Crowdsourceはユーザーが無償でグーグルサービスの向上に貢献できる新アプリ

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Crowdsourceという名の新しいアプリがグーグルプレイにひっそり登場した。ユーザーはこのアプリを使って、グーグルのサービスの質を向上させるためのちょっとした仕事をするが、それは地図や翻訳、画像中の文字を起こす作業などだ。驚いたことには、このアプリにはユーザーの仕事に対するちょっとした報酬・対価といったものが全くない。しかしながらこのことは、このアプリが、例えばアマゾンのMechanical Turkなどの、仕事をクラウドソーシングする為の既存のプラットフォームの脅威とはならないことを意味する。

また、このアプリの主眼はグーグルが自社のサービスを向上することにあり、Mechanical Turkのように第三者からの依頼に応える訳ではない。

この新しいアプリを最初に見つけたのはAndroid Policeというブログだ。グーグルはTechCrunchの質問に答え、これがテスト用プロジェクトで今朝公開になったものだということを確認した。

Crowdsourceはユーザーが翻訳のリクエストに取り組む前に、どの言語が流暢かを聞いてくる。それ以外にも、アプリではいくつもの大きなボタンがフィーチャーされ、それを選ぶことでどういった作業をしたいか選ぶことができる。それらは、画像から文字を起こしたり、手書き文字を認識したり、翻訳作業やすでに翻訳された文章をチェックしたり、地図の翻訳のチェックをしたりといった、ちょっとした作業だ。

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グーグルが実際にアプリを使って貢献してくれるユーザーに対して、その背中を押してくれるようなオファーのないアプリをローンチするというのはいささか奇妙な感じがする。結局のところ、同社はこの様なサービスモデルに関してはGoogle Opinion Awardsを通じて熟知しており、Google Opinion Awardsではアンケートに答えるとグーグルプレイのクレジットを貰うことができた。

しかしながら、グーグルによると、人々がCrowdsourceを使ってこのプロジェクトに貢献するのは、そのことでインターネットが自分たちのコミュニティーにとってより良い場所になったと実感できるからだ、という(それはどうだろうねえ、グーグルさん、インターネットに会ったことある?ワンちゃんが日向ぼっこしているような場所ばかりじゃないんだよ)。

なぜ人々はこのような、無報酬のアプリを使うのかという質問に対して、グーグルのスポークスマンは以下の様に答えた。「このアプリを使う人の中には、まだ多くの言語でTranslateやImage Recognitionなどのツールがうまく機能していないことが動機になっている人もいるでしょうね」

Crowdsourceのタスクは5〜10秒以下で出来るものばかりで、その中には普段ウェブサイトで、自分がボットではないことを証明するためによくやらされるような、ひどいものも含まれている。例えば、ぼやけた写真が何と読めるかといった感じのものだ。

Android Policeによるとユーザーが画像から翻訳するタスクのほとんどは道路標識で、手書き文字のサンプルはニワトリが爪で引っ掻いたような読みにくい文字だ。確かに、楽しそうだね。。

もちろんグーグルはこれまでも多くのプロジェクトでクラウドソーシングを行った。かつて、例えば2006年には、グーグルはGoogle Image Labelerというゲームをローンチし、ユーザーは画像のタグ付けを行った。実際の所、そのプロジェクトはcrowdscource.google.comで今でも存在する。

同社によるとこのアプリは最終形ではなく、現在インセンティブの導入も考えているらしい。

Crowdsourceはグーグルプレイで無料でダウンロードできる。iOS版はない(多分グーグルの方がよく知っているからだろう)。
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(翻訳:Tsubouchi)

クラウドソーシングを使った翻訳事業を展開するエニドア、ロゼッタが約14億円で買収へ

クラウドソーシングを使った人力翻訳サービス「Conyac」を運営するエニドア。同社がM&Aによるイグジットを果たしたようだ。翻訳事業を手がけるロゼッタは8月10日、株式取得および簡易株式交換により、エニドアを完全子会社化すると発表した。

ロゼッタはエニドアの発行済み株式1263株のうち633株(議決権ベースで50.12%)を8月15日付けで7億3200円にて取得。残りの630株を株式交換で取得する(エニドア1株に対してロゼッタ311株を割り当てる。合計19万5930株。1株3414円で算定し、6億6891万円)。合計すると約14億円でのM&Aとなる。

ロゼッタはこれまでプロ翻訳者による「翻訳通訳事業」と機械翻訳による「MT事業」、プロ翻訳者と機械翻訳を活動する「GLOZE事業」を展開してきた。エニドアの提供するConyacがこのGLOZE事業とMT事業の間の領域を補完するとしている。なお、エニドア代表取締役の山田尚貴氏らは引き続きConyac事業を担当する。

エニドアは2009年2月の設立。スカイライトコンサルティング主催のビジネスプランコンテスト「起業チャレンジ2009」で最優秀賞を受賞し、その賞金をもとに起業した。これまでにサムライインキュベートのほか、スカイライトコンサルティング、ベンチャーユナイテッド(当時はngi groupで、ファンドもngiベンチャーコミュニティ・ファンド2号からの出資)、ANRI、East Ventures、三菱UFJキャピタル、SMBCベンチャーキャピタルなどから出資を受けている。同社の2016年3月期業績は売上高5億6900万円、営業利益が2億7000万円、経常利益が2億6900万円、純利益が2億2300万円となっている。

ZTEは今度発売するスマートフォンの仕様とデザインをクラウドソーシングする

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スマートフォン市場で目立つことは難しい。ZTEの場合、最近の主な戦略は価格だった。この前はついに、お値段99ドルのAndroidファブレットまで出した。でも、そんな値下げ合戦は、山の頂上を目指す競争というより、山から転がり落ちて誰がまっさきに谷底まで落ちるか、の競争になってしまう。

そこで、この中国のスマートフォンメーカーはこのたび、外部からお知恵をいただく、という戦法に出た。今日同社がローンチを発表したProject CSXは、コミュニティの協力を求め、モバイルデバイスのデザインをオンラインフォーラムのZ-Communityから“クラウドソーシング”する。これは、OnePlusのデバイスが熱心なファンのあいだでヒットした例と似ているが、ZTEの場合は対象をファンに限定しない。

フォーラムの上で同社は、今度発売する新しいモバイルデバイスに関するアイデアを求める。そしてアイデアの投稿があるたびに、製品コンセプトを更新していく。また、今後完成して発売した製品については、優れたフィードバックに賞金を提供し、来年のCESに招待する。CESの方は、賞金ではなく、まあ、賞品のようなものだ。ただし、こんなルールがある:

モバイル製品のアイデアであること。2017年までの技術で、実現可能であること。一般消費者にとって買いやすい値段の製品になること。

中国に住んでる人は、一般発売よりも前に製品を入手できる。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Google Mapsが各種の場所情報を一般ユーザーからクラウドソーシング、10億人の編集者がいる地図出版事業だ

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Googleの今朝(米国時間7/21)の発表によると同社は、ユーザーの力を借りてGoogle Mapsを改良しようとする動きを、さらに強めていく。それは、いくつかの新しい機能によってユーザーがもっと容易に詳しい位置情報を共有できるようにしたり、ほかの人が提案した編集の正否を確認できたり、というものだ。すでにこれらの変化を経験しているユーザーも多いが、今日Googleはそれらをオフィシャルにして、より広範な展開に備えている。

Mapsのアップデートは毎日“何百万”もやってる、とGoogleは言うが、あらゆる位置の情報が詳しくて正確、とまでは行っていない。そこで多くのユーザーに頼って地図サービスを改良していこう、という話になったのだ。

これからはユーザーが、欠けている場所(お店、施設、古蹟、etc., etc.)を加えたり、iOSやAndroidのGoogle Mapsアプリから、あるいはGoogle検索の中で、企業やお店の情報を訂正したりできる。すでにメニューには、”Suggest an Edit”(編集を提案する)や”Add a Missing Place”(欠けてる場所を加える)などの項目がある。

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ただし、編集はすぐには反映されない。一人のユーザーの入力がそれだけで正しいとは限らないからだ。

新しい編集が提案されると、ほかのユーザーの画面にその提案の内容が表示され、その提案の正否を投稿できる。十分に多い人たちが同じ情報を“正”と評価したら、地図に載る。ただしそれができるのは、今のところ、AndroidのGoogle Mapsと、iOSおよびAndroidのGoogle検索(Google Search)のみだ。

