スムージーやスティックで野菜や果物が摂れるKenckoが約11.4億円調達

植物由来でミキサーを使わないスムージーを提供するKencko(ケンコー)が、新しいカテゴリーに進出するために1000万ドル(約11億4000万円)の資金をシリーズAで調達した。

今回のラウンドは、既存の投資家であるSiddhi Capitalが主導し、Next View Ventures、Riverside Ventures、Silas Capital、Cheyenne Ventures、Shilling Capital、Indico Capital、Mission Point、Gather Ventures、Nextblue Venturesなど、既存および新規の投資家が参加した。今回の投資により、Kenckoの資金調達総額は1350万ドル(約15億4000万円)を超えた。

TechCrunchがKencko(日本語で「健康」を意味する)を最後に取り上げたのは、同社が340万ドル(約3億9000万円)のシードラウンドを実施した2019年のことだった。当時、同社は6種類のフレーバーのフルーツドリンクを販売しており、さらに2つの新商品を発売する準備をしていた。

現在は、オーガニックスムージーには10数種類のフレーバー、ガムドロップには4種類のフレーバーを用意している。フリーズドライ技術により、1食分のグミキャンディのようなスティックで2.5食分の野菜と果物を摂取することができる。精製された砂糖や甘味料、人工的な素材は一切使用していない。

Kenckoは、2030年までには70億ドル(約7971億6000万円)の規模になるといわれる競争の激しい世界の健康 / ウェルネス市場の中で、独自のニッチな位置を占めている。他の企業もベンチャーキャピタルを引きつけているが、例えば毎日の栄養補給を目的とした粉末飲料AG1を開発したAthletic Greens(アスレチック・グリーンズ)は、米国時間1月25日に1億1500万ドル(約131億円)の新たな資金調達を発表し、プレマネー評価額を12億ドル(約1366億6000万円)に引き上げた。

今回の投資のニュースとともに、Kenckoは2月下旬に発売される最新のボウル型加熱式製品を発表した。

共同創業者でCEOのトマス・フローズ氏(画像クレジット:Kencko)

Kenckoは、そのままでは廃棄されてしまう野菜や果物を転用することにも力を入れており、2021年1年間で1000万本以上のフリーズドライのスムージーを出荷することができたが、同社によればこれは約660トンの生鮮食品に相当するそうだ。また、2022年には完全なカーボンニュートラルを目指している。

共同創業者でCEOのTomás Froes(トマス・フローズ)氏は、TechCrunchにメールで、創業からわずか3年で年平均500%以上の成長を遂げていると語った。2021年末のKenckoの会員数は約36万人で、2020年比で173%の伸びを示している。

フローズ氏は、新たな資金を、Kenckoのサプライチェーンおよび自社製造の拡大・最適化に投入したいと考えている。社員数はちょうど100名を超えたところで、今後12カ月間でチームを倍にする予定だ。

フローズ氏は「今回の増資によって、会員の方々にとって手間のかからない栄養補給の機会である『Kencko moments』を増やすことができるでしょう」と付け加えた。「私たちは、より多くの人々が日々の果物や野菜の摂取量を増やすことで、より健康的な生活へと移行できるよう、今後も努力していきます。私たちはエキサイティングな新製品を数多く開発しており、2022年中には実店舗での販売を開始できたらと思っています」。

画像クレジット:Kencko

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

IBMが医療データ管理「Watson Health」事業の大半をFrancisco Partnersに売却

拍子抜けするような結末だが、IBMは米国時間1月21日、Watson Health事業部門のデータ資産をプライベートエクイティ企業のFrancisco Partners(フランシスコ・パートナーズ)に売却した。両社は買収額を明らかにしていないが、以前の報道では約10億ドル(約1137億円)とされていた。

今回の取引でFranciscoは、Health Insights、MarketScan、Clinical Development、Social Program Management、Micromedex、イメージングソフトウェア製品など、Watson Health部門のさまざまな資産を取得する。これによりFrancisco Partnersは、幅広い医療データを傘下に収めることになる。

IBMは2015年にWatson Healthを立ち上げた際、データ駆動型の戦略に基づいてユニットを構築することで、この分野を支配することを望んでいた。そのために、PhytelやExplorysをはじめとする医療データ企業の買収を開始した。

その後、Merge Healthcareに10億ドル(約1137億円)を投じ、翌年にはTruven Health Analyticsを26億ドル(約2955億円)で買収した。同社はWatson Healthが人工知能(AI)の推進に役立つと期待していたが、この事業部門は見込まれていた成果を上げることができず、2019年にGinni Rometty(ジニー・ロメッティ)氏に代わってArvind Krishna(アルビンド・クリシュナ)氏がCEOに就任した際には、クリシュナ氏の優先順位は異なっていた

Francisco Partnersはこれらの資産をもとに、独立した新会社を設立することを計画している。この部門が期待通りの成果を上げられなかったことを考えるとやや意外な動きではあるが、少なくとも今のところは、同じ経営陣を維持する予定だという。

Francisco PartnersのプリンシパルであるJustin Chen(ジャスティン・チェン)氏は、新会社がその潜在能力を発揮できるよう、さらなるサポートを提供する予定だという。「Francisco Partnersは、企業と提携して部門のカーブアウトを実行することを重視しています。我々は、優秀な従業員と経営陣をサポートし、スタンドアロン企業がその潜在能力を最大限に発揮できるよう、成長機会に焦点を当てて支援し、顧客やパートナーに高い価値を提供することを楽しみにしています」と同氏は声明で述べている。

IBMがこの売却を行うのは、ヘルスケア分野が盛り上がっている中でのことだ。2021年、Oracle(オラクル)は280億ドル(約3兆1825億円)で電子カルテ企業のCernerを買収し、Microsoft(マイクロソフト)は200億ドル(約2兆2733億円)近くと見積もられる取引でNuance Communicationsを買収した。どちらの取引も規制当局の承認を得ていないが、大手企業がいかに医療分野を重視しているかを示している。

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そのため、この動きはMoor Insights & Strategyの主席アナリストであるPatrick Moorhead(パトリック・ムーアヘッド)氏を驚かせたという。「傾向としてはより垂直なソリューションに移行しているので、非常に驚いています。それを考えると、いかに同部門の成績が悪かったかを潜在的に示しているともいえるでしょう」。

いずれにしても、今回の買収は規制当局の承認を待って行われ、第2四半期中に完了する予定だ。この取引には機密性の高い医療データが含まれていることから、さらに精査される可能性もある。

画像クレジット:Carolyn Cole / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Dragonfly)

PelotonのCEOが是正措置は認めるもバイクとトレッドミルの「全生産停止」を否定

Peloton(ペロトン)のJohn Foley(ジョン・フォーリー)CEOは、同社の決算を控え「沈黙の期間」から一転して、機器の販売不振に関連する数々の報道に対応した。同社がスポーツジムのリニューアルオープンにともない、バイクとトレッドミルの全製品の生産を停止しているという件について、同氏は否定した。

関連記事:需要減退の中、Pelotonがバイクとトレッドミルの生産を一時停止との報道

「バイクとトレッドの全生産を停止しているという噂は間違いです」という見出しで、フォーリー氏はこう綴っている。

新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行という100年に一度の出来事に遭遇し、3年かけて起こると予想していたことが、2020年から2021年にかけて数カ月の間で起こってしまったのです。

世界が私たちを本当に必要としている時に、迅速かつ真摯に需要に応えようとしましたが、それは、みなさんが毎日一生懸命努力してくれたおかげでもあります。私たちは、生産規模を適正化することに手ごたえを感じています。そして、より季節性の高い需要曲線へと進化する中で、持続可能な成長のために生産レベルを再設定しています。

決算速報に連動した別の声明で、フォーリー氏はこう述べている。

前四半期に説明したとおり、当社は収益性の見通しを改善し、全社的にコストを最適化するための重要な是正措置を講じています。これには、売上総利益率の改善、より変動性の高いコスト構造への移行、今後より集中を絞ったPelotonを構築するための営業費用の削減が含まれます。

また、2月8日の決算発表の際には、より詳細な情報を伝える予定であると付け加えている。これらには、需要減に対応するための生産の「適正化」が含まれる。しかし、同氏は、バイク / トレッドミルの4つのデバイスすべての生産が数週間または数カ月間停止するという報告には慎重な姿勢を示した。

また、コンサルティング会社McKinsey(マッキンゼー)の報告書を受け、リストラやレイオフが行われていることを認めた。「過去には、レイオフは最後の手段だと言ってきました」と彼は書いている。「しかし、今、私たちは、細心の注意と思いやりをもって、組織構造とチームの規模を評価する必要があります。そして、我々のビジネスをより柔軟なものにするための努力の一環として、あらゆる選択肢を検討している最中です」とも述べている。

このような報道は、前述の「100年に一度の出来事」で普及が進む中、Pelotonが手を出しすぎたことの裏づけとも見られている。このニュースは、同社が2020年の天文学的な上昇に続いて、2021年はパンデミック需要の強さから76%の株価下落を経験したことを受けてのものだった。

画像クレジット:Kimberly White / Stringer

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(文:Brian Heater、翻訳:Akihito Mizukoshi)

子ども向け健康ウェアラブルKiddoが約18.5億円調達、喘息・心臓病・自閉症・糖尿病といった慢性疾患にフォーカス

正式にはGood Parents Inc.(グッド・パートナーズ)として知られるKiddo(キドー)は、米国時間1月4日に1600万ドル(約18億5000万円)のシリーズAラウンドを発表した。ウェアラブル、ペアレンタルコーチング、テレヘルスの組み合わせを通じて、同社は慢性の健康障害を抱える子どもたちのケアの管理にしっかりと照準を定めている。

Kiddoは、子どもの健康のためのウェアラブルとソフトウェアの組み合わせの開発に、数年前から取り組んでいる。2016年に同社を設立したJaganath “CJ” Swamy(ジャガナス・“CJ”・スワミー)氏は当初、子どもたちが楽しく利用でき、親たちが健康状態をモニタリングできるような健康とウェルネス向けデバイスの開発に関心を持っていた。しかし同社は現在、慢性の健康障害の管理に全面的にフォーカスするように刷新されている。

スワミー氏がTechCrunchに語ったところによると、そのフォーカスは、同氏自身の経験から部分的に着想を得ているという。同氏がアーリーステージの投資家からの転換期にあるとき、息子の1人が喘息のような呼吸障害を抱えるようになった。

「息子に起きていることについて、日々管理と監視を行い、その情報を医師に伝えて治療手順の適切な修正につなげることに苦労していました」とスワミー氏はTechCrunchに語っている。「このような大変な課題を経験する中で、慢性疾患を持つ子どもたちを管理しなければならない親たちのために、こうした体験をより良いものにするにはどうすればよいかを考え始めました」。

