TモバイルのCEOが退任、WeWorkのトップに移籍か

John Legere(ジョン・レジャー)氏がWeWorkを引き受けるかどうか不明だが、T-Mobile(Tモバイル)のCEOを退任することは間違いないことが判明した。TモバイルはソフトバンクグループのキャリアであるSprint(スプリント)との合併を進めているところだ。

米国時間11月17日、Tモバイルレジャー氏は後任CEOが同社の現COO(最高業務責任者)、Mike Sievert(マイク・シーバート)氏となることを確認した。CEOの交代は2020年5月1日の予定で、レジャー氏は取締役には留まる。

Tモバイルもレジャー氏自身も今後の計画についてはコメントしていない。しかしTモバイルを離れることでWeWorkのトップになる道が開かれたことは確かだ。 レジャー氏はある意味、企業再建の専門家であり、大きな問題を抱えたオフィス賃貸ビジネスを引き受けるのではないかという観測が出ていた。われわれも報じてきたとおり、WeWorkは株式上場を申請したものの、財務状況の悪化と経営上の問題が明らかとなり、一転して申請を取り下げた。ファウンダーのアダム・ニューマン氏がCEOを辞任し、同社の評価額は暴落した。これにより同社に対する大口投資家であるソフトバンクが事態の収拾を図らざるを得なくなっている。

レジャー氏がWeWorkのトップになるという噂は即刻否定されたが、その情報源は「レジャー氏はTモバイルを離れるつもりはないからだ」と断言していた。その前提が覆った以上、WeWork移籍を含めてソフトバンクとレジャー氏の関係は新たな見地から見る必要がある。TechCrunchはレジャー氏に直接取材を試みている。結果が得られ次第お知らせする。

レジャー氏は2012年からTモバイルのトップを務めているが、長い業界経験と大胆不敵な性格を生かし、AT&TとVerizon(TechCrunchの親会社)という巨大キャリアの圧迫の下で苦闘していたTモバイルの活性化を図ってきた。特に「脱キャリア化」というマーケティング戦略は功を奏し、レジャー氏の在任中に株価はアップし、今や時価総額は650億ドルに達している(退任の報が流れた後1.5%下がった)。

シーバート氏はレジャー氏が敷いた戦略を続行するものと見られる。Tモバイルは「我々は消費者の利益を守るため米国のワイヤレス業界のディスラプト要素であり続ける」と述べた。

【略】

別の声明でシーバート氏は、「我々は今後も脱キャリア文化を追求していく。Tモバイルは(レジャー氏という)個人のものではない。経営陣には極めて優れた人材が揃っているし、カスタマーのために全力を挙げる才能ある社員を何千人も擁している。今後の私の使命はTモバイルを市場をリードする存在に成長させ、カスタマー・エクスペリエンスでも傑出した成果を挙げるよう導くことだ」と述べた。

レジャー氏の退任がWeWorkを始めとするソフトバンク傘下企業のトップ人事と関連があるのかどうは今のところ不明だが、TモバイルのCEO交代自体は理にかなっている。Sprintとの合併は「新会社は誰が指揮するのか?」という大きなクエスチョンマークを残していた。合併に伴って新たな人事構想があることは今年に入って発表されていたが、まだ実現していない。合併手続きは来年早々にも完了するものと見られている。

画像:T-Mobile

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

セールスフォースとアップルの提携による新ツールが登場

昨年開催されたSalesforce(セールスフォース)の年次顧客カンファレンスDreamforceで、Apple(アップル)とセールスフォース提携開始を発表した。この提携では、アップルデバイス上でのセールスフォースプロダクトの作動を向上させるために両社が共同開発を進める。そして今年のDreamforceが始まった11月18日、提携の結果として2つの新たなツールが使えるようになったと発表した。これらのツールは昨年の会議で発表されていたものだ。

まず最初に、アップルはセールスフォースのモバイルアプリの再デザインにセールスフォースとともに取り組んだ。素早く操作できるようSiriショートカットを使えるようにするなど、iOSの機能を盛り込むというものだ。モバイルデバイスでは面倒と感じがちなタイピングの代わりに音声で操作できるようになる。

写真:Salesforce

例えば「ヘイシリ、次の商談」と言うとSiriがセールスフォースのCRMと連動し、商談出席者の名前や企業名、最後に商談出席者に会ったのがいつだったか、Einstein opportunity score(Salesforceの商談有望性を数値化したもの)がどんなものかを教え、本日の商談がどれくらいうまくいきそうかを予測する。

加えてモバイルアプリでは、変更を即座にデバイス間で反映させるためにアップルのハンドオフ機能を利用し、Face IDでアプリに簡単にログオンできる。

セールスフォースはまた、SalesforceモバイルでのEinstein Voiceのテスト展開も発表した。この機能では、セールスパーソンが音声でノートを開いたり、タスクを追加したり、CRMデータベースをアップデートしたりできる。Einsteinはセールスフォースの人工知能レイヤーで、音声機能はセールスパーソンが尋ねたことを理解するために自然言語を活用している。

同社によると、アップデートされたアプリのテストに1000社以上が参加していて、同社史上最大規模になっているとのことだ。

加えて、新しいモバイル開発プラットフォームSDKも発表した。これはSwift言語を使ったiOSとiPadOSのために作られている。セールスフォースのデベロッパーがiPadとiPhone向けのアプリを構築できるようにするツールを提供し、Swift UI、そしてPackage Managerと呼ばれる新しいツールをひとまとめにするというのが狙いだ。

写真:Salesforce

Trailhead Goというのは、セールスフォースのiPadとiPhone向けにデザインされたオンライン学習プラットフォームのモバイル版だ。新しいMobile SDKを使って作られていて、これによりユーザーがウェブでアクセスしている同じコースにモバイルコンテキストでもアクセスできるようになる。新しいモバイルツールには、必要に応じてピクチャー・イン・ピクチャーとマルチタスクのための画面分割のサポートでデバイス間でやり取りできる機能も含まれる。

Salesforce MobileとTrailhead GoはiOSのApp Storeで本日から無料で利用できる。そしてSalesforce Mobile SDKは今年中に利用できるようになる見込みだ。

両社の提携が発展するにつれ、両社はその恩恵を受ける。セールスフォースはアップルの機能に直接アクセスできるようになり、最適な方法でそうした機能を埋め込めるようアップルと協業できる。一方のアップルは、世界最大の企業向けソフトウェアベンダーの1社であるセールスフォースを通じて企業に深くアクセスできるようになる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Twitterが正式に政治広告を禁止

2週間前にTwitterが発表した政治広告禁止措置が発効した。ルールは驚くほどシンプルだ。シンプルすぎるかもしれない。定義に該当する政治的コンテンツは今後広告宣伝できない。候補者、政党、政府、政府職員、PACs(政治行動委員会。米国の選挙における政治資金管理団体)、非営利の政治団体は、コンテンツの広告宣伝が一切禁止される。

Twitterの方針の背後にある考え方は「政治的なメッセージを届けたいなら金に頼るのではなくその内容で訴える必要がある」。これは反論が難しい(Facebookは反論するだろう)。 新ルールは世界中すべての広告に適用される。

Twitterは政治的コンテンツをすべて禁止するのではなく、有料広告に限って禁止する点をまず明確にしておきたい。あらゆるトピックは同等に扱われ、Twitterのユーザーは個人・組織を問わず以前と同じく自身の目的を追求できる。

簡潔なルール説明の中で、Twitterは「政治的コンテンツ」とは何かを明らかにした。

政治的コンテンツは、候補者、政党、選出・任命された政府職員、選挙、住民投票、投票方法、立法、規制、指令、判決に関するコンテンツと定義される。

禁止されるのは、

政治的コンテンツに関する広告並びに投票の呼びかけ、金銭的支援の勧誘、以上の政治的コンテンツへ賛成・反対を表明すること。

極めて簡明にみえる。政治的広告の禁止を始める時には賛否両論あるものだが、不明確・複雑な定義は事態をさらに難しくする。

包括的な禁止の範囲に政治団体も含めたことも明瞭さにひと役買っている。PACsや資金力のある「いとこ」のSuperPACs(特別政治行動委員会。特定候補を直接的に支援しない政治資金管理団体)は、広告を一切禁止される。これは納得がいく。政治資金管理団体が政治に影響を及ぼすこと以外の目的で広告宣伝することがあるだろうか。501(c)(4)非営利組織(米国で連邦所得税が免除される社会福祉向上のための非営利団体で、政治活動も可能)はPACsほど悪名高くはないが、政治関連で巨額の支払いをした団体は広告宣伝禁止となる。