また、お店の情報も住所と営業時間だけでなく、もっと充実させようとしている。

今ではGoogle Mapsアプリがレストランなどを探すために利用され、Yelpの対抗馬になりつつある。Googleはこれまでも、レストラン情報の充実に努めてきた。今では営業時間、値段、メニュー、まわりの環境などなどの要素で今日夕食を食べる場所を探せる。

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しかしこれからは、従来のようにGoogleの内部的情報努力によってではなく、一般ユーザーの情報提供によって、飲み会に適しているか、とか、健康食や菜食メニューがあるか、などより細かいリアルなことが分かるようになる。この機能はGoogleのモバイル上の検索のほか、AndroidのGoogle Mapsにもある。

お店や企業の情報をGoogleがクラウドソーシングで集めるのは、これが初めてではない。昨年はお店のレビューや訂正情報を頻繁に投稿してLocal Guideの内容充実に貢献した人にご褒美を進呈する制度を始めた。

そして今回からは、これまでのクラウドソーシング努力を一挙にすべての一般ユーザーに拡大する。すべての一般ユーザーといえば10億人以上いるから、Google Mapsには膨大な数の編集者が存在することになる。すでにあなたの画面ではGoogle MapsやGoogle Searchにこれらのメニュー項目があるなら、あなたも立派に、編集者の一人だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Q&Aの答よりもやや長くて詳しい情報を、創立10周年近いStackOverflowがドキュメンテーションのクラウドソース化に挑戦

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Stack Overflowは2008年の発足から今日までに、プログラミング関連の質問をする場所の定番のようなサイトに育ってきた。そして今回同サービスは、そのコミュニティの力を利用する新しいプロダクトを立ち上げようとしている。それはピアレビューされる技術的ドキュメンテーションの貯蔵庫(リポジトリ)だ。Stack Overflow Documentationと名付けられたこの新しいプロダクトは、各システム(プログラミング言語、ライブラリなど)に付随するマニュアルを補うと同時に、場合によっては、モアベターなドキュメンテーションとして、既存のマニュアル類を置換するかもしれない。

“これまでQ&Aでやってきたことと同じく、Documentationもデベロッパーの現実的な問題を解決することが目標だ”、StackOverflowのVP Jay Hanlonが、今日の発表声明でこう述べている。“プログラミングに関する世界中の良質な知識の和を、その上にわれわれが育っていく土壌として、個々の個人やチームに作れるもの以上に役に立つものを、作っていけるだろう”。

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StackOverflowのチームによると、Q&AのタグとDocumentationのタグは共通にする。同サイト上に、利用できるタグは5万近くある。Documentationリポジトリ上のドキュメンテーションは原則としてユーザーが書き、言語のさまざまな機能や、そのほかの技術、プロダクトなどが対象となる。

またStackOverflow Documentation上のドキュメンテーションは、機能等の単なる定義を超えて、実際的な用例まで含むものとする。そこで、ページの編成は下図のようになり、最初に用例(Examples)が来て、そのあとにパラメータとシンタックスに関する情報がある。さらにその下には、追記的なコメント(Remarks)を置く。

Organization of Individual Topic Page
[各ドキュメンテーションのお肉は用例である]

上のような、Documentationのページは、非公開ベータの間に生まれ育っていった。始まりは昨年の秋だった。重要なことのひとつは、ほかのソースから既存のドキュメンテーションをインポートするのではなく〔それはリンクと注記があれば十分!〕、コミュニティがコンテンツをスクラッチで作るものとする。Q&Aでも、その流儀…リアルでライブでオリジナルな対話…だからうまくいったのだ。今Googleの検索でプログラミング関連の質問を検索すると、結果の上位にはほとんどつねに、StackOverflow上のQ&Aが並ぶ。同じくDocumentationも、Googleの上位を占めるだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

問い合わせ対応からクリーニングまで、民泊提供者向けサービスを展開するSQUEEZEが総額約4.2億円を調達

Airbnbなどの民泊マッチングサービスの普及、そして2016年4月から旅館業法が一部緩和されたことにより民泊運営が始めやすくなった。それに伴い、空室や空き家を有効活用する方法として民泊運営に関心が集まっているが、民泊運営に民泊予約サービスへの物件登録、ゲストの問い合わせ対応、チェックアウト後のクリーニングなど運用するには手間も多くかかる。海外からのゲストに英語で対応しなければならないのもオーナーにとっては負担になる。SQUEEZEはその問題を解決するために「Mister Suite(ミスタースイート)」という民泊事業者向けに一連の運用代行サービスを提供している。SQUEEZEはサービスを拡充するためにジャフコ、インキュベイトファンド、その他事業会社、個人投資家らから総額約4.2億円の資金調達を行なったことを本日発表した。今回ファウンダーで代表取締役を務める舘林真一氏にサービスの内容、そして今後の展望について話を聞いた。

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ミスタースイートは民泊事業者向けに2つのプランを提供している。「スタートアッププラン」では、初めて民泊運営を始める物件オーナーの代わりに物件の写真を撮影し、物件プロフィールをAirbnbなどの民泊マッチングサービスに掲載する。さらにはゲスト向けに空港からのアクセスや地域の観光情報、禁煙などの宿泊ルールをまとめたウェルカムガイドも作成する。どちらも英語で作成するため、海外からのゲストに物件を訴求することができる。このプランの料金は3万円からだ。「スタンダードプラン」では、物件のリスティングと価格の最適化、問い合わせ対応、鍵の受け渡しなどのチェックインサポート、チェックアウト後のクリーニング手配まで一貫した運用サポートを行う。利用価格は予約料金の20%からだ。

「ミスタースイートは民泊の業務代行に留まらない、クラウド型の運用サポートシステムです」と舘林氏は言う。ミスタースイートは全ての情報を一元管理していて、民泊運営に関わる物件掲載、問い合わせ対応、クリーニングなどの業務を細分化し、それぞれの担当者に割り当てるシステムだと舘林氏は説明する。例えば、問い合わせ対応は海外に住んでいる主婦に委託しているという。また、クリーニング作業は契約している個人のクリーナーに委託し、リネンの交換なども専門の業者と提携している。システム内に全ての情報があり、各担当が随時そこから物件のステータスをアップデートしたり、詳細を確認したりできるということだ。それによりオペレーションを効率化していることがミスタースイートの強みだという。例えば、オペレーターがゲストの問い合わせに対応する時、その物件が担当者にとって初めて関わる物件だったとしても、システム内に蓄積した物件情報や過去にあったゲストからの質問と回答などを参照してすぐに回答することができる。クリーナーもクリーニングの依頼をスマホで受け取り、その物件で清掃を行なった後、作業が完了したことをオンラインで報告して作業を終えることができるそうだ。

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オペレーション管理画面

舘林氏は、自分でも民泊を運営した経験が創業のきっかけになったと話す。舘林氏はゴールドマン・サックスを経て、トリップアドバイザーのシンガポール支社に勤めていたという。その時、旭川に住む両親から所有物件の空室に悩んでいるという相談があり、Airbnbに物件を掲載しようと考えたそうだ。両親に物件の写真や詳細情報をもらってAirbnbに掲載したところ、旭川には他の民泊物件が少なかったこともあり、すぐに予約が埋まって民泊による収入が家賃の3倍になったという。舘林氏は物件掲載から問い合わせ対応、クリーニング業者の手配までシンガポールにいながらにしてオンラインから完結できたことがミスタースイートの構想につながったという。

2014年9月に創業したSQUEEZEは同年10月に1億円を資金調達した。現在SQUEEZEのチームは20名ほどで、その3分の1は開発人員だそうだ。今回の資金調達では開発力をさらに強化すること、そしてより多くの民泊事業者にミスタースイートを提供できる体制を整えていくことを計画していると話す。まずはクリーナーが簡単に清掃の依頼と報告ができるスマホアプリを製作する予定という。現在、東京、大阪、京都の3都市でミスタースイートを展開し、270件ほどの民泊の運用代行を行っているが、来年にはその数を2000件に増やす考えだという。その一環として、これまで個人の物件オーナー向けにサービスを提供してきたが、複数物件を所有している不動産会社などにもアプローチしていく計画だと話す。