その結果生まれたのが、2歳から15歳までの子どもを対象としたケアコーディネーションプラットフォームのKiddoである。子どもは専用のリストバンド(FitBitのようなもの)を受け取る。親がダウンロードするアプリは、そのウェアラブルからデータを収集して、その情報を子どもの主治医に伝える。同プラットフォームには、喘息、心臓病、自閉症、糖尿病の子どもをモニタリングするための特別な設計が施されている。

今回のラウンドは、Clearlake Capital(クリアレイク・キャピタル)の支援を受けるVive Collective(ヴァイヴ・コレクティブ)が主導した。これでKiddoの調達総額は2500万ドル(約28億9000万円)になる。その他の投資家には、Wavemaker 360(ウェーブメーカー360)、Wavemaker Asia Pacific(ウェーブメーカー・アジアパシフィック)、Mojo Partners(モジョ・パートナーズ)の他、Techstars(テックスターズ)と関連ファンドが名を連ねている。

概して、Kiddoは「遠隔患者モニタリング」のカテゴリーに分類される。患者が自宅でプライマリケア施設と同等の基本的なケアを受けられるように設計されている。

このウェアラブル端末は心拍数、温度、SpO2(血中酸素飽和度)、動作、発汗などの信号を送信する。一方、アプリはそのデータを、地域の大気環境(喘息患者にとって重要な指標)、天気、湿度などの他の指標と統合する。時間の経過に伴い、Kiddoはこれらの特質に基づいてそれぞれの子どもに対するプロファイルを生成していく。こうした指標が基準から大きく逸脱している場合、親は通知とともに、家庭での状況をコントロールするのに役立つヒントのリストを受信する。

例えば、子どもが喘息発作の切迫の徴候を示している場合、親は呼吸数と心拍数が規則的な範囲外であることを示唆する警告を受け取る。その後、アプリは状況を管理する方法について一般的な提案を行う。「『1時間ほど安静にさせる、冷たい水を飲ませるかエアコンの効いた環境に置く、医師のアドバイスに基づいてアルブテロールを服用させる』といったことです」とスワミー氏は説明する。

症状が続く場合は、親がこのアプリを使って医師の予約を取ることができる。

遠隔患者モニタリング自体のアイデアは新しいものではないが、近年そのアイデアに関する研究が数多く発表されている。例えば、学術誌「Telemedicine and e-Health」に掲載された2020年のあるシステマティックレビューでは、レビューされた272件の論文のうち43%が2015年から2018年の間に発表されていることが示された。これらの研究の約77%で、遠隔患者モニタリングが患者ケアに正のインパクトを与えている。

Kiddoは自社サービスの臨床的検証に投資しているが、スワミー氏によるとデータはまだ一般公開されていない(同氏はフォローアップメールで「データは機密であり、顧客と共有するためだけにある」と説明した)。一方で、学術機関やパートナー、民間団体の研究によって「Kiddoプラットフォームの多くの側面が実証」されていることに同氏は言及している。そのプロセスには、Children’s Hospital of Orange(オレンジ郡小児病院)のThompson Autism Center(トンプソン自閉症センター)で開発中の新たな研究が含まれる予定であるという。

同プラットフォームは、治療アドヒアランスを50%以上向上させ、不要な救急外来を「2倍」減少させることが自社独自のデータで示されているとスワミー氏はいう。ただし、このデータも公開されていない。

Kiddoは現在のところFDAからの承認は得られていないが、Class I(低リスク機器の分類クラス)の認定を目指している。

プレスリリースによると、同社はこれまでに7つの医療システム、福利厚生プロバイダー、財団と提携しており、その中にはUHC Optum(UHCオプタム)、PC Health(PCヘルス)、および「数カ所の小児病院」が含まれている(その他の提携先は明らかにされていない)。

重要な点として、同社はあくまでもB2Bプロバイダーとしての位置づけにあるとスワミー氏は語っている。直接消費者に販売する計画はなく、医療機関や医療システムとの提携に注力していく。

Kiddoの最新の資金調達ラウンドは、同社にとってユーザーに関する重大な1年を経て行われたものとなる。これまでのところ、同社は7万人の子どもたちと協力関係を築いており、今後数年間でその数を20万人に拡大する計画である。このトラクションは投資家の関心を引く要因の1つであるが、Kiddoに有利に働くトレンドはこれだけではない、とスワミー氏は指摘する。

遠隔患者モニタリングに好都合となり得る規制の動きもある。従来、遠隔モニタリング技術のためのCPTコード(償還コード)の数は限られていた。2018年以降、一部のコードが再目的化されており、医療提供者が患者の遠隔モニタリングに課金しやすくなるようなコードも追加されている。

そのトレンドは続いている。2022年、Centers for Medicare and Medicaid Services(メディケア・メディケイド・サービスセンター)は、遠隔患者モニタリングに適用される償還コードの範囲を拡大した。これにより、支払者はこれらのサービスをさらに多くの種類の遠隔患者モニタリングに請求できるようになった。

遠隔患者モニタリングの規制的展望はまだ流動的であるが、これらの規制はKiddoのような企業を支援する方向に進んでいる。スワミー氏によると、こうしたCPTコードの恩恵を受けて、Kiddoの技術は償還可能なものになっているという。「私たちが取り組んでいる医療システムには、財務的な成果があります」と同氏は付け加えた。

今回のラウンドを機に、Kiddoのセールスおよびプロダクト開発チームの規模を拡大したいとスワミー氏は考えている。同氏はまた、Kiddoが治療できる慢性疾患の種類を増やすという大望も抱いている。現時点で同社は、小児腫瘍学と整形外科に目を向けており、今後2年間でその方向に一層前進することを目指している。

画像クレジット:Kiddo

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(文:Emma Betuel、翻訳:Dragonfly)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

LGがインキュベーター「LG Nova」の第1期候補企業を発表

韓国の大手テクノロジー企業であるLGは、テレビ(CESでいくつか新製品が発表された)、洗濯機、冷蔵庫など、あらゆるものを製造している。同社が関わっていないものを列挙する方が、おそらく時間がかからないだろう。そんなLGがイノベーションに強い関心を持っていても驚くことはない。LG Nova(LGノヴァ)は、カリフォルニア州シリコンバレーのサンタクララにある同社の比較的新しい北米イノベーションセンターで、ここではLGの中核となる成長分野でのミッションを推進するために、スタートアップ企業と協力する新たな興味深い方法を模索している。

2022年1月はじめにラスベガスで開催されたCESで、LGは同社との提携を希望し、その候補に入ることができた最初の企業の一群を発表した。これらの企業には共通点がある。LGのイノベーション分野における重点領域のいくつかを強調・強化する企業であるということだ。

LG Novaが目指しているのは、もちろんこれらの企業を含めたスタートアップエコシステム全体のベン図の中心になることだ。これを、より広い投資家層、大手テクノロジー企業 、学界、起業家コミュニティ、そしてLG独自の適切な販売・マーケティングチャネルなど、LG自身が持つ強みや優位性と一体化したいと考えている。

LG Novaが現在実施しているプログラムは「Mission for the Future(未来に向けたミッション)」というもので、これは本質的に、LGのエコシステムの中でビジネスを創造するために、LGの客員起業家と協力できる最も有望な起業家やスタートアップを見つけるためのろ過システムだ。

Mission for the Futureは、LG Novaが9カ月間にわたって実施するチャレンジプログラムで、より知的で健康的、そしてよりコネクテッドな未来に向けて、生活の質を向上させる最も優れたアイデア、コンセプト、ビジネスを世界中から探し出すために設けられた。

この分野におけるLGの大きなテーマの1つはコネクテッドヘルスであり、特に施設や家庭、またはその分野のサービスを通じて人々のウェルネスニーズを満たすことに特化したヘルスケアを倍増させることに重点を置いている。LG Novaは、その最初の候補企業として、遠隔医療サービスのためのVR治療室を提供するXR Health(XRヘルス)と、LGのテレビを活用して顧客に健康に関する積極的な会話を促すデジタルAIヘルスアシスタントのMaya MD(マヤMD)を発表した。

メタバースは、LG Novaが特に注目している2つ目の広範なカテゴリーだ。そこでは人と機械が新たなインタラクションモダリティ(相互作用)で、どのようにつながることができるかを、より広範に探求しているように見える。この分野においては、メタバースで製品トレーニングを行うための企業向けアプリケーションとサービスを手がけるiQ3と、超現実的な仮想旅行・観光体験を構築しているI3Mという企業が選ばれた。

LGが「Energizing Mobility(エナジング・モビリティ)」と呼ぶ持続可能なモビリティは、同社が推進するイノベーションの第3の柱である。SparkCharge(スパークチャージ)は、持続可能性を維持しつつ、電気自動車の充電をモバイル化するという興味深い企業だ。一方、Driivz(ドライブズ)は、電気自動車の充電管理のための一種のオペレーティングシステムを構築している。

LG Novaのイノベーション円グラフの最後の部分は、同社によると「Smart Lifestyles(スマート・ライフスタイル)」に関するもので、つまりこれはLGの言葉でいうスマートホーム技術のことらしい。この分野ではまず、ユニバーサルなスマートキー技術のEveryKey(エブリィキー)が選ばれた。これは1つのデバイスで車や電話、ドアのロックを解除したり、ウェブサイトのログインを安全に保つことができるようにするという技術だ。A.kin AI(エイキンAI)は、LGのハードウェア製品にバーチャルアシスタント技術を追加しようとしている会社で、特に神経多様性を持つ人々がいる家庭の在宅介護をサポートすることを目指している。そしてChefling(シェフィング)という企業が、必要栄養量に合わせて食事を計画、購入、調理するソリューションを提供し、スマート・ライフスタイルを完成させる。

今回発表されたスタートアップ企業を見れば、LG Novaがどのようなものを求めているかを少しだけ理解できる。次回の募集は2022年末に始まる予定だ。2022年のCESで筆者はこのプログラムの責任者に、LGが何を求めているのか、このプログラムがどのようにスタートアップと協力していくのか、また、選考委員会の目に留まるにはどうしたらいいのか、などについて詳しく話を聞いてきた

画像クレジット:LG Nova

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

漕いで漕いで漕いでスマホを充電、トレーニングを電力に変えるSportsArtのジム用マシン

サプライチェーンからトレーニングジムのメンバー基盤まで、すべてをずたずたにしたパンデミックの中、プロフェッショナルグレードのジム用マシンメーカーのSportsArt(スポーツアート)が、電力網にエネルギーを戻せるローイングマシンを発売したのは、ちょっと夢のある話だ。風力発電やソーラーパネルと違うのは、動力が胸筋と三角筋と僧帽筋だというところだ。

このローイングマシンではマイクロインバーターで、ひと漕ぎごとの運動を携帯電話の充電に変える。同社の試算によると、放電状態のiPhoneをフル充電するには約2時間のボート漕ぎが必要だ。ちなみに私はバッテリーが切れそうな携帯電話をエクササイズマシンに乗るモチベーションに変えることにしばらくの間、興奮を覚えた。ハンドルバーのグリップには漕ぐ抵抗を増やすコントロールがあるので、ご想像のとおり、抵抗を増やせば発電力が高くなる。

同社はこのG260ローイングマシンを先週ラスベガスで行われたCESで披露し、漕手が出力したエネルギーの約74%を利用可能な電力に変換できると語った。私は今週、同社のCOOと話す機会があり、人力を使って電気を作ることになぜ意味があるのかを尋ねた。

「1時間のワークアウトで、概ね冷蔵庫の消費電力、約200ワット時が生み出されます」とSportsArtのCOOであるCarina Kuo(カリーナ・クオ)氏が説明した。ただし、ボートを漕いでTesla(テスラ)を充電するのはまだ無理だと彼女は認めた。ポイントはそこではない。「通常のトレッドミル(ランニングマシン)は1時間当たり約1000ワットの電力を消費します。ワークアウトするだけでなく、ワークアウトの消費電力を相殺する手助けができるというのが私たちの考えです」。

SportsArtは創業40年以上になる会社だ。本社は台湾で、米国の事業拠点はシアトルにある。さらに同社は、ドイツとスイスにも事業所を持ち、300人の従業員が世界に散らばり、80カ国で営業活動を行っている。主要なターゲットはトレーニングジムと体力をつけるためのリハビリテーション施設だが、現在ホーム市場も評価しているところだ。短期的には、マンションなどの共用ジムが同社にとって最適な対象だとクオ氏は言った。

「特にフィットネス業界では、新型コロナウイルス感染症のためにジムを稼働できないことが、家庭向け販売の爆発的増加につながっていることにまちがいありません。そこは競争が非常に困難な分野で、なぜならほとんどの購入者は安い製品のことを考え、必ずしも質を求めていないからです。これは当社が競争したい場所ではありません。私たちは品質の重要性を信じています」とクオ氏は説明し、同社が10~15年前に販売したエクササイズ器具を今でもメンテナンスしていること、今もジムや医療現場で業績をあげていることを話した。「私たちは最良の部品を使うことにこだわり、あらゆる部分を業界最高の保証で守っています。市場でこのような差別化要因を持てることは重要だと固く信じています」。

業務用マシンが主であることは、マシンがジムの片隅で95%の時間使われずにいるのではなく、発電し続けているほうがいいということを意味している。利用回数が大きく増えれば、マシンはジムの電気代にインパクトを与えられるかもしれない。

「私たちは家庭市場に進出しようとしているわけではありません。今は最適なターゲットを探しているところです」とクオ氏は説明し、同社の過去40年間のグリーンとリサイクルへの取り組みを強調した。「ジムでは特に違いが生まれます、なぜならサステナビリティのメッセージを発信できるからです」。

画像クレジット:SportsArt

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nob Takahashi / facebook

マスクに磁石で固定する「顔用FitBit」はヘルストラッキングに加えフィットもモニター

おそらく2022年は、コンシューマーヘルストラッキングが手首から他の場所へと広がる年になるだろう。ここ数年Ouraの台頭を見てきたが、CESではいくつかのリング型フィットネストラッカーが登場した。Google(グーグル)がNest Homeにバイタルや睡眠トラッキング機能を追加したのに続き、Sengledはスマート電球に健康状態の測定機能を追加している。

では、マスクはどうだろうか?健康に関連したフェイスカバーは中国など多くの国で古くから定着しており、現在のパンデミックワールドではいたるところに存在する。米国での一般的なマスクの利用がコロナ禍が終わってからも続くかどうかはわからないが、パンデミックが長期化する中で、当面は日常生活の一部として使われる可能性が高くなってきている。

画像クレジット:Northwestern University

顔は、特定のバイタルサインをモニターするのに適した位置にある。また、マスクの普及により、比較的固定された場所でデータを収集できる。そこで、ノースウエスタン大学のチームは、N95マスク、サージカルマスク、布製マスクなどに磁石で取り付けるいわば顔用FitBit「FaceBit」を発表した。FaceBitは、N95やサージカルマスク、布製マスクなどに磁石で取り付け、呼吸数や心拍数、マスク着用時間などをモニターすることができる。

チームリーダーのJosiah Hester(ジョサイア・ヘスター)准教授は声明の中でこう述べている。「私たちは、医療従事者のためのインテリジェントなマスクをデザインしたいと考えました。それも、シフトの途中で不便になるようなコンセントは必要ないものを。さまざまななソースからのエネルギーハーベスティングでバッテリーのエネルギーを増強したことで、1~2週間、バッテリーの充電や交換をせずにマスクを装着できるようになりました」。

このシステムは最近論文で詳細が発表されたが、マスクの使用に慣れていない人にとっての問題である、マスクの適正フィットも判断できる。マスクが緩んだり、位置がずれたりすると、接続されたアプリが着用者に警告を発する。現在、このシステムのバッテリーは1回の充電で約11日間持続するが、同大チームは、熱エネルギーや運動エネルギーなどを利用したバッテリーレスのバージョンを構想しているという。

製品開発を進めるにはさらなる臨床試験が必要となるが、本プロジェクトは関心のある人のためにオープンソース製品としても提供されている。

画像クレジット:Northwestern University

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

Magic Leapがヘルスケア関連企業に新型ARヘッドセットへの早期アクセスを提供、2022年半ばの発売に先駆け

Magic Leap(マジックリープ)は、2022年後半に予定されている企業向けのリリースに先駆けて、ヘルスケアスタートアップ4社に第2世代ARヘッドセットへの早期アクセスを提供した。この早期アクセスプログラム企業の1つであるSentiARは、医師が患者の手術中に心臓の3Dモデルを見ることができるソフトウェアを提供している。また、Brainlabは、同社のMixed Reality ViewerソフトウェアをMagic Leap 2で利用できるようにしたいと考えている。

Magic Leapが最新のウェアラブルをデジタルヘルスケアのスタートアップに最初に提供しているのは驚くことではない。2021年4月の時点で、Peggy Johnson(ペギー・ジョンソン)CEOのはそう示唆していた。「拡張現実(AR)は、少なくとも短期的には、他のどの業界よりもヘルスケアを変革する可能性があります」と同氏は当時述べ、発売時には企業顧客に焦点を当てるとしていた。

Magic Leapは、シリコンバレーで最も注目されているスタートアップの1つとして登場して以来、苦境を強いられてきたことで有名だ。2019年には、2300ドル(約26万円)のヘッドセット「Magic Leap One Creator Edition」が発売されてから半年間で6千台しか売れなかったことが報じられた。その後、3億5000万ドル(約401億2000万円)の投資によって新たな命を吹き込まれるまでの数カ月間、従業員の解雇を繰り返していた。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Bram Van Oost / EyeEm / Getty Images

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

閉経を遅らせ、さらにはなくすことを目指すGametoに著名投資家が出資

多くの科学者や学者が毎年、人間の寿命を延ばし、その延びた年数を生きるに値するものにしようと、具体的に取り組んでいる。寿命を延ばす手段として癌の早期発見に注力しているチームもあれば、新陳代謝の向上に取り組んでいるチームもある。

小さいながらも成長中のグループが、人口の半分に影響を及ぼす閉経に取り組んでいる。閉経は、高血圧「悪玉」コレステロール、血中脂肪の一種である中性脂肪、さらに恐ろしいことに乳がんや心臓病、骨粗しょう症のリスクの増加など、さまざまな健康症状に関係している。

女性の健康と平等の軌道を変えるために卵巣の老化を加速させる問題を解決したいと語るGameto(ガメト)は、この問題に注力している最新の企業だ。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで医学を学び、キャリアの大半を計算医学に費やしてきた同社の共同創業者でCEOのDina Radenkovic(ディーナ・ラデンコヴィッチ)氏の説明によると、卵巣は、肝臓や脳、あるいは皮膚よりもはるかに早く機能停止し、どの臓器よりも5倍も早く老化する。女性は生まれながらにして一定数の卵母細胞(未熟な女性細胞で、後に完全に成熟した卵子細胞を生み出す)を持っているが、いずれこの卵母細胞を使い果たし、その時点で卵巣は臓器として機能しなくなり、女性の生理機能を司るホルモンの分泌も停止する。

Gametoは、卵巣治療のプラットフォームを開発することで、このプロセスを遅らせられる、あるいは女性が選択すれば永遠に遅らせられるようにしたいと考えている。このプラットフォームは、まずは不妊治療のプロセスを改善するために使われるが、最終的には、ラデンコヴィッチ氏が「医学的負担」と表現する閉経を防ぐための細胞治療法の特定にも使われることが期待されている。さらに詳しい説明を求めると、ラデンコヴィッチ氏は詳細に踏み込むのは避けながらも、Gametoがすでに卵巣をサポートする細胞が卵の成熟を助け、妊娠を望む多くの女性が現在耐えている体外受精の回数を減らすことができるかどうかのテストを始めている、と説明した。

「私たちのプラットフォームを信じるに足る強力な前臨床試験の証拠があります」とラデンコヴィッチ氏は話す。同社の会長は連続起業家のMartin Varsavsky(マーティン・ヴァルサヴスキー)氏で、同氏が興した最新の会社であるPrelude Fertility(プレリュード・ファーティリティ)は全米に不妊治療センターのネットワークを構築している。

著名な投資家もGametoに賭けている。同社はFuture Venturesがリードするラウンドで2000万ドル(約23億円)を調達したばかりで、共同創業者のMaryanna Saenko(メアリーアンナ・サエンコ)氏は「閉経を迎える女性のより良い治療スタンダードのビジョンにかなり興奮しています」と話す。閉経で起こる苦痛は生物学的に必須のものではなく、特に早期の閉経にともなう多くの合併症は、現在のホルモン補充療法で完全に避けることができる。ただし、サエンコ氏はホルモン補充療法について「鈍いハンマーで、パーソナリゼーションが欠けている」と指摘する。

その他の投資家はBold Capital Partners、Lux Capital、Plum Alley、TA Ventures、Overwater Ventures、Arch Venture Partnersの共同創業者Robert Nelsen(ロバート・ネルセン)氏、23andMeのCEOのAnne Wojcicki(アン・ウォジスキ)氏だ。

Gametoは2021年のシードラウンドで、Atomic(アトミック)の創業者Jack Abraham(ジャック・アブラハム)氏、SALT Fund、FJ Labs、Coatue Managementの創業者Dan Rose(ダン・ローズ)氏、CoinbaseのCEO、Brian Armstrong(ブライアン・アームストロング)氏などから300万ドル(約3億4000万円)を調達した。

確かに、市場機会は巨大であり、人々が長生きしていることを考えると、その理論は非常に理に適っている。実際、他のスタートアップも閉経を遅らせることに真っ向から注力し始めている。

すでにGametoは競合相手を抱えている。ここには、女性の卵巣予備能力の減少を遅らせる薬物プログラムを作成し、Gametoと同様に女性の内分泌機能と生殖機能を分離しようとしている創業12年のCelmatix(セルマティック)が含まれる。フォーチュンによると、Celmatixは過去にビル&メリンダ・ゲイツ財団の助成を受けて非ホルモン性避妊薬に取り組み、2021年初めには製薬大手Bayer(バイエル)と医薬品開発会社Evotec(エボテック)との提携を発表している。

一方、研究者たちは少なくとも数年前から、閉経を治療可能な病気として扱うという問題を検討してきた。2019年の以前の論文はこちらで閲覧できる。

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(文:Connie Loizos、翻訳:Nariko Mizoguchi

IBM、過熱するヘルスケアビジネスの「Watson Health」を手放すとの報道

Axiosの記事によると、IBMはそのWatson Health事業部をわずか10億ドル(約1156億円)で売却するすることを検討している可能性があるという。このところますますホットなヘルスケアの分野からIBMはなぜ逃げていくのか、しかもそんなに安い金額で。

2021年12月は、Oracleが280億ドル(約3兆2365億円)を投じて、デジタルの健康記録企業であるCernerを買収した。またMicrosoftはこの春、200億ドル(約2兆3118億円)近くを費やしてNuanceを買収した。ここは医療分野で広く利用され、ヘルスケア関連の顧客が1万社ある。これは巨額な資金であり、企業各社が医療分野への参入を目指し、そのために巨額の資金を投じていることを示唆している。

IBMは2015年4月にWatson Healthを立ち上げて、大きな話題になった。それは、IBMの人工知能プラットフォームWatsonを、ヘルスケアの目的に使用するはずだった。論旨は次のようなものだった。どんなに優秀な医師でも、世の中の文献をすべて読むことはできないが、コンピューターならすばやく読むことができ、医師の専門知識を補強し、より良い結果をもたらすための行動指針を提案することができるだろう。

そしてIBMが何かやるときのお決まりのパターンとして、同年9月にはケンブリッジに豪華な本部をオープンした。パートナーシップの発表も始めた。すべての候補をチェックして、CVSやApple、Johnson & Johnsonなどとパートナーした。

そして、企業の買収を始めた。最初の買収は、医療データの企業PhytelとExplorysだった。それも、パターンの一環だ。次は医療画像データを提供するMerge Healthcareの10億ドル(約1156億円)の買収だった。さらにその後、同社の最高額の買い物である26億ドル(約3005億円)のTruven Health Analyticsの買収があった。それは合計で40億ドル(約4624億円)の買収だったが、今のOracleやMicrosoftが払った額に比べると、慎ましい額かもしれない。しかしWatson Healthが態勢を整えようとしていた2015年から2016年の頃には、巨額だった。

これらの動きはすべて、データ中心型のアプローチをWatson Healthの機械学習モデルに注ぎ込むためだった。理由はともかくとして、それは狙い通りに動かなかったが、前CEOであるGinni Rometty(ジニー・ロメッティ)氏のクラウドとAIへの注力によって会社をモダナイズする計画の一環だった。

ロメッティ氏は、2017年のHarvard Business Reviewで楽観的に語っている。

私たちのムーンショットは、世界水準の医療を世界の隅々まで届けることです。その一部はすでに実現しています。Watsonは世界最高のがんセンターで訓練を受け、中国やインドの何百もの病院に展開されています。その中には、100人程度の患者に対して、腫瘍医が1人しかいない地域もあります。そのような地域の人々は、これまで世界レベルの医療を受けるチャンスがなかったのです。Watsonは腫瘍学のアドバイザーとして、医師の意思決定をサポートします。そして、これはまだ始まりに過ぎません。

しかしロメッティ氏は2019年に去り、彼女の後を継いだArvind Krishna(アルビンド・クリシュナ)氏は異なる目標を掲げた。彼はAxiosに、ヘルスケアの大きなビジョンは楽観的すぎるかもしれない、と述べている。Constellation ResearchのアナリストHolger Mueller(ホルガー・ミューラー)氏は、その言葉がIBMの撤退の理由を説明しているだろう、という。

「IBMはハイブリッドクラウド戦略に注力しています。その過程で、注目と資本をそらし、風評被害のリスクを抱えるすべての資産を処分しようとしています。Watson Healthは確かにこの3つに当てはまるため、IBMがこの部門を売却しても不思議ではありません」とミューラー氏はいう。

IBMは今後も全社的に他の方法でヘルスケア事業を追求すると思われるが、仮にWatson Healthを捨てることになったとしても、これだけの資金を注ぎ込みながらほとんど回収できなかったため、失敗した戦略だと考えざるを得ないだろう。もちろん、それが実現しても大きな驚きではないにせよ、これはまだ噂の範疇に入るものだ。

画像クレジット:Boston Globe/Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

「高齢者に役立つテクノロジーはすべての人の役に立つ」とスタートアップはCESで示す

2022年のCESではエイジテックのスタートアップが可能性の広さを示した。テクノロジーが高齢者の生活をもっと快適にする助けになるなら、他の多くの人々の助けにもなるだろう。移動のサポート、健康状態をモニタリングするプラットフォーム、長期的な資金計画などが役に立つのは高齢者に限ったことではない。

米国時間1月5日、筆者はAARP Innovation Labsのバーチャルプレゼンに登場したスタートアップの記事を公開した。このプレゼンではファイナンスのリテラシーに関するプラットフォームから更年期対策プロダクトを開発するD2Cのスタートアップまで、さまざまなテーマが取り上げられた。

TechCrunchでは他にも、開閉式のトレイシステム、棚、オプションの冷蔵庫を備えたLabrador Systemsのロボットカート「Retriever」を紹介した。最大25ポンド(約11.3kg)を運搬できるRetrieverは移動に制限のある人の助けとなり、家庭で洗濯物や食事などを運ぶことができる。このカートはAlexaの音声コントロールにも対応している(同社はAmazon Alexa Fundの支援を受けている)。

関連記事:Labrador Systems、高齢者や不自由がある人を助ける支援ロボットの手を2023年までに家庭へ

Sengledは心拍数や体温、睡眠の記録などをレーダーでセンシングして健康状態を把握できるスマート電球を発表した。スマートモニタは新しいアイデアではないが、Sengledの電球は極めて控えめだ。TechCrunchのハードウェア担当編集者であるBrian Heater(ブライアン・ヒーター)は「転倒検知など、高齢者介護に役立つ可能性のあるアプリケーションを搭載している」と記している。

関連記事:この電球はユーザーの健康状態をモニターする

テック大手が家庭用ヘルスモニタリングに参入する傾向も続いている。LGは、2021年と2022年の同社の全スマートテレビにリモートヘルスプラットフォーム「Independa」のアプリをインストールすると発表した。これにより、ユーザーはLGのテレビで遠隔治療の予約を取り、薬剤給付のプランを利用できる。

医療機器スタートアップのEargoは、最新の補聴器「Eargo 6」を発表した。新機能として自動で設定を調整する専用アルゴリズムの「Sound Adjust」を搭載し、ユーザーは騒がしい環境で手動で切り替えをして会話を聴きやすくする必要がなくなる。また、Eargoのアプリで選択できる環境設定の「マスクモード」も追加され、マスクをつけている人の話がこれまでよりクリアに聞こえるようになる。

Sensorscallは、Apple WatchやFitbitなどのヘルストラッキングデバイスと統合されたリモートモニタリングアプリ「CareAlert」のアップデートを公開した。家族や介護者は新しい健康状態ダッシュボードを通じて、毎日のルーティン、睡眠パターン、衛生の状況、キッチンの使用に関する傾向を見ることができる。CareAlertを開発したのは、自立して生活する(つまり住み慣れた家で生活し、その多くは家族と離れている)高齢者だ。

BOCCO emoロボット

BOCCO emoは介護施設での見守り用に作られた最新のロボットだ。開発したのはクッション型ロボットのQooboを作ったユカイ工学で、テーブルに置ける小型のBocco emoは医療用のIoTデバイスと接続して患者のバイタルを監視し、状態を看護師に通知する。患者が助けを必要とする場合は、看護師が到着するまでBOCCO emoが患者に話しかける。患者の状態を家族に知らせることもできる。BOCCO emoはすでに日本で試験運用を実施し、現在は日本国内の病院で使われている。この小さなロボットは「emo言語」を使う。ユカイ工学はこれについて、ユーザーの話と感情を理解し、それに応じて「効果音、顔の表情、ジェスチャー」で反応するものと説明している。

IoTセンサーを活用して自立した生活を支援するスタートアップには、Nodeus SolutionsのKoKoonがある。これはモバイルアプリに接続された小さなIoTセンサーのネットワークで、介護者や家族を対象としている。アルゴリズムが個人の習慣を学習し、行動に変化があれば介護者に知らせる。

IoTセンサー、AI技術、モバイルアプリを組み合わせたスタートアップとしては他にCaregiver Smart SolutionsUnaideSmart Macadamがある。

画像クレジット:Marko Geber / Getty Images

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(文:Catherine Shu、翻訳:Kaori Koyama)

コネクテッドフィットネス企業にとってパンデミックが続く2022年もビッグイヤー

毎年、CESの週は、筆者にとって健康的ではなかった。意図的でない断続的な断食はともかく、TechCrunchは展示会でのチームディナーで本当にそうする習慣がある。そしていうまでもなく、同僚のMatt(マット)はメキシコ料理レストランの「Tacos & Beer」に宗教じみた情熱を捧げている。

断っておくが、筆者は毎年、展示会の期間中は毎日必ず、何度も歩数をカウントしていた。ラスベガス・コンベンション・センターのホールを歩き回るテックジャーナリストならそうするはずだ。2022年は、TechCrunchがオミクロン関連の懸念からバーチャルでの参加にしたため、もちろん歩数は減った。

正直にいえば、筆者も同じ懸念のために、ジムに戻るべきか迷っている。そう思っているのは筆者だけではないだろう。2021年末、ジムなどの営業が再開したために、Peloton(ペロトン)のような企業の業績が後退したのは事実だ。しかし、パンデミックはまだ終わっていない。現在、全国の多くの地域で寒すぎて屋外で運動ができないとはいえ、狭い室内で息の荒い人たちと一緒に過ごすというのは、あまり理想的とはいえない。

この種のトレンドが長く続くかどうかを予測するのは常に難しいが、ここ数年でホームフィットネスの世界が大きく変化したことは間違いない。筆者は個人的に、こういったことがすべて終わった後(まあ、本当に終わると仮定しての話だが)、ジムに戻るつもりはないという多くの人と話をした。もちろん、すべてがパンデミックの結果というわけではない。PelotonやMirror(ミラー)といった企業は、私たちの多くが新型コロナウイルスというものを知る前から、多くの支持を得ていた。

もちろん、この手のことは、必ず度が過ぎる。この2年ほど、筆者の受信箱には、家庭用フィットネスサービスのメールが大量に送られてくる。できるだけ多くの企業がこのチャンスに便乗しようとしていることは明らかだ。Pelotonの収益やLululemon(ルルレモン)によるMirrorの買収などを前にしては、彼らを責めることはできないだろう。2021年の「オールバーチャル」CESでは、確かに盛り上がりを見せた。2022年も間違いなくそうなるだろう。

他の超ホットなテック分野と同様、生き残るのはごく一部だ。Pelotonは、CEOのJohn Foley(ジョン・フォーレー)氏による基調講演など、さまざまな形でこのイベントに大きく関与する予定だったが、今週初め、参加を見合わせる企業の長いリストに加わった。それにも関わらず、それを穴埋めする製品がたくさん登場した。

画像クレジット:LG

LGがこのカテゴリーで提示したのは、実用性よりもコンセプト性の方がはるかに高いものだった。どちらかといえば、同社のフィットネスバイクは、ホームフィットネスに同社の曲面モニター技術をどう取り込めるかを示すためにデザインされたものだった。自宅に運動器具を備えようとする多くの人にとってスペースと価格が割高であることと、この製品の大きさを考えると、選ばれることを自ら拒否しているように思えた。

2022年のホームフィットネス製品に「メタバース」という言葉があまり出てこなかったのが率直にいって驚きだった。VRフィットネスアプリのLiteboxer(ライトボクサー)は、そこで得点を稼いだ。「メタバースの夜明けは、より深いつながりの感覚への需要を示しています」と共同創業者でCEOのJeff Morin(ジェフ・モリン)氏はプレスリリースで述べた。「バーチャルリアリティでのワークアウトは、タブレット、電話、コンピュータといった二次元の画面よりも意味のある方法で人々をつなぎます。VRヘッドセットとあなたの勝利への意志さえあれば、誰でも最高のトレーナー、音楽、フィットネス技術とともに、世界のどこにいてもワークアウトができます」。

前述のプレスリリースでは「メタ」という言葉が4回出てくる。プレスリリースでは、ほぼ「VR」という言葉に置き換えて使われたようだ。Quest 2ヘッドセットの商品名だからだ。Liteboxer VRは3月3日にQuest Storeに登場し、月額19ドル(約2200円)のサブスクリプション制となる。

Echelon(エシュロン)は、Peloton(ペロトン)の高価格帯バイク「Bike+」に対抗するために設計した「EX-8s Connect Bike」を展示した。価格はBike+をわずかに下回る2399ドル(約27万8000円)だ。Walmart(ウォルマート)向けの超お手頃な製品も作っている会社としては、高い価格設定だ。この価格で、24インチの曲面1080pディスプレイが手に入る他、車輪部分のライトをカスタマイズできる。1月末に発売される予定だ。

画像クレジット:Wondercise

一方、Wondercise(ワンダーサイズ)はソフトウェアファーストのソリューションだ。同社は、離れた場所にいるエクササイズ愛好家同士を結びつけ、ジムから自宅への移動で生じる孤立感を解消するためのプラットフォームを提供することを目指している。以下は、同社のプレスリリースの資料から。

ライブリーダーボードでは、個人の技量に応じてスコアが表示され、セッションを楽しい雰囲気に演出します。画面上のカラフルなパワーバーやプロフィールは、ゲーム感覚で楽しめるよう意図的にデザインされており、ワークアウトに競争的な側面を加えています。Wonderciseは、いつでも誰でも必要とするパフォーマンス解析とデータが得られるよう、フィットネス業界にIoTを導入することに注力しています。

家庭用機器のカテゴリと同様に競争は激しくなっているが、ソフトウェアファーストのソリューションに比べれば、たいしたことはない。WonderciseはApple(アップル)やSamsung(サムスン)などのビッグネームと直接競合することになる。

一方、Hydrow(ハイドロウ)は家庭用ローイングマシンを代表する重要な企業の1つ。トレッドミルやバイクの先にある、これから本格的な成長が期待されるカテゴリーだ。自転車と比べると、漕ぎ手はより全身を鍛えることができるが、一般に消費カロリーは少ない。Pelotonが手漕ぎボートゲームに参入すると噂されているが、今のところHydrowがこの分野でのビッグネームとして存在感を示している。

画像クレジット:Echelon

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(文:Brian Heater、翻訳:Nariko Mizoguchi

この電球はユーザーの健康状態をモニターする

CES 2022で見つけた、ちょっと変わった楽しい製品だ。心拍数、体温、睡眠の記録といった健康状態の測定ができるスマート電球だ。必要なものではないが、おもしろい。

本製品は、一見したところ最新のNest Hubと同様の機能を持ち、同様の技術を使用している。レーダーセンサーを中心に、ユーザーの身体の変化を計測し、スマートウォッチやフィットネスバンドを装着する必要のないパッシブなヘルスモニターシステムとなる。

もちろん、電球と睡眠時に頭の横に設置するために特別に設計された製品とでは、もっと多くの変数があります。また、フィットネスバンドや指輪をしないという便利さは、電球にアウトソーシングしたいと思うほどすごいことなのか?精度はどうだろうか?身体に直接取り付けるセンサーによる測定値と精度を競うのは酷ではないだろうか?

このスマートホームガジェットは、BluetoothとWi-Fiの機能を持ち、転倒検知など、高齢者介護に役立つ可能性のあるアプリケーションを搭載している。The Vergeは、2022年末に価格未定で発売予定となっているこの電球について、もう少し詳しい情報を紹介している。メーカーのSengledは、この展示会で、スマートオイルディフューザー、ポータブルランプ、モーションセンサーなど、他の製品も多数発表している。

画像クレジット:Sengled

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(文:Brian Heater、翻訳:Hiroshi Iwatani)

心電図などさまざまなデータを測定するWithingsのスマート体重計

体重計は、しばらく前から体重以外のことも教えてくれるようになっている。Withings2009年以来、そうした体重計のリーディングカンパニーの1つだ。米国時間1月3日、同社は体のあらゆることを測定するブランドであることをこれからも目指して、Withings Body Scanを発表した。この299ドル(約3万5000円)のガラス面に乗れば、体重に加えて心電図やセグメント体組成が測定され、神経活動もモニターされる。

この体重計は家庭用心電計となるため、FDA(米食品医薬品局)の厳しい承認を得る必要がある。同社のScanWatchは手首で心電図を測定できる機能があるためFDAの承認に時間がかかり、ヨーロッパに比べて米国では発売がかなり遅れた。

関連記事:【レビュー】Withings ScanWatch、Apple Watchと正反対なスマート腕時計には乗り換えるべき価値がある

今回発表されたBody Scanには、Withingsの体重計でおなじみの機能に加えて新機能もいくつか追加されている。Body Scanには重量センサーが4つ搭載され、体重を50グラム以内の誤差で測定する(あるいは90キロの人なら誤差はわずか0.025%)。さらにITO(酸化インジウムスズ)電極14個が本体に、ステンレス電極4個が格納式ハンドルに内蔵されている。これらのセンサーを組み合わせて、6誘導心電図とセグメント体組成のデータを取得する。

Body Scanは心拍数、血管年齢、そして前述の心電図など、健康状態に関連するデータを日々分析する。多くの電極を備えているため、多周波BIA(生体電気インピーダンス測定)であらゆる体組成を知る面白さもある。従来からある標準的な体脂肪率以外に、体水分率、内臓脂肪、筋肉量と骨量も測定できる。さらに胴体、腕、足など部位別の結果もわかる。

Withingsは、マットレスの下にセットする睡眠トラッカー、スマート血圧計、体温計などを販売し、スマート健康フィットネスセンサーのラインナップも増やしている。こうした流れから考えると、Body Scanは明らかにブランド拡張だ。

Withingsはハードウェア製品に加えてアプリ内のヘルスコーチングも提供している。ユーザーは自分の健康上のゴールを達成するためにコーチング、臨床の専門家、自分に合った栄養指導、エクササイズのプランを利用できる。アプリから履歴も含めて健康に関するデータを書き出すこともでき、栄養士やトレーナー、医療従事者とともに積極的に自分の健康に関与したい人には特に有用だ。

画像クレジット:Withings

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Kaori Koyama)

【TC Tokyo 2021レポート】自分をさらけ出す起業なので、肝はすわっている―ILLUMINATEハヤカワ五味氏・mederi坂梨氏にフェムテックを聞く

【TC Tokyo 2021レポート】「ILLUMINATE」ハヤカワ五味氏・「mederi」坂梨氏に聞く国内フェムテック

TechCrunch Japanは、12月2、3日に日本最大級のスタートアップイベント「TechCrunch Tokyo 2021」をオンラインで開催した。その1日目にあたる12月2日では「フェムテック」(FemTech)セッションを設け、ILLUMINATE(イルミネート)のハヤカワ五味氏、mederi(メデリ)の坂梨亜里咲氏登壇のもと、フェムテックとはどういったものなのか、また各社のサービスについて紹介した。モデレーターは、TechCrunch Japanのライター・イベント担当およびN.FIELD代表の野中瑛里子氏。

ハヤカワ五味氏(ILLUMINATE代表取締役社長)

【TC Tokyo 2021レポート】「ILLUMINATE」ハヤカワ五味氏・「mederi」坂梨氏に聞く国内フェムテックILLUMINATE代表取締役社長のハヤカワ五味氏は、多摩美術大学在学中にランジェリーブランド「feast」やワンピースブランド「ダブルチャカ」などを立ち上げ、Eコマースを主に販売。2019年には、生理から選択を考えるプロジェクト「ILLUMINATE」を立ち上げ、活動を続けている。

ILLUMINATEでは、女性向けヘルスケアブランドの企画・販売を手がけている。「女性の身体」や「女性のライフスタイル」に徹底的に向き合ったサプリメント「チケットサプリ」を展開しており、鉄分など女性が多く摂取する必要がある栄養素、あるいは不足しがちな栄養素をとれるという。また、デリケートゾーンソープ「NODOKA」を展開している。

ハヤカワ五味氏によると、ILLUMINATEが意識しているのは「どれだけ意義がある商品であっても、おしゃれだったりかわいかったりなど、普段から家・部屋に置きやすいデザインでないと使ってもらえないこと」という。特にサプリメントは継続して使ってもらうのが難しい商品であるため、その点を大事にしているそうだ。NODOKAについては、女性自身にまず自分の体のことを知ってもらい、自分の体を大切にしてもらうことを目的とした製品としている。

坂梨亜里咲氏(mederi代表取締役)

【TC Tokyo 2021レポート】「ILLUMINATE」ハヤカワ五味氏・「mederi」坂梨氏に聞く国内フェムテックmederi代表取締役の坂梨亜里咲氏は、明治大学卒業後、ECコンサルティング会社にてマーケティングおよびECオペレーションを担当。女性向けウェブメディアのディレクター、COO、代表取締役を経験した後に、自らの4年に渡る不妊治療経験からMEDERIを設立した。「生みたいときに生める社会にしたい」との考えから、起業を決意した。

mederiは、自宅でできるもっとも身近な妊娠準備をコンセプトにプロダクトを展開。その1つ目が、妊娠・出産を望む女性向けのウーマンウェルネスブランド「Ubu」における、膣内フローラチェックキット「Ubu Check Kit」やサプリメント「Ubu Supplement」などだ。Ubuは、坂梨氏の不妊治療経験から生まれたブランドで、「普段利用していたサプリメントやこんなチェックキットがあったらいいな」と考えたものを手がけている。2つ目は、ピルについてオンライン上で産婦人科医の診療を受けられるというマッチングサービス「mederi Pill」だ。

坂梨氏も、デザインに関して海外のプロダクトを参考にしており、妊活というカテゴリーの中でもできるだけ重々しくならないように、また女性が少しでもハッピーな気持ちになれるようにこだっているという。「ユーザーの利用シーンに自然に溶け込めるプロダクト作りを心がけている」としていた。

mederi Pillは、オンラインで相談できることから、仕事で忙しく病院に行くなどなかなか相談できる時間をとれない、緊張してしまい病院に行くモチベーションがわかないという女性に評価されているそうだ。また地方では、産婦人科に行くだけで噂の元となるといったペイン(課題)がいまだにあり、それが産婦人科医のオンライン相談により解消されるという側面もある。

安定期に入ってしっかり定着してきた

昨今は「フェムテック」という言葉について聞くようになったものの、改めてここで、どういった広がり方をしているのか、どのようなソリューションが展開されているのか尋ねてみた。

「個人には、1~2年くらい前に特に盛り上がっていて、今は安定期に入ってしっかり定着してきた印象がある。海外では5年程度前には一般的に聞くようになったので、その辺りはギャップがある」(ハヤカワ五味氏)。

低用量ピルなどでも、例えばアメリカでは水泳など女性アスリートが利用するなど普及が進んでいる。

「そもそも低容量ピルでいうと、日本ではようやく1990年代終わり頃に認可された(アメリカは1960年代)。日本ではピル自体が約20年の歴史しかなく、親の世代からは大丈夫なの?と心配される。その意味では、フェムテックも歴史が浅くなりやすい」(ハヤカワ五味氏)

フェムテックの勃興が早かった国については、同氏は性教育との関連を挙げた。「性教育が早い国・しっかりしている国は、ニアリーイコールでフェムテックが盛り上がりやすいかなという側面がある。アメリカ、北欧、ニュージーランドなどは性教育が充実していて、結果的にフェムテックへのなじみがあるようだ」(ハヤカワ五味氏)。

自分自身の原体験から起業した、20~30代の女性起業家が多い

また坂梨氏は、フェムテックについて知ったのは2019年という。「不妊治療の経験をきっかけに、どんなジャンルがあるのかと調べていたら、フェムテックや様々な企業が存在することを知ってワクワクした」(坂梨氏)。国内についての盛り上がりについては、ハヤカワ五味氏同様2019年、2020年と指摘した。

国内については、「ウェルネスや月経に関するプロダクトが多い」(坂梨氏)という。この辺りは、国外との違いとして挙げられるようだ。生理が重い、不妊治療や更年期に向き合っているなどの経験があるなど「起業家も、20~40代の原体験がある女性が多い」(坂梨氏)としていた。

「更年期系に関していうと層が薄めで、起業家の人数がまだまだ少ない。起業家自身の原体験からの起業なので、ボリュームとしては20~30代の起業家が多くなっている。結果的に生理系が多くなりやすく、妊活系などもそこまで起業家はいない」(ハヤカワ五味氏)。ユーザーとしては妊娠や更年期を経験している人口が多く、ビジネスとしてはこの層を対象とした方がいいのだが、起業の原体験に基づく場合が多いので、現状では生理系のプロダクトやサービスが増えているそうだ。また早い段階で女性の課題に向き合うスタートアップが増えていくことで、「おそらく今後は、様々なプレイヤーが出てくる」(ハヤカワ五味氏)と見ているという。

一方坂梨氏は、「私自身は、早発閉経という症状で不妊になっていて、ホルモン治療を行っている。他の人よりも早く更年期を迎えると言われていて、最近は、30代で更年期に関するサービスやプロダクトを構築できるかなと考えている」としていた。

不妊治療経験から起業、自分をさらけ出す形なので肝はすわっている

原体験という話題が出たところで尋ねていたのが、坂梨氏とハヤカワ五味氏の起業のきっかけや苦労した点だ。

坂梨氏は、すでに触れたように自身の不妊治療経験から起業している。また、「女性だからということで、起業の点で苦労したことはあまりない」(坂梨氏)という。「自分のウィークポイントをさらけ出す形での起業なので、肝がすわっている方なのだと思う。ただ、BtoCのプロダクトを作っていて、どうしても投資フェーズが長くなるビジネスモデルなので、資金調達をずっと行っている初年度となり肉体的には疲れた」(坂梨氏)。

フェムテックというと、プロダクトのピッチを行う際に、女性ならではの課題(ペイン)を男性の投資家に理解してもらうのは難しそうだが、そうとも限らないという。「妊活領域では、男性の投資家でも、友人や家族などの声や男性としての経験があって、わかりやすかったようだ。不妊の原因が男性に由来することがあり、男性の投資家に共感してもらうことも多かった」(坂梨氏)。さらに「その点では、妊活領域については、女性向けだけでなく男性向け商材のアプローチも考えている」(坂梨氏)と明かしたていた。【TC Tokyo 2021レポート】「ILLUMINATE」ハヤカワ五味氏・「mederi」坂梨氏に聞く国内フェムテック

女性には自分自身をもっと知ってもらいたい、知ることが力になる

ハヤカワ五味氏は、周囲の女性の苦労に気が付いたことがきっかけという。「私は当事者ではなく、2004年から経営している会社(ランジェリーブランドのfeast)で課題があって、それが原体験になっている。女性向け下着をプロダクトとして扱っているので、ほとんどのスタッフが女性という状態だった。そんな中で、毎月同じタイミングで休む方がいる場合に、もしかして生理が重いのかなと思って尋ねてしまうとセクハラになってしまう。スタッフ側としても、同じ女性であっても上司には話しにくい。そこに課題、問題を感じた」(ハヤカワ五味氏)。

そこからさらに、「生理用品を紙袋に入れないといけないよねという風潮や、生理痛が重いけれど産婦人科に行っていない子がいるなど、いろんな課題を見つけるようになった。それが自分にとって糧や力になって、起業してやっていこう」(ハヤカワ五味氏)と思ったという。

「私自身は、生理や女性ホルモンなどで悩んだ経験があるわけではない。多少話題からずれるが、子宮頸がんの検査で引っかかったことがあって、これは病院に検査に行ったからこそ気付けたと考えている。そういった意味で、女性には、自分自身のことをもっと知ってもらいたい、知ることが力になると思う。そこが原体験としてある」(ハヤカワ五味氏)。

女性向けの検査が、「ブライダルチェック」など結婚後を前提にしたイメージに偏ってしまっている

フェムテックという話題からやや離れてしまうが、子宮頸がんワクチンについても触れていた。子宮頸がんワクチンは十分な周知がなされなかったため、接種している女性は少ない。「私くらいの世代で子宮頸がんワクチンを無料接種できるようになったものの、副作用の話がすごくフォーカスされてしまい、現在に至るまでほとんど接種されていないという状況が続いていた。しかし最近、周知に関する状況は変わってきた。子宮頸がんは20代でもかかってしまう身近ながんなので、女性はもっと恐れた方がいい」(ハヤカワ五味氏)。

一般に、がんは「がん化」してから発覚するのだが、子宮頸がんの場合は「がん化」する前に発見できる例は少なくない(子宮頸がんは、「がん化」前の状態を経過してからがんになる)。「現在であれば、子宮頸がんを引き起こすHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染をチェックできるキットもある」(ハヤカワ五味氏)。そういったキットの広まりも含め、「一般的な健康診断にも女性特有の検査をオプションとせずにまとめて扱うようにしてほしい。卵巣や不妊治療に関する検査なども行って、早い段階で知ることができるようにしてほしい」(ハヤカワ五味氏)。

「現在では、女性対象の様々な検査が『ブライダルチェック』など結婚後のものとイメージさせてしまう言葉の形で、浸透してしまっている。言葉を換えて、妊娠や不妊の可能性を含めて、早い段階で女性が自分自身のポテンシャルを把握できるようにすることが重要だと思う」(坂梨氏)。

「事業をやっていて感じるのは、我慢しなければならないという風潮が強いこと。例えば、小中学生の際に生理でもプールに入るように言われたり、自分だけが痛がっているだけかもしれないと思って我慢したりなどがある。フェムテックは、実はそんな我慢は必要ないものと知らせる、『実は、あなたは大変なことになっているよ』と女性自身に気づいてもらうきっかけになるプロダクトが多いと思う」(ハヤカワ五味氏)。【TC Tokyo 2021レポート】「ILLUMINATE」ハヤカワ五味氏・「mederi」坂梨氏に聞く国内フェムテック

また現在20~30代女性の場合、母親世代などからそんなことは言わないもの、男性に生理などについて相談しないものという価値観を示されやすく、相談相手がなかなかいない。「産婦人科にかかるタイミングや重要性なども自分では気づけない、家族にそんな女性がいても気づけないことはあるので、もう少しオープンに話せる場があるといい」(坂梨氏)。

「海外の事例では、D2Cブランドがクリニックを展開する、クリニックがアプリと連動するなど、オンラインとオフラインをシームレスに展開している事業もある。例えば、気楽にオンラインで相談できて、実際の検査は現場に行くなど、いろいろな選択肢がで出てきている」(ハヤカワ五味氏)。

「私が感銘を受けた海外企業に、テレヘルス(Telehealth。非臨床的なサービスを含む遠隔医療)を手がけるHims & Hers Health(ヒムズ・アンド・ハーズ・ヘルス)がある(男性向けのHimsと女性向けのHersを展開)。男性のAGA(男性型脱毛症)やED、女性のピルを含めて、おしゃれなパッケージと世界観を展開している。自分の体やヘルスケアについて気遣うことがおしゃれなこと、ライフスタイルの一部になるようなブランド作りをしていきたい」(坂梨氏)。

フェムテックは女性だけのものではなく、もっと色々な方が関わってくれる業界になってほしい

最後にハヤカワ五味氏と坂梨氏にそれぞれ尋ねていたのが、事業を通じて作っていきたい世界像、理想だ。

ハヤカワ五味氏は、「ブランド名としている『ILLUMINATE』には、『照らす』『明示する』といった意味がある。弊社としては、女性の選択肢、ひいては男性も含めすべての人の選択肢が照らされているような状態を作りたい。知識があるから気付けるし、その気付いたものを得られる商品・状態を作りたい。広く女性自身が障壁を感じずにすむ世界になっていくといいと思う。その先に、男性やほかのジェンダーの方の幸せも待っているのかなと思う」という。

ILLUMINATEのスタッフの半分程度は男性で、「自分自身に体験がないからこそ、周囲の女性の体験を聞くなどヒヤリングを基に意見を出している」(ハヤカワ五味氏)という。それら意見も製品に反映しており、「フェムテックは、女性だけのビジネスではないことが伝わったらいい」としていた。「商品自体の『ゼロイチ』の部分は私が責任を持つにしても、「この商品の設計は、僕でも続けない」などの意見があったりするなど、男性スタッフにも体験・UXを自分事として考えてもらっている」(ハヤカワ五味氏)。フェムテックがより魅力のある市場になることで、男女問わず様々な人がそれぞれの事業を志望するようになると見ているという。

「フェムテックというと敷居が高い、女性だけのものというイメージがあるものの、(この領域の企業では)実際には男性やそれ以外のジェンダーも働いている。フェムテックは女性だけのものではなく、もっと色々な方が関わってくれる業界になってほしいと考えている。興味がある方は、ぜひ様々な事業をチェックしてもらえるとうれしい」(ハヤカワ五味氏)。

男女ともに支え合っていける、ユニセックスで使えるプロダクトも作りたい

坂梨氏は、「『mederi』という社名は『愛でる』という言葉が由来で、もっと「愛でり合う(愛で合う)」社会にしていきたい」という。「男女で性差はあるものの、お互いの良さや足りない部分を受け入れて補い合っていくといい」としていた。「今はフェムテックという領域で展開しているが、mederiとしては、男性も視野に入れた商品展開も行っていきたい。男女ともに支え合っていける、ユニセックスで使えるプロダクトも作りたいと考えている」(坂梨氏)。ジェンダーを問わず対象とする方向性から、「ヒューマンテック」(坂梨氏)ととらえているそうだ。「女性を軸に、男性もお子さんも関わりがあることなので、様々なコミュニティに浸透するようなサービスを展開していけるといいなと思う」(坂梨氏)。

「女性が幸せなら男性も幸せだし、男性が幸せなら女性も幸せという思いから、フェムテック領域でサービスを展開している。今後は、toCだけではなく、toBの福利厚生として、男女とも等しく展開できるようなオンライン診療を用いたパッケージなども展開したい。多くの人が自分事にできるようなサービスにしたいので、注目してほしい」(坂梨氏)。

評価額が収益の実質「無限大」に

スタートアップとマーケットの週刊ニュースレター、The TechCrunch Exchangeへようこそ。

この記事を書いている今日(米国時間12月25日)はクリスマスなので、実際に読者が何人いるかはわからない。ということで家族を避けている7人のみなさん、こんにちは。

次回いつものように大勢の人向けの話に戻る前に、今回は2つほどすばやくお話ししておきたい。どうだろう?2021年の終わりにおもしろい話を。ともあれご愛読にお礼をお伝えしたい。感謝している。

さて今週(クリスマスで終わる週)の最高のストーリーは、Jack Dorsey(ジャック・ドーシー)氏がweb3をバカにしたことではなく、とある資金調達ラウンドだ。ラウンド自体はそれほど魅力的ではなかったが、Airbyte(エアバイト)のラウンドの背後にあるストーリーが魅力的だったのだ。

参考までに、Airbyteとは、顧客のデータ移動を支援するオープンソーススタートアップ(OSS)である。率直に言って、それは大きな市場だ。なぜなら、そこにはたくさんのデータがあるし、単にそこに置かれたままではないからだ。企業はそれをあちこちに移動したいと考えている。そして、それを行うことは一大事だ。必要がないので、読者に「ELT(抽出、変換、読み込み)」についてはとりたてて何かいうつもりはないが、それはAirbyteが競合する一般的な市場である。

ビジネスという観点では、Airbyteはもちろんオープンソース製品を用意し、そして有料サービスを提供している。有料版のAirbyteには、通常のエンタープライズ向けのツールが含まれている。例えばSSO(シングルサインオン)などだ。そしてホスティングも。ということでかなり標準的なOSSではないだろうか?

お金の話に戻ろう。Crunchbaseのデータによれば、Airbyteは2021年初頭にシードラウンドを行っている。その後、5月にはシリーズA調達を実施した。その時点で、同社は2021年3000万ドル(約34億3000万円)以上を調達したが、これは大層な金額だ。

次に来た金額がまた見ものだった。Airbyteは今週、約15億ドル(約1715億4000万円)の評価額で1億5000万ドル(約171億5000万円)のシリーズB調達を行った。おもしろいことに、同社の現在の収益(年間経常収益、つまりARR)は100万ドル(約1億1400万円)未満なのだ。

私はツイッターで、同社がARRの1500倍の価値を生み出したと冗談を言った。このツイートはウケたようだ。

だがそれは中途半端な冗談に過ぎなかったことが判明した。Airbyteのニュースが出された後、収益はおそらく私が最初に考えていた線よりも、さらに下回っていたと聞いた。つまり実際にはAirbyteの評価額は、ARRの1500倍よりずっと多かったことを意味する。

事実上、それは無限大のようなものだ。それは驚くべきことであり、2021年にベンチャーキャピタルが常に目指していた地点だ。結局何を言いたいのかって?つまり次のとおりだ。

  • より大きな資金がスートアップのライフサイクルのますます早い段階に投入されるようになっている。これはより多くの資金を投入して、将来の人気企業に対して多くの取り分を確保するためだ
  • これは、これまで以上に多くのスタートアップがFOMO(Fear of Missing Out:取り残される恐怖)に基づいて巨額の資金を調達できるようになったことを意味している
  • その後、2021年になって、さらに多くのお金が流れ込むようになって、上記の2つの点(多額の資金投入、青田刈りの早期化)はさらに激化した
  • 現在シリーズBラウンドは数十万ドル(数千万円)単位のARRで行われていると耳にしたが、昔(2019年)はシリーズA調達を行うためには、最低でも100万ドル(約1億1400万円)のARRが必要だった
  • そしていまAirbyteの例を見ると、収益ベースと比較した場合には、企業の評価額には実質的な制限がないことがわかる

Airbyteはこの偉業をどのように達成したのか?私の勘では以下のようなものだ。オープンソース企業は、資金を調達しようとするときに、投資家の前にぶら下げることができる、単純に優れた一連の非収益指標を持っている。例えばオープンソースプロジェクトの利用状況と貢献情報などだ。なので、私の推測では、有料プランはまだ初期段階だとしても、Airbyteのコミュニティ内での利用率は非常に高いのだろう。

ではこのAirbyteラウンドは馬鹿げたものなのだろうか?そんなことは誰にもわからない!私たちが言えることは、収益の桁数がはるかに少ないにもかかわらず、投資家が数十億ドル(数千億円)の評価額の下で数億ドル(数百億円)の資本を同社に投入するのに十分なデータがどこかにあったということだ。

これはオープンソースのスタートアップにとって強気の材料ではないか?私はそう思っている。

そして最後に、Juna(ジュナ)だ。

先にJunaの創業者でCEOのPeter Arian(ピーター・アリアン)氏に会い、彼のスタートアップが何をしているのかについて話を聞いた。スタートアップが力を入れているのは、保険会社と協力して、性的にアクティブな人びとに低コストの性的健康診断を提供することだ。それは、若者に対して顧客直接取引と健康技術のハイブリッドモデルを適用し、若者が検査を受ける習慣を、受動的ではなく能動的に行うものへとシフトさせることを狙っている。

すべてを新型コロナウイルス感染症(COVD-19)のせいだというつもりもないが、最近はみんな検査を受けることに少し慣れているのではないかと思う。新型コロナ検査のやり方が変わっていないのら、それは鼻の奥を綿棒でつついて数分でお終いだ。現代生活の喜びとはこんなものだ。

Junaのやり方がスマートだと思う点は、もし私がもっと若くて結婚していなかったら使いたくなるようなクールな製品だということだけではなく、そのマーケティング戦略もすばらしいことだ。ソーシャルメディアを活用して注目を集めるブランドについてはよく耳にすることと思う。そう、JunaはTikTokをそのビジネスのために利用している

アリアン氏によると、同社のアクセスの順番待ちリストは毎月15〜20%の間で伸びており、かなり健全なようだ。Junaは2月のローンチを目指しているため、この先まだ順番待ちリストは長くなるだろう。おそらく、TikTokへの出費は続くのでは?

同社はある程度の資本を集めてはいるが、それはまだ完全には終わっていない。私はアリアン氏が資金調達ラウンドを行い、サービスをローンチしたときに再び話をきくつもりだ。検査はセクシーではないが、検査を受けた人たちのセックスはどうだろう?とか何とか。

画像クレジット:Nigel Sussman

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(文: Alex Wilhelm、翻訳:sako)

愛犬のおやつ・おもちゃが毎月届くQualumが犬種特化型パーソナライズ機能を正式提供、ヘルスチェック結果を獣医師が監修

愛犬のおやつ・おもちゃが毎月届くQualumが犬種特化型パーソナライズ機能を正式提供、ヘルスチェック結果を獣医師が監修

「豊かな暮らしを届けるためのブランドとサービスを手掛けるライフスタイルカンパニー」であるFrankyは12月23日、愛犬のおやつ・おもちゃなどが毎月届くパーソナライズケアBOX「Qualum」(カルム)において、犬種特化型のパーソナライズ機能の正式提供を開始した。まずは、チワワ、トイプードル、ダックスフンドの3犬種でスタートし、順次犬種を拡大してゆく。

また同社は今後、飼い主をサポートする機能の追加、犬種ごとの最適な各種ケア用品の展開も視野に入れ、愛犬ができるだけ長く飼い主と健康で楽しい時間を過ごせるよう、引き続きプロダクトおよびアイテム開発に取り組むとしている。

Qualumは、国内160犬種の基礎データと100万通りのヘルスチェック結果から、愛犬に必要なものを選んで届けるサブスクリプションサービス。「愛犬ヘルスチェック」で、犬種、性別、アレルギー、運動量、心配事など約10項目のパーソナライズ診断により、愛犬の健康維持に必要な栄養成分やカロリーの目安などが算出される。獣医師が監修した診断データに基づいて提案されるおやつが選択できる仕組みだ。

担当獣医師の寺田かなえ氏は「獣医学・ペット栄養学の観点からはもちろん、生まれ持った犬種特有の悩みや、愛犬それぞれの悩みや健康状態を考慮して、その子に最適なものを選んでいます」と話している。

Qualmは注文内容によって異なるが、料金は月額2980円(税込。送料込み)より。売り上げの一部は保護犬保護猫マッチングサービス「OMUSUBI」を通して保護団体に寄付される。

オフィス勤務再開需要に向けて、室内に新型コロナ感染者がいたかどうかを調べられるPhylagenが全力疾走

パンデミック開始から2年が経った今、世の中の企業は安全な対面業務の再開に向けて奮闘中だ。Apple(アップル)はオフィス勤務再開の計画を延期し、Google(グーグル)は2022年中には週3回のオフィス勤務を義務づける予定だが、ワクチン未接種者は最終的には職を失うことになると先日の発表で明言している。「従業員を守り、業務を進めるためには、ワクチン接種の義務化が最も効果的な方法となります」と同社は CNBCへの声明で伝えている。

しかし、ワクチンを接種した人でも感染力の強い新型コロナウイルスに感染する可能性はある。サンフランシスコを拠点とする設立7年目の企業、Phylagen(フィラゲン)は、微生物ゲノミクスとデータ分析を組み合わせて、物理的な空間に新型コロナウイルスの感染者がいたかどうかを調べることができるという。

その方法は次の通りだ。Phylagenは、センサー、スワブ、サンプルコレクターを活用し、これらを週に2回パッケージに入れて研究所に発送する。そして感染者が建物内(トラッキングのためにフロアやゾーンに分けられている)に細菌を持ち込んだかどうか、あるいは建物内の空気が安全かどうかを72時間以内にデータとして提供するという仕組みである。

同社はこれを「サービスとしての企業病原体モニタリング」と呼んでいるが、元生物学教授で、土木技師とマイクロバイオーム科学者の両方で正式な訓練を受けた創業者兼CEOのJessica Green(ジェシカ・グリーン)氏は、その実現可能性に長い間魅了され続けてきた。

しかしグリーン氏いわく、これまでの道のりは孤独なものだったという。「私たちは90%の時間を室内で過ごしていますが、自分が口から何を吸い込んでいるかについては何も知りません。この会話の間にも、私たちは何百万もの微生物を放出し、健康やウェルビーイングに深刻な影響を及ぼす可能性のある何百何千ものウイルス、バクテリア、カビを吸い込んでいるのです」。これは「何十年も前から分かっていた」ことだが、一般の人々の理解が「今回のパンデミックで結実した」のだと同氏は話している。

Phylagenは当初から我々が呼吸している空気に焦点を当てていたわけではなく、創業当初から2020年の春まで、同社はサプライチェーントラック&トレースと呼ばれる市場で事業を展開していた。これは企業が自社の製品が最終目的地に向かって予定通りの経路をたどっているかどうかを確認するためのセグメントである(迂回した場合、製品に手が加えられた可能性も出てくるため、企業の評判を落としたり、特に医薬品に関しては致命的な結果を招いたりすることもある)。

グリーン氏によると、パンデミックの発生にともない、新型コロナウイルスを追跡する手段として同社の製品にも関心が寄せられたという。しかし、ウイルスが表面ではなく空気を介して広がっていることが明らかになると、同社は同社の技術を別の用途に使用するため完全シフトすることにした。これまでに得た知見や増え続ける微生物のデータベースを、トレーサビリティーのためではなく、建物の中にいる微生物を捕獲し、その情報をデジタル化して顧客に提供するというのがその考えである。

顧客数も増え続けているようだ。グリーン氏は具体的な顧客名を明かしておらず、多数の大手テック企業や商業用不動産会社と密接に連携しているとだけ伝えているが、産業用バイオテック企業Solazyme(ソラザイム)を共同設立したHarrison Dillon(ハリソン・ディロン)氏とともに共同設立された同社の事業は2022年に向けて大繁盛しているという。

収入は前年比10倍、従業員も20人から40人へと増加した同社。Phylagenはこの夏、ヨーロッパの上場企業で、ビルの防火・空調・セキュリティ機器を製造しているJohnson Controls(ジョンソンコントロールズ)から戦略的資金をひそかに調達したこともあり、人員をさらに倍増させる計画だという。

Phylagenはこれまでに3M(スリーエム)、Breakout Ventures(ブレークアウト・ベンチャーズ)、Cultivian Sandbox(カルティビアン・サンドボックス)などから合計3000万ドル(約34億円)を調達している。

しかし当然、次々と現れるライバルたちを出し抜けるかどうかという疑問も残る。

「これがニューノーマルだからこそ、新たな競争相手が現れたのです」とグリーン氏は話す。「誰もが安全な室内空気を求めるようになるでしょう。現在、室内空気の質を測定できる方法は非常に古く、空気に関連する生物学的要素を検査する、手頃で信頼性の高い方法もありません」。

Phylagenが所有するサンフランシスコとマンハッタンの研究所や、提携研究所からの結果を72時間も待つと聞くと、Phylagen独自のプロセスも時代遅れだと感じる人もいるかもしれない。新型コロナウイルスがいまだに急速に広がっていることを考えれば、2~3日というのは決して迅速な提供とは言えない(更新:この記事の掲載後、Phylagenから連絡があり、グリーン氏の発言は誤りであり、Phylagenは24時間以内に顧客に結果を返すことができるとのことであった)。

この速度は近い未来に短縮されるだろうとグリーン氏は考えている。「次世代のテストではすべてが自動化され、現場で行われるようになるでしょう。CO2センサーや、温度と相対湿度の情報を提供するサーモスタット のNest(ネスト) を想像してみてください。これと同じように空気中のDNAやRNAを検出できるようになるのは確実で、私たちは今それを目指して取り組んでいます」。

確かにPhylagenがその潜在能力を発揮すれば、同社のチャンスは絶大なものになるだろう。新型コロナウイルス以外にも多くのものを検査することができ、アレルギー誘発物質も計画に含まれているという。

商業利用のみならず、家庭での使用にも可能性はある。初期投資家である3Mはすでにデータ駆動型の消費者向け製品の開発に取り組んでいるようだ。9月にはPhylagenの技術を使った家庭用清浄度キットの販売を開始しているが、Amazon(アマゾン)で約180ドル(約2万円)という価格はほとんどの家庭にとっては高価すぎるため、現時点では試験的なものなのだろう。

一方でグリーン氏は、今はまだ企業顧客に集中していると主張している。これには他の製品を検討する時間がないという理由もあるようだ。

「3Mの製品から得られる最大のポイントは、検査したい有機体の一覧を自由に作ることができるということです。しかし、現在最も重要で、最大の市場機会と市場ニーズがあるのは商業ビルの分野です」。

「私たちがどんな機能を提供できるかということにかかっています。今、私たちは需要に追いつくために全速力で走っています」。

画像クレジット:Phylagen

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(文:Connie Loizos、翻訳:Dragonfly)

AIによる献立・栄養管理アプリ「おいしい健康」の買い物リスト機能がバージョンアップ、まとめ買いやSNS共有に対応

おいしい健康は12月21日、AIによる献立・栄養管理アプリ「おいしい健康」(Android版iOS版)において、レシピや献立に必要な材料を自動で一覧にして買い忘れ・買いすぎを防ぐ機能「買い物リスト」のバージョンアップを発表した。複数の献立を1つのリストにしてまとめ買いに対応したほか、SNSなどで買い物リストを共有するなどが可能となった。

おいしい健康は、健康な人からダイエット・生活習慣病対策を考えている人などの「予防・自己実現のための食事」から、何らかの病の患者・妊婦・高齢者など「医療上の制限がある人の食事」まで、幅広く支援する食事管理アプリ。難しい食事管理について、毎日のおいしい食事により誰でも行えるよう医学的な根拠(エビデンス)に基づきつつユーザーをサポートする。提示するレシピは個々のユーザーに適した栄養バランスに加えて、冷蔵庫の食材や好きな食べ物、料理の腕前、調理時間に合わせることで「究極の食のパーソナライズ」を実現するという。

今回バージョンアップされたのは、献立やレシピごとに必要な食材を表示する「買い物リスト」。新たな機能として、これまで献立やレシピごとに表示されていた買い物の内容について、複数分を1回の買い物リストとして表示可能となり、まとめ買いがしやすくなった。

さらに、買い物リストを家族やパートナー、友人とSNSやメールで共有する機能も採用。買い物を分担することで、料理を作る人の負担を軽減できる。また、過去の会物リストを日付別に自動保存する機能も新たに追加した。同じ献立を作る場合に、買い物リストを改めて作成することなく過去のリストを再利用できるようになった。このほかにも買い物を便利に、ラクにする機能が多数追加されているという。AIによる献立・栄養管理アプリ「おいしい健康」の買い物リスト機能がバージョンアップ、まとめ買いやSNSなどで共有可能に

 

同社によると、ユーザー調査において、全体の約8割が3日に1回程度の買い物をしていること、また料理の際の困りごと・負担として半数近くが「買い物に行くのが負担」と回答したという。実際、従来バージョンから買い物リスト機能の利用者は多く、機能改善の声があったことから、ユーザーの要望に応える形でバージョンアップを実施したそうだ。

2016年7月設立のおいしい健康は、AIやビッグデータ、最新の栄養科学によって「食事で病気の無い世をつくりだす」ことを目指す、ヘルスケア領域スタートアップ。献立・栄養管理支援アプリであるおいしい健康、食事タイミング支援アプリ「食べリズム」を提供している。医療機関・薬局・製薬会社と連携した患者支援、食品会社の健康領域事業を立ち上げて支援するDXヘルスマーケティング事業など、健康に関する多様な事業を通じ、世界の80億人が「いつまでもおいしく、食べられる」社会の実現を目指している。