もちろん例外免除規定があり、政治問題の報道を促進したい報道機関と、非政治的とみなされる「社会的意義に基づく」コンテンツは除かれる。

報道機関の免除は極めて自然だ。多くの報道機関は政治的な見方やイデオロギー的な傾向を持っているが、候補者や政党に直接何百万ドルも寄付するような行動からは程遠い。ただ、どのサイトでも免除されるわけではない。月間20万のユニークビジターを擁し、自身でコンテンツを作成しており、原則として単一のテーマに限ったサイトではないことが条件だ。

「社会的意義に基づく」免除は、最も白熱する論点だろう。Twitterのポリシーにあるように「市民参加、経済成長、環境管理、社会的公平性といった社会的問題に関して人々に教育、啓発、および/または行動を促す広告」は許される。

「社会的意義に基づく」免除にはいくつかの制限がある。まず地域をターゲットにする広告は州や地域レベルまでが許され、郵便番号レベルでのターゲティングは認められない。また、政治的関心に基づくターゲティングも認められない。例えば「社会主義者」だけに社会的意義に基づく広告を送信することはできない。さらに、上記の禁止対象の個人や団体を参照したり、代わりに広告を出すこともできない。

Twitterが噛みつかれる可能性があるのは、定義における「遊び」だ。「市民参加」と「社会的公平性の社会的意義」とは正確には何を意味するのか。そうした概念はあえて漠然と定義して、包括的な規定にしようとしたのかもしれない。ただ解釈の余地があると、つけ込む輩が現れると思ったほうがいい。

明らかにこれは、有権者登録運動、災害救援活動などの広告宣伝は許可することが意図だ。ただ十分想定されるのは、反移民集会を「重要なトピックに関する公開討論」として広告宣伝するような例だ。

筆者は、社会的意義に基づくコンテンツルールに関する追加のガイダンスが近日公開されるかTwitterに質問した。応対した担当者は、筆者が引用したまさにその文言を参考にするよう述べただけだった。

とはいえ、Twitterのポリシー責任者であるVijaya Gadde(ビジャヤ・ガッデ)氏は、同社が個々の問題に関する意思決定を透明にし、今後のルール変更について明確にすると述べた。

「これは新しい領域だ」と同氏はツイートした。「我々が実践するすべてのポリシーと同様に、このポリシーも進化し、ユーザーのフィードバックに耳を傾ける」。間違いなく膨大なフィードバックを受け取るだろう。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi)

SalesforceがMarketing CloudをMicrosoft Azureに移行すると発表

エンタープライズソフトウェアの世界では、ときどき不思議な組み合わせが出てくるものだ。米国時間11月13日、Salesforce(セールスフォース)はCloud Information Modelに関してAWSとの大きな意味を持つ連携を発表した。そしてその翌日、セールスフォースは同社のMarketing CloudをMicrosoft Azureに移行すると発表した。エンタープライズの協力関係があっちに行ったりこっちに行ったりして混乱することがあるというのを体現しているようだ。

画像:Steve Jennings / Sean Gallup / Getty Images

セールスフォースとMicrosoft(マイクロソフト)は、セールスフォースのSales CloudとService CloudをMicrosoft Teamsと統合することでも協力すると発表した。

同社は、自社のデータセンターで稼働してきたMarketing Cloudを数カ月以内にMicrosoft Azureに移行する計画だ。ただし現時点では移行の明確なタイムラインは示されていない。AWSと熾烈な争いをしているマイクロソフトにとって、これは大きな意味を持つ。AWSが市場をリードしていることは明らかだが、マイクロソフトはここしばらく強力な2番手となっている。セールスフォースを顧客として迎えることは、マイクロソフトにとって品質の証明のひとつになる。

CRM Essentialsの創業者で長年業界をウォッチしているBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、この連携はビジネスに対するマイクロソフトの現在のアプローチを強く表していて、同社はゴールを達成するために幅広い連携を望んでいるのだと語る。リアリー氏はTechCrunchに対し「セールスフォースがアマゾンよりもマイクロソフトとの関係を深めることを選んだというのが重要なニュースで、セールスフォースの強化によってマイクロソフトのCRMツールであるDynamics 365が脅かされるおそれがあることをマイクロソフトは問題視していない。マイクロソフトの成長を最も大きく担っているのはAzureであることが、その主な理由だ」と述べた。

両社はこれまでもずっと複雑な関係にあった。マイクロソフトのCEOがSteve Ballmer(スティーブ・バルマー)氏だった時代には、CRM製品をめぐって法廷で争っていた。その後、マイクロソフトのCEOになったSatya Nadella(サティア・ナデラ)氏は2015年のDreamforceカンファレンスで仲良くする意向を示した。それ以降、両社の関係は一進一退だったが、今回の発表で敵というよりは友に近づいたようだ

とはいえ、セールスフォースがCloud Information Modelに関してAWSとの連携を発表したばかりであることも見逃せない。Cloud Information ModelはAdobe、Microsoft、SAPのパートナーシップと直接競合するものであり、セールスフォースはデータの統合に関するAWSとの大規模な連携を昨年発表している。

こうした矛盾するような関係はややこしいが、現在のコネクテッドクラウドの世界においては、市場のある部分で激しく戦う企業同士であっても、別の部分では両社と顧客のためになるなら協力しあおうとすることの表れだ。今回の発表はこうしたケースと思われる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

スマートニュースが総額100億円調達、米国事業を加速

スマートニュースは11月19日、8月5日に公表した31億円と合わせて総額100億円の資金調達を発表した。調達方法は、日本郵政キャピタルおよびACA Investmentsをリード投資家とした第三者割当増資で、グロービス・キャピタル・パートナーズ 、電通、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアムなどが引受先として名を連ねる。

Hulu、ライブTV価格を月額55ドルに変更 10ドル引き上げ

Hulu(フールー)はHulu + Live TVの加入者にメールを送り、基本的なライブTVプランの料金を月額44.99ドル(約4900円)から月額54.99ドル(約6000円)に値上げすると発表した。これはHulu + Live TVの今年2回目の値上げで、1月には5ドル、そして12月18日には2回目の値上げが実施される。

メールの中で、Huluはこの値上げを「顧客に最高のライブおよびオンデマンドテレビ体験を提供し続けるため」だと説明している。しかし価格の上昇につれ、テレビ番組バンドルの通常のケーブルテレビに対する価格優位性は縮小し始めている。

同ストリーミングサービスは2018年初めにライブTVサービスを開始し、1年かからずに加入者数が100万人を突破したという。Huluの所有権も変化しており、Disney(ディズニー)がFox(フォックス)を買収して過半数株主となり、今年にHuluの経営権をすべて掌握した。HuluはDisneyの幅広いストリーミング戦略の一環で、同社は今週に独自のDisney+サービスを開始し、Disney+、ESPN+、Hulu(ライブTVなし)のバンドルを12.99ドル(約1400円)で提供している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Giphyには禁止されている自傷やヘイト、児童性虐待のコンテンツがある

画像検索エンジンのGiphyは、アニメーションGIFを検索したり作ったりするための「楽しくて安全な方法」のプロバイダーと自らを称している。しかし有害なコンテンツを禁止しているにもかかわらず、TechCrunchが確認したところではGiphyのサイトには自傷や児童性虐待の画像が散見される。

オンライン上での児童保護を行なっているイスラエルのスタートアップ L1ght(以前はAntiToxin Technologiesという名称だった)は、人気のGIF共有コミュニティ内に隠されている多くの有害なコンテンツを発見した。ここには、違法の児童虐待コンテンツやレイプの描写、その他白人至上主義やヘイトスピーチのようなものに関連する有害な画像が含まれている。TechCrunchと共有されたレポートではまた、視聴者に不健康なダイエットを勧めたり、摂食障害を賞賛するようなコンテンツの存在も指摘されている。

TechCrunchは特定のキーワードでGiphyサイトを検索し、L1ghtの主張を部分的に確認した。(我々は児童性虐待コンテンツの表示につながりえる文言では検索していない。それは違法となる)。Giphyは好ましくない検索結果につながるような多くのハッシュタグや検索の文言をブロックしているが、GoogleやBingのような検索エンジンはいまだに特定のキーワードでヒットする画像を蓄えている。

違法なコンテンツに関連するいくつかの言葉を使ってテストしてみたところ、Giphyはときどき、自前の検索結果のコンテンツを表示した。Giphyでは禁止されているマテリアルが示されなかったとき、他の検索エンジンでは往々にして禁止対象となる一連のコンテンツが表示された。