ネット上のブラ・コンサルタントBrayolaが$2.5Mを調達、提案品を実際に買えるようにマーケットプレースを開設

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自分にぴったり合ったブラを見つけたい女性のためのサービスBrayolaが今日(米国時間4/21)、シリーズAで250万ドルを調達したことを発表した。投資家はHDS CapitalのHaim DabahとFirstTime CapitalのJonathan Benartziだ。

併せて同社は、同社自身のマーケットプレースを披露した。パートナー企業の在庫を利用して、女性が正しいブラを見つけられるだけでなく、それをBrayolaのWebサイトから買えるようにもする。

Brayolaのやり方は、分かりやすいけど実行は難しい。ユーザーは自分の好きなブラを付けた胸の写真をアップロードする。するとほかのユーザーたちがそれらの写真(顔は見せない)を見て、ブラがその人に合ってる・合ってないを投票する。

投票が終わると、“ブラ・エキスパート”が登場して結論を下す。これまでで分かっているのは、よく合ってないブラをつけている人が圧倒的に多いだけでなく、そもそも“合ってる”とはどういう状態のことを言うのか、知らない人が多い。投票によってユーザーは、もっと合ったブラをしなければならないことと、どこがどう合うべきかを、自覚する。

投票以外にも、自分の好きなブラのメーカーや型番などをアップロードして、Brayolaにもっと良いブラを提案してもらう機能もある。

そしてその提案が気に入ったら、Brayolaのマーケットプレースが役に立つ。

ファウンダーでCEOのOrit Hashayによると、Brayolaのコンバージョンレートは約5.5%で、Amazon Primeと同じぐらい高い。しかも、返品率は8%未満だそうだ。

Brayolaについて詳しく知りたい人は、ここへ

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

クラウド家事代行の「CaSy」、最短3時間前の予約が可能に

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2014年6月に正式スタートしたクラウド家事代行サービス「CaSy(カジー)」が、当日3時間前までの予約に対応する「直前リクエスト」機能をリリースした。これまでCaSyでは予約の締め切りを「2日前の18時」としていたが、ユーザーから要望の多かった直前利用に対応する。

現在、関東圏一都三県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)と大阪府および兵庫県でサービスを展開するCaSy。各地域にてクラウドソーシングで家事代行スタッフをネットワーク化、現在月数千件の予約を受けている状況だという。売上高は非公開だが前年同月比で10倍になった。「例えメディアに露出して、登録までしても使ってもらえない。そこからユーザーにヒアリングを行ってプロダクトを磨いてきた。本当にコツコツしたことの積み上げだ」(サービスを提供するCaSy代表取締役CEOの胡桃沢精一氏)

1年半以上サービスを続けて、ユーザーとスタッフの相性も見えてきた。例えば子どものいるユーザーであれば、育児経験のあるスタッフが好まれるといった具合だ。「このビジネスはユーザーの『最初の印象』が重要。そのためには、最初にいいスタッフとマッチングする意味は大きい」(胡桃沢氏)。直近ではエンジニアも強化し、マッチングの最適化も進めている。

このマッチングの最適化が今回の3時間前までの予約の実現にも繋がった。「これまでであれば、週末に家事代行の依頼をしようと思っても、実際に家事をやってもらえるのは週明けになってしまっていた。だが前日や当日に申し込みをしたいという声は大きかった」(胡桃沢氏)

直前リクエストの利用は1時間3000円。通常は1時間2500円(スポット利用の場合。定期利用の場合は1時間2190円から)なので、料金的には500円追加でのオプションと考えていいだろう。ただし地域や時間帯によっては、マッチングできない可能性もある。同社では今後マッチング精度の向上、スタッフの拡大により、直前リクエストへの対応も強化していくとしている。

IBM、Ustreamを買収を確認―エンタープライズ向けクラウド・ビデオ事業部を新設

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今朝(米国時間1/21)、IBM はビデオ会議サービスのパイオニア、Ustreamを買収したことを確認した。同時に、IBMはすでに買収ずみの他のクラウド・ビデオ企業数社とUstreamとを合わせて、新しいクラウド・ビデオ・サービス事業部を立ち上げたことも発表した。

IBMのUstream買収の第一報はFortuneで、この記事によれば買収価格は1億3000万ドルだった。 IBMはこの価格については確認していない。

新事業部は買収された4社からなる。今回買収されたUstreamに加えて、IBMが12月に買収したビデオ・マネージメントのClearLeap、10月に買収したビデオ・ストレージのCleversafe、 2013末に買収した.大型ファイル転送ツールのAsperaがクラウド・ビデオ事業部を構成する。

新事業部の責任者にはClearLeapの買収を機にIBMに入社したBraxton Jarrattが選ばれた。Jarrattは「クラウド・ビデオ分野のエンタープライズ向けフルサービスを構築する上でIBMに欠けていたパズルの一片をUstreamが埋めることになるだろう」と意欲を見せた。

IBMには計画がある

TechCrunchの取材に対して、Jarratは「IBMがビデオ分野の企業を次々に買収したのは思いつきではなく、ビデオ・サービスにおける将来計画に沿ったものだ」として次のように述べた。

IBMはその場の思いつきで行動するような会社ではない。私が〔昨年秋の買収で〕IBMと関わるようになって、この会社には壮大なマスター・プランがあり、すべての行動はそこから割り出されていることに気づいた。これがIBMに感服した最大のポイントだ。多くの企業はライバルの動向に対する反応として買収を行う。IBMの企業買収はそういうものとは全く異なる。IBMはエンタープライズ向けビデオ事業について確固とした見通しがあり、Ustreamの買収と新ユニットの組織はそのマスター・プランに基づいた行動だ。

最近のIBMの企業買収の例に漏れず、今回もUstreamの買収はそのサービス・コンポネント自体を直接利用するという面と、Ustreamの機能をAPIとしてBluemixに取り込もうとする面がある。BluemixはIBMが力を入れているエンタープライズ向けPaaS(Platform as a Service)だ。「IBMでは新しいビデオ・クラウド事業にサードパーティのデベロッパーが積極的に参加することを期待している」とJarrattは述べた。

今月のCESで明らかになったことの一つだが、ユーザー企業はビデオ配信にあたって高度なアナリティクスの提供を望んでいる。IBMはこれに対し、新事業にWatson人工知能を導入する計画だ。Jarattは「ビデオの視聴者がいつ、どのくらいビデオを視聴ないしビデオ会議に参加していたか、どんな行動を取ったかなどの詳しい情報が「即座に得られるようになる」と語った。【略】

大きな野心

クラウド・ビデオ事業部の新設はIBMが広告、ストレージ、モバイル、コミュニケーションなどで新しい大きな事業分野を開拓し、ライバルとの競争を有利な方向に導くチャンスを与える。IBMはエンタープライズ・ビデオ分野に大きな商機を見出している。報じられている買収価格は、IBMのような巨大企業がゲームに参加するためのコストしてはむしろ安価なのだろう。

「われわれが問題にしているビデオ・ビジネスの市場は2019年には1050億ドル弱になると見込まれている。 2019年といえばそう遠くない将来だ。この分野ではわれわれがもっとも魅力あるサービスの提供者となる能力があることが判明するだろう」とJarrattは語った。

画像homard.net/Flickr UNDER A CC BY 2.0 LICENSE

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

クラウドソーシングでマンガ制作——フーモアがデジガレなどから2億円の資金調達

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クラウドソーシングでマンガ制作を行うスタートアップのフーモアは12月16日、デジタルガレージ傘下のDGインキュベーションおよびDK Gate(講談社との合弁。今回が初の投資となる)、アドウェイズを引受先とした合計約2億円資金調達を実施したことを明らかにした。

フーモアは2011年11月の設立。クラウドソーシングの仕組みを利用してゲーム向けのイラストや3DCGなどを制作してきた。競合サービスであるMUGENUPなども詳細は違えど同様のスキームを採用しているとも聞くが、制作工程を分業する独自のスキームを採用、さらに、国内外で約3000人のクリエイターをネットワーク化することで、短期間で高品質な制作物の量産を実現しているとしている。売上高は非公開だが、2年目以降、前年比500%、230%、140%というペースで成長しており、現在は売上高数億円という規模になっているという。

