Instagramはクリエイターやインフルエンサーによる直売を可能に

Instagram(インスタグラム)では今、マネタイズ(収益化)が最大のテーマとなっている。米国時間4月30日、FacebookはF8デベロッパーカンファレンスで、その最新の成果を発表した。Instagramでは、クリエイターが商品にタグを付けることで、投稿やストーリーを見た人に直接販売することができるようになるという。

今のところこの機能は、Instagramが米国内で試行している新たなチェックアウトのベータプログラムに参加しているビジネスアカウントによってタグ付けされた商品でのみ有効だ。

このような機能は、このところInstagramが商取引に注力しようとしている大きな流れの一環だ。これまでにも見られた、消費者至上主義を擁護し、インフルエンサーがInstagramの何十億ものユーザーに働きかける環境を整える、といった流れを大きく発展させるものだ。

Instagramはまた、ストーリーに寄付ステッカーを追加することも明言した。これは、TechCrunchが数カ月前に報じたことが現実となったもの。

クリエイターやインフルエンサーがタグを付けられるようになるのは、商品へのタグ付けという観点からすれば大きな進展となる。これまでは企業やブランドのアカウントにのみ可能で、個人には許されていなかったからだ。

ただし、現時点での目的は、クリエイターがそうした商品の売上に対して手数料を受け取れるようにすることではないようだ。Facebookは「現時点では」投稿を見た人がリンクをクリックして実際に買い物をしても、投稿したクリエーターがその分け前を得ることはないとしている。これは、やがてはそうなるという意味かもしれない。

むしろ重要なのは、クリエイターが身に着けているのは何か、それはどこで売っているのか、といったような質問が何度も繰り返されるのを防ぐことだという。「すでにコメントやダイレクトメッセージを使って商品について質問をすることで、クリエイターから買い物をしている人たちもいます」と、広報担当者は説明する。「商品にタグを付けることで、クリエーターは自分のフォロワーが欲しがっている情報を提供できるようになります。それによって、自分を表現したり、考えていることを共有することに集中できるのです。それは結局フォロワーにとっても良いことなのです」。

とはいえ、もちろんInstagramにも抜かりはない。広報担当者によれば、クリエイターには、エンゲージメントや買い物についてのインサイトなど、ショッピング投稿に関する詳しい情報を提供することになるという。インフルエンサーとしての地位によって生計を立てているような人にとって、ブランドとの報酬の交渉を有利に進める上で、こうした情報は長期的に役立つものとなるはずだ。

Instagramは、最初は少数のクリエーターで、数週間テストすることにしている。例えば、Gigi HadidKim Kardashian WestKris JennerKylie JennerLeesa Angelique(@saytheleesの運営者)といったアカウントが対象となる。

「私の仕事は、美しさの秘密とコツを共有することです」と、彼女は新機能について語った。「私はこれまで、使っている新製品について長々と詳しい説明を書いていました。このツールがあれば、私が身に着けているものについて、どこで買ったのかということから細かなことまで、本当に簡単にみなさんに知らせることができるようになります」。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アップルの2019年1〜3月期決算で予測を上回り株価5%アップ

米国時間4月30日、アップルは会計2019年度第2四半期(1〜3月)の決算を報告し、売上は対前四半期5%減の580億ドル、希釈後1株あたり利益は10%減の2.46ドルだった。海外売上が四半期売上全体の61%を占めた。

市場は好意的に受け止めたようだ。アップル株は決算発表後に10ドル跳ね上がり、昨年8月以来目指している時価総額1兆ドルに迫ってきた。

決算はアップルが前期の決算会見で示したガイダンスとも一致している。去る1月、同社は第2四半期のガイダンスで、売上550〜590億ドル、利益率37〜38%、事業経費85〜86億ドル、その他売上3億ドルと予測していた。

リリース文で、iPhoneの売上台数を公表しなかったが、これは圧力を受けてきたことだ。CEOのTim Cook(ティム・クック)氏は、代わりに同社の他事業の取り組みに焦点を絞ろうとした。「3月期の結果は14億台以上のアクティブ端末を抱える当社のインストール基盤の強みを表すものであり、サービス事業は最高記録を達成し、ウェアブル、ホーム、アクセサリー分野も好調で、3月期の新記録を樹立した」とクック氏はリリースで語った。「iPadは過去6年で最高の成長を記録し、あとに控える革新的なハードウェア、ソフトウェア、サービスについても今まで以上に期待している。来る6月のアップルの第30回となるWorldwide Developers Conferenceで、デベロッパーやユーザーに新情報を届けることを楽しみにしている」

アップルは苦しい2018年を過ごし、最終四半期にはiPhoneの売上が前年より15%下落した。中国の需要停滞が一因だった。中国の売上全体でも2017年末から2018年末にかけて27%も急落し、2017年第4四半期の売上180億ドル(同社の四半期総売上の20%)が132億ドル(同16%)になった。

アップルは中国市場の消費者需要の伸び悩みを原因としているが、この国を諦めるわけにはいかない。今月同社は、需要を喚起すべくiPhone、iPadをはじめとする製品ラインの中国での価格を最大6%引き下げたと国営報道機関、Xinhuaが伝えた。これは中国政府が付加価値税を16%から13%に引き下げたことが直接の理由だ。

ハードウェアでは誰もが苦戦している。昨日TechCrunchが報じたようにAlphabetのQ1決算はウォール街の期待を下回り、主な原因は広告収入の不振だったが、世界的なスマートフォン市場の停滞も一因であり、これが事実上あらゆる会社に影響を与えている。CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は同社のスマートフォン製品について「前年以上の向かい風」を受けていると説明した。

実際、大方の予想通りハードウェアは第2四半期のアップルにとって悲喜こもごもの結果だった。一方同社はサービス事業に大きく注力している。約1ヶ月前、同社はゴールドマン・サックスおよびマスターカードと提携して、iPhoneのウォレットアプリで使うために作られたクレジットカードを発表した。さらに同社は、 ストリーミングサービスApple TV+を発表した。今秋開始予定の同サービスは広告のない定期購入形式で提供される。

昨年アップルは、会計2018年第4四半期はiPhoneの詳細データを報告する最後の四半期になると発表した。これは現行および将来の株主たちを苛立たせた可能性がある。

著名なベンチャーキャピタリスト、Bill Gurley氏は今日一連のツイートで次のように語っている。「巨大企業がセグメント情報を開示せずに済まさられるのかどうか注目に値する。AWSは長年詳細が公表されなった。検索とYouTubeの売上を合算することはGoogleにとって意味がなく、会社を理解しようとしている投資家に対して実に不親切だ。もっと小さな企業は監査人やSECからセグメント分析結果を提出するよう再三言求められているいるのに、YouTubeのように巨大なセグメント(〜200億ドル)を抱えるGoogleのような巨大企業が同じ基準に従わないことは、極めて不公正に感じる」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

獣医の自殺が増えている動物病院を抜本的に考え直すサービス

ミレニアル世代は結婚や子どもに背を向け、ペットを飼う方を選ぶから、多様なペット産業が栄えている。

Small Doorもそんな企業のひとつだ。同社は350万ドルのシード資金を獲得して、動物病院というものを根本から考え直そうとしている。この投資は、Hippeau VenturesとPrimary Venture Partnersがリードし、Brand Foundry Ventures、Flatiron Healthの共同ファウンダーのNat Turner氏とZach Weinberg氏、Warby Parkerの共同ファウンダーのDave Gilboa氏、そしてNeil Blumenthal氏らが参加した。

Small Doorは会員制で、人間のプライマリケアサービスのOneMedicalに似ている。同社は会員に、年に数回の健康診断や、専門家への優先アクセス、またプランによっては獣医への仮想アクセスを提供する。

会員制で収益を確保することによって、同社は獣医が各患者に十分な時間を取れるようにし、それと同時に、待合室での待ち時間を短縮する。

さらに、Small DoorはPublic Benefit Corporation(公共利益企業)として登記しているので、株主や投資家と並んで獣医とペットがメインのステークホルダー(利益分有権利者)だ。今、増加する獣医の自殺が問題になっている。借金が増えたり、同情疲労に陥ったり、難しい診療以上に飼い主が難しい相手だったりして、めげてしまうのだ。

そこでSmall Doorは、株主だけでなく獣医の成功と幸福にも投資するビジネスを構築しようとした。同社は今回の資金でチームとプロダクトの強化を目指している。また、初めての直営クリニックをニューヨークに開く計画だ(上図は、そのクリニックの3D画像だ)

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップルは2期連続の減収減益、iPhone売上大幅減でサービス強化打ち出す

現在のアップルのトップページ。お得感を打ち出すメッセージをトップページに出すのは、これまでの同社で見られなかった戦略だ。それだけiPhoneの需要が低下していることを示している

アップルは米国時間4月30日、2019年1〜3月期の業績を発表した。報告書のタイトルは「サービス収入が史上最高の1150億ドルに達する」としているように、iPhoneなどのハードウェアの売り上げは落ち込んだが、サービスやソフトウェアの収入が増えたことをアピールする内容だった。

売上高は、前年同期比5%減の580億1500万ドル(約6兆4630億円)のの減収で、内訳は製品465億6500万ドル(約5兆1890億円)、サービスが114億5000万ドル(約1兆2760億円)。純利益は、前年同期16%減の115億6100万(約1兆2880億円)ドルで2四半期連続の減益だ。iPhoneの販売不振が続いたことが主な原因と考えられる。

製品別の売上高は、iPhoneが310億5100万ドル(約3兆4600億円)と前年同期17%減、Apple Watchなどのウェアラブル端末などは30%増、iPadも22%増、Macは5%減となった。アプリ販売や音楽配信などのサービス部門は114億5000万ドル(約1兆2760億円)で16%増と、四半期ベースで過去最高を更新している。Apple Watch系は堅調な伸びを示しており、iPadは新モデルの投入により売上を伸ばしたと考えられる。

地域別の売上高は、北米と日本は依然好調で、それぞれ255億9600万ドル(約2兆8513億円)で前年同期3%増、55億3200万ドル(約6162億円)で前年同期1%増とプラスを維持したが、グレートチャイナ(中国や台湾など中華圏)では102億1800万ドル(約1兆1382億円)で前年同期22%減、中国・台湾を除くアジア地域が36億1500万ドル(約4027億円)で8.6%減、欧州も130億5400万ドル(約1兆4542億円)で21.5%減となった。

iPhone売り上げの大幅減は市場の予想どおりだが、純利益がアナリストの予想より伸びたことや自社株買いの効果などにより同社の株価は上昇した。iPhoneが売れないのでアップルの株価が下がるという現象は、もはや底を打ったのかもしれない。

iPhoneの買い換えサイクルが長期化する中、iPhoneの売り上げが落ちるのはいわば当たり前。ハードウェアのテクノロジーではここ数年、ファーウェイやサムスンの二番煎じになっている現状を考えると、ハードウェア依存から脱却するいいタイミングかもしれない。

決算の数字から想像すると、先日の発表会で北米や英語圏を中心とするサービスの発表が目立つ印象だったのは、大幅なテコ入れが必要だが、もはやテコ入れしても改善しない確率が高い中華圏よりも、堅調な北米の業績を維持・伸長させる戦略を採ったからだろう。

個人的に気になるのは、今後アップルがライバルひしめくアジアでどう戦っていくか。日本はかろうじて1%増の売上となったが、ほかの地域に比べると金額が1桁少ない。日本を中国・台湾を除くアジア地域に入れてしまうと2.9%減の減収だ。日本を除くアジア全体でiPhoneの需要が急速にしぼんでいる現状で、他言語に比べてローカライズやカルチャライズの手間のかかる日本向けのサービスをどれだけ充実させていく気があるのだろうか。日本国内も4月1日〜7日のBCNの売上ランキングでファーウェイ端末が1位になるなど、決してiPhoneが盤石なわけではない。

Oculusが「法人向け」を強化、「Quest」の提供とデバイス設定・管理のツールを発表

米国時間4月30日、サンノゼのマッケナリー・コンベンション・センターで開催された、Facebookのデベロッパー向けカンファレンス、「F8 2019」。

VRヘッドセットの「Oculus Quest」と「Oculus Rift S」が5月21日に発売開始されるとマーク・ザッカーバーグ氏により発表され、会場は大盛り上がりだった。コンシューマー向けのゲームももちろん魅力的だけれど、ビジネス向けのOculusに関する新発表も興味深いものだ。

F8で開催されたセッションでは、FacebookのEnterprise Ecosystem担当のIsabel Tewes氏とEnterprise PMのAndrew Mo氏が、Oculusのビジネス向けサービス「Oculus for Business」のOculus Questが追加された新バージョンを今秋より提供開始すると発表した。

「VRヘッドセットは従業員のトレーニングを『効率化し効果的にする』ためのツール」(Tewes氏)

Enterprise Ecosystem担当のIsabel Tewes氏

「どのようなツールが我々(の業務)をより効率化し効果的にするのか。テクノロジーは急速に、職場の『あり方』を変貌させる。ツールは常に進化していていて、過去に発明されたツールは私たちにとって必要不可欠なものとなった。VRもそのようなツールになるだろう」(Tewes氏)

Tewes氏はそう話し、実際に仕事の現場でどのようにVRが活用されているのか、説明を始めた。

1つの例がウォルマート。アメリカだけで100万人もの従業員を抱えるウォルマートは、従業員にVRトレーニングを提供している。内容は、買い物客が殺到する「ブラックフライデー」を含む、「どのような状況」でもフレンドリーな接客を提供するために必要なスキルを磨くためのシミュレーション。ウォルマートはVRによる教育訓練を提供するSTRIVRと手を組みVRトレーニングを提供している。

STRIVR / Walmart

ウォルマートとSTRIVRは昨年に実証実験を開始。200箇所で12種のトレーニングシミュレーションを試みた。「効果的だ」と認められ、2018年の終わりには17000台のOculus Goを全米の4700店舗に導入。今では50ほどのトレーニングプログラムが用意され、2019年中には100万人もの従業員がVRヘッドセットを活用したトレーニングを受ける予定だ。

STRIVRの調査によると、従来の従業員トレーニングと比較し、VRを活用した場合は、訓練にかかる時間が40%削減、そして70%の従業員が従来のトレーニングを受けたスタッフと比べ高いパフォーマンスを発揮した、とTewes氏は説明する。

また、Tewes氏は、ジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュートとのパートナーシップも併せて発表した。医療従事者に対してトレーニング機会を提供するジョンソン・エンド・ジョンソン インスティテュートは今秋よりOculus Questを使ったトレーニングの提供を開始。VR手術トレーニングシステムのOsso VRとの実証実験という形でのスタートとなる。

Osso VR

Osso VRの調査によると、従来の従業員トレーニングと比較し、VRを活用した場合は、パフォーマンスが230%向上する、とTewes氏は述べた。

また、Osso VRの別の調査では、膝の手術のシミュレーションにおいて、従来の訓練を受けていた生徒はアドバイスを求めながら11分39秒、VRでの訓練を受けていた生徒は6分29秒で全てのプロセスを完了したという。

Oculus for Businessを通じ従業員にVRトレーニングを提供している企業(一部)は以下の通り。

関わっているデベロッパー(一部)は以下の通り。

「トラック1台分のOculus Questが届いて、そのセットアップを担当する羽目になった自分の姿を想像してみてほしい」(Mo氏)

Enterprise PMのAndrew Mo氏

Mo氏は「大企業にも対応が可能な」デバイスのセットアップとマネージメントのためのソフトウェアツールを発表。

このソフトウェアツールは、多くのOculusデバイスのセットアップ、マネージメントを一括で行えるもの。

セットアップ用のアプリ(Bulk Device Setup App)を使うことで、Bluetoothで複数のOculus QuestをWi-Fiに接続し、ビジネス向けソフトウェアを全てのデバイスに同時にインストールすることが可能だ。

デバイスのセットアップが完了したら、マネジメント用のプラットフォーム(Device Management Web Portal)を使い、設定を変更したり、アプリを管理したりすることができる。デバイスがWi-Fiに接続されている限り、どこでも調整を行うことが可能だ。

デバイスをグループ分けして管理することも可能。

故障した場合、プラットフォームで状態を確認、カスタマーサポートに連絡し、代用機を依頼することができる。

Oculus for Businessでは、Oculus Goは599ドル(64 GB)、Questは999ドル(128GB)。この値段には1年間の製品保証、ソフトウェア、そしてカスタマーサポートが含まれる。

2年目以降、ソフトウェア利用には年間180ドル(ヘッドセットごとに)が必要だ。Questを投入しサブスク化することで、Facebookは対エンタープライズを強化していく。

片想いでも傷つかない、FacebookがデートアプリにSecret Crushを追加

米国時間4月30日から米国サンノゼでスタートしたF8デベロッパー・カンファレンスで、Facebookはデートアプリの新しい機能を発表した。昨年のF8で発表されたFacebook Datingは、普通の友だちや家族にデート用プロフィールを見られてしまうという気まずさを避けるようプライバシーに最大限配慮している。

今年のF8でFacebookはデートの希望を相手に伝える方法に非常に巧妙な仕組みを用意した。 好意を送信しても「片想い」状態の場合は相手に表示されない。相手も自分に好意を持っていて好意を送信し返してきたときに始めて双方に通知され、メッセージ交換が可能になる。また現在は、南米や東南アジアの5カ国で実験的運用が行われているが、新たに14カ国が追加され19カ国でFacebook Datingがスタートすることも発表された。米国も今年中にカバーされるという。

Facebook Datingでは最大限9人の友だちにCrushという「いいね!」式のリアクションを送れる。相手もFacebook Datingにオプトインしている場合、「友だちからCrushが来ている」と通知される。今回の新しい仕組みはSecret Crush と呼ばれ、Secret Crushを送った場合、互いにCrushし合っている場合のみ双方に表示され、Messengerでチャットが可能となる。

Facebook Datingのプロダクト・マネージャーであるCharmaine Hung氏は私の取材に答えて、こう説明した。

例えば、私自身はFacebookに2000人の友だちがいますが、全員が親友というわけではありません。しかしこの2000人の中にベストマッチの相手がいる可能性は高いです。Facebookの友だちなら信用できる人々ですし、性格や趣味もわかっています。わからないのはお互いに好意を抱いているかどうかです。友だち以上の関係に進みたいと思っても対面で告白した場合、断られたときに傷ついてしまいます。Secret Crushはこの点に配慮した仕組みです。

Facebookは昨年のF8でDatingを発表した後、昨年9月にコロンビアでサービスをスタートさせた。利用できるのはFaceookのメンバーに限られる。アプリにオプトインするとグループやイベントをチェックすることができる。送信できるのはテキストと絵文字のみで、メッセージはDating専用のインボックスで受信されるという仕組みだ。今回のアップグレードで新たに、フィリピン、ベトナム、シンガポール、マレーシア、ラオス、ブラジル、ペルー、チリ、ボリビア、エクアドル、パラグアイ、ウルグアイ、ガイアナ、スリナムが追加された。

Secret Crushのような仕組みで懸念されるのは、マッチを成立させようと友だちを大量に追加、即削除してスパム状態が作られてしまうことだ。これを防ぐためにFacebookでは9人という上限に達した後は1日に1人しか入れ替えができないようにしている。

今のところDating利用は無料だが、プロジェクトのポイントはマネタイズではない。多数のスキャンダルに見舞われてきたFacebookは信頼できるソーシャルネットワークだという評判を取り戻す必要がある。ニュースフィードをスクロールし続けるのは時間の無駄だし、場合よっては有害だ。しかしFacebookt Datingが未来の恋人、伴侶を探してくれる可能性があるならユーザーにとってFacebookは大きな意味を持つことになるだろう。

下のバナーからTechCrunchのF8カンファレンス関係の記事を一覧を開くことができる。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Oculus Questは5万円弱で5月21日出荷開始、PCレスの本命VRヘッドセット

Facebookは米国時間4月30日、米国・サンノゼのマッケナリー・コンベンション・センターでデベロッパー向けカンファレンス「F8 2019」を開催し、VRヘッドセットの「Oculus Quest」「Oculus Rift S」の発売日を正式に発表した。いずれも5月21日発売。価格は、PCレスのスタンドアロンで使えるQuestの64GBモデルが399ドル(日本では4万9800円)、128GBモデルが499ドル(日本では6万2800円)。PCに接続して高画質でゲームなどを楽しめるRift Sが399ドル(日本では4万9800円)。なお、Amazonでは発表前からフライングで予約が始まっていた。

Oculus Questは、Oculus Goに次ぐワイヤレスでPCレスで動作するVRヘッドセット。といってもGoの強化版ではなく、画質は低くなるがOculus RiftのPCレス版に近い製品だ。

Oculus GoがNetflixやFANZAなどの動画視聴に適していたのに対し、Oculus Questはそれに加えてゲームプレイ向けにさまざまな機能を備えている。具体的には、VRヘッドセット単体で位置を検出できるインサイドアウト方式のほか、デバイスの向きと位置を検知できる6DoF(6Dgrees of Freedom)に対応している。

同様VRヘッドセットにはOculus RiftやHTC Viveなどがあるが、位置検出するにはOculusセンサーやベースステーションなどの別機器が必要なほか、そもそも描画性能に優れたPCと接続する必要があった。Oculus Questは、ワイヤレス、PCレスを実現した点で注目されている。

詳細は追って更新する。

令和元年5月1日現在の各OS、主要アプリの新元号対応まとめ

2019年5月1日、新天皇が即位し、日本の元号が平成から令和に変わった。これに伴い、PCやスマートフォンのOSやアプリで新元号への対応が始まっている。2019年5月1日(令和元年5月1日)現在の対応状況を以下にまとめた。

    • Windows
      直近のアップデートで対応済み。
    • macOS
      現時点は未対応だが、一般ユーザーも登録すれば利用可能なパブリックベータや開発者向けのデベロッパー版はすでに令和対応になっているようだ。近い将来のアップデートで対応するものと考えられる。
    • iOS
      macOSと同様に現時点は未対応だが、一般ユーザーも登録すれば利用可能なパブリックベータや開発者向けのデベロッパー版はすでに令和対応になっているようだ。こちらも近い将来のアップデートで対応するものと考えられる。
    • Android
      OS自体にそもそも日本の元号を表示する機能がない。サードパーティーのアプリで令和の表示に対応済みのものがある。
    • Office 365
      Windows版、macOS版、iOS版、Android版とも、直近のアップデートで対応済み。

      左がiOS版、右がAndroid版

      ただし、「令和元年」とはならず「令和1年」と表示されてしまうが、令和元年に変更する方法もある。具体的には、セルの表示形式を「ユーザー定義」に変更して、新たに「[<=43585][$-ja-JP]ggge”年”m”月”d”日”;[>=43831]ggge”年”m”月”d”日”;ggg”元年”m”月”d”日”」という定義文を入力・設定すればいい。

    • Gmail
      そもそも日本の元号を表示する機能はない。
    • Googleカレンダー
      そもそも日本の元号を表示する機能はないが、Googleが配布している日本の祝日カレンダーでは、5月1日は「天皇即位の日」、10月22日は「即位礼正殿の儀の行われる日」、令和2年の2月23日の「天皇誕生日」も登録済みだ。
    • カレンダー(macOS、iOS)
      和暦表示はシステムの設定を反映するため、現時点では平成31年5月1日と表示されるが、アップルが配布している日本の祝日カレンダーはGoogleカレンダーと同様に特別に祝日になる5月1日、10月22日、新しく祝日になる2月23日などが登録済みだ。

MirantisのModel Designerツールでオンプレミスクラウドの構成を楽に

OpenStackの初期を担った主要企業として記憶に残るMirantisは米国時間4月29日、企業がオンプレミスのクラウドの構築とデプロイを容易にできるためのサービスを立ち上げた。

そのMirantis Model Designerと呼ばれるサービスによりITのオペレーターたちは、自分たちのクラウドを容易にカスタマイズできる。来月はOpenStackのクラウド、その後はKubernetesのクラスターに関し、それらのデプロイのための構成の作成を支援する。

従来の構成作業は、大量のYAMLファイルを手書きすることを要し、間違いも起きやすいので、それが好きだというデベロッパーはまずいない。

でもそれがまさに、Infrastructure as Codeモデルの中核だ。しかしModel Designerは、MirantisがOpenStack用の人気の高いインストーラーFuelから学んだことを拡張している。Mirantisの協同ファウンダーでCMOのBoris Renskiが今日の発表の前にデモしてくれたところによると、Model Designerはユーザーに提示するGUIで構成を一歩々々進めていく。

うまいな、と思ったのは、その各ステップに難度のレベルがあって、設定をどれだけカスタマイズしたいかによってユーザーが選ぶ。レベルはDoomを参考にしたとあって、「I’m too young to die」とか「Ultraviolence」などがあるが、なぜか「Nightmare!」はない(Infrastructure as Code参考記事)。

Model Designerはクセの強いツールだが、ユーザーの自由度もかなりある。構成の段階が終わったらMirantisはその設定を実際にJenkinsのオートメーションサーバーで動かして、その構成を検証する。

Renskiによると、その段階では各プラットホームの特異性に十分対応していないが、ファイルが正しいことは確証される。そのあと、このツールはユーザーに構成ファイルを提供し、OpenStackのクラウドの実際のデプロイは、それらのファイルとMirantisからダウンロードできる中核的なバイナリを一緒にしてオンプレミスのクラウドに持って行き、コマンドラインのスクリプトを実行するだけだ。それが、この工程のすべてである。

そこからはMirantisのDrive Trainツールにバトンが渡ってクラウドをプロビジョニングする。アップグレードは、以上のプロセスを繰り返すだけだ。

Mirantisの収益源はサポートで、それにはベーシックから顧客のクラウドの完全管理まで何段階かある。Model Designerは多くの企業に同社の存在を知ってもらうための方法の一環であり、そうやって同社のツールを使ってもらえるようになれば、次はそのサポートという算段だ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

電気自動車smartの米国とカナダでの販売が中止へ

TechCrunchが入手した情報によれば、ダイムラーは小型の電気自動車であるsmart fortwoの、米国とカナダでの販売を中止する。同社のブランドを中国に持ち込もうとしているドイツの自動車メーカーは、北米での地位を築くことに苦労してきた車の電源プラグを正式に引き抜くことにしたのだ。

Smartは2019年モデル以降は米国とカナダで販売されることはない。この決定を知る2つの情報源からの情報提供を受けたあと、TechCrunchが確認したところ、ダイムラーAGはその事実を認めた。

「慎重に検討した結果、バッテリー駆動のsmart EQ fortwoモデルの米国とカナダ市場での販売は2019年のモデル年度(model year)で終了となります」とDaimler AGの広報担当者は、電子メールの中で回答した。「多くの要因がこの決定には関わっていますが、米国とカナダでのマイクロカー市場の縮小をはじめ、少量モデルのための高い認定コストなどが主に影響しています」。

同社がTechCrunchに語ったところによれば、MBUSA(米国メルセデス・ベンツ)とメルセデス・ベンツ・カナダは、これからもfortwoモデルのオーナーに対するサービスと部品交換を、ガソリン車もしくは電気自動車を問わず、認定メルセデス・ベンツディーラーを通して継続するということだ。

モデル年度は1年の半ばで切り替わる、このため次の6月が生産の最終月になるものと思われるが、車両の販売は年末まで継続される予定だ。

ダイムラーはsmartを完全に殺してしまうわけではない。ダイムラーは先の3月に、浙江吉利控股集団(Zhejiang Geely Holding Group)とジョイントベンチャーを合弁で立ち上げていて、smartを中国を拠点とするEVブランドとして移行させる予定だ。この合意の下で、この先この風変わりな車は、中国の新しい工場で組み立てられることになるだろう。世界に対する販売は2022年に始まるだろうと、発表時にダイムラーは語っている。

同社の広報担当者によれば、メルセデス・ベンツブランドの米国とカナダにおけるEV戦略は、2020年の新しいEQCの登場によって進められることになるだろうということである。

このドイツの自動車メーカーは、ここしばらくsmartが米国市場を去る可能性を示唆し続けていた。ダイムラーは、洗練されて贅沢なメルセデス・ベンツの車両からは離れて、この都会の住民向けブランドに多額の投資を行ってきた。だが複数のモデル投入とガソリンから電気への切り替えにもかかわらず、smartはダイムラーの北米における年間販売目標に達することができないままだった。2017年モデル年度以降は、同社は米国とカナダにおけるガソリン版smartの販売を中止している。

また他の最近の動きも、米国でのsmartの猶予時間が限られていたことへのヒントを提供していた。

smart担当のCEOであるアネット・ウィンクラー(Annette Winkler)氏は昨年の秋に去り、ブランドの将来の再構築に焦点を当てた人事担当エグゼクティブカトリン・アット(Katrin Adt)氏がその役割を引き継いでいた。月曜日にダイムラーは、そのアット氏が来る2019年7月に新しいユニットであるMercedes-Benz Cars Own Retail Europe(メルセデス・ベンツの欧州小売組織)のマネジメントを引き継ぐことを発表した。

アット氏のレポート先は、取締役会メンバーで、メルセデス・ベンツ車の販売に責任を持つブリッタ・シーガー(Britta Seeger)氏になる。

ダイムラーとスウォッチのメーカーであるSMHとのパートナーシップから生まれたこの車両は、まずガソリンエンジン車の製造から始められた。1998年にヨーロッパで発売され、その6年後にカナダで発売された。米国への上陸は2008年まで行われなかった。

smartはダイムラーのカーシェアリングブランドCar2goで提供されていた唯一の車両だった。しかしCar3goは最近Share Nowとしてリブランドされ、そのラインナップはメルセデス・ベンツCLAとGLAモデルを含むものに拡大されている。おそらくCar2goに残されるsmartもある程度はある筈だ。なおCar2goはMBUSAから独立した組織である。

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(翻訳:sako)

アップルのWWDCで華々しくデビューしたロボットのAnkiもついに倒産へ

消費者向けロボットなんて簡単だと言った人はいない。それでもAnkiは、いろいろな意味でかなりうまくやっていた。アップルの2013年のWWDC基調講演で、ロボットカーDRIVEをデモして世界をアッと言わせた後、AnkiはまずCozmo、そしてVectorといったロボットを次々と世に送り出してきた。

米国時間4月29日朝に、CEOのBoris Sofman氏によって開かれたミーティングは、悲痛な雰囲気だったことが容易に想像できる。それに関するニュースが流れた後、同社は今週中に従業員を解雇する予定であることをTechCrunchに明かした。以下がその全文だ。

Ankiが従業員を解雇することにしたことを発表するのは、とても重苦しい気持ちです。実効はこの水曜日です。私たちはこれまでに何百万台もの製品を出荷し、世界中のお客様に幸福な体験をお届けしてきました。また、多様なAIとロボット工学を駆使したアプリケーションの未来を見据え、非常に優れた技術を開発してきました。しかし、ハードウェアとソフトウェア両方のビジネスをサポートし、当社の長期的な製品ロードマップにつなげるような多額の資金がなければ、現時点では計画を実現できないのです。

これまでの成功にもかかわらず、当社は常に、将来の製品開発とプラットフォーム拡張のための資金を獲得する手段を模索してきました。ある戦略的な投資家との大きな融資の契約が最終段階で不成立となり、結局合意に達することができませんでした。当社としては、すべての従業員とその家族のために最大限の努力を払うつもりです。経営陣は、今後もすべての可能性を検討していきます。

Ankiは、同社製品の将来について、これ以上のことはコメントしていない。このスタートアップは、いくつもの魅力的な製品を開発してきた。もっとも印象深いのはCozmoだろう。これは大ヒット商品となった。同社はベイエリアに拠点を置き、昨年8月の時点では、創業以来150万台のロボットを販売したと語っていた。そのうちCozmoが数十万台を占める。

Crunchbaseによると、同社は全活動期間の間に、総額1億8200万ドル(約203億円)を調達した。ただし、それなりに出費も多い。Cozmoや、その大人向けの後継機Vectorの個性を際立たせるために、作曲家や、PixarやDreamworksでの経験もあるアニメーターを雇っていた。

断末魔の話の展開は、最近閉鎖した工業用ロボットのRethinkや、やはり家庭用ロボットのKuriの状況とウリふたつのように見える。いずれの会社も、ついに投資家も買い手も見つけることができず、夢を実現できなかったのだ。残念なことに、ロボットのスタートアップの世界では、こうしたことはまったく珍しくなくなっている。

ロボット工学のスタートアップを運営することの難しさは、おもちゃ市場が絶え間なく変化し続けていることから来るのは間違いない。Spheroも、ディズニーの著作権に依存している間は、同様の経過をたどった。ただし、Boulderに拠点を置くこのスタートアップは、最終的に教育市場にターゲットを移し、利益の出やすいモデルに方向転換することに成功した。Cozmoは成功だったとはいえ、結局はその価格設定がさらなる普及を妨げたのだろう。

結局のところ、これはAnkiが経費を使い過ぎたことに対する罰なのか、ロボットのスタートアップに資金を注ぎ込もうとしているベンチャーキャピタルに対する一般的な警告なのか、ロボットを家庭に持ち込もうとしてきた企業の数が多いことを考えると、判断が難しい。おそらくその答えは、両者を組み合わせたところにあるのだろう。

それはどうであれ、可愛らしいロボットを作った将来有望と思えた会社にとっての悲しい結末には違いない。そしてさらに深刻なのは、多くの有能な従業員が失業したということだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

バーガーキングの動物肉不使用バーガーは年内に全米で発売

バーガーキングは、エイプリルフールのジョーク的にデビューさせたインポッシブル・ワッパーを年末までに全米で展開する。4月1日にバーガーキングがセントルイスの58カ所のレストランで提供を開始したインポッシブル・バーガーは、間もなくそれ以外の店舗のメニューにも登場し、年末までに全店舗で提供されるようになる。

バーガーキングはインポッシブル・バーガーを展開することで、主力のワッパー販売を鈍らせることなく新たな客を呼び込むことができる。

これは選択を提供するという話であり、「バーガーを毎日食べたいけれどビーフを毎日食べたいわけではない、という人がバーガーキングの店舗に頻繁に来れるようにすることができる」とバーガーキング北米の会長Chris Finazzo氏はCNN Businessに当初のテストについてこう語った。

バーガーキングはベジタリアンパテをしばらくの間販売していたが、全米ラインアップへのインポッシブル・フーズバーガー追加により、バーガーキングは新たなプロテイン(成長中の消費カテゴリーだ)を取り入れる最大の全国ファーストフードチェーンとなる。

大成功となったセントルイスでのインポッシブル・バーガーデビューのニュースは、バーガーキングの親会社Restaurant Brandsのかなり低調だった決算報告の中では明るい要素だった(Associated Pressの報道によると、第1四半期の純利益は店舗販売の伸び悩みで9%減の1億3500万ドルだった)。

Markets and Marketsのレポートでは、肉の代用品マーケットは2023年までに64億3000万ドルに達すると予想されている。ベンチャー・キャピタリストやコーポレート・インベスター、そしてパブリックマーケットは肉代用品の会社に熱い視線を注いでいる。そしてインポッシブル・フーズバーガーの全米展開は、この産業が成熟しつつあることを示すBeyond Meatの株式公開とつながっている。

どちらの会社も動物由来のプロテインを含む食品に代わるものの実験を行なっている先駆者で、その他のいくつかの企業は傍で待機している。Crunchbaseが最近行った企業投資調査では、コーポレート・インベスターがいかに肉マーケットを意識しているかが明らかになっている。

「食品テックと農業テック1.0はというと、これらは主に生産者のためのものだ」と、アグリフードベンチャー投資プラットフォームのAgFunderの設立パートナーRob Leclerc氏はCrunchbaseに語った。「この新世代の企業は、消費者が何を欲しているのかに本当にフォーカスしている」。

より多くのファーストフード企業が意識している。実際、バーガーキングはインポッシブル・バーガーを数百もの店舗で展開しようとしている初のファーストフードチェーンではない。映えある第1号はWhite Castleだ。

イメージクレジット: Burger King

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(翻訳:Mizoguchi)

世界最大のホテル企業マリオットがホームシェアリングを開始してAirbnbと競合

ホテルのグローバル大手マリオット(Marriott)がホームシェアリングビジネスに参入すると報じられ、Airbnbの米国における競合相手がまた増えることになりそうだ。ヨーロッパでホームシェアリングのパイロット事業を成功させたばかりのマリオットが、今度は米国でホームレンタル事業を準備している、とウォールストリートジャーナルが報じている。マリオット早くも来月に、その計画を公表するらしい。

アップデート: マリオットは同社のウェブサイトで米国のホームシェアリング市場に参入することを確認している。そのHomes &Villasと呼ばれるサービスは2000件の高級で豪華な家をアメリカ、ヨーロッパ、カリブ海域、およびラテンアメリカで提供していく。サービスは、来週ローンチする。

マリオットインターナショナルのグローバル商業最高責任者Stephanie Linnartzは、声明で次のように述べている。「マリオットインターナショナルによるHomes&Villasの立ち上げは、消費者の旅行ニーズの進化に伴うイノベーションへの、弊社の現在進行形の積極的関与を反映している。1年前にパイロット事業として発足したものが今やグローバルなサービスになり、ゲストに、信頼性ある旅行会社が手配する家のスペースとアメニティー、および最良の常客特典を提供する」。

ホテル業界の市場データを提供しているSTRによると、マリオットは世界最大のホテル事業者であり、世界全体で部屋数は129万室に達する。またAirDNAによると、Airbnbは世界最大のルームプロバイダーとしてそのプラットホーム上には492万件の物件が載っている。Airbnbと違ってマリオットは、不動産管理企業が管理するハイエンドな家を主力に扱う。

マリオットインターナショナルのHomes &Villas担当副社長のJennifer氏は、こう声明している。「この絶えず変化している分野をよく理解して仕事をしているプロフェッショナルな管理企業の選ばれたグループと協働することにより、弊社は弊社が最も得意とすること、すなわち、すばらしい場所にある数多くの家から選び、機敏なサービスのスタンダードを設定し、ゲストがますます複雑で不確実になりつつあるホームレンタルの選択肢を自力で調べられるシームレスな予約体験を設計することに注力できる」。

マリオットが米国進出の前にヨーロッパで行ったパイロット事業では、パリとローマとリスボンとロンドンの顧客に400軒近い家を提供した。そのタイミングが絶妙で、Airbnbは最近Hotel Tonightを買収して、目前のIPOに備えていた。しかしAirbnbは現在積極的に、ホームシェアリングプラットホーム以上のものになろうと努めている。同社が進出を計画しているのは、ホテルの予約、ビジネス旅行(出張など)の計画と手配、観光などそのほかのオリジナル事業、等の分野だ。

1月にAirbnbは、2018年はその前年に続いて、EBITAベースで黒字だった、と発表した。

関連記事: Airbnb aims to be ‘ready’ to go public from June 30, 2019, creates cash bonus program for staff【6月のIPOに備えるAirbnb、未訳)

画像クレジット: Marriott

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

WeWorkが非公開で上場申請書を提出、推計収入2030億円、赤字は2120億円

WeWorkを運営するThe We Companyは、米国証券取引委員会(SEC)に上場申請書を非公開で提出したという情報をプレスリリースで確認した。

ニューヨークタイムズの報道によれば、同社がSECに最初に書類を提出したのは昨年12月だという。

今年1月までに、WeWorkは株式と借り入れを併用して470億ドルの会社評価額で総額84億ドルの資金を調達している。ユニコーン(10億ドル企業)を多数生んでいるテクノロジー業界でもAdam Neumann氏とMiguel McKelvey氏が2010年に創立したWeWorkのような100億ドル級はさすがに数が少ない。同社への大口投資家はソフトバンク・ビジョン・ファンドで、昨年11月には30億ドルの出資を受けた。最近ソフトバンクは株式の過半数の取得を目指したが、最後の瞬間に見送っている。

WeWorkの収入は2017年の8億8600万ドルから 2018年には18億ドルへと倍増した。同時に純損失も19億ドルという天文学的数字になった。株式上場を目指す会社として魅力を増すような数字ではない。もっともUberも成長が鈍化している中で株式上場のためのロードショーを各地で開催中だ。WeWorkの財務に関する情報を Crunchbaseから拾ってみると次にようになる。

  • 2017年の収入は8億8600万ドル
  • 2017年の純損失は9億3300万ドル
  • 2018年の収入18億2000万ドル(105.4%アップ)
  • 2018年の純損失は19億ドル(103.6%アップ)

つまり収入に対する赤字の率は変わっていない。ただしAxiosによれば、2018年のWeWorkの入居率は90%であり、登録メンバー数も116%アップして40万1000社となっている。

WeWorkはシリコンバレーのスタートアップの価値がインフレ評価される典型としてよく取り上げられる。WeWorkの本質は不動産賃貸業だ。マーケットと出資者に永続可能なハイテク企業であると納得させるためには膨大な額の投資を続ける必要がある。

WeWorkの主要株主はソフトバンク、Benchmark、T. Rowe Price、Fidelity、ゴールドマン・サックスなどだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

4月30日からFacebookのデベロッパーカンファレンス「F8 2019」がスタート

サンノゼのマッケナリー・コンベンション・センターでいよいよFacebookのデベロッパー向けカンファレンスF8 2019がスタートする。TechCrunchは現地から詳しく報道する予定だ。

今回のイベントでFacebookのトップが登壇し、デベロッパー向けプライバシー・ツールなどの新しいプロダクトを発表するので大きな注目を集めるはずだ。
TechCrunchのJosh ConstineFrederic Lardinoisが現地からカバーする。

Facebookに限らずソーシャルメディア一般、デベロッパー・ツールに興味があればConstineとLardinoisの記事に期待していただきたい。なおExtra Crunchの無料トライアルを利用すれば太平洋時間で水曜午後2:00(日本時間木曜6:00AM)から2人のポッドキャストによるカンファレンス報告を聞くことができる。なにが一番重要なプロダクトだったか、Facebookは今後どこに向かうのかなどについて話す予定だ。

画像:Justin Sullivan / Staff / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Alphabetはスマートフォン市場の逆風を認めハードウェア新製品の発表を匂わす

Googleの親会社であるAlphabetの2019第1四半期は、主に広告収入の過小によりウォール街を落胆させた。また、ほとんどすべての選手たちに影響を与えたスマートフォンのグローバル市場の不調のせいもあって、ハードウェア部門も苦しかった。

CEOのSundar Pichai(サンダー・ピチャイ)氏は、昨年秋のPixel 3Pixel 3 XLに続く同社のスマートフォン系列を指して「逆風が収まらないまま年を越した」と述べた。確かに彼の言うとおり同社はハードウェア部門を独立させてからまだ日が浅いが、同時に彼はまた、今後のイノベーションへの明るい希望も述べた。

「5Gとフォルダブル(折り畳み式スマートフォン)には今後も大きな期待が持てるし、それらはAndroidの重要な活躍の舞台でもある」、と決算報告で彼は語った。Androidのフォルダブルに関しては、そのUIの設計でGoogleが重要な役割を担い、サムスンの最近遅れが発表されたフォルダブルでも密接に協働している。

CFOのRuth Porat氏のコメントもピチャイ氏とほぼ同様だが、将来についても暗示した。「第一四半期の結果はスマートフォンの高級機の全市場的な不調を反映しているが、しかしGoogleアシスタントを実装したHome製品の好調は喜ばしい。とくに良いのはHome HubとMiniデバイスだが、ハードウェアチームは5月7日のGoogle I/Oカンファレンスで新しい発表をするようだから、それも楽しみにしていただきたい」。

上で「スマートフォンの高級機の不調」とあえて言っているのは、中級機ならという思惑があるからだ。その噂のミドルレンジ機のPixel 3aは、来月のI/Oでデビューするらしい。もしかしたらこれによって、Pixelの売上が持ち直すかもしれない。

ピチャイ氏がとくに言及したのは、同社が最近オープンした「キャンパスとエンジニアリングハブ」だ。苦境のハンドセットメーカーHTCで大きな買い物をした結果、Googleの台北R&Dセンターは同社のスマートフォン事業の拠点になるだろう。また彼はAmazonと競合するHome製品、とくにMiniとHubについて、ハードウェア部門の明るい材料、と言った。

彼はこう語る。「Google Homeとアシスタント製品だけを見れば、これまでも良くやっている。市場で勢いがある。グローバルで見れば、弊社はこのカテゴリーにおけるマーケットリーダーだ」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NYタイムズのポッドキャストリスナーは毎日200万人

ニューヨークタイムズ紙(NYT)の人気ポッドキャスト「The Dailyが成長し続けている。このニュースメディアは今朝、Appleのポッドキャスト部門トップチャートで第7位にランクインしている自社のポッドキャストのデーリーリスナー数が200万人に達した、と発表した。そして当初4人だったスタッフの数を17人に拡充したことも明らかにした。

実際のリスナー数という点でトップのポッドキャストとはどういうものかを示しているこの発表は注目に値する。

今日開かれたNewFrontsでのNYTプレゼンテーションの中で明らかにされた今回の発表は、ポッドキャストがブームを迎えている最中に届いた。NYT報道によると、2006年から現在のスタイルになっているポッドキャストは2018年に最も成長した。3月時点で、米国の消費者の半分以上がポッドキャストを聴いている。ポッドキャスト視聴者が50%を上回ったのはこれが初めてだ。

3分の1の人が先月ポッドキャストを聴いたとEdison Research3月に明らかにしていて、毎月のリスナー数は9000万人とのことだ。

この数字からすると「The Daily」はまだ成長する余地を残しているようだ。

部分的には、ポッドキャストへの関心は、スマートスピーカーが浸透していることとつながっている。スマートスピーカーはNYTが投資している分野でもある。「The Daily」そのものをGoogle Home Amazon Echoのようなスマートスピーカーに持ってきていることに加え、NYT最近Alexaニュースフラッシュを立ち上げた。このニュースフラッシュは「The Daily」からコンテンツを引っ張ってきていて、ホストはMichael Barbaroだ。NYTはまた、インターラクティブニュースクイズやNYTの紙版とつながっているプログラミングなどを含むいくつかのAlexaスキルも立ち上げた。

20193月のPodtrac産業ランキングによると、NYTのポッドキャストの月間ユーザー数は合わせて713万人となっている。

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(翻訳:Mizoguchi)

倫理感のある技術者の消滅と再生

この数年間、次から次へと悲惨なニュースを聞かされてきた。どれも事前に知り得て、予防できたはずの事故だ。飛行機の墜落原子力発電所のメルトダウン外国の権力による個人情報の不正取得ひとつの州を焼き払ってしまった電力網

これは規制や国籍に由来する問題ではない。特定の社会的構造が共通して抱える問題でもない。Facebookで機械学習のプログラムを行っている人が、フォルクスワーゲンの自動車エンジニアや日本の原発設計者とつるんでいることもない。彼らは同じ学校の出身者でもなく、同じ教科書で学んだわけでもなく、同じ専門紙を読んでいるということもない。

これらのまったく異質で悪質な事件の根本的な共通原因は他にある。それは、ますます毒性を増す錬金術、複雑性と資本主義だ。この2つの問題は、安全文化の再生によってのみ修繕することができる。

予期せぬ災害は「当たり前に起きる事故」

責任の所在を突き止める前に、一歩下がって、これらの技術的システムを見てみよう。自動車の排ガス、原子力発電所、飛行機、アプリケーションプラットフォーム、送電網。これらには、ひとつだけ共通していることがある。すべて、大変に複雑化された高度な結合システムであるという点だ。

複雑化とは、使用されている無数の部品が、ときとして非線形に接続されている状態だ。結合システムの高度化とは、ひとつの部品への摂動が、即座にシステム全体の運用に影響を及ぼす状態だ。

そのために、安全システムは大幅に縮小され、737MAXを墜落させた。ソーシャルプラットフォームではAPIが大幅に制限され、ユーザーの個人情報のストリームが外へ漏れてしまった。また、送電線網は木に触れて発火し、火災となって数十人の人の命を奪った。

こうした悲劇は、理論的には予防できた。とは言え、複雑な結合システムの相互作用の程度は測り知れない。つまり、小さな変化が大きな結果を引き起こす。

随分前になるが、Charles Perrow氏は素晴らしい本を著した。複雑性と結合性の高度化と、悲惨だが「ノーマル・アクシデント」(当たり前に起きる事故)とを結びつけた。それがその本のタイトルにもなっている。彼は、そうした災厄は珍しいものでもショッキングなものでもなく、それらのシステムの設計そのものが、かならず事故が起きるように作られていると指摘している。何百万、何億という数の相互作用で成り立つシステムでは、検査や設計段階で事故を防ぎきれるものではない。したがって、事故は当たり前に起きるというわけだ。

彼は、未来のエンジニアリングについて厳しい意見を述べている。これはかなりの皮肉に聞こえるかも知れない。技術者は、どんどん複雑さを増すシステムに、より高度なツールで対処してきた。そのツールは、ほとんどがより強力なコンピューターパワーと、より優れたモデリングから生まれている。しかし、それらのシステムの複雑さに対する私たちの組織的な行動に限界があるために、技術的ツールの効力にも限界があるというのだ。

管理者の安全妄想

シュタッドハレ議会センターの前で報道陣に発表を行うフォルクスワーゲン弁護団代表Markus Pfueller氏。2018年9月10日、自動車メーカー、フォルクスワーゲンのディーゼルエンジンの排ガスデータ改ざんによって経済的損失を被ったとする投資家の訴えに対する公判がドイツのブランシュバイクで開かれた。(写真:Alexander Koerner/Getty Images)

エンジニアが、さらに高度なツールを手に入れる可能性があったとしても、管理者そのものは、どうしても高度にはならない。

安全は掴み所ない概念だ。安全性を否定する企業のリーダーはいない。一人もだ。世界中のどのリーダーも管理職も、たとえリップサービスであれ、安全の大切さを口にする。建築現場は危険で満ちているが、「安全帽着用」という標識がよく見えるところにかならず掲げられている。

企業などの組織において、たしかに安全は最重要課題だが、年次業績報告書や四半期業績報告書の中の安全に関するごく小さな記述は、何時間も読み込まなければ見つけられないない(大事故が起きた後は別だが)。

この資本主義と複雑性が交わるところで、物事は歪められてしまう。

すべての工学上の大災害に共通するひとつのパターンがある。それは、どの事故においても、事前にその危険性に気づき内部告発する人がいたということだ。どこかの誰かが、これから何が起きるかを知っていたが、事業の停止ボタンを押すことができなかった。

無理もない。四半期収益や成長のプレッシャーが非常に強く、企業の中の誰一人、CEOですら、システムを止めることはできないからだ。

しかし、そのように事前に知り得た大事故が、企業に収益をもたらすわけではないと考えると奇妙だ。カリフォルニアのガス電気供給会社PG&Eは破綻した。Facebookは数百万ドルの罰金を科せられた。フォルクスワーゲンは和解金147万ドルを支払った。737MAXの事故は、ボーイングが成長企業でいられるかどうかを危うくしている

価値のない株券をシュレッダーにかけたいと思う株主はいない。いったいどこで食い違いが生じたのか。

工学の文化に倫理基準を再興する

倫理は、トップのリーダーシップと、あらゆる利害関係者、とりわけ株主との間の、とくに安全と規制に関するコミュニケーションを円滑にすることから始まる。複雑な技術製品を製造する企業の株主には、彼らが所有する企業は短期的な利益よりも安全を優先させますと、繰り返し伝える必要がある。長期的成長と持続性に重点を置いていることを周知しなければいけない。

ウォール街の飲み屋の常連でもなければ、こうした販売プロセスが困難であることを知って衝撃を受けるだろう。投資家は、配当のベーシスポイントがわずかでも減少することを嫌う。それぐらいなら、クレジットデフォルトスワップに飛びついて、船が文字通り沈むか、比喩的に沈むとなれば、すぐに飛び降りほうを選ぶ。

しかし、短期トレーダーだけが投資家ではない。資本市場は一様ではなく、大事故が不可避という危険性がない長期的な成長に投資しようと、何兆ドルもの資産を用意している投資家もいる。投資家との良好な関係を築く上での重要な鍵となるのが、企業の文化に同調してくれる投資家を探すことだ。投資家が安全を重視しないなら、もう他に安全を重視する人はいなくなる。

こうした不祥事は、企業の墓場をどんどん広げてゆくことにつながる。だがそれは、安全に関する会話の役に立つ。

重役会や株主とは別に、工学の文化に、その準備ができたときに、製品を自信を持って出荷できる回復力を養う必要がある。技術の統括者は会社の経営陣に対して、安全の重要性と、継続的に安全性を高めることが、あらゆる出資者にとって必要であることを言い聞かせる必要がある。

技術の統括者は、安全基準を維持するために、組織の上と下の両方を説得しなければならないため、おそらくもっとも難しい役割を担うことになる。この数年間、数々の大事故の報告書を読んで、安全性に関する食い違いは、ほとんどがここから始まっていることに気付いた。つまり、技術部門の管理者が、自社製品の安全性よりも経済性を優先させるようになったときだ。こうした金銭的影響力には、なかなか抵抗できないが、安全はすべての人の合言葉であるべきだ。

最後に、出資者も従業員も、個人として常によく目を配ることが大切だ。技術開発の作業に従事しつつ、安全について意識を高め、問題があれば、早めに何度でも指摘する。安全には粘り強さが肝心だ。もし、あなたが勤務する組織が腐敗してしまっていたとしたら、赤い停止ボタンを押して告発し、その狂気を止めるられるのは、恐らく、あなたしかいない。

Extra Crunchでは、私たちの責務として、この問題への関心を高める活動を行っている。私たちの常駐ヒューマニストGreg Epstein氏が、現代の技術世界における難しい倫理の問題について、さまざまな思想家にインタビューし、会話を重ねている(現在、Extra Crunchは英語版のみ)。

専門家パネル:そもそも「技術の倫理」とは何か?

インターネット文化の倫理:Taylor Lorenzに聞く

倫理感のある技術者の消滅を既成事実にしないために、彼の記事を参考にして欲しい。当たり前に起きる事故を、できる限り正常な状態にして、当たり前でなくさなければいけない。技術系企業のあらゆる階層によりよいツールと説明責任を導入すれば、資本主義の修復は可能だ。長期的視点に立てば、急速に拡大する企業の墓場を見てもわかるが、それは将来に向けての非常に重要な投資になる。

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(翻訳:金井哲夫)

メッセンジャーアプリで遊べるゲームの開発をサポートするGame Closure、アップルなどからデベロッパーを解放

Game Closure共同創設者でCEOのMichael Carter氏

メッセンジャーアプリやブラウザなどといった環境でも利用可能で「瞬時に」ロードすることができるHTML5のゲームプラットフォームを開発し提供するGame Closure。同社の本社機能は2018年8月より、LINEや楽天などとの連携に伴い日本に移っているが、サンフランシスコで同社の共同創設者でCEOのMichael Carter氏に話を伺うことができた。

2011年創業の同社は、LINEが提供するLINE QUICK GAMEの「にゃんこ防衛軍」や「釣りスタ」、Facebook MessengerのInstant Gamesで2016に開始された「EverWing」、Snapchatで遊べる「Snake Squad」などの陰の立役者だ。

にゃんこ防衛軍

そしてCarter氏いわく、Game ClosureはTencentが提供するWeChatのミニプログラムのデベロップメントパートナーだ。

加えて2015年には楽天とジョイントベンチャーの楽天ゲームズを創設している。

そんなGame ClosureのCarter氏はネットワーク通信規格「HTML5 WebSocket(ウェブソケット)」の発明者でもある。

HTML5 WebSocket開発の秘話

小さい頃からゲームが好きだったというCarter氏。だが、興味は次第にゲームだけでなくコンピューター全般へと拡大。特にウェブブラウザーに興味があったという。

「90年代は転換期だった。93年から95年はアプリをダウンロードしインストールする必要があったが、96年〜98年にはドットコム・レボリューションで全てがブラウザ上で行えるようになった。当時は小学生だったが、誰もが何でも創造できる『オープンなプラットフォーム』になったことに衝撃を受けた。だが、ウェブページ上にアプリを組み込む上で、まだまだ限界があった。

そんなCarter氏は「僕が作りたかったアプリは、複数人が同時に使えるもの」だったと話す。複数人が同時に文書を編集できるGoogle Docsやウェブブラウザ上でユーザーたちが会話できるFacebookのチャット機能などを例として挙げた。

「だが、テクノロジー的に(当時は)そのようなこと(複数人が同時に使えるアプリ)を実現することは難しかった。だからこそ課題の解決に踏み切ったんだ」(Carter氏)

Carter氏は高校と大学で、その「ウェブブラウザ向けの新しいテクノロジー」を研究する。大学を卒業してからも研究を続け、完成したテクノロジーがHTML5 WebSocket。グーグルやマイクロソフト、アップル、FirefoxのMozillaなど全てのブラウザーに採択された。

2008年にスペックを書き終え、2010には世界中がHTML5 WebSocketを使っていた。今では数十億人が毎日利用しているという。

「Google DocやFacebook Messengerなどのツール、そしてFortune 500の8から9割、そしてGlobal 2000の大半(の企業)がこのテクノロジーを使っている」(Carter氏)

だが、スマートフォンの登場で「また振り出しに戻ってしまった」とCarter氏は話す。スマホでアプリを利用するにはダウンロードが必要だからだ。

「マイクロソフトかアップルがコントロールしていたデスクトップ上のアプリから、ウェブ上のオープンプラットフォームに移行し、ヤフーやグーグル、アマゾンや楽天などのEコマースなどが誕生した。だが、スマホのせいで、また逆行してしまった」

「だからこそ、Game Closureを設立したんだ」(Carter氏)

スマートフォンの登場、Game Closureが果たすべき使命

スマホの問題は、「ユーザーがポケットから出した即時にスムーズに使えることを求めること」で、そのような状況でデベロッパーがアップルやマイクロソフトに頼らざるを得ない状況にあることだ、とCarter氏は語る。

「そのようなアプリやゲームを作る場合、大半はアップルやグーグルのテクノロジーを使うこととなる。彼らはそのようなテクノロジーを強力にするために巨額を投資してきている。だが、僕たちのテクノロジーを使えば、デベロッパーはコンテンツのディストリビューションなどをコントロールできる」(Carter氏)

Carter氏いわく、Game Closureの使命は優れたデベロッパーが、ブラウザー上で利用できるアプリやゲームを開発できるテクノロジーを提供すること。そして、そのアプリやゲームをアプリストアではないチャンネルで提供できるようにすることで、「デベロッパー自身がディストリビューターになれる環境を整える」(Carter氏)

「たとえば、LINE。LINEは主に日本で使われているコミュニケーショアプリだ。だが、LINEが新しいアプリやゲームを作る場合、クパチーノに本社を構えるアップルの許可が必要だ。だが、クパチーノに本社があるアップルは日本に関する知識はまるでない。だが、彼らが、日本における、アプリやゲームなどのディシジョンメーカーだ」

「僕たちはLINEと直接、仕事をしているが、僕たちのテクノロジーを使って優れたコンテンツを作ることで、LINE自身が自社のアプリやゲームのディシジョンメーカーになれる」(Carter氏)

より多くのメッセンジャーにテクノロジーを提供

冒頭でも説明したとおり、LINE QUICK GAMESの「にゃんこ防衛軍」や「釣りスタ」の裏に存在するのはGame Closure。メッセンジャーアプリで複数のユーザーがインタラクトしながらゲームを遊べる環境の構築に成功してきている。

そんなGame Closureは、上記のとおり、楽天とも密な関係にある。「Rakuten Games」のポータルサイトは、2019年7月22日に終了する予定だが、楽天にはViberがある。Rakuten GamesのプラットフォームがViberに移行されても不思議ではない。

Carter氏は「一つのメッセンジャーで素晴らしいユーザーエクスペリエンスを提供することができれば、どのメッセンジャーでも同様に対応が可能だ」と話した。そして、今後の展開について、Instagram、WhatsApp、KakaoTalkなどの名前を挙げ、「より多くのメッセンジャーなどにテクノロジーを提供したい」と加えた。

「トレンドは、メッセンジャーアプリが独自のプラットフォームへと進化を遂げていくこと。アップルが一方的に反対し続けるのは難しい状態だと言えるだろう」(Carter氏)

Coral Capitaが平成最後の起業家調査レポートを公開、市場環境からスタートアップの内情まで

ベンチャーキャピタルのCoral Capitalは4月30日、日本のスタートアップ業界の変遷や課題に関する調査結果をまとめたレポートを公開した。

同レポートは「Japan Startup Landscape 2019」という名称で、2018年10月〜2019年3月にかけて273名の日本の起業家に実施した調査内容をまとめたもの。市場環境や資金調達環境、メンバーの報酬制度などについて34の質問と回答が掲載されている。

今のオフィスの一坪あたりの賃料はいくらですか?」「リードインベスターを決める上で大事な要素は何ですか?」などスタートアップの内情に関する具体的なものから、「ユニコーン企業になる自信はありますか?」「すでに自分のスタートアップは失敗したと思っている方にお聞きします。その理由はなんだったと思いますか?」など起業家以外の人にとっても興味深いものまで、質問の切り口はさまざま。

レポートの全文はこちらのページよりダウンロードすることができる。

現場で働くエンジニアの給料やストックオプションについてなど、かなり具体的な質問も多い

なお、今回のレポートに関してCoral Capital創業パートナーの澤山陽平氏からコメントを得られたので紹介しておきたい。

「これまでスタートアップ起業家というと、20代前半の若者が中心のイメージが強かったかもしれませんが、今回の年齢層の結果を見ると『30~35歳』が最も多く、経験豊富でシニアな起業家も含め、起業家の層が厚くなってきている良い兆しが現れていると思っています。また、起業家と投資家のパワーバランスに関しても、『過去の2〜3年で起業家の交渉力が強くなった』と答えている起業家が7割近くなっており、VCが増えたことでより起業家にとって良い環境になってきていると感じます。逆に、今後VCはこれまで以上に競争が激しくなるため、より起業家に選ばれるための努力をする必要があると考えています」(澤山氏)