L1ghtは、オンライン上の有害なものを排除するより高度なソリューションの開発を行っている。同社のテストを通じて、違法な1回の検索で1ページ目だけで195枚の写真がヒットした。L1ghtのチームは1つのアイテムから次のものとへとタグを追って行くにつれ、違法または不正なコンテンツのネットワークを発見した。タグそのものはユーザーが検知から逃れるために無害なものだが、不正マテリアルへのゲートウェーのような働きをしていた。

自傷コンテンツの禁止にもかかわらず、研究者らは禁止コンテンツを見つける多くのキーワードや検索文言を発見した。このグラフィック図はTechCrunchがぼかした

児童性虐待の画像などを含め、かなり過激なコンテンツの多くは、児童搾取サイトと関係のあるキーワードを使ってタグ付けされてきたと言われている。

我々はコンテンツにアクセスするのに使ったハッシュタグや検索の文言、サイトなどを公開はしない。しかし、児童搾取を撲滅するために議会によって設立された非営利団体「行方不明・搾取被害児童のためのナショナルセンター」に情報を提供した。

Giphyのオーディエンス責任者であるSimon Gibson(サイモン・ギブソン)氏はTechCrunchに対し、同社にとってコンテンツの安全性は「最も重要なもの」であり、「かなりのモデレーションプロトコル」を展開している、と述べた。彼はまた、違法コンテンツが見つかった場合、同社は当局に通報し、削除するとも話した。

ギブソン氏はさらに、L1ghtがまず最初にGiphyに連絡を取ってこなかったことに不満を示した。L1ghtは、Giphyがコンテンツモデレーションの問題にすでに気づいている、と指摘した。

ギブソン氏は「Giphyのモデレーションシステムは画像テクノロジーと人間による確認の組み合わせで展開されている。ここには、ユーザーがGiphyの検索可能なインデックスに自分のコンテンツが表示されるようにするために認証を申し込まなければならないというプロセスも含まれる。コンテンツはそれから人間のモデレーターによってレビューされる」と話した。「もしモデレーターの間での評価が一致しなければ、あるいはモデレーターの決断がやや頼りない場合は、コンテンツはGiphy内部の信用・安全チームに回され、さらなるレビューを受けることになる」と語った。

「Giphyはまた、我々のポリシーに反するようなコンテンツを見つけて削除するために、検索インデックスの内外でプロアクティブなキーワード検索を行なっている」とも説明した。

L1ghtの研究者たちは、違法で攻撃的なコンテンツを見つけるために人工知能エンジンを活用した。このプラットフォームを活用することで研究者たちは関連する他のコンテンツを発見することができる。そうでもしなければ見つけることはできなかったであろう、違法で禁止されたかなりの量のコンテンツを見つけることができるのだ。

この手の有害なコンテンツはオンラインプラットフォームで広がる。しかしアルゴリズムは対策の一部にすぎない。サイトをクリーンに保つためには、人間によるモデレーションが必須であると、テック企業は気づきつつある。しかしこれまで、FacebookやInstagram、YouTube、Twitterといった業界大手に注意の大半がいっていた。

例えば、Facebookは賃金の安い請負業者のチームにモデレーションを委託していることで常に批判されてきた。そうした請負業者は監視しなければならないものの対応に苦慮していて、業務に伴うトラウマ後にストレスのような症状に悩まされすらする。一方、GoogleのYouTubeは今年、オンライン性的虐待の徒党の温床になっていることが明らかになった。犯罪者が侵略的な発言をしながらコメント欄を使ってビデオを観るよう次から次へと案内していた。

Giphyと比較的小規模なプラットフォームは過去数年間、注意の対象からほとんど外れていた。しかしL1ghtの新たな発見はこの手の問題の影響を受けないプラットフォームはないことを示している。

L1ghtは、この種のコンテンツを共有するGiphyユーザーが、外部の人やGiphyそのものに簡単に検索されないようアカウントをプライベートにしている、と指摘する。しかしプライベートアカウントであっても、誹謗するコンテンツはGoogleやBing、Yandexのような検索エンジンでひっかかり、これにより発見しやすくなっている。L1ghtは、小児性愛者が互いにマテリアル交換するのを含め、オンラインでマテリアルを拡散する手段としてGiphyを使っていることも突き止めた。小児性愛者たちは連絡を取り合うためにGiphyのタグシステムを使っているだけではない。彼らはまた、テキストオーバーレイを通じて画像にタグ付けするという、より高度な技術も使っている。

同じようなプロセスが、白人至上主義やいじめ、児童虐待などと関連するコミュニティでも使われていた。

Giphyがサイト上のコンテンツで非難されるのはこれが初めてではない。昨年、The VergeはGiphyが違法の禁止コンテンツの追放に苦労していると報道した。そしてGiphyは昨年、人種差別的なコンテンツを扱っているとしてInstagramから追い出された。

この問題はGiphyだけが抱えるものではない。しかし、正しく対応していない企業の最新例となった。TechCrunchは今年初め、Microsoftの検索エンジンBing上での児童性虐待画像問題の調査を当時のAntiToxinに委託した。イスラエルの当局による緻密な管理のもと、TechCrunchは特定のキーワードでの検索で大量の違法画像が結果に含まれることを発見した。このTechCrunchの報道をフォローした記事をNew York Timesが先週出したが、児童性虐待のコンテンツが検索結果に現れないようするために与えられた数カ月の間、Bingがほぼ何もしてこなかったと報じた。

Bingは写真検知ツールのPhotoDNAを開拓していたが、検索結果に児童虐待が表示されるのを防ぐためのBingの取り組みは非難を免れられないものだ。このツールは、児童虐待コンテンツの膨大なデータベースにもとづく違法画像を特定するために、ソフトウェア大企業のMicrosoftが10年前に構築したものだ。

Giphyのギブソン氏は、同社はMicrosoftのPhotoDNAの使用を「つい最近許可された」と話したが、現在使用しているかどうかについては語らなかった。

資力があり、規模も大きく、リソースをふんだんに持つテック企業がプラットフォームから違法コンテンツを排除できていない一方で、スタートアップはコンテンツモデレーションのギャップを埋めつつある。

この分野に商業的関心を持つL1ghtは、オンライン侵略者、いじめ、ヘイトスピーチ、スキャムなどとの戦いをサポートするために1年前に設立された。

L1ghtを創業したのはAmobeeの前CEO、Zohar Levkovitz氏とサイバーセキュリティ専門家Ron Porat氏だ。Porat氏は広告ブロッカーShineの創業者であり、Porat氏の息子はオンラインゲームMinecraftでオンラインいじめを経験した。L1ghtは、こうしたプラットフォームの問題は、自身を守ろうとするユーザーの能力を超えたものであり、そうしたユーザーを助けるためにテクノロジーが必要とされているとの認識に至った。

L1ghtは、ほぼリアルタイムにオンライン上の有害なものを特定・分析・予想するために、Giphyでとった方法と同じテクノロジーを活用している。

画像クレジット:TechCrunch

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(翻訳:Mizoguchi)

ヤフーとLINEが統合合意を正式発表

Yahoo Japanなどを運営するヤフーの親会社Zホールディングス(以下ZHD)とLINEは11月18日、経営統合することで基本合意したことを正式に発表した。11月13日に日本経済新聞などが両社の合併を報じていた

両社は18日に開催したそれぞれの取締役会で、両社グループの経営統合について、資本提携に関する基本合意書を締結することを決議したことを明らかにしている。今後、2019年12月をめどに最終資本提携契約の締結を目指して協議・検討を進めていく予定だという。

また経営統合の実現に向けて、ZHDの親会社であるソフトバンクおよび、LINEの親会社であるNAVER Corporationは、上場しているLINEの非公開化を目的とした株式の共同公開買い付け(TOB)を実施し、対象となる全ての株式を取得する意向を発表している。

経営統合後はソフトバンクとNAVER(韓国NAVERおよびその日本子会社)が50%ずつ出資する新会社を設立し、ZHDの親会社となる。ヤフーとLINE(の承継会社)はZHDの完全子会社としてその傘下に入る形となる。

経営統合の目的について両社は、「それぞれの経営資源を集約し、それぞれの事業領域におけるシナジーを追求するとともに、AI、コマース、Fintech、広告・O2O、その他の新規事業領域における成長を目指して事業投資を実行することで、日本及びグローバルにおける熾烈な競争を勝ち抜くことができる企業グループへと飛躍すること」と述べている。