このノウハウを元に、2015年1月からはマンガ制作の新規事業を開始。漫画制作の工程についてもイラスト同様に分業することで、スマートフォンに特化したマンガの制作を行っている。ディー・エヌ・エー(DeNA)の「マンガボックス」をはじめとしたスマホ向けのマンガアプリが登場しているが、そこに配信するマンガ——スマホ向けゲームのコミカライズや「マンガ広告」、すなわちネイティブアドなど——をこれまで1年弱で150本以制作してきたという。

以前、とあるスタートアップがマンガ広告を作成して漫画アプリ上で配信したが、コンバージョンは「通常広告と比較しても厳しい結果が出た」なんていう話を聞いたことがあった。通常の広告と同じように、マンガ広告も演出や構成が重要だし、なによりコンバージョンまで導かないといけない。またフーモアのように制作に特化しているのであれば短期間に漫画を量産し、品質を落とさないことも求められる。このあたりの課題を解決するために、分業型のクラウドソーシングのスキームが有効だと説明する。

フーモアでは今回の出資もとに、マンガを使った広告素材の制作、オリジナル作品の制作を進めていく予定。

どんなトップ5リストにも満足&納得できない人が自作のリストをどうだっ!と投稿できるサイトIntralist

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みんな、リストが好きだ。自分がリストを好きだと自覚していない人ですら、日常的にリストが好きだ。タイトルに“トップ10”とか“トップ5”とあれば、ついついその記事を見ちゃうだろう。人類はみなリストが好きだから、ついに、リスト専門のサイトIntralistが登場した。

Sports IllustratedのクリエイティブディレクターだったJohn Jaxheimerと、協同ファウンダのStuart SchwartzとAlex Ressiは、一般消費者がいろんなものを簡単正確に比較できる方法がないことに気づいた。彼らは、比較のためにいちばん便利な方法がリストだ、と考えた。雑誌にもWebサイトにも、つねにリストがある。でも彼らによると、Intralistはリストを見るだけでなく、ユーザが会話に参加できる場所だ。

“パブリッシャーたちは何十年もリストコンテンツを作ってきたが、今では誰もがコンテンツクリエイターだ”、とJaxheimerは語る。“だから、パブリッシャーから消費者へ、という一方通行のコミュニケーションに限定するやり方は、もはや古い”。

Intralistでは、誰もがトップ5のリストを作れる(そう、5項目だけ)。まったく新しいリストを作ってもよいし、既存のリストのアップデートバージョンを作ってもよい。リストを作るときには、素材となる画像やリンクをサイトが提供してくれる。

ひとつのテーマでいろんなリストが集まったら、Intralistがそれらから“決定版”のリストを作る。たとえばニューヨークのバーガーのベスト5のリストの集まりがある(Jaxheimer自身が作ったリストもある)。そこの赤い”i”のアイコンをクリックすると、決定版を見られる。

一般消費者だけでなく、編集者やパブリッシャーも歓迎している。たとえばMADEというファッション誌はIntralistに、New York Fashion Weekの写真のリストを載せている。こういう‘作品’はIntralistのトラフィック(PV)を上げるし、また作者はIntralistを、もっと長いリストや記事へのイントロやプレビューとして利用できる。そして個々のユーザのプロフィールページには、これまで投稿したリストのリスト(リンク集)が載るから、昔の投稿でも消されることや闇に埋もれることはない。

“ぼくは、コンテンツ提供者の感性を非常に大事にしたい。多くの人が、相当な時間をかけて力作のリストを作っているのだ”、とJaxheimerは言う。だからコンテンツを次々と使い捨てにするのではなく、“ユーザと一緒により魅力的なサイトを作っていきたい”。

Intralistは今はモバイルの上でもリスポンシブな(応答性のある)Webサイトとして利用できるが、来年はモバイルアプリを提供したい、と言っている。

〔参考: 2015年のプログラミング言語トップ10

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

Webサイトやモバイルアプリのテストを全世界2万名のクラウドソースで行うTest IOが$5Mを調達、合衆国進出を目指す

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モバイルアプリやWebアプリケーションのデベロッパに、セルフサービス型の‘クラウドテスト’プラットホームを提供しているベルリンのTest IO(元Testcloud)が、サンフランシスコのVC Turn/Riverが率いるシリーズAのラウンドで500万ドルを調達した。

この新たな資金は合衆国への進出(まずサンフランシスコから)など、会社の成長のために使われる予定で、またTest IOという新しい名前の周知のためにも使いたい、という。

同社は今、世界の78か国に計2万名あまりの、クラウドソースなソフトウェアテスターを抱えていて、彼らの協力により、アプリやWebサイトのテストをデベロッパや、企業の品質管理部門、プロダクトマネージャなどに提供する。バグなどの欠陥は、すぐに見つかるそうだ。

このTaaS(Test as a Service)業界で同社の決め手となる差別化要因は、プラットホームがセルフサービス型であることだ。つまり、同社のスタッフがあれこれ仕事をするのではなくて、ユーザ自身がいきなり、アプリやWebサイトのテストを自分でセットアップして開始できるのだ。

今やTest IOでもテストの70%はモバイルアプリだが、雑多なクラウドソース方式であることが、モバイルのOSやデバイスの多様化に、うまくマッチしている。

またテクノロジ企業はスピードが命だから、テストの結果もすぐに出ないと意味がない。Test IOが引用しているForresterの調査報告書も、競合に生き残るためにはスケールアップとWebを利用する迅速なテストがますます重要だ、と指摘している。クラウドソースなやり方は、迅速だけでなく、コストの面でも有利なようだ。

“今の経済はモバイルのアプリとソフトウェアが牽引しており、スタートアップのデベロッパもFortune 500企業も、開発プロセスの中で、とくにソフトウェアのテストを速くかつ低コストにしたい、と考えている”、とTest IOの協同ファウンダThomas Gruderichが声明文の中で言っている。

“この二つの要求に応えるために弊社は、デベロッパが自分で容易に管理できるプラットホームを提供し、同時にクラウドテストのスピードと質と効率も十分に利用している。今回の資金と合衆国への進出によって、弊社がヨーロッパで培ってきた勢いがさらに大きくなり、大量のアプリとソフトウェア開発市場の中でマーケットシェアをさらに拡大できるものと信ずる”。

今現在、同社のサービスはVolkswagenやRed Bullをはじめ、500社あまりのデベロッパや品質管理部門、およびプロダクトマネージャに利用されている。

〔余計な訳注: ここでVolkswagenの名を出すのは、やばいかもしれない…。〕

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

経験や直感よりデータ、人材採用に広がるデータ・ドリブンなアプローチ

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編集部注:この原稿は鈴木仁志氏による寄稿である。鈴木氏は人事・採用のコンサルティング・アウトソーシングのレジェンダ・グループのシンガポール法人の代表取締役社長を務めていて、シンガポールを拠点にクラウド採用管理システム「ACCUUM」(アキューム)をシンガポールと日本向けに提供している。

企業の人材採用活動において経験値や感覚値に頼るだけでなく、データ分析に基づいて採用を行う企業が増えてきている。アメリカでは、データ分析に基づいて採用活動のPDCAを回す「データ・ドリブン・リクルーティング」という概念が確立されていてソリューションも多く存在する。私自身がデータ・ドリブン・リクルーティングについて話す際に例として使う、映画「マネーボール」を交えながら、アメリカのソリューションを中心に紹介したい。

「マネーボール」は米国メジャーリーグベースボールでの実話を基にしている。主役であるオークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンが、データに基づく選手分析手法「セイバーメトリクス」を用いて、当時資金もない弱小チームを2002年にはア・リーグ記録の20連勝を達成するチームに育てるというストーリーだ。TechCrunch Japan読者でこの映画を観た人は、「データ分析 x ベースボール」という部分に少なからず興味をひかれたのではないだろうか。

「マネーボール」の舞台となったアメリカでは、様々な領域においてビッグデータ活用が謳われており、ここ数年は人事にもビッグデータを活用するのは当たり前という風潮になってきている。それに伴い、データ・ドリブン・リクルーティングという言葉も頻繁に使われるようになってきた。

採用プロセスは細分化すればきりがないのだが、一番シンプルにするとこんな感じだろうか。

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上記の採用プロセスの順に、データ・ドリブン・リクルーティングについて説明したい。

必要な人を決める

「探す/集める」という行為の前には、必要な人を決める(リクルーターたちは”求める人物像の策定”と呼んだりする)必要がある。社内のハイパフォーマーを特定して共通する特徴を分析したり、成功するために必要なスキルや経験を明文化したりすることだ。カルチャーフィットなど含め、社内ディスカッションなどで定性的に行われる部分もあれば、人事システムのタレントマネジメントモジュールやアセスメントツールなどを活用して定量的に行われることも多い。

「マネーボール」では、「セイバーメトリクス」という選手をデータで分析する手法が用いられる。これはアメリカ人野球ライター・野球史研究家・野球統計家であるビル・ジェームズらによって提唱された分析手法で、主観的・伝統的な評価軸ではなく客観的・統計的に選手を評価するものだ。例えば投手の評価においては、当時は伝統的に重要とされていた防御率は野手の守備力の影響をうけるため純粋な投手の力ではないとし、被ホームラン数、奪三振数、与四球数などを重要視する。ビル・ジェームズがこのような指標をもとに上原浩治投手を高く評価し、アドバイザーを務めるボストン・レッドソックスに獲得を強く勧めた話は有名だ。

例えば「マネーボール」では、資金難を理由に放出せざるをえないジェイソン・ジアンビやジョニー・デイモンといった2001年シーズンのスター選手の穴をどう埋めるかについて、ブラッド・ピット演ずるGMビリー・ビーンが「セイバーメトリクス」を信じない古株のスカウトマン達と議論しているシーンがある。2001年のオークランド・アスレチックス選手の年俸総額は約3380万ドル(30チーム中29位)、選手一人当たり平均にしても125万ドルと、総額・選手平均ともにダントツ1位のヤンキースの3分の1だった。その中で、超主力選手だったジアンビ(年俸710万ドル)とデイモン(同410万ドル)は、2人だけでチーム年俸総額の3分の1をしめていたのだ。

2001年に38本のホームランを打ったジアンビの代わりに同じタイプの選手を探しているスカウトマン対して、GMビリーは主要3選手の出塁率を平均すると3割6分4厘(0.364)であることから、出塁率が0.364の選手を3人探して穴を埋めろと指示を出した。スカウトの勘・経験やプレイヤーの体格といった定性的な視点はもちろん、ホームラン数や打率といった従来信じられていたKPIに頼ることを否定し、チームが勝つために必要なプレイヤーは出塁率や長打率などの高い選手であるという結論を導き出し、それに基づいてトレードやドラフトリスト作成の基準を決めたのだ。

探す/集める

求める人物像が決まったら、それを集めるのはリクルーターだ。リクルーティングにおいて、求人サイトやソーシャル・リクルーティング・サービスなどに代表される「探す/集める」領域は、サービスプロバイダーが一番多い部分といえるだろう。探す/集めるの領域のプレイヤー数が多い理由の1つは、1社につき1システムしか導入することのない採用管理システムなどの業務サポートシステムとは違い、メディアとして1社が複数利用することが多く、市場が大きいということがあるのだろう。全国求人情報協会発表のデータによると、2014年は年間540万件の求人がネット求人サイトに掲載された。求人サイト利用による1人当たりの採用コストは幅が広く(中途正社員採用:20万円〜150万円程度、新卒採用:100万円〜300万円程度、パート・アルバイト採用:2万円〜100万円程度)、掲載無料&成功報酬モデルもある。仮に平均単価が10万円としても5000億円を超える市場規模がある。

掲載型の求人広告とは少し異なるアプローチで、ダイレクト・ソーシングとも呼ばれる「探す」という行為もある。このアプローチでは、Linkedinのようなデータベースを活用することも可能だが、アメリカでは「People Aggregator(人の情報収集システム)」なども注目されており、EnteloやMonsterに買収されたTalentBinなどが有名だ。「Google for Jobs」(求人版のGoogle)と言われるIndeedがあれば、このようなサービスは「Google for Talent」(タレント版のGoogle)と呼ばれたりする。Enteloのサービスは検索した個人のEmail、Facebook、Twitter、LinkedIn、あるいはエンジニア向けサイトで個々人の技術スキルも分かるGitHub、StackOverflowなどの様々なサービスのアカウントをEntelo上でまとめるだけでなく、「現職への転職から24カ月目の節目は転職率が高い」とか「LinkedInのプロフィールを更新してから一定期間は転職率が高い」といったソーシャルシグナルの分析に基づく独自アルゴリズムによりターゲット人物をランキングしたり、その個人の各種サービス利用頻度などから直接連絡を取るのにベストな手段をサジェストしたりする。この辺りは「マネーボール」の中で、GMビリーが他球団と電話でトレード交渉を進める横で、GM補佐であるイェール大学卒業のピーター・ブランドが、ラップトップでデータを見ながらトレードで取得すべき選手の名前を次々に挙げていくシーンなどが思い浮かぶだろう。

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そして「集める」という行為をデータ・ドリブンで行うには、現状のチャネル分析や候補者行動分析などの小さなPDCAを常に繰り返し実行する必要がある。エクセルやグーグルフォームでなく、 採用管理システムを上手く活用してリアルタイムにデータ分析を行うことが重要となる。チャネル毎の応募数や採用数だけでなく、利用デバイスやブラウザなども分析することでポジション毎に最適なチャネルを選ぶことができる。この領域にはJobviteを中心に、JibeGreenhouseSmartRecruitersなど2500万〜5500万ドルを調達して注目されているアメリカ発のサービスが多く、当社が提供するクラウド採用管理システム「ACCUUM(アキューム)」もこの領域でサービスを提供している。これらの採用システムに共通するコア機能としてはATS(Applicant Tracking System)と呼ばれる応募者管理機能があり、ウェブサイトや人材紹介会社からの候補者を一元管理しチャネル分析などを行えるが、それ以外のマネタイズの方法は各社異なる。例えばJobviteは後述するビデオ面接機能を最近強化して選考側を強化している一方、SmartRecruitersは管理画面からIndeedやLinkedInなど外部求人サイトへ簡単に掲載させる機能により母集団形成側を強化している。OracleのTaleoやSAPのSuccessfactorsなど大規模人事管理システムではこのような機能は、MultiPostingなどとAPIで連携しているケースが多いが、採用管理システムではこのような機能も自前で持つところが増えてきている。こういったサービスを活用すれば、採用企業は、いくつもの外部サービスにログインして一つひとつ求人情報の掲載をしなくて済む。のみならず、今後は外部サイトに簡単に掲載できるだけでなく、ビッグデータ分析によって職種毎に使うべき求人サービスをサジェストする機能なども強化されていくことだろう。

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前述の求人サイトの掲載価格は、アメリカの求人サイトMonsterが1職種月額5万円以下(375米ドル)、東南アジアで強いJobStreetが1職種月額1万円以下(100シンガポールドル)であることを考えると、日本の求人掲載料はまだまだ高い。無料掲載のビズリーチのスタンバイや、月額3万円から職種数無制限で掲載できるウォンテッドリーなどが市場に変化を与えているが、自社の応募データを分析して、データ・ドリブン・リクルーティングで自社に合ったチャネル戦略を立てることにより、採用単価や採用スピードを改善できる余地は大きい。

選ぶ

「探す/集める」の次は「選ぶ」ステップになる。この領域において注目されているリクルーティングサービスの1つがビデオインタビュープラットフォームのHireVueだ。既述の通りJobviteなどが追加機能として提供するだけでなく、GreenJobInterviewSparkHireなどスタンドアローンのサービスも多いが、9200万ドルを調達しているHireVueがプロダクトとしてもクライアントベースとしても抜きん出ている印象だ。サービスがスタートした当初の質の低いSkypeといった印象から大きく進化を続け、今では総合的な採用プラットフォームになっている。その強みのコアは、やはりビデオインタビュー部分だ。Fortune 500 企業などを含む500社以上のユーザー企業を誇るHireVueによると、平均して1ポジションに約100名の応募があるが、そのうち面接の機会を与えられるのはたったの6人だという。ビデオ録画機能を使ってより多くの候補者に質問に答えさせ、面接での質問に対する300万件以上の候補者の発言などの分析をもとにしたHireVue独自のアルゴリズムで、やる気・情熱・感情・性格などを予測する。履歴書や職務経歴書だけで100名から6名に絞り込むよりも、より正確に企業やポジションに合った候補者を選ぶことが可能という。

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GMのビリーがニューヨーク・ヤンキースからデイビット・ジャスティスという選手の獲得を提案した時、年齢による衰えから2001年シーズンでは打率はピーク時の0.329から0.241まで落ち、ホームラン数は41本から18本に落ちていること、そして足の故障や守備のまずさなどを理由にスカウト達は猛反対をした。ただし、既述の出塁率が0.333と目標値に近く、また、年俸700万ドルの半分をヤンキースが負担するという好条件もあり、アスレチックはジャスティスを獲得した。従来のKPIだけで見ていたら獲得リストにも載っていなかった選手だが、GMビリーとGM補佐ピーターのアプローチによって選ばれた選手の一人だ。

口説く

最後は当然「口説く」ことが必要になる。私の知人が経営する会社では、本年度は特に採用が最重要課題であるという理由から、会社のトップセールスを1年間限定でリクルーティングの責任者においた。最近は日本でもこのようなケースが見られるが、アメリカではマーケティングや営業のスーパースターをリクルーティングチームに移すことは珍しいことではなくなってきている。もちろんただ単にコミュニケーション能力があるというだけの話ではない。口説く相手が100人いれば100通りの異なるストーリーを考えることが必要になるからだ。

映画の最終的な脚本ではカットされてしまっているが、出回っている英語版の脚本ドラフトで印象に残るシーンがあった。GMのビリーとGM補佐のピーターが、一塁手のスコット・ハッテバーグと話しているシーンだ。ハッテバーグは怪我によりキャッチャーとしてのキャリアを捨てざるを得なくなり、スカウト達が獲得を反対した選手の一人だ。この選手を一塁手にコンバートして獲得するというオファーを出したのだが、 実はハッテバーグ本人ですら何故アスレチックスがそこまで興味を示したのか、分からずにいた。入団後になるが、本人の過去のバッティングデータからストライクやヒットの多いゾーンについての傾向を教えると、本人はなるほどという反応を示す。次に、打席平均の相手ピッチャー投球数の4球という数字は、バリー・ボンズやジェイソン・ジアンビといった超一流打者の5球という数字には及ばないものの非常に良い数字であり、相手ピッチャーを疲れさせるためには非常に重要であるという根拠とともに「One of the reasons why we love you.(僕たちが君を高く評価する理由のひとつだ。)」と伝えると、この数字の重要性に気付いていなかったハッテバーグも、驚きをもって興味を示す。

情熱やフィーリングはもちろん重要だが、ビリー・ビーンの様にリサーチデータを基に候補者一人ひとりに合わせたストーリーで口説けるようになることもリクルーターとして重要なスキルの1つであり、そのためにはいくつかのソリューションを使いこなすことも必要だろう。

自分のスマホで簡単な手作業バイトができるSpare5、シリーズAで$10Mを調達

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企業はSpare5を利用して、写真にタグ付けをするとか、コンテンツを分類整理するなどの細かい雑務を、停留所でバスを待っているスマートフォンユーザ(==ひまな人)にやってもらい、その‘賃金’を払う。それはまるでAmazon Mechanical Turkのモバイルバージョンみたいだが、同社はこのたびシリーズAで1000万ドルを獲得した。このラウンドをリードしたのは、Foundry GroupMadrona Venture GroupNew Enterprise Associates(NEA)の3社だ。

同社によればこの新たな資金は、“エンジニアリングとデザインとマーケティングとコミュニティ管理とCRの拡充”に充てられる。

Spare5によると、アメリカ人はスマートフォン上で大量の時間を消費しているから、“コンピュータにとって苦手なデータ関連の問題の解決を手伝う時間”ぐらいあるはずだ、という。

Spare5のCEOで協同ファウンダのMatt Benckeは、次のように語る: “企業はつねに、コンピュータだけでは解決できないデータの問題を抱えている。わが社は、人間にしかできない能力の‘生産性’をテクノロジを利用して増幅している。それは顧客にとって、ほかの方法では得られない、速くてコスト効率の良い成果達成方法だ。オンラインのお店でも、リッチコンテンツのパブリッシャーでも、機械学習エンジンを訓練している企業でも、人間の頭と心にできることが、必要なはずだ。わが社はそういう、人間ならではの能力を、ITに革新をもたらす新しいクォリティおよび価値として提供する”。

同社は、人びとがこのサービスでどれぐらい稼いでいるのか、については口を濁した。でもたぶんその額は、Googleが同社に有利なコメントを書いた人たちに払ったとされる月額8354ドルよりは、ずっと少ないだろう。彼らは、一日に数時間、仕事をしただけだけどね。

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同社によると、Spare5は職業ではなく、今後職業にしていく気もない。支払額は仕事の複雑さやクォリティや生産性によって大きく異なる。だからそれは、‘一定の時給’と見なすことはできない。中には、これまで数百ドル稼いだ人もいる。Spare5は職業でも副業でもなく、ちょっとした手仕事のマーケットプレース、だそうだ。

Amazon Mechanical Turkの場合は、ワーカーの約50%が合衆国で、40%がインドだ。Spare5では、ユーザ*の約90%が合衆国で、男女半々ぐらい、その多くは30歳以下だそうだ。〔*: ユーザ、Spare5を利用する仕事の発注者ではなくて、Spare5のワーカーのこと。〕

Spare5のユーザは登録時に一連の質問をされるし、またFacebook経由で接続しなければならない。仕事は、ユーザのスキルや趣味に基づいて割り当てられる。

“仕事をしてくれる人とその結果のクォリティを維持するために、独自のアルゴリズムを使っている。それには、専門学者が発表しているいくつかのベストプラクティスも含まれている。そのようにして、高品質な結果を企業顧客に届けている”、ということだ。

ひまなとき、Angry BirdsをプレイするよりはSpare5で写真のタグ付けでもした方がいいや、と思える人たちが、今後どれぐらい増えるだろうか。賃金が安過ぎたら、一度で懲りて、またFist of Furyのプレイに戻るだろうけど。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

オンライン学習サービスのスクーがクラウドワークスと提携、「人材x教育」で地方創生に臨む

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人は誰しもキャリアアップしたいと願うものだろう。キャリアアップを実現するために学び、スキルを身に付け、自分の価値を高めていく。企業に勤めていればトレーニングも提供されるものだが、クラウドワーカーにとっては先行投資でありそのハードルは低くない。だがそれが無料で受講できるとしたらどうだろうか。

インターネットの動画配信を利用したオンライン学習サービス「schoo WEB-campus(スクー)」を運営するスクーは6月12日、クラウドソーシングサービス「クラウドワークス」を運営するクラウドワークスとの提携を発表した。提携第1弾のプロジェクトとして、クラウドワークスに所属するすべてのワーカーに対し、無料で特別カリキュラムを提供するという。

提供されるカリキュラムはデザイナー向けとライター向けの2種類。schooは通常、リアルタイムでの受講(視聴)は無料だが、録画での受講は有料となっている。だがクラウドワークスの会員であれば録画受講も無料になる。

スクー代表取締役の森健志郎氏は、今回の提携を「人材と教育の統合の第一歩」と話す。短期的にはクラウドワークスが抱える65万人もの利用者を取り込めるメリットがあるが、中長期的には利用者の学習データと就労データを結び付け、よりビジネスに直結するカリキュラムを提供することが狙いだ。今後はスクーのカリキュラムを一定時間受講したらクラウドワークスのサイトでバッジを表示するなど、ワーカーのスキルを担保する仕組みも作っていきたいという。

クラウドワークスにとってもメリットは大きい。同社では地方在住のワーカーが多い点を挙げ(約9割が東京都外)、オンライン学習によるスキルの底上げを目指す。また、ワーカーとして登録したものの仕事の実績がないうちは簡単に受注できない現実があるとし、スクーの受講履歴バッジでキャリアを担保し、これを解消したいと話す。

両社が共通して語っていたのが「地方創生」への思いだ。都市部への人口一極集中で都市消滅の問題が叫ばれる中、いつでもどこでも働けるクラウドソーシングは問題解決の糸口となる可能性がある。とはいえ、器を用意しただけでは足りず、仕事を受注できるレベルにまで教育する事が欠かせない。スクーのトレーニングでワーカーのスキルを上げ、将来的には国内だけでなく、海外からの案件も受注出来るレベルにまで育てたいと意気込む。

なおクラウドワークスは6月11日にサイバーエージェントを割当先とする約5億円の第三者割当増資などで合計約30億円の資金を調達すると発表している。今後は今回のような業務提携に加え、M&Aや資本提携などを加速させるとしている。

ランサーズとアイレップが提携、クラウドソーシングを使ったコンテンツマーケ支援事業

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クラウドソーシングサービスを展開するランサーズとマーケティングエージェンシーのアイレップは6月8日、コンテンツマーケティング領域での業務提携を締結した。2社は共同でコンテンツマーケティング支援サービス「ONE CUSHION(ワンクッション)」を提供する。

ONE CUSHIONは、ランサーズに登録するライターに対して試験を実施して、人材を選抜。試験に合格したライターに限定してクライアントワークを発注することで、クライアントは品質の高いコンテンツをもとにしたコンテンツマーケティングを実現できるというもの。ライターのアサインやディレクションをランサーズが、クライアントとのコミュニケーションや最終的な校正等をアイレップが担当する。

このONE CUSHION、もともとランサーズ、アイレップがそれぞれ今まで提供してきたサービスの強みを組み合わせたモノだという。

企業がオウンドメディアを立ち上げるなどして、コンテンツ(記事など)をフックに、消費者や顧客との関係性を築くことを指すコンテンツマーケティング。ランサーズ上にはこれまでもコンテンツマーケティングに向けた記事作成——1記事数十円〜数百円という、価格重視で品質を問わないモノかから、特定分野に特化したライターでないと書けないような比較的高単価のものまで——の依頼は数多くあったし、例えば「金融」といったテーマに特化した記事作成に特化したメディアにライターのリソースを提供するといった法人向けのビジネスも行ってきているのだそうだ。

またこれまでSEMや広告運用などを通じて企業のマーケティング支援をしてきたアイレップでは、2年ほど前から編集プロダクション(編プロ)などライターを束ねる企業と組み、コンテンツマーケティング事業を進めてきた。

アイレップが事業を進める中で課題を感じていたのは、コンテンツの品質。例えば著名な編集プロダクションと組んでも、その品質は実際に記事を書くライター個人の能力によって左右されるため、「ライターのアサイン状況次第では満足できない結果になっていた。ライターの高度な標準化が必要になった」(アイレップ取締役の下山哲平氏)という。その解決策として、同社では社内で編集・校正の機能を持つようになったのだという。

だが最終的な品質のチェックを社内でするのであれば、編集機能のある組織と組むよりも、クラウドソーシングようにライターが集まるプラットフォームと組む方が安価なわけだ。そんなことから複数の事業者と話し合いを進め、今回のランサーズとの提携に至ったのだそう。「(クライアントから来た)案件をそのままプラットフォームに投げるのではなく、間に入ってクライアント、ライターの両方とコミュニケーションをとるディレクターが必要。そこに投資をし、注力しているのがランサーズだった」(下山氏)。

 

生活密着型クラウドソーシングのエニタイムズが高野真氏、グリー、DeNAなどから2.3億円の資金調達—リアルでのマーケティングなど強化

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生活密着型のクラウドソーシングサービス「Any+Times(エニタイムズ)」を運営するエニタイムズ は5月21日、元ピムコジャパンリミテッド取締役社長でアトミックスメテディア代表取締役CEOおよびフォーブス ジャパン編集長の高野真氏、グリー、ディー・エヌ・エー(既存投資家)、その他個人投資家を引受先とする、総額2億3000万円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。今回調達した資金をもとにシステムの強化を進めるほか、マーケティングや人材の採用・育成を進める。

また、今回の調達とあわせて、高野真氏のほか、既存投資家であるインキュベイトファンドの和田圭祐氏が社外取締役に就任する。さらに、3月から同社のエバンジェリストとして活躍しているジャーナリストの佐々木俊尚氏がメディア顧問に就任する。

Any+Timesは、日常の家事や旅行の間のペットの世話、家具の組み立て、語学レッスンなど、生活に密着した「手伝って欲しいこと」「得意なこと」を提供しあえるクラウドソーシングサービス。同社はこれまで「生活密着型クラウドソーシングサービス」「生活密着型シェアリングエコノミーサービス」銘打ってサービスを展開してきたが、今回の発表にあわせて、Any+Timesを「サービス ECのマーケットプレイス」と再定義したそうだ。最近はスタートアップによる家事代行サービスなども増えているが、クラウドソーシングを使うことで、そういったものよりも柔軟な仕事の依頼ができるというわけだ。

ユーザー数は非公開とのことだったが、スマートフォンアプリのダウンロード数はiOS、Android合わせて13万2000件。現在は東京・多摩地区で慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科などと協力した地域人材活性化のための取り組みも進めるなど、リアルでのマーケティング活動も強化している。

動画制作クラウドのViibarがヤフーと資本業務提携、既存株主含め7億円の資金調達

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「動画元年」なんて言われていたのは去年か一昨年のことだっただろうか。ともかく動画に関するビジネスが急速に拡大しているのは事実だ。十代のカップルが自らの動画をアップする「MixChannel」は女子中高生の2人に1人が利用しているそうだし、動画広告のプラットフォームも複数スタートしている。UUUMのようなYouTuberのマネジメント会社も登場してきたし、動画制作向けのクラウドソーシングサービスもある。

そんな動画制作特化型クラウドソーシングサービスの1つ、「Viibar」を運営するのがViibarだ。同社は5月18日、ヤフーと資本業務提携を行うことを明らかにした。

資本提携では、ヤフーに加えて既存株主であるグロービス・キャピタル・パートナーズおよびグリーベンチャーズが出資。総額約7億円の第三者割当増資を実施した。あわせて、ヤフー執行役員 マーケティングソリューションカンパニー長の荒波修氏が社外取締役に就任する。なお、業務提携の詳細については、6月後半にも詳細を発表するとしている。

動画広告が成長。売上は前年比30倍に

Viibarは動画制作に特化したクラウドソーシングサービスだ。現在国内を中心に約2000人のクリエーターがユーザー登録。動画制作はスタッフが進行管理や制作スタッフのマッチングを担当。クライアントとクリエーターはオンライン上でコミュニケーションを取りながら動画を制作していく。

Viibar代表取締役の上坂優太氏

Viibar代表取締役の上坂優太氏

これまで、動画広告や商品説明動画などウェブで利用される動画をはじめ、テレビCMやOOH(交通広告や屋外広告)などに向けた動画を制作してきた。売上高は非公開ということだったが、「2013年度から2014年度で30倍成長」(Viibar代表取締役の上坂優太氏)なのだそう。

初年度ということでベースとなる売上が決して大きいとは思わないが、それでも30倍というのはすごい数字だ。この成長の背景にあるのは、急増する動画広告のニーズ。「テレビCMやOOHなど、利用の幅も広がっているが、そこはあくまで一次関数的な成長でしかない。当初から明確にあったウェブの動画広告が大きく成長している。市場ではクリエイティブ不足が明確な課題になってきた」(上坂氏)

制作だけでなく、“成果”に結びつく機能の提供へ

上坂氏は、「安かろう悪かろうではない」と、Viibarで作成する「動画」そのものの品質が評価されていると説明するが、同時に「動画広告」としての品質を高めているところだと語る。

動画広告は、単純に動画としてのクオリティだけでなく、動画を閲覧した人がそのサービスを利用したり、商品を購入するといった“成果”が求められるもの。そのため、どれだけイケてる動画を作るかということではなく、動画広告をユーザーに配信するという一連のフロー——企画、制作者のマッチング、動画制作、動画の配信、効果測定、そして効果測定を元にしたPDCAを回す——を通じて、成果を出していかなければならない。

だがこれまでのクラウドソーシングが担当していたのは「制作者のマッチング」「動画制作」といったパート程度だ。Viibarでは現在、動画広告にまつわる一連のフローを自社でまかなえるよう、各種開発を進めているのだそうだ。「動画広告はクリエイティブの要素が大きいが、そのクリエイティブを評価して、次の企画に落とし込むというところまでをデータドリブンでやっていく」(上坂氏)

具体的な内容については聞けなかったが、動画制作に加えて動画配信やアナリティクスの機能も提供していくということだろう。実際、今回の調達を機に、データアナリストなどの採用も始めていると聞いた。

ヤフー本体が出資するも「基本的にはIPO目指す」

ヤフー本体によるスタートアップへの出資というのは、それほど多いケースではない。Facebookを使った懸賞サービスを提供していたクロコスや、映画チケットの共同購入サービスを提供していたブルームなど、買収案件が比較的目立っている印象だ。

ヤフーによる買収の可能性について上坂氏に尋ねたところ、「基本的にはIPOを目指している。動画広告は急速に伸びており、特にBtoB、BtoBtoCでレバレッジを書けてサービスを展開するには、以下にジャイアントと組むかというのは重要になると思っている。ただし我々はYouTubeやFacebookなどともすでに取引もあるし、基本的に独立した存在」としている。

「赤字上場でもしっかりした成績が残せた」2Q決算でクラウドワークス吉田社長

20年後にクラウドソーシングで年間総契約額3兆円の仕事を提供する——クラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏は、5月15日に開催された決算説明会兼事業戦略発表会でこのように語った。

事業は成長、「しっかりした成績が残せた」

すでに昨日発表済みではあるが、クラウドワークスの2015年9月期第2四半期(第1〜2四半期累計)の営業収益で3億6500万円(前年同期比で307.8%増)、営業利益は2億8300万円の赤字(前年同期は1億700万円の赤字)、経常利益は2億8700万円の赤字(同1億700万円の赤字)、純利益は2億9500億円の赤字(同1億800万円の赤字)。

事前見通しの通り利益を見ると赤字ではあるものの(ただし、質疑応答以外、プレゼンで利益のことに全く触れなかったのはちょっと気になったのだが)、総契約額では前年同期比で97%となる6億5600万円。クラウドワーカー(登録ユーザー数)は年間257%増の58万人(4月末時点の数字、5月に60万人を突破したそう)。営業収益は四半期ベースで見ると前四半期比229%となる218億円。会見でクラウドワークス代表取締役社長の吉田浩一郎氏は「『赤字上場で大丈夫か』と言われたが、しっかりした成績が残せたのではないか」と語る。

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2015年9月期は総契約額はプラットフォームサービスで25億円(上半期実績で8億4000万円)、エンタープライズサービスで9億円(上半期実績で3億円)を目指す。2014年にスタートしたエンタープライズ向けの事業も好調とのことで、継続利用に加えて、大手企業の新規獲得も好調だったとした。

会見で吉田氏が繰り返したのは「総契約額」というKPI。同社では2017年9月期に総計約100億円という計画を掲げていたが、今後体制強化と新サービスで2016年度での達成を目指すという。ただし黒字化の時期については明言せず、事業への投資の可能性も挙げつつ、「(総契約額)100億円での黒字か赤字についてもまだ考えているところ」と説明するにとどまった。

さらに20年後の目標として、年間総契約額3兆円という数字を掲げた。吉田氏は—名前こそ出さないものの、ソフトバンク代表の孫正義氏を暗に例に挙げつつ——「僕らの世代でも夢を持っていい。今は『何を言っているんだ』と言われるかもしれないが、温かく見守って頂きたい」「上場市場の末端に立った以上、投資家のみなさまに精一杯答えたい」と語った。

新サービス「クラウドワークスBPO」を展開

4月には、最長6カ月程度のクライアント企業でのオフィスワークを経てリモートワークへ移行することで企業の不安を取り除き、長期のリモートワークを実現する「クラウドワークステクノロジーズ」を発表していたが、同社は今回新たに「クラウドワークスBPO」なるサービスを開始した。

BPOとはビジネス・プロセス・アウトソーシング、つまり作業ではなく業務そのもののアウトソーシングだ。クラウドワークスBPOでは、同社のスタッフがクライアント企業に常駐。クラウドソーシング事業の「クラウドワークス」や前述のクラウドワークステクノロジーズを使ってアウトソーシングの組織体制を設計するというもの。

このサービスでターゲットとするのは、電力関連事業。2016年4月に電力小売が完全自由化されるが、「関する業務が大量に発生する。その課題に対応する」(吉田氏)のだという。具体的には補助金申請や電力会社向けの接続申請、電力需給管理といった業務に向け、リサーチ・マーケティング・経理・コールセンター・原稿制作・書類作成・監視などを行う。同社ではこの事業で2018年内に10億円規模の業務をクラウドソーシング化するとしている。

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OpenSignalのWiFiホットスポットマッパーは有料/無料を識別できるお利口さん

【抄訳】
WiFiMapper

モバイルの信号を地図に落とすマッパーサービスOpenSignalが、良い接続を求めるユーザを助けるためにWiFiホットスポットをマップするアプリをローンチした。同社は2013年に、クラウドソーシングした携帯電話ネットワークのデータから天気予報情報を拾い上げて地図に落とすアプリをローンチしたが、今回は同社のクラウドソーシング努力の第二弾である。

前の天気予報マッパーの名前がWeatherSignalだったのに対し、今回の新しいアプリはWifiMapperという名前だ。今日はiOSバージョンのローンチだが、約1か月後にはAndroidバージョンも出す、と協同ファウンダでCEOのBrendan Gillが言っている。

アプリは無料で、はじめは、OpenSignalの既存のアプリのユーザたちのネットワークが作り出したWiFiホットスポットのデータベースに依存する。

“データはこの4年間、最初はモバイルのネットワークから、次いでWiFiのネットワークからクラウドソーシングしてきた。あのアプリケーションは1500万近くダウンロードされた”、とGillは述べる。さらに加えて、“うちが集めたWiFiネットワークのデータベースは、たぶん世界最大だと思う”。

App Storeにはすでに、さまざまなWiFiホットスポットマッピングアプリがあるが、Gillが言うように、OpenSignalのWifiMapperはまずそのスケールで他を圧している。“そのほかのWiFiアプリに比べると、うちが集めたデータの規模は、はるかに大きい”、と彼は主張する。

OpenSignalのアプリのアクティブユーザは全世界で約150万、そして彼らのアプリから、この新しいWiFiホットスポットマッピングアプリにデータがやって来る。今そのデータベースには、5億近いホットスポットが載っている。

WifiMapperのもうひとつの大きな差別化要素は、無料のWiFiホットスポットと有料のホットスポットを区別できることだ。それらは色分けされるから、たとえばカフェやバーの無料のWiFiホットスポットを見つけることもできる。カフェとかバーといった情報は、Foursquareの位置レビューデータを利用して入れている。

“うちが作ったインテリジェントなアルゴリズムが、そうやってWiFiを分類する。うちのデータベースに5億のホットスポットが載っていても、その多くはユーザが実際に使えないものだ。だから、どれが無料かを見分けるアルゴリズムが重要なのだ”、とGillは語る。

“またそのアルゴリズムは、ホットスポットがある実際の場所も調べるから、そこがカフェであるとか、バーである、空港である、なども分かるのだ。そのお店に関するコメントも、表示される。それらも、やはり元ネタはFoursquareの場所データベースだけど”。

さらなる差別化要素として、OpenSignalのWiFiホットスポットマッパーではホットスポットのクォリティが分かる。“うちのアプリはWiFiのスピードやレイテンシなど、ホットスポットのパフォーマンスデータを継続的に調べている。だから長期的な目標は、WiFiデータベースの決定版になることではなくて、無料で快適で速くて混んでいないWiFiホットスポットを見つけるアプリになることだ。そこまでやるアプリは、ほかにないと思うね”、と彼は述べる。

WiFiホットスポットが無料か否かを調べるためにはクラスタリングのアルゴリズム〔k平均法など〕を用いて大量のシグナル(位置情報など)を解析する。たとえば、そこがオフィスや居住地でなくバーやカフェなら、無料だろう、と見当をつける。WiFiネットワークの名前も、検討の素材にする。また、ログイン後のリダイレクトがあれば、それは有料ゲートウェイであるという兆候だ。

以上のように大量の情報処理を自動的に行っているが、ローンチ後にはユーザのクラウドソーシングへの参加により、もっと多くのWiFi情報が得られるはずだ。

【後略】

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa