユーザーと一緒に移動していることを示すようにする。

画像クレジット:Apple

Appleはまた、不要な追跡に関するサポートドキュメントを更新し、Find Myアクセサリとその追跡アラートに関するより詳しい情報を掲載する予定だ。アラートの具体例を示す画像が提供され、ドキュメントでは、ストーカー行為の被害者になった場合にどうすればよいか、さらなる説明が示される。

しかし、AirTagとFind Myの大きな変更はまだ取り組んでいる最中だ。

その中には、アラートを受信した後、近くにいる持ち主不明のAirTagの位置を特定することができる新しい精密検索機能が含まれている。AirTagを使ったストーカー被害では、AirTagが一緒に移動しているという警告を受けたとき、検索しても見つからないという苦情が多く寄せられた。そのため、被害者はAirTagがまだ近くにあるのかどうかわからず、無防備な状態だと感じた。

画像クレジット:Apple

iPhone 11、iPhone 12、iPhone 13のユーザーは、精密検索機能を活用することで、自分のAirTagデバイスと同じように、持ち主不明のAirTagが範囲内にあるときに、方向と距離の両方を確認することができるようになる。この機能は、カメラ、ARKit、加速度計、ジャイロスコープからのインプットを使って、音、触覚、視覚フィードバックとともにAirTagに誘導する。

AirTagストーカー事例から出てきた別の不満は、ストーキング目的で持ち主不明のAirTagが仕組まれてから、被害者のデバイスが実際に警告を出すまでにどれだけの遅延があるかということだ。ソフトウェアによって警告される前に、AirTagは何時間も街中を一緒に移動していたと指摘した人もいた。

Appleは、持ち主不明のAirTagやFind Myネットワークアクセサリ(ChipoloなどのAirTag代替品を含む)が一緒に移動している可能性があることを「より早くユーザーに通知する」ように警告ロジックを更新する予定だと述べた。しかし、同社は、ユーザーがこれらの警告をどの程度早く受け取れるかについては示さなかった。

Appleはまた、警告の仕組みを後で調整する予定だ。持ち主不明のAirTagが検出された場合、iPhone、iPad、iPod touchにビジュアルアラートを表示し、同時にサウンドを出すようにする。このアラートは、精密検索ツールを使ってAirTagの位置を特定するためのさらなる支援にユーザーを誘導するか、または、AirTagから音が出るようにする予定だ。この機能は、アラートが聞き取りにくいところにAirTagがある場合に役立つ。また、ストーカー事例で問題となっている、AirTagのスピーカーに細工が施された場合にも、発見ツールが役立つ。実際、スピーカーが無効化されたAirTagがeBayやEtsyで売られているのがここ数週間で発見されてもいる

Appleは、持ち主不明のAirTagをより簡単に見つけられるよう、トーンシーケンスを調整してより大きなトーンを使用すると述べた。

このニュースを発表するにあたり、Appleはテクノロジーを使ってストーカー行為をすることは社会問題であり、そしてAirTagsは良い方向にも使われている、という主張を展開した。この件は、他のデバイスメーカーもAppleに続いて自社の製品にこのような積極的な機能を追加するよう働きかけた。例えば、AirTagのライバルであるTileは、安全機能に取り組んでいると述べたが、まだ提供していない。同社は最近、家族追跡・コミュニケーションアプリのLife360に買収された

National Network to End Domestic Violence(ドメスティック・バイオレンス撲滅全国ネットワーク)やNational Center for Victims of Crime(全米犯罪被害者センター)など安全問題に取り組む団体は、Appleの取り組みを称賛した。National Network to End Domestic Violenceは、ディレクターのErica Olsen(エリカ・オルセン)氏を通じて「Appleが被害者の安全についての会話に関与している」ことを喜び、同社が「セーフガードの改善を続けている」と述べた。National Center for Victims of Crimeは、エグゼクティブディレクターのRenee Williams(レニー・ウィリアムズ)氏を通じて、もう少し冷静な声明を発表した。

「これらの不要な追跡の警告が私たちに示していることは、Appleのシステムが動作しているということです。同時に、この問題を啓発しています」とウィリアムズ氏は述べた。「テクノロジーによる虐待、ストーカー行為、または嫌がらせを経験している場合、我々は、法執行機関に加えて、被害者のためのリソースになることができます」と同氏は付け加えた。

望まない追跡の問題に対処するために、Appleがこの分野の他の企業よりもはるかに多くのことを行っているというのは正しいかもしれないが、より高い基準が要求されるのも事実だ。同社はより徹底した製品開発に投資する資金とリソースを持っているだけでなく、アプリのアンチトラッキング機能のような最近の発表も含め、消費者のプライバシーに配慮する企業として自社を位置づけてきた。

AirTagがどのように悪用されるかを考慮する先見性をAppleがなぜ持たなかったのかは不明だ。そして、多くの女性を雇用することにテック業界が苦戦していることが、ここで問題になった可能性があるのではという疑問が生じる。ストーカー被害者の大半を占める女性は、AirTagの機能に関する問題を容易に認識できたかもしれない。

Appleにコメントを求めたところ、アップデートがいつ実施されるのか、どのソフトウェアのバージョンにこの変更が含まれるのか、同社は言及を避けたが、これは新機能で保護されるかどうか、いつ保護されるのかを知りたい消費者にとっては有益な情報だろう。

画像クレジット:Apple

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

Tinderも写真やプロフィールを見る前に会話をするバーチャルのブラインドデートを導入

米国時間2月10日、Tinderは新たなアプリ内機能で「ブラインドデート」を復活する。ただし今回は、2人の会員を一緒にブラインドデートに送り出すのではなく、お互いをソーシャルなチャットで紹介しあい、相手のプロフィールを見る前に対話とチャットができる。この機能は、写真ではなくお互いの人柄や会話に基づいて第一印象を得ることを狙っている。

Tinderの親会社であるMatch Groupは先に行われた決算報告でこの機能を追加する計画をちらつかせ、まだ新しい「Explore」セクションで新しい体験を試すことができ、ユーザーのエンゲージを継続できるようになったと述べた。2021年9月に導入したExploreは今では、Tinderのさまざまな対話的機能のホームであり、ビデオシリーズの「スワイプナイト」の他、互いの関心事項でマッチを見つけたり、マッチングの前に気軽なチャットを始めるなどの機能もある。後者をTinderは「ファストチャット」と呼んでおり、それがブラインドデート機能のベースでもある。

ブラインドデートを利用するためには、会員はまず、少々の肩慣らしの質問に答えてから、共通性に基づいて誰かとペアになる。2人は時間制限があるチャットを開始するが、相手の詳細はわからず、選択式の質問に答えるだけだ。軽い質問ばかりで、中には馬鹿らしいのもある。

・シャツを洗わずに__回着られます。
・ケチャップは___にもかけます。

時間が来たら、互いのプロフィールを見ることができる。そして気に入ったら、もっと相手のことを知ることができる。

Tinderによると、この新たな体験は、本物性を重視するZ世代のデート文化を反映している。同社によると、ブラインドデートのテストは大成功で、同じファストチャットを使った機能でも、最初からプロフィールを見られるものと比べてマッチの成立率が40%高かった。そこでTinderは今回、展開に踏み切ったのだ。

もちろん、Tinderのようなデートアプリの最大手が、写真に頼らない紹介方法を導入したのはちょっと皮肉だ。Tinderをはじめ、今のデートアプリはデートを表層的な環境に変えてしまったと批判されている。そこでは人間に関する決定が、写真の魅力だけに基づいて1秒にも満たない時間で行われてしまう。そのため近年は新種のデートアプリが勃興し「反表層的」で真実性があると謳っている。そんなアプリは、ルックスよりも人柄を重視して、写真を隠したり、音声チャットで互いを結びつけたりしている。S’MoreSwoonMeJigsawなどが、そのようなアプリの例だ。

しかしTinderは、本物的で人間的な出会いのためにわざわざまったく新しいアプリを作らなくても、自分たちが提供するブラインドデートで十分だと信じているのだ。

Tinderのプロダクトイノベーション担当副社長Kyle Miller(カイル・ミラー)氏は、Fast Chat:Blind Date(ファストチャット:ブラインドデート)の立ち上げの発表で次のように述べている。「写真で先入観を作らずに、会話で人柄を紹介することには、何か本当に特別の感覚があります。Tinderのブラインドデートは、意外なほど楽しくて、冗談なども言い合えるような、対話と結びつきを作れるTinderにとってもまったく新しい機能だ」。

英語圏では、今日からExploreの中でブラインドデートが展開される。グローバルな展開は数週間後だ。

画像クレジット:Tinder

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が初めて星を撮影、「自撮り」画像も披露

ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡のような複雑な装置は、稼働するまでに少々時間がかかる。2022年1月末に軌道に乗ったものの、まだ起動プロセスの途中にある。米国時間2月11日には、その中で大きなマイルストーンに到達した。ウェッブが初めて星を捉えたのだ。18回も。そしてそれを祝うためにセルフィー(自撮り)を行った。

この巨大な軌道望遠鏡の長年に渡る開発、組み立て、展開についての報道をご覧になってきた方はご存知かと思うが、ウェッブ望遠鏡は基本的に18枚の鏡をハニカム(蜂の巣)型に組み合わせた形状をしており、これが目標物からの大量の赤外線を取り込むのに役立つ。

しかし、それぞれの鏡(さらに前面の副鏡やその他多くの部品)は、反射した像が他の鏡に映る像と一致して重なるように、正確に調整する必要がある。

「主鏡のセグメントが揃っていないので、実際には18個の別々の望遠鏡のように機能しています。現時点では何も調整していないし、焦点も合わせていないため、少しぼやけています」と、ウェッブ望遠鏡の光学素子担当マネージャーであるLee Feinberg(リー・ファインバーグ)氏は、NASAのビデオで語っている(このビデオを見ると、筆者の説明よりもよくわかるはずだ)。

それはちょうど、アニメでよく見るような、意識を失ったキャラクターが目を覚ますと、世界が2重、4重に見えていて、それらの画像を徐々に重なり合って像を結ぶ場面を思い浮かべればよいだろう。この場合、もちろん、望遠鏡は宇宙の中にあるので、よく見えてくるものは(おそらく)星だけだ。

この調整を行うためには、同じような明るさの星に囲まれていない、際立った星が必要だった。そこでチームは、おおぐま座にあるHD 84406と呼ばれる星をターゲットに選んだ。ちょうど宇宙に浮かぶクマの首輪の上に位置する星だ。北斗七星のひしゃくの口にあたる2つの星を思い浮かべて欲しい。HD 84406は、その線を右に伸ばして同じくらいの距離の位置にある。

ウェッブ望遠鏡は、このHD84406の方向に向けて、156通りの方向から10枚ずつ撮影し、合計1560枚、54ギガバイトのRAWデータを取得した。

画像クレジット:NASA

「セグメントの各ドットが空に広がってしまう可能性もあったため、この最初の探索では満月ほどの大きさの領域をカバーしました」と、ウェッブ望遠鏡チームの科学者であるMarshall Perrin(マーシャル・ペリン)氏は、NASAのニュースリリースで述べている。「私たちは探索の初期段階で18個のセグメントすべてからの光を中心部のすぐ近くで発見することができました!これは、鏡の位置合わせとしてはすばらしい出発点です」。

6時間の処理の後、チームは望遠鏡の18枚の鏡でそれぞれ同じ星を捜し出し、それらを1つの画像(上)に組み立て、鏡の位置をどれだけ再調整する必要があるかを示すことができた。ペリン氏がいうように、これらのうちの1つまたは複数が中心から大きく離れていた可能性は十分にあり、その場合はより長く、より大変な鏡の補正作業が必要になる。しかし、これらはすべて中心付近に集まっており、ミラーの展開が非常にうまくいっているということを意味する。

ウェッブ望遠鏡に搭載されているカメラシステムはこれだけではなく、セットアッププロセスもこれだけではない。しかし、今回の成功は、赤外線カメラと主鏡が計画通りに機能していることを示している(まだすべての能力を発揮できているわけではないが)。

幸いなことに、もう1つの機器は十分に機能していたので、最も重要なコンテンツを得ることに成功した。「自撮り」だ。

ウェッブ望遠鏡の18枚の鏡を撮影した「自撮り」(画像クレジット:NASA)

TechCrunchでは、今回のような大きなステップについては今後も取り上げていく予定だが、ウェッブ望遠鏡のすべての動きを追いかけていきたい人は、専用のミッションブログを常にチェックしておこう。

画像クレジット:NASA

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

コンピュータービジョンでレストランのオーダーエラーを解消するAgot AI

Agot AIの共同創業者エヴァン・デサントラ氏とアレックス・リッツエンバーガー氏(画像クレジット:Agot AI)

人工知能はいろいろな業界に浸透してきたが、レストランはその中でも後発となり、その主な導入動機はパンデミックとオンラインオーダーの導入となる。

レストランのAI導入は今後も増えるだろう。2021年には米国人の60%が週に1度以上テイクアウトまたはデリバリーを注文し、31%がデリバリーサービスを利用したMarket Study Reportの予想によると、世界のレストラン管理ソフトウェアの市場は年率25%で伸び、2025年には69億5000万ドル(約8034億円)に達する

しかしながら私たちはみな、フードデリバリーが持ってきたものが注文と違うという経験をしている。そこでAgot AIは、機械学習を利用するコンピュータービジョンの技術を開発し、最初はファストフード業界を対象にして、そのようなエラーが起きないようにした。

同社は3年前にEvan DeSantola(エヴァン・デサントラ)氏とAlex Litzenberger(アレックス・リッツエンバーガー)氏が創業し、レストランテクノロジーのオペレーションの側面や、従業員の成功報酬、レストランの顧客満足度の向上などの問題解決を目指した。

画像クレジット:Agot AI

同社のプロダクトは、オンラインからのオーダーに対する正しさをリアルタイムで確認し、修正が必要なら従業員に告げる。たとえば彼らは、チーズとケチャップを加えるのを忘れていたかもしれない。

同社はその技術を発表して以来、Yum! Brandsなどの大手サービスの協力のもとに、展開を進めてきた。Yumの場合、Agotは同社とのパートナーシップにより、その20のレストランでパイロット事業を行った。パイロットの結果が良ければ、Yumの100のレストランで実装する、とAgotのCEOデサントラ氏はいう。

Yum! BrandsのチーフストラテジーオフィサーであるGavin Felder(ギャビン・フェルダー)氏は声明で次のように述べている。「同社は常に、テクノロジーを利用する革新的な方法でチームのメンバーの能力を高め、私たちのレストランにおいて彼らと顧客の両方の体験を向上させようとしてきた」。そしてパイロット事業の初期的な結果は「私たちが料理を届けているすべてのチャンネルで、顧客にオーダーに忠実で正確なメニューを届けることができるという将来的に有望な可能性を示唆している」。

Yum! Brandsは、Agotの顧客であるだけでなく投資家でもある。以前の1200万ドル(約13億9000万円)のラウンドでは、Continental Grain Co.の戦略的投資部門であるConti VenturesやKitchen Fund、そしてGrit Venturesらとともに投資に参加した。これでAgotの総調達額は1600万ドル(約18億5000万円)に達した。

Agotは新たな資金を、技術チームの拡大と、その他のファストフードブランドとのパイロット事業、およびプロダクトの機能拡張に充てたいとしている。また、機能拡張により、デリバリーだけでなく、ドライブスルーや店内での顧客体験も改善していきたい。

同社は、小規模な概念実証レベルの展開で、オペレーションの能力を示してきたため、今後はより大きな市場とオーディエンスにその技術をスケールしたいという。

Agotは成長率などを明かさないが、同社のチーフビジネスオフィサーのMike Regan(マイク・リーガン)氏によると、彼がデサントラ氏と出会ったとき、彼自身は投資家だったが、オーダーの正確さチェックが今後大きなビジネスになることをすぐに理解し、またAgotがそれに対して総合的な視野で臨んでいることを知った。「それはまさにデジタルトランスフォーメーションそのものだった」とリーガン氏は言っている。

Toastのようなレストラン管理のパイオニアや、その他のスタートアップも、2年前ほど前からこのニーズに対応するようになり、それぞれ独自のアプローチを採っているだけでなく、ベンチャー資本も獲得している。

たとえば最近の数カ月ではLunchboxDeliverectOrdaZakSunday、そしてMargin Edgeなどが新たなラウンドを発表し、レストランを新しいオーダー方式に適応させていくことに向けて大金が流れ始めたことを示唆している。

リーガン氏によると、レストラン業界の現状は「厳しい」けれども、Agotは「社歴3年のスタートアップよりもずっと先を行っている」やめ、事業の成功という点でも、また今後の2年間で大多数のファストフード企業を顧客にしていける能力でも傑出しているという。

そしてデサントラ氏は「新たな資本がAgotを次のレベルのビジネスに押し上げる」と感じている。

「初期のパイロットでは成功を証明したし、現在および将来のパートナーを相手にスケールしていけることにもエキサイトしています。新たな資金はプロダクトの機能拡張と、顧客とそのオペレーションの分析、そしてドライブスルー向けの技術開発に充てたい」とデサントラ氏はいう。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ハリウッドではすべてがリブートされる、そう散々なサービスだった映画見放題サブスクMoviePassでさえも

MoviePass(ムービーパス)の2.0キックオフ記者会見は、ふわさしく不安定なスタートとなった。近日公開の映画の予告編をモンタージュしたエネルギーにあふれる紹介の後、創業者で新オーナーのStacy Spikes(ステイシー・スパイクス)氏が、音声の問題がある中で登壇し、最終的にはハンドマイクに切り替えることとなった。

スパイクス氏は、これまでの苦労をどうこういうよりも、物事を(少しは)笑い飛ばすことを学んだようで、これまでの経緯の表現として後ろのスライドにある「The Hindengurg(ヒンデンブルグ号)」の画像をすぐにクリックした。

リンカーン・センターで行われたイベントの最初の数分間は、この企業で何が問題だったのかを説明することに費やされた。「まず、基本的に何が起こったかを話します」と彼は笑いながら説明した。スライドは、MoviePassのCEOであるMitch Lowe(ミッチ・ロウ)氏とHelios and Matheson(ヘリオス・アンド・マシソン)のCEOであるTed Farnsworth(テッド・ファーンズワース)氏が笑顔でMoviePassカードを掲げているページに進んだ。スパイクス氏は、和やかな会場からの野次のようなものを振り払った。

「多くの人がお金を失い、多くの人が信頼を失いました。傷つき、失望した人々がたくさんいました。私もその1人でした」と説明した。買収から3年足らずで、Helios and Mathesonは連邦破産法第7条の適用を宣言し、MoviePassの運命はその過程で決まってしまった。

画像クレジット:MoviePass

2022年のスタートアップにふさわしい展開として、スパイクス氏は、MoviePassが再び市場に戻ってきたことを、同社の壮絶な盛衰を描いた映画を制作しているドキュメンタリークルーから知らされたという。入札から21日後、破産裁判所が買収を承認した。2021年11月、このニュースが流れた直後にスパイクス氏に話を聞いたところ、彼はアプリの技術的な問題について、次のような非常に率直な評価をしていた。

あれは技術的な問題ではなく、意図的なものでした。私がCEOだったとき、MoviePassのアプリはちゃんと動いていました。機能していたんです。人々は、そのサービスの使いやすさを気に入っていました。行きたいところどこにでも行けるし、どの映画館にも歩いていけます。私たちは、Fandango(ファンダンゴ)とMovie Tickets(ムービーチケット)を合わせたよりも大きなフットプリントを持っていました。おそらくドライブインやキャッシュオンリー以外ならどの映画館でも、MoviePassを使うことができたのです。その使い勝手の良さとシンプルさは完璧でした。そのために、私たちは何年も働きました。その後の展開は、すべて意図的なものでした。技術的な問題ではありません。AMCシアターの撤退を決めたのも、アプリが完全に動作しないのも、技術的な問題ではなかったんです。

その古傷が一夜にして癒えるものではないことは明らかだが、今日のイベントは、2022年の夏にローンチする(と予定されている)MoviePass2.0の形についてのものだった。また、スパイクス氏が再始動に際して株式クラウドファンディングの呼びかけを行っていることもわかった。同サービスのサイトには、出資に興味のある人向けの登録フォームがある。十分な資金を使えば、生涯会員になることができる。

ある意味、オリジナル版は自身の成功の犠牲者であり、持続不可能な速度で成長していた。スパイクス氏のプレゼンは、控えめな成長計画と、2030年までに全劇場販売数の30%を促進するという「ムーンショット」の間をいこうとするものだった。

画像クレジット:MoviePass

この新サービスの核となるのがクレジットシステムであり、その基盤はWeb3の技術によって培われているという(この点については、あまり詳しい説明はしていない)。例えば、ある映画を火曜日の午後に見るか、金曜日の夜に見るかなど、さまざまな変数に応じて、映画の料金は異なるクレジット数になる。クレジットは、月単位で翌月に繰り越され、取引も可能だ。また、クレジットを消費して友人を連れてくることもできるという。

MoviePassは、これを「暗号資産」と呼んでいる。スパイクス氏が設立したPreshow(プレショー)上で流れる広告を閲覧することで、ユーザーが獲得できる通貨だ。TechCrunchのAnthony(アンソニー)は、2019年に行われたこの機能のデモについて、このように説明していた

スパイクス氏は先週、私のためにこの機能のデモを行い、彼の顔がPreshowアプリのロックを解除する様子を見せてくれました。彼が観たい映画を選ぶと、その映画に合わせて特別に選ばれた動画広告が表示され、彼が画面から目をそらしたり、携帯電話から離れすぎたりすると、広告の再生が停止されるんです。(ユーザーからのフィードバックにより、感度を上げたり下げたりすることができるようだ。)

ユーザーが見るのを止めた瞬間に広告が止まるというビジュアルは、確かに衝撃的であり、すでにディストピアとの比較もされているようだ。しかし、ここで少し正直にいうと、これは広告マネタイズの未来でもあるのだ。さらに、新MoviePassは、このサービスと提携する映画館の登録も開始している。現在、ニューヨークのAngelika(アンジェリカ)をはじめ、いくつもの映画館が参加しているという。

画像クレジット:MoviePass

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

Disney+は第1四半期に新規加入者1180万人を獲得、Netflixを上回る

Disney(ディズニー)は、2022年第1四半期の決算発表の一環として、Disney+が同四半期に1180万人の新規加入者を獲得して会員数が1億2980万人に達したと発表し、2024年までに会員数2億3000万〜2億6000万人達成という目標に向けて順調だと述べた。前の四半期は200万人の加入者増にとどまっていたが、今期は予想を上回った。

Disneyは、Disney+の全世界の加入者数を、米国内と海外のカテゴリー別に分類した。加入者数は、米国とカナダで4290万人、それ以外では4110万人だった。また、Disney+ Hotstarの加入者数は4590万人で、これはDisneyとStar Indiaの既存ストリーミングサービスとの協業で展開されているサービスだ。

Disney+の成長は、ウォール街が予想した新規加入者約700万人を上回った。また、Netflix(ネットフリックス)は2015年以来最低の加入者増を記録し、予想の850万人に対し新規加入が830万人にとどまるという冴えない四半期だったが、Disney+の成長はストリーミング業界の状況に対する投資家の懸念を和らげたかもしれない。

Disneyの他のストリーミングサービスについては、Huluが660万人の新規加入者を獲得して会員数を4530万人にし、ESPN+は420万人を追加して2130万人に達した。Disneyのストリーミングサービス全体の契約数は1億9640万に達している。

同社の株価は、好決算を受けて8%上昇した。同四半期はパーク事業も回復した

DisneyのCEOであるBob Chapek(ボブ・チャペック)氏は決算説明会で投資家に対し、Disney+の同四半期中の成功は、本業の成長と新しいコンテンツの組み合わせによるところが大きいと述べた。同四半期にDisney+は、オスカーにノミネートされた「Encanto(ミラベルと魔法だらけの家)」「Eternals(エターナルズ)」「Hawkeye(ホークアイ)」「The Book of Boba Fett(ボバ・フェット)」などの有名作品をリリースしている。チャペック氏は、毎週1本、新作品をリリースするという目標を達成し、この目標を2倍にする計画だと述べた。

Disneyは今会計年度に、新規加入者獲得に向けて新コンテンツに330億ドル(約3兆8055億円)を注ぎ、第1四半期の勢いを持続させることを目指している。また、チャペック氏は、Disney+加入者が2024年度末までに2億3000万人〜2億6000万人に達するという軌道を維持していると説明した。

さらにチャペック氏は「Star Wars:Revenge of the Sith(スター・ウォーズ/シスの復讐)」の10年後を描くStar Wars新Disney+シリーズ「Obi-Wan Kenobi(オビ=ワン・ケノービ)」が5月25日に配信されることを明らかにした。このシリーズでは、若き日のオビ=ワンをEwan McGregor(ユアン・マクレガー)氏が再び演じ、その他にHayden Christensen(ヘイデン・クリステンセン)氏、Moses Ingram(モーゼス・イングラム)氏、Joel Edgerton(ジョエル・エドガートン)氏、Kumail Nanjiani(クメイル・ナンジアニ)氏、Indira Varma(インディラ・ヴァルマ)氏、Rupert Friend(ルパート・フレンド)氏らが出演する。

別のStar Wars新Disney+シリーズとして「Andor」が2022年中にスタートする予定だ。このシリーズでは、Diego Luna(ディエゴ・ルナ)氏が「Rogue One(ローグ・ワン)」で演じたCassian Andor(キャシアン・アンドー)役を再び演じる。また、Stellan Skarsgård(ステラン・スカルスゲールド)氏、Adria Arjona(アドリア・アルホナ)氏、Fiona Shaw(フィオナ・ショウ)氏、Denise Gough(デニース・ゴフ)氏、Kyle Soller(カイル・ソラー)氏、Genevieve O’Reilly(ジェネヴィーヴ・オーライリー)氏らが出演する予定だ。

Disney+が目指す会員数は、2022年夏に欧州、中東、アフリカの42カ国と11地域でストリーミングサービスが開始されることにともなうものだ。注目すべきは、南アフリカ、トルコ、ポーランド、アラブ首長国連邦などの新しい国々だ。Disneyは、これらの新しい国でサービスを開始する正確な日付を特定しておらず、地域ごとの価格に関する情報も出していないが、今後数カ月のうちに明らかにするはずだ。現在、Disney+は米国、カナダ、英国を含む64カ国で提供されている。

同社は、2023年会計年度までにDisney+を提供する国を2倍以上の160カ国以上に増やすことも明らかにした。消費者向け直販ストリーミング事業をさらに多くの市場に拡大する計画で、この推進のために新たにInternational Content and Operationsグループを設立する。

Disney+は2019年後半に始まり、過去数年間、Netflix、Amazon Prime Video、その他複数のストリーミングサービスと競合してきた。Disney+は、主にMarvel(マーベル)やStar Warsのコンテンツを有していることで、ストリーミング分野でその名を轟かせることができた。

ESPN+については、チャペック氏はCNBCとのインタビューで、DisneyがNFLの中継Sunday Ticketの放映権に入札するつもりであることを明らかにした。NFLのSunday Ticketの独占プロバイダーとしてのDirecTVの契約は、2022年のNFLシーズン後に切れることになっており、Amazon(アマゾン)やApple(アップル)など多くの企業が契約について初期交渉している。チャペック氏は、スポーツ番組が同社のストリーミング戦略の極めて重要な部分だと概説した。

画像クレジット:Patrick T. Fallon / Bloomberg / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾン傘下Zooxのロボタクシーは一般の人や車両が通行するセミプライベートなコースでテスト中

Amazon(アマゾン)傘下であるZoox(ズークス)の共同創業者でCTOのJesse Levinson(ジェシー・レビンソン)氏によれば、同社は数十台のオリジナル電動ロボタクシーを製作し、カリフォルニアにある1カ所、または複数の「セミプライベートコース」でテストをしているという。

製作してテスト中のロボタクシーの台数について同氏は「数十台で、まだ数百台とはいきませんが、2桁はとうに超えています」と述べた。

これはメディアとのインタビューで明らかにされたもので、同社が電動ロボタクシーを公道でテストする準備を着々と整えていることを示唆している。同社は現在、サンフランシスコ、ラスベガス、そして本社に近いカリフォルニア州フォスターシティで、同社の自動運転システムを組み込んだトヨタのハイランダーをテストしている。最近ではシアトルにもテストを拡大した。このテスト車両には、安全のため人間のドライバーが乗車している。

Zooxは自律走行車両を商用化する計画だ。車両はセンサーが搭載され、両方向に走行でき、四輪ステアリングを備える。4人乗りで、最高時速は75マイル(約120km)だ。

同社は2020年12月にキューブ型の車両をお披露目したが、その後は広く姿を見せることはなかった。この車両が、キャンパスのような場所のオープンな道でテストされていることがわかった。レビンソン氏は正確な場所を明らかにしなかったが、Zooxの従業員しかいないクローズドなキャンパスではないと述べた。

「キャンパスや研究施設のようなところを想像してください。オープンな道とは、我々が関わるのは自転車や歩行者、(他の)車であり、Zooxの他の要因ではないという意味です。Zooxのクローズドなキャンパスとは異なる環境です」とレビンソン氏はいう。

同氏は、テストをしているキャンパスは完全な一般道ではないことを後から補足した。

レビンソン氏もZooxの広報も、ロボタクシーの公道テスト開始予定時期は明らかにしなかった。レビンソン氏は、公道テストは次のステップであり「それほど遠くないことは確かだ」と述べ「数年単位の話ではない」とした。

当面、同社はカリフォルニア州フリーモントにある15万平方フィート(約1万4000平方メートル、4200坪)の工場でロボタクシーを製作する。

画像クレジット:Zoox

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Kaori Koyama)

イーロン・マスク氏のSpaceX Starshipイベントで残る大型ロケットをめぐる多くの疑問

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、テキサス州ボカチカにあるStarship(スターシップ)開発現場から、同社の次世代打ち上げ宇宙船Starshipの進捗と計画について最新情報を提供した。StarshipとSuper Heavyブースターを組み合わせた高さ約400フィート(約121メートル)の打ち上げ機について、これまで印象的な説明があった。しかし今回、同氏がStarshipについて語ったことの多くは目新しいものではなかった。飛行試験と開発の次のステップに関してプロジェクトが置かれている実際の状況について同氏が共有できたことは、新しいコンセプトビデオに描かれた、空想上の惑星に向かうというビジョンに現状からどうやってたどり着くのかという疑問をいくつか投げかけた。

「ノアの方舟」の正当化

マスク氏は、人類を火星やその先に恒久的に到達させるというミッション実存の正当性に繰り返し言及してきたが、今回のアップデートでは、その目標に、地球の幅広い種の保存を中心とする補足を加えた。同氏はノアの方舟に触れなかったが、以下の通り、この類推は外れていない。

人類だけでなく、地球上のすべての生命を本当に大切に思う人たちにとって、長期的には、私たちが複数の惑星を持つ種になり、最終的には太陽系を越えて生命をもたらすことが非常に重要です。私たちは生命の管理人であり、生命の後見人です。私たちが愛する生物たちは宇宙船を作ることができませんが、私たちは彼らを連れて行くことができるのです。それは、環境を大切にする人、地球上のすべての生き物を大切にする人にとって、とても重要なことだと思います。

SpaceX(スペースエックス)のCEOであるマスク氏は、究極的にはこのプロジェクトの正当化を軽視し、第2の理由であるインスピレーションをより重要視している。同氏は以前、SpaceXの野心について語った際に、Starshipと文明の多惑星化は、人々を「未来について興奮」させることができるものの1つだと述べた。これは、マスク氏とSpaceXが地球上の問題解決に費やした方がよいはずの膨大な資金をプロジェクトに注いでいるという批判に対する長い回答の一部だった。批判に対して同氏は「リソースの99%超は地球上の問題解決に向けられるべき」ということに同意し、それはすでに行われていると述べた。

Starshipの打ち上げプロセスと迅速な再利用性

SpaceXは、これまでもStarshipの打ち上げプロセスについて語り、コンセプトアニメーションも公開してきたが、今回のアップデートでは、同社がイメージする最新のバージョンを映し出した。上に掲載した短い映像は、現在ボカチカに設置されている実際の打ち上げ施設をより忠実に再現しているが、タワーにブレードランナーの雰囲気を漂わせるビジュアルが施されている。

このアニメーションでは、2つのStarship宇宙船が軌道上でドッキングする様子も描かれている。これは、SpaceXが以前にモデル化したものではないが、火星への旅のために宇宙で燃料を補給する方法について同社は議論してきた。マスク氏は、ドッキングプロセスの詳細について同社がまだ解決しなければならないことだとしながらも、実際には「自分自身とドッキングするよりも宇宙ステーションとドッキングする方がずっと難しい」はずだと語り、SpaceXの宇宙船が常に宇宙ステーションとドッキングしていることに言及した。

打ち上げ場所と必要なクリアランス

もう1つの話題は、これまで共有された情報との相違が明確になった、Starshipの打ち上げ施設についてだ。マスク氏によると、打ち上げ場所の周辺には比較的人口の少ない広大なエリアが必要で、さらに人々をすばやく避難させることができること、打ち上げ傾斜角や宇宙船が宇宙に入る際の適切な位置取りが必要なことから、Starshipの打ち上げには2つのオプションしかないという。イベントが行われたテキサス州のStarship開発施設と、フロリダ州のケープカナベラルだ。

テキサスでの打ち上げのための米連邦航空局(FAA)による現場審査がどういう状況なのか、マスク氏は実際には把握していなかったが、3月中には承認が得られると予想しているという。とはいえ、ケープカナベラルには予備のためのStarshipの建設現場と発射台があり、テキサスで環境審査とFAAの審査が通らなければ、ケープカナベラルが第一の場所になる可能性もある。SpaceXが最初からフロリダのスペースコースト(ケネディ宇宙センターとケープカナベラル基地周辺)に決めてStarshipを打ち上げようとしなかった理由の1つは、そこではすでに多くのロケット打ち上げが行われており、既存のオペレーションを中断させたくなかったからだと、マスク氏は述べた。

質疑応答のセッションでマスク氏は、最終的にはSpaceXが古い石油プラットフォームを使って現在開発しているような、海上に浮かぶ宇宙港が「おそらく」いくつもできると考えている、と繰り返した。これは、ロケット発射が「かなりうるさい」こと、また混乱を最小限に抑えるために少なくとも「主要都市から20~30マイル(約32〜48キロメートル)」離れたところで発射を行わなければならないことに対処するためだ。このことは、地球を拠点としたポイント・ツー・ポイントの移動にとって重要なことだと同氏は話した。

軌道到達のタイムラインは不明

Starshipに関して次に期待されているのは、何といっても最初の軌道上テスト飛行だ。プロトタイプはすでに(Super Heavy除く)民間旅客機が飛行する高度まで飛んでいるが、地球の大気圏を超えたものはまだない。過去の発言でマスク氏はいつも楽観的なスケジュールを示してきた。例えば2019年9月の最初のStarship情報アップデートで同氏は、6カ月以内に軌道に到達し、2020年中には人を乗せることもできると予想していた。

明白だが、それは実現しなかった。

その代わり、タイムラインは2021年末から2022年1月に、そして現在は3月になる可能性もあるなど絶えず変化しており、マスク氏は実際に軌道テストに成功するいう点に関して「2022年中に軌道に到達すると強く確信している」とだけ発言している。

Starshipアップデートのプレゼンテーションの全容は、下の動画で閲覧できる。

画像クレジット:SpaceX

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

Odys Aviation(旧Craft Aerospace)が「吹き出し翼」を採用するユニークなVTOL旅客機で14.3億円調達

地方の空の旅を一風変わった垂直離着陸航空機で改革しようとしているスタートアップが、社名を変えて1240万ドル(約14億3000万円)の資金を調達した。Craft Aerospaceは今後「Odys Aviation」という名称となり、資金は主に2022年に予定している1人乗りプロトタイプ機のデモ飛行に投じられる。

VTOL機に「吹き出し翼」を採用したその興味深い方式は、この記事に詳しい説明がある。簡単にいうと翼を曲げることで、ローターの推力を下方や後方に細かく調節することができる。過去に試されたことのある方法だが、これほど大規模ではなかった。Odysは、ボックスウィングとハイフラップの組み合わせは、可能であるだけでなく、地方で回数の多い離着陸を繰り返す短距離の航程に他に類似技術のない姿で適していると考えている。

関連記事:Craft Aerospaceの新型旅客輸送用VTOL航空機が持つ可能性

その機体は理論的に乗客9人と操縦士2人を高度9000m、時速555km、最大航続距離1600kmで運ぶ。そのフライトはLA-SF間や東京-大阪間、NY-DC間といった頻繁な行き来に適しているが、もちろん離着陸の場所が必要だ。現在、同社はMojave AirとSpace Portと協働しているが、他からの引き合いもある。

共同創業者でCEOのJames Dorris(ジェームズ・ドリス)氏は「小さな空港との統合は実用性が高い。これまですでに2つのVTOL空港の開発企業と協力して、私たちの機体が離着陸できるように努めており、また米国最大の空港の1つとも話をしています」という。

規制とインフラ次第では、同社の機体は、大規模な空港よりも近くて混雑のない地方空港を利用したり、あるいは都心に近い専用施設を利用するだろう。これもまだ仮説にすぎないが、新しい形の航空事業を志向しているスタートアップはすべて、その構想にVTOLの実用化を織り込み済みのようだ。

現状、Odysはまだサブスケールのプロトタイプをテストしている段階だ。しかし、私が見た動画を同社はまだ公開していない。しかし、テスト飛行は今後の予定に入っている。ドリス氏は「次のサブスケールのプロトタイプも1人用だが、年内にフライトさせる予定だ。本格的なプロトタイプのテスト飛行は2023年の後半になるだろう」という。

もちろん今回の1240万ドルは、これらの実現を後押しするだろう。ただしシードラウンドの性格として、2021年の350万ドル(約4億円)は130万ドル(約1億5000万円)のプレシードと、現在のラウンドの一部へと分割された。という細かなな話はともかくとして、今回の投資家はGiant Ventures、Soma Capital、Countdown Capital、Nikhil Goel(ニヒル・ゴール)氏、そしてKyle Vogt(
カイル・フォークト)氏だ。

画像クレジット:Odys Aviation

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

CruiseとWaymoを追う中国の自律走行車企業AutoXがサンフランシスコでテスト開始へ

米国とお膝元の中国の両方で事業展開する自律走行車企業AutoX(オートエックス)は、最大のライバル企業が商用化に向け忍び寄っているサンフランシスコに進出する。

2016年からサンノゼ広域圏で車両のテストを行ってきたAutoXは、ロボタクシー事業を開始し、サンフランシスコにオペレーションセンターを建設する計画を明らかにした。このセンターでは、車両のハウジング、メンテナンス、充電のほか、車両が現地で収集したデータの処理、センサーのキャリブレーションなどを行う予定だ。Professor Xとも呼ばれる、AutoXのCEOであるJianxiong Xiao(ジアンション・シャオ)博士によると、同社はサンフランシスコのローカルチームを構築するために採用を行っているとのことだ。

AutoXはまず、同社の最新の第5世代AVプラットフォームと冗長ドライブバイワイヤシステムを搭載したハイブリッド車のFiat Chrysler Pacifica(フィアット・クライスラー・パシフィカ)を用いて、人間の安全オペレーターが運転席に乗り込んでのテストを始める予定だ。同社はすでに、カリフォルニア州自動車局(DMV)から、人間の安全オペレーターが乗り込んでの試験が可能な「ドライバー付き試験許可証」と、人間の安全オペレーターなしで試験が可能な「ドライバーレス試験許可証」の両方を取得している。しかし、AutoXのドライバーレス試験許可は第3世代の車両に対するものであり、またエリアがサンノゼに厳しく限定されているため、同社はサンフランシスコの最新システムを使ったドライバーレス試験も行うために、DMVにその許可の拡大をリクエストする必要がある。

Dongfeng Motor(東風汽車)の支援を受けているAutoXは、サンフランシスコでのテストのためにいつドライバーなしにする予定かは明言しなかったが、サンノゼでのドライバーレステストは継続すると述べた。

AutoXは、Cruise(クルーズ)やWaymo(ウェイモ)といった企業が実際に商業運転を開始している中で、サンフランシスコに進出する。Cruise、WaymoどちらもDMVから車両配備の許可を得ており、自律走行車を使った運行で課金することができる。Cruiseはまだ、ロボットタクシーサービスの料金を請求する前に、カリフォルニア州公益事業委員会から最終的な許可を得る必要があるが、General Motors(ゼネラルモーターズ)傘下の同社は、ドライバーレスの配車サービスを一般向けに開始する際に、投資家のソフトバンクから13億5000万ドル(約1564億円)を追加で調達したばかりだ。

DMVが2日に発表した年次離脱報告書によると、Waymoは2021年にカリフォルニア州の公道で230万マイル(約370万キロメートル)の自律走行を行っており、これは競合他社を大きく上回っている。そして、Cruiseが人間のセーフティドライバーの有無にかかわらず、約90万マイル(約144万キロメートル)を走行して2位だった。

同データによると、安全オペレーター付きで約5万マイル(約8万キロメートル)しか走行していないAutoXは、自社車両のドライバーレステストを一切報告していない。とはいえ、AV開発企業は、プライベートコースやクローズドコースで行ったテストを報告する必要はない。

AutoXはカリフォルニア州に車両44台を保有しているとのことだ。DMVのデータによると、2021年にAutoXの自律走行テストに使用されたのは全車両のうちわずか6台だった。同社は、新型コロナウイルス感染症の影響でテストの規模を縮小したことが原因だとしているが、2022年は再び強化する。

また、AutoXは中国でも大規模な事業拡大を図っており、1000台のロボタクシーを広州、上海、北京、深センの各都市に配備しているという。同社はロボタクシーの乗車回数は公表していない。

AutoXは、計算プラットフォームや各種センサーを含むフルスタックハードウェアの自社開発能力を頻繁にアピールしている。このような技術の開発に加え、サンフランシスコでの事業拡大や中国でのロボタクシーの増車などを考えると、相当な額の資金が必要になる。

同社が最後に公に発表した資金調達は2019年のシリーズAで、この投資によりAutoXの総調達額は1億6000万ドル(約185億円)となった。参考までに、AutoXの中国における競合他社のほぼすべてが2021年に資金調達を行っている。Momenta(モメンタ)は12億ドル(約1390億円)、Pony.ai(ポニーエーアイ)は11億ドル(約1274億円)を調達し、WeRide(ウィーライド)は5カ月の間に6億ドル(695億円)超を、比較的若い企業のDeeproute.ai(ディープルートエーアイ)は2021年9月時点で3億5千万ドル(約405億円)を調達している。

AutoXがなぜ少ない資金でこれだけの事業を行えるのかという疑問に対して、シャオ氏はTechCrunchに、確かに今後数カ月のうちに資金を調達しようとしているが、これまでの投資家からの支援に加え、ロボタクシーサービスに対する中国の巨大市場に頼っていると語った。

画像クレジット:AutoX

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nariko Mizoguchi

ツイッターが2月12日午前2時すぎからダウン、現在は復旧済み

Twitterの翼が切り取られたようだ。Downdetectorに寄せられたユーザーの報告によると、Twitterは日本時間2月12日午前2時15分(米国東部標準時時間2月11日午後12時15分)ごろからダウンしていた。少なくとも45分間は停止しており、一部のユーザーはより多くの問題を抱えているようだ。

この障害はウェブとモバイルアプリの両方に影響を与えているが、Downdetectorによると、より多くのユーザーがウェブの問題を報告しているという。

TechCrunchはTwitterに、障害の原因やその影響がどの程度広がっているかについてのコメントを求めている。

この障害が最初に報告されてから約1時間後、Twitterサポートは以下の声明を発表しており、現在は復旧しているようだ。

タイムラインの読み込みやツイートの投稿を妨げていた技術的なバグを修正しました。現在、正常に動作しています。お待たせして申し訳ありませんでした。

画像クレジット:Bryce Durbin / TechCrunch

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(文:Amanda Silberling、翻訳:Katsuyuki Yasui)

【コラム】ソーシャルメディアは科学と「根本的に対立」している可能性がある

米国時間2月11日に発行されたScience(サイエンス)に掲載された特別論説が、現在の形式のソーシャルメディアは、事実や道理を提示したり広めたりする目的には根本的に適していないのではないかと論じている。論説は、現在はアルゴリズムが主導権を握っており、システムの優先順位は残念ながら逆になっていると主張している。

ウィスコンシン大学マディソン校のDominique Brossard(ドミニク・ブロサール)氏とDietram Scheufele(ディートラム・ショイフル)氏は、その鋭い(そして無料で読むことができる)意見の中で、科学者が必要とするものとソーシャルメディアプラットフォームが提供するものとの間の基本的な断絶について説得力のある説明を行っている。

彼らは「科学的な議論のルールや、証拠の体系的、客観的、透明な評価は、ほとんどのオンライン空間における議論の実態と根本的に対立している」と述べる。「ユーザーの怒りや意見の相違を収益化するように設計されたソーシャルメディアプラットフォームを、懐疑的な人々を説得するために用いる(たとえば気候変動やワクチンは確立した科学領域では議論の余地はないということ)ことが、生産的な手段であるかどうかには疑問が残る」。

科学者によるコミュニケーションの効果を減少させるソーシャルメディアの最も基本的な特性は、広汎な分類ならびに推奨エンジンの存在だ。これにより、ブロサール氏とショイフル氏が「homophilic self-sorting(同一傾向自己分類)」と呼ぶものが生みだされる。つまり、あるコンテンツを見せられる人は、すでにそのコンテンツに馴染んでいる人なのだ。言い換えるなら、彼らは聖歌隊に向かって説教しているのだ。

「科学に好意的で好奇心旺盛なフォロワーを、科学者のTwitter(ツイッター)フィードやYouTube(ユーチューブ)チャンネルに連れてくるのと同じ営利目的のアルゴリズムツールが、一方では最も緊急に科学を必要としている人たちから、科学者をますます遠ざけることになるだろう」と彼らは書いている。ここには、明らかな解決策は存在しない「その原因は、科学情報のエコロジーにおけるパワーバランスの地殻変動にある。ソーシャルメディアプラットフォームとその基盤となるアルゴリズムは、急速に拡大する情報の流れをふるいにかけようとする受け手の能力を上回り、その過程で感情的・認知的な弱点を利用するようにデザインされている。このような事態になっても不思議はない」。

Scienceの編集長であるH. Holden Thorp(H・ホールデン・ソープ)氏はいう「だがそれはFacebook(フェイスブック)にとって収益化の良い手段なのです」。

このテーマで論説も書いているソープ氏は、私に対して、最近の科学者とソーシャルメディアの関わり方には、少なくとも2つの明確な問題があると話してくれた。

「その1つは、特にTwitterでは、科学者たちがそれを使って、詳しく議論したり、アイデアを公然と広めたり、支持したり、撃墜したりするのが好きだということです。これらはかつて、科学者たちが黒板を囲んだり、会議をしている時にやっていたことです」と彼はいう。「こうしたことはパンデミック以前から行われていましたが、今ではそのようなやりとりが行われる主要な手段となっています。その問題点は、もちろん、今や永久的な記録が残るようになっているということです。そして、通常の科学の検討過程では当然破棄されるような、一度は提出されたものの間違っていることが判明した仮説のいくつかが、私たちのやっていることを台無しにしようとしている人々によって選ばれてしまうのです」。

そして「2つ目は、素朴すぎるアルゴリズムです。特にFacebookのアルゴリズムは、意見の相違や意見の相違を広める非公式な投稿に非常に高い評価を与えています。たとえば『私の叔父はマスクをして教会に行ったが、新型コロナウイルスに感染した』というような情報も、拡散すれば権威ある情報に勝るものとして扱われることになるでしょう」と彼は続けた。

ブロサール氏とショイフル氏が指摘するように、このような状況が重なると、科学者は「明らかに不利な立場に置かれる【略】わかりやすい結論よりも、専門的な規範や倫理的立場から信頼性のある累積的な証拠を優先する、公開討論における少数派のようなものだ」。

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残念ながら、科学的な面では誰もができることではない。間違いなく、システムに参加すればするほど、自分の周りのサイロを強化することになる。私たちはあきらめるべきだと主張する者はいないものの、問題は科学コミュニティが、ソーシャルメディア上で偽情報の行商人たちよりも発信力が弱いことだけではないということを認識する必要がある。

ソープ氏は、これは数十年前から続く反事実主義的な傾向と政治化の最新局面に過ぎないと認めていいる。

「人々は、これが非常に単純なことであることを認識せずに、少し感情的になっている傾向があると思います。たとえば政党は同じ立場を取ることはないでしょう、すると片方が科学的に厳格な場合、もう1つは科学に反する立場をとることになります」と彼は説明する。彼は、民主党が科学の側に立つことが多いのは確かだが、遺伝子組み換え作物や原子力では反対側に立ったこともあると指摘した。重要なのは、誰が何に賛成しているかではなく、2つの政党が反対の意見を唱えることで自らを定義していることだ。

「これは、科学に賛成するよりも、科学に反対する方が政治的に有利だということに気づいた政党の振る舞いなのです」と彼はいう。「なので科学者がただ『メッセージが伝わらない』と言っているのは呑気な態度なのです、彼らが直面しているのは、今やFacebookの力を背景にした政治マシーンなのですから」。

ブロサール氏とショイフル氏は、最後の論点として、Deep Blue(ディープ・ブルー)によるGarry Kasparov(ガルリ・カスパロフ)氏の敗北を示した。その敗北後、スーパーコンピュータを出し抜くための特別なトレーニングを追求するひとはおらず、カスパロフ氏のプレイが不十分だと非難するひともいなかった。そのショックが去った後、我々はチェスだけでなく、コンピューティングとアルゴリズムの可能性においても新しい局面を迎えたことは誰の目にも明らかだった(少し前に、カスパロフ氏自身も私に対して、その見解が進化したことを語ってくれた)。

「科学者にも同じ理解が求められている」と彼らは書いている。「公共の場における議論に、事実と証拠を用いた情報を持ち込む新しい時代であり、良い方向に変化しているものもあるのだ」。

画像クレジット:erhui1979 / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:sako)

健康・長寿分野の数多いスタートアップの1つ、bioniqが高度にパーソナライズされたサプリメントを発売

TechCrunchでは2021年、人間の健康と長寿を増進するサプリメントを研究し、1300万ドル(約15億円)を調達したLongevica(ロンジェヴィカ)という会社を取り上げた。また、1200万ドル(約13億9000万円)を調達して後にBayer(バイエル)に買収されたcare/of(ケアオブ)や、Nestle(ネスレ)に買収されたPersona(ペルソナ)などのイグジットを果たした企業もある。また、英国のスタートアップ企業であるHeights(ハイツ)は、クラウドファンディング・プラットフォームのSeedrs(シーダーズ)を通じて170万ポンド(約2億7000万円)のシード資金を調達した

これらは、デジタルヘルス、ウェルネス、長寿のスタートアップ分野で起こっているブームのほんの一例に過ぎない。

今回、ロンドンを拠点とするbioniq(バイオニック)は、OKS Group(OKSグループ)とMedsi Group(メディシ・グループ)から1500万ドル(約17億4000万円)のベンチャー資金を調達し「300万の独自の生化学的データポイントによるパーソナライズされたサプリメント製品」である「bioniq GO」を発売すると発表した。

bioniqによると、月額49ポンド(約7700円)のbioniq GOという製品は、3万人以上の患者の5万回を超える血液検査と25の医学出版物のデータを活用することで、市場に出回っている同様の製品と比べて20万倍も高いレベルのパーソナライゼーションが可能になったという。

このトレンドの意味するところは、bioniqやLongevicaのようなスタートアップ企業が、いわゆる「年齢より若く見える」化学物質に関するビッグデータを利用して、ウェルネスや長寿の領域に参入し始めているということだ。

bioniqによると、bioniq GOには最大34種類の成分が含まれており、その組み合わせは1000万通りにも及ぶという。そのすべてが安全かつ高効率であることが臨床的に証明されていると、同社は主張している。

bioniqのCEO兼共同設立者であるVadim Fedotov(ヴァディム・フェドートフ)氏は、次のように述べている。「bioniqでは、医療の未来はデータの集約と健康モニタリングのデジタル化にあると考え、無病の人々のためのユニークなツールを作り出しています。bioniq GOの発売によって、私たちは血液検査を行わないサプリメントとしては業界最高レベルのパーソナライゼーションを提供することを目指しています。そして新しい血液サンプルを得るたびに、当社のシステムは改善され、より効果的になり、bioniq GOの処方はさらに効率的になっていくのです」。

bioniqのCEO兼共同設立者ヴァディム・フェドートフ氏(画像クレジット:bioniq)

bioniqという会社は、元ドイツ代表のバスケットボール選手であるフェドートフ氏と、かつてスイスでプロスポーツ選手の認知機能と身体機能を向上させるシステムを開発した脳神経外科医のKonstantin Karuzin(コンスタンチン・カルジン)博士によって設立された。

2022年初め、bioniqはミュンヘン工科大学からスピンオフした科学企業であるLOEWI(レーヴィ)の買収を発表した。LOEWIは、個人の血液検査とライフスタイルに基づくテーラーメイドの栄養素を提供している。

多くのスタートアップ企業が、このような個人に合わせた健康とウェルネスに対する新しいアプローチに取り組んでいることは明らかだ。今後はさらに多くの企業や製品が登場することが予想される。

画像クレジット:

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

リモートワーク用ネットワーキングツールtwine、ビデオチャット内で参加者をマッチングさせるプラットフォームGlimpseを買収

バーチャルイベントやリモートチーム向けのネットワーキングツールを提供するtwine(トゥワイン)は、まもなくZoomにそのサービスを提供する予定だ。これは、バーチャルイベント向けに設計された「スピードマッチング」プラットフォームを開発していたY Combinator(Yコンビネーター)が支援するスタートアップGlimpse(グリンプス)の買収のおかげだ。Glimpseのアイデアは、現実世界のイベントで一般的に行われているつながりを促進する方法を提供することであり、AIを使ってビデオチャット内で参加者をマッチングさせることで、それをオンラインに持ち込むことであった。最近、Glimpseは、イベント主催者がZoomミーティング、ウェビナー、イベントにスピードネットワーキングを追加できるようにするための新しい統合をテストしていた。

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この統合は、Glimpseと他の数社が早期にアクセスすることができたZoomの新しい「ブレイクアウトルーム」APIによって実現された。両社は、リモートで人をつなぐという同じような分野で仕事をしていたが、GlimpseのZoomとの統合は、製品開発の面でtwineをリードしていた。さらに、twineの共同創業者兼CEOのLawrence Coburn(ローレンス・コバーン)氏は、自社がGlimpseに取引を奪われたこともあったと認めている。

今回の買収で、Glimpseの技術は、より幅広いZoomユーザーへの展開計画も含め、twineの顧客ベースに利用できるようになる。

Zoomの新しいブレイクアウトルームAPIを使って作られたアプリは、今後数週間のうちに、Zoomクライアントの中で動作するように設計された、または他の方法でその機能を拡張するために設計された数十のアプリを収容している同社のアプリストアZoom App Marketplaceに追加される予定だ。近日発売予定の「twine for Zoom」もその1つで、マッチングツールやネットワーキング、バーチャルウォータークーラーツールを利用できるようになる。これはバーチャルイベントだけでなく、社内交流会や全体会議、新入社員の受け入れ、コミュニティのミートアップなど、他のタイプのミーティングにも利用することが可能だ。

「私たちは長い間、Glimpseのチームと製品を賞賛してきました。彼らとチームを組むことに興奮しています」と、コバーン氏は述べている。「彼らがZoomのエコシステムの中で作り上げたものは、リモートチームやバーチャルイベントに画期的なインパクトを与えるものであり、まさに驚くべきものです」。

Glimpseは比較的若い会社で、売上も少ないが、顧客は150社に増え、さらに700社の企業が同社のプラットフォームの利用を希望しているとのことだった。顧客は、EdTech企業、VC、企業顧客など多岐にわたる。Amazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、eBay(イーベイ)などの大企業に利用されている。

「Glimpseは、Zoom App Marketplaceを活用して顧客体験を向上させた、非常に革新的な企業の好例です」と、Zoom Apps & IntegrationsのプロダクトリードであるRoss Mayfield(ロス・メイフィールド)氏は述べ「Twineチームがtwine for Zoomを市場に投入するのを楽しみにしています」と、加えた。

Glimpseは、スタートアップアクセラレーターであるY Combinatorの2020年冬バッチに参加し、YCとMaven Ventures(メイブン・ベンチャーズ)の両方からシードステージの投資を受けていた。共同創業者のHelena Merk(ヘレナ・メルク)氏とBrian Li(ブライアン・リ)氏は、移行期間中もtwineに対応できるようにリテーナーとして残る予定だ。しかし、3人の従業員からなるチームは、現在16人のフルタイム従業員を抱えるtwineに加わることになる。両社ともまだ初期の会社であることから、これは小さなエグジットであるため、買収条件は公開されていない。ただし、私たちは、7桁台(数億円)のオールストックディールであると理解している。

画像クレジット:Twine

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(文:Sarah Perez、翻訳:Yuta Kaminishi)

AIを活用した製薬会社向け商業インサイトプラットフォームのODAIAが約16億円を調達

トロントに拠点を置く、AIを活用した製薬会社向け商業インサイトプラットフォームのODAIA(オダイア)は、Flint Capital(フリント・キャピタル)が主導するシリーズA資金調達で1380万ドル(約16億円)を調達した。このプラットフォームは、データ分析、プロセスマイニング、AIを組み合わせ、製薬およびライフサイエンスの商業チームに予測分析を提供するものだ。この資金調達ラウンドは、同社が過去1年間でチームの規模を倍増させたことを受けて行われた。

このスタートアップは、製薬会社のコマーシャルチームが彼らの処方者について何を知る必要があるか判断するのを手助けし、最適なチャネルを通じて正しいメッセージを伝え、最終的には、治療薬を必要とする患者に届けることができるようにすることを目的としている。同社は、プロセスマイニング、カスタマージャーニーマッピング、AIの分野における長年の研究開発の後、2018年にトロント大学で設立された。

「初期の研究作業のいくつかは、ペイシェントジャーニーを分析し、AIと機械学習を使ってそれらのジャーニーを最適化することを中心としていました」とODAIA共同創設者兼CEOのPhilip Poulidis(フィリップ・プーリディス)氏は、電子メールでTechCrunchに語った。「それは、処方者の取引、匿名化された患者の医療請求データ、人口統計学的および社会経済学的データ、匿名化されたラボデータなど、多くの異なるが関連するデータソースの分析を含むために、時間をかけて進化しました。MAPTUALは、上記のデータセットを分析し、予測的洞察を提供するSaaSプラットフォームで、標的治療薬の理想的な候補となる患者を治療している医師の優先順位付けと動的なセグメント化を行うもので、こうした研究・技術開発の積み重ねが、MAPTUALの誕生につながったのです」と述べる。

米国時間2月10日に発表された資金調達ラウンドには、Innospark Ventures(イノスパーク・ベンチャーズ)、Alumni Ventures(アルミナイ・ベンチャーズ)、Graphite Ventures(グラファイト・ベンチャーズ)の他、BDC Capital(BDCキャピタル)、MaRS IAF(マーズIAF)、StandUp Ventures(スタンドアップ・ベンチャーズ)、Panache Ventures(パナッシュ・ベンチャーズ)などODAIAの現在の投資家が参加している。同社によると、新たな資金調達は、プラットフォームの機能強化や、市場拡大をサポートするための営業、マーケティング、カスタマーサクセスチームの拡充に充てられるという。

画像クレジット:ODAIA

プーリディス氏は「今回の資金調達により、製品およびソフトウェアエンジニアリングチームの拡大、商業チームの拡大、プラットフォーム統合パートナーシップの拡大により、製品ロードマップの開発を加速させます」と述べている。

同社は、パンデミックによって顧客向け医薬品ビジネスが変化し、現在はDXが主な優先事項であると述べている。将来についてプーリディス氏は、同スタートアップの目標は、ライフサイエンスデータの多変量データ解析と予測的洞察を1つのプラットフォームで提供することであると述べている。このプラットフォームには、ライフサイエンス企業が処方者とペイシェント・ジャーニーをよりよく理解し、データとAIを活用してリアルタイムに対応できるような機能と能力が含まれると概説した。

同社のシリーズAラウンドは、2019年に発表された160万ドル(約1億8600万円)のシード投資に続くものだ。このラウンドは、Panache VenturesとStandUp Venturesが共同主導し、BDC CapitalのWomen in Technology Venture Fund(ウーマン・イン・テクノロジー・ベンチャー・ファンド)、Inovia Capital(イノヴィア・キャピタル)、MaRS IAFが参加した。この投資家グループは、Toronto Innovation Acceleration Partners(トロント・イノベーション・アクセレーション・パートナー)、トロント大学のUTEST(ユーテスト)、N49P、Ontario Centres of Excellence(オンタリオ・センター・オブ・エクセレンス、OCE)、Autonomic.ai(オートノミック・ドット・エーアイ、Fordが買収)の共同創業者であるAmar Varma(アマール・ヴァルマ)氏などのプレシード投資家に参加した。

画像クレジット:ODAIA

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(文:Aisha Malik、翻訳:Akihito Mizukoshi)

暗号資産取引やフィンテック企業で起こる不正を独自のアルゴリズムで見つけるSardine

暗号資産やフィンテックの世界では、詐欺の検出が今や人気のビジネスとなっている。特に暗号資産は最近、注目を浴びる大規模な事件があり、このエコシステムの住人である企業はこぞって、コンプライアンス能力を高め、規制の熱湯を浴びないよう心がけている。

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フィンテック企業のためのコンプライアンスプラットフォームSardineは、主にネオバンクやNFTのマーケットプレイス、暗号資産取引所、そして暗号資産の新進スタートアップたちに利用されている。同社の50ほどの顧客の中にはBexやFTX、Luno、 Moonpayなどがいる。

CEOで共同創業者のSoups Ranjan(スープ・ランジャン)氏は、TechCrunchのインタビューで「私たちの顧客全員が求めるユースケースは要するに、お金がウォレットにロードされるときに詐欺を防ぎたいということです」という。

SardineのCEOで共同創業者スープ・ランジャン氏(画像クレジット:Sardine)

顧客がマネーをクレジットカードやデビットカードやACH送金などから自分のウォレットに移すとき、Sardineは独自のアルゴリズムを使ってそのカードや銀行口座にリスクスコアを割り当て、そのトランザクションの詐欺被害可能性を評価する。リスクスコアと詐欺検出という2つの機能を同社は長年提供しているが、米国時間2月10日、同社は、即時ACH送金というサービスを発表した。それを利用すると顧客は、これまでのような、自分の資金にアクセスするための3〜7日の待ち時間を回避することができる。Sardineの方法では、消費者の暗号資産による購入に対し事前に資金をロードしておき、待ち時間に起きる詐欺や規制やコンプライアンスのリスクを避ける。

Sardineは2021年3月に450万ドル(約5億2000万円)のシード資金を調達し、今回はAndreessen Horowitz(a16z)や NYCA、Experianなど新しい投資家からの1950万ドル(約22億6000万円)のシリーズAを調達したことを発表した。これまでの投資家も、このラウンドに参加した。ランジャン氏によるとラウンドをリードしたのはa16zとのこと。

ランジャン氏はこれまで、Coinbaseのデータサイエンスとリスクのディレクターや、Revolutの暗号資産部門のトップを務めた。彼によるとSardineのリスク評価アルゴリズムは、ユーザーの行為がそのベースだ。そのアルゴリズムは例えば詐欺の可能性として、名前のような基本的な入力でいろいろなウィンドウを切り替えるなど、分割されたタイピングを検出する。また、ユーザーのスマートフォンの加速度計やジャイロスコープのデータや、ネットワークトラフィックに関する情報などからも、詐欺の脅威を評価する。

Sardineは警察のツールではなく詐欺の検出が仕事なので、いろいろな規制の地域による政治による違いは重視しない。クライアントは世界中にいて、日本やロシアなどの企業の米国進出を手伝ったこともあるとランジャン氏いう。そして同社の技術者は、世界中のすべての標準時間帯に配置されているそうだ。

「詐欺はグローバルなものです。詐欺師の行動には共通したパターンがあります。お金をカナダで盗むか、米国か日本かといった違いは無関係です」とのこと。

今回の資金調達で得た資金は、近い将来、少なくとも30人の従業員を雇用するために使われる予定だとランジャン氏はいう。技術チームの増強に加えて、成長、マーケティング、法務の各チームを率いる幹部も募集している。

ランジャン氏は「新世代のフィンテック起業家はすばらしいアイデアの持ち主たちですが、外国の複雑なコンプライアンスの処理には疎い」という。

「私たちは彼らの詐欺対策やコンプライアンス処理を助けて、彼ら自身がそこで悩まないようにします。彼らには、プロダクトの構築と立ち上げと市場化対策に専念してほしい」。

画像クレジット:RamCreativ

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Hiroshi Iwatani)