両社は18日17時から、共同記者会見を開催。ZHD代表取締役社長の川邊健太郎氏、LINE代表取締役社長の出澤剛氏が出席し、統合について説明する予定だ。

GitHubのモバイルアプリはスマートな通知と進化したコード検索を実現

Microsoft(マイクロソフト)の子会社であるGitHub(ギットハブ)は米国時間11月13日、毎年恒例のUniverseカンファレンスでいくつかの新製品を発表した。また、デベロッパーが過去数か月間テストしてきた、いくつかのツールが一般に利用可能となることも明らかにした。

デベロッパーにとって、おそらく最も気になる2つの発表は、GitHubとして最初のネイティブなモバイルアプリのリリースと通知機能の向上だろう。さらに、同社のワークフロー自動化およびCI/CDソリューションの、GitHub ActionsとGitHub Packageが、ベータ版から正式版に移行することも合わせて発表された。

コード検索機能も改善され、スケジュールされたリマインダー機能と、プレリリースプログラムも導入する。後者は、広範囲に展開する前に特定のユーザーが新しい機能を試せるようにするもの。

画像クレジット:TechCrunch

GitHubは、スポンサープログラムも拡張する。これまでは、オープンソースへの個々の貢献者に対して、プロジェクトレベルでチップを渡すことができた。新たなGitHub Sponsorsを使用すると、プロジェクトと、そのメンバーに対して、誰でも資金を提供し、その資金の用途を選択できるようになる。対象となるプロジェクトは、オープンソースである必要があり、企業または非営利団体に属するものでなければならない。また銀行口座も必要となる。

「デベロッパーの要求が私たちの原動力です。私たちは、デベロッパーが、オープンなプラットフォームとエコシステムの上で、世界で最も重要な技術を創造できるよう、手助けするツールと仕組みを開発しているのです」と、GitHubのプロダクト担当の上級副社長であるShanku Niyogi(シャンク・ニヨギ)氏は語った。彼によれば今回の発表は、デベロッパーのエクスペリエンスを改善するという、同社の使命に基づいたものだという。昨年の1年間だけで、同社は150を超える新機能と機能強化をリリースしたと、ニヨギ氏は強調した。しかしUniverseのイベントでは、同社は特に新しいモバイルアプリと通知の機能強化に焦点を当てることにした。

新しいモバイルアプリとしては、iOSのベータ版がリリースされた。Androidも、もうじきサポートされる。いずれも、この種のモバイルアプリに求められる基本的な機能がすべて実現されている。アプリ開発チームは、外出中のデベロッパーにとって最も意味のある、モバイルでのユースケースに真正面から取り組むことにした。ディスカッションに関するフィードバックを共有し、数行のコードをレビューして、変更をマージすることができるようになっている。ただし、これは、GitHubの全機能にアクセスできるツールを目指したものではない。少なくともiPadでは、画面上の作業スペースが多少は増大する。

「タブレットによるインターフェースに目を向けると、作業スペースが増える分、より使いやすいものにすることができます」と、ニヨギ氏は説明する。「コードを確認し、必要な部分に移動することができます。github.comと同じキーボードショートカットをサポートして、より多くのコンテンツ、より多くのコードを扱えるようにしています。ここでは、ユーザーが実際に使っているモバイルデバイスに合わせて、インターフェースも伸縮するように考えています。それと同時に、自分のコンピュータの前にいないときでも、やらなければならないことができるように設計されています」。

以前にも、GitHub用のモバイルアプリを開発した人は、もちろんいる。その1つ、GitHawkはInstagramのエンジニアのグループによって開始されたものだが、そのデベロッパーが、最近GitHubに移籍して、今回の新しいアプリを立ち上げるための作業にも加わった。

2番目に大きな改善点は、通知機能の進化だ。中規模程度のチームのGitHubユーザーでもみんな知っているように、現状のGitHubの通知は、あっという間に膨れ上がって手がつけられない状態になる。もちろんGitHubチームも、それがよく分かっていた。そこで、フィルタ機能はもちろん、GitHub内のすべての通知の受信トレイに及ぶ、広範囲に進化したシステムを開発することにした。

「現在のデベロッパーは、あまりにも大量の通知に見舞われて、ほとんどGmailなどのメールクライアントの受信トレイのような状態になってしまうのを経験しています。その結果、どれが重要で、どれはノイズなのかを判断するのが非常に難しくなってしまっているのです」と、GitHubのストラテジおよびプロダクトマネージメント担当副社長のKelly Stirman(ケリー・スターマン)氏は述べた。「昨年1年で、通知を改善するために多くの手を打ってきましたが、そこで成し遂げたことは大きな一歩になりました。通知とはどうあるべきか、ということを根本的に考え直したのです」。

デベロッパーは、フィルタとルールを使用して、自分にとって本当に重要な通知にだけ集中できる。不要なノイズで受信トレイをあふれさせることはなくなる。デベロッパーは、こうしたフィルタを、好きなようにカスタマイズできる。またここは、モバイルアプリの威力が発揮される部分でもある。「通知は、デベロッパーがコンピュータを使っていない場合、デスクトップの前に座っていない場合に送信されることはよくあります」と、スターマン氏は述べている。「そしてその通知は、何らかの問題を解決して欲しいと、誰かがデベロッパーに助けを求めるものかもしれません。そこで、元来のGitHubが持つ機能を、デスクトップから開放して、モバイルにまで拡張する必要があると考えるのは自然なことでしょう」。

通知機能についてさらに言えば、GitHubは今回、受信トレイにさらに多くの通知を追加する新機能も、限定プレビューとして発表した。また、保留中のコードレビューについて、リマインダーのスケジュールを設定できるようにもなった。

今回の発表の残りの部分の中では、コード検索機能の改善が際立っている。そもそも、何らかの改善が絶対に必要だった部分だ。この新しいコード検索機能は、現在限定ベータの状態だが、今後数か月ですべてのユーザーが利用可能になる予定だ。また同社によれば、特殊文字や大文字/小文字の扱い、その他を考慮した、まったく新しい検索も導入予定だという。

また、新しいコードレビュー割り当て機能も、現在パブリックベータとなっており、GitHub上でコードをナビゲートする新しい方法も導入される。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

TikTokがソーシャルコマースをテスト中

TikTokがソーシャルコマースに手を出し始めている。このショートビデオアプリは、一部のユーザーに対してプロフィールページにeコマースサイト(もしくは任意のサイト)へのリンクを許可し始めた。また視聴者たちへショッピングウェブサイトを簡単に送る機能の提供もクリエイターたちに対して始まった。

同社は、これらの2つの機能の展開は、ユーザーのアプリ体験を向上させるための通常の「実験」の一部であると述べている。ただし、この特定の実験は、収益性の高いインフルエンサーたちがTikTokを利用する方法を大幅に変える可能性がある。

ZHEJIANG, CHINA – OCTOBER 18 2019 Two us senators have sent a letter to the us national intelligence agency saying TikTok could pose a threat to us national security and should be investigated. Visitors visit the booth of douyin(Tiktok) at the 2019 smart expo in hangzhou, east China’s zhejiang province, Oct. 18, 2019.- PHOTOGRAPH BY Costfoto / Barcroft Media (Photo credit should read Costfoto / Barcroft Media via Getty Images)

TikTokを所有し、世界で最も評価額の高いスターアップのひとつであるByteDanceの広報担当者は「私たちは、ユーザーのみなさまのために、アプリ体験を向上させるための新しい方法を常に実験しています。最終的には、私たちは創造性を刺激し、喜びをもたらし、コミュニティに価値を付加する方法に焦点を当てているのです」と語っている。

これらの機能は、中国のインフルエンサーのためのスタートアップUplabの創業者であるファビアン・ベルン(Fabian Bern)氏によって、最初に発見されて共有された。木曜日に彼がツイートした動画の中で、ベルン氏は、クリエイターたちが視聴者たちにサードパーティのウェブサイトにアクセスできるようにすることが、初めて可能になったことを示した。

ビデオでは、TikTokがユーザーにプロフィールページにURLを追加することを許可していることも確認できる。Instagramは昔からこの機能を提供しており、多数のアカウントがさまざまな理由でそれを利用している。インフルエンサーは通常、ファンを商店へと誘導するものだが、一部のニュース出版社はこの機能を使って、たとえば人びとをニュース記事に誘導している。ただし、Instagramで現在かけられている一連の制限には、多くの要望が寄せられている

10億人以上のユーザーを抱えているTikTokが、これらの機能をこの先も提供し続けるなら、多くの業界人たちが「ソーシャルコマース」と呼ぶものに破壊的な変化が加わる可能性がある。最近のソーシャルメディア企業とメッセージングアプリは、コアサービスを通じて顧客を引き付け、ショッピング機能を提供している。

