マイアミ市が電動キックボードのパイロットプログラム中止をすぐに撤回

米国時間11月29日、フロリダ州マイアミ市委員会は、安全の懸念から一時的に禁止していた電動キックボードのパイロットプログラムを再開させることを決定した。Lime(ライム)、Bird(バード)、Hlebiz(ヘルビズ)、Spin(スピン)などの会社が提供するシェア電動キックボードは、1月15日から新しい厳格な安全基準に沿ってマイアミの路上に帰ってくる。

新プログラムは、運営者および利用者にいくつかのルールを課すことをCBS Miamiが伝えている。利用者はヘルメットを着用し、歩道で時速10マイル(16km)の速度制限を守らなくてはならない。並走は禁止され、1つのブロックに運営者は2社のみ(以前は4社だった)、利用者は18歳以上に限られる。

11月18日、マイアミ市議会は2018年以来実施されていた電動キックボードのパイロットテストを、歩道での走行および混雑した路上での不慣れな利用者の危険を理由に中止する投票を行い、4対5で中止が決まった(先のThe StationでTechCrunchは、他にもっとずっと危険で環境に優しくない車両が走る街から、控えめなキックボードを追い出すことのかすかな偽善を指摘した)。

11月19日深夜までに、マイクロモビリティ運営者たちは、車両の利用を停止し、午後5時までに、市が没収する前に収容しなければならなかった。

電動キックボードパイロット擁護派は、プログラムは自転車専用道路の建設に使用された240万ドル(約2億7000万円)の収益をもたらしただけでなく、最初と最後の1マイル移動手段を市民に提供することで、自動車利用全般と排出量を減少させてきたことを指摘した。

市委員会は11月29日、3対1で中止の撤回を決議した。

「変化はやってくる。遅かれ早かれ。規制すればいい」とAlex Diaz de la Portilla(アレックス・デ・ラ・ポーティラ)委員は述べ、警察官が速度制限などのルールを執行することもできることを付け加えたことをWPLG Local 10は伝えた。

「このニュースは、安全、安価で持続的な移動手段として長年電動キックボードに頼ってきたマイアミ市民を安心させるでしょう」とLimeの政府交渉担当シニアマネージャーであるBruno Lopes(ブルーノ・ロペス)氏が声明で語った。「今後、市の委員やFrancis Suarez(フランシス・スアレス)市長と密に連携して、利用者と歩行者両方の安全を優先する恒久的プログラムを構築することを楽しみにしています。特に期待しているのが、Limeや他の運営者が支払う数百万ドルの電動キックボード費用を、今後も市が自転車専用道路の建設に投資することです。これはあらゆる道路利用者の安全を確保する最も確実な方法です」。

画像クレジット:City of Miami

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Nob Takahashi / facebook

プジョーやフィアットを傘下に持つStellantisがEV電池材料確保のためリチウム供給契約を締結

Fiat Chrysler Automobiles(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)とフランスの自動車メーカーGroupe PSA(グループPSA)が折半出資で合併して誕生したグローバル企業Stellantis(ステランティス)は、リチウム生産者と拘束力のある契約を締結した。今回の合意は、EVの需要が高まる中、自動車メーカーとサプライヤーの間で相次ぎ行われている取引の1つだ。

Vulcan Energy Resourcesは、ドイツのアッパーラインヴァレー(上部ライン渓谷)にあるブラインプロジェクトからバッテリーグレードの水酸化リチウムを生産する。一般的に、リチウムは岩石を採掘して生産されるか、塩水鉱床から抽出される。どちらも環境面で問題があるが、Vulcanのサイトでは、再生可能な地熱エネルギーを利用してリチウムを抽出する。

また、このプロジェクトでは、使用済みのブラインを閉ループサイクルで再注入するため、生産滓のような残留物は発生しない。ドイツのプロジェクトは、南米などで行われている他のブラインプロジェクトに比べ水や土地の使用量が少ないため、二酸化炭素排出量が少なく、運用コストも低く抑えられる可能性があると、ドイツ・オーストラリアを拠点とする同社はウェブサイトで述べている。

この5年間の供給契約に基づき、Vulcanは2026年からドイツで抽出したリチウムをStellantisに送ることになる。契約期間中、Vulcanは8万1千トンから9万9千トンの水酸化リチウムを自動車メーカーに供給する。両社はこの取引の財務条件を明らかにしていないが、抽出サイトでの商業運転の開始と製品の適格性の両方を条件としている。

今回の契約は、Stellantisが7月に発表した、今後4年間で300億ユーロ(355億ドル、約3兆8480億円)をEVと新しいソフトウェアに充てる徹底的な電動化戦略の一環だ。同社は2025年までに130GWh、2030年までに北米と欧州の5つの工場で約260GWhのバッテリーを製造することを目標としている。

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これは、世界の自動車メーカー各社が、EVバッテリーの主要鉱物であるリチウムのような有限の原材料を確保しようとしていることを示す最新の兆候だ。General Motors(GM、ゼネラルモーターズ)はカリフォルニア州のリチウム抽出プロジェクトに同様の投資を行っており、Tesla(テスラ)はニッケルなどの鉱物について独自の供給契約を結んでいる

一方、Renault(ルノー)は先週、欧州産リチウムを最大3万2千トン供給する契約をVulcanと締結した。

画像クレジット:Stellantis

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

日産が今後5年間でEV開発に2兆円を投資へ、2030年度までに23車種の新型電動車投入

日産自動車は「Nissan Ambition 2030(日産アンビション2030)」と名づけた長期ビジョンの一環として、今後5年間で2兆円を投資し、新型電動車やバッテリー技術を開発することを発表した。同社は2030年度までに合計15車種の新型BEVを発売し、その時点で電動車が車両ラインナップの半分を占めることを目指す。

同社は、今後8年間で合計23車種の電動車を開発し、そのうち20台は今後5年間で開発すると発表した。2030年には、欧州で75%、日本で55%、米国と中国で40%の電動車販売比率(EVとe-Power PHEV / ハイブリッド車)に達することを目標にしている。

それ以外の部分は、内燃機関(ICE)車だと思われる。注目すべきなのは、2021年初頭、日産は「2030年代初頭までに発売するすべての新型車を電動化する」と発表していた点だ。おそらく、ICE車がまだ販売されている場合は、レガシーモデルということになるだろう。

日産は他にも、2028年までに全固体電池(ASSB)を搭載したEVを発売し、早ければ2024年に横浜にパイロット工場を設置すると発表した。この技術は、充電時間の短縮などのメリットを約束するものだが、まだ期待通りに市場に登場していない。また、バッテリーパックのコストを2028年までに1kWhあたり75ドル(約8500円)に引き下げ、さらに先には65ドル(約7400円)に引き下げることを目指している。Bloombergによると、これは2020年のEVバッテリーの価格の約半分に相当する。日産は、2030年までにグローバルな電池生産能力を130GWhへと引き上げる予定だという。

日産は、運転支援技術「プロパイロット」を、2026年までに250万台以上の日産車およびインフィニティ車に拡大する計画であるとも述べている。また、次世代LiDARシステムを「2030年度までにほぼすべての新型車に搭載する」としている。

画像クレジット:Nissan

「Ambition 2030」の一環として、日産は4つの新しいコンセプトカー「Chill-Out」「Surf-Out」「Hang-Out」「Max-Out」を発表した。他のコンセプトカーと同様に、これらは自動運転やインテリアの機能、そして奇抜なデザインなど、日産の未来のテクノロジーを体験するためのものだ。しかし、日産が実車として公開しているのは「Chill-Out」の画像のみで、他の3車種はレンダリング画像だ。

Chill-Out(トップ画像・上)は小型のクロスオーバーで、日産が以前に確認したように、次世代リーフがハッチからクロスオーバースタイルのボディに移行することを示す初期のプレビューかもしれない。アリアのCMF-EVプラットフォームとe-4orce電動駆動4輪制御システムを採用しており、2025年までに登場する予定だ。

画像クレジット:Nissan

一方、Surf-Outは小型の電動シングルキャブピックアップトラックで、そこそこの大きさの荷台と取り外し可能なキャノピーを備えている。デュアルモーターAWDと多様な出力を備え、オフロード性能、ユーティリティー性、広いカーゴスペースを提供する。

画像クレジット:Nissan

そしてHang-Outは「移動中の新しい過ごし方を提供する」ことをコンセプトにした、小型のキャンピングカー・SUVのようなモデルだ。完全にフラットなフロアと可動式のシアターシートを備え、最近のEVコンセプトにも見られる「移動空間でありながらリビングルームのような快適さ」を提供する。また、e-4orceや先進のプロパイロット機能も搭載している。

画像クレジット:Nissan

そして最後に、Max-Outは「最高の安定性と快適さ」を提供するオープンスポーツカーだ。ボディロールを抑えることで「ダイナミックなコーナリングとステアリングレスポンス」を実現し、ハンドリングと乗員の快適性を最適化している。また、 軽量・低重心で、先進のe-4orceも搭載しているとのこと。

日産の新計画は、カルロス・ゴーン前CEOの逮捕とその後の逃亡など、社内問題に取り組んできた中で生まれたものだ。同社は短期的には、2020年に発表された「NISSAN NEXT」計画の一環として、3000億円規模の固定費削減と生産能力の20%削減を計画している。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Nissan

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(文:Steve Dent、翻訳:Aya Nakazato)

GMの自動運転部門Cruiseがロボタクシーを「どのように」実現するのかを発表

米国時間11月4日の夜、Cruise(クルーズ)の自律走行技術の詳細について語ったエンジニアたちがTesla(テスラ)の名前を口にすることはなかった。あるいはそうする必要もなく、明確なメッセージが伝えられたのだ。

GM(ゼネラルモーターズ)の自動運転部門であるCruiseが、極めて詳細な技術および展開ロードマップを発表した。これは高度な運転支援システムを搭載した車両を含め、人間が運転するどんな車両よりも安全で拡張性の高い自律走行車を同社がいかにして構築してきたかを誇示することを目的としたものである。

イベントでCruiseが自社の技術をアピールしていたのはもちろんだが(当然のことながら才能ある人材のリクルートのためでもある)、同時にこのイベントは自律走行車全般についての議論の場ともなっていた。木曜日に登壇したエンジニアやプロダクトリーダーらは、シミュレーションの利用方法や独自のチップなどのハードウェア開発、アプリや車両の設計などさまざまな要素を紹介してくれた。

「Under the Hood」とブランディングされたこのイベントは、2021年10月に開催されたGMの投資家向け説明会でCEOのDan Ammann(ダン・アマン)氏が、Chevrolet Bolt(シボレー・ボルト)の改良版を皮切りに、数年後には各目的に合わせた自律走行車Origin(オリジン)を何万台も展開して、商用のロボットタクシーや配送サービスを開始する計画を明らかにしたことを受けて開催されたものである。

Cruiseはカリフォルニア州で商業配送サービスの認可を取得したばかりで、さらにドライバーレスのライドヘイリングとして課金できるようになるにはまだもう1つ別の許可が必要だ。それでもCruiseはコストを十分に削減して、迅速にスケールアップしていくことができると考えている。

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その方法は以下のとおりだ。

システムの検証だけではなく、スケールアップのためにシミュレーションを利用する

Cruiseはシミュレーションを多用しており、それは安全性を証明するためだけでなく新しい都市で何百万マイルものテストを行うことなくスケールアップするためでもある。

同社は進出する都市の地図を作成する必要はあるものの、車線変更や道路閉鎖など、必然的に起こる環境の変化に合わせて都市を再マッピングする必要はない。Cruiseが新しい都市に進出する際には、まずWorldGenと呼ばれる技術を使用する。これは「予測できないような道から細部に至るまで」都市全体を正確かつ大規模に生成するもので、これによりエンジニアが新しいオペレーションデザインの領域を試すことができるのだと、Cruiseのシミュレーション部門の技術戦略リーダーであるSid Gandhi(シド・ガンジー)氏は話している。つまりWorldGenは未来のシミュレーションが行われる舞台となるものなのである。

最適な環境を作り上げるため、Cruiseは24の異なる時間帯の明るさや天候などを考慮し、さらにはサンフランシスコに設置されたあらゆる街灯の光を体系的に測定した。

「高忠実度の環境とプロシージャルに生成された都市を組み合わせることで、新しい都市に向けて効率的にビジネスを拡大することができます」とガンジー氏は話す。

そして次に同氏は道路上で自律走行車が収集した実際の事象を、編集可能なシミュレーションシナリオに変換する「Road to Sim」の技術を紹介した。これにより、すでに見たシナリオと比較してテストすることで自律走行車が逆行しないようにするという仕組みである。

「Road to Simでは、知覚から得られる情報と、何百万マイルもの実走行から得られたヒューリスティックな情報を組み合わせて道路データから完全なシミュレーション環境を再現します。シミュレーションができたら、実際にイベントのバリエーションを作成し、車両や歩行者のタイプなどの属性を変更することができます。これは、AV開発を加速させるテストスイートを構築するための、非常に簡単で非常に強力な方法です」。

Cruiseが実際の道路状況で収集できていない特定のシナリオのためにはMorpheusがある。Morpheusは地図上の特定の場所に基づいてシミュレーションを生成できるシステムで、機械学習を利用して必要なだけパラメータを自動入力し、何千もの特殊なシナリオを生成してそれに対して自律走行車をテストするというものである。

「特殊な状況の解決に向けての実地テストは減少傾向にあります。なぜなら滅多に起こらないイベントを適切にテストするために何千キロもの距離を走らなければならず、拡張性に欠けるからです。そのため私たちは、大規模なパラメータ空間をスケーラブルに探索してテストシナリオを生成する技術を開発しているのです」。

テストシナリオには、他の道路利用者が自律走行車に反応する様子のシミュレーションも含まれている。Cruiseのこのシステムはノンプレイヤーキャラクター(NPC)AIと呼ばれており、これは通常ビデオゲーム用語なのだが、この文脈では複雑なマルチエージェントの行動を表現するシーン内すべての車や歩行者を指している。

「Morpheus、Road to Sim、NPC AIの3つの機能が連携することで、まれに発生する困難な事象に対してより確実なテストを行うことができるようになりました。これにより、現在ある特殊な問題を解決できるだけでなく、将来の類似した問題も解決できるという確信を得ることができました」。

ガンジー氏は、合成データを生成することで、Cruise の自律走行車が特定のユースケースをターゲットできるようになると述べ、特に緊急車両の識別や相互作用について言及した。これは、ADAS(先進運転支援システム)のAutopilotが緊急車両との衝突を繰り返しているとして連邦政府の監視下に置かれているTeslaを意識したものに違いない。

「緊急車両は他の種類の車両に比べて稀ですが、極めて高い精度で検出できる必要があるため、当社のデータ生成パイプラインを使用して救急車、消防車、パトカーのシミュレーション画像を数百万枚作成しています。我々の経験では、ターゲティングした合成データは道路データを収集する場合よりも約180倍速く、数百万ドル(数億円)も安くなります。また、合成データと実データを適切に組み合わせることで、データセット内の関連データを1桁以上増やすことができます」とガンジー氏は説明している。

自社開発の2つのカスタムシリコンチップ

10月に開催されたGMの投資家説明会にて、CruiseのCEOであるアマン氏は、Originの計算能力に多額の投資を行い、今後4世代にわたってコストを90%削減し、利益を上げられるようにするという計画を説明した。その際アマン氏は、コスト削減のためにカスタムシリコンを自社で製造するという意向には触れたものの、そのシリコンを使ってチップを製造するということについては表明していない(TechCrunchは予測していたのが)。しかし11月4日、OriginプログラムのチーフエンジニアであるRajat Basu(ラジャット・バス)氏はこの説を実証してくれた。

「当社の第4世代コンピュートプラットフォームは、社内で開発したカスタムシリコンをベースとする予定です。これは当社のアプリケーションに合わせて作られたもので、フォーカスを可能にして処理能力を向上させるとともに、ピースコストと消費電力を大幅に削減しています。コンピュートは安全性の観点からも重要なシステムであり、冗長性が組み込まれています。それに加えて毎秒10ギガビットのデータを処理するAVシステムでは、かなりの電力を消費することになります。当社のMLHチップを使うことで複雑な機械学習パイプラインをより集中的に実行することができ、それにより性能を落とさずにエネルギー効率を上げることができます」とバス氏は説明している。

CruiseのAIチームは2つのチップを開発している。センサー処理チップは、カメラ、レーダー、音響などの各種センサーのエッジ処理を行うもので、2つ目のチップは、ニューラルネットワーク専用のプロセッサーとして設計されており、AIチームが開発した大規模なマルチタスクモデルのような機械学習アプリケーションをサポートし、加速するものである。バス氏によれば、この機械学習加速装置(MLA)チップは、特定のクラスのニューラルネットやMLアプリケーションを解決するのにまさに適したサイズであるという。

「これによりパフォーマンスを極めて高いレベルで維持することができ、当社にとって付加価値のないことをするためにエネルギーを浪費しないようにしています。複数の外部ホストと組み合わせることも、スタンドアロンで動作させることも可能で、最大25Gまでのシングルイーサネットネットワークをサポートし、総帯域幅は400Gに達します。今回量産を開始するMLAチップはほんの始まりに過ぎません。今後時間をかけて消費電力を抑えながら、さらなる高性能化を進めて参ります」。

Cruiseのエコシステム

今回のイベントでCruiseが明らかにしたのは、成功裏にスケールアップするために必要な自律走行車技術だけでなく、未知のシナリオに遭遇したときの自律走行車の判断を検証するリモートアシスタンスオペレーターやカスタマーサービスの他、人々が実際に乗ってみたいと思う車両、カスタマーサポートや事故対応などを効率的かつ容易に処理できるアプリなど、エコシステム全体を考えているということである。

Cruiseのプロダクト担当副社長であるOliver Cameron(オリバー・キャメロン)氏は同イベントで次のように述べている。「研究開発を愛される製品へと進化させるためには、人工知能やロボット技術以上のものが必要です。安全な自動運転車というだけでは不十分であり、これは長い道のりの最初の一歩に過ぎません。何百万人もの人々の日常生活に取り入れられるような競争力のある製品を構築し、拡張するためには、安全な自動運転という基盤の上に多数の差別化された機能やツールを構築する必要があります。こういった機能をどのように実装すべきかは、特に安全性の問題にまだ頭を悩ませている企業にとっては明白ではないでしょう」。

画像クレジット:Cruise

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Dragonfly)

仏ルノーが空飛ぶクルマ「ルノーAIR4」発表、「ルノー4」発売60周年記念

仏ルノーが空飛ぶクルマ「ルノーAIR4」発表、「ルノー4」発売60周年記念

Renault

仏ルノーが、米マイアミのデザイン会社The Arsenaleとの協力により、往年のハッチバックカー ”ルノー4” をフライングカーに仕立て上げた ”AIR4” を発表しました。これはことし誕生60周年を迎えたルノー4を記念するものでありつつ、60年後のルノーの姿を示すコンセプトモデルとして製作されました。

ルノーは「AIR4は独立と自由を象徴しており、たとえ将来交通量が増加して生活が混乱しても、みんなの頭上の世界は遮られていないとの認識から生まれた」と説明しています。

4つのローターの中央にまるで御神輿のように鎮座する車体はすべてカーボンファイバー製。内部に人が乗り込むことが可能ですが、よく見ればドアがないことに気づいた人もいるでしょう。ではどうやってルノーが「実用的」だと主張する車内に乗り込むのかといえば、車体全体を後部からガバッと持ち上げて…となるようです。

仏ルノーが空飛ぶクルマ「ルノーAIR4」発表、「ルノー4」発売60周年記念

Renault

 

仏ルノーが空飛ぶクルマ「ルノーAIR4」発表、「ルノー4」発売60周年記念

Renault

仏ルノーが空飛ぶクルマ「ルノーAIR4」発表、「ルノー4」発売60周年記念

Renault

仏ルノーが空飛ぶクルマ「ルノーAIR4」発表、「ルノー4」発売60周年記念

Renault

AIR4は、説明によればローターあたりの推力は95kgで、総スリング能力は約381kgとされるほか、最高飛行速度は約93.3km/hとされます。

オリジナルのルノー4は603ccのエンジンを搭載して1961年に発売され、安くて楽しい乗り物として世界100か国以上で30年の間に800万台以上が販売されました。現在、ルノーは 2025年に”4″ を電気自動車に改造したバージョン「Renault 4ever EV」を開発中ですが、もしかすると、AIR4の車体デザインはそのEVの最終デザインがのヒントになるかもしれません。

なお、AIR4は2022年、パリのラトリエ・ルノー博物館をはじめ、マイアミ、ニューヨーク、マカオで展示される予定とのことです。

(Source:RenaultTheArsenaleEngadget日本版より転載)

EV急速充電ネットワークのIONITYが、充電器の数を4倍以上に増やすために約905億円を投資

Daimler AG(ダイムラーAG)やVolkswagen Group(フォルクスワーゲングループ)などの大手自動車会社が共同で設立した、電気自動車用急速充電ネットワークプロバイダーのIONITY(アイオニティ)は、資産運用会社のBlackRock Global(ブラックロック・グローバル)と既存の株主から7億ユーロ(約905億円)の投資を獲得。欧州全域における事業拡大を目指している。

EV用の超急速充電ステーションを欧州各地に設置しているIONITYは、ダイムラーとフォルクスワーゲングループの他、BMW Group(BMWグループ)、Ford(フォード)の4社による合弁事業として2017年に設立され、後にHyundai Motor Group(現代自動車グループ)も加わった。同社は今回の投資により、現在設置されている約1500基の充電器を、2025年までに4倍以上の7000基に増やすことを計画している。

新たに建設される充電ステーションは、高速道路などの主要道路や主要都市の近くに設置され、それぞれの場所で6~12台分のEVを同時に充電できるようにする予定だ。また、需要の高い既存の施設にも、充電器の数を追加していくという。

IONITYは、車両の充電中にドライバーも「充電」できるフルサービスステーションの所有・運営も計画している。同社で「Oasis(オアシス)」と呼ぶこのステーションのコンセプトは、現在の道路沿いある休憩所と似たものだ。

BlackRockは、同社のGlobal Renewable Power(グローバル・リニューアブル・パワー)株式投資ビークルを通じて、IONITYに出資した。自動車関連企業以外からIONITYが資本を受け入れるのは、これが初めてのことだ。BlackRockは4月に48億ドル(約5500億円)の資金を集めており、これは機関投資家の脱炭素技術への関心が高まっていることを示している。

この投資は、有力な投資家たちが、来るべき交通機関の電動化に確信を深めていることも物語っている。BlackRockはこれまで、陸上・洋上風力発電や太陽光発電プロジェクトへの投資を中心に行ってきた。同社がEV充電に興味を示したことは注目に値する。

画像クレジット:Ionity

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラが完全自動運転のテスターに事故時の映像収集の許可を求める

Tesla(テスラ)の最新のFSD(Full Self-Driving、完全自動運転)では、事故や「重大な安全上のリスク」が発生した場合に、車外と車内のカメラで撮影された映像を同社が収集することへの同意をドライバーに求めている。Electrekの報道によると、同社が特定の車両とドライバーに映像記録を求めるのは初めてのことだ。

TeslaはこれまでにもFSDの一環として映像を収集してきたが、それはAI自動運転システムの訓練と改善のためにのみ使用されていた。しかし、今回の新契約によると、同社は映像を特定の車両に関連づけることができるようになる。「FSDベータを有効にすることで、私は、重大な安全リスクや衝突などの安全に関する事案が発生した際に、Teslaが車両の外部カメラやキャビンカメラからVIN(車両識別番号)に関連する画像データを収集することに同意します」と契約書には書かれている。

FSDベータ版を有効にすることで、私は、重大な安全リスクまたは衝突のような安全に関する事案が発生した場合に、Teslaが車両の外部カメラおよびキャビンカメラからVINに関連する画像データを収集することに同意します。

Electrekが指摘するように、この文言は、FSDシステムが事故の原因とされた場合に備えて、Teslaが証拠を確保したいことを示していると考えられる。また、重大な問題をより迅速に検出し、修正するためにも使用される可能性がある。

FSD 10.3は、これまでのベータ版よりも広範にリリースされたが、不当な前方衝突警告や予期せぬ自動ブレーキなどの問題が発生したため、すぐに撤回された。当時、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏は、このような問題は「ベータ版ソフトウェアでは予想されること」とツイートし「社内QAですべてのハードウェア構成をすべての条件でテストすることは不可能であり、それゆえ公開テストを行う」と付け加えた。

しかし、公道を走る他のドライバーも、知らず知らずのうちにベータテスターになっている。米国道路交通安全局は、11月3日にカリフォルニア州ブレアで発生した事故について、FSDが原因で衝突事故を起こしたというドライバーの訴えを現在調査している。このオーナーは、FSDが原因でModel Yが誤った車線に入り、他の車に衝突して双方に大きな損害を与えたと主張している。

Teslaは、ドライバーセーフティースコアが98点以上のさらに多くのユーザーに新しいベータ版をリリースする。これまでベータ版のリリースは、スコアが100点満点のドライバーに限られていた。同社は、この機能を利用するために月々199ドル(約2万3000円)、または一括1万ドル(約115万円)をドライバーに課しているが、約束していた自律走行実現の期限を守れなかった。現在、FSDシステムはレベル2とされており「完全な自動運転」に必要なレベル4には程遠い。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

画像クレジット:Tesla

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

GMC、EVで復活するハマー第1弾「Edition 1」トラックは12月に納入開始と発表

初の電動版Hummer(ハマー)は、このホリデーシーズンに新しいオーナーのもとに届けられる。Autoblogによると、GMC(ジーエムシー)のボスであるDuncan Aldred(ダンカン・アルドレッド)氏は、11万2000ドル(約1290万円)以上の価格で購入できるEVトラックモデル「Hummer Edition 1(ハマー・エディション1)」の納車を12月から開始すると発表した。Edition 1のEPA航続距離は329マイル(約529.5 km)で、当初予想されていた350マイル(約563.3 km)より若干短いことも今回のコンファレンスで明らかになった。

重量が4トンあるGMCの電気トラックは、3つのモーターによって生み出される最大1000hpのパワーと1590kgmのトルクにより、ゼロ発進から時速60マイルまで3秒以内で到達する能力を備えている。また、7500ポンド(約3402 kg)の牽引と1300ポンド(約590 kg)の運搬が可能だ。このトラックは、GMが今後数年間に自社ブランドの数十のモデルを電動化するために開発したプラットフォームであるUltium(アルティウム)バッテリーパックを使用している。

2021年12月に出荷が開始されると、「Edition 1」Hummer EVは、Rivian(リヴィアン)のR1Tと並んで、市場で最初の電気トラックの1つとなる。Tesla(テスラ)もEVピックアップトラック「Cybertruck(サイバートラック)」の開発に取り組んでいるが、同社は8月に発売を2022年に延期した。Autoblogによると、Hummer EVの予約の80%以上はEdition 1の注文だが、他のEVバージョンも2023年に登場する予定だという。それらの中には、より安く、航続距離が長いものもあるとのこと。GMCは、Hummer EVのSUVバージョンも2023年に納入を開始する。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Mariella Moon(マリエラ・ムーン)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:GMC

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(文:Mariella Moon、翻訳:Aya Nakazato)

EVへの関心は電動ボートにも波及、Arcが約34.5億円調達

Arcはまだ創業1年にも満たないが、この電動ボートのスタートアップはVCのAndreessen Horowitzやエンターテインメント業界の大物たちからの投資を惹き寄せ、初期のTesla(テスラ)の役員で同社の初期の製造部門を率いた人物がリードする3000万ドル(約34億5000万円)の投資ラウンドを実らせた。

今回の3000万ドルのシリーズAはGreg Reichow(グレッグ・ライチョウ)氏がリードしたが、彼は元Teslaの役員で現在はEclipse Venturesのパートナーだ。今回は、これまでの投資家であるAndreessen HorowitzやChris Sacca(クリス・サッカ)氏のLowercarbon Capital、そしてRamtin Naimi(ラムティン・ナイミ)氏のAbstract Venturesらも参加した。同社は米国時間11月23日の発表で、ライチョウ氏が取締役会に加わることを発表した。これまでのArcの調達総額は3700万ドル(約42億5000万円)だが、それにはWill Smith(ウィル・スミス)氏のDreamers VCやKevin Durant(ケビン・デュラント)氏とRich Kleiman(リッチ・クレイマン)氏のThirty Five Ventures、そしてSean “Diddy” Combs(ショーン・コムズ)氏のCombs Enterprisesなどからの初期の投資も含まれている。

この若い企業に資本と強力な支援者が殺到していることは、電動化への関心が2つの車輪、4つの車輪を持つ乗り物を超えて広がっていることを反映している。後者は巨額の私募資金と驚異的な額の公開市場資金で溢れかえっているが、今週初めにGMは、電動ボート企業のPure Watercraftの株式の25%を取得したことを発表している。

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もちろん、30万ドルの限定版ボートを皮切りに、水上のあらゆるものを電動化するというArcの特殊なビジネスに対する高い評価となる。

CEOのMitch Lee(ミッチ・リー)氏と元SpaceXの技術者であるRyan Cook(ライアン・クック)氏が共同で創業したArcは、さまざまな価格帯と用途の電動船を開発していく計画だ。同社は最初、専用の船体と同じく専用のバッテリーパックの設計と開発に注力した。最初のボートArc Oneは、24フィート(約7m32cm)のアルミニウム製で475馬力、1回の充電で3〜5時間駆動する。このArc Oneは、最大で25隻の限定生産の予定となっている。

その後、2種類の高価なボートを数十隻作り、未来に向けて拡大していく計画だ。ただし短期的にはArc Oneに集中すると同社はいう。

画像クレジット:Arc

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ボルボが車内ARを見据え光学オーバーレイのスタートアップSpectralicsに約2.3億円を投資

長らく安全の代名詞とも言われてきた自動車メーカーVolvo Cars(ボルボ・カーズ)は、ベンチャーキャピタル投資部門のVolvo Cars Tech Fund(ボルボ・カーズ・テック・ファンド)を通じて、自動車のフロントガラスやウインドウに組み込んでドライバーや乗客に画像を提供する技術を開発している光学・イメージングのスタートアップに投資したことを発表した。

Volvo Cars Tech Fundは、光学機器・イメージングの開発企業であるSpectralicsに200万ドル(約2億3000万円)を投資した。この資金は、自動車の安全性とユーザーエクスペリエンスの向上に貢献する光学フィルムの開発を加速させるために使用されるという。この投資は大きなものではないかもしれないが、Volvoとの関係は、特にその技術が量産車に採用されれば、実りあるものになるだろう。

Spectralicsが開発しているシースルー光学オーバーレイは「多層薄膜コンバイナー」とも呼ばれ、自動車のフロントガラスやウインドウに組み込むことができる。Spectralicsによると、これによってより広い視野が確保され、極めて重要なのは、それとともに安全なAR(拡張現実)オーバーレイに必要な距離感が得られるという。

車外では、スマートグラス、光学システム、その他のヘッドアップディスプレイなどにも利用できる可能性がある。これは、ARやVR(仮想現実)が、ゲームや消費財の域を超えて、自動車の中に入りつつあることを示す最新の兆候だ。これは間違いなく、自動車メーカーが新車を馬力ではなく、ユーザー体験や提供する技術で差別化するという幅広いシフトの一環だ。

Spectralicsの創設者であるRanBar Yosef(ランバー・ヨーゼフ)氏、Eran Falk(エラン・フォーク)氏、Yuval Kashtar(ユバル・カシュタル)氏、Yuval Keinan(ユヴァル・ケイナン)氏(画像クレジット:Tal Givoni for Spectralis)

自動車内のAR / VRの導入には数々のボトルネックが存在したが、自動車メーカー各社は、車内アプリケーション用にこの技術を開発している企業への投資でリードしていると、Abigail Bassett(アビゲイル・バセット)氏がTechCrunch+で指摘していた

VolvoのSpectralicsに対する投資が十分なシグナルでなかったとすれば、広報担当者はTechCrunchに、スウェーデンの自動車大手である同社がこの技術を自社の車に採用することを検討していると認めた。Volvo Cars Tech Fundの責任者、Lee Ma(リー・マー)氏は声明でこう述べている。「Spectralicsは当社のポートフォリオにフィットしており、彼らの技術は次世代のディスプレイやカメラの標準となる可能性があると信じています」。

Spectralicsは、スウェーデンのイェーテボリにあるアクセラレーター、MobilityXlabの卒業生であり、テルアビブにあるスタートアップと自動車業界の投資家をつなぐモビリティハブ、Drive-TLVにも参加している。Volvoのスタートアップ投資部門は2017年から両イニシアチブに参加しており、最近では、事故検知センサーを開発するMDGoや、車両検査技術開発企業のUVEyeなど、他のイスラエルのスタートアップにも投資している。

画像クレジット:Volvo Cars

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

Polestarが次世代EVセダン「プリセプト」改め「Polestar 5」は2024年に市場投入と発表

コンセプトカーから量産プロジェクトになった「Polestar Precept(ポールスター・プリセプト)」セダンの名前が変わり、正式な発売日が決まった。Volvo Car Group(ボルボ・カー・グループ)からスピンアウトしたEVパフォーマンスブランドであるPolestar(ポールスター)は、シャークノーズを持つこのセダンを「Polestar 5(ポールスター5)」と名付け、2024年に生産を開始すると発表した。

Polestarが2020年初頭に初めてPreceptを公開したときは、この新会社の方向性を示すための印象的な提案ではあったが、単なるコンセプトカーに過ぎなかった。同社はその年の9月には、Preceptを量産化すると発表した。当時、Polestarは「2025年までに」という曖昧な表現を使い、その時期を明らかにしなかった。

それ以来Polestarは、デザイン、開発、そして生産プロセスの内側を垣間見ることができるいくつかのYouTubeビデオを含め、Preceptセダンのティーザーといくつかの詳細を発表してきた。ポールスターの最新のビデオは、エクステリアデザインのインスピレーションに焦点を当てている。

今回のビデオでは、4分近くの時間の大半を、PreceptのエクステリアデザインマネージャーであるNahum Escobedo(ナハム・エスコベド)氏と過ごす。シャープなエクステリアラインは何からインスピレーションを受けたのか?少なくとも部分的には「サメと飛行機です」とエスコベド氏は語る。

画像クレジット:Polestar(スクリーンショット)

「このプロジェクトでは、非常にエレガントでありながら、スピード感のあるものを求めていました。私にとって、サメはそうしたフィーリングを持つものでした」と彼はビデオの中で語った。

Polestar 5のドラマチックなリアエンドには、長い一筋のエアロブレードライトが見られる。これも初期のデザイン上の特徴で、生産バージョンでも採用されているようだ。

画像クレジット:Polestar(スクリーンショット)

Polestarはこの新しいビデオの中で、バッテリーの航続距離やパワートレインなどのスペックを一切公開しなかった。しかし、2022年に生産開始が予定されている電動SUV「Polestar 3(ポールスター3)」に続くモデルであることはわかっている。

Polestarの最初の量産車は、プラグインハイブリッドのグランドツアラー「Polestar 1(ポールスター1)」だった。その後、2020年にはオール電化のセダン「Polestar 2(ポールスター2)」が登場した。(同社が数字による命名法を続けると仮定して)Polestar 4が何であるかはまだわかっていない。

かつてPreceptと呼ばれたEV、Polestar 5についての最新情報は、同社が2021年に行った2つの大きな事業拡大と財務上の動きに続くものだ。Polestarは9月下旬に、Gores Guggenheim Inc.(ゴアズ・グッゲンハイム)とのSPAC合併により上場することで合意し、合併後の会社の評価額は約200億ドル(約2兆3000億円)となる見込みと発表した。合併が完了すると、統合後の会社はPolestar Automotive Holding UK Limitedという新しい公開企業が保有することになる。この会社は「PSNY」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する予定だ。

6月には、同社はPolestar 3を米国で生産することを発表した。ポールスター3は、サウスカロライナ州リッジビルにあるVolvo Cars(ボルボ・カーズ)との共同工場で組み立てられる。Polestar 3の生産は、2022年にグローバルで開始される予定だ。

関連記事:ボルボの高級EVブランドPolestarが初のフル電動SUV「Polestar 3」を米国で生産へ

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Dragonfly)

英国、2022年から新築住宅・オフィスにEV充電器の設置を義務づける

英国政府は、2022年から英国のすべての新築住宅およびビジネスに電気自動車(EV)充電ステーションの設置を義務付けると発表した。この新しい施策は、毎年14万5千カ所の充電ポイントを追加することで、英国でのEV普及を促進することを目的としている。

「これにより、人々はEVの未来に備えた新築物件を購入することができ、また、英国内の新しい店舗や職場で充電ポイントを容易に利用できるようにすることで、今日のガソリン車やディーゼル車の給油と同じように簡単に利用できるようになります」とプレスリリースには記されている。

英国政府はすでに25万台以上の充電ポイントの設置を支援しているが、この新ルールにより、初年度だけで50%以上の増加が見込まれる。スーパーマーケットやオフィスビルなどの建物に加え、10台以上の駐車スペースを持つ大規模な改築も対象となる。ただし、設置場所の仕様や出力など、ルールの詳細はまだ公表されていない。

英国の野党である労働党は、ロンドンと同国の南東部には「イングランドとウェールズの他の地域を合わせたよりも多くの充電ポイントがある」と指摘し、新法はその点で役に立たないと主張している。また、低・中所得者層がEVをより購入しやすくなるような条項も含まれていないと、BBCは報じている。

英国政府は、予定よりも10年早い2030年までに化石燃料車の販売を完全に禁止することを目指している。同国政府は以前、英国内のEV充電インフラ整備に5億ポンド(約769億円)を投じる用意があると述べていた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Steve Dent(スティーブ・デント)氏は、Engadgetのアソシエイトエディター。

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(文:Steve Dent、翻訳:Dragonfly)

GMが船舶用電動モーターメーカーPure Watercraftの株式25%を取得

General Motors(ゼネラルモーターズ、GM)は、シアトル拠点の電動ボート会社Pure Watercraft(ピュア・ウォータークラフト)の株式25%を取得した。GMの今回の動きは、2025年までに電気自律走行テクノロジーに350億ドル(約4兆200億円)を投資するというコミットメントの一環として、ボートやその他の車両を含むあらゆる電動の乗り物へ関心を広げていることを反映している。

Pure Watercraftは、25~50馬力のガソリンエンジンを搭載したボートのドロップイン代替として使用できる、Pure Outboardと呼ばれる全電動船外モーターシステムを製造している。また、大手ボートメーカーと提携し、はしけ、釣り用ボート、硬式ゴムボート2種など、電動ボートの完成品を販売している。

Pure Watercraftによると、ガソリンエンジンと比較して電気システムはメンテナンスが不要で、化石燃料による汚染もない。また、Pure Outboardでは15%の充電量で、20マイル(約32km)を航行する4時間近い釣りクルーズができる、と同社のウェブサイトにある。

同社は2020年9月、生産を本格化させるべくL37がリードしたシリーズAで2300万ドル(約26億円)を調達した。この9年前に、CEOのAndy Rebele(アンディ・レベレ)氏が会社を設立した。今回のGMの出資により、両社はバッテリー技術の共同開発と商業化を進め「GMの技術をさまざまな用途に統合していく」とGMは声明で述べた。

今回の出資は、道路交通車両や航空機を超えて、従来のガソリン駆動に支配され続けてきた輸送やモビリティの形態に電気技術が向かい始めていることを示す最新例だ。創業10カ月の電動船舶スタートアップArcは10月、複数の新しい投資家を迎え入れるなどし、総額700万ドル(約8億円)を調達した。また、シアトルのスタートアップZin Boatsは電動スピードボートの開発を進めている。

GMは、鉄道や航空宇宙など他のモビリティ産業での自社技術の利用をすでに検討していて、今回の動きは注目に値する。2021年初め、GMはWabtecと提携して水素燃料とバッテリーを使用した電気貨物機関車を開発した。また、Liebherr-Aerospaceとの提携で航空機用の水素燃料電池実証システムを共同開発することも発表した。

画像クレジット:Pure Watercraft

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nariko Mizoguchi

LAオートショー2021の高揚感としらけムード

LAオートショーは、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック下で初めて戻ってきた室内自動車ショーだ。ニュースに乏しく、いつも以上にベーパーウェアが多い中、それでも、いくつかのクルマやテクノロジーや企業が、イベントに先立って行われた2日間のプレスデーで目立っていた。

以下に、2021年のロサンゼルスで良くも悪くもTechCrunchの目に止まったクルマとテーマを紹介する。

グリーン&クリーンへと変わるストーリー

画像クレジット:Kirsten Korosec

米国時間11月17日正午前に行われた少数の主要なニュースカンファレンスでは、持続可能性と気候変動が中心テーマだった。そこには企業の偽善的環境配慮と実際の行動が入り混じっていた。

Hyundai(ヒョンデ)とKia(キア)は、環境の認識がいかに大切かを訴える短編動画を流したあと、全電動コンセプトカーとプラグインハイブリッド車を披露した。Fisker(フィスカー)は海洋保護について話した。長年グリーン化に取り組み、国立公園から動物保護まであらゆる活動の支援に多額の資金を投入してきたSubaru(スバル)も、環境保護の支援を継続していくことを強調した。

これは過去においても珍しくなかったことだが、自動車業界全体が二酸化炭素排出量低下に重い腰を上げ、持続可能な生産と調達に革新を起こし、有効な寿命を終えた部品や車両リサイクルと再利用の方法を探求していることは銘記しておくべきだろう。人類の気候変動への影響を減せる時間はあと10年しかないという恐怖の警告は、ショーで行われた複数のプレス会見で言及されていた。

ハリウッドモード

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年特に目立った発表の1つが、Fisker Ocean(フィスカー・オーシャン)の量産間近なバージョンだ。全電動SUVが備える17.1インチ巨大スクリーンは、180度回転可能で、同社が「ハリウッドモード」と呼ぶ横位置のランドスケープモードから縦位置のポートレートモードへ回転できる。

横位置モードでは、Oceanが駐車あるいは充電中に、ゲームをプレイしたりビデオを見たりできる。Fiskerは、このスクリーン回転技術の特許を取得していると述べた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

電化、電化、電化

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のLAオートショー全体のテーマは、(驚くに当たらないが)あらゆるものの電化だ。展示場にはICE(内燃エンジン)駆動の車両が数多く見られたものの、バッテリー電力の世界にいくつもビッグニュースがやってきた。

Nissan(日産)の全電動SUV、Ariya(アリヤ)、Toyota(トヨタ)bz4xと双子車Subaru Solterra(ソルテラ)から、TechCrunchのお気に入りである全電動Porsche(ポルシェ)Sport Turismo(スポーツ・ツーリズモ)セダンの最新モデルとマジックルーフ付きワゴンまで話題は尽きない。

健康被害からあなたを守るテクノロジー

画像クレジット:Kirsten Korosec

現行パンデミックが3年目を迎える中、自動車メーカーは利用者を病気から守る方法を考え始めている。HyundaiがLAオートショーで披露した SUVコンセプトカーSEVEN は、垂直空気循環、抗菌性の銅、紫外線殺菌装置などの機能を提供している。

電動化レストモッドがやってくる

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のLAオートショーで目についたトレンドの1つが、何台かの古い車体に電動パワートレインを積んだレストモッド(レジストレーション&モディフィケーション)モデルだ。内燃エンジンのような直感的体験を与えることはないかもしれないが、クラシックカーの新しい楽しみ方を提供するものだ。

自動車製造のスタートアップ、Cobera(コベラ)が展示していたC300は、懐かしいShelby Cobraとよく似た外観だ。しかし、ボンネットの中にはV8エンジンに代わってC300を時速0〜62マイル(0〜約99.8km)まで2.7秒で加速すると同社がいう全電動パワートレインが入っている。Cobera C300は、ハンガリーの乗用車とキャンピングカーの製造に特化した会社Composite-Projects(コンポジット・プロジェクト)が設計・製造した。車両のスイッチを入れると、合成されたサウンドが出て、昔のV8に少しだけ似た音が聞こえる。

Electra Meccanica(エレクトラ・メカニカ)は、LAオートショーで三輪自動車Solo(ソロ)(詳しくは下で解説)も発表している会社だが、もう1台、Porsche 356 Speedsterに似た電動車、eRoadsterを披露した。エアコンディショニング、パワーウィンドウ&ロック、最新インフォテイメントシステムなどを備える。

画像クレジット:Kirsten Korosec

新たなパワートレインを搭載したレストモッドを披露したのは比較的無名で小さなメーカーだけではない。Ford(フォード)は11月初旬のSEMAショーに登場した電動化したF-100を持ちこんだ。1978 F-100 Ford Eluminator(フォード・エルミネーター)はFordの電動モーター、E-crate(イークレート)を備えたレストモッド機能で、ユーザーはこれを購入して自分の車両に取りつけられる。

F-100は前輪と後輪に1台ずつモーターを備え、最高出力480馬力、最大トルク634lb-ft(860Nm)を誇る。室内には新型インフォテイメントシステムのスクリーンとデジタル・ダッシュボードがある。

画像クレジット:Kirsten Korosec

三輪車

画像クレジット:Kirsten Korosec

例年、会場には少なくとも数台の三輪自動車が登場するが、2021年はいつもより多かった。Biliti Electric(ビリティ・エレクトリック)が持ってきた電動&ソーラー駆動トゥクトゥクは、Amazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)が世界の人口密集都市のラストワンマイル配達に使える、と同社は言っている。

同社のGMW Taskmanは、すでにヨーロッパ、アジアの各所で使われていて、これまでに1200万個の荷物を配達し、延べ2000万マイル(3200万km)を走ったとファンダーが言っていた。

画像クレジット:Kirsten Korosec

Electra Meccanica のもう1台、Soloは同社が2016年のこのショーでも披露したsharyou

で、プレスデーにテスト乗車を提供していた。同社によるとSoloは1回の充電で最長100マイル(約161 km)走行可能で、最大出力82馬力、最大トルク140lb-ft(約190N-m)、最高速度は80mph(約128 km/h)。定員1名で荷物スペースを備え、近距離の移動や都市圏での通勤のために作られている。Soloの価格は1万8500ドル(約211万円)で、アリゾナ州メサで製造されている。

Sondors(ソンダーズ)の三輪電気自動車は、3人乗りで航行可能距離は約100マイル(約160km)と同社はいう。このクルマは、100万ドル(約1億1400万円)以上を集めて成功したクラウドファンディングの後に開発されたもので、33 kWhのバッテリーパックを備え、最大出力170馬力、最大トルク323 lb-ft(約438N-m)を発揮する。

Imperium (インペリウム)も三輪電気自動車、Sagitta(サギッタ)を披露した。ショーに登場した三輪乗用車の中では最大で、4人まで乗ることができるスペースをもつ。Sagittaは車両のスペックを発表していないが、2022年中頃から予約を開始すると同社は述べた。

バービー

画像クレジット:Abigail Bassett

ことしのLAオートはには、バービーまで登場した。Mattel(マテル)はBarbie Exra(バービー・エクストラ)カーの実物大バージョンを公開した。2021年式Fiat(フィアット)500のシャシーに載せたファイバーグラスのボディーはキラキラの白い塗装で飾られ、ウィング式ドアと後部にはペット用プールもある。

ソーラーパワー

画像クレジット:Kirsten Korosec

2021年のショーには、興味深いソーラー充電オプションを備えたクルマがいくつかあった。中国のエネルギー会社、SPI参加のPhoenix Motor Inc.(フェニックス・モーター)が発表したピックアップトラック、EF1-Tの収納可能なソーラーピックアップベッカバーは、最大25〜35マイル(約40〜56km)の走行距離を追加できると同社はいう。EF1-TおよびバンバージョンのEF1-Vは、いずれも巨大な車両で、明らかにまだプロトタイプであり、機能や利用形態について顧客の意見を聞いているところだと会社は述べた。

大きな虫のような外観のEF1-Tは、1回の充電で380〜450マイル(約612〜724 km)走行可能で、2025年の発売に向けて予約を受け付けているという。ずいぶんと遠い話だ。

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Nob Takahashi / facebook

フォードとリビアンがEVの共同開発計画を中止

Ford(フォード)とRivian(リビアン)が、EV(電気自動車)を共同開発する計画を断念した。Automotive Newsのインタビューで、フォードのCEOである Jim Farley(ジム・ファーリー)氏は、2023年末までに年間60万台の電気自動車を生産するという目標にフォード単独で取り組むと語っている。

フォードがRivianに5億ドル(約570億円)の投資をした2019年には、両社はRivianの「スケートボード」パワートレインを利用したフォードブランドのEVを共同で生産すると発表していた。だが2020年初頭には、パンデミックを理由にリンカーンブランドのEV開発を中止していた。当時は、Rivianの技術をベースにした「別の車両」の開発を進める予定だと語っていた。現在では、そのプロジェクトも進まないこととなった。

ファーリー氏はAutomotive Newsに対し「すでに私たちは電気自動車の分野で勝つことができるという自信を深めています」と語っている。「私たちの現在の状況と元々投資を行ったときの状況を比べてみると、私たちの能力やブランドの方向性などの多くの点で変化がありました。そし私たちにとっては取り組むべきことがはっきりとしてきたのです」。

ファーリー氏によると、フォードとRivianがプロジェクトを進めないことを決めた理由の1つは、両社のハードとソフトを組み合わせる作業が複雑だったからだという。今回の決定が両社の関係に影響を与えることはないとしている。

Rivianの広報担当者は「フォードが独自のEV戦略を拡大する一方で、Rivianの車両に対する需要も高まったため、お互いに独自のプロジェクトと出荷に集中することを決定しました」と述べている。「フォードとの関係は私たちの旅の重要な一部ですし、フォードは電動化された未来への共通の道を歩むための投資家であり味方であり続けます」。

編集部注:本記事の初出はEngadget

画像クレジット:Kirsten Korosec

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(文: Igor Bonifacic、翻訳:sako)

Miniの電気自動車の未来はどうなる?期待されるコンバーチブル化やさらなる小型化

1950年代後半に英国で起きた燃料危機をきっかけに生まれた、小型で意外と運転が楽しいクルマ、Mini(ミニ)がまた革命を起こしている。今回の革命の背後には、気候変動と親会社であるBMWが2030年までにすべてを電気自動車にするという計画がある。

Miniは、2008年にMini Eのパイロットプログラムを開始して以来、バッテリー駆動の電気自動車に取り組んできた。現行の電気自動車Mini SEは、2020年に発売されて以来、高い需要がある。しかし、それらは未来ではない。

「Mini EもCooper SEも基本的には、既存の内燃機関車を改造したものです。ですから、私たちはまだこの分野に本格的に参入していません」と、MINI of the Americasの副社長であるMike Peyton(マイク・ペイトン)氏はTechCrunchに語った。

ほぼすべての自動車メーカーがそうであるように、Miniも将来の自動車のために専用の電気プラットフォームに取り組んでいる。しかし、中心となるのは走行距離ではなく、その走り方だ。それはMiniらしくなければならない。

「楽しいクルマでなければならないんです。Miniのようなハンドリングでなければなりません。そして、私たちは、それが電動化の全体像にぴったりだと考えています」とペイトン氏は語っている。Miniの特徴であるゴーカートのようなフィーリングが、恐竜の死骸ではなく電子を動力源としている場合でも必要なのだ。

未来の電気自動車Miniがどのようになるかについて、ペイトン氏は次のように述べている。「それは間違いなく、人々がこれまで見てきたもの、期待していたものを、より現代的に解釈したものになるでしょう。初期の頃は、ミニマリズムとシンプルさを大切にしていました。未来の車にも、このテーマが見られると思います」。

未来のクルマには、レガシーとブランドアイデンティティを維持しつつ、テクノロジーを推進する電気自動車のコンバーチブルMiniが含まれる。同社は現在、そのような未来のブランド中心のEVがどのようなもので、今後どのように進化していくのかを検討している。

Miniはもっと小さく、もっと大きくなるかもしれない

よりエキサイティングなのは、電気自動車のSUVやクロスオーバーが急速に普及している世界で、まったく予想外のものが生まれる可能性があることだ。ペイトン氏は、将来「いかにもMiniらしい小さなフォーマットのクルマも登場するでしょう」と述べている。これらの未来の車両が、現在販売している車両よりも小さくなるのかという質問に対して、ペイトン氏は「可能性はあります」と答えた。

BMWに買収される前の、信じられないほど小さなMiniのファンにとって、電動化への移行は、米国に新しいマイクロビークル市場をもたらすかもしれない。

ペイトン氏は、現在走行しているMiniよりも大きなサイズのEV Miniを設計・販売する可能性もあると述べている。この「より大きな」Miniが何を意味するのかは不明だ。同社のコンセプト「アーバノート」への反応を見ると、このクルマはMiniというよりもVWのマイクロバスに近いかもしれない。

Miniは興味深い立場にある。小型で楽しく、都市向けの同社のクルマの特徴は、EVのパッケージに非常によく適合している。

Mini SE(ガソリン車に電気自動車のパワートレインを搭載したクルマ)は、同社の未来を示す前菜のようなものだ。200マイル(約321km)以上の走行が標準の世界で、110マイル(約177km)という笑ってしまう航続距離にもかかわらず、初年度の生産分は完売した。Miniによると、このクルマを購入する人の80%は、Miniが初めての人だという。

気候変動の危機を乗り越えるために、このブランドが成功するかどうかは、ある1つのことにかかっている。そのEVがどのように走り、どのように見えるかだ。その点についてペイトン氏は「それは常に紛れもなくMiniである」と語っている。

画像クレジット:Roberto Baldwin

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Yuta Kaminishi)

Bilitiの電動トゥクトゥクなら都市のラストワンマイル問題も解決

創業から1年も経っていないBiliti Electricは、米国の密集した都市で電動の三輪自動車、トゥクトゥクを、当たり前に見かけるものにしたいと考えている。

米国時間11月17日、にロサンゼルスモーターショーで記者会見に臨んだ創業者でCEOのRahul Gayam(ラフル・ガヤム)氏は、この電動で運転席にドアがないGMW Taskmanという三輪のトゥクトゥクは、アジアとヨーロッパではすでに使われていると語る。インドのGMW Electricが作っているこの車両はヨーロッパや日本などにも輸出されており、ガヤム氏によるとすでに1200万回、2000万マイル(3200km)以上の配達を行ったという。同社はこれまで1400台ほど販売している。

現在、Biliti Electricは米国市場への進出を狙っている。

北米ではこのオートショーでデビューしたこのクルマは、機能性が高い電動の配達車を目指しており、充電しやすく、小さいわりに積載量は大きい。

販売価格8000ドル(約91万2000円)のGMW Taskmanは、世界のいろいろなところで見かけるトゥクトゥクなどに似ていて、ニューヨークやロサンゼルスやサンフランシスコなどの密集した都市で苦労しているAmazonやUPS、FedExのバンやトラックの、ラストワンマイルの配達の難しさを解決する車両になるよう設計されている。

画像クレジット:Biliti Electric

同社によると、Taskmanは1回の充電で最大110マイル(約176km)走り、最大1500ポンド(約680kg)の荷重を積載できる。荷台のスペースはおよそ64.6平方フィート(約6㎡)となっている。充電は家庭用の110Vなら7時間、220Vなら3時間半だ。商用車両にそのようなダウンタイムは困るので、Bilitiは交換バッテリーパックを無料で提供している。バッテリー交換はシザーリフトを使って1分間ですむ。

同社がオプションで提供している、荷台の三面につける太陽光パネルを使うと、それはガルウイングドアのように跳ね上がって空に対して水平になり、太陽の放射を吸収してバッテリーを充電する。Bilitiによると、その場合は理想的な条件下で充電時間は3時間半から4時間だ。ガヤム氏によれば、これらの車両の多くは、太陽の直射時間の長い北回帰線と南回帰線の間の熱帯地方で使われるという。

ロサンゼルスモーターショーでのガヤム氏のコメントによると、同社が狙う顧客はAmazonやWalmartのようなeコマースやリテールの大手だ。すでに米国とEU、日本、英国、UAE、インドで、AmazonやWalmart(Flipkart)、Ikea(イケア)、Zomatoなどにより実地テストが行われているが、最初の顧客はもっと小さな企業になりそうだ。

Bilitiのウリは、顧客の規模にかかわらず、ラストマイル配送を解決することだ。ルクセンブルグに拠点を置く投資家GEM Global Yieldが最近行った4億ドル(約456億円)のPIPE投資は、目標達成に必要な資金の一部となるだろう。

いろいろな荷物の、その最後のワンマイルの配達は、世界中の密集している都市を苦しめる難題であり、交通渋滞と地球温暖化と事故の増加に大きく貢献している。小さなパッケージや品物が配達センターから個々の目的地へ向かうときは、同じ場所に向かう他の荷物と一緒に小さな車両に積まれることが多い。そしてそのラストマイルは、ロジスティクスと環境の両方にとって悪夢であり、AmazonやFedExやUPSなどの全員を困らせている。そして今ではグッズを消費者や企業に届けるために、地元の郵便局が利用されることも多い。

Bilitiの車両は、1つの答えを提供するかもしれない。しかし、限界もある。まず、このクルマの最大速度は時速24マイル(約40km)だ。用途は、パークウェイから遠い都市部に限られるだろう。途中にハイウェイがあったり、州間ハイウェイなどは当然無理だ。

ガヤム氏によると、この車両は、カリフォルニア州などでは1月から登録可能になるという。

画像クレジット:Biliti Electric

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(文:Abigail Bassett、翻訳:Hiroshi Iwatani)

中国の新興EVメーカーXpengが海外進出、ノルウェーを足がかりに多くの欧州市場を目指す

Nio(ニオ)と同様に、中国の電気自動車メーカーXpeng(シャオペン)も海外展開を開始した。しかし、ノルウェーで派手なキャンペーンを展開したライバルとは異なり、Xpengは2021年10月にスカンジナビアの国で静かにスタートした。

同社はノルウェーで、SUVの「G3」とセダンの「P7」の出荷を開始した。2022年にさらに多くの欧州市場に参入することを目指していると、同社の広報担当者はTechCrunchに語った。

Xpengが海外展開を控えめにしているのは、おそらく11月18日発表した最初の「国際的」モデルであるSUVの「G9」の発売を待っていたからだろう。

「G9は、国際市場と中国市場の両方に向けて一から構想を練って開発された当社初のモデルであり、当社の最も洗練されたデザインを世界中の顧客にお届けします」と、同社の共同創業者で社長のHenry Xia(ヘンリー・シャ)氏は11月19日の自動車展示会で述べた。

このSUVは、Xpengの4番目の生産モデルであり、同社の最新の先進運転支援システム(ADAS)を搭載した初のモデルとなる。Xpilot 4.0と呼ばれるこのADASは、2021年10月のTech DayでXpengが説明したように、都市部での運転を想定して作られている。Xpilot 4.0を乗用車に搭載するのは野心的であり、完全な自律走行に近づくために「車両の始動から駐車まで」を支援することを目的としている。

Xpilot 4.0のコンピューティングパワーは、2つのNVIDIA Orin-Xシステムオンザチップユニットで構成されている。そのハードウェアには、カメラ、ライダー、ミリ波レーダー、3D視覚認識ネットワークが組み込まれている。

言い換えると、G9にはセンサーが何層にも重なっていることになる。しかし、Xpengはそれらを目立たないようにしている。例えば、デュアルライダーユニットはヘッドライトに組み込まれている。従来、ライダーは量産車には高価なものだったが、Xpengや業界関係者はセンサー技術を手頃な価格にすべく取り組んでいる。

この件に詳しい人物によると、G9が中国で発売されるのは2022年の第3四半期で、そのため欧州の顧客がSUVを試すことができるのは2023年以降になりそうだ。

一方、Xpengは、高度な自律走行乗用車を国際展開できるようにするために多くの課題を抱えている。同社は、ターゲットとする市場で充電ネットワークを構築する必要があるが、このプロセスは新型コロナウイルス感染症で中断されがちだ。また、Xpilotは高精細な地図に頼っているため、おそらく中国国内のナビゲーション会社との連携が必要になる。

また、Xpengはスマートカーの安全性について、各国政府から疑問を投げかけられるかもしれない。自動車の自動運転に対する各国政府の姿勢は異なり、Tesla(テスラ)のADASが絡んだ衝突事故の件で、この技術が準備万端かどうか懐疑的な見方が強まった。

Xpengはこの点に関していくつかの準備をしている。例えば、ドライバーにXpilotを起動させる前に、ドライバーをテストして安全性のスコアを与えることにしている。また、車両に搭載されたモニタリングシステムがドライバーの審査を行い、ドライバーが無責任な行動をしていると判断した場合には、Xpilotへのアクセスを取り消すこともある。

その他の仕様

G9は、Xpengの「スーパーチャージャー」に対応している。このスーパーチャージャーは800Vの高電圧の量産型SiC(シリコンカーバイド)で、5分もかからず最大200km走行分を充電することができる。

また、G9には故障カ所を特定できる「故障検知」システムが搭載されている。そして、システムは在庫があるサービスセンターを表示するとともに、修理時間と費用の見積もりも案内する。

最後に、G9にはギガビット・イーサネット通信アーキテクチャが採用されていて、より高いレベルの自律走行、スマート・コックピット、OTAアップグレードのために「通信とサポートを向上」している。

画像クレジット:Xpeng’s G3

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

Eatronは「インテリジェントな自動車用ソフトウェア」を開発

電気自動車は基本的に「車輪の付いたソフトウェア」で、それは多くの可動部品を必要とする。もちろん、物理的なものではなく、仮想的なものだ。そのソフトウェアは、走行中の電気自動車の性能、効率、安全性を継続的に最適化する必要がある。しかし、そこに問題が生じている。自動車メーカーが自社のソフトウェアを公開して、改善に役立てることができないということだ。そこで、この自動車用の組み込みソフトウェアを、その土台にある電子部品のハードウェアから切り離せば、より最適化が進み、より効率的な自動車を実現することが可能になる。それはバッテリーの航続距離や性能全体に重要な影響を及ぼす。

このような理由から、英国に本拠を置き「インテリジェントな自動車用ソフトウェア」を開発しているEatron(イートロン)という企業は、英国のMMC Ventures(MMCベンチャーズ)が主導する1100万ドル(約12億5000万円)のシリーズA資金調達を成し遂げた。

この投資ラウンドには、Aster Capital(アスター・キャピタル)とベトナムの自動車メーカーであるVinFast(ビンファスト)も参加した。Eatronはこれまで、VinFastの電気自動車開発に協力してきた。また、このスタートアップ企業はドイツのHirschvogel Group(ヒルシュフォーゲルローランド・グループ)とも戦略的パートナーシップを結んでおり、同グループはEatronに150万ドル(約1億7000万円)を出資している。

同社の技術を利用することで、自動車メーカーやティア1サプライヤーは、バッテリーマネジメント、インテリジェントモーションコントロール、先進運転支援などを目的とする自動車用ソフトウェアを、自社のハードウェアから切り離すことができる。これにより、自動車メーカーにとってはサプライヤーの選択肢が増え、コスト、リスク、市場投入までの時間を減らす効果がもたらされる。

今回のシリーズA資金の一部は、サードパーティ製ソフトウェアモジュールや、半導体およびハードウェア部品のサプライヤーとの提携を増やし、プラットフォームを拡大するために使用される予定だ。また、ドイツ、インド、米国の営業チームを増強することも計画されている。

Eatronの共同創業者兼CEOであるUmut Genc(ウムット・ゲンク)博士は次のように述べている。「モビリティ、特に自動車は、劇的な変化の真っ只中にあり、その変化の一環として、ソフトウェア主導型の産業になることが必要とされています。端末に組み込まれ、クラウドに接続されたインテリジェントな自動車用ソフトウェアプラットフォームは、この変革において重要な役割を果たすでしょう」。

MMC Venturesの投資家であるMina Samaan(ミナ・サマーン)氏は次のように述べている。「自動車メーカーをサポートする興味深いアルゴリズムのコンセプトを構築するソフトウェアビジネスは数多く見てきましたが、量産市販車に必要な規制、セキュリティ、安全性の要件を満たす専門知識を持った企業はありませんでした。しかし、Eatronは例外です。同社のソフトウェアは、自動車用品質を目指して一から構築されたもので、今後の数年間で何十万台もの自動車のバッテリーや自動運転機能を推進する可能性を秘めています」。

画像クレジット:VinFast

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

BMWの電動スクーター「CE 04」、同社幹部はスタイルと技術が新しい顧客をもたらすと信じている

この2年間に奇妙なことが起こった。何年もの間、落ち込んでいたオートバイとスクーターの販売が復活したのだ。これはBMWの二輪車部門であるMotorrad(モトラッド)とその最新の電動スクーター「CE 04」にとって良い知らせだ。

ロサンゼルスオートショーに先立つイベントで披露されたこのレトロフューチャーなバイクは、二輪車ルネッサンスの波に乗ることで、電動スクーターがより広く受け入れられる先駆けとなる可能性がある。

BMW MotorradアメリカのTrudy Hardy(トゥルーディ・ハーディ)副社長は、この二輪EVが単なるクールなバイク以上の存在になると考えている。「このカテゴリーにスクーターが入ることは、交通手段における課題の解決になるという点で興味深いと、私は思います」。

2022年初頭に発売予定のCE 04は、1万1795ドル(約135万円)から。BMWのすべての製品がそうであるように、この製品もプレミアムな価格が付けられている。しかし、その機能と電動であることを考えれば、実際にはお買い得と言えるかもしれない。

このスクーターは2人乗りで、42馬力のパワーと62Nmのトルクを発揮する。容量8.9kWhのバッテリーパックは、一度の充電で130kmの距離を走行できるという。最大6.9kWのレベル2充電に対応し、1時間40分でフル充電できる。

さらに、10.25インチの大型TFTディスプレイを搭載し、BMW Motorradアプリと組み合わせれば、ターンバイターンのナビゲーション機能が利用できる他、コーナーでどれだけ体を傾けたかといったライダーのデータや、車両の一般的な情報も把握することができる。

画像クレジット:Roberto Baldwin

電動二輪車の世界では、Harley-Davidson(ハーレー・ダビッドソン)から「Livewire(ライブワイヤー)」が登場し、Zero Motorcycle(ゼロ・モーターサイクル)が繁栄を続けているが、CE 04は電動スクーターだ。

ハーディ氏は、BMWにとってこれはスマートな戦略だと確信している。「モーターサイクルなんて検討していなかったような新しい人々をブランドに引き入れ、そういう人々にこれがフレンドリーなソリューションだとわかってもらえるでしょう」。

BMWが米国市場に初めて導入した電動スクーターは「C evolution(Cエボリューション)」だった。しかし、これは実質的にはパイロットプログラムに過ぎなかった。「実際には、下調べのためのちょっとしたテストでした。これ(CE 04)は、電動車市場に本格的に参入する当社の最初の試みです」と、ハーディ氏はTechCrunchに語った。

とはいえ、米国では人々がスクーターを過小評価する傾向があることに、ハーディ氏は神経質になっている。同氏のいう新しい顧客とは、オートバイやスクーターに初めて乗る人々のことだ。現在、電動アシスト自転車に乗っていて、CE 04のような電動スクーターにステップアップするような顧客には、見た目以上にパワフルであることを理解してもらえないかもしれない。スクーターというと、パワーが足りないという先入観から避けられることも多いが、実際には電気自動車を活発に走らせる強力な電動モーターのトルクが、このスクーターにも備わっているのだ。

これは玩具のような乗り物ではない。幸いなことに、BMW Motorradのラインナップでは、アンチロックブレーキなどの安全装備が全車に標準装備されている。

二輪車が初めての人にも、経験豊富な人にも、CE 04はちょっとした新しさを提供する。コンパクトでありながら活発に走るEV二輪車は、シティコミューターの答えになるかもしない。ハーディ氏は、これを会社全体の継続的な動きの一環として捉えている。「BMWはこれまで常に性能面と技術面で知られてきた会社です。そして今、電動化の領域を四輪から二輪へ拡げようとしているのは、すばらしいことです」。米国では現在、新しいバイクやEVを購入する人が増えていることも後押しするだろう。その双方の組み合わせは、ファンキーなCE 04を勝利に導くかもしれない。

画像クレジット:Roberto Baldwinn

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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Hirokazu Kusakabe)