TikTokの最大の市場の1つである中国、東南アジア、インドなどの多くの市場では、ソーシャルコマースの人気が高まっており、Amazonなどの「従来型」eコマースプレイヤーたちに挑戦し始めている。

そして、大手企業たちはこの分野でチャンスをつかみ始めているのだ。市場を提供するFacebookは今年、インドのソーシャルコマーススタートアップであるMeeshoに資金提供を行った

MeeshoはWhatsAppを使って買い手と売り手をつないでいる。その他のソーシャルメディアプラットフォームも、商品を展示して販売したり、さまざまな物流会社と協力して注文を処理したりできるようになってきている。

「これはすごいことです!」とNaspersのグローバル決済会社PayUのインド部門で、ビジネス成長とマーケティングの責任者を務めるNameet Potnis(ナミート・ポトニス)氏が、TikTokの新機能について語った。

「TikTokがInstagramを圧倒しているインドで、これがどのように商取引を変革するかを楽しみにしています。インド人がオンラインでの購入と支払いに慣れるにしたがって、地元のインフルエンサーたちが影響を強めることでしょう」。

TikTokのこの実験は、ライバルのInstagramがパブリックビューから「いいね」を隠すテストを拡張し始めたタイミングで始まった。このInstagramの動きは、そのリーチする力を広告主にいいねの数で提示しているインフルエンサーたちに懸念を引き起こしている。

TikTokはインドで1億8000万人以上のユーザーと国内で数千人のインフルエンサーを集めており、先月にはインドの教育分野にも進出した

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(翻訳:sako)

送電をコントロールするVoltServerがスマートグリッドの実現を助ける

電気の配給網にデータを重ねようとするスタートアップのCEOであるStephen Eaves(スティーブン・イーブス)氏は長年、データ管理技術を開発してきた。同氏の最初の企業、名前をかぶせたEaves Devicesは、航空宇宙と国防方面のエネルギーシステムにフォーカスした。同社はB-2爆撃機の編隊がリチウムイオン電池を使うように変えた。

彼が関わった2番目の企業では、電話局にインストールするモジュール状のアレイデバイスや基地局の開発に参加し、電動車の開発の初期的な仕事もした。イーブス氏によると、彼の目標は「電気を本質的に安全にすること」だった。

その彼の最新の企業VoltServerは、その目標を追究する。イーブス氏は配電をパケットに分割して送電をより安全にし、それらのパケットが送電線へ送られることによってエラーを防ぐ。線が破断すると、機器はエネルギーの伝送を停止する。

イーブス氏は「交流や直流の電気がトランスミッターへ行き、トランスミッターは電気をパケットに分割する。レシーバーはパケットを受け取り、それらをまたまとめて通常の交流/直流の電流として配電する」と説明する。

そのアーキテクチャはルーターに似ている。半導体で動くトランスミッターにはデジタルの信号処理があり、それが電気のためのゲートウェイになる。「それは太陽光発電用のコンバーターに似ている」とイーブス氏は語る。

すでにおよそ700のスタジアムや大きなオフィスや屋内栽培施設などが、同社の技術を採用している。その好調ぶりがGoogleの親会社Alphabet傘下であるSidewalk Labsの関心を引き、同社への740万ドルの資金注入をリードした。同社はこれまで、Marker Hill CapitalやSlater Technology Fund、Natural Resources Capital Management、Clean Energy Venture Group、Angel Street Capital、そしてConiston Capitalなどから計1800万ドルを調達している。

イーブス氏は「我々はハードウェアとソフトウェアの両方の会社だ。顧客がVoltServerのボックスを買うと、サードパーティがそれをインストールする。エネルギーの利用状況を追うソフトウェアがあり、それが停電時の処理を割り当てる」と語る。

普通のインストールなら3万ドルから100万ドルまでぐらいで、同社は3つの中核的市場を狙っている。それらは、インテリジェントビルディングのインフラストラクチャ、通信、そして屋内農業だ。イーブス氏によると、同社の最大のインストレーションはフロリダのレタス農場だ。「顧客の多くが極めて制約のきつい環境にいて、もっと安全な送電技術を求めている。そこでうちは照明製品も開発したが、それは、成長分野に通常ある変換のための大量の電子回路を排除している」と語る。

確かに同社の技術は、スタジアムの送電コストを削減している。これまでの送電技術では1フィートあたり約36ドルのコストだったが、VoltServerはそれを10ドル未満にカットできると主張している。

配電にデータによる制御を持ち込もうとしているのは、VoltServerだけではない。Blueprint PowerBlue Pillar、それにモニタリング企業のEnertivAquicoreなどもすべて、配電のモニタリングと管理を狙っている。グリッド(広域電力会社の送電網)の規模では、Camus Energyなどがエネルギーのオーケストレーションサービスを提供しようとしている。

Sidewalk Labsの会長でCEOであるDan Doctoroff(ダン・ドクターオフ)氏が、声明でこう述べている。「電気が世界を動かしているが、交流や直流の電気が本質的に持つ危険性により、今日の電気のシステムはインストールや変化が高価につく。同社の技術は画期的であり、あまり高価でない安全で効率的な配電方法を提供する。それによってビルディングなどの建設運用費用が低減でき、柔軟性を持つ。いずれは都市全体の維持費用も安くなり、持続可能になり、ニーズの変化にも迅速に対応できるようになるだろう」。

エネルギーセクターの一部の投資家にとっては、このような種類の配電と送電の技術が、世界を100%再生可能な送電に近づけるために必要な次世代グリッド技術の必要不可欠な部位だ。

「必要なのは、インターネットに接続されていてコントロールできるエネルギー資源であり、それを何らかの中央的な制御元/発信元(ディスパッチ)からコントロールできることだ」とエネルギー投資に積極的なある投資家は述べている。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

WordPress.comサイトにサブスクを受け付ける「定期支払い」機能が登場

サブスクリプションモデルは、アーティスト、クリエイター、ニュースメディア、ゲーム開発者、エンターテインメントプロバイダなど多くのビジネスを支えている。パブリッシングプラットフォームのトップであるWordPress.comは、クリエイターやウェブパブリッシャーがより簡単にサブスクリプション機能をウェブサイトに追加できる機能を公開した。ウェブサイトのオーナーは自分たちのサポーター、読者、ファン、顧客から継続的に費用を受け取れるようになる。

この機能は有料プランのすべてのWordPress.comサイトで利用できるほか、Jetpackを使っているセルフホストのWordPressサイトでも利用できるという。そしてかなり柔軟だ。

この機能を有効にすると、WordPress.comのWebサイトのオーナーは、週刊のニュースレターへの課金、毎月の寄付の受付、独占コンテンツへの1年間のアクセス権の販売などができる。ほかにも、自分たちの支援者から一定のスケジュールで集金したいものなら、何にでも利用できる。

WordPress.comはこの新機能に関してインターネット決済業者のStripeと提携した。そのため、WordPress.comのブログパブリッシャーは、定期支払いを利用する前にStripeのアカウントも設定する必要がある。設定したらWordPress.comの「収益の獲得」ページで「Connect Stripe to Get Started」(Stripeと接続して始める)をクリックし、セットアップに進む。

ユーザーは支払いプランを何とおりでも作って、複数の通貨や支払いの頻度、名前に対応することができる。顧客や読者、ファンを分類したり、サブスクリプションの種類を複数用意したりできる機能だ。ウェブサイトに「定期支払い」ボタンを設置することもできる。

そして定期契約者は、サブスクリプションをWordPress.comのアカウントからいつでもキャンセルできる。短時間で簡単にウェブサイトにサブスクリプションを追加できるとなれば、手数料や分配金の負担を減らすために、サブスクリプションプランをPatreon(パトレオン)などの大きなプラットフォームから引き上げるクリエイターも出てくるかもしれない。しかしそうすると、ほかのプラットフォームのリソースを失ってしまうことになる。そのため、サブスクリプションの売上を増やすために、単純にWordPress.comを新たなチャネルとして追加する人々が多いかもしれない。

この機能はクリエイター専用ではない。クラブや組織が定期的な会費や手数料を集めるなど、定期的な集金を簡単にしたい人なら誰でも利用できる。WordPress.comは、定期支払いの機能を家賃の徴収に利用する例もあると紹介している。

この機能の登場は、WordPress.comが広く使われていることを考えると、サブスクリプションの普及に大きな影響を与えるかもしれない。米国時間11月12日にWordPress.comは、毎月このプラットフォーム上で4億900万人以上が200億ページを閲覧し、パブリッシャーは1カ月におよそ7000万件の新規投稿を公開していると述べた

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(翻訳:Kaori Koyama)

移民ネットワーキングのHomeisがメキシコ移民向けツールを追加

移民コミュニティ向けのネットワーキングツールをつくっているスタートアップであるHomeisは今週、正式にメキシコからの移民のためのコミュニティを立ち上げた。

共同創業者でCEOのRan Harnevo(ラン・ハーネヴォ)氏は以前、ビデオシンジケーションの会社5minを設立した。この会社はAOLに買収され、そこで彼はビデオ部門のグローバルプレジデントを務めた(AOLはまたTechCrunchも買収し、その後Verizonに買収された)。

Homeisの目標は特定の移民コミュニティのニーズにフォーカスしたネットワークをつくることだ。まず、イスラエル、フランス、インドのコミュニティで始め、新しい友達や仕事を見つけるのをサポートしている。

新しくつくったメキシコ人コミュニティは、例えば信頼できる移住専門の弁護士を見つけるのを手伝うなどして「メキシコ人移民が抱える苦難を解決する」と同社は発表文の中で述べている。

そして今年の移民のためのツール構築というのが政治的な行動のように映るなら、それはハーネヴォ氏(彼自身イスラエルからの移民だ)が何かしら内に抱えているものだろう。

「移民に力を与えるというのが我々のミッションであり、今ほど重要なときはない」と声明文で述べている。「緊張の高まり、移民への敵対心により、テック企業が行動をとらなければならないことが明らかになった。今回のメキシコ人コミュニティの立ち上げにより、我々はテクノロジーとリソースを米国最大の移民コミュニティと共有できる。我々自身移民であり、それは大きな意味を持つ」

Homeisは今年初め、Canaan PartnersとSpark CapitalがリードするシリーズAで1200万ドル(約13億円)を調達した。

画像クレジット:Bryan Bedder / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Instagramは「いいね!」の数を世界で非表示にする実験を実施

Instagram(Instagram)は各地の一部のユーザーに対して、「いいね!」の数を見えなくしている。同社がTechCrunchに語ったところによると、この「いいね!」の数を隠す実験は、世界の一部の国の限定されたユーザーに広げているという。これからは、そのコンテンツが「いいね!」に値するかどうかは、大勢の意見に頼ることなく、自分で判断しなければならない。だがこの変更により、ユーザーは「いいね!」の数が少なかったら恥ずかしいといった余計な心配をせずに、自分で大切だと思うものを気兼ねなく投稿できるようになる。

Instagramは、「いいね!」の数を、今年の4月からカナダで隠すようになった。そして7月には、この実験はアイルランド、イタリア、日本、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランドに拡大された。Facebookも9月に同様の実験をオーストラリアで行っている。Instagramは先週、実験は米国にも広げると話していたが、現在は各国のごく少数のユーザーに対してのみ実施されている。Instagramは、今のところこの実験の反応は好意的だが、アプリにとっては根本的な変更になるため、今後もテストを続けるとツイートしていた。

Instagramはそのアプリを、「いいね!」の数を気にすることなく、人々が心地よく自己表現でき、シェアした写真や動画に集中できる場所にしたいのだと、広報担当者はTechCrunchに話してくれた。今でもユーザーは、誰が自分の投稿に「いいね!」をしてくれたか、その総数はいくつかは「いいね!」をタップすれば見ることができる。他人の投稿を見ている場合は、共通の友達で、それに「いいね!」をした人のうち数人の名前だけが示される。「いいね!」のタップもできるが、数を知りたい場合は自分で数える必要がある。

この実験の拡大は、インフルエンサーや写真の作者に損害を与える恐れがあるとの懸念を招くことにもなった。それは、Instagramが「いいね!」の数を隠すテストを実施した国では、「人気度の異なるインフルエンサーなど多くの人々の人気度が、3%から15%低下したというHypeAuditor(ハイパー・オーディター)の調査が公表されてからのことだ。

「いいね!」を隠す実験で「いいね!」がどれだけ減少したか。5000人から2万人のフォロワー数を持つインフルエンサーの場合

「いいね!」の数は、多くのクリエイターにとって重要なものであることは、Instagramも理解していると、広報担当者は私に言った。現在は、インフルエンサーたちがその価値をパートナーに伝える方法を鋭意研究しているという。「いいね!」の数が公開されなくなると、インフルエンサーのマーケティング代理店では、彼らが撮影したスクリーンショットによる自己申告に頼らざるを得なくなり、フォトショップなどで加工して不正に報酬を受け取ろうとする事件も発生しそうだ。

プライベートでは見ることができても、その投稿が報酬に値するだけのエンゲージメントを獲得しているかを確認する方法が代理店にはない。Instagramは、本当の「いいね!」の数を代理店と共有できるよう、パートナー向けダッシュボードやAPIクリエイターを提供する必要があるだろう。

InstagramのCEOであるAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、先週開催されたWired25で、「それが人々の幸福と健康に役立つなら、ビジネスに損失を与える判断をすることになる」と話していた。「いいね!」の数を隠すことで、エンゲージメントの獲得や高い人気を示すことには意味がないと業者が判断すれば、Instagramの全体的な広告収入は減少してしまう。しかし、インフルエンサーのマーケティングによりクリエイターのポケットに直接送り込まれていた費用が、Instagramの公式広告に移ってくる可能性もある。そうなれば、Instagramの収益は増える。

Instagramの広報担当者は、以下の通知文をTechCrunchに提供してくれた。

本日より、「いいね!」数のプライベート化実験を、オーストラリア、ブラジル、カナダ、アイルランド、およびニュージーランドに拡大します。この実験に含まれる方は、ご自身でフィードに投稿したものを除いて、写真の「いいね!」とビューの総数が見られなくなります。初期の実験での反応は好意的ですが、これはInstagramの根本的な変更となるため、今後も実験を続け、世界中の国々からさらに多くを学びたいと思っています。

関連記事:Facebookのいい使い方と悪い使い方の違い(未訳)

これはおそらく、Instagramが公式に変更を実施し、世界各地のすべてのユーザーの「いいね!」の数を隠すようになるまでの最後のステップだろう。この実験が、精神的な健康状態をいかに改善するか、そしてアプリの利用にどれだけの損害を与えるかを彼らは注視し、見極めるつもりに違いない。

「いいね!」の数を隠すことは、健全な人間性のためには勝利であり、創造性が大いに高められることになるだろう。これまで人々は、自分の作品では「いいね!」を多く獲得できないと勝手に決めつけ投稿を控えたり、「いいね!」が得られなかったものを削除することが多かった。人は本当の自分や本当に伝えたいことよりも、本能的に、飾り立てたセルフィーや人生が華やかに見えるよう仕込んだ写真で公的人格を作り上げようとする。一方、それを見る人たちは、友達やインフルエンサーの大量の「いいね!」の数と自分の数とを比較して、恥ずかしく感じたり、自分を蔑んだりしてしまう。

この人気コンテストに終止符を打つことで、人々は一般大衆の反応を気にすることなく、型にはまらない自由な写真や、馬鹿げていたり、芸術的な作品をもっと投稿したいと思うようになるかもしれない。それによりInstagramのコンテンツは、完璧を求める陳腐な美観から脱して、時とともに多様性を増し、驚きと魅力に溢れたものになってゆくだろう。「いいね!」数を隠せば、本来ならそんなに「いいね!」を稼げないコンテンツをシェアしまくるInstagramのフェイクプロフィール、いわゆる「フィンスタグラム」のアカウントも減るだろう。

Facebookは「いいね!」ボタンの生みの親とされているが、赤いハートのアイコンを導入したのはInstagramが最初であり、Twitterもそれに従った。そうして一般の人々からの支持数をドーパミンの噴出量に変換した。Instagramが「いいね!」の数に背を向けたことで、ソーシャルメディア業界は、受容度の数値化への執着から、シェアをする上質な喜びへと大いなる移行期を迎えることになる。

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(翻訳:金井哲夫)

Spotifyが曲と完全同期したリアルタイムの歌詞表示をテスト中

iOS 13からAppleはApple Musicに曲と完全に合った歌詞を加えた。そして今度はSpotifyの番か。国際市場の何人かのユーザーが、Spotifyのモバイルアプリで同じように同期した歌詞を見たことを報告している。歌詞が曲に合わせてスクロールするのだ。ツイートのスクリーンショットによると、その機能はMusixmatchが提供している。SpotifyはTechCrunchに対して「この機能は今いくつかの限られた市場でテスト中である」と確認した。

Spotifyは具体的に地域の名前を挙げなかったが、カナダとインドネシアとメキシコがテスト市場に含まれるらしい。

この機能は再生コントロールの下にあり、Behind the Lyrics(歌詞の裏側)やStoryline(ストーリー)など、そのほかの拡張機能と並んでいる。ユーザーの報告によると、歌詞は全画面モードでも見られる。ここ米国では同じ体験を再現できなかったから、テスト市場に含まれていないのだろう(下図のツイートの言語はインドネシア語とスペイン語。内容は「Spotifyに歌詞が突然現れた」など)。

Spotifyはデスクトップでは数年前から歌詞をサポートしていたが、その後その機能はなくなった。ユーザーは何度も何度も、それが戻ってくることを求めた。たとえばSpotifyのユーザーフィードバックコミュニティでは、「歌詞を戻せ」というリクエストの賛成票が1万4300票にも達した。Spotifyはリクエストに応えようとしなかったが、Geniusを統合した機能Behind the Lyrics(歌詞の裏側)を指示した。

しかしGenius提供のその機能は歌詞全文ではなくて、歌詞とストーリーを組み合わせた注釈だった。それなりに勉強になるし、楽しくもあるけど、その歌がなんと言ってるのか知りたいという欲求は満たしてくれない。

現在Spotifyのデスクトップもモバイルアプリも、日本を除いては歌詞をサポートしていない。今回のようなテストはときどきやっているから、これも近日中にローンチするというサインではない。

歌詞を提供しないというSpotifyの決定は、Apple Musicに有利に働いている。Spotifyの今の有料ユーザー数は1億1300万で、Apple Musicは6000万だから、歌詞のあるなしが決定的な競争要因になることはないだろうけど、ユーザーのつなぎとめには貢献するだろう。歌詞のないサイトに移行したい人は、たぶんいないから。Alexaデバイスに音楽と歌詞を統合したAmazonも、Spotifyの歌詞なしポリシーに助けられている。

Spotifyのスポークスパーソンは「同期する歌詞は目下テスト中である」と確認した。「確かにこの機能は目下、少数の市場でテストしております。Spotifyでは常に、さまざまな新しいプロダクトやユーザー体験をテストしていますが、現時点でシェアできるニュースはございません」。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookはアプリ内インスタPopular Photosをひっそり開発

Facebook(フェイスブック)は、ブランディングと母艦への逆リンクによってその買収を妨害するかたわら、Instagram(インスタグラム)をパクろうとしている。TechCrunchは、FacebookがPopular Photos(ポピュラー・フォトズ)と呼ばれる機能をテストしていることを突き止めた。これは、アルゴリズムで選定した友達の写真を、ニュースフィードでフルスクリーンに開いた下にエンドレスにスクロールできるかたちで表示するというもの。その結果、Instagramのフィードと同じ体験をFacebookの中でもできるようになる。

Popular Photosでは、いくつものリンクをクリックしたり、ステータスの更新を読んだりする必要も、異なるコンテンツのタイプによってニュースフィードが固まってしまうこともなく、リラックスした楽な状態で写真のブラウジングができる。ユーザーはただ受動的に、素敵な写真が流れてゆくのを眺めるだけでいい。

Facebookのリンクだらけのフィードは、InstagramやSnapChatやTikTokなどの視覚系ソーシャルネットワークに比べて、だんだん古臭く面倒なものになってきている。ニュースフィードの投稿の意味を知ろうとすれば、ユーザーはいちいちリンクを掘り下げなければならず、簡単に楽しむことができない。こうした手間は、日常のちょっとしたブラウジングタイムには、また、仕事や学校や家族のことで疲れ切っているときなどにはそぐわない。Facebookのデスクトップには専用の写真ブックマークがあり、写真タイプのコンテンツのブラウズができるようになっていたのだが、いつの間にかなくなってしまった。

Facebookの広報担当は、同社がPopular Photosの小規模なテストを行っていたことを、我々が10月にそれを発見したときに認めていた。テスト期間は終了したが、現在も改良を重ねており、将来またテストを行う予定でいる。Facebookは、Popular Photosの詳細や、その目的について公表を拒んでいる。すでにFacebookにはストーリーズ、メッセージ、プロフィール、IGTVっぽい動画専用ハブであるWatchがあることから察するに、Instagramを完全コピーする場合に今不足しているものは発見タブと写真専用のフィードだ。

Popular Photosの仕組みはこうだ。ユーザーが、ニュースフィードやプロフィールで写真を見つけ、それをタップすると、映画館のように背景が黒いフルスクリーン表示に切り替わる。通常は、その写真をスワイプするかスクロールすると元の表示形式に戻る。しかしPopular Photosでは、スクロールすることで、その写真に続いてたくさんの写真を見ることができる。

Popular Photosのタイトルから下をスクロールすると、さらに写真が表示され、“See More Photos”(もっと写真を見る)というラベルが現れる。これをタップすれば、公開されている写真や、友達がシェアした友達限定の写真、または友達がフォローしている人の写真が続けて見られるようになる。Instagramと同じく、そしてニュースフィードとは違い、FacebookはPopular Photosのキャプションをおよそ65キャラクターまでしか表示しないため、画面が文字でいっぱいになることがない。Popular Photosの背景には映画館らしい雰囲気があり、写真を際立たせている。

Facebookは2014年から、フルスクリーンで開いた動画をスクロールしたときに関連動画を表示するようになった。現在、このもっと動画を見る機能は、次の動画が自動再生されるようになり、その動画のフィードがユーザーにどさっと示される。また、広告動画も入る。そのことから、Popular Photosにも広告主からの写真が入ることが予想される。さらに写真を見れば、それがFacebookの収益となるわけだ。

Facebookは、Instagramを利用して収益を上げることに躊躇しなかった。同社は、Instagramのナビゲーション・サイドバー(三本線ボタン)に「Facebookを開く」ボタンを設置した。

以前は、Instagramはその通知タブにFacebookの警告を表示しようとしていた。Facebookからのお知らせが入ると、三本線のボタンにあの目障りな赤いマークで示される。それをタップするとInstagramのサイドバーが開き、Facebook.comに紹介トラフィックを戻すよう促される。またFacebookには、Instagramでフォローしている人のFacebookページの“いいね”を求める通知も送ろうとしていた。現在は、“from Facebook”と新しいロゴマークがInstagramの読み込み画面に表示されるようになっている。

市場参入から15年間成長を続けてきたFacebookには、視覚的コミュニケーションを全面的に取り込む必要がある。すでにスナップチャットのストーリーズはコピーし、Facebook内に、すぐに消える写真や動画の形式を実装した。Facebookが自身の子会社であるInstagramを真似してフィードのスクロールに代るものを取り入れることに、引け目を感じている様子はまったくない。親会社が直接のライバルになることを、Instagramのスタッフはどう感じているだろうか。

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(翻訳:金井哲夫)

顧客管理ソフトウェアのFreshworksがシリーズHで約160億円を調達

Freshworksは、CRMからヘルプデスクソフトウェアまで、さまざまなビジネスソフトウェアツールを開発している。同社は11月13日、Sequoia Capital、CapitalG(旧Google Capital)、AccelからシリーズHで1億5000万ドル(約160億円)を調達したことを発表した。バリュエーションは35億ドル(約3800億円)。Crunchbaseによると、同社はこれまで約4億ドル(約440億円)を調達した。

同社は企業向けSaaSプラットフォームを開発し、ユーザーに統合ビジネスツール一式を提供している。CEO兼共同創業者のGirish Mathrubootham(ギリシュ・マスルブサム)氏は、今回調達した資金をプラットフォームの製品化のための研究開発に使う予定だと述べた。

同日、同社の全ツールの基盤となる新しい統合データプラットフォーム「Customer-for-Life Cloud」についても発表した。「企業の顧客管理に必要なすべてを統合することに注力してCustomer-for-Life Cloudを開発した。マーケティング、販売、サポート、顧客の成功など、顧客のライフサイクル全体のあらゆる側面を同じデータモデルに落とし込めば、Freshworksのユーザーが顧客のライフサイクル全体を視野に入れることができる」とマスルブサム氏は説明した。

同氏は、IPOに取り組む心の準備ができていなかったが、現在CFO選定中であり、いつかは公開会社になることを楽しみにしていると述べた。「明確なタイムラインはない。良いタイミングで公開したい。現在は、会社に適切なプロセス、チーム、ビジネスにおける予測可能性を備えるべく準備を進めている」と語った。

またマスルブサム氏は、良い買収対象を探し続け、今回調達した資金を銀行に預けておけば、機会がやって来た時に買収によってプロダクトを補強できると言う。「買収で売り上げを増やしたいのではない。才能と技術を兼ね備えたチームが欲しい。特に技術については、プロダクトを市場に投入する際にジャンプスタートを可能にする技術だ」。過去には小規模企業を買収対象とすることを恐れず、すでに12社を買収した。

2010年に創業したFreshworksには約2500人の従業員がいる。今回の資金調達で確実に増える。世界25万のユーザーのうち、約4万は有料ユーザーだ。ブリヂストンタイヤ、ホンダ、ヒューゴボス、東芝、シスコなどがすでにユーザーとなっている。

画像クレジット:Caiaimage / Agnieszka Olek / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

Google検索で「quokka」の発音がよりわかりやすく

Google(グーグル)は単語の発音を検索する際に便利な新機能を、検索結果に追加した。これにより正しい発音が聞けるだけでなく、「quokka」の正しい発音を練習し、即座にフィードバックを得ることができる。このようなツールは必要ないと思うかもしれないが、語学学習者にとっては素晴らしいツールだ。

もちろん、この機能は機械学習によって実現されている。Googleの音声認識ツールは録音を処理し、それを個々の音に分解して、それを専門家の発音と比較する。

この新しい発音機能に加えて、Googleは辞書や翻訳機能により多くの画像を追加している。今のところ、これは英語かつ名詞でのみ利用可能だ。副詞や動詞に適した画像(またはGIF)を見つけるのは、かなり難しい。

「音声認識と機械学習の進歩は、言語学習の方法の改善につながる」と、Googleは米国時間11月14日の発表で伝えている。「これらの新機能によって、新しい単語を練習したり、視覚化したり、覚えたりするための、創造的で効果的な方法が提供されることを願っている。今後は、これらの機能をより多くの言語、アクセント、地域に拡張していく予定だ」。

quokkaの愛らしい生態については、下の動画を参考にしていただきたい。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

ブレンダン・アイク氏の画期的なブラウザーBraveの1.0版が登場

2014年に追放されるまでMozillaのCEOだったBrendan Eich(ブレンダン・アイク)氏が共同創設したBrave(ブレイブ)から、米国時間11月13日、バージョン1.0のブラウザーがWindows、macOS、Linux、Android、iOS用に公開された。ユーザーの選択権が奪われたブラウザー市場で、Braveは、強力なデフォルト設定でユーザーのプライバシーを守る確かな選択肢というポジションを決めている。同時にこれは、コンテンツの作者に報酬を支払える、暗号通貨中心のプライベートな広告や決済のためのプラットフォームでもある。

先月、同社が発表したように、現在は800万のアクティブユーザーがある。そのBrave  Rewards(ブレイブ・リワーズ)プログラムは、ユーザーとパブリッシャーとのオプトイン契約が必要だが、現在は30万のパブリッシャーが参加している。そのほとんどは、YouTubeやTwitterで少数のフォロワーを持つユーザーだが、ウィキペディア、ワシントンポスト、ガーディアン、スレート、LAタイムズのような大手パブリッシャーもこのエコシステムに含まれている。このシステムを使うと、すべてのパブリッシャーが望むわけではないが、ブラウザーは、ユーザーのブラウジングの習慣に応じて、プライベート広告のタブの中に、少数の広告を通知として表示する。するとユーザーは、広告主が支払った広告費の70%を受け取ることができる。ブレイブの取り分は30%だ。

ユーザーは、この広告を表示すると、ブレイブの暗号通貨であるBAT(ベーシック・アテンション・トークン)が獲得できる。それは自分で貯めてもいいし、パブリッシャーに寄付してもいい。当初、ブレイブはビットコインでこれを開始したのだが、アイク氏が言うように、途端に価格が高騰してしまった(しかも価格が上昇したため、ユーザーはビットコインを寄付せず、自分で貯め込んでしまった)。

またブレイブ内蔵の広告ブロッカーは、その広範囲に有効なトラッキング防止機能と並び、おそらく業界一の効力を誇る。「みんながトラッキングされているという感覚に悩まされ、悪質な広告を迷惑に感じています」とアイク氏は私に話した。「しかし、広告の美観には問題がないと私は思っています。問題は、さまざまなトラッキングとトラッキングのコストです。ページを読み込む時間が増え、トラッキング用のスクリプトを読み込むために無線を使い、そのスクリプトは広告を読み込むための別のスクリプトを読み込むためのスクリプトを読み込む。それでバッテリーも浪費されます」。ブレイブは、これらすべてをアンチトラッキング技術でひとまとめにする方法と、業界標準のブロックリストを超える広告のブロック方法を編み出し、さらに機器学習を使ってさらなるブロックのためのルールを特定したとアイク氏は主張している。

ウェブ上で完全に匿名でいたいユーザーのために、ブレイブにも他のブラウザーと同じようにプライベートブラウジング機能がある。しかし、Torネットワークでプライベートなセッションが開けるというオマケが付いている。これなら、ほとんどのすべての企業はユーザーを特定できなくなる。

基本的にブレイブは、単に高速で拡張可能なChromiumベースのブラウザーだ。それもユーザーへのウリになると同社は信じている。「ユーザーの獲得において(中略)最も多くのユーザーに訴求するのが、第一にスピードだと思います。しかし、スピードだけに任せておくことはできません。きれいな結び目であらゆるメリットをつなげてやる必要があります。私たちには、それがあります」と彼は言う。ブレイブにとって、スピードと広告とトラッキングからの保護は明らかに連携している。その他すべてのメリットも、そこから発している。

バージョン1.0の次を見据えて、ブレイブは、さらなる同期の改善を計画している。たとえば、タブと履歴の同期だ。また、ブレイブ・リワーズをもっと抵抗なく参加できる体験にすることも目指している。Android版ができる以前は、オプトイン契約率は40%前後だったとアイク氏は私に教えてくれた。彼らはそれを取り戻したいと考えている。

ブレイブを試してみたい方は、こちらからダウンロードしてほしい。

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(翻訳:金井哲夫)

エンタープライズ事業を売却したDockerが新たに40億円相当を調達し新CEOを任命

Dockerの多忙な一日の総仕上げとして同社は、以前からの投資家Benchmark CapitalとInsight Partnersから3500万ドルを調達したことを発表し、さらに、今年3人目のCEOとして長年同社のプロダクト担当最高責任者(Chief Product Officer, CPO)だったScott Johnston氏の任命を発表した。氏は、5月に退任したSteve Singh氏を継いだRob Bearden氏に代わり、Dockerの新CEOになる。

関連記事: Steve Singh stepping down as Docker CEO…Steve SinghがDockerのCEOを退任(未訳)

このニュースの直前にはMirantisが、Dockerのエンタープライズ事業を買収したことを発表した。そのことは控えめに言っても奇妙だが、Johnston氏によればDockerにはまだデベロッパー支援の部分で機会があるという。コンテナ化のためのエンジンとして定評のあるDockerはこれまで、適切なビジネスモデルを見いだせずに苦戦していた。

Johnston氏は声明でこう言っている: 「具体的には、クラウドサービスの拡張に資金を投じて、デベロッパーがアプリケーションの構築に用いる技術を手早く発見でき、アプリケーションをチームメイトやコミュニティと容易に共有できるようにしたい。そしてローカルでもクラウドでもKubernetesのどんなエンドポイントでもアプリケーションを円滑に動かせるようにしたい」。

前CEOのBearden氏はこう言っていた: 「既存のビジネスモデルを慎重に検討した結果、この方向(エンタープライズ事業の切り離し)を決めた。経営陣と取締役会を全面的に分析して得た結論は、Dockerには互いにまったく異なる2つの事業があるということだ。ひとつは活発なデベロッパー向け事業であり、他は成長中のエンタープライズ事業だ。両者で、プロダクトも財務モデルも大きく異なっている。このような分析結果により、会社をリストラして二つの事業を分離する決定に至った。それが顧客にとっても最良であり、Dockerの業界をリードする技術をさらに繁栄させることができるだろう」。

Crunchbaseのデータによると、今日の発表の前までに同社は2億7200万ドルあまりを調達している。そして今回はBenchmarkとInsightが3500万ドルのライフラインを投じて、オープンソースのDockerプロジェクトをベースとするビジネスに、再起の機会を与えようとしている。

関連記事: Kubernates利用のクラウドサービス、MirantisDocker Enterpriseを買収

画像クレジット: Ron Miller/TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa